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1953/04/09 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第33号
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1953/04/09 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第33号

#1
第019回国会 大蔵委員会 第33号
昭和二十九年四月九日(金曜日)
   午後二時十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大矢半次郎君
   理事
           小林 政夫君
           菊川 孝夫君
           東   隆君
   委員
           木内 四郎君
           白井  勇君
           山本 米治君
           土田國太郎君
           前田 久吉君
           成瀬 幡治君
           堀木 鎌三君
  衆議院議員    中野 四郎君
  政府委員
   大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
   常任委員会専門
   員       小田 正義君
  ―――――――――――――
 本日の会議に付した事件
○接収解除ダイヤモンドの処理等に関
 する法律案(衆議院送付)
○入場税法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○交付税及び譲与税配付金特別会計法
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。
 接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案を議題といたします。
 先ず発議者より提案理由の説明を聴取いたします。
#3
○衆議院議員(中野四郎君) 接収解除のダイヤモンドの処理等に関する法律案に対しまして提案理由を説明いたします。
 戦時中、政府は、航空機電波兵器等の生産を増強するの必要に迫られたのでありますが、これが生産上不可欠の資材はダイヤモンド工具でありまして、当時工業用ダイヤモンドは陸海軍が相当多量に南方々面から入手していたのでありますが、すべて陸海軍工廠に受け入れられまして民間には廻らず、止むなく軍需省は一般国民から装飾用ダイヤモンドを買上げることとなり、昭和十九年七月『ダイヤモンド買上実施要綱』を定めてこれを各地方長官に通牒すると共に、情報局は大々的の宣伝を行い、婦人会、隣組等を督励して国民の愛国心に訴え、その供出を勧奨したのであります。
 当時皇室におかれてもこれが奨励のため王冠を初め数々のダイヤモンドの御下渡があり、一般国民はこれに応じて、多数の供出をいたし、遂に目標の九倍約十六万カラツト余の大量に達したのでありますが、これを充分に利用することを得ずして終戦となり、当時駐留軍によつてこれらのダイヤモンドは、他の貴金属と共にことごとく接収せられ、その保管するところとなつたのであります。
 而して平和発効と共に日本政府に引渡されたのでありまして、これらのダイヤモンドは、目下日本銀行において保管せられているのであります。而してこのダイヤモンドの買上げ以来、これが、鑑定、保管、運搬、接収、接収解除後における保管等の間におきまして、幾多不可解な疑惑があり、これらの疑惑を明らかにすると共に、これが処理につきましても法律上に疑義が多いのに鑑みまして、衆議院行政監察特別委員会におきまして、第十三国会以来調査を続けられたのでありますが、その結果、当時、陸海軍、宮内省等における不正不当、駐留軍の保管中における不正、更に交易営団等における管理の不当、業者の闇躍等、幾多不明朗なる事柄が判明し、このまま放任する場合は、遂には全国民愛国の結晶が不当に処理せられることを恐れ、且つ又これらダイヤモンドの帰属についても法律上幾多の疑義もあり、それぞれ専門の学者の意見を聴取せられました結果、第十六国会における同委員会においては、立法手続により、これが解決をするにしかず、而も、これは議員立法によることが最も適当であるとの結論に達し、この旨、同委員会に於て決議せられたのであります。
 よつてこの決議の趣旨によりまして、この法律案を提出し、もつて国民の期待に添わんといたす次第であります。次にこの法律案の要点につきまして申上げたいと存じます。
 第一、これらのダイヤモンドは戦争完遂のため全国民から供出せられた愛国の結晶ともいうべきものでありまして、終戦によりこれが目的は達せられなかつたとはいえ、この愛国の精神を無視して無意義に措置すべきものではなく、国民感情の許します使途、即ち戦争完遂の目的にこそ使用できなかつたが、せめてもの、戦争犠牲者の援護のために使用せられることこそ、国民の期待に沿うところと存じまして先ず第一にはこれが援護の資に充当することといたしたのであります。
 第二には、このダイヤモンドの大部分は国民から当時相当の対価によつて買上げられましたものが大部分であるとは思われますが、万一にもそれ以外のダイヤモンドが会社、工場、個人等から無償で接収せられたものがあり、それが確実に立証せられました場合は、これをその権利者に返還いたしますこと、また公有のものがありました場合は、その関係の長からこれが返還を請求せしめまして、それぞれの所管に帰属せしめますこと、さらに当時軍需省は交易営用等をして買上げ業務を行わしめたのでありますが、これらの団体がダイヤモンド買上げのために経費を支出いたしましたことが立証せられましたならば、これが経費を補償いたすこととしたのであります。
 第三には、これらのダイヤモンドの換価処分、或は返還処置、さらに換価代金の使途等につきましては、審議会を設けまして、政府はこれが審議を得まして処理せしめるようにいたし、且つこのダイヤモンドの処理につきましては、国民の関心が極めて深いのに鑑みまして、審議会の委員に国民の代表であります国会議員五名を任命することといたしたのであります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(大矢半次郎君) 発議者に伺いますが、本国会に政府から、別途、接収貴金属等の処理に関する法律案が提出せられまして、目下審議中でありますが、この法律案と只今御説明のありました法律案との間にどんな差異がありますか。二、の大要について御説明願いたいと思います。
#5
○衆議院議員(中野四郎君) お答えをいたします。各党共同提案として議員提案にいたしましたものと、政府提案の接収貴金属等の処理に関する法律案との違いは、三点を挙げることができるのであります。併しその前に一言申上げますのは、ダイヤモンドだけをば切離して提案いたしましたものと、貴金属等をことごとく包含して処理しようとする、これが第一番の大きな違いであります。併しこのことは、すでに十六国会で行政監察特別委員会で決議しました決議案がお手許に配つてありまするが、その最終の四行目に「またダイヤモンド以外の貴金属については、時日の関係その他より、今国会会期中には調査を行うことを得なかつたから、他日調査を続行して、それぞれ適切な方途を講ずる必要があると考える。」、こういう観点に立ちまして、貴金属の調査が未了でありますので、従つてダイヤモンドだけをば切離して提案いたした次第であります。
 そこで法案の内容において違います三点を挙げまするならば、
 第一は、政府提案の法律案は返還を主目的としたものであります。金、銀白金等をば、業者或いはそれぞれ関係者に返還するということに重点が置かれておるのであります。併し議員立法によりまするこの法律案は、特定するものの以外は国に帰属するというのが狙いでありまして、この点が違います。
 第二点は使途であります。これに関しましては、すでに政府提案の法律案にはその内容が明確にされておりません。即ち、国の通常予算に計上するという考えを持つておるようでありますが、我々は少くとも、この品物の性格上から見ましても、これを別途定める法律によつて法人を作り、それに一切を委任し、即ち戦傷病者或いは戦没遺族の人々に対して優先的にこれを使用いたしたい。而も今日、日本の法律の中に、恩給法、援護法等から漏れまして、全く戦争のための大なる犠牲者でありながら何ら国家的恩恵を受けていない人々に対しては、優先的に何らかの処置を講ずる方法が必要である、かように考えまして、使途を明記したことであります。
 第三点は審査会の構成であります。この審査会の構成に当つて、政府提案の法律案の中には国会議員を除外しております。我々は何が故に国会議員をあえてこの審査会に加えたかという点について一言申上げてみたいと思いますが、時間の関係上、極めて簡単に申上げますならば、只今提案理由の説明をいたしました過程におきまして、これが取扱について非常に不正不当な行為が行われておるのであります。後日審査の過程におきまして詳細に御質問に応ずるつもりでありますが、行政官庁であり而も関係官庁であるところの大蔵省が、最初からこの品物をば、一部中間の買上機関である交易営団或いは中央物資活用協会乃至は金属配給統制株式会社というようなものに現物を似て返そうという考え方に立つておつたことは、すでに十三国会において明らかにされておるのあります。従つて我々、少くともこのような審査会を構成するに当りましては、この行政官庁の処置に対して監督をする意味も十二分に含みまするが、同時にこの使途に関しまして国民を代表する国会議員をかえることが権あて適当である、かような観点に立ちまして、審査会の構成の中に衆議院三名、参議院二名の国会議員を加うることを明記いたした次第であります。
 以上三点が政府提案と議員提案の概略の相違であります。
 以上御説明を申上げました。
#6
○委員長(大矢半次郎君) 質疑を願います。
#7
○小林政夫君 今の御説明で、中野さんの御提案になつたものと政府提案との案の相違は明らかになつたのでありますけれども、実際のこの法案の審議というか処理の問題ですが、この政府提案のほうには、はつきりとやはり同様にダイヤモンドの処理が語つてあるのですね。あなたのお考えでは、あなたの提案された法案を通せば、こつちのほうからはダイヤモンドだけは抜くべきだ、こういうことになるのですか。
#8
○衆議院議員(中野四郎君) 政府提案の法律案はすでに十六国会のときに衆議院の事務局に出されたのであります。そうして提案をされずに引込めたのであります。その回が二度くらいあつたのでありますが、その理由は、私の推察するところでは、まだ金、銀、白金、或いは宝石等の実際上の経緯というものが明らかになつていなかつたのであります。今の提案理由の説明を見ますると、今度新らしく最近に至つて漸く引渡された現品の内容も明らかになつたと示されておりまするけれども、事実はまだ我々の資料要求に対しては提出をしておりません。行政監察委員会におきまして引続きこのダイヤモンドを除く接収解除の金銀等について調査中でありまするが故に、でき得べくんば政府の提案は控えてもらいたいという考え方を持つておつたのでありまするが、如何なる観点に立つてか、ダイヤモンドの処理に便乗されまして、同一の過程において提案をされて来たのであります。併し今後の御審議に待たねばなりませんが、私の考え方では、現在のダイヤモンドの調査は十六国会において完了はしておりまするけれども、他の貴金属の調査が未だ完了していないのでありまするから、従つて貴金属を含められたる政府提案というものが果して妥当であるかどうかという点については、我々当該委員は非常な疑義を持つておるのであります。ただ小林委員のお説のごとく、若しそういう場合にというお話があるなれば、政府提案の中からダイヤだけを抜萃いたしまして、法律案が二つの形になつて審議される過程になる虞れは多分にあると考えておるわけであります。
#9
○小林政夫君 大体その御趣旨は了承できたのですが、率直に結論的にあなたの御意図を忖度してはつきり確認をいたしますと、中野さんの御意図は、ダイヤモンドだけは今はつきりと状態がわかつた。だから一応ダイヤモンドの処理に関する法律案を出した。その後、金銀その他のいわゆる貴金属等についてわかれば、随時このダイヤモンドと同様の処理をやつて行きたい。こういう御意図であつて、従つて政府提案は引込めて、調査の完了し次第、このあなたの御提案になつたダイヤモンドの処理等に関する法律案の貴金属類を殖やして行く。こういう御意図と拝察してよろしうございますか。
#10
○衆議院議員(中野四郎君) 全くその通りでございます。
#11
○前田久吉君 お伺いしたいのですが、第一の「戦争完遂のため全国民から供出せられた愛国の結晶ともいうべきものでありまして」、と書いておるのですが、戦争遂行の目的に供出したダイヤモンドであれば、戦争に使わなかつたということが、ここに、はつきりしておることと、それから戦争犠牲者の援護のために使用をする、こういうふうにここに謳つておるのですが、目的が戦争のために供出したのでありますから、当然これは返してやつたほうがいいのじやありませんか。それから戦争犠牲者というよりも、当時ダイヤを供出するだけの身分の人が今日もう非常に苦しい生活に追込まれておる人も相当多い。戦争犠牲者に対する件はこれは別に国会で考えてみるべき問題であつて、供出したダイヤを以てそれに当てるというのと非常に違うのじやないかと思うのですが、仮に当時供出した証明を持つておるとか、そういうときには、これは当時は供出と言つても非常に強制的なものであつたということは誰もがよくわかつておるのでありますし、そういうようには認定ができなかつたわけなんでしようか。
#12
○衆議院議員(中野四郎君) お答えをいたしますが、これは所有権の帰属の問題に関しますのでありまして、一般のダイヤを供出した人の気持といたしましては、お説のごとく強制的に買上げられたものであつて、而も戦争目的に使つていないのだから、当然当時の値段或いは相当な価格でいいから返してくれという希望が非常に多いのであります。私らのところへ参りまする陳情書の数百通の中の大部分と申上げてもよろしいのですが、もう九九%までがそういう御意見であります。そこで一点申上げたいことは、政府が返還するというのは、この人々に返還するというのではないのであります。率直に申上げますると、これらの人々はすでに当時の代価によつて、一応政府の委任行為を受けておりまする公益営団、中央物資活用協会、金銀運営委員会というものに売払いましたから、所有権が全くないのであります。従つてこの人々にその当時の値段で払下げるということの根拠は、この法律案の場合においては少々無理なのであります。もう一つ難儀なわけは、たくさんの集められたダイヤモンドの中にこれを私のものだと特定すること、確認することが困難なのであります。到底自分の品物をば確認し或いはこれの返還を受けるというようなことは、量とか或いは品質とかいう点において考えれば考えられぬこともありませんけれども、この場合、非常に難儀な問題が出て参りますわけであります。そこで政府の返還をするというものは、然らば何ものに返還するかと申上げますれば、政府は昭和十九年の七月に買上要綱を作りまして、みずから国民の中から買上げるわけには参りませんので、特定の交易営団という営団と代行機関であります中央物資活用協会、金銀運営委員会、これは時計屋さんと貴金属商であります。これらの人々を代行機関といたしまして、委任行為をいたしまして、買上げたのであります。当時、政府は予算の関係上、事実手持金がありませんでしたから、便去上、買上要綱に明記いたしまして、買上げたものに対しての手数料、或いは空襲等によつて破損、損害を受けた場合におけるところの補償、乃至は買上げた価格に対しては政府がこれを補償するということを明記いたしまして、これらの運転資金を以て一応商業資金で買上げさしたのであります。この場合、政府の法律案の中で指しておりまする返還の対象になるものは、即ち政府がみずから金を出して買つたのではない。当時、便法上とはいえども、交易営団、中央物資活用協会、金銀運営委員会等に委任をしたけれども、金はそこで立て替えたのであつて、その後、終戦となつたのであるから、未だその決済がついていないのだから、それらのものは狭い範囲における民法上の所有権を持つておるという観点に立つてこれを返還しようという意図でおつたのでありまするが、衆議院の監察委員会の調査によりまして、これは結局、委任行為を受けたものだけは、買上げたものは国に帰属せしめて、そうして交易営団なり、中央物資活用協会が自分のものとして持つておつたものに対して、現物を似て返還してやろうというのが狙いなのであります。一般の買上げられました国民に返還しようという意図は政府は持つていないのであります。ここに今のような疑点が出て来るかと思いまするが、私は所有権の帰属するところは、国民感情としては了承はできまするけれども、売払つた人々に対してこれを返すということは難儀なことであると思いまするし、同時に、今申上げましたような、一応国の委任行為を受けて、そうして国がすべての費用を補償しておるところの中間機関である交易営団や中央物資活用協会が、これを返還を受ける理由というものは見当らないのでおります。そこで私らは、この法律案の中に明らかにしておきましたことは、特定し、確認することができるものは返還するということができるというふうにしてありますが、実は特定することは難儀でありまして、先ず不可能に近いことであります。又、確認することは、自分のものであるという、それを接収されたということが明らかに確認される根拠があれば、これを返還することはやぶさかでありませんけれども、実際上、大蔵省から国会に提出いたしました領収書というものは、大部分が領収書にあらずして、領収書として認知をしてもらいたいという、連合国軍司令部に対するところの歎願書であります。司令部が接収したときの領収書ではないのであります。ここに大きな食い違いが生じておつたのであります。我々は、特定しない限りにおいては、これを国の所有に帰属するという方法をとりたいという考え方を持つておるものであります。
#13
○前田久吉君 今、ダイヤを仮に買上げた先に返還するのには、種類とかいろいろな判断がむずかしいというお話なんですが、これは私は素人でありますが、それぞれ専門家によつてでも何とか研究して、そういう買上げたものがどうしても駄目だという満足のできるところまでのことは、することが可能じやないかと思います。
 それから他の物件においては、或いは工場であるとか建物、土地というものが、それぞれ旧持主にいろいろな形で払下げをされておる。ダイヤだけがそれができないというのは、少しおかしいじやないかと思うのですが、他の工場でも終戦のときにいろいろ国で買上げたものに対してはそれぞれ返還の形をとつており、ダイヤだけが、こういう国の存亡にかかわると思つて大事なものを出した者だけが、現在残つておるものを、その前の所有者には何らの方法を講じてやらないで他の目的に使うということは、私は国民は納得しないと思います。
#14
○衆議院議員(中野四郎君) 土地、建物等に対しましては、所有者が大体主張し得る根拠を持つておるわけであります。併し戦時中強制買上げ或いは供出等によりまして買上げられました金、銀、白金、ダイヤモンド等におきましては、特にダイヤに関する限り、証書を持つておる人と持つていない人があるわけであります。証書を持つておる人は結構なんですが、焼いてしまつた等の人たちは、売払つたことは事実だが、請求する何らの根拠がない。それから、それじや売払つた先のいわゆる台帳等があれば、これで調べることができるじやないか、立証することができるじやないかというお説もあるだろうと思いますが、これは悉く焼けてしまつたということで、大部分がこれを立証すべき根拠がないのであります。従つて証書を持つておる人と持つていない人の間において非常に不公平なる結果が生れて来るということも勘案しなければならんと思うのであります。それから現物が混淆して全く不可能な状態にあるのであります。お手許に写真の一部を御覧に入れましたが、これは極めて一部分でありまして、近い将来に、衆参両院合同でも結構ですから、御都合のときに日本銀行の地下室へ行つて頂きますと、おわかりを願えるだろうと思いますけれども、たとえて言えば、甲、乙、丙が一升ずつ米をば出し合いをいたしまして、三升の米は確かにありまして、一升出したことは確認できるのですが、その一升の中のどの米が自分のものだということが特定できないと同じように、混淆しておりまするダイヤモンドをば、その当時売払つた人に返還するということは非常な難儀でありまして、不可能に近いことだと私は考えておるわけであります。而も当時買上げました価格が、当時の値段よりも一割高で買上げましたものでございます。この高く買上げました理由は、すでに諸先生御承知のように、敗戦の原因が陸海軍の摩擦にあつたとも言われておりますが、陸軍、海軍では、当時工業用のダイヤを約八万カラツト余、持つておつたのであります。ところが軍需省において電波兵器或いは航空機、こういうものを造る際に不可欠なダイヤモンドをば、陸海軍に要請して分けてもらおうとしたのでありますが、どうしても軍需省にこの一かけらのダイヤも分けてくれなかつた。従つて非常に当時としては不手際なことでありますけれども、急を要するものですから、一般国民の装飾用のダイヤを買上げて、これをいわゆる工業用のダイヤに使おうとしたのでありますから、普通の値段では駄目と考えまして、約一割高ぐらいで買上げておるのであります。従いまして、この人々が実際上、供出等で強制的には買上げられたものでありまして、その御心情は察するに余るものがありますけれども、それは当時強制供出というよりも納得の上において供出を願つたものでありますし、これの所有権が完全に一応移転しておるものをば更に復活するということになりますと、この金、銀、白金その他すべてのものに累を及ぼしまして、特にダイヤモンドの特定するところの売払人に返すということも不可能に近いことでありますものですから、あえてこのような法律案を提出した次第でございます。
#15
○土田國太郎君 このダイヤの買入れ当時は約十六万カラツトというお話でありまするが、それが、大体で結構なんでございますが、どの程度、軍に御使用になり、そして終戦における当時、日銀機関その他のものが保存して置かれたものが大体何方カラツトぐらいあるものであるか。それと、途中で行方不明になつたとかいうように、不当措置と言いましようか、そういうものが大分あつたように承わつておるのですが、それらの推定並びに現存の量とをお聞きしたい。並びにこれが処理に関して、残品の大小によりましようが、これを売出した場合に果してダイヤの今の価格に大影響があるかどうか。あるとすれば又これを考慮せざるを得ないことになりましようが、それらのお見込みを大体で結構でございますが承知したいと思います。
#16
○衆議院議員(中野四郎君) 実はお尋ねの第一の点は、私らも知りたいところなのであります。政府に求めましてあらゆる資料を要求いたしましたものが、当時買上げた数量であります。そして戦争に何ほど使つて、残物は何ほどあつたのだと、而もそのあつたところによつて接収された数は何ほどのものであるかという資料を要求しておるのでありまするが、一部は書類を焼失したと称し、一部は報告が完全にないと称して、未だ明記されていない点であります。
 それから、現在、日本銀行の本店の地下室と大阪の日本銀行の支店、造幣局と、大体この三カ所に保管されておりますが、その保管中の解除によるところの物品の品目、数量、こういうものの資料を要求しておるのでありまするが、明らかになつていないのであります。而も、先回十三国会のときに衆議院の大蔵委員会に報告されて参りました解除の数量は、純金が百工トン七百七十六でございます。合金が二十六トン四百三でございます。これは眼鏡とか時計、こういうものの側をば鋳潰したものと称しております。銀が二千三百六十五トン九百四十でございます。それから白金が一トン三であります。ダイヤモンドが十六万一千百八十五カラツトでございます。この資料の中に私らが調査過程において洩れておりましたものは、宝石であります。その他の貴金属、即ち、エメラルドとか、猫目石とか、瑪瑙、翡翠こういうものが恤兵品として国庫に帰属すべきものが約四万個ほどあつたのであります。然るに政府は、我々の要求資料の中にはこれを全然入れておりませんでした。調査の過程において鑑定人からこの事実が洩れましたものですから、政府を追及いたしました結果、その品物を解除を受けたというのです。而も恤兵品でありますから、当然これは国の所有に帰するものであるにもかかわらず、この品物をば、リストが焼けて、ないと称するところの交易営団に二百七十五個無償で渡してしまつておるのであります。このことは職務上妥当な行為でないのでありまして、行政監察委員会において、厳しくこの点を注意いたしました結果、過ちであつたと言うて、交易営団から関東財務局を通じて取戻してはおりまするけれども、現在三千八百六十五個あるということを明らかにして参つたのでありまするが、衆議院の大蔵委員会に対する資料の中には入れてなかつたのであります。で、これらは、でき得べくんばこの問題について是非とも知りたいと思つておりまするので、今回の政府提案の法律案に関連いたしましてこの資料を要求するつもりでおります。
 それから第二の点でありまするが、処理に関して、一遍に売れば全国の貴金属商に相当の影響があるのではないか、ダイヤモンドの十六万一千カラツト余のものをば一度に払下げをいたしますると、日本中のダイヤの値段ががら落ちをいたします。而も、現在各貴金属商が持つておりまするダイヤの数量というものは多量なものであります。ここでちよつと余談に入りまするが、お許しを願いたいと思いまするのは、現在日本中にダイヤモンドが相当流れておりまするのは、一体どこからこれだけのダイヤモンドが出て来たかということを調べてみる必要があると思いまして、調査をいたしました。当時日本はダイヤモンドの輸出輸入を一切禁じておりました。してみますると、昭和十九年の七月に買上要綱を作つて、愛国心が若し旺盛であつたなれば、売残りのダイヤというものはあり得るはずがないのであります。併し、何と申しましても、財産としては、非常に少量なもので、而も貴重なものでありまするから、愛着心の強い方々が、三個のうち二個を売つて一個を持つておつたとか、或いは五個のうち三個を売つて二個を持つておつたというようなことで勘案はされますけれども、必ずしもそう多量にあるわけがないのであります。もう一つのルートは密輸入という点にあるのであります。現在世界のダイヤモンドの建相場は、ロンドン相場、ニユーヨーク相場、日本相場と、大体大別しまして三本建にすることができるのであります。ロンドン相場は、昨年の昭和二十八年の一月の貴金属商の発表によりますれば、一カラツトが四百五十ドルであります。日本円にいたしまして十六万二千円であります。で、日本のダイヤの値段は必ずしも高いものではないのでありまして、外国人が外国からダイヤを持つて日本に輸出するというようなことはちよつと考えられないのでありまするが、多数駐留軍の兵隊もおつたことでありまするから、これらの者が流したということも一応考えられるのであります。もう一つ一番大きな点は、買上げ当時、買上げられたダイヤが、軍人或いは官僚乃至は買上機関、鑑定人、これらのダイヤ買上或いは処理に関係をしたる者が横流しをし、隠匿をし、横領したものが多数あるということが考えられるのであります。この三つの観点以外には、日本中にこのように終戦後ダイヤが氾濫するというわけが見当らないのでありまして、いずれも不正な手段と言わざるを得ないのであります。いずれ機会を見てお話をいたしまするが、軍人が各方面にダイヤモンドを隠しましたり、それから横流しをいたしましたり、横領をした事実は明らかに挙つておるのでありまして、相当な数量であります。それから日本銀行の地下室に保管中に、マレーという大佐が相当数量のダイヤを持つて本国へ帰つた事実があります。たまたま船の中で、サンフランシスコへ着く前に発見されまして、マツカーサー司令官の命令でこれが呼び戻されまして、そうして重労働十年、その後、判決は五年でありましたが、ダイヤは大部分日本に返したと言うておりまするが、併し全部が返つておるかどうかも明確でないのでありまして、こういうような形で、今日、日本中にダイヤが相当数量氾濫しておると思うのであります。そこで十六万カラツトというダイヤが一遍に売払われますと、これは現在の日本のダイヤの建値を壊すばかりでなく、買うほうも非常に安いものに叩かれまして、決して賢明な策ではないと思いまするので、私は処理に関しましては特に別に定むる法律によつて法人を作り、その法人にすべての金を預けまするが、その前に処理委員会を作りまするから、この処理委員会においてもう一遍日本銀行の地下室にあるダイヤモンドを再鑑定させまして、そうしてこれを十回なり或いは数十回に亘つて売払う方法が賢明な策ではないか。政府の説明によりますれば、日本で処理することは非常に難儀だから、これを外国に持つて行つて一遍に売れば大体七十億くらいの収入にはなるという見解を持つておりまするが、私は素人でわかりませんが、大体日本の現在の建値から見まして概算いたしますると、相当経済状況を勘案して、数回に亘り或いは数十回に亘つてこれを売払うなれば、二百億内外の予算は計上することができ得ると考えておるのであります。それから軍が主として南方から工業用のダイヤを集めておつたのでありまするが、内地は主として装飾用ばかりであつたのでありまして、内地のものは殆んど使用せずに終戦となつたのでありまするから、現在日本銀行の地下室にありまするものは全部装飾用のダイヤでありまして、工業用のダイヤは入つておりません。特にこの際もう一言申上げたいことは、日本軍が略奪をしたというので、オランダ、フランス或いはそれぞれの国に約十二万七千カラツトばかりをもう返しておるのでありまして、占領軍が保管中にこれを返しております。工業用のダイヤ等は、三万数千カラツトの竜のは、円でなく金と替えまして、そうしてこれをば国内のそれぞれの会社に、東芝なんかもその例でありまするが、払上げておるのでありまして、全部でどれだけ買上げたかということはちよつと明瞭でないのであります。推定はできますけれども、お答えするだけの資料を持つておりません。
#17
○委員長(大矢半次郎君) 本案に対する質疑は今日はこの程度でとどめたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#19
○委員長(大矢半次郎君) 次に入場税法案及び交付税及び譲与税配付金特別会計法案の二案を議題といたしまして質疑を行います。
 ちよつと速記を止めて。
   午後三時五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時二十八分速記開始
#20
○委員長(大矢半次郎君) 速記を付けて下さい。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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