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1947/05/27 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第26号
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1947/05/27 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第26号

#1
第002回国会 予算委員会 第26号
昭和二十三年五月二十七日(木曜日)
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月二十六日(水曜日)委員の大島定
吉君辞任につきその補欠として油井賢
太郎君を議長において選定した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年度一般会計暫定予算補
 正(第三号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十三年度特別会計暫定予算補
 正(特第二号)(内閣提出・衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
   午後三時十五分開会
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。前回に引続き質疑を行います。左藤義詮君。
#3
○左藤義詮君 今朝運営委員会で官房長官のお話では、総理大臣が関係方面に行かれて決定して、近く財政演説もなさる、予算の大綱をお出しになる、今朝の官房長官のお話では予算が決定したことであつて、細かい印刷等の手続で提出が遅れるのだ、予算案は動かないものが大綱において決定したのだ、かように伺つたのでありますが、さようにいたしますと、私どもが非常に心配しております六・三制の予算、戦災私学の復旧の貸付金、その他ございますが、特にこの二つの問題について如何ように決定をいたしたのでございましようか、文部大臣に伺つておきたいと思います。
#4
○國務大臣(森戸辰男君) お答えいたします。予算の決定は大綱の決定でありまして、一々の細目の、仔細の点についてはまだ具体的に定まつていない部分もあるのであります。公共事業費の中における、例えば新制中学の占める費用というものが、一定の基礎はありますけれども、その基礎の上に或る程度の屈伸性を持つておるものと私は理解しておるのであります。私立学校の復旧の費用についてもそのことが言えると思うのであります。併し大体においての予算の大綱、各費目における枠は決められたものと私は理解しているのでありますが、この点はむしろ大藏大臣から御説明になるのが適当と思いますので、大藏大臣から十分お聴きになることが妥当であると思つております。私といたしましてはさように考えておるのであります。
#5
○左藤義詮君 今朝官房長官のお話では、予算が本日決定する。若干細かい計数等の整理はあるけれども、本日決まつた大綱というものはもう動かないので、それを取敢えず國会に提出する。そうして印刷ができ上がつて、来月八日頃に本予算を出すのだ。かように伺つたのでありますが、只今の新制中学の問題などは、細かい問題とは思いませんので、計数整理等の、そういう小さい技術的な問題でなくして、新しい学校制度が生きるか死ぬかという重大な問題だ。かように存じておりますので、そういう若し根本が決まつていない。まだ安本、大藏、文部等の間において今後折衝されるということでありまするならば、やはり國会といたしましては、さような、どつちへ行くかまだ分らない予算の大綱というようなもので、予算の審議をいたすことは全然無意義かと思うのであります。私共が了承しておりますところでは、大綱と申しますれば、根本が決つておる。ただ計数の整理だけと伺つたのでありますが、只今の文部大臣のお話では、なかなか折衝の余地があると、文部大臣の御満足になるような、或いは両院の文教委員が非常に熱望しているような予算はまだ確定していない。今後の折衝に俟つところが非常に多いと、かように了承いたしてよいのでございましようか。
#6
○國務大臣(森戸辰男君) お答えいたします。大綱はあくまで大綱でございまして、予算の大きな綱が決つたのであります。それで微細の点につきましては、或る程度動きがある場合もあるのでありますが、例えば公共事業費にいたしましても、一定の枠が明らかになりまして、その枠ということに考えを置きながら問題が処理せられるということになると思いますので、かような意味で、予算の大綱が各党の代表の方々に内示されるというふうな段取になつておると、私は聞き及んでおります。
#7
○左藤義詮君 予算の大綱ということは、もう予算の編成に掛かられるまでに、閣議等でお決めになつて、その大綱の中でいろいろ折衝されることと私共は了承しておるのでありますが、会期を延長までせられて、我々が非常にしびれを切らして、やつと内示せられるというその大綱というものは、政府としての新しい施策を十分に盛られた動かざるものがそこに決められていなければ、わざわざ内示されるという意味がないと思うのでありまして、殊に教育の問題は、文化日本再建の成るか成らんかという重大な問題であり、私はその問題が大綱の中にまだ決定しないで、今後のいわゆる計数整理に残されているというのでは、甚だ了承いたし難いのでありまして、その大綱の中でどのような額だけ今のところ決定しておりまするか、今大藏大臣に聴けというお話でございましたが、文部大臣としても折衝せられたことでございますから、今日の大綱の決つておりまする一つの計数を伺いたいと思います。
#8
○國務大臣(森戸辰男君) 公共事業費という大綱と言いますか、枠が決つておるのでありまして、この枠の中に六・三制、新制中学の費用も入つておるのであります。枠の中では、実際の事情等を考えまして、或る程度弾力性を持つて考慮すべき余地が残されておるのであります。まだこの数字をはつきり申す段階には達していないのであります。
#9
○左藤義詮君 これ以上お尋ね申しても詮方ございませんが、私はくどいようでございますが、これほど大事な新学期制の成否を決する予算が、私共の伺い得る段階まで決つていない、そうして予算の方向を示すべき大綱はお出しになる、かような不明確なもものでは、我々としては本予算がきつちり出るまで、安心し、信頼してこれが審議できないと、かような私共は判断をいたすのでございまして、その点文部大臣にお示し頂けなければ、私共はさように了承をいたします。
#10
○國務大臣(森戸辰男君) 御承知のように、予算は四千億になんなんとする予算でありまして、その中新制中学の建設費の占める部分も非常な重要性は持つておりますが、割合から行けば私は非常に大きな部分を占めるものではない。又支出の面のみならず、収入の面にも重要な点があり、それらの大筋が決りましたということは、私は全般的に見て予算の大綱が明らかにされたのであつて、このことが各党で御審議になる重要な基礎になるということを疑わないのでありまして、お示しになつたように、新制中学の建設費が、具体的な形にまでまだ到達されていないということについては、誠にこの点遺憾でありますけれども、併し大綱の意義をそれで失するものではないと私は確信しておるのであります。
#11
○左藤義詮君 所見の相違でございますから、止むを得ませんが、私共はこういう教育の基本的な新学制の成否を決する問題をお決めにならないで、文教所管の大臣として、それをまだお決めにならないで、予算の大綱は決つたと、かように御判断になることは、私甚だ文教予算の重要性を軽んずるものだと、金額の多少に拘わらず、我々としましては、教育優先の立場から、別の枠さえ設けて頂きたいということを主張しておるのでありまして、私は予算の大綱には、教育の問題については動かない確たるものを御要求になり、それが確定しなければ、予算というものの大綱だとは認めないというくらいの、強い態度をとつて頂きたいと思うのでありまして、まだ新制中学の問題が解決しないのに、これが大綱だというふうに文部大臣として御賛成になり、又政府もそれをお出しになつて國会に審議をせよということは、私共の信ずるところでは、甚だ筋の通らない、そういうふうな教育の問題の根本の解決ができないような大綱では二十三年度の予算として審議ができないと、私共はかような所信を持つのでありまして、その点だけ一つ申上げて置きます。
#12
○國務大臣(森戸辰男君) 今の質問でありますが、これは見解の相違でございまして、私文政当局といたしましては、文政の重要性を認めるというところから、他面この弾力性というところに重点を置いて、大綱はこれを各党にお諮りするということを認めておるのでありまして、そういうような意味で大綱をお諮り願うということは、私は今日予算の決定を急いでおる事態におきましては、細目の点、微細の計数的な問題を整理するのに時を要する事態におきましては、適切な措置であると存じておるのであります。
#13
○左藤義詮君 くどいようでございますが、昨年十四億の予算がいろいろな経緯を経まして、最後にやつと七億しか通らなかつたということを私共が経験しておりますので、予算の大綱の中に、私は教育の問題についてはつきり一つ御確定頂きたいと、かように存じたのでありまして、それが細目の中に譲られるということは、私はそんな細目というようなものではないと存ずるのでありますが、見解の相違でございましようが、甚だ遺憾に存ずるのでありまして、今後細目を御決定になるときに、六・三制の問題だけは、両院の文教委員会が非常な決意をしておることでありますから、十分の今後の御努力を頂きますように、この点お願いいたして置きます。
#14
○寺尾豊君 加藤労働大臣にお尋ねを申上げたいと思うのであります。唯一の資源でありますところの労働力、これを如何に活用するかということが、我が國産業再建において、最大の重要事であるということは今更私が申上げるまでもないのであります。今日となりましては、生産を高めること、外資受入れ態勢を整えること、すべてこの労働力を如何に整備するかということに掛かつておると申上げてよいと存ずるのであります。即ち労働者各位が國家再建に対して全霊を傾注して、その生産に対して自己の責任を果たして行く、この態勢のないところに外資の導入も到底受入れることはできないのではないかと、かように考えるのでありますが、これに対する労働大臣としての施策乃至は御抱負を承わりたいのでありまするが、特に長年労働運動に挺身をせられて、日本の労働者の大きな味方として殆んど数十年挺身をせらて来た加藤さんとして、眞に國家を救う、実際に日本の生産をして高めるということについての具体的な御抱負、これを承りたいと思います。
#15
○國務大臣(加藤勘十君) 御質問のように、日本には相当豊富な労働力が実在しておることは申すまでもないことであります。この豊富な労働力を如何に特に当面する日本経済再建のために役立たしめるか、こういう御趣旨のように承わりましたが、何と申しましても日本の國が戦争に敗けまして、海外から多くの同胞が短い期間に多数引揚げて参りましたことから、國内はひとり労働人口と言わず、総人口の上において急激に膨張いたしまして、これに対してこれらの人口を養うべき生産方面の事柄は、食料の生産を初め、他の工業生産におきましても、これらの急激に膨張した多くの人口を養うだけの十分な力を持つておらないわけでありまして、どうしてもこの國内人口を養つて行くためには、工業の生産力を高めるということ以外に途はないのであります。勿論個々の問題としては、或いは将来移民の問題が考えられるとか、或いは副次的な生産えの、或いは道路の改修であるとか、河川の改修であるとか、或いは未開墾地の開墾であるとかいうような事柄にも、労働力は注がれるわけでありまするけれども、基本的には何と申しましても、工業生産力が増大をしなければならないことは申すまでもないのであります。その工業生産力を増すにつきましても、日本の現在の工業整備の状態、即ち戦争によつて多くの被害を受けました日本の工業生産力は、その後今日まで多くの恢復をいたしておりません。生産力そのものが多くの被害を受けたのみならず、実在する生産設備も段々朽廃して参りまして、本当に今立上つて、直ちにこのままの状態で國際経済市場に競争能力を持つかどうかということになれば、多分の危惧を持たなければならないと思いまする。又資源資材の点におきましても、もとより日本は元来が資源の非常に乏しい國でありまするし、敗戦以来、材料は僅かに國内において細々生産される以外に、多くのものは海外から供給されておらないわけであります。たまたま基本的な何かの原料、材料の供給を受けるにつきましても、一々関係方面の承認統制の下でなければ、供給されない。こういうような状態にありまするから、如何に豊富な労働力があるにいたしましても、この労働力を完全に力を発揚せしむるだけの設備と資材とに乏しい。ここにいわゆる外資導入、クレジットによるそうした物資の供給の問題が、現実の問題として日本経済再建の上に大きな問題となつておるわけでありまして、この点はお示しの通りであります。そういう場合に、現在の労働生産力を以てして、果たしてそういう外資を受入れる態勢とすることができるか。何かそこに現在の労働生産力を高めるような新らしい態勢が整備されなければ、折角外資が導入されたにしても、十分に工業生産力を増加せしむることがむつかしいのではないか。こういう御趣旨であると存じまするが、この点につきましては、元来日本の、殊に安定本部等におきまして物動計画、これは物動計画ということは戦争中からもありましたが、その戦争中の物動計画におきましても、又終戦後の安定本部による物資計画にいたしましても、どうも労働力というものが第二次的に扱われて来ておる憾みを持つておるのであります。当然物資の計画を立てます上に、労働力が第一義的に、それらのものと同等の資格において計画の中に計算されなければ、本当に労働力を機動的に活用するということはむつかしいのであります。漸次最近これらの点についても、労働力が他の物動計画を立てる場合に、物資と同様の力において計画の中に組み入れなければならないというようになつて来たことは御承知の通りであります。もつと突き進んで申しますと、御質問の趣旨は、現在のように労働力が徒らに豊富であつて、それが計画的に按分されていない、こういうことではいけないのではないか。何かそこに計画的に労働力を按分するような、新整備態勢力が取られ得ることが必要ではないか、こういう御趣旨であると存じまするが、これにつきましては、もとより今後の日本人口を養なつて行く上におきまして、これらの労働力を機動的に有効に活用せしむるためには、私は当然労働力の計画が他の物資の計画と同様に、同列に立てられなければならないと思う。その立てる按分の問題でありまするけれども、第一に計画されなければならんことは、日本の工業生産において、一体どの範囲の生産が敗戦日本として確立し得られるか。又平和産業として、どういう性質の工業生産物が輸出物資として振り向けられるか。そうした製品がどこに市場を求めることができるのか。こういうような点を、すべてのものを綜合的に検討いたしまして、私は計画が立てられることが第一であると存じますが、例えば又食糧の生産の面におきましても、従来御承知の通り日本においては、主として農村の自然生産物に多く頼つておりまして、農村加工品というものは比較的閑却せられておるのではないかと思うのであります。こういうように農業生産物の加工工業が発展することによつて、これらの点において果して将来輸出能力ができるかできないか、こういうことについても私は真剣に掘り下げて検討されなければならないと思うのであります。私共の素人考えによりますれば、尚この分野において、相当新らしき仕事を開拓する余地があるのではないか。勿論ここにどれだけの労働人口が吸収されるかということは、厳密な検討の上に立たなければ、容易に断定は下し得ないと存じますけれども、できれば私は第一にそうした輸出産業を興隆することによつて、労働力をその面に吸収することが第一義的に考えられなければならない。それには日本の現在の工業分布の状態から見まして、尚相当の余力があるのではないか。ただ原料、材料が乏しい点がありまするけれども、それは今後のクレジットの設定によつて、どれだけのものが、どのように供給されるかということは当然問題になつて来ると存じまするが、その場合に日本の経済が自力復興できるような方向を迫るためには、私はどうしても輸出産業が興隆し得るような原材料が、外國から供給されるように努力するということは必要な手段であると存じます。そういう点に順次日本の工業分布を検討して参りますると、現在では過剰労働力として、各企業ごとに相当多くの者を抱えていることもよく分つておりますが、現実に失業人口として出ております者は、昨年十月の國勢人口調査の結果によりますれば、意外に少く、六十数万人に過ぎないのでありまして、私共の考えるところによれば、もとより確定の数字を持つているわけではございませんが、尚多くの、本来ならば失業労働者と言わなければならんような性格を持つた人々、或いは闇商人であるとか、或いは封建的な家族制度は破壊されたとは言いながら、尚傳統的な家庭生活の中に依存しておるとかいうことのよつて、潜在的な性質に転化されておりますけれども、もつと厳密に検討すれば、失業労働人口が多いのではないか、こういうように考えるわけでありまするけれども、数字として現われておるものは、今申しまする通り僅か六十数万人の過ぎない。これは一面から行けば喜ぶべきことであるかも知れませんが、他の一面から行くと調査が不完全であり、これらを第一線の生産に吸収する日本の工業生産能力が、乏しいということを物語るものではないかと思うのであります。こういう面と、現実に各企業が包容しておる工場労働力と思われるものを整備することが宜いか、悪いか、こういうことが問題になつて来ると思いますが、御質問の趣旨から行けば、そういう点について整備するものは整備して、そうして個々の労働者の労働力を高揚せしめることの方が正しいのではないか、こういう趣旨ではないかと存じますが、それも他に多くの労働人口を吸収するような産業が準備されますれば、最も望ましいことでありますけれども、今申します通り、表面に現われた失業人口としては僅か六十数万人でありますけれども、実際潜在的な半失業状態にある労働人口が非常に多い数に上つておるのであります。こういう場合に何ら生産に吸収する準備なくして、ただ個々の生産力の発揚を求めるという点から直ちに整備してしまう。成る程その企業はそれで成り立つていくかも分りませんけれども、私は日本全体の経済復興の上から行けば、これは國家経済の再建の上に非常に大きな癌をなすと思うのであります。従つてこの両者はお互いに、全体と部分との関連を厳密に検討して行きつつ、適当な按配をして行くことが最も正しい当面とられるべき方法ではないか、かように考えておる次第であります。
#16
○寺尾豊君 加藤さんの微に入り細に亘つての御抱負、誠に傾聴いたした次第でありまするが、お説のように、只今日本の現状といたしまして、極めて資源に乏しいのでありまするから、各地方々々に持ちますところの特殊原料に対する加工工業、又お示しになりましたところの農産物に対する加工工業、これらを興隆して、更にお話のように輸出生産品というものを作り出して行くということに、過剰労働力というものを吸収されるという御方針に対しては、全く同感であり、さように御努力せられんことをお願いをする者であります。又日本の生産システムが列強に比較して極めて遅れておる。その程度においても恐らく数十年遅れておると言わなければならんと存じます。即ちアメリカ等におけるところのマス・プロダクション、大量生産に仕組まれたところの生産方式に比べますならば、日本の生産様式というものは殆んど手工業のようなものが多い。機械力を使用するとは言え、その機械を操作するということにおいて、常に不断の注意力といわゆる勤労を継続して行かなければならんというような現状であります。然るが故に私は日本労働者には、先進國のそれのような、ただ時間だけ、例えばダイヤルを廻したならば、スイッチを入れたならば、生産がスムースに継続せられる、こういつたようなシステムの産業と違うのでありまして、労働者自身が手を動かし、頭を使つて能率を挙げて行かなければならんという未開の生産様式になつておりまするから、労働者の心構えというものが、ここに最も必要になつて来るのではないかと、かように考えるわけであります。私の御質問申上げたいことは、この日本労働者がその心構えにおいて、果して國家再建に対して万全を期しておるかどうか、この点でありまして、大臣がお示しになつたこと悉く私は同感でありまするが、ややともいたしまするというと、余分に働くことは自分達の権利が侵害をせられるのじやないか、甚だしきに至りましては、何かそれが罪悪のごとく考える一部の労働者があるかに見受けられるのであります。これらが相当日本の生産の高揚に対して大きな隘路になつているということは、全体とは勿論申しませんけれども、否めない事実ではないか。即ち敗戦という現実によりまして、我々はすべてを失つて、而も莫大なる借金を背負わされたのでありまするから、これを一家に譬えて申しますならば、借金が殖えた、家は傾いた、これを挽回するのには隣が働く以上に、先進國が努力するその数倍の努力をしなければならんということは、極めて明白であると思うのであります。即ち一家こぞつて、國民すべてがこの生産に向つて協力をし合うというこの態勢、これを加藤労働大臣によつて画期的に、歴史的に、具体的な労働者に対する決意を促すような大きな政治を行なつて頂きたいのであります。これについての御所見を承わりたいのであります。
#17
○國務大臣(加藤勘十君) 只今のお説に対しましては、私共も多くの点に同意の点を持つておるわけでありまして、御承知の通り若しあの敗戦当時に、各企業に従事しておる労働者諸君が、今日のような立場を持つておつたとしますれば、私は日本経済建直りの上に違つた姿を今日示して来ておるのではないかと思うのであります。御承知の通り戦争中、労働者というものは全く従属的な立場におりまして、集團的にも、個人としても、その人格を主張するような何らの立場を與えられていなかつたのであります。完全に戦争中隷属的な立場に立たされて参りました労働者というものが、そのままの形であの敗戦の給末を見まして、各産業を通じて経営の主体でありました事業家と申しまするか、資本家というものは、直ちに昨日までと姿の変つたことによつて、完全にいわゆる虚脱方針の状態に立至りまして、将来日本の経済がどういう方向に向つて進んで行くのか、どうすればいいのか、こういう点について、恐らくあの当時積極的な意見を、若しくは方策を立てた事業家、資本家、経済者というものはなかつたと思うのであります。こういう状態の下に、然らば一体労働者はどうなつたかと申しますれば、戦争中は、中には自分の父祖傳来の家業を捨てて、徴用工として工場に徴用されておつた、それが敗戦と同時に何らの手当もなく、そのままぽつと放り出されてしまつた。これはひとえにその経営の主体である事業家、資本家が、自分も戸惑いしておるくらいでありますから、徴用工のことまで彼れこれ構つておれないというところから来たことであろうとは存じまするけれども、ともかく中には二週間分の手当を貰つた人もありますけれども、中には何らの手当も貰わないで、そのまま工場は閉鎖される、事業は停止される、そうして徴用工は工場の外におつぽり出されてしまつた、途方に暮れておる、こういうような状態が現出したことは御承知の通りであります。その後、連合軍が進駐して参りまして、ポツダム宣言の規定に基いて、日本民主化の方策を示しまして、その方策を示した中に、労働者の團結権が擁護せられ、そうして労働者に人間としての最低の生活が保障せらるるような方式が選ばれなければ、日本の民主化は行われない。こういう点から御承知の通り、日本の民主化の一方策として、労働組合の組織を、労働組合法を作つて積極的に進むべきであるという命令が発しられたこと、御承知の通りであります。こうした日本民主化の基本的な、連合軍の方針に基いて命令が発しられ、その命令に基いてできた労働組合法によつて労働者は、勿論労働組合法が正式に法律として確定しまする以前から、即ち十一月にこの命令が発しられまして、直ちに組合の組織に著手した労働者も沢山ありまするが、大体においてこの労働組合法の制定を持つて、今日見るように六百万からの組織を見るに至つたのであります。戦争中極端に抑えられて、全く個人としても、集團としても、人格を主張することのできない羽目に追い込まれて、而も終戦と同時にその混乱の巷に放り出されて、途方に暮れた労働者が、團結の権利を法律によつて與えられました結果として、私は労働組合の動きの上に、戦争中の反撥現象として、戦争中の抑圧に対する反動が現われて来たということは、これは私は、事実はそれが好ましいことであるとか、好ましいことでないとかは別問題としまして、この事実を御承認願いたいと思うのであります。そうしてこれは、そういう戦争中に余りにも極端に抑圧された反撥現象としてのじたいでありまするからして、順次労働組合が労働組合として正常な発展を遂げるに至りまして、この一時的な反動現象はここに行き過ぎがあつたとすれば、多少の行き過ぎがあつたことは、これ亦否定することのできない事実でありますけれども、その行き過ぎであると思われる点は、私は労働組合の正常なる発展を迫ることによつて当然是正せられ、冷静に帰つて来る、こういうように見るのであります。私はこういう点から労働者が、その後新らしい憲法が制定されまして、新らしい憲法によつて基本的な権利が認められ、同時に勤労者としての勤労の権利と義務が規定せられ、更に人間としての最低生活を保障せらるるという國民一般の、この規定に基きまして労働者の團体運動というものが発展して参つたわけであります。こういうような事情でありまするから、今お説のような一部的現象はありましたにしましても、私はそれが労働組合の常時の在り方ではなくして、労働組合の平常の在り方としましては、飽くまでも労働條件の維持改善を旨とし、そうして基本的には、憲法によつて保障されたる生活の最低のものをみずからの力によつて保障せしめよう、この立場が労働組合の立場であります。従つて労働組合員と雖も、労働者と雖も、当然敗戦國家の國民の一人であります。誰も今日の、先程お示しになりました、一旦破産状態に陥つた日本の國を建て直すということのために熱意を持たないわけでは毛頭ないのであります。ただ戦争中の反動現象として、今申しましたように若干又行き過ぎの現象があつたにしましても、それはやがて平静に帰ることによつて、順次労働組合は労働組合としての正しい途を迫ることになると同時に、私は今申しましたように、日本経済再建への熱意はそれと反比例的に当然来べきものであるし、又今日どの労働組合と雖も、日本経済の再建を唱えないものは一つもないのであります。そうして私個人としては社会主義の思想を持ち、社会主義経済が行われなければならんという主張を持つておるものでありますけれども、今おつしやつたような破産状態にある日本経済の再建過程においては、直ちにこの客観的條件の下において社会主義政策が行えるものではない。当然将来社会主義的方向に発展して行くように努めたいという考は勿論ありまするけれども、今直ちにこれが社会主義政策が行われるものだという考え方は持つていないのです。それよりも我々に與えられた最大の前提は、日本経済の再建である、日本経済の再建のためにこそ全部のものが力を合せて行かなければならん。こういう考えを持つておりまするから、従つて私の労働組合に対する考え方も、労働組合の個々の仲間同士が話し合つておる事柄につきましても、私はこの考の上に立つて進んでおるわけであります。従いまして労働者が全体として、日本経済再建えの熱意を沸き立たしめるように進めて行きたい、これは私の切なる願望であります。ただ口だけでそれだけのことを言うても、それだけでは熱意は本当に沸いて来ない。熱意を沸かしめるためには、先ずこれらの人々の生活が、この苦しい中においてもともかくも耐えて行き得るだけに保障されなければならんということ、労働者に諸々の精神上の不安、或いは不安定の感じを與えないようにするということが、是非とも取られなければならないと思うのであります。この点からいわゆる最低生活の保障ということが憲法によつても謳われておりまするが、これを具体化するというと、いわゆる人間の生活に必要な最低カロリーと最低蛋白量を基準として最低賃金制というものが生まれて来るわけであります。理論的には成る程とそれは筋が立つておる理論と思いまするけれども、日本の今日の破産した状態の下における、若くは破綻せんとするこのインフレーションの下において、而も物資が乏しい段階におきまして、そういう十分な生活を保障するだけの物資はないのであります。従つて私はそこには無理な点がありましても、我慢し得られる程度で我慢をして頂く、こういうことを労働者諸君にも話し、絶えず仲間同士でも話をしておるわけであります。同時に又労働者諸君をして本当に熱意を沸き立たしめようとするならば、一遍労働者に與えられた、労働者としての、人間としての、日本國民としての権利を再びこれを抑制し、労働者をして又しても戦争中のように抑圧されるのではないかというような不安な感じを抱くような諸々の事柄が発生しない、こういう点において労働者諸君は安心しておつて差支ないという事態が明らかに看取されまするならば、私はその点からでも生産復興の熱意は高まつて来るように思いますので、私はその意図に基きまして、私の主張を持つておる次第であります。
#18
○寺尾豊君 只今の大臣の御答弁、誠にこの精神的な面においては全く我々も同感でありますので、どうか只今大臣も申されましたところの唯一の資源でありますところの労働力、これを最高度に國家再建のために寄與せしむる、こういうことに対して更に一段のお力を賜わらんことをお願いを申上げて置きます。たしか四月十九日と記憶いたしておりますが、大阪商工会議所において、現政府と関西実業團との懇談会がありました。その席上で関西経営者協議会長の加藤君が、加藤労働大臣に質問をして、労働基準法その他の労働法規に縛られて、特に中小工業者が非常に困つておる、非常に復興を阻んでおる労働法規の改正のお考はないか、こういう御質問があつたかに聞いております。その際に加藤大臣は、生産共同体のような連合組織を作つて、基準法の実施による企業の負担を分担し合うというようなことにしたならばどうだ、この際自分としては、労働法規を改正をする必要はないように思うというような御答弁があつたように拝承をいたしております。然るにそのときの西尾君の答弁の中には、労働運動の行過ぎを認め、加藤労働大臣の答弁は、責任相としての当然の答弁である、労働法規の改正は可能である、かような答弁をしたかに拝承をいたしましたが、何かそこに労働大臣と西尾君、或いは現政府の他の閣僚との間に食違いがあるのではないか、かように感じたのでありますが、この労働法規の改正ということは、大臣にとつては恐らく相当大きな問題であろうと存じますが、これについてはどのような御方針をお執りになるか承わりたいのであります。
#19
○國務大臣(加藤勘十君) 只今大阪の各方面の方々と政府閣僚間の懇談会の席上における私に関した事柄についてお示しになりましたが、それは全くその通りであります。労働法規、なかんずくそのとき加藤さんから御質問になりました労働基準法の問題でありますが、労働基準法は御承知の通り、完全実施になりましたのは五月一日からでありまして、それまでは或る点は実施されたものもあり、或る点は延期されておつたものもあつたのでありますが、又完全実施を見、若しくは見んとする状態のときに、直ちにその法律の改廃、若しくは改定に手を著けるというようなことは、法律制定の趣旨から言つても、私は形式的にも採るべき事柄ではない。労働基準法の制定について、その実施に責任を持つ労働所管大臣としましては堅くそのように信じております。況んや労働基準法は、労働組合法が労働者の精神的の権利義務の関係を規定したものであるとしますれば、これは明らかに物質上の現実の労働者の権利を規定した法律でありまして、いずれも憲法の精神から発したものでありまして、憲法の精神を少しも逸脱したものではないのでありまして、新憲法の精神が各方面に十分に理解されまするならば、これらの労働関係法規、労働組合法なり、労働関係調整法なり、労働基準法なるものは、私は労働者にとつては一個の労働憲章とも言うべき基本的な権利義務を規定した法律である。このように考えておるのでありまして、先程申上げまするように、労働者をして、我慢はできないが、併しながら日本の現状において我慢をしなければなるまいであろうというところに得心を求め、精神的に不安の念を感ぜしめないということのためには、これらの法律が破られないということが第一に必要であろう。物資において労働者が要求を充たし、又他の点において労働者の希望が達せられるような條件が整つておりまする時にならば、それはどうでもなりましようけれどもが、今日のように物資が乏しく、すべての施設において労働者の希望なり、労働者の要求なりというものが容れられ得る條件の下にない時におきましては、法律によつて規定されたものぐらいは、私はこれを確実に保障するということが、当然日本國民としての、殊に生産に熱意を沸き立たして貰わなければならないということを、最大に命題とする今日の我が國としては当然の義務である。私はこのように考えております。従つて労働法規の改定につきましては、私は全然その意図を持つておりません。
 併しながら言うまでもなく、立法は國会の権能でありまするから、國会がこれを新しく立法しようと、現在ある法律を改廃しようと、それは自由でありますけれども、若し私にそのことについてお尋ねになりますれば、今申しましたる通り、私はただにそれが必要であるばかりでなく、折角日本経済の復興のために必要であるというお感じから、そういう改廃が行われようとしまするならば、却つて結果は逆に日本の生産復興を阻害するような、大きな好ましからざる事態が起るであろう、こういうことを非常に心配する者であります。従つて私は今日の段階においては、そういうことに手を付けないことが、結果から見ましても、日本経済を再建しなければならないこの段階におきまして必要ではないかと、このように考えております。それから西尾君がその席上において申しましたことも、所管大臣として加藤が答えたことはそれは当然なことである。併しあとは今申しましたように、國会にその権限があるから、國会がこれを取上げようという場合に、政府としてこれを彼此れ言うことはできない。こういう意味のことを言われたのでありまして、私耳から直接聞いた者としましては、多少新聞の記事には文字の上に違いがあるように思いまして、そこに私と西尾君とに何かしら意見の食違いがあるように新聞記事を通しては見られましたけれども、その席上における西尾君の答弁には、今申しまするように、あとから國会云々ということを附加えた点においてだけ違つておるのでありまして、その趣旨においては違つてはいないのであります。又政府部内において何か意見の食違いがあるのではないかと、このような御質疑がありまするけれども、まだ政府といたしましては、正式にこの問題を取上げたことは一遍もございません。勿論閣僚個々の間において、個々の人がどのような見解を持ち、意見を持つかということは、これはおのずから別問題でありますが、苟くも政府が最終決定した意見を述べる場合に、決定しまする場合に、その決定に異議があつて、それが紛糾を生ずれば、明かに政府の内部が不統一であるということが言われますけれども、未だ正式に取上げられたことのないこの問題につきましては、個人々々の意見がいろいろに出ましようけれどもが、それは単なるお互い個人の意見でありまして、政府としてはまだ少しもその間に食い違いが具体的に、正式に挙つておるということはございません。この点も御了承を願いたいと存じます。
#20
○石坂豊一君 総理がお見えになつておられまするから、極めて簡単に二三点についてお伺いいたしたい。先ず昭和二十三年度の普通本予算が確定になつて、極めて短い間に御提出になることができるように伺つておりますが、その真相を伺いたい。
#21
○國務大臣(芦田均君) 二十三年度の本予算は、種々の手続上予定よりも遅延いたしまして、今朝漸く政府の予算案として確定いたしました。これを予算書として國会に提出するためには、現在印刷能力が著しく低下しておる関係上、可なりの日数を要するのでありまして、詳細なる予算書を印刷完了いたしまするには、どんなに急いでも一週間では印刷ができないことを心配いたしております。併し徒に予算の審議を先に持ち越すことも万事不都合かと思いまするから、一應政府といたしましては、予算の大綱を作成いたしまして、明後日これを國会に提出する予定にいたしております。國会方面の手続きが終了いたしましたならば、明後日午後、恐らく衆議院においては、大藏大臣より二十三年度本予算の大綱ならびにこれに附随する税制その他の歳入計画等について説明をいたす予定にしております。本予算の詳細なる予算書は、明確に何日に提出できるということをお答えし得れば、誠に私としても仕合せに思うのでありますが、今朝来まだ印刷の方の連絡が取れておりませんために、確実に何日にでき上るということを今日お答えすることができないことは、甚だ残念に考える次第であります。
#22
○石坂豊一君 先程加藤労働大臣からの説明にあつたがごとく、國会は法律を勝手に決めることはできまするけれども、予算に至つては、これは全く内閣の責任において編成し、内閣がこの國会の期限を見て相当に編成されなければならんわけであります。然るに我々は御覧の通り四月、五月、六月に、一再ならず暫定予算なるものによつて審議を命ぜられておる。而もこの暫定予算においてまあよかろう、まあよかろうと一日送りに審議しておるので、この一年の大事な時における年度始めにおいて、一年の計は元旦にある。一ヶ年の歳計が三、四、五、の初頭において最も必要なので、この時期において必要な全貌を見るところの全体の予算を発表なさらんということは頗る遺憾なことである。併しそれにしても、もう決つたことは私共は國家のために慶する次第でありまするが、遅しと雖も決つたものは結構でありまする。別の委員会において政府委員の説明するところによると、全貌と雖もあまり確定したものでないのであつて、その細目に至つては少しも決つていないということを言明して事実がある。果してさようなことになつておりますというと、どうなつておるのであろうか、誠に我々は不安に絶えない。先般予備審査の際において私大藏大臣に、先に新聞等において発表されました二十三年度の総予算が三千七百三十三億円という基準によつて歳入の全貌を伺つた。而してその租税収入の各目について伺いましたときに、大藏大臣は前置きをして、まだ税制整理委員会等の意見において確定はしておりませんけれども、先ずその主任等が寄つて相談した結果は、どういうふうになつておるかということの大綱だけはありますから、御参考にならんかも知れんけれども、それをお知らせすることは差支ないということで、主税局長でなしに河野政府委員からその大体を伺つた。伺つて見ますと実にどうも尚更我々は了解できないことになつておるのでありまして、この場合において一つも確定したものはないというふうに我々は承知をいたしておるのであります。そうしてただ一つ我々が合点してことは、実によくも大綱、細目が、挙げて苛斂誅求の極端まで行つておる。そのことだけは分つておる。そうしておいて、或るものは、つまり租税の課税項目においてはどうなつておるか知りませんけれども、総括としては前年度の倍額になつておるのであります。もう非常なこれは國民負担の激増と申さなければならんのであります。然る上において更に我々がここに総理にお聴きしたいのは、今回発表なさらんとする予算は世にいわゆる軍事公債の利拂は一時棚上げになつておる。これはやはりこの新規予算の中にお盛りになつておるのであろうか、なつておらんのであろうか。いずれ本予算の際に質問することになるであろうと思いますが、併しそれにしてもやはりそれに伴う法律案も出るでありましよう。予算委員及び他の財政等の委員会において十分慎重審議はされるでありましようが、その点はどうなつておるか。これにつきまして、私は本予算を見ざる場合に早急にお伺いすることは、これは非常に國民の関心を持つておる問題でありまして、殊に全國の金融業者は、これによつて非常な不安を感じて来ておる。昨日も我々はその陳情にも接したのでありまするが、現行の我が國の経済界の一番大なる苦痛は、産業資金が十分廻つて来ない。政府資金にしましても、地方自治体の資金にしましても、乃至は生産機関の資金にしましても非常に枯渇して来ておる。これを救う道は実に國民の貯蓄に俟つより他にないのであります。而してその國民の貯蓄は、いわゆる救國貯金として大いに奨励しなければならん。この場合において、政府が國民に約束をしておるところの公債の支拂を棚上げするということによつて、それが促進できるものとお考えになつておるのであろうか、いろいろの方面において伺いたいけれども、私時間を節約するために簡単にこの点を一つ伺つて見たい。
#23
○國務大臣(芦田均君) 石坂君の質問にお答えいたします。軍事公債の利拂の期日を変更いたしまして、今年七月一日より向う一ヶ年間の利子を元本償還の時に支拂うことに計画を立てまして、これに必要な法律案を恐らくここ一両日の中に提案し得ると思います。これによつて生ずる歳出の減少額は予算の上にそれぞれ計上いたしまして、緊急必要なる品目に充当することに決定いたしております。明後日國会の提出する予算の要綱の中にはこれもはつきりと示しておるわけであります。尚石坂君より、國民の資本の蓄積が経済再建に極めて重要な問題であり、貯蓄を奨励しなければならない際に、軍事公債の利拂を一時延期するがごとき措置が果して適当と思うか、どうかという御趣意につきましては、そういう面も確かにあると思います。併し今回の利拂延期は、実際の問題として金額においては左程多額には上りません。大体政府が節約し得る金額は十五億円程度になるのであります。予算の全体の数字から見て少額であるのみならず、本年度の目標としておる貯金の達成金額三千億円に比べては〇・五%程度の金額に止まるのでありまして、貯蓄増強の上にさように大きなる影響を與えるものとは考えていないわけであります。
#24
○石坂豊一君 政府はこの問題を非常に軽くお扱いになり、問題を小さくして國民の視線を成るべく遠ざけるという御手段であろうか知れませんけれども、これは金額の大小のみによることではないのであります。國民に公約しておるところの支拂を一時棚上げをする、一時棚上げというても、来るべき一年の後においては更に一層の國費が増額して来ることは、これは火を賭るよりも明らかだ。その場合においてこれは更に元本と一緒に利子まで附けて拂うことができるや否や。むしろ社会党の言われるごとく、これは戦争のときに買つたもので、敗けたのだから打切るというのならまだ分るが、そうではなくてただ三党協定に忠実ならんがために、私はよく伺つております、安本長官も、北村大藏大臣も、芦田総理大臣も心の中ではこれはやりたくないというお考であつたことは明瞭に我々は解せられる。その良心を妨げてまでも、それ程にこの三党協定に忠実なるがために、言換えますれば、内閣の運命を引延ばさんがために、國民の道徳上のことも無視し、経済上の悪影響も無視してまでも断行なさらなければならんということについては、後日我々はその案を見た上において言いますけれども、我々は非常なる政府諸公と考えが違つております。この点においては私は芦田氏のために非常に惜む。いわゆる金額が小なれば小なる程、何もそんなところに触れられる必要はないのである。これをなさなければ三党協定が破れて、内閣が辞めなければならんという点でおやりになつたならば、これは徒らに政権に恋々とするがために國家の大事を誤るということになりはしないかと、その点を我々は憂える。而してそれが事実になつて現われることは遠からざることでもありまするから、更に又論議する場合もありましよう。更に伺いたいのは、政府は特別会計において鉄道運賃を一挙にして三倍半に値上げする、通信料を四倍にするということでありまするが、この影響は國民生活に非常なる打撃を與えるもので、かようなことは勿論政府は非常に慎重に考慮せられた結果であろうと思うが、これによつて特別会計が、いわゆるその特別会計の性質によつて、一般会計に脅威を及ぼさないような経理ができるためにおやりになるのであろうか、その点をお聴きしたいと思うのであります。我々は聞くところによると、それでもまだ不足する次第であつて、一般会計より鉄道には九十億もつぎ足し、又通信の方には四十億か、三十億か、それだけをやらなければならんということでありますが、その眞相を伺いたいのであります。
#25
○國務大臣(芦田均君) 御承知の通りに、戦後の経済界の混乱の結果として、我が國の特別会計は終戦以来莫大な欠損を生じておるのであります。私立の企業であつたならば、恐らく立つて行けない程の赤字を毎年出しておるのであります。できるならば企業整備によつてこれらの赤字を何とか埋め得るごとき形体に持つて行きたいということは、政府の熱望するところでありますが、周囲の情勢は、今日直ちにいわゆる独立採算制に還元することは困難な事情にあります。併しながらいつまでも通信事業、鉄道事業が赤字を出して、國民全般の負担によつて漸く事業を継続するごとき事態は決して望ましいことではありません。でき得る限り独立採算制に近ずきたい。それには國民生活を或る程度脅かし、或いは物価の値上りをも予想しなければならないことは重々承知しながら、只今石坂君の指摘せられたごとき程度に鉄道料金、郵便、電信、電話の料金を引上げざるを得ない結果になつたのであります。それでも尚且つ一般会計から相当の金額を補填しなければ、来るべき二十三年度の特別会計にして均衡が取れないという状態になつておるのであります。併しながら政府の将来に対する見通しは、先般発表いたしましたように、経済五ヶ年計画に基いて再建の事業が進行するならば、今日のごとき事態は、必ず近い将来において健全なる独立採算制に引返すことができる、かように明るい希望をもつて著々その方針に進んでおるわけであります。
#26
○石坂豊一君 五ヶ年計画において、先は明るくなるということでありました。或いはそれはそうかも知れません。併しながらすべて物というものには順序があるのでありまして、一挙に三倍半にする、これによつて國民の被むる交通上の不便並びに通信の困難ということは想察に余りある次第であります。その当面の國民の困迫を眼前に見ておる。それをも強いて行なつて、而もそれで以て各特別会計が独立するのではないのであります。これによつて國民に我慢をして呉れ、直ちにこれによつて赤字が征服されるのであるということならば、これは我々も納得せんでありませんけども、尚それによつても一般会計から九十億鉄道に入れなければならん、通信には尚又四十億を入れなければならんということになるというと、これは誠に國民が絶望の極に陥らなければならん。五年の計画を待たずして、國民は非常に困窮の地位を見ることになりはしないか、又それによつてインフレに一層の拍車をかけるということになりはしないかということを恐れるのであります。一体かように日本のように負けた國もありますまい。こんなにえらい敗戦の辛さを舐めた國もないでありましようけれども、世界を通じて通信料なり、交通料金を一挙にしてかくのごとき大幅に引上げをした國があるでありましようか、世界の各國の事情に精通せられる総理大臣は、他に例があるならばお示しを願いたい。
#27
○國務大臣(芦田均君) 鉄道料金を三倍半、通信料を四倍に上げる、随分思い切つた引上げであることは石坂君の今指摘された通りでありますが、戦前の物価指数に基礎を置いて計算をする場合には、現行の鉄道料金は他の諸物価に比較して著しく低いということだけは間違いないのであります。これを三倍半或いは通信料を四倍の引上げを見ても、他の諸物価に比べては決して高い率にはなつておりません。なつていないということは、國民の経済生活に與える影響を憂慮して、今日までできる限り料金の引上げを抑えて来た結果であります。世界諸國においてかような例は無論稀でありますが、併し前世界大戦後のドイツ、オーストリーその他のインフレーション時代においては、私自身の体験によりましても、ベルリンからパリまでの寝台券を一枚買うのに、日本の金にして約百五十万円を拂つたことを記憶いたしております。インフレーションの高進したる國においては止むを得ずさような結果に陥るのでありまして、インフレーション絶頂におけるドイツは、葉書一枚に一万円乃至二万円の金を拂わなければならなかつたという例もあります。併し幸い我が國のインフレーションは、当時のドイツ、オーストリーのごとき悪性のインフレーションではありません。現在すでにインフレーションの進行は徐々に抑制せられて、次第に緩和の傾向にあるということは、石坂君もこれをお認め下さることと思います。
#28
○石坂豊一君 鉄道料金は他の物価等に比すると、さまで上つていないという、これは鉄道である。我が國の鉄道は國有鉄道である。できるならば、これは田淵豊吉君の言を借りるまでもなく、只乗せてやりたい。料金を取るということは間違いである。國有にしておる以上は郵便料金もそうである。それですから極めて少額の、他の物価に比して極めて廉価にして、國民全体が自由にそれを利用することのできるようにして置くのが、これが國有の精神である。然るにも拘わらず、料金が高いの安いのということが論ぜられるいうことは、芦田さんにも似合わんことであると思う。殊にドイツの例を引かれたように、ドイツのようにならざるために皆苦心しておる。私は穏健なる経済を支持しておるところの各國の例を欲しかつた。併しこれはすでにそういう案を立てられた以上は、その案の実現する機会に又論議する機会もあろうと思います。それは政府の断乎としておやりになる立場に立たれたことを今日明白にすることを得たことを以て、私の質問を打切ります。
#29
○左藤義詮君 石坂委員の質問に関連いたしまして、只今総理が二十三年度の、私共が待望しておりました芦田内閣の政策を盛つた二十三年度の予算が決定をした。ただ印刷の手続きが残つておるだけである。かような御説明であつたのでありますが、先程文教委員会、又文部大臣にこちらへも、予算委員会へもおいでの上で、私共の心配しております新学制、特に新制中学の予算についてお尋ねしたのでありますが、新制中学については十九億までしか決定していない。それ以上の点については尚安本、大藏と折衝中である。かようなことであつたのでありますが、総理の只今の御言明と大分食い違いがあるようであります。決定ということはもう印刷の手続だけを残しておるのであつて、後は全部決定したのでありますか。その大綱などをお示し下さいますよう我々の心構えがございますので、その程度を一つ伺いたいと思います。
#30
○國務大臣(芦田均君) 今回の二十三年度の本予算において、文教の予算がどういう額になつたかという御質問であります。無論この六・三制の実施に伴う建築費の補助金につきましては、左藤君が指摘されました十九億という金額が一應出ておつたということは間違いありません。然るところ物価改訂その他の影響によつて、この金額は相当膨れております。尚それ以外に公債の利拂停止によつて節約し得る十五億円の金額の中から、或る部分を六・三制の建築費補助に充てることにもなつておりますが、公共事業費全体としての枠はすでに決つておりますが、尚災害復旧費その他の経費と睨み合して、多少まだ計算が動く点があるかと思いますが、これは技術的作業の問題に過ぎないのでありまして、極めて近い間に、もつと更に正確な数字をお答えすることができると思います。今日只今のところでは、何十何億何十何万という極く正確なことを申上げることはできないのでありますが、併し政府部内においても、大体金額は定まつております。それだけのことはこの席で申上げ得るわけであります。
#31
○左藤義詮君 ちよつと質問の意味が、総理の御理解が横へ外れたと思うのでありますが、私のお尋ねしましたことは、予算は先程の御言明のように決定をいたして、ただ印刷の手続だけが遅れるために、取り敢えず大綱をお出しになるということであつたのでありますが、伺いますと、新制中学の問題のごときは、相当の膨くらみ等について、或いは軍事公債の利拂いの分等について決定していない。私共文化日本を建設する意味において、この教育費ということは、非常に重大な問題であります。場合によつては特別な枠さえ、教育予算の立場において作つて頂きたいと、文教委員会においては希望しておるくらいでありまして、その予算が只今御言明になりましたように、まだ決まつていない、まだこれから相当の作業をそこになさるということでありますすれば、私は予算が決定したと仰せられる先程のお言葉と非常に食違つて来ると思うのでありまして、尚その他にも、私は教育費以外にもそういうことがあるのじやないかと心配いたすのでありますが、総理がおつしやつたように、大綱をお示しになる。それまでに、折角大綱をお示しになつて、私共その予算に取組んでおるのに、又後で変ることのないように、はつきりしたものを、明後日でありますか、大綱をお示しになるまでに御決定になるお見込がおありかどうか、その間の私は大綱ということと、ただ先程は印刷の手続だけ残つておるとおつしやつたのでありますが、印刷の手続だけのことでありますか、或いは先程の印刷の手続云々のことは、お誤りであるかを伺いたいと思います。
#32
○國務大臣(芦田均君) 決定をしないわけではないのです。決定はしておるのです。併し御承知の通り物価改訂に伴つて、物価の改訂を、例えば運賃を三・五倍に上げるとか、通信料を四倍に上げるとかいつたような決定に伴つて、従来のすべての項目について計数的な計算をしなければならないのであります。その項目が五千項目以上に上るのであります。これらの項目を間違いなく正確な数字で印刷をするというのには相当の日子を要するわけでありますが、併し印刷をするまでに、原稿を作り上げるまでは、そう長くはかかりません。実質的には決まつておりますが、正確な字字で、今建築費が幾ら幾らになるということは、ちよつと正確な作業をやつて行かないと、明確に申上げ兼ねる、こういうことなんです。こういう際でありますから、余り不正確な数字を申上げることは、どうかと思つて差控えております。併しこれは極めて近い機会に、正確な数字を申上げ得るのでありますから、いずれ予算大綱によつて、参議院の委員会に御審議を願うまでには、勿論確実な数字を計算することができると思います。さよう御了承願います。
#33
○左藤義詮君 そうしますと、先程御言明になりました、すべて決定して、ただ印刷を待つのみだという先程の総理の御説明は誤りであつた、五千項目以上に亘つて、尚いろいろ細目の決定をなさなければならない。而もその中に私共が非常に心配しております学制改革の大事な費用等も、まだ確実には決定していない。かように了承いたして差支えないでありましようか。
#34
○國務大臣(芦田均君) いずれ遠からず予算案を提出いたしますから、その時に一つよく違つておるか、違つていないか御確認を願います。
#35
○左藤義詮君 その点はよく吟味をいたしますが、私が先程申上げましたように、最初の全部決定して、印刷だけだという御言明は、総理はお取消しになつたと、かように了承いたします。又私共といたしますれば、非常に予算が遅れた、印刷という事務的な手続に藉つて、まだ詳細決定しない点で、その間に私は、まだ作業をなさることが相当残つておる。考え方によつては、相当まだ重要な問題で、特に私共が心配します教育の問題のごときも決定していない。最初の御言明と食違つておることを私共確認いたしたのでありますが、さよういたしますと、近く、明後日とおつしやいましたが、お示しになる時は全部決定して、ただ印刷、手続だけを残して御決定になり、予算案を提出なさらないで、大綱というもので予算の審議を國会に御要求になる。國会法とか、財政法とかにおいての法的根拠とか、或いは前例とか、そういう点について、政府の御見解を承りたいと思います。
#36
○國務大臣(芦田均君) 政府が予算案を提出いたします時には、できるだけ詳細な予算書を作つて、参考書類等も全部揃えて提出することが一番適当な方法だと思います。併し予算編成に着手いたしましてから、実は組閣早々であつて、種々の、関係上、十分整つた書類を一括して提出することが困難な状況にありますが、止むを得ず予算大綱を以つて一應國会の審議をお願いする、こういう建前を取つた次第でありまして、無論その点を見て、必しもこれが完全な処置を取つたとは政府みずからも考えておりませんが、併し法規の上においては、別にこれこれのものを備えなければ予算書にならないというむずかしい規定はないのであります。國家の、政務の緊急に應じて便宜御審議を願いたい。かような趣意で取敢えず大綱を提出することにいたしたわけです。
#37
○左藤義詮君 組閣早々と仰せられますが、もう三ヶ月になつておるのでありまして、私は本來無理な政策の協定をなすつた同床異夢と申しますか、三派の食違いが、かくのごとき遅延をいたした原因だと感ずるのでありますが、その点は私の意見といたして置きまして、只今書類が全部揃わなくとも予算は提出したことになるとおつしやいましたが、財政法の二十八條には、「國会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」と書いて、そこに九つ挙げておるのでありますが、それから何の但書もないのでありまして、本予算として御提出になれば、この條件を備えなければならんと信ずるのであります。大綱を御提示になることは、参考とか、懇談会という程度ならば別でありますけれども、大綱をもつて、九つここに大事な、そうして予算明細書というものがありますが、そういうもののない大綱だけで、國会の予算を提出をするというふうに政府はお考えになるのか、ただ参考資料として御提出になるのでありますか、その御見解を参考に伺つて置きたいと思います。
#38
○國務大臣(北村徳太郎君) 左藤議員の御質問にお答えいたします。これは六月の暫定予算など出まして、本予算が遅れたのであります。成るべく早く本予算を提出いたしたい。又國会の御要求も当然のことでありまして、御審議の期間はできるだけ長く、実質的にいたしたいというような考えから、これは各派交渉会等にも御相談申上げておりますが、純粹の法律上の議論としては、これは予算書と称するものを出した時が、恐らく國会に予算を提出したことになると思います。形式から申しますれば、併しながら実質的な御審議を願うためには、これは一日一刻も早く出すべきでありますから、御了解を得て、とにかく大綱を書き出して、それについて予備審査を御進行願うということは、國会の審議の期間をできるだけ長く願いたいと存ずるわけでありまして、併し先例もないことではございませんで、私も以前に暫く大藏省の政務次官をやつておりました時に、その方法でしばしば説明に上つて予備審査を願つた例もあります。さような先例もありまするで、どうか実質的にお願いしたいと、さように存ずるのであります。さような意味で成るたけ早く、或いは大綱又は要綱と申しましても、できるだけ詳しい資料を整えて、本予算の印刷ができるまで、それまでの間でも尚御審議を進めて頂きたい。さようお願いします。
#39
○左藤義詮君 予算審査ということは、両院のうちで、片院で議案が出た時に、片院で予備審査をするのでありまして、正規の法案或いは予算案が出ません時に、予備審査ということは國会法にないと思うのであります。政務次官の時の例と仰せられましたが、大綱だけで、財政法第二十八條に規定してある正式の予算案でなくして、それを正式に予算として審議いたした先例はないと思うのであります。
#40
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。私が申上げましたように、正式の予算でない。いわゆる法に記されたる正式の予算ではない。ないけれども、御審議を実質的に早く進行して頂くためには、要綱で御審議を願いたい。これは例のことが出ましたのでありますが、私が出ました実例においては、懇談会を開いて頂き、懇談会の名において実質的には予算案の審議を願つた。こういう例があります。そういうふうにお取計らい願えれば、実質的に早くできるではないかと、かように考えるのであります。
#41
○左藤義詮君 初めの話とは政府の御言明が食違つて來るようでありますが、懇談会ならば、或いは先例があるかも知れません。私共参議院として、運営委員会で会期延長の時に、少くとも審議期間は二十一日ということで、五月二十日までに予算をお出しになるようにということを條件としたのでありますが、只今大綱をお出しになつて、予備審査と申しますか、懇談と申しますか、いうことであります。そのために本予算が出て、我々がそれと取組んでやる二十一日を、その中にお含みになるおつもりであるか。或いは懇談の関係であるから、懇談は措いて、本予算は会期中の、二十一日の審議期間だけは政府としては御予定になつておるか、それを懇談之々で、その中にお含みなさるおつもりであるか、如何でございますか、お伺いいたします。
#42
○國務大臣(北村徳太郎君) 我々の願いとしては、二十日までに是非審議を終了したいと、こういうことを願つております。それでできるだけ早く手廻しをして、実質的の審議をするようにということに、まあ大いに懇請をしておる次第であります。さように御了承を願いたいと思います。
#43
○左藤義詮君 その点につきましては、國会法、財政法等の先例にもなりますのです。余程参議院としても研究しなければならんと思うのであります。尚大綱をお出しになつて、そうして後に本予算をお出しになる。大体本予算は印刷等を完成して、いつお出しになるのでありますか、その期日、それから序でに伺つて置きますが、大綱に盛られた、我々が懇談と申しますか、審議いたしますその大綱に盛られた内容については、今度本予算が出た時に、こんな筈がなかつたという食違いがなく、大綱ははつきり決つて、後はほんの小さい計数とか、計算だけで、我々が折角審議或いは懇談しておるのに、それが又覆つてしまうような、無駄骨を折らせるようなことはございませんか、その点を確認して置きます。
#44
○國務大臣(北村徳太郎君) これは先程総理からお答え申上げましたように、件数にいたしまして五千数百件あるのであります。それで閣議で予算を決算いたしたと申すのは、この五千数百に上る一々を檢討いたしておるのではございません。さような方法はとても時間が掛かります。極めて根本的のものについて、総額を決定いたしておるのであります。これを更に五千数百項目に配分をして、そうしてこれを勘考いたして参りますと、実は徹夜で作業をいたしておるわけであります。細かいものと大きなものと食違いがないかというお話でございますが、恐らく大綱を差出します場合に、大綱により、より詳細な明細な予算書として出て來るわけでありますから、大掴みのものの詳細なものであると、かように御了解あつて差支えないと思います。從つて御審議を願う上において、無駄骨になるということは決してないと思います。
#45
○左藤義詮君 期限は。
#46
○國務大臣(北村徳太郎君) 期限については、先程劈頭に総理からお答え申上げました通りであります。
#47
○委員長(櫻内辰郎君) 総理に対する御質問を願います。
#48
○左藤義詮君 総理に対するのを大藏大臣がお答えになつたのですから……さよういたしますと、大綱を、明後日お出しになつて、懇談の形式でそれを諮つて見ろ。そうして印刷ができたら本予算を出してやろう。かようなことは法規上の問題もあり、又先例になることもありますので、参議院としてはその御希望に副うかどうか、余程私は研究しなければならんと思うのでありまして、只今政府の御希望として承わつておきまして、果してさように副い得るかどうかは保留をいたして置きたいと思います。
#49
○小畑哲夫君 先程來、昭和二十三年度の予算の大綱が決定したということについて、いろいろ質疑應答が重ねられておりますが、私はこの際その大綱を本委員会の参考資料として、一日も早く御提示になるように請求することを、委員長にお取計らい願いたいと思います。
#50
○委員長(櫻内辰郎君) 大藏大臣、それでは今の要求を一つ……。
#51
○國務大臣(北村徳太郎君) できるだけ早く出します。今一生懸命やつておりますから……。
#52
○小畑哲夫君 参考資料として……。
#53
○國務大臣(北村徳太郎君) 参考資料という意味は、それによつて御審議願いたい、実質的に願いたいという意味でありますから、御了承願います。
#54
○左藤義詮君 それはちよつと……。
#55
○寺尾豊君 時間も相当進ましたし、芦田総理大臣も、どこかお急ぎのようでありまするから、簡単に総理に御質問を申上げたいと思うのであります。未だ本予算も提出にならず、而も明後日その大綱を漸くお示しになられる、こういうような情勢は一に現下の政治体制と申しましようか、内閣のあり方について非常に無理があるんではないか、かようなことを心配いたします時に、私は一昨年、確か私共の先輩として、同じ党に非常に御眤懇に願つておりました芦田現首相が、図らずも我が党をお去りになりましたその時に、確か必ず將來お互いに手を握り、又ここに帰つて來る時期もあろうという芦田氏の信念を吐露されたことを、極めて明瞭に記憶いたしておるのでありますが、最近種々各方面で論ぜられておりまするところの保守合同、この保守合同に対して首相は如何なる御見解、如何なるお考えを持つておるか、これを一つ率直にお聽かせを願いたい、かように存ずる次第であります。
#56
○國務大臣(芦田均君) 政党の立つておる基盤は、主義政策であることは私から申上げるまでもないのであります。いわゆる保守党とは、社会主義政党に属しない、共産主義政党に属しない、資本主義政党を指して言うのであると一應了解いたします。それならば社会主義政党でない、共産主義政党でないから、主義政策は悉く一致しておるかと言えば、丁度アメリカの例で御承知になる通り、民主党と言い、共和党と言うが、共に社会主義政党でも、共産主義政党でもありませんにも拘わらず、百数十年來の傳統をもつて、お互いにアメリカ國内において対峙しておる。それはなぜであるか。政策の相違によつてかような形になつておる。從つて主義政策を一にする場合には、多くの政党が合同することは極めて合理的であると思いますが、不幸にして昨年の五月十九日までは、四党政策協定と称して、大体自由党も、民主党も、社会党も、我が國の経済危機を突破する政策において完全に一致しておつた。然るにその政策協定が成立したに拘わらず、自由党は当時閣外にあつて協力するという理由で連立内閣に参加しなかつた。やがて純野党の立場に還ると言つて、多くの点において政策を異にいたしたことは寺尾君がよく御承知の通り、石炭國管問題にしても、刑法改正の問題にしても、その他幾多の点において当時の連立内閣と自由党とは政策において相異なる点を持つておつた。この政策に対してどういう政策をお採りになるかは今後に決まるのでありましようが、若しこの政府の政策に全然同一である。これを支持するという御態度でおいでになるならば、保守合同の問題においても多くの困難は予期いたしませんと思います。
#57
○寺尾豊君 私が首相に、保守合同に対する首相のお考えをお聽きするということは、自由党を芦田先輩がお去りになる時に、私共に示された信念並びにそう後首相の側近者である小島徹三君が、しばしば私に心境を吐露したそたらの点から、又最近の諸情勢は、我が國の政治体制をして、急速に正常の形態に立戻すことを要望しておるかに見受けられるのであります。保守党が極端に対立して相爭う、或いは主義政策の根本的に違つた党と政局を担当し合つて行くということは、諸々の事柄に対して種々のトラブルを起し易い。從つて予算の提出も遅れるであろうし、いろいろの問題において対立する、かような観点に考えた時に、同時に一方、日本の経済的状態というものを、首相は五年の將來を見られて、非常に樂観的なお考えも持つておられるようでありますが、長い目で見た時には然りでありましようけれども、併しこの悪性インフレ下において、今度の予算編成において、物價改訂のいろいろの問題等から、実に國民生活というものに、今度の物價改訂の及ぼす影響というものは、実に重大なる危機に遭遇したと言わなければならないと思うのであります。かるが故に私は、ここに本然たる姿に、政党員も釈然として、大乗的な見地において行動を共にすることが、現在における少くも國論に合した点ではあるまいか、かように考えるから、敢えて首相の御心境をお聴きするわけであります。これらについて民主自由党、或いは他の保守党とは、今までの行きがかりが思うようにならなかつたから、或いはいろいろの問題があつたからということにおいて、芦田氏がこの問題に対して、或る個人的な感情において、これをお扱いになるということであれば、何をか言わんであります。併し私は民主自由党の一人として、敢えてここで首相に申上げるということは、只今申上げた日本の現状というものが、相爭うべき時ではない、その方法においては、首相が言われたように、それじや自由党が三党協定に参加すればいいんじやないか、かようなお考えかも知れませんけれども、私はそのような意味ではなくして、世界に対するところの二大思潮、こういつたような観点から、進むべき道を首相が如何に今後お採りになるか。この点を更にもう一度お聴きしたいのであります。
#58
○國務大臣(芦田均君) 只今寺尾君のご意見の前弁においては、私と全然同一であります民主党創立以來、更に遡つに言えば、私自身が自由党を脱して新党に参加したのも、今日に至るまで一貫したる我々の考え方で、即ちこの経済危機を前にして、日本の政党はよろしく小異を捨てて大同に附かなくちやならん。できるならば挙國的政権を樹立し、これによつて國民の政治力を結集することが最善の方法である。かように信じていたのでありまして、そのことは自由党脱党当時に新聞に発表いたしましたる声明書にも、はつきり書いておると記憶しております。民主党創立以來、常に一貫してその方向に進んで來たのであります。從つて片山内閣成立以前においても、四党政策協定を結んだ当時、社会党、民主党は、共に自由党の内閣に協力せられんことを希望し、又不肖、私が去る二月、首班に選挙せられました当時も、再び吉田自由党総裁の門を叩いて、その協力を求め、政策の協定に熱意を以て希望を申入れたことは、恐らく御記憶であろうと思う。その際に承諾を得なかつたということを、私は深く遺憾とするところであります。事、今日に至つたのは、必ずしも現在の内閣が自由党を敬遠しておるのではない。幾度か自由党に向つて協力を求め、不幸にしてその同意を得なかつたということの結果であることは、恐らく寺尾君もよく御承知のことだと思います。從つて主義、政策を一にする限り、我々は喜んで手を握る。現に國民協同党は、社会主義政党でもなければ、共産党でもありませんが、我々民主党と最も緊密に提携して、共に内閣に連なつておる。從つて主義政策を同じくするものを、故意に感情的に対立するというごとき考え方は毛頭私は持つておりません。ただ國家、社会の政策に関する限り、政治は堂々とその政策の線に添うて行わるべきである。不幸にして今日まで、民主自由党は多くの政策において、三派連立内閣に反対の立場におられた。政策を異にするものが合同するということは、天下これより理窟の通らない話はないのであります。かように私は信じておるのであります。
#59
○寺尾豊君 私の見るところによりまするというと、本予算並びにそれに関連する物價改訂、これらの問題に関連をして、非常に重大なる支障が、その審議の上にも、國民の輿論の上にも起こるのではないかと想像をいたします。首相が如何なる御見解を持つておるかは別といたしまして、その際いおいて首相は、昨年の総選挙から、もはや一ヶ年余を経過した。その間における諸般の情勢も亦非常な変遷をした。而もこの経済危機を突破し、眞に國民の生活の安定を期せんとするならば、画期的な、歴史的な大きな政策と、國民に対する総力を要請すべき一大政治をここに行わなければならんと思うのであります。それを行うためには、今までの政府、今までの議員、こういつたような、行きがかりを持ち、種々の責任を持つておる政府等においては、到底これはやり得ないところではなかろうかと考えるのでありますが、かかる場合に立ち至つたときに、首相は敢然衆議院を解散をして、國民の自由意思におけるところの、新らしい総意によつて総選挙を行い、その國民に支持されたところの選良によつて、只今申上げました画期的な政府を樹立せられるというお氣持がありましようか。又私はさようなことが必要でないかと考えるのでありまするが、これに対する首相の御所見を承わりたいと思います。
#60
○國民大臣(芦田均君) 議会が國民の輿論を反映しないごとき場合においては、衆議院が当然解散せられて、國民の輿論を忠実に反映する國会を作ることが、民主主義政治の当然の行き方であると思います。從つて今日の國会が、國民多数の意向を正直に反映しないという事実が現れた場合には、政府は衆議院を解散することに、毫末も躊躇いたすものではありません。ただどういう現象を捉えて、國会が民意を反映しないというかという、その具体的の事実を判断する上において、名人必ずしも意見を一にしていないと思います。政府の見るところを以てすれば、今日までの参議院、衆議院等の補欠選挙において、或いは各地方の府縣会議員の補欠選挙において、結果の上から見れば、政府が野党よりも人心を失つておるという数字は、必ずしも現われておらない。從つて今後各方面の事象を研究した上で、國民の輿論と議会の数字とが、必ずしも正確に比例的に現れていないという場合には、当然衆議院は解散せられるであろう。かように考えておる次第であります。
#61
○寺尾豊君 次に、我が國の再建に当面いたしまして最も大きな問題は、何と言つても人口の問題であると思うのであります。首相はこの人口問題に対してどのようなお考えを持つておられるか、お聴きしたいのであります。
#62
○國務大臣(芦田均君) 人口問題が我が國の將來にとつて極めて重大であることは、寺尾君の指摘せられた通りであります。極く大掴みに申しますと、今回の日本の人口増加の大勢は、満州事変の当時から次第に出生率が減少いたしております。それと同時に死亡率が減少した結果年々相当の人口増加を見たのでありますが、大勢の上から言えば、我々の民族が無限に今日の増加率を続けるものでない。今後数十年以内に、或いはもつと短い期間に、日本人口の増加率は停止するという学者の意見も見受けられるのでありまして、今日の人口増加は戦争直後の影響を受けて、昨年、今年においても相当の人口増加を見ております。併しかような人口増加が今後三年、四年続くかということについては私は確信を持つておりません。かたがた日本の人口が、現時の趨勢を以て間断なく増加するとは考えられないのであります。けれでも、とにもかくにも八千万内外の人口を持つておるのでありますから、これをどうして、物資との権衡のとれるごとき経済生活に立て直すことができるかということは、我々の当面しておる最も重大な問題であります。併しながら移民によつて人口問題を解決することが実際的に困雜であることは御承知の通りで、何としても國内資源の開発により、或いは外國貿易によつて労力を金に換えて、その資金を以て必要な食糧、原料を輸入して、でき得る限り農業の開発に努めて食糧問題を解決する、できるだけ輸出貿易を振興し、又日本國内の工業化を促進すると同時に、我が國の経済生活の安定を図るという以外に方法はないものと考えております。
#63
○小野光洋君 一昨日両院の文教合同委員会におきまして、六・三制実施拡充の予算といたしまして、新制中学の建築費六十三億六千五百四十二万円、整地費十二億八千万円内外、設備費四億一千六百十二万円、合計八十億六千三百六十三万円を文部省が要求をいたしております。この要求は、現在現内閣が主張いたして、その政策の大網に掲げておりますところの六・三制度実施拡充の線にぴつたり嵌つた問題だと思います。從つて両院の文教合同委員会におきましては、各党派の決定した意見といたしまして、この八十億六千三百六十三万円を確保する、若しこれから一歩でも削られるというようなことに相成るならば、両院は各党こぞつて予算の審議を否定すると、こういつたような申合わせをいたしておるのであります。本日参議院だけの文教合同委員会におきまして、文部大臣の御出席を願い、又安本の藤井政務次官同席いたしまして、この問題の成り行きを聴いたのでありますが、文部大臣の言明によりますというと、建築費予算の六十三億六千五百四十二万円の中で、十九億円は確定しておるけれども、その他は確定しておらない。それでは明日予算の内示会があるということであるが、そういう不確定な予算を以て内示会をするのかということを文部大臣に問いましたところが、その通りである。それでは予算大網ということであつて、予算の内示にならんではいなか。併し支出の荒筋だけを示すというだけであつて、それ以上はまだ確定してはいないのだということで、確定しておらんとするならば、八十億六千三百六十三万円の文部予算も、今後それが全部的に活きる見込があると、かようなことで喜んでおつたのであります。先程の総理大臣のお話によりますと、予算は今朝の閣議ですつかり決つたのだ。ただ実質的には決まつたけれども、何銭何厘ということにはまだなつていない。又それを印刷するという手続が遅れて、多少時日が掛かるだろうが、実質的には定まつておるのだ。こういうようなお話であつた。それでは文部予算の復活する途がないではないかと思つて、聊かがつかりいたしたのでありますが、併し又その後いろいろ御答弁を伺つておりますと、御訂正になつたようでありまして、まだそれ程決つてはおらんのである、今後明確な数字にこれからするのだというようなことで、総理大臣の初めの御言明とは逐次その様子が変わつて参りましたことは、文部予算の將來のためには非常に慶賀すべきことだと喜んでおる次第であります。そこでこの現内閣も、協定の線の上にも明らかに教育の、特に六・三制の拡充ということが謳つてあるのでありまして、遠慮なくこの線を強化して、國民の要望するこの新教育制度の拡充に対して御努力を願いたいと思います。十九億円が建築費として決まつただけで、四百十億の公共事業費の中にあるところの予備費二十億円の中から幾分出そうと思う。その幾分の程度でありますが、三十五億を全額こちらの文部予算の方に持つて來ますと、どうやら八十億六千三百六十三万円の要求額に達するやに考えられます。併し私は望むらくは、かようなことで文教委員会で予算を返上するとか、審議を否定するかというような決議をたびたびすることは、甚だ芳ばしくないことでありまして、苟も教育優先ということは歴代の内閣においても常に口にしておるであります。常に口にしておることであれば、これを実践する過程に乗せて、そうして教育の線については予め一定の線を設けて、その線の上において、或いはその金が要るとか、要らないとか、一一細目に亘つて文句を言うことなく、二十%とか、或いは二五%とかという線内において、自由に文教予算を使えるというな方法に願いたいと思うのであります。特に教員組合、或いはその他の運動によつて、その予算が上下されるというような、そういう疑惑を持ち、又そこまで行かないというと、どうも腰が切れないのだというようなことになることは、甚だ遺憾なことだと思います。遂に昨年の追加予算も、昨年度内においては成立せず、特に六・三の残額が本年度になり、四月二日になつて、どうやら予算を提出するというようなことになつたということも醜態の限りだと思います。こういう点につきましても、教育優先の上において、十分挙げられるように願いたいと思うのでありますが、総理大臣のこの問題に対する御所見を伺いたいと思います。
#64
○國務大臣(芦田均君) 教育優先の心特においては、只今の御意見に全然同感であります。ただ政府が、各方面の施設をする上におきましては、水害復旧のために、どうしても荒地を復旧したり、堤防の切れたのを直さなければ、差当たり梅雨になつても安心して住めないという地方もあり、外國から引揚げて來たが、住むに家なく、纏うに衣がないといつたような人間もおります。社会各方面の緊張に應じて予算を作る外に途はないのであります。御意見の程は十分私は了解もし、又同感でありますが、事実資材及び金を使う上においては、諸般の状況に顧みて、これを按配をする以外に、政府としての施策の行き方がないということは、よく御了解して下さることと思います。
#65
○小野光洋君 昨日この問題について、安本長官から、ちよつと伺つたことでありますが、四百十億円の中の二十億円の予算金から三億円、利拂停止の十五億円の中から三億円、合計六億三千万円くらいの程度においては、大体何とか出す予定であるということを言つておりましたが、その程度におきましては、よろしいのでありますか。はつきりここで御答弁を願いたいと思います。
#66
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の御質問にお答えしたいんですが、実は私も自分のことを申上げて何でありますが、私は文教のことに多少特殊の関係を持つておりまして、文教委員会諸君の切実なる御要求に関して、しみじみと、非常に自分でも困つておるのでありますから、よく分かりまして、そのことは文教委員会で申上げたことがあると思うのでありますが、ただ御要求のものを合算いたしますと、一兆を超えるのであります。それで國の財政は、おのずから限度があるのでありまして、只今でさえも、鉄道運賃の上げ方がひどいとか、税の取りようがひどいとか言つて、私共は毎日責められておるような状態でありまして、御要求にどこまで應じ得るかという点に、実は非常に苦しい難点があるのでありまして、又このことは、先程総理からお話があつたかと思いますが、最近ソ連から引揚げて來た無縁故者に家がない。先当りどうするかという問題が切実に起つております。殊に和歌山縣、兵庫縣の水害、水災の関係者は、毎日のように殺到しております。こういうような状態でございまして、教育及び文化の優先ということについては、決して人後に落ちないつもりでありますが、こういうような状態で、何とか御辛抱を願わなければならんと思います。只今お話がございました、これは先程、私はちよつと申上げましたように、予算はすでに閣議で決定いたしまして、すべて終了したのでありますけれども、五千数百件に亘りまして、これを数字を調整をしなければならない。予算は決定したのでありますけれども、処置としては、数字を調整する作業をやつておる、こういうような点でありまして、この内訳の、物償騰貴の割掛けをする。その他の物の調整作業をするということに手間取つておりまして、それで予算が遅れておるということは、先程申上げた通りであります。只今お話のこの二十億の予備費を使つていいかどうか、私共の理解としては、これは夏季に、再びあつてはならないが、不測の災害が、昨年の後まだ十分に、実は残念ながら金の問題もありまして、昨年の始末が十分できていない。そこに梅雨期を控えて、再びそういうことが勿論あつてはならないと思いますが、こういうことに備えて、俄かに大狼狽をするようなことがあつてはならないというようなことから、二十億の予備金を置いておるであります。併し一方安本長官が申しましたことは、皆さんの御要求が切であるし、幾らかその程度なら、その中から廻してもいいじやないかというような意味で、御説明申上げたんじやないかと思います。これは勿論大蔵省としては、そのことについては與つておりません。そういうふうな相談を受けた場合には、できるだけ文教の方面に廻すように努力はすることにいたします。そういう意味において御了解を願つて置きたいと思います。
#67
○小野光洋君 教育費に関連して、私立学校の貸付金の問題でありますが、昨年度は、経常費貸付費として五千万円、戦災復興助成費の貸付が六千四百万円が計上されておる。昨年度の物償と、今年度の物償とを大体比較すると、そのままの有効償値としても、約三倍ぐらいにならなければ、同額の程度にならないと思いますが、本年度の通常予算に、どの程度これを計上しようとお考えになつておりますか、この点もちよつと伺いたいと思いますが、大蔵大臣の御所見を伺います。
#68
○政府委員(河野一之君) 小野さんのおつしやるのは、私立学校の経営の貸付金でありますか。戦災復興貸付金でありますか。
#69
○小野光洋君 経営の貸付金と戦災復興貸付金の両方であります。
#70
○政府委員(河野一之君) 若し記憶が間違いましたら、あとで訂正さして頂きますが、経営費の貸付金が、大体一億五十万円程度、それから戦災復興費の、建物の方は大体二億円程度ということに、現在のところでは考えております。数字の記憶が間違いましたら、あとで訂正いたします。
#71
○寺尾豊君 大藏大臣にお尋ねをいたしたいと思います。本予算中、生産の面に盛られました金額並びにその大要についてお示しを願いたいと思います。
#72
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。これは実は各省の予算の中に、生産費的なものが相当入つておりまして、これは只今パーセンテージで申上げる数字の記憶は持ちませんけれども、明日午後には、極く大網ができますから、その時に大体の数字を申上げることにいたします。それまでお待ちを願いたいと思います。これは生産という中に、これはなかなか考え方がございまして、例えば生産を抑止してはならないと、積極的に生産を増強しなければならんという考えから、或る償格の調整をするというような費用も、生産の中に入れていいかどうかということも問題になりますし、その他石炭國管推進に関する費用等、いろいろなものがありますので、生産という限界をどこに置くかということは、これは問題になりますが、生産費のパーセンテージの数字を調べまして、あとで申上げます。只今ちよつと記憶はありません。
#73
○寺尾豊君 分かりました。通貨政策という問題についての、現在並びに將來の大藏大臣の御方針を大要お伺いしたい。
#74
○國務大臣(北村徳太郎君) これは予算についての全体の私の御説明の場合に、詳しく申上げることが適当でないかと思うのでありますが、只今御質問がございましたので、極く簡単にお答え申上げます。この通貨の問題と相成りますと、インフレーシヨンの問題に絡まつて來るわけであります。それでいろいろ世間にはインフレーシヨンの議論がはやりまして、インフレーシヨンを抑止することに第一の力点を置いて、そうしてインフレーシヨンが緩漫化し、やがてインフレーシヨンが終熄した形の時に、それまでは専ら力をインフレーシヨン抑制にのみ致すべしという考え方があります。或いはそうでないく、インフレーシヨンの原因を以て、物の欠乏にあるから、先ず以て生産を増強すべしというような考え方もあるのであります。私はそのいずれでもなくて、これは実は第一に通貨の安定を図るということが非常に重要でございますが、通貨の安定を図るということだけに専念いたしまして、それがために生産を却つて阻害するという結果になつては、よくございます安定恐慌的な恐るべき結果をもたらすこともございますので、そうなつては相成らん。そこで問題はインフレーシヨンに対應しての問題でございますから、どこまでもやはり健全財政主義、財政支出から來るインフレーシヨンはどこまでも止めて行かなければならん。かようないわゆる健全財政主義に基いて通貨の安定を図り、通貨の信用を落とさないようにするというような点に力点を置いて行きたい。從つて通貨の膨張は避け得る限り避けて行かなければならない。かような考えで今後の金融並びに生産のことを処理して行きたいというように考えておるわけであります。それで今の場合、通貨と物價との関係とを見ますというと、大体この通貨のカーブと、それから物價、物價と申しましても、我々の生活にむしろ切実なのは闇物價のカーブと並行しておるという事実、從つて通貨が膨れるという現状から見て、やはり通貨というものを収縮する方向にもつて行かなければならないということを第一に考えておるのでありますが、その点においては一應インフレーシヨンの緩漫化の状態に入つておるということが言えるのじやないか、このインフレーシヨンの緩漫化の機会を捉えまして、かたかたやがて來るべき外貨導入、原資材等の輸入と相俟つて、そこに一應の中間安定というものを立てて行きたい。その中間安定はやがて來るべき本格的安定への一つの出発点になる、そういう方向に持つて行きたい。言換えますと、少し前には、いわゆる危機経済を突破するということが第一の課題でございましたけれども、今はどうして國民に安定感を持つて貰えるか、安定への一つの途をどうして進めて行くかという、この段階に入つておるものと考えますので、さような考えから、財政支出をこれを抑止しまして、通貨の膨張を防ぎ、一面においては必要なる生産には資金を廻す、資金を廻すということは、結局金融の重点的配分でありまして、從つて健全金融主義に基いて、この重点的な金融の措置を講ずる、かような点において健全財政と健全金融を維持しながら、生産がそれがために抑制されないようにして行きたい、こういうようなことを考えておるわけであります。
#75
○委員長(櫻内辰郎君) 御通告による質疑は、これで大体終了いたしました。外に御質疑ございませんか。別に御発言もないようでありますから、直ちに討論に移ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認め、討論に入ります。討論は賛否を先にお述べになりましてお願いいたしたいと存じます。別に御発言もないようでありますから、討論終局したものと認めて採決いたすことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認め採決いたします。昭和二十三年度一般会計暫定予算補正第三号及び昭和二十三年度特別会計暫定予算補助特第二号を原案通り可決することに賛成のお方の御起立を願います。
   〔「総員起立」〕
#78
○委員長(櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において、本案の内容、委員会における質疑應答並びに討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。これより委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
   〔「多数意見者署名」〕
#80
○委員長(櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか。なしと認めます。これにて散会いたします。
   午後五時五十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           西川 昌夫君
           岡本 愛祐君
           中西  功君
   委員
           木下 源吾君
           小泉 秀吉君
           中村 正雄君
           村尾 重雄君
           石坂 豊一君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           鈴木 安孝君
           寺尾  豊君
           深水 六郎君
           入交 太藏君
           木内 四郎君
           小畑 哲夫君
           鈴木 順一君
           田口政五郎君
           油井賢太郎君
           飯田精太郎君
           岡部  常君
           河野 正夫君
           西郷吉之助君
           東浦 庄治君
           姫井 伊介君
           渡邊 甚吉君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 芦田  均君
   大 藏 大 臣 北村徳太郎君
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
   労 働 大 臣 加藤 勘十君
  政府委員
   大藏事務官
   (主計局次長) 河野 一之君
ソース: 国立国会図書館
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