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1953/05/06 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第28号
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1953/05/06 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第28号

#1
第019回国会 外務委員会 第28号
昭和二十九年五月六日(水曜日)
   午前十時五十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月四日委員鹿島守之助君辞任につ
き、その補欠として、松野鶴平君を議
長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           團  伊能君
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
   委員
           西郷吉之助君
           杉原 荒太君
           宮澤 喜一君
           羽生 三七君
           加藤シヅエ君
  政府委員
   調達庁次長   堀井 啓治君
   外務省条約局長 下田 武三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       神田襄太郎君
  説明員
   外務省経済局次
   長       永井三樹三君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
 一、万国農事協会に関する条約の失
   効に関する議定書への加入につ
   いて承認を求めるの件(内閣提
   出、衆議院送付)
 一、けしの栽培並びにあへんの生
   産、国際取引、卸取引及び使用
   の制限及び取締に関する議定書
   の批准について承認を求めるの
   件(内閣提出、衆議院送付)
 一、第二次世界大戦の影響を受けた
   工業所有権の保護に関する日本
   国とスウエーデンとの間の協定
   の締結について承認を求めるの
   件(内閣提出、衆議院送付)
 一、通商に関する日本国とカナダと
   の間の協定の批准について承認
   を求めるの件(内閣提出、衆議
   院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) では只今より外務委員会を開きます。
 先ず万国農事協会に関する条約の失効に関する議定書への加入について承認を求めるの件、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件、第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関する日本国とスウエーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。政府の提案理由の説明を求めます。
#3
○政府委員(下田武三君) 只今議題となりました「万国農事協会に関する条約の失効に関する議定書」につきまして提案理由を御説明申上げます。
 万国農事協会は、一九〇五年六月七日にローマで作成されました「万国農事協会に関する条約」によつて設立された国際機関でございまして、農業関係の諸情報の収集、研究、刊行等の任務を行なつて参りました。然るに、戦後一九四五年十月十六日に国際連合食糧農業機関憲章が作成されまして、国際連合の傘下の専門機関たるFAOが万国農事協会の任務を含む広汎な諸任務を遂行することとなつたのでございます。よつて、FAOの第一回総会は、万国農事協会を廃止してその任務及び資産をFAOに移転するための議定告を作成することを勧告する決議を行なつた次第でございます。本件議定書は、この勧告に応じて作成され、一九四八年一月二十八日に効力を生じましたので、「万国農事協会に関する条約」は同年二月二十七日に同議定書の当事国について効力を失い、同協会は同日をもつてすでに解散されたのでございます。
 このように万国農事協会はすでに事実上解散しましてその任務及び資産をFAOに移転してありますにもかかわらず、我が国は、法律上は今もなお万国農事協会の加盟国でございますので、本件議定書に加入することによりまして、この不合理を是正する必要があるわけでございます。
 なお、本件議定書の当事国は、本年二月二日現在で五十国になつております。
 以上の点を御了察下さいまして、御審議の上速かに御承認を賜わらんごとをお願いいたす次第でございます。
 次に「けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明申上げます。
 この議定書は、国際連合の主催の下に、昨年五月からニユー・ヨークで開催されましたあへん会議において作成されたものでございまして、我が国も代表を派遣して審議に参加し、昨年六月二十三日にこの議定書に署名いたしました。
 この議定書は、すでに我が国が当事国となつている一連の麻薬条約を更に推進いたしまして、各締約国が第一にけしの栽培及びあへんの生産、使用、取引等を取り締まるための機関を設立すること、第二にあへんの在庫量を制限すること、第三に特定の締約国で生産されるあへん以外のあへんの輸出入を禁止すること。並びに第四にあへんの使用及び輸出入の目的を医学上及び科学上の需要に限定することによりまして、麻薬の害毒の流入を国際的に一層強力に防衛することを目的といたしております。
 この議定書は、あへん主要生産国のうちの三国以上とわが国を含むあへんアルカロイド主要製造国のうちの三カ国以上とを含む二十五カ国が批准又は加入いたしました後三十日目に効力を生ずることになつておりますが、我が国といたしましては、以上に述べました議定書の目的に鑑みまして、できるだけ早く批准を行い、この分野における国際協力の実を挙げることが肝要であると認めるのでございます。
 よつて、この協定の批准につきまして、御承認を求める次第でこぎいます。右の事情を御了承下さいまして、御審議の上速やかに御承認あらんことをお願いいたします。
 次に議題となりました第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関する日本国とスワエーデンとの間の協定につきまして国会の承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申上げます。
 第二次世界大戦とこれに続く日本国の連合国による占領のため、約十年間は日本とスウエーデンとの間の通信連絡が異常状態に置かれました。その結末として、右期間におきましては、工業所有権関係の出願書類を相手国に郵送したり、また特許料、登録料等を相手国に送金し、納付することが極めて困難となりまして、又ときによつては全く不可能であつたこともございました。更に連合国の占領政策は、一時日本政府が外国人の出願を受理したり、又は日本人が外国に出願することを禁止いたした期間もございます。これらの理由によりまして、日本とスウエーデンの間におきましては、互に相手国民の工業所有権を保護するための措置をとることができなかつた状態にあつたのでございます。
 そこでスウェーデン政府は一昨年四月にこれらの権利を相互的な基礎に立つて救済するための協定を締結したい旨の申入を行いました。東京において交渉を行なつてまいりましたところ、両国間に意見が完全に一致いたしましたので、去る三月三十一日に協定に署名をいたしました次第でございます。
 この協定は、工業所有権の特許又は登録のための優先期間の延長並びに消滅した工業所有権の回復又は更新及び無効となつた特許出願又は登録出願の効力回復を内容といたしておりまして、第十六臨時一国会において御承認を賜わりましたドイツ連邦共和国との間の協定及びスイス連邦との間の協定並びに今国会において御承認を賜わりましたデンマークとの間の協定と内容において殆んど差異がなく、この協定の締結は両国間の友好関係及び技術提携関係を増進さして参ります上に役立つものと存ずるのでございます。
 以上の事情を御了承下さいまして何とぞ御審議の上、速やかに御承認を賜わらんことをお願いいたす次第でございます。
#4
○委員長(佐藤尚武君) 三件に対する質疑は次回に譲ります。
#5
○委員長(佐藤尚武君) 通商に関する日本国とカナダとの間の協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。
 質疑のあるかたは順次御発言を願います。
#6
○杉原荒太君 協定自体でなく、日本とカナダとの間の通商関係の実態について極く要領よく説明してもらいたいと思います。
 それから現に実際上問題になつておる事案があればそういうのを説明してもらいたい。
#7
○説明員(永井三樹三君) カナダと日本の貿易につきましては今日まで非常に日本が輸入超過になつております。昨年の統計を見ますると輸入が約一億一千万ドルに対しまして、日本からの輸出は約千五百万ドルという状況でございます。カナダからの輸入はどういうものが輸入されておるかと申しますと、一億一千万ドルのうちの約七割ぐらいまでは小麦大麦でございまして、どうしても日本として購入せざるを得ないものでございます。その他はアルミ二ウムだとか人絹用並びに製紙用のパルプというような工業原料が大部分を占めておる状況でございます。これに反しまして日本からカナダに対する輸出品は多くが製造品でございまして、こまごました品目にとどまつております。例えば綿製品とか玩具、造花、こまごました金属製品、そういつた種類のものでございまして、今日までの貿易関係は甚だ日本に不利な状況になつております。その輸入はこれはどうしても日本の必要なものでございますから別といたしまして、日本の輸出が十分のびないという一つの理由は、カナダにおける関税の問題でございます。元来カナダにおきましては米国と共に為替上の対外収支のポジシヨンが非常に強固でありまして、カナダは米ドルと同時に同じく自由交換の通貨となつております関係上、他の国のように直接の輸入制限はいたしておりません。輸入に対する障害は、原則として外国間の輸入を関税によつて規制する政策をとつております。その関税におきましては戦後日本とカナダとの間に通商航海条約がございませんために、日本品はカナダの一番高い一般関税が適用を受けておりまして、この点が日本品が他国と競争するに際しての非常な不利な点であつた次第でございます。カナダのこの関税制度は三つの関税から成り立つておりまして、第一が一般関税、即ち最高の関税でありまして、これは無条約国に対して適用されております。それから第二に最恵国関税、これは一般関係より低いのでありますが、カナダと通商航海条約その他の協定を有する最恵国に対して適用を許されております。そのほかにそれより更に物品によつて低い英連邦特恵関税というのがあります。これは英国その他の英連邦だけに適用されまして、ガットにおきましても一般最恵国待遇の例外として認められる、こういうことになつております。そこでカナダにおける日本品の関税は、先ほど申しました通り、最高関税がかかつておりまして、大部分のものは最恵国待遇の条約を持つておりますために、最恵国関税が適用されておるわけでありまして、その点におきまして、日本品のカナダ市場における競争力というものはかなりな制限をこうむつていたわけであります。勿論そればかりでになくて経済上英連邦特恵関税という保護のために、英連邦諸国は殊にイギリスはカナダの市場において比較的有利な地位を占め、又アメリカはカナダと地を接し、且つその他の経済関係においても深い関係を持つておりますので、特殊な貿易上重要な有利な地位を占めておるわけであります。このたび合御審議を願つておりまする協定によりまして、日本品が一般関税、最恵国関税、即ちアメリカとは同じ関税上の待遇を得られることになりましたので、従来よりもよほどカナダ市場におけるハンデキヤツプというものはなくなると考えておりまして、恐らく今千五百万ドル程度にとどまつておる日本の輸出をあと千万ドルくらいの増加をもたらすことは勿論、日本の今後の製造品の価格関係にもいろいろなプラスが恐らく困難ではないだろうと考えておる次第でございます。勿論カナダの人口その他から見ましても、極く近い将来に日本の食糧品の輸入と同格の程度まで輸出が一挙にそこまで伸長するということは非常に困難でありまして、そこまでは本協定によつて直ちにそういう結果を得るということはなかろうと思いますが、いずれにいたしましても、この協定によつて現在日本とカナダの間の貿易の一番大きな障害は除かれるものだと思つておる次第でございます。その他につきまして、現在特に日本とカナダとの間に貿易土の問題となつておるものはございません現状でございます。
#8
○羽生三七君 今の御説明にもありましたが、一九五二年と五三年の対加貿易が大体輸出が日本からは一千万ドル、輸入が一億ドルで差引九千万ドル程度の入超という片貿易ということから、この協定の締結によつてまあ年間一千万ドル程度の輸出増加を期待できるというお話でありましたが、この片貿易の理由はこの課税の問題もあるでしようが、これは主としてカナダの農産物輸入のウエイトが非常に多いということが片貿易の大きな理由なんでありますか、税率だけの問題なんですかどうなんですか。
#9
○説明員(永井三樹三君) 先ほど申しました通り、片貿易の大きな理由は日本がどうしても大量の食糧それからパルプその他の原料をカナダから輸入しておるという状況に基くものでありまして、先ほど御説明申上げました通りに、一挙に輸入を削減すると或いはこれに見合う輸出をもたらすというようなことは恐らく困難であろうと思います。この協定によつては若干アンバランスを少しでも減らすことができるという意味に我々は解釈しておる、こう申した次第であります。
#10
○羽生三七君 この内容に入るわけではないのですが、先のMSA関係の余剰農産物協定との関連で、カナダ小麦とアメリカのMSA関係小麦の間に何か競合というようなものがあつたのでりあますか。
#11
○説明員(永井三樹三君) その点はございません。MSA協定を日本が結ぶ場合に、カナダ側においてカナダの輸出を削減されやしないかというような心配があつたとかいうことは聞いておりますが、実際問題といたしましては、余剰農産物のMSAの買付をするのは、普通のノーマルな計画に基く買付の上積みになるものでありまして、現実問題としても計画通りカナダの小麦大麦は購入しておりますので、その点は全然矛盾と申しますか競合はございません。
#12
○佐多忠隆君 今の問題ですが、五二年、五三年、それから五四年の計画、そういうものの小麦、大麦の輸入数量価格はどういうふうになつておりますか。
#13
○説明員(永井三樹三君) 五二年、五三年の小麦、大麦でございますが、小麦の到着数字を申上げますと、これは数字が我が国の会計年度で出ておりますから御了承願いたいと思いますが、二十八年会計年度の小麦は三月以降はまだ除いて数字が出ておりますが、百七十四万六千八百七十一トンの輸入をしております。その中でアメリカから八十七万トン強、カナダから七十八トン強、それから二十七会計年度におきましては総計百五十九万五千五百六トン輸入しております。そのうちアメリカ合衆国から百十三万六千トン余、カナダから四十万七千トン余という数字になつております。大麦にき営ましては二十八会計年度におきましては二月末までに六十八万三十八百七トン輸入しております。うちアメリカから十六万五千トン、カナダから三十万九千トンでございます。二十七会計年度におきましては百十八万一千二百九十三トンの輸入をいたしまして、アメリカから三十六万八千トン、カナダから五十九万七千トン、その他というような数字になつております。
#14
○佐多忠隆君 五十四年度の計画はどれくらいと見ておられますか。
#15
○説明員(永井三樹三君) これはまだ私の手許には数字は、承知しておりませんです。
#16
○佐多忠隆君 それらがはつきりしないとアンバランスが相当是正ざれるだろうという数字的なはつきりした根拠がわからないのですが、その点を、今日資料がなければ他日でもいいですが、五十四年度の輸入計画がどうなつているのか、従つてどの程度のアンバランス是正ができるのかをもつと正確に一つ御説明を願いたい。
 それから通常取引量といわれるのが、例えば小麦についていえば五十二年度は四十万トン、五十三年度は七十八万トンですが、五十四年度は幾らの計画になつておるのか知りませんけれども、一体通常取引量というのをカナダ市場についてはどれくらいとお考えになつているのか。
#17
○説明員(永井三樹三君) 今通常取引量ということは、これは先般御審議のございましたMSA協定のときに出て来た言葉でありまして、何かきまつた数字があるかのようにお考えかとも思いますが、これはそういう意味で申したのではございませんので、大体カナダから金額にいたしまして日本が輸入しておりまするのは一億ドル強、一億数百万ドルずつ大体過去二年間くらい輸入しておりまして、そのうちで小麦、大麦はほぼ六割乃至七割を占めるというのが通例でございます。今後のカナダからの五十四年度の輸入につきましては、この協定によりましても価格によつて若干の増減は生じて来ます。即ちこの協定によつてカナダの小麦が安ければ若干ふえましようし、ほかの小麦との関係が高ければ減少する関係がございますが、普通我々の常識として考えて去年あたりの輸入量は大体カナダから維持されるというのが、これは計画として数字を申し得る段階ではございせまんけれども、大体同様な一億乃至一億数百万ドルの輸入が予想されるというのであります。この意味で又一方今年度の輸出につきましてもこれは計画して出すものでは、ございませんので、日本品の価格、嗜好、取引関係等によつて正確に予想するということはできませんのでありますが、大体関税の下り工合、それから今現地のマーケットの状況等から考えてあと千万ドル程度の増加を来たすことはそう困難ではないという我々の予想を先ほど申上げたわけであります。
#18
○佐多忠隆君 その点を、五十四年度の為替その他の計画をお立てになる基礎として、輸出入の貿易計画、特にその品目別、或いは市場別の大体のめど、大体の予測はしておられるしと思うのです。それを一つ各品目にカナダについてもう少し正確に詳しく御説明を願いたい。こういう意向なんです。今或いは資料がおありにならんかも知れませんが、他の機会でもいいですが、もう少し正確に御説明願いたい。それからカナダの小麦の価格ですが、これは五十三年度にはどういう価格で入つて来たのか、現在或いは五十四年度の予想はどういうものを見ておられるのか。特にアメリカの価格との関係或いは小麦協定の価格との関係、そういうものを少し御説明願いたい。
#19
○説明員(永井三樹三君) カナダの小麦との関係は、御質問の要旨は今後の価格の見通しがどうであるかということも思いますが、これは勿論新らしい収獲の状況によつて変動がございますけれども、現在の状況では小麦の価格は比較的軟調であるように我々見ております、世界的に見てです。勿論価格は小麦協定の価格の範囲内で、例えて申しますと現在の具体的に四月の中頃の価格をここに持つておりますが、それを見ますとFOBがトン当りに換算いたしましてカナダが六十八ドル五十二セントになつております。アメリカの価格と関連してというお話でございましたが、丁度そのときのアメリカの価格は六八・〇七ドルという価格になつております。これはもうそれぞれ或いは若干カナダが安くなつたり或いはアメリカが高くなつたり、又逆な事態が起きたりしまして、一例として四月十四日の相場を申上げた次第でありまして、大体この程度のもので進むのではないかと、かように思つております。
#20
○佐多忠隆君 それからこの輸入九品目について原則として無差別待遇を与えるということになると、輸入品目についてはこれまでやはり課税していたんですか、関税は。
#21
○説明員(永井三樹三君) これは関税の課税ではございますので、この九品目につきましての無差別待遇と申しますのは、日本におきましては従来為替の制限をいたしておりました。それによつてオープン・アカウント地域から幾ら、ポンド地域から幾ら、ドル地域から幾らというように制限を加えておつたわけであります。今後はこの九品目につきましては総額で日本としてはどれだけ輸入するかということをきめまして、その総額の範囲内におきまして輸入量をきめまして、その範囲内におきましては商業的見地から見て有利なところから輸入するというわけで、オープン・アカウント、ポンド、ドルというふうに中で制限しない。即ち例えば為替制限の結果、カナダから買えば安いのだけれども、その為替割当がもうなくなつたからやめて、高いけれどもオープン・アカウントから買う、或いはポンドから買うというシステムを日本はとらないということを意味しているわけでございます。関税には関係ございません。
#22
○佐多忠隆君 こつちの輸出品、例えば繊維、雑品等々をお挙げになりましたが、金額の相当張るものについて税の関係が各品目別にどういうふうに変つて行くのか。従つてその関係上約一千万ドルかの増になるとおつしやるのはどこらでどうふえるというようなお見通しをつけておられるのか。その辺をもう少の正確に。
#23
○説明員(永井三樹三君) これは正確にお答えすることは非常に数字的に計算することはむずかしい問題でありますが、関税の関係をとつてみますと、今度のこの協定によつてカナダにおいて日本品が課せられる関税の差が重要なものを数種類挙げてみますると、みかん、これは割合に重要な輸出品でございますが、みかんにつましては一立方フート当り三十五セントの関税が今までかかつておりましたがこれは無税になります。それから茶につきましては一ポンド当り八セントが今まで、の一般関税でございますが、これは二セントの関税に変るわけでございます。味の素は従価二十五%が二〇%、綿織物につきましては細かくいろいろございますが、一番普通品は二五%が一五%になります。組織物になりますと四五%が二五%に下ります。それからテーブル掛、ナプキンというようなものは三五%のものが、綿のものは二五%、麻のものは無税になります。ガラス製品は二二%半のものが一七%半になり、陶磁器は三五%が、ものによつては若干の差異がありますが、二〇%乃至二五%に下り、鉄鋼製品に一例をとりますと、鉄の鋼のバー(棒)をとつてみますと、これは従量税がかかつておりまして、トン当り七ドルが六ドルになつて一ドル下つております。鋼管(スチール・パイプ)におきまして三〇%が二二%半になります。ミシンをとりますと二五%が一五%に、これは従価でございます。手袋が四五%が二〇%、ハンカチが三五%が二七%二分の一、これは綿でありますが、絹になりますと四五%が三〇%になる。光学機械の写真機が三〇%が一七%半になります。造花が二七%半が二二%半に、金属製のおもちやが四〇%が二五%、こんな程度であります。今挙げましたものは割合に従来からもカナダ向きに輸出があるものであります。今後も割合に有望であると伝えられているものでございます。
#24
○佐多忠隆君 今お挙げになつたような品目では他の国との国際的な競争があるのかどうか。それからあるとすれば価格の状態はどうなつているのか。というのは関税だけが阻止的な要因になつているのか、もつとほかに価格的に高いとか或いは品質的に悪いとか、他の諸国と比べてそういう問題が更にあるのかどうか、そこいらの実情はどうなんですか。
#25
○説明員(永井三樹三君)  勿論これらのものについて各国との競争が、みかんは始んど日本の独占でございますからございませんけれどもございます。例えば金属玩具について申上げますれば、ドイツ品とか或いはアメリカ品というものの競争があります。ただこれは品質的には日本のものとかなり違つております。むしろ日本のものは相当下級の安いものが出ておるわけでありまして、勿論一般的に申しましてそういう品質的に日本の中以下のものが多いということは事実でございます。従つて日本の商品の品質がよくなるということは勿論重要な要素の一つでございますが、同時に価格が比較的安いという点も一つの日本品の特長でありまして、いわば品質の割合に比して安いということであるのが一般的にいつて日本の品物の状況であります。それが関税が今度安くなりますることによつて、品質は割合中以下であるけれども、価格的に見て割合に値打だというところまで日本の品物が行くことが、現在の状況では日本品が買われるところの動機になつておるわけであります。関税上の点が不備でありますと、悪い上に比較的においても割高だという結果になるだろう。個々のものについて競争品がどういう状況にあるか、価格その他についてはこれは実際問題としてこういう雑貨類におきますとデザインその他が違いますので、比較の数字を取上げるということすら甚だ困難なわけでありまして、我々としては一般的にいつて大体そういう関係にあるというふうに考えておる次第であります。
#26
○曾祢益君 交換公文について少し伺いたいんですが、先ず第一に沖繩に関するやつですが、これを少し御説明願いたい、意味をですね
#27
○説明員(永井三樹三君) これは沖繩につきましては、御承知の通り、特殊なステータスにありまして、日米通商航海条約以来この沖繩は協定の適用範囲から除くという規定を入れることにして参つておるわけであります。それに則つた規定でありまして、この協定つにきましては現在の沖繩の状況が続く限り、本協定の適用の対象から沖縄は除くということが趣旨でございます。
#28
○曾祢益君 日米通商航海条約のやつをよく覚えていないので恐縮なんですが、全然同じ文句ですか。
#29
○説明員(永井三樹三君) 日米通商航海条約は附属議定書の第十四項におきまして若干これと違つた書き方をしておりますが、読上げてみますと「この条約中の最恵国待遇の規定は、(a)千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第二条に基いて日本国がすべての権利、権原及び請求権を放棄した地域に原籍を有する者に対し、又は(b)同条約第三条に掲げる諸島の原住民及び船舶並びにそれらの諸島との貿易に対して日本国が与える権利及び特権については、適用しない。」即ち最恵国待遇の除外という形で、殊に航海、通商及び貿易、広い範囲について最恵国待遇の除外ということで日米通商航海条約には書いてある。実質的にはこの場合には広い意味の居住とか航海の点についてはこの協定では問題はございませんで、貿易に関してだけここに規定を置くわけでございます。ここで案質的には先ほどの日米通商航海条約の第十四項の(b)に言つているところとこの交換公文とは同じ意味でございます。
#30
○曾祢益君 これはまあ通商航海条約といわゆる関税等の待遇に関する条約だから範囲が違うことわかるのですが、まあそれで北のほうの領土等は別として、この第三条関係の沖縄なんかに関して今ちよつと伺つたところによると、多少これと違うと思うのです。又違う意味がここにあつていいのじやないかと思うのですが、つまり日米通商航海条約のはうだとこの地域が将来どうなるかわからんけれども、いわば第三条によるアメリカを唯一の施政権者とする信託統治区域になろうが立法、司法、行政権をアメリカが認めておろうが、又そういうものは日本に返還するというようなことは予想も書いていないわけですね。とにかく沖繩については日本が最恵国待遇をやつても文句はない、こういう意味でしよう。ところがこつちのほうは多少意味が何と言うか含みとして違つておるのじやないかと思われるのは、第一信託統治のほうには触れないで、立法、司法、行政のほうに触れて、それもまあ過渡的なステータスということを匂わすような政治的の意味を持つてわざわざこういうものを作つたかとも思われるのです。そういう点で同じようなことを書いて、現状においては最恵国待遇を与えない、カナダに対してですよ。除外する区域という点においては同じである。意味と含みが少し違うのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
#31
○説明員(永井三樹三君) 勿論御指摘のような相手がカナダの場合とアメリカの場合とにおきまして、平和条約第三条関係が違うことは事実でございまして、それが恐らくその違う点が「当該地域に対する行政、立法及び司法に関して同条後段に定める状態が存続する限り、」というこの交換公文では、暫定的にという意味が人づているのは、おのずからカナダの立場とアメリカの立場と違うからであると了解して頂きたいと思います。
#32
○曾祢益君 いや、もう少しはつきり言えば、これは沖縄というものは沖縄についてのアメリカの何といいますか、立法、司法、行政権の行使ということはまあ暫定的であるというな意味をも出したいというので、こういう作文にしたのではないかということを聞いているのです。
#33
○政府委員(下田武三君) 御指摘の沖縄の問題は、日米通商航海条約の場合には、実は日米間の問題になつて参ります。その点と、もう一つは先ほど永井次長が言われました日米通商航海条約の議定書第十四項に(a)と(b)と並べまして、(a)のほうで平和条約第二条に基いて簡単に書いてあるわけです。これはまあ朝鮮や台湾すべてくるめて考えなければなりませんが、それとの対象上やはり同条約第三条に掲げる地域と極めて簡単にすらつと書いてしまつておりますが、カナダとの今度の交換公文におきましては、これは実に御承認をすでに得ました日本と諸外国との民間航空条約の際にも同じような表現を使つてあります。つまり曾祢委員が御了解下さつております通りの含みを持たせた表現を使つておりますので、今度の日加通商協定の交換公文を行いますに当りましても日米間でなくて、日本と他の国との間に結びました協定で沖縄について含みを持たした表現を使つたのを、そのまま実は持つて来て使つてある次第でございます。
#34
○曾祢益君 だから日米通商航海条約の型よりも、むしろ例の民間航空に関する協定のほうで沖縄を取扱つた型のほうをむしろこつちに持つて来ておるのだと僕はそう了解するのです。大体その通りですか。
#35
○政府委員(下田武三君) その通りでございます。
#36
○曾祢益君 次にもう一つの交換公文、これはまあ意味はわかつたようなわからないような何ですが、これは結局止むを得ずカナダの意向が非常に強くてこういうことになつたと思うのですが、形においては非常にまあ一方的にカナダに特権を与えたような形になつておるわけなんですが、実際品目についてどういうことを予想しておるのか。又こういうことを与えてしまうと、実際上いろいろのことを書いてはおるけれども、ガット税率の適用ということに非常に反する結果を一時的にもせよ招来することになると思うのですが、どういう背後の事情であつたかということ、現実に非常にこれが日本にとつて不利なようなことはないのか、それらの点について説明をして頂きたい。
#37
○説明員(永井三樹三君) この交換公文の関税評価に関する規定はカナダの関税法に基いて生じて来た問題でございまして、これはカナダの一種のダンピング規制に類するものでありまして、これはガットの下におきましてもカナダのこの国内関税法の規定は実施されている次第であります。
#38
○曾祢益君 実施というのは留保したという意味ですか。
#39
○説明員(永井三樹三君) そうでございます。従つて日本とこの条約を結びまして全然交換公文なしでおきましても、カナダの国内法として先方は発動できる段階であります。その点でこの交換公文を設けました理由は、むしろ私どもの考えはカナダが自由に発動できる規定に対してれ日本側からのこの協定によつて或る種の条件をつける。その条件の一つはこの交換公文の第一項にございますように、発動する場合の条件は事情の予見されない事態が生じたということと同時に、カナダの同様の産品又は直接競争関係にある産品の国内生産者に重大な損害を与えるような又は与える虞れがあるような輸入の増大があつた。そういう二つの条件が必要である。これはカナダの国内法には別に書いてございませんが、ちようどガットの第十九条のエスケープ・クローズを発動する場合の条件をそのままこれに取入れて成る種の制限をつけたわけであります。
 それから第二に、カナダがこれを発動しようとする場合につきましては、価格の決定につきましては他の国からの輸入、同種又は競争関係にある産品の輸入の価格も考慮に入れるという条件を一つ累加した。
 次に、この発動にできる限り先立つて日本政府に通告をして、これは第三項でございますが、通告するというこの三つの条件を加えて、むしろこの交換公文によりますと、カナダが自由に発動し得る規定に対してこの三つの注文をくつつけたということによつて発動の機会を少からしめるという効果を狙つている次第であります。現案問題といたしまして、先ほど引用いたしました日本の輸出品についてこういう危険があるかどうかという問題でございますが、或る種の綿製品につきましては、現在カナダにおいても国内生産があり、且つ、最近景気が悪いというので、この協定に対して紡績関係はかなりカナダにおいて反対陳情があるように聞いております。従つてこの協定が実施された暁に、直接カナダの生産品に競合するような綿製品がどつと流入するというようなことがありますとこの問題が生じて来る虞れはあるかと思つておりますが、それ以外にはそうないだろうと考えております。
#40
○曾祢益君 そうすると、まあ要するにガットでも認めておるカナダの国内法のダンピング防止の法律があるから、放つておけば結局それでやられることにならざるを得ない、それをむしろ一定の条件で制約して、特に第三項あたりで原則としては事前に日本に協議するというようなことで縛つておいたんだからまあそう不利ではない。こういうことだと思うんですが、そこでこれは一体関税上の価格を定めますと、これは従価税のことだけなんですか、従量税の関係はないんですか。
#41
○説明員(永井三樹三君) その通りでございます。従価税に関する場合でございます。
#42
○曾祢益君 主として今挙げられた綿製品ほかは、主なる輸出品で危険区域に入るのはどういうものがありますか、従価税について。
#43
○説明員(永井三樹三君) 高級な綿製品は比較的危険が少いと思いますが、普通の割合に加工度の低いものが危険だと伺つております。これらは先ほど引用しましたように、例えば漂白してない粗布でございますとか、それでございますと、今従価税二五%が従価税一五%に下るという結果になりますので、割合に普通品、下級品の綿製品に危険が多いと聞いております。
#44
○曾祢益君 その他雑貨なんかもやはり従価税であるんじやないですか。
#45
○説明員(永井三樹三君) 雑貨も細かく拾い上げますと先方で国内生産のあるものが或る程度あるかも知れませんけれども、日本から今行つておりまする、そうして割合に需要の多い玩具だとか、造花だとか、カメラだとかいうものについてはそれほど心配はないように伺つております。
#46
○杉原荒太君 この協定は有効期間が一応一年ということで、あとに継続する場合でも予告期間は僅か三カ月で、非常に短くて衆議院でも問題になつたように伺つておりますが、これはどういうつもりなんですか。炭はこの協定の内容を見ると、範囲が非常に限定されておつて、エタブリスマンだとか、或いは航海というようなものはこの中に含まれていない、そういうものを含んだ通商航海条約を今作ろうとしているのかどうなのか、その辺どうなんですか。
#47
○説明員(永井三樹三君) 私どもといたしましてはできるだけ早く全般的な通商航海条約の締結をしたいということをいつも申入れておりますし、現在においてもできる限り引続いて早くもう少し恒久的な条約を作りたいと考えておる次第であります。ただそれにつきましては、従来までのところ英連邦諸国がすべてこれはイギリスが主になりまして、日本と恒久的な条約関係を結ばないという態度をとつて来ました関係上、恐らくカナダといたしましても、とにかく取りあえず急ぐ貿易だけについて先にやろうということで、それより先に貿易についての話合は先ずいつでも受けるという意向でありました関係上、関税、貿易についてだけ先ず話ができたわけであります。この協定の中味、貿易、殊に関税とそれから輸出入制限という点につきまして、ガットも非常に暫定的な状況にありまして、今後。パーマネント・ベースに変るか変らないかということははつきりしておりませんでしたし、輸入制限の条項などはかなり世界の貿易の状態の動きを見守る必要が、ございましたので、取りあえずいわば暫定的な意味でこの協定は有効期間一年として、ガットの加入その他と睨み合せて将来は考えられるような態勢をとつた次第でございます。勿論今後カナダとの間に機が熟しますれば、通商航海条約というような。パーマネントなものに持つて行きたいと考えております。
#48
○杉原荒太君 これにこう一緒にとじてある交換公文三件というものは一体どういう性質のものであるか、これは条約として正式に承認の対象として出しておるのか、どうなんです。
#49
○政府委員(下田武三君) ここに一緒にとじてあります交換公文は、やはり御承認の対象として御審議願いたいということで出しておるのであります。
#50
○杉原荒太君 その点は単にこちらだけでなくて向うとの関係においてもこれは正式のものだということにはつきりなつているのか。見るとこれは非常にそこがあいまいなんだね。この文書の性質をどこかで謳つてもないし、併つて有効期間とか何とか何も書いてないし、そういうものが本協定のほうにもどこかに謳つてあればはつきりするのだけれども、非常に不明確で、ここについているのも日本の訳文だし、正文でないし、これは向うとの話合いでもそこははつきりしておるのですか。
#51
○政府委員(下田武三君) 向うとの話合も両方ともこれは法律的に両国を拘束する内容を持つておるものであつて、従つてエクスキユーチヴだけでやる通常の外交文書ではないということははつきりしておりますし、向うも作りました文書を見ますと、やはり協定と一冊にとじておりますような次第ですから。それから協定と一体を成すという規定を入れませんでしたのは、附属書でありますとか、つまり独立に署名もなく前文も末文もないというような文書ですとえたいが知れませんので、一体を成すということを念のために入れますが、交換公文の場合には入れないのがむしろ前例になつております。
#52
○團伊能君 従来カナダは日本との間においては相当閉鎖的な政策をとつて来て、移民問題に関しましてもなかなかはげしい、殊に通商関係はカナダの国民感情としてはまだ非常に、一種の支障もあるかと思いますが、この協定はどこが大体主張してどういう関係において結ばれましたか。日本で要求したから、これを日本が主導してこれを認めてもらうように、この協定を作るようになつたか、或いは主導的な動機は向うにありましたのか、あればどういう理由でこれはこういうものができて来たか。これが一般の通商航海条約でなくて、こういう特恵的な条約であるだけに、その成立の理由をお聞きしたいと思います。
#53
○説明員(永井三樹三君) これはもともと日本から新らしい協定を結びたい、できれば通商航海条約を結びたいという希望を申入れたのに対してできて来た次第でありまして、先ほども申しました通り、通商航海条約はいろいろな関係上すぐはむずかしいけれども、日本が特に差迫つての必要であるところの関税、貿易については話に応じようという態度をカナダでもみせて来たわけであります。これは一方カナダからみましても日本は一億ドルに達する輸入をしておりますの出れカナダからみても日本は最も重要な顧客の一つで、その関係で向うも話に応じるという態度に出て来たわけであります。
#54
○團伊能君 なお先ほどの御説明の、一遍伺いたいと思いますが、この条約によりまして関税が各品目について相当のリダクシヨンが行われるということは日本にとつて非常に有利と思いますが、それについて直ちに日本品の輸出が前よりも多量に行われろということも予期できないようでありますが、その点何か新らしくこの条約における税金のリダクシヨンと同時に、まあいわばこれはこの条約を離れますけれども、一つの国策的な意味における貿易を伸張するという意味の一つの方策と言いますか、具体的な方法なり何かお考えになつておられないでしようか。
#55
○説明員(永井三樹三君) お説の通りこの協定だけで直ちにどこまで日本の輸出が伸びるかということは、これはいろいろな問題がありまして、特に今後の日本品の競争力という点において制限がありますので、この点を考えて行かなければならないと考えておるわけでございまして、最近カナダからこの協定ができます。と同時に、主として太平洋岸のバンクーバーのほうの実業家が数十人ミツシヨンとして来られて大分日本の産業、商品についても今までと、向うにおつて見ていたのと違つて認識を新たにしたというような話もございます。かなりなサンプル・オーダーもとつて行つたそうでございます。従つて日本品のコストを安くするということと同時に、この協定を機会として、カナダにも日本品の宣伝をもう少しする必要があろうと、こう考えております。幸い本年トロントで国際貿易見本市というのがございますが、それには日本側も参加することになつておりまして、これは年々行われておりまして日本側も以前からたびたび参加しておりますが、今回はこの機会にできれば従来よりもう一層セレクトした商品を送り、カナダに新らしい関税のリダクシヨンと相応じて宣伝を強めて行きたいと思います。場合によれば実業家のミッシヨンなども派遣することにして、この協定のあとの結果をできるだけ伸ばして行きたいと、こう考えておる次第でございます。
#56
○團伊能君 もう一つ伺いたいことは、この日本からカナダに対する輸出品の中に、アメリカに対しては非常に輸出しておる魚類、罐詰類、こういう日本の罐詰等が、カナダにはその需要がありませんでしたが、特に米国との関係か何かあるのですか。或いはカナダの漁業関係の制約がこれを入国させないという理由があるのですか。
#57
○説明員(永井三樹三君) 今まで、まぐろその他の魚類罐詰は主としてアメリカに輸出されて日本の業界もつい力が及んでいなかつたのでありますし、又カナダにおいてもこれを、何と申しますか十分注意をしなかつたように思つておりますが、今度カナダから来ました、ミツシヨンも、まぐらの罐詰その他魚類の罐詰は非常に有望であるというので、これを機会に取引の機運が大分強くなつて来つつあるように聞いております。
#58
○團伊能君 有難うございました。
#59
○羽生三七君 無差別待遇に該当する九品目、小麦、大麦、木材。パルプ等九品目ですが、これは全部カナダから日本へ輸入する品目だけですか。
#60
○説明員(永井三樹三君) そうではございません。これは勿論カナダの輸出品としてカナダ側が重要視しておる品目を九品目選び出してあるわけでありまして、勿論小麦、大麦、木材パルプ、この三者は現実に日本もカナダから多量に買つておることは御承知の通りであります。この非差別待遇という意味は、この九品目は日本は別にカナダから買うという約束をする必要もないのでありまして、ただ輸入については先ほど御説明申上げましたように通貨別、国別に制限をしないで日本の所要額を一番日本の有利な所から買う、即ち安いところからこういうものを入れるという結果になるわけでございます。
#61
○羽生三七君 ちよつと私のお尋ねしたことは違うのですよ。カナダだけから買うという意味ではないので、どこの国からでも買う場合に……、ここに掲げられた九品目というものは日本から向うへ出て行く品物はこの中には入つていないのか。つまり向うから入つて来る品物だけがここに九品目だけ掲げられたか。
#62
○説明員(永井三樹三君) その通りであります。これは日本が輸入する場合の制度をここにきめたわけであります。日本から輸出するものではございません。
#63
○羽生三七君 これはどういうことになるのですか。日本の輸入するものだけについて特にこういう品目を掲げた、日本から輸出するものについては何も問題にならないということはどういうところから来ておるのですか。
#64
○説明員(永井三樹三君) これはこういう関係にあるわけでございます。カナダは先ほど申しました直り輸入の制限を行なつておらないわけであります。取引ができれば幾らでも輸入ができるわけでございます。従つて日本からカナダに輸出する全部の品物につきましては政府の割当とか許可というものが要らない。ところが日本におきましてはすべて輸入については為替の許可とか、割当とかいう政府の許可がいるわけでございます。その許可はどういうことでやつておるかと申しますと、大体為替の割当をきめて、それでもうたとえ取引ができて輸入したいといつてももう、輸人させないといういわゆる数量的な輸入制限を日本で行なつておるわけでございます。従つてこの協定の全体の中味を考えてみますると、この協定を結びまして日本がカナダに輸出するものにつきましてはカナダの関税は下ると、そしてカナダはそれ以外に輸入の制限をしておらない関係上、日本には取引価格、品質が合えば幾らでも行くチャンスが与えられるということになるのであります。一方カナダから日本に来るものについてはどうかと申しますと、日本におきましては関税は一本でございます。この協定がなくても日本はカナダ品に対してほかの国と同じ関税を、カナダとは関税制度が違いますので、同じ関税を賦課しておりまして、従つてカナダから見ますならば、こういう協定を結んでも結んだ結果日本は関税を下げてもらつてとくができる。カナダは何にも関税上は得るところがない。で日本におきましては輸入を規制する方法は関税と輸入制限、為替割当この二つありまして、カナダにおいては関税だけ、こういう関係があります。でこの協定によつて、結局関税については今まで日本は一つしかないために下げようがないという関係にあるので、いわばカナダに対して或る程度の利益を与える、見合つた利益を与えるといたしますならば、為替割当の面において何らかの輸入ができるような利益を与えるということになりますと、相互の利益、お互いにこの協定によつて利益を得たという恰好になるわけであります。そこでこの九品目について非差別待遇、即ち一番安い所から日本は買いますということによつて、カナダが若し日本に対するほかの外国の競争国よりも安ければ、カナダ品は日本に対して輸入を増加するチャンスを与えられるということで、カナダとしては利益だということになつて、この協定ができておるわけでございます。
 この点につきましては、或る意味から申しますれば日本としてもこれはカナダだけの利益かと申しますと、必ずしもそうではなくつて、現在の国際的なだんだんと競争の激しい時代になりますと、日本といたしましても正慶な食糧とか原料とかいうものは、高いものを無理して買うよりも、むしろ買いやすいものを買つてコストを引下げるということは或る意味におきましては日本にとつても利益、カナダにとつても利益であるししいうことから、この九品目というものが出て来たわけです。一種のお互いの利益やこの協定から得るという関係から、こういうふうになつておるわけでございます。
#65
○杉原荒太君  もう一つ、ガツトとの関係だが、この協定の建前では、この協定自体にはガットとの関係は特に明示理由は規定してないですね。つまり特にだね、ガットによる利益均霑は排除するという特別の規定がなければ、一般の原則の最恵国待遇のそのものの適用として、ガット税率に均霑できるのだとこう解釈ができるわけですか。
#66
○説明員(永井三樹三君) そうでございます。これは最恵国待遇をきめれば、この規定はガットの第一条にあります最恵国待遇と同じで、ガット税率がかかるということでございます。なおここに書いてございませんけれども、これと同時にカナダはガットの日本加入を承認したあの一言にサインして、ガットの面からも日本にガット待遇を与えるという二重の、この協定とガットと二重に日本に保証を与えるということに話合いができております。
#67
○杉原荒太君 それはわかるんですが、ただ何だね、ガット税率の適用を受けるというその根拠がですね、宣言のほうからに根拠して受けるという場合と、当然これの適用としても受けるのだということになる場合と、何か日米通商航海条約のときの建前ではだね、あそこの規定の仕方では特にガット税率の適用を受け得るのだということがだ、特に規定がなければ、この一般の原則の適用としてはそうはいかないのだという、たしか御説明があつたように記憶するのですが、これは要するに、併し、カナダがどういう立場をとるかによることだと思うのですが、そのときと違つても必ずしもおかしくはないと思うのですけれども、これは今後日本がよその国と結ぶ場合のいろいろな例、それから又日本だけじやなく国際一般に行われる実例、そういうのからしてガットのこれは特にこれを排除する趣旨の規定がない以上、それで又特にそのガットの利益も均解するのだという規定を設けなくとも、当然に例外の排除規定がない以上、一般的な最恵国待遇の規定だけで十分だという、そういう習慣が行われるようになるか、その辺のところを。
#68
○説明員(永井三樹三君) お説明の通りでありまして、私どもは、無条件最恵国待遇の規定は、ガットも特別な規定なくしてガットの引下げた関税に均霑するという主張を持つております。この具体的な場合カナダもそれで来ておりますので、勿論この本協定の無条件最恵国待遇があれば十分でございます。このガットとの関係につきましては、現在のところ大多数の国は無条件最恵国待遇があれば当然ガットも均霑するという解釈で行つている一国が多いようでございます。従つてこれを排除するためには、特に最恵国待遇の明文の規定を置くというのが大多数のガット加盟国においての慣行になつております。
#69
○委員長(佐藤尚武君) では本日の質疑はこの程度で止めまして、そのあとで今後の委員会のあり方について、少し御相談申上げたいと思いますが、お差支えございませんか……それではちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#70
○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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