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1947/06/22 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第36号
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1947/06/22 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第36号

#1
第002回国会 予算委員会 第36号
昭和二十三年六月二十二日(火曜日)
   午後一時二十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年度一般会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十三年度特別会計予算(内閣
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。前回に引続き質疑を行います。中西功君。
#3
○中西功君 最初三千七百円ベースの問題について加藤労働大臣にお聞きいたします。すでにこの三千七百円ベースの決定については、各方面において非常な疑義が発生しておるわけであります。先だつての公聽会におきましても極めて具体的にその点が指摘されておるのでありますが、最初、今回政府がこの三千七百円を決定したその基礎的な諸條件について、果たして加藤労働大臣として、それを妥協と認められておるかどうかということを質問したいと思います。一つは月別勤労統計の数字でありますが、それは三月の数字を基準にして、六月分を推定したわけであります。ところが、勤労統計の四月分の仮集計におきましては、四月分においてすでに三千六百円になつておるということが報道されておるのであります。政府として、もうこの仮集計があり、又本格的な集計も間近にでき得ると思うのでありますが、若しその基礎的な勤労統計の数字がこのように大きな変化があるということになつた場合、これを一体どうするつもりであるか。この点を一つお聞きしたいと思います。
#4
○國務大臣(加藤勘十君) 只今の中西さんの御質問の要点でありまする政府が予算編成の上に三千七百円ベースを採用しておるが、それは三月のものを標準として、それから四、五を推定し、五月分を基準として、それに物價その他を見合つて六月分を算出した。伴しすでに四月分においては、仮集計が新聞に報道されたところによれば、三千六百円とでておるということであるが、本集計が出て数字が確定したら、そのときこの大きな開きをどうするか、こういう点にあつたと存じまするか、この点私共といたしましては、最初予算編成に当りまして……これは本会議においてもお答えした点でありまするが、本來ならば、前の全官公廳爭議の済んだ直後に給與委員会が持たれまして、給與委員会において組合側の諸君との話が進められ、そこで妥結したものがあれば、それを予算編成の標準として取上げることが一番妥当な方針であることには間違いないのでありまして、できればそういうことを行いたいと思いましたけれども、不幸にして給與委員会がいろいろな障害のために成立を見ませんで、時間が遅れて來てしまつたわけでありまして、そういう関係から、止むを得ず政府といたしましては、政府が妥当と思われる算定の方式を選びまして、そうしてその算定の方式とは、本年二千九百二十円の問題を決定するときに、臨時給與委員会において採用された計算方式を採つたわけでありまして、その計算方式に基いて、三月にすでに出ておりました統計を基礎として四月、五月を推定し、六月の算定を得て、これを予算編成の標準として取上げたものが三千七百九十一円であります。これに関する限りにおいては、私共は一應妥当性を持つておると、こう信じておりまするが、六月以降の問題についてどうするかということになれば、私は年間を通じて、これを維持するという確信は、現在のような配給状況においては非常にむずかしい、確信が持てない、こういうことをお答えして参りましたが、更に今日の御質問でありまする四月分の集計が正確に発表されたときに、その数字が政府の推進したものと違つておるときにどうするか、こういう御質問でありましたが、私は卒直に、まだ別にこれは政府の部内において、話が統一しておるわけではありませんから、この点はお断りしておきますが、労働大臣の責任において申上げられることは、若しそういうような新しい事態が発生して來たときに、依然として、一遍予算に組んだものが三千七百九十一円だから、それをがむしやらに固執しなければならん、こういうような考え方は、それは間違つておると思います。当然そういう場合においては、何らか新事態に應ずるような考慮が拂われなければならんではないか、殊に今日から正式に組合側との團体交渉も進められて行つておりまするので、これらの組合側との交渉の進展の状況とも見合いまして、私は何らかそういう事態に應ずるような適切な方法が考慮されることが当然ではないかと、このように解釈し、私はそのような方針で進みたいと思つております。
#5
○中西功君 今までの加藤労働大臣の本会議における答弁は、この三千七百九十一円が一應数字的な妥当性を持つておる、併し今後これが維持され得るかどうかという点については自信がない、こういうような答弁であつたことは今繰返された通りでありますが、実際は私達は、この三千七百九十一円それ自体が極めて無理である、そのことは本会議においても私申上げたわけであります。で、先の月別勤労統計の四月分の集計の結果だけではなくて、この中には三・六%という闇部分の騰貴が見込んであります。これは五月から六月に至る騰貴でありますが、この三・六%の騰貴率を見込むということそれ自体が又非常に問題である。これも現実の面からすでに証明されておるのでありまして、四月において闇價格が大体八%上つておるということが統計に出ております。そういたしますと、まだマル公の改訂のない四月において八%となりますと、一應マル公の改訂があつた月としての、或いはある筈の月としては八%でも済まない、もつと沢山見込まなければならないというふうなことになると思うのです。私は不思議だと思いますのは、どうしてこういうふうな少い闇部分を見込んでおるのか。又見込んだか。而もこれが年間を通じて大体変化しないという前提に立つておる。こういうことは極めて非現実的であつて、このことは單に三千七百円ばかりでなく、この予算全体において闇部分は上らないということが前提にされておる。それは予算案全体に関連しますが、ともかくも極めて非現実な上に立てられておる点では同一であります。こういう数字を我々は果してこれが一應算定の基礎としては妥当であるというふうに言えるかどうか、余程特別な常識でなければこれは言えないのじやないかというふうに思うのでありますが、その点を加藤労働大臣の極めて卒直な、良心的な回答、それは或いは内閣全体の回答でなくとも、労働大臣として、或いは社会党の大臣としての加藤労働大臣の極めて卒直なる御意見をお聞きしたい。これは実際におきまして全官公の組合ばかりではなくして、日本の労働者全体がこういうふうな算定に対しては極めて疑惑を持つておると思うのでありますが、そういうふうな大きな問題でもあります故に、極めて卒直な、良心的な御返答をお願いしたいと思うのであります。
#6
○國務大臣(加藤勘十君) 三千七百九十一円を予算標準として取上げたということに関して、数字上の妥当性があると言うておるが、一体良心的に見てそういう妥当性があると思うかどうか、こういう点に御質問の要旨があると存じまするが、私共これ又極めて卒直に申上げまするが、統計の資料というものを、一々の統計を生み出す素材というものを持つておりません。從つて集計された統計そのものを見せられ、そのものの説明を聞く以上に素材がないのであります。そういう集計された統計によりますれば、只今中西君は四月分に闇物價の値上りが八%を示しておると言われましたが、我々の承知しておるところによれば〇・三にしかなつていない。三月と四月とは闇物價の騰貴率は殆んど完全といつてもいいくらいに横這い状態にある。こういう工合に示されておるわけでありまして、そういう点から見まして、それでも尚且つ六月に公定價の物價が相当程度に改訂される場合に、闇物價がそれより以下であることがあり得るかどうかという点に一つの疑問があると言われまするが、私も同様にその点は疑問を持つております。疑問を持つておりますが、併しそうかといつて、具体的にそれを反駁すべき資料はないのであります。從つて三月から四月への闇物價の騰貴率が横這い状態にあつて、〇・三の程度に過ぎん。そうして四月、五月と大した変化がないというようなことから、一年間全体を通じて見まして三若しくは四%程度の値上りと見るならば大差なかろう、こういう御説明を聞いておるわけでありまして、この点については若し我々に素材がありますれば、素材を基礎として批判することができますが、素材を持つておりませんから、素材から出発しこの批判ができんために、疑問は疑問のなりでとにかく一應了承したと、こういうことになつておりますから、若し中西君がこれらの点に対して素材的にみて疑問があり、信ぜられないと言われますならば、新しい素材を集計しておる――これは主として安本関係でありますが、安本なり、物價廳の方面に質問をして頂きたいと思います。私の聞いておるのではそういう状態でありますから、仮に物價が五月から六月に公定價が七〇%値上げされても、政府が配給面を確保するならば、闇價格の騰貴は年間を通じて三、四%程度で止まるであろうという説明を納得せざるを得ないのであります。更にその基礎になる昨年一月以來の月別工業平均賃金等を採りまして、それに或いは地域差であるとか、男女の関係であるとか、若しくは労働勤務時間の関係であるとか、こうゆうものを算定してこういう数字が出て來たわけでありまして、從つて現在我々の手にした資料に関する限りにおいては、これに妥当性が認められるわけであります。この点御了承を願いたいと思います。
#7
○中西功君 それで次に、実は先つき言われましたように、統計をどの統計を採るかということは、これは統計そのものが非常に沢山あります結果、実に任意に自分で作成することができると思います。「東洋経済」のスライド指数といいますか、ああいうものを採りますならば、もつと大きな、いわば労働者側にとつては極めて有利な数字が出て來ます。結局この勤労統計というふうな経営者が非常に低目に報告しておる統計、数字が出て來ます。それで、この数字の問題については加藤労働大臣ではなくて、勿論これは主として安本に聞かなければいけないと思いますが、この政府の三千七百九十一円の決定においては、不思議にCPSの数字が殆んど使われていない、全然使われていないといつてもよいのであります。このCPSの数字については片山内閣時代からこれは一番信憑するに足るんだというようなことが今まで言われておりました。それが今度も採用されない。そうしてそれに比較いたしまして、國鉄のいわゆる実態生計費から出されましたところの五千百三十円という数字はこれは基本においてCPSを採つております。同時に実際に國鉄の從業員の政経を調査した、そういう数字を基礎にして別の計算を出しておる。それが結局非常によく似ておるわけであります。更に又國鉄だけでなくて、教員組合においても、全財においても、やはりその実体生計費を中心に、基礎にして、この度賃金を計算いたしましたところ、やはりよく似た線が出て來ております。それが綜合されまして、一應五千二百円という要求になつたと思うのであります。どの統計を使うか、これは恐らくそのやろうする人々の勝手であろう思いますが、それならばこの度そういうふうな組合側が実態生計費に基いて作り出して來た数字、これは加藤労相の手許には十分勿論ある筈だと思いますが、そういうふうな数字の、いわゆる算定のどこに欠陥があるか、どこに悪いところがあるかという点を、若し加藤労働大臣が示されることができるとすれば、ここで今示して頂きたいとまあそう思うのです。
#8
○國務大臣(加藤勘十君) 今申しました通り、数字の集計の素材となつたものは私達の手許にはありません。ただ集計されたそのものがあるだけであります。從つて素材について御質問をして頂くならば、安本の方にして頂きたい。又CPSの数字を採つておらんとおつしやいましたが、これはそうではないのであります。これはやはり採つておるわけなのであります。CPSの統計を採つた一例を申し上げますると。こういうことになつておるわけです。CPSの統計によりまして、乙地の五人世帯を標準としまして計算を取つて見ますと、そしてその計算の方式は十一月と一月との丁度折半したものに取る、そこを基礎にしまして、そうして十二月と二月からの趨勢を延長して参りますと、六月に六千四百七十円、十月と二月との趨勢をとりますと六千六百二十円、十月から二月への趨勢を取つて見ますると、六月には六千九百円、こういう工合になつておるわけであります。そうして官公労の世帯平均人員が二・五でありますから、五人世帯のものを二・五に換算いたしますると、本來ならば五〇%でありまするけれども、計数を〇・六一二五という余裕をとりまして、〇・六一二五を掛けて得たものが、最初の場合によりますと三千九百六十三円、二番目の場合によりますると四千五十五円、三番目の場合によりますると四千二百二十六円、こういう工合になつておるわけであります。これを更に労働時間に換算いたします。これは八時間労働が標準になつておりまするので、これを六・六に直すのであります。そういたしますると、最初の場合が三千五百六十七円、二番目の場合が三千六百五十円、三番目の場合が三千八百三円、こういう数字になつておるわけでありまして、この三つの場合を平均いたしますると三千六百七十三円、これに更に今度の税率の改訂によりまする税金その他のものを勘案いたしまして、結局三千七百六十円と三千四十八円、この場合は税金が入つておらん場合であります。こういう二つの場合ができて参るわけでありまして、決してCPSの統計数字を採つておらないというわけではないのであります。その点は一つ、全然このCPSの統計を採らなかつたいうことは、そうでないということだけを……この数字が間違つておるとか間違つておらんとかいうことは、これは中西君が又別の資料がおありになれば別でありますが、ともかくこのように一つの算定の標準として採上げておるということだけはご承知願いたい。
#9
○中西功君 それで私達も、先つき私ちよつと資料を探したんですが、國鉄の組合が出しましたのは、東京のCPSの生産費九千幾らを、これを乙地に直しまして、更にそれに家族の修正を行いまして、更にそれに地域差の修正を行うというふうなわけで、一應出て來ておると思うのであります。で、それが今言われたのとは実は非常に数字が違いますので、まあそういう点、集計の仕方によつても非常に、同じ数字をたとえ使つたとしても、違つて來るということがよく分ると思いますが、実際問題といたしまして、この三千七百円のこのたびのベースと、それから以前の片山内閣時代に置ける千八百円のベースと、この間の比較検討におきまして、一体果して三千七百円ベースが千八百円よりも実質的にいいかどういか、「実質的に」と申しますのは、今日の價格との比較であります。物價との比較において、大体もつと高いかどうか。これを加藤労働大臣はどう考えておられますか。それをまあお聽きしたいと思います。
#10
○國務大臣(加藤勘十君) 私も今直ぐにそれが高いとか低いとかいうことは、資料が持つておりませんのから申し上げられませんが、少なくとも政府の方針としましては、二千九百二十円を行く部分でも上廻る、実質給與において上廻るという前提の上に立つておるわけであります。從つて物價の改訂が行われる場合においても、その改訂によつてどれだけ生計費の中に影響を來すか、こういうような場合におきましても、主食その他の必需品の配給の確保によつて、あるいはそれの増量によつて、実質には二千九百二十円を上廻るように努めたい、こういう観点からこれが編成されたものである。こういうことだけを申上げることができるのであります。
#11
○中西功君 わたしはそれがちつとおかしいと思うのであります。二千九百二十円の決定の際、これは臨時給與委員会でいろいろの統計から出したのでありますが、併し最後に物價が七〇%、或いは一〇〇%上つて行くという前提の下で、今度の三千七百円ベースは決して二千九百二十円よりも上廻つていない。これは勿論いろいろ数字もあります。又私達は千八百円ベースと大体において比較した数字もあります。具体的にいえば、千八百円円ベースと三千七百円ベースとを比較しますと、若し実効價格というふうな観点から我々が見れば、明かに三千七百円の方が低い。その低いのを私達は一應二六%と計算いたしましたが、勿論これは全部正しいのだと思つておりません。これは一つの標準であります。これは実効價格という面から、價格指数から見た場合にはこういうことになります。更に二千九百二十円との比較でありますが、これは私共詳しく計算した数字があつたんですが、それが今見つかりませんので、ちよつとはつきり数字を申上げられませんが、今度のこの三千七百円が決定されて行つたいろいろの政府側のやり方の中で、大体昨年の一月から十一月までの平均を取ると、こういうふうなことが考えられておつたと思うのであります。その場合大体実は補給金を出した、この昨年の下半期の給料は少し良過ぎる、少なくとも今年一月、二月、三月はこの二千九百二十円の額は多少多過ぎる。実質的な意味であります。名目ではなくて実質的に多過ぎるという見解が多少あつて、そうして適当な統計的な操作が加えられておつたのであるというふうないきさつも私あつたと思うのであります。そういう点から考えても、二千九百二十円、これは今年一月から三月までのものとしての二千九百二十円でありますが、それよりも三千七百円ベースが多いということは私は絶対に言えないと思います。この点、実際はまあ数字的な点で加藤労働大臣と論議してもい或いは的は外れておるかともおもいますので、卒直な聞き方をいたしますが、それならば三千七百円ベースは現在の労働者の生活物價関係から見て、これで赤字なくして……、いわゆる赤字と言うのは結局筍的な生活を意味しておるのであります。そういうような意味の相当な赤字なくしてやつて行ける基準であるかどうか。この点卒直にお聞きしたいと思うのであります。
#12
○國務大臣(加藤勘十君) 三千七百円ベースが二千九百二十円ベースと比較して実質的に給與が高いか低いかと、こういうことになりますると、わたしも名にも統計の数字的根拠に基づいて主張すべきものを持つておりませんが、今申しまする通り、政府の方針がそういう方針の下に所得税の大幅の軽減も行われておりますし、それから配給物資を飽くまでも確保する。できれば必需物資の配給において増量をなし得るものは増量をなすことに努める。そういうことも含めての実質給與の維持、若しくは若干でも上廻るように、こういう意味でありまして、必ずしも名目賃金だけの問題を指しておるのではないのでありまして、この点は闇物資と配給物資の生計費の上に占める比重を考えますれば、マル公配給の物資が六割五分で價格は二割五分を占めておる、闇物資は三割五分で價格が七割五分を占めておる、こういうような状態でありまするから、いま一歩政府が物資の配給に努力をして、何らか物資の配給が確実に確保される、あるいは若干でも増量されることになりますると、その生計費の上に及ぼす影響は相当大きいものがある。こういうことはこれは中西君も御了承になると思うのでありますが、それができるかできんかということはおのずから別個の問題でありますが、政府はそれをやるべく努力をしておりまするし、現に食糧等におきましては連合軍側の多大の好意にもよりまするけれども、七月から八月、九月への端境期へ向つて非常に困難な食糧事情の下におきましても、とにかく現在の配給は完全にこれを維持することができるという見通しが大体つきました。又繊維品等におきましても、できるだけ多量の配給ができるように努力をしておるわけであります。そういう面で実質給與が二千九百二十円の場合よりも現実に若干でも……勿論十分上廻るというようなことは言えませんが、若干でも上廻るというようになるのではないか、こう思います。ただ最後のお尋ねでありまする、然らばそういう途中のことは差措いて、三千七百九十九円のベースで果して生活が赤字なしにできるか、こういう御質問でありまするが、このことにつきましては私は現在の勤労大衆の生活の実情から見まして、一体どこまで行けば、本当にいわゆる憲法に補償する人たるに値する生活ができるか、こういうことになれば非常に議論があると思いますが、ともかく二千九百二十円の決定の際、私は二千九百二十円では勤労大衆の生活は非常に苦しいということを卒直に申上げております。二千九百二十円で生活が苦しいと言うた私の見解は、三千七百円が二千九百二十円を辛うじて上廻るか、或いは維持されるかという程度に過ぎないのでありますから、從つてこれは苦しいということは卒直に言うことができるのであります。
#13
○中西功君 それで、実は三千七百円では勿論私達、解くに労働者としてこれは絶対食つて行けないわけです。その点は経済白書の中においても、大体今までにおいても勤労者の生活には一割の赤字がある。こういうことが指摘されている点を見ましても、結局これは赤字を含んだ賃金である。勿論非常に切詰めたものであるわけでありますが、ここで千八百円の問題と三千七百円の問題とにおける政府の態度について非常な差があると私は思うのであります。千八百円ベースを労働者階級が承認しなかつたということ、これは三千七百円ベースに対しても同じでありますが、当時片山内閣は千八百円は確かに赤字はあると、はつきり数字として五六百円はあると、こう申しておりました。だが、この赤字はしかしこういうふうな事情で、こういうふうなせ畏怖で埋める、十一月までには埋める、こういうふうに説明して、我々に対してその行き方を一應納得させるような、物資配給計画や、物量的計算まで出したわけであります。ところで、今度の三千七百円ベースに対しては政府としてどう考えておるのか。即ち一つは、もうこれには以前千八百円について五六百円の赤字がありますといつたようなものはもうないのだ。一般的にまあ國民が苦しいのであつて、苦しいということは労働者だけでなくて、皆苦しいのだ、勿論苦しいベースではあろうけれども、それはとにかく無條件にやつて貰わなければならないのだ、こういうので、或いは千八百円についていつたように、具体的にこれには赤字がある。これ程赤字があるのでありますけれでも、いま暫く辛棒して呉れればこれが直おる。で、この言い方がどちらなのか。私は二つの内閣の間では非常な相違があるのじやないかということを感ずるのですが、加藤労働大臣としてそれについての御所見を伺いたい。
#14
○國務大臣(加藤勘十君) その点は、今度の内閣におきまして三千七百九十一円というものを予算編成の標準として採りました場合においての推定と根拠から見まして、苦しいことはもとより苦しいが、併しその赤字がこれだけの給與水準ではどのくらいにあるというようなことの前提の下に立つておつたのではないのでありまして、それらの面はできるだけ物資の配給を確保、若しくは増量することによつて必ず実質を保持して行く、こういう強い決意を以て、物資配給計画等におきましても、去年は、実際片山内閣の時には計画は計画として立てられましたが、殆んど計画が実施に移されなかつた。併し今度はそういうように計画が單なる計画に終つてはならんというので、今日までまだまだ具体的な計画が発表されないような状態である。計画は勿論計画として進めつつありますけれども、確実に計画を裏付ける物資が確保されない限りは軽々しく発表すべきではない。こういう点で未だに発表されない状態でありまするが、これも又やがて遠からず、今や確定的に物資の裏付けを見て発表することと思いますが、今日のところはなお最終決定に到達いたしておりませんために、発表が遅れているわけであります。從つて初めからこれをこれこれの赤字があるが、これこれの時間を経過し、これこれやれば赤字は補填できるというようなことでなく、飽くまでも実質的な給與の裏付けを確保することによつて、赤字をなくして行くように努めたい。從つてこの標準賃金はこれを維持して行くことには名目上の問題でなくして、物によつて維持して行くようにしたい、こういう考えの下に、今物資配給の計画を、裏付けとなるべき物資の確保に努力しているわけであります。
#15
○中西功君 そういたしますと、片山内閣時代には、とにかくも千八百円を決定した時には、すでに同時に一應の物資配給計画を考えていた。ところが、今度の芦田内閣の場合には、三千七百円ベースを決定した時には、実際にはまだ配給計画ができていない、今大急ぎで作つている、いわば一定の物的なはつきりした見通しがなくて、取敢えず三千七百円ベースを決定した、そして後はこれを埋めるために非常に努力する。こういうふうなことになるような氣がいたしますが、片山内閣の時代に十一月黒字説というものは無残に敗北したわけであります。併しともかくも当初において、そういう計画をもつておつたということは事実なんであります。ところが、この度はこの三千七百円ベースについては、現実にこんな裏付けから考えた表も出ていないし、資料も我々に與えられていない。さつぱり分らない。ただ一つの統計から、而もそれも非常に偏つた統計から、これを推定した。そして後はこれを何とか埋めて行くように努力する。こういう態度はもつと片山内閣のやつた政策よりも不安定で、不確実なもので、決して片山内閣もやれなかつたが、芦田内閣自身ももつとやれないということを私は言えると思うのです。この千八百円ベースの決め方の中に、当時の安本と今日の安本の間には相当差があるし、政府の態度自身でもやはり余程差があるというのを非常に通説に感ずるのです。併しこういう点議論をしてもしようがありませんので、次の点に移りたいと思います。
 それは予算を編成する標準として三千七百円を決定したということは、加藤労相度々言われるのであります。そう言いますと、三千七百円と言うものは恰かも一つの計算の基礎であつて実際生活とは関係がないといいますか、非常に薄い。実際の賃金や実際の生活というものは必ずしもこれによつて束縛されていない。これは單に予算を作るときの一つの数字なんで、こういうふうなように聞えるのでありますが、私はそういう言い方が非常に曖昧といいますか、非常に逃げ口上的なふうな点があると思うのです。
 この予算は三千七百円ベースが決定されますれば、決して予算編成の單なる基礎ではなく、現実に少くとも全官公の労働組合の給與をこれで規定して行きますだけでなく、もつと民間にも大きな影響力がありますから、これは單に予算編成上の標準だと言われることが、私は現実の問題を非常に逃避しておるという点があるのではないかと思います。これはいろいろ実例を挙げれば沢山ありますが、一体予算編成の標準に考えておるという意味はどんな意味でありますか、それを聞きたいと思います。
#16
○國務大臣(加藤勘十君) 前段の片山内閣当時の千八百円ベースの決定の仕方と、今度の三千七百円ベースの決定の仕方の間には非常に差がある。こういう点で、片山内閣の時にはとにかく計画は計画倒れになつて実行にはならなかつたが、一定の計画はもつておつた。今度の内閣はその計画すら示しておらん。そういう点にありましたが、成る程今も申します通り、計画はまだ最終決定にも至つておりませんからお示しする段階に達しておりませんが、併しながら片山内閣が計画したが実行することができなかつた欠点に鑑みまして、今度は検討に検討を重ねまして、確実なる最終決定を見たい、こういう点にありまするが、もとより最初三千七百円ベースを標準として取上げまするときに、それを維持する程度のものは当然考えておるわけでありまして、それを更に幾らかでも上廻るようにするために、いろいろ具体的に配給物資の確保ということに努力しておるのでありまして、この点は一つ誤解のないようにして頂きたいと思います。
 それから私が、三千七百九十一円というものは予算編成上の一つの標準として採つたに過ぎんということにつきまして、その標準とは一体どういうことを意味するかという御質問でありますが、いわゆる四月、五月の統計が具体的に現れておりまして、政府が採用した臨時給與委員会における算定方式が是認されて、そしてはつきりした数字が出ておりますならば、それは四千円になるか、三千五百円になるか知りませんが、とにかくはつきりしたものが出て來るわけであります。併しながら今も申します通り、具体的な統計上の数字は三月までしか出ていなく、從つて三月以後は推定によるわけであります。推定は飽くまでも推定であつて、これは確定的なものでないことは言うまでもありません。從つてこれを確定的なものということはできんわけであります。若し政府の推定と違わない事実が現れますならば、この三千七百九十一円というものは実際上の妥当性を持つておるということが言われるわけであります。若し政府が推定したところのものと実際に現れた数字とに大きな違いがあるということになれば、推定は單なる推定に終つてしまいまして、実際と懸け離れたものになる。從つてこれを現実のものとしてどこに押付けるということもできず、これを強硬に主張するということもできんわけであります。そういう意味におきまして、我々は一日も早く具体的数字の現れることを願つておるわけであります。併し今日の段階においては、大体この推定が單なる架空の想像によつて生れたものでなく、今申します通り全國工業平均賃金の月別のものを採用し、更に男女別とか、地区別、それから更に時間差等を、物價改訂が如何に生計費に影響するかという一切のことを包含して、全國から推定として出したものでありまするから、一應この推定を妥当なるものとして採つて行く。併し具体的な数字が違つたものが現実に統計として現れました場合においては、当然それに應ずる他の何らかの方法が講じられなければならんということは、言うまでもない筈であります。
#17
○木村禧八郎君 只今の問題は、予算編成にとつて非常に重大な、根本的なもんだと思うのであります。若しかこの点がほぼ事実によつて政府の推定というものが覆えることになれば、これは予算を全部編成替えしなければならんと思います。そこで今加藤労働大臣のお話では推定とおつしやいましたけれども、四月の全國工業平均賃金はすでに大体分つております。これについてはただ問題は、三月、二月頃において賃金の引上げが行われ、この支拂いが皺寄せして、前に支拂うべき賃金が後になつて余計支拂われておる。つまり皺寄せ支拂があるから、これは実際平均賃金よりも多少高いかも知れませんが、三千六百七十円、四月の全國工業平均水準はもうすでに分つておる。そうしますと、政府の三千四百四十円と非常な食違いがある。五月における三千七百円と四月においてもうすでに二百三十円の食違いがある。更に闇物價につきましても、すでにこれは五月から六月八日までの東京の非配給物資の闇價格の騰貴率は八%ということがもう分つておるのでありまして、從つてこれをこのまま今度賃金算定に加えるということは、いろいろ技術上のウエイトなんかの点で多少は違つて來るかも知れませんが、少なくとも三千七百円の基礎がこれで狂つておるということはもう明らかだと思います。そこで、こういう事実がもう分つておるのでありますから、政府は至急この闇物價の騰貴率について、又私が示しました四月の全國工業平均賃金三千六百七十円、これが事実であるかどうかを政府は確かめられまして、そうしてこれに基いて若しそれが事実であつたならば、至急その單價において賃金ベースなり、又予算を全部組替えるべきだと思います。併しながらそれが事実問題としてできないならば、これはそれに代るべき補正予算というものを出すべきだと思います。ところが、大蔵大臣は、余程の突発事故の起らない限り補正予算は出さない、追加予算は出さないと言つておるのであります。そこで加藤労働大臣にお伺いいたしたいのは、先程中西医院に対しまして、三千七百円というのは予算編成の一つの單價であるとおつしやいましたが、これは政府が保障する実質賃金というものと違うのであるかどうか。その点をお伺いいたしたい。
#18
○國務大臣(加藤勘十君) 只今四月分の賃金統計が発表されたものによると、三千六百七十円となつて、從つて政府が推定してもつて來たものとは非常な差があるのではないか、こういう御意見でありましたが、その統計は私も先般実は日本経済新聞で見まして、果してこれが事実かどうかと言うて安本の諸君にも尋ねたのでありまするが、それはどういうところから出たか知らんが、まだ正規なものは集計されていないという返事を聞きました。そこで依然としてまだ四月分は正規の集計を見たものではないと見ておりませるが、今おつしやつたような点が現実に統計として現れて参りますれば、我々は統計の数字に対する権威を尊重する意味において、当然それらに対する考えが運ばれなければならんと思います。從つて政府としては、まだそれらの点についての方針が決定しておるわけではありませんが、労働大臣としての所見によりますれば、そういう場合に当然、今も中西君の御意見にお答えした通り、新しく考慮されなければならんことはいうまでもない、このような見解をとつております。
 それから標準として採りました三千七百円というものは、これは官公吏の諸君に支拂われるべき固定したものであるかどうか。こういう御質問でありましたが、この点は若しこれが固定したものであるとするならば、こういう團体交渉をやる余地はないのでありまして、それが、多いか少いかは分りませんが、とにかく政府としては、この三千七百九十一円というものの算出の妥当性をもつておりまして、これを組合側の諸君に納得して貰うように極力努めるという態度に変りはありませんが、併し組合側の方は、すでに新しい四月において手取五千二百円という要求が出されておるわけでありまして、その五千二百円の手取の要求を出しておる組合側と政府は團体交渉に入るという建前をとつておりまして、今日から正式に團体交渉に入つておるわけであります。團体交渉にすでに入つておるならば、恐らく私は政府が如何に努力いたしましても、三千七百九十一円という政府の算定したもので組合側が納得されるものとは思われません。從つてそこに話がどういう工合に付くか分りませんが、話が付けば、私はそこに政府としては、当然その話の付いたところに從つて実際支拂賃金というものは決定されて來るのではないか、こう考えております。
#19
○木村禧八郎君 そうしますと、今の加藤労働大臣のお話によりますと、團体交渉が始まつておるから三千七百九十一円で決まる筈がない、そういう話でありますが、そうなれば、どうしてもこの賃金ベースが上つて來るわけでありますが、どれだけ上るか分りませんが、そうすれば必ずそれは予算に現れて來なければならない。もうすでに團体交渉が始まつたということが、三千七百九十一円では維持できないということを意味するならば、これは補正予算が出なければならない筈であります。ところが大藏大臣は、これは又大藏大臣に質問を保留して置きますが、大藏大臣は、補正予算は余程の突発事故がない限り出さないと言つております。その点非常に食違うわけでありますが、私が先程御質問したのは、三千七百九十一円は、加藤労働大臣によれば、予算編成の場合の一つの單價である、こういう御説明であつたのでありますが、それは政府が保障すると言われる実質賃金、いわゆる実質賃金と同じものであるかないか、そういう点をお伺いしておるのであります。
#20
○國務大臣(加藤勘十君) それは勿論政府としましては、三千七百九十一円という名目賃金が單なる名目賃金に終らないように、実質給與としてこれが裏付けられるような物資の配給を確保する、こういう建前に立つておるわけであります。
#21
○木村禧八郎君 そういたしますと、これに物資の裏付けというものがなければ、三千七百九十一円は実質賃金の保障ということにはならない、それはこれからのことになるわけなんですね。
#22
○國務大臣(加藤勘十君) 賃金改訂が物價の改訂と伴いまして、六月から改訂されるわけではありますけれども、從つて六月以降の物資の配給において、その裏付けとなるものを確保して行く、こういうことでございます。
#23
○木村禧八郎君 併しそれは確保すれば、結局三千七百九十一円というものは予算單課と同じであるということになるわけなんですか。
#24
○國務大臣(加藤勘十君) 一應予算單價ではありまするが、政府がそのときに採つて來た数字の基礎によれば妥当性がある。而して妥当性のあるものを維持して行くためには、実質上にそれを裏付けとする物資が伴わなければならん、こういう意味でありますから、從つて若しその算定の土台となる数字に間違つておる点があれば、これはおのずから別個の問題でありまするが、政府の算定の基礎である数字に間違いないとするならば、これは当然三千七百九十一円というものは、物資の裏付けによつて実質賃金として確保されて行くべきものである。
#25
○木村禧八郎君 そうしますと、すでに政府の数字にもう誤りがあると私は断定します、と言いますのは、新聞には一應出ておりまして、三千七百九十一円、そういう細かい数字は恐らくできていると思うのです。そこで政府は今でも間に合いますから、大体集計ができておるに違いないのです。ただ新聞に発表されて、公式に政府は示してないわけでありまして、それを早く確かめられる。もう四月の集計はできておる筈と思います。それから闇物價につきましても、すでに五月から六月、八月までの東京の非配給物價指数は八%増加になつていると存じますから、これははつきりできておるんであります。これをはつきり確めますれば、政府の算定の基礎に間違いがあるということはほぼ断定して間違いがないのですから、そこに間違つておるとすればその一点と、それから先程お話がありましたが、團体交渉が始まつておる以上、三千七百九十一円ではこれが組合側が証認する筈がない。もう少し上廻ることは明かであるというお話であります。そうしますと、政府の予算の基礎にした三千七百九十一円というものはもうすでに崩れておる。これははつきり分つておる。そこで問題は全部予算を新たなる賃金水準に組替えるか、或いは補正予算を出すか、どちらかの問題だと思う。その点につきまして労働大臣にお伺いしたいのであります。
#26
○國務大臣(加藤勘十君) 予算の組替えということは、事実上これは政治的な観点から見ましても、又技術的な観点から見ましても、不可能であると思います。從つて予算を組直すということは、現在政府としても殆んど問題としては採上げられる余地はないと思います。併しながら今申します通り、三千七百九十一円という算定の数字が間違つておるということが統計の上に明確に現れたときに、その統計の数字に対する権威と、それを尊重するという建前から、これに対する考慮が拂われなければならない、このように私は考えておりまするから、從つてそういう具体的な数字が今木村さんは間違つておると断定されましたけれども、或いは断定されるべき資料があるかも存じませんが、まだ私のところにはそういう断定する資料はないのであります。從つてそういう資料を至急政府としても取纒める必要があるでありましようし、そういう場合には何らかの方法を講じなければならん。その何らかの方法というものは何を意味するか。私はそれが追加予算の形式で補正予算で出されるのか、他にどういうことがやれるか、まだそこまでは政府としては何ら打合をしておりませんから分りませんが、私の見解によれば、私は当然どういう方法においてでも、その数字の正しさを尊重することが具体的に現れて來なければいけない、こう考えております。
#27
○中西功君 それで私は、予算單價として認める、それは恰かも実質的な賃金とは別であるというようなことが言われておるのでありますが、前も木村委員の質問に対して、加藤労働大臣は、その賃金と実際の賃金との関係については、この三千七百円ベースが固定した賃金ベースであるかどうかというふうに問題を又ずらかして行つておると思います。で、私達聞いておるのはもつと具体的な問題なんでありまして、二つあります。一つは、加藤労働大臣が幾ら予算單價の問題だと言つて、この國会を通したとしても、現実に組合側に対しては、一應これは、國会を通過した、國会までを通過した官公廳の賃金だ、こういうふうにして押付けられることは、これは非常にはつきりしておると思います。二千九百二十円のときも、組合側としてはいやという程こういうことを誉めて、私もそれをよく知つております。そういうふうな意味で、これはやはり一應予算に載つたものを、これは官公労組合從業員の賃金だ、給與だ、こうはつきり僕は見るべきだと思う。それをあと変える変えないか、これは政府と組合側が團体交渉によつて決めるのであつて、やはりこれは單なる單價でなくして、実際のやはり給與をこの予算に盛つたものだというふうに見るのが私は当然だと思う。これが一つ。もう一つは、現在これは民間のいわゆるマル公の決定も、やはり三千七百円というのが一つの基準になります。そういたしますれば、三千七百円をベースにしてマル公が決定されるということになれば、やはりその面から実際に民間の賃金は一應その標準に則らなければならんということになるのでありまして、相当の響きが出て來るわけです。やはり民間の問題に対しても規制力を持つておると思います。決して單なる予算の上の、一つの計算の上の單價であるというふうなことによつて問題を逃げるわけにはいかんと思う。現実にやはりこれは予算に盛つたところの官聽職員の給與である、給與のベースであるということは間違いないと思うのです。その点はつきりすれば、これが現実に壊れつつあるか、壊れておるかというような状態の下で、次の團体交渉云々に拘わらず、政府ははつきり我々國会議員の前で、これは政府が考えておる給與であるというふうに言えば、これは壊れておるとすれば、これを変えるという問題も政府の責任として出て來ると私は思うのです。その点何か單なる單價ということによつて、非常に問題がずらかされておるという氣がするので、労働大臣の御所見を伺いたい。
#28
○國務大臣(加藤勘十君) その点は私しばしばお答えいたしました通り、單なる標準として取上げたものであるというのではないのでございます。一應はその算定に合理性を持つておるという見解の上に立つておりまするので、從つてこの予算標準の單價として取上げられたものは、政府が予算の中に組んでおる給與ベースであります。それは私、今まで同じ事を何遍も繰返しておると思いますが、ただそれは四月以降が推定によつて生れて來たものであるから、從つて同じ算定方式が採られて、その数字が間違つておるということが明白になつたときに、その間違えたものに対しては固執すべきではなくして、当然出て來た数字に基いて新らしい措置が講ぜられなければならない。こういうところから、その点一つ誤解のないようにお願いいたします。
#29
○中西功君 それで先つき木村さんもはつきり言われましたように、すでに月別勤労統計は大体の集計は終つておる。更に闇價格指数も八%というものが出ておるというのが事実あるわけなんです。で、これは予算が審議が終つてしまつてから政府は考えるというのではなくて、現にこれは考えることができると思う。我々としては、これを議会で審議されておるときですね、政府ははつきり考えて、この統計があるのだから、これを以てはつきり政府の見解を私は聞かなければいかんと思う。通つてしまつてから考えるのじや、これは問題にならんと思います。政府として、或いは加藤労働大臣として、四月の勤労統計が一應仮修正ができておるとすれば、それを実際に、その数字についてはつきり当つた上で、もう一遍我々に対して自分の意見を述べられるかどうか。又闇物資の値上りの問題についても現にこれはあるわけですが、それについて意見を述べられるかどうか。その点ごまかすのじやなくして、はつきりと政府の態度をして貰いたいと思うのです。
#30
○國務大臣(加藤勘十君) 私はごまかすというような氣持は一つもありません。すべて私の見るまま、感じたままを卒直に申上げておる。成る程木村君は四月の工業平均賃金の集金されたものを挙げられましたが、まだ私の手許にはそれは何ら示されていないわけであります。從つて今ここで木村君から示されたから直ちにそれが決定的なものであるという見解に立つて私の見解を申上げるということは、これはできないわけであります。それから闇物價の騰貴の八%という率について見ましても、同様なことが言われるわけでありまして、これは私は今木村君から聞かされるのが初めてでありまして、先程中西君が示されましたように、三月から四月に相当大幅に闇は上つておると言われたが、我々の示されておるものは〇・三%殆んど横這い状態である。こういうように若干違つた数字も見るわけでありますから、從つてそういう点についてはいずれ正式にそれが権威ある統計として発表せられますときにおいては、当然それに対する新らしき措置が講ぜられなければならん。こういう見解であります。
#31
○川上嘉市君 これは私は本会議においてもすでに質問したのでありますが、今回の総予算に対して、その筋から、これは三千七百円の給與ベースというものが確保されるということにおいて初めてこの予算が成立するのだから、三千七百円のベースを守らなければ今度出した総予算というものは根本に崩れる。だからしてその三千七百円をどうして守るかということについて、政府の確信はどうかということを聞かれた。それによつて暫く停滞したことがあるということを確かな筋から聞いたことがあります。それに対して政府はどういうふうな決心を以て、どういうふうな答弁をされたのでありますか。それを一つお尋ねしたいと思います。
#32
○國務大臣(加藤勘十君) その点については、私は別に政府としてそういうことについて……或いは協議したことがあるかも分りませんが、そういう協議の閣議の席にはいなかつたので、どういうことがそこで決定されましたか、別にそういうことは決定事項として残つておりません。ただ恐らく話合だつたろうと思います。併し予算編成について関係方面と緊密、頻繁な折衝が行われたことは事実であります。そうした結果生れて來たものが現在の予算そのものでありまして、從つて予算編成上の賃金ベースとしては三千七百九十一円というものが採用されたわけでありまして、その三千七百九十一円というものが採用された根拠は、今までしばしば申上げました通りのような根拠に基いて算出されたものであります。從つてそれが今申しまする通り、四、五という途中において推定が破れるような具体的なものが現れましたならばおのずから別問題でありますが、少くとも現在のところその推定を維持する條件の下にあれば、私はこの維持はされるものである。こういうように考えておるわけでありまして、その筋との話合いがどこまでそういうことについて折衝されたかということについては私は余り深く存じません。
#33
○石坂豊一君 実は只今までの問答を私共極めて意味深く伺つておるのであります。木村君及び中西君又岡田君にしましても、皆予算の基礎について質問をしているのであります。それに対して労働行政を担当しておられる加藤労働大臣の弁明も、労働相そのものとしての弁明は極めて鮮やかにされておるけれども、予算を計上したところの基礎的計算に至つては、我々は一つ質問するごとにますます分らなくなる。それは即ち基礎計数というものが極めて確乎たる数字の中から挙げられたものでないからでありまして、或いは推定により、或いは三、四月の物價状態によつて、物價は七割上げ、給料は三千七百円、こういうものを計算にして政府は曰く、これが健全財政であつて、ひとり一般会計のみならず、特別会計並びに地方財政に亘つて健全財政を持つたと言われる。ところが、昨日から私は地方財政だけについて見ましても、今日約二千億の地方財政の総集計が上つている。それを見ましても、それは決して物價を七割上げたのでもなければ、三千七百円ベースの予算によつたものでもない。地方財政だけでもそうであります。而して又一般会計に属する計数によつて見ますと、三千六百円ベースというものはすでに崩れてしまつておる。ただ加藤労働大臣は、これは予算を盛るときに最善を盡した計数で、これが政府が支拂うべきものと決定した数字だ、併し実際に当つてこれがいかんということになれば、それによつて現れて來た計数によつて、これを折衝することは当然であると言う。これは労働大臣と如何に質疑應答しても埒の明かない問題でありますから、速かに予算の計数の総合的職掌をとつておられる安本長官、大藏大臣並び総理が出て、明瞭にこの問題を答弁するに非ずんば、幾らこれは質疑應答しておつても私は駄目な問題じやないかと思います。又これを以て労働大臣を責めるのは無理であります。我々は加藤労働大臣に対しては労働行政のますます健実ならんことを期待しておるのであります。又加藤労働大臣はそれだけのことをやる手腕を持つておられる人と見ておるけれども、これを財政的の見地より、お前はどうしてこれを認めたかということに至つては、これは敢て当らない筋じやないかと思います。先程川上君からも質問がありましたけれども、今申します通り、財政方面、経済方面を担当しておる方々で明瞭に一つ答弁あるように委員長に要求いたします。そうしないと、何ぼこれは繰返して見ましても又問題は元に戻つてしまう。今まで質疑をされた方の確かなる計数を根拠として問うておられるので、その点委員長の御判断を願いたいと思います。大藏大臣は與党としてはこの予算に手を触れてはいかんというようなことをラジオを通じて放送しておられますけれども、それはできない相談で、今日明日を計られない、変轉極まりない現状においては、どうなるか分らないのでありまして、私は大藏大臣の出席を待つて質問すべく準備をしておりますけれども、一向影も形も現さないのでありますから、止むを得なければ加藤さんにでも又聽かなければならんように思いますけれども、如何にも氣の毒だと思います。昨日から何遍繰返しても又元に戻つてしまう。どうかこの点一つ委員長におかれて明瞭にして頂きたい。
#34
○委員長(櫻内辰郎君) 総理と安本長官、大藏大臣に出席を要求してあります。
#35
○木村禧八郎君 私は賃金算定の方法なんですが、先程加藤労働大臣のお話ですと、CPSを考慮して、全國工業平均賃金を考慮しておると、この前の給與審議会ですか、臨時給與委員会、あのときの算定の方法は、CPSの乙地から一割引くという算定方法であつたと思うのであります。ところが今回はそういう方式ではないのですね。CPSは考慮はされておると思いますが、それとはやはり違つた方法ですか、どういうわけでそういうふうに違つて來たかと……。
#36
○國務大臣(加藤勘十君) 今木村君の御質問にお答えする前に、石坂さんのご意見は御尤もですから、どうか一つ安本なり大藏省なりに十分……。
 それから只今の木村さんの御質問でありまするが、それの算定の方式は、臨時給與委員会の算定方式に則つたものでありまして、算定方式としては同じ方式が選ばれておるわけであります。そこでその算定方式を詳しく申上げますれば、一月の方式によりますれば、全國工業平均賃金の基礎の上に立つて行われて、これに第一次、第二次、第三次修正が行われておるわけであります。第一次修正の計数は一・一五、これは毎月の勤労統計報告に漏れたもの、例えば貸付金であるとか、実物給與であるとかいうものが入つておらんから、そういうものを一・五殖やして、そうして一・一五の計数を以て第一次修正としたものであります。第二次修正としましては、地域、男女、年齢、職業別等の、構成の差を現して、これを〇・八採りまして、結局一・〇八の計数を以て修正したものであります。第三次修正としましては、労働時間の修正計数でありまして、工業平均賃金が八時間平均を採つておりまするので、これを官聽平均の六・六時間に修正したものであります。こういう三つの修正が加えられまして、そうして工業平均賃金というものが推定されて來たものでありまして、これに更に大きいところでは、財政的見地と、それから六月の民間給與水準との均衡を採るということと、それから三番目には物價補正等がどういう影響を及ぼしておるかということを考慮した点と、この三つの点が考慮されて算定されたものでありまして、これを更に分類して細かく見ますれば、第一の財政的見地は、これは議論になるから別にしまして、第二番目の六月からの民間給與水準との均衡を採ること、この見解でありますが、これは民間給與水準を基準とする場合には、臨時給與委員会の方式に從いまして、全國工業平均賃金とCPSの乙地支給額とを採つたものであります。工業平均賃金を採りますると、昭和二十三年六月の工業平均賃金というものが次のように推定されておるわけであります。第一には長期の趨勢のもの、各三ヶ月の移動平均の直線を採つたものであります。これが一つと、それから二番目には短期の傾向を採つたもので、具体的には、二十二年の十一月と二十三年の一月からの四分の一の点を採りまして、それを二月と三月との中を結ぶという直線延長を採つたものであります。これによりますと、六月は三千五百三十円になる。最初の方を採りますと三千七百八十九円になる。三番目には二十三年の一月と二十三年の三月とを結ぶ直線的なものによりますと三千六百六十円になる。こういうわけであります。この三つの計数に対して、第一次修正である一・一五を掛けますと四千二百五十七円になり、二番目のものをやはり同じ計数で掛けますと四千六百円になり、三番目のものは四千二百九円になる。これに毎月勤労統計に対する第二次修正即ち地域であるとか、男女の別であるとか、職種であるとかいうものの計数を乗じますと、第一番の場合には四千七百六円、二番目のものが四千三百八十五円、三番目のものが四千五百四十六円、こういう工合になるわけであります。更に三番目の修正である労働時間、これは八時間平均のものを六・六時間平均に直しますと、最初のものが三千八百八十二円、二番目のものが三千六百十八円、三番目のものが三千七百五十円、こういう工合になるわけであります。更にCPSを採りますとCPSの三ヶ月間の移動平均についての眞ん中の点の連結を取つて六月分を推定いたしますると、一番初めの十二月から二月の趨勢を延長いたしますると六千四百七十円、十一月から二月の趨勢を延長したものが六千六百二十円、十月から二月の趨勢を延長したものが六千六百円、こういう工合になつておるわけであります。これを、先程中西功君の御質問の場合にも申しましたように、官公吏の世帯平均は二人半であります。このCPSの全國平均は五人世帯でありまするから、当然人間の家族構成の換算計数が出されなければなりませんが、それを〇・六一二五という数字を出しまして、それを掛けますと、最初のものが三千九百六十三円となり、二番目のものが四千五十五円となり、三番目のものが四千二百二十六円、こういう工合になるわけであります。これを更に乙地の世帯主の収入の換算におきまして、世帯主の経常勤労収入というものが家計の上に九〇%を占めており、あとの一〇%は他の収入によつて補填されておるという点から、この九〇%とそれから労働時間の修正六・六時間を加えましたものが、最初のものが三千五百六十七円、二番目のものが三千六百五十円、三番目のものが三千八百三円、こういう工合になるわけでありまして、これを平均いたしますと三千六百七十三円になるわけであります。これを更に新しい税率によるものを加えますと三千七百六十円ということになるわけであります。これを更に物價補正の影響を考慮しいたしますると、そして、全國工業平均賃金と乙地のCPSとの二つのものを勘案いたしまして、工業平均賃金が五月におきましては次の三つの場合が出て來るわけであります。それには三千六百十一円、三千四百円、三千五百二十円こういうのでありまするが、これをラウンド・ナンバーで、三千六百円と三千四百円と三千五百円との三つの場合を採りまして、そうしてこれに生計費構成品目のマル公が、物價補正によつて、現行マル公による支出増加の平均が一・七若しくは一・八という、つまり七割及至八割の改訂があるものといたしまして、生計費中にマル公によつて支出の占めておる割合が二十五%若しくは二十七%であるわけであります。更にこうした点から五月から六月までの非配給物資の推定の値上りが、三及至四コンマと見込まれておるわけでありまして、この三つの條件を考慮しまして、且つ勤労所得税の改正の結果等を織込みまして、五月の平均賃金と、六月の手取賃金平均額を実質的に比較いたしますと、結局五月は推定賃金が三千四百円で、税額が五百四円であります。結局手取は二千八百九十六円になる。二番目の場合は三千五百円で、税金が五百三十一円でありますから二千九百六十九円、三番目が三千六百円としまして、税金が五百五十七円でありますから手取が三千四十三円、こういう工合になるわけであります。これを六月にこの数字を推して参りますると、賃金が、一番初めの場合は三千六百一円でありまして、これに税金が六十五円であります。從つて手取は三千五百三十六円、二番目が三千七百六円の賃金に税金が八十一円でありますから、手取は三千六百二十五円、三番目が三千八百十二円の賃金で税金が九十七円、手取が三千七百十五円、こういう計算になつておるわけであります。五月の賃金を実質的に維持するために、六月賃金の民間平均賃金が三千七百六円、こういうことになるわけであります。從つて第二番目のCPSを採ります場合におきましては、五月の乙地の五人世帯のCPSの支出額は六千三百円、六千四百四十円、六千六百四十円と、この三つになるわけであります。これに対して二番目の場合と同じような修正計数を乗じますと、更に労働時間の修正を加えて見ますると、最初のものが二千八百六十五円、二番目のものが二千九百二十円、三番目のものが二千九百七十円、こういうようになるわけでありまして、これに物價変動の影響を考慮いたしましたり、税金額の変動を考慮して加えますと、五月と六月における世帯主の収入は、物價変動計数を平均して、二十二・一%を用いまして、手取が五月の場合においては二千八百六十五円で、これに税金が四百七十八円加わりますから、税込では三千三百四十三円、二番目が二千九百三十円、税金が五百四十円でありますから税込では三千四百三十四円、三番目が二千九百七十円に税金が五百十七円、それで三千四百八十七円、これを同様に六月について見ますと、六月の最初のものは手取が三千四百九十八円、税金が五十八円でありますから、税込三千五百五十六円、二番目のものが、手取が三千五百七十七円で税金が七十二円でありますから、税込で三千六百四十九円、三番目が、三千六百二十六円の賃金手取で、税金が八十一円でありますから、税込では三千七百七円、こういうようになつております。六月の税込世帯主の収入の平均が三千六百三十七円、これが三千七百円ベースに相当するものであります。そうしてこういうような状況でありますから、いろいろな点を総合いたしまして、民間賃金との均衡がほぼ保たれることによりまして、CPSとの均衡も亦保たれる。値段は給與計数三千七百円というものを見込んだわけでありまして、一應計数の計算上におきまして、政府は、計算方式としては、今申しましたような臨時給與委員会における給與方式を採り、今申しましたような諸点を勘案いたしまして、こういう数字上の根拠を以て数字を組立てたわけであります。
#37
○川上嘉市君 本予算においても、從業委員の沢山の方がこの追加予算は出すのかどうか、或いは三千七百円ベースを守るかというような問題について、相当念を押されましたけれども、大藏大臣の答弁にも、首相の答弁にも、追加予算を今のところ、突発事件が起らん限りは出すつもりはないということを明言されておる。然るに先程労働大臣のお話によりますと、現にすでに五千二百円の團体交渉に入つた。從つて團体交渉では、向うの言うことを或る程度まで聞かなければならんというような意味のお話がありましたが、そうすると、結局三千七百円というものは、あれは看板であつて、実はそれは守れるものかという、そういうような意味にとられるのでありまして、我々は今三千七百円のベースでこの予算を審議する際に、このベースを守れんということは、その話は卒直であつて、それは認めますが、併し他の閣僚の中で、そう言われることは、我々は一体嘘の予算を、殆んど嘘に近いような予算を審議する必要があるかという感じを持つ。少くとも労働大臣として、團体交渉に行つて、五千二百四十円になつておるが、できるだけ三千七百円に近ずけようということで……各省、閣内の方が意見が一致しないので、片つ方ではどうも守れないような、そういう我々は感じを受ける。これについて労働大臣の答弁を承わりたい。
#38
○國務大臣(加藤勘十君) その点は、組合側の要求が、手取五千二百円という要求が出てはおります。併し政府としては、今申します通り、三千七百九十一円という、予算編成の標準として採つたものには一應の合理的な根拠を持つておるし、そこでできるだけ組合の諸君には、これが納得して貰えるものならば、納得して貰つて、この案を承認して貰いたいという意味であります。從つてこれを強く承認して貰いたいという考えには、他の閣僚諸君と共に変りがありませんが、ただ実際問題として、それを一方的に何でも、是が非でも頑張るということでは、團体交渉の意義をなさんという意味でありまして、三千七百九十円に近ずいて貰いたい。できればそれを納得して貰うことが一番結構でありますけれども、勿論政府としては、これに相当の妥当性を認めておりますから、從つてできるだけ組合の諸君に納得して貰うようにお話をしようということにおいては少しも変りはありませんから、その点は誤解のないようにして頂きたい。ただ、今のを繰返して申しますが、だからといつて、これを頑強に突張つて、是が非でもこれでなければ言うことを聞かんということであれば、團体交渉に入る必要はないが、團体交渉に入るという以上は、そこに話合いに多少の余裕がなくてはならん。それが果して今度の予算を再編成しなければならん性質のものかどうかということにつきましては、そのときになつて私はそういう事態に対して考慮すべきである。こういうのでありまして、恐らく大藏大臣がどういうことを御返事されたか分りませんが、私は数字の根拠が破れれば、これに対しては財政の面から苦心があることは十分分りますけれども、仮に財政の面に苦心がありましても、そういう点については而も單なる数字上の爭いでなくして、それが実際に勤労者の生活に影響をするという点でありますならば、私はその点は十分考えなければならないのじやないか、こういうふうに考えております。
#39
○池田恒雄君 先程から中西、木村両氏の質問と加藤労働大臣の答弁とを伺つておりまして、どうも私は労働省というものに非常に疑惑を持つのであります。というのは、先日肝腎の安本長官がここに見えられたときに、労働問題について安本長官は殆んど喋らないのです。本日は又加藤労働大臣が参りまして、大いに喋りまして大いに愉快ではあるのでありますが、ところが、その加藤労働大臣は、この労働問題に最も重要な賃金問題では、安本の資料によつてまあ決まつて、そうして結局見せられた集計の上でというようなことを言つておられるわけです。そうすると、労働大臣はまあ如何に喋つていろいろとなにしましても、結局賃金の基準というものは、安本の物價廳なら物價廳から出て來るので、労働省それ自身はこういう問題に対して判断する何ものもないのだというような工合にみえるのです。そうすると、加藤勞働大臣は何かの人の拵えたものをもつて來て、一生懸命になつて報告して喋つておるという工合にしか我々には受取れないと思う。そうすると、一体労働省というのは、これは何だということになる。あつてもなくてもよいということになる。一つそこを明らかにして貰いたい。
#40
○國務大臣(加藤勘十君) すべてこの点はオール・オア・ナツシングでありまして、その観点からこれを見る必要があることは言うまでもありません。勿論政府の予算編成上における、而して又物の計画については安本がその所管廳でありまして、從つて所管廳がその基本を握るということはもとよりであります。勞働省は労働行政運営の立場からその所管に関する事項について発言もし、主張もし、また行うべきことを行なつて來ておるわけでありまして、例えば労働省の賃金問題、これは今予算編成の問題についての一つの標準として採られた賃金問題が論議されておりまするから、從つてその賃金をいうものが、労働省は勝手に労働省としての見解を持つて來る、大藏省は勝手に大藏省としての見解を持つて來る、安本は勝手に安本としての見解を持つて來るというのでは、それこそ混乱するのでありまするから、この点は政府としては持つて來た、成る程資料は安本から出ますけれども、統計というものは決定しておるのでありまして、作成されたものは決定しておるのでありまするから、その決定しておる統計を持つて來て、それを計算の根拠としておるわけでありまするからして、從つて私がこの統計について申上げることも、安本の人が統計について申上げることも変りはないのであります。從つてその点は私が言うたからといつて、これは何も他の借物をここで読んでおるというわけではないので、安本の諸君でも計数が如何と言つて問われたら、これを申上げるより外はないのであります。そういう意味でありまして、決して單なる借物をここで読んでおるというのではありません。それは仮に政府として統一ある連帯責任の上に立つて申上げておるのであります。
#41
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと申上げます。今衆議院の本会議で、加藤労働大臣に対して緊急質問が出たそうでありますから、労働大臣はちよつと向うに廻られますから、その間農林大臣に対する御質疑を願いたいと思います。
#42
○岡田宗司君 私ちよつと……。過日米價の問題につきましてお伺いしたのでありますが、いよいよ明日からいろいろな物價が改訂されて、これが実行されることになるので、米價もこの際当然その中に入つておると思うのでありますが、過日質問いたしましたときには、米の消費者價格は据置くというようなお話でございましたが、この物價改訂に伴う米の價格につきましての農林大臣の所見をお伺いしたい。
#43
○國務大臣(永江一夫君) お答えいたします。米の消費者價格を据置くと申しましたのは、昨年の産米について政府が手持になつておりまする米の分を指したわけであります。主食全体といたしましては、これを一定の量やはり新物價体系に應じまして消費者價格を上げる、こういうつもりでおります。
#44
○岡田宗司君 昨日ガリオア・フアンドのことをいろいろお伺いいたしましたとき、ガリオア・フアンドによつて輸入せられる外國の食糧でございまするが、これの國内の拂下げ價格が、新物價改訂によりますと八十%増になつておるのであります。そういたしますと、大体米その他の食糧の全体の價格も昨年の價格の八十%増と、そういうふうに推定してよろしいのでありますか。
#45
○國務大臣(永江一夫君) 大体その程度でやりたいと思いますが、御承知のように三千七百円ベースに非常に関係を持つておるのでありますから、今國会で御審議願つておりまする汽車賃その他のものが或る程度の確定をいたしました以後において、主食の消費者價格を決めたいと、こう考えておりますが、一應は今お話のような一・八ぐらいで主食の消費者價格を抑えたいと、こう思つております。
#46
○岡田宗司君 鉄、石炭その他の價格につきましては、運賃の値上率が決まらない間、別の價格を作りまして、そうして運賃の倍率が決まつてから新らしい價格の確定を見るように考えておるのでありますが、食糧品の價格はやはりそういうふうな方式で行かれるのか、或いは、運賃の倍率が確定するまでは現行のままで据え置かれるのか、その点を伺いいたしたい。
#47
○國務大臣(永江一夫君) 大体運賃が確定しましてから最終の消費者價格を決めたいと思つております。
#48
○岡田宗司君 有難うございました。
#49
○岡本愛祐君 私は農林大臣に山林関係のことを伺いたいと思います。雨が少し降りますと、國民は直ぐ又水が出るというので非常に不安な氣持で恐れておるのであります。この二・三日前の雨、あのくらいな僅かな雨が降りましても、所々方々に水が出ておるのでありまして、水が出ますと、山林のことを思いまして、その荒れ果てた山林はどういうふうにして國家は早く再建をして呉れるのであるか、復興をどうして呉れるのであろうかということを熱望しておるのであります。四月に暫定予算ができましたときに、永江農林大臣が御就任草々でありましたが、この荒れ果てた山林の復興対策をどうなさるのかということを質問したのであります。そのときはまだ対策がはつきり事実できていないというような御答弁であつたと思います。それで先ず細かいことは又別の機会にいたしまして、大略ではよろしうございますから、この森林復興対策はどういうようにこの二十三年度ではおやりになるのか、それを伺いたいと思いましたが……。
#50
○國務大臣(永江一夫君) 大綱を申上げますと、過去十ヶ年の統計によりますれば、十ヶ年におきまして大体山林で伐採をいたします面積が六百万町歩に近いのであります。これに対しましてその伐採後ここで造林、植林を行いました面積が大体四百万町歩以上であります。從つてその差が二百万町歩くらいでありますので、これをどうしても適当に造林、植林をいたしますために五ヶ年計画を立てまして、本年度から向う五ヶ年計画に植林、造林を実施するという方針でこの山の荒れ方を回復して参りたい。こう考えております。
#51
○岡本愛祐君 この造林はもとより國土の荒廃を一日も早く復興いたします上におきまして甚だ必要なことであります。併しいつも造林の必要を叫ばれておりながら、その実効は極めて挙らないのでありまして、現に昭和二十一年度からも五ヶ年計画ということを言われまして、二十一年度も二十五万町歩でありましたか、それを造林すると言いながら、僅かその何分の一しかできなかつた。二十二年度においても恐らくこれは失敗に帰しておるのだろうと思います。それで五ヶ年計画という計画をお立てになつて、今申された五ヶ年に六十三万町歩とこの報告書には書いてありますが、その造林を年々なさるということは、これはなかなか並大抵のことではないのでありまして、これに対してどういうふうにして計画をお進めになるのか、本当に六十三万町歩というような大規模な造林がおできになるのかどうか、それを伺いたいと思います。
#52
○國務大臣(永江一夫君) この造林計画につきましては、一應の計画の上に五ヶ年計画といたしておりますが、いろいろ実施の面におきましては、民間における造林を大いに獎励実施をしなければならんのでありまして、政府はこれについては御承知のように大体國が四割、府縣が一割と五割の補助をいたして実施を奨励しておるのでありますが、その金額についてもしばしば御指摘になりましたるように、物價の暴騰によりまして、政府が算定をいたしております單價と可成り開きがあるということで、この計画に非常に難澁をしておるのであります。併しこの点はいろいろ各方面に協力をお願いいたしまして、できるだけ計画の面積に近いものを五ヶ年間に実施をいたしたい、こう考えております。
#53
○岡本愛祐君 少し細かくなりますが、今申した五ヶ年計画で一年六十三万町歩の造林をするということになつております。この第一年度の二十三年度の予算におきまして、六十三万町歩の全部おやらせになる見込でありますか、その点を伺いたい。
#54
○説明員(池田大助君) 五ヶ年計画におきまする昭和二十三年度の民有林の造林の面積は三十万町歩になつております。このうち十七万町歩を一般の造林の補助によつてやつて参り、残り十三万町歩は森林資源造成法による造林証券の方法によつてやつて参る。こういう計画になつております。で、一般の方に必要な造林の補助金は一應六億四千百万円を計上いたしております。
#55
○岡本愛祐君 そういたしますと、民有林の三十万町歩は補助乃至造林証券でありますか、それで以ておやらせになる。あとの三十三万町歩は國有林及び公有林の官行造林ということになるのですか。
#56
○説明員(池田大助君) 尚五ヶ年計画の全般の数字について申上げますと、二十三年度の造林の数字は六十万町歩ではございませんので、三十八万七千町歩、こういうことに相成つておるのでございまして、先程の三十万町歩の差は國有林の造林及び公有林の官行造林、こういうことに相成つております。
#57
○岡本愛祐君 それでは初年度は三十八万七千町歩で、漸増して第五年目においては、一年に百万町歩やることになるのですか。
#58
○説明員(池田大助君) 年度毎の数字を申上げますと、初年度即ち昭和二十三年度が三十八万七千町歩、二十四年度が四十八万町歩、二十五年度が五十八万町歩、二十六年度が六十九万町歩、二十七年度が六十九万八千町歩、合計いたしまして五ヶ年間に二百八十八万町歩、こういう計画に相成つております。
#59
○岡本愛祐君 そうすると、今の計画には年々伐つて参ります町歩、それが年に三十万町歩くらい伐つて参るのですか、そこの造林計画はどうなつておるのですか。
#60
○説明員(池田大助君) 年々伐採いたします数字は、最低限度に見積りましても約五十万町歩になる見込でございます。このうちいわゆる萌芽更新によりますもの、つまり植栽の手数を要しないものがその三割程あるのでございます。あとの七割が造林の手続を要しますもの、つまり三十五万町歩内外が、今後一ヶ年に伐採いたしますものの中の造林をなすべき面積、こういう関係に相成ります。
#61
○岡本愛祐君 大体計画は拜承しまして、又細かいことは分科会で伺うことにいたしますが、この造林は今申しましたように、計画だけでは何にもなりませんのでありまして、今申した二十一年、二十二年の大失敗もあることでありますから、十分周密な計画でおやりにならなければいけないと思います。それのみならず、この造林の費用というものが、よその費用に流用されることが非常に多いのであります。この点は造林費は外の費用に決して流用しないというふうに政府では確たる方針をお立てになつて、それと同時に飽くまで造林をやつて行き、山林の荒廃を一日も早く救つて頂きたいと思う次第であります。
 尚この造林対策について伺いますが、この農地調整法案なんかで非常に行過ぎがあります。又開拓事業なんかにつきましても非常に行過ぎがありまして、そうして今盛んに木が育つているところを開墾したり、又農地にしたりしても、大して役に立たない。傾斜が激しくて、そこを開墾すれば雨が降ると崩れ易い、そういうところも遠慮なく開墾をする傾向があるのであります。この点はどういう取締を農林大臣はなすつていらつしやいますか。
#62
○國務大臣(永江一夫君) 今お尋ねの点につきましてお答をする前に、一言森林政策の一つとして私が考えておりますることを附加えて申上げて置きたい。どういたしましても、実は皆さんすでに御承知のように、我が國の森林についての過伐ということは明かに行過ぎている。相当の間山を休ませるということが必要なことだと思つているのであります。そのためには濫伐、過伐の原因でありまする木炭及び薪炭の政策につきましても、できるだけ関係方面との折衝によつて、ガソリンの輸入等によりまする方法を強化することによつてできるだけ伐採のスピードを落したい、こういうふうに考えまして、その点からも今関係方面と折衝いたしております。こういう点が可なり緩和されて参りまするならば、やはり或る程度の森林の造林植林についても明るい見通しができるのではないか、こう考えているのでありまして、一言お答えを附加えて起きます。
 それから、第二の点でありまする農地開発の行過ぎでありまして、これはしばしば各議員諸君から御注意を受けているのであります。私の方としましても、当然開墾の適地ということにつきましては、これが社会的にも経済的にも、一切の面から見て適当であるというものを開墾、開拓をする方針で指導を與えているのでありますが、地方によりましては、農地委員会の協議の結果で、この政府の考えておりまする線を越えて行われているというような例が絶無とは申されん。從つて私共が折ある毎にこの点を指摘いたしまして、開墾開拓の目的を踏み外さないように必掛けている次第であります。
#63
○岡本愛祐君 薪炭林が濫伐をせられているということは確かにそうでありまして、これは田畑に近いところの、いわゆる里山が荒れる大きな原因をなしているのであります。これは今農林大臣からの御説明がありましたように、この里山の薪炭林の濫伐ということに対して、適当な制限を加えて頂いて、この田畑に対する被害を少くするように努めて頂きたいと思います。尚これに関連しまして、この民有林のまだ若い盛んに伸びつつある殖樹林が、今農地が大きな所有を許されなくなつたと同様に、或る面積以上は許されないであろうという見通し、これは大いに誤つており、永江農林大臣から、そういうことはしないという言明はありましたけれども、やはり計画的に宣傳をするという方々もありまして、そういう不安に襲われておりますのと、それから又小さいのを伐りまして、これを町なんかに持つていきますと非常にいい値段になります。これを伐りまして賣つてしまつた方がそういう不安から逃れますし、もう一つは、数年後まで費用を掛けて成長を持つて賣りますよりも非常に得が行くというようなことから、幼齢林の濫伐ということが行われておる。これに対して制限なり、或いは場所によつては禁止なりの方法をとる御意向がありますかどうか、それを伺います。
#64
○國務大臣(永江一夫君) この点は実は新たに木炭及び薪炭の制度につきまして、政府は目下関係方面と折衝中でありますが、極めて近い中でありますが、極めて近い中に方針が具体化されましたならば、國会の方にこれを説明申上げまして、御了解を得たいと思つておるのであります。その骨子をなしますものは、今御指摘になりましたように、山林の過伐を防ぎますために一定の計画を立てますと同時に、木炭及び薪炭につきまして原木を確保いたしますために、府縣及び市町村にそれぞれ適当な委員会を設置したい、この委員会におきまして、木炭及び薪炭の製造を行うものと山を所有しておるものとの間におきまして、できるだけ原木の値段その他について話を付けて、尚それが非常に困難な場合には第三者を加えまして、市町村單位に適当な原木を確保いたしましたり、原木の値段について適当な値段を補正いたしますところの委員会を設置したい。この委員会においてこれらのことを処理しながら、府縣單位におきまする大体の伐採計画を超えないような方法をとりながら、同時に又原木につきましての値段の或る程度の統制を行つて行きたい。こう考えております。
#65
○岡本愛祐君 里山は非常に荒廃しておりますが、少し奥山に参りますと、まだまだ開発の余地がある所が多いのであります。私は暇のときに歩いておりますが、その奥山の開発に対しまして適当な手段を講じまして、一方には里山が荒れることを防ぎますと同時に、一方には適当な原木或いは薪炭林料を供給することが必要ないのであります。これにはどうしても林道を付けなければなりません。これは幹線的なものはやはり國営でやり、支線は町村でやりまして、その補助を國でするというようなことは考慮する必要があると思いますが、この点につきましては政府はどういうふうに考えておりますか。
#66
○國務大臣(永江一夫君) 今お話のように奥山の開発のためには林道の必要を認めまして、この予算に計上しました。計上しました金額は多額ではありませんが、その趣旨に基いて林道開発の予算を計上しておるわけであります。これはどうしても林道開発によることが一番近道であり、重要でもあると、こう考えております。
#67
○岡本愛祐君 その点につきまして政府の十分なる御努力をお願いして、この山林の荒廃を防ぐと共に、林木の供給に事欠かないようにして頂きたいと思います。
 尚進みまして、今度は國有林野の経営のことについてお尋ねしたと思います。國有林野は民間の事業と違いまして、税は取られていないのであります。税を取られていないのに赤字が出る。而も國有林野は木曾の國有林とか秋田の杉の美林とか、そういうふうな天下の有名な、日本の有名な山林を多く持つているのでありまして、これが赤字が出ることは如何にも不思議なのであります。税は取られてもいない、良い林は持つている、而も赤字が出るのはどういうわけであるか。二十三年度の収入支出を見てみますと、國有林野の経営によつて挙ります収入が八十三億三千七百万円、これに要する支出が人件費、植林の費用等を除きまして八十二億六千万円程掛かるのではないかと思うのであります。それに人件費を加えますと大変なことになる。人件費が十二億五千万円、こういうふうな非常に赤字になりますことは、私としては、林野経営に経験のあります者としては非常に不思議なのであります。この点につきまして農林大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。御説明を願いたいと思います。
#68
○國務大臣(永江一夫君) 御尤もなお尋ねでありまして、実は國有林のことについては、私も就任以來いろいろ研究をして見たのでありますが、この会計面において赤字が出て参りますることは、何としても國有林で出しまするものはすべてこれはマル公でありまして、これに要しまする諸経費が民間の闇労銀の影響を受けて予定通り行かぬ傾向があるのに対しまして、生産物は厳格に公定價格を守つているがためでありまして、どうしても予算の面におきましては、今お示しのような赤字が出て來るというのが、卒直な私の今お答えできる範囲であります。
#69
○岡本愛祐君 國有林は私が申しますまでもなく、國がみずから経営しまして、そうして治山治水を十分にやつて、それから大事な立派な材木の供給を永遠にできますように、いわゆる生産保続をして行く、それと同時に國家の又國民の大事な財産を預つているのでありますから、國家経済に寄與しまするような収入を挙げて行く、そういうところにあるのであります。この経済の急変轉のときに経営に当てられます方々の苦心は察するに余りがあります。又今大臣からお答えがありましたような事情がありますことは私よく承知いたしております。併しこれもやり方によるのでありまして、私はやり方によれば多少の闇はしなければならないかも知れませんが、うまく行く方法が大いにあると私は思うのであります。そこで先ずどういうことを考えたらよいかと申しますと、この國有林野事業の特別会計の制度が非常に複雑である。手続が非常に頻雑で事業の障碍をなしている。これは大藏省の方もここにおられたら聞いて頂きたいと思いますが、この特別会計の制度が頻雑なために会計事務に三倍の人が要すると思う。私は御料林経営を数年間やつて参りましたが、それと同じ規模におきましてやるとしますれば、会計事務その他のために三倍の人が要る。この人件費が高いときに三倍の人が要るようなことは不経済に決まつておるのである。赤字が出るに決まつておるのである。それからその他の事務が、これは統計だとか照会だとかいう事務が非常に頻瑣でありまして、技術官が山に行けないのであります。この技術官は始終山に行つて、山が良くなるように、それに専心しなければならないのでありますが、今第一線におります担当夫といいますか、それが一ヶ月の中に山に行きます日にちが何日ありますか。恐らく元の五分の一くらいしかなかろうかと思います。これでは山も良くなりませんし、人夫も怠ける。これは人夫賃というものが山林経営の大部分なのでありますから、この監督官がいなければ駄目なのである。これは是非とも会計手続なり、その他の手続の頻瑣を除かれまして、簡易な手続によつて人が要らないように、一方には技術官の山に成るだけ入れるようになさなければならないと考えます。会計手続を如何に煩瑣にいたしましても、悪いことをする者は悪いことができるのでありまして、今の手続は如何にも煩瑣に過ぎます。それからもう一つは事業資金の不足であります。これは人夫を使つておりますので、日々人夫賃が要ります。これを拂うその事業資金に事を欠いておるように見受けるのであります。それはこれも会計の罪でありまして、現金を年度初めに持たない。だから署長が自分で高い金利を拂つて借金をする。又業者から金を借りる。そこに悪因縁もできれば、又採算的には考えられない情実の面も出て参ります。こういうことも十分御注意願いたいと思うのであります。それから事業資金が不足しますから、物資の入手ができない。そこで公定價で買える時期に、金がないから買えないというようなことも起りまして、公定價を外して闇物價を買わなければならんということも起つておるように見受けるのであります。一番悪いことは罪人ができることである。これは苦心をしまして署長が金を借りる。又業者から金を融通して貰うというようなことから、罪人がぼつぼつ出ております。こういうことも國有林野事業として甚だ寒心に堪えないところでありまして、この点は十分御警戒を願いたい。こういうように思います。それからもう一つ苦言を呈して置きますが、議会が余りに頻繁でないか。会議を始終やつておる。山に行くよりか会議の方が多い。そういうふうに外の出張費が沢山要る、山に行く出張費がなくなるというようなことがあるように私は思うのであります。そこでこの予算について見ますと、國有林野事業の方で賃金と申しますのは、これは從業員の賃金であります。これが四十三億円になつております。これは延人員どのくらいの人員でありますか分りませんが、ところが、旅費が四億五千四百万で、職員の旅費がその十分の一以上になつておる。つまり旅費がこれは決して少ない額でありますが、これは十分活用されたいと思うのであります。こういう点について御所見を伺います。
#70
○國務大臣(永江一夫君) 誠に適切な御注意を頂きました。今お示しのような諸点については、私も大いにこの点について注意をいたしたいと、こう考えております。特に実際の技術者がその技術を活しますために、現地に行かずして会議に追われておるというような点は、誠に私共としては今度注意しなければならない、こう考えておるのであります。実は私は新らしく木炭の制度を変えまするために、國有林におきまして木炭を製造して、大消費地に國が直接造つたものを配給する。こういうような案を立てまして、そして民間の木炭製造は枠外に置きまして、自由に製造せしめるというような新らしい案を実は事務当局に立案せしめたのであります。その際におきましても、いろいろ数字をやつて見ますると、我が國の國有林の量からいたしましても、七大府縣におきます大消費地に供給するに足るだけのものを國が直接に製造し得る能力が確かにあるのでありますが、残念ながらその原料を持つておりましても、これを製造いたしまする人件費、それに関連いたしまする諸経費が先程申しましたように安くないのであります。これらのものを加えまして総統の運賃を加えたものを計算して参りますと、どうしても初め考えました通りに、國有林で以て七大府縣の大消費都市に対して直接に供給するというものも、実は私が当初考えた程安くならん。これらの計算の途中におきまして、今お示しになりましたような諸種の費用が、可なり政府みずからがやることが多くなつて來るということに私は驚いたのであります。そういうように事実やつて見ますると、数字の上ではどうしても國営で大消費地に対して、いわゆる大消費地の消費者の立場からいろいろなものを立案いたしましても、非常に困難がありますと同時に、役所自身も、今お示しのような点について尚敏活にやらねばならん点で改めなければならないということを、私自身十分にこれを認めておるわけであります。今お示しのような点は今後十分注意して参りたいと思います。
#71
○岡本愛祐君 尚お尋ねいたしますが、この五月の十三日に全國の町村長の大会がありまして、それが決議をいたしました中に、治山治水対策で國土の保全、民生の安定、各種産業の振興開発等のために、政府は速やかに建設省を設置して、治山治水の基本國策を綜合且つ協力に遂行すべきである、こういうふうに申して、そうしてこの農林省の中にあります林野局も建設省の中に入れて、政府は治山治水は関する現行の行政機構とその施策運営に猛省を加えて、そして綜合的にこの治山治水対策を構ずべきであるということを決議いたしました。私は昨年参議院の本会議の自由討議の席上で、むしろこの林野局というのは建設面から、國土的見地の上から、建設省と申しますか、國土省と申しますか、その方に移して、そうして治山治水対策なりその他の万全を期したらいい、こういうことを議員各位に呼び掛けたのであります。この点に対しまして農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
#72
○國務大臣(永江一夫君) これは今林野局でやつております仕事の性質から申しまして、これらのものがやはり間接的にも食糧に関係がありますし、又農村の行政の上にも非常に密接不可分の関係がありますので、その面から申しましても、只今のところ私は林野局の行政を國土建設という一つの窓から見まして、これを建設省に移すということは妥当ではないとこう考えます。
#73
○岡本愛祐君 もう少しお尋ねいたしますが、この間農林大臣に対しましてこの委員会の二三の議員各位から質問が出まして、緊急開拓につきましていろいろ御意見が出たのであります。緊急開拓はこれは非常に必要でありまして、勿論國家の食糧、國内生産の上からいいまして是非ともやり遂げなければならない大事な事業でありますが、併し先程申しましたように、随分乱暴な、適地でないところを開拓用地に編入しておるのであります。北海道が七十五万町歩でありますが、北海道には適地が相当ありまして、これを百五万町歩に又殖やすとか言つておるのでありますが、北海道に適地があると言いながら、その七十五万町歩時代の予定地を見ますと随分無理であります。これは私が実地を歩いて、ああ無理な所をやつておる、こんな所を計画に入れたところが、結局そこに立つておる木が欲しいだけであつて、木を伐つてしまつて処分してしまえば、もうそこを開墾しないのは火を見るより明かだと言つておつたのであります。この頃その後の成り行きを聞いてみますと、その通りになつております。又内地におきまして諸方でいろいろ文句が出ております。そういう所もその個所を歩いて見ましたが、これも同様文句が出るだけの價値のある無理な所であります。これは適地調査の愼重ということが必要でありまして、この開墾をいたしますときには、農地関係の人だけでなく林業関係などの人も入れまして、こんな所は開墾しないで、今盛んに成長している木を立てておく方がいいという所は、山林地で残して置く、森林地で残して置く、そういう再検討が今こそ私は必要だと思う。これは現内閣におきまして英断を以ていま一度再検討をお命じになる必要があると私は考えます。これは折角無理な所を開墾なさつても、開墾した面積よりか、それによつて雨が降れば被害を蒙る面積の方が多いというような所も所々にあるのであります。これは再検討をなさることが必要であります。農林大臣はこれに対して監督の御責任があるのでありますから、再検討をなさる御意思があるかどうか、それを伺いたい。
#74
○國務大臣(永江一夫君) 勿論私は再検討をするつもりで、先般農林省の省議におきましても、この機関については、ただ農林省の内部から申しましても、開拓局という一つの局がこれを専管をしない。これには今お話のような林野局或いは畜産局、それから水産局も干拓などには関係がありますので、水産局も綜合いたしましたもので決定するように切換えまして、又地方にもそのことを通達いたしまして、地方においてもただ形式的にやらないように、その地方の特殊事情について勘案をいたしますと同時に、その府縣を中心に置いて、いろいろな調査をいたします場合は本省と同様なあらゆる角度からこれを検討するようにいたしまして、地方にこれを通達して目下新たな方針で選考中であります。
#75
○岡本愛祐君 最後に水害の復旧、これは農林省関係に限定いたしますが、ともかく水害の復旧の使用額はこの経済情勢報告書ができましたときの單價を以てしても三百十六億円になつております。これにたいして二十二年度はたつた五十億の予算であり、今度は少し増加になりましたけれども、百二十一億にはなつておりまするが、まだまだ足りないのでありまして、殊に山林の復旧についてはどうも予算が少いのでありまして、僅かに四億二千万円しか計上してないのであります。こういう点については、國全体の財政の困難な時代でありますから仕方がないと言えばそれ迄でありますが、この情勢報告にも書いてありますように、この災害をそのままにして置きますと、今後の災害の規模を更に拡大し累加して行く危険が孕まれております。健全財政の陰には、実体的にこうゆう建設事業が切下げられる危険が多分にありますが、これは何とかして、農林大臣その他の大臣の御努力によつて、この方も急がれないと結局損害は倍加をするのであります。この点に十分の今度の御努力を願いたいと思います。尚これにも書いてございますように、古來國家の盛衰は森林の消長と共にあると言われておる。我々は將來の國民のために現在において全力を挙げて造林に努めなければならないことは、この政府からお出しになつた経済情勢報告書にも書いてあるのであります。この点につきましては名からして農林省というのでありますから、(笑声)林業のことは十分大臣におきましても、農業のことも大事でありますが、林業のことも重要視されまして、十分に御努力を願いたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
#76
○姫井伊介君 國民の主食の配給が量においても、配給の方法におきましても、円滑を欠いておる点のあることは申すまでもありません、この制度を一歩進めて米専賣制を採用される御意志はありませんか。現在の食糧管理会計が二千七百二十一億という厖大なる会計の下に行われております。かくのごとき資金と現在の集荷配給の組織並びにその施設におきまして、米専賣制を布くことは必ずしも困難ではないと考えるのであります。ここまで徹底せしめるならば、一方は或る程度までは現在よりもより良き状態に置かれて、闇賣買というものを相当阻止されるであろうと思う。又國際関係におきましても、そこまで國家がやれば一層信用と同情とを持ち得まして、食糧輸入懇請につきましても、もう少し良い状況に進むのではなかろうか。農業協同組合とか近くできむとする生活協同組合などもありますし、やるとすれば方法は幾らでも適正な方法があるのであります。この点を先ず第一にお尋ねいたします。
 第二は歳入に関する点でありまして、國民の主食、殊に米の課税的な操作をするということは好ましいことではありません。併しながら一方米が均等に國民全体に配給されまして、國民の裁定生活の基本をなすという状態から考えまするならば、現在の國家財政の見地からいたしまして、或る最小限度の買入れと賣出しとの差を以て、今日要望されておりまする重要な國家事業施設の方面に支出することは必ずしも無理ではない、國民の非難を受くべきものではないと考えるのであります。從いまして、例えば米一升に対して五円の差を設けて國家収入といたすといたしますならば、この配給の量がうまく行つて確保されればされる程、國民も一升五円ぐらいならば闇をするより遥かに樂なんであります。喜んでその差金に対しては不平もなく出し得るといたしますると、年六千万石といたしますれば、三百億円の確定せる収入財源がそこに求められるのであります。この専賣制の採用と、並びにそれに伴いまする歳入関係につきましての、大臣のお考えを承りたいのであります。
#77
○國務大臣(永江一夫君) お答えいたしますが、米の専賣についてはいろいろな論者から十分御審議になつておることでありますから、私といたしましては一應理論として専賣制というものはあり得ると思いますが、併し食糧の現在の状態におきまする生産者の立場を考えて見まして、やはり生産意欲を高揚いたしまする上からも、専賣制というものは今直ちにこれを採用すべきではないと、こう私は考えておるのであります。それから消費につきまして、今お尋ねの点が私に十分徹底をしておらんのかも知れませんが、消費の点について、これに若干の國家収入の上で課税を考えてはどうかというお尋ねのように私は聞いておるのでありますが、この課税はやはり直ぐ賃金ベースに影響をして來ることでありまして、消費者價格はできるだけ低くして行きたいという現在の方針から申しましても、これに若干の國家歳入のために或る程度の税を掛ける、或いは消費者の負担もその程度重くして行くということは私は賛成できないのであります。
#78
○姫井伊介君 米専賣制を実施すれば、農家の生産意欲を減退するの虞ありということでありますが、これは方法によつてそういうふうな断定はできないのであります。私は十分生産者意欲を高揚せしめて行くことができると考えますが、これ以上は議論になりますから略します。
 次に、課税ではございません。課税的操作と申しましたが、即ち買入れと賣渡しの差金であります。例えば、煙草のような、酒のような、塩のような、あんな厖大な中間利益を搾受いたしますることは、これは大問題でありまするが、そうでなく、今申上げました程度ならば、これは必ずしも苦痛のみならず、賃金ベースの影響は私は良い影響を與えると思います。なぜならば、今日闇買をしております、闇買をしなければ生活ができない、その闇買に費す費用と、正式に又専賣制が行われまするならば、もう少し量が増されて來るわけなんであります。國民の安心と政府に対する信頼と、心理的な影響もありまするし、又計数の立場の点から見ましても、その程度ならば決して賃金ベースに悪影響を及ぼすとは考えないのであります。以上は意見でありますからこの程度に止めて置きます。
#79
○小野光洋君 先程岡本委員の質問に関連してお伺いいたしたいのでありますが、昨今農地調整の波に乗つて、政府は山林統制をするのではないかというようなことから、民有林或いは社寺有林の濫伐が行われておるように考えられます。これは統制の声に怯えていろいろな闇が続出するように、却つて山林統制の目的を害することになるのではないかと思います。それで、民有林に対する統制の方針ですが、今後どういうふうにするかということを明示して頂きたいということ、それから又官有林につきましても、或いは間伐或いは開発その他について、いろいろただ行当たりばつたりに伐つているのではないと思いますが、どういう方策で官有林を伐採しておるかということの方針を示して頂きたい。これは実際民有林の方面におきまするというと、奥山の方はそのままになつておつても、里林の方は殆んど荒廃に帰しておるというようなことは、先程岡本議員の質問においても、亦大臣の答弁においても明かであります。これはますます甚だしくなるというような傾向にあると思います。特に社寺有林などにつきましてはその怯え方が一層甚だしく、もう大急ぎで伐つてしまわないと駄目だろうというようなことで、遮二無二伐るというような傾向があるのであります。この点について農林大臣の御方針を伺いたいと思います。
#80
○國務大臣(永江一夫君) この点は機会ある毎に私が明かにいたしておりますように、いわゆる林野につきましてこれを放任をしておきます意思はありませんし、又山林の開発につきましても、第三次農地改革においてこれを行うだろうという一つの危惧の念を持たれまして、可なり濫伐が一部分に起きて、そのために非常に弊害があるということも私は十分認めておるのであります。從つて山林に対しては、第三次農地改革によつてこれを飽くまでも第二次農地改革と同様な方法でやるというようなことは決まつておらんのでありまして、御承知のように現内閣が三党政策協定によつて政策を実施いたしまする責任上、第二次農地改革が目下進行中でありますが、この第二次農地改革の進行中に、三党から適当な委員を挙げまして、今後第三次農地改革に関しまする点は、一切この委員会で協議いたしまして、その上で決定をするという方針を採つておるのでありますから、決して林野につきましてこれを無制限に開放する、無制限に開墾するというような意思は私は持つておりません。
#81
○小野光洋君 尚入植の問題についてでありますが、先程の岡本議員の説明にもありましたが、山林を開発するという開発の目的が大凡その山林の樹木を伐るということが目的で、それを農地として開墾するという目的は第二次的なものである。伐つてしまえばそのまま捨ててしまうというようなことが行われているらしいのでありますが、特に罹災者或いは引揚者が北海道に入植した所などはその点が非常に甚だしいと思います。特に防風林として残された地帯、山林をそれを開墾地に指定して、これを割当てる、そうすると、防風林としては相当の良い林なんでありますが、それを伐つてしまうと、もうとても立ち行かないということで順次脱落する、或いは新らしい入植地を内地の方に求めるというような傾向が相当にあるようであります。そこで引揚者とか或いは罹災者の入植については、ただ割当てある程度の保護を與えるというだけではなく、徹底的に開発をせしむるような、積極的な方策を、尚引続いて行わないというと、ただ一時的に引揚者や或いは罹災者に、そういつた山林を伐らせる、そうして何らかの仕事をさせるという名によつて金を與えるというだけであつて、開発なる目的は殆んど放擲されるということになるのではないかと思う。こういう点につきまして、特に農林省の立場から御答弁を願いたいと思います。
#82
○國務大臣(永江一夫君) お示しのような点は、最初の開墾、開拓の時分には、確かにそういう弊害が強かつたのでありますが、その後入植者につきましても、満州の開拓地におきまして、十分その経験を持つておるような思想の堅固な人を対象といたしまして、本年も実施をしておるわけでありまして、そういう満州などにおいて十分開墾、開拓の経験者で、而もあらゆる困苦によく耐えて開拓の離事業を行い得る考えを持ち、経験を持つておる人を対象として今後やつて行くつもりで、そのように実施をしておるのでありまして、今までのように、ただ都市において燒け出された戰災者とか、海外から引揚げて來た、その人の海外における仕事がどんなものであろうとも、ただこれらの人を適当に入植者として収容するような、便法でやるような方法は今後これを厳重に改めまして、今申上げたように、実際に入植をしても、その人々がその実力において、或いは氣魄において、これを行い得る、経験を持つた者のみをこれを対象としてやつて行くように実施するつもりでおります。
#83
○小野光洋君 方針は甚だ結構だと思いますが、ただ入植者の脱落者の話を聞きますと、事実やれないんだ、初めの一二年は今の木を伐るということ、それから助成金等でなんとか飯が食えるけれども、木が無くなつてしまつて、助成金だけでやるということは殆んど不可能だ、そうして付近のいわゆる土着の農家と到底対抗できない、漸次その開墾した所を土着の農家に吸収される、それに吸収されなければ結局やつて行けないというようなことから、殆んど入植者がそのまま成功したという者はなくなつてしまつている、というようなことを伺つておりますが、そこで、今後入植される者には、今お話のように、思想堅実な、而もそういつた経験のある者ということを中心にしておやりになるということは、極めて妥当だと思いますが、それと同時に或る程度までこれを保護する、助長するという方策を続けて行わないというと、もう一歩何とかなるというところで突つ放してしまつたんじや、結局一簣に欠くという結果になるのではないか。ただ割当てて、そこへ入れれば、そこで一應落ち付けた、これで仕事は済んだということでは、如何にも政府の仕事のようなことで、まずいと思います。徹底的にやらせるような、温い方策も欲しいのではないかと思います。
#84
○國務大臣(永江一夫君) その点に関しましては、先般も私はこの席上で一應お答えを申上げて置いたと存じますが、入植者の実際の困難な面をカバーいたしまするために、國が財政の上でいろいろ面倒を見てやると共に、そこで開拓、開墾をいたしまする物質的な或いは生産資材その他のものをやはり斡旋をしてやるというようなことは勿論必要でございます。ただ開拓、開墾の上において、私共が実際問題を取扱いまして非常に欠けておると思いまする点は、どうしてもやはり今日入植者の心構えでありまして、これはやはり戰爭犠牲者であるからすべて國の厄介になるという依存心が非常に強かつたことは、やはり開拓の失敗をいたしておりまする地区の大きな一つの原因でここで私が申しましたように、アメリカにおける西部の開拓者のような、一つのやはり民族の先頭に立つというような氣魄を持つておりませんと非常に困難な仕事でありまして、何とか國の戰爭による犠牲者であるという、そういう立場から一切のことは國に依存をするということから、むしろ新らしい國の民族的な危機に立つての先覚者であるというような氣魄がないと非常に困難ではないかと思いまして、そういう面も昨今は非常に強く私共は入植者に要望しておる。勿論そうかと申しまして他の物質的裏付けについては、今お示しのように、ただ数字の上で何人入植した、数字の上でこれだけ開墾したということは私も極力避けて参りたいと、飽くまでもこれが入植をいたしました目的が完成されるように、数よりも量よりも質に重点を置くようにして参りたいと思つているのであります。今までは何としましても引揚者から強力に要望がありまして、今いろいろと御注意がありましたように、質よりも量にやはり重点があつたことは事実であります。併し今度はこれを段々質的によくして行くということによつて、折角國の費用を多額につぎ込みました開墾の目的を達したい、かように考えております。
#85
○東浦庄治君 質問の方が非常に多いようでありますから、私は簡單に一括して二三伺つて置きたいと思います。
 一つは主食の増配の問題でありますが、新聞紙によりますと、連合軍当局の方でもそういう意向があるということであります。曾て農林大臣、政府当局の方からも、新年度から増配をする見込がありそうだというお話があつたのであります。両方の話が合つて來ておるので、恐らく具体的のお話合いも進んでおるのではないかと思います。國民は新らしい年度から増配がされるいうことを非常に待望をいたしておる。その辺どういう形まで進んでおりまするか。できればこの機会に御発表が願いたいと思う。又それを発表する段階に至つておりませんければ、何らかの機会にそういう発表にそういう発表をせられる意思が政府にあるかないか伺いたい。
 それから第二点は先般お伺いをいたしたのでありますが、新物價改訂の際に、農民のすでに供出した分に対してバツクペーメントをするかしないかという問題、これは某方面では承知をせられないということであるが、尚農林省として、或いは政府としていろいろ交渉しておられる。お許しがでれば何か操作の余地があるというお話であつたのですが、それも早急に決めたいというお話である。会期もすでに迫つておりまするし、その面はどういうふうに進展をいたしておりまするか。これが第二点。
 第三点は農業復興金庫の向題であります。これも先般のお話では案が五つぐらいあつて目下交渉中である。予算の問題が何か鳧がつくまでの間には何とか話がつくだろうというお話であつたのでありますが、段々日がなくなつて來ております。どの程度に進展しておりますか。以上三点お伺いいたします。
#86
○國務大臣(永江一夫君) 第一点につきましては、先般私がこの席上で岡田さんにお話いたしましたような数字の根拠によりまして、需給推算の不足額は連合軍の好意ある放出によつて埋めるために、関係方面と折衝いたしまして、これを埋めて参るということをここでお答えしたのであります。その際も同様なお尋ねがありまして、輸入食糧の見通しの数字について明かにいたしますると、この需要供給の数字が明らかに説明ができるのでありますが、何分にも何月にはどの位の輸入があるかということは、関係方面の厚意ある放出に待つという立場でありまするから、向うから輸出のオー・ケイをとりまして、日本政府の責任において発表する段階に至りまするまでは、数字によつてこの御説明を申上げることは残念ながらできないのであります。併しながらすべての國民がこれは非常に大きな関心を持つて見ておられるところでありまするから、政府においては先方といろいろ折衝いたしました結果において、この数量は発表しても差支えないという段階になりますれば、できるだけ早い機会に輸入食糧の数字につきましても発表いたしたいと思つている。実は昨日発表になりましたエジプトからの四万トンの米につきましても、相当以前にこれは内示を受けておりますが、関係方面からこれは日本政府が発表してはならない数字である、これは飽くまでもGHQの方から発表すべき数字であるから、政府としてはこれが発表は差控えるようにという御注意がありまして、私共はこのエジプトからの米四万トンにつきましても、実は発表いたさないのであります。同様なことがまだ他にあるのでありまして、そういう一應政府に関係方面から内示されました数字によりまして、私はこの席上において本來穀年度においては二合五勺の基準量を維持することができる。但し残念なことには船腹の関係その他によりましてこの間には月に最高五日分位の砂糖を主食換算として入れなければならない。できればこれを四日にし、三日くらいに圧縮をして行きたい。けれどもどうしてもカロリー計算の上から見まして、砂糖が主食に入るということは止むを得ないということを申上げて、それに加えまして十一月の新米穀年度から、二号七勺及至は二合八勺の増量配給が行われるような点につきましても、これが亦政府は関係方面と数字的にいろいろ折衝している。從つて昨日司令部の方の関係官から発表になりました点も二合七勺、そうしてその余のものは副食物でカロリー計算としてやる、そうしてこれらのものは千四百四十カロリーになるようにという発表でありますから、この発表の限界におきましても、私共は責任を以ちまして、十一月からは二合七勺以上のものが主食とし配給になる。こういうことはここで申上げても差支えないと思います。その数字的の根拠もこれ亦本米穀年度の輸入食糧と同様に、新米穀年度におきまする輸入食糧の見通しにつきましても確乎たる数字を適当なる機会に明かにいたしまして、できるだけ早く皆さんに御安心を願いたい。こう考えておるわけであります。
 それから第二の点であります。これは米價の問題でありますが、これも先般お答え申上げましたように、昨年産米の米價をこの物價改訂によりまして、仮想米價として、その差額を農民諸君に還元支拂をなすべしという衆議院の議決が行われました際に、芦田総理が内閣を代表して政府の考え方を述べられました。その趣旨によつて私共は関係方面と目下鋭意折衝中であります。從つて私といたしましても、これは本國会の会期中に、具体的なものとして纒めまして、皆さんに報告を申上げて御了承を願うつもりであります。まだ、今日は発表の時期に至つておらんのでありまして、我々は折衝中であるというふうに御了承を願いたいと思います。
 それから第三の農業復興金庫のことにつきましても、先般私はここで申上げましたが、範囲を具体的に説明を申上げるだけに至つておりません。これは非常に私共せいております。先般衆議院の財政金融委員会におきましても、これは非常に強い御決議がありまして、これは一般の復興金庫の予算についてのいろんな審議をする際に、農業関係の復興金庫を必ず作れという強硬なご意見がありましたが、時間の関係で、衆議院の方の財政金融委員会におきましては、その委員会の強い御要求を反映して、一應復興金庫の問題は衆議院を通つておるのであります。いずれにいたしましても、私共は原始産業でありまする農業関係についても、この際是非とも金融措置を基本的にとる必要があるという建前から、これを具体化することについて万般の準備と進めておるのでありますが、これも極めて近い機会に皆さんにご報告をすることができると、こう思います。
#87
○川上嘉市君 私も数個の御質問を一括して申上げます。第一には今日行われている農地法であります。これは可なりその運営上に不完全な点が沢山あるように感ずるのであります。例えばその一二の例を申上げますると、工場の中にある、工場の囲いの中にある敷地を元おつた社員の耕しておつた。辞めてからもそこを引続いて作つておりまして、それを農地法によつて取上げられるような決議をされたというような例とか、或いは或る人の宅地でありますが、その人が留守であるがため、近所の人が皆無断で以て而も少しも小作料を出さずに作つておりまして、それで村の農地委員が取上げるように決議した、又或る土地を、これは工場の敷地でコンクリートがあつて農地に到底ならんのでありますが、元と持つておつた地主が値段を安く買戻すために、農地委員を利用したしまして、それを取上げるようなわけで、苦情を申込んだところが、非常実情を詳しく書いたために農地委員の恥辱であるといたしまして、まあ内々に済まして呉れというので解決したような問題もあります。そういつたような問題が可なりありまして、非常に不完全であるし、運営の如何によつて可なりの弊害があると思います。これを改正し、或いはこれを廃するという御意思があるかどうか。これが第一の問題であります。
 次にはこの開墾地の話でありますが、今度の五ヶ年計画の中に、毎年どれだけ開墾して行くかという、その五ヶ年計画の内容を一つお知らせ願いたいと思います。
 それから次には、前回この百七十五万町歩の開墾について、ここで以て御質問いたしました。そのときに、アメリカの最新の機械とアメリカの技術をそのまま利用して、これを例えば日本式にやると五十年掛かるところを、五年までやるというように、非常に迅速に計画を立直したらどうかというようなことをお話申上げましたが、その後政府委員のお話を聞きますと、全國に六ヶ所ばかり小規模な試験をやる所を作つてやりつつあるというお話を聞きました。ところで、大臣の御答弁の中には、アメリカは非常に平地は多いし、日本は山地であるし、アメリカの機械はそのまま使えんだろうというお話がありました。考えて見ると、ムツソリーニが一九二〇年にイタリーを取りまして、そのときイタリーは、これは自分の記憶違いか知れませんが、國の小麦は消費量の約二割七分と記憶しておりますが、違つておるかも知れませんが、とにかく三割以下の非常に少量でありまして、大部分が輸入しておつた、それをどうにかしなければならんというので開墾を始めたのであります。私が行つたのは一九三三年、その十二三年の間に、同時七割以上は自給自足ができるようになつておつた。小学校に参観に行きますと、小学校の壁にムツソリーニの寫愼と小麦の穂がどの部屋にも飾つてある。そのくらいに國民全部がこの食糧問題を解決されるように努力しておつたのであります。イタリーは御承知のように山地である。日本と地勢がほぼ似ております。一つ本当に日本の食糧問題を解決せんがために、農林省のお役人をイタリーに視察にやつて、本氣に日本の將來の食糧問題、開墾問題を決定されたらどうかと思いますが、これに対するご意見を承わりたいと思います。
 それでこれは、この前にもちよつと申しましたけれども、百七十五万町歩を開墾いたしまして、一町歩から仮に五十俵ですか、五十俵取れるとすると、三万五千石程と米或いはそれに相当する物が取れる。その開墾しました土地を將來一家族について一町歩ずつ呉れるということにいたしますれば、一家族が平均五人とすれば、五十万人に永久に仕事を興れることになります。食糧問題を解決すると同時に失業問題を解決することのできる大問題と思います。これは五ヶ年計画を十ヶ年ヶ計画でも十五ヶ年計画でもいいから、本腰を入れて研究する價値の十分あることでありますから、これに対するお考えを伺いたいと思うのであります。それだけお伺いいたします。
#88
○國務大臣(永江一夫君) 農地法に関しましては今直ちに私共これを改正する意思はございません。ただ運用上いろいろお示しのような不都合の点ができておりますが、特に大都市周辺の地域におきまして、やはり都市計画の面と農地法の面で非常に衝突ができておりまして、これは見ようによつては両方から言い分があると思いますが、こういう点を緩和いたしますために、実は今度新たにできまする建設省と私の方で協議をいたしまして、適当にこの点に衝突の起らないような緩和策を考えている。その一つといたしましては、先般この問題について次官通牒によつて処理をいたそうとしたのでありますが、やはり農地法の法文の中に明示してありまする点からいたしまして、この次官通牒というものの効果が十分でありませんので、やはり別個の法的処置によつて農地法の行過ぎを是正するために、今建設省の方と事務当局におきまして別個の法的処置をいたしまするための案を立案中でございます。それらによりまして一應行過ぎを是正する方法は考えておりますが、農地法自身を改正するという意思はございません。
 なお開墾計画についてここで話をせいということでありますが、お差支えなければ、これは後刻開墾計画の全貌をプリントにいたしまして差上げまして御審議を願う、それに対しては分科会で十分御討議を願つた方が、今日はいろいろ時間の関係がありまして、その方が妥当でないかと思います。御差支えなければそういうふうにさして頂きたい。こう思つております。
 第三の点についは、農林省の役人をイタリーその他の見学にやつたらどうかという趣旨に承つたのであります。この点は私が十分御趣旨の通りにお答えできないことも分りませんが、そういうような開墾事業について、イタリーばかりでなく、その他適当な地域には將來どしどし指導官を派遣するということは、私は最も望ましいことと考えております。
#89
○川上嘉市君 五ヶ年計画は如何ですか。
#90
○國務大臣(永江一夫君) その計画のことを数字的にお話するということは非常に時間を要するので、私は後刻数字によりまして各委員諸君にこれを配付して頂きまして、それでこの席上で間に合わなければ、分科会で十分御審議を願うことの方が、それで差支えなければそうしたいと思います。
#91
○左藤義詮君 お尋ねしたいと思いましたが、今東浦さんからお尋ねがありましたのですが、その中に新米穀年度から食糧の増配、それができるできないかは全く向う様次第である、而も数字等については日本政府が発表しちやいけない、かようなお言葉であつたのでありますが、併し現内閣ができましてから、芦田総理初め方々で食糧の増配、或いは商工省関係ですが、綿布の配給とかいうことを言つておられるのでありまするが、只今の御説明に私は背くと思うのでありまして、進駐軍の方でお許しになつていないことを、而も進駐軍次第によつてできるかできんか分らないことを、さような宣傳をしておられる。國民は何か具体的な根拠があるのだろうと思つておりましたところが、実は向う様次第で、数字については発表できない、さようなことを私は責任がある人が軽々しく御発表になつておるということは、只今農林大臣がおつしやつた日本政府が勝手に発表していけないという御趣旨に背くものだと思いますが、その点について一つ伺いたいと思います。
#92
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#93
○委員長(櫻内辰郎君) それでは速記を始めて。
#94
○國務大臣(永江一夫君) 食糧公團のお話のことは、今お話のように、検察廳で、全國的に食糧営團がなくなりまして公團に移行した以後、この解散團体の財産処分に関することで、今取調中であります。農林省といたしましても勿論監督官廳といたしまして、当時の係官がその間に処しまして、これら当時処分してはならない財産の処分について、事前に農林省の係官に如何なる報告をしたか。又その際において係官がこれを拒否したかどうか。なお拒否をしないまでも、黙認を與えたかどうかということにつきまして、目下精細な調査を進行しております。その上におきまして一方警察当局の取調べと並行いたしまして、これらの行政官廳としての調査が完了いたしました際においては、当然行政的な責任のあるものは、その線に副うて責任を負うべきものは明かにいたしたいと思つております。ただこの問題はいろいろの角度から非常に愼重にやらねばならん点がありまして、それは現在公團において、日夜配給事務に関係いたしておりまする全國多数の從業員に関係のあることでありまして、この取扱いを一歩誤りますと、日本の主食の配給に甚大な影響があるのであります。而もこれの財産処分の点については、いろいろ労働問題も付随して起きて、その結果としてなされた処置でありますので、ただ徒らに法的な処置ということだけでこれを処分するということは、余程愼重に考えねばならんことと思つておるのであります。從つて農林省といたしましては、今申しましたような行政的な面からこれを考えますると共に、関係間でありまする法務総裁とも連繋をいたしまして、そうしてこれの取調べ、それの処分等が、今の食糧配給の上に、それが実際の悪影響を與えないような処置をいたしたい。こう思つております。
#95
○左藤義詮君 誠に御尤もな御方針を承りましたが、千葉縣でございますか、調べを受けております責任者の一人が、この問題については國会、而も参議院の名を出しておつたようでありますが、國会の委員会におきまして、責任者が、食糧管理局の長官だと思うのでありますが、内緒を與えておるというようなことを口実にしておるようでありますが、その問題についてもお取調べの中にお含めになつておるのですか。國会における発言が、これはそういうことの行われた一つの口実にされておるとすれば、余程私達としても重大だと思うのでありますが、その点について一つお伺いして置きたいと思います。
#96
○國務大臣(永江一夫君) 今のお話のように、その相談を受ける監督官廳でありまする農林省の係官がたとえ黙認にいたしましても、そういうことを與えておるということは非常に重大なことであります。その事実の有無につきましては、今両者について調査をいたしております。
#97
○左藤義詮君 只今の御言葉に食糧公團が非常に重大な任務を持つて、一つ間違えば配給が止まつてしまつてしまうということで、愼重を期しておることは御尤もでありまして、又一方には統制経済の幣と申しますか、食糧営團自身が非常に需要者に対して不親切である。数字等についても、少し疑問を持つて尋ねに行つたりすると、次のときから罐詰の配給等についてもふりなことを與えられるので泣寢入りになつておるということが多いのでありまして、重要な仕事でありますから、殊に愼重を期されるのは結構でありますが、元來これは手数料主義で、そんな金の残るのは不思議であり、そういう不当なる措置を行なつた人々が同じ公團に切替えられておる。今日本当の公僕としてサービスすべき十分な私は頭ができていないと思う。こういう者を切替えるのが私は公團に対する頂門の一針だと思うのであります。その点につきまして、業種の需要性から、それをおかばいになることは結構でありますが、一方需要者の立場に立つて、この機会に御役所式になつて、非常に重要者の怨嗟の的になつておる、そういう点についきましても、この機会に十分是正なさるように監督大臣として一つ善処して頂きたい。その点についても一つ御意見を承つて置きたいと思います。
#98
○國務大臣(永江一夫君) 御尤もな御注意でありまして、私はこの問題を契機とするばかりではなくして、常に公團のいろいろな事業がいわゆる官廳的に流れておるという御注意を各方面から承つております。できるだけそういうことのないように今後注意して行きたいと思います。
#99
○奥むめお君 時間も余りないようですけれども、これは新聞の発表ですけれども、先ほどの左藤さんや東浦さんの御質問で私の質疑をしたいことが半分は盡きておるのでございます。主食の配給が七月が十五日、八月が十日、九月が三日、十月になつて十日、早場米が出て十日と出ておりますし、砂糖が、これは本会議の質問のときもお伺いしましたけれども、農林大臣は消費者の反対も強いから、極力関係方面に懇請して少くするように骨を折るとおつしやつたけれども、そのときは三月で代替三日分ですが、四月が五日、五月が五日になつておりますが、それから新聞で見ますと、六月も五日、七月が五日、八月が四日、九、十月が三日でございますが、この数字は消費者として信用しなければならない数字でございましようか。先ずこれをお伺いいたします。
#100
○國務大臣(永江一夫君) 今お示しになりました数字は、甚だ残念でありますが、それだけは最高の数字として、私共は認めて頂けなければならんと思うのであります。即ち六月は今お話のように五日分、最高五日分の主食代替としなければならない。七月はできるならば四月分といたしたいのですが、或いは今度の輸入食糧の都合によりまして五日分、それから八月は四日及至三日分、九月、十月は三日分、これだけのものを砂糖として配給せねばならん。こう思つております。
#101
○奥むめお君 お米は先程私がお伺いしたと同じでございましようか。
#102
○國務大臣(永江一夫君) お米につきましては、今生産縣と消費縣のアンバランスをできるだけ均一にするために、本日の閣議におきまして緊急対策を決定いたしました。これによりますと、できるだけ運輸省関係におきまして輸送を優先的にして頂きまして、生産縣にありまする米を消費縣に持つて來る計画を実施したい。それからその他輸入食糧につきましても、例えば小麦が入つて参りますと、これを小麦粉にいたしますのに時間が相当長く掛かるのでありまして、そういうために、製粉のために電力を優先的に処置するいろいろの方法を、本日閣議で決定をいたしておりますが、米の入ります率は本月及び來月は、凍結米を解きまするので、相当高い率になると思うのでありますが、併し、それでも一部はなお米の率が低いのでありますから、エジプトから参ります四万トンを低い方面に廻すようにいたす立案をしておるのであります。この立案が立案通りに行くように予定が立ちました際に、改めて政府といたしましては、大体十月までに毎月どれくらいの米繰りだけ必要であるかという、一ヶ月の間で米が幾ら配給されるかということを明らかにいたしたい。こう思つております。
#103
○奥むめお君 それでは私共の主食というものは、敗戰國ですから指令部の指図の枠を出られないことは明らかですけれども、常に指令部の方の発表を見ておりますと、國民の増産と、それから節約といいますか、國民的な努力というものが、向うの方の日本の國民に対する主食割当の量を決定的に決める力になつておるということは、しよつちゆう見ておるけれども、それを聞いておると、私達が努力したら、又政府が努力したら余計ありそうに思つておるけれども、どういうものかということを伺いたいのであります。それから政府としては、いつでも放出食糧の数字を揚げては、向う様相手だから分らないと言つていつも逃げていらつしやるけれども、國民の努力、政府の努力というものが主食に動きを與えることができるといたしましたならば、私達は非常な希望が持てると思うのです。絶対量が少いということは決定的なことですけれども、併し全体の八千五百万の國民が努力するという、政府がその努力の先頭に立つということができたら、相当希望的な見通しがつく、例えて申しますと、時間もないことですから、ほんの一例でございますが、都会の者は砂糖を五日も貰つてへこたれております。それから「あんず」やヂヤムやら腹の足しにならないのを貰わなければならんのでへこたれております。併し今度農村に行きますと、供出しない農家というものは全然砂糖がない、少し砂糖が欲しいという声が随分強いのであります。同じ國民でありながら砂糖を欲しいと言う人が一方にあり、一方には砂糖が多くて困ると言う人がある。これを操作するために、今「じやがいも」や麦が取れようとしておりますが、増産なり供出の獎励として、都会に廻し過ぎる砂糖を少し農村に廻して、こちらの方には腹の足しになる物を廻すということも、これはできなければ嘘だと思うし、そういうことは皆希望しておることだろうと思うのであります。砂糖が欲しいという人と、そうして砂糖が多すぎて困ると言う者の操作に当つては、お米に代つて一月の中の一椀でも消費地に廻る操作の仕方があるのじやないかということを考えられるのでございますけれども、如何でございますか。
#104
○國務大臣(永江一夫君) 誠に御尤もなお尋ねでありますが、実は政府が努力をいたし、又國民諸君の御協力を得て、食糧の生産及び配給等について、実際の誠意が示された場合には、お話のように連合軍から放出を多量に頂く一つの基礎になることは事実であります。これを現実に示しますると、何としても國内におきまする食糧の少しでも多く増産になるという具体的なものを示しますることと、尚増産されたものは正規のルートによつて供出され、配給されるということを示す必要があるのじやないか、そういうことについて私共は、非常に今日生産について困難な條件の中で農家の皆さんが食糧増産に努力せられておることについては、非常な感謝を捧げておるのでありますが、残念ながらそういうことにつきましても、政府がいろいろ供出などについて農家の協力を求めておりまする一面において、やはり闇の主食が一面に現れておるのであります。又生産農家の立場から申しますと、非常に嚴正な供出が行なわれる、場合によれば裸供出までして自分らは政府の方針に協力をしておるということについてしばしば説明があるのであります。政府はそういう面から、農家が裸供出までしてできるだけ國内の食糧を正規の配給ルートに乗せるために努力をしておるということを、関係方面に数字的に説明に参りました際においても、やはり関係方面におきましては、そういう一面における努力があるかも分らないが、或いは何月幾日に千葉縣において第何号の列車を取調べるとこれだけの主食が闇として出ておるではないか、或いは滋賀縣における幾日の列車においてはこれだけの食糧が出ておるではないかというように、そういう数字についてはやはり関係方面から私共に示されまして、そういう数字が現れることは、日本の全体が食糧供出についても配給についても全面的に協力をしていない証拠ではないかというように、逆にいろいろな数字によつて私共は鞭撻を浮けておるような状態でありまして、非常にこの間において、食糧増産及び供出について全面的な努力が生産者も亦消費者もなされておるということを、一部において残念ながら裏切るような事実が現れておるということが、可なり連合軍の好意ある食糧放出に悪い影響を與えておるということを否定することはできないのであります。併しこういう面も段々と全國民諸君の協力によつて打開をして参りたい。政府はその線に副うてできるだけの努力を拂つて行きたい。こう考えておるのであります。尚第二の食糧の操作の点についてお考え方をお述べになりましたが、勿論砂糖が消費地に多くて生産地に少いではないかということは一應納得できるのではありますが、実は農家におきましても、自家製でやはり砂糖を作られておる所も相当ありまするし、砂糖が相当多量に輸入されたということによりまして、可なり農村にもいろいろな方法で砂糖が廻つておる。政府としては政府が持つておりまする主食代替の砂糖を生産地に持つて参りまして、生産農家と直接に政府が取引いたしまして、政府の持つておる砂糖を主食と換えまして、その換えた主食を消費地に持つて來て配給のルートに乗せるというような案についても、実は具体案を作つて見たのであります。併し全國的な生産地における実際の状況を判断いたしましたところが、生産地におきましては供出が可なり嚴重に行なわれておりまするために、農家の手持米を砂糖に換えるだけの余力が今年は十分ない。從つて政府の砂糖を生産地の農家に持つて行きまして、生産地の農家の保有米と政府の砂糖とを交換するという方法は、到底所期の目的を達することができないという結論に到達いたしましたので、残念ながらこの方法は採用することができなかつたのであります。ただ私はそういう間におきましても、できるだけ砂糖は主食代替からこれを除外して行く。その他の方法についてもいろいろ関係方面とも折衝をしたのでありますが、先程も申上げましたように、輸入食糧の面におきまして、十分に私の考えております趣旨を実効に移すことができなかつたために、皆さんに、特に大消費地の皆さんに御迷惑を掛けております。私は誠に申訳ないと思います。
#105
○奥むめお君 最後にもう一つお伺いをいたしたいのですけれども、今月の十五日でしたか、新聞に総司令部の農業班長のデーヴイスさんが帰國に際しての談話として、新聞記者團に御発表になつたのでありますが、日本の政府に残つておる官僚主義が農民を苦しめる。殊に大藏省の官僚が非常に農民に重税を課しておる。いろいろなことが出ておりましたが、これは私共消費者というものは一番こうした生産者である農民と直結しておるものですから、農民の問題に関心を持つておる。どうかして農民を良くして貰つて、増産意欲を高めて貰いたいというので、政府の施策に関心を持つておるのであります。例えば農民から言わせると、報獎の酒だけだつて余分だ、多過ぎる程貰つた、酒なんかむしろ貰つても半分でもよい、酒ばかりでなく魚も要るのだから、結局濁酒を三百万石も四百万石も造るようになつたのは、あんなことで余計刺戟されたからだということをよく農村で申しておりますが、幾らかでも今までの酒が良くなつたらどんなによいだろうということを考えておりますが、農業方面に対する政府の施策が結局消費者を生かす途になるのでありますが、このデーヴイスさんの帰國に際しておつしやつておりましたああいう問題について、農林省当局は責任の立場にありますから、御所懐を伺いたいと思います。何かそういう問題についてお骨折になつたことがございましたら、それをお聞かせを願いたいと思います。
#106
○國務大臣(永江一夫君) あの声明は私共確かに拜見いたしました。そうして農林省関係においても或いは農民諸君に対して非常に官僚的であるというような印象を関係方面に與えておるかも分らんと存じまして、あの声明以來、私共省内の関係者は、その点は十分注意をいたして、それで今更のお尋ねになりましたように、そういうことについて何か私共として手を動かしておるということでありますが、いろいろ農林省の全面的な機構を改組いたしまして、そうしてできるだけ農林省が、一つの面におきましては生産農民のやはりサービス省として行き得るような機構に改組をするつもりでおりましたが、今回の國会に提案をするための時間的な余裕がないために、次の國会までこの提案は差控えることにしております。私共としては農林行政が官僚的にならんような点についてはできるだけ努力をしたいと、こう考えております。
#107
○委員長(櫻内辰郎君) この際安定本部から物價改訂に関する御発表があるそうでありますから、直接お聽き下さいますように……。
#108
○政府委員(野田信夫君) 私、物價廳次長であります。今回物價を補正いたしましていよいよ実効をしなければならないことに相成りまして、今日発表いたす次第であります。それでどうして今回の補正が必要になつたかということを申上げますと、すでに御承知の通り、現在政府の予算を健全化しなければならんという点と、それから又民間におきましても各企業がその赤字財政を健全化しなければならない必要に迫まられておりまして、すでに一刻もこのままで放つておきますことは、あらゆる生産、流通を阻害しまして、弊害がもはやこれ以上放置することを許されないような情勢になつて來たのであります。それで今回の補正は、政府並びに民間の從來の赤字を、結局において消費者の負担にして頂くということがどうしても必要になつて來た。つまり昨年の七月に設定いたしました現行の價格体系が相当その後のインフレの増進を抑制して來た効果はあるのでありますが、併しインフレはそれにも拘らず、徐々ではありまするが、やはり進行を続けて参りまして、それが積り積つて現在政府並びに企業における莫大な赤字になつて集積して來ておるのであります。これをこのまま放つて置きますると、政府も財政的に破綻いたしますし、又企業も同様に賃金の支拂その他にも事を欠くというような状況が迫つて参りましたので、どうしもこの際これを價格改定によつて補わなければ相成らんということになつたわけであります。
 それで今回の補正の大体の方式を簡單に申上げますと、概ね昨年の七月体系の場合と同じような方式を踏襲いたしまして、重要な基礎生産資材につきましては、昨年は基準年次の六十五倍のところで消費者價格を押えまして、生産者價格がそれを超過いたしまする部分につきまして、價格補正金を國庫から出しておつたわけであります。今回も同様の処置を採りまして、ただ物價の値上りが非常に大きくなりましたので、昨年六十五倍で留めておきました消費者價格も、これを概ね今回は百十倍の線まで引上げるという大体の方針で作業をいたして参つた次第であります。併し一方予算の関係から、補給金の枠が当初の我々の予想よりも減りました関係上、安定帯を百十倍に揃えるということは不可能に相成つたわけであります。品物によりまして必ずしも百十倍を守り得なかつた物も出て來たわけであります。例えば電氣鍋その他の軽金属類におきましては、現行の約十割の引上げを必要にする。勿論製鍋用の銑鉄のごときはもつと低い率で済ませておるのであります。又肥料におきましても、春肥のごときは從來通り價格を据置くというような措置も採つております。概ね約百十倍程度、つまり現行價格から申せば、約七割の引上げということで済ませることにしておるわけであります。
   〔委員長退席、理事木村禧八郎君委員長席に着く〕
 それから價格の決定方式はやはり七月体系のときと同様に、製造品につきましては原價計算主義によりますし、農産物につきましてはいわゆるパリテイ計算をいたしておるわけであります。又賃金水準は、昨年の千八百円ベースから今回は三千七百円ベースに引上げ、そうして各産業におけるいわゆる産業別の平均賃金の開き方は、やはり七月体系において千八百円ベースを産業別に開きましたのと同様の方法によりまして、今度は三千七百円ベースを産業別に開いて、そうして産業別の平均賃金を算出いたしたわけであります。但し今回は過去一年間の賃金の上昇傾向が産業ごとに非常な違いを見せて参りましたし、而もその上昇率が非常に大きくありましたので、單純に三千七百円を産業別に開いた賃金の水準を遥かに上廻る産業が出て参つたのであります。
   〔理事長木村禧八郎君退席、委員長着席〕
 從いまして、これらの産業につきましては、その産業がそれらの高い賃金でなければ勞働者の供給に事を欠く虞があるというような産業につきまして、一方他産業との賃金水準の均衡というようなものも考えまして、現実に支拂つておる賃金に近い賃金を織込むという措置を採つた次第であります。
 今回の價格の決め方は、以上申しましたように、七月体系と大体似た方針を踏襲しておるのでありますが、この價格を今後維持するということにつきましては、やはり政府が全体としましてこれの基礎付けをいたすような措置を強力に採らなければ維持困難であると考えるのであります。それで一方には勤労者の実質賃金の維持を図りまするために、勤労所得税の軽減、その他の処置をとりまして、できるだけ実質賃金の維持を図るというような措置をとつて参ろうと思つておる次第であります。
 それで今回の價格の補正で特に注意いたしましたのは、價格の重要な要素でありまする運賃、通信料金その他が目下國会で審議中のことに属しまするので、これの取扱いにつきましてはとくに愼重を期しまして、二種類の價格を同時に発表いたしました。運賃、通信料金を現行のままに据置いた價格を以て出発いたすのであります。それを甲統制額といたしまして、併しそれと同時に今政府の原案でありまする運賃三・五倍、通信料金四倍という、これで仮に計算いたしました價格を統制額乙といたしまして、同時に発表いたしました。併し効力を生じまするのは、先程申しました運賃を据置いた統制額甲で出発いたしまして、國会において運賃、通信料金等が御決定に相成りますのを見まして、その御決定に從つて更に統制額乙、つまり乙統制額を決定して、長官の命で告示するというふうな措置をとることにいたしたわけであります。それではなぜそういう厄介なことをしたかと申しますると、若し統制額甲、つまり運賃その他を据置いたままの價格だけで出発いたしますると、一つの思惑が生じまして、近いうちに更に價格がもう一遍引上げられるという思惑が生じまして、取引、生産、流通その他がやはり非常な影響を受ける、つまりすでにその傾向があつて困つておりまするのでありますが、それで又價格を早く改訂しなければならない一つの理由になつておるのでありますが、その同じ原因がやはり消えないで存続するということ虞れておるのであります。それでまだ御審議は済みませんけれども、借りに政府原案のように三・五倍と四倍でできるとしても、この程度にしか價格は上らないという一應の限界点を示しまして、それによつて多くの思惑を食い止めようという一つの考慮の結果、そういう措置をとらざるを得なくなつたのであります。この点につきましては御審議中の件を予定いたしたような結果に相成つたことは非常に申訳ないと存じまするけれども、そういたしませんと、取引その他が思惑的に行われるということを虞れた結果、そういう措置をとらざるを得なくなつたのであります。
 それで大体主な物資につきまして、そういう方向で補正いたしました結果を申上げますると、石炭につきましては、これはこの前の体系以來特定産業、重要産業でありますが、特定産業を指定してありまして、その特定産業向けの石炭に対しましては、七月体系ではトン六百円を消費者價格といたしておつたのであります。それを今回は千円まで引上げたのであります。それでその引上げ率は甲統制額においては……、これは甲、乙もなく、結局消費者價格は千円と一本になりまするので、甲乙の区別なく、倍率は一・六七倍になつておるわけであります。それからその他の一般の消費者向けの石炭は、運賃据置きの場合は二・六三倍、それから運賃を引上げると仮定いたしました場合は二・七七倍になるわけであります。電氣料金はこれは電燈、電熱器とも三倍となりまして、これは甲乙の区別はありません。鉄鍋におきましては、生産者價格において甲が一・九三倍、乙が一・九五倍、消費者價格はこれは安定帯物資でありますから一本でありまして、甲乙に区別なく一・六九倍、こんなふうになつております。それで今回先ず最初に決めました物資は、只今お話したような主要の基礎的の物資の外に、トラツク運賃、荷牛車運賃、小運送料金、機帆船運賃、港湾作業料というような料金関係のものも含んでおるのであります。安定帯物資のうち非鉄金属が関係方面との折衝に少し手間取りましたので、同時に決定ができませんので、数日遅れることに相成るかと存じますが、それと段々原材料方面から次第に製品方面に價格を改訂して行きまして、この前のように余り長く掛からずに、できる限り短期間に改定を終ろうということに努力をいたすつもりであります。
 それからもう一つ申上げて置きたいことは、今回の補正を機会といたしまして、大体において需給の均衡がとれたような品物、又は一般大衆の生活費にさしたる影響がないと思われるようなもの、そういうような物資につきましては、できる限り公定價格から除いて行きたいという考えで、目下その品目の選択をいたしておる次第であります。簡單でありますが……。
#109
○木村禧八郎君 只今の御発表を伺いまして御質問申上げたいのですが、それにはいわゆる甲乙に分けられまして、それで乙の場合です、運賃が三・五倍、通信料金が四倍に上つた場合の價格、そういうふうに拜聽したのですが、その通りですか。
#110
○政府委員(野田信夫君) そうでございます。
#111
○木村禧八郎君 そうしますと、これは非常に重大な問題ではないかと思うのであります。御承知の通り、運賃の引上率については今與党三派間で折衝しておるわけです。そうして又世間では鉄道運賃三・五倍、それから通信料金四倍ということはほぼ最高である、ほぼ最高と思つておるのです。今折衝中の倍率はそれよりも如何にして少なくするかという倍率だと思います。これはもう新聞、その他で報道されておりますから常識になつておると思いますが、先程のお話を承りますと、今ここで発表しないと投機思惑等その他が起つて、生産、流通面に混乱をさせるというようなお話でありましたが、併しその限度は鉄道運賃三倍、通信料金四倍が限度であると思うのであります。政府はそういう発表をここで行いますれば、鉄道運賃三・五倍、通信料金四倍というものを基準にして價格は騰貴して行くと思います。そうなりますと、ここで既成事実をすでに作つてしまうことになつて、後で鉄道運賃の倍率引上げ、通信料の倍率引下げをやろうとしても、そういう発表をなされますと、そこに既成事実が出て來てしまつて、それを後で引下げをするということに非常に困難になると思います。これはまだ國会で決まらない前に、そういう政府が倍率発表されるということは、これは國会を制約するものである。私はそういうふうに思うのです。発表なさらなくても、すでに政府原案によりますれば、最高鉄道運賃三・五倍、通信料金四倍ということは分つておるのですから、それ以上の投機思惑は起る筈はない。ただ時期が問題になつておるだけであります。又程度はどの程度に引下るであろうかということを世間では問題にしておると思うのであります。政府が先走つてこういうふうな御発表をなさるということは、これは重大な責任問題じやないかと思います。國会の審議をこれは事実によつて制約してしまう、そういうことに私は相成るのじやないかと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)その点について一つ政府側の十分な御見解を承わりたいと思います。
#112
○政府委員(野田信夫君) 今のお話非常に御尤もでありまして、その点私達も非常に苦勞したのであります。(「長官が答弁したらいいと」呼ぶ者あり)勿論乙統制額というものは運賃その他が目下未定であり、審議中であるということでありますから、これが若し変りますならば、勿論その乙統制額を実施いたすならば、勿論その乙統制額を実施いたしますときに、長官がその変つた率の通りに調整いたしました額を実施することになることは、これは申上げるまでもないのであります。それで國会に目下掛かつておりまする関係がありまするので、この額を発表せずに、ここで言いまするいわゆる甲統制額だけで出発したらどうかということを、我々は最初考えておつたのであります。併しそれではいかんという話がありまして、むしろ全部織込んだもので実行せいというような意向に接しまして、それでは我々としては國会の審議権を無視することになるというような考えから、それは到底我々としては実行できない。そこで、その中間案と申しますか、というようなふうに考えておりましたのが、今回の案になつたわけであります。
#113
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今の点を一つ十分御説明申上げて置かんといかんと思いますが。これは物價が二段に改訂されるということを避けると言う点が一つの眼点でございまして、それをこのままにして置きますというと、各種の生産が萎靡する。殊に赤字になるのでありまして、その赤字をこのままにして置きますと、赤字金融などということが到底できないおうな現状でありまして、拂えないというようなものもありますので、現行の運賃の下に價格を決めまして、この統制價格の甲として出したような次第でございます。併し乙ということはこれはここでお決めを願つた際に、それによつて乙というものが出るのであります。そこで乙というものは國会が御審議になりまして、決定になつて乙價格が出るのであります。併し乙價格は出ますけれども、それを目標といたしまして、この乙は一應三倍半の倍率のものと、若しそれが変つたならば変つた倍率のもの、政府が提案しております三倍半、若し倍率が変りますれば、その倍率によつて安本長官が告示をいたしまして、そうしてそれは法律が通過して公布される日から自動的にその方に、つまり新運賃を織込んだ價格の方に入ると申しますか、移行すると、こういうような決定方法をいたしたのであります。國会のこの審議を無視しないようにと特に注意をいたしましてしたような次第でございます。一つは即ち物價の改訂に、短期間に二段の改訂をしたのでは、物價が上るのが更に上るような印象を與えて、非常に弊害があるという点と、それから國会の審議中でありますから、審議中のこの御決定によつて決まりましたならば、自動的にその方に行く。若し政府の原案の三倍半に決定を願うならば、そのまま三倍半、若し三倍半でなしに倍率が低くなるとか上るとか、適宜に決まりますならば、長官が告示をして、更にその方に公布の日から自動的に移つて行く、こういう新らしい方法を採つたのであります。既成事実を作るということを特に作らんように、こういう意味におきまして考えた次第でございます。政府は提案をしておりますから、提案と違うことを掲げるわけには行きませず、提案したものをそのまま揚げないで置くということも行かず、御決定になれば、その御決定によつて自然に変つて行く、こういうような趣意でございますから、既成事実を作るとか、或いは御審議の点については御審議の結果を待つために、実はわざわざ二つの補正を並べて今日決定をいたしまして、そうして新らしい物價改訂に備え赤字に悩む産業、殊にそういう産業の増産の萎靡ということに備えるためにいたしたような次第でございます。政府の趣意はそういう趣意でございますから、十分御了承を願いたいと思う次第でございます。
#114
○木村禧八郎君 只今の御説明では我々は了承できません。それは政府の先程のお話ですと、今ここで発表しませんと却つて経済界が混乱するから、投機思惑が起つて生産流通界が混乱するというお話でしたが、政府が政府の予定する鉄道運賃、通信料金の倍率をここで発表されて、そうして後でその倍率が低くなつたとき、それに應じて價格改訂をやると言いますが、そうなりますと、却つて混乱が生じるのではないか。先程野田物價次長も言われましたように、そういうことをしては國会に対して相済まんから、成るべくそうでないように努力したというお話がありました。それは当然であろうと思います。然るに今安本長官は何らそういうお言葉がないのです。從つてこれに対しては安本長官は本当のことを話して頂きたいと思う。速記を止めるなり何なりして……そういう有力なる意見があつたというお話でしたが、そういう有力なる意見とはどういう意見であつたのか、野田物價次長のお話は非常に御尤もです。そういうことをしない方がいいという御意見であつたけれども、有力な意見が出て來て、止むを得ずこうなつたというお話だつたのです。そうであれば我々も有力の意見如何によつては止むを得ないとして了承しなければならないかも知れませんが、今の安本長官のお話では非常に無理にそこを強弁されているように思われるのであります。この点卒直にお話願いたいと思います。
#115
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#116
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。
#117
○石坂豊一君 只今安本長官より事情を打ち明けての御説明でございますが、我々は理解できません。要するにかような重大なる消費階級大衆の生活に影響ある問題は、成るべく國民の代表者のこの國会において十分の御審議を盡して、而して止むを得ないときにおいて初めてこれは発表することにしなければならん。思想界においても、経済界においても、非常な変化がある場合においては、やはりそれを堰止めるところの一番堤防、二番堤防、三番堤防の備えがあつて、そうして止むを得ず一番堤防を外す、その次に、二番堤防を外す、最後に安定するところに安定するというようにしなければならんものであつて、かようなことは安本長官に御承知のことと思います。然るに我々今……殊に我々の党派においては、新聞等にも発表されておるごとく、運賃等においては、政府案に非常に大反対をして、旅客運賃は二倍、貨物については二倍半、通信費については二倍というふうに修正しておる。一旦これが決まりますというと、仮に修正が通りましても、なかなか元に戻るということは、先程木村君が言われたように還元はなかなか容易ではない。これは要するに最後はやはり國民の負担になるのですから、國民の生活に対しては、生産が多くなつておるわけでもない。さなきだにますます物が上つて行くばかりになつておる。それに拍車を掛けるということになりますから、これ程重大な問題はないのであります。政府当局においても、相当の審議を盡された上のことであろうと考えるけれども、今まで來て、議会でもう十日くらいの間に予算が審議される、突如として中間において発表されるということは、我々は誠に驚かざるを得ない。只今のお話は絶体絶命のようにも考えられますが、併し政府の責任において、その点眼前に見ておる議会の大勢は十分考慮に入れられて折衝せらるべきではなかつたかと考える。私はこの点において誠に遺憾に存ずるものであります。
#118
○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいたします。明日午前十時から開会することにいたしまして、今日はこの程度で散会いたしたいと存じますが。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。散会いたします。
   午後五時五十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           木村禧八郎君
           西川 昌夫君
           岡本 愛祐君
           村上 義一君
           中西  功君
   委員
           岡田 宗司君
           カニエ邦彦君
           木下 源吾君
           小泉 秀吉君
           村尾 重雄君
           石坂 豊一君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           大島 定吉君
           寺尾  豊君
           入交 太藏君
           油井賢太郎君
           小畑 哲夫君
           田口政五郎君
           鈴木 順一君
           飯田精太郎君
           江熊 哲翁君
           岡部  常君
           奥 むめお君
           川上 嘉市君
           河野 正夫君
           島津 忠彦君
           東浦 庄治君
           姫井 伊介君
           渡邊 甚吉君
           池田 恒雄君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   農 林 大 臣 永江 一夫君
   運 輸 大 臣 岡田 勢一訓
   労 働 大 臣 加藤 勘十君
   國 務 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   物價廳次長   野田 信夫君
   運輸事務官
   (官房長)   芥川  治君
  説明員
   農林事務官
   (林野局林務部
   長)      池田 大助君
ソース: 国立国会図書館
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