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1953/05/26 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第45号
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1953/05/26 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第45号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第45号
昭和二十九年五月二十六日(水曜日)
   午前十時四十八分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月二十五日委員高橋進太郎君辞任に
つき、その補欠として木村守江君を議
長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     内村 清次君
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           小林 武治君
   委員
           伊能 芳雄君
           伊能繁次郎君
           木村 守江君
           長谷山行毅君
           館  哲二君
           島村 軍次君
           秋山 長造君
           松澤 兼人君
           笹森 順造君
           加瀬  完君
  国務大臣
   国 務 大 臣 緒方 竹虎君
   国 務 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   法制局次長   林  修三君
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○参考人の出頭に関する件
○警察法案(内閣提出、衆議院送付)
○警察法の施行に伴う関係法令の整理
 に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。
#3
○木村守江君 只今地方行政関係の法案が上がるそうで、委員長の報告があつて、それからこの委員会のかたがたも何か討論をなさるかたがあるそうで、殊に記名投票だそうですから、その記名投票が終りましたら直ちに委員会を再開するということで、暫時休憩して頂きたいと思います。
#4
○委員長(内村清次君) 只今の木村君のお話の通りに、本会議の本委員会に関係ある法案の審議がすみ次第委員会を再開をするというようなことの取計らいをいたすことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(内村清次君) それではさようなことにいたします。
 では暫時休憩をいたします。
   午前十時四十九分休憩
   ―――――・―――――
   午前十一時四十八分開会
#6
○委員長(内村清次君) これより休憩前に引続きまして、委員会を開会いたします。
 先ず連合委員会に関する件についてお諮りいたします。警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、法務委員会、内閣委員会、人事委員会より連合委員会開催の申出がございました。只今の三つの委員会と連合委員会を開会することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、法務、内閣、人事委員会と連合委員会を開会することに決定いたします。
 なお開会の日及びその他の手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(内村清次君) では右のよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#9
○委員長(内村清次君) 次に参考人に関する件についてお諮りいたします。警察法案につきましては、先に公聴会を開き、公述人から意見を聞いたのでありますが、なお意見を聞きたい方面に対しましては、参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(内村清次君) では、警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案について参考人から意見を聴取することに決定いたします。
 次に参考人の人選その他の手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○木村守江君 只今の委員長の報告のように、委員長に一任することに差支えないと思いますが、昨日委員長、理事会でいろいろ決定線を出されたようでありますが、勿論あの線でやつて頂くものと、そう了承して異議ございませんか。
#12
○委員長(内村清次君) ええ、その通りでございまして、ただ警察大学の問題に対しましての、あれは教育を受けた人、その選定につきましては、まあ委員長一任をそのとき発言いたしておりましたから、それだけでございまして、あとは皆理事会の決定の線でございます。どうか……。
#13
○木村守江君 それから時間、日にち等も昨日きめた通りでございますか。
#14
○委員長(内村清次君) その通りでございます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(内村清次君) さように決定いたします。
  ―――――――――――――
#16
○委員長(内村清次君) 只今より、警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を議題といたします。
 本日は緒方副総理、その他昨日の政府委員のかたが見えております。先ず緒方副総理に対しまする質疑からお願いいたします。
#17
○秋山長造君 緒方副総理に御質問申上げます。
 今回の警察法の改正は、実は一口に警察法の改正と、あたかも従来の警察法を一部改正したに過ぎないというような感じの言葉で言い慣らされておりますけれども、法律そのものを見ましても、従来の警察法を廃止して、全然新しい警察法を作ろうという建前になつておりますし、更に法律の内容をいろいろと検討してみますというと、相当従来の現行警察法の建前とは、ただこれは技術的に異なるというだけでなしに、そのよつて立つところの建前、或いは根本精神といいますか、根本方針というものも相当異なつておるようであります。即ち従来の現行警察法はその前文なり、或いは一条なりに書いてある通りに、警察というものが飽くまで個人の尊厳、或いは民主化といいますか、又更に地方自治というようなものを重大な要素として、そうしてそれに基いて警察制度というものが組み立てられておる。ところが今度のは、成るほど第一条の目的のところに或る程度そういう文言は謳われておりますけれども、やはりそれよりもこの法文全体として受ける感じは、まあ一応民主化だとか、個人の尊重だとかいうことは、今まで通り一応の題目として挙げてはおるけれども、併し制度改革の重点はそういうところではなくして、飽くまで警察の能率化である、警察の能率化であるということに専ら集中されておるようであります。言うまでもなく、民主化と能率化ということは、必ずしもこれは一致する概念でございません。そういう点において私どもは重大な問題をこれは含んでおると思う。政府の責任者として今度の警察法制度の改正に当られての基本的な考え方についてお尋ねします。
#18
○国務大臣(緒方竹虎君) 今御指摘になりましたように、今度の法案は警察法案となつておりまして、警察法改正案という形になつておりませんが、これは今までありました前文を除いたというような体裁の点もございまして警察法案といたしましたけれども、私らの考えといたしましては、これはどこまでも全部の改正案でありまして、民主主義の原理に立つておることは現行法と少しも変らないのであります。一口に我々は警察の一本化と申しておりまするが、これは占領下に立てられました現在の警察の制度が多少当時の情勢といたしまして、民主化を主にするために能率の点において考慮が十分でなかつたようなことも考えられまするので、その点を更に数年間の経験に基きまして検討しまして、いわゆる警察の一本化でありまするが、どこまでもこれは民主的な自治警察、府県単位の自治警察という考えに基いておりますので、根本の考え方は違つていないのでございます。
#19
○秋山長造君 従来の警察制度は、昨日も小坂国務大臣のお話によりますと、組織法上の改正であつて何らそれ以上のものではないというお話が繰返しあつた。又今の副総理のお話でも同じようなことが極めてあつさりした、軽く考えられたようなお話があるのですけれども、併し実際はしかく軽々に考えらるべきものでないということを今度の法律案そのものが示していると思う。この前文を取られたということについても、ただこれは法文上の体裁上の問題というような簡単なことではないと思う。やはり従来警察法の前文として書かれてあつたその内容というものは警察法令体の根本精神でもあり、これは憲法と同じように日本の警察制度というものを過去のあの暗黒の警察制度から百八十度切換えた大原則を謳つたものであると思う。そういうものが今度の警察法にはあつさり姿を消しまして、そうしてただ一条のところに簡単に書いてあるだけなんです。而も今度の警察濃の一月十四日の閣議決定をいたしましたあの改正要綱を読んでみますというと、個人の権利の尊重だとか自由の保障だとかいうようなものを確保すると共に、治安の確保とその責任の明確化を図る目的を持つておるというように書いてありまして、元来民主化と能事化ということは必ずしも一致しないという概念であるということは繰返すまでもない。その相異なるものを「と共に」というようなことで至極簡単にくつつけられておるのでありますけれども、今度の警察法全体の仕組というものは府県の自治警であるとはおつしやるけれども、併しこれが従来の個人の尊重だとか、或いは自由の保障だとかいうようなことを、これはもう一方的にそういうことを第一として組み立てられておつたところからはいささか後退をして、そしてそういうものと同時に今度は責任の明確化或いは能率化というような、今まで警察法になかつた別な概念を持出して来て、そうして今までの個人の尊重なり、民主化ということに重大なブレ―キをかけておるということは否めない事実だと思う。その点について飽くまでそうではなくて、今まで通りだと言い切れるのかどうか、私は言い切れないのではないかと思う。その点もう一度……。
#20
○国務大臣(緒方竹虎君) 能率の問題、とそれから民主化の問題とが両立しない、概念上両立しないというお話でありまするが、個人の権利自由を保護する意味からも、国の治安を保ちまする意味からも、警察の能率は政府といたしましては治安の責任を持つておりまする以上、何としてもこれは高めなければならん。ただその高める上におきまして警察の中立性を阻害するとか、或いは行き過ぎをするというようなことは厳に戒めなければなりませんが、その点は公安委員会の制度によりまして、又公安委員の選定によろしきを期しまして、民主主義の理念に基く警察、この警察の運営は絶対に誤まらない、これは仮に警察の能率を上げることができましても、民主主義の下におきまして、この根本の理念に反するようなことになりましては、いわゆる警察国家の危険さえも孕む虞れがありますので、その点は政府がこの警察法案を立案いたしますに際しまして最も注意をしたところでありまして、今後の運営におきましても、若しこの法案が通過いたします上におきましては、十分の留意をして参るつもりでございます。
#21
○秋山長造君 この法律が通過した場合に、この運用について十分注意をなさるということは、これはまあおつしやらなくても当り前のことでありまして、昨日も小坂大臣にこの点各委員から御質問があつたのですが、やはり法律そのものよりもまあ運用でうまく足りないところはやつたらいいじやないかというようなお話があつて、これは何ら結論が出なかつたのです。只今警察の政治的な中立性とか、或いは運営の民主的な保障に特に意を用いたということをおつしやるけれども、その中立性の維持なり、或いは民主的な保障のためにどういう点について具体的に政府が意を用いられたのか、その点御説明願いたい。
#22
○国務大臣(緒方竹虎君) これは先ほども申上げましたように、この警察の考え方をどこまでも自治警察、府県単位の自治警察ということにおきまして、そして公安委員会によつて警察を管理して参るというところに私が申上げた趣旨は十分に入つておると考えます。
#23
○秋山長造君 副総理は府県の警察ということを頻りに強調されますけれども、併し今度の警察制度の一番大きな狙いはやはり総理大臣の、或いは政府の警察に対する統制力というものを強化するというところに狙いがあるということは否定し得ない事実だと思う。その否定し得ない事実はこの法文を読めばすぐわかることである。例えば国家公安委員長の任命権の問題、或いは警察庁長官の任命権の問題、又警視総監なり或いは府県警察本部長、或いは警視正等の任免権の問題、それらの最も警察組織を動かして行く場合のいわば枢軸になるところの人事権というものは、これも地方でどうにもならないようにちやんと政府の自由になるように確保されておるのであります。そういう警察制度の枢軸になる人事権を政府が握つておりながら、ただ形だけ公安委員会があるのだから警察制度は民主的に保障されるとか、或いは中立性は確保されるとかいうような御説明は私は成り立たないのではないか。
 そこで先ず第一にお伺いしますが、政府がそこまでこの警察の民主的な運営だとか、或いは警察の政治的中立性のために意を用いられておるならば、何故国務大臣を国家公安委員長にされたのか、その点についての説明をお願いしたい。
#24
○国務大臣(緒方竹虎君) それは政府の治安維持に関する考え方、それを民主的な機構でありまする公安委員との間にいい意味で始終考えを徹底さしておく、連絡をよくしておくという意味から、この委員長を国務大臣にしたのであります。
#25
○秋山長造君 では単に政府の治安維持に対する考え方、感じ方を国家公安委員会の中に盛込むと言いますか、持ち込むと言いますか、そういう点の意思の疎通を図るためだけに国務大臣を委員上長にするという制度をおとりになつたのか。
#26
○国務大臣(緒方竹虎君) 政府の治安に対する国としての考え方を公安委員会の中に始終示しておく。それが公安委員会の中正な判断によつて警察官理の上に現わして行かれるというところに一つの妙味があると考えておるのであります。
#27
○秋山長造君 治安に対する政府の考え方とおつしやるが、その国の治安ということはどういうことを指して言つておられるのか、その点。治安ということはどういうことですか。
#28
○国務大臣(緒方竹虎君) 私どもは治安ですぐわかりますが。
#29
○秋山長造君 いや、すぐわからないのです。治安と一口に言われましても、これは非常に内容は抽象的で漠然としている。例えば政府が治安責任というようなことを、特別の場合の治安と言いましても、尤もこれは厳格に解釈すれば、治安ということは結局犯罪の捜査だとか或いは予防だとかいうようなものに限られる。それが更にだんだん拡がつて来れば、或いは労働運動であるとか、或いは政治運動にしても、政府に都合の悪いような政治運動、政治活動というようなものも、政府からすれば治安というような範囲に入つて来るのではないかと思う。そういう点をはつきりしておいて頂かないと、ただ治安というような体のいい言葉で以て、どんどんあの教唆扇動いうような言葉と同じように範囲を拡げて行かれるならば、結局治安ということは政府が自分の政治的な勢力を伸ばすという立場において、この治安を拡げて行くというような非常に危険な私は要素を含んでおるのではないかと思う
#30
○国務大臣(緒方竹虎君) 今お述べになりました政府が政治的な政府の立場を擁護するため、或いはその立場を強化するために警察権を振り廻す、治安に名を籍りて振り廻すということは毛頭考えておりません。
#31
○秋山長造君 毛頭考えておられないと言われましても、これはまあ制度を運用する心構えの問題なんで、我々が問題にするのは、仮に政府がそういう不遇なことをやろうとされても法律の建前上、或いは制度がそういうことを絶対に許さない、そういう余地を与えないという建前になつておる必要がある。ところがこの国務大臣、政府の一員であり、そして政党の幹部であり、そして又最もいわゆる政府的に動く立場、政党的に動く立場、そういう意味で一方的な政治的利益と或いは政治的立場を基にして行動するような、そういう立場に立たされておる国務大臣をも法律上当然に国家公安委員会の委員長に据えて、そしてその委員長が採決権を持つ、而も採決権を持つばかりではなくして国家公安委員会の会務を総理し、更に国家公安委員会を代表するという、これは単なる床の置物ではなくして非常に重大な積極的な権限を持つものと解釈せざるを得ない。そういう制度を作つて、なお且つ仮にこれを悪用しようとしても悪用し得ない組織になつておるんだという説明はなかなかつきにくいのではないかと思うのです。その点如何ですか。
#32
○国務大臣(緒方竹虎君) この法案を立てるにつきましては、公安委員会というものに大きな期待を持つておるんでありますが、その公安委員会が我々の期待しておりまするような働きをしない、期待通りに行かない、いわゆる民主的の警察官理ができないということになつては根本が崩れるのでありますが、私は深く公安委員会に信頼をいたしまして、今仰せになりましたようなことは絶対にあり得ない、さように考えております。
#33
○秋山長造君 なぜ絶対にあり得ないとおつしやるのか。そのあり得ないという理由がはつきりしないと、あり得ないと副総理個人としてお考えになりましても、現にあり得べからざることがどんどん行われている例は多々ある。検察庁法のあの十四条の指揮権の発動にしてもこれは同じことです。ああいうことが政府の手によつて行わるべき筋合のものではないにもかかわらず、ああいうことが行われて、而も参議院におきましては院議を以てあれが不当であるから取消せということを再三再四政府に対して要求しておりましても、政府のほうは何らそれに対して反省をされるところはない。ああいう態度で行かれるといたしまするならば、この国家公安委員長の地位を利用してこの警察を政府の一方的な意思に基いて引ずつて行くということは、これはやらないとおつしやるけれども、やろうと思えばやれないことはないと思う。そのやろうと思つてもやれないという保障を与えて下さらなければ我我は依然として重大な不安を持たざるを得ない。国家公安委員長は只今も申上げましたように、ただ床の置物で政府の治安に対する考え方を伝達する伝達機関に過ぎないというような、そんな影の薄いものではございません。又一般の公安委員がしつかりしておればそんなことはできないと言いましても、一般の公安委員とこの公安委員長というものは、ただ公安委員の中から互選で選ばれた現在の国家公安委員長というようなものとはこれは問題にならないくらいこの権限、内容すべて異なつております。国家公安委員長はこれはもう国務大臣が当然に委員長になる。委員ではない。委員長になる。そうして委員長が第一会議の招集権を持つておるので、委員長が招集しなければこの国家公安委員会というものは開けない。又可否同数の場合は委員長が決定する。而も公安委員は現在の経験によりますと、まあ精々一週間に一回くらい顔合わせをしていろいろな問題を相談されるそうですが、国家公安委員長というものはこれは国務大臣ですから、恐らく毎日朝から晩まで日勤で警察庁のどこかの部屋に頑張つてそうして不断に物心両面における影響力を警察に及ぼすことはこれはもう当然予想されると思う。でそういう重大な権限を持つておる委員長に政府の一員である国務大臣を充てるということは、如何に抗弁されましても、これは国家公安委員会又警察制度の中立性の保障、或いは民主的運営の保障という大目的から言いますならば、隔たること遥かである。これは今後これを濫用する気になれば幾らでも濫用できます。そしてこれを以て警察を動かせば、人事権によつて、他はともかくとして人事権によつて府県の警察が一本にずつと筋が通つておるのですから、その人事権を動かすことによつて政府の意のままに警察を右に左に引ずつて行くということは決して困難なことではないと思う。そういう点についてのこの心構えというものが非常に今度の警察法では不用意にできている。或いは意識的にこういうふうな制度にされたのかどうか。その点の民主的な運営の保障、或いは政治的中立性の保障、その二点について更に政府の御見解を伺いたい。
#34
○政府委員(斎藤昇君) 民主的保障の法律構成を事務的に御説明申上げたいと思います。副総理大臣がたびたびお答えになつておりまするように、この警察法案におきまして、警察が政治的に左右されないという保障といたしまして、中央の公安委員会、都道府県の公安委員会、この二つが根幹でございます。でそれと同時にこの法案といたしましては、たびたびこれも御説明申し上げておりまするように、政府としては国の治安について或る程度の責任はこれは国会に対して負わなければならない。これとの調和をどう図るか、その解決を見出しておるのがこの法案でございます。そこで只今御意見のように中央の公安委員会に国務大臣が委員長として入る、併し公安委員は五名、これは政治的中立を保つように法律で保障がされているわけでございます。更にその場合に委員長に大臣として入られるということによつて不当な政治的運営を行われるのではないかという御質問に対しましては、公安委員会の構成その他御説明を昨日申上げましたが、最も大事なのは警察を運営いたしますのが第一線の府県の警察でございまするから、従つて府県の公安委員会が更に一つの大きな防波堤になるわけであります。府県の公安委員会は府県の警察の一切の責任を持つて管理をするものであります。更に任命権につきまして、中央において任命権を持つておるといたしましても、その中央で任命された都道府県の警察本部長がよろしくない、公安委員会の管理に従わないというような場合には罷免、懲戒勧告権があるわけであります。法律的の保障といたしましては、私は政府といたしましては十分にできていると考えるのであります。同時に都道府県警察は更に府県会によつて監視をされるのであります。府県会の監視、公安委員の監視、これが法律における中央からの政治的圧力の大きな防波堤であると、かように考えておるのでありまして、かような民主的機関が中央、地方各種の機関が介在をしておるということが、この警察法案の民主的管理の一大特色だとお考えになつて頂きたいと思います。
#35
○秋山長造君 今の長官の御説明は、私は答弁にならんと思うのです、そんな答弁は……。今おつしやるのは、今度の警察法の条文に書いてあることをただ繋ぎ合せておつしやつただけであつて、そういうことを私は聞いておらん。第一、府県警察について、府県警察には府県公安委員会があつて、その管理に服するのだからちつとも中央統制ではない。更に府県会の監督もあるというようなことをおつしやるけれども、そういうことではなくして私はそれなら更に聞きますが、新警察法の十六条に警察庁長官は都道府県警察を指揮監督をするということがある。而も一方都道府県警察は都道府県の公安委員会が管理するということになつておる。一体管理するということと指揮監督するということとはどちらが強いのか。我々は当然常識として管理するというようなあいまいな言葉よりは、指揮監督をするというようなはつきりした言葉のほうが遥かに強い具体的な内容を持つておるということはこれは当然であります。その点について御説明を願いたい。
 それからもう一つ、その次には都道府県の公安委員会が警察本部長に対して罷免の勧告をすることができる、勧告権を持つておるじやないか、こうおつしやる。併し勧告権なんかというのは元来性質上これは一方的なものなんです。都道府県の警察が真に自治体警察であつて、そうして都道府県の公安委員会が都道府県の警察に関する限り全責任を持ち、又権限を持つものであるという以上は、そういう、ただ一方的な希望を述べるという程度の権限ではなくして、必ずやめさせようと思えばやめさせるんだという保障された権限が与えられなくてはならん。ところがそうではなくして、ただ梨のつぶてで、希望を言つてみるだけ、陳情と同じことです。聞いてもらえる聞いてもらえんは、これは相手のあることですから、そんなものを与えてもらつても与えてもらわなくても大してこれが大きな問題ではないと思います。なぜそれを都道府県の公安委員会に与えないで中央が握ろうとなさるのか、これが第二点。
 それから第三点に、府県会からの監督がある、こうおつしやる。府県会からの監督がどこに書いてあるのか知りませんけれども、成るほどこの公安委員なり或いは警察本部長というものが予算の説明等に県会に出るということは、これは当然予想されることであります。従いましてそういう機会に、議員の質問等を通じて気分的に多少のコントロールを受けるということもこれはわかります。併しながら何時にこれが本当に府県の自治体警察であるならば、府県の自治体警察に関する限りはその予算の運営というようなものは一切これは府県議会の審議の対象になつて然るべきものである。府県の予算は、これが一つの自治体である以上は予算も又一体のものでなければならない。だから当然予算の審議権を持つ議会では、警察の経費についても全面的に府県の議会において審議の対象にならなければならない。ところが三十七条に「道都府県警察に要する左に掲げる経費で政令で定めるものは、国庫が支弁する。」と書いてある。これは府県の予算を通さずして、更に具体的に言えば府県の議会を通さずして国警本部、警察庁が直接府県の警察に金を与えるのです。府県の議会ではこの国庫の支弁金については一切審議権というものを与えられない。そういうことをやつてなぜ府県の警察が府県の議会から全面的に監督、批判を受けるのだという制度になつているとおつしやるのか。それらの点についてはつきりと答弁願いたい。
#36
○政府委員(斎藤昇君) 先ず第一点の指揮監督の点を申上げますが、第十六条におきまして、警察庁長官が都道府県警察を指揮監督するとなつておりますが、この指揮監督をいたしまするのは、先ず都道府県の公安委員会に対して指揮監督をするわけであります。公安委員会が指揮監督に従わない場合に、これを保障する方法はございません。従いまして公安委員会が中央の指揮監督が違法である、或いは妥当でないという場合には従わないという場合もあり得るのであります。この場合に公安委員に対して罷免をしたり、懲戒をしたりするような規定はございません。そういう意味から申しますると、この指揮監督は事実上は府県の公安委員の良識によつて判断をされるという結果に相成る。殊に都道府県警察を指揮監督するとありますから、都道府県警察のもうすべてについて指揮監督するかのように御覧になるかもわかりませんが、ここに警察庁の所掌事務についてと書いてありまして、この警察庁の所掌事務は第五条の第二項に明記しておりまする通り警察に関する統轄でありますとか、或いは第二項の第三号に掲げてあります大規模な災害に係る事案、地方の静穏を害する虞れのある騒乱に関する事案、これについて指揮監督することができるだけでありまして、第十一号、第十二号の基準或いは調整というようなものには指揮監督はございません。このようなわけでございまして、それ以外は中央の指揮も監督も受けず、都道府県公安委員会がみずからの責任において警察を管理するのでございます。さようでございますから、都道府県会安委員会の権能というものは、法律上は非常に強いと考えているのでございます。
 それから都県府警察本部長が不適任だというので、都道府県の公安委員会が罷免の勧告をする。これは梨のつぶてではないかとおつしやいますが、併し実際問題といたしまして、都道府県で罷免勧告をされたというさような警察本部長は、もはや都道府県においては、部下を統率して警察事務を行なつて行くということは事実上困難である、殆んどできない。私はかように考えるのでありまして、そこらは今日のやはり何と言いますか、一般の世論、そういう場合にまで警察本部長がどこまでも頑張つてやり得るものであるかどうかという政治的な御判断をお願いいたしたいと思うのであります。
 成るほど都道府県議会で監視をするという点はこの法案にはございませんが、府県の警察のあらゆる内部組織その他に関しましても、都道府県みずからの条例で都道府県議会の議決を得て行うわけであります。予算も勿論であります。これらを通じまして都道府県警察は都道府県議会の十分な監督を受けるわけであります。私どもこの国会においていろいろと御批判或いは御指導を受けますること、これは我々といたしまして非常に大きな何と言いますか、国会の監督に服しておるように感ずるのであります。これは都道府県警察におきましても同様であろうと我々は考えるのであります。ただ一部費用、国庫支弁の点はございますが、国から考えまして、国の治安上重要であると考える警察費につきましては、これは国が直接支弁するほうが適当であろうという考えに立つただけでありましてこのことによつて府県議会の権限を削限しようと、かような意図で立案されたのでないことを御了承願いたいのであります。
#37
○秋山長造君 どうも副総理への質問が長官のほうにそれてしまつて甚だ恐縮で、すぐ副総理への質問に返しますから……。ちよつと今の点だけについてもう一言申したい。
 今警察庁長官が都道府県警察を指揮監督するというのは、警察庁長官が都道府県公安委員会を指揮監督をすることだとおつしやつたのですが、その点は間違いありませんか。
#38
○政府委員(斎藤昇君) 間違いありません。都道府県警察と一言に申しておりますが、都道府県警察は公安委員会の管理下にあるわけであります。公安委員会を除けものにして直接警察の事務職員を指揮監督するということはございません。それは成り立たないのであります。(「公安委員会は独立してない」と呼ぶ者あり)
#39
○秋山長造君 第五条の三項に「国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。」ということが書いてあります。それでもつて見ますと、国家公安委員会と都道府県会安委員会との関係は単なる連絡調整という関係であつて、国家公安委員会が都道府県公安委員会に対して何ら指揮命令をするような関係は謳われておらない。ところがこの警察庁長官というものは、この国家公安委員会の指揮監督を受けて職務に当つておるものだろうと思う。その警察庁長官を指揮監督をするところの国家公安委員会ですら、府県公安委員会との関係は連絡調整という関係である。にもかかわらず国家公安委員会の下に立つて単なる事務機関として動いておるところの警察庁長官が府県公安委員会を指揮監督をするということは、どうしても私は納得ができません。その点如何ですか。
#40
○政府委員(斎藤昇君) 警察庁長官は国家公安委員会の管理の下に警察庁長官として権限をもつて都道府県警察をこの法律に定められた範囲において指揮監督或いは調整を図るのであります。そこで長官のやり方がよいか悪いか、或いは国家公安委員会の方針を体してやつておるかどうかということを、公安委員会が長官に対して絶えず監視をしておるのであります。で長官が都道府県の公安委員会に対しまして、国家公安委員会の方針に従つて指揮監督をするわけであります。そこで国家公安委員会が直接都道府県公安委員会を指揮監督をする建前にいたしておりませんから、従つて都道府県会安委員会から見まして、実際問題といたしまして、どうも長官のやり方が面白くない、こういうようなやり方だと、こんなことでは困るじやないかということもあるわけであります。そういう場合に長官に対して法律上は警察本部長の罷免勧告権というものがありますが、事実上いろいろ意見を申述べる。ああいうこの前の指導は困る、こういうふうにしてもらいたい。長官は必ずしも聞かない場合があるかも知れない。そこで任命権者であり、管理機関である公安委員会と常時緊密に連絡をとつて国家公安委員会の意図というものがそんなものであるかどうか、長官がやつておることはどうも国家公安委員会の意を体していないようだ、あれでは困る、あの長官は罷免されたらどうか、こういうようないろいろな連絡と言いますか、警察の政治的中立性を保つという大きな意味を持つておる。中央の公安委員会、都道府県の公安委員会というものが絶えずそういう意味から緊密な連絡を図り、長官の行なつておる事柄に対する批判或いは注文というものを、単に長官に対してやるだけでなしに、むしろ国家公安委員会と緊密に連絡をするということが、これはやはり警察の運営が中央、地方どちらの側における政治的な圧力というものにも敢然として防波堤になつて行くという建前から、第三項を設けておるのであります。
#41
○委員長(内村清次君) 速記を中止して。
   〔速記中止〕
#42
○委員長(内村清次君) 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時七分開会
#43
○委員長(内村清次君) 休憩前に引続きまして、地方行政委員会を開会いたします。
#44
○秋山長造君 午前中の私の質問を続けたいと思います。午前中の斎藤長官の御答弁では、十六条の二項にある長官が都道府県警察を指揮監督するというのは、都道府県の公安委員会を指揮監督をするという意味であるということをおつしやつた。そこで重ねて御質問をいたしますが、そうなりますと、この府県の警察の本部長と警察庁長官との関係はどういうことになるのか、その点の御説明をお願いしたい。
#45
○政府委員(斎藤昇君) 指揮監督の点から申しますると、長官が警察事務について警察本部長にこういうように指揮したいと思いましても、それは公安委員会に対してそれをなすのでありまして、公安委員会がその管理権に基いてこれを警察本部長に都道府県の公安委員会がその指揮に従うべしという場合には、さように警察本部長に対して指示をする、こういう形に相成ると思います。例えば他の行政で申しますると、昨日も大臣が申上げられました通り、職業安定の仕事につきましては、これは国の官吏が配置されておりますが、大臣がその仕事について指示をしようという場合には、知事を通じて指示をするというふうのと同じ関係でございます。
#46
○秋山長造君 そういたしますと、十六条二項の趣旨は、警察庁の長官が都道府県の警察本部長を指揮する場合に、直接指揮するのでなしに、府県の公安委員会を通じて指揮監督をすると、こういう意味でございますか。
#47
○政府委員(斎藤昇君) お説の通りであります。
#48
○秋山長造君 長官の午前中の御答弁は、通じて指揮監督をするというのでなくして、警察庁の長官が府県公安委員会そのものを指揮監督をすると、こういうはつきりした答弁を繰返しなさつたのですが、その点と今の通じて指揮監督するという点とは、多少違いはありませんか。
#49
○政府委員(斎藤昇君) これは同じだというお考えを頂きたいと思うわけであります。警察事務の執行は、これは都道府県の警察本部長以下警察官がやるわけでありますから、従つて公安委員会自身は警察権の行使はできません。そこで通俗的に申しますと、通じてということになるのであります、そういう権限の面から行きますと……。併し法律的には公安委員会が指揮監督するということになります。
#50
○秋山長造君 そういたしますと、いずれにいたしましても、都道府県警察の本部長を指揮監督する、直接指揮監督するのはこれは都道府県の公安委員会だと、こういうことですね。
#51
○政府委員(斎藤昇君) ええ。
#52
○秋山長造君 で、都道府県の警察本部長を指揮監督をするのが府県の公安委員会であるということになりますならば、府県の公安委員会が府県の警察を管理するという言葉がこの法律の条文の中にありますが、その管理という言葉と指揮監督をするという言葉とは同じものだと解釈してよろしゆうございますか。
#53
○政府委員(斎藤昇君) 管理の中には指揮監督を含むものだと、かように御承知を噴きたいと思います。国家公安委員会が警察庁長官を管理するという場合、都道府県会安委員会が都道府県の警察を管理するという場合と同じでございます。
#54
○秋山長造君 では、この管理の中には指揮監督権は勿論含まれておるということでありますが、然らば、任免権は含まれないかどうか。
#55
○政府委員(斎藤昇君) 管理の中には任免権が含まれる場合もありましようが、管理という言葉自身の中には含まない場合もございましよう。この法案におきましては、特に任免権につきましては特別の規定がありまして、警察庁長官は国家公安委員会が管理をしておりますが、長官の任免については総理大臣が行う。国家公安委員会は意見を聞かれる。都道府県の場合には、これは任免については中央の警察庁長官だけが任免をする。中央の警察庁長官が国家公安委員会の意見を聞き、ただ罷免、懲戒については勧告権を持つというようになつておりまして、そういう特別の規定によつて公安委員会からその権限を中央或いは他の機関に移して参る、こういうことであります。
#56
○秋山長造君 そういたしますと、この従来の警察法には、十三条に、「長官は、国家公安委員会の指揮監督を受け、」ということがはつきり書いてあつたわけですが、今度の警察法には、そういう身分関係のはつきりした規定がどこにもございません。で、そういう点でやはり従来の警察本部の長官の任免権は国家公安委員会が持つておつた。国家公安委員会で任免権を持つているからこそ、その結果として警察本部長官に対して指揮監督権をも又持つているということは、疑いを容れない事実としてこの法文にはつきりと明示してあつた。ところが今度の新らしい警察法には、まあ衆議院修正はあとの問題として、最初の政府の考え方、本来の考え方では、国家公安委員会は警察庁長官の任免権を持つておらない。で、そこで従つて指揮監督という言葉も又ぼやけて来て、そうして国家公安委員会は警察庁長官を管理するというような内容のはつきりしない言葉に変つて、それだけ警察庁長官の地位というものが、従来の警察本部長官の地位よりも強化される、そうして国家公安委員会対警察庁長官の関係というものが、大巾に変つて来たのじやないか、そういうように解釈するのが私は妥当じやないかと思う。ところが今のお話によりますと、依然として今度の国家公安委員会は従来と違つて警察庁長官の任免権こそ持たないけれども、併し従来通り指揮監督をするだろうということをおつしやる。そうであるならば、なぜ管理というようなあいまいな言葉を使わないで、従来通り警察庁長官は国家公安委員会の指揮監督に服し、或いは指揮監督を受けるというように、はつきりと疑問の余地のない言葉をなぜお使いにならないか、その点お伺いしたい。
#57
○政府委員(斎藤昇君) 今度の法案では、警察庁というものを一つ独立した行政機関、かように立法をいたしているのでございます。で、そういつた独立の警察庁、これと公安委員会との関係というものを、指揮監督ということだけでなしに、全面的にそれを管理をするという言葉で現わしているのでございまして、これは例えば本省とそれの外局との関係、或いは附属機関との関係を律しまする言葉といたしまして、通常の管理という言葉を使つているのでございます。そうしてその管理の中には、指揮監督も当然含むと、こういうように解釈をいたしております。
#58
○加瀬完君 今まで政府当局、それから秋山委員の間に取り交されました問題点を整理いたしますとこの都道府県の警察官の管理するのは、都道府県公安委員会である。で、その都道府県公安委員会に対しては警察庁長官が指揮監督する権限を持つている。こういう御説明のように承わりましたが、間違いございませんか。
#59
○政府委員(斎藤昇君) 長官が都道府県の公安委員会に対して指揮監督をするということは間違いございません。
#60
○加瀬完君 大臣も国警長官も、昨日来今度の警察法の改正は、これは国家警察に都道府県単位の自治警察である、都道府県自治警察であるということを強調されておつた。併しながら今御説明の点に、自治体警察としての性格と甚だ相矛盾するものを私どもは感ぜざるを得ないのであります。これは質問をはつきりと御認識頂くために前後に若干触れてみますると、これは大臣の提案理由の説明の要旨の中にも、「警察の民主的な運営、言い換えれば国民の警察運営に対する関与は依然として保障すべきは勿論のことでありまして、」こういう言葉がある。併し現存警察に対しましては市町村民が運営の主体者であつて、何も関与さしてもらわなくても、我々自身が運営の主体者でありますから、こういう問題は起らない。こういうことを言つておることは、結局国家警察的な性格に少くも自治体警察を持つて行つて、併しながらこの自治体警察のよさというものも幾分認めようという点で、国民の警察運営に対する関与というような言葉が、潜在的にそういう意識がありますから出たのではないかというふうに我々は思われるのであります。又警察の民主的運営という言葉を盛んに使つておるのでありますが、警察の民主的運営という言葉は、政府の考えるのは、警察運営の主体は一体国の行政であると考えるのか、地方の行政であると考えるのか。国の行政であると考えるからこそ、国民に関与させるという言葉が出るのではないかと思う。そうでないとすれば、自治体警察ということをあなたがたが答弁されるならば、如何ようなる理由があろうとも、都道府県の公安委員会に対して警察庁長官という国家公務員が指導監督するということは出て来るはずがないのであります。憲法第八章の第九十二条には地方自治というものがはつきり謳われておる。又地方自治法の第二条の第三項第一号には「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」が地方自治団体の固有の義務であると解釈される条文があるが、この点から考えて、一体都道府県公安委員会を国家公務員である警察庁長官が指揮監督をするということが、自治体警察或いは今読上げたる地方自治法の条文と背反するものでないという法的根拠を御説明頂きたいと思います。
#61
○政府委員(斎藤昇君) 丁度昨日秋山委員から要求されました資料に関係を持つわけであります。これを今印刷にしましてお廻ししようと思いましたが、その原稿を読上げます。
 一つは、警察権の本質でございますが、警察の権能というものは本来国の統治権に基く作用である、かように考えております。併し警察の作用の性質を考えてみますと、これは国と地方の両者の利害に多分に関係のあるものであります。この権能を国と地方公共団体との間にどういうように配分をするかということは、これはいわゆる国の行政上の責任、地方自治の本旨、この両者を総合的に考えまして、法律によつて適切に定められるべきものであろう、かように考えるのでございます。そこで地方自治法の第二条第三項第一号、只今お読上げになられました地方公共団体の事務として例示しておりまする項目、即ち地方公共の秩序を維持し、住民の安全を保持するというこのことの中には、地方公共団体の公共事務、即ち通常言われておる固有事務としての権能、即ち地方公共団体がその地方公共団体に関係する公安に関する条例をきめたり、或いは自警団を作つたり、或いは防犯活動を行なつたり、その地方公共団体が全く自主的に営んで然るべき権能のあることは当然でありまして、そのことを先ず指しておるのだと考えるのであります。併しこのほかに後に述べますように、警察法で警察の組織を市町村に維持をさせる、或いは府県に維持させるというように定められました場合に、これは委任事務として、即ち地方自治法に言う行政事務としての権能となつてこの項目の中に入つて来ると考えるのであります。只今提案いたしておりまする法案は、警察組織としての市町村警察の廃止をするのでありまして、そうしてこれを法律上今度は府県に与えるわけでありますが、これは地方公共団体の公共事務としての警察権というものを市町村から奪つたという、かような解釈にはならないのでございます。警察法はいわゆる形式上の意味における警察の組織を定めるものでありまして、国が警察事務の性格を勘案いたしまして、国と地方公共団体との間においてどういう組織をしてこれを行わしめるかということを警察法が定めておるのであります。で現行の警察法におきましては、市及び人口一五千以上の市街的町村に警察事務を行わしめる、爾余の区域における五千以下の市町村においては国がみずから警察事務を行なつて来たのでありますが、新らしいこの法案におきましては、全面的に広域自治団体である都道府県に警察事務を行わしめる、かようにいたすものであります。警察事務は都道府県の事務と、この法律によつて相成るのであります。従つて自治法上は警察法にいう警察の事務は、法律により普通地方公共団体に属する事務、地方自治法の第二条第二項、この公共事務としていわゆる団体に対する団体委任事務、これに該当すると考えるのであります。
 なお附加えて申上げておきまするが、国がみずから警察事務を行うことがあるかどうか、或いは警察権を行使するかどうかという点につきましては、緊急事態の不測の場合を除きましては、みずから国が警察権を行使するという場合はございません。警察の権限行使というものはすべて都道府県警察をして行わしめるのであります。国としましては、都道府県が行う警察事務のうち、必要最小限度のものに限つて指揮監督或いは調整をする。いわゆる法案の第五条に明示してあります限度において、或るものについては指揮監督、或るものについては調整を行うという権限を委任する、これが警察法案の考え方の骨子でございます。
#62
○加瀬完君 三点質問をいたします。初めの御説明によりますと、警察の権能は当然これは統治権に属するものである、そこで内容といたしましては、国と地方の両者の利害に関係するものがあるので、これが適切なる配分をするのである、そこで国の責任に任すべきもの、地方の行政に委ねるべきもの、こういう区分をしたのだ、そうして更に説明をして、例えば町村における自警団の構成であるとか或いは防犯活動の執行であるとか、こういうものは町村の固有事務として認められるけれども、ほかのものは、他の警察事務は認められないというふうな御説明が過程においてあつたわけであります。そうすると、一体警察事務というものは、公共事務としては認められないという御見解なのか、その点が一点。
 二点は、只今の御説明からするとそう受取れるのでありますが、昨日から政府は、都道府県警察自治体警察であるということを強調されておるのであるが、県市町村そのものに公共事務としての警察事務の権能がないならば、自治体警察という理論はおかしいじやないか。一体都道府県警察は自治体警察であるという点を御説明なされるならば、法文の上で、かくのごとき法文によつて自治体警察に間違いないということを更に説明をされたい。
 第三は、国は警察事務を行わない、警察事務は都道府県に任せてあるのだと言うけれども、先ほど秋山委員との間に取交された点から見ましても、この組成そのものは都道府県というものを中心にしておるように一見見受けられるけれども、その公安委員会そのものをも指揮監督は警察長官が第十六条によつて行うのである。なお府県の警察事務の当然の担当責任者であるところの本部長、その他有力な幹部という者もこれは国家公務員である。而も国家公安委員会に行政事務として任せるというならまだしも、国家公安委員会を開催したり或いは招集したり、或いはこれが最後の議決権を持つ者が国家公安委員長ということになりましては、現行法よりは遥かにこれは警察事務は国家事務であるという方向に警察法を改正したと、これはどなたが考えても考えられざるを得ないと思うのであります。現在自治警になりましてから、その警察事務というものは八、九割までが風紀、防犯、交通等の住民に特に密着した仕事が大部分を占めるようになつて来ておるのであります。ほんの一、二割が国家的治安事務に過ぎないというのが現状ではないかと思う。そういう点では確かに国家全体の連絡等から言えば、若干の支障はあつても、自治警というものに対して、住民はこの点において非常な魅力を感じ、警察というものに対する親近感というものを持つておるということも、これは各種の陳情を聞くまでもなく事実である。で、現行法はこういう性格というものを強く打出した。それによつて日本の警察行政或いは警察事務の執行というものが非常に合理的になつて来た。民衆と密着して来た。こういう点を何ら今度の改正法においては重大な問題としては考慮されておらない。自治警ということであるならば、自治体というものを尊重するということであれば、こういう内容というものが先ず何をおいても第一に考えられなければならないはずだと思う。それで衆議院における御説明を承わりましても、現状におきましてもこれは首相は指示権を持つておる。そこでそういう指示権を必要とした事例があるかというようなことに対しましては、例えば第二十条の二、第六十一条の二といつたようなものは適用したことがないという御答弁を政府はなすつておる。発動に際して法律に不備があつたので、自治体警察というものを国家的な指揮監督の側へ或る程度引戻さなければならないということならばわかるけれども、必要として考えられた法律をも全然発動もしないというのであるならば、今まで言われたところの自治体の性格というものを全部抹殺するような方向に持つて行つて、而もなお自治体警察である。これは都道府県の事務であつて、国は警察事務に対しては都道府県に任せてあるのだと言つても、任せてあるという実態はどこにも出ていないじやないか。この警察法全部に亘つて見ても、結局中央集権とか、中央の指揮監督を都合がいい方向に全部を横滑りにしたのであつて、自治体警察のよさというものを残したという点がどこにあるか、御説明願いたい。
#63
○政府委員(斎藤昇君) 御質問の点は非常に多岐に亘つておりましたようでございまするから、個々のことについて或いはお答え洩れをいたすかもわかりませんが、大体の考え方といたしましては、先ほども申しまするように、いわゆる警察法に言う警察の権能或いは責任というもの、即ち国民の身体、財産を保護し、或いは犯罪を捜査し、而もそれをいわゆる警察権によつて、国民の法に定められたところによつて権利或いは自由を制限するというこの警察作用は、これは地方公共団体の本来の固有の仕事とは考えられないのでありまして、これは国の行政作用であると我々は考えておるのであります。本来のものであるならば、法律に何も書いてなければ、各自溶団体は警察を組織し、そうして警察権限で住民の自由を拘束するという権能があるかということでありますれば、それはないと、かように判断をいたすのであります。そうなりますからこそ、現在の警察法におきましても、五千以下の町村には警察の仕事はございませんが、これは五千以下の町村には本来あるべき警察の権能が法律によつて取上げられておる、かようには考えていないのであります。又現在では府県の自治体警察は持つておりませんが、これは自治法第二条第三項第一号違反を、法律を犯しておる、かようには解釈をいたしておらんのであります。いわゆる警察法によるこの警察を組織し、警察官によつて警察の職責を果すというこの作用は、これは国の作用であります。それをどの自治団体に委任をしてやらせるかとか、どの自治団体に行政事務としてやらせることが適当であるかという判断によつて法律で定められておるのであると、かように解釈をいたすのであります。
 そこで今度の法案は、五千以上の人口を持つた市町村に委任をするという形をとらないで、これを府県に委任をする、府県の行政事務としてやらせる、こういう観点に立つておるのであります。この実際上の必要その他は大臣の提案理由の説明その他で申上げておりますから省略をいたしますが、その法的な構成はさようなことになるのであります。
 そこで府県の団体に委任された警察でありますから、府県の自治体警察でありますが、併し人事権の一部については中央が持つ。又警察事務は全面的に府県公安委員の責任によつて運営管理されるわけでありますけれども、必要最小限度の事柄は法律の定めた範囲内において中央から或いは調整をし或いは指揮監督をする、こういう構成でありまして、中央で或る特定な事柄についてその仕事のやり方に指揮監督が加わつたり、或いは中央で調整をするという作品が入つておれば、これは自治体の任された仕事とは言えないというふうには考えないのであります。全面的に何の制限もなしに任しておくというのと、若干の中央の制限付で任して行くという任し方の相違であります。何故に中央でさような制限を付けるか、これはいわゆる警察事務の国家性が一部にあるという意味から中央において一定の留保をする、かように相成つておるのであります。現在の警察法におきましては、この警察の仕事が地方にも非常に関係が深い、又国としても非常に関係を持つというこの考え方を、制度の上に地域的に国家地方警察、いわゆる国警、それから完全な自治警と、こう分けてあるのでありますが、併し警察事務の運営という点から考えますると、等しく同じ警察事務であるのに地域によつて一方は非常に国家性の強い組織、一方は全く殆んど完全な自治体に委任された組織ということは警察運営上好ましくない、かような意味からこれを通俗に言いますと合せて二つに割つた、こういう考え方でございます。なお足りない点があろうかと思いますけれども、御質問によつてお管えいたします。
#64
○加瀬完君 私は自治警察にしろとか、自治警がいいとかいう議論を今言つておるのじやない。あなたがたが自治警だ自治警だと、今度の改正法による警察は自治警だ自治警だと言つておるけれども、自治警という根拠が法文の上に明確ではないんじやないかと、それを聞いておるのです。只今の御説明によりますと、警察法による権能、責任というものはこれは国の権能である、言換えるならば警察作用は国の作用である、こういう御説明がなされたのであります。そこで府県に対しましては行政事務としてこれを委任事務として遂行させるんだ、これにさつきの長官、或いは昨日の大臣の説明を加えるならば、それはあたかも職業安定所のごとき事務と同様に考えてもよろしいというふうに解せられるのでありますが、第一点は今度の都道府県にあなたの言葉を以てすれば、委任されるところの警察事務は職業安定所の委任事務と同様なものだと解してよいか。
 第一の質問は、国の委任事務であるから、これは野放図に完全自治体の現状の警察のようなわけには行かせられん、それで国家的な見地から制限を当然付けなければならない、こういうことであるならば、あなたは先ほど国は警察事務を行わないのだ、警察事務は都道府県にやらせるのだ、こういうふうな御言明がありましたが、それとは違うのじやないですか、国が制限を付けなければならんということは、即ち警察事務の国家性というものをあなたは今説明されたが、警察事務の国家性ということを強調されるならば、それは都道府県警察は自治警ではなく、国家警察の都道府県に対する委任事務である、こういうふうに解釈するのが当然であろうと思います。その理由といたしまして、あなたは国警、自治警という二本建ということは非常に警察運営上好ましくないので、これを足して二で割つたようなものが今度の改正法である、それは確かに足して二で割つたか、或いは割り方がどつちのほうから割つたか知りませんが、そういう一応解釈をそのまま卒直に受けるとしまして、その御解釈による警察運営上好ましくないというのは如何なる観点に立つて警察運営上好ましくないと考えられるか、これはあなたが国警長官として、或いは国警担当の大臣として国家的な警察業務というものを考えるときに警察運営上好ましくないという結論が打出せるだろうと思うが、自治警の人たちのたくさんの陳情でも警察運営上好ましくないとはちつとも思つていない、こういう民衆の声には耳を傾けないで、ただ警察運営上好ましくない、完全自治警というものはあり得ないと言わんばかりの説明をされておる。完全自治警を育成するように憲法或いは地方自治法できめられておる。その憲法、地方自治法できまつておる完全自治警の育成ということとは、その憲法の大精神とは背反するような警察運営上好ましくないということは、これは国家権能というものを強力にしようという肚構えがなければそういう判断は下せない、その点どうですか。
#65
○政府委員(斎藤昇君) 職業安定事務と警察事務の考え方、これは詳細に申上げると或いは若干違うかも知れません。ただ公共団体の中に国の官吏がいるという点、それから先ほど秋山委員から御質問がありました国の官吏の行う仕事につきましても、自治体の知事を通じて行うのであるということを私先ほど申上げましたのであります。自治警と国警の二本建が面白くないと申しますることは、一つは警察の作用の性格から考えまして、都市における警察、それから都市以外の農村における警察と申しましても、これは地方の住民に密接に関係を持つておるという点から見まして、天国の利害に非常に関係を持つという点から考えるならば、これは殆んど平等ではないか、ここに差別を設ける必要がないのじやないかというのが考え方の一つでございます。警察の地方性とそれから国家性というもののバランスを、組織の上で国家地方警察、自治体警察、この二本建によつてバランスをとろうとしているのが現行法であります。ところがこれを府県警察に一本にして、その一つの制度の中で国家的要求、地方的要求、これをバランスさせようというのが今度の法案であります。地方自治を育成をするという意味におきましては、成るほど五千以上の市町村、殊に警察を存置することをきめた市町村の育成には現行法は役立つでありましようが、そうでない町村の育成には全然役立つてない。或いは府県の自治行政の育成には全然役立つていない。今度の法案は、併し警察事務は殊に最近一市町村を対象とするよりは広い地域を対象として行うほうがよろしいという要請に鑑みまして、府県を一単位にする。そして府県の自治団体でやるというほうが警察の事務の運営上適切である。かように考えると同時に、今度は府県という自治体というものによつて地方住民との親近感を図ろう、かようなわけでありまして、市町村に任されている場合、府県に任されている場合、地方住民の親近感に差異があるかどうかという点につきましては、これは見方によつて違う見方もございましよう。同様の自治団体、同様に選挙によつて議員を出し、その首長を選ぶ団体であるわけでありますから、府県の警察になつたからといつて地方住民から近親感が非常になくなるというものではないと、かように考えておる次第であります。
#66
○委員長(内村清次君) 今本会議において秘密保護法問題がかかりますが、自由党のほうからは、実は表決がありますから、表決の前に本会議に出席するようにしてもらえんかということも聞いております。それから緒方副総理も本会議のときには出られないからというようなことも聞いておりますから、どういうふうにしますか。ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#67
○委員長(内村清次君) 速記を始めて。
 それでは本会議のため暫時休憩いたします。
   午後二時五十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時五分開会
#68
○委員長(内村清次君) 休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。
 質疑を続行いたします。
#69
○加瀬完君 先ほど国警長官からの御答弁があつたのでありますが、この点は大臣と長官二人に重ねてお尋ねをいたしたいと思うのであります。一つは警察事務を都道府県に任せてありますのは、これは職業安定事務を知事を通じて行なつておるのと大体同じようなケースであると、こういう御答弁が長官からあつたわけでありますが、これをそのまま受取りましてよろしいか。
 第二は、現在自治警と国警という二本建になつておる、この不備をバランスさせるために新しい制度を考えたんだ、こういう御説明でありますが、これは一体国警にするのか、自治警にするのか。新制度においてははつきりと自治警にするというのか、それとも国警にするというのか、どちらであるか、この二点。
#70
○国務大臣(小坂善太郎君) 国家公務員である府県警察本部長、或いは警視正以上の者に対して都道府県の公安委員が人事について関与することは、地方、国家全般的な命令系統に混淆を来たすのではないかというような御意見がございましたので、警察事務というものが持つております国家性と地方性とのそれぞれの区分からいたしまして、両方に亘つておるというような観点からいたしまして、こういう制度をとることは決して矛盾したものではない、こういう趣旨を申上げたのであります。現に失業雇用の関係というような国家的にも関連があり、又地方的問題としても非常に関心の深い、関連性の多い問題については、例えば職業安定に関する安定課長というものは地方事務官であるが、これは府県知事の指導の下にある、こういう場合もございますということ、機能そのものが、フアンクシヨンそのものが職業安定行政と警察行政と同じか、こういうことではないのであります。
 それから次に、この新警察法におきまする警察というものは自治警であるのか、国警であるのか、こういうことでございます、これも警察事務というものの持つております国家性と地方性との按配をいたしておるのでありまして、五条二項にございまするような事柄につきましては、適度に中央において統制をする、併し府県の公安委員会というものは独自な判断において府県警察を管理する、こういうのでございます。従いまして、府県警察というものはこれは府県における自治体警察である、こういうことを申上げておるの
 であります。現在地域的に自治警察と国家警察二本建になつておりまするのは、警察事務というものが国家的性格と地方的性格を持つておりますからして、その地域的に分けるということが制度上幾多の盲点を持つておるし、又非能率不経済ということがありますので、やはり何と申しますか、縦割りにいたしまして、この警察制度にありまするような按配をいたしたい、このほうが、国民のために安い政府という言葉がございますが、その言葉の意味において申上げれば、安い警察である、こういうことに考えるのであります。
#71
○加瀬完君 副総理が出られたのでありまするから、長官のお答えは後日又頂ける機会がありますので、今の問題を副総理に重ねて尋ねたいと思います。前後の関係を若干補足いたしますと、昨日来大臣或いは長官のほうからは新改正法による警察は都道府県自治体警察である、こういう説明が繰返されて申されたのであります。私どもは改正案のあらゆる条項を見ましても、自治警であるという的確なる条文に接することができない。なお国務大臣として警察法案についての提案説明の内容を検討いたしましても、どうも御説明のように自治警察であるという点は甚だあいまいである、こういう点を疑問といたしまして御質問を続けて参つたのであります。只今お聞きのように大臣は都道府県の自治体警察である、こういうやはり明確なる答弁がなされたのでございますが、副総理も新改正法による警察は都道府県の自治体警察である、こういう御確認をお持ちでございましようか、その点。
#72
○国務大臣(緒方竹虎君) 只今小坂大臣からお答えいたしました通りに私も考えております。今回の新しい法案による警察は府県単位の自治警察である、そのなには府県の公安委員が管理をする形において十分に示されておると、かように考えております。
#73
○加瀬完君 その問題は先ほども秋山委員から大臣並びに長官に出された問題でありますが、この職務執行の実際というものを、この条文を見て参りますると、都道府県の公安委員会というものは国家公務員である警察庁長官の指揮監督を受けるということになつておるのでございます。自治体警察であるべき都道府県警察が結局執行の全般に亘りまして国家公務員である警察庁長官の指揮監督に服さなければならないというのは、一体自治体の立場というのをおとりになられる場合、そういうふうな関係が生ずるのであるか、そこに私は一つの疑問を持たざるを得ない。なお先ほども大臣の御説明にあつたのでありますが、職業安定事務と同じようなケ―スとして、警察事務をこれは都道府県固有の事務ではない、公共団体の事務ではない、委任事務という形でその一部を任せるのだ、而も直接の責任というものはこれは国にある、警察の権能は国の統治権に属するものであるから当然国にあるのだ、こういう立場をとつておられる。で、指揮監督というものを国がして、而もその都道府県の自治警察である、こういう一体理窟が非常に辻棲が合わない結論を生まないか、この点ですね、法文の上からかくのごとく自治体警察ではないかという点を明瞭にお示し頂きたいと思います。
#74
○国務大臣(緒方竹虎君) 国家公安委員が都道府県の公安委員を指揮監督しますのは、その第五条の第二項に関することのみに限られておるのでありまして、その点におきまして都道府県の警察の自治性を阻んでおるとは考えないのでございます。
 それから二番目のお尋ねになりましたことはちよつと頭に入りませんでしたが、この国家の警察事務を自治体に委任する仕方がいろいろあるのじやないかと思うのですが、無条件に委任する場合もあるし、或る程度の限界をつけておる場合もある。そういう意味におきまして、委任したものに対しましては、委任されたものがその範囲において責任を持つておると考えます。
#75
○加瀬完君 警察庁について定められました第十六条の後のほうに参りますると「警察庁長官は……、都道府県警案を指揮監督する。」という条項がはつきりときめられておるわけであります。自治体警察であるとするならば、自治体警察の公安委員会に対して警察庁長官がどういう根拠によつて指揮監督をすることが一体できるのか、指揮監督をするということは自治体という権限というものを侵したことにはならない、自治体というものの権限というものを尊重すればこそこのような連絡方法がとられるのだということが何か法文の上でございますか、こういう点であります。
#76
○国務大臣(緒方竹虎君) 警察に国家性と自治性と両面あることは先ほど小坂大臣から申上げた通りでありまして、この国家性に属する面、即ち警察庁の所掌事務、これを自治警察に委任しておりまするので、その点につきまして警察庁長官が都道府県警察を指揮監督いたしておるのであります。それは警察事務に国家性と自治性の三面があるということによりまして、差支えない、不審はない、そこに根拠を持つておると解釈しております。
#77
○国務大臣(小坂善太郎君) 副総理の御答弁の通りでございますが、何か御質問を承わつておりますと、指揮監督ということが非常に広汎に亘つて指揮監督するようにお考えではないかというような印象を受けますので、蛇足かも知れませんが、その指揮監督の範囲というものは警察庁の所掌事務についてであります。その所掌事務というのは何かと申しますると、これは五条に書いてあります所掌事務でございまして、その範囲において指揮監督をする、こういうことでございます。
#78
○加瀬完君 指揮監督が広汎であろうがそれが非常に狭かろうがそういうことはここで問題にしておるここではないのであります。自治体というものに対しまして、自治体固有の事務と考えるならば、それに対しまして如何なる点であろうとも指揮監督をするということはあり得ないことなんです。而もそうでなくてこれは国家固有の事務であるというふうに考えるならば、国家本来の事務であるべき警察事務というものをこれは府県に一部委任いたしましても、それは自治体警察ということではなくて、国家警察の事務の一部委任ということでなければならない。何故に法のどこから見てもこれは国家察警の一部事務委任というものを都道府県に与えておるというふうにしか解釈できないものを、自治体警察だ自治体警察だと御主張なさるのですが、なさるならば法文上にその点を明解にされたいと先ほどから伺つておるのです。ただ自治体警察だ、自治体警察であるというけれども、その御答弁の中に窺われますことは、警察事務の本来のものはこれは国家の権能に属する、それを一部委任をいたしておるんだという説明に落ちておる。自治体警察であるということならば、今まで自治体警察ということから考えられたものはそういうものでないので、あなたがたが考えられる自治体警察というものは今度は違うのか、その点もつと御説明を明確にされたい。
#79
○国務大臣(緒方竹虎君) 法文の上のことは国警長官から御説明申上げます。
#80
○政府委員(斎藤昇君) 法文的から申しますならば、警察庁の所掌事務は都道府県警察に対しまして一部の事項について指揮をしたり調整をしたりするだけでありまして、警察事務全部を都道府県が行うのであります。これは第三十六条に「都道府県に、都道府県警察を置く。」「都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。」、警察の一切の責務は都道府県警察に任ずるということでありまして、この都道府県警察は従つて全面的に警察事務を責任を以て行うわけであります。都道府県警察の内部機構をいわゆる如何に組織をするとか、或いは又大部分の警察の職員というものにつきましても都道府県条例ですべて定めるのでありまして、国の仕事でありますならば、国の又機関であるならば、その組織編成というものを府県の条例に定めるということもあり得ないのであります。又地方公務員がこれに従事するということもないのであります。地方公務員を律しまするものといたしましては、都道府県の条例或いは地方の人事委員会等の規制の下に都道府県警察職員が働くわけでありまして、これらから考えましても、法文上から申しましても都道府県警察は自治体警察である、かように考える次第であります。
#81
○加瀬完君 ますますおかしくなつて来る。ぐるぐる元のところ議論が廻るつて来る。逆に言葉を捉えるわけではありませんが、都道府県警察の大部分は人事委員会の所管に属するというけれども、そういうことを言うならば、後ほど逐条審議のときにでも述ぶべきことではありましようが、人事委員会が全部の下級警察官の任命をするかというとそうでもない。又本部長なんかに対しましては、指揮監督の中心にある本部長というものは何もこれは都道府県の地方公務員じやない、そういうたくさんの矛盾がある。そういうことはここで議論していると長くなりますので一応やめますが、要は先ほどから聞いておりますのは、警察事務の全部は都道府県に委されてある、或いは都道府県のものであるというふうな御見解でありますが、先ほどの御説明ではそういうふうには言わなかつた。先ほどの説明では、この警察事務というのは本来国のものである。地方団体の公共事務ではない。そこで一部委員をするのだ、こういう御見解をとつておられた。そこで問題は、そうであるとすれば自治体警察じやないか、私が関連質問の出発に際しましてお聞きいたしました点は、自治体警察であるというならば、秋山委員の質問にもありましたように、警察庁長官が都道府県の公安委員会を指揮監督するということは不合理ではないか、指揮監督は大したことではないといつたところで、当然これは指揮監督ということでありますから、この警察庁の長官の権限或いは考え方、そういうものが大きく支配するわけであります。それでは現在考えられている自治警察というものは丸で裏腹のことになるんじやないか。そこで一体国家警察なのか自治警察なのかということを明確にされたい。御説明をどのように解釈いたしましても、国家警察としての性格が強化されたとしか解釈できない。それを自治警察だ自治警察と言うならば、自治警察であるという根拠を明確にされたいということに対しましては、自治警察を強調する余り、だんだん都道府県公安委員会或いは都道府県の自主性というものに線を落して行くけれども、肝心要の一番初めの質問の、それならばその都道府県の一体公安委員会なり、或いは都道府県の警察なりというものの実体を押えているものは一体どこだということになりますと、本部長は中央が任命する、地方公安委員会に対しましては警察庁長官が指揮監督をする、それでは殆んど命令系統でその執行が決定されて行くところの警察事務におきまして、自治警察の効果というものは全然抹殺されているのじやないか。自治警察を強化したと言うならば、自治警察で取上げられるような点をどこの法文の上から強化してあるか、かくのごとく強化してあるから自治警察じやないかというものをもつと明瞭に出してもらいたい。国家警察ということを御説明になつても結構なんです。国家警察である、自治体警察を修正したのだということをはつきりおつしやつて下されば又質問は別になる。その点をときどきに変化をさせないで明確にお答えを頂きたい。
#82
○国務大臣(小坂善太郎君) 警察事務というものは、これは国家の統治権の作用であるわけなんであります。国家事務である国家の統治権の作用である。そこで国家の統治権の作用であるところの警察事務は本来地方公共団体の公共事務であるかどうかというと、そうではない。その警察事務を地方公共団体に対して団体委任をしている、委任をした以上は地方公共団体の事務になるわけであります。そこでこれがこの警察法にその根拠がどこにあるかということでありますが、これは勿論この警察法全文に亘つてしばしば申上げておりますように、各所にその根拠を先ほど来御説明を申上げている次第です。
#83
○松澤兼人君 関連……、簡単に、最近小坂国務大臣なり、或いは又緒方副総理なりのお話を聞いておりますと、都道府県警察は自治警察であるということを非常に強調されているのであります。この問題につきましては、秋山君或いは又は加瀬君などから質問が行なわれているのでありますが、併し現在のいわゆる府県警察というのは、現行法で言われている市町村の自治体警察というものと比較して見て非常に権限が制限せられておりますし、その意味では現行の市町村警察というものに比べて、どちらかといえば比較的自治体警察、こういうふうに考えられるのじやないかと思う。従つて府県警察が自治警察であるということをはつきり言明されるとするならば、現在の市町村警察というものと府県警察という新らしい警察法による府県警察というものとが一体であるとか、或いは同一性があるとかいうことの証拠立てが行なわれなければならないと思うのであります。その点は如何でございますか。
#84
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のごとく、現在も府県も自治体、市町村も又自治体であるわけなんです。市町村に警察を持たせる場合と府県に警察を持たせる場合とあるわけなんです。国家の統治権作用を地方公共団体に団体委任をするという関係においては同じであるわけなんです。この警察法においてはそれを府県という自治体に団体委任をする、こういうことなんです。従つて府県の公安委員会というものは独自の判断によつて警察行政を管理する、こういうことになると思います。
#85
○松澤兼人君 その辺のところは、これはもう全く常識的と申しますか、府県も自治体である、市町村も自治体である。そういう意味では府県警察も或いは市町村警察も自治体警察であるということは論のないところです。併し私がお聞きしていることは、現行法によるところの市町村警察というものが自治体警察であるというその形式及び実体と、新らしい警察法によるところの府県警察というものが持つておりますところの自治体警察ということの形式及び実体というものが同じものであるかどうかという問題が一つであります。
#86
○委員長(内村清次君) 副総理が出席の時間も短かいことでございますからして、お聞きすることはやはり緒方副総理から一つ御答弁をして頂きたいと思います。
#87
○国務大臣(緒方竹虎君) 今度の府県単位の、私どもが府県単位の自治警察としておりますこの制度では都道府県知事の、都道府県の所管でありまする都道府県会安委員が全面的に管理をいたし、その管理の下に警察長が職務を行なつておるのでありまして、経費の点につきましても、一定の国家的警察活動に必要なもの以外は原則として府県で、負担をいたしておるというような意味で、私どもの考えといたしまして、府県単位の自治警察ということは動かないのでありまするが、現在の自治警察より多少国家的の面が殖えておるということが言い得るかと考えます。
#88
○松澤兼人君 言葉で府県自治体警察、こう申しますならば、法文の上でもやはり府県自治体警察と書くべきだと思う。現行法では自治体警察というものをちやんと章を設けて書いているわけなんです。ところがいわゆる改正法によれば府県警察とだけ、都道府県警察というものだけがあつて、それには自治体警察ということを謳つていない。今緒方副総理が言われたことは、現行法に比べれば多少国家的な色彩が強いとかということを言われたと思うのです。その点が問題であつて、従来の自治体警察が十分でなかつた、国家統制をしなければならないのだということをはつきりすれば、そうすれば府県警察というものは、現行の市町村警察よりはむしろ不完全自治体警察であるということを言わなければならない。それには、それで国家的な治安の責任を持つ必要があるということでそこを制限したということをはつきりおつしやれば、府県自治体警察と現行の市町村自治体警察というものとの相違が出て来る。言葉の上では府県自治体警察、市町村自治体警察と申しますけれども、実質は変つている。その点はつきり言つて下されば私は問題が解決すると思うのです。
#89
○国務大臣(緒方竹虎君) それは、ここに自治体警察という言葉を用いておりませんのは、従来は国警に対しまして自治警察という二つのものがあつたために自治警察という名称を用いていましたけれども、今回は先ほど来たびたび申しまするように、今までの二つの警察が並び行われている、そこに何がしかの盲点を生じやすいものですから、警察を一本化いたしたのでありまして、そういう点からここに自治警察と調う必要がなくなつた。そのためにそういう文字が現われていないだけでありまして、府県単位の自治警察である意味は変らないのであります。不完全自治警察ではないかという今のお話は、不完全自治警察であるということを言えば言えると思います。
#90
○松澤兼人君 そこで、答弁の間に府県自治体警察という言葉をお使いになると非常にまぎらわしいのであります。府県警察というふうに御答弁なされば我々はつきりします。そこに国家的な統制が入つているのだ、そして又これまでの現行法によるところの市町村自治警察とは違つたものであるぞということをはつきり我々は了解することができるわけです。言葉の使い方によつて府県自治体警察と申しますと、完全市町村自治体警察といつたようなふうに我々はとれるし、又それが如何にも自治体警察、又もう一つ言葉を変えて言うならば、府県の自主的な警察というふうにとられやすい、この言葉の使い方は如何でございますか。
#91
○国務大臣(緒方竹虎君) 府県の性格として、府県の自主的の警察ということは私は言い得ると思います。完全か不完全かというその完全、不完全の限界は多少不完全になつていると思いまするけれども、建前としては自治警察であるということが言えると思います。
#92
○加瀬完君 副総理は不完全自治体警察であるというお言葉がありました。その内容といたしまして、これは自治体警察というものと国家警察というものを一本にして都道府県警察というものにしたのだ、こういうお話ですが、一本化というものをどちらの方向に強く一本化したのか、自治体警察というもので一本化したというようなことであるならば、自治体警察というものを使うし、不完全なというお言葉は使わなくても、結局語るに落ちるで、国家警察のほうに引張つて来た一本化であるから、不完全自治警察ということを言わざるを得ないということになるのではないかと思うのであります。そこでなぜそういうことを言うかというと、先ほども大臣には言つたのでありますが、国民の警察運営に対する関与を許す。こういう言葉を使つている。「能う限りこれに自治体警察としての性格を具備せしめることとした」こういう説明がしてあるのでありますから、自治体警察としての国民としては取去られた面と、自治体警察としての与えられた面とを此べると、取去られた面が多くて、自治体警察が強化された面というのは非常に少いと思う。これをしも国家警察の方向に一本化したと言わないで、何おか国家警察の方向に一本化したと言われるでありましようか。
 そこで私は、最後に一つ副総理に伺いたいのは、警察制度と言わず、政府が行う行政全般に通じまして、憲法の精神、例えば主権在民であるとか、国会中心であるとか、自治尊重、こういつた原則は当然これは尊重されなければならないし、行政の全般はこの基本線から割出されなければならないはずであります。そこで今度の改正に当つて、主権在民或いは国会が中心でいろいろ行う、或いは自治が尊重されなければならない、こういう現行法におけるところの憲法尊重の基本線というものが改正法によりましてどれだけ強調されたか。この点を明確にして頂きたいのであります。
#93
○国務大臣(緒方竹虎君) 政府としましては、今回のこの警察の一本化、言葉は必ずしも完全ではありませんが、そういう立案をいたしまするにつきましても、在来の主権在民、或いは自治の尊重という精神はどこまでもこれを尊重いたしまして、できる限り自主性を多く附与したい。そういう考えで以て参つたのでありまして、今回の警察法におきましても、先ほども申上げましたように、知事の所管の下に公安委員を、都道府県の公安委員が全面的に警察を管理をいたしている。それに対して又都道府県の議会における審議を通じて常に住民の公然たる批判を受けながら責任をとつて参る。そこに私は十分に主権在民の意義が尊重されていると、さように考えております。
#94
○加瀬完君 今までは市町村にとりましては、その適格性があるならば住民の意思によりまして完全委任、大臣の言葉で貰うならば、完全委任された自治体警察というものを持つ自由を我々は認められておつた。今度は完全委任じやなくて、自治体の住民としての権利に甚だ束縛を与えられるのではないかという点までに警察行政に対しましては市町村自治体というものはのけ物にされている。更にですね、都道府県警察というものにどんなに中心を置いたと副総理或いは大臣が御説明をいたされましようとも、一番今度の改正法における問題は、国家公安委員会にもつと強く国家公安委員長、而もこれは大臣を以て当てるという一条を加えたことなんです。これが自治体の尊重ということにどうしてなりますか。国家公安委員長を、大臣を以て任命する国家公安委員長を設けたことは、自治体尊重であるという理由を明らかにお聞かせ願いたい。
#95
○国務大臣(緒方竹虎君) そのことだけを取上げて言われましたその点は、特に自治体尊重ということには私はならんと思います。この警察法の立案に当りまして、根本の原則になりましたものは、能率の点、それから責任の明確化というところにあるのでありまして、この将来起るべきいろいろな治安上の問題を想定いたしまして、責任の明確化ということを進めます上に、そういう意味における国家性格が育つて行くと申しますか、そういう点は今度の警察法には確かにあると考えております。
#96
○笹森順造君 関連して。只今加瀬君の質問に対しまして副総理からのお答えは、警察の責任の明確化のために特に考えて国務大臣を国家公安委員長に充てたというお話でございましたが、この改正法案の最も大事な点は、やはり警察の責務の遂行ということに当つて、只今お話のことのほかに不偏不党且つ公平中正を旨とするということが最も大事なことのように私どもはこれを了解しているわけであります。ところで今の責任の明確化ということは、この点に対するところの御理解が、或いは又この法律を貫くところの精神がなかつたならば私は非常に危険を将来に残すものでなかろうかと思うのです。そこでこの点に触れてだけ、ほかに亘らずにお尋ねして行きたいと思います。そこで副総理にお尋ねをいたしたいことは、国家公安委員会というものは、これは昨日も小坂大臣にいろいろとお尋ねしておりましても、なかなかはつきりした明快なお答えを得られなかつた。ところで副総理にお尋ねいたしまするが、委員長は委員であるかないかという点から出発しなければならんのであります。如何でございますか。
#97
○国務大臣(緒方竹虎君) 委員長は委員ではございません。
#98
○笹森順造君 そこで委員にあらざる者が委員会を構成するということは一般論理上の矛盾を犯すものとお考えになりませんか。これは一般法理論から御回答を頂きたいと思います。
#99
○国務大臣(緒方竹虎君) 法理的には差支えないと考えております。
#100
○笹森順造君 差支えがないということであるならば、その法理論的に差支えない理由を、ただおつしやらずにもつと明快な御回答をお願いいたします。緒方副総理にお願いいたします。
#101
○国務大臣(緒方竹虎君) 委員会の構成につきましては、これは法律できめて差支えないものと考えております。
#102
○笹森順造君 その法律できめることを実はお尋ねをしているわけであります。つまり第二章の第四条の第二項には「国家公安委員会は、委員長及び五人の委員を以て組織する。」と掲げておりますることは、それ自体が制度上論理の一貫性に背馳するものだというのが私どもの見解なのであります。これは一般論理の上からお尋ねしているので、そういうことをきめること自体の根本の理念に非常な誤謬を包蔵しているということについてのお尋ねでありまするから、どうぞ明確なお答えを願います。
#103
○国務大臣(緒方竹虎君) これは首都建設委員等の先例がありまするので、その先例に基いて……。(「昨月からそんなことを言つている」と呼ぶ者あり。)
#104
○笹森順造君 悪例は例としてお用いなさらんほうが適当でなかろうかと思いますが、(「同感だ」と呼ぶ者あり)どうしてもそういつたことでは理論の明快な御説明にはならんと思うのであります。併しそういうことに空廻りをして徒らに時間を費すことはこれは余り望むところでありませんから、もつとつき進んで、なぜこういうことをされたかという点に関するところを明快にしたいのでお伺いをしたいと思います。
  申上げるまでもなく委員は不偏不党の本旨によりまして、政党その他の政治的団体の役員となり又は積極的に政治運動してはならないとある。これは委員会の性格とその運営並びに行動を飽くまでも公平中正ならしめんとするにあるものと考える。この精神は公安委員会に対しては不可欠の要件である。即ち公安委員会としましてはどうしてもこの精神を貫かなければならない。これを失つたのでは公安委員会としての存在の意義を失う。即ち不偏不堂の精神は公安委員会としては他の責務の一切に優先するところの根本的なるこれは要素と私どもは考えておりますが、この点に関する副総理の御免解を伺いたいと思います。
#105
○国務大臣(緒方竹虎君) 警察事務という本来の性質上、これは警察の政治的中立性というものは尊重しなければならんことは当然であると思います。
#106
○笹森順造君 委員会の性格上の要件でありまする「政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」という規定は委員長に適用するものでありますか、適用しないものでありますか、お伺いいたします。
#107
○国務大臣(緒方竹虎君) それはしません。そのために委員長は委員になつておらないのであります。
#108
○笹森順造君 そこが問題なのであります。つまり総理大臣の任命する委員長たる国務大臣は、その身分の本質においては政治運動ができるものであります。ところが委員には政治運動を禁じているはずであります。必須的な要件はこの政治の中立性に対しまして、委員長には及ばないというのが只今の副総理の言明のように伺いましたが、その通りでありますか。
#109
○国務大臣(緒方竹虎君) 当然にそうなつて参ります。
#110
○笹森順造君 従つて、この制度は政治運動のできない委員の上に政治運動のできる国務大臣をその会の長として確定的におく。従つてこの制度は不偏不党の原則を無視した大きな抜け穴を作つている。それが副総理の御意図であると思つてよろしゆうございますか。
#111
○国務大臣(緒方竹虎君) すべての場にそうであるとは私考えません。委員長は表決権を持つていないのでありまして、五人の委員は大体において委員会としての判断をしてくれると考えております。
#112
○笹森順造君 私の聞いておりますのは、そういうこの適用の問題ではなくて、制度上そういうこの委員長には中立性、不偏不党というものをしなくてもいいという制度になつているのではないかという点であります。そういうことがこの法の最も大事な点として私どもははつきりしておきたい点でありますから、制度上この委員長には不偏不党というものは要求しておらんという制度であると私どもは理解するのでありますが、如何でございますか。
#113
○国務大臣(緒方竹虎君) 現在の政党内閣の下におきましては、そういう点もやむを得ないと考えます。
#114
○笹森順造君 政党内閣の下においてはやむを得ないというところがやはり私どもはこの法律を作る上において重大なるこれが点でなければならんというので、この法律を私どもは賛成し得るか、賛成し得ないかという問題の根本がここに参りますので、これは先だつて来検察庁法の十四条の発動ということで、御承知の通りに参議院でも非常にいろいろな議論が起つております。ここを私どもは心配しておりまして、特にこの問題について私はお尋ねしているので、この問題は私は特にそういうことを政党内閣のある以上はこれはやむを得ないということをどこまでも言明されて、而も制度上それがこの法律を作る上において適当なり、又反省する必要なし、これを強行しようという御意思であるか、重ねてお伺いいたします。
#115
○国務大臣(緒方竹虎君) いろいろ反省する必要なしという強いお言葉をお述べになりましたが、政府としてはこの方法を是なりとして出した次第でございます。
#116
○秋山長造君 ちよつと関連して。これを是なりとして出したということになると、結局見解の相違ということになつてしまつて、これはどうも話にならないことになつてしまうのですけれども、そうではなくして、やはり今の笹森さんの御質問は、これはもう誰が考えても当然先ず第一に持つべきこれは疑問であると思うのであります。で、私端的にお伺いしますが、今度の新法の第二条に掲げてあります、「警察の活動は、……その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、」という大原則がある。又第三条には更に「不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する」という宣誓をすることになつております。この宣誓は当然これは国務大臣たる国家公共委員長にいたしましてもやらなければならない。そうなりますと、政党の幹部であり、そして政党内閣の一員であり、そして今副総理のおつしやるように、政治活動を積極的にやることも止むを得ないというような人に不偏不党且つ公平中正に職務を遂行しろというような宣誓をやらせること自体がそもそも矛盾しているのじやないか、無理にできないことを言つておるのじやないかというように考えるのですが、その点は如何ですか。
#117
○国務大臣(緒方竹虎君) これは警察の中立性、政治的中立性ということは申すまでもないことでありまするが、責任内閣制の下におきましては、その政府が治安の責任をとるという場合に、政府の閣僚の一人がその国家公安委員との間の連絡を円滑にするために公安委員長になつておるということは、これは考え方でありますけれども、政府としては差支えない、そうすることによつて治安の責任をはつきりし得ると考えております。
#118
○秋山長造君 昨日小坂さんも頻りに、ただこれは大した意味はないんで、国家公安委員会と政府との連絡を円滑にするだけのものだというようなお話なんです。そういうことだつたら何もわざわざ国家公安委員長というような重大なポストヘつけなくても、現在のように小坂さんが国警担当の国務大臣ということでやつておられて、それで十分意思の疏通なり連絡調整ぐらいの仕事はできるんじやないかと思う。にもかかわらず、国家公安委員長という重大な職につけて、而もこれが採決権を持つておる、招集権も持つておる、又公安委員会に常時出勤して、そうしてこの公安委員会を総括し、又これを外部に対して代表するというような重大な権限を持つておるものになぜつけなければならないか、その点がどうしても納得できない。如何です。
#119
○国務大臣(緒方竹虎君) 従来の警察制度六年間の経験に鑑みまして、もう少し政府との連絡を円滑にしたいという考えから、この立案をいたしたのであります。
#120
○秋山長造君 そういたしますと、政府のほうの今度の法律案の提案説明の中には、従来の国警は余りに国家的な性格にすぎて自治的な要素が薄い、それから自治警のほうは自治的な性格にすぎて国家的な性格が薄い、どつちも極端同士だから仲よく両方やめて、真中をとつて、そうして府県警察を設けた、こういう御説明なんです。だから少くとも中央部における任命権その他に関する限りは従来のやり方よりもより自治的、より民主的な方向に一歩近付かなければ、仲よくやめて真中をとつたということにならないと思う。特に警察のような権力機構におきましては、人事権を誰が持つか、任命権を誰が持つかということが、これはもう重大なポイントになることはわかりきつているはずなんです。ところが従来の国家的な性格にすぎておるとおつしやつておるところの国警ですら、長官の任免権というものは国家公安委員会が持つておつた。ところが政府の原案では国家公安委員会ではなしに総理大臣みずから持つというように変つておるんです。衆議院の修正でその点は再び国家公安委員会が持つことになりましたけれども、併しその任命権を持つという国家公安委員会は従来の公安委員会ではございません。委員長は今言うように政府の一員である国務大臣が委員長なんですから、これはもう総理大臣が任免するも五十歩百歩で余り違わない。いずれにしてもますます国家的な性格を露骨にだしておる。又府県の本部長の任免権にしたしましても同じことで、これが本当に地方の自治体警察であるならば、地方の警察を事実上動かして行く最高責任者である本部長というものの任免権は、当然府県公安委員会に与えて然るべきものだと思う。にもかかわらずそういう一番重大なポイントだけは中央のほうで握ろう、こういうことになつているんですからして、やはり全般としては国警も自治警も仲よくやめて中間をとつたというものではなくして、自治警を国警へ吸収してそうして更に中央からの統制力は一層強化して、国家的性格を更に強く出した上で、而もそれを粉飾するために、公安委員会は従来通り置いておるというだけのものにすぎないんではないかと思う、如何ですか。
#121
○国務大臣(緒方竹虎君) 今のお尋ねは国家公安委員の構成、或いは国家公安委員になる人の選び方に多分に私は触れやしないかと思いますが、いずれにいたしましても、今回の法案の一面には治安確保の責任と、その責任を明確化するというのが大きな理由の一つになつておるのでありまして、そういう意味から多少従来の警察制度と違つた点が現われておるのは政府としては止むを得ないと考えておりまするが、ただそういう場合にも、警察本来の政治的中立性ということはどこまでも尊重して参りたいという点から、国家公安委員その他の公安委員のあり方を考えたのであります。
#122
○笹森順造君 緒方副総理にお尋ねしたいのですが、国務大臣を国家公安委員長に任命するという点についての一点でお尋ねをしたいわけであります。この任命されました国家公安委員長たる国務大臣は、やはり特別職として警察行政にこれは当るところの職員と私どもは了解しておりますが、よろしゆうございますか。
#123
○国務大臣(緒方竹虎君) その通りであります。
#124
○笹森順造君 然らば、それに対するところの最も重大なる責務は、今申上げましたように不偏不党及び公平、これは中立でなければならん。従つてこれは当然その警察行政を担当する職員としてのやはり態度をどこまでも守らなければならんということになるわけだと思いますが、それであるにもかかわらず、先ほどからのお答えでありますると、それは特にこの国務大臣には政治活動を積極的にすることも禁止しておらんということになりますると、この法自体の矛盾というものを私ども見出す。私はこれは運営上先ほどからお答えになつておりますることをお尋ねしているのではなくて、制度上この法自体が矛盾を犯し、その矛盾を犯しておるものは、何としても本当の真意はこの警察の、国家公安委員長になりまする大臣をして思う存分に総理大臣の考えを運行せしめても何ら差支えないというような制度上の一つの大きな抜け穴をそこに作つておく意図に出るものだとどうしても解釈しなければならない。それを運営の上でそうしませんと言つても、ここにそういうような制度があるということ、従つてそこに掲げておりまするいろいろな目的あるとか、警察の責務であるとか、美辞麗句とはそもそも矛盾するところのものがそこに現われて来る制度だということ、それを言葉は適当でありませんが、カモフラージユしたような恰好でこういうような工合に出て、而も当然良識として考えられる、委員長は委員でなければならんものを、委員会は委員長並びに委員ででき上り、而も委員長は委員にあらずというような実に苦しいようなことをしなければならんということは、どうも私どもはこの点については法を考える者としては納得ができない。でありますから、その真意がここに隠されておることを私は非常に遺憾に思う次第であります。その点について法の建前の矛盾を感じないかということをもう一面はつきりと尋ねておく次第であります。
#125
○国務大臣(緒方竹虎君) 今仰せになりましたこの総理大臣の意図というものは、どういう意味にお使いになつたか知りませんが、総理大臣の政治的意図をこの公安委員会の委員長である国務大臣を通して警察の面にふんだんに発露さして、それによつて警察本来の政治的中立性が損われてもかまわんという考えは、意図としては全然政府は持つておりません。でありますが、この政党内閣制の上にできる政府内閣、それとこの警察本来の政治的中立性というものを調整するために今回のような制度を考えたのでありまして、それを矛盾と言われるのであろうと思いますが、私どもの考えとしては、今日民主主義の政治形態の上から当然である政党内閣、それとこの中立性を当然に持つべき警察との間の調整をここに充そうとしているのであります。
#126
○秋山長造君 政府のほうは先ほども笹森委員がおつしやつたように、あの法律上から言いましても、最も公平中正に不偏不党に行動かされなければならないあの法務大臣の十四条の指揮権、あの指揮権をああいう非常に政治的な、極めて政治的な動機によつて発動されて輿論の非常な非難を加えられた。又我々参議院におきましても、これは不当である、速かに撤回されたいということを政府に対して勧告決議をやつておる。あれと同じことをこの国家公安委員長のポストを通じまして政府はやらないとも限らない。あの検察庁法十四条さえ発動するのですから、これを通じてやらないということは断言できない。で、例えば、警察があの疑獄なり何なりの事件を捜査にかかつた場合に、やはり国家的重要法案の審議だというようなことに名を借りられて、そうして国家公安委員長の権限なり地位なりを利用して、そうして警察を抑えるというようなこともこれは絶対にないとは限らない。やろうと思えばできると思う。その点について、やろうと思つてもできないのかどうか。その点どういうようにお考えになつているか。
#127
○国務大臣(緒方竹虎君) 如何に制度がありましても、その政府の意図によりましてはいろいろな悪政が行われると考えます。例にお挙げになりました検察庁法第十四条の指揮権の発動でありまするが、これもたびたび申上げておりまするように、別に違法ではないと考えております。ただ政府として、政府の重要政策の成立の上から止むを御ないと考えて、法に従つて行なつたのでありまするが、勿論これに対しましては、国会の批判、又輿論の批判、或いは総選挙に当つて総決算を受ける、これは当然にあるべきことで、又民主制というものはそれによつて私は大きな間違いがなく行けるのだと考えております。で、仮にこの警察制度でなくても、想像としてはいろいろな悪政が想像されると思います。思いますが、政府がこの法案を作りましたのは、従来の警察制度を運営いたしました経験に鑑みまして、又更に今日の治安の状況、或いは将来起り得べきいろいろな治安上の問題を想定いたしまして、ここまでの国家性と申しまするか、政府の警察に対する態度、責任を明確化する上において、ここまでの制度は止むを得ないという考えから、信念を持つてこの法案を作つたような次第でございます。
#128
○秋山長造君 あの十四条の発動はこれは不法ではないとおつしやる。成るほど不法であるかどうかということにつきましては、なお議論がございましよう。併し少くとも不当な発動であるということはこれはもう断言しても憚らない。現に我々参議院は総意において、あの発動は不当である、だから速かに取消せということを政府に対して勧告しておるわけなんだ。だからこの国家公安委員長の問題にいたしましても、成るほど、不法だということはなかなか断定できないにしても、少くともこの十四条の発動に類するような不当な運営ということはやろうと思えばやれると思う。やる余地は大いにあると思う。そういうことを通じまして、今緒方さんはそれはおやりにならないかも知らん。併しながら我々としては絶対に今の政府がおやりにならないという安心はできないと思う。又今後どのような無茶な政府ができて、これを濫用して、そうして選挙干渉なり或いは思想弾圧なり、どういうことをやらないとも限らない。それがすべて不法ではないじやないかというような口実の下にやらかないとも限らない。そこでやはりこの運営の問題だとか、心がけの問題だとかではなしに、さつき笹森委員のおつしやつたよりに、飽くまで制度の問題としてそういう余地が絶対にないように、飽くまで二条二項に掲げられておる不偏不党、公平中正にやるまいと思つてもやらざる得ないような制度を我々としては考えておかなければならないと思う。その点につきまして、政府の御見解をもう一度重ねてお伺いしておきたい。
#129
○国務大臣(緒方竹虎君) 不当であるか不当でないかということは、これは恐らく如何なる場合にも議論が分れると考えます。政府としては従来の経験に鑑みまして、この程度の警察制度、政府がこの程度に介入しておることは責任を明確化する上において止むを得ないという信念の下にやつておるので、この制度の上にどういう不当なことをするか、この不当の見方についてはいろいろあろうと思いますが、これは私は政治的に輿論とか国会の批判を受ける以外にいたし方ない。制度といたしましては、政府が六年間の経験の結果、この結論に達したと申上げるよりしようがない。而もそれもすべてのことにこの府県単位の自治警察を政府が権力を以てどうするというのではないのであります。これは先ほど来申上げておりますように、五条に限られた項目についてのみ介入するのであります。その点は多分に運営の点もあろうかと思います。
#130
○松澤兼人君 先ほど笹森委員の質問で、国家公安委員会の委員長は警察の職務を行う特別職の職員であるかとお聞きしたときに、その通りであるというふうにお答えになつた。そうしますと、当然に第三条の適用があるというふうに解釈されるのでありますが、その通りに解釈してよろしうございますか。
#131
○国務大臣(緒方竹虎君) 三条の適用は大臣に対してはございません。
#132
○松澤兼人君 先ほど笹森委員の質問に対して特別職の職員であるというふうに、警察の職務を行う特別職の職員であるというふうにお答えになつた。それが間違いであるならば間違いであるということをはつきりお答え願いたい。
#133
○国務大臣(緒方竹虎君) ちよつとその点私よく頭に入つておりませんから、長官からお答えいたします。
#134
○委員長(内村清次君) これはその点は重要な点ですから、そこで打合せせられてもいいんですけれども、副総理から答弁してもらわないと……。
#135
○国務大臣(緒方竹虎君) 国原公安委員長は特別職でありまするが、一般職の規定を準用しておりませんので、この第三条の宣誓を行なつておりません。
#136
○松澤兼人君 これは緒方副総理は国家公安委員長はこの職員の中に入らないのだと、こういうことをはつきりお答えにならなければいけないのです。恐らく斎藤国警長官はそういうふうに答えられると思う。そうでなければ、当然特別職であろうと一般職であろうと第三条の適用を受けるのです。
#137
○秋山長造君 すべての職員と書いてある。
#138
○松澤兼人君 ですから、今までおつしやつたことが間違いであるならばはつきり間違いである、国家公安委員長は国務大臣を以て充てるのであつて、第三名の適用は除外されるということをはつきりお答えにならなければいけないので。
#139
○国務大臣(緒方竹虎君) その通りであります。
#140
○松澤兼人君 その通りでありますと言うんですから、三条の適用を受けないのだ。
#141
○加瀬完君 この公安委員会の制度というものを見まするときに、只今の三条或いは十条の三項という点において公安委員は飽くまでも政治的に中立である。不偏不覚党である。又政治活動をしてはならないということを建前にしておる。そういう立場において公安委員会というものが形作られておつた。今度の政府は国家公安委員長というものだけは只今の副総理の御答弁のように、これは公安委員と同じような義務を持たないものだと、もつと極端に言うならば政治介入を許容しておるのだ、こういうことになりますが、よろしゆうございますか。
#142
○国務大臣(緒方竹虎君) その通りであります
#143
○加瀬完君 公安委員でないから公安委員長は政治介入を許容されておるのだということであるならば、公安委員長の権限というものは実際において公安委員会においては相当強く大きく作用するわけであります。そういたしますと、公安委員会は現状のような不偏不党或いは政治的活動を禁止すると、そういうことは守れないわけだ。公安委員会の性格というものは全然なくなつてしまうのだ。結局公安委員会そのものを、副総理の先ほどの答弁ならば政党内閣の当然のこととして政治介入をしてもやむを得ないのだ、それは公安委員会の規定でありますところの一体十―条の三、或いは又改正法によるところの三条の宣誓の服務内容というものは全然それで帳消しにされる。そういうことになるわけでありますが、それでもよろしいのですか。
#144
○国務大臣(緒方竹虎君) 公安委員が政党員であつてはならないということはないのであります。今の公安委員長の場合でありまするが、これはやはり同じく政党員でありまするが、その公安委員の人選の仕方、又公安委員会の運営によりまして、世論の前に公安委員長の政治的意図がそう露骨に出得るものではない。そこに私は今日の世論政治、民主政治の妙味があつて、それなしには如何なる制度の下にも民主政治、世論政治は行えないと思います。
#145
○笹森順造君 どうもはつきりしませんので、余りむずかしいのじやないのですから、はつきりとお答え願いたいのですが、この三条はこの法律によつて「警察の職務を行うすべての職員は、」とあります。従つてさつきは一般職でない、特別職だからいいということをおつしやいましたが、すべての以外に何があるのでございますか。すべての職員ということ、すべてはすべて、オールということ、すべてということなんだ。すべての以外に何があるんですか。極めて子供の質問のようですが。すべての以外のものというのは何でありますか、それをお尋ねしたい。すべてというのは全部入るんでございましよう。むずかしいことはないのですから、お答え願います。
#146
○国務大臣(緒方竹虎君) これは特別職を除いたすべての一般職員であると考えます。特別職を除いた一般職の職員すべて。
#147
○笹森順造君 そういうことはどこに書いておりますか、この法案を通じて。それをお示し願います。(「こじつけだよ」と呼ぶ者あり)然らばそんなことは明らかにされておらなければならない。このすべてというのは一般職のみということであるならば、先ほどは特別職もこの警察職の行政をつかさどる職員であると我々は解されておる。今のお答えを若し証拠づけるものがありまするならば、この法案のどこの条文の何を以てそれをお示しなさるのか、明確にお答えを願いたい。
#148
○国務大臣(小坂善太郎君) 少し事務的に亘りますので私からお答えいたします。(「事務的じやない、政治的な問題だよ」と呼ぶ者あり)あと国務大臣からお答えいたしたいと思います。第三条は宣誓の内容を謳つてある規定でございまして、第三条はですね、服務の宣誓の内容に関する規定でございまして、この職員が「宣誓を行うものとする。」とこういうことを規定してあるのであります。でこの場合には当然国務大臣というようなものは宣誓の義務から除外されておる。こう解するものと思います。こういう場合に一般に申しまして、御承知のごとく職員というものは一般職の職員に関する規定であるということは御承知の通り……。
#149
○笹森順造君 国家の行政に当りまする職員は、この範疇をわけて一般職とし、或いは特別職としておることは申上げるまでもない。そこでこの法律は「すべての」という文字を使つておりますのは、何故に然らばすべての一般職と言わずに「すべての職員」と言われたか、これに対して小坂大臣の御説明ではどうしても満足が行かないのでありますお答え願います。
#150
○委員長(内村清次君) ちよつと持つて下さい。小坂国務大臣の答弁では満足できないと言つておられますから、やはりこれは副総理のほうから。
#151
○国務大臣(緒方竹虎君) 小坂国務大臣がもう一度明瞭にするために発言を求めておるのです。
#152
○委員長(内村清次君) それでは小坂国務大臣。
#153
○国務大臣(小坂善太郎君) この法律によつて規定されておりまする「すべての職員」という場合には、これは一般職の職員を指すということはこの法律をお読み下されば当然出て来ると思います。
#154
○笹森順造君 どうもそういう今の小坂大臣の答えでは、副総理の言明に対する裏付けとはどうも聞きとれませんので、これはどうしても私どもは単にこの法律に対して賛成であるか不賛成であるとかいうのではなくて、法自体に矛盾があるということを犯してはならないという立法の立場から実は良心的にお尋ねをしておるわけであります。でありまするから、これはもう少し、それでは私どもがなぜこういうことに懸念しておるかというと、先ほど運用の面に関していろいろと、こうすればそういうような間違いがないとか、欠点がないというお話をされておるのでありますが、これは私どももう一歩進めて内容の点を申しますると、過去における政党内閣、現在、将来における政党内閣が如何なる政治活動をし、如何なる選挙の場合に干渉するかということについて、必ずしも私どもは過去のことを考えて申すのではありませんが、ただ制度の上で将来この選挙等がありました場合に、過去における警察力というものが内閣総理大臣或いは警察担当の大臣を通じていろいろ選挙干渉をやつて、そうして日本の政治を冒涜するような多くの好ましからざる事例を私は見ておる。そこで私どもの心配いたしまするのは、ほかの問題もありまするけれども、運営上の問題から言うと、私のここでお尋ねするのは不偏不党の原則を無視した大きなここに抜け穴ができて、将来この選挙の場合等において、選挙干渉がしてもやれ得るようなこれが制度になつておるということの懸念なのであります。そこでこの不偏不党というものが、やはり一般の職員でありまする一般職の職員ばかりでなく、すべての職員というものに対してこの国家公安委員会と用いうものが要求しておるところの点がどうしてもここに加わつて来なければ、私どもが満足できんということを懸念しておる。併しそれは懸念なしということになつて、水掛論になるといかんから、制度上そういうことをすればし得るような間違いを起してはならないと思つて私は尋ねておる。そうして今度は、先ほどからのお話では、国家公安委員会たるものとして、委員長たるものとして総理大臣から任命せられるものも、これは職員の一人であるとおつしやる。而して小坂大臣のお話によりますと、一般職のことのみであつて、それは特別職を含まないのだとおつしやる。だがこの法律では、ほかの法律は別として、ここに提示されたものはすべての職員ということがあるのであるから、そのすべてのものの以外に何があるかということを実はお尋ねしておるのでありまして、もう一言明確にお答え願います。
#155
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどの私の答弁では御満足ないようでありますから、重ねて申上げまするが、国家公務員法によります国家公務員は宣誓の義務を負うておるのであります。この第三条は国家公務員法の宣誓義務に関する特例ではないのでありまして、「公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。」、そうした趣旨の宣誓を行うものということでありまして、特にこの点を強調している、こういうことであります。笹森委員も閣僚の御経験があると思いますが、お互いに国家公務員で、特別職の国家公務員になつた経験はあると存ずるのであります。これは宣誓はいたしておらないのであります。そこで公安委員会におきましても、これは本来的に宣誓の義務はないのでありまするが、第十条におきまして特に宣誓の義務を謳つておりまするので、さような関係と御承知願いたいと思います。
#156
○笹森順造君 それでは重ねてお尋ねいたしまするが、すべて法律を作る場合には必ず総則というものがあり、その法律の最も大事な目的条項というものがあるわけであります。而も又その目的に従つて行政に関する責務というものが明確化されている。只今のお話はたまたまこの宣誓とい一つの形式的なことについてのことで疑問が起つてお尋ねしたのでありますが、警察の責務というものに対しても、やはり今のことのように特別にこの責務を負わなくてもよろしいという範疇の中にこの国家公安委員長が入るのでありますか、それをお尋ねしなければならんのであります。今の小坂大臣の御答弁は、宣誓という一つの形式に関してのみのお答えでありましたけれども、私の尋ねるのはもつとこの法の目的条項であり、その責務の大きなものの中に不偏不党、又公平中正ということがあるが、それからも除外せられるということを拡張してお述べになるのでありますか。これは副総理にお尋ねいたします。
#157
○国務大臣(緒方竹虎君) 大臣であります国家公安委員長といえども、国家公安委員長として警察事務に関係いたしまする以上、この責務遂行に当つて不偏不党、公平中正を旨としなければならんことは申すまでもないことであります
#158
○笹森順造君 先ほどのお話では、不偏不党且つ公平中正を旨とするということに対して、政党内閣の大臣というものがその政治活動をしてもこれが除外せられておるものだというお話だつたのでありまして、只今のお話との間に矛盾があるようにお聞きします。つまり先ほど私の懸念してお尋ねいたしましたのは、積極的に政治活動をするとか、政党の役員になるということはならんのだと、そうすることがなぜ必要かというと、それは委員に対して今の不偏不党並びに公平中正の態度を堅持せしめるために委員会の委員にはそういうことを要求して政治活動は禁止している。その上に置かれるところの委員長というものが、政党内閣の一員であるところの国務大臣であるとするならば、そこにこの立案の趣旨の矛盾を来たして、而もその感化というものが不偏不党を侵すことになりはせんかということで先ほどお尋ねしておつたのであります。そこで先ほどのお答えでは、国務大臣というものが、先ほどの条項に対して政治的な積極的な活動をしてもよろしいのだ、この責務は受けないとおつしやる。而もこの法律を貫く不偏不党というものが飽くまでもこの法の精神でなければならん。だからそこで矛盾がないのであるか。先ほどのお話になつたことと今のお話と非常に食い速いがあるように思います。
#159
○国務大臣(緒方竹虎君) それは私少しも違つていないつもりでありますが、政党内閣の国務大臣が国家公安委員長になつてその警察の事務に携わる、そういう場合におきましては、警察というものの本来持つております不偏不党の政治的な中立性、それを尊重すべき立場にあることは申すまでもないことであります。併しながら政党内閣というものが一つの先入的な立場先入的なと申しまするか、きまつた立場を持つておりまするので、その限りにおいてその政府の政策が治安確保の上に現われる場合があろうと考えます。その間の調整をやつて、この言葉が少し悪いかも知れませんが、政府の治安政策と申しますか、それが決して政府の、或いは政党のための私をするのではないのでありますけれども、政府の政策面、それから公安委員会の運営、その間の連絡をよくして行くことによつて調整を図つて行く。そういう何でありまして、国務大臣が公安委員会の委員長になつた場合におきましては、警察本来の性格を尊重すべきことは、これはもう国として当然のことだとは思います。その間においては先ほど申したことと矛盾はしてないと思います。
#160
○笹森順造君 どうも、事を仕訳してお尋ねしたらなお結論に達しやすいと思いますのでお尋ねいたしますが、国家公僕委員長として任命せられるであろうところの国務大臣が、選挙の場合に選挙運動する自由があると認めますが、如何でございますか。
#161
○国務大臣(緒方竹虎君) ちよつと初めのあれがわかりませんでしたが、国家公安委員長である……。
#162
○笹森順造君 国務大臣が政党に属するところの役員として、選挙の際に選挙運動することがあると思うのですが、如何でございますか。
#163
○国務大臣(緒方竹虎君) それは政党内閣であり、政党員である以上、選挙運動という限界がはつきりいたしませんけれども、自分の当選を期する上において選挙運動をすることは当然であると思います。
#164
○笹森順造君 単に自分のことの当選のためばかりでなく、自分の党のために選挙運動をするということがあり得ると考えますが、如何でございますか。
#165
○国務大臣(緒方竹虎君) それは国家公安委員長になりました政党員、国務大臣は、この警察担当である政治的な立場から政治的に自制すべきであると考えます。従いまして、一般の党の選挙運動に選挙運動を担当してやるべき地位にはないと思います。
#166
○笹森順造君 それですから私は政党と言つて聞いているのです。緒方副総理はおやりにならないでしよう。併し又そういう御認識であろうけれども、この法制度の上でやるのは私は当然だと思う。そのことはできることなんです。それが不偏不党というものの原則に反するということになるから、その疑いを私どもは考えて、つまりその点を明らかにしたい。先ほどからお話のようにいろいろと伺つた趣旨は、他の意味において或いはこの警察の能率化を期するとか、或いは又この警察行政がその当時の内閣の責任を明確にするためにやるとかという御趣旨については私も了解ができます。併しそれ以外に今申上げましたことが非常に大きな懸念の点であるので申上げておりますが、結局今のお答えでも制度上はそういう党のためにもやることができ得る状況にあるのだということに私は考えられるので、その点が如何でございますかということを聞いているのであります。
#167
○国務大臣(緒方竹虎君) 制度上はその制限を受けておりません。おりませんが、私は今の政党内閣を円滑に運営して行く上には、その国家公安委員長になつた国務大臣は政治的に選挙運動を自制すべきであると考えます。
#168
○笹森順造君 只今のお答えはそれは心得としてはその通りでありましようけれども、制度上そういう大きな欠陥があるものであるならば、やはりこの法律を立法的に考えまする場合に、ここに一つの或いは不適当と申しますか、或いは又この法律が欠陥があると、こう私どもは考えなくてはならない。今のお話で制度上そこにそういうような可能性があるものであるということをお聞きしました以上は、やはりこの法律を完璧を期するためにはこれを改めるのが然るべきじやないかと私はこう思いますが、如何でございますか。
#169
○国務大臣(緒方竹虎君) 私が先ほど来申上げております政党内閣と警察の政治的中立性との両立と言いますか、その間の調整ということが若し認められまするならば、これは決して法の欠陥ではないと思います。今日の政党内閣制の下におきましては止むを得ない制度でありまして、従つて私が申します政治的自制の必要がそこに生じて来る、さように考えております。
#170
○松澤兼人君 その点副総理の御希望としてはよくわかるのでありまするが、併し国務大臣は政党員であり、そしてまあ友人の選挙運動に手伝いに行くというようなことは当然あり縛ることなんです。ですから制度上はできるんであります。御希望としては我々はよく承わつておきますけれども、制度上できる。それが警察の運営に対して影響力を与えない、勿論これは委員会の表決はしないということでありまするけれども併し、いや投票はしないけれども、最後の可否を決するときにはやはり自己の意思を以て決定する地位にあるのであります。でありますから、委員がどんなに不偏不党であつて中正でありましても、政党員であり且つ政治的な影響力を持つ委員長である限りは、やはりその影響力によつて公正或いは中正、不偏不党であるべき警察の運営というものが左右される虞れがある、これをどういうふうにしてチェックされるかということが我々の心配なんであります。その点を一つ……。
#171
○国務大臣(緒方竹虎君) それは党として、又政府として政治的自制をする以外にチェックする途はないと考えます。
#172
○松澤兼人君 笹森さんの心配しておられることも、若しそういう政治的影響力を国家公安委員会、或いは警察の運営に対して及ぼしたくないという御趣旨であるならば、条文を改正して、国家公安委員はこれこれの政治運動はしてはならないということを明確にすべきではないかということが笹森さんの質問の趣旨であろうと思うのであります。この点は絶対に現在の提出されております改正法案を動かす御意思はございませんか。
#173
○国務大臣(緒方竹虎君) 政党内閣の下において選挙運動をして悪いということは私はできんと思います。従つて私は政治的に考える以外にないので、その政治的の考えを勝手にやれるかといえば、これは輿論の批判に待つ以外にない。そういう点から私はこの今の法案を、御審議を願つておる法案を変えるべきではないと考えます。
#174
○松澤兼人君 それでは少し観点を変えてお尋ねいたします。国家公安委員会におきましては、委員長が故障である場合において委員長代理を定めるということになつております。この委員長代理は勿論これはこの場合には不偏不党でなければならない又公正中正でなければならない、この点はよくわかるのです。そういたしますと、委員長が事故があるという場合は、あなたがたがお考えになつておりますつまり政府と警察当局、或いは公安委員会というものとの連絡というものは、そこでぷつつりと切れてしまう恰好になりますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
#175
○国務大臣(緒方竹虎君) それは委員長の……、どういうお言葉でしたか、代理になつておる限りは委員長の意見に従つて代理をやつておると考えますので、その間委員長に期待された連絡関係がぷつつり切れるということはないと考えます。
#176
○松澤兼人君 委員長に故障があつて、実際上相談にも行けないし、そういう場合です。全く政府との関係は切れてしまう。そういうことであるならば、この委員長代理というものをこしらえるよりは、長期に亘る故障のような場合には国務大臣を替えて、そうして警察大臣と申しまするか、公安委員長である国務大臣を新たに選任しなければならん、そうじやないですか。
#177
○国務大臣(緒方竹虎君) それは当然であります。代理というのはどういう工合の代理か、代理とおつしやつたから……。
#178
○松澤兼人君 六条に書いてあるじやないですか、六条に……。
#179
○国務大臣(緒方竹虎君) 相談もできんような場合であれば、それは国務大臣を更迭する以外に途はないと考えます。
#180
○松澤兼人君 具体的な問題についてお伺いしたいのでありますが、衆議院の修正によりまして少しく変つておりますけれども、警察庁の隊長は警察庁長官として、最初の案によると「内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて任免する。」ということになつております。これはたまたまここに斎藤国警長官がおいでになりまして誠に都合が悪いのでありますが、一瞬斎藤国警長官の罷免の問題が内閣で取上げられましたが、或いは吉田内閣総理大臣の御意思であつたかどうか……、ところが国家公安委員会の抵抗に会いまして、これはついに取やめになつてしまつた。ところが今度のような場合には内閣の影響力というものが先ず国家公安委員会に行きますから、例えば斎藤国警長官を罷免したいといつて総理大臣が考えればその通りになる。国家公安委員会は恐らくこれに対しては抵抗ができないという結果になるのではないかと思いますが、その点につきまして如何でございましようか。
#181
○国務大臣(小坂善太郎君) 法案の内容に亘つておりますから、担当大臣がおりますから担当大臣から……。(「副総理」と呼ぶ者あり)
#182
○国務大臣(緒方竹虎君) そういう政府と警察長官との間の意志の疏通を欠くというようなことが過去にあつたかどうか私も知りませんが、そういうことをなからしむるために今回の制度を考えたのでありまして、今後私は起り得ないと考えます。
#183
○松澤兼人君 現行警察法の中にありましては、それは国家公安委員会の抵抗があります。総理大臣が国警長官を罷免するというようなことはできない。併し改正警察法によれば委員長が国務大臣であるし、二対二というような場合には国務大臣の意思によつて罷免するというようなことは或いはできるのではないか、こういう心配を持つのであります。あり得ないということになります。
#184
○国務大臣(緒方竹虎君) それは総理大臣が改めて国家公安委員の同意を得なければできないことで簡単にできると思いません。
#185
○松澤兼人君 簡単にできるか、むずかしくできるか知りませんけれども、制度上はそういうふうにできることになるのじやないですか。
   〔木村守江君「議事進行」と述ぶ〕
#186
○松澤兼人君 まだ答弁が……。
   〔木村守江君「いつだつていいのだ」と述ぶ〕
#187
○国務大臣(緒方竹虎君) 制度上は不可能であります。公安委員会の判断によればできんことはありませんけれども、公安委員の判断を政府の考えの通りにするということは私は不可能であると考えます。
   〔木村守江君「議事進行」と述ぶ〕
#188
○松澤兼人君 不可能であるという法律的根拠と申しますか、その点は如何でございますか。
#189
○国務大臣(緒方竹虎君) 政府が公安委員に余儀なからしめてすることは不可能であります。公安委員の自然の判断によつてすることはあり得るかと考えますが、政府が力を以て公安委員を動かし、指図するということはできないと思います。
   〔木村守江君「議事進行」と述ぶ〕
#190
○松澤兼人君 例えばその場合に、委員が二対二というような場合に、賛成が二で、反対が二という場合には国家公安委員長がこれを決することはできる、容易にできるのじやないですか。
#191
○国務大臣(緒方竹虎君) そういう場合にはできますが、それは公安委員が自由に判断をした場合にそれができると思います。でその公安委員の判断を強制することはできないと思います。
   〔秋山長造君、発言の許可を求む〕
#192
○委員長(内村清次君) ちよつと待つて下さい。緒方副総理は二時間という話だつたので、大体もう二時間ちよつと……、いま一分……、いまジヤストだ、ジヤストです。
#193
○国務大臣(緒方竹虎君) いや、午前も出ていますよ。
#194
○委員長(内村清次君) ええ、午前が十八分出ていらつしやいました。今が一時間四十分で、五十八分……。
#195
○国務大臣(緒方竹虎君) 今が一時間四十分、その前が……。
#196
○委員長(内村清次君) ええ、それだから丁度ジヤストなわけですよ。二時間の約束だから……。
   〔松澤兼人君「もう少し、僕らだけ勉強させないで、国務大臣にももう少し勉強させるようにして下さいよ」と述ぶ〕
   〔秋山長造君「もうすぐやめますから」と述ぶ〕
#197
○国務大臣(緒方竹虎君) ちよつとそれじや七時くらいまで……。
#198
○委員長(内村清次君) ええ、わかりました、その点は……。
#199
○秋山長造君 今の問題も更にお尋ね、したいのですけれども、少し別な問題を一応私お尋ねしたいと思います。
 緒方副総理は、従来新聞紙上において承わるところによりますと、しばしば知事官選論を唱えられた。それから又吉田総理もしばしば唱えられて、おる。ついこの間も内閣委員会において、知事は官選がよろしいということをはつきりおつしやつた。又我々のこの地方行政委員会の関係大臣である塚田自治庁長官についても、我々しばしばこの問題についてお尋ねしたのですが、やはり少くとも個人的には、個人的意見としては知事は官選制のほうがよろしいというような意向のようです。で、やはりこの警察の問題につきましても、府県の知事を今後どうなさるのかということが重大な前提になつて参りますので、この点について副総理の御見解を伺いたい。
#200
○国務大臣(緒方竹虎君) 私は知事官選論をしたことはないと思うのでありますが、総理、或いは塚田大臣がそういうをしたことはあるかも知れません。知事官選と今の民選知事との間には長短両面あると思いますが、いずれにしましても、これを仮に官選にするとしてもなかなか容易でない。政府としては、地方制度調査会に諮問はして、おりまするが、これが実現するまでには私は実際問題としてそう簡単には参らない。でありまするだけに、この今の警察制度の関連におきましては、今の民選知事の制度が継続するものとして御審議を願つて、結構だと考えます。
#201
○秋山長造君 今はその御意思はないというお話ですが、今後の見通しとして知事官選に持つて行つたほうがいいか悪いか、どちらをお考えになるか、その点お見通しを……。
#202
○国務大臣(緒方竹虎君) それはこういう公のところで申上げるのは、よほど検討しないというと、はつきりした結論は申上げかねます。
#203
○秋山長造君 現在この政府のほうとして、地方自治法の改正に関連いたしまして、この府県の性格をどうするかということが非常な大きな懸案になつておる。で現に自治庁におきましても、数次に亘つてこの自治法の改正試案をお造りになり、そうして結局いろいろ閣内の意見がまとまらないために、正式に国会に提案された自治法改正の内容には、府県の性格を変えるという問題ははずされております。併しながらその試案として政府の部内で審議の対象になつておりますものには、やはり府県の性格を相当塗り変えて、そうしてまあいわば半官半自治的なものに持つて行こう、第一段階で……。まあ悪く解釈すれば知事官選へ持つて行く先ず第一段階というような線が出ておるのであります。で、そこで我々としては、やはり遠からず吉田総理あたりの再三の言明に鑑みましても、府県或いは知事は国の出先、国の官吏というところに持つて行かれるのではないかという心配を持つのです。でありますから、今度のこの府県警察ということも、又そういう知事官選というようなことが近い将来に実現するという暗黙のこの予想の下にやはりこれを先ず第一段階として、府県警察という名前において国家警察一本化へ一歩近付いておる。そうして近い将来に知事官選等が行われると共に、もう既成事実としてこれは国家警察一本に持つて行くというような伏線ではないかというように疑問を持たざるを得ない。その点について政府の見解を質したい。
#204
○国務大臣(緒方竹虎君) この法案は官選知事制度を予想してこしらえたものではございません。実際問題としても、知事官選が実現するのはよほど……、仮にいたすといたしましても、よほど時間がある。この法案の御審議に関係はないと考えます。
#205
○秋山長造君 この、かなり時間があるというのは、具体的には少くともここ数年間はそんなことは問題にはならないという程度でありますか。それとも相当の時間というものは、もうここ半年か、一年というような程度のものでありますか。
#206
○国務大臣(緒方竹虎君) 何も申せませんが、まだ政府として、先ほどのお話のことも閣議に一度もかけておりませんし、この政府でいつ実現しようというような目途は少しも持つておりません。
#207
○委員長(内村清次君) ちよつと……、それでいいでしよう。もういいでしよう。それでは一つ………。
   〔加瀬完君「一つだけ聞きたいのですが、簡単ですから……。七時までと副総理はおつしやるのだから、あと十分」と述ぶ〕
#208
○委員長(内村清次君) いやもういいでしよう。(笑声)
   〔加瀬完君、「そんなこと言わずに、重大なことだから」と述ぶ〕
#209
○委員長(内村清次君) じやちよつと副総理、一つと言うのですから……。
#210
○加瀬完君 笹森委員のほうからもたびたび出されました国家公安委員長の問題でありますが、私は副総理に最後に一つはつきりとさせて頂きたいのは、自治体警察の性格よりも国家警察の性格に遥かに引寄せたのじやないかということなんであります。これは先ほど言われました国家公安委員長の問題と共に、現行法の第六十二条、或いは第六十三条を見ましても、「内閣総理大臣は国家公安委員会の勧告に基き」云々ということがありまするし、直接的な指揮という言葉はないのであります。ところが改正案の第七十一号によりますると、「内閣総理大臣は、その緊急事態を収拾するため必要な限度において、長官を直接に指揮監督するものとする。」ということがあるのであります。公安委員長をして或る程度政治介入を許容いたしておるということが一点、それから総理大臣の直接指揮、この二つの点からしてもですね、自治体警察の性格というものを国家警察のほうに遥かに引寄せたということが明かに言われると思うのです。自治体警察々々々々々ということを先ほど来おつしやつておりますが、そうじやないのだ、国家警察的な性格を持つたんだということをなぜはつきりおつしやらないのか、おつしやらなければ、こういう点を挙げてもこれは自治体警察であるということをはつきり言つてもらいたい。もう一回
#211
○国務大臣(緒方竹虎君) 非常事態のときにはそういうことになつておると考えまするが、それは現在の現行法におきましてもそうなつております。
#212
○加瀬完君 現行法にはありません。直接指揮ということはない。そういうふうには明瞭には出ておらない。
#213
○国務大臣(緒方竹虎君) よくは知りませんが、国警長官が言つておりますから、私より確かだと思います。(「続行」「休憩」と呼ぶ者あり)
#214
○委員長(内村清次君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#215
○委員長(内村清次君) 速記を始めて……。
 暫時休憩をいたします。
   午後六時五十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後八時二十六分開会
#216
○委員長(内村清次君) 休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。質疑を続行いたします。
#217
○秋山長造君 副総理がこの委員会にお見えになる前に、私はこの十六条の警察庁長官が都道府県警察を指揮監督するというあの内容のことについて質問しておつたんです。更に又三十七条でありましたか、国庫支弁の規定の問題に関連して、府県の予算編成権の問題について質問しておつたんです。そこで再びその問題に帰つて質問を続けさして頂きたいと思います。今度の警察法には「管理」という言葉があつちこつち使つてあるんですが、現行の警察法には第二条にはつきり「この法律において行政管理とは、」云々、更に二項において「運営管理とは」云々ということがはつきり書いてある。そうして国家公安委員会のほうは行政管理をやり、又府県の公安委員会のほうは運営管理をやり、自治体警察は両方やるというように、そういう公安委員会の職務権限の範囲というようなものが非常にはつきり書かれてあるんですが、今度の警察法には「管理」という言葉ばかりで、その内容がちつともわからないんですが、今度の警察法に書いてある「管理」という言葉は、具体的にはどういうことを含んでいるのか、その点について伺いたい。
#218
○政府委員(斎藤昇君) 現行法におきましては、国家公安委員会は行政管理だけをやつて、運営管理をやらないという建前から、管理を「行政管理」、「運営管理」に分けたわけでございますが、今度の法案におきましては、そういつた区別によつて行政管理はやるけれども運営管理はやらないということはございませんので、一切の警察の事柄について全部管理するという意味でありまするので、この場合に二つに分けなかつたのでございます。従つて「管理」の中には両方全部含んでおる、かように御解釈を頂きたいと思います。
#219
○秋山長造君 そういたしますと、国家公安委員会が警察庁長官を管理するということは、つまり警察庁の長官の権限と国家公安委員会の権限とは全くその範囲は同一である、こういことですか。
#220
○政府委員(斎藤昇君) 御所見の通りであります
#221
○秋山長造君 その同じ点は府県についても三十八条の三項に「都道府県公安委員会は、都道通府県警察を管理する。」ということですから、府県警察に関する限りは公安委員会が全面的に行政管理も運営管理もやる、同じように了解してよろしゆうございますか。
#222
○政府委員(斎藤昇君) 御所見の通りであります。
#223
○秋山長造君 そこで午前中の御答弁にありました十六条の二項の警察庁長官が「都道府県警察を指揮監督する。」ということは取りも直さず国家公安委員会が都道府県警察を指揮監督する、こういうことですか。
#224
○政府委員(斎藤昇君) さようでございますが、国家公安委員会が直接やるのではなくて警察庁長官をしてやらしめる、かように御理解を頂きたいと思います。
#225
○秋山長造君 その指揮監督の責任はやはり国家公安委員会が持つのですか。
#226
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#227
○秋山長造君 そういたしますと、警察庁長官はただ国家公安委員会のいわば事務部局として国家公安委員会の旨を受けて都道府県警察を指揮監督するに過ぎない、こういうことですか。
#228
○政府委員(斎藤昇君) 事務部局というのではなくて、警察庁長官という人格においてやるという点が現行法と変つておるところであります。
#229
○秋山長造君 その点が警察庁長官は全面的に国家公安委員会の管理に服するわけですね、そうでしよう。だから結局警察庁長官が行うところのすべての行為というものは、国家公安委員会の管理に服したという前提の上で行われる行為であるわけですね。
#230
○政府委員(斎藤昇君) その通りであります。
#231
○秋山長造君 だからそうなるとやはり又事務的には警察庁長官が都道府県警察を指揮監督することになるけれども、併しその指揮監督する権限なり、或いは責任の主体というものは飽くまで国家公安委員会になければならない、こういうように考えられるのですが、そう解釈してよろしゆうございますか。
#232
○政府委員(斎藤昇君) 実際上はさようでございますが、法文構成といたしましては、警察庁長官は国家公安委員会の持つている職務内容と言いますか、第五条各号に掲げておりまするその事務を処理する権限を持つている、事務部局としてではなしに、同じ幅において権限を持つているわけであります。ただ独自の見解でやるのではなくて常時公安委員会の管理に服しながらやる、こういうことであります。
#233
○秋山長造君 だからこの独自の権限というものは、警察庁長官の独自の権限というものはないわけですね、そうでしよう。全面的に国家公安委員会が行政管理もやり運営管理もやるということは、つまりもう全面的にこの権限と責任は全部国家公安委員会が持つているということなんですか。
#234
○政府委員(斎藤昇君) 国家公安委員会の持つている権限の幅と長官の持つている権限の幅とこれは同じわけであります。同じわけでありますが、長官はその幅において独自の権限として持つているわけであります。単に事務部局であつて一々細かいことまで一切公安委員会の判がなければ指令が出せないというのではなくて、公安委員会は最高方針その他において警察庁長官というものを管理して指揮監督はしておりますが、併し国家公安委員会の持つている幅の権限内において国家公安委員会から一々承認を受けなくても自己の権限でやれる。この考え方は、例えば甲という省があつてその省に外局がある、その外局の長というものはその省の大臣の管理に服しているわけです。併しながら外局の長官或いは外局の長は独自の権限としての行為をなすことができるわけなんです。その関係でございます。(「少し違うじやないか」と呼ぶ者あり)
#235
○秋山長造君 そういたしますと、現行法には十三条に「長官は、国家公安委員会の指揮監督を受け、国家地方警察本部の部務を掌理する。」と書いてありますが、やはりこの現行法とこの今度の場合とは同じじやないかと考えられるんですけれども、その点は如何です。
#236
○政府委員(斎藤昇君) 現行法は建前から申しますると、この法律の書き方から申しますると、現行法は国家公安委員会というものだけが権限の主体でありまして、長官はこれを補佐する、いわゆる補佐する事務部局という建前をとつているわけなんであります。ところが今度は長官は補佐をする事務部局というよりは、むしろ長官としての一つの権限を持つた官庁ということになるわけであります。
#237
○秋山長造君 その点がどうもよくわからないのですが、そうしますと、長官というものは国家公安委員会の権限外にはみ出す部分が何かその権限としてあるわけですか、その点がどうも。
#238
○政府委員(斎藤昇君) はみ出す部分はございません。ございませんが、現行法の建前でありますると、国家公安委員会から、これこれは前の名において措置してよろしいという委任を受けなければ長官の名において行動ができないわけです。ところが今度の法案は、もう初めから長官の名において行動ができるわけです。併しその長官の行動を全面的に国家公安委員会が指揮監督ができる、指揮監督をする公安委員会の管理に服する。そこで国家公安委員会としては、これこれのことについては自分のほうに伺いなしにやつてはいかんぞ、こういうことはできるわけであります。できますが、その点は逆になるわけです。
#239
○秋山長造君 そういたしますと、結局長官が独自の権限に基いてやつた行為に対する責任というものは、行為についての責任というものはやはり公安委員会に対して長官が負うわけですか。
#240
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#241
○秋山長造君 そういたしますと、長官が何かやる場合には二通りあるわけですね。長官が公安委員会と全然無関係に独自でやつた、併しその結果については公安委員会に対して責任を負う、だからあとから、あんなことをやつては困るじやないかと言われた場合には頭を下げる、こういう形になるわけですね。それからもう一つの場合は初めから独自でなしに国家公安委員会が長官に対してこういうことをやれ、ああいうことをやれと言われて初めてやる場合、この二通りあるわけですね。
#242
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。あとの場合はむしろこれこれのことは公安委員会の承認なしには勝手にやつてはいかんぞという制限は公安委員会からつけられるわけであります。又長官が独自にやつておつても、それらのことについて公安委員会のほうから積極的に発動して行つて、こういうことをやれ、ああいうことをやれという指揮はできるわけです。
#243
○秋山長造君 そういたしますと、その長官のやる仕事の内容というものは十七条によつて、五条の二項にずつと
 挙げているわけですね。で、これらの項目についてはこれはまあ勿論公安委員会が独自の権限として持つておるわけなんですが、それらの事務の中で長官が独自で公安委員会とは無連絡に独自でやれるという事務の内容は、具体的にどういうことなんですか。例えば。
#244
○政府委員(斎藤昇君) これは国家公安委員会の定め方でありまして、国家公安委員会ができるだけ細かいことまで自分のほうの承認を得さそうと思えばそういう定め方ができるわけなんです。いわゆる公安委員会の管理の仕方であります。それによつて変つて来るわけなんです。
#245
○秋山長造君 そういたしますと、国家公安委員会が非常に管理を周到に細かい点にまでやろうと思えばできる。そうすると、国家公安委員会が周到に細かくやればやるほど長官としては独自にやる範囲というものは非常に少くなつて来る。殆んど現行法における事務部局という建前も同じわけになる。国家公安委員会が大ざつばにきめてくれれば、あと長官が独自にやれる範囲というものは非常に広くなる。こういうことなんですか。
#246
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#247
○秋山長造君 どうもよくわからないのだけれども……。
#248
○松澤兼人君 先ほど斎藤国警長官が、現行法によると国家地方警察本部の長官というものは補助機関であるというようにおつしやつたのですが、それは補助機関という性格はどういう性格なんですか。
#249
○政府委員(斎藤昇君) 現行法によりますと、第十一条に「国家公安委員会に、その事務部局として国家地方警察本部を置く。」こう書いてあるわけです。従つて国家地方警察本部は国家公安委員会の事務部局だ、こういうわけでありますから、事務部局の性格上公安委員会の事務を掌理する部局というわけですから、まあ一口に言えば公安委員会を補助する機関、かように申上げたのであります。
#250
○松澤兼人君 事務部局ということは補助機関ということを直ちに言えるわけですか。
#251
○政府委員(斎藤昇君) まあ一口に言うと、と申上げたわけでありますが、とにかく国家公安委員会の権限に属する事項に関する事務を処理させるために「その事務部局として」こう書いてあるわけでございますから、これは独立した一つの官庁とは考えられない、かように解釈いたしております。
#252
○松澤兼人君 じや、改正法によるところの警察庁の長官というものは、そういう事務部局ではなくて、いわゆる官庁機構の中においてとして考える場合に、先ほど秋山君が質問されたように事務部局ではなくて国家公安委員会の幅の権限をそのまま持つている、こういうわけですか。
#253
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。国家公安委員会のまあ外局のようなものです。これは国家行政組織法によりますると、あれに当てはめて解釈いたしますると、国家公安委員会の附属機関、かように解釈いたすのであります。
#254
○松澤兼人君 あの改正法の場合には附属機構だとおつしやるのですか。
#255
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。国家行政組織法にいう附属機関。
#256
○松澤兼人君 そうしますと、現行法による事務部局というのはそういう附属機構ではない。
#257
○政府委員(斎藤昇君) これは国家公安委員会の中に包括される事務を掌理するための部局に過ぎません。従つて外局とか或いは附属機関という一つの別個の行政機関ではございません。
#258
○秋山長造君 その点政府の原案では、警察庁長官の任免権を総理大臣が持つて、公安委員会でなしに総理大臣が持つ。だから総理大臣が警察庁長官の任免権を持つという当初の建前から言えば、或いは今長官がおつしやるように警察庁というものが公安委員会のまあいわば附属機関というか外局のような形で或る程度この任免権を通じて独立性を持つというようなことも説明がつくのじやないかと思います。ところがその重要な警察庁長官の任免権が総理大臣から再び国家公安委員会のほうに移つたわけですね。まあ勿論総理大臣の承認ということはありますけれども、併し任免の主体はやはり国家公安委員会が持つ。そうなりますと、最初の建前と今度衆議院で修正を受けた後の警察庁のあり方というものはこれはそういう面でも変つて来やしませんか。
#259
○政府委員(斎藤昇君) その意味合い、いわゆる任免権の所在如何ということによりましてこの警察庁の性格、法律的な性格これは変りません。任免権が総理にありましても、公安委員会にありましても警察庁長官の法律上の性格というものは変更を受けません。
#260
○秋山長造君 もう一度お尋ねしますが、警察庁長官の都道府県警察に対する指揮監督というものは飽くまで国家公安委員会の管理の下において都道府県警察を指揮監督する、従つて都道府県警察に対する指揮監督の最高の責任者というものは飽くまで国家公安委員会である、こう解釈していいのですか。
#261
○政府委員(斎藤昇君) 御所見の通りであります。
#262
○秋山長造君 そういたしますと、警察庁長官が都道府県公安委員会を指揮監督をするということよりも、国家公安委員会が都道府県会安委員会を管理するなり指揮監督するなりということのほうが正しいのではないか。まあ事実上はこれは警察庁長官が府県警察本部長を指揮監督するというようなことに実質的にはなるだろうと思うけれども、少くとも制度の建前、法律の建前としては国家公安委員会が国の警察の最高責任者である、この国家公安委員会が府県警察の最高責任者である府県会安委員会を管理するなり指揮監督するなりという形にしたほうが本当ではないかと思うのですが、その点は如何ですか。
#263
○政府委員(斎藤昇君) これはさような立法方式も考え得られるわけでございますが、国家公安委員会はまあ大体原則としては大綱について、大綱を警察庁長官に示す、警察庁長官はその大綱の範囲内で実際の具体的な事柄について責任を以て行うという建前をとつておりますから、先ほど御説明申上げたようなことにいたしておるのでございます。
#264
○秋山長造君 国家公安委員会は左に掲げる事務について警察庁を管理するとしてずつと項目が並べておるのですが、国家公安委員会が府県警察を指揮監督をするというのも恐らくここに掲げられておる項目についてだろうと思う。そこでこれらの事務について最高の管理権を持つておるのは国家公安委員会ですから、やはり地方におきましても、府県警察をこれらの点について指揮監督をする最高の責任はやはり国家公安委員会が持つ、まあ持つておるのでしようけれども、持つておるならばその通りを法文の上でも謳うことのほうが私は正しいのではないかと思う。その点そうお考えにならんですか。
#265
○政府委員(斎藤昇君) まあどちらが正しい正しくないということではなかろうかと思うのでありますが、現実日常起る個々の事務につきましては、むしろこれは警察庁長官が自己の判断においてやつたほうがよろしい、併しそのやり方の大綱というものはこれは国家公安委員会というものが示すというのが通常のあり方ですから、そういう意味から申しますると、大臣と外局の長、そういう形のほうが実態に合う、かように考えまして、実態に合うように規定をいたしたのでございます。
#266
○秋山長造君 今の御答弁の大臣の外局の長とはどういう意味ですか。
#267
○政府委員(斎藤昇君) これは他の官庁におきまして、例えば農林省なら農林大臣といたしましたら、現在はどうなつておるか知りませんが、以前は水産庁とか水産局は外局になつております。水産庁長官は任せられた権限においては自己の判断においてやるわけですから、併しそれについて最高責任はやはり大臣が負うておる。それと同じ関係だと申上げたのであります。
#268
○秋山長造君 そこで更にお尋ねをいたしますが、これらの第五条二項に掲げてある点については、国家公安委員会の管理の下に警察庁長官が府県の公安委員会を指揮監督をするということであるならば、それらの点に関する限りは府県の公安委員会というものは独自の権限は持つてないということになるわけですか。
#269
○政府委員(斎藤昇君) 第五条各号に掲げまする事柄につきましては、中央から指揮監督を受ける。或いは調整を受ける。その限りにおいてはその監督なり調整なりに従う義務がありますが、併し自己の権限において都道府県警察を管理をするということにまあ抵触するわけではないわけです。やはり自己の責任において中央の統轄なり或いは調整に従つてやると、こういうわけでございます。
#270
○秋山長造君 そういたしますと、府県の公安委員会というものは府県警察に関する限り行政管理と言わず運営管理と言わず、全面的に府県警察に対しては権限を持つておる、こういう際です。ところが今のお話は全面的に権限を持つておるとは言うけれども、五条の二項に掲げてあるような事務については警察庁長官の指揮監督を受けなければならない、こういうことになる、そうするとそこに矛盾ができて来やしませんか。
#271
○政府委員(斎藤昇君) 矛盾とおつしやる意味はわかりませんが、全然無条件に権限を持つているか、或いは限られた事柄については指揮監督を受けながらその権限を持つている、こういうわけでありますから、何ら矛盾はないと思います。
#272
○秋山長造君 その指揮監督を受けながら而も独自な権限に基いてやるということになりますと、その指揮監督を警察庁長官がやろうとした場合に、府県の公安委員がそれをきかなかつた場合、或いは拒絶した場合、或いは指揮監督されたこととは違つたことをやつた場合、そういう場合にはどうなりますか。
#273
○政府委員(斎藤昇君) この場合に法律でそれを確保する方法がございません。今日知事或いは市町村長につきましても、場合によつたら中央の指示に従わなければならんというようなことがあるといたしましても、従わない場合に何らこれを確保する方法がないというのと同様に、都道府県公安委員会が中央の指揮監督、或いは調整に従わないという場合に、これを従わせる調整方法はないのであります。又懲戒をしたり罷免をしたりする権限も持つておりません。
#274
○加瀬完君 関連して。今の御説明を承わりますと、この現行法とは違いまして、警察庁は国家公安委員会の事務部局じやない、外局である、こういう御説明でありますると、改正法第五条の国家公安委員会の任務及び権限、これを事務的に処理するのが警察庁ではなくて、そのほかに細かい警察庁にはほかの職務をも持つているというふうに解釈してよろしいのですか。
#275
○政府委員(斎藤昇君) 警察庁はこの第五条第二項に掲げる事項以外に権限は持つておりません。
#276
○加瀬完君 そういたしますと、結局現行法の事務部局というものを、事務部局じやなくて国家公安委員会の外局である、こういうふうに新らしく改めなければならない理由は何ですか。
#277
○政府委員(斎藤昇君) たびたび申上けておりますように、第五条二項の事項というものを処理いたしまするためには、これは日常起る個々の仕事でございます。警察行政に関する調整というような場合とか、或いはまあその他相当細かい点もたくさんあるわけでございます。そういつた仕事につきまして、一々初めに国家公安委員会が都道府県警察を指揮監督をしたり、調整をしたりするというよりは、そういう仕事をするのについて実施の執行機関というものを権限を持たせて一つの官庁にしたほうがよろしいというのが今度の考え方であります。この間には御承知のように国家消防本部というものもこれは国家公安委員会の管理下にあるわけです。これはやはり国家公安委員会の事務部局ではなくて、国家公安委員会の管理の下に国家消防本部長が消防本部の事務を処理して行く、それと同じ関係でございます。
#278
○加瀬完君 消防庁の問題をここに出すのは適切でないと思うのであります。国家公安委員会というものの一番の仕事である警察行政、こういうものを国家公安委員会の事務部局として現行のように扱わせるか、そうでなくて、事務部局ではなく、外局として警察庁というものを特別に作つたその理由というのは、これは執行機関として都道府県警察を指揮監督させるに便利にさせるためだ、こういうお言葉があつたのでありますが、そうするとこれは外局にしなければならない理由、現行法を外局のように改めるのは、都道府県警察を指揮監督させる執行機関の性格を持たせたいので改めた、こういうふうに了解していいのですか。
#279
○政府委員(斎藤昇君) これは必ずしも指揮監督という言葉、或いはそのためにというわけではございません。現行法においては事務部局ということにはなつておりますが、実際上は基本規定におきまして国家公安委員会の事務の執行の機関というように扱つておるわけでありまして、実際の運用は今度の改正法において書かれましたような運用の仕方になつておるのでありますが、実際はそのほうが便利でありまするから、実態に即するような書き方をしたほうが望ましいと、かように考えた次第であります。
#280
○加瀬完君 国家公安委員会の事務執行機関であるとするならば、これは現行法のように国家公安委員会の事務部局という性格を打出したほうがはつきりする。今までの御説明を承わつておりますと、国家公安委員会というものがここにありまして、その外部部局である、そうしてそれは何か国家公安委員会とは離れた、全体の警察行政を調整したり、或いは監督したりするために都合がいいから新らしく事務部局ではない、外局としての性格を持たしたのだというふうに考えられるのでありますが、その点如何ですか。
#281
○政府委員(斎藤昇君) たびたび申上げておりますように、実際の事務の運営から、こういつた法的構成をとるほうが実情に適する、かように考えた次第であります。
#282
○秋山長造君 この指揮監督という言葉ですが、今長官のお話によると、都道府県警察を指揮監督するけれども、これは必ずしも従わなければならんということはないので、従わなければもう従わんままだということになるのですが、併し指揮監督という言葉は、そういうことではなしに、やはり指揮監督をする以上はそれに従わない場合には罷免するなり何なり、とにかく指揮監督が指揮監督通りに行われるという保障が当然なければ、指揮監督といよ青葉は無意味になる。この点について私は法制局の林次長にちよつとお尋ねしたい。
#283
○政府委員(林修三君) これは指揮監督というのは、大体において上級の官庁が下級の官庁に対して指揮をし或いは監督することに普通書いてあるわけでございまして、これが完全な上級官庁対下級官庁という場合には、当然上級官庁がその下級官庁の職員の任免権を持つておりまする場合には、それは当然その指揮監督に従わない場合の罷免権を持つ。ただこの国対地方公共司体の場合におきましては、御承知のように、地方公共団体の長はいわゆる公選の知事でございます。今おつしやいました意味は……。
#284
○秋山長造君 いや警察庁長官対府県の公安委員会の活なんです。
#285
○政府委員(林修三君) これは警察庁長官が公安委員会の任免権を持つておるわけではございません。従いまして、又公安委員会の組織から申しまして、これは都道府県におきまして知事が議会の同意を得て任命する。こういう一つの民主的な任命方法をとつております。そういうことの性質から申しまして、当然に指揮監督権というものは罷免権を包含するということにはならないと思うわけであります。指揮監督というのは要するにその事務に関しては勿論指揮監督ができまして、いわゆる罷免権を持てば十分な指揮監督ということになりますが、いわゆる完全ならざる指揮監督ということは、法律上あつて差支えないものであろう、かように考えます。
#286
○秋山長造君 この警察庁長官が都道府県会安委員会を指揮監督するという場合は、一般常識上いう指揮監督じやなしに、これは一方的なものであるというお話ですが、これはその例として、国務大臣が都道府県知事を指揮監督をするという場合と同じことだ、だけれども都道府県知事を国のほうで指揮監督する場合は、当然指揮監督に違反したり、従わなかつたりした場合は都道府県知事に対して、これは自治法にちやんと書いてある、やらなければそれに対してどれだけの処分をするということがはつきり書いてあるでしよう、自治法に。ところがこの場合はそういうことはない。でそういう何にもなしにただ一方的に指揮監督をするけれども、受けるほうは従おうと従うまいと勝手だ、あとは成り行きに任せるというような指揮監督の仕方というものがほかにありますか。
#287
○政府委員(林修三君) 今国務大臣対地方公共団体の長官につきましては、お話の通りいわゆるマンデイマスという手続が自治法にあるわけであります。併し又この都道府県の機関としていわゆる都道府県の選挙管理委員会がございます。或いは市町村の選挙管理委員会がございます。これは自治庁長官は実は国の選挙に関しましては都道府県の選挙管理委員会を指揮監督する
 という規定が今あるわけでございます。この場合においては任免権も違いますし、今のマンデイマスの規定も実は準用になつておりません。従いまして、指揮監督をする限りにおいて勿論その下級の指揮監督を受ける立場にあるものがその命令に従わないでいいというものじやこれはないわけであります。当然従うべきものでありますが、それに対する最後の保障がない、そういう意味の指揮監督、そういうことであろうと思います。普通の法律規定によりましても、或る命令規定が必ずしも罰則を伴つているというふうに限つたものではございません。罰則がないからといつてきかないでもいいというのでは勿論ないわけであります。当然法律上きく義務はあるわけであります。その保障としての罷免権がない、こういうことだろうと思います。
#288
○秋山長造君 これは私はやはり政府のほうで提案された原案の場合ならば、この指揮監督ということが非常にはつきりしてぴつたりして来るのです。それは警察庁長官が都道府県警察の本部長を任命するのですからね。だからその建前の下でこういう都道府県警察の指揮監督をするという規定ができて来たのじやないかと思う。ところが衆議院修正によつて変つて来たわけですね。で、警察庁長官が都道府県本部長の任免権は持たないことになる。国家公安委員会が持つことになつた。そういうように前提が変つて来たので、この原案通り都道府県を警察庁長官が指揮監督をするということをそのまま残すことはちよつとおかしいではないかと思うのです。その点は如何ですか。
#289
○政府委員(斎藤昇君) この点は衆議院において任免権について修正されましたが、併しその通り法案が修正を最後的にされましても、その点は何ら変更を来たすものではないと、かように考えております。何となれば、任免権が先ほども申しましたように、どこにありましようとも、長官の公安委員会に対する指揮監督という点には何ら変更を来たさないのでありますから、なぜこれについて、当然従うべき指揮監督に従わなかつた場合に、これを担保する方法或いは罰則その他を設けなかつたのか、そこはやはり自治体警察たるゆえんを尊重し、余りに何と言いますか、この点を強化することは、府県の自治体警察という考え方をとつている以上は適切ではなかろう、かように考えて立案をいたしておるのであります。
#290
○秋山長造君 まあそうお答えになるだろうと思うのですけれども、併しその点はどうも筋が一貫しないように私は思うのです。
 そこで角度を変えてお聞きいたしますが、第五条の二項に列挙してあるこれらの事務については、結局国家公安委員会も権限を持つておる、同時に都道府県の公安委員会も権限を持つておる、結局両者の共管であるという関係になるのですか。その点はどうですか。
#291
○政府委員(斎藤昇君) これは共管ではありませんで、都道府県の公安委員会は都道府県の区域内における一切の警察の責任を持つて、その責任を遂行するについて第五条第二項各号に掲ぐる事項については中央から統轄を受けたり、或いは調整を受けたりするというだけでありますから、これは或る一つの事柄を両方で共管しておるという意味ではございません。
#292
○秋山長造君 共管という言葉はちよつと語弊があるかも知れませんが、では都道府県の公安委員会は都道府県警察に対して全面的な管理権を持つておるわけですね。そうすると、全面的ですから、当然この五条の二項に列挙してあるような項目もその中に含まれておるものと解釈していいですか。
#293
○政府委員(斎藤昇君) その通りでございます。
#294
○秋山長造君 そういたしますと、都道府県の公安委員会はこれらの問題についても全面的な管理権を持つておる。それ以外のものについても持つておるわけです。二条に掲げてあるような一切のものについて持つておる。その都道府県の公安委員会が持つておる管理権の中で特に第五条の二項に列挙してあるこれらの問題については都道府県の公安委員会のみの権限ではなしに、国家公安委員会もそれに対して管理権を持つておるのだ、こういうように解釈していいですか。
#295
○政府委員(斎藤昇君) それは両方管理権を持つておるというのではなくて、都道府県公安委員会がその管理権を行使する場合に、中央から指揮をされる、調整をされるという分野であります。これこれの事柄についてはこういうようにやつてもらいたいという指揮があれば、その指揮に従つてこれはいたします。
#296
○秋山長造君 そういたしますと、これらの事務について国家公安委員会の管理の下に警察庁長官がこれらの事項についてはこうやつてもらいたいという、まあ指揮監督です、そういうことを府県の公安委員会に対してやつた場合はいいのですね。併し丁度さつきあなたがおつしやつた国家公安委員会と警察庁長官この関係の場合のように、これこれのことについてはこうやつてもらいたいと言われた場合にはそれに副つてやらなければいけない、併しそれだけでなしに独自に同じような内容を持つた事務をも独自にやる場合もある、そうでしよう。だからこの府県の公安委員会にしてもこれらの問題、この二項に掲げられておるような事項については、国家公安委員会がこれこれについてはこうやつて欲しいという指揮監督をやつた場合は勿論それをやる、併しこれらの項目についてそういう指揮監督を受けなくても都道府県会安委員会が独自の判断においてこれらの事務をやるということもあり得るわけです。そうですが。
#297
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。例えば第五条第二項第三号、
 「地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案、」こういう事件が起つた、その場合に中央から何ら指揮監督がないという場合でも府県公安委員会は全責任を以てその事態を処理しなければならない、その際に中央から指揮があればその指揮に従つてやるし、指揮がなければ自分の判断で……、指揮がないからといつて何もやらないというわけにはいかない、やらないでいれば都道府県公安委員会としては職責を果さなかつた……指揮がなくてもやらなければならん。
#298
○秋山長造君 だからそうなりますと、指揮監督があるなしにかかわらず、都道府県公安委員会は独自な権限として管理権を持つておる、こういうことになる。
#299
○政府委員(斎藤昇君) その通りでございます。
#300
○秋山長造君 そうすると、結局国家公安委員会もこれらの問題について指揮監督の権限を持つておる、又都道府県公安委員会もこれらの問題について指揮監督権を持つて独自の行動がやれる、独自の権限を持つておる。だから結局これらの事項については国家公安委員会と府県公委委員会とどちらも権限を持つておるということになるのじやないですか。
#301
○政府委員(斎藤昇君) どちらも権限を持つておるというのじやなくて……。
#302
○秋山長造君 いや、そうなるですよ。
#303
○政府委員(斎藤昇君) 国はこれを指揮監督するというそういう責任を持つておるわけです。都道府県の公安委員会は管内の治安の維持に任ずる自治の責任を持つておる。中央はただこれを指揮監督するという責任を持つておる……。
#304
○秋山長造君 私どもどうもその点はよくわかりませんから、もう少し私は検討して又……。
 じやちよつと角度を変えまして質問いたしますが、例えば県で起つた大きな事件、こういうものについて第一次的に責任を持つのは誰が持つのですか。
#305
○政府委員(斎藤昇君) 勿論都道府県でございます。
#306
○秋山長造君 都道府県が持つ、都道府県が持つということは都道府県公安委員会が持つということですか。
#307
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#308
○秋山長造君 都道府県公安委員会がそれに対して責任を持つということでありますが、都道府県公安委員会というものは都道府県警察本部長に対しては任免権を持つていないわけですね、任免権を持つていないこの都道府県公安委員長に全面的に責任を負わせるということは、いささか酷に過ぎるのではないかというように思うのですが、その点どうなんでしようか。
#309
○政府委員(斎藤昇君) これは任免権があつてもなくても、指揮監督の責任というものは、これは何らその何といいますか、酷なことというわけには参らないと思います。先ほども申しましたように、官庁によりましては、例えば外局の長は自分の部下は或いは大臣から任命されている着があるかも知れません。自分が任命したものではありませんから、そういう場合においても、その仕事の責任は外局の長に与えられたものは外局の長が負わなければならないと同じことであります。
#310
○秋山長造君 政府は今度の警察法の改正に当りまして、治安責任を明確にするということを一つの題目にしておられる。ところがこの地方に起つた大規模な事件、ここに書かれてあるような大規模な事件について警察本部長の任免権も持たないところの、与えないところの府県の公安委員会に全面的な責任だけを負わせるということは、政府が治安責任を明確にするという建前から言いますと、おかしいのではないかと思うのですが、その点如何ですか。
#311
○政府委員(斎藤昇君) この法案のつの狙いは政府の治安責任を明確にするというわけであります。従つてその限りにおきまして、都道府県の治安責任は不明確になる。これは止むを得ない。そうして又政府の治安責任を明確にすると言いながら、公安委員会というものにおいて中立性を保たせる。又政府の指揮監督権いうものも都道府県の公安委員会に対してはこれを服従させる担保の途がない。必ずしもこれは徹底した明確ではございません。併しこの限度において明確にし、又それだけ都道府県の自主的責任というものも認めるというのであります。政府の責任、自治体としての責任というものをやはり調和をさせる必要がありますから、不明確で、必ずしも完全に明確にはなつていない、他のいろいろな諸要件も満足させなければならないために、まあこの程度でお互いに我慢をし合うというのがこの法案の骨子でございます。
#312
○秋山長造君 然らば更にお尋ねいたしますが、そこまで政府が都道府県の警察の自主性を尊重しておられるのに、なぜ都道府県の警察のまあ実質的な最高首脳者であるところの警察本部長の任免権のみならず、更にその下にあるところの警視正等の任免権を都道府県の公安委員長に与えずして中央では握ろうとなさるのか、その点。
#313
○政府委員(斎藤昇君) これを都道府県の公安委員会に全面的に任免権を与えてしまいますると政府の政治責任というものが全く有名無実といいますか、なくなつてしまう。そこでその調和という意味で、国の責任、政府の責任というものはその限度において留保する、かように考えております。
#314
○秋山長造君 都道府県の警察本部長と中央の警察庁なり或いは国家公安委員会なりというものは直接の繋がりはないわけですね。飽くまで都道府県の公安委員会を通じての繋がりなんですね。その点は間違いないでしようか。
#315
○政府委員(斎藤昇君) その通りです。
#316
○秋山長造君 都道府県の公安委員会を通じて以外に繋がる道がないところの都道府県の警察本部長というものを、なぜこの国家公務員にするばかりでなしに、その任免権まで中央がお握りになる。握られてもこういう建前では意味がないじやないかと思う。
#317
○政府委員(斎藤昇君) 都道府県の警察事務の執行の責任者と言いますか、執行の幹部というものには全国的な立場から見てその能力の十分備えた立派な人間を選ぶということが必要でありまして、これは都道府県の範囲内において都道府県の公安委員会の見たところで適当だと思うのでは、十分適切なる人間が得られない。これを国の見地から見て警察事務執行の幹部として適切なものを任命するということが、警察事務の多分に国家性を有しているという点からも又必要であると、かように考えております。
#318
○松澤兼人君 関連して。先ほど秋山君の質問で、若し地方に大規模な事件が起つたとしたときに、その治安確保の責任というものは、第一次的には府県警察であるというお話でありました。これはいわゆる独自の府県警察の権限に基いて警察力を動員するということになると思うのですが、それはそのように解釈してよろしゆうございますか。
#319
○政府委員(斎藤昇君) その通りでございます。
#320
○松澤兼人君 そこで警察庁長官は都道府県警察を指揮監督をする、こういう場合に指揮監督、そういう事件が起つてそうして府県警察が第一次的な治安確保の対策を講じ動員をした、そのときに警察庁長官がこれに対して何らの措置を講じなかつた或は講ずる必要がないと判断した、こういう場合には独自の第一次的な府県警察の全責任において事態を収拾するということになるわけですか。
#321
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#322
○松澤兼人君 そういたしますと、この第十六条の二項というものは常時警察庁の長官は府県警察を指揮監督していなければならない。その大規模の地方的な騒擾事件というものが起つたときに、第一次的にもそうして終局まで府県警察が全責任を負つて動員をし、或いは治安確保をやり、そうして事態を収拾した、こういう場合には警察庁長官は常時指揮監督をする権限を行使しなかつた、こういうふうに解釈してもよろしいのですか。
#323
○政府委員(斎藤昇君) 長官が行使する必要なし、こう認めてしなかつた、かように解釈しております。
#324
○松澤兼人君 その場合、警察庁長官が当然都道府県警察を指揮監督しなければならないにかかわらず、こういうことを例えば地方の警察が考えた場合に、果して警察庁長官が指揮監督をしなかつたということの責任と申しますか、そういうものはどこで誰が判断することになつておりますか。
#325
○政府委員(斎藤昇君) これは警察庁長官が判断をします。併しその警察庁長官は指揮監督をして適切にその事態を収拾すべきであつたのに事実はやつていなかつたということであれば、この長官がいわゆる曠職の譏りと言いますか、職務を全うしなかつたというわけでありまして、これは公安委員会がそれを先ず判断をいたすわけであります。
#326
○松澤兼人君 そこで、先ほど秋山君が質問されました国家公安委員会の権限の幅というものと、それから警察庁長官の権限の幅というものは同じものである、こういうふうに聞いたわけです。ところが警察庁長官が都道府県の警察を当然指揮監督しなければならない事態が起り、そういう立場にあつたにかかわらずこれを指揮監督しなかつた、その判断は国家公安委員会がするということになりますか。
#327
○政府委員(斎藤昇君) それが適当であつたかどうかという判断は国家公安委員会がやることになつております。
#328
○松澤兼人君 そこのところではつきりしないことは、その判断を国家公安委員会が下せるかどうか、勿論任免権は国家公安委員会が内閣総理大臣の承認を得て警察庁長官を任免するということになつております。任免するということになつて、そういう判断を警察庁長官が曠職と申しますか、責任を果さなかつたというその判断を国家公安委員会ができるかどうかということを心配するのですが、如何でしようか。
#329
○政府委員(斎藤昇君) 判断する能力があるかどうかというお尋ねでございますか。
#330
○松澤兼人君 能力があるかないかということです。
#331
○政府委員(斎藤昇君) 判断した場合、これは長官がやるべきことをやらなかつた、それに対して公安委員会としてどういうことができるかというお尋ねであろうと思いますが、その場合に国家公安委員会といたしましては、警察庁長官に将来戒めるとか、或いは何らかの処分をしなければならんという場合には、内閣総理大臣に対しまして懲戒の勧告をする、或いは罷免の勧告をするというふうに法案ではなつておるのであります。
#332
○松澤兼人君 そこで、この警察庁長官が都道府県警察を指揮監督するということは、こういう個別の事態に対して指揮監督するということであるか、或いは一定の枠を与えてその枠の範囲内においてはあらかじめ指揮監督をするとか、或いは総括的に指揮監督するということになりますか。或いは具体的に一々の事件について指揮監督するということになりますか。
#333
○政府委員(斎藤昇君) これは指揮監督のやり方でございまして、事柄によりましては、事前からこういう事態にはこういうような方法で事態を鎮圧するというふうに事前の指揮もできるわけでございます。又具体的に事件が発生して、その事件の態様によつては時々刻々指揮監督するということもできる。只今仰せになりました如何なる方法によつてやりましようとも、それは事柄の如何によつて適切なる方法を採用する、このように申上げておきます。
#334
○松澤兼人君 前以て指揮監督は、一定の枠を指示し、それに従うべきことを要求していた。現実の事態に対してはそれほどの事態と考えなかつたか、或いはこれは地方で処理すべき問題であるとして指揮監督しなかつた。そこで問題は前以て与えておけば現実の具体的の指揮監督はしないでもいいということであれば、側々の問題について一々口を出して指揮監督しなかつたからといつてそれは責任の問題も生じません。或いは曠職の譲りを受けなくても済む。併しそこのところをはつきりしてもらわないと、やはり個々の問題について指揮監督するということであれば、その事件それ自体について指揮監督しなかつたということは警察庁長官の責任であるという結論も生ずるし、総括的な指揮監督をやつているのだということであれば、そこで警察庁長官の責任の問題は生じて来ない。この点は如何ですか。
#335
○政府委員(斎藤昇君) 警察庁長官が都道府県に対しまして事前に総括的に指示をする、そしてその指示に従つて当然都道府県がやるべきであつたのを都道府県がやらなかつた、そこでそういつた場合に更に具体的の事件に際して、その際にやつていないじやないかということまで確かめてやらせるべく更に努力をしたかどうかということもやはり問われるだろうと思います。それは事柄の如何によりまして判断をされるべき問題であると考えております。
#336
○伊能芳雄君 関連して……。次長にお伺いしたいのですが、最前から秋山委員、松澤委員がいろいろと官庁の組織と責任の問題について御質問があつたようですが、今回の国家公安委員会の機構、その下部機構、その下部機構である警察庁長官、更に下部組織であるところの地方公安委員会、そういつたものについて従来の国家行政組織と特別に違つた構成がされておられるのかどうか。或いは従来の官庁組織の形態と違わないのかどうかという点についてお伺いしたい。
#337
○政府委員(林修三君) 今の御質問の趣旨に果して合うかどうかちよつと私もはつきりいたしませんけれども、国家公安委員会と警察庁の関係でございますが、これはいわゆる先ほど斎藤長官からも御説明になつておつたと存じますが、国家公安委員会というのが総理府の外局としてきめられております。この警察庁というのは、一面においては国家公安委員会の事務局的な色彩もございますが、他面においては一つの独立した行政官庁という立場もとつておるわけであります。そういう考え方でこれは規定されていると思います。そういうものについてこれは昔からそういうものがなかつたかどうかとおつしやれば、これは勿論なかつたことはないと存ずるわけです。ただ終戦後における国家行政組織法という立場では、必ずしもこういう官庁の存在を直ちに認めておつたとは言えないと思いますが、併しそれは法律対法律の関係でございます。法律で或る行政組織を作る、これは立法政策の問題で当然認められることだと実は存じておるわけであります。この行政作用とうまく最も適切に運用する行政組織がきめらるべきもの、かように考えておるわけであります。
#338
○伊能芳雄君 それからもう一つ地方公安委員会、府県公安委員会の仕事と警察庁長官の指揮監督の関係について最前から御質問があつたのですが、いわゆる府県会安委員会と国家公安委員会というような委員会行政について最前質問のありましたような警察庁長官の指揮監督に服しなかつた場合においても、これを是正するというか責任をとるというか、そういう機構になつていない。これは戦後の新しい行政組織だと思うのですが、この委員会行政組織というものがそういう点についていわゆる民主的な委員会行政と称せられるものの欠陥が私はここに現われているような気がするのですが政府としてこういうような当然指揮監督に服すべき場合に服さなかつたというような点についての委員会行政について、一部整理をされた委員会行政もありますが、どういうような今後お考えを持つておられるか、その点も伺つておきたい。
#339
○政府委員(林修三君) これはいわゆる会議制の行政機関というもののあり方の問題であろうと存ずるわけでありまして、いわゆる行政組織は上下階級層なしで、一本の線で上から下まで通ずるということは、これは行政能率を上げるという意味においては、その意味から言えば適切な組織であろう。一面におきましては、併し行政事務の性質から申しまして、或る程度会議体的な、或いは民主的な方法によつて選ばれました情成員を以て組織いたすところの会議体機関というものに行政権を与えて行政事務を行わせるということが、これが非常にその行政事務の性質では適切なものもこれはあろうと思います。おのおのその場合々の行政事務の性質に応じてこの組織はきめらるべきものであろうと存ずるわけであります。終戦後におきまして、これは占領軍もおりました当時に、非常に行政委員会の制度はたくさん我が国の中央、地方を通じまして、行政機構にとり入れられたわけでございます。その後いろいろこれは反省もいたしました。やはり行政事務的に見まして、最も適切な、そういう会議制の機関がそれを行うのが最も適切なものだ、こういう面に残して行く、かような考えでまあ私ども或いは政府もそういう考えで実は考えておる、かように考えております。ただ先ほど御指摘になりましたように、会議制の機関になりますと、指揮監督権という問題が多少そこはどうしても、指揮監督に従うとか、或いは命令するという関係が薄くなります。これは会議制の機関の持つ当然の結果であるのであります。それだからといつて指揮監督権を与えるのはおかしいということにはならないと思います。
#340
○秋山長造君 先ほど長官の松澤委員に対する御答弁の中で、五条の二項に掲げられておる諸々の事務についての警察庁長官の指揮監督の内容は、事件が必ずしも起つた場合に初めて発動するということでなしに、起らない前からそういう事件が起るかも知れないということ傭えて、いろいろな指揮監督をやるんだ、こういうお話だつたのです。そうなりますと、これは非常に警察庁長官の府県警察に対する指揮監督権の内容というものは広くなる。最も問題になると思いますのは、三号の例えば口です。「地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案」こういう問題になりますと、恐らくこの内容は共産党関係のいろんな事案を想定しておられるだろうと思うのですが、そういうことについてふだんに起つても起らなくても、府県警察を警察庁長官が指揮監督できるということになりますと、例えば警備警察等の問題につきましては、殆んど警察庁長官の府県警察に対する指揮監督権というものは無限に広いものである、こういうことになつて来る。そうすると、もう警察庁長官は実質的には府県警察を常に不断にあらゆる問題について指揮監督できるということになるのではないかと思うのです。その点如何ですか。
#341
○政府委員(斎藤昇君) 不断にと申しましても、不断に擾乱が起つておるわけではございませんから、擾乱が起つたという場合には、例えばどういうところを主にして警備をしなければならんか、そういうような事柄を、又擾乱が起つた場合にどういうように鎮圧するか、その計画はどういうふうにしておかなければならんかというようなことでありまして、無限に拡がるという、さような虞れはないと思います。
#342
○秋山長造君 併しこの優乱が、騒乱が起つた場合に備えて、いろいろな点について指揮監督をするのですから、恐らくあらゆる問題について指揮監督はやろうと思えばできるわけです。なぜやるかと言えば、いやこういうことも十分やつておかないと万一起つた場合に困るではないか、こう言われればもう引下がるよりしようがない。これは非常に拡張解釈をすれば幾らでも拡張できる問題じやないかと思うのです。そういう極めて内容のあいまいで、而も広くても狭くても自由自在に解釈のきくような事項をここに挙げられて、そしてそれに対して不断に指揮監督権を持つのだということになりますと、成るほどさつき府県警察の独自性というものを非常に尊重しておられるというお話がありましたけれども、それはうわべの飾りであつて、実質的にはこういう所管事務の内容に隠れてあらゆる問題について指揮監督ができることになる。そうすると、実質的には府県警察の独自性というものは、この警察庁長官の府県警察に対する指揮監督権によつて殆んど骨抜きになる虞れがあるのではないか、こう思うのです。その点は如何ですか。
#343
○政府委員(斎藤昇君) 不断からと申しましても、擾乱に係る事案ということに限定されておるわけでございますから、例えば先ほど申しまするように擾乱が起つた場合の処理のふだんからの計画とか、或いはそれに対する鎮圧の訓練とかいうものはございますが、併しさように無限に拡がるべき筋合はないと考えるのであります。都道府県公安委員会が先ほども申しますように、中央の指揮監督には服しまするけれども、独自の判断を以て警察を管理するわけでございますから、これは余りに拡張解釈であつてそこまでも入らない、第三号の濫用であると考える場合には、それに従わないということも考えられるのでありまして、それらの点を考え合せまするとおのずから常識的に判断ができる限界というものはあると考えるのであります。
#344
○秋山長造君 常識的にとおつしやるけれども、例えば火事なんかの場合でも、マッチ一本でも東京中焼き尽すような大きな火事になるという場合もあるので、「マッチ一本火事のもと」というような標語さえある。だからその標語の理窟で行けば、警察庁長官は何も遠慮することはないので、もうあらゆることをみなマッチ一本でも気をつけなければいかん、火事の元だからという気持で指揮監督をして行けば、何でも指揮監督して行けるでしよう、この項目で……。
#345
○政府委員(斎藤昇君) そこらは一般の良識を以て判断さるべきことと思います。
#346
○秋山長造君 まあこの点は、極端な例を挙げましたけれども、併し決して極端ではないので、実際にはこういうこともやろうと思えばできると思う。これは丁度さつき緒方副総理に対して国家公安委員長の問題についていろいろな場合を我々が予想して質問したのもやはり同じことで、そういうことはあつてはならない。あつてはならないけれども、併しあらさないという保証はこの法律にしてないのですから、たまたま斎藤さんのようなかたがおられれば別かも知らんけれども、大いに昔とつた杵柄で一つ特高警察の復活でもやつてやろうというような気持の人が警察庁の長官になつて、そうしてこの三号の口のようなあいまいな規定を悪用して、そうして地方の警察に対して不当に指揮監督権を拡げて行くということは、私はやろうと思えばできないことはない、こう思う。そういうあいまいな規定をあいまいな用語のままでこの法律で謳つて行くということは私は非常に危険がある、こう考える。そこで先ほど来の長官のお話でとにかく府県警察の自主性というものを非常に尊重し、又それに対して非常に遠慮しておられるような御説明ですが、それならば、いつそのことこの府県会安委員会に任免権を与えて然るべきじやないか、むしろそのほうがすつきりしていいのじやないか。ただそれについて、そうなると余りにも地方的な性格が強過ぎて国家的な性格の薄らぐ虞れがあるということならば、任免権の主体は府県公安委員会にして、そうしてただそれを任免する場合には、中央の国家公安委員会なり或いは警察庁長官の同意を必須条件とするというような形にしてもいいのじやないか、それで十分目的は達せられるのではないかとも思う。そういうふうに改められる御意思はないか。
#347
○政府委員(斎藤昇君) やはり警察の執行の幹部というものが非常に大事なわけでございますから、中央から全国的な見地において選任をするということのほうが、警察の国家的性格というものを満足さす上からそのほうが適当であると、こういうふうに思います。
#348
○秋山長造君 国家的性格と言われましても、中央対地方の関係はすべて地方の警察本部長が直接中央と交渉の当事者になるということはないのですから、飽くまで中央対地方との関係に当るのは地方の公安委員会なんです。だからどうでもこうでも府県警察本部長なり或いはその下の警視正以上の幹部というものを中央で握つておらなければいかないというほどの強い根拠は私は承服しがたい。そこで府県公安委員会がこの任免主体になつて、そうしてただ実際に本部長として選ぶ人物の選考については警察庁長官なり国家公安委員会なりの同意を求める、或いは警察庁長官なり国家公安委員会と協議して任免するということで私は十分達せられるのじやないかと思う。それをどうでもこうでも中央が任免権を握らなければいかないという理由が薄弱なんじやないか。
#349
○政府委員(斎藤昇君) 先ほども申しますように、地方的な見地から選ぶほうがよろしいか、全国的な見地から選んだほうがよろしいかと考えますると、都道府県の本部長或いは警視正以上の者というような高級職員は、やはり全国的見地で選ぶというほうが警察事務の執行に適切である、かように考えるのであります。
#350
○秋山長造君 全国的な見地ということは勿論それは結構なんです。結構なんですけれども、これは飽くまで運用の問題なんです。任免権は府県公安委員会が持つて、而も全国的な見地から適当な人を選ぶという目的を達するためには、警察庁長官と協議して選ぶなり、或いは警察庁長官の同意を得て選ぶなりという方法で十分全国的見地という目的は達し得るのじやないかと思う。
#351
○政府委員(斎藤昇君) これはやはり任免権が地方にありますると、その選考はおのずから地方的な見地で選ばれる。それについて中央が同意をするとかしないとかということになるわけであります。そうではなくて、全国的な見地で選んだものについて地方が同意をする、或いは全国的な見地で選ばれたものについて当初の政府案はそのまま任命するわけでありますが、これは自分の県の仕事をやらして見て不適当だという場合には罷免或いは懲戒の勧告権を持つというのが原案でありまするが、いずれにいたしましても、どちらに任免権があるかということによりまして、その選ぶ選び方というものが一方は全国的になり、一方は地方的にならざるを得ない。やはり全国的な見地で選ぶということをはつきり保障されるような選任の仕方のほうが望ましい、かように考えます。
#352
○笹森順造君 関連……。只今秋山委員からお尋ねになつておりました点は、実はほかの意味もあつて私どもも考えておりました一点でありますから、こはれ斎藤長官にもお聞きして結構ですけれども、これはこの法律全体の意味もありますので、副総理がおりませんから小坂大臣にお聞きしておきたいと思います。
 それはどういうことであるかというと、先ほど来国家公安委員長を国務大臣の中から任命するということに対する一つの制度上の欠陥と申しましようか、法文に現われた一つの矛盾を指摘していろいろお話ししたことの中に、不偏不党の原則に抵触する制度上の欠陥ということを述べたわけであります。この懸念はまだ残つている。併し先ほど来の問題についてやはりこの通りにずつと進めて行こう、それがいいのだ、特に政党内閣の現状である場合にはこれだけのことがあつても止むを得ないのだというふうな発言さえも副総理がされたそこで私どもがそういうことでありまする場合には、この内閣総理大臣の下に置かれてあります組織の国家公安委員会というものと、その一つの繋りはずつと下部まで行くということに対してやはり一つの弊害というものを私どもは制度上これを見出さなければならない。その際に今秋山委員が言われましたように、この地方本部長がやはり地方の都道府県の公安委員会において任免権を持つということになつて、而もいわれるところの能率化というものに対しましては、只今お話の通り国家公安委員会の意見を聞くとか、警察庁長官の意見を聞くとかして、そうして警察事務のいわれるところの能率化を図るということをすれば、そこにおいて私どもの懸念しておつたこの政治の中立性、或いは又不偏不当ということが貫かれるのではないかということを実は私自身も考えておつた一点なんであります。この点について小坂大臣はどうお考えなさるか。これは与野党の地位を変えて、仮に小坂大臣が野党になつた場合に、反対党が今度政権をとつたということを予想した場合に、そうしたほうがもつと適切公平な運営になるのじやないかということを考えておりまするが故に、そういう意味で一つ提案者でもありましようけれども、それ以外の意味で一つ良心的な御判断を伺つておきたいと思います。
#353
○国務大臣(小坂善太郎君) 立場を変えてと言いますか、客観的な観点に立つてどう判断するかという仰せでございまするが、私どもはやはりこの点につきましては、いろいろ研究もいたしましたが、やはりこの警察というような事務の持つ国家性と申しますか、或いはその地方性との調和という点から考えて見ますと、この地方の本部長、執行機関でございます本部長というようなものはできるだけ広範囲に亘りまして、広く人材を求めて任命されなければならない、こういうふうに考えておるのでございます。任命権の主体を地方にしますと、長官も言われましたように、どうしても地方的に限られた人材ということになる。併し広域的にこれを求めるということになりますれば、中央におきまして全般的な関係をも考慮して適切なる人材を地方に持つて行くということが望ましいかと思います。併しこの場合には都道府県におきまして公安委員会の指揮監督があるのでありまして、公安委員会は懲戒又は罷免の勧告をなし得るということになつておりますので、決して野放しの中央からの選任というものがそのまま何か仕事の上に活きて行くということではなかろうかと思いますので、かような点が適切ではなかろうか、かように考えておる次第であります。
#354
○笹森順造君 先ほど来この法案を私どもが審議し、いろいろ質疑応答しております中に、この新らしい警察の改正案は結局するところ都道府県の自治体警察であるということは何遍も副総理からも小坂大臣からもお話になつておる。そこで私どもがこの中で特に目障り、目障りというと語弊がありますが、特別に異様に目につきますのは何であるかというと、先ほど来お話になつております警視正以上の人がたを国家公務員とするという一点、つまり制度上これが地方自治体警察であるものに対する相当な地位にあります人たちを特別に国家公務員とするというところに何かそぐわないものが出て来る。従つて今の指揮監督のことについても、或いは又任命権者の所在と被任命権者の地位との間にいろいろ紛訌を来たすようなむずかしさをここに感ずる。そこで今の公域の視野から立派な人物を得てこれを地方の本部長にするということも無論これは望ましいことで、何ら異論がないのでありますが、そういう人を選んでこれを国家公務員でなくて、地方公務員にするということが制度上やはりすつきりするのじやないかという気がいたしますが、この点は如何でございますか。
#355
○国務大臣(小坂善太郎君) この警視正以上の国家公務員というものは全体で二百五十名でございまして、全体の十三万の警察官の人数からすれば非常に僅かでございますが、これらの人が一地区に固定するということでございませんので、やはり適当なる人材が適宜に交流するということは又非常に必要なのではないかと思うのであります。そういう意味で国家公務員であるということが非常に有効なる働きをするかと考えておるのでございます。何と申しましても治安の責任ということからいたしますると、やはり人材が中央の選択によつて地方に行つて働いておるということが、これが一つの意味におきます地方の治安の責任を明確化することになると存じますので、私どもはこの辺が適切であるかと存じております。
 なおこの際衆議院におきまする修正点が、これはかなりその間種々お考えになりました点で、尊敬すべきものを含んでおるというふうに私は感じております。
#356
○笹森順造君 それは意見の相違ということになればそれまででありまするが、只今小坂大臣の言われましたような人事の交流ということは、国家公務員にしておきましても、地方公務員にしておきましても、やはり国家公安委員というものと互いに連絡を密にするということでこれは救済することができる、又そうしなければならない。地方公務員たるが故にこの広い視野における人事交流ができないということはない。併し、それは意見の相違であるといたしかたないのでありますが、私どもは必ずしもそうする必要はないということを考えております。
 そこで、これは文章のことにも関係いたしましようから、斎藤長官にお答えを願いますが、この地方自治法の人事のことで、やはり一つお尋ねしておかなければならんわけであります。地方公務員法の人事に関しましては、その任命権者はやはり当然この地方公務員であるということが至当であると考えるわけでありますし、又地方公務員はその上司である地方公務員の任命を受けるのが順当であると思うのでありますが、この法の中では、先ほどから申しますように、いろいろ錯綜しおつて、国家公務員である上司から地方公務員が任命権を受けるというようなことがあるように思いますが、その点は如何でございますか。
#357
○政府委員(斎藤昇君) 御指摘のように地方公務員を、地方公務員たる警察職員を任命いたしまするのは、国家公務員たる警察本部長でございます。従つて、地方公務員を国家公務員が任命をするということは、地方公務員法のこれは例外でございます。その点は御指摘の通りでございます。併しながら、この国家公務員といえども、身分は国家公務員でありますが、併し、都道府県の機関でありまして、都道府県の警察本部長は都道府県の機関としてその事務を執行するものでございまするから、例外には相違ございませんけれども、著しく何といいますか、見当外れというわけではないと、かように考えております。
#358
○笹森順造君 そういうお話でなく、私の聞きたいと思いまするのは、この任免権というものは、やはり意味がなければできない。そこでこの法律の中に只今の国家公務員であるところの者が地方公務員である者を任免するという委任権はこの法律のどこにあるか、それをお示し願います。
#359
○政府委員(斎藤昇君) これは委任どころではなくて、法律に明らかに都道府県の本部長はその都道府県の警察職員を任免する、法律に書いてあるのです。
#360
○笹森順造君 私はそこを聞いているのであります。つまりこの法律がそういうことをし得る根拠がどこにあるかということを聞いておるのであります。この法律ができたあとではそれはあなたのおつしやた通りでありますが、その出発点はどこにあるかということを実はお聞きしているのであります。これははつきりと地方公務員法を御覧下されば明確なんであつて、そのことがこの法律の中にどこに指摘してあるか、それをお聞きしているので、できたあとを聞いているのではないのです。
#361
○政府委員(斎藤昇君) これはこの権限はどこから来ているかといいますと、やはり国会の法律制定権に基いていると思います。(笑声)併し現行法の地方公務員法にどこかそういつたものがあるかとおつしやいますと、地方公務員法の第六条に(「そんなものはありはしないよ」と呼ぶ者あり)第六条で「法律に特別の定がある場合を除く外、この法律並びにこれに基く条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、それぞれ職員の任命、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有する」と、こういうこれは「地方公共団体の長」が「有する」。併し「法律に特別の定がある場合を除く外」というわけで、地方公務員法にもこういつた事柄を全然何といいますか、予定をしていないというわけではないと考えるのであります。(「それは違う」と呼ぶ者あり)
#362
○笹森順造君 実は私法制局長官においでを願つて残つた質疑に対するお答えを昨日から要求しておつたのでありますが、今日はついお見えなさらず、これも多少そういう法文の解釈上の問題になりまするから、これを保留して明日出て来て頂いて、(「明後日」と呼ぶ者あり)明日でも明後日でもよろしゆうございますが、この次の機会にまでこの質疑を保留させておいて頂きたいと思います。そうしてこの点をなお斎藤長官に詳しく又御説明を願うように要望しておきます。
#363
○委員長(内村清次君) 笹森委員にちよつと申上げますが、法制局長官は笹森委員の要求がございましたから、実は今日出席を要求いたしておつたわけですが、内閣委員会のほうに入つておるというような委員部からの通知でございまして、丁度次長が見えたようです、その代りに。そういうような状況がございましたから、又後刻必ず出席を要求いたしまして質疑をやつて頂くことにいたします。
 それでは……。
#364
○秋山長造君 私の質問があとへ残つておるのですからね。
#365
○委員長(内村清次君) わかります、その点は。
#366
○秋山長造君 ですから、その点は一つ……。
#367
○委員長(内村清次君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後十時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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