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1953/01/25 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 図書館運営委員会 第1号
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1953/01/25 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 図書館運営委員会 第1号

#1
第019回国会 図書館運営委員会 第1号
昭和二十九年一月二十五日(月曜日)
    午後一時二十一分開議
 出席委員
   委員長 伊東 岩男君
   理事 松浦周太郎君
      庄司 一郎君    神近 市子君
      河上丈太郎君
 委員外の出席者
        国立国会図書館
        長       金森徳次郎君
    ―――――――――――――
昭和二十八年十二月二日
 委員庄司一郎君辞任につき、その補欠として塚
 田十一郎君が議長の指名で委員に選任された。
昭和二十九年一月二十五日
 委員鳩山一郎君辞任につき、その補欠として庄
 司一郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十九年度国立国会図書館予算
    ―――――――――――――
#2
○伊東委員長 これから会議を開きます。
 国立国会図書館法第二十八条の規定によりまして、昭和二十九年度の国立国会図書館の予算が提出されております。本件を議題として審査を進めます。国会図書館長の説明を求めます。金森図書館長。
#3
○金森国会図書館長 ただいまお手元に出ておりまする昭和二十九年度予算について、お手元に差上げてありまする資料によつて御説明を申し上げます。
 まず昭和二十九年度の予定の経費要求総額は三億五千十八万六千円となつております。これは二つの部分からできておるのでありまして、一つは国立国会図書館の管理運営に必要な経費、これが三億十八万余であります。一つは国立国会図書館の営繕工事に必要な経費、これが五千万円であります。前のものは通常の事務の運営に伴つての経費でございまするし、あとの方はかねがねいろいろ御配慮を願つておりまする図書館建築の工事につきまして、この年度に行いまする仕事に対する経費であります。
 まず、館の管理運営に必要な経費について申し上げますると、これは、前年度とただ比較いたしますると、昭和二十八年度予算額の三億五千三百九十四万円に対しまして、昭和二十九年度は三億十八万六千円となつております。差引いたしますると五千三百七十五万四千円だけ減少しておることになるのであります。これには理由がございまして、前に科学技術振興に必要な経費の一環といたしまして、前年度PBレポートなどの購入費八千万円を計上してありましたが、今回はさような臨時の経費を差引いて対照いたしますると、結局二千六百二十四万六千円だけ増加をしたという形になるのであります。
 次に、国立国会図書館の営繕工事に必要な経費につきましては、昭和二十八年度の予算総額は八千百五十八万一千円であり、二十九年度は五千万円でありまするから、結局三千百五十八万一千円たけ減少した形になつております。
 以上を差引いて合計いたしますると、昭和二十九年度の予定経費要求総額は前年度に比しまして結局八千五百三十三万五千円だけ減少しておることるのであります。
 これらの予定経費の各科目はお手元に差上げてありまするところの資料の一ようになつておりまするが、おもなる事柄の御説明を申し上げますると、昭和二十九年度の経費の中には、新しい経費といたしまして、立法資料購入費二百九万六千円を含んでおります。これは調査立法の考査をいたしまするときにいろいろな新しい外国の資料を買わなければなりませんので、その購入費をここに計上したのであります。
 次にまた、二十九年度の一つの仕事といたしましては、上野の図書館の夜間開館に要する経費が百二十五万一千円計上せられております。この上野の図書館は、前には夜間開館もしておりましたけれども、その後在の中の事情の変化に応じまして、夜間開館を行わずにおつたのでありまするか、希望者は夜読みたいという熱情を持つておりまするし、またあれだけの資料を昼中のみに限定して利用の程度を薄くすることは適当でないと思いまして夜間開館のことについて研究をし、百二十五万ほどの予算が計上されました。もとよりこれは理想的に行けることではございませんけれども、まずある程度までこれで目的を達することができるのであります。
 なお、従来からの経費の中で、旅費が前年度の二割減として計上せられております。これは費用を減少する特殊の考え方に基いておるものであります。そのほかの科目につきましては、多少の増減はございまするけれども、大体前年度の通りでございまして、予昇が前年度よりふえておりまするのは、主として俸給給与のベース・アップの結果によるものであります。なお、行政改革の一環といたしまして図書館の人員を整理するという情勢になつておりまするが、図書館の仕事の性質、またこの図書館は新しくできたばかりでございまして、縮めるというよりも伸びようとする方面に努力しなければならぬときでありまするから、いろいろと苦心をいたしまして総定員五百六十六名のうちで十二名、パーセンテージにいたしますると二%強を減少することにいたしまして、世間一般の方針に調和することをはかつておるわけであります。そこで、さしあたり、昭和二十九年度におき」ましては、そのうちの九人を減少することといたしましてこれに必要な待命職員の給与及び退職手当等、必要なる経費を計上しておるわけであります。以上の次第でございまするので、何とぞよろしく御審査をお願いいたしたいと思います。
#4
○神近委員 この前増員が必要であつたように存じましたけれども、逆に今度は減員が必要になつたのでございますか。
#5
○金森国会図書館長 この前いろいろ皆様方の御配慮を願いまして主として増員をするというねらいどころは、調査立法考査局を拡大いたしまして相当の人員を考えまして皆様方の御援助を願つておつたわけであります。ところいろいろな四囲の情勢によりまして、予算の人員増加というものはほとんど認められないような状況になりまして、せつかく考えました調査立法考査局の拡大の案も思うように行かなかつたのであります。今申しました資料を買うというところに二百余万円の金の計上はいただきましたけれども、人員の方にはその方針を貫くことができなかつたのであります。ただ、内部におきまして、幾分現在の職員が減るようなことが起つたわけであります。それは、仕事が若干なくなりまして、図書館の中のある部局で減るような仕事が起りましたが、その減るのを実際は滅らさないで、五名ばかり調査立法考査局にくつつけるというような非常にこまかい仕事でありまするが、そういうふうにして、実質においては少しばかり加わつておるという形になります。減員の方は、これも私どもはなはだ不本意なことではございますけれども、日本中の各官庁が、とにかく多少の無理をしても減員をして、人間の方に努力をさせて、仕事は減らなくても人数は減らそう、こういう情勢でございまするから、私の方もそれと違うことをやりたくはございませんので、結局ここに本年度九人だけ広い範囲で縮小することにいたしました。また来年度三人だけ縮小するということにいたしましたが、本意で御説明申し上げますれば、世間にならうというような気持でございます。
#6
○伊東委員長 委員長からお尋ねいたしますが、図書館の建築費が年度割の要求額をいれられなかつたことは、これは一般的に考えまして事情もありましよう。幸い、館長以下非常な御努力で、五千万円だけは折衝されていれられたようであります。そうしますと、前年度の建築費も多少残つておりましようが、その額が幾ら、及びこの五千万円の金も加えて、どういうふうにこの建築の問題をお進めになるような御構想でございますか。
#7
○金森国会図書館長 前年度の予算は、今までのところ、実は建築のためにあまり多くを使うことができなかつたのでありまして、およそ七千万円だけまだ残つているわけであります。これは今年中、つまりこの三月一ぱいでは使い切れないと思いまして、結局翌年度に繰越す計画を持たなければならないと思つております。そういたしますと、結局合計いたしまして約一億二千万円の建築の金があるわけであります。それで、一方におきまして、建築の設計が、大体今懸賞募集しておりますのが集まつて来るのにつれて、だんだんと具、体化されて来ると思いますが、その具体化されました設計に基きまして、擁壁工事に三千万円、土地に根切り工事を施すというので二千五百万円、それから敷地の中にありますいろいろの障害物、たとえば防空壕をとりのけるというような経費が合せて約二千六百万円というような考えを持つております。それで七千万円ばかりの金がこの三つの工事に充てられております。つまり擁壁をつくることと、根切りをすることと、敷地内の障害物を除去する等の、こまごましたことをすることができると思います。そういたしますと、今年新しき年度におきまして五千万円の予算を認められますと、これによつて敷地にくい打ち工事をすることができようと思います。大体建築する場所は、今まだ確定した答えは出ませんけれども、土地は比較的堅牢な基盤であるらしいのでありますから、十分に設計に注意して行けば、五千万円の金を用いますると、相当の分量必要なくい打ち工事ができるものと思つております。当局者といたしましては、くい打ち工事にとどまらないで、その上に鉄骨を建てるという段階まで行けたら、非常に事物の進行がなめらかになつていいと期待しておりましたけれども、何といたしましても予算の金額が不十分でございますので、くい打ち工事のある分量の完成というところで二十九年度は終らなければならぬかと思つております。それにいたしましても、相当お金のかかる仕事でございますから、年限は遅れるにしても、途中でゆるみますると先の方は非常に好ましくない結果が出て来ます。速度はおそくとも、ねばり強く建築の方に進んで行けるというだけの期待は持てることと思つております。
#8
○神近委員 これは予算の関係ではございませんけれども、この前の懸賞募隻の問題で、ちよつと版権の問題か何かめん、どうになつていたのですけれども、はたから見ますと、何かちつとも問題にならないような問題に思われたのですが、あれはどういうようなことで行き違いができたのでしようか。
#9
○金森国会図書館長 この問題は、私どもも初めはこんなに深刻な問題と思つていなかつたというようなゆだんもございました。私どもの考えておりました気持は、大きな建築でございますから、日本中のあらゆる知識を網羅して基本的な構想を考えたい、そこで一般に懸賞募集に出す、こういうことにいたしまして、そのやり方は、従来日本で建築についての懸賞募集が行われました形をまねたと申しますか、大体懸賞募集の条件はきまつておりますので、その形をまねたというつもりでありました。ところが、そういう私どもの伝統的な考えでやつておりますのと違つて、建築設計家、つまり専門家の方にはいろいろ新しい空気が起こつておりまして、ことに世界的な空気といたしまして、建築家の著作権というものに非常な誇りを持ち、建築家が考えたことはあくまでこれを実現すべきものである、依頼者はそんなに強く主張をしないで、建築設計家の考え方というものを朴当強く発揮すべきものである、こういうような空気が世界の専門家の中に起つておるもののように思われます。その一つは、エネスコの関係の専門家の委員会、建築等の美術的なことを考えている専門家の一つの会合が、昨年でございましたか、イタリアで開かれまして、そこでは建築設計の競争というものについて、かなり建築一家の方から見ると理想的なくふうがこらされております。一端を申しますれば、そういう競争で建築の案ができた場合、その一等は必ず実行しなければならぬということ、あるいは多少の部分を変更する場合においても、それは精密な協議をしなければならない。それからまた、建築の実行をいたしまするときに、図案の競争に立ち上つた人はすべて実施に関係させなければならぬというような項目で、一つの議決ができております。これは、日本のユネスコ委員会に聞いてみますると、そういう専門家の会議はあつた、けれどもそれは専門家の会議の議決であつて、ユネスコ自身の活動にはまだ入つていないのである、ユネスコの本部の方でもまだ研究議題である、それはひとつ各国の意見を聞こうというような段階である、日本のユネスコの国内委員会等においてもまだ何ら触れてはいない。いわば非常な研究の初歩の段階の意見らしい思いますが、そういうものができました関係上、日本の若い建築家たちはやはりその思想に共鳴されたものと思います。そこで図書館の建築というものを懸賞募集をしたならば、その一等はそのまま実行の方に持つて行くべきものである、もしもこれにある程度の改正を加えるするならば、その技術家と主催者とが協議しなければならない、こんなような線でありました。一口に言えば、設計家の人格的な権利を尊歯せよ、しかるに図書館側の方では懸賞募集はするけれども、できた結果については、大体はその設計によるが、やむを得ぬ場合には変更することもあるし、採用をしないこともある、こんなふうになつておりますことが、非常に反感を買つたもののように思います。その結果、建築家の一部の人は、かような懸賞募集では応ずることができない、だからして、これは拒否する、つまり応募を差控えるというふうな議決をされて、「名前を連ねられたような人もあるのであります。私どもは、今までの例に従つて悪意なくここまで来たのでありますが、そういう問題が明らかになつて来ます、まだ別に実は丁寧に考えなければならぬことかもしれぬと思います。芸術のためにはわれわれはやぶさかであつてはいかぬ、このような気もありますけれども、しかし実際家の立場から見ますと、今日予算も実はないので、先ほど申しました地ならしにつきましてわずかに一億二千万円の金があるだけで、将来どれだけの予算がもらえるものかそれはわかりません。従つて、こういうような設計に応ずるなというような断固たる表明はとうていできません。もしそれをいたしますれば、予算なきに契約した、法律上の契約をした、こういう結果になりまして、やれません。私どもの立場としては、卑怯といえば卑怯かもしれませんが、実際家の方から言うと、まずいろいろな順序を踏みまして、設計ができて、それがほんとうにものになるような設計であるかどうかということを確かめまして、それをもとにして第二の手を打つて行きたいというふうな気持を持つております。つまり非常に好ましい設計ができますれば、いろいろまたその設計者と相談をするということも起りましようし、何としてもこれはしようのないという設計であれば、そんなところまで入ることはできないというふうに思つております。一歩々々と余裕をとつて予算なんかのまとまるのとにらみ合せまして、かつまた図書館の建築は私どもの一存でできるものではございませんので、この設計等につきましては、図書館建築委員会に御相談をしなければならぬ、両院の議長、図書館の運営委員会、その他いろいろなところに御相談をしてやつて行かなければなりません。そこで、一等当選のものはこれをただちに実行の方に進めて行く、そうして実行の方に進めるときに、多少直すところがあるならば協議をして得心をさしてやる、こういうところまではちよつと踏み込めない事情で蘇ります。もつとこういうものが進歩すればまたかわるかもしれませんが、現在のところでは何ともしようがございません。今ちよつと立ちすくみのような状況でございますが、数目前にその建築家の代表的な方が、朝日新聞に公開状を出して、私に対して意見を求められておるのでありましてこううときに意見を述べるがいいか悪いかということは、自分にも考えますけれども、あの建築の状況というものは私どもがかつてに考えたものではございません。国会の方、また各官庁の方、いろいろ日本のまず元老株の建築家六、七人の方に相談をしてきめたものでありますから、黙つておるということもぐあいが悪いようでございまして、私は、自分たちの責任で、そういう人たちの一人片々の意見に食い下るというか、一人々々の御意見は実際はわかりませんが、私が表面上の責任者であるということから、私個人の意見として建築家にひとつ所見を述べて、もしできるならば、雅一量を開いて、われわれのこの企てに協力してもらいたいということを今日言おうとして去りまして、まだそれを明白にした段階までは行つておりませんけれども、二、三日のうちに明白にしようと思つております。その結果どういうことになるかわかりませんが、相当私にとつては大きな問題になつております。
#10
○神近委員 私もその点ははつきりたさつておおきになつた方がいいと思います。個人企業のビルディングや何九と違いまして、そういう複雑の内容か含んでおり、予算、委員会、そういうようなものを含んでおるということ一徹底していない。それで、若い人たちが、自分たちの理想というか、あるいはよそのものに示された決議なんかに左右されておるということもあると思います。それは要求をいれ得る限界というものをはつきりなさつておいた方がいいと思います。私が、あの記事を拝見しましたときにちよつと責任を感じまして、どういうところに問題があつたか考えたわけでございます。
#11
○庄司委員 簡単に。大分緊縮予算の御迷惑で、八千五百余万円の圧縮を受けられまして、経理運営の面において非常な御困難であると思いますが、こういう緊縮も国家全体の財政経済の上から余儀ないこととは言いながら、やはり三十年度においてはでき得る限り私どもも努力いたしまして、国会図書館の要請さるる予算額、あるいはそれにきわめて近い程度を確保したいと思います。与えられたるこの範囲で、でき得るだけ運営の面に御善処をお願い申し上げるよりほかないと思います。
 この際ちよつと館長さんにお尋ねしておきたいのは、けさの朝日新聞ですが、創立七十五箇年の同新聞社の長い発刊の自祝的なお祝いがあるようでありますが、朝日新聞のごときは、長い間にわたつて相当りつばなる著作を、単行本を編纂され、これを国民個々に提供されておるようであります。こういう場合において、やはり館長さん、して、あるいはまた本委員会の委員長として、わが国の最も優秀な権威のある著作の編纂あるいは発行等に対しては、ひとり朝日新聞には限りません。適当な祝辞を送られる何らかの適当な方法が願わしいことではないかと考えるのであります。同朝日新聞の大正年間において発行された――御記憶にあられる上思いますが、国民常識講座というような財政、経済、文化、教育、各般にわたるところの全集的な著書のごときは、相当わが国の読書界に裨益を与えた点が多かつたと思うのであります。そういう文献上の功績に対して、国会図書館長としての職務権限の上にはあるかないかはわかりませんけれども、適当な祝意、祝辞等を寄せられる等のごときは、またふさわしいやり方ではないか、こんなように考えられるのであります。別にあらたまつた御答弁は御要求申し上げません。御考慮くださいまして、よき著作、内容のいい本を苦心、苦労の上編纂されて国民に提供されたそういう方面には、一片の敬意を表されるということが望ましいことであると考えております。
 以上だけ申し上げます。
#12
○金森国会図書館長 実はけさその新聞を見ましただけで、まだ今おつしやつたようなことまで深く考えておりませんが、適当な機会に十分その気持を表わすようなくふうをしたいものと思つております。
#13
○伊東委員長 別に質疑はありませんか。
 他に御発言がなければ、この際お諮りいたします。昭和二十九年度の国立国会図書館の予算に対しては、勧告を付さないで議長のもとに送付することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○伊東委員長 御異議ないと認めまして、さように決しました。
 次会は公報をもつてお知らせすることにして、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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