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1953/04/27 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第29号
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1953/04/27 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第29号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第29号
昭和二十九年四月二十七日(火曜日)
   午前十時五十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     内村 清次君
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           館  哲二君
   委員
           伊能 芳雄君
           伊能繁次郎君
           高橋進太郎君
           小林 武治君
           島村 軍次君
           秋山 長造君
           若木 勝藏君
           松澤 兼人君
           笹森 順造君
           加瀬  完君
  委員外議員
   通商産業委員長 中川 以良君
  国務大臣
   国 務 大 臣 塚田十一郎君
  政府委員
   自治庁次長   鈴木 俊一君
   自治庁税務部長 奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(内村清次君) それでは地方行政委員会を開会いたします。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。同本案に対しましての一般質疑を続行いたします。
#3
○加瀬完君 昨日交付金制度を交付税制度にすることによりまして、今までの財政補償制度というものは非常に薄くなつて来る、そうするとどうしても交付税というものに左右されることにはならないか、従つてそうさせんためには独立税によります財源の強化、或いは貧富団体間の財力の是正ということが相当効果を挙げなければならんだろう、この点今度の地方税の改正はこういつた目的を達しているだろうかという質問に対しまして、長官のお答えを頂いたわけでありますが、更にこの点についてもう少し伺つてみたいと思うのでありますが、昨日もちよつと質問をしたのでありますが、行政機構をそのままにいたしまして、全然これに手を触れないで、例えば府県であれ或いは市町村であれ、こういつた行政規模というものの本当の姿というものは出て来ないわけであります。本年度の財政計画を見ますると、経費の節減でありますとか、或いは事業の圧迫等、相当な地方財政に対する締め方を強めておる。殊に単独事業などについては余りにも引締められておりますことは、見方によりましては自治体の本来の性格を失わせるという危険すらも感ずるわけであります。而も今度は自治体から主張しております地方教育委員会の廃止、或いは各種行政委員会の整理、そういつた問題には一切触れておりません。こういつた自治法の改正というものを全然切離して税制の改正というものをやりましても、結果におきましては地方でやりたくない事業に出したくない金をそのまま出さなければならない。併しやりたい仕事には金が出せないというような、こういうような矛盾を感じておる節が多いと思います。そこで伺いたい一点は、現在の行政機構というものを認めた上での財源の充実ということであるならば、少くとも事業費などは大幅に削らないで自治体の運営ができるように財源措置が構ぜらるべきではないか。その二といたしましては、若しも地方の経費節減を待つて財源の充実を図る方針であるとするならば、地方の行政機構の整備ということを先ずやつたその上で財源措置というものが行われるべきではないか。今度のように全然自治法の改正をやらないで、現状の地方団体の仕事の面に大幅に制約を与えてまで財源措置の辻褄を合せようということには地方団体から考えれば非常に矛盾を感ずるのではないか。そういつたような点について今一層の御説明を頂きたいと思います。
#4
○国務大臣(塚田十一郎君) 事業費を削減いたしましたことは、御指摘のように幾らかそういう筋があるわけでありますけれども、これは御承知のように今年は国のほうも相当大幅な公美事業費の削減をいたしておるのであります。従つて一つはその国の削減に伴つて地方の負担分の要らなくなる部分、それからして又それと反対に国が出さなくなつたから、地方が要るという部分もあると思うわけであります。その上に更に国の一般的なそういう成るべく延ばせるものは先へ延ばして行くという方針と、そういうものを総合的に検討いたしまして、中央の削減のために地方の負担増の部分は殖やす、それからそうでない部分は減らすということにいたしまして、この程度の事業費は地方財政においても削減してもいいのじやないかという数字が今年の地方のそういう事業費の削減の数字になつておるわけであります。それからして更に地方におきましては経費全体をもう少し縮減をする、そうして成るべく事業費を殖やせるならば殖やして行くということは私も考え方として賛成でありまするし、是非そのように今後も努力して参りたいと思うのです。そのためには行政機構を適正に改革すべきであるということも御意見の通りでありますので、行政機構の改革につきましてはいろいろに検をし、例えば定員の整理でありますとか、考えておるわけでありますが、なかなかそう一気にこれは成就いたしませんので、これは国の場合もそうでありましたが、できるだけのことをこのたびはやつて、今後に更にその努力を引続いてやつて行きたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。なお、地方の行政機構の部分的の改正の部分は、今自治庁が考えております構想の中に若干そういう部分も盛られてあるわけでありますが、今のところでは一応そういうものはそういうことに将来縮減をした場合に、更に一層緊縮をして行くという方向へ持つて参りたいと考えておるわけであります。
#5
○加瀬完君 只今の御説明によりますると、国のほうで減らした分、従いまして地方のほうにも当然減らさなければならん分というものは当然減らすことになる。併しながら国が減らした結果地方のほうで逆に増さなければならん分ということまで削るという方向ではないということでありますが、地方においてはむしろ国が削れば削るほど殖やさなければならない面というものが多くなるのじやないかと思うのです。例えば今食糧増産ということは至上命令でありますが、食糧増産ということを一つ考えましても、一番の食糧増産の行方を阻んでおりますのは土地改良が行き悩んでおるということがある。土地改良というものは従つて食糧増産の上には必要欠くべからざるものであるということになれば、その事業費というものをこれは市町村も望むし、府県でも出さないわけにはいかんということで、どうしても事業費の必要に迫られる。併しながらそれは今までは非常に国のほうで面倒を見てくれておつたのが、国のほうが出し渋るということであるならば、国のほうで出さないからと言つて途中までやりかけた仕事をやめるわけにいかない。そういうようなことで却つてそういう方面の出道というものが余計になるのじやないか。例えば緊縮財政ということであるならば、相当の失業対策というようなものも考えなければならない、そういつた意味の公共事業というものもこれは狭めるわけにいかん、殖えて来るのじやないか。こういう点を考えますると、地方が今日行政能率を上げて行くために必要な最低限度というものまでもむしろ今度の財政計画によりますれば切られているのじやないか。そうすると、そういうふうに巾を狭く押えた上の財源補充と言つても、本当の意味の財源補充にならないのじやないかという心配もあるわけであります。この点……。
#6
○国務大臣(塚田十一郎君) これは非常に問題点でありまして、先ほど私も中央で減らしたがために地方で殖やさなければならんという部分を幾らか殖やしてあると申上げたのでありますが、これは私は考え方としては例外的な考え方であると思うので、やはり原則としては中央で減らすということの場合には、それに歩調を合せて地方も緊縮し、節約をして行くという行き方で行かなければならないと思うのであります。中央で今まで出しておつたものが中央で減らすからして地方で殖やす、その殖やす財源を地方で見るということでありますならば、これは緊縮財政というものの方針が結局は実現できないということになるのでありまして、中央で減らすというときには地方も歩調を合せて減らすというところに、初めて緊縮財政の実現というものが可能になるわけでありますから、従つて中央で減らすという場合には大体歩調を合せて地方も減らして行くのだ、中央で減らして地方で若しやれないという見通しのものは、それは減らさないというような結論を出すのが正しいし、又そのように大体国の財政の場合にも減らしはしておりますけれども、そのために地方が減らさなければならないという場合は原則としては国のほうで減らしてはおらないわけでありまして、従つて中央、地方を通じてやはり減らして行くものは、地方も中央も辛抱してもらいたいという考え方で物を判断をいたしておるわけであります。
#7
○加瀬完君 長官の御説によりますると、地方自治団体の性格というものは非常に中央依存というような形に変えて解釈をしなければならんというふうになるのじやないかと思うのです。例えば中央が減らせば減らすほど地方も減らすと言いますけれども、ここで二つ考える面がある。中央が減らせば地方も減らすと言いますけれども、減らせる条件というものが中央と同じように地方にあるかどうかという問題が一つある。地方は相当財政が逼迫しておるのでありまするから、少くも経費の節減というものは相当程度自前でやつておる。その上に減らせと言つても中央と同様に減らせるかどうかという問題が一つあると思うのです。もう一つは緊縮財政という方向を強く中央が打出した、併しながら緊縮財政というものが地方が被つて行つて、同じように緊縮財政だと言つて地方で以て中央と同じように締切つたときに、緊縮財政の目的であるところの産業振興なり、経済計画なんというものがしぼんでしまつては意味がない。そこで緊縮貯政という中央の方面を地方が受けて立つたときに、緊縮財政が及ぼすところのマイナスの画というものを地方で緩和しなければならないという役割を地方自治団体としては当然やらなければならん。例えば経済計画もこのまま行くならばしぼんでしまうけれども、そこに若干の緩和策をとつて産業振興なり、経済計画なりというものを、今まで引続いたものを何とか実を結ばして行こうということは、当然これは地方としては考えなければならないものなんで、そういう点においては中央と違つた又別な緊縮財政のしわを如何にして地方に寄せないようにするかという考慮を行政上払つて行かなければならないと思います。そういうことになつて参りますと、緊縮財政だからお前のほうでもやれということを言つても、やれない場面が生じて来るのじやないかと思う。こういう点についてはどうお考えになられますか。
#8
○国務大臣(塚田十一郎君) これも中央が減らしても地方が減らせない部分もあるということは私もその通りだと思います。殊に今までの財政計画の上では物件費などの場合には十分中央が伸びておる部分も伸ばさないでおいて、減らす部分だけ減らして参つたのでありますから、それはとても一緒に減らせないということで、先ず伸びるべき部分は伸ばしてしまう、そうしてその総体の財政計画の上で国と歩調を合せて減らして行くという右回をとつていることは御承知の通りであります。
 第二段の中央で減らした部分は地方でやらなければならないのだということでありますが、これは私は先ほどもお答えしたのでありますけれども、若しそういう考え方で行くならば、私は緊縮というものの考え方ではそういう面は出て来ないのであつて、中で減らした分を地方で出すということであれば、国の支出全体としてはちつとも変つておらんのでありますから、ただ考え方として国る部分を地方に任すのだ、国の支出した部分を地方で支出するという工合にこれが場所を変えるのだという考え方からするならば、そういう結論になると思うのでありますが、そうでなくて国の支出全体を締める、締めざるを得ないのだ、そこで締めるという方針が出て来たときに中央で減らす、それが地方で出るというのでは国の締めるという方針は一貫しないわけでありますからして、中央で減らすという場合には、多少それによる経済界の混乱というものはあるでありましようけれども、それは忍んで行くのだ、又忍んで頂かなければ日本は立たないのだという構想の上から出て来ておるのでありますからして、私は中央で締めた部分を地方で出すという面というものは、そう多くあるとは思わない。又中央のほうも地方のほうも辛抱をして締めて頂くという考え方で是非行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#9
○加瀬完君 私の申上げるのも、中央の緊縮した分をその分だけ地方で増さなければならない、出すべきだ、こういう意見じやないのであります。ただ国の支出全体を締めると言いましても、中央で緊縮財政をとつたその方面を地方も受けて立つということは当然でありますが、その程度におきまして、中央の緊縮の程度と同じようなものを地方がそのまま受けて立てるかということになりますと、そこには若干問題があるのじやないか、或る程度の緩和をしなければならない点が生ずるのじやないか。例えば先ほども申上げたのでありますけれども、原始産業と言いましようか、農業府県なんかにおきましては供米ということが一番の大きな問題になつている。供米というものを行政上の非常に大きな問題とするからには、当然多収穫というものが考えられるし、土地攻良というものが考えられるわけであります。そうすると、そういう事業というものを国が緊縮だから地方も予算を組めないからと言つて放つぽりぱなしにしておくわけに行かなくなつて来る。そういつたような点で地方の産業構造を推進させて行くためには緊縮財政に或る程度の緩和をさせなければならないじやないか、その緩和をする経費までも緊縮しろと言つても、それはちよつと地方としてはできないことになつて来る。そういつた点、程度の問題でありますが、締め方が強過ぎるのじやないかと思います。
#10
○国務大臣(塚田十一郎君) 私が中央の財政、殊に国の予算を見ておりますあれでは、私は今度の予算のときに、中央が締めて、地方にそれのしわが寄つて来るということは、中央が締めたから地方がそのあとを背負わなければならないということでは意味がないからして、そういうような無理な締め方は中央においてもしてもらつては困るということを強く主張し、従つて私は中央が出なくなつたからと言つて、地方がそれを負担するという考え方は、地方財政計画の上では全然私は持つておりませんし、又そのように自治団体にやつて頂く考え方もないわけであります。従つてそういう考え方でいる以上は、中央の締め方というものが地方にまでそういうしわが及んで来るというような締め方であつてはなりませんし、又国の予算を検討いたします場合にも、私といたしましてもそういうことのないようにいろいろ努力をしておるわけであります。従つて私は今度の程度の締め方というものは、それで以て国が締める場合には、地方が別にそれをどうするという措置をしないでも、そういう方針で以て中央も地方も辛抱して行くのだという考え方で賄える範囲において中央の緊縮も行われておる、そういうように考えておるわけであります。
#11
○若木勝藏君 ちよつと関連質問……、今の問題は非常に大事な問題だと思うのでありますが、結局今度の二十九年度の予算は緊縮の一兆円の枠内におけるところの緊縮の予算である、そういうふうになりますれば、国の場合についてはどういう面に緊縮し、それから国で緊縮した場合においては地方も緊縮するというのは、一応私は筋が通ると思うのであります。国と地方が一体になつて緊縮して行こうという方針は立つだろうと思うのであります。そこで国がどういう点について緊縮し、従つて地方がどういう点について緊縮しておるのか、この実態についてお伺いしたいと思います。
#12
○政府委員(鈴木俊一君) 今年度の地方財政計画を作る場合には、只今大臣から加瀬委員にお答え申上げました通り、国と地方が同じような緊縮で財政計画を立てる、従つて節約すべきものも同じような考え方を以て節約して行く、こういうことにいたしたわけでありますが、そのうちで地方の財政計画の上では先ず節約額というものを百二十億組んでおるわけでありますが、これは物件費、旅費については国もやはり一割程度の節約をしておりますので、そこで府県と五大市につきましては一割程度を節約をするというふうにいたしております。ただこれが五大市以外の市町村に対しては一割そのまま適用することは無理であろうということで、これは五%の節減にしておるはずであります。そういうことで百二十億という数字が出て来ておるわけであります。それから事業費のほうにおきましても、これは国が公共事業の中を圧縮することによつて当然に地方も又それに応じてその仕事をやらない、従つてそれに対する地方負担額も減るというものがあるわけであります。併しこれは国がやらないから地方がやらないという場合だけでなく、中央が補助事業をやらなくなつたために地方が或る程度単独事業を代つてやらなければならんという面もあるわけであります。その分はやはり若干見込んでおりますが、ともかく国の公共補助事業の減に伴う地方負担額の減というものを一面において見ておるのであります。これは補助事業に伴う当然の減でありますが、それから今一つは単独事業でありますが、単独事業については国の公共事業の節約が約一割でございますから、それと大体同じような原則で単独事業につきましても一制、即ち約七十億の節約をいたしておりますが、その中には先ほど申上げたように補助事業がなくなつたが、併し地方の単独事業としてはそれを見て行かなければならぬというものをたしか三十億程度見ておつたように記憶いたしております。そういうふうに国の補助事業その他のいわゆる事業費の節減に伴うものの節約も全く同じような原則にしているわけでありまして、そういうふうにいたしまして、庁費、事業費共に同じような原則で考えている。ただ地方に対する適用の場合においてはその原則を地方の実態に即するように、市町村のような小規模団体に同じようなことを適用することは困難である。又地方に若干寄るべきしわを見て行かなければならぬという面で単独事業も余計見ているというような調整を加えておるつもりであります。
#13
○若木勝藏君 そうしますと、今のお話によると、国が緊縮の方針をとつたために、一番地方財政に響いて来るものは、公共事業の補助の方面を緊縮したこと、そうすると従つて地方のほうにおいてはそれに振替つてどうしてもやらなければならないのは単独事業である。ここに私は非常に大きな問題があるだろうと思います。今のお話で三十億程度というふうなものが、ともかく単独事業で以てこれを補助の緊縮に対して振替えて行かなければというように私は聞きとつたのであります。そういうことが結局のところ我々の心配しておるいわゆる国の緊縮が地方の負担を増大せしめるところではないかというようなことになるのでありますが、それが税というようなほうにどういう変化をしておるか、そのために地方税の徴収ということがどういう変化を起して来ておるか、こういう点について……。
#14
○政府委員(鈴木俊一君) 地方の財政につきまして或る程度の節約、節減を図る結果として、地方税のほうにどういう影響を持つかというお話でございますが、これは直接的な関連というものはないと思いますけれども、ただ団体によりましては、御承知のように赤字財政の所が相当あるわけでございますから、事業費の面においてどうしても圧縮できないというような場合がありますならば、他のあらゆる方法で増収を図らなければならない。その増収を図ります場合には、それは税というような面に出て来る場合もございましようし、或いは使用料、手数料といつたような雑収入の面に伸びて来るという場合もあろうと思います。併しながらその直接的な関連といいますものはないのじやないか、一般的な関連ではないだろうかと思うのであります。
#15
○加瀬完君 今次長さんの御説明によると、国の公共事業というものの肩代りに単独事業は或る程度やれるように考慮をしたということでありますが、たしか七十七億か単独事業も減つておると思うのであります。で、公共事業のほうを減らす、それから単独事業のほうも減らすということであれば、事業全体というものを減らすということにならないか。それは経費は節約するということになるかも知れませんけれども、自治体本来の仕事というものには大きな制約を加えたということにならないか。こういうふうに考えられるのであります。問題はそれは事務費でありますとか、その他の消費的経費を節約するのは肯けるのでありますが、今まででも地方団体の一番困つているのは投資的経費がだんだん減つて来るということだつた。その投資的経費を更にこういうふうに減らすということだつたならば、これは仕事ができないじやないかということにもなると思う。私のさつきから伺つておりますのは、そういうふうな一方では緊縮方針というものを強く打出しておる。それならば一体地方自治団体が好んでもらわなければ、早く廃止すること或いは整理することを願つておるところの地方教育委員会とか、或いは各種の行政委員会というものの整理なり統合なり或いは廃止なりというものをなぜ一体して、それから経費を出すということは全然考慮の中に入れなかつたか、こういうことなんです。この点如何でしようか。
#16
○国務大臣(塚田十一郎君) これは加瀬委員の御意見では、緊縮をする場合には一般の経費を緊縮をして投資的な経費を減らさないというほうが正しいのではないかという御意見であると思うのでありますけれども、まあそういう考え方も一つあると思うのであります。併し今度のこの二十九年度予算の場合の政府の緊縮方針というものはそういうものに限らないのでありまして、投資的な経費であろうが一般的な経費であろうが、とにかくも詰められるものは全部詰める、そういう考え方で国の予算も成るべく枠を縮めて参つておるわけでありまして、まあ国がそういう考え方の場合には私は地方も同じような考え方で行くべきではないかと、こういうように考えるわけであります。国と地方と調子を合せて行かなければ政策というものの一貫性というものがとれないわけでありますから、そういう場合に御指摘のように地方教育委員会でありますとか、そのほかのいわゆる経費の面においてもつと節減すべきものが確かに私どももあると思います。そのように努力しつつあるわけでありますが、それがまあ十分実効をまだ挙げておらんのでありますけれども、併し問題を今投資的経費とそれからしてそうでない経費というように考えますならば、私は投資的経費というものは国民負担が可能であるならばもつと殖やすがよし、それからしてその他の経費というものはこれはできるだけ今度のような緊縮方針の有無にかかわらず締められるものは締める、無駄な機構はなくするというように努力をして行くべきものであつて、今度のこの緊縮方針と必ずしもこれは必然に繋つておるものではない、まあこれはこれで別途に又今後とも考えて行きたい、こういう考え方でおるわけであります。
#17
○加瀬完君 甚だ失礼な言葉でありますが、大蔵省の当局から只今のようなお話を承わるということであれば、成るほどとその立場がわかるのでありますが、自治庁といたしましては、自治庁からいろいろ出ております報告によりましても、自治団体が自治団体本来の独自の仕事ができない、投資経費の投入というものが非常に巾が狭められて来るということに対して憂慮をしておるたびたびの報告を私ども承わつておつたわけであります。従いまして、投資的経費だけは幾らでも出せ、ほかのものは削つてもいいと、こういうことではございませんが、少くも現実の自治団体というものを考えますときに、国が緊縮をする同じ方向で投資的経費までも同じ中で緊縮をされてしまつては自治体本来の仕事というものができなくなる慮れがあるんじやないか。だから産業振興を阻むような虞れのある緊繋方針というものは少なくも地方においては防がなければならない、こういうふうに考えられないか。こういうふうに考えられるとするならば、今度のこの財政計画を見ましても、この切り方が激しいじやないか、こんなに切られてしまつてはどうにも仕事ができないということにならないか。そこでせめて公共事業の面でたくさん切られるならば単独事業の面だけでももう少しやれるような財源措置というものが考えられなければ、本当の意味の財源の補充ということにならない、こういう点で伺つておるんであります。
#18
○国務大臣(塚田十一郎君) これは投資的経費は成るべく節減すべきでないという考え方で財政を見るのは地方も中央も同じことだと思うのでありまして、中央の今年の公共事業費の切り方自体でも、個々の切られた面を検討してみますならば、相当無理なものも私は切つておると思います。むしろ切るどころじやない、もつと殖やすべきであるという考え方も考え方としては成立たないことはないと思うのであります。同じように地方も私はそのように思うのでありますが、ただそういうように考えられるのにもかかわらず、その他の経費も含めて投資的経費を今年は中央も非常に無理をして節減したというのは、そうせざるを得ない事情があつてのことでありまして、私はこの考え方は中央はそう考えてもいいが、地方は今まで投資的経費が少いからしてこれはそんなにその面に手を着けちやならないというような事態ではないと、こういうように考えておるわけであります。
#19
○加瀬完君 問題は独立財源の充実が果して目的を達しておるのかどうかということでありますので、その点でもう少し伺いたいと思うのであります。で、地方財政計画におきまして自然増を四百三十一億か見込んでおるのであります。修正によりますと、これは税区分の変更とか税率の引下等によりまして、もつと少くなつて来るということが考えられる。そうなつて参りますると、この自然増というものの見方が少し過大ではないかと思うのであります。
 もう一つ、今度は歳出の計画におきましては、只今いろいろ御説明がありましたように事業費の節減とか、経費の節減とかいうことが激しく節減されております。特に単独事業などにおきましてもその実施は甚だ困難な状態にまで追い込まれておる。こういうふうに歳入が見込が少し大きくて歳出は必要以上に詰めておる。こうなつて参りますと、自治体にとつて自然な状態とは言われないということにならないかどうか。そのアンバランスのしわが計画を見ましても、手数料或いは使用料の大幅な引上げになつて現れております。又住民税などにいたしましても、相当これは増徴といつたような大衆の負担の形が出て来るということも考えられるのであります。或いは又不健全な公営企業と申しましようか、例えば競馬であるとか競輪であるとか競艇であるとか、こういうものはますます町村が苦しまぎれに拡張の方向をとつておるのであります。このギャンブルと申しましようか、こういうものを黙認しなければ地方自治体の財政独立ができないというこの現状をそのままにいたしておきまして、地方財源が確保されたということが果して言い得るか、こういうふうなことも考えられると思うのであります。そこで収入見込が過大ではないか、使用料、手数料等の、或いは住民税等の大衆負担というものが非常に重くかかつて来るのじやないか、そういう心配はないかということをまず一つ。
 第二には、ギヤンブル事業というものを廃止して地方財政の立つて行けるような考慮というものは、その際は全然考えなかつたのか。
 三といたしましては、公共団体で行う不健全企業、これが地方自治の最大の仕事であります治安上、或いは教育上、産業振興上、与えておる悪影響というものはこれはもう私どもがここで論議をするまでもないことであります。こういつたような点をこの税制改正の場合どういうふうにお考えになられたか。以上の点を伺います。
#20
○政府委員(鈴木俊一君) 只今加瀬委員のお話は、地方の節減が相当強く行われておる結果、いろいろ収入のほうに無理がかかつておるのではないか、そのためにギヤンブル事業と言われましたが、或いは不健全企業といつたようなものを廃止すべきものも廃止できない、或いは収入見込が非常に過大に見積つておるというような点がないかというようなお尋ねのようでございます。本年の節約は確かに百二十億も節約しておりまして、苦しいわけでございますけれども、この事業費のほう等につきましては、約二百五十億余りの節約の中の中心をなすものは、昨年の災害の復旧事業が本年は今の見込としては非常に落ちて来ておるというところから、百八十億余りのものは当然に抜けるわけでございますし、又いわゆる特定道路の整備事業というので昨年四十億余り出ましたけれども、今年は事業計画が完了して終つたというようなことで、そういうことで約二十億余りのものは当然にすぽつと抜けるわけであります。半面失対事業などはむしろ昨年よりも十七億も余計見ておるというようなことでございまして、そう無理、相当の無理ではございますけれども、見るべきものはやはり或程度見ておると思うのであります。併しそれにもかかわらず一般の庁費の節約百二十億なんというのはなかなか辛い点はあるわけでございまして、そういう意味から御心配のようなことになつたかと存じますが、第一点の税収の見込額につきましては、自然増収四百二十八億というものでございますが、これはやはり主体は市町村民税或いは固定資産税、或いは府県のほうに参りますと、事業税或いは電気ガス税といつたようなものでありまして、市町村民税の所得判は御承知のごとく前年の所得を押えるわけでございますから、これはむしろはつきりと基礎がもう明確になつておるものでありまして、それに基いて計算をすると当然に例えば六十四億殖える、こういうことになるわけでございますし、又固定資産税の土地にいたしましても又宅地等の評価増が相当にある。又家屋なども新築のものが相当に殖えて来ておる。又償却資産など今日当然にこれは新らしく建設されたものがそれだけ殖えるというふうなことで、これらのものもやはり八十億近くあるわけでございますし、電気ガス税等は消費増ということも当然に見込み得る面があるわけでございますのと、それから事業税につきましての見込も個人事業税は前年所得を基礎にいたすわけでございますから、当然にはじき出されて来るわけでありますし、法人事業税につきましては、国税の法人税の収入見込額というものを基礎にしてとつておるわけでございますから、これは要するに国税、地方税を通じてのすでに過年度の収入として基礎のはつきりしているものをとり、又本年度の見込につきましては国税と相通ずる原則に従つて見込んでおりますので、そうこれは特に地方について無理な見込み方をしておるとは私ども考えていないのであります。
 又ギヤンブル事業とおつしやいましたが、競馬、競輪或いはそういつたようなものの収入をできるだけ見ないようにする、或いはそういう企業自体をむしろ廃止するということがこれは道徳上の問題としても適当なこととも言われましようし、又そういう不健全な収入に地方が期待をするということは確かに適当ではないと私ども考えるのであります。そのゆえ今年は国においては競輪の納付金を廃止する、或いは宝くじを地方に移譲して国としてはやらないといつたようなことを先ず第一歩つとしてやつたわけでございまして、将来国のみならず地方の財政がかような収入に期待をしないということになるということは望ましいことでありますけれども、何分にこれらのものを今やめるということになりますると、地方の財政規模を圧縮しない限りはほかに何らかの代り財源を求めなければならんわけでありまして、一挙になかなかこれを廃止するというまでには参らないというのが遺憾ながら実情であると申さざるを得ないわけでございます。使用料、手数料等においても相当多くを見込んでおるではないかという御指摘もごいましたが、それも従来の経験によりまする伸びを基礎にして、従来の方式で見込んで行つて当然にああいうような数字が出るのでありまして、その見方が若干多くはないかという御指摘ではないかと思いますが、確かに楽ではないのでございますけれども、どうも全体といたしまして、そのような面にもあの程度の伸びを見込みますことは、この際といたしましては国全体の財政の緊縮を図る上から申しまして、やむを得ない結果と私どもは考えておるのであります。
#21
○加瀬完君 これは大臣に伺いたいのでありますが、只今の御説明の中にもう大体尽きておるようなものでありますが、自治団体が公営企業と申しましようか、不健全企業という言葉で言うのは強過ぎるかもしれませんが、今言つたような競馬、競輪等をやらなけれ地方財政が賄い得ない、やむを得ずこれを許しておるというお話でありますが、今度の税制を大修正する折にこういう問題はどんなような過程におきまして論議をとされましたか。或いは又今廃止ができないというならば、或いは廃止の方向に政府のほうは考えがあるのか、或いは又こういうものを持つている所は一応いいけれども、持つていない所は弊害は受けても全然恩沢は受けないということになつて、非常に団体間の不公平もあるわけであります。こういうふうな点で何か話合いがおありであつたか、そういう点についてお話を頂きたい。
#22
○国務大臣(塚田十一郎君) これは国全体としての方針では、やはりこういうものを御指摘のように逐次やめて行こうというのが閣議の考え方であつたわけであります。半面にそのやめる第一段の措置といたしまして先ず国がやめる、従つてまあ地方も一緒にやめるかどうかという問題であつたのでありますが、まあいろいろな収入面を考えてみると、この収入の上げることの容易さ、それからしてそういうことによつて上げた収入が使われている面の有効さというものを考えて、奨励はしないにしてもまあ現在あるものは暫くの間地方で以てやらしてもらつて、地方財政窮乏の際の幾らかの足しにして行こう。併し新らしいものは余りこれから許すという考え方は国全体の方針がそのようになつております以上はやらない、こういうように漸進的にやめて行くという考え方にいたしておるわけであります。
#23
○加瀬完君 重ねて大臣に伺いたいのでありますが、先ほど出しましたように、こういう事業をやつております府県におきましては、治安の上に或いは教育の上に、或いは産業振興の上にいろいろ支障があるのであります。治安なり産業なりということは一番地方団体としては大きな行政の部面を占める仕事でありますが、その本来の仕事に支障のあるようなものをそのまま許しておいて財源の一助にしようというふうな考えというものは、私はどうも多くの矛盾を感ずるのであります。地方行政本来の仕事の上からこういつた事業がもたらす弊害というものについては、長官はどんなふうにお考えでございましようか。
#24
○国務大臣(塚田十一郎君) これは私田もお尋ねのように何かしかの弊害があるし、又そのことのために治安の点などにいい影響を与えないということもまああると思うのであります。ただ世つの中というものはなかなかそう理屈ばかりでも行かない面が多々あるものでありまして、まあ幾らかあることによつてプラスの面がまだあるだろうという考え方で、奨励はしないまでもまああるものは暫らくやらして行くということで、一つこの困難な際の地方財政の困難を成るべく早く乗り切つて行きたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。
#25
○加瀬完君 結局長官のお説によりますと、こういうものを認めているようでありますが問題は理窟ではなくて、こういうものをやりたいという地方団体は一つもない。併しこんなものをやらなければバランスのとれない地方財政というものに問題があるわけであります。こういうものを廃止して行こうといふうな方向を政府が持つならば、例えば国においては国営競馬をやめるとか、或いは宝くじなんかもやめたのでありますが、国が弊害を認めてやめたものを地方にはそのままやらしておく、而もそのやらなくていいという方法は講じないということであつては、これは自治庁の立場としてはどうもおかしいと思うのであります。そこで地方財源を措置する今度のような大きな改正のときに、こういうものやらなくていいような方法という根本的なものをなぜ一体考えなかつたか、そういう点を重ねて伺います。
#26
○国務大臣(塚田十一郎君) これは御意見のような考え方は、私はこういうものの収入が一般的な経常的な費用に充てられる、そうして又そういうものがなければ一般的な事業も何にもやつていけないのだというふうに財政計画がなつている場合に、恐らく御指摘のような御意見がぴつたりと当ると思うし、私もそういう措置はやはり適当でないと考えておるわけであります。ただ現在の場合には特殊の団体にこういうものを許しております場合に、やはりその使途がおのずから例えば公営住宅でありますとか、或いはそういう住宅を作ることが特に必要とされる戦災都市でありますとか、そういう特殊の目的に向つてその利益が充当されるという場合にこれを許しておるわけでありまして、私はそういう場合には成る程度許して行つても、ここに運用の上に十分注意をいたしまして、成るべく弊害の起きないようにして参りますならば、許されて然るべき問題じやないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。そういうような考え方でありますので、一般的な地方財政の窮乏をどうするかというような一般的の問題については、おのずからこれとは別個に考えるべきであると思いましたし、又そのように不十分ながらそれをその考え方で措置をしたわけであります。
#27
○小林武治君 長官に伺います。今競輪等は今後許可しない、成るべくしない、誠に結構で、私どももああいうものは大反対。あんなことは要するに寺銭で地方財政を維持するということは本当に邪道だと思うのでありますが、又最近モーター・ボート競争、こういうものがほうぼうに話があるのですが、これも同様に扱われるつもりかどうか、伺つておきたい。
#28
○国務大臣(塚田十一郎君) 一般的な方針としてはそのように措置をしたいと思うわけでありまして、ただ先ほども申上げましたように、それがどういう用途に向けられるかというようなことも考え、それをどういうところが計画をされるかということも考えて、現在あるものについてそのままでやらしておくという場合に、完全に新しいものは絶対に今後許さないというような方針も立ちがたいと思いますけれども、一般的な方針としてはやはり成るべく許可しない方針というふうに進めて参りたいと思つております。
#29
○小林武治君 今の許可はこれは通産省か何かでやつておると思いますが、自治庁は協議を受けますか。
#30
○政府委員(鈴木俊一君) 今のお話のモーター・ボート競走でございますが、これは運輸省のほうがそういう競艇場を設けますときに、自治庁のほうに一応の内部的な協議はあるわけであります。自治庁といたしましては、既存の競輪場にいたしましてもその他の施設にいたしましても、そういう施設を作るようなものについて例えば起債を見るというようなことは一切いたしておりません。それは何らかの財源を得て地方が作る、作つたものを使う場合は先ほど大臣から申上げましたように、戦災都市等を中心にして大体考えて来たわけでございますが、戦災都市がだんだん復興して参りまするならば、将来そういう競輪とか競馬等をやめてしまうということなら別でありますけれども、そういうものが残つておりまする限りは、そこから出て参りまする収益というものを或る程度やはり従来よりも、特定の団体にだけ残すというよりも若干指定の中をむしろ緩和して、或る団体だけが独占するということがないように、或る程度は調整的な許可指定というようなことも考えていいのじやないかと思つております。要するに自治庁はどういう団体がそういう事業をやるかということの指定をするだけでありまして、競輪場の設置或いはモーター・ボート競艇場の設置ということは、それぞれ所管の省のほうの主務省のほうの扱いになつております。
#31
○小林武治君 若し協議を受けるなら、そういう趣旨で以て私は新規の許可はやめるべきだ、こういうふうに思うのでありますし、又既存の施設につきましても、弊害のあることはむしろお役所は御存じないのだとさえ私は思うのでありまして、現在でも競輪場はもとより今の馬券の場外売場というようなものにつきましても、いろいろの問題が起つて来て、これは財政という問題よりもむしろ風教とか或いは道徳の問題として私は十分気をつけなければならんというふうに思うのでありますし、今お話がありましたように戦災都市も大方復興を遂げて来ておりますし、こういうようなものはもう或る程度打切るというふうな方向に進むべきものであると思いまするが、従つてましてや新規の許可というようなことについては是非一つ消極的の態度をとつて頂きたい。こういうことを特に私注文を申上げておきます。
#32
○若木勝藏君 今のに関連いたしまして、私も伺いたいと思います。今もお話がありました通り、これは全くただ単に地方団体の財源の取得をいう方面から考えまして、そうしていわゆる弊害というようなものについては余り……、考えてはいるでしようけれども、それほど深刻に考えておらない。財政が貧弱なんだからやむを得ないだろうと言われるのが政府の腹じやないかと思うのであります。これは何年来この問題については問題になつておるのでありますが、今の長官の答弁としては、目分も好ましいものじやない、いずれ何とか打切りたいと思う、こういうお話でありましたが、私はそれではまだ明確な答弁になつておらないと思うのです。これを停止してしまつて、そうして他にどういうふうな財源を求めるか、その研究が自治庁においては本当にやる気なれば、もう研究がされておらなければならないと思うのでありますが、若しこれを打切つて他の財源に振脅えるとしたならば、今のところはどういうふうな一つの方向を持つて御研究になつているか、この点を伺いたい。
#33
○国務大臣(塚田十一郎君) これは若しやるといたしますならば、当面の措置としてはやはり起債による以外には方法はないと思います。ただ起債によるという場合には、起債は当然これは当該自治団体の債務でありますから、そういう起債を起す場合に将来そういうものの元利償還というものが将来の一般的の財政計画の上に乗るということでありませんければ、そのときに起伏ができるからするという考え方では、やはり先長い財政計画というものを頭に置くときに不健全さというものが出て来る団体もあり得ると思いますので、起債以外には方法がないが、併し全部の団体が起債によつてそういうものをやつて、将来長く問題を当該自治団体の財政計画の上に残すというわけにはやはり行かない。そういう意味におきましては成るほどそのときにおきましていろいろな副次的な弊害というものも若干出て参りますけれども、こういう収入で賄つておるということであれば、当該自治団体に将来の負担を残さないという意味においてやはり当該の自治団体が非常に熱望される場合には、十分に検討しながら弊害のないようにしつつ或る程度見てやるということもやむを得ないのではないだろうか、こういう考え方をしておるわけであります。
#34
○若木勝藏君 競輪、競馬のいわゆる財源は大体どのくらいの予定になつておりますか。
#35
○政府委員(鈴木俊一君) これは二十八年の実績は競輪の納付金でございますが、十九億、モーター・ボートが三億、小型自動車納付金が二千五百万、宝くじが十一億、合せて三十三億、本年はそれが三十六億というふうな見込みになつておるわけであります。
#36
○若木勝藏君 そうしますと、総体で三十六億ということになれば、全体のこの財政から見ますと大した金額になつておらない。こういうような点は、私は国家の予算から見て我々から言えば余りに防衛費に余計かかり過ぎている。そういう方面から三十六億あたりは簡単に片付くのじやないかと思うが、この点はどういうふうに思いますか。
#37
○国務大臣(塚田十一郎君) 今次長のお話で小さいというような御意見もあるのでありますが、併し金額の僅かな差というものは、若木委員が御指摘になつた考え方からすれば不問に付して然るべきものだと私は思います。併しここにそういうものを希望する自治団体というもの、これが全体で三十億とか五十億とか言つて、それを平均に考えるわけには行かないのであります。ここに特殊の団体がそういうものを希望するというときには、それによつて得られる財源と他の全般の財源との比重というものから見て、やはり私はかなりな比重になつておると思うのでありまして、恐らくそういうもので以て特別の収入を得て、特別のいろいろな仕事をしたいというようにお考えになつている、又そのように運営されている自治団体におきましては、恐らくそのほかに起債も考える、税も取れるだけ取るというように、まあいろいろな手を打つて、財政運用をやつていらつしやると思うわけでありまして、まあこれを急にやめてしまうということの面から来る地方財政の窮屈さというもののほうが一層大きいのじやないだろうかと、こういう考え方をして、どこまでも総合判断によつて暫らく問題を検討して行きたいという感じでおるわけであります。
#38
○若木勝藏君 これをとりやめるとすれば、起債による以外にはないだろうというようなお話でありましたのですが、そうすれば地方に一つの負担がかかる、そこにまあ悩みがあるというお話ですけれども、こういうものの解決に当つてこそ、私は交付税の増額なんということが考えられるべきじやないか、それによつてこのくらいの金ならば解決つくのじやないかと思いますが、そういうことについてはどうですか。
#39
○国務大臣(塚田十一郎君) これは一般的にはこの交付税の配分という概念にかからない性質の用途に大体皆使われておると思う。たまに特殊のものが或いは特別交付税で考えられるならば考えられる性質のものもあるかも知れませんけれども、それもまあ一部分であつて、全体としてはそういう一般財政計画の上に出て来ない、特殊の団体が、特殊の目的を達したいという場合に、こういうものが大体使われておると思います。
#40
○小林武治君 その点関連しまして、ちよつと念のために伺つておきますが、今年は競輪関係の国庫納付金をやめた。これが約千億とか幾らとか言つておつたが、この金は地方財政計画に無論入れておられるというふうに思うのですが、聞くところによると、これを又取り上げて、特殊法人を作つて機械の何かに使う、こういう話がありますが、この点に関しては自治庁はどういうふうに了承されておるか。
#41
○政府委員(鈴木俊一君) 今の競輪の納付金につきましては、競輪その他の国庫納付金を今回廃止とをしたわけでありますが、その関係で御指摘のように、機械工業振興団というような、仮称の団体を設けて、そこに従来の国庫納付金に相当するようなものを、地方団体から一種の割当寄付或いは強制寄付のような形で納付をさせて、それを機械工業の振興に使うというような案が確かにあつたのでございますが、結局最後におきましては、その案はとられないことになつたのであります。この案につきましては、私どもも地方団体に対するさような種類の強制割当寄付ということは、地方自治という本旨から申しましても非常に問題があることでございますし、又そういうような中間的な団体に一種の行政を行わしめること自体が、これ又国の行政措置から言つてもいろいろ問題があると考えられるので、結局そのような案は実現しなかつたわけでございまして、只今衆議院のほうのたしか通産委員会に、自転車振興会に対しまして、従来競輪の場合ですと、百分の四でありますが、四を施行者が納付する、そうして交付することになつたわでございますが、その枠を高めまして、大体六億程度のものを自転車振興会に出して、その六億の金を今の自転車の振興に使うというような形の法律案を出すように、議員提出で提案をされたように次官会議で報告を受けております。これにつきましては、まあ私どもといたしましては、国庫納付金を廃止いたしましたのでございますから、そういうような、又それをやや復活するような形のものについては、事務的にはどうも賛成しがたいということを言うておるのでございますが、この案は大体相当多数の賛成を得ておることでありますから、或いは通過を見るのではないかと考えております。
#42
○小林武治君 私どもは今のような案には絶対反対するつもりでおりますからして、折角の納付金をやめれば、地方財政に付与すべきだと思いますが、又さようないい加減な中途半端な団体を作つて行くことは、又いろいろ問題を起すことになる。私の会派でもそのときには反対しようという腹をきめておりますので、その辺は自治庁お含みの上で対処して頂きたいと思います。こういうふうに思います。
#43
○若木勝藏君 今のに関連するのでありますが、先ほど私は、今の三十六億というような金額ならば、交付税の方面を十分考えて解決できるのではないかというところの質問をしたのでありますが、それに対して長官は、これは三十六億というふうな、こういうふうなものに対しては、直接交付税で以て処理すべき筋合のものではない、そういうふな御答弁があつたのです。私の言つているのは、こういう競輪とか競馬とかいうことをやりたいということは、結局その地方団体において何かの一つの事業をやりたい、学校施設を拡充したい、消防施設を拡充したいということが出て来まして、結局交付税を潤沢にやつて行けば、そういう方面が自然に養われて来る。そうすると、こういうふうな競輪、競馬事業を起さなくてもいい、こういうふうな意味で聞いておるのです。そういう方法があるのではないか、ただ単に起債にのみ頼るということではなしに、先ず二〇%を三〇%くらいに上げたら、この問題は直ちに解決するのです。こういうふうなことを聞いておるのです。
#44
○政府委員(鈴木俊一君) 先ほどお答え申上げました数字を、ちよつと別の意味の数字を申上げましたので、訂正をさして頂きます。先ほど申上げました三十三億という二十八年度の実績は、競輪、モーター・ボート、小型自動車、宝くじ収益の国庫納付金の実績であります。の財政に寄与しておつたところの額であります。それの見込みが本年は昨年と同じ方式でやると三十六億になろうというのであります。但しこの中には、地方団体に割当てまするというと、いわゆる富裕団体の収入になります分がありますので、そういう意味で三十六億の本年度の見込みの中から十四億の、いわゆる超過団体に廻つて行きます分を引いた二十二億というのが、国のこれらの収入から地方の財政計画の上で予算に見込まれ得る収入になるわけであります。その基礎数字を先ほど三十三億、三十六億と申したのでありますが、本来地方が競輪なり競馬なりで収入として得ておる数字は、これは今ちよつと正確な数字を手許に資料がありませんので申上げられませんが、今二十二億、本年度の納付金の廃止によつて地方に廻つて行く分を含めまして、約九十億程度ということであります。
#45
○国務大臣(塚田十一郎君) 今のこういう収入の交付金を殖やして、そしてそういうものをしないで、地方団体にやつて行けるようにしたらいいのではないかという御意見でありますが、これは先ほど申しましたように、今そういうものを使われておりますのは、特殊団体の特殊の用途ということでありますので、今の交付税の目的の考え方からいたしまして、普通交付税にいたしましても、特別交付税にいたしましても、そういうものに特殊に考慮をして交付税を出すという考え方はできない仕組になつております。恐らくそういう工合にいたしますと、これはすべての団体について同じように扱つて行つて、全体として交付税を殖やして行くということにならざるを得ないと思うのです。そのときには、今特殊の団体が九十億程度で以て仕事をやつておりますのを、全体の自治団体について考えるということになりましたら、恐らくこれは大きな金額になると思うのです。従つて今のこういうものをやらなければ、先ほど起債でやらなければならないということを申上げたのでありますが、もつと突きつめて申上げますならば、当該自治団体が特殊の法定外税若しくは現在ある法人税を標準税率以上に取るというようにしてやつてもまあ賄える性質のものでございまして、ただ交付税というわけにはこれは行かない性質の用途に大体使われておると、こういう考えをしておるわけであります。
#46
○若木勝藏君 いや、これは繰返しますがね。とにかく何か一つの地方団体で地方団体の仕事をしたいために、まあ今の九十億なら九十億ですな、総括的にこういうものが必要になつて来る。その根本を交付税なりそういうふうなもので養なつてやれば、こういうことは必要がなくなつて来るというのが私の考え方なんです。それはあなたは特殊な団体だとこう申しますけれども、私の論を進めて行けば、各地方全部に渡らなければならないと、こういうふうなまだお考えのようでもありますけれども、そうであつたならばそのようにやつて行かなければならない。それをその根本を養わない以上は、いろいろの問題を起すところの、いわゆる風教上にも問題があるこういうものが自然に出て来る。その根本を押えなければならないのじやないかというのが私の考え方なんです。どうでしよう。
#47
○国務大臣(塚田十一郎君) それは、もう一番いい方法は、すべての地方団体か財源に憂えのないようにして十分できるということになるほうが一番望ましいのでありますけれども、併し、一万に近い府県、市町村を含めた団体それぞれに財政能力も違い、又しなければならない仕事も違うというものを、交付税という形で若し賄うとすれば、これは非常にそうでない所にたくさんのまあ無駄が出て来ると思いますのでして、従つて、交付税という考え方はそういうものは考えないで、普通交付税は一般のレベルというものを考え、その上に特殊の事情のあるものは特殊の交付税で考える。併し、そういうものでも考えられないものはそれぞれの自治団体が当該自治団体の住民負担でやるか、或いはこういう方法でやるかということになると思うのです。従つて、こういう方法は、例えば特殊の自治団体が当該自治団体の住民に他の自治団体より余計な負担をかけて仕事をしておるというような場合に、それを他の全部の団体に一律にという考え方には私は行かないと思うのであります。ですからして、自治団体の今の財政運営といたしましての立場からいたしますならば、どうしてもそこの自治団体に、特殊のものはそこだけで特殊に考えるか、一つの方法としてまあこういうものが適当である所はこういう本法によるものもよかろうし、そういう方法がなけけば特殊の税法、法定外の特別の税による方法によると、こういう仕組になつておるわけであります。
#48
○若木勝藏君 そうしますと、まあこの自流団体に対する責任者としての長官としては、先ほど何とかしてこういうふうなものは廃止したい意向であるというふうなお話だつたのでありますけれども、今のこの御答弁を聞きますと、これに対しては殆んど手がないとこういうふうに受取れるのです。方法がないと、そういうふうになるわけですか。
#49
○国務大臣(塚田十一郎君) これは手がないということではないのでありまして、それはそういう特殊な用途に使うということを、その仕事をしないでやつて頂くということになれば、そういうものを勿論等しく押えることはできると思うのですが、併し、しないというようにするのがいいのか、まあ是非そういう競馬、競輪をやつてもその利益からやる仕事をしたほうがいいのかは、これは当該自治団体の意向も聞いて見、又それをやる場合の実際の影響、弊害、そういうようなものも考えてみて、まあまだ許して然るべきであるという場合には、これを許すということもやむを得ないのじやないか、こういう考え方を持つておるのでありまして、まあどうしてもこれはやつちやいかんということであればそういうものはやらせない。従つて、そういう利益によつてやつておつた仕事はやらせない、勿論全然やらせないのでない、する場合には或いは起債という形で行われるでありましよう。起債で行われたという場合には、それが先に長い元利の償還も財政計画のほうに当然入つて来て、当該自治団体の住民の力で解決されて行くという形になつて参ると思います。そのどの道を選ぶのがいいかということは、当該自治団体の意向も聞きながら、幸抱できる範囲では、好ましくない方法であるけれども、この方法で暫くやつて行つたらどうだろうと、こういう考え方をしておるわけであります。
#50
○若木勝藏君 今の御答弁で、私は極めて確信のないような印象を受けたのでありますが、これ以上は言いません。とにかく早急にきめる、こういうふうな弊害のあるものについては自治庁としても一つの方策を考えて頂きたいと思います。
#51
○加瀬完君 若木委員からの質問によりまして、いろいろ長官からお答えがあつたわけでありますが、問題はこの財源を当てにしなければならないということそのものが問題じやないかと思う。今長官は特殊団体の特殊用途だ、こういうふうにお話されておりまするが、これはちよつと現状をお知りにならないのじやないかと思う。現在こういつたような事業におきまして一番儲けておりますのは、施設会社なり或いは振興会というたぐいのものでありまして、名目上の施行者であるところの自治体というものは殆んどその幾らかのお余りを頂戴しておるというのが現状じやないかと思う。自治体の収入というものを増すためにいろいろパーセントを変えようとしましても、これは施設会社なり振興会が頑として応じないというのが現状であります。
 なお、許可条件でありますが、特殊団体の特殊用途というのであれば、その特殊団体が戦災を受けておるとか或いは災害を蒙つておるとしても、そういうふうな特殊な条件というものがあるはずでありますが、私の調査によりましてはそういうふうな厳しいものは何にも自治庁の許可方針の準則の中にはないようでありまして、ただ財政的に困つておるということだけで、財政的に困らない町村は殆んどないのでありますから、平衡交付金をもらつておるということが条件になるのかと申しましたら、それすらも条件にならないということであります。そうすると、どういうような団体でも財政計画を立てまして、こういう不足を生ずるということであれば許可するということにも考えられるのであります。或いは又特殊用途と言いますけれども、特殊用途と言いましても、同じように非常に厳しい条件というものは設けてないように思われるのであります。で、とにかくやれば儲かるのでありますから、そういう厳しい条件がなければ戦災或いは災害の如何にかかわらず、或いは地域的な条件に恵まれております所は、これをやろうとするのであります。又やれば企業的にも採算がとれますから、会社或いは企業家は町村というものだけを名目にいたしまして、こういう計画を進めて参るのであります。これを放つておきましても、一体長官が言われるように地方財源の枯渇しておる今日におきまして、若干廃止するまでは時日の間を置いても仕方がないだろうというふうに言えるが、そういう点で私は非常に心配なのであります。これらの点もつと明確にお答えを頂きたいのであります。
 一番の要点は、この財源というものを当て込まなければならないままに自治体というものをしておいていいか、而もそれは特殊の自治体ということではなくて、普通の自治体がこれを当て込むような傾向が非常に強くなつて来ておるけれども、この傾向をこのまま認めておいてよろしいか、こういう点についてお答えを頂きたいと思います。
#52
○国務大臣(塚田十一郎君) これは収入があるからといつて、そのために他の財政措置が十分でないということにはなつておらんのでありまして、まあそれはそれでこういう収入があつたならば、それによつてやりたい、この際辛抱してもらえばそれでも行けるというように財政計画は御承知のようになつておるわけであります。そういうふうになつておるときに例えば特殊の団体が、或る団体がなお自分の所でこういうものをやればやれるからして、こういう工合に利益を上げて、こういうことを更に住民の福祉のためにしたいというように考えます場合には、その考え方を十分検討いたしてみて、成るほどまあこういうことをやりたいならば、この計画も妥当であるだろうと思われる場合に許しておるわけであります。併し一番顕著な例は、やはり戦災の復旧でありますとか、そういう特殊な場合に最も理由ありとして許しておるのでありますが、その他の場合も許しておるものも或いはあるかと思うのであります。それからして自治団体の利益が企業者の利益、そういうものを計画するものの利益、そういうものに利用されているんじやないかというような御意見もあるようでありますが、或いはそういうものも現実にやつておるかも知れません。併し許可をいたしまする場合には、どれだけの売上げがあつて、それがどれだけが当該自治団体の利益に入るということも十分検討した上で、然るべしとするものだけを許しておるわけであります。
#53
○加瀬完君 私が今のような問題を出しましたのは、衆議院におきましても或いはこちらにおきましても、自治庁の御説明の中に、府県に対する財源強化は非常に強いけれども、市町村はそれほどでもないじやないかという質問に対しまして、市町村にも財源強化になつておるのだと、こういうふうなお管がたびたびあつたわけであります。で、衆議院における質問に、市町村を押えまして増加分を考えますと、たばこ消費税が百九十四億、警察費の負担分が二百十億、計四百四億の増になる。併し減る分を見積りますと、県民税のほうに百六十九億持つて行かれる。平衡交付金が交付税に変ることによりまして二百三十七億減る。起債の減が四十七億で、四百五十三億減るのじやないか、これでは実際に市町村のうち特に町村は警察を持つておるのが少いので、町村個々になりますると財政はむしろ弱化するのじやないかと、こういう質問があつたわけであります。これに対して鈴木次長は、市町村の増が二百三十五億になると総体的な計算を示しておるのでありまするが、具体的なこれに対する御答弁というものはなかつたようであります。そこで伺いたいのでありますが、この旧税制と新税制で比較をいたしました場合、町村が新らしく財源として増加される分が幾らになるのか、こういう数字を教えて頂きたいと思うのであります。更に具体的に、町村合併の標準人口として抑えました人口八千程度の町村に新税法が適用された場合には、旧法に対しましてどういう数字の変化が生ずるのか。それから歳入におきまして市町村の増は二百三十五億と言われるのでありまするが、このうち町村分は幾らになつておるか又歳入におきましては自然増というものを相当巾広く見ておるわけでありまするから、歳出におきましても当然の義務的経費の増加というものを認めて、それを差引いた場合に純然たる増加分というものが幾ら見込まれるのか、こういう点について……。
#54
○政府委員(奧野誠亮君) 地方税の収入見込につきましては、地方税に関する参考計数資料、これでお示ししておるわけでありまするが、そのうちの市町村税制について申上げますと、二頁のところに書いてございます昭和二十八年度の収入見込額とそれから改正案によりまする二十九年度の見込額は御承知の通りであります。現行法でやつた場合にどうなるかということになりますと、固定資産税等の自然増収の金額がかなり多いものでございますので、五十六億円ほど減になつております。併し二十八年度と比べますと、御指摘のように二百三十五億の増になつて参るわけであります。なお、市町村一本にしないで市と町村とに分けたらどういうことになるかという御質問でございますが、前年度と比べまして、改正後の数字を比較して申上げますと、大都市では五十三億の増、市では六十六億の増、町村では百十五億の増ということになつて参るわけでございます。
 なお人口八千くらいの町村でどういう影響があるかという御査問があつたようでございますが、これは町村のあり方によりまして、控除がございましたりそうでなかつたりいたしましたので、かなり食い違つて参るだろうと思います。ただ総体的に申上げますと、市町村民税で減じます分よりもたばこ消費税のほうが幾らか多いだろうというふうに考えておるわけでありまして、そういう意味においてはむしろ安定した税源が市町村に与えられて姿はよくなるのじやないか、税制の形はよくなるのじやないかというふうに考えておるわけであります。
#55
○加瀬完君 人口八千という町村を私が例に取りましたのは、とにかくこの委員会で町村合併の最低標準人口というものを八千に一応押えたわけでありまするから、この八千程度の町村がどういうふうにこれによつて財源が強化されるかということが、やはり一つの税制を改正して行く上の問題になるはずだ、そういう立場で申上げたのであります。それに対しまして今減る分よりはたばこ消費税によつて殖える分が多いであろうということでありますが、たばこ消費税によりまして、私は人口八千程度、或いはそれ以下の町村はむしろ取られる分よりもたばこ消費税が返つて来る分のほうが少いのじやないかというふうな心配があるのでありますが、何か数字的にそれはそうでないということが言える資料或いは具体的なものをお持ちでございますか。
#56
○政府委員(奧野誠亮君) 町村分について申上げますと、市町村民税で減じまする額が、現行二十八年度と二十九年度の改正と比べますと十八億二千九百万円であります。併し二十九年度の現行法と改正後の数字を比べますると、減じまする額が五十二億六千七百万円になります。これに反しまして、たばこ消費税として与えられます見込みの額は七十九億六千九百万円になつております。これから見まして、総体的には財源が強化されるだろうというように承知しておるわけであります。
#57
○加瀬完君 総体的にはそういうことが言えるだろうと思う。併しながらたばこ消費税というものは、総体ではそうなりましても、団体個々の間には差が大きくつくのじやないか。消費量というものが違つて参りますから差が大きくつくのじやないか。そこで貧弱町村に対する財源強化というものにたばこ消費税はそれほどならないのじやないかという心配を持つわけであります。
#58
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、市町村民税は均等割と法人税割と所得制であります。法人税制は工場等の所在地に特に多額に得られる収入でございますし、又個人分の所得制もかなり貧富の差が違つて参つておりますので、町村間におきましても、人口一人当りの率をとつて参りますと、かなり開いて参つておるものと思います。この開きほどたばこの消費量の差はないのじやないかというふうに考えておりますので、法人税割につきましては、それよりも遥かにたばこ消費税のほうが普遍的であるし、又個人分の所得割よりは比較的たばこ消費税のほうが普遍的ではなかろうかというふうに私は考えておるわけであります。
#59
○加瀬完君 一人でばかり長時間頂きまして恐縮でありますが、今の点は調査を頂きまして、或る数字のでき上つたものをあとで頂戴したいのであります。
 最後に一つお伺いいたしたいと思いますのは、この税源配分及び負担の均衡化という問題について伺いたいと思うのであります。御説明のように経済情勢や租税体系の変遷に伴いまして、税負担の合理化及び均衡化を図つて参るということは当然なことであります。そういう建前でいろいろ税率を変えましたり、或いはその他の方法を、税率区分の合理化といつたような方法をとつておりまする点は、当然私たちも賛意を表するわけでありまするが、地方財源の充実という大きな目的という立場から考えましたときに、均衡化という点から見ると、又違つた見方が出て来るんじやないかと思いますので、若干伺いたいと思います。
  その一つは、政府の今度の地方税の改正の基本線というものは国庫の歳出入に大きな変化を与えない、こういうことを前提といたしまして、而も団体間の、特に府県間の貧富差を是正する、こういう基本線で動いているんじやないかと思われる。併しこの基本線も動かさないで地方財政が果して強化されるかどうかという疑問を持つわけであります。国と地方との偏在と青いましようか、不均衡と言いましようか、こういう問題を全然是正することがなくして目的は達しられないというふうに考えられるのであります。そういう点から国民所得に対する国税及び地方税の負担比較を見ますと、これだけで全体を類推することはできませんけれども、昭和九年及び十一年の平均をとりますと、国民所得に対する国税が八・五%、地方税が四・三%、国税と地方税の比率は大体二対一という関係になつております。ところがこれが二十五年になりますと、その国税と地方税の比率が三三%、二十六年は三八%、二十七年は三五%、二十八年は三六%、今度二十九年度新らしい税制になるといたしまして三八%であります。そうすると、この国税、地方税の比率は二十九年は二十六年と大体同じでありまして、昭和九年――十一年の戦前平均というものとは、まあ五〇%でありますから遥かに下廻ております。これは国税に対する比率だけで考えるわけには参りませんけれども、余りにも国税と地方税というものを考え合せましたとき、地方税というものがまだ税源の点におきまして、国税から譲つてもらつていい点が多分にあるんじやないか、こういうことを一応想像されるわけであります。そこで税源の配分をもつと地方に重くしてもいいと思いますけれども、そうしなかつたのは一体なぜか。負担の均衡化ということには一応なつてはおりますけれども、地方団体の税源又は財源均衡という点が非常に見落されておる。それから先ほども言いましたけれども、貧弱団体に対する税源強化ということに対して特別な方法というものが講じられておらないじやないか、こういう疑問を持つわけであります。これらについて御説明を頂きたいと思います。
#60
○政府委員(奧野誠亮君) 国と地方との税源配分がなお地方に対して不利になつているじやないかというふうな考え方のお話でございます。御指摘になりましたように、たしか昭和九年乃至十一年の数字は国税総額が十二億円ぐらいで地方税総額が六億円くらいだつたと思います。国税、地方税を通じます税総額の中で地方税として徴収しておりました分が三四%前後に当るわけであります。それが現在では専売益金も入れまして、半面地方税の中からは譲与税を抜きまして、地方団体の手で徴収しておりまする税金が国税、地方税を通ずる税総額の上で幾ら占めるかと申しますと、二七%ぐらいであります。非常に減つているようでございますが、半面昭和九年乃至十一年の頃に地方団体が使つておつた税総額、これはたしか私は正確に覚えていないのでありますが、四十数%だつたと思つております。ところが現在の地方の団体で使つております金額が六〇%を超えております。国税、地方税を通じまして徴収しました額の中で、地方団体が使つておりまする額が六〇%を超えておるのであります。これは当時の財政状況と現在の財政状況、或いは行政状況とは非常に変つておりますので、簡単な比較では言えないのでありますが、少くともどちらの手で金を使つているかということになつて参りますると、昭和九年乃至十一年の頃よりも現在のほうがずつと多いのであります。これを地方団体の手で徴収した税金で使わして行つたほうがいいんじやないか、これは地方自治の立場から言いますと、それのほうが望ましいのであります。併しながら当時よりも今日のほうが産業発展の姿から見て参りますと、ずつと都市に偏在しておるようであります。これは金融状況その他から見て参りますと、そういう結論が出て参るわけであります。半面当時の国民負担と現在の国民負担を比べますと、非常に今日では重くなつておるようであります。国民負担を引下げなければならない半面、富というものが都市に非常に片寄つて来ておる。そうなつて参りますと、それぞれの地方団体が地域内の税源に着目いたしまして、課税する分量を余り多くいたしますと、富める者はますます富みます反面、貧弱な団体の財源は得られないわけであります。そういうようなことから、やむを得ず地方団体みずから徴収いたしますのは、二七%程度にとどめ得ましようけれども、併し地方団体の使つております金額は六〇%を超えておりますが、その間のものは従来のような地方財政平衡交付金よりも比較的独立財源的な税源のように切替えをして行きたい、そういう考え方になつておりますのが一つは譲与税であります。譲与税の形で人口按分の形をとつて行く。もう一つは地方交付税という形にいたしまして、少しでも独立財源的な感じを植付けて行きたい、こういうような方向において今回の改革を進めて参つて来ておるわけであります。
#61
○加瀬完君 今、奥野部長の御説明によりますというと、地方税の徴税率は戦前の平均から比べて減つておるけれども、地方で使つておる金は六〇%という数字が現わすくらい、相当大幅に殖えておるのだと、こういうことでありますが、これは非常に問題のある内容を持つているのじやないかと思います。例えば今この地方団体の事務の中で当然国がやらなければならないもので委任されている事務というものも相当大幅にある。この事務をするために経費がかかることで地方が六〇%を使つたところで、当然国がやるべき経費を地方が六〇%使つたところで、地方の独自のこれは使い方が殖えたものだということにはならないと思うのです。又国民所得から見て、国民の税負担が非常に殖えておる。こういうふうなお話もありますけれども、税負担が殖えておるという、その税負担の殖え方というものの比重が非常に国税のほうに強くて、地方税のほうには少いということでは、税源配分の上から不公平ではないかというふうなことが当然言われるのじやないか、こういう点であります。
 それからいま一つは、お話によりますと、如何にも地方は財源は余つているような印象を受けるのでありますが、私どもの質問しているのは地方が地方としての独自な、自主的な財政計画を編め得ないような財政の貧弱さに悩まされているのだ、そこに問題があるので、もつと税源そのものに、財源強化ということや或いは財源の補充と言いますか、そういうふうなことを考えるならば当然この国税と地方税の配分そのものに考慮があつてよろしいのじやないか、そうすると、恐らくこれは交付税とかたばこ消費税とか、そういうものを当然岡の取る税金を地方にやつていいのじやないかということになるのでありますが、この交付税とかたばこ消費税というものはまあ独立、純然たる独立税という性格にはなり得ないものでありますので、将来その比率が変更されることも心配いたしますし、いろいろの地方にとりましても、まだまだそれだけであの比率では安心し得ないいろいろな問題があるのじやないか、こういう点がいろいろ調査会におきましても問題になりまして、そうしてたばこ消費税の率はもつと上であつたはずであります。或いは交付税なんかも衆議院におきましては、率を上に上げられたわけであります。併しこれに対しては大蔵省はこの前のこの席での御説明のように、余り賛成をしておらない。そうなつて参りますと、私ども非常に不満を感じますので、国税、地方税の比率から考えましても、財源そのものの配分をもつと地方税のほうにウエイトを置いてもらえるような方法がどうして考えられないのか、そういう立場で伺つておるわけでありますから、もう少し御説明を詳しくして頂きたいと思います。
#62
○政府委員(奧野誠亮君) 一つは地方で使う金が多くなつたからといつて、地方が国の仕事を押し付けられているのではないかというふうな意味の御意見でございまして、これに対しまして私たちは、やはり交通の発達その他の点から言いまして、自治の観念というものが、だんだん地域的に拡がつて来ているのではないか、住民の郷土意識というものが地域的に拡大されて来ているのではないか、その行政主体というものが、昔のように自治団体というものが基本になつて運営されている、その結果は、例えば昔生活困難な人たちが隣保相互の観念で助け合つて来た。併し今日では国民全体の力で或る程度の生活を一応させるように持つて行こう、併しそれらの仕事は、府県なり市町村なりにやらして行く、半面財政負担は八割まで国民全体の、どこの地域の人についても負担をして行こう、こういう姿になつて参つて来ておりますので、地方における行政のあり方というものが、背と比べますと、根本的に変つて来ているのではないかと思うのでありまして、国の仕事だ、或いは地方団体の仕事だという言い方がいいのかどうか、これは自治についての考え方の問題になるわけでありますけれども、私たちは国の仕事を押付けられているという考え方をいたしたくないのです。国民全体が関心を持たなければならん仕事であつても、できる限り自治団体が担当することによつて、それらの行政の上に住民の考え方というものが反映しやすいように持つて行きたい。言い換えれば、行政の民主化と言いますか、そういう方向に仕事をやつて行きたい。併しながら国民全体が関心を持たなければならん仕事につきましては、そういう仕事を当該自治団体がやるため、財政的に困惑してしまう、こういうようなことのないような財政制度を打立てて行きたい、こういう気持を持つていることを御了承願いたいのです。
 その次は、地方税を地方団体がみずから徴収いたします分量が二七%程度くらい、昭和九年乃至十一年は三四%程度であつたから、まだ回復は十分ではないという式のお考えでありますが、これにつきましては、先ほどもちよつと申上げましたように、昭和九年乃至十一年頃の国民所得に対しまする租税負担というものは、一二%くらいのものです。今日では一〇%を超えております。七割程度も殖えておるわけです。七割程度殖えております際におきまして、二七%も地方団体がみずから徴収しておるということは、分量的には非常に拡大されて来ておる、こういうふうに御認識頂けるのではないかというふうに思うわけであります。併ししながら、従来のように、その地域の税源についてはその地方団体が全部を自分の収入にしてしまうという行き方については、或いは法人事業税の分割方式を是正しますとか、或いは固定資産税について若干改正を試みるとかいたしまして、できる限り財政需要の必要な所に対しまして、収入を与えるような工夫改善を試みて参つているつもりであります。従いまして、今回の地方税制の改正によりましては地方自治の立場に立脚いたしまして、かなり進歩的な税制ができて来ているのではないかと、私たちは考えているわけです。
 第三に、たばこ消費税のようなものについて、将来国中心的に考えられ過ぎやしないかという虞れを抱いておられるようですが、これにつきましては、法律のことでありますから国会で作られる、又民主政治が続けられている限り、地方団体の考え方を強く反映して頂けるのではないかというふうに私たちは考えているのです。なお地方で使います六〇%余りの財源を内訳で申上げますと、地方税が三千四百七十四億円、それから地方譲与税が二百五十二億二百万円、地方交付税が千二百十六億円、国庫支出金が二千六百九十九億八千七百万円、この国庫支出金の二千六百九十九億八千七百万円につきましては、昭和九年乃至十一年頃と違いまして、国費と地方負担区分というものは、地方財政法の制定等を通じて、漸次明確にいたして来ております。言い換えれば、国が出すべき金も恣意的に出すのでなくて、仕事の性質によつて国が義務として分担するという性格を明らかにしながら、そこに官僚支配も行われないような工夫、努力を加えて参つて来ていることを御了承願います。
#63
○加瀬完君 時間も大分たちましたので、結論だけ簡単に伺いますか、昭和九年と十一年の平均をとりますと、国民所得に対しまして税が一二・八%であります。このうち八・五%が国税で、四・三%が地方税ということになつておるわけであります。この当時と今を比べれば、地方自治法改正以来、非常に地方自治権というものが拡大強化されたものでありますから、仕事の分量、或いは経費そのものも増大して来ているということが当然考えられるわけであります。この二つを考え合して行きますときに、今のような一七%というお言葉でありましたが、私ども国税と地方税の比率から考えるならば、二一・二%の国民所得に対する税のうち、国税が一五・四%、地方税が五・八%でありますから、国税と地方税のパーセントは三八%、こういう国税と地方税の税源配分というものが妥当だというふうに認められるか、この点。
#64
○政府委員(奧野誠亮君) 率直に申上げまして、地方団体が現在責任を持ちまする行政の分量から言いましたら、十分ではないと思います。併し国におきましてもやはり十分ではないのじやないだろうかというふうに考えるのでありまして、国、地方を通じまして、もつと円滑に仕事をやつて行きますためには、収入は殖えなければならんと思います。収入を殖やすことが困難でありますならば、現在の行政のあり方につきまして、私たちは検討を加える必要が多分にあると思つております。
#65
○加瀬完君 その総体的な国と地方との関係におきまして、余りにも地方のほうはまだ税源が少な過ぎる、そういうことは言われないか、この点最後に伺います。
#66
○政府委員(奧野誠亮君) 私は国も地方も十分ではないというふうにお答えをしたいのでありまして、国よりも地方のほうが比較的に困つているということにつきましては、これはそれぞれ立場々々がございますので、私たちは国の財政のことがよくわかりませんで、地方の財政の困つていることをよく気がついております。半面に国の財政をやつている人たちは、国の困つていることがよくわかつておりまするので、地方が賛沢過ぎる、こういうふうな見方をしているようであります。その点は国会で総合的に判断して頂かなければいたし方ないと思います。
#67
○加瀬完君 これは大臣に伺いたいのでありますが、その今の問題の判断の仕方によりまして、交付税のパーセントの問題もきまつて来るわけでありますので、国税のほうからもつと地方税のほうに税源なりを持つて来るのが当然であると私は考えるのでありますが、特に交付税のパーセントの問題などにつきまして、大臣はどういうふうにお考えでございましようか。
#68
○国務大臣(塚田十一郎君) 先般もちよつとお答え申上げたかと思うのでありますけれども、当初の財政計画の場合には、国、地方を通じて一応妥当な線というものを、それぞれの立場の意見を総合的に検討して出したわけでありますが、その後にいろいろな修正変更が起つておりますので、その範囲におきましては、私といたしましては、当然国のほうからして交付税の率の変更その他の方法によつて、地方に財源を付与する。必要が起つておる。こういうように考えておるわけであります。
#69
○委員長(内村清次君) それでは暫時休憩をいたします。
   午後零時三十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十五分開会
#70
○委員長(内村清次君) 地方行政委員会を午前に引続いて開会いたします。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。一般質問を続行いたします。
#71
○秋山長造君 今度の地方税の改正に当つて、塚田長官の御説明によりますと、大体五つの方針の下に行われておるようでありますが、その五つの基本方針について若干御質問をしてみたいと思います。
 先ず第一の点は、基正本方針の第一に、今度の税法改正によつて地方団体の自主体制の強化に資するため独立財源の充実を図つたということが謳われておるのです。で、成るほど数字を見ますと、結局六百三十四億円の独立財源の増長ということになつておるのでありまして、その歳入総額に占める税収入の割合についても従来の三二%乃至三三%から三九%程度まで引上げられておるということになつておる。ただ併し、実はこのパーセンテージの数字、形式的な数字だけが問題ではなくして、やはり内容如何ということも検討してみる必要があると思うのですが、大体方向を言えば、再三長官からもお話がありましたように、今日の経済状態からしてこれ以上地方の住民に新しい税負担をかけるというようなこと、或いは自然増収を余り過大に見積るというようなことは避けて、そして国税をできるだけ地方税に委譲して行くという方法をとることが一番望ましい方法であると思う。ところが今度の地方税改正によりますと、結局この国税のほうから地方税に持込まれたものというものは何もないわけです。ただ僅かにたばこ消費税というものが、国税ではありませんけれども、従来国の収入であつたものをこういうたばこ消費税という形で地方税に持込んだというだけに過ぎない。而もそれも地方制度調査会の答申の線は百分の三十ということだつたのですが、それが遥かに後退して百十五分の十五というようなことになつているわけなんです。で、その他には例えば揮発油譲与税というものも七十九億ばかりあるわけですけれども、これは御承知の通り特殊なものであつて、而も二十九年度限りという性質のものですから、この地方の独立財源を充実したということにはならないのじやないかというふうに思う。而も却つて入場税などは地方財源として最も地方税らしい地方税なんですが、これは却つて国税に持出されるというような形で、結局あれやこれや考えて見ますと、独立財源の充実という第一の方針に謳われておるほど実際には独立財源の充実にはなつていないのじやないか。むしろ入場税なんかを国税に持出したというような点を考えた場合、地方税の地方の独立財源が弱体化される、或いは不安定なものにされているというようなきらいがあるのじやないかというふうに考えるのですが、それらの点について長官の御見解を伺いたい。
#72
○国務大臣(塚田十一郎君) いろいろ御覧になり方はあると思うのでありますけれども、不安定になつておるということはないのではないかと実は考えておるわけでありまして、成るほど内部の操作は大分したけれども、国から持つて来たものはそうたんとないというような御意見、まさにその通りだと思います。併しそういうふうな御指摘のように、たばこ消費税が三百億参つておりますし、それから地代の中でも不動産取得税というものが新しくこれはできておりますのでして、これも独立財源強化の方向には一つの役割を果しておると思います。それから入場税は国に取上げられたということになつております。成るほど徴収は地方税としてでなしに国税として取るということになつておりますけれども、それは考え方はやはり地方の税という考え方であることは間違いないのでありまして、ただ一応国へ取つて、そうしてそれを返して行くというその過程を通して若干調整機能を加味するということになつておる。一割国に残すということは、これはそういう工合にいたします場合のいろいろな税徴収の効率的な運用というようなことも考えていたしてあるのでありまして、国で一割取るためにあれを持つて来たという考え方で毛頭ないことは御承知の通りだと思うわけであります。それに見逃してはならないと私ども思つておりますのは、やはり交付金の制度が交付税に変つて、所得税、法人税、酒税の一定割合というふうにはつきりとして来たということに、やはり非常に地方財源の独立性というものが出て来たということを私どもは見られると思うのであります。今までの交付金の考え方でありますならば、これは毎年々々の財政工合、地方の財政需要の伸びというものを見て行つて、そうしてきめて行くということであつたのでありますが、これは今度はつきりと税収入が伸びれば、それにつれて地方も伸びて行くということになつて参つておりますから、私どもは今御指摘になつたそれらの点を総合して見て、やはりこれは自律体制の強化になつておる。こういうふうに考えておりますので、そういう点をどれを見てもそういう工合にならないと思う、逆にむしろ弱くなつたのじやないかという感じは実はいたしておらんわけなんであります。
#73
○秋山長造君 その長官の御答弁の前段は、大体国税から地方税のほうへ持込まれたのではないという私の見方に対して共鳴されたわけなんですが、後段の併し交付税があるじやないかということをおつしやるのですけれども、交付税というのは、ここで長官が地方税制の改正の提案説明におつしやつた独立財源の充実ということには入つてないのじやないですか。ここではやはりそういうものでなしに六百二十四億円というものを独立財源の充実の内容として説明しておられる。だから交付税もそれは間接には地方の財源の強化というこれは説明もつくと思いますけれども、併しやはりこの間大蔵大臣なんかここえ出席されたときのいろいろ質疑応答を通じても、交付税というものは成るほど建前はそういうことになつておるかもわからんけれども、併し少くとも現実の一千二百十六億という交付税は、やはり名前は交付税に変つたけれども、従来の平衡交付金と殆んど実質的に変りはないというように考えたほうがむしろ実情に即するのじやないか。私は一応交付税の問題を抜きにして純然たる独立財源ということから御質問しているわけなんですけれども、不動産取得税を作つたじやないかということをおつしやるのですけれども、併しこれは御承知の通りに固定資産税の減税ということを見越して、それを先取りしたという形のものであつて、成るほど県税にはプラスになるかもわからんけれども、併しそれだけ市町村税のほうはマイナスになるというわけなんで、それから道府県民税なんかだつて県税のほうにはプラスになつているけれども、それだけ市町村民税のほうからはマイナスになるわけですから、結局都道府県税、それから都道府県市町村を通じて考えた場合には、別に強化になつているわけじやなしに、特に今度の税制改正の重点は府県の財源の充実ということにあるようですけれども、その府県の三百八十八億円という独立財源の増強の内容というものは、大体警察費の引当てということに尽きているので、それから揮発油譲与税ですか、揮発油譲与税の本年度限りという特殊なものを加えれば、それで殆んどすんでしまつて、別にこれは従来の府県財政に対して特に増強されたとか何とかというようなものじやない。やはり何と言つても、日本は国税から地方税に対してもう少しはつきりしたものを持込むということなくしては、地方財源の本当の意味の強化ということはできないのじやないか、それは地方に独立税をどんどん作つてやるということは、これは形の上はいいのですけれども、これは住民のほうが大変ですから、新しい負担を伴うような新税を起すのではなくて、而も地方の財源の充実を図るということならば、国税から持込む以外に途はない。そういう立場から見ますと、そう自画自讃されるほど、これは独立財源の強化になつていない、どうもそういうように思える。
#74
○国務大臣(塚田十一郎君) これはお話を伺つておると、やはり一つは財源を十分に与えるという気持、それからして又一つの気持はその十分に与える財源を成るべく独立の財源を与えるという気持、両方頭に置いて御意見をお立てになつておるように伺うのであります。そこでまあ財源を全体として殖やすという考え方は、これは確かに地方財政が窮乏しておるので、私どもも非常に努力はしたわけでありまして、この点は交付税の二〇%算定の基礎をめぐつてもいろいろ御議論があつた点でありまして、いろいろ十分でない点がありましたが、とにかく財政計画の策定のし直しをして、必要最小限のものは満たすということを先般来私繰返しお答えをしておるわけであります。そこでそういう工合になつたときに、どこからそれだけの地方財政が必要とする規模のものを財源を持つて来るかということでありまして、そのときにいつも申上げるように、やはり独立の税で以て取らせるということが一番いい形であることはこれは申すまでもないのでありまして、その方向において努力をしておるわけでありますが、ただどういうような税の種類を考えましても、いつも申しますように、みな同じところに偏在してしまう。そこで偏在するものを偏在しつ放しにしておいて、税の取れない所へ更に考慮するということになると、いつも申上げるように非常に大きな額を国から持出さなければならんようになるので、国民が負担に堪えられない。そうすると、一部分をやはり内部操作というものをするという形が出て来ざるを得ないわけなんで、それが譲与税という形になつたわけであります。そうして更に最小限のものは今までの交付金と同じ考え方でこれを国から持つて出る。そこで独立の税源から来るもの、譲与税若しくは交付税で行くものと、それからその他の収入、それに国からして直接紐が付いて行くもの、それと起債、こういうものを地方財政計画全体の約一兆の総枠の中でどういうものをどれくらいの比率におくかということを考えた場合に、大体独立の税の総額というものは、こんなところでいいのじやないだろうかという感じが、今度のこの改革に出て参りました三九%程度の線ということになつております。これをもつと大きくするということは理論としては考えられるけれども、今申上げたようないろいろな事由でそこまでは行けないのじやないかという感じを持つておるわけであります。そこで三九%という数字が出ておりますのは、御指摘のようにこれは交付税というものは勿論入つておりませんので、税自体の税と、それから譲与税だけを含めてここにこの比率が出ておるわけであります。
#75
○秋山長造君 いずれにいたしましても、形式的にはおつしやるように若干充実増強になつているということは、これは否定できないのですけれども、さつきも言いますように、その内容は主としてというよりも殆んどの部分がただ地方財政の増強だとか、或いは独立財源の充実とかいうことよりも、直接的にはやはり今度の警察制度を目指した一つのやり繰りに終つているのではないかというように考えられたので、結局本来これは独立財源の充実ということを目指して行われた改革というよりも、先ず警察制度の改革という大きい問題が先に出て、そうしてそれを裏付ける当面の必要から若干こういう改革が税法の上で行われた、而も国のほうから地方税へ持込むということはなかなか大蔵省あたりも又一流の考え方からしてむずかしいということから、主として地方税の枠の中でのあちこちやり繰り操作によつて辻褄を合せるというような結果に終つているのじやないか。それでやはり財政計画の問題以来非常に問題になつております地方財政の再建整備の問題であるとか、或いは既定財政計画の再検討の問題であるというような地方財政としての本質的な問題というものは、依然としてこの税制改正でも殆んどノー・タッチで、そのまま放任された形で行われておるのじやないかというように考えるのです。でどうしてもこれは近い将来、成るほどシヤウプ税制以来の画期的な改革とはいうものの、一歩内容に立至つて検討しました場合に、今度はこういうただ警察制度の改革というような目先の問題だけの便宜的な税制改正でなしに、本当に地方財政をどう建直すかという地方財政の本質的な立場に立つての税制改正というものがやはりどうしても必要になつて来るのじやないかというように考えるのですが、その点一つ伺いたい。
#76
○国務大臣(塚田十一郎君) これは地方の幾らか税その他の収入が殖えたけれども、それは警察なんかが地方に移つたからそうなつたので、別にプラスになつていないのじやないかという御意見のように承わつたのでありますが、これはちよつと私どもの物を考えます基本と食い違いがあるのでして、独立財源を殖やしたい殖やしたいというように幾ら申しましても、私はいろいろな形で地方に与えられる財源の総額というものは、結局総枠は地方の財政規模がどこで押えらるべきかという大きな枠にはまつておると思うのです。成るほど警察が殖えたので、そのための地方財源の増加というものは勿論あります。併しそのほかに既定財政規模の是正というもの、それからしてそのほか当然給与のベース・アツプとか、いろいろな理由から来る地方財政規模の増大、そういうものを全部頭に置いて先ず地方財政の総枠というものをきめる。そこで独立財源をどうするかということは、それだけの地方の必要をどういう形で満たすかという検討をするときに、そこに独立財源というものがどの程度の比率でどういう形でという問題が出て来るのでありまして、独立財源が非常に地方には望ましいのだといつても、限りなくそういう考え方で地方財政に独立の税というものを考えて行くというわけには私は参らないと思う。ここのところがやはり地方財政がそんなに大きくならないように、足らない部分は勿論十分にしなければならないと同時に、余り大きくなり過ぎないようにという工合に両面から考える私どもの気持と、委員会の皆さんがたの、地方団体の立場から足りないというお立場で御意見を伺うのと、少しやはり感じが違うのじやないかと、私いつも御意見を伺いながら考えておるわけなんであります。
#77
○秋山長造君 これは長官のおつしやることも長官のお立場としてわからないこともないのですけれども、併し我我の考え方の出発点といいますか、根本はやはり今日の地方財政の非常な苦しい立場、而もそれが必ずしも地方財政自身の責任に帰してしまうべき性質のものでない、やはり国として大いに責任を負わねばならない面も非常に大きいというとは、この財政報告書に書いてある通りなんでして、そういう少くともこの財政白書に書いてあるような考え方を出発点として今度の地方税の問題をも考えているわけなんです。その財政白書に書いてあること自身、政府自身が書いておられることについてすら、政府の部内でもこの間のようにまちまちな見方、考え方をしておられるようなことなんです。だから我々としては一層この税法改正についても、極めつて何といいますか、批判的にならざるを得ない。どうしてもこれはやはり長官も国務大臣ですから、自治庁の立場ばかりから発言してもらうとか、物を考えてもらうということを私は要求するものではないのですけれども、併しそれにしても今の地方財政の実情ということをつぶさに考える場合に、どうも長官の考え方なり発言というものが非常に私は消極的だと思うのです。どうもそういう感じがして私は不満を持つのですが、長官がそういう御発言をなさり、腹の底からそういうふうに考えられたか知らないが、極めて消極的な考え方でやつておられるせいかどうか知りませんが、今朝ほどでも加瀬委員の質問に対して税務部長にしても、どうも我々は地方税はとても今のような状態では不十分だと考えるけれども、大蔵省は又国が不十分と考えるので、どうも必ずしも我々のほうの考え方が正しいとも言えないという極めてどうも消極的なと言いますか、公平なと言いますか、何と言つていいかわからない、そういう感じを受ける。この間も委員もおつしやつておられたが、どうもはかの役所と違つて自治庁というところは別に予算を取つたからといつて自分で皆使うわけではない。全部トンネルで地方に渡つてしまうので、他人のものをそんなに一生懸命になれるかという感じが何となく流れておるのではないかという感じを私も持つのですが、いろいろと部内でも、政府部内なら政府部内でむずかしい点もあるでしようけれども、ひいきの引倒しをやつてもらおうとは思わないが、もう少しやはり強く横越的に発言をして、積極的に行動をしてもらいたい。どうもこの程度で十分ではないかというような感じに受取られていかんのです。もう少し頼もしいところをやつてもらわないといかんと思うのです。
#78
○国務大臣(塚田十一郎君) これは心理の上に全然そういう感じが働かないとも私は断言申しかねるわけでありますが、併し自治庁が地方財政を考える場合に、少くとも大蔵省と折衝いたします段階におきましては、これは決してトンネルだから、とてもつまらんからというような感じは毛頭持つておりませんので、なかなか徹夜をして強引に全員一致協力して当つておるわけであります。従つていろいろ御意見は伺つてよくわかつて参つておりますけれども当初の財政計画では、相当大蔵省との折衝をして一応筋の通つておるものは皆呑んでもらつた。ただ意見の相違のある部分がなかなかまとまらないで残つておるわけであります。それにプラスその後のいろいろな国会の修正、それから国会だけではありませんが、住民税なんかは政府部内においても若干意見の食違いがあつたりいたしまして、妙な工合になつて、そういう面から来る明らかな不足というものがありますが、そういうものを除きますれば、一応当初の計画では考えられる最大限の考慮はいたした。恐らく各担当の官庁を持つておりますそれぞれの担当大臣より、私が自治庁長官として、若しくは自治庁の職員が自治庁の担当の者として地方財政に対して払つた熱意と考慮は、他の省の連中がそれぞれの担当の行政事務に対して払つた熱意と考慮に決してひけをとるとは私どもは毛頭考えておらないのであります。ただいつも申上げますように、他の例えば農林省でありますとか通産省でありますとか、それぞれの立場におきましては、一応予算をとつて参りますれば、もう予算はプラスの面においてはそれだけ、マイナスの面ではそれだけ、この仕事に使うものは、これだけと、かちつときまつて参りますから、非常にいいのでありますが、自治庁が地方にいろいろな財源を考慮いたします場合には自治庁が側々の自治団体の予算を組むわけではありませんものですからして、而も非常に多くの団体がおるわけでありますからして、その中にいろいろな特殊な事情があつて、財政が放浪に流れたりするようなものがあるということを併せていつも考えざるを得ない立場に置かれておりますだけに、すつきりと予算を殖やしさえすれはいいというように思い切つて行けないという悩みは確かにあるわけでありまして、私は委員会におきましては、いつも小林委員には殖やさないようにというお立場からお叱りを受けておるので、やはり委員会においてもいろいろなお立場の御意見があると思いますので、私どもはそういう両面の要請を絶えず頭に置きながら、少くないように、多いことのないようにという考慮で地方財政というものの総枠の策定をし、更にその団体間の配分を考えるということになつておるわけであります。
#79
○秋山長造君 この点は、この間も長官も御承知の通り大蔵大臣なり、或いは大蔵省の主計局次長ですか、おいでになつていたときに、この財政白書の問題で端なくも大蔵当局の地方財政に対する認識の程度と言いますか、熟慮の程度というものがよくわかつたのですが、自治庁のほうでは大いに地方財政の充実と強化のために努力はされておるということは決して否定はしませんけれども、併し肝腎の大蔵当局の物の考え方というものが、ああいう地方財政白書にしても、そんなものは自治庁で勝手に作つたもので我関せず、関知していないというようなことを不用意に口にする程度なのですから、これはよほど真剣に取組んでもらわなければ、とても地方財源の充実というような問題もこれは期待できないのじやないかと思う。今おつしやつた入場税の問題を一つ取上げてみましても、これは私入場税の国税移管ということには反対です。反対ですが、併しこれは何も私が反対だということだけでなしに自治庁自身にしても、この政府の原案を通常国会に提案された建前上、いろいろ入場税の国税移管、更に入場税の譲与税という形で財源調整をやるということについて、その効能書は一応おつしやつておられますけれども、併しどうも大蔵省にしても自治庁にしてもその効能書の説明を聞いておつて、成るほどそれなら入場税を国税に移管しなければならんとだけのものが感じられないのです。現に税務部長自身だつて入場税を国税に移管して、こういう形で地方に還元するということについて、本当に腹の底からこれがいいというお考えであるかどうか、私は一遍伺つてみたいと思つておつたのですが、如何ですか。
#80
○政府委員(奧野誠亮君) 率直に申上げまして、今度の政府案ができ上りますまでは、入場税国税移管に反対でありました。そういうことを本にも書いております。併しながら税制を一つ一つについて自説を主張しておつたのでは、いつまでたつてもまとまらないわけでありまして、機械のようなものでありますので、でき上つた機械として考えます場合は、こういう政府案が妥当じやないだろうかというふりに申上げざるを得ないのじやないかというふうに思つております。
#81
○秋山長造君 でき上つたものが勿論新らしい税体系として極めてすつきりとした整つたものであれば、これは勿論それとして一定の理窟が通るわけなのですけれども、今度の新しい税の体系というものは、私は余りすつきりしていなよいうに思うのです。特に一般の地方の独立税があつて、その上に譲与税というものがあつて、そうしてそれが更に今度は交付税というもので調整作用をやつて行こうという三段構になつております。そのうち真中のところの譲与税という形がどうもすつきりしていない。すつきりしていないというそもそもの理由は、大体遊興飲食税と入場税と二本建てのものとして政府自身が考えておつたにもかかわらず、中途どうした加減かそれが片足外れて入場税だけになつたということからしても、非常に最初政府自身が狙つた、大蔵省が大蔵省なりに狙つた財源調整という効果はこれはもう半減しておるということは大蔵省自身が言つておる通りだと思う。而もこの入場税譲与税によつて期待される調整作用というものはせいぜい五十億程度でありましようけれども、それが今度の衆議院の修正によりまして、その五十億程度の調整作用というものは更に半減されておるのじやないか。その程度の調整作用しか期待できないにもかかわらず、なぜこれは歴史的にもどういう点から見ても最も地方税らしい地方税である入場税をあえて国税に移管しなければならんかという理由がどうも立たんのじやないかと思う。特にそういう筋の通らない国税移管に対して、如何に政府部内の一体性ということもありましようけれども、自治庁自身がそれに賛成なさり、そしてそれを尤もらしく理由付けて行かれるということは、私はどうも納得ができない。
#82
○国務大臣(塚田十一郎君) これは政府として考えましたときは、当初の考え方、政府原案の線で只今税務部長からもお答え申上げましたように、まあ総合してみればこの程度はやむを得ないという判断になつたのでありまして、その後まあいろいろ国会側において御修正になりまして、政府側の考えておりました意図が大分模様が変つて参つておる、こういう点も私どもも御指摘の通りだと思います。併しまあ国会にいろいろな御見解があつてお直しになつたのであり、而も依然として全然そういう調整の機能というものがなくなつているわけではありませんで、まあそういう工合にお直しになるならばお直しになるという前提の下に、なお地方財政全体として財源の総枠が充足され、相互間の配分が或る程度やつて行けるなら、それも一つの行き方であるという意味において賛成を申上げておるのでありまして、今日のような状態に衆議院側において御修正になつたという点におきましては、私どもも全面的にはやはり御賛成申上げるというわけには参らない気持は確かにあるわけであります。
#83
○秋山長造君 それはもう入場税譲与税という制度を残す限りは、多少とも調整作用を期待できるということはこれはまあ認めざるを得ないのですけれども、ただそれも限度の問題であつて、僅かばかりの調整作用を期待するために、わざわざ最も本来的な入場税というものを国に持つて来なければならん、そうまでする必要があるかどうかということなんで、その点はまあ長官の御答弁の裏にも必ずしも適当でないというようなお気持が含まれておるようでございますけれども、まあ二十億や三十億程度の調整作用というようなことしか期待できんならば、むしろこれは地方に置いておいて、或いはたばこ消費税で何とかこの償いをするとか、或いは新らしい交付税制度を、さつきの長官のお言葉によれは、やはり地方の独立財源の一つとして考えられるというものならば、交付税を少々プラスするぐらいのことは何でもないじやないかというように考えるのですが、飽くまでこれはどんなにずたずたに引裂かれて満身創痍なような形になりましても、やはり入場税譲与税というものは飽くまで突張つてお行きになるというお考えがあるのですか。
#84
○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ気持は今申上げた通りなんでありまして、できるならば少し御修正がなくてほしかつたと思うのでありまして、御修正になつて、なおこのままにしておいてこの意味が残つておるかということでありますならば、私は今のような国の財政の状態では、まあ地方に僅かばかりでも偏在があるならば、それを是正するということも意義がないわけじやないが、入場税が減税になりましたからして偏在をするという……今の税率からすれば偏在をするのは非常に少くなつたということになるわけでありまして、従つて減税をしたということは全体として税金の額を減らしたという意味において偏在是正をするという恰好になつたわけでありまして、まあそれを地方に戻してみて、足らん部分は更に国から補つて行くということになる、これは考えの一つの行き方であると思いますけれども、私どもの気持としては今年の補助金や何かの整理の工合からいたしましても、僅かばかりの無駄でも成るべくないようにということで、補助金整理などを非常に無理をして大蔵省側もやつておられるという気持ちも汲んで地方財政というものを見ますならば、地方財政の側になお若干でも残る偏在というものがあるならば、それ自体の中で偏在を是正するという形において貧弱団体のほうに廻してやつて、成るべく乏しい団体を少くするという意味においてまだ何がしかの機能は残つておるという考え方を持つておるわけでありまして、このままの行き方で一つ是非やつて行きたいという考えを持つておるわけであります。
#85
○秋山長造君 何がしかの偏在是正の機能を期待して残して行くという御答弁ですが、片一方ではそういうようなことまでして僅かばかりの偏在是正のためにこういう大きな犠牲を地方に強いるようなやり方をされながら、他方においてはさつきもお話が出ておりました不動産取得税の創設というような新しい問題が出て来ておるのです。この不動産取得税というものは、これはもう言うまでもなく性質上これは都市に非常に偏在度の高い税金であるということは明らかでありますが、こういう非常に偏在度の高い不動産取得税を一方では創設されるということも、偏在是正という今度の税制改正の基本方針の上から見た場合に、ちよつと入場税の問題と矛盾した行き方じやないか、そういうように考えるのですが、如何でしようか。
#86
○国務大臣(塚田十一郎君) その点は少し私どもの感じは違うのでありまして、私はいつも申上げますように、地方の財源というものは独立の財源でいいものがあればそれに越したことはないというように考えておるわけであります。従つて不動産取得税が適切であるかどうかということは、そういうものを税の形で国民から負担をしてもらうことが国民の担税能力からして適切であるかどうかということのまあ判断如何によると思うのでありまして、私どもは今日のような状態ならば、ああいうものにあの種の税がかかるということは別に不思議ではないのじやなかろうか、こういうふうな考え方を持つておる。この場合国の税にするか地方の税にするかということであれば、これは地方の税にすることが適切である。そこで御指摘のように都市に偏在する、そこでそういう新しく別の観点から考えられますと、そういう偏在する税源というものも併せて考えて、さてどの程度の偏在はなお残しておいてもいいか、これはまあ或る程度以上の偏在はやはりこれは是正するという考え方で、そういう不動産取得税が偏在するという、新らしい偏在する税を地方税として創設したということも考慮の中に入れて、やはりどこかで一つ是正はする、それには入場税一つで以て是正して大体いいところが出て来るのではないかということが当利の考え方の線であつたわけであります。それがまあ国会の御修正で若干考え方が崩れて参つたということになつておるわけであります。
#87
○秋山長造君 その点がちよつと今の御答弁でよくわからないのですが、入場税のほうは偏在を是正するために国に取上げるわけで、そういう本来最も地方税らしい地方税である、又地方にとつても重要な財源である入場税をとにかく形の上で国に取上げるということは、これはよほど大きな改革だと思うのです。そういう大きな改革を一方においていろいろな反対、その他を押切つてやりながら、而も他面において今度は又新らしいこの偏在を来たすような不動産取得税を新設するということに矛盾があるのじやないかということをお尋ねしておるのです。
#88
○国務大臣(塚田十一郎君) これはこの不動産取得税を新しく創設をするということは、国民負担が耐えられるということであれば、不動産取得税に限らず新らしい地方税を起すということは、これは地方の財源調整上全体の地方団体の立場から見ればこれはプラスになつておるように思うわけであります。そこで入場税を国に取上げるということは、これは全体の立場から見れば勿論一割の問題はありますけれども、その一割の問題を別の面で考慮するということであれば、全体の立場からく見れば、地方税であつた入場税を国税に持つて行つたということは地方にとつてはプラスでもマイナスでもないわけで、結局還つて来るという形であるわけであります。従つて全体として見ればプラスでもマイナスでもない形をとりながら、今後個々の団体について見れば富裕団体においてそれだけマイナスをして、貧弱な団体においてそれだけプラスをするという機能を果すということになつておるのでありますからして、私は一方に全体としてプラスの不動産取得税の新設があり、一方に今体としてはプラスでもマイナスでもないが、その間個々の団体について見そると、若干マイナスがあつても辛抱できるものにマイナスが出て、そうしてプラスがあつて非常に助かるところにプラスが出るというこの措置は少しも両方の間に矛盾した関係はないと、こういうふうに見ておるわけであります。
#89
○秋山長造君 私はこの地方税全体の枠の中で、その枠に対してプラスになるかマイナスになるかということを聞いておるのではない。それはプラスになることは少くとも地方住民はともかくとして、地方団体にとつては有利なることはこれはよくわかりますが、それではなしに、ただ財源調整という一つの断面だけから見る場合に一方においては入場税を財源調整をするのだということで、偏在の調整をするということでわざわざ国に取上げるようなことをしながら、而も一方においてはその偏在を調整するということを打ち消すかのごとく新たに非常に偏在度の強い不動産取得税というものを設けることが、理屈に合わんのじやないかということを私は開いておるのです。
#90
○国務大臣(塚田十一郎君) そうすると、秋山委員がお尋ねになつておるお気持からいたしますならば、そんなことをするくらいならば入場税を地方に置いて、不動産取得税というものは新設しないほうが考え方としては筋が通つておるのではないかという御意見かと思うのでありますが、それも一つの考え方であろうと思うのであります。併しこの場合に不動産取得税を地方に新らしく創設できないという面から来る地方財政全体の財源不足というものがあり、その財源不足は交付税で賄つても、しばしば他の委員のかたがたから御指摘があり、又最初に秋山委員から御指摘があつたごとく独立財源というものをどこで地方に認めるのだという点においても非常に問題があるのでありまして、私どもはやはり最初に申上げましたように、考えられる税源があればできるだけ独立財源を地方に与える、そこでいろいろな財源を与えてみると、どれも皆偏在をするので、そのうちのどれか一つ二つを取つて、そうして或る程度の偏在を是正して、勿論それでも偏在は若干残るでありましようが、残る偏在を或る程度の部分ならばやむを得ないのだ、道理として認められるという程度のものを残して、他の部分は調整をする財源に使つて行くという、こういう考え方が一番限られた国民負担で能率的に金を使つて行くというために一番いい方法じやないかと考えておるわけであります。
#91
○秋山長造君 従来あつた偏在を今度の入場税の国税移管によつてこれを或る程度是正する、併しこれとても十分でないので、あとにまだ相当偏在が残るのはやむを得ないということはこれは明らかですけれども、併しだからと言つて完全に是正されなくて、あとにまだ偏在が残つておるということと、それから新らしくそれに付加えて新らしい偏在を作り出すということは多少違うのじやないかと思います。どうも私どもは不動産取得税の問題は、新らしい偏在を作り出すことになるのではないかというふうに考えるのですが、その点は長官の御見解と多少食い違うけれども、どうも私はそういう感じがしてならない。その問題は時間がかかりますから……。
#92
○若木勝藏君 その問題に関連して、今の独立財源の問題でございますが、これは私今ちよつと調べて見ると、独立財源を与えるという立場に立つて税を調べて見ると、府県のほうにおきましては、たばこ税それから不動産取得税、こういうふうになつております。市町村の方面はたばこ税は来ておるけれども、これは結局道府県のほうに持つて行くための一つの振り当て、こういうふうに考えます。結局市町村のほうにおいては独立財源を充実するという点は道府県に比べて何ら恩典がない、こういうふうに私は考える。そこで、あまつさえ入場税の国税移管によつて総体で十五億を国庫にとられる。その中には一部分は市川村からとられる部分があるだろうと思う。それで私の伺いたいのは、なぜ一体市町村と道府県との間にこういうような差違が出て来ておるのであるか、道府県をこういうふうに厚くするのはどういうふうな意味があるのか、その点を伺いたい。
#93
○国務大臣(塚田十一郎君) これは独立財源というものを地方財政全体を通じて申上げておるのでありまして、ここに府県と市町村というものを区別して考えますならば、私はシヤウプ勧告に基いた改革というものが市町村に少し重点を置かれ過ぎておつて、府県がむしろ置いて行かれておるという感じを持つておりますので、そのことを併せて是正するという感じで物を判断をいたし、又その考え方で計画を立てておりますから、御指摘のような状態が出て来るので、御覧頂いてもわかりますように、今までの制度から行きますならば、府県の財源というものは非常に国に依存度が多かつた、それを少し全体として、説明にも申上げてありますように、独立財源は独立性を強めたと同時に特にその重点を府県に置いて、市町村については余りその点の考慮は強くは払わなかつたということになつておるわけであります。
#94
○若木勝藏君 その考え方になりますと、今市町村の合併の促進法など作つているのですが、そして市町村の規模の適正化を図つている。やはり市町村をより以上に育てて行くという立場から考えますと、今のような行き方になるというと、私は市町村を育てる上から見まして、矛盾を来たして来るのじやないか。むしろこの際道府県ということよりも市町村に重点を置いて、独立財源を与える方向に行かなければならない、こういうふうに考えるのでありますが、如何ですか。
#95
○国務大臣(塚田十一郎君) その気持は勿論どこまでもあるわけでありますし、そういう考慮も全然捨てておるわけでありませんけれども、むしろそういう考慮を頭に置きながらも、今のこの府県の状態というものが、少くとも自治団体としてなお認めて行くという建前からするならば、余りに今まで考慮の払われ方が少なかつたものを当面において是正する、こういうふうな考え方であります。
#96
○若木勝藏君 私は数字的にははつきりわかりませんですけれども、今の点は結局府県単位の警察というふうなものを作るためにそういうふうな関係が生じて来ておるのです。それば全く無関係ですか。この点伺います。
#97
○国務大臣(塚田十一郎君) それは直接には考慮されておらんのでありまして、府県単位の警察ができるからということは、財政の府県の全体の総枠の上においては考慮してありますけれども、そういう府県のための費用も含めて、府衆の財源がどの程度独自の財源で賄われるかという考慮にまあなつておるわけであります。
#98
○若木勝藏君 そうしますと、まあその問題は直接警察というふうな関係とは考えられないけれども、総体的に言えばやはりそういうことが含まれて来るというふうに、まあそういうふうに受取つたのでありますが、それで差支えありませんか。
#99
○国務大臣(塚田十一郎君) これは警察制度の改正に伴う府県の費用増というものも含めて、全体の府県の財政の総枠の中で独立税が幾らか殖えた、こういうことになると思います。
#100
○若木勝藏君 その問題に関連しまして、もうちよつと関連の質問をしたいと思いまするが、これは午前中に加瀬君から質問があつたのですけれども、結局市町村民税を道府県に移管するためにたばこ税を握り当てにしておる、こういうふうになつておるのですけれども、これは加瀬君はあとで資料を頂きたいというふうなお話でしたがこれは本当に振り当てにたばこ税というふうなものが振り当るのかどうか、こういう点が私は懸念される。これは総体的に、全国的に考えて行けば、そのバランスがとれるかも知れないけれども、各個の、殊にたばこなんて余り売つておらないところの町村もあるだろうと思うのですが、そういう個々の町村自体について考えてみたとき、果して総体的にバランスがとれるごとくに行くかどうかということは、これは大きな私は問題だと思う。今までの市町村民税というふうなものは、長年続いて来て一つの安定性を持つている。その代りに出て来たたばこ税というものが個々の町村にとつて不安定になて来ると、非常に私は財政上問題があると思う。こういうことばただ総体的な数字の上で以て考えたものか、実際においてどこかの町村を実地調査しまして、例えば人口何千ぐらいの所はどうであるか、或いはそれより以下の所はどうであるというような実態の調査に基いてこれは考え出したものかどうか、その点を伺いたいと思います。
#101
○政府委員(奧野誠亮君) 町村全体を通じて見た場合にどういうことになるかということは午前中に申上げた通りであります。市町村民税でありますと、法人税割のようなものは偏在するばかりではなしに、年度間の安定性を欠いております。或る年には多額の収入が得られるが他の年には収入が激減する。こういうことは小さい規模の団体におきましてはできる限り避けたいと思つておるのであります。又、個人所得割の面におきましても、かなり地域間に大きな差があるのであります。仮に県単位に考えましても、たしか鹿児島県の県民一人当りの所得税額と、東京の一人当りの所得税額とは十倍くらいの開きがあつたと思つております。これに対してたばこ消費税の一番多いところと少いところでは、たしか二倍半程度違つたと思つております。そうなつて参りますと、たばこ消費税のほうが地方団体間に普遍的であります。又或る都市ではうんと消費するが、他の都市においては消費が激減するということは比較的少いというふうに私たち見ておるのでありまして、その意味では小規模団体においては安定性を欠くというような税源を少くし、半面安定性のあるような収入に置き替えて行く姿が望ましいのではなかという考え方を持つておる。そういう意味においては市町村民税の一部をたばこ消費税に振替えたほうが、市町村の税制の姿がよくなるのではないか、かように考えております。
#102
○若木勝藏君 あなたのそういうような考え通りに行けば私は問題ないと思うのです。私の聞いているのは、或る甲なら甲という市町村、村なら村において、そういうようなたばこ税を振当てたため、財政の欠陥を生ずるところがないかどうかということを聞いておる。若しあつたとしたら、それをどういうふうに矯正して行くか、これを伺つているのです。
#103
○政府委員(奧野誠亮君) 市町村民税、特に法人税割の多いような団体におきましては、その収入が多いものですから、地方財政平衡交付金を受けていない所が、これがたばこ消費税に代りました場合には収入が減つて参ろうと思います。こういう団体につきましては、減つただけのものが地方財政平衡交付金で補填をされるということは先ずないわけであります。激減緩和のために特別交付金を出すとか、或いは地方債を特に認めて行くとかいう以外にないのです。これに反しまして、他の町村でありますと、地方財政平衡交付金を受けて、仮に市町村民税の減り方が多い場合には、それだけ地方財政平衡交付金が多く交付されることになりまして、まあそれほど大きな打撃を与えないことになるだろうと思う。併しながらたばこの小売店のない市町村は先ずないというふうに見ていいのではないかと思います。市町村によりまして、若干どちらが多いかということにおいてそういうことは出て参ると思います。地方財政平衡交付金を受けていない所は別として、地方財政平衡交付金を受けている市町村の場合は、殆んど全部と言つていいくらい、たばこ消費税のほうが若干多いという姿になつておるというふうに、いろんな調査から承知しております。加瀬さんのお話になりました資料は明日午前中には出せると思つております。
#104
○若木勝藏君 次にもう一つ関連するのですが、入場税移管の問題、これは実際において移管した場合と、現在の場合とにおいてどういうふうな変化が生じて来るか、個々の町村において全然変化はないか、バランスがよくとれているか、こういう点は実際にどうですか。
#105
○政府委員(奧野誠亮君) これは地方財政計画を立てて行きます場合に、個個の団体ごとに幾ら財源が不足するか、その不足額を地方財政平衡交付金で補填するという考え方に立つておるわけであります。従いまして、入場税を国税に移管いたしまして、その国税として徴収いたしましたものを人口按分で府県に還元して行く、そうなつて参りますと、東京や大阪のような団体は収入が減つて参ります。他の府県では収入が殖えて参ります。従つて東京や大阪以外の団体について、地方財政平衡交付金を交付しなければならないような金額が減つて参るわけであります。東京、大阪では収入が減りましても、なお地方財政平衡交付金を交付する必要がない。その結果国民全体として負担しなければならないような額は、東京、大阪から吹上げて参りますと、五十億円程度減つて参ります。併し他の団体におきましては、入場譲与税が交付される代り、地方財政平衡交付金は減つて来るから、別段損得という問題は生じて参らないのであります。要するに地方財政平衡交付金の額を五十億余り少くすることができる。そしてなお且つ全地方団体について財源不足額を補填して行くことができる。こういうふうな形になつておるわけです。併しながら入場税につきまして、減税措置がとられて参つておりますので、この関係が、少し変つて来ておると思います。東京大阪につきましては五十億円減らして、他の地方団体につきましては増減はない、かようにお答えいたしたいと思います。
#106
○若木勝藏君 どうも今聞いておつてその点がよくわからないのですが、平衡交付金であれば五十何億国のほうが儲かるというところをもう少し具体的に話して見て下さい。
#107
○政府委員(奧野誠亮君) 東京、大阪以外の団体でありますと、入場税として徴収いたしまする金額よりも、国全体で国税として徴収した額を人口按分で配分される額のほうが多いわけであります。府県税としての入場税よりも入場譲与税の金額のほうが多いわけであります。それだけ財源が殖えるわけでありますから、財源不足を補填する意味において交付する地方財政平衡交付金が少くて済むわけであります。この少くて済む金額を合計いたしますと五十億円余りになつて参るわけであります。それではその五十億円余りのものをどこから持つて来たかと申しますと、東京と大阪から持つて来るということになるわけであります。東京、大阪では入場税として徴収した額よりも入場譲与税でもらう額のほうが五十億円余り少いわけであります。要するに東京、大阪の犠牲によつて他の府県に財源補填をして行くという形になつて参ると思います。
#108
○若木勝藏君 そこがこの間から私の言つておるところの問題点になるわけなんだが、それは終ります。
#109
○秋山長造君 さつきの不動産取得税の詳しい内容については、又このあと逐条審議のときに更にお伺いいたしますが、いずれにしても、非常に偏在度の高い税金であることには間違いないのですが、さつき長官の話によると、独立財源の充実をやはり一つの大きな要素として不動産取得税の創設ということを考えておられるようでありますけれども、このように偏在度の高い税金を創設することによつて、果して地方財政全体として財源が増強充実をされたということになるのかどうかということなんです。
#110
○国務大臣(塚田十一郎君) これは地方全体として見ますならば、交付税その他で国からもらうよりは、独立の財源がいい、その独立の財源について今度見ますならば、偏在するものよりも偏在しないもののほうがいいということは、まさに御意見の通りだと思うのです。ただ恐らく、残念ながら今考えられます新らしい地方税というもので偏在しない税というものは考えられないのじやないか、まあ私はこういう感じを持つております。又実際検討して見てもなかなかそういう税が見当らんのであります。勿論税というものは担税力のある所からしか取れないものでありますから、担税力のあるというのは、要するに富んでおる所ということでありまして、どうしても税は偏在することにならざるを得ないのであります。そこでまあ地方財源全体として独立の財源を或る程度認めても、そのどれも皆偏在をして来るからして、やはり一部分はその中から取上げてならすという財源調整をしなくちやならないという結論が出て来るわけであります。
#111
○秋山長造君 この不動産取得税が大体四十四億を予定されておるし、それから道府県民税が大体百七十三億、合計して二百十七億ということで、結局従来の市町村の税収の中から二百十七億というものが道府県へ吸い上げられるということになるわけです。ところが丁度それとあたかも符節を合すように、警察制度の改正によつて市町村のほうから落ちる経費が二百十億なんですが、結局これは自治警を廃止して、そうして府県警察一本にまとめるための経費として二百十億に見合う二百十七億として道府県民税と不動産取得税とが考えられたというふうに解釈してもよろしうございますか。
#112
○政府委員(鈴木俊一君) お手許に配付してあります本年度の改正による地方税の収入の状況と収入見込額と、それからいま一つ御指摘の点は警察制度の改正による増減の点、両方併せてどういうふうな恰好になるかという点のお尋ねのようでございますが、警察制度の改正によりましては百五億全体として負担が殖えるわけでございますが、国からの補助金がありますので、たしか府県としましては八十九億くらい新らしく負担が殖える、半面市町村のほうは二百十一億でしたか減ることになるわけであります。これに対して税のほうでは、御指摘のように市町村民税が百七十三億減るということになるわけでありまして、府県のほうはそれに対して百六十九億の道府県民税が新らしく加わる、その関係だけを取上げますと、やはり警察の負担が市町村から抜けることによつて市町村は若干楽になるわけでございますが、併しその差、即ち百七十三億と二百十億の差の多くは市及び自治体警察を維持しておる町村において最もよく現われて来るわけであつて、結局市町村民税の振替になります財源というものは、やはりたばこ消費税の百九十四億という市町村に行くものが振替りの基礎になるというふうに私どもは考えておるわけであります。これら全体を通じて観察いたしまするならば、警察費の負担が変りませんでも相当楽になると思うのでありますが、警察が若し政府案のような形で実施されるということになりますと、市なり自治体警察を維持しておる町村においては、更に相当余力を生ずるであろうと思うのであります。これに反して府県のほうはたばこ消費税が九十七億と道府県民税の百六十九億、約百七十億、これが合わさりまして約二百七十億余りの額になるわけでございますが、半面三百十六億余りの警察費を負担しなければならん、こういうことになるわけでありまして、それに対して、たしか二十数億の国の補助金が更にございますから、それらを全部相殺いたしますと、大体計算のほうではとんとんになるわけでございますが、併しその結果といたしまして、府県に対してはやはり交付税か市町村の場合よりもより多く行くことになるというふうに考えるのであります。大体の出入りはそういう恰好に相成ろうかと思うのであります。
#113
○秋山長造君 もう一つ、主として入場税あたりの偏在是正ということは、道府県相互の間の偏在是正という趣旨の下に考えられておるのですが、地方団体の財源の偏在は何も道府県相互間ばかりではなくして、市町村の間にも大いに偏在がある。むしろ道府県相互の間よりも市町村相互の間のほうが更にひどいのじやないか。まあ市町村といううちで、同じ市だけとつて見ましても、五大都市というふうな大きな市とそれから最近やたらにできておるような小さい市とを比べた場合、その偏在というものは非常に大きいと思うのであります。で、そういう市町村相互間の財源の偏在の是正というような問題を考えられる必要がないかということをお尋ねしたいと思います。
#114
○政府委員(奧野誠亮君) お話のように市町村相互間の財源配分につきましても、かなり貧富の差がございます。今回是正措置をとりましたのは、先ほど若木さんからも御質問ございました市町村民税、特に法人税割の分量を少くして、半面たばこ消費税で補つて行く、これも一つの税源配分の合理化だと思つております。更に固定資産税の大規模な分につきまして府県に移して行くというふうな問題も一つの合理化だと思つております。府県におきましても、町村におきましてもかなりよく行くと思つております。
#115
○秋山長造君 その御説明は一応わかるのですけれども、自治庁のほうの偏在是正の考え方は、大体少い所へ新らしく持ち込んでやろうというのではなしに、まあ多いほうを取上げてそうして地ならしをして行こうという消極的なやり方なんですが、そういうやり方で進めて行つた場合は、どれもこれも地方団体がどんぐりの背比べのような形になつてしまつて、一向にそこに進歩発展が期待できないような状態に結切なつてしまうのではないかというように考えるのですけれども……。
#116
○政府委員(鈴木俊一君) この点も先ほど来大臣からも申上げたと思いますが、御指摘のように国民負担の現状なり或いは国の財政の上からいつて、お話のように必要なる財政需要に対して税源が少い所に穴埋めをする、財政需要を超過して多くの収入がある所は取上げない、こういうふうにやれますならば、これは勿論地方自治の立場としては一番上々の策で最も望ましいに違いないことでございますけれども、実際問題として、今のこの緊縮財政下においてはそれができないというところで、地方団体相互間で比較的に財源の多い所から若干これを他の貧弱な団体に廻してもらう、その結果、確かに多い団体と申しても、別に絶対的な意味において財源が余つているというわけじやなくて、やらなければならない仕事は極めて多い、又さような富裕団体は多くは人口なり児童等が年々急増して参る団体でございますから、財政需要の伸びも非常に多いわけでありまして、決して一概に楽とは申し得ないのでありますけれども、併し総体的に見ますと、やはりそういう団体のほうが余力がある、そういう余力のある団体からそうでない団体へこれを廻して行つて、地方財政自体の中での或る程度の調節作用をやるということは、どうも今の段階においてはこれは不可避のことと思うのであります。ただその額が余りに大きくなるということはできるだけ避けるようにしなければならんと考えるわけでありまして、本年度はさような意味の偏在是正ということについては、府県について義務教育費国庫負担金の制度が調整なしにそのまま施行されるということになりましたために、どうしてもその関係では偏在の財源が出て参る。これは府県の関係でありますが、半面市町村については、警察制度がなくなるというような建前に立つておりますから、そういう関係から或る程度又財源の偏在といいますか、ゆとりが市町村の中に出て来る所があるわけでありますから、制度の改正の上でそういう面がありますと共に、半面地方税の税制の自然増収並びに制度改正によるその偏在の是正というような、両方からみ合つて地方税については余り多くの偏在が生じないような調節を、先ほど税務部長が説明したようにしたわけでありまして、
   〔委員長退席、理事石村幸作君着席〕
 そういうことの総体の結果として、市町村については五十一億の偏在といいますか、超過財源が出て参りますが、府県のほうは三十六億だけ減つて参ります。その結果、本年度は偏在は十五億程度にとどめたわけであります。併し昨年よりはやはりそれだけ偏在の度合が殖えて来ておる。偏在の度合が殖えて来ておるということは、地方自治という立場から言つて、それだけやはり自治のほうが尊重されたというふうに理論の上ではそういうことが言えるわけであります。ですからやはり昨年よりも偏在是正を強化して行つて減らして行つたということになりますと、御指摘のような議論がいよいよ強くなされることになると思うのでありますが、まあ昨年よりは若干むしろ偏在が殖えておるということが財政計画上も言えると思うのであります。
#117
○秋山長造君 この場合にこの五大都市或いは五大都市に準ずるようないわゆる富裕団体ですね、そういう所は少少こういう方法で、まあ大体公平に見て或る程度余裕があるわけですから、こういう方法によつて財源を若干吸い上げられるということも止むを得ないことと思います。又それによつてこうむる犠牲というものも大して心配するほどのこともない。それから非常に貧弱な市町村ですね、こういう所はこういう方法によつていずれにしても多少ともプラスになるということでそれもまあいいとしなければならん。ところが中間地帯を占めておる財政的にもまあ非常に余裕はないけれども、非常に苦しいやりくりをしつつやつておるという中小都市ですね、そういう所が非常に数から言えば多いのじやないかと思うのです。そういう多数を占める中小団体というものが、こういうやり方によつて思わん犠牲をこうむるのじやないかというようなことがまあ心配されるのですが、その点は如何でしようか。
#118
○政府委員(鈴木俊一君) この今回の政府が提案をいたしておりまする地方税法その他制度全体の改革案の建前から申しまするというと、中小の都市、要するに市につきましては、いずれも警察を維持しておるわけでございますが、そういう警察の面を考えまするというと、これが府県負担に移るという点から、その点においては確かに財政的にはいずれの都市も余力を生ずると思うのであります。併しそういう制度改正を別といたしましても、地方税制だけの上から申しましても、このたばこ消費税は、先ほど政府委員から説明をいたしましたように、偏在が非常に少いというところからいたしまして、大体各都市ともおおむねそう大きな開きのない姿でたばこ税収が入つて参ると思うのであります。それに見合う市町村民税のうちで、まあ所得割については或る程度の御意見はありましようけれども、最も偏在の関係の多い法人税割でありますが、これは個人の所得割よりも府県に移譲する割合を若干殖やしておりますので、従つてそういう意味で偏在はなくなると思うのであります。従つてこれらを通じて考えますると、中小都市の非常に偏在といいますか、財源の非常に多かつた団体に対しては、これは或る程度今回の道府県民税の創設或いは固定資産税の調整等、によりまして、若干今年より平年度以降では減つて参ると思いますが、併しそれでは必要な財政需要ということを見出す点から申しますれば、大体この程度均衡のとれた財源が、而も安定性のある財源が確保せられることになるのであろうというふうに考えておるのであります。
#119
○秋山長造君 たばこ消費税のほうは人日割で行くわけですから非常に釣合いのとれた普遍的な税金には違いないのですが、ところが一方取上げられる道府県民税については、これはやはり市町村民税に非常にでこぼこがある結果として、道府県民税にも非常にでこぼこができて来る、不均衡があるのは当然なんですが、そういう不均衡のままで吸い上げられて、その穴埋めは万遍なく総花的なたはこ消費税で穴埋めをするということになりますと、道府県民税に吸い上げられた率の大きい所ほど、これは今度の税制改正によつて非常に犠牲をこうむるという結果になるのじやないですか。
#120
○政府委員(鈴木俊一君) 御指摘の点は、この法人税割のようなものを非常にたくさん持つておつた都市において、その中の一部が道府県の法人税割として移譲されるという結果といたしまして、確かに御指摘のようなことは傾向としてはあると思います。併しそれは他の都市に比較して非常にその割合が多いと思われる所がそういうような傾向が特に強いわけでございまして、そういうようなことによつて財源が或る程度均衡化せられ、且つ安定せられたものが各都市を通じて配分せられるという場合は、これは地方財政というものはやはりそう何といいますか振幅が、非常にでこぼこが年々生ずるものではなくて、又団体間におきましても、やはり同じような仕事をやつて行くわけでございますから、そう大きな違いが原則としてないわけでありますから、そういうような均衡のとれた安定性のある財源を与えることのほうが望ましいのではないかと思うのであります。半面、若しも政府提案のごとく警察制度に関する改革が行われまするならば、都市につきましては更に税制改正以外の理由によります財源の緩和と申しますか、そういう面も相当これは無視できない有力なる要素になつて来るだろうと思うのであります。
#121
○秋山長造君 その点は又逐条審議のときにもう少しお尋ねするといたしまして、次に、今度の税制改革の第三の方針として、地方税の税種相互間における負担の均衡化ということが挙げられておるわけですが、税種相互間の負担の均衡化ということはもとより結構でありますけれども、併しその前に、一つの税についていろいろ不均衡がある点を先ず改める必要があるのじやないか。と申しますのは、例えば事業税なんですが、事業税について、従来いつも問題になつておることは、個人事業税と法人事業税とにおいて税の負担が非常に不均衡になつておる、それで法人のほうでは給与なり或いは償却費というようなものが必要経費として適当に落せるのに、個人の場合はそれが一切認められない、そのために先だつてのこの委員会の公聴会でも、相当この点が公述人からやかましく言われたわけでして、例えば同じく五十六万九千九百円という収入のある法人と個人について、その税額が法人のほうは一万四千六百二十八円で、個人のほうは実にその四倍以上になるところの六万二千三百八十八円というように非常に極端な実例が示されておるのですが、この個人の場合と法人の場合とのこういう不均衡を何とか是正をする必要がこういう機会にこそあるのではなかつたかと思うのですが、その点問題にならなかつたかどうか。
#122
○政府委員(奧野誠亮君) 法人が事業を行なつております場合と個人が事業を行なつておりまする場合の負担を、事業の分量といいますか、そういうものから見て全く同じような負担金額にしなければならないといたしますならば、課税標準を所得に求めるべきじやないだろうと思います。売上金額に求めるなり附加価値に求めるべきじやないかと思います。性格の全く違うものにつきまして、同じような考え方で税負担を比較することは多少適当ではないんじやないだろうかというふうに思つております。勿論お話の御趣旨はよくわかるわけでありまして、そういう意味では課税標準を所得に求めませんで、理論的には附加価値などに求めて行つたほうがいいじやないかというふうにまで思つておるわけであります。ただ比較いたします場合に、法人であります場合は、例えば府県民税や市町村民税でありましても法人にも課税されますし、それから法人から給与を受けております個人それぞれにも課税されるわけであります。個人が事業を行なつております場合には、府県民税、市町村民税は一つしかかかつて来ないわけであります。そういう違いがあろうかと思います。第二には、所得税の面におきましても、法人が行なつております場合には法人に法人税が課されますのみならず、法人から給与を受けておりますそれぞれに対しまして所得税が課されて参ります。事業税の場合には、個人事業者に所得税が課されるだけというふうになつて参ると思います。総合的に比較してみます場合に、必ずしもどちらが重い軽いということは言えないわけでありますけれども、個人の場合でも青色申告を行なつておりますると、家業専従者につきましては、一人当り七万円経費として控除することになつて参ります。このような適用を受けて参りますると、かなり負担が軽減されて来るんじやなかろうか、それだけ個人事業主の所得が少くなつて参りますので、事業税額もかなり低くなつて参るわけであります。そういういろいろな関係がございますので、簡単には比較できないのじやないだろうかというふうに思うわけであります。勿論法人でありましても、どの程度所得を留保いたしますとか、或いは所得の規模でありますとか、そういうことによりまして所得税額その他も異なつて参りますので、なかなか比較はむずかしいだろうと思います。ただ全く同じようにいたしますとするならば、売上金額とか或いは附加価値というそういう形式をとらざるを得ないじやないだろうかというふうに思つております。
#123
○秋山長造君 もとより法人と個人とこれはいろいろな点で相違があることはわかるのですけれども、ただ私が今お尋ねしておるのは、一口に法人と申しましても、個人の場合ともうすつかり只今おつしやるように何もかも違つておる法人もあるけれども、併し事業税の場合、いわゆる中小法人ですね、ただ個人事業税が非常に高くて苛酷で困るので、極めて便宜的に法人に切替えることによつて、事業税の負担を多少でも軽くして行かざるを得ないというような、そういう小さい法人が非常に多いのじやないかと思う。そういう、法人とはいつてもその実態は個人と何ら変らないというような法人、そういう法人と個人との間の事業税の負担が、ただ形式的に法人であるか、個人であるかということだけによつて、余りにも隔りができて来るということが往々にして起つて来る、これは御承知の通りです。そういう矛盾を何とか解決をする方法はないかということをお尋ねしているのです。
#124
○政府委員(奧野誠亮君) お話のようなことで、事業税につきましても、特に個人の負担は軽減したほうがいいのじやないだろうかというように政府でも考えておるわけであります。その結果基礎控除を一面には引上げますと共に、税率におきましても個人と法人との間に差等を付けたわけであります。このような行き方よりいたし方がないのではないかと思つております。ただあらゆる税を総合いたしました場合には、中小法人の場合でもそう変つてはいないのじやないだろうかというふうに思つております。なお御質問がございましたら、詳しく数字についてお話をいたしたいと思います。
#125
○秋山長造君 現在の建前で行く以上は、個人と法人との税負担の矛盾を解決する方法は、個人の基礎控除を上げるなり、或いは税率を下げるなりということ以外にはない、こういうことですね。その場合に今度の改正によりますと、基礎控除を今まで五万円であつたのを六万円にするということと、それから税率を百分の十二を百分の八に引下げるというこの二つのことによつて、個人と法人との負担の不均衡というものを何とか解決をしようということのようでありますけれども、この程度の考え方で果してこれが解決できるのだろうか、その点についてどの程度の見通しを持つておられますか。
#126
○政府委員(奧野誠亮君) 事業税だけを捉えて考えて参りますと、やはり違つて来るだろうと思います。ただ全体の税を通じて考えて参りますと、今度の改正案によりまして、大体差はなくなつて来たというふうに思つておるわけであります。なお個人事業税の場合に、先ほどちよつと触れましたように、家業専従者の控除というものをもつと拡充をして行く、所得税においてとられている制度でありますけれども、これを漸次青色申告に限らずもう少し拡げられんものだろうかという考えは、個人的な考え方としては持つているわけであります。で、改正案と現行法との比較をちよつと簡単に申上げますと、一応仮定に立つているわけでありますが、利益が三十万円のものにつきまして、法人の場合には役員報酬が二十万円、個人の場合には扶養親族が一人だと、これは個人でも法人でも同じであります。それから五十万円の場合は三十万円、百万円の場合は四十万円、それから扶養親族が五十万円の場合は二人、百万円の場合は三人、こういう仮定をいたしております。それから法人は半額配当の場合と全額配当の場合と二つに計算いたしております。こういう仮定の下に立つて計算してみますと、三十万円の利益の上ります場合には、百円につきまして現行法では法人の負担が二十五円八銭であります。個人の場合には二十六円六銭でありまして、若干重いのであります。
   〔理事石村幸作君退席、委員長着席〕
 ところが改正案によりますと、法人の負担が二十三円四十四銭、個人の場合には二十二円八銭、若干個人のほうが下つて参ります。それから五十万円の段階になりますと、現行法では全額配当の場合には三十一円八十四銭、半額配当の場合は三十一円四銭、個人の場合には三十三円二銭、若干個人の場合が重いのであります。ところが改正案の場合には、全額配当の場合は二十九円九十二銭、半額配当の場合には二十九円三十八銭、これに対しまして個人は二十九円四十七銭、先ず大体似たり寄つたりということになつて参ります。百万円の場合におきましても、今申上げましたような傾向になつているわけであります。
#127
○秋山長造君 この事業税の問題も詳しくは後はど又事業税の逐条審議のときに今の点をもう少し突つ込んでお尋ねしたいと思うわけであります。それからもう一つお尋ねしたいのは、この基本方針の最後に挙げてあります税務行政の簡素合理化、それから徴税上の協力態勢の確立という問題があるのです。この点についても、只今の事業税の問題で課税標準の算定について国税、所得税の決定によるということになつて、成るほど非常に道府県の手は省けるわけですけれども、その半面国税の徴収等について税務署のやり口を従来見ておりますと、依然としていわゆる割当課税をやつておるわけです。特に本年度あたりは国の緊縮財政の方針からして、相当徴税攻勢を税務署はかけるのじやないか。そうなつた場合に、その決定額によつて事業税をかけてゆくということになりますと、やはり中小企業なんかについては、思わぬこれは重圧になつて来るのじやないかというような気がするのですが、その点について自治庁はどういうお見通しを持つておられますか。
#128
○政府委員(奧野誠亮君) 国と府県と市町村とが税務行政の運営において協力態勢をとるから、特に納税義務者に対して負担が重くなるというふうには思つていないわけであります。ただ事業税の課税標準をきめます場合に、従来は御承知のように地方団体が独自の見解で調査決定いたして参りました。その結果所得の決定が府県のほうが重かつた所も若干ございます。大体においてはむしろ軽かつたかも知れませんけれども、その間に府県間に相違があつたわけであります。これが国の所得に乗つかつて参りますので、今申上げました意味合いにおきましては、従来に比べて変化が生じて来るだろうと思います。そういうことになりますから、全体として重くなつて来るということはないのじやないかと想像いたしております。
#129
○秋山長造君 私のお尋ねするのは、国と道府県とが協力するなら重くなるというような……、それは協力の点はいいのですけれども、ただその結果として、事業税の課税標準を算定する場合に、所得税の決定によるということに機械的になつて来ますから、そうなつた場合に所得税の取り方或いは調整のやり方というものが妥当ならば、これは勿論結構なことですけれども、得てして税務署のやり方というのは、地方の実情を無視して強圧的にやるきらいが非常にあるわけです。特に本年度あたりはその威力を一層税務署は発揮するのじやないかということを我々は非常に恐れておるわけです。そういたしますと、従来のやり方で府県知事が独自にやるならば、例えば先だつて新聞に出ておりましたように、京都あたりでは府議会で決議をやつて、そうして個人事業税の自家労賃を控除するというようなことをきめたようですが、そにういうような地方が独自の立場で持ち味を活かして行くというようなことを事業税において期待することは勿論できなくなるのであります。そうしてさつきのような税務署のやり口だとすれば、やはり中小企業に対する重圧というものば一層重加して来るのではないかということを恐れる。そこで成るほど取る側同士の協力態勢ということは、併し取られる側から言えば有難迷惑、有難迷惑の有難のほうはなくて、迷惑だけが残るということになるのです。そういう御心配はないですか。
#130
○政府委員(奧野誠亮君) 従来事業税の課税標準の決定に当つてどういうやり方をして来たか、これは根本の問題になるだろうと思います。これにつきましては、多くの府県はやはり国の税務機関の決定した所得を用いております。併し団体によりつましては、これよりも高く決定している所もございますし、御指摘になりましたような特殊なやり方をしている所もございます。総体的に申しました場合には、国の決定いたしました所得をそのままとつて参つておりますので、今度のような制度改正をいたしましても、全体としては大して変りはないのじやないだろうかというふうに思つております。むしろ事業税のような性格の税につきましては、経済界に与える影響も考えますと、余り勝手なやり方をしないほうがいいのじやないだろうかというふうに思つているわけであります。殊に所得の決定ということになつて参りますと、どこにおきましても公正に把握されるという必要があるのだろうと思うのでありまして、そういう意味において均衡のとれた決定が行われるという方向においては、府県や市町村の協力がむしろいい効果を及ぼすのではないだろうかと考えております。
#131
○秋山長造君 従来の全国各府県の実情を考えた場合、大体国税の決定額というものを最高限度として、そうして事業税の決定が独自になされて来たということが大体に言えるのじやないかと思うのです。ところが今度こういうことになりますと、今度は国税の決定額というものが最高限度でなしに最低限度になつて、すべてがそこから出発するようなことになつて来るのじやないかと思うのです。つまり今度の改正の中にも、国の見方について県のほうが異議がある場合には、その異議を申出ることによつて適当な線を協議して出すというようなことができるわけですが、そうなると府県のほうは、とにかくこの国の決定額を出発点として、できるだけそれより上げよう上げようとするような傾向を帯びて来るのではないかというように思えるのですが、その点はどうですか。
#132
○政府委員(奧野誠亮君) 実は私たちは、府県や市町村が国の決定したものは低過ぎるから高くしろというような場合は全く特殊例外の場合じやなかろうか、一般的には自分の地域の住民の所得決定を低くしてもらいたい、こういうような気持を持つのが一般じやないだろうかと思つております。そのことが、延いては基準財政収入額を算定する場合にも、高くなるのだからむしろ低くしてもらいたい、こういう形になるのが一般じやなかろうかと思つております。ただ住民相互間に不均衡があることはこれは許されないことでございますので、低いほうにつきましては是正を求めるというようなことであのような制度を設けているのでございまして、それによつて全体として公正な姿に持つて参りたい、こういうような考え方に立つておるわけでございます。
#133
○秋山長造君 それが、府県が独自できめる場合には今おつしやるようなことが考えられるのですね。ところが税務署の決定額によるということが一項目入つておりますので、県のほうは何でもかんでも文句を言うとすぐそこへ持つて行く。これはもう税務署がきめているのだからしようがない、国がきめているのだからしようがないということで逃げておる。そしてそれで押付けて来る。それでそこうに、今税務部長がおつしやるように地方自治の建前から言えば、地方住民の所得の決定を成るべく低く低くということにならなきやいかんのですけれども、地方団体は皆ふところが苦しいものですから、成るべくなら自分の責任において負担をかけるよりは人の責任において負担をかけたほうが気が楽ですから、だから国の、税務署の決定ということに籍呈して、税務署の責任において成るべく余計取ろうというような気持が私は必ず動いて来るのじやないかと思うのですが、まあそういう点について、そういう不心得がないように注意してもらわにやあいかんと思うのですが、これは確かにありますよ。そういうことになつて来ると思うのですが、併しこれも事業税のときにもう少し質問をしますけれども……。
 それからもう一つは、道府県民税の賦課徴収事務を市町村にやらせるということなんです。で、これによつて非常に税務行政が簡素化されるということをおつしやつておるのですけれども、併しこういう効果が期待される場合は、実際にその賦課徴収事務を担当してくれる市町村というものが非常に積極的に喜んで引受けてくれようという態勢であつた場合に限つておるのじやないか。ところが今の実情は、全国の市町村は皆挙つてこのやり方には反対をしているわけなんですね。市長会にしても町村会にしても、皆これには絶対反対だということを強く言つておる。又この間のここの公聴会でも、公述人のかたは皆そういうことを言つておられた。それで市町村自身が非常に反対をしておられる、まあ積極的に反対しないまでも非常にいやがつておるということはこれはもう否定できない事実です。そういうものにこの道府県民税の賦課徴収事務をやらして、果して税務行政の簡素合理化になり、徴税上の協力態勢というようなことが期待できるのかどうか。どうお考えになるか。
#134
○政府委員(奧野誠亮君) 地方制度調査正会でこの答申が出ました際に、都市の代表の人たちは積極的に賛成いたしました。町村の代表の人たちはこれを成立させるというふうな見地からむしろ棄権をいたしたわけでありまして、現在市長会等で反対的な意見を公にしておることを承知しております。併しながらそれじや税制全体としてどうかということになつて参りますと、多くの都市では府県民税はいやだ、併しながらたばこ消費税は欲しい、こういうことなんだろうと思うのであります。やはり総体的に考えて結論を出して頂かなければいけないのでありまして、個々の税目々々についての意見を私たちは勿論これも考え頂かなければなりませんが、それだけで判断して頂くことは望ましくないのではないだろうかと思つております。
 第二に、又私たちは、府県と市町村とのあり方というものが、占領行政以後におきまして非常に対立的になつて来ておると思います。この姿というものは、これは占領行政としてはよかつたかも知れませんけれども、今後の日本のあり方としては是正して頂きたい。市が市だけの立場にとらわれないで国民全体の立場に立つてものことを判断してもらいたい。そういうことに私たちが今後努力して行きますならば、必ずしもこの府県民税の徴収というものがそれほどまずい姿になつて行くものではないというふうに確信しておるわけでございます。
#135
○秋山長造君 市町村は非常にこれを歓迎しておるというような御説明なんですけれども、それは全然我々の承知していることと真反対なんで、私、市町村は、今日も今ちよつと探したのですけれども出て来ないのですが、さつき全国の市長会からこれに反対だという陳情が来ていたのです。まあ併し、それは今おつしやるように、この道府県民税を道府県で吸い上げられるのがいやだから、だから反対だという、この目標はその吸い上げられるということにあるのかも知れません。それから又もう一つは、而も一方ではたばこ消費税は余計もらいたいというような、極めていわば利己的な立場から反対するような恰好をしているじやないかというようなお話ですが、或いはそういう面もあるかも知れない。あるかも知れないけれども、併し我々が公平に考えて、市町村から、市町村民税から県に百七十億も吸い上げられるものを、市町村がまあどんなにうまく行つても喜んで事務だけやつてやろうというはずはないと思うのです。これはもう当然いやがるにきまつておる。ただそのいやがるのが絶対にいやがるか、まあいやいやながらも我慢してやるかの違いで、これは今おつしやるように積極的に喜ぶということは私はちよつとあり得ないのじやないかと思います。そのいやがるというまあ一番大きい理由は、道府県民税として吸い上げられるからいやがるのでしようけれども、もう一つは手数料ですね。事務をやる手数料なんかについて、国の考え方が非常に虫がよ過ぎるのじやないかと思うのです。で、入場税なんかの場合は、百九十二億のうち、一割、十九億も国が手数料として取るのですがね。この場合は一体市町村に手数料として何割くらいおやりになるお考えなのか。
#136
○政府委員(奧野誠亮君) 大体今まで府県民税として徴収して払込みました額の二%程度、納税義務者一人当りについて二十円程度の金額というふうに考えておつたわけであります。これにつきまして少な過ぎるというふうな意見もございますので、若干増額したらどうだろうかということで検討いたしております。私たちは市町村に財源をできるだけたくさん与えるということは望ましいことだと思つております。ただ徴収扱費の形でたくさん与えますということは、徴収費にそれだけ使つても構わないのだという誤解を与えやしないかということを恐れておるのであります。できるだけ私たちは徴税費を少く持つて行きたい。若し他の形で、市町村に財源を与え得ますならば、できる限りたくさん与えたいと思います。たまたま徴収取扱費の形で与えるものでありますから、徴税費はそれじや高くてもよろしいのだ、こういう誤解を与えることを非常に恐れております。私が申上げました金額は、大体府県民税の五%程度を考えておつたのであります。併し、なかなかそれじや少な過ぎるというふうな意見もございますので、五%から七%くらいの間で金額をきめたらどうだろうかというふうに現在は考えておるわけでございます。
#137
○秋山長造君 その辺がちよつと税務部長の思い過ごしじやないかと思うので、今の市町村のこの財政状態から考えたら、たとえ幾分かでももらえばもらつただけのものを無駄使いするということはないと思うのです。やつぱり賦課徴収事務というのは極力最小限度に抑えて、そうしてもらつたものはできるだけ何か他の面に生かして使うということに結果としてなるのじやないかと思うのです。国の場合は勝手に一割ぱつと天引をして取つて知らん顔をしておつて、そうして町村の場合は余計やつてもいいけれども、無駄使いをしてはならんからやらんという、どうも余り市町村を子供扱いにしたやり方じやないかと思うのですがね。どうですか。
#138
○政府委員(奧野誠亮君) 無駄使いするとは思つていないのであります。ただ地方税制の運用を見ておりまして、どうも徴税費に少しかかり過ぎるのじやないだろうか。この徴税費というものをできるだけ下げて行きたいという心配をいたしているのであります。これが将来七%程度ということになりますと、市町村民税の徴税費は七%程度、それで当り前なんだという感じを植え付けやしないだろうか、これを恐れておるのであります。できるだけこの割合というものは下げて行きたいのであります。併し、現在五%程度にしたいと思いましても、なかなか満足してもらえないかも知れませんので、先ほど御指摘になりましたように、余り不愉快な感じを与えますことも面白くございませんので、若干高めて行きたいというふうには考えているわけであります。
#139
○秋山長造君 いや、その点がですね、どうも徴税費にかかり過ぎるからやらん、かからんからやるということになるのですか、その点……。
#140
○政府委員(奧野誠亮君) 地方団体の徴税費の使い方というものは、地方団体個々によつて非常に違うのであります。非常によく行つている所は徴税費が少くてもやつております。又半面余り面白くない所では一〇%を超える徴税費を使つておりますけれども、だから一体どの辺で我々が判断して行つたらいいだろうか。我々は平均で物を考えることはよくないのじやないか、少くとも合理的に物を進めて行こうと考えますならば、私たちは合理的に進めるということでは標準にとつて行くべきじやないかと思いますが、そういう点に私どもも頭を痛めております。併し若干今まで申上げましたところよりは高めて参りたいと考えております。
#141
○秋山長造君 しつこいようでありますが、入場税のほうは誰も国に取つてくれとか頼んだのじやないのに国が勝手に取上げて、それで自分で一側手数料を取つて返す。そうしてこのほうは道府県のほうが市町村に頼んでどうか代りに取つて下さいと頼んでいるのに、お前のほうは徴税費がかかり過ぎるからということで二%か三%ぐらいしかやらんということはちよつと私は筋が通らん額じやないかと思います。むしろ逆に国のほうで入場税なんかはその二%か三%ぐらい手数料を取つて、あとは全部地方に返すというならまだ話がわかるが、頼みもせんのに取るときに一側も取つて、頼んで取つてもらうのには二%か三%しか渡さないのは余り虫がよ過ぎると思いますが、どうですか。
#142
○政府委員(鈴木俊一君) 今の点は税務部長からいろいろ御説明申上げた通りでありますが、これは地方制度調査会で道府県民税につきましていろいろ議論がございました際に、当時大蔵の関係当局のほうから非常に強調されてありましたことは、入場税を国税に移管をいたした場合に、徴税費という問題を離れて考えて、仮に全部国が取つて全部地方に還元するというような形になるというと、やはりこの徴税意欲といいますか、徴税努力を国は払つていないのじやないか、どうせ地方にやつてしまうのだから余り一生懸命取らないで適当にやらせるというような痛くもない腹を探られるのは非常に困りますというようなことで、例えば五%国かとめ置いて九五%地方に返すというような話もあつたのでありますが、それではどうもそういう痛くもない腹を探られるから、どうかやはり一割ぐらいにして頂きたい。大蔵省の初めの希望は二割ぐらい国にとめ置いて八割ぐらい地方に譲与するという御意見もありましたが、そういう意見も妥協的な調終業として一割ぐらいを国にとめて九割ぐらいを地方に還元するということになつたのであります。従つてそのいきさつから申しますと、必ずしも一割というものは、国が徴税費にそれだけかかるから一割取るというふうにぴつたり割切れるものではないように私どもは考えているのであります。恐らく入場税というものは、地方税といたしましても特別の徴収義務者を置いて徴収するのでありますから、徴税費としては一番少くて済む税目だと考えておりました。勿論一側なんてかかるはずはないのでありますが、そういう意味ではなくて、今申上げましたように少し物を深く考え過ぎたような考え方があつたかも知れませんが、そういうような考え方でとにかく一別だけは国に残して置くということにいたしたわけでございます。
#143
○秋山長造君 今の大蔵省の、ちよつと話が外れるんですけれども、大蔵省の一割手数料を取るというのは、痛くもない腹を探られるというのは、一体誰がその腹を探るのですか、そういうことがよくわからない。大蔵省が、税金の取り方が自分のふところへ入らん税金だから、取り方が緩慢だと言つて痛くもない腹を探られるから、そういうことのないように一割取らんでもいい手数料を余計取るというのはわけがわからんと思う。そんなことを言えば市町村も同じことですよ。府東民税の手数料を少ししかくれんから府県民税の徴収をサボタージユする、サボタージユすると思われたらいかんから、もう少し手数料を余計くれと市町村が言つた場合一割をやりますか。そこはどうも大蔵省が心臓の強いに似合わんで、この問題について非常に心臓が弱過ぎると思う。
#144
○政府委員(鈴木俊一君) 今申上げましたことは、要するに調査会のいろいろな論議の過程におきますることを率直に申上げたのでございまして、事実この例でも何といいますか、理窟の上で考えると、成るほど国が取つて国が使うものであればこそそこに徴税意欲が国税の実際徴収に当つている者には出るであろうけれども、それがまるまる地方に違えるものであるということであると、どうも徴税意欲というものが減殺されるのではないかということは、理論的に考えられないことはないわけであります。道府県民税と市町村民税との関係におきましても、市町村が全く自分の市町村民税を取らないで、全部これは道府県の道府県民税になつて行くんだというような建前に若しなつておれば、これは全く市町村としては熱も入らんということになると思うのでありますけれども、そういうことではなくて、政府案として出しておりまするのは、要するに、取りましたものはいずれもこの割合によつて或る部分が府県民税になる、或る部分が市町村民税になる、要するにそういうふうにぴちつときめておりまするので、従つてそういう徴税意欲というものが、かような道府県民税を市町村に委任して徴収してもらうということから、何ら減殺されないような配属をいろいろな点で加えておるつもりでございます。入場税の場合と市町村民税の場合とでは、やはり私どもは考え方を異にして考えておるのでありまして、従来いわゆるシヤウプ勧告に基く現在の税制の中で、いろいろ長所はありますけれども、半面若干我々遺憾に考えておりまするのは、責任を最も今日強調する余り、府県と市町村或いは国と地方団体というものとの間を余りにも他人行儀に考え過ぎて、国の仕事は全部国の出先機関でやる、府県の税金は全部府県の出先機関を作つて府県が徴収する、市町村には厄介にならないというような、こういうような余りにも割切り過ぎたところがあつたと思うのであります。これらはやはり経済的に税金を取るということを考えまするならば、やはりこの市町村、府県、殊に一般住民に直結しておりまする市町村に或る程度この税の徴収ということについてお願いをするほかはない、それが又実際地方の実情にもよく合致して徴収の実を上げることができるのであるというふうに考えたわけでありまして、今回はそういう意味から道府県民税は創設いたしますれども、その賦課徴収については、これは挙げて市町村に一任する方式にしておるわけでございまして、これは御心配のような点も若干あろうかと思いますが、むしろ今までの根本的な考え方をこの際改めて、いま少し協力的な考え方でこれは考えてもらわなくちや困る。又私どもも若しもこの法案が成立いたしますならば、そういうことで一つ府県と市町村との間のもつと協力的な関係を強調をいたしたいというふうに考えておるのであります。
#145
○伊能芳雄君 昔不動産取得税というのがあつたと思いますが、県と市町村と分けた時代がある。あのときやはり市町村が最つておる。もつと前に所得税の附加税時代には、やはり市町村側が県から最つておると思いますが、そのときにどのくらいの徴税費を払つておつたか。それが一つの今度きめる場合に多少参考になると思うのでありますが、今ここではわからんでしようが、調べておいたら幾分参考になると思います。不動産取得税のときなんかは幾らも実際やつてなかつたと思いますが、調べておいて是非参考にしたらいいと思います。
#146
○政府委員(鈴木俊一君) 今の徴税費につきましては、お手許に配つてありますこの参考資料のほうに都道府県民税と市町村民税の徴税費がどのくらいかかつておるかというそれぞれ数字がございます。先ほど来税務部長が説明いたしました数字は、むしろ実際の現在の市町村民税の徴税の費用等の点も睨み合せて申しておるわけでございまして、そういうような現実の徴税費から考えて参りますると、先ほど五%から七%の中間においてなおよく調査した上できめるようにいたしたいと申上げたことは、これは決してこの市町村の徴税費に満たないというような結果にはならないだろうと思うのであります。今伊能先生のお話のございました点も確かに一つのめどと思いますが、今の検討の際には一つその辺を更に検討してみたいと思います。
#147
○秋山長造君 その点はもうしつこく言いませんけれども、よほど考えて頂きたいと思う。又考えてやられないと、そう法律でこうきまつたからこうならざるを得んのだというように機械的に行かないと思う。実際問題としては、又一方にこの入場税なんかの問題があるだけに、これは解を見せておるわけですから、市町村側からは必ずこれは入場税は一割を取つておるじやないかということを言つて来ると思う。だからそういう摩擦を要らんことで起す前に、やはり最初妥当なところから出発されたほうが私はいいと思う。
 それからもう一つ最後にお尋ねしますが、今度の入場税の国税移管の場合、これも先だつて大蔵委員会との連合委員会のときにも問題になつたのですが、入場税の第三種、パチンコや麻雀ですね、入場税第三種をどういう理由か知らんけれども、そのまま放置して、そうして一種と二種とを持つて来た。その跡始末をどうするかという問題が一応残つておるわけですが、これについて何でも聞くところによれば、自治庁のほうでは娯楽施設利用税というような何か新らしい税金を起そうとかいうような御意向のようですが、その点について一つお尋ねしたい。
#148
○政府委員(奧野誠亮君) 率直なお答えをいたしたいと思います。地方制度調査会と税制調査会で入場税は国税に移す、併し国が徴収しただけの殆んど大部分を地方税に還元するのだ、言い換えれば、地方税を国が代つて取つてやるのだ、こういう線が出たわけであります。従いまして入場税国税移管が政府案としてきまりました場合に、パチンコ屋とか麻雀場とかゴルフ場という第三極の施設の部分も当然国税として立案されるものだと私たちは期待しておつたわけであります。その間におきまして大蔵省では、第三種施設に対する課税はやめたいという、こういう意見を我々に伝えられたこともございます。併しながら私たちはいわゆる取りにくいものだけ地方税として法定するということは筋が立たない、従来も国税として徴収されておつたものでありますから、又国税に戻します際に全部国税として立法してもらいたい、そうしてそれだけの収入を挙げて地方に戻してもらいたい、こういう考え方を持つておつたわけであります。ところがいろいろないきさつがございまして、結局地方税には、第三種施設はもとより法定はしない国税の入場税にもそのものが抜かされたままで提案されたと、こういうような結果になつてしまつたのであります。その国会の経過を見て参りますと、入場税の国税の中へ第三種施設を入れろという意見は余りないようであります。併しながら現状を見て参りますと、やはりこれらには課税すべきであると思うのであります。そこで私たちとしては是非地方税に法定してもらいたい、こういう希望を持つておるわけでありまして、そうしてそれを入れてもらわなければ娯楽施設譲与税という姿が望ましいのじやないかというふうに考えておるわけであります。
#149
○秋山長造君 大蔵省がこれを残した理由というものは、やはりこの一種、二種に比べて第三種は徴税が面倒くさいからというふうなことが主たる理由ですか、その残したいきさをもう少し詳しく聞かしてもらいたい。
#150
○政府委員(奧野誠亮君) これは私の推測でありますのでそのようにお聞き取り願いたいと思います。入場税にいたしましても、国税移管についての反対意見はかなりございました。その入場税国税移管の反対の意見の中でも、第三種施設に対する入場税についての反対意見が特に強かつたと思います。これが一つの問題だろうと思います。もう一つは、入場税の中でも第三種施設に対する課税は、映画館なんかの入場の場合とちよつと違つた面は事実あると思います。一つは入場行為に対する課税でありますし、今申上げておりますのは施設の利用に対する課税であります。若干そこに違つたものがございます。而も施設の利用に対する課税が、或いはむしろ免許税的な形でもとらない限り徴税を確保することは困難であります。そういうようなふうに性質が違いますので、むしろ施設の対象も数が多いわけでありますから、むしろ金を取るよりも地方で免許税の形で徴収したほうがより合理的じやなかろうかという考え方も立つたかと思います。両方の考え方が入り混つて結論としては大蔵省はこれを国税として法定したくないというふうに考えたのだろうと思つております。
#151
○秋山長造君 どうもそういう点がやはり我々が再々言うように、大蔵省が非常に地方財政の問題を扱う態度が大ざつぱだというか、まあ誠意がないというか、実にあとは野となれ山となれということで勝手なところだけ食い荒してさつさと食い逃げした恰好で、私は自治庁あたりはもう少し憤慨してもらいたいと思うのです、腹の底から。こういうことをやられてそれで泣き寝入りしておる気持は私はわからんですよ。本当にですね、実にここうなんかでも地方を馬鹿にしていますよ。それで今度地方が財源に非常に困つておるところへ、今いろいろな娯楽施設利用税というようなものを仮に起すとしますと、そういたしますと結局従来のこの地方税であつた入場税よりも今度の国税に移管された入場税、そうして新らしくこの作られる娯楽施設利用税、両方の税負担というものを比べて見た場合に、うんとこれは増税になるのですよ。一般の地方住民にとつてはそんなことをしてもらつてもちつとも有難いことはない。実にこういうことをやられることは迷惑ですよ、地方としては。而も又今度も改正の根本方針に語われておる税務行政の合理化というようなことから考えてこれは極めて不合理だと思う。その点如何ですか。
#152
○政府委員(奧野誠亮君) 御説について同感の点が非常に多いわけであります。ただ娯楽施設の利用に対します課税の対象が非常に多いものでありますので、どちらかと言いますと、国でやりますのと地方でやりますのと比べました場合に、一層地方税でやつたほうが妥当だ、こういう言い方も成り立とうかと思うのであります。
#153
○秋山長造君 それはその言い方というのは、これは大蔵省の言い方なんですか、それともあなたの言い方なんですか、そこらをはつきりしておいてもらわないと考えようがない。
#154
○政府委員(奧野誠亮君) 最初に率直に申上げたように、大蔵省側から申入がありましたときに、私たちは断わりました。国で徴収してやろうというのに選り食いをされることは困る。全部国税として徴収してもらつて、その九割を地方財政の財源として与えてもらいたい、これが私たちの主張でありました。その後先ほど申上げましたような経過を経まして、今日では娯楽施設利用税を地方税としてこれを法定してもらいたい、かような考え方を持つておるわけであります。そうすることによつて、又衆議院修正による地方財源の穴埋めをいたして行きたい、こういう考え方も持つておるわけであります。
#155
○委員長(内村清次君) それでは他に松澤委員から一般質疑に対しまして発言の申入があつておりますが、本日所用のため出席がされておりません。これは他日逐条説明のときに発言をするということでございますから、その際に取扱いまして、この一般質疑はこれにて打切つてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○若木勝藏君 なお逐条のときに又関係あつたらばやることにして。
#157
○委員長(内村清次君) なお関係する質疑がありましたならば、逐条のときにそれをやつて頂きます。それでは一般質疑はこれにて打切ります。
 この際、通商産業委員会の委員長中川以良君から、通産委員会において決定した地方税の一部改正法案の修正申入について発言したい旨の御通知があつておりますので、この際発言を許可することにいたします。
#158
○委員外議員(中川以良君) 当委員会において地方税法を御審議中、ここに貴重なるお時間をお与え頂きまして、通商産業委員会におきましての修正希望の件につきまして御説明をいたしますることをお許しを得ましたことは誠に有難く厚く御礼を申上げる次第であります。
 通商産業委員会におきましては、御承知のごとく昨年来この電力料金の問題につきましては異常な関心を持ちまして種々検討を加えて参つて来たのであります。殊に電力が国民生活の安定の上から申しましても、又今後の日本の産業の進展の上から申しましても極めて重要なものでございますので、これの値上げに関しましては、殊にできるだけこれを抑制し、不当な値上げは一文もいたすべきではないという観点の下にいろいろ検討をいたしたのであります。で、政府側の説明を求めて参りますと、先ず原価計算を厳重に検討いたすと共に、政府としては、一方において開発銀行の金利の問題、又法人税の問題、それから固定資産税の問題等につきまして、これの軽減処置を講じて、電気料金の原価に及ぼす影響をできるだけ少くして行こうという説明であつたのであります。私どものほうの通産委員会といたしましては、先ず第一に、電力会社の経営の合理化並びに技術の向上、殊に冗費の節約等に対しましては、厳重な警告を与えまして、この原価の算定につきまして通産当局が飽くまで公正にこれを算定することを要望し、又電力会社関係方面に対しましても、この旨を強く要請いたして参つて来ておるのであります。そこでこの方面から電力原価の上つて参りますことを抑制をすると共に、一カ年ほど申しました政府の税制に対する措置についても又検討を加えて参つております。たまたま地方税法案が新らたに出て参りましたので検討いたしましたところ、この中において次に申上げまするような事項について是非御修正を願いたいと思いまして、それはお手許に差上げております修正案要綱に示されております。
 極めて簡単に御説明申上げますると、先ず固定資産税の税率の特例を設けますることでございます。この固定資産税は、現行法におきましては従来標準税率が一・六%、改正案におきましては一・五%となつております。而もこれが二%までは自由に率を上げることができる。それから衆議院の修正で二・五%までは許可を受ければ上げることができることになつております。これらを見て参りますると、私どもが最も恐れますることは、政府の説明によりますると、金利その他この税の軽減の措置によりまして電気料金の原価に響きまする削減を四十六億円と言つておるのであります。ところがこの標準税率が一・五%になりましても、二%までは自由に上げられるので、恐らく私どもは懸念をいたしまするのは、各市町村が最高の限度まで持つて行く虞れが多分にあるのであります。それからこれに伴いまして自治庁のほうのお話によりますると、評価の値上げを今回やつておられる。これがどうしても値上げになつて参ります。それから従来の収益補正の特例も、今回標準税率が一・五%になつたからしなくてもいいというような御意向があるように承わつておるのであります。そういたしますと、現行法で以て電力関係の固定資産税が七十三億八千万円になつておりまするのが、この改正案が政府の言うがごとくに実行されまするならば、五十七億三千万円でございまするが、今私の申したような、殊にいわゆる超過税率が適用され、特例がなくなり、而も評価の値上げが実行されますると、これが、百億円になる計算になります。そういたしますると、政府の申しました四十六億円が引下げになるということが全くこれが有名無実に相成るのであります。こういう点から、私どもが考えましても是非この点は今修正案要綱にございまするように百分の〇・七に一つ御修正を願いたい。而も二%までの幅はこれを認めないようにして頂きたいということがこの修正の要綱でございます。
 それからその次は電気ガス税の問題でございまするが、電気ガス税に関しましては、私どもは税の公平なる原則から申しましても、一部の産業に免除をいたし、多数の産業或いは民生関係にこれを課税しておりますることは極めて不合理であるので、これは今後の日本の産業の発展と民生の安定のためには、かような電気ガス税というものは是非撤廃をしてもらいたいという切なる要望を通産委員会は申しております。併し今直ちにこれを撤廃をいたしますることはなかなか困難であろうと存じますので、百分の十を百分の五、半減にしてもらいたいという修正でございます。この電気ガス税につきましても、この修正には関係が直接ないのでありまするが、電気料金が各地域ごとに地域差を持つております。而もその地域差による電気料金を基準として電気ガス税がかけられておりまする点も極めて矛盾をいたしておりまつすので、これも将来は何かの方法でこの不公平をやはり是正すべきであるという意見が強く述べられておつたのでございます。
 それから附則は、これは予算措置が必要でございまするので、差当り二十九年度はいわゆる政府原案の基準によるように特別な措置をするということを謳つておるのであります。
 それから五番目の点は、固定資産税の非課税の範囲を拡げてもらいたい。即ち水力発電所における魚道及び流筏路等に従来は固定資産税がかけられております。これらは固定資産税の対象から除いてもらいたい。更に公共の被害防止のために施設せる煤煙防止装置等につきましても固定資産税の対象から除いて頂きたい、こういうことをお願いを申上げておる次第でございます。
 この点は只今の修正案要綱並びにお申入に対する説明書がプリントをいたして差上げてありまするので、これによつて一つ御覧を頂きまして、何とぞ通産委員会の意のあるところをおくみ取り頂きまして、是非一つ御修正を賜わりまするようにここにお願いを申上げる次第でございます。誠にどうも有難うございました。
#159
○委員長(内村清次君) この点につきまして質疑はございますか。
#160
○秋山長造君 中川委員長にお尋ねしたいのですが、これは通商産業委員会の決議なんですね。
#161
○委員外議員(中川以良君) さようでございます。
#162
○秋山長造君 内容はよく検討させて頂きたいと思うのですが、一応只今の御説明はわかるわけなんですが、こういう問題が起つて来るということ、そのことが大体電気事業の公共性が如何に大きいかということを如実に証明しておると思うのですが、それでこの電気事業を現在のような形の民営がいいか、それともやはりこういう公共性の非常に強いものであるだけに国家管理なり何なりという方式をやはり考えるべきではないかというような根本問題にやはりぶつかるのですが、通商産業委員会でそういう根本的な問題について御研究になつておるかどうか、その点ちよつと伺いたい。
#163
○委員外議員(中川以良君) 只今の御説御尤もでございまして、私どももその点はいろいろの角度から検討いたしたのでございまするが、この電気事業につきましては、電気事業法が近く政府から提案をされる予定でございます。この中にそういう点がいろいろと織込まれて参ると存じますので、不幸にして本国会には未だ提案の運びには至つておりません。ガス事業法は先般提出されましてこれは通つたのでありまするが、電気事業法が提案をされましたならば、更にこの点はいろいろ検討を加えまして、通産委員会といたしましても万遺漏なきを期しておる次第でございます。
#164
○秋山長造君 この点中川委員長にお伺いするのは甚だちよつと筋違いですが、これは電気事業法が出るべくして非常に遅れておるということについていろいろな話を聞くのですけれども、この真相はどういう理由によつて遅れておるのですか。遅れておる理由をちよつと御承知でしたら……。
#165
○委員外議員(中川以良君) 私はどうも理由がどこにあるかよくわかりませんが、成るだけ早く出すように政府を督励はいたしております。政府部内のいろいろなやはり各省間の折衝等が未だ十分なる妥結点に到達をしていないのではないかと私は推測をするだけでございます。
#166
○伊能芳雄君 中川委員長に御質問申上げますが、固定資産税の問題ですね、これは地元にあるというので地元の町村、そうして今度の改正案は或る限度を超えたものは県が取る、こういう建前になつておりますが、電気料金を上げないということは、私どもはこの点については全面的に賛成するのであります。かといつて、そういうものがある、税が取れべきものをうんと安くして、そうして電気料金を上げないようにするということは、結局こういう町村や県の負担において電気料金を上げないことにするということになるので、負担関係においてその辺の調和というものが、どの辺に調和を求めたらいいかという問題だと思います。料金を安くしなければならん。併し料金を安くするためにそういう税金を取れべきところの町村に、お前の所は気の毒だけれども我慢しろということで抑えて、そうして一般の電気料金を安くするという考えがこの辺の調和の問題と私は思いますが、それをどの辺に置いたら、どの辺まで安くして、一方には町村にも入れ、県にも入れて、そうして又電気料金のほうもこの辺で仕方がないという調和の問題だと思いますが、如何でございましようか。
#167
○委員外議員(中川以良君) 私のほうはこの税の、殊に電気関係と対する政府の特別の措置につきまして政府当局の説明を聞いたのでありますが、先ほどお話をいたしましたように、その際には大体この措置によつて、これは開発銀行等の金利も入りますが、四十六億円は電気料金の原価に算入さるべきものが算入されないという解釈でございました。それを基礎にいろいろ検討して参りました。ところで今回地方自治庁のお話等をいろいろ承わつて参りますると、ややもすると先ほどお話したようにその四十六億円というものがふつ飛んでしまうというようなことが考えられますので、そうなつてはいかんのでございますので、むしろそうなると電気料金を値上げする口実を電力会社に与えるような結果に相成ります。そういうような建前から考えまして、こういつた修正をして頂くのが一群妥当ではなかろうか。今のお話の各町村或いは県の税金を取つてこつちへ持つて来ようというのではなくして、初めの政府の御説明の原案に基いて公正に検討を加えたような次第でございます。よろしく御了承を願います。
#168
○伊能芳雄君 こういうようなものは仮に安くした分は少くとも電力会社のそれだけの費用が、公租公課ですから、その分がその会社の経営上からはつきりプラスになつてそれがどこまでも料金の分のほうに向けられるということは確実なものですか。
#169
○委員外議員(中川以良君) 私どもはこの修正をお願いいたしましておりますのも、一電力会社の経営の面を考えているのでは決してないのでありまして、国家的見地から見まして、いわゆる公益企業である電気料金の値上げを少しでも抑制しようという面から、この修正よりもつと私どもが重く見ておりますのは電力会社の経理内容の充実、或いは経営の合理化、技術の向上等について非常な関心を持ち又厳重な警告を与えておる次第であります。只今のお話の電力会社の料金に、それだけつまり安くなつて行くかという御質問であると存じますが、それは私は当然固定資産税の軽減というのは電力面からはそれだけは明瞭に安くなつて参ると思います。又そうならなければならん問題であります。電気ガス税のほうは電力料金とは別でございますが、産業面がそれだけいわゆる安い電力をもらうような結果に相成るような建前でございます。
#170
○堀末治君 ちよつと中川委員長にお尋ねいたしますが、今水力発電所における魚通とか流筏路と言われましたが、この魚道、流筏路というのは今どのぐらいあるのですか。
#171
○委員外議員(中川以良君) 恐らく今の魚道、流筏路、殊に魚道は各水系には殆んど私はあると思います。それから流筏のほうはこれは或いは流さない所もありますけれども、大半大きな発電をする所は大体従来筏流しをしておつたようであります。確たる数は今ちよつと書類を持つておりませんので、わかりませんですが、御了承頂きたいと思います。
#172
○堀末治君 もう一つ、こういうものは今まで固定資産税がかけられておりましたか。
#173
○委員外議員(中川以良君) かけられておるのでございます。殊に私どももう一つおかしいのは、例えばダムを作ります際に仮締切というのをやつております。そのために仮締切間の間の水を横に流すためにトンネルが通つておる、いよいよダムができるとそのトンネルは潰してしまう、それに対しても実はかかつておるのであります。これも修正したらどうかという点もあつたのでございますけれども、これはほかの電力関係外の事業等の関係もございますので、一応今回はお願いをしなかつたのでございます。
#174
○小林武治君 ここにある三百五十条の二項、これは税率を引下げる、こういうお話ですが、電気料金というものはいつまでも上げないでおくというわけには参らないと思います。従つてまあ私の申したいのは、電気料金の全体のために地方の電気施設のある町村が税金において犠牲になうということは、私はこういうものは恒久的であつてはならないと思うのでありますが、従いましてこういう規定は或る程度私は臨時的なものでなければならんというふうに思うのですが、その点は如何ですか。
#175
○委員外議員(中川以良君) 電気料金を飽くまで抑制するということは、これは電源開発をやりますればそれだけ資本金が嵩んで参りますのと、殊に以前のものと最近のものとを比べますれば、物価も上つておりますので、この資本金の比率はますます重くなつております。それだけのものは、これはもう止むを得ず値上げをしなければならん時期も到達するものと存じますが、現状といたしましては、できるだけ一つ上げるのをこの際……日本の今日の産業の実態、国民生活の状態等を眺めまして、この程度の抑制はして、電力料金の値上げは少しでも、一つ多くしないようにいたしたいという精神でございます。
#176
○小林武治君 これは公平の観念からして、全体のために部分が犠牲になるというような考え方は私はよくない、こういうふうに思うのでありまして、今年上げては困るということは、これは誰も感じておる。従つてこのために或る程度の犠牲を強いるということはいいが、その犠牲が、例えば次にいつやるかわからんが、電気料金の値上げというような場合にも、このほうだけを抑えておくというようなことは、私は公平を欠くと思うのでありまして、考え方としては、私はこういうふうなものは飽くまで臨時的な措置でなければならん、こういうふうに考えておりますが、これは御同感下さいませんか。
#177
○委員外議員(中川以良君) 更に電気料金が値上げをしなければならん要素が多く出て参つた場合に、これ以上又市町村の取得になるべき税金の圧縮をするというようなことは、これは私は考えるべきでないと思います。止むを得ないその理由のございまする電気料金の値上げというようなものは、これは政府といたしましても値上げを当然しなければならんものと存じます。
#178
○島村軍次君 ちよつとその点で、修正案の最後は、本年度は財源の関係があるからその後にしておくというのじやないのですか。
#179
○委員外議員(中川以良君) 本年度、二十九年度は、これは予算措置が伴つておりませんので、一応原案にもございますような線をここに語つております次第であります。
#180
○島村軍次君 そうすると将来を見越してという今小林さんの意見の点と関連を持つのですが、今年度は原案通りで、将来の電気料金の関係があるから上げんようにしてくれ、こういうふうに簡単に考えていいわけですか。
#181
○委員外議員(中川以良君) ちよつと御質問の趣旨がわからないのでございますが、今おつしやつていらつしやるのは、附則三項と四項の問題でございますか、この修正案要綱の……。
#182
○島村軍次君 ちよつと研究してみなければわからないのですけれども、本年度は予算の関係もあるから上げない、そういうことでございましようか。
#183
○委員外議員(中川以良君) それは政府原案におきましても、いわゆる本条においてきめた率に対しまして本年度はこれこれだという特別措置を謳つてあるのであります。附則にそれと同じやはり過程をここに示した次第でございます。
#184
○秋山長造君 この電気料金を上げるか、それとも固定資産税を下げるかという二者択一の形でこの問題を持出されることが非常に多いのですが、我々地方税の問題を研究しておつて、そういう形でこの問題が持出されるということに非常に疑問を持つのです。というのは、電気料金を抑えるならば税金をまけろ、税金をまけんのなら電気料金を上げさせろ、こういう非常に簡単な議論をされやすいのですけれども、私はやはりそう簡単に二者択一でこういう問題を持出すべきじやなくて、やはり会社の経営内容なり、経理の内容その他十分検討した上で、考えなければ本当の解決はできないと思うのです。それはそれとして、もう一つ考えることは、一般の企業誘致なんかでしたら地方は非常にこれは熱心にやるわけなんです。工場誘致なんかは大歓迎するわけなんです。ところが、ダムの建設ということになりますと、これはその犠牲が非常に大きいわけなんです。それだけに地元の町村としてはこれはいろいろな面でむずかしい問題にぶつかつて、非常に精神的にも物質的にも大きな犠牲を払つているのが実情だと思うのです。そうしてそれだけの犠牲を公のためだからということであえて我慢をして、やつと税金がかけられるという段階になつたら、今度は税金をかけると料金が上るのだから、料金を抑えるためには税金は安くて我慢しろ、こういうことを町村へ強制するわけなんです。そういう形が果して適当であるかどうか。勿論発電事業というものはこれは国家的な事業なんですから、何らかの面においてこれを保護育成するということは必要なんですけれどもね。ただその保護育成ということが、直接地元の町村にのみその責任をかぶせるようなこういうやり方というものが適当であるかどうか、こういうことになるとどうも我々は疑問を持たざるを得ない。それでむしろ国税の面なり或いはさつき言つておられた金利の面なり、何かそういう国の手でやれる面で、そういう料金値上げの問題との矛盾を解決する方法を求めて、そうして直接地元の固定資産税というような問題にはむしろ余り苛酷な犠牲を強いるようなやり方はしないほうが、地方財政の実情からいつても、又本質的な立場から考えても適当なんじやないかというようにどうも思えてならないのですが、その点どういうようにお考えになりますか、これは自治庁のほうにもちよつとお尋ねしておきたいと思うのですけれども。
#185
○委員外議員(中川以良君) 先ほどもちよつと御説明いたしたのでありまするが、私どもは政府の当初の説明を聞きました数字と比較いたしまして、今回地方税法案に示されました基準の数字等を勘案してみまするときに、どうもそこに矛盾がございまするので、私は決して地方村政を圧迫して電気料金を下げようという考えは毛頭なかつたのでありますが、政府が一応閣議決定をいたして、電気料金の抑制のためにはそうして税制措置をとるという話を基準にして申上げておるような次第でございます。決してそれ以上地方財政を圧迫して電気料金の引下げをやるべきだという議論ではないのでございます。ただちよつとここで申上げておきますると、償却資産に対する固定資産税の割合等を見まするときに、二十七年度の固定資産税を分析してみますると、大体固定資産税の課税の標準というのは電気事業が三千一百四億円になつております。その他の各産業等は八千八百九十九億円になつております。この比率を励ますると、電気事業が二五%九その他が七四%一になつております。殊にこれが税額を今度は見まするときには、電気事業のほうが五十一億八千万円、それからその他が八十二億四千万円で、三八%六と六一%四というふうに非常に電気事業のほうが税額の負担は重いのであります。この税率で比べますると、平均税率を見まするときに、電気事業のほうは一・六七%その他のものは〇・九二%というふうになつておるのでございます。これはそういうような点等を見まして、政府のほうで今回の税制措置がとられたものと思います。殊に法人税のほうは相当の額やはり引下げられておる次第でございます。地方税だけに重い荷をかけておるのではなかろうと思うのであります。
#186
○政府委員(鈴木俊一君) 只今お話をいろいろ承わつておりまして、自治庁はどういうふうに考えるかというお話でございますが、固定資産税のうち殊に電気、ガス、殊に電気の償却資産が非常にたくさんあると、そういうような市町村では非常に多くの税収があつて何かそれが非常に無駄に使われておるのではないかという一部の疑惑が今まであつたわけでございまして、そういうようなことが又半面この電気についての固定資産税が非常に過重であるというようなお話と結び付いていろいろ批判があつたことは事実でございます。今回の政府の案におきましては、そういう点も考えまして、一面大規模な償却資産としてこの発電施設などにつきましては一定の限度を超えるものは府県がこれを課税するということで、市町村がさような無駄なことに使うような虞れはないようにしておるわけでございます。併しながらこれが所在する市町村といたしましては、やはりダム等がございまするために、いろいろ畑作その他関連の度合に影響を持つ、又普通の工場等と違つてそこから直接的にいろいろの所得が上つて来ない、従つてそれを見返りにするところのいろいろな税収というものも殖えて来ない、むしろ消極的な面のほうが相当あるということもこれ又事実であります。今回は更に問題は新らしく建設されるところの各種の発電用施設が非常に建設費が高くつく、従つて設備が高くつくということが強調せられておりますので、原案においてはやはり新規に建設するところのもつのについて、建設後五年間は三分の一にし、その後の五年間はそれを三分の二に評価減をすると、従つてこれは税率から言えば三分の一に落すと一・五%のものは〇・五%ということに初めの五年間はなるわけでございます。そういうようなことをやつて来たわけでございますが、それでもなおこの当時通産省といろいろお話をしておりました際に、もつと一つ考えてもらいたい、要するに新らしいものだけでなく既設のものについても更にその点を考えてもらいたい、こういう強い要望がございまして、その今の新らしいものについて三分の一、或いは三分の二減ずるというのを、更に二十九年度に限つては六分の一にする、要するに本年のこの政府原案では一・五%になるわけでございますが、それの要するに六分の一という税率のほうに換算をする、そういう結果になるわけでございます。ですから〇・二五%ぐらいになるわけでございます。そういうような程度にいたしておりますのでございますが、このお話では二十九年度はそのままにして置いて、三十年度以降かような措置を更に講ずるようにという御趣旨のように承わつたわけでございますが、これをざつと計算をいたしましても、お話だと百億ということでございますが、これはどういう計算の御趣旨かちよつとよくわかりませんのですけれども、相当のこれは大きな減税になるわけでございまするし、又電気料金の中に占めまする割合をいろいろ承わりまるというと、たしか固定資産税は千分の二ぐらいのことで、やはり一番大きな重圧は金利負担が一番高いというふうに承わつておるのであります。そういうような点がいろいろございまするので、私どもとしましては、この案については少しよく検討をしそしてにわかにかような法案につきましては賛意を表しがたいと思うのであります。殊に過去の分などにつきまして、今中しましたような建前で六分の一にいたしましたことに対しましては、非常に深刻なる発電施設所在の町村から実情を訴えた痛烈な叫びがありますので、これは私どもも事実そのようなことがあると思うのでございますが、これは政府は二十九年度限りということで実は慰めて来ておるのでありまして、これがこのような案になりますと、将来ずつとそういうことになると、これは非常に大きな所在町村としては財源上の変動ということになると思います。なお課税の実際上の数字につきましては、更に税務部長から若し御希望があれば詳しく申上げたいと思います。
#187
○委員長(内村清次君) なおこの問題につきましては審議を重ねて行くことにいたしまして、今日は委員長の申入を一応聞いて質疑をしたということで終つておきたいと思います。それでよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#188
○委員長(内村清次君) ちよつと速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
#189
○委員長(内村清次君) 速記を始めて。
 それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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