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1947/12/06 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第29号
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1947/12/06 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第29号

#1
第001回国会 予算委員会 第29号
昭和二十二年十二月六日(土曜日)
    午後一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 小島 徹三君 理事 苫米地英俊君
   理事 庄司 一郎君 理事 川野 芳滿君
   理事 東井三代次君
      田中 松月君    海野 三朗君
      加藤シヅエ君    河合 義一君
      黒田 寿男君    島田 晋作君
      竹谷源太郎君    中崎  敏君
      中原 健次君    西村 榮一君
      川崎 秀二君    古賀喜太郎君
      五坪 茂雄君    佃  良一君
     長野重右ヱ門君    山崎 岩男君
      淺利 三朗君    磯崎 貞序君
      小峯 柳多君    西村 久之君
      今井  耕君    大神 善吉君
      中村 寅太君    野坂 參三君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
 出席政府委員
        大藏事務官   福田 赳夫君
        大藏事務官   今井 一男君
 委員外の出席者
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
十二月五日
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第五號)
十二月六日
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一一號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第五號)
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一一號)
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 それでは會議を開きます。
 これより昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)、昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第五號)と、本日提案になりました昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一一號)を一括議題といたします。まず政府の説明を求めます。栗栖大藏大臣。
#3
○栗栖國務大臣 最初に昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)及び昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第五號)について御説明申し上げます。
 この補正豫算は、政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案に伴う必要な經費につきまして、補正豫算第一〇號及び特第五號といたして提出いたしました次第であります。
 まず一般會計豫豫補正について申し上げます。この補正豫算第一〇號の歳入歳出は、おのおの十五億千二十四萬圓の増加でありまして、これをすでに成立いたしました昭和二十二年度豫算額、及び今次國會に提出中の補正豫算額との合計額、二千七十二億五千二百七十餘萬圓に加えますと、二千八十七億六千三百餘萬圓と相なります。この補正豫算の内譯を申し上げますれば、政府職員に對し特別の一時手當支給に必要な經費として、一般政府職員に對する分五億九千四百六十餘萬圓、地方公共團體補助職員に對する分三千六百九十餘萬圓、地方警察職員に對する分一億千九百六十餘萬圓、義務教育職員に對する分二億九千八百四十億圓、計十億四千九百六十餘萬圓、厚生保險特別會計所屬職員に對する特別の一時手當支給の財源の一部を、一般會計において負擔するため三百五十餘萬圓、大藏省預金部、國有鐵道事業、通信事業、簡易生命保險及び郵便年金の各特別會計の經理の状況に鑑みまして、今囘關係職員に對する特別の一時手當支給に必要な經費等の財源については、當該會計において調達し得るものを除き、一般會計より繰入れることといたしましたので、大藏省預金部特別會計へ繰入九千六百二十餘萬圓、國有鐵道事業特別會計へ繰入九億九千三百餘萬圓、通信事業特別會計へ繰入五億餘萬圓、簡易生命保險及び郵便年金特別會計へ繰入九千百三十餘萬圓、計十六億八千七十餘萬圓、政府職員に對して一時手當支給に伴いまして増加する所得税の收入の一部を地方公共團體に分與するため、地方分與税分與金特別會計へ繰入一億七千五百餘萬圓、以上合計二十九億九百餘萬圓を追加いたしますのと、政府職員の増加抑制の趣旨から、既定の人件費豫算を三億九千八百餘萬圓節約いたすこととし、なお豫備費の既定豫算について十億圓を修正減少いたしまして、差引補正増加額十五億千二十餘萬圓と相なつておる次第であります。この歳出豫算補正増加額の財源といたしましては、所得税收入の増加七億三千六百萬圓、刑務所收入の増加六千八百七十餘萬圓、特許發明明細書、實用新案公報拂下代六百餘萬圓、家畜拂下代の増加二百十餘萬圓、日本蠶絲統制株式會社の解散に伴う政府出資金收入二千三百十萬圓、公共團體工事費納付金及び分擔金二億五百三十萬餘圓、間接國税犯則者納金の増加二億千六百十餘萬圓、病院收入の増加一億三百八十餘萬圓、電力超過算料金一億四千萬圓、前年度剩餘金九百餘萬圓と相なつております。
 次に特別會計豫算補正(特第五號)について申し上げます。
 特別會計豫算補正は地方公與税分與金特別會計外十九の特別會計に關するものでありまして、その豫算補正額は各會計を合計いたしまして、歳入歳出ともおのおの二十一億七千四百十餘萬圓の増加と相なつております。
 この内譯は政府職員に對し特別の一時手當支給に必要な經費十九億七千二百八十餘萬圓、右の一時手當支給の財源として他會計または他勘定へ繰入一億九千七十餘萬圓、地方分與税分與金の増加一億七千五百餘萬圓、合計二十三億三千八百六十餘萬圓を追加いたしますのと、既定の豫備費豫算等を一億六千四百四十餘萬圓修正減少いたしまして、差引二十一億七千四百十餘萬圓の増加と相なる次第であります。
 右のうち、國有鐵道事業特別會計工事勘定所屬職員及び通信事業特別會計建設勘定所屬職員の特別の一時手當支給に必要な經費の財源は、これを公債金收入によることといたしました。その金額は國有鐵道事業特別會計におきまして六千六百八十餘萬圓、通信事業特別會計におきまして三千五百四十餘萬圓であります。
 以上をもちまして、昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)及び昭和二十二年度特別會計補正(特第五號)の説明を終ります。何とぞ御審議をお願いいたします。
 次に昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一一號)について御説明申し上げます。
 この補正豫算は内務省の廢止に關する豫算措置その他緊急必要な經費等につきまして、補正豫算(第一一號)といたしまして提出いたしました次第であります。この補正豫算(第一一號)の歳入歳出は、各六億千九百七十餘萬圓の増加でありまして、これをすでに成立いたしました昭和二十二年度豫算額、及び今次國會に提出中の補正豫算額との合計額二千八十七億六千三百餘萬圓に加えますと、二千九十三億八千二百八十餘萬圓と相なります。この補正豫算(第一一號)の歳出の内譯を申し上げますれば、内務省の廢止、建設院内事局及び地方財政委員會の設置等に伴う經費の増加一億七千三百十餘萬圓、第一囘國會の會期延長等に伴い必要な經費三千二百四十餘萬圓、議員會館敷地買收に必要な經費九百十萬圓、掠奪物件處理事務に必要な經費百二十餘萬圓、納税運動實施に必要な經費二千萬圓、租税收入確保のため必要な經費一億八千四百萬圓、物資の隱退藏事件處理のため必要な經費六千八百五十餘萬圓、牧野開放等農地改革關係法令改正に伴い必要な經費三千八百八十餘萬圓、自家用發電施設活用に伴い必要な經費九千二百四十餘萬圓、合計六億千九百七十餘萬圓と相なつております。この歳出豫算補正増加額の財源といたしましては、地理調査所における地圖拂下代千九百六十餘萬圓、前年度剩餘金受入六億十餘萬圓、合計六億千九百七十餘萬圓を充當致すことといたしました。
 以上をもちまして、昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一一號)の説明を終ります。何とぞ御審議をお願いいたす次第でございます。
#4
○鈴木委員長 ただいま三案を一括して政府の説明を求めたのでありますが、質疑は十一號をあとにいたしまして、まず一般會計補正豫算の第十號と特第五號、すなわち官公吏に對する給與に關する費用の議案、この兩案を先にいたしまして、これに對する質疑はございませんか。
#5
○中原委員 この追加補正豫算につきまして特に注目されるのは、先に全遞その他の官公廳關係の勞働組合から、中央勞働委員會に向けて提訴いたしておりました臨時給與に關連するものであります。中央勞働委員會の裁定にこたえるためのものでございますが、このことはすでにこの國會の初めにおきまして、總理大臣はもとより大藏大臣におかれましても、その他の各閣僚諸公におかれましても、勞働問題に對する態度としては、勞働委員會の決定を尊重して、勞働委員會の示すところに從うという誠意を宣言されておるものと考えるのであります。しかるに今度たまたま中勞委の裁定が行われて、政府に向けて即時補給臨時手當の支出をするようにということを申し入れてまいつたのでございますが、政府としてはこの非常な緊急事態に對して相當時間を經過したばかりか、いわゆる二・八箇月分の臨時給與金を出すというそのことに對して、ようやく一箇月分をしかここに上程しておいでにならないのであります。もちろんこれは財源を求めるために、非常な御苦心のおありであることは、私どもは十分察知することができるのであります。しかしながらこの財源捻出の苦衷にもかかわらず、政府の誠意が未だなお足りないという感を呈しておることは、はなはだ遺憾に存ずるところてあります。從つていまお尋ねいたしたいと思いますことは、この財源について、このようにいわゆる四苦八苦して財源をほじくりまわるというようなやり方を、なお續けてまいるというようなやり方でなくして、もう少し積極的に財源を穿鑿するという態度が必要ではないか。なるほど一箇月分はこれをもつてことが足りるでありましようが、あとになお一・八箇月分というものの措置が殘つておるわけでありまして、この一・八箇月分の措置を、依然としてこのような姑息な財源を穿鑿することによつてこたえようとするならば、おそらく相當時間を要するのではないかと思います。從つて今度新たに引續いて給與しなければならない一・八箇月分に對する心構えと、そうしておよその見透し、それらの點についての大藏大臣の御見解をこの際承つておきたいと考えるものであります。
#6
○栗栖國務大臣 ただいまの御質問に對し、かつまたこの機會に今までの經過その他を差支えない範圍において申し上げたいと思うのであります。中勞委の裁定その他の基礎につきましては、政府といたしましても若干の問題はあるにいたしましても、中勞委の裁定を能う限り尊重するということは、政府として終始變らない態度でございます。ところでこの問題を實行いたしますには、豫算的な措置をもちろん必要といたしますし、豫算の措置につきましては、財源というものを捻出いたす必要があるのであります。そこで私大藏大臣といたしましても、財源の捻出は一般會計のみでなしに、特別會計についても、十分その捻出方法を考えていきたいということで、閣議でも特別會計、殊に鐵道、通信の特別會計、一般會計でも能う限りの財源を捻出するということに申合せをしまして、それで特別會計及び一般會計で財源の捻出ということを考慮いたしたのであります。ところでそういう點におきまして、關係筋の方面におきましては、十分充實した財源によつてこれを賄うということに相なりますので、いろいろ交渉いたしておりますし、また關係筋におきましても、内部的に會議を續けておるのでありまして、まだその筋との關係が十分妥結しておらぬのであります。そこでこの問答というものが非常に延び延びになつておるのであります。しかしながら政府といたしましては、こういうことは十分考えたのであります。この年末の特別手當といたしまして、それは中勞委の裁定金額の一部をなすものということを前提といたしますけれども、とにかく特別手當としてこれを拂う必要がある。具體的に申しますと、月末もしくは二十日前後に毎月拂う給料が繰上げ繰上げいたしまして、その月の初め、すなわち今月で申しますれば、十二月分の給料を十二月一日に拂う、こういうことに相なつておりますので、これをそのまま續けていきますと、何か一箇月分の足らないものが出てくるのであります。そこでこれを埋める。それと同時に將來は月々に支拂う給料は、月初めでなしに二十日ごろ、すなわち正常なる状態に返すという意味と兩方もちまして、すなわち一方はこの官公吏の非常な苦しところに對しての特別手當というような意味、それから他方においては月初めに繰上げて無理な支拂いをしているのを是正する意味との兩方をもちまして、とりあえず一箇月分の給料を支拂うということにいたしたような次第であります。これは中勞委の裁定をこの一箇月分で打切ろうとかいうような考えは、政府には毛頭ございません。そこでなお財源を見つけ、その筋との交渉を續けまして、殘りのものについても十分考え、そして處理していくということで、ただいまも交渉その他を續けているような次第であります。いま一つ、この一箇月分の特別手當でありますが、これも月末に拂うというのでは、非常に意味のないことになりますので、少くも月なかまでにお拂いをいたしたいと思います。月なかまでにお拂いをいたしますにつきましては、さし迫つてまことに恐れ入る次第でございますが、どうしてもこの臨時議會に提案いたしまして、そして御承認を得ないと、時期をはずすというような立場になるのでございます。特にこのものを切離し、そしてとりあえず處置として提案をいたしたような次第でございます。この支拂をいたすにつきましては、一時一般會計だけのの財源によりまして、特別會計も立替えて繰入れをいたしておきます。しかし特別會計へ繰入れは、先般御承認を得ました七十五億の金額と同じように、後に返していただくということにいたすわけであります。そして特別會計及び一般會計分をこれで支拂いをいたすわけであります。大體二十七億くらいでございます。なお公吏をどうするかという問題がございますので、公吏についても關連した問題としてここで補足いたしたいと思うのであります。公吏はやはり官吏と同じ竝に支拂うという必要があるのであります。しかし官吏と同じ竝に支拂いますけれども、その財源をいかにするか、こういうような問題があるのであります。地方財政の困難もまた非常な状態でございまして、これを單なる金融でというようなことではとうていできない。そこで官吏と公吏との間にいろいろ食違いが生じても困るわけでありまして、政府といたしましては、先ほど御承認を得ました追加豫算の中の分與税の分與金を、とりあえず十五億ばかりでございますが、先に交付しまして、それによつてとりあえず拂わしておくということにいたすのであります。それならば、地方財政では十五億ばかりの不足が三月末までには出るわけであります。それを補うためにさらに、これもまことにどうも恐縮しているわけでありますが、ついこの臨時議會で住民税の引上げをお願いいたしまして御承認を得たわけでありますが、それをさらにこの二分の一倍だけ引上げようと、まことに異例でございますけれども、こういうような手續をいたすように相なつた次第であります。そうしますと地方廳としましても、結局において借入金とかその他、それ以上地方の財政を困らすことがなしにこの處理ができる、かように考えるような次第であります。それによりましてこのとりあえずの處置をいたしたいと思うのであります。しかしながら政府といたしましては、こういうことも考えなければならぬのであります。これは中勞委の裁定にもありましたように、他の民間の企業と違いまして、官公吏が民間の企業よりも低い水準の給料等のために生活が非常に苦しくなつている。それを補う意味において一時手當を出すのでありますから、この趣意は、またこれにならつて民間の企業が、さらにそういうものを加えるというようなことは妥當でないわけであります。今囘の措置は、官公吏に限る措置であるということをきめまして、民間等についてはそういうことをさせないようにいたした次第であります。民間等が借入金その他によつて、さらに一月分のものを別に正規のもの以外にまた支拂うというようなことは、借入金その他の措置の際にも十分愼しんでもらう、そしてそういうような資金の融通はしない、こういうように考えている次第でございます。
#7
○中原委員 いろいろ御説明をいただきましたが、このことに關連してすぐ一つの予盾にぶつかるのであります。それはせつかく勤勞者に對して手當金を不十分ながらも支拂うというときに、その財源の中に所得税の自然増收というものが出てまいるわけであります。言うまでもなく所得税の自然増收とは、勤勞者が今日の窮状の中から訴えてきたその要請にこたえる手當金の増額のはね返りというような事柄になつてまいります。言れかえますと、勤勞者は自分の要求したもののその所得から、またはね返りに返納をして、それをいわば名目的に受取る、そういうようなはめに陷つてまいるわけであります。もちろんそれは現行税法の命ずるところでありまして、今の場合如何ともいたし方のないことではありますが、そういう予盾に逢著する勤勞者の立場に對して、大藏大臣はどういう御所見をおもちであろうか。やむを得ずということでなくて、そういう予盾を痛切に經驗するこの瞬間に、何らかお氣づきのことがありはすまいかというふうに思うのであります。餘裕をもてる人々が臨時手當を給與していただこうというのではないのであつて、せつかく不十分ながらも給與されるその餘與が、さらに反對にはね返つて政府の歳入面に繰入れられていくということに對しては、少くも勤勞大衆の立場に、十分の理解をもたれる大藏大臣とされては、そこに大きな矛盾を見出されなければならぬと思います。それについての御所見を承つておきたいと思います。
#8
○栗栖國務大臣 ただいまの御質問でありますが、官公吏の生活の苦しいこと、そして特別手當を出してもその一部がさらに税として取上げられる、こういうことは官公吏の生活というものを見ますと、まことに氣の毒にたえない次第であります。しかしこれは日本の終戰以來の占領下の現状で、財政需用が非常に大きいということと、それからまた民間の企業に働いておりますところの勤勞者もまた同樣に、やはり一定の所得に對しては一定の税の負擔をいたさざるを得ないようなはめになつておりますので、今囘といたしましてはこれはいたし方がないということで御了承願いたいと思うのであります。しかしこれは二十三年その他につきましては、廣く一般に勤勞者の生活の安定というような點を考え、そして税制等にも相當の所要の改正をも加え、そしてこういうような勤勞者の課税負擔を、なるべく輕減するというような方針に進みたいと考えておる次第でございます。
#9
○中原委員 勤勞者のための所得税は大きな問題であつて、これをただこのままに課税することは、もはや何人もが認めておりません。大臣も申されましたように、ほんとうに熱意をもつてこのような矛盾の解消のために、一層の御努力を願いたいと思います。さてそれに關連しまして、なるほど今日の國家財政の實情から考えれば、勤勞者のこのような苦衷もまた氣の毒ではあるがやむを得ないというふうに申されますが、しかし別個にゆたかな財源がないということが、ほんとうに實證されるときに、初めてその言葉も意味をなすのでありまして、萬一他に相當の財源があり、しかもそれに十分手をつけ得ないという實情があるとするならば、そういうことは、もはや單なる詭辯にすぎないということに相なると考えるのであります。聞くところによりますると、東京都管内だけに考えましても、ある大きなやみ利得者が相當強力な暴力を備えておるために、その大きなやみ利得者の所得を追究することが許されない。さる財務關係の職員の話によりますると、さる東京都内のやみ大利得者に向けて、その所得のありかを指摘することを、非常に遠慮をいたして、うやむやに葬り去るというような場合があつた、そういうようなことも實は聞いておるのであります。何がゆえに財務當局の上級部は、そのような相手方に對して遠慮をしなければならぬのであらうか。これはまことにいぶかしい問題でありまして、具體的に申しますと、非常に明らかになるのでありますが、その點は差控えます。はなはだ抽象的な言い方でありますけれども、およそお氣づきが願えると思います。そういうようなことがあつたのでは、眞によるべき財源があつても、そのよるべき大財源に對しては斧鉞を加えることができないで、そうして特にたれもが申しますように、とりやすい者からとるというような弊に陷るのであつて、それが結局税法の面に現われてくるのではないかと憂えるのであります。そういうことは斷じてないと、おそらく仰せになると思いますが、實際はあるのであります。ひとりこれは東京都管内關係だけではなくて、全國津津浦々にそういうことがあることも承知をいたしております。いわゆる最近のやみ成金なるものは、しばしば暴力團と結び、また暴力を備え、そうしてまた一面には非常に忌むべき懷柔手段を弄して、その當局者を自由に行動せしめないというようなきらいがあるのであります。これに關連しまして、最近地方の税務官吏が全員辭表を提出するというようなことが起つておりまするが、これはひとり給與に對する反感だけではなくて、そのような徴税面における、はなはだしい矛盾に對して、公の憤りを感じたあまり辭表を提出しておるということを聞いております。これらの財務關係の官吏諸君は、自分の職責とはいえども、あまりにも徴税の方法の矛盾を痛感して、いわゆる弱き者、とりやすき者に徴税の矛をぐんぐん向けなければならぬ。しかも顧みれば一面そういう大きい利得者がそのまま見逃されておる。それへの追究はなされておらないということに對する彼らの良心的な憤りが、ついに全員辭表提出というような運びにさえなつておることを聞いておりまするが、これらはおそらく單なる言葉として言うておるのではなくして、そういう實情に逢著したその關係官吏諸君の、痛苦の表現であると私は信ずるのであります。そのようなことがもし事實であるとせばあるいはまたそれが全面的にその通りでなくとも、少くともそういう傾向があるということが言えるならば、これはわが日本財政を取扱う當局者としては、相當大きな決意が要るのではないかと私は思うのであります。こういう點について、もとより私のただいま申しましたことについて、當局がさようなことがあると御承認になるとは思いませんけれども、ただ言葉の先だけで、委員會の席上で、何とかそこをうまくやつておけばよいというような無責任な態度でなくして、そういう眞相に對して、眞劍な檢討が必要なのではないかと思うのであります。ただいまも大臣が申されましたように、苦しい生活に惱む勤勞者から、勤勞者の給與をまたはね返させて、それを國家財源に繰入れなければならぬというような現状は、まことに遺憾であると述べられましたが、そういうような行き詰つている今日であればなおさらのこと、この問題はほんとうに決意を固うして對處される必要があるのではないかと思うのであります。從いまして、このことにつきまして一應大臣の御決意を承つておきたいと考えます。
 さらに、さきの委員會においても一應問題になつたことでありますが、ただ、そのままに不問に付されていくおそれがあると思いますので、もう一度繰返して申し上げておきたいと思うのであります。それは今度の價格差益金の問題でありまするが、價格差益金は、追加補正によれば百億圓と踏まれておるようでありますが、これはその筋の專門家である全財勞働組合代表が、この公聽會の席上において、少くとも三百億超えるものがあると言明いたしております。この全財關係の代表者の公聽會における言葉が、まつたく根據なきものであるということが立證されるならば別として、少くとも私はそれを根據なきものとは考えられないのであります。從いましてこの價格差益金の徴收については、大藏當局におかれてはどういうふうにお考えになられるか。ことにこれは今日物價廳の管掌事務になつておると聽いておりますが、このことについても、成績のあがらない方面にその徴税を任しておくというようなことは、これははなはだ一大事であると私は思うのであります。少くともこれは專門機關の手に移して、十分徹底的に徴收を進めていくという計らいが必要なのではないか。もしそれができるならば、かりに今の一百億が三百億あるというような見透しで、その差額二百億、それをかりに話半分に聽くという大ざつぱな扱いとして考えましても、ゆうに百億の増收が可能なのであります。そうなれば、すでに二・八箇月分の給與も、それだけをもつてしてもおよそ豫想がつく、ただちにこのことにこたえるだけの見透しがつくのではないかとさえ思われるのであります。それはともかくとして、とにかく價格差益金の取立て方についてのお考えを、この際一應承つておきたいのであります。
#10
○栗栖國務大臣 ただいまの御質問に順序を逐うてお答えいたします。税の問題でありますが、これは先般來御審議を願いました追加豫算その他のものにつきまして、すでに申し上げたように千三百億というような税を取立てるのであります。そうしてこの中にはもちろんやみ取得者その他については十分押えるということを決意しておるものでありまして、實際もすでに納税運動ということ、そして税務機構の擴充強化、税務官吏の優遇、その他第三者の通報制、さらに税源を所在に押えて税をとるように、新規の建築をするとか、その日常生活まで見て、いやしくも苛斂誅求にならぬようにすることはむろん考えますが、十分押えていく、こういう方針でただいまやつておるわけであります。そうして大藏省としましても、省内にも税の取立て及び督促をする機構をも設けて、十分督促をしたいと思うのであります。
 それから一部の民間の暴力その他をもつたものが、徴税その他を妨げ、あるいは脱税をするということがありはしないか、あるいは縁故關係その他を通じてそういうようなことがありはしないかということでありますが、これについても政府は十分そういうことのないように、税務行政の肅正と同時に、一方には國民にも納税の思想を徹底しまして、取立てていく方針であります。
 價格差益金の問題でありますが、價格差益は、一部のものを販賣者あるいは製造者に與え、殘部のものを政府が徴收することになつておりまして、そうして大體百億内外に豫定しておるのであります。全財の人の話ということがありましたが、全財はこれに關與しておらぬのでありまして、その人が專門に調べたというなら別でありますが、これは全財關係には職務上は全然關係のないものでございます。それでわれわれとしては物價廳その他の系統において、大體百億、それは一部の差益を販賣者、生産者にとらせまして、殘部をこちらがとるから百億内外と見ているのでありまして、しかも本年三月までに徴收し得るものは大體六十六億、こういうように見たわけてあります。それで小賣業者とかそういうもののこまかい點においての差益金というものは、とうてい押えることができませんので、これは別に所得税あるいは法人税の面からとろう、こういうような方針をとつております。ちよつと速記を止めていただきます。
#11
○鈴木委員長 ちよつと速記を止めて。
    〔速記中止〕
#12
○鈴木委員長 速記を始めてください。
#13
○中原委員 さきに納税思想の普及徹底に努めて、徴税の成績があがるようにするということでありましたが、もちろん納税思想の普及徹底をはかるということは大切なことであると考えます。しかし今日の國民の實情から考えますと、そういうふうな思想上の、觀念上の問題として納税成績があがるというようなことには、大きな期待はもちがたいのであります。であるからそういうことじやなくて、やはり國民が税負擔をするためには、なるほど得心のいくような徴收の方法、あるいは課税の方法が必要になつてまいると思うのであります。なるほど、だから自分も出さなければなるまいと十分に納得するためには、しかるべきいわゆる税の根本的な體系が合理的にできなければ、その效果を上げることがむずかしいのであります。從いまして、いわゆる擔税能力のあるものを吟味する。そうして擔税能力に對して、今日のこういう特別な情勢下であるから、遠慮なくその方から取立てをしていくという、嚴然たる態度が國家にあるならば、國民のすべては納得するであろうと私は思うのであります。從いまして、ただいまもお話がございましたように、大きなやみ利得者、これに對してこそ、この際ほんとうにその徹底を期するという決意が必要なのではないかと思うのであります。そめ他のまじめな業についておりまする人々の收入、所得に對しては、むしろ寛容なことの方がよいと思いまするけれども、そのやみ利得に對しましては、もはや國民が容赦しがたいという氣持をもつておるのであります。從いまして國民が容赦しがたいと考えておるその氣持に副うようなものをもつて、こたえなくてはななないと思うのであります。ゆえにいろいろな困難が伴うことも承知いたしておりますが、そのいろいろな困難を重大なる決意をもつて突破する。それだから容赦なくやみを打ち切らなければならぬ。つまりやみかせぎはもはやばかばかしい、採算に合わないというような状態にもつていかなければ、やみの解消はむずかしいのであります。これはやみ解消の一つの方法でもあると考えるのであります。やみに對する追及は、容赦なく、恐るることなく、徹底的にこれをしていただきたい。それにつきまして私はもう一つのことをお尋ねしておきたいのでありますが、かねて拂下げになつております特殊物件は、聞くところによりますと、はなはだ常識にもならないほど安い價格で拂下けがなされておるということであります。しかもそれをそのままその人が使つておるとすれば、それだけの價値の高いものを安く使つておるわけでありますが、あるいはそれを他に轉賣しておるような場合も相當あるかに聞いております。その特殊物件の拂下げを受けた者がこれを他に轉賣したといたしまして、その轉賣の利益差というものは非常に大きいのであります。かりにある物件が三千圓で拂下げを受けたといたしまして、その拂下げ物件が少くとも二三十萬圓を下らないと言われておるものさえあります。もしそうだとすればその價格の開きというものは實に大きいのである。これらの價格の差益に對し何か考うべきことが必要なのではないか。それをそのままに見すごして、それらの有力なる筋の諸君が、特別な事情によつて、物件の拂下げを受けて、厖大なる利得を獨占しておるということが、そのままに見逃がされるということは、先ほど申したような意味において許されないと考えるのであります。從いまして、それに對して當局の御決意あるいはお考えを伺つておきたいと思います。
 さらに大臣もお急ぎのようでありますから、ちよつと附け加えますが、これは最も大切なことだと考えるのであります。以上のいろいろな財源の穿鑿から考えますと、いずれにしましても、中勞委の裁定に基く二・八箇月分はこれを拒否することができない。必ず熱意をもつてこれにこたえぬという政府のお考えである以上は、何としてもこれを早急に解決する必要があると思います。いま傳え聞くところによると、そのための財源の捻出に非常な苦慮が伴うので、時間的にも相當かかるのではないかというふうに耳にいたしております。そういうことがあると、これは一大事なのであります。實際官公勞關係のいわゆる官公吏諸君が非常に急いでおるのは、この年末までに問題を解決しなければならないという必要に迫られていることなのであります。從いましてとにかくいつかそれにこたえるということでは、意義を失うのであります。少くともこの裁定にこたえる適當なる方法は、年内にあとを追加補給するということが實施されなければ相ならないわけであります。そうでなければ議會の會期の關係から考えましても、そうのんびりと先の方でそれがなされたのでは一大事でありまして、少くとも今囘の會期あるいは第二囘國會召集直後の日くらいまでにはその成案が成り、國會で上程されるという運びにならなければ、官廳關係職員諸君に對するおこたえとしては、はなはだまずいことに陷るおそれがあるのであります。從いまして殘部の一・八箇月分に對しては、どういう具體的なお見透しをもつておいでになるか。そのことも併せてこの際伺つておきたいのであります。
#14
○栗栖國務大臣 まず最初に特殊物件についてでありますが、終戰直後においては、特殊物件の處分がはなはだ杜撰であつたように思われ、いろいろな問題も起し、話題も提供している次第であります。しかし現在において特殊物件の處理はやはり國有財産でありますから、國有財産を處分するということであれば、財政法の規定に從い、適當なる價格によつていたすということになり、政府としては不當なる價格で拂下げをして、拂下人に大きな利得を與えるというようなことは毛頭考えておらず、またいたさせない方針でございます。しかし特殊物件等の處理、不動産とかいうようなものになるとはつきりしており、私どもの方の國有財産局で十分整理をし、なるべくこれも換價を速やかにするようにいたしたいものと思つております。それ以外の特殊物件になると各官省に分屬しているような關係でありまして、いろいろ帳簿に記載しているようなものもあり、不備なものもあろうと思います。またその價格あるいは整理の方針、處分の方針等も不備な點が相當あると思います。政府といたしましても最近行政監査その他の方法によつて物の處理現状はどうかというようなことを十分つき止めており、その物の處分によつて相當の利得を上げておれば財政の助けともなるのであります。この處理を非常に急いで、本日の閣議でも實は安本長官が主管となつて、この處理を急ぐというようなことをとりまとめたような次第でございます。
 それから中勞委の裁定に對する殘部の處理はどうかというお話でありますが、政府としては先ほどその數字を申し上げたうに十分協議を急ぎ、その部内でもいろいろ會議を續けており、早急なる解決方針を立てたいと考えている次第でございまして、荏苒とこれを放つておくかというようなことは考えておらぬ次第でございます。
#15
○中原委員 まだいろいろお尋ねもしまた追究申し上げたいのですが、それらは省略して、最後にもう二つ三つ總括してきわめて簡單に、政府の御方策あるいは今後の見透し等について伺いたい。この豫算で見ますと、ただいまの臨時手當特別給與以外に、いろいろ引つかかつている問題があるわけであります。すなわち六・三制のあとの問題があり、あるいは霜害、旱害對策、あるいは水害對策というような事項が今差迫つているはずですが、そういうような問題に對して政府はどういうお考えをもつておいでになるか。この豫算では十分こたえられないというので延ばしておるのでしようが、しかしいたずらにときを延ばすべきものではなく、拍車をかけてこれにこたえる方途を講ずべきではなかろうかと思います。從つてこの三つの問題に對する政府の御豫定を承つておきたいと思います。
#16
○栗栖國務大臣 六・三制の問題でありますが、これはせんだつて政府としては大體六億四千萬圓を支出し、實はそれに對しては輸入する砂糖の消費税というもので埋め合わそうといたしたものであります。ところが輸入の状況、いつ輸入されるか、それから數量等についても、なお檢討を要する點が多々あるのであります。その筋の關係との交渉もまだ最後に至つておらぬような次第でございまして、この臨時議會になるべく出して片づけたいと思つたのでございますが、これは間に合わぬように相なりましたので、次の議會にこれをお諮りするよりほか、方法がないかと考える次第であります。
それから災害對策でありますが、災害復舊の費用は豫算にも盛りたいと考えたのてあります。それにしても財源その他でやはり來議會にまわるわけであります。災害の復舊は一日も放擲することができないような關係もありまして、さいわいに豫算外契約というものが十億ばかり現存しておりますので、これは災害復舊にも十分使い得ると思います。これを使つて焦眉の急に充てていきたい、こう考えておる次第でございます。
 旱害對策でありますが、旱害に對する處理の費用、これも本議會にお諮りをしてきめたいと思つたのであります。現在五千萬圓でございますが、なお少くとも七千萬圓くらい増加をし、一億二千萬圓ということにして處理したいと考えたのであります。これも財源その他の點がまだはつきりいたしませんので、それがために今ここできめかねるような次第でございます。そこで政府といたしましては、とりあえずの問題としては、豫備金でこれを處理する。あるいは先ほど申しました豫算外契約でこれを處理する。どちらにしても必要なる費用だけは出したい。こう考えておる次第でございます。
#17
○山崎(岩)委員 ちよつとお尋ね申し上げます。所得税の賦課に關しましては、從來所得税調査委員會というものを設けまして、これによつていろいろ調査をしたはずでありますが、戰時中においてこの所得税調査委員會というものを廢止して現在のところはそれに代る機關がないように考えられるのであります。先ほどの御説もありましたように、いろいろやみ所得者に對する課税の方法が適當であるかどうかということも考えられておりまするし、やはり各階層における代表者を網羅して、所得税調査委員會でも設けて、これによつて各般の知識を總合してやれば、私は適正なる課税ということもできるのじやないかと考えるのでありますが、これに對して御當局はどう考えておられますか、お尋ね申し上げたいと思います。
#18
○栗栖國務大臣 ただいまのお尋ねは、從來所得税調査委員會というものがあり、これの活用によつて税の徴收をいたしておつた。この際もそれが非常に必要ではないかというお尋ねであります。私どもも何かこの種のものがぜひ必要だと考えておるのであります。それがためにさきに所得税調査委員會というものは、その筋の關係その他から廢止することになりましたので、實は協力委員というものを設けまして、税の徴收、税源の調査等にも十分力を盡したいと考えておる次第でございます。
#19
○鈴木委員長 ほかに御質問はございませんか。この一時手當に關するものをできるだけ早く上げたいと存じますので、これに關する質疑をなるべく早く濟ましたいと思います。
#20
○磯崎委員 ただいまの大臣のお話に關連しまして、簡單に一、二の御質問をいたしたいと思います。先般來いろいろお話を承りまして、いわゆる健全財政を堅持せられるお氣持はよくわかりますが、相次いで豫想せられる追加補正の案件が相當まだございます。從いまして好む好まないにかかわらず、どうしてもそこに相當な赤字の財政支出を憂慮せられるのでございます。この際にあたりまして、先ほどもお話がございました通り、一番大わらわになつて活動せらるべき税務當局方面においていろいろ異状がある。殊に中央における財務當局においても、いわゆる税の滯納とか、いろいろの形において阻害の結果を招來するような形に今日なつております。從いまして現在一千億以上の大きなものを、三、四箇月の間に徴收しなければならぬという段階において、おそらくこれは再三の御言明ではありますけれども、結果において絶對にその目的を遂行することはできないというように憂慮されるのであります。この點につきまして相當大臣は大きな一つの心構えをもつて、これらの隘路を根本的に打開しなければならぬというように考えておりますが、これに對しての考案なり、そういうものがあるかどうか。
 さらにいま一つ、いわゆるタバコ値上げの問題であります。これは御承知の通り、再三にわたつて値上げされておる。ところが今日ではほとんど値上げの一番の限界點に到達しておるように思われます。しかも一方消費大衆としては、いわゆる嗜好品をやめるわけにいかぬ。そこで起りました問題は、いわゆる耕作農民の方においては、やはり相當のいろいろな隘路がある。すなわち現在いただいておりますところの賠償金の程度では、これはとうていもののかずにはならぬ。現在のような價格が上る結果、方々から誘惑がくる。そういうことから秘密に作付を増段し、秘密にそういう方面に横流しされるというような、おそるべき形になつております。これらに對しましては、大臣はどういうふうにお考えになつて、これらの隘路を打開せられんとするか、御所見を伺いたいと思います。
#21
○栗栖國務大臣 最初の納税の完遂の見透しと、政府の態度のお話でありますが、これは私再々申しましたように、十分格段の努力をして完遂をいたしたいと、政府として決意いたしておる次第であります。そこで今囘お願いいたしました豫算の中にも、納税運動に必要な費用として、さらに二千萬圓を豫定したのであります。さらに必要であるならば、豫備費その他からも十分支辨いたしたいと考えるのであります。それと同時に、税務官吏の待遇を改善する。さらに出張の旅費とか、日當等をも十分支給いたしたいというので、この追加豫算には、さらに一億八千四百萬圓の費用をも計上した次第であります。こういうようにすでに計上いたしました費用その他を合わせて、十分目的の完遂をいたしたい。こう決意をしておることをここに申し上げたいと思います。
 それからタバコの問題でありますが、タバコにつきましては、昔と違いまして一々葉を算えないということから、あるいは一割とか二割くらいの葉が横流れする、あるいはこれを力をもつて買取つていく者があるとか、いろいろな話も傳えられております。政府としてはそういうようなことを固く取締ると同時に、タバコの製造販賣についても、これを取締る。こういう方針で進んでおるのであります。そこでタバコの販賣その他については、これは必要やむを得ない人員の増加と心得まして、さらに人員を増加して、監視人を殖やすというようなこともいたしておる次第であります。タバコの葉のやみ賣り、さらにタバコをやみで製造し、そしてやみで賣るというようなことについては、これも税の問題と同樣に取締りをいたしたい、こう考えておるのであります。
#22
○磯崎委員 タバコの問題でありますが、私の考えでは、まずいろいろのお心盡しはございましようが、現在のような形ではどうしても横流れ、これに對するいろいろな不正を檢擧することは困難であります。もうすでにタバコの價格その他におきましても、いずれも限界線に到達しているというふうに考えます。從いましてこの頭を押えない以上は、いよいよますますその隘路、不正がだんだん増長するのみで、防ぎようはないと思うのであります。從いまして將來政府で豫算編成におきましては、すでにタバコによる増收を求めるというようなことは、まずこの邊がもう最後のことであろうというふうに考えておりますが、これに對しまして大藏大臣のお答えを伺いたい。
 さらに御承知の通り二十三年度の豫算というものが、いろいろ今御檢討中と思われますが、おそらく相當大きな數字に上るであろうということは考えられます。その場合いずれにしましても、行政の整理あるいは税制の整理、この根本的な改革なくしては、とうてい今日の財政の整理というものはでき得ないというふうに考えております。これらの問題につきましてその概貌をお示し願いたいと思います。
#23
○栗栖國務大臣 お答えいたします。タバコをなおこれ以上上げるのは、もう限度に達していると思うがどうだ、こういうお話であります。現在政府といたしましてはこれ以上タバコを上げるというようなことは考えておりません。それからこの二十三年度の豫算編成について、行政整理、税制の整理その他をする必要があると思うが、その大體の形を示せというお話であります。この問題は、すでに政府といたしまして、二十三年度の豫算については十分現内閣の施政方針等をも盛つて、そしてこの再生産、民生安定、こういうような問題をも十分のばした政策のもとに立つて豫算をつくりたい、こういうように考えているのであります。そこで今後は本院及び參議院の豫算關係の方々とも十分相談をしてやつていくということについて、今週初めでありますが、第一囘の會合もいたしたような次第でございます。今後はこれを續けてその方針のもとにやつていきたいと思うのであります。政府といたしましては今全體をどういうような形でいくかというようなことは、いろいろ諸般の經濟政策、政治、社會上の政策等もにらみ合わしてこれをいたしますので、目下檢討を續けているような次第でございます。ただ、ただいまお示しのように、行政整理というようなことも、その中に織りこむかどうかというお話でありますが、これはただいま政府は行政機構の改革をいたしております。その線に沿うて行政の整理は十分行わなければ、この二十三年度の豫算も盛れないと考えている次第でありまして、その整理を行う方法については、これは人員などについては、殊に配置轉換というようなものも考えまして、やむなく職を離れる人については、單に消極面において失業手當その他において、これが受入態勢を整えるというような問題でなしに、積極的に生産面において受入態勢を整える、そして十分いたしたいと思うのであります。生産面については、中小工業、輸出向の産業等も大いに振興をいたし、そういう面において受入態勢を整え、積極の生産面で働いていただくというような方針をとりたい、こういうように考えまして、ただいまもいろいろ方針その他を檢討いたしているような次第でございます。
#24
○磯崎委員 最後に要望しておきますが、私どもは現内閣が成立しまして、早速にも追加豫算が提出せられるであろうという心構えであつたところが、はからずも遷延に遷延を重ねまして、きわめてわずかな日子の間に、その豫算の審議に當らなければならぬというような苦痛をなめたのであります。國民の前におきまして愼重に檢討するという觀點からしまして、先に提出せられましたる追加更正に對しまする檢討は、必ずしも忠實であつたとも思われません。あたかも二十三年度の豫算の方も、目下いろいろ御檢討中であるとは考えますが、どうぞ再びそうしたことのないように、きわめて早くその點われわれとともに、愼重の審議ができますようにお取計らいあらんことを、あらかじめ要望しておきます。
#25
○鈴木委員長 この點は委員長からも大藏大臣にただいまの御趣意の點をよく含んでいただくようにお願いいたします。ほかに御質疑ありませんか。なければ質問を打切りたいと思います。その前に、これは私この給與の問題に多少關連いたしましたので、お尋ねしておきたいのでありますが、殘りの一・八というものは、年内に支拂うことのできるようにしてもらえるのかどうかという點が一つ、それから今承りますと、かりに十二月の月給は十二月一日、十月の月給は十月一日というように、月初めに支給してきたものを、一月分以降は元のように月末以降に拂うということになるようでございます。そういたしますと、一月一日に受取るべき月給は一月の末になるということになりますが、そうしますと、官公吏諸君はここで年末の資金というものは一文も受取らないで、ただ一月分のものを十二月の末に受取る。つまり一月一日に普通月給で受取るものを前にもらつて、それを代りに受取るということだけになると思いますが、そうなると一・八も年内に拂えない一月に出す一月分の給料は月末になるのだということになつては、官公吏諸君の年末の越冬は、私はとうてい不可能だと思います。重大なる政治問題になる危險もあると存じますので、この點に關しましては、きようでなく、どうせあさつて殘りの十一號に對する質疑を績行いたしますから、ただいま大藏大臣お急ぎのようでございますし、こういう問題について月曜日に御答辯を得たいと存じます。
#26
○栗栖國務大臣 殘部をいつ支拂うか、私もなるべく早く支拂いたい、かように考えているのであります。それから一月以降の支拂いは、月給は下旬になるがというお話でありますが、これも一月以降は、中勞委の裁定によりましても、委員會を設けて早急にきめて、そして調整その他をもすることに相なつているのでありまして、そういうような線と合わせて十分考えたいと思うのであります。何分にもその筋との交渉、殊にその筋の會議等がまだはつきりいたしませんので、それも早急に決定を急いでいるような次第でございますが、そういうような點をもお含みくださいまして、少し時間を藉していただきたいと思うのであります。しかしながら政府といたしましても、この官公吏の人々の生活を安定さすという點においては、十分考慮いたしておる次第でありますから、その點はお含み願いたいと思う次第でございます。
#27
○淺利委員 先刻來大臣の御説明を承りますと、中勞委の裁定は全面的に政府がおとりにならぬように承つたのであります。しかしてこれはただいまその筋との交渉中という意味で、これを全面的に受入れるということについてなお問題があるのか、あるいはこれに對する財源の點において問題になつておるのか、その點がはつきりしないのであります。もう一つ、なるべく早く支給したい。こう申しておりまするが、ただいま委員長からもお話になりました通り、これは早急を要する問題であります。この官吏の生活の焦眉の急を救うという意味から申して、一日も空しうすべきものではないと思う。すでに健全財政と言いながら、この特別會計においては、今囘の分に對してはわずかながら公債を認めておるのであります。もしやむを得ないならば、あるいは一月以降においてこの財源が見出される見込みがあるならば、一時借入金をなすとか何とかいう方法によつて、少しでもこれを解決されるという御趣旨があるかないか、その點を確めたいと思います。
#28
○鈴木委員長 速記を止めて……。
    〔速記中止〕
#29
○鈴木委員長 速記を始めて……。
#30
○庄司委員 ただいま委員長が政府に確められたことに關連して、緊急な問題の一問だけ政府の意圖を確めておきたいと思います。今日は豫算委員會が午前中において、多少われわれ委員會以外のことにおいてトラブルがありまして、開會が午後に延びた件の内容を詳細ただいま申し上げる時間はございませんけれども、この第一囘國會のほとんど末期に、たくさんの法律案あるいは補正第一號より十一號まで、にわかに出された關係の點は、これは政府特に大藏省關係の責任問題であると思いますが、この國會に働いておられる速記者あるいは特に職員の側において、夜間遲くまで定時退廳ところの騒ぎじやない。場合によつては夜中まで働いておる委員部の職員、あるいは衛視の諸君、そういう諸君の勞働力というものは、他の官廳の職員の勞働時間と比べて、まことに過重なる勞務に默默として服しておるのであります。かような職員諸君の勤勉勞力によつて、われわれの各常任委員會の能率も上り、本會議の能率も上るのでありまして、まことに重大なる成否の鍵を握つておるところの職員諸君である。これらの諸君は、定時出勤とか、定時退廳とかいうことがなく、夜遲くまでわれわれ國會議員とともに協力されておる。この職員諸君等に對して、特別の何らかの措置をお考えになつておられるかどうか。これはまことに緊急かつ緊要な重大問題でありまして、特に國務大臣としての大藏大臣に、あなたの御信念を確めておき、その御善處を煩わしたいと思うのでございます。
#31
○栗栖國務大臣 こういう窮迫した事情の日本におきまして、各官公吏、官公廳に働く人々が、この職責を果すために、長い間正常の時間外に勤務されるという場合につましては、政府といたしましても、時間外給與その他を考えておる次第でございまして、そういう時間外の場合につきましてはこの支拂いを十分するように、この豫算をも組んだ次第でございまして、補正十一號にさらに組んだような次第でございます。
#32
○鈴木委員長 ほかに御質問がなければ、この三案の中、政府職員に對する一時手當に關する兩案に對する質疑を打切りたいと思いますが御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○鈴木委員長 それでは質疑を打切ります。續いて討論にはいります。
#34
○稻村委員 討論は省略いたしまして、ただちに採決にはいらんことを望みます。
#35
○西村(久)委員 稻村君の動議に贊成するものでございますが、私どもの贊成するゆえんのものは、本案の提出が非常に遲れたのを遺憾といたしておるのでございます。しかしながら遲れながらも出てまいつたのでございますから、かくのごとき案は一日も早くこれを通過せしめまして、政府の方で支給を遲らさないように、衆議院、参議院の通過と同時に支給することを希望いたして贊成意見といたします。
#36
○鈴木委員長 稻村君の動議がございましたが、討論を省略いたしまして、ただちに採決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○鈴木委員長 ではさように決定いたします。採決いたします。昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)及び昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第五號)の兩案に對して、原案通り可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○鈴木委員長 御異議ないものと認めて兩案は可決確定いたしました。
 今日はこれで散會いたしまして、殘つておりまする第十一號に關しまして、月曜日の午前十時から質疑を行いたいと思います。
 本日はこれにて散會いたします。
    午後二時五十八分散會
   ―――――――――――――
 〔参照〕
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一〇號)
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第五號)
 に関する報告書
 〔都合により最終附録に掲載〕
ソース: 国立国会図書館
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