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1953/04/16 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 図書館運営委員会 第2号
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1953/04/16 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 図書館運営委員会 第2号

#1
第019回国会 図書館運営委員会 第2号
昭和二十九年四月十六日(金曜日)
    午前十一時二十五分開議
 出席委員
   委員長 伊東 岩男君
   理事 武知 勇記君
      尾関 義一君    庄司 一郎君
      青野 武一君
 委員外の出席者
        国立国会図書館
        長       金森徳次郎君
    ―――――――――――――
一月二十七日
 委員淺沼稻次郎君辞任につき、その補欠として
 三宅正一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員益谷秀次君辞任につき、その補欠として林
 讓治君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
二月十一日
 委員庄司一郎君辞任につき、その補欠として鳩
 山一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
 委員山口喜久一郎君辞任につき、その補欠とし
 て有田二郎君が議長の指名で委員に選任された。
三月十七日
 委員有田二郎君辞任につき、その補欠として加
 藤鐐五郎君が議長の指名で委員に選任された。
四月一日
 委員三宅正一君が辞任した。
同月十六日
 委員加藤鐐五郎君、鳩山一郎君及び神近市子君
 辞任につき、その補欠として庄司一郎君、尾関
 義一君及び青野武一君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する
 規程案について承認を求めるの件
 国立国会図書館運営の経過報告
 図書購入に関する件
    ―――――――――――――
#2
○伊東委員長 これより会議を開きます。
 国会図書館より、国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程の制定について、本委員会の承認を求めて参つておりますので、これを議題にいたします。まず図書館長の説明を求めます。金森国会図書館長。
    ―――――――――――――
#3
○金森国会図書館長 ただいまお手元に差上げておりまする国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案の理由を御説明申し上げます。
 図書館におきましても、ほかの官庁と同様に職員の行政整理を行うことになりましたので、その職員の定員を若干変更する必要がございます。そこでこの規程の御審議を願うのであります。図書館におきましては、本年度内におきまして総定員五百六十四名の中から九名を減らすことになりました。結局九名とは申しまするけれども、いろいろの種類からできておりまして、この中には雇用員と主事を含んでおるわけでありまするが、この主事、つまり古い考え方で申しますると判任官というような面におきましては、二人だけ減員をすることになつております。そこで、国立国会図書館定員規程の中で、主事の定員を二名減ずるというのがこの改正の趣旨であります。そのほかに雇用員以下の定員を七人減員するのでございますけれども、これは規程以外の方法によりまして、内規によつて減らすことになつておりまするので、今日表向きに御承認を得る方には入つておりません。
 なお、これにつけ加えまして、国会の方で今国家公務員法の一部改正の法律案を御審議になつておりまするが、その国家公務員法の一部を改正する法律案というものがかわつて行きますると、人事院の支部図書館が自然に名前を変更することになろうと思つております。そうなりますと、国会図書館の方でこれを受けまする規程にも、人事院図書館の名前を変更しなければならぬことになるのであります。ただ、まだ公務員法の改正の法律案が議会を通つておりませんので、従つてその支部図書館たる人事院の図書館がどんな名称になるものであるか、どんな組織になるものであるかということが、今日確認することができません。従つて国会図書館の方でこれを受ける規程を直すことができない事情になつております。もしもこの会期の適当な時期に法律が改正になりまして、そしてその会期中に国会図書館の組織規程を直す余裕がございますれば、そのときに規程を改正いたしまして、運営委員会の御承認を得たいと思つております。しかし、実情を一応想像してみますると、会期が切迫して、規程を改正する余裕がないようなことになりはしないかと想像しております。万一そういうようなことになりまするならば、多分支部図書館の名前をかえて、人事院図書館というものが人事委員会図書館というような名前におちつくものではないかと想像しております。非常に軽微なことでございまするので、そのときは、もしお許しを得たならば、図書館の方は一応規程を改正いたしまして、適当な機会にその事後承認をお願いいたしたいと存じております。ほかのことにまで及ぶ趣旨は毛頭ございません。名前の変更だけに関するものであります。つけ加えて一応お許しを得ておきたいと存じております。
#4
○伊東委員長 ただいまの説明に対して何か御質問はありませんか。
#5
○庄司委員 行政整理の趣旨に基いて、政府が結局公務員の数を能率の合理化の範囲内において減らす、こういう趣旨はよくわかるのでございまするが、ただいまの金森館長殿の御報告、御説明によりますと、総定員五百六十四人のうちから九名の整理者を出すという。館長さんにとられても、館全体としても、これは決して喜ばしいことではないと思います。一つのやはり国家の方針の犠牲になられるところの九名の諸君であります。でき得べくんば犠牲者を出さないというような方針にむろん館長さんもお考えなされ、それぞれの御対策をとられ、おそらく最小限度九名の犠牲者の承認をなされた上において、この一部改正の規程を御提案になつたものと思います。
 そこでお尋ねの第一点は、九名をやめていただいた後において、図書館運営上に絶対支障がないか。支障がないように、より合理的なる運営が行われて行きますならば、それでまあまあいいというわけになりますが、九名の諸君が退職されるあかつきにおいて、館の運営の全面において何らの支障を招来するおそれがないか、これが一点。
 それから、この九名の諸君は向う一箇年間に整理されるのでございましようが、これはこの内閣が本年度初めて採用された待命制度というような、多少同情のある、あのやり方を採用されての待命、退職でございましようか、これが第二点。
 第三点は、九名の諸君の中には、職を失つて、さらにその後新しい就職口を見つけなければならぬという人もございましようが、たとい正式に一応は整理されても、図書館の員数外として、あるいは嘱託というか、臨時雇といいましようか、何らかの方法で最小限度の生活の安定をはかつてやるような道がございませんでしようか。ただ国の方針であるから九名の者は――九名の諸君の御年齢、御年輩等は私にはわかりませんが、さしあたり退職後に生活に困るという者が確かにあると思うのであります。そういう諸君を、今度その後において、定員外の何らか嘱託なり、臨時雇なり、雇用員なりに再び、よくよく職のない者は援護的な意味において使つてやる、あるいはまた国立国会図書館でありませんでも、各地方の都道府県の地方図書館なり、あるいは相当大きな学校の学校図書館なり等に就職をあつせんしてやるというような思いやりのある方法をとられることも当然なことであり、またさようなお考えもあることと思いますが、そういう点はいかがでございましようか。
 以上のことを一応お尋ねを申し上げて、簡単なお答えをちようだいしたいと思います。
#6
○金森国会図書館長 ただいまのお尋ね、まことに図書館員のためによくお考えくださいまして、ありがたいと思つております。大体この九人の減員ということは、それが図書館の運営に支障なしということは断言はできませんので、必要なる数をよく調べて今日の定員をつくつておりますから、この上に、りくつをいえば行政整理の余地は残つていないのであります。ふやすことこそ必要であるけれども、決して減らす余裕はない、一面のりくつから言えば、さように思つております。しかし、今一つの大きな方針に従つて行政整理をするというときでありますから、なるべくこれに順応したいと思つておりました。幸いにして図書館に対する諸方の同情がございまして、その整理の率は非常に少いのであります。およそ六百人の中でございますから、その一割ならば六十人ということになりますが、それが九人くらいでおちついたということは、非常にやむを得ぬことではありますが、われわれもこれに同調するのが適当と思つておりますので、ただいまのところ一生懸命各人の能率を発揮するように努めて、まずさしあたり支障がないもののように思つております。
 それから次に、それらの九人の人全部が希望待命という方法によることができましたので、その点につきましても、さしあたりは無理なことがないと思つております。
 なお、現実に整理をされました人々は、いろいろな事情がございまして、たとえば非常に年齢が高くて、まず世の中の常道に従うというのもございますし、そのほかまた家庭の事情等によりまして仕事をやめることも理由があるということがございまして、今のところは、その人たちが現実に就職にさしつかえがあるという人は一人もないと思つております。しかし、それにしても、不幸なる人が発生いたしませんように十分注意しておりまして、就職等の関係も、必要が起つたならば考えたいと存じております。
#7
○伊東委員長 他に御質疑はありませんか。
#8
○青野委員 金森館長にちよつとお尋ねいたしますが、大体庄司委員の御質問でお答えを願いましたので、了解はできたのでありますが、なお念のために、今のお答えの中にございましたように、五百六十四名の定員が九名減つて五百五十五名になるが、図書館の運営から、この事業の性質から行きまして、大体整理をしてもらいたくないというのは責任者として当然と思う。私どもは五、六年衆議院の労働委員でありましたが、農林省だ、文部省だ、図書館だ、あるいは厚生省だと申しまして、画一的に行政整理をやることはどうかと思つております。実際に基準局あたりは全国にそれぞれございますが、これはむしろ二割程度くらいは増員しなければ実際やれない。全国的に産業施設を研究しましても、労働基準局の定員の少いために十分の監督もできない。あるいは旅費、宿泊料なんという費用は非常に減少しているので、実際やれない。こういうところはむしろどこか大きいところを減らして、そちらの方に二割なり一割五分の定員を増加させるということなら、われわれも納得するが、私は社会党の左に属しておる者ですが、これは画一的な行政整理に対しては賛成することはできません、ここでお尋ねしたいと思いますのは、九名くらいの人を減らすのにそう支障はないとかりに思いましても、何のために九名減らさなければならぬか。これを考えると、結局五百六十四名が九名減つて五百五十五名になつても仕事にはさしつかえないとしても、むしろ大きくやつて行けばまだ定員を増加してもいいのじやないかと思う。そういう点について、気がねをなさらずに、腹蔵のない御意見をもう一ぺん私からお尋ねしたい。
 それと、今のところでは、これは希望待命であるから、九人の諸君の職業あるいは生活に大して支障のないようなお話も今承りましたが、これは、はつきり申しますと、何もお役人さんばかりが職業じやありませんから、配置転換さえ十分できればさしつかえないと思いますけれども、やはり政府の一つの行政整理の方針によつて、国立国会図書館の方でも九名整理をするということになれば、その点については、やはり一部の諸君は生活上そこに大きな変動が出て来るのじやないか、そういうときに、定員外で嘱託や臨時雇や何かで、やはり前の仕事をしておるような立場に、館長自身の裁量によつて、九人整理されれば九人の人を適材適所にこれを使つて行くというようなことは、できるものであるか、できないものであるか、この二点をちよつとお尋ね申し上げます。
#9
○金森国会図書館長 行政整理というものは、いい面もございまするし、悪い面もございまして、実は、今仰せになりましたように、私どもの図書館はできたばかりというわけでございまして、これからほんとうの一人前の姿にして行くところでありまして、でき上つたばかりで必要な定員をくれるわけもない。次第々々に育て上げて大きくして行こうというときに、五年何箇月たつたところで一般の行政整理の線に沿つて人を減らせということでございますから、筋からいつて、純理からいつて、無理なことである、こう言つて反抗すべき筋合いのものであります。実際、今仰せになりましたように、古い官庁になりますると、中でいろいろむだなところもできまするし、ことに人としても、そこに適当でないというような人も出て来まして、いろいろな方法によりましてこれを新しい姿に直して行く、その一つに行政整理がたいへん役に立つておると思いますけれども、私どもの図書館は今申しましたように新しきものであり、伸びつつあるものでありますために、その整理をする適当な面は非常に少いのであります。ただしかし、いろいろな従来のものも踏襲しておりまするので、その中には、年齢等の関係で、一応この辺のところで新陳代謝をするということのりくつの立つものもございまして、新陳代謝だけならば定員の減るわけはありませんけれども、それが行政整理の一つの別口の意味も持つておりまして、とにかく惜しいけれども、年齢その他の関係によつて、そのときに職を雑れてもらう、こういう者も少数ございます。その辺のところで、この整理が私どもにとつては意味を持つておりまするけれども、大局から言えば実際そういつたものでありまして、いろいろと人員増加の方もお願いいたしましたが、この予算の方ではそちらの方は考慮に入れられなくなつて、いわば大勢順応であり、そこにいろいろ苦心をして、かような結果になつたわけであります。
 それから、やめた方が新しき職を―何か名前はかわつてもほかの立場において仕事に従事せられるようにしたいということについての意見でありまするが、行政整理は今度が初めてでありませんので、前にやりましたときにはそういう方針、たとえば現実に本職を持つておる人は、やめてから今度別の名称によつて恩給その他を考慮してやつて、大体従前の収入と同じように得られるような道も講じたのであります。しかし今回の場合は幸いにしていろいろの個人の事情でこういうところを乗り切つて、押し切つて行つて支障がないというような人もございまして、今回の場合にはそういう顕著な場合は起つておりません。やめる人はやめることになつております。ただ人数が減つたということは、いかにしても補いがつきませんので、それは何とかして補いたいと思つておりますけれども、今日の一般の制度からしてそう思切つたこともできませんので、さしあたりアルバイトというような面で、つまりごく簡易な形で職を求めるという人の一部分を、人選等をよくいたしまして、実際の仕事にさしつかえのないようにやつて行こうとしております。、だから、一般的に言えば、これだけの仕事を整理いたしますれば跡始末をよほど苦労しなければならぬと思つておりますけれども、今度の場合にはまだその顕著な必要を感じておりません。
#10
○青野委員 よくわかりましたが、もう一つ念のためにお聞きしておきたいと思いますのは、待命退職ということを御答弁のうちに承りましたが、その九名の方の平均年齢はどのくらいですか。五年ちよつとということは国立国会図書館としてわかつておりますが、それぞれの家庭の事情とか、待命退職の希望者とかいうものもありましようが、平均年齢はどのくらいですか。
 それと、大体今のところは心配がないが、もし心配な人、たとえば自分たちの希望する職にありつけないような場合には、館長が先願に立つてひとつ職業のあつせんをしてもらいたいと思いますが、その点が一つ。
 それから、九名の諸君で、年齢にもよりましようが、退職金は、九名のうちの最高額と最低額はどれくらいかということを念のためにお尋ねを申し上げます。
#11
○金森国会図書館長 この場合九名ございましたが、実際主として待命退職になりました人は六十歳以上であります。そのうちで、ある意味においては惜しいと思つている人は七十歳以上でございます。目も相当不自由で、ただその人の持つておらるる学識経験という点について非常に尊敬すべき人でございましたけれども、種々の情勢から考えまして、常識上そういう方はもつと気楽に働ける地位をお持ちになる方がいいということで、はなはだ複雑なやりくりではありますが、職業をおやめになつても、りつぱに気楽に学者としての生活がやつて行かれるような方法をもつて処置しております。それからなお六十歳以上の人、六十三、四と思いましたが、これは自動車の運転手で、自動車の運転手は、幾ら技術がございましても、六十歳以上というものはどうもぐあいが悪いので、そういう者もやむを得ぬと思つております。ただごく若い人か二、三人ございまして、これは特殊な女の人であります。特殊の事情によつているわけであります。そこで退職の金でありますが、最高は九十七万円、最低が十万円前後であります。その平均というものはちよつと急に出ませんが、最高九十七万円というのは、つまり若いときから一つの仕事を、よその官庁を通じてでございますけれども、ずつと続けて、六十三、四歳になつて自動車の運転手をやめた、こういう人であります。
#12
○青野委員 もう少し伺いたいのですが、この九名の人の職業のあつせんというか、その点は最前お答えの中に聞いてはおりますが、今のところ退職される九名の方は、館長が先頭に立つて親切に職業のあつせんをするようなことは必要はございませんか。大丈夫ですか。
#13
○金森国会図書館長 現在のところは、今の定員外で、在職せられると同じような給料を得ておりまするから、それが続く間は別条はございません。ただそれが済んでしまいましたときにどうなるかということになりまするが、一人々々の身分というものはなかなかわかりにくいものでございまするけれども、私どもが話し合つた範囲では、子供もりつぱに成長した。たとえば自動車の運転手を何十年継続しておる、そのうちにお子さん方が大学を出てそれぞれ職を持つておるというので、どちらかと言えば恵まれた事態であり、ことに年齢の関係で仕事をすることが非常に苦痛であるために、いつどんな間違いが起るかもしれぬと懸念しておつたような人でありまするから、それはまず無事に行つておると思います。それから今の非常に学界にりつぱな業績を上げた方で、七十歳を越して、しかも目がほとんど両眼とも普通には見えないので、ただ一種の第六感というようなもので、ときには字を書かれ、書物は人に読ませるというような方がございましたが、これは世間が捨てておきませんので、名前は別として、国の経費ではございませんけれども、その人の将来はちやんと客観的に保障されておるようであります。若い人のは、これはほんとうはよくわかりませんけれども、お嫁に行くのが主眼点であつて、機会を待つておつたというようなことでありまして、今のところは心配ないと思つております。
#14
○庄司委員 図書館等を退職された諸君に、もしそのお考えがあるならば、私は平素いい考えを、独創的な考えを持つておるものであります。これはほんの御参考までに申し上げて、御答弁も何もちようだいしませんでけつこうでございます。それは、わが国において図書の整理を指導するところの団体がないのであります。個人であろうと、あるいは団体であろうと、どうも図書の整理というものが、各家庭において、あるいは現在小学校、中学校等においても、正式な図書の分類法による図書の整理というものができておらない。そこで、ぜひそういう団体が、社団法人か財団法人か、願わくは法人化したものの団体が必要である。員数は五名なり十名なり、適当でけつこうでございますが、実は元代議士であつた法学博士の角田幸吉氏の宅を訪問しました際、書齋に何万という本が山積はしておるが、非常に乱雑なる置き方をして、そこには何ら法学博士の角田君であるけれども、御多忙のためか、あるいは図書に対するところの整理の観念がないか、そこはわかりませんけれども、乱雑きわまる図書の配列をやつておつた。そこでぼくは、角田君に、こんなことじやいかぬ、経済は経済、行政は行政と正しく分類して、いつでも、その本が出せるように、そういう方法をとつておく必要が図書の保存の上からも大切であると言いましたが、忙しいので、こういうものをやつてくれる商売人がないものだろうかという話でございました。私なんか約二万冊の図書を持つておるが、なかなか理想的に行きません。そこで図書館等を退職された諸君が中軸体となられて、たとえば名前は図書協会でもいいし、図書保存会でも何でもよろしい、そういうような民間の団体が出て、よくこの図書文献というものの貴重さを普及すると同時に、各家庭まで入りまして、もつとも百や二百の本ならば整理する必要もないでありましようが、相当部数の図書を保存しておる家庭においては、そういう人の指導、あるいは整理方法等に多少のお金を出しても、それは必要性のあることであると考えております。そういう意味において、願わくは、今回の九名の方はそれぞれ職業がある、あるいは老後を養うに足る財力があるかもしれませんけれども、これは政党でいえば政党の院外団のような形で、図書協会のような、あるいは図書保存の会のようなものが自然発生的に生れて、それが一個の独立の企業体になるというような場合は、全国の図書館などの退職者のためにはまことに好ましい適当な仕事ではないか、またそういう仕事があつてよろしいのであるというようなことを私は考えておる一人でございます。実は退職された方と機会があれば座談会でも開いて、そういうものをつくることをお進めいたしたいのであります。これはただいまの議題外のことでありますから、ほんの思いつきを御参考の一端に申し上げておくだけであります。
 もう一つは、図書をよく整理するだけじやなく、表紙の破損その他を修理するためのごく簡易なるところの図書の製本の技術を、わが国全体として普及する必要がある。小学校、中学校その他の学校へ行きましても、破損した本がそのままの状態になつておりまして、私ども、子供の時代は、ノートブックをつくるとか、あるいは本の小破損を修理するというようなことも、手工という科目において先生に教わつたものであります。ところが今はそういう教科課程もございませんので、ぜひこれは国立図書館等が中心となり肝いり役となられて、簡易なるところの製本の技術を指導講習するようなそういう仕事をも、もつとひとつ拡大してやつてほしいものである。そういう面等には、図書館を退職された諸君などには、ふさわしいお仕事の一端ではないかというようなことを考えさせられておるものでございます。別に御答弁も必要ございません。念のために御参考までに申し上げます。
#15
○伊東委員長 ちよつと図書館長に委員長としてお尋ねしておきます。
 国会への図書館の奉仕の一番中心は、やはり調査立法考査局の強化でありますが、この強化について、すでに委員会で決定いたしたことがありまするけれども、これは相当増員する予定であつたのであります。ようやく今、議会人が国会図書館をほんとうに活用する時期が来たのでありまして、強化するということが必要でありまするが、あれは一体その後どういうぐあいになつたのでありまするか。あの成行きと、もう一つは、昨年追加予算で相当額の予算をとつた新しい事業でありまするが、これはむしろ相当人員がいるわけでございますが、この人員のやりくりは一体どういうぐあいにされておるのでありますか。
 もう一つは、各図書館を見ると、せつかくりつぱな文献が虫つづれになつて、ぼろぼろになつておるので、相当これにも手入れをする必要があるのでありますが、これらについては臨時雇い等について相当流用ができるのでありまするか、その点だけを一応お答え願いたいと思います。
#16
○金森国会図書館長 図書館の予算をいろいろと考えておりましたときに、いわば行政整理の波というような、むしろ行政整理というより財政緊縮という波にぶつかりまして、思うところはほとんど停頓をしてしまつたのでございますが、この予算が、経費縮小という波に乗つて、とにかくこれに対して順応しなければならぬというときに、私は、三つの点をもつて、ぜひそれだけは生かしてもらいたいということを、大蔵大臣のところに行つて、陳情と申しますか、主張と申しますか、やつたのでありまするが、その一つは、図書館の建築ということであります。その一つは調査立法考査局の拡充、つまり本図書館の一番主と考えておりますところの事務を拡充するということ、いま一つは、図書館は何といつても書物を本元としてたくわえなければならぬのに、書物を購入する経費が恐ろしく切り詰められておる、これは困るというので、図書館の遠大な計画として、建設と調立の拡充と図書館自体の拡充と、こういう三つをもつて大蔵大臣に申し出たのでありますが、しかしいろいろの事情、ことに私どもの微力は別としても、各方面から御援助をくださいまして、そのうちの建築の面は、ある程度に存続するというふうに承認になりました。それから調査立法考査局の人員の拡充、これは相当理想的な計画を持つておつたのでありますが、何か数字を申し上げますと、あまりにもわれわれが力がなかつたといいますか、知恵がなかつたと申しますか、八十三名の要求をいたしまして、五名だけ増員をせられておるという形になつております。それから図書の購入ということは、ごく微温的に、あるいは間接にふえてはおりまするけれども、直接な意味におきましては目的を達しなかつたのであります。
 なお、今お尋ねになりましたPBリポートの点は、人員増加ができませんので、正式な職員ではなく、別の方法で必要欠くべからざる人間を満たしておるのであります。非常勤職員を主たるものといたしまして、九名の人によつてのつぴきならぬPBリポート及びこれに関連しておりますことに充てておるのであります。
 なお、図書館の虫食いあるいは消毒等につきましては、これはまことに図書館永遠の計画としては大事なことと思つております。現在私の方でやつております中央の図書館の方は、まだ何しろつくつて間もないのでありますから、虫等の排除に非常な努力をするほどの段階にはなつておりません。書物を手に入れたときに、危いものは厳重に消毒する、あるいは簡単な方法で燻蒸をいたしまして消毒をする、こんなことをやつております。但し、上野の図書館につきましては、やや努力を要すべきものがございまして、ほんとうにやりますれば、よほどの金をかけなければならぬと思つておりますが、今のところ、いろいろな方法をもちまして、ごく根気よく、局部的に注意しておるのであります。たとえば和本につきましては、その問題が強いのでありまして、それは若干の職員がやつておりますけれども、近代図書館として誇るべき設備まではまだ及んでいない、いわば、はずかしいという状況であります。新聞紙などにつきましては、腐敗に対する防備も実はよくできておりません。これは漸次努めるつもりでございます。
#17
○伊東委員長 青野君、何か御意見がありますれば御発言を願います。御意見でも希望でもけつこうです。
#18
○青野委員 先ほど質問の中でちよつと申し上げましたが、私ども社会党としては、大体今度の政府のやつておる行政整理には絶対反対の態度をとつております。それは受入れ態勢が十分でないということと、画一的にやつておるということ、そういう点に論拠を置いて、党をあげて挙党一致の態勢で反対をしておりますが、先ほどから庄司委員や私どもの質問に対する金森館長の御答弁を聞き、また提案理由の説明を聞いておりましても、その内容は、聞いてみれば、なるほどとうなずける点がございます。われわれは原則的には行政整理に反対でございますが、この九名の図書館関係者の職員の待命休職といいますか、希望待命に対しては、若い女の方がやはりお嫁入りの絶好の機会に直面しておつた、それから七十歳以上の人が、有名な学者で、実際仕事に携わることが困難である、六十歳を越した運転手は、その業務の関係からいつて非常に危険性が伴つておるといつたような人が、快く退職を希望して、生活に大体支障がない、こういうことを聞いてみると、これは表から見て、ただわれわれが党の決定に服従して絶対に反対だと言つても、内容によつては、やはり認めなければならぬ点もございます。そこで私ども積極的に双手をあげて賛成するという意味ではございませんが、この内容はなるほどとうなずける点がございますので、これはやむを得ないことではないかと私も考えます。きようは神近市子君のかわりに私が代理で来ておりまして、図書館運営委員会の関係は詳しくは知りませんが、私は、議運に席を持つて、党の政策については常に関係をしておりますけれども、この程度の整理はやむを得ないじやないかと思いますので、私は消極的な意味で賛成の意を表しておきます。
#19
○伊東委員長 お諮りいたします。本件はこれを承認するに御異議ありませんか。
#20
○伊東委員長 御異議ないと認めます。よつて本件はこれを承認することといたしました。
 なお、先ほど館長から中出のあつた組織規程の一部改正の件については、館長において制定せられた後に、本委員会の承認を求められることを了承いたしたいと存じます。
#21
○庄司委員 この際、きわめて簡単な発言をお許しいただきたいのですが、いかがですか。
#22
○伊東委員長 それは少しあとにしていただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#23
○伊東委員長 国会図書館長より図書館運営の経過について報告の申出がありますので、この際これを伺いたいと存じます。
#24
○金森国会図書館長 昭和二十八年四月から二十九年三月まで、つまり過去一年間の図書館の経過の大体の御報告を申し上げたいと思つております。しかし、その内容につきましては、おもに数字が基礎になつておりますので、印刷いたしましたものを二部お手元に差出しました。一つは実質的な報告の要綱でありますし、一つはその報告の材料となりますこまかい計数を差出しておるのであります。大体そのような数字に基きまして、幾らか重要な点を口頭をもつて申し上げたいと思います。
 この年度の中で行いました業務のうち、おもなるもの数項目を申し上げたいと思つております。
 一つは、印刷カードの一枚売りということであります。御承知のように、図書館は、日本で発行せられまするところの書物について印刷カードをつくりまして、これに必要な印刷をいたしまして、どこの図書館でも、カードを置きさえすれば、わざわざ自分のところでカードをこしらえなくても済むというふうな事業をだんだんと完成さして来ております。こういたしますれば、日本中の図書館の仕事が相当はぶけまして、一枚のカードを買うことによつて、人件費も相当節約できるということになつております。ところが、実際は、金の都合で一枚ずつ買いに来られましても、これを引受けておると、手数がかかつて、また経費もかかつて、とてもやりきれないというので、研究を続けておりましたが、いよいよ各方面の要望に応じまして、印刷カードの一枚売りを始めることにいたしまして、印刷カード販売規則を少し改正いたしまして、昨年四月一日から一枚売りを実施しております。一般からごらんになりますと、これは小さなことのように見えるかもしれませんけれども、しかし、だんだん発展して来ますと、日本の図書館が、一冊本が出るごとに自分のところでカードをつくつて、学問的な分類をすると、非常に不経済なことであります。そこで、一枚売りの制度というのは相当意義深いものと思つております。この三月末までに一枚売りのカード総数九万四千二百十二枚を販売しております。しかし、なかなかこれは、各地方の図書館等において経費やそのほかの都合もございまして、そう急速な進展を見られないかもしれませんけれども、これを拡大してお役に立つようにして行きたいと思つております。
 次に第二として、図書館資料を写真で複写するということの仕事の実施と、マイクロフイルムの施設を充実したということであります。近代図書館におきましては、本を読ませるというだけではなくて、図書館にある資料を写真等によつて複写をいたしまして、これを手軽に人々の手に得させるということと、それからマイクロフイルムによつて書物を写すところの施設をするということが、かなり重要性を持つて来たわけであります。この三月末現存までに六万五千百四十二こまのマイクロフイルムを希望によつて写真複製をいたしました。それから、マイクロフイルムを写すことの施設につきましては、御承知のように、さきにロックフェラー財団からかなり大がかりな設備の寄贈を受けまして、その品物もだんだん到着をいたしまして、大体最近におきましては、あとから注文したものわずかを除きまして完備したわけであります。目下その施設のとりつけを急いでおります。ある時期にはこれが十分働き出すというふうに考えております。
 それから第三には、マイクロ写真の展示会をいたしたことであります。近ごろマイクロ写真ということが相当やかましくなつて来ておりまして、この方法によりますと、日本の図書館事業が非常に発展する。のみならず、図書館ばかりではない。あらゆる意味におきまして、たとえば裁判所の記録とか、あるいは戸籍謄本とか、こういうものがマイクロ写真になつて行きますれば、能率も上り、経費も減る、確実さも持てる、こういうふうな時代になつて来たのでありますが、そこに多少宣伝の意味をも含めまして、図書館では、昨年の十一月初めの、いわゆる文化の週間というときに、マイクロ写真の展示会を開催いたしました。大体日本で得られるあらゆる種類の機械、あらゆる方面の発達を人々に見られるようにいたしまして、一万五千余人の入場者がございました。
 それから第四は、PBリポートの購入であります。前から申し上げておつたのでありますが、PBリポートにつきましては、昭和二十七年度の補正予算――今としては古くなりましたが、昭和二十七年度の補正予算によりまして、その購入費が七千万円認められまして、そのうち一千万円は施設の費に充てまして、六千万円をもつてPBリポートの第一次の注文をいたしました。ここまではすでに御報告しておりますが、昭和二十八年度の補正予算で、また科学技術振興費として、国会図書館の分のPBリポート等の購入費が認められましたので、いろいろとそれによつてまたPBリポートの第二次の発注を行いました。今まで注文をいたしました総数は十万三千九百九十四件、約十万四千件でございます。それから第二次に三千五十件、その注文の中でこの三月の末までに五万五千五十九件だけが到着をしております。外国では仕掛が発達しておるから、注文したらすぐにも大部分が到着するかと思つておりましたが、なかなか数が多いのでありまして、一応写真に写して整備しなければならぬのでありますから、自然遅れるものと思いますが、ともかくも五万七千件以上が到着をしておりまして、その全部を今公開しております。
 次に第五といたしましては、原子力関係の資料の購入ということであります。これは昭和二十八年度科学技術振興費の中に含まれておるものでありまして、その二千万円をもちまして原子力関係資料を収集することになりました。これは、私どもの原子力資料というものは、書物、雑誌等の文献を買うことでありまして、しかもその範囲はひとり科学ばかりではございません。医学あるいは政治、法律というような面にも及ぶくらい、いやしくも原子力ということに関係をして、日本での心構えをする上の必要なる文献という意味であります。原子力をある意味で積極的につくる、こういう意味を離れて、もつと広い範囲において収集いたしておるものであります。これはなかなか資料が得られないのでございますが、国内の資料はもとよりといたしまして、外国に対しましても単行本二千六百四十三冊、雑誌二百二十種の注文をいたしました。この三月末までには単行本が七百五十八冊、雑誌百六種が収集されております。これが入りますれば、日本の研究家にかなり自由な方法で貸し付けて、十分利用してもらいたいと思つております。
 それから次に、PBリポート及び原子力資料の閲覧室の開設であります。これは、赤坂の本館のわきのところに、場所がありませんので、宮内庁所有のコンクリートの建物一棟を借用いたしまして、そこでPBリポート等の閲覧をさせることになりまして、各種の米国製のリーダー、読む道具、ドイツ製の道具、国産の道具、合せて十合目ばかり備えつけております。これをここで開設いたしまして以来、あまり閲覧者は数は多いとは言えませんが、四百五十人、それからまた写真を複写してもらいたいというのが二万三千八百二十三こまと申しますか、ページに上つておるのであります。
 いま一つ第七として申し上げたいことは、これは科学、発明等に属しますPBリポートを東京だけに備えつけておくということでは、全国の人がこれを利用することが困難であります。しかもそんなに幾つもこえることができません。いろいろ考えておりますうちに、国会の協賛を経まして、予算等もいただきました。そこで、ただいま大阪の方へ持つて行きまして、PBリポートを利用する人の便宜のために、全部の複製を大阪に備えつけようという計画を立てまして、今日までこまかい写真を拡大して目で読めるように、写真の八つ切りに当りますが、目で読める程度の大きさのものにいたしまして、ただいまのところでは二百十五万一千五百ページだけ複写いたしまして、大阪の府立図書館にその閲覧室を開設いたしました、私は昨日大阪の府立図書館に行つてその大要の様子を見て参りましたが、まだ、実情をいえば、われわれの予想する約十一万件を一ぺんに備えるわけに行きません。今のところその一部分を持つて行つておるにすぎませんが、ずいぶん各方面の注意を引きまして、新聞紙等も確か八紙がこれを書き立てておるような次第でございます。
 次に第八といたしまして、図書館の建築の予算、それから建築の準備のことを申し上げたいのでありますが、これはいろいろ変化を遂げまして、二十八年度つまり昨年度におきましては八千五百万円が計上をされましたが、いろいろ予算の成立が遅れて、大蔵省との交渉に手間取つた等のために、実際予算を使うことができるようになりましたのは十月であります。それ以来いろいろの基本となるべき設計の作成その他の準備をいたしましたが、これが遅れまして、実際の経費としては八百二十七万四千円を使用したにすぎません。その他の金額はまだ使わずに残つておるわけであります。いろいろ財政整理等の関係もございまして、現在七千三百三十万円ばかりは二十九年度の工事費に繰越すこととし、大蔵省の承認を得ております。
 次に、建築の準備について申し上げますが、これもいろいろ複雑な問題がございまして、昨年七月十四日開かれました衆参両院の図書館運営委員会の打合会におきまして相当の御検討を願いまして、建築延坪一万五千坪という計画のものを二期にわけてつくるというふうになりましたことは、御承知の通りであります。しかし、これを実際の面に持つて行きまするために、必要な方面との相談も大切でありまするので、いろいろの専門家を含めまして建築協議会というものを設け、昨年の八月にその規程をつくりまして、九月に実際の建築協議会を開催し、各方面の方の御意見によりまして方針をきめたのであります。それは、建築に関しまする基本設計ができまするまでは国立国会図書館で担任をいたしまして、その後には建設省で担任をせられること、基本設計をつくりますために一般に懸賞募集をすること、技術的の事項をきめまするために技術専門家の小委員会を設けること、こんなふうな決議をしていただきまして、その後数次にわたつて小委員会を開きまして、だんだん進行いたしまして、いよいよ懸賞募集を一般にしたのでありまするが、それが十一月の二十日のことであります。ところが、それに対しまして建築家との間に――建築家と申しまして本一部のグループがその相手でございますけれども、実際は日本の建築家の大多数にわたる問題でありまして、それとの間に紛争と申しまするか、意見の相違を起しまして、これが解決のために若干の時日を使いました。私どもの見るところでは、紛議はきれいに解決をいたしまして、今日両々相寄つて胸襟を開いてこの建築に努力するということになつております。ただ、そのいきさつのために、懸賞募集の応募締切り期間を二十九年の五月末日まで延ばすことになりましたが、現在までまだ三通だけしか応募がございません。他のものは五月の終りごろに来るであろうと思います。その紛糾当時は、こういうふうに期間を延長することに、いろいろ法律問題等を起して、めんどうなもつれになるのではなかろうかという懸念もありましたが、幸いと申しますか、今まで応募者は三通だけでございました。そこで三人の応募者と話合いをいたしまして、期間の延長については異存がないというふうに同感を得ております。
 次に第九といたしまして、労働科学資料の返還ということであります。これは、相当の沿革を持つておりまするこの図書館が、今まで労働科学資料の閲覧室を持つておつたのでございます。それは元労働科学研究所に属しておりました労働科学資料で、祖師谷に閲覧室を設けて一般に公開しておりましたが、昭和二十八年法律第二二四号によりまして――研究所に対する国有財産の譲渡に関する法律でありまするが、それによりまして閲覧に属しまする書物の全部を返還することになりました。だから三月二十五日以来閲覧業務をやめまして、四月一日から閲覧室を閉鎖することになつたのでございます。
 第十といたしまして、昭和二十九年度の予算のことを申し上げておきたいのであります。昭和二十九年度の予算の概算要求はすでに委員会の御承認を得ております。しかるに、国会におきまして修正せられまして、原子力関係資料の購入費及びPBリポートの購入費、合計いたしまして二千万円の増額となつております。私どもはこの増額せられたものを基礎として今年度の予算の実現を期する順序となつたのであります。
 以上昨年一年間の大体の経過を申し上げました。どうぞ御承認をお願いいたしたいと思います。
#25
○伊東委員長 ただいまの御報告に対しまして質疑はありませんか。
#26
○伊東委員長 別に質疑もなければ、ただいまの館長の報告はこれを了承することに御異議ありませんか。
#27
○伊東委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。
    ―――――――――――――
#28
○伊東委員長 なお、めつたこの委員会を開くこともありませんので、図書館運営に関して何か御質疑があるならば、この際発言を許します。
#29
○庄司委員 実は社団法人国政審議調査会の会長の方より、私を紹介議員として衆議院議長あてに請願が出ておるのであります。その請願は正式に受理されておるのでございますが、御承知のごとく、請願は印刷物にして各議員のケースの中に配付されることになつております。それには一週間ないし十日の日時がございますので、本日までまだ配付されておりませんが、公式に受理されておるのでございます。ただいま委員長のお話のように、他の常任委員会は一週一回あるいは二回あるいは三回と開会日数が多いのでございますが、本委員会は非常に少いようでございます。国会の審議期間は憲法により百五千日以内ということでございますので、あと余日が幾ばくもございません。請願一件だけでこの委員会を特別に開くということもなかなか困難と思いますので、この際質問あるいは動議と言つてはちよつと言葉が強いのでございますが、ただいまの委員長のお言葉をそのままちようだいして、質問の形式で図書館当局に請願の趣旨だけを申し上げ、委員の皆様にも御理解ある御判断を願いたいと思います。
 それは、すでに御承知のごとく、国政審議調査会の会長は、元代議士であられ、政党の幹事長を勤められた砂田重政先生でございまして、名誉会長は鳩山一郎先生、署名捺印、御著名の上顧問を御承諾くださいました方々は鈴木茂三郎先生、河上丈太郎先生、重光改進党総裁、吉田自由党総裁、その他政界方面における知名の士が全部御署名の上御協力くださる意味において顧問となつておられます。なお編纂上の直接の顧問としては、衆参両院の常任委員長、その他行政党の幹部、役員の御諸君が数百名御署名なされて、この国政審議調査会の編纂専業を御援助なされておるのであります。ただいまその本の見本は持つておりませんが、ここに印刷に付しましたものがこの写真でございまするが、この本の実物はそのページの数が三千余ページにわたり、背皮総クロースの、明治初年私なんかの書生時代に出ましたあのウェブスターの大辞典以上の豪華版の本でございまして、その内容に至りましては、第十五、十六国会等々においての政府の法律提案の説明、あるいは各議員の本会議及び各委員会において質問された応答関係を明快に圧縮されまして、政治、経済、文化、教育、運輸、交通、その他凡百にわたつてその内容が網羅されておるのでありまして、まことに政治文献として、あるいはある意味においては政治年鑑といいましようか、内容、外観具備されたるところのりつぱなる優秀なる本でございまして、各政党の総裁あるいは幹事長、書記長の方々、あるいは衆参両院の議長方がこの書物の推賞推薦をなされておるのであります。請願者の請願の趣旨は、ぜひこの本を国会図書館において備えつけを願い、でき得るならば国会議員の各会館の各部屋に、あるいは議員の宿泊しておる宿舎等、あるいは国立国会図書館の四十七かの支部、そういう方面にお買上げの上備えつけ願いたい、国会議員個々にプレゼントするという意味でなく、国会の各会館に備えつけをいただいて、利便をはかつていただきたい、こういう趣旨のようでございます。まことに終戦後資材の乏しい今日にかかわらず、おそらく帝国議会開設以来ここに八十年近いその間に、直接この国会に関する、また国会において政府当局並びに議員の発言したもの、あるいは政府との一問一答、そういうものを圧縮ではあり、あるいはコンデンスではあるけれども、よく配列をされ、その内容はきわめて整備されておるものであります。内容を見ますと、各常任委員会の専門員あるいは調査員等が直接この資料の配列等に尽力されたように説明されておるのであります。私はただ単にこの本を図書館がお買上げありたいというような押しつけがましい本の押売り的な意味の心持を持つておりません。かようにりつぱな文献は、将来わが国の国政の上において、文化国家建設の上において、ほんとうに将来永遠後昆に伝うべきところのりつぱな文献である、こういうものを図書館において採用され、議員の政務の調査勉強のために利便をはかつていただけるというようなことであるならば、まことに好ましいことである。またかような努力をしてかようなりつぱな本を編纂調進したる、まつたく非営利的なこの国政審議調査会に対する大きく言えば国の一種の助成であり、また保護政策であるとも考えるのであります。そういう意味から、冊数等については具体的なことを承知しておりませんが、まあ五百部くらいの程度が妥当ではなかろうかと私だけは考えておりまするが、そういう具体的なことは請願書にはございません。各議院の会館等に図書館のつまり巡回文庫的性格を帯びたるところの備えつけというような形においてぜひお求めを願いたい。これはわれわれ議員個々が決してこの本をちようだいするというような考えを持つておりません。公にお備えつけを願つて、いわゆる巡回文庫制度の範を示していただきたい、こういうのでございます。申し上げたいことは多々ございますが、要点は、ただいま申し上げたように、この国会総覧なる、ほんとうに内容において整備されて、国会議員の政務調査勉強のために裨益し得るところの内容の本が、またわが国将来に政治文化年鑑として後昆に伝うべき価値のある、こういうものを、もし幸いに国会図書館の昭和二十八年度予算等に剰余金がありまするならば、また昭和二十八年度の予算等に剰余金等がございません場合は、二十九年度の新予算等においてかような書籍をお備えつけくださつて、御便宜をはかつてもらいたいものである。半面においては、かような真剣な、まじめな、りつぱな図書の刊行者に対しましては、援助の手を延ばしていただけぬものか。この審議調査会は各方面よりきれいな醵金があつて編纂並びに印刷に約一千五、六百万円を要したということを聞いておるのであります。それほどさように大がかりな陣容をもつてりつぱな本をここにつくり上げた。そこで、この国政審議調査会の名誉のためにも、また国会図書館の御採納を得る場合においては、さらに第二巻刊行というようなこともここに可能性が出て参りますので、全国各都道府県の中央図書館その他各官公庁等には相当入つておるそうでございますが、以上の趣旨のもとにぜひこの国会総覧なる豪華版の書籍を、予算の許される範囲内において、あるいは少々御無理がありましても、お買いつけを願いたい。なお本年の八月十五日は第一回の昭和三十年度の予算大綱の収集期間でございますので、将来とも、ひとりこの国会総覧のみならず、最近国会議員の著述した本で相当りつぱな本が出ておるのであります。私の調査では、現在衆参両院議員の書いておる本だけで約二百人の方々が書いております。中には一見片々たるパンフレットのように見えるものもございますが、その内容においては、やはり相当豊富なる体験あるいは見識をもつて書かれておるものがある。国会議員の書かれました本は、むろん国会図書館に御寄付することも望ましいことでございますが、いつぞや本委員会で申し上げた明治二十三年第一回の帝国議会開設以来、われわれの先輩が心血をしぼつて書かれた著作、創作、翻訳、その他の文献等はやはり逐次年を追つて御整備くださいまして、日本の国会議員も過去八十年の間にかように多くの著述を持つておるものである――チヤーチルやあるいはアメリカ大統領等の著書がノーベル平和賞をもらつたというようなことも伝えられておりますが、日本の国会議員の書いた本の中にも相当やはりりつぱな本がありまするので、これはついでではありますが、国会総覧の請願の趣旨の御紹介と同時に、国会議員のものされたるところの苦心の結晶である著書、編纂書等にも絶えず着目されて、図書館としては収集されんことを望んでやまない次第であります。
 まだ日程にもなつておりません請願の内容を、ここで質問の形式をお借りして陳情申し上げて、はなはだ恐縮でございますけれども、前申し上げたように、すでに衆議院議長の手元には公式に受付けられております。ただ印刷物として委員長にまだまわつて参りませんので、公式な日程には御採用になつておりませんが、前申しましたように、もしこの二十日以内に本委員会が不幸にしてございませんならば、せつかくの請願が来国会に延びるというおそれがありますので、はなはだ御迷惑だつたと思いまするけれども、一応請願関係の紹介議員としてその責任を果したいと考えまして、ここに露骨にぶちまけてお願いを申し上げた次第であります。委員各位におかれましても、どうかひとつこの趣旨に御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#30
○金森国会図書館長 国会図書館がいろいろの本を買いたいということはやまやまの願いでございます。けれども、実際に今どれだけの本が買えるかと申しますると、こういう類似のものを買いまする経費の総額というものは一千九百万円ばかりあるのでございまするけれども、その中でちやんと型にはまつて買わなければならぬというもの、またはそれに近いものがありまして、それは日本全国で発行しました書物を引受けてその実費を賠償しなければならぬ。これに関連いたしまする経費が、時によつて違いまするけれども四、五百万円はいることになります。それから上野の図書館も持つておりまするし、国会の中の図書館の分館も持つておりまするし、巡回文庫もやつておりまするし、そういうふうなほとんどもう用途のきまつておりまするような経費を差引きますると、実際図書館で外国の本を買つたり、それからいろいろの収集された、つまりだんだんと日本にある本を買つて完備することと、外国の本を買つて完備するということもしなければなりませんが、その最後の費目、言いかえますれば、幾らか自由がきいて買える費目というものは、合計いたしまして五百万円とはございませんで、五百万円少し切れる状況であります。それでもつて図書館で必要な外国の新刊書を買わなければならない、また日本にある古い書物を買つて完備しなければならぬということでございまして、図書館の本の購入費の使い方というものは非常に苦心をしておるものであります。
 そこで、今お示しになりました書物は、内容を非常に詳しくは存じませんけれども、大体価値ある書物のように思つておりまするけれども、全部を集めて一般的に買える金が五百万円しかないというときに、一万何千円の書物を五百冊買うということになりますれば、この図書館は何も買えない、そうして図書館の任務はほとんど果せないということになり、はなはだ図書館としては思案に余るような状況でございます。ただしかし、そういう書物を図書館に備えつけるということは必要だろうと思います。備えつけるといたしますと、ほかのものとの振合いもございますので、かつまたどこに備えつけるかと申しましても、衆議院と参議院とにわけて、おのおのの院におきまして要所々々に、これを最小限度といいますか、図書館の経費の差繰りの面から申しまして、最小限度にするといたしますれば、まあ全体で十冊くらいを院内に備えつけまして、それを皆さんで御利用くださるということになれば、私どもの方もそのくらいの経費ならば他に著しき支障を生ぜずしてやれると思いますけれども、何しろ数百冊ということになりますれば、今も申し上げましたように、外国の本も買えない、日本のコレクションも買えない、古いものも買えない、ただもう新刊の書物の義務になつておるようなものの支払い代価が辛うじてできて来るというようなふうになりまするので、どうもちよつと今のところ方途に迷うわけであります。国会の方で特にそのために予算をくださいますれば、それに応じて図書館としては準備できると思います。
 それから、昨年度の予算の余りとかいうもの――これは、いろいろな予算規則の関係によりまして、使えないで残つておつたものも若干ございます。けれども、それはこの年度の終了とともに閉鎖といいまするか、使わなかつたものは使わないものとして国庫に返しておりまして、今ほとんどその部分において残つておるものがございません。でありまするから、もし問題となりまするならば、何らかの方法で、図書館の図書購入費に特別な目的をきめて予算を御計上くださるようなことができますれば、それはまたいろいろ考える道もあろうかと思つております。
#31
○伊東委員長 本日はこれにて散会いたします。
 次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。
    午後零時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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