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1953/03/25 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第24号
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1953/03/25 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第24号

#1
第019回国会 大蔵委員会 第24号
昭和二十九年三月二十五日(木曜日)
   午前十一時二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大矢半次郎君
   理事
           藤野 繁雄君
           小林 政夫君
           菊川 孝夫君
   委員
           青柳 秀夫君
           岡崎 真一君
           木内 四郎君
           白井  勇君
           山本 米治君
           土田國太郎君
           前田 久吉君
           成瀬 幡治君
           東   隆君
  政府委員
   外務政務次官  小滝  彬君
   大蔵政務次官  植木庚子郎君
   大蔵省主計局次
   長       正示啓次郎君
   大蔵省主税局税
   関部長     北島 武雄君
  説明員
   大蔵省主計局主
   計官      谷川  宏君
   大蔵省主計局主
   計官補佐    宮崎  仁君
   大蔵省管財局外
   国財産補償課長 小島要太郎君
  参考人
   カーボンブラッ
   ク懇和会専務理
   事       中原 乾二君
   ゴム工業会業務
   部長      勝本信之助君
   自動車タイヤ協
   会専務理事   林 紀子夫君
   東海電極製造株
   式会社営業部長 竹内金太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公認会計士法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○閉鎖機関令の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○金融機関再建整備法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
○旧日本占領地域に本店を有する会社
 の本邦内にある財産の整理に関する
 政令の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
○企業資本充実のための資産再評価等
 の特別措置法案(内閣送付)
○財政法第四十二条の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○関税定率法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。
 公認会計士法の一部を改正する法律案、(本審査)
 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、(予備審査)
 旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案、(予備審査)
 閉鎖機関令の一部を改正する法律案、(予備審査)
 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案、(予備審査)
 右五案を一括して政府より提案理由の説明を聴取いたします。運輸政務次官。
#3
○政府委員(植木庚子郎君) 只今議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 公認会計士試験につきましては、法律施行以来特別公認会計士試験を実施して参りましたが、この特別公認会計士試験の制度は、本年七月三十一日を以て終了することとなつております。
 併しながら公認会計士試験の第三次試験及び特別公認会計士試験の実施状況等から考え、又、公認会計士試験制度の確立を図りますために、この際、公認会計士となるには、何人も第三次試験に合格しなければならないという原則を確立する一方におきまして、特別公認会計士試験の受験資格者に対しまして、暫定的に、何らかの従来の特別公認会計士試験に代る制度を設けることが必要であると考えられます。
 即ち、昭和二十九年七月三十一日までに特別公認会計士試験を受けることができる資格のある者に対し、第三次試験を受けるため必要な専門的学識を有するかどうかを判定するための検定を行うこととし、これに合格した者は、三年間の実務補習等の期間の経過を要しないで、直ちに第三次試験を受けることができることといたしました。なお、この検定の実施は、昭和二十九年八月一日から三年以内に限定し、毎年二回行うことといたしております。
 次に金融機関再建整備法の一部を改正する法律案について御説明申上げます。
 戦後金融機関は、金融機関経理応急措置法及び金融機関再建整備法に基いてその旧勘定に属する資産及び負債の整理を行うこととなり、昭和二十三年、その大多数は、資本及び第二封鎖預金等の切捨てを行い、更に相当数のものは政府の補償を受けることにより旧勘定の最終処理を完了したのでありますが、その際、これらの金融機関は、旧勘定の整理に伴う事後調整のために新たに調整勘定を設け、前に旧勘定に属した資産負債の処分その他によつて生じた損益を、この勘定で経理することと相成りました。その後、この調整勘定の利益金は、予想以上に蓄積され、相当数の金融機関は、右利益金を、政府補償の返済、旧預金者に対する分配等に充てて来たのでありますが、この際、右調整勘定の処理を一層促進すると共に、当初金融機関の再建整備に当り、その対象から外された在外店舗に係る資産及び負債についても、可能な限り速かにその処理を促進するため、今般、金融機関再建整備法の改正を行うこととした次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申上げます。
 先ず、第一に、金融機関は、前に旧勘定に属した資産につき再評価を行なつた後にこれを処分したときは、その処分益に新たに再評価差額をも含めてこれを調整勘定で経理することとし、この場合には再評価積立金を取り崩さなければならないことといたしました。
 第二に、金融機関は、前に旧勘定に属した資産及び負債について、その整理の促進を図るため、新たに確定評価基準を設け得ることとし、これによる評価を行なつた場合にも調整勘定を閉鎖することができるものといたしました。
 第三に、金融機関は、その調整勘定を閉鎖する際、同勘定に利益金の残額があるときは、確定損を負担した株主に対し、その負担額及び利息に相当する金額を分配することができることといたしました。但し、在外店舗を有した金融機関につきましては、この部分は後に申上げます在外資産負債処理勘定に先ず繰り入れて、在外負債の支払財源に充て、更にこの在外勘定を閉鎖する際、同勘定に資産の残額があるときは、旧株主へ分配するということにいたしました。
 第四に、金融機関の在外資産負債につきまして、さきに在外財産問題調査会が内閣総理大臣宛提出いたしました答申の趣旨に則り、いわゆる未払送金為替や、在外預金の支払の途を開くことといたしました。
 即ち、金融機関は新たに在外資産負債処理勘定を設けまして、当該金融機関への帰属が確定した在外資産、調整勘定利益金の残額等を同勘定の資産の部に計上し、これら資産の範囲内で、その金融機関が本邦内に住所を有する者、閉鎖機関又は在外会社に対して負つている未払送金為替及び外地預金等の在外債務を支払うことといたしました。
 併しながら、当面、この在外資産負債処理勘定の資産の部に計上されるものは、一二の銀行を除いては、極めて僅少にとどまると存ぜられますので、特に未払送金為替につきまして一件の金額五万円までの部分は優先的にこれを支払うこととし、その不足する支払資金を調整勘定から借入れることができることといたしました。
 なお、以上、未払送金為替、外地預金等の債務又は債権のうち、現地通貨建乃至外貨建のものについては、その額の本邦通貨への換算につきまして別表の規定を設けました。
 以上要するに今回の改正は、営業を続けながら整理を進めるという金融機関再建整備法の立法の趣旨を尊重しつつ、できるだけ関係者間の利害の調整を図ろうとするものであります。従つて在外資産負債の関係で調整勘定利益金の分配を今日まで認めなかつた銀行につきましても、只今申述べました諸措置と併行して、旧領金者に対する分配を認める方向で考えております。
 次に旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案について説明申上げます。
 旧日本占領地域に本店を有する会社いわゆる在外会社の特殊整理につきましては、従来この政令の規定に従い、その本邦内にある財産の特殊整理を実施して参りまして、当初指定されました千百七十五社のうち、本邦内に資産がないため指定を解除したものが六百三十社、整理を完結したものが五百八社で、現在未整理のものは僅かに三十七社をあますのみとなつております。この在外会社のうち、金融機関である在外会社につきましては、その在内残余財産がある場合にも、未払送金為替及び在外預金に係る債務等は在外の債務であるとして、従来、この特殊整理の対象から除外されておりましたところ、今回、在外財産問題調査会から提出された内閣総理大臣に対する答申書の趣旨に従い、これらの債務を支払う途を開くと共に、在外会社の特殊整理を促進するために必要な措置を講ずることを目的として、この法案を提出いたしました次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申上げます。
 先ず第一に、在外金融機関は、在外店舗に係る債権債務のうち、未払送金為普、在外預金等に係る債務を特殊整理の対象に組み入れ、本邦内に住所を有する個人、法人、及びその他の閉鎖機関、在外会社に対して、現在残存している国内資産の範囲内で小額債務の部分を優先して支払うこととし、その場合、受領人に対して有する反対債権を相殺することができることといたしました。
 第二に、これらの債権債務の中には、現地通貨による表示のものもありますので、これらを本邦円貨額に換算するための所要の規定を設けることといたしました。
 第三に、在外会社は、金融機関から未払送金為替又は在外預金に係る債権の支払を受けることができることといたしました。
 次に閉鎖機関令の一部を改正する法律案について説明申上げます。
 閉鎖機関の特殊清算につきましては、昭和二十年九月以来、鋭意その処理を進めて参りまして、当初千八十八に上る閉鎖機関のうち、現在までに約千五機関が特殊清算の結了をみるに至りました。従来、閉鎖機関の清算は、その本邦内に在る財産についてのみ行われ、在外店舗に係る債権債務は清算の範囲外のものとせられて参りましたが、今般、在外財産問題調査会の答申を参酌し、これまで未処理のままとなつていた未払送金為替及び外地預金等に係る債権債務を弁済する途を開くと共に、閉鎖機関の清算を促進するために必要な措置を講ずることを目的として、この法律案を提出いたした次第であります。
 次にこの法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申上げます。
 先ず第一に、閉鎖機関は、在外店舗に係る債権債務のうち、未払送金為替、外地預金等については、本邦内に住所を有する個人、法人及びその他の閉鎖機関、在外会社に対して、現在残存している国内資産の限度内で支払を行い得ることとし、その場合、受領人に対して有する反対債権を相殺できるようにいたしました。なお、これら債権債務のうち、現地通貨建乃至外貨建のものについて、その額の本邦通貨額べの換算につきまして所要の規定を設けました。
 第二に、閉鎖機関の外地にある財産についても、特殊清算人は、大蔵大臣の承認を得て、管理・処分等の職務を行い得るものといたしました。
 第三に、閉鎖機関の債務のうち少額のものについて、これを信託又は供託して弁済を免れ得ることとし、又、閉鎖機関は、その発行した社債、営団債につき、銀行に償還の委託をすることにより、その債務を消滅せしめるものといたしました。
 最後に企業資本充実のための資産再論価等の特別措置法案につきまして説明申上げます。
 政府は、資産再評価の実施の状況並びに企業の資本構成、経理等の実情に鑑み、一定規模以上の会社について資産の再評価を強制すると共に、一定限度以上の再評価を行なつた者に対して再評価税及び固定資産税を軽減する等の措置を講ずることにより、企業資本の充実を促進し、その経営の安定と経理の健全化を図る必要があると考え、ここにこの法律案を提出することとしたのであります。
 以下、本法案につき、その大要を申上げます。
 先ず第一に、再評価の強制についてでありますが、一定規模以上の株式会社は、この法律の施行日後昭和二十九年中に開始する事業年度開始の日のいずれか一の日現在で、減価償却資産につき、再評価実施後の帳簿価額の総額が、第三次再評価の限度額の総額の百分の八十以上となるように再評価を行わなければならないものといたしました。但し、施行目前に既に再評価を行なつて、右の条件に適つている場合、又は、再評価を行わなくても昭和二十八年又は昭和二十九年中に始まる事業年度開始の日のいずれか一の日現在で再評価の対象となる減価償却資産の帳簿価額の総額がその日現在で計算した右の最低限度額を超えている場合においては、改めて再評価を行う必要はないものといたしております。
 第二に、陳腐化した資産等の多い会社につきましては、一旦最低限度まで再評価を行なつた後、大蔵大臣の承認を経て陳腐化資産等の帳簿価額の減額をさせることとし、適正な再評価を実施することができる途を開いております。
 又、再評価日後に生じた事由により帳簿価額の減額をする場合におきましても、その結果、再評価後の簿価総額が右の最低限度を下ることとなる場合には、あらかじめ大蔵大臣の承認を要することとし、再評価の強制の実効を失わせるような行為を防ぐことといたしております。
 第三に、再評価積立金の資本組入及び減価償却の励行のための措置でありますが、一定期間内に資本組入を一定限度以上行い、且つ、その事業年度において適正な減価償却を行なつた場合に限り、一定割合以上の利益配当を行うことを認めることといたしました。即ち、約二年間の猶予期間を置いた後、昭和三十二年三月三十一日を含む事業年度から三年間の各事業年度においては、その事業年度までに再評価積立金の百分の四十以上を資本に組み入れた場合でなければ年一割五分を超える配当を行なつてはならないものとし、又同一の猶予期間の後、普通償却範囲額の百分の九十以上の減価償却を行なつていない場合においても右と同様の配当制限を行うことといたしました。なお、この配当制限は、最低限度以上の再評価を行わなかつた会社に対しては、昭和二十九年十二月三十一日を含む事業年度から適用することといたしております。
 第四に、再評価税の減免でありますが、今回一定規模以上の会社について再評価を強制することとしたことに伴い、最低限度以上の再評価を行なつた者に対しましては、減価償却資産についての第三次再評価の再評価差額のうち再評価限度額の百分の六十五を超える部分に対する再評価税を全額免除することとし、再評価限度額の百分の六十五に達するまでの部分につきましては、第一次、第二次再評価に相当する部分として、これに対する再評価税の二分の一を免除することといたしております。なお、免除額の計算につきましては、納税者の選択により、個々の資産について第一次再評価の限度額に相当する額を算出して免除額の計算を行う途をも開いております。又、すでに第一次、第二次の再評価を行なつた者が最低限度以上の第三次再評価を行なつた場合には、この法律の施行の日以後に終了する事業年度分として納付すべき未納の旧再評価税についても、その二分の一を免除することといたしております。なお、再評価税の免除を受けた者が免除を受けた資産を一定期間内に譲渡しました場合には、免除を受けない者との権衡を考えて、免除額に相当する再評価税を譲渡の際に課することといたしております。
 更に、以上の措置に伴い再評価税の納付の時期の特例を設ける外、最低限度以上の再評価を行なつた者に対しては延納の最終期の制限を設けないこととし、又、今後最低限度以上の再評価を行おうとする場合及び陳腐化資産等の評価減を行うことが予想されている場合等に過納が生じないようにするための徴収猶予の規定を設ける等、所要の規定を設けております。
 第五に、固定資産税につきましては、再評価を行なつたことによつてその負担が直ちに増加することがないように特別の措置を講じております。即ち、最低限度以上の再評価を行なつた者に対する昭和三十年度から三年度間の家屋以外の償却資産に対する固定資産税につきましては、その資産の評価額が昭和二十九年度分の課税の基礎となつた価格を超える場合には、原則として昭和二十九年度分の課税標準を以てこれに代えることとし、すでに昭和二十九年中に再評価を行なつた資産の再評価額が昭和二十九年度分の課税の基礎となつている場合には、原則として昭和二十八年度分の課税価格を超えることがないように措置しております。
 以上の再評価税及び固定資産税の軽減の措置によりまして、再評価を強制される会社は勿論、自発的に最低限度以上の再評価を行なつた場合にも、再評価に伴つて企業の税負担が直接増加することはなくなるのであります。
 最後に、一般投資家乃至取引先等に対して企業経理の実態を認識させる意味におきまして、当分の間、資本金五百万円以上の株式会社等が総会に対して提出し、又は新聞に公告する貸借対照表には、再評価の実施状況を附記させることとし、又、右の貸借対照表と共に総会に提出する損益計算書には、減価償却の実施状況を附記させることといたしております。
 以上五つの法律案の概要を申上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上、速かに賛成せられるようお願いいたす次第であります。
#4
○小林政夫君 今提案理由の説明を承わつたもので、是非三月三十一日までに上げなければならんという御見解のものがありますか。
#5
○政府委員(植木庚子郎君) お答え申上げます。只今御説明申上げました法律案につきましては、年度内にどうしても上げて頂かなければ困るというものはないようでございます。
#6
○小林政夫君 この提案理由の説明でしばしば出て来る在外財産問題調査会から内閣総理大臣に対する答申、これは新聞紙上等では拝見いたしましたが、一応正式なものを資料として出して頂きたい。提案理由説明と殆んど同じぐらいのウエイトを持つておると思いますから。
#7
○政府委員(植木庚子郎君) 承知いたしました。
  ―――――――――――――
#8
○委員長(大矢半次郎君) 五法案に対する質疑は次回に譲りまして、次に財政法第四十二条の特例に関する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
#9
○菊川孝夫君 質問に入る前に、ここに安全保障諸費使用状況及び使用見込額調べというものの資料を主計局から出されましたが、ちよつと見てもなかなかわかりにくいんですが、一遍この資料に基いて説明を願いたいと思います。
#10
○政府委員(正示啓次郎君) 前の本委員会におきまして、財政法第四十二条の特例に関する法律案の資料といたしまして、安全保障諸費並びに連合国財産補償費につきまして、従来までの使用状況及び今後の使用見込みを提出しろということで御提出を申上げたのでありますが、只今御指摘の安全保障諸費使用状況及び使用見込額調べ、これにつきまして、概略を先ず申上げ、尚詳細を担当の者から申上げたいと思います。お手許にお配りいたしました安全保障諸費使用状況及び使用見込額調べの資料でございますが、先ず一番左側には予算額、これは御承知のように五百六十億ということで計上されておるのでありますが、そのうち昭和二十七年度移替済、これは私どもな各省所管に移替えまして使用いたしまして、その移替済という意味でございます。御承知のように大蔵省所管に計上いたしておりまして、それを建設省なり或いは農林省その他の各省に移替えをいたしまして使用いたすのであります。その移替済額がここにございますように二百五十八億九百万円ということに相成つておるのであります。その内訳はあとで詳しく申上げることにいたしまして、その右側の欄は昭和二十八年度中の本年一月末目までの移替済額を掲げてございます。即ちここにございますように総額で百三十三億二千六百万円ということに相成つておるのであります。それから更に右側に参りまして、本年一月末日までには移替えを見ておりませんが、尚年度内に多少の移替えの見込みのものもある。尚、今回の特例法によりまして、繰趣しをお認め頂ければ、二十九年度においても移替見込みのものといたしまして、百六十八億六千五百万円を掲記いたしたのであります。これによりまして、五百六十億の予算額は大体すべて必要になるという見込みでございます。
 この移替済額と今後の見込額を通じまして大きな内訳を申上げますと、一番左側の区分という欄にございますように、先ず第一は道路でございますが、この道路は総額において五百六十億のうち百四十六億六千万円、一番右側に使用額合計という欄がございますから、これを御覧頂きますと百四十六億六千万円が大体かかる見込みでございます。そのうち実際二十七年度に使いましたのが百五億一千万円、二十八年度中の移替済額が二十八億二千七百万円、今後の使用見込が十三億二千三百万円ということでございます。
 次に河川に参りますと、これは二十七年度の移替済が千二百万円、二十八年度中はございませんで、今後におきまして二千六百万円、合せて三千八百万円が河川の改修等に使われるものと見込んでおるわけであります。
 次に港湾は昭和二十七年度中に二十八億八千四百万円が移替済になつておりまして、二十八年度本年一月末日までには十二億五千三百万円、今後の見込といたしまして十億四千七百万円、合計で五十一億八千四百万円というものが港湾の修築その他の施設のために使われる予定になつておるのでございます。
 次のページに参りまして漁港の関係でございますが、これは二十七年度二十八年度中は今までのところ移替は済んでおりませんが、大体一番右側にございますように四千五百万円を、これは大体年度内に移替える見込になつております。
 それから次は通信施設でございますが、これは二十七年度中はございませんが、二十八年度におきましてすでに一億九千八百万円を移替済でございます。今後の使用見込といたしましては大体十億円ぐらいを約五十件のものにつきまして予定をいたしておるのであります。総額で十一億九千八百万円ということに相成つております。
 次には保安施設でございますが、これは二十七年度中に九億三千万円を移替済でございます。その内訳はここにございますように、保安大学と保安庁関係のヘリコプターの購入でございまして、これは今後におきましてはこの分の支出はない見込でございます。
 最後に残りました項目は営繕でございますが、二十七年度中に百十四億七千三百万円を移替いたしまして、二十八年度一月末日までが九十億四千七百万円、今後の年度内並びに二十九年度の分を合せまして百三十四億二千四百万円、その合計が三百三十九億四千四百万円ということに見込まれるのであります。
 大体御覧の通りに営繕が最も大きな比重を占めており、次ぎまして道路、港湾、通信施設というふうな恰好になつております。
 本日は担当の課長及び課長補佐が参つておりますが、以下もうちよつと詳しく続いて御説明を申上げたいと思います。
#11
○説明員(谷川宏君) 更に詳しく御説明申上げます。
 先ず道路でございますが、道路につきましては、この安全保障諸費が組まれきした二十七年度におきまして、米軍との間の計画の決定等につきまして数次に亘りまして交渉いたしました結果、大体の見通しがついたのがその年度半ば過ぎでございました。その結果二十七年度におきましては、この表にございます通り百五億一千万円の移替が決定いたしたのでございまするが、併しながらこの実際の支出の面につきましては、この移替決定した以降におきまして、各関係の都道府県との交渉及び実際の設計その他の関係等がございまして、現金の支出が出ましたのは非常に僅かにとどまつておるのでございます。
 先ずこの内容でございまするが、百五億一千万円、これを四つに大別いたしまして御説明申上げたいと思いまするが、先ず演習場関係におきましては七十六カ所、四百六十五キロ・メートル、この金額が四十五億八千六百万円、一例を申上げますると、沼津、御殿場の間、これは御殿場に演習場がございまして、そこへ行く駐留米軍の使用する主要道路がございます。富士山の演習場でございますが、そういうような所を初めといたしまして七十六カ所ございます。これが数としては一番多いのでございますが、次には航空基地の関係が六十九カ所ございます。これが二十四億九千八百万円、長さにいたしまして百七十九キロメートル、北海道の基地の周辺の道路が多いのでございますが、札幌―千歳間、これが主要な道路でございます。次にはキヤンプの関係でございますが、これは四十四カ所、百十七キロメートル、金額にいたしまして二十億九千七百万円、例えば横浜―座間間の道路がございますが、これを鋪装いたしたのでございます。その他といたしまして三十九カ所、七十五キロメートル、十三億三千三百万円、以上合計いたしますると二百二十八カ所、八百九十四キロメートル、百五億一千万円ということに相成るわけでございます。二十七年度の使い済みが百五億で、大体、軍との関係におきましてはこの程度やれば済むという見通しがございましたが、更にその後における提供などで、二十八年度において、二十八億二千七百万円というのが一月末までに決定したわけでございます。更にその後、妙義山その他の演習場関係がございますので本年度中には十三億二千三百万円という金額が予定されるわけでございます。
 先ず二十八年度の使い済み額の二十八億二千七百万円、これについで今御説明申上げたように分類いたしますと、演習場関係で十七カ所、五十三キロメートル、金額で六億五百万円。航空基地の関係が十五カ所、十七キロメートル、二億七千八百万円。キヤンプ関係につきまして二十七カ所、九十六キロメートル、十億七千五百万円。その他の施設関係といたしまして二十七カ所、百一キロメートル、八億六千九百万円。合計いたしますと八十六カ所、二百六十七キロメートル、二十八億二千七百万円。これで軍の要望、或いは地元の要求等に対しまして大体始末がつくのでございますが、更に十三億二千三百万円の必要があるわけでございます。
 その主なものを申上げますと、先ず演習場関係が妙義山を始めといたしまして十カ所、三十キロメートル、三億五千六百万円。航空基地の関係基地の拡張でございますが、三カ所、九キロメートル、二千四百万円。それからキャンプの関係五カ所、十五キロメートル、八千四百万円。その他の施設関係が三十八カ所、百十五キロメートル、八億五千九百万円。その合計が五十六カ所、百六十九キロメートル、十三億二千三百万円ということに相成るわけでございます。
 以上を以ちまして、道路関係といたしましては、五百六十億のうち百四十六億六千万円が予定されておるわけでございます。
 次に河川に参りますと、河川は二十七年度に使い済みましたのは千葉県の真亀川の改修工事でございます。これは軍のキヤンプの傍を川が流れております。その川の改修でございまして、千二百万円。それから今後埼玉県の不老川の改修、二千六百万円、合計三千八百万円。
 次に港湾に参りますると、港湾につきましては原則といたしまして代替施設の関係を主として安保諸費で見ることになつておるわけでございますが、二十七年度に使い済みましたのが二十八億八千四百万円、この表に書いてございます通り、十の港湾、横浜港高島岸壁、出田町、川崎、神戸、横須賀、佐世保、門司、小樽、八戸、名古屋、博多、合計二十八億二千九百万円。二十八年の四月から今年の一月末までに二十八年度分として使い済みましたのは十二億五千三百万円でございまして、この代替施設の関係が四港、九億八千五百万円。横浜港の北の突堤、出田町の突堤、名古屋、金石、これは石川県でございます。それから門司。今後の使用分といたしましては、代替施設の関係が四港、これが十億四千七百万円、横浜の新山下の突堤、それから神戸、小倉、徳山、こうなつております。代替施設の関係はこれだけでございますが、次の頁に、港湾の第二の十目といたしまして、救難基地の関係がございます。これが二十七年度中に移替が済みましたのが五港ございまして、これが五千五百万円、大阪、八戸、塩釜、宇島、室蘭。二十八年度になりまして、四月から一月の末までに代替施設以外で移替をやりましたのが、先ず弾薬の荷上げの施設、これは軍の要求によりまして二港だけ移替をいたしまして、工事を進めているわけでございます。これは忠海、名古屋でございます。これが一億四千八百万円。次に輸送の施設の整備といたしまして、関門海峡、これは軍の九州と本土との連絡の関係上、輸送施設が今まで非常に弱体でございますので、輸送を補強する。これが二千五百万円、
 次に奥尻、厳原の電探基地の二港の整備、補修でございますが、これが九千五百万円ということになりまして、港湾関係で二十八年度一月末までに移替えましたのが十二億五千三百万円ということになつておるわけであります。それから今後の使用予定といたしましては、先程の四港以外に、輸送施設の整備といたしまして、二億一千万円、これは富岡と追浜、横島、大島、この四カ所だけ整備をいたすことに計画を進めて、軍との協定ができております。これを合計いたしますと、港湾関係で、前の頁にありますように、五十一億八千四百万円ということに相成るわけであります。
 第四番目といたしましては漁港の関係でございますが、今までには移替が済んだのはございませんが話合いがついたのは和歌山県の白野港、これは四千五百万円、これも軍の要求によりまして、これだけ出すことにいたしたわけであります。
 第五の部類としまして通信施設でございまするが、これが二十八年といたしまして一億九千八百万円、これはグリーン・パ一ク、三鷹の宿舎の関係でございますが、それが一億九千八百万円。それから今後の関係といたしまして十億、次に申上げまする営繕関係の施設を作りますと、都心から地方のほうに施設が移りますると、通信施設もそれの関連土移す必要がございまするので、その関係としまして、大体五十件、十億を見込んだわけでございます。通信関係といたしまして十一億九千八百万円と相成つております。
 次の保安施設でございますが、これに当初安全保障諸費を編成いたしまする場合に、この代替施設の外に、保安施設につきましても、当時の国会で大蔵大臣から御承認を得まして移替えたわけでございますが、その関係が九億三千万円。保安大学の三億と、ヘリコプター二機の六億三千万円ということに相成つておりまして、この関連は、この後はそれぞれ保安庁の経費の方も相当見ることになりましたので、そちらの方で見ることにいたしました。
 最後に一番大きい営繕関係でございますが、これが二十七年度に移替が済みましたのが、ここに書いてございますように百十四億七千三百万円、その中で一番大きいのが空軍の関係の七十九億一千万円、それから海軍が十四億七千七百万円、陸軍が二十億、この二十七年度におきましては空軍が七十九億、これは空軍が計画の出し方が早うございましたので、着手が早かつた関係がございます。併し二十八年度に参りますると陸軍の関係が多くなつて来るわけでございます。
 先ず二十七年度の空軍関係でございまするが、これは主として宿舎の関係でございまして、先ず三鷹の宿舎、それを改築する。殆んど新築同様でございまするが、これが二十七億五千三百万円、芦屋の宿舎二億四千五百万円、立川の宿舎が十三億八千万円、千葉県の白井の宿舎が六億五千万円、それから府中の空軍司令部でございますが、これは二十八億八千二百万円、合計七十九億一千万円を以ちまして着々工事を進捗してございまするが、何ぶん一件あたりの工費が相当かかりまするので、まだ完成はいたしておりません。三鷹だけが完成しておるわけでございます。白井も近く完成することになつております。それから海軍の関係が二件で十四億七千七百万円、横須賀と佐世保の宿舎の関係でございます。
 それから次のページに参りまして陸軍の関係が四カ所ございますが、これは相模補給廠の一億一千五百万円、内灘の陸軍の宿舎七千三百万円、朝霞の宿舎五億、尼ケ崎の陸軍補給廠十三億九千八百万円、四件二十億八千六百万円、この二十七年度使い済み額が合計して百十四億七千三百万円と相成つております。
 二十八年度になりまして、二十七年度全体の計画がなかなか移転の場所の関係等ございまして決りませんでしたわけでございます。それで二十八年度になりまして、まあどつと一どきに大体決つたわけでございまして、それが先ず空軍の関係といたしまして二十一億三千八百万円、六件ございまして、岩国の鉄道の引込みの関係、これが七千七百万円、それから小牧、守山、これはいずれも宿舎でございますが、それぞれ七億七百万円、十億三百万円、それから大府の通信施設一億三千万円、伊丹の宿舎が一億四千万円、それから府中の将官の宿舎、これが八千二百万円、合計いたしまして空軍で一月末までに二十一億三千八百万円決定したわけでございます。海軍関係はございませんで、次は陸軍の関係でございまするが、これは十七件ございまして、六一九億九百万円、相模の補給廠の関係が、初めの二十七年度の直ぐ左の欄に書いてございます一億一千五百万円は最初着手したときの小規模のものでございまして、本格的に設計がまとまりまして十三億六千五百万円が決つたわけでございます。次に尼ヶ崎の補給廠一億四千三百万円、磯子富岡の倉庫の関係といたしまして二億八千二百万円、それから小泉の宿舎、これが十四億一千万円、横浜の倉庫といたしまして十二億一千二百万円、川崎の倉庫が一千九百万円、淵野辺の研究所これが三千六百万円、それから座間の病院が九億五千七百万円、それから横浜の下士官食堂二千七百万円、東京の補給廠のQM・デポ、これが一億七千万円、それから横浜のフライヤージムの移設、これは体育館でございまするが、これが四千五百万円、それから大阪の貿易館の改修工事九百万円、世田ケ谷の陸軍倉庫が一億六千万円、座間の将校の宿舎が八億九千万円、座間の将官の宿舎が一億三千九百円、朝霞のキヤンプの洗濯所の改修工事といたしまして一億四千二百万円、それから横浜のカフエテリヤが四千五百万円合計いたしまして陸軍関係が六十九億九百万円で、陸軍、空軍、海軍の営繕の関係が九十億四千七百万円と相成つております。
 今後の使用見込でございまするが、この関係といたしまして百三十四億二千四百万円ということになつております。このうち、すでにこの計画の確定いたしましたものが八十億ばかりあるわけでございまするが、その大部分は殆んど全部が陸軍関係でございまして、空軍、海軍はすでに使い済みのものでおよそ賄いがつくという見通しでございます。陸軍関係といたしまして七十八億三千三百万円、その内訳は、横浜の倉庫の関係が一億一千八百万円、それからワシントン・ハイツの宿舎の施設が十五億八千万円、パーシング・ハイツが三億六千万円、これらによりまして、まだ都心にあります第一ホテルその他の民有のホテルを接収しておりますが、これが完成いたしますると、ここに移ることによりまして、現在接収中の民有のホテルその他が接収解除になるわけでございます。それから深川のP・〇・L、これが九千三百万円、大門のガレージが二億二千百万円、次のページに参りまして、C・P・〇の移設、横浜に来るわけでございますが、これが八千九百万円、それから神戸の東キヤンプといたしまして六千二百万円、大船の写真工場の改修工事といたしまして五千万円、聖ロカ病院の分院が一億円、それから神戸港湾司令部が三千万円、横島のP・〇・Lが一億七千四百万円、新山下の将校宿舎が八億二百万円、それから横浜地区の岸根の宿舎といたしまして十三億五千八百万円、横浜の中央部におきましてまだ相当のホテルその他が接収されておりますので、これができますと、大部分が解除になるわけでございます。次にハーデイ・バラツク、これは現在大蔵省の虎の門の宿舎その他民有の施設その他がまだ相当事務所として接収を受けておりますが、これが完成すると解除になるわけでございます。ハーデイ・バラツクが二十七億九千六百万円、以上七十八億三千三百万円というのが今後の使用見込みでございます。併しながらこれらは軍との打合せは済んでおりまして、設計その他も大部分もう揃つております。このうち若干のものはすでに印刷に付したものもございまするが、今後まだ資料の収集その他必要がございまして今後来年度にまたがりまして、契約する必要があるわけでございます。
 以上がはつきり日本政府といたしまして施設を作ることが決定した分でございまするが、目下、計画検討中のものとしまして四十三億九千百万円、この点につきましても軍の要求は相当強いのでございまするが、日本政府といたしましてはいろいろな周囲の情勢その他を考えまして、更に圧縮できるかどうか等につきましても目下検討しておるわけでございます。そのうち横浜のR・P・Eの関係が十億と、住宅の関係八件と申ますのが、以上をもちましてもまだ軍の住宅の要求は相当大きいのでございまして、それを半分までは参りませんが或る程度充たすといたしましても十五億の金が要るわけでございます。それから空軍の基地の関係といたしまして三億九千百万円、これも現在わかつおりまする範囲内でこの程度がまだ必要である。それから病院の関係といたしまして、大きい病院は福岡とか大阪、京都と、日本赤十字或いは郵政省の建物が接収を受けまして、まだ使つておるわけでございますので、これを二件だけどうしても返さなければいけないと、赤十字の関係その他を考慮いたしますと、大体十五億要る。この検討中のもので四十二億九千百万円は今後の先方との交渉、或いは日本政府内部の関係各省との話合いによりましては、金額は或いは多少ふえるという関係のものでございます。更に最後に設計変更等のための予備、以上のように営繕関係といたしましての三百三十九億というものの大部分が、現在目下工事着工進行中のものでございまして、これらにつきましては、この三百億以上の金額に対しまして、僅か十二億の予備費でございまするが、これは設計の変更等が従来の軍の要求実施上におきましては、通例起り得るという関係がございましたので、ここに計上したわけでございます。
 以上を以ちまして今後の使用見込みが百三十三億二千四百万円と相成りまして、合計五百六十億は以上のような計画を以て進めておるわけでございます。
#12
○前田久吉君 ちよつと伺いたいのですが、完成したら、接収しておる第一ホテルとか、皆あけるというのは、いつ頃になるのですか。
#13
○説明員(谷川宏君) 只今の見通しは、第一ホテルにつきましては、今年の暮か三十年の大体今頃までには、遅くともあけ渡しができるというふうに考えております。
#14
○成瀬幡治君 小瀧さんのほうに関連してお尋ねいたしますが、具体的な問題としてお尋ねしたいのは、ワシントン・ハイツの問題ですが、これも合同委員会で決定して、すでに工事に着手しておるわけですが、なぜ都議会とか或いは渋谷の区会の意向とか、或いは住民の意向を聞かずにやつておるのですか。国有地だから、そういうものは勝手にやつてよい、こういう態度ですか。
#15
○政府委員(小滝彬君) この問題はしばしばいろいろな委員会で申上げますように、全部調達庁の方に移管されておりますが、その以前に外務省として扱つたことがございますので、調達庁に代つてお答えいたします。御指摘のように、あの土地は国有地でありまして、政府の方では、原則として成るべく都心から離れて、而も又民有地でなしに国有のところへ移転させるという方針をとつたのでありますが、国有地という問題と、もう一つは、なるべく都心から離れてと考えましても、なかなか恰好なところが他にないから、結局は練兵場になつておつたところをすでに一昨年米側に提供しておりますので、そこでこの施設を建てることにしたわけであります。すでに建設省の方でこれについての設計も終え、工事に取りかかることになつております。区会或いはその近隣の方に御相談申上げなければならん点もありましようが、それは主として、今後どういうようにして弊害を少くするか、風紀問題などが起らないようにするかという関係のものでありまして、これにつきましては、現にいろいろ話合いを始めておるわけであります。ただこれを建てることにつきまして、御相談しなかつたのは事実でありますが、併し御承知のように、どこでやりましても、これを建てることを歓迎してくれるところは少い。事実いろいろ問題が起つているわけでありますが、あそこの方は比較的弊害が少いであろうということで、外に適当なところがないものですから、もつといいところがあればそれに越したことはございませんけれども、外に適当なところがない。結局あの国有地を使わざるを得ないというところで決定したわけでありまして、今後の措置としてはいろいろ連絡協議会なども作りまして、十分弊害がないように最善を尽したい意向であります。
#16
○成瀬幡治君 責任があなたのほうでなくて、調達庁がやつたということなのですか。
#17
○政府委員(小滝彬君) 仮に外務省が前やつておりましても、現在その主管をしているところへそうした問題は全部移管されたわけでありますけれども、勿論、合同委員会で解決できない、外交的な折衝を要するという場合には、外務省が取扱うわけでございます。併し現実の問題は今調達庁が直接取計らう。そういう機構の改革を昨年の十二月にいたしました。
#18
○成瀬幡治君 だから形式的な決定はあなたのほうと大蔵省とでやつたということは分りますが、調達庁が米軍との間に事前折衝をして、話を決めてしまつた。調達庁としては周囲の関係なども十分調査して、そしてこういうふうになつたという態度を決めて外務省へ持つて来た。だから外務省は無条件に、形式的に判を捺した、こういうわけだから、あなたは最初にこの問題は調達庁の問題だと、こういうふうに言われるわけですか。
#19
○政府委員(小滝彬君) 施設を提供するような関係は施設特別委員会というようなものがありまして、その委員長は調達庁の長官をいたしております福島君がやつておるわけであります。そして、その事務は調達庁でやられるので、特に外交的にいろいろ問題のある場合は外務省が更に取上げるかも知れませんが、一応調達庁の方で主管しております。随時協議を受けることもありますけれども、現在はそうなつております。
#20
○成瀬幡治君 私は国有地だから勝手に政府がいろんなものを作つていいということはないと思うんです。で、少くとも渋谷区会の意向ぐらいは聞いてきめられないから、今日ああいう問題が起きておつたと思うのです。これを、今、地元は賛成していない。反対しているわけです。止めるというようなことは考えられないのですか。中止というようなことは……
#21
○政府委員(小滝彬君) 仮定を以て答えますならば、他にこれよりより適切なものがあるということになれば、仮定としてはそれをできないとは言えないでしようが、事実もう既に設計も済み、すべてそれによつて取計らわれておりますし、現実の問題として、これよりいいところがないから、できるだけ弊害を少くしてこれを遂行するという以外に方法はないと存じます。
#22
○成瀬幡治君 この問題をここで余りやつても委員会が違うかとも思うのでありますが、もう一つ具体的にお聞きしたい点は、折衝中の病院の中に入つておるという話でありますが、これは安全保障諸費から支払われなくてアメリカからの費用のみでやる。そういこものがありますか。
#23
○説明員(谷川宏君) その折衝中のものの中に、私どもが今考えておりまする四十億近くのもの、その金額は日本政府が出すことを予定しておりますが、それに関連いたしまして、アメリカ政府がドル負担で若干の工事をやるという例はございます。
#24
○成瀬幡治君 そうすると、アメリカのドルそのものだけでやるというのではなくて、安全保障諸費で例えば建物だけ作つた場合に、中の機械とか、ベツドとか、そういうようなものを入れる費用はアメリカのドルでやるというものはないのですか、
#25
○説明員(谷川宏君) 例えばアメリカのドル負担でやる第一のものは、飛行場の滑走路の直接の工事費或いは施設の中の或る一定の日本人の基準以上に必要とする、いわば私どもから見ますると、或る程度贅沢だと考えられるような種類の施設費というものにつきましては、先方で持つということになつております。
#26
○成瀬幡治君 次官にお尋ねしたいのですが、調達庁が土地を買収する場合に、これは病院を建てるからといつて、この土地を調達庁が買うわけですが、そうしたら病院ができずに……小牧なんぞの例を言うのですが、名古屋の郵政局をとつておるわけですが、それを小牧に移転する。なかなか病院は建たない。その場合に、病院が結局建たないというような場合は、それは土地を一遍買収したのを返してやるとか、そういうようなことは行われるのですか。それはどうするのですか。
#27
○説明員(谷川宏君) 具体的の御質問でございまするが、小牧につきましては、現在、拡張計画がございまして、土地の買収につきましても、現在、買収したもの、及び将来買収する計画もございますが、現在買収してしまつたものにつきましては、この病院ばかりでなしに、この宿舎、そういう関係のものも既に予算がきまりまして、アメリカと話が済んだものもございますが、それを建てることにしておるわけであります。
#28
○成瀬幡治君 具体的に言うと、病院が建つわけですか。
#29
○説明員(谷川宏君) 病院ではなくて宿舎でございます。宿舎の計画がきまつておりますので、宿舎を建てることになつております。
#30
○成瀬幡治君 あそこは病院と宿舎と両方建てるために買収したんですよ。土地は。病院の問題は安全保障諸費ではなくて、ドルそのものでやるというように聞いておつたのです。今、話を聞くと、そういう病院の計画は全然ないのだということですか。
#31
○説明員(谷川宏君) この宿舎と病院と、宿舎に附属する若干の小さい診療所程度のものは先方で作るという話はございますが、名古屋の郵政局が接収されておりますが、その代りの病院という意味であれば、現在まだ病院をあそこに作るかどうかという点はきまつていないわけです。折衝の途中であります。
#32
○小林政夫君 今の点で今の問題にあてはまるかどうかわかりませんけれども、防衛分担金と安全保障諸費との関連です。防衛分担金から出してやるものと、多少こちらでやるという問題があるのではないか。
#33
○説明員(谷川宏君) 予算のほうといたしましては防衛支出金、その中には今御指摘の分担金、正式には駐留米軍交付金という名で呼ばれておりますが、それと提供施設の借料その他、これが防衛支出金でございます。その米軍に対する交付金、それとこちらの安全保障諸費との関係でございますが、米軍交付金は、日本政府が行政協定の二十五条によりまして、協定に対する義務として米軍に交付するわけでございます。それを以ちまして米軍といたしましては、主として需品の調達、或いは役務の調達、或いは用役関係そういう関係に使うわけでございまして、施設の関係には使わないわけでございます。安全保障諸費は一回限りの経費でございまして、主として、都心から地方に施設が移転するに伴いまして、営繕施設、或いは航路の啓開、或いは港湾の施設という建設的な工事費に使われるわけでございます。
#34
○小林政夫君 原則的にどうなつておるかということは承知しておりますが、役務の調達といつても、道路を直すような場合に、人夫を雇つてこちらでやるか、ここまでは俺のほうでやろう、ドル払いでやろうというような、多少交錯する所があるのではないか。
#35
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、只今申上げました通り、安全保障諸費は臨時的で、防衛支出金は駐留軍を経常的に維持して行くための経費であります。従いまして、同じ労務費と申しましてもいわば常傭い的に、ずつと経常的に傭つておるのが防衛支出金の系統でございまして、安全保障諸費のほうはその工事がある間のものを払つておる、こういうふうになつておりますので、その間、混淆はないのであります。
#36
○成瀬幡治君 私はもう基地などは数がふえて行かないだろうと予想していたのですが、そうしたら四十三億九千百万円まだ折衝中のものが残つておる。新らしいものはAの地点のものをBの地点に移すとか、若干拡張するというもののみか。全く新らしいものがあるのかないのか。
#37
○政府委員(小滝彬君) これは、この表でも御覧になりますように他から移転させる、民間のものをなるべく使わない、而も従来向うのほうが設計とか細かい注文を出しますためにもつと早くすべかりしものが、ずれて来たというような関係であります。飛行場などにつきましては滑走路を長くするというようなものもないではございませんけれども、今これが非常に拡張されて新しいものを要求するという性質のものではなしに、これまでもつと早くできなければならなかつたものがそんな関係で遅れたという実情でございます。
#38
○成瀬幡治君 そうすると、新らしいものは全くない、そういうふうに承知していいわけですか。
#39
○政府委員(小滝彬君) 例えばレーダーの基地などは随分ふえました。それから飛行場のほうも、北海道で外国の飛行機が入つて来たというような関係もありまして、美幌あたりのほうを増さなければならんという関係がありまして、それ以外には新らしいものはないわけであります。
#40
○成瀬幡治君 そうすると、二十九年度の十三億の中に演習場が十カ所という話を聞きました。その中に妙義の例が出て参りました。そうすると、これはまだ閣議で決定してないわけですね。それなのにあなたのほうは計画して計上している。或いは北海道の十勝の上陸用演習場の問題、そういうものまでこれに入つているのか、十カ所の中に。或いはこの四十三億の折衝中のものに入つているのか。明確にして頂きたい。
#41
○説明員(谷川宏君) 妙義につきましては、すでに決定したほうに入つてございます。ただこの点につきましては、閣議決定は正式にはまだ済んでございませんが、その前に大体米軍との話合いもつきまして、大体提供することには政府の方針としても決つておりまして、地元との折衝をうまくつけるようにということで、私ども関係者努力いたしておるわけでございます。大体の見通しとしてはうまく話がつきまして、円満に提供することができるという見通しでおります。
#42
○成瀬幡治君 十勝は入つているのか、北海道のあれは……。
#43
○説明員(谷川宏君) 十勝はまだ入つておりません。今後折衝中のものの中に入つております。
#44
○成瀬幡治君 だから私は、はつきり、そこはあなたは余り細かいことがわからなければ、私は谷川さんにお答え願いたいが、例えば今言つたように十勝に上陸用演習場を設けるという新らしいところがあるならば説明してもらいたい。
#45
○政府委員(小滝彬君) 私から一応私の先ほどの答弁に関連して申上げます。十勝の問題にいたしましても、随分長い間すつたもんだをやつておるが、(成瀬幡治君「半年ばかりやつたじやないか」と述ぶ)前からどこかなければならないというのは、場所を変えたり、折衝しているから、もともと計画はあつたのに対して、日本のいろいろ経済的な影響、社会的な影響というものを考えて土地を物色するとかいうような関係があつて遅れているので、私どもの解釈では、最初から言われておるのを……妙義山の問題にしても同様でありますが、いろいろ問題があつたために遅れているので、米軍側から言えば新らしい計画として新らしい演習場をとるという性質のものでないということを言われておりますが、日本側の立場で私は申上げます。最初から折衝しておりまするから、その関係において新らしく出て来たものじやない。日本側の立場から言つても新らしく出て来たものじやない。最初から要求があることを知つていて、それをできるだけ円満に収めようとして実施が遅れているという性質のものであります。詳細は大蔵省のほうから……。
#46
○成瀬幡治君 私が聞きたいのは、折衝でどうなつたかという問題ではなくて、本当に新らしく土地がとられるのか。いつ出て来るのか。十の中に入つているか、入つていないか。現に妙義は今言つたように新らしく取られるわけです。政府とアメリカとの間の話合いは進められて、新らしくないかも知れない。ところが土地の人には初めてです。そういうところがあるかないかということを、私ははつきりしてもらいたいと、こう言つているわけです。例えば岩木山と関根との関係もむつかしい。そういうものはアメリカとの、この演習場の十カ所の中に入つてしまつておるのか。そうではなくて、それは四十三億の折衝中のものに入つているのかという点を明らかにしてもらいたいと言つている。
#47
○説明員(谷川宏君) この四十三億につきましては、三月十日現在におきまして折衝中という意味でございまして、その後に毎週一回施設特別委員会がございまして、折衝しているわけでございますが、今お尋ねの東北地方の岩木とか、それから北海道の十勝でございますが、それは一応まあ四十三億の中に入つておりますが、できるだけ私どもは円満に地元との話合いをつける。提供するかしないか、提供すると決つた場合においても、できるだけ円満に処置を講じて事を運びたいと考えているわけでございます。妙義の問題につきましては立入りも自由でございますし、実際その使用制限される範囲も極力狭くして貰うということで外務省を通して交渉しておりますし、その点につきましては地元との話合いもまあ比較的順調に進んでいるわけでありまして、一例を妙義にとりましたが、その他の地区につきましても、現在先方から申出がありまして、まだ提供できてないところにつきましても、そういうような方針で、できるだけ円満に事を運んで行きたい。こういうふうに考えております。
#48
○成瀬幡治君 妙義の問題については、外務省から向うに対して承諾をしたという手紙みたいなものを出されたということは私も聞いております。併し今要求中のものにつきましては、折衝して今後削つて行くか知れん、向うは日本の要望に対しまして幾らか折れて来て譲つて行くかも知れんという明るい見通しを持つておつたんです。その中に例えば今言つたふうに十勝の問題が入つている、或いは岩木山の問題が入つているというなら、私は見通しが明るいと思うんです。今後のあなた方の努力次第によつては……。だからやかましく言うんですが、こういうものは今言つたふうにはつきり折衝中の中に入つているわけです。だから今後のアメリカとの折衝においては、日本側の強い要望によつてはこれは撤回させることができる、こういうように了承していいわけですか。
#49
○政府委員(小滝彬君) 日本側の希望から言えば、できるだけとつて貰いたくないんで、いろいろ理由を述べて折衝しておりまするが、ただ先方の要求するのは、若しそれほど社会的経済的にその地域が不適当であるなら別のところを提供してくれという要求を向うは出すわけなんですが、ところがなかなかほかにもいいところがない。現在向うのほうでこれなら何とか辛抱できるというような場所は日本側で承知できないというようなわけで遅れておるんで、果して全然それに代るべき施設を提供しないで、全面的にこれまでの要求を撤回させられるかどうかということは、これは今ここではつきり確言はできませんが、できるだけ向うが要求するものを少くして、又間接的な弊害もないということに最善の努力をいたしておるわけでありまして、絶対にその数を今まで要求しているものを全面的に削除させることができるということは、これは相手のあることでもありますので、ここで言明いたしかねます。
#50
○成瀬幡治君 あなたも、例えば日高・紋別に対しまして十勝といつた上陸用の演習場がどのくらいの規模のものだという点は、私もじかに調べて参りましたが、相当なものだということはわかるんだと思うんですよ。十勝へ前以て行つたつてどのくらい土地が無茶苦茶になつてしまうか、いいか悪いかぐらいのことは、相当の結論が出て来ると思うんですが、演習規模をうんと縮小させるというようなことは私は承知しないと思うんです。だから、やつてしまえば向うの計画通りになつてしまう。抗を打つてみたつて、そこからはみ出すようなことは当り前の話で、そういう態度ではなくして、もう少し強腰で折衝ができないものですか。
#51
○政府委員(小滝彬君) 相当強腰でやつたから未だに決定してないのでありまして、それを全面的に撤回させれば一番いいのでありまするが、向うの必要もありまするので、とにかくここまで、がんばつて来たので、十勝へ持つて来ましたのは、実は北海道で相当相談いたしましたところ、あそこは比較的弊害が少いという話から起つたもんであります。ところが現地の村か何かに話をしなかつたというような、いろいろいきさつもありまして始終現地のかたとも連絡をするし、又できるだけ向うの要求を縮小させるように努力しおりますから、なかなか確定しないというような事情があることを御了承願いたいと思います。
#52
○成瀬幡治君 観点を変えて、ちよつと、具体的な問題として、もう一遍お尋ねしたいのは、千駄ケ谷の倉庫で一億かけて、それを云々という話を聞きましたが、道路をちよつとやろうとしておる。あの道路計画を見ますと、真すぐするなら、まだほかにもいろいろな方法があると思いますけれども、或る人のうちのところは、やつて、特にこんなふうにでこぼこにして拡張しようとしておるのですが、これも話は決定済みの中に入つているわけですか。
#53
○説明員(谷川宏君) 一応決定済みに入つておりまするが、できるだけ実行上におきましては、地元との利害の調整等も考え、同時に道路の効率的な使用という両面から考える必要がございまするので、場所によりましては、お説の通り少し曲つたところもあるかも知れませんが、まあ、できるだけ軍用目的及び地元の利害も併せて考えて、善処して行きたい。かように考えております。
#54
○成瀬幡治君 私は地元の意見を聞けば反対が起きてしまうから、都心から今後地方に移るのが相当出て来ると思うのですが、その場合にも、国有地だから勝手にやつていいという態度は、今後は一切やめて頂きたいと思うのです。もう一つは、この地区を呉れなければ、どこか、どうせ日本中に作らなくちやいけないのだから、お前のほうの演習地をやつてくれ。北海道でも、日高・紋別がいけなければ、どこかよそのもの、青森で関根がいけなければ岩木はくれるか。どつちか一つ。下手したらどつちも取つてしまうぞと、そういう高圧的な立場で話は進められておると思うのです。そういう態度も今後やつて貰つちやならん。それからもう少し地元に対して、私は正直な話をして貰わなくちやいかん。日高・紋別の演習場については、大蔵省や調達庁の言うことと、横須賀の司令部の言うこととは、全然違つておる。妙義の問題でもそうなんです。今後そういうことのないように、だまかして、住民には被害が少いなどとだまして、そうして、やつてみたら被害が拡がつた。そういうことのないように、今後そういうことに対して努力して貰えるかどうか。
#55
○説明員(谷川宏君) 十分御意見のあるところを取入れまして、できる限り円満に事を進めて行きたいと思います。
#56
○菊川孝夫君 この安全保障諸費というのは一回限りのものであつて、これはアメリカ軍がいつまでおるかわからんのでありますが、今後こういうような予算の出し方というものは絶対にないものかどうか。本当は、予算でしたら、金額と、これだけぐらいな、ちやんと、こういうふうに使うのであるというように、先ず使途を明らかにして出すのが予算の原則だと思うのですが、講和条約ができるどさくさのときであつて、遂に打切られた。従つて向うの圧力によつてやつたという恰好になつているわけです。こちらの法律は守り得なかつた。外交上だと言つてしまえばそれまでですが、五百六十億というものを日本の法律を守り得ずやられてしまつたということは、今後もそういうものであるかどうか。
#57
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。只今、菊川委員のお言葉の中に、法律違反というような御趣旨かとも受け取れるところもあるのでありますが、これは私は財政法その他によつてやつておりますので、その点は必ずしも法律違反とは考えておりません。国会の御議決を願いまして、所定の法規の手続によつて使用いたしておる点は、御承知の通りであります。ただこういう経費は今回で十分であつて、将来、もう再び計上しない積りかという御質問に対しましては、正にその通りに考えております。財政法四十二条の特例法案を御審議願います際に縷々御説明を申上げました通りに、実はこういう経費の再繰越をお認め願う趣旨は、これは新しく予算に計上しますと、又あとに同じようなものを出さなければならないという疑問も出て来るという点を考えまして、これはこの際一年限りでございまするから、もう一度繰越しをお認め願いまして再び計上しないようにいたしたい。これが今回出した一つの理由になつております。
#58
○菊川孝夫君 そういう意味でなしに、予算を審議するに当つては、これはどういうふうに使うかということを先ず知らなければ、審議の対象にならないと思います。金額がこれだけ要るとしても、使用目的がはつきりしていなかつたら、どこでどういうものをやるということが決つていなかつたら、予算の原則には反していると思います。国会の議決を経ているからいいと言つてしまえばそれまでだが。そこでこの金額五百六十億を決めるときには、金額を先きに割り出したのであるか、それとも使用目的が先に決まつておつたのか、この点お伺いしたい。
#59
○政府委員(正示啓次郎君) 当時のことは、私、詳しく存じませんが、私ども前任者その他からよく引継ぎを受けましたところによりますと、まあ当時のいわゆる駐留軍の規模等を考えまして、その維持、或いは移転等をどういう計画でやるかという大体の構想を頭に画きまして、それを実行するための施設はどの程度かかるかということから割り出したものでございます。無論、精粗の違いはございましようが、一般の予算の編成の場合と同じように検討を加えました上で実体的に決めましたのが、このいろんな施設でございまして、それを作りますために大体この程度のものがかかるという見通しにおきまして計上いたしたのでございます。
#60
○菊川孝夫君 今年一年繰越したならばあとはもう必要はないというのですが、まだ折衝しなければならんものは、今も成瀬君からも質問しておられましたように、妙義山の問題だとかいうのがありまして、妙義山の費用にこれだけぐらいというので、大体見積つてあると思います。妙義山が今年度内においてできなかつたというような場合に、地元との折衝がうまく行つていると言うのだが、私たちの聞いたところではそうばかりでもないらしい。金額は余つて来るわけでありますが、この金額はこれだけはどうしても使わなければならんものですか。
#61
○政府委員(正示啓次郎君) 先ほど谷川主計官からお答え申上げましたように、妙義山の演習場関係は、実は道路のところの一番上の、その後決定のもの、演習場関係十カ所というほうに入れております。閣議決定は経ておりませんが、大体先ほどお答え申上げたような趣旨でここに入れたわけです。只今の御質問は、これを年度内に支出しない場合どうなるかという御質問でございますが、その点なら、実はこの法律をお願いいたしておる趣旨でありまして、これは計画はきまりましても、工事が完了いたしませんと支出済みにならんわけであります。そこで四十二条の特例をお願いいたしました。支出未済は二十九年度に繰越しまして、工事が終りましたときに支出を完了する、こういうことにいたしたいと思います。そうしていますれば、予算に新しく計上いたさなくとも繰越の予算で支出して行く、こういう趣旨でお願いしておるわけであります。
#62
○菊川孝夫君 そうすると、これは二十九年度に繰越し、又三十年度或いは三十一年度というようなこともあり得るわけですか。
#63
○政府委員(正示啓次郎君) 決して三十年度というふうなことは考えておりません。二十九年度中にすべて完了するようにいたしたい。
#64
○菊川孝夫君 次に、一体これで、いろいろの施設をほうそれに作りましたが、これらのものは、所有権というのは日本国の所有になつておるのですか。国有財産として今後帳簿に載つて行くものですか。その点についてお伺いいたしたい。
#65
○説明員(谷川宏君) この安全保障諸費の支出によりましてでき上るもの、いろいろございますが、先ず営繕関係の施設につきましては、すべて国有財産として帳簿に載せまして、普通の国有財産法によりまして処理するわけでございます。道路、港湾、河川は、それぞれそれらの施設を管理するに当りましてきまつておりまする法律の定めるところによりまして、日本の国内法によつて処理することになつております。
#66
○菊川孝夫君 次に災害、火災、この施設なんかも、火災は当然考えなければならない。又、風水害等で道路がこわれるというようなことも考慮しなければならんと思うのですが、そういつた場合に、これを修繕するのはどちらが負担することになつてどの費用で支弁することになるのですか。
#67
○説明員(谷川宏君) 火災と天然の災害の場合と分けて考えますると、施設が火災になつた場合、これは原則として日本側が負担する防衛分担金に見合う米国側の負担金、これでやるというふうに両国政府間の取りきめができております。その他の天然の災害につきましては、例えば道路或いは港湾が風水害に会うという場合につきましては、これは一般の災害と同じようなときに起るという場合におきましては、まあ、そのときの情勢によりまして大体ほかの災害に準じて扱うということになろうと思います。
#68
○菊川孝夫君 ほかの災害に準じてというと、又、日本で直さなければならんということですか。ほかの災害と言つたら、日本の金で全部これは、国有財産であつたら国がこれを直さなければならんということになつているのだから、それらは一切、費目は別といたしましても、日本の金で全部直さなければならんということになつているのですか。
#69
○政府委員(正示啓次郎君) 大体お言葉のように申上げていいのでありますが、ただこの国有の建物は、御承知のように学校その他もございますが、これらはすべていわゆる国費でやつております。まあ天然災害に会いました場合に、一般の国の病院とか学校等の復旧もなかなか思うように行つておりません。誠に遺憾であります。そういうものと大体同じに扱うということを申上げたわけであります。ところが道路、港湾、これは御承知のように大体地方公共団体が管理いたしております。そこで、国会でお定めになりました災害特例法というものがございまして、まあそれによつて補助するというふうなことになつておるわけであります。まあ今後災害立法等も又いろいろお考え頂くだろうと思うのでありますが、そういう国会のおきめになりました法律によつて所定の補助をいたすということに相成るのであります。
#70
○菊川孝夫君 そうすると、災害等の場合、まあ災害は毎年起るので、又、今年も起らなければいいが、起つた場合に、これらの施設に破損を来たしても、一般の学校や建造物と同じように取扱うということは、学校も直らなければこれも直らんということですか。そういうことは向うはなかなか承知しないですよ。それを承知させますか。
#71
○政府委員(正示啓次郎君) それは私の言葉が足りなかつたかも知れませんが、結局先ほど菊川委員が御指摘になりましたように、将来は安全保障諸費のような一種のランプサムというような形のものではなくて、災害が起りましたら予備費を出すとか、或いは災害のために復旧の予算を出しまして、おきめ願つたところでやつて行く。その場合に、国の一般の国有財産の復旧がどうも思うように行かんような場合には、やはりこういう施設につきましても、今までのようにランプサムでおきめを願つておるわけじやございませんから、まあ、それらと同じような扱いになろうかということを申上げたのであります。もとより相手方のあることでありますから、先ほど外務政務次官がおつしやられました御説明で、いろいろ相手と折衝しなければならんことは只今お話の通りでありますが、国会に対して私どもは一般の災害復旧と同じように予算を出しておきめを願うという趣旨で申上げたわけであります。
 それから、先ほどちよつと言葉が足りなかつたのでありますが、この施設内の駐留軍の専用道路でございますが、これはすべて先方がドルで維持しているので、私が申上げたのは、一般公共団体の管理している道路につきましては、一般の道路に対する災害復旧と同じように扱う、こういうことを申上げたのであります。
#72
○菊川孝夫君 そうすると結局は、まあこれらの施設が風水害等によつて破壊をされた場合には日本で直さなければならん、こういうことを原則的に考えて行かなければならんわけですね。
 それから火災のことは今ちよつとはつきりしなかつたのですが、火災が起きた場合、或いは演習地に、これは飛行基地の周辺が多いと思うのですよ。だから爆弾、火薬庫、それらの爆発物を持つたところが多いのですが、それらが自然発火とか、そういうふうないろいろな事故がアメリカにもしよつちう起きていますが、これらによつて生ずる災害については一体どういうふうに金を出すか。もうこれでは、予備費も十二億は見てあるけれども、これはそのための予備費ではない。設計変更等のための予備費である。
#73
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。このいわる公共施設、即ち道路、港湾等につきましては、国内法によるところの負担区分、即ち地方公共団体が一級国道なら何割という負担区分がございますから、その負担区分によつて公共団体も負担して頂く。又、国会で災害立法等でおきめになりました補助率がございますから、その補助率で負担して頂く、こういうふうに考えております。
 それから火災の場合でございますが、これはどういうわけか、アメリカは火災等につきましては相当ふだんから用意いたしておるようであります。火災のための予備費を向うがドルで持つておるわけであります。これによつてやつて頂ける、こういうふうに考えておるわけであります、
#74
○菊川孝夫君 そうすると、火災であるとか爆発等によつて生じたところのものは、アメリカのドルによつて修繕をするのだと、こういうことですな。
#75
○政府委員(正示啓次郎君) 原則はその通りであります。附け加えて申しますが、火災とか爆発につきましては、これは原因をやはり調べなければならないわけでありますが、そういうことはちよつと考えられませんが、日本側の者が入つて行つて放火をしたというようなことになりますと、これは又、別の責任問題が起るかと思うのでありますが、一般の火災の場合、或いは一般に自然爆発等によつて爆発したというような場合には、アメリカ側がそのふだんから備えておりますところの予備費を以て復旧してもらえる、こういうふうに私ども心得ておるわけであります。
#76
○菊川孝夫君 次に、これはまあアメリカが一年か二年で帰る見込みじやなしに、相当恒久的な基地を持つようでありますが、そうしますと、これは耐用年度というものが大体あると思うのです。特にああいう贅沢な軍隊でありますから、日本の軍隊のように耐用年度が長くないと思わなければならないと思いますが、これらについてはどういうお考えを持つておりますか。
#77
○説明員(宮崎仁君) 細かい問題でございますが、大体作つでおりますのは宿舎の関係が非常に多いのでございますが、その場合に米軍のほうの規則といたしましては、二年とそれから十年、更に永久という構造の枠がございます。普通の場合は二年乃至十年の要求が来ております。十年といいますのは、通常木造でモルタル塗という程度のことでやりたいということが大体来ておりますが、併しこの施設でやつておりますのは、大体解除後は日本側でこの施設は住宅なり或いはその他の施設に使うということを前提として設計等も進めておりますので、そういうものについては永久構造を原則としてとりたい。これはこちら側の建築基準法なり何なりと合せまして、向うと折衝の結果、標準構造等を直しまして、後に日本側で使い易いようにしてやつております。そういうことがきかないような地理的な状況なり或いは場所に建ちますものは、それは非常に臨時的なものでやつております。
#78
○菊川孝夫君 そうすると、これらの施設はみな二年なり三年、二年乃至十年ですか、ということになつておるから、二年というやつは二年経つたらこつちへ返つて来ると、こういうことですか。
#79
○説明員(宮崎仁君) 二年のものは、向うの計画で二年後には大体明けるというつもりのものを要求しております。
#80
○菊川孝夫君 十年のものは十年それだけ保つように、それだけの間には修繕したり建替えしたりすることの要らんように建ててあるわけですか。
#81
○説明員(宮崎仁君) 建設が終りますと、その後に一応国有財産として登録をいたしまして、閣議の決定を経て提供をいたすわけでありますが、提供いたしましたあとの維持修繕は米軍の負担で向うでやることになつております。従つて通常行われる程度の維持修繕は当然向うで行うであろうと、こういうように考えております。
#82
○菊川孝夫君 次に、一兆予算、一兆予算と盛んに今年やかましく言われ、論議されたのでありますが、それと、こういう百六十八億六千五百万円というものは、これは一兆の中に入つているものですか。これは枠外になるものですか。一兆をはみ出ることになるのですか。
#83
○政府委員(正示啓次郎君) どうも急所を衝かれたのでありますが、一兆予算というのは、菊川委員御承知のように二十九年度の予算額でございます。私どもはこれはまあ二十七年度に作りました予算五百六十億が今日までだんだん使用されて参りまして、なおお話のように百大十八億六千五百万円というものを、これは年度内に支出済になるものもございますが、今後において使用するということでお願いいたしております。これが一兆の枠外じやないかという御趣旨でございますが、そういうふうにまあ申しますと、恐らく一兆予算のうちからも相当額が翌年度に繰越されるものもあるわけであります。そこで一体その繰越とこちらから繰越されるものとのバランスがどうなるかということを一緒に併せて考えなければならんのでありまして、これは将来の問題でございまするので、この際は一つ、そういうものもあるから、まあ、かれこれ合せてということに御了承願えれば非常に幸甚に存ずるのであります。私どもは成るべくこういうことは無論お願いすべきものではないということは、この前も申上げたのでありますが、ただ先ほど来お話の中にもございましたように、こういうものを新らしく予算に計上することは、本当にこれは私どもとしても極力避けて行きたいという気持が非常に強いのと、先ほど来、縷々御説明申上げました通りに、大体において、多少時期はずれておりますが、実質的には四十二条にいわゆる契約ができておるものは事故繰越がきくのでありますが、その契約が国内の経費でございますと、これらについては大体完了しておるものと見ていいようなのが多いのであります。然るにそれが相手方があり又地元とのいろいろの関係があつて、どうも手続的に遅れておるというふうな性質でございまするので、ここは一つ四十二条の精神を生かして頂ければ、かたがた先ほど申上げたように再計上することは非常に避くべきことであるという趣旨から申しましても、この際、特例をお認め頂くのが適当ではないかという判断に基きまして、特例法案の御審議をお願いしておる次第であります。これが一兆予算の枠外であるというような御趣旨でございますが、この点につきましては、今後におきまして、先ほども申上げた、今後検討の分等におきましても極力支出を圧縮する等の努力を行いたいと思つておるのでありまして、私どもは一兆予算につきましてもすでに相当これは実行上節約を図つて行かなければならんということも夙に考えております。先般の衆議院の修正等の趣旨からいいましても、すでに予備費五十億というものが御承知のように削減されておるのでございまするから、このまま一兆予算を実行して行くということは到底考えられませんので、そこで枠が圧縮されるということになりますれば、これがプラスになるというふうに簡単にお考えを願うこともいいのじやないか。極力一兆の予算につきましても圧縮を図り、この繰越の予算につきましても計画を圧縮する等の努力をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。
#84
○菊川孝夫君 いや、盛んに今九千九百九十五億でしたかに締めるということをあなたのほうの主計局が非常に努力をされて、必死になつて九千九百九十五億、五億だけ一兆億に満たないようにされてやられた。ところがやつぱりこういう……これは併しそういう必要というものは、今年の国の財政経済計画から考えて、それ以上の政府資金の撒布というものは、インフレを助長する、こういうお話だつたと思うのです。我々むずかしいことはわからんが、だからそれ以上は出せぬとこういうことであつたのでありますが、二十九年度において現実にはそのほかに百六十八億六千五百万円というものは撒布になるわけですが、それだけのインフレ要因をはらむということになるのじやないですか。実際よくわかりませんが。
#85
○政府委員(正示啓次郎君) 只今申上げましたように、現実にどれだけが支出されるかということにつきましては、なお努力の余地があるわけでありますが、少くとも私どもとして、支出権、或いは契約権を国会の議決を経て与えて頂きたい。そうしないと、先ほど来申上げたような懸案並びに未完了の工事というものは完了いたさないと、こういうことを申上げたわけであります。そこで、一兆予算でないと国民経済が維持できない。或いは外貨が減少しておる今日の日本経済の建て直しに非常に支障があると言つておきながら、こういうことをやるということは如何か。こういう御趣旨なんでございますが、一兆予算ということには私はいろいろな意味があると思います。まあ一兆ということは、それが現在の予算、金の動きの一つの枠であるということは、これは第一にあるわけであります。その枠を超えて国家資金が出るということは、それだけの現実の影響があるということは、勿論その通りであります。併しもつと大切なことは、やはり一兆を割るということの、何と申しますか、政府関係機関並びに一般国民経済に対する心理的な影響ということも非常に大きな要素ではないかと思われるのであります。私どもは一兆を更に圧縮すべく努力いたしたことは、予算編成の経過においてすでに御承知の通りでありますが、結果におきまして最終的には僅か五億ぐらいのマージンしかないのでありますが、併しこの点につきましては、先ほども申上げましたように、予算の実行に当りまして更に節約を図つて参りたい。特に物価は年間を通じまして年度末には大体一割ぐらいは下げるということが一つの大きな狙いになつているのであります。従いまして、政府の工事その他物品の購入等に当りましては、従来以上に注意をいたして参りまするならば、価格の点におきましても、その数量の点におきましても、相当の節約の余地があるのではないか、かように考えておるのであります。それらによりまして、一兆予算が実行上どの程度に圧縮できるかということは、もとより、未だ国会で御審議中でございまするので、はつきりした計画は持つておりませんが、これは国会の御審議の御趣旨を体しまして、できる限り、支出権を認められたからそれを使うというふうな心がまえではなくして、支出権が認められましても、なおその範囲内において極力節約を図りまして、物価の引下げに寄与して参りたい、こういう心がまえを持つておるわけでございます。従いまして、これだけのものがそのまま一兆にプラスして出て行くというふうにお考え願わないで、一兆のほうも支出は減る。この百六十八億というものの分につきましても、なお物価引下げ等によれば圧縮を図り得る余地はもとよりあるわけでございますから、そういう努力を払いまして、国民経済への影響はなく、極力再建を促進して行くように持つて参りたい、こう考えております。
#86
○菊川孝夫君 そういたしますと、百六十八億につきましては、物価切下げ或いは計画がその通りに進まないという場合には剰余金となつて、それだけは使わずに済むということになるのですか。それとも五百六十億だけはどうしても条約上の契約として使わなければならんのですか。
#87
○政府委員(正示啓次郎君) 先ほど来、従来の支出状況、今後の使用見込みを御説明申上げました通りに、一応必要というものは見込まれているわけでありますが、併しこれは、現実には、工事は建設省なり運輸省なり或いは農林省等において行うのであります。先方の期待いたすのは施設でございます。金を提供するのではございません。従いまして、ここに計上いたしました予算で一応予定しておりますところの施設が、物価の下落によつてもつと安くできるということに相成るならば、これは当然予算は不用になると考えておるのであります。併しながらそれを金をかくかくと予定いたすわけには参りませんので、一応今日までの大体の計画から行きまして、これだけのものは今後も必要でございますということを申上げて、支出権或いは契約権を与えて頂きたい、こういう趣旨でお願いをいたしておる次第でございます。
#88
○菊川孝夫君 次に、この折衝に当つて、特別調達庁或いは駐留軍と直接それぞれ折衝していると思うのですが、この計画表を見て見ますると、とにかく五百六十億にきちつと合せるように出て来ている。五百六十億だけは何としても使わなければならん。我々この計画表を見て見ますと、この二年、三年、二十九年からすると三年前になるのですけれども、五百六十億使うということにきめて、そして五百六十億だけはどうしても使わなければならないようにしているのか。それとも向うの要求の必要でやつているのか。まだ残つているからこれだけ使つて行こう、こういう計画で今まで進んで来たのですか。どちらですか。アメリカ側の要求としても、まだあるのだからこれだけやらせてしまえというつもりで向うは要求して来るのか。それともこれだけは最小限度必要だからというので来ているのか。どちらですか。
#89
○政府委員(正示啓次郎君) これは先ほども、この予算を組んだときのやり方が、五百六十億というものが先にきまつてそれを組んだのか、それとも内容的に一応計算をしたのかという御質問に対してお答えを申上げましたのでありますが、私どもは、この当時として、もとより今日のように的確にわかつてはおりませんのでありますが、大体やはり内容的に積算をいたして、その結果五百六十億というものを計上したことは先ほど申した通りであります。その後いろいろと施設をして参りまして、どうも名人芸のようにピタリと会うじやないかというお言葉かと思うのでありますが、これは非常に苦労しているわけであります。谷川主計官、宮崎君あたりが、先ほどの施設特別委員会に参りまして、向うが非常に厖大な要求を出しました場合に、それを国内の基準で、こういうふうに立てるということを、例えば営繕のような場合には折衝いたす。そういたしまして、それ以上のものをどうしても向うが要求するような場合には、それは一つあなたのほうでやつて頂きたいというような折衝をいたす。そういうふうな苦労の積み重なつた結果、やつとここにおさまつているような次第でありまして、これを向うの言う通りにいたしますれば、到底この予算では賄い切れないのであります。そこで私どもとしては、今後もなお多少のそういうものが残つているんでありますから、これらの際におきましては、国内の物価賃金等々も睨み合せまして、更に経費を効率的に使つて行くように努力をして行きたい。こういうふうに考えております。決してこれは偶然に一致したわけではございません。非常に努力の結晶として、ここに、これだけのものでやつて行けるという結果が出て来つつあるわけでございますので、その点は御了承を願いたいと思います。
#90
○菊川孝夫君 次に、この表を見てみますると、主として輸送であるとか或いは宿舎関係を主に向うは要求している。大体そういうものが多い。ただ一つ尋ねておきたいのは、原爆関係ですね。原爆を持つて来て地下に貯蔵するというようなものが相当あると思うのですが、そういうような傾向のものをこの中にいろいろずつと見てみるのでありますが、そんなことは軍の機密その他で、折衝上もわからんですか。事実そういう動きがあるのですか。これはビキニの問題と関連して、非常に関心が深いわけですから、ちよつとお尋ねしておきたいと思います。
#91
○政府委員(正示啓次郎君) 日本側の安全保障諸費、或いは防衛支出金等、日本側の予算で施設をいたしますもの、或いは賄つておりますもので、原爆を輸送したり或いは貯蔵したりするような関係のものは今のところ全然ございません。
 なお財政法第四十二条の特例に関しまして、安全保障諸費のほうを御説明申上げたのでありまするが、連合国財産補償費も同じくこの法律によつて繰越しをお願いいたしているわけであります。そのほうの資料を管財局から提出するはずであつたのが、ちよつと手落ちで、まだ出ていなかつたようでありますから、午後それを提出いたします。
#92
○委員長(大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。
   午後一時休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十六分開会
#93
○委員長(大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。
 財政法四十二条の特例に関する法律案を議題といたし、先ず説明を願います。ちよつと速記をとめて。
   午後二時二十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時四十八分速記開始
#94
○委員長(大矢半次郎君) 速記を付けて下さい。これより質疑を願います。
#95
○菊川孝夫君 ちよつとお尋ねいたしますが、条約上の義務といたしまして毎年百億ずつ組めということになつておりましたですな。これは記憶がなくなつたのですが、百億円が三年間でしたか、三カ年間百億円ずつ組めということは、総額百億円だけは毎年必ず用意をしておけと、こういうふうにあなたのほうは解釈しておるのですか。この点をどういう……。
#96
○政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。連合国財産補償法の第十九条に「日本政府は、支払うべき補償金額の合計額が一会計年度において百億円を超過するときは、その超過額に相当する補償金は、翌会計年度において支払うものとする。」と、こういうことになつておるわけであります。従いまして、只今の御質問に対しましては、現実に支払う補償金額の額が百億円でなければならんのでございますから、従いまして前年度から例えば九十六億繰越しになります場合には、百億との差額四億を予算に計上いたしまして、合せて百億を確保する、こういうやり方をやつて来ておるわけであります。
#97
○菊川孝夫君 そうすると、別にこれは総額には幾らということの限定はないのですか、それから期間。
#98
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。総額の制限はございません。期間につきましては請求を十八カ月以内に出さなければならんということになつております。
#99
○菊川孝夫君 そうすると、もうこれで請求がとまつたことになるのですか。
#100
○政府委員(正示啓次郎君) この前も、たしかその点、簡単に申上げたと存じますが、これは大体は出揃つておるわけでありますが、なお講和発効後に、申上げたように、一年六カ月の間に出さなければならんのでありますが、その期限が到来しないものが多少残つておるわけであります。従つてこれで全部とは申上げられませんが、大体これで全部出揃つておると申上げていいと思います。
#101
○菊川孝夫君 条約の批准関係はどうなつておるのですか。批准してない国がまだあるでしよう。サンフランシスコの条約には調印をしておる、連合国としては一応認めておる、ところがまだ相手国が批准してない国があるはずですな。
#102
○説明員(谷川宏君) お答えいたします。連合国財産補償法によりまして補償の請求をなし得ると認められる国は五十五ヵ国でございます。これがサンフランシスコ平和条約、或いはインドの場合には目印の平和条約という、日本と平和条約を調印した国でございます。そのうち批准をして講和条約の効力が発生した国は、これが相当ございますが、その国につきましては平和条約の効力の発生のあと十八カ月以内に提出をする。従いまして、効力が発生してから十八カ月経つた国が幾つあるか、それが五十五カ国のうち現在までに大体二十四ヵ国ございます。その二十四カ国のうち、には英、米、仏、オランダという日本の国内に財産を持つている主要な国が入つておりますので、残りの三十カ国ばかりにつきましては、まだ請求の期限がございますが、大した金額にはならないというのが事実でございます。
#103
○菊川孝夫君 そこでお尋ねしたいのは、中国関係、これは台湾と国籍の問題はどうなつているのですか。今、中共に所属しているかどうかの判定をどういうふうにしておられるか。
#104
○説明員(谷川宏君) 中国と申しましても、台湾につきましては、日本と中国との間の平和条約ができておりまして、台湾を領土とするところの中国につきましては、このサンフランシスコ平和条約の規定に準じましてすべての物事を処理することになつておりますが、その他中共関係につきましては、御承知の通り未だに国交が回復されておりませんので、今のところ未解決ということになつております。
#105
○菊川孝夫君 そうしますと、中国の国籍に以前の中華民国というのは皆一緒だつた。従つて台湾の政権が、領事館なりなんなりが、承認といいますか、裏書をした中国人については支払いをする。しかしそれのないものには支払いをしない。こういうふうに分けて御処理になつているのですか。
#106
○説明員(谷川宏君) 中国の関係につきましては、今申上げましたように国交の関係がはつきりいたしませんので、今のところ連合国財産補償法によるところの補償の請求というのは受付けておりませんし、まだどう扱うかということは未決定であるということでございます。
#107
○菊川孝夫君 先ほどの御答弁では台湾については一緒のようにおつしやつたのが、今未決定というのはちよつと違うのじやないかな。
#108
○説明員(谷川宏君) 先ほどちよつと言葉が不足いたしましたが、台湾につきましても、日本と台湾との間では平和条約はできましたけれども、この問題につきましてどう処理するかということについて、まだ方針がきまつておりませんので、受付けておりません。と申しますのは、台湾にも日本の財産が相当ありまして、サンフランシスコ平和条約の規定によりましても、そういう特殊な地域につきましては、特別な取極めによつて平和条約のどの条文を適用するかということをきめるという建前になつておりますので、台湾にある日本の財産の処理をどうするかということと関連を持ちましてきめる必要がございますので、その点についてはまだきまつていないのでございます。
#109
○菊川孝夫君 同様のことはやはり朝鮮についても言えるのですか。今後処理をされる場合には……。
#110
○説明員(谷川宏君) それはその通りでございまして、朝鮮にある日本の財産を、私有財産及び国有財産をどう取扱うかという問題が未決定でございますので、日本にある朝鮮国及び朝鮮人の財産をどうするかということは未決定である。併し台湾及び朝鮮も昔は日本人でございましたので、それが日本の現在の領土の中におきまして財産を持つておつて、それが破壊されたということになつても、現在の日本政府に対してその補償の要求をするというのはどうかと思います。これは私個人の意見でございますが……。
#111
○菊川孝夫君 併し、こういう場合もあり得ると思うのです。例えば戦争中には北京なり或いは上海におつた、それが亡命して蒋介石政権と一緒に台湾に渡つたというような連中には、一応この連合国財産補償法という法律の建前からいたしまして考えなければならん問題だと思う。それが百億の枠内に将来処理されるようになるものかどうかということになると、非常にむずかしい問題だと思うのですが、どう考えておられるのですか、法律的に解釈して……。
#112
○政府委員(正示啓次郎君) 只今の御質問は連合国財産補償法の適用の範囲の問題かと思うのでありますが、これは外交関係の問題でございまして、戦前と戦後の国の移り変り等によりまして、外交関係が非常に複雑になつているわけであります。私どもとしては、外務省がやはりその責任を以て決定をすべき立場にあると存じますが、ただ、この財政に関しましての点でございますが、先ほども申上げましたように、大体主な国からの要求は出揃つている、今御指摘のような多少確定をしない国があるわけでありますが、これらにつきましては、只今谷川主計官が申しましたように、相互的によほど解決しなければならん点があろうかと思うのであります。それらをあれこれ考えますると、大体この補償の対象としての金額は、先ほど御説明申上げたことによつてカバーできるのじやないか。こういうふうに考えている次第であります。
#113
○菊川孝夫君 今度具体的にお出し願いました表を見ますると、まだ今まで十八億支払つただけだ。そうすると繰越される分が、一体どれだけ財政法の規定によつて繰越されるか。それから予算がどれだけあるか。今年の予算がどれだけあるか。その関係を一つ御説明願いたい。
#114
○説明員(谷川宏君) お答えいたします。二十七年度におきまして、連合国財産補償費として予算に計上いたしましたのが百億ございました。そのうち九十六億が二十八年度に繰越しになりました。即ち二十七年度中に支出になりましたのが四億円でございました。二十八年度の予算といたしましては、今の二十七年度からの繰越の九十六億のほかに、新たに二十八年度の予算として四億円を計上いたしまして、合計百億円が二十八年度の予算現額になりました。その百億の予算に対しまして一月三十一日までに十四億八千万円、約十五億が支出になつておるわけであります。従いまして一月三十一日現在の予算の残額は八十五億というふうになりますが、二月一日からこの年度末までに、大体十五億程度支出する見込でございまするので、二十八年度の予算百億に対しましては、七十億が来年度に繰越しになるわけであります。
#115
○菊川孝夫君 そうしてあと二十九年度の予算では三十億見てあるのですか。
#116
○説明員(谷川宏君) 只今の説明ちよつと間違つておりましたので訂正いたしますが、二十八年度の予算四億、それから前年度からの繰越九十六億で百億ありまして、二十八年度におきまして支出される見込が二十六億でございまして、そのうち十五億出ております。今後の見込が十一億ございます。来年度におきましては二十六億予算を計上いたしまして繰越七十四億と合せまして百億になります。七十四億の繰越のうち、四億円は、二十八年度に新規に計上した四億をそのまま明許繰越によつて繰越すことになります。七十億は、二十七年度からの繰越を更に今回の法律が通過いたしますならば、繰越して使えることになるわけであります。
#117
○菊川孝夫君 今度は処理の見通しでございますが、非常に処理がむずかしいようで、又、事件の性質上、当然むずかしいし、慎重を期されなければならん。又、場合によつては連合国人に悪い感情を与えてもいかんというので、むずかしい微妙な問題だと思いまするが、あなたのほうの処理の見込といたしましては、大体今年も百億予算に盛つておくが、これは二十九年度に繰越して使用することができるのでありますからして、三十年度のやつを若し繰越すということになつたら、又もう一遍やらなければならんわけですが、先ほど次長は、もうこれでやらんのだ、こういうふうに言われたのですが、やらんのだということは、安全保障費のほうはそれで大体話はつく、わかつたのだが、連合国財産補償費も同じこれは条文になつているわけです。やらんということは、両方も含めてだと思うのですが、そういう確信があつて二十九年度はこれで処理してしまえる、こういうお見込みでございますか、どうですか。
#118
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、その点は安全保障諸費と少し違います。まあ私どもとしては、できる限りこれを促進をいたして参りたいと思うのでありますが、二十九年度で全部完了するということは、これはちよつとむずかしいかと思います。そこで、どういうことになるかと申しますと、只今谷川君から申上げましたように、二十九年度に新規に二十六億、正確に申しますと、二十五億九千九百万円でございますが、これだけのものを予算に計上いたしておるわけでございます。そこで、これと七十四億円を合せまして百億になるわけでございますが、この七十四億の分は是非とも二十九年度中に支出を終えるような努力をいたさなければならんわけでございます。そこで、残りの二十五億九千九百万の分は二十九年度予算に新規に計上いたすのでございますから、その分につきましては、今度の特例法を再び適用いたさなくても繰越しはできる。こういうことになります。特例法の適用としては、二十八年度限りに考えておるのでありますが、さりとて、然らば連合国財産補償費がすべて二十九年度中に支出済みになつて、或いは一切の案件が処理されて、三十年度には予算を計上しなくてもいいかという御質問に対しましては、只今申上げたように考えておるのでございます。
#119
○菊川孝夫君 次に、具体的に、一つ第二の資料に基きまして、実例の説明についてでございますが、株式の分ですが、これは法律を審議する際にも、この株式の増加額についてまで補償するのほおかしいじやないかと思うのですが、この算定方法という点が、これはどうもよくわからんのですが、「発行会社の資産が戦争の結果蒙つた損害を算定して得た金額、」これはよくわかりますが、「当該発行会社が開戦後取得した資産について生じた取得時から補償時までの価値増加分を控除して得た全額に持株率を乗じて算定する。」こういうことになつているのですがね。この「開戦後取得した資産について生じた取得時から補償時までの価値増加分」というやつですが、これは非常な、私が考えまするに、この損害額をむしろ超過してしまうようなことになるのじやないか。そういう場合が多いのじやないか。なぜかと申しますと、終戦直後、終戦時の損害というものは、あれは終戦時の貨幣価値で判断するのじやないのですか。算定する場合に……。そうすると、今度は戦後のインフレで、ずつと三百倍にも四百倍にも貨幣が下落してしまつた。従つて価値の増加分の控除ということになりますると、損害を受けたのは、その当時のこれは又インフレで高進したように、損害を受けた損害額というものは、今の相場で換算して、そして今度は殖えた分も殖えた分だけ引く、こういうふうに算出をせられるのか。どういうふうに御算出になるのか。その点お伺いしたいのです。爆撃を受けたときの損害額か、それとも爆撃を受けた当時の損害額が今日実在するものと判断してそれに計数を乗じて損害額を算出した意味か。それを一つお伺いしたいのですが、その点が明らかになつておらない。そして計数を乗じた場合にはどのくらいの計数になるのか。
#120
○説明員(小島要太郎君) 只今の点についてでございますが、私たちといたしましては、この株式の規定につきまして、今の価値増加分を控除する計算をする点に関しましては、すらりと読みまして、この字の通りこ解釈いたしておるのでございます。その場合には、ちよつと只今のお話の、インフレ分が入つて来るわけでございます。ただ、この点につきましては、実はなお連合国側と話が合つておりません。それで連合国側は、インフレ価値が入るような計算をするならば、只今のお話の通り、損害がゼロになつてしまう場合も出て来るわけでありまして、それではどうもおかしいということでいろいろまあ話合いをしかけて参つております。現在まあそういう状態でございまして、そのために、この株式の処理につきましては、現在までここに例として挙げておりますこの一件のほかにもう一件極く小さいものがありますが、二件だけしか処理いたしておりません。その他は全部今なお原案として残つております。今後の話合いに待ちたいと思います。今までに処理の済みました点については、その点に関係のないようなケースでございましたので……。
#121
○菊川孝夫君 これは小林君もこの前聞いて、これはおかしいと、法律をこしらえるときに言つたが、こんな方式だつたらゼロになつちやうですよ。それをどういうふうに判定するか。終戦時の、例えば日本郵船の株を持つている、日本郵船の何丸が沈められたということになると、それに対する損害は今の船だつたら五億も七億も一隻かかるのだけれども、昔の伏見丸、秩父丸とかは、これは何百万円くらいでしよう。それが損害だということになると、その計数をどういうふうにするかということは非常にむずかしい問題だと思うのです。法律を作るときに一体どうするのかと言つたのだが、うまくその当時は、はつきりしないままこの法律が通つてしまつた。案の定……これは問題になるぞと言つた。そのときに僕らは大蔵委員会におつたのでわかるのですが、連合国との間に話がつかんというのですよ。
#122
○政府委員(正示啓次郎君) 只今小島課長から申上げましたように、お手許に配付いたしました株式という例が、まあ今まで処理しましたところの株式の例としましては、これともう一件あるだけでありますが、これは私どもの主張が通つているわけであります。大体ここに算定方法と書いておりますように、只今菊川委員が御指摘になりましたようなやり方をやつているわけです。それじや、これからすべてこう行くかという点になりますと、只今小島君が言いましたように、向うはまだそれに応じていないわけでありますが、できる限り私どもはこういう方式をやるように努力しているわけであります。
#123
○菊川孝夫君 そういう努力はいいけれども、現実に合わん場合が出て来るのじやないか。損害というものは、「発行会社の資産が戦争の結果蒙つた損害を算定して得た」というのだが、その算定というのは、講和条約発効時における算定になるものか、それとも損害を受けた日における算定になるのか、どつちですか。この算定ということはそこが問題です。
#124
○説明員(小島要太郎君) 只今の御質問は、この価値増加分の計算方法についての御質問であると存じますが、その点につきましては、開戦後に財産を取得いたしましたそのときに現実の取得に要した金額ですね、その金額に対しまして現在の時価と対比いたしまして、それの差額を以て価値増加分というふうに計算いたしましてこれを控除するということでやるものであると、我々はこの規定を解釈しているのであります。
#125
○菊川孝夫君 そうしますと、損害額よりもその価値増加分のほうが殖える場合が相当生じて来るんじやないかと私は思う。開戦後に取得したものの価値増加分というのは非常な増加ですよ。例えばいろいろ終戦直後物を買つたとか、それが今日までに価値が増加したというものは、資産再評価をするということになると、僕はちよつとこの公式を書いて見ようと思つたんだが、マイナスするほうがものによつては大きくなつて来る、損害額より……。その場合が多いのですがね。それでよくわからんので、この説明では現実にどういうふうになるか。この説明ではおかしいですよ。
#126
○説明員(小島要太郎君) それでは連合国側との話の内容を申上げます。連合国側といたしましては、この法律の解釈といたしまして、そもそもこの法律案作成当時に、日本側の説明がこうこうであるから、従つて我々は現在こう解釈しておると、それが日本側の解釈とは違うじやないかというのが趣旨でありますが、それは最初この当該規定を作りました際には、日本側がこういう案でやりたいと提案いたしまして、それに対しまして連合国側はインフレの価値増加を減額計算やられるならば、損害補償を得られない場合が非常に多いから、それでは承服できないと言つたのだそうであります。これに対しまして日本側は、併しながら戦争中に日本側の会社がその会社の業績を挙げまして、それによりまして優れた経営を行いましたことによつて価値が増加しておれば、それは減額計算をやるべきであると主張いたしまして、それならばよろしいということで、この規定を入れるについて連合国側が承諾したということなのであります。そこで、この場合に優れた経営を行なつたことによつて価値が増加するというのはどういうことかという点につきましては、話をつけておらんわけだつたわけであります。そこで、その優れた経営をやつて価値が増加するという場合の解釈といたしまして、連合国側は、それはインフレによる名目価値の増加分は含まないで、何か優れた経営をやつたことによつて価値が殖えることがあるだろうというくらいに考えたのであります。それに対しまして日本側は、実はその当時におきましてその内容にまで話はきめておらなかつた関係で、実際にこの法律の運用上におきまして文字通り読みまして、我がほうはこういう解釈なんだと言つて、そこで対立に陥つたと、こういういきさつであります。
#127
○菊川孝夫君 そのいきさつはよくわかる。それで僕らこの法案を審議するときに、これは、君、問題になるぞ、こんなことを言つて、一体どうするんだ、実際処理できない、現実の問題に取組んだ場合にできませんぞということを、私は十分言つたんですが、何とかうまいこと言つて、その当時の経緯を、ちよつとあなた方の答弁のほうは忘れてしまつたが、僕ら聞いたのは、これは覚えているんだが、相にく……、今日ここへ出て参りましたので見せてもらつたが、資料として、とてもこれは公式にならん、私はそう思う、こういうことが一つある。それから、まあそれで意見の対立の問題はわかりました。それで今度は一つ角度を変えて、これはどれくらい……、それでは株式に対する補償はどれくらい出ていますか。個々の件数にして……。全部の件数は承わつたんですが、株式問題についての件数はどれくらいになつているんですか。財産なんかも皆インフレ要因をちやんと含んで、家屋の補償はできていますか。この公式を見ますと、例えば家屋の補償なんか見ましても、大体これは建つたその当時の値打ではなしに今の値打じやないかな。不動産の第一の例を見ますると七百四十六万というんだが、七千四百二十九坪……。
#128
○説明員(小島要太郎君) 最初のお話の株式に関する請求がどのくらい出ているかというお尋ねでございますが、実はその視野から資料を用意したものがございませんので、はつきりとしたことはお答えすることができなくて甚だ失礼でございますが、個々のケースについて見まして、請求額は非常に大きい請求額が出ております。一件当り三億、四億という大きい請求が出ております。従いまして金額としてみますと相当大きなものになるわけであります。
 それから不動産につきましての点でありますが、これはお話の通り時価で計算いたしましたわけであります。これは敵産管理人の評価、或いは売却処分というものが行われておりませんので、実際にその被害を受けた家屋がどういう家屋であつたかということの明細を調査いたしまして、それと同じ家屋を現在において再び建てるならば幾ら要するであろうかという計算をいたしましたわけであります。但しその際には償却の要素を加味しております。
#129
○菊川孝夫君 それはわかりましたが、それと第三の株式ということになつて来ると、えらい理窟が合わんので、何もこれは少くすることはいいんですが、どうせよそへ払うんですから、成るべく株なんかの……。あの戦前の株というものと今の株と、ちよつと変つて来ているんで、昔、たばこ三つで株式を買うとか、たばこ一つで一流会社の株式一株買えるということはなかつたのに、今はそういうようになつて来ておる。それにもかかわらず向うのほうでは損害額まで株式の価値として補償しろということになつて、えらいそこにいろいろな問題があつて、これは非常に解決のしにくい問題だと思う。ところが今あなたのほうもはつきりしないし、答弁を聞いておつても、どうもこの説明を見ましても、さつぱり、公式も僕ら出し得ないんで、具体的にこういう場合はどうだと言つてお聞きしてもいいと思うんだけれども、素人考えですけれども、できない。課長の今の説明を聞いていましてもちよつとはつきりしないのですが、この点は。有利にやればいいのだけれども、それであなたのほうは有利に押して行く場合にはどういうふうに押そうとしておられるか。こんなことはおかしいと思うのだ、それが三億の補償をつけるというのだから……。
#130
○政府委員(正示啓次郎君) 只今の菊川委員の御質問御尤もでございます。只今ちよつと条文を探しておりますが、たしか株式と不動産関係では根拠法が少し違つておるのではないかと思いますので、この点をよく調べまして御答弁を申上げるべきだと思うのであります。大体の感じではたしか多少違つておりますが、株式につきましてはどういうわけかそういう条文になつておりまするので、私どもその条文をさらつと読みましたところで頑張つておるわけです。まあ多少無理な点もあろうかと思いますが、お話の通りこれは敗戦国としての負担の問題でございますから、できる限りそこのところは有利に運用して行きたいということで当事者は努力しておるということだけ申上げておきます。
#131
○菊川孝夫君 その点僕らもあなたの主張は賛成でありまして、法律を審議するに当りましても、大体こういう条文を入れること自体がおかしいと思う。これは削除すべきであると言つたが、前以つて条約を作る前に、当時の司令部からこういう方式でやるからというので、大体了解を得て、そうしてサンフランシスコの講和条約になつておるので、講和条約と密接不可分の関係にあつて、国会でも実際の問題としてなかなか手を入れることも困難であるから、このまま一つ通してもらいたい。従つて今後の運用につきましては、それならばどういうふうにやつて行きますかと聞いたときには、それはまあ先方さんとも折衝してやつて行くのだということで、現実も折衝段階にあつたので、一体どういうふうな折衝過程であるかというので聞いてみたわけですが、将来それはそのまま、あなたの言われる、次長の言うように押し切れるものかどうか、これはもう事実二つ払つてしまつたのだから、ケースでそれを押し切つてしまつたのだけれども、今後のやつもそれでやりきれるかどうか。
#132
○説明員(小島要太郎君) この問題につきましては、実は私所管の課長といたしまして、できるだけの努力をいたしまして、そのすらりと文字通りの解釈を主張し続けておるのでありますが、見通しはどうであるかというお尋ねでございますが、昨年の夏以来、アメリカ大使館と再三交渉いたしておるのでありますが、先方の主張も非常に強硬であります。それでこれは平和条約の規定によりまして、この平和条約の解釈、運用につきまして意見が合わない場合には、中立国を加えました三国委員会にかけまして、その決定するところに従うということになつておるのでありまして、止むを得なければ、その三国委員会に持ち出すという見通しに、止むを得ないというのは、連合国側から見て止むを得ない場合ですが、その三国委員会にかけることになるかも知れない、こういう見通しなんであります。
#133
○菊川孝夫君 そうすると、あなたはそれは大蔵省を代表して、これは今のあなたの主張が通らない場合には、三国委員会にかけてでも争う、こういうつもりだ、こういう責任を以ての御回答ですか。
#134
○説明員(小島要太郎君) 私の言葉が不十分であつたかと存じます。私は私の見解を、最後の部分で私の見解を述べたと申しますよりは、連合国側がそういうふうに言つているという事実関係を申上げたつもりなのでございます。これも慎重に研究を要する問題でございます。今後の研究問題と存じております。
#135
○菊川孝夫君 どうもそれは、ここではあなたの見解をお聞きするのじやなしに、あなた個人の見解をお聞きしても仕方がないので、向うの連合国側が仲裁委員会へまで持ち出すならば止むを得んが、それまではすらりと読んだ条文解釈で頑張り通すのが大蔵省の基本方針である、こういう答弁かどうかということを伺つておる。これはあなた個人の見解を国会議員が聞いたつて仕方がないのであつて、大蔵省を代表しての答弁でなければならない、政府を代表しての。
#136
○委員長(大矢半次郎君) 今までの質疑応答の経過を見ておりまするというと、政府側の答弁もどつか不十分の点もありますが、次回にその点を明確にして、適当なかたから御答弁願いたいと思います。
#137
○政府委員(正示啓次郎君) これは非常にデリケートな問題でございまして、お答えも或いは不十分かと思うのでありますが、この点につきましては、只今菊川委員の御指摘の点につきましては、大蔵省で慎重に今検討しておるのでありましてまだ結論が出ておらないというのが実情でございます。併し私どもとしては、飽くまでも最初に申上げた通り、できるだけ有利に解決をいたしたいという気持を持つてやつておるのであります。こういうことだけ申上げておく次第であります。
#138
○委員長(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#139
○委員長(大矢半次郎君) それでは速記をつけて。
 都合によりまして本案の審議は本日はこれで終ります。
  ―――――――――――――
#140
○委員長(大矢半次郎君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、この際お諮りいたします。
 本案については前回の委員会の申合せにより、本日の生産者側、東海電極製造株式会社営業部長竹内金太郎君、消費者側、自動車タイヤ協会専務理事林紀子夫君、ゴム工業会業務部長勝本信之助君、協会側、カーボンブラック懇和会専務理事中原乾二君の御出席を求めましたが、いずれも参考人としてその発言を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
 本日参考人側から資料の提出がありましたが、これについての御説明を願います。
#142
○参考人(中原乾二君) カーボンブラック懇和会から、最近の戦後の国内の生産量、それから主としてアメリカからの輸入量、それから戦後の消費量を数字にしてお手許に差上げてあります。それから昨年輸入したもの、昨年国内で生産されたもののカーボンブラックは種類がたくさんございますが、それを大ざつぱに分類いたしまして、それの相当品種のものを左右に表にしてお目にかけてございます。以上でございます。
#143
○委員長(大矢半次郎君) もう少しその内容に触れて御説明を願います。
#144
○参考人(中原乾二君) そのどちらのほう……。
#145
○小林政夫君 両方とも十分に説明して下さい。
#146
○参考人(中原乾二君) 数字の表のほうを先に申上げます。昭和二十年、戦争が済みました年には国産の僅かしがなかつた設備も壊れましたし、それから輸入も全然ございません。二十一年は輸入があるかと思つたのですが、これもなかつた。国内生産ができなかつたのは、一度国内の生産者は殆んど全部もう放棄したのでございまして、戦後に、又戦争が済めばアメリカから自由に安いものが入るだろう、到底太刀打ちできないというので放棄したのでございます。二十一年は入らなかつた。二十二年になりましてやはりアメリカからは一つも入らなかつた。台湾から辛うじて百八十二トンというのを入れました。この前後から政府は再び国内生産を開始しなければならないというので、大掛りな生産奨励をやり、又消費者も非常に国内生産の再開を要望されたわけでございます。
 二十三、四年は政府輸入で、民間輸入はできておりません。厳重なる統制の時代でございました。民間輸入が開始されましたのは、二十五年ですか、二十六年ですか、その頃から民間輸入ができるようになりましたので、それまでは輸入は非常にむずかしかつたのでございます。従つて国内生産は再開が比較的順調に進んで参りました。昨二十八年国内生産が非常に増加し、輸入も著しく増加いたしましたが、これは昨年政府で関税を実施する。関税を上げたのでは消費者が承知しないだろう、その見返りとして輸入の少し幅を拡げようという政策をとられたと伺つております。併したまたまそのときに非常にゴム工業が発達いたしまして、消費が著しく上廻つて、昨年の輸入はむしろ消費に追つかないくらいの全体としては消費が上廻つたのでございました。
 もう一つ昨年のこの関税問題につきまして、通産省の軽工業局長は、生産会社の社長級を局長室に呼ばれまして、関税を上げる、その代りに値段を上げることは許さん。もう一つの各生産会社、いろいろなものを造つているうち、カーボンブラックは量的には低位であつても、こういう重要な措置を私はするから、社内において最高の重要な物資として取扱え、そう局長から厳重な言い渡しがありまして、各社とも非常なる積極的な増産態勢をとりまして、二十九年の国内生産予定は一万二千四百トンという高い計画を持つに至りました。併し消費も本年は大体一万七千トンくらいになるんじやないか、こういう推定がされるのです。
 その下の別の枠になりまして、今年の二月末現在の国内の生産能力は年間一万四千四百トンの能力を持つに至りました。併し二月の生産実績は七百二十七トンで、これを稼動率にいたしますと六〇%ぐらいになるわけでございます。而もなお需要者の要望もありまして、昨年からの増産計画が進んでおりまして、二十九年の末、今年の末には、年間一万六千八百トンの生産能力を発表いたしております。只今そういうふうな態勢になつている。
 別のグラフのほうで御説明申上げますと、カーボンブラツクは大きく分けましてゴム用とインキ用、日本の消費において約八〇%がゴム用でございます。約一〇%が印刷インキ用でございます。そのほかにカーボン紙であるとか、塗料用であるとか、雑用が極く少量でございます。ですから最も大きい問題はゴム用カーボンブラツクの問題であるということになるわけでございます。アメリカの市場にはたくさん種類がございますが、日本で実際に輸入されておる種類は、只今どういうものでも輸入できる状態になつておりますけれども、実際に輸入されておる種類はそうたくさんはないのでございます。これを大雑把に大体類似のものというものを左右に分けて左のほうは国内生産、右のほうで輸入品と大雑把に分けてみますと、下のほうはゴム用で、上のほうがインキ用でございます。ゴム用の一番下に真中の欄にコンタクト及びHAFと書いてございますが、コンタクトというゴム用のカーボンブラツクは日本では作つておらないのであります。右の輸入されておるほうの斜線で書いてあるのがHAFで、点でよごしてあるのがコンタクトでございます。左のほうに黒い色で書いたのが昨年の国内で生産された、これに相当するHAF、併しコンタクトというものは日本では、天然ガスを原料とするもので、これは作つておりません。そのコンタクトに匹敵するものを国産で作ろうというわけでございます。それでそれを左のほうに斜線で書いてありますのは二十九年度の計画でございます。外国で作つたものと日本で作つておるものですから、正確に対照はできませんが、大雑把にその上にアセチレンブラツクそれからその上にMAF、SRF、サーマル、ランプと、こういうふうに大体下のほうほどゴム用としては品質のいいものだというふうにお考え頂いていいじやないか。上のほうほど輸入が少いのは、大体輸入の焦点が下のほうにあるということが、これで御了解頂けると思います。又今まで国産が立遅れておつた理由もそこにあると思います。比較的作りやすいものは、低品位のものは早くできておつたということ。
 上のほうの小さいグラフはこれは印刷インキ用でございます。印刷インキ用にもいろいろございますが、大雑把に三つに分けてございまして、一番上の高級品と書いてあるのは高級印刷インキでなくて、これは塗料用でございます。印刷インキとしてはこの三つの欄のあるうちの二つでございます。LFIというのがいわゆる一般印刷インキ、それからその下のシヨートブラツクというのが、これが新聞などに使います印刷インキ、おのおの性質が違うのでございます。シヨートブラツクは割合作り易いものですから、日本でも昨年の実績を見ましても、千二百六十三トンという大量になつております。なお併しそれが八百二十五トン昨年は輸入されております。今年度の計画でシヨート・ブラツクは減つたように見えますが、これは本年只今まで作つておりませんでした。LFIというグレードのものを今年から多量に作るというので、シヨートブラツクの生産が若干減らされておると思います。高級カーボンというものは非常に少量しか要らないもので、こういうものの国内生産が後廻しになる、これは九トンというような、年間数十トンというようなものの生産は、これは後廻しになるのだろうと思いますが、これは一トンが五十万円とか六十万円とかするものでありまして、極く特殊な用途に使われる。ゴム用とか印刷インキ用の一般用については二十九年度において各社の生産態勢はここにお目にかけましたように発表されております。
 以上でございます。
#147
○委員長(大矢半次郎君) 質疑を願います。
#148
○小林政夫君 今の資料によりますと、輸入をやらなくてもいいということにはならないのですね。例えばシヨートブラツクの二十八年度の輸入実績というものは、八百二十五トンあつて、今度は昨年よりも二十九年度においては少くなる。まあLFIの輸入の必要はない、こういうことになるのですか。
#149
○参考人(中原乾二君) LFIとかシヨートブラツクというのは、分類いたしますれば、こういう工合になります。インキをはつきりと二種類に分けるものではないのでありまして、只今まではシヨートブラツクと称するものがLFIのほうに使われておつた、ですから大体成るべく需要者の喜ぶようなものに向けて行くべきであると思います。ですからこの二つは総量でお考え頂いていいのじやないかと思います。
#150
○小林政夫君 総量でもやはり輸入は要りますね。
#151
○参考人(中原乾二君) 今年度においては若干足りません。
#152
○小林政夫君 このゴム用の場合においてはゴンタクトというのはおおむね今度作ろうと考えておる量と匹敵する、ゴム用のほうにおいても多少の輸入はやはり要るわけですね。
#153
○参考人(中原乾二君) 今年度においてはやはり相当量の輸入をしなければ間に合わないだろう。それは単に数量ができましただけでは、お使いになるほうの準備も、これは急には間に合わないと思います。急激にこの輸入をかれこれするわけにはいかない。
#154
○小林政夫君 中原さんの説明だと、懇和会のほうで、随分斡旋をしているというが、中をとつておるから関税率の引上というようなことが今一〇%であるが、それが二〇%になつても、国内生産のものが値上りをするということはない。大体今までの例でもない、こういうことでありましたが、その点については、今日はメーカーの代表が来ておられますが、メーカー及び需要者の側においてどういうふうに判断されますか。
#155
○参考人(勝本信之助君) ゴム工業会の勝本でございます。少し述べさせて頂きます。
 ゴム製品にとつてカーボンブラツクはどういうふうに必要であるかという点でありますが、これは或いは御承知かと存じますが、特にゴム製品の中でも、何回も何回も反復繰返して使つて参りますうちに、そのゴム製品がすり減つて行く、磨耗していくというようなゴム製品にとつては、このカーボンブラツクは非常に大きい役割を演じております。と申しますのは、カーボンブラツクを入れることによつて、ゴム製品の耐磨耗性を強化するわけであります。従つてゴム製品の中でも自動車のタイヤとか籾摺ゴールとか、そういうものについては、よいカーボンブラツクを配合することによつて、そのタイヤにしても籾摺ロールにしても、その製品の効果を非常に大ならしめ、且つ寿命を長くいたすわけであります。そういうわけで、我々としては現在輸入カーボンと国産カーボンと両方使つておるわけでありますが、品質の点から言いまして、絶対に輸入カーボンのほうが勝れております。又価格の点におきましても、一割の関税を附しても、なお且つ輸入カーボンのほうがよいという現状にあるわけであります。昨年の実績といたしまして、私どもの調べた数字によりますと、ゴム工業全体において昨年一カ年間で一万二千五十九トンのカーボンを消費いたしております。そのうち国産のカーボンの量が五千七百八十六トンで、輸入カーボンが六千二百七十三トンでございます。
 そこで我々若し輸入カーボンを自由に使わせて頂けるということでございましたならば、恐らく昨年一万二千トンぐらいのカーボンを使つても、一万トン以上のものが輸入カーボンによつて占められるであろうということがはつきり言えるわけであります。それはなぜかと申しますれば、さつき申上げたように、品質もよろしいし、又価格も安い。従いまして我々需要家といたしましては、絶対に輸入カーボンが欲しいのでございます。併しながら一面、国産カーボンも戦争以来ずつとやつて参りまして、いろいろ企業努力によりまして品質も非常に進歩して参りました。又日本の現状から見ますれば、そうした国産の工業がありまする以上は、これを当然に育成し、且つ強化して行くべきであるという議論も一方にはあるわけであります。
 そこで我々といたしましては、お役所のほうのお言葉もございまして、使える限りは国産のものを極力使つていこう。併しながら使えないという面だけはやはり輸入のものを使わせて頂きまして、そうしてかたがた国産カーボンの品質改良によりまして、逐次その量を国産のほうに移していこうというふうに我々も納得をし、又政府のほうにも協力をいたしておるわけでございます。併しながら残念ながら、現状におきましては、まだ少くとも半数以上は、六割、七割程度のものは輸入カーボンに頼らなければならんという現状にあるわけでございます。そこで政府のほうにおきましては、そういう点もございまして、輸入カーボンについては、勿論自由な輸入を認めておりません。毎期々々外貨をきちんときめまして、その一定の枠の数量しか輸入を許しておらないわけであります。而も入つて来ました輸入カーボンを使います場合は、やはり、お役所の行政指導、行政措置によりまして、各工場に実質的に割当を行なつております。而もゴム製品全体が輸入カーボンをもらえるわけでございませんで、ゴム製品の中でもカーボンによつてその効果が非常に高められるという、五つか六つの業種についてのみ、この輸入カーボンの割当が行われておるという現状にあるわけでございます。
 そこで我々といたしましては、かように輸入カーボンについては使いたいのだが、とにかく量が制限されておる。そういうわけでありまして、そうである以上は、何もここでもつて関税を引上げる必要はない、これが我々の考え方であります。又同時にさつき中原さんからも話がありましたように、今般関税引上を政府が考えられました当初の趣旨といたしましては、国産カーボンも更に大分品質がよくなつて参つた。併しながら輸入カーボンとの間に価格の面で多少の開きがあるが、そこで関税を二割にいたしますれば、輸入カーボンと国産カーボンとの価格の開きは大体解消できる。そうして又それによつて十分に競争をして、品質の改良を期待し得る。従つて関税を二割にいたそう、これが当初政府当局が考えられました関税二割引上に際しましての御趣旨であつたように伺つておるのであります。ところがそれから約一年経ちました現在におきまして、一体政府は当初御期待になられましたそうした効果が果してできたかどうかという点について考えてみますると、これは今般政府が関税一割据置ということで以て案をお出しになつた場合のお考えかと伺つておるのでございますが、一年たつてみたけれども、まだ効果が出ない、やはりもう少し時日を籍してみる必要がある、そのために今回は一応関税を一割にするのだというふうに伺つているわけでございますが、その点に関しましては、我々消費者といたしましても全く同感でございます。やはり現在の段階におきましては、まだまだ輸入カーボンに対しまして品質の点において非常に格差がある。又コストの引下げという点についても、我々の見るところ十分に進んでおるというようには考えておらない。大変失礼な言い方でございますが、そういうように感じておる次第でございます。従いまして我々といたしましては、やはりいま暫く関税二割引上げという点は御猶予を頂きまして従来通りの率で以て進めて頂きたい。そう考える次第であります。又我々もう一つ申述べさして頂きたいことは、これはやはりここで以て関税を二割に引上げまして、若したとえ価格が同一になつたといたしましても、それによつて国産カーボンの品質改良というものは促進されるということにはならない。むしろ価格が一緒になることによつて国産カーボンの品質の改良が遅れるというふうにさえ考えているわけでございます。やはりいいカーボンが安く国内に入つて来るという、その刺激によつて国産カーボンが強化でき、育成されて行くというように我々は考えられるわけでございます。
 一応申述べさせて頂きました。
#156
○参考人(竹内金太郎君) 只今の御説明は小林委員の御質問からみますとちよつと的を外れておるように私は考えております。現行一割の関税が二割に上つた場合、現在の国産のカーボンブラツクの値段は上るかどうかというような御質問のように私は了解いたしました。その点につきまして簡単に申上げますれば、その御懸念は毛頭ない、そういうことは確信しております。すでにこの四月一日から二割になるだろうというような現在の法案の出た前後から、国産メーカーはコスト・ダウンに相当な努力をしまして、すでに当時の価格より引下げて売つておるメーカーもございますし、又現在それの製造を企画しておるメーカーも、大体輸入価格にさや寄せしよう、或いはそれに近い価格で発売しようという気持を持つて生産に従事し、乃至は計画しておるように考えます。従つて現行一割を二割に引上げたために国産カーボンブラツクの価格は値上げされないという考え方を私は持つております。
#157
○小林政夫君 質問したことにだけ答えて下さい。余り討論会をやつてもらうと困るのです。逐次おつしやりたいことは言えるような質問をしますから。今の点はどうですか、需要者のかた、今までの買われた経験から言つて……。
#158
○参考人(林紀子夫君) 我々は輸入のカーボンブラツクと国産のカーボンブラツクとの値段を比較いたしますについて非常に困りますことは、自動車タイヤ……。
#159
○小林政夫君 質問の趣旨は、輸入関税を上げることによつて輸入品の値段が上るのは当然ですね。一〇%が二〇%になれば、それによつて国産品が、まあ輸入品が高くなつたんだからということで、国産品の値段が上る虞れがあるか……。
#160
○参考人(林紀子夫君) それは、ですから申上げたいことは、この前関税が上るということでお約束になりましたときの原価計算というものは、それはカーボン・メーカーのほうが詳しいわけでありますが、そのときの我々消費者に対しての約束としましては、できるだけ輸入品にさや寄せをしたものを供給するというお約束であつたはずでありますが、最近或る会社が出されました新製品を見ますと、輸入品よりも遥かに割高のものを供給されております。
#161
○小林政夫君 新製品というものと一応メーカーが作るときの採算と実際に設備をしてやり出したときとは多少見込みが違うとかという点はあるでしようが、今までいろいろ使つてみられて、懇和会の中原さんの言われるところでは、いろいろそこには需要者と生産者と話合いをして、そういうメーカーの悪意的な値上げというものは認められない、本当にコスト計算をして、適当な価格だということでやつて、いわゆる市場価格によつて左右されて値段が上下するということはないということを言われておるんですが、その点はどうですか。
#162
○参考人(林紀子夫君) 旧製品が我々の要求しております品質に合わないということから、新製品をお作りになつておるということでありますから、旧製品が如何に値を引かれましても、需要家としてはそれで満足して行くことにならないわけです。而も旧製品もメーカーの間ででも非常に値の差があるわけです、供給される段階におきまして。そういうわけでありますから、旧製品を関税が上りましたときにも上げられるということは、むしろそれは旧製品の生産ということを継続されるということがむしろないわけでありますから、私が申上げておるのは新製品の価格がアメリカ並みに下るということは我々は期待して申上げておるわけです。
#163
○参考人(勝本信之助君) 只今の御質問の点でございますが、これはカーボンの輸入量が制限されておりまする現在、上つて参りまする虞れは十分あるのでございます。
#164
○小林政夫君 中原さん、その点はどうですか。
#165
○参考人(中原乾二君) これは昨年政府が関税問題をお取上げになつたときの条件になつておる、先ほど申上げましたように、局長がこれに便乗したような値上りは絶対に許さん。それはカーボン生産会社の性格を見ましても、そういうことについては固くお約束のできる性格の会社ばかりであると信じております。
#166
○小林政夫君 今の新製品を大体アメリカ品と、輸入品と同じ程度の値段で作る、これは恐らくいろいろな品種によつて違うでしようけれども、そういう関税を上げても絶対に値段は不当に上げないという約束と言いますか、その際の新製品についての価格というようなものについては、メーカー側としてはどういうことでございますか。
#167
○参考人(竹内金太郎君) 御質問の要旨は、飽くまで現行の関税が引上げられた場合、国産品の価格が輸入価格に伴つて引上げられるかどうかという点に御懸念をお持ちじやないかと私は考えます。その点は先ほど申上げましたように、我々メーカーはこのまだ効果が現われないという先ほどのお言葉がありましたが、まだ二割引上げてはおりませんです。従つて効果ということはまだ考えるのには早い、この価格が引上げられやしないかという懸念に対しましては、すでに効果と言いますか、たくさんのメーカーの一部のメーカーにおきましては、すでにコスト・ダンピングによつて価格を引下げておる。又新らしい製品を生産しておるメーカーは、輸入価格に極めて近い価格で、これを製造し、発売しようという計画をお持ちのようです。従つて今の委員の御質問に対しましては、メーカー側としましては、関税の跳返りは国産品には絶対にないということを、私ははつきり申上げてよろしいと思います。
#168
○小林政夫君 そうすると、結局それが一〇%であろうと、二〇%であろうと、メーカーのほうでは、企業の合理化等には十分の努力をして、できるだけ精一ぱいの安い値段で出す。それが二〇%に若し上つたとしても同じだと、こういうことですか、簡単に言えば。
#169
○参考人(竹内金太郎君) そうです。この関税の一割引上によつて、メーカー側としては毫も値上げの問題を考えていないというわけです。
#170
○小林政夫君 需要者のほうはその点が信用できないのですか。
#171
○参考人(林紀子夫君) 我々は輸入量というものを、外貨の事情が悪いということは十分承知をいたしております。品質というものが……
#172
○小林政夫君 品質の点は……
#173
○参考人(林紀子夫君) それに関連があるので申上げるのでありますが、なかなか容易に輸入量を殖やして頂くということができないわけであります。むしろ輸入量というものは非常に制約をされるわけであります。されて行くということが当然なわけであります。そうしますと、我々の使用量というものが殖えて行くということになりまして輸入量を縛られて行くということになりますと、どうしても悪くても何でも国産を無理して買わなければならんという実情におかれたとき、商売人の意識として、そういうことを制約されるときは、そういうことの保証を誰が与えてくれるか。我々としてはそれに対して確信のあるお答えはできません。
#174
○小林政夫君 その点が中原さんの今までの説明だと、需要供給の関係で値段が高下するということは先ず先ずなかろう、簡単に要約すれば、こういうことだろうと思うのですが、今の需要者のお話だと、これは関税を上げるとか、上げないとかいう問題は抜きにしても、為替管理によつて、外貨事情上輸入がストツプするという場合には、当然品薄になつて値段が上るということの懸念があるという意味の発言なんですね。その点はどうですか。
#175
○参考人(中原乾二君) 今日よりも遥かに不足しておつた時代、この表で御覧になるとおわかりになりますが、戦後の統制時代、そうした時代におきましては、特に政府の価格の監督が厳重でございまして、そういうときにおいても、メーカーは価格を上げたことはございません。ですから今後これだけ、勿論数年の後には国内生産者同士の競争になつて参る。従つてその懸念というものは私は持つておりません。
#176
○参考人(勝本信之助君) 統制中の問題は、これはマル公がございましたが、現在は自由競争でございますから、関税が二割引上げられますれば、当然国内品も上つて参るというふうに考えられるわけであります。
#177
○小林政夫君 上つて参るという、やはり業界の気風というものがあると思うのです。それで品薄になればどんどん取れるだけ取る、こういうような気風の業界もあれば、まあ先のことも考えて適当なマージンでやつて行くという気風の業界も多くの中にはある。特にこれはいろいろな業界で、中小といつては悪いけれども、資力の薄弱なものほど儲けられるときに儲けるということがあるわけです。そういうところが事業体の信用だと思うのですけれども、その点についてのこのカーボンブラツク・メーカーの一体気風はどうか、こういうことなんですよ。
#178
○参考人(竹内金太郎君) これは只今御質問にお答えした側は、消費者と申しましてもゴム関係のかたでございますが、このゴム用並びにカラー用を含めまして、代表的なメーカーはそう多くはございません。只今懇和会のメンバーになつておりますメーカーは七社でございます。これはカラー用で言いますと、三菱化成、東京瓦斯、日鉄化学、この三社、ゴム用でございますと電気化学さん、私どもの東海電極、三池合成、旭カーボン、これがメーカーとしてのすべてでございます。それで今名前を申上げました各社は、旭カーボンを除きましては、いずれもこれが専業ではございません。私どもの東海電極はカーボン・プロパーその他若干肥料その他をやつております。カーボン・プロパー、そのほかのカーボン製品をやつておりますが、その他は一つの部門、極めて些細なものでございます。それで電気化学さん、或いは三菱化成さん、或いは東京瓦斯さん、皆さん名前は存じ上げておる通りでございまして、こういうようなメーカーが僅かその小さな部門のことにつきまして、市況の弱さ或いは強さ、これによつて縁日商人或いは町の小商人のように、市況が強いから値段を上げよう、或いは弱くなつたから下げよう、こういうような考えは、以上申上げました会社の経営者においてはこんなけち臭い考えは持つていないと私は確信いたしております。
#179
○小林政夫君 消費者のかたの理窟から考えて上るだろうということでなしに、今まで長年恐らく努力されておる生産会社と、その今までの商い振りというものは、あなたがた考えてどうお考えになるか。メーカー側のほうでは今おつしやつたようなことで、あなたがたのほうで長い間取引をして、成るほど品薄のときにつけ込まれた、実に悪いやつだという印象があるのか。
#180
○参考人(林紀子夫君) 遠い将来のことは別でございますが……。
#181
○小林政夫君 将来じやなしに既往です。過去においての取引振りがどうであつたか。
#182
○参考人(林紀子夫君) 過去においての取引振りの点でございますが、その点についてカーボンブラツクを売つております会社自体が非常に変化を来しておるということがあるのであります。その点で非常に申上げにくい点があるわけです。
#183
○小林政夫君 おつしやる意味は、大分品物が変つて来た。悪い品種のものはやめていい品種のものを作るとかいうようなことはあつたとしても、それが日々その品質が変つて行くということで、取引の都度、取引品種が変つておるというなら別ですけれども、私素人でよくわからんが、或る程度スタビリテイのある品物もあるのだろうと思う。そういうものを取引されてみて、併しその需要供給の関係というものが、必ずしも一定ではなかつたとか、非常に品不足のときもあつたとか、そういうようなときに非常にぼられたとか、今のつけ込まれたというような商い実績があるのかどうかということです。
#184
○参考人(勝本信之助君) やはり只今におきましても、例えば大メーカーに対する売り方、中メーカーに対する売り方、小メーカーに対する売り方、これはメーカーの規模によつて差が出て参りますことは当然でありますけれども、少くも普通の常識を以ていたしましては、いささかひど過ぎるというような販売の仕方があつた事実が確かにございます。それから又過去におきまして、例えば或る新らしい製品ができて、まあこれなら大分使えるというような場合に、ゴム工場としてはちよつと使つてみたいというにもかかわらず、非常に評判がいいものだから非常な買手市場になつてしまつて、なかなか買おうと思つても売つてくれない。又値につきましても、多少我々が考えておるよりも以上の値を取られたという実例もございます。
#185
○小林政夫君 まあ今の大メーカーと小メーカーと、甚だ失礼な言い方かも知れませんが、特にゴム工業界は非常に景気の変動が激しいですね。そうして弱小ゴム工業というものは、なかなか普通取引相手としては相当、まあ何といいますか少し注意深く取引をしなきやならんところも一般的に言つて割合あるわけです。で、そういうような決済、取引条件で差等がつく。いわゆる大メーカーと中小メーカーと、例えば大メーカーのときには二カ月サイトをやるけれども、お前のほうは現金でよこしてくれ、のみならず前渡金をよこしてくれと、こういうような取引条件によつて非常に差等をつけられるか、或いは金利によつての値段の違いということなのか。価格自体が、需要供給の関係で、非常に品薄のときには、大中小を問わず、アブノーマルに高く取られる、こういうことですか。
#186
○参考人(林紀子夫君) 私が先ほど申上げて言葉が足りなかつたのでありますが、日本のカーボンブラツクの会社は、先ほども申上げましたように数は非常に少いのです。適正な、使いたいものを生産して下さる会社は、従いましてそういう意味で独占的になりやすいということを私は申上げたいのです。これまでAという会社が、殆んどそれは独占的に近いような生産をされておつたのですが、その会社のものは過去の製品になつて、今度はBという会社のものが作られつつありますが、それは殆んどその会社オンリーと、今の段階では申上げていいような段階なんです。将来と申上げたのは私はそこなんです。将来になつたらわかりませんが、独占的になりやすいから我々は虞れているわけです。価格を……。
#187
○小林政夫君 その独占的になる場合に、非常に独占を利用して不当なマージンを取る虞れがあるか、或いは独占は独占だが、まあ或る程度その独占に至るまでには相当の研究をするでしようし、メーカーとしてはその研究費の償却ということは必要であろうから、只今の設備ですぐ生産すればこれだけの値段で売れる、併し既往の研究に費した研究費等も償却をしなきやならんということであれば、或る程度の余分のマージンをみなきやならん。そういうような点を併せて考えて、甚だ不当な、まあ暴利を負るかどうかということです。
#188
○参考人(林紀子夫君) 先ほど私が申上げましたAという会社の場合においては、多分にそういう傾向が見られたことは事実あつたのであります。
#189
○小林政夫君 暴利を貧つておるという……。
#190
○参考人(林紀子夫君) 暴利ではありませんが、非常に独占的な売り方をされたということはあります。併しBという会社に対して今私はそれを尋ねられましても、会社の歴史が浅いために、その会社の判定を今直ちに下すことは困難だということです。
#191
○小林政夫君 それでは次は品質の問題をお尋ねしたいのですが、いろいろ今の説明によると、量的には足らんけれども、質的にはかなり国産品でもつて輸入品に代替して行こうという、この懇和会から出された資料によると見られるわけですが、その輸入に依存するという、先ほどの勝本さんの御説明だと、非常に品質の点についてまだまだ格段の相違があるというような御陳述だつたのですが、品質の点に限つて両方から改めて御意見を承わりたい。
#192
○参考人(林紀子夫君) お答えいたします。我々が希望をいたしておりまする品質につきましては、具体的な例をお示しをいたしましてお話を申上げたいと思います。MPCという種類の輸入のカーボンブラツクだけを使いまして自動車のタイヤを実際に走行させました試験の成績をちよつと申上げますと、我々がタイヤでトレツドと申しておりますが、地面につくところのものであります、それが一ミリ減る間に、輸入のカーボンブラツクばかりの場合でございますと四千四百五十キロ走れるわけでございます。二番目に輸入のカーボンブラツクの割合を三五%と、それから電化と申しましてこれは我々はもう古いもので申上げた一つの種類でありますが、その種類を一五%といたしました配合によりまして、これは同じ車につけて走つておる一本のタイヤを三等分してやつておるのですから、同じ条件で同じ走行を示すわけですが、その場合ですと三千五十五キロ走つております。三番目にそのMPCというものの配合は同じで三五%でありますが、東海の国産のカーボンブラツクを一五%、東海と電化を置き換えて走らせた場合に三千六百五十キロ走つております。つまり電化より東海のは国産品でいいということがわかつております。併しオール輸入と国産を使つた場合で比べてみますと、それだけの違いがあるということでございます。次に輸入品の場合は同じでありますが、仮に東海さんがこしらえております新らしい、輸入品と同じだと言われておりまするものを五%だけまぜて走らせました場合の結果を申上げてみますと、これは走らせました車が違いますので、比較論が前のものと違うことはその点は御了承願いたいと思いますが、一番にはやはり輸入品を五〇%混ぜましたやつでやりましたところが、…千三百キロ走りました。新らしい東海さんのものを五分つまり一五%の割合で走らせました結果を見ますと三千七十キロでありまして、つまり一割、一〇%というものは必ず製品が劣るわけです。これは普通のトラツクのタイヤにおいてそうであります。併しこれを電源開発とか土地利用開発というような大型のタイヤにおいて示しましたならば、五〇%はいきなり悪くなるのです。カーボンブラツクというものは配合品ではありますが、カーボンブラツクの悪いために、我々タイヤを作ります場合には、輸入品である生ゴムとか、繊維という貴重なものを使つておりますが、コストの点で一つ御参考に申上げますが、これはタイヤの原材料だけの部分で申上げますから御了承を願いたいと思いますが、生ゴムでは三六%、コストのほうで申しますと三六%あるわけです。それから繊維、コツトン・リンターを使います。強力人絹で四十四%というものがあるわけです。それから仮にカーボンブラツクを、輸入品を八〇とそれから国産を二〇使つたといたしました場合に、カーボンブラツクのコストの比が、輸入品で六・五%、国産で一・五%、その他のものが一二%で、只今申上げましたパーセンテージを合計いたしますと、一〇〇%になるわけであります。そうしますと、コストの面では輸入と国産を合せましても八%しか占めないわけです。その八%しか占めないものによつて、タイヤの貴重なコツトン・リンターを使いましたケースと申しますと、タイヤの胴体のほうは非常に立派なもので、まだまだ使えるにかかわらず、磨耗が非常に早いために、一〇%の磨耗がアメリカよりも劣る、五〇%も劣るということになりますれば、そういうものをお釈迦にしなければならんということでは、非常に我々外貨の面では損をするという実情が出ておるわけであります。それで国産のもののどこが悪いかと申しますと、グリツトと申しますものがありますが、これはアメリカの製品では全然見られない。併し現在国産のメーカーさんも非常にこのグリツトの点につきましては御注意を下さいまして、従来は一袋の中にコーヒーのスプーンで大体二、三匙くらいの量あつたものが、約今日では四分の一に下つておる。ところがこのグリツトというものは、これはもうアメリカではカーボンブラツクの会社としては恥としておる。グリツトのあるような製品をカーボンブラツクの会社が売るということは非常な恥です。併しそれを我々が国産のメーカーに余り強いるということはいけないのでありますが、併し我々がタイヤを作ります場合に、トレツトの中に、仮に申上げますが、空気の動きがあるということすら、タイヤが走つているときにパンクの原因になるくらいに我々は注意しておるものであります。そこへごみのようなものが入るというと、そのタイヤの生命を一遍に破壊することになる。そういう点が非常に我々として困つておる点なんです。ですから少くともアメリカと同じ品質のものというよりも、まだまだこんなグリツトを除くということすらできておらないものなんです。ですから籍すに時日を以て、だんだん国産のメーカーもアメリカと同じようなものを作つて頂きたいのです。それからHAFとかSAFというランクをいろいろ申されますけれども、日本のカーボンブラツクの品物を一度アメリカへ送つてもらつて、これはどういうランクに相当するものかやつてもらいたいということを、私らは当局へ建設的な意見として申上げたのです。併し一度もそういうことを政府としてはおやり下さらないわけなんです。私らは共々に研究をして国産の品質が上ることについて我々希望しております。
 それからもう一つ私が申上げたいことは、ここにコンタクトというのがございます。コンタクトはいつまでたつても日本では、天然ガスがどこかでアメリカなみに湧沸をしたというような奇蹟でも起りますれば別でありますが、コンタクトというものは、まあ当分日本ではできる見込がないわけであります。ところがなぜコンタクトを我我が要求をするかというと、アメリカのタイヤと我々日本のタイヤとは違うわけであります。アメリカのように、道路がいいところで軽い気持で以てさつと走るならば、それは何をかいわんやであります。併し我々がタイヤを作るのは、日本の道路の状況に合うように……、オーバーロードもなさいます、何はなさいますで、非常な苛酷な条件にあるもので、道の悪いところを走る。そういう条件に合うタイヤを作るのが日本のタイヤメーカーの使命だと思つて作つておる。それにはやはりそれに合うところの条件のカーボンブラツクを輸入したいわけです。ところが日本に作れないものをなぜ二〇%まで関税を上げられるのか、我々はそれが非常に疑問に思うわけです。それでコンタクトの量はタイヤ・メーカーとしてフアーネスブラツクより多くなつておる。ずつと多いわけです。
#193
○小林政夫君 竹内さんどうですか。
#194
○参考人(竹内金太郎君) 今御説明を伺いますと、国産のカーボンブラツク工業などは、これは潰滅させ、全部輸入品に置き換えたら良いものが安く使えるという、このロジツクを演繹しますと、そつちへ発展して行くのじやないかと思うのであります。それは私の感想でございますが、このカーボンブラツクの質或いは品種、こういう問題につきましては、それぞれこのカーボンにはそれ自体の特色と申しますか、癖と申しますか、それぞれの性格がございまして、目で見れば黒い煙突の煤のようなものでございますが、それぞれの物理的に或いは化学的に恐らく性格を異にしておる。従つて同じ条件で他の恐らく、私ども詳しいことは存じませんが、タイヤに塗り込むためには相当多くの配合品を用いるかと思いますが、これを全然同一条件でそのカーボンの特色を見出さずに、全く他の条件を同じにしてお使いになつた結果が、先ほどのデーターと異なつて現われておるのだろうと思うのです。これは国内のタイヤ・メーカーさんにはそれぞれのお好みがございましてこの配合条件は全部違つておるかと思います。それで或るタイヤ・メーカーさんは国産品を比較的大量にお使いになり、或るメーカーさんは非常に少いというようなことも事実あるわけでございます。然らば仮にこれをAとBとしますと、Aのタイヤ・メーカのタイヤとBのタイヤ・メーカーのタイヤが、それほど差があるかと申上げますと、これは費用におきまして、使用価値の点におきまして、全然差はないというようなことも私聞いております。やはりこれは使い方でございまして、カーボン工業というのは、私若いときに聞いたのでも、一つ一つのブラツク・アートである、ブラツク・マジツクである、魔術である、この本体はなかなか究明できないものです。それでこれを完全にこのカーボンの本体を究明し、この本体を本当にキヤツチして、その特色を十分に生かすという方法は非常にむずかしい問題だと思いますが、それを十把一束と申しては失礼ですが、単にカーボンの国産と輸入を置き換えただけで、そのテストをなさり、その結果だけ比較するということでは、本当のカーボンの本質を掴んでおる研究乃至は試験方法ではないのじやないかと、まあ私はそう思つております。で、現在お使いになつておる国産品、これはいやいやながら或いはお使いになつておるかもわかりません。先ほどの御説明によりますと……。が、だからと言つてこれを全部輸入品に置き換えてしまえということは、現在の日本の立場からこれはちよつと考えられないことでございます。従つて先ほどお話がありましたように、若干の時をかすことにより、これをブリング・アツプして質においても価格においても同等の水準にまで持ち上げるということが、私メーカーとしての責任であり、又政府としてはその方針に向つて施策をすべきものだと、そう考えております。昨年政府がこの問題を取上げたのも、やはりそういう見地から、これをテーク・アツプされたものだと私は考えております。当時と現在とではどれだけの条件の客観的情勢の変化があるかと考えますと、これを現在に一カ年延期すべしというような条件は全然ない、むしろ四月から関税は引上げられると、その保護助成策の恩恵によくするのだということで、各メーカーは新らしい製品を作り出そうという計画を持ち、すでにその芽生えはかなり大きくなつております。生まれ出ようとする或いは出たばかりの工業を、又元の風に当てるということは、折角出かかつた芽を未然に摘んでしまうというような結果になりはしないかと、そう虞れております。で、質において或いは価格において現在の裸のままの姿で輸入品に十分対抗できるならば、これは何らこの関税乃至はその他の保護助成策は必要ないのでございます。そこに若干の差があればこそ、政府としてこの問題を取上げておるのでございまするから、これが今後更に一カ年延期されるというような政府案が出たかのように私伺つておりますが、その原因が、理由が奈辺にあるか甚だ了解に苦しんでおる次第でございます。
#195
○小林政夫君 結局輸入品を使えば、消費者側のお方のおつしやることをそのまま受取つて、大体耐用命数において約一割ぐらい長く物が使えるが、タイヤとしては一応使い物になるタイヤはできるが、耐用命数が多少一割ぐらい違う、こういうことを言われるわけです。タイヤの強度の、強い耐用命数の長いタイヤを作るのに、そこにはいろいろゴムの配合自体の問題もありましようし、それから芯になる、或いはすだれ織だとかいうような織物がタイヤの芯になりますね。今もちよつと話があつたが、そういうようなものの技術もかなり影響するのじやないかと思いますが、聞くところによると、日本のタイヤ製作技術は非常に優秀である。世界の水準と比べてそう遜色はないというようなふうにも聞いておりますが、そういつた点の強度の耐久力のあるタイヤを作るについて、すべての責任をカーボンブラツクにのみ負わすのでなくて、そつちのほうの改良研究を併せて例えば最近は合成繊維等によるすだれ織に相当する芯になるものもできて来ている。こういうことを併せ研究することによつて耐用命数の耐用度を長くすることはできるのではないでしようか。
#196
○参考人(林紀子夫君) 御説でございますが、タイヤの骨絡みの非常に強くなるということについては、綿から強度人絹ということになりまして強くなつて参つたのであります。ところが摩耗と申しまして路面をこすつて行くものにつきましては、今のところカーボンブラツクよりも勝るものはちよつと世界にないわけなんです。それでむしろカーボンブラツクというものの使用量というものは非常に伸びて来ておるわけです。現在日本で、我々は役所の何がございますので、大体ゴム一〇〇に対して一二〇%程度のものしか混ぜておらないのですが、諸外国では大体三九%、四〇%近くのカーボンブラツクを混ぜるということで、むしろカーボンブラツクを増加さしております。それで前は日本でも亜鉛華というものを使つておりまして、これは金属亜鉛が要りましたわけですが、金属亜鉛の部分をだんだんカーボンブラツクにむしろ置換えておりますわけで、今御質問のございましたように、その摩耗度ということを求めるに、ほかに代るものはないと思うのです。タイヤというものは非常に何と言いますか、いろんなものの結合体でできておりますわけでございますので、折角張りが強く、肋骨が強くなりましても、それに相応した筋肉が必要になつて参りますわけでございます。その筋肉質が非常に丈夫になるにはカーボンブラツク次第というわけでございまして、ですからそれ相応にやはりタイヤというものは、適当なことを申しますと、或るときに行つたときに、全部のものが皆滅してしまうようになるのが理想なんであります。或るものだけが非常に極端に強くあつても、それは困るわけなんです。ですから今カーボンブラツクに代るようなものはどこにもございません。むしろカーボンブラツクを使うことが多くなつて行く傾向にあるわけです。
#197
○参考人(勝本信之助君) 只今の御質問に関連いたしましてお答えいたします。只今タイヤのお話がございましたが、私さつき申上げました籾摺ローラーという、百姓が使います籾を摺りますローラーがございます。この籾摺ローラーにつきましては綿も使いませんし人絹も使いません。ただゴムとそれに多少の薬品とそれにカーボンブラツク、これでできているわけでございます。ところがこの籾摺ローラーの場合に輸人カーボンブラツクを使つた場合と、国産カーボンを使つた場合とでは、まさにカーボンブラツクの如何によつて非常に大きな寿命の差が出て参ります。詳しいデーターは只今持つておりませんが、この点に関しましては確実にカーボンブラツクということによりまして寿命の差が非常に大きく出て参ります。
#198
○岡崎真一君 このカーボンブラツクの関税を一〇%にするということは保護関税という観念からは少し縁遠いかも知れませんが、一〇%というものがこういつた意味を持つものとお考えになつておるか、一〇%というものはそういう意味から見てどうお考えになるか。
#199
○参考人(林紀子夫君) 私が考えます場合、保護関税として見ました場合は、甚だ不徹底な関税だと思つております。若し国産のカーボンブラツクをアメリカ並に上げようということで保護関税をとりますならば、恐らく四割ぐらいお上げにならなければ完全な保護関税にはならないと私は思つております。
#200
○参考人(勝本信之助君) それからもう一つ問題は政府、通産省が考えておりますることを一応お伺いいたしますると、ここで以て関税を二割にいたそうが、一割にいたそうが、入れるカーボンブラツクの量は変らない、そう申しております。ということは一割であろうと二割であろうと、やはり制限するものは制限する、これが通産省の方針であるように伺つております。それからもう一つは関税を二割に引上げましても、国産メーカーのほうでは値を上げないなら上げなくてもいいとおつしやつておられます。そういたしますると、一体何で関税を二割に値上しなければならないか、全く我々了解に苦しむわけでございます。ただ我々の製品のコストを上げるのだということだけにしか考えられないわけでございます。
#201
○参考人(中原乾二君) 先ほどからお話がございましたように、カーボンブラツクはゴム製品の非常に重要な役割をいたしておりますので、各国がこのカーボンブラツク工業を育成するのは非常なものでございます。例えばドイツにおきましては、輸入税を一割五分とりまして、この一割五分は全部国産のカーボンブラツク工業に払戻すという政策をとりまして、世界でアメリカに次いで一番最初に国内工業を確立いたしましたのはドイツでございます。アメリカは戦後一カ年間に七十万トン作つておりますが、それを五カ年計画で百十万トンにいたします。あとの四十万トン近いものを増産するために、アメリカは免税措置をとつております。アメリカは足りないとは思えないのですが、而もアメリカの軍拡なり何かに備えまして、国外にまで輸出しておる国でさえ免税措置をとつてこれを育成しておる。これは単にカーボンブラツクを以て世界を征覇するつもりでなしに、これは如何にゴム工業において、カーボンブラツクが重要なものであるかということが考えらると思います。ですから日本ゴム工業の御両者も、このカーボンブラツク工業がゴム工業の死命を支配しているということは、十分に御存じだと思います。只今日本のゴム工業はアメリカに首つ玉を握られておる。日本のゴム工業の活殺はアメリカにある、これを日本の手で確立したいという気持は十分おありのことと思います。ただ当面の価格差というものについて御心配だろうと思いますが、速かに確立するためには、立遅れていることは事実です。その事実を速かに確立する方針が、今度の関税問題であると私どもは思います。
#202
○参考人(竹内金太郎君) メーカーとしましては、只今林さんの意見にもございましたように、一割は決して十分であるとは思いません。我々はベストが望ましいわけではございますが、現在の客観情勢の中で我々だけが完全な温室の中に育ててもらいたいというような気持は毛頭持つておりません。それでベストより先ずベターを求め、それで完全なる温室の中でなくても、少くとも或る程度の風はよけられるというような親心と申しますか、政策が要請されるわけで、通産省もその意味でこの一割というところに、これを三割とか或いは四割とかにせずに、値上率を一割のところに持つて来たのだろうと、我々はこう考えておるのでございます。それでこれが一割。もう一つは今の御質問の点にございましたように、一割で果してその意義で、効果が上るかどうかという点につきましては、今申上げたような意味が、或る程度の効果はあるというのもございましよう。又一割で完全に価格の面では輸入品と対等になり得るというものもございます。メーカーは先ほど申上げましたように七社ございまして、それぞれ一種類のみだけでなしに、二種類或いは三種類の生産をしておりますので、この一割で完全に輸入価格と対等に行き得るものもございます。
#203
○参考人(林紀子夫君) それはアメリカが現在の我々に輸出して参ります価格を据置いての議論だと思いまするが、アメリカではカーボンブラツクの価格に対しましては、プレートにフルにかかつておる、それを軽減するためにコンプレス・カーボンというようなものも作りまして、プレートを安くするというようなことの努力を、アメリカとしては非常に払つておるわけであります。そういう考え方からいたしますと、仮に関税を日本で上げました場合には、アメリカは必ずこれに対して売値というものについても、相当の考慮を払うであろうと思われるわけです。そうしますと、アメリカのカーボンブラツク工業と、日本のカーボンブラツク工業のスケールの差というものは、これは非常に違うわけです。ですからアメリカがそういつたコスト・ダウンをする速度と、日本のカーボン業者がコスト・ダウンをされます速度というものについても、非常な問題があるわけです。それから我々といたしましては、たとえ関税が二〇%上りましても、現在のアメリカのカーボンの品質と、日本のカーボンの品質と比較いたしましたならば、どうしてもやはり輸入のカーボンブラツクを使いたいということの熱意には変りはないのです。我々これはタイヤや製造業者が慾で申しておるのではありませんので、我々の後には消費者がおるわけです。消費者が一番このタイヤの品質というものについてやかましく言われるわけです。ですから消費者がすべてを、カーボンブラツクの品質その他についても決定するものであるというふうにお考えを頂きたいものだと考えるわけです。
#204
○菊川孝夫君 非常に今日は貴重な参考人の忌憚ない御意見を承わりまして、我々として実に参考になつたのでありますが、併しこういう問題は、日本の、遺憾ながらあらゆる産業の生産面において逢着している問題だと率直に言えるのです。例えばブラツク懇和会のほうからお出し願いました陳情書を拝見いたしましても、とにかく率直に国産品が三六%高いということを認めておられる、あなたのほうからお出しになつたもので……。それで計算いたしましても、又今度はタイヤ・メーカーさんのほうから、自動車メーカーということになりまして、輸入のタイヤはというようなことで、又輸入タイヤと国産タイヤの問題が起きて来る、自動車自体が……。そうすると、でき上つた自動車自体について我々率直に言つて、街のハイヤーに乗りましても、幾ら日産が逆立ちしても、いいのができた、自動車工業なんだと言つたところで、日本ではすぐ国産品だということがわかる。我々そのくらい、日本の産業は或る意味において落ちておるということを考えましたときに、これをどういう角度から一つ吸い上げるかということの基本線が問題だと思うのです。率直に言つてカーボンブラツクは……。去年は染料の問題で同じような、いわゆる染料を使うほうのかたと、染料製造者のかたの意見が対立して、僅かな関税の問題でしたけれどもありまして、これはあらゆる産業でも何でも、如何に日本の産業は遅れているかということがだんだんわかつて来たのです。これは戦争中に遮蔽されておるときは、何でも品物さえあればよかつた。できたものは下ばきでもはけてもはけなくても、何でも買つたけれども、そういうものをこしらえて出した。その惰性を払拭できないところがほうぼうに残つていると思うのです。だから戦争する場合にでも、飛ばん飛行機をこしらえたり、川崎、三菱と大きなことを言つても、川重なんか特にそうでありました。向うへ行くまでに落ちてしましたという飛行機をこしらえて、日本の生産技術は大したものだ、国鉄は世界一だと言つておりましたが、とんでもない話で、海軍は海軍で無敵艦隊だと言つて弱過ぎて無敵艦隊になつたと思うのです。従つて日本の産業全体はそれだけ遅れているということを自覚して、振い起さなければならん。これは国会としても、そういう角度からこれを取上げてやらなければならんと思うのですが、そこでお尋ねいたしたいのでありますけれども、仮にそれでは二〇%にしても、三六%を据置くということになつたら、少くとも三六%ということについては、何とかこれを引下げてでも、品物が悪いとすれば、引下げるということはできないですか。一年くらいの間に、せめて国産品を、関税を払つて来たものに、而もまける、品物は悪いと来たら、それでも俺のほうは使えということは、こういう自由経済時代に、今の政府の政策でやられたときに、これは非常に問題だと思うのですけれども、そこで値段で対抗できるようなことはほど遠いものでしようか、どうでしようか。
#205
○参考人(中原乾二君) その三六%というのはどういう品種についてですか。大きい主なものについては平均が大体二割高いのです。それは古い資料かも知れませんが……。
#206
○菊川孝夫君 併しあなたのほうから陳情書を頂いておりますのでは、新品種の内外価格差は別表の通り、国産製品は約三六%も高いのであります、と書いてありますが。
#207
○参考人(中原乾二君) 大体一割の関税引上によつて一年以内に競争圏内に入れる、そうして数年のうちには二割の関税は意味をなさないものになつて行くという自信を持つております。
#208
○菊川孝夫君 この三六%は克服できるというのですか。
#209
○参考人(中原乾二君) 今の生産状態というのは極めて生産単位の小さい、とても経済単位になつていないのです。だからこれはどこかで何かの方法を講じなければ、いつまでたつても国産のカーボンブラツクは要らないのだということになるから、育てるからにはどこかで育てて行かなければならない。それには先ず経済単位にするということが大事です。経済単位になる見込がないときは関税保護をやつても意味がない。昨年お取上げになつたときは見込があるということで、私もそう確信をいたしております。
#210
○菊川孝夫君 もう一点お尋ねしますが、品質の改善、それから価格の引下げ、特に品質の改善につきまして、大体業界といたされましては、研究費その他に出されている経費というものはどのくらいお見込みになつておりますか、これは共同で検討されておるものもあるし、各業界でやつておるものもあると思いますが、品質改善に使われているもので、今やかましく言われている交際費のようなものを削減して、進んで品質改善費に拍車をかけているというのは、大体数字的に見てどのくらいの経費になつておりますか、こういう熱意は業界に必要でありますが……。
#211
○参考人(中原乾二君) いろいろ協会とか懇和会とか工業会とか日本にはたくさんあるのです。併し懇和会やそういう協会で研究費を持つている会は……。
#212
○菊川孝夫君 各社が持つておられる……。
#213
○参考人(中原乾二君) 私自身が持つているのです。恐らくこういう業者の団体で研究所を持つて研究しておるというところは非常に少いのじやないか。これは一つの現われでございます。各社ともそれではいけない、これは私みずから放つておけないというので、協会の仕事として、大部分研究に没頭しております。
#214
○菊川孝夫君 大体こういう化学製品というものはそれぞれ会社によりまして独特の製造方法があると思いますが、それは一つの所で秘密にして、秘法は公開しないと思いますが、あなたのところは勿論懇和会で研究機関をお持ちになつておるということですが、我々の承知しているところでは、それぞれ独特の方法で、家伝の秘法をそれぞれの会社でお持ちになつて御検討になつておられるのが、大体今までの行き方だと思いますが、それをプールしてやつておられるわけですか。
#215
○参考人(中原乾二君) カーボンブラツクは、今日議会でお取上げになつて頂くほど大きな問題になつているのは、カーボンブラツク自身が重要であることと、もう一つはカーボンブラツクというものの状態をつかんでいないので、今日水掛論になるのが多いのであります。カーボンブラツクは、どういう性質の、どういうカーボンブラツクがゴムの磨減を防ぐのか、どういうカーボンブラツクがゴムの伸びを強くするのかということが、今世界中の論文によつても明かになつていない。ですから作るときにいい加減な方法で作つて、作つたものをゴムの試験をして、これはいいとか、これは悪いとか、百姓試験百姓工業、併しこんなことをいつても、何年やつても駄目だというので、カーボンブラツクはどういう原料を使つて、どういう方法で作るべきか、どういう製品はゴムのどういうことにいいのか、その体系の研究がなければ、これは何年たつても外国に追付けない。アメリカのように無尽蔵に研究費があるところなら百姓研究でいいのでありますが、日本のようなところは早く一つの体系を整えなければならないということで、その体系を整える研究は私のほうでやつております。各社は各社で製造の研究をやつております。それについて政府から連絡をしておりまして、日本のカーボンブラツクには非常な期待をしております。
#216
○参考人(竹内金太郎君) 私のほうは名前の通り、私のほうはといつて、私の会社でございますが、電極のメーカーでございます。これはカーボンブラツクといささかはずれておるかも知れませんが、同じカーボンの電極部、これが昭和の初期までは日本で現在のような製品は一遍も作られていなかつた。これを当時の海軍と我々のほうで共同研究にしまして、昭和十年頃初めて呉その他の工廠で使えるようなものができた。勿論民間も八幡なり住友なりその他の鉄鋼会社も勿論でございますが、その後戦争に突入し、独特な技術で以て製造に従事しておりまして、戦後になりまして、需給も非常にアンバランス時代に、初めて輸出という問題を考え、私世界のあらゆる部面にサンプルを廻して輸出に努力いたしました結果、現在鉄のカーテンの中、それからアメリカ、ドイツ、イギリス、ベルギー、これを除きまして、未開の国は別でございますが、南米から濠州、ヨーロツパ、近東地区と至るところに現在輸出をしております。それにおきまして世界の最大メーカーであるアメリカの有名会社のと、全然品質の劣りは見られておりません。価格におきましては百ドル程度国産品のほうが安くなつております。現在日本の工業製品の中で、質において完全に外国品に対抗して、価格において更に安いというものは、余り例がないだろうと思います。これは私のほうの主製品の電極についてでございますが、私のほうは飽くまでもカーボンの会社として、カーボンブラツクにおきましても、質並びに価格において電極の現在の姿のように、質、値段において、輸入品に完全に対抗し得るという意欲、努力を継続しておりまして、今研究費という問題につきましては、我々は藤沢のほうに中央研究所を持ち、三十数名の技術者がその研究に当つておりますが、生産現場も勿論これは日々の仕事自体が研究でございまして、只今具体的に何千万の金、何百万の金を研究費に注入しておるかということは私は申上げられませんが、日々これ研究でございます。我々メーカーの信念は、我々のところは技術を売るのだ、金を儲けるのじやない、技術を売つて金を儲けるのだという信念で、社長以下やつておりますから、その点は御安心願つて結構だと思うのです。日ならずして、電極と同じように価格、質において、輸入品に十分対抗し得る現在のカーボン製品のように、完全に輸入品をシヤツト・アウトできるという確信は持つております。
#217
○参考人(林紀子夫君) 研究費の問題でございますが、我々が申上げたいのは、非常にタイヤのメーカーとカーボンのメーカーは如何にも喧嘩をしているようにもお考えになるかも知れませんが、逆でございまして、非常に両方の技術者というものは切瑳琢磨いたしまして、非常に仲良く研究をいたしておるのが現在の段階でございます。それでカーボンブラツクの性質を一番よく知らなければならん立場におかれているのがタイヤ会社なんです。従いましてタイヤ会社は毎日自動車を何台か専門に使いまして、道路試験を絶えずやつておるわけであります。そういう費用は金額ではちよつと申上げかねますが、各会社とも何台かの専用自動車を持つてやつておるわけであります。ですからそれはカーボンブラツクだけの直接試験としてはタイヤを切つたものをやるという事柄はやつております。そのほかに絶えずロード試験というものをやつております。非常に拡張してやつておるわけで、何も非常に喧嘩をしておるわけでもございませんし、国産が非常によくなるということについて、タイヤ会社も熱意を持つてやつておるわけであります。その点御了承願いたいと思います。
#218
○菊川孝夫君 そういうふうに重大なものであり、アメリカでもまあ国内的な免税ということを考えておられる。これで輸入の問題で意見が対立して一年間延ばすということを政府が出して来ている。従つてこれの面を一つ免税、例えば人絹なんかが免税措置を租税特別措置法でやつておりますが、タイヤのほうも重要なものである。だから国内の免税措置、カーボンブラツクに捧げておる分だけを或る程度の免税措置、租税特別措置法による免税措置ということが起つておるのですが、これは私らもよくわかりませんが、その点から考えて一年間やつてみるという一つの方向、建設的な意見、両者とも強調していられる今日のお話では、如何にも技術上の点からそう引下げるのは結構だと思う。私らも関係するので、お互いにお上手言つててはいつまでたつてもいけないから、むしろ率直にそう言つて頂くことは非常に参考になつていいと思う。そういう点から御意見を承わりたい。
#219
○参考人(中原乾二君) 国産の育成は企業者の努力は勿論でありますが、何か国としてのこの産業の方針として取上げるには三つある。一つには輸入を十分にチエツクすること。それから国内の免税をすること。関税を上げること。この三つが考えられるのでありますが、カーボンブラツク工業は昨日今日の仕事ではないのであります。今申上げたように戦争中からとにかく芽生えはあつたのであります。そのために新しい産業としてお取上げになるのは困難のように思います。塩化ビニールのようなものは非常に新しいもので、これは免税をお取上げになつた。カーボンブラツクの工業は相当前からあつたことになりますので、何か新しい工業で三年間というのが原則らしいのですが、これはもう名前だけからいえば十年もあるのですが、お取上げにならないで、それで結局関税の問題をお取上げになつたのです。
#220
○菊川孝夫君 今関税のみじやなしに為替管理をやつておりますね。その面で先ず輸入品をチエツクできますね。それから次に今度は国内の免税ということも考えられる。そういう二つある。カーボンブラツクの懇和会のかたに、これは政府として今までこれだけ重要な、今までの戦争中からあつたことは認めますけれども、今はもう国際競争をやらなければならんという段階になつたときに、国内的な免税措置、そして一方実際カーボンブラツクを使用するほうのタイヤ・メーカーのほうとしては、やはり切瑳琢磨させるという意味からいつても関税のほうは一年間という主張をする、こういう案というものは、むしろ、そうして一年間たつて、その結果を両方ともいろいろ批評を集めて又持寄つて、この次の国会で討議をする、こういう行き方はどうだ。これはあなたにお聞きするより、そういう政府が方針をとられるとするならば、今のこの政府原案が認められるかどうか、この点を率直にお伺いしたいと思います。そういうことはやれるという仮定の上に立つて、これは一応了承できるかどうか。
#221
○参考人(中原乾二君) 曾つてはアメリカから入りますものは東京、関西、九州の港へ皆入ります。ですから日本の国内鉄道で輸送することがなかつた。ところがカーボンブラツクは名前は、これは煤でございますから、貨車を非常にとりますので、九州で作つたものを東京へ国産品を持つて来るのは大変な運賃ハンデーがある、この運賃ハンデーがあるために、過去の鉄道省の時代にはカーボンブラツクは非常に低いのを適用した。ところが国鉄が公社になつてからカーボンブラツクは特別扱いじやなしに、それは関税のほうでやれ、一般のものと同じように。それから今度は輸入の為替管理ということは、数年続いておりましたが、そのときに、こちらにお見えになつておるかたもそういうお気持だつたと思いますが、これは制限することはおかしい、そういうことは関税によつてきめて、あとは、二、三年前のドルの委託のときでございましたから、そういうようなものはフリーにすべきであるという陳情書がたしか出たと思つております。そういうふうに為替の管理の場合には、為替のあるときとないときと随分違つて来る。そうして結局こういう結論になつたのでございまして、今の私どもカーボンブラツク工業の促進を念願する者とすれば、どの方法によつてもかまわない。この芽生えが確立するまで何かの方法によつて保護されれば、それでよろしいと思います。
#222
○小林政夫君 わかりました。
#223
○参考人(勝本信之助君) 只今の質問に関連いたしまして、ちよつとお答えいたします。現在政府のほうでは輸入カーボンにつきましては量を制限しておるわけでございます。昨年、さつき申上げましたように、ゴム工業が使いますカーボンの量は約六千トンでございましたが、我々が使いたいという量は非常に遠慮した数字でも九千トンぐらいございます。従いまして毎期々々この為替を決定いたします場合には、我々業界といたしましては、もつと増量してくれという運動を何回も重ねてやつております。これは毎期ごとに必ず通産省とまるで喧嘩腰になつて、この数字を言い争いしておるわけでございます。併しながら役所のほうでは、国産カーボンの育成というような見地からも、やはり我々の要望を相当削りまして、そうして制限をいたしておるわけでございまして、この輸入為替の制限という点からも、国産カーボンに対する保護育成という点は十分効果達成できるというふうに我々は感じておるわけでございます。
#224
○小林政夫君 カーボンブラツクを使つたゴム製品で、輸出されるのはどのくらいあるのでしようか。
#225
○参考人(林紀子夫君) ゴム製品の中で一番自動車タイヤが実績を挙げておりますわけですが、昨年約五百万ドル近く出しました。今年は目標としては八百万ドルくらい乃至一千万ドルくらいを出したいと思つておりますわけであります。非常に自動車タイヤの輸出は伸びる可能性があり、海外各国でも日本の自動車タイヤの品質を認識してくれておる次第でございます。
#226
○小林政夫君 これは全ゴム製品のどのくらいの比率を占めるのですか。
#227
○参考人(林紀子夫君) 只今ゴム製品として輸出しております量は、昨年の実績におきまして全体の約八%、本年におきましては今申上げましたようにタイヤ等につきましては、非常にあれでございますので、これは一二、三%くらいまでは伸びるだろうという期待をしております。
#228
○小林政夫君 それはカーボンブラツクを使うゴム製品の中でですね。
#229
○参考人(勝本信之助君) 多少その中で、例えばアメリカへ出ておりますゴムの玩具等におきましては、カーボンブラツクを使つておりませんけれども、大体におきまして、ゴム製品はカーボンブラツクを使つておりますから、その数字は大体全体に当てはまる、そう考えてよろしいと思います。
#230
○小林政夫君 その輸出のゴム製品については、やはり品質の点からいつて輸入のカーボンブラツクでなければならんという点がありますか。
#231
○参考人(林紀子夫君) 先ほど申上げましたときにも触れましたのでございますが、アメリカでは四〇%近いカーボンブラツクを入れておるわけです。日本でも入れたいわけです。それでもう一つ敷衍的に申上げますが、生ゴムの値段よりカーボンブラツクの値段は安いのです。安いから我々は量を殖やしてもらうことは、逆に言いますとゴムを使うよりカーボンブラツクを使うほうが安いのです。ですから我々は昨年の実績よりも、今年入れてもらいたいと通産省へ陳情いたしました量を若し入れて頂くとしますと、六万九千ドル近くのものは外貨が節約できると考えております。
#232
○小林政夫君 そうなるとゴムも輸入でしよう、カーボンブラツクも輸入だ、こういうことであれば、少くとも輸出品に関する限りは保税工場の保税作業として認めてもらえば、今の少くとも輸入品については関税が高いか安いかという必要はなくなつて来るわけですね。そういうことはできないわけですか。
#233
○参考人(林紀子夫君) 只今のところそういう保税措置とか輸出に対しての優先的措置につきましては、通産省でもお考えを頂いておりますし、我々自体も研究いたしておりますので、輸出については何か免税を願えるような方法はあるかと思つております。端的に気持を申上げますと、甚だ失礼ですが、我々カーボンブラツクの関税が二〇%に上つても、むしろ目的税的に使われるなら、我々としても或る程度国策カーボンブラツクの育成という意味で、これは私個人の意見ですが、賛成してもいいくらいの気持は持つておるのです。併し目的税でなくて一般税としてやりますと、消費者だけが負担をするということになりまして苦痛だと思うわけです。
#234
○小林政夫君 税関部長、その今のゴムのものについて保税作業的な取扱は技術上できますか。
#235
○政府委員(北島武雄君) 保税工場制度を利用いたしますれば完全に目的は達せられるわけでございます。少くも輸入いたしまして輸出するものにつきましては。
#236
○委員長(大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。参考人の方有難うございました。
   午後五時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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