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1953/04/28 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第26号
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1953/04/28 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第26号

#1
第019回国会 法務委員会 第26号
昭和二十九年四月二十八日(水曜日)
   午前十時三十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員高橋道男君辞任につき、その
補欠として中山福藏君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     郡  祐一君
   理事
           上原 正吉君
           宮城タマヨ君
           亀田 得治君
   委員
           小野 義夫君
           中山 福藏君
           棚橋 小虎君
           一松 定吉君
  国務大臣
   国 務 大 臣 木村篤太郎君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局第二部長 野木 新一君
   保安庁次長   増原 恵吉君
   保安庁長官官房
   長       上村健太郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       堀  眞道君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日米相互防衛援助協定等に伴う秘密
 保護法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開会いたします。
 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案(予備審査)を議題に供します。
#3
○亀田得治君 本法案につきましてはいろいろ問題点がたくさんございますが、組かい点は後に譲りまして、本日は最初でありますので、特に重要な点について直接の担当の大臣から考え方を質してみたい、こう思います。
 先ず最初に本法案とMSA協定との関係について一つ質したいと思います。その第一点はMSA協定の第三条の一項によりますと、第一項の終りのほうに、「両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。」こういう言葉がございます。恐らくこの言葉に基いてその後のいろいろな措置がとられたものと考えますが、これはほかの委員会でも、幾らか論議があつたようでありますが、私としても重ねて、これは明白にしておきたいのでありますが、ここに言う「措置」ですね、これはどういう意味のことか、もう少し砕いて御説明を願いたいと思います。
#4
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今御質問のアメリカとの間の相互防衛援助協定第三条の第一項、後段の、「両政府の間で合意する秘密保持の措置」、この「措置」とは如何なる意味を有するかという御質疑であります。この「措置」とは、秘密を保持するに適当なる手段方法を指しておるものと了承しております。
#5
○亀田得治君 秘密を保持するに適当な手段方法、少しまあ具体的になりましたが、その手段方法は必ずしも法律を作ることではない、法律を作らなくとも、秘密保持が十分できる、まあ政府がこうこう法律を出しておられる以上は、法律を作らなければ駄目なんだというお考えであるということは、想像はできるのですが、若し仮に、こういう法律を作らんでも、もつといい方法があるということであれば、その手段方法でよろしいはずだと考えますが、そう解釈していいですか。
#6
○国務大臣(木村篤太郎君) これはアメリカと日本とが、おのおの自国の適当と考えられる方法、措置を、その国で委せられておるわけであります。従いまして、今仰せになりまするように、法律以外に、より以上の措置がとれれば、それもとつても差支えないという意味であります。
#7
○亀田得治君 まあ法律より以上、より以上ということになると、少しむずかしいでしようが、大体こういう立法と同程度の効果を収めることができる、そういうふうな途があれば、それでいいわけですね。
#8
○国務大臣(木村篤太郎君) さようであります。つまりそのおのおのの国において考える適当な措置でありまするから、日本において法律によらずして、それ同等、若しくは以上の措置がありとすれば、それによつても差支えないというふうに考えます。
#9
○亀田得治君 そうすると、最後に結論としては、この措置ということは必ずしも法律を作ることではない、言葉の上だけではそういうふうに解釈してよろしいですね。
#10
○国務大臣(木村篤太郎君) さようであります。
#11
○亀田得治君 それからその措置の上についておる形容詞でございますが、「両政府の間で合意する」この「合意」ということがはつきりしておるようで、少し不明確に感ずる点もあるのですが、「秘密保持の措置を執る」、このことは勿論条約上の義務ですが、そのとられる具体的な「措置」ですね。措置の細かいことまで内部両政府が合意しなければならない、こんなことはまあ常識上これは考えられないですが、従いましてその「合意する」というのは、その「措置」の中のどの程度の範囲を一体考えられておる意味でしようか。
#12
○国務大臣(木村篤太郎君) 秘密保持に関する手段方法そのものを指しておると我々は了解しております。
#13
○亀田得治君 手段方法そのものと言いましても、手段方法には少し私どもが考えてみて、非常に細かいこともたくさんあるわけです。恐らくそういう細かいことまで合意しなければならない、そんなことはとても考えられないと思うからお尋ねするわけですが、そうしたらなんですか、秘密保持に関する措置の全部と、こういうことですか。そうすると非常に細かいことまで入つて来ますよ。例えば政令事項とか、そういうもの、そういうようなものは常識上は考えられないのですが、条約文の言葉の上だけでは明確じやない、まあこれが日本の主権との関係の問題がやはり相当論ぜられておりますから、私は聞くわけなんです。ほかの場合だつたら特にこれはお聞きする必要はないのです。そんな細かいことまで、こんなこと合意せいと言つても一々できるわけではないでしようし、その限界をどの程度考えられてできた条文であるかということをお聞きしているのです。
#14
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は先刻申上げました通り、その措置そのものを言うのでありまして、措置の内容までを指すものとは了解しておりません。法律なら法律によるということなれば、それに合意すればそれで足りるのであります。
#15
○亀田得治君 そうするとどういう手段をとるか、法律の手段で行くのか、或いはもつとほかの行政手段で行くのか、そういうことの合意、こういう意味ですか、その内容については触れない……。
#16
○国務大臣(木村篤太郎君) 一々内容に触れるものとは了解しておりません。
#17
○亀田得治君 それに関連してMSA協定の附属書Bですね、Bによりますと、この資料の第二行目になるところから、「アメリカ合衆国において定められている秘密保護の等級と同等のものを確保するものとし、」とこういうふうに書いてある。アメリカで秘密の等級というものがきまつておる。それと同じような段階を設けて、その秘密を確保する、こうなつておるのですが、これはすでに内容に入つて来ているのではありませんか。単なる、手段とかそういうことではないでしよう。むしろ手段だというのであれば、こんなことは何もここで触れる必要がない。手段だけを合意するんだということで、附属書Bが、MSA協定三条一項をもつと具体化したものだということであれば、附属書Bでは立法の方法で行くんだ、或いはほかの方法で行くんだと、そういうことを証つたらいい。ところがいきなりことに内容的なものが入つて来ておるのです。そういたしますと、第三条の第一項の「合意する」というのは、そんな手段だけのことを言つているようにも思えないのですが、どうですか。
#18
○国務大臣(木村篤太郎君) 我々は、これは内容に触れておるものとは考えておりません。つまり秘密を保持すべき対象物について、単に等級を附するだけのものと了解しておるのであります。
#19
○亀田得治君 これはどういう秘密保護法を見てもいろいろ等級を附けております。極秘事項だとか或いは普通の秘だとか、いろいろな等級を附けておる、そういう問題にこれは触れて来ておるわけでしよう。だから私はやはりMSA協定三条第一項の「合意」というのは、その措置の中のやはり重要なものについては合意すると、こういう意味ではないかと思うのですがどうなんでしようか。私はこれは内容だと思うのですが、あなたは対象だとおつしやるのですが、対象というのはつまり内容ですよ。普通の法律であればその内容としてこれは包含して来るような事項ですからね。
#20
○国務大臣(木村篤太郎君) これは取扱上に関する等級だけでありまして、措置について法律によるか、或いは慣例によるかというようなことについての取扱いむ書いたものではないと了承いたしております。
#21
○亀田得治君 それではまあこの点はその程度にしておきましよう。どうも不明確な点がありますが、更にこれは最終の締め繰りまでにもう一度お尋ねしたいと思いますが、そこで両政府の間で合意すると、こうなつておるのですが、今までにこの合意というものはどういう程度に行われたのでしようか。
#22
○国務大臣(木村篤太郎君) 法律上の手続によるものと了解しております。
#23
○亀田得治君 いや法律上の手続によるというふうにアメリカと合意したのですか。了解しておるというのじやいけないでしよう、そういうことを合意したことがあるかどうかというのです。
#24
○国務大臣(木村篤太郎君) 両当事者国において法律によるということをお互いに了解し合つておりまするから、ここに合意が成立したと解釈しておるのであります。
#25
○亀田得治君 そういう合意はいつされましたか。
#26
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は直接外務当局でもありませんからいついつかということは申上げることはできませんが、相互の当事者間において了解しておるということをはつきり申上げて差支えなかろうと思います。
#27
○亀田得治君 それはMSA協定が締結調印されたどうせ直後でしような。これはまだ国会を通つておらんわけですが、そう確実な日はわからなくとも調印から問もない頃、こういうことは言えるでしよう。
#28
○国務大臣(木村篤太郎君) 問もなくかどうかは、私は只今そのほうの担任じやないからわかりませんが、少くとも現在に至るまでの間に成立したものと了承しております。
#29
○亀田得治君 若しそういうことであれば、このMSA協定、まあこれはその日がはつきりしないとおつしやるわけですが、外務大臣にこれは確めなければならない点ですが、それなら初めからその危険む防止するため秘密保持の立法をする、こうはつきりしておけばいいわけでしよう、立法その他の措置とかでね。特にそういう合意がその後なされるというふうな、必要性のあるような法律行為であれば、それはなぜそういうふうにされなかつたのですか。これはまだ国会を通過しておらないわけでしよう。国会通過前にそういう合意が一体されていいのかどうか。これも非常に問題だと思います。この条約が通つて初めてそういう措置というものが日本政府としてはできることになるわけでしよう、この効力が発生すれば……。効力発生前にそういう合意はしておるというなら、内容がすでにわかつておるわけでしよう。私どもとして非常におかしいと思う。おかしいじやなしに非常に国会の審議権との関係もある、こういう原案を出しておるのですからね。中味はすでに適当な措置ではなしに法律なんだ。こういう約束をしておるというのはおかしいでしよう、そんな約束をする権利はありませんよ。その点どうお考えになりますか。
#30
○政府委員(上村健太郎君) この法律を起案しますについて、法律の案文等を示して合意をしたことはございません。併しながら日本政府といたしましては、アメリカ合衆国政府と法律を作るというようなことについての直接の条約上の義務はございませんが、秘密保持の措置をとるためには、日本政府といたしまして法律を出すことが適当だと、法律を出さなければこの条約上の義務を、約束を履行することができないと考えまして法律を出したのでございますが、法律の内容につきましては、この秘密を守るべき防備秘密の範囲、これは附属書Bにございますが、この「同等のものを確保する」というような内容のものについては、どういうような内容のものを法律に盛るべきかということについては、米国政府、米国側と協議をいたしております。但し法律の構成要件、犯罪の構成要件その他或いは罰則等につきましては協議いたしたことはないのでありまして、ただ単にこの秘密保持の措置をとりますについて、日本政府として法律によることを適当と認め、又法律を出さなければ、法律案を提案しなければ、この秘密保持の約束を果し得ないと考えまして、この法律の内容のうち防衛秘密、何が防御秘密とすべきかということについてのみ先方と相談をしたのでありまして、法律全般について合意を得たというようなところまでは行つておらんと思います。
#31
○亀田得治君 私の申上げておるのは、少し角度が違つておるのですよ。つまりこの両政府の間で合意する措置、こういうものを今政府が国会の承認を求めていらつしやるわけです。これが通るか通らんかわからない、そうでしよう今、の段階では……。これが通つて初めてああこれが通つたから、一つ俺のほうはアメリカ政府と一つこの措置というのをどういうふうにしようか、こういうふうにそこで合意というもの、協議並びに合意というものが始まるべきでしよう。それがですね、案がまだ確定しておらん、審議中にすでに合意がされておるのだ。而もそれは法律によつてやるという合意をしておるのだ。このことは普通の法律の審議の順序から行つたら行過ぎではないだろうか、こう言つておるのです。これは法制局長官、丁度おられるが行過ぎでしよう確かに……。
#32
○政府委員(佐藤達夫君) それはお言葉の表に現われたところは全くその通りであります。ただ、その表に現われたところと申しますのは、まあ政府の身になつてお考えを頂きたいと思いますが、こういう重要な一つの協定を調印しようというときに、その中に両政府の合意云々というような文句がある。ところが一体この合意のその内容として相手方がどんなことを考えておるのか、そのくらいの見当はつけておきませんと、やすくとこれを引受けて調印をする。そうしてあとで向うの気持がとんでもない気持を持つておつたということになつては、これは政府として調印の責任を果せないわけであります。その意味で大体の見当でお互いが話してみて了解をするという事実上の行動がこれは当然とらるべきことであつて、今御説明申上げておるのは無論その事実上の話合いのことを申上げておるわけであります。
#33
○亀田得治君 それでは丁度法律が成立する前に、例えば政令の案というようなものをよくお出しになることがある、それと同じ扱いでいいのです。こういう秘密保護法を何でこんなに早く出して来るのですか。これは単にMSA協定を審議する際に、このMSA協定第三条の第一項にこういうことがあるが、一体日本政府はこの協定が成立したらこれはどういう取扱いをするのか、こう質問が出たときに実は大体こういう構想でおります、こういうふうに話し合つております。そうして出したらいいのです。この協定が成立して初めてこの法案というものは出せるのでしよう。これは法案に賛成、反対は抜きにして、こういう出し方は、私は行き過ぎだと思うのです。事実上そういうことをされていることは、これは政治的に私も了解できますが、まだ政府の権限のないことです。こういう意味では基本的な協定というものが成立しないうちにその内容に関する法律がここへ一緒に出ている。若しこれが秘密保護法が先に通つて、MSA協定が否決されたらどうなるのです。国会のことですからどうするかわかりません。全くそれはちんぷんかんぷんなことになつてしまう。私はそういうことになりますと、これはどうもあとの審議がちよつと続けられないような感じになるのです。これは総理大臣でも来てもう少し……これは基本的な問題です。越権も甚だしいものだと思う。今長官は政府の身になつてもお考え願いたいという。それは事実上のことであつて、そんなことは私どもは参考に聞いたらいいと思う。而もMSA協定の審議の際に参考に聞いたらいいと思う。これは私はどうも納得がいかない。外務大臣か副総理でも来てこの点の一つ解明を願いたいと思う、もう少しはつきり……。
#34
○政府委員(佐藤達夫君) 亀田委員は法律家でありますから、私のお答えは一番よく、総理大臣或いは外務大臣よりもよくわかつて頂けるという自信を以て申上げるわけでありますが、今の点もこれもお言葉の表ては全く御尤ものように拝聴いたします。併しやはりこの条約そのものも国会の御承認を得なければならん、法律そのものも国会に御制定を願わなければならんというものでございますからして、只今の政令の場合とは少し角度が違うものと考えております。従いまして条約の御承認む求めるために提案いたし、おる以上は、それに関係してこういう法律も是非御制定頂きたいということで、実はこれを両方お出しすることが、むしろ国会の審議権を尊重するゆえんであろう。これは私ども予算と法律との関係においていつもお叱りを受けていることで、ときどきは今の亀田委員のような論理を拝借いたしまして弁明に実は利用させて頂いている例もありますけれども、例えば今度の予算の関係が、予算が先に出て大体予算の重要な部分を占めるところの自衛隊法はなぜ出さないのだというようなお叱りを受けるわけです。そういうときは亀田さんのおつしやるようなことむ実は多少利用いたしまして御弁明申上げておりますけれども、国会の御審議権という点からいたしますと、これは両方お出しするほうがこれを尊重するゆえんだろう、卒直に申してそう思つております。
#35
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止)
#36
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時開会
#37
○委員長(郡祐一君) 委員会を再開いたします。本日はこれにて散会いたします。次回は明後三十日午前十時より開会いたします。
   午後六時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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