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1947/04/30 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第20号
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1947/04/30 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第20号

#1
第002回国会 予算委員会 第20号
昭和二十三年四月三十日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年度一般会計暫定予算補
 正(第二号)(内閣送付)
○昭和二十三年度特別会計暫定予算補
 正(特第一号)(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十一時零分
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 開会いたします、前回に引き続き質疑を行います。木村禧八郎君。
#3
○木村禧八郎君 大藏大臣に対して御質問申上げたいのであります。最初、新聞にいろいろ傳わつております暫定予算の問題ですが、暫定予算はこの厖大藏大臣のお話によりますと、成るべく暫定予算は五日分は出さない方針であるというお話でした。それで我々は四月の暫定予算を一應承認したわけですが、五月もこの通り暫定予算は出て來る。又新聞の傳えるところが、これはまあどの程度確かか分かりませんが、六月も暫定予算が出るのではないかというような話です。この暫定予算、それから本予算はいつ出るのか。この点について一應大藏大臣の御所見を伺いたいのであります。
#4
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。政府に暫定予算を出すことを極力避けたいと存じまして、いろいろ予算編成等いたしつつあるのでありますが、五月も遂に暫定予算の御審議を願わなければならんことに相成りました。この点は誠に遺憾に思つておりますが、これは諸般の情勢、並びに折衝すべき方面の折衝等がございまして、結局ここに至りました次第でありまして、暫定予算ではどうも予算の全視野を見渡して政府の施策を織り込むことができませんし、そのこと自体は又國会に対してもいろいろ御審議の上に障碍になるということは十分承知いたしておりますけれども、誠に万止むを得なかつたというような事情でありまして、この点は御諒察を願いたい。かように考える次第であります。
 それからお尋ねの後段の点でございますが、六月は暫定予算にならないようにということで、只今予算の編成を急いでおります。ただ併しながらこれは物價全体に関すること、特に運賃等の値上げ問題等もございまして、このことに関する法的措置等々、いろいろ準備を今進めておるのでありますけれども、只今のところ今直ちに提出というわけに参りません。先般運営委員会等で申し上げました通り、どういたしましても中旬でないと、なんとかして中旬には出すようにいたしたい、こういうことで休み等を廃して今それぞれの方を進めておる次第でありますから、中旬にはぜひ本予算を出したい、かように考えておる次第であります。
#5
○木村禧八郎君 次に軍事公債の利拂停止の問題でありまするが、これにつきまして北村大藏大臣が関西の方へ旅行せられた折に、これは憲法違反の疑いがあるということを新聞記者に話されているようでありますが、実は大藏大臣も御承知の通り、これはまあ懇談会でいろいろ違憲が問題になつたのでありますが、懇談会の意見は外部に洩らさない、そういう固い約束で我々は議論したのでありますけれども、遺憾ながら大藏大臣からお話があつたのでありますが、その点もう過ぎたことですから仕方がないとしまして、公式に世間に利拂停止が憲法違反の疑いがあるという風に仰られるのは、余程の根拠がおありになるのじやないかと思いますが、その根拠について我々はここではつきり大藏大臣の御所見を伺いたいと思います。
#6
○國務大臣(北村徳太郎君) 利拂停止問題につきましては、これは懇談会を設けまして懇談会に御研究を願いまして、結果は二つの案が出まして、一本に纏まらずに出ましたのでありますが、これが閣議においてどう処理するか、只今そのことについて処理がまだ決まつておりません。恐らく近日閣議において二つの、利拂を行うべしというのと、行うべからずというのと二つのそれぞれの理由を細かくご研究になつたものを御提出頂いておりますから、これをどう処理するかということを早急に決めたいと思います。
 それから今のお話の憲法論でございますが、これは私の方から洩らしたというよりも、どこからどう漏れたのか存じませんが、関西旅行の際に、憲法違反説があると聞くが、それはどうかというような質問を受けました。これは若し第二封鎖預金を以つて、現在公債を大部分所有しておる金融機関の損害に代えて、第二封鎖を持つておる人の預金を切るということに、その損害において処理するということになれば、憲法上論議の余地があるという意見が出ておるということ話したのであります。その程度で話は済んだことであります。
#7
○木村禧八郎君 そういたしますと、まあ疑いがあるということでしたら、断定されたわけでありませんから、この点についてはあまりこれを追及するのもどうかと思います。ただそれに関連してお伺いいたしたいのは、そういたしますと、戰時補償打切りに伴う企業再建整備なり、金融機関の再建整備についても、憲法違反の疑いが生じて來るかと思いますが、その点は大藏大臣においてどういうふうにお考えになつておりますか。
#8
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今御指摘になりました憲法違反云々のことは、金融機関再建整備の場合に、金融機関の所有の金融債劵については、これを新勘定に処理して宜しいということで、殆ど処理が済んだのでありますけれども某方面から、それは所有者が金融機関であるという故を以つて、個人の場合と差別して扱うということは、憲法上意義があるという意見が出まして、それがために一應整備がほぼ完了した方面もありましたけれども、これを遡つて旧勘定で処理するということがありました。そういう事例がございましたので、これと大体先ず事例が同じ性質のものである。而して所有者によつて平等に待遇されない。公人たる金融機関が持つ場合には新勘定で処理し、個人の場合には旧勘定で処理するということはいけないという議論が、後に一つの問題の話題として、第二封鎖を以つて金融機関の所有しておる公債利拂の損害を、これを以つて填補するということは、恰も金融機関の場合すでに申しました金融機関再建整備の事例に共通したような問題である。從つて斯様な観点から言うと憲法上論議の余地がある。斯様に考えられたものと思うのであります。私も亦左様な意味で、論議されておるのは、多分そういう意味だろうというようなことを新聞記者に話したようなことがありますが、以上のような趣旨でありますから、左様御諒承を願いたいと思います。
#9
○木村禧八郎君 憲法論を若し挙げますと、非常にいろいろ出て來ると思います。例えばいま銀行が所有しておる國債については、所得税が免除されておるというようなことであるが、個人が持つておる場合には税が掛かつて、特殊な金融機関が持つておる場合には税が掛からないということは、そういうことは差別待遇で、こういう点もやはり問題になるのではないかと思います。この國債に対する所得税にはそういう差別的の性質を備えておりますが、この点は大藏大臣どういうふうにお考えになりますか。
#10
○國務大臣(北村徳太郎君) 憲法論は必ずしも私が持出したものではないのでありまして、ここで、そういうことについての憲法論議になりますと、憲法の専門でもございません。そのことについては私はどう申上げていいか分かりませんが、公債利拂停止の処置に関する限り、先程申しました通り、若しも一部からそういう御意見が出ておりましたように、銀行が持つておる第二封鎖預金を以て処理するということになれば、そういう前提において、そういうことになれば、これは憲法上論議の余地があるというような考えもございましたし、そういうように議論されたということを申しただけであります。この公債利拂停止打切りに関する限りは、このような意味に止まつておるのでございますから、そういう範囲において御論議を願つた方がいいのではないかと、こういうふうに考えております。
#11
○木村禧八郎君 この問題を細かく取り上げても、時間の無駄になりますし、大して重大な意義がないと思いますから、この点に関しては一應質問は打切りますが、ただ遺憾であつたことは、こういう非常にいろいろな疑義がある問題について、大藏大臣が軽率にそういうことをお洩らしになつたということについて、我々は非常に遺憾に存じておる次第であります。これは御承知の通り、外部に洩らさないということで、我々はあくまでも洩らさないという懇談会の祕密を守つて來たのであります。政府は何か政略的に、懇談会の結論を利拂停止反対の方向に持つて行こうというような意図、これを政略的に使つておるのではないかという氣がいたしましたので御質問したのであります。そういう点愼重に取扱つて頂きたい。そういうように希望するわけであります。
 それから第二にお伺いしたいのは、この二十三年度本予算とも重大な関係があるのですが、インフレに対する見透しであります。これについては、最近インフレの事態そのものは今進行しておらないようであります。本年一月以降通貨も余り膨脹しておりませんし、闇物價についても余り騰貴しておりません。とに角やや安定氣味の状態を呈しておることは、これは疑いないことであります。この状態が相当続くものであるか、前途それがこのまま安定し得る見込みがあるものか。これは二十三年度予算の編成にも重要な関係がありますので、そのお見通しについての御所見をお伺いいたしたいと思います。
#12
○國務大臣(北村徳太郎君) お話のように、只今のところ、通貨の面から見たところ、又同時にの面から物價の面から見たところでは、一應インフレの進行速度というものは非常に緩やかなものになり、或いは少し靜止した形であるというような観測ができるのでございますが、併しながら、これは現在の事情においてでございまして、物價改訂を必要とする……物價改訂等から來る賃金問題等も再考慮しなければならんことになるであろうと思いますし、又一面生産面において、これがどうも一方いわゆる健全財政、いわゆる健全金融の範囲においてインフレの促進を抑えておるという半面においては、生産の状態が、どうもその状態のままで動きが鈍い、生産指数が上がらないというような点もございます。これらの点をも考えまして、通貨を今の限度でずつと抑え得るかどうかというようなことも問題でございますし、一面生産を促進するということも、これ又現下の非常な大きな課題である。この矛盾の中に、どうこれを調和して行くかということが、恐らくは、二十三年度の予算における非常に重要な問題の一つと考えるのであります。それで只今財政の面において、物價の高騰をどこまで抑え得るかということと、或いは物價がどれだけ財政の負担を吸收することができるかというような重要な課題について、檢討を進めておりますので、二十三年度の予算を提案する際には、それらのことについての一應の見通しと、それからその結果としての具体的な数字を以てお答え申上げることができることと思うのでありますが、今は二十三年度予算のために、さような点を鋭意檢討いたしておりますので、この点は、具体的な問題については、暫くお待ちを願いたいと思う次第でございます。
#13
○木村禧八郎君 次にお伺いいたしたいことは、政府はインフレ対策の一つとして、購買力の吸收に非常に重点を置くということが、新聞紙上に傳えられております。そのために、輸出用の品物で輸出に適しないもの、不合格のようなもの、そういうものを沢山國内に放出して、購買力を吸收する。これがインフレ対策として、今政府の非常に重要な政策の一つのように傳えられておりますが、その内容につきまして、どの程度放出し得る物資があつて、それによつてどの程度の購買力が吸收し得るか、それによつてどの程度にインフレを抑制し得る効果があるか、その大体の見通しで宜しいのですが、お伺いしたいと思います。
#14
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。今のインフレの情勢、並びに賃金、物價等の悪循環等の関係から、第一に必要なことは、生活安定の問題であると考えております。從いまして生活安定の問題は、主として食生活において、今少し必要な栄養がマル公で正常ルートから大体取れてるというふうに考えまして、そのことのために、ドレーパー・ミッション等に懇請もいたしたのでありますが、その次に來たるものは、やはり我々の衣生活である。この衣生活も、随分長い間に亘つて相当苦労いたしまして、從つて、纎維製品等の闇價格というものが非常に高騰いたしておる、この面に放出が、割合に安い必要なものが放出されますというと、この面からもやはりインフレを抑えて、購買力吸收の効果をあげるであろうというので、相当関係方面に懇請しておるのでありますが、これはまだ、どの程度のものが放出を認められるか、こちらのほうがただそういう期待を以て懇請をしたというだけでございまして、殊にこれは或る意味において、御承知の通りに、自由にはならない一つの條件を持つておるものでございまして、その條件が改良せられて放出せられるには、べつな條件を必要とすることでございますし、又これは不價格品と申しましても、御承知の通り、ものが品質的に惡くて不價格ではなくて、ポンドの地域に出すものであつたのが、その方面の購買力が非常に弱いということで、差し控えらておつたものでございますが、最近その方が、三角関係の貿易といつたようなことで、多少荷動きが起こりかけておりまして、從つて我々の期待するように放出せられるかどうかというふうなことを、ここで具体的に申上げる所まで、まだその段階に入つておらんのでありますが、若し許されるならば、食においての如く、衣においても、若しそういうものの放出を通して購買力が吸收せられれば、今の段階においてインフレを阻止することの一つの役を果すであろうというようなことで、懇請をいたし、又そのことについては、懇請を続けたいと、かように考えておるのでございますけれども、これは先程申上げましたような事情で、非常に具体的に、どの程度のものが、いつ頃というふうなことになりますと、只今さように具体的にはなつておらんということを、御了承願いたいと思うのであります。
#15
○木村禧八郎君 そうしますと、これは新聞の報道ですから、あてになりませんが、新聞報道では、非常にインフレの抑制に役に立つように傳えられ、又政府のインフレ対策としての非常に重要な一環のように傳えられておりましたが、今のお話を伺いますと、まだはつきりしたなにも決まつていないようであります。それでどの程度にこれがインフレ抑制に役立つかということも、まだ未定のようであります。この問題については私も賛成なんでありますが、前から輸入して、輸出不價格品でなく、輸入してまだ放出していないものがある、化学藥品なんかについてはあるように聞いておりますが、そういうものも放出して購買力を吸收する必要があると思うのですが、まだ決まつていないものについて、あまりにそれがなにか選挙対策の選挙演説のスローガン見たいに、あまり大きな期待を國民に抱かせるような氣味があるので、もつと責任を以てこういう問題について対処していただきたいと思うのであります。
 次にお伺いしたいのは外資導入の問題ですが、これも恐らく御答弁はどうも抽象的ではないかと思うのですが、供しでき得る限り許される範囲で具体的にお伺いしたいと思うのですが、新聞の傳えるところではいろいろ傳えられておるのですが、大藏大臣として、外資導入がどの程度に今後の日本のインフレ抑止或いは生産増強に役立つというお見込みでありますか。これについてはいろいろな観側があるようでありまして、外資導入というものは一般に傳えられておるようなものではないようであります。又具体的にだんだん檢討して行くと、まあ一時はインフレを促進するものではないかというような見方もありますので、又あまり大きく外資導入によつてこの日本の経済が復興するような錯覚を抱く向きもあると思うのですが、この点について、どの程度に日本のインフレ抑止と生産増強に役立つものであるかというお見込みについてお伺いしてみたいと思うのです。
#16
○國務大臣(北村徳太郎君) 日本の経済の衰弱状態に外資が適度に導入せられることは、一應の輸血としての作用を以ちまして、健康回復への一つの道になるということは信じて疑いませんのであります。ただどの程度役立つかということは、どの程度物が入るかということと、その時期、種類等によるのでもありまして、これはまあ簡單にお答えを十把一からげに申上げることは非常に困難であると思いますが、勿論初めは政府対政府の関係において入つて來ると思うのですが、左様なことを通じて一應輸血的な効果が挙がつたところへ、民間導入が漸次必要なものが、必要なときに、必要な量受入れるということができ得るならば、それは又我々の受け入れ態勢の整備と共に効果を発揮するのであろうが、外資さえ入ればいいという簡單なあまり考えはもつておりませんし、これを入れて効果的に十分に運用できる國内の諸態勢を整備するということも極めて重要であります。その時期、量等が非常に大きな問題になると思うのでありますが、このことについて遺漏がないように、効果的に十分に活用いたすような態勢を早く整えたいというような考えを以つて、いろいろ諸般の準備等をいたしておる次第であります。
#17
○木村禧八郎君 止に政策協定の一つであります。國富調査税ですが、あれは二十三年度の本予算編成の場合、これを具体的にそれに採り上げられるものでしようか。
#18
○國務大臣(北村徳太郎君) 実は施策が少し遅れておりまして、あれも、委員を上げて研究して貰うというような方針で、三党協定のときに、さような了解を得ておつたのでありますが、その委員の選定等が遅れまして、漸らく本日閣議でこれを決定いたしましたような次第でございまして、これは軽減するべき税、新しい税目、その他全般に亘りまして、中央は勿論、地方の税制に至るまで、税の全視野に亘つて再檢討したいというような意味の委員会を設けることに相成りまして、その方で十分檢討をしたい、從いまして今日の見通しとしては、二十三年度予算に國富調査税を計上するということは少し困難じやないか、委員会の選定等が遅れた段は甚だ遺憾でございますが、從つて委員会において御研究を願つた結果を織込むというのは、恐らく少し困難じやないか、かように考えておる次第でございます。尤も政府自身において急いでやらなければならんと存じておりまする勤労所得税の軽減等は、これは委員会において無論再檢討を願いますけれども、先ず以て政府の考えます改正案を出して御審議を願うことにしたしたいと思うのでありますが、國富調査税等については、只今申上げましたように、各界の代表になる委員の十分な御檢討の結果に俟ちたい、かように考える次第でございます。
#19
○木村禧八郎君 最後に、今御研究中の物價改訂の方針、それが、今どのような方針で物價改訂問題が考慮されておりますか、その点についてお伺いしたいと思います。
#20
○國務大臣(北村徳太郎君) 御尤もな御質問でございまするが、これは先程申上げましたように、物價政策を財政の面において調節する可能性がどの程度まで財政力としてあるか、又は國民経済の負担において財政の負担を物價におんぶして貰つて、これをどの程度まで調節できるかということは、実は非常に重大であると考えておるのでありますが、さような点と、それから運賃等の値上げの程度の問題、独立採算制というものが一挙には行きませんので、どの程度までにそれを実現するかというような問題等がございまして、これは只今檢討をやつておるところなんであります。それで、もう長いことでもございませんで、中旬に出す本予算には必ずこのことについて具体的に御説明ができるであろう、かように存じます。只今この問題がいろいろ多少臆測等を通じて外に出まして、何が幾らに上がる、何が何倍になるというようなことから、最近物の出廻りが少し惡くなつておるというような情勢等もございまするので、このことに関しましては、先にもお話がございましたが、よほど愼重に扱わねばならん、かように存じておる次第であります。中旬には本予算を是非御審議を願うようにいたしたいと存じておりますので、その場合まで、今の具体的なることは暫くお待ちを願いたい、かように希望する次第であります。
#21
○木村禧八郎君 この物價改訂は、今度仮に物價改訂を行われますと、一應いろいろな物價も上がりますが、それでインフレが安定し、生産が増強するとも見受けられないのですが、ただ場当り的に現在の物價の凸凹を直したり、或いは赤字の企業をこれで救つたりするということであつては、当面の糊塗策であつて、その後の問題、その後においてどういうふうに日本の経済を復興して行くかという一つの計画というものがあつて、その計画に対應して物價改訂を考えて行く、そういうような考え方でおやりになつておるのか、ただ当面の企業の赤字を救つたり、價格間のアンバランスを直したり、そういうような意味でやつておられるのか、どちらの考えで今度の物價改訂をお考えになつておるのでありましようか、若しその次に打つべき計画的なひとつの政策があつて、それとの関連でお考えになつておるならば、どういうような計画的な政策を考えておられますか、そういう点も一つお伺いしたいのであります。
#22
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の轉換期の経済の実情から申しますると、物價政策なら物價政策にいたしましても、今日を以て三年五年の先を見透すということは困難であり且つ危險である、かように考えております。從いまして、現在の企業の赤字をどうして埋めるか、企業の赤字と家計の赤字とが関連するところを何処で切つて行くかというようなことを当面の問題として、一應物價の凸凹を修正するというようなことをやらねばならん。これは速急にやらねばならん。併しそれだけで能事情れりともいたしておりませんので、從つてそういう面において一應当面の急ぐ問題を処理いたしますと共に、日本経済復興五ヶ年計画というものを今回立てることにいたしまして、これは学会の方々、各政界の方々、その他農業或いは労働組合等の方々等も、相当廣い範囲において御参加を願いまして、これによつて大きく日本経済復興五ヶ年計画、長期の復興計画というものを立てることにいたしておるのでございます。從いまして強いて申しますれば、二本建である。足元の現下の物價の凸凹をどう修正するか、現下必要に差し迫つておる物價政策を一應どうするかということを基本的な政策とする、かような方向で進めようといたしておる次第でございます。
#23
○委員長(櫻内辰郎君) 大藏大臣に対する御質疑はほかにございませんか……。それでは総理大臣、西尾國務大臣のご出席になりますので、暫時休憩をいたします。
   午前十一時三十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十六分開会
#24
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。休憩前に引続き質疑を行ないます。中西功君。
#25
○中西功君 引揚問題について援護院総裁に質問いたします。一つは、これは援護院総裁というむしろ厚生省に伺うわけでありますが、我々に渡された資料の中で同胞引揚費というものがありまして、その内訳に、帰還輸送費その他ということになつておりますが、帰還輸送費は四月分と五月分は同じであります。併しその他という項目において相当大きな差があります。即ち五月が非常に少くなつておるわけでありますが、勿論実は引き上げは四月中は実際には行なわれなかつたのでありまして、そうして五月から開始されたのであるから、差があるのは当然だと思いますが、この点が分かつていましたら最初に御説明を願いたいと思うのであります。
#26
○政府委員(齋藤惣一君) 只今お尋ねになりました件でありますが、これは四月にはお言葉の通りまだ再開されておりませんが、十五万人を当てております。その費用は十分だと思います。
#27
○中西功君 そうすると帰還輸送費は、四月もこれで見ますと四千万円、それから五月も四千万円になつておりますが、四月分には事実上まあ準備はなされたと思いますが、実際に始まつていなかつたのですが、四月と五月と同じに計上されておるという理由はどうですか。
#28
○政府委員(齋藤惣一君) これは大体四月にお決めを頂きましたので十分なので、この費用は運輸省の方の費用になつておりますので、あちらの方で十分だと認められておるようでありますから、私共の方としてはその通りに考えるわけであります。
#29
○中西功君 その点は別にしまして、直接援護院総裁がやつていらつしやる事務についてお聽きするのでありますが、これは実は先般も申しましたが、私たちが独自で引揚港を調査いたしましたところによりますと、さつき十五万人分を用意しているといわれておりますけれども、実際において十五万人どころか四万そこそこの能力しかないというふうなことを知つたのであります。これは一つは、確かに船は或いは政府の言われるように、一應そういう準備に当てられておるかもしれませんが、乘組員が種々の理由によつて、即ち一つは待遇の非常に惡いということ、並びに最近におきましては戰争のデマが非常に飛びまして、それに対する保証というふうなものが十分でないという結果、乘組員が乗りたがらないで非常に少くなつておるという風な事情が一つあることを発見しております。更に又もつと大きし問題は、食糧、或いはその他の必要な物資の積込みにおきまして、例えばこういう話を聞いております。その場合、この食糧の積込み、引渡し、そうしたものは引揚援護院の調達部が行なつている。ところが、その調達部の役人がその食糧を引渡す場合に非常に官僚的であつて、なかなか快くは出さない、コミッションだとかそうしたものを非常に要求する、或いは種々の策を講じてその積込み食糧を横流ししておる。具体的な事実といたしましては、例えば二千人以上はまあ積込まないわけでありますが、併し船が大きくて尚スペースがあるという場合に、向こうでは引揚者が待つていて、引揚者たちが一日も早く帰りたいために、二千五百人くらいはとにかく船長が乗せてくる。その場合に船長は二千人以上の食糧は積んでいないのだから絶対に乘せられないというふうに断るんだが、断り切れないで乘せて来るという風な場合もあると聞いております。そうした場合五百人分については、もともと二千人分しか食糧をやつたということにして、そうしてその五百人分の物資、食糧、そうしたものを適当に処分しておるということも現にあつたと聞いております。こうなりますと、いくら船があろうが何しようが、或いは政府の上の方で準備をしておるということを言つても実際の現実においては引揚能力が非常になくなるということになると思うのであります。よく巷間傳えられるところによりますと、これと反対のことを言われております。日本側としては、例えば高砂丸の如き四千人も積まれる船を向けるときには四千人乘せたいというので交渉すると、ソ聯側がそれを聞かない。それでやむを得ずがらがらの船が帰て來ておるしますから、こういうふうなことはこれは巷間傳えられておりますが、実際は反対であつてこういうふうに食糧を非常に切り詰めて乘せないというふうなことや、或いは船長がどこからかよく知りませんが、とにかく二千人以上は絶対に乘せてはならん。スペースがあつても乘せてはならんというふうに嚴命されておる。そういうところから実際の問題として引揚が非常に澁滯しておる。これが十分でないという点があると思うのであります。それで、まあ私の第二の質問は、そういうふうな食糧の問題に関して、現に現地においてこの横流し事件があつて檢挙されておるということを聞いておりますが、そういう事実があるのかないのか。そうし又そういう事態に対して最近援護院長官が私は現地にいかれたということを聞いておりますが、その調査された事実は一体どうかということを聞きたいのであります。
 第三点はこれは檢疫の問題でありますが、檢疫ということによりまして船が三日、或いは四日、五日と相当長い間、船に乘つたまま日本の港についておりながら待つておるわけです。その帰還というものは非常に船の運航能力を殺いでおるわけでありますが、一体そういうふうな檢疫ということだけで三日も、五日も止めておく必要が一体あるのかどうか。これは一日で済むと思うのです。そういう点が非常に問題だといういことを我々は考えておる。第四番目は、これはもつと切実な問題であるますが、引揚げて來た人々は港に引揚げて來たときに旅費として三百円渡される。この三百円で檢疫中の小遣いも使うでしようし、港を出るときにはすでにもう一文無し。從つて函館に着いた人々は青森で洋服を賣るとかということによつて、それこそ本当に裸になつて來ておるという実情です。今の時代に三百円しか事実渡さないということは非常に馬鹿げておると思います。尚この点は今年においても政府はこれを実際に継続するつもりなのかどうか。これまで日本側が言います受け入れ態勢が事実において非常によくなつておるのかどうか、その点をお伺いいたしたい。もう一つの点は、その引揚者には從來物資の特配みたいなものがあります。ところがその物資の特配の場合に、必ず復員者は除くとこう書いてあります。即ち復員者は物資特配を受けられないのであります。これはいろいろの事情もあると思いますが、日本政府の独自の見解というふうに、その他いろいろ事情はあると思いますが、実際の問題として現地においてと言いますか、外地において商賣をしておる。そうして引揚げて來るという人と、復員して來る、戰争に行つて帰つて來るという人と、これは確かに非常に違うと思います。違うというのは反対に違う。即ち戰争に引出されて、狩出されて、そうして長年の間実に一月十五円で働かされて、何にもないという人が実は復員者である外地において商賣しておる人々はともかくも自分達が自発的にあそこへ行つたのでありまして、今日帰つて來るといたしましても、これは止むを得ざる事情で帰つておるわけであります。いわゆる決して強制的に外地に連れられて行つて帰つて來た人達とは違うのでありますから、むしろ復員者をこそ、我々は優遇しなければならん。ところがそれが逆になつておる。單なる引揚者だけが優遇されておるという、こういう状態にあると思いますが、政府としてこういう矛盾を今匡正する意思或いは用意があるかどうかということをお聞きしたい。その他まだありますが、一應その点をお聞きして、後は又後にしようと思います。
#30
○政府委員(齋藤惣一君) 中西さんは特別委員としても、絶えず今日までご注意を頂き、私共引揚業務に携わつておる者の非常に感謝しておるところであります。只今お尋ねの第一は受入態勢にかんすることであろうと存じます。これはお調べになりました数字と、私共の現在用意いたしておりまする数字と開きがございますが、すくなくとも凾館におきましては一日六千二百名を受入れることができ、月に三万人は十分に受入れることができ、月に三万人は十分に受入の用意がございます。又舞鶴におきましては一日一万一千人、一ヶ月六万人を受入れることができるのでありあす。佐世保におきましては、一日二万人、一ヶ月四万一千五百人、少なくも十三万一千五百人は一ヶ月に受入れる態勢を整えておるのでございます。
 第二の食糧の横流しがあるかというお話でございます。これは絶えず部下を督励いたしておりまして、そういうようなことのないようにいたしておるのでありますが、先刻のお話の二千名に対して二千五百名を連れて帰つた。そういうときに云々というようなお話がございましたが、これはよく調査をいたしましたのでありますが、その時は、参りますときに少し荒天で、時化まして、そうして食糧が余計かかる予定であつたのでありますが、しかし準備をいたしておりました食事は三万食用意いたしたのでありまして、それに船員の食糧というものが三十日分ぐらいあるのでありまして、帰られまする方々を二千人という定員で最初指令を受けて参りましたものを、やはり二千五百人連れて帰りました。この点につきましてはよく事実を調べましたところと、只今中西さんのお話との間に、少しくい違いがあるように存じます。横流しの事実につきましては、未だ私の耳にしておるところはございません。
 船員の質の低下、或いは船員の間にいろいろの問題がありますることにつきましては、かねて心配をいたしておつたところでありますが、これも船舶運営会その他の方の御盡力で漸次改良されて参つておるのであります。只今お話のありました戰争による噂のためにいろいろの手が少なくなるというようなことは、まだ耳にいたしておりませんが、これらのことにつきましては十分に注意をいたしたいと存ずる次第であります。
 第三の点の、檢閲のために長びかせるということがございますが、これは嚴重なる現地軍の命によりまして、その上陸をさせますことの指令に基づいていたすので、お話の五、六日留めるというようなことは、特別な惡い病氣などでも起こりました以外は、そういうことはございません。私の先般参りました際の舞鶴における場合の如きも、着きましたその日に上陸をさせたというような例もございます。また凾館におきましても、これは特にやかましく、長く船の中に置いてはいかんというようなことを言われておるのでありまして、お話の如く祖國につきまして、いつまでも船の中に留めて置くというようなことは、これはございません。ただ一昨年の春、コレラのありました時分に、これは國際取決めでは、僅か一週間で上陸を許されるのでありますが、現地の係官の又その当時の方針といたしまして、最後の患者の発生をいたしました時から二週間を経なければ上陸を許さないという嚴命がありまして、これは帰られました方には非常にお氣の毒でありましたが、併しまたコレラを陸上に上げないという点で成功いたしましたのであります。
 その次に引揚者に対して三百円しか帰郷雜費を與えておらなかつた。それは今日の費用のかかる時に不足だということは御尤もでありまして、政府におきましては先般のこれを改正いたしまして、四百五十円まで一人に対して支拂うことになつております。二人の場合は七百円、三人の場合は九百円、四人の場合は千二百円、五人の場合は千五百円、これはもう既にこのことを用意して実施することに相成つております。これは勿論予算を取らなければならん、いろいろな手続もございましようからして、そういう処置を取ることにいたしておるのであります。
 尚物資の特配のことでございますが、これはお言葉によりまして、復員者に対する厚い御同情のことは誠にあり難いことでありまして、これは復員局関係の人が実はお答えすべきだろうと思うのでありますが、引揚者の方は世帯を向こうに持つて、そうしてこちらに帰つて参るのでありますから、特配と申しましても特に台所用具であります鍋釜類、そういうものを特配するのであります。で、復員者の方に関しましても、これは留守宅手当というものを支給することに相成りましたので、前よりは余程変わつて参りました。中西さんの御心配の如く、引揚者、復員者ともに適当ことをして差上げなくちやならんということは、当局においても常に考えておる次第であります。
#31
○中西功君 それで、引揚げて來ました時に支給される金三百円が四百五十円になつたという話でありますが、実際問題として、三百円も四百五十円も今のところ本当に言いまして大した違いはなかろうと思う。是非これは少なくとも千円くらいにして貰わなければいけないし、しかも今後ソ連から帰つて來ます者は、家族を持つて帰つて來るというよりも、殆ど單身で帰つて來る人が大部分だと思うのであります。まあそれが多いと思うのであります。そういう点を考えましても、実際自分の村まで行き着くまでに本当になくなつてしまうということは確実なのでありますから、私たちとしては少くとも千円を上げたい、こう思います。ただ、そういういろいろの事情がありまして、政府として大いに努力して頂きたいとは思うのではありますが、もう一つ実は今これは本当は引揚援護員の方だけの問題じやないと思うのでありますが、引揚事務が非常に輻湊しておる、そうして実際に人員が足りないというふうなこと、或いは又先刻私が申上げました積込み食糧や物資の問題、そういう点に関しまして引揚関係の從業員の組合、これは私は正確な名前をまだ知つていないのであります、或いは引揚援護段の職員組合かとも思いますが、そういうところから促進するために、こういう改革をしろということについて要求書が出されておると聞いております。それは主として繁忙に堪えるために、人員を増化せよとか、或いは食糧をもつと公式に取扱えというふうなことだと思いますが、ところがその要求が完全に政府によつて素氣なく蹴られておる、拒否されておるということを聞いておるのでありますが、そういうことがあるのかどうか、又拒否した政府としては、一体どういう見解で拒否しておるか、お聞きしたいと思うのであります。
#32
○政府委員(齋藤惣一君) 只今のお尋ねの、組合から何か要求があつたということは私まだ聞いておりません。從つて拒否したこともございません。
#33
○中西功君 或いは現地のかも知れません。
#34
○政府委員(齋藤惣一君) 私の方にはまだございません。
#35
○中西功君 それでは、これで……では大藏大臣に一つ、一つの点はこの歳入の部面でありますが、私これを比率を出した詳しいメモを持つて來れなかつたので、そのはつきりしたことは申せませんが、ここで分かりますことは、所得税と、それから法人税との比率であります。確か、この前の場合には所得税が大体六百数十億に対して法人税が六十億、こういう比率だつたと思うのです。即ち一〇%であつたと思うんです。ところがこの度は百二十億に対して大体六億、即ち約五%、いわば税の比率よりも法人税が半分だけ軽くなつておるという点があると思います。これは実は実例は外にももつと沢山ありまして、この前の二十二年度の予算よりもその比率が相当変わつておる点であるのでありますが、こういうことはよく言われておりますように法人税を軽減するということがよく言われておりますが、事実上こういう比率の中ではつきり分かりますように、大変な軽減なんであります。そういたしますと、既に政府としては法人税軽減に関する法律案を出すというような手間を省いて、むしろ実質的にこの暫定予算の中に繰入れておるということも言えると思うのでありますが、どういうわけで、こういうふうな昔と今の間の比率が違うのか。説明を願いたいと思います。
#36
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今御指摘になりました所得税と法人税との関係でありまするが、これは多分只今御指摘になつたような割合になつているとおもうのであります。併しながらこれは勤労所得税は数回の賃金ベース等の変更によりまして、これは自然に増收になつておる、それから法人税は法人による企業活動というものが御承知の通り殆ど赤字である。賃金の支拂いにも金融に困るというような状態が多いのでありまして、結果としての比率が減つておるということは、如何に法人組織による企業活動が今惨めな状態にあるかということを現わしておるのでありまして、中西君の御見解とは違つたものであるということを私共認めておるのであります。
#37
○中西功君 実際に法人が赤字であるか、赤字でないかということは、まあこれは本当は政府自身が極く詳細な資料を以て示して貰いたいと私は思うのでありますが、我々勤労所得者の、或いは又事業所得者の小額の所得者の赤字というものも極めて甚だしいと思うのです。ですからこそ今年起りましたような税金の是正運動が非常な大規模なものとして起つて來るのだと思うのです。併しまあ、これはここでいいましても水掛論になりそうでありますから、それで止しまして、次に私はお聞きしたいのは、價格差盆金の問題であります。今國内向けの綿布が実際非常に滯貨しているということは、これは先だつて來、新聞においても非常に大きく取り上げられたところだと思うのであります。この國内向け綿布や綿糸布、いわゆる纎維品でありますが、それが滯貨しておるという一つの大きな原因は、物價改訂を見越してそして業者が賣りたがらないということ、或いは又配給関係のそうしたところが配給を滯らしておる。こういうふうな関係があるということも、当時一般新聞によつて可なり廣汎な、單に綿糸布類だけではなくて、可なり廣汎に手持ちを心掛けておる。これは例えばその他の産業でもあります。今日賃金値上運動が廣汎に起つておりますので、そういうときに会社は賃金が拂えないということを言うのですが、これは実際調べてみると、沢山いわゆる自分の作つた商品を賣らずして溜めているのです。だから金融に非常に差障りが來ている。從つて又賃金が今直ぐ拂えないというようなことになつておると思うのです。これは今非常に廣汎な現象だと思います。金融逼迫の一つの原因もそこにあるだろうと私は思うのでありますが、こういうことは、結局物價改訂があれば手持ちを持つておればうんと儲かるということから來るわけです。ところが実際價格差盆金というのは、そういう物價改訂があつたときにも、その利盆は一應政府に取上げるという意味で差盆金制度があると思うのです。併し綿布の場合、はつきり言われましたことは、綿布においては少なくとも三分の一は確か業者にやるというふうなことで、價格差盆金全部を取らない。実際にこれは、價格差盆金の問題は大藏大臣の直接の管轄でないかも知れませんが、價格差盆金の取扱い方が從來まで非常に曖昧だつたということもある。そういうことが現実にこの綿布問題みたようなことが起つて來る。或いは廣汎な今のような非常に沢山手持しようとする運動、活動が起つて來る。これが今非常に経済全体を可なり苦しくしていると思います。で、問した價格差盆金を今後嚴重に取るようにするのか、或るいあしないのか。特に綿布の問題では一番例外が設けられたように思うのでありますが、そういう点を匡正するのか、しかないのか、ちよつとお聞きしたいと思います。
#38
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。只今の綿糸布の問題でありますが、これは海外向けのものの滯貨があるということは事実でありまして、從つてできればこれを國内に消化したい。購買力の吸收にもなるし、又現在我々の食生活に次いで、衣生活が非常に窮迫しているから、これを放出することにいたしたいということで、関係方面に懇請しておることは事実であります。これが滯貨としておるところの原因は、御承知の通り主としてパウンド地域に向ける筈のものであつたが、その方面の購買力が非常に小さくなつていることと、ドルへの交換が困難になつていることと、ドルへの交換が困難になつておるのでありまして、さような事実によつて滯貨している。これを國内に振り向けてはどうかということがかんがえられましたがために懇請しておるのでありますが、未だこれは諒解をえておらないのであります。その後、聊か貿易交換ができるような方面もできて参りましたし、又購買力関係等で輸出が困難と思われておつた方面からオォファーが來るということで、多少事情が変わりつつあるということでありまして、この点については、只今お話になりました点が多少喰違つておるのではないかと、かように考えます。それから國内に非常に退藏があるために金詰りになつておるというお話でありましたが、現在金融が梗塞しておるということは御指摘の通りでありますけれども、これは必ずしもそうした綿糸布が滯貨しておるということが原因ではない。これは諸多の原因があることは勿論でありまして、それだけではないと思います。殊に臨時物資調整よりまして、國内にある限りのストツクは必ず強権を以て報告を求めておりまして、これによつて嚴重にいかなるものが何処にあるこというふうなことを只今届出を求めて調査しておるような次第であります。從つて御説の如くは、非常に豊富の物が何処かに横わつておるおいうということはなくなると思います。そういう物をなくするために努力を続けておる。この点は御諒承を願いたいと思います。それから價格差盆金の問題については、政府は出鱈目なことをやつておるのではない。一定の基準に從つて処理いたしておりまして、過去、現在は勿論、將來と雖もこの点につては、只今御指摘がありましたが、一層適切な方法によつてやりたいと、かように考えております。
#39
○中西功君 大藏大臣の答弁は、少し私の言つたことと離れておると思います。私は貿易用として滯貨しておる綿糸布、纎維類を國内に廻わすというふうなことを決して問題にしておるのではなくて、むしろ私はそういう問題について、総理大臣が何か選挙用みたような宣傳をされたことに対しては、この間ここで自由党の人から質問がありましたように、何かおかしいと考えておる一人なんです。これはそういうふうな國外向けの物を國内に廻すということも、それは惡いというわけではありませんが、そういうことよりも、むしろ國内向けとしてある物、或いは配給機構に現実に乘つておるというふうな物がかなりの量が実際待機しておる。そうして一般消費者に届けられていないということは、これは先だつて新聞にもはつきり沢山事実を以つて発表されておることであります。そういうふうなことが、一体何故起つておるか、決してこれは貿易用の綿糸布の問題ではなくして、國内向として政府が予定した來たもである、從來予定して來たものが、実際滯留して來ておることである。それが將來の物價改訂を見込んでのいわゆる思惑から來ておる。而もこれは綿糸布だけではなくして、一般の物資においても、製品においても、そういう傾向が非常に顯著にある。そのことと價格差盆金との関係がやはりある。若し、物價改訂にとつて、正確に價格差盆金を取るといことであれば、大いにそういう思惑も無意味になるんです。そういう又賣惜しみをするということもなくなると思うのです。ですから、そういう点で、この。賣惜しみをするということもなくなると思うのです。ですから、そういう点で、この賣惜しみのないように、又そのことによつて、多少とも日本の経済が梗塞するというようなことがないように、價格差盆金を嚴重に取る。或いは現に綿糸布については、やつているというやり方、少なくとも業者の三分の一はやつたというようなやり方で、嚴格に取るということは、そういう思惑をなくするゆえんだと考えるのであります。それで質問したわけであります。
#40
○委員長(櫻内辰郎君) 中西君。今の御質問ですがね、大藏大臣より商工大臣の方が如何ですかね。
#41
○中西功君 そうですね。じや、そうします。それから別なのをもう一つ、それは今度の官公廳労組の新賃金ベースの問題であります。で、四月分と同様に五月分の暫定予算も一應二千九百二十円というものが、人件費の單價になつております。ところが、この官公廳職員組合と政府との妥結した條件を見てみますと、大体官公廳側の了解としては、二千九百二十円は、一月から四月までの賃金水準として受取つている。五月分については、これは改めて給與委員会というものによつて交渉をする、そして決めるという、こういう見解をとつておるように、まあ見えるのでありますが、大藏大臣自身として、この先だつての妥結條件は一体どう考えておられるのか。それを聞きたいとおもいます。
#42
○國務大臣(北村徳太郎君) 私は、これは必ずしも、只今中西君のおつしやつたような意味には理解をいたしておりません。二千九百二十円は、何処まで続くかということは、はつきりいたしておりませんけれども、四月までと決めて、五月からは当然変えるものであるというような考え方をいたしておりません。非常に完成した給與に関する委員会を設けて、更に檢討すべきものだと考えております。さような意味で、多少理解が違つておると私は思います。
#43
○中西功君 組合側は一月から四月までの分については、二千九百二十円とし了承する。併し五月からの新給與については、もう一度交渉をするという、こういうように考えているわけなんであります。その解決條項も、やはり了解事項をも含めて考えて、そういうことになつておると思います。政府及び組合は、新給與に関して審議するため、新給與整備委員会の審議終了後、速かに委員会を設けて協議を開始する。こういうことになつておるわけであります。從つて、政府の建前としては、五月分も即ちもう既定の確実な水準として、二千九百二十円を出されているか。或いは今後組合側との交渉如何や、或いは又情勢の変化如何につては、改めてこれとは別な、五月分についても、別なものが出る可能性があるかも知れないと、まあそういう……それは二通りあると思います。全然もうそういう余地がないというのと、或いは別の水準に切換える可能性もなきにしもあらずという点では、随分違うと思います。一体それを、政府の御方針としてはどちらか。そういう点聞いておきたいと思います。
#44
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今御答弁申上げました通りで、あれは、四月までのものであつて、五月になれば、必ず変えるというような理解は、いたしておりませんのであります、ただ併しながら、これは、賃金は、一面重要な個人の経済活動に、非常に大きな関係を持つものでありますから、我々といたしましては、全体の國民経済を眺めまして、できれば、二千九百二十円でも、これに対して実質性を與える、即ち実質賃金的な裏付けになるような生活必需品等について、できるだけの工夫を凝らして、この実質的な、名目以外の実質的の賃金の裏付けという点に努力をしなければならないということは考えておりますし、又そういうような考え方で、先にお話がちよつと出まして、幾らか違つておる点があつたようであるますけれども、我々の衣生活に対する一つの方法とか、或いは食糧等の問題も、さような観点から考えるというようなことで、努力は続けておる次第であります。ただ、そのことに関する理解としては、私が前に御答弁申上げた通りでありまして、さように御了承願いたいと思います。
#45
○中西功君 それじや次に物價改訂の問題について、これは全般としては、政府としては、まだ発表の域に達してないという見解のようでありますから、なにも全般を具体的にこうというわけではありませんが、ただ一つの点は、そのプリンシプルであります。片山内閣がやりました物價体系の基礎には、三つのプリンシプルがあると思います。即ち労賃は、平均賃金で行う。それから農民の農産物、特に米價は、パリテイ計算で行う。更に普通の重要基礎、商品、これは資本家が提出した原價計算で行う。こういう三つが、片山内閣が行いなました物價体系のプリンシプルであつたと思います。それで、今後の場合、政府は、やはりそういうようなプリンシプルを踏襲するのかどうか。特に労賃の問題で言いますれば、やはり片山内閣がやつたと同じような平均賃金というものを大体一應決定するのかどうか。それからその場合、片山内閣の場合におきましては、官廳職員の賃金というものとは、一致したものかどうか。同じ水準であるかどうかという点であります。
 尚詳しい事を聞きたいのでありますが、一應この二点を聞きたいと思います。
#46
○國務大臣(北村徳太郎君) 賃金の將來どういうような方向で決定するかということは、物價問題と不可分の関係がございますで、從つて物價問題をどういう方向で決定するかという、そういう物價政策の問題が、一つの重要な賃金を決定する資料になるということは、言うまでもないのであります。その物價政策につきまして、只今、現在のような日本の置かれている、極めて窮乏した財政の中で、財政の負担によつて、物價政策をどの程度に立てるかということと、物價自身に、この企業に赤字をおんぶさして、そうして財政の負担を軽くするという点、即ち財政負担を物價に吸收させるか、それをどの程度にするか。或いは物價の軽減を財政負担においてどの程度担うかというような、極めて重要な問題が、これは財政の全分野に亘つて、又國民生活の全面に亘つて考究しなければならぬ点でございます。從つて只今二十三年度本予算の編成に当りまして、最もこれを重要の問題としてとり上げて檢訂いたしております。これを只今ここで申上げることは、ちよつと御猶予願いたいと思うのでありますが、政府といたしましては、本予算を來月中旬頃にはぜひ提出の運びにいたしたいと折角努力をいたしておるのでありまして、これに関連いたしまして、この本予算提出の場合に具体的に予算について詳しく御了解を願うことにしたい。こういうふうに考えている次第であります。
#47
○中西功君 私が申しましたのは、具体的な物價をどこでどうするかというふうなことよりも、物價政策を行つて行く基本的な観点といいますが、これが問題で、このやり方いかんによつては、片山内閣が実際に非常によく我我に示してくれましたように、幾ら立派な体系を作りましても、そういう体系は無意味であるということになると思うのです。で、政府として本当に物價を安定させよう。適正な物價の均衡関係を作ろうというふうに考えるならば、この基本問題については非常にはつきりしていなければならぬ、こう思うのです。而もこういう問題は、たとえ外部に知れたにしても、そのことによつて思惑が起るとか何とかいうことではないと思うのです。たとえば物價を、若しこの度は百十倍にするというようなことになれば、これは勿論沢山な思惑が違つてくると思うのですが、併し、若し平均賃金でするのかしないのか、あるいはパリテイ計算をとるのかとらないのかというふうなことは、これは原則であつて、直接それが今発表されたから惡いとか、いいとかいうことはないと思うのです。併しともかくも私がここで申しておきたいことは、いくら体系を整えられましても、又表面的には、恰好としては体系はとられたようにできましても、その物價の均衡関係を作り上げようとする根本的な観点が逆になつておつたならば、結局これは單にインフレを促進するというふうにしか役立たない。決して安定しない。させ得ないと思うのです。で、我々としては片山内閣がとつたようなああいう原則ではなくて、労働者の生活、労働者の賃金を平均賃金で抑えるというようなことではなくて、労働者の実際の生活実情を十分汲んだ、いわゆる最低賃金制にするとか、或いは農民の米價はこれを本当に生産費を計算して、パリテイでなくして生産費中心にやつて行く、或いは又大きな商品の生産費に対しては嚴格な査定を行つて、單に資本家が要求するとか、或いは六十倍であるとか、百十倍であるとか、そういうふうな一般法則に囚われず、十分実情を嚴重にとり調べた上で、物價を決めるというふうな態度でなければ、本当の均衡の関係は出てこないと思うのです。或いはこういう点では水掛論になるかとも思いますが、私達はそうしなければだめだという点でここで申しておきたいと思うのです。
 もう一つ、これはここで公表されてもいいが思いますことは、若し片山内閣式に物價が決められるといたしまして、官廳職員の、即ち現在問題になつている二千九百円の問題でありますが、そういいう官廳職員の給與水準というのは、やはり一般物價の基礎になる平均賃金に束縛されるのか、されないのか、この点は片山内閣としても、最初は我々が千八百円ベースを問題にいたしましてときには、たとえ財政上の余裕があつたとしても、千八百円というのは一應現在の物價体系の基準になつているのだから、物價体系を変えない限り千八百円は壊せないというような見解を、当初政府は持つておつたと思うのです。ところが十一月頃になりますとその見解が変わりまして、政府職員の賃金給與水準というものとそれから一般の物價の基礎としての平均賃金というものは、必ずしも一体でなくてもよいのだ。それはある程度相違があつても、必ずしも物價体系を壞したということにならないのだというふうに見解が変つたのであります。そういう点で、今の大藏大臣、或いは政府の人人が、そういう問題についてどういう考えを持つおるのかという点を、私ここで聞いても差支えないのじやないかと思うのです。
#48
○國務大臣(北村徳太郎君) 中西君のいろいろ豊富な御意見を拝聽いたしましたが、これは御意見として予算編成その他財政の上に繰入れたいと思います。賃金の問題でありますが、これは物價と生産の関係が関連いたしますので、生産條件がどうなるか、縮小再生産が拡大再生産になるということによつて賃金は裏付けを受けるということにもなるのでありますので、賃金の問題だけを抽出してここで特に論議するということは、予算の全面に関係することでございますから、先に申し上げました通り、政府の賃金に対する政策、物價政策と財政政策かどうか一致するかというようなことは本予算について詳しく申し上げたいと思いますから、前に申し上げましたように、それまでお待ちを願いたいと思います。
#49
○委員長(櫻内辰郎君) 中西君、総理大臣が見えました。
#50
○中西功君 それでは総理大臣に質問いたします。それは非常に漠然とした関係でありますが、今外資導入という問題が非常に沢山語られております。何事でもこの頃は流行語のように外資導入に結びつけられておりまして、賃金の問題でもそうでありますが、或いは企業の問題にしましても、何か特別に変つたことは、別の要求は、外資導入に都合が惡いからいかんというようなわけで、最早外資導入は一つの護符のようになつておるわけでありますが、一体政府として今後外資導入をされて行くということでありました場合に、日本として受入れる基準といいますか、それを私は少し明瞭にして貰つて置きたいと思うのです。例えば外資導入の中にもいろいろこれは種類がある。又緩急の別もあり、惡いものもあるとと思うのです。外資だから総てよいということは勿論言えないわけです。今後この問題に関しては実際に現実に当りました場合には非常に沢山の問題が起つて來ると思うのです。例えばストライク報告の中には、日本に対して五年後には千二百万トンの食糧を入れると書いてあります。五年後の問題でありますが、千二百万トンの食糧といえば、これを石に直しますと七千二百万石の食糧が外國から日本に入つて來るといたしますれば、日本の農民は要らない。日本の農業は要らないのであるます。或いは日本の農業をなくさなければこの輸入はできないことになります。私は恐らくこういう事実を日本の百姓諸君が聞いたらびつくりすると思います。これは一例であります。その他こういう問題は沢山あるはずです。一つは今度案本で計画されておる、すでに実行に移行されておると思いますが、カナダから石炭を持つて來、海南島から鉄鉱石を持つて來て、それを更に薄板鋼板に直して上海市場で賣る、こういうようなことも恐らく一般的な言葉で言えば外資導入の中に入つておると思う。ところがこの操作を通じて、これは詳しい数字は申しませんが、政府は少なくとも六十億の政府補助をしなければいけない。即ちこの六十億は薄板の二十五万トンの商賣を商賣人がする。これは日本を素通りしています。そうして実際にこの鉄板が一枚だつて我々國民の経済建設に役立たない。これはカナダと海南島を通つて日本の領土を通過して中國にいくだけであるます。そういうふうなこの仕事のために政府は六十億の補償をしなければならんような勘定になる。更にそれだけに止まらなくて、この事業に從事したところの労働者の食費、或いは生活費、これはすべて日本の食糧を食い、日本の家に住み、更に日本の消費物資を使つてこの事業をやつておる。これだけは日本の國民経済再建という見地からすれば明らかにマイナスであります、外に行つてしまうのであります。そういう事実が実際あると思うのでありますが、これなんかもよう考えてみれば、非常に日本から見れば、まずい商賣だということになると思うのであります。詳しい点はもつとありますが、そういうふうにいろいろこの中には我々として考えなければならんものが沢山ある。そういたしますれば農業がなくなつてしまうというようなこともあるわけでありますから、ここで首相は一体どんな基準でこの外資を導入するつもりなのかどうかという点をはつきりしておいて貰いたい。
 それから更にもつと直接的な点は、現在民間の外資導入ということが盛んにいわれておりまして、各社との間に協定が成立しつつあるのかのような情報が頻々ととんでおります。東急は百何十万ドルで買取れるというようなことやいろいろ出ております。私はこれらは事実かどうか知らないのであります。併しそれと関連いたしまして、日本の事業会社に外國の資本が入つて來るという場合、日本の政府或いは日本側の資本家の見解では、外國の資本家が五十一%入つても構わない、こういう見解が流布されております。政府としてそういうことを一体考えておるのかどうかということも、ここで明確に答弁しておいて貰いたい、先ずその二点を私は聞きたいと思います。
#51
○國務大臣(芦田均君) 只今中西君から外資導入について政府はどういう基準を持つておるかということが最初のお尋ねであつたように拜聽いたしました。言葉を換えて申せば、政府は一日も早く我が國民生活を安定するに役立つような物資を輸入することを希望する。更に進んでは日本経済再建のために効果的であるような資本なり物資の輸入を希望しておる。先ずこの二つが項目であつたと思います。が、中西君も今お話になつたように、今日世上で言われておる外資導入という言葉の中には、形においては千差万別であります。その形態も非常に多岐でありますから、一々の場合について政府がどういうものを選ぶかというふうなことを、詳細に申述べることは、非常に困難なことであると思います。併しながら中西君も御承知のように、明治以來の我が國の輸出入のバランスを何とか辻褄の合うように保つて來たことは、やはりかような方式による以外に海外貿易の発展を図る途はないのではなかろうかと、かんがえておるようなわけです。
 後段において五十一%の資本の参加を許すかどうかというふうなお話がありました。これも將來起つて來る事態に應じて考えなければならんことでありまして、仮に仮定を申してよろしいと思いますが、我が國の一部に自由港を設けて、そこに外國貿易の促進のために、輸出入を絶対に自由にするというごとき構想が若し実現されるとするならば、その地域内においては無論今までの行き方とは異なつた構想の産業をも考えなければならんということになるのでありますから、今後次第に貿易が自由になり、又延いて我が國が國際市場において爲替資金、その他のためにブレトン・ウッヅ協定にも参加でき、爲替のレートも決るという事態を今後に期待しつつ、現在のところは極めて過渡的な貿易をやつておるのであるます。又外國内資についても同様でありまして、無論現在と雖も政府がこれらの外資の導入について必ず参画すべき或程度の権限を持つておるのであるますから、我が國の將來にために好ましからざるものは、これを許さないということは今日からすでに明瞭でありまして、その点については誤解のないように御了承願います。
#52
○中西功君 次の点は食糧問題であります。食糧問題や或いは綿糸布の問題や、又その他の点も、首相が各地で演説されたことについて、先日自由党の人からいろいろ質問がありましたわけでありますが、私も実は日本にそういうふうな事態が実現されることがいい惡いということでなくて、むしろ私はそういうふう食糧が二号八勺に増配され、或いは輸出向けのものが國内で使えることになることは、非常に結構だと思うのでありますが、ただ私がお聞きしたいと思うのは、その前に政府自身としてもつと解決して貰わなければならん重要な問題があると思うのであります。と申しますのは、食糧問題で申しましたならば、現在砂糖が十日分近くも來まして非常に困つております。そうしてそのために又米の闇値が非常に上つておる、で十日分砂糖が來ますれば我々は大なり小なり闇に依存せざるを得なくなるので、そういうところから、御存じのように砂糖の値段は非常に下りはいたしましたが、反対に小麦、米の値段は非常に上つて我々は非常に上つて我々は非常に困つておる。ここでそういう現実に我々に大きな問題があるのであります。だから將來二号八勺にするとかしないとかいうよりも、私は首相がこの砂糖を十日分をよこすと言つておりますが、それじやなくして、これは主食から減らさないとか、主食から取り除かないとか、そういうような点の処置を是非打つて貰わなければ、我々は実際の問題として非常に困つておるという條態なんであります。そういう緊急の問題をやつて、大いに政府の所信を明らかにして貰うことが必要だと思うのであります。これは錦糸布の問題も、先に私が申しましたから繰返しませんが、輸出用のものを國内に向けるいうよりも、現に政府自身として國内用としておるものを國内として相当多量のもの、或る程度のものを用意いておるものさえも、最近まで殆んど十分渡つていないという事情があつたのであります。最近はこの綿糸布は確かにそういうことが批判されました結果、少し以前よりも出廻つております。併し実際に國内産、國内向のものでさえも、十分に我々に行き渡るようにして貰うということの方が、遙かに緊急なことだと思うのであります。私は一つ砂糖の問題についておる実情をどうされる積りなのかという点を、是非お聽きしておきたいとおもうのであります。
#53
○國務大臣(芦田均君) 砂糖を國内に相当分量配給するに至つた経過は、恐らく中西君の御承知だと思いますが、主食としては無論メリケン粉若しくは米が輸入せられることが一番望ましいのであります。併しその数量は必ずしも我々の希望しておる程度にはものがない。從つて主要食糧は送れないが、砂糖なら何がしかの余裕があるからこそれを受取らないか、こういうことであるたから、主食の足りない分を砂糖で何がしか補いがつくものならばというので、導入を見たのであります。中西君の述べられた御趣意も、砂糖などは要らないから、要らないと云つて突き返したらいいということではないと思います。政府として実際問題にぶつかると、砂糖は結構だから要りませんということは言えないわけではありません。併しそうかといつて主食が殖えるというわけではないから、我々の考え方としては、主食がこれ以上どうしても入らない、併し砂糖ならば輸入ができるという場合には、砂糖でも喜んで輸入したいということに過ぎないのであいます。
 それから纎維の問題について、國内用の配給の纎維が多数ストックしておるという話がありましたが、政府はそういうものを持つておりません。これは何か御調査の機関でお調べ下されば分りますが、政府が國内配給用の纎維を多数持つておるということがないために、輸出向のものを一時内地の放出に向けて貰いたいということを話しておるのでありまして、決して政府は潤沢に配給用の纎維を持つておるわけではないのでありますから、その点は誤解のないように御了承願います。
#54
○中西功君 砂糖の食糧の輸入の経緯は、まあこれは勿論一方的に我々の方で行かない点も、あると思いますが、併し小麦粉が足りないから砂糖を入れてやろうというのは、今日の世界の米穀事情から言つて多少おかしくはないかと私は思います。それはシカゴの小麦相場が、シカゴ市場成立以來の最低の値段に暴落したということは、これは單にカナダや或いはアルゼンチン、オーストラリヤにおいて非常な増産が昨年なされたというだけに止まらず、アメリカにおいても相当増産がなされておつた結果だと思うのでありますが、まあそういう事情から見て、私は小麦粉がないというのは実におかしな話だというような氣ぎたしますが、まあ我々として政府に要望したい点は、そういう点で現実に我々の生活をもう少しよく見て貰わなければ困ると思うのであります。現実にもう十日分が砂糖で來るということで、今相当多くの人が米か買漁つておる。段々米の闇値が上つております。ですから何とか政府自身としてもこの点をとにかく採上げて解決するようなことをやつて欲しいと思うのであります。十一月に二号八勺になるということよりも、我々の問題としては差当りこれを何とか解決するように、政府に努力して貰わなければ困る。こういう趣旨だつたのであります。それから綿糸布の問題は、これは私も沢山申し上げませんが、國内向けとして政府の手にはないのだと思います。併し実際に配給機構の中で、或いは商人の間で、相当滯留しておるということは、これは今日数字は持つておりませんが、併し数字を以て私は示すことができると思います。私がお聽きしたい第三点は、ソ連の引揚問題について、ソ連当局が、日本政府の努力が一方的であるということを申したわけでありますが、これはまあ具体的にどれを指しておるかというふうなことは、ソ連当局は申しませんでしたが、一つは、日本政府として今連合國際司令部以外に他國の代表と会うことが許されていないというようなことをよく申します。そういうはつきりした指令があるかどうか。國民の一つの考え方としては、日本の政府の代表者或いは日本政府でなくても、日本の國会の代表者或いは政党の責任者達が若しソ連側に引揚のいろいろの阻害條件があるならば、ソ連当局と当つて、そうしてそれを打開して貰うように努力すれば、或いはもつとスムースに問題が進んだのじやないかというふうなことを考えるのであります。それで、それができないのは、実際にそういう指令があるからかどうか。或いはそれとも今までこちら側のそういう考え方でそういう点が一つであります。
 もう一つは、現在日本の各地におきまして反ソ的な宣傳、空氣、或いは又展覽会、いろいろのことが沢山なされております。日本の政府の立場は、これは曾つて細川議員が本会議で質問いたしましたときに、そのときは確か片山内閣でありましたが、片山首相が答えられましたように、決して一國に偏しておるということではなく、連合國諸國と親しく付き合つて行くのが、日本政府の建前であるというふうなことを申されましたし、その点は現在の芦田首相だつて同じことだと思うのであります。ところが今反米的な展覽会でありますとか、或いは活動でありますとか、そういうものはまあ実際非常に少いと思うのでありますが、そころが反ソ的な活動や展覽会、いろいろのことになりますと、可なり公然となされておるということは事実なんであります。若し今後日本政府ご一方に偏せず、そうして偏しないことが、引揚者問題なんかも割合にスムースに解決して行く所以だと思うのでありますが、そういう点で、この反ソ的な宣傳に対して政府として取締られる用意があるのか、或いは今後今まで通り見逃して置かれる積りなのかという点を一つお聽きしたかつたのであります。
#55
○國務大臣(芦田均君) 日本國内に反ソ的な言論、反ソ的な展覽会などが多数にあるというお話でございましたが、政府の氣持として、或いは政府の政策として、現在の環境において反ソ的とか反米的であるとかいつたような傾向に走ることは決して好ましいことでないと考えておりますから、我が國の進むべきとは、廣く世界の平和愛好國と手を握つて世界平和の達成に進べきだ。この際徒らに、どこの國と特別の関係を結ぶとかいうことは絶対に考えておりません。民間においてどういう運動が行われておるか、特に中西君の指摘されたごとき傾向があるかどうかは、私は正確に意見を発表することが困難あります。正直に申しますと、さような機会に余りぶつからなかつたのであります。正直に申しますと、さような機会に余りぶつからなかつたのでありますから、正確に判断をいたしかねますが、無論日本の法規に反するごとき言論若しくは行動のある場合には嚴重にこれを取締りたいと考えております。
#56
○中西功君 それで、その質問の前半に、ソ連引揚問題について日本政府の責任者、國会の責任者或いは有力政党の責任者たちがソ連当局に懇請する、或いはその問題について種々打合せをするとか、そういうふうなことが今までなされなかつた。なされたとすればこれは非常によく進展をしたと思う。特に國民の相当部分はそういう考えを現に持つておるような氣もする。そうすると、それが実際問題としてできないのか、それともやる意思がないかという点を少しお聽きしたいのであります。
#57
○國務大臣(芦田均君) 現在の我が國の立場におきましては、政府がソ連代表と直接交渉をすることは無論認められておりません。又立法府及び政党が責任を以つて引揚問題について他國の官憲と交渉する権限は無論ないものと存じます。併しながら日本國民が如何に熱心にソ連地域からの引揚促進を熱望しておるかということは、全國各地に行われたる引揚関係者の陳情書は恐らく百万を超えておるとおもいますが、これらの情勢を見て、明敏なるソ連の代表者の方々が、日本國民の総意がいずこにあるかということをお分りにならないとは私は信じません。そういう意味において、政府はすることができなかつただけで、若しこれが行動を取る余地があれば無論今日まで全力を挙げてその方に向つておつたに違いない、かように私は確信いたしております。
#58
○委員長(櫻内辰郎君) 他に御質疑はございませんか。
#59
○石坂豊一君 総理がお見えになつておるようでありますから、この場合総理に御意見を伺つて置きたい、二、三についてお尋ねをいたします。私は実は通常予算が出た上で全般的にこの國策の各方面に現れた問題について質疑をするつもりで今まで控えておつたのでありますが、ところで一般予算も出て参りません。而して一面において実際問題としては非常に差迫つた問題として日々に迫つておるということを坐視するに忍びませんから、幸い総理がこちらにお見えになつておるから伺います。それは、私國土委員をいたしておりますから、その点について誠に憂うべき状態に立至つておりますから、総理の所信を聽いてみたいとおもいます。総理は施政演説におかれまして、國民に施政方針を公約いたしておられるわけであります。その公約をいたしておられる中において最も我々は関心を拂つておるのは、戰争中燒落ちました各都会の復興問題、即ち戰災都市の復興及び住宅問題ということが非常に今社会問題として深刻になつておるのであります。而して終戰以來二年数ヶ月経つておるのでありまするが、各都市とも区劃整理その他の施設について具体的に実行に入らんとしておる、一方予算の面において見ますと、総理が戰災都市の復興並びに住宅問題について多大なる関心を拂つておることが窺われるのでありますけれども、それが予算面において見ますと、非常に微々たる金額であります。四月、五月の暫定予算ではこれは無論暫定予算でありますから昨年來の繰越金を実行に移される程度のものと思われますが、通常予算においてどういうお考えを持つておられるのでありましようか、区劃整理ができませんければ住宅は実は立たない。住宅問題と戰災都市における区劃整理というものが関連しは離るべからざる問題であるのであります。今のような状態で区劃整理に対する補助金が約三分の一に減り若くは六分の一くらいに減つておる状態では手が着けられない、止めなければならんというような所も起つておるので、それぞれの地方において大恐慌を起しておる。これに対して政府は公共事業費の枠においてどうもならんということで諦らめておられるのか、又これは常予算において根本的に建て直して実際地方民、罹災民の希望するように実行できる可能性があるのであるか、その確信を先ず以つて伺つて置きたいと思います。
#60
○國務大臣(芦田均君) 只今石坂君からお話のありました戰災都市の復興事業はいかにも焦眉の急に迫つておる問題であることは御意見の通りであります。何とかして早く戰災地を復興しなければ、ならんと考えていろいろ案を練つておる次第でありますが、只今お話になりました戰災都市の区劃整理の問題は、無論都市復興の基本問題でありまして、先ず著手しなければならんということは申すまでもないのでありますが、御承知の通りに、そのためには相当廣土地を、都市若しくは政府において買上げなければ区劃整理というものができないのであります。それを買い上げるのに、例えば東京都の如き土地柄においては、相当厖大な費用を予算に組んでかからなければ復興はできない。結局國家の財政と睨み合わせてこの区劃整理を何年計画でやるかということが差当たりの問題でありまして、これを十年で完了するか、どういうふうな根本計画でやるかという点について只今当局において関係の都市の状況等を睨み合わせて計画を立てておるのでありまして、現在政府としては國家財政の許す限り、できるだけこの方面に予算を計上いたしたい。かように考えて六月以降の本予算の編成に著手しておるわけであります。
#61
○石坂豊一君 只今の御説明のようなことは、私もともとにそういう順序でなければならんことはわかつておるのであります。ところでこの暫定予算の金額がいかにも少ないから、この月額を一年度にそのまま当嵌められると、大変なことが起りますから、それで六月以降の予算にこれを讓つて、更に立直されるということになるのかということを伺いたかつた。今総理の言明によりまると、六月以降において更に相当な金額を出されるというようなことになつておるのでありまするが、実は既に遅いのです。もう四、五という月は、非常に大切な工事の準備期でありまして、六月、七月になつて來ますと、僅か二ヶ月のことでありますが、それを実行する実行面においては、大変な、いわゆる二ヶ月遅れれば何年分の損になるというわけでありますから、早急にその計画を立てられて、予算が定まらん前でも、それぞれの都市に一つ通知して頂くようなことにならんというと、誠に困ると思います。私は別途委員会において檢討したところによりますと、事務当局においても困り果てておる。それで殆んど手がつけられないで、止めようかというようなところに陷つておるところがあります。大都市の、東京、大阪というような六大都市につきましては、何かやりくりが付くかもしれませんけれども、中小都市においては何とも手が著けられないという状態になつておるから、その点とくに総理におかれてはその向を督励せられて、是非とも只今言明なさつた通り六月以降の本予算に盛つて頂くようにしたいと思います。
 同時に災害復旧費のことであります。これも請願など御覽の通り非常に各地から多くでておる。東北地方又関東方面におきましては、災害復旧費の全額國庫負担などという請願がでておりますが、実は我々はそんなことを言うても、今日破産しておる國家に対して、災害復旧費の全額を補助させるというようなことは、参議院としては取上ぐべきではないというので、それ等については、実は不採択の決議をしておるのもあるのでありまするが、併しこれ等は好んでそういうことを吹掛けておるのではないので、地方はそれぞれ重い負担になりますから、止むを得ず唱えておるのでありまするが、それにしましても、災害復旧費も大変計算の上において、実行できないまでに削減されておるのでありますが、これについても今申しましたような、國民に公約なさつておる政府のお氣持も、一つ実際に現れるような方法を執つて頂かなければならんと思いますが、今後どういう御処置になるのか、六月以降の予算において、この額を相当に拡大なさつて、それぞれの施設が完備するようにできるのかどいうか、その所信をも伺つておきたい。
#62
○國務大臣(芦田均君) お答えします。災害復旧事業の促進されないために、地元の人々が不安の分氣に襲われておることも、よく私共は了解できるのであります。何とか早急に復旧事業を行わなければならないということで、この問題は、石坂君もよく御承知の通り、片山内閣以來、政府としても相当努力をいたしたのでありますが、種々の制約のために必要の予算を計上することができなくなつて、結局現内閣になつて、四月初旬に、小額ではありましたけれども、特別の事情を述べて、四月予算に災害復旧費を計上いたし得たことも御承知の通りであります。五月分の予算もある程度これに充てることができる、新会計年度に起きましても、二十三年度本格予算の中には、資材の使用し得る分量、そうして傍ら政府予算全体の権衡を睨み合わせて、できる限り災害復旧に必要な経費を計上いたしたいつもりで、目下予算編成をいたしておるわけであります。
#63
○石坂豊一君 もう一つ第三点に伺つておきたいことは、これも施政演説において、國民に約束されておられるのでありますが、動力開発のために、発電に大いに力を注ぐということであります。そうしてその電力関係の主管大臣である水谷君などは地方に行つて、大いに発電事業に力を入れるというておられるが、これ等は予算面において何等見るところがない、尤も今の予算は暫定予算でありますから、これ等は現れておらんのかも知れません。少しもそういうような氣配が認められない。発電事業につきましては、動力開発の淵源でありますから、勿論やるべきことでありまするが、國民が又期待していると思いまするが、何も計画を立てないでおいて、ただ心持だけで、そうして國民に呼びかけられるということは、誠に我々は首相のためにも惜しまざるを得のでありますが、これも六月以降の予算において相当の政府資金を以つて著手なさつて、実行に移される御意見であるか、そこを一つ確かめておきたい。
#64
○國務大臣(芦田均君) 電源開発の問題は、現在の経済再建事業の中で、最も重きを置くべき事業であると考えておりまして、既に電源開発委員会を至急に作る計画を以て、只今政府部内で種々案を作つております。そうして主として新規の水力電源を開発することに力を注ぎたい、何分水力電氣の大規模の発電を行いには、或いは現存の電氣事業諸会社においては十分の資本を持たない状況でありますから、必要な場合には、これ等の大規模な発電計画に対しては、政府資金を導入してでも開発に力を盡したい、こういうことで現在種々のその必要の手続を進めておるわけであります。左様御承知願います。
#65
○委員長(櫻内辰郎君) 総理大臣に対する御質疑は外にございませんか。
#66
○中西功君 先つきの、日本の政府として連合軍司令部以外の外國代表とか、そうした者と会つてはいけないというふうなあれでありますが、最近首相はドレーパー氏とお会いになつたわけでありますが、ドレーパー氏とお會いになつた場合には、一体それはどういうふうな手続きといいますか、或いは又状態でお会いになつたのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
#67
○國務大臣(芦田均君) ドレーパー氏は、公式の任務としては、無論アメリカ陸軍次官として視察のために日本に來たものだと了解しております。併しドレーパー氏の私に対する話は、何等アメリカ政府としての公の話をしたのではありません。又私もアメリカ政府の代表者としてドレーパー氏に話したというのではないのでありまして、極めて個人の資格として、政府の職権に亘らない話し合いをしたに過ぎない。なんら外交交渉に類する話会いをしたわけではないのでありまして、無論面会を求められた場合には諸外国人に私は喜んで会つております。殆ど毎日各方面の人々に会つております。併しそれは私が総理大臣、若しくは外務大臣として公の交渉をするという意味のことばでは一つもない。若し私の意見を聞きたいという人が訪ねて來れば自分の意見も述べております。併し御承知の通り一國の外交交渉ということと、又個人としての話合いということは全然別個のことであります。その点はどうか区別をしてお考えを願いたい。
#68
○中西功君 それじや安本長官にちよつと、最初非常に簡単なことでありますが、政府側がこの度の官公廳の賃金決定の場合におきましても、或いは又先日の臨時給與委員会の給與水準の決定の場合におきましても、非常に公平に利用されておられるいわゆるCPSというあの消費者價格指数でありますが、あの指数で今考えますと、千八百円ベースが決定されました昨年の六月と、それから今日とを比較いたしますと大体まあ一二〇%或いは一一〇%くらいが上昇率になつておると思いますが、ところが東洋経済のスライド指数によりますと、それが同じような期間に三〇〇というふうな上昇率になつておるわけであります。で、この問題は一〇〇以上違うわけでありますが、こらは非常に重大なことだと思うのです。安本長官として、まあ今物價問題や、その他の問題に責任を持つておられる方として、こういう非常な差があるという点をどんなふうに考えておられるか。それを先にちよつとお聞きしたいと思います。
#69
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今中西委員からのお尋ねは、或いはこの暫定予算が、若しくは本予算の編成その他に関連しての御質問と思うのでありますが、この暫定予算は、大藏大臣或いは総理大臣から屡々申しあげましたように、暫定的なものであり、本予算につきまして只今物價、賃金その他についての檢討を加え、編成その他についての基礎を今決めておる次第でございまして、それでどういうようにしており織込むかと言うようなような点については、いずれ本予算の場合に一つお尋ねを願いたいと思うのであります。ただ学問的、その他についての御意見を両者の相違についての意見を私に求められておるという意味ならば、又別の機会にでも申上げたいと思う次第であります。
#70
○中西功君 実は正直に申しますと、我々が新しい物價改訂について質問いたしましても、先に安本長官が逃げられましてように、事毎に逃げるのであります。この問題は、この前の暫定予算の四月分のときにおきましても、私は確か少くとも物價改訂の根本原則というふうなものについては議会で討議するようにして貰いたいというふうなことを申請んであつたと思います。現に今それがなされておる。なされておるなんでありまして、そういう問題を政府が非常に執拗に隱しておるということが、非常に我々には了解し難いのであります。で、鉄をなんぼにするということは勿論具体的な問題として問題になりますが、それを決定するに至る根本的な態度というふうなものは、これは当然政府として明らかにすべきだと思います。ところが事毎に逃げておる。逃げているから、いわば私は搦め手から言つたわけです。決して点問的な論爭をここでしようとは考えていない。我々の、私自身の一つの感じといいますか、非常にこの問題について考えておることは、又非常に注目しておる点は、いわば政府が平均賃金を何処に決めようとしておるかということなんであります。正直に申しますと、それを聞きたいというのが私の本意であります。その場合に恐らく政府はそういうCPSのスライド指数を以てなすだろうと考えるのでありますが、若しそれによつてなしたとすれば、これは実際問題として非常に齟齬があつたということを私は確かめたかつた。結局安本長官も物價改訂につては、その原則的な問題についてさえ語られない。なぜ語られないかということが、私には不思議である。平均賃金制にするのかしないのか。平均賃金を決めるのかどうかということぐらいは、簡單なことです。米價をパリテイ計算にするかしないかということは、幾ら言つてもそういう態度が決つていなければ問題にならんと思います。非常に固辞しておられるようでありますから、これ以上追及いたしません。
#71
○國務大臣(栗栖赳夫君) 中西委員からのお尋ねの趣旨は私もよく分つております。只今いろいろその筋その他とも交渉いたしていりまして、まだ運賃その他につきましても、いろいろ問題を生じております。そういうような点を決めますにつきましては、勿論本委員会或いは國会にも諮りすることになります。自然そういうような基礎問題はその際に讓つて頂きたいと思う次第であります。
#72
○中西功君 では別の問題で。たしか價格差益金徴收の問題は安本当局が責任を持つておられるのではないかと思うのですが、價格差益金の徴收が私は実際問題として非常に漏れておる。漏れておるばかりでなくて、詳しくは私よく知りませんが、物價廳がこれを取つておられる。即ち税務署は一應これに関係がないわけであります。日本の政府機構は現在でもかなり、ばらばらだと私は思います。例えば税務署が所得税の査定をしたり、その実相を把握しようとするときに、この各商社の在庫品或いはその賣上高或いは生産高というものを適確に掴んでおるのは、税務署よりもむしろ実物物資を割当てておる商工省の役人の方が実情を知つておるのだと思います。ところが実際問題として、商工省の役人は決して税務署に連絡はしない。又協力をしていないという点があると思います。或いは又銀行預金というふうなものを一番知つておるのは大藏省でありながら、大藏省の内部でもそういう方面と税務関係との間にはなかなか緊密な連絡がないというふうな点も挙げられると思うのですが、この價格差益金の徴收は、どれだけ下部の組織を物價廳が待つておられるか知りませんが、ここで單なる業者の申告に基いて、或る部分を徴收しておるという状態なんですが、これで價格差益金が本当に取られるか取られないかということについては、随分大きな影響がある訳なんですが、これについて、実際價格差益金を徴收する法制といいますか、そういう面においてもかなり欠陷があるように思います。機構においても孤立化しておつて、孤立的に行われておつて、十分でないと思います。安本長官のこの差益金の問題についての御意見を、今後これを嚴格に徴收するしかないかという点に関聯して、一つ御意見を伺いたいと思います。
#73
○國務大臣(栗栖赳夫君) 價格差益金でございますが、これは二十二年度においては六十億円であつたと記憶するのでありますが、徴收しております。昨年の七月の物價改訂にとつて大体百五億の差益金を見積もりまして、そうして二十二年度においては六十億を取る、こういうことになつておつたと思うのであります。これは勿論安本といたしましても、嚴格にこの徴收をいたしたものであります。ただ徴收すべき相手方が閉鎖機関になつておるとか、或いは賃金その他の関係において、嚴格に督促をいたしておりますが、完納には達しておらんのであります。併し今後も、この種のものはやはり税と同じ性質のものでありますから十分取立てたい、こう思つておる次第でございます。
#74
○中西功君 今財界の一方面では、こういう價格差益金の徴收を止めろというふうな声が、相当あるように聽いておるのですが、政府としては、よもやこれを今後止めるとか、そういうふうな考えはないだろうと思いますが、その点、はつきり聽いておきたいと思います。
#75
○國務大臣(栗栖赳夫君) 勿論、價格差益金の徴收金の徴收を止めるというような考えは、その差益金のよつて生ずる性質から申しましても、又財政その他の点から見ましても、これを止めるというようなことは、勿論考えておらん次第でございます。
#76
○委員長(櫻内辰郎君) 衆議院から案の回付を受けまするまで、暫時休憩をいたします。
   午後四時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時三十二分開会
#77
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。明日午前十時より会議を続行することにして、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十三分散会
  出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           木村禧八郎君
           中西  功君
   委員
           木下 源吾君
           波多野 鼎君
           村尾 重雄君
           石坂 豊一君
           深水 六郎君
           木内 四郎君
           小畑 哲夫君
           佐々木鹿藏君
           鈴木 順一君
           江熊 哲翁君
           岡部  常君
           岡本  愛君
           奥 むめお君
           河野 正夫君
           島津 忠彦君
           高田  寛君
           東浦 庄治君
           姫井 伊介君
           渡邊 甚吉君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 芦田  均君
   大 藏 大 臣 北村徳太郎君
   國 務 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   厚生事務官
   (引揚援護院
   長官)     齋藤 惣一君
ソース: 国立国会図書館
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