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1953/05/17 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第38号
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1953/05/17 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第38号

#1
第019回国会 法務委員会 第38号
昭和二十九年五月十七日(月曜日)
   午前十一時十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     郡  祐一君
   理事
           上原 正吉君
           宮城タマヨ君
           亀田 得治君
   委員
           青木 一男君
           小野 義夫君
           楠見 義男君
           棚橋 小虎君
           羽仁 五郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 木村篤太郎君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局第一部長 高辻 正己君
   法制局第二部長 野木 新一君
   保安庁長官官房
   長       上村健太郎君
   外務省条約局長 下田 武三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       堀  真道君
  説明員
   保安庁保安局調
   査課長     綱井 輝夫君
   法務省刑事局公
   安課長     桃沢 全司君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日米相互防衛援助協定等に伴う秘密
 保護法案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(郡祐一君) 只今より本日の委員会を開会いたします。
 前回に引続き日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案の御質疑を願います。
#3
○亀田得治君 本日私がお尋ねしたいのは、政令案の取扱に関してお尋ねしたいと思う。先ず最初に佐藤長官わぎわざ予定変更して来てもらつたのですが、お尋ねしたいのですが、この本法案の第一条によりますと、秘密保護上必要な措置と行政上の措置というものが挙げて政令に委任される、こういうまあ形をとつておることなんです。でこの点についていろいろ御質疑をしたいわけですが、先ず第一にお聞きしたいことは、現在の法体系の下における委任命令の限界ですね、これをどういうふうにお考えになつておられるか、その点から先ず質して行きたいと思います。
#4
○政府委員(佐藤達夫君) なかなか根本的なむずかしいお尋ねでございますが、まあ憲法そのものは委任命令のあることを前提として条文を設けておりますから、委任命令そのものが憲法に違反することでないことはこれは申すまでもないと思います。併しながら憲法が法律に期待しておるところというものは、これは又別途明らかでありますからして、この委任を法律の中でするという場合におきましても、我々としてはいわゆる白紙委任的な形、そういうことを極力避けようという態度で今日まで参つております。ただ、この第二条に関連してそのことについて申添えておきたいのは、実は第二条そのものはこれは国の行政機関の長に対する一種の命令でございまして、そういう意味から申しますというと、実は事柄内容自体は行政上の命令事項なのであります。従つて、極端なことを申しますれば、第二条は法律の中に入れておかなくても、当然内閣は即ち行政機関の監督権を持つておるわけでありますから、内閣の権限に基いての政令としても或いは書けることかも知れないと思うのでありますけれども、何しろ事柄自身は相当これは重要なことでありますからして、そういう意味で特にこれは法律に取り上げて頂くというむしろ態度でこの条文ができておるわけであります。
#5
○亀田得治君 その点に関する私の考え方は少し実は疑問があるんです。でそれはどういう点かと言いますと、この行政命令が出ますると、政令によるいろんな措置が出ますると、勿論或るものは行政機関内部に対するいろんな指示、そういうことになるでしようが、事柄によつてはやはり国民の自由に対する束縛になつて来るわけなんですね。この政令案の要綱を見てもそういうものもやはり出て来るわけなんです。でそうなりますと、丁度内閣法十一条によりまする「法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定」、これにやはり関連を持つて来ると思うのですね。だからこういう虞れのある事柄につきましては、こういう第二条のような包括的な委任ということは少し問題があるんじやないか。で佐藤さん、恐らく第二条でこういうふうに政令に一任するというふうになつておりましても、それは行政機関内部のことだけを対象にしておるはずだと言われる、理論上そうおつしやつておるわけなんですが、実際にこの要綱案を見ますると、国民の権利義務に関係するものが予想される。例えばどこそこに立入をせんようにしてくれとか、近付かんようにしてくれとか、これは罰則は成るほどつかないかも知れませんが、国民の権利義務に当然これは影響して来る、非常に微妙な点があるわけですね。で包括的な委任命令というものがいけないということは先ほどあなたもおつしやつた通りなんですが、その前の問題としてこの第二条はそういう国民の権利、義務に関係のあるものは絶対含まないと、こういう一体確信を持つておられるのかどうか、この点から先に明らかにしたほうが早いかと思うのですが、どうでしようか。
#6
○政府委員(佐藤達夫君) これは先ほど触れましたような実体でありまするのみならず、この法律案の条文の形からもその趣旨は窺われるのでありまして、直接国民の権利、義務に関係するようなことがここからは出て来るはずはないわけであります。即ち行政機関の長に対する命令のみにとどまるのでございますからして、観念上そういう場合を二条から引張り出すということは不可能なことであろうと思います。ただ、今の御引例になりました立入禁止とかなんとかいう例を仮にとつて見ますというと、役所としての自分の庁舎を管理する権限は当然の権限として持つておりますから、無用の者立入るべからず、物売りの類は入つてもらつちや困るというような掲示を各省の役所は現にやつておるわけであります。これは当然の管理権から来るものでありますから、その管理権に基いてその立入つては困るという表示をすることは、これは法律を要せず、当然の管理権の作用として可能であるわけであります。それは問題にならない。ところが自分が管理権も何も持つておらない所に仮に立入禁止の貼札を貼つた、それが而もこの二条に基いてやれるかどうかということになりますと、それは二条としてはそんなことまでできるはずはないのでありますから、そういうことは全然できない。従つてこれによつて新たに国民に対する御迷惑を及ぼすということはあり得ないことと考えおります。むしろたびたび申しますように、この条文は知らずしてそういうものに近付くような人の出ることを防ぐ、そしてむしろ御迷惑をなからしめるという趣旨で、親切な気持からこういう条文ができておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#7
○亀田得治君 これはその考え方は相当これは問題があるんです。そこで私もう少し細かくこの点御質疑をした後に最後に更に、佐藤長官の答弁では少しやはり了解しにくい点がある。私が心配しておるような点がこの二条に含まれておるということを明らかにして行きたいと思うのです。そのために少し細かいことを聞いてみたいと思うのですが、先ずこの政令で秘密の区分をする、こういうことがまあ言われております。でこれは機密と極秘と秘と、この三つに分けられるわけですが、これはアメリカの秘密の区分のどういう区分に該当するものか、これは直接は関係ないことなんですが、いろいろ疑問がありますので、これは保安庁のほうからお答え願いたいと思います。
#8
○政府委員(上村健太郎君) 相互防衛援助協定にもございまするが、附属書Bにおきまして「秘密保持の措置においてはアメリカ合衆国において定められている秘密保護の等級と同等のものを確保する」ということがございまするので、この政令を考えます上におきましても、米国側で秘密区分をしておりますものと事実上同一の区分、即ち機密、極秘、秘という三段階に区分して参りたいと思つております。
   〔委員長退席、理事上原正吉君着席〕
#9
○亀田得治君 アメリカ側の秘密区分は三段階ではなく、四段階でやられているのと違いますか。
#10
○政府委員(上村健太郎君) ちよつと御説明を落しましたので申しわけありませんでしたが、アメリカ側の秘密区分はこのほかに部外秘というのがあつたわけでございます。最近におきましてこの部外秘をアメリカ側でも外しまして秘密区分から除いておりまするので、三段階に分けてあるものと存じます。
#11
○亀田得治君 その部外秘を外したというのは、それをほかの区分に組入れた意味ですか、或いはもう秘密事項としては取扱わないということにした意味ですか。
#12
○政府委員(上村健太郎君) 米国側において法律上の秘密として取扱わないという意味でございます。
#13
○亀田得治君 そうすると、双方とも段階ずつと、こうなるわけですが、その内容的な点から言つた場合には、日本のこの三つの秘密というものはアメリカの三段階の秘密のそれにおのおの該当しておるのですか。そういうふうには思わないわけですが、内容的には……。
#14
○政府委員(上村健太郎君) 現在参つておりまする装備品等の秘密は保安隊関係においてはございません。又警備隊関係におきましてはPFのCICルームだけでございまして、これにつきましてはアメリカ側の秘に該当いたしております。この法律が成立いたしますればこちらにおいても秘の扱いをしたいと、こう考えております。そのほかには現在もらつておりまする装備品等につきましては秘密区分されておるものは、ございません。
#15
○亀田得治君 そうすると、当分日本で取扱うのは秘の区分だけのものと、こういうふうに了解してよろしいでしようか。
#16
○政府委員(上村健太郎君) ちよつとまだどういう秘密の武器をくれますか判断がつきませんので、わからないのでございますが、大体におきまして恐らく想像では秘の程度のものが大部分であり、極秘の段階に属するものが来るかも知れませんが、非常に少いものであろうというふうに考えております。
#17
○亀田得治君 まあ私どもも常識的にはそういうふうに想像いたします。そこでお伺いしますが、日本の場合にはアメリカにおける秘だけしか来ないんだ、こういうことが大体予想である場合に、ここで言う秘密区分というものは実際は日本においては区分がないということと変らないわけですね。実際問題としては、日本においては機密、極秘、それに類するものがないわけですから、そういうふうに理解していいですか。
#18
○政府委員(上村健太郎君) 秘程度のものしか来ないということは、私どもといたしましては断定できないのでございまするが、例えば非常に簡単な機械ではございますが、飛行機、船等に付いております敵味方の識別をするというような機械、そういうものにつきましては或いはこの秘密高度がもう少し高いものが出て来るのではないかということは想像しております。この秘密区分は、いずれにいたしましても、米国側と同等のものにして参りまするが、日本の国内的には法律上の効果として、直接の効果としては生じませんので、殆んど大部分が行政的の取扱いの秘密保護の程度を明らかにして、おのおの措置を講ずるということにとどまるということになると思います。
#19
○亀田得治君 アメリカの場合に、機密、極密、秘密、こういうふうになつておりますと、それを取扱う人たちの内部でそれを知ることができる範囲というものがおのおの区分によつて異なるわけですね。日本の場合にも同じようにお取扱いになるのだと思うのですが、具体的には機密と極秘と秘密とこの三つによつてどういうふうな大体考え方で、その取扱いの範囲というものをきめるおつもりですか。それを知つていい人たちの範囲というものをどういうふうな原則できめて行くおつもりですか。
#20
○政府委員(上村健太郎君) 取扱者はこの秘密程度の区分によつては厳重にするかどうかということは差異が生じないように存じます。ただその取扱者以外の者に漏れないようにする措置につきましては、段階によつて警戒を厳重にいたしましたり、或いはその他秘密保護の措置について注意の程度というものが厳重になるか、やや厳重でないかという措置を異にするということになるのではないかと存じます。
#21
○亀田得治君 そうではないので、外務大臣等がこれは何回も答弁しておりますが、例えば機密に属するというような場合は、大臣或いは直接の関係者若干名というふうに、非常に官庁内部においてもそれにタッチできる者を極端に制限して行くのだ、それから極秘事項になればその範囲がもう少し拡がつて行くのだ、そこに違いがあるように外務大臣が答弁をしておるのです。そしてMSA協定の附属書の条項もそういう意味だと、こういうふうに言つておるのですが、只今のお話だとその点は大して変らないので、ただ秘密を保持するのに厳重にやるかどうか、取締りといいますか、何かそういう方面からの違いを強調されておるのですが、それもあるかも知れませんが、基本的には私が今外務大臣の言葉を引用したそういうことと違うのでしようか。
#22
○政府委員(上村健太郎君) 外務大臣からそういうお話がありましたのでしたら、やはりそういうことはあるかも知れませんが、私どもといたしましてはこの秘密区分によりまして、関係者以外にやや広めて漏らしていいのだというようなことはないかと存じております。即ち一番程度の低い秘でありましても、これが関係者以外に漏洩することは防止する考えでございまして、関係者の範囲を広めるというようなことがちよつと具体的に想像できないのであります。殊に業務により云々とありまして、業務によらないものにまで関係者を広めるということをいたしますれば、この法律の趣旨にも副わなくなるのじやないかというように考えます。
#23
○亀田得治君 これは併し外務大臣が委員の質問に対して何遍もそういうふうにお答えになつておるはずです。私もそういうふうに実は今まで理解して参つたわけなんです。併しまあこれは私ももう一度速記録をよく見て検討してみましよう。それからそういうふうに秘密の区分というものの内容なり、意味が或る程度明らかになつて参りましたが、只今の法制局長官のお話なんかから想像してみても、あなたのような考え方だと、この秘密区分というものはあつてもなくても何も影響のないような感じがするのですが、どうですか。
#24
○政府委員(上村健太郎君) 法制局長官からもちよつと御注意を受けましたけれども、先ほどの申上げ方が少し行き過ぎでございまして、やはり秘密区分によりまして、秘匿を要する程度というものは違いまするから、従いまして、法律上も刑の量定或いは探知、収集の方法等いろいろな関係が法律上も生じて来るかと存じます。
#25
○亀田得治君 それから第二条を制定されるに当りまして、本法で取扱う秘密、これを自然秘という考え方で行くのか或いは指定秘という考え方で行くのか、こういうことが少し立案される当局のほうで御意見があつたようですが、その間の事情を少し詳しく御説明願いたいと思います。
#26
○説明員(桃沢全司君) 只今のお話でございますが、大体この種の秘密を取扱う場合には、自然秘と指定秘とこの二つの取扱い方があると思うのであります。指定のほうは、これはその秘密をこれが秘密であると指定した場合に、その指定されたものが秘密という考え方でございますし、自然秘のほうは、これは本来相当高度な秘密であつて、その本質において秘密であるもの、これをまあ自然秘とするわけでございます。立案に当りましては、前の軍機保護法当時或いは国防保安法でも同じでございますが、この自然秘という観念とそれから指定秘という観念と両方を採用しておつたようでございます。それでその当時の秘密の取扱い方等を私ども反省いたしまして、若しもこれを指定秘といたしますると、これは非常にわかりやすいわけでございますが、そのときの行政官庁の長がこれは秘密にすると言つて指定すればこれはすべて秘密になつてしまう。非常に広くなる心配があつたし、又心配があるのではなかろうかという点で、この指定秘のほうの考え方を捨てたわけでございます。なおもう一つ、文書だけでございましたら、この指定されたものもはつきりいたすのでございますが、文書以外に、この第一条の第三項で御覧になつて頂けばわかりまするように、事項という言葉がございます。こういう事項につきましては、これは指定しようにも表示の方法もございませんし、そういう点で折角指定秘制度にいたしましても、そういうものは指定の方法がないということにもなるわけでございます。
   〔理事上原正吉君退席、委員長着席〕
なお進んで、この指定したものを、こういうものを秘密に指定したということで、例えば官報或いは新聞などでこれを公示するという方法も考えられます。これをやれば確かにその秘密というものはどの程度のものであるか、どの範囲のものであるかということが国民に知れるわけでございまするが、併しながら半面、この秘密保護法を設ける趣旨からは非常にかけ離れて参りまして、どういう点に秘密があるかということをスパイに教えるという結果になるのでございます。さような次第でございまして、前の軍機保護法、国防保安法当時もさようでございましたが、どういうものが秘密であるかという、この指定というものは決して告示も公示もいたしていないのでございます。これは各国ともさようであろうと存じます。又、只今申上げましたような趣旨で一般的に指定秘に扱いますと、まあこれまでの経験から申しまして非常に拡がる心配もあるし、却つて国民の基本的人権というものを害する心配もあるし、かような増えから私どもはこれを自然秘として扱うべきであるということにいたしたのでありまして、その代り法文でどういうものが秘密に該当するかということを三項の一号及び二号で極めて限定して、その調節をとつた次第なのでございます。
#27
○亀田得治君 指定秘にすると基本的人権を却つて害する虞れがあるとこういうことが政府側から盛んに言われるのですが、この点は少しおかしいと思うのです。と言いますのは、この何が秘密かという実質上の要件ですね、実体的な要件、こういうものを私はぼやかしてよろしいということを言うのじやないのです。その秘密の実体的な要件は、この法律にも書いてあるように「公になつていないもの」とか不明確な点もありますが、一応ともかくこれはこのままにしておいて、更にその上にこの指定行為というものが加わつたほうが明確ではないかという意味で申上げておる。両方が加わるわけですからね。決して行政官庁が実体を無視していろんな指定ができるわけじやないのです。例えばすでにどこかの文書によつて公になつているような秘密、それを行政官庁が知らないで指定をしたという場合には、これはもう一種の不能犯といいますか、初めからできないことなんです。ですからたとえそういう指定があつたつて、なんでしよう、これはもう行政行為の聞違いなんですから問題にならない。指定犯ということの考え方は、そういう秘密の実体的な要件というものをぼやかしておいて、或いは全然法律に規定しないで、挙げてこれを陸軍大臣とか海軍大臣なんかの市政措置によつて指定させる。こういうことをするから、指定犯というものの弊害というものがあるのです。だからその自然秘で行くか指定秘で行くかという、これはどちらかに割り切つてしまうのじやなしに、やはり双方の長所を取つて、そうして指定ということの意味をもこの秘密の中に加味して行く。これが私正しいと思うし、そうであれば決してそれは人権を侵害するものじやない。むしろやはり保護に役立つわけです。そういう意味の指定秘であれば、この法律ではそうなつておらないのですが、私は、是非そういうふうにこの第二条というものをもう少し実体的な意味を持つたものに実は書き変えて欲しいという希望もあるから申上げるわけですが、そういう指定秘でしたら、人権の保護の上から言つて非常にいいんじやないですか。どうですか。
#28
○説明員(桃沢全司君) 只今の御設例の公になつているものを仮に指定して秘密として扱うということがありましても、これはまあ問題にならないところだろうと存じます。公になつていないもので、幾分秘密ではある、併しながら本来の秘密として扱わなくてもよいものも、やはりそれを秘密として取扱うということをその取扱者がきめまして、これを指定したということになりますと、その結果は裁判所を拘束しまして、裁判所はこれは指定秘になつて、いるから、やはりこの法律違反になるという結論を出す可能性があるわけでございます。なお、電機保護法当時も、私ども今日から振返つて見ますと、こんなものを秘密にしなくてもいいじやないかというようなものまでも、だんだん本来の秘密を保護するために拡げまして、非常につまらないものが問題に取上げられているということもあつたようでございますし、そういう点を除去するためには、この法案のような建て方のほうがはつきりするのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
#29
○亀田得治君 それは軍機保護法或いは軍用資源保護法なんかはああいう指定の方式をとつたわけですが、これは指定犯の非常に悪い例なんですね。と言いますのは、先ほども申上げたように、秘密という概念そのものについて法律の中に少しも限定するような規定がなかつたのです。事項だけ並べてあつて……。私、そういうことは勿論いけないと思うのです。ただ指定犯のいいところは、やはりそれによつて明確になることです。公であるとかないとか、秘密であるとかないとか言つたつて、知らないのですから、一般の人は……。やはり一つの指定行為、指定行為に基く更に公示なり通知、こういうものによつて知つて行くわけですね。だからそういう犯罪の犯される過程から言つても、実体的な関係を厳重にしながらなお且つ指定をして行く。指定をされたものの発表の形式はいろいろ考えたらいいでしよう。例えばそれはすべてが官報等で公示するのが悪いと思えば、それこそこの政令に書いてあるように関係者に対する通知だけでもいいしね。だから決して前の軍機保護法なり軍用資源保護法なんかで、ああいう方式がとられた、その弊害があつた。あつたのだが、そこだけを見ては私は悪いと思うのですね、いい点も見なければ……。
 それでは次にお尋ねしますがね、実際にこの法律ができて来た場合に、何を秘密にするか、こういう行政行為というものが行われるわけでしよう。これは最初私が総括質問のときにお聞きしたときには、実際上は日本におるアメリカの顧問団なんかがそれに当るかも知れないというふうに言われておりましたが、ともかくアメリカ側からいろいろな武器なんかを渡す場合に、これとこれとこれを秘密にしてもらいたい、実際問題としてはそういう行為が入つて来るわけでしよう。それに基いて日本の政府が行動を起すわけなんでしよう、この点もう一度ちよつとその通りかどうかはつきりしてもらいたいと思います。
#30
○政府委員(上村健太郎君) 仰せの通りでございます。
#31
○亀田得治君 そうするといろいろな議論をしておるよりも、もうその一事を基礎にして立法をすべきじやないかと思うのですね。この法案全体に賛成、反対とか、そういうまあ大きな議論は別にして、あれが秘密だ、これが秘密でない、いや公だ、公でないとか、いろいろな議論が当然尽さるべきなんですが、実際問題としてはこれとこれとこれだぞ、こう言うて来るわけでしようが、それに対してだけあなたのほうがいろいろな秘密保護上必要なことをされるわけですからね。それが又そのまま日本政府としても指定をして、そうして公示なり、公示不適当と思えば関係者に通知をする、そういう指定並びに公示又は通知があつたものだけが秘密だということになれば、それではつきりするのですね。而も一方ではこの法律の中にアメリカといえども、何でもかんでもこれを秘密にしてくれとは言えないわけです。アメリカといえども一言えるのは、この法律の中でちやんとこういうふうに条件が附してあるわけですから、これに該当するものでなければいかん。だから少しもその指定行為というものに更に秘密の概念を附加させることによつて絶対弊害は起らんし、むしろすべてがそれによつてはつきりする、どう思います。
#32
○説明員(桃沢全司君) 仰せの御趣旨はよくわかつておるのでございますが、只今の亀田委員の仰せの趣旨を貫きますと、アメリカから供与される装備品等について、この点を自分の国で秘密にしておるという通知は、これはもう日本側にあるわけでございます。この秘密だけに限つたらどうかということであると思うのでありますが、これは私どももこの法案の適用に当りましては、その範囲に限定さるべきものと考えておるのであります。併しながらその趣旨を法文に現わすということになりますと、結局突き詰めて申しますと、アメリカで秘密にしておるものを、これを日本でも秘密にするのだという規定の仕方になつて来ると思うのであります。そういたしますと、日本側の裁判所でこの事案を審理いたしまするときに、一体これがアメリカで秘密として扱われておるかどうかということを調べなければならなくなる。そういたしますと、今の刑特におけるごとく、一々これがアメリカで秘密にしておるかどうかということを伺いを立てるというような形をとらざるを得ない。これは絶対に避くべきであつて、日本側の裁判所は独自の立場で、これが秘密に当るかどうかということを判定すべき、そういう立て方をとらなければいけないのではないかということを私ども痛切に感じて来た次第でございます。それで只今のお話の、関係者に通知するということは、これは保安庁のほうでも考えておられまして、アメリカのほうでこの点をこういう秘密区分によつて秘密として取扱つて行くという通告を受けましたときには、これは勿論保安庁のほうでそれに関する帳簿を整備されることと思いますし、又どの部分が秘密であるということは、例えば法務省或いは国警その他関係庁に御通知を頂くことになるのではなかろうかと考えております。こういうことによりまして、実質上不当に範囲が拡がらないということを私ども確信を持つておる次第でございます。
#33
○亀田得治君 ちよつとお尋ねしますがね、アメリカからそういう秘密物件を渡される場合、この法律で書いてあるような構造とか性能或いは製作に関する技術、こういうものはすべて日本側に細大漏らさず公開されるのですか。ともかく物だけ渡して、ここのところが気を付けるところなんだぞ、これだけ言われて、あとは詳細な意味での構造、性能、製作の方法、製作の方法まで君のほうに教える必要はないのだ、必要になつたら又取替えてやるから、こんな調子で結局日本政府自身はこの法律に書かれておる要件を全部知り得ないように私思うのですが、物によつては違うでしようが、その点どういうふうにお考えです。
#34
○政府委員(上村健太郎君) 構造、性能等は今供与を受けております武器、殊に秘密の部分、現在のもので申しますとPFのCIC室、こういうものにつきましての機械等につきましては一応こちらに引渡しを受けておりますから、これに対する修理或いは部品の交換その他全部こちらでやつております。従いまして製作の技術ということになりますそと、機械から何かその他いろいろ関係して参りますでしようが、少くともそのものに関する修理、部品等の修理に関する技術は教えてくれますから、お前のほうにはそういうものは教えないというものは現在においてもありませんし、将来においてもないかと存じております。
#35
○亀田得治君 秘密を渡されるわけですから、まあ全然知らないということはないでしようが、つまりアメリカで製作をしておる、その人たちが知つておるように完全に一体日本政府というものはその秘密をキヤッチできるのかどうか。これは私あとのいろいろな取扱いに関連するから実は聞くわけなんですが、もう少し今もらつておるのは、今御説明になつたようなことかも知れませんが、今後いろいろな秘密が来た場合に、一切そういうことがわかるような程度に受取ることができるのですか。
#36
○説明員(桃沢全司君) 只今の「構造又は性能」これは秘密だという通知を受けましたときには、これはもらつておればよくわかることだろうと思います。ただ「構造又は性能」が秘密だと言われたから、直ちに製作したり、保管したり、修理する技術も秘密になるというわけではございません。その作り方を日本が教わつて、その作り方がこれは秘密なんだという通知があつたとき初めてこの法案の秘密になるのでございまして、お尋ねのような場合、先方が何も製作の方法も言わないでそれを秘密だというようなことは、我々予想していないわけでございます。
#37
○亀田得治君 そうすると、アメリカが日本にこれは秘密だぞということをまあ指示する場合に、この兵器の製作の方法だけが秘密だ。或いはこれは性能だけだとか、こういうふうに区別をして指示して来ると、こういう意味ですね。
#38
○政府委員(上村健太郎君) お尋ねの通り、この書いてあります事項のうち指定して供与をして来ると存じております。なお、先ほど公安課長から御説明申上げたことにつきましてちよつと補足をいたしますが、アメリカ側におきましては、こういうものを秘密であるという公示をいたしておりませんので、こちらにおきましてもこちらに通知がございまして、こちらにおいて指定します場合にも、これを公示いたして一般に知らせるということは非常にむずかしいのではないかと思つております。
#39
○亀田得治君 むずかしいのじやないかと言つたつて、何でしよう。或る程度公示することは、この第二条で予定しておるのと違いますか。関係者に対する通知ということは……。まあ公示と大分違いますが、アメリカでは公示しておらんから、俺のほうでもそういう公示などはしないと、全然……そういうことじやないでしよう。できるものは何でしよう、公示して行くのでしよう。それはどうなんです。
#40
○政府委員(上村健太郎君) 今申上げましたのは、構造、性能、或いは技術ということでございますが、これにつきましては関係者に通知するということはございまするけれども、一般に公示するということはなかなか困難じやないかと思つております。
#41
○亀田得治君 それだけで結構なんですよ。できんものについては通知で我慢してもらう、できるものは公示して行くと、そうなりますと、結局そのこと自身を犯罪のこの成立の要件にちやんと入れておくと、アメリカの指示があつて、それに基いて日本も指定をして公示又は通知をして、それで初めてこれが秘密になる。こうすれば非常にはつきりするのですがね。何かの兵器が来て、その構造だけが秘密として指定された。こういうことならそのことを官報に告示しておいたらいいでしよう。そんなことは何も秘密がそれによつて漏れることでも何でもない。実際にスパイをやろうという程度の人なら、どういう事柄がアメリカが今隠しておるかということぐらいのことはこれは知つておりますよ。我々がただ成るほどこういうものは今度は秘密になつておるのだという便宜がそれによつて直ちに与えられる。現行法で行きますと、そういう表示なり通知は単なる行政上の注意としてやる程度なんだと、あつてもなくても秘密は秘密として、それを知つて犯せば有罪になるのだ、こういう考え方ですが、私はこれは非常に間違いだと思うのですよ、少くともこの現存の段階における法律の立て方としては……。以前のように一般の人が広汎な日本の一つの秘密というものを予定しておるような時代ならいいのですが、現在はそうじやないのですから、ともかく相手が言うて来るからそれが秘密だ。実際はこういうことなんです。
 それから先ほど裁判の便宜のことがあなた言われたのですが、指定があつて初めてそれが秘密物件になるのだ。こういうことにして置いたほうが、裁判所も楽なんじやないですか。裁判所はその点はよく突きとめたらいいのですから、そうすればその指定があつたかなかつたかということを……。ところがそれがありませんと、裁判所自身が今度は実体的な関係を一応検討しなければならんでしよう。そうなりますね。そういう行政上の措置としてのよるべきものがないわけですから、裁判所として……。で、その裁判の点から言つても、私は日本の政府の指定行為ということがあつたほうが、取調べの関係が明確になると思うのですが、それがない場合には、裁判所自身が一体公であるかないか、今の裁判所の能力で調査できますかね。検察官はそれは公になつておらんというふうな勿論主張をされても、被告人側のほうでいろいろな反対の証拠を出すと、非常に微妙な状態になるのじやないかと思うのですがね。そういうふうになつてからこれをアメリカに聞いたり、あつちこつち……、そのほうが不体裁である。日本の行政行為というものがびしつと中に一つ入つておれば、その点犯罪としての六、七割かたの重みを持つて来るから非常に私簡便だと思う。これは邪推ですが、邪推すれば、日本政府はそんなことをしたら何でもかんでも指定するのじやないかと……、私はそれはあり得ないと思うのです、今度の法律の建前の場合には……。それは以前の古い法律の場合にはそれがある、又あつたわけですね。だからどうしてもこの裁判の点から言つても、指定秘という概念に切換えたほうが甚だ当を得ていると思うのです。どうお考えですか、その裁判の点だけ……。
#42
○説明員(桃沢全司君) 指定秘にいたしますと、例えば或る高射砲の一部分が秘密として守らなければならないものといたします。その場合に高射砲の全体の構造或いは性能、そういうふうなものもやはり指定秘として扱つても扱い得るわけなんでありまして、その指定秘にいたしますと、そういうところまで拡大される心配は、これは亀田委員仰せられますが、やはり残るのじやないかと私は考えます。同時に第二条を設けまして、これで標記を附するとかその他の行政上の措置を講ずるのでありますが、それによつて若しそういうふうな方法が怠られていた場合、そのような場合には或いはこれを探知、収集した者、或いは漏洩した者、こういう者には犯意がないというような逆の推定の材料にもなり得るわけでございます。従つて私は亀田委員が仰せられましたような趣旨で、この第二条というものが運営されることによつて御心配の点は除かれるのじやないかと考えている次第でございます。なお「公になつていないもの」という点は、只今のところでは指定秘であるという点とは、ちよつと問題が別のように考えております。又裁判所が、指定秘にいたしませんと、それが果して防衛秘密であるかどうかとの判断に苦しむのではなかろうかと申されておりますが、これは防衛秘密に該当するという立証責任は検察官にございます。従つて将来できます防衛庁の係官その他を証人に立てるというようなことでこれを立証し、又第二条の標記があるかないかということもその立証の一つの手段にもなりましようし、十分裁判所は日本側の資料だけで裁判ができ、更に又アメリカまで行かなければこれが立証できないというようなことになりますと、これは検察官の立証責任を果されないというところに帰着するのじやなかろうかと考えております。
#43
○亀田得治君 指定秘にした場合に、政府がむやみに広く秘密を指定する、そういうこともあり得ると言われるのですが、若しそういう点が予想されれば、もう少し法律の秘密に対する概念等を厳重に書き替えるなり、何かそこに対策があろうと私は思うのです。それよりも問題になるのは、知らないで犯すという場合、こういう第二条のようなものは秘密の必要条件じやないのですから、これは行政機関としてやつてもやらんでもいいことなんです。結局政府の考え方から行けばそうなる。非常に際どいところで指定も通知もなかつた、而も引つかかる、而もそれが勿論標記なり、或いは通知がなかつたから犯意がないというふうに推定される一つの材料にはなりますが、つまり濫用される場合には、そういうものじやないのです。濫用される場合は、そんな善意にそれが犯意がなかつたんじやなかろうかという推定はなかなかしてくれない。私ども法律を作る場合に考えなければならない点は、そういう濫用の余地をならしめるためにいろいろなことを考えなければならないわけなんです。そういう立場から私指定というものが単なる行政上の措置じやなしに、秘密の要件にまでこれを高めるべきだ、こう考えておるのですけれども、大分政府の考え方が違うようですが、そこで次に政令案の要綱ですが、この中の第四の一ですが、「秘密の漏せつ又は漏せつの危険を防止するため契約条項に秘密保持に関する規定を設ける等」とこういうふうに書かれておりますが、これは例えばどういうふうなことを工場主との間に契約条項として挿入されようとしておるのですか。具体的に御説明願いたい。
#44
○説明員(綱井輝夫君) これは要綱の案でありまして、まだ確定したものではありません。それから先ほど法制局長官から御説明がありましたように、この政令案の内容において直接に国民の権利義務に制約を与えるような事項、これを規定いたそうとも全然考えていないのであります。この第四の一におきましては、契約条項に秘密保持に関する規定を設ける等必要な措置を講ずるというのは、防衛生産の関係におきまして、防衛秘密を含んでおる、例えば一つの武器の製作、修理等を民間の工場等に委託する場合におきまして、勿論その委託に対しては、通知もいたしますし、又法律によつてその秘密の漏泄をしてはならないということも書いてあります。併しながらそれを実際に確保いたすためには、例として挙げますと、従業員をよく人選してもらいたいとか、或いは工場のどこかの場所で行われることになりますが、その場合の若干の秘密保持の施設、例えば図面等が渡されますが、図面の保管はどういうふうにしてもらいたい、これはそれぞれの工場なら工場で特殊性に応じて必ずしも一律ではないと思います。更にその契約の実施条項乃至生産の状況を契約依頼者として見るために若干調査官を派遣するとか、こういうことを実施前の契約においてきめるということを、秘密保護上必要な措置を各省庁の長に義務として命じようという考えであります。
#45
○亀田得治君 その際、例えば契約条項に書かれた条項に違反したような場合、契約解除をしたり、損害賠償という問題が起きて来るでしよう、どうなのですか。
#46
○説明員(綱井輝夫君) 最初に契約においてそういうことをしつかり定めておりますれば、恐らく守られると思います。併し又実際に協力して守れるような措置をとらなければならないと思いますが、理論的にはその契約が十分に行われないという場合には、理論的には契約解除或いは将来においてそういう委託をしないということが起り得ると思います。
#47
○亀田得治君 そういう意味の契約というものはどういうふうにお考えでしようか。契約条項の中にかような項目が入つておらなくても、秘密保持のために行政上の措置というものはとれるわけですね、又とるべきですね。一般的に秘密保持の措置というものはどうしてもそれを契約条項の中に入れなければならないものですかどうか、契約条項として行政上の要求としていろいろなものを出されることはいいけれども、契約の中にそれを入れ、その結果それが民事上の損害賠償なり契約解除というようなことにそれが発展するといたしますと、若干そこに問題があるように思いますが、その点どういうふうにお考えでしよう。
#48
○説明員(綱井輝夫君) 御質問の趣旨がよくわからない点もあるのでありますが、政府が指揮監督権を工場に対して公法上の意味で何ら持つておるわけではありませんで、現在におきましては一つ一つ民事上といいますか、商法上の契約に基いてこういう注文を発するわけであります。従いまして最初にそういうことを手堅くきめておかなければ、途中でいろいろ紛議を起してもまずい、又こういうふうに政令において契約の規定の中に入れるということを定めておけば、より確実である、そういう趣旨であります。
#49
○亀田得治君 これは少し私その点で最初御質問したことにも関係があるのですが、政府が工場に対して秘密兵器の修理を頼む、これは民法上、私法上の約束ですね、それだけでいいのじやないですか、その修理ということを仕上げるための措置としてはそれだけで………。勿論別個に秘密保持のためにはこうこうこういうふうに注意してもらいたいということは、行政上の要求として出されるのはいいと思うのです。契約条項の中にそれが入つて来ることは、私私権上大きな問題があると思うのです。そういう意味でお尋ねしておるのです。
#50
○説明員(綱井輝夫君) 行政上の要求という言葉がよくわかりませんですが、行政権の発動として秘密保持を命ずるということは不可能であるし、先ほどおつしやられた人民の権利義務を、法律の根拠がなくして制約するという結果になるのじやないかというふうに考えます。それから契約条項できめるということは受託者、この場合は受けるほうを拘束するという意味ではありませんので、発注する各省庁の長を拘束するというふうに考えております。
#51
○亀田得治君 この受託業者に対して秘密を守るような措置を要求する、これは私行政権の作用だと考えておるのですが、行政権の作用にあらずしてそんな要求は私できないと思うのです。丁度一つの、なんでしよう、個人関係で言えば何かパテントを持つておるような人が……、国家の場合にはそうじやないのですから、結局国家が秘密を持つておる、これは行政権の作用でしよう、秘密保持に関する行動に関しては行政権の作用なんです、確かに……。これは佐藤さんどうお考えです。行政権の作用にあらずして秘密保持を国民に要求できましようか。
#52
○政府委員(佐藤達夫君) 行政権の作用は、それは行政当局者が自分の仕事に関係してよそへいろいろなことを言うことは、一応行政権の作用という観念の中にこれは入ると思いますが、ただその作用の中には、相手方に対して拘束力を持つ作用と拘束力を持たない作用と二通りあるわけであります。相手方に対して拘束力を持たせようと思うためには、法律のれつきとした根拠がなければ、そういう作用をすることはできないのであります。法律にそういう根拠なしに何かの意思表示をしたということになれば、それはどうぞよろしくという依頼といいますか、希望の表明ということになつて、勿論不可能ではありませんけれども、相手方に対する拘束関係は全然ないわけであります。でありますから、この御設例の場合においても契約は黙つて普通のものを頼むと同じような形にしておいて、併しこれは秘密なものだからまあよろしくというようなことを口で言う軽い形にすることも考えられますけれども、それじやよろしくと頼まれただけの話で、それに従う義務はありませんから、工場のほうでは拘束されないということになつても困る。と言つてこれを漏らしたら契約を解除する、或いはお前のほうに対してどういう制裁をするというような拘束力のあるような形を、行政権そのものとしては言えませんから、その契約を結ぶときに契約の内容、即ち契約の条件そのものとしてこれを書き込んでおく、そういうことになると契約の関係から向うは義務を負うわけであります。そこで秘密の確保ができる、そういうつもりであるのでありまして、相手方が契約を結ぶかどうか、これは相手方の自由ですから、そんな条件が加わるなら、私は「ご免だと言えばそれつきり、そういうものであります。
#53
○亀田得治君 大分佐藤さんの考えと違いますね。さつきの考え方は……。この要綱に書いてある契約条項というのは、こういう契約を担当する防衛官といいますか、そういうものに対する指示だというようなことをおつしやつているのですが、この要綱案を見るとどうもそういう意味の契約条項にはとれない。これはやはり業者をも拘束するような意味のものにどうしてもこれはとれますよ。佐藤さんもそういうことを前提にして今お話になつているようですが、どうなんですか。さつきあなたがお答えになつたのはちよつとその点あいまいにされたようですが、業者を拘束するでしよう、ここに書いてあるのは……。
#54
○政府委員(佐藤達夫君) 私が前座を務めさせて頂きます。私の言うのは、この要綱の第四は、「各省庁の長は」、でございますから、勿論この政令の相手方は各省庁の長に対する訓令になつているわけであります。で各省庁の長はかようなことを心がけよということであつて、そのかようなことというのは何かと言うと、その各省の長が防衛秘密に関して修理を民間の工場に頼むというときには、そのときに必ず契約を結ぶのだから、その契約の中にはこういうような種々の条件を加えるようにせよということをこの政令として命じているものだと思うのであります。
#55
○亀田得治君 その結果として出て来る契約条項というものは、これが成立すれば、勿論業者を拘束するわけですね、ちよつと後のかた……。
#56
○説明員(綱井輝夫君) 業者を拘束するという意味でありますが、民法と申しますか、私法上の契約として私法関係で拘束される、併し公法上の問題としては拘束されない、そういうふうに考えております。
#57
○亀田得治君 この辺が非常にこれはややこしいのですね。佐藤さんは政令でこういうことを書くだけであつて、防衛担当官が工場等にそういう修理に当つて契約を交換する、そのときに相手が断わればいいじやないか、嫌だつたら……。何もそう強制をするものじやないのだというふうなことは、これは法律論としてはわかるのですが、実際上はやはり相手の工場は注文が欲しくてしようがないのですから、やはり少々どういうことがあつても、やはりそれに乗つて来るわけですよ。だからそういう意味から言いますと、やはり政令の扱いというものは、実際問題としてはそれによつて直接国民の権利義務ということに影響して行くのです。それからこれは契約の場合ですが、例えば秘密物件がどこかの倉庫に保管してある、或いは演習場に積んである、ここへ近寄つてならない、こういう標札が出た場合、成るほど中へ入つてはいかんというのは、佐藤さんおつしやるようにこれは自分が管理権を持つているのだから、管理権の作用としていいでしようが、併しこの近寄つてならんというのは、これはちよつと場所によつては管理権の作用外の場合が出て来るのですよ、どうしても……。道を歩くのは誰だつて勝手ですからね、すぐ横へ何があろうとそんなことはあなたかまわないですから、それへ近寄るべからずというのは、これは何と言つたつてやはり自由の制限なんです。この行政命令がすべてそういうものだというふうには、勿論私は断定しないのです。併しそういうものもこれをじつとこう抱えて考えておると、いろいろと予想されるのです。予想されるとしたら、やはり今の現行法の体系から言つても、最初に申上げたようにともかく防衛秘密の保護上必要な措置は一切政令に任すと、こういうふうな書き方では、現行法が許しておらない包括的な私委任をここで与えることになると思う。この点非常に私疑義を、今質疑をして見てもやはり持つのですが、これは立案の過程でそういう包括的な委任命令ということで疑義があるかないか、そういうことは問題にならなかつたのでしようか。その辺の事情等ももう少しざつくばらんにお話を願いたいと思います。
#58
○政府委員(佐藤達夫君) この第二条の法律の性格は、先ほど申しました通り、これは行政部内における訓令的性格のものであります。従つて旧憲法の時代でありますならば、これは官制大権に属することであつて、むしろ法律で書くことは許されないというような性質のものであろうと思いますが、新憲法の下においてはそういう妙な制約はございませんからして、成るべく行政部内でやれることでも、国会の御審議を煩わして法律の形にしておくほうが重要なものについては適当であろうという意味で、特にこの第二条としてこの法律案に載せたわけであります。これは法律案にこういう形で載せたことについてお叱りがあつたのでは、我我の立つ瀬がないと、こういうことでございます。
#59
○亀田得治君 立つ瀬がないとおつしやるのですが、もう少し詳細に載せて欲しいのですね。先ほどから問題になつたようなこともここにやはり明記をすべきだと思うのですよ。これはよく引用される軍機保護法或いは軍用資源保護法の場合でも、この秘密保護のための行政的な措置と思われるようなことの中で、重要なことでやはり国民の権利義務関係に影響があるのじやないかと思われるようなことは、やはり或る程度載つておりますね。私はそういう立法の前例から行きましても、やはりこの第二条をもう少し明確にして、一体行政上の措置、政令できめることとはどういうことなのか、こういうことをはつきりすべきだと思うのです。そういう意味で言つているのです。だから折角そういうふうに御苦心をなされたのであれば、一つそこをもう少し完成させる意味で考えるべきじやないか、前例もあるわけですから……。大抵の秘密保護法はそうなつているでしよう。直接の秘密を処罰するだけでなしに、秘密保護に必要な例えば危険物に対する、秘密物件に対する接近の制限とか、そういつたようなことは皆載せておるわけですよ。それに罰則まで付けておるのもありますが、そんな罰則なんか付ける必要はありませんが、そういうふうにもう少し明確にしておく必要がある。そうしておきませんと、立案をされた佐藤さんは善意であつても、ともかくこの言葉から行くと、防衛秘密保護上必要なことならここで書いていいのだ、何でもかんでも書いて行つたら、それは成るほど防衛秘密を護るに必要な事柄かも知れんが、反面それが国民の権利義務に影響することなんだということを見落して、こうどんどん書く虞れがやはりあるわけですよ、それを私ども非常に心配する。だからそういう意味でたとえ行政上の内部のことであつても、非常に微妙な問題を含んでいるわけですから、そういう意味でこれをもう少し詳細にすべきじやないか、こう実は考えているのです。その他防備秘密保護上必要なというのは非常に漠然としている。この秘密保護法の政令案の要綱を見てもいろいろここに例を書いて、で最後には必ず、その他必要な措置を講ずるというような、必ずそれがついて来るのですね、これの規定の仕方によつては、もう折角あなたのほうではこの秘密保護法は権利の濫用にならんようにと思つて苦心されておることが、こつちのほうでずつと抜けて行つちやう、そういう虞れが多分にこれはありますよ。あなたはそういう心配を何といいますか、お感じになりませんか。
#60
○政府委員(佐藤達夫君) どうもお話の節々を伺つておりますと、亀田委員は大変なことをお考えになつているのじやないかという気がちよつとするのですが、その意味で私の疑いを少し含めて申しますから、それについて更にお尋ねを願いたいと思います。御承知のように、昔の時代においては、軍港だとか、要港だとか、或いは要塞地帯だとか、或いは又軍用資源秘密保護法等におままして、例えば軍用資源秘密保護法によりますというと、この立入り、測量、撮影、模写、模造、録取というようなことを或る区域をきめて制限をするということがございます。これは国有地であろうと、即ち国が管理権を持つている場所であろうとあるまいと、他人の私有地であろうと、ここはいかんという縄張りをきめて立入りを禁止し、或いは測量、写真、撮影を禁ずるというようなことまでやつておつたのです。それを若しも今度やろうというならば、これは保安庁当局者としてはそれはやらして頂けば、それは好都合でございますと言つて喜ぶだろうと思いますけれども、我々としてはそういうことは、まだ現在の段階においては決して必要と思わない。そういうことを法律の根拠に設けようという趣旨は全然ないのであります。夢にもそれを考えておらないのであります。従つてそういうことをやろうというならば、おつしやるような形ではつきりとこの二条をもつと書くか、或いは必要によつては罰則を設けるということが必要でありましようけれども、そういうことは夢にも考えておりませんから、先ほど来のんびりとお答えをしておつたわけであります。と申しますのは、この二条というのは、行政部内だけの取扱いについての訓令であつて、決して行政関係以外の国民に対する制約を加えるものではない。たまたまこの政令の案で、今の民間の会社にこれを修理を委託いたすような場合だけが、これは民間関係で出て来ましようけれども、それについてもこれは相手方の契約の内容としてやるのを、決して強権力を以て臨むという形をとつておらないわけであります。そういう意味でこの二条は、こういう形にして実は政令に、法律に乗せないで行こうかと迷つたくらいの経過でここへ乗せておるのであります。これも先ずいろいろも書きますというと、法律でこれほど力んで書いたところを見ると、将来何かの手がかりになりそうだというので、役人どもがそれに今度因縁をつけて、法律では書いてあるじやないかということで、拡張解釈をやり、人をやつつけるという根拠にむしろ使われる心配も出て来はしないか。そういう意味で行きます。と、この第二条は、すらつと簡素な形で、何ら手がかりにならないような形にするか、或いは落してしまつて、政令に委してしまう。そのほうが、将来の危険を防ぐのに、私は利好だ、こういうふうに考えます。
#61
○亀田得治君 非常にむずかしい点ですが、私はもう非常に、やはり危険性があると思うのです。この言葉自身をすらつと読んだつて、ともかく行政機関の長は、防衛秘密の保護上必要な措置を政令によつてとる、こうなつておる。これは相当広い概念です。だからあなたも言うように、これを私が主張するように、もう少し範囲を限定して書くようなことをしないで、いつそのこと、もう削つてもいいということなら、これは私削つてもいいと思うのです。むしろこんなものがあると、何か行政機関の長が、いろいろなことがやれるように、どうも誤解が起きて来ると思う。削るのも一つ私はさつぱりして、これはいいと思うのですね。併しまあ大体政府側の考えておるところも大よそわかりましたから、一応この政令の問題については、この程度で質疑をとめておきます。
#62
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記とめて。
   〔速記中止〕
#63
○委員長(郡祐一君) 速記始めて。午後二時まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十五分開会
#64
○委員長(郡祐一君) 午前に引続き委員会を再開いたします。
#65
○楠見義男君 外務省の条約局長にお見えを頂きましてお伺いしたいと思いました点は、大体次のような事情に基くものでございますから、以下申上げる点に即応して御説明を煩わしたいと思うのであります。それは今回の防衛秘密保護法案が立案せられるに至つた事情について、本委員会でもいろいろと質疑応答が重ねられたのでありますが、保安庁並びに法務省のほうから伺いました御説明の結論は、この法案はMSA協定に基いて秘密保持のための立法措置が講ぜられることになつた。その立法措置については、勿論MSAの協定の第三条とそれから附属書のBでありますか、それに基いてこれができておるのでありますが、私ども理解したところによりますと、立法措置をするということはこれは確定をして、従つてこの法案が提案されておる。それから刑の量定と申しますか、例えば罰則において第三条、第四条、第五条等の刑の量定があるわけでありますが、これは日本国政府のいわば自由できめられるものである、ところがこの法案の内容について、第一条の第三項のイ、ロ、ハ、ニに規定されておりますこの内容事項は、外務省から保安庁及び法務省に御連絡あつたところによると、これは外務省において協定せられて、その協定の結果がここに規定されておるんだと、こういうことなんです。そこで先般来この法案についていろいろ問題があり、例えば修正意見等も各委員の中ではお考えになつておられる方もあるのでありますが、修正した場合に一体これはどうなるだろうか。或いはその修正するかしないかは、これは国会の自由意思によるところでありますが、修正した結果は協定をやり直すということにならなければならないのか、或いはそういうことが不可能に近いようなことなのか、若し不可能に近いようなこととするならば、これは国会の審議権を無視したといいますか、あらかじめそういうことを諮らずに政府がきめられたことであるから、そのことは又別の観点から非常に不穏当な問題が出て来るわけでありますが、どうもそれはそうでなさそうだ、そうすると結局協定をやり直すということになるかもわからない。その場合に、それではこのMSA協定それ自体に重大な影響を及ぼすというようなことになるのかならないのかというようないろいろな問題がありまして、結局法務省或いは保安庁からこの委員会でお述べになつておることの根本の、そういうようないろいろの重大な問題については、常に外務省から連絡があつて、我々はこういうふうにお答えしますと、こういうことで外務省からの積極的な説明が実はこの委員会ではなかつたようであります。従つてこの問題については恐らく外務委員会におけるMSA協定の御審議においては、外務省からはすでにお述べになつたことであると思いまするし、又従つてその意味では重複いたしまするけれども、この委員会に積極的に御説明をお願いしたい。一体MSA協定及び附属書によるいろいろな定めのほかに、外務省としてこのMSA協定について特にこの法案に関係する事項についてどういうことをお考えになつておるか、それを積極的に詳細にお伺いしたい、こういうのが土曜日の委員会における話合いでございました。従つてそういう意味で本日お見えを頂いておるわけでございますから、どうぞ詳細に又積極的に御説明を煩わしたいと思います。
#66
○政府委員(下田武三君) 秘密保護法案の背後にありますMSA協定締結に関連しての対米折衝の経緯を簡単に御説明申上げますと、条約で立法義務まで規定する場合とそうでない場合とございますが、米国側は当初から条約で立法義務を規定するような案を出して参りませんでした。これは誠に日本側にとつては好都合なことでございます。例えて申しますと、日米行政協定には在日米軍の機密保持について立法その他の措置を含む措置をとる、これは条約上の義務になつております。ところが幸いなことには、MSA協定につきましては、第三条の規定となつて現われておりまするが、立法の義務を日本政府に負わせようという考えがアメリカ側に当初からございません。そこで立法するかしないか、又如何なる内容の立法をするかということは、これは形式的には日本政府の完全なる自由に属するわけでございます。ただ協定の中で「両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。」と書いておりますので、秘密保護法を制定するに当りまして、法案そのものは米国に見せて米国の了承を得て作る必要はないのでありますが、法案で企図しております実質的の事柄は、やはり米国に知らせなければならないという、これは道義上の義務でございますが、発生する次第であると思つております。
 そこで現実にどういう措置を外務省としてとつておるかと申上げますと、本法案に盛られております事項のうち、ただ一つ第一条の第三項のイ、ロ、ハ、ニと掲げてあります構造又は性能、製作、保管又は修理に関する技術、使用の方法、品目及び数量、協定で秘密保護のことを約束しております以上、これだけは最小限必要ではないか、及これだけで十分だと日本政府が思考して秘密保護法案を立法したのでありますが、このイ、ロ、ハ、ニだけを一つ保護したい、保護するものであるということを相談でなくて、通報という形で文書にもよらないで品で申しました。それに対して米側は何ら異存はなかつたのでございます。
 そこでこういうことになつたのでございますが、御指摘の刑の決定、何年の刑を科するかというような点は、これは日本の刑事政策に基きまして、独自の見地から刑をきめて一向かまいませんので、これも米国の容喙する範囲外のことでございます。でございますから刑に関する規定、これは独自の日本側の法律の規定でございます。
 それから御指摘になりました修正した場合にどうなるかということでございますが、日米交渉からの行きがかりから申しますと、イ、ロ、ハ、ニ少くとも四つの事項を保護する必要を認めてやつたのでありますから、この修正の内容によるわけでございまして、例えばニの品目及び数量までを秘密として保護する必要がないじやないかというようなことから、そういう修正ができましたら、これは私はやはり米側としては困るだろうと思う。でございますから、日本側が独自できめました刑の点でありますとか、その他の点は米側は何とも関知しないのでありますけれども、一応米側に通報しておりますイ、ロ、ハ、ニに触れるところを修正なさろうというふうな議が起りますと、これはやはり一応米側にもう一回日本側の意図を通報してみなければならないかと存じます。そうしてその場合米側がそれは困るというような場合には、なお且つ米側が困るような修正法案を強行した結果どうなるかという点までお触れになりましたが、その場合には米側としてはやはり法律問題ではございませんが、日本側に援助を与える物件が完全に秘密を保護されないということになりますと、やはり援助を与える上において非常に米側としまして不安を感じまして、援助が与えにくくなるという結果も、全然ないとは私は申上げられないと思うのでございます。
 大体以上の通りでございます。
#67
○楠見義男君 今条約局長から御説明頂きまして大体の経緯はわかつたのでありますが、そこでこのイ、ロ、ハ、ニのこういう内容をきめるということは、MSA協定の第三条第一項にいわゆる「両政府の間で合意する秘密保持の措置」と、こう書いてありますが、この両政府の間で合意するということ、このことに該当するものとしてのお取扱いでしようか、その点をお伺いしたいと思います。
#68
○政府委員(下田武三君) 実はそうではございませんで、協定に立法の義務を課しておらないのでございますから、国内法の制定というものは完全に日本側の独自の立場からやるという立場を堅持いたしまして、イ、ロ、ハ、ニは実は相談ということでなくして、法案のテキストも勿論見せません。ロでこれこれの事項を日本側の秘密保護法で保護しようとしておるということを通報いたしただけでございます。でございますから、イ、ロ、ハ、ニを通報いたしましたことは、第三条第一項に言うう合意する措置としてやつたわけではございません。
#69
○楠見義男君 そうしますと、秘密保持の方法として、必ずしも我が国は立法義務を負うていない。通常の観念で申上げますと、立法措置を講ずるということは、勿論政府部内の人々を縛るということもありますが、広く一般国民の権利義務に関係することであるから、又一般国民を取締ることであるから、立法措置が必要なのであつて、そこで立法措置の問題が出て来るのですが、ところが立法の措置の義務を負わないということであるとすれば、一般国民ということよりも、そういうことを対象外にして、この秘密を取扱う方面をまあ厳重に、例えば政府部内の訓令とか、その他のことで取締れるというような見解を仮に政府がとつたとすれば、それはその立法措置でなくてもいいと、こういうふうに了解していいですか。
#70
○政府委員(下田武三君) そういう見解を持ちますことは、法律的には可能だと思います。併し実際問題といたしましては、船舶貸借協定の場合と違いまして、非常な広範囲の国民の層に援助物件が関係を持つて参ります。修理でありますとか、或いは発注その他の関係において、運送業者、倉庫業者、いろいろな企業と関係を持つて参りますので、やはり仰せのように法律がありませんことには、到底秘密保護の確保を期しがたいという、これは実際問題の観点と、もう一つは日本でいわゆる域外発注その他を受けますためには、米国側が安心して注文を出せるという途を講じておくという、経済的の考慮もあるでございましよう。いずれにいたしましても、法律論よりは実際問題、政治的、経済的の見地からこういうふうにいたしたわけでございます。
#71
○楠見義男君 その場合にこれはまあ、いろいろこの法案の審議をしておるときに当つて、公になつておるかどうかということは、国民はわからない。而もその公になつているかどうかという問題は、ひとり日本だけの問題でなしに、日米共通の事象として、日本では公になつておらないけれども、例えばアメリカの専門雑誌等に出ているとか、或いはアメリカの国会において公聴会その他で述べられたとか、そういうようなものは、すべて公になつておるものとしてこれは取扱う、いわゆる日米併せて一本でこの問題を取扱うというようなことから、国民は何が公になつているか、なつていないか、これはなかなかむずかしいのじやないかというような議論が再三この委員会でもあつたわけです。そこで而もこの第三条の第一項の三号で、「業務」という、この「業務」の観念は相当広く、国会議員もすべて含まれるような、広く解釈をしている。従つて今お述べになつたような、修理を取扱うものとか、或いは倉庫関係のものとか、そういうものだけを縛つて行つても、或る程度の目的は達せはせんだろうか、こういうような、いろいろの議論もあつたわけなんですが、そういう点についてはどういうふうにお考えでありましようか。そういうものだけを縛つて行けばいいじやないかと、こういう問題……。
#72
○政府委員(下田武三君) その点につきましては、戦前のいわゆる軍事機密保護に関します諸法令と全く逆でございます。戦前のそれらの法令は、まさに国民から見ますと、うつかりしていると軍事機密に触ればしないかという懸念があるのでありますが、今度の場合はその逆に、大体普通の常識を持つておる人間には、決して危険のかからない建前であると思うのでございます。これはまあ法案の内容の説明になりまして、私から申上げる筋合いではないかと思いますが、標記を附しますとか、或いは立入取締りをいたしますとか、或いは委託業者である場合には、委託の際にこれは軍事機密だということを当然申すのでございまするから、先ずむしろひつかかるほうが少いわけでありまして、その点では御懸念のようなことは、御心配起らないのではないかと思つております。
#73
○楠見義男君 今の条約局長のおつしつたようなことならひつかからないのですよ。というのは、公になつておらないもので、標記或いは標記に代るものが附せられたものを防衛秘密にするということであるならば、これは局長のおつしやつた通りなんです。ところがこの法案はそうじやなくて、標記を附し、或いは標記に代るべきものを、例えば立入禁止とか、そういう標記に代るものですね、そういうものを附しておらないものであつても、防衛秘密というものはある。こういうことだから、実は問題になつておるのであつて、局長の今おつしやつたようなことであれば、余り心配をする必要はない。逆に、併し又何でもかんでも標記を附しやせんかということを考える向きもあるのですが、少くとも公になつておらないもので、防衛秘密で、その防衛秘密というものは、条件としては公になつておらないもので、而も標記が附せられておるもの、或いは標記が附せられてないものは、標記に代るべきものが附せられておる、これを防衛秘密とすると、こうであれば明らかです。この法案はそうではないのですから、実は問題になつておるのですが、その点は外務省のほうではどういうふうにこの防衛秘密をお考えになつておられるのでしようか。
#74
○政府委員(下田武三君) この公になつていないものというだけで放り出されたらこれは不安であります。日本の国民にはアメリカでどういうものが公になつておるかおらないか、全然わからないのでありますから、これはもう闇打ちにかかる危険が非常にあるわけです。ところが国境を越して日本に参りますと、国民の耳目に触れる際には、必ず標記を附すなり、或いは立入禁止の札を立てるなり、或いは業者に委託する場合は、これは秘密物件でありますぞと申しました上で委託するわけでありますし、又業務によつて知得するという場合には、これは例えて申しますと、国会で御説明申上げる場合には、当然政府側から、これは秘密事項でございますということを申上げるでございましよう。でございますから、標語なり或いは言葉の上の説明なり何なり、日本の国境に入つて参りましたら、瞬間に野放しの、公になつていないものというものではなくて、必ず国民の耳目に触れる前には、十分にわかるような方法が講ぜられるわけでございますから、その点の御心配は実際問題として私は御懸念は要らないのではないかと思つております。
#75
○楠見義男君 私は今条約局長がおつしやつたようなことの頭で以て質問いたしたところが、今お述べになつたこと、或いは私がその線で質問をしたことと違つた御答弁がありましたから、実は問題にしておるので、従つて外務省のほうでこの協定を結ばれるに当つて了解せられておるところは、公になつていないもので、併しそれは日本に来る場合には、標記又は……お言葉にはありませんでしたが、標記に代るべきものが附せられたものを防衛秘密と理解してこの協定が結ばれたと、こういう御答弁でありますから、私はそれで、ただ保安庁なり法務省の解釈と、外務省の解釈が違うということだけを認識して、条約局長に対する質問はこれで打切ります。
 ただ、この機会に条約局長もいらつしやる際でありますから、保安庁にお伺いするのですが、今の条約局長の御説明のように、この内容事項については、日本側から口頭を以て一方的に通報をして、そうしてアメリカ側はこれについては何らの異存は述べられなかつたと、こういう御説明であつたわけなんです。そこで外務省がこの第一条第三項のイ乃至ニに述べられた、規定されておる事項を向う側に口頭を以て通報するに当つては、恐らく国内的には保安庁と十分の連絡をおとりになつて向うに通報されたことと思うのです。そこで保安岸がこのイ、ロ、ハ、ニを堤示せられるに当つては、先般の質疑応答でも明らかなように、現在はフリゲート艦におけるレーダー室以外には秘密はない。将来はどういうものが来るかもわからんからという理由でもつてここに規定されておるというのは、私は余り網を拡げ過ぎるのじやないか、こういうふうに思うのですが、そのイからニまで外務省が御提案になるに当つて、内部的に保安庁がお考えになつた考え方を念のためにもう一度伺つておきたいのであります。少しくどくなりましたが、何か将来あるだろうということで、私は再々この品目及び数量等を問題にはしておるのですけれども、それだけに限らず何か将来あるだろうということで大きく網を拡げておるのは、少し広過ぎやせんか、こういうふうにも考えられるのですが、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
#76
○政府委員(上村健太郎君) 外務省が先方と打合せをして頂くにつきましては、私どものほうからこういうような内容でどうだろうかということで外務省にお願いをしたわけであります。私どものほうといたしまして、現在借りております武器につきましては、保安隊におきましては前にも御説明申上げました通り現在の武器についてはございません。警備隊につきましてはCICルームでございますが、今後MSA援助等に基きまして我が国が供与を受けまする武器等につきましては、例えて申しますると船につきましては、PF程度以上の駆逐艦程度も供与を受けたい。そういたしますると駆逐艦につきましてはPFとほぼ同様のものがある。このものにつきましては構造、性能等は勿論入ります。又修理等につきましては技術等も入つて来るであろう。又前にも申上げましたが、CICルームの中には敵味方の識別に使う機械等もございまして、これらについては使用の方法等も秘密にしなければ目的を達せられないのであります。なお、航空機等につきましては、航空機全体なり或いは船でも同様でありまするが、その武器全体が秘密になるというようなものは、現在においてはなかなか供与をしてくれないだろうと私どもも思つておりまするけれども、航空機などにつきまして、レーダー或いは敵味方識別器等はその武器の一部分について、予備品或いは資材等について供与を受けるということもあり得るのじやないか。そういたしまするとその品目及び数量というものが秘密を要するものはあり得るというようなことからいたしまして、構造、性能、技術、使用方法、品目及び数量、更にこれらのイからハに関するまでの図面でありますとか、或いは技術に関するインフオーメーシヨンというものも含めなければいかんのじやないか。こういうような考えからいたしまして、外務省と相談をして立案をいたしたわけでございます。
#77
○説明員(桃沢全司君) 私ども少し申上げ方が不十分であつたために誤解を招いた点もあるかと存じまするので、二点だけはちよつと申上げておきます。一つは、一昨日もさようでございましたが、楠見先生から保安庁と法務省がアメリカ側と交渉してこういう法律を作つたというふうにちよつと解しておられたようでございますが、法務省といたしましては先方の意向を問合せるというようなことは全然いたしておりません。それで只今の問題の第一条の第三項第一号のイからニの問題でございますが、私ども法務省としては、一体保護すべき秘密というものはどこにあるかということを保安庁のほうに尋ねまして、これを成るべく明確化し、範囲を狭めるということに十分努力したつもりでございます。で不明確なものは、多少の不便がありましても省いてもらうという努力をいたしておりますので、その点の御了承を賜わりたいと思うのであります。
 それから第二番目には、只今の条約局長の説明と私どもの説明との間に差があるのではないかということでございました。これは私説明が足りなかつたと思うのでありますが、この秘密が自然秘であるか指定秘であるかという法律上の性格を私のほうから申上げておるものでございまして、実務の上からは只今条約局長の答弁せられましたように、そのためにこの第二条を設けてあります。そうして一般人がそこに表示があるとか、標記があるとかいうことで、やたらに不測の禍いを招くことがないように、これは実際問題として考慮いたしておるのでございます。と同時に公になつていないもの、これは前から申上げておつたところでありますが、これは私どもとしては相当高度の秘密を考えておるのでございます。その実質的な理由の一つは、現在の保安隊が受けておる戦車或いは砲その他、これは終戦前の日本の持つていた兵器よりも相当高度なものがあるようでございますが、これらのものにも秘密はないわけでございます。従つて今後アメリカのほうから供与される兵器にも秘密の部分は極めて少いのではなかろうか。而もその秘密というものは相当高度なものであつて、これは当然自然秘として扱える、かように考えておるのであります。で公になつていないものが全部秘密というのではございませんので、防衛秘密というその秘密の言葉が即ちこれは相当高度の自然秘というところでしぼりがかかつて参りますので、一般の方々には御迷惑をかけることは万々ないものと私ども確信している次第でございます。
#78
○楠見義男君 どうも御説明を聞いていますと、はつきりしたようなんですが、それじや念のために伺いますが、今の第二条の標記の問題、私は先般お伺いしたのは、第一条の三項でもつてこの法律における「防衛秘密」の定義が出ている。それから第二条で標記を附すということになつておる。ところが第三条のこの罰則を適用する場合の防衛秘密というものは、一体どういうものだろうか。それは第一条のいわゆる防衛秘密で、而も第二条で義務付けられておる標記を附したものが対象になるのかどうか。逆に言えば標記を附しないものは観念上防衛秘密があつても、その標記の附せられない防衛秘密を第三条の対象にするのかということをお伺いしたところ、それは標記を附しない或いは標記に代るべきものを附しないものであつても、第三条に適用されるものはあるのだという御説明があつたから、それは本日の条約局長の御説明とは違うのではないか。而も今直前に桃沢さんが言われた一般人は標記というものでわかるのだから、一般人が迷惑をこうむることはなかろう。こういう御説明を伺いますと、その点は条約局長と同じように理解されて、土曜日に伺つた点と違うように僕は思うものですから、どつちが一体本当なのだろうかということをもう一度お伺いしたいと思うのです。
#79
○説明員(桃沢全司君) 法律的には楠見委員の仰せられますように標記の有無が犯罪の成否、構成要件の成否、それとは直接関係はないのでございますが、実際問題といたしましては、できる限り標記できるものは全部標記するということによつて、一般の人が不測の禍いを受けないように十分な措置を講ずるというのがこの二条の精神でございます。と同時に標記のないものではこれはわからないのではないかという点でございますが、第一条の第三項で規定しております規定の方法から申しましても、全然標記のできないものがあるわけでございます。例えば口頭で保管或いは修理の説明を受けた、これはどうもちよつと標記の方法がないわけであります。それとそうでなくて標記のできるもので標記をたまたま怠つていた場合に一般人に対して迷惑をかけないかということが二段目にあるわけでございますが、その問題は標記がなかつたからこれは防衛秘密でなかつたという弁解が多くの場合立ち得るのではないか。そういたしますとこれは犯意がないというので、第三条の罰則の対象にならないという面で違うのではないか、かように考えております。先ほど申上げましたようにニは別といたしまして、イからハまでは科学的知識、それも相当高度なものでございますから、一般人がやたらに目に入る、知り得るというものでもございませんし、このほうでしぼつてあれば、只今御心配の点も解決するというのが私ども立案に当つた当時からの考え方であつたのでございます。
#80
○楠見義男君 そうしますと、結局条約局長がさつきおつしやつたものとはやはり違うので、土曜日におつしやつたこととは変りないように理解できるのですが、というのは、法律上は第二条の標記が附せられなくともそれは防衛秘密であつて、従つて罰則は法律適用の問題ですから、標記が附せられないものでも防衛秘密として取扱われることがある、こういうことになると思うのです。それに進んで行きますと、これは意見になりますが、何が高度なりやということが実は国民にはわからない。従つて取締るほうの立場から言えばこれは自分は心得ているからいいが、一般国民のほうは何が高度なる秘密なりやということがわからないから、その点問題があるのではないか。而も公ということが日米併せて一本ということになりますから、問題になるのではないかということで問題にしたのですが、あとのほうは抜きにしましても、前段の法律的には標記を附せないものもある、それは三条の対象になる防衛秘密でもあり得る。こういうことになると、先ほど条約局長のおつしやつたことは、そういうことは一般国民には非常に迷惑になることだから、ないというような御説明とはやはり私は食い違いがあるように思えるのですが、これは押問答みたいな恰好になりますから、ただそういうことだけを、これは自分の判断ですから、そういうふうに了解いたしておきます。
#81
○政府委員(上村健太郎君) 只今のお話はお尋ねの通りでございまして、外務省側としては、実は防衛秘密の保護すべき内容につきましては、協議をいたしておりまするけれども、どういうふうな罰則にするか、或いはどういうふうな犯罪構成要件にするかということにつきましては、十分に協議を遂げておりません。従いまして外務省条約局長から申上げました必ず標記をするのだというのは間違いだと思います。事柄の性質上どうしても標記もできなければ、或いは関係者にも通知ができなければ、或いは立入禁止等の措置もできないもの、例えば性能等に関する情報、そういうものは口頭で、文書でありますればできますけれども、口頭でありますとできないわけでございます。これは条約局長のお答えとはちよつと法律上は違つて来ておるので、私どものほうの解釈でお考えを願いたいと思います。
#82
○亀田得治君 ちよつと関連して……。午前中の私の質問に少し関係していると思うので、少し確めておきたいと思うのですが、実際に秘密がアメリカから渡された場合に、午前中のお話ですと、その際にこれが秘密だというふうにアメリカより指示される。それを日本のほうで受取つてそれ相当の処置をされるわけなのですね。その際に或るものは口述するだろうし、或るものは関係者に通知をするとなつておるのですが、今のお話ですと、その通知もないような場合もあり得る、こういうことですが、これは政令案によりますと、やはりそういう関係者に対する通知はどうしてもこれは最小限度するのだろう、こういうふうに予想されるわけなのですが、この法律の第二条だけを読んでも、そういうことが期待されるわけなのですが、ところがそういうこともないような場合もあるということになると、相当秘密範囲を外部に表示、又は通知によつて示されるものとのそこに差が出て来るわけですね、数といいますか、分量の上から言つて……。これは私どもちよつとそういうことになると困ると思うのですが、そういうふうに理解すべきなのですか。
#83
○政府委員(上村健太郎君) 関係者に通知ということでございますが、先ほど私が申上げましたのは、部外関係者というのでございまして、勿論性能等に関する情報の例をとつてみますると、部外関係者に通知をする必要のないものもあると存じます。それから標記も附し得ないもの、つまり第二条に書いてございます措置がとり得ないものが性質上あるのではないか。先ほど外務省の条約局長は、必ず第二条の措置をとるのだとお答えを申上げましたので、それを訂正する意味で申上げたのでございます。
#84
○亀田得治君 そうなるとやはり非常に秘密事項というものが実際問題としてあいまいになつて来ることが予想される、秘密の範囲というものが……。ここでお尋ねしますが、日本の政府としては何が秘密かということの確認行為といいますか、秘密の指定というような、言葉は少し強過ぎるかも知れませんが、確認的な行政行為というものは必ず個々の秘密についてあるわけでしよう。その点どうですか。
#85
○政府委員(上村健太郎君) 具体的に申上げますと、米国は、武器をよこします場合を想像いたしますと、それをよこします前にこの武器についてはこの部分が秘密であるという恐らく通報をして参ると思います。但しその通報がありまして、すぐこの防衛秘密になるということは考えておりませんので、これを受領いたしました主管大臣が第一次的には認定することになると思います。その認定がありました場合に、この法律による防衛秘密であるということがきまるというふうに解釈いたしております。
#86
○亀田得治君 そこが非常に大事なんでしてね。旧法時代のようにそういう認定行為を待つまでもなく、一つの秘密というものが或る程度予想されておる、そういう場合と現在非常に違うわけですから、従つて今御答弁になつたように秘密になるためにはそういう確認事項というものがどうしても行政的にそこへ入つて来るわけだ、今日の段階では……。従つてそういう状態だから、その確認行為そのものをこの秘密の一要件にするのが今日の状態としては妥当じやないか、こういうまあ私どもの実は気持でお問いをしている。そういう確認的な行為が入らんものならいいのですがね。必ずアメリカからの要求でじや、これを秘密にしましよう、こつちもこうやつて行くわけですから、それをそのまま法律上の要件にしてもらつたらいい。それをそのまま、じや生まのまま外部に発表するしない、これはまあ第二段の問題です。そのもう一つ先の確認というか指定というか、これが今お答えになつたようにそれほど明確にあるものであればですね、それを犯罪成立の要件となるこの秘密の定義の中に含ませることが私はやはり立法論として正しい、今日の段階における秘密の範囲としては正しい方法じやないか、どうしてもこう思うのですが、どうですか。
#87
○説明員(桃沢全司君) 先ほど上村官房長からのお答えは、これは事実問題としてお答えをしているわけでありまして、法律的にはこれはその長官が認定したから防衛秘密になるとかならないとかいう問題ではないと思うのであります。併しながら事実の問題としては、先ほどもちよつと申上げましたように、現在の保安隊に供与されているような武器兵器というものは、これはもう全然秘密がない、若し今後来る秘密というものはそれ以上の高度なものである、こういうふうに予想せられるのでありまして、そういうふうなものはこれは日本の立場から言つても防衛秘密、相当高度の秘密としていわゆる自然秘として扱えるものではなかろうか、かように考えておるわけであります。ただ実際問題としてはそれが相当高度の秘密であつても、アメリカで秘密として扱つていないような事項については、これは防衛秘密としては日本側も取扱わない、かような取扱いになると考えている次第でございます。
#88
○亀田得治君 これは大分論議したわけなんですが、私どもの言うように、本法で言う秘密とは第一条第三項の要件に該当し、且つ当該の行政機関の長によつて指定されたもの、こういうふうにしたからと言つて何か弊害はありますか。私ないと思うのですが、その点についてどうお考えでしようか。
#89
○説明員(桃沢全司君) 直ちにそれで弊害は出て来るとは思いませんけれども、午前中申上げましたような軍機保護法或いは国防保安法、そういうときにそういう問題が後ほど起きまして、やはり立法に当つては前のような轍を踏まないほうがいいのではなかろうかというところから、今度の立法のような立て方をとつた次第でございます。
#90
○亀田得治君 それは、これも先ほど申上げた点ですが、以前はともかく陸軍大臣、海軍大臣の一方的な指定に殆んどが委されておるような状態で、ああいう指定制度というものをとつたから弊害が起きた。私どもはそういうようなことを何も考えているのじやないので、現在第一条と第二条に分れておるこの二つの条件を一緒にしちやう、そうすりや非常にここで第一条で概念的に不明確であつた点が、更に第二条によつてそこに一つの枠がきつちり出て来るということで、ちつとも弊害を伴わないでこの事態がはつきりして来る。こういうふうに考えておるので、以前の軍機保護法時代のああいう指定の弊害をもつて直ちに今私どもが申上げている点に対する反駁にはならないとまあ考えるのです。まあそういう意味で立案されるときもいろいろ研究されたことだろうと思いますが、我々も考えますけれども、これはよく政府のほうでも検討を願わなきやいかんと思つているのです。
#91
○楠見義男君 先ほど桃沢公安課長の御説明で、或いは私聞声間違えたのかもわからんが、若しそうだとすると大変じやないかというふうに思つたことが一つあるのですが、それは標記を本来第二条で附することになつておるものであつても、それが何らかの間違いで標記が附せられない、こういう場合においてなお防衛秘密たるに間違いない。従つて第三条の適用になると、こういうふうに伺つたのですが、その通りですか。
#92
○説明員(桃沢全司君) 先ほど私申上げましたのは、誤つて標記を附していなかつた場合には、恐らく標記がないからそれは防衛秘密じやないと思つたという弁解が多くの場合立つのじやなかろうか。従つてそういう場合にはこの法案の第一条違反の対象にはならない、かように申上げたわけでございます。
#93
○亀田得治君 ともかくその点でも非常に政府の考え方にやつぱり矛盾があるわけですよ。或る事件が起きて犯意があるかないかということを判断する際に、標記があつたかなかつたかということを一つの有力な根拠にされておるわけですね。まあ法律が濫用されないで行く場合には、標記がなければじや犯意なしと推定して行くというふうな扱いも受けると思うのですが、濫用され出した場合には、なに標記なんてあんなものは、一般の人に対するただ注意事項なんだから、そんなものはもう標準にならんのだ、君のほうはこういうものが秘密でないというようなことを標記があつたつてなくつたつて当然わかるじやないかというようなことで、押し付けて行くところに問題があるわけなんだ。私は法律を作る場合には、あなたのほうはこの標記というものを相当重視してそれによつて犯意があるかないかというような重要な材料にされるということは、何遍もあつちこつちで言つておられますが、実際問題として私はそうならないと思うし、濫用される場合にはならないと思いますし、それではもう一歩突き進んで政府がそれほど標記というものを重大に考えておるのであれば、それによつて犯意云々、有罪か無罪かを決定するというぐらいに考えておるのであれば、思い切つてこの標記というものをむしろ今度はもう一つ重大に考えて、犯罪の成立要件そのものにこれを引上げて行く、このほうが私親切な扱いだと思う、そういう政府の説明を聞いてもそう思うのですよ。まあ提案者がすぐこれをどうこうというようなわけに行かんでしようが、どうも私どもはこういう立場での秘密保護法の場合には、やはり自然犯と違うのだから、一つの指定秘という立場でやるならやるのが正しい。どうも今日の質疑を大分しましたが、こつちの考えをまあ変えるような、何と言いますか御答弁は私得られておらないと思うのです。まあこの程度にしておきます。
#94
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#95
○委員長(郡祐一君) それでは速記を始めて。
#96
○亀田得治君 それではこれは他の委員からも相当御質疑があつた問題だと思いますが、第三条並びに第四条の業務という問題について少しくここでまとめて御質疑をいたしたいと思うのです。先ず順序としてこの業務という言葉ですね、これは今までの審議等によつても大体明白ですが、防衛関係の業務に携つておる職員といいますかこれが一つと、それからもう一つは国から委託を受けて修理等に従事する業者、こういう二つのものだけをここで包含しておるのだと、こういう解釈でしようか。
#97
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今お示しになりました防衛関係に従事しておる者或いはその対象となる装備品について修理等の業務に携つておる者、これが主なるものであります。我々は主たるものはそれと考えておりますが、それのみには限らないのであります。例えば学者に研究を委託するという場合に、その学者が学校の業務に従事しておるのであります。その人たちについても本条は適用あるものと考えております。
#98
○亀田得治君 先ずこの委託を受けて武器等を修理する、こういう業者についてはどういう範囲をお考えになつておるわけでしようか。
#99
○国務大臣(木村篤太郎君) 具体的な範囲はわかつておりません。併しそういうものの修理等にする者というものは殆んど限定されておるわけでありまするから、極めて小範囲であろうと我我は考えております。
#100
○亀田得治君 一つの製造会社に例をとつて言いますと、契約をするのは国とその会社の責任者がいたすわけですね。会社の責任者がこれに該当するということはわかるのですが、その責任者以外はどの範囲か、この点をもう少し明確にしてもらいたい。
#101
○国務大臣(木村篤太郎君) その修理の実際に当つてその秘密なることを了知しておる者がこれに当るものと考えております。
#102
○亀田得治君 修理の実際に当つて秘密なることを知り得る人ということですか。
#103
○国務大臣(木村篤太郎君) 実際に知つた者と了解しております。
#104
○亀田得治君 実際に知つたもの、そういたしますと修理には当つておらないが同じ工場で働いておる、修理に当つておらない人はここで言う業務には入らない、こう解釈していいですね。
#105
○国務大臣(木村篤太郎君) 実際の業務に当つていない者はそれに入らんと考えております。
#106
○亀田得治君 それから先ほど政府の職員並びに今問題になつたそういう業者が主なる者であつて、それのみには限らないのだと、こういう説明をされて、例えば学者等に研究を委託した場合と、こういうことを言われたわけですが、政府から具体的に研究の委託を受けた場合には、これは私先ほど例になつた武器等を修理する工場の責任者なり或いは修理にタッチした人と同じ立場に立つとこれは了解できるのですが、そうでない学者、これが政府が秘密にしておることとたまたま同じようなずつと研究をやつておる、こういう立場の研究者、学者というものは政府とは委託関係がないわけですから、ほかの防衛秘密の条項で引つかかる場合があるかも知らんが、この場合においては業務というふうにならないと思うのですが、併し広く解釈しますと学者の研究をすること自体が業務なんだから、その業務によつてあちこちからいろんな材料を集めて知つておるのだから、そして一方では俺のやつていることはこれは政府が持つておる秘密とこの点がこう共通点があるのだとか、こういう場合にはそれはやはり業務ということになろうが、そうなつてはならないと思うのですが、その点の解釈はどうでしようか。
#107
○政府委員(佐藤達夫君) 御推測の通りでありまして、この業務というものはここで言つておる防衛秘密そのものと、職務権限上の繋がりのあるものだけでありますから、只今のお設例のそういうことに関係なしに自分の研究としてやつておる研究そのものは、その人にとつては業務でありましようけれども、ここに言う業務でないことは、お言葉の通り明らかなことと考えております。
#108
○亀田得治君 そうすると、先ほど長官が主なるものは職員並びに業者と、こう言われたが、その主なる者はということはこれは要らないことじやないかと思うのですが、その二つに限るのです。面接に秘密にタッチしておる職員と、それから業者と言うから間違うので、政府からそれを委託を受けて、何らかの仕事にタッチして、そして秘密を知つておる、委託を受けるということがその決定的な要件じやないですか。そういうふうに解釈すれば、まだ何かはかにあるような印象を与えるようなことは御訂正願つて、その二つしかないのだというふうにはつきりしてもらいたいと思う。
#109
○国務大臣(木村篤太郎君) 二つには我々は限らんものと了承しております。いろいろな事業に携つおる者がその事業に関連してその秘密を知り得る場合もありますから、必ずしも二つには限りません。ただ私の申したのは最も多く適用を見るのがこの二つであろう、こういうことを申したのであります。
#110
○政府委員(上村健太郎君) 補足いたしまして御説明申上げますが、この業務上に当る例といたしましては、官庁関係といたしましては大蔵省の主計官、或いは通産省の係官、或いは米国側と折衝に当る外務省の係官、その他裁判所の令状執行の係りの裁判官、或いは検察官、又は刑事事件として取調べに当ります警察官、その他例えば一般民間といたしましては、先ほど申上げました防衛庁から発注を受けて製造、修理等に当る事業会社の担当者、その他にこの本法違反の事件は被疑事件でありまして、これを担当する弁護人等があり得ることと存じております。
#111
○亀田得治君 そうなりますと、大分世間で考えられておる業務というのが実際には広くなつて来る。従つてこの点は非常に大事だと思いますから、もう少し具体的に聞きたいと思います。今の御答弁によりますと政府の防衛関係の役人のほかいろいろなものを並べられたわけです。伴わしそれとたまたま同じような問題を研究しておる学者や研究家、これらとの違いというものは一体どこにあるか。これは本質的な問題としてこれを明確にしておきませんと、個々の具体的な適用の場合には非常にあいまいになつて来ると思います。業務だというと皆業務です。いやしくも人間生きておる以上、必ず業務を持つておるわけなので、これでは非常にあいまいになる。この業務によつて知つたものを特別の扱いをする、この意味は保安庁の役人は勿論、それ以外の者も政府から直接いろいろな関係があるわけですね。今例を並べられたのは全部つまり一種の信頼、関係がそこにあるわけでしよう。そういうところに本質的な違いがあると思う。ほかの人も成るほど業務であるかも知れないが、併しそういう信頼関係のない業務は、たとえそれによつて防衛秘密が知り得るような関係にあつても、ここで言う業務ではないというふうにでもはつきり解釈を下しておいてもらうとか何とかしませんと、一つ一つの場合にあいまいになる。私は今申上げましたような考え方を以てこの業務の範囲というものを限定すべきだと思つておるのですが、これはどういうお考えでしようか。
#112
○政府委員(上村健太郎君) この業務によりという言葉は或いは法務省からお答え願うほうが適当かと思いますが、自分の従事する業務に基因いたしまして当然知るべくして知つておるということであります。従いまして例を挙げますと、新聞記者の例でございますが、新聞記者は防衛秘密を知ることを直接の業務、当然知るべくして知るということではない、偶然取得し、或いは取材活動として了知した者はこの業務に当らないというふうに考えます。併しながら先ほども例を挙げました検察官、或いは令状執行の裁判官、或いは外務省の係り官というようなものは防衛秘密を知ることが本来の業務として基因して知ることになるのでありまして、そういうものを業務によりというふうに解釈いたしております。
#113
○亀田得治君 新聞記者の方がここに入らない、これは私は当然だと思うのです。ただ入らないということの根拠、これは先ほども申上げたように、一方は国から直接材料を出してもらつておるわけです、検察官にしろ、裁判官にしろ、ところが新聞記者が入らないという基本的な根拠は質的に立場が違うわけですね。むしろ新聞記者の方はそういう国家の世話にならないで、いろいろな立場から自分の力で出して行つておるわけでね、いろいろな結論というものを……。そういう性格上の違いがあるわけなんです。だからそのことをやはり単なる解釈だけじやなしに、もう少し法文上明確にするのが私正しいと思うのです。そういう点が明確にされますと、新聞記者の場合、或いは学者、研究家等の場合においても、学者、研究家でもこれは独自の力でやつておるわけですから、従つてこれは当然ここに入つて来ない。何か今の御説明ですと、当然知るべくして知つた場合がここに入るのだと、こうおつしやるわけですが、どうも区別の仕方がそれでは不十分なように思う。学者にしたつて研究して行けば、当然知るべくして知るわけです。新聞記者の場合でも、いろいろな材料を集めて行けば、当然知るべくして知つて行くというふうにもとれる。そうじやなしに截然とそういう学者、新聞記者の人たちには御心配は要らないのだというためには、もつとこの条文を書き変えて、例えば政府職員並びに政府から材料を提供されてその業務上秘密を知つておる人と、こういうふうに二つぐらい書けばこれがはつきりする。それだけの言葉を書き変えたからと言つて、何も法文上下体裁にもなりませんし、当然これはそうあつて然るべきだと思うし、なお且つMSA協定の附属書Bですね、あれを見てもむしろそういうふうにはつきり書くほうが適切じやないかと自分としては思うのです。あそこには先ず保安庁の職員並びに政府から委託を受けてその秘密を知つたと、こういうふうにそこに国との繋りというものをはつきり書いておるのです。恐らくアメリカが要求しておるものもそこでしよう、又実際問題として秘密が漏洩するのもそこから漏洩するのですから、特に業務上の秘密漏洩を重くするという理由もそこから出て来るわけですから、そういう趣旨の業務上の秘密漏洩の普通の取扱いよりも重くするという趣旨を貫くならば、その点を法文上やはりもつと明確にするのが至当だと思うのです。これが質疑によつていろいろ言われておるのですが、質疑をしなければどうもこういう重大なことが明確にならない。政府のほうでも業務と言えば大体学説、判例等によつて一定の見解も生れておると、こういうふうなこともおつしやるのですが、そういうこともあります。ありますが、それだけではやはり問題が残ると思うのです。そういう意味でこれをもう少し明確にする意思がないかどうか。こういう点についてこれは長官からざつくばらんなところをお聞きしたいと思います。新聞協会あたりでは防衛業務というふうな形容詞を付けてもらいたい、こういうふうに言われておりますが、それも一つの案でしよう。併し私の考えとしては単にそれだけではなしに、手を付けるなら先ほど申し上げましたように、国の役人並に国とのそういう委託、信頼関係にある業務、こういうふうにすれば、もう一切の疑念は解けると思うのですが、長官からその点のお考えを聞きたい。
#114
○国務大臣(木村篤太郎君) この業務によつて知得したというのは、御承知の通り、こういう場合もあるのであります。例えば防衛生産なんかに関係のない人たちでも、将来いろいろの関係上仮に業者一同を集めて、そして秘密の装備について一応の説明をするというような場合も想像できるのであります。業者を集めてやる場合必ずしも防衛生産に従事しておる業者のみに限りません。そういう場合において知得したものを、ほかに漏らされても困ります。従いまして業務上知り得た場合においてこれを漏らすことを防ぐために、私はこの法案が必要である、こう考えております。如何にも広いように思われますが、併し業務によつて知るということは大体限界があるわけでありますから、一般人には私はさほどの迷惑を及ぼさないと考えております。
#115
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記を
 とめて下さい。
   〔速記中止〕
#116
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。暫時休憩いたします。
   午後四時九分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時二十五分開会
#117
○委員長(郡祐一君) 休憩前に引続き 質疑を続行いたします。
#118
○亀田得治君 この「業務」という関係の中で、新聞記者並びに国会議員ですね、この人たち相当いろいろ感心を持つておる問題が多いと思います。それで先ほどは大体概略的なことをお聞きしたわけですが、もう少し問題を掘り下げてこの三つの関係について少し聞きたいと思います。
 先ず第一に、新聞記者との関係ですが、参議院で公聴会を開いたときにも、私ども新聞関係の専門の方から非常に強い希望も聞いたのですが、新聞記者の方が安心していろいろな取材活動に従事できると、どうしても世間一般の人が知らないことを嗅ぎつけて行くと、これがむしろ有能な新聞記者のなすべき仕事なんですから、或る意味では仕事なんですから、そういう意味で取材活動が安心してできるような措置というものを是非この法律を実行する場合には考慮してもらいたい、こういう御意見があつた。私これは新聞の関係の人としては当然な要求だと思いますし、単に新聞の方々の要求だけではなく、国家としてもこれは当然考えなきやならんことだと思います。で、現在まで政府当局ではそういう点についてのいろいろ考慮もしておられるようですが、例えば第二条の関係者に対する通知といつたような問題などにも関連して、どういうふうに具体的に考えておられるか、できるだけ一つ砕いてお話を願いたいと思います。
#119
○政府委員(上村健太郎君) 先ほど申上げましたように、「業務により」と申しまするのは、新聞記者は入らない。第二条の「秘密の保護上必要な措置」というところに書いてございます「関係者に通知する等」というのがございますが、勿論保安庁を担当する記者クラブの方々には、例えて申しますれば、立入りを禁止する場所、或いは立札をいたしまして、或いは標記をいたしましてここに入つてもらわないようにというようなところは、御通知は必然的にすると思います。併し文書等につきましては、その文書の存在場所或いは存在等を一々申上げるわけにも事実上いかないのじやないか。従いまして先ほど申上げました性能或いは技術等につきまして、こういうところに秘密があるのだということを申上げることがないものも出て来ると存じまするが、併し原則といたしまして、第二条によりまして防衛秘密についてはできるだけの措置を講ずるつもりでございます。
#120
○亀田得治君 明確にしておきたいのですが、この第二条の「関係者」の中には、一般的な意味で新聞記者が含まれておるわけですか。
#121
○政府委員(上村健太郎君) 言葉の上からだけでございますと、新聞記者一般は入らないと存じまするが、併しこの言葉如何にかかわらず、絶えず保安庁の事項について接触をされる新聞記者の方々には、然るべき方法を以て防衛秘密については御連絡もいたし、秘密保護上御協力を願うということになると存じます。
#122
○亀田得治君 「関係者」の中に新聞記者が入らない意味だということになると、今申されたようなことが、これは単なる法律上の根拠のない行政上の一つの取扱い希望という程度にしか聞き取れないわけですが、この第二条の「関係者」に新聞記者が入らないという、その点をもう少しはつきり御説明願いたい。一体誰と誰、どういう人をこの「関係者」と具体的に考えておるのか。そうして又その政府の考えておる原則によると、どういう意味で新聞記者が入らないことになるのか。そうせんと、新聞記者に対していろいろ配慮をすると言つたつて、それはただ法案を作るときの一つの体裁のいい言葉だと、こういうことになつてしまう虞れがある。そこで先ずこの「関係者」、これは一体どういう意味なのか、それと新聞記者との関係を明確にして欲しい。
#123
○政府委員(上村健太郎君) 大体ここに書いてございます「関係者」と申しますると、先ほども申上げました通り、主たるものは業務上知得をする人たち、例を挙げますれば、例えば会計検査院の方が検査に来られるというよ、な場合には、当然これは防衛秘密であるということを通知しなければなりません。これは特定の場合でございますが、そのほかにも、一般の場合におきましては、取締の警察官或いは検察官等にも通知する必要がございましようと思います。なお民間に発注いたします場合についても同様、この点は秘密であるということについての通知もいたさなければならないと思います。新聞記者につきましては、新聞記者一般を「関係者」と解釈するのは、法文上も、又事実秘密保護の措置の万全を期する上においても、一般に通知をするということは、性質止むずかしいのじやないかと、こう考えております。
#124
○亀田得治君 これは主なる関係者と言えば、三条、四条等で言つておる業務の関係者と、こういうことはまあ了解できますが、併し第二条で「関係者」と言つておるのは、これは防衛秘密を保護する必要な措置、そういう建前からできておる条項ですから、従つて「関係者」は、それを無視はできませんが、第三条の「業務」と、こういう範囲を主たるものというふうに考える必要は私はないのではないか、三条と二条の目的がおのずから違うわけですからね。防衛秘密保護上必要だというふうに考えられる場合には、もつと積極的に通知したりすべきところにはしたらよいのではないか。そういう観点からこの条文を見ますれば、何か入るかのごとく入らんかのごとく、そういうややこしいことではなしに、積極的に或る程度必要なことは知らして行くと、これが私正しい運用だと思いますし、そうなれば当然「関係者」の中に個々の新聞記者は入らんでしようが、つまり報道機関ですね、責任ある機関に対して適当な意思表示をしておくと、これは私当然のことではないかと思うのですが、どうですか。
#125
○政府委員(上村健太郎君) 法文上は、新聞、報道機関等は「関係者」に入らないと存じます。併しながら、仰せのように、秘密がどういうものであるかということにつきましては、十分一般の迷惑にならないような措置はとつて参りたいと思つております。併しながら、防衛秘密が何でおるかということを殊に標記もしにくいようなものについて、一般に公示をいたしましたり、特に官報で出しましたり、或いはこのものが秘密であるぞということを知せますことは、却つて秘密保持上逆な効果を来しまして、秘密保持の目的も達し得られないというような結果にもなると思いますので、標記ができない、或いは立入り禁止の措置ができないというようなものについては、一般に公示するということが困難であろうというふうに存じております。
#126
○亀田得治君 何も私新聞記者の場合、新聞社の個々の人に公示しなさい、こう言つておるわけではない。或いは通知をすべきだと言つておるのではない。その機関に対して、適当な機関があるわけですから、いろいろな協会とか、そういうものがあるわけですから、それに対して公示というよりも、むしろ通知でしよう、こういうことは秘密保護上必要な一つの措置だと私は考えるのですが、この「関係者」と書いてあるのは、一体この意味は何の関係者なんですか。
#127
○政府委員(上村健太郎君) 「関係者」と申しまするのは、防衛秘密を取扱う者が主となると思います。なおその他、防衛秘密を取扱わないでも、例えば秘密に接触をする可能性の特に深い者には通知する場合もありましようけれども、厳密に申しますと、その者は直接関係者のこの条文の中には入らんと思います。先ほど申上げました通り、秘密の性質上一般の新聞関係の報道機関そのものに通知をすることのできるものもあるかと存じまするが、秘密の性質上通知をいたしますれば、却つて保護上不適当であるというものもあるのではないかと存じておるのであります。
#128
○亀田得治君 まあ質疑の中で、随分、通知をすると、何か秘密が漏れて秘密保護法の精神に反するということがよく言われるのですが、これは私は一つのやはり思い過ぎだと思うのです。何も秘密が暴露するような通知なり公示を私ども求めておるわけじやない。間違つて犯すことのないようなそういう程度の公示なんです、或いは通知なんです。これは私幾らでもできると思う、そういうやり方の通知、公示ということは……。だからそういう意味でこれは解釈をしてもらいたいのです。一々は申上げませんが、私どもが言つているのはそういう意味です。そこで例えば第二条に基く政令によりますと、秘密物件がどこそこに積んである、そういう場合にそれに対して近寄らないようにというようなことも、この政令の中に書かれる場合もあり得るように要綱というものができておるわけです。この場合は明らかに特定の業者とかそういうことを対象にしておるのじやなしに、やはり一般人に対する注意、そういうものもその中に含まれておるわけなんです。してみれば、それと同じような考え方を以て眺めれば、一般人よりももつとこの問題について関心を持つておる報道機関、これがこの関係者の中に入つて来ないというのはおかしいじやないですか。だから私何遍も、一体関係者とぽつんとここに出て来ているのですが、普通は関係者というような言葉を使う場合には、上に何か固有名詞があつて、そうして何々並びにその関係者、こうなるのが普通なんですが、ここにぽつんと関係者と出て来ているものですから、よくわからない。新聞記者をも含める、又ものによつては一般の国民全部も含むような場合もあり得る。例えば物に近付いてはならないという掲示をする場合は明らかにそうでしよう。だからどうも納得行かんのです。新聞記者はそういう場合にも入れてはならんですか。あなたはさつき法文上は入らないとこう言うのですが、国民一般すら対象にされるような政令の内容を考えておりながら、新聞記者が入らんというのはおかしい。若しそういう意味ならこの言葉は書き変えてもらわないと誤解を生じます。報道機関の人は俺たちのほうはこれに入つておつて、適当にやつてもらえるというふうにお考えになつている方もありますよ、どうなんです。
#129
○政府委員(上村健太郎君) 関係者とぽつんと書いてございますのは、防衛秘密に関係する者という意味だろうと存じます。従いまして業務上当然扱う者は直接関係者でございます。なお強いて入れますれば、業務上この防衛秘密に接触することのある者というぐらいまでは入るかと存じまするが、一般国民或いは新聞報道機関そのものはこの関係者には含まないと存じます。尤も事実問題といたしましては、先ほども申上げましたようにこの法律に書いてございます「保護上必要な措置」の一つとしては通知をすることがあり得るということでございます。
#130
○亀田得治君 そうしたら「標記を附し、関係者に通知する等」、その等の中の一つの方法として新聞記者、報道機関にそういう適当な措置をとることも考えられる、この下のほうの文句で……、そういう意味ですか。
#131
○政府委員(上村健太郎君) 仰せの通りだと存じます。
#132
○亀田得治君 併しそれは非常に重要なことですからね。そういうことならこの法文の中に現わさなくとも、少くとも政令の、要綱の中には報道機関に対する政府の措置とかそういうことが入つて来ないといかない、その政令の要綱の中にすら入つておらんのですからね。これは質疑を通じて初めてその気になつたなら、それでも遅くはありませんが、これはやはりもつと慎重に一つ考えてもらいたい。
 それからもう一点、私どもよくこういう場合か報道機関の活動として想像されるのですが、これは一体有罪になるというお考えかどうか、それを聞きたい。それは記者の方が今までに公になつておるいろんな資料、こういうものをいろいろ集めて、それらをずつと集めて行くと、大体日本に例えば秘密になつておる原子砲なら原子砲でもよろしい、そういうものが何台くらいどうも来ておるようだ、こういう結論を出されたとする。でそれを新聞記者の方が発表される、とたまたまそれが政府が秘密にしておるいわゆる「品目及併し記者の活動自体は決して個々的にはそういう非合法なことではないのです。これはいろんな材料、矛盾するようなものもいろいろあるのたが、それらをずつとつなぎ合して行くと大体これくらいだ、こういう確信を持つてそれを発表されたような場合、而も勿論その際その記者の方はこの原子砲なら原子砲というものは秘密になつておるということを知つておるのです。知つておるのだが、個々的には一般の正当な文書とかそういうもので結論を出しておる、結論としてはきつちり合つておる。而もこれは秘密だから、場合によつてはこの秘密を暴露してやれという意思もあるかも知れない、そういう場合はこの法律に一体当るのか、当らんのか、どういうお考えですか。
#133
○説明員(桃沢全司君) 只今の御設例の場合、果してそういう推測が可能であるかどうか、ちよつと疑問のある御設例でございましたが、公になつているもの等を土台といたしまして推測で出したもの、これはこの防衛秘密には該当しないと解しております。
#134
○亀田得治君 でその際その発表する事項はこれは秘密事項だということを知つておつても差支えないですね。手段さえ私が今申上げたようなものであれぱ……。
#135
○説明員(桃沢全司君) 推測である限りそれは仰せの通りでございます。
#136
○亀田得治君 ただそういう場合、これは普通の事件の場合でもよくあることなんですが、新聞取材をされる記者があちこちいろいろ打診をして、そうして見当を付けて行く。で結果が大体合つた、で秘密の場合もある。ただ取締るほうが私その場合非常に問題だと思うのです。結果が合つていなければ問題にされんだろうと思うのですが、大体合つているということになると、報道機関の方が相当やはり追及されるのじやないか。そうすると実にそれは報道機関としては優秀な報道機関だと私は思うのです、いろいろな合法的な材料、それを大体資料にして推測でぴたつと当てて行くというのだから……。ところが秘密を守るほうの立場としては、これはけしからんですから、けしからんといいますか、感情的に……、従つてそれはそういういろいろ合法的な手段でこんなものが出るわけがないじやないかということでぎゆうぎゆう詰められて来る。こういう虞れは私多分にあると思うのですが、濫用という場合はそういうことが想像されるわけです。でその際に例えば不当な方法ということが、そういう合法的な手段でやつているのですから、なかなか立証されなくとも、「わが国の安全を害すべき用途」云々、こういう目的犯が別個に又用意されておりますから、そこへやはり持つて行かれるのじやないか。そんな秘密を知つておつて、そうして暴露すること自体はそれだけで、すでに第三条第一号の目的をお前は持つているに違いないんだ。こんなことでやられて来たら、先ほど私が設例いたしましたような場合に、これは普通よくあることなんです、ほかの事件の捜査の場合でも……。決して盗み出したのじやない、いろいろ打診してみてうまく結論を出す、それでもそういう虞れは十分あるのですが、取締るほうの立場は一体そういう場合にどうなんですか。
#137
○説明員(桃沢全司君) 只今仰せのような御心配の点については、私ども十分注意してさような御心配をかけることのないようにいたすつもりでおりますし、現在の警察官も大体さような考え方であると私は存じます。ただ御設例の場合で私思い出したのでありますが、先日羽仁委員の出されました尾崎秀実氏の事件を思い出したのであります。これも相当優秀な推理力を持つていた、合法或いは非合法でいろいろ材料を収集して、併しそれだけでは推定で、真実であるかどうかわからない。で一番最高のそういうことを知つている者に一言うんとかいやと返事を聞けば、それでその真実はつかめるというような聞き方を巧妙にして、最高の秘密が漏れたという例を私も聞いておるのであります。ですから只今亀田委員の御設例の場合にも、いろいろな文書その他でもつて情報を総合推定しても、それが推定にとどまる限りは問題はないのでありますが、その最後のところを保安庁のその秘密を持つている役人に打診して、それを確かめて、それで確信を得たというような場合には、或いは入つて来る場合もできて来ると存じます。
#138
○亀田得治君 それから木村長官は衆議院でこういうことをお答えになつているのですが、例えば記者が保安庁の上級の役人の方から秘密の話を聞いたとする。それを聞く場合に非常に穏やかな話し方でたんたんと話をしていた、そういつたような場合には、この「通常不当な方法によらなければ」ということの認識が持たれないと思うから、そういう意味で犯意を阻却することが多いという意味のことを言われておるのですが、これは取材活動をする人にとつては、そういう答弁は甚だ好都合なんですけれども、もう一つ私が法律的に明らかにしてもらいたいことは、その際に穏やかな話し方をしたから、聞いていた記者の方が通常不当な方法云々ということの認識をしなかつたかどうかのほかに、第三者がその話された内容自体を判断した場合に、客観的に見てこれは通常不当な方法によらなければ取れない性質のものであるかどうか。そういうことが先ず私問題になるのじやないかと思うのですが、単に第三者が見て客観的に通常不当な方法によらなければこれは取れないというふうに思われるようなものですと、そのときの話しぶりの如何にかかわらず、長官が答弁されたような結論に持つて行かれないで、やはりこの第三条の第二号を押し付けられて来るようなことになるのじやないかと私考えるのですが、如何でしようか。
#139
○国務大臣(木村篤太郎君) 第一私は衆議院でそういう答弁をした記憶はちよつとないのですが、仮にありといたしましよう。保安庁の最高度の秘密を保持すべき役目にある者が軽々しくさようなことを言うべきことは、実際問題としてあるべからざることであります。若しもあれば、その者がすでにこの秘密保護法の適用を受けるわけであります。で仮にそういう者がありといたしましても、聞くほうであれは保安庁の人が明らかにしている、大つぴらに言つておるのだから、もうこれは秘密性はないものだということになりますると、そこにもう犯意がないのでありますから、この法案の対象にならんことは言うを待たんと私は考えております。併し実際問題として保安庁のこういう最高度の秘密を預かる役人が軽軽しく言うというようなことは、私は絶対にないと思います。若しもありとするならば、それは何かの意図を以てそのものを漏らしたということで、逆にそのものが保護法案の対象になつて罰せられるべき筋合いのものとこう考えております。
#140
○亀田得治君 それは保安庁の役人の方はそういうことはあり得ないと言われますが、それはやはり法律でも過失によつて漏らすということもあるわけですから、ないとは言えないと思う。それから先ほど私申上げたのは、衆議院の外務委員会における増原次長の答弁です。木村長官の答弁じやありませんので、この点訂正しておきますが、桃沢説明員にこの点私もう少しはつきりお答え願つておきたいと思うのですが、今私が設例したような場合ですね、うつかり保安庁の方が記者の方にたんたんとしやべつた。その際に増原次長の答弁は先ほど私申上げたようになつておるのです。その通りにこれは犯意なきものとして取扱い願えればいいのですが、そうじやなしに、客観的に見て、たとえそれはすらすらとした平静な態度で聞いたものであつても、客観的に見て、通常不当な方法によらなければ、それは取れないようなものだ、こういうふうな判断をされる場合に、私やはり相当むずかしい問題がそこに出て来るのじやないか。嫌疑をかけられた記者の方は、先ほどの答弁を頼りにして、おれのほうは相手が静かにやつておつたから、又特別な注意もなかつたから全然そういうことは考えなかつた。そういうふうに主観的に言つても、客観的に第三者が見て当然これはこういう秘密なんだから、これは君相手がうつかりしやべつているということはわかるじやないか。これで来ますると、折角の答弁が何にもならないことになるのです。結局は客観的に見て、通常不当な方法によらなければ探知収集できないものであるということである場合には、責任を押し付けられて来る危険性を私多分に感ずるのです。そういう点に対する取扱い方をどうお考えになりますか。
#141
○説明員(桃沢全司君) 法律問題としては客観的に、「通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなもの」であることが必要でありますし、同時に又被疑者にそういう認識がなければならんわけであります。只今の御設例の場合にはたんたんとそういう話をされたという場合には、恐らくそういう認識を欠く場合が多いのではなかろうかと、かように考えます。で検察官の常識としては、そういうふうな事情がわかれば、これは強いて第三条違反として問議するという、そういうふうなことはないのではなかろうか、かように考えます。
#142
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#143
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
 次回は明十八日午前十時から開会することにいたし、本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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