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1953/04/19 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第24号
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1953/04/19 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第24号

#1
第019回国会 外務委員会 第24号
昭和二十九年四月十九日(月曜日)
   午前十時四十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           團  伊能君
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
   委員
           西郷吉之助君
           杉原 荒太君
           梶原 茂嘉君
           高良 とみ君
           羽生 三七君
           鶴見 祐輔君
  国務大臣
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   外務省欧米局長 土屋  隼君
   外務省条約局長 下田 武三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       神田襄太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
 互防衛援助協定の批准について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
○農産物の購入に関する日本国とアメ
 リカ合衆国との間の協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○経済的措置に関する日本国とアメリ
 カ合衆国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○投資の保証に関する日本国とアメリ
 カ合衆国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣払出、衆
 議院送付)
○連合委員会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) これより外務委員会を開会いたします。
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の保証に関する日本何とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。前回に引続いて外務大臣に対する総括質問を行います。
#3
○羽生三七君 先日の新聞によりますとMSAの協定の成立しない前に、輸入外貨の割当四千二百万ドルが国会の批准前の暫定措置として行われたようでありますが、その後引続いて一昨日の新聞を見ますと、すでにMSAの小麦の第一回の入札が行われているというふうに報ぜられておるのでありますが、最初の四千二百万ドルの外貨割当については、場合によつてはこれは他の項目に振当てることもできるからというような通産大臣の弁明もあつたようですが、更に引続いて今申上げたようにこの小麦の入札が行われておるということは、今本協定を国会で審議しておる最中にかなり愚弄した話だと思うのですが、これはどういうことでありますか
#4
○国務大臣(岡崎勝男君) これはこの協定に伴つて提出してありまする交換公文があります。農産物購入に関する日本国とアメリカの間の交換公文であります。これは農産物購入に関する協定に附属して交換公文を提出してあります。この交換公文を御覧になるとわかりますように、第一には行政府としての権限内の範囲で暫定的の措置をとる、それからその次はドルの支出を要求する云々とありますが、更に若しこの協定が効力を生じない場合には暫定措置による購入は通常の商業上の手続によつて行われたものとみなすということになつておりまして、農産物の購入は食料計画から言いましていずれにしても必要なのであつて、これを通常のドルで買うか或いは協定に基いて円で買うかというだけであります。いずれにしても輸入しなければならんことでありますので、この交換公文によつて協定が承認されない場合にはドルで買うほうに切替える、こういうことで手続を進めております。
#5
○羽生三七君 効力が発生するまでの暫定措置というのは、つまりこれが正式に国会の承認を経るまでの間ということでなしに、国会の承認を経てから更に相手側にこれを通告する間の画定措置というのか、国会で審議中の間の暫定措置というのか、どちらでありますか。
#6
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと今お話の点はつきりしないのですが。
#7
○羽生三七君 もう一度繰返しますが、国会で現にMSAを審議しておる期間においてもそれについて暫定措置というのか、国会の批准が成立してそれを相手国に通告するまでに若干の期間がありますが、その期間を暫定期間とみなすのでありますか。
#8
○国務大臣(岡崎勝男君) これは署名してから効力の発出するまで、その間を暫定期間というのです。
#9
○羽生三七君 只今審議中の場合、若しこれが成立しない場合には通常の輸入小麦として振当てるから別に差支えない。こういうことですか。
#10
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りです。
#11
○佐多忠隆君 MSA協定を締結する日米交渉、これは非常に長期間に互つておやりになつたと思うのですが、いわゆる去年六月三十日でしたか日本政府から正式交渉の開始を申出られて、調印ができたのは本年の三月八日、従つて御説明にもありますように、八カ月以上かかつたように思われるのですが、こんなに長くこういう交渉に期間をとつた例が外国にあるのかどうか。もつと短い、二、三週間或いは長くとも二、三カ月くらいで締結をしたのじやないかと思うのですが、それら諸外国の例はどうなつていたのかということと、若し諸外国にそういうふうな長引いた例が余りなかつたとすれば、日本で特に長引いたのはどういう理由があつてこういうふうに長引いたのか、その辺のいきさつを少し詳しく御説明願いたい。
#12
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本は日本としていろいろ考慮する点がありますから必ずしも諸外国の例と一緒にはならんと思いますが、諸外国の中にも約二年かかつた例もありますし、一年程度かかつた例もあります。又早くできた例もあり必ずしも一致しておりません。
#13
○佐多忠隆君 二年かかつた例というのはスペインの場合を指しておられるのじやないかと思いますが、これはいろいろな特別の事情があつたと思いますが、それ以外に一年かかつたとかそれ近くかかつたとか、そういう例があるのですか、どこの場合。
#14
○政府委員(土屋隼君) スペインの例は只今のように例外だとおつしやいますのでほかの例で申上げますが、西欧の例は大体四カ月乃至五カ月前後のものが多いのであります。大臣が只今申されました一年間の例は、ちよつと私も大臣に申上げたのでありますが、例としてここに持つておりませんから後ほど調べまして御報告いたします。
#15
○佐多忠隆君 そうすると、大体長くて四、五カ月じやなかつたかと思いますが、そういう意味では日本のは長くかかつた、従つてそれはいろいろむずかしい問題がたくさんあつたことを意味するのじやないかと思いますが、そこでそういう長くかかつた、諸外国に例を見ないくらいに長くかかつた理由がどこにあるのか、その点を少し御説明を願いたいと思います。
#16
○国務大臣(岡崎勝男君) これはほかの国も受けているのだから同じことで何もないという見方もありますか、日本における特殊の憲法の建前もありますので、先ず第一には念には念を入れていろいろな角度から調べたわけです。これは見方によつては不必要な念の入れ力だと言われるかも知れませんが、非常にいわば何と言いますかばか念をしていろいろな点を調べていたのでこれはかなり時間がとれたのと、それから途中に農産物購入の問題が出て来たものですから。今までのほかの国にはこの例はなかつたのであります。これが一つ入つて来た。それからもう一つは、顧問団の人数だとか費用の問題でこれはできるだけ少くするためにいろいろな角度から実際どういうふうに必要か、又どれだけ減らし得る見込があるか等についていろいろ検討したわけであります。その他は普通のよその国と同じようで、例えば域外買付がどうなるだろうとかいろいろな問題がありますが、主として長くかかつた特別の理由はそういうことです。
#17
○佐多忠隆君 そうすると、今の御説明から推察すると、一つは日本の特殊な事情として特殊な憲法を持つておるので、軍事援助と憲法との調整の出題でいろいろ考慮され検討された点が一つと、もう一つは今の域外買付或いは小麦協定等々に関連した経済的利益といいますか、そういうもの、軍事援助との関係、そういうもの、もう一つは軍事顧問団等々というようなもの、更に日本の防衛力増強の日本自体の計画、更には長期計画、そういうものもなかなかきまつていない。それらに対する調整の問題でも相当議論が長びいたのだ、大体そういうように了解していいのですか。
#18
○国務大臣(岡崎勝男君) つまりほかの国でも同様の事情はあつたものは除いて、日本だけに特に期間がかかつた理由としては、今申した通り憲法上差支えないとは思うけれども、念のためにいろいろな点を特に調べた、それから農産物の購入という新しい問題が日本の場合には加つておつた、それから第三は顧問団、そういうわけであります。
#19
○佐多忠隆君 その交渉をやられるときの議事録というようなものは正式のものがあるのかどうか。それからそういう議事録があるとすれば交渉が済んだのちは御発表になる用意があるのかどうか。その点を一応。
#20
○国務大臣(岡崎勝男君) 議事録は、メモは恐らく係官でもとつておるではありましようけれども、議事録としたものはとつておりません。
#21
○佐多忠隆君 それは諸外国の場合もそういう例になつているのですか。
#22
○国務大臣(岡崎勝男君) 諸外国の例を私ははつきりどれもこれも知つておるわけじやありませんが、議事録として発表されたものはないと思つております。
#23
○佐多忠隆君 今の御説明で交渉が特に相当長引いた理由の一つには経済援助の問題があつたのじやないかと推測するのですが、その経済援助は一体どうなつたのか、厳密にいう経済援助なるものはどうなつたのか、一九五三、四年度はこれはもうあの計画から、そうしてそれを裏付ける予算からあり得ないことははつきりしておつたのですが、その点を以前から問題にしていたのに、それはあり得るかのようないろいろな御説明もあつたが、今度きまつたのによるとあり得ないことは明白になつたと思うのですが、更に一九五四、五年度にもどうも向うで予定をしているいろいろな計画から見るとないことがはつきりしているように思うのですが、この点は外務大臣としてはどういうふうに見通しておられるのか。更にこれはアメリカ側の計画の中にはないことが、方針の岡垣としても、実際の数字の問題としても明瞭であるように思いますが、それにもかかわらず外務大臣はこれまでの質疑応答では経済援助を新たに受ける努力をするのだということを言つておられるが、そういう見込があつてそういうことを言つておられるのか、別に大した見込もなくてただ単に漠然とした希望として言つておられるのか、その辺の事情を。
#24
○国務大臣(岡崎勝男君) 経済援助、佐多君のおつしやるのは具体的に何を言われるのか皆まあよく経済援助、経済援助と言つておられますが、はつきり何を希望するんだということでないとお答えがしにくいのですが、この本協定の附属書のAを御覧になりますと、これはまあこちら側だけですが、「日本国政府の代表者は、アメリカ合衆国政府が日本国の防衛生産の諸工業の資金調達を援助するよう考慮をするならば、日本国の防衛能力の発展は著しく容易になるべきことを述べた。」それから「アメリカ合衆国による日本国内における調達を容易にするため、」同時この附属書Aに一応のことは書いてありますが、これはまあ勿論交渉してみなければわからんことでありまするが、希望としては日本の今の経済状況から言つたら、あつたほうがいいと私は思うのですけれども、できるだけ努力はいたしてみます。
#25
○佐多忠隆君 経済援助がどういう内容のものであるかどうかはつきりわからないのでというようなことの御答弁ですが、MSAによる経済援助というようなものは非常に明瞭に限定されていると思うのですが、これはMSA協定の外務省からお出しになつた解説の中にも、その十一頁に、「経済技術援助、この援助はさらに相互防衛金融、防衛支持援助、経済技術援助、技術援助その他に分けられる。相互防衛金融はイギリスの航空機生産、フランスの火砲、弾薬、半自動兵器、などに対する援助であり、防衛支持援助は、そのように特定の軍需生産と結びついた援助でなくて、全般的防衛力増強のためにその国の予算が不均衡に陥らぬように考慮した援助である。経済技術援助やあるいはポイント・フォア計画による援助である技術援助は、何れも後進地の産業振興あるいは開発に対する援助である。その他近東、アフリカ、インド、パキスタン向けの資源開発のための特別経済援助や『基礎資料計画』にもとづく援助もある。」というような説明がなされていて、非常に経済援助或いは経済技術援助なるものははつきり限定をされていると思うのです。更にアメリカの相互安全保障文出承認法による各年度のMSA計画についても、軍事援助、経済技術援助等々、明瞭に特掲されていて、そういうものとしてはつきり出ているのですが、そういうこの特掲された経済技術援助なるものは一九五三年、四年のMSA計画には全然ない、アジア、太平洋地域に関してはないし、今度の計画でも恐らくないんじやないかと思うのですが、そういう意味で厳密な意味における経済技術援助なるものはないのじやないか。それにもかかわらずその点をあいまいにして今外務大臣のおつしやるような説明で、経済的利益を伴う援助もあり得るのだとか、それに努力するんたとかというような御答弁をなさつておられる。そういうあいまいな問題としてでなくつて、厳密な意味における経済技術援助、これがどうなるのかということをもう少し明瞭に御説明を願いたい。
#26
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の言うのは、だから今読み上げられたようにいろいろな種類のものがありますから、佐多君としてはこの中のどれを得たらいいかということを質問されれば、それは得られるか得られないかということをお答えがしやすいというのです。具体的に例えば航空機生産に援助が要るのか、弾薬を作るのに要るのか或いはそのどれに要るのだ、どれをもらつて来たら日本に有利なんだけれどもそれはできるかできないかという御質問であるともつと具体的にお答えができる、こういうことです。
#27
○佐多忠隆君 それならば相互防衛金融、経済技術援助の中の相互防衛金融なるものは得られるのかどうか。
#28
○国務大臣(岡崎勝男君) これは附属書のAを今読み上げましたが、アメリカ合衆国政府が日本の防衛生産の諸工業の資金調進を援助するように考慮するならば、日本の防衛能力は著しく発展する、こういうふうに述べて、向うもとにかく附属書にこういう日本側の言うことを述べることについては同意をいたしておるのでありますからして、こういう相互防衛金融というものが全然見込がないということはありません。これからのやり方にもよりましようが、この附属書Aを御覧下さればその点はわかると思います。
#29
○佐多忠隆君 ここでいう防衛生産の諸工業の資金調達を援助するというのは、この点に関連してと言つているのであつて、前の域外調達に関連をして諸工業の資金調進を援助するとかいう問題じやないかと思うのですが、MSAに言う相互防衛金融というのはそういう間接的なものでなくて、直接にそれらの産業に経済援助をやる、金融援助をやるという問題なので、これとはおのずから別問題だと思うのですが、その点はどうなんですか。
#30
○国務大臣(岡崎勝男君) いずれにしてもこれは日本の防衛生産の諸工業であつて、どういう形か、まあ違うか違わないかは別問題としてそれに資金が必要ということになれば、これらの諸工業が発展することは間違いないと思います。
#31
○佐多忠隆君 その点は別問題でなくて、結果は成るほどどういうところからそれらの諸工業が資金調速を援助されようとも、それが維持育成されることに結果において同じですが、ただ建前としてMSA援助の厳密な意味における経済技術援助の中の相互防衛金融という形のものはないのじやないか。その点ははつきり区別して説明して頂かないと、それをあいまいにして説明をされるから、前から経済援助があるかのことくないかのことく非常に問題をあいまいにされている結果になつていると思う。その点はどうですか。
#32
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はこれは同じものだと思います。
#33
○佐多忠隆君 いや、それならばMSA援助計画の保障支出承認法による計画にちやんと特掲されたものであるはずなんですね。ところがそれには五三年度も特掲をされていないし、これからお聞きしようとしている五四年度計画にも何ら出ておらない、それとは別な問題として城外調達の問題があり或いは小麦援助の問題がある。それからの資金調達援助に過ぎないのであります。その点の区別はお考えにならないのかどうか。
#34
○国務大臣(岡崎勝男君) これは又向うの予算の内部でも一部は動かせる点もあると思つております。
#35
○佐多忠隆君 どういうふうに動かせるか。具体的に五三年、五四年のMSA計画にもそういうものがあるのかどうか。具体的に一つその計画ははつきり出ておるわけですからそれを御説明願いたい。
#36
○国務大臣(岡崎勝男君) 例えば一〇%の範囲内では費目の流用等も考えられるが、予算に出ていなくても考えられる場合があり得ると思つております。
#37
○佐多忠隆君 どれとどれとを流用するのか。
#38
○国務大臣(岡崎勝男君) どれとどれとを流用するか、これはアメリカ側のきめることである、まだ交渉ができているわけではないから、具体的には述べられませんが、そういう場合もあり得るということを言つているのです。
#39
○佐多忠隆君 いや流用の可能性はその計画でどことどことを流用するという厳密な規定があつたと思うのですが、だからそれはおのずからはつきりしておる。アメリカ側が勝手に適当に流用するのじやなくて、そこを厳密に、正確に御説明願いたい。
#40
○国務大臣(岡崎勝男君) 厳密にと言つたつて、これはアメリカ側がきめることですから、私が厳密に述べることはできません。全体御質問の趣旨はどこにあるのか、それは要するに、政府が経済援助をできるようなことを言いながら、実際はできないのじやないかということをあなたおつしやりたいのじやないか。私のほうから言うと、どういう形式であつても、経済的に寄与するものがあればいいのであつて、あなたが言われるような、経済援助という特定のものを政府は必ずとつてみせるということを誰にも言つたことはないのです。これは防衛に関する援助であつて、それに伴つて経済上の寄与があればなお結構であるから、これは受ける余地がますます出て来るということを申しているのであつて、その意味では経済的の援助は多少ではあるし、これはあなたのおつしやるような、はつきり定義のある経済技術援助でなくても我々は差支えない。
#41
○佐多忠隆君 だからそこをはつきりしておいて頂きたいというのです。そこをいつもあいまいにされるから、たた単にそれに関連して、経済的な利益があるという問題としてお考えになつているのか、そうでなくして、MSAに厳密に言う経済技術援助なるものをとり得るというふうにお考えになつているのか。私たちは前から非常にやかましく言つているのは、そういうものはこのMSAの計画から見ればあり行ないのじやないか。来年度もあり得ないのじやないか。そこは一つはつきりして頂きたい。

#42
○国務大臣(岡崎勝男君) それは将来のことだからわかりません。併し我々は努力しようと思つておる。
#43
○佐多忠隆君 いや、将来のことであり或いは努力しようと思われても、アメリカ側が発表しておるいろいろなMSA援助の運営の方針なり、或いは更に具体的に従来から示されているものから見れば、厳密な意味におけるそういうものがあり得ないことは余りにもはつきりしておるのです。それにもかかわらず希望としては努力しよう、それをやるのだとか、或いは結果として経済的な利益があるから経済援助じやないかとか、そういうあいまいな御答弁じや我々は納得ができない。
#44
○国務大臣(岡崎勝男君) どうも困りましたな。とにかくその資金の特別使用ということは、例えば五百十三条の
 というところに書いてあつて、大統領は資金のうちのテン・パーセントを超えない額は、流用前にその資金を使用することができた種類の援助を他の地域に対して供与するために使うことができる、こうなつておつて、それが新らしい五十三年のでは、七百十条ですかに又請つてあります。併しこれはただそういうことができるということだけで筋道が立つておるが、それがその通りになるかどうか、これはわかりませんが、成るべくそういうこともいたして行きたいと思つておる。併し我我の言いたいことは、日本の防御に役立つということが主眼であつて、それに加えて如何なる種類でも、経済的な利益が更にあればということを常に言つておるので、別にあなたのおつしやるような、いわゆる経済技術援助をとつてみせると言つて、たんかを切つたことはない。
#45
○佐多忠隆君 そうすると大体五百十三条のこういう利用可能の規定があるから、これによつて希望としてはとりたいと思つているのだということだけで、その後各年度の、今年度も、特に運営の方針或いは方針に基く運営の金額の計画等々から見れば、それは絶対にできる話ではないように思うのですが、ただそれにもかかわらず、希望としてそういうものを持つておるというたけだ、というふうに了解していいですか。
#46
○国務大臣(岡崎勝男君) 佐多君は経済技術援助であればMSAは是非受けよと、こういうふうにおつしやるのですか。
#47
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はできるだけ佐多君の御希望に副うようにいたすつもりですが。
#48
○佐多忠隆君 それじやその点は、どうもあいまいでわからんということにして、次に進みますが、経済安定が防衛力増強の先決条件だというふうに日本側からの要望もあつたと思うのですが、それに対して必須条件だとか不可欠の条件だとかいうような答えになつており、協定にもそういうふうに書かれておると思うのですが、その間には何ら相違はないんだというふうにお考えになるのか、若干の考え方、気持の違いがあるとお考えになつているのか、その辺はどうですか。
#49
○国務大臣(岡崎勝男君) これは実質的には変りはないと思います。
#50
○佐多忠隆君 実質的には変りはないと。じやここで言うよく経済安定、経済安定と言う、害しない限りということが言われておるのですが、その場合における経済安定ということは、内容的にどういうことを、意味しているのか。現在の状態では経済安定がむしろ保たれていないと私たちは考えておるのですが、その辺はどういうふうにお考えになつておりますか。
#51
○国務大臣(岡崎勝男君) これはつまりほかの原因で、例えば国内の消費が非常に高まつてしまつて、輸出が振わないから経済が安定しないとか、或いは資本が非常に足りないので経済が安定しないとか、そういう一般的な経済の安定問題をここでは言つているのではなくて、つまり防衛力増強をすることによつて経済の安定を害するというようなことはない、しちやいかん、こういうことを言つておるのです。ほかの理由で経済の安定が日本においてできているかいないか、これはこの協定の趣旨とは別問題だと思います。
#52
○佐多忠隆君 そうすると、防衛力増強によつて特に国際収支の問題がどうなるかというような点が重要な問題になると思うのですが、従つてそれに関連をして、千九百五十四、五年度の、一体アメリカの対外援助方針というようなものは、一般的にどういうふうに考えられておるのか。特にそれが極東に対してはどういうふうになり、更に日本に対してはそれをどういうふうに考えているのか。その辺の事情を一つ御説明願いたい。
#53
○国務大臣(岡崎勝男君) これはまだ、例のランドール委員会の報告等について、最終的なアメリカ政府の方針というものはきまつていないように思います。従つてはつきりしたことは申せませんが、大体の傾向としては大統領の教書にもあるしランドール報告にもありますが、経済援助という方面をだんだん減らして防衛援助のほうが増して行くということがまあ言えるのではないかと思います。日本の場合についてはまだ今年初めて援助を受ける段階でありますから、この援助というものはまだ数年は続かなければ意味ないとこういうふうにアメリカ側も考えており、日本側も考えておる。
#54
○佐多忠隆君 その点特に日本に対するMSA援助の方針というような問題については、前にスタツセンが来たときに外務大臣に説明をしたというようなことが言われておりますが、それらの説明そのものを私たちは聞こうとは思いませんが、それらの説明。更には最近対外援助に対してかなり細かな数字を出して、アメリカの下院においてでしたか、軍事委員会でしたか、歳出委員会でしたか、あたりで相当具体的に議論をされていると思うのですが、その辺の事情はどういうふうになつていますか。
#55
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は今いろいろの材料を総合して申上げたつもりなんですが、それがつまりだんだん防衛のほうの援助に重点が置かれ、経済的の援助というものは一般的には少くなるということと、日本についてはまだ今後相当長い期間、数年間は少くとも援助は続け得るものである、こういう結論になつております。
#56
○佐多忠隆君 日本に対しては今後相当長い間続けられるであろうというお話と、それならば特にこの五四〜五年度に日本に対してはどういうふうに考えているのか、金額的にどれくらいと考えておるのか、その辺はどうなんですか。
#57
○国務大臣(岡崎勝男君) これはまだ交渉をいたしておりませんから来年度の分はわかりません。併し見通しとしては日本の防衛力増強があれは、或いは今の防衛力の範囲においても必要があれば、その必要の範囲内の援助は当然受け得るものと信じております。
#58
○佐多忠隆君 アメリカの下院の歳出委員会でしたか、軍事委員会でしたかで論議されているとして伝えられているところは、対外援助のうち特に極東太平洋地域に対しては十七億六千九百万ドルというような数字が出ていて、その中で相互防御軍事援助五億八千三百万ドルをその中から日本には出すのだというようなことが伝えられておるようですが、而もそれ以外の相互防御支持援助なり、或いは技術協力たり、或いは開発援助等々は何ら日本に考えられていないというふうなことが伝えられておりますが、その辺はどういうふうにお考えになつているのですか。
#59
○国務大臣(岡崎勝男君) ポイント・フォアの援助というものはこれは日本には来ないことは明らかだと思います。相手は未開発国でありますから。その他の問題については今後の話合によらなければはつきりしたことはわからんと思つております。
#60
○佐多忠隆君 ただ併し個々の計画の中でもはつきりしていることは、日本に対しては相互防衛軍事援助に限られて援助が行われるので、いわゆる軍事援助だけでそれ以外のさつき言つた厳密な経済援助なるものは計画の中に何ら考えられていないということは明瞭だと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#61
○国務大臣(岡崎勝男君) 佐多君がどうも日本にできるだけ経済援助を得たいと思つて心配しておられる事情はよくわかりますが、(笑声)その点は実際にまだ交渉しておりませんからわかりませんが、先ほど申したような理由で全然駄目だといいことでもないと思います。
#62
○佐多忠隆君 それからMSAの五百十一条の二項、三項に、例のたびたび聞かれる、アメリカ側においては、相互安全保障努力の成功に適当又は必要である場合には、各国が相互防衛のためにその産業を動員し、且つこの法律の目的のためにての財政的、予算的、資金的、政治的及び軍事的資源を転換するための十分な措置をとり、以上及び相互協力のために適当なその他の措置をとるようにするということをアメリカ側は意図しているようでありますが、そうなれば日本に対して産業動員の問題或いは財政、予算の転換の問題作々が必然的に行われて来ることになるのじやないかと思いますが、この辺は外務大臣のほうはどういうふうにお考えになつておりますか。
#63
○国務大臣(岡崎勝男君) それはつまり経済の安定が日本の防衛能力の発展に欠くべからざる要素であるという協定の前文にあります趣旨で、そういう転換が経済の安定を害さない範囲ならば差支えない場合もありましようが、先ず経済の安定ということを考えて行われるわけです。
#64
○佐多忠隆君 だからそういうことがアメリカ側から強く要請をされ、アメリカ側から強い圧力となつて出て来る、従つて日本は軍事に対してのみならず、産業に対しても或いは経済、金融等々に対しても、アメリカ側の圧力によつて動かされていかざるを得ないような事態になると考えなければならないのじやないかという気がするのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
#65
○国務大臣(岡崎勝男君) そういうことは全然ないという意味で、我々は経済の安定が第一の要素であるということを前文で謳つておるわけです。
#66
○委員長(佐藤尚武君) では佐多委員の持時間は切れましたから一応これでもつてやめて頂きたいと思います。
#67
○曾祢益君 私大分時間を使いましたので一応伺いたいと思います。
 このMSA協定を結ぶことと東南アジア諸国との賠償問題との関係については、大いに政策的にも政府としても考えておられると思うわけであります。これは東南アジア諸国が日本の自衛力の増強という問題を考える場合に、まだ賠償も払つてないじやないか、それに防衛力の増強とは何事だという気持はこれは非常に深いものがあるかと思う。従つて最近フイリピンとの間に賠償に関する一応の正式交渉の基礎についての話合ができたということは、極めて好ましい私は事態だと思うのです。この問題はいろいろな相手国側の非常に機微な事情もありまするから、而も非常に機微にして且つ時間的にも非常に緊迫した交渉だと思いますから、そういうような交渉の円滑に進むことこそ望め、別に交渉に差支えあるような発言を求めるわけではございませんが、ガルシア、大野両責任老の間に大体の正式交渉の基礎ができたという場合に、或いは外務大臣においてもこういう機会会を通じて、こういう機会を利用されてこの協定といいますか、協定の正式交渉のいわば前提条件である話合の概要等について御説明を願うわけにはいかないかどうか、この点を伺いたいと思います。
#68
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体の模様を申上げますと、随分これは長くいろいろの議論もあつたのでありますが、日本の支払能力というものに限りがあるという点はフイリピン側も認識されたように思うのであります。そこで結局要するに日本が賠償としていろいろのことをしますが、それに基いてつまりフイリピン側からいえば、非常に極端な例をいえば、日本が五十億ドルを注込んだところでフィリピンの経済に何も、何もということはないが十分な影響のないような仕事をする場合も理窟の上から考え得るのであるし、又仮に一億ドルを注込んでも非常に経済に影響のあるような事態にもなり得るのであつて、要するに問題は、フイリピンの経済の利益であつて、日本が幾ら金を注込むかということは、これは第二の問題であるというふうに漸次認識されて来たように思うのです。そこでフイリピンの経済に利益のあるということはどうやつて判定するかというと、これはいずれにしてもそういういろいろのことをやりました結果が、例えばフイリピンの経済に一年に何百億、或いは何千億の利益をもたらした、こういたしますれば、それを例えは累計して見れば、結局何十年間には何億ドルの利益がフィリピンに来たということの議論、考え方にもなりましようし、或いはそれが一定の、今度それが全都できました場合には年々の利益というものが大体安定する。初めは一部しかできないから別ですが、しまいには全部できたとすれば、大体きまつたような利益が毎年々々出て来る。こう仮定しますれば、それが例えは普通の不動産の収益率であれは年三分とか三分五厘とか、或いは四分とかという計算にして逆にいえば、資本的には十億ここに投下されたと思えるくらいの利益が毎年出て来る。そうするとその本となるものはこれだけの仕打があるものであるという計算にもなり得るのであつて、両方例えば毎年利益があるものを累計すればこれだけの利益が挙るという勘定もできましようし、それから利息計算でこれだけの資本投下と同じものが行われたということにもなりましようが、要するに早くいえば日本の投下する資本といいますか、賠償の日本の支払分が幾らであるかということよりも、フイリピンのこれによつて受ける利益がどれだけであるかということの計算が重要であるという建前から、只今のような新聞にも出ておりますように話合いになつておるのであつて、それに基けば、例えは或る年限、これはまだはつきりきまつておりませんが、十年及び必要があれは更に十年といえば二十年になるわけですが、そういう間に例えば十億ドルの利益をもたらすこの投下資本が十億ドルであろうが、五億ドルであろうが、四億ドルであろうが、フィリピンの経済には直接どうということはない。要するにどれだけの利益をもたらすかということが根本の問題であるということからだんだん意見が接近して来まして、それでこちらのいろいろのプロジエクトに対する計算その他から見て、大体四億程度のものをこれこれの事業に投下すればこのくらいの収益が挙るという結論に両方とも到達して来たわけであります、それは尤も今後日・比両方から出まする委員によつてその経済価値がどれだけであるかということは認定されるわけでありますが、この点については日本側の専門家の考え方では、これはもうフイリピンの希望する程度のものは、或いはそれ以上のものが間違いなく出て来るであろうと、こういうふうなところでこの点については余り心配を排つておりません。ただ今後はどういう事業を、たくさんありまして、これを全部やることになるかも知れませんが、それにしても或るものは小規模にやり、或いは大規模にやるでありましよう。これは只今全権が行つて明後日から話合を又正式にやることになりますが、それらで更に具体化すると思います。要するに経済価値の造成ということが今主眼点になつて研究されておるわけであります。
#69
○曾祢益君 そういうふうに日本側の賠償支払の総額は、日本側から見れは仮に四億ドルにしても向うに与える利益が非常に大きなものになつてフイリピン側もそつちの観点から受けやすくなるというフォームは非常に結構だと思うのですが、やはり日本側としては例えば四億ドルというようなものも考えてみるとこれは一体年間にどのくらいになるか、フイリピンだけが相手ならば仮にそれが可能であつても、ほかの国のクレームを考えるとやはり年額の計算というものは大きくなろうと思うので、それらの点も十分に先方においても考慮されることを要請したいと存ずるわけでありまするが、いずれにしても速かに協定に達することが望ましいのでありまするが、先方の責任者はどういうことになるか知りませんが、何と言つても外務大臣、副大統領のガルシア氏が事実上の責任者であろうかと思う。そのガルシア氏が四月二十六日に開かれるジュネーブ会議にフイリピンを代表して行くというお話を聞いておるので、そうなつて来ると、ここ両三日中にでも協定がいわゆる少くとも署名の段階まで達することが一番望ましいと思うわけなんですが、それらの時期的の見通しはどういうふうにお考えになつておりますか。
#70
○国務大臣(岡崎勝男君) 今まだ最終的には決定しておりませんが、ガルシア外務大臣が向うへ行かれますので、多分先方の首席代表は前の大統領のラウレル氏になるんじやないかと思つております。すでにもう向うの副全権、副代表以下は全部人名がきまつておるようであります。ただ今ラウレル氏が自席代表になるかどうかという問題が残つております。併しこれも明後日の会談までにはきまることと思います。で、今度は従いまして先方の全権と日本側の全権との間に話を進めて行くことになります。そこでこれは話の模様でありますからはつきり言えませんが、フイリピンの議会は五月の二十何日まであるので、まだ多少時日が残つて、尤もこれには平和条約批准という問題も入つておりますから日本の国会とは大分違いますが、併し日本の国会は来月の八日でありますので、むしろ急ぐのは日本の国会に批准を求める手続でありまして、そのためには非常に無理ではありますが各党にもお願いして、できれば両院二週間くらいずつの期間で承認を得たいと思つて、その意味で逆算しまして早く協定の調印をいたしたいと思つて今全権にもできるだけの努力を頼んでおるわけであります。
#71
○曾祢益君 そうすると仮にラウレル氏が令権になれ石というようなことになると、必ずしもラウレル氏があれしておられなくとも全権団の構成によつて二十六日前に必ずしも署名の必要はなかろう。併し双方の議会の関係もあるし、こういう重要な条約、殊に日本側から見れば、これと平和条約とはどうしても同時に解決してほしいという気持もあるわけですから、政府としては速かに作つて、本国会にも当然にこれを出す。そして批准承認を求めるの件として提案される御意向と承知して差支えないのですか。
#72
○国務大臣(岡崎勝男君) まあ時日の関係から言えば随分無理ではあろうと思いますが、国会側の御了解を得て是非そういたしたいと考えます。
#73
○梶原茂嘉君 極く簡単にお伺いしたいのでありますが、農産物の購入とそれに関連する経済措置についてであります。このことについての効来なり意味合の評価は私はつきりしておくことが必要じやないかと思うのであります。どうかいたしますと、この評価がやや過大になつておりはしないかという感じがするのであります、そういう観点からお伺いしたいのであります。MSA協定に関連する経済的援助といいますか、従来問題になつておりました域外買付は本年度は大体どの程度の想定になつておるか、これをお伺いしたい。
#74
○国務大臣(岡崎勝男君) これは大体アメリカの会計年度の、本年度つまり六月一ぱいまでに通常の買付が約六千万ドル、この小麦によるものが約四千万ドル、合計一億という予想にいたしておりますが、これのうちの四千万ドルの分につきましては、これはこういういろいろな手続を経て日本銀行に特別会計ができて円を積立てる、その円を使用するということになりますから、従いまして果して六月一ぱいまでにこの四千万ドルの分が使い切れるかどうかということが非常に心配になつておるのであります。使い切れないとしますると、これはいずれは使われるのでありますが、アメリカの議会の承認を得なければならない。そのためには今年間に合わなければ来年、つまり来年の一月頃にならなければ新たにこれを使うという承認を得られない。残る分については域外買付が後にずらされるという心配が多少あるので、できるだけ早くこの御承認を得て農作物の購入をやつてこういう金を作り上げるということに努力をいたしたいと思つております。
#75
○梶原茂嘉君 大体の想定が一億ドルのときに、農産物関係の四千万ドルというものは、六十万ドルにプラスされて一億になるのじやなくて、一億見当の分のうち農作物関係の四千万ドルが入り込む、こういうふうに理解していいだろうと思うのでありますが、その通りでありますか。
#76
○国務大臣(岡崎勝男君) 私も正確な計算を実は知らないので、通産省大蔵省等から聞いておる範囲で間違つておるかも知れませんが、大体例えば朝鮮の特需のようなものを除きまして、いわゆる域外買付と称するものは、従来これは保安隊に対する砲弾等の注文等が随分ありますが、大体六千万ドルの見当と見込んでおつたようであります。今度の分は従つてむしろ四十万ドルは追加される分と関係省では考えておるようであります。
#77
○梶原茂嘉君 そういたしますと、その四千万ドル分は残りの六千万ドルと合して国内において使用される分とかように考えていいでしようか。
#78
○国務大臣(岡崎勝男君) これは大部分はそうじやないかと思うのでありますが、まだ協定承認に至つておりませんので具体的にこれをどれに使うかというような話合を最終的にはいたしておりません。一部はよそへ行くものもあるかも知れんと思いますが、つまり想像では相当大部分というものは国内使用に供せらるるものを買うということとなるのじやないかと思います。
#79
○梶原茂嘉君 邪推して考えるわけでも毛頭ないのでありますけれども、本来大体一億ドル見当の域外買付がある。そうだとすれば、何も農産物を勝人してそれを振替えてどうこうしなくても当然四千万ドル分の域外買付はドルで行える、こういうふうに考えておるわけでありますが、而もそのうちに多少とも国外に出るものがあるとすると、結局何といいますか、ドル全体の勘定から言えばプラスにならずに却つてマイナスになるのじやないかという見方も成立ち得るかと思うのであります。強いてそういうふうに邪推して考えておるわけではありませんけれども、四千万ドル相当分か必ずしも非常なドルの面において貢献するというふうにも見得ないのではなかろうかとこう私は見方によれば見得るのであります。それからこの四千万ドルの使用については、協定上はアメリカのこれは完全なる自由になつておるのですけれども、折衝の過程なり或いは現在のその使い方について日本側として何らかの発言権があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#80
○国務大臣(岡崎勝男君) これは勿論小麦を買つた金でありますから、アメリカの、早く言えば金でありますので、アメリカが何を買おうと実は自由なわけでありますが、ただ日本の国内における産業の構造等から言つて、場合によつては余り一方的にこれを使われて却つて困るような場合もあり得るわけであります。そこでこれはもう先ほど申した通り普通ならばドルで小麦を買う、そのドルを以てアメリカが国内で何を注文しようともドル獲得ということで喜んで応ずる。ところが円で買つて来たのだからアメリカは円の資金を持つておる。併しそれにしてもアメリカの資金でありますから、どうという干渉はできないわけでありますが、そういう意味で国内の調達を主として容易にするが、余り一方的に偏してあとで今度は困ることかできる。例えば或る工場に大きな注文を出す。その工場が非常にその傷心拡張しなければならんが、その後注文が来なくなつちや困るとか或いは関連産業が非常に一方に圧迫して産業をびつこにするというようなことのないように、これは本協定の附属書のAに書いてありますが、両国政府百に十分連絡手段をとることが望ましいということで両国ともそれを考えておるわけなんです。協議は十分隔意なく行うつもりであります。
#81
○梶原茂嘉君 それから一千万ドル分のこちらに譲与を受ける分でありますが、これについては日米相互間で会議する条件に従つて云々とある、この一千万ドルの使い力については向うさん、アメリカとしては或る程度のやはり発言権を持つことになるのでしようか、それともこれは我がほうで譲与を受けたので、我がほうの完全なる自由で使い得るのでありますか。
#82
○国務大臣(岡崎勝男君) これは贈与でありますから、この贈与については理窟から言うと日本が自由に使えるわけであります。ただ実際上から言いますと、これは防衛生産に使う予定にいたしておりまして、それは主として域外買付の対象になる工業に使うのであります、従つてアメリカ側の意向がどの種類のものに今後域外買付を出すか、それによつてこつちの資金の入れ方もありますから、こういう点は十分一時的でなく、又来年もどうなるかというようなことを考えて工場の拡張もしなければならん場合もありましようし、或る産業に資金を一時的に供給しなければならん場合もありましようし実際上はアメリカ側と域外買付の向うの見込等につきましては十分話をして先方の意向を確めた上で適当に使いたい、こう思つております、
#83
○委員長(佐藤尚武君) 時間が来ましたから簡単にどうぞ。
#84
○梶原茂嘉君 多少意見に亘りますけれども、私考えますとこの五千万ドル分、これは今後或る程度ふえて行く、このことは状況によつては日本の農業生産、農産物の価格等に相当の私、関連と影響とな持つて来るのじやなかろうか、場合によつては相当の圧迫が起りはしないかということを憂慮するのであります。而もその農業生産の負担において軍需生産が伸びるということになる、従つて少くとも一千万ドル分の相当部分というものはやはり食糧増産なり農業生産なり、これは広い意味での私は防衛力だと思うのであります、そういう方面にも振向けるということが考えられていいのではなかろうか。こう思うのでありますが、アメリカとの折衝の過程なり、又外務大臣御自身として農産物がベースでこれが、でき上つておるという点も考慮されて、そういう方面についての考慮は払われないかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。これで私は終りでありますから。
#85
○国務大臣(岡崎勝男君) 農林大臣と話をいろいろいたしましたが、農林大臣としては勿論その立場もありましようが、日本の農業に圧迫の来ないようにということについては強い意見を持つております。従いまして仮にほかのことから言えば、更に農産物をアメリカから買つて来るということが利益であつても、日本の農業に圧迫が来るということならばこれは賛成できないというので非常にその点は強く考えております。従いましてよく農林省と相談をいたしまして今後の方針はきめたいと思いますか、通常の平年作が仮に今年見込れるとしますると、一体どの程度輸入すべきものであるかということについては、ちよつと一概に思うに余剰のものが幾らでもあるからこれはどんどんふえるのだというわけにも行かんのじやないかと思います。が今後やはり相当大量に買付けるという場合には、お話のような点も十分考慮をいたしたい。まあそれに直接関係のある酪農等の問題もありますので、そういう点について十分考慮をいたしたいというのが只今政府の考え方であります。
#86
○羽生三七君 先日来憲法と条約との関係についていろいろ御論議があつたのでありますが、或いはどなたかがすでに御発言になつた問題かと思いますが、平和条約の第五条の項の国際連合に全面的な協力を与えるという場合と日本無法との関係はこれはどうなるでしようか。
#87
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと御質問がはつきりしないのですが。
#88
○羽生三七君 もう一度申しますが、その全面的協力という場合に日本の憲法の範囲内で求められる協力なら問題いのでありますが、全面的協力が我我を見るならば日本悪法の縦を逸脱すると思われるようなことが将来起つて来ないとも限らないと思うのです、そういう場合との関係であります。
#89
○国務大臣(岡崎勝男君) これは平和条約締結当時に特別委員会で非常に詳細に議論された一つの問題だと思いますが、政府の結論としましては、国際連合のいろいろの措置がありましても実際上のやり方を見ますると、例えば兵力提供の義務等については特別の協定がなければそういうものは起らない。現にどこの国にもまだ特別の協定を作つておらない、そういうふうに、これはどうあれはどうというふうに研究いたしまして、これは憲法に抵触するものではない、日本の憲法の範囲内で十分やり得るものであるという考えの下にあの平和条約に調印して来たわけであります。
#90
○羽生三七君 それでよくわかりましたが、ただ問題は、今の場合は、只今の大臣の御説明になることであつても、将来この憲章の規定によつて、我我から見るならば非常に困難或いは日本の憲法の範囲外に出るような協力を求められるような憂いはないか、見通しですが。
#91
○国務大臣(岡崎勝男君) これは、第一には国連の加盟国になるのとならないとで大分違うと思いますが、私の今までの研究では加盟国になりましても憲法に違反するような協力を求められることはないし、又国連側でも組織なり憲章の組立がそういうふうにはなつていない、こう考えます。
#92
○羽生三七君 では日本が独力で防衛力を作り上げるということは現下の経済上の制約から非常に困難だ。従つて、当面日本とアメリカ間の安保条約でこれをカバーしておるわけでありますが、この点についてやはり日米二国間なり太平洋同盟条約的な多数国間の安全保障態勢に進むかどうかは将来の問題だと思うのですが、そこでアジアの諸情勢から太平洋同職的なものに発展して行くのではないかという説も一部にあるわけで、そのことが現在ダレス長官がその任に当つておるわけでありますが、サンフランシスコの講和会議のときに、当時のトルーマン大統領がオペラハウスでやつた演説の一部にこういうことが出ておるわけです。「日本をできるだけ早く太平洋の平和を維持するための適当な安全保障取極に参加させることは、極めて肝要なことであります」とあつて、「従つて平和条約は、日本が主権国家として自衛権をもつべきであり、国際連合憲章に基き他の国家との防衛取極に参加する権利を持たなければならないということを認めているのであります。太平洋における防衛のための地域的取極が発展すれば、創設されるかも知れない日本防衛軍は、同地域の他の諸国の防衛軍と連繋をもつことになるでありましよう。日本の安全は、専ら日本の軍隊のみに頼ることなく、他国との相互に関連ある安全保障の取極に顧ることになるでありましよう。日本のこれに対する貢献は、それだけでは攻撃的脅威を形成するものではないでありましよう。しかし、日本の軍隊は、他国の軍隊とともに、日本を含む太平洋諸国の独立に対する脅威に相互保証を与えるでありましよう。」こういうことでずつとトルーマン大統領が演説をやつてそうしてこの講和条約草案というものが会議にかけられたわけであります。当時御承知のように、今のダレス国務長官がアメリカの両党政治の建前で、共和党を代表してトルーマン政府の外交顧問の役割を果していたことは周知の通りでありますが、そのときからすでに今日まで今のダレスさんの外交が一貫してこの考え方を持つていると思うのです。だから最近のインドシナの動きに関連するアメリカの動きなんかを見た場合に、現実に今すぐかような問題が起るとは思いません。併し方向としてはやはりアメリカはこれを考えておる。これは我々は強く感ぜざるを得ない。而もこれは日本のつまり向うじや防衛軍という名前を使つておりますが、日本の防衛軍というものを創設するそのことを考えた瞬間に、それは太平洋同盟的なものへ発展しなければならないし、又そうしなければいけないということをはつきりここでトルーマンが詣でつておるわけであつて、而も客観情勢はまさにこの演説にマツチするような方向へ進んで来ておるのでありますが、これに関連してお尋ねしたい問題は、そういうことから衆議院でも又当委員会でも盛んに論議された海外派兵の問題でありますが、この海外派兵の問題については、要するに外務大臣はそれは合意しなければいいんだ、全く日本の自主性に委されておる、だから合意しなければいいんだということを第一番に言われておるのであります。誠にそれはその通りでしようが、併しかくも衆参両院がこの協定文そのものからそういう危険がすぐ出て来ないにしても、今申上げた国際的背景から非常に大きな危険を含んでおる場合、又そのことの故にこのMSAの審議過程にそれぞれの委員が非常に関心を持つておる際に、単に合意しなければよいというだけでは私は済まされないと思うのです。そこでこれを協定文の中に何か明記したらばいいかということが昨年のすでに夏以来、当委員会でも問題になつたのでありますが、併し外務大臣はそれは条約の体裁上おかしい、こういうようにおつしやつておるわけです。併しいやしくも外交に堪能な岡崎外務大臣が昨年我々が質問した当時には、それは十分考える、だめな場合には附属書或いは議事録の中にもこれをとどめたいというように言われておつたのが、急に如何にも条約の体裁上から見てこれは変だと言われるようになつたのでありますが、その岡崎さんだつたら前からそんなことを謳い込むことが条約上の体裁上変かどうかおわかりになつたはずだと思う。そうであるならば、若干の体裁なんかかまわないから、憲法の規定の範囲内とか何とかいうようなことをわざわざ抽象的に挿入するよりもむしろ明確にこれを成文化したほうが正しい、又そうすべきである、条約の体裁なんかにこだわるべきでないと私は強く考えるのでありますが如何でございますか。
#93
○国務大臣(岡崎勝男君) 私前からこの記憶ですからはつきりしないかも知れませんが、私の考え方はこういう問題は日本政府がきめるものであつて、第一に外国政府に保障してもらうような問題じやない。従つて独立国間の協定において自分の国の部隊は海外に出しませんということを相手国に保障してもらうことはおかしいというので、終始ずつと言つて来たと思うんです。そこでこの協定というものはまあいろいろのことが書いてありますが、早く言えばアメリカから武器等の援助を受けて日本の防衛力を強くする、こういう趣旨のものであります。従つて海外へ兵隊を出すとか出さんとかいうことをいやしくも問題にするような協定ではないのであります。従つて私は協定の中にこういうものを入れることは面白くないということを繰返して申しておつたのであります。従つて協定に書いてなければ危い、何だか危いぞとおつしやることもよく聞きました。併しそういう重要なる義務を協定に書いてないからこれは負うんだということは、これはどうも私はおかしいので、はつきり協定に書いてあれはそういう義務を負うことはありますが、あいまいになつておつたならは勿論負うべきでない、又全然書いてないものを負うという理窟はないのであります。従つてアメリカも日本の憲法の事情はよく知つており、憲法の趣旨はよく知つています。海外派兵ということは私は自分のあいさつの中でそういうことはないということを述べて、これは十分日本政府の意向ははつきりしておる。これで十分であろうと思つております。
#94
○羽生三七君 あいさつというまあそれは岡崎外務大臣のほかにアリソン大使も同様なあいさつを述べられましたが、あいさつというものが何だか国内的に何か将来に制約する効力があるんですか。
#95
○国務大臣(岡崎勝男君) つまりこれは日本政府がきめる問題であつて相手国に保障してもらう問題でもなければ、協定に従つて入れる問題でもない。そこで従つて日本政府の方針はこうであるということを言えばこれで十分であるというのが私の意見です。
#96
○羽生三七君 それはお説の通りです。私もこの協定文の文面上から尚ちにさような義務が出て来るとは全然考えておりませんが、併し憲法は改正をすれば自動的にその合意しても違憲にならないという実体も出て来るのであります。勿論その場合でも合意、不合意は日本の自主性に委されておりますが、併しその場合には憲法違反ではないという実体がそこに現われて来るのでありますから、然らは今の現行憲法の下で、私たちがこのMSA協定を審議しておる場合には、いやしくも問題の性質上からそういう疑点を全然残さないようにすることのほうがよりベターである、こう考えておるわけなんであります。だからそういう点で言うならば、私は条約の体裁にこだわられる必要は全然ないと思うので、それはその意味で言うならば、例えばこの第九条の憲法の問題を唐突として持つて来たことは、今まで例はないことはないと言われておるようでありますが、おかしな話で、まあ今までは少くとも私の外務委員になつて審議した条約なり、協定文その他の案件の中にこういうことは初めてだと思う。だからそういう飛沫で条約の体裁をこの事情から云々されるならば、それは入れたところで一向かまわない。若しその場合仮に修正というようなことがあつた場合にはどういうことが起りますか。
#97
○国務大臣(岡崎勝男君) これは勿論現行憲法の下における議論でありまして、憲法が改まつて全然別のものになれはそれは勿論そのときは変るのであります。又今の自由党政府としても内閣としても海外派兵はやる感恩はないが、社会党内閣になつて海外派兵をやりたいと、政府の方針がそうきまつたということになれば、これは日本できめる問題でありますから、憲法に違反しない範囲ではどうでもきまるわけであります。
#98
○羽生三七君 それは十分論理が飛躍してしまうからお話を移しますが、そこでこの協定ができたときに外務省が何新聞かに発表されまして、この協定が現行憲法と抵触しないようにあらゆるちえをしぼつた、非常に苦労したという御苦労談を発表されておるようでありますが、我々でなしに、外務省から見て無法と抵触するとお考えになつた部分はどういう点でありますか。これは外務大臣から。
#99
○国務大臣(岡崎勝男君) 細かいことは条約局長から申上げてもよろしいのですが、要するに憲法と抵触をするということは我々は考えておらなかつたのであります。先ほどどなたか御質問にお答えしましたが、万一憲法に抵触するようなことがあつてはいかんというので、うの目たかの目でこの協定を研究して、どこから見ても右から見ても左から見てもどこにもそういうことはないということを確かめるために非常に苦心をしたという意味であります。
#100
○羽生三七君 具体的にこの部分とこの部分が非常に問題であつたということを外務省の局長さんでも結構です、どうかお聞かせ願いたい。
#101
○政府委員(下田武三君) この本協定と憲法との関係につきましては、世間一般ではこの戦力に達しはしないか、多少問題が違いますが、交戦権の規定に触ればしないかという点だけを問題になさつておられるようでありますが、実はこれは憲法全般の規定がやはり関係して来るのでありまして、たとえて申しますと、第三条に秘密保護のために必要な措置をとると省いてございますが、秘密保護のために法律を以てしなければ刑罰を科すことができない。これは憲法三十一条にはおよそ刑罰というものは法律に定める手続を以て行わなければいかんと書いてあります。又武器、装備を受けるために保安隊でも倉庫を作るとか何とか予算を必要といたします。併し国費を支出し国が債務を負うには国会の承認を経なければならないという憲法八十五条の規定もございますが、そういうふうにあらゆる点でやはり憲法との関係では問題になるのではないかと思います。何も戦力第九条の規定だけではないと存じております。
#102
○羽生三七君 わかりました。その次にこの日本の経済的条件及び能力が自衛力増強を現実に許さない場合、種々の経済的臨席から自衛力増強は実際にできないという場合に、このアメリカ側の負担で増強を推進するために援助を与えるというようなことが、MSAで本年度の協定は別ですが、将来期待できるようなことはありませんか。
#103
○国務大臣(岡崎勝男君) これはあり得ないと思います。というのは日本の防御力につきましては、例えばそれのまあ具体的に言えば職員の俸給等は、これはその外国の援助によつてそれで俸給を払うというようなことは事実到底考え得られないことでありますから、従つて防衛力を増血しますれば、武器、装備その他のものにアメリカから来るとしましても、或に程度日本側において負担をしなければ増強できないことはこれは明らかでございます。従いまして全部アメリカ側におぶさつた防衛力の増強ということは、私は考えられない。
#104
○羽生三七君 そうだと思いますが、そういう場合には先日もお尋ねしたこの日本のこの経済力の問題との関連で、結局現状にとどまる場合はよろしいが、若し必要な増強をする場合、日本の経済事情が非常に改善された場合は問題ありませんが、日本の経済事情が現状のように外貨不足或いは宣揚上のアンバランスで非常に困難な場合には、耐乏生活の下で自衛力増強をやるか或いはこれ以上の耐乏を国民に求めることはできないから、自営力増強はこれ以上できないのだということを日本が主張する場合に、先日も外務大臣からお話がありましたように、その場合には日本が改めて援助を受けなければいいのだということでありますが、そういうことで日本の自主性に基いて増強するしないの判断又は実行の権限は全く我が手中にある、我がほうにある、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
#105
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#106
○羽生三七君 一応私の質問はこれで終ります。あと私の質問時間と中田さんの時間は佐多さんがお使いになります。
#107
○高良とみ君 木村長官はこの間の今防衛力として増加しつつある人員は、二十三万人くらいまでならば徴兵制でなくてできそうだというお話であつたのでありますが、その場合にやはり秘密保持等のために憲兵というようなものを必要とするようになるのではないか。これは長官に伺うのが本当でしようが、外務省としてはどういうふうに考えて来ておられますか。
#108
○国務大臣(岡崎勝男君) 保安庁のほうの意向を、聞いておりますが、それによりますと、憲兵のごときものを必要としないということであります。
#109
○高良とみ君 その理由はどこにありましようか。やはり相当検査して歩かなければならないのでしようが。
#110
○国務大臣(岡崎勝男君) これはその機密に必要なものについては標識を付したり或いは番人をつけたり或いはそこをロックしたりいろいろな方法がありましようが、今の保安庁の考え方ではスパイのようなものを見張るために、そういう憲兵的なものを常時そこいらに配置するという必要はなくて十分守れるということであります。
#111
○高良とみ君 まあ今のところはそういうことだと私は存じますが、若し木村長官その他が言つておられるように、将来国の秘密をも守るように秘密保護法を拡張して行くようなときになつたならば、そういう必要も起つて来るかと考えるが、それは又折がありましたら木村長官に伺いましよう。
 それで木村さんはこの戦力というものの判断は国民の常識その他によるのであつて、別にそこに何もマークがない。これからおやりになつたら戦力にならないかといえば、その程度まで増強するのだというようなことも考えていないというお話でありましたが、私は外務省の下田局長の御心配の点も伺いましたが、やはり今増強しつつある戦力でない戦力はやはり限度がないものとお考えになつておられるでしようか。
#112
○国務大臣(岡崎勝男君) ですからこれはこの間も話が出ましたように、これは重い病人と軽い病人とどこで区別をするかというような議論で、それはお聞きになるほうが無理だと思う。併し限度がないということじやない、限度はありますが、その限度はそれじや具体的にどうたということを、一々船は何そう、兵隊が何人という、そういう具体的大標準は立てられないということであります。
#113
○高良とみ君 大体そういうお答えだろうと予想したのでありますが、併しこの国際情勢の変化、武器の発達或いはその他によつて、先ほど羽生委員からも御質問もあつたようでありますが、経済力といえども、その人の増員とこれに払う賃金等を一応のめどと考えておられるのか。つまり経済的な限度が限度であるとこう考えておられると考えて間違いないでしようか。
#114
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと御質問の趣旨がはつきりわかりませんが、防衛力の増強はどうであるかということならば、これは経済的の制約ということも一つの条件であります。それから国民の気持がどうであるかということもこれも一つの条件になる。勿論この周囲の国際情勢ということも考えられるわけであります。
#115
○高良とみ君 そういうふうに了解いたしておきますが、そこで問題は従いましてこのほかのアメリカからの援助を受けております国の条約を見ますと、その中には名前がMSAという形でなく、情報局の資料を見ますと、みんなMSAを受けておる国となつておりますが、この中でもイギリスなどのは、もうよほど時期も早かつたからでしようが、ただエツクス・チエンジ・オブ・ノートというふうになつておりますし、それから前に世界の相当問題になつておりましたビルマ或いはスペイン等のは名前が大分変つておりまして、相互防衛ですけれども、ミユーナユアル・デイフイエンス・アシスタンスということになつておることは御存じの通りだと思います。それからぺルーなどの南米方面になりますと軍事援助相互条約とこういうふうになつておるのですが、これはみんな時期の違いが来たしたものでしようか。それともよほど内容、性質が違うものと了解してよろしうございますか。
#116
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAというのは、これは今となつては通称でわかりいいからこう言つているのでありまして、日本の条約も、ミユー・チユアル・セキユリテイアシスタント・アグリーメント、相互防衛援助条約、こういうふうになつております。ただ非常に多くの国では行政府の権限の中で相当程度の余裕を認められておりまして、国会にかけなくても協定を作り得る、いわゆるアメリカで言えばアドミニストレーナヴ・アグリーメントと言いますか、行政協定という名前のものがありますので、国によつては必ずしも国会の批准を要さないために交換公文のような形式で協定を結ぶ場合もあり得るのであります。
#117
○高良とみ君 その点は了解いたしました。
 そこでどうして国際情勢の上にあれたけスペインが、ミユーチユアル・デイフイエンス・アシスタンスを得たこと、或いはビルマに大きな飛行場ができたことに対してあれだけ刺激を与えているかということを考えますときに、日本がMSAを受けることによりまして、やはりあの程度まで軍事的に日本の今まで安保条約で受けておりまする飛行基地、軍事基地等が将来の軍事計画の上に非常に役立つて使われるだろうという大きな不安があることは御承知の通りであります。これについて今回のは武器を援助されることであり、又それに伴つて小麦その他の条約ができているということに理解しますと簡単に行きまするけれども、これを受けるほうの世界の感覚というものはそうは行かないと思うのです。この点如何なものでしようか。極めて初歩的な質問になるかも知れませんが、これだけ第一歩行つたから来年のMSAのアグリーメントはもう一歩進んだものになる。その次にはもう一歩進んだものになると、若しそういう期待がかけられていると申しますならば、又その可能性もあるという場合には、今は氷山の一角で出ているのであつて、これがやはり大きな不安をかもし、緊張の緩和ではない方面に行くことはこれは又心理的にみて考えられるわけです。これは一つ御説明願いたいのは、どうしてあれだけスペインの基地、ビルマの基地が、大臣に言わせれば共産諸国家に刺激を与えるのみだと言われるでしようが、そうでなく世界全般に軍事的な安心度を与えているのか或いは刺激を与えているのか、どちらとお考えになつていらつしやるでありましようか。
#118
○国務大臣(岡崎勝男君) これはどうも私から申しますと、それは私の見解であつて御信用を得るかどうかわかりませんが、スペインについては、従来スペインはデモクラシーの国じやないというふうに一般に言われておりまして、むしろフアツシズムの国であるという点からいろんな点で終戦後にもスペインは除外されておつたような形になつております。それがだんだん各国でもすスペインの実状がわかつて、それと親しくなるような傾向になつて、それで今度はアメリカとの間にもこういう協定ができたということで一般の国と多少事情が従来のいきさつから言えば違うところがあつたこともあろうかと存じます。
 それから日本の場合につきましてのいろんな反響等は注意しておりますが、それほど目立つものは今のところありません。で将来来年、再来年もつとふえるかということで御懸念のようであります。若し日本の国の守りを日本人でやる必要がないというお考えならこれは別問題であります。我々は自分の国は自分で守るべきであるということでできるだけ早く日本の防衛力を増強したいと考えておりますから、来年、再来年更に大きな援助を得て日本の防衛力が更に増強することが好ましいと思つておりますが、ただ残念ながら先ほど申したように防衛力増強には日本自体の持つべき費用もかなりあるのでありますから、経済的に見てそう思うほどに早く急速に防衛力増強が来年、再来年行われるかどうか、これについては残念ながらそう急テンポには行かないであろうとは思つておりますが、原則的には自分の円を成るべく自分で守るようにいたしたいこういうふうに政府としては考えております。
#119
○高良とみ君 承わりました。
 次に問題を変えますが、投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の中に、若し日本の民間私人の、アメリカ政府の与える補償額について問題が起つたときに、その私人会社とアメリカ合衆国政府との間にその訴訟権を与えるというのが二条の一項に出ております。これは如何なるものでしようか、アメリカ政府を相手取つて日本の長岡団体が訴訟を起す可能性をどういうふうにお考えになつておられるでしようか。
#120
○政府委員(下田武三君) 投資保証協定は一口に申しますと、アメリカ政府がアメリカの投資家の保険会社になつてくれるような考えでございます。そこで保険会社というのは何か事故が起きないと保険金は払わないのでございます。それまでの間は投資家が普通の日本における一般の投資家と同じ上うに日本の裁判所に出訴することも日田であるわけであります。併しこの問題の起りますのは、つまりこの補償をいたします原因となることは二つしかございません、一つはアメリカヘの送金が許されないこと、もう一つは日本政府がその投資企業を収容してしまつたという場合であります。そういうことが仮に知りました場合に初めてアメリカ政府は保障会社の役を果しましてアメリカ人に対してドルで代りの金を払う。代りの金を払つた結末、その投資家の権利を日本政府が代位するという問題になります。でありますから政府と政府の間の関係はそのときに初めて発生するわけでありまして、その場合には政府でありますから裁判所に訴えないで、第三のほうに書いてございますように直接交渉の主題といたしまして、直接交渉が成立いたしません場合には仲裁人を以て仲裁で解決する仕組になつております。でございますから裁判所の問題が起りますのは、保除会社の保険金支払の事由が発生する前、一般投費家が普通の投資家と同じ地位で日本の裁判所に訴えることがあれは訴えられるというだけの関係でございます。
#121
○委員長(佐藤尚武君) 大体時間が参りましたので、どうぞ簡単に願います。
#122
○高良とみ君 その場合日は二条の一項に言つているような日本人の民間会社が今度はさかさに補償についてアメリカ合衆国政府に権限を移管するということはございますか。つまり今の御説明はアメリカの民間会社の補償のことについてでございましたが、日本の民間会社の補償が起ることはないのでございましようか。
#123
○政府委員(下田武三君) 日本の民間会社の問題は、投資保証の規定の全然枠外の問題でございます。でございますから、枠外の問題としまして、米国の投資家と日本の受入の企業との間に訴訟が起るということは協定の枠外で十分あり得ることでございます。
#124
○高良とみ君 その場合にはどういうふうに処置いたしますか。
#125
○政府委員(下田武三君) これはアメリカの投資家と日本の受入企業との間に訴訟が起りました場合、日本の裁判所が日本の法令で普通の手続に従つて裁判するということでございます。
#126
○高良とみ君 そうしますと、投貸の保証に関する両国の協定は、アメリカの投資に関する保証のみを謳つておると了解して差支えございませんか。
#127
○政府委員(下田武三君) 仰せの通りでございます。
#128
○佐多忠隆君 アメリカ側のMSA援助の内容でありますが、大体保安庁長官から提出された資料によりますと、陸海空に亘つていろいろな装備の種類が挙げられて、大体総額で五百五十億、ほぼ一億五千万ドルというようなものを期待しておられるようですが、差当り一九五四年度分ですか、六月までは大体この程度のもの、内容もこういうものに限定されると、限られるというふうにお考えになつているかどうか。
#129
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体その通りでございます。
#130
○佐多忠隆君 そうしますと、この附属書Aに書かれているこの協定の実施に当つて日本国が使用に供すべき商品及び装備を日本国内で調達するというふうになつているのですが、この期待する以外に更にこういうものがあり得るというふうにお考えに大つておりますか。
#131
○国務大臣(岡崎勝男君) これはいわゆる域外買付と称するものでありますが、保安庁で提示してあるのは細かいことまで出ていないだろうと思います。例えば弾丸などは域外買付になるのじやないかと思います。
#132
○佐多忠隆君 従来は向うから装備を貸与されていて、それ以外の弾丸その他をどこの経費で出していたのか知りませんが、相当日本でもらつており、それが域外買付になつていたと思うのですが、今度の場合はそういう弾丸その他はこのMSA援助の期待母以外にプラスになつて出て来るのですか、とうなんですか。
#133
○国務大臣(岡崎勝男君) つまり今後も、要するに今までは大体六千万ドルが域外買付となつておつて、それで弾丸も買つて来るし、ほかのものも買つたでありましようが、今後はそれに約四千万ドルに相当する円が追加されまして両方で買われますから、城外買付が全体としてふえるわけであります。その中に弾丸も入つておると思います。
#134
○佐多忠隆君 その六千万ドルの米ドルと四千万ドル相当の日本円、これが域外調速に当るでしようか。これは国内の需品と他の国の需品と両方一緒にひつくるめてということなんだと思うのですが、そこでさつきから問題になつておる四千万ドル相当分は、これは厳密な意味のMSAの援助とは別な点ですから、これは別に考えて他の米ドルの六千万ドルというこの金額は、保安庁が期待しておる五百五十億、約一億五千万ドル以外にこの六千万ドルという援助があるというふうに、いや援助と言いますか需品があるというふうに考えていいのかどうか。その需品は従つて更に一億五千万ドルの完成兵器の援助以外の援助になるというふうに考えていいのかどうか。
#135
○国務大臣(岡崎勝男君) これは原則的な意味は両方あると思います。そのうち項目を挙げておるのであつて、その中で部品の足りないものもあり、何かする場合もあろうと思います。その中で日本が補充をする場合もありましよう、それからその五百五十億ドル以外の部品の城外買付もあろうかと思います。
#136
○佐多忠隆君 ここで五百五十億に卒げられているのはみんな完成兵器なんですね。従つて大体部品その他というものは全部一応常識的に考えれば部品のついた完成兵器として日本に供給される、それが五百五十億円、ほぼ一億五千万ドル前後というようなことだというのであれば、それ以外の部品であるとか或いは弾丸であるとかいうようなものは、ここで保安庁が援助を期待しておられるもの以外にあるということでなければならなくなり、従つてそれは一億五千万ドルに更に六千万ドルプラスした、金額的に言えば二億を越えるようなものになるのだというようなことにならなければその間の話が、つじつまが合わないように思うのですが、それは、どうなんですか。
#137
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体のところはそうだと思います。細かい数字は、それが五千万ドルになるか、四千八百万ドルになるか、そういうものは保安庁の枠にはありません。大体の今の考え方はそうだと思います。おつしやるように別枠です。
#138
○佐多忠隆君 一億五千万ドルに更に六千万ドル。
#139
○国務大臣(岡崎勝男君) 六千万ドルかどうかわかりませんが、とにかく別枠です。六千万ドルになるかどうか、外国に持つて行くものがどれだけあるかわかりませんので、その点ははつきりしませんが、要するに別。
#140
○佐多忠隆君 そうなるとその場合、日本が使用する需品とか装備というのは具体的にもう一遍どういうものか、今弾丸を一つ例に挙げられたのですが、もう少しそれはどういうものが考えられますか。
#141
○政府委員(下田武三君) 保安庁のほうからお手許に差上げて、あります表を見ますと、小銃、機関銃、加農砲などの需品、装備を挙げられておりますが、弾薬でありますとか、そういう点、は挙げておりません。でございますから、弾薬はつまり別枠で、域外買付で発註されるので、保安庁は計算に入れてないと私どもは思つております。それから需品類はどういうものかという点につきましては、これは弾薬が金額で一番多いでございましようが、車両のタイヤでございますとか、取替の部分品には非常にいろいろのものがあると思います。そういう取替の部品、タイヤその他を保安庁から出しております表には書いてございません。ですからプラスになるものと思つております。
#142
○佐多忠隆君 そうすると、それらのものは大体金額的にはどれくらい、従つてそれと一億五千万ドルとを併せて総額はどれくらいというふうに予測しておられますか。
#143
○政府委員(下田武三君) これはわかつておりません、ただすでにそういうようなものを含めての域外発注が既定計画として六千万ドル考えており、それから小麦の買付に伴つて更に四十万ドル別にプラスになるという趣旨のことをはつきり米国大使館から通報しておりますので、それで六月三十日までの最大限はその額であるというふうに考えております。
#144
○佐多忠隆君 だから米ドルでごつちへ出すという六千万ドルの中に日本の需品或いは装備というようなものはどれくらいだと考えられておりますか。それによつて一体MSAによる日本への援助額がどれくらいになるのかということがわかつて来ると思うのですが。
#145
○政府委員(下田武三君) その点は私どものほうにわかりませんので、いずれ保安庁から御説明申上げたいと思います。
#146
○佐多忠隆君 そうすると、他の国の使用に供すべき需品とか装備というものはどういうものですか。
#147
○政府委員(下田武三君) 第三国向けの域外発注のうちの武器につきましては、まだ高度のものは日本で生産して送る段階にないと思います。やはり弾薬でありますとか、鉄条網でありますとか、割合に程度の低い装備が行つているというように了解しております。
#148
○佐多忠隆君 その他の国というのはどういうところが考えられているのですか。
#149
○政府委員(下田武三君) 従来は朝鮮で敵対行為を行なつておりましたので、朝鮮特需、朝鮮向けのが多かつたわけでありますが、併し今後は必ずしも朝鮮に限らないで、爾余の東南アジア諸国に行くことが考えられるわけであります。
#150
○佐多忠隆君 東南アジア諸国に行くとすれば、どういう国にどういう種類のものが行くというふうにお考えになつていますか。
#151
○政府委員(下田武三君) これも私の担当でございませんのでよくはわかりませんが、考えられることはフイリピンでありますとか、インドネシアであるとか、そういう方面であろうと思います。
#152
○佐多忠隆君 そうすると、MSA援助協定に関連をしてそういう域外買付を相当考慮することになるのだという御説明であり、そこに相当なプラスが出て来るというような御説明であつたのですが、どうも六千万ドル程度で、そして過去の実績もこの間から外務大臣のお話になつているのによると年間五、六千万ドルで、今後もその程度のものが続くだろうというようなお話だとすると、ただ支出源がどこから出るかの相違で、少上も量的にはふえてもいないし、プラスにもなつていないというふうに考えられるのですが、その点はどうなんですか。
#153
○国務大臣(岡崎勝男君) これは繰返して言うように六千万ドルにプラスして四千万ドルの城外買付があるからそれたけはふえるわけです。併し一方にこの日本の工業生産の能力に限度がありまして、幾らでも引受けたつてできないのである。従つて今度の三十六億円もそのほうに振り向けてまだ恐らく足りまいと思いますが、域外買付を相当多量に引受けようとするには今の工業力は多分に不足の分がありまして、そうたくさんは引受けられない。
#154
○佐多忠隆君 これは四千万ドル相当分はこれは日本円で需要に充てる問題ですが、ドル収支の問題から言えば、先ほどから御説明のある六十万ドルが本来においてのドル収支に寄与する問題だと思うのです。その点では依然として五、六千万ドル、今後もその面だけ五、六千万ドルというのであれば、何ら少くとも本来の意味における米ドルの国際収支にはプラスになつていない。数量的には、総額的には何らプラスになつていないということはお認めになるのですか、
#155
○国務大臣(岡崎勝男君) つまりそれが普遍ならばその小麦を食糧の計画からいつてどうしても買つて来なければならない。それをドルで買つて来べき小麦を円で買つて来たのですからそれだけドルが節約になる、つまり五千万ドル獲得に役に立つ、こういうことになる。
#156
○佐多忠隆君 そつちがドル収支にどういうプラス、マイナスになるかという問題はあると思いますが、その問題を一応別にすれば、六千万ドル自体の本来のドルによる域外調達というようなものは、従来の金額とは殆んど増減がないというふうに考えていいのですか。
#157
○国務大臣(岡崎勝男君) それはあなたのおつしやるのは無理な話で、何でもかでも利益になるのは一応除外してしまつて、そうして残りのほうは一向ふえない。こうおつしやるのは無理な話で、四千万ドル相当分というものは元来ドルで買つて来るべきものを円で買つて来たのですから、それだけドルがここに残つておるわけです。従つてドル収支の面で言えば、その四千万ドルもお加えになつて然るべきだと思うのです。
#158
○佐多忠隆君 だから外務大臣の見通しではドル収支にプラスになるというのは四千万ドルの日円分があるから、これだけはプラスになるので、それ以外の本来の意味での六十万ドル程度のドルによる域外調進は、殆んど増減なしに従来通りのそのままなんだというふうに考えていいのかと言うのです。
#159
○国務大臣(岡崎勝男君) 私に言わしむれば、五千万ドルのドルを節約して収支の上でプラスした上に更に従来の六千万ドルを減らさずにそのまま維持される。従つて一億ドルの域外買付がある、こう申したいのです。
#160
○佐多忠隆君 それは五四年度までの計画ですが、五五年度以降はどういうふうに見通しておられますか。
#161
○国務大臣(岡崎勝男君) これは本年の農産物の収穫見込それから域外買付に対する日本の受入態勢如何等いろいろな問題が含まれておつて、まだどれだけのものを買うか或いは買わないかということをきめておりません。これは今後の問題であります。
#162
○佐多忠隆君 それは今後の問題であるというふうに言われますが、アメリカのほうはすでに予算として七月以降の分をすでに計画を立て今審議をしていると思うのですが、そうするとそういう問題はアメリカで一方的に、予算できまつて、それに応じてこつちの態度はその枠内でおのずから順応して行くのだという結果になるのかどうか、そうでなくて、その前に、向うの予算がきまる前にそういうものに対する期待量なり何なりをこつちからお出しになるのか、その辺の関係はどうなるか。
#163
○国務大臣(岡崎勝男君) これは只今問題になつておりまする協定も、アメリカの予算じやもうとつくに昨年きまつておるのを今やつておるわけであります。従つて今度のも予算が決まつても、その後にやつても一向差支えないし、又アメリカの予算がきまつた我々はずつとあとで日本の防衛力増強の来年度、つまり本年度における方針をきめて、それに見合う援助を求めたわけでありますから、アメリカとしては議会の関係があり、予算は一応きめましようが、これは又いわゆるバジエツトとアプロプリエーシヨンは違うのであつて、アプロプリエーシヨンは又その後に出て参りましようから、決してアメリカの言う通りになるということもないし、日本の方針は今後きめて何ら差支えない、こう思つております。
#164
○佐多忠隆君 その点は域外買付のみならず援助内応そのものについても関連する問題ですが、今のようなふうに予算はきまつたが支出承認その他は別に又考えるのだから予算だけが先にきまつたつてちつともかまわないというようなお話のようでありますが、併しそういうことが日本の例えは装備に対する援助にしても或いは域外買付にしても、全部向うの予算は日本の要求その他は何ら顧慮することなしに一方的にきまつて、その後支出承認その他現実の支出は若干の変更があるにしても枠が予算できまつてしまう、そうなれば日本からはそういうものには殆ど発言することなしに全部枠内にはアメリカのほうにきめられてしまうというような結果になり、従つて防衛計画そのものも全部アメリカに一方的に、而も時期的にはそつちのほうが早くきめられてしまつて、日本はいつでもそれに追随せられて行くというような結果にしかならないように思うのですが、その辺の事情はどういうふうにお考えになるのですか。
#165
○国務大臣(岡崎勝男君) どうも非常にひがんで考えておられるようですが、アメリカ側で予算を作ることはこれは国会の関係上止むを得ないのであります。日本が若し早く来年度の計画が立てばそれは結構でありましようけれども、今の諸般の事情、殊に経済上の見通し等についてはなかなか判断に苦しむ点があるからしてこれは止むを得ない事態であります。ただアメリカの予算ができたからそれに追従して日本の防衛計画をきめるのじやなくして、日本の防衛計画は日本の経済の実情等に基いてきめるのであるからして、その範囲内でアメリカが援助し得べきものがあれば結構であるから援助してもらう、然らずんば日本の経済力を勘案した防衛計画であれば日本としてもこれについては成算があるからやるのでありますから、若し援助がなければ援助がないようにやつて行く、こういうことになるわけであります。
#166
○佐多忠隆君 その点は意見になりますので。じあもう一つ、しばしば問題になる軍事顧問団の問題ですが、現在は保安隊に対する顧問団ですか、それは正確には、どれくらいいるのですか。特にどういう資格になつているのか、陸、海、空、どういうふうに現状がなつておるのか、先ずそれから御説明願いたい。
#167
○政府委員(下田武三君) この協定発効当初の人数は六百五十人くらいに抑えてからスタートする予定になつておりますが、現在はもう少し多くて七百五十人くらいおるのではないかと思つております。
#168
○佐多忠隆君 スタートするときには六百五十人いて、それが今後どういうふうに変つて行くのですか。
#169
○政府委員(下田武三君) 年度末に三百四十人、約半分に減らす予定であります。それで第一年度平均しまして四百二十五人という計算になつております。
#170
○佐多忠隆君 そういうMSA援助に関連をする軍事顧問団なるものは各国どういうふうな形で設けられているのですか、員数その他。
#171
○政府委員(下田武三君) これは国によつて非常に差違がございます。多い国は約七百人くらい行つている国もございますし、大部分の国はだんだん年次を重ねて行きまして減少いたしまして、八十人くらい、せいぜい百二、三十人くらいという国が多いようでございます。なお日本の場合にも三百四十人というのは、ずつとそうなるのではなくて、第一年度の終りにそこまで減らして行つて将来は更に減らそうという考えであります。
#172
○佐多忠隆君 国においてはということですが、もう少し正確に例えば軍事援助をもらつているところのイギリス、フランス等々のところがどれくらいあるのか、それから今の七百人程度とか言われますのはどこなんですか、そのへんをもう少し詳しく御説明を願いたい。
#173
○政府委員(下田武三君) フランスが二百人、イタリアが百人、ブラジルが百五十人中国が、台湾でございますが、七百五十人、タイが百二十人というような数字になつております。
#174
○佐多忠隆君 イギリスは。
#175
○政府委員(下田武三君) イギリスは、大体この数字は外国ともおもて向きには言わないのでありますが、いろいろ調べましてこういう推定をなしておるだけのことでありまして、イギリスにつきましては、的確な数字がつかめません。
#176
○佐多忠隆君 ユーゴなんかはどれくらい。
#177
○政府委員(下田武三君) ユーゴの数字もわかつておりません。
#178
○佐多忠隆君 そうすると、七百五十人ですか、七百人というのは、台湾みたいなような殆んどアメリカか軍事管理を行なつているというようなところにそういうたくさんの用事顧問団がいてそうして本来の意味での軍事援助をしているようなところでは、フランスにしてもイタリアにしても百人とか二百人程度なんですが、これらの軍事援助の金額、内容等々からすれば、日本とどれくらいに差があるのか、その点はどうなんですか。
#179
○政府委員(下田武三君) 東京におりますアメリカの係官の考えも聞いておるのでありますが、これは日本の場合はどうも人数が非常に多いのはいたしかたがない。なぜかと申しますと、全然自衛力を持つていないところに警察予備隊から発足して手に手をとつて指導するという必要があつたので、今までは確かに多かつた。併しもう慣れて来れは手をとつて指導をするという意味の顧問団は必要がなくなる。そうなるとやはり西欧なみの武器の必要量の決定であるとか或いはその配付であるとかという机上のデスク・ワークをやるアドミンストラチブのスタッフさえあればいいのだという考えでありまして、窮極におきましては、やはり西欧なみに減らして行こうという考えがあるように私ども印象を受けております。
#180
○佐多忠隆君 それならば、この援助に関連をして新たに設けられる軍事顧問団は何も六百五十人でスタートするというような必要はないじやないか。これは七百五十人の保安隊に対する顧問団がいるので、それがまあ引継がれているような関係でこういう多人数が要るのかも知れませんが、この問題とは性質的にはおのずから別なんで、新らしいものは新らしいものとして出発して行かれればいいし、古いものは七百五十人をどう整理して行くかという問題として考えられればいいんじやないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
#181
○政府委員(下田武三君) 御承知のように現在の保安隊の顧問団は東京のみならず全国にばらばらに配置されております。これは武器の使用方法その他を教えるために配置されておるのでありまするが、MSA協定が発効いたしますとやはり今までに来なかつたもう少し高度の武器装備等が来るということが十分予想されるのでありまして、地方におつて武器の使用方法等を教える人数がいきなりいなくなるという段階にはすぐにはならないと思います。でございますからやはり漸を追うて減らして行つて、しまいにはもう武器、装備等が全然教えてもらわなくても日本側だけで操作できるという段階になりました暁にデスク・ワークとしてのスタッフだけ残る、そういうように考えておるわけであります。
#182
○佐多忠隆君 我々がこの議員調査視察で保安隊その他に行つたときに、保安隊の現場で聞いたところによると、もう今やそういう武器の何といいますか扱い等々についての指導は何ら必要としないのだということを現在ですらすでに言つておるようです。而も今の局長の御説明によると、新らしい武器その他が入つて来ることが予想されるんでというお話ですが、少くとも陸上関係に関する限りは保安庁の提出された資料によれば新らしいものは何ら来ないので、現有しておるものに史に若干のものがプラスされるというだけでありますから、そうだとすればそういう訓練なり指導をやつてもらうという必要は毛頭ないんじやないか。而もそういう訓練なり指導は更に予算の説明その他で言つておられるのは、アメリカのほうに現地に、相当多数のものを留学されて、そつちで特にこの高級な諸君に対する訓練なり指導をしてもらうので、現地においてそういう一般の現地部隊等々に対する訓練等々の必要は何らないんだというような御説明だつたと思います。そうだとするとどうも六百五十人なんというようなものは毛頭必要ないんだ、ただ以前のものを縮小する意味においてこれを置いているに過ぎない。それならば明瞭に別なものとしてMSA関連の顧問団ではなくて保安隊の顧問団で、それは解消する方向に行くものとして取扱われれば結構だと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
#183
○国務大臣(岡崎勝男君) 佐多君のお考えは違います。私は保安庁に確めたのでありますが、保安庁はこの程度の人は必要である、もう少しむしろ余計いたほうがいいくらいに考えておるようでありますが、それをできるだけ減らしたのは今言う通りであります。
#184
○佐多忠隆君 じやどういう意味でそんなにたくさんのものが必要なんですか。
#185
○国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろ専門的で私にもはつきり説明ができませんが、例えば飛行機についてはその新らしいジエツトの飛行機の練習には空中にいる人、地上にいるレーダーを操縦して連絡する人いろいろ多数要るそうであります。又高射砲その他にもついても人が要る、新らしい艦船にも要る、今とにかくこの程度の人は要るということが保安庁の結論であります。
#186
○佐多忠隆君 地上関係の高射砲その他についてはすでにもうもらつて貸与されているので、それで十分に操縦その他訓練はできておるというふうに我々は聞いておる。それで而も新らしいものはこの資料によつてもはつきりしておるように何らないのです。
#187
○国務大臣(岡崎勝男君) 佐多君はそうおつしやつても保安庁は要ると言つているのです。
#188
○佐多忠隆君 そうするとそれらの軍事顧問団は援助の進捗状況を監察するとかいう言葉を使つているようですが、それはそれを通して監督指導をする、更にはアドバイスをするというようなことまで含まれているのかどうか。
#189
○政府委員(下田武三君) 協定に書いておりますように、合衆国の責務を日本国で遂行するというのでありますが、その合衆国の責務というのはMSA法の五百六条でちやんときまつておりますが五つございます。軍用完成品の必要量の決定、幾ら要るかということの決定。それから役務計画と統合することができるような方法による軍用装備の調速、役務計画というのは訓練等でございますが、訓練と見合う軍用装備の調達。それから受領国による完成品の使用ふりの監察。それから外国軍人の訓練の監察。最後に軍用完成品の移動及び引渡。そういう極めて技術的事務的な合衆国の責務を出先で遂行するのでございまして、大きな問題についてアドバイスするとかいうようなことは全然関係のない仕事でございます。
#190
○佐多忠隆君 そうすると、そういうふうに引渡の庁務管理手続、そういうものが主で監督とか指導とかいうようなことは全然やらないというふうに考えていいのですか。
#191
○政府委員(下田武三君) やはり外国用人の訓練という、インスペクシヨンというような点で訓練はいたすことになつております。
#192
○佐多忠隆君 その訓練なり訓練指導等々もやるわけですか。
#193
○政府委員(下田武三君) つまり何ら政策的の問題を含まない出先の指導という意味の指導或いは訓練でございます。
#194
○佐多忠隆君 それはこの協定によつて当然にやるのですか。更に日本側の要請その他に基いてやるのですか、どつちなんですか。
#195
○政府委員(下田武三君) これは日本側が要請しなくても、向うとしてはやはり完成品を渡せばその完成品がどう使われているかということは、合衆国の責務として見る必要があると思います。併し訓練等は向うが押付けるのではなくて、日本側が必要と認めてやつてくれというものだけやるわけでありますが、或るものは向うの必要上向うでやりますし、こつちが教えてもらうものはやはりこちらから要請してやるということに相成ろうと思います。
#196
○佐多忠隆君 と、それは年度末に三百四十人程度になるというお話ですが、それでも日本に援助する武器、規模等々から考えれは、諸外国とは比較にならんくらい非常に多数になるのですが、これはその後更に逐次少くなつて諸外国並みにすれば百人でいいとか五十人でいいとかいう程度のものではないかと思いますが、そこまで早い機会に減少するのかどうか、その辺の見通しは、どうなんですか。
#197
○政府委員(下田武三君) 今では本年度のことしか相談いたしておりません。本年度のことは、実はもう一人一人を問題にして、非常に渋く日本側のほうで査定して減らしておつたのでありまするが、これが年度末に三百四十人になりまして、更に来年度どう減らすかということは、来年度になる前に先方と交渉して減らす計画を立てることになると思います。只今はきまつておりません。
#198
○佐多忠隆君 スタートは六百五十人で行つてそして年度末には三百四十人に減つて行くのですが、それは訓練その他のために必要だとおつしやつて、而もそれは新らしく援助された武器の訓練に必要だと言われるのですけれども、先ほどから言つているように新らしい武器なるものは殆んどないし、而もその武器が入つて来るのもいつ頃になるかその時期等々もまだはつきりお示し願えないのですが、その時期の関係、更に今度のMSA援助に関連しての増員の問題を考えると、その増員は来年の上月から始められるのだというようなことに計画はなつていると思いますが、そうだとすると、六百五十人もの者が教えるべき人もなければ、教えるべき武器もない。ただぶらぶらしていてそしていよいよ武器が入つて来、そしてそれを使うような人がその頃は半分になつてしまうというような、誠に矛盾したおかしな状況になつていると思うのですが、その辺はどうなんですか。
#199
○政府委員(下田武三君) 佐多先生は陸上だけをお考えになつていられるようでありますが、海上のほうには駆逐艦も参りまするし、潜水艦も予定しておることでございます。航空のほうではジエツトも参るのであります。又陸上のほうも加農砲とか高射砲、これも今までと同じようなものが来るとは限らないのでありまして、むしろ今までよりも優秀なものが来ることを期待しておるわけでございます。全然今までと同じものを操作するわけではないのでございます。確かに新らしいものも参るのでございます。でありますから、そういうものの操作についての指導ということは必要であろうと考えております。
#200
○高良とみ君 関連して一つ。そうしますと、今までの保安隊の指導しておりました七百五十人と、新らしいMSAによる六百五十人で約千四百人も顧問同というか、指導顧問団でないほうと、安保条約によるほうと、両方の指導者がある、こう考えて間違いないですか。
#201
○政府委員(下田武三君) そうではございませんので、今まであるのに新たに六百五十人加わるのではございませんで、今まであるのを減らしまして、大部分は同じ人間が新たな顧問団に入つて来るかも知れませんが、その残る者と新たに米山から参ります少数の者とを合せた顧問団、すべての数がスタートでは六百五十人、年度末には三百四十人という計画でございます。
#202
○高良とみ君 その訓練でそれが陸、海、空というような形で行きますと、佐多先生から御質問のあつたようなのが、どんなふうな割合になつているのでしようか。六百五十人がそのうちどんなふうに空のほうと海のほうとに必要であるか、もうちよつと御説明願えればありがたいと思います。
#203
○政府委員(下田武三君) その内訳を発表していいのかどうか私ども存じませんが、実はその資料は保安庁が持つておりますので私のほうからは御説明できません。
#204
○佐多忠隆君 その保安庁のほうに質問が留保されているのが相当あるのですが、保安庁長官はいつ又出て頂けますか。
#205
○委員長(佐藤尚武君) 本日は要求しておりません、衆議院のほうで差支えがありまして。今朝午前中衆議院のほうで委員会に出ておられて、それが終つてそれから渉外関係で外に出たということです。
#206
○佐多忠隆君 そうすると、もうこの審議には保安庁長官は出られないのですか。
#207
○委員長(佐藤尚武君) 明朝の連合委員会には出られます。
#208
○高良とみ君 議事進行について。大分時間もたつておるのですが、あとまだ残つておられる質問……
#209
○委員長(佐藤尚武君) もうございません。佐多委員が十分足らず持ち時間が残つているのです。
#210
○高良とみ君 その関連で。保安庁に対する質問が、この前の土曜日から残つていると思うのですが、もう明日の連合委員会の際のほかは、保安庁の総合質問はあとの逐条のときに……、
#211
○委員長(佐藤尚武君) 昨日午前中のこの委員会で、保安庁長官に対しまする質問は殆んど全部尽きました。ただ残つておりますのは、高良委員の分でありまするが、これは最初から予定してなかつたものでございますから、十分に時間を差上げるわけに行かなかつたのでございます。その残つた分に対しまして若し必要ならば明日の連合委員会でもそれを利用して頂く、質問をして頂く、そういうことになろうかと思います。
#212
○高良とみ君 よろしうございます。
#213
○佐多忠隆君 この附属書Dの「世界平和の維持を脅かす国との貿易を統制する」という問題でございますが、これはしばしば論議されたのですが、もう一遍はつきり確かめておきたいのは、協定の本文でなくて、附属ADに入れられたということは、本文とは違つた意味を持つのかどうか、先ずその点から。
#214
○国務大臣(岡崎勝男君) それは本文でなくて附属書でありますから、その程度の違つた意味は持つております。
#215
○佐多忠隆君 その程度の違つたというのは内容的にどういうことですか。
#216
○国務大臣(岡崎勝男君) 内容的には違つておりません。これが本文に入つても、附属書に入つても内容的には違いません。
#217
○佐多忠隆君 そうすると「世界平和の維持を脅かす国との貿易を統制する」という問題は、これまでもそういう制限、統制の問題は、日本の自発的な意思によつて行われていただろうと思うのですが、この協定ができ上つたのちにおいては、一つの協定上の義務としてこれを負わなければならんということになるのかどうか。
#218
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本政府は今までも、パリにおける会議において、各国政府と協調してやつて来ております。その意味では今後も同じことであります。
#219
○佐多忠隆君 それは実際上、パリにおける委員会と協調をしてやつて来たと、運営の問題としてやつて来た。従つてそれは或る意味では自発的にやつたということじやないかと思うのですが、その場合、こういう協定ができて、この協定に附属書といえどもこれが明記されていて、それによつてやるということになれば、おのずから違つたた協定上の義務ということにならないのかどうか。
#220
○国務大臣(岡崎勝男君) それはお話の通り、これで附属書に書いてありますから、アメリカその他の平和愛好国政府と協力するという約束をいたしております、新らしく。
#221
○佐多忠隆君 そうすると、これはやはり新らしく協定上の義務として生じたものというふうに了解しなければならないのですか。
#222
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#223
○佐多忠隆君 MSAの協定によつてこういうものと書いておる例は他の国国ではどいうふうになつておりますか。
#224
○政府委員(下田武三君) 他の援助を受けておる国はことごとく交換公文或いはその他で約束しております。つまり由来これはバトル法から出るわけでありますが、バトル法では侵略国を援助するような貿易をやつておる国にはアメリカは援助をやつてはいかんという趣旨の規定がございますので、この規定ができる前にMSA協定を結んでおつた国は、あとからこの約束をするためにわざわざ追加の交換公文をやつておるようなわけであります。そのバトル法の以後に協定を結びました国は必ずこの約束をいたしておるわけであります。で日本の場合にもこれはMSA援助の授受されるものには直接関係することではありませんので、協定自体に規定するよりも附属書に落して規定したほうがいいと思いましたので、形式を変えて附庸書に落したような次第であります。
#225
○佐多忠隆君 そうすると、ほかの国ではMSA協定では規定をしないで、それに関連する交換公文でやつているということなんですか。MSA協定自体には本文上勿論のこと付属書にも規定していない、ただ交換公文でそういう話合をしているというだけなんですか、諸外国の例は。
#226
○政府委員(下田武三君) 交換公文をあとからいたしましたのは、つまりバトル法にそういう規定ができる前にMSA協定を結んでおつた国でありまして、それ以後の国は皆協定締結と同じときにこの約束をいたしておるのであります。
#227
○佐多忠隆君 時は同じ時で、そして形式はどうなんですか。
#228
○政府委員(下田武三君) これも国によつて違つております。協定自体を全部交換公文でやつておる国は、その交換公文のうちに一項ほかの援助の授受と並べて書いておる国もあります。それから附属書にしておる国もどこかあつたと思いまするが、日本の場合には確かにこの援助の授受自体とは関係のないことでありますから、別問題でございまするから、附属書にくつ付けるという形式にいたしたのであります。
#229
○佐多忠隆君 そこのところがはつきりしないのですが、私がちよつとくつたところでは、そういうのをMSAの協定自体に入れておるのは、何か中南米の限られた諸国だけで、あとはこれをこの協定自体に入れておくのは殆んど例がないのじやないかと思うのですが、その点は一つ明瞭にして頂きたい。
#230
○政府委員(下田武三君) 協定自体に入れておる例はペルーその他米州諸国に見られますし、それからスペイン、韓国はこれも協定中に入れられております。
#231
○佐多忠隆君 そうすると、中南米とそれからスペイン、韓国みたいなところでは入れられていて、スペインを除いた西欧諸国その他にはそういう形では入れられていないわけですよね。
#232
○政府委員(下田武三君) その通りでございますが、その理由は、西欧諸国は、バトル法の規定の前に協定を締結しておつたから、あとで追加の交換公文をいたしたわけであります。
#233
○佐多忠隆君 今の御説明の通りに従来は日本は事実上こういうことをやつて来ていたのだが、この協定を締結した後には協定上の義務となつてこれをやらなければならんということになると、そこに非常な制約がつけられて来ることになると思うのですが、これは世界平和の維持を脅かす国をどこに見ておられるかはつきりわかりませんが、恐らく率直に言えば中国或いはソ連も入つているのかどうか知りませんが、そういう国を指しておられるのだろうと思いますが、中国と日本との貿易に非常に重大な問題で、あると思うのであります。而も時期的に言つてむしろヨーロツパにおいても東西貿易を打開することが非常に重要な問題になつて来ており、しばしば言われておりますように、ナヤープルなんかでも、東西貿易の拡大こそは東西間の平和促進の基礎であるというような考え方から、世界平和の維持を脅かすどころか、むしろ世界平和の維持、世界平和を新たに促進するために貿易を拡大しなければならんというような事態、時期になつて来ていると思うのですが、丁度そのとき、而もそれを最も重要に考えなければならない日本において、わざわざこういうものを協定上に義務として規定をしなければならない必要はどこから出て来たのか、その点を少し詳しく御説明願いたい。
#234
○国務大臣(岡崎勝男君) これは今条約局長から説明した通り、MSAの援助を受けておる国は全部何らかの形でこの約束をしておるので、日本だけがやつておるわけではありません。第二にこれは日本だけが別に貿易を制限するというのではなくて、平和愛好国の政府と協力をするということになつておるので、若しほかの国で緩和するほうがよいということで一緒にやるならば、緩和の方向にも向うことになる。これは協力であるから一向差支えない。日本はこの協定を審議中でありますが、現に先週も中共貿易の品目は三十品目緩和しております。この事態から御覧になつても心配されることはないと思います。
#235
○佐多忠隆君 協力することはかまわないのですが、ただその問題については、アメリカ合衆国といわゆるその他の平和愛好国との愛にはかなり意見の相違があるし、中共との貿易の重要性にも増して非常に重要な意味、重要性を日本としてとは持つておると思うので、協力をするといつても、アメリカ合衆国に対しては勿論のこと、西欧諸国に対してよりももつとやはり貿易は拡大をして行かなければならないことを強く強調をしなければならないような状態に置かれておると思うのですが、その辺のことはどういうふうにお考えになつておるのか。最もそれを嫌つておるところのアメリカに追随をしてだけ問題を解決して行こうとされるのか、もつとアメリカの見解に違つてでも、もつと進んででもそういう問題の打開を図ろうという気がまえなりお気持はあるのかどうか、その辺を伺いたい。
#236
○国務大臣(岡崎勝男君) そうひがんでお考えになる必要はないので、アメリカに追随するとはどこにも書いてない。アメリカ合衆国その他の平和愛好国と協力すると、こう書いてある。若しアメリカと他の国との間に意見が相違しておれば、日本としても当然協力調を一つにするというとこに努力すべきは当りまえであります。ただ日本としては中国と接近しておりますから特殊の事情はありますが、中国の市場に対して独占的地位をとろうとする気持は毛頭ないので、各国と協調して同じような歩調で行くというつもりでおります。それで今申した通り、この協定の審議中でも先週品目緩和を特にやつておるようなわけであります。
#237
○委員長(佐藤尚武君) 佐多委員、時間が切れましたから。
#238
○佐多忠隆君 それではもう一点。先週品目の解除をおやりになつて拡大されたので、それは我々の非常に歓迎するところだしその努力は多とするのですが、それでもなお日本が輸出禁止をしている戦略物資ですか、或いは非戦略物資まで禁輸していると思いますが、そういうものは西欧で禁止しているものよりももつと厳重なものになつていると思うのですが、それらのものは少くとも西欧なみに、或いは今度西欧で更に拡げられるであろう程度までは拡げることを希望をし意図して更に今後の折衝をやられるか、或いはやつておられるのか、或いはこの間やられたのでもう一段落と思つてそこでとめておられるのか、その辺の感じはどうなんですか。
#239
○国務大臣(岡崎勝男君) これはこの協定に書いてあるということは、つまり平和愛好旧の政府と協力するということは義務であると同時に、これは協力する建前をとるという点では日本は権利もあるわけです。従つて、若しほかの国と違うような統制が日本において行われている事実がありとすれば、今後ともこれを直してほかの国と同じよう建前にいたして行くわけであります。
#240
○佐多忠隆君 そのほかの国と違つているならばとおつしやるのですが、そこは正確に、違つていることは明瞭なのではないですか、その事実はどういうふうに認識しておられますか。
#241
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は大局においては違つていないと思いますが、併し専門家が細かい点を見てどう言うか、これは通産省の意見を聞きまして違つておる点があればこれを修正して行く、そういうつもりでおります。
#242
○佐多忠隆君 どうも一つ一つの品目を見れば相当違つていると思うし、今後は更にそれが緩和、拡げられて行くという傾向にもあるので、そういう点は西欧諸国その他に追随するような態度でなくして、もつと日本が真先に立つて率先してそういう問題の打開に努力なされるように強く希望をして私の質問を終ります。
#243
○委員長(佐藤尚武君) これで外務大臣に対する質疑者のリストは尽きました。従いしまして外務大臣に対しまするMSA関係の総括質問はこれで終了したものと認めます。
 委員会にお諮りいたすことがあります。只今MSA四協定に関しまして内閣委員会が連合委員会を開くことを決定いたしました。本件に関しましては、明日大蔵及び農林委員会と連合委員会を開くことにしておりまするので、本委員会としても内閣委員会の申入を受諾いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#244
○委員長(佐藤尚武君) それではさよう決定いたします。但し、農林委員会から別に申出があつたそうでありまして、農林委員会との連合委員会は御承知の通り農産物だけに関しまする関係からして、明日の委員会でも別個にこの問題を取扱つてもらいたいという希望であります。つきましては、例えば午前中を農林委員会との連合委員会に充てて、午後を大蔵と内閣委員会とこういうふうに向けては如何がと思います。これも御異議がなければそういうふうに適当にきめまするからして……。
#245
○羽生三七君 それは異議りありませんが、むしろ農林と関係があるなら農林、内閣と大蔵というのはどうですか、まあ併しその辺はお任せいたします。
#246
○團伊能君 委員長に御一任いたします。
#247
○委員長(佐藤尚武君) 農林委員会から別個に取扱つてもらいたいという申出でありますから、これを特に拒否する必要もないと思いますから、それでは適当に取計らうことにいたしますしそれでは本日はこれで散会いたします。
   午後一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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