くにさくロゴ
1953/05/25 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第44号
姉妹サイト
 
1953/05/25 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第44号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第44号
昭和二十九年五月二十五日(火曜日)
   午後一時四十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     内村 清次君
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           小林 武治君
   委員
           伊能 芳雄君
           伊能繁次郎君
           木村 守江君
           長谷山行毅君
           館  哲二君
           秋山 長造君
           松澤 兼人君
           笹森 順造君
           加瀬  完君
  委員外議員
           市川 房枝君
  国務大臣
   国 務 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   国家公安委員長 青木 均一君
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   国家地方警察本
   部総務部長   柴田 達夫君
   国家地方警察本
   部警備部長   山口 善雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公職選挙法の一部を改正する法律案
 (市川房枝君外一名発議)
○警察法案(内閣提出、衆議院送付)
○警察法の施行に伴う関係法令の整理
 に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(内村清次君) それで、地方行政委員会を開会いたします。
 昨日の委員会におきまして決定をいたしました、公職選挙法の一部を改正する法律案(参第五号)市川房枝氏ほかの発議にかかる法案でございますが、この取扱いにつきまして、緑風会の館委員の発言及び又は加瀬委員の御発言の内容によりまして、委員長におきましては、市川参議院議員に昨日の委員会の状況を委員長から報告をして御納得を得るという点でございまして委員長といたしましては本日院内におきまして、市川参議院議員と面会をいたしまして、昨日の状況を報告いたしまして、市川議員の御賛同を得ることに努めましたのでございますが、大体において了承をされましたが、ただ市川議員といたしましては、是非この法案の表決を明確にして頂きたい、こういう御希望がございまして、なおこの点につきましては御本人からも委員会には要請をすると、で発言の機会を与えてもらいたい、こういうことでございます。そこで委員長といたしましては、昨日の決定通りに取扱をいたしましたことを委員の皆様がたの御了承をお願いしたいのでございます。あとは市川議員がこの問題につきましての希望を申述べる発言の機会を許可して頂きたい。この点を一つ皆様がたに御了承をお願いしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○秋山長造君 今ちよつと簡単だつたらやつてもらつたらどうでしようか。
#4
○委員長(内村清次君) では市川先生も来ておられますから。
#5
○委員外議員(市川房枝君) 私どもが提出いたしました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提出者といたしまして先般提案の理由の御説明だけは申上げたのでありまするが、そのとき御質問もございませんでしたし、なおその後の委員会における審議の経過に鑑みまして、提出者として一言申上げたいと思います。そのことを委員長に申上げましたところが、今皆様がたの御許可を頂きましたので、簡単に申上げさせて頂きたいと思つております。
 私どもの提案いたしました法案は、御承知の通りに連座制の強化をまあ主とした極めて簡単な内容を持つておるものでございます。でこれを提案いたしました理由はこの前申上げましたけれども、なおあのときの理由に附加えて申上げたいことは今年の一月以来問題になつて来ておりますその汚職の問題、或いは政治の腐敗という問題、この問題に対して国会に対するまあ国民の信頼が非常に薄らいで来ておる。これに関連しまして、国会としてはこの国会自身で汚職をなくするような具体的な措置が必要ではないか。その具体的な措置としてはいろいろありましようけれども、その中の一つといたしまして、連座制を強化することによつて選挙費用を少くする、こういうことができるのではないか。かねてから公明選挙連盟その他の方面で非常に要望されておりました連座制の強化、それを私どもが法案として実は提出したわけであります。連座制の強化の範囲は、その後緑風会から御提案になりました内容、或いは社会党で御決定になりました内容等、案は相当私の案より広くなつております。広いのは勿論私としては結構でございますけれども、併しこの法案の通過成立、できれば今国会で成立したい。それが国民に対する国会としての私は一つの具体的な事実を示すということになるのだから、私としては現行法をそのままとして、できるだけ小範囲に実はとどめたわけでありまして、その法案を出したわけでありますが、その後今日まで約二カ月半実はたつておるのでありまして、その案が委員会で御審議頂けるのを実は私として待つておつたわけであります。衆議院のほうは予備審査の段階でありまするが、先般連座制の私の法案と、もう一つ政治資金規正法の二つの法案に対する公聴会をお開きになりまた。参議院のほうはいろいろその他の法案が山積しておりまして、御多忙であつたということは勿論私も存じ上げておるのでありまするが、結論がなかなか出ませんで、私としては小委員会のありますたびにできるだけ傍聴に実は伺つておつたわけであります。最近になりまして、緑風会から連座制の強化を含む公職選挙法の改正案が出ましたことは私として非常に嬉しいことでございましたが、選挙法の小委員会においての審議の経過を昨日私も傍聴で伺いましたが、初めのうちは自由党を除く各派のかたがたで、公職選挙法の中の連座制の強化と高級官吏の立候補の制限、そういうような点をまとめた改正案を立案をして、そうして成立させるようにしようではないかという御意見がありましたそうで、その点は提案者といたしましても非常に事ばしかつたのでありますが、併し昨日或いは最近の一、二回の小委員会の審議の模様で、緑風会案に私ども含まれておりますので、緑風会案を対象として審議をする、その中には小選挙区制が入つておるわけでありまして、小選挙区制も含んだ全案についての採決をするのだというようなことで、昨日大分御審議が進められたわけでありますが、その際に、小委員長から私に、大体緑風会の案に私どもの提案したのが含まれておるから、緑風会案で採決をして、それで私どもの案は審議未了になるがそれでどうか、こういうようなお話がございまして、緑風会案が成立をすれば大変結構であります。いや、尤も緑風会案の中には私個人としては小選挙区には反対であります。従つて案全部には賛成しかねるのでありますが、併し連座制の強化の点、或いはその他の点については私も非常に賛成なところがあるのでありますが、私のほうの連座制の強化の点だけにつきましても、少し内容が違うのでありますが、私の提案しておる内容で、緑風会案も含まれてない点もありますので、私どもの案がそのために廃案になるといいますか、審議未了になりますことは、私としてどうも納得しかねるのでありますと申上げたわけでありまして、その後昨晩の御協議の結果、先ほど委員長からお話がございましたように、警察法案の審議のあとで審議されるということになつた。そうしますると、緑風会案の審議が恐らく結論が出るということがどうなりますか、従つて私の案もそれについて参るわけでありますが、委員長に申上げましたように、私の案は内容が非常に簡単でありまして大多数のかたがたには御賛成頂けるのじやないか。いや御賛成が若し得られない場合にはこれは否決になるのでありまするが、提案者としましては、審議未了ということでなく、はつきりと採決をお願いしたい。この連座制の強化を支持しておりまする各種団体、或いは全国の支持しておりまする人たちに対して、提案者としてはこういう理由でこの案はこうなつたのだということを私としてははつきり言わなければならない。よしんばこれが否決をされましても、それは止むを得ない、こう考えますので、実は採決をお願いをしたいと考えておるわけでありまして、私の希望を申上げておきたいと思います。
#6
○委員長(内村清次君) 堀君から発言を求められておりますから……。
#7
○堀末治君 皆様がたに申上げますが、先ほど午前中の理事会でいろいろ相談をいたしました際に、是非この警察法案の審議中に総理の出席に努力する、こういうことでありました。それで先ほど申上げました通り、丁度昼食時等になればできるだけそのほうに奔走しよう、こういうことに申上げておいたのであります。その結果成るべく皆様がたの御要望に副うようにと実は思いまして、ここにおられる大臣にもよくお願いをいたしましたし、なお先ほど官房長官のところに参りましてこういう要望があるから是非総理も御都合して、この委員会に出て皆さんの質疑に答えるように総理の都合をして欲しい、こう言つて申出ておりました。日にちはいつがいいかということでございましたから、できるだけ早いほうがいいけれども、いろいろ御日程もございましようから、二十七乃至二十八日の間に御都合ができませんか。そのように一つお運びを願いたい、こう言うてよく頼んで参りました。できるだけ御要望に副うようにいたしましよう。こういう官房長官の返事を頂いて参りました。そのことをこの委員会に申上げておきます。
#8
○松澤兼人君 その問題については私ども党内の相談をした結果申上げなければならぬこともあるのですが、委員長どうなんすか。市川さんの御発言をこのままにしておいて、それで議事進行的なことに入りますか。どちらがいいですか。
#9
○委員長(内村清次君) 私は只今お二方から発言があつておりますから、只今の問題は、これは違つております。これは確かに違つておりますが、どちらも本委員会としては関係のある問題でございますから、何か皆様がたでそれを受けられるだけで発言がないとすれば、そのまま審議をしたいと思いますけれども、発言があれば皆様がたの質疑をちよつと聞きましよう。同時に又堀先生の言われたことにつきましては、先ほど理事会でも、一応この理事会では決定をするが、やはり党にも諮らなければならないという発言もあつておりましたから、委員長は大体それの時間を見計らつて昼食を含めまして一時ということで御了承を得たわけでございますから、まあその党の空気の御発言もありましようからして、それを一つやつて頂きたい、こういうようなことで議事の進行をやつて行きたいと思つております。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○松澤兼人君 どうですかね。市川さんが発言しつ放しで、これをこのままにしておいていいかどうかですね。委員会としては、委員長からでも適当の機会に改めて市川さんの案を取上げて、その取扱についてはどうするかということを委員会に諮つて相談してお答えするという御発言があれば、市川さんのほうも納得できると思うのです。ただ希望だけ言われただけで、委員会としてこれをこのままにしてしまつておく、それでは市川さんの立場もお困りになると思うので、その点だけです。
#11
○委員長(内村清次君) ああそうですが。その点は委員長が冒頭に御報告いたしましたように、その取扱の点につきましては、一応市川さんにもお話申上げたわけでございまして、まあそれによつて大体御了承なさいましたけれども、まあ一言発言をしたいというような御希望がございましたから、で改めて委員会の席で委員長の気持として申上げますことは、これはやはり適当の時期に市川氏ほかの発議にかかるところの只今の公職選挙法の一部改正は、これは委員会で取上げて、そうしてその取扱については委員会で審議をするか、或いはこれをそのままどうするかということは委員会で決定をするというような取扱を委員長は考えているのですが、こういうような取扱でよろしゆうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(内村清次君) それでよろしゆうございますか。
#13
○委員外議員(市川房枝君) 結構です。
#14
○松澤兼人君 まあ小林案の中に含まれておりましたから、市川さんも御遠慮なすつていたようでありますが、まあ小林案を適当の機会に取上げるということ、が併し、このほうは選挙区の問題も含まれておりますが、やはり相当にむずかしいと思うのです。そうしますと、これを全面的にまあ採決するかどうか非常にむずかしい問題であれば、市川さんの案は極めて簡単なものですから、委員長の発言の通り、適当のときに市川さんの御意見を聞いて上げられるものならば上げて頂きたいという希望だけを申上げておきます。
 で私は、先ほどは休憩をして頂いて、会派に帰つて相談させて頂きたいということを申上げた。まあ会派のほうとして警察法の審議に入ることには異論はない。併し今朝の理事会でいろいろ話合つた点について、十分に確認してもらいたいということで、その一つはこの総理の出席の問題、その一つは他の委員会から連合審査を求められた場合連合審査をやるようにという問題、それから参考人として適当な人の出席を求めて十分審議を尽してもらいたい、これは条件と申しますか、或いは前提と申しますか、これを是非皆様がたに確認してもらつて、警察法の審議に入るならば審議に入つてもよろしい、こういう意向でありましたので、午前中の委員会のときにもいろいろお願いしました。是非一つお取上げを願いたいと思います。このうち総理の出席の問題は今堀さんからお話がありましたね。まあ日のことまでお話があつたようでありますが、願わくはできるだけ早い機会に総理の出席を一つして頂いて、二十七、八ということであれば七日、六、七であれば六日というふうに、できるだけ早い機会に総理の出席をして頂くように重ねてお願いいたしまして、私のほうの党の希望もありますし、堀さんのほうの御努力もありまするので、適当なところで一つお話合いをして頂けば結構だと思います。
#15
○堀末治君 承知いたしました。
#16
○秋山長造君 今の点について私も堀委員にちよつとお尋ねしたいのですが、二十七、八、二日のどちらかには必ず出席できるのですか。
#17
○堀末治君 必ずというところまではまだ私確めておりません。先ほど申上げました通り、二十七、八日のうちに何とか御都合願えるか、こう実は申したのであります。これは私なせ二十七、八日というようなところを申しましたかというと、これは曽つてもあるのですが、この吉田総理は短時間に申込んで、さあと言つてもなかなか何と言いますかね、几帳面というか、あらかじめ日にちを置いて申込みませんと、非常に嫌うおかたなんです。それですから、今日言つて明日出いと言つたつて、これはそうなれば出れないと言つたのでは、あなたがたの御希望にも沿えないばかりで何にもならないから、成るべくその辺あの人の御性格も一応存じ上げておりますから、それで二十七、八の間に何とか御都合を下さるように一つ御配慮願いたいと、併し今松澤さんから二十七日……成るべく早い機会においてと、こういうことですから、なお重ねて今私又官房長官にそのことをお願いに参りたいと思つております。
#18
○秋山長造君 実は私先ほど聞いたのですが、総理は今日午後二時半から法務委員会に出られるという話です。
#19
○堀末治君 総理ですか。
#20
○秋山長造君 吉田総理が……。
#21
○堀末治君 ああ、そうですか。
#22
○秋山長造君 二時半から出られるということです。でそういうところを以て想像すると、総理も国会に出られることをそういやがつてもおられんように思う。秘密保護法のこの質問に答えようと言つて積極的に出て来られるそうです。でもう秘密保護法も非常に重要な法案ではあるけれども、分量から言いましても又機構の厖大さから言いましても、秘密保護法なんかの比でないこの警察法は、考えようによつては日本の国家の性格を或る程度塗り変えるような重大な影響を持つた法案なんです。だから二十七、八と言わずに、今日今すぐ出て来いと言つても、それはまあおつしやるように、おお、すぐ出ようと、こう応じて下さるかどうかわからんかも知れない。併しまあ法務委員会なんかに気やすく出て来られるところから見ると、今から言つておけば、明日くらいは大体機嫌よく出られるのじやないか、その点の見通しは如何ですか。それは私がそう申すのは、二十七、八というと、大分会期末が迫つて来るのですよ。でそうなると衆議院のほうでも今はもたもたしている。教育法案なんかをいずれその頃にけりをつけなけりやならんことになる。で重要な本会議が開かれるようなこと、こちらでも又前から委員会にかかつておるいろいろな重要法案、本会議なんかにかかつて来るようなことになつて、多少情勢が動揺すると言いますかね、動き出すのです。でその頃に、特にそういうときを求めて吉田総理の出席の予定ということにしておくと、これはもうちよつと工合が悪くて出られんと言つたのじや、今日明日に出るという予定で出られんのなら、まだあとがあるということになるけれども、一番しまいのほうに置いておいて、これはもう駄目だ、外遊の準備で駄目だ、こう言つて逃げられたらそれつきりです。それについてあなたがたのほうではつきり責任を持つて、必ずこの委員会に出席させるという責任が負えるならばともかくですけれども、そうでないならば、成るべく私は今日明日、まあ今日と言わずとも、明日ぐらいには是非出るということで、是非お話が願いたい。それから我々の質問の順序から言つても、やはり成るべく早いほうがいいのです。ずつとやつて尻のほうに行つて又返つて来るのですから、忽ちあなたがたから又同じ質問を繰返しておられるじやないか、こう言われるのです。それで質疑打切りと、こう来るのです。
#23
○堀末治君 お答えいたします。それは今あなたの言われるように責任を持つてということになると、これは私たち政府委員でも何でもありませんから、なかなか責任は持てませんが、先ほど申しました通り、なかなかその辺はちよつと気むずかしい人でして、あらかじめずつと順序を作つておいて、要領よく持つて行きませんというと、目的の達成がなかなかしにくいことは私よく承知しておりますから、それで実はそういうふうに申したのであります。併し折角あなたもそうおつしやるならば、なお重ねて明日何とかこれは繰合せて出られないかということはもう一度申上げます。併し果してあなたの御希望に副える、必ず明日引張つて来るということは私は約束できませんが、できるだけ要望に副うように努力いたします。そんなことですでにやつておることでございますから、どうぞその辺の私どもの皆様に対するお応えの努力を一つ御了承下さいまして、この程度で一つ御了承願つておきたいと思います。
#24
○秋山長造君 委員長にお尋ねしますが、先日の午前中の理事会で、自由党のほうからも一つ至急出てくれるように、これはまあ内輪ですから、そういう関係から話をしてもらう。それから同時に委員長のほうからも正式の筋途を通つて総理の早急なる出席を要求して頂きたいということをお願いしておいたのですが、そのほうの手続はして下さつたのでしようか。
#25
○委員長(内村清次君) 委員長といたしましては、即刻理事会終了後に官房長官のほうに申込みまして、ところが官房長官も出席の件につきましては、これは私の察知するところは、自由党のほうから通知があつたかも知れませんが、出席の要求が地方行政委員会からあつておるということは知つておられたようでございました。それで確認をされております。ただ問題は、何日の日ということがまだ理事会が決定いたしておりませんでしたからして、委員長はその日にちの出席の確定日に対するというの要求はいたしておりませんが、とにかく地方行政委員会には出席してもらう、是非出席してもらうというような手続は完了いたしております。
#26
○秋山長造君 そこで総理の出席ということがいつになるやらわからん、わかつたようなわからんようなことですが、やはり我々としては今直ちにこの席で何月何日の何時何分に総理がこの席に出て来るということはきめられないにしても、少くともまあ明日なら明日出て来るとか、明後日出て来るとか、その程度のことは更に委員長のほうから政府委員に対して十分具体的な打合せをして頂きたい。又同時にこれは御迷惑ですけれども、堀さんのほうでもそういう努力を至念に一つして頂きたい。それでまあどうせそう長い期間はないのですから、この総理の出席日時の問題、更にもう一つ午前中の懸案になつておつた合同審査等の問題、或いは警視総監を呼ぶとか参考人の話なんかも出ておりますから、そういうこともひつくるめて一つ、まあ今日散会後といつても或いは無理かも知れんけれども、できれば散会後なり或いは明日の朝なりに理事会をやつて頂いて、そうしてそういう点を今よりは具体的にはつきりめどをきめて頂きたいと思います。そうでないと我々も質問する上に質問の恰好がつかない。総理がいつ出て来るかわからんというようなことで、それから総理に質問しようと思つて重要な点をあとへ残しておいて、そうして総理は結局出て来ん仕舞いになつたら、それなりになつてしまいますから、その点はやはり一応の我々自身としても肚づもりがあり、又この委員会としても一つの総理の出席ということが重要なポイントといいますか、そういうことになるのですから、やはり一つ至急理事会を開いてそういう点について具体的な一つ御相談を願いたい。委員長にお願いします。
#27
○委員長(内村清次君) この点はやはり与党の……。
#28
○堀末治君 御相談いたしたいと思つております。
#29
○委員長(内村清次君) 委員長におきましても、只今の御希望の点につきましては、理事のかたの今の発言もございますからして、理事会を開きまして、そうして確定をして頂きたい。そうして委員長といたしましても、やはり審議日程をきめる上につきましても、順序をきめる上につきましても必要ですから、さような取扱をいたして行きたいと思います。
#30
○松澤兼人君 それで大体よろしいのですけれども、できれば今日まあこの委員会が散会してのち理事会を若しお開きになるならば、更に自由党さんのほうで御努力願つて、家へ帰るまでに、総理がいつ何時間この委員会に出席できるかということを一つもう一度お確かめ下さいまして、明日ということになれば、又質問の準備もしなければなりませんし、家へ帰るまでにその点をはつきりさせるように御努力願いたいと思います。
#31
○委員長(内村清次君) 委員長といたしましては、そのようにいたします。
  ―――――――――――――
#32
○委員長(内村清次君) それでは警察法案、警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を議題に供します。政府のほうの提案理由、又は衆議院の修正案の提案の理由は委員会といたしましてこれを聴取いたしておりまして、なお斎藤国警長官の補足説明も終了いたしております。一般質疑に入りたいと思います。
#33
○秋山長造君 政府委員はどなたが見えているのか、その点一つ。
#34
○委員長(内村清次君) それでは申上げます。小坂善太郎君、国家地方警察本部長官斎藤昇君、次長谷口君、総務部長柴田君、国家公安委員長青木均一君……只今の国家公安委員長の青木均一君はまだ出席ございませんから、今委員部を通じまして御出席をお願いすることにしております。それから刑事部長の中川君、警備部長の山口君、会計課長の中原君、以上出席されております。
#35
○秋山長造君 青木委員長は見えますか。
#36
○委員長(内村清次君) 委員部を通じまして今通知をやつております。
#37
○秋山長造君 まあ通知をしているのでしようけれども、来るのですか、来ないのですか。
#38
○委員長(内村清次君) それでは青木国家公安委員長は問合せて明確にいたします、その出席の可否について。
#39
○松澤兼人君 国家公安委員長の青木君はやつぱり政府委員ですか。
#40
○委員長(内村清次君) そうです。
#41
○秋山長造君 やつぱりこれは警察制度の根本問題ですから、国家地方警察の最高責任者としての国家公安委員長というものに是非今後出席して頂きたい。今日もやはり国家公安委員長に出席してもらつた上で我々は質問を行いたいと思いますから、至急に呼んで頂きたい。
#42
○委員長(内村清次君) 只今委員長から申上げましたように、その出席の可否は直ちに連絡をとりますから、その点はあとで報告しますが、明日からは是非出席してもらうということを委員長は取計らいます。
#43
○加瀬完君 政府委員の出席者ですがね、これは法的な殆んど関係の質疑が多いと思いますので、できる限り法制局の責任者、或いは責任者に代るべきものをも併せて御出席頂くよう御配慮頂きたいと思います。
#44
○委員長(内村清次君) 希望の通りに、委員長は取計います。
 質問ありませんか。
#45
○松澤兼人君 質問がないということじやなくて、我々としてはやつぱり公安委員長の出席も必要であるし、ということですから、国家公安委員長に質問しなくてもいいかたは質問して下さい。
#46
○堀末治君 如何でございましようか。いろいろ出席者の要望もございますが、その人がたは今すぐ来れん方もおるし、直ちに来られるかたもおられましようが、幸い担当大臣並びに国警長官も、その他関係政府委員がおることですから、この人がたを相手に御質疑を始めて頂くことを要望いたします。
#47
○笹森順造君 小坂大臣に原則的なことを若干お尋ねしたいと思います。現行の警察法が昭和二十二年の十二月の十七日に公布を見ました当時は、新らしい憲法発効によつて我が国の行政民主化の最も重要な一つの根幹をなすものといたしまして、従前の中央集権から地方分権に切替えられまして、内務警察官僚権力行政から民主尊重政治に移行したときのものでありましたことは、当時関係をしておりました国会議員並びに政府当局の最も心得た点であることは御承知の通りであると思います。ところで今度現内閣がこれに対しまして本改正案を提出せられたのでありますが、いろいろ前文がなくなつたり、或いは法文全般を通じて拝見いたしますると、この民主化の時代の態勢に或いは逆行して来るもの、或いは又地方分権に反対して往年の警察国家を作るがごとき懸念を孕むというような工合に感じられる節がたくさんあり、これがこの法案を審議する根本の思想の転換の点として多くの議論の中心になつておるところでありますが、この真意のあるところを先ず明確にしておいて頂いて、この民主主義の態勢に逆行ずるものであるという疑いに対する、担当大臣のこの法案に盛つておる精神に対する解明を先ず伺いたいと思います。
#48
○国務大臣(小坂善太郎君) お答をえ申上げます。仰せのごとくこの警察制度の改正というものは戦後占領政策の一環として施行されたのでありまして、もとより民主的な国民に親しまれる、国民のものとしての警察を作るという根本理念においては確かに画期的な意義を有しており、日本の民主化に貢献をしたことは事実であると思うのでありますが、爾来八年に亘つての運用の結果に徴しましても、そこに国情に適しないと申しますか、いわゆる非能率不経済という点が多く見られるのであります。これにつきましては、この警察事務というものが元来国家的性格のものと地方的な性格のものとあるのでありまするけれども、この両者を共に国警或いは自警というふうに分れたままでおくということの制度自体から、その間の運用の如何に妙を発揮するといたしましても、そこに制度自体から来るところの桎梏といいますか、特に非能率、不経済というものを持ち来たらす原因は除かれ得ないのでありまして、これは非常に警察単位が多数に分割しているというようなことから参りまするこの盲点の存在が、警察の効率的な運営というものを阻害して来ている。こういう事実であるのでございます。で、一方国家警察と市町村の自治体警察とが互いに人員が重複するというようなことからいたしまして、国民にとりましてやはり不経済な負担になつておる。こういう点を一つ民主的なこの保障というものを飽くまでも貫く、そうして、その基盤の上に治安任務の遂行の能率、責務の明確化ということを如何に解決するかということで、種々勘案いたしましたる結果、国警自警共に廃止する、そうして府県における自治体警察を作る。こういうことがこの法案の骨子となつておるのでありまして、中央におきまする任務というものは、この法案の五条二項にありますような極めて限られたものに限られている。飽くまでも府県という区域における一つの自治体、府県という自治体区域という言葉は、たまたまそういう区域があるのでございまして、決して区域そのものを対象とするものではない。府県の性格を持つ自治体における警察、こういうものを作るということにいたしたのがこの法案の骨子と心得ております。そこで只今のお話のごときこの民主的保障を如何に執行するかという点でございますが、これに関しましては、私どもの公安委員会制度、これを国家公安委員会なり、或いは府県の公安委員会というものを前面に強く押し出しまして、そこにおきまする良識というものによつて警察のいわゆる独善と申しますか、警察の権力、警察というものに伴いまする権力から発生することが恐れられる独善というものに対する民主的保障を確保するという点を考えておりますので、この警察法の改正によりまして、従来種々問題になつておりましたところの非常な非能率、不経済、国民の負担を従らに加重にするという面を是正しつつ、民主的な国民に親しまれる警察を作ろうとする、かように考えている次第であります。
#49
○笹森順造君 今度の改正案の狙いは、自治体警察、国家警察をなくして一本にしようという制度の問題、或いは又、公安委員会の制度の問題等に関しましては、後刻いろいろお尋ねしたいと思うのでありますが、それに先んじて、根本の思想として、一体警察というものが、国の担当すべきものと地方自治体の担当すべきものがあるというお話をなされたのでありますが、担当すべきその内容を、現在の警察事務或いは警察行政を司るかたがたの何を一体対象としてその事務の根幹としておるかという根本の理念が、新らしい今度出された改正案と、現在のこの只今申しました昭和二十二年に作られた当時の根本の理念との間に非常な開きのあることを感ずるのでありますので、特に担当大臣とされて、その制度の如何にかかわらず、内容としておる根本の思想が何であるか、警察が何であるかということを一応お伺い願わなければ、従つて起つて参りまするいろいろな、派生した制度の運用の面において私どもは支障を来たす、或いは又これに対していろいろの疑問を起すのでありますから、その根本の理念について簡明でよろしうございますから、一つ御確信のほどを御答弁願いたいと思います。
#50
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在の警察法は、御承知のように前文にその根本理念を謳つております。併し私どもの考えを以ていたしますると、前文の規定によりまして法律を律するということは、極めて異例に属するのでありまして、我々の感覚からいたしますると、やはり本文の中に目的を謳うというのが法律系体としてもよろしかろうということで、この改正法案におきましては、第一条にその根本理念を謳つているのであります。「この法律は個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、」ということを謳つております。飽くまでその国民の嵩高なる信託によつて与えられたる、国民のためにする警察、国民によつて運営される、又国民の利益を守る、そうしたものが警察の根本的な理念である、こういうように考えております。
#51
○笹森順造君 そこで今その核心に触れて、前文をなくしたが、目的条項において表明されたという御説明、今度私どもがこれを拝見して、一つ大きな疑念を持ちますのは、その目的条項に掲げられてありますものが、全体を通じてどういう工合に反映して来ているかという問題であります。つまり従来警察は住民の生命財産を保護する、或いは又社会秩序を守つて行く、そうして利益を保護して行くというようなことであることは仰せの通りであつて、それが理念だと思うのであります。特に私の懸念いたしますのは、そのうちの自由を保護するということであります。単に生命、財産ばかりでなくて、社会秩序を守り、安寧を守るということばかりでなくて、住民の自由を保護するということが、そもそもこれは警察行政の根本の理念でなければならない。それがとかく全体を通じてみますると、国民或いは住民の自由が警察能率化のためにいろいろと束縛せられるようなことがいろいろと条文の中に現れて来る。これが従つて従来の自治警察というものが廃止せられて中央集権的になつて行くというようなことが憂えられますので、特に国民の自由を保護するという一番先に掲げた条文が、その目的条項が全条文を通じてどこに一体どういうことで現われて来ているかということについて、私ははつきりして頂きたいというのが私のお尋ねしたい要点なのであります。これは欧米諸国の例に見るばかりでなく、今後の警察行政というものは、国民の自由を束縛するということが出て来る。過去においていろいろと人権蹂躙のようなことが再々あつたのです。従つて全法文を通じてそこにそのにおいが出て来た。どこに特にそれを強調しているかということを一つ具体的にお示しを願いたいと思うのです。
#52
○国務大臣(小坂善太郎君) 前文の規定というのは先ほど申上げましたように、教育基本法とか、日本学術会議法、或いは国立国会図書館法といつたような極めて限られたものになつております。そこで私どもはこの法案の第一条に目的を明示したのでありますけれども、これは決して仰せのごとくに、非常に根本的に現在の警察制度と改正法とは狙うところを異にするというのではないのでございます。只今の自由というものを擁護すると、これは根本の考えだが、それはどういうふうになつているかということでございますが、大体法律というものはこれはこの国民の利益のために破るべからざるという一般の認識に立つて認定せられたものを、意思を強要するものであります。法律というものは強要するものなんでありますけれども、その目的は飽くまでこの国民の利益、自由を守るということでなければならないと考えております。で、警察というものがそうした国民の権利と自由を保護する、そうした建前を持つものでありますけれども、これを如何なる組織において守ればいいかということがこの警察法でありまして、そういつた意味の組織法であります。かように私どもは了解しております。
#53
○笹森順造君 そこで今の御答弁では、まだ余りはつきりしないのでありますが、現行の警察法が制定せられました当時は、我が国の政府の中心勢力をなしておりました内務行政、これを牛耳つておりました当時の警察組織の改廃に対しましては、当時の警察官僚が強力にこれに反抗したことは御承知の通りであります。併し時代の要求は当時の内閣に所属しているものの異常なる決意を以てここに一大警察行政の革命を起して、そうして現行のこの法案を作成して而も国会がこれを可決して、爾来国家地方警察と自治体警察との二本建を断行して来た。而も今申しました生命、財産或いは又社会の秩序を守るために、特に又この自治の本義を、或いは又自由の本義を守ろうとするためにはやはりこのことがいい結果を今まで来して来たものと、私どもは確信しなければならない。そのことが特に民衆弾圧の警察であつたものが、国民の自由を守り幸福にするという一翼を果して来たという一点。今のお話だと経済の上から、或いは能率の上から自治警察は廃止しなければならんというようなお言葉のように伺いましたが、過去の経験において自治警察が何ら一体そういう功績がなかつたものかどうか、全然誤りであつたという現内閣の御判定であるか、特にこの警察の本義に対して自治警察の持つて来た功績に対する御認識をもう一度、今の答えを私は了承するわけにいかんので、その点に対する御認識、御見解を伺いたいと思います。
#54
○国務大臣(小坂善太郎君) 確かに終戦後の警察制度の改革というものは民主的な日本を作る上に大きな功績をもたらしておると考えます。その意味におきましての警察というものは、非常に一般国民に親しまれ、非常に警察の持つ性格というものを民主的意味においての理解が深まつたということは私は否めないことであると存じます。併しながら一方において考えてみますると、警察制度そのものの中に国家的な性格のものと、自治体的なものとの性格を二つながら持つておると存じまするが、その国家的な性格を余りに出して参りますれば、いわゆる理に拘わり過ぎると言いますか、理に落つれば角が立つと言いますか、その角の立つ面が非常に強くなる。自治体的な面を非常に強く出して参りますと、情にほだされる、流されると申しますか、そういうことになるかと思うのであります。そこでまあその両面をとりまして参りますことが必要であろうかと存じまするし、今申上げましたように、この根本理念については少しも考えることはない。ただ一方において国民のためにある政府、警察制度というものを維持するのは又国民なんです。その国民に対して不要不当の支出をあえてしておるとすれば、結局これは国民に対して相済まんことになるというふうにも考えるのでありまするし、警察の能率をよくするということが国民の権利義務をよく保護することにもなる、かように考えておるのであります。
 そこでこの法律の意図するところは目的においては民主的警察である。併しその運営をどういうふうに組織したらいいかという組織法の改善でありまして、只今お述べになりましたような何か警察が非常に組織を変えることによつて性格を異にして来るということは、これは或いは執行法をいじればそういうことになるかも知れません。併し御承知のごとくに刑事訴訟法なり、警察官等職務執行法なりというものがございまして、往時に見られましたような治安警察法であるとか、或いは極端な例は治安維持法であるとか、そうしたような執行法と全く異なつておるのでございまして、そういう点は私は懸念する必要はない。加うるに国家公安委員会或いは地方公安委員会という制度がありまして、一般の良識を濾過して行われる、濾過というよりいわゆるこれは或いは言葉が悪いかも知れませんが、一般の良識を代表する機関を通じて警察行政が行われる、こういうことでございますから、これは全くその性格においては少しも変らん、かように考えております。
#55
○加瀬完君 今小坂大臣が笹森さんにお答えになられました前文を約した点、及び前文の意味が法案の中に入つておるというような御説明で、更に笹森さんのほうから具体的に説明を要求されたのでありますが、私もその点は甚だ腑に落ちないと思うのであります。で、この法案の形式から行つて前文を取つて行つたほうがいいというお話でありましたが、日本の憲法には前文がはつきりと書かれておる。で、新らしい日本の民主主義国家というふうな発展の関頭に立たされましたとき、向うべき方向をどうするかということを日本の新らしい法律についてはいつも前文によつて方向付けをしておつたわけなんであります。この警察法におきましてもその点憲法の命ずるところによりまして、警察法の向うべき方向というものを前文にはつきりさしておく、それが今あなたは今後各法律において前文を廃止して行きたい。現行法では前文を否定して削除したのではなくて、第一条、第二条に移したものである。これは衆議院においてもこういう答弁をしておるのでありますが、改正法の第一条、第二条に移したと言いますけれども、現行法の前文と内容を比べてみるときに随分違つていると思うのであります。改正法案の第一条には「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察」ということが掲げてある。第二条は現行法の第一条の警察の責務と申しましようか、職務と申しましようか、それをそのまま横に写しただけで、現行法の前文に示された警察のあり方、笹森さんが御指摘になりました憲法の精神に従い、地方自治の真義を推進し、人間の尊厳を量高度に確保し、国民に属する警察であるということがどこにも語われておらない。この警察法制定の大前提となつておりますこれらのことを省いたということには、これは今の大臣の御説明だけでは我々は納得しきれないのであります。これは警察法全体を通じての性格を変えるようなことにもなりかねないのであります。その点もう一度・日本の法律は・一つの方向を示すために新らしい法律が現行法通り前文をつけてその方向付けをしている。そこで地方自治を尊重するとか人間尊重というような点を特にここで強調をしないで省いてしまつたのはどういう理由なのか、その点を明確にして頂きたい。
#56
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申上げまするが、前文を通覧して感じますることは、如何にも我々の日本語としての常識から来まする感覚よりも、翻訳的匂いが強いということであります。例えば国民のための警察という言葉一つとつてみましても、我々はもう民主主義ということの中に、民主主義を基調とするという考え方の中に、或いはこの法案で見ますれば、民主的理念を基調とするという言葉の中に、国民のためのということはもう当然包含されておると考えておる。従つて私どもは占領下においていろいろの指示、或いは何と言いますか、指導というものでありまするか、そういうものを受けたかくのごとき字句をそのままにする必要はなかろう。ただその後における経験に鑑みて、我々の持つ感覚からして、その尊重すべき点を十分に活かして行きたい、こういう態度で臨んでおるのでありまして、決して字句が違うから考えも違うだろうということは当らないと考えます。
#57
○加瀬完君 翻訳的な言葉を正しい標準的な日本語に直す、結構であります。字句を修正して更に元の持つている言葉の意味をはつきりさせる、これも結構であります。併し地方自治の真義を推進する、その点、こういう考え方の立場、人間の尊厳を最高度に確保するという、こういう考え方の立場、国民に属する民主的権威の組織を確立する目的といつた考え方の立場、こういう考え方の立場というものを新らしい警察法にはどういうふうに盛られておるのですか。
#58
○国務大臣(小坂善太郎君) 一つ民主的理念という言葉をとつてみましても、民主主義的理念とは我々の理解によりますれば、民主主義の立場を根本とする考え方でありまして、憲法に定めまする国政が国民に由来し、国民の信託によつて行うべきものであり、国民の基本的人権が保障されることを内容としているという考え方に基いておるのでございまして、翻訳的言葉を繰返すようになりまするが、翻訳的なことをできるだけ除いて、日本人として理解している表現を使つて、それによつて内容を示したい、かように考えておるだけでございます。
#59
○加瀬完君 只今翻訳的なお言葉が御説明を頂いたわけでございまするが、問題は翻訳的な言葉までもを使つて、先ほど私が述べたような点を強調しなければならない必要性というものが、この前の警察法の改正のときにあつたのです。今度はそういう必要がないものであるかの問題なんで、或いはあるとすれば、ここに改正案に示された程度だけで現れたことで事足りるかという問題。
 そこで私は字句にとらわれておつてはこれは議論が進みませんから、字句の根本とか前提という問題について一つ伺いたいのでありますが、一体さつき国情というふうな御説明もありましたが、これは私あとで質問をしようと思うのでありますが、現実において日本国の憲法の精神に従うとか、地方自治の真義を推進するとか、人間の尊厳を最高度に確保するとか、国民に属する民主的権威ということは、曾つての警察法を改正した当時ほどはもうそれほど声を大にして言わなくても必要のないものだというふうにお考えになつておられるのかどうか、又こういうことをはつきりと警察法に示さなければならないような具体的な心配のことはないということなのかどうか、この点……。
#60
○国務大臣(小坂善太郎君) まさにその通りでございまして私ども八年間のこの貴重な経験を通して民主主義を理解し、身に付け、咀嚼し得たと、かように考えておるのでございます。従つてその字句というものについては、例えば公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察云々と言えば、その間によつて十分我々の理解はなし得ると、こう考えておるのでありまするが、飽くまで是非この法の執行、或いは法律の運営に当りましては、只今仰せのごとく前文の精神を以てこれに当りたいと、かように考えておる次第でございます。
#61
○加瀬完君 もう一度伺いますが、人間の尊厳を最高度に確保するということは、新改正法によりますればはつきりと調われておらない。警察官の職務において、警察官の行動において人間の尊厳を最高度に確保するということは、今大臣の御説明のように今はそれほど考えなくてよろしいことになつた、それほど警察は民主化されたと、こういうふうなお考えであられるかどうか。
#62
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のごとくその人間の尊厳を最高度に確保するということは、これは我が国の憲法の根本的の建前でございます。さようなことは特に調わなくても一般において理解し認識しておると、かように思つておるのでございます。ただこの警察法ができましたのは占領直後でございました。そうした際に当時の占領当局から見ましては、特にこの警察法を運用するに当りましては、この点を強調しておく必要があろうと外から見て或いは考えたかもしれない、併し我々にして見ますれば、そのことは特に謳うまでもなく国民によつて体得せられておることである。従つて殊更にその字句を使う必要もなかろうかと、こう考えておる次第であります。
#63
○加瀬完君 良識ある小坂さんといたしまして、一体今後の警察行政におきまして、憲法がきめられておりますこととは言いながら、警察法の中に曾つて示された人間の尊厳を最高度に確保するということは強調しなくてよろしいということでございますか。
#64
○国務大臣(小坂善太郎君) 大体警察事務そのものが、警察の責務というものが一体第二条に謳つてございまするように個人の生命、身体及び財産の保護に任ずる、こういう建前でございまするので第一条に謳つてございまするような個人の権利と自由を保護する、或いは公共の安全と秩序を維持する、そうした目的を持つて行われまするものでございますから、仰せのごときことと考えております。
#65
○加瀬完君 人間の尊厳を最高度に確保するということは、先ほど御説明がありましたように憲法の中にもはつきりとしておることでありまするけれども、なぜ一体警察法の中に前文としてこういう点を強調しなければならなかつたかということは、今までの日本の警察というものがこういう点に最も欠陥があつたからだ。そういう欠陥というものを飽くまでも新しい警察法においては是正をして行こうと、改善をして行こうという一つの方向をここに示したものだと思う。でそういう方向を更に強調する必要は現実においてはそう必要でないと大臣はお考えになつておられるか。
#66
○国務大臣(小坂善太郎君) 特に必要がないとは考えておりませんのでありまして、この法律にそういう字句が使つてあろうとなかろうと、そういうことは常に警察当局に対して拳々服膺するように申し、又そのことは警察においても理解し、その運用に当つてはその方針によつて行うものであろうと、こう考えております。
#67
○笹森順造君 只今の加瀬さんに対する大臣のお答え、これは主に理論的、観念的なことでありまして、民主主義を守ることには何ら異論がないのであると、又その精神で運用するのであるというお話でありますが、そこでお尋ねをしなければならん問題が起つて来る。それは一つは何であるかと申しますると、先ほど来警察には国家的なものと地方自治体的なものとあるというお話でありますが、これは区分の相違でありますけれども、理念としてはやはり十分に国民のためのものでなければならない。先ほどから前文が必要である、必要でないというお話があり、而も又今大臣が御指摘なさいました「国民のため」という文字をわざわざこれを削つておると、そこだけならば私どもはまだそういう疑いを起さんのでありますが、御承知の通り現在の警察法の規定によりますると、自治警察の存続或いは廃止については、住民がこれを投票すると、基本的な権利として憲法の中に住民投票ということが書いてある。ところが今度はそれをやらずにこの法律で以て住民投票の権利を全くなくしてしまつてそうしてやるということが、どんなに理窟をおつけになりましても、憲法制定時代のこの精神に対して私は納得ができない。住民の投票において過半数の同意を得なければ国会はこれを制定することができないという、こういう一つのことをやつているもとが何にあるかということ、今加瀬委員の仰せになりますように住民の基本的なる権利というものがある。そのことによつてこの地方の問題がきめられるのです。これはいろいろ法文の解釈はありましよう。併しながら根本の理念は何であるかと申しますと、こういうものは警察事務というもの、或いは根本の警察の機能というものは、やはり国民の自由なる選択に任せるものだということでなければならないのですが、今度はそれをやらないのでございましよう。この法律を通そうというんでしよう。それに関する矛盾を感じなさらんかということを明確にお示し願いたい。
#68
○国務大臣(小坂善太郎君) 現行法におきましても、住民投票の規定は人口五千以上のものにつきましてこれを廃止する場合は、住民投票によるということは記載されております。即ちこの制度として与えていたものを廃止する場合は、住民の意思を考えなければならないと、こういうことであろうと思います。そこでこの新しい法律におきましてはそういう趣旨はありませんが、それは現在の法律の精神に合わないのではないかということでございますれば、私どもはそうすれば、住民投票というものは絶対的なものとするならば、それならば人口五千以下の市町村には警察を与えなくてもよいということを考えておるということを規定いたしておりまする現行法そのものにも矛盾があるということになるのでありまして、その点から言いまして矛盾はないと考えております。即ち制度として与えていたものを廃止する場合は、住民の意思によらなければならん。併しこの新しい法律によりまして制度をきめるのでありますから、この間において矛盾はないと思うのであります。
#69
○笹森順造君 それは伺つても少し苦しい御答弁のように伺いますが、現行法においてこうあるからというその五千以上のものと比較対照されて言われたことは、私は了承できません。根本の憲法の理念が如何ようのところにあつたか、これは五千であろうが三千であろうが二千であろうが、それは比較して今便宜上取扱つておるということだけを理由にして、だからこれはいいじやないかという結論はちよつと苦しい御答弁のように私は伺つております。
 いずれにいたしましても、私が懸念をいたしますることは、この根本の理念は先ほど大臣のおつしやる通り、これは改正案であつて、決して別のものでやつたのではないとおつしやる。ところが私どもはここで非常に懸念いたしますることは、一つのそういう民主的な問題についての単なる観念のこれは相違でなくて、実際の適用においてここに非常な矛盾を感ずるという一つの点と、それから更に附加えて次の点を、これが改正案でなくて、前のものを廃止して全く別の中央集権的な国家警察を作るのではないかという疑いを起す一つの他の要素は何であるかというと、つまり地方分権という思想が全くこれにどういう工合に関連を持つて来るか、この国家公安委員というものをずつと下まで流して行くというようなことと、一体今までの法にあつた市町村まで流しておつたこの自治警察という観念において、何か知らんが今後官治統制になるような、逆調になるようにどうも私どもは感ぜられますので、そこで今加瀬委員の言われました人間の最高なる、至高なる人権の尊重というものを削られた点と、もう一つは従来の市町村の警察を廃止しなければならないのだということが、この地方分権の思想にこれは逆調するのではないか。従つて現在の警察法と今度新らしく提案された警察法との中における地方分権の思想との間の関連、而してこれは決して全く廃止したものではなくして、改正したのだということであるならば、どういう理念を以てこれを御制定になつたか、後の条文に関係して参りますからお尋ねしたいと思います。
#70
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどの御説明が或いは足りなかつたかも知れませんが、住民投票の場合は、法律によつて与えられているものを廃止する場合には、或いは市町村議会というようなものの議決だけでは足りないから、直接住民の意思を聞かなければならん、こういうことになつております。従つてこういうことは法律によつているものを廃止する。今度は法律によつてきめるのでありますから、従つてその間の矛盾はない。こういうふうにもう少し附加えさして頂きたいと思います。
 なお地方分権との関係でございまするが、これは第五条を見て頂きますると明確になると存じまするが、先ほど申上げたように、今回の警察法を御通過頂きました後におきましては、府県の自治体警察というものが警察の主体です。そこで国のほうといたしましてどういう趣旨においてこれに関与するかと言いますと、五条の二項に掲げておりまする通りでございます。即ち国家公安委員会というものは、「国の公安に係る警察運営をつかさどり、警察教養、警察通信、犯罪鑑識、犯罪統計及び警察装備に関する事項を統轄し、並びに警察行政に関する調整を行う」、即ち運営、統轄、調整ということを行いまするのでありまするが、その任務を遂行いたしまするために「左に掲げる事務について、警察庁を管理する」となつております。即ちお読み頂きまするように、ここに十二号ばかりあるわけであります。で最初の運営に関する事項については三号から五号、それから統轄する事項につきましては六号から十号、調整を行う事項につきましては十一号から十二号まで、即ちここでお読み頂きまするように統轄といたしますというと、非常に何か中央集権的なものではないかというような御疑念を持たれるのでありますが、ここに書いてございますように、六号には教養規定を作り、七号においては通信規則を作り、或いは十号におきましては装備規定を作る、そうしたようないわゆる訓令的な内容を持つものでございまして、規定をきめるということなんです。他に国家的にどうしても相互の連絡を必要とするということに関しましては別にいたしておりまするが、個個のものについては深く入つて行かないということがこの五条の警察の「任務及び権限」というところに国家公安委員会の任務及び権限が明瞭に謳つておりますのでございます。この点によりまして御了解を頂けるのではないかと、かように考えます。
#71
○笹森順造君 只今大臣から特に五条の用語について運営、統轄、調整ということの御説明で各項目に関連することのお話がございましたが、実はこのうちの第十二号の「調整に関すること」ということを実は私ども一番懸念している。これは調整に関することということを以てあらゆる今の運営も統轄もし得るような結果を来たすのではなかろうかというのが私ども懸念であります。ですからこの調整という言葉の中に隠れて、いわゆる袞龍の袖に隠れて何でもできるということが心配でならない。故に調整の事務の範囲を明確にここで一つ記録に残しておいて、調整とはかくのごときものなりということを限定しておいて下さらなければ、いずれもこれが私どもは後において統轄にもなり、運営にもなるという懸念を持たざるを得ない。ですからここに責任の地位において、どうぞ一つ大臣はこの調整とは何をするものなるか、如何なるものを調整するのかということを先ず明確に御答弁を願いたいと思います。
#72
○国務大臣(小坂善太郎君) 調整に関するものは五条の十一号、十二号でございます。十一号は「警察職員の任用、勤務及び活動の基準に関すること」でございまするが、これは結局任用の基準であり、採用の基準であり、或いは外勤々務であるとか、犯罪捜査の基準であるとか、そうした基準を示すにとどまるのでございまして、指揮監督というような意味は含んでおりません。又この府県の公安委員会は、その独自の判断におきまして活動をいたすのでありまして、国家からしていわゆる調整の名の下に指揮監督をするというようなことはないのでございます。それから第十二号は「前号に掲げるものの外、警察行政に関する調整に関すること」即ちこれは内部調整でございまして、消防と警察との共助規定を作るとか、或いは郵政監察官とか、或いは海上保安官とかいうものもございまするが、それらの本部との間に如何なる調整をするか、こうした特別司法警察と警察との間の調整を図る、こういうことでございまして、御心配の点はございません。
#73
○笹森順造君 それでは警察行政全般に関する調整ではないのでございますか。ここでは「警察行政に関する」と書いてある。この中に非常に大きな含みを私は懸念してお尋ねしておるのです。
#74
○国務大臣(小坂善太郎君) 全般と申しますと、只今申上げましたように府県公安委員会というものは、独自の判断において警察行政に携るのでございます。その間におきまする連絡義務等は、後ほど質疑の際に逐次お話を申上げる機会があると存じまするが、指揮監督は含んでおりません。でございますから「国の公安に係るもの」というような三号から四号、こうしたような「民心に不安を生ずべき大規模な災害に係る事案」、「地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案」、或いは七十条にございます「緊急事態に対処するための計画及びその実施に関すること」というような限定された問題だけでございまして、たびたび繰返して申上げますが、調整という言葉には指揮監督ということは含んでおりません。
#75
○笹森順造君 現行警察法では地方自治の真義を推進する観点から警察法を制定したと明記しております。ところがこの新らしい改正案では全くこういうことを削つてしまつておる。そうして国情に即した警察組織を強調しておるわけでありますが、この特に前の地方自治の真義を推進する観点というものを除いて、而も又特に今の大臣のお話の傾向から考えると、特別になくてもよさそうだと思われるような字句の説明的な、「国情に即した警察組織」というものを特に強調しておるというのはどういうわけなんですか。この辺に私どもは疑問を持ちますのでその辺についての御説明を願います。
#76
○国務大臣(小坂善太郎君) 「国情に即した」と申しますると、我が国の場合でございますれば、非常に町村単位が多い。町村合併促進法で整理をいたしまするが、この法案起草当時におきましては一万有余の市町村がある。それに一々人口五千以上有するものに自治体警察を置くということは非常に経費の点において重複を来たす。それでそうしたものをやはり国の広さ、或いはその他の事項を勘案いたしましてきめる、こういう意味でございます。
#77
○秋山長造君 ちよつと関連して……。今の「国情に即した」という点ですが、町村合併、小さい町村が非常に多いので町村合併というようなことが行われているじやないか、だから五千以上の町村に警察を持たすことは国情に即しない、こうおつしやる。成るほど小さい町村が非常に多いということは、それが日本の国情であつて、この国情が別な国情に即するのか即しないのかということも妙な論理ですけれども、併しおつしやることは要するに小さい町村、経済力の非常に貧弱な町村にまで警察力を持たせるということは、先ず財政的な理由からして無理ではないか、そういう意味で国情に即しないということと了解をいたしますが、でありますならば、小さい町村が国情に即しないで、町村合併をやつて八千以上或いは一万前後というような町村ばかりになれば国情に即するということであれば、何も五千以上の町村に警察を持たせる、これがいけないからといつて、何十万、何百万の人口を持つた自治体にまで全部自治警を置かせないということに一足とびにする必要はない。五千程度のものに持たすのがいかんということなら、丁度町村合併をやつて八千から一万前後のものがずつとできて、そうしてそれが国情に即し、而も経済力も相当充実して来るということであれば、今までの五千という限度をもう少し引き上げて、例えば一万なり一万以上の町村には自治警を持たせるということに段階を追つてやることのほうが、むしろ国情に即するということじやないかと思うので、あなたの論理で行きますと、五千以上の町村に自治警を持たせるのが国情に即しないから全部一本にするというなら、同様に町村あたりももう全部廃止してしまつて、日本中町村を一つに一本化してしまうのと同じことになるのじやないか、その点は如何ですか。
#78
○国務大臣(小坂善太郎君) 国情とはどういうことかというので、経済的な理由から、相当小さい町村が多いということが、経済的理由からいつた場合の国情ということであろうと申上げたのです。それには五千以上という警察を作る一つの限界はあるのです。それにしても四百有余の警察がある。その警察があることが非常にお互いの盲点を作つておるので、もう国警、自警と分れておることが経費の面でも人員の面でも重複を免れないという点があるので、そこで両方とも国警、自警ともに廃止して県自治体警察を作ろう、これがこの警察法の根本的な考え方であるということを申上げたのです。只今のお話のように、それじや町村を一本にしてそこへ自治警を置いたらいいじやないか、そういうお考のようでございますけれども、現在御承知のように自治体が二つあるわけです。府県も自治体である、町村も自治体である、そこで自治体警察ということで府県という自治体に警察を持たせる、こういうことにしたらどうか、こういうことであります。
#79
○加瀬完君 国情の判定というものが、この法案の背景として非常に問題になるのじやないかと思うのです。今大臣の御説明によりますると、国情に適しないということは町村の数が非常に多い、その小さい町村の五千程度のものに自治体警察を置くということは非常に煩雑だと、こういう御議論でありますが、そこはとにかくとして町村の自治体警察というものは殆んど任意設置のような形で、どんどん特例法なんかを国会において作りまして住民の意思によつて廃止しておるという現状でありまして、それは別に問題になることではないと思う。先ほど国情ということについて、国家的性格と地方的性格、警察についてこの二つの性格があるわけだが、これが現状の警察機構におきましては国情に適しておらない、国情についてこの二つの見解が表明されたわけであります。私どもがこの警察法の審議に対しまして、公聴会で多くのかたがたの御意見を拝聴いたしますと、大臣の御認識と国情というものの見方が違つておるように思われる。高橋千代さんは警察法の改正に伴う国情の一部としての、こういう見方をしておる。「最近における政府の政策が逆行しつつあることは甚だ遺憾である。警察法案は戦前の警察国家に逆戻りするものであり、この次に来るものは、再軍備、知事の官選でありはしないかと憂慮される。」こういうふうに国情を見ておる。高橋雄歌さんは「警察制度を考える上で注意すべきことは、政治の大原則に適合することである。即ち新憲法の精神、主権在民、国会中心、行政においては自治尊重という原則に適合するものたるべく、明治憲法時代の国家至上主義の思想とは自ら異つた方式によるべきである」、中立性の問題についても「警察は勿論純然たる行政作用であるが、その目的は治安の維持、生命財産の保持という極めて中立性の強い且つ恒久性を帯びた性質の行政であり、時の政権担当者の政治的な意図によつて左右せらるべきものではなく、又政治上に利用すべきものでもない」、こういうふうに見ておるのであります。或いは又「今回の政府原案は、我が国では曾つて見たことのない強力な国家警察制度であつて、衆議院修正によつて、多少は緩和されたとはいえ、なお自治体警察の理想には極めて遠いことは甚だ遺憾とする」、こう見ておられるのであります。住本利男さんは、「現行警察制度の欠陥は認めるけれども、憲法上の自治精神の尊重、国家警察に近づかない、過度の中央集権化による警察の政党化防止を前提として考えなければならない」、と国情の判断をいたしております。或いは又大阪の市長さんは、「民主警察は、地方自治と切離しては達成せられない」、これはそれぞれの見方だろうと思います。警察界の先輩であります次田六三郎氏の御意見によりますと、この法案によると警察庁長官の権力が非常に強く、余りに強過ぎて戦前の内務省時代の強力な国家警察が出現されると、長官によつて全国十四万の警察官は手足のごとく意のままに動かすことができ、戦前の警保局長なんか比べものにならない、とこういうふうに言つている。又この警察の能率というものを非常に向上するという点だけを考えられるならば、権力の濫用が発生し、その他の弊害を非常に増加して、警察による選挙干渉、或いはその他のいろいろな問題が起つて参りますし、内閣の更迭するごとに大量の罷免異動という問題が起るであろう、これは国情に適しない。こういうふうにこの警察に対して国情を判定している。これに対しまして、大臣は単に警察法の運用が及ぼす国家への影響、国民への影響、そういうものから考えて、今挙げられただけの国情というもので一体この警察制度の改正というものを思いつかれたのか、私はそうでないと思いますが、そのこと自体国情に適しないというその国情はどういうものであるか、御説明頂きたい。
#80
○国務大臣(小坂善太郎君) 国情と申しますと、抽象的には米英の国情、アメリカにはアメリカの国情があり、イギリスにはイギリスの国情がある。日本にも当然日本の国情がなければならんと思うわけであります。その日本の国情と睨み合せて適度な中央の役割を留保して、そうして府県自治体の警察が我が国の国情に適当である、こういうのであります。今いろいろの御意見を挙げられましたが、それは民主主義でありますから、それぞれのお考えに従つて意見を述べられることは当然でありますが、政府といたしましては、先般提出いたしました警察法の審議を通して国会の御意見も伺い、又その後の選挙を通して又直接国民各層に触れてその意見も察知し、そうしたものの上に立つて一方地方制度調査会におきましても種々の論議がなされたその意見も斟酌し、政府自体の判断におきましてこの改正を提出いたしておるのであります。只今のお話の中に、内閣が変ると地方の警察官の末端まで異動が行われるであろうという説がございましたが、これはこの公安委員会制度というものを全然抜きにした場合の考え方でございまして、公安委員というものが中央におきましては五年間、地方におきましても三年間身分を保障され、その保障された身分を持つた良識ある人の考えによつて警察の運営管理がなされるのでありまして、さようなことは絶対に考えられないと私どもは思つております。
#81
○加瀬完君 これは今申上げたのは私の意見ではなくて、私どもに語られました公述人の御意見なんであります。要は公述人の多くの人たちは、むしろ新しいかくのごとき警察法に変えられることを国情に適しないことという見方をしておるわけであります。今大臣の御説明によりますと、日本には日本の国情があり、アメリカにはアメリカの国情がある、日本の国情から考えればこういう国警、自治警の二本建て、殊に地方自治警の存在というものは国情に適しない、こう言われるけれども、国情というものを考えますときに、そういう警察機構とか行政機構とかいう面ばかりではなくてそういうふうに変えられて参るのであつて、新しくできる警察が先ほど前文でも問題になりましたが、今までの民主警察という観念で我々がやや安心していたことに対して、むしろ曾つての警察国家といつたような警察に逆戻りをするんじやないかという非常な心配を公述人の公述の通りみんな持つておるわけなんです。むしろ考えなければならない国情は、そういう国民の警察に対するところの考え方、又警察に対するところの国民の持つておる希望、そういうものをこそ国情として考えなければならないんじやないかと思うのです。ただその都合がいいからとか悪いからとかいうことを政府の行政の面からだけ考えるのでなくして、国民は一体経費はかかるけれども、自治警というもののどこに魅力を感じているだろうか、或いは国民は警察というものに対してどういうことを望んでおるだろうか、こういう民心の機微と言いましようか、そういうものを本当に察知するのでなかつたならば、それは国情に適するとか適しないとか、国情の認識というものは非常に角度が違つて来るのじやないかと思うのです。私の伺つておりまするのは、単に町村がどうの、自治警がどうの、二本建てがどうのということではなくして、警察行政の表現される面において一体今のような警察の制度であつては国情に適しない、国民が甚だそれを望んでおらないという国情というものが具体的にどういうことなのか、それを伺いたい。
#82
○国務大臣(小坂善太郎君) 民主的な警察が望ましいということは私もその通りと考えております。ただこれが安い経費と言いますか、無駄な経費をかけずに国民負担を少く行い得ればこれ以上のことはない。その理想に一歩近づくために、まだまだ運営において整理すべき経費はその後において出ようかと思いますけれども、差当りこの改正をいたしまするだけでも約九十億円の経費の節減になり、国民の負担がそれだけ少くてすむわけであります。そこで私どもはそうした民主的警察の理念の下において、この能率的なという意味は経済的なですね、警察を作りたい、こういうのであります。そこで何かそういう能率という点を余り強調する余りに、いわゆる国家的統治の面が強く出ると言いますか、国家的統治という言葉の裏に官僚独善的な権力行政が現れるんじやないか、こういう御心配でありまするが、これは先ほども申しましたように公安委員会というものの活用をお考え下さつて、身分を保障された良識ある公安委員会の考え方が警察を管理するのでありますから、この点は心配ございませんし、又警察法そのものが組織法なんであります。問題はむしろこれを如何に執行するかという執行法にあるのでございまするが、御承知のごとく刑事訴訟法におきましても、警察官職務執行法におきましても、そういうことはないのでございまして、昔と全然執行法の部門において違つておるのでございますから、そういう点を看過した御議論には耳を傾けざるようお願いします。
#83
○加瀬完君 これは御承知のように組織法であるから、何も組織法を変えたからといつて執行面には、例えば民主的な警察官の行動というものに対して支障を来たすようなことはないという御説明でございますが、我々心配しておるのは、これは確かに組織法であります。併し組織法を変えて執行面に現れる具体の姿というものを想定するときに、これは単に組織法を一部分変えたというだけでは看過し得ない幾多の問題がある。こういうふうに考えるからであります。でこれは甚だ国警担当のかた或いは当局のかたには耳ざわりなことでございますが、私は最近における警察官による人権侵害の件数とその事例というものを調査いたしました。そうすると、人権侵害の件数は昭和二十三年にはたつた十二件であります。二十四年には四十六、二十五年には三百二十二、二十六年には七百七十八、二十七年には八百四十三、二十八年には八百八十一、こういうふうに増加しておるのであります。これは大臣が言う民主警察の方向に警察官が非常によく訓練されて能率を挙げて来ておるということとは若干逆行すると思います。これが国情なんです。これに対する心配が国民の一番の心配なんです。もつと具体的に、これは大臣並びに長官も御覧になつたと思いますが、文芸春秋にも具体的に出ておる。窃盗容疑で十六才の少年を検挙、拷問して自白させて処罰した、ところが真犯人はそのあとから出た、昭和二十七年八月の栃木県矢板地区署の例であります。或いは又埼玉県の松山地区署では、放火容疑の十五才の少女を十人以上の警官がとり囲み、便所へ行くにも二人が附いて行く、白状するまで二日でも三日でも家に帰さないで自白を強要した、こういう事例がございます。堂々と読者を百万持つておるところの雑誌の上に掲載されておる。千葉県の旭地区署では、山林荒し容疑の農夫、二十五才を殴りつけた上、柔道で何度も投げつけ、お前もこれくらい仕込まれたら柔道初段くらいになるだろうと、自白を強要した、併し農夫は無実であることがわかつた。こういうふうなことを、もつと幾らでもありますよ。こういう実情に国民はおびえている。それに目をふさいで国情は自治警を廃止して国警に一本にしたほうが適している、そればかりに組織の統一をあせるということは、果して国情というものの認識が担当大臣として完全かということを私はお問いしたいのです。問題は組織をどうするかということよりも、もつと民主警察というものを徹底させてもらいたいということを国民は願つておる。それで警察法の改正ということならば、こちらの方向に一番先に警察法の眼目が行かなければならない。その点を脇のほうに置いて、組織を変えたんだ、執行面には変りがないと言つたところで国民は安心できない。なぜ一体こういう事実があるのをあなたがたは看過しておつたのか。警察法の改正の中にこういうものを入れないというほど国情というものに対して十二分な検討を加えておらなかつたのはなぜであるか。あなたがたの国情の認識というものに対して我々は甚だ疑わざるを得ない。この点を看過しておるという理由を御説明頂きたい。
#84
○国務大臣(小坂善太郎君) 具体的には国警長官からお答え願いたいと存じまするが、そういう人権尊重という事実が無視せられておるというようなことは、我々としても当然看過することはできんと思います。その点は十分注意しておることと思いまするが、ただお言葉の中に国警一本にするというお言葉がございましたが、これはたびたび御説明するように国警一本にする考えではないのでございます。府県単位の自治体警察一本化するということでございますから、その点誤解ないようにお願いしたいと思います。なお具体的事例については国警長官から申上げます。
#85
○政府委員(斎藤昇君) 只今加瀬委員のお挙げになられました人権侵犯の件数でございまするが、これは全体的に見まして、最近人権擁護局というものがあつて、そこに申出でをすればいろいろと人権擁護の立場から保護をして頂けるということが普及して参りました。その結果申立事項の多くなつておることは事実でございます。この点は我々としても、我々のほうにおきまして、そういうことがあるということは非常に遺憾なことでございますが、併し一般国民の関心が高まつて参りまして、さようにいろいろと申立があるということは非常に我々として喜ばしいことである。私どもといたしましては、さような具体的な申立が実際にあるということによりまして、更に戒しめて行くということができるわけであります。非常に一般のそういつた申立の機運が多いということを喜んでいるのでございますが、只今お挙げになりましたの、恐らく人権擁護局で扱いました全国の官公吏一切を合せた数字であろうと思うのであります。そのうちで警察に関係をいたすものを調べて見ますると、例えば昭和二十七年におきまして、国警において十七件、自警において二十二件、昭和二十八年度は国警において十件、自警において十三件、計二十二件、かようになつておりまして、警察のそういつた人権侵害事件が、これは申立によるものでございますが、必ずしも多くなつておりません。又これらの申立に応じまして人権擁護局で調べられ、又我々のほうに移牒されて調べましたその中で、具体的な事実のありましたものにつきましては、それぞれの処分をいたしている次第でございまして、その点をちよつと御説明申上げます。
#86
○秋山長造君 ちよつと今の御答弁に関連してお尋ねいたしますが、今おつしやつた数字は、加瀬委員が質問された根拠になつている人権擁護局への申立事件の中から警察関係だけを拾いあげた数字でありますか。それとも警察のほうで独自にお調べになつた数字でございますか。
#87
○政府委員(斎藤昇君) 只今私が申しましたのは、人権擁護局から警察に対して勧告のあつた件数でございます。人権擁護局でお調べになつて、これはもう警察に連絡するまでもないというものは除かれております。こういうものについて警察は果してどうであるか、調べて、若し事実であれば適当な措置をしたらよかろうという勧告を受けた数字を私が申上げたのであります。加瀬さんのお述べになりましたのは警察以外のいろいろな公務員を含んでいるのじやなかろうかと私は考えます。
#88
○加瀬完君 国警長官に伺いますが、今の数字お間違いございませんか。昭和二十七年度、二十八年度についてお挙げになりました数字、お間違いございませんか。
#89
○政府委員(斎藤昇君) 人権擁護局から勧告を受けました数字につきましては、間違いはございません。
#90
○加瀬完君 勧告を受けたことと、人権侵害として問題になり、人権擁護局が取上げたこととはこれは別だと思う。(「問題が」と呼ぶ者あり)問題と言つても、問題はただ警察のほうに特別問題になるからこれを処置せよと言つたものだけを問題にすべきか、一応人権擁護局で取上げられて、確かにこれは人権侵害の件数の中に入れべきものであるといつて挙げたものを問題にすべきか、私は後者でなければならないと思います。で私の調査もこれは立法考査局を通しての調査でありますから、これは間違いがないとは申しません。併しながら余りに隔りがありまするから、これはあとで又十一分に人権擁護局のほうに問合せまして、検討をいたしたいと思います。
 で、大臣は先ほど国警にしたのじやない、府県自治体だと、こういうことを笹森さんの御質問にも、私へのお答えにもたびたび繰返されましたが、私どもは名前が府県警察という名前になろうが、或いは国家警察という名前になろうが、その名前というものの、表面を問題にしているのじやない。現状の警察法に代るべき警察法というものを比べ合せましたときに、一体どつちが自治的な性格が強いか、どつちがいわゆる国警的な、中央集権的な性格が強いか、そういう意味で申上げていると御了解頂きたい。
#91
○秋山長造君 あのさつきの人権侵害の例ですが、只今の加瀬君の挙げられた数字と国警長官のお挙げになつた数字と、相当隔たりがありまして、その点については我々が更にどちらが本当か、調査をする必要があると思いますが、併し仮に長官がお挙げになつた数字がそのまま事実といたしましても、例えば一般公務員の人権侵害に比べて警察官の人権侵害の件数が非常に少いということは必ずしもそれがそのまま今日の実情であるとは即断できないのじやないかと思う。と申しますのはこの一般の国民の警察官に対するこの気持と、それから警察官以外の一般公務員に対する態度とにはかなり隔りがある。これはもう御承知の通り警察官というものは、何と申しましても他の公務員に比べました場合、一つの威力を持つておる。最もこの権力の保持者と言いますか、権力の執行者と言いますか、そういう性格を露骨に持つておるものでありますから、それだけに警察官に少々人権侵害的な仕打ちを受けましても、殆んどの場合、まあそのまま泣寝入りで、触らぬ神に崇りなしというまあそういう気持が非常に強い。これはもう否定できない実情なんである。ところが警察官以外の一般公務員になりますと、必ずしもこれが何か一種の力を背景とし、力を生命としてというものではないわけですからね。
   〔委員長退席、理事堀末治君着席〕
 比較的人権侵害というようなことがありました場合に、すぐ人権擁護局に問題を持ち出す、問題に割合、軽くできるわけであります。そういう観点から見ました場合に、警察による人権侵害の事実というのは、今挙げられた数字などはまるで比較にならないくらい多いのじやないか、泣寝入りをしている事実が多いのじやないか、まさに氷山の一角というようなことすら言えるのではないかと思います。と申しますのは、昨今来頻々として全国的に警察官による或いは思想調査であるとか、或いは信書の秘密の侵害というような事件であるとか、或いはそれに類する事件が新聞紙上に報道せられておる。それらの全部が全部、明らかに人権侵害、或いは法律違反、こう断定できるかどうかは私もわからない。わからないけれども、併し少くとも多くの新聞に同じような事件が報道されておるところを見ると、やはり我々としてはそれは十中八九まではそういう事実があつたのではないか、又そういう疑いを受けるような事件が全国的に相当起つておるのではないかということが想像されるわけなんです。で先だつての衆議院の地方行政委員会で猪俣議員によつて取上げられた警察大学のあのいわゆる特高教育の問題にいたしましても、まだ結論が出ておりませんで、我々もいずれこの委員会においてこういう問題は一つ徹底的に調査をしなければならないと考えておりますが、そういうこの統計数字に出て来ておらない、いわば泣寝入りになつて埋もれた人権侵害事件というものが、或いは職権濫用的な事件というものが相当多数あるのじやないかと思うわけでありますが、国警長官はそういう感じをお持ちになりませんかどうか。
#92
○政府委員(斎藤昇君) 私は先ず他の公務員よりも警察官のほうが割合として人権侵害の事件が少いというようなことを申上げようとは決して思つておりません。又それを以てよしとは毛頭考えておらんのであります。ただ先ほど申上げたのは明瞭になつた数字を申上げただけであります。秋山委員の御所見のように表面に現われない人権侵害行為、或いはこれに類するものが絶無であると言い切る勇気はございません。我々といたしましてはさようなことが一つでもないようにということを日夜何と申しますか、念じておるのでありまして、できるだけそういうものがあるということがわかれば、我々中央から注意もし、又地方の責任者も責任を以てそういうことのないことを将来に期して行くことと考えておるのであります。我々殊に第一線の監督者、又我々といたしましても、警察が最も人権の保護、自由の保護、これにふさわしい警察官であるようにということを第一の念願といたしておるのでございますから、従いまして、さような事柄を先ずみずからの手において発見し、さようでない場合は他の人たちからのいろいろな申出或いは御注意等は喜んでこれを受けて、そうしてさようなことを将来にいたさないというように期しておる次第でございます。
#93
○秋山長造君 そのお心掛けでやつておられれば結構なんですけれども、実際の実情は必ずしもそういう長官の方針が全国の警察官に徹底しておらないのじやないか、こういう感じを持つのであります。その点について警察においていわゆる点数主義と言いますか、点数制度というようなことが昔からございまして、そうして加点、減点いいことがあれば点数を殖やして行く、失敗があれば点数を減らして行く、或いはマイナスをつけて行くというようなことがあるようであります。最近聞くところによると、その加点の中に或いは報告点であるとか、或いは検挙点であるとか、まあいろいろな名目の項目があるようでありますが、その報告点の中に、特に最近はいわゆる共産党情報、警備情報というようなものを特に重視するというようなことを聞いております。又検挙点の中でも特に警備公安関係の点数を重く見ているというようなこともあるようであります。で、やはり警察組織というようなものは一種の軍隊組織でありまして、何よりも自分の上官に対してはこれはもう絶対服従というような形になりやすい。横の秩序というよりも上からずつと筋の通つた縦の関係で身分が縛られておるわけでありますからして、どちらかと言えば、この点数を殖やすためには或る程度行き過ぎということが起りがちだということは、交通違反等の取締において我々のしばしば見受けるところなんです。そこで国警において事実そういう点数制を今日やつておられるのかどうか。或いは点数制度とは言わないけれども、只今申上げるようなことをやつておられるのかどうか、その点お伺いしたい。
#94
○政府委員(斎藤昇君) 私の知つております限りにおいては、さような点数制度を採用いたしまして、そしてこれはこれによつてその俸給とか或いは階級とかいうものを上げたり下げたりする具に使うというようなことはいたしておりません。警察署長が年に一回自分の下僚の何と言いますか品性、或いは幹部であればその部下の統率が上手であるかどうか、或いは国民に対して悪感を与えるような人物であるかないかというような事柄を府県の警察本部のほうに報告をするというような事例はございますが、只今おつしやいましたどういう犯罪に検挙をすれば何点、或いはその種類によつてどう、そういつたような点数によつて成績の考課をする、そういう考課表の採用はいたしておりません。
#95
○秋山長造君 その点ははつきり御否定になるようでありますが、私の質問しておりますのはまあいわゆる点数制度である、点数制度というふうな名前があるかどうか、この点は私もよくわからない。併し少くとも点数制度とおぼしきものが行われておるのではないかということは、まあ一般の私は常識になつているのではないかと思うのですが、そういうものは全然ございませんか。
#96
○政府委員(斎藤昇君) そういうものはございません。私ども例えば指導方針としましては、警察官を表彰するという場合におきましても、或る大きな犯罪を何件検挙したということよりも、国民から警察官として非常によく慕われ、この警察官なら調べてもらつてもいいと、そういうような国民のかたがたから如何に信頼されているかという事柄をむしろ重点にして表彰するようにということを特に指示しているくらいでございまして、実際の検挙点数或いはそういつたような働きという積極的な面だけでは人物を評定していないのであります。ましてや只今おつしやいますような点数制度というものは人物考課には用いておりません。
#97
○理事(堀末治君) ちよつと先ほどお話のございました国家公安委員長の青木さんがお見えになりましたからそのおつもりで。
#98
○秋山長造君 更にお尋ねしますが、それではそういう点数制度というようなものが少くとも国警長官の方針としては行われておらないということでございますが、人物を評価するなり或いは成績を評定をして行くということは、これはもう当然あつて然るべきものだと思うのです。そういう場合に従来の方針は成るほど只今おつしやるように、いわゆる民衆に親まれる、この程度がどの程度だというようなことがやはり重点になつておつたのかも知れませんけれども、最近はこういう社会情勢、政治情勢等との関連もありまして、例えばそういう人物の評価をする場合に警備情報をよく取つて来る者は割合高い点数がつく、或いは更に共産党関係の情報を取つて来る者はいい評価を受けるというような傾向が顕著になつて来ておるのではないかということを聞くのでありますが、その点は如何でしよう。
#99
○政府委員(斎藤昇君) 私はさような事柄はちよつと考えられないと思つておるのでございます。警察官それぞれ職責を持つておりますが、どの職責が軽い重いというそういう差別は絶対にいたしておりません。若しどこかでそういうような考えでやつておるということが我々にわかりましたら、即刻そういう考え方は是正いたしたいと思いますが、さような考えはよもやなかろうと考えております。
#100
○秋山長造君 今の点は、私やはり今後の警察制度を民主的に育てて行くか、それともそれとはそれた方向に持つて行くかというやはり根本的の問題だと思う。その点については又後刻少し細かい質問を申上げるときた留保しておきたいと思います。
 最初の人権侵害の問題に戻りますが、まあ先ほどお挙げになつたのは人権擁護局のほうから国警本部に対しまして勧告された極くこれはいわば選ばれた数字であろうと思う。そういう人権擁護局に持ち込まれたというようなものでなしに、警察自身として警察官がいやしくもこの警察法の前文なり或いは一条なりに書いてあるような趣旨に反する、或いはそれとはずれるというような事例が頻々として新聞等に起つておる事実は十分御承知だと思うのですが、そういう事実について世間からとやかく言われ、或いは新聞で騒がれ、或いは又人権擁護局に持込まれる。或いは裁判沙汰になるというような受身でなしに、警察御自身としてそういう問題について何か統計をとつておられるか。或いは不断に調査をしておられるか、そういう具体的な事実がございますればお知らせ願いたい。
#101
○政府委員(斎藤昇君) 我々といたしましては外部からさような申立或いは注意、勧告がありませんでも、我々の手においてできるだけそういうことのないように発見に努力をいたしておるのでございますが、例えば昭和二十八年度中におきまして、いわゆる懲戒法上において懲戒を加えました件数は、全部で九百五十人ばかりいます。これには免職が五十一人、停職が二十四人、減給、いわゆる減俸がこれが五百二十名、それから戒告、これが三百五十五名、このほかに懲戒法上でない事実上の何といいますか、注意、勧告というものが相当あろうと思います。これらすべてが人権蹂躙の事項ではございません。不注意で交通事故を起したとか、或いは酒を飲んで威信を失墜したとか、そういうものも含んでおるのでございまして、明瞭に職権濫用として懲戒を加えましたのは、このうちで九件でございます。併し収賄、饗応とか或いは暴行傷害、或いは交通事故とか、酒を飲んだ上の事故とかいう中には、多くはやはり人権侵害的な要素を含んでおろうかと考えております。
#102
○秋山長造君 そういたしますと、さつき人権擁護局から勧告があつたという三十件か四十件の数字が挙げられましたが、それにプラス今の警察自身の懲戒関係の事件というものがあるわけなんですね。更にさつきのお話のように懲戒とまで行かないいろいろ失権侵害、或いは職権濫用というような疑いを受けるような問題も多々あろうかと思う。まあそういう点は我々甚だ遺憾に思いますけれども、まあ今は総括質問ですから、一応こういう問題はあとに残しておきたいと思います。
#103
○笹森順造君 先ほど来お尋ねいたしておりました問題の中心は、新しいこの警察法の改正案をお出しになりましたその基準とでも申しましようか、理念とでも申しましようか、そのうちの一つは、国情に即したる警察組織ということを強調しておられる。それに対して加瀬委員から、或いは秋山委員から、国民の現に要望しておりまする方面は、警察の行政を担当しておりまする人々によつて国民が本当にこれによつて保護せられ、幸福を得て信頼せらるるものを要求しておるのです。従つて多少経費がかかつても、真に要求する警察であるならば喜んでこれを迎えるのであるという一つの考え方、これが即ち現在の国情の一面でなければならない。単に国警なり地方自治警なりが費用が嵩むからそれをやめることが国情に適するのだというようなお話だけではいけないというので、只今までの根本のお話が展開して参つたわけでございましたが、私はここでお尋ねを申上げたいことは、現在小坂大臣は、大都市或いは中くらいの市などが全国的に澎湃として要求しておる自治体警察に対するこの要望、これが私は国情として見逃すべからざる一つのものだと考える。ところがこの国情に即するということで全然これを無視しておいでなさるのか、或いは又これをどうお考えになつておられるのか、この点は私は現在の国情を判断する上において大きな政治問題ともなつており、国民関心の真中にこれが置かれておるので、国情の判断においてこの要求を全然無視しておいでなさるのか、或いは忌避しておいでなさるのか、この点についての御判断を一応伺つておきたいと思います。
#104
○国務大臣(小坂善太郎君) 全国におきまする大都市のうち、只今お話のような、是非設置を要望したいというものもありまするし、又逆に廃止を要望するものも聞いております。そこで私どもは現在の国情からいたしますれば、ここに提案いたしておりまするような国警、市町村自治警を共に廃止して、府県単位の自治警を設置するということが妥当であろう、こういう判断をいたしておる次第でございます。これは先ほども申上げましたように、国の適度の統制を残して、そうして府県の自治体警察が自分の判断において警察行政を行うのであります。その間の連絡事務というようなものは後ほど又御質疑があるかと思いますが、五十八条に協力の義務が規定され、五十九条に援助の要求に行く際の扱いがきめてあるのでありまして、中央の調整というのは先ほども触れましたような五条二項に掲げてあるそういうことに限つておるのでございます。そういう点をいろいろ説明いたしますると、御納得を頂く点も多いと私どもは思つておる次第でございます。
#105
○笹森順造君 只今の大臣のお話でちよつと私聞きとれませんでしたが、中くらいの、例えば十五万以上或いはもつと多くて三十万以上、或いは又五大都市とでも申しましようか、そのかたがたが自分の自治警察で今まで育成強化して来たものを存続したいというこの全国的な要求があることは、これは大臣も御否定なさらんのじやないかと思う。ところがこれに対してほかの意見もあることも私は聞いております。ほかの意見というのはこれはその自治体自身の中から出て、やめてくれろという意見なのか、その自治体以外の他の方面からの、これをやめて別のものにしてくれろというのか、そのへんが大臣の今のお話ははつきりしていなかつた。ですから今の五大市なりその他の市で自治体自体の上で、例えば三十万以上のものでやめてくれろという要望があるならば、それを一つここでお示しを願いたい。私どもは寡聞にして余りよく存じませんので御説明願います。
#106
○国務大臣(小坂善太郎君) 自治体の内部からその自治体自身の始終当面しておる問題を挙げてこの自治体警察というものはやはり政府が考えておりまするように府県の自治体警察にするほうがよろしかろう、こういう意見を開陳しておるかたもあるのであります。
#107
○笹森順造君 あるというのはどの程度なんですか。私どもの認識と大分違うようでして、その点は余りくどいことをお尋ねしませんけれども、例えば比重を百万の住民の人たちならばそのうちの何割とか、或いは又この市会議員の八十人なり五十人のうち何割とか、少くともそういうこと、或いは又市長自体なり市会議長自体なりから正式に大臣のほうにそういう御要望があるならば、私どもはそれを伺つておきたいと思いますのでお尋ねいたします。
#108
○国務大臣(小坂善太郎君) わざわざ東京へ出て来られまして、そういう話をされるかたもございまするが、どういうところでどういう人がということにつきましては、そのかたがたにおきましても特にこういう意見を言うて行つたということは、公表は差控えてもらいたいという話があります。
#109
○笹森順造君 その問題はその程度にいたしまして、これは一般の国民の判断に任せなければならんことであり、私ども又大臣のお言葉について十分満足することができないという感じを起すわけであります。そこで先ほど来お話がありまして、国家公安委員会を置くのであるから、いわゆるこの警察の民主化と申しましようか、あなたはそういうようなお話をなさいました。私はこれは現行法が制定せられ又発効せられた以来の一つの大きないい点であろうかと実は私どももそう信じておるわけであります。ところがそれが徹底的にそういう工合になつておるかというと、先ほど来私が懸念していろいろお尋ねして来たのにも触れるものがありますので、これは大臣と共に青木委員長にもお尋ねしなければならんことが起つて来る。何かと申しますと、それは国家公安委員長に大臣を任命するという点であります。これは私から申上げますまでもなく、この警察の行政の目的は不偏不党でなければならない。これは先ず一番大きく考えられた旗印しであろうかと、いわゆる錦の御旗であろうかと私は考えるわけであります。而してこの不偏不党であるべきはずの委員長は国務大臣を以て充てるというのがこの六条の規定の政府原案のこれは趣旨であります。ところが私から申上げますまでもなく、国務大臣はこれは内閣総理大臣が任免が自由にできるものとなつておる、而もそのうちに国務大臣というものの半数以上は国会議員でなければならない。つまりこれが政党の人でなければならんということになつておる。こういう観念から考えまして、私どもが一つの懸念を持ちます点は、この点についてこの不偏不党の原則が果して徹底的にこれが行われるだろうかどうだろうかということに対する一つの疑点であります。これに対する一つ総括的な根本的なお考えを、小坂大臣及び青木委員長から御見解を伺いたいと思います。
#110
○国務大臣(小坂善太郎君) 誠に御尤もなる御疑念であると考えております。ただ私どもその御疑念に関しましては、その必要なしと思うのでありまするが、その理由について申上げますると、この国家公安委員会なり或いは都道府県の公安委員会というものはすべて奇数の委員を以て構成されておるのであります。奇数委員会でございまするから、この場合には可否同数ということは現実においてあり得ないのであります。或いは委員の中に事故等があつて欠席したものがあつたらどうするかという御疑念もあるかと存じまするが、国家公安委員会なり府県公安委員会なりにおいて重要なる事項について表決いたしまする場合には、これはその委員の当然の職責からいたしまして出席をいたすべきものであろうと存じまするし、万一事故がありましても、その見解を表明するということは又適当なる方法によつてでき得ると存じておるのであります。そこで委員は表決権を持つておりまするが、国務大臣が委員長になりました際、その委員長は採決権のみを持つておるのでありまして、表決権は持つてないのであります。従いまして委員長は採決権は行使いたしまするけれども、これはすでに表決の結果が明らかになる際に採決いたすのでありまして、いわゆる国務大臣という地位の持つ政治的な含みというものはそこには出て来ない。制度上から出得る余地がない。かように考えております。というよりはむしろそのときの政府全般の考え方というようなものをよい意味において常時この委員長として国家公安委員会に国務大臣が出席いたしますることによつてその間の意思の疏通を図る。よい意味での連絡が密に行くということが、こうした公安委員会の職務の重要性から見ても、又治安の最終責任を明確にするという意味におきましても必要であろうと思うのであります。言うまでもなく内閣は国会に対して連帯して責任を負うのでありまするし、そういう意味においての責任が国民に対して明確になるという意味において、この点は御懸念を超えてむしろ非常に意味のあるものである。かように考えておる次第であります。
#111
○政府委員(青木均一君) 国家公安委員長を国務大臣で以て充てるということについての只今の小坂労働所管大臣の御説明は、私も大体首肯いたしておるのでございまするが、要するに我々の考え方としてものを比較して考えますと、一つの制度がいい場合と悪い方面に働く場合と考えられるのであります。国家公安委員会の委員長を国務大臣を充てますと、内閣との連絡は非常に密になることは重々よくわかりまするし、又内閣の持つておりますいろいろの行政上の方針その他につきまして、これを委員に伝えるというようなことも非常に便宜がございます。又その権能の内容を見ますと、表決権を持つていませんから、これは何ら表決に参加して委員会の意見を左右するものでない。かように考えますと、委員会の中立性を保持する上において、そうして内閣と何らかの形で連絡を密にする上においては非常にいい制度であるとも考えられるのであります。まあ一面若しこれを悪用するようなことがあつたら、どうなるかと考えますと、やはり逆には非常に憂えなければならないというようなこともないのではないのでありまして、例えばその委員長が委員長の職責において何らかの言動をしてそういう委員会を相当動かす。それが政党政府の意図する或る意味においての悪い方面の動かし方があり得るかもしれんという考え方は、一つの委員長問題をめぐつても考えられるのでありますが、私どもは先ほど前に申しましたように、これがいい意味において運営されるということを考えますと、内閣の連絡を密にし、却つて工合いいんじやないかと考えております。これは運用の如何にあると存じておりまして、制度そのものについてはむしろ皆さんの御判断を仰いだほうがいいのではないかと存じております。
#112
○笹森順造君 只今のお話で主に運営の妙を発揮するために利点をお考えになつておる。恐らくはこの法律の狙いもそうであるでありましよう。併し私どもがこの運営が弊害がある面を大きく考えなければ、法というものがその内蔵する弊害というものを無視して私どもは通過しがたいということに非常に私どもは神経的といいますか、良心的といいますか、法を審議するものは考えなければならない。こういう意味で只今のお話だけでは私どもは納得できない。そこで更にこれは小坂大臣にお尋ねいたしまするが、国務大臣はこれは国の常勤の特別職と理解しておりまするが、如何でございますか。
#113
○国務大臣(小坂善太郎君) その通りであります。
#114
○笹森順造君 然らば第十条の第二項に、「委員は国又は地方公共団体の常勤の職員と兼ねることができない。」こうはつきりここに規定しておりますのに対して法の矛盾をお感じになりませんか、それをお尋ねいたします。
#115
○国務大臣(小坂善太郎君) これは委員会に対する規定でございまして、委員長に対する規定ではございません。
#116
○笹森順造君 委員長は委員ではないのでございますか、それをお尋ねいたします。
#117
○国務大臣(小坂善太郎君) この場合、委員長は委員から互選されるものではないので、法律の規定によつて委員長の資格を持つものであります。
#118
○笹森順造君 そこでこれはお尋ねしなければならんことは、今のお話ではこの委員長は委員でないというお話は、その通り決定的に、理論的に、法的に伺つておいてよろしゆうございますか。
   〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
#119
○国務大臣(小坂善太郎君) その通りでありますが、なお事務的に政府委員より御答弁いたさせます。
#120
○政府委員(柴田達夫君) 只今大臣からお答えになりました点は、お尋ねを警察法案の条文上申上げますと、第四条の第二項におきまして「国家公安委員会は委員長及び五人の委員をもつて組織する。」ということで、委員長はこの法案におきましては委員ではないというふうに作られておる次第であります。
#121
○笹森順造君 それでは小坂大臣にお尋ねいたしまするが、結局委員の構成は六名ということでございますか、委員会は……。
#122
○国務大臣(小坂善太郎君) 五人の委員並びに委員長を以て構成する、こういうことであります。
#123
○笹森順造君 それではやはりその次の、そこでも問題になると思うのですが、第十条の第三項にも、「委員は政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」こうありまするが、委員長だけはこの政党その他の政治的団体の役員ともなり、又積極的に政治運動をしてもよろしいということでありますか、これをお尋ねいたします。
#124
○国務大臣(小坂善太郎君) これは第二項におきますると同様の解釈を願いたいと存じます。
#125
○笹森順造君 然らば青木委員長にお尋ねいたしまするが、そもそも内閣は政党を今背景としてでき上つておる政党内閣であります。然るにその大臣というものは総理大臣の任命によつてこれはどうでも任免ができるものでなければならない。それに対しまして今の小坂大臣の御答弁のごとくでありまするならば、そこに懸念せられるところの、先ほどよい面を強調なさいましたが、一党一派に偏したことをしてはならない。この政治の中立性というものを非常に強く私どもは謳つて、従来の警察法の委員会の制度はそういう工合にできていた。ところが今度小坂大臣の御説明でありますと、委員長というものは委員の職責に逸脱したものであるかのごときお話がありましたが、それが運営されました場合に、先ほどお話のありましたこの弊害の方面の御懸念というものがそのままなしということを考え得るか。従来の委員会の構成と比べて、それに対して何ら懸念なしに、そのまま如何なる政党の大臣が出て来ても、総理大臣が出て如何なる政党がこの背景に立つて委員長を任命しても、何ら懸念なしということを確信を持つてお答えができるかどうかをお尋ねしておきます。
#126
○政府委員(青木均一君) これは問題は構成されている委員の人格、力量というと語弊がありますが、人柄にあると存じております。御懸念のような事柄がいろいろ発生いたしましても五人の委員が、只今まで私が経験しておるようなかたがた、なかなかしつかりした立派なかたがたですが、あのようなかたがたであるならば大丈夫だと存じております。若し非常に政党に偏したかたがたが入つて、そうして委員として言動しまして、而もそれが委員の多数になるようなことがありますと、御懸念のようなこともあろうと思います。問題は委員の選任にあるのではないかと存じております。
#127
○笹森順造君 そこでもう一度小坂大臣にお尋ねいたしまするが、委員会というものは先ほどは委員長と委員で構成するものだというお話でありまするが、この委員長というものは委員でないということはどうも私は了解ができませんが、よしんばそれは互選によつたものでないといたしてみましても、委員長は委員でないということはどうも私には納得が行かんのでありますが、委員でないものが委員会の構成分子となり得るものであるかどうか、くどいようでありまするけれども、これは将来に議論を残す要点だと思いますので、委員ならざる委員長が委員会に出席して、そうしてその委員会運営のことに当るということが一体理論的に成り立つものかどうかということを明確に一つ御説明を願います。
#128
○政府委員(斎藤昇君) 事務的でございますから私から御答弁申上げますが、委員の構成といたしまして、委員長は委員の中から互選をする、委員長も委員だというこういう構成の仕方もございます。それから又そうでなくつて委員でない委員長、それと委員で構成をするという構成の仕方もあるのであります。(「今度初めてだよ、そんなの」と呼ぶ者あり)御承知のように最近の実は法令には、現在の公安審査委員会は委員長及び六人の委員、それから公正取引委員会は委員長及び四人の委員、この委員長は委員ではございません。(「大臣がしているのがあるか」と呼ぶ者あり)首都建設委員会は九人の委員と委員長が大臣ということでございます。(「首都建設委員会は消えてなくなるよ」と呼ぶ者あり)ただこういう構成がいいか悪いかは別でございますが、そういつた構成と、殊に昔の例えば町村会は町村会議員と議長はこれは町村長が議長になつておつたという例もあるわけであります。従つてこういつた法的な構成は法律上あり得ないというわけではないのであります。
#129
○笹森順造君 只今のお話はどうしても私どもは理論的に納得が行きませんから、いずれこれはどうせ法制局長でも来てもらつて、はつきりしてもらつておかなきやならん点だと思います。
 さて、お尋ねいたしまするのは、先ほど委員長というものは表決権がない、併し採決権はあるというお話がありましたが、大体この委員の制度は五人に対して一人、六人になりまするから、大体偶数にならないから採決権を実際発動するといつた場合は余りないじやなかろうかと思うのです。ですけども誰か故障があつて欠席するといと場合にはこれは採決権を行わなければならん。そうするとなれば、先ほど小坂大臣から表決権がないからこれは余りそう大したことでないというような意味のことを何かこう安易な感じを与えるような答弁があつたのですが、表決権というものよりも採決権のほうが優先するもの、もつとこれが権能のあるものだと私どもは了解いしたますが、如何でございますか。
#130
○国務大臣(小坂善太郎君) それは只今委員長と委員というふうに分けてあるということで御説明申上げましたが、委員のほうではこの表決権を行使する、殊に重要問題の際には採決権を行使する委員長としては当然にその委員の意向を聞くということはこれは常識上当然だと思います。そういう意味におきまして採決権というのは一種の統宰、その会議の統宰という程度のものになるのでありまして、委員長の意向によつて公安委員会の決定をするということは、実際問題としてもなかろうと存じまするし、法律の建前もそのようなことで考えておる次第であります。
#131
○笹森順造君 只今のお話では納得が行かんのでありまして、五人のうちやはり四人ありますると委員会は開ける、委員長入れて五人の場合は二人二人ということはあり得るのです。その場合にのみこの採決権というものが発動する、でありますから、今小坂大臣の言われたこととは全く別の例が出て来るのであります。それでありますから、そういう例がないと思いますというだけの御答弁では納得ができないわけであります。
#132
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう場合はこの公安委員の良識なんでありまして、そういう重大な事項を決定する際には、当然に事故がありましても、その意思というものは伝達さるべきものであります。又委員長の良識にもよりまするが、委員長としては当然にその欠席者の意向というものを聞いて、そうして公安委員会の意向というものを決定するのが当然だろうと考えております。私どものこの点について、或いは楽観とか或いは主観とかおつしやるかと思うのでありますが、そういうふうに考えておりますることは、公安委員になられるかたがたというものは非常に良識のあるかたであるということを前提として考えております。これは又国会の同意を得るのであります。任期が五年間安定している。従つて公安委員会にいたしまして、若し自分の意思に反して、時の政府の非常な横車を押されるということはないと思います。若しそういうようなことがなされました場合は、公安委員会の良識によつて反撥せられればいい。公安委員会においてそういういざこざがあるということは、時の政府が非常に重大な政治的責任を感ずる問題なんでありまして、この規定を超えてそういう御心配の政治的なことはあり得ない。又文章的に見ましても、今申上げましたような表決権、採決権の関係で以てそういうようなことはないというふうに考える次第であります。
#133
○笹森順造君 今の話でいよいよわからなくなつたのでありますが、私のお尋ねいたしておりまするのは、国家公安委員会の職掌というのはたくさんございます。そのうちで国家の大事としての根本的なものを見るということも無論ございましよう。ところが多少そうでなくて、年限とか任命とかいろいろなことについても必ずしも意見が全会一致ということがあり得ない場合があり得る。その際に仮に故障が起きると、二人になつた場合の採決権をどうするか、それをどう認識するかということをお尋ね申上げているわけであります。ところがその際に重要であるならばその意見を聞いてとおつしやる。然らばこの表決権というのは欠席しておつた場合でも、この場合には適用されるというお考えなのですか、どうなんですか。その取扱の制度的な確定を御返答願いたいのです。
#134
○国務大臣(小坂善太郎君) お話の根本にありますものは、何か国家公安委員会というものは、警察制度の全般に亘つて常時指揮監督するのではないかというお考えに基いているように思うのであります。
#135
○笹森順造君 そんなことはありません。
#136
○国務大臣(小坂善太郎君) 警察制度を管理いたしますものは国においては国家公安委員会、府県警察というものを管理いたしますのは府県の公安委員会、これは三人の委員会、この関係におきまして常時まあ警察の運営が行われて行くのであります。国の公安委員会の任務というものは五条二項にございますように、先ほど申上げたことに限られておる。従つて給与規程を作るとか通信規則を作るとか、或いは連絡調整の面におきまして任用規程、採用基準をきめるとか、そういうことが常時行われるわけであります。この三号、四号に掲げておりまするような大規模災害或いは地方の静穏を害すような騒乱或いは緊急事態、そういうような場合におきまして、これは公安委員として二名々々になる、一人休んだらどうするということは、公安委員の職責から考えますればあり得ないことだと私どもは考えておるのであります。
#137
○笹森順造君 今の御説明ですが、どうも私は、やはり法律でございますから、これは常識の作文じやないのでございますから、その辺を明確にしておかなければ、法としては賛成も反対もできないことになるので、ですから私のお尋ねするのは、欠席しておつても、出席しなくてもそれで表決権があるのかないのか、縷々お述べになりましたことは十分私は承知しておりますので、その表決権は文書などでもできることになつておるかどうかということを明快にお答え願います。
#138
○政府委員(斎藤昇君) 法律的にお答えを申上げますると、委員会で採決をする場合には、これは出席をしていなければなりません。大臣のおつやしいましたのは、そういう場合にはできるだけ故障のなくなるのを待つとか、欠員であれば格別です。全然心身不能でどうしても出られない、若干日時が待てるなら待つて行うという御趣旨でおつしやつたのだと思います。法的にはおつしやつた通りです。
#139
○笹森順造君 只今の斎藤長官のほうが理論的に私は正しいと思う。大臣の話とは矛盾しておる、それははつきり……。その議論は、つまり二人々々の場合には表決権はあるんだということについてお尋ねしているわけでありまして、欠席した場合にはこれはこの表決権に加わり得ないんだと、然らばそこに採決権というものが発動するんだ、若しも小坂大臣の言わるるごとくそれは二人、三人になるまで待つているとか、一人、二人になるまで待つておるというのなら、何が故にこの採決権の問題を委員長できめるという法的な理由があるかと、これは作文じやないですから、その面に向つて私の懸念いたしておりますのは何であるかというと、結局するところ国務大臣がそれをきめる権能、つまり採決権というものは表決権を越えた非常なたまに行われることでありましようけれども、非常に強力なものがここに与えられているんだということから発足いたしまして、この全般の制度というものは論議せられなければなりません。ここに政府の意図するものを感得せざるを得ないからこの御見解を伺つておるのでありますから、それについて君子改むるに憚るなかれ、斎藤長官の御答弁で、間違つたなら間違つたと、はつきりこの点に対する御確信をもう一遍お述べを願います。
#140
○国務大臣(小坂善太郎君) 採決権、表決権の問題はお説の通りなんでありますけれども、私が申上げまするのは、そうした公安委員会というものの重要性に鑑みて、委員各位の心構えの問題もありましようし、まあ委員長たるべき者の心構えも当然にある。そこで可否同数であるからといつて、委員長が恣意的に自分の判断のみを進めるということは、国家公安委員会の組織されている建前上ないことであろう、これは欠席しておる者があれば、欠席しておる者の意見を聞いて、これが出られれば如何なる表決が行われるかということを当然計算に入れてやるべきであろうということを申しておるのでありまして、法律は字句通りに読まなければならないことはお説の通りでありますが、法律を運用するには良識を以て運用すべきである。私はさように考えてお答え申上げておる次第であります。
#141
○秋山長造君 議事進行について……。小坂さんは常識論で法律を説明しておられるんですよ。それは今おつしやるように、あらゆる法律についても、それは運用するに当つての心構えとして、できるだけ法律の趣旨を尊重するような線で運用しなければならんことはわかり切つたことなんですけれども、今笹森委員が質問しておられるのは、そういう常識論ではなくして法律論を聞いておられるのですから、やはり常識論でなしに法律論を展開して頂きたいと思う。犬養さんは白樺派だといつて何か非常に文学的な説明をして、そうして警察法の法律的な疑問点というものを巧みにそらされておる。ところが小坂さんは理に走ると角が立つとか、情に走ると流されると、草枕的なことを言つて、そうして法律論を巧みにそらされておる。そういうことを幾らやつておつても、又自由党のほうから同じことを繰返すといつて叱られるんだ我々は。だからそういつたことでなしに、問題点は飽くまで法律論ですから、法律論として答弁して頂きたい。特にお願いします。
#142
○笹森順造君 そこで、いつか法制局長からこの問題を特に委員長において取計らつて頂きたいと思います。
 そこで大臣にもう一点お尋ねしたいのですが、この法律の中に「委員は」「委員は」ということがずつと書いてあります、よろしうございますか。その「委員は」「委員は」というものは全部それではこの大臣たる委員長には当らないこれは法文だと解釈してよろしゆうございますか。
#143
○政府委員(斎藤昇君) お説の通りであります。
#144
○笹森順造君 それでは大臣の兼職に関しますることで、これは私どもは更に又総理大臣が来たときにお尋ねしなければならない。政治全体の問題に対する、政治責任の問題は又別にしておきますから、根本問題は保留さしておいて頂きます。
 そこで次にお尋ねしたい問題が出て参りますが、それは一転いたしまして私はこの経費の問題を少しお尋ねしておきたいと思います。先ほど来小坂大臣は今度の警察法の改正の趣旨の主なるものは国費並びに自治体費と申しましようか、総合的に費用を節減するということが非常な大きな狙いであるというようなことをしばしば御説明になつております。私どもはほかの問題がないならば、先ほど加瀬委員のお話になりましたように、多少の費用がかかつてもよい警察を欲しいということは一つ保留しておきまして、同じものならば経費の節約をしたいということはこれは誰も考えるところであります。ところが、今度この警察がいわゆる市町村からなくなり、或いは従来の府県警察ではなくて一つの調子のものになつて来るのでありますが、その際にこの都道府県の支弁にかかる都道府県警察に要する経費というものが相当あるわけであります。そこでこの国が負担いたしまするものとこの都道府県が府県の警察に要する、都道府県が負担いたしまするものとの権衡と申しましようか、兼ね合いと申しましようか、そのバランスについて、バランスという言葉は悪いのですが、つまり比率について大体原則的にはどういうことをお考えになつておるのか、原則論をお聞きしたいと思います。
#145
○国務大臣(小坂善太郎君) 経費の点につきまして、現行制度によりまする警察費といたしまして、現行制度を存続するものと仮定いたしました二十九年度の見込額を申上げますと、国費において二百三十八億、あとは略しますが、地方費において二百八十五億、合計いたしまして五百二十三億円となつております。そこで新制度といたしましてこれは三万人の整理が見込まれております。国費におきまして、これは平年度に直しまして申上げますと百十四億円、地方費におきまして三百二十億円、合計いたしまして四百三十四億円、比較いたしますると八十八億余円の経費が節約になる、こういうことであります。
#146
○笹森順造君 そこで私どもは特に逐条のことはいずれ又お尋ねしたいと思うのでありますけれども、都道府県の警察に要するところの経費はやはり今度制度全体から考えて見ましても、国家公安委員会があり、或いは又多少衆議院において修正になりましても、国全体としてやらなければならん仕事が非常に多いわけであります。その際にこの都道府県の支弁すべきものに対して国家が負担をするという考えではなくつて、その一部を補助するという非常に軽くしか考えておられませんために、今まで自分の警察だと思つて喜んで費用を負担しておりましたところの自治体においては、そうでないいろいろな仕事をしながらも共に今度はその府県で負担しなければならんものが多くなつて来るので、国から僅かしか補助が出ない、従つて国としては予算がなければ補助せん。従来においてもしばしばあるわけでありますが、補助する規定があるにもかかわらず、例えば補助金等の特別の法律を今度は変えたというような今の政府のやり方でありますから、地方の自治体が従来の国費から受けておりまする補助がだんだん減つて行くという傾向を非常に私どもは憂いている。特にこの三十七条の三項には単にこれは予算の範囲内において国が損失を補助するということしか書いてない。非常に軽く見ておるようでありますが、これによつて地方の負担がぐんと殖えて来ることを憂うるのでありますが、この点はどうですか。
#147
○国務大臣(小坂善太郎君) これは連帯支弁ということではないのでありますけれども、できる限りそうしたものについて府県の負担を殖やさんように十分なる配意をいたしたい、十分心配りをいたしたい、こういう考え方でこの三項は書いておるわけであります。大体警察行政というものが国の治安に関係がございますので、その度合というものは各府県においてかかる費用が必要があるということを認識する限度を超えて国が必要と認むるものもありますので、それにつきましては、その経費は半分をもちましよう、こういうのが三十七条の三項の規定の趣旨でございます。
#148
○笹森順造君 そこではつきりしておきたいことは、三十七条の一項には「国庫が支弁する」ということがある。そこでその同じ条の第三項には「一部を補助する」ということが書かれている。この兼ね合いを実は先ほどから伺つているわけであります。どういう工合になさるかということを伺つているのであります。そうするならば、つまりそれによつて都道府県警察に要する経費のことについて安心してこの制度が運営されるというように私どもは理解されるからその点を伺つているのであります。
#149
○国務大臣(小坂善太郎君) これは人件費、被服費、赴任旅費、人頭庁費を除外いたしまして、その残余のものについて負担するという考え方でございます。
#150
○笹森順造君 地方自治法の第二条の中には、国の行うべきものを地方の負担にしてはならんという規定があることは御承知の通りでありますが、それに抵触いたしませんか、お尋ねいたします。
#151
○政府委員(斎藤昇君) これは府県の行うものに対して国が補助をいたすわけであります。この警察法の建前は先ほど大臣からおつしやつていますように、警察の範囲、責務、これはすべて都道府県警察が行うことを建前にいたしているわけであります。それについて直接政府が支弁をしたい、或いは半額補助をしたい、こういうように考えております。
#152
○笹森順造君 そこで観念としては、やはり今度は国警もなくし、自治警もなくして、観念としてはやはり今度の警察の構成は地方自治体警察という理念が根本の理念であると了解してよろしゆうございますか。お尋ねいたします。
#153
○国務大臣(小坂善太郎君) 御所見の通りであります。
#154
○笹森順造君 然らば、これが全部が地方公務員であるならば、これは論旨が一貫いたしますが、特に地方公務員は極めて下級の吏員だけでありまして、そうして上の人たちを国家公務員にした、この地方自治体の中に国家公務員を入れたということに対して、理論上の矛盾及び実際上のいろいろな困難及び面白からざる結果を予期いたしませんですか。これが私非常に憂えられる点で特にお尋ねしたい。曾つて学校の中に陸軍から配属将校というものが入つて来て、身分は陸軍が持つて学校長はこれに対する身分権は持たない。これがために学校の教育上非常な紛争を来たし、面白からざることを来たしたことがある。今度の地方自治体の中に高級の人だけは国家公務員にして入れるということになぜか割り切れないものを感ずるわけでありますが、この理論の矛盾を感じなさらんのかということをお尋ねいたします。
#155
○政府委員(斎藤昇君) この点は先ほど大臣から御説明になりましたように、警察の仕事は一面地方的な性格を多分に持つている。一面又国家的な性格を持つている。従つて地方的な性質のみと考えまするならば、完全な自治体警察ということがこれが理の当然だと思うのでございまするが、併し国家的な性格も持つておるという関係から都道府県の警察職員のうち極く一部の幹部二百五十名以内を限つて国家公務員にすると、かように考えたのでございます。でさような場合におきましても、都道府県の公安委員会はその警察の運営につきましては責任を以て管理をいたしまするし、又その都道府県の本部長は、国家公務員が適当でないと考える場合には懲戒罷免の勧告権を持つものでございまするから、その点は都道府県警察として運営をされるのにこれは支障がなかろうと、かように考えております。
#156
○笹森順造君 私のお尋ねしておりまするのは、そういうことではないので、つまり如何に国家的な事務でありましても、それを行いますものは地方自治体なのです。今でも都道府県が国家的なる事務或いは国家から委任された事務が行われておるのでありますが、かるが故に国家公務員を置かなければならんという理窟が出ない。それから特にこの場合にその地方自治体が行うべき国家的事務を行うについて特別にこうした国家公務員を置くというところに私も割切れないものを感ずると、こういうことなのでありまして、先ほどいろいろと委員会の任免権であるとか何とかいう抽象的なことを国警長官がお話になりましたが、これはまあそれでよろしい、よろしいのですが、根本の問題はそうじやなくて、このやるべき仕事は誰が一体やるのか、国家的な仕事であるのに相違ないけれどもやはりそれは地方自治体がやるべき仕事ではないか、やるのだと私も認識している。大臣もそうだと書けれる。そうだとするならば、何故にその仕事をするのにわざわざこの国家公務員というものをそういう上級の幹部だけを置くのかということに矛盾を感じるのであります。そこをすつきりとした線を出して頂かなければ矛盾を感ずるのでありまして、そこに矛盾を感ぜんかということであります。
#157
○国務大臣(小坂善太郎君) 国警長官が答えられましたように、この国家的な性格を持つ事務につきましてまあ身分を国家公務員とするほうが適当であろうということであります。これは少し例が違うかもしれませんが、そういうことは他にもございますのでありまして、例えば失業雇用関係をつかさどります職安関係など、これは県におきまして安定課長というものが国家公務員であります。これは地方の組織の中に入つて活動しております。何が故にそういう身分を持つかというと、こういう失業とか雇用という問題は全般的に国家的な性格が強いということでそう判断しておるのであります。警察なるが故に特に国家性を出しておるということから、何か中央官治的な意味を特に強調しておるのではないかという御疑念がそういう御質問になつておるのじやないかと存ずるのでありますが、私どもはさように考えておらないわけであります。
#158
○笹森順造君 考えておりませんということになると、こちらは考えておるということになるので、つまり理論的に矛盾がないかと、地方自治体の中で仕事をする職員に対して国家公務員を置くことに矛盾がありはしないかということで、考えておらないというようなことでは水掛論になりますが、矛盾があるというならばそうですがと答えられるのですが、矛盾がないというならば良識を疑わざるを得ない。小坂さんのような良識のあるかたに対してこれ以上討論することはやめましよう、何にもならんことですから……。
 そこでその次にお尋ねしたいことが起きて来るのでありますが、第六章に「緊急事態の特別措置」というような字句を使つておりますが、これも逐条審議じやないのですから、余り細かいことは言わないのですが、何故に国家非常事態というようなことを言わずに「緊急事態の特別措置」、こういうような字句を使つたか、あの第七十条に「大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して」とありますが、こういうのは今までの警察法にはなかつた。これはやはり自衛隊のことといろいろ関連を持つわけでありましようけれども、こういう場合にいろいろ特別に書いて行つたかということは、なぜこういう字句を使つてどうしてこういうことの表現をして来たかということをちよつとお聞きしておきたいと思います。
#159
○政府委員(斎藤昇君) これは何ら他意はありません。今回提案されておりまする自衛隊法案、前の保安庁法等におきましては保安隊或いは自衛隊が出動します際に、国家非常事態という言葉を使つているのであります。これと警察の今までの法律の国家非常事態というものとは必ずしも事態が一致をしないのであります。同じ事態の場合もございまするが、必ずしも一致をしない。さような意味からいたしまして、国家非常事態という言葉を法律に何と申しまするか、同じ国家非常事態というと、或いは国家非常事態の場合に出動するという言葉に内容の違つた場合があり得るのでありまするから、警察法といたしましては緊急事態という言葉を使つたほうが適当であろうと、かように考えるだけでございます。
#160
○笹森順造君 その緊急事態というのは、実例を一つお話願いたいと思います。
#161
○政府委員(斎藤昇君) 只今まではこういつた事態に対する布告を発して警察を統制をしたという事態がございませんので、お示しする実例はないのでございまするが、お考え頂きまするならば、大規模な数府県に跨るような大災害が起つた、そして治安が相当紊れているというような場合、或いは数地区に跨るようなまあ内乱が起つた、そのためにこの警察法の通常の運営の状態では事態を鎮圧し平静に導くのに支障があるというような場合でございます。
#162
○笹森順造君 そういう場合は特にこの数府県に跨る非常な災害を受けたとか、或いはまあ内乱、騒乱のようなものが起つたという場合がまあ緊急事態、それは実例はないということはない。或いは関東震災のようなものを言うのかどうかわかりませんが、そういうことがあつた場合にやはりこれは二十日以内に国会に出して、承認を求めなければならないのだということが規定されておる。そうであるならば、或いはこの救済のための予算を審議するとか決定するとかということはできない。ところが国会の休会中の場合又は衆議院が解散されておる場合には、その後最初に召集される国会で速かに承認を求めなければならないということが書いてありますが、これはどうしてもまあやはりそう予算などと必要とする場合は、この休会中直ちにそういう場合には緊急集会を開くということが行われるのが私は当然じやないかと、こういう工合に思うんで、この法の建前が少し安易な、内閣だけがすぐ仕事をして行くような工合で、やはり国民全体が関心を持つところのそういう大規模な騒乱であるとか事変であるとかということにはこのあとに承認を求めるということじやなくて、これはむしろそういう必要がある場合にはどうしても国会の承認を得なければならないということになつておれば、国会が召集されてその認識において国会の審議を、この財政的な措置もできるのではないかという感じがいたしますので、何か知らんが七十三条、今度の四条になりましたものは弱体のような感じがいたしますが、如何でございますか。
#163
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう御意向もあるかとは存じまするけれども、私どもがこれを書きました意図というものは、両院の同意を必要とするということでございまして、非常に重要に考えておるのであります。何も憲法五十四条に規定されております参議院の緊念集会というものを決して軽く見るわけではないのでありまして、両院制度におきまして両院の同意を得るというくらいに、この緊急事態というものは簡単に考えてはいかん。これを発動するという場合は飽くまでも両院の意向というものによつて承認をせられるまでこういうことは発動してはならんのである。こういう気持を表わしておるのであります。
#164
○笹森順造君 話はちよつと逆のように聞えます。つまり布告した場合には発した日から二十日以内においてと、こうありますので、つまり両院を尊重してやるならば今申しましたように、私がお尋ねしたように緊急集会を召集するのが当り前なので、今の大臣のお話は逆に答弁しておられる。これを私は申上げておる。それからもう一つは、私のお尋ねします前にお話になりましたが、この参議院の緊急集会というものをやらないということは、これはやはり参議院軽視というような工合に参議院としては冠をまげることもありはせんか、つまりこれは衆議院が或る機会に解散せられておりまするときに、参議院だけはその場合に、国家非常事態が起つた場合に緊急集会をするということは、少くとも内閣というものの責任の所在を明らかにし、又実際に国民の負託に応えるためにその一院でありながらも存在してその議に携わるというようなことが私はむしろこの法の建前として本当じやないか。両院を尊重するが故に、解散された場合に参議院などはこれはどうでもいいのだというようなことでは、いよいよ以て参議院軽視の現内閣の片鱗が現われたのではないかという気がいたしますが、どうもその点で私は納得できない。話は逆になりますが、もう一遍お答え願いたい。
#165
○国務大臣(小坂善太郎君) 参議院を軽視するなどということは毛頭考えておりませんから、さような誤解のないようにお願いします。この七十三条の趣旨といたしまするところは、成るだけ早く両院の同意を得るという趣旨でございます。予算が必要な場合には参議院の緊急集会によつて御決定願うのでありまするが、この事態の承認というものは両院同時に承認をして頂く。こういう考えで書いておるのであります。
#166
○加瀬完君 今の問題ですね。現行法の六十五条には、総理大臣が発した国家非常事態の布告はこれを発した日から二十日以内に国会の承認を得なければならない。若しも衆議院が解散されているときは憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認を求めなければならん。これを今話がありましたように、今度は参議院の緊急集会というものにかけないということにしたわけでございます。併し参議院の緊急集会というものは衆議院がその機能を失つておりますとき、これが議会としての一つの代理といいますか、意思代理というふうな形で任せられた形のものになつておるのじやないかと思う。二十日以内というふうな期限を切つて、笹森さんから御指摘がありましたように急がれておりますものを、むしろ参議院の緊急集会を利用する現行法をとつたほうがこの問題を議会の……、政府だけの、或いは内閣だけの責任ではなく、一応議会に責任を移すという意味からも合理的な方法じやないかというふうに私には考えられるのであります。その後最初の国会ということになりますと、その後最初の国会というのは二十日を遥かに過ぎるということも考えられるわけであります。そうするとこの全体を見ると、どうも国家非常事態宣言という強大な権限を政府自身が何と申しましようか、中央に権限を集中するという枠の中でも特に政府に権限を集中した方法だと思う。少くともその一半を議会が担うという態度を殊更避けている。内閣に対する権限集中の方法というふうにすら考えられるのであります。参議院の緊急集会を避けたということはどういうことなんですか。
#167
○政府委員(斎藤昇君) 現在の警察法、昭和二十二年の暮に国会を通過いたしました警察法には緊急集会ということにいたしておりました。で今度かように変えましたのは、やはり現在の保安庁法、今提案いたしておりまする自衛隊法におきまして、保安隊の出動をいたしました際に国会の承認を求める、その場合に国会が解散されているという場合には、最初に召集される国会において速かに承認を求めるというようになつているのでございます。で私どもこの立案を命ぜられました際にどちらがよろしいのかと考えてみたのでございますが、只今大臣がお答えになられましたように、この点は政府が非常事態或いは今度の緊急事態の布告をいたしましたその責任を国会において正しいと了承されるか、或いはそれはいかんじやないかという批判をされるか、こういう点で政府に対する大きな責任追及の機会だ、かように考えます。さようであるからこそ、軍隊を……軍隊じやありません、保安隊を出動させました場合には、衆議院が解散されておつた際には、緊急集会ではなくて、次の国会に、こう書かれておるのであろう。でこの法律のほうがのちの国会において十分に審議された法律でありまして、国会の承認を求めるというふうな趣旨から考えて、あとで通つた法律のほうがいい、かように考えまして立案をいたした次第でございます。
#168
○加瀬完君 あとに通つた法律のほうがいいという結論だけはわかりましたが、なぜいいかという御説明には私は納得が行かない。こういう国家非常事態宣言という強大な権限を政府に与えておる場合に、政府はこれを速かに国民の代表機関である国会において承認を求める、批判を仰ぐという態度に出るのが政府の当然の義務なんです。今は、現行法によれば最も短時日のうちに参議院の緊急集会というものを求めれば、政府の態度というものに対して国民の意思決定をして頂けるというふうな条項がある。それを殊更に避けて、改めてできて参りまする衆議院の構成を待つてきめて行くということでは、この期間は全般の改正案が狙つているところの二十日以内、或いは非常に短いうちにというふうなことから却つて逆に遠ざかつて行く。こういうことを考え併せましたときに、緊急集会に諮つたほうが遥かに有効じやないか。現行ではそうなつているのに殊更これを改める必要がどこにあるか。又緊急集会というものは衆議院が解散された場合にはこれは両院を代表する、代表するという言葉はおかしいかも知れませんが、そういう意味を持つているものであるのに、これをただに参議院だけのものだと考えることは間違つているのじやないか、こういう疑点を持つわけでありますが、その点について大臣どうですか。
#169
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほど国警長官が述べられましたように、保安庁の場合、保安隊の治安出動というような際にはやはり両院ということになつておりますが、このほうが最近の国会の御意思というものに副うゆえんであろう、こう思いまして最近の事例に従つたというほかございません。
#170
○笹森順造君 更に大事な要点を少しお尋ねしたいと思いますが、この法律が狙つておりますものが、やはりその中に民主的な又能率のよく上る警察官がなければならない、こういうことになるのでありますが、この「警察官の階級は、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査とする。」ということでありますが、私どもがしばしば聞いておりますように、四年間に三万人ぐらいの人員は整理する。而も改めてこういうものを作るということでありますが、この階級別の実員数がどうなつているか、これを表でお出し願いたいと思います。ここで一応お読み願つて、あとは表でお出しを願いたいと思います。
#171
○政府委員(斎藤昇君) 明日表で差上げたいと思います。
#172
○笹森順造君 そこで明日で結構でございますが、この四年間に約現在の三万人を整理するという方針はその通りでございますか。
#173
○政府委員(斎藤昇君) さように考えているのでございます。ただ衆議院におきまして、いわゆる五大市におきましては市警察部を設けるということになりましたので、この本部構成のために若干人数を要するが、恐らくその人数は二、三千名ではなかろうか、五大市を通じまして、総計いたしまして考えまするので、さように考えますると、その数字だけは困難になろうかと、かように考えております。
#174
○笹森順造君 今この五大市の話が出たのでありますが、衆議院においては五大市を一年間存続するという衆議院の修正に対しまして、これは通つたのでありますが、小坂大臣は大臣の地位においてのこれに対するところの態度をここで伺いたいと思います。
#175
○国務大臣(小坂善太郎君) 衆議院の御修正の中に「指定市の区域内における府県警察本部の事務を分掌させるため、当該指定市の区域に市警察部を置く。」「市警察部に、部長を置く。」「市警察部長は、市警察部の事務を統括し、及び府県警察本部長の命を受け、市警察部の所属の警察職員を指揮監督する。」なおこの特例、一年間施行を延期し昭和三十年七月一日より施行し、この法律の施行後一年間は五大市警察は府県と同様のものとして存続せしめるという趣旨のものがございます。即ち五大市においては府県警察並みのものが一ヵ年存続するということでございます。政府として特に意見を申上げることはこの際むしろ避けて、政府といたしましては国会の御意思というものには政府は拘束される、こういう考えであることを申上げます。
#176
○笹森順造君 この警察の幹部並びに職員の養成に関しましては、特に指導者たるべき警察大学を置くと、これは従来でもあつたことでありますが、過去における警察大学と今度の警察大学との間に何か養成指導理念において変化があるのか、或いは新しい構想があるのか、或いは特別に研究されて今度こういう理念で行くのであるということについて極く概略のお話を願いたい。と申しますのは、先ほど来お話がございましたように、人権蹂躪であるとかいうようなことが能率化にかたくして、結局そういうような弊害を伴うような指導を避けられて来た、つまり本当の民主的なよい警察官であるべく折角育成された自治警察が、市町村警察がなくなつて、今度一本化せられて、而も総理大臣の任命する大臣が中央の国家公安委員会の委員長になつておる際、或いは又地方自治体の中に活動すべき警察官が国家公務員になつたりいろいろすることにおいて、一連の疑念の一つとして警察大学の指導教育のよろしきを得ると否とによつて、非常に私の先ほど来懸念しておりますこの警察法の改変というものによつて非常な警察国家、昔のような憂うべき状態を来すか来さないか、来さないとお答えになると思いますが、そういうことに対する指導の方向というものが明確にされなければならんので、細かい逐条的なことはよろしいのでありますが、大体これは長官でなくて大臣にお願いしたい。どういう心組みで一体どういう工合にこの警察の大学を指導して行くというお考えであるか、納得の行くようなお話を、とにかく根本的なことを伺つておきたいと思います。
#177
○国務大臣(小坂善太郎君) この法律の目的にも謳つてございますような民主的警察を作るという理念におきまして、私ども少しも警察法改正において異なつたものは考えておりません。従いまして、その警察官というものの教養というものが非常に必要であるということは特に御意見の通り承わつておる次第でございまして、教育面におきまする指導方針というものにつきましては、従来ともそうでございましたが、今後におきましても更に一層民主的理念の上に立つて国民に親まれ、国民のための能率のよい警察行政を行う適格者を選ぶ、適格者を養成する、かような考えで教育を進めたいと考えております。
#178
○笹森順造君 大体新しい構成の大学の学則なり或いは学科課程なり、そういうものはすでに御用意されてありますか、如何でありますか。
#179
○国務大臣(小坂善太郎君) これは元来まあ正確に申上げますと、新しい国家公安委員がされることでございますから、まあ私どもといたしまして現在の通りのものでよかろうかと考えております。
#180
○笹森順造君 私はなおこの法案を出されました政治責任に対して総理大臣にお尋ねしたい点もあり、或いは又先ほど来不明確でありまする法の解釈については法制局長官の意見も聞きたいし、更に逐条的なことがまだございますので、それらの点を又質問することを留保いたしまして、今日のところ私の質問を終ります。
#181
○伊能芳雄君 先ほど緊急事態の問題が御討議ありましたが、保安庁法による国家非常事態というのは、まあ大体昔の戒厳期というふうに理解するのですが、そういうふうな場合には警察もやつぱりこれに応じて緊急事態の布告をしなければならないんじやないか、要するにそうすると保安隊のほうと警察とが両方同じように、一方は非常事態、一方は緊急事態というような状態に入る場合があり得ると思いますが、国警長官のこの場合における見解をお伺いしたい。
#182
○政府委員(斎藤昇君) 或いは多くはそういう場合があるかと考えます。ただ保安隊は警察の力で及ばない場合に国内治安維持のために治安出動をするということになつておるものでありますから、従いまして、警察力だけ賄えるという場合には、緊急事態の布告があつても保安隊の出動を見ないという場合も考えられると考えます。又逆に極く一小地区であるとか、或いは事態の性質上治安出動がありましても保安隊の……。警察のこの組織運営からいうと、緊急事態の布告をしないでもよろしいという場合も考え得られるのじやないだろうか、かように考えます。併し多くの場合は一致する場合が多いであろうと考えます。
#183
○伊能芳雄君 今度非常事態と緊急事態と言葉を変えたのは、専ら保安庁法の国家非常事態という言葉と紛らわしい言葉である、これを避けるために、混同しないようにするために用語を変えたというふうに理解してよろしいですか。
#184
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。保安庁法のほうはただ非常事態、警察法のほうは国家非常事態、こうありまして、何か警察のほうは国家と附いている、一方は国家と附いていない、又非常に紛らわしい。そうすると警察のほうの場合のはうが国家が附いておるだけ余計ひどいのだろうかというふうな感じがありまして、そういう区別もないものですから、で、かように言葉の紛れを防ぐために言葉を変えたのであります。
#185
○伊能芳雄君 今度のこの改正の出発というものは、非常に大きい狙いは、行政制度の改革に伴う経費の節約ということを非常に狙つておると思うのですが、これがこの減員が完成された暁に八十億乃至九十億の予算が節約されると、こういう結論になりますが、これが丁度今年は今の五大都市の分が一年延びましたので少し違つて来ると思いますが、仮に一斉に七月やつたとすれば、いつ頃、何年頃には八十億乃至九十億の節約が予算の上に現われることになるわけですか。
#186
○政府委員(斎藤昇君) 大体経費の節約は人件費の減が主なるものでございます。そのほかに施設の重複を避けるとか、或いは能率化という点によつて経費の節約も図られまするが、人件費が一番主なものでございますから、それによつて御判断を頂きたいと存じまするが、この三万人の職員の節減は四カ年でございまして、初年度は一万人、次年度は七千五百、三年目が七千五百、四年目が五千名、かようになつております。それで最後の五千人は衆議院の改正によりまして二、三千は減るであろう、減るというのは減らすものが減る、五千というのが二、三千になるわけであります。
#187
○伊能芳雄君 そうすると、五年後ぐらいに大体そういう事態が予算の上に現われて来る、こういうふうに理解していいのですか。
#188
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#189
○伊能芳雄君 それまでの間はここ暫くはむしろ退職金の関係で毎年今までの数字より多い数字が出て来るのじやありませんか、どうでしようか。つまり国の今までの国家警察と自治体警察と合せた費用よりも、今度の総括の国から出る予算の額と、それから地方府県から出す額と合せたものは今までよりも少しこの四年ぐらいは多いのじやないか、これは誰か経理の関係の人でもいいです。
#190
○政府委員(斎藤昇君) これは退職金も要りますが、一画人が減つて行くという関係もありますので、例えば本年度は一万人減を考えておりますが、これにつきましては大体二十八年度と同様増さないですむ、かように考えております。と申しまするのは、大体退職金の全平均をとりますと、俸給の一年分というのが今までの大体の統計でございます。
#191
○伊能芳雄君 地方と国の予算との足したものが、今年は去年よりも二十億ぐらい多くなつています。この点も私は実は少しおかしいと思うんですが、退職金の関係その他で今年は膨れるのがあるだろうと思う。俸給よりも退職金のほうがどうしても多くなりますから、一万人と言つたら一万人の俸給、これは而も一年間見積らないで七月以降逐次来年三月までやるんですから、俸給としては幾らも上らない、而も退職金が非常に出ると、こういうことでそうなるんじやないかと思いますが、大体二十億ぐらい国と府県との合計のもの、二十八年の自治体警察と国の予算を足したもの、それが多いのです。大体数字としてはそうではないかと思うんですがね。
#192
○国務大臣(小坂善太郎君) 経費の点は先ほど申上げましたように、現行制度をそのまま二十九年度において施行いたしましたと仮定しますると、五百二十三億、中央、地方で昭和二十九年度の予算によりまする警察費は七月一日より新制度に切換えますので、これがやはり五百二十三億、これは動いておりませんので、今のは昨年と本年の見込みとの比較ではないかと思います。その点ですとやはり給与は動いておりますので、上つた分だけ余計になるということはあり得ると思います。
#193
○伊能芳雄君 市町村全体の問題ですが、自治体警察、殊に五大都市との関係ですが、今まで、殊にこの問題が起つてから非常に国警と自治体警察の間にこのところ非常にしこりが残ると思うのですが、この法律が成立した場合にはどんな方法でこのしこりをとつて行くかですね。そういうようなことについて一つ大臣のお考えを伺いたい。
#194
○国務大臣(小坂善太郎君) 仰せの通り現在新らしく警察法の改正をめぐりまして、種々論議が行われておりますが、これは民主主義の建前上こういうふうに意見を述べる、これは当然のことでございます。これは又民主主義の建前上一度国会を通過いたしますれば、これに従うということが当然だろうと思うのであります。そこで問題は後の人事等におきましてできる限り公平な扱いをする、適材を適所に据置くということによりまして、私は現在のしこりというものはそう後は引かんものであろうというふうに考えておる次第でございます。
#195
○伊能芳雄君 現在の自治体警察の制度というものはこれは非常に珍らしい孤立的な警察になつておるのですが、僅かに非常事態宣言の場合、それからそのほかには応援の問題の規定、それ以外にはもう市町村ごとに自治体警察を持つた場合には全部悪く言えば孤立した警察だと思うのです。こういう警察制度というのは余りよその外国でも少い例だと思うので、これが今回の改正の非常に大きな点だと思うのです。この点について西ドイツが大体同じようなことをアメリカから或いはイギリスによつてやられて来ておるように思うのですが、大体これが西ドイツにおいてやはり日本と同じように、悪く言えば復古調と言えるかも知れませんが、やはり自分の国に適する警察にだんだんして行かなければならないというような考えが出ておるように聞いておりますが、何かそういうことについて最近の資料でも或いは御紹介願えれば参考になると思うのです。
#196
○政府委員(斎藤昇君) 御指摘のように、日本の自治体警察のような形態の自治体警察を持つておる国は私も殆んど知りません。アメリカにおきましては市町村は自治体警察を持つておりますが、併しその区域内においては州警察がやはり権限の行使ができる。又アメリカの連邦警察もそこで権限が行使できる。これは三本建でありますが、併し或る地域は連邦警察、州警察いずれも市町村の中においても権限の行使ができないという建前になつております。イギリスの警察も大ロンドン警察を除いては自治体警察でありますが、この警察長等の任免は内務大臣の許可という形をとつております。西ドイツは御指摘のように終戦後殆んど日本と同じ警察制度を採用いたしたのでありますが、最近の情報によりますると、殆んど従前と同じような形の州の警察というものに改編された、かように聞いております。
#197
○伊能芳雄君 首都警察というのはそういうような意味からどこの国でも非常に国家的の性格を強く持たせてあると思うのですが、今回の衆議院修正によれば、警視総監は国家公安委員会が都公安委員会の同意を得てと、この点においてはほかの道府県の場合と同じ、ただ総理大臣の承認を得るだけで、それまでの手続は都の公安委員会と道府県の公安委員会との関係においては両方とも同意を得る。こういう点においても非常に今度の修正案というのは都の公安委員というものを重く見ておると思うのですね。イギリスのロンドン警察はこれはもう内務大臣の指揮監督下にあるようです。ほかの首都などは一体どういうような傾向にありますか。
#198
○政府委員(斎藤昇君) 大体各国の首都警察はその国の国家警察という形に相成つておりまして、パリを含んだセーヌ県全体が一つの警察でございますが、これはフランスの内務大臣直属の警察、それからアメリカのワシントンはこれはやはり国の警察になつております。さようなわけでありまして、各国の首都警察の中で、今度の制度といたしましては非常に何と言いますか、日本は一応首都においても地方分権の意味が非常に強く盛られておる特異な例になるだろうと、かように考えます。
#199
○小林武治君 私も二、三質問をいたしたいのでありますが、私もこのたびの警察法の改正というものは、現在の自治体警察その他の実情から見まして、或る程度適宜な、時宜に適した改正である、こういうふうに考えておるのであります。即ち二十二年の警察制度の改正というのは警察を民主化するというきれいな名前は使つておるのでありますが、その真意が必ずしもその名のごとくあつたとは考えられないのでありまして、恐らく日本の治安状態を悪くする、という言葉はどうかと思うのでありますが、警察の弱体化を狙つた、こう思わざるを得ないのでありまして、私ども常に当事者といたしまして、この点痛感いたしておつたのでありまして、その意味からいたしまして、このたびの警察制度の改正というものは私は原則的にはこれに賛意を表しておるものであります。而してこれらの点に関しまして二、三伺つておきたいのでありますが、現在の警察法には特にこの自治体警察という名前を使つておるのでありますが、先ほどからお話もあつたように、自治体というような言葉をあえて避けておるようにも思われるのでありますが、そこに何らかの意図があつたのかどうかということを伺つておきたいのであります。
#200
○政府委員(斎藤昇君) この点は立法技術に属しますので私から便宜お答え申上げますが、現行法では国家地方警察、それからそれと違つた自治体警察という二本建になつておりましたから、法律におきましては或いは都市警察とこう書き、或いは一括して自治体警察と、こういうふうに書いておつたのであります。今度は府県の自治体警察、府県一本になりましたために、特に自治体警察、かように謳う必要を法文上は感じなかつたものですから、都道府県警察とこう書きまして、自治体警察という用語を使わなかつたのでございます。それ以外に何ら他意はございません。
#201
○小林武治君 それでは今の政府においては、これはやはり純然たる自治体警察である、こういう考えにお立ちになつておる、こういうふうに解釈していいと思うのでありますが、而して私はこの警察運営の面におきまして、現在日本の警察には幹部が多過ぎる、こういうふうに言われておるのでありまするが、殊に現在は自治体警察、国家警察というふうなことになりまして、地方の都市等に参りましては、もう軒を並べて警察署が二つある。こういうような状態で、恐らく幹部職員の過剰ということは何びともこれは否定できないのでありまするが、これらに対しては今後相当程度の是正をするというふうなお考えがあるかどうか。即ち今の警察の階級等におきましても非常に階級が複雑になつてそうしていかめしい名前がだんだん多くなつておるのでありますが、これらの階級の簡素化というようなことについてもお考えがあるかどうかを伺つておきたい。
#202
○国務大臣(小坂善太郎君) 誠に御尤もな御意見であると存じます。併しこの幹部と言いましてもいわゆるめくら判を捺す幹部ではなくて、幹部自身も仕事をいたすように指導いたす考えでございますし、又そのような心組で幹部はおるべきものと考えております。併し確かにお話のように現在全体的に見まして国警、自治警の分れておる点もありまするが、多いかと存じまするので、御趣旨の問題に副うて考えるようにいたしたいと思います。ただ実際の数字等につきましては国警長官から申上げます。
#203
○政府委員(斎藤昇君) 御指摘のように今日の警察制度が三本建になつておりまする関係から、警察署の単位も小さいというようなこともございまして、例えば同じ自治体警察でも非常に大きな自治体警察になりますると、これは幹部と幹部でないものとの比率はずつと少くなりますが、小さな警察になればなるだけ幹部がやはり数が多くなる、又国家地方警察の面におきましては、やはり駐在に行つておる以外の署在の巡査というものは数が少いわけでありますから、従つて幹部が多いということにも相成りまして現在は巡査部長以上のものが占める割合が三七・二%、これは全警察を通じまして、これを警部補以上のものということに考えますると一九・八%、かように相成つております。従いまして、制度の今度の改変によりまして、幹部の数というものは自然に少くならざるを得ない、かように考えられるのでございます。ただ、今大臣もおつしやいましたように、私ども一つの考えといたしましては、やはりできるだけ人権尊重の見地からいたしまして、巡査の取扱うべき事柄、或いは巡査部長の取扱うべき事柄、警部、警部補の取扱うべき事柄、おのずからそこに違いがあると思うのであります。ただ監督者は巡査のやることを全部監督しておるというのではなくて人を取調べる場合にはできるだけ警部補或いは警部以上の者が直接取調べるというほうが人権尊重の趣旨に副うわけでございまするから、我々といたしましては無用なる幹部の数はできるだけ削減をして参りたい。併しながら仕事の重要性に鑑みまして、これらの幹部みずからが直接取調べに当る、或いは直接事件の処理に当るというように持つて参りたい、かように考えております。
#204
○小林武治君 このたびの警察制度の改正によりまして、相当程度の冗員が出る、従つて経費の節約もできる、これは誠に結構なことであるのでありまするが、又従いましてこのたびの警察制度改正の一つの狙いもそこにあると思うのでありまするが、これに関しましてやはりこの警察官の定員というようなものはどこでおきめになるので、例えば自治体警察についてはどこでおきめになる、中央のことはどういう関係になるということをお聞きしたい。
#205
○政府委員(斎藤昇君) 各都道府県の警察官の定員はこの法律にもございまするように、政令で定めた基準に従つて都道府県が条例で定める、かように相成つております。従いまして三万職員を減らす、かように考えまして、それに応ずる都道府県の定員の基準というものを政令で設けたい、かように考えております。
#206
○小林武治君 次にお伺いいたしたいことは、私は現在、要するに昭和二十二年に警察制度が改正されてから、いわゆる地方の都市警察の幹部等には非常なむしろ固定をしておる、異動等が少いために、いやな言葉を使えば動脈硬化を来たしておる、又そのために地方の住民が非常に迷惑をしておる、こういうふうなことをよく聞いておるのでありまするし、従つてその意味におきまして、人事の交流等が或る程度可能になるこのたびの制度を私どもは歓迎するものでありまするが、この警察官の任地における任期、或いはその勤務期間、こういうようなものにつきましては何らかの基準と申しますか、それがあるか。即ち私は検察、警察というふうな幹部が長いこと一定場所にとどまるということはむしろ弊害が多い、こういうふうに考えておりますが、これらの点についてはどういうふうに処置されるつもりか、伺つておきたい。
#207
○政府委員(斎藤昇君) 今度の改正によりますると、都道府県の警察職員、警視正以上を除きましたもの、これは警察本部長が都道府県の公安委員会の意見を開いてやるわけでございまするので、それぞれ各都道府県の実情に応じた異動が将来行われると、かように考えるのでございますが、私どもといたしましては、御所見のように第一線の警察官が余り長く同一地域にいるということはいろいろな情弊を生む虞れもあります。いい点もございまするが、さような点もございまするので、大体二、三年というのが第一線としてはよくはなかろうか、かように考えておるのでございます。併しながら実際問題といたしまして、いろいろな人事の都合からそれよりも早くなりましたり、場合によりましては若干遅れたり遅くなつたりということにも相成つておるのでございまするが、大体の見当はそのように思考いたしております。
#208
○小林武治君 もう一つ先の質問で漏らしましたが、今度の警察制度の改正によりまして、全国でいわゆる警察署というものはどのくらい減るか、これを一つお聞きしておきたい。
#209
○政府委員(斎藤昇君) この整理事務も、これは都道府県の条例でどこに警察を置くかということをきめるわけでありますから、こちらといたしまして強い指示監督は勿論できませんが、現在同一市町村に国家地方警察の警察署と自治体警察の警察署と二つあるところが百八十ございます。でこられは一つの警察署で済むわけでございますから、少くとも同じ所に軒を並べて二つあるというものが一つになる、これが百八十は当然整理がされると考えます。その他は地方の状況に応じまして、国家地方警察の署とそれから自治体の町の署とが同じ町村ではないが、二、三里の間にあるとか、隣り合せているというような場合には状況に応じてこれも統合されるということがあろうと存じます。これは都道府県におかれまして、実情に応じて都道府県の議決を経た条例で定められるのでございます。まあ二百前後は少くとも自然になくなるというのが当然であろう、それ以上は県の方針によりましていろいろと又もう少し自治体の署と国家地方警察の署が同一市町村、或いは隣り合せていなくても、まあ四、五里の距離ならば一つでいいのじやないかという判断が下されれば、もう少し数は減るだろう、かように考えます。
#210
○小林武治君 さようなお話でありますと、全国に警察庁舎が二十二年以来相当な新築をいたしておる。而してこれらの庁舎の中で相当不用になるものもあるのでありまするが、この庁舎が、このたびの、今後存続使用されるものについてはどちらがこれは選択をしてやられるか、或いは都道府県の自由に任されておるか、その点は如何でございますか。
#211
○政府委員(斎藤昇君) これは都道府県と当該市町村との協議によりまして、例えば先ほど申しました国家地方警察の署と自治体の署とが同一市町村にある、その場合に都道府県としては国家地方警察の警察署だけでもの足りるという場合には、市町村の警察署はそのまま市町村が何らか他のほうに転用されると考えます。そうでないような場合に、これを今度は府県の警察署に自治体警察をしたいという場合には町村と府県と協議をいたしまして、そしてその結果協議整つたところによつて県の所有にする、かようになる手続でございます。
#212
○小林武治君 警察制度改正後の警察新庁舎には国庫から相当な補助金が出ておるのでありまするが、これらについては何か措置される考えであるかどうかをお聞かせ願いたい。
#213
○政府委員(斎藤昇君) 当時たしか私の記憶では十八億ほどの補助金が出たと考えておりますが、全額国の補助ででき上つてそれには負債がないというような場合、或いは以前府県の警察署であつてそのまま無償で市町村の警察に交付をしたというような場合、この場合は話合いの結果、恐らくこの法案といたしましては無償を原則といたしておるのであります。国の補助金でできました署、或いは県の所有であつたもので市町村の署になつたもの、今度統合によつてその署が府県が不用であると、警察のためにはもう使わないという場合にはこれは町村のものになるわけであります。曾つてどういう関係があつたからこの際これを取上げるという考え方はいたしておりません。
#214
○小林武治君 只今の相当額の補助金が出ておるのでありますが、警察署が不用になる、こういうことになればこれらの点についても或る程度の指導と申しますか、指示を与えることによつてこの補助金でできた庁舎というものの処置についても何らかの考えがあつていいんではないかと私は思うのでありまするが、それらには触れるお考えがないかどうか。
#215
○政府委員(斎藤昇君) これはまあ実際問題といたしましては、そういつた場合に府県の警察の他の用に、例えば署と申しましてもどこも不便で狭隘を感じておりますので、その附属設備として使用をするとか、或いはそういつたものと交換をするとかいうようなことで適当に市町村と府県の間に行われるのじやないだろうか、併しそういつた考えから考えてみても、府県としては要らないというものにつきましては、この法案といたしましては、特にこれを国に取上げるということは考えておらんのでございます。
#216
○小林武治君 次に公安委員会のことをお聞きしたいのでありまするが、私どもは戦後の警察改正後いわゆる民主化に或る程度の実を挙げたと、この点は認めざるを得ないのでありまして、今後もこの長所を生かすためには公安委員会を活用するということが眼目でなければならんと思つておるのでありまするが、それにつきましても現在のこの公安委員の勤務等このことは、今は聞くところによると十日に一遍或いはもつと遠のいて会合すると、こういう状態であるのでありまするが、これらは今後もこの程度でよろしいかどうかということをお聞きしておきたい。
#217
○政府委員(斎藤昇君) 大体まあ一週間に一回全員お集まりになるというのが現在の習慣になつておるのでございます。そのほかにいろいろな事件がある、或いは緊急にお集まり願わなければならないという場合には時々集まつておられるというのが都道府県の現状でございます。今日公安委員会の仕事といたしまして、許可でありますとか或いは例えば交通違反なんかをやりました場合に、行政処分をやる場合に公聴会を開くとか、公安委員のそういつた仕事も相当殖えておりまするので、従いまして、こういつた仕事のためにはその一週間に一度ということのほかに御勤務になるのがだんだん殖えつつあると、かように考えております。
#218
○小林武治君 実はこのたびの都道府県の公安委員会というのは、現在の公安委員会に比べれば権限その他において格段の相違があると、こういうふうに思うのでありまして、せめて公安委員長になる者の勤務等については或る程度の規制を施す必要がありはせんかと私は考えるのでありますが、これは従前通りに放置されるつもりであるかどうか、伺つておきたい。
#219
○政府委員(斎藤昇君) 今日の市町村のいわゆる自治体警察における公安委員は、行政管理、運営管理を今一切持つておられるわけでありますが、これも只今私が申述べましたような勤務と言いますか、職務の仕方をなさつておられるのであります。私は地方の公安委員のかたがたがお寄りになつていろいろおきめになることもございまするが、併し警察が果して良識ある民主的な運営が行われているかどうか、一党一派に偏していないかどうか、そういう点を特に重点を置いて指導監督をせられるわけでありますから、従いまして役所に集つて来られるというよりは、やはり或いは他の仕事をなさりながら、或いは地方を歩いておられながら、そういつた事柄について絶えず心を配つておられるということが肝要であろうと考えておるのでございます。従いまして、都道府県の公安委員長だけについて常時出勤とか、或いは事柄の性質上他の委員よりも自然に警察本部に出られる回数は私は倍ぐらいは多いと、実際は多いと考えております。これは実際の必要性に応じて行われて結構ではなかろうか、中央で特にそういつた勤務の仕方について基準を示すというさような必要はなかろうと、かように考えております。
#220
○小林武治君 次に、経費の節約の関係でございまするが、これはできるだけ制度そのものを簡素化するということが非常に必要であるのでありまするが、このたびの改正案では管区警察局を増置すると、こういうふうな問題が出ておるのでありまするが、この増置そのものにつきましては、私は全国の警察通信網に相当に変革を加えなければならんと、こういうふうに思うのでありまして、このための経費も相当にかかる、従つて私はこれらの増置ということについて再考をする必要がないかと、こういうふうに考えておるのであります。即ち今回の改正におきましては、折角都道府県にいわゆる自治体警察、而も従来に変つた、国家警察とは変りまして独立した機関を設けられると、公安委員会を設けられると、こういうことに相成ります以上は、これらを強化する、従つてこれによつて又経費の増嵩を来たすのは如何かと、こういうふうに考えられるのでありまするが、この増置の問題はせめて再考する必要はないかと思うのでありまするが、その点は如何でございましよう。
#221
○政府委員(斎藤昇君) 経費節約の折から誠に御尤もな御意見だと存じまするが、我々といたしましては、この地方警察局というものの実際の活用という点から考えますると、どういたしましてもやはり高等検察庁の区域、或いは公安調査庁の区域というものが一致をしておりますることが極めて緊切なのでございます。この地方警察局の働きの一番肝要な点は、これは警察の対象になりまする治安の事態が府県を超えた広域なものが非常に多く、殊に非常災害の場合、或いは緊急事態のような際におきましてどうしてもこういつた管区警察局的な働きをなす第一線の所がなければ相成りませんので、さような運営の面から考えまして、この際是非他の官庁と同じように名古屋及び高松にも設置ができるようにお願い申したいと、かように考えております。
#222
○小林武治君 先ほど例えば警察官が人権を蹂躪すると、こういう心配は飽くまでもなくしたいと、こういうことでありまして、これはもとより当然なことであります。而うして私は先般本会議の際にも申したのでありまするが、戦後の警察官というのは融通がきかないと申しまするか、非常な専門化を来たすと、従つて警察一本のために常識も或いは欠くるところがあり、その他の社会認識においても相当な隔たりが生ずる心配があると、従つて私どもは人権蹂躙をなくするということは、制度自体を直すことよりもむしろ人そのものに多くの原因があると、かように考えまするからして、警察官の教養等につきましては格段の注意を要するものと信じておるのでありまして、これにつきましては、国警におきまして従来警察教養の学校の責任を持つておられる、この関係は或いは今後も都府県は別にしまして、管区の学校を設けられると、こういうふうになると思うのでありまするが、これらの教養等につきまして、今のような人的の質から人権擁護の実を挙げしめると、こういうことのためにどういうふうな抱負をお持ちになつておるかどうかを伺つておきたいのであります。
#223
○政府委員(斎藤昇君) 今日の警察官の教養の根底は何と申しましても人権の尊重、人間の尊厳性の徹底的な認識ということに立脚をいたしておるのでございます。従いまして、学校における教養科目等におきましても、特にこの方面に相当の時間を注ぎ、又部外の講師その他のかたがたもそういつた面において適当なかたがたにおいでを頂いて薫陶を加えて頂いておるのでございます。のみならずそれぞれの実務の教養に当りましても、その技術の使い方、修得の仕方というものにおきまして一々そういつた人権の尊重、民主主義の確立という面からその実科の講習、その講習内容の仕方、これの用い方ということの教養をいたしておるのでございます。単に学校教養においてのみならず警察官の日々の職務の執行の仕方、行動の仕方という面におきましても、さような観点から教養をいたしておるのでございます。警察の人事管理、教養というものの根本は、これすべて只今おつしやいましたような意味からこれに最も大きな重点を置いて努力をいたしておる、かような次第でございます。
#224
○小林武治君 都道府県の従来の学校はすべて国家警察がこれを管理されておるのでありますが、今後はこの学校の管理は誰がするのか、規定があるかも知れませんが、ちよつと伺つておきたいと思います。
#225
○政府委員(斎藤昇君) この都道府県の学校の管理は、これは都道府県のやはり公安委員会及びその警察本部長でございます。ただその教育の内容につきましては、これは国家公安委員会及び警察庁の統轄事項でございまするので、従つてそういつた教養施設の維持管理、これの費用、そういつた面は勿論のこと、教養の内容というようなこともこれは中央の統轄事項として地方に留保しておるのであります。その方針に従つて都道府県警察本部長は責任者として教養に努める、かようなことになつております。
#226
○小林武治君 そうすれば、都道府県の学校は、公安委員会は単に維持管理をするだけ、こういうことになりますか。
#227
○政府委員(斎藤昇君) 都道府県の公安委員会は都道府県の警察全体を管理をいたしまするから、その警察学校の教養の方針等も中央の統轄に服しながら、その公安委員会の指揮権において指導監督して行く。かような立場になつております。
#228
○小林武治君 都道府県の学校の要するに教科内容その他につきましては、どういう形式において今の警察庁でありますか、そこではこれを指示すると申しまするか、指導すると申しまするか、そういう方面はどういう方法によつておやりになつておりますか。
#229
○政府委員(斎藤昇君) 都道府県の警察学校の初任教養は只今までは半年でございました。半年経てば警察官として勤務につけたのでございますが、本年度からはこれを一ヵ年に延長をいたしたい。さような予算の配慮をいたしておるのでございます。この予算はすでにお認めを頂いておるのでございます。それに応じました教科内容と申しまするのは、この法案の第五条の第二項の第六号におきまして、教養に関することは統轄事項でございまするから、そういつた初任教養ならば初任教養の教科内容、どういう科目何時間、どういう科目何時間、現任教養については、この特殊な事項についての現任教養はどういう科目は何時間、こういうような大体の基準を警察庁のこれは権限として示すわけであります。勿論それに附加をし、府県の状況によつてこれに若干の変更を加え、それに適合した形として都道府県公安委員会の責任の下に都道府県警察本部長が実施をする、かような形になつております。
#230
○小林武治君 なおお尋ねしておきたいのは、通信施設の問題でありますが、要するに国家の警察庁と道都府県の公安委員会との分界はどういうふうになるかということでございます。
#231
○政府委員(斎藤昇君) 通信施設及びこの通信施設の維持管理に当りまする職員、これはすべて物は国有、それから人は国の公務員でございまして、従いまして都道府県にありまする国の通信施設の維持管理は管区警察局の府県出張所がこれに当るわけであります。従いまして、直接には都道府県が管理をするものではない。こういう建前に相成つております。
#232
○小林武治君 維持管理は管区警察局がするとしまして、これの運用といわゆるオペレーター、こういうものはどこでやりましようか。
#233
○政府委員(斎藤昇君) それで丁度この関係は例えば一般公衆電話、電電公社の電話を役所で使うような関係でございまして、役所に入つておる公衆電話、これは電電会社が維持管理をいたす、その立場が地方警察局の通信部に当るわけでございます。これを実際に使いまする者、警察本部の中の例えば交換局における交換手は、これは都道府県の職員であります。これを直し常時有効な状態におくものは、これは現在なら管区、この法案によりますると地方警察局の通信部の職員がこれに当る。で、実際には都道府県の庁舎の中に管区警察局の職員が常時維持管理に当つておる。これを交換するのは都道府県の交換手が交換すると、こういう状況に相成ります。
#234
○小林武治君 一応これで終ります。
#235
○秋山長造君 ちよつと資料をお願いしたいのです。書いたものをあとでお渡ししますが、ちよつと読み上げます。
 先ず第一に、旧内務省の警察制度を説明する資料、特に全政府機構、これは府県も含んでおります。その関係を明らかにしたもの、第二に、旧内務省警察の定員調、これは明治末年、大正末期、昭和十五年頃、大体この三期に分けたものくらいを頂きたい。第三に、旧内務省警察の予算額、それは国家予算中に占める比率、それから特に軍事予算との比率を明らかにしたもの、それも明治末年頃、大正末期、昭和十五年頃、大体三期に分けたものを頂きたい。第四に、現行警察制度の下における国警、自治警の人員配置表、これはできるだけ階級別にお願いしたい。その中の一つとして、自治警については都市別定員表、その二は、国警については管区本部、対県本部地区署の別とすること、その三、旧内務省警察時代の定員配置を右に準じて明らかにしたもの。第四として、国警予算の内容、これは二十七年度以降ぐらいでいいと思います。第六が、自治警の予算を集計した表を作つて頂きたい。これも昭和二十七年度以降で結構です。但し給与費、施設費、需要費等に項目別に分けて頂きたい。第七に、平衡交付金上の警察費の算定の内容を明らかにした資料、これも昭和二十七年度以降で結構です。第八に、国警の給与平均調、これは階級別にお願いいたします。第九に、自治警察における同じく給与平均調、これも階級別にお願いします。第十として、制度改正に対する予算措置の内容の詳細を説明する資料、それから制度改正により八十五億の節約となるという計数上の根拠を示す詳細な資料をお願いしたい。第十二に、現在若干の府県におきましては国警、自警の間に連合機動隊というようなものがありますが、その内容、又法律上の根拠を示す資料を頂きたい。第十三に、昭和二十五年度以降の集団犯罪、いわゆる暴動のようなものです。集団犯罪の事例について、その内容と警察権を発動したときの状態を説明する資料を頂きたい。第十四に、国警それから自警、それから更に自警相互間の応援協力による犯罪処理の事例、顕著なものをお願いしたい。第十五に、国警と自治警の間の情報交換の具体的な手続を説明した資料。第十六に、現行警察法と新警察法における警察権の性質について、警察法の解釈論等と関連させて政府の公式の見解を明らかにした資料を頂きたい。第十七に、現行警察法の制定当時のマッカーサー司令部との交渉経過を説明したような資料。第十八に、国警、自治警別に兇悪犯罪、主として殺人事件、この兇悪犯罪の検挙率の比較を示した資料、これは昭和二十五年以降くらいで結構です。
 その次に、笹森先生のほうからの資料要求をついでに書き込んでありますので、私からお願いしておきますが、府県の面積、人口と警察官の定員、それから実数並びに百分率。第二十として、五大都市の面積、人口と警察官の定員、実人員並びに人口に対する比率。それから最後に諸外国の代表的な都市の同じく面積、人口、それから警察官との比率。
 大体以上ですが、できるだけ数字がすぐわかるような表にして頂きたい。
#236
○伊能芳雄君 資料ですが、さつき秋山委員が言つていた階級別定員のところに、もう一つ今度の三万人減らして警察庁の職員がどういうふうな計画ででき上るか、それから府県の職員がどういうふうに仕上るか、府県は全国一本に階級別に、これはすでに政令で基準を研究中でしようから、恐らく腹案がおありだと思います。一応腹案で結構です。つまり十万人の割当の一応の腹案を表でお願いしたいと思います。
#237
○委員長(内村清次君) 政府のほうではよろしゆうございますね。
#238
○政府委員(斎藤昇君) 最大限の努力を以ちまして御期待に副うようにいたしたいと考えますが、併しながら中には明治の末期、大正の末期の(笑声)定員とか予算とか、それから当時の軍事予算との比較、恐らく当時の軍事予算というようなものは我々も国会図書館あたりで調べてみたいと思いますが、これはちよつと容易でないかもわかりませんから、お含みを頂きたいと存じます。
 それから現行警察法のでき上りました際のマッカーサー司令部との交渉経過につきましては、これは公にされておりますものといたしましては、マッカーサー司令部から来た書簡という以外は何もございません。その当時片山内閣が或る書簡を出して、その書簡に対する返事の形をとられておりまするが、どういう書簡を出されたのか、これは極秘になつておりまして、誰も知る由がございません。その点を御承知を頂きたいと思います。
 それから一つお伺いいたしておきたいと思いますのは、先ほど警察権の性質とおつしやいましたが、この点ちよつとわかりませんので、この席ででも結構、或いは後刻御意思のある点を伺わせて頂きたいと思います。
#239
○秋山長造君 この点は今の地方自治法で一応まあ警察権とはつきり書いてないけれども、治安の維持だとか何とかということは一応地方団体の義務になつている。ところがこれは地方の固有事務でもないのです。又だからといつて国から地方に委任された事務でもない。でそこらの警察権というものの性質がどうなつているのか、そういう点がよくわからない。でこれは何か現行の警察法ができるときにも、非常にこの警察権の法的性格といいますか、警察権の性質というものをどういうふうに規定すべきものかということについて、随分議論があつたように聞いております。その点をはつきり政府の公式の見解として、警察権とはどういうものだということを説明する資料……。
#240
○政府委員(斎藤昇君) かように了解してよろしうございましようか。警察法にいういわゆる警察、殊に今度の都道府県に置かれる警察、或いは現行法ならば市町村の警察、あの警察の事務は自治法上は地方自治法の第二条かに申しまするいわゆる自治体の固有の事務であるか、或いは行政事務であるか、言葉を換えて言えば固有事務か委任事務か、法律の言葉で言いますると、公共事務であるか、或いはその他の委任事務であるかという点の法律上のはつきりした解釈。それともう一つ、恐らく地方自治団体が公共の秩序を維持し住民の安全、福祉云々と、あれとの関係はどうか、かように理解してよろしゆうございますか。
#241
○秋山長造君 そうです。
#242
○政府委員(斎藤昇君) さような意味に了解いたしておきます。
#243
○堀末治君 今の資料なかなか厖大な資料ですから、一遍にまとめて出されることはむずかしいでしようから、できたものから一つずつその都度出して頂けますか。
#244
○政府委員(斎藤昇君) その日その日できただけをお渡し申上げたい、かように考えております。
#245
○秋山長造君 さつきの明治時代の予算関係なんかというものは骨董屋へ行かなければわからんような数字であるならば、そういうものはあと廻しでよろしいです。できるだけできたものからお願いしたい。特に今の警察権の性質をどう考えるかというような資料は、やはり警察制度の一番根本に触れるものですから、できるだけ早くお願いいたしたいと思います。
#246
○委員長(内村清次君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト