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1953/04/27 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第25号
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1953/04/27 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第25号

#1
第019回国会 法務委員会 第25号
昭和二十九年四月二十七日(火曜日)
   午後三時十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     郡  祐一君
   理事
           上原 正吉君
           宮城タマヨ君
           亀田 得治君
   委員
           青木 一男君
           楠見 義男君
           三橋八次郎君
           小林 亦治君
           棚橋 小虎君
           一松 定吉君
           羽仁 五郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       堀  眞道君
  説明員
   法務省民事局参
   事官      平賀 健太君
  ―――――――――――――
○民事訴訟用印紙法等の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(郡祐一君) 只今より委員会を開きます。
 先ず民事訴訟用印紙法の一部を改正する法律案を議題に供します。
#3
○亀田得治君 この事物管轄の点ですが、簡裁と地裁との境を二十万円というところに置かれたわけですが、どうも事件処理ということに少しとらわれ過ぎているのじやないか。事件のこの裁判所への配置、配分、そういうことにとらわれ過ぎて、少し上げ過ぎているのじやないか、そういうような御批判も相当あるわけなんですが、例えば、この日弁のほうなんかでもいろいろ検討の結果、やはり十万円程度で線を引くべきだ、こういう意見が出ておるのは御存じの通りであります。で、私も十万円が妥当かどうか、一番妥当かどうかということは、必ずしも直ちに断定はできないと思うのですが、二十万円に一挙に持つて行かれるのは、少し飛躍し過ぎるのじやたいか、こういう感じがするのですが、この点はどういうお考えでしよう。
#4
○説明員(平賀健太君) 現在簡易裁判所と地方裁判所の事件の配分が一体どうなつておるかを見ますというと、地方裁判所に非常にたくさん事件が行つておりまして、簡易裁判所が非常に事件が少いのであります。その大体の比率を、申上げますと、地方裁判所、簡易裁判所の新受件数を一〇〇%といたしますと、地方裁判所が約七三%、それから簡易裁判所が二七%ということになつております。これを戦前の地方裁判所と区裁判所との比率に比較いたしますと、戦前でありますと、地方裁判所が一五%、区裁判所が八五%ということになつておりまして、まるで戦前と現在では逆転いたしておる関係になつておるのでございます。で戦前の簡易裁判所の訴訟物の価額が、千円であつた当時のものを物価指数に直しますと、約二十数万円になるのでございまして、実質的には簡易裁判所の事物管轄を二十万円までということに上げます。というと、昔の区裁判所と同じような、民事訴訟に関する限りにおきましては同じような権限を持つことになるわけであります。実際問題といたしましても、簡易裁判所の民事訴訟の手続というのは、戦前の区裁判所の手続と実質的には一向変りがないのでありまして、特に簡易に事件を処理しておるというわけではないのであります。ただ訴訟物の価額が非常に、現在三万円で以て戦前と比較して非常に低いところで抑えられておるということと、それから特任判事が裁判官となつて裁判ができるという点が区裁判所と違つておるだけであります。でありますから、民事訴訟の手続自体は一向変つていないのでありますから、この際戦前の区裁判所と同等に訴訟物の価額を上げましても、他方におきまして裁判官の素質の点を考慮しまして、正規の資格を持つた裁判官が事件の処理に当るということになれば、二十万にしても必ずしも不当ではないのではないかということが第一に考えられるのであります。
 なお、現在では簡易裁判所は全国多数あるのでありますが、ところによりましては民事訴訟事件が一年間にあるかないかという極めて閑散な簡易裁判所があるわけでありまして、非常に国家財政上も無駄があるという点もあるのであります。
 それからなお二十万円に仮に上げますというと、地方裁判所と簡易裁判所の事件の配分がどういうふうになるかと申しますと、昭和二十八年度、昨年度の新受事件を基礎にして考えますと、地方裁判所で受理します事件の約五九%、六〇%近くが簡易裁判所で受理されるようになり、簡易裁判所に移るのではないかというふうに一応推測されるのであります。そうなりますというと、地方裁判所の事件の約五九%が簡易裁判所に移ることになりまして、地方裁判所と簡易裁判所の事件の配分全体として見ますと、一審事件を全部一〇〇%といたしますというと、地方裁判所が約三〇%、簡易裁判所が七〇%というふうな配分関係になつて来るのであります。戦前はそれでも地方裁判所が一五%、区裁判所が八五%でありしましたので、なお地方裁判所のほうが、現在のほうが地方裁判所の負担が戦前よりも多いことになるのでありますけれども、若干戦前に近くなつて来るのであります。
 それから仮に今のは二十万円を基準にしたのでありますが、十万円を基準にいたしますとどういうことになるかと申しますと、やはり同じく昭和二十八年度の新受事件を基にして考えますと、地方裁判所事件の約四一%が簡易裁判所に移つて行く計算になるのであります。それでその結果地方裁判所、簡易裁判所事件全体を通じまして、地方裁判所の事件が四三%、簡易裁判所の事件が五七%、約半々ぐらいになると思われるのであります。それで一応案といたしましては十万円を限度にするか、二十万円を限度にするかという点があるのでありますが、戦前の区裁判所の権限の範囲と比較し、更に特任判事には事件を扱わせないで、正規の資格を持つた裁判官に事件を扱わせるということにすれば、この際は二十万円は少し高いようには思われますけれども、二十万円まで上げたほうが適当ではないであろうか。これは勿論最高裁判所の負担の過重を防止するという点にもやはり効果があるわけでありまして、この際は二十万円まで上げたほうが適当ではないか、こういうふうに思つておる次第であります。
#5
○亀田得治君 簡易裁判所と地方裁判所の判事の員数はどうなつておりますか、統計でよろしいのです。およそでいいのです。
#6
○説明員(平賀健太君) ちよつと古いのでありますが、昭和二十八年の五月一日現在におきまして簡易裁判所の裁判官の総数は六百三十六名になつております。それから地方裁判所の裁判官の総数は九百七十六名になつておるようでまります。
#7
○亀田得治君 この判事の比率から言いますと、余りにも多く簡易裁判所に一度に事件が集中する、これは少し行き過ぎになるのじやないかと、判事の数から言つても感ずるのですが、六百三十六名と九百七十六名ですから、地方裁判所のほうが遥かに多いわけですね、而も質的には地方裁判所のほうがいいわけですから、まあ中味を出して計算をすると倍くらいの人数になると思います。地方裁判所の能力という面から見たら、もうそれは事件の数だけじやいけない、重要な事件が地方裁判所に行くわけですが、その点を考えにおきましても、六百三十六名の簡易裁判所の判事では非常に無理が起るのじやないか、こう思いますが、私はこれは少し判事の異動なんかお考えになつておるような事情があるのですか。
#8
○説明員(平賀健太君) 詳細なことは裁判所のほうで御答弁願つたほうがいいと思うのでありますが、この過大な事件が簡易裁判所に移るわけでございますが、当然裁判官の配置替は必要になつて来ると思います。先ほど申上げましたように、五九%の事件というのが、地方裁判所から簡易裁判所に移るわけでありますから、それに応じまして地方裁判所の裁判官の一部を簡易裁判所に配置替をするというその人数が一体どのくらいになるか、ちよつと法務省としましては見当がつきませんけれども、簡易裁判所のほうに配置替が行われるものと考えております。
#9
○亀田得治君 その点は思われるというのじやなしに、そういう計画の内容は別として、そういう計画であることは間違いないのですか。
#10
○説明員(平賀健太君) そういう計画であるように承知しております。
#11
○亀田得治君 それはもう少し確かめてもらいたいと思うのです。
 それからこれはこの問題に直接関係がないのですが、簡易裁判所というのは、あれはもと区裁判所と言つていたわけですが、どうして簡易裁判所なんという名前に変えたのですか。私は必要ないと思います。検察庁では何々区検察庁といつている。そのほうがいいように思うのですが、何かこう簡易裁判所というのは簡単に片付けるところで、あるというような印象もあつて、どうも裁判所の名前としては、不適当だと思う。そういうことはどうでしよう、こんなにたくさん事件が寄せられるというのなら、名前なんかどうでもいいじやないかということも、私どもは余り名前にとらわれないほうなんですが、それでも余りどうもいい名前のように思わない。悪い名前でも暫く使つておると大体こう気にさわらんようになるものですが、あの名前だけはいつまで経つても気に障わるのですが、簡易裁判所はどうですか。そういうことはあなた方部内では問題にならないですか。
#12
○説明員(平賀健太君) 裁判所法の制定の際に、いわゆる簡易裁判所の名称をどうするかという点につきまして、いろいろ案がありましたし、議論もあつたようでございますが、民事訴訟の手続を考えますと、現在以上に考えるということはどうしても性質上行きませんので、お説のように簡易裁判所という名称は如何にも事件を簡単に手取り早く、これは悪く言いますと、ルーズにやるというようなふうにもとれて適当でないと思われるのでありますが、他方今日のような裁判所法の改正案の附則で見ますように、民事訴訟事件は最高裁判所が指定する特定の簡易裁判所が行なうということになりますというと、その他の簡易裁判所におきましては、民事に関しましては、調停事件が主になるわけでありまして、実質的には民事に関する限りにおきましては、調停裁判所になるわけであります。そうなりますというと、その調停裁判所に、実質上簡易裁判所におきましては、簡易裁判所という名称も一応ふさわしいように考えられないことはないのでありますが、いずれにしましても、簡易裁判所を将来どうするかということにつきましては、今後におきまする裁判所の機構をどうするかという問題のやはり一環といたしまして、十分検討されなくてはならんのではないかと思うのであります。その際に名称のことも当然考慮に上るのではないかと、こういうふうに考えております。
#13
○亀田得治君 調停の場合でも、どうも簡易というのは両立しないと思う。調停の場合であれば何々調停所、こういう看板を出したらいいのですね。別に例えば裁判所の建物を利用するにしても、何々調停所と書いたらいいのですから、とにかく簡易というのはどうしても感心しませんね。だからそれはやはり何らかの機会に法律改正をしてもらうような一つの問題として考えてもらいたいと思いますね。幾ら訴訟手続を簡易にやるという点が幾らかあつたところで、そういうことは何も裁判の中心の問題じやないのですからね。それはやはり裁判所として一番必要なことは、まあ無要な形式張つたことは言いませんが、何か簡易というようなことが先に出て来るような印象を与えることは非常にまずいと思うのです。やはり関係者は筋の立つたことを一つ最後に判断してもらいたいと思うわけですから、非常に新らしい気持でおつけになつた名前かも知れませんが、私はこれは不適当だと思うのですよ。だからこういう管轄の問題でそういう平生から気付いた点を申上げたのですが、研究をしてもらいたい。
 それからもう一つ、民事訴訟用印紙法の一部改正の六条の二、三というところで、いろいろな印紙額が上つておりますね。この上げ方が多いじやないかという意見が在野法曹から注文されておりますが、これは半分程度でいいのじやありませんか、値上の率は……。これだけにしなければならないという何もそう合理的な根拠もないわけでしよう。ただた余り政府関係の費用が上るということはいろいろな意味で面白くないと思うのですね。やはり一つは成るべく安く事件を受付けて、そうしてサービスして行く、そういう場所なんですから、足らないところは税金で処理して行く、そういうことも考えれば……。どうも多いのは六倍になつておる、こういう上げ方は少しいかんじやないかと思うのですが、どうお考えですか。
#14
○説明員(平賀健太君) 六条の二以下につきましては御意見の通り六倍になつておりまして、非常に上げ方が激しいようにも見えるのでございますが、昭和二十三年の改正によりまして現在の印紙額になりました。その当時は、やはり物価指数と比較いたしますと、かなり低額に印紙額が実は定められておつたのでございます。併しその点は別といたしましても、昭和二十三年当時の物価指数と現在の物価指数と比較いたしますと、当時の約三倍乃至四倍に実はなつておるのであります。そこでこの改正案におきましては、例えば六条の二をとりますというと五円と十円であつたのが、三十円と六十円になつておるのでございますけれども、実は訴額五千円以上二十万円までのものをとりますというと、現行法の下では十円になるのでありますが、この改正案の下では五千円から二十万円までのものは三十円になるわけでございます。丁度三倍の印紙額に相成るわけであります。訴訟の実際を見ますというと、大体民事訴訟では五千円から二十万円くらいのものが大多数を占めているわけでございますので、その大多数を占めておる訴訟を標準にいたしまして、この六倍ということにしたのでございます。成るほど五千円以下のものでありますと、それが三十円になりますので、六倍になりますし、又二十万円のものを見てそれを標準にとりますと、十円が六十円になりますので、まさしく六倍になるのでありますけれども、訴額五千円から二十万円までのものにつきましては現行法の十円のものが改正案では三十円になるのでちようど三倍になつておるわけであります。そういう意味で三十円、六十円というふうに改正案では印紙額を定めたのであります。従いまして必ずしも不当に増額したのではないというふうに考えております。
#15
○亀田得治君 その点は余り大した問題ではありませんからその程度にしておきますが、非財産権上の訴え、これを地裁の管轄にするのですが、ただ訴訟物価額の見積りを五万円こういう考え方、この問題は恐らく立法されたほうでは離婚とか、そういつたような事件について余り印紙額を高くしないほうがよろしいという考慮があつてのことだと思いますが、一方では地方裁判所の管轄が二十万円、それとの開きが非常に大き過ぎるわけです。そのことはつまり二十万円という地方裁判所の管轄の線かやはり高すぎるということの証明に一つなるのじやないかと思うのですが、私はできたらやはり非財産権上の訴えの訴訟物価額は、地方裁判所の事物管轄の最低の価額、これとはやはり一致させるべきだと思うのです。それが本当です。それだけの値打があるとこう見ておるわけですから、事件の内容から言つても……。併しそれが余りにもこう開いておるということ自身、何か非常に不自然に考えるのですが、先だつてあなたは一方は管轄の問題だし、一方は貼用印紙額の問題だとこうおつしやつておるわけですが、必ずしも私そういうふうに片付けられない問題だと思う。そこで先ほど申上げたように、地方裁判所と簡易裁判所の事物管轄の境界線をもう少し下げて、それが下つてくれれば、非財産権上の訴えの訴訟物価額もその最低線に引上げる、こういうふうにしても差支えないと考えるのですがどうですか。
#16
○説明員(平賀健太君) 現在では非財産権上の請求につきましては、印紙額に関する限り訴額三万円とされておりまして、従つて印紙額は、三百十円になるわけであります。仮に十万円、簡易裁判所の民事訴訟物の価額を十万円までといたしまして、而も十万円を非財産権上の訴えの訴状に貼りますところの印紙額にしますと十一万円ということになるだろうと思うのであります。そうなると印紙額は一千百円になるわけであります。三百十円から、千百円では、らよつとやはりそれにしても開きが余りに大き過ぎるのではないかと思うのであります。三百十円がいきなり千百円になると、ちよつと開きが大き過ぎはしないかと思われます。なお話額が三万一千円と見なされました、場合には、昭和二十三年に改正しましたその当時と現在の物価指数を較べますと、約一倍半ということになつております。三百十円はやはり上げますと、印紙額は五百円程度上げるのがせいぜいじやないかと思われるのであります。そうなりますと、印紙額のほうから逆に計算して行きますと、やはり非財産権上の訴額は五万円というところが適当じやないか。これを管轄のほうにも及ぼしますと、簡易裁判所の事物管轄の範囲を、五万円までに引上げる、ということの程度に落ちつかざるを得ないと思うのであります。そういう考えを持ちましてやはり管轄をきめる場合の訴額と印紙額を定める場合の非財産権上の訴えは訴額をどうみなすかということは別個に考えるべきものではないかとこういうふうに考えられるのであります。
#17
○亀田得治君 これはできたらその点が一致するのが私は正しいのだと思うのですよ。訴状に貼る印紙は迷惑料の意味でしよう。だから地方裁判所に事件をかける、ほかの二十五万円なら二十五万円の訴訟と同じように地方裁判所の判事がタツチするわけですからね。だから本来ならばこれは私一致するのが本当だと思うんです。それが非常に離れたような恰好で……。今まではずつと一致しておつたわけでしよう。今度初めてこう離れるわけですね。ところが離れてしまうと、いやそれはもう離らしておくのが本当だなんという、そういう事実を説明するため無理矢理にいろいろ理屈が考えられると思うのですがね。本来私はそんなものじやないと思うんです。ですからこれは又各委員が御賛成であるならばこれでも通るわけでしようが、やはりこれは余り安易にこういうことを考えないで、やはり物価の事情なりいろいろの事情が許すようになれば、その点が一致するようにやはり措置されることが私正しいのじやないかと思いますが……。
#18
○説明員(平賀健太君) 従来もこの非財産権上の請求につきましては、必ずしもその管轄の点とそれから印紙額の基準としての訴額というのが、心ずしもやはり一致してなかつたのでありまして、二十三年の改正、二十五年の改正では成るほど一致しておりますけれども、その以前におきましては、この非財産権上の訴えは印紙額の点では訴額百円と、ずつと昭和二十三年に至るまで訴額百円とみなされておるのでありまして、実はそれ以前の管轄の点では区裁判所の事物管轄の範囲は千円までにすでに上つておつたのであります。でありますから、従来といえども必ずしも常にずつと一致はして来てしなかつたのであります。
#19
○亀田得治君 成るほど以前はそうだつたね。だからまあ離れたり一つになつたりしておるわけだ。ですけれども、一つになつておるのが私本当だと思います。だから現在はそういうことにしなければならんということであつても、もうそのままでいいのだと、そういうことが一つのきまつた前提になつて固つてしまわないように、これは一つ御希望を申上げておきます。これでよろしうございます。
#20
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をやめて。
   〔速記中止〕
#21
○委員長(郡祐一君) じや速記をつけて。
 暫時休憩いたします。
   午後三時五十五分休憩
   ―――――・―――――
    午後四時五十分開会
#22
○委員長(郡祐一君) これより再開いたします。本日はこれを以て散会いたします。次回は明四月二十八日午前十時より開会いたします。
   午後四時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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