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1953/03/27 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第15号
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1953/03/27 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第15号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第15号
  公 聴 会
――――――――――――――――
昭和二十九年三月二十七日(土曜日)
   午前十時四十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     内村 清次君
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           館  哲二君
   委員
           伊能 芳雄君
           伊能繁次郎君
           長谷山行毅君
           小林 武治君
           島村 軍次君
           松澤 兼人君
           笹森 順造君
           加瀬  完君
  政府委員
   自治庁税務部長 奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  公述人
   福井県知事   小幡 治和君
   富 山 市 長 富川保太郎君
   日本中小企業団
   体連盟税制委員
   長       山田 正作君
   全日本自治団体
   労働組合中央執
   行委員     徳間幸太郎君
   税  理  士 桂田  斐君
   日本乗合自動車
   協会理事    伊勢田 豊君
   静岡県磐田郡福
   田町長     大竹 十郎君
   十条製紙株式会
   社専務取締役  金子佐一郎君
   立教大学教授  藤田 武夫君
   主婦連合会総務 藤田 孝子君
   全国指導農業協
   同組合連合会参
   事       青木 一己君
   全国料理飲食喫
   茶業組合連盟事
   業部長     毛利 鋼三君
   全国旅館組合連
   合会副会長   小林  毅君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○入場譲与税法案(内閣送付)
○昭和二十九年度の揮発油譲与税に関
 する法律案(内閣送付)
○地方財政平衡交付金法の一部を改正
 する法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(内村清次君) これより地方税法の一部を改正する法律案、入場譲与税法案、昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会の公聴会を開会いたします。
 開会に当りまして、公述人各位に御挨拶を申上げたいと存じますが、公述人として御出席を頂きました各位は、本日御多用中お繰合せ頂きまして、この公聴会においでを頂きましたことを厚くお礼を申上げます。
 昭和二十五年度に制定せられました現行地方税法はシヤウプ勧告を基礎として制定せられたものでありますが、その後の実績と運用に鑑みまして、政府はここに大幅な改正の必要を認め、地方税を改正する法律案を国会に提出して参つたのでございます。これらの法案は重要な法律案でありますので、参議院の地方行政委員会におきましても公聴会を開催いたしまして、国民の各方面からの忌憚のない御意見を拝聴することにいたしたのでございます。どうか腹蔵のない御意見を聞くことができまするようにお願いをいたしておきたいのでございます。各位におきましては、本日の公聴会が公述のかたがたの人数の関係で残念でございまするが、一人の公述時間は十五分間として、これを守つて頂きたいのでございます。公述は求められましたこと以外に亘らないようにお願いをいたしたいと存じます。又公述がみな終りました後に、委員各位から質疑がございますれば御遠慮なくお答えを頂きたいと思います。それではこれから初めることにいたします。先ず福井県知事小幡治和君。
#3
○公述人(小幡治和君) それでは私から意見を申上げますが、只今委員長からお話のありました通り、現在の地方税法におきましては、昭和二十五年のシヤウプ勧告に基きまして、国と府県と市町村のそれぞれに独立税源を与え、従来いろいろ税に対して府県並びに市町村というものが附加税をつけているというふうな従来の相互依存関係、そういうものをそれぞれ分断いたしまして、地方の財政というものはそれぞれに独立税を与えて、そうしてそれぞれの仕事をさせて行こう、そのために事務というものも検討しようというふうな考え方、大方針に基いてきめられたのが現行法になつておるのでありますけれども、併しその後の情勢をずつと見て参りますると、そのときにシヤウプ勧告において予定された事務の再配分ということが非常に不徹底でありまして、而もその国並びに府県、市町村のこの三者に与えた財源というものに不均衡と不合理が相当生じておる。そのときにすでに生じております。それの特に考えられなければならんのが、国及び市町村にシヤウプの勧告に基いた税制としては非常に重点が置かれております。先ず自治体としては市町村というものを主として考えますものですから、自治体に市町村としての独立税源を相当与える、そうしてあとは国というものがやはり大きく国の税源というものを持つておるということで、府県というものは国と市町村との丁度中間の団体という意味において、両者において十分に税源をとられたそのあとの余りものと言いますか、そういうようなものが府県に与えられたというような恰好に相成つておりまして、今日まで府県はそのために毎年毎年府県財政の上において非常な財政難を繰返して来ておつたわけであります。その財政難というものを何によつて補つて来たかと言えば、平衡交付金というふうなものに依存をいたしまして、殆んど毎年平衡交付金の増額運動というものが繰返されるというふうな実情になつておつたわけでありますので、今回の地方税制の改正という問題は、これらを是正せんとするものでなければならないというふうに私は存じます。
 そういう面から見ますると、第一に国から自治体に財源を与えなければならない。それで国というものが非常に今大きく財源を取つておる。地方の実情を見ますると、今度の予算なんかで見られましたように、まあ非常に農村の実に細かいものに対しても国庫補助というものが与えられるというふうなことで、殆んど国が税源を持つておつて、そうして実に細かいところまで国が国庫補助の名目においていろいろ関係をしで来るというふうなことになつておりまするので、そういうような面を一切排除いたしまして、国は国としてやらなきやならん問題だけを処理するということで、できるだけ自治体に任せるという建前から考えられまするならば、国から自治体に財源を与えるということが第一の根幹でなければならない。第二には、そういう与える財源というものは飽くまでも独立財源でなくてはならないと思います。第三は、而もこれらのいろいろな財源というものが与えられますけれども、それらが自治体の相互間、即ち府県と市町村の間及び府県相互の間、要するに富裕府県と貧弱府県と言いますか、そういうような自治体相互間に財源配分というものの平衡化と合理化がされなければならない。いろいろこの間問題につきましては、まあ富裕府県と然らざる大部分の府県との間に与えられた財源についていろいろな問題が生じておりますけれども、まあこういう問題についてこの際再検討をすべき時期である、これがその第三の問題。第四に、特に府県には税種につきまして住民負担分任の形のものがなくてはならない。府県というものが自治体でありまする以上は、やはりそこに府県全体の住民というものが府県のいろいろな税を負担する上において、まあ府県民全体が或る程度分任をする、分担をするという体制のものでなければ自治体としての正しい姿ではないというふうに思うわけであります。第五に、そういうようないろいろな税制改正をいたしましても、最後に残るものは、やはり如何なる税源を与えても貧弱なる府県というものはそれだけの税源ではやつて行けないというふうな状況になりまするので、これらに対しては安定した補填方策というものがとられなければならないというふうに思うのであります。
 この五つの方針というものを体して税制の改正というものを考えなくちやいけない。然るに今回行われようとしておるところの地方税法の一部改正案というものを見て行きますと、まあ我我としては次のような意見が出て来るわけであります。
 第一に、自治体相互間に税源調整を加えたのみでありまして、即ち県民税を創設して、そしてそれを市町村民税からまあ税源というものを取つて来る。又償却資産税というふうなものもやはり市町村の税源というものを府県に移して行くというふうなわけで、府県と市町村との町の税源調整というものを加えたばかりでありまして、国からの調整というものが大幅に考えられておらない。まあたばこ消費税とか少しありますけれども、併しこれもほんの一部でありまして、国からの調整というものが大きな眼目であるにかかわらず、これが考えられておらない。これがまあ現在の改正案における私は一番大きな欠陥じやないかというふうに思つております。府県の実情から見ますると、昭和二十八年度の府県税収の総額というものは歳入総額の僅か二割五分に過ぎない状況であります。まあ島根県、鳥取県というふうな最低の県におきましては、幾ら自分の県の中で税収を仮に集めて見ましても、歳入総額の一割にも達しないということでありますれば、とてもこれは自治体としてまあ自主独立というふうなことは財政的には不可能な状況であります。で今回の改正の実情を見ましても、こういうような状況ではやはり中央依存というものの繰返しに過ぎないというふうに思うのでありまして、折角の改正において、もつと思い切つた国からの調整というものが考えられなければならないというふうに思います。
 第二には、独立税源としてそれじや新たに与えられたものは何かといいますと、不動産取得税とたばこ消費税だけでありまして、而もまあこの二つのほかに従来の府県の独立税の中で三つ、事業税と遊興飲食税と、入場税とこの三つが府県の独立税中の大きなものであつたわけでありますが、その中の一つの入場税というものを譲与税に切換えるということは、これはもう我我としてどうも遺憾に思う次第であります。まあこれは今まででも御承知の通り、たばこ消費税というものと酒消費税というものが一緒に考えられて、たばこ消費税と酒消費税というものを一括して我々としては要求いたしておつたわけでありますが、その中でたばこ消費税だけが与えられて、酒消費税というものが与えられておらない。要するにたばこ消費税と酒消費税というものをこれは共に加えるというふうなことにするか、そうでなければ税率を引上げるというふうにすべきであると思いますし、又入場税の問題も、まあたばこ消費税、酒消費税と、こういうふうにやつて来たと同じように、今までの経過から見ましても入場税と遊興飲食税というものは一体として一連のものとして考えられて来たわけでありますが、今回これをやはり二つに分けまして、入場税だけを国に移管して譲与税にするという考えになつております。でこれなんかもやはり折角独立財源というものを与えるというふうな建前で行く以上は、入場税というものも遊興飲食税と同じように府県にそのまま独立税として残して置くほうが妥当であるというふうに思うのであります。
 それから第三に、自治体相互間の均衡化の問題でありますけれども、今回市町村税の中の特に不合理と思われておりました償却資産税、これをもう少し広域な自治体であるところの府県税に償却資産税というものを創設された、これは非常に私たちとしては当を得たものだと思つておりますが、又その中で府県民税というものの創設というものも、これは次に理由を申上げますけれども、これも非常にいいことだと思つております。併しここで問題になりますのは、府県相互間の不均衡をどう是正するかという問題でありまして、富裕府県と然らざる府県との不均衡という問題がよく問題になるわけでありますが、原案の入場譲与税、これを以て或る程度の調整を図ろうというふうなことでありますけれども、併しこれは先ほども申上げましたような理由もありまして、どうかというふうに思つております。その点については、要するに第二の理由において入場譲与税というものは府県の独立税として置いておくということになりますと、第三の自治体相互間、府県相互間の不均衡を何によつて是正するかということになりますと、これはたばこ消費税の富裕府県における特例法、富裕府県がたばこ消費税の或る額というものを中央に納めまして、そうしてそれを然らざる府県に配分するという意味の一つの特例法を設けて、そうして大体同等額においてこれが補正できれば、府県相互間の不均衡の調整というものはそういう方法でもできないことはないというふうに存ずるわけでありまして、これができれば筋として入場税というものは府県に残しておいて、そして府県相互間の不均衡はこれをたばこ消費税によつて是正するということも一つの妥当な方法であると思つております。併しこういう譲与税の配分の面におきまして、ただ人口だけでこれを按分して譲与するということに対しましては、これは一考を要すると思うのでありまして、人口が多くても、人口が非常に多くて密度が高いというふうな所と、それから仕事は山ほどあるところの非常に広域なる府県の地域を持つておる、併し人口は非常に少いというふうな所におけるものと、ただ人口だけで処置するということについてはどうかというふうに思われるのであります。
 それから第四に、現行の府県税におきましては、納税者は府県住民全体の僅か三―四%に過ぎないのでありますから、而もそれが大体市民とか町民でありまして、府県費使用の大半を占める農山漁民というものが殆んど府県税を納めない実態でありますから、府県自治の精神からこれは面白くない。どうしても府県民税の創設というものは、この意味においてやはり自治体として住民全部が分任するという意味において賛成であります。併しこの府県民税というのも市町村からこれを割いて行くということでありますから、その意味においては私は不賛成でありまして、やはりこれは所得税附加税というような意味のものを加味いたしまして、そうすると所得税の大体対象者というものは一千万人で、府県民税の対象者というものは二千五百万人でありますから、半分以下じやないかということになります。そうしますと、所得税附加税式のもので大半は考えますが、府県民の分任の精神から均等割というものも考えるということにして、これは極く小額のものにするということにして行きますれば、均等割においての府県住民の分任制度も確立いたしますし、又財源の主なるものというものは所得税附加税式なそういうものでやつて、そうしてここで国から府県に大きく財源を委譲するというふうなものにして頂いて、そうして府県民税の代りにそういうものを考えるということをお願いいたしたいと思います。第五に、財政貧弱府県への平衡化配慮の仕方につきましては、従来の毎年政府の財政力に左右される平衡交付金制度というものを是正しまして、国税の一定割合を交付して、その率も原則として変更せずに、地方財政に安定性を与えるところの今回の地方交付税制度に切換えんとする原案につきましては、賛意を表しますけれども、ただここでその一定率というものが妥当であるかどうかということは疑問に思います。即ち昭和二十九年度の地方財政計画におきましても、既定の規模に対して地方制度調査会においてすら三百六十億円の是正を妥当と主張しておるのに対しまして、僅かに政府におきましては百五十億円の是正をするに過ぎないような、そういう政府の考え方を基礎として、この交付税というものは三つの国税のそれぞれ百分の二十で足りるのだというふうな考え方、即ち百分の二十をここに出して来た基礎の考え方そのものに非常なこれは無理があると思つておりまするので、この原案の百分の二十で足りるという率につきましては、再検討を要するというふうに存じます。更に繰入税種であるところの国税の減税若しくは不況なときにおける減収、又は地方財政需要の必然的増嵩等によりまして不足を生じた場合、これが調整措置として借入金を以て確保すること、若しくは余剰を生じた場合には余剰を積立ててその後の不足に充足すること、即ち借入と積立の制度というものを法定いたしておきませんと、百分の二十なら二十という法定の率において余りこれを固守いたしてしまいますと、そこに不合理というものが生じますので、不足のときは借入で処置する、余つたときにはそれを積立てるというふうな一つの調整工程というものの必要があるというふうに存じております。以上の諸点を更に一つ御考究の上、一応の今回の改正を行いまして、将来どうしても国からの地方財源委譲というものをもつと根本的に考うべきではないかということが私の意見であるわけでありますので、どうぞ一つこういう点十分御参考にいたされまして、今回の改正に当つて今までのいろいろな不合理というものを直して頂きたいというふうに念願をしている次第であります。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(内村清次君) それでは富山市長富川保太郎君。
#5
○公述人(富川保太郎君) 平素地方自治体のことに何かとお世話を頂いておりまする皆様に厚く御礼を申上げますと同時に、今日又今度の地方税法改正についての意見を述べさせて頂きますことを有難く存じております。極く概略を申上げたいと思うのであります。今日の税制度がシヤウプ勧告に基くものでありまして、このことの欠陥、特徴等につきましては詳しく御存じのことでございますので、改めて申上げる必要もないと存じます。併しながら、一応シヤウプ勧告というものの建前のいいところはどこまでもとつておかなければならんと思つておるのであります。いろいろな欠陥がありますれば、これは順次縦割りの税制度の中において国或いは府県、或いは市町村、三つがおのおの独立した税源を持つているこれらのよさをどうかしてよくまとめなら、おのおのの収入を充足するような工夫をしなければならんものと考えているのでありまして、今日の地方税法の改正におきましては、これをただ余り意味もないのに複雑混乱に、例えば県民税において、或いは固定資産税中の償却資産税等において、錯綜したものになつて参るということは私はとらざるところでございます。こうしたシヤウプ税法によりましても欠陥が起きて参りましたことは、府県及び市におきまして累年赤字を出しているというところで、その弱点を露呈して参つているわけであります。赤字の原因につきましては、これ一つということは申上げかねるのでありますが、併しながらその大部分は税源の配分、或いは行政配分、それらのことが実情に沿わないというようなことが最大の原因であるとは申上げることができると思うのであります。このことはよく御承知おき頂いておることでありまして、地方制度調査会におきましても、約三百億に余るものが税源として不足しているということを御答申になつておることで明瞭に見えるわけであります。そこでこれらのことを是正するため地方制度調査会をお設けになりまして、各権威のかたがたが長く御調査頂き、御答申を頂きまして、非常に御努力になつたにもかかわらず、政府はそのうちのみずからのやりいいことを取上げて、やりにくい困難があると考えられるようなものについては根本的な調査会の案を取入れないで、取捨をみずからの都合によつて判断してやつているというのが今の地方税制改正案であると考えているのであります。そのことにつきましては、或いは地方制度調査会の立案によつて、その線に沿いながら立案をしたと言われますが、遊興飲食税の国税移管取りやめ、たばこ消費税率の引下げ、或いは不動産取得税を創設するといつたようなことで、殆んど答申に反したことが出て参り、或いは又尊重しているということで都道府県民税の創設をし、或いは償却資産税を創設するといつたようなことは都合のいいほうとして取上げている。こういつたお互い矛盾したようなやり方をされているというのが今の地方税法の改正であると考えられるわけであります。先ず、税財政のことは制度の改正が先行しなければならんと私は考えているのであります。例えば警察制度、或いは府県の性格、或いは町村合併といつたようなことが先行して参りまして、そのことによつて起る変化を税制或いは財政のところで按配して、その制度がうまく運行できるようにして参るということが必要であろうと思うのでありますが、今日は、ものは平衡と言いながら、余りに平衡過ぎて、同時に審議せられる結果、そのところには跛行のものが生まれる危険があるのではなかろうか。かように考えているわけであります。今日の地方税法の改正、先ほどの福井県知事さんのお話のように、マイナスのものとマイナスのものの間で税が往復しているといつたことでありまして、このマイナスを、府県も市町村もマイナスである、不足であるということを、若し赤字でないように、財源に困らないようにということであるならば、国の税収、国にこれを面倒を見てもらわなければならんにかかわらず、国の面倒は極く僅かにしておいて、警察制度が動くということで市町村から府県のほうへ税を移して行く。そうして府県の警察制度の新らしくできて来るのに充足するだけにも足らないようなものを持つて行つてやろうということでは、双方の赤字はいつになつても解消できるものでないと考えられるのであります。然るに国のほうは非常に充足せられているという数字が出て参るわけであります。私のほうで昭和二十七年の計を見ますと、歳入が昭和十六年の百二十五倍になつている。歳入は昭和十六年に比較して二十七年は百二十五倍になつている。歳出は百七倍でしかない。地方におきましては、道府県のほうでは歳入が二百五十三倍でしかないのに、歳出が二百九十五倍に伸びておる。市におきましては歳入が百二十三倍にしかならないに歳出が二百九倍になつておる。こういうことで、国が歳入が余つておるにかかわらず都道府県、市のいずれもが、歳入のほうが歳出を賄うに足らないということになつて参つておる。この実情を救うには、国が思い切つて府県市町村地方自治体というものを培養するように税法を変え、財政計画を立直してやらなければ、いつになつてもこの赤字というものは消えて行かんということになりまして、先ほどの福井県知事さんの御説には、我々も非常に賛成するところであります。現行法で参りますならば、若し警察制度が変わると考えますと、警察制度のマイナスを市町村から取つて府県へ渡すということは、今までの市町村の赤字はそのままにしておくということであります。たとえこれがほかの税によつて、或いはたばこ消費税等によつて多少は補うということが考えられるようでございますが、併しながら、市の立場から申上げますならば、たばこ消費税は市町村民税の一部が府県民税に取られて行つておるということが一つあるわけであります。償却資産税が設けられて、固定資産税の償却資産税が又府県税に変つて行つた。こういうマイナスをどこから持つて来るかということを考えなければならんわけであります。こうすると、現在の市は今日の現行法によつて行うよりも改正案によつて若し行うならば、六十八億のマイナスが生じて参るという結果になつて参るわけであります。このことは、赤字を累年続けておりまする市というものの財源を殖やすということこそ必要なれ、小さくするということは以てのほかであると考えておるのであります。こういうふうに自主的財源をだんだん小さくして参りますことは、基本的な自治団体であります市をますます窮地に陥れまして、到底自治というものにならないということになつて参る危険を非常に強く感じておるわけであります。なおこの上に地方財政計画といつたものを、歳出面を非常に圧迫して歳入を非常に大きく水増ししてやるということは、数字を以つて申上げますとよくおわかり願えると思うのでありますが、時間もございませんので、このことは数字は又お手許へ何かの機会に差上げたいと思うのでございますが、申上げましたように、だんだん赤字が増加して参るという結果はよくお見取りおき願えると思うのであります。
 そこで、以上のような概念的な考え方の下に、今の具体的な地方税法の改正について意見を申上げますと、道府県民税を創設するということについては、税を府県と市町村がただ不足同士がやりとりするということが一つ、これは若し府県において国家も不足であることを認めておられるのであれは、国家が国家事務を六五%若しくは七五%、多く言う人は八五%以上国家事務をやつておるという点に対して、国が税源を与える、国が財源を与えるということでなければならんと思つておるのでありまして、市町村がみずからの身を削つて府県の財源を培うというようなことは、マイナスを更に大きくするだけであつて、不足者と不足者の取引は御免こうむる、こういうように考えておるのであります。若しこの県民税が負担分任の考え方であるといたしましたならば、負担分任にはなかなかなりにくいと思つておるのであります。事業税の大本であります府県において、事業税の納入者は福井県知事さんのおつしやるように都市に集中的におるわけであります。これがとりあえず又所得になりまして、所得によつて県民税をあげることにいたしましても、同じような税源偏在が起き、負担の不均衡が起きて参るわけであります。而もそれについては均等割を以て応ずるという考え方でありましようが、均等割がございますために現在の税法改正案によりますと、市町村が徴収いたしました府県民税を県へどういうようなそろばんをして渡しますか、非常な大きな困難を生ずるのであります。そのことは何か二割であるから、集まつた市町村民税の二割を集つただけそろばんをおいて県へ出せばいいとおつしやいますが、それではそろばんが立つて参りません。均等割があります以上は、そうしたそろばんは立つて参らないわけであります。そこでそれを無理に細かく分類して立てようといたしますと、手数の点においては何十倍、何層倍という大きなものになつて参りまして、殆んど不可能であります。同時に法律の建前からいたしましても、地方税法二十一条の規定から考えれば、これを変えない以上は、二十一条の改正がない以上はできないことだと私は考えておるのであります。
 不動産取得税の創設のことについては、これは固定資産税の償却資産等の名目を変更して固定資産税を取ろうということであり、それを府県に与えようということであると思うのであります。これは課税される客体の所在地がその客体についてのサービスをいたしておりますので、これらのものはどうしても客体所在地に所属せしめてサービスの万全を期さなければならん、こういうように考えておることが一つと、先ほど申上げましたこれは固定資産税の名目変更のものであると考えまして、このことは同じように知らん県へ持つて行こうというつまらん考え方の税だと思うのであります。償却資産のほうはこれは同じ客体について二つのところから税を取りに参るということになるわけでありまして、このことは複雑混乱ということの最大のものと考えるのであります。世の中によく評価の不均衡が言われておりますが、これは長い期間を訓練しなければなかなかむずかしい評価のことでありますにかかわらず、非常に短時間の実績を以て批判しようとする危険があると思うのでありますし、又県にいたしましても、日本の国は小さいと言いましても、四十幾つに分れておるわけでありまして、やはり同じように府県間の不権衡というものが出て参るということになるのではなかろうかと思うのであります。今日は大体はこの不均衡は是正せられつつあつて、何らの不安もないと私は考えております。
 それからもう一つは税源の偏在是正ということがございます。これは私も肯定するものでございますが、このことは現行法の三百九十一条の運用によつて十分に是正し得る途が開けてあるわけでありまして、償却資産を作らなければ税源是正にならない、偏在是正にならないというような考え方はとらないものでございます。若しもつと税源偏在是正の必要があるならば、日本中の税源偏在是正を考えなければならんことでありまして、ただ市町村と府県とだけの間において税源偏在不均衡があるかと言いますと、そうではなしに、府県間において更に激しいものを見ますと、この方法では税源偏在是正というものが殆んどその目的を達しないものと考えておるのであります。
 そこでいま一つ、たばこ消費税のことについて申上げたいと思いますが、我々は今申上げましたように、県との間の差引取引は何らの効もないことであると申上げました。然らば両方共に財源を与えて、国が両方の赤字を負担して行くにはどうしたらいいかということであります。それについては福井県知事さんのおつしやつたように、所得税附加税のような方式をとることが第一の方法であろうかと考えます。若しこれも余りに多過ぎるというような嫌いがございますならば、国家の歳入が余つておりますので、現在その一部を地方税に還付するという形をおとりになりましたたばこ消費税を考えなければならんことの一つと考えておるのであります。これは地方制度調査会がたばこ消費税の地方のほうへ廻す分といたしましては、百三十分の十、百三十分の二十、府県には百三十分の十、市町村には百三十分の二十ということを答申いたしておりますのに、今度の改正案は府県に百十五分の五、市町村に対しては百十五分の十というように半分に減らしておるのであります。これはたばこ消費税を余り地方税に廻さないで国家の負担を成るべく軽くしておいて、不足分の府県と不足分の市町村を数字の上で歳入を水増と、歳出を無理に圧縮しておいて辻棲を合せまして、たばこ消費税を百分の五、百分の十でこれでそろばんが合うと、こういたそうということでしかないと見えるのであります。結果的な議論でありまして、甚だ不遜な言い方でございますが、そうしたことも考えられる。国の収入が今所得税においてか何においてか上つておりますならば、たばこ消費税を十、二十にいたしましても、国の歳入には大きな変化を来たさないで、両方とも助かることでありますので、こうしたことこそ負担分任であり、税源偏在是正ということに大きな役割を果して来る、満足せしめるというような方法と考えられるものであろうと思うのであります。
 大体私たちの考えを申上げました。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(内村清次君) それでは次に、日本中小企業団体連盟税制委員長山田正作君。
#7
○公述人(山田正作君) 私は商工団体の一員として発言さして頂きます。資料は友好団体から多数に皆さんの手許に出しているはずでございます。御承知のことと思います。特に私どもが申上げたいのは、商工業者の全面的負担となつております事業税につきまして申述べさして頂きたいと存じます。
 顧みますれば、シヤウプ勧告によりまして税制改革されましたこの前後を比較いたしますというと、改革以前の地方公共団体税源の構成は事業税が三二%、府県民税が二一%であります。又遊興飲食税が七%、家屋税、入場税が各五%でありまして、都道府県民のあらゆる階級が等しく負担していたような形でありました。その後府県民税、地租家屋税等の普遍的の税源は、市町村税、固定資産税として市町村に委譲されたために、改正案実施の昭和二十五年度よりは、事業税が五六%、入場、飲食税が一三%となつて、租税体系は地域的に不均衡を著しくし、地方税の殆んど大部分を商工業者が負担することになつたのであります。即ち府県税の事業者別負担割合を改正前後を比較しまするというと、左の通りであります。改正前商業が四〇%、農業が三一%、その他が二九%であります。その他と申しますのは、自由業或いは入場、遊興飲食税等であります。改正後は商業が約八〇%、農業は〇・〇一%、その他が二〇%となつております。更に昭和二十七年度都道府県歳出予算に対する商工農林関係支出の比例を、東京ほか二十四府県について調査いたしましたところ、商工関係において、商工都市である東京都の一二%三を最高として、群馬、滋賀、鹿児島等の農村県では実に〇・六%という低い額であります。こうして東京都を含み平均二・九五%となつております。これが商工支出であります。農林関係におきましては支出比例は、商工都市である東京でさえ七・二%、新潟、宮城等の農村県では一八乃至二〇%であつて、調査いたしました二十四都道府県の平均は一四・五五となつております。事業税は元来地方公共団体から諸種の便益を受けているとの理由の下に、応益主義の建前を中心として課税されていたものであります。現在の事業税は全くその根本理念を没却している点において、応益税としての存在価値を否定せざるを得ないのであります。かくのごとく我が国の地方公共団体は農民たる都道府県民を過半数包容し、農業関係施設に多額の支出をしつつあるにかかわらず、これに要する経費は一切商工業者に負担させ、農業としては殆んど府県民税を負担しないというような不合理な税制の下では、今後都道府県自治行政の運営が果して円滑に行われるであろうかを疑わざるを得ないのであります。以上の理由により府県自治の発展を期するには、商工業者も農業者も、その他のものも、等しく府県費を負担の責に任ずるような税制にしなければならないのではないか。この点につきまして一応検討を加えますならば、今度の税制改革案で、課税の煩雑を省略するため、個人事業税において前年度の所得税の基準所得を事業税の課税評準たる所得とすると改められることになつておりまするが、果してそうでありましたならば、前述のごとく実質的には応益税としての価値を失つております。つまり商工業者には何らの応益なくして多額の税金を負担しておる。即ち実質的には応益税としての価値を失い、又形式的にはこの度の改正によりまして、所得税の附加税ともいうべき事業税は根本的に改革すべき時期に到達したのではないかと考えられます。即ち地方施設の受益者が必ずしも商工業者に限られていない今日の地方行政において、国税の所得を事業税の課税標準と改める以上、商工業者の所得のみに事業税を課さなければならん理由は何人といえどもこれを見出すことはできないのであります。ささやかなる商工業者が汗と油で辛じて一家の生活を維持しているのであつて、所得税に加うるに、何ら受益もなき事業税を負担しなければならないのに、堂々たる邸宅を構え、豪華なる生活を専らにしている大会社の重役が給料を取る勤労者であるの故を以て、一銭の事業税も地方税も負担しないというようなことは、どうしても納得できないのであります。これは名称が事業税となつているからであると思われますから、私はこの際地方独立税として事業税はこれを廃止し、地方受益税と改め、商工業、農民、勤労者ひとしくこれを負担することを原則として、業種の如何を問わず零細なる低額所得者の負担を軽減するため、累進税率を採用して、所得に応じ適正公平なる課税をすることが望ましいのであります。従つて常に問題を起しておる業種別税率の等差等はこの機会に排除すべきではないかと存じます。
 以上、私は地方税の大宗たる事業税を根本的に再検討して、地方税制百年の基礎を確立する必要を強調いたしましたが、いずれにしても重大問題でありますから、慎重に研究に研究を加えられ、一日も早くその実現を期待いたすものであります。差当つての問題として、今回提案されました改正案につきまして、意見を開陳さして頂きます。
 昨年十一月日中連の友交並びに傘下八団体が共立講堂におきまして、事業税廃止蹶起大会を開催し、不合理、不明朗なる事業税の根本的改革乃至廃止を絶叫して以来、この運動は全国津々浦々にまで及び、大衆運動、実際行動にまで展開しつつあることは、十分御承知のことと存じます。かくて友交各団体は事業税の実態を把握するため、全国的にあらゆる資料を収拾し、お互いに督励、研究を続けつつあることは、実に涙ぐましいものがありました。私もこれらの資料を詳細に拝見し、実情も拝聴いたした次第でありますが、これらの全資料は委員各位のお手許に提出せられているはずでありますから、賢明な各位におかせられては、十二分に検討を加えられんことを切にお願いいたします。この日中連を始め友交商工団体が今回提出せられたる改正案に対し、特に強く御支持を得たい二、三の点を申述べたいと思います。
 第一は個人事業税の税率を一律に五%引下げることです。今回の改正案では税率の約三分の一を引下げることになつておりますが、二十七年度の個人事業税の収入実績は、自治庁の調べによりますと四五・四%になつております。提案のごとく税率を引下げられましても、納税者の全面的協力を得られましたならば、一〇〇%の徴税もあえて困難ではないものと考えられます。国税におきましては殆んど一〇〇%の徴税実績を上げておるのに、事業税のみが僅か半数にも達しない徴税実績であるということは、誠に遺憾に堪えないのでありまして、これは要するに税率が高いというところに基因するのではないかと考えられます。
 次に、事業税の課税標準を所得税の所得に置くとしましたならば、応益課税としての性格が一段と不明確になつたわけでありますから、商工各団体が主張しますごとく、所得税と同様扶養控除などは当然これを認めるべきであると主張いたします。然らざる場合、その基礎控除を引上げる問題が生じて参ります。今回の改正案では二十七年度より七万円引上げということになつておりますが、一昨日衆議院の地方行政委員会では、各党の修正意見として十万円に引上ぐべしということを伺つております。問題は法人には事業主並びに家族従業員の給料が損金として差引かれるにかかわらず、個人事業にはこの特点がないので、所得を標準とする以上、これに対し事業主の生活に相当する給料分を基礎控除の基準とすべしという主張が私ども一致した意見であります。この基礎控除を三十万円と計上しておりまするが、その根拠となりまするのは、昭和二十七年度租税統計資料によりますと、商工事業者数三百八十万人の所得は一兆千三十億でありますから、一業種当り所得は二十九万七千三百六十八円であります。一方総理府統計によりますと、勤労者全国都市平均所得は二十九万九千二百十円となつておりますから、勤労者と個人の事業主との平均所得は殆んど等しいものであるということが明らかであります。従つて法人と等しく事業主の生活費を給料として基礎控除するということをすれば、事業所得の三十万円控除というのが相当の基準ではないかと考えられまするので、私どもは友交団体が主張する三十万円説をとる次第であります。然らざれば過重な税金に苦悶せざるを得ないのでありまして、これらの点につきましては、委員各位の深甚なる判断を要請する次第であります。
 御承知の通り、この戦争と敗戦によりまして、大企業が壊滅し、財閥は解体せられまして、終戦以後数年間というものは国税を賄つたのは殆んど中小企業者でありました。当時福井の機屋さん、或いは横浜の家具屋さん、名古屋の漬物屋さんが長者番附の最高位になつておりました。かくのごとく当時中小業者は全面的に日本の国税を、税金を負担しておつたのであります。併しながらこのために無理な課税が続行せられまして、恐ろしい税務署の強行方針がとられました。今思い出しても戦慄せざるを得ないのであります。当時個人営業では生活の本拠まで根こそぎ持つて行かれるという実情でありましたので、極左派のつけこんで出て来ましたのが課税上種々問題を起し、今日といえども大蔵省あたりで非常に問題になつておりました企業組合が続々としてできました。そうしてその数は今日においては一万五千にも達しております。今の法人と個人との差別待遇をこのまま継続されますならば、当時の企業組合ができたように現在の個人は合法的に会社組織として、そうして少しでも税金の軽減を図ることになるのではないかと存じます。納税力ある中堅層の安定なくして国家の基礎が確立せられないことは、国の東西古今を問わず国家の鉄則であります。然るに戦前我が国の中堅属である納税者であつた農民は農地改革により零細化せられ、一町以内の農家が全体の七〇%、四反歩以内は四〇%とも相成つては、税金どころか子女の教育さえ困難でないかと思われます。従つて六百万農民戸数のうち所得税を納むる者は七十七万人で、納税額は申告所得税の僅か十分の一である七十六億円というに至つては、日本の将来のため誠に憂慮に堪えません。ここに農民の問題を持ち出したのも、等しく納税力ある中堅層である中小工業者が前述のごとく過酷なる税金によつて凋落するようなことになりましたならば、国家の台所を賄う税金は一体誰が納めることになるでありましようか、大企業か然らずんば勤労者で、これで国家の安定が得られるのでありましようか。誠に憂慮に堪えません。国家の盛衰を双肩に担つておられまする、そうして日夜活動せられる委員各位の全面的な支持を期待いたしまして、私の公述を終りたいと存じます。
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#8
○委員長(内村清次君) それでは次に全日本自治団体労働組合中央執行委員徳間幸太郎君。
#9
○公述人(徳間幸太郎君) 私は県庁、市役所、町村役場三十万の組織を有する全日本自治団体労働組合を代表いたしまして、今回の改正地方税法案に対しまして御意見を申上げます。
 昨年の昭和二十八年度の地方財政計画に先ず最初例をとりますると、財政規模の八千五百八十億円に対しまして税収入が僅かに三千四十七億円でありまして、総額の僅か三五%強に過ぎなかつたわけであります。なお又平衡交付金が一千三百億円、国庫支出金が二千三百八十四億円、地方債が九百五十三億円、及び雑収入、こういうふうな状況にあつたわけであります。今回の地方税法の改正案によりますると、先ず政府の提案説明で国民負担の実質的増加は避けながら、二百五十八億円の減税並びに四百三十九億円の自然増収を加減して差引六百二十余億円の独立財源の増強を図つたと、このように政府は提案理由説明をいたしておるわけであります。併しながら今回の改正案で一応私ども国民が注目をいたしますことは、若干の社会政策的ないわゆる産業育成の意識を持つておるということは一応肯けるわけでありまして、これは当然政府の施策に歩調を合せるというふうなことにもなろうかと思います。従つてこれらの関係から第一に個人事業税の軽減を、年間約百億円程度の税軽減を行なつております。併しながら先ほども申上げましたように、昨年度のいわゆる地方財政計画から行きましても、現在地方自治団体の有するところの殆んどの事務というものはその八〇%程度はいわゆる国の政策に伴うところの国家の委任行政になつておるわけであります。従つて今回の改正案で、先ほども申しましたように六百二十九億円の自然増収ということを言われておりまするが、少くとも現在これらの改正案が一体それでは地方財政にとりまして、今年度プラスになるかマイナスになるかということが非常に大きな問題になろうかと思います。今回政府が出されておりますところのいわゆる一兆億円のこの緊縮財政の中におきまして、あらゆる諸制度の改革、例えば警察制度の改革が出されております。この警察制度の改革に例をとりましても、一応政府においては百五億円の予算計上をしておりますけれども、今回の地方税法の改正によりますると、現行の税法で参りまして改正案を比較いたしますると、僅かに百九十三億円程度の伸びきりないわけであります。従つてこの現行税法と改正税法の百九十三億円程度の増収を考えてみましても、警察制度の改革ですでに百五億円も要るというふうなことになりますると、その以外のいわゆる税収というものはこれは若干であり、而も最近の苦しい地方自治財政の状況から、中央に財源を求める、その結果今回出されております地方財政平衡交付金に例をとりましても、地方団体の理事者がいわゆる陳情の毎日を繰返している而もこの陳情の経費たるや莫大なるものが現在支出されておるというふうな現状になつておるわけであります。
 従いまして、私どもいわゆる自治体労働者としての立場から、是非とも皆様方にお願いいたしますことは、先ほどプリントで数字を申上げました点にかかつて来るわけであります。従つてこれらの点を是非とも本委員会におきまして慎重に御討議頂きまして、私どもの立場からの御意見を参酌されまするようにお願いを申上げる次第でございます。
 先ず内容に若干触れたいと思いますが、先ず政府の提案理由によりますると、第一に地方団体の自立態勢の強化に資するため独立財源の充実を図ること、このように言われて、以下たばこの消費税、或いは不動産の取得税、或いは揮発の譲与税、これらを総合していわゆる地方歳入の総額に対するところの地方税の収入の割合が従来三二%から三〇%程度のものを、これらの点を参酌いたして三九%に増額をした、このように言われておるわけであります。併しながらこれは先ほど来からもいろいろ御意見が出されておりますように、たばこの消費税にいたしましてもこれは現行価格でなく、このたばこ消費税によつて一般国民の間接税がいわゆる上つて来る。言い換えますならば、政府は小売価格を一五%程度引上げておる、こういうふうな内容になつております。なお又不動産取得税の創設にいたしましても、一応百万円、新築住宅について百万円という基礎控除を行なつておりますけれども、これらの点について現在の住宅難からして、なかなか私どもいわゆる勤労階級にとりましては、そのような厖大な家は建てられませんけれども、アパートとか或いはそれらの大きな寮とかいうものが若しも百万円以上になつた場合、当然これは不動産の収得税の対象になつて来るわけであります。従つて私どもがそれらの寮とかアパート等に住む場合にはこの税がすぐさまいわゆる勤労者の家賃の増額というふうな形になつて現れて来る。こういうふうな結果になるのではなかろうか、かように考えております。従つて一応地方団体の自主態勢の強化に資するとは言つておりまするけれども、その現実の実態というものが、いわゆる働く者の階級、国民大衆の犠牲の上に立つたところの税源を求めているというふうに言い換えられるわけであります。
 なお又第二に、地方団体相互間におけるところの税源配分の合理化につきましての問題でありますが、これらの点につきましても、先ほど出ましたあらゆる問題について、例えば入場譲与税の問題につきましても、国がすでに国税に移管をする、当然地方税としての性格を有しておるところの入場税については国税に移管をする。そして道府県民税を新たに創設をする。而もその中においては三割程度の市町村民税を道府県民税にすり替えて二重課税的な内容になつている。こういう点も先ほどから指摘されておる通りであります。なお又道府県に対して住民がいろいろ負担を分担をする税源を与えるということで、たばこの消費税、只今申上げました道府県民税、こういうものを挙げておられますが、これ又我々働く立場から申しますると、二重課税の対象になるわけであります。従いまして、これらの地方税の問題を結論的に申上げますならば、先ほども冒頭申しましたように、決して地方自治団体に対するところの税源を与えておらない。或いは又ただ単に名目的なところのいわゆる増収にしか過ぎない。そしてこれらのしわ寄せを私どもいわゆる職員の首切り或いは賃金の切下げ、これらの点で税源を浮かしているというふうにも考えられるわけであります。現在、御承知の通り全国四十六都道府県に大きな首切り、行政整理、或いは賃金ストップ、これらの問題が出されております。二十九年度の地方予算編成におきまして、私群馬県の出身でございまするけれども、私は昨晩まで徹夜の状況で県の予算編成と交渉して参りましたが、すでに大きな問題となつて現れております。このように、言い換えますならば、地方財政は国の施策によつて地方にしわ寄せをして来ておるというふうな実態があるわけでありますので、是非とも皆様がたに御慎重にお考えをお願いしたいと思うわけであります。
 次に各譲与税の点について二、三触れたいと思います。先ず入場譲与税とつきましては、過ぐる二十三年の七月、これは当時芦田内閣時代でございましたが、地方財政委員会と大蔵省との間に入場税の問題が相当大きく取上げられたということを曾つて聞き及んでおります。その結果、地方財政委員会の意見が通りまして、地方の税源といたして入場税が地方税の中に入つた。そのときに最も大きな理由といたしましては、地方財政の根本的建直しのための財源であるというように当時の状況として聞き及んでおります。従つて当時入場税を地方税に委譲したということは、地方財政の根本的な建直しであるというふうな点にあつたにもかかわらず、今回これが国税に移管をされるということは、甚だ私どもとしても当時の状況からいたしまして若干疑義が出て来るわけであります。従つてこれらの点について特に地方税的な性格が強いわけでありますので、これは私どもとして入場税の国税移管には絶対に反対でございます。なお政府がいわゆる税源偏在の是正が必要である、このように言われておりまするけれども、これを人口に按分するといたしますると、あたかもこの目的にかなつたように言えるわけでありまするけれども、税源の偏在の問題に行きますると、当然同じような問題から遊興飲食税というものが出て参るわけです。この遊興飲食税をそのままにしておいて、そうして片方の入場税のみを国税に移管をする。言い換えますならば、とりやすい税金を国が全部吸い上げて、とりにくい税金だけは地方に残しておくというふうなことになるわけでありますので、この点につきましても、私どもとして先ほど申しましたように絶対に反対を申上げるわけであります。更にこの問題につきましては、税の中央集権化、こういうことが言い得るわけであります。今も申上げましたように、遊興飲食税を落した当時、税制調査会の答申案におきましても、両方国税に移管をするというふうな話を聞いておりましたが、たまたま業者の反対に会つて、これが現行の通りになつたということを聞き及んであります。併しながらこういつた一連のとりやすい税金を国に吸い上げるということは、警察制度と共に一連の中央集権化というふうに私どもは解釈をされるわけであります。従つて譲与税につきましては、人口に按分して配分されるかも知れませんけれども、大体そうなりますると、いわゆる税体系の問題から行きましても、先ほど申上げましたように、当然地方税的な色彩の強い入場税でありまするので、これらの点を是非御慎重にお考えおきを願いたいと思います。
 次に揮発油譲与税につきまして申上げますが、道路整備費の財源等に関する臨時措置法、これに基いて今回揮発油譲与税が創設されるようにお聞きしておりまするけれども、これ又いろいろと問題があるやに開き及んでおります。併しながらこの揮発油譲与税は当時ガソリン税、昭和二十九年度税収の総額三百六十六億円と聞き及んでおりますが、この税目を全部目的税としてやるということに前回の国会におきましていろいろ問題があつたやに聞き及んでおりますが、今回出されました内容を見ますると、このうちの三分の一がいわゆる道路整備五カ年計画の中に振り向けられておる。そうしてこれが紐付き財源になつておるというふうなことになりますると、これ又相当地方財政の点から申しまして、紐付き財源で規定をされて来るという点になりますと、若干問題があるのではなかろうか。そうしてこの点については特に昭和二十九年度一年限りであるというふうな、いわゆる恒久性のない、その場限りのいわゆる譲与税というふうなことについて、私どもは非常に不安を感ずるものでございますので、この点につきましても御一考をお願いする次第であります。
 最後に、地方交付税法の問題につきまして簡単に申上げますが、今回地方財政平衡交付金法の一部を改正し、地方交付税交付金に改める。そうして所得税、法人税、酒税の二〇%にする、こういうふうに言われ、その理由として現行の地方財政平衡交付金というものは非常に政治的な政略のあるもので運用がむずかしいし、現在赤字が殖えているのはそのようなためであるというふうに言われておるやに聞いておりますけれども、これは全く法の運用がまずいのでありまして、現在の基準財政需要額に基くところの積上げ計算、こういうものを政府自身が厳格に守りますならば、いわゆる先ほど申上げました国の行政事務というものの八〇%程度が地方団体に任されておりますので、従つてこの地方団体に委譲されている国の委任事務というものも地方財源の賦与というものが確実に行われましたならば、これらの地方財政平衡交付金の軋轢の問題が出て来ないのではなかろうか。このように考えますので、特に二〇%としてきめたことは国の財政規模に都道府県市町村の財政を縛るものである。なお又最近は財政規模に基いていろいろな施策が当然講じられることは私どもも重々存じておりまするけれども、併し少くとも財政は先ず事業から財政をきめなければならない。昨今の我が国のあらゆる行政というものは財政から行政がきめられて来るというところに大きな欠陥があるのではなかろうか。このように考えまするので、この地方財政平衡交付金法の一部改正案に対する交付金制度に対しましては、私どもは従前の地方財政平衡交付金法を若干内容を整備いたしますならば、現行制度でよろしいと、このように考えておりますので、特に最後に附加えまして私の御意見を申上げて、終りたいと思います。有難うございました。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(内村清次君) それでは最後に税理士の桂田斐君。
#11
○公述人(桂田斐君) 私は日本橋でささやかなる計理事務所を営む一介の税理士でございます。私は本日老骨を提げて出席さして頂きました理由は、永年に亘つて街の中小商工業者の面倒を見て来た者といたしまして、現在の税負担が余りに過重であり、そのために倒産、夜逃げ、一家心中などの悲劇が繰返されておる現状を見るに忍びず、その現状を諸先生がたに聞いて頂きたいと思うからでございます。尤もこれに引換えまして、私どものこの税理士稼業は現在なかなか繁昌しております。そのわけは端的に申しますと、現在の税法が弱い者いじめである。特に零細な中小商工業者にとつて苛酷に過ぎるためにほかならないのでございます。そのために個人事業者は競つて私ども税理士に頼つて法人に変更して、合法的に税負担を軽減しようと図つておるのが現状でございます。若し私どもが中小商工業者のためを考えずに、国家の将来について責任を感じないならば、現在の税法は私ども税理士に最も都合のよい税法である。こういうところまで出て来てとやかく言える筋合ではないのであります。併しながら中小商工業者が正常な姿において税負担を軽減し、営業の発展を図ることは、我々税理士も将来に亘つて健全に発展して行くことを意味し、同時に日本経済復興の途であると確信いたしまして、私見を述べさして頂きたいと考えたのであります。時間も限られておりますし、議題も地方税関係でありますから、そのうちで私が接している中小商工業者にとつて最も関係が深い、且つ又矛盾を持つておると思われる事業税についてその実情から出発してお話いたしたいと思います。
 先ず、先に申上げました通りに、現在個人業者がどんどん法人に転化しておりますが、これらの業者のかたがたが口を揃えてお話になることの重要な一つに、個人では事業税が重く、とてもやりきれないということであります。国税でも所得税と法人税を比較してみますと、支払給料に対する源泉所得税を併せて考えましても、法人のほうが有利でありますが、事業税に至つては全く以てその差が甚しく、特に現行の個人事業税の負担は到底堪えられないまでになつている現状であります。試みに私のところで最近面倒を見ております或るまあ下駄屋さんでございますが、大体次のようになつております。昭和二十六年分の会社の計算です。これは合名会社になつておりますので、会社の計算が一年に八万九千九百円の純益が出ております。法人でございますと、これが課税標準になります。ところがそこには損金として家族の給料が四十万七千円加わつております。若しこのかたが個人であるとすれば、そこから基礎控除三万八千円ございまして、結局課税標準というものが四十五万八千九百円ということになります。つまり法人であるから事業税が八万九千九百円に対して、一三%かかる。個人であれば四十五万八千九百円がその課税標準になる。こういうふうな工合に非常に、約法人の一に対して個人がその五倍の負担を強いられる、こういうふうな工合になつております。なおこの店は昭和二十七年は法人として十四万六千九百円の純益がございますが、そのほかに損金として家族の給料が四十一万六千円加わつておりますために、これを個人に直しますと、五十万七千五百円が課税標準になります。それから二十八年は十二万一千九百円の会社の純益に対しまして、給料が主人並びに家族の給料が四十四万八千円でございますので、これを加えまして、仮に七万円の基礎控除をいたしましても、四十九万九千円が課税標準になる、こういうことになつております。なぜこのような差が出て来るかと申しますと、法人では主人や家族の給料、即ち自家労賃として約四十万円余りのものが大威張りで損金に落し得るけれども、個人では法定の基礎控除であるところの三万八千円とか五万円とか七万円以外は自家労賃を差引く方法がない。従つてその差はすべて事業所得に繰入れられて課税対象になるから、こういうふうなことになるのでございます。でこの場合青色申告者の専従者控除を差引きしますが、それも十分な控除とは言えませんし、まして青色申告者が全体の二割にも達していない現状から問題にならないと思います。
 ではなぜこのように不合理なことが行われるかと申しますと、自治庁或いは各都道府県において、まあ税収を上げるがために都合がいいように法律を曲げて解釈して、違つた課税方法をとつたといつたような見方が大衆の間にあるのでございます。即ち現行の課税標準に関する規定は、第七百四十四条で総収入金額から必要な経費を除いた金額となつております。従つて基礎控除が僅か五万円とかという自家労賃分を補えないような現状では、それを別途の必要なる経費として課税対象から差引くという要求が起るのはこれは当然だと思います。聞くところによりますと、東京都においては二十八年度の課税方法が違法であるからやり直せといつたような行政訴訟が六、七千名の納税者から提起されております。係争中だそうでありますが、これはこの間の不合理が如何に深刻なものであるかということを物語つておるものと申して差支えないと思います。ところで今回の政府原案はどうかと申しますと、課税標準は百十条の十七によりまして税務署の所得税決定額を基準にするように改正されておりますが、これはまあ非常にずるいやり方だと思うのであります。なぜかと申しますと、先ほど申述べましたように国税丸写しは違法であるとするその訴訟によつて当局は非常に痛いところを突かれた。それで苦境に陥つたために今までの抗議を合法化して、その抗議を封殺しようという見えすいた弥縫策であつたからであります。併し政府がかかる改正案をみずから提出したという事実は、二十八年度における前記の納税者の抗議が正当であつたことを裏書きしているとも言えるわけでございます。ともかく基礎控除を大幅に引上げるとか、自家労賃分を差引くとかの措置を講じないままに、所得税の決定額を標準にしろという改正が行われると、今まで以上に重大な事態が発生することを御注意申上げたい。この点衆議院においても税務行政簡素化のためだとか或いは所得に二つはないはずだというような殺し文句にごまかされて見逃されているようでございますから、特に注意を喚起したいと思います。改正案のうち事業税で特に問題になる個所は以上でございます。
 さて、これらの問題点を解決するには、如何なる方法をとるべきかとい、ことであります。最善の方法は現行事業税を撤廃して、新たなる視野から負担分任の線に則つて、而も簡素な税制を確立することであります。府県税の大半を占める税を都市中心の商工業者を対象とする事業税に頼ることは全く理窟に合わず、実際に即しておりません。商工業者だけが府県税を負わなければならない理窟がどこにありましようか。その結果から生まれたものが一家心中であり、倒産であると申しても過言ではないと思います。
 更に新たに又々所得課税である府県民税が出現するに至つては、将来更に増税されて二重、三重課税になり、業者は押しつぶされてしまいます。事業税の撤廃が若し今回間に合わなければ、必ず次回には実現して頂くよう私強く要請いたします。
 次に現行法を中心に考えた場合は一体どうであろうかということであります。先ほども申上げました通り、自家労賃分に相当するものとして、最低二十万円以上三十万円くらいの基礎控除を行うことであります。これが原案を動かさずに済み、一番容易な方法だと考えます。
 さて、最後に衆議院の修正案、地方財政の現状より見て、前述のいずれもが完全に採用されない場合のことも考えておかなければならないようです。この場合は先ず何物をも犠牲にして基礎控除を少しでも余計引上げるよう努力を集中して頂きたいものでございます。最低の要求として昭和二十九年度から十万円の基礎控除にして頂きたいものであります。法人との不均衡を少くし、最も苦しんでいる零細業者を救済するに役立つのであります。
 更に大切なことは、この場合には改正法案第九十三条課税標準の算定方法の後段及び第百十条の十七、賦課の方法を削除して現行法通りに戻して頂かなければなりません。即ち自家労賃控除が中途半端なままで所得税決定額を標準にするというような枠をはめられることは片手落であつて、これを強行すれば実質的に却つて増税になる危険があるからであります。以上、問題点とその対策について申述べましたが、一言結論を申上げます。
 地方税の大宗である事業税は課税人員数も非常に多数であり、これらの矛盾、不合理を是正することは他の税目より優先して第一に取上げて欲しいと考えます。衆議院以来の経過を見ると、この重点がいささか外れていると思われる節があるので、特にこの点を注意申上げたいと思うのであります。個人事業税に関する要望は、余りに不合理な法人と個人の不均衡を是正し、せめて法人に近い条件にまで引上げて欲しいという要求でありまして、改革というようもむしろ救済と言つたほうが適する問題で、その解決は二十九年から直ちに実施して頂くことが必要だと思います。こうして現在行われているような無意味な法人成りの必要がなくなりまして、まあ一時的には私ども税理士の商売に少し崇るようなことがあるかも知れませんけれども、公正妥当な税制を一日も早く実施して頂くことを重ねてお願いいたしまして、結論といたします。
#12
○委員長(内村清次君) 有難うございました。
 それでは以上で公述人の公述は終つたわけであります。各委員のかたがたから御質問がございましたならば、お願いいたします。
#13
○島村軍次君 小幡福井県知事に簡単にお伺いいたしたいと思います。入場税を地方に存置したいというこれの理由ですね。それからそれの存置の場合の各団体間の不均衡を是正するために、たばこ消費税をもつと引上げさすというような御意見であつたと思いますが、具体的な方法について何かお考えになつておりますか。
#14
○公述人(小幡治和君) 具体的の方法は今一つあるのです。そのたばこ消費税の東京とか大阪とかそういうような大きな所は一応消費税をかけますので、それを国の特別会計にそれを納める、そしてその国の特別会計から富裕府県ならざる各府県に配分して行くという行き方、これはまあ現在東京とか大阪とか大きなところでいろいろ相談し合つて、一つの原案というものができておるわけです。ここに持つて来てはおりませんが、これは提出しようとすればすぐちやんとその案文を提出できるようになつておりますから、若し必要なら委員長の手許に差上げたいと思います。
#15
○島村軍次君 参考に委員の我々に一つ具体的の問題について資料の御提出をお願いいたしたい。
#16
○委員長(内村清次君) 委員長からもその点お願いいたします。
#17
○公述人(小幡治和君) 承知いたしました。
#18
○堀末治君 小幡さんにお尋ねしたいのですが、あなた交付税の税率について触れられておりましたが、二〇%になつておりますが、何%くらいが妥当だとおぼしめしですか。
#19
○公述人(小幡治和君) 今のところまあ知事会といたして、いろいろ話し合つておるのが二三%くらい。
#20
○堀末治君 もう三%……安いですなあ。それからもう一つあなたに伺いますが、消費税の中にたばこだけあつて何だから、酒を入れてという御意見ですが、それは又どういうことですか。
#21
○公述人(小幡治和君) 私知事会議としても、今まで大体たばこの消費税と酒消費税というものを両方要求しておるわけです。ただ今度たばこだけを入れたということは、酒について統制がありませんものですから、結局消費地においては確実な数字が掴めないということだろうと思う。これは倉出しのところで押えますと、大体灘とか何とかこういうきまつたところに行つてしまいますから、その点でむずかしくなるだろうということになると思います。我々としては前からたばこ消費税、酒消費税というものを要求しておつたわけです、できればそういうふうに考えて、要するに府県に対する税源というものが少な過ぎる、何かそこにいろいろなものを探し廻つて府県に独立税というものが欲しい、それで考えられたのが酒、たばこの消費税というものを我々としては長く主張して来たものですが、その中で酒だけをやめて、たばこだけが消費税になる、それから別な話ですけれども、入場税の問題も遊興飲食税の問題も大体一緒になつて来ておるものを、これも今度入場税だけを取上げて遊興飲食税はそのまま、我々が一連として考えておるものを半分づつ取上げておる。それはそこにいろいろ政治的な運動もあつただろうと思いますけれども、そういう点でどうも筋が立たないという感じがいたします。
#22
○堀末治君 それに関連してもう一つお尋ねしますが、私酒の業者なんです。酒税を地方に消費税として委譲することはどちらかと申せば賛成なんです。なぜかと申しますと、これは私今日主張しているのですが、なかなか大蔵当局が承知しませんが、今密造が多いんです。最近は減りましたけれども、それでもまだ二百石か乃至三百石くらいだろうかと言つているのですね。それを府県民税とする、あなたがた地方とすれば、いわゆる密造防止ということは税務署の手でなくしてあなたがたの手で、或いはこれを市町村まで持つて行きますと、市町村自体の手によつて密造防止というものができると私はこういうことを想像するのですが、あなたがたはそういう点について御研究になつたことございませんでしようか。できれば市のほうもお尋ねしたいのですが、市町村としても……。
#23
○公述人(小幡治和君) 密造の問題については、我々どうもそこまで突込んで調べたことはないのですが、大体は朝鮮人関係の密造酒ができているのです。その点だけは我々ちよつと目に余つたものがあるのですが、そうじやない方面の密造というものがそれほど大きいというふうに我々としては考えていない。福井県あたりの実情はそれほど大きいと思つていないのですが……。
#24
○堀末治君 それはお宅の県あたりは極く少いのです。なかなか多いところも非常に多いのです。今日は密造地帯の人がどちらもお見えになつていないから余り深刻でない。我々業者ですからよくわかるのですが、それですから、いわゆる自治体とすれば、一方は税がかかつたか酒を飲んで、それが国税なり市町村税を払つている。又一方は脱税して、大切な米をつぶして国税を払わない、市町村税を払わない、こういうわけですから、自治体としてはお互いにどういう何と言いますか、見合つて、どうもそういうことは君はけしからんじやないか、要するに市町村としてもそれを押えれば税収がうんと殖えるわけですから、そういう点から言うても私は酒を消費税に持つて行くほうが、たばこの消費税よりもまだいいじやないかということを常に思うのですが、若しなんなら一つあんたがたのほうでも御研究願つて頂くと、あなたのほうは密造は極く少いのです、富山でも福井でも。そういう少い所は失礼だが酒の消費も少い所ですから、多い所ほど密造が多いのですよ。それは朝鮮人はこれは大つぴらにやつておりますけれども、なかなか古い習慣としてそれはもうなかなか多い。静岡県あたり何にもない所まで最近多くなつているのですね。それだけまあ税が高い。最近は大分下げましたから何ですけれども、できることならば一つ府県関係でも、市町村関係でもこの点についてよく御研究になつて、それでまあ今回はまあ御意見が強く出なければ、来年はその資料によつてもう少し強く主張して頂くことを希望しておきます。
#25
○島村軍次君 さつきお尋ねいたしました入場税存置の理由ですね、これは税制調査会は遊興飲食税というものを国税に移して配付を適正にやれということであつたものですから、これは片手落だからという理由以外に、何か重要な大きな根本的の常を一つ……。
#26
○公述人(小幡治和君) 私としては、今度申し上げました第一の国から自治体に財源を与えなきやならんということと、与える財源は独立財源でなくちやならん、府県の独立税源というものをもつとたくさん持たなきやならんという建前から、折角与えられておる入場税とか遊興飲食税という独立税源というものを譲与税の恰好で以て中央へ取つて行つちやつて、そうしてそれを中央が配分するときには、結局今まで平衡交付金の中に含まれるような恰好で交付税の中に含まれて来るというふうなことになると、結局独立税源を取られて、あとは中央が府県の均衡のために府県に調整の資金として廻すというものの中にただ財源として入れるというだけに過ぎなくなつてしまう。我々としてはそういうようなものじやなくて、飽くまでも府県の自主財源として入場税なり遊興飲食税というものがなくちやいけない。今府県としては事業税と遊興飲食税と入場税ですから、この大きな三つの自主財源の中で一つをただ中央の財政調整みたいなものの資金として取上げてしまうということについては、非常な我々としては遺憾な点が多い。そういう意味なんです。
#27
○堀末治君 それから山田さんにお尋ねいたしますが、先ほど桂田さん大変事業税のことについて細かい数字を挙げて、大変貴重な御意見を伺いましたが、あなたこの全部資料が出ているということですが、私全部もらつた資料、これは全部綴つたつもりですけれども、実はばらばらになつて今日お話のようなまとまつたのがないのです。これは事業税で個人事業者が困つていることは我々も事業人ですからよくわかるのですが、そういう点について一つ御資料が頂きたいことが一つと、もう一つには先ほど桂田さんもお触れになつたと思いますが、つまりこの事業者は折角青色申告という制度があるのです。なかなかおやりにならない。先ほど桂田さんのお話だと僅か二割だという話です。私もこれは至る所でお奨めするのですが、なかなかおやりにならないのは、一体これをやらないのは、あなたがたその税制委員長としてどういうふうに御覧になりますかね。
#28
○公述人(山田正作君) これは青色申告のほうは税務署が極力法人会なんかにも廻つているわけですが、やはり本当の零細業者になりますと、なかなかそれで帳簿をつけるなんていうことは億劫で、どうも幾ら奨めましてもやらないわけなんです。それはいずれにしましても、これはもう本人のためでもありますから、極力やるように我々お奨めしているわけです。
#29
○堀末治君 これは私どもも常によく頼まれれ私は商工会議所の会頭なんかやつておりますから、我々の業者の中にもある。会員の中に書くことを奨めるけれども、やらないけれども、税務署に持つて行つて本当に税務署を突つ込むだけの資料がないのですね。それが困るものだから結局中小企業に資料がないだけにしわ寄せされる。私どもさつきのお話に二〇%であるという、これは実に遺憾だと思うのですけれども、何かあなたそういうような団体を通じてもう少しこれを強力に奨められませんですかね。
#30
○公述人(山田正作君) そのことにあらゆる団体が努力しているわけなんです。税務署とも連絡してやつておるのです。今後とも一層努力したいと思つております。資料は各団体のやつを相当にまとめてこちらの法貴さんですか、専門員のこちらにもやはり一応出ているわけです。
#31
○堀末治君 これは出ているのです。ところがずいぶんばらばらになつて出て来ているので、今日あなたは随分それをおまとめになつたようですが、これはなかなか我々の手でまとめてやるのも世話だから、若し何だつたらまとめて一つ……。専門員のほうでやつて頂けませんか……。それじやどうぞお願いいたします。
 それからもう一つ徳間さんにお尋ねいたしますが、あなたは地方交付税が反対で、平衡交付金制度を残すという御意見でしたな。それに対してもう少し一つお聞きできませんかね。
#32
○公述人(徳間幸太郎君) まあ私どもが平衡交付金制度を残して地方交付税法を反対ということは、先ほども申上げましたように、都道府県にとりまして、或いは団体によつて、私どもの立場から申上げますと、一応所得税、法人税、酒税、こういうものの二割、二〇%というもので規定をされております。で勿論国の徴税規模が増徴されれば、交付税のほうも二〇%でもたくさんになる、こういうことは言い得るわけです。併しながら問題になりますのは、やはり今国民の税負担というものが相当限界点に来ております。これ以上の担税能力ということは若干危険ではなかろうかということで、私ども職員の団体としては、国税のほうでもいわゆる直接税、或いは間接税もそうでありますが、税の軽減ということで、特に勤労所得税、その他の所得税を中心とするところの軽減をこの前お願いをしているわけです。そういう意味合いからも申しまして、非常に二〇%という数字が固定していない数字なんです。特に内容を見ますると、例えば本年度が二〇%でも、来年度が果して二〇%になるかどうか、こういう点について私どもとしては若干疑問があるわけです。従つてそういうふうに地方の財政規模の総額というものを絶えず変更ができるような内容であり、とりあえず本年度は二〇%だ、こういう点から行くと、非常に政府の施策によつて地方の財政規模というものが決定されてしまう。そうして地方には地方の特殊的ないろいろな事情なり条件というものがそれぞれあるわけですよ。こういう点が規正されてしまう。こういう点から私どもとしては今度の改正によりますところの交付金については反対をしたい、こういうことで先ほど申上げたわけです。
#33
○委員長(内村清次君) ほかにございませんか。
 それでは有難うございました。いろいろ御意見拝聴いたしまして感謝いたします。
 それでは午前中の公聴会を終りまして、午後は一時から開会いたしますから……。それではこれで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時三十四分開会
#34
○委員長(内村清次君) これより地方税法の一部を改正する法律案、入場譲与税法案、昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案、地方財政平衡交付金の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会の公聴会を午前に引続き開会いたします。
 開会に当りまして、公述人として御出席頂きました各位に御挨拶を申上げたいと存じます。本日は御多用中のところお繰合せ頂きまして、この公聴会においで下さいましたことを厚く委員長からお礼を申上げます。昭和二十五年度に制定せられました現行地方税法は、シヤープ勧告を基礎といたしまして制定せられたものでございますが、その後の実績と運用に鑑みまして、政府はここに大幅な改正の必要を認めまして、地方税を改正する法律案を国会に提出して参つたのでございます。これらの法案は重要な法律案でございますので、参議院の地方行政委員会におきましても公聴会を開催いたしまして、国民の各方面からの忌憚のない御意見を拝聴することにいたしたような次第でございます。どうか公述人のおかたがたは、腹蔵のない御意見を聞かせて頂きますことを特にお願いを申上げておきます。公述人のおかたがたには大変恐縮とは存じますが、時間の関係と、公述人の御人数の関係で、各員一人あたりの公述時間を十五分間として、これを守つて頂きたいと存じます。公述は求められましたこと以外には亘らないようにお願いをいたしたいのであります。又公述が終りましてから、各委員各位から質疑がございますが、そのときもどうか御遠慮なくお答えを頂きたいと思います。
 それでは、これから公述人のかたがたに公述をお願いいたすことにいたしたいと存じます。日本乗合自動車協会理事伊勢田豊君。
#35
○公述人(伊勢田豊君) 只今委員長より御紹介を頂きました伊勢田豊でございます。参議院の地方行政委員会におかれましては、地方税法の改正に当りまして公聴会をお開きになり、本日ここに私をお呼出しを頂きまして、自動車業界の声をお聞き頂きますことは、私どもにとりまして誠に感謝に堪えない次第であります。私は、ここに全国の自動車業界を代表いたしまして、自動車税等についての意見を申述べる次第でございますが、不幸私は自動車税に関する限り一番虐待せられているバス事業に関係しておりますので、最も身近な今回のバスに対する自動車税の改正が如何に苛斂誅求的な大幅な増税であるかということを申上げまして、これが行過ぎの是正を本委員会の諸先生がたにお願いせんとするものであります。
 回顧いたしますと、昨年の春標準のバス一台一万円であつた自動車税を先ず一般のバスと観光バスの二つにお分けになりまして、バスは一万六千円、観光バスは二万五千円と不当に値上せんといたされました衆議院案を、当参議院は公正妥当な御見解の下に一部修正をお加えになりまして、路線バスの自動車税を一台につき二千円減ぜられましたことは、未だ私どもの記憶に新たなるところでありまして、私どもはこの機会に参議院に対し深く感謝の意を表する次第であります。さて、その後におきましても、バスに対する風当りは税に関する限りなかなか厳しいものがございまして、自動車税におきましても、或いは後段申述べます外形標準課税におきましても、二十九年度は更に形勢悪化の気配が濃厚になつて参りましたので、自治庁に対しましては、バス及び観光バスの標準定員の三十人を、実情に即するよう四十人から五十人の線に変更せられるよう陳情いたしますと同時に、一方では当時すでに二十九年度自動車税の大幅値上が一部に伝えられておりましたので、これが緩和方につきまして各方面への陳情を始めたのであります。ところが自動車税の標準定員につきましては、幸い自治庁の御同情と御理解を頂きまして今日或る程度の御修正を頂いたのでございますが、願わくばいま一歩路線バスの定員を修正せらるるよう念願しておる次第であります。
 ところで、一方問題のバスの自助車税に対する自治庁のお考えは、本年度はバスをガソリン車と、ヂーゼル車に区別して、税額を左右するという新方法を立案せられたのであります。つまり、税を払つた、ガソリンを使用する車と、税を払わない軽油を使用する車とに分け、これら二つのものの自動車税に差等をつけようというのでありまして、ハスの標進軍はガソリン車の一万四千円に対し、ヂーゼルは二万三千円、観光バスはガソリン車三万円、これは本年度の二割上となりますが、此の三万円に対しましてヂーゼル五万円ということになりました、このヂーゼル車の税金は本年度の二倍、そうして一年前の五倍になつたわけであります。
 私ども全国のバス業者は、今日国の緊縮予算に対しましても、決して無関心ではありませんん、又地方庁の苦しい今日のお台所にも、十分理解を持つ者でございまして、従つて私どもは公正妥当な税につきましては、進んでお納めいたす所存でございますが、いろんな理窟をつけて、毎年々々定例的に自動車税が増徴せられ、あまつさえ一年のうちに、三倍にも五倍にも税が跳ね上るというがごときは私どもとして未だかつて耳にしたことも、ございませんし、全国バス業者の、何としても承服いたしかねるところであります。
 私はここで順序といたしまして、ヂーゼル車に対する増税と、観光バスに対する飛躍的な増税について申上げることにいたしたいと思いますが、先ず最初にヂーゼル車が今日のように行渡つた事情から申上げますと、戦後の経済事情と石油事情、そして車両の大型化の必要上、国の慫慂で、昭和二十二年官民合同の「ヂーゼル普及会」が生まれたのであります。それで業界といたしましては、新車購入の場合、ガソリン車と、ヂーゼル車とでは現在の価格にいたしまして、七、八十万円から百万円の開きがあるにいたしましても、そうして車が古くなるに従いまして修理費がヂーゼル車のほうが嵩むのでございますが、何と申しましてもガソリン車に比較いたしまして馬力が強く、油の費用が安くつくというので、今日のごとく、ヂーゼル車が殖え、現在我が国のバス約二万五千両余りの中その六割がヂーゼル車になつたのであります。従つて国策の名によつてヂーゼル車を普及使用せしめながら、今日となつてこれに重税を課せんといたされますことは、私どもの全く了解に苦しむところであります。これについては一応過去のいきさつの御調査をお願い申上げたいと私どもは存ずる次第であります。
 次に、私は観光バスに対する飛躍的な増税の裏にひそむ一般のかたがたの誤解について申上げたいと存じますが、実は昨年来の観光バスに対する増税の足取りを見ますと、各方面の御意向はどうも観光バスを白い目で見ていらつしやる。つまり非常に贅沢なものとして見ておられるか、或いは観光バスは非常に儲けておるらしいとお考えになつておられる向が相当多数ありまして、自然知らずくの中に観光バスに対する自動車税を上へ上へと押上げておるように見受けられるのでありますが、では果して観光バスはそのように贅沢なものであり、且つ有利なものであるかどうか、私はここで簡単にそれについてお答えを申上げることにいたしたいと存じます。
 最近における観光バスの需要の内訳を申上げますと、大体学生団体視察、見学、旅行等が殆んどその七割を占めておりまして、純然たる観光は極く少数であります。而もそれとてもやはり大衆を相手にいたしておりまして、決して贅沢な存在でないことはお客様の顔触れを見て頂くことによつて十分御納得が頂けるものと存ずる次第であります。
 次に観光バスは有利な事業であるかどうかということでありますが、成るほど観光バスが年中シーズンのように忙しいといたしますれば、これは相当有利な事業であることに間違いないのであります。併しこの中業には長いシーズン・オフがつきまとうておりまして運賃二割引でお客様を観誘いたしましても、一年の中何カ月かは閑古鳥が鳴き、運転手もガイドもあくびをする目が毎日のように続く時があるのであります。只今全国バス業者の中の約六割かは観光バスを兼営いたしているのでございますが、この兼営業者はシーズン・オフには殆んどもう人や車を路線バスに廻すことができます。営業上の損失を阻止することができるのでございますが、全国五十二社余りの観光バスの専業者の中にはシーズン・オフに春秋の利益の大半を食いつぶすのも決して珍らしくないのでありまして、この辺に観光バス事業のむずかしさがあり、必ずしも車体の塗色が派手なほど有利な事業でないということを申すことができるのでございます。
 では、この辺で自動車税の問題を打切りまして外形標準課税について申上げることにいたしたいと思います。昨年税制改革委員会の御答申が政府にいたされまして、私どもバス事業も外形標準課税から所得課税に移されるものとひそかに期待しておりましたところ、トラック、タクシー事業は答申案通り、所得課税にされ、同じ自動車事業であり、同じ確定運賃制を採用しているバス事業だけが、依然として外形標準課税の艦の中に取残されましたことは、私どもの全く了解に苦しむところであります。私どもは昨秋政府の方針を仄聞いたしまして以来、自治庁その他に対し極力事情を訴え、他の同種事業との不公平なる取扱の是正につきまして陳情して参つたのでありましたが、遂に力及ばず今日と相成つた次第であります。私どもバス業者はたとえ事業上に損失を生じました場合でも自動車税とか或いはガソリン税とかを現に負担しているのでありますから、せめて事業が赤字の場合だけ外形標準課税が免除される措置を講じて頂きたいと申しているのであります。私どもはこの点につきましても、当委員会の公正な御裁断をお願い申上げる次第であります。
 終りに臨みまして、私はバス事業が、公益事業として幾つかの義務を背負い、比較的恵まれない立場にある点につきまして申上げたいと存じますが、其の第一はバス事業は、年中無休であり、そして雨が降つても風が吹いても、きまつた時間に、そしてお客様があるなしにかかわらず、バスを動かして地方交通の重責を果しておるのであります。次に全国のバス業者は、平均約五割の採算のとれない赤字路線をこれ又大衆のために経営いたしております。普通事業にはこのような愚かなことはございません。国から一定の運賃を定められ、学生運賃の割引、季節の割引などもすべて監督官庁の許可通り行うことになつておるのであります。
 次に現行のバス運賃は去る二十六年に定められたものでありまして、その後車両や諸物価の値上り、人件費の高騰、税金の値上りなどで、バス事業の経営は非常に苦しくなつておるのであります。それでもはや今日といたしましては、バス運賃の値上げを申請いたさねばならないときが参つておるように存ぜられるのでありますが、交通機関の運賃値上げは国策上絶対許可しがたいとの国会の強い御意向もございますので、業界案程度の自動車税の値上げ、つまりヂーゼル車の五割の自動車税の値上げということでありますが、これも誠にバス業界といたしましてはつらいことではございますが、これをお受けすることにいたしまして、何とか収支の辻棲を合せ、現在の窮境を切り抜けてやつて行きたいと決心いたしておる次第であります。
 以上申述べました幾つかの事例は、いずれも公益事業なるが故のバスの苦しみであり、悩みでありまして、これらの諸点につきまして、特に格段の御同情と御理解を賜わり、上に申述べました全国バス業者の念願が達成いたしますようお願い申上げまして、私の公述を終らして頂きます。
#36
○委員長(内村清次君) 有難うございました。
  ―――――――――――――
#37
○委員長(内村清次君) それでは次に、静岡県磐田郡福田町長大竹十郎君。
#38
○公述人(大竹十郎君) 今日は全国町村会から関井会長が出まして、先にお手許へ御送付申上げました地方税法の一部を改正する法律案に対する全国町村会の意見と、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対する意見、これを詳しく御説明申上げまして、皆様の法案審議の御参考に供するはずでありましたが、折悪しく差支えのために私が代つてお願いに出たような次第であります。
 すでに今申上げました資料で全国町村会のあらましの意見というものは一応御覧頂けたことと考えまするので、そのうち重点的に考えておりまするものを時間の許すだけに申上げさして頂きたいと思います。
 先ず第一が道府県民税の創設に対する町村会の意見であります。町村会としては道府県民税の創設に対することに極力反対するものであります。反対の理由は多々ありまするが、先ず第一に今までなかつた県民税を新らしく起すということは、これは負担分任の理論を貫くためだ、こういう説明であります。結局そういう思想は府県を町村と併立する自治体ということに考える思想に発足しておる、こう思うのであります。町村会としては府県の性格はそう町村と同様な完全自治体として行くべきものではない。であるから特にこの際県民税というものを新らしくこしらえる必要はない。こういう考え方であります。御承知の通りに府県の性格については只今いろいろ議論の焦点になつていると思います。最近の論説、論調においても、或いは知事は公選よりも任命制、官選にするほうがいいというようなことが言われています。それから町村合併と同様に府県も合併して道州制というような方向に進んで行くほうがいいというような議論も又有力に行われているのであります。かようなことは結局府県の持つ国と市町村との中間的な性格のうち、国の出先機関であるという点に重きを置いて議論の筋を立てておるものであります。私ども市町村としても、要するに府県は今後そういうむしろ国の出先機関的の性格のほうに進んで行くものと考えております。従つてこの際自治体として育成するような負担分任の原理に立つ県民税というのは、県の性格上から言うてこれはこしらえる必要はない、かように考えるのであります。負担分任と言うても、今回の税制においてはたばこ消費税が県に設けられる。これは間接税でありますけれども、殆んど県民の税に予想する納税義務者の数倍に亘る府県民がこの義務を背負うことになります。それから又現在においては町村を通じて府県の財力をいわゆる地元負担というような恰好において、すでに相当額府県の当然負担すべき金を町村が負担しておる、これが実情であります。その実情から言うても負担分任はすでに相当程度出ておるのであります。これ以上に更に分任ということを理由に県民税というようなものを新らしく起す必要はない、これが第一の論拠であります。
 又それを起すことに反対の第二の理由は、県民税を起すにしても、これは国の財政の犠牲において起すべきが当然である。市町村における一番頼みにする税源である町村民税を分割してその一部を府県のほうに移す、こういう考え方に反対するのであります。今回の税法によれば、町村民税のうちの三百円の百円均等割、それから所得割約二割というものを府県のほうに持つて行こう、こういう案でありまするが、これは非常に町村としては独立の自主財源を失うことになるのであります。現在においても実財源として町村に与えられた税源というものは町村の収入の中の僅かに四〇%にしか過ぎない実情です。その四〇%に過ぎないものの中から均等割については三分の一、所得割についてはその二割というものを府県のほうに移すということは何としてもこれは町村には大なる打撃である。これが県民税に反対する第二の理由であります。
 それから第三の理由として、これは今の町村民税を府県民税に移すがための補いとしてたばこ消費税を設ける、こういう恰好になるのであります。これは税法上において大蔵省の計算するやり方で行けば、差引若干その町村に税源が殖えるような計算になりますけれども、たばこ消費税は、これは大都市或いは文化程度の高い土地においてこそその売上高が多いのであります。田舎の農村においては平均を頗る下廻る額にしか達しないのであります。これを相互に計算してみまするというと、得るところは失うところを補うのに若干の不足を来たすというような状況であります。私の静岡では丁度約四百カ町村あります。これをこの改正税法によつて検算をしてみまするというと、税法によつてやや増すところが三分の二、それからやや減るところが三分の一、で結局それで従来から平衡交付金をもらわずに自活のできた交付団体というのは全然これは差引大なる税源を失う、こういう結果になる。そういうような意味合においてこの税には町村としては何らプラスにならない、こういう結論を下さざるを得ん、こういうように思うのであります。それからこの徴収を全部市町村に任せる、こういう建前になつておりまするが、これは又町村としては堪えがたい大変な負担であります。いろいろの手数がかかるだけの問題でなしに、これ以上府県の仕事まで町村がしよい込むというようなことは町村としては非常に迷惑に存ずるというようにも考えるのであります。かたがたこの県民税の創設ということに対しては、町村会としては全然賛成するわけには行かないということでありますから一つよろしく御勘考願いたいとかように考える次第であります。
 それから最後に平衡交付金の問題であります。これは地方制度調査会においては結局不足する場合には繰入を行い、余つた場合には積立てる、こういうことを条件にこれは可決した制度であります。ところが今度の法案を見ますると、その肝腎の積立、繰入のそれがオミツトしてある。全くこれはあてがい扶持で、足らなくなつたらそれは特別平衡交付金のほうでやるんだ、余つたら特別平衡交付金のほうで引くんだ、こういうふうな仕組になつております。これでは現在の基準財政収入、需要額の全く切り詰められた最低限度のようなきめ方になつておるところにおいては、到底その自治の進展というのは期し得ない、非常にこれは困つた制度になりますから、若しこの制度をこしらえるのであれば、今の収入、需要額を差引して足りなくなつたならば必ず繰入れるという制度をとらなければ、到底町村としてはこの改正に賛成をすることはできないということであります。
 それからたばこ消費税については、これは地方制度調査会できめた税率が約半分にしかなつておらない。これもこしらえるならばこの倍額程度に増加して頂きたい、かように思います。それから固定資産税につきましても、その一部を県税に委譲するとか、或いは税率を大規模資産について引下げるとか、政府の都合によつていろいろ出ておりますけれども、そういう点にはすべて反対であります。お手許に先に差上げました文書によつて一つ十分御検討下さらんことをお願い申上げます。終り。
#39
○委員長(内村清次君) 有難うございました。
  ―――――――――――――
#40
○委員長(内村清次君) それでは次に十条製紙株式会社専務取締役金子佐一郎君。
#41
○参考人(金子佐一郎君) 私は大企業の立場から少しく意見を述べさして頂きたいと思います。
 先ず今回の地方税制の改正の問題について考えなければならないと思いますことは、この改革の大方針というものが地方団体の自立態勢を強化ずるということ、又独立財源の充実を図るというように考えられておるのであります。併しこれはすべて国民経済の現状と、又その負担能力ということをよく考慮をしなければ適切なこととは言えないのであります。まあ従つて税制改革という問題は常にこれらの点を見合せて、それが適切であるか或いは否かということが考えらるべきでありましよう。まあ今回もこの府県並びに町村会におきまして、この税源の移動とか、或いは又府県税の創設というようなものも取上げられているように見えるのであります。併しかかる問題については非常に慎重に考慮されて然るべきだと思つております。特に私どもといたしましては、昨年来今回の税制改革が、少くとも減税になるということが国民全体の希望でもあつたように思います。然るところ国税について見ましても、所得税を中心にする減税も、間接税の増徴等によりまして、実質減税はイクオール零というようなことになつておるわけであります。少くとも我々はこの地方税においては、何分かの税負担の軽減が図られ得るものと考えておつたのでありまするが、これ又市町村税につきましては、六十三億余の減税が考えられておりますけれども、道府県税につきましては二百五十八億の増税となり、差引百九十六億余の増加ということが考えられております。これは現状の経済並びに国民の負担力から言つて誠に遺憾至極であります。併しこれも元はと言えば、国が一兆円予算にあらゆる努力を傾倒して参りましたので、二十九年度の地方財政の規模は九千六百億の程度と伺つております。従つてかかる観点から行けば、根本的にはやはり地方財政においてできる限り緊縮を図るということを前提としなければ、この税制改革において税の軽減を期待し得ないということも、おのずからその結果となるものと考えられます。ここにおいて、私どもは今回取上げられました問題のうち、特に固定資産税について意見を述べさせて頂きたいと思います。
 固定資産税がシヤウプ勧告によつて昭和二十五年に地租、家屋税を合せてこれが実施されたのでありますが、当時からこの税は二つの問題を持つていたのであります。一つは外形標準課税である、言い換えてみれば、利益があつてもなくても課税されるということ。いま一つはこの課税標準が非常に掴みにくいということでございます。この二つの問題はやはり今日に至るまで根本的の問題としてこの固定資産税が論議されているようでございます。併しながら固定資産税のうち土地、家屋につきましては、従来は地租、家屋税等によつてこれは我々としては課税を受けておりましたのでありますが、このシヤウプ勧告によつて初めて取上げられた償却資産に対する課税の問題、これは財界が今日までその当初以来事ごとにこれの廃止を叫んでおるのでありますが、遺憾ながらこれが実現し得ないで今日に至つておるわけであります。この償却資産は事業会社でありますれば、これは非常に多く持つことは明らかであります。而もそれが事業によりましては、巨額な償却資産を持つために、この負担について多くの問題を蔵しているわけでございます。これらに課税することは産業設備の更新、近代化、或いは合理化の促進、資産再評価の実施等についても、これはどちらかと言えば矛盾を来たしている現状であります。又税源の偏在する結果にもなるわけでありますが、特に問題になりますのは、これらの事業資産の収益に対して事業税がかかつている以上は、又この元であるところの償却資産にまで税金をかけるということは、その意味においては二重課税ではないかと考えられます。曾つて営業税をとつて、地租、家屋税をこれから差引いて二重課税を防ぐというようなことが行われたようにも聞いておりますが、かかる観念は依然として私は考えてもよろしいのではないか、特にこの償却資産には大体百六十億円の収入が見込まれておりますから、これはまあ全体の地方財政から見ましたら、大した金額でないとも言えるのでありまして、これらはできる限り財源の見地から言つても、他の税に振替えることができれば望ましいと思つております。特に私が今日強調いたしたいのは、最近経済界は特に悪化して参りまして、収益が各企業とも減退をしておるようであります。こうなりますと、シヤウプの考えておりました当然の応益主義から言えば問題のないような固定資産税も非常に負担能力がない。而も物価は如何にデフレ政策を今後とられるといたしましても、何と言つても、これらのものの上昇は無理であります。固定資産税は増される傾向がありますが、これを負担する企業の収益は減退するというような傾向にあります。これらについて企業は非常にこの問題については苦慮するものと考えられるのであります。従つてこういう税についてはできる限り機会を持つて撤廃するか、或いは暫定的には軽減措置も考えられなければならないと思います。特にこの原価の中に占めます割合は、売上原価に対して一%と言われております。そして償却資産をたくさん持つておる会社につきましては、二%乃至三%のものもあるようでございます。併し二十七年下期の日本銀行の調査によりますと、売上原価と利益の割合を見ますと、全産業の総平均は四分五厘程度が収益の関係にあるようであります。そういたしますと、この中から一%乃至二%ということは相当大きな数字だとも言えるわけでございます。いずれにいたしましても、これらの収益を基準としない外形標準課税の問題は、今後とも景気か悪くなればなるほど問題になるものと考えております。
 もう一つ、この際特に御留意願つておきたいのは、再評価がこのたび強制されるに至りまして、この再評価の強制については再評価税等にも相当の議論がありました。再評価税は撤廃すべきであるというような強い意見もあつたのであります。併しこれは税率も低いばかりでなく、僅か一回限りであつてそれも分納が許されているということでありまするけれども、これによつて固定資産税が増すようなことがあつてはならないということで、自治庁方面にもお願いをいたしておりますが、大変理解は持つておられます。従つて恐らく二十九年は別といたしましても、三十年以降はこれらについては適切な調整が図つて頂けるものと我々は期待しておるわけでありますが、ただ二十九年度の分、これは昨年の再評価が許されたときいち早くやりましたような企業については、もう二十九年度の課税標準にそれが織込まれておりますので、この点は恐らく、来年これは修正されるといたしましても、一年分は非常に負担が不公平になるというような点について、一部に問題があることも御了承を願つておきたいと思います。特に今後はこれらの簿価主義によりましてこれが考えられるという点につきましても、この再評価の強制が八〇%にとどまるというところでありまして、これ以上企業の任意においてこれをやつた場合において、固定資産税が殖えるということのないようにいたさなければならないとも考えられるのであります。
 それから今回の改正案の中に、発電、変電施設、或いは地方鉄道、それから企業合理化に関する資産、所得税、法人税の免税になつております。重要物産の製造設備、或いは外国航路の船舶、航空機等に対するこれらの負担の緩和措置が考えられたようであります。併しながら、一部にはこれらの緩和策は必要ないがごとき御意見もあるようでありますが、これは是非ともこの原案通り実施を願いたいという希望でございます。それは結局これらのものが、やはり個人の負担軽減ということに重きをおきますと、如何にも大企業を有利にするというような感情的の問題がないとは言えないのであります。併し、これらの償却資産を非常に多く持つ企業、並びにこの近代化を是非とも必要とするような企業について、これらの企業の税の軽減を図られることは、これは翻つて国民全体に及ぼす影響というものは相当大きいのであります。従つて、この電気の問題にいたしましても、これの税が強くなりますれば、又料金値上等によつてこれが撥ね返つて来るという面もあります。いろいろとこれらの問題が、必ずしも大企業の利益を図るというような一片の感情論においてこれが片付けられることがないように、是非ともお願いを申上げたいと存ずる次第であります。固定資産税につきましてはそれくらいにいたしまして、ただこの電気、ガス税の問題につきましては、これはしばしば問題になつておるのでございますが、この電気、ガス税は現在の実情からいたしましても、できる限り撤廃若しくは軽減されることが然るべきではないか。特に財界から強い要望がありますこともすでにお耳に入つておると思いますが、この機会に改めて申上げたいと存じます。特にこの電気事業の原価の中に含まれます割合を見ますと、二十七年度の原価をとつて見ますと、固定資産税が僅か四%である。僅かと申しましても、全産業に比べれば多いのでありますが、四%に比較いたしまして、電気ガス税は七%にもなるというわけであります。これらの事情から申しましても、是非御配慮を願いまして、この電気関係を多く使用いたしますところの企業が特別な負担とならんように御配慮が願わしいと存じます。丁度時間も参りましたので、これで終ります。
#42
○委員長(内村清次君) 有難うございました。
  ―――――――――――――
#43
○委員長(内村清次君) それでは次に立教大学教授の藤田武夫君。
#44
○公述人(藤田武夫君) 今朝来いろいろの立場から公述人のかたの公述がございましたようでありますが、私は勉強をいたしております者として、第三者的な立場から問題を取扱つてみたいと思います。併し、非常に時間が制限をされておりますので、主要な問題だけにつきまして、而もそれも非常に結論的な意見だけしか述べられないと思うのでありますが、その点御了承を願いたいと思います。
 先ず第一に、今回の地方税法の改正案の提出そのものが非常に順序が顛倒いたしておりまして、地方税法改正の役割、意義というふうなものを考えまする場合の妨げをされておるように思うのであります。と申しまするのは、御承知のように、今日国会におきましても、地方自治法の改正案、或いは警察法の改正案、その他地方自治関係の諸法案が出ております。更に、政府関係では知事官選論も唱えられておるような状態であります。こういう状態の下において、地方団体、特に府県というふうなものが将来どういう性格を持ち、又はどういう役割をして行くのかということがどうもはつきりしないのでありまして、又地方自治全体をどうするのかということも明確でない嫌いがあるのであります。こういう事情の下におきまして、その地方団体の経費を賄うべき税制問題を先ず先行して取上げるということは、これは順序として非常に狂つておるのではないか。先ず各種の地方団体がどういう地位を持ち、又どういう役割をするかということが明確になりまして後に税制を改正すべきものであり、又その地方団体の役割によりまして、それに与えるべき財源の種類、或いは税金の種類も当然に変つて来るのであります。例えば非常に国家的な性格の強い団体であれば、国庫支出金によつて大幅に賄うとか、或いは又は税種にいたしましても、若し非常に国家的な性格を強くすべきだというふうな場合には、住民自治の名の下において府県民税を創設するということも矛盾であります。こういう意味におきまして、他の地方自治関係の諸法案の成り行き並びに政府の地方自治に対する将来への考え方というものと共に、地方税制改正案というものが審議されなくてはならないのではないかと、先ず第一にそのように考えるわけであります。
 道府県税の問題に入りたいと思いますが、先ず道府県民税の問題であります。若し道府県が非常に官治的な性格が強まり、又場合によつては官選知事というふうなことが実現されるのだといたしますると、住民自治の名の下において府県民税を設けようとすることは、これは明らかに、先ほども申しましたように一つの矛盾であると思うのであります。併し、私といたしましては、現在の段階ではやはり道府県に自治を認めるということが必要ではないかと思つておるのでありますが、そういたしますると、道府県民税の創設ということも当然考えられるわけであります。併しながら、そうかといつて今度政府が提案いたしておりまするところの道府県民税をそのまま賛成するというのではないのであります。と申しまするのは、今度の道府県民税は御承知のように、従来市町村が持つておりました市町村民税の約四分の一というものを割いて、これを道府県に設けるという形になつております。ところが、御承知のように市町村も非常に赤字の団体が殖えておりまして、非常に窮迫をしております。そういう場合に、果して市町村民税を割いて府県民税に持つて行くことが将来の市町村財政にどういう影響を与えるか。又百六十九億の府県民税が道府県に設けられましても、それだけのもので来して現在困つている道府県の独立財源が十分拡充されるかどうか、こういうことを考えて参りますると、将来は道府県民税なり市町村民税というものが必ずや増税されて来るのではないかという危険が十分感ぜられるのであります。これは市町村税につきましても最初は僅か七千万円で出発いたしましたが、間もなく非常に厖大な額に上つたのであります。而も今回の道府県民税はその所得割は市町村民税の所得割に比例して賦課するという建前になつております。ところが市町村民税の所得割は現在非常に大衆課税的な、特に農村方面においては大衆課税的な傾向を持つております。それに比例して道府県民税が課税されるということは、更にそういう傾向を促進するのではないかというふうに思うのであります。従つて若し都道府県に自治体としての独立税源を与えようとするのであれば、市町村から割くという方法でなしに、国の所得税からこれを割いて道府県民税を設けるべきである、勿論こう申しますると、国の予算にすぐに影響する問題でありますが、これは更に進んで国の予算、歳出の内容の検討にまで遡ぼらざるを得ないと思うのであります。
 次に事業税の問題でありますが、今回個人事業税の税率が八%に引下げられたことは賛成であります。なお個人事業税の基礎控除の問題につきまして、今回は七万円に引上げられております。併しこれではなお少いのであつて、できれば二十万円程度まで引上げるべきである。と申しまするのは、御承知のように個人の事業におきましては、その所得の計算におきまして、その事業主なり又家族の労賃部分というものが法人の場合のように軽減されておりません。従つて純理論的にはそれを軽減すべきでありますが、これが徴税技術上不可能であるとすれば、基礎控除において何とか考えるべきではないか、所得税の場合と、今度の二十九年度からの所得税を見ますと、夫婦と子供三人の場合に大体基礎控除と扶養控除で十八万五千円ということになるのであります。そういう点からも併せまして、二十万円までの基礎控除はあつて然るべきではないかというふうに思います。
 更にこの事業税の非課税の範囲でありますが、農林業については依然として非課税方針がとられておりますが、今回は個人の行う農林業、個人という字が付いたのでありますが、この農業についてもこれはシヤウプ勧告当時とは違いまして、かなり統制は撤廃されており、従つて主食の部分以外の部分についてまで軽減の措置でなしに、全然非課税にするということには疑問を持つのでありますが、特に林業につきましては、これは当初からどうも一定限度以上の、勿論林業でありますが、ただ農夫が自分の柴を集めるといつたような程度でなしに、常業として行われておる林業に対して事業税を非課税にするということについてどうも納得が行かないのであります。
 次に入場税の国税移管の問題であります。これは只今非常に問題になつておりますが、その国税への移管の理由は自治庁長官の説明によりますると、一つは富裕府県に義務教育費国庫負担金というものが交付されるようになつた。それで富裕府県にはかなり財源が余るというわけではないでしようが、財源が豊富に与えられる。だからそれの埋合せに入場税を全体の府県に配分するようにしよう、それからもう一つは貧富都道府県間の財源のアンバランスをこれによつて矯正しよう、こういう二つの理由のようであります。先ず第一の理由について考えまするに、義務教育費国庫負担金が富裕県に交付された、それの穴埋めとしてこういう措置が適当であるかどうか、もともと持つておつたところの独立財源を取上げるということが果して自治を尊重した態度であるかどうか、若し国庫負担金の増大が問題であるならば、むしろ他の国庫補助金の交付について手加減をすることを考えてはどうか、最近アメリカなどでは州の地方団体に対しまする補助金にもかなりその団体の貧富によりまして差等を設けております。そういうことも決して補助金について不可能ではないと思うのであります。更に税源のアンバランスの均衡でありますが、これもすでに地方団体が持つておるものを取上げるというやり方ではなくて、やはり平衡交付金式のものによつて国から財政調整をするという方法が適当ではないかというふうに思うのであります。
 時間がありませんので市町村に移りたいと思います。先ず市町村民税でありますが、これは先ほど申しましたように、道府県民税の分だけ市町村民税から割愛するという行き方は、政府でも絶えず言つておりますように、市町村は基礎的な自治体である、今後育成すべきだ、そのために町村合併もやつておるわけでありますが、そういう線と非常に食い違うのではないかというふうに思うのであります。それから市町村民税が先ほど大衆課税になつているということを申しましたが、この傾向を進めておりますものは、市町村民税中の所得割というものについて第二方式によりますと、百分の十という制限税率がございます。この百分の十で上が押えられておるために、どうしても低額所得者のほうにしわ寄せをされるという結果に事実相成つております。だからこの百分の十という制限税率はこれをもう少し大幅に緩和すべきではないか。なお市町村民税につきましては勤労所得者の所得が非常に正確に、これは当り前の話でありますが、正確に押えられて相当負担が重くなつておる。そういう点から勤労控除を考える必要があるのではないか。
 次に固定資産税の問題でありますが、今回の固定資産税を見ますると、税率は百分の一・四に引下げられておりますが、一方大企業関係の固定資産、例えば産業合理化のための機械設備とか、或いは発電、送電、変電、重要物産の製造とか、そういつた固定資産についてかなり手厚い優遇策が講ぜられております。例えば評価価格の三分の一又は二分の一に課税する、こういう政策というものは、これは国が日本経済の自立のために必要だというのでするのかも知れないのでありますが、併しそうであれば、それは国の国税又は国の他の補助政策とかそういつたものでやるべきであつて、これを市町村が直接にそれによつて非常に打撃を受けるようなこういう固定資産税においてやるべきではない。このためにおのおの事情の違つた市町村が非常に大きな打撃を受けるわけであります。
 それから電気ガス税についても大体同様なことが言えるのでありますが、特定産業について非課税をするというふうなことを言つておりますが、そういう必要がどの程度にあるのかどうか、又電気ガス税というふうな税金は、私としては寡聞にして外国にも余り見受けたことのない税金でありますが、できればこれを廃止する、又税率を半分ぐらいに減らすということが国民生活の上から要求されるのではないかと思うのであります。
 それからたばこ消費税でありますが、これは府県及び市町村共通の問題でありますが、今回の税制改正におきまして、このたばこ消費税を国から一部地方に譲つたということは、これはかなり優れた改正であると思うのであります。これによつてたばこの値上げをすることは私は賛成できないのでありますが、併したばこ消費税の委譲の率が最初地方制度調査会で考えられましたものよりも半減又はそれ以上にされております。そのために税制改正の最初の目的が非常に不十分になつておるのであります。そういう意味でこの委譲率、地方制度調査会の委譲率を、即ち府県には百分の十、市町村には百分の二十という程度くらいに委譲されることが適当ではないかというふうに思うのであります。
 それから地方財政平衡交付金法の改正の問題でありますが、これを今回地方交付税に改める、このことはその財源を確保するという面においては非常に結構なことかと思うのであります。併しながら国の所得税、法人税、酒税の二〇%というもので押えられるために、ともすると平衡交付金本来の役割を非常に抑えつけられるという結果になりはしないかということを憂うるのであります。現に今回の法案の中にも基準財政需要額が基準財政収入額を超える額が平衡交付金総額の百分の九十四を超える場合には財政需要額のほうを調整するということを言つております。これはもうすでに財政需要額のほうを抑えようとすることの兆しでありまして、こういうことはす、べきではなく、必要な場合には法律を改正して繰入率を改めるという方法にすべきではないかというふうに思うのであります。
 以上時間がございませんので、非常に極く粗筋を申上げたのでありますが、今回の税制改正によりまして六百二十四億円の地方税の増収があると言われておるのであります。併し一方府県警察、或いは給与べースの改訂等で殆んどそういうものは食われてしまう。だから結局最初に地方制度調査会以来企図されました地方税、独立税の強化ということも非常に力弱くなつている。又最初から非常に市視されました貧富地方団体間の財政のアンバランスの均衡ということも、或いは遊興飲食税の国税移管が中止されたり、或いはたばこ消費税の委譲率が低減されたというようなことで非常に弱くなつています。こうした結果、今回の税制改正だけで以て将来の地方財政が現在の窮迫状態を逃れられるというふうには到底考えられないのでありまして、この際国内行政における府県市町村の地位並びに地方自治というものを将来どういうふうに考えるかということを十分御検討願いまして、それに副つた税源の配分の方法というものを確立して頂きたいと思います。
 なお最後に一言申上げておきたいのでありますが、私もよく地方の農村や府県その他に調査に参りますが、最近では地方の農村の人たちも国税や地方税に対する批判力をかなり高めて参つております。そういう意味におきまして、どうか税金の使い途を検討し、正しくすることも必要でありましようが、税金の徴収の仕方、負担関係ということについても十分御検討願い、いろいろな不明朗な事情によつて歪められるというようなことがないように、筋の通つた税法というものができ上るように切にお願いして、私の公述を終りたいと思います。
#45
○委員長(内村清次君) 有難うございました。
  ―――――――――――――
#46
○委員長(内村清次君) それでは次に主婦連合会総務の藤田孝子君にお願いいたします。
#47
○公述人(藤田孝子君) 私は家庭の主婦といたしまして、地方税法の改正法案を拝見いたしましたときに、特に感じますのは、何か緊縮財政と逆の方向に進んでいる、つまり行政整理に相反しているような感じがするのでございます。例えば譲与税などで申上げますと、一旦国に移したものを又譲与税として地方に与えることによりまして、依然として地方にはその職員が必要なのではないのでございましようか。又国にも必要だと思うのでございます。つまり二重になつて、従つて人の面でも物の面でも無駄な面が多くなるのではないかということを冒頭に申上げまして、私の以下卑見を述べさせて頂きたいと思います。
 今般の改正におきまして、最も大きな問題は何と申しましても、私は入場税の国税移管の点であろうと存じますので、先ずその点から述べさして頂きます。御案内の通り現在の地方税である入場税百九十二億円を国税に移管し、その九割の相当額であるところの白七十二億円余を各府県の人口に按分いたしまして地方に還元するわけでございますが、私どもはかかる税体系の基本改革につきましては、慎重を期して頂きたいのでございます。御承知の通り現行の府県税制は事業税と入場税と遊興飲食税の三大税源によつて成立つておるものでございまして、入場税は事業税に次ぐ税額を持つておるのでございますから、府県の自主税源といたしまして、極めて重要な部分を占めているのでございます。昭和二十八年度において東京都の府県税分、これは調べて参つたのでございますが、東京都の府県税分の収入見込額を申しますと、事業税が百五十七億円余、入場税が五十一億円余、遊興飲食税が二十四億円余、その他の税が十三億円余となつております。従いまして、この入場税を国税に移管されますことは、府県といたしましては三大税源の中の一つを失うことでございまして、府県税体系の根本に触れる問題であるのみならず、府県税制によつて立つ基盤を覆すことになると申上げても過言ではないのでございます。私はこのようなことが果して地方税制確立の名に値いするものであるかどうか、この点を御指摘申上げたいのでございます。もとより府県税につきましては、これと並行いたしまして、別に府県民税、不動産取得税、たばこ消費税、譲与税等の新税を起すことも考えておるようでございますが、地方団体の財政、地方住民の負担に直接関係のあるところの地方税制の根幹というものは、新税を起して穴埋めをするからといつて、そのように簡単に抜きさしをしてよいものとは思われないのでございますが、府県財政を充実してやるというお考えがございましたら、むしろ従来の根幹は根幹としておいて、その上に適当な新税を付加えてやるという考え方、親心が欲しいのではないので、ございましようか。そうすることによりまして、地方税制も安定し、地方財政も安定が保たれるのではないかと思うのでございます。かかる方途を選ぶことが地方団体にいたしましても、又地方住民にいたしましても親切なやり方だと思うのでございます。
 入場税は遊興飲食税と共に最も地方的の特質、特色を持つた地方税としてふさわしい税種でありまして、去年から地方税として発足をしているものでございますし、又現在徴収の確保も十分に行われているものでありますから、地方税にふさわしい税は地方団体が徴収してこそ、初めて納税を通じて地方自治の伸展を期することができるものと考えるのでございます。
 又今次国税移管の意図するところは地方団体間の財源の偏在是正であると言われておりますが、地方団体側から言わせますと、これも私地方団体へ行つていろいろと勉強させて頂いたのでございますが、入場譲与税創設によつて、すべての府県において財源が豊かになるわけではないのでございまして、先ほどから公述人のかたがいろいろとおつしやつていらつしやいますが、入場譲与税で増加する分は国からの平衡交付金がその分だけ減るわけでございまして、財政上にはいささかもプラスはないわけなのでございます。結局入場譲与税は地方団体にとつて実質的に何らの財源拡充乃至は財源調整の役目をなさないものということになりまして、地方団体はむしろ自主財源である入場税を失い、入場譲与税という国庫財政と因果関係の深い不安定財源に肩代りをされることになるのでございます。私ども主婦の立場から申しますと、こういつた財源が何に使われるか、国の何に使われるかもいろいろと心配もあるのでございます。保安庁費だとか、いろいろの防衛費などを今殖やさなくてはならないときに、こういつた地方から取上げたものもその方面に廻されるのではないかという不安が非常にあるのでございます。私は以上のような諸点から入場税を国税に移管する実際的必要も、その理論的根拠も認められませんので、国税移管には反対するものであります。従つて入場税は従来通り地方税に存置するものとして、地方税法改正案には所要の修正を施すべきものであると存じます。
 又次に個人事業税について申させて頂きたいのでございますが、これもその性格が人税と言われております所得税と若干異なつておりますために、基礎控除制のみが設けられておりまして、所得税において各種控除の制度があるのと趣きを異にしております関係上から、納税者においては所得税を納めなくてもいいものが事業税を納めたり、或いは又所得税の額よりも事業税のほうが多い場合などもあるわけでございまして、かかる事情から各府県における個人事業税の納税状況が他の税金に比べまして著しく劣つているそうでございます。個人事業税については基礎控除の額を大幅に引上げることを私はお願いしたいのでございます。改正案によりますと、基礎控除額が昭和二十九年度、来年度は六万円、平年度が七万円となつておりますが、私はこれを平年度十万円以上十五万円くらいに引上げて頂きたいのでございます。こうして負担の公平を図り、収入状況をよくするほうが賢明な策ではないでございましようか。
 次に住民税でございますが、これは府県税制の欠陥を是正するため新たに道府県民税を設けることは私は止むを得ないと考えるのでございますが、御承知の通り勤労者は所得税及び住民税を源泉徴収されているばかりでなく、現在の生活状況下においては相当重い負担になつております。これは低額所得者について所得税をもつと軽減すべきであると考えます。住民税につきましても、税率を少くとも市町村民税、府県民税併せて所得税額の一五%に引下げる必要があると思います。これは地方財政計画上なかなか困難な問題と存じますが、財政経理の宜しきを得るならば、必ずしも不可能なことでないと思います。私ども家庭経済を守るものにとつて切実な問題でございますから、何とぞ御検討下さいますようにお願いいたします。
 次に又不動産の取得税でございますが、この改正案によりますと、家屋を新しく建てた、新築するものについては百万円の控除が認められておりますが、借家住いの者はたまたま節約によつて家屋を家主から買うような場合には何らの恩典も考えられておりませんが、これは社会の実情を無視しておるばかりでなく、負担の公平を欠くと思います。従いまして、少額所得者がやつと自己の居住する住宅を求めるというような場合においては、やはり新築家屋の場合と同じように税負担を軽減して頂きたいのでございます。
 又遊興飲食税につきましては、何らの改正の考慮もされていないようでございますが、大衆的な飲食につきましては、現在僅かに一品五十円、一回の消費料金百円以下のものについて限定的に課税を免除されておりますが、かような軽飲食につきましては、免税点をもつと引上げて頂きたいと思うのでございます。家庭人が消費する僅かな金額のものまで遊興飲食税が課されることは誠に了解できません。又旅館につきましても、一定限度以下の純粋の宿泊関係につきましては課税すべきではないと考えるのでございます。
 以上今回の地方税法改正法案につきまして、私の考えておりますことを率直に申上げましたが、どうぞ皆様方の十分な御理解を頂きまして、格別なお取計らいを願うようにお願いいたしまして、公述を終らせて頂きます。
#48
○委員長(内村清次君) 有難うございました。
  ―――――――――――――
#49
○委員長(内村清次君) では次に全国指導農業協同組合連合会参事青木一己君。
#50
○公述人(青木一己君) 私は農業団体の立場から、今度の地方税の改正に関しましての意見を申述べさして頂きたいのであります。
 資料はお手許へ行つておるはずだと思うわけでありますが、そのうち二、三重要だと思われる点について申上げたいのでございます。一つは、事業税の問題であるわけであります。これは事業税全体につきましては申上げませんが、ただ農業団体の中の農業協同組合につきまして、今度の改正法案によりますると、現行法によりましては農業協同組合の準備金の額が出資総額の四分の一に達していない組合なり連合会は非課税となつておるということでありまするが、今度の改正法案ではそのようなまだ財政的な基礎の固まつておらん組合でありましても税金がかかる、課税対象になつておるということであります。課税の対象になりまする基準は、出資配当をした場合には大体その出資配当の額を基準にして算定する、こういうようなことになつておるのであります。この考え方につきまして、一体その考え方がいいかどうかという点について一つ申上げておきたいのであります。
 協同組合は御承知の通りでありまするけれども、これは非常に農業者なり或いは中小企業者なり、労働者なり、いずれにいたしましても非常な何と申しまするか金に縁の遠い連中の組織で、そうしてそれが共同購入をする、或いは共同販売をする、或いは資金の共同の借入れをする、或いは資金の共同運用をするというようなことをして行く、共同の力によつて今の現在の社会情勢に対応しようという動きをとつておるのでございまするが、而もそれを常時やろうという形で出て来ておるのであります。で、常時やつて行くことになりまするというと、これは資金が要るということでありまして、その資金をやはりお互いに持ち寄つてやろうという考え方から出て来ておるのであります。従いまして、そうした考え方から行きまするというと、農業協同組合、これは青果消費組合でも同じでありまするが、その出資金というものは、一般の企業のような資本金というものとは意味が非常に違つておるということであります。協同組合の一番大事な点は零細な経済行為をお互いに共同して持ち寄る、事業を集中するということが眼目で、その事業をやるための資金というものは、これはその事業をやり得るだけの資金があればいいということで、どんどんと資金を殖やして行つて、その資金的基礎において事業を拡大して行こうという性格の資金とは非常に違つておるのであります。従つて今の出資配当を基準にいたしまして事を算定する、額を算定するというような考え方は、これはそういう考え方を持ちますと当然起つて来ないということであります。従つてどういう形が出て来ておるかと申しまするというと、やはり資金をお互いに出し合うのでありまするから、従つてせいぜい定期預金の利子くらいの額はまあ一つ出し合つて配当をして、そうして我慢をお互いにしようという考え方になつて来ておるのであります。従つて法律でも五分という制限が加えられておるのでありまして、従つてこれを出資配当をするということをできるだけ制限して、内部留保をさせようというような考え方で以てそういうような今の書き方がされるというと、そこら辺のところは少し考え方としておかしいんじやないのかという気がするのであります。従つてそう考えて参りまするというと、やはり事業税につきましても、現行法通りを尊重しておいて頂いたほうが筋が明確に通るという気がいたしまするので、その点を一つ申上げておきたいのであります。
 それから第二点は固定資産税に関連してでありまするが、その中で特に申上げておきたいのは、これは農山漁村電気導入促進法に基きまする発電施設の問題であります。結論を申上げますると、それは非課税にして欲しいということであります。改正法案によりまするというと、発電所、変電所又は送電施設の用に供する家屋及び償却資産で、電気の供給、物品の製造、旅客若しくは貨物の輸送又は鉱物の掘採を業とする者並びに農山漁村電気導入促進法に基く農林漁業団体がそれぞれその用に供するものは最初の五年度分は価格の三分の一の額、その後五年度分は価格の三分の二の額を基準としてそうして課税するというようになつておるのであります。これは一般の企業とそれから農山漁村電気導入促進法に基きまするそうした発電施設等と同様に取扱つておるのでありますが、この点につきまして果してそれでいいかどうかという問題であります。と申しまするのは、今の農山漁村電気導入促進法に基きまするその電気施設等でありまするが、これはどういう性格のものかと申しまするというと、これは一般の電力会社が採算上引合わんからそうした所へは電気も引かない、従つてその地方から申しまするというと、電気の恩典にはあずからないというような非常な僻陬の地の問題であるのであります。そこでやはり調べて見まするというと、現在電燈の付いておらん部落が六千百十二部落あります。戸数にいたしますると二十万戸もあるということであります。こうした地方の人たちはやはり電力というものの恩典も受けたいということでやはり金も借り、或いは金も出し合つて、そうしてみずから発電してやつて行こう、そういう考え方を持つて来ておるのであります。採算がとれないところをみずからその住民が立上つてやつて行こうという性格のものであるのであります。これは丁度医療組合もそういう形をとつて参つておりまするが、昭和の七、八年頃からでありますが、医療組合が出て来ましたが、その出て来た過程を見てみますると、やはり医者のないところがお医者さんの今の恩典を受けるにはどうしても自分みずから病院を持つ必要があるんだということで金を出し合い、借金もして病院を作つて、そうして無医村をみずから解消して来ておる、こういうような形が出ておりまするが、丁度それと同じであるのであります。従いましてそういうような所は経費も余計かかることでありますし、非常に骨の折れる点でありまするので、これはむしろ今の固定資産税というようなものはそういう所におきましては、むしろ非課税にしておいて頂くほうが妥当ではないのかというように思うのであります。現在手を付けておりまする所が何が百七カ所くらいある、そうして二十二億くらいの経費が注込まれつつあるという報告を受けておりまするけれども、そういう事情にあつて、電力会社が採算上手を伸ばしておらんという所であるのでありまするので、そうした点も御勘案願いまして、これは同列に取扱うことなく非課税にしておいて頂いたほうが妥当ではないか、そういうように存ずるのであります。
 それからいま一つ、これは農業者の問題になるのでありまするが、問題は農業者の固定資産税というものが、これは税率の上では一応軽減されたような形になつて出て来ておるのであります。現行法の税率でありまするというと一・六でありまするが、それは一・四にされようとしておりまするのが、当面二十九年度は一・五で一つやつて行こうということで税率が下つておるようでありまするが、併し現実問題となりまするというと、この土地なり或いは家屋なりの評価というものがかなり高まつて来ておるということであります。お手許へ行つております資料の終りから三枚目を御覧下さいまするとわかりますように、二十八年と二十九年の今の評価の上昇率でありまするが、田が一二四で二四%上つたり、畠が二一%上つたり、宅地が三二%、林地が五〇%、牧野が五〇%、原野が五〇%、家屋が二一%というように上つて来ておるのであります。従つて今の税率をかけて算定してみまするというと、二十八年度と二十九年度で四十億も税金が実際高くなつて来て来ておるというような形も出て来ておるのであります。これは農業者の財産と申しまするか、生活状態から考えてみまするというと、こういう点は一つお考え願う必要があるじやないかという気がするのであります。
 それからいま一点、固定資産税につきまして気がついておりますることは、これはもうすでにお考えおき願つておるかもわかりませんが、土地改良区の所有いたしまするところの土地なり施設であります。これは土地改良区というものは御承知の通り公法人的な性格を持つておつて、こういうような同種類の法人には非課税になつておりまするので、土地改良区の所有いたしまする上地なり施設というものは、これは非課税にするのが当然であつて、或いはこれは見落されておつた点ではなかろうか、そういうように思うわけであります。
 それからその次に不動産収得税の問題でありまするけれども、これも一つは農山漁村電気導入促進法でありますか、それにもこれは非課税にしておいて頂いたらどうか。これは固定資産税の面と同じでありまするが同じ理由で申上げるのであります。現行法によりまするというと、農林漁業金融公庫から借りた金額につきましては、その借りた金額を差引いて残額について課税するという形が出ておりまするが、その点も非課税にして頂いたほうが前申上げました理由で妥当ではないのかというようにも思うわけであります。それからなお農業協同組合乃至連合会の今持つておりまするところの事務所なり倉庫であります。農業倉庫なり事務所は現在固定資産税におきましては非課税になつております。やはり非課税になつておりますると同じ理由に基きまして、これも非課税にしておいて頂いたほうが妥当ではないのか、筋が通るではないのかというように思うわけであります。
 最後に一言申上げておきたいのは、農業協同組合に対しまする課税の考え方は一体どう考えて行つたらいいのか、そういう問題であります。そのために資料といたしましてお手許に行つておりまするが、一番最後の二枚目に「協同組合に」、にとしてありまするが、「に対する課税の経過」ということで、資料を一つ出しておるのでございます。それを御覧願いまするとよくおわかりになると思いまするが、昭和十五年までは協同組合はこれは国税も地方税も全然実はかかつておらなかつた、非課税であつたということであります。勿論十一年にやはり国の事情から協同組合に対しましても資本利子税なり、売上税なり、或いは家屋税というものを賦課したらどうかという案がありましたが、それは流産になつた。十五年から税金をかけられるようになつて来ております。それはお手許に行つておりまする資料の二枚目の裏の頁の最後でありまするが、昭和十五年に特別法人税という税法を特に設けられて、国家の諸情勢からやはり協同組合もこれは税金をかける、併しこれは一般の法人とは別に、特別な法人税という税法を特に設けて頂いてかけるということになつたのであります。而もその附則には、この法律は「昭和十五年四月一日以後終了する年度分よりこれを適用す、本法による特別法人税の賦課は支那事変終了の年の翌年十二月三十一日までに終了する事業年度分限りとす、」ということで、一応支那事変が終りますと、戦争が終ればこれは当然削除するというふうな限定付きでかけられて来ておつたのであります。ところが十八年に今の大東亜戦争によりましてその附則が取られて来ておるという形であります。そして二十二年の農業協同組合法になりまするというと、これはそこに出ておりまするように、非出資組合は勿論でありまするが、出資組合もこれは所得税も法人税も課さない、地方公共団体は組合に対して事業税を課することができないということで、はつきりとこれは免税規定というものが載せられたのでありますが、翌年の二十三年の七月七日に所得税法の一部改正に関する法律ということで、これは特別法人税法が廃止されて、一般の税体系の中に協同組合の課税が入つて来た、そして法人税もそれから事業税もかけられるようになつて来た。ただ差等が設けられて来たという形が実は出て来ておるのであります。そこで現在の協同組合に対しまする法人と申しますか、協同組合という法人に対する課税の考え方は大体どういう形になつて来ておるかと申しますると、今の準備金が出資総額の四分の一に達しないような財政的な基礎の弱いものについては非課税という形が出て来ておりまして、そして財政が固まつて参りますればこれは出すというような形が出て来ておるのであります。そうして一般の企業と同様な取扱がされて来ておるのでありまするが、併し考え方はやはりそういう考え方で行つたほうがいいのか、或いは今の協同組合の一つの何と申しまするか、性格、本質というものを認識して頂いて、そうしてやはり或る程度一般の企業とは線を引いてお考え願つて行くほうがいいのか、これは今後の私たちの研究問題でありまするが、そこら辺の点は十分御勘案願いまして、御措置をできれば非常に幸いだと、そういうふうに思うわけであります。時間が足りませんので、思うことを十分に申上げ得なかつたのでありますが、以上を申上げまして、公述にいたすわけであります。
  ―――――――――――――
#51
○委員長(内村清次君) 次に、全国料理飲食喫茶業組合連盟事業部長毛利鋼三君。
#52
○公述人(毛利鋼三君) 只今御紹介を受けました全国料飲連盟の毛利でございます。今回諸先生方の御貴重なる御時間を拝借いたしまして、地方税法牛飲食税法に対する我々大衆業者の声をお聞きとり下さる機会をお与え下さいまして、誠に有難い次第と存じます。このたびの公述の要旨につきましては、先に請願文により縷々記述いたしておりましたが、ここに二、三の点を附加えまして、当委員会の御審議の御参考に供したいと存ずるのでございます。
 先ず第一に、遊興飲食税の沿革でごいまするが、昭和十五年四月に初めて国税として遊興飲食税が設定されました。戦時下の奢侈を抑制する意図の下に、消費高三円以上の遊興又は飲食を課税の対象といたして実施されておりましたのであります。併しながら我々の取扱う大衆飲食は課税の枠外に置かれておまりして、酒類の販売を伴う一部分がこの税に対しまして協力をするという程度の極めて御理解のある取扱を受けておつたのでございます。ところが昭和二十二年の二月にこの国税が地方税に移管されまして、その際に外食券食堂、麺類及びパン、喫茶の三業種に限つて一品五十円の免税点が認められて参つたのでございます。他の大衆飲食はことごとく免税点を撤廃されまして、以来七年間の間税率の引下げはございましたが、依然として免税点の設置をみることなく今日に及んだのでございます。
 そこで第二に申上げることは、遊興飲食税はすでにその意義を失つており、むしろ庶民生活への圧迫である点であります。只今申上げましたように、遊興飲食税は戦時中の奢侈禁止又は抑制という狙いと、いま一つは当時の乏しい食糧物資の節約という政策的な配慮も多分に加味されておつたと推察されるのでございます。終戦以来すでに九カ年を経まして、国民生活も今やおおむね戦前の水準に回復した今日におきましては、すでにその意義を失しておる。むしろ大衆的飲食に対しこの種の税を存置することは、即ち庶民生活への圧迫であるより他は何ものもないのでございます。これについて具体的事例を二、三掲げて御説明を申上げたいと存じます。
 一般庶民大衆が一日の労働を終えて一皿のカツレツ、又は天丼なりに百円を投じ、それに加えて一ぱいの焼酎を飲んだと仮定いたしまして、その合計が百五十円であつたといたしましても、それによつて一日の苦労を忘れ、明日への活力の源泉となることに思いをいたしましたならば、この程度の飲食は今日の社会通念から見ましても、奢侈というにはほど遠いものがあろうかと存ずるものでございます。又小学生の遠足に当り、すし或いはサンドウイツチの弁当を百円で買い与えてやりましても、これをして奢侈と考える父兄はございません。更に昨今のごとく社会活動、事業活動に寧日なく、寸暇を惜しんで活動している人々にとりましては、止むを得ず外出先で食事をとらねばならんこともある、我々の日常生活にしばしば体験するのでございますが、こうした際の集会地又は訪門先の弁当、軽飲食等に最低の料理を注文いたしましても、これがことごとく遊興飲食税の課税対象となつている現状では、ただただ国民生活を萎縮させ、活動意識を減退せしめるものでありまして、地方財政に寄与する対象としては余りにも多くの弊害を伴うものであることを強調したいのでございます。更に緊縮財政下の国民生活を考えますときに、デフレが進行すれば、それに比例いたしましてこの種の大衆課税は更に比重も増大して、庶民生活を圧迫するものであることをも併せて考えなければならんことと思います。かくのごとく、現在では麺類、茶菓等に一品五十円、一人一回百円の免税点が設置されているのでございますが、肝心の家庭の三食に代るべき大衆的必要飲食に対して免税点がないのは、ただ単なる不均衡と申上げる以上、消費大衆の食生活に対する直接的脅威ではなかろうかと考えている次第でございます。
 第三に申上げたいことは、課税方法の矛盾の点でございますが、諸先生がたが仮にデパートの食料品部へお立寄りになりまして、百円のすしの折詰をおみやげにお求めになりますと、早速遊興飲食税がかかるのでございますが、品を変えまして菓子の場合は、たとえ一所五百円が千円でありましても課税されてございません。同様な個所で口取りとか料理の折詰をお求めになりますと、如何に高価な品でありましても、菓子と同様に物品販売という建前から課税の対象となつていないのでございます。これは単にデパートだけの矛盾ではございませんので、一般市中の飲食物販売の状況をみても巷の間に非常に利用されております。総菜店の婚礼用、法事用仕出料理又は折詰等は、これは店頭販売の延長という観点から非課税として取扱われておるのでありまして、これと同等の、或いはこれより遥か安価な品物でも一旦料理店、飲食店の出前となりますと、店内の飲食の延長と見なされまして、課税対象となるのでございます。これを要約いたしますると、同じ飲食物を商いましても、常業者の個々の立場の相違のみで、一方は非課税であり、他方は課税されるという矛盾が存在するのでございます。これらの矛盾を一掃する手段といたしまして、課税食品の類別を明確にして、業種を問わず画一的に御処理下さいますことを、同時に免税点の設置によりまして解決を図るのが妥当であるかと考えるのでございます。
 第四といたしましては、最後に附加えて申上げたいのは、この税金が業者の出血納税により、零細業者にとつても、消費大衆の立場といたしましても過重な負担であるということでございます。私ども飲食業者は税法上の徴収義務者でございますが、如何に私どもが義務者でありましても、一般消費者から料金の低い飲食物に対して一割の税を徴収するということは非常な困難が伴うものでございます。客層が低ければ低いだけ、又デフレが進行すればするほどますますむずかしくなつて参ります。これを若し強行いたしますならば、勢い値上げとなりまして、大衆のこうむる迷惑は申すまでもございません。又業者といたしましても売行きに大きな支障を来しまして、自滅するほかはございません。そこで、止むを得ず顧客の犠牲となりまして、みずからその税額を負担いたして、いわゆる出血納税を余儀なくされているのが偽わらざる現状でございます。
 母上、私ども大衆を顧客とする零細業者の最大の悩みは遊興飲食税にありと申上げても過言ではございません。この悪税の一日も速かに撤廃されんことを望むものでございますが、その第一段階といたしまし、先ず免税点の設置を以ちまして大衆の経済的負負担を軽からしめたいと懇願してやまないのでございます。
 そこで、免税点の額が問題になるのでございますが、私ども大衆飲食業者といたしましては、一食百五十円以下を強く希望しておる次第でございます。その数字的根拠は、大東亜戦直後の免税点三円を基準といたしまして、現在の小売物価指数約百倍でございますので、当然三戸円を唱えるもあえて不当でないと存ずるのでございますが、併し、現下の国民耐乏の国教的要請を考慮いたしまして、その半額の百五十円を妥当であると考えた次第でございます。
 以上を以ちまして公述を終ることにいたしますが、参議院諸先生がたにおかれましては、私ども業者の苦衷を御諒察を頂きまして、一般消費大衆のために現行法の一部修正を切にお願い申上げる次第でございます。
 以上長時間に亘りまして、御清聴を頂きましたことを厚く御礼申上げます。
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#53
○委員長(内村清次君) 最後に、全国旅館組合連合会副会長小林毅君。
#54
○公述人(小林毅君) 只今御紹介を頂きました全国旅館業者の代表の小林でございます。
 本日当地方行政委員会におかれまして、地方税法の一部を御改正なさるということを承わりまして、この機会に地方税法の一部でございます遊興飲食税につきまして、この税金がたまたま私ども旅館業者は特別徴収義務者という義務を与えられており、重大な関係を持つておりますので、この税金に対する考え、その他につきまして述べさして頂きまして、地方税法一部改正の御参考にして頂ければ幸甚だと存じます。
 一般に税金を課税するような場合には、大体そこに何か合理的な理由が必要ではないかと考えられます。例えば所得があるとか、資産があるとか、担税能力があるとか、又は事業をやつている、又は公の団体から利益を受けている、そういうような当然課税さるべき理由というものが必要ではないかと考えられるのでございますが、この遊興飲食税につきまして、特に私ども旅館業者の旅館における宿泊に対する遊興につきましては、どうしてもこれを遊興であるとか、又は特に飲食でもない室料に課税されているという点に甚だ合理的でないと考えられるわけでございます。勿論これは旅館に宿泊するような場合でございましても、遊興と言いましようか、やはり物見遊山のような場合に泊ることもございますけれども、大体一般的には公私何か皆さん御用があつてお泊りなさるのが普通でございますので、この旅館における遊興飲食税の正当な課税理由というものはまあないではないかと考えられるのでございます。併しながら止むを得ない用件で以て旅行なすつて旅館にお泊りなすつた場合に、その場合でも当然これは今日の国民生活の一般の標準的な生酒程度から見た場合には、これは贅沢な室料である、これは贅沢な食事であるというような点がございますので、そういう点につきましては、これは例外だと考えております。それからこの旅館で休むような場合に又食事をするというようなことは、これは人間の当然の生存のために必要な行動でありまして、殊にこういうような基本的な人間生存のために必要な行動に対して課税するというようなことは、よほど慎重な態度で課税して行くべきではないかと考えております。税金を納めないというと、旅先で以て旅館にも泊れない。旅館で飲食もできないというようなことは、これは常識的に考えてもどうも余りに不合理千万であると考えられるような次第でございます。なお且つ、今日旅行いたしますのは、公私あらゆる用件がございまして、その要件のために旅行するのでございます。旅行する旅行者の立場から見ましたならば、必ずやそこに政治的の目的を以て旅行する、又は経済的の目的を以て、文化的の活動のためとか、或いは社会一般の活動のために止むを得ず旅行をしているのでございまして、こういうような場合に旅館に泊つた場合に税金を納めなければいかんというようなことは、これは一国の興隆発展にも重大な悪影響を及ぼすのじやないかと考えられるのでございます。特に今のような生存競争の激しい時代において旅行することが贅沢だというようなお考えは、恐らくはどなたもお持ちなさらないわけではございますが、往々にして旅行が贅沢であるから旅館に泊ることも贅沢なんだ、だからこれに飲食税をかけるのだというような理由を述べられることを聞いておりますので、こういう点もどうも余り現代の世の中におきましては納得のできないことと考えられる次第でございます。
 それで、以上申上げましたように、どうも遊興飲食税という税金は課税の理由に乏しい、納税義務者であるところの旅行者、いわゆる宿泊者が税金を納めるのにこれは当然納めなければならない税金だというような気持で納めにくい税金でございまして、又これを取立まする私ども旅館業者も、そういうことは知らず知らずの間に頭にございますので、と同時に旅館業者と申しますと、結局サービス業者でございますので、お客さんの顔を見る、結局お客さんの感情を無視しては商売が成立ちませんので、自然と或る程度税金の徴収率も手加減をしなければならない。法律できめてある義務が気持よく実行することができないというような状態に置かれておるのでございまして、当然その結果、納税義務者の一般の旅行者のかたは納めにくい、旅館業者は取りにくいというような税金でございますので、この税金を完全に取立てるというようなことはなかなか実際問題としてむずかしいのでございまして、それでございますので、私ども業者は従来一部を宿泊料に含めまして、お客さんから頂戴しまして、他の一部は自分の売上げの中から納めておつた。先ほども他の業者のかたも申しましたように、私どもは一部出血納税をしておつたというような事情に置かれておるのでございまして、これは本来こういうような性格の税金でございますので、もつと早くこういうような税金は廃止すべきものだというような社会一般の世論が起きて来なければならなかつたのでございますが、以上申上げましたような理由で、その徴税の仕方が甚だ不適正であつたというために、業者のほうからこの税金を安くして下さいというようなことをお願いするような状態に置かれておるのでございます。
 それからこの税金は、御承知の通り実態課税ということになつておりまして、月々徴収義務者がこれを申告いたしまして納めるのでございますが、その実態課税は全国の遊興飲食税を納める業者が約五十万おりますので、これを毎月実際にその帳簿について調査いたしまして納めさせるというようなことはなかなか困難でございます。ましてやこれを年に延しますというと、六百万の特別徴収義務者も帳簿を調査して納めさせなければならないというようなことは実際問題としてなかなか困難でございますので、形式は申告納税実態課税ということになつておりますが、実際は地方庁と業者の間で以て団体交渉と申しますか、又はこちらの認定に対しまして或る程度の更正決定を毎月して来て納めさせるというような状況になつておつて、その点が徴税の面におきましても、この税金は業者から取立てるような場合にも甚だ不明朗な税金でございます。これは一例でございますけれども、現にその徴税方法といたしまして、二十七億五千万円の遊興飲食税の取立ての予算を組みまして、実際にはその八五%とれればいいのだ、約二十三億三千万円ばかりの税金がとれればいいんだという目途の下に、私ども業者に調定をいたします場合には、約予算額の一割七、八分の水増しをいたしました三十二億一千万円くらいの調定額をしてくれというようなことになつて参るのでございまして、その結果は、非常に正直者が滞納者その他の税金の納まらない場合の税を負担しなければならないというような非常に不明朗なところの多い税金でございます。なおこの税金は以上申上げましたように、なかなか取立て業者といたしまして、特別徴収義務者といたしまして取立てにくいと同時に、又業者から地方庁が取立てる場合にも甚だ不明朗な取立て方をしなければならないというような税金でございますので、私ども業者といたしましては、できるだけこういうような悪い不明朗な税金は廃して頂きたい。ふだんこれを考えて参つておりまして、特にこの課税の理由が乏しい旅館の室料に対する遊興飲食税、汽車の寝台車には遊興飲食税はかかつておりませんし、近海航路の汽船にも遊興飲食税はかかつておりません。こういうような宿泊に対しまして、旅館の宿泊だけに課税されておるというような点で、不公平な取扱を受けておつたというようなこともございますので、旅館の室料に対する遊興飲食税だけは、これは速かに廃止して頂きたいと考えておるわけでございます。併しながら勿論今日の国家、地方を通じての財政の困難な時代でございますので、私どもの立場といたしましては、少くともこの納税者の納得のできるような、今日の国民一般の中産階級の社会生活程度のかたの合理的な料金であるというような料金の、大体一泊室料が七、八百円の点に非課税点を設けて頂きますれば、かなりこの税金も明朗化され、旅行する場合にも納税する旅行者のかた、並びにこれを頂く私どもは非常に明朗な徴税ができるというようなことにたつて参るわけでございますので、本日のこの地方税法一部改正の御審議の機会に私ども旅館業者といたしまして、現在の実情を申し上げまして、何とかこの機会に室料の免税点を設けて頂ければ、甚だ幸甚だと考える次第でございまして、どうか以上述べましたことを以ちまして、この機会に特に室料の七百円から八百円の点に非課税点を設けて頂きたいということを申上げまして、私の公述を終らして頂きます。
#55
○委員長(内村清次君) 以上を以ちまして、公述人の公述は終りましたが、委員のかたがたから質疑のあるかたは。
#56
○堀末治君 大竹さん、あなたに一つお尋ねいたしますが、先ほど府県民税のことについてあなた大変立派な御意見を拝聴したと思うのですが、市町村の負担金で納めたらどうかという御意見ですね。これは大変結構なことだと思うのですが、そこでいわゆる府県民税は今の負担分任という点から考えられたほうがいい。あなたのようなやり方にずると、その点が一つ欠けますね、要するに府県民税の負担分任ということの責任感が一つなくなる。それから又これは大変いいのですが、市町村会ではこういうことを研究して御決議でもなさつたのですか。
#57
○公述人(大竹十郎君) 町村会で今お手許に差上げました公述の要旨というのは、これは私の申述べまする参考に事務局でこしらえたものであります。その前にお手許へこの法律案に対する町村会の意見、それから交付金の一部を改正する法律に対する意見というようなものが多分お手許へあらかじめお願いしてあると思いますが、それは町村会の各機関できめたものであります。それでその機関できめたものに対する要旨によつて私の申上げるこの公述の要旨ができ上つておりますから、大体町村会でこしらえたもので私の個人的に特に変つておる点と思われる点はないものと御承知願つていいのじやないかと思います。それで只今の負担金では負担分任の趣旨に副わないのではないかとこういう御意見でありますが、先ほど申上げましたように、今度まあたばこ消費税が設けられれば、その点で間接ではありますけれども、若干県民税よりより以上に普遍的な負担分任ができるのじやないかと、負担分任という点も現在の町村における均等割にしましても、それから所得割にしましても、そう多数の人が納めておるわけでもないのであります。私の郡の状況ですけれども、静岡県の磐田郡という郡です。人口が十七万です。そのうちで納税義務を持つて町村民税を納めております者が四万五千しかありません。
#58
○堀末治君 所得税は。
#59
○公述人(大竹十郎君) つまり所得割と均等割と合せてそういうことになつております。ですから大体その負担分任と言うてもそう普遍的に徹底した税制にはならんのじやないかとかように考えますが。
#60
○委員長(内村清次君) それからちよつと委員のかたがたに申上げますが、乗合自動車協会の伊勢田君が急用のために先に帰りたいということでありますから、そのほうから一つ質問をやつて頂きたいという申出が出ておりますから、そのほうから……質問がございませんでしたならば……ありませんね。
#61
○公述人(伊勢田豊君) ちよつとお手許に配りました公述審にミスプリントがございますが、数字のことでございますのでちよつと御訂正を頂きたいと思います。さつき申上げました六頁の七行目でございます。観光バスの専業者七十六と書いてございまするが、五十二でございます。お手許にお配りいたしました参考資料の数字が間違つておりますので、御訂正頂きたいと思います。以上でございます。
#62
○長谷山行毅君 私も全国町村会の代表のかたにお伺いをいたします、入場税の国税移管の問題について町村会のほうで何か取りまとめた御意見がありましたならば、一つこの際結論的に簡明に一つお話願いたいと思います。
#63
○公述人(大竹十郎君) 遊興飲食税は実はまあ府県税でありまするししますから。
#64
○長谷山行毅君 入場税の問題につきまして。
#65
○公述人(大竹十郎君) 入場税ですか。入場税も同様に府県のほうの税になつておりますので大体町村会としては結局扱うならば遊興飲食税と同様に扱うべきものじやないか。つまり財源の偏在しておる税目でありますから、国税に移すということであれば、これは共に国税へ移すべき筋合ではないか。若しこれを取りやめて現行のままとするならば、両方とも現行のまま取りやめるべき性質のものじやないか。町村会としてはこれを別個にして片つ方を切離して継子扱いをするのはどうかというふうに実は考えておる。まあ大体大蔵省が、私の率直な考えを言うと、今度の税制全般を通じての大蔵省の頑冥なのにはちよつと非常に度しがたい点があるというふうに私は考えておる、もつと地方自治を進展させるためには親切な自主財源を余計やるというふうな考え方をしなければ、とても地方自治団体は健全な発達はしない。税を一方で与えておいて一方でそれを締めるというふうな交付税、先ほどもどなたかのお話にあつたように、交付金を交付税と改めてしまつて、そうして今までの税をやりくりして結局プラスになるところが何にもない。こういうようなやり方では、むしろ入場税にしても遊興飲食税と同じように、従来のようにしておいたほうがむしろ自治団体のためにいいのじやないかというような感じさえする状況です。
#66
○伊能芳雄君 藤田教授にお伺いしますが、一番初めに自治団体の性格をはつきりさせないで税制をいじつてもいいのだというような御意見でありましたが、現在の段階においてはそうすると、現在の税制そのまま置くほうがいい、こういうことになりますか。
#67
○公述人(藤田武夫君) 地方自治の問題をそのままにしておいて地方税制をいじつてもいいのだ、そういうことは言つたことはございません。現在非常に都道府県なりについていろいろなそれが将来どういう性格を持つか、地方自治の問題が現在非常に動揺しておる。この点をはつきりさして後に地方税制の問題を取扱うべきであつて、順序が顛倒している、そういうことを申上げたのであります。
#68
○石村幸作君 藤田君にちよつと伺いますが、これは各公述人皆さん代表者のような形になつておるので、あなたから学問の御研究の上から見てお述べを頂きたいのだが、この地方税源というか、財源の偏在ということをよく言われるが、特に地方制度調査会あたりで地方税の改正、地方財政の改正をやる殆んどその根拠は偏在の是正というところにばかりに主として出ておる。各地方公共団体が一律平等ということはなかなか困難だが、偏在を是正するというところにいろいろな欠陥が、無理が出て来ると思うので、この点についてあなたがたの学問的に研究された御意見を伺いたい。
#69
○公述人(藤田武夫君) 今お話のように貧富、地方団体間の財源の偏在を調整する、これは今日の経済社会においては地方財政上非常に重要な問題だと思うのでありますが、それについて只今お話のありましたように、地方制度調査会で非常にその点を重視していろいろな案を立てて来たわけでありますが、それは御承知のように入場税、遊興飲食税の国税移管、又たばこ消費税を与える、或いは府県民税を作る、それから地方財政平衡交付金の問題もありますが、そういつたふうに考えられているわけでありますが、私といたしましては、その方法はいろいろ考えられるわけでありますが、今度の税制改正案の中盛られているように、地方団体が現在持つている税源を引揚げて、そうしてそれを調整財源に振り向けるという行き方は、これは地方自治をどこまで尊重するかという問題と関連があるわけでありますが、地方自治を尊重するという立場に立てば、そういう行き方はその立場からは非難さるべきではないか、そうではなくてやはりシヤウプ勧告にもございます財政調整交付金というものを樹立する。今度はそれが地方交付税という形で若干窮屈になるわけでありますが、財源の確保という点では先ほど申しましたように優れた点があるのでありますが、その財源の確保を十分な意味で確保させるようにして行く、そうしてその方向において財源の偏在を調整して行く、これが地方自治というものを尊重する立場としてはそうあるべきではないか、そういうように思つております。
#70
○石村幸作君 その問題をもう少し突込んで行きたいが、時間が何だから……。
 もう一つ、よくこれも先ほどからも盛んに言われたのだが、負担分任、すべてこれは県の財政の場合だが、こいつを完全にするとすれば、事業税を例えば商工業者のみが負担している、それで而も、支出の場合は農村方面に非常に土木工事その他で金が行く、これがよく言われることで、農林とか漁業、これについてはこれに負担をさせるということはいろいろ意見がある。これもわかつておるのだが、学問的に見てこれをどうお考えになりますか。
#71
○公述人(藤田武夫君) 今の御質問は事業税に関係してだけの問題ですか、そうではなくて負担分任全般の問題でありますか。
#72
○石村幸作君 全般の問題だけれども、特に負担分任を完全にしようとすると、事業税の場合に特に甚だしいとこう思つて事業税を出したのですが、一般的なものと事業税の問題と含めて……。
#73
○公述人(藤田武夫君) 今度の改正案でかなり中心の問題になつておりますこの道府県民税によつて、道府県における負担分任の精神を活かすということになるわけでありますが、併しこれは御承知のように住民税でありまして、従来から事業税を負担しておる商工業者も負担するわけであります。そうなりますと、商工業者にとつては事業税と県民税の両方を負担する、負担分任の精神は具体化されるわけでありますが、そうなるとやはり先ほどもちよつと申上げましたように農林業関係、農業も主食等に関係した部分はこれは課税するのは不合理だと思いますが、軽減した税率によつてそれ以外の農産物から生ずる所得、或いは林業に対して課税するということが道府県民税の創設如何にかかわらず負担の公平という意味からは必要でないか。それから道府県は私先ほど申上げましたが、公選知事を中心としての自治団体であるために、今日の段階ではとにかく認めるべきものだ、そういうふうになりますと、やはり負担分任の精神から道府県民税というものの創設は必要である。今度の形がいいといわけではありませんが、原則的に道府県民税というものは若しそういうふうな考え方をすれば、やはり負担分任の精神から必要である、こういうふうに考えます。
#74
○加瀬完君 私も藤田先生にお伺いしたいのでありますが、先生の御指摘になりました平衡交付金制度が地方交付税制度に変えられておりますので、この点今まで基準財政需要額というものが主になつて或る程度の地方の必要度というものに対して柔軟性があるわけであります。交付税というものになりますと、交付税は或る率で抑えられるということになりますから、今の平衡交付金よりも柔軟性が地方財政の上からなくなつて来るのではないか、これは考え方によつては交付税というものを政府ががつちり抑えるというようなやり方をされれば、地方自治は独自の立場でいろいろの仕事をやりたくても仕事ができなくなつて、一つの官治統制といつた傾向が強まつて来るのではないか、反対に地方自治という点からすればその独立性が侵されるということにならないか、その点が一つ。
 第二点は、交付税というものは一定の率ということになりますると、平衡交付金と違いますので、各地方公共団体の貧富の差の幅がもつと拡がつて来る危険はないか、この二つの点について伺いたい。
#75
○公述人(藤田武夫君) 地方交付税に改めることによつて従来の平衡交付金に比べて全体の枠が非常に窮屈になり、そしてそれを通じて中央政府の地方団体に対する官治的統制が強くなるのではないか、これが第一点の御質問でありますが、これについても私も傾向としては大体そういう傾向が認められると思います。すぐにそうなるかどうかは問題でありますが、なおその問題に関連いたしまして、御承知のように平衡交付金の何条かに、国の法令等によつて府県や市町村に義務付けられた仕事をやらない場合には平衡交付金の減額又は返却を請求することができる。これは二年ばかり前に改正されて付け加わつた条項でありますが、これは私は相当大きな地方自治の上から問題であると思つております。そういう条文と併せて今の傾向が今後強化される虞れがあるということは十分言えると思うのであります。
 それから第二点の貧富地方団体間の財源の偏在の幅が大きい。そういうふうにおつしやつたのですか、ちよつと幅が大きくなるのじやないか、これはおつしやつた意味は恐らく総額において抑えられているので、それで貧弱な県に余計やるべきところが余計行かない、だから結果そうなる、そういう御意見だと思いますが、私もそういう影響が出るだろうと思います。それでその意味で先ほども申しましたように、今度の改正法の中にも、地方交付税総額の百分の九十四を上廻つた場合には基準財政需要額を調整することができる、という条文がございますが、これではどうも基準財政需要額のほうが抑えられることになるので、そうでなくて他の条項のほうに、引続いて基準財政需要額を満し得ない場合には制度を改正することができるという条文がございますが、このほうを活かすように持つて行くべきである。そういうふうに考えております。
#76
○堀末治君 藤田先生恐縮ですが、もう一つ御意見を承わりたいと思います。それは固定資産税の問題ですが、私は固定資産税というものは附加価値税がやめられるということになると、一種の応益的な性格を持つているものだから頗るいいと思うのですが、ただ併し今一つ鉄道とか或いは専売公社のたばこのほうの関係を一つも取らない。これは頗る不合理だと思うのです。いやしくも公共企業体ということになつているのですから、これは当然取るべきだ、私はかように思うのです。それから又もう一つには諸官庁の建物は別といたしまして、諸官庁のために社宅ができている。その社宅にそれぞれ皆おるのです。これらもやはり地方の住民としてそれぞれの地方のいろいろなお世話を受けておる、こういうことになれば、私は官庁の建物はそれは取るに及びませんけれども、社宅のようなものは当然固定資産税は要するに市町村税として取るべきものだ。私は常にこういうことを考え、又それを常に主張しているのですが、先生これらに対してのお考えは如何でございましようか。
#77
○公述人(藤田武夫君) 只今の御意見でございますが、これは御承知のように大分以前からしばしば問題になつている点でございますが、私も只今おつしやつたのと同意見でございます。国鉄にいたしましても、専売公社にいたしましても、一応独立採算制で殊に最近はやつております。そうして半ば企業的な活動をいたしているわけであります。そういうものについてこれは国税でも問題だと思いますが、特に地方団体がそれに課税できなくて、地方が財源に窮迫するということは、地方団体がそれらの建物、又今お話のような社宅、こういう場合には児童の教育、水道、いろいろなことに金が要るわけでありまして、これは当然課税すべきである。又それを何らかの形において保護するとすれば、これは先ほども申したことでありますが、他の政策によつて保護すべきであつて、個々の市町村に重大な影響を与えるそういつた政策は賛成できないというふうに思うのであります。
#78
○伊能芳雄君 藤田教授に、はかり恐縮ですが、もう少し……。藤田教授はさつきからお話の中で地方財政は相当逼迫しているということをお認めのようですが、今参考人のかたがた皆言うように、これはいい地方税制だと言う人はないようです。皆これは免税点を引上げろ、或いは廃止しろというような御意見が多いのですが、そこで藤田先生自身も事業税の免税点を上げろという御意見もあるようですが、そういうことを仮に我々ができんとすると、これはどうしても地方財政というものが財政需要を何とかしない限りは持つて行けないわけです。教授としてはその点においてどんなふうにお考えでしようか、もつと何かはかに適当な地方税があるかどうか、或いは今の地方税の中でもつと税率を上げられるものがあるかどうか、御意見を伺いたい。
#79
○公述人(藤田武夫君) 只今の問題は非常に困難な問題でありますが、ほかに適当な税金があるかどうか、殊に地方税があるかどうかということになりますと、非常に今まで地方税というのは相当漁り尽しておりますので、殆んどないと思いますが、それから各公述人のかたがたからいろいろ御案があるということも、まあそれぞれの立場ら十分理解のできることであり、又御尤もなことだと思いますが、それをどの程度負担の均衡、又全体の地方財政と考えて取捨されて行くかということは、これはむしろ参議院のほうでお考えを願いたいわけであります。今財政需要額の問題がございましたが、今の御意見にもちよつと出ておりましたように、地方団体の都道府県、市町村の財政の膨脹ということにつきましても、これは今日は税制改正の問題には私は触れなかつたのでありますが、これはこのままでいいとは言われないのではないか、十分これはやはり検討の余地があるのであつて、このままでいいのだ、窮迫はしておりますが、併し窮迫の内容をそのまま承認し、又この状態でますます窮迫して行く、それでいいかどうかということは、これは相当やはり検討を要することであつて、これは全体のやはり日本の現在の国民の経済力、又その経済力の上に立つた全体の税源の上で、国と地方団体、都道府県、市町村というものがどういう役割をするか、又如何にすれば簡素な、能率的な行政機構なり行政が行われるかということを、これは根本的に地方財政計画全体を再検討すべきではないか、又そういうことをしなければ税制だけをいじつてみても、地方財政の窮迫の問題は根本的には解決できないのではないかと、私はそういうふうに考えております。又今日それをやらなければ事実いけないのじやないかというふうに、非常に抽象的でありますが、考えております。
#80
○伊能芳雄君 もう一つ伺いたいのでございますが、国及び地方団体における税源調整は必要であるという御意見でありましたが、その税源調整に入場税を使うのが適当でないという御意見がありましたが、地方制度調査会の意見は入場税と遊興飲食税を主として、これもたばこ消費税の問題もありますが、入場税、遊興飲食税を税源調整の一つの有力な支柱にしようという考え方だつたのですが、藤田教授の場合には入場税、遊興飲食税司税源調整に使うのは適当でない、つまり地方制度調査会の意見については御賛成でないと、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
#81
○公述人(藤田武夫君) 結構だと思います。
#82
○委員長(内村清次君) ほかにございませんか。ほかに御質問がなければ、これにて公聴会を閉じたいと思います。では公聴会をこれで終ります。
 公述人のかたに申上げます。どうも御多用中長時間の間有益な公述を頂きまして、誠に有難うございました。この委員会におきましては、只今の公述を貴重な審議の参考といたしたいと存じます。誠に有難う存じました。
 それではこれを以ちまして、地方行政委員会を閉じます。
   午後四時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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