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1953/04/08 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会木材利用に関する小委員会 第6号
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1953/04/08 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会木材利用に関する小委員会 第6号

#1
第019回国会 通商産業委員会木材利用に関する小委員会 第6号
昭和二十九年四月八日(木曜日)
    午前十時五十六分開議
 出席小委員
   小委員長 中崎  敏君
      小平 久雄君    土倉 宗明君
      中村 幸八君    山手 滿男君
      齋木 重一君    永井勝次郎君
      伊藤卯四郎君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 中村辰五郎君
 小委員外の出席者
        議     員 田中 龍夫君
        議     員 笹本 一雄君
        議     員 加藤 鐐造君
        通商産業技官
        (工業技術院資
        源技術試験所所
        長)      黒川 真武君
        参  考  人
        (石綿スレート
        協議会会長)  小杉 義治君
        参  考  人
        (日米石綿工業
        株式会社常務取
        締役)     竹中 久七君
        専  門  員 谷崎  明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 木材利用合理化に関する件
    ―――――――――――――
#2
○中崎委員長 これより会議を開きます。
 本日は私が小委員長の職務を行います。
 本日は、木材利用合理化に関する件について、御多用中を特に本小委員会のために御出席くださいました参考人の方々より御意見を聴取することにいたします。
 参考人の方には、お忙しいところをありがとう存じます。御意見発表の時間は、大体お一人十五分くらいでひとつお願いいたしたいと思います。まず石綿スレート協議会会長、小杉義治君よりお願いいたします。
#3
○小杉参考人 石綿スレートについて申し上げます。石綿スレートは、正しくは石綿セメント製品でありますが、これには波形スレート、大平板、小平板がございまして、いずれもJIS規格が制定されております。性能は、腐らない、さびない、燃えないということが特徴でございます。現有設備能力を申し上げますと、これを製造する機械をウエツト・マシンと申しますが、業者全体で七十基ございます。能力の程度において違いますが、大体一日八時間、二十五日稼働といたしまして、年間一千万枚を製造することができます。一枚の大きさ厚さは、三、六と申しまして、三尺と六尺、八ミリの厚さでございます。用途でございますが、主として建築材料として用いられております。屋根、下見、天井、間仕切り等に用いられております。
 昭和二十九年度の生産計画を申し上げますと、本年度は年間七百二十万枚を見込んでおります。これは主として産業建築、保安隊、駐留軍、鉄道その他官公需厚生施設、農業施設、住宅等であります。木材節約との関連について申し上げます。製品自体が、すでに木材節約に役立つております。すなわち野地板を使わないで、じかに母屋にと
りつけることができる。また軽量のために、柱が細くて済む、こういうような利点がございます。防火材との関係について申し上げますと、石綿スレートが防火に役立ちました例は、実に枚挙にいとまないのであります。従つてそれ自体が防火材であります。ただいまでも見られますが、東京都の新市街に建つております戦前の学校の建物というものは、この下見は、ほとんど石綿スレートが使われております。現に残つております。それが建築基準法によりまして、ラスモルタルが規定されまして以来、まつたくこれにかわられてしまいましたのでありますが、ところがラスモルタルが幾多の欠陥を指摘されるに至りまして、再び石綿スレートが下見として木材に代称するものとして、登場した次第であります。
 しからば石綿スレートでどのくらいの木材の下見に代替することができるかということでありますが、大づかみに申しまして、われわれの製造能力は、先刻申し上げましたように、年間一千万枚であります。これは特にお断りしておきますが、製造能力と申しましても、八時間稼働でございまして、フルに動かしまして、三交代ということにしますと、これの二倍半はできます。従いまして二千五百万枚はできるわけでございます。それで二十九年度の需給七百二十万枚のうちには、下見を見込んでございませんので、七百二十万枚との差、二百八十万枚が木材に代替し得ることができるわけでございます。ところがこれは厚みが大平板の半分の四ミリで済みますので、数から申しますと、その倍の五百六十万枚ができることになります。一坪二枚として計算いたしますと、二百八十万坪の供給能力があると言うことができます。今後木材利用合理化が促進されまして、需要量がふえて参るということであれば、われわれは現有設備をもつて、昼夜勤をやることによつて、現能力の二倍半までは増産できることは、前に申し上げたのでありますが、現にこの昼夜勤は、製品の品種によりまして、現在必要に応じて実施しておるような状況でございます。建材課の御調査によりますと、木造構造の下見は千八百万坪ということでありますが、石綿事情が許しますならば、現有設備をフルに運転しなくても、木材の下見を全部石綿スレートに代替することも可能であります。とは申しますものの、石綿スレートを製造するには、どうしても原料を外国から仰がねばならぬ、こういう事情がございます。実は二十九年度の、私どもが見込んでおりますところの七百二十万枚も、外貨の事情のきゆうくつなことから、圧縮せざるを得ない。従つてこの七掛くらいしかできないという実情でございます。幸いに木材に代替し得るということをお認め願いまして、これに要する石綿の外貨を割当てられることができますならば、余剰能力をもつて下見を製造することも可能と考えておる次第でございます。下見用の石綿スレートを木材に代替するために、どういう努力をすべきかということでありますが、もちろんわれわれ業者としても努力いたすのでありますが、まず官公庁の営繕に採用することを願いたい。それから建設省から各省、各都道府県、各市町村その他の建築認可の担当官に勧奨あるいは周知徹底こういうことをやつていただきますならば、効果が一層多いのではないかと思います。
 坪当りの単価でございますが、大体私どもの計算いたしておるところによりますと、一坪を張り上げる価格は、手間付属品一式を含めまして、まず八百五十円以下と考えております。木材は坪当り一千円くらいに聞いておるのであります。なお参考までにつけ加えまするならば、石綿スレートは、戦時、戦後にかけて原料の石綿がございませんでしたために、非常に粗悪品をつくりまして、これが人命損傷というような不幸を結果いたしましたので、必要以上に石綿スレートの評判を悪くしたのでございます。現在では石綿も輸入できましたので、戦前の水準を抜くような良品を製造しているということを御了承願いたいと思います。実は木材にどのくらい代替し得るかという説明は以上でございますが、きようの参考人の顔ぶれを見ますと、日米石綿会社の方が見えているようでありますので、このことについて一口触れさせていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたように、われわれは原料を外国に仰ぎます関係上、今日のような外貨のきゆうくつな時代には、われわれの仕事をフルに動かすのさえ非常に困難でございまして、生産能力の半分以下にまで外貨の事情から減らされてしまう。こういう機会に新たにまた会社をつくるということは、お互いに共食いというような結果になると思うのでございます。それでは能力がないのかと申しますと、先ほど申しましたように、現在八時間労働でさえ四十数パーセントの余力がございます。まして、三交代というようなことにいたしまするならば、もう過剰投資であるということは申すまでもないことになります。私どもが反対しておりますおもな理由を簡単に申し上げますと、この日米石綿がつくる製品というものは、わが国で現在つくつているものでございます。製造技術については、わが国のものと何ら違つておりません。これは日本の技術者が業界を代表して三名がジヨンス・マンビル・レサーチ・センターに参りまして、先方の技術者とデイスカツシヨンをしたのでございます。その席上には、日米石綿の関係者も二人行つておいでになつたので、そのデイスカツシヨンには加わつていらつしやるはずでございます。そのときに日本の技術者は、何ら異なるものを見出さないという結論を出しております。それでは製品の品質はどうであるか、こういうことでありますが、製品の品質も何ら日本のものは劣つておりません。これは工業技術院の東京工業試験所で厳正なる比較試験をやつていただいておりますので、近くこの結果が現われると思つておりますが、われわれはその優位を信じて疑わないのでございます。
 それでは販売の価格はどうであるかと申しますと、販売の価格は五%のロイヤルテイーを出すということでありますので、少くとも一枚について百十円ないし百六十円よけいなものを払わなくちやならない。こういう結果でありまして、いずれの面から見ましても、外資並びに技術を導入する意味がない。それから厖大なる資本で――今は百三十万ドルでありますが、追つては二百四十万ドルという十億に近い厖大なる資本をもつて、わが国の市場を圧迫するという計画だと思います。そこで憂える方は、こういうけんかをしてもしようがないじやないか。ひとつ、品種を制限するとか、あるいは何か条件をつけて、君の方も認めたらいいじやないかというようなお説を言つてくださる方もあるのでありますが、実は日米石綿の申請書に付属しております契約書を見ますと、一万五千ドルの最低ロイヤルテイを払えば、どういうものをつくつたつてかまわないということになりますので、たとい制限されても、ジヨンス・マンビルに対して一万五千ドルのロイヤルテイを払えばいいことになりますので、それではいかようにも網をくぐることができる。それでは規模を縮小したらどうかという問題でありますが、これも商法の規定によつて増資をすることもいとも簡単にできるように私は思います。それでわれわれは反対しているのでありますが、反対している業界は、単に石綿スレート協議会ばかりではないのでございまして、ジヨンス・マンビルがつくつております製品、品目をつくつているすべての会社が反対をしております。これが五団体ございまして、石綿スレート協議会が二十四社、石綿製品工業会が三十九社、岩綿工業会が八社、全国珪藻工業協会が二十一社、保温保冷協会が三十七社こういうものががつちり組みまして、石綿スレートで橋頭堡をつくられたらたいへんだ、われわれの協会にひいて及ぼすことになるから、これはどうしても橋頭堡をつくらしちやいかぬ、こういうことで、実はがつちりと反対同盟を結成しております。ちようど一年以上になるのでありますが、この結束は何らのゆるぎを見せておりません。非常に固い結束をしておるということはどういうことを意味するかと申しますと、ここでスレートで橋頭堡をつくられたらたいへんだということなんでございます。それを小さくしますと、われわれの業界のことになるのであります。われわれの業界で品種を限るとか、あるいは規模を小さくするとかいうことが、やがて橋頭堡をつくることとなる、こういうことで反対しているということも御了解願いたいと思います。なお日米石綿の側の御意見もあると思うのでありますが、後ほど私の方の意見を申し上げる機会を得させていただければたいへん仕合せと思います。
#4
○中崎委員長 次に日米石綿工業株式会社常務竹中久七君。
#5
○竹中参考人 ただいまより日米石綿工業株式会社の技術並びに外資導入の問題について御説明いたします。
 この問題は非常に誤つて伝えられておりまして、事実が伝えられておりません。これについてはあらかじめ日本の業界の方にも説明したにもかかわらず、その陳情書などを見ますと、まるで違つたことが書いてあります。それで、まず第一に私どもは事実の計画の実際を簡単に御説明しておきます。導入技術の内容を申し上げますと、米国のジヨンス・マンビル・コーポレーシヨン独得のフレキシボードの製造並びにその応用加工の技術であります。このフレキシボードと申しますのは、今石綿とセメントでただつくる、こういうふうに説明がありましたが、そうではございません。特殊の混合材を使います。日本ではこれはやつておりません。この特殊の混合材を使いますと、どう違うかと申しますと、材質がかわつて参ります。製造の技術もかわつて参ります。用途も市場もみなかわつて参ります。日本では今までなかつたのであります。ところが日本で一応外形的にこれをまねつているものは従来のスレート、すなわち石綿とセメントとを主材にして、ただそれの強度を落しますことによつて曲げることができる。石綿をよけい入れることによつて、釘を打つことができる。すなわち曲つたまま釘を打つてるわけであります。これはフレキシボードではありません。イミテーシヨンであります。
 それから私どもの導入いたします技術は日進月歩でどんどんかわつておりまして、十五箇年の契約期間中引続きその進歩について追加して入ることになつております。それから導入資本については厖大なる資本ということを言つておりますが、これは四億六千八百万円の最高資本であります。そしてそれ以上に何億にも広げるということが言われておりますが、そういう計画はございません。ただそういうふうに拡大した場合にはこれこれするという点をあちらからは言つて来ておりますが、私どもにはその意思はございません。それから持株でございますが、ジヨンス・マンビル・コーポレーシヨンは二五%、これに対して日本側資本は七五%、そのうち小野田セメント三五%、東京興業貿易商会二七%、一般公開一三%、合計七五%であります。なおこの東京興業貿易商会と申しますのは、このジヨンス・マンビル・コーポレーシヨンの子会社の、ジヨンス・マンビル・インターナシヨナル・コーポレーシヨンというのがございます。そこの日本代理店をやつております。しかし外国資本は入つておりません。また外人社員もおりません。従つてこれは純然たる日本資本であります。それからこの計画が日本の経済界にどういう影響を及ぼすか、まず第一には木材の輸入の大幅の節約になります。その詳細についての数字は御必要ならば後ほど申し上げます。この木材輸入の節約によつてロイヤルテイ、あるいはあちらに配当金を送る、あるいは必要な機械の輸入をする、あるいは原料の石綿を輸入する費用は外貨を償つてあまりあるものだ。ざつと申し上げまして、十五箇年の契約期間中、私どもの計算によりまして、九百四十三万二千五百ドル、これだけ差引節約できるわけです。なおこのほかに輸出の増進が見込まれます。この輸出で特に注意していただきたいのは、現在のようなスレートを板のままで送るのではございません。全部加工してやることになります。これを加工した場合に、日本の模倣品と私どものフレキシボードというものとの差が出るのでございます。たとえて申し上げますと、日本は現在漆器業界は不況に陥つております。この漆器の技術を使いまして輸出をする。この場合に、漆器は湿度のかわるところ、乾燥度のかわるところへ持つて来ますと、みな生地がゆがんでしまうことになるのであります。ところがこれを漆器に使いますと狂わないものができる。これに対しては具体的にアメリカの方でもつて、これを使えということをどんどん言つて来ておりまして、早くこれをやれということを言つて来ております。これは大体一枚についてロイヤルテイを五%払いますと、私どもの予定では一枚九百円で四フイート・八フイート・八分の一インチの厚板ができるのであります。ロイヤルテイ五%で四十五円でございます。この四十五円の支払い価格に対して、一枚どうしても三千円見当には楽に売れます。そうしますと三千円を四十五円で割りますと、大体六十七分の一になります。すなわち一枚これが輸出できれば六十七枚分です。ロイヤルテイがもうそこでもつて相殺される。こういうふうに輸出を伸ばす上において非常に重要な役割を勤めます。これはただ単にスレートの板を輸出するというような問題ではございません。その他いろいろな加工の方法があります。たとえて申しますと、東南アジア方面では民度が低い、鉄筋コンクリートの輸入もできない、そういう場合には鉄骨でフレキシボードを張る。この技術が非常にイギリスあたりでも進んでおりまして、イギリスでは東南アジア方面に年々五百万ポンドからの組立て加工の輸出をやつております。これにもちろん食い込むこともできます。これは一つの例でございます。それからフレキシボードの応用加工が発展して参りますと、国内の中小企業を育成する。新しい中小企業ができます。雇用は増大いたします。こういう点に御注意願います。またこれによつて非常に安価な防火建築を普及することができます。この防火の問題は、建築様式がすでにかわつて来るのでございます。こまかい点については時間の関係上略します。
 それから私どもの資本金が四億六千八百万円でも厖大だ、こういう御説がございますが、私どもの実際の設備はどうかと申しますと、ただワン・セツトでございます。最小限の設備でございます。これに直接投ずる設備費は一億六千二百万円、あとの三億何がしはほとんど運転資金に向ける予定になつております。もちろん運転資金といつても、このほかに機械等が一億六千二百万円ありますから、これに若干の設備資金、いろいろな動産的なものがありますから、もう少しふえるのでありましようが、大体半分は運転資金になつております。これはあちらの企業は何もジヨンス・マンビルに限らず、事業のスタートから、借入金では絶対にやらぬ。日本のスレート業においても資産の再評価をやり、また借入金を計算に入れてみますと、これは厖大な資金が運用されております。従つてこれを日本流に逆算いたしますと、四億六千八百万というのは、まず五、六千万の会社にすぎないのでございます。実際ワン・セツトでどれだけのものができるかと申しますと、年間四・八で七十万枚、これが最高でございます。これは昼夜兼行で、二十四時間操業をやつてそれだけしかできない。これは全然今までと違うものがわずかそれだけできる。それが日本の業界をひつくり返すような力があるかどうか、たとえて申しますと、日本の一流スレートメーカの能力よりも、私どもの計画では低いのでございます。すなわち日本の業界をひつくり返す力を一社が持つているというような話でございますが、事実はそうでございません。それから日本のスレート業というものは、九三%までは波板と申しまして、屋根、下見等に張るものでございます。それからあとの七%は平板でございます。これも大体半分は屋根に使つております。あとは壁材に使つております。これはもし影響するところありとすれば、わずかその七%の部分にぶつつかります。この七%はどこでつくるかと申しますと、中小企業ではほとんど例外的にしかつくつておりません。みな一流メーカーが、しかも副業としてやつておる程度でございます。以上の点がごくざつとした真実でございます。従つてこれが二重投資になるというような意味はございません。
 それから技術の点についてはあとから申し上げますが、今いろいろと反対運動の御説明がありまして、私どもは陳情書などを見せていただきましたが、一番大事だと思う点は、反対運動の方は、私たちのことを、どつちがほんとうでどつちがうそか、どつちが正しくてどつちが間違いかどうか、そこまで判定しなければできないと思います。それでは一体具体的にどういう点があるか、言つていることに非常に矛盾がありはしないか。私どもはJ・M社の技術を導入して、よいものを安くつくり、そうして大いに木材の輸入を節約し、製品の輸出を伸ばそうとするのでありますが、反対運動の方は、日本の技術は外国に劣らない、また外国の技術を導入してもそう安くはできぬ、輸出も伸びない、国内の撹乱になる、こう言うのであります。それでは一体これを判断する基準はどこにあるかというと、これは当然出て来ることは採算の問題であります。もし私どもが間違つた計算に基いてこれを主張した場合にどうなるかというと、会社はつぶれてしまう。そこまで行きますと必ずつぶれてしまいます。そんなずさんな計画をやりますと当然つぶれてしまいます。この損害はだれが負うかといいますと、私どもが負います。反対運動の方は負いません。そうしますと、反対運動の方はどんなかつてなことも言えますが、私どもはかつてなことやうそは言えません。今度は、もし私どもがそんなでたらめな計算をやつて、たちまちつぶれるならば、反対運動をする必要もありません。反対運動をやる以上は、私どもの言つていることの方がほんとうだということが前提にならなければ反対運動の意味がないのであります。このように主張の虚偽性ということは、結局矛盾の露呈となつてはつきりして参ります。もう一つの反対運動の根本的矛盾は日米石綿というものは今申しました通り、国内の一流既存スレート・メーカーよりも小さいのであります。しかも技術は同じだというならば、それでは国内の中小企業にどれくらいの影響を与えるかと申しますと、日米石綿よりも既存一流メーカーの方が国内の中小企業に対しては圧迫することになります。私どもは、もちろんそういう弊害があるならば、十分御検討くださつて、当然御制限していただくことはやむを得ないと思います。しかしそれと同時に、やはり既存の一流メーカーの方を制限する必要があるのではないか、こういうことになります。さらにこの反対運動の主要なメンバーは、この導入の話が起つたときに、小野田セメントと同じように、同時に提携を申し込んだ。技術は自分の方が遅れているから、お願いしますというので提携を申し込んだ。報告書も出す、工場も見せるということで提携を申し込んだ。ところがその選に漏れたとたんに反対運動が起つた。これは非常に事態の不明朗を意味するものではないか。それから反対陳情書を見ますと、日米石綿の発足はJ・M社の石綿の販売政策の現われであり、国内の石綿鉱山をつぶしてしまう、そういうようなことを大幅に主張しておる。また北海道方面はこれを非常にやつておりますが、これは非常な間違いだと思います。また日米石綿の話が起りましたことは、石綿が非常に不足している時代で、しかも常に日本の国内の石綿生産の絶対量は不足している。ある程度はどうしても輸入しなければならない。しかしこの石綿輸入は外貨の割当という点で非常に制約されておる。ですから、国内石綿は圧倒されるということはないのであります。しかも国内石綿の値段のきめ方を見ればわかりますが、これは原価計算によつてきめておりません。外国石綿の輸入価格のCIF値段を基準にして、いつもきめております。これはいわゆる独占価格であります。生産コストから出さずに、ただそういう関係から出しております。実際に日本では石綿の山というのは、野沢石綿と山部鉱山から入れている。経営が二つとも非常に大きな会社でございます。従つて弱小鉱山ではございません。これらのものが今言つたような条件の中でつぶれるということもございません。また私どもがジヨンス・マンビルから入れるという石綿は、自家消費用でございまして、一般に転売されることはございません。従つて、決てそれで国内石綿をつぶすというようなこともございません。また私どもの入れる技術は、そういう国内の石綿は非常に低質な関係上、低質石綿を利用できる技術を入れるのでございます。従つて為替割当の関係で、非常に割当がなければ、もちろん国内石綿をどんどん使います。そういう意味で逆な結果が出る。むしろ国内石綿業にプラスする面もあるのであります。まだその他いろいろたくさんあります。必要に応じて、陳情書の何ページの何行にこう書いてあるが、これは全然うそじやないかというようなことを列挙するならば、何十の項目があります。なぜこんなでたらめなことを言うかといいますと、一つはいわゆるマス・コミユニケーシヨン、間違えたことでもでたらめなことでもどんどん繰返し繰返しつぎ込めば、みんなそれを信じてしまいます。そういう方法でもつてこれが宣伝されている。第二にはもうわかり切つたことを、非常に人身攻撃まで加えながら、こちらを怒らすように、怒らすようにもつて来ています。そこでその結果がどういうことになるかというと、冷静な第三者に客観的に私どもはこれを説得させるように説明いたしますには、どうしても技術のノーハウ、これは機密でございますが、これを発表しなければならない。その機密を引き出すために、こういう方法が使われているというように考えざるを得ません。また従つてこれに対して私どもはなかなかうつかり答えられなかつたのであります。それともう一つは、私どもはあくまで同じ日本人同士でありますから、もちろん仲よくやつて行きたい。そういう意味で、最後的なけんかをしたくない、できるだけおちつかれるのを待つという形で、今までほとんどこれに対して、向うは六回も反対陳情を出し、大いに新聞記者を呼び宣伝し、業界新聞に書かしておりますが、私どもとしてはできるだけそういうことに対しては避けております。
 以上のほかに、特に御注意を願いたいのは技術の点であります。J・M技術というのはノーハウと申します。これは技術が日進月歩いたしますと、特許という方法ではもはや保護するのに古いのであります。特許は一年なり二年なり前の技術が保護されるわけであります。しかもこれを十年とか二十年とか期限を切つておりますが、もはや古くなつてしまう。そういう方法ではもはや保護できない。どんどんかわつておりますから、これをノーハウというもので秘密を守らすという形をとつております。従つてこのノーハウについては、反対運動の方は知らないわけであります。もし知つているとすれば、これは私どもが原局にいろいろ御説明申し上げます。そういう点から不幸にして漏れたのではないかと思います。しかしそういうことは私はないと信じております。それでまつたくわからないはずの技術が比較されているのです。これはどういうことになるかと
いうと、結局でたらめの比較をやつているということにならざるを得ない。私どもの方から見ますと、国内の技術について、これもある程度はわかりません。秘密にしておりますから、わからないのは当然であります。しかし私どもでは、ある程度はわかります。というのは、ある程度の発表があるからであります。それからまたいろいろ私どもの方でも研究しております。その結果はつきりしていることは、石綿を普通のスレートよりもたくさん入れている。陳情書の中でも五〇%程度は入れているというふうに書いてあります。それからまた国防模倣品の販売の説明会などを見ますと、石綿を半分も入れております。それから混合剤は使つておりません。従つて材質が違う。曲げを大きくするためには強度を落している。従つて製品の歩どまりが非常に悪い。厳密な試験をすれば、非常に不合格品が出る。それから材料のロスが非常に多い。工場へ行きますと、材料かすが山のように積んでございます。養生期間も一月もかかつている。こういうふうに総合的に見ますと、この技術は、当然実験室的段階のものでございます。工業化するのにはまだ早い。これは当然なことで、日本のフレキシブル・シートとかいうふうな国内品は、J・Mの提携が断わられてから急いでつくつたもので、わずか一年あたりの研究で売り出しております。これは研究の常識から申しまして、そんな短期間に一つの商品が工業化することはあり得ないのでございます。実験室でできたものをパイロツト・プラントに移して、ほんとうのマス・プロに移すまでというのは、そんなに半年や一年でできるものではない。これは常識でございます。
#6
○中崎委員長 参考人に申し上げますが、大体時間を十五分程度に予定しておりますから、きわめて簡潔にお願いいたします。
#7
○竹中参考人 それではごく端折つて申し上げます。
 それで技術の優劣ということは、ただ試験をやればわかるというふうな御常識もございますが、これは非常に問題があります。試験のやり方次第で非常に差が出て参ります。もちろん試験も参考にはなりますが、そういう意味で参考にやつた試験では、先ほどお話の工業技術院の東京工業試験所で試験をやつておりますが、そのときに私どもでは非常に疑問があつたのでございます。試験のテスト・ピースのとり方に疑問があつたのであります。これを原局にお話を申しまして、原局の御承認を得て、別に比較の試験もやつております。これは東京工業大学の建築材料研究所でやつていただきまして、その結果J・Mの方がいい、それからJ・M自身も研究しておりまして、J・Mの試験したものもあります。ここで問題になりますのは、J・Mのものは自社の試験だから、自分の都合のいいように出すだろうとお考えになるかもしれませんが、契約において品質を保証している以上、もしうその試験をしたら、それが実際にやつたらうまく行かぬというような場合には、自分が自殺行為になつて来るわけでありますから、そうでたらめなことは言えないわけであります。なおそのほかには、東京大学の工学部の田中助教授のところで、これは私どもが依頼してやつたのではありませんが、やはり比較試験が行われております。この試験の方法については、何か非常に不明朗な干渉があつたようでございまして、公表されておりませんが、実際のデータは私どもにはわかつております。これまた私どもの方がいいということが大きくわかつております。しかし今申し上げました通り、比較試験というのは物理的な、化学的な性能を検査するだけでありますが、そのほかに建築材料というものは、美観の問題もあり、施工技術の問題もありまして、いろいろな要索を考慮しなければ決定できないのであります。
 それからもう一つ大きなことはコストの問題であります。コストが安くなければどんないいものをつくつても何にもならない。コストをいくらでもかければこんないいものができるという説もございますが、それなら逆にJ・Mの方でも、いくらでも同じことができるのでありますから、それは問題にならない。最後にコストについて申し上げますと、ジヨンス・マンビルでは、私どもに対して八分の一インチ、四フイート・八フイート板――これは規格板でありますが、これを五百四十円でつくるように技術を提供する、これを九百円に売りなさいと言つております。この点については、ただそう言つているからといつて、決してうのみにしておりません。私どもの者があちらへ行きまして、十分計算して、非常に余裕のある数字だということも確認しております。それからまた、あちらで売つている品物も、なるどほその通りの値段で大体つくつている。ただ原価構成がどういうふうな点で違うかということも研究しておるのでございます。それに対して国内の方の今までの技術で申し上げますと、反対陳情書によりますと、六百円近くでできるというのであります。ところが実際に売つているのは千六百円からで売つております。そうするとこれは非常にコストに関係なく売られているわけでございます。実際に六百円でできる、できないという問題はまたあとで申し上げますが、大体においてそんなにできないという計算が私どもの方でもはつきり成り立つのでございます。この点についはは御必要に応じまして、また別に資料として委員会に提出いたしまして御回答にかえたいと思います。
 以上でたいへん端折りましたが一応の御説明を終ります。
#8
○中崎委員長 次に委員長といたしましては、小杉君からの希望もあるようでありますが、今日午後引続いてこの委員会を開会する予定でありましたところが、本会議等があつて、午後継続できないような情勢に至ると思うのであります。そこで時間の関係もありますので、あとで一応みなからの質疑をしまして、これもなるべく早く打切つて、あとで懇談会の形で十分に時間があれば両者からの意見を十分聞いてみたいと思いますので、その点御了承願いたいと思います。
 以上で参考人よりの発言は終りました。次いで質疑に入ります。なお参考人各位に念のため申し上げておきますが、発言の際は、必ずその都度小委員長の許可を受けられることになつておりますので、御了承願いたいと思います。小平久雄君。
#9
○小平(久)委員 今日この小委員会に参考人の方においで願つたのは、木材利用の合理化という観点が主であつたと私は承知しておつたわけです。大分スレート工業界についての両者の御意見が何か食い違つているようなお話を両者から伺つたわけでありますが、その点について竹中さんのたいへん微に入り細をうがつた御陣述を承つたわけでありますが、小杉さんからも、後ほど発言の機会を得たいというせつかくの御意見もあつたようですから、私は小杉さんから、今の竹中さんの御発言に対して、あなたのお考えをもう少し詳細に承つておきたいと思います。
#10
○小杉参考人 発言の機会を与えていただいてありがとうございました。実は竹中さんがよくもぬけぬけとでたらめなことをおつしやつたものだと感心しておるわけであります。(笑声)私どもは、第六次にわたつてはつきりとした数字の根拠をもつて示しておりますので、決して架空的のことを申しておりません。よくもぬけぬけと人身攻撃をやつたのは竹中さんの方で私の方ではないのであります。
 それはそれとしまして、まだ最初話が起つたときに、提携を申し込んではねられた、こういうお話でありますが、これは根拠のない話だと私は思います。というのは、ジヨンス・マンビルを知つている人はいないのでありますが、これを何とか世間で聞くところによると、浅野セメントが申し込んだがけられたので、従つてこれは浅野セメントが申し込んだら損はないということが一つと、浅野が申し込んでけられたから、浅野がスレートに犬糞的に動いたと言つておるが、そういうこと
はございません。
 それから輸入価格が特別安いということをおつしやいましたが、これは契約書を見ますと、山元じか渡しとなつておりまして、特に安いということはございません。
それから工場に行くとかすがたまつて山のようになつているということですが、実にこつけいな話で、まつたくスレートの製造を知らない方がこういうことをおつしやるのであります。と申しますのは、日米石綿会社は、スレートに関する限り、製造の経験がない方でございますから、あえてこつけいだと申します。
 それから試験のやり方について、いろいろお話がありました。いかにもテスト・ピースのとり方が変だということがございましたが、特に工業大学の狩野先生の結果をここでひろうなさいましたが、私はまた別の結果を持つております。工業大学の先生が私の方に、非常にいい結果が出たから、お前の方も喜べといつてくれた資料がございます。それは全然示していないし、都合のいい方だけおつしやつて、結局私どもの悪いものだけを示して、自分の方が優れていることを示すのは、こつけいな話でございます。
 それからあちらでは九百円で売れといつて来たという話ですが、輸出には三千円で売る、これはどういう数字から三千円が出て来たのか、私は初耳です。三千円というのは、実はあちらのものがこちらで今売つているのは市販品が三千円でございます。それで竹中さんのお話に、六千円のものを千六百円で売るのは不当だというお話がありましたが、あちらのものは一枚三千円でございます。それに見合つた価格の千六百円で売ることは、何ら不当ではございません。
 ロイヤルテイの問題でございますが、ロイヤルテイは、契約書を見ますと、手取りということになつておりますので、税金はこちら負担でございますから、四十五円が百十二円五十銭になります。これも数字をあげて示してございますから、ごらん願えばわかると思います。
 それから大平板が七%で波板が九三%ということでありますが、これも日本のスレートの現状を御存じない方の言い方で、競合するところ七%だからさしつかえないじやないかということは、全然スレート界を御存じない。われわれは戦前五〇%、五〇%で波板、平板をつくつておりました。ところが戦争のために波板をつくることを要請されたので、平板をつくる機会がなかつたのであります。今日石綿の事情から平板を少しつくつている、そういう事情があります。決して七%だけが競合するという意味じやございません。
 それから東南アジア方面へ輸出するのだとか、非常に大きな金額を期待していらつしやるようですが、現にわれわれは東南アジア方面に安い品物を出しましても、なかなか買つてくれないのであります。というのは、民度が低いために、それだけの需要がない、こういうことなのでございまして、なかなかセメントをつくつて売るといつたようなぐあいには参りませんので、建材というものは、ある工事が出ますと、その設計運動から始めてかからなければなかなかできないものでございます。
 それからもう一つ、重要なことなのでございますが、しきりにフレキシボードが日本のものと違うと申しますが、製造方法が違うか違わないか、私わからないのでございますが、品質によつて、これは少くとも比較すべきものだと思つております。その品質は、先ほど申し上げましたように、工業試験所でやつておりますので、私は静かに審判を待つ心境であります。
#11
○山手委員 木材利用に関する小委員会は、木材の節約そのほかを目標にして鋭意努力をいたしておるわけでありますが、木材の節約に非常に大きな関連を持つておるスレート協議会の小杉会長さん以下御出席をいただいて、熱心なお話を聞いたことは、非常に喜びとするものでありますが、どうもただいまの日米石綿の竹中さんのお話と、小杉さんの両者のお話を聞いておりまして、非常に不幸と思いますることは、日米石綿の方は小野田セメントの系統で事業をおやりになろうとしておることであるし、一方また小杉さんの所属される会社なんかは、浅野セメントそのほかいわゆるセメント業界とタイ・アツプをした事業会社であつて、そういう同じセメント業界の中に尾を引くこのスレート産業というものの中で、今お聞きをするような、相反した主張この委員会の中で聞かれることはまことに遺憾しごくであります。これはやはり、冒頭に私の申し上げたいことは、通商産業省において、原局の方ですみやかにこういう事態は調整をし、うまく裁定をして決定をし、いわばこういう事態に至らないように処置をされることが、私は好ましかつた、こういうことをまず考える次第であります。
 それはそれとして、私は今の陳述でいろいろなことを聞き、今書きとめてみたわけでありますが、その中の二、三の重要なことをお聞きしてみたいと思います。竹中さんの御主張の中で、輸出が非常にこれによつてできるようになる、こういう御主張がございました。これは非常に重要なことであつて、わが国の外貨事情のもとにおいては、何とかこれを打開して行く道は、今日では政府においても、これは軽工業局長がおいでになりますが、加工貿易のようなものを推進して、そうして外貨事情に貢献をさす、同時にそれによつて国内雇用の増進をして行こうということが一つの大きなねらいでもあります。かたがたそれによつて、国内の木材節約そのほかに寄与できるということであるならば、私は大いにこういう事業は起した方がよろしいと、こう考えるのでありますが、まず竹中さんにお伺いしたいことは、このジヨンス・マンビルの技術を導入することによつて、東南アジア諸国を初め、海外に相当の輸出ができる見通しであるかどうか、この点。それからヨーロツパ諸国あるいは東南アジア諸国に対してジヨンス・マンビルの方は、この技術をさらにどこかに輸出をするといいますか、技術の導入をさすというふうな意図があるかどうか。ヨーロツパ諸国はどういうふうになつておるか、こういうこともあわせてここでお聞きをしておきたい。
#12
○竹中参考人 ただいま山手委員から御質問がございましたのに対してお答え申し上げます。
 私どもの製品は、ただ単に従来のスレート板のままで出すのではなく、いろいろ加工して出す。これは非常に国内の加工業者の雇用を増大するというばかりでなく、外貨を獲得する上において、非常に能率をよくするわけであります。簡単に申し上げますと、原料を買う、そしてその原料がただ加工手間にセメントの代をプラスして出るというだけでなくて、さらにそれにはいろいろな技術が伴いますから、技術に伴つての、技術の価値までも輸出できる。そこで非常に効率のいい輸出が出て参ります。これは従来のスレート輸出の経験、安いスレートで東南アジアに、いくら売りたくても売れない申しますか、これは売れないのが当然であります。あのスレートでは当然売れません。それではどれくらいのこれにあれがあるのかと申しますと、ジヨンス・マンビルはすでに日本がスレート製造を学びましたスレート生産の先進国であるイギリス、フランス、イタリア、ベルギー、ドイツ、こういうところにみな技術を導入さしておりまして、これがどんどんと東南アジア方面にも出て参つております。それからまたジヨンス・マンビルは世界的な販売網を持つております。こういう大きな国際的市場を持つておるジヨンス・マンビルの援助を得まして、その市場の信用をわけていただく、これは非常に可能性のあることで、決して空想ではないのであります。ただ日本のエキスポーターに頼んだ、品物を持つて行つた、売れた、売ない、そういう問題ではないのであります。もうすでに各地に販売網がある。そうしてまた競争相手の国にも発言機を持つておるJ・Mが市場をわけてくれる、こういう形が出て来ますから、従来のような希望的観測とは非常に違つて参ります。
 それからこのジヨンス・マンビルの技術は、現在のところ約十二箇国に導入されておりまして、中南米とカナダには行き渡つております。ヨーロッパも、西ヨーロツパには行き渡つております。残るところはアジアでありまして、今最も候補になつておるのは日本とインドであります。マライも問題になりそうでありまして、もし日本に技術が来なければ、もちろんこういうところへ入るわけでありますが、順序としてまず日本に来ておるわけであります。日本に来なければそちらへ行く、その場合にはやはりそちらが生産国になつて、日本に逆輸出という形が出て参ります。
 それから輸出の問題に触れましたからここで値段のことも申し上げます。先ほど小杉さんは、日本で三千円で売つていると言われましたが、これはCIFの三千円であります。九百円というのは、FOBファクトリー、すなわち工場裸卸売価格であります。これも混同されるということは――運賃、保険料、包装費、国内運賃、海上運賃、陸揚費、積込費、通関費みな入つております。そうしてインポート、エキスポートのチヤージも入つて、それで三千円になつております。もちろんこの三千円も安いとは申しません。しかし現にニーユークでFOB、港渡しでパーチエイズしているのが千二、三百円になつている。工場渡しはやはり九百円、こういう点で決してそう高いものにはなりません。以上であります。
#13
○山手委員 いろいろ中小企業との関係もありますので、私一応聞いてみたいと思います。さつき竹中さんからのお話で、日本のスレート業界の生産状況は、波板が九三%、平板が七%、その七%の平板は、一流メーカーの副業的なものとして生産をされておる、こういう御発言がありました。フレキシボードのような、いわば日本では新しい傾向の産業において、この七%の平板メーカーは何社あるか、あるいはそれの一番大きな社は七%のうちのどの程度をつくつておるものか、これは小杉さんの方から御説明を願つておきたい。
#14
○小杉参考人 私はその資料を持つておりません。竹中さんがそういうことをお調べになつたのだと思いますので、竹中さんからお聞き願いたいと思いますが、およそのことは知つております。これは各業者つくつております。と申しますのは、これはあまり鉄板がいりませんので、小さい業者でもつくれるのであります。波板スレートですと、大きい会社でないとにわかにつくろうと思つてもできません。大平板はどこの会社でもできますが、これはただ石綿事情からして今日つくつていないだけでございます。なお九百円は工場渡しだというお話が今ございました。説明書には安く売れる、安く売れると、九百円が売価のごとき印象を与える書き方をしてありますが、おそらく通産省当局も九百円で売れるのだというふうにお考えだろうと思います。日本品は東南アジアでは売れないというお話でございますが、売れないのはイギリスやチエコ、イタリア、ベルギー、そういつた国々の製品と比べてやはりコスト高だからであります。あちらでは一枚平板三千円で買う富の余裕がないのであります。それは経験のない者が架空的にお考えになることで、われわれ血みどろの努力をして輸出をやつておりますが、なおかつ伸びない現状であります。
#15
○永井委員 本日は参考人から利害相対立するいろいろな御意見を伺つたのでありますが、われわれこの委員会にしても、行政庁にしても、利害の対立したそれの代表ではないので、参考人が悪口をいおうと、いろいろな問題でここで対立しようと、われわれはそれをかみわけて、何が真実であり、どうすべきかということをその中からくみとるわけでありますから、あまり不体裁にならない限り、利害が真正面から対立した方がかえつて真実がつかめると思うのであります。そこで竹中さんにお尋ねいたします。
 先ほど、新設会社の資本金は四億六千八百万円、そのうちジヨンス・マンビルは二五%、代理店の関係は違うからその中に入らない、しかし四億六千八百万円のうち、施設としては一億六千二百万であつて、あとは運転資金だ、そうしてアメリカ式の経営では、運転資金を自己資金でやるのであつて、決して銀行融資その他の資本を対象にして経営しない、こういうふうに、資本金は多いけれども、施設そのものの内容は一億六千二百万円だという御説明であつたのであります。そういたしますと、新設会社の資本金のうち二五%はジヨンス・マンビルだけれども、経営の内容から言えば、主導権はジヨンス・マンビルが握つてやるのだ、アメリカ式の経営方針でやるのだこういうふうに了承してよいのか。それからまた輸出増進の面において、血みどろな闘いによつて獲得した市場を、この会社ができればさいてくれるのだと、こう非常にありがたいお話でありますが、アメリカの商社のやり方は、コマーシヤル・べースに乗らない――経済は経済、私的生活は私的生活、こういうふうにちやんと区分して、人情的なものなどないと思うのであります。従つてこの会社ができたのだからおれの方に息をかけて、海外市場の場面もさいてくれるのだというようなものではなくて、当然コマーシヤル・ベースに乗る条件があるからそうなつて来ているのだ、そういうふうに考えますと、二五%という資本内容はとにかくとして、実質はアメリカ式の運営方針だ、海外市場はやはりジヨンス・マンビルのイニシアチーヴによつてやるのだ、こういうふうにわれわれには了解されるのでありますが、この点はどうであるか。
 第二点は、技術の内容はこうであるというお話であります。確かに技術は進歩しているでありましよう。独特の地位を獲得しているでありましようが、技術の内容というものは絶対的なものでないと思います。ことに原子力のようなものでも、各国がそれぞれみなやつて行けばアメリカが新しい発展をした場合には、ソ連でもやつて来る、イギリスでもやるというふうに、それぞれの人間の知識で到達する段階は、時間をかければ同じであります。ことにどういう摩訶不思議な技術を持つておるかわかりませんが、この石綿というような技術の内容について、現在の日本の学者及び技術者の間において到達し得ない。飛躍したような特別な技術というものはあり得るわけはない。努力すれば到達し得る。絶対条件ではない、われわれはこう考えるのであります。その点について、非常に摩訶不思議な技術内容を持つておられる、これは祕密であつて漏らせないということでありますが、われわれ日本人ではとうてい到達し得ない段階のものであるかどうか、これをちよつと伺いたいと思います。
 それから小杉さんにお伺いしたいと思いますが、現在の国内における施設、それの稼働が大体どのような状態にあるのか、それから原料関係がどういうふうにならておるのか、それから需要と供給との関係、それからその中における輸出面、時間がありませんから簡単でよろしいですが、そういういろいろな実勢を簡単にお示し願つて、輸出関係において、戦前及び現在最も困難な条件が、先ほど来向うの民度が低いのだということでありましたが、そういう関係がどうなつておるかということ、それから石綿に関しては単に工場内の技術と、工場の生産の現場において試験しているだけであつて、日本の持つておる学者なり、技術陣なりそういうところへの密接な連絡によつてこういうものの分野を開いて行くというような考えを持つてやつておられるのかどうか、それはどういう関係になつておるのか、その関係をひとつ伺いたい。
#16
○竹中参考人 ただいま永井委員から御質問がございましたそれについてお答え申し上げます。御質問の要点は、第一は市場の問題、第二は技術の問題だと思います。
 まず市場の問題でありますが、今お話の通り、アメリカの――おそらくアメリカに限りません、日本でもそうあるべきだと思いますが、コマーシヤル・ベースに乗らぬものは、ただ人情的に市場をわけてくれるとか、そういうことはもちろんあり得ないと思います。それだからこそ技術を保証しているわけでありまして、それがコマーシヤル・ベースに乗らぬような技術ならば、こちらももちろんお断りするわけであります。向うの悪く高いもので、どこへ持つて行つたつてとても売れないものだ、そんなものを技術導入するなら、私どもは契約をきめましても断れることになつております。従つてその点の御心配はないと思います。それから会社の運営については、こちらとしては、スタートにおいて借入金なしでスタートする。ですからその後の運営については、あちらはこちらに実際役員もおそらく一人しか入らないと思います。こちらが実際の運営は全部やります。従つて運営の実権があちらに決定的に傾くということは機構上成立しないと思います。
 それから技術の問題でございますが、日本の技術ももちろん進歩しております。しかしあちらの技術も進歩しております。お説の通り、技術というものは決して固定的なものではない、お互いに日新月歩なのでございます。それではあちらがどれくらいの研究をやつておるかということを一つの例で申し上げますれば、ジヨンス・マンビル・コーポレーシヨンには、中央研究所というのがニユーヨーク州のマンビルにあります。これは世界的な、ノーベル賞をもらつたというような学者を含めまして、大体五百人常置しておりまして、年間四十億円の研究費を投じてやつておる。この業界では世界一の研究所でございます。御承知の通り、研究というものはある程度金が物を言うのであります。頭ばかりではないのでございます。理論の面ですと金はかかりませんが、実際の問題、ことにむずかしいのは実験室段階から工業化段階に移りますと、これはどうしても金がかかります。一つのギャツプを追いつくということは非常に骨が折れる。私どもの方でも、ギヤツプがあるから、ギャツプをなくすのを早くするために技術の導入をするのでありますから、私どもも日本の技術を持つておりますが、将来において、あちらの技術がもはや何ら学ぶべきものがないというならば、その契約は当然自動的に、十五年の期間が終ればもう終つてしまうわけであります。それから現在ジヨンス・マンビルでどの程度技術が進んでおるかと申しますと、石綿の点について申し上げますと、ジヨンス・マンビルは非常に合成石綿あるいは人造石綿までもすでに研究をしております。これができるようになればおそらく日本でももちろん石綿を輸入しなくてすむというような問題にまで到達し得る可能性もあるのであります。こういう問題も将来だんだん実現いたしますにつれて技術は入つて参ります、私どもも技術は十分研究し、自分のものにする、新しい技術がさらに入つて来る、今まで新しかつたけれども、もはや古くなつた、そういう技術はどんどん国内の業者にも公開して日本全体のレベルを上げるという点をはかる。もちろん私どもの問題が大いに刺激になつて日本の技術が伸びるということはけつこうな話でありまして、現にこれは工業大学の狩野博士が、日本のスレート業者は二十年間私がある技術について強調したけれども、どうしてもやらなかつた、ところが今度日米石綿の問題が出たらあつという間にやり出した、そうしたら何とか大分できて来たというようなことを言つております。こういうように私どもがすでに仕事を始めない前から日本の業界に刺激を与えて、少しでもプラスになつておるのじやないか、もちろん私どもはいつまでもこれを続けるというのじやない、日本の技術が遅れておるこのギヤツプさえ取返せは――もちろん私どもは懇談までやるわけであります。大いに日本人として仲よくやつて行きたい、こういう趣旨のものであります。
#17
○小杉参考人 永井委員から御質問がございました日本の施設に対する稼働率は六〇%であります。それは昨年非常に好況を伝えられたときで六〇%であつて、大体は五十七、八パーセントであります。従つて四〇%以上の遊休設備がある、こういうことでございます。
 それから原料の関係でありますが、これは先ほども申し上げましたように、外貨の事情でいつでも束縛されてしまうのですが、私どもは本年七百二十万枚を予定して生産計画を立てておりまして、昨日あたり軽工業局長のところへ行つてお願いしたのでありますが、今年はどうしても五百万枚くらいしかできないようであります。これは外貨がそれだけ押えられておるという関係でございます。
 それから輸出の問題でございますが、これは先ほど永井委員からもお話がございました通り、民度の低いことも事実でございますが、東南アジア方面は至るところ保護貿易をやつておりますので、これに食い込むことはなかなか困難だという事情が当面のところはございます。それから何かほかで研究をやつているかいないかという問題でありますが、この問題につきましては、実は石綿が払底しているわが国のことでありますから、あらゆる努力をいたしまして、過去三年間にわたつて京都大学の化学繊維教室の堀尾正雄教授の指導を受けまして、石綿を最も有利、合理的に使う方法を案出していただきまして、今日それを利用しております。従いましてジヨンス・マンビルよりも石綿を使う方法については日本の方が進んでいるということを申し上げることができます。と申しますのは、海外に派遣されたわれわれの技術者三名が見て来たところによりますと、石綿は何も前処理をしないで、すぐと原料の中にほうり込んでしまう。われわれはそれを堀尾教授の指導によつて、案出した前処理をした方法で有効に使つております。そういうことがあるわけであります。
#18
○伊藤(卯)委員 小杉さんにちよつとお伺いしますが、今日本でつくつているあなた方の生産量中、輸出のパーセンテージはどのくらいになつておりますか。
#19
○小杉参考人 ちよつと今記憶にございません。
#20
○伊藤(卯)委員 政府の方でわかつていたら……。
#21
○中村(辰)政府委員 大体八%でございます。
#22
○伊藤(卯)委員 竹中さんにちよつとお伺いしますが、今度あなた方の会社が新設されたとした場合に、一応新設されようとするのについては生産計画というものももちろんあると思いますが、その生産計画中、国内に売るものと国外に輸出するものとの比率をどういうように大体見ておられるのですか。
#23
○竹中参考人 国内には大体六割、輸出は四割というふうに踏んでおります。これはただ平板に換算してのことでございまして、実際においてはいろいろと、今まで日本ではやつておりませんが、石綿スレートの板がまだ固くならない前に、生のままのもちみたいになつている、これを使つていろいろの形をつくりまして、さらにその上にいろいろな加工をするわけであります。そういうふうなものを延べましての大体のあれですが、従つてこれは金額がのしますから、金額の点から行きますと、逆に六〇、四〇くらいには実際になるのではないかと思います。輸出が六〇%の国内が四〇%くらいに価格の点ではなると思います。
#24
○伊藤(卯)委員 ちよつと政府側に御質問しますが、今までは政府の方から答弁されたように、大体八%くらいの率になつておるのですが、今竹中さんの方が今度自分の方でやれるようになつたら、将来六〇%くらいの輸出をするつもりで生産計画を見ておられるようだが、そういうことが可能であるかどうか。今の八%というのは何ゆえに八%程度しか輸出ができないのか。その輸出できない困難の点はどういう点なのかお伺いしたい。
#25
○中村(辰)政府委員 問題のポイントですが、日米石綿の技術導入で技術的に優秀だとして指導してやつておりますフレキシボードの方は、現に輸出しておりますものは石綿スレートでございまして、フレキシボードの輸出については今後の問題ということで、私としてもその点についてこうなるであろうというような見通しを現在持つておりません。フレキシボードの輸出ということは、現にあります石綿スレートの輸出と違う点がございます。
#26
○伊藤(卯)委員 製品についての両参考人からの深刻な対立意見は今伺つたのですが、製品についてそういう非常に見劣りがしているのか。それから政府の方でそういう製品の品位についての指導をされてもなお劣るのか、それを指導して行けば早急に品位について見劣りがしないのかどうか、そういう点について政府側はどういうふうに考えておられるか。
#27
○中村(辰)政府委員 通産省として輸出振興という観点から、今後、石綿は特に日本の国産ではございませんで、海外に依存をしているという観点がございますので、その点につきましては二十九年度の外貨処理という際に加工貿易の形で約二十万ドル程度の線を考慮しているのであります。もちろんこの線がどの程度にふくれるか、このふくらみ方につきましてはもちろん加工貿易のことでございますから、二十万ドルは一応の計画であります。この線がどのくらいになるか、そういう観点から御質問の問題については、順次輸出についての見通しが従来と違つた線が出るだろう。そういう点も実際的に現われて参ると思います。
 なお次の技術の点でありますが、これにつきましては私の方の関係試験所の方でこの問題に関連して技術的な実験その他の検討を加えておりますので、その線が出ませんと御質問のような点について責任ある御答弁をいたしかねるという状況でございます。
#28
○伊藤(卯)委員 大体その試験の見通しはいつごろまでに出そうだという見当ですか。
#29
○中村(辰)政府委員 私の方の工業技術院の下部機構にございます工業試験所で、約一箇月余になりますが、関係見本に基きまして実験いたしております。大体の大綱はほぼ済んだようでありますが、一、二部分的な問題も残されているやに聞いております。工業技術院の方から私の方へ正式の回答をいたす段取りになつております。私の方も相当時間もたつて参りましたので、鋭意その方面の促進をいたしている状況であります。工業技術院の内部で一応の技術的な仕上げをして私の方にまわして参る、かような段取りになつております。きわめて近いのじやないかと想像いたしております。
#30
○山手委員 さつき私もう一、二点聞こうと思つたのですが、聞くところによると、野沢さんかどつかの方からこのフレキシボードをつくるための日本のパテントを申請をしておられるという話でありますが、そうするとこの特許がもしも許可されるということになると、日本のほかの関係も総なめになつて来るのじやないかというような気もする。私特許庁でいろいろよく調べてくれという話をしておつたのですが、そういう事実がある。そうすると小杉さんのところあたり自体もたいへんなことになる。また反面何でもない技術を特許申請するということになると、これまたこつけいな話になる。また反対運動をされるさ中のグループでもそういうような動きがあるように聞いているのでありますが、こういう点についてひとつ御説明を願いたい。
 それからもう一つ、やはり繊維板についてもいろいろ合理化促進法の線に沿うて、プレスや何かについては減免税措置をとつていろいろやつているのでありますが、石綿は非常に少いのでありますからどうしても原料を節約して効果的ないい製品をつくるということが私はポイントであると思う。いかに輸入原料を節約していい品物をたくさんつくるかということがこの問題の解決のポイントになると思う。その上に立つて輸出ができるかどうか、加工貿易の一環としてこれが伸びて行き得る可能性があるかどうか、こういうことが私は一つのポイントになつて来ると思うのでありまして、初めの段は参考人の方から、あとの方は局長の方からそういう観点で見ておられるかどうかお尋ねいたしたいと思います。
#31
○小杉参考人 ただいまの特許の問題でございますが、実は私もそれは存じませんが、特許というのは御案内の通り公告期間というものがございまして、ある特許を申請されますとそれが公示されまして、それについて異議のある者が異議を申し出る機会がございます。そういう場合に公知の事実であれば当然特許としては取入れられないことが通例でございますので、まだその段階には達していないと思います。
#32
○中村(辰)政府委員 繊維板の問題ですが、特需を含めて大体五〇%くらいが輸出に進んでおります。大体今後の問題としては、特需に重点を置き得ないということであれば、先ほど石綿スレートについて申し上げたように、加工貿易でことしは非常に大きな計画を予算上考えておりますので、その内部に内輪に入れて行くという考えで進めておるのであります。特需を入れて五〇%でございますので、特需の傾向によつて、それを別途正常輸出という方向に向けるのが筋道と考えますので、そういう線でわれわれ考えて行きたい、こう考えております。
#33
○齋木委員 先ほど来両者の方から非常な貴重な御意見を拝聴いたしました。またこの問題は聞くところによりますれば、相当の時間がかかつているのですが、省において担当局において今日までのんべんだらりとしてやらないということは、何らか外の圧力か、そういつたようなもので食い下られているのでこういう裁断を下せぬのかどうか、まことにどうも手ぬるいと申しましようか、熱意がないと申しましようか、われわれはふかしぎに思う。それらに対して本省はどういつたような考えで今日までやつて来たのか、率直に一ぺん内容を公開したらどうですか。専売特許でさえも公開しようという時代になつておるのです。だから早く公開して、イエスかノーかはつきりきめてやることが、私は国家のためにいいと思うのであります。だからその内容を伺つておきたい。
#34
○中村(辰)政府委員 昨年の十二月上旬でございましたか、正式の申請がございました。年を越しまして、私が当委員会で申し上げておりますように、国内における生産もございまするし、かたがた技術の導入という問題につきましては、これらの国内技術との優
劣、こういう点について十分考慮を加えるという必要がありますので、通産省内の工業技術院の下部機構であります試験所等の実地試験の成果をまつて最終的にきめるということで、実験に付しまして約一箇月余、近く結論が出ますので、これを総合勘案して最終的に処置したいという考えでございます。御質問のような政治的ないろいろの問題はございません。特にそういう問題が考えられないように、私どもといたしましては性能上の優劣という点についての問題を慎重に検討しておる、こういう状況であります。おしかりを受けましたが、十分努力いたします。
#35
○伊藤(卯)委員 委員長にちよつと希望を申しておきたいと思います。実は今日参考人をお呼びしてわれわれが参考に資したいと思つたのは、このスレートを使うことによつて日本の木材がいかに節約できるかということが重点でなければならなかつたと思うのですが、どうも参考人お二人の対立した意見から見て、また私どもの審議の時間の関係から見ても、木材関係の根本的な問題に対することから、いささかどうもはずれておるような気がいたします。しかしさればといつてこの問題には、かなりほつておけない問題がひそんでおることは事実ですし、このスレートの問題を通産委員会としてすみやかに取上げて解決するようにすべきであるということも考えられるわけでありますから、小委員長の方から大西委員長の方に、これらの問題をすみやかに審議して解決方法を出すようにとひとつ進言していただきたいということを要望しておきます。
#36
○中崎委員長 委員長より申し上げますが、実は木材合理化の問題は、日本の経済全般から見て相当重要であるというので、小委員会を開きまして鋭意その審議を進めて参りました。その過程におきまして、木材使用合理化の一環として、たまたまこういう問題が委員の中から出され、国会において取上げられました。それがその後いろいろと問題を生んで参りましたが、われわれとしては大きなる問題の一環としてこの問題を取上げる方が、諸般の問題を推進する上において必要であるという見方を持ちまして、合理化の一環としてこの問題をいかに解決するか、ことに技術の問題について、今ややもすれば日本の技術が相当遅れておりまして、外国技術の導入をしなければならぬというものがあらゆる部面にあり、たまたまこの木材合理化の問題に関しましてこの技術導入の問題をいかに現実の問題として処理するかということについて、本日関係者の意見を聞いてみたという考え方であります。従つて国会においてこれをどういうふうに決定するかという問題よりも、こうした業者の正しい意見を聞いて、正しい輿論の動向をはかる一つの資料を得たいという考え方を持ちまして御参集を願つたようなわけであります。そこで今伊藤委員からもお話がありましたので、後ほどまた小委員に寄つていただきまして、これをどういうふうに取扱うか、さらにまた通産本委員会の方に、これをどういうふうに進言するかというふうなことも、あわせて協議して行きたいと思います。
 それでは質疑は一応打切りまして、フレキシボードに関する問題はこの程度にいたします。
 参考人各位には、御多忙中長時間の御出席ありがとうございました。
#37
○中崎委員長 次に亜炭に関する問題について引続き審議を進めたいと思います。
#38
○黒川説明員 簡単に木材の利用という点の一環といたしまして、燃料につきまして申し上げます。
 木材消費の四五%程度が薪炭に使われるということが言われております。これはある程度合理的に消費節約という面から申しますと、私は家庭燃料対策ということになると思います。これを申し上げますと非常に時間が長くかかりますので、ごく簡単にかいつまんで申し上げます。
 都市におきます家庭燃料におきましては、今後ガスの振興をはかり、かつまたガスの行き渡らないところには豆炭をもつてこれを補つて行くという方向に進むべきだというふうに考えております。それから農村におきましては、やはり現在薪炭、特にまきが相当多く使われておりますが、これを一部れん豆炭で代用して行くということが結論的に考えられると思います。それと同時に、これらのれん豆炭並びにガスの燃焼器具の改善並びにその標準化ということを考えて行く必要があります。この両者から攻めて参りまして、木材の消費をはかるべきだというふうに考えております。現在の木炭の消費量を私ごく荒つぽく調べますと、二十八年度におきましては木炭が家庭におきまして大体百三十万トン使われておるように思います。それからまきは木炭に換算いたしまして三百万トンほど使われております。これに対してれん豆炭それ自体でございますと、九十万トンになつております。これを木炭に換算しますと六十万トン程度に熱量計算その他でなつて参りますが、いずれにいたしましても現在れん豆炭がそのまま百万トン程度使われております。こういうような状況におきまして、最近石油のようなものが相当出て参りますしいたしましたので、燃料国策から行きましてもこのれん豆炭をもう少しふやして行くということが考えられます。このれん豆炭をふやすというためには、それに対する原料がなければならないと思います。その原料を何から求めるかというふうに考えて参りますと、わが国の資源でまだ未利用資源として考えられております亜炭並びに鉱山から出て参りますところの沈澱微粉と称する、いわゆる石炭を水で洗いますとその水の中に石炭の非常にこまかい粉がまざつておりますが、それが一緒に流れて参りまして、ただいまではそれを大きなための中に入れまして、水だけを外に流すということにしておりますが、そのためにたまつた沈粉というものはあまり利用価値がないとしてあります。石炭局の推定によりますと、日本全国で年大体二百五十万トンぐらい出るであろう、こういうふうにいわれております。こういうような沈粉の利用であるとかあるいはまた現在百五十万トンほど生産されております亜炭をさらに品質のいいもの、また業態のしつかりしたものを選びまして、一層亜炭の生産を上げ、こういうようなものを原料としてれん豆炭をつくつて普及して行かなければならぬと思うのであります。御承知のように家庭燃料と申しますのは長い間われわれの生活にくつついて来たものでありますから、今まで木炭あるいはまきを使つていたものにすぐこれを使えといつてもなかなか慣習がありまして使えないのでございます。従つて今後いいれん豆炭をつくつてそうしてこの慣習を打破しつつこれにかえて行くということが必要になつて参ります。そこでまずれんたんを見ますと、御承知のようにれんたんと申しますのは縦に穴のあいた円筒形のものでありますが、あれは従来は暖房的な性格を帯びておつたものであります。これをもつと煮たきに便利なように改善して行くということが一つの問題ということになつております。それから豆炭の方も、これも従来はいろいろ煙が出、灰が多いという問題があります。こういうものはやはり原料を精選いたしまして、そうしてカロリーの、すなわち熱量の高いものをつくつて行く、こういうようなことによつて次第々々に木炭にかえて行く、しかもこういうような原料でやれば木炭よりも大体六割ないしは七割程度の値段でできる可能性がございますので、こういうようなものにだんだんかえて行くということが必要であると思います。これに対しまして私どもの方で少し研究いたしました。たとえばれんたんの場合でございますと、やはり炎が強く、しかも火持ちのいいということになりますと、でき得るならば外国のホンゲイ無煙炭というものを、現在よりも多量に輸入いたしまして、そうしてこれをまぜまして、亜炭コーライトと普通言つておりますが、亜炭を乾溜しましたもの、あるいはまたわが国にあります低品位の無煙炭を加えまして、そうして型に入れたれんたん、そういうようなもの、あるいは豆炭の場合でございますと、やはり豆炭を乾溜いたしましたもの、あるいはコークスの粉あるいは沈粉というようなものをまぜまして、そうして型に入れましてこれを焼きます。そうして臭いガスを全部とりましたものが木炭代用になるわけであります。あるいはまた亜炭をそのまま焼きましてコークスをつくりまして、そのコークスを無煙炭その他とまぜまして、豆炭をつくつてもいい、すなわち型に入れて焼いても、最初焼いて型に入れても、これはどちらでもよろしいのでありますが、そういうことにいたしまして、現在の豆れんたんよりももつと質を高めて参りますれば、次第々々に値段の関係で薪炭にかえて行き得ると思うのであります。但しこれには限度がございまして、日本の亜炭は最も出ましたときには御承知のようにかれこれ三百数十万トン出たのでありますが、現在はその半分であります。これは終戦後でありましたが、その当時は非常に質がいいのも悪いのも出たのであります。そこでこれからは質のいいもの、それから企業形態の確実なものを選びまして努力するならば、現在の倍くらいの亜炭は出ると思う。こういうような亜炭を原料といたしまして、それから先ほどの沈粉をやはり選びまして、灰の少いものをとりまして、こういうものを原料にして家庭燃料をつくるならば、少くとも現在の木炭の半分の量はこういうようなものでかえて行くことができると私は思うのであります。御参考までに私どもの方でつくりましたものをお目にかけますと、これはまだ百パーセントいいというものではございませんが、これは東北地方の亜炭を原料といたしまして、私どもの方で発明いたしました棒状炭というものをつくります。ということは石炭の沈粉でも何でもよろしいのでありますが、そういうものを油で煮ますとピツチのようなものができます。このピツチを固める材料といたしまして、亜炭を、こういう形の豆炭につくります。この豆炭をかまに入れて焼きますと、こういうふうなものになります。これは木炭代用になりまして、ただいま室蘭におきまして、計画としましては月に五百トン生産の工場が出て参りまして、最近ぼつぼつ品物が出て参りました。こういうものですと大体トン一万二千円、木炭ですと二万幾らになりますから安くできるわけであります。こういうものが普及して行くであろう、こういうように思つております。なおこういうような計画をぼつぼつ立てている方もあるやに聞いております。たとえば品川燃料というのは、古川町にやはり亜炭から豆炭をつくつて、そして家庭燃料に持つて行くというような工場が最近建設されて、ただいま試運転をしているというように聞いております。そういうようなことで、企業はある程度原料を選び、技術を選べば相当いいものができる。私は木材の代替には、亜炭あるいは沈粉というものを将来利用して行けば、ある程度できるというように考えております。
#39
○中崎委員長 以上で説明は終りました。
 この際お諮りいたしますが、加藤鐐造君より小委員外発言の申出がありますので、これを許すに御異議ございませんか。
#40
○中崎委員長 それでは加藤君。
#41
○加藤鐐造君 亜炭の用途は、現在ではものによつて違いますけれども、工場用燃料として相当用途の範囲が広くなつているように思いますが、この小委員会で調査いたしまする範囲は、木炭等との関係において、いわゆる家庭燃料としての用途がどの程度のものであるかということであろうと思います。ただいまれんたんの製法について御研究の発表がありましたが、これは現在東北地方のものをお使いになつておるような話ですが、それはどの程度のカロリーのものであるか。東北地方の亜炭は、主として木質度の程度の高いものだと思いますが、中部地方、特に岐阜県地方の亜炭は相当炭化されたものでございまするので、現在その大部分が工場用燃料として使われております。そこでこの工場用燃料として使われておるものが、現在相当山元にかすとして捨てられておるものがございます。それを選別して豆炭にしたならば、いわゆる廃物利用になりまするし、また国家資源という点から考えても非常に重要な問題になるわけですが、そういう点についての御研究がありますかどうか伺います。
#42
○黒川説明員 ただいま御質問がございましたが、ただいまの例は東北地方の例を申し上げたのでありますが、岐阜、愛知あるいは三重、そのほかにも相当亜炭の資源はございます。御承知のように亜炭の中には炭質に亜炭と木質亜炭とあるのでございますが、大体家庭燃料の方には木質亜炭が適するわけでありまして、たとえば岐阜、愛知の両地方で申しますと、愛知地方のものはこれに向くのでありますが、岐阜の方は工業用の亜炭燃料という方面に向くであろうというふうに、ごく荒つぽく申しますと考えられる次第でございます。最近愛知地方におきまして、この問題について企業計画が二、三あるやに聞いております。また業界の方が、試験的なパイロツト・プラントをつくつているというようなことも聞いております。
#43
○加藤鐐造君 それから今御説明の中で、沈粉ですかを加えてれん豆炭にするというお話でありましたが、その場合石炭から出るガス、それから亜炭から出るガス、非常に臭いガスですが、そういうものは完全に除かれますか。
#44
○黒川説明員 臭いガスという問題でございますが、少し大きな工業になりますと、もちろんタールが出ます。そういうものを回収いたしますと、タールのようなものはある程度利用価値がございます。しかしながら大体におきまして、単価その他の問題から見ますと、自分で出たガスを燃して自分を乾溜する、豆をたくに豆がらをもつてするような様式で行つた方が企業的には成り立ちますし、それからいろいろ臭いガスを表へ出すとかいうようなことによるトラブルも除くことができるというように考えております。
#45
○加藤鐐造君 実は亜炭の効用という点については、採炭の合理化――非常に亜炭は零細炭鉱が多いので採鉱が合理化されておらないと思うのですが、そういうような点、それからまた炭質をよくするために亜炭の水洗とかいうような点を承りたいのですか、そういうようなことは御研究になつていますか。
#46
○黒川説明員 最初の企業の合理化につきましては、これは石炭局その他でやつていると思います。ただ私の方で希望いたしますのは、亜炭鉱業が現在伸びなかつた一つの理由といたしましては、亜炭がある程度利用ができて、そうしてしつかりした足の上に立つて、これから企業が伸びようというときに、亜炭の料金が値上つて来るということが一つの障害であるのではないか、もう一つはその工場なり企業に一定の品質の亜炭を供給するということがなかなか今まで困難であつたというような事柄が亜炭の利用が今まであまりパツとしなかつた一つの原因――これが全部の原因とは申しませんが、一つの原因ではなかつたかというように考えられるので、今後はそういうことのないようにということを私は希望しまして、石炭局その他にも考えていただきたいというふうに考えております。
 それから洗炭のことでございますが、家庭燃料は何といたしましても良質の、現在の木炭というもののかわりにならなければならないのでありますから、灰というものをできるだけ少くしなければならない。そういうことである程度の粉砕あるいは水流しというような、洗炭の過程を経たものを原料とするということが大切ではないか、こういうふうに思つております。
#47
○加藤鐐造君 その水流しの場合、木質の亜炭ですと非常に流れるものが多くなりやしないか、いわゆるロスが多くなりやしないかと思うのですが、その点はどうですか。
#48
○黒川説明員 それはやりようによつては、そんなに御心配のことはないと思います。それからもう一つ考えるべき問題は、生亜炭を洗炭した方がいいか、一ぺん焼いたものを洗炭した方がいいか、これは一つの技術の問題だろうと思います。一ぺん焼きましたものを洗炭しますと、非常に洗炭能率が上つて参ります。但しそのかわり多量に採取しなければならないという欠陥があります。ですからその亜炭の性質を調べないとちよつと一概に申し上げられません。しかしいずれにしてもある程度の洗炭は必要だと考えております。
#49
○加藤鐐造君 先ほど御説明の中にあつたかもしれませんが、大体木炭、まきにかわるれん豆炭として家庭用として、しかも価格において、木炭との比較において、十分木炭にかわり得る立場において、どのくらいの量ができるという見込みですか。
#50
○黒川説明員 これはやはり十分石炭局その他といろいろ研究してみなければならぬと思うのであります。先ほどもちよつと申し上げましたように、亜炭は少くとも終戦後三百万トン以上出たという事実がございます。そういう事実に基きまして私は現在の亜炭の生産の少くとも倍、これもしかもあの当時の品質ではなくして、もつと良質の家庭燃料の原料になるような程度の亜炭を現在の倍の量、この程度の生産ができまして、その亜炭を原料といたしまして、その五、六十パーセント、そういうものを家庭燃料に振り向け得るのではないかというふうに考えております。
#51
○中崎委員長 本日はこの程度で散会いたします。
    午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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