くにさくロゴ
1953/12/15 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 建設委員会 第2号
姉妹サイト
 
1953/12/15 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 建設委員会 第2号

#1
第019回国会 建設委員会 第2号
昭和二十八年十二月十五日(火曜日)
   午後一時二十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     石川 清一君
   理事
           石井  桂君
           石川 榮一君
           三浦 辰雄君
   委員
           小沢久太郎君
           鹿島守之助君
           飯島連次郎君
           江田 三郎君
           田中  一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
   常任委員会専門
   員       菊池 璋三君
  参考人
   東京大学教授  安藝 皎一君
   京都大学教授  石原藤次郎君
   建設省土木研究
   所河川第一研究
   室長      佐藤 清一君
   建設省建築研究
   所長      藤田金一郎君
   鹿島建設技術研
   究所長     安藤 新六君
   運輸省運輸技術
   研究所港湾物象
  部土性研究室長  石井 靖丸君
   建設省関東地方
   建設局長    伊藤 令二君
   鹿島建設技術研
   究所次長    甲野 繁夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○建設行政に関する調査の件
 (建設関係各種研究所の諸問題に関
 する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(石川清一君) これより委員会を開会いたします。
 建設行政に関する調査を議題といたします。本日は先般の委員会において御決議頂きました通り、建設関係の各種研究所についての調査を願うことにいたしました。七人の参考人の御出席を願いました。なお建設省土木研究所長松村孫治君は御病気のため出席できませんので、河川第一研究室室長佐藤清一君が出席されております。佐藤君を参考人として御意見を承わることに御異議がございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(石川清一君) それではさよういたします。
 先ず、参考人として御出席下さいましたかたぐに御礼を申上げます。御多用中のところ、本委員会に御出席をお願いしましたところ、早速御承諾頂きまして有難うございました。我が国の災害の頻発は誠に憂慮すべき点が多うございまして、この対策については、体委員会といたしましても常に苦心をいたしており、十分な検討を加えて参つたわけでありますが、その対策の一面として、災害、防災、或いは治山治水、或いは海岸線の防護等についての科学的な、或いは技術的な研究がどのように行われ、どのくらい進んでいるか、諸外国に徴しまして進歩の工合がどうか、これらの研究がどういうような形で実施に移されているか等の事柄が問題となつて参りました。これについての実情なり御意見なりを伺いたいのが本日の委員会に御出席願つた趣旨でありまして、先ず参考人の現在のお立場から、一つ大学附置の研究所、各省附属の研究所、民間附属の研究所の各成果についてお伺いいたしたいと思います。
 第二、これらの各種の研究所はどのようにあるべきか、どのような方向をとるべきか、これについてお伺いいたしたいと思います。
 第三、これらの各種の研究所間の関係、繋り方についてどうあるべきか、現状はどうか、これなどをお伺いいたしたいと思います。
 第四、又これらの研究所と現場の繋りの現状と、どのような繋りをなすべきかについてお伺いし、更に現場における研究の成果の利用状況をもお伺いいたしたいのであります。
 最後に五といたしまして、御意見をお持ちのかたにお願いいたしたいのは、科学技術行政はどのようにあるべきかという問題でございます。その他最近の諸外国の状況等についてお話願えれば非常に有難いと思います。
 又本委員会は建設省の所管に属する事項をその所管といたしておりますので、建設省の土木研究所と建築研究所の研究の質なり方向なりの相違の問題について土木研究所、建築研究所の所長さんから伺つておきたいと存じます。
 委員のかたに参考人のかたを一応御紹介申上げておきたいと存じております。お見えになつておりませんが、安藝博士は富士川改修の功労者で以て、戦後資源調査会の中枢として、或いは東大教授として活躍されており、我が国の河川工学の権威者でありまして、昨日米国から御帰朝されたところを御足労願つた次第でありますか、追つて御出席になられることになつております。次に石原博士は、京都帝大で河川工学と港湾工学を講じておられまして、防災研究所を指導し、非常に精力的に活動され、河川についての極めて多角的な研究で有名なかたでございます。最近学術会議会員として米国の大学或いは各種研究所をつぶさに視察されて参られております。土木研究所の佐藤博士は水利学研究のエキスパートでございまして、海岸堤防についても又深い研究をいたされておるかたでございます。運輸研究所の石井博士は地盤沈下についての権威でございまして、大阪の地盤沈下対策について優れた業績を示されておられ、米国から土質の研究をして帰えられたのでございます。安藤さんは民間人でございまして、鹿島建設技術研究所の所長として、土木及び建設の両面からの総合的な研究指導をされているかたでございます。建設省の関東地建局長の伊藤博士はまだお見えになつておりませんが、河川及びダム工学のエキスパートでございまして、研究者として、又実際家として豊富な経験を持つておられるかたでございます。やがておいでになることになつております。建築研究所長の藤田博士は建築材料学の権威で、長年建築研究所を主宰されています。
 お諮りいたしますが、参考人の公述の順序は只今申上げました順序といたしまして、欠席のかたはあとで順序を振替えることにいたしますが、参考人全部の公述の終つたのち、先ほど申上げた項目の順序に従つて御質疑を頂きたいと存じます。如何でございますかお諮りをいたします。今のような次第で御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石川清一君) それでは御異議ないと認めて、順序に従つて参考人の公述を求めます。
 京都大学教授の石原藤次郎君に御意見を承わりたいと存じます。大体二十分を予定しておりまして、あとを質疑に振替えたいと存じております。
#5
○参考人(石原藤次郎君) 第一番目の各研究所の成果でございますが、日本の現状におきまして基礎的な部門につきましては、相当立派な研究の成果が挙つておるように思います。併し実際的な部面になりますと、実証的な資料が不足のために、その成果についてはなおこれから大いに発展をせしむべきものがたくさんあるように考えております。
 第二番の研究所のあり方でございまするが、大学の附置研究所、これはいずれも長年の歴史を持つておりまして、而もその中には非常に有能な研究者がたくさんおります。又大学でございますから、他の学部からのいろんな分野についての応援を求めることができます。いわば非常にポテンシャルの高い研究所であると考えております。で、その研究所が学問の基本的な部門並びにその基本的な応用部門について研究をしなければならん。又現にそういう状態にあると考えております。各省の附置研究所、民間研究所はそれぞれ具体的な問題について各省の行政に直結した研究をやつて行くべきものと考えており、又このように行われておると思います。この点につきましては、私はアメリカの各研究所その他をつぶさに見学して参りましたが、アメリカにおきましてもやはりそういう各研究所のあり方は相当はつきりしておりまして、大学並びに大学附置研究所は非常に基本的な部門並びにその基本的な応用に専念をしており、例えば開拓局、或いは陸軍の水路研究所、その他を見ましたが、これは各省の行政に直轄した研究をやつております。その結果によつて実際の設計を合理的にやつて行く、そうした行き方をしておるように痛感をしたのであります。
 それから第三の研究所の関連でございますが、これは日本の現状におきまして、研究者相互がお互いに十分の関連を付けようと努力をしておりますが、現在の段階におきましては、組織その他の関係におきまして十分満足すべき状態に行つておらないと考えております。
 第四の研究所と現場の繋りでございますが、これは日本におきましては、現在むしろ遺憾な状態にあると言わざるを得ないと思います。研究をやつたものは成果としては認められておりますが、現場はいろいろな制約を受けまして、研究の成果をうまく取入れるという点において十分でないと考えております。
 それから第五の科学技術行政でございますが、これは現在いろいろな案が論議され、科学技術庁の問題とか、いろいろあるようでございますが、私個人の見解といたしましては、この新しく考えられておる研究機関、技術庁、そうしたものがみずから研究所を持つということは従うに問題を紛糾さすだけでありまして、むしろ現在ある研究所を有効に利用して働かすように持つて行くべきそうした機構でなければならんと考えております。その他につきましては、いろいろ意見はございますが、質問に応じてお答えをしたいと思います。
#6
○委員長(石川清一君) 次は建設省土木研究所河川第一研究室室長佐藤清一君。
#7
○参考人(佐藤清一君) 先ず一番につきまして申上げます。
 私どもの研究所は直接建設省で行なつております事業につきまして発生して来ますところの問題を解決するために置かれておるものでありまして、これの解決に当りまして、研究室十四を持つております。このうち治山治水に関しまして特に専門に当つておるところの研究室が九つございます。これらによりまして、どのようなことをやつておりますかと言いますと、先ず研究所に持込まれた現場の事業に対する問題につきまして、二十六年度から二十八年度に至る件数を申上げますと、直轄関係で実地に現場の調査を行い、河川研究所において研究をしたもの六十三件、それから調査の指導、研究の指導を行なつたものが五十四件、それから依頼によるところの試験をしたものが百四十七件ございます。それから更に建設事業に関連いたしまして、都道府県関係を申しますというと、同じく二十六年度から二十八年度に亘りましてこれが調査研究が二十五件ございます。調査研究の指導が五十六件、依頼事件が百件、このような成果を現在挙げつつあるのでございまして、これの成果と、いうものは直接回答そのものであり、且つそれを一般に公開すべく、研究所の報告その他の機関によつてこれを公表しておる次第であります。
 第二番目につきまして申上げますが、私どもの研究所は只今申上げました通り、建設事業の遂行上に起る問題の解決ということがその任務でございまして、この問題のうち治山治水に関しまして申上げますと、この問題は常に自然というものに切込まれて作られる性質のものでありまして、生産技術の研究と建設技術の非常に異る点は、これは自然そのものの中に打立てられるというところにございますので、自然条件或いは自然現象というものに直接それぞれ個々別々に入つて行くことにより、その中から一般性を引出しつつ個々別々の条件に応じた解答を出すということが我々の任務でございまして、その意味におきまして、一般の大学附置の研究所とは多少性格が異ると考えております。而してさような具体物に対する研究或いは解答というものの間に、そこに流れる基盤をなすところの基礎的な研究がそこに汲み取られるのでありまして、これを具体的なものに対する解答の裏付けといたしまして、必要に応じて基礎的な研究を行なつておる次第であります。従いまして今後我々のような研究所といたしましては、現在のような行き方を今後も続けるべきものであるというふうに私どもは考えております。
 それから第三番目、研究所間の関連でございますが、これは学界、委員会その他を通じまして、或いは資料交換、知識交換をやつている次第でありまして、昨今問題になつております堤防につきましても、我々も非常に努力をいたしておりますが、ここで更に同じく港湾区域内の海岸を研究しております港湾関係の部門を合せますというと、甚だ強力なものが得られるのじやないかというような気がしております。
 四番目につきまして、現場との繋がりでありますが、私どものほうの研究課題をここで一々読上げてもよろしいのでありますが、現場との繋がりのない研究は一つもございませんのでありまして、これを運営するに当りましては、年度初めに原局主催で研究所及び地方出先機関の研究要望課題の協議会が取行われます。これを通じまして研究所のキヤパシテイと睨合せまして取捨選択いたしまして研究課題をきめて行く、こういうやり方をいたしておりまして、ここできまりました、或いは研究された、或いは検討された結論というものが直ちにその工事なり計画なり設計なりに取移されるのであります。それにつきましては、私ども常に実施に当つて痛感しておる点は、我々のところに現地を調査する有力なるスタッフがないということでございます。これはもつぱら研究員の人数が足りないということでございまして、原局を通じまして非常に多くの要望があるにもかかわらず、我々のスタッフが十分でないためにこれに応ずることができない状況にございます。この点何らかの機会を得まして、その要望に副うようでなければ我々の研究所としての使命を果すことができないと信じております。
 第五番でありますが、只今のような行き方で我々の研究所は運営されておりますので、国全体としての科学行政の施策と言いますか、政策と言いますか、そういうことに対する全般的、総合的な調整という点について一つの組織が是非あらねばならないというふうに考えております。
#8
○委員長(石川清一君) では、安藝先生がおいでになりましたが、あとに廻しまして、運輸省運輸技術研究所港湾物象部土性研究室長石井靖丸君。
#9
○参考人(石井靖丸君) 私のほうの研究所は港湾関係が二つ部がございまして、港湾物象部、私の今所属しておりますものと、港湾施設部と申しまして、もう一つ港湾の施設、材料、機械、構造というものを研究するものがございます。それから港湾の物象部のほうでは士の問題とそれからもう一つは波或いは流れ、そういう水利関係の大体五部門から成立つております。
 それから第一の研究の成果についてという問題でございますが、これはさつき土木研究所の佐藤さんが説明されましたと同じような仕事のやり方をやつておりますので、非常にやつております件数が多うございます。主として具体的に、例えば大阪なら大阪の港を修築する、それで修築計画を立てるということになりますと、直ちに我々の研究所のほうも行政部門或いは出先機関と一致いたしまして調査研究をやりまして、具体的にそれらの裏付けとなる技術的な資料を出して行く、そういうことに努めておりますが、一年間にやりますものは大体土関係で十件くらい、それから水利関係でやはり十件くらい、それから材料関係で五、六件くらい、大体年間に二十五、六件の試験並びに調査を分担しております。
 第二の各種研究所のあり方について、この問題も、私どものほうの研究所の立場は丁度建設省の土木研究所の立場と同じでございまして、主として一つの具体的な問題を目標として研究する。例えば私の専門でやつております土の問題としますと、一般的に土を研究して一般的な理論を立てる、こういうことは主として大学でおやりになりますが、その一般的な理論を実際の工事なり計画なりに応用いたします際には、これをもう一度焼直して実際に仕事に使い得るように組換えなければいけない、こういう操作がございます。こういう研究を我々はしよつちゆう個々の問題につきながら研究をやつております。それからもう一つのやり方といたしましてはいわゆる調査でございますが、勿論本省機構及び出先機関で調査のスタッフは揃えておりますものの、非常に重要な技術的にむずかしい調査になりますと、研究所のほうから調査班を編成いたしまして、それで現地に行つて自分で研究する場合もございますし、又出先調査機関を応援いたしまして、これと共同調査する場合もございますし、又それほど重要でない調査の場合には、出先の調査横関を応用してこれを指導して行く、そういう役割を持つております。それからもう一つの大事な役割は、実際に構造物の計画、港湾の計画、或いは構造物の設計に当りまして、非常に技術的に困難な場合には直接設計をやるという作業をやつております。併しながらおおむね大体出先の工事事務所の設計に応援に参りまして、そこで大体共同設計をやるという三つの仕事がございます。従いまして、在来のいわゆる研究所というようなお考えで我々の研究所を見て頂くと非常に奇異の感を持たれると思うのでございますが、主として我々の研究所の持つ任務というのは、現場の調査の応援、或いは設計の応援、それからそれに付随する基礎的ないわゆる理論の研究と、こういう三つの面を持つております。それでその点大学などの研究所とは相当違つた行き方をやつていることは当然でございます。
 それから研究所の関連についてという問題でございますが、これは二つの面がございまして、一つにはいわゆる行政的に分離されている面を如何に我我が技術的に融和して行くか、こういう問題でございます。例えば河口港の問題でございますが、河口に港を作ります場合には河の性質というものがよくわかなければいけない、もう一つ海岸全般についての性質がわからなきやいけない、こういうことが起つて参ります。この際には当然土木研究所のほうから応援して頂くなり、或いは共同して頂かなければ十分に研究できない面が非常に多うございます。それからもう一つの具体的な例としては、終戦後すぐ私のほうで始めました大阪の地盤沈下の問題でございますが、これは非常に広汎な知識を必要といたしまして、港湾部門だけでは到底扱い切れない。これは純粋に技術的な面から、いわゆる研究的な面から大学或いは気象台とか、ほかの部門と共同して作業しなきやいけない。そういう二つの面がございます。この二つのいわゆる他の研究部門との、いわゆる他といいますと土木以外に或いは地球物理なり、或いは応用力学なり、そういう別の部門との共同研究ということは我々の努力次第てどうにか片付けなきやいけない問題だと思つておりますが、行政区画が違うために調査なり研究なりが総合的に行けないという面においては非常に我々痛切に不便を感ずると共に、そういう個々別々の研究をやることによりまして十分の成果が挙げ得ないし、又工事をし安く早くできるという面から損失を与えることになるということを強く感ずる場合が多うございます。
 その次の第四の問題でございますが、これは今までお話したことで尽きると思いますが、港湾部門におきましては、この面を非常に密接にやりますために各地方の建設局に材料検査場を整備いたしまして、それでこの材料検査場がその地域別の個々の問題の研究をやる、或いは検査をやる、それを研究所のほうで応援するなり或いは指導するなり、或いはそこでできない場合にはこちらから直接出掛けて行くという繋がり方をやつております。最近安全保障費が非常に急速に出まして、現場の設計能力が十分でないために相産程度の応援をやつております。ただこの際に困りますことは、これはちよつと場違いの言葉かも知れませんが、研究だけじやなくて調査設計という面を引受けるために非常に人員が不足しているという点でございます。この点は我々が大蔵省に要求に行きますと、研究費があたかも道楽息子のごとく役に立たないものに金を捨ててやるもののようなことを言われることが多いのですが、そうじやなくて、我々の研究によりまして工事を安くする、或いは工期を早める、具体的にその効果を現わしております。決して研究ということが経済的にマイナスじやない、むしろプラスになるんだということを一つ深く御認識願いたいと思います。このちよつたした例でございますが、或る港の基礎の抗の本数の調査でございますが、これを三百万円ばかりの調査費で調査いたしておりました結果、抗の本数を相当減らすことができまして、約三千万円の節約となつております。こういう非常に卑近なところにもいろいろな調査研究というものが現場に来た場合に実際に工事を安くやるということに役立つているということを認識して頂きたいと思います。
 それから第五の科学技術行政の問題は、これは私たち研究所にりおます者は余りよくわかりませんので、意見を述べることは差控えたいと思います。
 それから最後の問題でございますが、その他の問題のうちで私たちしよつちゆう考えておりますのは、技術者の海外派遣の問題でございますが、この問題について、大体我々の今の土木の技術水準というものは約十年間遅れている、空白時代を経験して来たということが事実でございます。従いまして、欧米諸国に比べまして我々の技術というものは相当程度学ぶべきものが多いということを否定できないと思います。そういういわゆる新らしい技術のアイデア、これはパテントを輸入するという意味じやありませんで、技術のアイデアというものを我々至急に導入いたしまして、それを日本流に書き改めて応用して行くということが非常に大切だと信じております。又これはちよつと筋が外れているか知りませんが、技術の輸出の場合に、東南アジア諸国に我々の先輩が入札に行きまして落ちるというようなことが相当多いわけでございます。そういうときに若し我々技術屋がああいう土地におりまして、常にそういう技術水準なり技術の動向を察しながら我々とも連絡をとつておれば、まだ日本の技術の輸出という点に亀とく大きな広い面が生れて来るのではないか、そういうことを考えております。技術者を固定的に大使館なり或いは領事領に派遣するという点を建設委員会のほうで若しお取上げ下されば非常に幸いだと存じます。
#10
○委員長(石川清一君) それでは東京大学教授安藝皓一君。
#11
○参考人(安藝皎一君) 実は私旅行をいたしておりまして、昨日帰つて参りました次第でございまして、準備ができませんし、公述書というようなものは用意しておりませんので、その点悪しからず御了承願いたいと思います。従いまして、甚だまとまらなくて申訳ないと思いますが、考えておりますことを申上げたいと思います。
 私端的に申上げますと、私は長く河川関係の仕事をして参つた者でございますが、今年のような水害というものに遭遇いたしますと、而も今年起きた水害というのは相当大規模に、私どもが改修工事というものに携つて参りました河でとても大きな被害を受けたということを考えました場合に、もう少し基礎的に考え直さなければならない問題があるのじやないかということを実は痛感させられておるのでございます。確かに私ども今回の水害の様子を見てみまして、只今実は文部省の科学研究費の援助を受けまして、洪水現象につきまして詳細な調査を進めておるところでございますが、私結論的に申上げますと、今まで得られましたところから推定するわけでございますが、今後自然現象としての水害のあり方、有様と申しますか、そういうものが多少変つて来ているのじやないだろうかという気がしておるのでございます。これはどこでも起きておることなんでございまして、最近各国におきましてもその点に多少関心を持つて来ております。と申しますのは、河というのは一つの自然の動きの中の一つの過程、動きの中にあるものでございますが、そのために人為的にいろいろな所作を加えられたために、河の様相というものが逐次変りつつあるということでございます。この動きというものが、変化の速さというものが非常にゆつくりしていると申しますか、徐々に変化するために気が付かない、相当時間がたつてから結果が現れて来るというようなこともあると思うのでございます。これは河川工事をやることそのもので以て河の様相というものは変つて参るはずでございますし、そのほか流域に雨が降つてそれが流れて来るわけでございますから、その過程が変つて参りますれば、河の様相が変つて来る。流域の林地の様相が変るとか、或いは土地利用の形式が変つて来る、或いは水利用の形式が変つて来る、例えば流域につきまして水の利用度を上げて来るというようなこと自身が河の様相を変化さしておる。そということがございまして、要するに自然現象といたしまして、私はもう少し基礎的に本当の動きがどうなつているかということを見るということが、今回私ども長く携つておりました者といたしまして、そういうふうな動きが起きているのじやないだろうかということを感ずるのでございます。そのために今後の対策を立てて行く上に、更にそれを実行して行く上におきましては、もつと基礎的な事実というものを私どもが知らなきやならない。その意味から申しまして、私は対策を立てるために事実を知る、事実を知るということは実際の調査なり研究なり、実際の情勢がどういうふうにしてこうなつて来ているのかという物理的な様相の変化というようなものをはつきり確かめないと、今後の対策というものに恒久性を持たせると申しますか、この頃のように非常に経済的に困難な時代に相当な投資をしなければならないわけでございますから、それを最も効果あらしめるためには何が今日のような状態をもたらしたかという基礎的な分野からの実体を掴んでいない限りは非常に困難じやないかと思うのでございます。而もその対策というものは要するに人為的な要因でこういうものがもたらされたといたしますと、その実体を知るというのは非常に多面的になつて来るわけでございます。併し現実にそういう問題につきましては、山の分野から河の分野に至りますまで、それぞれ各研究機関はございますので、こういうふうないろいろの研究機関というものが一つのやはり目的といいますか、プログラムを持ちまして、そうしてそれに従いまして、それぞれの研究分野を考察して行つて、その実体を知るということが今後非常に必要じやないかと思います。それに伴いまして、今後は具体的にその対策を立てて行くというのは、これも特に経済的困難な時代の中でこういうふうな仕事をして行かなきやならないといたしますと、仕事そのものも合理化といいますか、近代化も図る必要がございますし、仕事自身を最も合理的にさせて行く、経済的にさせて行くという点からの研究も非常に伴わなきやならないと思うのでございます。先ほど運輸省の石井さんからもお話がございましたように、新らしい調査とか研究というものの上に立つたために仕事が経済的に運営できるようになつた例は幾つもあるのでございまして、こういう問題をより一層私どもは今後は進めて行かなきやならないということを痛切に感じているのでございます。
 要するに、研究の成果というものが現実の仕事の設計から施行までもどういうふうにしてこれを反映できるかということでございますが、この面への努力が必要じやないかと思うでございます。それともう一つは、私は、そういうふうな全体の何といいますか、最も合理化された計画、プログラムに従いまして事業の計画がなされ、それが最も合理的な様式で以て事実進められて行くということと、同時に実際の仕事の動きからトレースして行くと申しますか、観察という言葉を使いますか、実際にどんどん進んでいるかということを常に見ているということ、そして常に合理的に動いて行くことを見ている必要があるのじやないかと思つております。要するにその対策そのものが合理的なものでなければならない。これは例えば治山治水というものを対象にいたしますとすれば、こういうものの実態がどうあるかということを知つて、それに対する対策、その最も適切な対策がなけりやならない。私は、先ほど申しましたように現実が、いろいろな利用方式、土地だとか水だとかいうものの利用と絡み合つて来ているということが一つの問題だと思いますので、こういう問題になつて参りますと非常に多面的になつて参りますので、やはりこれは全体的に見得る一つの機関が要るんじやないだろうかと思います。而もそれが私は単に技術的な問題だけじやなくて、いろいろな経済的な要因も含んでいると思うのでございます。と申しますのは、その土地利用とか水利用の変遷というようなものは、結局その流域なら流域におきまするところの生活のあり方と申しますか、そういう経済的な生活の問題と関係があるのでございますから、そういうふうな問題も併せましてやはりその実態というようなものを知る。そういうふうなものを一つの要素として含んでおります、すべての問題を含んでおります一つのやはり機関というふうなものが要るんじやないか。そういうところでプログラムを立て、問題のありかを知る、そのプログラムを立ててそういう問題の所在を求めまして、これを一つ一つ実施に移して行く。実施に移して行く場合には、それぞれのところにそれぞれどれを完遂して行くための更によりよいものを作つて行くという研究機関が要るんじやないかと思つております。そして更に私は、こういうふうに多面的な、内容が非常に複雑な問題を含んでおりますから、これが同時的に解決されて行くということが必要なんでございますので、これが合理的に行つているかどうかということを常にあとを追つて行くということがこの場合必要じやないだろうかというふうに考えている次第でございます。
 大体今までに申上げましたことで、非常にまとまつておりませんでございますが、大体只今問題となつております要点につきまして気の付いたところを申上げた次第でございます。準備ができていないで甚だ申訳がないと思いますが、一応それだけ申上げておきます。
#12
○委員長(石川清一君) それでは次に鹿島建設技術研究所長安藤新六君にお願いします。
#13
○参考人(安藤新六君) 研究成果を申上げますが、これを刷つたものを持つて来ておるのですが、今ちよつと見えませんので、あとでお配りしようと思います。
 大体項目だけをちよつと読んでみますと、土質力学の研究及びその応用ですが、これは終戦直後から研究を始めていまして、丁度その頃厚木とか松島の飛行場がアメリカの工法によつて施工された、その場合にこれを応用しまして非常に効果を挙げました。それから農林省山王海土堰堤工事、これもまあ日本で土質力学を応用しまして試験をやりまして、非常に効果を挙げました。それから基礎の工法ですが、これは真管式及び不動式という基礎の工法の伝統を持つておる人があります。その人と協力しまして、今いろいろ仕事をやつておるのですが、これは従来の杭打とかグーソンのような基礎工法に比べまして非常に安価であつて、而も確実に工事ができ得るというので、最近では合同庁舎の基礎、福岡市の東邦生命ビル、九州電力相ノ浦火力発電所、東京電力鶴見発電所護岸桟橋の基礎工事、そういうことに応用しまして非常に利用者に喜ばれております。今後盛んに行われることだろうと思います。それからこれも又最近に仕上げたことでありますが、ウエルポイント法と言いまして、地下水をポンプで吸み上げまして、水位をずつと下げる、今まで水が出て来るのを地下水を下げますから、普通の水のない所でやる工法と同じように工事ができる。これも最近福岡市の同和ビルの工事で応用しまして、非常に成功を収めました。現在鶴見においてもこの工法を応用した工事を今準備中であります。これは恐らく日本において初めてで、アメリカ或いはフランスでは行われておりますが、日本では初めて行なつておるのであります。
 それから隧道の掘鑿に今まではただ普通の鑿を使つておつたのでございますが、それに取替ビットというのを附けまして、鑿の先だけに特殊鋼のビツトを附けて掘るという方法、これを鉱山方面では少し前からやりました。土建のほうでは殆んど使つておらなかつだ。それを終戦後すぐにその研究を始めまして、私のほうで初めてそれを使つてみて、いろいろ試験の結果を考慮しまして、現在ではもうこれが普通に行われるような状態になりました。それからいろいろコンクリートの関係がありますが、そのうちで一番主なものはコンクリートを混合するのですが、コンクリートの混合所、ミクシング・プラントですね、それを今までは砂利とか砂とかの計量装置が非常に不完全であつたのですが、それを非常にコンパクトな一つの工場を作りまして、計量を非常に正確にしてコンクリートを移すというバッチャー・プラントと称しておりますが、それを日本で初めて例の厚木とか松島の飛行場の工場で使いました。それからその当時日本発送電であつたのですが、新庄のダムという所で初めてそれを使いました。現在では専らこれはどこでも行われることになつておりますが、率先そういうものを使つておる。それからキサーはこれは従来のミキサーをいろいろ改良して、いろいろコンクリートを固練りにしなければならないので、固練りに適当したミキサーを研究した。グーブル・クレーン、これは非常に簡易なケーブル・クレーンを考えた、そういうものもどんどん応用されております。
 その他研究費補助を文部省とか建設省、或いは通産省とかで今までに約十項目以上の補助金を頂いております。これはおのおの成果を挙げおります。なお、詳しいことはこの印刷物をお配りいたしますから、これで一つ御覧願います。
 研究所のあり方と申しますと、我々の研究所は、もともと財団法人建設技術研究所というものがありまして、これが終戦直前にできました。昭和二十四年にこの鹿島研究所が創設されまして、財団法人のほうの大部分の人が幹部になつて働いておるのでありますが、私の絶えず考えておりますことは、会社でありますけれども、その営業に研究所が従属しないという方針をとつておるのです。それは営業に従属しますと、どうしても技術の低下を来たしますから、それはいつも念頭に置いてそういう方針で研究をいたしております。そうしてこれは我々の研究所は大学とかその他の研究と違いまして、工事の施工の方面、そのほうが非常に日本は遅れておりますから、主としてその工事の施工の方面の研究をやつておるという次第でありまして、従つて現場との繋がりは密接にとつて行かなければならないし、又現在そういう連絡は非常によくやつております。
 それから第五の科学技術行政についての意見でございますが、これは私別に意見がないものと御了承願いたいと思います。簡単ですが、これで終ります。
#14
○委員長(石川清一君) それでは建設省建築研究所長藤田金一郎君。
#15
○参考人(藤田金一郎君) 印刷物を用意して来いということで、只今お配り頂いておりますのがそれでありますが、余り時間の余裕もなかつたのと、お手紙の趣旨を少しはき違えたかも知れないというところがありまして、或いは適切なことでもなく、字句等も練つてなく甚だ読みづらく、且つ変な所も多々あるかと思いますが、大体この印刷物のような順序で申上げることにいたしたいと存じます。
 最初に建築研究所の最近の部分的の成果ということで、これは印刷物が袋の中に「最近の研究成果」という小さな四十ページばかりの。パンフレットが入つておりますが、これと、それからちよつと大きな白い表紙の「研究の成果概要」というのがあります。これはちよつと古いのでありまして、約二年ばかり前に出たものでありますが、その頃までのことを概略御報告すると同時に、ややその当時の全貌がわかるようにし、最後に研究報告目録のようなものも若干ついております。まあ当時の現況報告であります。
 そこで印刷物の二ページ目あたりに、最近の成果というところに研究報告の概況としまして、どのくらい今まで研究報告が出たかということを最後に参考のために列挙いたしておいたのであります。役所がみずから刊行するのでなければよそでは発行できがたいようなページ数、よそではページの制限がありますので、そういうものはみずから発行し、成るべく広く見て頂く、経費の節約のために各協会等の刊行物を利用しましてやつておるのでありますが、大体そこには極く単純な試験報告の類とか現場報告の類とかは除きまして、大体そこに計六百件ぐらいを、これは過去四年半ばかりの間の集計ということになつておるのであります。これがまあ成果のほうの御報告の第一になると思います。
 次に順序が少し違うかも知れませんが、これに附随しまして、公営事業や工事現場に対します研究の協力事項最近の例だけをピック・アップしまして、約八項目に亘つてそこへ一応並べてみたのであります。その主たるものは公営アパートとか或いは公務員アパート等の建築工事の能率改善及び質の向上をやつておるのですが、ブロック造とかコンクリート造とかであります。それから又建築材料のいろいろな試験、新らしいものもあり古いものもあり、絶えず変つて参りますので、これを絶えず試験をいたしまして業界の指導に充てると共に、官庁営繕、民間の営繕その他の御参考に供しておるのであります。
 それから第三項にありますような、火山砂利等未利用の各地に散在いたしおります資源を利用いたしまして、軽量コンクリートを作り、鉄筋コンクリート等の改良をいたすと共に、地元の砂利が安く使えるというようなことを狙つて研究いたしたのでありますが、これが公務員のアパートとか、民間のビル工事に近頃相当たくさん使われつつありまして、工事費の軽減に役立つておることと思います。
 それから少し変りますが、各地の戦災ビル、焼ビルで、非常に焼けたあとは強度が低下いたしますのを診断いたしましたり、その補助設計をしたり、対策を立てたりということは、これは随分各地でたくさんやつております。それから現存建物もだんだん老朽したものがたくさんありますので、そういうものの強度診断、強度補強設計というようなものは営繕関係とか、地方庁で絶えずこういうことをやつております。
 それから特殊のものといたしましては、高層ビルの移転工法というような、六階建、七階建のビルを移転いたしますることはなかなか容易ならんことで、殊に地盤の悪い所ではなかなか簡単にできなかつたのが極めて容易に迅速にできるようになりました。そういうようなことを必要に迫られて研究したのでありますが、最近は名古屋市の何千坪という大きな庁舎を初め各地でそのようなことを指導いたしております。
 次に中小都市の都市計画のための当事者の御参考のための資料の作成というようなことを、殊に中小都市は技術者が払底いたしておりますので、応援調査、併せてそれは我々の研究の資料にもなるというふうに思います。
 次に又不良地区の改良事業に関しまして、京都、神戸、東京都、その他現地調査をやり、その分析をするとかというようなこともあります。
 次に、各種の基準規格とありますが、これはその原案の作成を研究所でいたしておるのであります。日本標準規格の建築材料規格というようなものを関係学会とか、通産省の小委員会で審議されておるのでありまするが、そういうものの原案の作成、それから建築工事の標準仕様書の作成、これは広く官民の設計書に逐次活用されつつあります。それから建築構造計算方法の基準案とか、その改正というようなものも私どもの研究所でかなり数年来いたしております。まあこれは少し違いますが、学校の建築構造の設計基準の原案作成というようなことも、いろいろ実大試験をやりました上で、そのような改正案を作るというようなことでありまして、まあこのような方法で研究いたしましたことが実際の工事や、実際の行政や施策に織込まれるようなふうに努力いたしまして、まあその面では多少成果が上りつつあると考えておるわけであります。
 その二枚目の裏でございますが、(ハ)といたしまして、来年度の研究計画云云、これはお手紙にありませんでしたけれども、事務局からの御注意で、来年度の予算計画があればそれも併せて出すようにという申添えでありましたので、それも問題になるかと思いまして、ここに別に今年度の二つ折りになつておりまする概算要求書の抜萃というのがありまして、こういうようなものがありましたので用意いたして参りました。これも不備なところが実は多少ありますが、概略を御覧頂くのには却つて便利かと思いまして、或いはぴつたりしないかも知れませんが、ここにお目にかけたわけであります。ここにありますることはページも多く、概略にしたつもりですが、なお長々といたしております。要するに特にこの中で我々が必要といたしまする、力を入れておりまするところのものは、耐震建築ビル等の耐震構造、最近の基礎的な研究の進歩によりまして、建築物の設計用の地震力というものがもつと合理化できるという見通しができ、これによつて建築費の大巾な節約ができる見通しが明らかにされたのでありますが、そしてこれは建築基準法とか、政令にもその方針が明記されるようになりましたが、その実現のためにはまだ調べなければその適用ができないという点があるのであります。それは地震計を建物に据え附けまして、その地盤に即応し、その建物の高さに即応するような振動測定をする必要が是非ともあるということ、なお併せてその建物の地質の従来の測定ではいけないので、精密な特別の測定が必要である、こういうことと相待ちますと、そこであとは理論もありまして、地震度の軽減ができ、従つて経済化が図れる、こういうことでありますが、これを来年度是非大巾に伸ばす。こういうようなこととか、次に一々御説明するのを省略はいたしますが、項目的に申上げますると、庶民住宅とかアパート、小店舗等の耐火造の促進が非常に必要だ。こういうことでその工費の低廉化ということのためにいろいろな各種新工法の施策をまあ従来もやつております。そうしてその結果を見て基準設計をきめておるのでありますが、そういうことが驚く必要な場面がありますので、これに関する経費が特段に必要だ、促進のために一層従来よりも増額されたいというような要領で予算書ができております。
 それからなお耐火造の建物の施工技術の改良とか、次に森林資源対策上の関係から、もう半端な節だらけの小さな木材を有効に、建築用の大梁や小梁にも使えるようにいたしたいということで、集成木材とか節材の有効利用の具体的な調べが必要であるということ、そういうことの経費、それから都市の過大化防止、都市の不燃化ということは目下の急務ではありまするが、これがための建物の立体化ということを都市計画的に具体的に各用途、地区別に考えまして、立案したところの基準が欲しい。そういうことの経済性も検討しなければならない。具体性のある基盤設計というか、模範設計のようなものを作りたい、こういうようなことで現地調査の費用とか、これに関する費用を要求いたしております。来年度予算につきましての特別特記すべき点は以上の通りであります。
 その次には研究所の運営と申しますか、あり方というようなことについて申上げます。先ず最初に現況を御説明申上げます。
 その第一といたしまして、我々の研究所は応用技術面の総合研究ということに主眼が置かれておるということについてでありますが、まあ我々の研究所は建築技術とそれから都市計画の研究をするということになつておるのでありますが、従つて基礎的な研究はいたしておりません。これは主として大学の研究に頼りまして、それと密接な連絡と御協力を得て、私のほうから申せば極力これを利用いたしまして、住宅建設だとか建築行政、或いは官民営繕事業等に直接必要な場面にこれを総合して応用的に目的研究的に持つて行く、こういうことに主眼を置いておるのであります。そうしてまあこれらの今までやりましたところの成果、先ほど来も申上げまする通り、或いは関係官庁、或いは関係学協会との協力の下に、或いは法規の技術事項となり、或いは日本工業標準規格となり、標準仕様書等として広く利用せられておると考えておるのであります。
 次に研究課題をどうしてきめるのかということ、これも研究所運営の一つの大きな問題でありますが、以上のような精神から、私どものほうでは先ず年度初めに関係各部局の申入れを参酌しまして、又一方絶えず民間の各方面の要望をも調査いたしております。そうして又一方では大学におきまする関連研究の動向を考えまして、あとは人員、施設、予算等を考えに入れ、目下又近い将来の最も重要と思われまするところから優先順位をつけまして、実行計画案を定めるわけであります。まあ大学の研究が主として研究者自身の自由な課題の選定と申請に基いて研究補助金が交付せられるのに対しまして、著るしく根本的な差異がそこにあるのであります。従つて建築研究所におきましては、研究者の分担いたしまするところの課題は自分で選ぶというよりは、勿論研究者の特殊な才能とか経歴とかは十分考慮、調整するのでありますけれども、研究者にとりましては、かなり課題は指定的であります。
 次に研究実施に際しましては、総合的な共同作業に重点が置かれておるということについてでありますが、以上のような立場、精神から応用研究と申しますか、或いは目的研究が主眼でありますから、そういうことの問題の迅速なる解決のためには、例えて言えば材料、構造、施工、設計という建築内での一連の総合的な研究が相関連し、これを結び付けて迅速に効果を出さなければならないというようなことでありますので、問題別に所内の研究員の研究班を、特別課題別研究班を作るのだというような方法で運営されておるのであります。この点は建築研究所のような目的研究所と言いますか、応用研究所において格段と必要であり、且つ強調されておるところであります。つまり研究員の集団的な活動に力が注がれておるところが特色でありまして、それでなければ成果が挙げられないし、そういうことで我々は若干でも成果を挙げて来たのだと考えておるのであります。これに対しまして、大学の研究は比較的狭い個別の課題に対しまして、深く掘り下げて行くというところに力点があるように考えております。研究所の応用研究と、大学のこの個別的な、基礎的な深く掘り下げる研究との双方の協力ということが大きな研究成果を挙げる上に極めて重要であると考えておりまするし、この両者の研究を総合して目的に持つて行くというところに我々の仕事があると考えております。この点に関しまして、建設省の建設技術研究補助金は極めて有効に活用せられておると私どもは考えておるのであります。又民間の研究所等につきましては、先ほどもお話がありましたごとく、主として現場施工の面ということに力を置いておいでになるのでありまして、我々は絶えずこれと密接な連絡はとつてやつておりまするが、我々は施工の研究もしてはおりまするが、多少観点が異なるところがあるのはまあ当然でもあり、至当であろうと考えております。我々はパーテントとか、特殊な技術をやりませんので、一般共通に、広く普遍的に利用できるものでなければ、まあやらんと申しますか、そんなにこだわる必要は本当はないかも知れませんが、我々は大体手もありませんから、そういうことのみを撰択するような傾きになつておるのであります。
 次に、まあ以上で現状を御説明いたしたのでありますが、まあその他の問題とか、或いは将来への問題というようなことに多少ひつかかりまして申上げたいと存じます。原則的な言い方で、甚だ抽象的でわかりにくいことではありますが、私どもは我々のような応用研究所、目的研究所の機構というものは、技術の専門分科の現状に即して組織しなければいけない。これが第一であるということについてであります。まあ応用研究的なことをやる研究所におきましては、勿論これと関係があるいろいろな研究の動向を常によく把握しなければなりませんし、一方関連のありまするところの事業とか、行政とかの動向も絶えずタッチして掴んで行かなければなりませんし、そうしてこそその研究所が行う目的研究が総合的によく統括し、適時適切に動き得て、その成果が迅速に事業行政に反映できるようになるものと考えるのでありますが、まあこういうことのためには一つの単位の研究所の所掌範囲というものもおのずから適当な限度を保つてこそ、そう言う仕事の確実性が得られると考えるのであります。甚だ抽象的な言い方でありまするが、そういうようなことで、目的研究所の機構というものは技術の専門分科の現状に即して適当な規模、範囲ごとに組織せられなければ効率的、円滑には行かない。成果も期待しにくいのではないかと、こう思うのであります。そこでまあよく土木と建築というのは通常土建と一口に称されておるのでありますが、今日の技術段階におきましては、その内容はかなり著るしく異なつておるのであります。即ち、土木研究所におきましては、河川、道路等ということでありまするし、建築研究所におきましては、住宅一般建築とか、都市計画という行政又は営繕事業上の技術面を研究対象としておるのでありまするし、両者は全くと言つてもいいほどその技術内容を異にいたしておるのであります。例えて申せば、よくある話でありますが、コンクリートを扱うことにおきましては共通であります。併しながらこれは大学の研究所で行うコンクリートの研究、つまり基礎研究においては、コンクリートの原理は如何なるコンクリートも同じと思います。併しながら土木におきましては、今やマス・コンクリートとか、固練コンクリートに研究の重点がある。建築におきましては、やわらかい軟練コンクリート、或いは先ほど申上げましたごとく、経済化を図るというには特に軽量な、軽石を使うような軽量なコンクリートが特に重要視され、それに主力を注がれておるということで、同じコンクリートと申しましても、具体的な対象は全く違うと言つてもいいほどであります。又土質の問題につきましても似たようなことがあるのでありまして、土木におきましては土堰堤のごとく泥が崩れるとか或いは泥が流れるとか、或いは泥が水を通すとか通さないとかの性質が重要視され、それが真剣に研究の対象になつておると存じます。これに対しまして先ほども申上げました通り、建築のほうで、殊に我々のほうで最近問題になつております土の問題は、そういうこととは異なりまして、その土の上に建つ建物の振動性状と土の性質との相関の問題が最も大きな問題になつておると考えておるのであります。このように土質力学は学問の域では、即ち大学の研究のような範囲では全く一つのもので、どういうふうに応用されようと一つの根抵を持つた理論があるのでありますが、我々はそういう基礎理論はやつておりません。その基礎理論を利用し応用はいたしますが、やることはそういうことを頭に入れて今のような応用場面、それぞれの特殊な応用場面に力点が注がれておるのであります。このように両者の相違も相当はつきりとしたものであると思います。
 以上のようなわけでありまして土木、建築両研究所のごときも、従来も必要な連絡は無論いたしておりますし、施設の総合利用もやつておるのでありますが、それは連絡で奉りまして、仮に両研究所をときどき話が出るごとく、仮に合併して一つの研究所に組織したといたしましても、業務上格別の利益もないと考えますし、まあ場所も離れておる点もありますので、却つて事務の連絡のための煩項を来たし、活濃な機動性を害するということで、研究の能率化、事務の簡素化にも反するというふうに考えております。この点は建設行政面とか、建設行政の措置の問題におきまする国土計画、都市計画、住宅建築行政というこの一連の行政措置という面での不可分的な関連性ということとは全く研究作業においては事情を異にしておると考えておるのであります。
 それから将来に対する一つの問題といたしまして次に申上げたいと存じますのは、研究の成果を迅速に反映させるためになお我々は努力はいたしておりまするが、なお若干の特段の措置がいたしたいということであります。これは多々ありまするけれども、まあ差当り来年度予算に関連した現実問題のみを申上げることにいたします。
 先ずその一は、研究の成果が或る段階に達しまして、この実施をすれば相当多大の経済化が予想せられると思うことがいろいろ今までの研究でその段階に達した、併しながら、これを地方庁に奨め、民間にお奨めするのに先だちまして、或いは基準設計を作つてこれをお奨めするのに先だちまして、実物試作はどうしてもしたい。それから先ほどの地盤と振度の問題、これによつて経済化はできるのだが、先ずどうしても地震計を創設して各所に配付し、現地の地質の精密調査をして、その相関性を求めるということが必要でありまするが、そういうことのためには相当多額の経費が要るのであります。従つて、そういうことの要る年度におきましては、是非研究所予算には特別の所要の経費というものを計上するようにされたいものである、こういうことであります。
 それから次は研究の成果は、まあ従来も、先ほども申上げましたように、材料規格だとか、構造計算方法だとか、標準仕様書等に編成されておりまして、かなり普及しておるとは申しまするものの、なおまだ足らないと思つておりますることは、先ほど土木研究所からもお話があつたのがそれに当るかと思うのでありますが、設計の基準というか、具体的な特殊設計、ちよつと普通には困難な特殊設計とか、或いはできないことはないが、銘々ばらばらになつて余り優秀な設計でもないものが多いのでありまするけれども、そういうものに対して多少でもこれを向上させるような研究の成果をできるだけ織り入れたような設計基準の普及ということが是非必要である。こういう面において研究の成果を迅速に反映させると同時に、設計の事務の簡素化とか能率化、行政上の設計審査の能率化というようなことにも寄与いたしたいと思うのでありますが、これにつきましては研究所の立場から行きますと、若干の人員の増強を必要といたしております。この点が今日ネックになつておると私は考えております。
 以上で大体お申付けを受けたことに対して尽さないとは存じますが、一応御報告且つ意見を申上げたわけであります。なおこのプリントの最後のほうに、これは余分のことでありましたが、日英国立建築研究機関の研究費調といたしまして、一番下の行を御覧頂きますと、日本の建築研究に対しまする政府の投資額の割合が英国のそれに対しまして約五分の一であるということが出ております。これは国情も違い、一概にどうということも申されませんが、まあ五分の一、イギリスも相当苦しい経済をいたしておりますが、この面に相当戦後力を注いでおります。なおカナダ、デンマーク、フランス等におきましては、インドもそうでありますが、戦後我々と時期を同じくいたしまして、新しい建築の研究所が政府の手によつて新設され、活溌な発展振りを示しております。もう少しこの比率を圧縮するということになりたいと念願いたしているものであります。なおここに掲げました私どものほうの研究費は、これは行政部費だけでありますが、そこに明記してありまするが、その他にも公共事業費その他等から相当大きな金も来てはおりまするけれども、私どもは本来或る一定した一つの一貫した仕事をするということも必要でありまするので、全部とは申しませんけれども、この率は年三千五百億に達すると推定されまするところの国民の建築投資額に比べまして、如何にも少な過ぎるというふうに感ぜられるのであります。
 なおここにありまするプリントで建築技術予算書のことは先ほど触れましたが、今触れません。殊に二十八年度主要研究課題としまして現在やつておりますことの概略を、おわかりにくいと思いますが、概略の御説明のプリントを入れておきました。
 それから雑誌建築技術は、一種の我我のところでやりました研究の成果を早く一般のかたに見て頂くためのダイジニストであります。研究を一般の技術者にもわかるように作つた研究ダイジェストであります。私のほうの研究員が大部分を出しておりますが、これに関連性のありますよその研究所の成果もこれに入れまして、広く周知方を講じているのであります。行政問題にも触れております。この一番初めにありますのは、先ほどお話のありました安藤さんのところのウエルポイント法の解説が巻頭に掲げてあります。
 私の説明はこれで終ります。
#16
○委員長(石川清一君) 次に建設省関東地方建設局長伊藤令二君にお願いいたしますが、特に現場から見た研究のあり方、或いは希望等を中心にしてお述べを願いたいと思います。
#17
○参考人(伊藤令二君) 委員長さんのお手紙の中にありますところの五つばかりの項目がございます。そのうち二と四と五について意見を申上げたいと思います。
 先ず各種研究所のあり方についてということでございますが、私建設省の現場を担当しております立場で、特に建設省の土木研究所に関係したことについて主として意見を申上げたいと思います。大体土木研究所の現在のあり方と言いますか、やり方は大変結構だと思います。今後これを拡充して更に強力に研究されて行くということで、大変結構なことであると感じております。大体現在研究所でやつておられますことが土木工学に関係したところの基礎研究、或いは一般技術的な研究、更に各種の調査、或いは現場に対する技術指導とか、更に特殊な重要工事と言いますか、構造部分に関しましては専ら模型試験で種々研究されている。例えばダムとか河川の問題というようなものにつきまして試験研究がされている。或いは橋梁についての標準設計、或いは重要橋梁の設計等そうした内容を見まして、大体現在の現状は非常に結構なことだと思います。ただこれに対しまして、一、二希望を申上げたいと思います。
 先ず予算関係についてでありますが、研究所の試験施設と言いますか、根本的な施策についての予算は是非研究所自体の予算で賄つて頂きたい。それから我々現場からいろいろ試験を依頼する場合の依頼試験については、その試験に必要な材料或いは労力等のいわゆる試験費用はこれは依頼者が負担するのが当然であろう、こういうふうに考えます。なぜこういうことを申上げるかと言いますと、最近篠崎に土木研究所の河川ダムの研究施設ができました。大変立派なものができました。ところがこれの施設を作るに当りまして、その根本施設であるところの建物、或いは種々の機械、或いは水槽等のそうした施設までも現場の工事費から持つて来ているという実情は予算の正当な使用と言いますか、面から見てこれは変則ではないかと考えるのであります。これを利用いたしまして、特定のダムなり、或いは特定の河川の試験研究をいたします場合に、それ自身に使うところの試験費用はこれは依頼者が負担するのが当然だと思いますが、根本的な施設については是非土木研究所自体の予算で賄うべきであるということをお願いいたしたいと思います。
 更に、この試験研究施設の拡充を強く要望いたしたいと思います。ようやくあの立派な施設ができましたが、我我から見まするとまだまだ不十分である、つまり不足である。更に全国的に見まして研究試験を要すべき事柄は多多あると思いますので、こうした施設を、河川とかダムに限りませんが、例えば大型の構造物とか、その他の研究的な施設を更に格段に増強して頂きたい。これは大学の先生がたは外国を見て来られてすでに感じておられることと思いますが、日本における土木研究施設が非常に貧弱であるということを私感じておりますので、その中心である建設省の土木研究所の施設を更に一般に拡充して、我が国の土木技術の振興に寄与して頂きたいということを強く希望するものであります。
 それから建設省の土木研究所が現在民間からの試験の依頼を受けておるかどうか知りませんが、私今まで知つている範囲では受けておらなかつたように思いますが、これは是非施設を拡充して、更に民間からの試験研究の依頼も受けて、我が国における土木技術研究の中心になるということが是非望ましいことであると思います。
 それから更に土木研究所において各種構造物の標準設計と言いますか、或いは基準工法と言いますか、そういうものを是非作つて頂きたい。先年橋梁の一部については標準設計を作つたと思いますが、更にこれを一般土木構造物、護岸とかその他いろいろな土木構造物に対して広く基準的な設計或いは工法を作つて頂きたい。勿論土木の工作物は各現場においてそれぞれ特殊な事情はありますが、原則的な基準は作つて頂くことが我々現場の立場といたしまして非常に望ましいことであります。というのは、現場技術者は必ずしも優秀な技術者ばかり揃つておるわけではありませんし、又現在非常に多忙であります。従いまして一つの構造物について、或いは工事についてすべて計算し設計するということは、技術者の質から言い、又その忙しさから言つて非常に困難を来たしている次第でありまして、是非標準的な施計なり工法の基準を作つて頂きたいということをお願い申上げたいと思います。
 もう一つ、これは直接関係のあることではありませんが、土木研究所の中に現在の運輸省の港湾関係の研究施設を一緒にしたらどうか、これは更に遡れば行政機関の問題にまで及ぶわけでありますが、現在運輸省の研究所がどういう内容のもので、どういう範囲のことをやつておられますか、詳しいことは存じませんが、恐らく港湾関係の仕事については運輸省の中の研究所における繋りよりも、建設省の土木研究所における繋りのほうが更に一層密接なものがあると考えます。これはその技術的な内容その他につきまして、土木技術、土木構造物として全く同じような事柄でありますから、これはむしろそうした機構的改革をやつたほうが望ましい、そのほうが研究成果を上げる上において非常に望ましいことであろうと存じます。
 次に研究所と現場との繋がりについて、これも土木研究所と各地方建設局との関係について考えますとき、大体現状はうまく行つていると思います。研究所は現場を指導され、又現場のほうは研究所を利用することをよく考えておりまして、お互いに連絡し、協調を保つておるという現状であると思います。内容的に申上げますと、各種の調査、例えばダム地点の地質調査、或いは道路、堤防等の土質の関係の調査、こういうことは土木研究所のそれぞれの専門のかたにお願いしております。或いはその河川関係の流量の問題とか、或いはコンクリートの強度試験とか、その他非常に連絡をとつてやつております。それから技術的な指導の面におきましても、現場の要求に対しておおむねよく応じてくれておることは大変有難いと思つております。ただ現在の土木研究所は結局研究員が足りないという感じであります。特に特定な、優秀な主任研究員が不足しておる。ですから現場からいろいろお願いいたしましても、なかなか適当な人を適当な時期にいろいろ見て頂くということが困難な場合がままあります。そして実情を聞いてみますと、そうした主任研究員は非常に荷がかかり過ぎていると申しますか、非常なオーバー労働になつておるというふうに考えますので、こうした面で更に陣容の一段の拡充が必要ではないかと考えます。
 次に特定工事の模型試験、これを現在研究所でやつておられますが、先ほど申上げましたダム或いは河川等の特別な試験でありますが、こういうものはやつておりますが、更に全国的に見てやらなければならないことが非常に多いと思います。これに対する研究設備が非常に不足しておるのではないかと考えますので、これが拡充を更に図つて頂きたい、こういうことをお願い申上げたいと思います。
 大体現場との繋がりは以上でありますが、次は研究成果の利用状況につきまして、これは特に関東地方建設局の一、二の例を御報告申上げたいと思います。現在土木研究所にお願いしております一つの試験研究といたしまして、五十里ダムの水利構造、特に水叩きの問題についての研究をお願いでおります。現在私どもが計画設計いたしました水叩きに対して更に改良した方法はないかということを実際のモデルについて研究して頂いておりますが、大体見通しといたしまして、その研究の結果は、或方が最初設計したものよりもずつと経費を節約し得るような方法で十分間に合いそうだ、若しこれがよろしいという結果が出ますと、恐らく工事費数千万円の節減ができると思います。こういう点におきまして、この土木研究ということは非常に価値あるものだと考えます。それからもう一つ今現在お願いしておりますのに利根川と江戸川の分流点の形状或いは構造といいますか、そういうものについて試験研究をお願いしております。これは現在の江戸川は利根川から分流しておりますが、あれは我々の先輩が先年計画し工事を実施したのでありますが、なかなか思うように計画通りに水が入らないというのが実情であります。今般江戸川の改修拡充計画によりまして、更に一層多量の水を江戸川に分派しなければならない、その際におきまきまして、土木研究所の専門家のかたに模型に作つているくな面から研究して頂くということになつておりますが、これによつて恐らく非常な好結果が期待し得られるだろうと考えております。その他我々がダムの工事をやります場合に、ダム地点の基礎岩盤の調査、これは土木研究所に専門家がおりまして、非常に詳細綿密に調査して頂きまして、その調査した結果に基いて我々はこれを計画し、設計L、更に施工しておるのであります。こういう点につきまして、土木研究所は非常に我我としては有難い存在だと思つております。
 更に、その他道路等の土質試験或いはセメントの品質試験、セメントにつきましては特にダムのセメントにつきましては、これは特別に大量のセメントを使い、又構造上いろいろ問題があります。五十里ダムにつきましては特に普通のセメントを使わないで、特殊な熱の出方の少い中庸熱セメント、或いは低熱セメントと言いますか、それを使うことにいたしまして、これを工場にその製品を依頼してあるわけでありますが、現在日本ではその製作が非常に少いのであります。その品質につきまして常時土木研究所に試験をやつて頂いて、品質検査をして頂いた結果によつて我々用いておる実情であります。そういう点で土木研究所の機構を利用しておる次第であります。その他いろいろ細かい問題もありますが、関東地建といたしましてだけでも、以上のようないろいろのこと皇少し申上げたいと思います。先ず第一に、研究関係の予算の画期的増額をして頂きたいということを科学技術行政に関連した問題として申上げたいと思います。日本の経済の振興と言いますが、国力の増進は科学技術の基礎の上つて立つておるのだということは一般によく言われることであります。併しながら実際において果して日本で科学技術を国民全体がよくその重要性を認識しよくそれを尊重しておるかどうかということについては甚だ疑わしいのでありまして、殊に研究所方面の予算が非常に少い、これは先ほど藤田所長からも建築関係のお話がございましたが、これはすべての面において同じように諸外国に比べて余りにも少いということを聞いております。是非研究予算を増額して我が国の科学技術の振興を図つて頂きたいということであります。先ほどもちよつと触れましてように、五十里ダムの例でありますが、この研究の結果によつてすでに相当額の工事費節減ができるだろうと期待しております。建設省関係の一年間の予算は私詳しく知りませんが、恐らく六、七百億円に上ると思いますが、これに対してそういう研究をすることによつていろいろ設計なり、研究により相当工事費の節減ができるだろうということが考えられるのであります。ところで現在の土木研究所或いは建設研究所の予算は如何に貧弱であるかということを見まして、甚だ歎かわしいと思います。せめて研究費に事業費の一%でも計上して頂いたら格段の研究ができ、我々のやつておりますところの事業を合理的に施行いたしまして、事業費節減になるのではないかということを我々期待するものであります。
 次にこれは直接科学技術行政に関連があると思うのですが、行政機構に科学者、技術者を重用すること、重く用うべきであるということを申上げたいと思います。御承知のように我が国の行政機構におきまして、いわゆる行政官というものの重要ポストは殆んど事務官であります。ところで科学、技術が非常に重要であると言いながら、果してこういう人かよく認識しておるかどうかが私は疑問に思うのであります。これは一般国民、政治家皆この科学、技術の重要性は認識しておるとは言いながら、果して積極的にその振興を図つておるかどうかということについて非常に疑問を持つものであります。単に理解する、認識するだけではいけない。特に行政の面におきまして、私はこの科学者、技術者を重用すること、更に具体的に言いますならば、行政面の重要なポストに科学者、技術者のうちの行政的能力のある者にやらせるということが非常に大事なことであると思います。建設省におきましては、御承知のように勿論技術が重要であり、比較的技術者が重要なポストについております。それでもなお私はこれではいけないということを感じておるのでございます。そこで例えば希望の一つを例として申上げます。建設省における人事課長は技術官を以て充てるべきである、こういうことを思います。なぜかと言いますと、建設省は技術的な面が非常に重要であり、職員の半数以上の多数は技術官であります。そうして科学技術を重要視することが必要であるならば、この技術官の技術を理解し得る者がそうした人事行政の衝に当るべきである。そのためには技術官であるところの行政的能力のある者がそうした衝に当るのが適当である。一例でありますが、そう考えます。
 最後に科学者、技術者の待遇改善の問題を申上げたいと思います。現在の大学教授或いは研究所の研究員の待遇の現状というものは今更私が申上げるまでもないと思います。これはもう皆様御承知のことと思います。このような状態において我が国の科学技術を振興し、国力の増進を図ろうということは余りにも無理だと思います。これは常に叫ばれておりながらその実現ができないということは甚だ嘆かわしいことであります。国家公務員の場合においても、事務官と技術官の差別待遇が余りにも甚だしいということに私甚だ残念に思つておる次第であります。一例として建設省の場合を申上げますと、大学卒業者の待遇でありますが、それを例として申上げます。事務官の昭和十六年に卒業した者と技術官の昭和九年に卒業した者とが平均の待遇が同じであります。更に事務官の昭和十二年に卒業した者と技術官の昭和五年に卒業した者とが平均待遇が同じであります。即ち七年間の差があるのであります。なぜこういう差があるか、差をつける必要があるのか、なぜ差ができたか、この点を我々は理解し得ないのであります。結局これは国民、或いは政治家、或いは行政の重要な地位に立つ人たちが技術の重要性を認識しないというか、そういう点にあるのではないかということが考えられます。能力がないということではなくて、結局そういう認識が足りないために、技術者を職人扱いにするという日本の全体的な弊風にあると思います。これで日本の科学技術を振興して日本の国力の増進を図ろうということは甚だ以て遠い話だと思います。是非この点を国会議員の皆様には御認識なさいまして、是非御善処方お願い申上げて、私の意見を終りといたします。
#18
○委員長(石川清一君) これでお招きをしました参考人の公述は終りました。御質疑がございましたら、楽な気持で御質疑を続けて頂きたいと思います。
 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#19
○委員長(石川清一君) 速記をつけて。
 只今御懇談中に鹿島委員よりお話のございました建設関係の民間の優れた研究者として、たまたま傍聴中の鹿島建設技術研究所次長の甲野繁夫君を参考人として御意見を承わりたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(石川清一君) それでは甲野繁夫君より御説明願います。
#21
○参考人(甲野繁夫君) 御指名を願いました甲野でございます。只今鹿島研究所について安藤所長から概略申上げましたから、私から特に申上げることもございませんが、建築関係として一言現状の御報告、並びにまあ希望的なものを申上げたいと存じております。
 研究いたしました成果につきましては、先ほど安藤所長より申上げた次第でございますが、研究所の方針といたしましても、私どもは現場の施行は、建物を御設計によりまして早く確実に造るのには一体どうしたらいいかということにまあ重点を置いて今日まで努力した次第でございます。先ほど藤田所長さんからもいろいろお話がございまして、私もその御趣旨に対しては心から賛意を表しておる次第でございまして、藤田さんの建築研究所とは非常に密接に関係を持ちまして、いろいろ御指示を得まして、又いろいろ実際の施工の面においてもできるだけ私どもお手伝いしたい、こういう気持で進んでおるわけでございます。大学の研究所はこれは基礎的なものであります。従いまして、これは実際に役に立つとか、役に立たんとか、そういうものを離れて、純粋な学問としてものを追究されるという面、又建築研究所のような、まあ建設省関係の、或いは各省に所属されます研究所、これはまあそのうちからいい題目をお掴み下さいまして、そうしてそれをまあ実際の応用の中間の面において、或いは実施の直前まで研究を進めて行く。私どもはそれを実際に応用して行きたい、こういうようなふうに考え、又各研究機関ともなかなか十分の連絡はとれませんが、そういつたような気持で以て現在進んでおるような次第でございます。まあ今後もそういうような進み方で行くのがいいのじやないか、こういうふうに信じておる次第でございます。実際研究をいたしまするときに、一番私ども困りますのは、やはり人の問題、それから研究費の問題でございます。これは研究費が不足であるということは、私どもここで詳しく申上げる必要もないほど皆様御承知と思いますが、これは現実に何とか解決して行かなければならぬ問題だと考えておる次第でございます。それで恐らくもうちよつと人とそれから予算があれば、もつと能率的に行くのじやないかというような部門も相当あるのではないかと思います。又私どもも実際やりまして、もうちよつとのところだというときに、やはり金と人と、結局人が十分でございませんから、日常いろいろな雑務もございますし、それに追われまして研究のほうもやはりそれだけの力が殺がれるというような結果になります。そういうような面で現在の日本の技術というものを向上しなければならぬ現在におきまして、人とそれから端的に申しますれば研究費と、これを重点的に……、これは勿論こういうような情勢でありますから、重点的にはこれを使わなければならないと承知しておりますが、重要な部門についてはもつと研究費を頂きたい、こういうふうに考えております。申上げたいところもございますが、特に感じましたことを以上お話申上げました。
#22
○委員長(石川清一君) 以上で参考人の公述は終りました。御質疑を願います。
#23
○小沢久太郎君 関東地建の伊藤局長の話によりますと、非常に事務官と技術官の待遇が悪いのですが、非常に不合理だと思う。殊に建設省のような技術的な面を扱う官庁において、こういうことはあり得ないと思う。それでこれにつきましては、委員長から調書を
 一つ請求して頂きたい。そういうふうに思います。
#24
○委員長(石川清一君) 只今地建関係の現場からの御意見が非常に具体的な問題を通じて御開陳になり、小澤委員からいわゆる給与その他の関係について調書資料を場出してもらいたい、そういう御意見がございました。これは建設省のほうに要求しまして、出して頂くことにいたします。
#25
○小沢久太郎君 それからここに石原先生がお見えになつておりますが、石原先生は最近外国をずつと廻られて帰つて来られたのですが、現在日本においては非常に技術のレベルが戦時中以後落ちている。それでこれを如何にして上げるかということが問題だと思う。それでいろいろ建設事業について予算を増すということは、これは必要ですが、技術を上げなければならない。その金が効率的に十分行かんということにおいても先ず技術レベルを上げる。それからその上げた技術レベルを少数の人がそういう高い技術を持つているのではいけない。それを現場のあらゆる人に、如何にして浸透ざせるかという問題、これは結局科学技術の行政の問題になるのですが、そういう問題につきまして、大学だとか官庁だとか、民間だとか或いは研究所あたりずつと見て来られた組織、それからずつと外国を廻られて、そうして日本のこういう機関をどういうふうにしたらいいかということを一つお述べ願いたいと思います。
#26
○参考人(石原藤次郎君) 私は先ほど極く簡単に私の意見を申上げましたので、この際補足する意味で私の意見を申上げたいと思います。
 日本は御承知のように非常に貧乏な状態にありまして、できるだけ有効に科学者を使つて研究を進めなければならんと考えております。ところが日本の科学者はどういう工合に配分されておるかという問題でございますが、大体自然科学者は文部省関係の者が半分以上、五三%といいますか、その程度文部省関係の者がおります。それから又各官庁だけで見ますというと、文部省関係が七二鬼ほど研究者がおるわけであります。こういう状態でございますから、日本の科学技術のレベルを上げるためにはどうしても陣容的に研究者が揃つておる大学及びその附置研究所を重点に置きまして、そこで基礎研究並びに応用研究をやつて頂くような態勢にしなければ能率が悪いということをつくづく感ぜざるを得ないわけであります。
 日本の研究費は御承知の通り補助金その他の関係で出ますのが約二十億、それから各官庁の研究所、大学を合わせたものが約百億と存じております。それに対してアメリカのそうしたものはどのくらいかと申しますと、全体の研究費につきましては、アメリカは約八千億使つておるようで、ございまして、日本は僅かに一・三%に当るようであります。又補助金、委託研究費、そうしたものはアメリカにおきましても昨年度千二百十七億使つておりまして、日本は僅かに二十億程度でございますから、一・五%程度であります。で、実に日本の研究費が少いという現状を感ぜざるを得ないわけであります。
 その補助金につきましてどういう方向にアメリカで分配されておるかということを調べました結果によりますと、その補助金の八七%は教育機関に渡つております。その他の研究機関に渡つておりますものは十数パーセントに過ぎないわけであります。この現状を以ていたしましても、アメリカにおきましてもやはり研究の重点というものは大学並びに大学の研究所にあるということを感ぜざるを得ないわけであります。日本のような現状でありますと、たくさんの官吏を作り或いは人を雇つたりすることは非常に困難な状況にあります。従来から非常にたくさんの研究所を持つておる大学等を重点において基礎的並びに応用的な研究を進め、それから各省の行政に直接関係のある研究、従つて応用研究、それの実地試験、こうしたものは各省附属の研究所てやつて頂く、そうした研究態勢を徹底的に整えない限りは、この貧乏な日本の状態において現在の科学水準をうんと上げるということは非常に困難ではないか、こんな工合に考えております。どうしてもやはり潤沢な研究費と、潤沢な研究員を整備してレベルを上げるように努力をしなければならんのでありますが、その一つの方向が私ども只今申上げたようなことではないかと考えております。
#27
○石井桂君 私は大体各参考人の方々に二つの点で御質問したいと思うのです。一つは研究所のあり方といいますか、例えば建設省には土木研究所と建築研究所がある。これを、こういうようなものは一省の下にあるのだから一緒にしたほうがいいか、別にしておいたほうがいいかということを各研究所長に簡単に一つその希望とそれから理由を述べて頂きたい。
 それからもう一つは、例えば鹿島建設技術研究所というようなものが東京にございます。こういうようなものは土木建築、一般に建設方面を研究なす
 つている。或いは運輸省にも技術研究所がございます。こういうようなものが、同じような種類のものをそのまま置いて、そして研究を競うて、そして場合によれば反対論や何かも出て、それによつて切瑳琢磨するほうがいいか、或いは一つの大きな研究機関をこしらえて、そいつへ突込んでしまうほうがいいか、そういうようなあり方について御列席の各参考人の方々から御意見が聞ければ大変結構だと思います。それが一つ。
 もう一つは研究対象について、大体日本の例で、悪い例なんですが、風水害か非常にあれは風水害だけに没頭して、一年、二年たてばみんな忘れてしまう。大地震が起きれば一、二年は地震々々と言つて研究して又忘れてしまう。大火があれば又その通りです。現在は治山治水が大変だということで、国を挙げて今……恐らく日本人の性質として二、三年で皆忘れてしまうだろうということは、今までの歴史に徴して明らかです。そこで研究所の職員の方々はこれはそうじやないと私は思うのです。従つて今治山治水を御研究になつておるかたわらやはり天災であるところの地震というようなものもたゆまず研究しておられるだろう。或いは先ほどお話のあつた、これは恒久的な長い間かかつて起る現象ですが、東京の下町のほうとか大阪の西のほう、地盤沈下というような所の建設に対する研究を進めておる。或いはもつと大きくは、日本が太平洋にどんどん寄つて、新潟はどんどん日本海に削られて行く、太平洋へどんどん張り出している。こういうような海岸に鉄道が敷設されて、そういう問題が出ておる。そういう日本の、何といいますか、陸地の移動ということも研究しておられるだろう。そういうような関係の向きも研究せざるを得ないのではないかと思うのです。そういうことの現象、もつと小さくは、例えばこれは建設省の技術研究所の、土木、建築両方からお聞きしたいのですが、日本の建物の高さは、地震を怖がる関係でか、百尺しか許可に今なつておりません。どこの国へ行つても二百尺、三百尺の建物はあるのです。今の日本の技術で百尺で抑えていることは、大体私はもうそういう意味はなくて、二百尺でも三百尺でもいいのじやないか。そういう点を衛生とか採光とか構造とか地震とか、交通とか、都市計画とか、そういう面から御研究になつておるか、これは藤田さん。私は土木研究所長さんのほうで、それに伴つて又近くは建物が空へ地下へと伸びております。今のは空へ伸びるほうですが、今度は地下街というものが駅前にうんとできて来る。これに対するところの衛生上の点というようなことを一体土木、建築両研究所で研究されておりますか。或いはもつと具体的には大都市に車がうんといる、パーキングにとまるというようなことも具体的に研究ができておるか。まあ大きく言えば地震とか地質、地盤の変動とか、或いは日本の陸地の移動とか、小さく言えばそういうことまでも御研究になつておるかということをまあ簡単でいいんですが、一つ承わつてみたいと思うのであります。余り長くなるといけませんから、先ず二つだけ。
#28
○委員長(石川清一君) では参考人の方に。今石井委員のお尋ねになりました第一点の、各研究所の合併或いは総合一体化と、こういうことについて、人員と予算について、過年度の予算と本年度の修正をしない当初予算と人員を申上げておきますから……。土木研究所は、昨年六千百五十四万三千円、本年の二十八年は、これは旅費その他で若干修正されておりますが、七千百五十二万五千円で、約一割一分ぐらいの増で、人員は百七十七名、これは臨時も加つております。次の建築研究所は、今日資料を頂きましたが、昨年が三千五十五万三千円、本年が三千五百七十九万七千円で、臨時を加えまして百二十七名。運輸省の運輸技術研究所、は、昨年一億四千八百二十四万九千円、二十八年度は修正されない以前は一億六千百六十七万九千円、約一割弱増でございます。三百五十九名の人員でございます。お答えを願います。
#29
○参考人(佐藤清一君) 只今の御質問に対しまして、先ず最初に研究所のあり方の問題でございますが、これは本日の意見の当初にも申上げました通り、事業官庁の所属研究所といたしましては、その事業に即応した事業の具体的な問題に対して、それぞれ具体的に回答を出して行くというところにその使命がございまするので、具体的にその現地に臨みまして、現地の事情、条件を直接観測、観察、調査いたしました上で、そこに研究を打ち立てて回答を出す、こういうような行き方でなければならないと、それにはそれの裏付けとなるべき基礎的な問題がそこに、発生するのでありますが、その基礎的な問題というものは、具体的なものなしには存在し得ないのでありまして、我々が直接現地に行きまして調査をすると、その中に初めて問題が抽象的に一般的に生まれて来るのであります。これを一般的な研究として研究所費によつて賄いまして、具体的な問題の回答の基礎としておるような次第であります。
 それから建築研究所との関係のお話がございましたが、これは先ほど建築研究所長の藤田所長からも御意見がございました通り、同じコンクリートにいたしましても、その研究の目標が違つて参りますると、或いはこれを一緒にするということにいたしましても、業務的には何ら変化はないと私たちは考えております。
 それから次に研究対象の問題でありまするが、多分に先ほどの御質問の通り、水害の起りましたときには水害、治山治水と、火災が起れば火災というふうに、地震が起れば地震というふうに、我々の一般的な社会的な意味における研究の対象というものは動いておるようであります。併しながら私どもといたしましては、常に地震をも考え水害をも考えておりまして、いづれの場合でも、いつの場合でもそういうことを考えまして、研究態勢を整えるよう努力し、又その研究の実施に当つておる次第であります。
 なお海岸の浸蝕という問題もございましたが、これにつきましては私の土木研究所には地盤変動というような地球物理的な研究部門がございませんので、このような問題につきましては、地区的に委員会組織等の機構によりまして、各般の関係の研究者一堂に会しまして、それぞれ分担研究いたすよう我々は努力いたしております。例えてみますというと、今の新潟の海岸浸蝕の問題にいたしましても、或いは富山湾の沿岸浸蝕の問題にいたしましても、或いは鳥取の海岸浸蝕の問題にいたしましても、これは地球物理の方方、特に京都大学の地球物理の御専門の方々にも御出席を頂き、又水路部の方々にも御出席を頂き、我々も又出席し、このようにしてお互いに各般の見方からそれぞれ分担して研究するというふうにいたしておりまして、このような観点から、例えば海岸浸蝕の直接的な原因が何にあるかというようなことがだんだんと浮び上つて来ておりまして、この一つは、基本的には地盤沈下に影響がある、この地盤沈下の影響にいたしましても、徐々に起る影響と、それから地変によつて起る急激な、而もかなり大きな量によつて起るところの被害というものもここで大きな要素になるということが分析されて出て来ております。併しながら直接その浸蝕を行うものは、これはやはり波浪にその原因があるということが、以上三つの委員会を通じまして結論が出て参りました。
 それではその波浪というものがどのように起るものであるか、或いはどのような破壊機構を持つておるものであるか、或いはどのような陸地造成機構を持つておるものであるかというところに、皆それぞれ分担研究に入りまして、今それをそれぞれ研究を続けておる次第であります。まだこれにつきましては数字的に出すほどの結論には遠いと思いますが、この点につきましても、今後のより大きな規模における研究が望ましい。
 それにつきましてもここに一番我々が痛感いたしますのは研究員の不足でございます。研究員の不足と共に研究施設の不足、研究費の不足、そのために限られた人間が、一人の研究員が三つ四つの研究課題をしよつて歩かねばならないというところに我々は追い込まれておるのでありまして、この点特に議員の方々には御認識頂いて、善処方をお願いしたいと思う次第であります。
 簡単でありますが、意見を終ります。
#30
○参考人(石原藤次郎君) ちよつと補足さして頂きたいのでありますが、只今佐藤氏から海岸浸蝕の研究の現状をお話しになりましたが、私只今皆様に、私のほうの大学で出しました海岸浸蝕に関する基礎的並びに基本的な研究の成果をお配りしたのでとざいますが、これはこの八月アメリカにございました世界の水理学会において発表いたしまして、世界の学問の水準に比べまして、基礎的な部門においてはそう劣らない、むしろ世界の学問の水準にあるということを確かめ得たということをお伝え申上げたいと思います。
 それからなお地震のことでございますが、我々の防災研究所におきましては、永年各地で観測を続けておりまして、非常に乏しい人員、乏しい予算にかかわらず、観測を続けておりまして、只今地震予知について或る程度の確信を得たような状態でございます。その印刷は、只今皆さんにお配りした通りでありまして、今印刷したところでございますが、そういう状態でございまして、地震並びに地盤変動、そうしたものも絶えず我々は皆で一致して努力を続けております。
 なお治水の問題につきましても、我我は日本の経済の現状から、統計的に、そうした立場から治水の問題を論じなければならんということも永年考えておりました。十数年以前からそうした研究を続けておりますが、最近になりまして漸くそうした方面が日本の各方面で認められまして、治水計画を立てるのに経済効果と密接な関係の下に十分検討して立てねばならん。そうした基本的な研究を永年続けました結果、漸く一般に用いられるようになつたわけでございまして、大学としては決してその場その場で研究の方向を変えておるわけではございませんで、一定の研究者が十数年に亘つて一心不乱に研究を続けておることを申上げたいと思うのでございます。
#31
○参考人(安藝皎一君) ちよつと補足させて頂きます。
 先ほどのお話でございますが、とにかく先ほどもちよつと洪水のときに申上げましたように、洪水現象だけ見ておりましても非常に複雑に感じております。同時に先ほどから海岸浸蝕の問題、地盤沈下の問題が出ておりますが、火災のような問題もございましたのですが、とにかくそれぞれの問題を考えましても、非常に内容的に複雑であり、単に土木技術的な問題だけでは解決つかないいろいろな学問的な問題が起つているわけです。例えば純粋に海岸の浸蝕の問題だけ考えましても、気象学的な問題もございますし、或いは広汎に申せば地球物理学的な要素も含んでおります。そういうふうにいたしまして、只今の海岸の問題、地盤沈下の問題、洪水の問題を申しますと、実は私現在同時に総理府にございます資源調査会のほうを勤めておりますが、資源調査会でそうした一つの問題を提起いたしまして、これを適当な専門家の人たちにいろいろお集り願いまして、その対策を進めて来たわけでございます。先ほど石原さん、佐藤さんからいろいろお話がございましたが、そういう径路から発生した問題でございまして、そういうふうに、殊に今度の水害から考えましても、災害それ自身というものは実際にいろいろな要素が噛み合つて現実に災害現象として起きておるのでございますから、一つのこういう問題を調査するにいたしましても、やはり調査を進めて行くその内容、更にどういう面を目安にしてどういう分野でやつて行くかというようなことも一つの計画を持つてやらないと非常にむずかしいのじやないかと思います。
 それで先ほども申上げましたように、一つ何かこういうふうな問題を取上げて、取上げてと申しますか、どういうことを我々はこれから研究し調査して行かなければならないかということを計画を立て、考えるところのやはり機関が要るのじやないか。例えば地震のことにつきましても、これは大正十二年の地震後にできたわけでございますが、震災予防調査会というものができまして、地震研究に対するいろいろ研究が非常に進められましたが、あのときもああいうものを中心にいたしまして、いろい実施機関から調査機関からそういう関心を持つておられる専門家の方々がお集りになつて、内容を研究して、どういうことを調査をし、どういうことを研究すべきだろうかというプログラムを立てて研究を進めて行かれた。そのために非常に日本の地震の関係は進歩しておるのですが、恐らく日本の地震関係は世界的の水準に達しておると思います。先ほどから藤田さんが御説明になつた建物と地盤との関連がどうか、これは先ほどの大きな家がいいとか悪いとかいうような問題に関連すると思いますが、実際地震がどんなふうに起きて来て、高層建築にどういうふうにきいて来るのかということをどうしても調べて来なければならん。このために強震計というものをこの間地震研究所の方がお作りになりまして、藤田さんのところと御協力になつてお作りになりましたが、そういう問題を進めて参りますれば或いはもう少し適当なところに配置する、そうして地震というものを建物がどういうふうに受けるかということをより考え直して参りますれば、建築のあり方というものも変つて来るのでございまして、そういうふうな研究は当然進めなければならんと思います。そういうものも日本が災害国であるということ、災害国が全体がどういうふうになつておるか、受けておるかというようなことからやはりそういう問題に対するプログラムを立てることが必要じやないか。
 それと同時に先ほどから研究所の内容のお話がございましたが、このことは私私見として申上げますと、直接の研究はやはり研究所の対象があり、どういう目的のためにどういう対象のものを選んでどう発展さして行くかということでございます。それと私の乏しい経験によりましても、或る一つの研究所というものを管理して行く上には、やはりここの研究はどういうふうにその研究所で与えられた使命を達成して行くのに適切な途を通つておるかどうかということを研究所としては常に十分理解し、動き方を把握していなければならないと思います。その意味におきまして直接の研究そのものは、やはり規模その他おのずからそういうことを可能にする限界があるのじやないかと思うのでございます。でございますから全体の計画に対する研究がどうであるかということと、それからどう実行して行くかということとは又別の問題としてお考えになつていいのじやないだろうか。そうしてそういう問題が現実にどう研究されたものが動いて行つて、そのためにどのような効果か挙つておるか、そういうことを私はやはり追跡して見まして、研究の効果というものが現実にどんなに反映し、それがどれだけ日本経済に役立つておるかということを常に追跡しまして更に新しい研究として探つて行く、そういうような研究というものは考えて行かなければならんのじやないかというふうに思つておるわけでございます。
#32
○江田三郎君 ちよつと安藝先生にお尋ねしますが、一つのプログラムを以て基礎的な事実を調査して行くということは、機構の上から行くとどういうことはなりますか。さつき言われました、例えば問題ごとに地震研究所というようなものを作らなければならんということなんですか、どこが一体主宰してそういうことをやるということになりますか。
#33
○参考人(安藝皎一君) 私見を申上げます。例えば水害のことについて申上げますと、なぜ水害がこういうふうな形になつて来たかということにつきましては、現実には林業試験場ならば林業試験場でそういう問題についても考えておるわけでございまするし、そのほか今まで不十分な点のございますのは、例えば土地利用の形式が変つて来るというようなことが川の様子に響いて来るということでございます。これは今までならば、例えば遊水池のようなもので自然に何年間に一回か水がつくというような土地利用の方式をやつておるところがございますが、そういうところを新らしい川の改修の方式によりまして、そういうところが氾濫しないようなことをやりますと、恐らくそういうところは土地利用の様式が変つて参るはずでございますが、事実そういう例を私どもは知つておりますが、そういうものとやはり関連させまして、こういう流域ならば流域をどういうふうに持つて行つたならば一番安定した土地利用が行われるかということ、同時に水害なら水害が起きて来れば、又それに不安定な要素が加わるわけでございますから、そういうことを全体を見ますと、一体どこに問題があるかということになりますと、非常に多面的になつて参りますので、こういう問題を一つ考える。これが私が先ほどプログラムを立てると申しましたのは、或るやはり特別な機構が一つ要るのじやないか、その面にはそういうところにすべて関心を持つておられるあらゆる分野の方がそのプログラムを立てるのに参画されて、そうして例えば水害なり地震のようなものがございますが、或いは火災のようなものもそうだと思います。そういう問題がそれにどういう点から研究が進められ、どういう点の研究をやる、そういうプログラムを立てる別の機関が一つ欲しいのじやないかと思うわけでございます。そうしてそれをそれぞれの行政的に担当しておられる研究機関でその問題を具体的に発展させて、直接の研究を進めて行く。そうして直接の研究をやつていらつしやいますところは現実の仕事として効果が現われて来るはずでございますから、そういうものを全体のプログラムとして考えてみますところでは、常にそれが副つておるかをうか、或いは期待しておるようなプログラムを考えておる人の考え方と現実の動きがよくうまく行つておるかどうかということを常に反省しながら、又斯うしい研究を考えて行く分野を拡げて行くということが必要であろうというふうに思うわけであります。
#34
○江田三郎君 既存のものではそういうことを推進する機関というものはないのですか、それに近いものは……。
#35
○参考人(安藝皎一君) 現在では学術会議の中に防災関係がございますし、例えば私がやつております資源調査会の中にも防災部会がございましてやつておりますが、今の範囲では私はまだ不充分じやないか、むしろそういうことの拡充、我々が何をしなければならないかというようなことを、もう少し目安を立てるような機関がもつと拡充さるべきじやなかろうかというふうに思うわけなのであります。
#36
○委員長(石川清一君) 次に藤田金一郎君。
#37
○参考人(藤田金一郎君) 只今の二つお尋ねがあつたようでございますが、今の話の続きで、只今のことから先に私の平素から考えておりますことを申上げます。
 私の経験の範囲で申上げれば、例えば地震、火事というようなことは、従来も大学でもおやりになり、私どもでもやつておりました。大火があれば又そのあと、地震があればよくあとに、ここに御列席の安藝さんが主宰しておられますところの資源調査会等或いは日本学術会議等のあの委員会又は専門的な委員会という名前の委員会に我々が委員になるとかいうふうで参画いたしまして、お互いのやつている研究の現段階、又はその現段階からできる対策、意見を徴されることが絶えずあります。そういうことによりまして、自分たちの研究も活きて行く、国の施策になりつつ且つ織込まれて行くというあとを私どもは幾度も経験いたしております。只今のお話では、まだ微弱だからもつと強化しろというふうに伺いましたが、この点は私も或る程度まで同感であります。今でもそう言つているし、我々もそういう意味であらゆる横断的な連絡にみずからも努め、よその主宰のものに対してできるだけの協力をいたして参つております。なお一層いい機関ができてうまく運営されるならば、これは望ましいことと存じます。
 ただそういう何と申しますか、研究計画本部中枢とでも申しますか、変な言い方ですが、そういつた性格のものが生れるということは、我々研究所に取りましても非常に安心であり、その成果を実際に行政、国の施策に織込む上の働きをして頂きますことを期待する意味において非常に望ましいことだと存じます。我々はその専門々々に従つて常時一定のプログラムで研究をしておるその成果を、そういうふうに流して行く親元というか、大きな国家的中枢というものがあることが望ましいと思います。但しこれはよく言われることでありますけれども、私は余り懸念しておりませんが、よく言われることでありますので、念のために私申添えたいと思いますのは、そういうところがやはり大きなところをつかんでおやりになることで、余り細かい事務の末端にまで何といいますか、戦時中の研究統制のようになりますことを恐れているような方々も一部にあると、相当にあるようであるということを申上げておきたいと存じます。
 それから先ほど特に両研究所の意見を聞くという問題がありましたのでありますが、私が関係いたしますると思われまするのは、建築物の高さ制限はどうか、それから地下街等の衛生問題などはどうかと、こういうようなことであります。又地盤沈下のことも建築に或いは関係が相当あると思います。そういうことについてお答えしますと、第一の高さ制限につきましては、私ども今直ちにここで実際問題といたしましては、どこまで高さを制限を緩和するということについて具体的な回答を持つてはおりません。併しながら先ほども御説明いたしましたごとく、全国主要地区の特に地盤の悪い所の地盤の精密調査ができまして、そして建物の震動性状が強震計等によつて正しく測られ、そういう記録が集積されまするならば、大した時間なくこれを解析して、設計上のデータに組上げることができる見通しを持つております。そういたしますれば、そこではつきりとした答えを私ども自信を持つて言うことができるようになるのであります。現在では甚だ腰だめの、或る意味では余り科学的でないお答えしかできないように思います。併しそういう研究ができますれば、私は恐らく相当階数を増しても、耐震上の危険のない構築物をそうべら棒な高い値段を出さずともできるであろうというおおよその見通しだけは持つております。一応先ほどもお触れになりました通り、衛生上の問題、都市計画上の考慮は、これ又別途に要ることでありまして、これらはいずれ行政的な面からその具体的な数字の調整があるべきように考えます。
 地下街等につきましては、やはり相当灘けやすいとか、或いは特に懸念いたしておりまするのは、地下でもいろいろな物の持込みがある。或いはガソリンもありますし、可燃物も、特に地下商店街等が伝えられるごとくだんだんできて来る情勢でありまするので、そういう場合の地下街の一旦火事が起つたときの逃げ口、火焙を如何にして早く外に出して、中に充満しないようにするか、煙を中に充満せず、早く外へ出すようにするにはどのくらいの窓とか孔をあけ、煙突のような排気孔を作つたらよいかというような問題は、まさに我々のところの研究の対象になりつつあります。又地下にガレージを置くことが止むを得ず必要な情勢になりまして、これ又相当危惧の念を持つて、我々よく丸の内地帯を計器を持つて測つて廻つておりますのであります魁、これらにつきましてもなお一段の研究を促進しなければならんとは思いますものの、これ又もう直ぐ結論を出せ誓われますると、いろいろな困難な点、人員上の困難がありまして、そんなにはかばかしくも行つておりませんこともここにお断りお詑び申上げなければならんと思うのであります。
 それから次に駐車場の問題にお触れになりましたが、駐車場につきましては、現実の調査資料を作つて頂きまするために、私どもの手が足りませんために、建設省の建設技術補助金を以て大学その他その途の御経験又は業務上密接な関係のおありの方面へ現状調査と若干の具体案のもとになる資料を研究依嘱しておるわけであります。先ほどお手許へ配りました表の中にもそれが出ておるはずでありまするが、そういうようなわけで、現在のところ研究の準催をしつつありますが、そういうデーターが集りましたらば、私どものところでは恐らく来年度あたりには具体的にその資料を用いまして、都市計画上こういう措置が要るそれから地下ガレージを作るとすればこういう諸注意とこういう条件が要る、地上の高層のガレージを作るならばこのようなふうにしたいという計画に進みたいと存じておるのでありまするが、これにつきましても私どもはほかにもたくさん迫られておりまする仕事がありまするけれども、予算、人員に若干の制限を受けることが予想されております。まあそういう現状であります。
 地盤沈下につきましては、先ほどここでも来年度予算に関連いたしまして申上げましたごとく、主要地区の精密調査を、今までのボーリングでは駄目でありまして、精密調査をいたしますれば、この地盤の我々どもは建築の地盤だけが主でありまするけれども、都市の中の地盤をはつきりと知ることができるようになりますれば、沈下の予想量が推定できる。従つて建築物も最初からどのくらいに上げておくかというような問題の計算ができるようになると思つておりますが、これ又或る程度まで予算次第早くできるか遅くできるかということは相当予算次第でありまして、現在の我々のところにあります設備、人員だけで参りますと、六大都市その他若干の重要都市をやりまするのに十数年を要しますが、これを何とか私どもは三、四年以内に完了できるようにしたいものと思いまして、そのような予算を提出しておるところであります。
 それから機構の合併問題についてはどうか、こういうお話がありましたが、これは先ほど私は若干詳しく意見を申述べましたので、ここには省略いたしますが、先ほども土木研究所のほうからもお話の通りに、何ら別に特別な利益はない、むしろ務事煩瑣の弊害が来るのではないか。これには安芸さんの言われたごとく適正規模が、やはり我々のそういうことを考える経験上から来る限界があるということがその考えのもとになつておるのであります。
 大体以上お答え申上げます。
#38
○小沢久太郎君 今藤田さんが言われた研究テーマについて国家的中枢機関が欲しいということは、今お話になつておる科学技術庁のようなものが欲しいという意味なんですか。
#39
○参考人(藤田金一郎君) 只今科学技術庁のようなものが、私が只今お答えいたしましたことにぴつたり合うかどうかというお話でありまするが、実は私は科学技術庁の案の詳細は詳しくは存じませんけれども、多分と申しまするか、今のような働き、これが科学技術庁であつても、何かやはり各省に跨がるものの或る中枢的な計画本部的なものを指したわけでございます。大体ああいう性格に近いと私は存じております。
#40
○委員長(石川清一君) 次に安藤新六君。
#41
○参考人(安藤新六君) 研究所行政につきましては私から申上げることはありませんですが、ただ建築研究所と土木研究所の両研究を一つにしたらどうかという御意見に対して御回答申上げますと、私のところは非常に小さいものでありまして、僅か三十数名しかおりませんから、研究設備、或いは事務員とかいうものはみんな共通してやつておりますけれども、何分研究の対象物が全然違うことでありますから、おのおの私のところにおる研究員で各対衆物に対して手一杯の状態であります。ましてこれが百人以上にもなりますと、到底設備も共通に使うということも恐らくできないと思いますし、能率が非常に低下する。どうしてもこれはまあ百名以上もお使いになるような研究所ならば、各エキスパートがその専門の対象物に対して従事されるほうが、私はずつと研究の成果が上ると思つております合併しても、経費は表向きは低下するでしようけれども、能率が下る点において却つて不経済になるのじやないかと思います。それだけ私ちよつと。
#42
○委員長(石川清一君) 次は石井靖丸君。
#43
○参考人(石井靖丸君) さつきの御質問ですが、運輸技術研究所の港湾部門を大きく建設省の土木研究所なんかと統合したらどうか、そういう問題ですが、これは常々我々考えていたことで、ただ私今運輸技術研究所の人間なものですから、こういうことを申上げるのは、私の研究所の首脳部に対して非常に反乱を起す意見なんでございますが、(笑声)その点御了承下さつてお聞取りを願いたいと思います。
 港湾の研究で一番大事なものは、まあたくさんございますが、差当り我々のやつておりますのは河口港の問題であります。河口の港をどう処理するか、これは明らかに河川計画というものと港湾計由との密接なる統一した計画かなければ意味がない。これは非常は簡単におわかりになると思います。それで実際に我々今困つておりますのは、新潟港、直江津港、関屋の分水、それから四国の下田港、たくさん河口河がございます。それから宮城県の石巻港、それから湖の口としましては浜名湖の問題は非常に大きな問題でございます。これは結局河口地は御存じのように河と海の合流点でございまして、これを無理に人為的に分けて行政区分を変えている、そのために我々まで研究乃至計画をやります場合に、人のところのデータをもらうか、或いは例えばここの港をやりたいと思つても、建設省のほうでこの川はあと廻しで研究するんだと言われますと我々河川の研究までやらなければならん、そうでないと河口の研究は成立たん、そういう非常に不便がございます。この問題は、そうほか海岸決壊の問題でございますが、海岸決壊の問題にしましても、港湾区域以外の海岸は建設省で研究する、それから港湾区域以内の海岸決壊は運輸省で研究する、こういう馬鹿げた分離の方法は、我々研究の面から考えますと、到底合理的なものとは思えません。
 それからさつき非常に問題になりました地盤沈下の問題でございますが、これはさつき又安藝先生がお話になりましたように、こういう問題は自然のありのままの姿を如何に眺めるか、それで又自然にそういう地盤沈下の現象がどのように起つているかという事実を知るということが第一でございます。その地盤沈下の自然のあり方というものを知つて、初めて本当の対策が立つて行きます。そうしますとこの研究は、立派な研究室で坐りながらやる研究じやなくて、本当に足と手を使いまして、十分なる調査網を張つてこのデータを集積するということが非常に大事になつて参ります。そのためには我々は地盤沈下の研究をします場合に、港湾地域だけの地盤沈下の研究を幾らいたしましても、殆んど総合的な結果は得られない。これは私自身が大阪の問題を研究しましたときの経験でございますが、港湾の研究部門に対しまして我々の研究を進めるのにはもう限度があつた、あれから一歩も出れない。それが一にかかつて総合的な研究ができなかつたということでございます。それでこう申上げますと、如何に我々の研究というものが土木の一つの大きな部門の一ブランチとして存在しなきやいかんかという理由がおわかりだと思います。ただ総合研究といいますか、合体、各分野が総合して研究するのは非常に大事だといいますが、機械的な何といいますか、形式的な合体が如何に有害であるかという例は、私が今所属しております運輸技術研究所で非常によく現われていると思います。これは私のほうの研究所は、船と自動車と飛行機と鉄道と港湾と、こういうふうに分れております。船のウエルデングとか飛行機のエンジンと我々の研究が如何なる相関性があるか、又何故に同じに一緒の所で総合研究しなきやならんか、私はあそこに所属しまして三年間、何らほかの部と通共の課題を持つたことはございません。それで徒に機構が複雑になり、我々の行動が阻害される。例えば土木研究所のほうでは委託研究とか受託研究、現場の研究を取上げます場合に、何ら法律的な束縛がないはずでありますが、私のほうは、一例としまして或る府県からその現場を見に来てくれ、ここはどういう計画を立てたらいいか指導願いたいという依頼がありましても、府県からの依頼出張というものは禁止されております。こういう馬鹿なことで、我々は欠勤して出掛けて行つております。仕事をするためにそういう阿呆なことをやつておるということは、我々の理解に苦しむところでございます。
 それから、機構の問題はその程度でございますが、ただ我々も木上研究室と一緒にされますと非常に困りますことは、一番最初に申上げましたように、現場の我々には一つのサービスということが非常に大事である。そうしますと研究所だけで土木研究所に行きますと、我々は又足が、現場との繋りが非常にむずかしくなつて来るという点がございます。でこういう問題を一貫的に扱いますならば、扱うためには、われわれのいわゆる運輸省に所属しております港湾局を建設省に持つて来て一緒にさせて頂きたい。そうすれば我々としては非常に能率的な仕事ができるのじやないか、これは私個人の考えでございますが、御認識して頂きたいと思います。
 それから機構の問題は余り触れますと混乱のもとにりますのでちよつと申上げかねますが、研究対象の問題でございますが、これはさつき安藝先生が言われましたように、安藝先生は非常にお骨折り下さいまして、資源調査会で海岸浸蝕の部会、それから最近は地震問題ですが、地盤沈下研究会、そういうものを開いて頂きまして、その方面の地球物理学から全部をひつくるめた研究、各方面から自分の資料を持寄りまして、それで討議する、それでお互いにこういうふうに進もうじやないかというところでお互いの方向を自覚しまして研究することができる。而もずつと資源調査会ができましてから長い間御指導頂きまして、安藝先生は、我々の研究を進める上におきまして、我々の上層部を非常に説いて頂きましたもので、非常に感謝をしておる次第でございます。ただ臨時的な仕事に追いやられて、基本的なことを忘れておるのじやないかということでございますが、我々は忘れておるのではなくてできない。勿論非常に努力してやつておりますが、やつておるという程度ではなく……、それは私どもで今定員が僅か三十名しかおりませんが、実人員は約七十六名おります。これはどういう操作をしておるかといいますと、建設局の材料検査場を拡充いたしまして、その人間を研究所の人間とこつちやにして使つておる。それで辛うじて当面の問題を処理している状況でございます。そういう点からも、統合ということをお考えになる際は、勿論私は大賛成でございますが、各機関の現状を考えられて、そうして考慮願いたい、そう思います。
#44
○委員長(石川清一君) 伊藤令二君。
#45
○参考人(伊藤令二君) 研究機関の統合について意見を申上げます。
 建設省の土木研究所、建築研究所、又は運輸省の技術研究所、三者はそれぞれ独立した存在の意味があると考えますので、これを統合することは好ましくないと思います。ただ運輸省の技術研究所の中で港湾関係の研究部門はこれを建設省の土木研究所に統合することが望ましいと思います。その理由は、その内容が非常に関連性があり似通つた点が多いのでありますから、これを統合することによつて研究の能率を上げ、その成果を増進することが期待できると思います。ただこれには運輸省の港湾建設関係もこれを同時に建設省に統合すべきものであると考えます。
 なお、各研究所についての基本方針とか或いは研究題目等に関して、これを全般的に調整することが必要だと思いますので、そのために横の連絡を取るための何らかの機関が或いは方法が必要だと思います。以上でございます。
#46
○石井桂君 大体それで非常に簡単ですが満足いたしますけれども、ちよつと速記を。
#47
○委員長(石川清一君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(石川清一君) 速記を始めて。
#49
○江田三郎君 さつきから研究費の問題が出ておりますが、参考に鹿島さん、お差支えなかつたらお伺いしたいのですが、あなたからでなしに所長さんからでしようが、一体鹿島建設というような研究所、これは会社とは別個のものでしようか。そこの研究費というのは、あなたのところの総事業量に対して幾パーセントぐらいになつているのですか。
#50
○鹿島守之助君 まあ私の考えでは、アメリカの民間の会社というふうなものは利益の一%に該当するものを研究に充てているようですですから大体そういうような心組でおります。それで皆一緒になつているのですね。会社の現業をやつている者も研究所の者も一緒にやつておりますから、給料というものもちやんと予算というのは全然なしに本社の人たちと一緒に支払つております。それから今甲野さんが言われましたが、研究費が足らないとおつしやつていますが、予算がないので、私は甲野さんにも必要な機械でも何でもあつたらどうぞ遠慮なしに申出て頂きたい、それで会社の都合で或いは即時に買えんということはあるかも知れないけれども、私は責任を持つて何とか研究のためには、ほかのほうは節約しても研究だけは事欠かないようにしたいということを申上げておりますが、甲野さんから何も申出がございませんでした。
#51
○江田三郎君 私お聞きしたがつたのは、民間の研究費と、先ほど来の例えば公共事業関係の伊藤局長が言われるように、せめて一彦、事業量の一考というような要望とどれくらいかけ離れているかということをお聞きしたがつたのですが、それはいいのですが、一つ土木研究所のほうにお尋ねしたいのですが、先ほど伊藤局長のほうから、例えば本来研究所で持つべき試験施設までも今ではどこかの工事費の中から出ている、こういうふうなお話がありましたが、そういうような本来研究所で当然持つべきものが、本年度七千百五十二万円という予算のほかにどれく一らいの量があるのかということ、それから来年度の予算の要求には、今伊藤局長が言われたような点を調整されて予算要求をされているのか、それから来年度の予算要求に当つては、例えば人員増とか何とかそういう点、どの程度のことを考えておられるのか、それをお聞きしたい。
#52
○参考人(佐藤清一君) 只今の御質問に対してお答えします。只今の工事費からの研究施設の点でありますが、これにつきましては若干の経過を申上げないとわかりにくいと思います。これは建設局からの要望に対しまして、河川の大型の模型試験、これは河川計画、河川設計のための模型試験でありますが、それとダムの設計のための水利模型試験、こういう五十里ダム、田瀬ダムその他八つのダムにつきましてございましたが、これも先ほど伊藤局長からもお話の通り、私どもの研究所予算として実は組込んで大蔵省に申込んだわけであります。ところが大蔵省におきましては、研究所の予算というものを、大体定員に対する。パーセント、それから研究費そのものは研究所総予算に対する。パーセントで抑えているやに聞き及んでおりますが、多分そうした関係であろうと思いますが、そのような施設を作るために多額の研究費を特別土木研究所につけることはできないと、こういうお話がございました。それでどうしたらこの建設事業に対する我々技術者として納得の行く計画なり設計というものを行なつたらいいのかということを重ねて折衝いたしましたところ、工事費よりという線が出て参りました。そのような過程によりまして施設が工事費で作られた次第であります。それに伴いましてそこにかかる研究費、試験費というものは、特に指定された、選定されたものに限り工事費の中から出すというような行き方になつたわけであります。
 そのような行き方になりました結果、二十七年度におきましては研究所費というものは六千百五十四万三千円でございますが、このほかに公共事業費のほうから約四千三百二十万円という金が研究費として出ております。それでその中の約二千七百万円ぐらいが、これがダムの試験施設になつておるわけであります。このほかに土木研究所の費用としては参りませんでしたが、只今伊藤局長かうのお話の通り、関東地方建設局の工事費それ自体において河川の研究施設、これを約三千万円ほどかけまして竣工したわけであります。
 このほかに種々な府県からの委託研究がございまして、その額は約二百万円に上つております。この委託研究はこの夏に建設省の委託事務規程というものができ上りまして、その線に沿いまして、法律的にも委託を受けられるような仕組になつて参つたわけであります。
 それから二十八年度におきましては、只今申上げましたような特別な研究施設というものが工事費かつは出ておりません。二十八年度の状況を申上げますと、研究所費としましては七千百五十万円でございますが、これに更に工事関係、事業関係からの直接の試験研究調査費といたしまして約二千四百万円ほど我々のほうで出ておる次第であります。二十九年度におきます予算要求につきましては、飽くまでも施設の増設というものは研究所費を以て賄わねばならないというふうに私どもも考えておりますので、これにつきましては、特にダム用セメントの節約のための研究施設、或いは地質調査のための調査施設、そういつた面におきまして特に要求しているわけであります。
#53
○江田三郎君 先ほど伊藤局長のほうから言われた標準設計の問題ですね、そういうようなことをできるような態勢が取れるのかどうかということ。それからもう一つは、民間の委託は受ていないのじやないかというようなお話がありましたが、受けているのか、受けれるのか、受けれないのか、受けれるようになつても、若しそういう委託がないとすればなぜそうなのか。
#54
○参考人(安藝皎一君) 初めに標準設計或いは仕方書或いは設計施工基準について申上げます。
 標準設計につきましては、これは只今のところ橋梁についてのみ標準設計を進めております。併しながな遺憾らがら設計陣営が甚だとしい現状にありますので、これが成果は遅々として進まない状況にございます。それから設計施工の基準につきましては、この点につきましても、これをできるだけ仕方書或いは基準の形において仕上げたいという方向に進んでおりまするが、これもその製作に専門に当るところの人員がございませんので、只今のところといたしましては河川堤防の基準、それから海岸堤防の設計基準というものがややできているという状態にしかない実情であります。この点も我々のほうにそれだけのスタッフが、陣容がございましたら、研究室のほうから上つて来るところの成果を直ちに応用いたしまして、これを基準なり仕方書の形に持ち込みたい、こういうふうに考えております。橋梁の仕方書につきましてはそのような点が一つありますので、これは外部的な委員会の形で仕方書をまとめつつある状況であります。
#55
○江田三郎君 民間のはどうです。
#56
○参考人(佐藤清一君) 民間の研究につきましては、これは極めて重要な構造物に限り受けることができるということになつているはずであります。併しながら現状を申上げますと、省としての事業に対する問題の研究に当るのが精一ぱい、これも例えてみますというと、今年の年頭におきまして原局及び各地方建設局の企画部長会等におきまして、研究所に持ち込まれました要望課題というのが、これはいずれも大きな意味の課題でありますが、これが三十四件ございます。併しながら我々が今までにこれを処理し或いはそれに着手しつつある件数というものは二十二件は未着手の状態でありまして、従いまして我々が今こなしつつあるというものは僅か三分の一にしか過ぎない、そういうような状態にありますので、省の直接の事業のための現地調査或いは研究実験を進めるということに精一ぱいでありまして、遺憾ながら民間からの研究が委託されましても受けることができない実情にあります。
#57
○委員長(石川清一君) 江田委員の質疑の前に、私がちよつと先ほど保界しておいたのをお尋ねしておきますが、民間の研究所が企業の支配を受けない、或いは営業に従属しないという立場に立つて研究費をどういうように求めようとしておるか、その点について先ほどちよつと発言を保留しておきましたので、安藤並びに甲野参考人のお考えを承わつておきたいと存じます。
#58
○参考人(安藤新六君) 従属しないと言いましたのは、主義においてですね、実際の経費はこれはもう全部営業費から出ておるのです。ですからその研究を委託されたからと言いてそこから金を取るわけでも何でもない。ですからその間の経費の出所は非常にあいまいですけれども、我々は直接その営業の面には関係しないという建前です。
#59
○参考人(甲野繁夫君) 先ほど私ちよつと言葉が足りませんで、或いは皆さん誤解をされたんじやないかと思いまして、ちよつと一言申述べたいと存じますが、研究費の不足というのは、これは実は文部省の科学試験研究所、それから建設省におかれましては建設省の試験研究所がありますが、そういうものに対しまして、私どものほうからいろいろ必要なテーマによりまして、申請いたしまして、そしてその面で補助金を頂きまして研究をしておる次第でございます。
 で、先ほどちよつと研究成果の面でウエルポイントについてお話がありましたが、これは文部省の科学試験研究費を頂いて実は研究の口火を切つたわけでございます。これは昨年度と前年度に互りまして二回の研究費を頂きまして、これを実際の現場に応用するということで研究費を頂いたわけでありますが、併し事実は、これではとても現場に応用するだけの金額には足らない。又これは勿論補助費でございますから、研究補助費を頂いておるわけでございますから、それで以て全部賄うというような考えは毛頭持つておりません。併しながらその補助費にいたしましても、やはりその額はもう少し多いほうが私どもとしては仕事がしいいと、こういう面をまあお話したわけでございまして、実際の研究費は、そこまで研究が具体的に参りますれば、私どもとしてはその都度研究費を申請いたしまして、そうして処理しておるわけでございますから、先ほど不足ということを申上げましたが、そういうような、折角こういうテーマがよろしいということでこれを文部省なり建設省なりでお認め下さいますのに対しましては、できるだけ十分の補助額を頂きたいと、こういうふうにまあ希望申上げた次第でございます。その点ちよつと申上げておきます。
#60
○鹿島守之助君 ちよつとそれに関連して。営業には全然研究所は従属しておりません。その一つと例として、或るダムで砂利が使えるかどうかということを研究所のほうへ試験に持つて来た。小野田セメントの研究所、それから成る大学の研究所、名前は忘れましたが、大学の研究所は、その砂は使えるという研究です。併しながら我が研究所では使えないという断定を下しましたが、それで営業部面から非常に怒られまして、研究所でそういう判断を下されては困るという話が営業面から出ましたけれども、私は、研究所というのは真理は真理なんだから、研究所が砂を使えないのなら使えないとおつしやつて結構だと、こう申上げている。まあそこが鹿島研究所の信用だと思う。営業でない、とにかく真理は真理なんですから、それはそれでよろしい、こういうふうに私は申上げておりますから、その点一つ御了承願いたいと思います。
#61
○石川榮一君 大分遅くなりますから簡単にお伺いしますが、治山治水を中心としてお尋ねしたいのですが、私は安藝先生、石原先生等から伺いたいと思います。
 現在の災害の状況から考えまして、治山治水の重要性はもう論を待たないのでありますが、ややもすると治山治水が地表面のみに研究せられまして、地下水、いわゆる地下を通して災害を防除するというようなことも一つの構想ではないかと我々考えますが、そういう御研究がありますかどうかを伺いたいのであります。
 それからもう一つは、堤防が逐次増強せられまして、災害のあるたびごとに増嵩され、或いは河幅が拡張されるというような状況にあるのですが、この狭い土地を、而も河川の周辺の平野は非常に肥沃な平野であります。そういうものは全く貴いものでありますので、こういう観点からも、将来洪水のような場合にいわゆる地下水を利用して、地表面を流れる河川を地下水からもこれを下流へ落すというようなことも考えてみる必要があるのではないかと考えておりますので、その地下水を利用するということは、一面には工業用水或いは小都市の上水道、小さな灌漑用水というようなものも、その地下水の培養によりまして非常に経済的な効果があるのではないか。例えば利根川にいたしましても北上川にいたしましても、あの流れる川を対象としての研究をなさるだけでは物足らない、こういうふうに思うのですが、これらに対しての御研究があられましたらばお伺いしたいのと、それからもう一つは、農林省の土地改良事業は非常な速度で進捗いたしております。今まで河川の災害というものは、治山、即ち山が荒れたから災害が起ると言われておりますが、将来山を整えましても、この河川の流域にある広大なる平野の貯溜が一度に本流に殺到して来るという現状から、そうなりますと時間的な時差等も或いは一致して、上流のダムができ、或いは山林の要するに植林等の関係で治山ができるということになれば、或る程度は防ぎ得ましようが、例えば利根川におきましても六十万町歩に及ぶ平野がある。ここに貯溜するところの水は厖大なものだと思う。これは御承知のように各地に相当な湛水があるといたしまして、おのずから利根川はその他の河川の災害を消極的に防ぐ形になるのですが、これらを改修して参りますと、一度に何十万町歩という、今まで災害防止に役立ち得たところの平野地湛水が一度に殺到するということになりますると、一層災害が起つて来るのではないかと、こういうような心配があるのですが、治山治水の面から土地改良事業が全面的に進捗し完成するときが仮にあるといたしますれば、又河川改修に対しまして又別な観点から計画を立て直さなければならないと思うのでありますが、この二つの点を一応お伺いしておきたいと思います。
#62
○参考人(安藝皎一君) 私の私見を申上げておきたいと思います。
 先ず最初に地下水の問題でございますが、洪水の場合に洪水を地下へ通して洪水の災害を防ぐと同時に地下水として利用して行きたいという例は、私の知つておる限りでは日本でも一個所考えた所がございます。これは洪水を地下へ吸収させるということは、よほど吸収しやすいような条件の所でないとなかなかできませんので、私どものいたしましたのは那須野カ原についていたしたのでありますが、かなり吸収し得るような地があるだろうと思います。この問題はアメリカではやつております。西部のほうの諸河川では洪水を地下へ吸収いたしまして、洪水を、何と言いますか、粗筆な土地へばらまきまして、そこで地下へ吸収させて、地下水として更に利用して行くというお話のようでございますが、これは日本でも特別な所は考えることができるのじやないかと思います。そういうような方式でやります所は余りだくさんはないと思いますが、やはりそこのところは考えるべきじやないかと思います。
 それから地下水の利用によりまして、地下水という形に変えて洪水を防ごうということは、山の状態をよくしようというのもその一つだろうと思いますが、恐らくその可能性については私どもは研究すべきじやないかと思います。
 それから二番目の土地改良によります結果が川にどういうふうに出て来るかというお話でございますが、これは私は今日の洪水は以前と少し変つた様子をしておるのじやないかということ、も、多分にそういうところから来ておるのじやないかと思います。先ずその氾濫をとめるためにやつた措置が、氾濫をとめるために堤防を作る、堤防を作りますれば洪水の形は変つて参ります。洪水の形が変つて参りますと、単にその洪水の形が変るだけでなくて、川自身が変つて来るということが考えられます。それでございますから一応下の、下流の平地で以て今まで調整されて来た分が、それが洪水として入つて来るならば、その分だけは又別の方法で考えなければならない。別の方法で考えるということになりますと、上流で調整するか、或いは今まで下流で調整しておりましたものをもつと人為的と申しますか、人間がコントロール、支配できるような形でそれを調整して行くという、そういう問題が入つて来ると思いますが、そういたしますと先ほども申しましたように、土地利用の、土地の経営という問題といろいろ関連して参りますので、そういう方面の研究というものも併せて行かなければならないと思います。でございますから今後複雑になればなるほど、私は実態をつかみ、新らしい条件を作つた場合に、今度は例えば農民なら農民、山で生活をしている人たちがどんなふうな暮しができるかという点までの研究を積まない限りは、無計画には私は仕事はなかなかできないのじやないかという気がしておることを申上げたいと思います。
#63
○田中一君 これは安藝さんに伺いたいのですが、あなたのほうの手許に資料が出ていないかも知れませんけれども、今文部省並びに建設省に建設関係の研究を委託しております。これが現在の日本の状態から見て、いわゆる最短距離で成果が上るというような一貫した体系を持つている研究費の補助の仕方をしているか。或いはその部門部門の一応のその基礎的な研究に終つておつて、これを全部まとめなければ国家的な価値といいますか、例えば総合した成果というものは上らないのじやないかという二つの疑問をどういう工合に考えておりますか。
 現在のような機構といいますか、或いは研究補助費というものの出し方で、実際に最短距離で日本の国土事業といいますか、国の開発という面がかなり成果が挙げ得るような方向に進んでいるか。これは又そうでないとするならばどういう方向に、方法で以てやつたらいいかという考えが、あなたは随分そういう何のほうも知つておりますから、一つそれをお話して頂きたいと思います。
#64
○参考人(安藝皎一君) 只今のお尋ねでございますが、現実に近年建設省なら建設省の研究費がどんなふうに、それで補助金がどんなふうに使われておるか、実は私存じませんで、誠に申訳ありませんが、科学研究費のほうも、今日の動きはむしろ石原教授のほうがよく御存じだと思いますので……。
#65
○参考人(石原藤次郎君) 只今の御質問でございますが、御趣旨に副うような配分を私は文部省の委員としてして来たつもりであります。併し何分にも総額が非常に少いものでございますから、その間一貫性のある研究を完成するまでにはよほどほど遠いものと考えざるを得ないと思います。文部省関係では科学研究費と言いまして基礎的な部門をやる、それから試験研究費と申しまして基礎的な応用部門をやる研究費がございますが、その間おのずから一貫した方向に研究が進むように委員として努力したつもりであります。併し先ほど申しましたように研究費の総額が非常に少いということ並びに大学関係の経営費が非常に少いという事実のために、それがうまく実を結ばない現状にあるように考えます。
#66
○田中一君 建設省のほうの補助は、大体申請して来て補助金の交付を決定するようですが、文部省のほうもやはりそういうふうな形で以て申請したものに対して是非を判断して、補助する補助しないのをきめるのか、どういうことになつておりますか。
#67
○参考人(石原藤次郎君) 文部省のほうは自由課題でございますから、各研究者が自分の能力並びに組織並びに大学の設備その他に応じまして、最も有効に成果を挙げるような課題をみずから選んで申請しておるわけであります。その判定をして補助金をきめております。建設省のほうは要望課題が出ておりまして、建設省の行政に副うような要望課題が出ております。それに応ずる要望でありまして、建設省が査定するということになつております。
#68
○田中一君 そうしますと、一つの目的ですね、大きな総合的な目的のために或る機関をきめて、研究して、それをまとめて行くという形でなくて、学問的に見て、技術的に見て、これはこの研究が必要だというものに部分的に補助金を交付するという形が実態なんですね。
#69
○参考人(石原藤次郎君) 文部省のほうはそういう形にならざるを得ないと思います。併し建設省のほうは建設省の行政に関連して一貫したものを狙つておると思います。
#70
○田中一君 土木研究所と建築研究所と、今の質問同じようだと思うので御答弁願いたいと思います。
#71
○委員長(石川清一君) 今の質疑に対して土木研究所の佐藤清一君、お答えを願います。
#72
○参考人(佐藤清一君) 建設省の助成金につきましては、先ず建設省内の建設事業遂行のために必要なる課題のうち、土木研究所において現に行いつつある研究課題を除きまして、重複しないようにいたしまして、これを要望課題としてやつている次第であります。これにつきましては、出された課題を見ますと、個々別々のように受け取れるかも知れませんが、私どもの研究所から見ますというと、研究所として何を研究しなければならないか、建設事業行政のためには必要であるかという点を睨みまして、その上で私どもの研究所自体の研究課題として各部門において取上げておるのでありますが、これを更に敷衍する意味或いは補充する意味において要望課題を省内から集める、こういう考え方で臨んでおります。
#73
○参考人(藤田金一郎君) 私も建設省の中におけるそのようなと申しますか、建設省建設技術研究補助金の配分に委員として関係いたしておる者でございまするが、既往数年間に亘りまして一応一貫した方針をとつておるのでありまして、大体は今土木に関連して佐藤さんからお話の通りでありまするが、建築について多少これを敷衍して申上げますことにいたします。
 課題によりまして多少の考え方の差異はございまするけれども、一口に申して、全体を通じて建設省として必要なる研究のうち、各研究所が手不足とか或いは本来の予算が足らないためにできないとか、或いは施設のないためにできないとかいうものが多く要望課題として外に委託せられると、こういうお考え頂いて大きな間違いはないと存じます。それにいたしましてもいろいろな様相のものがありまして、先ほども私建築研究所の事業計画を御説明いたしましたうちにも申上げました通り、大体大学とか外の研究所の研究の成果を利用して、これを目的的に応用的に業務に必要なる研究に持つて行くというところは私どもの研究所でやるのでありまするから、現在は手か足りなくても将来やらなければならんという見通しの研究課題を先ず先に外へ調査を御依頼する、かなり基礎的な部門を御依頼する。或るものは一応応用的にも見えまするけれども、現在手不足で一向進みにくいというような問題を外に出しまして、そして出て参りましたものはそのまま応用的に役に立つものも若干はありますが、そのかなりな部分は、一応研究所のもう一度実用的な観点に立つ研究を通して具体的の設計となり、仕様書になるものも相当あるのであります。先ほどこの後者について少しく詳しく申上げたわけでありまするが、そのように多少いろいろな観点で問題を出すのでありまするけれども、大体は研究所と密接な連絡の下に重複と無駄のないように、それだけでは応用成果がなくても、やがては研究所で取上げ、これを総合して、目的的な研究を通して業務に密着させる、こういうような見通しのあるもののみを出しておるというようなわけであります。
#74
○田中一君 そうすると文部省にしても建設省にしても今のような予算の仕方、研究費の補助を配賦する形でいいのだというような結論になつてよろしいのですか。これは石原さんに。
#75
○参考人(石原藤次郎君) 私は今のような状態で結構だと思うのですが、要するところ金額が少いのだと思います。金額が今の三倍くらいになれば、文部省関係には非常にたくさんの研究者がおるわけでございますので、いずれもその所を得て十分な成果を挙げ得るようになるのではないかと私は考えております。
#76
○田中一君 総合的な一つのテーマで以て一年なら一年、二年なら二年という計画でまとめて、一つの最短距離で成果を得るというような考え方で補助しておるのか。それをそうでなくて、部分的に、これもやらなければならない、あれもやらなければならないということでやつておるのか。その方法はどつちがいいとあなたは学者としてお考えになつていますか。
#77
○参考人(石原藤次郎君) 文部省関係には基礎的な研究を助成するためにその部門を部分的にやつておるのと、それから或る一貫した目標を狙つて総合的にやつておる、二種類の研究費があるということを申上げたのであります。
#78
○飯島連次郎君 重複しない点を一点だけお尋ねいたします。
 これは先ほど伊藤局長から御発言があつたのですが、科学技術者の行政面への登用という問題、それからもう一つは科学技術者に対する取扱の是正といいますか、そのうちの一つとして給与改善等の問題の御意見があつた。この問題については私どもも多少ほかの関係からもしばしば聞いておるところですが、これに対する建設的な試案があつたら、一つ御列席の皆さんのお立場で、大学関係とか或いは直接行政面においでになる方々は若干お立場も違うと思いますが、二、三の御意見をお伺いいたします。なお、この点に関して若し必要があれば速記はとめて下すつても結構です。少し具体的な或いは端的な御意見をお聞かせ願います。
#79
○委員長(石川清一君) 只今飯島君の御質疑に対して速記をとめますが、一つざつくばらんに御発言を願います。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#80
○委員長(石川清一君) 速記を始めて下さい。只今飯島委員の発言に対しまして速記をとめて御懇談いたしましたが、技術者の優遇或いは技術者が行政に能力ある者を十分活かしめる行政措置、これに関して技術者をそうせしめるべき点については、特に大学関係の研究機関が容易に活動され得るような予算、或いは社会的な情勢がかもされなければならん、こういうような御懇談がありまして、いずれ明日の委員会でもこれらの問題が検討されると存じますが、更にこの点について安藝皓一君から発言がございます。
#81
○参考人(安藝皎一君) 私今考えておりますのは、建設のあり方と申しましても、やはり日本の経済のあり方と不可分の問題なのでございまして、私は一番今希望いたしますのは、日本の経済のあり方そのものがもう少し合理的なものであつて欲しいということなんであります。結局あり方の筋道が合理的に行けば、それに応じてすべてのものがついて来るのじやなかろうかと思うのでございます。そういう点から申しましても、私先ほどから、日本の非常に逼迫した経済の中で、非常に複雑であり、而も今日のように狭いところに多くの人間が住んでいるというような現状から申しましても、一つの災害そのものでも非常に多面的にあつちこつち響いて来る面が多い。
 そこでやはり災害の対策にいたしましても、全体の形から申しまして、その災害をどういうふうに防いで行くかということ自身も経済のあり方と不可分のものじやないか。災害の対策等に研究が非常に大きく要請されて、そのために一つプログラムを持たなければならないということを申しましたのも、経済のあり方と関連のある形で持つて来なければならないのではないか。その意味から申しまして、具体的に申しますれば、私は現在の経済審議庁というようなあり方が、最もああいうところに自然科学的なもの、技術的なものが反映できるような形で、全体の一つのプログラムを持ち、今後どういうふうに日本が進んで行かなければならないということをそういうところで考えて頂きたい。それは今でも進んで来ておるわけですが、建設というようなものそのものも、日本の経済のあり方と不可分なものであるという点、そうしてそれを本当に進めて行くには、やはり経済のあり方そのものがもう少し合理化されて行くことが好ましい。そうした筋道がはつきりして参りますと、それに附随して必要な考えなければならない問題がおのずから出て来る。而もそれが伸び得るのじやないだろうかというふうに思うわけでございます。とにかく非常に現象は複雑なのでございますから、複雑なことを申上げますのですが、複雑なのでございますから、これを解いて行くのは技術的な面からだけでも解決つきませんし、同時に私はただ経済的な面からだけでも非常にむずかしいのだと思います。こういう問題は一つの一体的な問題として一つの計画が持てるようなあり方にならなければ、なかなかそ旨的は達せられないのではないかというふうに思うわけでございます。
#82
○江田三郎君 ちよつともう一つだけお尋ねしたいのですが、先ほど聞こうと思つて忘れてしまつたのですが、先ほど安藝さんの言われた一つのプログラムを持つてやつて行く、と同時にそういう立場からやつている仕事を観察するというようなことをおつしやつたのだろうと思うのですが、そういうことになると、一体どういう機構でプログラムを立てるということは、まだこれはいいと思うのですが、その監督をして行くというのはどういう機構でやつたらいいのですか、やはり経済審議庁というような、そういう構想でお考えになつているのですか。
#83
○参考人(安藝皎一君) 私は大体そういうふうな考え方なんでございますが、今計画そのものを別の機関が作りまして、その計画に従つ政府の諸機関が全部動けということは、それは困難だと思いますし、それぞれのところでやはりそれぞれの責任を持つて、現在の行政的なところで責任を持つてやつているわけでございますから、それに対して指示と言いますか、方向を勧告するというような形であつたのがよいのではないか、そうしてその勧告に従つて現実に又動いているかどうかということを常に追跡して行つて、全体として筋道の通つた方向で進んでいるかどうかということを私はトレースすべきではないかというふうに思うわけです。
#84
○江田三郎君 それは例えば土木研究所というようなところでそこまでの仕事をするということはできませんか。
#85
○参考人(安藝皎一君) これは私は土木研究所は、その中で土木研究所として当然分担すべき事項があるのではないかと思うわけです。
#86
○委員長(石川清一君) それでは参考人各位に御挨拶申上げたいと存じます。
 御多忙なところ長時間御貴重な御意見を拝聴いたしまして非常に感銘をいたしました。要するに本日の御意見を通じて感じさせられますことは、日本の科学技術水準が世界の列国に比して十年前後遅れておる。そのためには技術の導入或いは技術者の海外派遣、更に技術者の技術面の尊重更に技術研究員の集団的な活動を容易ならしめる行政機構並びに予算等の措置がとられなければならん。そのためには国の総合された、一貫をしたプログラムが、単に技術ばかりでなくて、総体の経済の面で非常に重要である。大体こういうような御意見を拝聴いたしました。
 明日は行政機構の改革並びに二十九年度の予算について当委員会が審議いたすことになつておりますが、委員各位と十分懇談をいたしまして、皆さんの御研究の盲点を解決するようにいたしたいと存じております。当委員会のために御熱心な説明を頂きましたことを深く御礼を申上げます。
 本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(石川清一君) 御異議ないと認め、これを以て散会をいたします。
   午後五時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト