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1947/02/06 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第12号
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1947/02/06 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第12号

#1
第002回国会 本会議 第12号
昭和二十三年二月六日(金曜日)
   午前十時三十七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十号
  昭和二十三年二月六日
   午前十時開議
 第一 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆院送付)(各委員長報告)
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#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。お諮りいたすことがございます。昨五日、兼岩傳一君より議院運営委員会を、阿竹齋次郎君より司法委員を、おのおの理由を附して委員辞任の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として、岩間正男君を議院運営委員に、星野茂樹君を司法委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 日程第一、復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。尚本案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
   〔「簡單々々」「少数意見があるから簡單にいけない」「そうだそうだ」「ひやかしていけない」と呼ぶ者あり〕
#6
○黒田英雄君 只今上程されました復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告いたします。本法案は極めて簡単な法案でありまして、復興金融金庫の資本金を五百五十億円から百五十億円を増額して七百億円とするという法案であります。
 法案提出の理由は、御承知の通り復興金融金庫は昨年の四月二百五十億円の資本でありましたものを、第一回國会におきまして昨年九月三百億円を増額いたしまして、五百五十億円に相成つておるのであります。これは大体本年の一月末までを見込んでの増資であつたのであります。その後市中金融機関におきまする資金の増加も、とかく不円滑であり、又一般産業資金の復金に依存することも非常に多くなつたのでありまして、その外に公團資金を復金が一手に賄うというようなことにも相成つたのでありまして、資金の需要が急激に増加いたしたのであります。昨年末貸出残高は、総額が四百四十二億一千万円に達しておるような状況であるのであります。勿論これは石炭であるとか或いは鉄鋼、肥料、電氣等の國家再建に必要なる最重要産業に重点を置いておるのでありまするが、尚中小工業等に対しましても、その金融に積極的に推進助長の方針を取りまして、昨年末の実績によりますれば、いわゆる中小工業と目しまするべき三百万円未満の貸出件数が二千三百二十件に達しておりまして、融資金額は十七億円であります。公團、石炭関係を除きまして、一般産業の融資に対しましては、件数で六十二%金額で十四%を占めておるような状況であるのであります。併し昨年末におきまする発行総額が四百九億円に達しておるのでありまして、余力は僅かに九十億円ぐらいを残しておるのでありまするが、本年の一月におきまして、保証債務又は債券の発行等におきまして、一月で余力が全くなくなる状況になつたのであります。從いまして二月からその資金が枯渇することに相成りますので、本年三月までを見込みまして、大体百五十億円と見込んで、ここに百五十億円の増資をしたいというのが本案の提出の理由であるのであります。
 質疑應答に入りまして、復興金融金庫は未だ成立以來日が浅いのでありまするにも拘わりませず、その貸出保証債務が非常に巨額に達しておりまして、而も融資の使途が果して所期の目的を達しておるや否やということにつきましては大いに疑惑があるということが議論の焦点に相成つたのであります。從いまして質疑應答におきましては非常に活溌なる論議が交わされたのであります。併し詳細な質疑應答につきましては、速記録に譲ることをお許しを願いたいと思うのでありまするが、今その中の二三をここに御紹介をいたしたいと思います。
 第一に、百五十億円の融資でこれから先どれくらいやつて行けるか、尚将來この上に増資をする必要があるか、又その算出はどういう基礎であつたかというような御質問があつたのであります。それに対しまして、百五十億円は三月までの所要見込みあるのでありまするが、貸出の事情からいろいろ勘案して、当局におきましては三百億円程度を最初見込んだのでありましたが、併し昨年末におきまするインフレの原因が相当復金の融資にあるというような実情に鑑みまして、いろいろ工夫をいたしまして、できるだけこれを圧縮して百五十億円に止めた。從いまして四月以降は全然見込んでおらないということであるのであります。尚その見込みを半分に減少いたしました大きな理由は、前國会におきまする論議に鑑みまして、公團の融資を、少くとも新規の公團の融資は復金によらないで、市中金融機関から借入させたいという念願からして、これを見込まなかつたということであるのであります。從つて公團発足に具体的な計画を作らなければならないことになり、又公團法の一部の改正も必要になつて來るかも知れないという答弁であつたのであります。次に赤字金融又は滞納の資金の貸出が相当あるように聞くのであるが、復金の指名から見てこれは問題であると思うというような御質問に対しましては、政府は、復金の性質上からいたしまして、直ちにペイしないところの仕事に対しましても、その事業の維持育成が國家に取りまして必要な場合には、経済再建のために必要な資金を将來の見通しをつけて融資する必要があるのである。又納税のために特に融資するということは考えないのであるが、運轉資金として納税のために不足を生ずるようなものにつきましては、極めて例外として國家再建に必要な事業に限つて金融をすることが考えられるというような答弁であつたのであります。
 次に融資が果たして所期の効果を挙げておるかどうかということについて、監督は如何にしておるかという御質問に対しましては、政府は、金庫では昨年八月下旬からいたしまいして特に監査部を作つてこれに力を入れておるのでありまするが、現在までに金庫としての監査をいたしました案件は四十三程あります。完了したものはその三分の一ぐらいであるのであります。大口の融資は殆ど石炭でありまするが、金庫自体の監査の外に、関係方面との共同監査に復金も参加しておる。この外に化学工業、機械工業、水産業、或いは土建業、繊維業、或いは運輸業等の全般に亘つて監査を進行中であるということであります。更に復金法の第三十一條によりまして、関係官は随時復金の融資先を檢査するところの権能を持つておるのでありまするが、まだこの規定よりまして、大規模の監査をいたしたことはたいそうでありまするが、復金自体の監査の結果と実情を見た上で適宜活動したいと考えておるということであつたのであります。
 その他に大口融資等におきまして失敗があつたような場合にその責任はどうなるか、何人がどういう責任を取るかというような問題、或いは債券、貸付の期限が短いではないかというふうな問題もあります。又復金債券を融資する先に持たして、そうしてそれらをして消化せしめたらどうか、或いは復金債券の消化の問題、これを日銀によらずして市中金融機関によつて消化する等のことについての問題、或いは延滞に関する問題、或いは復金の債務保証に関しまする問題、代理貸付に関しまする問題、種々の問題について議論が交わされたのでありまするが、これは速記録に譲ることをお許し願いたいと思うのであります。
 尚復興金融金庫の融資につきましては、前申上げました通り種々の問題があるのでありまして、委員長といたしましては、更に特別に調査をすることの議院のお許しを得まして、十分今後の調査を進めたいということの動議が出まして、その手続をいたすつもりでおるのであります。
 かくて質疑を終わりまして、討論に入りましたのでありますが、共産党の中西委員から、前回の増資の際には重要産業を何とかして培いたいという意味から、相当それには資金が要ると思うから大体賛成したが、今回は本案に反対するというので意見を述べられたのでありますが、これは少数意見として、後にお述べになるそうでありますから省略をいたします。
 次に日本自由党の玉屋委員よりいたしまして、使途については十分監視の必要があるが増資は止むを得ないと認めるので賛成をするという御意見があつたのであります。
 次に日本社会党の木村委員よりいたしまして、二つの点について意見、希望を述べて賛成をするということで、第一点は復金債券の消化の問題であるが、債券の全体の八割ぐらいが日銀引受となつておるのである。昨年末から段々これがよくなつて來ておるようであるが、これがために通貨増発の相当の原因となつておることは否めない事実であるのである。從つて今後も市中資金を以て賄うということの原則を十分貫くことに努力されたい。第二は復金の機構の問題であるのでありますが、先に自分は意見を述べたが、その後、政府は我々の主張した意味合で殆ど考慮されていない。多少監査機構の拡充をしたように聞くが運営を民主的にするということ、即ち民間の意見を十分取入れるという意味においての運営の仕方は非常に不十分であると思う。産業人なども十分に参加しておらない。労働組合の意見もこれに反映していない。例えば公正取引委員会のような民主的機構を以て大綱を決め、復金は事務機構というようにする必要があると思う。とにかく運営について、もつと民主的方面が強まつて行かなければならないと思う。この二点を強く希望して本案に賛成するという御意見であつたのであります。
 次に日本民主党の岩本委員からいたしまして、本案に賛成であるが、一二希望を述べて置きたいということで、第一に、貸付に際してはあらゆる角度から検討されたものであると思うが、果たして生産増加、基本産業の進展のために融資が実際に実を結んでおるかどうか、その金が計画通り生きて使われておるかどうか、つまり最終の見届けをする機関を設けるか、又は別途の方法を講じて十分監視をする必要があると思う。尚一つは、パージにかかつておる金融機関の有力者が貸付のブローカー行為をしておるようなことが京阪、阪神方面に多く散見される。その中にはややもすれば割戻し稼ぎをするといつたような向きもあるように聞くが、この方面については細心の御注意を願いたい。右の希望を述べて賛成するということであつたのであります。
 かくて討論を終結いたしまして採決に入りましたが、日本共産党の中西君を除く外全員の賛成であります。即ち多数を以て本案は可決すべきものなりと決定をいたしたのであります。これを以て報告を終わります。(拍手)
#7
○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は二十分に制限いたします。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#8
○中西功君 前國会において復興金融金庫の三百億の増資が問題になりました時は、我が党は、この金庫が極めて非民主的に運営され、その貸出に多くの問題があり、徒らに私企業を救済するのみで、生産復興の実績はなく、その融資がインフレを助長するものであることを十分知つていたわけでありますが、重要産業が行詰まり、労賃の支拂いにさえ行詰まりを感じておる、或いは又労働組合側の賃上げ要求をそうした理由で拒絶しておるというふうな事態を慎重に考慮いたしまして、不満ながらも一應栗栖蔵相並びに大蔵省の政府委員が、原則として債券を市中消化いたしますと約束いたしておりましたので、賛成的態度を取つた次第であります。又更に我々といたしましても、日本の需要産業を復興することは焦眉の急であり、荒廃したこの産業を起こすためには、國家的な資金によつて長期の投資をせねばならないということもよく存じておる次第でありますが、併し半年間の片山内閣のこの問題或いは又生産復興全般に対する態度、特に昨年末のあの年末融資の無謀と言おうか、無責任と言おうか、放漫極まる態度を見ました時に、我々は苟くも勤労者の代表といたしまして、断乎としてこのインフレ焦土政策に反対せなければならないという責任を痛感したのであります。
 皆さん、政府は健全財政ということをいやというほど約束して置きながら、あの八百億の年末の政府支拂いは一体何事でありましようか。又復金債券の市中消化を原則とすると言つて置きながら、全く反対に日銀引受を事実上原則としておるのであります。而して又政府は曾てマル公の大幅改訂をいたしました時に、これは各企業の赤字をなくして、今後赤字融資に終結するというふうなことのないようにしたいということを非常に大きな理由としたのでありますが、それも亦完全に失敗したのでありまして、復金は依然として赤字融資に終始して、生産復興には殆んど役立たない。反対に一つのインフレの管となつて、全くインフレ金庫と化しておるというふうなことは、我々だけの見解ではなくて、多くの識者が素直に認められておる点であります。これは当財政金融委員会におきましても強く指摘され、そのために先に委員長の報告の通り全員一致を以ちまして小委員会を設置し、今後十分調査することになつておる次第であります。このことの中に、一應賛成された方々も内心においては非常な不満を持つておられるということを十分に示しておると思うのであります。
 それ故に、私が敢えてここに出て少数意見を述べるまでもないごとくでありますが、併しこの問題は、現下の問題といたしまして極めて重大であります。今衆議院では三十数億円の財源のために解散を賭けて戰つております。併し問題の性質からいたしますれば、私はその三十数億円よりもこの百五十億の方が遙かに大きいと思うのであります。何故に衆議院が簡單にこの問題を通して、そうして三十数億の問題だけで非常に問題を紛糾さしておるのか、私には了解できませんが、併しそれはともかくといたしまして、私は日本の國民がこの復金問題の重大性をもつと注目し、更に小委員会の活動と相俟つて一刻も早くこの問題の徹底的な解決を心から希求いたしますが故に、敢えてこの少数意見を述べる次第であります。
 第一の問題は、復金自体の現在の根本的欠陥は果たしてどこにあるかという問題であります。これは大別して四つの問題があると思います。その一つは、復金債券の市中消化が殆んどなくて、主として日銀引受となつておるという点でありますが、この点については多言を要しないと思います。第二は貸付先或いは貸付方法において、極めて非常な無責任さが支配しておる。実際に借りておる資本家はその金を貰つたつもりでおるのであります。而も貸付る方も、ただ資本家側から要求されるままに融資しておるという状態であります。國家の金だからというので殆んど責任を感じないという現状であります。而も先にも問題になりましたように、追放財界人が中間に立つて斡旋していたり、縁故に絡む貸出しがあるということは、廣く世間で専ら噂しております。更に第三は、この結果資金の回轉効率は殆んどゼロと言つてもいい程であります。我々に渡された資料の中で、純然たる延滞は三億二千万円となつておりますが、これは統計的なごまかしであります。その証拠には、別の融資残高表を見ますれば、九十日の手形で出される運轉資金は、三年ぐらいの期限になつておる設備資金と殆んど同じように増加して、十二月末現在では二百五十七億円に達しておる状態であります。要するにただ書換で実に無責任にその日を暮らして來ておるという状態であります。私はここで特に強調したいのは、この復金の金は國民の金である。それは重要産業を復興するという重大な責任を持つた金であります。決して個人が利殖のために勝手に投資をするものとは非常に違うのであります。これ程責任ある金なるが故に、この融資こそ最も慎重に最大の効率を挙げるように使用されなければなららいのであります。然るにこの復金を動かしておる人々の考え方は、全くこれと逆であります。國民の金であるが故に、或いは國家の金であるが故に、多少利益がなくともどさくさに使つても構わないという考え方で運営しておるのであります。私的銀行であり、或いは市中銀行ならば決してこういうふうな営業は一日もできない筈であります。ここに今日の復金の根本問題が横たわつておると思います。更に、第四の問題といたしましては、以上のような問題と、こういうふうな事態を直接惹き起こす原因でありますが、これは木村委員の希望意見もありましたように、この復興金融委員会自体が非常に非民主的に、はつきり言えば大資本家本意に作られているということでありまして、これは沢山私が申すまでもないことであります。
 次に、それではもう一つの問題といたしましては、以上のような欠陥の復金の金融が続けられて行く、又続けられて來た今日、どういうことが起こつているかという問題であります。又どういうことが起こるかという問題であります。この第一は、経営の不健全性をそのまま放置し、或いは看過して、或いは客観的に見ますれば、大資本家の生産サボを看過しているということになつておるのであります。今、日本の重要産業殆んど大資本家の手中にあります。彼らはこの重要産業に名を借り、思うままに國家資金を使つておりますが、政府は彼等の言うままに融資をし、その尻ぬぐいばかりをしておるのであります。而もあのような、御存じのようにあの石炭國管という問題、あれは資本家にそう不利じやないのであります。あのような國管に対してさえあれ程反対する資本家、この融資を如何に本当に使用しているかということに対しましては、政府も或いは國民も殆んど知り得ないという状態なんであります。從つてその経営は、ただ補助金稼ぎの不健全極まるものになつておるのであります。例えば石炭金融といたしまして六十億の運轉資金が出されておりますが、これはすべて事実上赤字融資であります。而もこの石炭会社が尚十億の税金を滞納をしております。政府はこの滞納金まで、名目はともかくも結局融資によつて救済するのでありまして、こんな放埒な、放漫な経営が一体許されるのであろうかということが問題なんであります。而してこの石炭産業には、全体として百四十億の融資があります、復金融資がありますが、その上に、殆んどこれと同額に近い價格差補償金も今まで我々は支出して來ております。一体さような厖大な資金の高によりまして、石炭は一体どれだけ増産されたか、確かに年末にこれが多少は増産されたことも事実であります。併しこれは主として労働強化或いは稼働時間の延長によつて得られたもので、特に労働者側の熱意によつて得られたものでありまして、経営者側に熱意のないことは、もう新聞紙面において外人側が非常に正しく指摘しておるところであります。この点は石炭以外の重要産業におきましても殆んど同様であります。正にこれらの部門におきまして、あれ程厖大な融資があるのにも拘わらず、実は減産しておる状態であります。かくて現状のままではこの融資は殆んど生産復興には役立つていないということを結論せざるを得ないのであります。更に復金が私的な銀行或いは市中銀行の興隆繁栄に非常に役立つておるということを指摘する必要があると思います。これは興銀が復金の代理店業務を営みつつ大いに儲けておること、この一つだけを見ましても非常にはつきりしております。例えば大阪では、復金自体の直接貸しは二〇%以下であります。それに反しまして、興銀の代理店貸しが七〇%以上であります。かくて興銀は良いお得意は自分の営業にし、その粕を復金になすり附けておると言うことができるのであります。興銀はもともと閉鎖機関になるべき性質のものであり、戰時中のあの厖大な不良貸しのために倒産すべきものであります。それが今日はどうでありましようか、三倍の増資を計画して非常に繁栄しつつあり、重要工業会社の特管人となつたり、産業に対して支配をますます強化しております。こういうことができましたのは、殆んどこれは復金におぶさつてできたのであります。このことは單に復金に限らず、他の市中銀行というものは大なり小なり同じであります。この銀行資本は企業整備を通じて産業に介入し、貸出を極度に引締めたり、いろいろのことをやつておりますが、同時に赤字の融資は、赤字的のものは大体に復金に肩替りして、そうして自分の債権を鞏固にして、その力によつて産業を支配し、或る場合には労働者の大量首切り、或いは労働組合の無力化を強要しておる。これは日銀総裁なんかの講演を聽いてもはつきりしておるのであります。そういうふうな力を與えておるのは誰か、結局これは復金だということにならざるを得ないのであります。この点では最近復金当局が経営者とぐるになつて労働組合の無力化のためにいろいろ貸出方針をやつておるということは、これは実際我々現実によく知つております。当面して知つております。こういうふうに復金自体は、これは國民の金でありますが、この國民の金を、而も反民主的に使用するというに至つては全く言語道断だと思うのであります。こういうような結果、実際には復金は今や全くインフレ金庫になつておるというようなことになるのでありますが、併し、ここで重要なことは、一方多少復金はインフレを生ずることがあつても、重要産業を或る程度復興すれば、一應それでいいじやないかという考えもあります。或いは又、インフレの進行の限度と生産を復興する限度と、プラスかマイナスかを考えて見ようという考え方もあります。併し私がここで強調いたしたいのはその点なんでありますが、即ちこの復金がインフレを助長するというのは、單に日銀の引受けにのみよつておるということだけでなくて、その融資が殆んど積極的に生産に使われていないと共に、非生産的である。その結果として、それがインフレになつて行くというこの関係であります。丁度これは腹をこわした人間に、どんどんとにかく無茶苦茶に飯を食わすようなものでありまして、腹がこわれた以上は、ただ素通りして下痢を増すだけであります。現在の復金の融資がこれであります。でありますから、若し眞に生産的にその資金が使用されるならば、たとえ当初は多少それが過大信用でありましても、それは正規の生産循環に入つて行き、インフレを惹き起こさないのであります。少々過大ではありましても、生産に本当に正しく使用されるならば、それはたとえ日銀引受でも大したことはないのであります。ところが腹をこわしている。そういうふうなところに注がれて行くために、それはますますインフレになる。そのまま下つて行くという状態なのであります。この点極めて重要な事実だと思うのであります。
 これを要するに、今の復金は全くインフレ金庫であるということ我々は結論し、而もそれは決して生産に役立たない。客観的に大資本家の生産サボを誘発しておるということが結論できるのであります。では何故に復金がこういうことになるか、これは決して復金自体だけの問題ではなく、又復金自体だけでは解決できない問題だと思います。これを簡單に列挙いたしますれば、第一はもともとインフレが発展しておる、その結果であります。これは詳しく申しません。もともとインフレが発展しておる結果であります。第二は、私的銀行が重要産業の復興に何らの能力のない状態にある。或る人々は今日市中銀行が重要産業への長期融資をし得ないことを当然のことのように思つて、而もすべて復金にその事業を負担させている。当然のことのようにこれは思われておりますが、実際はそうではないのであります。市中銀行がそういう無力な、意味のない存在になつておる。而も預金はすべて市中銀行に集まる。復金には集まらない。復金には預金がないのであります。從つてそういうふうな機構上の矛盾から、ただ復金の増資の場合には日銀引受け、或いは政府出資によつて行かざるを得ないというふうな状態になつております。これを詳しく申したいのでありますが、時間もないようでありますので、これは省略いたしますが、結論として申しますれば、現在の機構から見ますと大銀行も、或いは大経営者も、寄つてたかつて復金を喰い潰しているというふうな恰好になつて、而もその資金をおのおの自分たち勝手な目的のために使つている。これが今、日本の金融機構の最も根本的な欠陥の一つだと思うのであります。第三は、いうまでもなく重要産業が巨大な資本によつて握られておつて、それについて十分な管理がなされていないということであります。こういうような原因、こういう日本の金融機構、或いは全体としてのインフレの発展、こういうことが、いわば復金の融資をしてそういうふうに腹下しをさしておる原因だと思うのであります。
 で、こういう点から考えると、我々はインフレを即時克服しなければならぬというふうな場合に、金融財政の徹底的な改革とか、或いは重要産業の徹底的な統制とか、或いは國有國営とかいう問題を提出せざるを得ないのであります。同時にそのことが又復金を徹底的に改革し、そういう改革の一環として復金の改革があるのだと思うのであります。
 最後に私は一つ今度の政府の百五十億の出資、これについて少し申しますれば、これは二ケ月で百五十億であります。以前三百億の時には少くとも数ヶ月のものでありましたが、この度は二ヶ月間で百五十億を使うのであります。而もその処理方針或いはその編成方針は詳しく申しませんが、非常に放漫であります。三百億円必要なのだが、いろいろな事情で百五十億円にいたしました。四月には是非又やつて頂きます。こういうような説明でありまして、確乎たる一定の方針というものが一つもないのであります。我々としては若し本当にそれが生産的に使われ、而も復金の資金がこれだけ要る。そういう場合には三百億であろうと、七百億であろうと、それに要るものは出さなければならないと思います。併しそういうふうな点では全然見通しがないのであります。たださきに私が申しましたように、資金を焦げ付かせ、下痢をさせるというふうなことだけでありまして、今のところこの当面の政府の出資に対する方針は、全く無責任、無方針だと思うのであります。特に私が少し邪推をいたしますれば、曾石炭國営問題の時、民主党がその施行期日を四月一日になるように必死に頑張つたのでありますが、その時に頑張つたことと、そうしてこのような融資がどんどんなされて行くということとの間に、必然的な関係がないかどうか、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これは現下の問題として政治的な問題となり得ると思うのであります。
 以上私は今日の復金問題について、我々が反対せざるを得ない理由を述べたのでありますが、結論として今のままでは増資は却つて悪く作用するという断定を下すのであります。ただこの場合少なくも木村議員が言われたように、復興金融委員会の民主化或いは人民化くらいはできるものでありまして、これは簡單にできるのであります。これくらいをやらなければ本当にすべて腹下しになる。そう思うが故に私たちは反対するのであります。
 最後に、一言私はこの私の発言が近い将來にでき上がる小委員会において、急速に復金の徹底的な改革ができ上がるにおいて、且つは又廣汎なる一億の國民が、これらの問題にもつと注意を集中して行くという点において、何らかの寄與あらんことを切望して、この私の少数報告を終わる次第であります。
#9
○議長(松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#10
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。これにて本日の議事日程は議了いたしました。次回の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後十一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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