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1947/03/26 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第24号
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1947/03/26 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第24号

#1
第002回国会 本会議 第24号
昭和二十三年三月二十六日(金曜日)
   午前十時三十九分開議
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 議事日程 第二十二号
  昭和二十三年三月二十六日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第六日)
 第二 自由討議
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#2
○副議長(松本治一郎君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。この際御報告いたします。一昨日の本会議において石坂豊一君から御発言がありました事柄につきましては、議長は、一昨日直ちに各派交渉会に諮り、その決定に基きまして、昨日松岡衆議院議長を訪ねましたところ、衆議院議長は、十分遺憾の意を表明せられました。
     ―――――・―――――
#4
○副議長(松本治一郎君) 内閣総理大臣はり発言を求められております。この際許可いたします。芦田内閣総理大臣。
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#5
○國務大臣(芦田均君) 一昨二十四日、私は目下來朝中のアメリカ陸軍次官ドレーパー氏の一行と会見いたしまして、各種の問題について意見を交換いたしました。
 私は終戦後日本國民が平和世界の建設誠意を以つて邁進する決心を持つていることを申述べ、又この際日本の経済再建が如何なる方法によつて行わるべきかについて政府の所見を説明いたしました。そうして今日、我が國が当面しておる難関の打開について、でき得べくんば連合國がこれに格別の援助を與えられんことを要望いたしました。その際ドレーパー氏より廳き得たことは、日本が自立自存を念として再建せられることは、ひとり日本の利益ばかりでなく、アメリカの利益であると信じておるから、日本國民がみずからの運命を自分の手によつて開拓する意氣と努力を示すにおいては、アメリカ國民は從来よりも一層の熱意を以て、日本経済の再建に寄與し得るであろうとの言明を得たのであります。(拍手)
 私は以上の事実を御報告申すと共に、我々が好意ある連合國の信頼に背かないように、祖國再建のために今後一層奮励する決意を新たにいたしたいと思います。
     ―――――・―――――
#6
○副議長(松本治一郎君) 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第六日)、昨日に引続き質疑を許します。高田寛君。
   〔高田寛君登壇、拍手〕
#7
○高田寛君 私は今日先ず最初に観光事業のことについて御質問をいたしたいと思います。終戦後三年、我が國は今や経済の再建と國際信用の回復に全力を挙げておるのであります。敗戰の結果、領土はせまばまり、資源は著しく減少したのでありますが、而もここに八千万の國民が生きて行かなければならないのであります。國を挙げて生産増強を叫び、又食糧増産が計画されておるのでありますが而もなお食糧を始め、その他の生活物資は年々この供給を外國に仰がなければ我々は生きて行かれないのであります。幸いにして連合國の御好意によりまして、食糧の輸入は順調に運び、又周囲の情勢が好轉いたしまして、重要物資の輸入の曙光が見え始めて來ておるのであります。併しこれが対價はどこまでも我が國から外國に支拂わなければならないのであります。このために輸出貿易の振興に向つて大いなる努力が拂われておるのでありますが、而もなお貿易の収支についてこれを見ますると、昭和二十一年度、昭和二十二年度両方とも大掴みにして約二億ドルずつの輸入超過を見ることになつておるのでありますが、今後と雖も、我が國情からいたしまして、この輸入超過の趨勢は決して恐れることができないと思うのであります。ここにおいて輸出貿易外に外貨を獲得する途を講ずるにあらずんば、我が國民が生きるための物資は引続いてこれを外國から購入することはできないわけであります。戰前においては、海運収入、或いは海外移民の送金、或いは海外投資の収益というようなものにも大きな外貨獲得に期待を持つことができたのでありますが、今日の状況におきましては、全くその望みを失つたのであります。そのために、輸出貿易以外に外貨獲得の途は唯一つ観光事業があるのみと申しても敢て過言ではないと信ずるものであります。第一次大戰の後財政窮乏を救いますために、欧州の各國、つまりフランス、ドイツ、イタリーなどは相挙つて観光事業に着目いたしまして、從來民間事業者に委ねられておりましたこれらの事業を国家的事業として坂上げ、これによつて積極的に外貨獲得を図つたのもむべなるかなと存ずるのであります。今後我が國が國際信用を回復して國際連合に加入し、國際社会の一員として立つて行くにも亦この観光事業の振興が必要であると考えるのであります。できるだけ多くの外國人を我が國に迎えまして、平和國家、民主國家となつた我が國に対する認識を深からしめ、又我が國民に接して日本に対する親しみを持たせることが国際信用回復の最も近道であるからであります。かくして國際的信用の回復があつて、初めてここに今後我が國より廣く海外に移民を送り出すこともその途が開けて來ると思うのでありまして、又観光事業の振興に伴いまとて、國民の文化や教養を國際的水準に引上げることになり、又國際文化の交流によつて我が國文化の向上を図ることも亦できるのであります。なお又、國内観光の面を見ますると、健全な旅行の奨励によつて國民生活の明朗化を図り、又一般勤労者に健全な慰安を與えて、勤労意欲の高揚を図ることができるのであります。幸いにして我が國は氣候温和にして風景に恵まれ、豊富な温泉があり、特異な文化や芸術を持つて、一面戰争を通じて諸外國の我が國に対する関心は非常に高まつておることも見られるのであります。この際我が國にして適当な外國の観光客受入れ態勢を整えまして、又観光宣傳その宣しきを得ましたならば、海外旅行熱の高い米國人を始めといたしまして、多くの観光外客を迎えることは期して俟つべきものがあると思うのであります。聞くところによりますると、米國人の海外旅行熱は戰後とみに高まつておりまして、昨年中に米國人が海外旅行に費した金は約六億九千万ドルであり、この二、三年後には恐らくこの金額が一年間に十六億ドルに上るであろうということが言われておるのであります。今次大戰の終了後、欧州各國は競つて活發に観光事業に力を注いでおるのであります。英國は戰勝國ではありますが、相当の財政的打撃を蒙りましてその経済回復策といたしまして大々的に観光事業を取上げまして、政府の観光局を作り、民間國体である英愛旅行協会と協力いたしまして、来國民を観光客の第一目標として最も活發な活動を展開いたしております。その他フランス、スイス、オランダ、ベルギー或はデンマーク、ノルエー、スエーデンという各國も競つて米人観光客誘致に活發な宣傳活動を開始しておるのであります。戰爭中数年間我が國は、国際交通路から全く遮断された状態にあつたのでありますが、昨年の夏以來米國の航空会社はその航空路を我が羽田を経て、或いはマニラに、或いは又カルカツタに延ばしておりますし、又アメリカの汽船会社は、その航路を我が横浜港を経て或いはマニラに、又世界一周航路に延ばしております。英國の航空会社も亦最近ロンドンを発しまして、カルカツタ、香港を通り、我が岩國の飛行場までその定期航空路を延ばして來ておるのであります。貿易関係者の往來も漸く繁くなつて参り、殊に又最近はアメリカン・プレジデント・ラインの船が横浜に碇泊中に、その乗客はバスを連ねて、或いは鎌倉或いは東京などの見物を始めて來ております。講和会議開催の時期は延びましても、日米間の平和的交通は日に日に繁くなり、観光客の大々的來訪も近くこれを迎え得る情勢が窺われるのであります。この時に当つて我が國の観光客受入態勢はどうなつておるのでありませうか。観光道路は戰爭以來修理の行届かんものが多く、又鉄道の旅客輸送状態も未だ戰前の状態に遠く及んでおりません。ホテルの数も外國観光客を迎える余裕ほ殆んどないような有様であります。戰後観光事業に対する一般の関心が高まりまして、民間の観光事業推進の機関として全日本観光連盟の創立を見、又各地方に観光会社というようなものが数多く設立されて、或いは國民に観光訓練をなすとか、或いは又各種の観光施設の充実に力を致しておるのでありますが、何分資金及び資材面において隘路が多く、観光客受入の施設充実の面は遅々として進んでおりません。これは結局のところ我が國においてはいまだ観光事業を國策として取上げ、積極的にこの事業を推進して行くという方策がはつきりしておらないということに原因があると思うのであります。須からくこの際観光事業を重要國策の一つとして取上げ、外客を迎えるに必要最小限度の設備は急速にこれを充実いたしまして、一方又積極的に観光宣傳に乗出して、大々的に観光事業の振興を図り、以て我が國経済再建の一翼を担当せしむべきものと思うのであります。この際総理におかれましては、この観光事業を重要國策の一つとして取上げて、強力にこの事業の振興を図る御意思があるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
 尚又片山内閣時代に、昨年十一月文化委員会におきまして、片山総理から、観光事業関係事務が各省に跨り仕事が区々になつておる実情に鑑み、総合的にその基本方策を決定するため、内閣に観光委員会をできるだけ速かに設置するよう図ることにいたしたい。こういう御答弁があつたのでありますが、芦田内閣におかれては、速急にこの内閣に観光委員会を設置する御意思があるかどうか、この点も併せてお尋ねしたいのであります。
 次に運輸大臣にお尋ねいたします。観光事業の根幹をなす交通問題を見まするに、鉄道はその輸送力において、又旅客待遇施設において誠に遺憾の点が多いのであります。旅行の利便増進、殊に外國の客に対する輸送の改善につきましては、如何なる計画を持つておられるか、この点をお示しを願いたいのであります。又國際観光事業に必要欠くべからざるホテル事業につきましては、運輸省が長年に亘りこれが助成に当つておられるのでありますが、今後のホテル整備計画について如何なる御計画を持つておられるか、併せてお尋ねいたしたいのであります。
 次に、建設院総裁にお尋ねいたしたいのでありますが、今日道路、殊に観光道路というものは観光事業に最も大きな関係を持つておるに拘わりませず戰後その修理は行届かず、主要な國際観光地におきましても、その道路は惨怛たる状態のものが多いのであります。今後の観光道路整備について如何なる御許画を持つておられるか、この点お尋ねいたしたいのであります。
 最後に、安本長官にお尋ねいたしたいと思いますが、只今我が國の経済の点から見て、ホテルその他の観光施設建設に資金や資材を集中することは、相当困難な問題もあると思うのでありますが、併し観光事業が國家経済の再建に及ぼす影響を考える時、外客を迎えるに必要量小限度の観光施設については、速急にその建設が可能となるように資金資材両面において特別の配慮がなくてはならないと思います。安本長官におきましては、外客誘致に必要なホテルその他の観光施設に対して、その資金資材面について特別の考慮を拂われる御意思があるかどうか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
 次に海陸交通の問題につきまして運輸大臣にお尋ねいたします。先ず國有鉄道でありますが、申すまでもなく國有鉄道は、我が國陸上交通機関の大宗であり、経済の動脈であり、これが健在であるかどうかということは、國民生活に至大の関係があるのであります。戰後國鉄の輸送力はやや回復して來たとは思われるのでありますが、依然として鉄道沿線の滞貨は山を成しております。木材の百万トンを初めといたしまして、滯貨の総量は現在実に三百万トンに達しておりまして、而も日日の発送トン数は滯貨の一割にも及んでおらない状態であります。これでは何蒔滯貨の山が崩れるか見通しが付かないのであります。駅頭がかように詰つておりますから、その背後地の生産物資は駅に持込むことすらできません。その背後地滯貨は実に千五百万トンぐらいに及ぶと推算されるのであります。現在最も貴重な生産物資が、國鉄の輸送力不足のため空しく生産地において腐つて行く状態が見られるのであります。又國鉄に対する貨物輸送の請求と、國鉄輸送の引受の関係を見ますると、輸送の請求に対してその引受は僅か六割でありまして、四割は折角生産があつても輸送を拒絶されておるのであります。重要物資以外の普通品につきましては、輸送の請求に対して僅か四割を鉄道において引受けておるに過ぎないのであります。かような状態でありまして、これでは物資需給の円滑を阻むものは國鉄輸送力の不足にあり、日本経済の復興の隘路は、國鉄の輸送力不足にありと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)私は二十三年度における石炭増産分の六百万トン、これに基く各種の工業生産品増産分の輸送を、國鉄では他の物資の輸送を切らずに純増送分として引受けられるかどうか、衷心より危惧するものであります。一方又旅客輸送方面を見ますると、戰前に比しまして乗客人員は四倍に上り、而も一方旅客列車の運輸キロは逆に半分になつております。これでは殺人的混雑の起るのは当然なのであります。客車は不足勝ちでぎりぎりの運轉をしておるため、整備の暇もなく、窓は破れ、腰掛は壞れ、乗客は押し合いへし合い、喧嘩口論の絶え間がない有様でありまして、これでは國民の勤労意欲を低下させるばかりでなく、國鉄は國民の道義頽廃の温床であると言われてもいたし方がないと思うのであります。(拍手)これは勿論資材不足のために車輛の修繕が追い付かない、新車もできない、石炭不足で運傳の増加もできないという理由もありましようが、何とかして改善しなければならない問題であります。陸上輸送の根幹である國鉄がこのような状態のままで推移するならば、國民はこれ以上黙視することができないと思うのであります。
 次に自動車の問題でありますが、自動車は貨物の集配なり、バスの輸送なりで、鉄道の補助的交通機関として重要であるのみならず、近代國家におきましては、鉄道の從属性を離れて、独自の交通機関としての使命を持つているのであります。從いまして自動車の輛数は、一國文化の水準を示すと申しましても過言ではないのであります。我が國の自動車の保有量は、人口五百人について一輛にも達せず、正に四等國以下の状態であります。而もその僅かの車輛が修理できない、燃料が足りない、タイヤの補充がないというような有様で、誠に自動車関係は隘路だらけでありまして、自動車事業は破滅の一歩手前まで來ておると思われるのであります。聞くところによりますと、運輸省は自動車整備五ケ年計画を立てて、五年後の保有量を三十万輛に置いておるということでありますが、三十万輛の自動車保目標はむしろ少きに過ぎると思うのであります。何とかして自動車の急速増備を図らなければならんのであります。又我が國は自動車の走る道路が極めて悪い。道路を改修しなければ自動車事業は決して発達しないのであります。自動車を発達せしむることは、経済復興に必要なばかりでなく、文化の向上、外客の誘致に寄與するところ極めて多大なるものがあると信ずるのであります。
 次に海上輸送でありまして、海上輸送は最近順次その成績を挙げつつあることは認められるのでありますが、何分にも戰災の被害が誠に多く、海國日本の姿は今日どこにも見られない。即ち修繕材料の不足と修繕費の法外に高いことが原因になつて、常に不稼動船が多いのであります。燃料不足のため稼行率が悪い。ポート・チャージが高いために荷物が出ない。これらの諸点を改善しなければ、海運は決して発展しないと考えるのであります。
 以上を通じまして、我が國の交通機関は戰後著しくその機能を失い、これが回復は非常な困難が伴つて容易なことには立直らないのであります。このままで推移するならば、日本経済復興の最大隘路たらんとしております。差当り二十三年度において、石炭増産六百万トンを、他の物資の輸送を切らずに輸送し得るかどうか、緊急にこの手を打たなければならんと考えるのでありますが、この点についての運輸大臣の具体的の御方策をお伺いしたいのであります。
 次に我が國の経済復興を五年乃至七年の間に達成すべく諸計画が進んでおりますが、亡こに対應する交通機関の復旧整備計画はまだ御発表がないのであります。國有鉄道、自動車、道路、港湾、船舶、それぞれに確たる資金と資材の裏附をいたしまして長期計画を早く立てなければならないのであります。交通機関の整備は一朝一夕にできるものではありません。長年の時日を要するものでありますから、今にして具体的の計画を樹立しなければ、生産増強に後れを取ると思われろのであります。又交通機関はそれぞれの分野があると同時に、相互相関連し、一体となつて一國の輸送力を形成するものでありますから、各別の長期計画を綜合した総合輸送計画の確立が必要であります。綜合輸送計画に関する重要な諸点は、海陸輸送分野の決定、或いは運賃の調整とか、資材、燃料等の配分とか、いろいろあるのでありますが、要するに、物資の生産数量の増加と睨み合せて、交通機関を整備するために有効に金と物とを使つて行くことにあると考えるのであります。政府は一日も早く各種交通機関の復興計画と、その綜合輸送対策とを確立して、これを國民に示し、國会に提示すべきものであると考えるのでありますが、この点についての運輸大臣の御所見を承わりたいのであります。
 次に安本長官に御質問いたします。輸送が我が國の経済復興に極めて重要な役割を占め、而も今日最も危惧されておりますことは、申すまでもないのであります。何故輸送が振わないかというに、いろいろの原因もありましようが重要なりつ原因は資材の不足であります。車輛や船舶を動かしたくとも燃料がない。故障が生じても、修理補修の材料がない。新造いたしたくても資材がないというのが、今日の状態であります。これでは決して輸送力は伸びない。資材の窮屈な点はよく分るのでありますが、たとえ無理をしても交通機関に必要最小限度の資材の供給をいたさなければ、せつかく生産された物資も徒に滯貨となるばかりであつて、これでは何のための生産増強かと言いたくなるのであります。又特に注意して頂きたいのは、運輸從事員の必要とする最小限度の作業用品であります。作業衣や、地下足袋や軍手や、その他の作業用品は、無理をしても配給しなければ、能率の増進も勤労意欲の向上も期待されないのであります。運輸事業が重要産業の一つに指定されたのでありますから、石炭関係と同様に、これらの物資の支給を確保して頂きたいと思うのであります。これらの諸点について安本長官の御所信を承りたいのであります。
 最後に総理に御答弁を煩わしたいと思います。文明は交通よりという諺がありますが、我が國の交通機関が現状のようでは、國民文化の水準は決して向上いたさない。経済も復興しない。須らく政府は格段の努力を以て、各種交通機関の整備を速急に図るべきであります。然るに交通施設の整備改善は一朝一夕にできるものではございません。短きも半年、長きは数年を驚要するのであります。今から最重要國策の一つとして交通整備を取上げ、輸送力増強の具体的方策を採らなければ、我が國産業復興の最大隘路となることは、火を見るより明かであると思うのであります。只今運輸大臣や安本長官に対して、輸送力の問題についていろいろ御質問いたしたのでありますが、要は総理が内閣の首班として、熱意を持つて輸送の問題に対処されるかどうかということに係つておるのであります。この点に関する総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#8
○國務大臣(芦田均君) 高田君の質疑にお答えいたします。高田君は多年國際観光事業推進の重要な仕事を取つておられまして、又我が國の交通事業に半生を捧げられた方でありますから只今この壇上でお述べになつた御意見は誠に適切にして、我々を啓発するに足る御意見であつたものと深く敬意を表する次第であります。
 質疑の第一は、観光事業を私が國策の一つとして取上げる意思があるかどうかという点であります。私個人のことを申上げては甚だ恐縮でありますが、私多年海外に生活をした経験と、衆議院議員として観光委員会の一員として、先に國際観光委員会が廃止せられるまでその末席を汚しておつた体験を持つておるのであります。我が國が今後諸外國に國情を十分了解せしめる方策としても、亦経済再建のための外貨獲得の重要な部門としても、この際観光事業は是非これを國策の重要なる一部門として取入れなければならないと信じておるのでありまして、昨年十一月に当時の片山総理が、文化委員会において意見を発表した点は、私そのままにこれを継承して、同じ方向に向い極力國策事業発展のための必要な施策を行いたいと考えております。
 観光委員会を設ける意思があるかどうかという点についても、片山総理の言明と同一でありまして、私がみずから國際観光委員会の一員としての体験から申しますと、旧來の観光委員会はその委員の選択においても、亦その活動の権能においても、この際再検討をする必要があるかに考えておるのでありまして、政府は遠からず観光委員会を設置すると同時に、その機能においても、亦人選においても十分考慮を拂いたいと考えております。
 第三に御質疑は、我が國の交通及び輸送の部門が現状のままであつたは、我が國経済再建は單に空念佛に終つて、実際の効果は挙げ得ないと思うが、政府はどの程度まで熱意を持つてこの方面の施策を行うのであるかというお尋ねであります。至極御尤もな御意見でありまして、今日の経済再建の一つの大きな隘路が交通機関の不備にあることは諸君もすでに十分御承知の通りでありまして、重要産業の復興は先ず以て輸送の復興から考えられなければならないということは、何人も異論のないところであると信じます。政府はこの問題を急速に取上げて、石炭その他の重要産業の復興と同時に、輸送交通の改善に万全の力を致したいと考えておる次第であります。簡単にお答えいたします。(拍手)
   〔國務大臣一松定吉君登壇〕
#9
○國務大臣(一松定吉君) 高田議員の御質問の中で、建設院の事業に関しまする点を要約してお答えを申上げたいのであります。高田議員の御主張の中で、我が國の現在の財政状態を緩和し、その方策の重要な施策としては、観光事業を強化推進する。從つて外貨の獲得を考えるということが最も優良なる政策の一つであるとの御意見に関ししましては、私に全然同感でございます。殊にあなたの観光事業に関しまするその豊かなる御経験御識見等に関しましては、私は常に蔭ながら敬服をいたしておる一人であります。その観光事業の推進によつて外貨の獲得をすることに関して、先ず國立公園だとか、或いは道路の新築、改良、補修、港湾の新設だとか、こういうような点につきまして、最も意を用いなければならないことは言うまでもないのでありまして、これらの事業が完成することによつて、觀光事業の殷賑を極めるに到るのであります。この意味におきまして、この觀光事業に関しての道路計画というものについては、どういうような考えを持つておるかという御趣旨の御質問であつたように承知いたしておるのでありますが、先ずこれらの道路の計画に関しましては、いわゆる都市並びに國立公園及び港湾、こういうようなものを連繋する一連のいわゆる幹線道路を作成するということが一番必要であろうと思うのであります。これらの道路の如何が文化、経済、教育その他の事業に、最も重要なる仕事であることも言うまでもございません。こういう意味におきまして、政府といたしましては、先ずこの十五ケ年計画を以てこれを達成しようと、こういう考えを持つておりまして、その中の最初の五ケ年間は、先ずごの生産増強に必要なる路線、而してこれが公園、都市、港湾等と連繋する一大幹線に結び付けて計画をするということを一番に先ず考えております。あとの十ケ年をこれに準ずべき路線を選出いたしましてその工事をやろう。その工事のやわ方に関しましては、今我が國の財政等を勘案いたしまして、先ず既設の道路を補修し、次に新設改良に手を伸ばしたい。こういうような考えを持つております。而してその道路の場所は今申上げましたような目的に副うように、その土地、その土地の特異な専情を考慮いたしまして、これらの道路の場所を決めよう、こういうような考えを持つて計画を立てておるのでございます。これらの道路が十分に完成することによりまして、即ちこれらの観光事業というものが目的を達成することに容易になることになり、從つて外客の誘致、外貨の獲得を思う存分にすることができる。從つてそれが我が國の財政の補強の一端に資するということになろうと思うのでございますが、これらの点に対しまして、私実は厚生大臣として、この國立公園の事業に余程関心を持ちまして、殆んど西半分を視察して見たのでありますが、あなたの仰せになりまするように、道路は実に悪いのです。又汽車等も非常によくない。自動車にしても、或いは電車にしても、或いはホテルにしても、マそれらの從業員の訓練にしても、或いは娯樂場、土産物というようなものに思いを致たしますると、実に不十分極まる。で、これらの点を政府としては、只今総理がお答え申上げましたように十分整備いたしまして、そうしてこの目的を達成いたしたいと、かように考えておるのであります。これに関しまして委員会を設けてやるというようなことも、大いにやらなければならんことであろうと思いますが、將來は或いは観光院若しくは観光省くらいまで行かなければならんのではないかと私は思つておるのであります。あなたは特にこういう点について豊富なる知識御経験を持つていらつしやるお方でありますから、一層一つ政府に御協力あらんことを特に私からもお願い申上げて置きます。(拍手)
   〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
#10
○國務大臣(岡田勢一君) 高田君の御質問に対しましてお答えいたします。
 第一に観光事業の発展のために輸送施設の改善をどういうふうに考えておるかという御質問でございます。高田君の仰せられました通り、外貨獲得の重要なる一部面といたしましても、運輸省といたしましては、この観光事業なるものを非常に重要視しておるのであります。つきましては近くアメリカの二大航空会社及び汽船会社の企画によりまして、相次いで本邦を訪れることになつておりますアメリカ人の訪日観光客の接遇上からいたしましても、或る程度の外客輸送施設は急速に整備せなければならないのでありまして、國有鉄道におきましては、取敢えず現有施設の傳用改修によりまして緊急の需要に應じまする一方、近き將來における外人観光客の來訪に備えまして、過般優等車増備五ヶ年計画というものを樹立いたしまして、五年間に優等車約七百八十輛を建造することにいたしておる次第であります。勿論これは資金資材の面から多大の掣肘を受けざるを得ないのでありまして、來年度計画には遺憾ながら計上をいたしておりませんが、関係方面の了解と協力を得まして、できるだけ速かにその実現を期したいと考えております次第であります。
 尚かかる鉄道輸送施設の整備と並行いたしまして、外客の誘致上重要な港湾及び観光船の整備につきましても目下研究中でありまして、差当り明二十三年度におきましては、別府、宮島等四遊覧港の緊急整備を図るために、その所要予算の確保につきまして、関係市町と只今種々折衝中であります。又自動車につきましても、優秀な車輛を提供する必要がありまして、そのためには、外國産の優秀車の輸入に俟つことが最も適切であると考えられますので、目下商工省と連絡しまして、関係筋の了解を得まして、或る程度の乗用車の輸入を実現いたすべく努力をしておるのであります。次にホテルにつきましては、これが観光施設の根幹をなしております関係もありまして、当省といたしましてもその整備に腐心いたしておるのであります。
 最近におけるホテルの動向を見ますと、戰前におきましては全國に亘つて百十二を数えたのでありますが、戰時中に或いは戰災を被り、又は轉廃業いたしました結果、終戰時には僅かに七十二に減つておりました。その後新設乃至復業しましたものを含めましても、僅かに八十四ヶ所にしか過ぎないのであります。而もその多くは特殊用務に当てられておりますので、來るべき日における外客來訪の動向を考え合せまするとき、その整備は急速を要することになつておるのであります。かような情勢に鑑みまして、当省におきましては、各方面の意向をも参酌いたしました上、過般全國ホテル整備計画案というものを策定いたしまして、十ケ年六次に亘りまして、全國に百三十五のホテルを建設すべく努力を傾けることといたしました次第であります。そういたしましてその内特に緊急整備を要する全國の十一ホテルにつきましては、公有地に國家の経費を以てこれを建設いたしまして、民間業者をして経営せしめる建前の下に、その所要予算額九億二千万円を明二十三年度の一般会計に計上するよう、建設院を通じまして経済安定本部に要請中であります。尚ホテルにつきましては、固定資本に極めて多額を要する関係もありまして、特に外資の導入により緊急設備を図るべく、所要の調査研究を進めております次第であります。又他方、ホテル事業の健全且つ急速なる発達を図るために、ホテル事業の保護育成を主眼といたしました法案の作成についても、目下鋭意努力中でございます。
 次に海陸輸送力の増強の具体的方策如何という御質問でございますが、高田さんの言われましたごとく、輸送力の不足が今日生産経済の復興の最大の隘路をなしておるといふ御意見は、全くそれは私も同感でありますし、これ亦否まれない事実でございます。國有鉄道の関係におきましては、昭和二十二年度における貨物輸送は、資材の不足による施設、車輛の老朽荒廃、及び労需用物資の不足、並びに從事員の生活不安の問題、更にその間に発生いたしました水害、雪害等のいろいろの悪条件に禍いいたされまして、年間の輸送量推定は約一億一千万トンでありまして、当初の計画に対しまして九四パーセント程度の成績しか挙げておらない状態になつております。本年度におきましても、これらの悪条件の緩和排除はなかなか容易ではございません。このままでは年間に一億一千五百万トン以上の輸送量を確保いたしますことはなかなか困難であると言えるのであります。そういたしましてこの程度の輸送力では国家経済の再建計画に重大な齟齬を來しますことは明らかであります。それで万難を排しまして年間一億三千万トンを輸送いたしますことを目標といたしまして諸種の計画を樹立して、この目標達成のためには鉄道輸送を石炭の生産と同様に最重点産業として取扱うことを実行に移しまして、強力に各般の措置を実施するつもりであります。即ち一、諸施設の整備充実を図り、特に輸送用の通信設備の機能回復及び運轉用諸施設の整備強化に努める。二、從事員の生活の安定、労需用物資の確保、職場の整理を図り、積極的に働き得る態勢を醸成する。三、所要の資材、石炭、電力の確保を図る。四、石炭、鉱石等大量貨物の海運への轉移に努める。五、荷役、小運送力の整備強化を図る。六、輸送力の合理化及び経営の能率化に努める。こういうことを、今後におきまして実行に移して参る考えであります。
 それから次に、御指摘になりました旅客輸送の問題でありますが、最近の旅客輸送は誠に不十分なものでありまして、高田君の御指摘になられましたような大変な迷惑を國民におかけしておりますことは、誠に恐縮をいたしております。最近の旅客輸送は、戰前に比しまして約量が四倍になつておるのでありますが、旅客列車の運轉キロ数は、戰前に比較いたしまして、僅かに五七パーセントにしか過ぎないのであります。その結果先に申上げましたように、各線の混雑が甚だしくなりまして、誠に御迷惑をかけております。只今の國情では貨物輸送に重点を置かなければならないことは当然でありますが、このような旅客輸送の姿では、経済社会活動に必要な國民の動きが不均衡に抑えられておると言わなければならんのでありまして、何とかいたしまして、少しでも旅客列車を増すように努力いたしまして、國民の生産生活活動を円滑ならしめたいと考えております次第であります。それから自動車産業進展のためにも、あらゆる隘路條件を克服いたしまして、諸般の施設を講じなければならないと考えております。燃料及びタイヤその他の諸資材の健保につきましては、先ず極力國内で解決を図りますと共に、一方輸入の量の増大を只今懇請することに努力をしております。これらの諾方策の実現を期しまして、五ヶ年計画を立てた次第であります。國家産業の再建を急速に実現いたしたいと思つておる次第であります。御指摘になりましたように、五ヶ年後に三十万輛ということでは少ないと私も考えておりまして、この点はできるだけ大量の車輛の増加を実現をいたしたいと考えておる次第であります。
 その次に海運の方でございますが高田さんの御指摘になりましたように、船舶の修繕料が誠に高價になつおりますことは事実でありまして、大体昭和十年頃に比較いたしまして、その値上力率は九十乃至九十五倍になつておるのであります。又労賃はこの間約七十倍に高騰を示しておりますにも拘わりませず、その造船所におきまする能率は甚だしく低下をしております。そこへ持つて参りまして、鋼材或いは副資材等の公定價格が高くなつておりまする上に、誠に今日資材の獲得が困難な状態となつておりまして、このために造船所におきましても、現在のような高い修繕料を請求せざるを得ない止むを得ない状態になつておりますことは、誠に不幸でございます。それがために海運業者の今日の経営が誠に困難に陷つておりますのは、何とかいたしてこれを好轉せしめなければならんと考えております。この修繕料の低下ということにつきまして、運営会などにおきましては、最近に入札制を採用いたし、又船舶公團におきましては、過般制定されました法律第百七十一号によるマル公及び標準賃金計算の励行による規正を図つておりますわけであります。同時に又集中排除法及び再建整備法によりまする企業の健全な合理化を行わしめまして、間接費の切下げを図りますと共に、或いは船價の審査委員会を設けましてその審査に当らしめる等、各種の方策を講じております次第であります。
 それから燃料につきましては、これ亦誠に不自由でありまして、御承知の通り、石炭が海運に廻りますもの途切れがちでありまして、それがために船を無意味に繋船させております事実が頻繁であります。これらも石炭の増産が進んで参りますと同時に、増産が予定の通りにできません場合におきましても、運輸当局といたしましては、この輸送の隘路を打開いたしますために、汽船の石炭の優先的配給を、関係方面に対しまして強く懇請をいたしております次第であります。それから港湾作業料、いわゆる荷役賃が高過ぎるということでありますが、一般物價に比較いたしますと、決して只今港湾荷役料のみが高いと言うことではないのでありまして即ち昭和八年を一〇〇といたしますると、一般物價におきましては九一四八という数字が出ますのでありますが、これに対しまして港湾作業料におきましては、四五六九ということになつております。むしろ港湾荷役料の方が他に比較して安いという現状になつております。
 次に海運の恒久的の復興対策如何というお尋ねに対しましては、只今日本の海運は、御指摘になりましたごとく、戰前の約五分の一に船舶が減少しておりまして、全く壊滅的打撃を蒙つておりますわけであります。只今重量トン数にいたしまして約百三十万トンの船舶が運行をいたしておりますが、かようなことでは、御指摘のごとく、日本の重要生産を復興いたしまする任務を達成することができないのでありまして、これは急速に新造船の建造、それから沈没船の引揚、修繕ということを國内的に大いに努力をいたしたいと考えておりますが、最近新聞に現われておりまするストライク報告書を見て見まするとき、我々の海運及び陸運の輸送事業に対しまして、大きな曙光を望み得るというこが言えると思うのであります。承わるところによりますると、アメリカにおきましては、戰時中に造られました汽船が余りまして、相当に繋船が殖えて來つつあるということを承わつております。今後私共といたしましても関係各所と相談をいたしまして、これらの過剰船腹の大量借入れを実現いたしますと同時に、燃料におきましても重油の轉入を大量に懇請をいたしまして、そうして急速に海上輸送力の増強を図りたいと考えております次第であります。かたがた似ちまして、何とかいたしまして、困難なる現状を高田さんを初め皆さん方の有力な御協力、御支援を受けまして、そうしてこの今日の生産、経済の復興を急速に刺戟いたしますような輸送力の増強、並びに輸送力の完全なる長期計画を確立したいと、鋭意努力中でございます。以上お答え申上げます。(拍手)
#11
○副議長(松本治一郎君) 栗栖國務大臣は、関係方面と打合せのため本日御出席になつておりません。後日適当な機会に答弁される趣きであります。これにて國務大臣の演説に対する質疑の通告者は全部終了いたしました。本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知申上げます。本日はこれを以て散会いたします。
   午前十一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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