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1953/04/09 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第18号
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1953/04/09 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第18号

#1
第019回国会 外務委員会 第18号
昭和二十九年四月九日(金曜日)
   午前十時四十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           團  伊能君
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
   委員
           鹿島守之助君
           西郷吉之助君
           杉原 荒太君
           梶原 茂嘉君
           高良 とみ君
           羽生 三七君
           加藤シヅエ君
           鶴見 祐輔君
  国務大臣
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   外務省欧米局長 土屋  隼君
   外務省経済局長
   心得      小田部謙一君
   外務省条約局長 下田 武三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       神田襄太郎君
  説明員
   食糧庁業務第二
   部食品課長   東辻 正夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
 互防衛援助協定の批准について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
○農産物の購入に関する日本国とアメ
 リカ合衆国との間の協定の締結につ
 いて承応を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○経済的措置に関する日本国とアメリ
 カ合衆国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○投資の保証に関する日本国とアメリ
 カ合衆国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○国際砂糖協定の批准について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。昨日に引続きまして総括質疑を続行いたします。
#3
○佐多忠隆君 昨日自衛権と戦争、或いは武力行使の問題についてお尋ねをしたのでありますが、特に吉田総理大臣の憲法制定国会における答弁を引用してお尋ねしましたが、総理はその考え方は誤解をひき起す虞れがあるので、あとから若干の訂正がなされたはずだというような御答弁があつたように思うのですが、そういう誤解を解くような言い直しがあつたにもかかわらず、とにかく自衛権の名によつて行われる戦争或いは武力行使というものは、自衛権の名においてでも我々は認められないというのが憲法の考え方ではないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#4
○国務大臣(岡崎勝男君) 武力というものは非常に広い意味ですが、憲法で禁止しておるのは戦力であつて武力ではないと思います。従つて自衛権の行使に伴つて武力を使うということは当然あり得ると考えております。
#5
○佐多忠隆君 今の御答弁は非常に重要だと思うのです。自衛権の発動としての戦争或いは武力行使は認められるというような御答弁だと了解いたしましたが、それならば講和条約問題が討議された第七国会において佐々木盛雄氏に対する西村条約局長の答弁、これは局長の答弁ですから相当文字通りに正確なものだと思うのですが、それによりますと、十一月九日佐々木盛雄氏が自衛権を放棄したのかと質問したのに対して、条約局長の西村熊雄氏は次のように答えております。「憲法第九条第一項は、国際紛争を解決する手段としての戦争と武力行使はこれを放棄しておりまして、直接には自衛権には触れておりません。しかし第二項で、いつさいの軍備と国の交戦権を認めておりません結果、自衛のための戦争も放棄したものと了解いたします。自衛権の行使が戦争又は武力の行使、こういう形をとる場合、わが国は原因のいかんを問わず、すべて戦争または武力行使を放棄しておりますから、そういう形式をとる自衛権はないものと解します」というふうに明瞭に自衛権の名によつても自衛戦争、或いは武力行使は絶対に認められていないというのが懸法の規定であるというお考えをしておられると思うのですが、この考え方、この態度はその後お変えになつたのですか、どうですか。
#6
○国務大臣(岡崎勝男君) それは西村君の答弁というのは私は覚えておりませんから調べてみなければわかりませんが、要するに常識的に言つても日本を侵略して来る国がある、そのときに刀を以てこれを防ごうとしたら、これはやつぱり武力の行使なんです。程度の差はいろいろありましようけれども、どんどん日本を侵略して、大砲をうつたりなんかしてやつて来る、そのとき何も防がないというのはおかしな話であつて、武力を行使することは差支えないと思います。
#7
○佐多忠隆君 それならば前に武力行使を認めないという考え方をお変えになつたのかどうか。
#8
○国務大臣(岡崎勝男君) だから前に変えたかどうか、これは西村君の答弁は私は覚えておりません。又そのとき立会つておらんからはつきりお答えはできないけれども、私の考えとしては前から政府としても自衛権があつて、自衛権を行使する以上は或る程度の武力が伴うことは当然であつて、石をぶつけたつて武力ではないとは言えんかも知れない。併しどれが武力だということになればこれは議論がありますけれども、武力を行使することは一向差支えないと初めから考えております。
#9
○佐多忠隆君 西村条約局長の言われたことは非常に明瞭なんで、まあそれを覚えていない、或いはどう言つたかわからんというふうに逃げられては非常に迷惑です。非常に無責任だと思うのですが、もう一遍その点ははつきり一つお調べになつて改めてお答えを願いたいと思います。併しいずれにしても侵略戦争、まあ戦争にはよく言われているような侵略戦争、制裁戦争、或いは自衛戦争というようなものがあると思うのですが、我が日本の憲法は自衛戦争であつてもこれは絶対に認めていないのだ、従つて又武力行使は自衛の名の下においても武力を行使してそれに対抗をすることは絶対にできないのだというのが日本の憲法の建前であります。そこに日本の自衛権の内容が、いわゆる国際法で認められておる自衛権、或いはもつとそれより狭義になるかと思いますが、国連憲章による自衛権そのものとも非常に違つた特異な点があると思うのですが、今度のMSA協定に関連をしてそういう日本の特異な自衛権の考え方はもうおやめになつて、自衛権の行使であり、自衛のためならば武力行使或いは戦争も止むを得ない、できるのだというふうに考えを変えられたのですか。
#10
○国務大臣(岡崎勝男君) 第一にお断りしておかなければなりませんが、私は政府委員の答弁を全部知つていなければならんという責任はとれません。仮に若し私がその当時外務大臣であつて、外務省の政府委員の答弁を知らないと言つたらこれはおかしいかも知れない。併し外務大臣でもない内閣官房長官当時であつたと思いますが、それが政府委員の答弁を全部知らなければ無責任だという佐多君の御意見には、私は承服できません。そんなに全部どこの委員会の答弁も全部政府委員のことを知つておるということは常識上これはできる話じやありません。それから多佐君にむしろ私は伺いたいのだが、そうすると侵略されて日本がどんどん大砲をうたれたり兵隊が上つて来たりして侵略されたときに、我我は自衛権はあるけれども自衛の武力を行使しちやいけないから、如何なる侵略があつても黙つて皆んな長路されている、こういう御意見ですか。
#11
○佐多忠隆君 侵略があり得るかどうか、それから侵略を防止する方法がどういうものでなければならんかということは、おのずから別な議論があり得ると思う。問題はむしろそういう侵略があつたときに、武力行使或いは戦争に訴えるということが今の憲法で許されているのかどうか、その問題だつたら憲法自体がきめていることがおかしいじやないか、憲法をあのままに守つて侵略を防ぐ途はないのじやないかという御議論をなさろうとするのかどうか、それならそれで又議論は別だ。
#12
○国務大臣(岡崎勝男君) ここで憲法論をすべき適当な委員会と私は思いませんけれども、併し憲法の範囲内で明白に禁止しているのは戦力であつて、武力については国権の発動たる戦争とか或いは武力によつて国際紛争を解決する手段としてはこれを用いないということをはつきり書いてある。それ以外のことに、つまり自衛のために武力を用いちやいかんと憲法にはどこにも書いてない、私はそう思う。
#13
○佐多忠隆君 西村条約局長の答弁はそうでなくて、如何に自衛のためであろうとも武力行使はできないのだ、戦争はできないのだということを強調しておるし、その限りにおいてはその前のずつと憲法制定議会の総理の考え方もはつきりしていると思います。それを何か外務大臣はその考え方が行過ぎで変えたのだというようなふうの御発言がありましたけれども、それは自衛権そのものを否定するようなことは行過ぎであり、その点は明瞭にするという訂正はあつたかと思いますけれども、併し自衛権による武力行使なり戦争は依然として認められていない。従つて一般的にただ自衛以外の侵略戦争だとか或いは制裁戦争だとかというものを禁止しているだけで、自衛のための戦争なり武力行使は禁止してないのだということには絶対に憲法の考え方はなつてないのじやないか。金森さんのお話を昨日でしたかお出しになりましたけれども、金森さん自身がその点は明瞭に人類の和協と世界の平和のためにという広い一般的な目的のために軍備を撤廃したのであつて、一般的に軍備を保持することはできない、兵力不保持、従つて武力行使はできないということが憲法の建前であるというふうにちやんと言つておられる。それをお変えになるのかどうか。それからどうも条約局長の言つたことを一々責任はとれないとか、記憶してないとか、私はそういうことを文字通りに大臣が記憶しておられるとか等々のことをちつとも要求しておりません。併し憲法の基本問題に関する非常に重要な立場の問題だし、方針の問題であると思うので、国の基本的な条項に関する問題であるから、こういう問題について政府がどういう態度をとつたかということはちやんと頭に入れておかれて然るべきだし、それは一貫した責任をとられることが必要なんじやないか。こう思うのですが、その点はどうですか。
#14
○国務大臣(岡崎勝男君) それはちよつと私は承服しかねるのは、今申上げたように内閣官房長官であつた私が各委員会の農林委員会、水産委員会全部の答弁を覚えていなければならんということは実際上できはしません。それは調べてお答えすることは当然やりましよう。併し一条約局長の発言をおとりになるならば、それはどうか知りませんよ、その通りかどうか知りませんが、調べてみなければわかりませんが、政府は自衛力は当然持てるのであつて、自衛権がある以上は力は弱いかもわからんが、自衛力を行使できるので、これは憲法違反でない。戦力に至らざるものは当然持てるのであるという発言は何十回、恐らく何百回両院において言つておつて、その記録は又全部速記に残つておるはずですけれども、そちらのほうのはないがしろにされてそれと違うような発言があつたかどうか知らんが、それだけをとらえておつしやるならば、若し私が条約局長の意見を肯定すればそれ以外の何百件あるそれと違う意見に対して責任を持たんということになるので、それは私はおかしな話だと思う。これはずつと最近も殆んど一つ事を繰返しているわけですが、予算委員会会においても本会議においても各種の委員会において自衛権は持つている。自衛による武力行使は可能である。従つて警察予備隊、保安隊に自衛隊を持とうとしているのであつて、この意見は政府としては一貫した意見です。
#15
○佐多忠隆君 それは違つた発言をしていると言われますが、成るほど違つた発言はたびたびしておられる。併しそれが問題なんで、同じ政府がそして場合によつては同じ人が憲法の基本的な条章について全く相反することを言つておられる。それが或いは時期的にそう違つたのであるならば時期的にそういう態度をお変えになつたのかどうか。或いは更に時期的な違いだけでなく同じ時期において或る場合にはそうでないと言い或る場合にはそうであると言い全く矛盾したことを言つておられる。それが問題なんでそこにあなたがたの憲法に対する重大なごまかし、言いくるめがあるんじやないか。こういうふうに私たちは考えるのですが、その点はどういうようにお考えになるか。
#16
○国務大臣(岡崎勝男君) 説明の仕方はいろいろ変つたこともありましよう。それは質問によつて、説明は質問に対応するものですから或る一点を強調されればその点について答えるし又他の点を強調されればその他の点について答えるから、質問に対する回答というものはそのときどきによつて質問に合うように返事をいたしております。併しその中に流れておる一貫した思想は少くとも私が外務大臣になつて以来、或いは私が内閣官房長官以来政府の意見は全然変つていないと私は信じております。
#17
○佐多忠隆君 それならもう一遍最後にはつきり一つお尋ねしておきますが、自衛権によるものならば武力行使従つて戦争は禁ぜられていないのだ、それができるんだというふうに現在の憲法でもお考えになつておるのですかどうですか。
#18
○国務大臣(岡崎勝男君) 自衛権の行使は先ず差支えない、で、これには武力を使います。これが戦争というべき性質のものになるかどうかは、日本としては自衛権の行使というものは戦争を必ずしも必要としないと考えております。併し相手方が戦争とこれをとるかどうか、これは又そのときの相手方の態度にもよりましよう。日本としては自衛権の行使であつて特に戦争をやろうとしておるのじやない、こう考える。
#19
○佐多忠隆君 戦争をやろうとしておるのじやないが相手方によつては戦争になるのだ、そしてそれも憲法の範囲内なんだ、こういうふうにお考えになるのですか。
#20
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は自衛権の行使を憲法の範囲内で行うのであつて、相手方が戦争とこれを見るか或いは宣言するかどうかということは憲法には何にも規定してない。これは相手方の意向によるのであつて憲法とは関係のない問題です。
#21
○佐多忠隆君 それならば飽くまでもやはり初手方はどう考えようととにかく戦争というものはできないんだ、自衛のたあであろうと戦争はやらないんだということは確守されるんですか。
#22
○国務大臣(岡崎勝男君) 自衛のために行うあらゆる手段をとれば足りるのであつて、何もこれを戦争という必要はないと思います。
#23
○佐多忠隆君 自衛のためならばあらゆる手段がとれる、武器の行使は勿論のこと戦争に訴えることもできるんだ、自衛のためでありさえすればというようにお考えになつておるんですか。
#24
○国務大臣(岡崎勝男君) 戦争ということに非常にこだわられるようだが、自衛権の行使というので戦争するというんじやないのです。
#25
○佐多忠隆君 ところがあなたがたは近代戦争はできないと言つて戦争を限定しておられるのですね。そのことは裏から言えば、近代戦争でない戦争ならばやれるのだということなんだろうと思うのです。従つて自衛戦争ならばできるということをあなたがたは言つておられる。武力行使ができると言われるのだ。そういうことに帰結しなければならないのですけれども、その点はどうなんですか、そこを一つはつきり。
#26
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は近代戦争はしちやいかんが、古代戦争ならしていいということを言つたことはない。要するに戦力の定義というものは、近代戦を遂行するような装備とかなんとかを持つているものであるということを言つているだけの話であつて、あなたのおつしやるのは誤解です。
#27
○佐多忠隆君 じやその点はもう少し議論しなければならんし、特に武力、軍隊の関係、戦力の関係等々についてもう少し質問したいのでありますが、あと曾祢さんが非常にお急ぎのようですから私は一応この問題はこれで打切つて他の機会に更に。
#28
○曾祢益君 私はすでに本会会議においても大体重要点について御質問申上げたのでありますが、時間の関係等から十分な御返事を頂いておらないので、本日は時間が私のほうも余りありませんので、成るべく要点だけを伺いたいと思います。
 第一にMSA協定締結に至るいろいろな交渉があつたわけでありますが、何人が見ても間違いのないことは、MSAを受入れるという交渉と日本が自衛力といいますか防衛力といいますか、これを増強するということはまあ裏腹の関係にあることは否定できない。で安保条約で直接侵略に対する防衛は勿論、間接侵略でもいわゆる大規模な騒擾等について政府の要請によつてアメリカ軍にやつてもらうというこの体制から、結局MSAを受入れることに関連して、アメリカからも日本の防衛力を増強してほしいという希望があり、又日本政府としてもこれに呼応するという政治的の決意の下に、この両者が関連されて一方においてはMSA受入の協定となり、他方においては自衛力増強に関する防衛庁法或いは自衛隊法というものが制定になり、又予算的には二十九年度予算に現われているような自衛力増強の財政的措置がとられた。これはもう明々白々たる事実だと思う。政府の特に外務大臣の説明のしぶりは、これは保安庁長官もそうであるけれども、まあMSAはアメリカから軍需品を受入れるだけの一つのパイル・ラインのようなものである、日本の防衛力増強は日本独自の見地からこれを財政等の必要限度において作つたものである、何らか両者の関係を如何にも故意に切断しようとしておられるのですが、これは何人も納得させないものであつて、私は前々から日本の政府としてのいわゆる防衛計画というものがかなり長期的なものができて、それはやはり期間別に計画が立てられて、その計画に基いて或いはアメリカからの武器援助等々を受入れるということが考えられるのが、そのことのよしあしは別として順序ではないかと申上げたのに対して、私はしばしば引用して甚だ申訳ないのでありますが、昨年の十一月の参議院の予算委員会における総理の答弁は誠にこれをはつきり肯定しておられる。この点はもう参議院の本会議においても私ははつきり申上げたので、時間の関係もあるし、又かとお思いになるでしようから一々引用はいたしません。これは歴史上実に明々白々たる事実です。従つて外務大臣はこのMSA協定を本院にお出しになる以上は、この関係を率直に、いわゆる日本防御力増強に関するアメリカ側との話合がどの程度まで話合つて、或いは一時伝えられたように三十二万五千陸兵というような案はアメリカは、ドロツプしてそうして日本の今度の防衛力増強であれを年間的にやるならばMSAを与えてやろうという話になつたのか。それらの点を不明確なままに予算と防衛庁とそれからMSA受入態勢、協定とばらばらにしてお出しになるというのはどうしても納得できない。従つて、その間の先ず第一に伺いたいのは、この日本側の長期の防衛計画を含めて何らかのアメリカとの間に話合があつたに違いない。それとMSA協定ができたということの関係を率直にお話願いたい。
#29
○国務大臣(岡崎勝男君) これはよくMSAを受けるということについては、アメリカから防備計画を強要されるとか、アメリカの意見によつて防衛計画を立てるのだろうという質問がありましたからして、この点を、そうじやないのであるから、実際上。そこで観念的ではあるけれどもMSAと日本の防衛計画とは直接の関係は理論的にはないのだということを強調したわけであつて、これが或いは誤解を招いているかも知れません。つまり理論的とか観念的に言えば必ずしも関連はないのであるけれども、併しMSAを受けようという決意をするときにおいては、防衛力の増強ということを我々は考えないならば、何も今急いでMSAを受けなければならんという理窟もないわけでありますから、従つて、観念的には関係がないけれども、丁度今防衛力を増強したいと思つておる際であるから、そこでMSAを受けるということになつて、結果的には防衛力増強とMSAが当然関連を持つて来るわけです。決して私は全然関係がないとい言いません。併し、観念的には関係がないということもあり得るということを言つておるだけであります。そこでそれじやどういう点でアメリカとの関係があるかというと、これは再々日本の独立性ということから、防衛力の増強の時期態様は日本政府がきめるのだということは、再々繰返しておりますが、同時に安保条約の関係から言いましてできるだけ早く駐留米軍が日本を引揚げることが、これは両方のために好ましいと思つておる。従つて、当然考え得ることは、一体どれだけ日本に防衛力が増強されたら駐留軍が引揚げるような状態になるかという問題になつて来るわけであります。そこでこの駐留軍の引揚に必要な防衛力というものがどの程度であるかということについてはいろいろ議論がありましよう。恐らく伝えられるアメリカ側の三十数万とか二十数万とかいう議論もそれを目標にした考え方だと思うのですが、これは実は正式には我々のほうにはまだ何も言つて来ておりません。我々のほうも外務省としては特にそういう専門的な知識はありませんが、保安庁等は当然アメリカの駐留軍が引揚げるという最終的の事態にはどのくらいの防衛力が日本で必要なのか、どのくらいの装備が必要なのかということは研究いたしているだろうと思います。それから又アメリカ側の意見も恐らく聞いているだろうと思う。アメリカの一体陸海空というものはどの程度のものであるか。これがはつきりしなければ日本の計画も立たんわけですから、恐らくその点ではアメリカ側の意見も聞いて、いるのは自然のことだと思いますが、併し正直なところまだその全貌というか、どれだけになれば駐留軍が引けるかという点については結論は出ておりません。又、これについて計画も従つてできておらないのが実情なのであります。アメリカ側との話合としては、只今のところは本当に来年度の計画しか話しておりません。三十年度の計画については今保安庁で研究しておるが、これは予算との関係があつて結論は出ていないようでありますが、これはできれば又三十年度について相談をいたしましよう。望ましいことは、これは今おつしやるように年次計画でずつと行つてどこまで行けば一定の目標に達するのだというところまで行くことが望ましいのは、私も認めており保安庁もそう考えておると思いますが、今の実情を申すとまだ長期計画というものはできておらないし、どこまで行けば駐留軍の撤退が完全に行われる程度になるかというそこの何と言いますか、限界もまだきまつておらないようであります。
#30
○曾祢益君 只今のお話で私は何も強要された云々という、何と言いますか感情的な議論をしているのではないのですが、外務大臣も認められたように仮に観念論から言えば分けられるものでも、現実には防衛力増強計画とMSA受入とは分けられない密接な関係がある、政治的にと申しますか。そこで両者の間に公式、非公式のいろいろの話合があつたことと思うのですが、只今のお話ですとアメリカ軍の撤退を予定しての日本の増強の程度等について両当局の間に明確な話合なしに、それとは一応きり離してとにかく日本は今年はその程度やりますと、アメリカとしては今年のMSA法に基いた約一億五千万ドル等の武器援助をします、まあその他の援助もありますが、とにかくそういうフツテイングというものの上において防衛力増強計画とMSA協定というものができたと、こういうことである。言い換えるならば元来初めはどうもアメリカのほうとしても、援助に乗出す以上は、アメリカ軍が戦略的のニュールックと言われるような態勢の変化から、或る程度の成るべく速かに日本自身の防衛を日本側に、特に陸兵に主を置いて肩替りさせたい気持がある。このめどをつけて、又そのつけるための一つの誘いとしてのMSAを与えようじやないかというような気持であつたやに思う。又日本側としてもこれは政府として当然であろうと思うのですが、防衛力増強計画に乗り出す以上はアメリカの世論の動向もありましようし、又アメリカのほうは毎年毎年の法律及び予算というものがあるのです。増強計画に乗り出したけれども、いつまでもそういつたような援助があるかないかわからなければ、これ又軽々に増強計画には乗り出せない。従つて両者が腹を打合せて話合をして、やや長期的な見通しに立つてMSAの授受というものが行われると、これは自然なんです。私は外交上は自然だと思う。にもかかわらずそれについては話合がはつきりつかない。日本側からいつても来年度、再来年度にどれだけのものが来るのか、経済的の援助はどうなるのか、それから武器援助についてもアメリカの意向が変れば途中で打切られるのか。そういう不安も持ちながら、又アメリカからいうならば本来の希望であるもう三年、五年くらいの間に日本の防衛については日本側にやらせる、肩替りさせるということの明確な見通しもなしに、とにかくMSA協定に応ずることになつたのか。ここを明確にすることが、MSAに対する賛否のいろいろな論があるでしようけれども、多くの国民が知らんとしているポイントなんです。そこを政府としては当然に明確にされることがMSAに対する賛否の両論に一つの大きく仕訳をしてゆくポイントなんですから、私はその点をもう一遍明確に伺つておきたい。
#31
○国務大臣(岡崎勝男君) これはお話の通りそういう計画があつて、数年後に、肩替りできるというちやんとした計画の下に年々の贈強強計画をして行く、そうしてアメリカから年々の援助を受けてゆくということになれば、これは勿論一番いい話だと思います。が現状においては事実そこまでできないものですから、止むる得ずして今年の分、来年の分というふうにピースミールにやつてゆく。これは余り手際のいいことじやないと私も認めますが、今のところ止むを得ない。従つてアメリカ側にもよく話をして、アメリカ側としては一番やりたいことは、これは日米関係の上からいつても駐留軍がいつまでもここにいるというのは好ましくない、できればできるだけ早く引きたいというのであるから、そこでやはり早く引くめどをつけたいと思つていろいろ希望はいたしていると思いますが、日本側の実情も理解したと私は考えております。従つて止むを得ざることであるが、今年の計画は今年の計画でこれを見て、そうして又来年は来年で考えようということで今は落着いております。
#32
○曾祢益君 そうしますとくどいようですが、一つのポイントは日本の防衛の長期計画という意味は、アメリカ軍に一応代り得る、アメリカ軍の撤収計画に呼応する程度の防衛力増強という点については何らの約束に達してなかつた。又そういう点について何らかの約束に達しておる秘密条約なんかということはあり得ないと思いますが、何らか政治的にも了解なしにやつている。従つて言い換えるならば、このMSA協定を受入れたからといつて、明年はこう、明後年はこう、そうして第三年或いは第五年までにはこれこれまでにはしなければならないという具体的なことは約束も何もしない、ただ日本側がこの協定に基いてか、或いは政府の方針だと最近言つておられるような、成るべくだつたら独立国だから自衛力は持つてゆきたいという希望と、そのときどきの政治経済社会情勢等に応じて、或る程度或るときはこれを一年ストップすることもあろうし、或るときは急に進めることもあろうし、そんな点は全部日本側の自由なんだということは明らかに言いきれますか。
#33
○国務大臣(岡崎勝男君) それは明らかに言いきれます。従いまして現実の問題としてはアメリカの撤収計画に即応して日本の防衛増強ということをやるというのが本当かも知れんけれども、これは今のところできませんから、日本の防衛計画に即応してアメリカは撤収をいたしてゆきたい、うまくふえましたらそれだけ減らしてゆこう、こういう現実のやり方以外に只今のところは方法がない、こういうことになります。
#34
○曾祢益君 そこで次に論点が変るのですが、一体国家の防衛の問題は、これは申すまでもなく、防衛それ自身が国策の基本であるばかりでなく、又外交上、外務大臣の立場からいつても、防衛問題、外交面から見た防衛の基本方針というものがなければならんわけなんですが、大体外務大臣は外交面から見た日本の防衛に関しては、いわゆる一国防衛主義という考えでおられるのか、それとも集団防衛主義ということを講和条約締結、独立以来今日までの方針としてとつておられるのか、その点はどうなんですか。
#35
○国務大臣(岡崎勝男君) これは一国防衛主義ということはとつておりません。集団的な防衛ということに我々はずつと考えておりますが、ただ集団的な防衛といいましても、日本の国内のいろいろの制約がありますから、これは普通の例えばNATOとか何とかいうようなものにはなかなかなり得ないものであつて、制約があるわけです。
#36
○曾祢益君 そこで集団防衛の形式を強いて分けて言えば、いわゆる二ヵ国間の集団防衛という場合と、多数国間の集団防衛という場合があり得るわけですが、その点については政府はいずれの方針をとつておられますか。
#37
○国務大臣(岡崎勝男君) 政府としてはまだ非常に決定した意見というものは、現実の問題が出て来ませんのでとつておりませんけれども、私自身の考えとしては取りあえずは安保条約による二ヵ国間の防衛、集団防衛といいますか、これはどうしても当分の間維持せざるを得ないと考えております。仮にアメリカ軍が撤収しても、そのあとでも同じことだと思います。それからもつと大きな集団的の問題については、国連の集団安全保障ということには非常に強い希望を持つております。併し太平洋同盟というようないわばまだこれは具体的になつておりませんが、よく言われる問題については、これは具体的にならないとわかりませんが非常な考慮を要するものである、こう考えております。
#38
○曾祢益君 そうしますと安保条約の終了に関する条件がございますね、四条ですか、あそこに考えておる、今の問題じや勿論遺憾ながらあり得ないかも知れませんが、その場合には三つの場合を予想しておるわけです。いわゆる国連自身の集団的な安全保障措置、こちらは勿論日本附近における地理的な制約があります。それから日本の個別的な自衛措置、それからいま一つは集団的ないわゆる自衛措置、そのうち今のところでは政府はいわゆる二国間の安全保障、これが仮に日本の防衛力が増強しても、二国間のものに今のところは考えておる、こういうふうに言つて差支えないのですか。
#39
○国務大臣(岡崎勝男君) 今のところはその通りでありまして、ただもう一つ言えば国連の集団安全保障措置ということに強い希望を持つておるということでございます。
#40
○曾祢益君 その場合には安保条約それ自身は変り得るのですね、条約の手続からいつても。そうすると安保条約がその場合も残るというのはおかしいので、安保条約みたいな不平等なものは少くとも変えて行くのが本当なんじやないですか。
#41
○国務大臣(岡崎勝男君) それはその通りです。ただ安保条約の精神といいますか、集団的な安全保障措置のこれは非常にへんぱな形でしようが、駐留米軍が日本にいなくなるということから安保条約の第二条のごときは変らざるを得ないと思います。併し何らかの形を変えた二国間の安全保障措置ということが現実的じやないか、こう思つております。
#42
○曾祢益君 最近外電等が伝えているいわゆるNATOの向うを張つたPATOなんかということをいつている。ああいう問題については只今外務大臣は太平洋同盟などは好ましくないと思つておるということを言われた。具体的にアンザスとフイリピン、それから韓国、それから蒋介石、それにインドシナ等が加わつたような、こういういわゆる極東の多数国間の安全保障形式というのは余りという言葉はいけないのですが、こういうものは賛成しておらない、こういうことに承知してよろしうございますか。
#43
○国務大臣(岡崎勝男君) いや私は賛成しておらんというのではないのです。そういう地域的な安全保障措置は結構なことであると思つていますが、ただそれに兵力提供等の義務が伴いますと、日本の憲法からは日本としては参加が困難であります。併し極東地域においてそういうものが何らかほかの国の間にできて、それが平和維持に役立つならばこれは結構なことだとと思います。ただ日本として参加すべきかどうかということはこれは問題だと思います。
#44
○曾祢益君 私の伺つているのは、他国の第三国同士の問題についてもこれは日本外交の基本から見て批判はあり得ると思うのてす。又していいのです。それはまあ暫くおいて、日本がそういうものに入るのは憲法的に見ても、又その他の外交の方針と日本の安全から見て好ましくないというふうにお考えになるかどうか。日本の参加の問題を伺つているのです。
#45
○国務大臣(岡崎勝男君) これは私はその自由主諸義国の提携強化ということは政府としては考えておる方針なんですが、その意味からいえば私はそういうものができたときに日本が入つて結構な組織になるかも知れんと思つております。ただ兵力提供ということが義務付けられるようなものであると憲法上参加ができないという意味です。
#46
○曾祢益君 これは意見の相違になるようですが、第一に私は自由主義諸国なんていう言葉は、これは岡崎外務大臣はよく使われるし、吉田総理大臣もときどき使われるようですが、こういう言葉は非常に変な言葉であつて、国際的に通用しない言葉です。これは自由国家群或いは自由諸国という言葉ならこれは国際的に通用する言葉ですが、自由主義という何らか一つの思想的な、殊に何か資本主義と関連したような意味にとられがちの自由主義のリベラル・ステーツなんていうものは私は聞いたことがない、我々は正確にものを言うのだつたら自由国家群という言葉で行くのが正しいと思いますが、これはどうも人の趣味の問題だから強要は、できません。私はそういう言葉は慎しむべきではないかと思います。
 それから只今の御意見私は遺憾ながら非常に反対であつて、ただ単は憲法上兵力提供の義務を押付けられてはいけないというのではなくて、私はそういう自由国家群との協力を正しいと思う。正しいと思つているが自由国家群の内容というものを見なければいけない。自由国家群の名において又、蒋介石、李承晩的なものと日本が一連托生みたいに行くような外交を考えていられるなら、これは日本のためにならないのじやないか。東南アジアの諸国の中にもつとたちのいいと言つてはいけないが、筋のいい国もある、日本の外交の目の付けどころとしてはもう少し視野を広くして、インド、ビルマ、インドネシア等との友好関係も考えてそして行くということになるならば、いわゆる自由国家群の名においてただ反共にだけこちこちに固まつているような反動的な政権等と一連托生に行くようなことがこれは外交上非常に問題であるし、又率直に言つてアンザス等も日本に対しては非常にただ警戒心が強過ぎる。果して日本としてはそこまで近付くのがいいかどうかということも大きく問題たり得ると思います。でありますからこれは意見の相違でありましようが、私はその点は遺憾に思う。必要から直ちに今アメリカとの関係を絶つて無防衛の姿に行けないという現実から承諾するとしても、だからといつて何でもかんでもああいう構想から出て来るであろうPATOみたいなものにお付きあいで入つて行くというような、ただ兵力の提供だけは御免こうむるというような態度は基本的に非常に問題があろうと思うのです。これについて更に御説明或いは御意見を伺うことができれば結構でありますが、若し今までのお答えよりほかなければこれ以上私は申上げることはございませんから他の点に移りたいと思います。
#47
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はよその国のどれがどうであるということは外務大臣として言うべきことではないと思いますが、ただ私の言うのは原則的な議論、まだ具体的にどれがどうということになつておらんようでありまして、新聞等で出ておる程度しか承知していませんので、原則的な議論をやつておる。原則的議論は何かというと、国連憲章の下における地域的安全保障措置、こういうものができた場合にはそれは私は結構だと、こう考えております。併しその場合でも兵力とか何とかいうことになりますと憲法上はできないという原則論を言つておるのですから、具体的にこの集団ならよろしい、あの集団はいかんというような議論はさつきも申しておるわけではない、その点はちよつとこの際はむしろ差控えたほうがいいのじやないかと思います。
#48
○曾祢益君 それでは具体的に伝えられているPATO、而も具体的に名前が挙つている国々とのそういう集団、多数国間安全保障条約については必ずしもまだ兵力提供の義務さえなければお付きあいの方向に進むという意思もないわけですね。
#49
○国務大臣(岡崎勝男君) 具体的の問題については私は只今何も意見を申しておらんわけであります。
#50
○曾祢益君 次にMSA協定と安保条約との関係でありますが、先ほどからもちよつと安保条約の何と申しますか、終期と申しますか、終了期に関連しての話は出たわけですが、より根本的な問題として私は大体諸国がアメリカとの間にMSA協定と申しますか、俗にいうMSA協定を結んでいるのはこれは二つの型があろうと思います。一つの型は、これがむしろ原則ですが、元来NATOとかそういつたような本格的な地域的集団保障協定ができておつて、その下にそれでも軍事的義務或いは政治的義務、防衛の基本というよものがきまつておる。それを前提として、そうしてアメリカも軍事的、経済的な援助をしましよう、それについてはもう一遍基本的な協定にある義務と同じようなものであるけれども、念のためにそういつたような義務を十分に履行してくれるならという、これは議会で、外国へ金々出すのですから申訳的な意味でいわゆる五百十一条(a)項の六項目というようなものが出て来ておる。それをMSA協定の中に受入れて作つておる、こういう関係のがこれはある。そうでない場合は勿論あり得るので、そういつたようなアメリカとのNATOとかアンザスとかそういうものがなくて、特別にアメリカから武器援助等を受入れて、そうして諸国の防衛力を強化して行こう、勿論それらの国は反共的な国にきまつていますけれども、そういう形もある。例えばそれがユーゴースラビアであり又スペインである。こういう場合はMSA協定それ自身に或る程度のアメリカとの何らかの政治的、軍事的のつながり的な、やや基本的な問題が出て来ても差支えないけれども、第一類の場合はこれか原則的なものである。もうMSA協定それ自身が特に大きな問題を含むようなことはあり得ないのですね。これが根本である。これを言い換えるならば非常に俗な言い方で、余り条約的ではないかも知れないけれども、元来MSA協定はアメリカとの間に二国間或いは多数国間の集団安全保障条約ができておる国が、それに基いてアメリカから具体的な軍事的或いは経済的は援助を受ける場合の協定であるが、親協定があつての子の協定のようなものである。私はさように考えるが、果して外務大臣はどう考えておるか伺いたい。
#51
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は必ずしもそういう考え方とは見ておりません。というのはこれは沿革もあることですが、例えばマーシヤル・プランとか北大西洋条約とかいうものができまして、それが漸次いわゆるMSAは包含されて来たのである。従つてMSAの法律を見ますると、中に大西洋条約関係とかマーシヤル・プランの関係とかいろいろのものが含まれて雑多な恰好になつている。非常に系統的ではなく雑然たる形でいろいろのものが含まれているのであつて、ギリシャ、トルコの関係も含まれておるというようなことですから、いろいろのものを集めたもので総合、総合というのはおかしいのですが、皆を包含したものが今のMSAの協定であるから、その中にはそういう特殊の条約のある国もあり、そうでない国もありますが、それが親協定というふうに考えられるかどうか私はどうもそうは思つておらないのです。
#52
○曾祢益君 今のお話はMSA法というのは今御指摘になつたようにマーシヤル計画があり、ポイントフオアーがある、いろいろないきさつがあつて種々雑然と入つている。私の申上げているのはそうではなくして、MSA援助を受入れるための協定、この点は明確だと思うのですが、安全保障に関する基本的な条約があつて、従つてそういうものに関する義務を再確認するのが五百十一条(a)項の六項目の中の一番重要な点であるわけです。私の言いたい点は、MSAを受入れたら非常に大きな外交上或いは軍事上、防衛上の新たな義務が入つて来ないのが通例である、かように考えておるわけです。これは間違いないと思うのですがどうですか。
#53
○国務大臣(岡崎勝男君) その点は間違いないと思います。
#54
○曾祢益君 これに関連して。これは資料の要求ですが、外務省においておわかりの限り各国が結んだMSA受入れに関する協定を資料として出して頂きたいのですが、全部お願いできますか。
#55
○政府委員(土屋隼君) すでに部分的にはお手元に配付してありますが、更に落ちているものがございましたら全部提出いたします。
#56
○曾祢益君 或いは前に部分的にもらつておつたのですが、わからなくなつてしまつたので改めて全部わかる限りのものを出して頂きたい。
 そこで次に伺いたいのは、これは非常に重要な点で、くどいようですが、その点を明確にするために申上げたいのですが、例えばこの日本の場合にもありまするが、自国の防衛力及び世界の防衛力の発展に寄与し云々というようなことが書いてありますが、これも元来はNATOの協定なんかにある、第三条に「この条約の目的を一層有効に達成するために、締約国は、単独に及び共同して、継続的且つ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗する個別的の及び集団的の能力を維持し、且つこれを発展させる。」こういつたようなもう基本的に親協定できまつておるものがただここに繰返されておるだけだからほかの国では問題にならん、私はこう思う。ところが日本の場合はそうではない、あとで時聞がありますれば憲法論を述べたいのですが、そういつたようないわゆる武力、軍事力、或いは戦力、どういう名前を使おうがそういうものは持てない、禁じられている。であるから安保条約というような片務的な、日本がいやしくも軍隊的なものを持つということは何ら条約上には約束をしないものであつた。ところがMSAを受入れることになると、これはそういう型ではいかなくなる、ほかの国の場合は当然防衛力或いは防衛能力を増強するのに憲法問題が起らないのは当り前の話です。それからこれらの国々において単に自国の防衛力を増強するだけではなく、いわゆる自国世界に協力ということも、外交方針として国民の大多数がはつきり支持して割切つている。であるからそんなものは今更MSA協定が出て来たからといつて、新たな外交上の或いは国策上の基本問題にならない。ところが日本の場合は明白にそうじやないのです。安保条約というようなものをまあベールに包んでそうしてやつて来た。今度MSAを受入れるとなると、どうしても少くともひな型に従つて、五百十一条の(a)項の六項目のこの問題について当面した。そこで政府のほうでは、併し軍事上の義務というものは、これは安保条約に負つたところの軍事上の義務ではございません。この答弁でまあいわば糊塗して行かれようとしているのですが、そうじやない。安保条約で負つた軍事上の義務だけでいいということにはこの協定はなつていない。安保条約で負つた軍事上の義務じやないかという点で問題がありましよう。殊に政府が考えておられるところの自衛力、戦力にあらざるものは何でもいいのだというような考えで行くとすると、そこにも憲法上の問題が勿論当然出て来るが、更に基本的な問題は、やはり多くの同僚諸君が指摘されているように、あの安保条約に基いて負つている軍事的義務の履行をする決意の、再確認ではなく次の問題がやはりある。いろいろの条件は加えてあるけれども、結局は自国の防衛力(デイフエンス・フオーセス)を維持発展する、これは寄与しとあろうがなかろうが、自国の防衛力を発展する、及び自由世界の防衛力の維持発展に寄与する。この二つのことは明確に今度のMSA協定によつて日本が負う新たな義務です。それを安保条約の基地提供等、駐留を許すことは軍事的の義務である、防衛力の増強ということは軍事力でないというようなことで糊塗することは、間違いだ、これは明確に新たな一つの義務である。而もそれは軍事的の義務がある。政府としては、この防衛力というものは憲法の範囲内でやつて、これはあとの問題になりますが、気持であつても、とにかく防衛力(デイフエンス・フオーセス)ということを、日本以外の国においては、ここまでは戦力でここから先は戦力じやないという区別をしている国はない。国際的な通念から言えば、これは明確に軍事的の義務です。この点はさように率直にお認めになるのが正しいのじやないか、かように考えますが、如何でございますか。
#57
○国務大臣(岡崎勝男君) これは前にもお答えしたのですが、軍事的義務ということは安保条約に負つているのだけだといつてごまかすつもりは何もない。ただはつきり軍事的義務(ミリタリー・オブゲイシヨン)という字が入つておるのは、五百十一条(a)の第三項にあるわけでありますから、この第三項の軍事的義務というのは何であるか、これだけを確めたわけであります。それは安保条約に負つている義務、これははつきりするわけであります。そのほか義務を負つていないかというとそうではない、義務はたくさん負つております。殊に今御指摘のように、第八条の第四項目か五項目にあるような義務を負つているわけです。これは軍事的の義務であるかどうかという議論になると、又別にお答えいたしますが、とにかく義務は負つている。で、ただ政府としては防衛力増強の義務を負つても差支えないと考えましたからこの条約を受諾したわけであつて、これが別に義務でないとは決して申さない。義務であります。
#58
○曾祢益君 何だか、何も私はごまかすなんかということは言つてないのだけれども、やはり安保条約以上のものはないのだという安心感を与えるのが主であつて、日本としては初めて出て来た自国の防衛力の増強を外国との間に約束するという、これは安保条約の前文以上に重要な問題であるに違いない。それを日本国民としては十分に納得するかしないか、重要な点はこの自由世界の防衛力の維持発展に協力する、この点はミネマイズして最少限としてさつと知らないうちに通してしまうというような、若しお考えだとすると、私は政府のために悲しむと言つたら(笑声)そんなことはしてもらわなくてもいいと、言うかも知れない。併し日本の民主主義のためにも、国民の基盤に立つた外交のためにもこれはよろしくない。これは重大な問題なんですよ。それは先ほど申上げたように、この基本的な防衛態勢と防衛条約というものはできておつて、国民の納得で、ああそうか、この条項は当り前だという場合とこれは根本的に違うのですよ。それを何だか安保条約だけさつと、これ以上ないのだということで、さつとこの重要な問題、まあ隠して成るべく触れさせないようにというのですつと通してしまう、これがいけないのです。そういうことでは国民が納得した外交や国民の納得した防衛なんかというものはできるものじやないのですよ。この点非常に私は遺憾だと思うので、次に御質問申上げるのですが、だからそういうふうに考えて来ると、私は通例のMSA協定、先ほど言つているように、NATO関係諸国がアメリカと結んだ、あれと逢つて、今度の日本の場合の日米相互防衛援助協定は、その名にふさわしい、これは重大なやはり外交、防衛上の新たな出発点なんです。安保条約が片務的な条約で、そまり日本が向うに守つてもらえばいいのだ、こつちは軍事力を持たないのだ、この態勢からいや日本も軍事力を増強します。そこでこの条約自身は従つて形式的にもいろいろな点で、今までの片務条約から双務条約への移行を示している痕跡明瞭ですよ。この点やはり国民が片務条約から双務条約に移るのだという十分なる認識を持たして、そうして審議する、ひいてその可否を求めるというのがこれは本当じやありませんか。いわゆる片務条約から双務条約の移行という点について、確かに私は一歩十分ふみ出しておると思うが、この点は如何にお考えになるか。
#59
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ず第一にお答えしなければならんのは、軍事的義務いうことでずつと押し流してしまおうという考えは我々全然持つておりません。これは衆議院における審議の速記を御覧下さればよくわかるので、この点は明白に区別しておつて安保条約の義務というのはこれである、併しそのほかにこういう防衛力増設に関する義務をはつきり負つておるんだということを明白にいたしております。そこで防衛力の増強をすることが憲法違反であるという議論ならば、これは根本的に考えが違いますから、これはいつまでも並行するのです。併し仮に政府の言うことは別として防衛力というものは或る心度のものは持てるのであつて、そうして今のは非常に貧弱ならば多少これをふやして行つても差支えないんだという議論であれば、今の防衛力を持つということが憲法逢反でないという議論であれば、これは増強するという義務を負うかどうかという問題だけになるわけです。それについてはNATO諸国などは別として、それ以外のMSAな受ける国でも防御方々増験する義務を負うかどうかということについては、やはり日本と同じ立場にもつで国内の経済上その他の問題からこういう義務な負うべきでないかということは私は問題があると思う。その点においては、日本とそういう条約でもうそういうことをきめておる国は例として、それ以外の国とは同じような理論的には立場にある。そこで防衛力の増強を私はこう考えている。防衛力の増強をするという義務、これはいろいろな制約はありますが、とにかくこういう義務を負つている、それは援助を受けるから負つているのであつて、若しそれを負うのが経済上その他において到底誠実に口では言つても実際できないということになれば、自然これは援助を受けないということになる。つまり防衛力が一定限度にとどまつておれば、それでも多少援助があればその内容がよくなるかも知れませんが、併し援助を受けなくても事済むという状況である。従つて援助を受けるというならば防衛力を増強して行くという義務があるというので、この点は憲法上それがけしからんという議論でなければ私は理解されるものだと考えております。そうして援助というものは性質がやはりこれは双務的になつております。例えば第二条のごときは、アメリカに持つてないようなものがあれば日本がそれと提供するということもあるし、それからよその国に対してもできるだけの寄与をするということもあつて、双務的とおつしやれば双務的かも知れない。併し何といつてもこれはMSA援助と一般に言われておるようなもので、この協定の本当の趣旨は、アメリカ側から装備、兵器等を譲り受ける。これが根本であつてその他はいわば付帯事項であつて、これを双務的とお考えになる、我々も双務的に成るべく条約というものをしたいと思いますが、これが必ずしも双務的であるというふうにはつきりは実質的にはなかなか言い切れんのじやないかと思います。
#60
○曾祢益君 まあ憲法に関連しての議論はあとでしたいので意見は留保しておきますが、やはり私は先ほど来申上げている、この点に関連するのですが、この協定によつて安保条約に何らの影響を与えないというような注意規定にかかわらず、これは勿論安保条約に直接これは何とかというような問題、安保条約という片務条約態勢から日米間の双務的な防術援助協定といいますか、集団保障条約のほうに質的転換して行く一つの姿ですよ。これはもう私はいなめない事実だと感ずる。こういうものがこつちの今度はこのMSAによつて出て来た自国の防衛力の増強とかこういうやつが先にできておつて、それからそのMSA協定という武器援助受入の協定ができるのが通例なんです。ところが安保条約という先に片務的な過度的なものができてしまつて順序が逆になつたので、このよしあしは別として本格的な日米間の共同防衛援助へ移行する一つの姿がここに私は現われていると思う。それのみならず先ほど来も議論は出たのですが、ただ単に二国間の防衛援助条約に移行するのみならず、これは更に大きな芽を含んでいるのです。それはいうまでもなく自由世界との防衛力の増強という非常に広範な多数国間の集団保障に移行することははつきりしている。その点は第八条の今問題になつている字句にも関連しておるし、更には第一条でしたかに、第三国政府に対しても両協定の当事国政府がその都度合意する、援助を供与する。まあこれを追及すれば装備、資材、役務というようなわけで、いわゆる又これは軍事的なものじやないというような御答弁になるにきまつておる。その内容は別としても、これは観念としてはかなり大きな問題なんです。これらの点もなるべく触れまい触れまいとしてさつと極めて無害なる援助を役務のパイプ・ラインとしてお通しになろうとしているのは、これはふとどきですよ。これは明白に多数国間の集団安全保障条約へ移行の芽ばえですよ。と思いますが如何ですか、外務大臣の御意見は。
#61
○国務大臣(岡崎勝男君) いや私はどうもその点については意見が遺憾ながら違います。これは多数国間の何といいますか、安全保障措置とかそういうようなものを予想したりそういうものに必然的に行くという性質のものじや私はないと確信しておりまして、ただ装備、資材等についてはできるだけお互いに援助するということであつて、それ以上のものはこれには含んでおりませんし、又私の了解するところではアメリカ側もそういうような点を考えているのじやないと確信しております。
#62
○曾祢益君 この第三国に提供する役務というのはどういうものですか。
#63
○国務大臣(岡崎勝男君) これはその場合々々によつていろいろあろうかと思いますが、極くまあ一つの例を言つてみれば、新らしい装備を域外買付等で提供した場合に、それを使う人に何といいますか使用の方法を教えるというようなことは役務の一つになろうと思います。
#64
○曾祢益君 それはもうおつしやる通りそういう何といいますか、無害といいますか、重大でない役務を考えておるのが自然でしよう。役務という言葉自身からすればこれも日本が承諾しなければできないんだという議論も立つかも知れないが、併し考えてみれは、例えばインドシナの戦争に、今そういう能力がないでしようけれども、日本のパイロツトが少くとも輸送機か何かで運んで行くということもこれは役務になり得る。だから役務といものは相当危険な軍事的な場合もあり得るのですね。そういうことの明確でない役務、而もこれは第一国に対してまでやるんだ、そうなつて来ると、これは安保条約みたいに日本を守つてくれるというためのやむを得ないといいますか場合と非常に違つた大きなものがあり得る。だから私はこれを芽が吹いて来たと言うのです。そういうものはこの条約に基ずく役務でないとは断言できない。まさか役務の中にミリタリー・サービスまで含んたサービスじやないでしよう。
#65
○国務大臣(岡崎勝男君) まあこういう点についてはこれだけを御覧になるとそれはいろいろの議論が出るかと思いますが、これは又論議がほかに出て来るかも知れませんが、第九条のように憲法の条章によつて実行するんだという規定もあるわけであつて、我々としては両国政府が合意するのは当然これは日本の憲法の範囲内で認められているものに限るわけですからして、この点で御心配のようなところまで拡張することはないというつもりでやつております。
#66
○曾祢益君 私これから憲法問題、自衛権、いろいろより重要な点について御質問したいのですけれども、私自身の都合でこれ以上御答弁願う時間がございませんので次の機会にして頂きたい。
#67
○鶴見祐輔君 私が御質問しようと思います点は、それは非常に根本的の問題なのでありまして、総理大臣がお見えになつたら総理大臣から伺つて次に外務大臣に伺いたいと思つたのでありますが、ちよつと順序が逆になりますがお伺いしたい。この点は今曾祢委員が非常に明快に御質問になりましたのでありますが、私のはそれと観点が少し違いますから重複しないようにお伺いいをいたしたいと思います。このMSA協定のことは重複しないように私は衆議院の記録を全部勉強して読んでみましたから、重複しないことにしてそれから本委員会においてもお尋ねになつたことは重複しないようにお伺いいたします。で私はこの問題につきましては丁度曾祢委員と同じように非常に重大な決定を日本民族がするのだというふうな感じを持つておりますのでお尋ねをするのであります。それはアメリカの相互安全保障法の長い標題を読んでみると、「国際平和及び安全保障のために友好国に援助を与えて、」これからが大変なんです。「米国の安全を維持し、外交政策を促進し及び一般の福祉を培うことを目的とする法律」、これはもう当然の話で、アメリカの国民の租税でアメリカ政府が仕事をするのでありますから、こうあるのは当然ですが、これを今度日本がMSA協定を引受けるということになりますと、アメリカの趣旨に賛成をしたということでお受けになるということでございますな。
#68
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#69
○鶴見祐輔君 そういたしますと、ここに初めの国際平和とか安全保障ということはまあ世界共通の問題で日本民族の熱願するところでありますから、これは問題は別にないのですが、これを達成するためのアメリカの目的として、アメリカの安全を維持し、アメリカの外交政策を促進し、このアメリカの外交政策を促進しということを含んいるわけですね。そのアメリカの外交政策というのはつまり世界の平和を維持するというためにするのだという意味にもとれますけれども、併しアメリカの外交政策を促進することに日本が同調するということになりますから、そこで日本民族としてはこれで非常に大きな問題に決断を下すのであると思う。そこで私は外務大臣にお伺いいたしておきたいことは、このMSA協定というものが、今曾祢委員からだんだんお話のありましたように、これは非常に重大な日本の世界政策の出発点になりますので、この協定の背景をなすアメリカの外交政策というものについての外務大臣のお見通しを一つ伺つておきたいと思うのでありますが、これは抽象的にお伺いするのじやないのであります。アメリカの外交政策というものがたびたび変わつておりますけれども、最近はアメリカが世界の大国となつて指導的の位置を持つようになつてからよほど変つて来ておるという感じを私は持つているのであります。昔のモンロー主義の時代とか或いはウイルソンの唱えておつたごく道義的な外交政策というものと変つて参りまして、非常に現実的になつて来たと思うのであります。つまり英国が世界に非常にたくさんの利害関係を持つている結果、非常に現美的な外交政策をとつている。今アメリカの立場も全世界の世話をしなきやならんという指導的の地位に立つたためにアメリカの外交政策が非常に現実的になつて参りまして、従来のような人道的な或いは抽象的な道義論或いは又法律論を離れまして、自分の国の利害、国民の安全ということを中心に考えなきやならんという必要に迫られて来ている。そこでアメリカがこれから行う外交政策はこういうふうにお考えになるかどうかを伺つてみたい。従来といたしましてはアメリカの外交政策の根本は、いろいろな美しい言葉で言つてはおりますけれども、結局勢力の均衡(バランス・オブ・パワー)であつたと思うのです。ヨーロツパでバランス・オブ・パワーが破れるときはカイゼルのときもヒツトラーのときもイギリスを援助する。東洋においては非常に顕著であつて、ロシアの勢力が盛んであつてシナが危険であつたときは日本を援助してこれに対抗することがアメリカの太平洋政策の根本であつた。日露戦争の結果日本が太平洋において余りに強くなつて太平洋の日露のバランスが破れそうになるとだんだんアメリカの政策が変つて来て日本を抑える、そして太平洋戦争に入つた。そして太平洋戦争まではルーズベルトの親ソ政策でやつて来た。太平洋戦争をずつとやつて来たところが見込が違つて一番大切なシナ或いは中国がソ連の勢力圏内に落ちた。そこで太平洋のバランスが一ぺん破れたから、もう一ぺん日本をここで強力にしてバランスをもう一度作り直さなきやならん現実の必要をアメリカは考えて来た。それは決して利己的な考えと言つて非難すべきじやないので、アメリカの政策としては自分の国の安全を保持するために止むを得ないことであるとこう思うのであります。そうなつて参りましたから戦争直後のアメリカの進駐政策というものと最近のアメリカの政策とは非常に変つて来た。言い換えればアメリカの外交政策というものは東洋に関する限り何度も根本的に変つて来ている。そこで今アメリカの国内においては本来太平洋問題に熱心な共和党が政権を持つている。そしてアジアのバランスということを非常に心配をし懸念し、日本のほうを強化しなければならんという現実の必要を持つていると思うのであります。そこで日本を過大評価しているかどうかということは別問題にしまして、それをアメリカの指導者が非常に強く感じておるということは、一昨年もアメリカへ参りましていろいろな人に会つてみて、そしてこれは共和党の指導者にも民主党の指導者にも共通した考えであると思うのです。そこで私のお伺いしたいのは、このMSA協定の文字上の問題は別としまして、どうしても日本が曾つては日英同盟によつて極東におけるバランスを日本が片棒をかついだように、今度はMSAからだんだんに発展して行くに違いない日本とアメリカとの関係によつてもう一ぺん日本が極東のバランスの片棒をかつぐ大事な方向に行くんじやないか。そうしますと外務大臣として非常に大事な問題ですから私のお伺いしておきたいことは、外務大臣のこれに対するお見通しなんであります。私がこれをお伺いしますことは、一つの懸念がある。それはアメリカの対ソ政策を眺めているとルーズベルトが極端に親ソ対策をとつてロシアを非常に信頼をしてヤルタ協定まで結んでいるという立場もあり、この頃の、マツカーシーを中心とするああいう極端な反共政策と、この中間にあつてアチソンとか或いはこの次の大統領候補者になるといわれるスチーブンソンなどはアメリカとソ連、或いは言い換えれば資本義国家と共産主義国家は賢明なる外交政策によつて話合がつくのだという立場もあると思うのであります。そこで今も共和党政権と日本の政府とがMSA協定を結んでだんだんに親しくなつて行くという場合には、アメリカが若し非常に極端な反共政策をとるような場合、例を挙げればダレス国務長官の一月十二日の声明のように例えば朝鮮の問題、インドシナの問題、これで共産国の軍事力が不当な侵略をする場合には、アメリカは自分の持つている原子力の武器を以て即座にこれを報復的に攻撃するというようなことの演説をしておりますが、そうなりますと、アメリカ自身もいろいろあとから条件をつけておりますけれども、国民が知らないうちにアメリカは世界戦争に入つているかも知れない。そうすると日本といたしますと、いろいろな関係はありましてもそういう事件が起つて来ると、この条約の条文はそのときどきでいろいろ解釈はできますから、やはりアメリカの介入した世界戦争に日本国民が知らないうちに入つているということも起るかも知れない。こういうまあ極端に言えば心配をいたします。そこで私は具体的にお伺いしたいことは、アメリカの外交政策の促進というものについて外務大臣はどうお考えになるか。又アメリカにおいて今の共和党の右翼の六人の上院議院をタフトが死んで以来アイゼンハワーが抑えることができなくなつて今のような中途半ぱな政策をとつているという場合に、どうやつて日本国民の安全を守る、主体性を維持するかということが非常に困難になつて来ていると思うのであります。日英同盟の場合にはとにかく日本は東洋で非常に軍事力を持つておりましたから、日本なしには東洋のバランスが保てない。今は一兵もなく軍艦も金もなくなつたのでありますから、ちようちんとつりがねのような恰好でありますから、日本の主体性というものを保つことが非常にむずかしくなる。そういう心配をいたしますから、アメリカの外交政策の根本について外務大臣がどういうお見通しを持つておいでになるか。若し今申上げたような懸念が万一あつた場合にどうやつて日本民族の安全を維持するという主体性を維持して行くか、どういうようなささえをとつて行かれるかという二つの点をお伺いしたいのです。
#70
○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず第一に申上げたいのは、この法律はそのまま勿論協定の中に入つておりませんから、日本の負つている義務とか約束とかいうものは、今御審議願つておる協定の文句から出て来るのであつて、それからは出て来ないのであります。併し我々もこれを研究してこの援助の牲質はどういうものかということは当然研究しておるわけで、従つて協定からは直接こういうものは何も出て来ませんけれども、お話がありますからこれについて申上げますと、これは現実にアメリカの外交政策を何でもかんでも援助を受けた国は支持するのだというものではないのであります。要するに友好国を援助することによつて国際平和及び安全保障が促進される。それがつまりアメリカの外交政策の促進であり、アメリカの安全を維持する方法である。こういう限りにおいてアメリカが友好国を援助することがアメリカの安全のためであり、アメリカの外交方針を促進することである、こう考えてこの援助をするのです。そこで援助を受けるほうから言えば、アメリカの外交方針が如何ようであるとか、或いはそれを推進する方法はほかにもたくさんあろうかと思います。あろうかと思いますが、その一つの方針としてアメリカが考えておるのは、友好国を援助するということが結果においてアメリカの外交方針を推進するということになるのであつて、援助を受けた友好国にアメリカの外交方針に同調せよとか、アメリカの外交方針を推進せよとかいうことを要求しておるものじやないのであります。併しそれにしてもアメリカの外交方針というものが間違つておれば、援助を受けることによつてその間違つた外交方針が推進されるという結果になるかも知れませんから、これも考慮を要するでありましよう。併しこの援助に現われて来ておりまする外交方針は、これはいろいろな具体的なものはたくさんありましようが、ここに現われて来ておりますのは、要するに国際の平和と安全保障をやろう、これがこの援助に現われて来る外交方針である、援助をすることによつてこれか促進されるとアメリカが考えておるその限りにおいては私は何ら差支えない。又現に援助を受けている肉はイギリスもあればフランスもある、ほうぼうありますが、現実の問題としてアメリカの外交方針を一から十まで賛美してこれをバツクするものとは必ずしも言えないので、十分批判も行い反対もいたしておることもあるわけであります。それは結局において援助を受けたからとて御心配になるような義務が生じて来ていないというのがこれは実際上の兆候でもあろうかと思います。ただこういう援助について、この協定とかこの法律と離れてアメリカが力が非常に強い、日本は残念ながら非常に弱い、そのために日本の発言力が弱いであろうかということになれば、これは協定とは全然別問題で、只今の国際間の情勢は退憾ながら日本のほうが弱い、これは認めざるを得ないが、これは援助とは関係ない実勢の問題だろうと思うのであります。
#71
○鶴見祐輔君 そうしますとアメリカの外交方針を促進するということは、アメリカが世界の国際平和と安全保障のためになるような政策をとる場合にのみ限られる、こういう御意見でございますか。
#72
○国務大臣(岡崎勝男君) これは日本としては接助を受ける国はどこでもですが、アメリカの外交政策を促進する責任もなければ義務も何もないのであります。ただ友好国に援助を与えることが即ち国際平和の維持になつて、それがつまり結果においてはアメリカの外交政策を促進することになるとアメリカが考えておる。これは義務でも何でもないと考えます。従つて国際平和の維持についてもこの協定なりこの法律からは、被援助国がアメリカの外交政策をその限りにおいても促進しなければならんという義務は、協定上は何も出て来ないということであります。
#73
○鶴見祐輔君 大体外務大臣のこの協定とアメリカの政策についての御意見はわかりました。そこで今曾祢議院からお触れになつた問題なんですが、一体このMSA協定というものが一年という期限がついておるという話でありますが、衆議院の委員会で福田委員の御質問にお答えになつた中に、まあ大体三年ぐらい継続するだろうというお見通し、又必要な場合には要請すれば更にこれを継続することができると思うというようなお話がございました。従つてまあ法律上は一年のものでありますけれども、お見通しとしてはこれは継続するものというお考えでございますね。
#74
○国務大臣(岡崎勝男君) さようでございます。
#75
○鶴見祐輔君 そういたしますと、継続するということになれば、これは曾祢委員もお触れになつたことでありますが、アメリカの駐留軍の漸減に対して日本の自衛力を漸増するということは、表裏一体をなすような関係に見えますから、どうしてもこれについて一定の計画がなければならんと思うのであります。並木委員の質問にお答えになつて、防衛計画なるものはMSA援助を受ける必須条件ではない。それはそうでありましよう、法律上は。併し常識から考えれば若しこれが三年或いはもつと続くということでありましたら、どうしてもこれに対する一通りの見通しは日本として持つていなければならんと思うのてあります。今曾祢委員とのお話ではそういう計画があればいいけれどもないのだというお話であるのたが、それがどうも常識上ふに落ちないのですが、三年なら三年続けて行く、もつと続けて行く、その間にもう少しふやして行くことができるかも知れんということもほかでお話になつておりますが、そうすれば援助がふえて、従つて日本の自衛力もふえて行くということになれば、常識上から考えて、細かい数字の計画がないとしても一通りの計画が想定されるのじやないかと思うのですが、どうなんでございますか。
#76
○国務大臣(岡崎勝男君) これはアメリカ側としても普通の国の援助と又異なつて駐留軍を置いている関係がありますから、援助を成るべく続けて行つて駐留軍を撤退さしたいという気持もあるわけなんです。従つてほかの国以上に日本に対しては日本の防衛力増強ということをその意味で希望しておるわけであります。従つて援助は続くであろうと私は申しておるのであります。そこで常識上おかしいとおつしやいますが、保安庁も一生懸命やつておるようですが、計画は実際上立つておらない、漸くにして何か三十年度はこのくらいにしたいという案を持つておりますが、これはまだきまつたわけではなくて保安庁限りの希望といいますか、予想程度のものでありまして、これは木村さんにお聞きになるとよくわかりますが、非常に苦心して計画を立てたいと思つていろいろ材料をとつておられるようです。ところが実際保安庁の作業を見ておりますとなかなかむずかしいようなのは、例えば道路の橋梁というものまで考えてタンクなどの機動性を持たし得るか持たし得ないかによつて、防衛力の増強計画自体が変つて来る。そんなような非常に総合的なものを見ているものでありますから、まだできていないのだろうと思いますが、これは早く作れば作るほどいいはずであることは、これは理論上当然のことだと思います。
#77
○鶴見祐輔君 併し外務大臣も衆議院で加藤勘十氏の質問に答えられて、日本の防衛力は独立国として最小限度のところにもまだ到達しておらない、故に漸増したいというお考えでありますから、恐らくは木村長官と同じように、一定の計画を作りたいというお気持はお持ちなんですね、あつたほうがいいという。
#78
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りでございます。
#79
○鶴見祐輔君 そうでないとアメリカとの交渉も何もやりにくいというお考えがございましようか。
#80
○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカとの交渉はまあ別としまして、日本として防衛力増強の計画があればそれに越したことはないのは当然だと思います。
#81
○鶴見祐輔君 けれども将来、三年或いはもつと継続してアメリカと話をしてアメリカの援助をもつとふやすということは日本の防衛力を増強するということですから、たから保安長官と一体をなして一定の計画を持ちたいということは常識としてどうしても考えられるのですが、保安長官の答弁も私たびたび聞いておりますが、どうしてもおつしやらない。私のほうの邪推かもしれませんが、推測しますと大体一通りの見通しを持つておられるのだがおつしやらないのじやないかと、これはあなたの関係じやございませんけれども。それで私が心配しますのは、アメリカの新国防計画というものが経費を減して戦力をふやすということをしきりに宣伝しているわけですが、それはつまり空軍と原子力による兵力をふやして、そうして地上部隊と水上部隊は減して行くということのようでありますから、日本民族が非常に心配しますことはアメリカのウオーター・リツプマンが指摘しているように、アメリカは陸上部隊はよその人口の多い国に負担させるのだ、そうしてアメリカは限りある人力を以て空軍で行くのだという考えが大つぴらに披露されているわけですから、そこで日本の防衛計画の大体の見通しなしにアメリカとこういうことをやることについて日本人が不安を持つている。それが結局基礎になつて私は外務大臣としてもアメリカと援助の継続及び増額を要求されなければならんと思うものですから、防衛計画自身については私は、外務大臣にお尋ねするのじやありませんが、大体の見通しをお持ちにならなければどうしてもむずかしくはないかと思うのですがどうなんですか。
#82
○国務大臣(岡崎勝男君) 今のところはその年々の計画があればそれで援助をして行くつもりでアメリカ側も考えているようですから、これは止むを得んからそう思つておるのですが、それほどむずかしいとは思つておりません。ただちよつとお断りしておきますが、今おつしやつた中に、我々が成るべく援助を余計受けたい、従つて、とこういうふうなお話がありましたが、私どもはむしろ逆に考えておりまして、防衛力がふえれば援助を必要とする。何でも援助を余計もらつても防衛の人員等がふえなければその援助はしまつておくだけで私は役に立たんものだろうと思います。従つて防衛力の増強が主であつて援助は従である。援助を余計もらつて来てそれに見合う防衛力をふやして行こうというのじやない。むしろ逆に考えております。
#83
○鶴見祐輔君 それは私お尋ねしたのは、あなたが加藤勘十氏に答えて日本の防衛力は独立国としては最小限度のところにまだ到達しておらない。だから漸増したいとおつしやつているから、だから防衛力を漸増したいという御希望があることはわかつているから、それなら日本の国力だけではできないという建前でMSAの協定をなさるのですから、だからやつぱり援助を多くしたいという御希望じやないかと、論理的にそういう推論をしたのですが。
#84
○国務大臣(岡崎勝男君) じやそれはどつちでもいいのですが、要するに防衛力を増強するから援助が必要だということになるのです。
#85
○鶴見祐輔君 そこで私が心配いたしますことは、アメリカ側では、まあダレスの言つた三十二万の戦力というのが問題になつて日本で心配しておるようですが、アイゼンハワーを大統領にするのに一番有力てあつたデユーイという人に私が会つたときには、どれくらい日本の軍隊をあなたは予想されるかと言つたら百万ぐらいとこう言うのですね。あれは非常な仕事師だから漫然と言つているわけじやないのです。それで、アメリカ側ではそういう大きな希望を持つている人も中にはあると思うのですから、それで私どもはこの計画をどうしても日本のほうでもお作りにならないと、この次にお尋ねしたいと思うのですが、憲法に牴触するようなことが起つて来やしないかという私は心配をするのです。それはどういうことかと申しますと、私はまあこの次にお尋ねしたいと思うのですが、我我は憲法九条を厳格に解釈したい。その憲法九条において自衛力はあるのだということを、まあ大体日本人は大多数の人がそう受取つておる。問題になりますのは、一体自衛力とは何か。とこまでが自衛力なんだということだと思うのです。そこで、自衛とか侵略ということを抽象的に言うことくらい危険なことはないと思うのです。皮肉に言えば、勝つた国はいつでも自衛の戦争で、負けた国はいつでも侵略戦争であるというらく印を押すような傾向が最近ありますから、これは抽象的なことでではいけない。自衛ということは、やはり日本国民としては、自衛の名においてビルマやインドまで行つたのですから、厳格に解釈したい。これは海外派兵しないという、具体的な戦力はないというように私は考えているのですが、一応外務大臣に海外派兵の問題について伺つておきたい。
#86
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々もさよう考えております。
#87
○鶴見祐輔君 そういたしますと、海外派兵というのはこういうことかというのでいろいろあららこちらで議論があるのですが、政府のいろいろなかたの少しずつ違う御答弁があるのでございますね。つまり、戦争の実際のことを議論されて基地から飛行機が飛んで来る。それが非常に日本に近接した場所であれば、そこが公海の上で戦うということは別ですが、そこまで行つて撃つということは止むを得ないというような議論も時折出ておりますが、そこまで議論が出ると、釜山から飛び出した飛行機は釜山までに撃つということになれば、モスコーから出た飛行機もモスコーまでに撃つことになりますから、私はこの海外派兵という言葉は非常に厳格に解釈しておかないと、この前のお話のような危険があると思いますが、外務大臣はこの自衛ということを非常に厳格にお考えになりますか、どうですか。
#88
○国務大臣(岡崎勝男君) 私も非常に厳格に考えるべきだと思つております。
#89
○鶴見祐輔君 そこでもう一つ私は外務大臣にお尋ねしておきたいのですが、いろいろな討論、殊に日本の院内院外の議論を聞いておりますと、この日本を守るということについてまあ一口に申しますと思想の混雑があるように思うのであります。それは、日本の国内を守るということと、国際戦争に一緒に入つて日本を守るという観念が混雑をしているように思われる節があるのであります。私は自衛というこの限りにおいては、たとえ日本と同調している国々で国際戦争が始まつても、今の憲法の規定から言つて、日本は国際戦争に入れないと思うのですが、どうですか。
#90
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りだと思います。
#91
○鶴見祐輔君 この思想の混雑をはつきりと区別しておかないといろいろな議論の誤りが生じて来るということを私は心配するものですから、今外務大臣から海外派兵と今の国際戦争については非常に厳重にお考えになつているということを聞いて安心いたしたのでありますが、まだよろしうございますか、時間は。
#92
○国務大臣(岡崎勝男君) いつまででもよろしうございます。
#93
○鶴見祐輔君 それでは私はもう一つお尋ねしておきたいのでありますが、それは経済上の問題なんでありますが、今度五千万ドルの剰余小麦の購入を受けることが一緒に入つて来るわけでありますが、これは今年だけでなくまだ続くというお考えですか。
#94
○国務大臣(岡崎勝男君) これはどういうことになりますか、恐らく続くだろうと思いますことは、アメリカ側に小麦は随分余剰がまだあると思いますから、ただランドール委員会などの勧告等がどういうふうに取扱われるかによりまして先行きがちよつとはつきりわかりません。まあ普通考えれは続くだろうと思います。
#95
○鶴見祐輔君 衆議院の外務委員会では外務大臣はあと一、二年は続くだろうという見通しをお話になつておりましたが、これは見通しであつて非常にはつきりしたことは言えないのでありますが、又或る場所では外務大臣は、日本の食糧緩和のためにアメリカの小麦大麦を入れて行きたいというお考えのようでありますが、これを伺いますが、初め五千万ドルということなのでありますが、この分量は将来の必要によつては多くなり得るという見通しを持ちますか如何ですか。
#96
○国務大臣(岡崎勝男君) 多くなり得ると考えます。
#97
○鶴見祐輔君 というのは、それは日本の経済自立のために日本の食糧は今日のように不足して来ている。それを買うために我々が輸出貿易を一生懸命やると申しましても、必要な原料や或いは機械器具を買うほかに食物へこんなに金が出るということになりますと非常に日本の経済自立の達成がむずかしいと思いますので、食糧だけでもアメリカの輸入が多くなつて、それが直ぐ現金払いでない形でやれるという見通しが付けば日本の経済自立のために非常に役に立つと思いますが、それに対して外務大臣は見通しでなく具体的にお考えになつておりますかございませんか。
#98
○国務大臣(岡崎勝男君) これはまだ具体的には相談いたしておりませんが、できる見通しがあるだろうと思うが、ただこの協定も御覧の通り日本の通常の輸入量等を減らさないでその上に買う。従いまして今の米食率を維持して行きますと米の輸入が相当必要になつて来て、そうして小麦を今より余計輸入してもこれは使い道がないという議論になるかも知れない。従つて五十万トンぐらいならば昨年の不況の関係もあるから消化は何でもないと思いますが、今年例えば麦が相当平年作以上であるという場合に、又五十万トン以上の大量の麦を買つて来るということは、先ず米食率というような点、或いは統制撤廃というような点、これが考えられないと実際上なかなか困難じやないか。
#99
○鶴見祐輔君 その点についても外務大臣が衆議院で御答弁になつておりますのを読みましたら、米の産地であるタイ国、ビルマから米を買うことが東南アジアとの外交の関係においても役に立つから米を減らして小麦を買うということはないということが一つ。それから国内において小麦を食べるという習慣がなかなかないからということがありましたが、これは外務大臣の所管事項ではないのでありますが、ただ併しこれは非常に日本において、日本の国民の食生活を直さなければ今日の危機を脱することはできないのですから、それは一方ほかの所管大臣がやることですが、それができた場合はもつと早くやるというお見通しを持つておりますか。
#100
○国務大臣(岡崎勝男君) それは十分持つております。
#101
○鶴見祐輔君 それからこの五千万ドルの小麦及び大麦の買付の中で、一千万ドルだけがグラントになつておる、こういうわけですね。それが三十六億円で而もその使途が大体指定されているということ。それについては日本の国民、といつても実業家の中でも満足していない点があると思うのです。一つは一千万ドルという量が少かつたということ。それからいま一つはその使途が軍需生産だけに限られているということ。そこでこのグラントをもつとふやすというお見通しがございますか、如何ですか。
#102
○国務大臣(岡崎勝男君) これは話しようによつては或いはできるかも知れんと思つておりますが、このほうはおつしやるのがパーセンテージがふえるのか、絶対量がふえるのか、つまり五千万ドルが一億になつたときに、一千万ドルが二千万ドルになるということか、五千万ドルであつて一千万ドル以上のものを、つまりパーセンテージのほうを余計にするというお話かどつちかですが、少くともパーセンテージが同じなら絶対量がふえればそれだけふえるわけですが、併し考えてみますと向うでは余つた小麦じやありますけれども、日本としては必要な小麦なんであつて、余つていようが余つていまいが要るものは買つて来なければならん。その場合に円で買えるということであればかなり日本としては利益があると思つております。その上に二割の贈与があるというのですから、かなり結構な話であろうと思つているのですが、これを何かむやみにいい条件で買わなければ損だというような考え方を事業家連は非常に持つておるようですが、私は或る程度これは無理な考え方であつてそう慾ばることもないのじやないかと思つております。
#103
○鶴見祐輔君 私のは勿論パーセンテージなんです。そうして国民の間ですからやはり気分の問題で、アメリカが本腰になつて東洋の安全維持のために日本を援助しようというなら、こんな僅かなものをけちけちしないで思い切つてふやしたほうが日米の関係をよくするであろうから、従つて私の伺いたいことは総額のうちこのパーセンテージがふえる見通しをお持ちであろうかどうか。及びそのグラントを非常に限局した使途に使わないで、もつと広くそれを向うで使わしてくれるという交渉があるかないか。例えば軍需生産と言つてしまうと工場や何かになるのでありますが、それを道路とか通信とかいつたことにまで、拡がればそれは防衛の欠くべからざる一環だと思うのですが、そういうふうにして次第にグラントの内容が拡がつて行けば、これは非常に日本としては効率が多くなると思うのですが、そのお見通しは如何でございますか。
#104
○国務大臣(岡崎勝男君) これは見通しとしてはまだ申上げる段階に至つておりません。併し成るべくおつしやるような方法ができるように、今度若し又買うという場合には話合をいたしてみたいと思つております。
 ただ一言お断りしておきますのは、この小麦を買うという問題についても我々はわかり切つたことのように思いますが、併しいろいろ考えてみたのであります。それは折角今耐乏予算を組んで、自力でこれから経済自立をやつて行こうというときに、なまじつかの援助をして国民が又本当に裸一貫で腕で食つて行かなければ食えないのだという気持がゆるむという精神的の面も考えなければなりません。何でもかんでもアメリカの援助を少しでも余計とればいい、それだけ楽になるのだという考え方を国民に若し与えるとしたらどうであろうか、この点は政府としてはまじめに考えたのであります。できるならばこういうことでなく行きたいと思いますけれども、併し耐乏予算自体が今非常にもうシヨツクを与えていることですから、その多少の緩和の材料としてもこの程度のことはいいのじやないかと思つてやつたわけでありますからして、根本的にはできるだけアメリカの援助を余計こつちへ取入れよう。これは商業的であつて、外資導入であとで返す金だといういろいろな問題は別でありますが、何でもアメリカの援助に頼ればという安易な考え方を国民に与えるべきでないという点もこれは余ほど考えなければならんのじやないかと、こう思つておるのですが、併しやはりお話の点は今度交渉のときに相談したいと思つております。
#105
○鶴見祐輔君 それはそういう見方も立ちますけれども、又国民の中ではこのMSA協定の結果日本の負担する義務が非常に大きくなつたという感じもあるのですが、一方においてアメリカのそういう援助をしたから国民の気持がゆるむということは考えられませんし、又ヨーロッパにおいてはマーシヤル・プランがあつたから一通りの基礎工事ができた。併し今度の日本の場合はそれがなしにいきなりMSA協定だけで行くのですから少しその点が違うのじやないか。
 第三にお伺いしたいのは顧問団の件であります。これは私は精神的に言つて非常に日本人に疑惑を抱かせると思うのであります。それは顧問団に支払う金額の問題とか、顧問団の持つ地位とかいうようなことであります。そこで私の具体的にお尋ねしたいことは、大体初年度は多いのでしようがだんたんに減つて行つて、おしまいにいなくなるというお見通しでございましようね。
#106
○国務大臣(岡崎勝男君) しまいにいなくなるとは思いません。援助が続く以上は或る程度の顧問団の人数は必要であろうと思つております。
#107
○鶴見祐輔君 それは顧問団のやつている仕事でそれが潔癖に一人もいなくなるということはないでしようが、顧問団のやつている仕事は、新丘器などについての操作を教えるということは、これは一定の年度でいらないのじやないかと思つておりますが、そのほうのことは何年かたてば日本人のほうで習得できるのではないでしようか。
#108
○国務大臣(岡崎勝男君) この武器の使用法、殊に飛行機の操縦その他レーダーの使用法等は大体一年以内に全部済むんじやないか。従いまして顧問団は大体来年三月までには半減する、これは教えるほうであります。又新しい武器が来れば別でありますが。あとの連中は例えば援助される武器なり装備なりが日本に適切なものであるかどかということを調べて本国政府に報告しなければならん。例えば非常に大きなタンクが来て橋が通れないというような実際上の問題で、道路がどうであるか、それから日本人の身長、力の工合とかいうこともあります。それから域外買付の問題もあろうかと思います。従つてそういうほうの事務をする者は援助の続く限りは残つて行く。教えるほうはおつしやるように教えてしまえばそれつきりですから、あとは日本の人間が又新しい人に教えるので、これはいなくなるのは当然であります。
#109
○鶴見祐輔君 これは私は半分は質問で半分は希望なんですが、今日本人間にあるアメリカに対する不愉快な感じというものは、これは日本だけではない、フランスにもイギリスにもみんなあるのですが、それの一番大きい原因は人目につくということだと私は思う、大都会にたくさんいることだと思うのです。都会の中心の一番いい所にアメリカ人のバラツクのようなものが建つておる、そして多勢のアメリカ人が往来しておるということが日本人の心理状態に非常に大きな影響を及ぼしておると思うのですが、これは私の希望なんですが、外務大臣の意見をお伺いしたいのですが、成るべく駐留軍の人は日本人の目のつかないところに動かすほうがいい。まあヨーロッパでもそうしておるようですが、そういう御計画はないのかどうか。それから第二に顧問団が又非常に大勢来て人目につくようなところに入つて来ると、日本人はいつまでたつても占領されておるという感じを持つんですが、それについてのお手当は如何ですか。
#110
○国務大臣(岡崎勝男君) 顧問団は駐留軍の数に比べれは言うに足らない、一番多くても六百何名而も恐らく相当部分の人は軍服を着ていないと思われます。が一般的に見てアメリカの駐留軍を含んで大都市にいない、目立たないことを先方も希望しております。これは実は日本側の建築その他の設備に手が十分でなかつたものですから遅れておるのですが、これは東京からは市ガ谷を除いては全部郊外に出る予定になつております。それがただ遅くなつた、それだけの話で、恐らく三月までには全部片付くんじやないかと思つておりますが、これは新聞等にも出ているんですが、できるだけ外へ出すとい方針でやつております。
#111
○鶴見祐輔君 そうすると、今東京における家などを取払われますか。
#112
○国務大臣(岡崎勝男君) 取払われます。
#113
○鶴見祐輔君 来年ですか。
#114
○国務大臣(岡崎勝男君) 来年三月つまり本年度内にそういう計画でやつております。尤もこれは外務省でなくて調査庁であります。
#115
○鶴見祐輔君 それから外務省に直接御関係ないことでお尋ねしておきたいんですが、最近にアメリカ人が本や雑誌に書いているものを見ますと、日本の事情は見方が本当にわかつてないのです。例えば日本の反米感情というとすぐそれを親ソ感情と結びつけて論ずるというようなこと。これは言葉のわからない日本に来ての感じもありましようけれども、やはり日本のほうでも非常に注意深くそういう人々に知識を提供して、これを指導と言うと悪いですが、世話をすれば、ああいう間違つた考えが世界中に散つて行かないという気がするんですが、実に千偏一律のように反米感情即親ソ感情というふうに思い勝ちのように思うのですが、これについて外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。又どういう措置をおとりになるおつもりでございますか。
#116
○国務大臣(岡崎勝男君) これはやはその旅行者とか新聞関係の人とか十分接近して事情を話すという普通のやり方以外に余り方法はないんじやないかと思つております。ただ外務省としましては、例えばそういう議論が起つたり、何かそういう徴候が見えたり、或いは例えばビキニの問題との関連としてどういう動きがある。どういう議論がある、これはこういう背景でやつておるのだ、こういう事情でやつておるのだというようなことは毎週二回か三回取りまとめましてこれはずつと在外公館には全部配りまして、そうして又任地でも適当な説明を加えるようにいたしております。国内においては今申上げたようないろいろな普通の措置を講ずる。それから更に外務省で人を各地に派遣していろいろの事情を実際上の措置その他を説明して、これは講演をしたりラジオでやつたりパンフレツトを出したり、普通のいろいろのことをやつております。こういうことを繰返し繰返し根気よくやつて行くこと以外にちよつとないのじやないかと思つております。
#117
○鶴見祐輔君 それは私も、言葉で言うのじやなくて、やはり事実を非常にたくさん作つておかれて、これを提供されるのが一番いいと思うのですが、それは昔のような外務省の情報部のような大きな組織でやつておいでになるのですか。
#118
○国務大臣(岡崎勝男君) 情報部は昔よりは大きな設備になつております。なつておりますが、これは情報文化局ということで文化交流の面が非常に大きくなつておりますので、そういう情報部自体の仕事としては昔ほどではないのじやないかと思います。
#119
○鶴見祐輔君 その点はなお一段の御努力を願うことにいたしまして、大分時間もたちましたから私の質問はこれで終ります。
#120
○杉原荒太君 ちよつと鶴見委員の先ほどの御質問に関連しまして、一言だけ外務大臣にお尋ねしておきたい。農産物の購入に関する件ですが、農産物の購入に関する協定とそれからそれに関連する経済措置に関する協定、これを見ると私疑問の点は、これはこの前のほうの農産物の購入に関する協定のほうの第一条以外のすべての条項、それからこの経済措置に関する協定のほう、これはつまり一般的に農産物の購入に関連してずつと継続的になつて行く関係を規律するために作つたのか、それとも今年の六月三十日までに買入れる、つまりアメリカの現会計年度で買うその農産物だけに限定したのか、そこのところが必ずしも協定の作り方がはつきりしないように思います。ごく普通の見方ですとすべてが現会計年度、今年の六月三十日までに購入する農産物だけに限定されておるようにとれるのでございますが、それは一体どうなんですか。
#121
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先はど鶴見さんにお答えしたのと関連するわけですが、この協定の文面その他からは六月三十日までで終る会計年度に買入れる小麦に限定せられております。併しながらMSAの協定と同様に、来年度もやはり農産物はアメリカでも余るであろうし日本でも必要であろうから、やはり同様に買いたいという考えは一般的に持つております。従いましてMSAでも同じことでありますが、毎年々々作られるとしてもこの協定でこれは大体行けると思つておりますが、この農産物のほうも希望としてはこれと同種類又はもう少し進んだ協定であつても来年度も行なつて行きたいという希望は持つております。形式的に言われればこれは今年度限りであります。
#122
○杉原荒太君 経済措置に関する協定のほうもそうなんですか。
#123
○国務大臣(岡崎勝男君) 経済措置に関するものもやはり同様今年度限りであります。
#124
○委員長(佐藤尚武君) それでは外務大臣に対しまする総括質問は本日はこの程度で終了することにいたします。
 午後の委員会は午後二時から開会いたします。これで休憩いたします。
   午後零時五十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十二分開会
#125
○委員長(佐藤尚武君) 午前に引続き委員会を再開いたします。
 国際砂糖協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。
#126
○羽生三七君 ちよつと質問に入る前に、昨日も各委員からもお話があつたように、この砂糖協定を結ぶことが実質的にどういう有利な条件をもたらすのか、この協定に入ることと入らない場合の条件とを相互比較してみてその実質的なものを先に御説明願つて、それから質問さして頂くと非常にいいと思うのですが。
#127
○委員長(佐藤尚武君) 政府委員のかたがたじやどうぞ今の問題について御説明願います。
#128
○政府委員(下田武三君) 経済局長が参りましたら経済的の見地から正しく御説明があると思いますが、大体日本といたしましてこういう国際商品協定に加入する際に考えますことは、その商品の供給がどうなつて行くか、又その商品の価格が上るか下るかというところが態度をきめる大きな根拠だろうと思います。日本がほしい商品がなかなか供給が円滑に行かないというような場合に国際協定によつてその供給が円滑になる場合にはこれに参加する実益があるわけでありますと共に、価格が不当に上つて日本が苦しむというようなことも若し協定によつてそれが避けられるなら入りたいという態度にあることは当然でございます。そこで国際小麦協定の場合にも問題がございましたように砂糖の場合にもやはり問題がございます。それは御承知のように、砂糖は最近の傾向は国際的に生産過剰の傾向にあるわけでございますのでこれは放つておいたら砂糖はますます値下りして日本のように砂糖の輸入国にとつては好都合になるのではないか。然るに何を苦しんでこれに加入するかという疑点が起つて来るわけでございまするが、ところが実際の情勢はこの砂糖の過剰生産を抑えるために砂糖の生産国が一種の国際カルテルを結成するという動きになつて参つたのでございます。そこでそれぞれの生産国が価格が下落を来たすような過剰生産をしないというような申合せをいたしまして、逆に価格のつり上げと申しまするか、価格の下落防止のための強力な措置をとるという機運にあつたわけでございまして、そうであるといたしまするならば、日本は輸入国ではありまするが、積極的にこの組繊の中に入つて行つて輸入国としての見地から輸入国に都合のいいような主張をして、そうして輸入国側の要望を貫徹して行くということが必要になつて来るわけでございます。
 そこで実はこの協定自体に対するよしあしのほかに、この協定に一体どのくらい国が参加して来るかという点が、批准するかどうかという能度をきめるについての大きな研究要素になつたわけであります。ところが日本と関係の深い国ではインドネシアでございまするが、インドネシアを除きまして殆んどすべての国が批准すると。アメリカの議会にかかつておりますが、アメリカもこれに入つて来るという決意をしてすでに今日におきましてはたとえ日本が批准して入らなくてもこの協定は効力を発生するという見通しになつて参りました。すでにこの日本の参加するとしないのにかかわらず協定が生きて発動して来るという見通しに只今なりましたので、それならば日本ではこれに入るべきだという最後的の決心が付いたわけでございます。そうして日本が入ります場合には日本は英米に次いでの大きな砂糖の輸入国でございまして、この機構の中でどのくらいの発言権が行使されるかということになりますと、結局英米と同じ投票数、と申しますか、全輸入国の票数が一千票ございまするが、そのうちで日本は英米と同じように二百四十五票という多数の票数を行使し得ることになるのでありまするが、このようにいろいろ協定が動き出すという見きわめが付きましたので、然らば日本もこの大きな票数をもつて大きな発言権を行使して積極的に輸入国側の利害という見地からこの協定の円満な遂行に参加すべきだという態度に政府といたしましては確定いたした次第でございます。なおこの価格の点或いは供給の点、それではどういうようにして、輸入国側の利益を保持するかというような点はいずれ各条につきまして経済局長から御説明があると思います。大きな見通しをつけました理由は、只今申し上げましたような見地からでございます。
#129
○杉原荒太君 ちよつと。ずつと質問はあとでしますけれども、今条約局長が説明された中で、僕がちよつと頭の中に入れておつたのと非常に違う点、一つ、日本の持つておる票数ですね、これが英米と同じ、私は何か百票だつたように頭の中に人つておつたのですが、それは違うんですか。
#130
○政府委員(下田武三君) この協定では英米二百四十五票、日本百票とあつたのでございますが、結局協定に加入しない国が出て参りましたので、そうしますとそういう国が出て来た場合の票数の調整といつたようなものもございまして、その規定の適用の結果、日本が二百四十五票、即ち最大限の票数を持つということになつたわけでございます。
#131
○羽生三七君 その前に。やはりこれも御説明を願う一つですが、この提案理由を見るとこの会か持たれたのは昨年の七月ということになつておりますが、この協定の以前に何かこの砂糖に関してこういう国際協定が結ばれた事例はあるんでございましようか。
#132
○政府委員(小田部謙一君) ドイツその他の国に関しましては、ブラツセル協定とかチヤドボーン協定その他がございましたけれども、これも本当に発効するまでに至らずしてしまつたわけでございます。併し法はあつたのですが、日本はどれにも参加も署名もいたしておりませんでしたのです。
#133
○羽生三七君 それから国際的な世界的な規模においてのこの砂糖協定というものは、これが最初と考えていいのですか。
#134
○政府委員(小田部謙一君) そうでございます。
#135
○委員長(佐藤尚武君) では事実上の質疑を始められましたか、質疑のあるかたがたはどうぞ御発言をお願いいたします。
#136
○羽生三七君 もう一つ。非常に広範な条文なので一々検討しておらんわけですが、大体運用と言いますか、運営の方法は、小麦協定と同じような形をとるのですか、その辺のところの御説明をもう少し願いたい。
#137
○政府委員(小田部謙一君) 小麦協定と砂糖協定とは非常な違いがありまして、小麦協定のほうにおきましては日本は百万トンでございますが、輸入国は百万トンなら百万トンの業務を背負つているのでありまして、それはどうしても小麦の値段が最低価格で輸出国からオツフアーされたときにはそれを受取らなければならない義務を背負つてるわけでございます。ところがこの協定におきましては、輸入国をとつてみますと、輸入国はそういう義務を背負つておりませんのでございまして、幾ら買うかというようなことは、これは自由なんでございます。それが非常に小麦協定と大きな差異でございます。それからこの協定はどういうふうにして動かすかと申しますと、この協定は小麦などに比べましては非常になんと申しますか、いわゆるルーズな協定でございまして、これはつまり砂糖が条約局長の御説明の通り戦後相当過剰になつて来たと、そういうわけで非常に生産国がこれに興味を示したわけでございます。そういたしますと余りきちんとした厳格な協定を作りますと結局輸入国側がこれに入らなくなる。そうしてみると世界的な規模における砂糖協定というものはできなくなるということでございまして、非常に生産国たる輸出国も譲歩いたしました結果、これは非常にルーズな協定でございます。ただこの協定でそれじや義務としてあることはどういうことかと言いますると、輸出国に関しましては一定の基準輸出量というのがきめてございます。で基準輸出量以上は出さないということでございます。そしてただ併し値段がここに書いてありまする一定の値段以下になつた場合においては、その輸出クオーターを制限する、それから又値段が一定以上になつた場合はそのクオーターを増加するということを輸出国の大きい義務として負つているわけでございます。それに応じまして生産制限をするというような項目がございますが、非常に大きい義務はそれでございまして、輸入国の義務と申しますとこの協定に入つてない国からは或る一定の限度以上の砂糖を買わないということが輸入国の義務となつているわけです。それからもう一つ輸出国と輸入国と共通する義務としてございますのは、砂糖の補助政策というものは非常に無暗な形においてはやらないとか、それから砂糖の消費を不相応に妨げる措置はとらないようなことがあるわけでございます。それで実際上それだけの義務がございますが、どういうふうにして運用いたしますかと申しますと、理事会というものが一年に一回開かれるわけでございます。これは何も一年に一回にきまりませんので、理事長が必要と認めたときはこれを招集をするとかいろんな場合がありますが、理事会が招集されるわけであります。この理事会におきまして、これは或る国にとりましては輸入もするし輸出もするということがございますから、世界の輸入国が一体どれだけの砂糖を一年間に消費するかという大体の標準を作りまして、その標準に基いて各この締約国に対して一定の砂糖を割当てるということになつているわけでございます。そして理事会は必要と認めるときは、砂糖の値段が下つたり非常に上つたりしたときは、理事会を開いてこれを運用する。それから理事会の下に執行委員会というのがございましてこれは日本も若し御承認を頂ければ執行委員会の中の一人に正式になりますが、その執行委員会というものがありまして、それがその下におけるいろんな仕事をする。まあ大体そういうふうな仕組になつておりまして、いわばこの協定は小麦協定などに比べまして相当ルーズな協定でございます。
#138
○羽生三七君 今の御説明のうち、私ちよつと開き違いかと思うのですが、輸出国でこの協定に入らない国があるるのでございますか。
#139
○政府委員(小田部謙一君) 輸出国の中にこの協定の中に入らないものがございます。インドネシアとか、ペルーとかいうようなものでございます。それはなぜかと申しますと、インドネシアに関しましてはこのクオーターは多分二十五万トンときめられておると思いますが、五十万トンのクオーターを要求いたしましてそれが蹴られたために入らなかつたということがございます。それからペルーに関してもクオーターに関して意見がまとまらなくてそうして入らないということがございます。その他の大体主な輸出国は入つておると思います。
#140
○高良とみ君 関連いたしまして。そうしますと今のインドネシア、ペルーはもつと輸出をしたいという要望があつて、それだけ認められなかつたから入らなかつたのですか。
#141
○政府委員(小田部謙一君) 実はそうなんでございますが、そこで、じや日本はインドネシアにもう少し味方をしたらいいじやないかという議論が実は起るかと思いますが、実はインドネシアに関しましてはだんだん生産は伸びて来るとは思いますが、去年度の生産をみますと、生産高がが四十六万トンでございます。そうして輸出高を要求しましたのが五十万トン要求したわけです。キューバーのようなその他の輸出国にありましては、少くとも去年の輸出クオーターよりも少いクオーターをきめておりますのに、インドネシアの場合には生産高、今年は或いはもつとなるかと思いますけれども、生産高四十六万トンに対して五十万トンを要求したので、これでは余りひどいのではないか。精々二十五万トンくらいにしろということで意見が合わなかつたわけであります。
#142
○羽生三七君 私のお尋ねする点は砂糖協定自体に関係ないことになるのですが、参考のために伺いたいことは、国際上のいろいろな制約というものがどういう形になつておるかよくわかりませんが、例えば小麦協定といい、この砂糖協定といい、何か特定の生産国が国際カルテルを作つて、そういう世界商品市場における或る種の取りきめをするというようなことは自由なんですか。こういうことは幾らでもどんどんできるというようなことになつて来ると、何か世界市場に新らしい一つのタイプが出て来るような気がするのですが、その点はどうなんですか。
#143
○政府委員(小田部謙一君) 実はこの農産物に関しましては急に供給を減らすこともできないし、又反対に供給が少いからといつて、急に需要を減らすということはできないのです。これは小麦に関しましても砂糖その他も同様で、工業生産品ですと或る程度操短もできますが、なかなかできないものでございます。世界にとりましては要するに安定した価格で或る安定量、一定のものをとるというのが、最も望ましい形になつております。それで貿易憲章が検討されましたとき、この貿易憲章は結局発効はいたしませんでしたけれども、この商品協定という考え方を入れておるわけでございます。それで今こういうのが小麦協定と砂糖協定、その他において今問題になつておりますのは、ゴムとか錫とかいうものでございます。これは勿論一時的には生産国としましては成る種の生産カルテルというような目的を持つておりましようが、併しこれは生産カルテルだけを作つたのでは話にならない。ごこには輸入、これを需要するほうの側の意見も相当取入れた形でやらなければならないというもので、できた形は小麦協定におきましては、成るほど生産国の利益は或る程度擁護されましようが、その反対に輸入国においても安い価格で輸入できるという目的が解決できるという利益があるわけでございます。それから砂糖協定に関しましての利益はどういう点にあるかと申しますと、これは小麦協定ほど実際的てはないのでありますが、まあ安定した砂糖市場というものができるというのが一言にしていえば言えるわけです。併し今度のアメリカのランドル報告を読みますと、ランドル報告の中には、こういう商品協定というものが一種のカルテルみたいなものを作りますと、価格とかその他の弾力性というものにおいて欠けるところがあるからというので、批判的な態度を持つておるわけです。それで恐らくそのとき我々が疑問にいたしましたのは、小麦と砂糖についてのアメリカの態度はどうであるかと疑問に思つたのですが、それに対しましてアメリカのほうで小麦と砂糖協定というものは、アメリカも実際これに加入するつもりであるが、その他の協定に関しては非常に疑問を持つているということを言つておるわけでございます。ですから現在いろいろ議論はされておりますが、恐らく今後は相当できにくいのではないか、そう思われる次第でございます。
#144
○羽生三七君 この前にこういう砂糖に関する今度のような協定が結ばれた事例がないというので比較は困難でありますが、例えばこの或る一期間だけをピックアップしただけではわかりませんが、十年なら十年という砂糖の生産消費価格等を総合的に勘案してこの協定が結ばれた場合に、それに参加した場合と、全く自由である場合との利害得失を御検討なさつたことありますか。
#145
○政府委員(小田部謙一君) 実はこの協定に入りますときにおきましては、実際上この協定を読んでみますと、どういう点に利益があるのかということに非常に疑問を持つたわけです。それで砂糖というものは最近の傾向をみてみれば確かに豊作になつているという傾向のあるのはこれは事実でございます。勿論これはこういう天然の作物でございますから、天候の事情か何かがあれば変るかも知れませんけれども、今年の豊作であるということは事実でございます。それで生産国としてはそういうふうな豊作に際しまして、或る一定の価格が保てるということは非常に利益であるし、又これに反し、日本のような而も全部輸入している国にとりましては、別に砂糖協定に人つたからと言つて豊作の場合においては何らの利益を受けることはない。価格に関しましては外にいましても内にいましても同じ価格が通用されるということてす。そして義務と申しますれば或る程度の義務をこの条約によつて負わなければならないということは、確実でございます。ただその場合に考えますのは、それではアウトサイドにいたほうがいいか、インサイドにいたほうがいいかという場合に、若しこの協定に日本が入らないことによつてこの協定ができなければ、そこで日本としては相当考えなければならない問題でございますが、日本が入らなくてもできる。できれば日本を除いたその他の国と、而もその他の国で相当発言権を持つております英国と米国に関しましては、殊に英国に関しましては砂糖は輸入するが同時に英連邦諸国では輸出をする国であるということが問題でございます。それから米国に関しましては御承知の通りフイリピンやキユーバからむしろ自由市場の値段よりに高い値段で砂糖を買つているということでございます。それですからむしろアメリカの場合は輸入国としての利益もあるかも知れないけれども、輸出国としての利益があるわけでございます。そういたしまして考えてみると輸出国だけの利益によつてこういう砂糖カルテルというようなものができまして、そして純輸入国である日本というものが入らなかつた場合には、今現にそれではどういうふうな不利益が出て来るかということは、急には断定できなくても、これが三年たち四年たつうちにおいては何か不利益が起つて来るのではないか。それならむしろ殆んど義務の少いこの協定に入つて、中から輸入国としての立場を弁護したほうが利益じやないか、そういうことを考えたわけであります。
#146
○杉原荒太君 この日本の外国から輸入しておる砂糖、つまり日本の砂糖輸入市場がどこからどれくらい輸入しておるというような統計はこの中には入つていないようだが、入つていますか。
#147
○政府委員(小田部謙一君) 入つていますけれども非常に複雑しておりますから簡単に要旨だけ申上げますと、去年度の砂糖は、一九五三年度でございますが、百五万トン輸入しております。そうしてこのうちで精製糖の形では四万六千トンでございます。それから粗糖の形で約百万トン輸入しております。合計しますと、端数を切捨てますと約百五万トンになつております。そうして、これは一番日本が余計買つておりますのがキユーバでございまして、キユーバから約五十万トン、これはラウンド・ナンバーで申しますが、買つております。それからインドネシアではこの統計では約八千トンとなつておりますが、今年に至りましてもインドネシアからは砂糖を買つておりますですから、恐らくこの統計以上に多くなつておると思いますが、この統計では八千トンとなつております。それからペルーから約九万九千トン買つております。それから台湾からこれは貿易協定の関係で今年も相当買うだろうと思いますが、三十二万トン買つております。そういうような国が大きい国です。ですから大体日本の砂糖は去年度におきましてはキユーバと台湾が相当大きい要素を占めておりまして、その他まあドミニカとかいろいろ小さい国がありますが、そういう所から入れていると、こう考えていいんじやないかと思われます。それから今年になりますと、これはまあ今年はどのくらい輸入するかという外貨予算の関係は非常に輸入も減るというような関係もございまして内緒にしておくということになつておりますから、極くラフなことで申しますと大体八十万トンぐらは輸入しまして、やはり主な所はキユーバとか台湾とかそれからインドネシアからも若し買えたら買おうと、こう考えておる次第であります。
#148
○杉原荒太君 去年が百五万トン、ざつとまあ百万トン、日本の外国から入れる何といいますかね、一年限りじやなく、大体例年平均的にとつてみて大体何ですか、八十万トンとか百万トンとかその辺のところの見当ですか、大体日本の輸入量というのは。
#149
○政府委員(小田部謙一君) 去年のは実は輸入としては非常に多いのでございまして、五二年度は七十四万トン、五一年度五十六万トンというふうに減つております。ただ戦前のやつを見てみますと、大体これは戦前におきましては、台湾というような所は日本に権利がありましたから、むしろ最後におきましては日本は砂糖の輸入国というよりも輸出せんとするようにもなつたわけでございますが、やはり百万トン以上というものを輸入しております。
#150
○鶴見祐輔君 値段というとどのくらいになりますか。去年とそれから今年の見通しは。概算でよろしうございます。
#151
○政府委員(小田部謙一君) 砂糖は大体これはいろいろ値段の違いがございますが、大体FOBで計算しますとキユーバなどは七十ドルくらいですか、台湾は高いということがありますから大体一トンにつき九十ドルから百ドルという計算で計算いたしまして、それをかけたたけのものでございます。
#152
○杉原荒太君 この協定の規定の対象になる砂糖なるもの、それはここにその定義も書いてあるけれども、これは何ですか、この砂糖の熟語は知らんけれども精製のものも入るのですか。
#153
○政府委員(小田部謙一君) 精糖も入ります。ただこの協定で今のところ入らないのが沖縄あたりから買つて来る黒糖というものが多分この協定の外だと思います。
#154
○杉原荒太君 そうするとなんですか、大体はいわゆる原糖なんというものだけじやなく、砂糖は大体全部入るものとこう考えていいんですか。
#155
○政府委員(小田部謙一君) よほど原始的な形体のものでない限り大体は入ると、こういうふうに考えてよろしいと思います。
#156
○羽生三七君 これは素人判断なのでちよつとお聞かせ願いたいのですが、先ほどの輸入の実績を見るとインドネシアは言うに足らない非常に少量なものですが、今度まあこの問題に関連して協定には加入しないようですけれども、そこで日本とインドネシアとの貿易というものは非常に片貿易になつて、インドネシアから日本への支払が非常に遅延しているというような際に、他国からこれだけ多量の砂糖を買うのならば何かそのへんで調整できそうな気もするのですが、これは全く素人考えですからどういう事情かちよつと御説明願いたいと思います。
#157
○政府委員(小田部謙一君) 実はこの協定自体によりますと多分一九五一年、五二年、五三年度に非締約国から買つた分に抑えられるわけでございます。これは七条の一項にそういう規定がございます。ところがこれを日本はインドネシアとその他は台湾が必ずしも入るかどうかわかりませんものでしたから、そういうような国が若し非締約国になつた場合に、これに縛られては困るというので、非締約国からも相当買いたいということを主張しまして、これが第二項に入つておるわけでございます。「これを変更する特別な理由があると認める」ときはという規定があるのであります。そこで実は第一回の理事会が十二月の末にあつたわけでございます。それで日本はそのときはまだ砂糖協定を批准しておりませんでしたが、オブザーバーの資格で入りまして、日本に関してはインドネシアと日本との貿易関係が重要である。殊に現在の情勢は日本の砂糖の五一、五二、五三年は戦後の過渡期から必ずしも回復していないときであつてノーマルの情勢とは認めがたい。それから戦前において日本は多分十六万トン砂糖を輸入したことがあるわけでございます。そういうわけでございまして、日本におきましてはインドネシアからは戦前の統計をとりまして十五万トン買つていいということに取りあえずなつておるわけでございます。それで今、去年度は八千トンと申しましたが、今年になりましてもインドネシアから一万トンくらいずつオフアーがありますが、併しそれを合計いたしましてもこの一、二年の間には十五万トン以上先ずインドネシアが砂糖を日本にオフアーすることはないのじやないかと思われるのでございます。若し又この点おきまして必要がありますれば日本としてはもつと主張できるわけでございます。
#158
○杉原荒太君 日本では砂糖の精製したものを少しは輸出などもしているんですか。どうなんですか。
#159
○政府委員(小田部謙一君) これは農林当局から答えてもらつたらいいと思うのですが、殆んど輸出というのはないのじやないかと思います。微々たるものかと思います。統計などに現われて来るほどのものはないと思います。詳しくは農林省のほうから。
#160
○鶴見祐輔君 金額で八千万ドルから一億ドルくらいのものが今ざつと計算しますと入るわけですね。そうしますとこれは大変な外貨が流出するわけですが、これはあなたの受持じやないのですが、日本の国内で砂糖に代るようなものを何か手当なさつておるようなことがあるのでございますか。
#161
○説明員(東辻正夫君) それは実は農林省に北海道てん菜糖増産計画というのがございまして、これは去年の一月にてん菜生産振興臨時措置法というものができておるわけでございます。それによりまして二十八年度から先ず五カ年計画をやる。それから最後に五カ年が済んだあとで十カ年ということでございますが、そうなりますと試案としては三十万トンという数字が出ております。併し現実のやつを見てみますとまだ五、六万トン程度でございますが、一応計画としてはあるわけでございます。それで農林省といたしましては砂糖に対しましてこういうようなてん菜糖を一定の価格で買う補助をしておりますし、その他品質改良とかその他のために補助金を支出しております。
#162
○高良とみ君 年々砂糖の輸入量がふえて来ておるようですが、農林省に伺つたほうがわかるかも知れませんが、この増加はどのくらいまで行くお見通しでしようか。それから外貨を使つた砂糖を、もつと生産方面、或いは缶詰とか或いは食糧、果物の加工とか、そうした面に転化して輸出をするような方策については、通産省なり農林省なりで相当のあれを持つておられるのか、或いは輸入しただけは皆消費してしまうような方策でしようか。
#163
○説明員(東辻正夫君) 砂糖の消費量でわかり易いために一入当りの数字で申し上げますと、大体いつもとられております基準年次といいますか、ベースになる年次を大体戦前の昭和九年乃至十一年頃の平均をとつてみますと、一人当り大体十四キロぐらいの消費があつたわけでございます。一番最高はその二年ぐらい後で約十六キロというのがありますが、まあ大体十四キロぐらいが戦前の消費ベースであつたわけでございますが、戦後におきましては昭和二十一年度ぐらいは一人当りにしますと〇・二キロというくらいに減つて参つたわけでございます。最近の消費量を申上げますと、昭和二十六年が大体六キロぐらいになつております。それから二十七年が十キロということになりまして、二十八年度の消費は現在三月までの統計をとつておりますが、大体十二キロを若干上廻る程度の消費量になつておるんじやないかと思われます。それでこれだけの消費量でございますが、このほかになお水あめなりぶどう糖なり、そういつたような砂糖に代替し得る甘味量もあるわけでございますが、これは砂糖につきましては購買力がつけば相当消費が戦前にまで帰り得るだろうというまあ傾向を我々は見ておるわけでありますが、外貨の点その他の点からいいまして、先ほど経済局長からお話のありました通り大体昭和二十九年度におきましては約八十万程度の輸入量を見ておるわけでございます。こういたしますと大体二十八年が十二キロでございますが。八十万トンでほぼ二十七年程度の消費量は確保できるんじやないだろうかというふうに目下考えております。それからこれの輸出の関係でございますが、現在これは通産省のほうからお答え願つたほうがいいかと思いますが、砂糖を使つて輸出される商品といたしましては、例えばみかんの缶詰でございますとか、或いはその他の缶詰等も輸出の対策を立てておるわけでございますが、みかんなんかも今年随分英国あたりに相当輸出の引合がありまして出ておりまして、ただ価格の問題が、去年風水害等がありましてみかんが非常に不作であつたということで原料が割高になつているというような点が多少問題があるようでございますが、大いにこれは英国及び米国市場への開拓と言いますか、戦前の姿へ帰る計画で目下進んでおります。なおその他のものにつきましても、加工品等についてもできるだけ輸出の対策を講じておるわけでございます。なお砂糖それ自体の輸出といたしましては、先ほど経済局長からお答えがありました通り、まだ本格的な輸出というような数字まで上つておりませんけれども、朝鮮でありますとか、或いはその他南方地域でも最近若干輸出の見通しが付けられるような形になつておりますが、これも年間、例えば十万トンとか十五万トンとかいつたような数字までにはまだなかなか及ばないような状態でございまして、この砂糖の輸出につきましては、実は外貨の面も、その他の物資と同じように、加工貿易の外貨予算で出たものに対しましては、別途その裏打となる原料の外貨をつけるという制度で、砂糖につきしましてもそういつたような措置によつて輸出の振興を図つている次第でございます。
#164
○高良とみ君 そうしますと、今度のこの協定に入りますと、一定量を今までよりも少しは安く買えることになるのですか。どんなお見通しでしようか。
#165
○政府委員(小田部謙一君) この協定は前にも御説明いたしました通り、小麦協定とは異なりましてこの協定の締約国になつたからといつて安く買えるわけではないのでございます。ただこの協定ができますれば或る一定の限度以上は砂糖は上らないというような仕組にして行こうというのがこの協定の目的でございます。
#166
○杉原荒太君 国民の一人当りの平均の砂糖消費量は極く最近のがここに出ておるわけですが、これじや日本はよその国に比べて非常に低いほうですね、ここに出ておるのは。戦前はどうなんですか。よその国との比較においてはこういうふうな大体の率だつたのですか。もつとうんと違つておつたのですか。
#167
○説明員(東辻正夫君) 外務省から出ております資料によりますと、一九五二年乃至五三年のあれが出ておりますが、私どものほうでこれは公認されました報告ではございませんので若干或いは違うかと思いますが、一九三七年乃至三八年くらいの統計ができておりますが、それによりますと、日本が大体十一キロくらい消費するときに、例えばスイスあたりで四十二キロ、英国で五十キロ、米国で四十三キロといつたような消費のあれが出ております。
#168
○杉原荒太君 大体同じですね。
#169
○高良とみ君 この資料は多くFAOから出ているようですが、この開催された国際砂糖協定をお世話した国連関係の機関というのは、国際食糧機関がやつたのですか、それとも経済機構がやつたのですか。FAOとこの砂糖協定の関係はどういうふうになつていますか。
#170
○政府委員(小田部謙一君) これは砂糖理事会、砂糖協定というのはまだ本当に動いておりませんので、今後は恐らく砂糖理事会が中心になりまして、この協定にもございます通り、各国はいろいろ砂糖に関する情報を提出することになつておりますから、提出してできることになると思いますが、まだ本当にワークしたばかりで、始めているというかまだいないという調子でございますので、一番私どもアヴエイラブルだと思われたFAOの統計をここにとつたわけでございます。
#171
○高良とみ君 この会議の世話をしておられるのもFAOですか。
#172
○政府委員(小田部謙一君) 違います。今度新らしくできるわけでございますからFAOと違います。
#173
○高良とみ君 そして国連との関係は直接に結び合うのですか、全然ないのですか。
#174
○政府委員(小田部謙一君) これは国連の主催の下に行われたわけでございます。それでございますから関係があると思います。それから殊に、一番最後のほうに書いてありますが、若し国連において三十九条に書いてございますが、「この協定の規定が政府間の商品協定に関し国際連合が自ら又はその適当な機関及び専門機関を通じて定める原則と著しくてい触すると理事会が認めるときは、」云々と書いてございますが、国際連合がこういうことを始めるということも期待いたしておるわけでございます。最初は国際連合の主催で行われましたけれども、現在におきましては国際連合とは違つた存在となつていると思います。
#175
○杉原荒太君 この協定全体を見て感ずるのは、余りいろいろのことを固く縛るということは事実できもせんし、又実際にできんというようなところから、かなりゆるやかになつておると思うのだが、一面からすると、それだけにこの目的とするところが果して一体この協定で達成せられるだろうかという私は感じをすぐ持つんたが、それから更に、普通だつたら、これを本当に目的を達成しようとすれば、条約自体でも相当縛るところは縛り、かたがたそれを国内法的に、ちやんと法的にも縛るような措置まで相当はつきりせんことには、この目的の実現ということは非常にむずかしいだろうと思います。これはまだ実際上はしていないからこれは想像するよりほかないのだけれども、極くざつと言つて、一体目的が達成される、その辺の見込と言いますか率直に言つた感じはどうなんですか。
#176
○政府委員(小田部謙一君) 実はその点に関しましては、これをきつく縛るとこの協定はできないということは過去の砂糖協定の歴史に鑑みて非常に明らかでございますし、各国がおのおの勝手なことを相当主張したわけでございます。小麦の場合ですと主食でございますから相当の問題がございますが、例えば日本みたいな国は相当の輸入国の地位を占めておるわけでございますが、小麦の場合とは大分態度も違つておるということでございます。それからこの協定をいたしまして最も目的が達成せられる方法は、生産制限を生産国が果してやるかやらないかということが問題でございますが、その点に関しましてもこの協定は非常にルーズでございまして、何条かにございますが、一定の生産制限はするということは書いてありますが、それでも自己の消費のためなら生産をふやしてもいいわけなんでございます。必ずしも縛られていないわけなんで、在庫量と輸出に関してはこの協定に入つておる国は一定の制限をされますが、自国で消費するからということで、という理由だつたら生産制限をしなくても、却つてふやすということもできるわけでありますが、その点から言いますと、相当これから先どういうふうに動いて行くものか、果して所期の目的を達成できるかどうかということについては議論がないわけでもないと思うわけでございます。併しこの点に関しましては、こういう国際的な経済協定というものは、例えばガツトの第一条、二条は最恵国待遇の分は別でございますが、その他の第二条以下にある厖大な規定というものは殆んど道徳的の規定になつておりまして、ただガツトというものがあれば幾らか憲章の精神に違うとか違わないとかいう議論ができるわけで、こういう協定ができますれば幾分生産国もまさかそんなあみ目を逃れて行くわけもないし、現にキユーバなんかの例をとつてみましても、この協定の発効の今年におきましては相当生産制限をする気持があるらしく窺われますので、結局は、極く平たく言えばないよりはあるほうがいいのじやないか。それは少し極端な言い方ですが、それから先は動いてみないとどうもちよつとはつきりしたことは言えないのじやないかと思われるのであります。
#177
○杉原荒太君 もう一つ。砂糖の消費国として又輸入国としてもアメリカというのは非常に重要な要素だろうと思うが、このアメリカの国内消費に充てるための砂糖の輸出に対しては、この協定の適用を除外するという規定がありますね。この規定の特に設けられた事情というものをちよつと説明してもらいたいと思います。
#178
○政府委員(小田部謙一君) アメリカには一九三四年シユガー・アクトというのがございます。このシユガー・アクトに基きますと、毎年大体アメリカは八百万トンの砂糖を消費することになつておりまして、毎年十二月に次の暦年度の需要量を算定することになつております。一九五三年の需要量は七百八十万トンということになつております。今年の需要量は恐らくもう決定されたと思いますが、まだ情報が来ておりません。まあとにかく八百万トン程度は消費すると考えております。これに基きますと、アメリカは米国本土とハワイとそれからプエルト・リコとヴアージン・アイランドとフイリピンから、合計しまして五百四十二万六千トンの砂糖を八百万トンのうちに輸入するということにきまつております。それから残りが出ますから、残りが出まじたうちの九六%はキユーバから買うということになつております。キユーバからはどんなに少くとも二百二十一万六千トン以上は買うということになつております。
 この協定との関係でございますが、実はアメリカが買う砂糖というものの値段は一ポンドについて約五セント以上になつておるのでございます。これは最低と最高が三セント幾らから四セント幾らまでというふうにこの協定に載つておりますが、実はアメリカの買います砂糖の値段のほうが高いわけでございまして、ニューヨーク市場においてもこの協定の値段は四号約定というのが基準になつておりますが、これは六号約定になつております。これはアメリカのみならず英国の場合も同じでありますが、五セント以上高い値段で買つている。これはアメリカのキユーバとかフイリピンとかに対する一部分はアメリカの投資家の保護でもあるし、又一部分はそういう国に対する利益でもあるかと思いますが、アメリカは高い値段で買つているという事実があるわけでございます。それでございますから、アメリカがこの協定の国に入つてこの協定通りの条文を受けますると、アメリカが買うほうは確かに買うほうとしては下るかも知れませんが、その他との利益関係もあるし、砂糖協定自体が、例えばキユーバとかフイリピンなどは高く買われるものが、砂糖協定ができたために安い価格で買われるということになると、非常に損をする結果となることとなりますと、又アメリカはキユーバ等の砂糖について補助政策を続けて行くために、アメリカは協定国ではあるけれども自己の輸入する分もこの協定から除くということになつておるわけでございます。
#179
○高良とみ君 この輸入する砂糖の値段とそれからこれは農林省でしようか、市販になつて来る砂糖の値段との比較ですね。これは大分最近問題になつて来ていましたし、今までは業者がつり上げたりいろいろなマニピユレイシヨンが行われていると思うのですが、これはまあ本協定には関係がないことですけれども、農林省関係においては国民の消費する砂糖の値段を今後どういうふうにして行かれる方針なんでしようか。それが一つ。
 それから世界各国が相当たくさんの砂糖を消費しますけれども、日本のように貧乏な国で、而も外貨で輸入したものをその間に非常なもうけをつけて高い砂糖が家庭に供給されるということについては、それが体位の上にも余り好ましくないという点で、外貨を使う以上はよほど考慮して安くて余り分量を多くせずに、そして健全な食生活の確保をしてもらいたいと思うのですが、その点どういう御方針でしようか。
#180
○説明員(東辻正夫君) 最初の点でございますが、輸入価格とそれから現在国内の市価との開きがありますことはお話の通りでございます。と申しますのは、砂糖の輸入が自由に行われまして、需要と供給の関係が或る程度バランスのとれるといつたような形で貿易ができます際には、例えばニューヨーク相場が相当変動する場合におきましては、一方国内の相場もそれに多少の時間的なズレはありましても、大体それに見合つて変動するということになろうかと思いますが、現在為替管理を行なつております関係で、先ほど申上げましたように、砂糖の需要は非常に潜在的には旺盛でございまして、これに対しまして一応八十万なり九十万なりという輸入量が制限いたされますと、砂糖の代替品の消費がそれにすぐとつて代るというわけにも参りませんので、砂糖自体の価格が国際価格を遊離いたして上昇いたしますので、この価格差ができるだけ開かないように、而も輸入価格で国民にそのままの価格で配給したらどうかという御意見はしばしば私たちも研究し、又そういう御意見もあるわけでございますが、まあ現在のところ、輸入につきまして外貨の割当等を統制をいたしておりますが、国内に入りましてから全く自由な取引に任されております関係上、その各流通段階に応じまして、例えばマル公をきめるとか、極端な場合をとりますと切符制によつて確保するというような措置でもとらない限り、どうしてもそこらの点はこれを確実に安定した価格で国民の消費に供するということは非常に困難な問題ではなかろうかと考えておるわけでございます。ただそれにいたしましても、価格が非常に変動いたしますことは、これを直接消費する家庭消費でも、又一方これを原料といたしましていろいろな物品を製造いたしております人々にとりましても、非常に企業の計画性或いは国民の食生活にも影響がございますので、そういつたような価格の変動をできるだけ少くしたいということで、まま関係省とも連絡をとつて検討いたしておりますが、それには大体私どもの考えといたしましては仮に八十万なら八十万という数量でありますれば、これをできるだけ計画的に入れて、そしていろいろな需要者の思惑をなくして行く、こういつたような考え方で、供給自体をできるだけ時期的にも又数量的にも円滑に輸入するということによつて、そういつたような価格変動は是正できるんじやないか、かように考えておるわけであります。
 それから一方安い砂糖が入つておるにかかわらず、高く売つているという後半の問題でございますが、これはそういつたような価格差を利用しているというと非常に語弊がございますが、どうしても要りようなものを入れる代り、価格が国内で高く売られておるわけでございますので、一方又ほかの商品でどうしても輸出したいという商品について、なかなか輸出が思うように行かんというような場合におきましては、これは通産省のほうでおやりになつておるわけでございますが、砂糖と或る程度リンクするというようなやり方も考えておるわけでございますが、これは一応止むを得ない措置じやなかろうかというふうに思つておるわけでございます。
#181
○杉原荒太君 この協定に言う中国というのは国民政府のことですか。
#182
○説明員(東辻正夫君) そうでございます。
#183
○杉原荒太君 これはこれに入るとき別にこれは実際去年ですか、ロンドンで会議をやつたときも国民政府の代表が出たのだろうと思うのですが、そういうとき何かそれに関連してどうこうという問題は何もなかつたですか。
#184
○政府委員(小田部謙一君) 実は国際連合の主催で、音頭取りでやつたものですから、国民政府が入つたのでございますが、そのためにソ連とか、ソ連圏の国は一応この署名の際に留保いたしております。それからこれは英国の場合は「この協定に署名するに当り、私は、連合王国政府が、中国国民党政府を中国の権限のある政府として承認しないので、国民党中国の代表者によるこの協定の署名を中国のための有効な署名と認めないことを宣言する。」と英国はやつておりますし、その他ソ連並びにソ連圏、ポーランドとかチエコとかいう国はおのおのこの協定の署名の際にそれを留保いたしております。
#185
○杉原荒太君 もう一つお尋ねしておきたいのですが、この協定によつてともかく日本は義務を負担するわけだが、その義務を履行するについて別に改めて立法措置をとる必要というものは全然ないのですか。
#186
○政府委員(小田部謙一君) この義務が非締約国から或る程度以上に入れないという義務でございまして、これはインドネシアに関して、ペルーに関しては、日本は或る程度の便宜を与えられた。その他は義務としては余り補助的な政策をとらないとか、それからこれは第五条でございますが、不相応な負担を軽減するという道徳的の義務を背負つておる。こういうことでございまして、その他義務としてはございませんので、立法的な措置というものは必要はないと思います。
#187
○高良とみ君 先ほどの農林省の砂糖の輸入してから後のことでありますが、この輸入の外貨を得るために精製の精製機をたくさん持つている、その精製機の数に従つて外貨を割当てるというようなことがあつたやに聞いたのであります。この間うち大変やかましかつた砂糖のつり上げ、及びそれの裏にあるスキヤンダルについては、農林委員会でも随分問題になつたと存じますが、それは今後はどういうふうな方針なんですか。輸出し得るみかんの缶詰とか、その他の輸出するところには裏付けとして外貨を割当てるということはわかりますが、精製機械の数によつて外貨を割当てるというような方針をとつている。これは通産省の問題でしようが、御存知でしたらお答え下さい。
#188
○説明員(東辻正夫君) 外貨を割当てる形式的な権限は通産省でございますが、便宜私からお答えいたしますが、お話のように精製の設備能力に応じて外貨を割当てておつたということは事実でございまして、先ほど申上げました輸出のものは輸入の外貨をつけると申上げましたのは、これは加工貿易という一つの輸出促進のための制度によつてそういう措置をとつているわけでございますが、一般的なものといたしましては普通の輸入外貨の手続をとるわけでございます。輸入の外貨の手続といたしまして御承知のように、輸入業者に割当てるものと、それから需要者に割当てるものとがございますが、砂糖につきましては一応製糖工場に一定の基準によつて割当てるというのが大部分であつたわけでございます。これはよりましていろいろな例えば需要者団体にも割当ててもらいたいというような御意見なり、或いは先ほどの御指摘のように各消費者に安いものを確保する方法を考えたらどうかというような御意見もありまして、現在私どものところで事務的にも又いろいろな政策の面からいたしましても検討はいたしておりますが、大体統制中にいろいろな配給技術といつたような点からいたしまして、すべて製糖の形で当時配給統制をやつたわけであります。なおその以前の戦前は、現在の輸入と違いまして台湾がございまして、台湾で大体日本の国民が消費する形体の砂糖に作り上げまして、主としてその形で入つて来たわけでございます。たた現在は台湾もなくなつてしまつたものでございますから、いわゆる粗糖を入れておりますが、この粗糖は従来台湾から入つておりましたとは相当質が違いまして、一面これは衛生的にもできれば加工して消費したほうが望ましいというような御意見もありますし、まあそういつたような配給統制時代に白で消費させたというようなことも合せまして、二応精糖工場に外貨を割当てたわけでございます。でその基準といたしましては、できるだけ各工場間に公平な割当ができるようにということで、客観的な基準といたしまして精製能力、設備能力というものをとつたわけでございますが、これについていろいろな批判もございますのですが、大体その比率を落しまして、今大体能力は四割程度見ておりますが、なおこれは漸次下げて行きたいというふうに考えております。なお又精糖工場の割当だけにいたしませんで、先般実施したわけでございますが、製糖工場以外の輸入業者割当というのも、その後だんだんふえて参つているような実情でございます。
#189
○高良とみ君 先日のように砂糖が急に上つて来た場合は、政府としてはキユーバ糖かなんかを急に入れて、それで砂糖の値段を抑えたというようなことは、これはつまり輸入の時期の問題ですが、今度の協定ではどの時期に買つても、それについてはまあ少しも縛られない、それから或いは年度末まで持つて来て、その次の理事会に行つたときに又もう一遍調節するというふうなそういう自由はあるのですか。
#190
○政府委員(小田部謙一君) この協定に入りました輸入国はそういつた何らの制限的な義務はございませんから、いつでも買える、翌年でもいつでも必要に応じて買える、市場値段で買えるということになつております。
#191
○高良とみ君 それから資料のことですが、たしか外貨割当の全般的な資料を御要求してあつたと存じますが、今日御配付の中にないのですか。
#192
○政府委員(小田部謙一君) この点は今年は外貨の割当が全般的に極く減つておりますために、或いは騰貴を招くとかその他の事情がございまして、大きく原料とか食糧とかいうふうには分けてございますが、外貨を細かくどこの国からどのくらいということは、これは発表しないことになつておりますので、若し漠然たるものでしたら御説明いたしますが、資料としてはちよつと差控えたいと思います。
#193
○高良とみ君 この外貨の割当が非常に面倒になつていることは了承しておりますが、それを今までわかつたところだけで結構ですけれども、まあ後の参考のために資料としてお出し願えれば、種類別だけでも、大体のわくでもおきまりになりましたら、資料で頂ければ、御説明頂くよりも欠席のかたにも参考になるかと存じますが、如何でございましようか。
#194
○政府委員(小田部謙一君) 若しはつきりきまりまして発表していい程度でございましたら資料としてお出しいたします。
#195
○高良とみ君 伺いたい理由は、やはり国民生活の面でどういうところにどういうふうな外貨を使つているかということを成るべく……、まあ問題がなかなか面倒でしようけれども、きまつたところを知り、殊に食糧のようなもの、砂糖のようなものについては、一定の考えを持つて、消費者の面にも理解を与えておきたいと思うものですからお願いいたします。
#196
○委員長(佐藤尚武君) それでは本日は大体質疑も尽きたようでございますからして、これで本日の委員会は散会いたします。
   午後三時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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