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1953/04/27 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第11号
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1953/04/27 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第11号

#1
第019回国会 通商産業委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第11号
昭和二十九年四月二十七日(火曜日)
    午前十一時十九分開議
 出席小委員
   小委員長 中村 幸八君
      小平 久雄君    小川 平二君
      始関 伊平君    馬場 元治君
      加藤 清二君    加藤 鐐造君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主税局長)  渡辺喜久造君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  川上 為治君
 小委員外の出席者
        議     員 笹本 一雄君
        専  門  員 谷崎  明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 新鉱床探査積立金制度に関する説明聴取
    ―――――――――――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 本日は、新鉱床探査積立金制度に関する件の調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。始関君。
#3
○始関委員 先般懇談の形で開かれましたこの委員会におきまして、主税局長から、今回の租税特別措置法の改正中、新鉱床の探鉱促進に関する条項の趣旨の説明を伺い、なお鉱山業界等で主張しておる新鉱床補填積立金制度に対する主税局長の意見も伺いました。主税当局といたしましては、目下のわが国の経済自立の達成上重要な地下埋蔵資源の開発を促進するために、新鉱床の探査を積極的に促進する必要がありという、まあこれは産業政策と申しますか、鉱業政策上の見地はお認めになつておられる。問題は、一応主税当局の見解では、今回の租税特別措置法の改正でやつてみたい、それで十分ではないか、こういう御意見のようでありますが、その点の出発点は同じでございますが、結論の方がわれわれと違うわけであります。以下、諸点にわけまして、主税局長のこの前の御見解のうちで、私どもが承認しがたいと思われる点につきまして、重ねて主税局長の答弁をお願いしたいと思います。
 第一点は、渡辺局長は従来新鉱床の探鉱について、探鉱が失敗した場合は、すべてこれを損金扱いにして来た。損金扱いを非常に寛大にして来た。そこで鉱山会社は、これによつて今日まで大幅に利益を留保して来ておるはずである。しかも今回の特別措置法の改正によつて、成功した新鉱床探鉱の分についても、その半額を特別償却その他の方法で損金に見ようとしておるのであるから、これで新鉱床探鉱が十分に促進されるはずであるというふうにおつしやつておると思います。しかしながらこれは鉱業の特殊性というものを十分に御理解になつていない一面的な見解ではないかと思います。すなわち好況の直後である最近一箇年の実積について見ても、金属鉱山は、年間約八百五十万トンの鉱石を採掘しておるのであるが、これに対して新鉱床の探鉱により、鉱山が開発している埋蔵鉱量はわずかに二百八十万トン程度であります。成功失敗を問わず探鉱費用全部を損金に認めたとしても、三分の一程度しか補填が行われておらないのであります。これは今回の特別措置法の改正前の実績でありますが、措置法の改正によつても、実績なり傾向なりについては変化がほとんどあるまいとわれわれは考えるのであります。探鉱というものは、設備と労務者とを必要とするのであるし、しかも一つの探鉱を完遂するのには数年を要するのが通常でありますから、好況時といえども、事業の先行きが見通せない限り、一挙に探鉱を急にふやすということはできないのであります。いわんや不況時になりますと、直接生産に関係がないのであるという理由で、探鉱はすぐあとまわしになる。それをやる余裕が実際上ないというのが実情であります。でありますから渡辺局長が非常に自画自讃しておられますいわゆる実績容認ということでは、十分な探鉱というものは行われがたいというのが真相であると思うのであります。探鉱をやらせようというお気持はあるが、その方法論としていわゆる実績主義というか、実績があればそれを損金として認めるということは不十分であるというふうに考えざるを得ないのであります。かんじんなのは鉱山の新鉱床探鉱の先行きの不安、それから危険性をカバーすることでありまして、好況時所得から相当程度の控除をしてやつて、これを積み立てさせる、不況やその他の先行き不安にもかかわらず、企業が一定の見通しを持つて、計画的に安心して探鉱を促進させるような、そういう制度を採用すべきであるということが、いわゆる新鉱床探査の積立金制度の趣旨であると思うのであります。前会の渡辺局長の御説明では納得できてないので、もう一ぺんその点について、ひとつ御見解を伺いたい。
#4
○渡辺政府委員 現在発見されている鉱量と採掘鉱量との間で、発見されている方が及ばない。これはいろいろな理由があるのじやないかと思います。われわれの方でもあまり専門的なことをよく存じておりませんので、その点につきましては、それがはたして税制のゆえにそういうことになるのか、あるいは、たとえば今お話になつているような制度さえできれば、解決される問題なのかといつたような点につきましては、さらに専門家の御意見などもとつくり伺つてみないと、何とも申し上げかねると思つております。ただわれわれの方で考えております点は、結局会社の実力が十分つく、内容がよくなつているということになれば、好況、不況の波に対しましても、相当堅実な会社の経営ができてますから、従いまして会社にその意図があれば、探鉱を引続いてやつて行く能力もおのずからついて行くゆえんじやないか、こういうふうに考えているものでございます。過般も申し上げましたが、とにかくわれわれの方で従来やつ来た点を見て参りますと、新規開発の場合におきてまして、それが幾つか探鉱した、それに相当の探鉱費用を使つたという場合におきましても、失敗した探鉱の場合、これをそのときどきの経費に落して行く。結局成功した場合の分だけが、鉱工業権その他の名前によりまして資産に載つて行く。それだけまあ会社としては含みの内容を持つているわけでございますので、そこにおのずから会社が将来の探鉱を続けて行く自力が生れて来るんじやないか、こういうふうに考えているわけでございます。どうもそういうふうな一般的な関係でははつきりとしないから、何かもう少し筋のついたものを考えてほしいといつたようなお話もございましたので、われわれの方としましてはいろいろ検討しました結果、今度の措置法の場合におきまして、成功した場合、二分の一の即時積立てという制度を認めようというふうに考えております。これも減価償却という形式をとつておりますので、一応会社のバランス・シートの面からは、はつきりしにくいかもしれませんが、同じ減価償却の場合におきましても、引当勘定、反対勘定をつくつて、償却準備金のようなものをつくるというようなこともよく会社のやつているところでございますが、こういう姿で一応お考え願いますと、割合に理解できやすいんじやないかと考えます。すなわち今度の制度によりますと、新規鉱床に使つた金の、しかも従来は、資産に載せていて、何年か相当長い期間かかつて償却したのですが、それをその半額までは即時積み立て得る、これは好況であればその年にそれだけ積立金ができるわけでございますし、同時にもしたまたまそのときが不況であり、従つてそのときに積み立て得ないということになれば、五年間の繰越しが認められるわけでございます。そういう一つの積立ての是認範囲がそこに出て来るわけでございますので、そういうふうな積立金が一応順繰りに動いて行くとしますれば、好況、不況の問題と離れての探鉱ということが可能になるのじやないかと思います。従来の制度におきましても、終局するところは同じような意味でございますが、今度の場合におきてましても、もしそういう経理の仕方を頭に置いてみれば、そこにできたわけでありますが、そういう経理をやらなくとも、終局するところは同じわけでございますので、そういうふうなかつこうでもつて、かなり予期している目的は達し得るのじやないか、われわれの方ではそういうふうに考えております。
#5
○始関委員 大蔵省の方で、鉱山会社の探鉱関係の経費を損金として認めるということについて、寛大な扱いを従来して来られたという点と、それからなお今回の租税特別措置法の改正によつて、さらに新鉱床の探鉱促進に一歩を進められたという点につきましては、私どもこれを了とするものであります。おそらく今回の改正案では十分な効果が上りにくいという点は、ただいま好況のあとの不況時でございまして、そういつたような点ともにらみ合せまして、一年間のうちに実績は相当はつきりして来るだろうと考えております。そのとき実績が証明すると思うのでありまして、ここで論争しても始まらないと思いますが、ただいまの局長の御説明の中に引用をせられました損金の償却を五年間繰越しができるのである、従つてこれは一種の積立金のような役割をすることになつて、今回の租税特別措置法の改正と、それから税制の上にもとからある五年間償却を繰延ばし得るという点と相まつて、相当に目的を達するのではないかという御見解であります。この御説明も鉱山の実情に合わない点が多いと考えるのであります。なぜかと申しますと、渡辺局長のお説が正しいためには、二つの条件がいると思うのであります。その一つは、探鉱は、鉱山会社が思い立つたときに、随時に行うことができるのであります。いわば伸縮自在なものであるというこの条件は、実際上妥当でないということは前にも申し述べたところでございます。人も雇わなければいかぬ、それから設備も整えなければいかぬ。しかも探鉱は二年なり、三年なり、あるいは四年なりというふうに、相当の年月をかけませんと、一つの探鉱が完了しないというような傾向があるわけであります。
 それからもう一つの条件としては、少くとも五年間に一ぺんぐらいは鉱山が大探鉱をやれるような、そういういい収益状況が必ず来るということを渡辺局長は前提としておられると思うのであります。このもう一つの前提でございますが、この点もちよつと実情に沿わないのではないか。御承知のように景気不景気の循環は、二、三年の好況が続きますと、あとの不況は七年か八年である。これは日本だけでなしに、世界各国――アメリカ等も同様でありますが、四年あるいは五年くらいの短かい期間にそういう好況が来るということでありますと、お説の点もあてはまると思うのでありますが、実情はそうでない。これは過去の実績と申しますか、過去の実際の資料に徴してそう言えると思います。でありますから、企業としてはせつかくやつても、ただいまの五年間の繰延べ年償却という制度は、あまり活用ができませんし、先行き不安のために探鉱が差控えがちになるという実情は、これは認めざるを得ないと思うのであります。そういう危険は、既往の企業の立場から動かせないのであります。でありますから、問題は前にも申しましたように、探鉱したら損金として認容するという制度では、探鉱促進に関しては、ほとんどプラスにならないと申しても言い過ぎではないとわれわれは考えておるのであります。むしろ逆に企業の余力のあるときに積立金を認めてやつて、そこに資本を留保させて、そして一定の期間の見通しのもとに、計画的に探鉱ができるというふうにしてやることが非常に望ましいのであります。主税局長は、探鉱を促進してやることが望ましいという前提はすでに御承認になつておるのでありますから、その目的に合うためには、ただいまお話になりました五年間の繰延べ償却という制度、それとどうもからみ合つた今回の特別措置法の改正をもつてしては、どうも不十分であるし、効果が上らないというふうに、前回のお話を伺つてもわれわれは依然としてその点に多大の疑問を持つのでありますが、これはもう一ぺん答弁していただきたいと思います。
#6
○渡辺政府委員 結局私の考えているところと始関委員のお考えと多少食い違つておりますところは、われわれの方は、現在大部分の鉱山はすでに相当稼行を続けて来たわけでありますが、将来も続けられて行くだろう。そこで結局その鉱山がずつと経営が続けられて行くために必要な条件は何かということから、実はこの問題を取上げているわけでございます。従いましてその場合におきてましては、先ほども言いましたように、過去において相当探鉱費を損金に見たということによつて、会社の考えようによりましようが、会社に一つの含みがあるのじやないか、その意味は、結局現在における鉱業権の評価というものが比較的安くできている、その鉱業権の評価が安くできてているがゆえに、実はこういう積立金がいるんだという議論が業界の方面にもあるようでございます。これは鉱業権の評価が高くできていれば、その鉱業権の償却の分で新しい探鉱ができてる。しかし鉱業権の評価が安いから、それを償却した分では、なかなか探鉱ができないのだというふうな御議論を承つたこともあるのでございますが、これはちよつと物の言いようでいろいろなことが言えるものだというふうに考えざるを得ないのです。従来におきてまして、そういうことも損金に見ていたということは、結局会社がそれだけすでに堅実になつている。従つてそこに探鉱を将来続けて行くだけの余力もおのずからついて行くのではないか、伸縮自在といいますか、むしろ私の伺つておるところでは、波の好不況によりまして、不況のときには探鉱がとまつてしまつたり、好況のときにはそのまま続ける。しかしこれはおのずからその景気の波と同じように探鉱をやるかやらないか、そういうふうに大きく波打つことが困るというふうな御意見は、われわれも多少そういうことも、なるほどそうかなあと思わないでもございませんが、そういうふうな点につきましては、とにかく過去においてもずつと探鉱はやつて来ておりますし、将来もそれが続けられるということは、おのずからそこに出て来るわけでございます。従来のそうしたことが、結局将来の探鉱を続け得る素地をつくつているんじやないかとわれわれは思つております。ただそれがバランス・シートの上からとか、そういつた点にはつきり現われて来ないというところに、さらに新しい要請が出て来るゆえんではないか。しかしそれは実態的にやはり十分考えて、判断をすべき問題じやないだろうか。今度の二分の一償却の問題にいたしましても、多少先ほど申しましたような点を会得しませんと、何かこれでは不十分だというふうにお考えになる人もあるんじやないかと思います。そういうふうに考えて参りますと、実情は結局一つの免税積立金を積み立て得ると同じ効果を持つわけでございまして、その意味によつて、かなりこれが効果を持ち得るのではないかと思つております。好況、不況の波はいろいろお話のような点もあるかもしれませんが、しかし一応順次五年というやつが、だんだん繰越されると思うのですが、今年の分は今年から先五年、来年の分はさらに五年というようになつて行きますから、古いやつから順々に償却して行く手もございますが、現実の問題として計算してみた場合に、はたして五年の償却の繰越しでは非常に不利であるかどうであるか、こんな点についてもわれわれの方としても検討してみたいと思つております。
 なおわれわれの方の立場も一通りちよつと申し上げさしていただきたいと思いますが、われわれの方としましては、特別措置法などによりまして、ある程度産業政策の意味におきまして、税制でそこにある程度の協力をして行くということにつきましては、いろいろ検討しておりますが、同時に大蔵委員会などの御批判におきましては、どうも特別措置法による特別措置が多過ぎはしないか、もつとこういう特別措置をやめて、一般的な税率を下げる、こういう特別措置がいろいろ要望されております。会社について言えば、法人税の税率が四十二とか、非常に高いからこういう問題が出て来るので、そういう一々の面について、あの手この手と考えながら、税率は四十二ですえ置く。そういうようにすることは、いたずらに税制を複雑にし、同時に特殊な人だけに負担を軽くするそういう考え方はどうだろうか。むしろそういう特別な免税関係はやめてしまつて、税率そのものを下げるという方向にものを考えて行くべきではないか、こういうような御批判もわれわれ受けておるわけでございます。従いまして鉱山会社の関係につきまして、いろいろな事情のあることもわれわれも考えられないではありませんが、しかしそれだからといつて、産業政策の上にぜひ必要だから特別な措置をするということにつきましては、今のような批判をも考えまして、よほど慎重に考えて行かなければならない。今度やりましたのは、過去におきまして合理化促進法とかいろいろな関係で、この二分の一償却のところまではいろいろ手が打つてございますので、この範囲におきてましては、やはり考えてもよかろう、しかしそれ以上に踏み出すことにつきてましては、さらにそれの及ぼす他の関係の影響というような点も十分考えた上でありませんと、鉱山だけからの要請からいえばまだまだ足らない、こういう御議論が出るのもあるいは、ごもつともかもしれませんが、税制全般として考えて参りますと、その点についてはよほど慎重に考えるべきじやないか、彼此考え合せまして、現在われわれの方で考え得る最大限度といいますか、その意味で今度の措置法の改正案をわれわれの方で提案しまして、国会の御賛同を得まして成立したわけでございます。私たちといたしましても、始関委員のおつしやつている点が全然わからないわけではないのですが、同時に税制全体につきまして、一応立案の責任を持つているものとしましては、その点だけで全体のバランスを無視して考えるわけにもいかない、こういつたような事情もございますので、御趣旨のような点も頭に置き、同時に税制全体のバランスを考えて出した結論が今度の案であります。従いまして、われわれといたしましては、この案の成果といいますか、結果を十分見きわめた上で将来さらにどう考えて行くべきかという点について結論を出したい。せつかく成立しました案でありまするので、その結果を十分検討してみたいと考えているわけでございます。その辺は御了承願いたいと思います。
#7
○始関委員 主税当局として、税制の全般の立場からいろいろ問題があるという点と、それからせつかく備えた制度だから、その実施の状況を見たいというようなこの二つの点は、もちろん私は了承いたします。せつかくおつくりになつた制度を、実際やつて行きもしないうちから、この制度はだめだというような議論はあまり言いたくもないのでありますが、鉱山の実情から見ますと、どうもあの制度では、当初ねらつておる目的に不十分ではないかというような感じがいたすのであります。のみならず、一方今の日本の当面の問題であります経済自立、国際収支の改善という点からいえば、鉱山局の数字によりますと、大体年間三億ドル程度の鉱産物の輸入が現在あるのでありまして、これは国内に資源がないのならしようがないが、探せばあるということであれば、大いに国内の資源を探して、そして経済自立に資するという、もう一方の経済的な要求のあることも、私が申すまでもないのであります。この点主税局長に十分お考え願いたいと思うのであります。
 ただいまの主税局長の御説明は了承するのでありますが、ついででありますので、前回のこの懇談会で、局長が述べられました御意見のうちで、新鉱床の補填積立金制度は、これは将来使うべきものをあらかじめ留保するのだ、留保して積み立てるんだから、これは制度として感心しないのだという御意見があつたのであります。この点もひとつ伺つてたきたいのであります。現在の税制でも、たとえばこれは必ずしも適当な例であると言えるかどうか疑問と思いますが、ただ将来の損失に対するあらかじめの留保という制度としては、渇水準備金というような制度があつて、これは将来起るべき支出に備える制度ではないかと思うのであります。そのような点から見ますと、税制が複雑になつたり、あるいは全体の税率を下げるというようなこともいろいろ問題があると思いますが、経済自立、国際収支の改善、そのための新鉱床探鉱の重要性というものを考えると、あらかじめ積み立てるという観点だけからかりに議論するとして、それはわれわれの主張しておるような制度に対する絶対的な障害の対象になるものではないと思うのでありますが、その点ちよつと伺つておきたいと思います。
#8
○渡辺政府委員 現在われわれが考えておりました減価償却の半額償却の問題も、考えようによりましては、これは将来の問題だというふうに考えております。結局そうすることによりまして、先ほど来申しているように、償却準備金という制度をつくれば、一応それだけ免税積立金ができるわけでございますから、ただ従来われわれがやつて参りましたところは、どこまでも一応これだけの探鉱の事実があるという事実を見まして、その上において引当金的な将来のものを積み立て得る。こういうわけでありまして、いわゆる減耗控除制度のように、売上げの何パーセントというような制度で積立金をつくるということとは違います。どうも売上げの何パーセントというような点に至りますと、そのパーセンテージ自身についても、ずいぶん議論のあるところでございますし、なかなかそこにわれわれの方としては自信のある説明もできませんし、むしろ従来やつていた制度にならいまして、過去の減価償却をできるだけ早くするという制度――これはこの間もちよつと新聞で見ましたが、イギリスなどでも、減価償却をできるだけ早くやらせることが、結局会社を健全にさせる道ではないかというようなことで、大分そんな議論がある。われわれも、税制全体のことは考えておりますが、同時に産業政策的な点も頭に入れる意味におきまして、その辺のところまでの踏切りはあつてもいいのじやないかというふうに考えて、この間の改正案を提案したわけでございます。
 なお渇水準備金、こういう種類の制度は確かに幾つかございます。しかしこれは渇水準備金について申しますと、始関委員よく御承知のように、電力会社の収益が、豊水の年と渇水の年とで非常に違う。そこで電力料金をきめますときにおきましても、平水の年を標準に置いて一応料金を算定しているから、豊水の年に会社の方でもつて相当の利益が残つたら、これだけをやはり積み立てなければならぬ、こういう規制が片一方にあるわけでございますので、われわれとしましても、それに対応しまして、それを課税の対象にしますと、そういう準備金の制度そのものが根底的にゆるがされる。これは課税の外におくということは、税全体の体系からみましても、ふしぎでも何でもないじやないか、こういう意味で認めているわけでございまして、今のお話とは多少性格が違うじやないかと私は考えております。
#9
○始関委員 もう一つ、ただいまお尋ねをしたのと同じような趣旨の問題でありますが、これは渡辺君が言うたのか存じませんが。新鉱床探査積立金制度に対する一つの批判として、特別の業種に対する特別の助成措置であるから、感心しないというような批判もあるやに伺つておるのであります。しかしながら現在の税制でも、特別の業種に対する特別の措置というべきものは、たとえば海運業に対する船舶の修繕引当金制度、それから鉄鋼業の方の溶鉱炉修繕引当金制度などというものがあつて、そういうものがあるので、特別の業種に対する特別の助成措置であるという点は、これまた税の建前からいつても、こういう制度を採用するについての絶対的な障害になるものではないと思うのでありますが、これは念のために伺つておきたい。
#10
○渡辺政府委員 特別な業種に対する特別な制度ということは、それ自体としては、私は別にそれだからいかぬという結論がすぐ出るものであるとは思つておりません。ただ問題は、どういうゆえにそういう制度を設けるべきかといつたところから問題が出て来ると思つております。今御例示になりましたので、それについてちよつと申し上げさせていただきますと、たとえば溶鉱炉の修繕引当金、船舶の場合も大体性格は同じだと思いますが、われわれの方でやつております措置は、溶鉱炉ができる、そうしますと、その溶鉱炉の耐用年数に応じましての償却を片方で認めて行く。ところが大体五年に一回、その中の耐火れんがを全部巻き直しをしなければならぬ。これは、れんがについてだけは実は五年間の短期償却を認めなければならぬということと同じ意味じやないかと思うのであります。従いまして、五年たつと溶鉱炉について特別の修繕をしなければならぬ。従つてその分について、特別修繕をしたときに、初めて損金に認める。これはちよつとおかしいじやないか。といいますのは、五年の間に、その耐火れんがは順次破損して行くわけでございますから、特別修繕引当金という名前は使つておりますが、それをわれわれの方でもつて是認しているゆえんは、溶鉱炉全体については、鉄でできている大きな本体である。これはこれの耐用年数で考える。と同時に、中へ入つている耐火れんがについては、これはいわば五年の短期償却を認めて行く。これと同じ性格のものを特別修繕積立金という名前においてわれわれの方では認めている、こういうふうにお考え願いますと、こういう特別修繕積立金の制度が、決して会計の原則に従いましても、そう無理な特別に産業保護のためにできた制度といいますよりも、会計学的に考えても、むしろそう考えないのがおかしいといわれる制度であるというふうに御理解願えるのじやないかと思います。われわれがそういう制度を認めておりますのは、今申しましたようなわけで、溶鉱炉の本体の耐用年数のほかに、耐火れんがをとりかえるについては、この耐火れんがについては、やはり特別に短かい償却年限を認めなければならぬ。それを一々こまかく耐用年数でわけるのも、いろいろ計理上の手数も考えられますので、これを特別修繕積立金という名前で別途積み立てることを認める。結局これは五年たてばそこで使つて行く。こういうふうに考えておりまして、それは産業にいろいろな特殊性がございますから、それらの産業に合うような制度はやはり考えて行くべきだと思つております。ただ、今冒頭におつしやつたような、特殊な産業のための施策だから云々ということを、もしわれわれの方で申したとすれば、それはそうした会計計理の上から、あるいは税のりくつの上から出て来る当然の結論でなくて――税の結論からいえばそうなるかもしれぬが、産業政策の意味からして特にこう考えろというふうな御要請があつた場合に、特殊な産業だけについてその御要請にこたえることはなかなかむずかしいという程度のことを申し上げたのではないかと思います。それで今御指摘になりましたような点、これは船舶の場合も大体同じことが言えると思いますが、それはそういう趣旨でもつて溶鉱炉の持つ特殊性から考えられたわけでございます。これは税のりくつからいいましても、当然考えていい範囲のものであると思つております。従いましてこれに特別に産業政策的な観点でテーマを与えたというふうに言われますと、これはわれわれれの方が非常に気のきいたことをしているように聞えるかもしれませんが、決してそうではないので、相かわらず税は相当厳格な考え方の上に乗つかかりながら、やはり認めるものは認めて行くという範囲のものであることを御了承願いたいと思います。
#11
○始関委員 そこでもう一つ最後にお尋ねしておきたいのですが、アメリカ、カナダあるいはフランスなどで、今度の大蔵省の措置法の改正よりも、もつと一歩進んだ、つまりわれわれの主張しておるような制度が採用されておるわけでありますが、そのうちでいろいろな事情が日本に似ておると思われるフランスの制度が、日本の手本としては一番いいと思うのでありますが、フランスの制度が、フランスでは適当であるが、日本では適当でないというような点が、何らかの見地からあるというふうにお考えかどうか。これはもつとも外国の制度でありますから、別段の御研究、御見解がなければけつこうでありますが、大体こういう制度は、一つの共通な経済的な要請から出発しておるのでありまして、それが妥当なものである限り、国際的にだんだん広がつて行く傾向がどうしてもあると思うのであります。特にフランスなんかは日本と国情が近い。そうすると、先ほどお話のように、売上げの何パーセントというようなこまかい具体的な点は別として、いろいろな国でやつているということは、日本でもそれを認めていいという、一つのわきの方からの論拠になると思うのでありますが、そういう点について御意見があれば、ちよつと伺つておきてたい。
#12
○渡辺政府委員 フランスに、今御論議になつておる問題につきまして、最近新しい制度ができた。それからアメリカに減耗控除の制度があるということは、われわれも存じております。アメリカの制度につきましては、同時にまたいろいろ別の観点から、ああいう制度の行き過ぎといいますか、そうした反対意見のあることも聞いております。フランスの制度につきましては、多少アメリカの制度とは事情が違つているわけでございまして、よその国でやつていること、これはそうだからすぐ取入れるという性格のものでないと思いますと同時に、一応やつている実情が、はたして日本の現在の税制に取入れるべきものかどうかということは、一面におきましては、日本の同種の産業、この場合で行けば鉱山業の実情ということも考え合せると同時に、日本の税制の持つている一つの方向、フランスの税制の持つている方向といつたようなものも考え合せて、結論的には、そういうものを考えた上で出すべきものじやないか。ただわれわれとしましては、こういう各国でやつている事例につきてましては、常に勉強を怠らないでやりまして、それが日本としてとられ得る性格のものであれば、これを考えて行くということは、別にやぶさかではないわけでございますが、ただ、まだわれわれの方としては、大体今度やつたところで、相当このフランスの制度がねらつていると同じ目的が達せられるのじやないかという感覚も片方にございますので、将来の問題としまして勉強さしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
#13
○始関委員 外国の制度もだんだん研究して、それからせつかく実施した制度の成果を見るというただいまの渡辺君の答弁、たいへんけつこうでありますが、今回の租税措置法の実績の検討というのは、大体半年か一年やつてみればわかるということであつたのでありますが、その間の状況によつて、考え直すことに大蔵省としてはなるかもしれぬというようなことだと思うのでありますが、そういう点について、先般の懇談会の席上では、最小限度一年ぐらいというようなお話があつたと思うのでありますが、さしつかえなければ、そういう点についてもう一ぺん伺いたい。
 それからもう一つ、鉱山局長に伺いますが、あの租税特別措置法の改正は、鉱山局長が知らぬ間に大臣が妥協されてやつたというふうなお話でありますが、通産省としては、また一年くらいのうちに、いろいろな実情の検討、あるいは外国の制度の研究その他からいたしまして、もう一ぺん話を持ち出すんだと、こういうふうに承知をいたしておりますが、そういう点につきてまして、これは両局長からひとつ伺つておきたい。
#14
○渡辺委員 われわれの方といたしましては、税制につきましては、毎年一応全般的に検討をしておりますので、次の機会までにどういう結論が出ますか、これは正直なところ、たとえばこういう制度を採用するという結論になりますか、あるいは現状のままで当分見送るという結論になりますか、そのときの結果にまたざるを得ませんから、一年たつたらこれを何とかという意味のことを申し上げることは、私は、現在としてできかねると思います。次の機会におきまして、われわれの研究した結果を、それがあるいは始関委員には非常に御不満な結果になるかもしれませんが、とにかくこういう結論、勉強した結果はこうだということは、申し上げる機会があろうかと思つております。
#15
○川上政府委員 私が知らぬ間に大臣が話をつけたというお話なんですが、私としては、実はこの問題につきましては、ぜひとも今回の機会において実現してもらいたいということで、最後までいろいろ渡辺さんの方とも交渉したのでありますが、最後になりまして、通産省としては、大臣の方で最後的に決定をされたわけでございます。私は、先ほどからもいろいろ主税局長からも話がありますが、また今までいろいろ折衝しました関係からいいましても、実は今回の特別措置法では、どうしてもやはり探鉱の促進といいますか、そういうことはなかなか飛躍的にできないというふうに、私は少くとも考えておるわけでございまして、ここで渡辺局長といろいろ議論することは、もう今までしよつちゆうやつていることですから差控えますけれども、今後におきましては、一年の間に、さらにまたいろいろ私の方も研究し、また各方面の、各国の実例等もさらに研究いたしまして、必ずしも一年といわなくても、私は、さらに渡辺さんの方といろいろ検討を進めて行きたいというふうに考えておりまして、今のところでは、私は、やはりフランスの制度みたいなことが一番いいんじやないかと考えておりますので、現在の、今回の措置法だけでは、とても飛躍的な促進ということは考えられないと、私は考えております。これはあるいは私の方が勉強が足りないかもしれませんし、あるいはまた主税局長の方が御勉強が足りないかもしれませんが、私としては、今後さらに研究して、折衝を進めて行きたいと考えております。
#16
○中村委員長 他に御質疑ございませんか。――なしと認めます。以上で質疑は終りました。
 次会の予定は、来る三十日午前十時半より開会し、過日通産委員会で決議いたしました総合燃料対策要綱について、その後の政府のとりました措置及び電気通信委員会より通産委員会に申入れのありました、ゲルマニウム工業の振興に関し意見申入れの件について、政府側の説明を聴取いたします。
 それではこれから懇談に入ります。
     ――――◇―――――
    〔午後零時十分懇談会に入る〕
    〔午後零時三十分懇談会を終る〕
     ――――◇―――――
#17
○中村委員長 懇談会を終りまして小委員会を再開いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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