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1953/10/15 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第13号
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1953/10/15 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第13号

#1
第019回国会 通商産業委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第13号
昭和二十九年十月十五日(金曜日)
    午前十時五十分開議
 出席小委員
   小委員長 中村 幸八君
      始関 伊平君    田中 龍夫君
      長谷川四郎君    山手 滿男君
      帆足  計君    伊藤卯四郎君
 小委員外の出席者
        議     員 笹本 一雄君
        通商産業政務次
        官       加藤 宗平君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  川上 為治君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  斎藤 正年君
        参  考  人
        (日本石炭協会
        会長)     新海 英一君
        参  考  人
        (日本石炭鉱山
        連合会会長)  武内 礼蔵君
        参  考  人
        (日本炭鉱労働
        組合保安生産部
        長)      中川 盛光君
        参  考  人
        (全国石炭鉱業
        労働組合書記
        長)      重枝 琢巳君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十月十五日
 始関伊平君三月十七日委員辞任につき、委員長
 の指名で小委員に補欠選任された。
同日
 田中龍夫君九月九日委員辞任につき、委員長の
 指名で小委員に補欠選任された。
同日
 長谷川四郎君十月八日委員辞任につき、委員長
 の指名で小委員に補欠選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 総合燃料対策及び地下資源開発に関する件
    ―――――――――――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 本日は石炭鉱業に関する件その他について調査を進めます。まず石炭鉱業の現状等について参考人より御意見を聴取いたします。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には御多忙のところ、特に本小委員会に御出席くださいまして、厚く御礼を申し上げます。石炭鉱業の問題については、目下種々困難な問題が山積いたしておりますので、この際各位におかれては、何とぞ忌憚のない御意見を御発表くださるようお願いいたします。
 なお念のため申し上げますが、御意見御発表の時間は御一名約十五分とし、御発言の際はその都度小委員長の許可を受けることになつておりますので、御了承を願つておきます。
 それではまず経営者代表として新海英一君。
#3
○新海参考人 私、石炭協会の会長新海でございます。
 わが国の石炭の今日の現状は、非常な窮迫な事態に追い込まれております。かくお話申し上げておる今日、毎日毎日さらに悪化をたどつておるというような現状にあります。この際衆議院の通産委員会におきまして小委員会を設け、この対策について緊急問題を取上げ、かつまた私ども業者から現状、またわれわれの見解をお聞きくださる機会を与えられましたことはまことにありがとうございます。
 二十九年の上期の石炭の生産高は約二千百四十五万トンであります。これに対して需要高は約千九百八十五万トン、差引上期だけで約百六十万トンの貯炭がふえたことになります。従来石炭の適正貯炭量は約二百万トンと言われておりました。その二倍以上に当る約四百二十万トンの厖大な貯炭を擁するのであります。戦後の記録では昭和二十五年の九月がほぼこれに近い貯炭量であつたのでありますが、その当時はあの朝鮮特需が厖大な需要がありましたために、今日の場合とはまつたく状態が異なつておるのでありまして、今日の石炭の窮状は、私ども数十年経験したことのない非常な危急存亡の事態になつております。
 しからばわが国の石炭生産量は幾らかと申しますと、炭鉱の規模から行きますと、優に四千八百万トンないし五千万トンの能力があるのであります。しかし長い間の不況で整理された部分もあります、また労務者の減少もありまして、現在労務者約二十八万七千人で、一人一箇月生産十三トンといたしますと、年産四千五百万トンの出炭が可能でございまして、上期中の今申しました出炭二千百四十五万トンを年間に直しますと、約四千三百万トン程度に押えられておるような状態であります。その上、国内の需要の実勢は、デフレの影響を受けて減少の傾向にあります。供給面では国内炭のほかに、輸入炭及び輸入重油があるのでありますが、それに対して輸入炭はある程度減少いたしておりますが、重油の方は昨年の五百三十七万キロリツトルに押えられておるような状態で、結局今日のデフレによる需要の減少のしわ寄せは、ことごとくが内地の石炭の需要にかぶさつて来ておるというようなことでありまして、今日の状態で行きますと二十九年度の実需は四千万トン程度というような状態になつておるのであります。それでありますからこのままで出炭を続けて行きますと、来年の三月には貯炭はさらに増加いたしまして五百万トンを越えるような計算になりまして、さもなくても金融難にあえいでおります各企業にとつてこの先どうなるか、まことに寒心にたえない実情にあるのであります。もちろん業者といたしましても今春来極端な資材の節減あるいは作業の合理化というようなことで、余剰人員をかかえながらその不利を消して、なお若干生産費の低下にも成功して参つたのでありますが、この上出炭を抑制せねばならぬようなことでありますと、今までの調子を続けて行くことはもちろんむずかしいばかりでなく、逆にコストが高くなつて、国家の要請である炭価引下げとおよそ逆の結果を招くことになるのでございます。さらにまた何ら策を施すことなく今日このままの状態で置いたならば、金融の圧迫その他から行きまして企業間の苦しまぎれの競争が起り、好むと好まざるとにかかわらず収拾できない混乱を石炭業界に巻き起し、かくして戦後莫大な犠牲を払つて築き上げた石炭企業も、まさに壊滅の寸前にあると申しましても過言でないのではないかと存じます。
 ここで振り返つて去る三月三十日に閣議了解を得ました石炭と重油の調整措置を円滑に実施するため、重油使用によつて燃料費が幾らか下るとかあるいはまた製品の品位が向上するというような利益はあるが、しかし日本の重要産業である石炭鉱業を維持し、また石炭の適正出炭規模を維持することによつてコストを引下げるというためには、軍油の輸入も抑制しなければならぬというような閣議了解がありましたが、この具体的措置、あるいはまた三月三十一日に通産委員会で決議されました石炭の年次別生産量の明示、石炭の供給並びに価格の安定合理化のために労使の協力を求め、また二十九年度石炭生産目標は四千八百万トンとして、重油の輸入はこれに見合う程度の数量にとどめて、この重油の分は石炭に再転換するのだというような決議がありますが、これらの措置が具体的に進められましたならば、今日このような事態には追い込まれなかつたんじやないかというふうなことで、まことに遺憾に思われるのであります。わが国の石炭鉱業をまつたく壊滅の線に追いやることは、当然回避せられなければならぬことは、皆さんも異議のないところでございましようし、また国家的目標である炭鉱の合理化を促進して、炭価の引下げを実現させるためにも、この際次の緊急対策を、われわれとして要望するものであります。
 以下申し上げます要望は、今まで出張し来つたもので、格別新しいものもございませんが、われわれはまだお題目を並べるだけでなしに、これを実現しこれをすぐやつていただかなければ、日本の石炭鉱業は壊滅するのだということを深く念頭に置いていただきたい。
 その第一は、過剰貯炭の買上げ及び輸出の促進でございます。当面の過剰貯炭四百数十万トン、来年の三月末になると五百数十万トンになるというこの貯炭のうち、約二百万トンを政府において買い上げていただきたい。これは重油に換算いたしますと、約百万キロリツターでありしまして、政府当局におきましても、二十九年度の重油は、初め五百三十七万キロリツターときめておりましたが、その後の需要の減少と、石炭鉱業の非常な危機に際会しておることから、さらに百万キロないし百五十万キロリツターは切るように努力しようというようなことは、たびたび申されておつたのでありますが、それが一つも実現されておらないで、これがもし抑制されておりましたならば、こういう事態は起らなかつたと思う。政府としてこれは買上げをやつていただきたい。なお過剰貯炭のうちで、最近ビルマ賠償交渉も具体的に進んでおるようでございますので、これを、あるいは大きなことは望めないと思いますが、賠償充当に推進し、また韓国向け輸出を可能とするような外交の措置を講じていただきたい。韓国に対しては、従来年間約百万トンの輸出をいたしておりました。
 第二は重油及び輸入炭の削減でございます。二十九年度下期から三十年度にわたる輸入燃料の使用の分野を確定し、国内炭の需給に見通しを与えることが喫緊の急務である。それでとりあえず二十九年下期におきましては、重油を現在目標にしております五百三十七万キロリツターから、五十万キロリツターを削減して、四百九十万キロ、これは五十万やると四百八十七万になりますが、約四百九十万キロリツターを削減していただきたい。それから輸入原料炭については、二十五万トンを削減して二百五十万トンとしていただきたい。なお三十年度におきましては、現在の二十九年度の計画に比べまして、重油で二百万キロリツターを削減して、昭和二十七年度の消費べースである、三百四十万キロリツターにしていただきたい。輸入原料炭は九十万トンを削減して年間消費ベースの百九十万トンに国内炭へ再転換をやつていただきたい。重油の抑制また外国炭の輸入抑制ということは、石炭の生産の抑制、調節よりもはるかに簡単に行けるものだと存じます。また外貨面から申しましても、当然やつてしかるべきものではないか。それから、そこになおつけ加えておきましたが、最近米国の余剰炭を受入れるというような話がたびたび新聞にも出ておりますが、これは今日の国内炭の需給状態から見て断固拒絶していただきたい。
 第三には、重油及び原油の関税復活、関税定率法の本則の規定に復して関税を徴収し、その徴収分の一部を重油から石炭への転換設備費に充てること、重油の関税によつて税収約六、七十億あると聞いておりますが、私ども重油から石炭へ再転換を要望いたしますが、これを少しでもやりよくするために、重油から石炭への転換設備費を出すとか、何かやりやすい方法を講じていただきたい、われわれに余分があれば、そはわれわれにおいても考えないことはありませんが、今日の石炭の現状から見て、とうていそういう力はございませんので、かくのごとき要望をいたす次第であります。
 第四には、財政資金融資返済の一時たな上げ、今日の資金繰り逼迫を緩和するために、とりあえず財政資金融資の返済を一時たな上げし、同時に金利についても軽減をはかつていただきたい、これは全体で財政資金約四百億の借入れになつておりまして、二十九年度において返還が約六十億、それで石炭鉱業に対する二十九年度の財政資金の投資予想は三十億といわれておりまして、差引約三十億の引揚げ超過になるのでございまして、とうてい業者として今日耐え得られないところでございます。
 次に第五、労働対策。公共事業その他生産的事業に炭鉱労務者を組織的かつ優先的に転換せしむるとともに、急激に失業者を出さぬよう諸般の方策の整備並びに所要資金、金融体制を確立すること。なお諸外国の操短労働者保護法のような立法を行つて、企業の操業短縮を容易ならしむること。
 第六に企業整備資金。企業整備にあたつて前項の整理資金以外に必要とする資金についても融資の体制を確立すること、これはどうしてもやむを得ない場合に、こういうことをやつていただきたいというものでございます。
 第七にはカルテル立法。生産の調整または合理化価格の調整等、自治的に何とかしてやつて行くためのカルテル結成を要するところの特別立法、あるいは独禁法の適用除外を早急に行つていただきたい。カルテル立法につきましては、伺うところによりますと、二箇年間くらいの臨時緊急立法というようなことも可能なように聞いておりますので、この一、二年の間の非常な石炭の危機を救うためにこれもぜひともやつていただきたいと存ずるのであります。
 以上いろいろ、あるいは石炭業者がわがままな要求をしておる、要望をするというようなお考えの方もあるかとも存じますが、これはもちろんわれわれといたしまして石炭の安定のために、また合理化促進のために国家の助成、援助を要望してやまぬものでありますが、しかし石炭鉱業の安定ということは、国家としても基礎産業の改善発達をはかり、良質の石炭を潤沢に供給する、また原価の引下げをやつて、その効果は日本全体の産業に影響して、その全産業のコスト引下げにもなることでありますので、石炭鉱業だけに恩恵を与えるということでなく、日本全体の産業のためにやる国策であるという見地から、ぜひひとつ御採用いただきたいと存じるのであります。以上であります。
#4
○中村委員長 参考人に対する質疑は後刻一括して行うことにいたします。次は武内礼蔵君。
#5
○武内参考人 私日本石炭連合会会長の武内でございます。
 今協会長の新海さんから、現在の石炭のあり方、石炭界のあり方につきまして数字的に示され、経過的に表示されましたが、石炭界のあり方は重複を避けまして、まつたく新海氏が今述べた通りであります。この事態は、幸いに通産当局の石炭局長も御臨席でございますから、お認めになつていることと私どもは信じております。ただ今日の段階に追い詰められた石炭界の現状をいかに措置をしてもらうかということにつきましては、今日に至らざる前に、すでに現愛知通産大臣、その前の岡野大臣、また前の小笠原さん、こう三代の通産大臣に向いまして、石炭界のあり方につきましてはまことに私ども生産業者といたしまして不安にたえないということで、かかる事態に追い込まれざるために、一昨年の冬以来引続いて要請もしお願いもいたしましたが、遂に今新海会長が披瀝しましたような現況に追い込まれたのであります。本日ここに持に本委員会を開催していただきましたことは、まことに私ども石炭界の者としまして感謝にたえませんが、本日までの経過から見ますれば、この窮迫した現状について、われわれは行政府に日参のごとく、毎月毎月連絡をとり、要請をいたしましたが、もうこの段階におきましては、どうしても本委員会におきまして現状をよく御認識くださいまして、これに対する対策としては、さきに七項目にわたつて新海会長が述べましたが、現下のわが国のいろいろ複雑な事態から見まして困難な事情は特に了承いたしておりますが、もうこの上われわれとしまして行政府にいかに要請要望いたしましても、現段階を打開するということは不可能なように信じております。せつかく本日委員会を開催していただきましたので、立法府の本委員会が中心となつて現段階に対処する適切な御措置を早急に樹立確立していただくことを、まことに心から、経営者の誠意を披瀝いたしまして、立法府の本委員会に至急本問題の促進解決をお願いするものであります。ことに私ども石炭界の中でも、連合会に所属いたします炭鉱はいわゆる中小炭鉱でございますが、先生方も御承知のように、金融機関といたしましても、今日のような滞貨いわば貯炭、さきに述べました七月末で四百三十万トンというような貯炭を持つておりましても、売れない石炭であるという建前で、金融の対象にいたしません。もとより組織から見ましても、中小炭鉱は、三井、三菱のごとき組織的な大きな資本力あるいは担保物件を擁していないために、なおさら融資の道は完全に打断たれております。特にこの政府の施策たるデフレ政策の現下におきましては、私は金融機関が申しますように、対象にならない、石炭に対しての融資もできぬということも、金融業者として当然と信じます。その結果、昨年の四月からこの八月までに、日本全国に連合会所属と申していい中小炭鉱が約九百近いものがありましたが、今日では二百八十五鉱というものが完全に休廃止に立ち至つております。これは通産省調べではもう少し数が増すと思いますが、この二百八十五という休廃止しました炭鉱に対する従業員は一万四千四百人、これに投下しておりました資本金は概要見積りまして五十三億、こうなつております。残された中小炭鉱が今六百少し残つておりますが、この残されておるものも、今炭界のあり方について新海会長が述べた通りの実態にありますために、特に組織的、資本的に非常に弱い中小炭鉱としてはどうしても一日も立ち行くことができないということは、賢明な先生方にはよく御観察ができることと信じます。
 なお現段階におきましては、こういう席でももう今日にあつてははばかりませんが、また本委員会のお方も現地視察をくださいましたが、あるいは金券の発行、あるいは通いの発行、こういうことによりまして、石炭は持つても金にはならぬというために、残されておる六百という山が、経済状態の実相を探つてみましたならば、まつたく前途というものはきようかあすかというような状態に追い詰められておるのであります。なおさきの二百八十五鉱の廃鉱、一万四千四百人というような従業員も、廃鉱と同時にまつたく失業者になり、その残された山といえども、賃金の遅配、未払いというものが非常にあり、どの山一つといえども完全な払いをしておるものは一鉱たりともないことを私は明らかに御発表申し上げまして、特にこの石炭界の現状に対し、先ほど申しましたように、本委員会におきましては、立法府として適切な措置を急速に確立してほしい。ただ現在の当面の措置を最も急いでおりますが、しかしわれわれ石炭界全般の建前から見まして、少くとも三十年度はどれだけの生産炭を国内消費に向ける、あるいは三十一年度はこれくらいの石炭がいる、これくらいのことは示してもらわないことには、今日これ以上の苦労をして山を存続するという気力も精力も明るさも認められないというのが今日の状態であります。特に、日本が独立して以来アメリカの製品の重油を入れて、今日の日本の産業をかくまで圧迫をして国内産業をぶつつぶさなければならぬということは、私ども石炭業人だけでなくても、国民の立場から考えましても、まつたく了解ができません。さきに申し述べました五百三十七万キロリツトルにしましても、これは二十八年度の実績であります。デフレ政策のためにあらゆる産業が萎縮し、あるいは減退した。その上重油の進出で、こういうしわ寄せはみな石炭に課せられたのであります。先ほど新海会長が、現状並びにわれわれ経営者としての要請を詳しく申し述べましたので重複を避けますが、本委員会におきまして、国内作業の打開方途を先生方によりまして決定していただくとするならば、まず三十年度の目標を明らかにしていただき、次いでは三十一年度を明らかにしていただいて、現在の国内産業をこれ以上つぶさない、失業者をつくらないために、思い切つて重油をぶつ切つてもらう以外にはないと思うのであります。われわれはこれ以上に人員の整理や炭鉱の整理はごうもしたくありません。またそうしなければならぬということにしてもらつてはならない。この点を本委員会では切にお認め願いまして、先ほど新海会長が述べました七項目に関して十分なる御審議、御検討をされまして、今日残つておる山は整理しない――しかしながら、わが国の経済水準を海外の経済水準に近づけるべく、でき得るだけ合理化をはかつて炭価を切り下げ、安い石炭を供給するということは、われわれとしては十分自覚しておるのであります。今回も本委員会を開催されるにつきまして、北海道から九州までこぞつて中央にはせ参じ、同じ業をつぶすにしても最後の措置を講じてほしいというような幹事間の協議であつたそうでございますが、この遅払いをし未払いを持つておる者皆が出て来ることは社会的に穏当を欠く、一部の代表が上京して、各上要路に向つて現状打開に対する衷心からの誠心を披瀝して方途を開拓するがよかろうということになりまして、私の連合会といたしましては、北海道から九州までの各地区の幹部六十人ばかりの人が今回上京されたのであります。新海会長が申しましたように、今項目をあげて申し上げたことのみを聞かれましたならば、石炭鉱業はまことにわがままかつてだというお感じがありはしないかとも思われますが、今日の段階に至りましては、ああいう項目をあげて、これを審議採択していただいて、これ以上わが国の地下資源を圧迫しないようにこれを今日までにするには、終戦以来九年間にわたりまして、国民も国家も復興はまず石炭からという建前から非常な犠牲を払つて五千万トン態勢まで持つて来たのであります。それが、本年度の需要は最大に見ても四千万トンしかないといわれる。石炭鉱業としては、すでに休廃鉱を行い、あるいは昨年来大手筋の人員整理をやつて、すでに八万人の人員は減少しております。独立国の日本として、八千数百万の人口を擁しておりながら、四千万トンの石炭しか使わない、しかも戦後血の出るような税を使いあるいは犠牲を払つて、自己の資金を投入して、政府、国家の要請として五千万トン態勢までもり立てた石炭を四千万トンしか使わない、この原因をたどつてみれば、そのうちの約六百万トンなり七百万トンに換算される重油が進出した。先生方御承知のように二十六年以来の重油の進出は年々百万キロリツトル以上、これは石炭換算約二百万トンでございます。この重油の進出は、石炭資源開発の頭をがんと押え押えしまして今日の状態に立ち至つたのであります。私ども率直に言わせていただきまして、われわれ業界を救うというのではなくて、国のあり方として、終戦後国民も国家もこぞつて復興は石炭からということで、物質と精神力との結集でこの態勢までようやく来たものを、今日、四十万トンしかいらないということでみなつぶしてしまうようなことになつた点につきましては、私ども生産業者、経営者の立場から、まことに遺憾千万、まつたく無政府ではないかという感じがする以外はございません。まことに私は激越な言辞を弄しましたが、今日の石炭界のあり方から見ますれば、私自身では決して激越な言辞とは信じません。まだ申し述べても足らないような感じもするのであります。具体的に、さきに新海会長が項目をあげました現段階の打開につきまして、蛇足ながら、協会として新海会長が述べましたような項目をあげて対処方を要請いたしておることを述べさしてもらつたのであります。どうぞ本委員貝会におきましても、私ども今までこれだけ長い間要請、陳情を続けましたが、きようの段階では、もう行政府に向つて何を申しましても、私どものこの石炭業界の活路を見出し、明るい曙光を見ることは困難だということをかたく痛感いたしまして、心から本委員会の適切な、現状を御認識の上の御措置方を経営者一同にかわりまして私はお願いいたします。なお委員各位からのいろいろ具体的な御質問もありましようと思いますので、指摘される点につきましては、経営者側といたしまして、新海会長なり私なり、適当に御質問にお答えいたします。私はこれにて終ります。
#6
○中村委員長 次は中川盛光君。
#7
○中川参考人 炭労の保安生産部長の中川であります。本日は阿部委員長が参ることになつておりましたが、所用ができましたので代理をいたします。
 先ほどから石炭界の事情につきまして、新海会長並びに武内連合会長からお話があつたわけでありますが、数字につきましては、まつたくその通りだというふうに考えます。しかしながら最近における石炭政策を振り返つてみますと、実に矛盾だらけなのであります。それは昭和二十七年に石炭合理化審議会というものがつくられまして、縦坑資金が約六百億円、その他の資金を合せまして一千億になんなんとする資金を、実は炭鉱につぎ込みまして、炭価を下げて、一大増産計画を実は計画したわけでございます。しかしながら第一年度における昨年の実績を見てみますと、当初四千九百万トンという計画が立てられまして、それに向つてわれわれも実は協力して参つたのでございます。ところが実際に石炭の需要があつたのは、四千三百万トンでございます。本年に至りましても、当初政府におきましては四千五百万トン、こういうぐあいに一応立てられまして、その後石炭協会から四千八百万トンにしてもらいたいなど、いろいろな形が出て参つたわけでございますが、実際に本年におきましても需要量の見通しをつけますと、四千万トンになるかならないというような状態でございます。従いましてこのように、非常にこの石炭政策についての矛盾というものはあるわけでございます。
 なおわれわれ労働者の首切りについて申し上げますと、実は昨年炭労が先頭になつて反対をいたしました。しかしながらわれわれ炭鉱労働者は、昨年において、大手を含め中小以下約六万に上る炭鉱労働者が、炭鉱から姿を消したのでございます。さらに本年に入りまして中小炭鉱におきましては、先ほど武内会長から御説明のありました通り、昨年、一年において、すでに二百八十五の炭鉱が閉鎖、休山いたしました。さらに本年に入りまして三万人の炭鉱労働者が炭鉱から去つたのでございます。しかも今年の十月、これからでございますが、さらに大手において企業整備が行われようといたしているのが現在の炭鉱の実態でございます。われわれといたしましては、まず第一に申し上げたいことは、根本的な対策を立ててもらいたいということ。単に石炭だけではなくて、電力、石油、こういう石炭に直接関連ある対策はもちろんのことでございますが、やはり何といつても需要の増大を待つためには、各産業を振い起さなければ、とうていこの需要の増大というものは期待できません。従つて単なる石炭政策だけではなくて、大きく日本の経済をどうするということをもつと根本的に、視野を広くして対策を立ててもらいたい。そうしないと、一片的には一応その石炭対策というものが確立されても、半年や一年たつたらまたこのような事情が起きて来るということでございます。従いましてまず当面現在の経済政策というものをもつと、大きな目を開いて立ててもらいたいということ。第二点は、やはり直接関連性あるところの、石炭、石油、電力等の総合燃料対策について、根本的にメスを入れてもらいたい。先ほど若干新海会長からも御意見もありましたが、特に重油の問題につきましては、これはもちろん一旦有事の場合には重油というものは常に絶たれる。現在では平和でございますから、いつでも重油がアメリカに相当余つておるというふうに聞いておりますから、入つては来ますけれども、やはり一朝有事の場合には重油というものが入るかどうか。そうなりますと、わが国にも非常に不安な状態が来るわけでございます。従いまして、このアメリカの過剰重油の輸入につきましては、先ほどからも経営者側から反対の要望もありましたが、これは断固として反対をしてもらいたい。特にこの重油の点につきましては、昭和二十六年にはわずか五十万キロリツターしか入つていなかつた。それが現在五百三十七万キロリツター、やみ重油を入れますと、六百万キロリツター入つている。これを石炭に換算しますと、千二百万トンでございます。石炭の出炭量で申しますと、大体三箇月分の石炭がこの重油のために食われておるということになるわけであります。従つて一年のうちの三箇月分は、重油によつて石炭の方が食われる。こういうことになりますので、この点は特に考えていただきたいと思います。なお諸外国の例を見ますと、ドイツにおきましても、一キロリツターに一二・九マルク、大体八十円見当ですが、やはり税金をかけまして、同じ敗戦国でございますけれども、石炭政策というものを保護しております。わが国がいまだにそういう措置がとられてないということは、非常にわれわれとしては理解できないのでございますが、この点ひとつ課税の問題につきましては、よろしくお願いしたいというふうに思います。なお輸入炭の問題につきましては、御承知のように輸入炭の大半というものは、約八割までがアメリカから来るのでございます。もちろん現在の日本のこういう石炭の状態、特に今月の状態を見ますと、先ほどから説明がありましたのは、いわゆる港頭持ち貯炭、市場貯炭、会社が持つておる貯炭、こういうものが大体四百万トンということでございまして、そのほかに、工場に手持ちがございます。それを合せますと、約七百五十万トンくらいになるわけでございます。これは終戦後最大のものでございまして、ほとんど各工場、各石炭の事業場あるいは港頭、こういうところでも、いわゆる石炭の置場所がないというのが現在の貯炭状態でございます。そういう状態でございますから、何とぞこの点についても特に留意されまして、この輸入炭の問題については、そういう事情の中で、ひとつ外国炭はできるだけ、日本炭で間に合うはずでありますので、削減をしていただきたいというふうに考える次第でございます。なお最後に申し上げたいのは、御承知のように昨年来、八万人に上る失業者が出ております。わずかに本年に入りまして、九州から実は十月に約三十名、北海道から約十五名――これは炭労が正式に招集しておりません。どうにもならぬから何とかしてくれということで、裸一貫で実は通産省に本年九月から約一箇月間にわたりまして、中小炭鉱のどうにもできないという方が陳情に上つて参りました。その話を聞いてみますと、食うや食わずで、子供は学校に行けない。あるいは自分の妻を特飲街に売るというような状態が出ておりまして、実際九州の状態を見ますと、暴動寸前のような気がいたすのでございます。そういう中にありまして、わずかにこの間の陳情によりまして、つい最近一万人の炭鉱労働者が、いわゆる鉱害復旧の事業につくことになりました。しかし御承知のように、八万人のそういう失業者の中からわずかに一万人でございますので、これでは焼石に水としか申されないのでございまして、この点もひとつ十分考慮の上、失業対策を十分行つていただきたいというふうに考える次第でございます。簡単でございますが、終ります。
#8
○中村委員長 次は重枝琢巳君。
#9
○重枝参考人 私、全国石炭鉱業労働組合の書記長をいたしております重枝でございます。本委員会において、たびたび石炭産業の問題について取あげていただきまして、われわれ一同も、われわれの意見を対策の中に生かしていただいておることについて、深くお礼を申し上げる次第でございます。特に春におきましては、四千八百万トンの需要を確保せよというような御決議までもしていただきまして、非常に希望を持つておつたのでありますが、その後の状況を見ますと、先ほどから三者の方が述べられたように、非常に憂慮にたえない状態に来ておるわけでございます。そうしてこれは各炭鉱の企業が危機に参つておると同時に、それが端的に、生活の面では炭鉱労働者の生活の中に窮乏となつて現われて来ておることは、私たち労働組合として非常に残念に思つて、いろいろな対策を立てておるわけでございます。さらに最近相当大きな災害が炭鉱で起つておりますが、やはりこういう災害がふえて来たということは、この炭鉱の危機をとにかく何とかして切り抜けたいという考え方、できるだけ安い炭を無理をしてでも掘つて、何とかしのいで行こうというような経営者の考え方が、勢い保安の面を軽視せざるを得ないというような点も相当あると思うのであります。こういうような点にも特に目を向けていただきたいと思うわけでございます。いろいろ私春にも本委員会において意見を述べさせていただきましたときに、根本的には、日本の産業は日本の石炭を使うことから、石炭に対する安定と需要を確保していただきたい、こういうことをいろいろ申し述べたわけでございますけれども、根本的にはそういうことに尽きるのではないかと考えます。さらにそういうことを樹立するためには、現在の無計画的に行われておるデフレ政策というものを、大きな産業政策の面から、これを変更してもらわなければならないと考えるわけでございます。このデフレの政策の中で、弱肉強食と申しますか、自然淘汰して適当なものが残れ、そうして石炭の値段の非常に安いものを出すようにしようというような考え方がもし一部にありといたしますならば、それは結局は産業全体を破壊するということになつてしまうと考えるわけでございます。いろいろ根本的な施策につきまして申し述べたいこともございますけれども、重複する点もありますので、緊急にいろいろ願いをしたい点を述べてみたいと思います。
 まず金融の点でございますが、これは非常な金融引締めにあつて、経営の方も困つておる。これは率直に私たち労働組合の立場としても認めたいと思つております。そこで事業金融の円滑化ということは、十分はかつてもらわなければならないと思います。健全な企業に対しましては、事業金融がなされるという施策を確立していただきたい。貯炭の融資等の問題もいろいろございますけれども、ほんとうに健全な経常をしているところで、将来永続的な経営が可能であるというようなところの貯炭に対しましては、場当り的でない方法で、いろいろな融資の方法も考えていただいてしかるべきではないかと思うわけでございます。なおこの貯炭につきましては、貯炭の融資ということだけでなくて、これを大口需要家に大量買入れをしてもらうという方策、これは若干政府の方で施策を立てられておるのでありますけれども、その量はきわめて少いのでありますから、電力会社あるいは国鉄その他の大口需要家に対しましては、これが買入れ促進をするという施策をやつていただきたいと思うわけでございます。それから金融のもう一つの問題は、現在非常な賃金の遅払い状態でございます。数億に上る炭鉱労働者の賃金が不払い、遅払いになつておるわけでございますので、これに対する対策の樹立をしていただかなければならないと思います。これには従来地方において労働金庫を通じて相当の融資がなされておりますけれども、労働金庫の融資力というものはきわめて少いのでございます。私たちは、労働金庫に対して政府資金の預託をされ、そしてそれが非常に困窮をしておる賃金遅払いの炭鉱に対する賃金支払いのための融資になるようにという方法を特別に講じてもらうように、いろいろ要請をして参つておりますけれども、これは法律の関係その他で現在までできておりません。この点を、早急に施策を講じていただきたいと思います。
 それから失業対策でございますが、これは夏ごろから帰休制度というのが炭鉱にも適用されることになつたのでありますが、これはまつたくの弥縫策でありまして、わずかにこれの適用を受けたのは数炭鉱にしかすぎないわけで、こういうことでは、実際何も役に立たないと言つていい程度であります。そこで根本的にこういう問題も検討をしていただいて、当面の危急を切り抜けるためには、失業保険の給付期間を大幅に延長をするということを含め、失業者の対策ということをひとつお考えを願いたいと思います。
 それから同時に、そういう失業者をいろいろな事業に吸収をしなければならないわけでありますが、鉱害復旧繰上げ事業によつて約二万人程度の失業者の吸収ができるわけでございますけれども、これは先ほど中川君が述べられたように、微々たるものであります。さらに鉱害復旧に適用にならない地区もございます。炭鉱地帯の道路というものはきわめて重要な役割を持つておりますし、それと反比例に、きわめて劣悪な条件にあります。これはある人が自動車で通つて、何か船を陸上でひつぱられておるようだというふうな表現をしたくらいに非常に道路は悪いのでありますが、こういうようなものの復旧工事も含める形で、失業対策事業を大幅に起してもらうということになれば、失業者の吸収と同時に、広い意味での石炭鉱業の振興になるのではないかというふうに考えておるわけであります。
 それから、失業者がたくさんおります。しかしやはり一方にはある程度の人員の充足をやつて行かなければならない炭鉱も出て参ります。そういう場合にはいわゆる先任権制的なものを考えてもらいたい。完全なユニオン・シヨツプとかクローズド・シヨツプとかいう制度が産別的にありませんので、ほんとうの意味の先任権制度というものは不可能でありましようけれども、地方炭鉱労働者に対しては、一部の技能者養成等は別でございますけれども、やはり優先的にそれらを採用をして行くという方策を講じてもらうことが一番いいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 それから石炭作業の危機を乗り切るのに一番必要なことは、もちろん先ほどから三者の方が言われましたように、石炭に対する需要の喚起でありますし、また安定した需要を確立をするということであろうと思います。そのためには私毎回申し述べておるわけでありますが、産業の振興ということ、特に火力発電を大幅に起す、それから中都市以上の都市の家庭燃料のガス化ということが非常に有効なことではないかと思いますので、こういう点を特に重点的に取上げていただきたいと思います。外国炭の輸入制限、重油の制限については、もう申し述べる必要はないと思います。
 それから以上のようにいろいろ申し述べましたけれども、こういうものを単にわれわれが政府やあるいは立法府にお願いをするという、だけでは意味がないと思います。経営者の方も口をきわめてそういう点を要望されるのでありますけれども、今日の危機を突破するためには、単にそういう政策の面で要望をするということだけでなくて、ほんとうに経営を民主化をして、石炭産業の危機を突破する態勢を労使、政府の間で確立をするということがやはり大きな柱として必要ではないかと考えるわけでございます。経営の内部は従来通りの形を存置しておつて、そうして政府にだけいろいろな保護施策を求める、国民に対してそれに協力を求めるというだけでは、いささか片手落ちではないかと考えるわけであります。そういう意味で、ほんとうに労使の対等の協力態勢ができるという方法をまずとらなければならないと思います。そういう意味で、この危機突破のために広汎な協議をするということが必要になつて参りますので、各企業ごとに、あるいは炭連ごとに、あるいはそれを全国的に集約する形で、労使が十分話合うという機関を設置をしなければならないと思います。こういうようなことについても、それをできやすいような方策を講じていただかなければならないと思います。さらにそういう労使の協議の場とともに、もう一つは、石炭産業対策会議とでも言うべきものの設置が必要ではないかと思うわけであります。振り返つてみますと、終戦直後、一塊の石炭でも必要だという場合に、国会があげてこのための努力をされ、石炭増産協力会議というものが設立をされて、いろいろな面で大きな成果を上げております。情勢はまつたく今日異なるものでございますけれども、これは国家的な立場に立つて、炭鉱の労使、あるいは行政の担当の政府その他の人たちの参加を求めて、石炭産業の危機をいかに打開し、日本将来の安定をはかり、日本の産業を確立して行くかという方途について、いろいろ話合う必要がぜひともあるのではないかというふうに考えるわけでございます。単にお互いが自分のやつてもらいたいことだけを、かつてに述べ合つておるというだけでは、これはほんとうの成果は上らないと思いますので、いろいろの意見を持つたものがここに集まりまして、ほんとうにどうしたらよろしいかということを、いろいろ協議をする場として、私は石炭産業対策会議とでもいうべきものを急速につくつていただきたい。そうしてそこの中でいろいろ今まで申しました点についても、どうしたらよろしいかということを検討してもらいたい。たとえば不況カルテル等の問題についても、いろいろ業界からも要望があるのでございますけれども、それが単にそれだけの話でとどまるということになりますならば、これに対しては労働組合側もいろいろな点で意見がありますし、また消費者――石炭を消費される側からもいろいろな意見があると思います。そういうような問題についても、こういう会議を持つて、そこで大胆率直に話合いをするということになれば、一つの方向づけができるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 それから最後に、炭鉱労働者は非常に各炭鉱において窮乏をいたしておりますが、それが就学児童、中小学校の学童のあるいは欠食児童が出たり、あるいはいろいろな教育費の分担ができないというような事態が相当顕著になつて来ております。これに対して私たちは生活保護法の適用あるいはその他の救援措置について、各方面の御協力を得て、運動は続けておりますけれども、なかなかこれの解決ができないわけでございます。生活保護法については、これはもちろん厚生省の所管でありますし、学童問題については文部省の所管でございますけれども、生活保護法の適用を教育費に適用するという点についても、なかなか両省の見解が一致しない。ここで中央ではある程度了解ができましても、末端においてはその実施が非常に困難になつております。産業政策を樹立されるところでございますけれども、こういう現在の緊急の事態においては、このような悲惨な状態を解決する方策も含めて協議願うことが、一番産業対策としては必要なことではないかと思います。困窮児童の対策についても、関係各省で関係の法律等を御勘案を願つて、強力な施策ができるような方策を本委員会において御審議を願い、推進をしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。簡単でございますが、以上をもつて本口述を終りたいと思います。
#10
○中村委員長 以上で参考人よりの御発言は終りました。引続いて質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中龍夫君。
#11
○田中(龍)委員 ただいままで参考人の方々から詳細な今日の炭鉱の状況を伺つたのでありまするが、聞けば聞くほど実に重大な問題でありまして、各炭鉱に今日及んでおりまするこの様相は、私は独立日本の今日の最大の問題ではないかと思うのであります。翻つて考えます場合に、戦争中われわれはあの非常出炭と申しますか、各炭鉱に対しまして実に言いようのないようなお願いをし、また無理を申し上げて、あの戦争中の燃料をまかなつた。またさらに敗戦になりまして、一切の生産が停止をしたときに、やはりお願いをするのは炭鉱の、なかんずく中小炭鉱の方々であつたのでありますが、その後の日本経済の変動にあたりましても、いつもいつもしわを寄せられて来ておつたのが、この石炭企業であつたと思うのであります。ただいま参考人の方々から、特に労組の中川さんから話があつたように、あまりにも日本の石炭の企業というものが不安定な状況であり、企業として安定した姿に一度も立ち至つたことがない。困ればすぐに炭鉱の方で、国はこれに対して、さあやれそれやれというてはつぱをかけるし、またちよつとこういうふうに緩和すれば、たちまちかような、企業として重大な局面に当面をさして、しかも何ら顧みるところがない。石炭というものが国家の動力源でありますならば、国家としましては、この根幹産業に対しまして、安定した姿でもつて操業ができるような状態に置かなかつたならば、私は断じて国家自体の安定性もないと信ずるものであります。なかんずく今日の炭鉱の状態は、ただいまもお話のように、八万、九万という失業者を出しておるような状態でありまして、実に一大社会不安であり、これは私は、国家としても重大な責任があるものであると信ずるのであります。このときにあたりまして、政府におきましても、いろいろと施策を練つて今日まで参られたとは思いますけれども、何がゆえにかほどまでに不安定な状態なのか。これはわれわれは国家を再建する上から申しましても、徹底的に分析をして、国家の動力源であります石炭企業というものに対する根本的な考え方を持たなければならぬ時期であると、深い反省を与えられておると思うのであります。
 それにつきまして私は大体四点につきまして政府の過去にとられ、またこれからとられようとした問題について、執行当局に御質問を申し上げたいと思うのであります。
 この中で、まずただいま参考人からのお話がありました、貯炭融資なり、あるいはまた過剰貯炭の買上げとか輸出の促進というふうな項目に対しましては、石炭局におかれましては、どういうふうな見解をお持ちになり、またその関係はどういうようになつておるか、伺いたいと思うのが第一点であります。
 次に第二点は、ただいまもお話がありましたように、外炭の輸入、もちろん粘結炭の仏印炭だとか、あるいはまた強粘結炭といつたような特殊なもののやむを得ない輸入があるかもしれませんけれども、見返りその他によつての、何でもない外炭の輸入というものがもしあるならば、これはぜひともやめなければならないものだ。かつまたこういうふうなものについても、何か科学的な技術上の措置によつて、できるだけ内地炭をこれに引当てるというような、技術的な研究なり検討がなされなければならないと思うのでありますが、外炭の輸入の削減については、どのようにお考えになつておりますか、承りたいと思うのであります。
 それから第三は、昨年来非常に問題になつております件でありまして、当委員会におきましても、われわれはこれを決議いたしたのでありますが、重油と石炭との関連の問題であります。これにつきましては、考え方といたしましては、ぜひともいわゆる液体燃料というものの必要性を痛感しなければならないものならば、同時にまた、戦争中われわれがやつておつたようないわゆる国内炭による石炭液化だとか、あるいはまた重油等の輸入の副産物として行われるものを、いわゆる石炭化化学工業によつてこれを補うことができないかといつたようなことも考えなければならぬ事態だと思うのでありますが、重油の輸入の問題は、はたして執行当局の方は、どのようにお考えておつておるかを承りたいと思うのであります。この点は、英米トラストといつたような国際的な強力な一つのものの前に立つて、われわれ独立日本として、どういうふうな考え方を持たなければならないかということは、ほんとうに国家といたしましても、私は大きな問題でなければならない、かように信ずるものであります。
 第四の点は、失業問題でありますが、ただいまもお話がありましたように、女房を身売りしてまでもというような社会問題が起きておりますことは、単なる石炭とか石油とかいうものを離れた、もつともつと大きな一大社会不安を醸成しつつある、ことに国際関係がこのようになつておりまする際に、日本といたしましては、この社会不安の醸成ということは、国としてもまた大きな問題でなければならない。単に石炭、重油という問題から離れて、厖大な失業問題なり、さらにまたそれに伴つて来て、暴動寸前に近いような社会不安を、はたしてどういうふうな見解のもとに処置して行かなければならぬかということも、私は当然労働省その他の方々はお考えになつておると信じておるのでありますが、これらの失業対策の問題なり、あるいはまたさらに坑外作業に対する一万人の転換があつたということは、まことに喜ばしいことでありますが、これらの問題をどういうふうに政府として考えているか、執行当局から承りたいと思います。
 かような四つの問題を、項目別でありますが、しかしながらこれは単にこのケースの問題だけではなく、再建日本としての一大危機がここに到来しておる、あるいは英米トラストの前に、あるいはこういつた国家の根幹産業であります、キー・インダストリーである石炭産業というものを、国家はどういうふうな気持でもつて育成策をとつて行かなければならぬかといつたような、重大時期に実は当面したと思うのでありますが、これらの諸点につきまして、政府当局から、今日までの御処置並びにこれからおとりになろうと思うその政策の問題につきまして、お答えをいただきたいと思います。
#12
○伊藤(卯)委員 議事進行について……。今田中君から質問されたことは、非常に重要なことだと思うのであります。ついては、きよう政府側から見えておるのは、局長の人々のようでありますが、この問題はやはり生産と消費の関係というか、石炭と油の関係というか、それぞれ通産省内においても、その責任当局の間において、あながち意見が一致しておるわけじやない。従つて通産省としては、それらの異なる意見というものをどのように調整をして、石炭政策の行政措置をするかということにかかつておるので、この点については、やはり最高責任者である通産大臣が出席されて、われわれに責任のある答弁をされることが妥当である。もし通産大臣が、あした渡米するというので、出席ができないとするなら、少くとも政務次官くらいは出て来て、そうして責任のある行政上の措置について、われわれに対して答弁をされなければならぬが、政務次官がすぐ出席できるかどうか、その点をひとつ委員長に伺つておきます。
#13
○中村委員長 政務次官は、ただいま呼びに行つておりますが、間もなく見える予定であります。
#14
○斎藤説明員 田中委員の第一の御質問は、貯炭融資について、政府側としてどう思うかというように伺つております。現在石炭業界が、特にごく最近非常に急角度に困難を加えて参りました原因の相当有力な一つは、過剰貯炭の投売りと申しますか、非常に極端な安値でダンピングをやるということが、相当大きな原因になつておるように考えておるわけであります。これは数量としては必ずしも大きな数量ではないかもしれませんが、価格的には異常な低価で、もちろんコストをはるかに下まわるような低価格になつておりまして、それがまた全般の炭価に非常な悪影響を残しておるような状態であります。そういう見地からすれば、そういう状態を起させないようにする何らかの手段が必要だとわれわれは考えておるわけでありますが、その方法として、貯炭に安定した金融をつけるということが、その対策として相当と申しますか、実は一番有力な手段ではないかとわれわれ考えるわけであります。ただ在庫金融という問題は、国全体の現在とつておりますデフレ政策からいたしますと、それに対してかなり大きな問題を持つておるわけでありまして、われわれの立場、石炭局といたしましては、何らかの形でこの貯炭について、少くともそういつた濫売、ダンピングという問題を起させないような程度の金融の支えということはやりたいという考えでございますけれども、政府全体のデフレ政策というものとの調整がどういうことになりますか、まだわれわれとして、今の段階では何ら結論しておらないような状態であります。
 それから輸出促進に関する意見を申し述べよということでございますが、外市場に出すということは、当面の需給対策として一番弊害の少い、また効果のある方法でございますが、遺憾ながら、日本の場合には、日本の輸出し得る範囲におきまする石炭の需要というものが非常に小さい。特に戦前、日本の石炭の輸出市場は、御存じのように、中国と朝鮮が大部分であります。現在中国は全然石炭の引合いはございません。それから朝鮮におきましては、これは主として鉄道の運転用炭を中心としいたしまして、百万トン程度の引合い、注文と申しますか、需要が確かにあるはずなのでありますが、御承知のような日韓関係がございまして、最近は全然引合いがとまつておるというような状態でございます。現実に具体的な需要がございまして、それが価格面なり何なりで、出すのが困難だというふうな事情がございますれば、それに対してわれわれも対策の立てようがあるわけでありますが、今のところ、まつたく引合いがない状態であります。たおビルマの賠償の問題がございます。現在のところ、どういうものを賠償の対象にするかということにつきましては、具体的な問題は何らきまつておりませんのでございますが、建前といたしましては、ビルマの経済建設に必要な設備なり、資材なりということになつておりますので、はたしてこの石炭のようなものがその中に加えられるかどうか、ちよつと今のところわかりかねる次第でございますけれども、もし加えられるということが可能でありますならば、ぜひとも加えてもらいたいと思う次第であります。それから外国炭の輸入について、これを削減する余地がないかどうかということでございます。外国炭の輸入につきましては、年度当初の計画に比べまして、実はかなりわれわれとしては圧縮して来たつもりでございます。御承知のように、昭和二十八年度は相当多量の外国炭が入りまして、これは単に操業技術的に外国炭でなければならないという関係のほかに、一昨年のスト対策によります需給バランスの調整上のものが、かなり繰り下つて入つて来たものもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、四百万トンを越す程度の石炭が入つて来たわけでございます。その二十八年度におきます比重におきましては、特に輸入炭につきまして、大部分は鉄鋼用の輸入炭でございますが、鉄鋼のコークス用の国内炭が五十に輸入炭五十という比率で操業いたしておつわけでありますが、それを二十九年度の当初の計画では、五十五対四十五、国内炭五十五、輸入炭四十五の比率に直しまして、上期はそれで計画を組んだわけでございます。ところが御承知のような炭況でございますので、さらに内部で検討を加えまして、電工業局等とも十分相談いたしました結果、さらに下期は国内炭六十、輸入炭四十の比率に圧縮したわけでございます。その結果当初の予定に比べますと、約九十万トンぐらい削減したことになります。特に下期のべースで計算いたしますと、下期のままを年間に引き直しますと、二百五十万トンぐらいのべースにまで圧縮いたしたわけであります。なおこれ以上に切れたいかどうかという問題でございますが、現在のところ、コストの非常な上昇と申しますか、具体的に申しますれば、コークスの使用品を念速に増加するという危険なしに、さらに国内炭の使用割合をふやし得るかどうかという点については、相当まだ疑問がございます。数年前までは、なるほど現在に比べまして、もう少し国内炭の使用量が多かつたのでございますけれども、その当時のコークスの使用量は、現在よりもはるかに高かつたわけでありまして、現在のコールレシオと申しますか、銑鉄とコークスとの使用量は、銑鉄一トンに対するコークスの使用量が、現在の下期の割当を計算いたしましたときには、安全を見込みまして、一・二八ということになつておりますが、現存までのところでは、若干それを下まわつておるような状態であります。ところが二、三年前の、もつと内地炭の使用の高かつた時代には、一・三五から一・四というふうな数字になつております。また現在の六〇―四〇の比率から、さらに国内炭の使用を上げるということになりますと、またコールレシオが相当上るんじやないかということを非常に鉄鋼界では懸念しておるわけであります。現在鉄鋼業界も非常に苦境にありますことは御承知の通りでありますので、銑鉄の生産コストのうちで一番ウエートを持つておりますコークスの価格が急速に上るということは、ちよつとわれわれとしても要求しにくい問題であります。しかしわれわれとしては、なお漸次これを引上げまして、鉄鋼業界が技術的に最大限度の能力を発揮して、さらにこれを引上げてもらうように希望しております。また現在の六―四でやりました実績を見まして、それがあまりコークスの使用壁を増加させないような見通しがはつきりいたしますれば、必ずしも来年度を待たずして、結果が判明いたしますれば、あらためてさらに再検討もいたしたいというふうに考えておる次第であります。なお輸入炭を全然使わないで、コークスの製造と申しますか、特に製鉄用コークスの製造ができないかという御質問でございますが、これは純粋に技術的には、膨潤炭というふうな方法も発明されておりまして、不可能ではないわけであります。ただコークスの価格が、現在の粘結炭を使用する方法に比べまして、非常に高くなります。現在の輸入炭の価格よりもおそらく四、五割くらい高くならないと採算が合わないじやないかと思われます。従つて現状で、たとえば膨潤炭という方法の使用を強制するということは、その経済的な不利を付らかの形で補填する方法を考えない限り、非常に困難ではないかと思われます。また重油の問題は鉱山局長が見えておられますから、鉱山局長から後刻答弁してもらうことにいたします。
 失業問題についての意見はどうかという御質問でございますが、これはわれわれとしても絶対に対策を講じなければならぬという決心でございます。今回の鉱害復旧の繰上げも、その一端としてやつたわけでありますが、われわれの見解では、従来の公共事業なり、あるいは従来の鉱害復旧事業に対する吸収率なり、あるいは一般の失業対策事業なり、そういつた他の関係で約一万人が救済され得るし、またされておるはずだと、こういうふうに計算いたしまして、要対策人員、これは鉱害復旧工事の施工地域であります九州及び宇部地区でありますが、その炭鉱失業者のうちで、特別な対策を要する人員を三万と考えまして、あとの二万をこの鉱害復旧事業で処置したいと考えたわけでありますけれども、鉱害復旧事業の事業執行期間が非常に限定されておりますことと、それから鉱害復旧事業というものは、鉱業権者と被害者との間にいろいろ法律の問題があるのでございまして、そういう問題が解決したものでなければ、とりかかれないというような点、なお従来の事業規模に比べまして、急速に大量のものを追加いたしますことは、工事の円滑な遂行にも困難があるという点、さらに財源が、補正予算を待ついとまがありませんので、予備金支出という形で出さざるを得ないことになつたわけでありますが、予備金という形にいたしますと、財源がどうしても制限されるというふうな点から、やむを得ず一万人ということで付託することになつたわけでありますが、これで問題が解決したとは決してわれわれは考えておるわけではありません。引続いて本年度の補正予算に間に合うようにさらに対案を考えて行きたいと考えております。
 なお、鉱害復旧事業は、宇部地区、及び九州地区だけにしかできませんので、さらに常磐地区なり、北海道地区につきましては、別に対策を講じなければならぬわけであります。その点もあわせて次の機会に対策を講じたいと考えております。
#15
○川上説明員 重油の規正の問題につきましては、三月の末に石炭との関係におきまして、あるいは外貨の節約の問題に関連いたしまして、閣議の了解があつたわけでありまして、また当委員会におきましても、そのころやはり決議があつたわけなんですが、私どもの方としましては、そういう閣議了解及びこの委員会の決議の線に沿つて、その後いろいろな方法によりまして、規正をやつておるわけであります。その後講じました実行の方法としましては、重油の元売り業者に対しまして、月々の販売数量というものを指示いたしまして、その販売数量の範囲内において販売するようにということを通知しております。これは単に重油全体として幾らということではなくて、各業者別にそれぞれの扱い数量を通知しておるわけであります。それから九月末におきまして在庫を幾ら持つておれという通知もいたしておるわけであります。もしその数量に違反した場合におきましては、あるいはそれを越えて非常によけい販売したとか、あるいはまた九月末におきまして、布庫が非常に少くなつておるというような場合におきましては、元売り業者すなわちこれは輸入業者でありますので、外貨の方で調整をするということで行つておるわけでありまして、言いかえれば外貨において罰則的な措置を講ずるということで行つておるわけでございます。一方需要者につきましては、いわゆる標準購入景というものを通知いたしまして、これ以上購入しないようにというような通知を出しておるわけであります。もちろんこれは農水産関係につきましては、あるいはその船舶用というようなものにつきましては、これは石炭を使うというわけに行きませんので、こうした方面に対しましては、別途確保の措置を講じておるわけでありますが、一般陸上用につきましては、今申し上げましたような措置をとつておるわけであります。その後の規正の効果を申し上げますと、この四月、五月におきましては大体月々五十万程度の出荷実績を示しております。これはわれわれの方からいいますと、少くとも五百三十七万キロリツトルを本年度それ以下において納めるということになりますと、とてもこれではやつて行けませんので、六月からは急激にこれを締めまして、六月におきましてはすぐこれを極端に締めるということはできないので、計画としまして大体三十九万程度の計画を示したわけであります。それから七月におきましては三十四万程度、八月、九月は三十三万程度の数字を示したのでありまして、すなわち四月、五月におきましてよけい食つた分を九月までにとりもどす、あるいはすでに三月におきましては今年の外貨をある程度食つておりましたので、これも返すということで、普通の常識からいいますと、特に七月、八月、九月は非常に極端な削減をやつたわけであります。この計画に対しまして、その後八月、九月はとうていこういう数字ではやりきれないのじやないかということも考えられましたので、十万程度の十月以降の分を繰上げて使わせることにいたしたわけなんですが、それにいたしましても、実績を見ますと、六月の最初の計画三十九万幾らというものに対しまして、三十九万八千程度の実績を示しておりまして、計画に対しましてまあとんとんという状況になつております。それから七月におきましては三十七万程度の実績であるわけでありまして、この三十七万の実績というのは、最初の十万をふやさない前の計画からいいますと、これは三十四万程度でありますから、三万幾ら実績はふえておるということになつております。それから八月におきましても大体実績は三十九万、九月も大体、三十九万というような状況にたつておるわけでありまして、十万をあとで追加したことによつて大体とんとんで行つているというのが現在の状況であるわけであります。数字につきましては今申し上げましたように、七月、八月、九月というのは、最初は極端な圧縮計画を立てましたが、それでは特に中小企業関係の石炭への転換というものは、金融の問題とかいろいろな問題がありまして急激にできないので、そういうようなことを考えますと、やはりある程度の増加をしなければならぬということで、八月の半ば過ぎに十万程度の増量をいたしたわけなんですが、大体におきましては、デフレの影響もいろいろあると思うのですが、行政指導によつて、三十八、九万のところで納め得たというような状況になつておるわけであります。私はここで行政指導が非常にうまく行つたということを申し上げるわけではありませんけれども、その数字につきましては、われわれが最初計画しておりましたものよりも非常に飛び離れて、四月や五月のごとく四十八万とか九万とか、五十万に近いというような数字を示していないわけでございます。
 それから転換の状況につきましても、これは相当日和見的な気持を持つておられる方が需要者の方であつたと思うのです。従つてその効果というものは転換が早急に全体にわたつて行われておるとは私どもも認めておりませんが、たとえばセメント工場のごときは転換を相当進めておるようでありまして、あるいはその他の産業につきましても現在いろいろ調べておりますが、だんだん転換をしつつあることは否定できない状況と考えるのであります。ただ問題は先ほど申し上げましたように、中小工場のごときはいきなりこれを転換するということは、資金の問題、いろいろな点から見てなかなか期間を要しますので、私どもの方といたしましては、なるべく早くやりたいのですけれども、そういう点も考えて対処しなければならぬというふうに考えております。
 それから今後の問題でありますが、今後の問題につきましては、大体下期のこの五百三十七万キロリツトルで納めるということにしますと、大体この十万の繰上げを差引きまして、月々四十五万ぐらいということに相なるわけでございます。私どもの方としてはこれをどういうふうにするかという問題を今いろいろ検討いたしております。一つは月々の計画をどういうふうに持つて行くか、下期と上期と全体の数量そのものは相当違いますので、毎年上期よりも下期の油を使う量は非常にふえるわけでございます。特に十月、十一月あるいは十二月というようなことになりますと、一つは水産関係あるいは船舶関係、こういうものが上期よりも相当需要がふえて参りますし、それに水産、船舶両方とも毎年十万ぐらいずつ最近はふえておりますので、去年の五百三十七万キロリツトルに、合せてことしもその数字をとつたわけなんですが、水産船舶関係は合せて二十万ぐらいは去年よりはことしはふえるとわれわれは考えておりますので、その分だけはやはり一般工場分は削減されるという結果になりますので、特にまた下期におきましてはそういう水産関係、船舶関係の数字がふえて参りますから、私どもの方としましては、その点を考えますと、上期で大体三十八万、九万程度で納まつたからといつて、その程度でこれをそのまま進めて行くことはなかなか難しい問題ではないかというふうに考えておりまして、現存いろいろ十月の数字をどういうふうにするか、十一月をどうするか、特に十一月、十二月というのは相当需要期でありますので、十分その点は考えて数字をつくつてやつて行きたいというふうに考えております。
 それから根本的な問題としましてはやはり私はこの重油と石炭の消費分野というのをはつきりしなければならぬというふうに考えております。先ほど申し上げましたように原則として大体何パーセントぐらい削るというふうに各産業に対しましては言つているわけなんですが、ボイラー用はなるべく早く転換しろ、ボイラー用については大幅削減してこれぐらいにするぞ、あるいは特定炉については大体これぐらい削減するというふうに、そういうことも一面においてはやつておりますけれども、一面においては全体の産業として大体電力は幾ら、あるいはガスは幾ら何は幾らと、その削減の率を出して、そのいわゆる標準購入量を指示しておつたわけですが、やはりこの問題につきましては根本的な問題として消費分野というのをはつきりさした方がいいのではないか、これを急いでやらなくちやいかぬというふうに考えているのですが、この作業につきましても相当長きにわたつていろいろ実は検討しておるのでありますけれども、この消費分野というのは技術的に見ましてもなかなかむずかしい点がありまして、まだ最後的な案ができておりません。私どもの方としましては、これは一日も早く、こういう施設は石炭を使うのだ、こういうものはやはり重油を使わなければならぬということを、単に農水産関係だけではなくて、陸上のものにつきましてもその点をはつきりさした方が私はいいのではないかというふうに考えておりまして、一日も早く最終的な案をつくつて決定をしたい、そうしてそれによつていつまでにこういう設備はこつちの方に転換させるというふうにはつきり持つて行きたいというふうに私は考えております。これは私は今後の早急になさなければならぬ対策だというふうに考えております。
 それから暖厨房の問題につきましては、閣議におきまして十月の一日ごろから、場合によりましては法的な措置をとるのだという了解にもなつておりますし、またこの委員会におきましても、行政的な措置または――言葉ははつきり覚えておりませんが、法的な規制をやれという決議になつております。私の方としましては、大体十月の一日からそういう法的な規制まで持つて行つたらどうかということで進んで来ていたのですが、数量的にもそう大きなものではないという面もありますし、また一面からいいますと、暖厨房関係について法的な規制なり行政的な措置を講ずるということはなかなかむずかしい、いろいろな問題もあるし、法的な規制で行つた方がいいか、行政的な措置に行つた方がいいか、どつちが効果があがるかという問題についても、いろいろ検討の余地もありましたので、さしあたりやはり行政的な措置を講ずるということで、さつき申しました転換の計画は従来の方針に基いてやることにしておりますが、法的な規制ではなくて、さしあたり行政的な指導で行きたいというふうに現在やつておるわけであります。そういうふうに私どもの方としましては、この委員会の決議なりあるいは閣議の了解に対しまして、でき得る限りのことは実はやつておるわけでありまして、これをさらに非常に強く締めまして、そしてさらに百万キロとかあるいは百五十万とか、あるいはそれ以上の数字でとにかく締めるということは、一般の産業界のことにつきましても十分考えなくちやならぬと思いますので、もちろん石炭関係の方面に対しましては私は極力協力いたして行きたいと思いますけれども、今申し上げましたような関係もありますので――それに大体六月以降の実績を見ますと、計画に対しましてそうむちやな払い方もしておりませんし、大体計画通り行つておるとわれわれは考えておりますので、今後におきましても、行政指導をこのまま続けて行つて、あるいはもつと強く続けて行つて、そして私は石炭対策に対しましても何とか協力をして行きたいというふうに考えております。
#16
○田中(龍)委員 さらに石炭局長に伺いたいと思うのでありますが、無煙炭等の輸入の問題につきまして、通産省側におきましては、昨年八万トンでありますか、非常に抑制されたのであるが、結局農林省とのいろいろな問題で、ずるずる無煙炭がさらに二十何万トン入つたというようなことも伺うのですが、バーターの見返りの問題でありますとか、あるいはまた仏印との特殊なそういつた問題等につきましては、どうぞ今後大いに厳重な監視をいただきたいと思うのであります。なおまた金融の問題につきましても、これらはとうてい地方金融でまかなえる分野ではないのでありまして、国家的な施策をぜひ必要とすると思うのであります。なおこの石炭の問題は、ほんとうに国家の動力源でありまして、国をあげて解決しなければならない最も重大な問題であると思います。なおこれらの施策につきまして、より掘り下げましていろいろと御質問も申したいのでありますが、時間もありませんから、本日はこの程度にいたしまするが、この問題については、さらにいろいろ執行当局と委員会なり国会側と検討されまして、一日も早く解決したいと存じておる次第であります。私の質問を終ります。
#17
○中村委員長 帆足計君。
#18
○帆足委員 後ほど北九州の現場の実情をよく存じております伊藤委員から、実際的な面について御質問しまして、問題解決の推進に御協力したいと思います。従いまして私は重要な二、三の点について、今日御出席の皆様に御質問いたしまして、問題の所在を明確にして対策を強化いたすことに、わが党としても御協力したいと思います。
 この石炭鉱業の今日の危機は、今日だけにとどまらず、全面的な不景気の進行とともに、一層深刻な状況にさらに深刻の度を加えつつあるわけでございますから、私はむしろ今日の小委員会か開かれ、諸君とともにこの問題の対策を講じますことがおそきに失したうらみをすら持つておるのでございます。洪水が参ります前には、洪水の来る前に堤防を築いておかねばならぬのに、終戦以来復興の緒につきまして四、五年たつたときに、やがて今日の運命が来ることはもう明白であつて、十分なる対策を講じておらなければならなかつたはずではないかと思いますが、当時は自由経済という名に幻惑されて――これは官僚統制から脱却するために、私は一応のりくつがあつたと思うのです。石炭国家管理ということをわれわれ主張したけれども、その国家管理の案ですらが、必ずしも実際に適していない。官僚主義の幾らかの臭気をわれわれも身にまとつていたために、国民からの支持も必ずしも十分でなかつたし、実際においても十分なる効果を発しなかつた。この点はわれわれの側においても責任があつたと私は思います。しかしとにかく自由経済の今日もたらす結果はかくのごときものである。すなわち計画性のないいわゆる不覊奔放なる自由経済というものが、同時に計画性なく不覊奔放に恐慌を招来するということは、もう経済の鉄則として、百年以来すでに明確にされておる問題である。この問題については相ともに対策を講ぜねばならぬことは当然でございます。しかしこの問題については、われわれも責任がありますが、石炭協会並びに石炭経営者連盟の諸君においても大いに責任がある。すなわち従来の自由党の自由主義政策をただ一辺倒に無批判的に御支援されたような傾向が多少あつたのではないか。今日の時代で総合計画が必要であるということは、もう大学の経済学部の一年生でも知つておることである。それがほとんど無視されて、そうしてせめて資本主義の弊害を修正して、生産と消費の均衡を維持しよう、また関連産業との間の意思疏通をはかり、均衡ある発展を遂げようというきわめて常識的な意見ですらが、修正資本主義というのはあれは桃色である、これは保守の思想である、保守的合理主義の思想であるのに、それすらが否定された過去の政策、私はそういうところに重大なる責任があると思う。従いまして石炭企業を担当されておりまする石炭業界の皆様においては、時の与党とだけ懇談されるのではなくして、野党すなわち改進党、または社会党両派その他の政党とも始終懇談をされ、新鮮な意見を耳にされて、石炭鉱業政策に総合性と弾力性を与える心構えが必要ではなかつたか。従いまして政治というものは全国民の輿望の上に立つており、与党、野党の区別なく、各界の知識と経験と助言を得て初めて経済政策は妥当な道に進むわけでありまして、一方に片寄つて、政策に弾力性と見通しを失うというようなことが不測の事態を招くゆえんでありまするから、今後においては、石炭連合会は単に自由党一辺倒でなくして、改進党とも懇談し、社会党両派とも懇談し、あるいは学者、労働組合の諸君の意見も取入れて、総合的な弾力性ある政策をおとりになる意思があるかどうか。まずその点を新海さんと武内さんにお尋ねしたいと存ずるのであります。
#19
○武内参考人 ただいま帆足委員からの自由経済における根本の考え方につきまして、私は今の帆足さんの御意見は全面的に受入れます。ただ今日石炭界がかくあるために、先ほどから激越に過ぎる言辞を弄しましたことも――自由経済の根本といたしまして盛衰のあることは当然覚悟の上であります。今のお尋ねの中に、石炭鉱業の経営に当る者がある政党の一方に偏しておるということは、これはもう少し掘り下げて私率直に申し上げますれば、そういうようにお見受けになつた点を、否定をする理由もございませんが、私どもは経営者としまして、自由経済といえども、公党に対しましてあなたのお説のようなすべての行為をやつたようなことは毛頭ないことを明らかにいたします。今日の現況に追い詰められたただいま、わがままなことを申し上げたことに対しまして、自由経済というものの根本に対する意見なり、またこの段階に対処する上におきましては、あなたの御意見の通り各政党にもよく連絡をとり、また実情を訴え、あるいは労働組合各位とも提携をしてこの隘路を切り抜けるというあなたの御趣旨にはまつたく賛成であり、またそれが当然と信じますが、ただ御発言の中に一辺倒とおつしやいました点につきましては、われわれ経営者としては決してあなたの御観察のような考えのないことを明らかに申し上げておきます。
#20
○帆足委員 それでは第二にお尋ねいたしますが、今次の不景気はなかなか深刻だと思います。顧みれば二十年前の昭和六年、私どもはちようどそのころ大学を出たのですが、不景気の子として街頭にほうり出されました。まつたく二十年前の振出しにもどつた思いがしますが、当時はいわゆる満州、台湾、朝鮮なども日本の勢力下にありまして、人口も今より二千万も少なかつたのです。しかし今は非常な食糧の不足の上に、そういう特殊の市場を失いまして、今日の不景気は二十年前の何倍も深刻な様相を持つて参つておるわけでございます。従いまして、この対策を立てますことは容易なことでございません。私はむしろ一政党の政略を離れて、一人の国民としてこの問題を語り合い、憂えねばならぬほどの深刻な状況であると思つております。石炭鉱業界の皆様がお出しになつたこの対策案を読みますと、おおむね応急対策が出ております。業界の首脳部としてそれは当然のことであると思いますが、たとえば今日街頭でいちようの葉が枯れております。枯れたからといつて根元に水をやつただけでは、問題の解決にならないのであつて、枯れつつある原因が那辺にあるかということにただちにメスを入れなければ、この深刻な問題の応急対策にすらならないのではなかろうかと心配する次第でございます。従いまして石炭鉱業界におきましては、今日の石炭不況の原因並びに日本産業の不況の原因を一体那辺にあるか、またどの程度の勢いで進行し、来年の見通しはどういうふうになるとほぼ観察しておられるのか、あるいはそういう問題はまだ十分に検討する余地がなくておられるのか、一、二分でけつこうですが、その要点を承りたいと思います。
#21
○新海参考人 ただいま帆足先生から御指摘のように、きようここに羅列いたしましたのは、もちろん今の石炭の緊急事態を救うための緊急対策でありまして、われわれは別に恒久対策も持つております。一例をあげますれば、石炭の新規需要喚起、化学工業方面に進出すること、あるいは火力発電あるいは家庭用の薪炭、これに向つて日本の今最も重要である山林資源の育成をはかり、もつて治山治水に貢献するというように、いろいろなものの研究をやつております。これによつて石炭の需要を増大するということも考えておるのでございます。
#22
○帆足委員 本日承りました具体策の緊急さに比例いたしまして、私は基本対策の面が、皆さんが強調される点が弱いと思います。と申しますのは、これが小さな不景気でありましたならばこの程度のことでいいのですが、戦前に比べて二千万も人口がふえ、領土の四割もなくしたこの国が、今当面しております不景気、進行しつつある不景気の速度というものは、実に有史未曽有のものであると私は思つております。従いまして基礎産業である石炭鉱業におきましては、労使ともに国際情勢及び日本の総合的経済情勢の分析をもう少し鋭く深くしていただきたいと思います。と申しますのは、たとえば一例をとりましても、今日日本の生産は表面上は戦前の一六〇、一七〇になつております。ところが貿易は戦前のわずか三五%という状況です。三五の貿易で一六〇の生産がいつまで維持し得るでしようか。世界の平均は戦前の一六〇を越しております。イギリスは一七〇に近づこうといわれております。一番悪いイタリアですらが一三五といわれております。それに島国日本の貿易は戦前の三五、こういうことがはたして財界に正確に理解されているでしようか。あるいはまた東西貿易といいますけれども、昨年の一番悪いときの実績が、鉄のカーテンのかなたと自由諸国の貿易が輸出だけで十四億ドルに達しております。自由諸国が鉄のカーテンのかなたに出した金額が十四億ドル、その中で日本の占める地位はわずかに一千万ドルであります。こういうことを皆さんは御承知でしようか。あるいはまた隣邦中国との貿易がどんなに大きかつたかということは皆さん御承知ですか。英国は中国に一億二千万ドル輸出し、西ドイツは昨年一番少いときに中国に約三千万ドル近く輸出しました。そのときに日本はわずか四百五十万ドルしか輸出していない。島国日本にとつて、貿易の振興ということはただちに石炭鉱業につながる問題でございますから、どうかそれらの点を勘案されて、今日本経済回復の最大のかぎが邦辺にあるかということを石炭鉱業においてももう少し深く分析していただきたいと思います。右に関連いたしまして昨今の情勢は、火力発電に比べては治山治水の問題がありまして、水力電源開発がどんどん進んでおりますし、ダム式水力電源開発もいたさねばなりませんし、また今後十年たたないうちに、御承知のように原子力による発電が、もはや英国からはジエツト機の輸出とともに製錬されたウラニウムと原子発電機を輸出するというオフアーがわが国にも参つておるような状況でございます。まことに石炭鉱業の前途を思うと、うたた感慨無量でありまして、もはや目先の対策だけではどうにもならぬ深刻な問題を内包いたしております。石炭は次第に原料に使わねばならぬという数年前からの声は、今や当面の問題にならんとしつつあると思うのでございますが、しかし他面経済、金融、労働の面から考えますと、そのような公式だけをうのみにするわけに参りませんで、多少の犠牲を払つてでも、連関産業の御理解を得て、石炭鉱業を擁護しつつ徐々に方向転換をせねばならぬというむずかしいときに参つておるわけでありますから、私は石炭鉱業においても、この際は大悟一番、異常なる御決意と見通しと御努力が必要である。これに対する連関産業の御理解と国民一般の輿論の支持を受けるような対策によつて、この窮境を打開されることを切に希望するものであります。従いまして今石炭鉱業の首脳部の皆さんがお考えになつておるよりも、不景気の深さと広さは、もつと深刻でありましよう。同時にわれわれが観察しておるところのよりますると、アメリカに今や深刻な不景気の萠芽が現われております。また日米経済協力の限界も水爆の問題が起り、御承知のようにそれと合せてジエツト機の進歩と、いわゆるB29と言われた空の要塞の戦略的後退のために、日米経済協力の限界も、おおむね日本経済の二割を養うのが限界であると昨今専門家に指摘されるに至りました。そうなりますると、軍需に過大な期待を持つこともできませんので、世界の状況とにらみ合せまして、貿易の振興と国内の開発、あるいは中小企業の振興、食糧の自給度の増大等、この春のマンデス・フランスの平和の国際情勢が強くなつたという転換期、特に水爆の時代に入つたという転換期を前にしまして、国際情勢をよく分析して――と申しますのは、日本はソ連や中国と違つて貿易に依存しておる国である。一面国内問題である石炭の問題が、実は貿易と非常な関係があるのでございます。従いまして、石炭鉱業の皆様が、日本貿易の実情が、世界が一六〇になつておるのに、わずかに戦前の三五%、それからまた東西貿易が、ことしは十七億ドルを越えようというときに、日本はわずかそのうちの一千万ドルしか割当てられていない実情などをよく御承知になつたならば、英国が何ゆえに二つの世界の間に立つてあのような弾力性のある政策をとつているかを、皆様が一番に御理解をなさるのではないかと思います。石炭鉱業の皆様は、保守の方が多いのでございますが、これは単に遊んでいるようなものではなく、足にはゲートルを巻き、山の中で拮据経営された皆様に、この祖国の実情がわからぬはずはないと私は思うのであります。従いまして、もう少し英国やフランスの政治家の考えておること、なさつておることを皆様の御参考になさいまして、特に日本は、アメリカ、ソ連、中国のような自給自足のできる国ではないのでございます。英国に似て島国であります。貿易の国であります。世界を理解し、世界から理解されねば生きて行けない国でございますから、石炭鉱業の対策を考えるに当りましては、輸出入貿易、国際収支の問題をあわせて考えていただかなければならぬと存じます。今日これらの点につきまして、とりあえず石炭鉱業首脳部の諸君がお考えのことを承りたいのでございますが、時間もありませんし、実情に即しての御質問はあとで伊藤君から申し上げますので、労働組合の諸君にお尋ねしたいのですが、私はこれらの点を労使とも、あるいは学者、政治家も加えまして、石炭政策の根本について、一ぺん協議する機会を設けてみたらどうかと思いますが、それについて労働組合側はどのようにお考えでありまするか。今後の対策を強くしまするための参考として、お尋ねいたしたいと思います。私は、問題の所在が、きわめて深刻な問題があるということを御注意申し上げると同時に、皆様から今日の対策だけでなくて、引続きまして将来の対策についても御意見を承りたいと思います。経営者というものは、単に雇い主団体という場合は労働組合と対立しておりません。しかし総合的な経営者の場合、たとえば石炭協会のような場合におきましては、その中に労働者の諸君も協力して働いております。今日従業員の生活、福祉について全責任を持つておるのは、やはり経営者の方でございます。しかるがゆえに今後は単に政府または与党とだけ懇談されずに、定期的に野党の諸君や無産政党の諸君とも懇談の機会を多くされまして、石炭政策を戦前に比し強化されるように御努力なさることが、意見の相違が根本的にあろうとも、なおかつ石炭鉱業全体、石炭鉱業に従事しておる従業員、それに恩恵を受けておる連関産業や国民にとつて私は今日この際は有利なことであると存じますので、あえて申し上げた次第で、この点石炭労働組合の方の御意見を承りたい。
#23
○中川参考人 炭労といたしましては、ただいまの点につきましては今度の札幌大会におきましても労働プランの作成ということができまつたのであります。内容を申し上げますと、この危機を救うためには単に炭鉱だけではだめだ、従いまして総評でも総合的な労働プランを組むということになつておりますが、炭労はとりあえず炭鉱労働者といたしまして、それに直接関係のあるいわゆる重油の労働者あるいは鉄鋼の労働者あるいは造船の労働者、こういうものを含めまして総合的にどうしたらいいかということについて現在労働プランというものを計画しております。なおこれにつきましては、ただいま帆足先生も申されたわけですが、いわゆる国家的な総合的な対策につきましては各政党並びに学者とも現在話合いをしておる、こういうのが現在の段階でございます。
#24
○重枝参考人 私としては、先ほど申し上げました点に触れておるわけですが、こういう話合いはぜひ必要だと思います。だからいろいろな関係者がいろいろな形で話合いを進めることは非常にいいことだと思いますが、ただそういう場合に注意しなければならないことは、そういう会合が議論倒れになつてしまうと意味ないと思つております。そういう意味で私先ほども申し上げましたように、たとえば石炭産業対策会議というようなものをつくつて、労使、政府、国会あるいは需要者を含めた総合的、具体的な政策をここできめる、こういう会議を早急に持たなければならぬ。そこでいろいろな角度から検討されたものを、ただちに具体的に実行できるような方策を検討する。こういう会議を持たなければならぬと考えるものであります。
#25
○帆足委員 経営者の方はただいまの問題に対してどのようにお考えでしようか。
#26
○新海参考人 先ほど武内会長からもお話がありましたように、会議を持つことに別に異論はございません。
#27
○長谷川(四)委員 一、二点だけお尋ねいたします。伊藤さんが専門的な立場からいろいろお伺いになるでしようが、石炭の総合燃料対策を立てて以来、石炭対石油の面については、先ほど局長から説明があつたように、私はこれらに対しては十分その措置がとられておると思う。それでは石炭というものが何ゆえにそれほど貯炭もあり、売れなくなつて来たかということは、これは石炭ばかりではなくして、現在の日本の産業全般にわたつてこういうような状態になつて来ている。これだけは明らかである。そのよつて来るところの原因はどこにあつたかというと、これは日本の産業政策というものについて現在の政府が場当り政策をやつて来て、先ほどからの言葉にあつたように恒久的対策というものが何もなつていない、産業構造というものが確立していない結果がこうなつて来たのだと思う。これは明らかなことでありまして、その責任は絶対に現内閣にあるといわなければならないと思うのであります。しかしこうなつて来たこの面をいかに打開するかというのがわれわれに課せられた責任だと思うのでございます。
 そこで一、二点だけ伺いたいのですが、採算ベースというのは、われわれは四千八百万トンだということを唱えましたけれども、実際に日本の現在から見て採炭する量というものはどのくらいが妥当であるかということをまず一点として伺いたい。
 さらに石炭というものをただ燃料だという考え方からこのごろはかわつて来ているだろうと思うのですが、そのために液化するとかあるいは石炭化学というような点についてどのくらいまで進んで行つて、現在あなた方の業界としてもどのくらいに指導をしておられるかということが第二点。従つて新聞を見ますと計画的年中行事としての賃金ストを行うということを発表しているが、こういう時代に至つてもまだストライキをやらなければならないのかということ、これは労働組合の方に伺います。
 先ほどどなたかのお話にあつたようですが、原油に税金をかけさえすれば原油は高くなつて行く。それで石炭の価格とマツチするから結論として結局石炭は売れるであろうというような考え方を政府が持つているというのですが、総合燃料対策を立てるときの考え方と今日のような事態になつて来たときの考え方はかわつて来ております。私は絶対に関税をかくべきではないという考え方を持つて来ております。関税は産業の保護政策でなければならない。先ほど労働組合のお方は西ドイツ云々と言いましたが、西ドイツのかけ方はそういう面においてかけているのであつて、要は税金の収入を見込んで関税をかけているのではないのであります。全世界これだけ広い中に関税をかけている国は幾つあるか、これはあとの議論で、そんなことを申し上げる必要はないのでございますけれども、そういう点から私は絶対に関税をかくベきではない、総合対策の上に立つて考えるべきであると考えます。以上申し上げた点についての御答弁をお願いいたします。
#28
○新海参考人 ただいま御質問の日本の出炭べースは一体どのくらいかと申しますと、政府の要請によつて、とにかく五千万トンくらいのものはどうしてもほしいんだということで、政府も超重点産業としてこれに大きな金をつぎ込み、その企業が昨年から今年にかけてほとんど完成して来ておるのでありますから、本来ならば当然四千八百万トンがベースであるというふうに私ども考えるのであります。しかし今日の実際の状態から言つて、これはとうてい望むべくもないことであつて、ただいまのところ四千五百万トンが大体日本の石炭鉱業としての適正出炭量と考えております。それで私ども石炭のコストを引下げて、漸次国際水準に持つて行かなければならぬ義務を負つておるのでありまして、それにはある程度の適正出炭を維持しなければ、先ほど申しましたようにかえつてコスト高になるのでございます。
 それから化学方面にどの程度の研究がやられているかということでございますが、これは今研究に着手しただけであつて、今日申し上げる段階に参つてはおりません。これについてはわれわれ業者だけでなしに、政府におきましても特にこの点について研究していただくようにお願いもしておりますし、またわれわれの研究に対して協力援助をお願いしておる状態でございます。
#29
○中川参考人 ただいまのはストライキをやるべきじやないんじやないかというような意見も含まつた御質問かと思いますが、ストライキの問題につきましては、炭鉱を大手と中小にわけまして、中小の中で経営者と一緒になつてやつているところもあります。また中には大手よりもいいというところもございます。なお大手につきましては、これは経営者と労働者の問題でございますし、特に今度の賃金闘争というものは政策変更の大きな意義があると思います。従いましてストライキはできるだけ現在避けたいという気持はありますけれども、やはりやらなければならぬ場合が来るということも予想されます。
#30
○長谷川(四)委員 ストをやつてはいけないとかなんとかいう根本の問題ではないのです。こういうふうに石炭に大きく響いたそのよつて来たる原因、何で重油に多く転換されたかということについては、ストが大きな脅威を与えたということに原因があるということはこの前申し上げたので避けますけれども、ストがあるために、それが非常に脅威を与えて重油に転換したことは、何といつても避けられない、否定できない事実だと思います。そういうような点等から考えて行つて、まだこれだけの貯炭があるから、あなた方がストをやつてもさしつかえないが、一般の消費面ではそう考えてくれない。やはりストがあるとおびえて来て、この冬前になつて困る、何とか方法はないかという、そういう点に行きはしないかということです。あなた方がストをやることも今りつぱに許されておるからけつこうだけれども、それにはそれだけの安定感を一面においてはつきり与えて、それをやらなければならないのではないかと考えるからでございます。決してあなた方の権利であるストをやつてはならないというのではございませんけれども、そのよつて来つた原因は、そこに大きな原因があつたから申し上げたのであつて、それを繰返さないようになるべくあなた方も防禦線を張つて、その点についても心配はないという安定感を消費者に与えてやつてもらわないと間違いが起きて来はしないかと思うからでございます。
 もう一つ武内さんの方にお願いするのですけれども、先ほど帆足先生がお話申し上げた通り、どこの国でも、石炭は燃料という考え方から去つておりますので、その点についても十分御研究をしてもらわなければならぬと思います。今までのように石炭は燃料だという考え方を一擲して新しい方向に進んで行くことが一番の大きな使命ではないかと思いますが、その点についてもいずれ後日ゆつくりお話を申し上げてみたいと思います。どうもありがとうございました。
#31
○中村委員長 伊藤卯四郎君。
#32
○伊藤(卯)委員 経営者側は新海さんでも武内さんでもよろしゆうございますし、労働組合側は中川さんでも重枝さんでもけつこうですが、一、二点お尋ねしたいと思います。実はお尋ねするにあたつてわれわれが非常に責任を感じている点があるのであります。というのは、このようにたびたび本委員会に参考人として来てもらつて、同じようなことを何回も説明を願い、それに対して質疑応答をしておるということで迷惑をかけている点を、われわれ国会側の本委員会としても、はなはだどうも相済まぬような責任を感ずる点がある。もちろんそれは別に国会側の責任というわけではありませんが、国会側で議決をして要請していることを政府がすみやかに具体的に実施しないところに問題があつて、絶えずからまわりをして同じことが繰返されておるわけですが、これについて、あとで政府側に何点か私質問しようと、こう思つておる。そこで通産大臣が出て来てくれれば一番よいのですが、政務次官にはぜひ来ていただくつもりでおります。そこであなた方に伺いたいのは、さつき新海さんがここにお示しになつた具体的な八項目にわたる要望が出ておりますが、この中には非常に具体的な問題がある。たとえば二百万トンの貯炭を買い取つてくれというような問題であるとか、あるいは財政資金の返済を持つてくれという問題、あるいは資金融資をこうしてくれとか、あるいは労働者側に対する賃金の未払いを払うためにこうしてくれとか、非常に具体的な問題を出されてあるのです。これらの問題については当然この具体的な案はそれぞれ関係の役所側に折衝されておるだろうと、こう思うが、役所側との間に折衝されたその経過というか、あるいは役所側のそれに対する態度、あるいは役所側ではそれをどのように解決をしようとしておるか、あるいはできないと言つておるか、そういういきさつについて、もう少しお知らせを願いたい。それは、この問題をわれわれが対政府との間に解決する上に非常に重要な参考になると思いますから、ひとつお聞かせを願いたい。政府側の方も出席しておるので、あまりざつくばらんに言うのもどうかというような気がねをしないでひとつお聞かせを願いたい。それをお聞かせ願わないと、国会として問題を解決する上に、どうもかゆいところに手が届かないというようなことがありますし、問題を解決する上に大事なことですので、気がねなしにお聞かせ願いたいと思います。
 それから労働組合の方も同じですが、さつき炭労の中川さんが言われておつたように、この前炭労の中小部の労働組合代表が通産省の玄関に、一月もすわり込みをして通産大臣と交渉されていた。ところが聞くところによるとあれについて通産大臣は回答をしたこともありますが、あの回答をしたことについて、あんなものに一々回答をする必要があるかということで通産大臣を政府側の者がひやかしたということを私は聞いておる。そういう点で何か回答のようなものを読んだかと聞いたら、すぐ逃げて行つたということを聞いておるのですが、これははなはだ不誠意きわまると思つておる。労働組合の方でも、通産省なり労働省との関係において、あるいは大蔵省との関係において、炭鉱の失業者を出さないようなやり方にしてくれ、あるいは失業者をこうしてくれ、あるいは賃金未払いに対してこうしてくれ、あるいは首を切られたけれども退職金をもらえないからこうしてくれとかいろいろ交渉しておられると思う。それらについても、一体政府側はどういうような回答をしておるのか、これもひとつ遠慮なしにお聞かせを願いたい。そのことによつて、われわれこの問題を政府側との間に解決する上に一つの資料として聞いておきたいと思いますので労働組合のお二人のうち、一緒でもけつこうですし、どちらからでもけつこうですから、それぞれの経過等について、また見通しというか、希望というか、希望は全然ないのかどうか、そんな点についてお間かせを願いたい。
#33
○武内参考人 ただいま今日の石炭業界がこの段階に追いこまれた現実について政府側とわれわれ石炭業界との交渉の経過を概要知らせよ、こういう伊藤委員のお尋ねにお答えいたします。
 過去における長い間は別といたしまして、この段階まで追い込まれた石炭業界は、この段階ではこの時局を乗り切る経営者としてわれわれのやるべき手は、こういうことをやりましよう、しかしながらどうしても現存の時局下においてはわれわれで乗り切れない点が多いというようなことにつきましては、数度にわたつて通産当局とは懇談を重ね、要請を続け、陳情を続けたのでありますが、つい今日の段階にまで入りましたので、もうわれわれはせつぱ詰まつて、この上は直接主管大臣並びに関係閣僚と、時間をもらつて現段階に対する措置方について、また現状について親しく御説明を申し上げ、なお政府としての態度をきめてほしいという考え方から、九月二十九日の午後五時半から緒方首相代理を中心といたしまして、通産大臣並びに平井次官、大蔵省は河野次官、労働省は現労働大臣、こういう直接関係の政府の首脳部とかなりな時間をもらいまして現在の石炭のあり方がかくなつておるという一応の数字を示し、諸情勢を指摘いたしまして、まずわれわれの方から話を持ちかけたのであります。これに対して愛知通産大臣は現段階における石炭の現状は、今業者から説明があり、ここに出してあるこういうことに大体間違いはありません。これが、石炭界の現状である。意見も一致しておる、こういうわれわれの現段階に対処するいろいろな項目をあげたものに対する通産大臣からの御回答であつた。それでその席上でそういうように全面的に現段階の石炭界のあり方を通産大臣が認められるということを言いましたので、これを認めてくれるならば、収拾できざる現状に立ち至つておるということは明らかである。これは幸いにもお互いが現段階の見たところを出したものについて意見の一致を見た以上は、もう一日もこの問題は放置できないので、急速にこの問題の具体化を政府としてもあらゆる面から検討してほしいということで、正味一時間半という時間にわたりまして、先月二十九日の夜七時近くまでひざをつき合せた懇談をいたしました。その後もうわれわれはこの段階は一日もこのまま放置できないという対策につきましての要請もいたしております。今伊藤委員から七項目をあげて、この内容は現段階から見れば当然のように見えるが、これに対してどういう経過だつたかというお尋ねでありましたから、今述べますが、この問題はこう取上げ、あの問題はこう取上げるというような、これに対する回答に今日まで接しないのであります。その後私どもはこの問題をどうしてくれるかというようなことで、再三協会も連合会も当局に迫つております。それで一日としても放置されない現段階に到達いたしましたので、これは現政府ばかりやつても具体化することは非常に困難だ、それよりか各党ごとにこの実態を訴えて、立法府によつて行政官に向つて、適切なる選考の上で、この措置について指示を願つてやるよりほかはないというような考えをせざるを得ないことになつたのであります。それで昨十四日まで自由党、改進党、日本自由党、あるいは社会党の右派、左派、こういう各政党のほんとうに首脳部の人に時間を与えてもらいまして、現実の石炭界のあり方につきまして、つぶさに経過をあわせて述べ、現段階はかかるところまで追い込まれております、どうしてもこの上は立法府において、この措置については行政官をして実施せしむべく立案をしてもらつて、切り抜けるほかありませんというようなことで、昨日まで過去における当該主管庁のみでやつておつたことを方向を転換いたしまして、時間が許しません関係上、もうこのまま一日も放置はできぬという建前から、昨十四日までに各党を訪れまして現実を訴え、各首脳部の方の御意見を伺いました。これにつきまして、ただいまはつきり申し上げました各党の首脳部の各位は、まことに親切に、また実態は事実でございますからこれはいけない、この問題は国として最も大きい問題であるというようなことで、私どもとの会談をしてもらいまして、今後の問題として各党より、この問題の解決には何どきでもはせ参じて、超党派的見地から解決をすべきだというような御意見を伺つたことをここにはつきり申し上げます。
#34
○中川参考人 この石炭危機突破に関する問題につきましては、自由党も改進党も、右も左も、そういう政党の区別なく、とにかく石炭危機を何とかしてもらうためには勉強して行かなければならぬということで、こういう大会の決定もありましたし、炭労といたしましてはその線にのつとりまして、実は九州の実情につきましても、行くのはほとんど社会党右派なり左派なりの階級政党しか行かない、こういうことで現在炭鉱から出ておられます阿具根参議院議員、多賀谷先生にお願いしまして、数度にわたつて自由党並びに改進党に対しましても、九州の現地視察というものを要請して参りました。なお炭労といたしましては、この問題につきまして先ほど申しました通り、政党を問わず何とかしてもらいたいということで、今まで話し合つたことのない右派社会党ともいろいろ懇談して参りました。なおこの問題につきまして、総評はむろんのことでありますが、特に石炭協会あるいは鉱業協会とも連絡をいたしまして、今日まで努力して参つたわけであります。それで最近に至りまして、九州の方ではどうにもならぬ、とにかく上京して何とかしてくれ。もちろん上京するにいたしましても金はありません。そこで緊急動議といたしまして、九月四日の札幌大会におきましてこの動議が出たわけですが、その動議が出るころにはもう九州からどうにもならぬからといつて、ない金を集めまして、すでに東京へその陳情が来ておつたというのが実情でございます。大会といたしましては、もちろん中小には金がないということで、大手の中から大手の組合員が家庭から三合ずつの米を集めまして、そうして中小のために、いわゆるこの汽車賃なり、旅費をつくるということになつたわけでございます。そうして九月十日から通産大臣と三回にわたつて会見をしております。第一回目は約二時間にわたつて懇談したわけでございますが、まず炭労が要請いたしましたのは、緊急対策を早急にとつていただきたい、それから失業対策を確立していただきたい、重油、輸入炭については早急に削減していただきたい、こういう申入れをしたわけでございます。そこで通産大臣といたしましては、時日をかしていただきたい、こういうことで実は第二回目の通産大臣との会見になつたわけでございます。その際通産大臣は金融処置につきましては現在の一千万円のわくを二千万円に拡大する、それから現在の中小炭鉱の貯炭の問題については、国鉄炭を十万トン早く買い上げる。これについてはもちろん国鉄の方で金融措置もあるので、この点は金融措置をした上で、国鉄の方でとりあえず十万トンを一箇月繰上げて買い上げるということで、この点は回答になつたわけでございます。大体おもな回答というのはその点でございまして、そのほかこまかい点は、ここに局長もおいでになつておられますので、局長の方から願いたいと思いますが、大体三十分ぐらいその回答をしやべつて、そうして一つの質疑応答もなく、そのまま大臣は帰られてしまつたわけであります。そこでこういう不誠意なことがあるか、自分の話だけをしやべつてそのまま帰つてしまうということはもつてのほかだ、こういうことで政府関係とも再度会見の話合いをいたしまして、三回目の会合を持つたわけでございます。そのときには大体一時間以上にわたつて通産大臣といわゆる話合いをしたわけでございますが、その内容というのは経営者から出しておられます内容とも大体似ておりますが、金融措置について現在中小炭鉱には金を貸してくれぬ、とにかくもつと金融をやつてもらえば中小炭鉱は再び起き上ることができるのだから、この点はわくの拡大をやつてもらいたい、そういう話合いもいたしました。それから重油、原油の関税についても、これを早急にやつてもらいたい。そのときの会合におきまして、大臣は次期臨時国会においてこの点は早急に確立するよう努力する、こういう回答もございました。大体第三回目の会合につきましては相当時間もあつて、石炭の現在課せられておるいろいろな問題について十分話し合つたつもりでございます。
 次になお失業問題につきまして労働大臣とも会いました。労働大臣も、ほぼ通産大臣と同じようなことで会見をしております。
 以上でございます。
#35
○武内参考人 補足させていただきます。各公党を、昨日までにどの党も訪れましたことはさきに述べた通りでございますが、その間に昨日石炭生産地の選出代議士各位の御参集を、午前午後にわたつてお願いしたのであります。しこうして一般政党に実情を訴え、措置方を急速に取上げてほしいというようなこと、ことに石炭生産地の選出代議士各位はよく現実を御承知であつただけ早く御理解をいただきました。これはお尋ねの外になると思いますが、総合的に各党も、また昨日午前午後に御参集を願つた石炭主産地の各代議士諸公も、非常に重大問題として憂慮されておつたことは明らかでございましたが、しかしながら本日この時期にあたつてこの燃料総合対策委員会を開催していただきましたが、立法府の直接の機関である通産委員会の中の本小委員会におきまして、この問題を一つ一つ取上げていただいて実施に移るようにしていただけることを私ども心からお願い申し上げまして、経過とあわせまして補足させていただきました。
#36
○重枝参考人 今お二人から言われた通りでありますが、私たちがこの席で申し述べましたいろいろな対策、要望事項については、政府それぞれの機関に再三私たちも要望をしたのでありますが、そのとき異口同音に言われることは、いつもそうですが、まつたく事情はその通りであるし、まつたくこういうことをやらなければならぬということで、絶えず賛成をされ、意見を聞かれるわけです。その点では問題ないわけですが、しかしそれが何ら実施をされないというところに今日の問題の一番深いものがあるのじやないかと思います。対策についていろいろ論議をする時期はすでに過ぎて、意見の一致を見ておることだと思いますし、そういうことがなお何ら実行できないというところに一番問題があろうかと思います。そういう意味で議論の段階は過ぎておりますから、どうかこの委員会の力でこれからでもいいのですから、ただちに実行されるように関係の方向に強力に働きかけをしてもらいたい、これが私たちの切実なお願いであります。
#37
○伊藤(卯)委員 武内さんに伺います。主としてこれは中小炭鉱の問題になりますが、炭界がこういう状態になつておるので、民間金融はもちろん締め出してしまつて炭鉱に融資をするということは、警戒ということよりもむしろ拒絶をしておるというようなことをわれわれしばしば聞かされる、ところがこれに伴つて中小企業金融公庫の金についても今炭労の中川さんが言われたように、組合側がすわり込みをやつたときに、一千万円まで特に鉱山について貸すというのを二千万円までわくを広げるということを回答されておる、文書にもなつておる、ところがその後を見ると中小炭鉱に中小企業金融公庫のあの金を貸すのについても銀行を経由しなければならぬわけですから、銀行がその書類を取上げて中央に送るということについても非常に警戒的になつて、書類を受けつけて送りたがらぬというようなことを聞くのです。そうすると唯一の中小炭鉱に対する国家の金融機関それ自体も、地方銀行なり民間銀行がこれを取次がないということになつて来れば、その書類は金融公庫にまわつて来ないわけであるから、従つて金は借りられぬということになつてしまう。そうなればいよいよ中小炭鉱に対しては民間金融も国家機関の金融も不可能というような状態にだんだん追い詰められてきてしまうということになり、これはいよいよ困つてしまうのじやないかという考えを持つのであるが、そういうようなことが相当各地方銀行の間に行われておるかどうか、そういうことをひとつ現地事情に即した点でお聞かせ願いたい。
 それからけさの日本経済に出ておつたと思いますが、炭鉱労働者への賃金の未払いが六億何千万あるというような数字を書いておる。また予想として大手炭鉱も中央地方を問わず、今後賃金未払いの問題についてそういうことをやらざるを得ないというような意味のことを書いていた。今の状況であれば大手炭鉱においてもきわめて正直な発表としてもそういうことがあり得るのかどうか、こういうことを中小と大手の関係において、賃金未払い関係についてひとつお聞かせ願いたい。
 それから大手炭鉱は、みずから関連銀行を持つておるところは炭鉱融資にも恵まれておるというが、関連銀行を持つておつて恵まれておれば労働賃金に未払いとか何とかいうものは起さないで賃金を払つて行けると思うのであるが、もし新聞に書いてあるようなことであるとするならば、この大手の炭鉱の融資関係について、どういう現状にありますか、そういう点をひとつあわせて両方からお伺いしたいと思います。
#38
○武内参考人 ただいま伊藤委員からお尋ねがありましたが、最近においての金融公庫の利用につきまして非常な御指導を受けまして、この点は私は感謝申し上げます。実際の運行がいかになつておるかということにつきましてお尋ねがございましたから、率直にその点をお答えしますが、私が知る範囲では、現在申入れ書の中で全国的に三十件を少し上るくらいな解決になつておるのじやないかと信じます。この金額は今回一千万円が二千万円までわくの拡大化をしてもらいましたが、借りる方におきましてもいろいろな貸出し条件なり担保物件などということがありまして、金額はごく僅少になつております。二千万円までにわくを拡大してもらつたことはまことにけつこうでございますが、二千万円貸し出すに足る資格は持たないという見方があることだけをはつきり御了承願いたいと思います。今借りておるものを平均しましたならば、件数に対しまして平均七百万円見当になつておると信じます。しかし二千万円のわくの拡大によつて、その後借り得る資格のあるものは二千万円該当の申請をそれぞれやつております。しかしながら、いろいろ御承知と思われますが、まだ旧復金債券が、これは非常に矛盾がありまして、一千万円限度を越えた復金債券のある人は問題じやございませんが、それ以下の、債務としてはごく小さい五百万とか四百万とかいうものだけは、どうした間違いか開発銀行が公庫に引継ぎをしたわけです。これをやつたのは二箇月ぐらい前だと思いますが、そのためにせつかくつくつてもらいました公庫のわくの中から、それを引いた残高しか貸さぬということになつたために、みんな非常な当惑をしましたが、この点は私どもも地方の各位も率先しまして、引継がれたことは事実だろうが、それより大きい債務のある人には適用がなくて、それ以下のものに対しては、五百万残つておるからあと五百万だというのは実に矛盾がひどいということを、一箇月ぐらいかかりましたが運動しまして、この点は運営の面で公庫がよほど取扱つてくれるような事態になりました。現在残されたものは、まだ三十件ぐらいのものは申請をして地方銀行が、あるいは窓口が預かる――三十件を越すと思いますが、半ば以上は商工中金とか指定された窓口銀行、福岡県でいえば福岡銀行、こういう方面に審査中で残つております。しかしながら福岡が最も石炭に関して摩擦がひどいところでありますために、地方銀行の福岡銀行は、審査には所定の手続はしておりますが、非常に熱心に取扱つてくれ、全国的に今解決したものの七〇%ぐらいは、福岡銀行を経由したものと信じます。従つて残つておるものも、九州はやはり中小炭鉱が非常に多うございますから、銀行がいろいろな所定の手続きをして担保その他――御承知のように公庫の借入れは窓口銀行が八〇%を引受けるのでありますから、資金は公庫から出ますけれども、今日の炭界がかかる状態にありますので、八〇%が窓口銀行の負担である限り、石炭界の立ち直りがいささか見えた場合には銀行としても不安が除かれましようが、銀行という立場からいつても窓口として無理からぬことと私どもは了察しております。
 全国を通じて公庫の現在の利用状況、また金融機関の手続関係につきまして概要お答え申し上げます。
#39
○伊藤(卯)委員 未払い賃金を払うことについての経営者側の責任をどういうように見ているかということは……。
#40
○武内参考人 これは私新海さんの方に言つてもらおうと思いましたが、中小炭鉱は、関連産業にも従業員各位にもまつたく申訳ありませんが、完全に払つているものは皆無といつてよいと思います。今度の公庫融資につきましては、御承知のようにひもつきでありまして、支払いの内容を明確にする、そういう貸し方の建前になつておりますので、全額は払えなくても未払い賃金は優先的にこの中から支払い、さらに残余の諸支払いに充てるというように、借入れの要素として支払いは明確にいたしております。しかし、中小炭鉱としては、これを借りましても、何とか石炭界の打開ができぬことには、現段階のあり方では今後の未払いについては、血の出るような思いをしても、山をつぶさぬ限りは非常に困難な事情にあるということを、私は率直にありのままお答え申し上げるわけであります。
#41
○新海参考人 大手炭鉱のことにつきましては、各社によつて事情も異なると思いますので、的確な御回答にはならぬかと存じますが、今ある貯炭の大部分は大手の貯炭である、しかもさらに一日一日だんだん貯炭が増えて行つておる、また金融ダンピングといわれるような安い投げものをやつておるのも大体今大手側にあるのだというような事情から見ましても、大手といえども今御質問のありましたような賃金未払いという事情が避けられない事態になつておるということは想像できる次第であります。
 それから関連銀行を持つておる社はどうかということがありますが、これにも限度がありますので、大きな違いはないと存じます。
#42
○伊藤(卯)委員 今参考人の方々からかなり長時間にわたつて説明をされ、またわれわれの質問に答弁をされて、その経緯については、政務次官はあとから見えられて十分お聞きできなかつたろうと思うが、政府委員の方では相当詳細にお聞きになつておると思う。それで何点か関連してお尋ねをしたい。先にこまかい問題からお尋ねしますが、この前の通産委員会のときも、炭労、全炭の代表者にも、通産大臣は、国鉄に二十万トンか十五万トンの貯炭を、主として中小の分を買つてもらうことにした、国鉄に対する資金上の操作は大蔵省からしてもらうことになつた、非常に喜ばしいといつて、私が組合側と一緒に行つたときもですが、まるで鬼の首でもとつたように非常に明るい顔で発表をしておられる。組合側でも、あるいはまた経営者側でもそれを相当期待していたろうと思う。さて今度、なかなか問題が片づかないから国鉄側にだんだん折衝してみたところが、現在国鉄が契約をしておる以外の炭鉱の貯炭は買う意思がない、それから契約しておる炭鉱でも、契約期間内の何万トンかの中に入るのである、こういうことを国鉄側が言つておる。そうすれば、契約をしておるところは何もわざわざ特に買つてもらう必要はない。買つてもらつてもあとで契約数量の中から引かれるということになれば、ちつとも恩恵はない。これでは私は通産大臣が経営者や労働組合に、おれはこんなに苦心して解決してやつたぞという喜ばしい解決になつておらぬ。その後、どういうように折衝されて、この問題は大臣が経営者や労働組合などに、大いに喜ばすような返事をされたことをどのように具体的にその後解決になつておるか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#43
○斎藤説明員 国鉄の繰上げ購入につきましては、まず第一にこれは国鉄がさしあたり必要としない石炭をストツクをする目的で買い上げておるのではございませんで、その点は最初からそういうふうに申し上げてあるわけでございます。結局今年度の下期において使いまする分を、さしあたり金融をつける目的で繰上げて購入するのでありますから、それを後期において購入数量から削減するとかいうことは、これは最初からそういう建前であつたわけであります。ただ国鉄の契約者が中小炭鉱のうちではかなり限定されておるという点は、今の伊藤委員のお話の通りでございますが、これは契約者の範囲をどの範囲にするかということは、これは国鉄のまつたく通常の業務の範囲のことでございまして、通産省としてそれをどういうようにかえろというふうなことは申しにくい筋の事柄でございます。ただこれは契約者を消さなくとも、何らかの方法でその購入の範囲を広げるということは不可能ではないようにわれわれは考えられます。それは契約者の中に生産者ではなくて、販売業者も入つておりますので、その販売業者を通じて銘柄を拡張するというようなことは不可能ではないように思われたわけでありまして、その方面も大分折衝いたしたのでございますが、これもやはり従来の主要銘柄をかえるということになりますると、試験その他に非常に手数がかかるということで、国鉄が銘柄の拡張についてもかなり消極的な態度でございまして、その点非常に残念であつたと思つておる次第でございます。なおこれは中小炭鉱の分につきましては、実は御存じのように、国鉄は消費の技術的な面からいたしまして、塊炭が中心であるわけでありますが、その適当な塊炭が非常に少くて、われわれが予定したと申しますか、むしろ期待しておつた数量に大分達しないようであります。ただこの点は今の契約者と銘柄を限定して考えますれば、現実にそれに相当するような貯炭がなかつたということでございまして、その点はまつたく私らの当初の計画のときに予測しておらなかつた事情でございます。そういうことも原因いたしまして、われわれの予期だけの効果を上げなかつた点は非常に残念だと思つております。
#44
○伊藤(卯)委員 銘柄の問題というのは、これは国鉄は当然自分のところに適するものでなければ買わぬということは当然のことであります。その問題ではなくて、国鉄が経営の上から石炭費にこれだけの金額のわくというものがあるのです。そのわくの中だけで操作をするということになれば、今私がお話をしましたように、六箇月間内にこれだけの数量、これだけの金額を使うということになるのでありますから、そのわくからはみ出すことはできないから、結局何もならぬということになるのです。ただ今国鉄が買つて幾らか資金操作をしてやる、しかし六箇月は通常は同じということになる。そうでなくて、もつとこの問題を解決されようとするならば、国鉄の石炭費に対するわくというのがあるのであるから、そのわく以外の何万トンかのこの貯炭を買い取る分について、わくを広げてもらう、それを大蔵省か融資をする、資金操作をしてやる、国鉄が非常用というようなそういう意味でこれだけ貯炭を持つてくれという解決がせない限りにはこれはだめです。契約炭鉱であろうと、契約以外の炭鉱であろうと、国鉄に買い取らせようとする場合に、その根本問題が解決されない限りにはこれは解決にはならぬ、そういうことについてあなたの方では十分わかつておられるはずだから、そういうことについて一体どういう話をされてあるのか、全然そういうことは話に触れないで、今あなたがおつしやつた程度より以上に今私が聞いておるようなことについての具体的な話合いというものはしてないのかどうか、この点についてひとつ聞かしていただきたい。
#45
○斎藤説明員 今御答弁いたしましたように、この計画は最初から下期の後期に使用するものを繰上げて購入して、さしあたりの金融をつけるということがねらいでございましたわけでありまして、今伊藤委員のおつしやつたような意味で、いつ使うかわからない炭を将来にわたつて保有するために購入するのではございません。最初からの計画がそういうことになつておらなかつたのでございます。その点は前にも私から申し上げましたように、将来いつ使うかあてのつかぬものをただ買つて保有するということはやはり滞貨融資という問題の中に入つて来るわけでありまして、そういう面が現在のデフレ政策というものと建前においてかなり根本的に矛盾して来る点がある、その点については政府部内としてまだそこまで踏み切つてやるという段階にはなつておらないわけでございます。
#46
○伊藤(卯)委員 さつきから私が申し上げていた炭鉱労働者への賃金未払い分が六億何千万円かある、これをだんだん労働組合側でも炭鉱経営者側に交渉すると、貯炭がこれだけあつたりするので賃金が払えないのだ、こういうことを言つておる、今新海さんも、大手の方にも賃金未払いの不安がある、そういうことを言つておられる、これはせんじ詰めれば、すべて貯炭にあるということになるのであるが、賃金未払いの問題というのはこれは何より先に優先しなければならぬ。その賃金が六億何千万円も労働者に払えないで、働いた者に賃金を払わないということは生活をさせないということになる、それをそのままほうつておいてよいのかどうか、この問題については通産大臣は、労働大臣ともあるいは大蔵大臣とも多分この話をされてあるのではないかと思うのであるが、こういう重大な問題について、これはしかもみな貯炭に関連しておるように経営者側は言つておるのであるが、こういう上から見たこの貯炭処置の問題、賃金未払いの問題、こういう問題を一体政府はどのように解決しようとしておるのですか、これはきのうきようの問題なら何も言わぬのだが、とにかく一年以上になる。それが今なおこの問題が解決されない。一体政府は――労働大臣や大蔵大臣や通産省は、どういう話合いをしているのですか、この点ひとつ政務次官から責任のある御答弁を願いたい。
#47
○加藤説明員 それでは私からお答えいたしますが、ただいまの伊藤委員のおつしやることはまことに重大な問題でありまして、単に炭鉱の問題のみならず日本の治安に関する問題とも考えられるのであります。従いまして政府といたしましては金融方面においてただいま申し上げたような措置をとる。たとえば鉱害の復旧工事の繰上げをして一万人の失業対策を立てる、それから公庫の金融において優先的に未払いの賃金に充てるというような方法をやつておるのでありますが、失業対策の根本的な面につきましては労働省の主管でありまして、通産省は労働省とも緊密な連絡をとつてこれに善処したい、しかも貯炭の問題につきましてもできるだけ早くそういうことの処置をする計画を立てたい、かように考えております。
#48
○伊藤(卯)委員 政務次官はまだ就任さたればかりなのに、何年かかつても解決できない問題をあなたに聞くのは少し気の毒なような気がしますけれども、問題はお聞きのようなことなのです。そこで今あなたの御答弁になつたようなことでは問題は解決しない。ただしかしあなたはまだ就任早々ですから、それを私がここでとつちめるのは同僚のよしみとしても私ははなはだお気の毒に思うからあまり追究しません。石炭局長はこの問題を十分御承知でしようが、今政務次官が言われたように貯炭の問題は賃金未払い等にも非常に重大な関係がある。さつき炭労の中川さんも言われたように、もうそういうところは暴動寸前にあるのだという。社会問題なのです。そこでこの貯炭の問題を何とか早急に解決したいということを政務次官は言つておられるが、一体政府はその点をどういうふうにされるのか、事務的にどういうふうに解決の方法が進められておるのか、その点をひとつ石炭局長からお聞きしたい。
#49
○斎藤説明員 国鉄の繰上げ納入の問題で先ほどお話いたしましたように、当面の金繰りをつけるために実は将来の分を先に納めて金繰りをつけるというのも、やはり賃金対策の一つのねらいであつたわけですが、われわれの考えといたしましては、賃金問題を賃金問題だけとして切り離して取上げるということはできない。またそれでは解決しないと思います。たとえば賃金の未払い分を政府から何らかの形で金融するといたしましても、それは経営の困難が原因になつて賃金未払いが起つているのでありますから、経営を改善することによつて賃金未払いが解決するというのが本来の姿であります。その改善の策がついて金融ができればその金はまず優先的に賃金の未払いに充てるべきであるということになるわけでありまして、これは現在の法律でもそういうことになつておるわけでありますから、われわれの立場としてはあくまで経営の建直しということによつて金融がつくようにして、金融をつけることによつて賃金未払いを解決して行く、そういう考え方でございまして、その点は中小公庫の運用につきまして従来再三伊藤委員にも御説明した通りの状況でございます。公庫の運用につきましてはその後非常に順調に行つておりまして、先ほど武内鉱業連合会会長からもお話がありました通りにかなり行つておりまして、九月中だけで二十五件ぐらい助けができております。なおこれは金額は先ほど武内さんも言われましたように少いのでありますが、二千万円の問題がきまりましたのが比較的最近でありまして、それが現地に通達されましてからあらためて新しい計画なりあるいは従来の計画なりに手をつけて参りますので、二千万円になりましてからの分はまだほとんど出ておらず、この中に入つておらない。かなり順調に行つております。但し中小炭鉱の問題は参考人の方々皆様が強調されましたように、単に個々の炭鉱の建直しだけでは解決がつかない問題でありまして、全般的な石炭情勢の改善ということなしに根本的な解決はできない。しかし現在の情勢下においてなす処置としては、私が今申しました経営の建直しによつて金融の道をつけて、その借りた金でまず未払いの賃金を支払うというのが本来の行き方だと考えております。
#50
○伊藤(卯)委員 あなたの今言われることは、一つの経営としては筋が通つた意見であります。ところがそこまで行くうちに炭鉱も倒れ、従つて失業者はなおたくさん出る。失業して行く者は賃金も退職手当も何ももらわぬ。そこまで行くうちにこの関係の者は倒れて死んでしまうというようなことにならざるを得ぬ。死ぬ者は死ね、つぶれるものはつぶれろ、そのあとに生存の自然法則として生き残つたやつが将来やつて行くのだ、この論法と同じであると私は思う。それでは国の政治として問題を処理解決するゆえんにはならぬと思う。これはあなたに話をしてもしようがない。政務次官なり対政府の施策の問題ですが、そこで貯炭の問題は国鉄等の関係はさつき話した以上に発展しないのか、あるいはまた電力会社なり大口消費者、そういうところになお非常用の貯炭として買いとらすというか、そのために金融を講じてやるというか、何か当面そういうことについてのあつせん解決をして、そして建て直るものは建て直してやろう、あるいは賃金未払いのものはそれによつて払わしてやろうというような、当面解決のためにもう少し具体的、積極的にあつせん努力をしようという意思はあるのかないのか、この貯炭問題についてさらにもう少し積極的にやるお考えがあるのかないのかを伺つておきたいと思います。
 それからあなたは経営の健全化の問題を取上げております。経営の健全化というと何か具体的なものがありますか。私はそれはないような気がする。たとえばさきの国会で四千八百万トンというのは院議の決定である。私は何も四千八百万トンを今旗じるしにして当時の愛知通産大臣との約束をたてにとつてのど首を絞めようとは思つておらぬ。だから四千八百万トンでなくても、四千六百万トンでも四千五百万トンでも四千四百万トンでもこれだけは国内炭を使わす、そしてこれだけの生産なら政府が責任をもつて生産消費のあんばいをするというような計画がありますか。私の知るところではそれがないように思う。従つて私がさきの国会で四千八百万トンを中心にした年次別の計画書をお出しくださいと言つたら、通産大臣は、これは賛成であると言つた。ところがその書面は、私の手元に参りません。一体今あなたの言われた健全経営ということは、どういうことで健全経営をやらせようとするのであるか、それをひとつ具体的に御説明ください。
#51
○斎藤説明員 私が先ほどお答えいたしましたのは、石炭鉱業全体としての問題ではなしに、個々の企業が現在の情勢で健全に経営して行けるような方策を立てたならば、これに対して金融をするのであるということを申し上げたわけでありまして、その条件は石炭鉱業全体の情勢によつて、根本的には左右されるわけでありますから、その全体の情勢の改善につきましては、ここで参考人の方々から述べられましたような、もつと範囲の広い対策か必要になつて来るわけでありまして、金融問題は現状の石炭情勢を基礎にしての、個々の企業の賃金未払い問題を解決する方策としてわれわれが推進しておるのだということを申し上げたわけであります。
 それから、需要家に金融をつけて買わせるようにしたらどうかということが御質問のようでありますが、貯炭金融ということは、繰返し申しましたように、全般的にデフレの根本的な問題に触れて来る問題でございますから、私としては答弁いたし得るような地位にはございませんので、お答えできないわけでございます。ただ純粋に事務的な見地からだけ申し上げますと、現在電力用は御存じのように百五十万トン程度の貯炭を持つておりまして、まず現状で無理のない程度では貯炭能力の限度に来ておると私らも考えております。それから国鉄も先ほど申しましたように十万トンの繰上げ購入をいたしますと、月末のストツクが五十五万トンになりまして、国鉄としても炭繰り操作上無理を来さない最高の限度だということを申しておる次第でございます。前に参考人からのお話がありましたように、重要産業全体といたしましても、大口需要家として現在三百三十万トン程度のものを貯炭として持つておるわけでございますが、通常のランニング・ストツクは、まず半月分ないし二十日分持つておれば十分でございますので、そういう点から見ましても、現在の貯炭はかなり多いわけでございます。従つて需要家が買いましても、それを引取る余地が比較的乏しいのでございまして、百万トンというようなまとまつた数量につきましては、需要家の貯炭場の面から非常に困難な点がある。われわれの見るところでは、まず大口需要家としては鉄鋼あたりが、やや――どのくらいになるか、正確には調査しておりませんが、十万ないし二十万くらいならば、なおとる余地があるのではないかと考えますが、いずれにいたしましても、そう大量のものは、貯炭場能力の点からも引取りをしてもらうことが困難なように私は考える次第であります。但し、金融の問題になりますと、先ほど申しましたように全然別の問題でございますので、これは純粋に技術的に、需要家が引取るとして、引取る場所がどうかという点についてだけ申し上げたわけでございます。
#52
○伊藤(卯)委員 あとから私がお尋ねした問題について御答弁がない。それをさらに繰返しますが、院議決定による四千八百万トンというものを、現状において油との関係などとにらみ合せて、それから日本の産業経済の現状にかんがみて、政府の方では、今年間消費量として一体どのくらいの数量を妥当と見ておられるのか、これだけの生産数量であるなら無理な貯炭にならないように消費さすことができるという点を院議決定に一応こだわらない気持で――こういうものが院議決定だと言つて、今ここで責め立てるようなことはしませんから、一体四千六百万トンですか、五百万トンですか、四百万トンですか、その辺のことは一応あなたの方ではわかつておるはずですから、この二十九年にはどれだけの数量を妥当と見ておられるのか、それをひとつお聞かせを願いたいと思います。
#53
○斎藤説明員 これは前にも伊藤委員にお答えしたことでございますが、需要の推測と申すものは、いかなる場合でも自由経済のもとでは正確を期するということが不可能なことはよく御承知のことと思います。ただわれわれが当初予定しましたのと現存の実勢とがあまりに大きく食い違つた点につきましては、われわれとしても作業の欠陥を示したものでございまして、たいへん申訳ないと思つておるのでございます。このように狂いました原因は、デフレの見通しにつきまして世間一般に考えられておりましたところでは、二十八年度の水準が横ばいで行くのじやないか、現に昨年の暮れからデフレ政策をとりましても、生産指数は春ごろはずつと毎月上つておつたわけでございまして、そのときの情勢を基礎にして、少くとも二十八年度程度の需要があるものと考えた点が一つ、もう一つは率直に言えばお天気の問題でございます。電力用炭が当初の計画数量に比べまして上期だけでも百五十万トンも違つております。これは決して上期を過大な数字に計算したのではございませんで、平水ベースということでわれわれは考えたわけであります。また電力の需給計画もすべて平水べースで計算しておるわけでございます。公益事業局からも平水ベースでこれだけの石炭がいるのだという要求がございまして、むしろわれわれの方からそれは少し多過ぎるのじやないかということを申したわけで、かた目に見積つたつもりでございますが、それに対してなお上期の需要はほとんど半分くらいに減つております。そういう点が大きく食い違いまして、現在のように非常に大きな貯炭もでき、消費が極端に下つたというような状況でございます。従つて今後の下期につきまして、いわば需要予測につきましては、落第生の私から申し上げてもどうもあまり権威がないのじやないかと思うのでありますが、一応私の方でも予測いたしましたところで考えますと、四千百万トンから百五十万トンくらいの荷渡しはあるのではないかというふうにわれわれは考えます。この点は参考人の方々の御意見の四千万トン程度というところで若干食い違うようでございますが、その一番大きなものは、おそらく電力用炭の消費に関する見通し問題ではないか、電力用炭は、先ほど申しましたように上期だけでも百五十万トンくらい減りましたが、現在の設備と平水ベースで考えますれば、下期は上期に比べて相当ふえます。われわれの計画でも四百万トン以上を消費するはずなのであります。これは別に渇水を予想しませんで平水でもそういうことになります。その面だけでも、上期に比べまして二百万トンくらいは消費が当然ふえなければならぬ。ほかの消費べースは全然かわらないといたしましても、電力用炭だけでもこのくらいの増加を見込んでいいわけでありまして、そのほかに冬季は夏季に比べまして、通常同じ作業をいたしますにも一割ぐらい需要がふえるのが普通でございます。従つてそういう点を考え合せますれば、四千百万ないし百五十万トンくらいは需要があるのではないかとわれわれは考えておる次第でございます。なお来年度の問題につきましては、今のところまだちよつとこのくらいの需要が確実にあるはずだというところまでは行つておらないのでございますが、それは従来からしばしば御指摘がありました需要等の全般的な調整について、最後的な見通しがついておらないのが大きな原因でございます。これにつきましては再々はつきりした方針を立てて、目標をきめることをこの委員会にも申し上げて参つたわけでありますが、実は下期の現実に割当になりました方針では、われわれの立場からすればまだ若干不満でございます。また通産省としても、全体としての下期の割当の基準は、来年度以降の問題としてはもう一ぺん検討する余地があるのじやないかという態度でございます。これは特に来年度以降の輸入ベースの考え方によりまして、相当大きく狂つて来るわけでありますが、そういう点ではつきりした見通しがつきますれば、来年度の需要の見通しについても一応の推算ができると考えております。
#54
○伊藤(卯)委員 御存じのように去年は四千三百五十万トンだつた消費が、今局長がおつしやるように、この二十九年度は四千百万トンか四千百五十万トンということになつて来ると、本年度は昨年度より二百万トンないし二百五十万トン日本の国内炭の消費が少くなつて来る。そこで油は去年と同じ、もしくは制限するとしても十万キロリツトル制限されるとすれば、石炭に換算して二十万トン。油の輸入の方は二十万トンの制約で、石炭の方は二百万トンないし二百五十万トン去年より少く国内炭が消費される。これは非常に不平等だと思う。それだけ日本の総合燃料対策の上から見ていらなくなつて来たのならば、石炭が二百万トンないし二百五十万トン消費が少くなつて来たのならば、輸入する油もこれに比例して制限すべきである。こういう点は非常に片手落ちのように思うが、そういう点についてはどうお考えですか。石炭はそういうように去年より少くなつて来たのに、油の方はせいぜい十万キロリツトルしか減らぬということになつては、外国から輸入するものを非常に優遇して国内燃料を非常にまま子扱いにするという結果になりますが、輸入重油との関係については、どのようにこれを調整しようとしておられるのですか。重油の方はそういうことで制限しない。従つて国内炭の方は、落ちて行くものならとめどもなく落して行つてしまうという考え方であるのかどうか。そうであるとするならば、日本の国内燃料について、政府は真剣に考えておるとは考えられない。炭鉱の方には五千万トンの石炭を掘つて出せということを言つてその設備をさせたのが、だんだん少くなつて来てしまつた。これを政府がちつとも責任を負わないで、自由経済の自然法則で倒れるものはどんどん倒れて行くという、へびのなま殺しをするというようなことでまかせておかれることになると、物事にはおのずと限度があるから、たいへんなことになる。さつきも労働組合の方から聞くと、暴動寸前にある。そういうへびのなま殺しのようなことでやられると、そういう社会問題が起つて来る危険性は十分にある。賃金はもらえない。退職手当てはもらえない。あるいは鉱害復旧に配置転換して就職させたところで、九万人近くの者に二万人では問題になりません。さらにもつと消費量が少くなつて来れば、あるいは十万、十一万、十二万、十三万というように炭鉱労働者はまた失業してか行かなければならぬ。これまた賃金、退職手当ももらえないということになる。そういうことになつても、これは自然淘汰にまかせてしまつて、政府は痛いもの、熱いものにはさわらぬようにするというような放任的な考え方でやられるのか。あるいはこれを日本の産業経済全体の見地、総合燃料対策の見地から、日本の国内炭はこれこれにするという数量の上に立つた計画性を持つておらないのかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたい。これは石炭局長では無理だろうと思う。政務次官はなられたばかりでわからぬかもしれぬが、ひとつ御答弁願いたい。
#55
○加藤説明員 お答えいたします。ただいまの質問によると、国内の石炭を軽視して外から輸入する重油を重視する傾向があるのではないかというのが根本になつて、その上にいろいろな問題が立てられたように思います。しかしながら政府は決して昔の自由放任主義をとつておるものではありませんし、なお今後もそういう考えは持つておりません。従いましてできるだけ国内の石炭の需要量を測定して行きたいと思います。重油が石炭の需要に対して一つの大きな圧力になつておるということは、十分言い得ると思います。従つてこの重油の課税の問題は、西ドイツの例がどうであろうと、これは別問題であります。今当面している段階においては、相当これは考慮に値するものではないかと思いまして、十分検討して善処いたしたいと思つております。また政府の今日までなした対石炭政策につきましても、今までの参考人の方々の意見並びに議員の方々の御意見等を聞きまして、必ずしも十分であると言い得ない節々が相当あるようでありますからして、これは新たな観点に立ちまして真剣に取組んで善処いたしたいと思う次第でございます。なお、この石炭の問題は、私が就任日なお浅いからだめだというような問題よりも、もつと深いところに原因はあると、こう考えて私もおります。これから十分勉強いたしまして専門の伊藤委員の質問に十分なお答えをするように努力いたしたいと思つております。
#56
○伊藤(卯)委員 時間も非常にたつて来て、参考人の方々にも御迷惑と思いますし、それから大臣もおりませんし、政務次官もなられたばかりの人を向うにまわして論議をぶつかけるのは私もどうかと思います。それは先ほどから政務次官が言われたように、まつたくあなたのおつしやつた通りです。なられたばかりという問題ではなくて、政府の施策の根本問題である。これが立たないから何年たつても解決しない。だんだん不安だけが増大して行くという状態なんです。私はなお何点かの重大な問題についてお尋ねして行こうと思つておりましたけれども、時間の関係もあり、なおまたどうも政府委員やら、なられたばかりの政務次官を向うにまわしてやるのも何だかたよりないような気がするから、私はより以上質問をすることはきようは一応留保しておきます。
 ついては石炭局長に注文をしておきますが、この前のこの委員会のときに四千八百万トン消費に対する年次別計画書、いわゆる政府のいう五箇年計画、それを年次別に見て国内炭を四千八百万トン消費するのには、あるいは電力、あるいは油、そういうものと関連さして、どういうようにこの消費をさすのか、その消費の年次別計画書を書面でお出しくださいということを話をした。それは石炭局長もこれを了承され、通産大臣もごもつともだというようなことであつた。先ほどお尋ねして、いまなおその書面が来ない。大体においていつごろまでにその年次別消費計画というものの書面を手元にもらえるか。それを至急もらいたい。その上に立つてわれわれ国会側としても一つの案を立てまして対政府との間に問題を解決するということにもなろうと思うのであるから、まず四千八百万トンを目標とする消費の年次別計画書の書面を大体いつまでにお出し願えるか。それのみをきよう伺つて、私ははなはだ大事な点を質問し、論議されぬことを残念に思いますけれども、これはいずれ後日お尋ねいたします。その書面のことだけをお伺いいたします。
#57
○斎藤説明員 先ほどもお答えいたしましたように、油の見通しというものが石炭の需要量に影響する一番大きな要素でございます。なお長期の問題になりますと、生産活動指数がどういうふうにかわつて行くかということがまたもう一つの大きなフアクターでございますが、いずれも今のところ、いつごろまでにそういうものができ上るかということがまだ私たちにはわかりませんので、いつごろお出しするというふうなことはちよつと申しにくい状態であります。
#58
○伊藤(卯)委員 私は何も二、三日を争つて言つておるのじやありませんので、一応の国会のああいう議決もあり、それから政府もしばしば発表しておることでもあるから、それに基いて一応の消費の年次別計画の書類がつくられないことはないと思う。それがつくられぬということになれば、まつたく、油の問題も、あるいは石炭の問題も、とにかく優勝劣敗で、強いもの勝ちで、ほつておいて自然に解決してもらうという以外に政府は何らの施策を持つておらないのだということに私は結論されざるを得ないと思うのであります。だから一週間以内にお出しくださいとかなんとか、そういう無理は言いません。少くとも一箇月ぐらいのうちに書面につくつて出してください。臨時国会を開くまでのうちにそれをつくつて出してください。それはどうですか。
#59
○斎藤説明員 私が申しましたように、この重要な計画を策定するにあたつて、一番根本的なフアクターが、実はわれわれの手の及ばない問題でございますので、私の方として、いつまでということをお約束いたしかねるということをお答えいたしたのでありますが、しかしまた反面、生産規模と申すものが、合理化なり安定なりの非常に大事な条件の一つでございますので、われわれとしても、どうしてもそういうものをつくらなければならぬということは、伊藤委員のおつしやる通りだと思つております。ただ、今申しましたような条件が、むしろわれわれ石炭局の立場から申せば、他から与えられた条件――経済の言葉で言えば条件でございますから、われわれのどうしようもない問題であります。そこでそれができるだけ確実に見通しがつくようになつた上でつくりたいと思つておるわけでありますけれども、しかし来年を待たずして、当面の石炭の事業の安定のためにも、どうしてもそういうものが必要でございますので、そうなつた場合には、ある程度の条件をつけて、あるいは場合によつては、一つの決定的な数字ではなしに、二つないし三つというような、ある幅を持つた範囲でも役に立つと思いますので、早急につくりたいと思つております。ただ、各年次別のものは非常に困難な、またつくつてもあまり意味がないように考えられるのでありますが、さしあたり来年の分と、それから数年後の合理化計画達成の際の目標だけは、ぜひ今伊藤さんのお示しの期限内に仕上げるように努力いたすつもりであります。
#60
○伊藤(卯)委員 大体以上をもつて終りますが、ひとつできるだけ早い機会に、ことしの分だけははつきりしないでしようが、少なくとも来年度分だけは明らかにされると思うのです。それからあとは縦坑開発に伴つての五箇年計画等の年次別を、これは計画ですから、あるいは狂うこともあるかもしれない。だから、これは愛知大臣も約束なんだから、それをつくつて出すと、あとでのど首を締められるというような証拠物件になると思つて、そんな心配をしないで、ひとつつくつてください。これをあなたの政府の方でつくつて出さぬということになると、結局のらりくらりとしてごまかして行くというやり方であるならば、われわれの方では、政府側の方は石炭対策に対してはまつたく無策無能であると断定せざるを得ぬから、そういうそしりを受けぬようにひとつ臨時国会前にぜひつくつていただくように要望しておきます。
    ―――――――――――――
#61
○中村委員長 ただいま小委員長の手元に始関伊平君より決議案が提出せられました。この決議案を当小委員会の意思として決定されたいという申出がありますので、まず提出者より趣旨弁明を求めます。始関伊平君。
#62
○始関委員 ただいま上程になりました決議案につきまして、簡単に趣旨の御説明を申し上げます。最初に決議案を朗読いたします。
   石炭鉱業の危機打開に関する決議案
 衆議院通商産業委員会は、第十九国会に於て総合燃料対策要綱を満場一致を以て決議し之に対して通商産業大臣は共趣旨を全面的に諒承すると共に此趣旨に沿うて充分に善処する旨答弁した。
 然るに今日に至る迄、本要綱に関する政府の施策は必ずしも充分なる成果をもたらすに至らず、ために我国の石炭鉱業は爾来窮迫の一途を辿り今や崩壊寸前の状態に陥つて居る。
 よつて政府は、通商産業委員会の決議を尊重すると共に基幹産業たる石炭鉱業の重要性特に現下の実状に鑑み此際総合施策を確立すると共に当面の危機を打開し自立経済の目的を造成するに万遺憾なきよう善処すべきである。
   右決議する。
 きようは参考人の諸君より、当面の石炭鉱業の事情いわゆる石炭鉱業の危機の実相とこれを打開いたしますために業界側あるいは労働組合といたしまして要望されておりまする諸点についての御説明を伺い、またこれらの問題につきまして同僚委員と参考人の諸君並びに政府委員の諸君との間に、長時間にわたつてまことに真摯な質疑応答が続けられたのでございまして、これによりまして私どもはこの石炭鉱業の危機の実相と、またこれを打開いたしまする対策の方向を了解いたしたと思うのでございます。この問題は産業政策上の根本の問題であるばかりでなく、また労働問題あるいは社会問題にもつながる問題でございまして、私どもといたしましては、深甚なる関心を持つのはもとより当然でございます。この決議案にございますように、本年の三月末第十九国会におきまして、私どもはこの石炭の問題を中心に、いわゆる総合燃料対策なるものを各党の一致をもつて決議をいたしたのでございます。この趣旨はいわゆるエネルギー資源の大宗といたしまして、国内の水力電気また石炭さらに重油、この三つのものを相互にどういうふうな関連においてこれからやつて参るかという点を中心に置きまして、私どもは経済自立という観点からいたしまして、基本的には水力電気の総合開発、それから石炭生産の能率化、またその供給の確保をという点に重点を置きまして――この石炭の生産もそう無制限に生産ができるわけではございませんので、日本の経済の発展に伴いまして、だんだんふえて参る需要に対しては、重油をもつて充てるという基本的な構想を立てまして、なおこれが具体化いたしますために、政府において用途別に、こういつたような用途には重油を、こういつたような用途については石炭をということについても具体的な対策を立つベきであるというふうな決議もいたしたのでございます。これにあわせまして先ほど長谷川君も論及されましたように、わが国におきまして重油がだんだん使われて参つたということには二つの重要な原因があると思うのでございまして、その一つは炭労の年中行事でありまするようなあのストライキによりまして、この重油転換の出発点でございました昭和二十六年度以降、この石炭の需要者はその供給というものにつきまして非常な不安を持つて参り、少くとも当座は非常な苦しまぎれにこの石炭のかわりに重油を使うということが考えられておつたと思うのでございまして、こういう点につきましては、社会党の方の御意見もございまして、石炭の供給並びに価格を安定せしめるために労使の合理的協力によつて産業平和を維持してもらいたいということもこの決議の内容に相なつておるのでございます。なおもう一つの重要な原因といたしましては、消費者の側から見まして重油を使う方がはるかに安いのだ。石炭が割高である。これはきわめて顕著な事実でございまして、私どももこういつたような状況を長く放置いたしまして、重油の使用を抑制するということは不合理ではありまするし、また実際実行が困難でもあるというふうな観点からいたしましてただいまの労使協力その他の政府資金の導入による合理化の促進というような方法によりまして、将来においては一般的な物価水準引下げ方策の進展と相まつて、ただいま申し上げましたような炭鉱合理化に関する業界あるいは労働組合の協力によりまして、結局においては消費者の立場から見て、重油を使つてもあるいは石炭を使つても大した違いがないのだというふうなことを目途として、炭価を引下げてもらいたいというようなことを申したのでございます。ただしかしながらただいまの実情では国内の物価水準が高いのでございますから、石炭が割高であるということのすべての責任を、石炭業者に負わせるのは酷である、そのような観点へ含めまして私どもは重油に対する、あるいは原油に対する関税の復活を決議をもちまして作成をいたしましたような次第でございます。
 なお具体的には、これは通産省の意向を聞きまして四千八百万トンである、これに見合う程度に原油や重油の輸入を抑制すべし、またその限度において石炭への再転換をはかるということも当面の緊急対策として決議をいたしたのでございます。今日先ほど新海会長が述べられましたように、今日の実情といたしましては四千八百万トンという数字はいかにも無理であるにいたしましても、この数字を若干下まわりますならば、この決議の趣旨として、私は今日ただいまの事態におきましても完全に生きている、このように存ずるのであります。なおこれに伴いまして石炭が減るならば、それと一緒に重油の消費規正もさらに強化すべきであるというただいまの伊藤議員の御意見にもたいへんけつこうな点があると思いますが、このような趣旨の決議がございましたにもかかわらず、これは必ずしも政府の怠慢によるばかりではなくして、根本に深刻な事情があると思うのでありますが、私どもは重油の消費規正等につきまして政府の施策がある程度実行に移され、また多少の効果を上げているという点は認めるのでございまして、その程度につきましては異論がございましようが、しかしながら大局的には、考え方としては確立されているにかかわらず、いまだその施策が十分に実行に移されていないということはこれまた明らかなことであると思うのでございます。その後デフレの進行あるいは豊水等によりまして、ただいま問題となつておりますような石炭の危機が参つているのでありますが、私どもは恒久的に石炭鉱業を、先ほど申し上げましたような方面に持つて参るということにつきまして、労使双方の今後一層の御努力、また政府のこれに対する適切な措置を強く要望いたしますとともに、当面の危機打開につきましても、これは産業上、あるいは社会問題といたしまして、あるいは労働問題といたしましてこれを打捨てておくわけに参らないと存ずるのであります。もちろん私どもは各それぞれ所属いたしまする政党の立場におきまして、あるいは通産委員、あるいは通産委員会といたしまして、今後この問題に努力し、協力いたすことはもちろんでございますが、何と申しましてもこれは政府の行政に属する問題が主でございますので、先ほど来問題になつております石炭の買上げあるいは貯炭対策、あるいは重油なり輸入炭の一層削減の問題、失業対策、労働対策の諸問題、あるいは財政資金融資の一時たな上げの問題、あるいは石炭企業を安定せしめますための根本的な条件といたしましての石炭カルテル結成の問題、これらの諸問題につきまして政府の一層の努力を要望し、万遺憾のないような善処方を強く要望いたすものでございます。
 一応簡単ながら本決議案の趣旨を御説明申し上げた次第でありまして、御賛成をお願いする次第であります。
#63
○中村委員長 以上をもつて趣旨弁明は終りました。
 この際本決議案を当委員会の意思として決定するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○中村委員長 それではさよう決定いたします。
 この際参考人各位に一言御礼を申し上げます。各位には長時間にわたり種種貴重なる御意見を御発表くださいまして、まことにありがとうございました。当小委員会といたしましては、各位の御意見を十分参考といたしまして、今後施策に万全を期したいと考えております。ありがとうございました。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後三時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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