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1953/02/08 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第2号
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1953/02/08 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第2号

#1
第019回国会 外務委員会 第2号
昭和二十九年二月八日(月曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
一月二十五日議長において伊能繁次郎
君を委員に指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 尚武君
   委員
           伊能繁次郎君
           團  伊能君
           梶原 茂嘉君
           高良 とみ君
           中田 吉雄君
           羽生 三七君
           加藤シヅエ君
           鶴見 祐輔君
  国務大臣
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   保安庁次長   増原 恵吉君
   保安庁長官官
   房長      上村健太郎君
   外務政務次官  小滝  彬君
   外務省アジア局
   長       中川  融君
   外務省欧米局長 土屋  隼君
   外務省経済局長 黄田多喜夫君
   外務省条約局長 下田 武三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       神田襄太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とインドネシア共和国との間
 の沈没船舶引揚に関する中間賠償協
 定の締結について承認を求めるの件
 (内閣送付)
○第二次世界大戦の影響を受けた工業
 所有権の保護に関する日本国とデン
 マークとの間の協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣送付)
○国際情勢等に関する調査の件(MS
 Aに関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) それでは只今より外務委員会を開きます。
 会議に入る前に去る五日の委員長及び理事打合会の内容について簡単に御報告申上げます。先ず委員会を原則として毎週月曜午後一時、木曜午前十時に開くことに申合せました。
 次に横浜航空隊及び群馬県の新町の保安隊特科隊を近日中に視察することになりましたが、その具体的計画ができ次第御連絡したいと思います
 その他沖繩への議員派遣、北海道駐略軍基地の視察等について御発言がありました。これらの件につきましては委員長において検討することになつております。
 以上が理事会の大体の内容であります。どうぞ御了承をお願いしたいと存じます。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(佐藤尚武君) 次に本日の日程でありまする、
 日本国とインドネシア共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の締結について承認を求めるの件、
 第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関する日本国とデンマークとの間の協定の締結について承認を求めるの件
 を議題といたします。先ず政府の提案理由の説明を求めます。
#4
○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず只今議題となりました日本国とインドネシア共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 我が国のインドネシア共和国に対する賠償に関しましては、昭和二十七年一月にサン・フランシスコ平和条約第十四条の規定に裁く中間協定案が作成されましたが、この案は、インドネシア本国政府の承認するところとなりませんでした。そこでその後同国政府は、先きに御承認を願いましたフイリピンとの沈船引揚協定と同種の協定の締結を希望して参りましたので、政府といたしましては、インドネシアとの正常な外交関係の樹立を促進し且つその実現にとつて重大な障害となつております賠償問題の早期解決を図る見地から、このインドネシアの申出に応ずることといたしまして、昨年十月来朝いたしましたスダルソノ氏一行の賠償副査団との間に交渉を進めましたところ、両国当事者間の意見がまとまりましたので、昨年十二月十六日に東京でこの協定の署名が行われました。
 この協定は、第十六国会で御承認を得ましたフィリピンとの沈没船舶引揚に関する中間賠償協定と同一の目的及び意義を有するものでありまして、またその内容も、約六十隻の沈船引揚に充てられる賠償総額を二十三億四千万円に限りましたことと、紛争解決の手続に関する条項を設けましたことの二点を除きまして、フイリピンとの協定と大差はございません。
 以上がこの協定案の大体の趣旨でございますが、何とぞ、慎重御審議の上、成るべく速かに御承認あらんことを希望する次第であります。
 次に第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関するデンマークとの間の協定について国会の承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 第二次世界大戦とこれに続く日本の連合国による占領のため、約十年間は日本・デンマーク間の通信連絡は異常状態に置かれ、その結果として、右期間におきましては工業所有権関係の出願書類を相手国に郵送したり、また特許料、登録料等を相手国に送金納付することが極めて困難であり、又、時によつては全く不可能であつたこともありました。更に連合国の占領政策は、一時日本政府が外国人の出願を受理したり、又は日本人が外国に出願することを禁止いたしておりました。これらの理由により、日本・デンマーク聞においては、互に相手国民の工業所有権を保護するための措置をとることができなかつた状態にありました。
 そこでデンマーク政府は一昨年十月にこれらの権利を相互的基礎に立つて救済するための協定を締結したい旨の申入を行い、東京において交渉を行なつて参りましたところ、両国間に意見が完全に一致しましたので昨年十月二十一日に協定案に署名をいたしました。
 この協定は、工業所有権の特許又は登録のための優先期間の延長、並びに消滅した工業所有権の回復及び無効となつた特許出願又は登録出願の効力回復を内容といたしており、第十六回臨時国会において御承認をうけましたドイツ連邦共和国との間の協定及びスイス連邦との間の協定と内容において殆とんど差異がなく、この協定の締結は両国間の友好関係及び技術提携関係を増進させるに役立つものと信じます。
 以上の事情を御了承願いまして、何とぞ慎重御審議の上、速かに御承認を与えられんことを希望いたします。
#5
○委員長(佐藤尚武君) 右二件の質疑は後日に譲ることといたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(佐藤尚武君) 次に最近の外一交問題に関しまして外務大臣より御報告を願いたいと存じます。
#7
○国務大臣(岡崎勝男君) 先般衆議院の予算委員会及び外務委員会におきましてMSAの交渉に関するその後の経過を大要御報告いたしましたのですが、本委員会におきましてもこれを御報告いたしたいと思います。ただ申上げておきたいことは、衆議院における報告のあとで多少の変化もありましたので、それも加えて御報告いたしますから、必ずしも衆議院の報告と一致していない点がありますので、その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。
 先ずMSAの本協定に関しましては、概括的に申しますと各国との間の協定に見られるような、いわばこのMSA協定の標準規定と申しますか、これがあるのでありますので、この標準規定を中心といたしまして、これに我が国の実情に副うような諸点を織込んだものが協定の本文となるわけであります。
 協定の本文は、大体において十二カ条乃至十四カ条くらいにまとまるものと考えておりますが、まだ条文の整理を行なつておりませんし、どういう項目を第何条にするかというようなことも決定いたしておりません。ただ協定文に入ると思われる主な項目を申しますと、第一には援助供与の原則的規定であります。第二は援助物資の有効な使用を約束する規定であります。第三は特許及び技術に関する情報の利用、第四は第五百十一条の援助要件の受諾、第五は原料及び半加工品の有償による対米便宜供与、米国に対する供与であります。第六は援助物資の差押を禁止する規定、第七は協定実施に関する広報の規定であります。第八は機密保持の規定、第九は不用となつた援助物資を返還することに関する規定、第十は顧問団に関する規定、第十一は援助物資の免税規定、第十二は細目取極の規定、第十三は安全保障条約及び憲法との関係に関する規定であります。その他協定に当然附随いたしまするこれを改訂する場合の規定とか、或いは発効期日、有効期間、批准手続、こういうものの規定が入つて参ります。又この本協定には附属文書を付けるはずでありまして、この附属書の中には援助の範囲、それから規格の統一及び顧問団の身分及び行政費等に関する協定、こういうものが入ろうかと考えております。従いましていわゆるMSAの協定は、協定本文を附属書とこれに伴う議事録とか細目取極とか、こういうものから成り立つわけであります。
 今その主なる問題点に対する政府の立場を御説明いたしますと、第一にはMSA援助の性格についてであります。今回の協定による米国側の援助はいわゆる完成装備の供与を主としたものでありますが、装備等の供与は我が国の国費の節約となることは勿論であると考えております。一方、MSA援助の実現ともなりますれば、域外買付の増加など附随的に経済効果をもたらすようなこともあるはずであります。この点に関連いたしまして、政府はMSA協定と同時にMSA第五百五十条による米国農産物の購入についても取極め成立いたしたいと思いまして交渉中であります。
 この第五百五十条の規定は、米国が過剰農産物を総額一億ドル乃至一億五千万ドル程度までMSAの予算によつて米ドル資金で購入いたしまして、被援助国に対してその国の通貨で売却し、これら被援助国通貨をMSA援助目的に使用せんとするものでありますが、政府といたしましては、総額約五千万ドルの農産物をこの際購入し、その内容は小麦五十万トン、大麦十万トン程度を予定いたしております。そして右の五千万ドルに相当する円貨の一部は日本政府に贈与されることとしまして、日本の防衛産業の振興に使用し、残余の円貨は日本における域外買付に使用するという条件を以て、米国側と只今折衝中でありますが、小麦等の買付協定及び円貨の使途協定の両項目について、二つの協定を作ろうとして話合いをいたしております。この取極めが成立いたしますれば、多量の食糧輸入が実現し得るほかに、基幹産業の強化、域外買付の増大等が期待されるわけでありまして、いわゆる経済的の効果も相当に発揮するものと考えております。
 なお新聞等に伝えられまするところは、この五百五十条に基く協定は、MSAの本協定と別にそれよりも早く、この数日中にも調印されるように言われておりまするが、実際はさようでなくして本協定と大体同じときに調印する予定に只今はいたしております。
 それから第二に、まだ決定しておりませんので、前の主要項目には挙げておりませんでしたが、いわゆる平和を脅威する国との貿易統制の問題があります。最近の米国が他の自由諸国と結んだ協定の中には、この平和を脅威する国との貿易統制について明文を掲げることを通例といたしておるのでありますが、我が国といたしましては可能なる範囲で中共等に対する品目の緩和を行い、その貿易増進を図るようにして来た次第でもありまするし、又この貿易については国会の決議の次第もありまするから、こういう事情も十分に考慮に入れることを本旨といたしまして、他方自由諸国家との歩調を合せる趣旨を表明することも又一案かと考えておる次第でありますが、この問題は研究中で、まだ決定には達しておりません。
 それから第三に、MSA第五百十一条(a)項に掲げられましたいわゆる六条件に関してでありますが、この資格条件はMSA援助を受ける国がすべて受諾しておる義務でありまして、我が国も協定により受諾して差支えないものと考えられまするし、又何ら我が国の法規を逸脱するものではないと思いますが、一部には本条の解釈について、特に憲法との関連において議論をされる向もありますので、念のためMSA協定の実施が憲法の条章に従つて行われるという趣旨を協定中に盛込んで、我が国の特殊事情に対する考慮を織込みたいと考えております。申すまでもなく政府の考えておりまするところは、独立国として自衛カを漸増するということでありまして、MSA援助を受けることによつて憲法にいわゆる戦力を持つというものでもなければ、又海外に部隊を派遣する等のことを約束するものでもないのであります。
 第四に、いわゆる軍事顧問団につきましては、各国の例にならつてその身分を大使館員として、大使の指揮の下に行動するように取極める所存でありますが、その構成とか或いは員数に関しましては現在なお交渉中であります。顧問団には装備の供与とか、使用方法の訓練等の援助実施業務に携る者のほかに、多少の管理要員もこれに附随するものと考えられますが、我が国としては最も効果的に技術と勧告を取入れられるように只今折衝を進めております。
 MSA交渉の今後の見通しにつきまして一言いたしますと、先ず我が国に供与せらるべき援助の具体的内容に関しましては、只今米国と交渉中でありまして、我が方の希望する装備のうちには、米側において供与困難なものも或いはあるかも知れませんが、当方といたしましては、昭和二十九年度防衛計画に見合う程度の援助を期待しているわけでありまして、米国側としましても十分我が方の意のあるところを了承すると考えております。従いましてこの話合については、さほど長い時日を要しないであろうと考えております。
 次に援助の総額に関しましては、右の援助内容が定まつた上で決定される問題であり、又援助物資の評価方法如何によることでもありますが、現在まだ何ほどと御報告するまでには至つておりません。
 最後に協定調印の時期でありますが、政府といたしましては援助その他の具体的内容の大綱を話合つた上で協定の調印を了し、国会に提出して御審議を得たいと考えております。丁度只今アリソン米国大使は用務でワシントンにこの十日に帰る予定を立てておられまして、そして帰任の日は大体今月の二十四日前後と予定されておるようであります。アリソン大使がワシントンにおります間に今までの話合の内容をよく米国政府に伝えてもらいまして、その結果協定の話合は一層進捗することと考えますので、恐らくアリソン大使の帰任いたしました上は急速に調印に至り得るような手配になると考えております。従いまして大体本月中には調印することを予定しておりまして、目下その目的で交渉を進めておる次第であります。
 以上簡単でございますが、御報告をいたしました。
#8
○委員長(佐藤尚武君) 本日はなお外務大臣のほかに増原保安庁次長からも御報告があるはずになつております。おつつけ来られることになつておりますので、それで増原君の報告は後に廻しまして、差当り外務大臣の御報告に対しまして質疑のあるかたは質疑……。
 それでは保安庁次長がおいでになりましたから併せて御報告を願うことにいたします。
#9
○中田吉雄君 外務大臣もうおいでにならんのですか。
#10
○委員長(佐藤尚武君) いえ、すぐこつちへ帰つて来られます。
#11
○政府委員(増原恵吉君) 保安庁としましての米国側に対する武器類の供与の交渉について経過を話をせよということに了承をいたしております。
#12
○委員長(佐藤尚武君) つまり協定の締結に伴いまして、日本に与えられる武器援助の内容その他の交渉の経過というようなことについての御報告をお願いしたいと思います。
#13
○政府委員(増原恵吉君) 武器の供与につきましては、御承知のようにMSA協定がまだ調印になつておりません。もとより批准も終つておりませんので、何と申しまするか非公式な話合という形を以て話を進めておるわけであります。話合をしておりまする内容は、二十九年度予算に提出をいたしまして只今御審議を願つておりまする内容のものでございます。
 陸につきましては、概括的に申しますると、現在一方面四管区という組成を持つておりまするが、二十九年度で二万の制服と八千七百の平服を増員をして頂きたいという予算を提出をしておるわけでありまするが、この増員によりまして一方面四管区を一方面六管区にいたしたい。そうして只今一管区が一万五千名の大体人員でありまするものを大体一万二千七百名に一管区の数は縮小をいたしまして、そして現在の四管区を六管区にいたしたい。そのほか特科群を二つ、特車大隊を一つ、施設群を一つ、対空特科群を一つというふうなものを大体増加いたしたいという考えでおるわけであります。陸のほうはこれらに伴いまする装備、即ち大体言いますると、二管区分の砲戦車、いわゆるバズーカ、機関銃、ライフル、カービンというふうな二管区分と、今申しました特科群、特車大隊、施設群、対空特科群等に要しまする、これは主として重装備で、砲戦車、高射砲、施設の重車両というようなものになりまするが、そういうふうなものを供与されたいということを非公式に話合をいたしておるわけであります。
 海のほうは現在L・Sを五十隻とP・Fを十八隻供与されておりますることは御承知の通りでありまするが、二十九年度におきましては駆逐艦を二千四百二十五トンのもの二隻、千六百三十トンのもの三隻、千四百トンのもの二隻、潜水艦千六百トン級、皆いずれも級でありますが、千六百トン級二隻、掃海艇三百二十トン級四隻、三十トン級の小さい掃海艇一隻、それから上陸艇千六百トン級二隻、母艦七千トン級一隻、合計十七隻二万七千二百五十トンを供与されたということを申入れておるわけであります。
 航空機につきましては輸送練習機のT六G、練習機のT二八、ジエツト練習機のT三三などを主といたしまして、それからヘリコプター、小さいL型といいまする一人若しくは二人乗の観測機でありまするが、そういうもの、それから三十年度当初から練習をしたいという意味で二十九年度末までにという意味でジエツト機の六機ばかりを含めまして百四十三機を供与されたいということを話合をいたしておるのであります。
 なお陸の関係では、これはいわゆるMSA援助というようなことには入らないと考えまするが、北海道真駒内、千歳、仙台、岐阜等の、これは日本側の提供をしておりまする兵舎を明渡して、保安隊なり自衛隊の使用に供せられたいという意味の申入をいたしておるわけであります。これらの話合は非公式な形で今保安庁における一幕、二幕それから三幕の準備室と申しまするか、そういうものと大体現在は米軍の顧問、陸の顧問、海の顧問、空の顧問要員というふうなところと技術的に話合をいたしておる段階であります。大体の方向は基本的な話合をいたしておりまするが、まだこれについてどれを幾らとか、いつ頃までに供与しようという具体的な話合にはまだ至つておらない実情であります。
#14
○委員長(佐藤尚武君) 外務大臣は所用でちよつと席を外されましたが、じき帰つて来るということでありました。
#15
○羽生三七君 どのくらい外務大臣は時間がかかりますか。
#16
○委員長(佐藤尚武君) 簡単なことだと私は了解しましたが。……如何でございましようか、外務大臣が来るまで増原次長に対して、今御説明の点についての質疑を先に始めましようか。又又……。
#17
○團伊能君 壇原次長に只今の御説明につきましてお尋ねしていいならばお尋ねしたいことがございますが。
#18
○委員長(佐藤尚武君) 時間を節約するために、それではそういうことに……それでは只今の増原保安庁次長の御説明に対しまして質疑のあるかたはどうぞ、お願いをいたします。
#19
○中田吉雄君 只今簡単な説明を承わつたのですが、一つ印刷物にして出して頂きたいと思います。私も大体新聞を切抜いて持つておりまするけれども、いろいろ変つている面もあるし、増強されつつある保安隊というものは、日本の運命にかかわる重要な問題ですが、こういう不親切な簡単なメモを読上げた程度で、一体アメリカはどういう極東戦略を持つておつて、その一環としてこれがどうなるかというような正確な判断をすることができない。甚だ私は不親切な説明だと思う。すでに土曜日頃に予告して本日出てもらうようにお願いしたいのですから、審議をスムーズにするためにも是非親切な詳細なそういう計画なり内容をお願いしたいと思う。これは一つ、今日は仕方がありませんが、特に希望いたしておきます。
#20
○羽生三七君 私もその内容についてではないのですが、問題の取扱い方で、まあ希望というかお尋ねしてみたいのですが、大体政府にこの国防なり防衛に関する一貫した方針があつて、それにマッチするように保安庁としてアメリカ当局と折衝して、飛行機は幾つぐらい出るとか、フリゲート艦は何隻にしたいとかそういうお話をするのか。事務局が折衝して、政府の最高首脳部と全体的な何も関係なくやつておるのか、どうもその辺が不明確だと思う。政府に一貫した計画があつてそれにマッチするように個々の折衝を続けて行く、欲しい武器はこれとこれだというようなことで行くのか、それとも全く別個に問題が進んで行くのか、何か知らん今の御答弁ではどうも私は腑に落ちない点があるのですが、そういう点を増原さんどうですか。
#21
○政府委員(増原恵吉君) この点はこのたびの国会で他の委員会その他で総理及び保安庁長官からお答えをいたしておるのでありまするが、いわゆる防衛計画を長期に亘つて明確なものを定めまするためには、いろいろ現在のところ捕捉に亘難な未確定要素が多くて、これをいわゆる長期防衛計画を作ることは非常に困難であるということを長官からお答えを申上げておつたのであります。そうして保安庁当局に対しては、併し何かしらただ無計画に行くわけにも行くまいから、防衛力を漸増或いは増強することについての目安をつけるいろいろ研究をしてみろという命令を受けておるわけでありまするが、この防衛力増強にいたしましてもやはりなかなか要素を確定することが困難でありまして、例えば毎年幾ばくの財政支出をなし得るか、三年或いは五年に亘つてなし得るかというようなことを大体においてでもでありまするが、確定することについてはなかなか困難でありまして、その方面の担当である大蔵省或いは経済審議庁等においてはそうしたものを作ることがまあ非常に困難であるという立場をとつておるような実情であります。定まりました防衛力増強計画というものを作ることは思うに任せないという実情であります。併し全然当てずつぽうに増強をやるわけにも勿論参りませんので、一応の見通し、見当をつけるという形で行くほかないというふうな今立場で二十九年度の予算をお願いをしておるわけであります。
#22
○中田吉雄君 先にお願いしたんですが、増原次長どうお考えでしようか、その計画についての書類ですね。
#23
○政府委員(増原恵吉君) この只今御説明をしましたようなものはきちつと資料にいたしまして提出をいたします。
#24
○中田吉雄君 いろいろ保安庁、保安隊の置かれた困難な事情というものはよくわかるのですが、こういう増強計画というものが、衆議院の予算委員会で辻委員が発言されたように、いずれこれは中ソ両国をまあ仮装敵国にしておる、大陸に中ソ両国を控え、一方にはアメリカがあり、その中間における日本の安全保障の形式としてこういう増強計画が立てられているわけであります。そこでこういう増強計画が相争う米ソ両勢力の中において正しいものであるかどうかということをいろいろ兵器の発展その他から議論せねばならんと思うのですが、米ソ両勢力が原爆を持つて、或いはソ連が水爆をアメリカよりかも進んだ水準で持つているかも知れんというような、いろいろな問題で戦略論争を私はやつてみたいと思うのですが、そういう担当はどなたですか。増原さんでやれますか。これこそ非常に極めて重要な、米ソ両勢力の間に挾まれ、革命的な兵器である水爆、原爆のある際に、こういう兵器を備えて中ソ両国を仮装敵国にして果して日本の安全が保てるかというような問題について、戦略論争を私はやる必要がある恵つて、いろいろ準備をしているのですが、地図を掲げてそして四つに組んでやつて誤りのないように一つしたいと思うのですが、そういうことについてどなたが御説明願えるでしようか。その点をお聞きしておきたい。
#25
○政府委員(増原恵吉君) 保安庁としての現在までの任務は御承知のように国内の治安維持ということで、このたび政府としては法律を改正をし、提出をいたしまして、直接侵略にも対処するということにしたいという意向であります。従いましてそれに対する勉強を大いになすべき段階であります。だんだん勉強をいたしておるわけであります。それぞれの部内における責任を持つているものはあるわけであります。そうしたものの、何と言いますか知識を集積して、長官なり私なりからお答えをするようになるかと思います。
#26
○中田吉雄君 そうしますといろいろ米ソ両勢力の持つている兵器の現状、そしてなされるであろう発達というようなことについて、いろいろ御調査されていると思うのですが、我々の知りたいと思いますのはいろいろアメリカの当局と御折衝したと思うが、保安庁法を改正して直接侵略にも堪え得る、対抗するというように改正されるとすれば、いろいろアメリカは世界的な情報を持つているので、中ソ両勢力が日本に対してどういうふうな戦略を持つているかというようなことをいろいろお聞きになつて、そして日米安全保障条約の一環としてこういうものをやられると思うのですが、そういうアメリカは中ソ両勢場力をどう理解し、日本に対してどう出るというようなことについて、隔意のない意見の交換をされたと思うのですが、そういう点は如何でしようか。
#27
○政府委員(増原恵吉君) 現在の保安隊、警備隊、これは自衛隊というような名前に切換えるという案があるわけでありますが、これを増強をしまするのは、只今のところ政府の方針として私どもが承わつておりまするのは、いわゆる吉田重光会談の際の発表というような形で出ておりましたが、我が国における講和条約発効後の独立心のだんだん盛んになるに伴い、又安保条約に基く米駐留軍の漸減、引揚等とも睨んで我が国の財政経済その他の許す範囲において自衛力、防衛力を増強をして行こう、そういう建前になるわけであります。現在の一つの方向は、米駐留軍が引揚げることに伴つてこちらが独自の見解に基いて力の許す限りに防衛カを増強をしたい、やはり事が万一不幸があつた場合には、安保条約というものを背景にし、米軍の援助協力というものを前提とした形において、許す限りの防衛力の漸増を図つて行こうというような建前を政府の建前に基いて保安庁当局としては勉強なり計画なりを立てる、こういうことであります。
#28
○中田吉雄君 なかなか表現にむずかしい点があるのですが、いよいよMSAを受けてこういう……まあ我が党としてはこれは軍隊だと見ておるのですが、政府の表現を借りまして自衛カといたしましても、こういうものを漸増するという際には、或いはどこの国におきましても軍隊を拡張したりする際には、その時代、その置かれた地政学的な地位というようなものから予想される、まあ直接侵略と言いますか、そういうものがあつて、そうしてそういうことを想定してやはりやるんだと思うのです。我々が新聞で知り得た情報によりましても、池田さんがアメリカに行つてローバトソンと会談した際においても、アメリカ軍当局がソヴイエトがどういう対日軍事政策を持つているかというようなことを詳細に説明をしたということが言われている、わけなんです。ですからそういうことは表現がしにくいと思うのですが、一つアメリカがどういうふうに、例えばアメリカが撤退したら直ちに中国やソヴイエトが侵略するという真空理論によつてその真空を充損するんだということで、まあこういうことがなされているわけですが、そうするとやはり中ソ両国がどういう兵器を持ち、どういう戦略を持つているか、そうしてそれに日本とアメリカがどう対処するかということを知りません限りは、こういうヘリコプターであるとか、ジエツト戦闘機であるとかいうようなことを見ても、まるで木を見て森を見ないということにな石わけであります。私が申すまでもありませんが、一九五一年相互安全保障法、MSAのこの法律の副題におきましても、国際間の平和及び安全保障のために友好国に援助を与えてアメリカの安全を維持し、そうしてアメリカの外交政策を促進し、アメリカの福祉を培う法律ということになつて、アメリカの外交政策、極東政策を推進する
 一環なんです。ですからそういうものを受けてやる際にそれが正しいかどうかということは、アメリカが中ソ両国にどういうふうに対処しているかということをよく知つて、そういうことに応じてやることが正しいかどうかということでやらねばいけないと思いますので、茂たとしては詳細にそういうことを聞いておられると思いますので、今日いろいろできません際には、是非アメリカ当局がどういうふうに理解しているかということを我々としては承わつて、それといろいろ保安庁当局が折衝されて、そうしてそういうものが本当に日本の安全保障に堪え得るもの一であるかというようなことを私は論争をして結着を出すべきだというふうに考えていますので、一つ是非そういう質問を私は本格的にやりたいと思いますので、今日は外務大臣がお忙しい際に折角出られたのでやりませんが、是非一つ増原さん並びに幕僚がそういう準備を整えて、資料も出して頂いて、一つ論争をやりたいと思いますので、その点一つしつかり準備をしてもらいたいと思うことを希望しておきます。
#29
○羽生三七君 外務大臣にいいですか。
#30
○委員長(佐藤尚武君) ちよつと……、増原次長に対します質問は本日のところそれで打切りとしまして……。
#31
○中田吉雄君 本日は仕方ありません。
#32
○團伊能君 増原次長にちよつと一つ御説明を補足して頂きたいところがありますが、只今増原次長から陸海空に亘るMSAに対する日本の希望要求の点を概略的に承わりましたが、この問題に直結して考えられる問題の点について二、三お伺いしたいと思います。
 只今御説明にありましたように、海においては以前のL・S五十隻、P・F十八隻というふうなものがございますが、これは私ども知るところではこれらの小艦隊と申しますか、小さい艦隊の場合においてさしたる支障がないことは考えますが、併し更に加わつて大きな船舶を借りて来る、特に潜水艦のごとき特殊な船舶がございます場合に、これらの修理、或いはこれらを繋いでおく基地その他の問題が当然必要となつて来ると思いますが、これらの船舶を借りるだけでなく、その借りるについてこれらの給油、修繕、修理その他これらの集結している場所、その他の点における設備の点はどういう場合に日本として、この受入態勢としてお考えになりますか、ちよつと伺います。
#33
○政府委員(増原恵吉君) 現在そうした基地は横須賀と舞鶴、大湊、佐世保四カ所でございます。これは地方総監部というものを置いておるわけでございます。これにはそれぞれ相当といいますか若干の港湾設備を持つておりまして、この借受けようとしまする程度のものを収容をしまするには施設費を若干お願いしてありますが、そういうことで十分賄つて行ける。なお給油その他のためにはタンクなり、或いは雑船の建造等やはり予算にお願いをいたしてあるわけであります。そうしたものの修理の能力等は現在の日本の何といいますか造船会社等に大体において十分能力があるという見通しを今のところ持つているのでございます。
#34
○團伊能君 この前借受けましたP・Fというような船は極めて小さいのでありますが、それらを借入れる前に浦賀船渠その他で修理をしてそしてこれを借受けた事実もございますが、併しこれだけの船を借り、又それらにはこのたび法律として現われて参ります相当の軍事上の機密もある場合、民間造船会社に委託して修理をする、或いは修繕するとかという形においては甚だ不十分のように思いますが、これらに対するいわゆる海軍工廠と従来呼んでいた一つの特定工廠を持つ必要があるのじやないかと思いますが、その点を一つお伺いします。
#35
○政府委員(増原恵吉君) こうした船舶、大体において砲その他を持つておるような船舶を持ちまして、それが高度の能力を発揮するぎに、だんだん新らしい武器等を持つようになつて参りますると、いわゆる秘密にしなければならんところが出て来ることは仰せの通りであります。そういうものをどういうふうに処置することがよろしいか。工廠のようなものを作りますことがそうした機密保持にいいことはもとよりでありますが、これからの我が国のこうした海上の護りというものの量、その他を考え合せまして、現在麿ちに工廠のようなものを作ることが必要であるというまでには政府としてはまだ結論を出しておりません。絶対に工廠を作らないというふうなところまで掘下げておるわけでもございませんが、差当りのところ直ちに工廠というようなものを作る必要は先ずあるまいという大体考え方で進んでおります。
#36
○團伊能君 なお空の問題につきましてちよつと伺いますが、只今御説明によりますとヘリコプターまで加えて百四十三機をこのたび借受けるということになつておりますが、これらについても同様、これらのエンジンのオーバーホル、その他いろいろな手入、或いは空港というようなものが必要でございますが、これは現在は初参を使つておられるようでございますが、これらについての維持、修理ということのお考えはどうでございましようか。
#37
○政府委員(増原恵吉君) 現在はまだ空の関係は陸と海に必要な極く初歩のものをやつておるにとどまりまして、浜松と館山と、それから鹿屋に小さい練習場を持つておるにとどまるわけでございますが、このたびの予算及び政府の考えておりまする法律改正によりまして第三幕僚監部を、航空自衛隊を作りたいというふうに考えておるわけでございまして、それに伴つて百四十三機というものの供与を受けたいというのであります。これに伴いましてなお飛行場としましても、石川、米子、阪神、太田若くは小泉、或いは水戸、そういうようなものを使いたい。これは大体今の米軍の使つておるものでありまして、これはこれを全部もらいたいと希望しておるもの、供与を希望しておるものとに分れておりますが、こうしたものをもらいたいと思つております。そうして簡単な修理はやはり航空補給廠というようなものを作りまして、向うからもらいますものについては部品も付けてもらいたいと考えておりまして、そこで修理をいたしまするが、多少程度の高いもの、或いはオーバー・ホールに至りますと、これはやはり現在の民間の優れた会社に委せるということに相成ると思います。現在L機というのを陸の観測連絡等に使つておりますが、これは川崎にオーバー・ホールを注文をしてやらせておるわけであります。こうした高度の修理なり、或いはできればこういうものを国産で作りたいという希望を持つておるわけであります。そうした点は通産省等ともよく協議をいたしまして適当な方法で我が国の航空製造会社が修繕を行うなり、オーバー・ホールを行うなり、或いは製造をするなりということについていい方法をとつて行きたいというふうに考えております。
#38
○委員長(佐藤尚武君) どうでしよう、まだ保安庁関係については質問の機会があろうと思いますが……。
#39
○團伊能君 一点だけ一つ……。
#40
○委員長(佐藤尚武君) じや簡単に願います。
#41
○團伊能君 そういたしますとこれらの借りて来る船舶なり、航空機なりは同時に日本で或る何がしかのものを生産するという、それと合せてこういうものがアメリカから入つて来るに必要だという観点において借りられておるのであると解釈してよろしうございますか。
#42
○政府委員(増原恵吉君) 航空機について申しますると、今度借受けたいと思つておりまする、供与を受けたいと思つておりまするもので、できれば国産、最初はまあ乗つたものを持つて参りまするが、そのうちだんだんと国産に移行することを期待をいたしておりまするものはT三四という練習機でございます。その他のものについてはだんだんと国産にして行きたいという一般的な考え方をまだ持つておるにとどまりまして、そのうち何の機種が大所どの会社において国産化される見通であるというふうなところまではまだ至つておりません。
 なおこの際ちよつと附加させて頂きます。先ほど中田委員の資料御要求がございましたことに関連して一言申上げておきたいと思いまするが、現在の米駐留軍が日本防衛についてどういうふうな戦略と申しまするか、作戦計画を持つておるか、或いはどういうふうに相手方の判断をしておるかというなうなことはいわゆる軍の機密として私どもには話をしてくれておりません。従いましてそういう問題については我我としては一般新聞雑誌その他、或いはいろいろ研究をしておる人々の総合的な資料、そうしたものをまとめて研究資料にしておるのであるというふうなことでありまするので、その点は一言だけ申し添えさせて頂きたいと思います。
#43
○中田吉雄君 資料要求をしておきます。又その問題は本格的にやりますが、只今二十九年度の計画を承わつたのですが、これはやはり全体の計画の一環だと思うので一つは何カ年計画あると思うのですよ。そういう計画も一つ合せてお願いしたいということと、吉田総理が大体三十九年度だけで全部の防衛計画を発表しちやいかんという言明をされたということが朝日新聞に出ておるのですが、そういつたことはあつたのですか。そのことをちよつとお伺いしたいと思います。
#44
○政府委員(増原恵吉君) これは只今進行中の衆議院の予算委員会でも総理或いは保安庁官が申述べておると思うのでりまするが、いろいろと重要要素であつて予測しがたいものがたくさんあるために長期の防衛計画ということはなかなか作りがたいということなのでありまして、従いましてそれを申上げることが困難であるという事情にあるかと了解をしております。
#45
○委員長(佐藤尚武君) 増原次長に対する質問でございますが、本日のところは一応これで打切ることといたしまして、併し中田委員乃至は羽生委員から先ほど来御質問、御希望がありましたし、できるだけ早い機会に日本の保安隊増強問題に関する根本方針についての当局からの御説明、それを頂きたいと思うのであります。つきましては本日武器その他のことについて最初増原次長からお述べになりました数字等につきましては、先ほど書物にして出すということでありましたから、これは早速そういうふうにお願いいたしますると同時に、次回の御説明の際には何か又はかに提供される資料等もおありになるかと思いまするので、それらもどうぞ準備をしておいでを願いまして御提供を受けたいと思います。
 それでは増原次長にはそのことをお願い申上げまして本日の増原次長に対する質疑はこれで打切ることといたします。
 つきましては外務大臣が帰つて来られましたので、外務大臣に対する質疑がおありでございましたらどうぞ。
#46
○羽生三七君 このMSA協定がまだ本当にきまつたわけではないのでそれが明確になつてから又改めてお尋ねしたい意いますが、併しまあいろいろな只今の説明や或いは新聞等を通じて或る程度のことはわかつておりまするので、それに基いて二三の疑点を今日は大まかな線でお尋ねしてみたいと思います。
 その第一はこのMSA援助の性格について政府が御説明なさつておりますが、その御説明によると今度の協定による米側の援助は、いわゆる完成装備の供与を主としたもので、装備の供与等は我が国の国費の節約となることは勿論である。又他に一方MSAの関係から域外買付の増加等でも附随的に経済的にも効力を来たらす、こういうふうにMSAの性格を規定しておるわけです。
 そこで政府がこの自衛力の漸増という立場に立つ限りにおいては、完成装備の供与を受けるということは、一つのまあ好ましい条件になるのでしようが、まあ伝えられるところによると僅か一億とか一億二三千万ドル程度と言われておる域外買付も、恐らくこの数千万ドルから多くても一億ドル程度と言われておるわけです。そうすると私はこの政府のMSAによる日本についてのごの拘束力というものは、日米安全保障条約に規定されたこと以外にはないのだという立場に立つておるようですがね。どうも私はそごが腑に落ちないんで、このMSAの援助については、五百十一条の(a)項の六条件ならば相当意味があると思う。まあ政府に言わせれば世界各国皆それを受けておるというように言われておりますが、それはとにかくとしてまあそういう意味から政府は差支えないんだと言われておりますが、僅か、僅かということはまあ日本の現在の経済カから言いますると非常に語弊を生みまするので、これはまあものの見方として判断を願いたいんですが、一億ドル内外の完成装備で、それから域外買付にも期待したほどのものではない。それから小麦の円払の問題にしても、まあいろいろそれならむしろ域外買付にそれだけ減らされるのではないかという説もあつて、それやこれや考えるとそれだけの政府が何といいますかMSAの援助に恐しい期待をかけるほどのことはないのだという気がするのですね。若し額面通りに受取るんならば。額面通りならばとにかく一億や二億の金は我が国の現状では重大といえば重大ですが、むしろ日本の政府が本格的に自立経済の達成をお考えになるならば、そういう援助をもらわなくてもほかにもつと何か方法があると思う。私はそう思つておる。
 そうするとこの先ほど申上げました五品ド一条の(a)項の六条件というものが非常に問題になつて来る。つまり経済的に言うならばそう大したプラスにならない。そうすると五百十一条の(a)項の六条件というものを見て行くと、それは日米安全保障条約に定められた義務の履行でよろしいのだ、こういうふうになつておる。そうすると全体としてはMSAの相互安全保障というものはそんなに生まぬるい大して意味のないものかどうか、ということに私は非常に疑点を持つわけであります。むしろこの五百十一条の規定は今現在は格別のことはないようでありますが、併し問題によつては客観情勢の変化によつては非常な重大な意味をもつて来る。そういう意味でMSAというものが日本というものの将来に非常に大きな拘束力を持つと私は考えておるわけであります。そういう意味でお尋ねしたいことは、この安全保障条約にきめられておる軍事的義務の履行で足りるとこういうふうに言われておりますが、それを正確に言うと、安全保障条約にある義務規定というものは、例えば米駐留軍の駐留を期待したり、或いはそれに基地を提供したり或いはそれに兵舎を提供したり、そういう便宜の供与、一方においては我が国の経済の許す範囲内の自衛力の増強、こういうことだと思うのです。結局それだけのことなんでありましようか。それ以外にはもう何もMSAというものは拘束力は何もない。つまり日米安全保障条約にきめられており、それから政府が解釈しておるような義務履行だけで足りるとこういう性格のものであると解釈してよろしいでありましようか。
#47
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#48
○羽生三七君 そうするとその通りだということになりますと、結局においては一億万ドル内外の完成兵器の援助と、それからまあ若干の域外買付けと、これだけが非常に大きな世論を呼んだMSA協定の本体と、そういうふうに解釈して差支えないですか。
#49
○国務大臣(岡崎勝男君) 世論を呼んだのはあなたのおつしやるのとは反対に、衆議院の予算委員会、本会議等でも、参議院の本会議でもありましたが、何かMSA再軍備というような表現を用いて議論しておられる。あなたのおつしやつたように、MSAの援助を求めても再軍備にはならないと言いますか、戦力の保持には至らない程度でありますから、そこで僅か一億とか何とかいうようなことも出て来る。まあ僅かというような言葉が出て来るようなわけだと思います。ところが片つ方では、如何にも何か非常に厖大な軍備を持つように宣伝されるものですから、大きな世論を私は呼んだんだろうと思います。併し政府の考えるところは今申した通りでありまして、戦力に至らざる範囲でありますから、MSAの援助もそうその非常にとてつもないものを期待しているわけじやない。
 又この五百十一条の六項目、この中で一々お考えになればわかる。例えば第一は世界平和維持に協同すること。第二は国際間の緊迫の原因を除去するために相互に防衛対策をやる。第三はまあちよつと問題ですからあとに残しますが、第四は自国の防衛力とか、自由世界の防衛力の発展のために政治的経済的安定と矛盾しない範囲でいろんなことをする。第五は防衛能力を発展させるために一切のその合理的な措置をとる。それから第六はこのいろんな援助が有効に利用されるように保障する。私はこれはちつとも特に非常に疑いの目を以て見なければならぬ条項はないと存じます。
 ただ問題は第三の、合衆国が当事者である多数国又は二国間の協定、条約等に基いて、自国が受諾した軍事的な義務を履行するとこうあるので、この軍事的義務というのが、ちよつと日本のような特殊な憲法を持つているような国では問題であるわけであります。そこを解明してこれは安全保障条約の義務以上のものは出ないのだ。こういうアメリカ政府の公式な発表を受けておるわけでありますから、この六項目一々こうやつて御覧になつて、若しアメリカ政府なり日本政府なりの公式な発表を疑わられればこれは別ですが、信用されるとすればどこにも私はこの六項目に問題のあるところはないと思うのであります。元来アメリカ政府の考え方は、MSA援助というのは自国の安全を維持するために各国に援助を与える。これはその通りであります。併し何が自国の安全を維持するために最も有効なる方法であるかということになると、これは世界の平和を維持することによつて自国の安全が維持される、こういう見地に立つている。その世界の平和を維持するには自由諸国において防衛カをおのおのできるだけ増強して、侵略等の脅威をあらかじめ防ぐことが必要である。従つてそういう意味で自由諸国に対してMSAの援助をやつて、これらの国の防衛力が強くなり、無責任な侵略等の行為を受けないだけの予防措置を講ずるというのでありますから、目的はアメリカの安全、即ち同時にこれは世界の平和維持、そのために各国の援助をしようというので、これは一部に伝えられるようにアメリカの傭兵にするのだとか、アメリカの政策の道具に使うのだとか、そういうふうには私はどうも考え得られない、従つて第五百十一条の六項目もそういうふうな考え方で政府は見ておりますから、御心配になるような点はないと信じております。
#50
○羽生三七君 侵略ということについては先ほど中田委員からもお話があつて、私ども若干見解を異にしておるので、理由のない直接侵略があるよりも、むしろ問題は米ソの対立から問題が起るので、そこに軍事基地を提供しておる日本が、若し問題があるならば戦争に巻き込まれる危険性がある、どちらに危険性のウエイトが多いかとなれば問題のない、理由のない直接侵略よりも、今申上げた米ソの対立から来る日本の軍事基地化のほうが問題があると思うのですが、それは別として、そこで問題は、そうすると日本の保安隊が漸次発展してですね、成長するというか発展して行つて、実質上アメリカの駐留軍とその所を代え得る、代位し得る程度になつて、まあ駐留軍が仮に引揚げるということになつた場合には、それは安保条約というものは当然なくなると思うですが、そのときには軍事的義務の履行ということは、つまり安全保障条約に規定されておる軍事的義務の履行で足りると言つておるのですが、そのときは何もなくなつてしまうことになると思うのですが、そう解釈してよろしいのですか。
#51
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今のところでは勿論そうでありますが、これはその安全保障条約を何と言いますか、やめるということについては、安保条約の第三条乃至第四条ですか書いてあります、それには駐留軍の撤退ということがやめるというふうには直接なつておりません。ほかの条件、例えば世界の平和が維持される、或いは安全保障措置が講ぜられるとか、こういうことになつておる。でこれはつまり仮にこれは考え方でありますが、日本が独力で自分の国を守り得るというときが将来いつか来るかも知れません。来るかも知れませんが今の世界の情勢から言いますと、一つの国が独力でその安全を完全に守れるという程度になつておる国は殆んどないと言つてもいい、極く少数以外にないと言つて差支えないと思うのであります。各国が相寄り相助けて集団的な安全保障をやる、或いは個別的な安全保障をやる、こういうことになります。つまりその安保条約の趣旨は仮に何と言いますか、ダレス長官が日本に来たときにデイタレント・パワーということを言われたことがありますが、要するに今おつしやつたような何と言いますか、米ソの対立が破裂しそうなときに危いということを言われましたけれども、私はそれ以外に例えば朝鮮の例とか、インドシナの例で、又それが安保条約の前文の趣旨にもなつておるのですが、本当の大戦争となつては大変なことで、これは何とかして防がなければなりませんが、そのほかに防備が手薄で、いつでも侵略できるという状況だとちよつとやつてみるという心配危険が出て来る。そのときに若しそういうことをすれば米国のような強大な軍備のある国とも戦争する覚悟でなければできないぞという点に、私は安全保障条約の趣旨があると思う。来たものを防ぐという意味でなくして、来ると大変だぞという警告をして予防措置を講ずるという点に大きな意義がある、従いまして安全保障条約をやめるということについては必しも米軍の撤退ということを条件といたしておらないわけであります。要するにデイタレント・パワーとして或る程度残る場合もあり得るか知れない、併し勿論米軍の撤退という事態さえ、これは非常に先のことでなければなかなかできないと思います。そういうふうに考えておる。併し安保条約がなくなればこれは安保条約の義務は当然なくなつてしまう。従つてMSAのそういう点はどうなるか。そのときに結局なくなることになるだろうと思います。
#52
○羽生三七君 これは私の不勉強でちよつと変なお尋ねになるか知れませんが、MSAの協定の期間とかこの年限とか、そういうものは何かあるのですか。
#53
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAの協定は大体向うの予算も毎年新しくきめられますから、同じものではあるかも知れませんけれども、大体一年ごとに新しく考えられる。こういうことになります。
#54
○羽生三七君 次にこれはちよつと問題が違うのですが、先ほど御説明の中にあつた中国との貿易の問題であります。これはやはり何かこの制限するような向うでは期待を持つておるし、期待を持つておるじやない、そういう要求をしておるし、日本ではこれに対してやはり西欧なみの扱いを希望しておる。こういう二つの矛盾した要素をどういうふうにして調和されるおつもりですか。
#55
○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ側も差支えない範囲の中共なり生産圏との貿易ということについては原則的に何ら異存がありません。従いましてアメリカ側の考えておることも自由諸国が共同しても同じような歩調で平和を享受する点に対する制度ということを考えておりません。従つて実質的には私は何も問題がないと思います。ただ形の上でこの中共貿易なりその他の共産圏との貿易を、差支えない範囲では伸ばそうとしておる政府なり国会なりの立場から見まして、何かそれと矛盾するようなふうにとられては面目ないからどういうふうにこれを表現するか、又表現しなくても政府としては実質的には同じことをするつもりでおるのです。場合によつては表現しなくたつて同じことじやないか、こうも考えておりますが、最近の各国とアメリカとの援助協定の中には、皆この明文を以てその点を規定しておりますから、今どういうふうにするか、それは交渉中でありますけれども、若しこれが入らないとしたら、それじや中共貿易は何ら無制限にどんどんやるのかというとそうじやない、政府としてはやはり同じような趣旨でやりますから、実質的にはいずれにしても影響はない、こう考えております。
#56
○中田吉雄君 外務大臣先にアリソン大使は十日頃ワシントンに帰られ、そして二十四日頃までに帰任されるということでありましたが、その用向はわかりませんか。
#57
○国務大臣(岡崎勝男君) 普通の打合せだろうというふうに私は了解しております。特にこれくの用向で帰るという話はありません。一般的に日本の状況報告と今後の打合せのために帰るということであります。
#58
○中田吉雄君 只今大臣の答弁があつたのですが、アリソン大使が行かれるという一つの中にはやはり大体まとまりかけた、ほぼ成案ができたと称せられるMSA協定について、ワシントン当局との打合せも一つになつておると思うわけであります。私はそういうふうに理解しているのですが、岡崎外務大臣も御存じのように、予算は三月四日に大体委員会を上げて五日に本会議にかけるというふうになつているわけであります。そこでMSAを受けて本格的に肖衛力を漸増する第一歩を踏み出すところの、この七百八十八億というかなり大きな額の自衛力漸増計画もそこで態度が決定するわけであります。そこで我々といたしましては、やはり衆議院の採決の前に、やはりMSAの協定ができて、そして国会に諮られて、そして防衛費並びにそれと関連するところのMSA協定と合せて審議することが正しい予算に対する態度だと思うわけですが、大体それに間に合うように、これには大体今月中には調印できるだろうというふうに書いてあるのですが、もう少しできるだけ早めて、少くとも衆議院の予算審議の採決に、委員会の採決に間に合せるというような善意のある取扱いはできないものですか、その点を……。
#59
○国務大臣(岡崎勝男君) 採決……、つまり今月中には調印を遅くとも了したいと思つておりますから、調印が済めば勿論国会に提出いたします。ただ国会の審議の時間もありましようから、これが可決されるかどうかとということは勿論わかりません。併し今月中には国会に提出したいというつもりで急いでおります。
#60
○羽生三七君 この五百十一条の(c)項の(2)を見ますると、その途中に「且つ、その地域における集団的安全保障を促進する計画に参加するのでなければこの法律に基くいかなる援助も受領しないことを保証しなければならない」という明文があるわけでありますが、そうすると先ほどの外務大臣の私に対するお答えからも窺われることなんですが、どうも今いろいろ言われても、結局はやはり単独では防備できないから、新らしい国の防衛の方向というものは、やはり集団安全保障の方向だというようなお答えから考えても、又今の五百十一条の(c)の(2)の項を見ましても、どうもMSAがやはり集団安全保障への前提は日本を持つて行くものじやないかということは、私のこれは杞憂でありましようか。
#61
○国務大臣(岡崎勝男君) 私ばかりじやない、政府は始終申しますが、日米安全保障条約は形は不完全でありましようけれども、というのは日本で戦力を持たないという点から不完全なものではありますけれども、併しそれは集団安全保障の一つの形式には違いない。従つて日米安全保障条約は地域的な集団安全保障だと、一」ういうふうに我々は考えております。
#62
○羽生三七君 そうすると現にある日米安全保障条約が集団安全保障の一つの形式であると思うから、MSAというものが新たに例えば太平洋軍事同盟というような性格に日本を持つて行くものじやないというふうに考えておるということなんですか。
#63
○国務大臣(岡崎勝男君) 太平洋軍事同盟とかというようなものについてはまだ勿論私どもも内容等について何ら知るところもありませんが、それとこれとは全然別問題だと、こう考えております。
#64
○中田吉雄君 岡崎外務大臣は先に五百十一条にあります(3)だけは問題だが(1)(2)は殆んど問題ない、こういうふうに言われたのですが、そういうことはアメリカの世界政策が正しい、将来も過ちのないものであろうし、過去においても過ちがなかつたという前提においてのみ、世界平和の維持の仕方でも国際緊張の緩和の問題にしてもいろいろあるのです、方法が。そのアメリカの方法が正しいかどうかということは非常に異論がある。ヤルタ協定以来アメリカのとつた極東政策というものは、殆んど日本に対する無条件降伏等を含めて、平和憲法にいたしましても、ニクソン副大統領がわざわざ日本に来て陳謝せざるを得ないような、もう一貫して誤謬の連続なんです。そういう点から考えると、これは非常に私は問題があつて、我々はアメリカの世界政策というものにブレーキをかけずに躊躇なく同調できるというものではないと思のですが、ヤルタ協定以来の一連のアメリカの極東政策との関連において、岡崎外務大臣はこの点どうお考えですか。
#65
○国務大臣(岡崎勝男君) ヤルタ協定等は日本がアメリカその他の国と戦争をしておつて敵国であるときに作られたものであります。敵国に対してあの程度のことをやることは、私は若し日本が同様の立場にあれば同様なことをやつたろうと思います。敵国であるときの取扱いを以て、そのいい悪いは別としまして、日本に同情がないとか日本に何とかだというようなことはちよつとどうかと私は考えております。又ニクソン副大統領は今おつしやつたような陳謝をしたのではないと私は信じております。併しながら率直に過去のやり方の一部の間違つておつたということをアメリカ側として認識したということを言われただけであつて、日本国民に陳謝をしたということではないと思います。
 又そういう性質のものでは占領政策というものはないだろうと考えております。アメリカの政策がいいか悪いか、間違つた点もありやせんかと、これについてはいろいろ御覧もりましよう。併しながらこの中に書いてあることについては、私は例えば「国際間の理解及び親善の増進並びに世界平和の維持に協同すること。」、これは私はアメリカの政策如何にかかわらず、この文句に対して別に異議を挟む理由は一つもないと考えております。又国際間の緊迫の原因を除去するために相互に相談して行くこと。国際間の緊迫を除去するということは今一番必要なことであります。これをどうするかということは、相互に相談するのでありますから私はこれも一向差支えない。アメリカの政策によつて、国際間の緊迫を除去する方法としてはアメリカの言う通りにするんだということは書いてないわけです。従いましてこの文面から申しまして私はアメリカの政策如何は、これは暫く御議論もありましようから別としまして、この六カ条の文面から言いまして、少くともこの規定は私は差支えないだろうとこう思います。
#66
○中田吉雄君 大臣はそう言われますが、一九四七年の三月十二日だつたと思うのですが、トルーマン大統領がアメリカ議会でコンテインメントーポリシー、自由世界と共産主義世界、特にソ連とは絶対に相容れないものである。だからソ連に対してコンテイソメント・ポリシー、そういう政策を展開するといつてやつて来、そのような政策がだんだんつまずいて国内のいろいろな諸政策とからんでアイゼンハワー大統領が当選され、そうしてコンテイソメント・ポリシーではいけないからロール・バツク・ポリシー、巻き返し政策をやる。ところがその政策はヨーロツパにおける北大西洋同盟条約、欧洲軍条約を見ましても強力な壁にぶつかつている。そうして更に最近は周辺政策、周辺作戦に転換する。そういう周辺作戦の一環としてのこういう政策で、アメリカの政策は一九四七年から後退又後退で、特に無条件降伏でアメリカの支配下に置かれた、自主性の弱いこの日本の現状におきましては、極東平和を保つ方法において、或いは緊張を緩和する方法においても、そう岡崎大臣の言われるようなわけには行かない。封じ込め政策から巻き返し政策になり、周辺作戦になり、これはもつと変つて行くので、この点一つ我々としては強力な批判をする、我々がアメリカの世界政策が正しいかどうかということは現状を以て判断をすることも大切ですが、何といつてもヤルタ協定以来一連の政策は誤りがなかつたかどうかという歴史的な反省の上に立つてやることが必要ですが、一貫した殆んど誤りの連続なんです。そういう点で私はMSA協定が正式にかかりました際にこの問題は岡崎外務大臣にもつとお尋ねいたしたいと思いますが、時間もありませんので、この点はやめておきましよう。
 そこでこのMSA協定が成立するためには最初に防衛計画というものが材要である。第一年はどう、第二年はどう、第三年はどうというふうな防衛計画を示して、そうしてアメリカがそれを理解してできるのだというふうなことが言われておるのですが、そういうこととMSA協定との関連はどうなつているのですか。防衛計画の提示は必要としないというようなことになつているのですか。その点をお伺いしたい。
#67
○国務大臣(岡崎勝男君) 今アメリカの政策についていろいろ御意見がありましたが、これは私にもいろいろ意見がありますが、私は別にアメリカの外務大臣じやないから、アメリカの政策をここで弁護したりなんかする必要もないのでこれはやめておきます。
 MSA計画については、防衛計画があればそれだけにアメリカのほうでも例えば今年はどう来年はどう、再来年はどうというふうにわかりますればそれだけ考え方もはつきりしますから、MSAの援助だけからいえば都合のいいということは勿論言えると思います。併し、防衛計画というものは、アメリカの政察がしばしば言つておりますように、その時期と態様は日本政府が決定するものであるということでありますので、これがなければ援助は出ないと言えばそうじやない。そこで私が常に申しておりますように、防衛計画なるものはMSA援助を受けることの必須の要件ではないと、こう言つておるのであります。併し勿論一年間の計画は必要であります。一年間の援助を受けるについてはそれだけの計画があるから、それだけの装備が必要であるということは、これは勿論必要です。それ以上の長い計画があれば便利なことは、勿論便利です。その程度にお考え下さつていいと思います。
#68
○中田吉雄君 併し、いつまでもアメリカにおつてもらうということも自衛力漸増の立場と、或いは日米安全保障条約を認めて行くという立場からもできんと思うのですが、やはり政府としては、アメリカのそれが不可欠な条件でないにしても、そういうものを以てそして行くということが必要だと思うのですが、そういうものはまだないのですか、どうなんですか。岡崎外務大臣の所属しておられる自由党では五カ年で二十六万五千を増員する、そして、それが完了したとき米兵は撤退するというこの計画が立つておられるのですが、そういうことはどうなんですか。
#69
○国務大臣(岡崎勝男君) 政府も防衛計画は成るべく立てたいと思つて保安庁で努力しておるわけであります。ただこれは保安庁長官もよく言われますが、兵隊とか保安隊とかいう方面の人の問題だけじやありません。広く言えば道路の問題から港湾の設備、そしてもつと大きなものは保安隊に対する国民の考え方、こういうところまで来なければ本当の計画は成り立たないわけでありますので、ただその大体の目標というものならこれは比較的立て易いかも知れません。実際これを毎年行なつて行こうとする計画となりますと、なかなか総合的に見るということはむずかしいようでありまして、まだ立て切らないでおるのが実情であると思います。
#70
○中田吉雄君 まあ二十九年度の防衛計画についてはアメリカ側もこれを了解し、そして新聞でも了解したように出ていたのですが、私もそうだろうと思うのですが、それにいたしましても、アメリカがアジアの戦略態勢をどう理解しておるかということを私たちが知つて、それが正しいものであるかということを知ることが重要だと思うのですが、増原次長にお尋ねしましたところが、事務官僚ではそういうことは与り知らないということだつたのですが、岡崎外務大臣は絶えず御接触になつているのですが、機密に属することはございますが、秘密会議でありましたならばそういう中ソ両国の出方をどう理解しておるかというようなことについて突つ込んだ説明をして頂けましようか、その点お伺いしたいと思います。
#71
○国務大臣(岡崎勝男君) 私どもMSA交渉につきましてはそういう問題は全然除外しておりまして、日本としてはつまり今度の予算なんかでも、他が減つているのに防衛関係費が殖えているのは軍事予算じやないかという説もありますが、これはスタートをお考えになつて頂きたいと思うのです。要するに八千五百万、願いは八千七百万の人口を擁しておる日本が、只今十一万の保安隊を持つておる。四千八百万ぐらいのイギリスは八十数万の軍隊を持つている。もつと少いフランスでも七十数万の軍隊を持つている。こういうところから見ると、勿論日本のほうは戦力という制限がありますからでもありますが、如何にもその漸増の基礎がまだ非常に少い、つまりスタートがまるで違つているということになりますので、私はその漸増計画については、いろいろなその戦略態勢かそんなむずかしいことでなくして、もう差当りこの程度のことは当然財政その他が許せばしなければならん範囲内の、ごくまだ小ない部分をやつているのであつて、従つてこれに対する援助については、つまりかなり飽和状態になつておれば、この極東の状況その他から見て、要るか要らんかということは必要でありますかも知れませんが、今のようなまだその非常に程度の低いものについては、そういう考慮なくしてとにかくまだ漸増して行かなければ、その飽和状態には到底達するところじやないという考え方からやつておりますから、そういう話はこの援助に関しては出て来ておりません。一般的にアメリカがどう考えているかということについては、私は専門家じやありませんからよく知りませんが、ソ連側はかなり強大な軍備をシベリヤのほうにも持つている、或いは中共側の軍備も非常に大きいものである、従つて十分なるこれに対する万一の場合の備えはしなければならんというふうに、アメリカは考えているかと思つております。
#72
○羽生三七君 途中で失礼ですが、海外派兵の問題は、先日の衆議院のどなたかの御質問の際に、そういうことは協定中に成文化すべきものでないというお答えであつたようですが、ずつと前の第十何回国会でしたか、当委員会の大臣のお話では、そういうことは正式に本文中に入れるかどうかわからんが、議事録中にはとどめたいというような意向を漏らされましたが、これは非常に国民としては注視している問題でありますので、本文に成文化されなくても何かこういうことが明らかになるようなことをお考えになつているかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#73
○国務大臣(岡崎勝男君) どうもあれは非常に御心配の点もあつたようでしたからそういう点も考えておつたのですけれども、どうも如何にも自主性がないような気もしまして、今では余り気乗りもしておりません。つまり自分の国の部隊を海外へ派遣するかしないかはその国の決定することであつて、これをその協定の中は勿論のことですが、議事録にしても、そういうことを言わなければならんという状態では私はないと思つております。
#74
○羽生三七君 いやそれは本当にその気で行けば確かにその通りなんですよ。大臣の言われる通りであると思います。併しどうも今までの従来のいろいろな慣例から見ると、その都度捲き返しを食つてだんだん一歩々々譲歩して行くというのが今までの通例であるし、それから現に全体としてこのMSA、つまり相互安全保障の全体を貫いている性格から見ると、当面の協定では勿論大臣が言われるように確たるこれという心配はないと言われるかも知れませんが、大臣のまあ気持がそんな気持になれないというようなことで済まされる問題ではないので、むしろ自主性があろうとなかろうと、私は堂々と若しできることならば議事録の中にでもとどめて、未然に将来の危険を排除するほうがむしろ賢明だ、私はこう思つております。
#75
○国務大臣(岡崎勝男君) どうも御見解は前からそうなんです。そうなんですが或いは余りそういう点で国民が疑惑を持つているようなら随分おかしな話だけれども、何か考えてみようかと思つていたこともありましたが、今ではどうも如何に考えてもそれは恰好が悪い。如何にも日本のつまり海外に戦隊を出すか、出さんかということについては、アメリカだけの問題とお考えになつておるかも知れんけれども、例えば国際連合の決議というようなものもあるかも知れないし、従つて、そのアメリカに対してそういうことを約束をした、述べたからと言つてそれがどれだけ実際にも役に立つものか。これは根本的の問題はどうしたつてこれは政府がそういうことをするかしないか、或いは国民がそういうことをやるかやらないか、こういうことになるんであつて、例えば朝鮮に対して国連軍が出ておりますが、これだつて国連加盟国が全部兵隊を出しているわけじやない。出そうと思つた国が出しているだけの話なんで、出そうと思わない国は出していない。従いましてどうもおつしやるようなふうには考えられないのであります。
#76
○羽生三七君 いやこれは私の意見でして、それは事実仮にそういうようなことが万一起つた場合に、それは日本の自主性だからおれたちは自由だと言い切れるような政府であれば問題ないのですよ。(笑声)甚だ失礼な話だが……。
#77
○中田吉雄君 岡崎外務大臣はそう言われていますが、すでに前科があるんですよ、前科が……。二月二日の権業経済には朝鮮の元山上陸作戦に参加しておる、こういう記事がちやんと出ている。これはもうそういう点から見ても、そういうことを予想しているから……。かかる問題は私はきまつていると思う。その点、この先例に鑑みてどういうふうなのか。
#78
○国務大臣(岡崎勝男君) 私もその記事は読みましたが、これは占領中のことではつきりした事情もよくわかりませんが、私の承知しているところではこれは戦闘行為に参加したのじやなくして、日本近海に浮遊水雷等が流れて来る。これが北海道と青森との間の航海などを非常に妨げている。だんだん調べてみるとこれが朝鮮方面から出て来るということであつて、従つてその元を掃海してしまおうということじやなかつたかと思います。で、今おつしやるような海外派兵というのは恐らくいろんな意味もありましようが、そういうことじやなくて、よその国の何か戦闘行為にまで参加するとか、或いはよその国の警備を共同で受持つとか、こういうことじやないと思います。そういうことは勿論これは占領中の時代と今とは違いまするから別問題ですが、そういうようなことは日本政府がきめる以外に誰もきめることはできないことは当然でありまして、どうも前科というのは甚だ私には受けとれない。
#79
○中田吉雄君 岡崎外務大臣は非常に重要なことを言われる。機雷が北海道のほうに流れて来る。そんな所で掃海したつてしようがないから、元でやつたほうがいいというこういう考えは、いつ間接、直接侵略があるかも知れん。これは元でやつたほうが……。これはもうそういう考えは外国、派兵に通ずる。これは重要な私問題を、まあ片鱗を示されたと理解するのですが、よくダレスは、日本は再軍備しなくてはアメリカが撤退したら真空になつて直ちに侵略されると言つている。併しこの問題も本式にやりたい、今度正式に出たらと思うのですが、アメリカのウォルター・リップマン或いはハンソン・ボールドウイン、或いはその他アメリカの軍の、ペンタゴンの最高首脳部その他も、米ソ両勢力の間に狭まれた日本には、実際中国もソヴイエトも戦略的に来れない、現在の兵器の発展段階からは来れないということを言つておる。軍隊がなくても来れないということを言つておる。なぜ来れないかということは、私はあとで今後やりますが、そういうふうに言つておるわけで、我々からみたらそれはもう兵器の発展段階からして来れない、そういう点からして国民の危惧の念を一掃する点で、そうして又アメリカが、強大な軍隊ができて日本の海外派兵に誘惑を、触手を動かそうとするのを防ぐ意味においても、やはり私はそうして行くことが、特にこれは改進党なんかも主張されておるし、あつさりお受けになつたほうがいいと思います。アメリカの触手の予防線を張る意味においても私は正しいと思うのです。その点に
 ついてお伺いしたい。
#80
○国務大臣(岡崎勝男君) ソ連や中共から来られないという結論が出ますと非常に私は幸福に感じますから、これは是非教えて頂きたい。併し中田君も前にこういう御質問をなさつたことを私は記憶しております。若しアメリカが日本に長い簡単事施設区域等を持つておつたら、万一原子爆弾でもあれば直ちにソ連から攻撃される危険があるということをしばしば繰返して言われたように記憶しております。そのアメリカの部隊等がいればソ連から攻撃される危険があるとすれば、そんなことに関係なく、やはり物理的にソ連は日本を攻撃する可能性を持つていると私は結論しなければならんと思いますが、どうも前の御議論と少し違うように思うので、その点は一ついつかの機会に解明して頂きたい。
#81
○中田吉雄君 その点は私も随分、我が党が無防備の自主中立政策を立ててどうして安全保障ができるかという問題は、もう内外の文献をかなり持つているのです。これは他日を期して教授することにいたしましよう。(笑声)このことを理解することは非常に重要なんです。私は相当たくさんの文献を、安全はすべて相対的に、絶対的な安全保障というものはありつこない。そういう際にアメリカに一辺倒して、七百数十個所の軍事基地を貸して仮想敵国を作つて安全を保障する方法、米ソ両勢力の中立の上に立つて、中ソ両国にあいくちを刺されない形の安全保障と、相対的にどちらがより安全を保障できるかという問題は、私はこれはMSAの問題、日本の安全保障の問題で非常に重要だと思いますので、他日お申入れもありましたので、私はいろいろ意見を取交してみたいと思いますが、次にお尋ねしたいのは、この協定ができまして、MSAに関しまする協定は一括してお諮りなんでしようか。関係法案一括してお諮りでしようか。個別にできたものから、できたものから出すという形式をおとりでしようか、その点一つお伺いしておきます。
#82
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体今の考えでは、先ほど申しましたように本協定と、それから五百五十条による小麦買人に関する協定、これは大体同時にできると思いますから、そうしますれば勿論同時に提出する、併し若し仮にどちらかが先にできたらばやはり先に、できたものから提出して行きたいと考えております。
#83
○中田吉雄君 その点は、まあいわばこの過剰小麦の買付の協定というものは、MSAの本協定、或いは親協定とも称せられておるのですが、そういうものからやはり派生するわけなんです。ですから我々としてはやはりMSAの協定を先ず総指的にやつて、その一環としての過剰小麦その他の、或いはそれに関連する法案を取扱つたりするほうが順序としてもいいわけです。その点特に希望しておくわけであります。
 ただ伝えられるところによりますと、この協定を待たずして食糧事情等から小麦、大麦等を買付けするというようなことが出ているのですが、それは如何でしよう。
#84
○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず初めの問題ですが、国会が審議される手続或いは時日等は別問題です。ただ政府としては協定ができたらばそれを握つていないで、できるだけ早く国会に提出するという原則をとつておりますから、仮にその一部が調印されても国会に提出したり、国会のほうでそれをみんな米国側の本協定その他を待つて一緒に審議されるかどうか、これはもう国会の御自由であります。
 それから小麦買付の問題は準備は私はいたそうと思つております。併し協定が効力を発生しなければ勿論日本としても買えませんし、アメリカとしても売渡すことはでなない。従つて準備はいたしますが、実際の受払いその他については私は協定の成立を待つほかに方法はない、こう考えております。
#85
○羽生三七君 このMSA協定の問題が起つてからすでにもう長い間時日を経過して最後の段階に来たわけですが、今まだかなり一部の新聞にはその内応というものが伝えられ、又政府からも或る程度の説明があつたわけですが、それでもなお最後案ができないという一番の難点はどこにあるでしようか、お差支えのない範囲でお聞かせ願いたい。
#86
○国務大臣(岡崎勝男君) 今申上げましたようにまだ決定しておらないのは顧問団の任務とか、それからそれに対する費用の問題、それから中共貿易と言いますか共産圏に対する貿易の問題、これが主なる点であります。その他極く、例えばまだ最終的に決定しておりませんから、第一条は何、第二条は何というようなこともやつておりませんが、これはみんな話がつけばわけなくできることです、一日でも早く……できないことはないと考えております。
#87
○團伊能君 極く一部でありますが、五百五十条の規定の問題でありますが、その中に五千万ドルに相当する円貨の一部は日本政府に贈与される、そうして日本の防衛生産の振興に使用するとございますが、五千万ドル約百八十億円になりますが、伝うるところによりますと、日本政府に贈与される分が非常に過少であるということが一つと、次にこれらの日本政府に贈与される分につきまして、日本政府の考えの下に自由にこれを防衛産業の振興に使うということができないで、むしろこれらはみな紐付きでありまして、米国の手によつて使わなければならないというような形にあるかのように伺つておりますが、この二つの点を簡単に御説明を伺いたい。
#88
○国務大臣(岡崎勝男君) 五百五十条の例の五千万ドルでありますが、これは新聞にも一部出ておりますように大体全額の五分の一、約二割を日本政府に贈与する、大体そこのところに来ておるのです。それからこれは贈与されるのでありますから、日本政府において使途はきめるわけでありますけれども、無論アメリカ側が贈与してくれるのでありますから、その好意に報いるためにもアメリカ側と十分連絡し、そうしてお互いに満足するような使用方法をきめたいと思いますけれども、決定はやはり日本のものになるのでありますから日本政府が決定する、こういうことであります。
#89
○團伊能君 先ほど約二割、三十六億というように伝えられておりますが、併しながらこれらの実際の折衝の過程におきましては、殆んど日本で計画しておるものにこれを充当する自由がなく、アメリカ側の考え、殊に特に米国品を使うというような問題に集中されておるように聞いておりますが、今日これらの折衝の過程におありになるとは存じますが、これらの点におきまして日本が防備のない特殊な状態にございますので、単に武器を持つということは殆んどできませんので、これらは設備その他のものに殆んど振り向けられるのだと思いますが、この点について相当難色があるかに聞いておりますが、なおこの点について日本政府の自主的な使用方法について折衝の過程において御努力を一層お願いしたいと思います。
#90
○梶原茂嘉君 今度の本協定の中に安全保障条約及び憲法との関係の条項が入つておるお話でございますが、安全保障条約との関係と言いますとどういうふうな内容で協定に入つて来るのですか。大体の内容の御説明を願いたいと思います。
#91
○国務大臣(岡崎勝男君) これはつまり何と申しますか、この五百十一条の第三項目には軍事的義務というのがあります。先ほど申した通り、これは安全保障条約において日本が負つておる義務の範囲を出でない、こういうことになつております。又これは申すまでもないことでありますが、先ほども申したように憲法違反の疑いありという議論も一部にあるわけでありますから、この協定の中に憲法及び安全保障条約の規定の範囲内でこの協定はやるんだ、そういう趣旨のことを入れようというような考え方であります。
#92
○委員長(佐藤尚武君) 如何でございましよう、本日はもう随分時間もたちましたからして、この程度で外務大臣に対する質問を打切ることにしまして、又次回適当なときに大臣の御出席をお願いして……。
#93
○羽生三七君 次回には保安庁長官も出られるようにお願いします。
#94
○委員長(佐藤尚武君) それでは本日の委員会はこれで散会することにいたします。
   午後零時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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