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1953/04/30 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第31号
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1953/04/30 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第31号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第31号
昭和二十九年四月三十日(金曜日)
   午前十時三十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     内村 清次君
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           館  哲二君
   委員
           伊能 芳雄君
           伊能繁次郎君
           高橋進太郎君
           長谷山行毅君
           小林 武治君
           島村 軍次君
           秋山 長造君
           若木 勝藏君
           松澤 兼人君
           笹森 順造君
           加瀬  完君
  委員外議員
           田中  一君
  国務大臣
   国 務 大 臣 塚田十一郎君
  政府委員
   法制局次長   林  修三君
   法制局第二部長 野木 新一君
   自治政務次官  青木  正君
   自治庁次長   鈴木 俊一君
   自治庁税務部長 奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(内村清次君) 地方行政委員会を開会いたします。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。逐条審議のうち、第二節、事業税の審議をいたします。質疑のある方は……。
#3
○若木勝藏君 附加価値税につきまして長官に一つ伺いたいんです。これは附加価値税の廃止の問題ですが、これはまあシヤウプ勧告以来相当政府としても考えておられて、これはもうどうしても附加価値税というようなものを設けなければならん、そういうようなことで意気込んでおつたのを今回やめちやつた。これは抽象的には国内の情勢とか輿論とかということによつて今適切でないと認めた、そういうふうなことが先般のあれにも申述べられておるのでありますが、その件につきまして、どうしてやめられたかということをもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
#4
○国務大臣(塚田十一郎君) これは実は先日本会議におきましてもお答え申上げたので、私といたしましても、理論的には附加価値税のほうが事業税よりは優れておるという考え方は今も持つておるわけでありますけれども、どうもあの税法というものを作つてみたその後のいろいろな輿論の動きというものをいろいろ察知いたしまして、どうもやはり賛成しない、賛成の出て来ない理由がどこにあるだろりかということでありますが、これはこの事業税を附加価値税に変えるということによつて業種間に非常に負担の変動が出て来るわけであります。プラスになる業種、それからマイナスになる業種ということが起つて来るわけであります。而もそれが相当激しく変動して来るということになるわけであります。そこで非常に負担増をするものというものは、これは勿論こういう殊に経済界が非常に余り活況を皇しておらないという状態のときに、負担に非常に激変を起すということによつて事業の存続自体の基盤をゆるがされるということで、非常に強く反対をすることに一番原因があると思うのであります。勿論プラスになるほうのかたがたは、それでプラスで結構だと思うのでありますけれども、やはり非常にマイナスになるほうが事業の存続を脅やかされる傾向に強い激変が出て来るということは、やはり現在の経済状態において政府としても押切つて行くことが困難ではなかろうかという考え方が中心になつて、それじやプラスになるかたがた、つまり現状の事業税がこのまま据え置かれることによつて、附加価値税になることによつて期待しておつた期待が得られないかたがたに対しては、事業税を若干手入れをすることによつて何とか一部分是正をして、まあ存続をして行くということが今日の情勢においてやはり適当じやなかろうかということで、このままに据え置くという結論に又戻つたわけであります。
#5
○若木勝藏君 大体今の御答弁では、抽象的のことは開きとつたのでありますけれども、これはとにかく一つの税としては研究に値いするところの税だと思う。そういう今のプラス、マイナスということが事業によつては起るということを、税務部長さんあたりからでもいいのですからもう少し具体的に……。
#6
○政府委員(奧野誠亮君) 現在収益の非常にいいような事業でありますと、この純益を税標準にして事業税を課して参るものですから、逆に附加価値額を課税標準にするようにきめました場合には負担が非常に緩和されます。併し収益状況の悪い企業でありますと、事業税の場合には儲けが少いから負担は怪いわけであります。併しながら附加価値税になりますと、附加価値額はあるわけでございますので、逆に負担が重くなつて参ります。この方面の反対が非常に強いわけでありまして、事業が全体として復興期に向つている、そういう場合にはこの切替えが割合にやりやすいと思うのであります。併し逆に事業が全体的に沈滞期に向うと言いますか、そういう場合にはこの切替えが非常に困難ではないかというふうに思われるわけでございます。個々の事業におきまして今申上げましたように、収益のよい事業は負担は重くならない、収益の悪い事業の負担が重くなるということが一般的に言えると思います。もう一つはこの法人、個人の間におきましても、法人の負担は逆に重くなり、個人の負担は逆に軽くなる。そういうような点から言いますと、法人は全体として附加価値課税を好まない、こういうような傾向もあろうかと思います。そういうような点に負担の違いがございます。
#7
○秋山長造君 事業税の中で一番問題になるのはやはり個人事業税だと思いますが、個人事業税のこのかけ方につきまして、従来非常に零細業者に重い負担になつておつたために、いろいろと納税者とそうして徴税側との間で紛争の種になつておつたわけですが、それをよくまあ考えて見ると、大体二つのことが問題になるのではないかと存ずるのであります。先ず第一は、法人になれば自家労賃が損金の形で落せるのに対して、個人の場合にはそういうものが一切落せないで、そのために零細個人事業者というものが非常に苦しい。それから又第二には、この所得の決定について、国の決定をそのまま使うということになる場合に、国のほうの所得税のほうは仮に少々高くても家族控除等が加わるためにまあ或る程度緩和されるわけですけれども、この事業税のほうはそういうものが加わらないで、ただ基礎控除だけがあるだけで、まあそういう点で所得税の重圧よりは更に負担が個人事業税について過重されることになるということなんです。で、この二つの問題については、やはり従来も関係業者からしばしば各府県当局なり、或いは全国まとまつて自治庁なり、或いは国会なりへ激しい陳情が行われて来たわけです。そういう点が今度の税制改正によりまして必ずしも改善されていないのじやないか。で、特に第二の点のこの国の決定額によるということは、従来は府県が独自でやるべきものを独自でやらないで、便宜的に国の決定額によつてやつておつたために問題を起しておつたのですが、今度の改正では、今度逆に更に便宜的に国の決定額によつておつたのをそのままこの税法の建前としてはつきり条文に謳うというようなことになつて来たために、余計さつき言つたような点の紛争が深刻になつて来るのじやないかというような気がいたすのであります。その両点について……。
#8
○政府委員(奧野誠亮君) 今秋山さんのおつしやいました問題は二つあると思うのであります。一つは所得の決定をどうして行くかということでございます。第二はこうして決定された所得を課税標準にする場合はどのような事業税の負担のきめ方をするかということになろうかと思います。あとのほうも事業税の問題につきましては、今回法人と個人との間で税率の差を設けることにいたしまして、個人事業税の負担は特に緩和いたしてあります。更に基礎控除の額も上げるようにいたして参つて来ているわけでございます。最初のほうの所得の額を如何に見るかという問題になつて参りますと、これは国、地方を通じて食い違いがあることは面白くない、かように私どもは考えているわけでございます。従いまして、国、地方を通じて同じように所得の額を見ている個人と法人との間に、特に個人に対して不利になるようなことのないように特つて行かなければならない、これは全く同感でございます。これにつきましては、個人の場合には記帳が行われない。従つて正確な所得というものがなかなか把握されない。ここに一つの大きな欠陥があるんだろうと思うのであります。併し国が所得を決定いたします場合でも青色申告を行なつております場合には、家業専従者につきまして一人当り七万円の控除をするから、この七万円の控除を妻にも認めて行くと、こういうふうな漸次範囲を拡大して参つて行つておるようでございます。これを更に一層進めて参りますことによつて個人の所得決定に対しましても常識的な線に持つて行くことが可能になるのではないか、又漸次そういう方向に努力されつつあるというふうに私は考えているわけでございます。
#9
○秋山長造君 今度のこの改正によりまして、税率等で法人の場合と個人の場合大分引下げておるというお話なんですけれども、この税率の改正によつて個人の負担がどの程度軽減されているか、数字をちよつと承わりたい。
#10
○政府委員(奧野誠亮君) 今まで所得に対しまして一二%の課税でありましたものが、八%の課税になつたわけでありますから、税額としては三分の二になつているわけであります。若し段階ごとでございましたら、段階において申上げたいと思いますが。
#11
○秋山長造君 総額でどのくらい軽減になつておるかということです。
#12
○政府委員(奧野誠亮君) わかりました。個人事業税の負担の軽減は百四億五千六百万円でございます。
#13
○秋山長造君 このまあ百四億というこの軽減の見込みが果してその通り実現するものかどうかということもちよつと問題があると思うのですけれども、その前にやはり自治庁のほうのお考えでは、この事業税というものは飽くまで所得税の決定額に従つて課せられるべきものであるというまあ建前を持つておられるように思うのですけれども、併し所得税の場合と事業税の場合と私はかなり税の性格も違つておるんではないかと思うのです。事業税のほうは所得税と違つて基礎控除以外には何にもないわけですから、事業税を所得税と全然同じような扱いで所得税のいわば附加税みたような扱いになつて来ると、所得税の場合と違つて事業税の場合は一層負担過重ということになりやすいのではないか。そこで従来の地方の実情を考えますと、まあ県によりましては所得税の決定額というものを大体そのまま踏襲している所もあるわけですけれども、併しながらやはり所得税に対してかなり府県独自で政策的な見地から幅を持たせて、そして所得税が高いと認められる場合には事業税のほうも多少緩和して引下げて安くして行くとか、或いは所得税が不当に低く見積られておるというふうに認められる場合には、事業税のほうで又少し按配して行くというような面で府県の独自にやるところのまあ按配と言いますか、手加減と言いますか、そういう余地をかなり残しておつたのではないかとこう思うのです。ところが今度のようにはつきり法律でこの点をもう府県独自でやる余地をなくしてしまつて、そして国のもう決定額をそのまま機械的に府県で採用しなければならないということになりますと、まあ国の所得の決定というものが常に妥当ならばこれは文句はないのですけれども、併し経験上から言えることは、税務署のこの所得の見積りというものはこれは大きな企業なんかで帳簿なんか非常にかつちりと揃つているというような場合は別として、小さい、零細業者に対するこの所得の決定というようなことは、かなりこれは実情を無視してまあ強行をされているという面が強いのではないかと思う。まあそういう議論は税制調査会などでも相当活発に行われたようでして、あの税制調査会の答申にもこの所得税が零細所得者に対しては非常に瀞酷である、でそれをそのまま事業税に採用して行くために一瞬零細業者に対する負担が苛酷となるために、却つて又それが逆に所得税そのものの徴収にまで非常に障害になつておるというようなこともこの答申の中に書いてあると思うのですが、そういうようなことを考え合せてみますと、今度のこの改正によりまして非常に府県独自のまあどういいますか、府県自身がいろいろな政策的な考慮を加味して、そうしてこの事業税というものを按配して行くというまあ自主性といいますか、そういう余地が非常になくなる。非常にというよりも全然否定されるということになるのではないかと思うのですが、そういう面を何らかの方法で緩和して行くというようなことをお考えにならないかどうか。
#14
○政府委員(奧野誠亮君) 今回の改正によりまして、国の決定したものに右へ倣えしようといたしますものは、これは総収入金額からこの収入を生むに必要な経費を控除した差額、これを所得と呼んでいるのでありますが、或いは言い換えれば純益と言うべきものであります。これを国と地方とが二度に決定することは穏当ではない、従つてどちらか一方できめたものを両方が採用して行く、かようにしたいというわけでございます。やはり総収入金額から必要な経費を差引きました差額でありますところの所得乃至純益というものを、これは一本のものにして行かなければならないと思います。併し秋山さんのおつしやいましたように、こうして算出された純益なり所得なりに対してどれだけの税額を負担すべきか、これについては政策的な考慮があつて然るべきである、そういう意味においては、事業税におきましても基礎控除制度を採用しているのでありますが、そのほかに府県が必要と考えますならば、やはり同様に政策的な考慮を払う余地は残されているのであります。その政策的な考慮がどういう形で行われるかといいますと、やはり減免という形で行われるように事業税の面においては持つて行つているわけでありまして、従来でありましても、災害が起りました場合、減免いたしますとか、或いはその地方の特殊な産業でありまして、これを発展させますために一定の期間減免をいたしますとか、いろいろなことをやつておるわけでございまして、そういう点まで府県税たる性格を封殺しているわけではございません。
#15
○秋山長造君 今おつしやるような方法で府県にこの減免する余地が残されているとおつしやるのですけれども、併しこの場合には、よくよくこれは特殊な、而も極く一部の業者が均霑する特例に過ぎないので、例えば災害というような場合、これは別に事業税と言わず何と言わず、これはどうも不可抗力的な問題ですから、これは別問題として、特に何か企業融資をやつた場合、向う何カ年間は事業税を減免するというようなことがしばしば行われているというようなことは、これはありますけれども、併し私今問題にしておるのは、そういう特殊な場合とか一部の業者の場合でなくして、今日事業税を負担しておる過半数というものは、非常にいわゆる中小企業といいますか、零細業者でして、この多数の家族を抱えながら、而も自家労賃で、この自家労働で事業を営んで、而も多数の家族を抱えて、そうして扶養控除もないし、自家労賃をも見てもらえないというようことで、事業税の負担に非常に苦しんでおる。これは殆んど大部分の業者がそうだと思うのであります。それで大多数のそういう業者の負担を普遍的に何らかの形で、若干減免して行くというような余地を府県に与えて置くべきじやないかと、こういうように思うのです。でありまして、今税務部長がおつしやつたようなことだけでありますならば、まあ例えば京都あたりで非常に中小企業が困つておるという実情から、三月十五日でしたか、京都府会で、自家労賃を控除するという決議をやつたようですが、当局のほうもその決議を尊重して、そういう点の考慮を事業税について払つておるようですけれども、そういうことが今後はできなくなる。そういうことは今後できなくなるのか、それともそういうこともできるのか、その点はつきりしておきたいから……。
#16
○政府委員(奧野誠亮君) 現行法でも青色申告を行なつておる者につきましては、所得の決定に当りまして、家業専従者につきましては一人七万円ずつ必要経費と見て、これを控除する制度をとつておるわけであります。ただ記帳の行われておりませんものについては、控除するものだけを正確に控除いたしましても、収入が幾らあつたかということはわからないというような問題から、止むを得ずこういう制度はとつていないわけであります。で、京都の府会で自家労賃を控除すべきだと言うたのは、やはり正確に収入を算定し、一面必要経費を算定する。その場合、家業専従者についての控除も的確に行うべきではないか、こういう趣旨ではないかと思うのであります。現在の所得税におきまする制度も、実はそういうふうになつているわけであります。たまたま記帳が十分でないものでありますから、或る人には苛酷になりましたり、或る人に対しましては寛大になり過ぎたりしている面があろうかと思います。これは併しできる限り正確に算定できるようにしてもらわなければなりませんが、今後は国で決定いたしました所得をそのまま採用するわけでありますので、県がその所得を適当に更に必要の経費の見方を拡大して行くというようなことは、違法の措置だというふうに考えております。
#17
○秋山長造君 面もまあ所得税の決定額によるのだけれども、県の独自で政策的な控除を加味する余地はこれはないとおつしやるのですが、今度の改正によりますと、成るほど国が決定しても、それに対して府県側に不服があれば、それを是正する途も考慮されているようですけれども、これが国の所得の決定額が過少と認められた場合にのみそういう途が開かれているので、国の所得の見積りが過大と考えられる場合には、別に何も府県としてそれを是正する途は構じられていないと思うのですが、その理由は……。
#18
○政府委員(奧野誠亮君) 府県でも市町村でも、その地方の住居の所得の決定が過大にされないようにということについては、常に深い関心を持つて来ておりますし、従来の経緯からも、そのことは十分窺えるわけであります。個人々々につきまして過大でありまする場合には、訴願、訴訟の訴えの途を認めているわけでございます。従いまして全体的には一府県なり市町村なりは、住居の所得の決定が過大にならないようにという配慮をしているものでありますので、殊更に過大であるからということで、個人をさしおいて府県なり市町村なりが、国の税務機関を相手に争いを起すようなことはさせない。事面個人々々について過大であります場合は、十分争いによつてこれを解決するようなことが制度的に定められている。かような姿になつているわけであります。
#19
○小林武治君 関連して……。秋山さんのおつしやつているようなことは、実際問題として私は必要じやないかと思うので、とにかく今度は個へ事業者が一番恐れているのは、いわゆる完全な所得税附加税的な恰好になつてしまう。従つて地方で以て特殊の事情があつても府県には裁量の余地がない。こういうことをまあ非常に心配しておりますが、何か私は今年の問題でどうしようとか、こういうことでなくてもいいのですが、そこに多少の斟酌の余地を与えるような法制上の措置がとれないであろうか、こういうことを一つお聞きしておきたい。
#20
○政府委員(奧野誠亮君) 現在の所得税の運用におきましても、所得の決定一が給料生活者と事業生活者との間において、均衡を欠いているというふうなことがよく言われております。殊に又事業を行なつております者相互間においても、均衡を欠いているということが強く言われております。従いまして、これはやはり国と地方とがまちまちに所得を決定して行くということじやなしに、やはり総収入金額から必要な経費を控除したものが純益であり、所得でありますので、まあ一つのものを用いることによつて、全体的なこの均衡に向つて努力して行くということになつて参ろうかと思うのであります。そういう意味におきましては、所得の決定を二度に受けてもよろしいのだということにはすべきじやないのじやないか、かように考えているのであります。併し小林さんのおつしやるような点も、勿論地方税でありますので、考慮すべきじやないかと思います。それは併し所得の決定方法によるのじやなしに、やはり減免措置に委ねるべきである。条例の定めるところによりまして、特殊のものにつきましては、その定めるところによつて幾ら減ずるというような方式を採用するのが妥当だ、かように考えている次第であります。
#21
○小林武治君 個人事業税の滞納が非常に多いが、その調査はありますか。
#22
○政府委員(奧野誠亮君) 個人事業税の徴収成績は……。
#23
○小林武治君 あればあとで伺つてもよろしいのですが。
#24
○政府委員(奧野誠亮君) 昭和二十七年度の実績によりますと、前年度分が八一・七%でございます。滞納で繰越しております分が三三・四%でございます。総平均いたしまして六八・七%、こういうことになつております。滞納繰越の分が非常に悪くなつております。
#25
○小林武治君 これはやはり非常にその法人事業が一般の個人事業者を圧迫しているという一つの証拠とも思うのでありますが、これにつきまして今年はまあ個人事業税の率も相当引下げられている。又基礎控除も殖えている、こういうことでその点は非常に喜んでいるわけでありますが、今税務部長がおつしやつたように、地方の条例で以て多少のそういうことができるというお話でありますが、これらについて何か自治庁が地方にさようなことについて何か通牒を出すというようなことはありませんか。多少今のようなことについては緩和的の何か見方をしてやる、こういうようなことが言えるか言えないか。
#26
○政府委員(奧野誠亮君) やはり一般的には国の所得に則つて行くべきであるというふうに考えているわけであります。ただこの国の所得の決定が或る所においては過大である、或る所は過少だと思うのでありまして、その点に
 つきましては適正な決定になるように地方の団体側も国の税務機関に協力すべきである、こういうような方向において指導して参りたい、かように考えております。
#27
○小林武治君 それで今の基礎控除が、まだなかなか個人事業税というものは相当過重だという声が強いので、衆議院の修正では基礎控除を政令の定めるときから十万円にしろ、こういうことでありますが、これはまあ一応自治庁の裁量に一任されていると、こうまあ言われるのでありますが、私どもとしてはこれを成るべく速かにこの額まで引上げる、こういうことを希望しておりますが、その点については何か腹積りが自治庁にあるかどうかということをお聞きしておきたい。
#28
○政府委員(奧野誠亮君) 地方税法が衆議院で修正されました当時、基礎控除を十万円に上げ、而もその適用時期を政令で定めるということにつきましては、自治庁としては同時に財源措置を講ぜられるのでなければ、そのような修正はやめてもらいたい、こういう希望を強く表明して参つたわけであります。勿論自治庁といたしましても、基礎控除は財政の許す範囲において可及的に引上げて行きたい、こういう考え方も持つておつたわけでありますけれども、財政全体の見通しなしにそのことを先に定められてしまうことは困る、こういう見解を述べて参つたわけであります。ところがその後に衆議院で地方交付税の国から地方への繰入割合を引上げられておりまして、これは恐らく事業税の基礎控除を引上げる場合の財源補填の意味もあつたのだろうと思います。若しそれが実現いたしますれば、事業税の基礎控除の引上げというものは昭和三十年度から実施すべきである、こういうふうに考えておるわけであります。
#29
○小林武治君 要するにその点は昭和三十年度において財政計画を立てる際に、よく御相談の上でできるだけ早く実現することを特に切望しておきます。それで要するに今はこの所得課税にするということは一つの過渡期でもありますし、何か私考えてやる必要がある。即ち地方で条例等で以て何分のそういうふうな多少の緩和措置がとれるというなら結構でありますが、できたら自治庁においてもさような思いやりを一つ持つてもらいたい。こういうことを註文だけ一つつけておきます。
#30
○若木勝藏君 今のに関連いたしまして、まあ結局この個人事業税が非常に負担が過重であるということは従来から言われて来たので、今回自治庁としてもその点を考慮して基礎控除を引上げるとか、或いは税率を下げるとかいうようなことを考慮されているのでありますけれども、この程度で果して一体その点が緩和されたかどうか。こういう問題につきまして、私公述人のいろいろな公述をちよつと調べてみたのでありますけれども、先ず神田という税理士のかたですが、この人は相当の資料を掲げて、結局法人のほうは主人とか或いは家族の給料、即ち自家労賃として四十万円を大威張りで損金に繰入れている、併し個人の場合においてはそれがないのだ、そのために非常にこの個人の事業では負担が過重になつている、不均衡である、こういうことを述べられておる。更に立教大学の教授であるところの藤田武夫氏は、やはり同じようなところから来まして、先ず基礎控除というような方面が、これは二十万円までは控除して然るべきでないか、そうでなければこの負担の緩和ということはできない、こういうふうなことを述べておる。更に日本中小企業団体連盟の税制委員長のほうも同じようなことを述べております。それから主婦連合会総務であるところの藤田孝子氏もやはり同様で、今のような基礎控除では問題にならん、大幅にそれは引上げなければならん。こういうふうに考えてみますると、まあ今回の自治庁の緩和した点、更に衆議院におけるところの修正、こういう方面から見まして、どうもこの程度では結局個人事業の実態に立つたところの緩和方法ではないじやないか。本当にその事業の実態から見て緩和して行くということになれば、これはこの程度で収まらんのではないか、こういうふうに考えるわけですが、自治庁は現在においてどういうふうに考えられておるか。
#31
○政府委員(奧野誠亮君) 事業税の負担を純益を基礎にした場合にはどの程度に納めることが適当であるか、何を標準に重いか軽いかを考えるかということになると思うのであります。一応戦前の事業税の負担を基礎にして考えて参りますると、営業収益税時代からこれらの営業に対して一番負担の軽かつた時代は、昭和十五年の税制改正の時だろうと思います。この時は国税、府県税、市町村税を通じまして事業税の負担は納益の六%が制限課税で、勿論制限が軽い所もございまするし、重い所もございます。六%の税率でございましたが、基礎控除の制度はございませんでした。従いまして現在は八%なんだが、七万円の基礎控除制度をとつている。そうするとどういうことになるかと申しますと、所得が二十八万円までのものでありますと、戦前の負担よりも軽いのであります。二十八万円を超えて参りますと戦前の負担よりも重いのであります。若し基礎控除を十万円にいたしました場合には、所得四十万円のものは戦前の負担よりも軽い、これを超えるものは戦前の負担よりも重いという結果になるわけであります。現在の財政全体、或いは国民経済全体の状況から考えまして、まあこの程度でやむを得ないのではなかろうかという考え方をいたしております。
#32
○若木勝藏君 そこなんだな、最後の言葉なんだな。いわゆる現在の国の財政とか、そういうふうな方面から考えればこの程度でやむを得ないじやないかというところに私は問題があると思う。本当に一体その個人事業者の実態に立つて行くならば、こういうふうな公述人の日を揃えたところの見解というものより出ないと思う。それから先ほど小林さんからもお話がありました通り、今日においても一家心中というようなものがほうぼうに出ている。そういうところに何か個人事業の実態と課税の仕方の間において食い違いがあるんじやないか。結局私の推測するところによりますれば、そういう実態に立たずして、ただ国の予算であるとか、或いは地方の予算であるとかいうような方面から、これだけの税収入を得なければならない。そういうふうなところに一体その拠点を置いておるために、現在のその悲劇が起きているのではないか。そういうふうに考えられるのでありますが、もつとそういう点を実態に即した一つの考え方からこういうふうなことを決定すべきでないか。こういうふうに思いますが、どうですか。
#33
○政府委員(奧野誠亮君) 個人事業の負担が重いという問題もいろいろな角度から考えられると思うのであります。一つは個人事業の負担を法人の場合と比較したときに重過ぎるではないか。これは一つの問題だろうと思います。これにつきましては、秋山さんの御質問に対しまして、先般今回の改正によつてどうなるかということをお話申上げたわけであります。次に個人相互間においてどうなつておるかという問題でございます。これにつきましては、むしろ給与生活者と事業所得者との比較においては、全体的には事業所得者の負担のほうが軽いのではなかろうか、こういうふうな声のほうが強いのではないかと私たちは恩つております。併し、第三には事業所得者相互間においてどうなつておるだろうか。零細な所得の人たちが却つて租税の重圧に苦しんでおるのではないだろうか、こういう問題があるだろうと思います。この点につきまして、私は個人の事業におきまして必ずしも正確な記帳が行われていない、或いは又青色申告者でない場合の問題であろうと思うのでありますが、専従者につきまして一人七万円の損金経理が認められていない。こういうところに相当の問題があるだろうと思うのであります。その結果は個人事業者全体の決定が重いというのではないのだが、零細な人の中には非常に重い負担を強いられている面があるのではないか、こういうところに問題があると思つておるのであります。将来地方も協力いたしながら、多数の個人事業者の負担が適正に行われるように持つて行かなければならないのじやないかというふうに思うのであります。全体の問題よりもむしろ個々に非常に苛酷な負担に苦しんでいる人があるのではないだろうか、こういうことを恐れているわけであります。
#34
○若木勝藏君 個々の事業者の負担についてはいわゆる徴税者側の余りに酷に過ぎると思われる一つの徴税方法が行われておる事実はありませんか。
#35
○政府委員(奧野誠亮君) 特に徴税者側が酷にやつているということは私は承知しないのでありますけれども、ただ零細な事業におきまして、別に帳簿を使つておるわけでもございませんので、収入金額の見積りなんかにおきまして、他の同じような業態のものとの権衡調査といいますか、比較から決定するというようなところから苛酷になる場合もないわけではなかろうということを恐れているわけでございます。
#36
○秋山長造君 さつきの税務部長の御答弁で、二十七年度が徴収率六八・七%だとおつしやつたのですが、二十七年度というとまだいわゆる朝鮮ブームの惰性が残つておつた頃で、今日ほど不景気でもなかつたと思うのですが、その当時でさえ六八・七%くらいしか徴収できないということになりますと、二十九年度あたりはいわゆるデフレ政策ということで業界が非常に不景気になつておることは、これははつきりしておりますが、経済審議庁あたりで発表されるところのそのときどきの公式の見解を伺つてみても、意想外にあの一兆予算の影響が深刻だというようなことが言われておるほどですから、恐らく今後だんだんと時がたつに従つて末端のほうのいわゆる中小企業に対する不景気のしわ寄せというものは非常に深刻なものがあるだろうと思うのです。今お話に出ておつた自殺或いは倒産というようなことも今後ますます続出をして来るのではないかというような極めて悲観的な見通しに立つ場合、この程度の税率を若干引下げるとか、或いは基礎控除を若干上げるという程度のことで、本当に弱小業者の負担軽減になるかどうかということを私は非常に心配するわけであります。それでさつきも個人の事業税が百四億今度の改正で軽減されるということをおつしやつたんですけれども、この百四億軽減されると言いましても、恐らく従来通りのとり方をするとして行つた場合と、今後の改正を加味した場合とで百四億機械的に減つて来るという数字であつて、従来の府県独自で調整をやつておつた場合と違つて今度は税務署が決定したものをそのまま採用するということですから、これはやつてみなければはつきりした数字は出ないのじやないかと思う。案外百四億の軽減というふうな数字も、実際にはもう少し少くなるのではないかというようなことも考えられるのですね。税務部長もいつか、去年の暮でしたか、事業税対策委員会だつたか、何か代表者が来まして、この委員会で事業税の重圧について訴えたときに、税務部長も事業税は弱小業者に苛酷になつておるということは認めておられた。この程度の改善で本当に弱小業者が救われるものかどうか。この点について自信を持つておられるかどうか。
#37
○政府委員(奧野誠亮君) 私は今回の税法改正前から個人事業の負担が重過ぎると考えております。附加価値税が実施された場合にはそれは救われる。併し附加価値税は実施されませんで、今回のような改正法案になつたわけであります。かなり思い切つて個人事業の負担を軽減していると思います。又先ほど申上げましたように、戦前との比較を見ましても一般に税負担がかなり重くなつているのでありますけれども、所得の低い面におきましては、むしろ戦前よりも事業税の負担は軽くなつているわけでありますので、そういう意味におきましては相当救われるのじやないかというふうに考えております。
#38
○秋山長造君 いや、私のお尋ねしているのは戦前と比べた場合ということでなしに、これはやはり戦前と今の場合と機械的にただ現われて来る数字だけを比べて、そうして重くなつている、軽くなつているということは私は言えないのじやないかと思います。いろいろな条件が変つているし、それから第一、あの大空襲あたりで殆んどの町が焼かれ、従つて又事業税を負担しているような業者というものは殆んどこれは戦災にかかつたりなんかしたような特殊な事情がありますから、どうも必ずしも数字だけで機械的に重くなつた軽くなつたということは言えないと思います。だから私が今お尋ねしているのは、そういう戦前戦後ということでなしに、まあ二十六年、七年、八年というこの最近の状態と比べて二十九年度がそれほど改善されるものかどうか。特に二十九年度の一兆予算というようなことからの影響ということも考え合せた場合に、この程度の改善で果して本当に楽になるかどうかということをお尋ねしている。
#39
○政府委員(奧野誠亮君) これは個々の事業主の状態によつて違つて参ると思うのでありますけれども、税率の三分の一も一挙に引下げるということはかなり思い切つた軽減の仕方ではなかろうか。別に財政需要の面においては下るわけではないので殖えて行くのに、個人事業税の面においてはこのように大巾な税率の軽減をやつて行くというところから推測して頂くより仕方がないのじやないかというように思うわけでありますけれども、事業者の立場から考えた場合には下れば下るほどよろしいわけでございますしいたしますわけですが、まあ我々としましては、この税率軽減によつて相当救われるのだというふうに考えております。
#40
○秋山長造君 これはいずれにしても今後の見通しの問題ですから、これはまあ水掛論のようなことになるかも知れませんけれども、併し、やはりこれはかなり救われると言つても、これ又かなりということが程度の問題であつて、じやあ、どれだけということになると、又その中がなかなか広いので、やはり我々としてはこの改正程度の減税では実質的には減税にならないのじやないか。特に決定額を、税務署の決定額によるというこの一項が入つているだけに非常にその点不安を持たざるを得ない。そこでやはり衆議院のほうからも修正が行われて来ましたし、又税務調査会あたりの答申、まあ税務調査会の答申なんかはあのメンバーの顔触れから考えましても、余り大巾な改善とか、納税者側についての大巾の改善ということは望めないというのが常識なんですけれども、その税務調査会の答申ですら御承知の通り今年から八万円、そうして来年から十万円というように、非常に税務調査会としては思い切つた線を出しているくらいであつて、ただいきなりそこまで行けないというところにあなたがた立案者自身の、やはり又別な地方財政というような面から、余り大きな府県の減収になるということも又別の見地から気遣われるというような面の考慮もあつて、こういう極めて微温的な改善にとどまつたということは、自治庁の立場としてはこ回はわからんこともないわけであります。併し少くとも非常に現在困つている業者自体の立場から考えれば、これはもう極めて不満な改正であり、衆議院の修正にしても今小林さんからお話が出たように、成るほど十万円という線は出ておりますけれども、これは果していつからの十万円やらわからないということですから、まあ少くとも我々はやはりこの政令で定めるというような漠然としたことじやなしに、はつきり三十年なら三十年度ということをきめておく必要があるのじやなかろうかと思う
 それから、それと同時にさつきから何回も繰返しますように、従来条例その他で以て県が独自に行う弱小業者の負担の軽減の措置をとつたような場合、或いは今後とろうとするような場合、それをやり得るだけの余地は税法の上からもやはり残しておいて頂きたいと思うのです。その点の確認をもう一度お願いしたい。
#41
○政府委員(奧野誠亮君) 今回国の決定いたしまする所得を事業税の課税標準に採用することになるので、全体的にその面からも事業税の負担が重くなるんじやないか、こういうふうに秋山さんお考えになつておるようです。併しながら県におきましては、国の決定いたしました所得よりもむしろ高いところで事業税の課税標準を決定しておつた所もあるのでございます。従いまして、府県によりまして事情は若干違うんじやないか。併し先ほども申上げましたように、将来の方向を考えました場合には、この所得の決定というものは元来同じであるべきじやないかというふうに考えております。若しおつしやいますように、国の決定した所得よりも低くきめてもよろしいんだという措置をとろうといたしますと、半面又高く決定しておつた所は、従来と同じように高く決定しても差支えないんだ、こういう線も立たざるを得ないと思うのでありまして、これはやはり両方やめて頂かなければいけないんじやないかというような考え方を持つております。ただたびたび申上げますように、政策的な見地を減免の措置について加えますることは、当然我々も差支えないものだというふうに考えているわけでございます。又基礎控除を十万円に引上げまする問題も、先ほど小林さんの御質問に対しましてお答え申上げましたように、衆議院におきましてはこの穴埋めとして地方交付税の修正を行なつております。国からの繰入れ割合が更に引上げられるという措置が参議院においても御承認に相成ります場合には、当然三十年度から基礎控除を更に引上げるという措置をとるべきものだというふうに考えております。
#42
○秋山長造君 それから次にもう一つお尋ねしておきたいのは、八十四条に徴税吏員が質問をした場合に答弁をしないとき、或いは虚偽の答弁をしたとき一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金ということがあつて、それから更に百十条の三十一に、同じく自治庁の職員の質問に答弁しない、又は虚偽の答弁をしたとき一年以下の懲役、二十万円以下の罰金ということがある。こういう罰則を今度の改正に新らしく設けられた理由について一つお伺いしたい。
#43
○政府委員(奧野誠亮君) これは従来から入つている規定でございます。各税目につきましてこういう罰則が規定されています。
#44
○秋山長造君 で、これは恐らく所得税なんかにあるのをそのまま地方税についても使つておられるんだろうと思うのですが、例えば虚偽の帳簿を見せたとか、或いは虚偽の答弁をしたというような場合ならまだしもですが、それと、ただ質問に答弁せないというまあ極めて消極的な行為なんですけれども、そういうものまで同じように一年以下の懲役、二十万円以下の罰金ということで処罰するということは、ちよつと私納得しかねるんですがね。
#45
○政府委員(奧野誠亮君) 事業税について従来ありました規定は第七百五十六条であります。同じ規定をここに設けておるわけでございます。勿論この一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金はそれぞれの情状に応じて刑罰がきめられるわけでありまして、一号、二号、三号いずれも同じ刑罰が加えられるというわけではありません。
#46
○秋山長造君 そういたしますと、一年以下の懲役、二十万円以下の罰金とは書いてあつても、単に質問に答弁しないという場合には必ずしも一年だとか二十万円だとかいうような一番最高限度の罰則が適用されないということですか。
#47
○政府委員(奧野誠亮君) 必ず最高の罰則が適用されるということにはならないと思います。
#48
○秋山長造君 併し適用される場合も考えられるわけですね。
#49
○政府委員(奧野誠亮君) 質問に対し答弁をしないのも、度重なる場合でありますか、或いはただ一度でそういうことが起きますか、いろいろ情状がありますので、これは裁判所の認定の問題になろうかと思います。
#50
○秋山長造君 この件は私はどうも、まあ実際こういう質問に答弁しない場合に、この罰則を適用した例が全国的にどの程度あるのかということもちよつとお尋ねしてみたいんですが、更にただ質問に答弁しないという場合に、こういう我々の常識から言えばこれはかなり厳罰ですけれども、こういう厳罰に処するということはどうもぴたりしないんですけれどもね、その点如何ですか。これで適用した例がどの程度あるのか、又どうしてもこういう罰則を設けておかなければいけないのか。
#51
○政府委員(奧野誠亮君) 三号の事例だけで罰則の適用を受けたということは私承知しておりません。ただ三号の事例に該当いたしますような場合には、一号の帳簿書類の検査を拒むとか、或いは虚偽の記載をするとか、こういうような場合が主だろうと思います。欠こういうことがなければ、答弁をしないということはおおよそ考えられないだろうと思うのであります。正確な記帳をしているならどんどん答弁ができるわけであります。又あらゆる帳簿書類をそつくり差出せる場合であれば、答弁をしないということも考えられないわけであります。ただ一号、二号だけでは、三号の何ら答弁をしないということで間違つた決定が行われるという虞れも生じて来ますので、善良なる第三者が迷惑を蒙るということもあり得るわけでありますので、やはりこういう規定は置いておかなければいけないのじやないかと思つております。
#52
○加瀬完君 今秋山委員のほうから出た八十四条の三号ですが、これはここでそれを引合いに出すということは当を得ないかも知れませんが、例えば犯罪容疑者でも自己に不利な点は黙秘権がある。徴税技術の実際から言つてもこれを盾にとつて無理に申告しろ、或いは無理に申立てろと言われても、現状におきまして特に個人事業者などは明確に答えることができ得ないような場合があるわけですね。そうすると一方的に徴税吏員のほうでそれはこうだろう、ああだろう、これはイエスとかいうような答えを出さなければ、お前こういう罰則があるのだということになりますと、これは非常に徴税者のほうで一方的に個人の意思が無視されて決定されるというふうな危険な予想が当然ここに生ずるわけであります。これはむしろこの虚偽の答弁をした者というふうなことで十分足りるのじやないか、少くも徴税吏員の拝聞に対して自分に不利なことをいろいろ言われた場合には答弁しないということも当然の権利でありまして、特にいろいろ問題を起す徴税吏員と納めるほうとの感情的な対立ということがたびたび伝えられております。そういう間におきましては、この条項というものは非常に納税者のはうにとつて不利な条項にならないか。
#53
○政府委員(奧野誠亮君) 徴税者側が幾ら所得があるかということを決定いたします場合には調査をしなければならないわけであります。仮にその調査の結果事業税の税額がきまつて参りましても、なお且つこの税額が多いか少いかということで、その本人に争いの途を認めているわけであります。異議の申立て、或いは裁判にまで持つて行かれるわけであります。従つて答弁をしない結果は、逆にあたかも他の第三者に収入があつたかのごとく取扱われまして、第三者に大きな事業税をかけて行くというような場合があり得るわけでありますので、これはやはり答弁して頂かなければならないのじやないか。それには決定されました税額につきましては十分争いの途を本人に対して認めているわけであります。
#54
○加瀬完君 それは徴税吏員と納税者の間の常識的な話合いということできめる場合でありまして、徴税吏員の要求するような質問に対して答弁をしなかつたから、八十四条に該当するのだということであつては、私は非常に納税者の個人の権利というものに制圧を加えること甚だしい。これは考えようによつては憲法に違反するという見方も成り立つのであります。それほどのことをしなくても話合いだけで、あとのいろいろの問題があるわけでありますから、徴税事務というものに渋滞を来たすということはないのじやないか。これは旧法を引続いて掲載されて行つた経過をとつておりますので、これが続いておりますが、今の憲法というようなものから考えれば、これは徴税事務の上に渋滞をさほど来たさないということであれば、取除くべきであると思いますが、御所見どうですか。
#55
○政府委員(奧野誠亮君) 答弁をした結果、その人に罰則を科せられるという刑事罰の場合であれば別でございますけれども、これはその人の事業税の課税額が多いか少いか、著し仮に多く決定されましたにいたしましても、その場合には更にその税額対象を争うことができるわけでありまして、刑法上の場合と税法上の場合とは根本的に性質を異にしている。而も又これにつきまして罰則を加えられた場合に、その刑に服さなければならないのとは違つて、事業税が課されましても、その事業税額の多い少いを根拠にして争いの途が認められているわけであります。
#56
○加瀬完君 それはそうなんです。そうなんですけれども、こういう条項があることによつて徴税吏員が非常に一つのよりどころといいますか、都合のいいよりどころが生ずるわけであります。併し納税義務者のほうとしましては、これによりましていろいろ個人の権利というものが或る程度縛られるという結論も十分考えられるわけであります。そういうふうな当然常識上の話合いで徴税と納税がとりきめられるべきものを、こういう一つの甚だしい罰則規定というものを盾にとつて徴税をするというようなことになれば、これは取り去つても事務の渋滞を来たさないならば、何もこういう不安や疑問を持たれる条項は取り去つてよろしいじやないか。
#57
○政府委員(奧野誠亮君) 三号の答弁をしない者という規定がなくても、課税上の事務は渋滞しないのではないかというお気持のようでございますけれども、帳簿に売買の明細が載つかつている、どこから仕入れたとか、誰に売つたとかということが書いてあります。それじや誰に売つたという、その人はどこにいる人ですか、こう聞いても答えられない、そういうことになつて参りますと、第一虚偽か虚偽でないかわかりませんし、又調査に当りましても非常に渋滞をするのじやないか、かような考え方を持つているわけであります。やはり事務の渋滞という点から考えました場合には、三号の規定が是非必要であるというふうに思つております。
#58
○加瀬完君 これは納税者を保護するというよりは、徴税能率を上げるというふうな条項でありますので、これがむしろ納税者の立場を守るということよりは、徴税吏員の能率を上げるために便宜的に使われるということのほうが心配が多いと私は思うのであります。そこでこういう問に答えられなかつたといつても、どうせ今までの例から見ても一方的にこれは徴税側において判定をして行くわけでありますから、何もこれがなくたつて事務は一つも渋滞しないのじやないか、こういうふうに思うのであります。
#59
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほどからたびたびお答えいたしておりますように、渋滞をするしないの問題のほかに、善良な第三者に余計な迷惑をかける場合が生じて参るわけであります。善良な第三者にあたかももつと多くの収入があつたかのごとくとられまして、その人に多くの税が課せられて参つる。従つてその人が又つまらん訴訟をして行かなければならん。こういうような問題にもなつて参りますので、やはりこの点は答弁をしない場合には罰則があるのだという規定は必要だろうと思つております。ただこの三号の結果非常な納税義務者に対して迷惑をかけている場合が多ければ別でありますけれども、こういうふうな態度をとつて、それだけで以て罰則に触れたというようなことがございませんし、ございませんということは言い換えれば、むしろ納税者としては質問されれば答えるのが普通だというようになつているのじやないかと思うのであります。
#60
○加瀬完君 質問されれば答えるのが普通なんです。常識的な判断で話合いというものが進められるべきであつて、答えなければ懲罰にする、こういうような条項を持ち出して何か一つの徴税側は法律の庇護によつて特権を以て、実際上一切文句は言わせずに、お前たち納めなければ罰則があるのだ、こういうふうな傾向のものというものは、徴税側として非常に考え直してかからなければならない問題じやないか、具体的に使われるのがどちら側に使われるのかと言えば、これが徴税者側に頻々とこの条項を盾にとつて強制徴収というふうな形に利用されるということであつては、非常に納税義務者は困る。納税義務者の権利それが実際蹂躙されるということになりかねないので、心配だというわけであります。
#61
○政府委員(奧野誠亮君) 第三号だけを御覧になりますと、そういうような疑問を起されるのも御尤ものような気がするのでございます。ただ一号、二号、三号を通じて見て頂きたいのでありまして、一号と二号だけございましても、三号の規定がございませんと、やはり正確な調査ができないというふうな問題になつて参るわけであります。帳簿書類を見せましても、何も答えをしないということでは調査のしようがなくなつてしまうわけであります。そういう意味が一号、二号、三号を通じて御判断頂くようにお願いをいたしたいと思います。
#62
○委員長(内村清次君) 自治庁長官、今の問題は、これはまあ奧野君の答弁を聞いてみますと、従来のこの規定の中にもあつたからやはりこれは存続するというようなことですけれども憲法から考えましても、行政の問題に対しましてこういつた八十四条は体刑処分までも明記された罰則規定ですからして、やはりこの刑事罰といたしましても拒否権があるように、刑事訴訟法の中にも明確になつておりますし、やはり事務的な質疑の応答というものはこれは常識的にあるべきものであるし、又それを拒否した場合においては自然そこに第二項の疑惑という問題もはつきりする問題でもあるから、これから推定して刑事罰のほうに持込むような手段もこれは行政官庁としてはできるものであるから、こういう現定を設けるということは行政の方法として少し行過ぎではないか、刑事罰そのものを行政のほうで憲法を制限するようなことは行過ぎではないか、こういうような感じがしますが、これを是非やつておかなくてはできないというような論拠がどうもまだ私たち納得できない。同時に又これは最終的にはやはり徴税吏員のほうとそれから納税者との間に最後は感情的な衝突によつてこれが判断されて行くということになつて、そして納税者のほうでは感情的に答えない、それからまあ徴税官吏のほうもやはり感情的な段階になつてこの条項を使用するというようなことになつて、この項だけをとつても何ら八十四条というものが活きて来やしないという感じが強いのですが、自治庁長官はどうお考えですか。
#63
○政府委員(鈴木俊一君) 只今委員長からお尋ねのございました点、先ほど来加瀬委員から御質疑のございました点でありますが、この点は税務部長から先刻来いろいろ御答弁申上げておりましたように、ひとりこの事業税だけの問題ではございませんで、現在の地方税法の各税ごとに同様な質問検査権、又それに対する検査拒否をいたしました場合の罪の規定が皆あるのであります。全く同様の例文でありますが、これはひとり地方税だけではございませんで、国税におきましてもそれぞれの税法に同様の規定があるわけであります。この点はいろいろさような何と言いますか、人権の尊重と言いますか、そういう刑事問題と関連をしてお考えになりますと、非常に問題のような、御心配になるのは無理からんことと思うのでございますが、これは今御指摘になりました第八十四条の一つ前の条文、八十三条の第四項を御覧になつて頂くとわかるのでありますが、「第一項の規定による質問、又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」こういう規定がございます。これは要するに賦課徴収の事務を実施して参りまするために必要な場合として質問をしたらば答えてもらう、必要な書類は出してもらう、こういうことがありませんというと、的確に所得を把握することができない。これは決して犯罪の事実を明らかにするために質問をし、検査をするのではなくて、果して幾ら税金を納めてもらうかというその所得をはつきり把握するために質問をし、検査をするのでございますから、これは第四項にありまするように決して犯罪捜査のためのものではないのであります。そういう自白の強要と言いますか、不利益な供述を強要されるというような意味とはこれは全然異るわけでございまして、さような納税、どれだけ一体納金を納めなければならんかということの調査のためにはどうしても必要なわけであります。それ故に八十四条におきましては、書類を出してもらわなければならないのにそれを出さないという場合、或いは出すことを拒否した場合には処罰すると同時に、質問に対しても答弁をしない者に対してはそういうことをするということを税法上それぞれ規定をいたしておるわけであります。
 併しこれは実際の軍用においては然らばどういうことになるかと申しますと、恐らく答弁できないものはこれは三号には当然に入りません。答弁をしないものという、要するに積極的に答弁をしないというものがこれに該当するわけでございまして、そのような場合には恐らくは虚偽の記載をしておりまするとか、或いはその他申告等におきまして正当なる申告をしていないということのためにさようなことが行われると思うのであります。帳簿その他の記載がなくて答弁ができないものはこれはもうしないものじやないのでありますから、それはもう全然懲罰の対象にならないのでありまして、従つてかような規定を設けておきますることは、やはり納税値全体を組持しますために必要であるということから、従来この規定があるのであります。これは新憲法前の規定がそのまま残つておるというのではございませんで、新憲法施行後に、殊にシヤウプ改革の際にかような規定がずつと入つて来ているのであります。昭和二十五年の税法改正のとき以来の規定でございまして、この点は御心配の向きがあろうかとも思いますけれども、それ故に特にこの質問検査という権限は犯罪捜査のために認められたものではないということがあるわけでございまして、それらの点を一つ総合的に御勘案を願いまして、この問題は御了承を頂きたいと思うのであります。
#64
○加瀬完君 そういうお話であれば私は又異論があるのであります。それならばなぜこれはこういう罰則規定を設けて、ただ禁止規定だけにしないか。一条取つて、「徴税吏員の質問に対し答弁をしない君父は虚偽の答弁をした者」とありますが、そうではなくて、徴税吏員の質問に対し答弁をしなければならない、或いは虚偽の答弁をしてはならないということだけで十一分に行政措置というものは達せられるのじやないか。犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないということでありますが、犯罪捜査関係で黙秘権というものを認めておるわけでありますが、犯罪からただ逃れるということではなくても、それ以上いろいろ問題が絡むわけでありますから、経済的な問題について言いよどむこと、或いは言うまいとすることが当然起きて来ると思う。併しながらこういう条項があれば、どうしてもこれは徴税能率のためにこの条項というものはひけらかされる。そうなつて参りましては十二分な話合いを納税者が遂げないうちに一方的に徴税吏員のほうだけで質問だけ出して、それにイエスかノーかを答えさせて、いろいろな問題が処理されるということであつては、これは納税者の権利というものが非常に損われる心配はないかという点であります。この問題は法制局のほうにでもあとで見解を承わりたいと思います。
 次の質問をいたしたいと思います。先ほど秋山委員のほうから出た問題でありますが、もう一度数字を教えて頂きたいと思いますのは、二十八年度に比べまして、自治庁の初めの原案によりますると、事業税は幾ら減収になるのか。それから衆議院の修正案によりますると減収は幾ら、この数字を伺いたいと思います。
#65
○政府委員(奧野誠亮君) 私は秋山さんにお答えをいたしましたのは、改正によつて幾ら減収するかということをお答えしたわけであります。今加瀬さんの御質問でありますと、昭和二十八年度の見込額と二十九年度の見込額がどう変るかという御質問のようであります。それでありますと、個人事業税は八十三億五百万円の減でございます。
#66
○加瀬完君 修正案によりますと……。
#67
○政府委員(奧野誠亮君) 修正案と申しますのは、基礎控除を十万円にした場合にどれくらい減るか、こういうことでございましようか。二十九年度の問題じやなしに……。
#68
○加瀬完君 衆議院の修正案。
#69
○政府委員(奧野誠亮君) 衆議院の修正案によりますと、更に十三億三千四百万円減少いたして参ります。
#70
○加瀬完君 そうすると、概算九十六億減収になるということでありますが、これは事業税を賦課する場合に、恐らく九十六億減収された分として賦課されるということは事実上でき得ないと思う。先ほども税務署の決定額云云というような問題が起つたようなわけでありますけれども、現実において府県に事業税を課しているのは、部長さんのお話では国の決定額を上廻る線で課しているところがあると言いましたけれども、恐らく多くの府県というものはそれより下廻る線で課さざるを得ないというような実情にあるのじやないか。そうなつて参りますと、今度は税務署の決定額ということになりますと、九十六億減収ということではあるが、実質的には余り減らない課税の総額というものが課せられるということになるのじやないですか。もつと極端に言うならば、表の上では数字が減つて参りましても、実際個人のかぶる賦課というものについては実際事業税が減つて来るということにはならない、そういう点を一つ伺います。そういう点を伺います理由は、例えば政府なんかでも減税政策というものを押し出しております。減税政策を押し出しておるならば、当然実質的に減税になるかというと、減税したけれども税収入は増収だということになる。減税したが増収だということになると、個人によりましては減税の効果が一つも現われて来ないということもあり得るわけです。そういう心配が特にこの個人事業税の場合などには、これは個人も法人も含んでおりますが、事業税の場合は多く出て来るのじやないか、こういうことを心配するのです。そういう心配の第二の理由として、それならばこれだけ減らしたのだ、減らしたのだが、地方財源を減らしてはならないから、これに見合うどういう措置を国のほうとしてはしておるか、この二つの点を伺います。
#71
○政府委員(奧野誠亮君) 私先ほど改正によつて減収になると申しました金額は、それだけ課税額が減つて参る、かように考えておるわけであります。なお国の決定した所得よりも多い金額で決定している府県があるのはむしろ例外であつて、多くの府県では少く決定しているのじやないか、かような御質問であります。これに対しまして、私は多くの府県は国の決定しました所得をそのままとつておる、かようにお答えしたいのであります。大体は国の決定いたしました所得をとつております。ただ若干の県におきまして低い段階のところは一割引く、一割五分引くというようなやり方をしておるところもあるようでございます。なお事業税で減収を生ずるような措置をしておきまして、あとで穴埋めいたしませんと府県が因りますので、増税をするとかいうようなことが起きて参りますので、たばこ消費税その他の財源補填の途は講じておるわけであります。
#72
○加瀬完君 課税額で減らしてあるというお話でありますが、課税額に見合う分は、たばこ消費税その他で講じてあるというのでありますけれども、例えば九十六億なら九十六億分がこれだけたばこ消費税で殖えているのだというふうには、事業税とたばこ消費税という関係だけではこれは判断ができないのです。全部総括した問題でありますから、そうなつて参りますと、それで面も部長さんの御説明によりますると、国の決定額に忠実に各府県はやつておると思う、こういうはずだということになりますと、府県の事情によりまして、先ほど秋山委員から出ましたように、実質的にもう個人或いは法人の事業というものの状態を考えるときに、これだけは課けられないのだということで、課けられないのだという今までは実は行政の方針を幾らか動かすことができたが、今度は動かすことができない。それを無理に動かそうとすれば、今度は交付税その他の点でこれが差引かれるということになりましては、これは事業そのものの状態の如何にかかわらず、今度は課税の強化というような形が現われて来るのじやないか。それと先ほど秋山委員から出ましたように緊縮財政の方針をとつておる、これは当然金融面なんかが相当引締められておりますし、或いはその他産業状態も一応非常に消極的な傾きがないわけでもありませんから、事業そのものというのは二、三年前のようなわけには参らん。そうなつて参りますと、これは地方にとりましては、この事業税というものに対しては相当いろいろのそういつた行政上の困難な問題が生ずるのじやないかということが心配されるわけであります。で、この点もう一度御説明願いたいと思います。
#73
○政府委員(奧野誠亮君) 従来どうして国の決定した所得よりも低い措置、低くするような措置をとつておつたか、これは東京その他若干の団体に限つていたと私は考えているのでありますが、その一つはやはり税率が高いからじやないか、今回税率を低くいたしておりますので、やはりその面については従来よりも更に緩和されて来るのじやないだろうかというふうに思つております。それじや従来よりも多かつた団体はどういう割だ、むしろこれは税率が高くてもなおその国の場合よりも多く見ておつたわけでございます。言い換えれば国のやつておりまする所得の決定方式だけでは必ずしも全部均衡のとれたものになつていないというような面があつたのではなかろうかと思うのであります。こういうようなところはやはり勿論国の決定に協力して参らなければならないわけでございますが、多くしてよろしいという態度はとれないと思うのであります。やはり国の決定したものをそのまま用いなさい、半面低くしたところも国の決定した通り用いなさい、その代り合理的に事業税が運営できますように、基礎控除なり税率なりについて是正を加えて行きたい、こういう考え方をとつているわけでございます。
#74
○加瀬完君 その基礎控除を幾らか引上げて、税率が下げてあるということは御説明によつてわかるわけでございます。併し税率を下げているので先はどおつしやつたように課税額が減つて来るというふうには考えられない。何故ならば、事業税の収入というのは殆んど府県にとりましては大きな収入でありますから、これはもう国の決定額の線が一つ出れば、取れるだけ取ろうという方向にどうしてもなる。そうすると税率を下げただけでは本当の貧弱なこの事業者というものに対しての恩典というのは政府の考えるようには現われて来ないのじやないか。問題はどうしてもそうすると、個人事業者に対しましては、この基礎控除というものの線を引上げるということももつと具体的に現さなければこの貧弱企業というもののまあ補助とか、援助ということはできないのじやないか、そういうふうにまあ考えられるのであります。で、自治庁はその点税率が下つて来たので全般のものが非常にこれで実質的に有利になる、それから個人事業者に対しまして基礎控除というものをもつと大幅に考えてやらなくても大体経済事情等を見合わせた場合におきましても、相当個人事業者の貧弱なものもその商売の軍用において今までよりは有利な条件に、繁栄の方向を迫るように、この税的措置が今度はとられたのだと言い切れるのでございましようか、その点……。
#75
○政府委員(奧野誠亮君) 従来国の決定いたしております所得よりも若干低いところで決定しておつた団体がある、これは私どもは非常に例外的だと思つていたのでありますけれども、加瀬さんはもう少し多くあるのじやないかというふうにお考えのようでございます。一体それじや具体的に何県のことをおつしやつているのかお聞かせ頂ければ、調査してお答えをいたすのでありますが、私は非常に例外的だと思つているのであります。仮に一番まあ強くその線を打出している東京の例を考えても、所得十万円でありましたか、十五万円でありましたか、それまでのものにつきましては、或る部分は一割とか或る部分は一割五分軽減する、こういうことをやつておられるわけであります。ところが今回の税率の引下げは三割三分以上税率を引下げておるのであります。従来とられておつた軽減措置よりも遙かに大きい軽減措置を講じておるわけでありますので、やはり実質的に私たちは負担は緩和されるものと、こういうふうに考えておるわけであります。基礎控除の問題に関しましてはたびたび申上げますように、財政状況と睨み合せまして、或る程度引上げたほうがよろしいのじやなかろうか、こういうふうに考えておるわけでありますが、衆議院におきましては更に大きな修正が加えられて来ておるわけであります。
#76
○加瀬完君 軽減措置が十二分に図られておるというわけでありますが、軽減措置が特に個人事業者に対しましては十分でないという証拠は、法人にずんずん切替えられることが非常に激しい。それで法人が先ほど若木委員からの例にも出されましたけれども、法人の場合と個人の場合では、まだどうにもその均衡というものが保たれておらないんじやないか。個人はもつと便益を図られていいんじやないかというのが今個人事業者の輿論と申しましようか、一致した意見じやないかと思うのです。こういう点を考えましたときに、今度の個人事業者に付する基礎控除というものだけでこのアンバランスが解消されたというふうに言い得るか、この点……。
#77
○政府委員(奧野誠亮君) 法人と個人との税負担の問題につきましては、法人と個人とは本質を異にするものでございますので、ただ事業税だけでそれを議論するのは当らんのじやないかと思つております。若し事業税だけで比較をいたしまして公平であるということになるならば、何に従つて公平であるか、儲けという点から言いましたら、むしろ個人のほうが軽いわけであります。若し売上金に従つて公平であるかどうかという議論をなさつておるならば、所得を課税標準にしませんで、売上金なり或いは附加価値税なりを標準とすべきであろうと思うのです。それじやあらゆる税を通じて均衡を欠くのじやないか、こういう議論でありますならば、これは秋山さんにこの間お答え申上げましたように、現行法によりまする場合には若干個人のほうが重い面が窺えるのだけれども、改正案によりますと、総体的に個へのほうが若干低いんじやないかと思われる線になつて来ている。これは数字を挙げて申上げたわけでございます。で、個人の事業が多く法人になつて来ている、これは主として私も税の面だろうと思います。併し税の面につきましては今回いろいろな改正を加えておりまするので、必ずしも個人が重いんだというふうには言えなくなつて来ている、かように考えるわけであります。併し事業の危険負担ということを考えて参りましたならば、税の面だけでなしに、むしろ法人形態に持つて行くということも一つの行き方じやないか、こういうふうに私も考えられるんじやないかと思つております。税の上におきましては、かなり思い切つた是正措置をとつて来ておるつもりでございます。
#78
○加瀬完君 私は誤解されるといけませんので、問題を変えてお伺いをいたしますが、法人は軽い、個人は重い、こういう立場ではありません。併し実情におきましては、個人事業というものがずんずん法人に切替えられておるのが実情であります。なぜ一体個人の事業をこういうふうに法人の事業に切替えて行くか、この原因は自治庁はどこにあるとお考えになられるのでありますか。それがこの事業税の法人関係と個人関係のバランスには全然無関係に、個人事業が法人事業に切替えられておるんだというふうにお考えになりますか。
#79
○政府委員(奧野誠亮君) 私は国の指導の面におきましても、個人経営組織というものはむしろ法人経営と言いましようか、或いは又協同組合と言いましようか、そういう方向に指導の方向を持つて行つているのじやないだろうかという考え方をしております。それとやはり税の負担の面におきましても、御指摘のような点があつたと思います。税の負担の面につきましては、今回は是正をいたして参つております。かようにお答えをいたしたいのであります。
#80
○加瀬完君 私の伺いたいのは、日本の今までの大体の経済の中核というものは家内工業とか手工業とかいうふうになつているわけであります。この家内工業とか手工業というものを進展させて行くためには、ややつこしい法人組織というものにしなければ一体発展できないものか。このややつこしさというものをやらないで、個人事業のままで採算が十分とれて行くんだ、こういう方法をとらしたほうがいいということで、ただ税の問題だけではなしに中小企業の振興という面から非常に考えなければならんのじやないか。実質的に損か得か知りませんが、個人が法人にずんずん切替えられておるということは、これは好んで切替えておるんじやなくて、面倒だけれども、いやだけれども税金やその他の関係で法人にすることのほうが得だということで、ここに中小企業が追込められているということになるんじやないか。追込まれ放しにされておいて、こういうふうな無理なことまでして法人組織というものにしなくても個人事業者がやつて行けるという対策を考えて行かなくてよろしいか。それらの点から考えますと、もつと基礎控除という問題でこれらの緩和策が考えられるのじやないか。若干意見を申述べまして恐縮でありますが、そういう点から御見解を承わりたい。
#81
○政府委員(奧野誠亮君) これは私からお答えするのが適当であるかどうかわかりませんが、今日日本の企業の面におきまして、記帳を十分にしていない、帳簿をつけない、これが収支の面が明らかでない又収支の面が明らかでないと企業運営を合理的に行なつて行く場合に、どこに問題があるかということの発見が困難である、こういうことが非常に大きいように承知しておるのであります。記帳を明らかにして参りますためには、複式簿記とかいうようなことをもやつて参りましようし、又生活費というものとそれと企業の費用というものとを分離して経理して行くという必要も生じて参ると思うのであります。そういうことを考えて参りますると、やはり個人事業の経営のあり方というものを法人経営のようなあり方に切替えたほうがいいのじやないか、こういうことが一つ言えると思います。
 もう一つは、金融をいたします場合にも、金融をしてもそれが生活費に食われてしまうのか、企業に使われるのかよくわからんということでは、金融をするほうも不安だろうと思います。そういう場合にやはり法人経営をいたしておりますると、その面がかなり明確に区分できるのじやないかと思います。又個人生活の将来を考えました場合にも、事業が不振になつてしまつたから直ちに翌日から食えなくなつてしまう。これは非常に悲劇だと思いますが、これは危険負担の費用を収支の上に或る程度に置くというようなことから考えて参りますと、税のことだけでなしに個人経営が法人経営に行く傾向が多いのだ、だから法人経営の傾向を食いとめなければならない、そのためには基礎控除を上げなければならないという考え方には必ずしも私たち直ちに賛成を申上げるというふうなことにはなつていないのでありまして、更にこの問題はよく研究して参りたいと思います。単に私だけの問題でなしに、通産省その他の問題になつて来ると思うのであります。
#82
○加瀬完君 今部長のおつしやつた記帳をしないというようなことを非常に取上げておるのでありますが、併し私どもが考えなければならないのは中小企業を如何に振興するかということなんです。記帳をするかしないかという税務行政の上からだけで中小企業の個人と法人というものを考えられては私は堪らないと思うのです。そこで今記帳をすればいいとおつしやいますが、記帳して法人にしなければならないというのは、税理士の桂田さんでありますか、公聴会に来た公述人のかたが、現在私たちの街の税理士が忙がしくて、現在の税法は弱い老いじめである、そのために個人事業者は競つて法人に変更することによつて税負担の軽減を図るのです、こういう話出しをして、そうして最後に私どもの税理士が忙しくなくても済むような税制の改正を希望しますという言葉で結んでおる。それは一番の収入を得ようとするならば、税というものをどういうふうに少くしようかということが収入の一番の途だというふうな、極端に言えばそういう傾向で今の税関係が考えられておるということは、記帳をするということは、正しく記帳をするなんという以外に記帳によつて税を軽くしようという意思が働かないと言われないのであります。こういう点を助長して参つりますときには、それは産業の振興とか、或いは中小企業の振興ということではなくて、如何にしてうまく記帳をしようかということで、これはもう徴税者と納税者の対立と言いますか、まあどちらがいい腕を発揮するかと言いますか、そういうふうな納めるとか、約税義務とか、そういつたような観念からだんだん遠のいて来ると思うのです。現在の徴税関係がこういう方向の兆しがあるということは、私は嘆かわしいことじやないかと思う。そうではなくて、記帳をしなくても、ただ商売を一生懸命しておれば税金で苦しめられることはないという国家の保護というものが現実における中小企業、特に小企業について必要なのではないか。そういう点をもつと御考慮頂いたらよろしいのじやないか。意見がましくなりますが、その点長官どうですか。
#83
○国務大臣(塚田十一郎君) いろいろお話を伺つておりまして、問題点はよくわかつて参つたのであります。私も多分に御意見に同感の点が多々あるのでありまして、確かにこのシヤウプ税制勧告に、シヤウプ勧告による税制改革のあとに最も中小業者の間に出て来ました現象は、御指摘のように法人に切替えるという動きであると思う。最近は幾らかその動きが柔らいで参つておるように私もまあ感じておるのでありますが、併し全然なくなつておるとは思わないのであります。どういう工合にそういう現象が出て来たのか。まあ一つはやはり御指摘のように税が軽い、軽くなつたということにあるようであります。併しこの税が軽くなるということも、非常に問題を掘り下げて考えて行くとむずかしいのでありまして、本当に最終的に一方は法人形体であり、一方は個人形体であるという場合に、時期的な差というようなものも、ズレというようなものも全部考慮に入れて、最終的に負担が軽くなるかどうかということになると、なかなか面倒なことでありまして、例えば配当になれば配当されたところへ課税されて行くというような場合もあり、又給与の場合には、給与をもらつたらもらつたところで課税されて行くというようなところもある。それから時期的なズレ、いろいろ課税になつて来る税負担、そういうものを全部総合して見ると、果して軽いのかどうかということは一概に判定しにくいのでありまして、私もこのシヤウプ税制の改革のときには随分そういう点を頭に置きながら、個人と法人との間に著るしい負担の相違が出ないようにということを絶えず頭に置いて問題を審議した記憶があるのです。かなりそういう意味において公平を川しておつたつもりでありますが、なかなかそうは行かないので、先はど申上げたような現象が出て参つた。これはどうも感じますのに、少くとも当面すぐに手許から出て行く税金の額が個人の場合と法人の場合とは違うという場合が一つの原因になると私は思うのであります。それから今一つはやはり記帳の正確さ、これは私は個人であろうが法人であろうが、又税というものを頭に置かないでも記帳というものは正確にすべきものであるし、又正確にすることは事業の健全な経営の上にいいと思うのであります。併し正確に一方はなかなか仕事の都合で行かない、一方は正確に行くということになると、まあ徴税当局の目から見た場合に、正確に行かないものにはどうしてもきつく当るというような結果も出る。又現実にきついとか柔かいとかいうことでなく、帳面がついていないと、実際に自分の企業の実態というものを経営者自体が把握しておらないから、何か自分の税が重いという感じも手伝うと思う。ですから私はこれはやはり個人であろうが法人であろうが、正確に記帳されて正確に所得を把握してもらつて、正確に税を取つてもらうという行き方に行くべきであろうと思うのでありますが、現実に個人の場合にうまく行かん。法人の場合はそういう傾向が強く出て来る。そこで扱い方の上の不公平というものが出て来て、法人が軽くなるという結果に幾らかなつたと思うのであります。そこで私どもが考えますのは、私は加瀬委員が言われた中小企業者が税金を軽くしてもらうために法人にならなければならないというような今の税制は実際に困るというのは、私もまさにその通りだと思うのです。仕事は仕事さえ一生懸命にやつてさえいればいいのでありますが、ただ個人業者でありましてもやはり正確に帳面はつけて頂いて、そうして正確に所得を把握されて、その上で正確な税を坂られるということにやはりこれは御協力願うのが正しいのでありますから、法人になるほうが正確に帳面をつける緒になるということであれば、又その意味において法人になるならそれで結構だと考えております。とにかく私どもはすべて法人であろうが個人であろうが、正確に課税面からの実態が現わされて、それに対して正確に税法が適用されて、そこに負担の均衡というものがとれておるかどうかということを頭に置きながら、成るべく均衡はとれるようにやつて参りたいと考えておりますし、又そのように努力して参つたつもりであります。今度の税制改革がそれに対して十分なものであるかどうかということは私ども必ずしも確信を持つているわけではありませんが、併しその方向に非常に努力をして参つたということは先般来部長から繰返しお答え申上げるように、不十分な扱いであるかも知れませんが、非常に大きなその方向に向つての努力である点だけはお認め願えると思うのであります。なお今後ともその方向にまあ努力はして行きたいと、こういうように考えるわけでありますが、ただしばしば通俗に言われます法人と個人が非常に一方は重くて一方は軽いというような御判断は、今申上げるようになかなかこれはつきにくいものでありますことを御了解願えれば、非常に仕合せだと思います。
#84
○加瀬完君 これで終りますが、私法人がですね、個人よりも有利だということでその結論を申上げておるのではない。個人が法人に切替えられて行くというこの現状というものは、これは正常な話ではないのじやないかということであります。そこで、税務業務の充実が企業経営の第一条件といつたような、記帳ということを大臣も部長さんもおつしやるのでありますが、すべての業務を誠実にすることが中小企業をやつて行くものの一番の条件だということでなければ、これはちよつと中小企業の振興ということからは本末を顛倒しているのではないか、そういう点を考慮して頂きたい。それで御依頼を申上げたいのでありますが、今いろいろ問題になりましたことを総合いたしました立場で、例えば租税の三十万、五十万と押えまして、大体の単位を抑えて呉れればいいのでありますけれども、個人の場合と法人の場合を比較いたしまして、一体プラス、マイナスどういうことになるのかという点が一つ。それから納税の何と言いますか、納税が非常に面倒だ、或いは納税が非常にしやすいといつたような点から法人、個人を比べたときに、どういうことが言われるか。第二といたしましては、法人、個人の問の不均衡があるとすれば、主にどういう点か。こういう点を御調査を頂いたものを頂きたい。
#85
○若木勝藏君 委員長一言だけ。先ほどの税務部長のいろいろな答弁を聞いていますというと、事業税の方面の軽減も十分図つたと、こういうふうなお話でありますけれども、併し必ずしも私はそうでないようにも思う。というのはですね、前回のこの委員会において各会派とも考えを揃えてやつたあの教科書の供給業に対する非課税問題を復活しているのです。これは幸いに衆議院でも修正になつたのであります。これは当然なことだと思う。そういうような一面を考えて行きますというと、先ず税金というものに対する一つの政府の考え方がですね、これは私は反省を要する面があると思う。これは御承知の通り税金を課するという場合においては、これは地方の行政全体からこのくらいの税収がなければならんという立場もあるでしよう。又同時に担税能力というような方面も考えなければならない。これを如何に考えるかということはこれは重要なことでありますが、政府のほうの行き方としては、これは我々と考えを少し異にする。担税能力を殖やして行くがためにはその事業の振興を図るというふうな点で行かなければならない。十分に事業を振興させるような一つの方途を考えて行つて、担税能力を十分に充実さして、そうして税収を図つて行くというふうにしなければならんと思う。ところが今度のこの体制を見ますと、八十三条乃至八十四条で以て事業税にかかる徴税吏員の質問検査権というものを認めて、而もこれを刑罰を科する。場合によつては非常な権力を強化しておる、一方においては軽減して行こうというような形をとり、一方において今度は権力を以てこれを徴収の実績を挙げて行こう、こういうふうな行き方はですね、非常に私は政府の行き方としては、これは地方税ばかりでなしに、今問題になつておるところの教育の法案の問題もありまするが、ああいう教育に伴う刑罰規定を設けて、権力で以て抑えて行く、そういうふうな行き方であるべきでないと思う。教育も事業もおのずから伸びて行くところの一つの根底を与えて、そうして適切な徴税を図つて行くというような行き方でなければならない。この体系の全体を見まして私はそういうふうに見る。これは非常に政府としても今後の税制の上から反省すべき要があると思うのですが、どうですか、この点について。
#86
○国務大臣(塚田十一郎君) これはいろいろお尋ねを伺つておるのでありますが、私の感じではむしろ逆に感じられるのでありまして、私は税がまあこれは安いほど、怪いほどいいということはこれは申すまでもないことであります。併し、或る国家事業というものが必要であつて、それをどこからどういう工合に国民に御負担を願うかということを考えた場合には、やはり成るべく同じものなら公平にということに考えられるのでありますからして、非課税というものは成るべく特殊なものでなければ置かないということのほうが、むしろ原則であろうと思うのであります。まあ今までの事業税にいろいろな非課税というものがあつたのを、今度の改革のときには非課税は原則として整理するという非常に大きな前提で整理をしてかかつたのであります。その後いろいろな、又更に政策的な理由が加わつて、若干残つたのでありますが、又非課税で仮に残るといたしましても、よくよくの事情のあるものというのですから、成るべく平等に負担して頂いて、そうして全体として所要の最小限に税率を下げて行くと、一旦下げた以上は、私は徴収はどこまでも国民のかたがたに、正確に記帳もして頂いて御協力を願つて、そうして同じ税法の下で、同じ所得状態のかたがたには公平に行くという方法を運営の上でも税法の上でも期するのが、私は正しいと思うのであります。ところが、御承知のように今日殊に税は非常に負担の重いものですから、国民のかたがたに非常に強い抵抗というものがある。その抵抗があるのに非常にゆるやかな方法で徴税というものをやつて行きますときには、現実の状態がどういう状態が出て来るかというと、やはり抵抗の強いものが税負担を同じ税法の下で軽くされてしまつて、抵抗の弱いところに強く当つて行くという結果になる。それでは困りますから、やはり一応規定としては抵抗の強いところにも正しい税だけは納めてもらうだけの力というものを与えて頂き、勿論運用の上にも気をつけなければなりませんが、そうして下げる余地があるならば、全体として税率を下げて行くという方向へ持つて行くのでなければ、私は平等に、公平に国民負担を成るべく減らして、そうして国を興し、産業を興すという方向には行かないと、私はむしろそのように考えるわけであります。
#87
○若木勝藏君 先はど私税務部長さんにも質問したのでありますが、徴税吏員の仕方が非常に苛酷に及んでおらんかと、そういう場合がないかと、これは我々の聞いておる範囲では非常に苛酷だというのが一般の評です。ところがそれに対して八十四条のような権限を与えたら、一層その点で根拠が与えられるのですから、その点で責めて行くと思うのです。権力を振り廻すだろうと思うのです。そういう点を私は恐れる。そういう一つの方法を以て徴税の成績を挙げて行くことは根本的に私は間違いだ。殊に新憲法下におけるところの一つの徴収の仕方としてはまずい行き万である。それよりも内から育てて、十分納め得るところの力を養つて行くという方向に行くべきじやないかと思う。これはどうですか。今長官の御答弁にあつたような精神で行けばいいのですけれども、一旦法が出た場合には、この徴収に当るところの吏員はこの法を盾にして必ずやるに違いない。そういう点に対する弊害は十分私は考えられる。あなたがたはこの弊害をこれをどうお認めになるか。
#88
○政府委員(鈴木俊一君) この点は先ほども加瀬委員からもお話のあつた点ですが、私どもはこれは決して新たなる権限をここに徴税吏員に対して与えるという案を出しているわけではございませんで、これは国税、地方税を通じて各税目に対して入つている規定でありまして、何ら現状を変更したのではない。ただ条文の規定の位置を、従来地方税法の末尾にありましたのを改正法で前に持つて来たというだけであります。
#89
○若木勝藏君 私はその弊害を開いている。あなたがたの考えている通り行つているかどうか。必ずこれはこういうことによつて徴税吏員の苛酷な徴収が始まつて、徒らに納税者を苦しめて行く、こういうふうなことになりやせんか。
#90
○政府委員(奧野誠亮君) 若木さんの御心配になります元は、恐らく事業を行なつております運用状況からも調査されて参りますし、府県の税務機関からも調査されて参りますので、非常に応接にいとまがない、これに困つているのじやないかと思います。今回国の決定いたしました所得を原則として事業税の課税標準にするということにいたしましたので、府県の自立決定しなければならない極く小範囲のものにおいて調査のようなものが要るだけでありますので、御心配になつている点が非常に少なくなるだろう、こういうように考えております。又自主決定いたします際に、御心配になつておりますような点のないように、できるだけそういう納税者に対しては無用の子をかけない、こういう大原則で地方の徴税吏員の指導に当つて行きたい、かように考えております。
#91
○若木勝藏君 どうも私は、この根本の精神に対しては了解できない。
#92
○委員長(内村清次君) 先ほど加瀬委員からも要請がありまして、法制局の野木第二部長の出席を要求したわけですが、出席をされております。そこでこれは先ほどから各委員から質疑をされておりますのは、この八十四条の三号ですね、これは刑事訴訟法その他によつて刑事罰に対する被告の、犯人の拒否権も認めている今日、又憲法上の基本的人権の問題から勘案して、少し行政罰としての刑事罰を科されることに対しての条項としては行過ぎではないか、個人の人権を余りにも侵害してやしないか、こういうふうな質疑がなされているのですが、法制局としての意見を一応承わります。
#93
○政府委員(野木新一君) 長官が他の委員会に入つておりますので、便宜私から答えられるだけお答えをいたしたいと思います。
 問題の八十四条第一項第三号でございますが、これは私、税法のほうは余り詳しくはございませんが、各種の税法に同様の規定が見えているようでございます。この点は先ず憲法との関係でございますが、恐らく憲法の関係ということは、先ず第一に、憲法三十八条の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」というところが先ず第一の関係になつて来るのではないかと存じます。併し私どもの解釈では、三十八条は刑事手続を目的として規定したものであると思つているのでございます。そうしてこの八十四条第一項第三号の規定は、これは刑事手続ではございませんで、行政上の目的を達するために、第八十三条の規定によつて徴税吏員に質問権査権が与えられる。その質問検査権の行使をして質問検査をする、そういう場合に答弁をしない、或いは虚偽の答弁をしたというのでありますから、憲法三十八条第一項には直接には触れないと存じます。
 次にこういうことは、基本的人権を非常に尊重する憲法の精神に照らして少し苛酷ではないかという御議論もあるかと存じますが、それはいずれにせよ他の基本的人権の規定と照らしまして、直ちに憲法違反という問題は生じないと存じます。又公共の福祉という要請からこういう制限が加わるわけでありますが、それも著しく度を過ぎてしまつて、公共の福祉上必要としない程度の罰を加え、或いは制限を加えるという意味にまではなつていないと存じます。要するに立法の範囲内で、立法権の行使としてどの程度が適当であるかという裁量の範囲内にとどまるのであろうかと存じます。そうしてその点につきましても、八十四条第一項第三号は、各種の税法との関連から見ましても、現在の税法の体系上では、この点だけを特に他の税法と違つて重い刑罰を科しているというわけでもございませんので、特にこの点が立法上下妥当であるというまでのこともないのではないかと存ずる次第であります。
#94
○委員長(内村清次君) ただ、まあちよつとそれでは納得の行かないことは、その刑事罰ではないから、刑事上の問題ではないから憲法の三十八条ですか、には抵触しないんだと、行政のほうだつたならまあこういうふうなお互いの自由意思を制限するような法律的規定を設けてもこれはいいんだという解釈に持つて来られるかどうか。基本的人権というものは行政関係においても刑事関係においても平等でなくちやならん、そうでしよ。それがね、行政のほうだけはどうも自由を束縛するようなことだけはいいんじやないかと、行政を、即ち秩序を保つためにはこれはいいんじやないかというふうなことにはどうも判断できない、その点に対するその考え方だな、これと、それから又刑事訴訟法で認められた個人の拒否権の問題ですね、こういう問題と、この明らかにそういうような犯罪捜査ではないまでも、将来その体刑になるような、これは体刑の条項がありますから、体刑になるような形の、いわゆる即ち不正な帳簿の記載法だとかね、そういう証拠になるものは現実にそこにあるわけですね。この問題についてただその供述その他についてまあ言わないということを、答弁をしないということだけでそういう目的が達せられないかどうか、その重さというものは刑事訴訟法の問題とどちらが重い問題であるかということについての明快な答弁を一つ聞かせて頂きたいと思うのだが……。
#95
○政府委員(野木新一君) 私で十分御納得の行くような説明ができるかどうか疑問でございますが、私どもといたしましては、憲法三十八条の要求するところは、これは飽くまで刑事手続を前提としているものだと考えているわけでございます。然らばほかのほうの行政目的の場合にこの精神が尊重されるかどうかという点は、やはりほかに理由がない限りはこういう精神を尊重して行つたほうが適当であろうという議論は出ると思います。然らばこの税法の場合にどうかということになりますが、税法はやはり税行政上の非常なる特殊な目的なりに応じまして、国としての税を確保するという、そうしなければ国なり、地方公共団体の財政がうまく行かない、結局各人も不幸になるという建前からいたしまして、税制がうまく運用されるという、そういう公共の福祉の要請からいたしまして、こういうような徴税官吏の行政目的遂行上の場合に、これに対してこの質問に対して答弁をする義務を課し、又それに対して何も正当な理由がなくて答弁しない場合とか、虚偽の答弁をしたというような場合に刑罰を科して、その義務の履行を確保するということは、立法論として適当かどうかという政策上の議論はあろうかと存じますが、純粋の憲法論として考えますときは、違憲であるというようなことにはならないかと存ずる次第であります。
#96
○加瀬完君 今法制局からの御説明を伺つたわけでありますが、二つの観点から伺いたいと思うのであります。それは違憲でないかどうかという問題が一つ、もう一つは少くもこれが適切妥当な立法措置であるかどうかという点、前のほうから伺いますと、この憲法三十八条の刑事手続によります個人の権利の保護というものと、これの行政目的のために設けられたこのものというものは、これは同じように考えられないんだという御説明でありますが、同じように考えられないという意味を私はこういうふうに解釈したいのです。この公共の福祉に違反するという点では犯罪というものはその最たるもの、その公共の福祉に一番違反する犯罪捜査におきましても、刑事訴訟法におきましては個人の権利ということを非常に保護しているわけです。然るにこれは徴税事務というものを推進させるためにこういうふうな厳しい罰則というものを設けて、甚だしく個人の権利というものを束縛しておるわけであります。これは公益性という点から言うならば、むしろ犯罪捜査のほうが遙かに公益性を阻害しているのじやないか、侵犯しているのじやないか。それすらも個人の権利が保護されているのに、公益性の侵犯という程度においては刑事訴訟法の内容とは比べものにならない徴税事務の能率を上げるという理由だけで、こういう罰則がきめられるということは一体憲法の解釈の上で矛盾がないか。違憲とは言わない。併し矛盾がないか、その点が第一点。
 もう一つ、それからこの個人の権利ということから考えれば、犯罪捜査について自由を強要されるという点について個人の権利は非常に侵害されるでありましよう。併しながら経済利益を守るためにいろいろ調査をされましても、答えたくないという場合が個人にとつては当然ある。この経済利益を守るということはむしろ非常な個人の権利である。こういう大きな個人の権利というものをただ行政的な措置のために侵犯するということは甚だ当を得ておらないじやないか。例えばこれに対して答弁の義務を課す、或いは又虚偽の答弁をしないような義務を課するということは、これは何も罰則規定をこう厳しくしなくたつて、法文の上では立法措置することができるのじやないか、なぜそういう方法をとらなくてこういうふうな方法をここにとるか。こういう点は少くも刑事訴訟法の個人の保護の規定とこれを比べますときに、この規定というものが妥当であると言い得るかどうか。
 もう一つは一体憲法の解釈上非常に適法な解釈だと、均衡がとれておるかどうか。こういう二つの点で前と後の項目について御説明を頂きたい。
#97
○政府委員(野木新一君) たしか御指摘のように刑事についてだけ、不利益な供述は強要されないという規定があつて、ほかの例えば税行政の目的逮成上の質問検査権というような場合にこれがない、こういう基本的人権を保障されていないと解するのは憲法の解釈上おかしいじやないかというような議論も、たしか議論としては考えられると存じます。併しながら憲法三十八条の規定というものは、いろいろの種類の過去のいろいろの歴史的な苦難の過程を経てできたものだと存ずるのであります。そういう意味は、こういう不利益な供述が強要されたという弊害が非常に多かつた。一番多かつたのはやはり人を刑罰に処するというそういう手続の面におきまして、これが非常に弊害があつたので、そういう観点から刑事手続においては特にこれを強調して、いやしくもこういうことがあつてはならないという意味でこの三十八条の規定はできておるものと解するものであります。従いまして、憲法の三十八条といたしましては、これはやはり刑事手続を直接の目的としておるのでありまして、ほかの行政目的の場合にはどうかという点は他の公共の福祉の要請と取り合せまして、立法上どの程度取扱うかという立法政策の範囲に属して来るものと存ずるのであります。そうして私もそういう見解でありますし、すでに国会で成立をみております各種の立法を見ましても同様な規定がありまして、これは恐らく今まで国会も同様な見解で立法されて来ているのではないかと思つている次第であります。然らば憲法三十八条に直接触れないといたしましても、この八十四条、この具体的の場合におきましては少し行過ぎでないか、公共の福祉上の要請を越えているではないか、立法論として妥当ではないのじやないかという議論も確かに議論としては出て来る点だろうと存じます。併しこれは税は憲法三十条でも語われておりますように、国民は法律の定めるところによつて納税の義務を負うというように、国民としての非常に重大な義務になつておるのであります。従いまして税行政を遂行する、その税務運用の遂行は適正妥当に行われるということは国として、又地方公共団体として公共の福祉上非常に必要なことだと存ずる次第であります。そういうような観点からいたしまして、この質問検査権を認め、質問検査権でそれだけで事柄が円滑に行くならば、或いはそれで足りるという見解も確かに成り立つと思いますが、併しながら実際の実情におきましては、恐らく質問検査権だけでは不十分である、その質問検査権が円滑妥当に行われるためにはそれを確保する手段が必要である、そのためには成る程度のその円滑な遂行を確保するための罰則は必要ではないか、必要であろうという見地からこの八十四条は立案されているのであろうと存じます。面してこれは八十四条だけで考えられたことではないのでして、ほかの税法には確かに同種の規定がすでに成立している税法においてもあると存じておる次第であります。そういうわけでありますから、何もこの八十四条だけが特に違憲の疑いが濃厚である、又は八十四条だけがほかの税法と釣合を失し、非常に不適当であるという議論は直ちには成立たないのではないかと存ずる次第であります。
#98
○加瀬完君 私どもはこの八十四条の一項の三だけを問題にしているのではないのです。今法制局の御説明ですと、これは八十四条に限らず税法のあらゆるところに出ているのだ、たくさん出ているからこれが正しいということにはならない。たくさんを我々はむしろ問題にしているわけです。あなたの御説明によりますと、刑事訴訟法の個人の権利の保護の問題は歴史の過程からみても非常に自白強要とか、或いはその他の弊害があつたので、これを新憲法によりまして保護をしたというふうな経過があるのだと、こうおつしやる。それならば現実においで国民が非常に個人の権利と申しますか、その幸福感というものに対して大きな不安を与えられているものは、これは大変当り障りのある話でありますが、むしろ警察権の行使ということよりは、税務行政の強圧というものに対しての苦しみのほうが相当多い、今日の問題として……。それならばこの税務行政の強圧というところから国民の受けるところの被害というものを極度に防ぐということは、あなたの立法論からすればこれは当然今日においては考えられなければならないことと思う。そういう点からするならば、一体この八十四条並びに各車を通じて表現されておりますところのこの罰則規定というものが現実の段階において妥当だと思われるか。大体たくさんの法規の趨勢を見ると、罰則規定というものから禁止規定というものに移つている。ここだけ昔の罰則規定をそのまま残して置くというのは当を得ておらないじやないか、そういうことを私は考えている。この点どうですか。
#99
○政府委員(林修三君) 只今まで私どものほうの第二部長からお答えいたしました実は通りでございますが、この納税ということはやはり憲法でもはつきりいたしておりますように、国民のこれは重大な義務として憲法でも語つておるわけであります。従いまして納税を免れる云々ということは、これは国民としても許されないことであろうと思うのであります。従いまして行政上やはり国民が適正な税金を納めるということは国民の重大な義務だと思います。又これの徴税を確保するということは、公共の福祉上の大きな要請であると思うわけであります。従いまして、如何なる手段方法を講ずれば適正な租税義務が履行され、又国なり地方公共団体の財政を確保するための税金の徴収が円滑にできるかという問題から立法的に解決されるべき問題であろうと思うのであります。御承知のように最近の税法は戦前にできました税法とは違いまして、相当最近これはいろいろな各種の救済手段はいろいろの面において講じてございます。これは納税者が不当に一方的に税務当局によつて強圧的な税金を課けられないためのいろいろな救済手段、或いは異議の申立であるとか、或いは訴訟であるとか、或いは訴願であるとか、こういういろいろの手段も講じてございますが、又或いは申告制度をとります場合に、一方的なその申告納税に対する税務当局の更正決定ということにつきましても、やはりそこにいろいろの税務当局が守るべき規範を税法上には盛込んである。そういういろいろの見地を種々総合いたしまして、やはりこの税務官吏が質問をし、検査をする場合には、これはその質問検査ということが税務行政を執行する上においての、適正な徴税を確保する上においての重要なる一つのポイントになつておる。従つてこれを確保することは大きな意味において公共の福祉の要請だ、従つてそれを確保するためには或る程度罰則を以て強制することが必要であろう、こういう見地から立法政策的にこの規定が入つていると思うのであります。必ずしも従前のこれは何と申しますか、惰性だけで入つている規定ではないと考えるわけでございます。こういう質問検査につきまして、特に質問につきまして、虚偽の答弁、或いは答弁をしないものについて、すぐ直ちに罰則をかけるということが妥当かどうかということは、おつしやる通りいろいろ議論のあるところでございます。従いまして各種の行政法規では必ずしも単純に答弁しないという場合に、直ちに罰則をかけていない行政法規もたくさんございます。而もやはり税法というものは今申上げましたように国民の一つの重大な義務の履行、或いは公共の福祉の要請の確保ということに非常に重大な関係があるものでございまして、やはりこれを確保するためには行政上それだけの手段をしないとやはり確保できないのではないか、こういう意味で立法政策上、こういう立法政策が今までも入れられており、今後も入れられると考えておるわけであります。
#100
○加瀬完君 立法政策上ということをたびたび言われますが、立法政策の目的とするところは何だということから私どもは質問をしているのであります。やはり納税義務というものは国民にこれは明文としてもはつきりある。適正な税金を納めるということは国民の義務だということも私ども承知しているわけです。併し適正な税金を納めるということと、納めさせるためにはどういう方法をとつてもいいということは別です。今までの歴史の上からこの行政というものを展望しても、結局治安或いは納税能率が上つておつたというところは、苛斂誅求といつたことが全然なくて、お互いの納税の義務観というものが強く納税者に行渡つておつて、その納税義務が遂行されておつたという形でなければ本当に治安、治政というものは上つたということにはならないわけです。今日の実情を見まするときに、こういうふうな一項を加えてあるということは、それが徴税事務の能率を上げるというために使われた場合、国民に対してどういう影響を与えているかということを考えて頂きたい。質問をし、検査をするということは徴税事務としては必要なことでありましよう。併しそれは国民も納税義務の自覚というものがあるわけでありますから、お互いに厳しい行政罰にするということではなくて、義務観に立つたところの常識上の話合いというものでこういう問題はきめて行かれるべき問題ではないか。それを殊更にここに一項を設ける必要はない。むしろこれは一と二のほうに入れても適切な処置はできるのじやないか。併しあなたがたがそういう御解釈をなさつておる徴税吏員としては徴税能率を上げなければならないわけでありますから、これをどうしても過度に使うということが考えられるわけであります。そうすると、納税義務に違反する行為を我々は擁護しようということではないけれども、ただ納税行為をしようと思いましても、その個人の権利までも侵害されるという場面も多々生じて来るのではないか、そういう点適切妥当な立法であるとは思われないが、如何でありましようか。こういう点で質問をいたしておるのであります。
#101
○政府委員(林修三君) 結局国なり地方公共団体が租税を課するということは、その面だけを捉えれば国民に対する財産権の侵害でございます。又それを確保するために成る程度の権力を行使するということも、その意味においては自由権に対する侵害も伴うわけであります。而もこれはやはり全体として公共の福祉上、そういうことが国なり地方公共団体の存立上必要であるという、又憲法もそれを認めて納税の義務があるということを書いているわけであります。結局公益と個人の私益の調和の問題であろうと思うわけであります。従いまして勿論租税が一方的な国なり公共団体の見解によつて取られるということはいけないことであります。これは憲法も「法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と書いてあります。国民の代表者たる国会が定めた税法によりまして、適正にこれを執行されるということを期持しておるわけであります。結局法律の内容等で、如何なる租税を如何なる手続を以て取ることが最も公共福祉の要請上これを実現する方法であるかということを御検討頂きまして、これがきまるべき問題であろうと思うわけであります。
 そこで結局租税の適正な賦課をするためには如何なる手続が必要であるか、或いは如何なる権限を徴税吏員に与えることが必要であるかという問題に結局帰着すると思うのであります。租税の適正な賦課のために、特に終戦後におきましては、いわゆる申告納税という制度も相当とられておりまして、納税者の自発的意思によつて納税義務を確保するということがとられております。又申告納税ではなかなか納税義務が確保できないためにその申告が必ずしも適正に行われないために、徴税当局側に或いは更正をする、或いは決定をするという手段も又講ぜられておるのであります。又租税の種類によつては、従来通り附加課税というような形式の租税もあるわけでありますが、いずれにしてもこの申告納税にいたしましても、或いは附加課税の税にしても、やはりその国なり公共団体の財政確保ということが勿論重要な要請でありますが、併し一方においてはこれを受ける国民の側の権利を確保するために不当な税務行政が行われないような措置は、先ほど申しましたように、いろいろな救済手段を講ずるとか、或いは徴税吏員のこの租税事務執行のためのいろいろな基準を法律にきめる、或いは運用等によつて相当適切にこれは行われておるものと考えられるわけであります。そういう背景の下になお且つこの徴税を確保するために或る程度納税義務者等と認められる者、或いはその関係者に対して質問をするということがやはり必要になるのであろう、こういう質問権を与えなければやはり租税の納税義務の確保ができない、こういう見地に立つて、これは納税義務を確保するためにやはりそれに対して罰則をかける、こういうことが行われておるものと考えるわけであります。
 で、これは結局税の執行が如何に適正に行われるかという問題に相成ることと思うのでございますが、実情は私も存じませんけれども、大体においてはこの質問をし、検査をすることも、大体においてはこの権限を行使せずに、普通相手方の任意の承諾の下に検査も行われるというような事情が大部分ではなかろうか、或いは任意の質問もそういうような方法で行われるということが実際上はそうでなかろうかと思います。結局問題は、公益上如何に立法措置をするかという問題であろうと思うわけであります。
#102
○委員長(内村清次君) 君の答弁を長長と聞いたが、そういう問題はわかり切つたことだ。問題はつまり私たちが質問しておる問題は、八十四条の一項三号にある「前条の規定による徴税吏員の質問に対し答弁をしない者」という点、この「答弁をしない者」、これが問題の焦点でしよう。そこでこの三十八条の問題は、これは先ほど言つたように「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」、これは刑事関係ですね。拷問、それから脅迫によるところの自白、こういうような、即ちまあ個人の自由をこれは保護した規定ですね。ところが問題は十三条に「すべて国民は、個人として尊重される。」、そうして最後にはやはり立法その他の国政の上で、最大の尊重をされなければならない、こういうふうに個人の基本的人権というものは特に最大な考慮をするように明記されておるわけです。そこで私たちの言つておるのは、この第三号の問題に焦点を合せて、これをのけてしまつて、「又は虚偽の答弁をした者」、こういうようなことを、第二号のいわゆる不正な帳簿で虚偽の記載をしたものという点にこれを加えてもこれでいいじやないか。徴税官吏に一方的な権限を余り持たせ過ぎてはいないか。而も現実の問題としても徴税官吏が必ず店舗に行つて、そうして質疑することは、これは当然なさるべき問題です。常識的に判断してもこれは質問もしようし、又答えもしよう。併しながらこういう一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金というようなこの条項を設けておる以上は、そういう慣例的な答弁は、又質問もなされるが、徴税官吏に一方的な権限を持たせるような第三号の前段というものはこれは必要はないじやないか。この点が今言つた三十八条、ここから引用したところの刑事訴訟法の保護規定と照し合せて、余り行政官吏に強い権限を持たせ過ぎてはいないか。これを削除して、そうしてその後段の問題を第二号にやつて、虚偽の答弁をした者という点を明確にしたならば、この一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金というものも妥当に考えられはしないか、こういう点を考えて質疑をしておるわけです。この点があなたがた法制局の立場から、前々からもう規定はなされておるから、各種の徴税の問題に対しても、税の問題に対しても出ておるからというようなことでなくて、これは新たに考える必要はなかろうか。なぜこれがいわゆる国税或いは又地方税関係の現実までの間に問題が大きく提起されなかつたのだろうか、こういう点を新たに各委員のかたがたも問題とされて、これが質疑されておるわけです。それでまあそれを明確にあなたのほうで焦点を合せて、この問題に答弁して下さいというのが希望です。
#103
○政府委員(林修三君) 承知いたしました。実は私どもの法制局において法案を審議いたします際には、当然これは常に問題にしておるところでございまして、憲法上の必ずしも禁止されたことでなくても、立法政策上妥当かどうかということは常に検討いたしております。国民の自由的な権利が不当に行政権によつて侵害されないようにということは実は常に検討しております。従つて今問題になつたような、いわゆる単純不答弁と申しますか、こういうことに対して直ちに罰則をかけることがよいかどうかということは、実は十分検討しておるわけであります。で、先ほどもちよつとお答えいたしましたように、普通の行政法規では、実は単に答弁をしないというだけでは罰則はかけていない事例も相当ございます。或いは民事上の過料にしておる例も、これは直ちに例は申上げられませんが、相当あるわけであります。それは税の場合はやはりこれは徴税の確保ということは、先ほどのことを繰返すようになりますが、徴税の確保ということは、やはり一方の強い公共の福祉上の要請である、やはりそれを実現するためには、どうしてもこれだけの手段が要るという、これはやはりそれぞれの所管当局の考え方があるわけです。これをやはり彼此考慮いたしまして、まあ税法においてはその程度は必要であろうというのが、私たちの実は考え方であります。
#104
○松澤兼人君 この質問に対して答弁をしないということですが、只今の答弁を聞いておりますと、大体まあ質問であるとか、或いは調査であるということはうまく行つていると、又うまく行くことを望んでいるということでありますが、併し実際まあ我々もそうですが、あなたのほうとしても、こういう零細な事業というものに対して御経験もないし、又余り深い事情もお知りでない。答弁をしない、結果においてしない人は、できない人もあろうし、或いは又はできてもしたくない人もあるでしようし、若い吏員がたたみかけて二、三質問すれば、当然もう行詰つてしまつて答弁できなくなることはこれは当然なんです。それでむずかしい法律の二つ、三つ言われたら、我々でもそうですけれども、零細な業者というものはできなくなることは当然です。そういう実際をよく御存じなくて、法人とか何とかいう、そういう経理なり、或いは財務をやつている人ならばそれは別ですけれども、実際に自分で大福帳的な帳面をつけているというような人が質問されたら、それは答弁できないことは当然なんです。そういう者に対していきなり一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金ということは、どんなことを考えてもこれは相当まあ苛酷なものになるのじやないか、そういう点を考えますと、むしろこういう質問に対して答弁しないとか何とかいうような規定は、零細な業者に対しては、非常にまあ苛酷、まあこれは相対的な問題ですが、苛酷な規定ではないかということを非常に心配するのですが、まあ実際そういうことであるとすれば、如何ですが、そういう事実は全然ないとお考えですか。或いはあつても請わないとお考えですか。
#105
○政府委員(鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点は、実際問題として記帳等も正確にしていない。従つて聞かれても答えられない。答えることができないというような者、或いは一応は答えたけれども、更に問い詰められると答えられないといつたような者の場合に、いよいよ苛酷になるのではないかというような意味でのお尋ねであつたように伺いましたので、便宜私のほうからお答え申上げたいと思いますが、今御指摘のようなことがやはり相当あろうかと存じます。そういうような場合は、今のこの「答弁をしない者」という中には入らない。要するに答弁できない者でございますから、要するに故意に、答弁をし得るにかかわらず答弁しない者がこの懲罰の対象になるというふうに私どもは従来解釈をして運用をいたしておるのであります。
#106
○松澤兼人君 これはまあ我々がこういうところで考えれば、そういうことは、それは意識的に答弁をしない者というだけを捕まえるのである、こういうことは言えると思うのです。実際若い税務吏員が二つ、三つ法律を言つて捕まえようとすれば、幾らでも僕は実際上は答弁をしない者という結果になる事例が起つて来るだろうと思います。そういうことを我々は心配しなくちやならんと思うのです。又こういうことを申上げることはどうかと思うけれども、併しもうどんな商売でも大概二重帳簿を作つていますわね。そこで一方で二重帳簿を隠しておくつもりだつた。ところが何の間違いか、表へ出ちやつたということになると、この二号のあれになつて来るわけですね。で、まあその問題は別としても、そういうことで以て、こういう一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金というものを持つて来る可能性というものは、もうどこでもざらにあることだろうと思うのです。そういうことは非常に苛酷だと、こう思うのですが、その点は如何ですか。
#107
○政府委員(鈴木俊一君) 只今御指摘の点は、実際の運用の問題として、誠に御心配になるのはまあ当然と申しますか、誠にそうあることと思うのでございますけれども、かねて徴税に当つての徴税吏員の職務執行については、できるだけよく懇切丁寧に、又実際を離れた甚だしく非現実的な処置にならないようにすることをいろいろな機会に指示をし、指導いたしておるわけでございまして、又各都道府県におきましても、それぞれ吏員の研修施設等におきまして、そういうようなことをやつておるわけでございます。併しそれだからといつて、今御指摘のような御心配がないということは勿論ないと思うのでありますが、今後も併し御指摘のようなことがないように一つできるだけ注意をするように、これは実際の運用の面で私考えて参りたいと思うのであります。ただ具体的にそういう行為をしました者にどういうまあ罰が検察官によつて論告され、又裁判所によつて具体的にどういう判決が下されるかは、結局司法なり、検察官の公正なる運用の問題になるのであろうと思いまするが、やはり徴税に当りまする吏員が、その前提として告発するというようなことがまああるわけでありますが、併しこれはよほど、やはり数回同様な事案が繰返されて、何としてもどうもしようがないという場合に、現実の問題としては行われると思うのでありまして、極く簡単な形式的な事案が常に告発されるというようなことは、実際問題としてあり得ないと思うのであります。そこいらがやはり実際の徴税吏員の高い教養に待つ点と思いますので、今後も更に注意を加えて参りたいと思うのであります。
#108
○松澤兼人君 大変まあ結構な御答弁ですけれども、税務吏員が次長のお考えになつていらつしやるようならばそれはまあ問題はないと思うのです。併し税務吏員といえどもやはり人間です。どうしたつて感情的になつて来ますわね。それだから、我々とすれば、こういう事態が起つた場合に、何か救済規定と申しますか、他の方法で、例えばまあ審議会だとか、調査会とか、何とかというものが別にどこかにあつて、そういういざこざなり、ごたごたなりが起つた場合に、一応そこへ移して、本当にその納税義務があると認められる者がこういう規定によつて処分されるものであるかどうかということが審査されるという、そういう機関があればともかくも、感情の余り、一回、或いは二回質疑応答を繰返したところ、この八十四条の一項の三号の規定によつて、質問に対して答弁をしないということで、この規定が適用になるということは、それは十分考えられる。それですから、若しこういう規定を作つて、そういういざこざが起らないようにするためには、ほかの方法で、何か審査とか或いは調査とか、これは機関あつて、そういうごたごたは一応そこへ移して……、告訴なりそういう手続をとらずにやれる方法があればこれは別ですけれども、そうでない限りは我々は非常に心配しなきやならんと思うのです。もつとこう具体的に何かいい解決の方法というものは考えられませんか。
#109
○政府委員(鈴木俊一君) まあ今非常に徴税吏員として不適当な措置をやつた。まあそれが何といいますか、職権の濫用に亘るような問題になれば、これはまあ当然そちらの刑事上の問題になつて来るわけでございますが、そういうような問題に及ばないでも、一応違法な措置をやつたといつたような場合につきましては、例えば自治法の二百四十三条の二のような、いわゆる納税者訴訟といいますか、そういう形のものがあるわけであります。で、これらも具体的にどこまで運用されておりまするか、若干の運用の事例は我々も報告を受けておりますが、まださほど徹底しておらんと思いますけれども、そういうようなものの運用によつて或る程度はやはり是正できると思うのであります。何と申しましても納税のことは、直接にはやはり税金が高いか低いかということでありまして、納税者の納得を得ないような結局負担が課せられたということになりますると、多くがこれは異議の申立というような形で具体的の行政救済が行われることになると思うのであります。そういうような方法で大体措置できるのではないかと考えます。
#110
○松澤兼人君 何か当面の救済方法ということについてお考えになつていらつしやるかどうかですね、と申しますことは、この規定を受ける前条というもつのは、「納税義務があると認められる者」とかいうことがその前提になつているわけですね。ところが「認められる者」というものがはつきりしないという場合も考えられますし、そしてこの「認められる者」というのは、その前には非課税の規定がずつとあるわけです。それから事業税の対象にならない人はどういうものであるか、対象になる人はどういうものであるかということがその前に書いてあるわけです。そこで新らしく事業を始めつたというような者が、自分たちが事業税の対象になるかどうか、或いは自分のやつておる商売が非課税の対象になつているのかどうかということがはつきりわからない。そういう場合に自分自身が納税の義務があると考えない。結局都道府県においてお前は納税義務があるぞということを認定した上で直ちに八十四条に来るということでありますから、八十四条の運用というものは非常に私はむずかしい問題であろうと思う。そこで先ほど申しましたように、直ちに告訴するとか、何とかいう裁判上の手続に入るまでに何か救済する方法というものは考えられんものだろうか、簡単に……。いずれにいたしましても、検査員或いは税務吏員が越権の行為があつたということも、これは裁判の手続をとらなければ越権であるかどうかわからない。そうして自分がやつたことが八十四条の規定によつて罰せられるかどうかという黒白も、やはり裁判の手続をとらなければならん。零細な人がそういうことをやり得る資力なり或いは時間がないということも当然でありますし、若しそういう反対的な法律的手続をとつたとすれば、その後又いろいろの面においていろいろいじめられるであろうということを非常に恐怖して、そういう手続がとれないということも考えられると思うんです。ですから何とかしていわゆる法律で黒白を争うということの前に、何らかの救済的な方法というものがなければならんと思うんです。如何ですか。
#111
○政府委員(鈴木俊一君) 只今もちよつと申上げましたように、結局お話は具体的のその税金を納めるということについて、納税者が納得をしないという場合に、いろいろ質問その他が行われることが多いと思うのでありますが、そういうような場合には、結局その納税者としては異議の申立といいますか、賦課が違法である、或いは錯誤があるというようなことを理由として異議の申立を、事業税の場合には、知事に行う、そういう過程を通じて救済せられるべきものは救済せられると思います。
 それからいま一つは、先ほど申上げましたように、自治法の中に納税者訴訟という言葉を使つておりますが、要するにこれは監査員に対して地方団体の職員がいろいろな公金の違法な支出というようなことがあつた場合に監査の申出をするわけでありますが、そういう場合でなくて、例えば不当な処分があつたというような場合においても、監査員に監査請求をする。そこで税務職員の処置が非常に不当な処置であるというふうに認める場合には監査の請求をする。その審査の過程においてその事柄を明らかにするというような方法もあろうかと思うのであります。併しながらいずれにいたしましても、御懸念になりますようなことがありませんように、私ども若しもこの税法が通過いたしました暁におきましては、運用の上において十分指導いたしたいというように考えておるのであります。
#112
○堀末治君 如何でございましよう。なかなか憲法論議で非常に問題が面倒になります。若し何なら今日は大分お昼も過ぎておりますので、ここで打切つて、午後から適当なときに長官からこれに対してはつきりした見解をお聞きし、なお又皆さんからも希望もはつきり長官に申述べられて後審議を進めたら如何でしようか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#113
○加瀬完君 法制局が立法背景という言葉をさつきおつしやいましたが、立法背景という見解から見れば、現在の税というものば戦前の一二・八%に比べて二一・二%というふうに非常に重くなつておる。具体的な例として、それが数多くないにしても一家心中とか、倒産のために主人が逃亡するとか、自殺するという例も少くてもたくさんあるわけです。又徴税成績が上つておらないかというとどこでも百パーセントを遙かに超えている。こういう立法の背景を考えますときに、一体こういう非常に疑義を持たれるような条項を一章加えなければ徴税能率が上らないか。徴税能率には少しも関係のないことじやないかというような立場も考えられるんです。そこで鈴木次長さんのお話を承わつておりますと、それがたびたび説明されたのでありますが、政府もそうでありますが、憲法違反じやないかというふうな、或いは憲法や或いは個人の権利というものから考えて権衡を失しているんじやないかと思うことも、執行者或いは行政官が非常に注意をしてやれば大丈夫だ。法律を作る上にこういう馬鹿なことはない。誰がやつてもそういう心配はないという法律を作らないでも、行政の手心によつて何とかそれを危ない点は緩和されるだろうという立法を許すということは、私は立法の考えとしては本末を顛倒しているものだと思う。そういう点ですね。そこで今の三において個人の財産権というものを、或いは個人の権利というものをこれほど、これだけの条項でこれほどまで制限しなければ一体徴税の成績が上らないということが成り立つのかどうか。そういう場合、こんなものを取つちやつてもいいじやないかという議論が成り立たないか。法制局に……。
#114
○政府委員(林修三君) そこはこの立法に当つての事態の具体的判断になると思うのでございますが、結局租税収入というものを確保する、或いは法律に定められた租税義務の徴収を確保するというために行政当局にどれだけの手段がなければできないかという問題でございます。勿論、併しそれの確保のためには、行政当局から言えばいろいろ便宜な方法があつたほうが便利でございます。併しそれは便利であるだけでは勿論いけないわけでありまして、公共の福祉上必要最小限度に要求される点までしか許されないことは、これは当然のことであると思います。従いまして結局、何回も繰返すようになりますが、この地方税法の規定を公共団体が執行する場合において、適正な徴税を確立するためにはこういう規定が要るか要らないかという問題に結局帰するのであります。結局税につきましては、やはり個人の権利なり個人の財産権の確保ということも勿論重要な要素ではございますけれども、一方において租税が適正に取られるということが又重要な要素をなしている。従いましてやはりそれをめぐりましては、或る程度地方公共団体につきましてもそれが適正に確保されるだけの手段がなくちやならないのじやないか。ここにございますいわゆる質問権でございますが、答弁をしないというのは、先ほどもお答えいたしました通りに、いわゆる税法を知らないで、いろいろ客観的にできないというだけではなくて、やはり故意にしないという問題に対しての罰則でございます。そこにやはり或る程度のことは許されるのじやないかと、かように考えます。
#115
○加瀬完君 そういうことじやないのですよ。これがこの条項が取られても徴税事務には何ら支障は来たしていない。実は統計からいつても、増収分というものは多く見込まれている。百パーセント以上税金は取られている。それにこんなものを無理に付けて、いろいろの問題が生ずるような、疑義を持たせるような条項を盛らなくてもいいじやないか、そういうことなんです。
#116
○政府委員(林修三君) どうも実際の徴税の問題になりますので、実は私のほうからお答えするのが適当かどうか。むしろ日治庁からお答えいたすべきことじやなかろうかと実は思います。
#117
○政府委員(鈴木俊一君) たびたびお尋ねでございますが、若干その点では私ども見解を異にすることになると思うのであります。私どもはやはりかようなものは必要であると考えております。
#118
○委員長(内村清次君) 事業税の問題はこれで質疑を打切りまして、次に進みたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(内村清次君) それではそのように取計らいます。
 二時半まで休憩をいたします。
   午後一時三十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時五分開会
#120
○委員長(内村清次君) 休憩前に引続き地方行政委員会を開会いたします。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 第三節の不動産取得税から第九節の道府県法定外普通税、即ち第二章を一括して逐条説明を願います。
#121
○政府委員(奧野誠亮君) 百八十四頁から不動産取得税が始まつておるわけであります。
 第百十一条は「不動産取得税に関する用語の意義」を書いておるわけでありまして、不動産取得税の対象となる課税客体は一号の「土地及び家屋」であります。第四号で「住宅」とは、「主として人の居住の用に供する家屋をいう。」と書きまして、併用住宅もこの中に入ることにいたして、同時に併用住宅にも軽減措置を適用するように考えているわけであります。「価格」は、課税標準でありますが、その「価格」は五号で、固定資産税の場合と同じように、「適正な時価をいう。」ものといたしております。六号で「建築」とは「家屋を新築し、増築し、又は改築することをいう。」ことにいたしておりまして、いわゆる修繕等は不動産取得税の対象にならない趣旨を明らかにしているわけであります。即ち七号で「増築」とは「家屋の床面積又は体積を増加することをいう。」、八号で「改築」とは「家屋の主要構造部の一種以上について過半の更新を行うことをいう。」ものとしているわけでございます。
 次に第百十一条の二は、納税義務者に関する規定でありまして、「不動産取得税は、不動産の取得に対し、当談不動産所在の道府県において、当該不動産の取得者に課する。」、ところが新築等の場合に、いずれの段階におけるものに課税するかということを明確にするために第二項の規定をおいているわけであります。「家屋が新築された場合においては、当該家屋について最初に使用又は譲渡が行われた日をもつて家屋の取得がなされたものとみなし、」、もとより請負で建築をいたしました場合にも、請負主には不動産取得税はかからないわけであります。「当該家屋の所有者又は譲受人を取得者とみなして、これに対して不動産取得税を課する。但し、家屋が新築された日から六月を経過して、なお、当該家屋について使用又は譲渡が行われない場合においては、当該家屋が新築された日から六月を経過した日をもつて家屋の取得がなされたものとみなし、当該家屋の所有者を取得者とみなして、これに対して不動産取得税を課する。」、「家屋を改築したことに因り、当該家屋の価格が増加した場合においては、当該改築をもつて家屋の取得とみなして、不動産取得税を課する。」ということにいたしております。
 第百十一条の三以下は不動産取得税を課さないものに関する規定でありまして、固定資産税の場合と大体同じような考え方に則つておるわけであります。
 百十一条の三は、国等に対する場合であります。
 百十一条の四は、「用途による不動産取得税の非課税」の場合でありまして、一号は日本専売公社、日本国有鉄道等の不動産であります。で、この中で衆議院の修正によりまして「日本放送協会」の下に「土地改良区、土地改良区連合」というものが加わつております。二号は、宗教法人の関係、三号は、学校の関係、四号は、社会福祉施設の関係、それから第百八十八頁に参りまして、第五号は、日本赤十字社の関係、第六号は、学術研究を目的とする公益法人の関係、第七号は、健康保険組合等の病院、診療所の類であります。第2項で、「道府県は、保安林、墓地又は公共の用に供する道路、運河用地、水道地、用悪水路、ため池、堤とう若しくは井溝の用に供するために土地を取得した場合」には課さないものと定めておるわけであります。
 第百十一条五は、道府県は、農地法の規定によつて国から土地を売渡された場合でも課税をしないことにいたしております。
 第百十一条の六は、土地区画整理の施行に伴う換地の取得等の場合にも不動産取得税を課さないことにいたしております。同じ趣旨によりまして、この二項におきまして、土地収用法の規定によりまして損失が土地を以て補償される、或いは建築物の一部を以て補償されるという場合にも課さないことにいたしております。
 百十一条の七は、形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税の規定でございます。相続でありますとか、法人の合併でありますとかいうふうな種類のものでございます。
 百九十二頁へ行きまして、第百十一条の八は、不動産取得税に係る徴税吏員の質問検査権。
 百十一条の九は、不動産取得税に係る検査拒否等に関する罪。
 百十一条の十は、不動産取得税の納税管理人の規定。
 百十一条の十一は、不動産取得税の納税管理人に係る虚偽の申告に関する罪。
 百十一条の十二は、不動産取得税の納税管理人に係る不申告に関する過料の規定であります。
 次に百九十七頁以下に、課税標準及び税率の規定がございます。
 百十一条の十三は、不動産取得税の課税標準は不動産を取得した時における不動産の価格になるわけでありまして、改築の場合には、改築によつて増加した価格であることを二項に書いているわけであります。
 第百十一条の十四は、課税標準の特例に関する規定でありまして、住宅建築を阻害しないという意味におきまして、住宅を建築した場合には、当該住宅の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定につきまして、一戸につき百万円を価格から控除するものといたしております。終りから三行目に一戸の規定を更に「共同住宅、寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分をいう」ものとして、十世帯を収容する共同住宅でありますと一千万円を控除すると、こういうことになるわけであります。二項で共同住宅等以外の住宅を建築した者が、一年以内に一構となるべき住宅を新築した場合には、前後の建築に係る住宅を以ちまして一戸の住宅とみなすという規定をおいております。この次に衆議院の修正が加わわつておるのでありまして、即ち「公営住宅及びこれに準ずる住宅を地方公共団体から当該公営住宅等の入居者又は入居者の組織する団体が譲渡を受けた場合における当該公営住宅等の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、当該譲渡に係る住宅をもつて建築に係る住宅とみなして第一項の規定を適用する。」としております。即ち公営住宅を譲り受けました場合にも百万円を控除したものを以て課税標準とするという趣旨でございます。次に四項は、従来の政府案の三項でありますが、耐火建築促進の趣旨において補助金の交付が行われておりまするので、その補助金の交付を受けまする者につきましては、補助金の額を控除したものを以てこの税の課税標準とするものと定めております。次に、農林漁業金融公庫法の規定に基きまして、資金の貸付を受けて農林漁業者の共同利用に供する施設を取得いたしまする場合にも、この貸付を受けた貸付金の額は価格から控除したものを以て課税標準とするものといたしております。五項は、やはり土地収用法の適用をし得るような事業に不動産を譲り渡したために同じような不動産を取得しなければならない。そういう場合には譲り渡した日から一年以内に買受けます場合には、前の不動産の価格相当のものを控除したものを課税標準とするということにいたしまして、土地収用等の事業を行います者に譲り渡した場合であつても、強制的に収用された場合と同じように課税をしない趣旨を明らかにしているわけであります。
 二百頁の第百十一条の十五で、不動産取得税の標準税率は百分の三と定めておりますが、併し二項で増税をいたしまする場合にはあらかじめ自治庁長官に対してその旨を届出なければならないものといたしております。
 百十一の十六は、不動産取得税の納期について。
 百十一条の十七は、不動産取得税の徴収の方法。
 百十一条の十八は、不動産取得税の賦課徴収に関する申告又は報告の義務。この申告又は報告は、固定資産税との関係もございますので、第二項で「前項の規定による申告又は報告は、文書をもつてし、当該不動産の所在地の市町村長を経由しなければならない。」ことといたしております。こうすることによつて、両者の連絡を密にして行きたいと考えているわけであります。
 百十一条の十九は、不動産取得税に係る虚偽の申告等に関する罪。
 百十一条の二十は、不動産取得税に係る不申告等に関する過料。
 百十一条の二十一は、不動産の価格の決定に関する規定であります。即ち「道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。但し、当該不動産について増築、改築、損かいその他特別の事情がある場合において当該両足資産の価格により難いときは、この限りでない。」、要するにすでに固定資産税が課されて、従つて市町村長の決定した価格があります場合には、これをそのまま不動産取得税の課税標準に使つて行くという趣旨であります。二重の調査はしないという趣旨であります。第二項で「道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は前項但書の規定に該当する不動産については、第三百八十八条第三項の規定によつて示された評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続に準じて、当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。」。新らしい家屋などでありまする場合には、固定資産税がまだ課されておりませんので、きまつた価格というものがございませんので、道府県知事が決定するわけであります。別途固定資産税のほうに、将来市町村が固定資産税を課して行きまする場合には、この価格を原則としてそのまま固定資産税に使つて行くのだという規定を加えております。従つて三項で「道府県知事は、前項の規定によつて不動産の価格を決定した場合においては、直ちに、当該価格その他必要な事項を当該不動産の所在地の市町村長に通知しなければならない。」と規定しているわけであります。四項で「道府県知事は、不動産取得税の課税標準となるべき価格の決定を行つた結果、固定資産課税台帳に登録されている不動産の価格について、市町村間に不均衡を認めた場合においては、理由を附けて、関係市町村の長に対し、固定資産税の課税標準となるべき価格の決定について助言をするものとする。」、こうして市町村間に固定資産税の評価の不均衡を生じておりまするものを是正して参りたい、かような考え方をとつているわけであります。
 百十一条の二十二は、固定資産課税台帳に登録された不動産の価格等の通知、市町村長から府県のほうに不動産取得税の申告を取次ぎます場合には、その価格も一緒に連絡をするという趣旨でございます。
 百十一条の二十三は、逆に道府県知事に対しまして固定資産課税台帳に載つかつておりまする価格を見る権限を与えるという趣旨の規定であります。
 百十一条の二十四は、「住宅を新築する土地の取得に対する不動産取得税の減額」でありまして、「道府県は、土地を取得した者が当該土地を取得した日から一年以内に当該土地の上に住宅を新築した場合においては、当該土地の取得に対して課する不動産取得税については、当該税額から六十万円に税率を乗じて得た額を減額するものとする。」としております。この六十万円につきましては、括孤の中に書いてありますように(共同住宅等を新築した場合又は住宅を新築して譲渡し、若しくは賃貸する事業を行う者が譲渡し、若しくは賃貸するための住宅を二以上新築した場合において、当該土地に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を当該土地の坪数で除して得た額に当該住宅の床面積の合計二倍の面積の坪数を乗じて得た金額が六十万円をこえるときは、当該金額)に税率を乗じて得た額を減額するものとしております。即ちアパート等の場合には、その延坪数の二倍の土地までは課税をしないという趣旨であります。
 百十一条の三十五は、「住宅を新築する土地の取得に対する不動産取得税の徴収猶予」、いずれにしても減額するわけでありますから、一年以内に住宅を建てるようなものにつきましては、それまでの間減額すべき額に相当する税額を徴収猶予するのだと定めているわけであります。
 百十一条の二十六は、「住宅を新築する土地の取得に対する不動産取得税の徴収猶予の取消」、新築せられないような場合には徴収猶予を取消すということでございます。
 百十一条の二十七は、「不動産取得税の還付」でありまして、すでに土地の取得に対する不動産取得税が徴収されておりまして、後に住宅が建てられました場合には、それだけの額を還付するということでございます。
 百十一条の二十八は、「地方鉄道の営業用固定資産に属する不動産の取得に対して課する不動産取得税の還付」の問題であります。国が補助金を与えて地方鉄道軌道を作らせる場合には、補助金を与えましたその額に税率を乗じて得た不動産取得税相当額は還付すると、こういうことでございます。国が補助金を与えて仕事をさせる面については課税をしない、こういうことを書いているわけであります。
 百十一条の二十九は、「不動産取得税の脱税に関する罪」。「百十一条の三十は、「納期限の延長」。百十一条の三十一は、「減免」。百十一条の三十二は、「延滞金」。百十一条の三十三は、「違法又は錯誤に係る不動産取得税の賦課の救済」で、いずれも例文であります。
 第四款の「督促及び滞納処分」、これも例文でありますので省略さして頂きます。
 二百二十一頁の第五款の犯則取締も例文でありますので、これも省略さして頂きます。
 二百二十二頁の第四節、「道府県たばこ消費税」、第百十二条、「道府県たばこ消費税は、日本専売公社がたばこ専売法第二十九条第一項に規定する小売人に売り渡す製造たばこに対し、小売人がその販売の時によるべき同法第三十四条第一項の小売定価を課税標準として、小売人の営業所所在の道府県において、公社に課する。」と定めております消費税でありますが、課税の便宜から専売公社を以て納税義務者にいたしておるわけであります。二項で、「前項に規定するものの外、公社が国内消費用として直接消費者に売り渡す製造たばこに対しては、たばこ消費税は、その売渡しの時によるべき当該製造たばこの小売定価を課税標準として、当該売渡しをする公社の事務所所在の道府県において、公社に課する。」ものとしております。山の中で発電工事が行われる、そういう場合には、たばこの小売人がおりませんので、公社が直接たばこを売渡すわけでございます。で、こういうものにつきましては、公社の事務所所在の週府県に課税権を与えようとしているのであります。国内消費に限るのでありまして、輸出のものには課税をしないという趣旨でこの規定を置いておるわけであります。
 百十二条の二は、「たはこ消費税の税率」でありまして、百十五分の五という一定税率にいたしております。
 百十二条の三は、たばこ消費税に係る徴税吏員の質問権であります。
 百十二条の四は、「たばこ消費税の徴収の方法」、即ち「たばこ消費税の徴収については、申告納付の方法によらなければならない。」とし、第二項で、「公社は、総理府令で定める様式によつて、毎月小売人又は直接消費者に売り渡した製造たばこに係るたばこ消費税の課税標準額、税額その他必要な事項を記載した申告書を、翌月二十五日までに、製造たばこを売り渡した小売人の常業所又は直接消費者に製造たばこを売り渡した公社の事務所所在地の道府県知事に提出し、及びその申告した税額を当該道府県に納付しなければならない。」ものとしているわけであります。前月に売つたものを二十五日までに納める、こういうことにいたしておるわけであります。
 次に、百十二条の五は、「たばこ消費税の納期限の延長」。
 百十二条の六は、「納期限後に納付するたばこ消費税の延滞金」の規定であります。
 次に、二百二十七頁の終りから六行目と五行目の間に、遊興飲食税についての衆議院の修正が加わつております。即ち百十四条の二の第二項を改めておるのでありまして、「道府県は、もつぱら茶菓その他これに類するものを提供する場所で政令で定めるものにおける一人一回の料金が百円以下である飲食又は大衆飲食店で政令で定めるものにおける一人一回の料金が百二十円以下である飲食に対しては、遊興飲食税を課することができない。」としているわけであります。即ち現行法では、喫茶店や麺類食を提供する家におきまして、一人の価格が五十円以下のものであり、総額百円までのものについては遊興飲食税を課さないことにしているのでありますが、一人の価格が五十円以上のものでありましても、総額が一定金額以下であれば遊興飲食税を課さないこととしているのが一点であります。もう一つは、飲食店でありまする場合には、麺類食提供の店に限りませず、大衆飲食店であれば、すし屋さんでありましても、一人一回の料金が百二十円以下であれば課税をしないというふうに改めておるわけであります。なお更に旅館につきまして、百十四条の四項として「道府県は、政令で定める大衆旅館における宿泊で一人一泊の宿泊料金が四百円から七百円までの金額の範囲内で当該旅館の所在する地域の区分に従い政令で定める金額以下のものに対しては、遊興飲食税を課することができない。」という規定を加えております。
 次に、自動車税でありますが、自動車税の税率を、そこに記載してありまするように、政府案で改めたわけでありますが、衆議院で修正の加えられました点だけを申上げますと、二百二十八頁の初めから三行目、「年額一万八千円」というところが「一万五千円」に下つております。半面、二百二十九頁の初めでありますが、トラツクにつきまして営業用と自家用とに区分いたしまして、そこに書いてありまする一行目の「揮発油を燃料とするもの」は「年額一万四千円」、これを「一万五千円」に引上げまして、これを自家用にだけ適用するようにしております。半面、営業用につきましては、揮発油を燃料とするものは「一万四千円」そのまま。その他のものは「二万一千円」としまして、政府案の「二万三千円」を二千円だけ軽減しているわけであります。自家用のトラツクについては、「その他」は政府案通り三万三千円であります。バスにつきましては、「主として観光貸切用のもの」の「その他」の「五万円」の所が「四万五千円」になつております。「その他」のうちの「その他」、即ち観光貸切用でないバスであります。そのうちで揮発油を燃料としないもの「二万三千円」が「三万一千円」に下つております。次の四号、三輪小型自動車につきましては、やはり営業用と自家用とに分けまして、営業用は三千三百円に下げる、自家用は政府案よりも百円引上げて四千三百円にするということになつております。二百三十頁へ行きまして、六号の軽自動車「千七百円」が「千五百円」に下つておるわけであります。二百三十頁の初めから四行目、「前項第二号に掲げるトラツクの標準税率は、最大積載量が四トンをこえ五トン以下であるトラツクについて適用される標準税率とし、同項第三号に掲げるバスの標準税率は、主として観光貸切用のバスにあつてはその乗車定員が四十人をこえ五十人以下であるものについて、その他のバスにあつてはその乗車定員が三十人をこえ四十人以下であるものについて適用される標準税率とする。」、これは新らしい標準税率がどのような種類の自動車に適用されるかということを明らかにしたわけでありまして、ここに書いてありまする自動車は、いずれもトラツクなりバスなりにおいて一番台数の多い規格のものでございます。
 それから百五十条の第三項は、条文の趣旨を一層明らかにする意味で加えた修正でございます。本質的な問題じやございませんので、遠慮いたしておきます。
 三百三十一頁の終りから三行目「狩猟者税の税率」でありますが、この狩猟者税の税率は、二千四百円とするという政府の案を、衆議院の修正によりまして三つの区分に分けられております。即ち一つは、「当該年度の初日の属する年の前年分の所得税を納付する義務を有しない者又は農業を主たる生業とする者でもつぱら自家労力によつてこれを行う者」については、千八百円に引下げる。半面、「その他の者」は、三千六百円に引上げるというふうに改正されておるわけであります。そこまでが道府県税の問題でございます。
 第八節の法定外普通税については特に申上げる問題はございません。
#122
○委員長(内村清次君) それからちよつとお諮りいたしますが、只今説明の項の質疑を開始します前に、建設委員の田中委員から、耐火建築に対する地方税の軽減に関する件について、約十分間ばかり委員外発言を求めておりますが、許可してよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#123
○委員長(内村清次君) それではさようにします。
#124
○委員外議員(田中一君) 前回の委員会で申し落した分についてもう一遍お願いに上りました。
 それは現在の政府は耐火建築促進法、いわゆる耐火建築を建てる場合には木造部分と不燃構造主要部分の建築費の差額を四分の一国庫負担、四分の一を都道府県の負担として助成しております。一面又現在建設委員会で審議中の土地区画整理法案においては、立体宅地というものを設定いたしまして、空間に鉄筋コンクリートの建築物を建て、その空間の宅地というものを換地の対象として設定しよう、このような案も出ております。従いまして現在政府の意向としましては、都市における耐火建築を相当大幅に助成し、同時に促進しよう、而して土地の不燃化を図ろうという意図が明らかでございます。この際本委員会にかかつておりますところの不動産取得税のうち、少くとも新丸ビルのような一坪三十万、四十万かかるものでありましても、大体におきましてその主要構造部分というものは、今回住宅金融公庫法の改正によりまして値上げをしました分を加えましても、おおむね三万二千円程度が主要構造部分でございます。例えば都営住宅並びに住宅金融公庫とか共同建築として建つておりますところの鉄筋コンクリートにいたしましても、同じように坪の総額といたしましては、五万何千円、或いは六万、七万という単価を呼んでおりますが、その主要構造部分というものは、同じように二万八千円乃至三万二千円で建つておるのでございます。従いまして新丸ビルのような一坪四十万の建築物であつても、アパートのような一坪四万五千乃至五万程度の耐火建築でございましても、主要構造部分というものは同じ値段でございます。私が希望いたしますのは、新丸ビルの場合には、主要構造部分を除く、いわゆる二万八千円乃至三万三千円程度のものを除きまして、その後の贅沢な部分、いわゆる意匠の部分でございます。この部分について、できるならばせめて高率な税率をかけ、政府が今日促進し、又助成しておりますところの耐火建築の主要構造部分に対しましては、二万八千円乃至は三万二千円程度の基礎控除をして頂きたい、これが私のお願いでございます。坪高いものでも安いものでも、本当の耐火建築というものの値段はちつとも変りございません。この点につきまして、塚田大臣がどういう御見解か、先ず伺いたいと思います。
#125
○政府委員(奧野誠亮君) 耐火建築に関しまする……
#126
○委員長(内村清次君) ちよつと持つてくれ……、どうです塚田大臣、あなた何かこう考えて……。
#127
○委員外議員(田中一君) 塚田さんは曾つて鹿島建設におつて、そういう点については非常に研究が行き届いてあると思うのです。で、大臣に伺いたいのです。
#128
○国務大臣(塚田十一郎君) 税務部長からお答えさして頂きます。
#129
○政府委員(奧野誠亮君) 耐火建築の促進を不動産取得税が阻害する面を持つてはなりませんので、特に他の面において耐火建築の促進助成して行く、そういう場合には、その面は課税標準から外すというふうな方針をとつておるわけであります。それ以上に不動産取得税のほうで促進的な規定を設けるということは、現在の段階ではなかなかやりがたい、こういう考え方を持つておるわけでございます。
#130
○委員外議員(田中一君) 一つの例を申しますと、新丸ビルの一階あたりは坪四十万かかつております。それから例えば都営アパートのような非常にシンプルな化粧のない建物、これはまあ五、六万程度でできております。併しながら主要構造部分、耐火建築の重要な要素のある部分には四十万円の新丸ビルも、それから五万二、三千円のアパートも同じ主要構造部分を持つているのです。従つてどうも化粧のない……、化粧しておる化粧代には一つ高率の、今まで奢侈品的な税率も考えておれた政府ですから、化粧部分に対しては多少高率のものであつても差支えないのじやないかと思うのです。従つて本当の根本的な、例えば新丸ビルにしましても、少くとも四十万かかつております部分につきまして、二万八千円乃至三万二千円の基礎控除をして、その後の部分に高率課税をするということが、最も耐火住宅を、耐火建築を促進する意味になるのじやなかろうかと思うのです。助成する意味になるのじやなかろうかと思います。従つてそういう形にしましても税収入としては余り差異がないのじやないかというふうに考えるのです。
#131
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように今回不動産取得税を設けようとしておりますのは、不動産を取得するというときには比較的担税力のある際でありますので、この際に三%程度、特に重いという税率でもないと思いますが、三%程度の税を負担してもらう。その代り耐火建築でありましても、将来に亙りまして〇・一%ずつ引下げて行きたい、こういう考え方に立つておりまするので、やはり耐火建築でありましても、他の方面で別途助成政策がとられることになつております部分につきましても、不動産取得税の課税から除外するようにいたして行きたいのでありますけれども、特に耐火建築だけ、それ以上に不動産取得税の面で軽減措置を講ずるということは、この固定資産税の軽減との関連から参りましては、少し困難なような問題だというふうに思うわけでございます。
#132
○委員外議員(田中一君) 建設委員会で審議中、衆議院はもう通つて来ましたけれども、土地区画整理法案におきまして、先ほど申上げたような空間の宅地というものを法律で認めているのです。やはりその区画整理いたしますと、都市計画に基いて区画整理いたしますと、どうしても宅地の減歩がひどくなります。その部分に対して今日では土地の所有者並びに土地の借地権者にまでもその権利を及ぼそうということになりますと、従つて宅地が減つて来ます。これではならないというので、空間に宅地を設定することを考えております。これは衆議院は通つて参りました。いわゆるその部分に鉄筋コンクリートで建築をするその場合の二階なり三階の十坪なり十五坪なりというものを、地上における換地と同じように、空間における宅地としてこれを再分配しようという形でございます。いわゆる地上において減歩率がひどくなり、今までの土地区画整理法という考え方は、土地の所有者のみに権利を与えたものでありますし、今度の新法は、土地の所有者並びに借地権者に対しても同じような土地の権利を認めておる。従つて宅地が非常に減つて来ます。減歩率が高くなつて来る。これではならないというので空間における鉄筋コンクリートの建築を作つた場合には、空間における一階の或いは二階のベース、三階のベースというものを宅地と同様な取扱をして行くという考え方を持つておるのです。従つてこのようなことが土地区画整理組合並びに地方、都道の府県の施行の土地区画整理、同時に行政庁関係の土地区画整理、この事業が行われた場合、この土地そのものがこれはすべて国民のものなんです。土地を国が買上げるのじやなくて、都市計画によりまして一応事業の主体が預りまして、そうして区画整理をして、残つたものに対してそれ相当の宅地を提供する、再分配する、換地を与える、こうなつておるのです。従つてこの際にはそれは税法の無論対象になると思うのです、個人の取得ですから……。これでは折角いい法律ができて、又少くとも国民の犠牲を少しでも軽減しようという場合、こうした今度の税法に引つかかりますと、結局区画整理をいたしまして自分の所有する土地が減つて来る。自分の借地権として持つておつたところの土地が減つて来る。そうした上に、なお且つ税金をかけるということになりますと、そういうもの自身も妨害されて来るというようなことになると思うのです。私は先般申し上げたように、大した税率じやないと考えるのですが、もう一遍この土地区画整理法に基く区画整理をされた場合のちやんと明文化されておりますその空間の宅地というものは、鉄筋コンクリートでなくちやならない、こうなつておりますから。この点如何ですか。
#133
○政府委員(奧野誠亮君) 問題は固定資産の評価の問題に関連して来るのじやないだろうかというふうにお話を伺つておつて考えるのでございます。といいますのは、若しその区画全体に値打ちのないもの、その家屋だけ考えた場合には何ら価値のないものを附加えさせて行くというような場合があるように伺つたのでありますけれども、そういう場合には、その建築物の価値自体が減殺されて来るのじやないかと思うのでありまして、若しそういう問題でありますならば、将来不動産取得税の課税標準の決定等に当りまして十分検討して参りたいというふうに思うわけであります。
#134
○委員外議員(田中一君) 私各委員のかたに申上げたいのでございますが、一面現政府としては不燃建築を促進しておきながら、却つてその不燃建築の建設を阻害するような新らしい税を作られるということにつきましては、十分慎重に御検討願いたいと思うのです。殊に今のような新らしい思想の下に空間の宅地までも設定しようというような意図が建設省にある。併しながら地方行政委員会におきまして、この税法につきまして、まあできるだけその意思をおくみ取り願つて、できるならば御修正願いたいと、かようにお願いいたしまして、私の発言を終ります。
#135
○委員長(内村清次君) 委員のかたの質疑を願います。一括してよろしうございますから。
#136
○島村軍次君 不動産取得税は今回創設に当りまして従前のこの不動産収得税との間に先ずどういう考え方に相違を持たれて立案されたのですか。
#137
○政府委員(奧野誠亮君) 従来ありました不動産取得税の課税対象では、土地と家屋だけじやございませんで、いわゆる山林等でありまして、不動産の扱いを受けるものは全部課税客体になつておりまして、今回は土地と家屋にはつきり限定をいたしております。
 もう一つは、不動産取得税の納税義務者でありますとか、或いは課税時期でありますとか、或いは課税標準でありますとか、そういうことにつきまして極めて明確に規定を置いておりまして、かなりすつきりしたものになつているだろうと思います。
 第三には、住宅の建設を阻害しないという意味で、土地や家屋の取得に対しまして特別な軽減措置を加えてございます。
 第四には、税率の点につきましては、廃止されました時は二割まで高めておりました。それを今回は三%にいたしますと同時に、それだけを追加しただけじやございませんで、同じ種類の負担になつて参ります。固定資産税をかなり軽減いたしておるわけでございます。
 第五には、従来は府県と市町村とが折半して課税しておりましたけれども、不動産取得税は全部府県の側で課税をするというふうな建前にいたしてございます。
#138
○島村軍次君 従来の不動産取得税におきましては、不動産をいわゆる取得した時日から課税の時期が非常にずれまして、例えば三年後とか五年後に不動産取得税を取るという実例が多くあつたと思うのであります。今回の不動産取得税には、その点に対して何か特別な規定が設けられておりますかどうか。
#139
○政府委員(奧野誠亮君) 従来不産動取得税の課税の時期がかなりずれておりましたのには、一つには、いつ不動産の取得があつたかということが、家屋の建築等の場合におきましては、かなり争いのあることだと思います。その争いある結果が自然非常に時期がずれるということにもなつたんだろうと思いますが、今回は使用又は譲り渡しのあつたときに取得のあつた時とみなすという規定を置いておりますので、この点かなりはつきりするんじやないかと思つております。
 第二には、課税客体の捕捉が非常に遅れておつたという結果、不動産取得税の課税が殖えて参つたと思うのであります。この点は従来、今の固定資産税のようなものが国税として地租や家屋税があつた、或いは又府県や市町村の課税標準というものを賃貸価格として国が規定しておつた。自然新らしく家屋ができましても、なかなかその賃貸価格がつけられない。国に委ねられておりますので、自然非常に遅れて来るという場合もあつたと思うのでありますが、すでに固定資産税がかなり円滑に運用されるようになつて参りまして、それらの把握が市町村によつて的確に把握されるようになつて参つております。売買の場合でありましても、所有者が異なりますので、市町村の納税義務者が変つて参ります。従いましていずれにいたしましても、不動産取得の把握というものがかなり的確に従来よりは行われるようになるんじやないかというふうに考えております。
#140
○島村軍次君 先般この建設委員会からの希望のありましたいわゆる家屋の買入に対しての問題に対して、自治庁の意見はどういう考えでありますか。
#141
○政府委員(奧野誠亮君) 不動産取得税に限らず、税はすべてそうなんでありますが、弾力性のある所から税を徴収して行きたい、こういう考え方を持つておるわけであります。固定資産税につきましては、価格の如何を問わず、特に免税点以下でありまするものは別でありますけれども、それ以外に全面的に課税をして行くという建前をとつておるわけであります。従いまして今回の不動産取得税につきましても、不動産の取得という担税力のある機会に或る程度の税を負担してもらいたい。従いまして特殊のものについては課税をしないというふうなことはやりたくないわけでございます。ただ住宅が払底しておりますので、その建設を阻害するような役割をしてはならないのでありまして、そういうような意味において若干軽減措置を設けておるわけであります。担税力があるとか、担税力がないとかということで軽減措置を設けておるのではないのでありまして、住宅の建設を阻害しないという意味であの軽減措置を設けておるわけでございます。従いまして古い住宅でありまする場合には、やはり全面的に課税をしたい。その代り全体的に将来に亘つて固定資産税の税率は引下げて行きたいというような考え方を持つておるわけであります。一般に人税のようにあらゆる問題を総合して考えるわけではございませんので、一つ一つの不動産取得なり、或は固定資産なりに着目して課税して行くものでありますので、そこに特殊な担税力というものに配慮を加えることは困難じやないか、あらゆるものを総合して考える場合には担税力の考慮ということは強いのでありますが、そうでありません場合には、非常にその点がむずかしくなるというふうに考えておるわけであります。
#142
○島村軍次君 先ほど問題になつた罰則規定に関しまして、本法の不動産取得に関しては百十一条の九になるのでありますが、午前中の議論を傍聴いたしておりまするというと、各税ごとに同じ規定が作つてあるわけであります。今度の新設される不動産取得に関しても、やはり同じような罰則規定が作られておるようでありますが、他の税と違いまして、不動産取得等に関して同じような形を適用し、殊に一年以下の懲役というのが非常に大きい。又二十万円以下の罰金というのはおのずから軽重があるでしようが、刑罰が重過ぎるというような感じがいたすのでありますが、その点に対してはどうですか。
#143
○国務大臣(塚田十一郎君) これは先刻事業税の場合にも問題になりまして、先ほど法制局からも答弁をお聞き頂いたそうでありますけれども、その後私もいろいろ検討いたしまして、御指摘のように若干量刑の点に無理があるのではないかという感じを持つておるわけであります。まだ二十万円という罰金というのはそれほどでもありませんが、体刑の一年というものは、この事態に対しての規定としては少し無理があるのじやないかという感じを持つておるわけでありますが、先刻も鈴木次長も申したように、全部の税法についてみんな同じような規定をずつと置いておるのでありまして、この税に対して置かないということのほうがむしろ調和がとれないという関係になると考えられますので、一応ここにもこのようにおいてあるわけでありますが、これは将来の問題として、地方税は勿論、更に国税と地方税を通じて、それらの点、全面的にもう少し検討してみたいと考えるわけであります。
#144
○島村軍次君 私は特にこの際その点に関して全般を通じて希望を申上げたいことは、誠に広汎な税法の改正でありまして、実務者は或る程度まで十分これは研究するということは当然でありましようが、国民の立場から申しますというと、各税ごとに同じような規定が作られて、これはシヤウプの勧告の際の一つの私は弊害だと思うのでありまして、速かにこれは統一して、別に従前の規定がよかつたというわけでもないのでありますが、同じような規定をここにも、地方税にも入れる、不動産税にも入れる、入場税にも入れる、遊興飲食税にも入れるというような、面目それはおのずから軽重がありましようし、罰則等或いは納税義務者の取扱等に関しては一本ですべきものであるとかねがね考えておるのでありまして、この点は一つ近い機会に簡素にするという取扱を先ず望んでおきたいのであります。これは希望でありますから、特にこの際大臣の御説明を待つまでもなく、さようなことが国民一般の声であろうと思うので、お考えを願つておきたいと思います。
 それから非課税規定に関してでありますが、今回の不動産取得税は、恐らく又小さいものに対して課税をしようという考え方はないと思うのであります。例えば農家の堆舎であるとか、或いは厩舎であるとかというようなものに対しては、家屋と殆んどみなされないというようなものが相当ある。或いは又葉たばこの乾燥設備、即ち乾燥室、これは僅か十万円以下のものでできる設備でありまして、一面に国家で助成施設もやつておる、専売事業としてやつている。こういうものに対しては、本来なれば或いは非課税客体にはつきり明示してもらいたいと思うのでありますが、何か取扱上について特別なお考えをお持ちになつているかどうか。
#145
○政府委員(奧野誠亮君) 衆議院の審議の際にも、今おつしやつたようなことが問題になつたわけであります。その結果、行政指導の面において行過ぎのないようにしたいというようなことで、具体的には特に家屋と見ないと他との均衡上支障が著しく生じて来るというのでなければ、鶏舎でありますとか、堆舎でありますとかいうようなものは、固定資産税の課税客体にしないこととするというふうにはつきり通達をいたしております。かように考えております。
#146
○島村軍次君 金額で限定されますか、或いは物によつて考えるかというふうなことで、非常に限界をつけるということは困難でありますが、その点に対して、御見解を一つ……。
#147
○政府委員(奧野誠亮君) 金額の如何ではなしに、実体によつて区分したほうがよいのではないか、或いは多少金額のかかるものでありましても、特に家屋と見ないで済むものなら課税客体にするな、こういうふうな運営のいたし方にしたいと思つております。
#148
○島村軍次君 百十一条の「家屋、住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物をいい」、としてあり、土地についてもそれぞれ定義がきめられておるわけでありますが、農家の納屋というようなものは、これは一体この第三号の家屋のうちへ考えておられますかどうか。
#149
○政府委員(奧野誠亮君) 納屋を特に家屋と考えておるわけじやございませんけれども、納屋という言葉だけで家屋に入るとか入らないとかいうことはあり得ないのじやないか。やはりまあ実体の問題じやないだろうかというふうに思います。例えば田圃の中に多少鶏舎に附設して物を入れるようなものがあります。これもまあ納屋と言えば納屋でありましようけれども、むしろ鶏舎と見るべきかも知れません。そういうものはこの中に入らないというふうな取扱をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
#150
○島村軍次君 これは非常に重要な問題だと思うのであります。例えば従前の不動産取得税の場合には、これらに関して徴税吏員の不馴れのあつた点もあると思うのでありますが、担税力があるということは一つの大きな狙いでありましようが、小さいものを漁つて、そうして生産設備にまでどんどんとかけて行くという弊害が確かにあつたと思います。その点は只今の御答弁によつて大体了解をいたしたと思うのでありますが、特にこの問題等については、はつきりした通牒等によつて、誤解を招かないようにお願いいたしたいと思います。
 そこで最後に、只今の御答弁もありましたが、現在考えておられる不動産取得税については、私が例示いたしましたようなものに対しては、特殊なものを除いては、農家自身のやつているようなものに対してはかけないという考え方で通牒されるということに考えてよろしうございますか。
#151
○国務大臣(塚田十一郎君) 大体お尋ねの趣旨に副うて運営の上で善処いたして参るつもりでございます。
#152
○堀末治君 私一つお尋ねしたいのですが、この不動産取得税の税率は百分の三ということに標準税率はきめてありますね、あらかじめ自治庁長官に届出なければならないと言つて、制限税率はきめていないのですね、如何ですか、これは制限税率をきめないで、あらかじめ届出るという、まあただ届出だけですか。
#153
○政府委員(奧野誠亮君) 事業税その他の面におきましても標準税率の規定に従うわけであります。国の経済政策から特に一定税率にしなければならない、そういうようなものにつきましては、或いは若干ほかのような影響もございましようが、一定税率にするわけであります。でありません限りは、できる限り自治の建前を尊重して標準税率にしておきたい。併しながら固定資産税との関係もございますので、濫りに増税は認めないようにして行きたい。そういう意味で届出の義務を課しているわけであります。ただ従来の例で言いますと、府県が標準税率を課するというのはよほどの場合だろうと思うのであります。よほどの特別な事例がありませんならば、法律でそれを禁止するということは少し行き過ぎじやないかというふうに思つております。原則としては全部標準税率でやつてもらうつもりでおります。
#154
○堀末治君 これはこの前あつた税を一遍やめて今度改めてこれをやるわけです。ですからうつかりするというと地方としては、これはうまい税だから一つこの際うんともらつてやろうというようなことで大分強くかけたがりませんか。
#155
○政府委員(奧野誠亮君) 私たちは先ず増税をする段階は生じないだろうと思つておりますが、運用の結果で若し御心配のような事例が起きて参りますれば、その際に必要な措置を講ずるようにいたしたいと思います。
#156
○堀末治君 そうるすと大体標準税率でやつてもらうが、大体届出も一種の許可制的な届出の考え方ですか。
#157
○政府委員(奧野誠亮君) 特に市町村税の固定資産税との関係がございますので、府県民税と市町村民税との関係と同じように、おつしやつたような趣旨で運用したいと思つております。
#158
○若木勝藏君 たばこ消費税の納税義務者は誰なんですか。
#159
○政府委員(奧野誠亮君) 日本専売公社にいたしております。
#160
○若木勝藏君 そうしますと午前から問題になつておりますところのいわゆる八十三条乃至八十七条、この事業税の場合或いは又不動産取得税の場合と比べて、たばこ消費税の場合にかかるところの徴税吏員の質問は非常に緩和されておるのですな、これは。いわゆる普通の個人とかそういうふうな場合には厳格な質問を以て臨み、公社とかそういうふうなものに対してはこの規定を緩和して、検査という言葉も単なる質問ができる、そういうことになつておる。これに対して又罰則規定もない。今の情勢からいつたらむしろこういう方面にこそもつと厳にすべきじやないか、こういうふうにも考えられるのですが、どうしてこういうふうに緩和したのですか。
#161
○政府委員(奧野誠亮君) これは日本専売公社のいわゆる公社というものをどう理解するかという問題でございますけれども、現在の法制では大体国と同じ扱いになつているのでございます。そのような関係から特に罰則を書くということは穏当ではないじやないか。又専売公社もそういうような国と同じような法制をとつておりまする結果から、専売公社が地方税の納入に対しまして特に不都合なやり方をするということは、公社の性格上予想されない、こういうふうな建前から、法律上このような記載の仕方をいたしておるわけでございます。
#162
○若木勝藏君 殊にたばこ消費税というのは、道府県にとつても又市町村にとつても大事な財源になるのじやないか。今度の改正の場合は、その場合にはむしろ私としてはより以上に厳格にしてこれを市町村のいわゆる自治団体の財源の確保に充てなければならない、そういうときに当つて甚だ私は不均衡だと思う。片方に対しては厳格に失し、片方には罪の規定もない。
#163
○政府委員(奧野誠亮君) 専売公社の経理につきましては、予算も全部国会に提出されるわけでありますし、国会自身が専売公社の経理の内容まで審査する権限をお持ちになつているわけでございますので、かような国と全く同じような取扱になつているものにつきまして、特に罰則規定を設けるということは当を失しやせんだろうか、こういう考え方をとつたわけであります。専売公社だけが納税義務者でありまして、若し小売人等を納税義務者という建前にします場合には、お説のような法制にすべきだろうというふうに思います。
#164
○若木勝藏君 そうすると建前としてはこういう方面には特に徴税吏員の権限を強くする必要もなければ、罰則も必要がない。当然これは正常な形で進むものであつて、基本の態度に立つているということになりますが、その通り行きましようかな。
#165
○政府委員(奧野誠亮君) おつしやつている通りに考えておるわけであります。例えば国有林野がございますので、農林省から林野交付金が所在の市町村に交付されるというような場合に、それじや農林省に仮に林野交付金が法制化されました場合に罰則規定を書くかという状態になりますと、同じ政府のやることでありますので、違反が起らないということを予想して刑罰規定を設けるということは現在の建前では少し当を失しやしないだろうかという考え方でございます。
#166
○若木勝藏君 あなたのように正常に行けば誠に結構なことであります。
#167
○秋山長造君 ちよつと今の罰則の点なんですが、自動車税について、附則の四十一にあるわけなんですが、自動車税を完納しない場合には、車体検査を行わない、これなんかもさつきの質問に答えない場合の罰則とは多少意味が違いますけれども、どうもさつきの質問に答えない場合の懲役一年又は二十万円以下の罰金が余りにも苛酷だ。同じように自動車税を納めない場合に車体検査をしないというのも苛酷だという感じも受けるし、それから同時に、車体検査の条件に自動車税云々ということを使われるということは、ちよつと私筋が違うように思うのですがね。自動車税をそうでもして取らなければ、なかなか滞納が出て困るということかも知れないけれども、その点は如何ですか。車体検査ということと、自動車税ということとは、これは別問題と考えたほうが妥当なんじやないですか。
#168
○政府委員(奧野誠亮君) 自動車税の徴収を確保するという見地に立ちました場合に、一種の免許税にするという考え方もあるわけでございます。諸外国の例を見ておりますると、免許税にしている所もございます。そうしますと、この地方税法から外しまして、特別な法の形式をとらなければならないようになると思います。免許税にしている所は、車体検査を受けます際に、或いはその使用の免許を受けます際に、同時に税金を納めるというやり方をしているわけでございます。それと同じような効果を持ちながらも、従来と同じように地方税法の中に規定して行きたい、こういう考え方から、一方には道路運送車両法ですか、そちらのほうで車体検査の際には税金を納めてなければならないというふうな規定をおき、自動車税の形式は従来通り地方税法の中に含めておく、こういう扱い方をいたしたわけでございます。その結果自動車税は免許税の形式はとりませんでしたけれども、免許税に準ずるような性質のものになつて来たという、こういうことが言えると思うのであります。徴収を確保するという見地から参りますと、車体検査を受けなければ公共の危害の見地から使わせない。同じように税金を納めなければ、道路をかなり傷めるわけなんですから、道路を使わせない、こういうふうにも考えられますので、このような形式をとつても差支えないじやないかというふうに思つたわけであります。
#169
○秋山長造君 自動車税というものは、本来免許税的なものだから、これで別に不都合はないということなんですか。
#170
○政府委員(奧野誠亮君) お話のように昔は車体検査を受けます際に、やはり納税したしるしを見せなければならないという規定をおいておつたわけであります。それを数年前にどういういきさつでありましたか、法律改正の際に、その点が抜けてしまつたのであります。今回又音のような形に復活をしたい、かように考えておるわけであります。
#171
○伊能芳雄君 関連した質問なんですが、私どもの聞いているところでは、今秋山委員のお話になつたように、納税と車体検査とは別で支障がないというように聞いているのです。従つて法律改正の際に落ちたというようにも承知しておりますが、今回何か特にこれを入れなければならん事情、納税の確保については、自治庁のほうでも別の資料で自動車税については非常に納税の成績がいいように出ておりますが、それを特にこういうようにしなければならなくなつたいきさつについて、御説明頂ければ大変有難いと思いますし、且つこうしますと、例えば東武鉄道とか東京急行電鉄とかというような一つの会社が七県、八県に跨がつている所では、経理上納税した証憑は本社の会計の中に入つてしまう。ところがそれは検査は各現地の府県でやる。東武のほうは御承知のように本社が東京にあつて、営業所は福島県だとか栃木県だとか群馬県だとかというような所に行つていると、非常な煩瑣なことになつてしまうというので大変、これはまあ税金を納めないという建前はいけないと思うのですが、税金の問題とこれとは、自治庁の資料によつても、納税が確保されないということではないように私どもは資料の上からも承知しておりますが、特にこうしなければならんという事情について、とくと明確な御回答が頂ければ大変有難い。
#172
○政府委員(奧野誠亮君) 率直に申上げたいと思いますが、自動車税の税率につきまして、全体として五制程度の増収を図りたい、こういうことが税制調査会の答申でもありましたし、私たち立案に当りましての態度でもあつたわけであります。その間運輸省ともいろいろ意見の交換をいたしました。運輸省はできる限り税率の引上げを少くしたい、こういうまあ希望を申出られたわけでございます。その代り運輸省としても、できる限り徴収の確保には協力しよう。協力をして頂くなら、それなら車体検査の際には、納税済みのしるしを見せなければならないような規定をおいてもらいたい。半面運輸省の税率をできる限り引上げ方を緩和するという措置もとれましよう、こういうようなことからこの規定が入つて参つたわけでございます。その結果徴収成績も、従来見ておりましたよりも五%程度でありましたか引上げております。引上げましてなお全体について五割程度の増収にとどめる、こういうような線で税率の引上げの程度をきめたわけでございます。なお伊能さんのおつしやいました後段の点につきましては、税金を納めました場合に、個々に納税済みのしるしを別途の車体検査票としてお渡しするような通達を出したい、こういうふうに考えております。
#173
○伊能芳雄君 その問題とはちよつと離れるのですが、百四十七条の二項の問題ですが、従来の標準税率は、府県の準則によつて、御指示をなすつて、実情と非常に離れた標準税率が設けられておつたのを、今度法定されたことについて、やや実情に近い標準に法定されたことは、これはまあ非常に結構なことだと思いますが、一面において、この法定されたことの欠陥は、御承知のように最近の自動車というものの発展が日進月歩である関係上、ここで法定された車両の定員に関する標準税率というものが府県によつても違うし、又年と共に変つて行くという虞れのあるものを、かような標準税率として法に盛込むということがいいのか、或いは政令その他で常に実情に即した命令を府県へ通達されるほうがいいのかという点において、どうも疑問を持つように思うのですが、この点自治庁の立法の御趣旨について伺いたい。
#174
○政府委員(奧野誠亮君) 自動車税につきまして標準税率を定めましても、どういう規格の自動車について定められた税率であるか判明いたしませんと、運用の上にいろいろ矛盾を生じて参るだろうと思います。従いまして標準税率をきめる以上は、どのような規格の自動車についてその税率がきめられたのかということを、同じ法律の上で明らかにしておいたほうがいいと思うのであります。その結果、御指摘になりましたように、だんだん規格が上つて来るじやないか、その場合には、それじやこの法律にきめられた規格を用いられるかどうか。例えば政令にあります場合も弾力性を欠くかも知れません。御説のように規格がだんだん上つて参りました際には、地方税法上の自動車の規格の引上げの改正を行うべきであろうというふうに思つております。
#175
○伊能芳雄君 その規格の改正を車の標準が変つて来た場合には行うのだということで、恐らくそうなれば大変結構だろうと思いますが、一旦法律にきめられちやうと、なかなかそういうことが困難のように思いますが、只今の点については、でき得る限り日本の車の実情に合つた本当の標準税率というものについて、常に十分御研究の上で今後も御決定を頂きたいと思います。
#176
○委員長(内村清次君) ほかにありませんか。それでは先に進行してよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(内村清次君) それでは第三章の市町村の普通税関係、第三軍全般について説明を求めます。
#178
○政府委員(奧野誠亮君) 二百三十二頁からでございます。その四行目の所に但書が加わつておりますのは、市町村民税を課しません寡婦は扶養親族を持つていないものだということにきめているわけでございます。併しながら遺族年金を受ける者にありましては、扶養親族のありません者でも非課税の取扱をするという趣旨でこの規定を置いたわけであります。それからその次に第二百九十二条第十一号中「各事業年度の積立金に対するものを除き、」を削つておりますのは、法人税の場合に、各事業年度の所得に対する法人税と積立金に対する法人税とがございます。積立金に対する法人税の部分は、法人税割の対象にしないことにいたしておつたのでございますが、この積立金に対する課税の趣旨がだんだん変つて参りまして、一回切りにもなつて参つておりますので、やはりこの部分も法人税制の対象にしたいというふうに考えておるわけでございます。それから十二、十三、十四と定義を書いておりますが、これは府県民税との関係から、所得制ということを、法人に対する所得割も合せて入れておつたのでありますが、法人に対しまする部分は、十四号のように法人税割というふうに読み方を変えて行くという考え方になつているわけであります。
 それから二百三十三頁の初めから三行目と四行目の間に衆議院の修正で一つ加わつております。それは非課税の取扱を受けます寡婦等の所得は「十万円」までの者でありましたのを「十二万円」までの者は非課税にするという趣旨の修正であります。
 次に第三百九十六条は、「個人以外の者の市町村民税の非課税の範囲」でありまして、これにも衆議院の修正によりまして、二百三十四頁の初めから四行目の所に、「開拓融資保証協会、」というのがございますが、その下に「水産業協同組合共済会、」も市町村民税を課さないということで修正が加わつております。
 それから二百三十五頁の終りから二行目、これは法人で給与を払つておりまする者は給与支払報告書を出さなければならないのでありますが、そこに書いてありますように、「前項の規定によつて給与支払報告書を提出する義務がある者は、同項の規定によつて市町村長に提出した給与支払報告書に記載された給与の支払を受けている者のうち四月一日現在において給与の支払を受けなくなつたものがある場合においては、四月三十日までに、総理府令の定めるところによつて、その旨を記載した届出書を当該市町村長に提出しなければならない。」ということにしたわけであります。一月一日現在で給与の支払報告書を出すわけでありますが、その後会社をやめましても、その会社に対しまして特別徴収の通知書を出しました場合には混乱をいたしますし、又いない所から税金を徴収しろということになつて参りますので、四月一日までにやめております場合には、やめたということだけは連絡してもらう、こういう趣旨でございます。
 それから五行目以下に金額の修正が出ておりますが、これは府県民税との関係で均等割の額を百円ずつ引下げているものでございます。
 それから終りから二行目に書いてありまする税率の引下げは、これもやはり府県民税との関係で所得割なり、法人税割なりは、府県民税に譲つた分だけを引下げるという趣旨で加わつておるものでございます。
 それから二百三十七頁以下でところどころに、例えば三行目に「第三百十四条削除」となつておりますが、これはすでに要のなくなつた形式的な規定の条文でございますので、若干ほかにもございますが、全部削除することにいたしております。
 それから二百三十七頁の終りから三行目でありますが、「市町村は、個人の市町村民税を賦課し、及び徴収する場合においては、当該個人の道府県民税をあわせて賦課し、及び徴収するものとする。」、府県民税にも同じ趣旨の規定が入つておりますが、市町村民税にも同趣旨の規定を置いておるわけであります。
 二百三十八頁、第三百十九条の三は、見出に「所得税において純損失の繰戻控除が認められた場合における所得割額の減額」でありまして、所得税の場合には損失が生じますと、従来支払つておりまする所得税額を変えてもらう規定があるのであります。所得税額の繰戻しが行われるのでありますが、市町村民税の場合には、その損失を将来に亘つて繰越して行く、損失を生じました翌年に利益が上りましても、その利益から前年来繰越して来ておりまする損金をやはり控除する、こういう建前にしたいわけであります。その趣旨でこの規定を置いたわけでございます。
 それから終りから二行目の「四月三十日」を「五月三十一日」に改めておりまするのは、特別徴収の通知を四月三十日にしなければならないのを、一月ずらしておるわけでございます。
 従つて又最後の行にあります「四月三十日」を「五月三十一日」に改めると同時に、五月から翌年の二月までの十ヵ月間で市町村民税を特別徴収いたしますのを、六月から翌年三月までの十ヵ月間で特別徴収する、こいうふううに改めたい趣旨であるわけであります。
 それから二百三十九頁の終りから五行目、三百二十一条の八の第五項は、所得税について申上げましたと同じように、法人税につきましても、国の場合には損金が出ました場合に法人税額を繰戻すという制度があるわけでございます。市町村民税の場合には、法人税割を繰戻しませんで、その代り損金を将来に亘つて繰越して行ける、こういうことにいたしたいのでありまして、そういう意味でこの規定を設けておるわけであります。事業税について御説明を申上げましたのと大同小異でございます。それから二百四十一頁の三行目にございます改正規定は、これも事業税について申上げたと同じことでございまして、更正決定が一年以上たつてから行われました場合には、一年を超えます期間は延滞金の計算から除外するという趣旨でございまして、このことは市町村民税についても適用しようとしているわけでございます。
 それから二百四十二頁、三百三十四条の二は「市町村は、個人の市町村民税に係る地方団体の徴収金について督促状を発し、滞納処分をし、及び交付を求める場合においては、この法律に特別の規定がある場合を除く外、当該個人の道府県民税に係る地方団体の徴収金についてあわせて督促状を発し、滞納処分をし、及び交付を求めるものとする。」、府県民税について申上げたことでございますけれども、全く一つの住民税というふうな考え方で運用して行く、そうして税務行政を簡素にしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 三百四十一条第四号但書を改めておりまするのは、これは自転車税、荷車税を一つの税に統合した結果、形式的な修正をしておるだけのことでございます。
 それから二百四十三頁の初めから四行目で第五項を改めておりますが、これは法律の改正が加えられましたので、その改正された法律に則りまして修正を加えておるだけのことであります。従来からもこの種の規定はあるわけでありまして、即ち、所有者がまだ国の名義になつておる場合には、実質的な所有者に固定資産税を課して行くことができるという規定であります。法律の名前が変つた等の関係から修正を加えておるだけのことでございます。二百四十四頁の三行目も、これも法律の改正による結果、形式的に直しておるだけのことでございます。
 二百四十四頁の終りから三行目、固定資産税の非課税の範囲を拡げておるわけでありまして、そこに「二の二」と書いてあります。「帝都高速度交通営団が直接地下高速度交通事業の用に供するトンネル」、これに固定資産税を課さないことにしたわけでありまして、このトンネルは附則のほうで、昭和二十九年の一月一日以後でしたかに設けられたトンネルから適用する、遡つて適用しないんだという趣旨を明らかにいたしております。それから二百四十五頁の一行目でありますが、「並びにもつぱら公共の危害防止のためにする鉱さい及び鉱水の処理に係る施設」、これも固定資産税の非課税の範囲に加えているわけであります。十一の二は国民健康保険組合等の所有しております病院や診療所につきましてはその敷地になつておりまする土地に対しては課税をすることにしておつたのでありますが、土地も病院も一体になつたほうがよろしいということからこのように規定を改めたわけであります。その最後のところに「並びに農業共済組合及び農業共済組合連合会が所有し、且つ、経営する家畜診療所において直接その用に供する固定資産」これが新たに加わつた種類のものでございます。農業災害補償の趣旨をも尊重いたしまして農業生産力の発展に資するようなものについて非課税の範囲を拡げたわけであります。この次に衆議院で修正が加わつておりまして十一の二に入つておりました健康保険組合の関係を除きまして、それに病院、診療所だけでなしに政令で定める保健施設も固定資産を課さないということに定めております。
 それから三百四十九条は高定資産税の課税標準の規定でありますが、これは発電施設等につきまして価格によらないで、その価格を更に減額したものを課税標準にするような方式を新たに採用いたしましたので条文の形式を改めておるだけのことであります。
 第三百四十九条の二は新たに建設された発電所、変電所又は送電施設の用に供する家屋(もつぱら発電、変電又は送電の用に供する機械器具を収容するものに限る。)及び償却資産で、電気の供給、物品の製造、旅客若しくは貨物の輸送又は鉱物の掘採を業とする者並びに農山漁村電気導入促進法第二条第一項の農林漁業団体がその用に供するものに対して課する固定資産税の課税標準は、前条の規定にかかわらず、当該固定資産に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から五年度分の固定資産税については当該固定資産の価格の三分の一の額とし、その後五年度分の固定資産税については当該固定資産の価格の三分の二の額とする。」この立法の趣旨はたびたびお話申上げている通りであります。発電施設と同じように三項で鉄道軌道につきましても同じような趣旨の規定を設けております。三項は企業合理化促進法の適用を受けます機械設備でありまして、これにつきましては三年間二分の一の課税標準にして行くという趣旨にいたしているわけであります。二百四十八頁の第四項はこの三項と同じような性質の機械でありますが、たまたま所得税や法人税で別途な取扱を受けているために企業合理化促進法の規定の適用を受けていないものにつきまして、やはりそれらの機械設備を総理府令で規定して、企業合理化促進法の規定の適用を受ける償却資産と同じような課税上の軽減措置を講じたいという趣旨でございます。五項は「主として遠洋区域を航行区域とする船舶で総理府令で定める規格に適合するもの又はもつぱら国際路線に就航する航空機に対して課する固定資産税の課税標準は、前条の規定にかかわらず、当該船舶又は航空機の価格の三分の一の額とする。」これは時期は切つておりませんで、恒久的に価格の三分の一を課税標準にして行くわけであります。外国との競争関係に立つておりますものにつきましては重い負担を背負つて競争することも苛酷でありますので、このような軽減措置を講じたいと考えているわけでございます。六項は昭和三十八年十二月三十一日までに航空運送事業を開始した者が所有し、且つ、運航する航空機に対する課税標準につきましては三ヵ年は三分の一、あとの三ヵ年は三分の三を課税標準として行くという趣旨でございます。
 第三百四十九条の三は大規模の償却資産に対する固定資産税の課税標準の特例を設けた規定でありまして「市町村は、一の納税義務者が所有する償却資産で、その価額の合計額が、左の表の上欄に掲げる市町村において同表の下欄に掲げる金額をこえるものに対しては、前二条の規定にかかわらず、同表の下欄に掲げる金額を課税標準として固定資産税を課するものとする。」こういたしておるわけであります。昭和三十年度はこの金額を若干附則のほうで引上げておるわけでありまして、昭和三十一年度からこの規定がそのまま適用されることになるわけであります。第二項でこうやつて制限をいたします結果、当該市町村の財源が不当に侵されるということも面白くございませんので、一定額までは保障しておこうという趣旨で設けた規定でございます。即ち「前年度の地方財政平衡交付金の算定の基礎となつた基準財政収入額からこれに算入された大規模の償却資産に係る固定資産税の税収入見込額を控除した額に、当該大規模の償却資産について前項の規定を適用した場合において当該年度分として課することができる固定資産税の税収入見込額を加算した額が、前年度の地方財政平衡交付金の算定の基礎となつた基準財政需要額の百分の百二十に満たないこととなる市町村については、同項の表の下欄に掲げる金額を、基準財政収入見込額が前年度の基準財政需要額の百分の百二十に達することとなるように増額して同項の規定を適用する。」ということにいたしているわけでございます。これも衆議院の修正によりまして附則のほうで、昭和三十年度だけはこの「百分の百二十」を「百三十」に改められております。あとはこれとの関連規定でありますので説明を遠慮させて頂きます。
 二百五十四頁に行きまして、第三百五十条では固定資産税の税率と規定がございます。「固定資産税の標準税率は、百分の一・四とする。」現在の一・六が〇・二だけ引下げられているわけでございます。「但し、標準税率をこえる税率で課する場合においても、百分の三をこえることができない。」これが衆議院の修正によりまして、「百分の二・五」となつております。二項で「市町村は、一の納税義務者が所有する償却資産に対して課すべき固定資産税の課税標準の額が当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の二分の一をこえる場合において、固定資産税の税率を百分の二をこえて定めようとするときは、あらかじめ、その旨を自治庁長官に届け出なければならない。」この規定の趣旨はたびたび御説明申上げている通りであります。大規模の償却資産いじめの課税のやり方は避けてもらおう、不急不要な仕事に充てるために増税をするというようなことは遠慮してもらうというような趣旨で置いている規定でございます。このような場合におきましては五項で自治庁長官に税率の制限の権限を与えているわけでございます。
 二百五十六頁へ参りまして、三百五十一条の規定のうち、「三万円」を「五万円」に引上げるという改正がございます。これは償却資産に対する固定資産税の免税点を三万円から五万円に引上げているわけでございます。零細なる償却資産に対して殊更固定資産税をかけて行く態度は避けたほうがよろしいというような考え方をここに書こうとしているのでございます。
 二百五十七頁にあります問題は大規模の固定資産に対して府県と市町村との間の関係を調整する規定でございまして、特に御説明申上げることもないと思います。
 それから二百五十八頁の四行目に参りまして、「但し第三百九十八条第一項又は第七百四十四条第一項の規定によつて道府県知事又は自治庁長官に異議の申立をすることができる事項及び第四百三十二条の規定によつて審査の請求をすることができる事項については、市町村長に異議の申立をすることができない」。要するに異議の申立をするのは、そういうものの決定をするところに異議の申立をするわけでございますので、同じように固定資産の価格の決定でありましても、府県知事が決定をいたしまする部分につきましては府県知事のほうに異議の申立をして行く、こういう趣旨でございます。
 それから二百五十九頁の初めから三行目に書いてありまする問題は、これは固定資産課税台帳には価格を登録するのでありますが、電気その他について価格の何分の一かを課税標準にするというふうに定められておると考えるのでございます。こういう場合には何分の一かにされた額の課税台帳に登録しなければならないという趣旨で設けておるわけでございます。
 それからずつと省略をいたしまして二百六十頁の六行目、「自治庁長官は、前項第二号の評価の基準並びに同項第三号の評価の実施の方法及び手続については、」要するに固定資産税の評価の規定でございます。「これを市町村長に示す際あわせて道府県知事に対しても示さなければならない。」不動産取得税の場合に、府県知事が評価しなければならない場合がございますので、固定資産税の評価方法を市町村長のみならず同時に府県知事にも示すのだということを書いているわけでございます。
 なお二百六十二頁の初めから三行目、大規模の償却資産の価格等の登録の問題でございます。市町村長が第七百四十三条又は七百四十四条第三項の規定によりまして、府県知事から通知を受けました場合には、その受けた金額を固定資産課税台帳に登録をするという趣旨でございます。
 それから二百六十三頁の初めから二行目、市町村長が道府県知事、又は自治庁長官が固定資産を評価する場合を除きまして固定資産の評価に対しましては、「自治庁長官が示した評価基準並びに評価の実施の方法及び手続に準じて、固定資産の価格を決定しなければならない。」要するに評価の基準に準ずることによつて、全市町村を通じましてできるだけ評価の均衡を図つて行きたいという考え方を出しているわけでございます。
 それからその次の四百八条の第二項中、「実地調査の結果」の下に若干の規定が加わつておりますが、これは不動産取得税の実施に当つて新築家屋などに対して府県知事が価格を決定いたしますと、この決定した価格を市町村長に通知をするわけであります。通知をされた価格が固定資産税の課税標準になつて参るわけでございます。その場合にはその価格によつてそのまま原則としてよつて行くのだということを謳つておるわけであります。括孤の中を読みますと、第三項の当該固定資産について改築、損かいその他当該通知に係る価格によりがたい場合を除くほか、当該通知に係る価格に固定資産等の価格の課税標準がそのまま乗つかつて行くのだ、こういう趣旨でございます。
 それから二百六十四頁の終りから六行目に、四百十七条の改正規定がございます。「市町村長は、第四百十五条第一項の規定によつて固定資産課税台帳を縦覧に供した日以後において固定資産の価格等の登録がなされていないこと又は登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに固定資産課税台帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し、又は決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。」明らかな誤りがあります場合にも縦覧をしてしまつたらもはや課税台帳の修正ができないということであつても非常に事務が煩瑣になり過ぎますので、重大な錯誤がありました場合にはこれを修正することができるということにいたしているわけであります。納税義務者を間違つた等の誤記が大部分でございます。誤記も直せないというとこは穏当でございませんので、誤記などは修正ができるというような改正をいたしているわけであります。
 あとは特に申上げることはないと思います。二百六十七頁の終りから三行目「「第三節自転車税」を「第三節目自転車荷車税」に改める」ということにいたしておりまして税務行政等の簡素化をいたしておるわけであります。従いまして二百六十八頁の四百四十四条で、自転車のほかに荷車の税率も併せて記載したわけでございます。自転車につきましては「原動機付自転車年額五百円」というものを新らしく設けておりますが、大抵の市町村におきましては原動機付自転車につきましてはこの程度の税率をきめているのでございます。
 それから二百六十九頁の初めから五行目、但書の規定を加えておりますが、「四百四十五条の二の規定によつて新たに取得された自転車又は荷車に対して課する自転車荷車税の賦課期日は、その新たに取得された日の属する月の翌月の一日とする。」自転車屋さんから自転車を買いました場合には、月割で自転車税、荷車税が課されるということに書いてあるわけでございます。そのことが、これを受けまして四百四十五条の二の規定が入つているわけでございます。
 二百七十頁へ参りまして、第四節が市町村たばこ消費税でございます。都道府県のたばこ消費税と変つておりますのは税率の点でありまして、二百七十一頁の初めから四行目、第四百六十五条でたばこ消費税の税率は百十五分の十といたしております。
 それから二百七十五頁、終りから五行目は電気ガス税の問題であります。電気事業者やガス事業者の定義をここに書いてあるわけでございます。従来の考え方と別に変つたところはございませんが、条文を整理したわけでございます。二百七十六頁に電気ガス税につきまして新たに非課税の規定を加えております。これも要項等に記載してありまするのと全く同じでございます。
 それから二百七十八頁の初めから四行目は、都等の特例の規定を改めているわけでございまして、新たに府県民税ができましたので、三十三区の所在します地域における府県民税はどうなるかという問題がございますので、その間の規定を入れるために修正しているわけであります。二百七十九頁の初めの行でございますが、二十三区にありましては一応市町村民税分と府県民税分とを合せたものを都が課するということにいたしているわけでございまして、その都が課する税金をやはり従来と同じように都の条例の定めるところによつて二十三区のそれぞれが課することができるようにいたしているわけでございます。
 それから二百八十頁の真中頃に、第二節固定資産税の特例というのがございます。先ほど固定資産税につきまして申上げましたように、大規模の償却資産がございますと、市町村の課税権を制限しておりますが、その制限された上のほうの部分は府県に課税権を与えているわけでありまして、それが七百四十条の規定でございます。「普通税として、第四条第二項各号に掲げるものを課する外、当該大規模の償却資産に対し、当該大規模の償却資産の価額のうち第三百四十九条の三の規定によつて当該大規模の償却資産が所在する市町村が課することができる固定資産税の課税標準となるべき金額をこえる部分の金額を課税標準として、固定資産税を課するものとする。」ということにいたしたわけでございます。
 七百四十一条で固定資産税と全く同じように標準税率をきめているわけでございますし、これを超えて課する場合にはやはり自治庁長官に届出なさいということを第二項に置いているわけでございます。
 七百四十二条は、道府県知事は第七百四十条の規定によつて道府県が固定資産税を課すべきものと認められる償却資産については、当該償却資産が自治庁長官が指定したものである場合を除き、これを指定し、遅滞なく、その旨を当該償却資産の所有者及び当該償却資産の所在地の市町村長に通知をしなければならない。通知を受けました限りにおきましては評価の権限が府県に移つて行くわけでございます。
 それから七百四十三条で「道府県知事は、前条第一項又は第三項の規定によつて指定した償却資産については、その指定した日の属する年の翌年以降、毎年一月一日現在における時価による評価を行つた後、その価格等を決定し、決定した価格等及び道府県が課する固定資産税の課税標準となるべき金額を毎年二月末日までに納税義務者及び当該償却資産の所在地の市町村長に通知しなければならない。」ということにいたしております。一般の固定資産税の価格を決定いたしました場合には、課税台帳に登録をいたしまして、これを一般の住民の縦覧に供するわけであります。縦覧期間中に納税義務者から異議の申立をするわけでありますが、このような大規模な償却資産につきまして個別に府県知事が指定をし価格を決定いたしますと、個別に納税義務者に対しまして価格を通知するわけであります。通知を受けて異議の申立をする、従つて又課税台帳の縦覧等の規定は、この部分については適用をいたさないわけでございます。その趣旨の規定を七百四十四条に置いたわけであります。異議の申立及び出訴につきましては今申上げましたような方法によるわけでございます。
 第七百四十五条、道府県が課する固定資産税の賦課徴収等につきましては、固定資産税の規定を原則としてそのまま準用いたして参つて来ております。
 七百四十六条で国税犯則取締法の準用をいたしておりますのも、他の税の場合と同じでございます。
 附則に入りますが、一緒にやつて行きましようか。
#179
○委員長(内村清次君) 一緒にやつて下さい。
#180
○政府委員(奧野誠亮君) この附則の一項は、「この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。」となつておるわけでありますが、衆議院で修正が加えられまして、公布の日から施行するが遊興飲食税に関する改正規定は七月一日から施行するというふうに改まつております。
 二項は新法の適用区分でありまして、「この法律による改正後の地方税法の規定は、この附則において特別の定があるものを除く外、法人の道府県民税に関する部分は昭和二十九年四月一日の属する事業年度分から、法人の行う事業に対する事業税に関する部分は昭和二十九年一月一日の属する事業年度分から、法人の市町村民税に関する部分は昭和二十九年四月一日の属する事業年度分から、その他の部分」衆議院の修正で「(遊興飲食税に関する部分を除く。)」と、こう加わつております。「は昭和二十九年度分の地方税から適用する。」ことになつております。
 三項のほうは「新法第五十三条第五項の規定」と言いますのは法人税において損金ができた場合に税額の繰戻し控除を受ける、そういう場合には府県民税においては損金を繰越して行くんだということを申上げたわけであります。そのような損金というのはいつの部分から適用するのかということを書いているわけであります。
 それから四項で、昭和二十九年度分の個人の道府県民税に係る徴税令書には余りむずかしいことを書かんでも金額さえ書いておけばよろしいんだということになつておるわけでありまして、と言いますのは従来の市町村民税の徴税令書をそのまま用いていいというわけでございますので、細かい徴税令書の記載要件を欠いておつてもよろしいと、こういう趣旨でございます。二十九年度分だけの特例でございます。
 それから五項で非課税規定を整理いたしておりまする規定は、二十九年の四月一日以降の部分について通用したいわけでございますので、一月一日から三月三十一日までの部分については事業税はやはり従来通り課さないと、こういう規定でございます。
 六項につきましては、やはり一月一日から三月三十一日までの間の事業税の取扱でございまして、この部分につきましてはやはり従来の事業税の形で行くと、こういう趣旨でこの規定を置いておるわけでございます。従いまして外形課税を外しました部分も三十一日までの分はやはり収入金額課税に則つて行くわけであります。切換は四月一日からやることになつて参るわけであります。
 それから七項は、地方鉄軌道におきまして所得課税に載つておりまする部分、それは国から補助金を受けるものだけでありますが、その補助金を受けるのはいつのものであるかということを規定しているわけでございます。
 八項は四月一日から切換えまする部分につきましてそれまでのものについてはつ従来通りの税率を課しまするので、それだけのものの税率をここに書いてあるわけでございます。
 九項も同じような趣旨で従前の規定によつて課する関係から設けておる規定でございます。
 十項の五十万円の取扱も旧法によりまする部分につきましては府県間の分割についても区分は要らないというような趣旨の規定でございます。
 十一項は申告納付の事業税の期限を今年に限りまして五月三十一日まで全体的に延ばしておる規定でございます。
 十二項は同じような切換えに伴つて必要な申告納付の手続について簡素化を図つているわけでございます。
 十三項も同じように申告納付の手続を切換えの部分につきましてだけ特に書いているわけでございます。
 十四項も特に申上げる必要はないと思います。十五項も同じ趣旨であります。
 十六項も社会保険診療の問題でありますが、法律改正に伴つて起きた問題でありまして、特に説明する必要もないと思います。
 十七項で「個人の行う事業に対する昭和二十九年度分の事業税に限り、」基礎控除を六万円と書いておつたわけでありますが、これが衆議院の修正によりまして昭和二十九年度から政令で定める年度の前年度までの各年度分の事業税については所得から控除する金額は七万円だと、こうなつているわけであります。そして本法は御承知のように十万円と、こう直つておるわけでございます。
 十八項は入場税法が施行されるまで、国税になりますまでは従前の例によるんだという趣旨の規定を入れておるわけでございます。
 それから十九項は不動産収得税の問題でありまして、「新法百十一条の二から百十一条の四十四までの規定は、建築された家屋に対して課する不動産取得税については、昭和二十九年七月一日から適用する。」若干の猶予期間を置いておるわけでございます。
 二十項は「昭和二十七年五月十五日以前において旧連合国最高司令官の要求に基いて使用されていた土地又は家屋で政令で指定する区域にあるものが返還された場合において、昭和二十九年七月一日以後当該土地に家屋を新築し、又は当該家屋を増築し、若しくは改築したときは、その新築、増築又は改築が当該土地等の返還を受けた日から三年以内に行われたものである場合に限り、当該新築、増築又は改築については、不動産取得税を課さないものとする。」接収から解除を受けましてなお三年間だけは不動産取得税を課さないことにすることによつてその土地の復興の阻害を来たさないようにして行きたいという趣旨でございます。
 二十一項はたばこ消費税に関する規定の適用時期でございます。
 二十二項は市町村民税に関する規定の適用の問題でありまして、事業税について申上げたと同じように、所得税において繰戻し控除を受けたものを市町村民税では損失の繰越しをして行き、どの損失の部分から繰越しをして行くのかという規定でございます。
 二十三項は固定資産税に関する規定の適用時期に関するものでございます。大規模の償却資産についての問題でございます。
 二十四項は二十九年度分については従来通りにしておく趣旨の規定であります。
 二十五項は帝都高速度交通営団のトンネルについて非課税にするんだということを申上げましたが、それは二十九年の一月一日以後において建設されたトンネルについて適用するんだということを書いておるわけであります。
 二十六項は、『昭和二十九年度分の固定資産税に限り、新法第三百四十九条の二第一項中「三分の一の額」とあるのは「三分の一の額(電気の供給を業とする者及び農山漁村電気導入促進法第二条第一項の農林漁業団体については、六分の一の額)」』特に電気料金との関係から固定資産税の課税標準を六分の一にする、こういう趣旨の規定であります。その次のほうが、税率を百分の一・四に引下げておるわけでありますが、昭和二十九年度だけは一・五にする、こういう趣旨の規定であります。あとは特に申上げる必要もなかろうと思います。
 その次のところに一つ二十七項が衆議院修正で加わりまして、企業合理化促進法の規定の適用を受ける機械等につきまして軽減措置を講ずるのは過去に遡及しないで将来の課税対象になる部分からのみ適用するのだという規定が入つたのであります。政府案のままの二十七項は、電気についてはここにこの規定で遡及適用するのだという趣旨を、明らかにしております。
 それから二十八、二十九、三十の各項は遡及適用はとりやめましたので衆議院修正で削除されております。
 それから三百四頁に参りまして、政府案の三十一項が二十九項に変つておるわけでございますが、三十年度分だけは大規模償却資産の限度額を引上げておるわけであります。
 それからその次に衆議院修正が入つておりまして、昭和二十年度分の固定資産税に限りまして大規模償却資産所在の市町村の財源を保証しますのは基準財政需要額の百分の二十を百分の三十にするという規定が入つております。
 それから三十二項は市町村たばこ消費税に関する規定の適用の時期であります。
 三十三項は電気ガス税に関する規定の適用、「新法第四百八十九条第一項及び同法第四百八十九条第、五項の規定は、この法律の施行の日以後において電気事業者の電気料金の変更について通商産業大臣の認可があり、当該認可のあつた料金を実施した日以後において使用した電気に対して課する電気ガス税から、電気ガス税に係るその他の新法の規定は、昭和二十九年四月一日から適用する。」ということにしているわけであります。
 三十四項は、昭和二十八年度分以前の地方税につきましては従前通りにするということでございます。三十五項も同じ趣旨の規定でございます。
 三十六項以下は、これは他の法律の改正に伴いまして字句の修正的に改正した点でございますので説明は省略さして頂きます。
#181
○堀末治君 固定資産税の評価は評価委員を置いて評価するということになつておつたのですね。
#182
○政府委員(鈴木俊一君) その通りです。
#183
○堀末治君 それから各地方からいろいろ言うて来ておるんですが、ここにこういう情報があるのだが、これでいいのかね。「評価の実施の方法及び手続については、これを市町村長に示す際あわせて」云々と、こうありますね。これは要するに評価の方法と手続だけは自治庁長官から示されるわけですね。評価額については何も自治庁から示されないわけですね。
#184
○政府委員(鈴木俊一君) 評価の基準につきましても自治庁から毎年平均価額という形において地方に示しております。それに基いて都道府県知事がそれぞれ管内市町村についての一つの基準を示しまして、それで了解しております。大体均衡のとれた措置のように思います。
#185
○堀末治君 なかなか私のほうの町村あたりではこの評価額でもめるんですね。この間も私のほうへ言うて来たのはこれを猶予を置いて欲しいということを言うて来ましたが、これに対してはどうお考えですか。
#186
○政府委員(鈴木俊一君) 恐らくお話の点は毎年評価替えをしないで評価を法定して固定をせよというお話だと存じますが、そういう御意見もあることは私どももよく承知しておるのでありますけれども、何分土地、殊に宅地等につきましては評価の増というものが実際上、殊に都市方面等につきましてありまするので、これらの関係が更に安定して参りまするならばお話のようなこともだんだん将来可能になろうと思いますけれども、なお今日の段階におきましてはいま少し安定をする時期まで待つほうがいいのではないかというふうに考えております。
#187
○堀末治君 そうすれば、多少安定すれば一つの何かの基準で定めてもよろしいと、こういうお考えですね。
#188
○政府委員(鈴木俊一君) 大体そういうふうに……。
#189
○秋山長造君 この固定資産税のいろいろな重要な機械設備に対する課税標準の特例があるわけですが、これで今日合計でどのくらいの減税になりますか。
#190
○政府委員(奧野誠亮君) 発電施設で六億二千万円、船舶の関係で七億八千三百万円、それから企業合理化促進法の適用を受けるもの乃至重要物産の免税措置を受けますもので八億七千二百万円というような数字になつております。国会資料で、参考計数資料の関係です。
#191
○秋山長造君 この特例の適用を受ける機械設備の所在市町村というのは極めて限られた範囲ではないかと思うのですが、そうなりますと、そういうところの固定資産税のうち少くとも二十何億というものがこれで落されるわけなんですが、実はこの間通商産業委員長が見えて、電力料金の値上げの問題との関連で、この特例をもう少し税率を引下げるような意向があるということで議論が出たわけでございますけれども、こういう国家的な立場から税金の減免をすべきものと認めたような場合、これはやはり建前としては国税において減免をすべきものだ。又それらのものに対する補助、助成というような政策も又国の政策としてやらるべきものであつて、そういう国家的な立場から出発した減免措置というものをたまたまその機械設備の所在する市町村にのみ負担させるということは、地方財政を強化して行くという建前からもどうも面白くないではないか、公平でないではないかという考え方が成立つと思う。特に電源開発なんかの場合には他の一般の工場誘致なんかと異なりまして、ダムを造つた場合、これは結局においてはそれは地元に相当税収その他で金が落ちるということはわかるのですけれども、併し必ずしもそうばかりでなくて、ダムなんかを造つた場合にはもう銭金で換えられないような非常な深刻な問題を地元の町村へ提供するのではないか。特に農山村の人は先祖伝来の土地というようなものに対しては都会人と違つて非常に深い執着を持つわけなんです。そういうところがたまたま電源開発というような公共的な立場からしてまあ無視されて、そうしてその公共のためだということで泣寝入りをして、そうしてこういうものを設けて行く場合が非常に多いと思うのです。而もダムを造ると、単に今までの畑その他が水浸しになるということだけでなしに、それ以後水が非常に冷くなつて、いろいろ農業なんかの上にも冷害等で思わぬ損害を受けなきやならないというような面もある。とにかく非常な犠牲を忍ばなきやならんというようなことですね。そういうところへなお且つ電気料金値上げか、然らずんば固定資産税の引下げかというような二者択一の形でこういう国家的な大きな問題を小さい自治体に押付けて背負わすということは非常に公平という建前から言つても公平を失することにもなるのじやないか。こういう問題は、一つこういう根本的な税制改正の機会に根本的にこれは考え直して見る必要があるのじやないかというふうに思うのですが、そういうことを考えられなかつたかどうかお尋ねいたします。
#192
○政府委員(奧野誠亮君) 固定資産税の問題につきまして、非課税の規定なり或いは特殊の軽減措置を講じないほうが望ましいわけであります。併しながら他面又固定資産税が我が国の企業の発展の上に大きな影響を与えていることも事実でございますので、その間の調整をどうとつて行くかという問題になつて参つたわけでございます。その結果たまたま今回発電施設等につきましては遡及適用をしているところに相当問題があるわけでありますが、新らしく取得したものにつきましてだけ軽減措置を講じて行きまするならば、その町村としては新たに財源が与えられて来る部分につきましては、若干期待したほど収入が入らないという問題が生ずるにとどまると思うのであります。それによつて半面企業全体に与えます、例えば機械の更新を阻害して行く、それが非常に緩和されて来るというふうなことになつて参りますと、先ず両者の調整を図るというふうな見地から考えた場合には、この程度のことは止むを得ないのじやなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#193
○秋山長造君 勿論衆議院の修正によつてその点は或る程度緩和されておるわけなんですけれども、原案のそもそもの考え方が余りにそういう点で、一部のたまたまこういう機械設備の所在する市町村というものに負担をかけ過ぎておる、いわば国策の犠牲を強い過ぎているという私非難を免れないと思うのですよ。そういう考え方をなぜこの原案において自治庁がなさつたかということについて今のようなお言葉を聞くとなお更疑問を持たざるを得ないと思うのですが、その点最初原案をお作りになるときに衆議院の修正程度の線がなぜ出なかつたかということについてもう一度お尋ねしておきたいと思います。
#194
○政府委員(奧野誠亮君) 当初はお話のように遡及適用をいたしたくないという考え方を持つておつたわけでありますので、今日発電施設を中心にして問題が起つて参りまして、その結果遡及適用を受ける、遡及適用をすることまで後退せざるを得ないようならば特に発電施設にとどめなければならないという問題もないのじやないかというようなことからそのような措置を全面的に遡及させるようにいたしたわけであります。その後更に電気につきましては、なおそれでもなかなか電気料金との関係で問題が解決いたしませんで、止むを得ず三十九年度だけは六分の一にするというような線もやがて出て参つたわけであります。お考え方によりましては秋山さんのおつしやつた点と全く同感でございます。
#195
○秋山長造君 そういう点がやはり私は自治庁自身の考えというよりは、今おつしやつたように自治庁以外のいろいろな方面から自治庁に対する非常にそういうまあ圧力と言いますか、政治的な圧力というようなものが加えられて、そのために自治庁遂にそれに屈服されたというような感じを持たざるを得ない。特に外航船舶なんかにつきましても、昨今のあの造船疑獄一つとつて見ましても、利子補給の問題をとつて見ても、あれだけ大きな政治問題、社会問題になつている。で非常に国民はこれについて疑惑を持つておる。そういうときに勿論こういうものに対して国家的な保護を何らかの面で与えなければならないということは私は否定しない。そういう点は否定しませんけれども、併しながら少くとも現在のような与えられた極めて不明朗なこの問題の多い情勢の下でこういう措置をとられる、とろうとするならば、先ずその前にこういう措置をとつてまでなお且つああいう一部の大企業というものを保護育成しなければならないんだということについて、十分国民が納得するだけのものがなければいけない。ところがそういう国民の納得を十分させるだけの基盤というものを作らずにただ現在の造船疑惑……国民の非常に疑惑の目の集まつておるような情勢をそのままにして、そうしてなお且つ過去は過去、将来は将来だというように一方的に使い分けてこういうことを実際やるということは、私は特に問題が大きいのじやないかと思うのです。その点如何ですか。
#196
○政府委員(奧野誠亮君) お話になつておりまする気持はよくわかりますが、御指摘になりました船舶について立案の経過を申上げますと、御承知のように現行地方税法でありますと、国会修正によりまして利子補給を受けた外航船舶に対しましてだけ固定資産税の税率を〇・四にするということになつておるわけであります。従来の税率から見ますと、四分の一にするということになつておるわけであります。ところが利子補給を受けた船舶と、受けない船舶との間に同じ外航船舶であり、外国との競争関係に立つておるならばその間の取扱いを同じくすることが妥当ではないか、かような考えを持つておるわけであります。又外国との競争を考えますと、利子補給を受けた船舶に限らず飛行機につきましても同じような考え方を持たなければならないわけであります。そこでこれを少しでもすつきりした形にしたいという考え方から四分の一までは下げられない、三分の一まで下げる、その代り利子補給を受けた船舶その他の船舶を問わず、更にそれに飛行機を加えてもらいたい、こういうような考え方をいたしたわけであります。
#197
○秋山長造君 この問題については勿論政府が純粋に国家的な立場から今おつしやるような点を加味して考えられるかも知れないけれども、そういう面があるかも知れないけれども、同時に通商産業省なり或いは運輸省関係その他の関係各省から自治庁に対して強い働きかけがあつたことはそれは否定できないと思うのですが、そういう関係の各省の働きかけのそもそもの動機はそれらの各役所が、官庁が、そういう国家的な立場ということも考えたかも知れんけれども、又半面それぞれの関係業者からの非常に強い運動なり働きかけというものに動かされて、そうしてその結果又自治庁に対して強い働きかけなり圧力をかけられたという面も私は否定できないと思うのですが、そういう点を考慮する場合に、どうしてもこれだけの特殊な大企業に対してこういう特例をこの際、今のような情勢の中であえてこの地方税改正の機会に設けるということは私は納得できない。でこの点は、自治庁においてももう少しやはりそういう全般的な根本的な立場、同時に又非常にこの困窮に苦んでおる地方財政を救うという、守るという立場、この一つの立場から私は十分考え直して頂きたいと思う。こういう点はその他にもありますが、今後やはり税法改正なんかの場合に十分私はやはり考えて慎重にやつて頂きたいと思う。やはり国策と言つたところで勿論国と地方団体というものが截然と分けられるものではありませんけれども、併しやはり地方団体は非常に財政規模も小さいし、すべてが貧弱ですから、そういうものに全国家的な大きな立場で考えたいろいろな特例的なものをただ国のためだ、公のためだ、公益事業だからというようなことだけで押付ける、負担させるということは、私は余りに酷であり、又必ずしも首尾一貫せざるものがあるように私は考える。自治庁長官にそういう大方針について御答弁を頂きたい。
#198
○国務大臣(塚田十一郎君) 税務部長からもお答え申上げましたように、考え方の筋といたしましては全く同感なんであります。私も多年そういう持論で以ていろいろと議論もし、又そのように事実一議員でおりました時分にもいろいろな修正ということを考えたわけでありまして、例えば最もそのいい例といたしましては、公社が持つております固定資産に今まで課税ができなかつたものをこれは同時に課税すべきであるというように議論いたしまして、又そのようになりましたのもそういう考え方から出て来ておるわけであります。同じような考え方から行きますならば、私は固定資産というものが所在をしておる場合に、それが国が持つておる場合でもやはり同じように、国が特に免税をされるという理由はそういう観点から行くときにはないと思うのでして、国はやはり当該町村なり府県なりに納めるべきものを納めて、あと国が支出しなければならないものは全体の上で賄うという形に持つて行くべきだという考え方をしているわけであります。併しやはりそこまで議論を推し進めて行きますと、理論の筋は非常に通つても、まあ徴税の運用の面その他で余り行き過ぎだという感じが出て来るということで、国の場合では依然として、公社のほうまで行つたが残つたということになつておるのは御承知の通りであります。私どもが国策のために将来を頭い置いて地方税というものがどの程度、譲歩すべきか、妥協すべきかということを考えるときに、勿論絶えず地方財政という立場を頭に置いて考えておるわけであります。又当該大臣は、それぞれの産業の立場その他を頭に置いて御主張になると思う。私といたしましても全然筋の考えられないものについては勿論譲歩はしない。強く主張するわけでありますが、まあ考えて尤もだと思われる範囲においては、いろいろな面において意見を総合勘案してこの程度はこの税で止むを得ないだろうなというような判断をいたしましたものが今度の御審議願つた政府原案にまあなつておるわけであります。問題の発電所などの固定資産税について一番問題が大きく起つておるのでありまして、他の部分は大体あの考え方が横に波及しておつたという考え方に大体なつておるわけでありますが、それで発電所の固定資産税について見ますときに、実は私はあの税ができましてから少くとも発電所の施設の固定資産税というものを見て非常に地方財政を富裕にした、豊かにしたという意味において非常なプラスがあつたと同時に、ああいう非常に小範囲のところに偏る税でありますためにその面から出て来る当該自治団体の浪費というものを起すというマイナスの面も確かにあつたと、そういうように考えておりますが、私もむしろ近い機会にあの発電所の施設に対する固定資産税というものは何らか措置をしなければならないというように久しく考えておりましたのでありまして、まあ今度のこのいろいろな措置の基本には多分にそういう考え方が入つておると思うのであります。で勿論今度は市町村にとらせなければ府県にとらせるという措置にしたのでありますので、その面の解決で行けばそれも一つの解決策であるだろうと思うのでありますが、その面の解決策と併せて全体としてまあ徴収の額、率を引下げるという方向で、両方で余り大きな税額が非常に小さな而も山間の町村に入るということにならないようにということのほうがむしろ私は税制の面の上からも適正である、こういう考え方をプラスして、いたしたわけでございます。そういう考え方が若干加わつたためにこういう恰好に落ちついた、かたがた電気料金政策というものも頭に置いてその他のいろいろな二十九年度限りの特例であるとか、そういうものが出て参つたというわけであります。まあ併し考え方といたしましてはどこまでも御意見に全く同感でありまして、今後その方向に向いて努力して参らなければならないというつもりでいるわけであります。
#199
○秋山長造君 発電所に対するこういう特例を認めるという理由についてはまあいろいろあつて、で結局今お言葉によればかたがた電気料金の問題もあるということで電気料金の問題はどちらかというと二次的にお考えになつておるようでありますけれども、併し我我が耳にしている通商産業省あたりでこの特例を特に考えた第一の動機は、やはり固定資産税が高いために、固定資産税の負担が高いために電気料金の値上げという問題が出て来るのでまあ電気料金を何とか抑えるために固定資産税を引下げて行く、こういう形で出て来ておると思う。ところがこの電気料金中に占める固定資産税というものが然らばどの程度の比率を占めるものかということになりますと、この間の鈴木次長のお話では千分の二程度ということで、殆んどこれは電気料金が、固定資産税が低いために電気料金がどうこうなるというほどのこれは数字ではないと私は思うのでありますが、それでむしろやはり金利の引下げであるとか、何とかそういう国家的な立場で国の手で行われる大きな政策によつて左右される面、そうであるならばなお更特にこの際こういう発電所についてこういう特例を設けるということもちよつとおかしいし、ましてその他のいろいろなものに関連的に押し及ぼすということもちよつと行過ぎである、地方税のこの固定資産税の面でそういう特例を設けるということは行過ぎではないかという感じがするわけですが……。
#200
○国務大臣(塚田十一郎君) これは先ほどもちよつと申上げたのでありますが、私はこの今の固定資産税の税そのもの、殊に償却資産というものがその中に加わつて参つたという実態を考えて参りますときに、あの償却資産までを含めた問題について固定資産税というものを創設してそうしてそれに対してどんな大きなものにも同じ率で以て税を課して行く、而も課税権の主体が市町村にあるというあの構想の場合には私は非常に特殊の大きな固定資産というものには当初から私は特例を設けるべきであつたと考えているわけでございます。これは運用の結果ますますそういう弊害が非常に強かつたという感じをしているわけでありまして、その考え方が今度のこの改革の基本になるというように御了解を願えればいいと思う。その一部分は課税権の主体が小さいというところから出て来るからしてその部分は今までは府県の町村に配分をするという形で是正をしておりましたが、これが非常に筋が通りにくいものでありますからしてやはり一部分県に持つて行つていた。併し固定資産税というもの自体、もつとはつきり申上げますならばそういうものが当該地域にあることによつて当該自治団体がどれだけのマイナスをし、従つてそういうものを多く税を納める主体がどれだけそれによつて受益するかという地方税の本来の大きな原則から行くときにあの非常に大きな形のもの、而も近代的なああいう大きな施設は非常に価格の大きいものでありますからしてそれに対して今の固定資産税の税率を一律にぱつとかけて、課税をして行くということ自体にやはり若干の無理があるのじやないか。そこでその面はやはりこれはそこで課税権を制限するという形で直す。ですからして私の基本に持つております非常な無理というものは一部分府県へ持つて行くということで是正をし、他の部分は全体として課税権を制限するという形で是正をしたと、こういうふうに私は自分では考えておるわけであります。
#201
○伊能芳雄君 今度の税制改正によりますと税が市町村府県の間で相当動きがあるわけです。その税務事務の分量において私は市町村においてはそう大した動きはないと思いますが、県のほうは相当動きがあると思う。先ず入場税がなくなる、その代り府県民税をとる、不動産取得税をとるとか、相当の事務の分量の動きだと思うのですが財政計画の上においてはこれは何も出ていませんが、それを多くなる分と少くなる分とを勘案して大体同じくらいだと、こんなふうに見ておりますがどうですか、税務事務の分量は。従つて人件費のほうに影響するわけですが……。
#202
○政府委員(奧野誠亮君) これは県が従来事業税の取扱をどのようにしておつたかということによつてかなり違つて参ると思います。事業税の面について自主決定の線を大きく出しておりました場合にはかなりやはり事務が減つて来ると思います。併し全く従来も国の決定した線に引つかかつておつたというふうな団体につきましては大同小異じやなかろうかというふうに思つております。
#203
○伊能芳雄君 入場税が減つたということは何としても相当大きい減少だと思います。そこで府県民税を大体市町村に今この法案のようにやつて行けばその面の殖えることは、国として殖えることはそう大したことはないし、たばこ消費税、不動産取得税で殖える分も大したことはないと思うが、結局県としてはいわば相当減るのじやないか、こういうふうに思います。若しこれを、府県民税を県が独立の機構でとつたらこれは大変な機構にしなければならなかつたと思うのですが、今のこの案で行けば全体としては府県のほうはむしろ減少していいのじやないか、こう考えますがどうです。
#204
○政府委員(奧野誠亮君) 事業税の問題を別にして考えました場合にはむしろやはり大同小異じやないかというふうに思つておるのでございます。と申しますのは入場税の国税移管に当りまして映画、演劇関係の部分だけを国税のほうに持つて行つたわけでございまして、あとの第三種施設につきましては私たち法定して頂くことをお願いいたしておるわけでございますが、法定外所得で徴収されたにいたしましてもこの部分に非常な徴収努力をいたしておつたわけであります。これはやはり従来と変りないわけでございます。国税に持つて行かれました部分については票券を印刷する、その意味においては金はかかるかも知れませんけれども、特に府県の手数を煩わすということは殆んどなかつたというふうに思つておるわけでございます。
#205
○伊能芳雄君 今度の税制改革で所得税は基礎控除六万円から七万円になり、事業税は五万円からやはり、この年度だけ七万円でしたかになつて、あと政令で定めるときから十万円、こういうことになりますが、この国税、地方税を通じての税制の体系から考えてですね、どんなふうにお考えですか。これは一つ長官からお願いします。
#206
○国務大臣(塚田十一郎君) それはまあ今までの考え方は基礎控除だけを見ても国税と地方税といつも調子を合せてという考え方になつていたのですが、まあ少しは違つてもいいのじやないかという考え方があり得ると思うのです。ただ国会において御修正になりましたように、十万円というような数字になつて、国税の基礎控除がそのままで残るということになると、まあやはり若干調子が崩れて来ると思われる。従つて当初の国会修正の原案におきましては三十年度からということになつておりますのが、政令で指定する年度ということになつて調和がとれておるということになつて今あるのですが。
#207
○委員長(内村清次君) ほかにありませんか。
#208
○伊能芳雄君 もう一つ。今度の改正で標準税率と制限税率の幅を、概して言えば縮めて来ておるように思いますが、これはまあ非常に私も賛成なんです。ただ制限税率が少く、制限税率が低くなつたために、急に困るような町村は出て来ないと思いますか。
#209
○政府委員(奧野誠亮君) 御指摘になりました問題は、固定資産税の税率でないかと思います。固定資産税の税率につきましては標準税率も引下げますし、制限税率も引下げられて来ております。ただ従来は三%が制限税率でございましたが、今回は二・五%になるわけでございます。それほど急激に引下げられるわけでもございませんので、又団体の数もそれほどないわけでございますので、或る程度その団体が独断のそしりを受けることのないような計らいをすることができるのではないかというふうに思つております。
#210
○伊能芳雄君 制限税率の問題で、まあ主として又固定資産税ですが、固定資産税の制限税率とですね、或る特定のものだけ制限税率に、相当制限税率まで高くし、或るものは普通にする、差を設けておるということは市町村の場合ないようですか。
#211
○政府委員(奧野誠亮君) 若干はあろうかと思います。殊に又企業を誘致した場合等におきましては、その誘致した企業につきましては、特に制限税率を使う。償却資産の上にそういう税率を使つておる場合もあり得るわけです。併し原則的には同じ税率を適用すべきものであるという指導をいたしております。
#212
○伊能芳雄君 こういうことを伺うのは、市町村というのは、こう弱いものに高くして、取りにくいところは余り高くしないというので、地元のものには小さいものにしてもう上げないと、ところがよそから来て電源開発なら電源開発で入つて来ておるものは取りいいものだからそういうものだけ高くしておるというような、こういう傾向はありませんか。
#213
○政府委員(奧野誠亮君) 全般的にはそういう傾向はないのでありますけれども、若干そういう団体が見受けられるものでありますので、今回御承知のような改正案を織込んでおるわけでございます。
#214
○加瀬完君 これは只今御説明を承わつた点と少し離れるかも知れませんが、只今秋山委員からありましたように、この固定資産税の大きなものに対しましては、いろいろ御考慮が払われておるのでありますが、農業団体あたりからは水田でありますね、水田の評価が少し酷じやないかというふうなことが言われておるんでありますが、田の平均評価は幾らでありましよう、又どういう基礎に基きまして計算をされて来たのでありますか、その点。
#215
○政府委員(奧野誠亮君) 田の全国平均の評価額は二万八千円と推定いたしております。田につきましては或る程度収益というものを基礎にして評価したほうが適当ではなかろうか、単純に売買価格をとることも如何なものだろうかというふうな考え方を織込んでおるわけでございます。
#216
○加瀬完君 それで、聞くところによりますと、基礎といたしましては農林省の昭和二十七年の産米生産費調査成績及び調整計数、それらのものによりまして計算が出されたと言われておりますが、さようでございますか。
#217
○政府委員(奧野誠亮君) お話のように昭和二十七年の全国平均の収量を基礎にいたしまして農林省の調べにありまする数字を基礎にして算出いたしました。
#218
○加瀬完君 同じ基礎であつて計算の結論として出ました数字が少し違つているように、違つていると言いますか、農林省の計算とは違つておるような疑問があるのでありますが、そういうことございませんか。
#219
○政府委員(奧野誠亮君) 計数につきましては農林省と十分打合せしておりますので、とりました計数が違つておるということはあり得ないと思つています。
#220
○委員長(内村清次君) ほかに御質疑ございませんか。
   〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(内村清次君) 別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#222
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。
 これから懇談に入ることといたします。
 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#223
○委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。
 それでは暫時休憩をいたします。
   午後五時五十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後八時八分開会
#224
○委員長(内村清次君) 休憩前に引続いて委員会を開会いたします。
 ちよつと速記をとめて下さい。
   午後八時九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後九時三十一分速記開始
#225
○委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。
 暫時休憩たします。
   午後九時三十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後十時二十一分開会
#226
○委員長(内村清次君) それでは懇談会に引続き、地方行政委員会を再開いたします。
 地方税法の一郎を改正する法律案を議題といたします。
 本法案に対する討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
#227
○小林武治君 私は只今議題になりました地方税法の一郎を改正する法律案につきましては、おおむねこれに賛成するものであります。と申しまするのは、地方税法につきましては、過般シヤウプ勧告により税法の一大改正が行われたのでありますが、この改正は私はむしろ一大改悪であつたと存ずるのでありまして、府県税並びに市町村税との間には何らの連結もないばかりでなく、府県におきましては、負担分任の原則よりいたしましても、殆んど現行法におきましては、府県税を負担するものは全住民の一割にも満たないような状態であるのでありまして、この点かねて極めて私どもとしても不満を抱いておつたのであります。その意味におきまして、このたびの改正は、おおむねこれを妥当とするものであります。併しながら税法の改正におきましては、今回の改正によりましても、なお全体の地方税収入は三千数百億に満たない。而して全体といたしますれば、総歳出の三割に過ぎない。こういう状態であるのでありまして、国全体の税収入は約一兆円に上るのでありまするが、爾余の七千億というものはすべて国税であるのであります。従いまして私は税法の改正に当りましては、中央、地方に亘る税の配分ということにつきましては、根本的な改正を行うべきものであると思うのでありまするが、取りあえず、その方向に対する一つの前進、一つの段階として、この地方税法の改正には、不満ながらこれに賛意を表するものであります。さような意味におきまして、私どもは、飽くまでこの税法の改正は、シヤウプ税法からしますれば、一歩前進したものと思うのでありまするが、今後におきまして、政府当局におきましては、更に根本的の検討を加え、この税法の改正のごとく、殆んど地方の税法を一方から他方に移したという、こういうように極めて微温的な態度を改め、むしろ国と地方との税の配分において、大きなる改正を今後に要望するものであります。而してこのたびの改正におきまして、府県民税を設けたということは、市町村におきましては、相当の不満があるのでありまするが、いやしくも府県を一つの自治団体と見る以上は、負担分任の原則によりまして、できるだけ多数の府県民が、府県の財政を、県の費用を負担するということは当然であり、又これに加えて、今回不動産の取得税或いはたばこの消費税等によりまして、いささかでも府県の税収を増加いたしたということは、もとよりこれに賛成するものであります。併し繰返して申しまするが、飽くまでもこの税法の改正が、これが最善のものであるとは考えませんので、この上とも政府当局の格段の私は努力を希望してやまないものであります。
 併しながら前提はこの程度にいたしまして、私はこの際今回の衆議院送付の地方税の改正法律案に対して、次の修正の動議を提出いたしたいと思うものであります。而して修正の内容に関する要旨をここに御説明申上げる次第であります。
 即ち先ず第一は事業税の関係でありまするが、林業は法人の行うものにつきましても従前通りこれを非課税とすること。その二は今回一般自動車のトラツク通運事業というものが所得課税と改正されたのでありまするが、これとの関連もあり、一般乗合旅客自動車運送事業及び一般貸切旅客自動車運送事業につきましても収入金額による課税を取止め、所得課税とすること。
 次は第二として不動産取得税でありまするが、そのうちの一としまして保安林整備臨時措置法の規定により民有林を国有林野と交換する場合における不動産の取得。次は住宅金融公庫が住宅金融公庫法の規定により業務上取得する場合における不動産の取得。次は住宅金融公庫の貸付金の回収に関連する不動産の取得。更に住宅を建設してこれを賃貸又は譲渡する法人及び宅地を造成して譲渡する法人が住宅金融公庫の資金の貸付を受けて不動産を取得した場合における不動産取得税の課税標準の算定については、価格から当該貸付金算定の基礎となつた額を控除するものとすること。
 三、住宅金融公庫の資金の貸付を受けて防火建築帯の区域内に家屋を新築した場合における不動産取得税の課税標準の算定については、価格から耐火建築物の価格と木造建築物の価格との差額の三分の一の額を控除するものとすること。
 次は娯楽施設利用税でありまするが、御承知のようにこのたび入場税が国税移管となりましたに伴い、いわゆる従来の第三種入場税が除外されたのでありまするが、この際これに該当するものを地方税法中に加え、これに関する規定をいたさんとするものであります。即ちこれを娯楽施設利用税と称する道府県法定普通税として規定することとし、その内容は次の通りであります。
 即ちこの利用税の税率は次の通りとすること。(イ)、舞踏場、ゴルフ場その他これらに類する施設で条例で指定するものは利用料金の百分の五十。(ロ)、右以外の施設につきましては利用料金の百分の二十。
 但し学生又は生徒で政令で定める運動競技の施設を利用する者から料金を徴収する場合の税率は百分の十とすること。
 次にまあじやん場等についてその施設の利用物件の数量を標準として経営者に課する場合の税率は、その施設の所在する地域の区分等に従い、条例で定めるものとするが、その標準を次のようにすること。
 ぱちんこ場一台につき月額百五十円、まあじやん場一卓につき月額五百円、たまつき場一台につき月額千円。
 これに伴い風俗営業取締法を改正しまして、同法第一条第三号の施設を経営する者は三月、ぱちんこ屋その他これに類する営業で都道府県の条例で指定するものを含むものにあつては一月ごとに営業許可の更新を受けなければならないものとし、公安委員会は娯楽施設利用税を滞納しているものについてはその更新を認めないものとすること。
 次は遊興飲食税に関するものでありまするが、政令で定める大衆旅館における宿泊に対する非課税の範囲は一律に一人一泊の宿泊料が七百円以下のものとすること。この点につきましては衆議院修正は四百円から七百円までの範囲で地域の区分に従い、政令で定める金額以下としてあるのであります。
 次に第五としまして道府県民税及び市町村民税関係であります。そのうち
 一、昭和二十九年度に限り道府県民税の市町村への配賦期間を五月十五日とし、市町村民税の特別徴収税額の通知期限を六月十日とすること。この事項は本法の成立が遅延いたしたのに伴う当然の措置であります。
 第二としまして市町村又は道府県が徴収した道府県民税又は市町村民税を道府県又は市町村に払込む手続は政令で定めるものとすること。
 次に三としまして寡婦等につきましては所得十三万円以上の場合に市町村民税を課するものとすること。即ちその件につきましては、現行は十万円であるのでありまするが、衆議院において十二万円と修正されたのを再修正して、この金額を十三万円とするものであります。
 次は固定資産税の関係でありまするが、そのうち
 一、非課税とされる健康保険組合及び同連合会が所有し、且つ経営する政令で定める保健施設において直接その用に供する固定資産につきましては、衆議院の修正においてこれを非課税としたのでありまするが、右健康保険組合との均衡上国家公務員共済組合等の所有にかかる類似施設につきましても、非課税とすること。
 二、水力発電所に設けらるる魚道及び流筏路に対しては同じく固定資産税を課さないものとすること。
 三、昭和二十四年一月三日以降の建設にかかる発電施設に対して課する固定資産税の課税標準について昭和二十九年度に限りその価格の四分の一とすること。この件につきましては、政府原案におきましては六分の一の価格とすることになつておるのでありまするが、右はかかる制度によりまして関係町村に不当の犠牲を強いるものであると認めて、その価格を四分の一まで上げようとする修正であります。
 以上修正の要旨を申上げた次第でありますが、これの法文案につきましてはお手許にお配り申上げてありまするが、この内容は極めて長文に亘りますので、お許しを得まして朗読を省略し速記にとどめることに御了承を願いたいと存じます。
 なお、私が申述べるうちに誤りがございましたので訂正をいたします。即ち娯楽施設利用税のうちの(イ)としまして舞踏場その他を掲げ、(ロ)として前項以外の施設となつておりますが、その利用料金の百分の三十と申し違えがありました。百分の三十でありますから、訂正をいたしておきます。
 なお私はこの際本案につきまして、附帯決議の動議を緑風会として提出いたしたいと存じます。その内容を朗読いたします。
   地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

 一、納税義務者にして、その帳簿書類その他の物件の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者、虚偽の記載をした帳簿書類を呈示した者、徴税吏員の質問に対し答弁をしない者又は虚偽の答弁をした者に対する一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する旨の罰則の規定は税目ごとに設けられているが、これを統合して規定を簡素化すると共に、この罰則は重きに過ぎる嫌いあるを以て適当にこれを緩和すること、なお徴税吏員の質問に対し答弁をしない者に対する罰則は行過ぎとも思われるので、将来これを改めるよう考慮すること。

  二、個人事業税については多くの問題があり、国会修正の基礎控除十万円は昭和三十年度より実施することを強く要望すると同時に、その際併せて事業税の府県における賦課徴収については、特に零細業者の負担について関係政府機関ともよく連絡の上、適当の配慮を加え、実情に合する取扱をするよう政府においても連絡するよう希望する。
 右附帯決議案を朗読いたしました。
#228
○委員長(内村清次君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#229
○委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。
#230
○秋山長造君 私は社会党を代表いたしまして、衆議院送付案、並びに緑風会の只今の修正案に対して反対いたすものであります。その理由について以下簡単に申上げます。
 第一に、今回の地方税の改正は道府県民税の創設、不動産取得税の新設等のごとく、市町村から道府県への吸上げ、或いは又入場税のごとく地方から国税への移管、又たばこ消費税の創設等々現行地方税体系を大きく変化するものでありますが、その前提となるべき地方制度の改革については未だその構想すら明らかにされず、特に懸案の地方自治法の改正も未だ提案されていない現状でございまして、本末顛倒のそしりを免れないと思うのであります。
 第二は、本年度の地方財政計画は、九千六百五十三億円、地方税総額は三千四百七十四億円となつているのでありますが、自治庁の立てた財政計画の内容をつぶさに検討いたしますときに、国の一兆円予算のしわが地方財政に寄せられていることを痛感せざるを得ないのであります。現に政府の提出いたしました地方財政の状況報告書について見ましても、その結論として、地方財政規模の是正額として、少とくも三百億円程度を必要とすることを指摘しておるのに、僅かに百四十九億円しか認められておらないこと、又地方財政の赤字三百六十億円に達しているのでありますが、地方制度調査会は赤字国体の再建整備について財政資金二百億円程度の貸付を行うことを答申しているのに、政府予算は全然これを取上げていないこと、更に又地方公募債の消化政策として地方団体中央金庫の創設を必要としておるのに、全然考慮されてないこと等の点を強く指摘していることを以てしてもこの点は明らかであります。
 第三に今回の改正によりまして、六百二十四億円の独立財源の増強を図り地方税収入の歳入総額に占める割合が三二、三%から三九%程度に殖えたということでありますけれども、併しながら国から地方財政へ持込まれたものは殆んどないのでありまして、ただ一つたばこ専売収入の一部をたばこ消費税の形で持込んだのみであります。而もそれは当初百分の三十という地方制度調査会の答申の線からは、遥かに後退いたしまして、僅かに百十五分の十五にとどまつておるのであります。揮発油税の一部七十九億円が譲与税の形で持込まれることになつておりますけれども、併しこれは二十九年度限りの特殊な財源でございます。又入場税のごとき最も本来的な有力な地方税が、逆に国税へ持出されておるのであります。更に又道府県財政の強化に資するためという道府民税百七十三億円は、市町村民税からの吸上げであり、不動産取得税四十四億円は固定資産税の減税分のいわば先取りとも言うべきものであつて、いずれも現行地方税の枠の中での操作に過ぎないのであります。これを要するに国税を地方税に大幅に移譲するという地方財政本来の要求に副うて行われるのではなくて、徴税強化による自然増収を過大に見積つたり、又重税に喘ぐ地方住民に、更に新らしい負担を加重するところの新税を起したりする形において行われておるのでありまして、本来的な意味での地方財政の増強にはなつておらないのであります。
 第四に地方財政の偏在是正の名目の下に入場税を国に取上げ、譲与税の形で還元すると言うけれども、これによつて期待される調整作用は、政府原案でも五十億円程度、衆議院修正によりまして、これが更に半減したわけであります。而も一方都市偏在度の極めて高い不動産取得税の創設ということがあるのでありまして、この点、偏在是正の建前から見ます場合には、政府自身の施策が矛盾をしておると考えられるのであります。むしろ入場税は現状に据置き、更に又不動産取得税は新設しないで、地方交付税或いは又たばこ消費税等によつて、偏在是正の機能を行うほうがより合理的であり、そして地方の実情に即するゆえんであると考えるのであります。
 第五に、税種相互間の負担の均衡化ということが基本方針になつておるようでありますけれども、事業税一つ取つて見ましても、同一の税種の中において非常な不均衡が存在するのであります。即ち事業税について、個人と法人の場合に非常な不均衡が存在することは、今更言うまでもございません。個人の場合は、所得の中から基礎控除が政府原案においては六万円、衆議院修正においては七万円ということがあるだけでございますが、法人につきましては、自家労賃が損金として落されるために、その両者の不均衡が非常に大きなものになつておるのであります。そのために個人事業者の法人への切替えというようなことが、しばしば行われざるを得ない現状でございまして、どうしても個人事業税の場合には、基礎控除を少くとも二十万円程度には引上げるのでなければ、負担の均衡は維持できないと信ずるものであります。更に又固定資産税につきましては、税率の引下げによりまして、五十六億円程度の減税が行われるということでありますけれども、その半面評価価格の大幅な引上げによりまして、百十億円程度の増収が見込まれておるのでありまして、この固定資産税の負担は、実質的には相当な重荷にならざるを得ないと考えるのであります。それに反しまして、大企業の機械設備、即ち発送電施設であるとか、地方鉄道或いは高速度営団、外航船舶、航空機等等への固定資産税の減免措置の特例によりまして、二十四、五億程度の軽減が行われることになつているのでありますが、かかる大企業への育成策の必要は、私どもも否定するものではございませんけれども、これを極めて脆弱なる地方団体に負担をかけるということは、甚だ面白くないと考えるのであります。むしろ国において、それらに対する必要があれば軽減措置なり、育成措置なりをするべきであつて、これを一地方団体の犠牲において行うことは、我々の納得し得ないところでございます。而も今日いわゆる造船疑獄等をめぐりまして、或いは地下鉄、或いは船舶関係、或いは更に電力事業関係について、もろもろの不明朗なる事実が世人の目の前に暴露をされまして、非常なる不信の眼を以て見られておるこの情勢下におきまして、更に税法の面においてもかかる大幅な軽減措置を行うことは、その時期といたしましても極めて不適当であると考えるのでございます。かたがた個人の固定資産税の場合と比較をいたしまして、いわば個人を犠牲にして大企業に余りに厚い処置であると考えるので、私どもは反対をせざるを得ないのであります。
 第六に負担の分任ということから道府県民税を新設されたということでございましたけれども、負担の分任或いは府県自治の確立強化ということを片方においては言われながら、而も他面においては知事官選論一つを取つて見ましても、又警察改正の問題を見ましても、その他もろもろの政府のやり方は、すべて中央集権、曾つての官治行政時代に逆戻りするかの感を抱かせておるのでありまして、こういう事態をそのまま進めて行きながら、半面においては負担の分任を強調して道府県民税を新たに新設をするということはその趣旨において納得しがたいものがあるのでございます。従いまして道府県民税の創設を考える前に先ず地方自治法の改正において、この道府県の性格をはつきりさせた上でなければ、私どもま道付県民税に、にわかに賛成することはできないのであります。
 第七に税務行政の簡素合理化、又徴税上の協力態勢の確立というような基本方針が謳われておるわけでございますけれども、事業税の課税標準の判定一つを取つて見ましても、これが所得税或いは法人税の決定額によるということになりますというと、それによつて府県の行う税務行政は確かに簡素化されるかも知れませんが、併しながら半面租税の最も重要な根本原則でありますところの公平の原則が、果して貫かれるかどうか甚だ疑問だと考えるのでございます。今日事業税を負担するところの業者、特に個人業者は二百三十万になんなんとする多数を占めておりますが、而もその大部分がいわゆる弱小業者、零細業者でございまして、今日のいわゆるデフレ政策の影響が、国の津々浦々にまで意外に深刻な影響を及ぼしつつある状態を考えますときに、この個人業者の重税に泣く姿というものは、私どもも誠に遺憾に堪えないのでございまして、この場合に従来府県が便宜的に国の決定によつておつたために非常に弱小業者の間に摩擦を起しておつたことに挙げて眼をつぶりまして、そしてこれをただ徴税上の便宜のためから国の決定に機械的によるということになりました場合に、この中小業者の負担の深刻化或いは又この中小業者とそして府県との間に起るであろうところのもろもろの紛争というものは誠に大きなものがあるであろうと考えるのであります。更に又従来府県によりましてこの苦しい中小業者に対する対策として種々な特例措置を講じておつたのでございますが、そういうことも今後は非常にむずかしくなつて来るのじやないかという点が気遣われるのであります。もとより百九条の二十九というところに減免規定がございますけれども、これは天災その他の極く特殊な場合に限られておるのでありまして、その他の場合府県が政策的な考慮をこの事業税の賦課徴収に加えて行くということは非常にむずかしくなつて、どうしてもこの点は飽くまで自主的な措置を地方において行い得るところの余地を残して置くべきであると考えるのでございます。更に又道府県民税の賦課徴収事務を市町村に代行させるということによりまして、徴税費が省け、又節約になり、又手数が非常に省けるということでございますけれども、併しその前提としては飽くまで市町村が積極的に協力する気持と態勢とを持つということが必要でございますけれども実情は市町村は市町村民税から百七十億を国に、県に吸上げられることになるのでありますからして非常に反対をいたしておるのでございます。而もその道府県民税を扱うところの市町村に対して与えられる手数料は僅かに二、三%の程度でございまして、国が入場税を引上げて、そうしてその一割をいわゆる手数料として国に取上げて、そしてあとの九割を地方に還元しようというあの措置に比較いたしまして、余りに市町村に対して冷淡なやり口ではないかとも考えられるのであります。更に又入場税を国に移管する場合にその第三種だけはこれを如何なる理由によりましてか、放置して取上げておらない、そして第一種、第二種の極めて徴税のやさしいものだけを選り食いして、いわば食い逃げをした形になつておるのであります。こういう政府の地方財政に対する無誠意な態度に対しましては私どもは断じて了承することができないのであります。
 第八に事業税について農協の配当部分に新たに課税することになつておりますけれども、今日食糧増産、或いは更に不況に喘ぐ農村の経済振興に重大なる役割を果しつつある農協経営に新たにかかる負担を課することは農村全体に大きな打撃を与えるものと考えるのでございまして、この反農村的な政策に対しましては私どもは反対をせざるを得ないのであります。
 更に只今提案をされました緑風会の修正案につきまして申上げますが、この緑風会の修正案には私ども賛成できる点が多々ございます。例えば不動産取得税についての修正のもろもろの点、或いは娯楽施設利用税の新設について、更に又遊興飲食税について大衆旅館における宿泊の非課税範囲を一律に七百円以下とされた点、更に又未亡人に関する市町村民税の控除を衆議院送付案十三万円から更に十三万円に引上げられた件、更に又発電施設に対して課する固定資産税の課税標準の特例を若干元に戻された点等々でございます。併しながらこの修正案が私ども先に申上げました県民税の創設をそのまま認められておる点、又入場税の国税移管をそのまま認められております点等を前提としておりますので、私どもは賛成できないのでございます。更に未亡人の控除は少くとも十五万円程度に引上げらるべきである。又大衆飲食の百二十円以下非課税という範囲は、少くととも百五十円程度には引上げられるべきであろうかと存じます。又既設住宅の購入の場合等についての考慮もなされて然るべきものと考えられますし、更に事業税の面につきまして、林業は法人の行うものについても非課税とするということになつておりますけれども、この林業の内容が極めて漠然としておるのでありまして、植林から例えば伐採まで同一法人が行う場合、非課税の線をどこで引くのかというような点が実際に課税をする場合には、非常な問題になり、そして紛争の種になるのではないかと考えるのでございます。
 大体以上のような理由によりまして衆議院送付案並びに緑風会の修正案に対しまして、遺憾ながら私どもは反対をせざるを得ません。
 更に附帯決議でございますが、第一の件につきましては、私どもは飽くまでかかる不当な罰則は削除をして然るべきものと考えるのでございますけれども、この附帯決議案では、極めて漠然とした微温的な内容を持つておりますので、趣旨は了承いたしますけれども、これは削除をはつきりすべきであるという立場から反対をせざるを得ないのでございます。
 第二の附帯決議でありますところの個人事業税の基礎控除の件について、衆議院の送付案のうち十万円控除の施行年度を政令を以てきめるという件について、その政令を以てきめる年度というのは三十年度を希望するということでございますが、私どもは飽くまでこの法文の上にはつきり書かるべきであり、而も先ほど申上げましたように少くとも基礎控除を二十万円程度に引上げるべきであるという立場をとつておりますために、この点については遺憾ながら直ちに賛成ができかねるのでございます。なお後段の個人事業税の賦課徴収について、地方において適当な考慮を払うべきであるという点については私どもは全面的に賛成を申上げるものでございます。
 以上を以ちまして私の反対討論を終ります。
#231
○委員長(内村清次君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#232
○委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。
#233
○堀末治君 自由党を代表いたしまして、只今上程になつております衆議院送付の地方税改正法案並びに、只今、緑風会から出されました修正案、なお又あとの二つの決議案に対し賛成するものであります。申上げたいことも多分にございますが、今、わざわざ委員長から御忠告がございましたので、時間もございませんから、私は与党でございますから、ただ賛成の意を表するだけにしたいと思います。
#234
○松澤兼人君 私は日本社会党を代表いたしまして、衆議院から送付されて参りました地方税法及び只今提案になりました修正案に対して反対の意思表示をいたしたいと思います。大体先ほど秋山君が言われた通りでありまして、今回の地方税法の改正法案を見まして、非常に遺憾に堪えないことは現在我々が発案いたしまして、現在進行中であります町村合併が進行するならば当然地方の公共団体の機構というものは変化しなければならないのでありまして、いわゆる地方制度全般の改革というものが我々の前に提案されなければならなかつたのであります。然るに制度そのものは何らの改革も改正もなさずこれを現状のままで放置して、ただ税法だけを改正しようとしている、その点は地方の機構とその財政需要なり或いは財政上の収入なりというものを一体として考えなければならない、こういう点を考えて見まして、いわば片手落の状態において地方税法の審議をしなければならない、こういう状態でありますと、私どもとしましては、どうしても税法全体に対しても、批判的ならざるを得ないという点を先す第一に考えるのであります。而も国の予算は均衡のとれた一兆円の枠の中に収まつた形をとつておりますけれども、そのしわは地方財政におつかぶせられているということは、もはや我々ばかりでなく、多くの人々によつて承認されていることであります。地方制度調査会におきましても、地方財政の赤字というものが三百億乃至は三百六十億あるというふうに言われているのでありますが、今回是正額として百四十九億程度のものは見積られているようであります、こういう状態を繰返して行けば、いつまでたつても地方の赤字というものは解消されず、赤字が累積されて行くことは当然であります。従つてこの際、思い切つて地方財政の再建整備ということを考えなければならないのにかかわらず、依然として根本的な解決策は将来に押しやられて、二十九年度を何とか糊塗してやつて行こうとする、いわば場当り的な地方財政の計画及び地方税法の改正という点を考えて見まして、これ又私はかかる税法が実施されるならば、根本的な解決というものは期待できないのではないかという点を、心配するのであります。更に国の財政方針に従いまして、三十九年度はデフレが相当深刻になつて行くことが期待される、然るに地方税の面におきましては、こういうことが少しも考慮されず、結局地方税の増強という形で、成るほど地方公共団体の財政的な需要というものは、或る程度まで充足されるかも知れない。併しそれはどこまでも或る程度であつて、根本的な再建ということは期待されない。而もそのしわは、今度は更に一般地方住民におつかぶせられて、苛斂誅求ということをしなければ地方財政計画が達成されない。何らそこに二十九年度の下半期に起つて来るであろうということが想像される深刻なデフレと、そのデフレのあらしによつて中小企業が破産或いは倒産するであろうということの考慮が全然払われていない。結局において、そういうこと無関心に国の財政のしわ寄せが地方財政に寄せられる、そしてそのしわはデフレに悩む地方住民に押付けられるという形をとつている。現実の経済の振興なり、或いは地方企業の状態なりということと全く無関心にこの地方税法が考えられているという点は、今回の改正の最も大きな欠陥であろうというふうに考えるのであります。更に地方税の偏在の是正という点につきましては、最初遊興飲食税或いは入場税というものを国に取上げてこれを以て偏在の是正をやり、全国的にその財源を調整しようという考えであつたところが、遊興飲食税のほうはつぶれてしまう、入場税だけを国税に移管する、而もそれは決して日取初に予期されたような百七十二億という金額、調整に必要である金額から衆議院の修正によつてそれが減額されている。結局偏在の是正も、或いは地方財政の調整ということも目的を達することができない、こういう状態になつているのではないか、こう考えるのであります。地方税の最も根本的な問題は申すまでもなく量の点では地方財政の需要を充足するに十分である財源が与えられておらないということ、地方財政の歳入のうち約三〇%ぐらいが地方税に依存している、あとは、国からの補助であるとか、或いは平衡交付金であるとか、そういつたようなものであつて、量の点で先ず不足しているということと、質の上では自主性のある独自の財源が乏しいということ、量と質の面の上から地方財政というものの基礎が非常に不安定なものになつているということを痛感するので、若し地方税法を改正するとすればこれらの量の面でも、或いは質の面でも現在要求されている地方の要望というものを是正する地方税の改正ということでなければならない、而も今回の地方税法の改正はそのいずれをも充足するという形のものではない、この点に私どもは非常に不満な気持を抱くのであります。
 次に個別的な問題について申上げたいと思いますが、道府県民税につきまして、従来住民税が、道府県民税或いは市町村民税と分かれておりまして、一般道府県民税というものが廃止されて市町村民税だけになつたのであります。再びここで道府県民税というものが提案されているのでありますが、私どもはこの点につきましては次のような点から道府県民税に対しましては反対の意を表明したいと思います。
 第一は現在までの市町村民税のうち約二五%というものを府県民税に移したということで総枠においては変りがないのでありますが、一般道府県民税を再設するという糸口がつきますと、府県の財政需要によりましてこれが将来更に重加される虞れがある、この住民にとりましては従来の市町村民税以上に府県足税を合せたものが住民税として徴収される危険がある、その危険が十分に予想されるという点で一つは反対であります。
 第二は府県の性格というものは、いわば国の下請機関であるという性格が非常に多いのでありまして、或いは現在自治庁、或いは自治庁長官が考えておられるような、性格が将来現われて来る、知事の公選制度をやめて、これを上からの官選にしよういうようなことが考えられている。そういう国の出先機関のような形を取つております府県に対して、完全自治体である市町村と同じような性格の住民税というものを認めるということが果して適当であろうかどうか、これはそういう国の下請機関或いは出先機関であるという性格が現状である、或いは現状の或る部分であるとするならば、少くとも、委任事務若しくはその他の府県の事業に対しましても、国庫でその面倒を見てやるということは当然ではないか、その性格の違うものを同じ住民税という形で以て府県にもこれを認めて行くということに私どもは疑義を持つわけであります。
 第三は徴収事務の問題でありまして、市町村に府県民税の徴収を委託委任するわけでありますが、その徴税費は僅かに二・五%程度、或いは令書一通について三十円程度、こういう極く僅かの手数料或いは徴税費というものを与えているだけでありまして、これでは非常に市町村税の徴収についても差支えが生ずるということも考えられるのであります。政府は百九十二億の入場税を取り、その一割を国の徴収手数料なり或いは事務費として取ろうとしておつたのであります。国の場合一割を認めてなぜ地方の場合に僅かに二・五%程度しか認められなかつたのか、という点につきましても我々は納得の行かないものがあるのであります。
 あとは簡単に申上げますけれども事業税の問題につきましては、事業税は最も地方税で問題のある税でありまして、個人と法人との均衡の問題、或いは個人事業税は極めて零細なものである、従つて一定の帳簿を備付けない、或いは経理が極めて不明確であるということから徴税される側から考えて見ると、常に苛斂誅求という感じを持つのであります。こういう点につきましては、我々はいわゆる事業税というものは厳密の根本的な立場としては廃止しなければならないという立場を取つているのでありますが、まあ暫定的に言えば現在の段階年収二十四万円程度以下の者は非課税にすべきであるという主張を持つているのであります。先ほども申しましたように、デフレのあらしによつて浮沈みしている零細な個人事業者にとりましては、この税が今後重大なる争いの本になるということも考えられるのであります。
 次に遊興飲食税でありますが、これは国税移管にしようという話があつて遂に取止めになりました。我々はこの点について高級、いわゆる遊興的な飲食以外のものは免税とすべきであるという主張を持つているのであります。取りあえず現在衆議院で修正になりました一食百二十円という線は百五十円に引上げる。そうしていわゆる大衆飲食に対しては非課税にすべきであるということを当面持つているのであります。入場税の問題につきましては地方税法そのものには規定されていない問題でありますけれども、我々は国税移管ということには絶対に反対いたします。折角取りなれた税金をそのままの形で以て国に移管するということは国の立場から言えば極めてずるい立場であつて、折角ここまで慣れて来た入場税というものは、やはり有力な地方税であるとして、地方税に残しておくべきである、こういう考えを持つのであります。
 次は不動産取得税でありますが、我我は一定区画以下の不動産であつて、而も直接使用者が収得するものに対しては、課税すべきじやないという立場をとつているのでありまして、この点改正法律案の中に現われていなかつたことは誠に残念であります。市町村正税につきましては、私どもはいわゆるこれも一定の勤労者に対しましては免税点を引上げるべきである。特に寡婦に対する控除については十五万円以下は免税とすべきである、基礎控除とすべきである、こういう点を考えているのであります。
 たばこ消費税の関係でありますが、我々はたばこ及び油に対して消費税を課すべきであるというふうに考えておつたのでありますが、今回たばこ消費税が創設されましたけれども、最初の百分の三十から現在ではだんだんと下つて参りまして、百十五分の十五という形になつたのでありまして、私はこういういわば嗜好品というものに対しましては、もつと地方にその財源として移譲すべきであるという主張を打つているのであります。
 先ほど附帯決議案の中で現われておりましたが、徴税吏員及び自治庁の職員の質問検査権等は違憲の疑いが十分あります。又中小企業者との間に相当紛争もあると考えられますので、この点は削除しなければならないと考えております。修正案の点でありますが、これは早々の間に作られたものでありまして、その内容について不明確な点もあり、我々満足の行かないところもありまして、私どもはこれについても、それぞれ党の要求なり或いは党の修正意見なりというものを持つておりますので、反対せざるを得ないことは誠に残念であります。
 附帯決議の問題につきまして、先ほど申しました、いわゆる徴税吏員の問題については違憲の疑いがあるし、その点は削除すべきである。それから十万円の基礎控除の問題三十年を希望するということには賛成でありますけれども、我々は基礎控除二十四万円ということを言つておりますのでその点反対であります。それから賦課徴収の場合に十分なる考慮を払うということでありますが、併し増徴ということが前提でできておりますこの地方税法の立場から申しますと、そういうことを希望いたしましても十分に実行できないのではないかということを心配いたしまして、同じく反対であります。
 以上……。
#235
○笹森順造君 私は改進党を代表して、只今議題となつております内閣提出の地方税法の一部を改正する法律案に対して過般衆議院において修正議決せられ本院に送付せられたものにつき、更に緑風会より提出された修正案に、若干の希望意見を附して賛成いたします。
 本案は提案者が自画自讃するほどの良案とは考えられませんが、地方税制の近年における変遷の経過や、国税と地方税との関係の現状等からして、急激に大変革を施して、一挙に理想案を策定し得ないとするならば、このたびの政府提案に対し甚だ軽微ながら過般衆議院において修正の上議決せられた点、又更に緑風会提出の修正案に対して、これを諒としなければならないと思うのであります。それにもかかわらず、私はなお政府が提案の理由として掲げるところと、その実際の反応との間に、大きな間隔のある諸点を指摘して、本法の適用健常に当つては、細心の注意を払うようにせられることを要望しなければならないのであります。
 第一に国家予算と、地方公共団体予算との関係についてでありますが、国家予算一般会計の規模について改進党では本年度のみならず、ここ当分の間は毎年度一兆円以下の低額として、我が国経済自立を図るべきであり、従つて地方公共団体の予算の規模も又これに準じて圧縮すべきであるとなすのであります。然るに昭和二十九年度の地方財政計画においては、九千六百五十三億円であり、地方税総額は三千四百七十四億円となつております。本年度は、地方財政規模において三百億円を増大すべき必要に迫られておるのでありますが、実際には、百五十億円が認められておるに過ぎないのであります。しかのみならず、地方公共団体の実情から必須的な公務員給与規準上昇に強いられる地方財政需要増の四百億円と、警察制度改正計画に伴うものと考慮せらるる財政需要増百五億円とを見るならば、いよいよ地方財政の窮迫を来たす慮れがあります。よつて国は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行なつてはならないとする地方財政法の原則的な規定に抵触するがごとき結果を招来する懸念が起るのであります。政府提案者の理由説明によると、本案は地方団体の確保する独立財源の充実を図るため、その自主財源を拡充したと言いながら、この原案を以てしてもなお地方はその歳入の半ばを中央政府に依存せねばならん実態に置くことは、言うところの地方自治の健全な発達の上からも財源の効率的使用の上からも、更に又地方自主財源の拡充となるべきように、地方税制の改正に当つて、地方に配分せられる税の比率を更に高め、又は別の税源移譲を策定すべきものであつたと思うのであります。
 第二に地方団体相互間の税源配分の合理化を期したと言われますが、その方法として市町村民税の一部をさいて、道府県に移すことは、さなきだに財源欠乏に苦しむ市町村を、ますます窮乏に陥れるものであります。これは市町村の育成強化を以て局主国家構成の基本と考えない思想から来るものであつて、県行政を通じて、中央官治統制の強化に逆転するものがあるならば、我々は賛意を表することができないのであります。従つてここに言う配分合理化のためにむしろ余裕のある国の財源の移譲もつと考えるべきもので、酒消費税のごときはその一つとして考究の題目となるべきものと思います。入場税を道府県に譲与して税源配分の合理化に充てると申しますが、それにしても徴収額の九割を譲与して、国家が一側を取得することは、市町村が道府県民税徴税の際の費用に当てられる率の四倍であることを見れば、高率に過ぎることを思い、その相当額は何らかの方法で地方に還元すべきだと思います。
 この入場税の国税移管の提案に対し、衆議院では我党の不賛成が通らなかつたのでありますが、それを国税移管として税源配分に役立たせようとするならば、同時に遊興飲食税も共に国税移管とするのでなければ条理が一貫しないことを政府も認めながら、あえてそれをなし得なかつたところに割切れないものを残しております。但し本税に対し衆議院において修正せられたる免税点を引上げ、大衆飲食店の百二十円以下、甘味喫茶店百円以下、又大衆旅館宿泊料をこのたびの緑風会の提案による一律に七百円とするというこの点については賛成をいたします。更に緑風会提案になる娯楽施設利用税の設定には地方税源増の意味で賛成いたします。
 第三に地方税の税種相互間の負担の均衡化を企図し、税率を引下げたと申しておりますが、土地家屋の評価を高めているので実際には政府の申分とは逆に地方納税者の税負担は政府の掛声ほどの軽減とならず、実際には増額となる結果を懸念せられるのであります。
 更に又不動産取得税のごときは多少の基礎控除があるにしてもその課税は何としても創痍未だ全く癒えない国民住宅復興計画を阻むものと言わなければならないのであります。但し修正案における土地改良区及び同連合会本来の事業用資産の取得を非課税とし、又公営住宅の払下げによる取得は新築に準じ軽減することは認めらるべきであります。
 次に事業税については従来余りにも税負担が重かつた。特に個人事業税は苛酷であるから相当軽減せらるべきでありますが、これに関し修正案によつてはその基礎控除昭和二十九年度分において、政府原案の六万円を七万円に修正し、政令で定める年度から十万円としてあるが、これは中小企業、零細所得者の負担軽減の趣旨から将来は更に大幅に控除額の引上げを行うべきであります。又非課税の種目に水産業協同組合共済会、教科書供給業、新聞広告取扱業、教育的映画製作事業等を加えて修正したことは当然と思います。
 自動車税の増額は手放しに原案に賛成しかねるので修正したのでありますが、軽微の修正に終らざるを得なかつたことは遺憾とするところであります。特に揮発油以外の燃料車の税率の大幅引上げは我国においてはこの種自動車の必要から起つた新考案とその製作改良並びに使用の意欲を妨げるものとの難点を有するものと思われます。自転車、荷車税のごときは一般大衆並びに農業労働者の負担軽減の意味から減税、又は非課税の取計らいをなすべきものと思います。狩猟者税を所得税納付非義務者に千八百円、その他の者三千六百円の修正を支持いたします。
 第四は税の負担分任の理由から、新たに道府県民税を起しておりますが、市町村民税からの割譲は、原則として推奨すべきではない。行政事務の約八割は国家行政事務担当である現状では、県歳入の不足額は市町村自治体から吸上ぐべきではなく、国の税源から移譲する方途を考究実施すべきだと思います。殊に個人の均等町割を一律に百円の標準税率としたことは、市町村の規模によつて差額が認められている現状においては、貧弱町村の負担の率が過重となる点が見逃すことができないと思います。
 たばこ消費税の新設は、道府県税制上の欠陥是正に値することは同意を表するところでありますが、ただなぜ百分率で示さなかつたか、道府県たばこ消費税百十五分の五とか、誠にわかりにくい、こんなややこしいことはやめて、きつぱり百分率で現わしてもらいたいと思います。なお進んで、この税率を上げて他の地方税の軽減に活用する配慮策定がなさるべきと思います。
 又寡婦の非課税を所得十二万円まで上げたことには賛成いたします。更に緑風会の十三万円までの修正には賛成をいたします。
 最後に第五は税務行政の簡素合理化と称しておりますが、シヤウプ勧告によるまでもなく、納税者が直接その使途を身近に感じ得るように、徴税され又配分せられることは、納税意欲を養う上に好ましいことであるから、税務行政事務の便宜統一のみに走つて、納税意欲を鈍らせ又は国、道府県及び市町村の三者間における責任の帰属を不明確にすることのないように十分に注点すべきだと思います。
 これを要するに、政府原案を衆議院で修正議決の上、本院に送付したものはなお不満足であり、更に又緑風会の案を以てしても不満足であるので、将来更に改正すべきものと認めますが、差当つて本改正案の決定を急がなければならない地方自治体の必要に鑑みて、これに賛成をいたすものであります。
#236
○加瀬完君 私は、一つの修正案に対して反対をいたします。簡単に申します。
 今度の地方税の改正の最大の目的は、地方財源の充実を如何にして図るかということでなければならないはずであります。併し二つの修正案とも地方財源の充実という点についての強力なる修正は何ら行われておらないわけであります。当然入場税の据置でありますとか、たばこ消費税の引上げ、或いは税源配分の合理化という点からは、国の税源を地方へ持つて来るというようなことが、当然修正の根本として取上げなければならないのに、全然そういう点には触れておらない。これでは税負担の過垣という点は匡正されましても、一番の目的であります地方財源の確立という点には幾多の矛盾を残したままの修正でありますので、反対をいたします。
#237
○委員長(内村清次君) 他に御発言はございませんか。……他に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#238
○委員長(内村清次君) 御異議なしと認めます。
 それでは採決に入ります。地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず討論中にありました小林君の修正案を議題に供します。小林君提出の修正案に賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#239
○委員長(内村清次君) 多数でございます。よつて小林君提出の修正案が可決されました。
 次に只今採決せられました小林君の修正にかかる部分を除いて、衆議院送付にかかる地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院送付案に賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#240
○委員長(内村清次君) 多数でございます。よつて地方税法の一部を改正する法律案は多数を以て修正議決せられました。
 なお小林君提出の附帯決議案について、これを議題に供します。本附帯決議案について賛成のかたの挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#241
○委員長(内村清次君) 多数でございます。よつて本附帯決議案は多数を以て可決せられました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#242
○委員長(内村清次君) 御異議なしと認めます。
 それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書について、多数意見者の署名を附することになつておりますから本法案を可とせられる方には順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    石村 幸作  堀  末治
    館  哲二  伊能 芳雄
    伊能繁次郎  高橋進太郎
    長谷山行毅  小林 武治
    島村 軍次  笹森 順造
#243
○委員長(内村清次君) 御署名漏れはございませんか。……署名漏れはないと認めます。
 それではこれを以ちまして地方行政委員会を散会いたします。
   午後十一時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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