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1947/06/16 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第31号
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1947/06/16 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第31号

#1
第002回国会 予算委員会 第31号
昭和二十三年六月十六日(水曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年度一般会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十三年度特別会計予算(内閣
 送付)
  ―――――――――――――
   午前十時五十四分開会
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 只今から予算委員会を開会いたします。速記を止めて。
   午前十時五十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時十八分速記開始
#3
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。岡田委員の質問に対しまして、大藏大臣の答弁を願います。
#4
○國務大臣(北村徳太郎君) 大藏省証券の発行は先程申上げました財政收入と支出のアンバランスかち大体起ることが多いのでございまして、この調節を十分いたしたい。かように先程申上げた通りでございまして、從つてできるだけこれを避けたいというような考えを持つております。一應六百億の御承認を得ますれば、この年度は大体それで行ける、そういう見通しを附けておるわけであります。
#5
○岡田宗司君 次に本日新聞紙上において見ますならば、アメリカ側におきまして、日本の爲替相場のレートを、近く二百五十円くらいに決めようというようなことが報道されておつたのであります。ドイツにおきましても、通貨改革が行われるようなことが報ぜられており、特に一マーク三十セントに決められるというようなことが報ぜられておるのでありますが、このアメリカ側において今日一ドル二百五十円に決められようとしておることは、何かすでにこの問題につきまして日本政府との間に交渉があつて、それに基ずいてかかる言明がなされたのであるかどうか。その点につきまして若しそういふうな問題についてすでに進行しておるのでありましたならば、それについての御説明が願いたいと思います。
#6
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今御質問の点は私も新聞ラジオで承知いたしたわけでありますが、正式に日本政府とは何らの交渉もございませんです。恐らくはこれは急に決まりにくいのじやないか、諸情勢が……、さような関係方面も観測をいたしておるように聞いておるのであります。もう少し安定を見ないと実は困難じやないか、かように思つておるのでありまして、今のところ正確な交渉とか、或いは正確な報告というものは一つも入つておりません状態でございます。
#7
○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは軍事公債の利子支拂停止の問題でございますが、三党協定の際におきましてこれは停止的処理ということに決まつたのでございます。この停止的処理ということを具体化しまして、閣議におきましては一年間利子の支拂を延期する。こういうことになつたのでありますが、果してこれが軍事公債の停止的処理であるかどうかという点に私は非常な疑問を持つ者であります。と申しますのは停止的処理ということは、これは前提といたしまして支拂の停止を意味するものでありまして、決して單に一年延ばし、そうして拂い続けて行くということを意味するものではないと思うのであります。従いまして、停止すべきものを一時仮の措置として一年延ばして、更にその後については停止の方向に向けて新たなる措置を講ずるということでなければならんと思うのであります。然るに今次の決定によりますれば、その後は支拂を続けて行くというふうに解せられるのですが、これでは私は停止的処理というものと意味が違うというふうに考えるのであります。この点につきまして大藏大臣の御見解をお伺いいたします。
#8
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の問題はこれは極く率直に申しますと、確か社会党では党の大会でそういうふうなことを御決議になつたということでありまして、それがいわゆる三党政策協定の場合に取上げられた。こういうことでありますが、当時いろいろ複雑なる論議もございまして、停止的処理ですか、まあこれは果して日本語であるかどうかと言われてひやかされたくらいで、非常に曖昧であるし、分りにくい表現で表現せられたのでありますが、それ程にこれは簡單ではなかつたと思うのでありまして、只今岡田さんがおつしやつたような意味に解するような表現にもなり得るし、或いは停止的というものは、もう少し含みのあるような意味にもとれないようなことはないというように、極めて表現がむずかしいのであります。それからまあ事情が事情でございまして、これは極く率直に申上げますと、これは社会党の党大会で御決議になつたというのはこれは当時然るべきことであつたと思いますけれども、最近の客観的情勢等から考えますと、或いは只今であつたならば、或いはそういうふうな御決議はされなかつたのではないかというような情勢もある。例えばその当時は殆んど問題でなかつた筈の外資の導入というものが非常に具体化して來たという、こういうふうな事情もございまして、対外情勢等々、いろいろな点を勘案いたしまして停止的処理についてどうするかということについては懇談会も設けられ、二つの対立した意見がそのままになつた。結局総理に一任するといふことになりまして、その結果今回法律案として御審議を願つておりまするような案に落着きましたのであります。これはまあさように御了承願うほかないと思うのであります。それで絶対に停止すべしという確定的なものであつたかどうかということも、聊かはつきりしない点があつたのであります。一部の方は必ず停止すべしという強い意見もあつたし、そうしてはならないという意見もあつたのであります。懇談会においても多数は停止してはならないという意見が多数で、数から申しますと少数が停止すべしという意見であつたのでありますけれども、結局政治問題的に処理せらるべき状態になつたものですかち、これは経済関係の諸君が自分達で結論を與えるという説と、政治問題の解決になることは遠慮すべきであるというような説と遂に二つのものがそのまま出た。それで総理に一任すると閣議において決定した。その総理の処置が今日の法律案と相成つた次第でありまして、これはいろいろ岡田さんのお立場で御批判もあろうと思いますけれども、以上のような事情を経て参りましたものですからその辺さように御了承願うよりほかないと、かように考える次第であります。
#9
○岡田宗司君 軍事公債の利子が最終の償還年度まで一年延ばされることになるわけでありますが、この一年間支拂を延期した利子に対しまして更に利子を附するのか。その点についてお伺いしたいと思います。
#10
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。これは政府は政府の見解で國が負うておる債務の期日を変更したわけでございますから、現有の債権者に対しては一つの打撃を與える。但しこれは政府が支拂を延滯したのではないという解釈をいたしております。延滯したものでございますならば、これは延滯利息というふうな観念が起つて來るわけでありますが、そうではなくて支拂期日を変更したのである、こういう解釈をいたしております。從つて延滞利息ではないが、少くとも三分五厘の利が附いておるものであるから、同率のものを加算して償還期に拂うということは、これは妥当な措置ではないかというようなことで、三分五厘の利息額に対して三分五厘の利率による加算をして償還期に拂う、こういうことを決定いたしました次第であります。これは当時政府の声明として発表いたしました通りでございます。さようなことに相成つております。
#11
○岡田宗司君 停止的処理ということで、一年延期したものに対しまして更に利息を附して、最終年度まで利息を附して行くということは私共には甚だ解しかねるのであります。而もこれがそのまま複利計算になつて行くといたしましたならば、相当莫大なものになるのであります。この点につきまして私共はそういうふうな処理をとられるならば、これは停止的処理ではないと、こう考えざるを得ないのであります。この点につきまして大蔵大臣の御所見を承わりたい。
#12
○國務大臣(北村徳太郎君) お答えいたします。先程申上げましたように、政府の一方的の措置としてこれは必要があつてやつたことではございますが、ほしいままに期限が到來しておるのを延長した、こういうことでありますから、或る実害がある。その実害を全部償うということはちよつと困難な事情がありますので、今の金利の状態、まあマーケツト・レートというようなものから考えますと非常に低利なものであるけれども、三分五厘の利子が附いておるものに単利で、複利じやありません、單利で最終の償還期に三分五厘に当るものを添えるという程度のことはこれは……、尤もドラスティックに打切つてしまうということになれば、これはおのずから別問題になりますけれども、そうではなくて支拂期日を変更するということに一應閣議で決定いたしましたので、さような処置としては、これは止むを得なかつたのじやないか、こういうふうに私は考えておるのでございます。
#13
○岡田宗司君 軍事公債利子支拂停止の問題は、單に約十五億円の利子を本年度年度支拂わないというような見地から出発したものではないのでありまして、私共がこの問題について考えておりますのは、軍事公債そのものの整理という問題に触れなければならんと思つて、一つの手段としてこの軍事公債の利子支拂停止の問題を提起したのであります。この軍事公債の莫大なる数量はこれは日本経済に対しまして非常に大きな負担になつております。特に今後の將來にも大きな負担になつて参るのでありまして、これを何とか場処理しなければ日本の経済並びに財政の健全なる発展は容易でないとこう考えられるのであります。然るにこの軍事公債の処理の問題については、未だ前政府におきましても、現政府におきましても、何ら具体的な方策が立つておらないように思う。この軍事公債の利子支拂の問題を別といたしまして、政府においてこの莫大なる軍事公債を如何に今後処理して行かれるのか、その点について根本的な方針を大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
#14
○國務大臣(北村徳太郎君) この問題は極めて重大な問題でありますが、御承知の通り軍事公債を持つておる者は今のところ金融機関であります。九割六分ぐらいは金融機関であります。金融機関は申すまでもなく大衆の預金をバツクにするものでありまして、從つて今日まで大衆の預金がこの軍事公債の形になつておる。大衆の預金とは、換物運動が相当旺盛で、インフレーシヨンの波に乗つて物に換えたらば何倍、何十倍の利得があるにも拘わらずこれを抑えて國策に順應すると言いますか、或る程度においては國策の犠牲になつた、換物運動をやらなかつた正直な人達を背景にするのであります。これを打切るということは私共もいろいろの意味におきまして、道義的の意味におきましても、その他の意味におきましても、これは相当難点があるのじやないか、恐らく物に換えれば物によれば百倍ぐらいの價値を生じただろうものを、やはり預金の状態のそのままに保留しておる。こういう正直な人達の預金を代表するところの軍事公債、その公債の費途が如何に使われたものであるにしろ、私共の考えといたしましては、そこにそういうものを直ちに打切ると、停止するというようなことになつては及ぼすところの影響も非常に重大でありますし、將來先程申上げたと思いまするが、資本の蓄積こそは日本においては重大な問題である。外資さえも導入しなければこの日本の貧窮な経済は救われないというような状態でありまして、國民蓄積を非常に要求する時代に蓄積された結果が一應否認されるというようなことがありましたのでは、今後國民蓄積を増強するのに非常に支障があるのじやないかという点も考えまするし、まあ等々の事情から私は一方的の判断を申上げることもどうかと思いますけれども、政府の判断はこの問題を將來どうするかということは、今私が申上げる程徹底したことではありませんが、岡田さんのお話がございましたので一應私の考えておる点を申しますと、一つの観点からはこれは簡單に処理はできない、こういうふうに存じておるのでございます。いろいろこれは問題もあると思います。又考えようもあると思いますけれども、これは私共は一番正直ないわゆる愛國貯蓄というようなことで、零細な金が集積したものが軍事公債の形になつて抑えられてある。これを否認することはやがてその大衆の預金に影響せざるを得なくなつて来る。さようなことは國民蓄積を増強しなければならん今の日本の実情から考えまして、相当これは重大な問題ではないか、かような考えを持つておるのであります。尤もこれは政府の方針がそうであるとここに的確に申上げる程この問題はちやんと固まつたものではございません。私の個人の考え方を申上げるわけであります。
#15
○岡田宗司君 只今の大藏大臣の御話によりまして、政府においては軍事公債全体の対処について、未だ何らの方針を持つておらんということが明らかになつたわけでありますが、これは極めて重大な問題であります。今後の日本経済に及ぼすこの公債の圧力というものを考えましたときに、政府におきましては、速かに何らかの方策を立てる必要があるのではないかと、こう考えられる。今後インフレーシヨンが進行いたしまして、貨幣價値が更に下落いたしました結果、或いは公債の價値というものもそれに感じまして、実質的に極めて小さいものになるというような過程を経て、或いは整理されるということに、自動的にそういうふうに整理されて行くことも考えられるのでありますけれども、併し政府として、根本的な方策を持たなければならんと、こう私は考えるのでありまして、これは政府におきまして速かに何らかの研究或いはそれに対処する措置を講ずるようにお願いしたいと思うのであります。
 それから次にお伺いしたいことは、法人税の問題でございます。今次の税制改革におきまして、法人税が可なり大幅に引下げられることになつて参つております。この法人税引下げの理由といたしまして、最も強調されておりますのは、今の日本の法人税は極めて高い。これは資本の蓄積を困難にされておるし、又それによりました利潤が極めて小さく限定されておる。こういう点からして外資導入の非常に大きな障害になる。從つて法人税を引下げることによつて、外資導入を容易ならしめるというようなことが理由になつておるように思うのであります。併し私はこの点に柳か疑問を持つ者であります。今日日本に外資が、殊に民間外資が日本に来ないというのは、單に各企業に課せられる法人税の問題が主ではないのでありまして、これは今日占領下にあるということ、そうしてその軍政が布かれておるということが第一になつておると思うのであります。尚その外日本経済の面からいたしますならば、インフレーシヨンがあつて、経済が安定しておらんということが大きな理由であろうと思います。從いまして今日法人税を引下げたといたしましても、それによりまして外資が導入されるということは、私は事実上起り得ないとこう考えておるのであります。そこでこの法人税を引下げるために、外資導入が理由とされておるところを私つらつら考えまするに、これは今日法人税を引下げて、企業の利潤を増大せしめるというような点から考えまして、それを露骨に言うことは、資本家を擁護することになる。そこで外資導入というものを一つの口実といたしまして、そういうふうなことをやるということを考えられたのではないかというふうに、私は疑いを持つて見ておるのであります。この点につきまして、私は今法人税を引下げるということは、企業の収益を保障するという意味において、重要な要件であろうと思うのでありますけれども、併し全体の財政の状況から見まして、今日のごとき大幅な法人税引下げが果して妥当なりや否や。こういうことを疑うのでありまして、この点につきまして大藏大臣の御所見を伺いたいと思います。
#16
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。企業の方針としての、企業の生産活動を旺盛ならしめるということが、現下やはりインフレーシヨンを克服するためにも非常に重大な影響があるということは、現下の事情が物の窮乏にインフレーシヨンの最大の原因を持つておるのでありますから、各企業の生産活動というものが、できるだけ大きく動くようにしなければならん。それがためには企業ばかりでなく、労働階級の諸君の労働意欲を旺盛ならしめねばならない。從つてさような観点等から考えまして、勤労者の所得税というものを、相当大幅に、思い切つて引下げをやりました。このことと法人税の引下げとは一連の関係をなすものであると、こういうふうに考えておるのであります。必ずしも階級的な考え等は全然いたしておりませんのでありまして、一面において、勤労者の所得税を軽減することが、やはり実質賃金を確保するゆえんであつて、從つていろいろな意味においての賃金鬪争等に対してはこれはよい影響を與える筈のものである。從つてそのことが勤労者諸君の勤労意欲というものを旺盛にすることによつて、一層企業の成果を挙げるということになるであろうと思いますし、又法人税軽減によつて、企業の再生産活動が旺盛になれば、それだけ赤字に悩む企業が、これは段々赤字解消というようなことになり、赤字を赤字金融で補わなければならんというような、誠に変態的な状況に置かれておる日本経済を、正常な道に帰すためには、これはやはり法人の負担しておる負担が重ければ、それを軽減して活動を敏活にして貰うという方向に持つて行くべきであり、これは勤労者の所得税を軽減したことと法人税を軽減したこととは一連のものとして、これは生産の増強に役立つものであり、そのこと自体がインフレーシヨンを抑えて行くということに相当大きな役割をなすものである、こういうふうに考えておりますのでありまして、これは外資導入に名を籍りて、資本家を保護するのじやないかというお言葉でありましたけれども、そういうことは全然考えておりません。而も又これは外資導入に妨げになる、そういうふうな相当意見がございますが、これはやはり企業というものが、再生産活動が容易な状態に置くようにしなければ、生産がうまく行かないということは明らかでございますし、過当な部分を調整いたします考え方から出発いたしております。これは特に資本家を擁護するというような意味の考えでは、ございません。そのこと自体が、又勤労階級に相当によい影響を與えるのじやないかと考えまして、勤労所得税の軽減と、法人税の軽減とは、両者相俟つて、結局増強への一連のものであるという期待の下に行いました次第でございます。
#17
○岡田宗司君 次に價格調整費の支給と、それから法人税との関係についてお伺いしたいと思います。今日石炭、或いは鉄、肥料等に対しまして、多額の價格調整費が支拂われておる。これは企業の赤字を埋めることになつておるわけであります。ところが一方におきまして、今度多額の價格調整費が支拂われると同時に、これらの重要産業を営んでおります企業に対しましては、法人税が大福に軽減されることになります。從つてこれらの重要なる産業の企業は、二重の利益を受けることになるわけであります。この際に私は、價格調整費を出します基礎といたしまして、果してこれらの企業に対して法人税を下げる、そうしてそこに利潤を上げしめるということを、この補給いたします金の中に計算をいたしまして、そうしてこの調整費を決めたものであるかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。
#18
○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。價格調整費から出る價格の調整を受ける企業は全部赤字でございます。從つて利益を出しておりませんのであります。法人税はそういう利益に課する税でございますから、その問題は起らないのでありますが、どういう御趣旨であつたかよく分りませんけれども、利益を生み出すどころでなく、赤字に非常に悩んでいるので、赤字の状態をそのまま放置しておけば不健全な事態になる、企業自体の中に内包している欠陷もあると思います。それの能率化を図るとか或いは整理をするとかいう問題は残されておりますけれども、一應赤字の状態のままで放置してはいけないというので、企業の自主的な経済ができるような方向に持つて行くことをしなければならないということから、價格調整はやつているのであります。債務調整に預かるところの企業においては、殆んど全部赤字でありますから、法人税の問題はちよつと起らないのじやないかと思います。
#19
○岡田宗司君 價格調整費を受けまして、そうしてその一方において、例えば石炭の場合でしたら國管が行われるというようなことで、そこに利潤が生ずるという場合におきましては、その点はどういうふうになるのでしようか。
#20
○政府委員(河野通一君) 代りにお答えいたします。石炭の場合につきましては現在の價格調整は利潤が出るようにして價格調整をいたしておりません。價格調整をいたしますことによつて、何と申しますか、漸くペイするというような状態を惹き起す程度に止まつておりますので、今お話のような法人税の問題は大臣からお答え申上げましたように起つておりません。
#21
○岡田宗司君 それでは私の質問はこれを以て終ります。
#22
○委員長(櫻内辰郎君) それでは農林大臣が見えておりますから農林大臣に……。
#23
○岡田宗司君 農林大臣については東浦さんからやつて頂きたいと思います。
#24
○委員長(櫻内辰郎君) 東浦君、農林大臣に……。
#25
○東浦庄治君 先般衆議院で米の債務の問題について決議が行われたのでありますが、その後あの問題の経過はどうなつておりますか、先ず伺いたいと思います。
#26
○國務大臣(永江一夫君) 今お尋ねになりました衆議院の本会議におきまして、すでに御承知のように、米債につきまして昨年の買上げました米價と本年の物價改訂に伴いまする仮想米價、パリテイ計算によりまして仮想米價との差額を月割にして生産農民に返すという決議であります。その決議が行われましたので、政府といたしましては、一應この決議をどういうふうに取扱うかということで協議をいたしまして、そうしてこの決議の趣旨によりまする米價の差額を生産農民に還元することにつきましては、目下関係方面と折衝をいたしております。
#27
○東浦庄治君 御折衝中であるというので詳しいことをお伺いしにくいと思うのでありますが、その折衝の進捗の状況から見ると、お見込はどんなふうですか。
#28
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと速記を止めて。
   午前十一時五十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時十八分速記開始
#29
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。午後二時から再開することにとて、休憩をいたしたいと思います。
   午後零時十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十五分開会
#30
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。東浦君。
#31
○東浦庄治君 大変長くなりまして申訳ございませんが、後簡單に二、三農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 昨日でありますか、司令部の一部の見解として、農民の負担が非常に重いということを確認されておるような声明ですか、発表があつたのでありますが、農民の負担が重いか軽いかということについて、農林大臣はどういうふうにお考えになつておりますか、一つ御見解を伺いたいと思います。
#32
○國務大臣(永江一夫君) 農民の負担につきましては、税の面において可なり重いと、こういうことを私も認めております。從つて政府におきましては、新たに農民所得税についても、可なりこれを軽減するという覚悟で税の改正をいたし、この重い面をできるだけ軽くしたい、こういうように努力しております。
#33
○東浦庄治君 税の問題につきましては、改めて大藏大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、今回の所得税の問題が農村にいろいろな問題を起しておりますことは、農林大臣はよく御承知のことであります。尚先刻質問をいたしました米價の問題につきましても、なかなか農民の要求するような結論が出て来そうにもないのであります。こういうことは、私は税の問題についても、しばしば大藏当局にお話を申上げたのでありますが、税は税として負担力のあるところから取らざるを得ないので農業に関する振興の政策は、別に別途政策として考慮すべきであるということがしばしば言明されておるのであります。私個人といたしましては、秘も一つの政策であつて、國策の一環として税の中に農民に対する政策が盛られて然るべきであると思うのでありますが、大藏省の見解はそうではないということであります。そこで農民に対する、或いは農村に対するいろいろ振興なり、発展なりの政策を講じなければ相成らんと思いますが、今申しましたように、米の問題についてもこれ亦大きな問題であるが、発展させる方向に伺つて解決するにはなかなか、困難な状態である。かたがた最近の農村の事情を考慮いたしますと、政府の執られるいろいろな農村対策は、農業を振興させるのではなくて、農業を沈滯させるような方向に大凡向いておるような感じがいたすのであります。いろいろ問題がございますが、その中で当面我々が食糧の問題について、今後尚増産を図つて行かなければならん。尚相当将來に向つて増産を図つて行かなければならんということになりますると、政策としてこれに対して政府の処置せられておる面が殆んど認められない状態、殊に予算的、金融的措置において、そういう点に欠陥があると思うのであります。
 そこで農林大臣にお伺いいたしたいことは、政府は今後食糧の増産について、將来相当期間に亘つてこれをやらなければならんという考えを持つておられるかどうか。若しそういう考えを持つておられるならば、農業の政策について今少し恒久的ないろいろな対策を考えて行かなければならんのであるが、特に土地の改良とか、治山治水とかいうような問題、相当長期の資金を要する問題が多いのでありますが、そういう点について何か策を考えておられるかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
#34
○國務大臣(永江一夫君) 根本的な農村振興、農業経営に対する施策というものにつきましては、政府はいろいろ考えておるのでありますが、大体一般論としてこの際申上げることは時間の関係で差控えたいと思いますが、今お話のありました当面の問題として、目下の農村で最も緊要な問題の一つは、お話にありましたような金融のことだろうと思います。これは非常に暫定的な措置でありましたが、尚十分効果を挙げたとは申しかねるかも知れませんが、農業手形の制度を実施いたし、更に農業復興金庫等につきましても、実は農林者の案を今閣議で検討中でありまして、幸い成案ができますれば、この案によつて、今農業の、再生産の上で一番緊急な問題の一つでありまする農業金融を根本的に処理して参りたい、こういうようなつもりであります。
#35
○東浦庄治君 只今農業復興金庫のお話がございましたのでありますが、私もこの際農業復興金庫を作らなければならんということについては、大臣と全く同意見でありますが、併し実際の政府の進み方を見ておりますると、この問題は、すでに與党三派の政策協定においても協定ができておる。又與党の中でも、復興金庫を是非作らなければならんという意見が強力なところもあるように承知いたしておるのであます。私先般大蔵大臣に私的にお目にかかつた際には、どうもわしは金庫というものは嫌いだというようなお話があつて、いろいろ理由を申述べたのでありまするが、その点について、当面の責任者である。大藏大臣と農林大臣との間に意見の間隔があるやに思われる。それはそれとして、そういう間隔があつても、それを乗切つて最近の機会に、農業復興金庫に対する何らかの措置をお講じになる御決心がありますかどうか。実は今回の予算にも、その点についての何らの包含も認めることができない。これは米價の問題の際に修正が出されるということを聞いてはおりますけれども、さてその修正の中にこういう問題が組み入れられそうな氣配は、今のところ観取されない。もつと別の方に問題が動いておるように思われる。その点農林大臣の御所見を伺つて置きたいと思います。
#36
○國務大臣(永江一夫君) 農業復興金庫につきましては、農林省の案は、先程お話しましたように、閣議で審講中でありますが、その名称が如何ようになりまするか、これは今後の審議の結果でないと、今結論を申上げかねるのでありますが、私といたしましては、飽くまでも今会期中に必ず國会方面にこの案件について御審議を願うつもりで、折角努力中であります。併しながら、これが一つの金庫としての案になりまするか、或いは別個の案になりまするか、その点については、俗に申しまするこういう財政状態でありまするから、まあ花より團子式に、実質に農業金融に役立つという方法をできるだけ早く採りたい、こういうふうに考えております。
#37
○東浦庄治君 復興金庫の問題は、大体皆様が必要ということを認められておりますので、これが進まないということは、内部の事情に主としてよるのでありまするか、或いは他の関係方面の事情によるのでありまするか、それによつて我々の復興金庫に対する考え方もいろいろ亦変えなければならんと存ずるのでありまするが、そういう点について、若しお差支えなければお洩らしを願いたいと思います。
#38
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#39
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。
#40
○東浦庄治君 事情は了承いたしましたが、尚代案としてどういうものを出しておられるかということをお尋ねすることは差控えますが、政府としてはこんな考え方もある、こんな考え方もあるという考え方について、これは代案として提出するということでなくて、政府の方の考え方について、重要な策二、三についてお話を伺えれば結構だと思います。
#41
○國務大臣(永江一夫君) 農業復興金庫の案といたしましては、勿論今の復興金庫と同じようなものを、原始産業でありまする農業、林業、水産等に別個の金庫を作るというのが、御承知のような一つの理想案であります。若しそれが諸種の事情で不可能になりました場合には、或いは今の復金の中に農業関係の別個の枠を作りまして、それで実質上同じような効果を挙げたいというなことも考えられるわけであります。又第三には、別個に現在の復興金庫を代弁といたしまして処置するという方法も考えられるのであります。その他最近國会に提出することに予定して閣議が決定しておりまするいろいろな庶民金庫の延長でありまする特殊な公團というようなものを考えておりますが、そういうものと同じような農業復興金庫を一つの公團の形式でやる。尚それでいかない場合には特別会計で相当な金額を運用して、そうして金融面にこれを動かして行く、こういうようなふうに大体五つぐらいの角度で考えているのであります。
#42
○東浦庄治君 方式は了承いたしましたが、金額についてどの程度のことをお考えになつておりますか。
#43
○國務大臣(永江一夫君) 只今のところ金額は幾らにするかということはちよつと公表しかねるのであります。
#44
○東浦庄治君 実は農業の新らしい改良とか土地の造成とかいうことにつきましては、從來から政府が相当の助成金を出しておつたり、或いは低利資金を特別に融通をいたしたりして、土地の改良造成を図つて参つたのであります。御承知の通り近來は補助金を出すということも不可能になり、低利資金の融通ということとも不可能になつた。これは日本の農村の力の弱いところでもあり、又農民の心掛けの足らざるところもありまするが、何らかの方法によつて呼び水をいたしませんと、新らしいそういう事業が起りにくいというのが日本農村の現状であります。こういう点は日本の農業を心配して来た者にとりましては非常によく分つた事実なのでありまするが、そうでない方面にはなかなか理解のできない事実であります。從つてそれに代るべき何らかの呼び水を農村の恒久的な事業についてしなければならん。それには長期の低利の金融をするより外に途がないと私は考えるのであります。そういう点でいろいろな難関がございましようけれども、これは一つ外のいろいろな問題もありまするが、農林大臣は日本の農村の將來のために又日本の國の食糧問題、延いては日本の國のためにそういう問題について、一つ職を賭しておやりになるかというくらいの御決心を持つておられるかどうか伺いたいのでありますが、それは止めまして、それだけのことを希望といたしまして私の質問を終ります。
#45
○岡田宗司君 只今の東浦君の質問に関連いたしまして、若干の質問をしたいと思います。一つは農民に対する課税の問題であります。先程農林大臣が農民の課税は重いと考える、それ故に所得税等の改正をやつて農民の負担を軽減したい、こういうふうに言われておつたのであります。ところがこの所得税法の改正を見ておりますというと、特に農民に対する負担の軽減ということは考えられていないのでありまして、一般的な所得税改正に関するものがここに出ておるだけであります。従いまして特に農民課税に対して農林省において御考慮なされているという点についての御努力が拂われていないように見えるのであります。私は農業に関する所得というものはこの非常に普通の諸企業に、或いは個人営業者に対するところのものと違わなければならない、こう考えておるのであります。御承知のように日本の農家は殆んどすべてが零細農である。そうして殆んどすべてが自家の勤労によつて立つておるのであります。從いまして普通の個人の営業、或いは諸企業と同じような考え方で以て課税をすることはできないと思うのであります。この点につきましての農林大臣の御所見を承わりたいと思います。
#46
○國務大臣(永江一夫君) 税の問題につきましては、お話のように積極的にこういう点において農村の税を軽くしたということを結論において積極的に示すことができないのは、私として非常に遺憾に思つております。併しながら農業事業税につきましても、農林省としては事業税全般には賛成すべき立場におりません。併し國の全般の財政事情からいたしまして、その中で主食をその対象から除外いたしましたというようなことは、見方によつては非常に消極的なことではありましようけれども、併し現下の財政事情からいたしまして、可なりな努力がこの主食を税の対象から除外いたしましたことに拂われておると、かように考えておるのであります。その他農村全般に対しまする税についての、いろいろ局内でも議論がありましたけれども、事業税その他について私共不本意ながら政府の財政の現状から、税をこの程度に認めたのであります。併し機会あるごとに農村課税、特に原始産業の犠牲によつて近代産業が栄えるというような傾向をできるだけ抑制いたしますためにも、税の面においても私共は原始産業の課税を軽くするということについて尚努力を続ける、こう考えております。
#47
○岡田宗司君 只今の農業事業税に関しまして政府のとられました措置につきましては、私共了承しておるわけでありますが、特に國税として問題になつておりまする所得税でいわゆる乙種事業所得税になりますか、その課税の方法が從來非常に問題になりまして、昨年並びに本年におきましては、そのために各地において農民がその重税に耐えかねましていろいろな運動が起つておるのであります。で一般的には今後所得税の中、基礎控除、或いは家族控除の増加によりまして税額が軽くなるわけでございますけれども、特に農業につきましては先程私がちよつと申上げましたのでございますが、次の点についての考慮が拂われておらんのじやないかと思います。それは農業所得を計算いたします場合の必要経費は勿論なのでありますが、二十二年度の課税の際におきまして、この必要経費の算定につきまして大藏省のとりました方針というものは、私共から見ますならば、極めて杜撰であり、又必要経費として当然計上すべきものが計上されておらんというような点が多々あつたのであります。その点について私は改正を要すべきものがあると思うのでありますが、この必要経費の算定につきまして本年度の課税におきましては明確なる基準を以て農林省は大藏省に交渉いたしまして、その明確なる方式を以て課税せしめるように御努力を願いたいと思うのであります。尚本所得税法の中に私共は是非とも特にこれは食糧増産或いは單作地帶の米作農民にとりまして重大な問題を思うのでありますが、いわゆる早場米の奨励金、報奨金、そういうようなものが課税の対象になつておるのでありますが、これらは今度の所得税改正の中におきまして、是非とも所得税を掛けることから除外しなければならないと考えておるのであります。この二点につきまして政府がこの予算の成立までに御努力下さるかどうか、この点についてお答え願いたいと思います。
#48
○國務大臣(永江一夫君) 第一の点につきましてはお説の通り私共としては適正にその基礎を決定いたしますために努力いたします。第二の点でありまする奨励金でありまするが、それは補助金並びに奨励金は税の対象にしないように処置するために目下政府部内で折衝中でありますが、私としては今までしばしば用いられました奬励金とか、報奬物資というような名前を今後はできるだけ使用しないようにいたしまして、使用する以上はこれは飽くまで税においても特例を設けるという考えで、今お話のありましたように早場米の奨励金につきましても、これを税の対象としないような法的措置をしたいと思つて目下政府部内で折衝いたしております。
#49
○岡田宗司君 税金に関する問題はこの程度にいたします。次に開拓問題についてお尋ねしたいのであります。開拓の問題につきましては政府におきましても、いわゆる百五十五万町歩の開拓計画をお立てになりまして、いろいろ努力をされておるのでありますが、その成果が比較的挙つておらんように私は見ておるのであります。過日天然資源部の方面からいたしましても、この開拓が日本の食糧増産の上に余り大きな役割はしないであろうというような意味の声明が出されたのであります。これは開拓の面に非常な影響を與えまして、開拓者の方におきましては相当失望をしておるというような傾きがあるのでありまして、從いまして、この百五十五万町歩の開拓達成の上にも大きな障害が來ておるのであります。この点につきまして政府は更に一層の努力をしなければならないと思うのでありますが、本年度の開拓に関する予算等を見ましても、到底この百五十五万町歩の達成を計画通りに施行し得ないような現状にあると思うのであります。特に最近シベリヤ方面からの引揚者が増加しておりまして、この引揚者に職を與える問題が起つております。樺太からも同じであります。それらの諸君を東北及び北海道方面において入植せしめる問題が焦眉の急になつておるのでありますが、今日の開拓の計画並びに予算を以ちましては尚不十分であろうと思うのであります。これらに対しまして更に政府といたしましては拡張する、そうしてそれらの引揚者の受入態勢を整えるという面について、一層大きな計画を取られる用意があるかどうか。その点についてお伺いしたいのであります。
#50
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#51
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて……。
#52
○政府委員(伊藤佐君) 本年の開拓事業といたしましては、從来すでに入植いたしました十四万戸、人数にしまして七十万の人がおるのでありますが、その十四万戸の人達が大体五年計画くらいで、年々開墾を続けて、そうして一定の面積まで達して行くわけであります。その年々の計画の最小限度のものと、それから満洲、或いはシベリヤ方面、樺太方面から還つて來られた方々の中ですでに待機せられている中の一万二千戸、これは決して十分ではございませんが、いろいろの関係からいたしましてここに落ち着いたわけでございます。その程度のものの新規入植を考えております。
#53
○岡田宗司君 開拓の問題につきまして、只今開拓局長からの御説明によりますと、それらのものは一万二千戸であるというお話でございますが、これは非常に僅少に過ぎると思うのであります。尚今後開拓員が新たに入植いたしました場合に、その営農資金というものが物價騰貴の関係で非常に大きくなるであろうということが予想されるのであります。それらを勘案いたしまして、今次の開拓計画では極めて小さいのである。そうしてこの一万二千戸を入植さして維持して行くためにも足りないのではないかということを私は変えるのでありますが、その点につきまして当局は確たる見通しをお持ちかとうか。その点をお伺いしたいと思うのであります。
#54
○政府委員(伊藤佐君) 只今申上げました十四万戸の既入植者と、それから新規入植者の一万二千戸、この分に対しまして本年度約二十五億の営農資金を予定しております。それだけの分につきましてはそれで何とかやつて行けると思います。
#55
○川上嘉市君 今のに関連して……、只今の開拓の規模というものが余りに小さ過ぎると私は考えるのであります。曾て、前々内閣でありましたか日本の將來の開墾、干拓し得るその余地が百五十五万町歩あるという話を聞いた当時に私は意見書を出したことがある。それは要するに將來日本のますます殖えて来る人口を收容するためには、どうしても自分で食糧を或る程度まで自給する方に近付けなければならん。それには少しずつ、只今お話のように、一万二千戸ぐらいということだというと、人口の増加のほんの少部分であります。昨年の人口増加は百五十万とか百五十五万とか聞いております。そうしますると五人家族といたしましても三十万戸、その三十万戸に対して一万二千や二万やつてみたところで殆んど十何分の一という少数でありまして、殆んど問題にならん。それで若し百五十五万町歩という数字が誤りでないならば、これを開拓するためにもつと大規模な、例えばアメリカで使つているあらゆる開墾の機械、そういつたものを採用いたしまして、是非早く過剰の人口に食を與えるような方法をとらなければならないと考えるのであります。これに対して政府のお考えを承わりたいと思います。
#56
○國務大臣(永江一夫君) お説御尤もだと思いますが、何分にも百五十五万町歩の開墾も最初は五ケ年計画でありましたものが予算の関係で十二年に延長されておるような状態であります。この点は同じ農林省でやつております土地改良と開墾とが常に問題の焦点になるわけであります。全体の國策といたしましては、今お話のようにもつと大規模なものを行うということは、私も賛成をするところであります。併し今の日本の財政の現状から申しますと、やはり一定の金額について手つ取り早く食糧を増産いたしますには開拓、開墾に金を注ぎ込むよりも土地改良、水利事業、農業土木の方にうんと金を注ぎ込めば手つ取り早く増産になるというようなことで、いつもこの点でその衝に当つております者はどちらに財政的にウエイトを置くべきかというようなことでいろいろ苦慮しておるわけであります。
 そんなふうな現状でありますので私共が今食糧増産の立場から開拓、開墾ということを考えるといたしますれば、今お説のようにもつと大きな立場から大規模でやるのが当然であろうと思つております。併し当面は何としても戰爭のための犠牲者であります戰災者、或いは引揚同抱のためにやはり開拓事業を進めておるという面と、食糧増産と三つの目的を持つて開拓をやるのでありまして、ただ大局的に今お示しのような人口増加の比率から見て御議論になりますると、勿論この政府の今やつておりますることは、非常に規模が余りにも狭小過ぎるのであります。併しながらこの人口増加に対しまして、或いは移民によるとか、或いは産児制限によるとか、或いは工業化した國の経営によつて補つて行くとかいろいろなものがあろうと思いますので、ただ人口増加の比率からのみ開墾ということを解決して行くということは、実際問題として可なり困難が伴うのではないか、かように考えておるのであります。
#57
○川上嘉市君 お話がありましたけれども、私の申しますのは、人口増加のみでありません。現在においてその食糧問題を解決するのにどのくらい必要であるかということは、ここに日本の今日不足している食糧を輸入するために費す金がどのくらいあるかということを考えて見まするというと、日本の全工業力を動買いたしまして輸出に向けましたところが、その輸出した金は宝部食糧に充てなければならんという現状であります。そうするというと、幾ら働いて見ても、丁度親交が大きな借金を残して、その息子がその借金の利息のために、幾ら稼いでも皆それに費す、注ぎ込むというのと同じことでありまして、今日のままであるというと、日本が仮に工業の方に相当な躍進をいたしましても、要するに食い潰すために殆んど全部を費してしまつて、問題にならない。それで、若し食糧を自給することができまするならば、その金というものは全部日本の富として残る。或いは工業原料その外のものを輸入するために、日本の文化を高めるがために、使うことができるのでありまして、これは私はただ將來の問題などと考えて放つて置くべきものでないと考えるのであります。
 殊に先年の五ケ年計画のときに、私は、これは貴族院の時分であつたのですが、言つたことがあるのです。日本の政府が計画を立てるときには、殆んど皆紙上の空論であつて、この五ケ年計画も亦それに終るに決まつておる、というのは、ソヴィエトなり或いはアメリカの五ケ年計画を見まするというと、例えば開墾の計画をするということになると、トラックが何十台、何が何十台ということを計算しております。日本では曾てそんなものはない。皆紙上の空論であります。二年先には反故になるというような計画を作つておるのが今までのやり方であります。これはもつと政府が眞劍に考えて、今この日本がやつでおります何億ドルというやつを、これを日本の金に換算しますというと、三百億も六百億も年に食糧に費やしておる、それを皆食い潰してしまうというのであれば、誠に日本民族はいつまで経つても浮ぶ瀬がないという状態であります。是非もつと根本的の対策を立てて、眞劍にこの問題を解決すべきであると考えます。これについてちよつとお考えを伺いたいと思います。
#58
○國務大臣(永江一夫君) 恒久的な大きな視野からいたしまする一つの立論といたしましては、今お示しのような方針も私は賛成いたします。ただ実際に予算の裏付けといたしまして、開拓、開墾事業を行いまする際においては、非常に不十分ではありましようけれども、本年計画をいたしました程度のもののみが、予算的な裏付けを持ち得る現状であります。理想としてどう考えておるかという御質疑でありますならば、私は今御質疑のありました御意見に賛成をしておるのであります。そのものを実際問題として予算の裏付けを行なつて、開拓事業を廣域にいたしますることについては、今直ちに案を立てるということは、非常に困難であると、こう先程お答えをした次第であります。御了承願いたいと思います。
#59
○川上嘉市君 もう一度……。私は政府に一つ提言いたしますが、どこででもいいですから、仮に一万町歩でも或いは五千町歩でもよろしうございますからして、或る地区を限つて、その開墾をするときに、全然アメリカのシステムにより、アメリカの機械でやり、アメリカの技師を使つて、そうして日本人が今現実やつておりますような開拓の方法と、それからアメリカの方法と、どれだけ費用が違うかということを、一つ是非試驗して頂きたい、やつて見たならば恐らくは十分の一、三十分の一の費用でできるようになり、而も期限は三十分の一の期限でできるようになるだろうと考えますからして、これは國家の永久の対策として是非その試験を早急にやつて頂きたいと思います。
#60
○國務大臣(永江一夫君) 開墾の方法につきましては、実は今お話のありましたように、アメリカの指示によりまして、私共はいろいろな具体的な方法を目下現に採用いたしつつあるのであります。只今お話のように、先方の人までこちらへ指導者として来て頂いてやるということについては、今のところそれが現実に行われる状態ではないと思つております。併し御注意がありますので、私共はそういうことができるように、一應関係方面と話合いをして見たいと思つております。ただ私はこの際開墾事業につきましていろいろその運営の方法、或いはこれの裏付けになる政府の各般の処置について、しばしば委員会等においても皆さんから御意見を聞くのでありますが、やはり開墾事業にはアメリカ式の大きな計画でやりますることも必要でありましようけれども、アメリカがその建國の当時にどんどんと先駆者となつて開墾を拡大して参りました当時のような、やはり民族の先頭に立つて開墾事業に従事するというような氣魄を、日本の敗戰後の入植者が強く持つておらないと、この事業は非常に困難ではないか。そういう面について実はこれは金の掛からんことだけ私が大きく申すわけじやないのでありますが、いろいろな政府の処置の中に、すべてを政府に、入植者が依存するという窮状は分るのでありますが、尚今申しました開拓者としての、一つの先駆者としての気魄を持つというような面について、私共今後は入植者の諸君と大いにその面で協力し、励行して行きたい、こんなふうに考えております。
#61
○岡田宗司君 開拓の問題に対しまして川上さんからいろいろ大きな計画のお話があつたのでございますが、先に政府が百五十五万町歩を五ケ年で開拓するという計画を立てておられたときに、私共は実際これも非常にむずかしい、恐らく計画はなかなかできないだろうというふうに考えておつたのでありまするが、果せるかな、これが今日十二年間に延びておるようなわけであります。ところがこの芦田内閣が成立いたしましたときに、芦田首相がその最初の施政方針演説におきまして、三百万町歩の開拓計画のことを力説なさつたのであります。この際私が非常にその御意見に対しまして不思議に感じておつたのでありますが、この内閣の最初の施政方針演説において示された計画というものは、今日の開拓計画とどういう関係に立つておるか、その点について御説明願いたいと思うのであります。
#62
○國務大臣(永江一夫君) 芦田総理から申しました三百万町歩というのは、開墾可能地の地帶を大体その数字で表現されたのであります。案はこれは一つの勿論大きな計画に基いて実施をしなければならないものでありますから、今中央開拓委員会に付議いたしまして、その中で特に専門委員を挙げまして、この三百万町歩の、勿論普通の田畑の開墾という以外に、いろいろ牧畜の点から申しましても、その他の面から申しましても、できるだけ廣範囲な調査を行いまして、そうして三百万町歩の中で最も経済的にも、社会的にも開墾、開拓の可能のものをそれぞれの分野に分けまして研究をして、その上でこれの裏付けに予算処置をしたい。こういうふうに思いまして近くこの委員会を開催する予定になつております。
#63
○岡田宗司君 開拓の問題につきましては以上で私の質問を終りまして、次に農業協同組合の育成、助長の問題についてお伺いしたいと思います。昭和二十年の十二月九日にGHQの方から発せられました農民解放に関する覚書の條項の中に、農業協同組合の育成助長のことが謳われておるのであります。その後農業協同組合法ができまして、いよいよ農業協同組合がここに発足することになつたのでありますが、最近この農業協同組合の自由なる組織という面において、非常に大きな障害が出て参つておるのであります。それ、は何かと申しまするならば連合会の問題でございましてこの連合会の組織に当りましては、法律の改正により、これが業種別の七つの連合会に分たれることになるということを私共は承知しております。この法律が成立いたすといたしますならば、今日漸く発足いたしましたばかりの力の弱い農業協同組合というものは、その発足当時におきまして非常な打撃を受けざるを得ないと思うのであります。と申しますのは、現在の農業協同組合は極めて資金の点において弱いのであります。これがそれぞれの連合会に出資金を持つて加盟するということになつて参りますならば、この財力の弱い農業協同組合は、すでに連合会加入の出資金の点においても、大きな負担をしなければならんことに相成るのではないかと思うのであります。又この農業協同組合の連合会を幾つにも分けるということの根本的な問題といたしましては、いわゆる独占禁止法の精神に触れる問題であるというふうに言われておるのでありますが、この点につきまして私共はやや解釈を異にしているのであります。独占禁止法はいわゆる資本主義的なる近代企業が発達いたしまして、多くの企業を集中いたしまして、その結果独占体が成立する。それがその独占力を発揮いたしまして、そのために國民が経済的に非常な害を被るというところからいたしまして、経済的民主化の立場から独占禁止が行われることになつたと思うのでありますが、農民の農業協同組合の面におきましては、日本の零細農が、むしろ商業資本或いは工業資本に対する、自己防衛の立場からの農業協同組合なのでありまして、それが一つ自発的に大きな連合体を作り、或いは全國的な組織体を持つにいたしましても、これはいわゆる近代企業の独占とは、その根本精神を異にしていると思うのであります。そういう点から申しましてこの農業協同組合の連合会を幾つにも分けるということは、結局農業協同組合の育成、助長、そうして弱い農民が自己を防衛して行くということを、不可能ならしむることになりはしないかということを憂える者であります。この点につきましては関係方面等のいろいろ御意見もあるのでありまして、極めて困難な問題に遭遇しているわけでありますが、農林当局といたしましてはこの点につきましてもいろいろな御努力もあつたと思うのでありますが、その問題をどういうふうに打開して行かれるか、その点についてお伺いしたいと思います。
#64
○國務大臣(永江一夫君) 農業協同組合法の一部を改正いたしますことにつきましては、今お話のありましたように関係方面といろいろ折衝したのでありますが、農業協同組合の育成強化ということが、農村の民主化のためにも必要なことでありまして、從つて政府としてはその点に可なり重点を置いて諸般の処置を行いつつあるのであります。その後いろいろ將來起るべき事態を勘案いたしまして、農業協同組合の府縣の連合体、全國的な連合体というものができ上りまして、それがいろいろな仕事を行いまする際には、やはり独占禁止法の精神に悖るような結果になるということを恐れまして、その点を今お話のように府縣の連合会におきましては大体七つくらいの部分に分けまして、それぞれの業務について連合体を作る、こういうように規定いたしまして、その法律案をすでに本日衆議院の農林委員会の方へは提出をいたした次第であります。いろいろそれまでに関係方面との折衝いたしました経過がございまするが、これはこの席で私からお話を申上げることは遠慮いたしたいと思います。今申しましたような事情で、独占的な結果に陷らない限度におきまして、政府は協同組合を育成して行くという方針には変りはないつもりでございます。
#65
○岡田宗司君 もう一点農業協同組合の問題に関しましてお伺いしたいと思います。それは現在の農業協同組合法におきましては、税金の面におきまして一つの保護を受けておるのであります。即ち法人税とそれから営業税は課せられないことになつておるのであります。然るに今度の税法改正によりまして、農業協同組合に課せられる特別法人税が廃せられまして、これが一般の法人税を課せられることになつたのであります。又事業税も課せられるように聞いておるのであります。かようにいたしましてはもはや何ら課税の面において他の企業体と変りないことになつて参ります。御承知のように農業本協同組合はいわゆる一般の営利團体とは違うのでありまして、大体昔から協同組合に対する不課税の原則というものが行われて参つたのであります。この点について課税における特別の保護ということがなくなりますれば、農業協同組合の育成、助長の上面におきまして非常な差支えが起る、そうして折角発足いたしました農業協同組合が、この面におきまして又つまずくのではないかというふうに考えられるのでありますが、これらの農業協同組合に対する課税の面におきまして、政府はやはり法人税を課し、或いは事業税を課して行くという方針を採られるのか或いはこれらについて特例を設けるという方針を貫かれるのか、その点についての御意見を承わりたいと思います。
#66
○國務大臣(永江一夫君) 只今お話になりました法人税の分でありますが、これは協同組合につきましては他の法人と異りまして、特別な処置を採りまして軽減して行く方針で、法的にもその手続を採つてあります。尚事業税につきましては今のところ特例を設けておりません。
#67
○岡田宗司君 最後にお伺いしたいのは、本年度の食糧の輸入の見通しでございます。すでに端境期になつておりまして、食糧関係が非常に逼迫しておりまして、若干各地において遅配が起つておるような状況にある。而も六月における輸入状況は非常に惡くて、凍結米を大量に出して急場を凌がなければならんような状況にあるのであります。今日賃金の改訂が行われまして、いわゆる三千七百円ベースというものが問題になつておるわけでありますが、この食糧の今端境期における供給が円満に行きませんといたしますならば、直ぐにこの賃金ベースは崩れてしまうことになるのであります。と申しますより成立いたさない。この端境期における食糧の輸入の見通し、特にアメリカの予算における、七月一日以降の新予算年度における、予算の支出の問題もあると思いますので、七月一日以降におけるところの食糧の輸入の見通し、並びにこれはやはり今後の経済安定にも重大な影響を持つと思うのでありますが、十一月以降における食糧の増配の見通しについての確実な数字がありましたならば、それについての御説明を願いたい、こう思うのであります。
#68
○國務大臣(永江一夫君) 実は端境期以後、特に今お示しの七月以降の輸入食糧の見通しでありますが、これは毎年七月からアメリカの予算年度が変りまして、六月までよりも相当多量のものがこちらに輸入される予定であります。併しその数字につきましてここで説明を今申上げる用意をしておりません。これは御要求がありますならば、関係方面とも話合いの上で適当な機会に、七月から十月までの輸入予定の数量をお示しいたしたいと思います。
#69
○委員長(櫻内辰郎君) 衆議院との関係もありますので、農林大臣はこれから衆議院の方に行かれますから、農林大臣に対する御質疑は十九日にお延ばしを願います。
#70
○川上嘉市君 ちよつと二、三分ですからお許し願います。先程の開拓の問題ですが、農林大臣のお話を聞いて本当によくまだこの事態というものを、私が申上げておることが分つていないように思いますから、一言補足して申上げます。それは若し百五十五万町歩の開墾ができますならば、それはむろん初めからそう沢山の収穫があるとは思いませんが、それは分つておりますが、併し開拓してその後或る年数だけ耕作して行けば、最後に仮に一反歩について米にして五俵、麦その外の物ならそれに相当する収穫があるとしますれば、全体で三千三百万石ぐらいの収穫があるわけで、日本の食糧問題は全部それで解決できるのであります。それで而も開拓いたしますときに、何故私がアメリカ式をやるかと申しますと、戰爭中に、我々の記憶によると、日本で以て日本式の今までの、もつことが鶴嘴を用いて飛行場を作るようなそんなやり方と比べて、アメリカで以て大きな飛行場を一週間で作るという、その差は三十倍、四十倍もの能率を上げて行かなければならんゆえんであつた。それを考えると幾らでもやります。或る試験場で以てほんの二町歩でも三町歩でも試験的にやらして、それに対してどれだけの機械をやるということをすつかり調べ上げて、將来その方針によつてやるような全体の大きい方針を立てませんと、日本がいつまで経つても貧乏で永遠の貧乏になつて、國民が生存できないようになることは明らかだと考えておる次第であります。それで実はいわゆる試験場というようなものを本当に活用すればよいのですが、私が議会で質問しましたときに運輸省の話を申しましたが、運輸省で良質の石炭を使うと八割節約ができるということを試験所でやつたという、それを聞いて、そう思つておりながら、それを半年も放任して置いて、八割が節約できれば全部の國鉄の赤字を一挙にして解決できるに拘わらず、それはむろん誤りであることを判断すべきその頭さえ持たないで、本当だと、そう聞いておると、こう言つておりながら、六月になつても実行しない。我々は直ぐ実行できる。石炭も持つておるし、機関車もあるんですから、やろうと思えばその日にでもできる。これ程耳寄りな話はない。丁度それと同じように、國の全体の食糧問題、これが日本の將來を決する問題でありますので、これに対してもつと眞劍にやつて頂きたい。これはこの内閣とか、次の内閣の問題でない。日本のために、どうしても今日ちやんと確かめて置いて、そうしてこれからできるということになつたら、いつでもやれるだけの準備を今日からやらなければいけないと考えるのであります。先程申上げましたような、小規模であつても結構であります。是非アメリカに一切を委せてアメリカ式の方法でやつて頂きたいと思います。
#71
○岡田宗司君 私の質問はこれで終りますが、先程永江農林大臣の言われました、七、八、九、十月の食糧輸入に関する数字が、御発表願えますればこの次の機会にでも御発表願いたいと思います。
#72
○中西功君 私は今日質問できなかつたわけですが、三千七百円ベースを決定されましたこの基礎に関連しまして、米價をどの程度の値上げとして見込んでおられるのか。或いは又今後これを保証して行く食糧事情はどうなるかということを、これは岡田さんの今の要求に関連しておりますが、全体的な、そういう三千七百円ペースから見た食糧事情というものを、この次詳細に一つ御報告願いたいと思います。
#73
○岡本愛祐君 私は運輸大臣に質問いたしたいと思います。先ず第一に、私共が頂きました二十三年度の予算の説明に、事業会計の独立採算制の確立を目標とすると、こういうふうに書いております。ここに書いてあるんですが、然るに運輸大臣は、過日本会議で、たしか寺尾議員の質問に対しましてお答えになりまして、独立採算制を固持しないというようなことを言われたが、これは甚だ不謹愼ではないかと思うのでありますが、どういう意味でそうお答えになつたのか。私は聞き違いじやないと思います。ノートに書いて置いたんですから、その点を先ずお伺いいたします。
#74
○國務大臣(岡田勢一君) お答え申上げます。先般寺尾さんの本会議における御質問に対してお答え申上げましたのは、今回の運賃値上げを、独占採算制に依存して、独立採算制の確立にのみ注意を拂つたがために、かような大幅値上げになつたのではないかと、こういう御質問でございましたので、独立採算制は、理想としては確立したいと思いますが、今日の経済情勢から考えまして、独立採算制のみに依存して、運賃を、今回の値上げを決定したのではないと、こういうことをお答え申上げたのであります。
#75
○岡本愛祐君 それでは、國鉄復興の五ケ年計画試案というようなものを頂つている。そういうようなものによりまして、いつから独立採算制をお採りになるのでありますか。その点を伺いたい。
#76
○國務大臣(岡田勢一君) 先程も申上げましたごとく、独立採算制は、理想として確保いたしたいのでございますが、先ず経済情勢が安定をいたしまして、運賃が経営採算原價だけのものに引合が許される壯態になりました場合に、独立採算制にマッチするように、運賃改正をいたしたいのでございますが、その時期といたしましては、一應只今の困難な日本の経済情勢がやや安定する時期にならなければなりませんので、その時期と申しますことは、生産状態が増加をいたさなければならんのでございますが、只今からそれを予測することは困難でございますので、併し一年半乃至二年ぐらいしましたならば、或る程度経済情勢が安定の方向に向いはしないかと存じております。
#77
○岡本愛祐君 それでは、この経済状態の安定を待つて、速かに独立採算制に還るんだというふうなお答えのように聞きましたが、この國鉄復興五ヶ年計画試案、これによりまして、独立採算制は、一年半乃至二年後に採る計画の丁にお作りになつたのでありますか。
#78
○國務大臣(岡田勢一君) 経済復興五ケ年計画の中には、経済の宏定期を予断してはおらんのでございまして、ただ國鉄の復興再建を考えましてやつておるのでございます。ただ経済の安定は希望して知りますので全然無視してやつておるわけではありません。
#79
○岡本愛祐君 それでは折角この五ケ年計画というものをお作りになつても、この経済復興がなかなか捗らないときには、五ケ年計画なるものも空文に帰するようなことになりますが、それは仕方がないとお考えになりますか。
#80
○國務大臣(岡田勢一君) 五ケ年計画の終りまでに、経済が安定するという予断をしておるのではございませんわけですが、國鉄の復興再建が、必然的に経済安定に寄與するものであると考えておるのでございまして、岡本さんの仰せられるごとく、空文であるとは私は考えておりません。
#81
○岡本愛祐君 先程は一年半乃至二年の間に、経済は安定するであろうというお答えであり、今のお答えはこの五ケ年計画の間に安定ができるかどうか分らないというような、前後撞着したような御答弁で、甚だ暖簾に腕押しみたいなことで困るのでありますがそれじや先ずこの問題はそのくらいにいたして置きましよう。大切な問題ですけれども、外の方の御質問もありますから。
 そこで次に、それじや今度旅客運賃、それから貨物運賃を三倍半の値上げをなさる、これはどういう理論的の根拠によりましたのか、ただ赤字が出るから三倍半に引上げたということじやないと思うのですが、その理論的根拠を分り易くお答えを願いたいと思います。
#82
○國務大臣(岡田勢一君) 三・五倍に引上げます理論的根拠は、運賃法案の第一條の二項にも明記場いたしております通りに、第一は「公正妥当なものであること。」第二は「原價を償うものであること。」第三は「産業の発達に資すること」第四「賃金及び物價の安定に寄與すること。」そういうことを配慮いたしましたものでございまして、御承知の通りに、國鉄事業と雖も企業でございますので、先程申上げましたごとく、経営原價を無視してやることはできませんのでございますが、経営原價に引合うように運賃の改正をするということになりますると、今日の経済状態から考えまして、貨物運賃などはもう少し引上げるということになりますと、物價が非常に昂騰することに相成ります。先ず只今のインフレーシヨンを抑制しますために、物價を或る水準を超えないように止めなければならない実情にあるわけでありまして、その面から考えまして、貨物運賃は三・五倍以上に引上げられないと、いう結論に達しましたのでございます。又旅客運賃も、これは相当に国民生活に影響が大でございまするので、これ亦考え方といたしましては、四項目のどれにも関連がございますが、どれをも無視いたさない考え方の下に、只今の貨幣價値、或いは又鉄道を利用せらるる人達が堪え得る負担力、そういう方面からいろいろと檢討いたしまして、ここに三・五倍引上げという結論が出ました次第でございます。
#83
○岡本愛祐君 只今お読上げ願つた根拠というのは、どうもちつとも根拠にならんように思うのであります。私のお尋ねしたのは、理論的根拠でありまして、もう少し理論的にお答えを願いたいのですが、例えば独立採算制を建前にする、こうおつしやるのでありますから、理論的には今はできないとおつしやつても、独立採算制の或る大きな目標はあると思います。そこでその貨物の運賃は、コストがこれだけ掛る、だからこのコストから考え、このくらいに引上げなければならん。又旅客の方はこうだというふうにお答えを願いたいと思います。
#84
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。採算コストから考慮いたしますと、貨物運賃は、先に申上げた理由によりまして、相当低目に抑えられておりまして、今回値上げいたしました結果は、貨物は〇・四六というパーセンテージになります。旅客は少し余計に頂くことになりまして一・七九という数字になります。理論的と仰せられますと、私はどういうように理論的に御説明申したらよいか、甚だむずかしいのでありますが、理論的と申します。と、先程申上げました四つの項目をどうも無視いたさない方向で、そうして今日の日本経済の実態に即するがごとく、現実的にこれならば止むを得ない数字であり、又実施でき得る倍率である、こういうふうに殊に研究をいたしまして、この結果的にこういう倍数を作り出しました次第であります。
#85
○岡本愛祐君 この理論的と申しましたのは、独立採算制に立つ理論的でありまして、運輸大臣が先程御説明になつたのは、政治的考慮、一般の財政と睨み合せた考慮でありまして、それは独立採算制からの理論的な根拠じやない。その点ははつきりして頂きたいと思います。そこで貨物はコストの半分にも足らん、〇・四六に抑える。旅客の方は、コストをずつと上廻つた一・七九までとらなければならないという理由は、どういうところにございますか、お伺いしたいと思います。
#86
○國務大臣(岡田勢一君) 貨物運賃を抑えましたことは、先程も申上げますように、只今高進しておりますインフレーシヨンを、これ以上に高進せしめない、成るべく物價を安目に置きまして、経済の安定に向かわなければならん、そういう考え方から物價の水準を先ず定めまして、これにありますように抑えましたわけでございます。それから旅客運賃は多く貰いましたということは、貰うということは、これは先程岡本さんも言われました一應独立採算、鉄道全般の独立採算制をも考慮する必要がございます。大きな赤字を出しまして、その赤字を鉄道を利用しない全國民の租税等の負担に帰しますることは、今日の現状から考えまして、困難な面もございまするので、大体旅客が負担して頂ける限度を考えまして、少し採算コストよりは多いのでございますが、そういう面も兼ね合せまして、こういう倍数を考えました次第でございます。
#87
○岡本愛祐君 この貨物の方は非常に物價に敏感に響くわけでインフレを抑えるために、これだけに止めた、こういう仰せと拜承しました。併し今度の値上げ理由の中に、過日打合会なんかで説明を聞きましたところによると、今まで上げなければならなかつたのに上げなかつた、それで鉄道は赤字になるのだ、上げるべきものを上げなかつた、この前の新物價の改正のときに、外の物價に釣合いをとつて又外のコストに釣合いをとつて上げるべきときに上げなかつたから、こんな大きな赤字が出るということを頻りに強調なさるのですが、この度の予算は、これは又大藏大臣にも質問いたしますが、形式だけ均衡をとつたのに過ぎないのでありまして、直ぐ賃金ベースの関係から追加予算を組まなければならないことは当然なのであります。そういうときにこれは貨物の方はたつた〇・四六しか原價から見て運賃を取つていないから、これは上げてもよいのだ、その賃金にカヴアーする收入として上げてもよいのだ、それはもう大してこの物價の構成部分から見れば、パーセンテージが非常に運賃は低いのであるから、もう値上げをしてもよいのだというようなことをあとから仰せられないことと思いますが、その点を伺つて置きたいと思います。
#88
○國務大臣(岡田勢一君) 旅客運賃を上げ過ぎておるということの御指摘であると存じますが、こういう倍数を決定いたしますために、予算編成に当りまして苦心を拂いました点は、成るべく旅客並びに貨物以外に、鉄道を利用せられる方の運賃負担を軽減する方面に向けて行きたいと存じまして、鉄道の減價償却などが帳簿價格によりまして、今年度は約六億円ぐらいしか償却されていないのでございます。又同時に建設方面の工事費勘定を全部資産勘定に見ることにいたしまして、それは全部收支の面から別にすることにいたしました。そういう面から考えまして、一應旅客の今回の運賃が採算原價から見て非常に儲かつておるというようなことにはなるのでございますが、これらを若し含めて置くといたしましたならば、さように暴利を頂いておるというようなことにはならんと思うのでございます。從来の実績に徴しましても、最高は採算原價の三・八八という年もありましたわけでありますが、私らは貨物、旅客両運賃を合しましたものによりまして経営原價というものを見る。経済情勢から考えましてその貨物、旅客の各運賃の差違というものが、時によりましてできましても、経済情勢にマッチするがごとき運賃率を決める方が正当ではないかというふうに考えております。尚御質問に対する焦点が外れておりましたことをお許し願います。
#89
○岡本愛祐君 只今伺つたのは貨物運賃の方を先に伺つておるのでありまして、そうしてこれは先程御答弁では非常に敏感にインフレに響く。だからコストの〇・四六に抑えるのだという御答弁であつたのであります。それで私がお尋ねしておるのは、それではこの予算が成立しまして実行に移つております間に、間もなく職員の給料を上げなければならんことが必然に私は起つて来ると思うのであります。それは三千七百九十一円である筈でありますから、それでは到底やつて行けない、職員がやつて行けないということになります。これは大藏大臣に質問をしたいのでありますが、そこでそうすると、この前のようにこの國有鉄道事業特別会計におきましても、追加予算をしなければならん、そういうときに、貨物の方は原價の〇・四六しか取つていないのだから、これはもつと引上げてよいのだ、それはインフレに対して響かんなどという、今度は反対のお答えが出ないだろうなということをお確かめしておるのであります。
#90
○國務大臣(岡田勢一君) お答え申上げます。今回の運賃引上げの結果、今予定しております三千七百円ベースが維持できないようになるのではないかという仮定の下における御質問でございますが、私達は実質賃金の充実、勤労所得税の大幅軽減等によりまして、先ず今回の物價におきましては三千七百円ベースは維持できるものという結論の下にやつておるのでございまして、若しもこれが維持できない何らかの事態が参りました場合に対しまして、貨物運賃を更に引上げるという口実が言えないだろうなというお話でございますが、併しそういう理窟にのみよりまして、私は経済、或いは政治上予断すべきものでないと考えます。万一そのようなときが参りました場合には、そのときの情勢に、実情に即したごときやはり考慮を加えなければならんことと存じます。
#91
○岡本愛祐君 私の尋ね方が惡いので今みたいな御答弁を頂くことになりますが、私は物價が又改訂せられるときに、その貨物の運賃を上げるということはこれは止むを得ないと思うのです。ただ物價も上げないときに、追加予算の必要上、この貨物の方は原價を割つておるのだから、だから上げてもよいのだということが、今の議論ではそういうことができない筈だということを言つておる、その点もう一度伺います。
#92
○國務大臣(岡田勢一君) 賃金ペースを変更せなければならん場合に、物價が改訂しない、据置にせられる場合のことをおつしやつておることだと思います。その場合には成る程物價を改訂しないのでございますから、理論としましては、貨物運賃を引上げするということはいけないということになります。同時に又貨物運賃を引上げますということになりますと、必然的に物價の改訂、或いは重要物資につきましては價格補正金という問題も起るかと思いますので、その点は岡本さんの御指摘の通りと思います。
#93
○岡本愛祐君 それではこの貨物の中に車扱いと小口扱いとがある筈でございます。それから旅客運賃について普通運賃と定期運賃があるのであります。そのおのおのコストから見た点をお伺いしたい。
#94
○國務大臣(岡田勢一君) 御質問に直ぐお答えできないことは遺憾でありますが、車扱いと小口扱いとの原價でございますね。それから普通旅客運賃と定期乗車券のおのおのの原價とは、少し資料を調べております間、御猶予を願います。できましてからお答えいたします。
#95
○岡本愛祐君 今度の予算におきましては、この運賃値上げは六月十五日から見込んであるのであります。それを若し四月一日から、つまり会計年度の一番初めから値上げをしており、又物價もそのときに七割の値上げをしておるといたしますれば、この鉄道会計におきまして黒字になるのですか、赤字になるのですか、その点を伺いたい。
#96
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。若し年度初めの四月一日から物價並びに賃金、鉄道運賃、同時に改訂実施がせられましたといたしましても、やはり今の倍率で参りますと、赤字になるのであります。ただ一般会計から今回の案は百億円を繰入れをして頂くことに案を決めておりますが、それは実施を六月十五日以降ということにいたしておりますので、ニケ月半分の赤字が減ぜられておることに計算がなります。
#97
○岡本愛祐君 それはどのくらい赤字になりますか。つまり一年分として見ればどのくらい赤字になるか、それをお尋ねしたいのであります。つまりこの六月十五日までニケ月半は非常に安い料金でサービスしておつた、まあこういうわけで赤字が出て、今おつしやつたような借金をしなければならんことになるのでありますが、それを四月から実行しておる一年分として考えて見れば、片方の物價の方は七割、こちらは今申すように三倍半の値上げをするのでありますから、それが赤字とすればどのぐらいの赤字になるか。それによりまして非常に上げ過ぎておるかどうかということが分るのであります。
#98
○國務大臣(岡田勢一君) 岡本さんの御質問はなかなか角度の変つた方からの御質問でございまして、実はそういう計算をいたしておりません。やりますればできることでありますから、今から計算をさせますでございますが、大体現行物價、賃金と現行運賃、それでやつておりますと、一ケ月に今まで約二十四、五億の赤字が出て参つておりました。その二十四、五億出ておりました赤字は、今回の御審議を願つております予算では、これは解消する、差引きいたしまして解消することに予算を組んでおります。出入り勘定が少し複雑に相成りますけれども……。それから賃金は大体六月一日実施という考え方で計算をいたしております。それから物價、運賃は六月十五日ということで計算をいたしておりますので、その間の差引計算を大分やつておりますのですが、そういう関係で……。
#99
○岡本愛祐君 それじやお答えを待ちまして、次に移ります。
 緑風会の高瀬君が運輸大臣に質問いたしました通り、独立採算制というものは單に運賃の方の値上げに止まるべきでない、その前に支出の方をうんと節減しなければいけないのだということを質問いたしました。これは当然のことでありまして、今までの國有鉄道事業の非常な赤字を解消しますためには、支出の方の節減が何よりも大切なんであります。で、人員におきましても、亦資材、消耗品におきましても、できるだけの節約をなさらなければいけないのでありますが、どうもその節約の誠意の程がはつきり我々には了承しかねるのであります。つまり國民は若し國有鉄道事業が赤字を解消するために思い切つてその職員並びに從業員を整理し……整理し、というのは、失業させるという意味じやございません、國有鉄道事業の中からそれを外へ轉換をさす、そうしてすつきりした合理的の経営に適する人員に復するということにしなければならないと同時に、又川上君などが質問しておられますように、石炭その他枕木でも、砂利でも、すべてのものを節約して頂かなければならないと思うのであります。それでそういう節約額を具体的にどれ程お出しになるつもりでありますか。これは数字でお答え願うことができれば幸いでありますが、若しおできにならなければ、何割とか、どのくらいとかいうことで、お答え願いたい。
#100
○國務大臣(岡田勢一君) 赤字解消のために人件費、物件費の両支出面におきまして十分な、赤字が解消できるだけの節約が前提として行われなければならんというお話でございます。併しながら決して私は抗弁申上げるわけではございませんが、從來出ました赤字が、ただ放漫な支出、或いは放漫な運営によりまして、全部赤字が出ておるんだというふうには申されません。これは従來から、殊に終戦後急激な物價の高騰がございましたが、運賃を二回改正をいたしますときに、インフレーションに影響いたしますことを恐れまして、いつも相当程度抑制されまして、本当の健全な、能率的な経営と思われる面からでも、相当大きな赤字が出る程度に下廻つた運賃の率を決定して参りましたところに、一番大きな原因がございます。併しながら我々は運賃を上げるときだから、経営内容の改善改革、能率化をやらなければならん、合理化をやらなければならんということだけでなくして、運賃の引上げをお願いしない状態の場合におきましても、この鉄道企業の合理的な運営をいたします義務と責任があると、私は考えております。そういう考え方から今回は特にかような大幅な値上げをお願いするのでありまして、岡本さんの言われますような、支出の面における節約、経営の合理化、これは分けて申しますと、人員の節約と、資材、消耗品等の物件費の節約をいたさなければならんことでございまして、人員につきましては、すでに予算編成の際に、約六万人の予算面における從事員を節約いたしたつもりでございまして、今日予算にお願いしております鉄道特別会計の所要人員六十二万七千五百人と申しますことは、その中には特殊要員が八万六千五百人というのが含まれておりまして、五十四万人余りが基礎人員ということになつております。何故六万人程度の節約をいたしましたかということを申上げますと、その根拠は、昨年度に比べまして、貨物面におきまして約二割弱の増送をいたすことになつております。その増送によりますところの必然的の所要人員の増加と、それから労働基準法実施に伴いまして、年少從業員の深夜業の禁止のために増加補給いたさなければならん人員、この所要人員が入りますこと、或いは渉外関係の人員の増加、それから別に法案でお願いをいたします鉄道公安官関係の所要人員、そういうようなものが先程申上げましたように、いわゆる特殊要員といたしまして、八万六千五百人程度になつております。そういう計算からいたしますと、六十二万七千五百人という数字は勝手な計算とおつしやられるかも知れませんが、予算における所要人員から約六万人を節約いたしまして、努力いたしました数字でございます。
 それから資材、消耗品の面におきましては、これは鉄道の運営を澁滯さすまでのことになりましては意味をなしませんので、この石炭、消耗品等の使用につきましても、從來から國鉄はやはり國鉄自体といたしまして、これが合理的な消費ということに努力して参りましたのでございまして、それにつきましては今後においても甚だ抽象的ではありますが、努力をして節約をせなければならんということは大体堅持するつもりでございまして、ただ物件費の中から、予算面において、相当にこれは私らの方だけが自発的なばかりではございません。実を申上げますと、大藏省からも相当の削減を食つたのでございますが、相当に物件費の支出の節約に相成つております。併しながら今後におきましても、具体的に資材、消耗品等の節約に努力をいたしますつもりであります。
#101
○岡本愛祐君 只今お答えございましたが、人員の点につきまして特殊の業務に従事する従業員が大分ある。これは八万何千人というお答えでありますが、我々が頂いておる資料で「國有鉄道の現状」、これは去年の八月に運輸省からお出しになつたものであります。それから四月に私が要求して「國鉄従業員の増加とその理由」、これは前大藏大臣にお尋ねをしたので出して頂いたものと思います。それとこの度又頂いた「國有鉄道の赤字の原因と運賃値上の必要性」と、この三つを対照して見ますと、どうもその度に数字が違うのであります。譬えて見ますと、今度頂いた「赤字の原因と運賃値上の必要性」というのと、四月に頂いたものと対照しますと、渉外関係約三万八千人とこれに書いてございますが、この一別には渉外関係約三万二千三百三十八人であります。それから交通公安官関係約千三百人と書いてありますが、この前頂いたのにはこれは八千九百人、それから保守、復旧関係約一万人と書いてありますが、これも違つております。もう一つ申しますと、道路運送監理行政許可関係約三千人、これが片つ方の方では二千百八十人、こういうふうで、今頂いておるこれは、二十二年度末における六十一万人を基礎としたものでありまして、この前四月頂いたものもそれと同様のものでありますから、その後の増減ということは、この答えには出て來ない筈なんであります。こういうのはどういうのでありますか。こういうのを見ますと甚だどうも御調査がお粗末と申しますか、甚だ我々は不思議に思う次第であります。こういうのはどうなつておりますか。
 それからもう一つお尋ねいたしますが、この昨年の八月に出ました「國有鉄道の現状」、これでは二十一年度末の現在員が五十七万三千人ということになつておるのであります。ところが今度それが二十二年度末に参りますと、今申したような六十一万五百四十三人と、非常に大幅に人員が殖えております。この間にも鉄道の從業員は多過ぎる多過ぎるということは、この予算委員会でも各委員から運輸当局にお小言が出まして、そうして運輸当局では極力人員の殖えないように配置轉換をやる、又欠員は埋めないんだというようなお答えがあつたのでありますが、それにも拘わらずこんなに殖えておるのはどういうわけでありますか。それを伺いたいと思います。(拍手)
#102
○國務大臣(岡田勢一君) 昨年の八月と二十二年の年度末と今回お出しいたしました資料との食い違いでございますが、昨年の八月から二十二年末までの間の増加いたしております人員は、それは復員関係のものがございまして、鉄道の從事員が外地に出征或いは要員といたしまして出張をいたしておりました者が帰つて参りまして、必然的に入れてやらなければならんという関係もありました。又その外に事業量の増加に伴いまして入れなければならん点があり、又もう一つは労働基準法の実施によりまして、その要員の準備をしなければならん関係から殖えたものと存じますが、これ亦正確なことはもう少し事務当局で調べましてお答え申上げたいと存じます。
 それから今年度の六十二万七千五百人と申しますことは、そのように載つておると存じますが、その中に鉄道公安官関係千三百という数字を申されましたんですが、これは一万三千人の間違いではなかろうかと存じます。それでございましたらこれは二十三年度の予算編成ができました場合における、予算編成案を編成いたしましたときの数字でございまして、現在はその数字が正確なものでございまして、その数字から人件費を計上いたしまして、予算の御審議を願つておるわけでございます。
#103
○岡本愛祐君 先程私が指摘いたしました資料の食い違いでありまするが、こういうことがございますと、どうも運輸当局の御誠意の程が疑われるのでありまして、資料を取つても何にもならんということになるのでありますから、今後はこういう資料に食い違いが起らないように、万全の御用意を願いたいと思います。で今度はつきりこの要員はどれだけ必要なのか、もう二度各項目につきまして、人員を出して頂きたいと思います。そうしないと審議が進められないのであります。
 それからもう一つお尋ねをいたします。これはこの四月に出して頂いた表で、これは自由党の左藤君からの御要求があつたのだと思いますが、この無賃乗車証の調べであります。それを拜見すると、その臨時の無賃乗車証、それから定期の乗車証、これが非常に多く出ております。これで果して全部かどうか分りませんが、こういうふうに正式にお出しになつたものでありますから、これは正しいものとして拝見して、いかにも多いのであります。でこういうふうに旅客運賃が上つて参りますと、無賃乗車証を持つております鉄道の方とそれからその他の官廳の職員とでは、日常生活において非常な生活費の上に不均衡を生じて來ます。まあ職員だけの方なら無賃乗車証もそれは一應仕方がないと存じます。併しその家族まで無賃のパスを出すということが、未だに行われておる。この表のどれだけがそれに当りますか、ここに家族臨時乗車証といたしまして、六十一万六千枚出ておるようです。それからその他に家族の子弟に通学の無賃の乗車証もでておるようです。ここに、通学と書いてあるのがそうじやないかと思います。それが一万八千程出ております。こういうものは他の官吏の家計と比較いたしまして、非常な不公平になるのであります。元の安かつたときはいいといたしまして、今では非常な差ができて参りますが、こういうものはこの赤字を解消しますために、逆に言いますれば、鉄道收入を少しでも殖やして、一般國民に迷惑を掛けないために、できるだけ発行をお止めになつて、そうして一方には赤字解消の助けにし、一方には他の官廳の官吏と均衡を取られることが、必要だと思いますが、これに対してどういう御用意がありますか、お伺いいたしたいと思います。
#104
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。この資料の正確なものをというお叱りでございまして、それは正に傾聽いたして置きますが、併し二十二年度末から鉄道公安官関係が千三百への者が、一万三千人になつておるという御指摘でございましたが、それは岡本さんのお間違いではなかつたのでございませんか。今回はこの予算編成上交通公安官関係は一万三千人になつておるのでございまして、それはこちらといたしましては間違いはないのでございます。先ず大体において正確なものと確信いたしまして、お出しいたしておりますのでございます。
 それから無賃乗車券でございますが、無賃乗車券の中、特に家族パスにつきましては、往々世間一般に相当誤解があるように私は考えます。家族に対しまして常時年中パスを出しておるのではないかという考え方であります。それは決してそうではございません。家族に対しましては、必要だと認められる旅行に対しまして、年間に五回、而もその五回で三十日を超えないこと、こういう規定になつておりまするので、決して一年中パスをやつておるのではございません。それもこの頃は非常に旅客が輻輳をいたしておりますので、パスの発行を制限するようにいたしておりまして、いつぱいは出していないのであります。ただ枚数の点になりますと、三日ずつ五回出したといたしましても、それは五枚という計算で出されますので、五枚を年中使用するパスが出ておるじやないかという誤解を招く慮れがございます。延枚数にいたしますと、今岡本さんの言われましたように、六十一万六千枚ということになりますが、その六十一万六千枚というのは、そうしました三日四日といろ期間の無賃乗車証を何しました延べの枚数でございまして、六十一万六千人を年間常時乗せるようなパスを出しておるじやないかというふうなことに誤解をされる、慮れがありますが、決してそうではございません。併し家族パスの問題等につきましては、今後十分研究をいたします。尚通学パスというのは、もう少し私も実際を調べなければはつきりしたことは申せませんが、これも特別の理由がありまして、若干出ておるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、岡さんのおつしやるように、第三者から見られますと、外の官廳以上の待遇が加えられておるという御意見は全然否定するわけにも参らんと思いますので、今後十分檢討いたしまして、不合理な点は是正しなければならない。先ずそれを第一に十分な檢討を加えることにいたしたいと考えております。
#105
○岡本愛祐君 私が不確実な根拠によつて故意に非難をしておるようにお聞きになつたか知れませんけれども、私はそういうつもりで申上げておるのではないのであります。この國有鉄道というものは、日本で一番大きな企業であります。而も國有國営でやつておるのでありますからこれがうまくいかないようなことでは、これからだんだん國有國営というようなことを考えて行かなければならないような世の中に向いつつあるのに、もう國有國営事業は皆駄目だということになつてしまうのであります。それで折角大分前から國有國営事業をやつており、元は実に立派にやつておられたのだから、又昔のような立派な國鉄になつて貰いたいということを、國民の一人として冀う者ですから申上げておるのでありまして、單に惡罵をしておるとお聞きにならんようにお願いしたいのであります。誠意から出ておる質問であります。それで家族の六十一万枚の定期が出ておるなんということは私は考えておりませんので、さつき言つたように臨時乗車証が一枚々々の乗車証として六十一万六千枚も出ておる、それにしても多いではないかということを申上げておるのであります。又通学につきましては、これは私の近所に運輸省の方がおります。そこの子供が持つておるのであります。通勤パスを持つておる、それは私鉄にも乗れれば、省線には勿論乗れるというパスであります。パスにも乗れます。省営バスのみならず、私鉄の、バスにも只で乗れるのであります。こういうのがうんと出ておりまして、こういうことを見ておつて、これはいかんなという感じを深くするから申上げた次第であります。
 尚先程交通公安官関係のことを申されましたが、これはここに頂いておるこの書類にちやんと書いてあるのであります。これには鉄道公安官八千九百人とちやんと書いてあるのです。この基礎はやはりこの書類と同じように二十二年度末におけるものでありますから、食い違いはない筈であります。それが食い違つておるのはどういうわけか、これは皆どちらも同じ数がぴつたり出ていかなければならないのに出ていないのであります。これは運輸省からお出しになつたものでありますから、それでは困るということを申上げたのであります。單に私が間違つておるというふうにお取りになつては困るのであります。
 それからいろいろなことになりましたが、最後に申上げたいのでありますが、これはこの前も逓信省についても申上げ、運輸省にも申上げたのでありますが、運輸省の職員、從業員の官紀粛正についてであります。これはだんだん運輸省の職員組合の方におきましても、漸次立派な組合になりつつおありになることに対しては、大いに敬意を表しておるのでありますが、併しまだいけない部分が多面にあると思つて、國民は甚だ残念に思う次第であります。この大事な、復興を一時も早く急がなければならないときに、日本の國の建直しを一日も早くやりまして、立派な文化國家に復活しなければならないときに、運輸が一番今の生産の隘路となつておるのであります。石炭を運び、木材を運び、又いろいろなものを運ぶのでありますが、それがすべて突当ることは運輸の問題であります。而もそれが貨車が足りないとか、いろいろ理由もありますが、もう少し鉄道の從業員の方が良心を鋭くし、時局を認識し、我々日本の國民を愛する同胞愛に燃えて、一生懸命にやつて下されば、まだ打開ができると思うことが非常に多いのです。北海道において昨年末までに殆んど二千万石の材木が溜つてしまつた。これは國有林の方面におきましても無暗に伐つて、輸送関係も考えなかつたという面が非常にありますが、併しそれはやはりこの鉄道局の非常な不手際、不熱心ということも大いに原因があるのであります。又北海道からの石炭を運ぶのに、車がなかなか都合がつかない。だから山のように炭坑には溜つてしまう、労働者の熱意もさめてしまうというようなことがあつたのであります。大分その後復活して、建直りを見せて下さいましたが、尚一層この点には運輸大臣を初め、皆様が一生懸命にかなつて頂きたいと思います。又坊間貨車を手に入れるのには金を持つて行けばいい、だから金を持つて行かなければ貨車は手に入らない。金さえ持つて行けば貨車は手に入るということが噂されております。これも單なる私の漫罵としてお聞き流しになつては困るのであります。これも運輸の建直しを一時も早くして頂きたいから申上げるのであります。これは一昨年は一千円出せばよかつたのが、昨年は三千円出さなければならん、又今年は一万円になつたというようなことを民間噂する者があります。どのくらい眞実であるか、これは実は分りませんが、私共の友人の信ずべき人がそれは本当だということを申しております。今後はそういうことのないようにお氣を附けを願いたいと思うのであります。
 それからもう一つ、運輸省の職員の方々で、大勢の、六十二万人もおられるのですからいろいろな人があることはよく承知をいたしております。併しその職務を行う傍ら二三日前の新聞にも出ておりましたが、乗客を便所へ引込んで暴行を加えたというような人も出ております。又駅で遅くなつた人を引出して、そうして上衣から何から皆奪つてしまつたというような人も出ております。その他新聞によく運輸省の職員のこういう非行というようなこととが出ることは甚だ残念であります。どうかこういうことにつきましても十分官紀を粛正されまして、國鉄の名誉を回復して頂きたいと思います。こういうことに対する法輪大臣の御決心を伺つて置きたいと思います。
#106
○國務大臣(岡田勢一君) 鉄道公安官関係二十二年度末八千九百人、今回の予算面におきましては一万三千人、それは四千百人でございますか、増加いたしますことでございます。
 次に相当全國に亘りまして滯貨がございます。岡本さんの御指摘のごとく特に木材関係、或いは木炭、亞炭というような方面に滯貨が多くなつておりまして、誠にその点は國鉄当局といたしましても遺憲でございます。早く滞貨を減少いたしませんとそれが生産の増強を澁滯させる因となりますし、それらの業者の金融などにも影響いたして参りまして、誠に面白からぬ状態に相成りますので、その方面に努力をいたしたいと存じまして、今年度は先ず貨車を十五トン車から三十トン車の間のものを四千五百輌発注をいたして、すでに製造中であります。これだけではまだ十分に足りませんので、あと数千台発注いたしまして増加いたしますことを計画をいたしまして、折角只今関係方面と折衝中であります。岡本さんの言われましくごとく、日本の産業回復、経済の安定には生産の増強ということが一番の要素となりますので、生産の増強ということは輸送量の強化でございます。同時に岡本さんの言われますように重要物資の滞貨の一掃でございます。我々は今後ともこれに対しまして大なる努力を傾注いたしたいのでございます。併しながら今日只今のこの國の物資の現状から考えまして、なかなか我々の要望いたしますだけの資材なり、或いは予算なりが頂けませんのはながなが遺憾でございます。殊に労務者の勤労意欲を向上いたしますための労需物資、例えば地下足袋、或いはゴム靴、手袋、作業服というようなものがなかなか不自由でございまして、この獲得につきましては、常に安本、商工省などと盛んにやり合つておるような始末でございまして、それらの面におきましては、どうか國会の皆様方におかれましても、十分に御後援をお願いしたいのでございます。いわゆる施設、車輌等を増加いたしますこと、それから労需物資を、要望するだけはとても貰えんと思うのですが、地下足袋を一年に一定くらい貰うておりましたのでは、非常な重労働でありまする操工場における轉轍等の作業はとてもできないということになります。今年度は少し殖やして呉れることになつたわけですが、これらに対して御援助をお願いしたいと存じます。
 それから貨車が少いので、貨車の獲得に賄賂を持つて行かなければ取れんという噂が流布されておることは私も聞いております。事実を捉まえましたときには、嚴重に処罰をするのです。勿論その他一般に鉄道官吏及び職員の綱紀が繁れておるという噂もございます。これは誠にさようなことがあつては相済まんわけでありますし、一般政府関係の官廳にも波及いたすことと存じますので、今後とも綱紀の粛正ということについては、嚴重に取締つて行くつもりであります。若し不正、犯罪等を発見した場合には、速かに適当に処分をいたすつもりでございます。そういうことで岡本さんから御注意下さいました鉄道経営の合理化、正しい復興再建ということについて、十分の努力をいたすつもりでございます。
#107
○岡本愛祐君 話がやはり平行線になるのですが、私が申上げたことがでたらめでないことを立証いたしますために、この「國有鉄道の赤字の原因と運賃値上の必要性」といいますものの人員の配置の適正というところに、いろいろ表が出ておりまして、交通保安官関係約一万三千人と書いてあるのでありますが、これは二十二年度末において、それが前提になつておる数字と思います。この一万三千人というのは……。
   〔「その数字は後にして呉れませんか。」と呼ぶ者あり〕
#108
○左藤義詮君 只今無料パスの問題を私が提示して、少しでも是正しようと思つて話が出ましたのですが、他の官公職員と非常にアンバランスであるということは、運輸大臣もお認めになりました。今後十分檢討するというお話でありましたが、私は、かくのごとき國民の非常な苦痛になる値上げを御提案になるについて、一体どれくらいこの問題について削減をなさつたか、その努力を伺いたいのでありまして、昨年以来このことは非常な問題になつておるのでありまして、それに対して今度の予算においてパスの範囲を減らされたのか。又一体無料パスというものは、どの範囲に、どういう手続において出しておるのか。本省の文書課長が全部出すものか、或いは各鉄道局で出せるものか。それから運輸省の官吏にはどの範囲まで出しておられるのか。又他省の高級官吏にはどの程度まで出しておられるのか。それから退職者のパスというもの、これは私この間も陳情を受けたのですが、恩給というものが、貨幣價値の変化のために、恩給受給者が殆んど問題にならん嘆かなもので苦しんでおるのであります。それに対して退職者のパスというものが相当にあるようでありますが、それをこの鉄道運賃が上りましてもそのまま続けて行かれるのか、これが一般官公吏の非常な苦痛を與えておる者とどういう関係に、なりますか。その他組合関係その他にも相当出ておるようでありますが、今日は時間がありませんから、今三日、四日というようなお話がありましたが、そういう点を、お出しになつておる範囲、どういう権限でどういう官吏にこれをお出しになつておるか。昨年私共にお示し下さつたときと、今度の予算編成にどれくらいの努力の跡があるか。又今後努力するとおつしやいましたが、どういう見込をお立てになり、いつ頃までに、例えば今年度内にどのくらい整理をするつもりであるか。細かいことをつつくようでありますが、運輸省全体が弛んでおると申しましようか、とにかくだんだんとだらしなくゴムのように伸び切つちやつて、今申したような問題があらゆる問題に響きますので、具体的に示す指標として、この問題の少し精密な数字を、この予算の審議中に間に合うようにお出し下さることをお願いいたします。
#109
○國務大臣(岡田勢一君) 左藤さんにお答えいたします。無料乗車証の点は、予算編成に当りましては、先ず拡大をせざることという目標によりまして、部内に、各鉄道局にも注意を與えまして、そうして整理できるものは整理すべしということを申しておりますが、これは具体的の整理は、時日の関係も十分に間に合つておりませんのでございますが、そのまま発行いたしますものは緊縮方針をとりましてやつております。どのくらい緊縮できたかということは、まだ計算をしておりません。御指摘のように、地方鉄道局におきましても、規定の範囲内におきまして若干のものが出せることになつております。その具体的詳細は、職員或いは通学、それから移動警察、新聞、通信、國会議員等々に出すことにしてあります。その細かいところは今分りません。この予算の審議中に二十二年度末と申すのができるかできんか知りませんが、二十一年度末、できれば二十二年度末現在のものをできるだけ詳細に取調べまして、提出して御説明を申上げたいと存じます。
#110
○川上嘉市君 本会議で、私は教習所の問題を御質問申上げましたところが、それに対する御答弁が非常に不満足でありました。と申しますのは、今鉄道では中等学校或いは專門学校の教育を受けた者の割合が非常に少いからして、それを殖やすために尚これを続けたい。こういうお話であつたのでありますが、成る程中等学校、專門学校の割合が少いかも知れませんけれども、それであるが故に全部政府の官費を以て、而もそれに給料を拂いつつ教育するという理由は一つもないと考えております。それに対する先ず御答弁をお願いしたいと思います。
#111
○國務大臣(岡田勢一君) 青少年に教養を與えますということは、私は原則といたしまして、日本國民の文化を高める上から、やつちやいかんということにならんと私は思います。殊に國鉄は特殊の技能経験を必要とする現業廳でございますので、それに必要な專門的の技術教養を與えなければならんと考えますので、今行つております教習所のことは、これは私はやる方が普通であつて適当である。そういうふうに考えておりまして、これはやつては怪しからんというふうな形には相成らんと思います。
#112
○川上嘉市君 それは鉄道だけが非常に特殊なという御説明でありますけれども、私は他のすべての事業というのは全部そうだと思います。逓信省も実はそういうふうなのがあるようでありますが、私はあの質問する翌々日でしたか、逓信省のその電氣の方の関係の方に聞いて見た。逓信省の方にそういうものがあるかと聞いたところが、ある、あるけれども今度はGHQの方でそれを止めろと言付けられた、今それを止めるように研究中だと聞いておりますが、鉄道の方にはその話ありませんか。
#113
○國務大臣(岡田勢一君) 運輸省の鉄道関係の方には、司令部の方面から、教習所を止めろとかいう話はございませんです。今のところ……。
#114
○川上嘉市君 それでは特殊技術であるという点については、ラジオの会社でも、どこの会社でも、全部皆そうでありまして、それを何ケ月間そういうふうにやらなければならんということはない。自分で勉強し、実施にやりながらも勉強できる。それを教習所の生徒が三万八千何人かおりまして、その費用が給料と手当で三億二千何百万円というものを使つております。これに維持費、教育の費用を加えたら、恐らく又それらの人が実際に仕事に從事することを考えれば、プラス、マイナスで十億以上の差があると思います。これ程國家が困つて、いろいろな点に節約しなければならんときに、こういうときこそそれを廃する絶好の機会であると思う。それができたのは明治四十二年といいますから、今から三十九年前であります。現在では教育場所は幾らもあるにも拘わらず、それを鉄道だけは自分でやらなければならんという理由は一つもないと考えます。又GHQの方の意見としては、そういうような教育は全部文部省に纏めろ、こういうような命令であるようである。当然そうあるべきだと思いますが、お考えを承わります。
#115
○國務大臣(岡田勢一君) お答えします。川上さんのお説、御趣旨については私は決して外論はございません。ただ司令部から逓信方面は文部省の教育に統一しろと言われたとのことでありますが、海運にもその話がありました。船員関係を文部省に統一しろという話がありましたのですが、これは特殊の事情があり、特殊の任務があるのでございますので、それをよく説明いたしましたところ、海運の方は了解が付きまして、今のままで船員の方はやることになつております。鉄道の方につきましてはその指示は何も貰つておりませんのでございます。ただ川上さんのお説のごとく、第三者から見ますと、何か贅沢なことを普通の課程でやつておるから、それを止めてもいいではないかという氣持になることは無理ないと思います。三万何千人か教習所で教育しておりますが、その中、中等部、專門部などの者は約六千人しか、ございません。そのあとは一種の職業的の專門教育でございます。
#116
○川上嘉市君 中等部と専門部と両方合せると一万二千人、その他に五ケ月、六ケ月のを合せますと三万八千人……。
#117
○國務大臣(岡田勢一君) そうです。三万八千人の中、ただ單なる專門、中等部の生徒は約六千人になつております。この程度でしたら非常にお叱りを受ける程のことでもない、むしろやるのが適当ではないかと、私は只今は考えております。
#118
○川上嘉市君 それは頭の持つて行くところがどこにあるかということですが、本当に虚心坦懷に考えたならば、今日中等学校程度、專門学校程度の專門教育を受けた者は沢山あるのでありますから、鉄道が自分でやらなければならんという理由は一つもないと考えます。又どこの会社、どこの仕事を見ましても專門教育の要らないところは一つもない。併しながら皆学校を出た者を採つてやつて行くことができるのであります。鉄道だけが非常にむずかしいとは私共感じません。その点は他の專門の仕事と同じ程度であると考えております。その点は尚私もどこまでも解決するように自分も努力したいと考えておりますから、当局においても是非御研究願いたいと思います。
 それからもう一つ、鉄道の中で最も重要なものに石炭があります。この石炭のカロリーについてちよつとお尋ねいたします。六千カロリー程度のものであると八割の簡約ができると申したのは誤りで、三割というお話がありましたが、ところが、この赤字の原因という書類には、私手許にありませんので詳しくは分りませんが、昭和二十年には六千六百四十カロリー、その時の指数を百とすると、二十一年は六千五百何十カロリー、その時の石炭の消費量百十二、その次の二十二年は五千三百カロリーになり、石炭の消費量二百二十六、要するに六千カロリーであると五千カロリーの丁度申分ほど節約できる、こういう実際にやつた数字が出ておつたと記憶しております。それとお話の三割節約というのは間違いであるのかどういうのか。そこの赤字の原因というのをお調べになると、直ぐに石炭量の能率ということが書いてありますから御覧願いたいと思います。それでどちらが正しいのか実際にやつて見て……、試驗場で三割節約、実際に運轉して見て昭和二十一年と二十二年を比べて石炭が前の方は半分で済んだ、こういうのならば大分問題であります。今度石炭の値段が三千二百六円になるように衆議院の方の答弁で聞いておりますが、そうなるというと六百八十万トンの石炭というものは二百何十億ということになるのでありまして、若しできるというのならば大変な節約であります。これを一つ明瞭に御説明を願いたいと思います。
#119
○國務大臣(岡田勢一君) 第一の御質問は、どこの事業場及び工場でも專門的の教育を施さんならんのは当り前であつて、特に教習所、学校等を作つてやらんならんということはないじやないかという御意見だと思います。大体專門的な職業等のことにつきましては、その企業によりましては、現場及び事業場で就職しながら熟練させる方法を探られるところもございますと思います。併し仕事によりましては、そうも一概には参りませんので、或いは鉄道などは沢山の人命をお預かりいたしまして輸送をするという面につきましては、不熟練の者を現場で働きながら熟練させるということには非常な危險が伴いますので、そうはできませんと思います。どうしても專門的の職業の技能を與えますことは、これはやはり、鉄道に入れましてから養成をする必要がそこにあると存じます。併しながら川上さんの言われる御趣旨について私は反対をする者ではございません。國家の財政が困難なる現状におきまして、若し不合理な点がございますならば、私は是正いたしますに決して躊躇する者ではございません。今後におきまして十分に検討をいたしたいと存じます。
 それから石炭カロリーの問題につきまして、先般本会議で御質問がございまして、五千四百カロリーを六千カロリーに若し直すといたしたら八割減ずるということはこれは数字の誤りでございまして、間違いでございますのでどうか御修正をお願いいたしたいのでございますが、当時私かお答え申上げましたように、今年度は五千四百カロリーの石炭の供給を受けるをときに予定をしておりますが、若しこれが五千八百カロリー四百カロリー上昇いたしますというと、実際に要ります量は八十九%程度になりまして、節減ができます数量は十一%程度になるのでございまして、そのようにお答えを申上げました次第でございます。ところがこれは本年度の石炭三千六百万トン増炭ということが盛んに要望せられまして、量的の生産をやかましく言われております現状からしまして、山元におきまして選炭なぞが十分に行われないことになりまして、どうしても生産の実情から申しますると、現実に六千カロリーとか五千八百程度のものを獲得するという予定を組んでおきましても、行われない公算が大でございますので、固いところを取りまして五千四百カロリー獲得のことで計算をいたしておりますのでございます。できれば高い熱量のものを獲得いたしますれば機関手の労力も減りますし、非常に数量も減じて参りますのは事実でございます。併しながら價格一トン当りの炭價の面におきましては、熱量が高ければ高いだけ債務の等差が附けられておるのであります。高くとも熱量の高いものを焚きますことが、汽車の場合にでも、汽船の場合にでもそれは非常に能率がいいように、経済的によろしいのは間違いないのでありますが、先ず本年度の現状から考えましても、五千四百カロリー以上のものの獲得ということは現実化する公算が少のうございます。そういうことをお答え申上げます。
#120
○川上嘉市君 お話は分りましたが私の質問に対して少し間違つておるので、先程八割節約というのを三割であつたという本会議でお取消があつた、三割というのがその赤字の原因というところに書いてある。又一方には殆んど半分になつていると、非常にそこに食い違いがあるからして、その御説明をお願いしたのですがそれに対して御答弁がありませんでした。それが一つ。
 それから本年はどうせそういういいのは出ないのだからまあ言つて見たつてしようがないというようなそんなことでなくて、根本としてやつぱりこれだけならこれだけ節約できるのだという目標だけは調べて置いて、然る後最善を盡してこれだけには行かんというのならよろしいのでございますが、ただ中途半端にして、当然できないのだからどうでもいいというような態度は、実際能率を挙げるというような点について甚だ面白くないことだと考えますので、是非ともこれは調べて置いて頂きたい。そのカロリーについて値段の相違のあることは知つております。三%か、四%、百カロリーについて違うということは存じております。存じておりますが、それに対してこれだけ使えばこれだけという計算を出して、これこれやれば例えば十億円、五十億円でも、必ず是非実行しないと、そういう大雑把で以て、これだけならこれだけということで置いたならば、すべての改良は全然ないように私は考えます。今の点を明瞭に將來のお調べを、一つ書面で結構ですが、御報告を願いたいと思います。
 それから先の方の三割と五割という点について、これは直ぐそこでお調べできると思いますから、御答弁願いたいと思います。
#121
○國務大臣(岡田勢一君) 赤字の原因というところには、六千四百四十カロリーの石炭が配当されるものとすれば石炭の大量が節限されるほか、列車運轉は正確となり、遅延が防止されるということが書いてありますのでございますが、優に石炭節限量約三百万トン、こういうことが書いてありますので、何割ということには書いておりませんわけでございます。ところがこれは何百万トンに対して三百万トン節約するということを書いてありませんので……。
#122
○川上嘉市君 それは一年中の使用量、一年の消費量に対してですか。
#123
○國務大臣(岡田勢一君) ええ、一年の消費量です。いろいろいい加減なことでやつておるのではないかというお叱りを被るわけになるのでありますが、併し私は先程御答弁申上げましたのは、いい加減なことで、努力すればできるものをお前達が高いカロリー、高い熱量の石炭を努力して獲得しようとせなんだのではないかというお言葉のように感ぜられますのですが、これは私は決していい加減な考え方から、できるのに入れることを努力しなかつたということではございませんので、熱量の高いものを契約いたしたいのでございます。獲得いたしたいのでございます。併しそれらの高いものを契約いたしましたならば、その熱量に應じまして数量を減じられみことになります。その契約をいたします熱量のものが実際に受渡しされませんかつた場合には、鉄道は終いには汽車が動かなくなるのでございます。そこで非常にこれは重要な問題でございますので、それぞれ專門家が深い経驗によりまして今日の石炭増強を嚴密に檢討を加えまして、今年といたしましては、鉄道用炭には工手四百カロリー以上のものを望んでも、若し山元なり配炭公團なりが契約いたしたとしましても、それを正確に受渡しがされない、さような不確実な下において数量を予定して置くこと、或いは予算を組むということができない。こういう確実な基礎に立ちまして、この熱量の約束をいたしておりまするので、決してやればやれるものを努力しないからやれんのじやないかというような御議論は當らないのでございます。そんなよい加減な議論で、いわゆるデスク・プランと申しましようか、机上プランで片付けられる問題ではありません。石炭のカロリーの問題はそういう考え方から割合に御説明には誤つた点がありまして、これは誠に恐縮をいたすのでございますが、石炭の熱量を決定いたします問題につきましては、これは重大な問題でございますので、運輸省内における專門家が十分に檢討を加えまして、五千四百カロリーということで大体商工省並びに配炭公團と契約しておりますのでございます。ところで尚川上さんが仰せられました五千四百カロリーの場合と五千八百カロリーの場合とで、計算を以て、トン数がどれだけ違うからどれだけ石炭が節約できるというような計算をしておらんというお話でございますが、それは計算はしておるのでございます。若し五千八百カロリーのものを呉れることになりまして、熱量の等差を附しないで、同様一トン常りの炭價で分けて呉れることになりますならば、現行の一トン千四百円の價格といたしまして十億円余り節約になります。若しこれが石炭の改訂價格三千二、三百円になつて参りますと三十数億円の節約ができることに相成ります。そういう計算も予め立てて檢討をいたしておりましたのでございますが、先程申上げました理由によりまして、実際問題といたしまして、五千四百カロリーのものを五千八百カロリーといたしますと、炭價を無償でその高熱のものを貰うということはできませんのでありますと同時に、生産増強から申しまして、その契約は実行できない契約に相成りまして、五千八百カロリーの受渡しは完全に合数量に対しては不可能であるという結論に相成りましたのでございます。今年は五千四百カロリー石炭で計算を、計画を立てました次第であります。
#124
○川上嘉市君 もう一度申上げます。只今の大臣のお話は私の話を大分間違つてお取りになつておるので、後で速記録を御覧を願いたいと思います。私は決してよい加減なことをやつておる、怠慢だと申上げたのではなくて、これは今年は仕方がないから五千八百カロリーを使う。だから外のことをやつて見たつて空論になるからというお話であつたから、私はそれは空論だといつて放つて置かないで、全部調べて見て、例えば本当に本年度何千カロリーの石炭がこうこうだと内訳を全部お調べになつたかどうか、私は非常な疑問だと思います。六千カロリー以上のものが幾らであるか、五千八百カロリーは幾ら、何は幾らすつかりお調べになつて、そうしてそのおのおのについてこれを使うことによつて、炭價がこれだけになる、節約がこれだけになる。そうするとずつと表を作つて、本当に理想的にすればこれだけ使いたいのだが、実際ないから仕方がないから、本年は五千八百カロリーで我慢しよう、こういうならば結構であります。それでなしにただ五千八百カロリーしかないから仕方がないからこういつてお諦めになつたのでは困ると申上げたのであります。決して怠慢だということを申上げたのではない。速記録を御覧を願いたい。
 それからもう一つはこの間先程お話になつた八割節約は間違いで三割だつたというお話だつたのですが、昨年から一昨年、一年使つた全部の、石炭量、これは鉄道試驗所でなくて、実際使つたもので出たのが八割というのは間違いで三割だつたという御報告はどこから出たのですか。そういうことは私は申しませんけれども、併し私が申上げたことを曲解されて、非常に私は何か無茶苦茶に攻撃するようにお受取りになるのは迷惑至極だと思います。これだけ申上げて置きます。
#125
○委員長(櫻内辰郎君) この際申上げます。明日、明後日は午前十時から公聽会を開きます。公述人の人名とその時間割は玄関へ掲示することになつておりますから、御覧を願いまして、その公述人に対する質疑を御準備を願いたいと存じます。十九日の日は午前十時から各分科会を開きまして、主査、副主査の選挙を願いまして、引続き委員会を開きたいと存じます。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           木村禧八郎君
           西川 昌夫君
           岡本 愛祐君
           村上 義一君
           中西  功君
   委員
           岡田 宗司君
           カニエ邦彦君
           小泉 秀吉君
           村尾 重雄君
           石坂 豊一君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           入交 太藏君
           油井賢太郎君
           木内 四郎君
           小畑 哲夫君
           佐々木鹿藏君
           鈴木 順一君
           飯田精太郎君
           岡部  常君
           奥 むめお君
           川上 嘉市君
           河野 正夫君
           鈴木 直人君
           高田  寛君
           東浦 庄治君
           姫井 伊介君
           渡邊 甚吉君
           池田 恒雄君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 北村徳太郎君
   農 林 大 臣 永江 一夫君
   運 輸 大 臣 岡田 勢一君
   逓 信 大 臣 冨吉 榮二君
   國 務 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   大藏政務次官  森下 政一君
   大藏事務官
   (主計局第一部
   長)      東條 猛猪君
   大藏事務官
   (主計局第二部
   長)      河野 通一君
   農林事務官
   (農政局長)  山添 利作君
   農林事務官
   (開拓局長)  伊藤  佐君
ソース: 国立国会図書館
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