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1953/11/26 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 労働委員会 第47号
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1953/11/26 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 労働委員会 第47号

#1
第019回国会 労働委員会 第47号
昭和二十九年十一月二十六日(金曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 赤松  勇君
   理事 池田  清君 理事 大橋 武夫君
   理事 持永 義夫君 理事 多賀谷真稔君
   理事 日野 吉夫君    三浦寅之助君
      並木 芳雄君    黒澤 幸一君
      春日 一幸君    辻  文雄君
      中村 高一君    岡田 春夫君
 委員以外の出席者
        労働事務官
        (労働局長)  中西  實君
        労働基準監督
        官
        (労働基準局監
        督課長)    和田 勝美君
        参  考  人
        (東京証券取引
        所労働組合委員
        長)      細谷 節也君
        参  考  人
        (同情報宣伝部
        員)      佐藤 武志君
        参  考  人
        (実栄証券株式
        会社社員)   深山 寛二君
        参  考  人
        (東京証券取引
        所理事長)   小林 光次君
        参  考  人
        (同理事会議
        長)      遠山 元一君
        参  考  人
        (東京証券業協
        会会長)    小池厚之助君
        専  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
十一月二十六日
 委員大西正道君辞任につき、その補欠として春
 日一幸君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 参考人招致に関する件
 委員派遣承認要求に関する件
 失業対策、労使関係及び労働基準に関する件
    ―――――――――――――
#2
○赤松委員長 これより会議を開きます。
 失業対策、労使関係及び労働基準に関する件を議題といたします。
 ますお諮りいたします。本委員会の港湾労働に関する小委員会の小委員長より、港湾労働に関する問題について、参考人の意見を聴取いたしたい旨の申出がありましたが、本問題について参考人の出席を求めることは御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○赤松委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。
 なお。参考人の選定等については、委員長に御一任願いたいと存じます。
 次に銀行の労使関係について、来る二十七日土曜日、参考人の出席を求めることとし、参考人の選定については委員長に御一願任うことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○赤松委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。
 次に駐留軍労務者のストに伴うピケツトに対する警察措置について、全駐労委員長市川誠君より参考人として御意見を聴取いたしたいと存じますが御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○赤松委員長 御異議なしと認めてさよう決します。
    ―――――――――――――
#6
○赤松委員長 次に、宮城県におけるCICの労働組合幹部に対する思想調査問題について、現地の実情を調査するため、議長に委員派遣の承認を申請いたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○赤松委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。
 なお、委員派遣承認申請書の文案作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
#8
○赤松委員長 次に、公共企業体等の調停に関する問題について、次のごとき決議を本委員会においていたしたいと思いますので、この際お諮りいたします。
 まず決議の案文を朗読いたします。
     決 議
  国鉄公社職員の賃金改訂問題については、貴委員会より昭和二十九年十一月二十四日「国鉄一般単位関係職員の昭和二十九年度の賃金改訂に関する斡旋案」が提示されたが貴委員会は今後更に前文の趣旨に則り積極的な斡旋の労をとり事態の速かなる解決を計られんことを要望する。
  右決議する。
    ―――――――――――――
     決 議
  国鉄公社職員の賃金改訂問題については、貴委員会より昭和二十九年十一月二十四日「国鉄機関車単位関係職員の昭和二十九年度の賃金改訂に関する調停案」が提示されたが、貴委員会は今後更に前文の趣旨に則り積極的な斡旋の労をとり事態の速かなる解決を計られんことを要望する。
  右決議する。
    ―――――――――――――
     決 議
  郵政職員の賃金改訂問題については、貴委員会より昭和二十九年十一月二十四日「郵政職員の昭和二十九年度以降における賃金の改訂に関する調停案」が提示されたが、貴委員会は今後更に積極的な斡旋の労をとり事態の速かなる解決を計られんごとを要望する。
  右決議する。
    ―――――――――――――
     決 議
  造幣局職員の賃金改訂問題については、貴委員会より昭和二十九年十一月二十四日「造幣局職員の昭和二十九年度賃金改訂に関する調停案」が提示されたが、貴委員会は今後更に積極的な斡旋の労をとり事態の速かなる解決を計らんことを要望する。
  右決議する。
    ―――――――――――――
     決 議
  林野庁の賃金改訂問題については、貴委員会より昭和二十九年十一月二十四日「林野庁職員の昭和二十九年以降の賃金改訂に関する調停案」が提示されたが、貴委員会は今後更に積極的な斡旋の労をとり事態の速かなる解決を計られんことを要望する。
  右決議する。
    ―――――――――――――
     決 議
  電電公社職員の賃金改訂問題については、貴委員会より昭和二十九年十一月二十四日「電電公社職員の昭和二十九年四月期以降における基準内賃金の改訂に関する調停案」が提示されたが、貴委員会は今後更に積極的な斡旋の労をとり事態の速かなる解決を計られんことを要望する。
  右決議する。
 ただいま朗読いたしました決議の案文の通り、本委員会の決議として決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○赤松委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。
 なお、この決議の伝達等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありせまんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○赤松委員長 それではさよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
    午前十時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午前十時十六分開議
#11
○赤松委員長 休憩一理に引続き会議を開きます。
 証券会社における労使関係について、順次御出席の参考人の方々より御意見を拝聴いたしたいと思いますが、委員の希望もございますので、先日の質疑に引続いて、参考人に対する御質問をいただきたいと思います。質疑を許します。
    〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
#12
○多賀谷委員 まず組合の方にお尋ねいたしたいと思います。この前の参考の陳述をなされました際に、取引所のデモ行進を見て、デモがおもしろいからやつてみたいと言つただけで三名が解雇になつたというお話がありましたが、これはどういう証券会社であるのか、さらにその内容を詳細にお知らせ願いたいと思います。
#13
○佐藤参考人 私の知つておる限りでは、この三名解雇になつたというのは、間違いだつたらしいので、大和証券で三名やられたということです。初め私は金十証券で三名解雇になつたのがそれだと誤解しておりましたが金十の例を申し上げますと、金十証券では三名解雇になりまして、退職金あるいは予告手当――予告手当はくれたはずですけれども、あまり少い退職金で、不意に食らつて困るので、交渉しまして七箇月分をとつてやめた。大和の方は、切られたという事実は大和であつたということであります。
#14
○多賀谷委員 そのデモがおもしろいからやつてみたいといつて解雇されたのはどこですか、それから何名ですか。
#15
○佐藤参考人 大和証券で三名であります。
#16
○多賀谷委員 それから会員権譲渡のために、一応組合結成を交渉したところ、組合を解散すれば新しい店に継続して雇つてもらう、こう言つて都の中央労政事務所がタツチをして組合を解散させた、こういう事実がございますが、これはどこの証券会社ですか。
#17
○佐藤参考人 これは六三証券でありまして、たしかこれはつい最近の話でありますが、六三証券というところは、金融業も一緒にやつておりますので、六三証券の社長が会員権を大阪の草川証券というところに譲渡するということで、そのために相当数の整理をしなければならない。それに対抗するために、社員が組合をつくつた。そのときに中央区の労政事務所の鈴木組合係長だと思いましたが、その人が来て社長と話合いをして、もしこの組合の結成をやめるならば、全員草川の方に行けるようにするからという話で組合を解散させた。これは六三証券の方にきよう来るように頼んでおきましたから、もうじき来ると思います。
#18
○多賀谷委員 そのほかに、組合結成についていろいろ会社の妨害があり、あるいは会社の意図によつて結成までに至らなかつた、あるいは結成したが解散をした、こういう事例がありましたら、お知らせ願いたい。
#19
○佐藤参考人 一例としましては、千代田証券が、社員が組合をつくつたときに、ある有力な客と社長と話し合つたのだろうと思うのでありますが、その客が預託していた株券その他を引揚げて、組合をつくるような会社にはそういうものを信用しておけないから引揚げるからといつて事実上つぶれるように仕向けまして、組合側も、店がつぶれたのでわれわれ組合員としてもどうしようもないからというので組合を解散した、その実例があります。
#20
○細谷参考人 千代田証券は、他会社に先んじていち早く組合をつくつたのです。それで三十四名で組合を結成しましたが、そのときに千代田証券の社長が、ほかの証券会社が組合をつくるようになつたらおれがつくつてやるから、それまで待つてくれと言つた、しかしながら、組合は自主的につくるものだからというので、三十四名で組合を結成した。ところが、千代田証券で大体三千株からの商いをしているお客が組合をつくるようなところは物騒だから株券を引揚げるといつて、社長と話合いのもとに、組合側に対して、組合を解散しなければ一週間以内に株券を引揚げるといつて通告書を出したわけです。しかしながら、組合幹部がその客と話合いまして、課長を入れれば引揚げないということになつて、組合員の範囲を課長まで広げたのでありますが、やはり課長を入れても引揚げるといつておどかしたわけであります。それと同調したのが小野田セメントで、五千株の商いをしておりまして、小野田セメントも引揚げるという結果になつた。そういうような合計八千株からの株券を引揚げるというようなことになれば、会社がつぶれるから、組合を解散してくれというのでやむを得ず組合を解散することになつた。
#21
○深山参考人 実栄証券の場合のことについて、ちよつとお話したいと思います。
 第五実栄証券の場合で言いますと、水川馬之助社長は、社長のむすこに社員を集め組合をつくれ、こういう明言をしております。
 それから第九実栄の場合は、人見良次郎社長は労組結成のとき、社長の命令によつて社員代表内田勝二に対して、社員を訓辞して早々に退社しろと言つて、内田勝二は、きようはお祭りだからと社員を退社させたと言つております。
 第十一実栄の場合は、添田蔵男社長は、会社の運営について不平を言うならば会社をやめてくれ、こういうことを言つております。
 それから第十実栄の場合は、矢島房次社長は社員を集めて、組合に加入した者は今のうちに申し出よ、申し出れば許してやる、こういうことを言つております。
 第六実栄の場合は、小川文七社長が組合加入者一名に対して、経営上不利益になるから組合から離脱しろと、こう説得をしております。それから一部社員を課長宅に集めまして、このようなパンフレツトを配つております。これは参考書類として提出いたしたいと思います。
#22
○多賀谷委員 遠山参考人にお尋ねいたしたいと思います。日興証券の社長というよりも、東京証券取引所の理事会の議長さんとしてお尋ねいたしたいと思いますが、今組合員の参考人から述べました事実を知つておられるかどうか、その点についてまず御答え願いたい。
#23
○遠山参考人 一つも知りません、真偽ともに。
#24
○多賀谷委員 それでは小池参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど組合の方から陳述されましたことについて知つておられるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
#25
○小池参考人 存じません。
#26
○多賀谷委員 実はこの委員会といたしましては、この証券ストにからみまして、なぜ証券会社に最近ストライキが起るのだろうか、こういうことを、このたびの証券ストとは一応関係なく調査いたしたい、こういう関係でお呼びしたわけです。それで、今度の証券スト自体の問題は別途にやりますけれども、証券関係の労使関係はどういうように行つておるだろうか、さらに労働条件はどういうような状態になつておるだろうか、こういうことを調査いたしたいと思つておいでを願つたわけです。
 実は、すでに小林理事長の方からもお述べになつたと思いますけれども、この前も今申されましたような陳述がありまして、私たちは非常に奇異に感じたわけです。そこで、デモがおもしろいと言つただけで首を切られておる、あるいはまた会員権譲渡に際して、組合を解散しなければ全員採用ならない、こういうことで、しかもこれは官庁が乗り出してあつせんをしておる。東京の労政事務所の事務官がそのあつせんの労をとつておる。これは後ほど労政局にもお尋ねするわけですが、労働組合を育成強化させなければならないこの事務官が、こういうことまでしなければ解雇が防ぎ得なかつた、こういうように判断するときに、いかにわれわれはこの業界の理解のないかに驚くわけであります。こういう状態でございます。そこで私はお尋ねするのですが、いやしくも労政事務所がタツチをして組合の結成をやめさせておる、こういう事実は、これは官が入つておりますから、もう公のものであります。この事実もお知りにならならないわけでしようか。
#27
○遠山参考人 われわれは、そういうことについては一向関知しておりません。またそういうことについて、何らの届出もありません。しかし、そういうことについては、委員会がお聞きになるので、事実はお調べになつたのですか、ただ陳述を真実としてそれをお尋ねになるわけですか。
#28
○多賀谷委員 まだあなたの方の確認がないので、われわれはこれは事実であるという確認のしようがないわけであります。それでお尋ねしておるわけです。しかし、委員会は調査権を持つておりますから、これは現地に行つて、別個の形で、あるいは事務官を呼んで調べるという方法もある。しかし、一応会社側の方に来ていただいて実情を聞いておるわけであります。そうしますと、実栄証券の件も御存じないのですか。
#29
○遠山参考人 存じません。今の六三証券ですか、その会員権の云々というようなことは、もしそれが事実なら、何か取引所の方に届出があると思うのですが、何もありませんか。
#30
○小林参考人 私から申し上げますが、よろしゆうございますか。――六三証券の件については、取引所に何ら正式の届出もなく、今お話の草川証券云々というようなことは、全然私の方には届出かありません。会員権等についても、届出がありません。
#31
○佐藤参考人 ただいまの六三証券の方が来るかどうかと思つて電話で連絡をとつたのです。ところが、きよう正式にそういう話が大体きまつたから、まだ取引所の方に届出は出してないかもしれませんが、そういう用事でどうしても来られないというのですから、これは会員権の譲渡があつたと思います。
#32
○黒澤委員 遠山参考人にお聞きしたいと思うのでありますが、遠山さんは日興証券の理事会の議長をやつておるのですか。
#33
○遠山参考人 いや、取引所の理事会の議長です。日興証券の会長です。
#34
○黒澤委員 日興証券の会長をおやりになり、なお東京証券取引所の会長でございますね。
#35
○遠山参考人 議長です。
#36
○黒澤委員 そういうお立場にありまして、あなたのもとにある従業員の人たちが労働組合をつくる、この労働組合に対して、どういうお考えをお持ちになるか、ちよつと答えていただきたいと思います。
#37
○遠山参考人 私は労働組合というものは、あれは何年ですか、昭和二十一年か二十二年の初めじやなかつたでしようか、制定されまして、従業員の権利として認められておることですから、それに対して別にどうということはない。つくりたければつくる、つくりたくなければつくらなくていいというくらいに考えております。私のところは、すでに昭和二十二年にできておると思います。
#38
○黒澤委員 実はここに従業員の人たちの連名で、入所時に、東京証券取引所の小林理事長さんからいろいろ御注意があつたということが提出されておるのであります。
 それによりますと、小林理事長さんは、昭和二十四年の五月東京証券取引所の入所の際に次のような趣旨のことを言われたと言つております。小林理事長さんは「私はアカが大きらいである。共産主義者や組合運動を行う様な者は、直ちにこの取引所をやめて他の会社に入つてくれ」、こういうことを申されたと言つております。
 なお昭和二十六年の市場館の旧会議室におきまして辞令授与のありました際に、入所員の全員に対して訓辞がなされておるが、その訓辞の中に「赤は即刻に首にする」、そういうことを述べられたということも、たくさんの従業員の連名で出ております。
 なお昭和二十八年四月一日、東京証券取引所入所の際において、やはり小林理事長さんから次のようなことを述べられておる。「証券取引所は資本主義の牙城である。本所には清交会という組合に代るものがあり、組合をつくるなとは言わないが、共産的人間には即刻辞めてもらう。アカい思想の持主は今すぐにでも出ていつてもらう」、こういうことを述べられております。
 昭和二十九年四月一日本所入所式において、本所理事長小林光次氏の訓辞の中に次のようなことがある。「一、本所は家族的雰囲気を理想とする。二、本所は資本的な公共機関であるから赤がかつた者は一切困る。三、労働運動は過激に走り易いから本所のようなところでは組合は不可である」、こういうことが従僕員の連名で出されておるのでありますが、こういう小林理事長さんの入所に際しての訓辞あるいは御注意というようなものに対して、小林参考人さんはどういうようにお考えになりますか。
#39
○小林参考人 この前に私がこちらにお伺いをいたしましたときには、私の新入生の訓辞の中には、労働組合を組織することを阻止したというはつきりしたお話がありました。ところが、ただいまのお話によりますと、今度はそれと違いまして、共産主義云々というところに労働組合を結びつけたように私は今拝聴いたしました。これは私としては、はなはだ遺憾であり、この点につきましては、この前も申し上げました通り、労働組合の問題につきましては、一言も私から触れておりません。但し、証券界というものは資本主義をもつて構成しているところである、従つて共産主義を実行に移すような人がかりにあつたとするならば、就任前にやめてもらうことがむしろ本人のためにもけつこうではないか、こういう訓辞はしております。従つて、労働組合の問題については一言も触れておりません。なおかつ、ここに申し添えておきまするが、細谷君が、私がアメリカから帰りました八月の幾日かと思いますが、理事長のいない留守に労働組合を組織したということで私に了解を求めた。そのときに、私は、労働組合というものを組織することは、法律をもつてする権利であるのだから、諸君がこれを組織するということは非常にけつこうだ、しかしながら、経済闘争はお互いに話合いをしなければならないのであるから、第三者の介入を許さないでお互いにあたたかい手をもつて結び合おうじやないか、こういうことをはつき申し上げておる。従つて、新入生に対して、労働組合に関する限り絶対に申し上げたことはありません。
#40
○黒澤委員 この出されました書類によりますと、共産的とか共産主義者というような文句を使つてありますが、なおそれ以外にも、ただいま申し上げましたように、昭和二十九年の四月一日の入所式においての訓辞の中には、労働運動は過激に走りやすいから本所ようなところでは組合は不可であるということをあなたが述べられた、ということがたくさんの人の署名捺印で出されておるわけであります。あなたは今そういうことは申されないとおつしやつたのでありますが、この点について組合の参考人からお聞きしたいのですが、こういう書類に出されましたような事実があつたかどうか、なおこの機会に重ねてお尋ねしたいと思います。
#41
○細谷参考人 ただいまのその提出しました書類は、組合が自主的に書いたのです。従つて、理事長が二十四、二十五、二十六、二十七、二十八年と、その都度訓辞した内容は違うと思います。ある年度に米いては共産主義と言つたこともあります、またある年度においては組合とはつきり言つたこともあります。要するに、そこに提出してあります書類は、その都度聞いた人が自主的に書かれたものですから、それが唯一の証拠であると私は考えております。
#42
○黒澤委員 遠山参考人は、こういう理事長の入所に際しての訓辞というようなことに対しましては、あなたにかわつて小林理事長さんがおやりになつておるのじやないかと私は考えておりますが、ただいま組合の方から出されましたこういう小林理事長さんの訓辞あるいは御注意等に対しましては、どういう御関係がありますか、またどういうお考えを持つておりますか。
#43
○遠山参考人 理事長は私の代理でそういう訓辞をしておるのではありません。すべて社員の、任免黜陟というと何ですが、理事長の権限にあることでありますから、私の関知しておるところではない。従つてその訓辞につきましても、私は何ら責任がありません。
#44
○黒澤委員 それではちよつと労働基準法関係についてお尋ねしたいのでありますが、これは遠山参考人に聞きたいと思います。本委員会におきまして、先ごろから東京証券の事件並びに労働基準法の実施状況等をお伺いして参つたのでありますが、この労働基準法の実施につきまして、どういう努力をされて参つておるか、またどういうふうに労働基準法が実施をされておりますか、その点について遠山参考人からお聞きしたい。
#45
○遠山参考人 労働基準法がどういうふうに実施されておるか、私はそれを知りません。事実上の問題には触れておりませんから……。
#46
○黒澤委員 ただいまのあなたの御答弁によりますと、あなたはそれに関係はしていないからお知りにならないというような御答弁でありますが、少くともあなたの日興証券にしろ、たくさんの従業員があなたのもとにおられるわけです。そうしてこの労働基準法の実質のことについては、自分は関係がないからということでは、私は済まされないと思うのです。少くとも、たくさんの従業員をお使いになつておる以上は、この法律はどういうふうに実施するか、また現在どういうふうに実施されておるか、そういうことに御関心を持たないというのは、私はちよつと受取れないのでありますが、どうなんでしようか。
#47
○遠山参考人 これは私の立場から申しますと、今御質問者のお話は証券業全般に対してのお話のように承つた、そういう意味ですか。
#48
○黒澤委員 そうです。
#49
○遠山参考人 日興証券に関する問題ですか。
#50
○黒澤委員 それは全般に対してのあなたの立場もあるのでありまして、またあなたの日興証券という一つの証券会社の責任の立場にありますので、その両方についてお尋ねしておるわけです。
#51
○遠山参考人 これは結局同じことになると思いますが、日興証券にいたしましても、他の証券会社にいたしましても、労働基準法を遵守するという精神については、一向かわりはないと思います。ただ日興証券に関する限りにおきましては、その係々においてちやんとやつておりますから、もし違反があつて責任を問われるということになれば、私が責任を負わなければならぬかもしれません。しかし、その事務その他につきましては、係々があつてちやんとやつておりまして、今まで何らの故障もないようでありますから、順当に遵法しておると私は信じております。
#52
○黒澤委員 労働基準法が順当に実施されておるとお考えになつておるというお話でありますが、この委員会において先ほどから審議しました過程におきましては、いろいろ実施をされていない点がわかつて来たわけであります。強制貯金ということは、法で禁じられておるのでありますが、現在身元保証金という名前で強制的な貯金がされておる、あるいは休憩時間があるところとないところがある、また超過勤務に対しまして、時間外の割増しが払われていない、有給休暇がない、こういうような具体的な事実が、組合側の代表参考人から述べられたのでありますが、こういう点お違いになつていないのですか。
#53
○遠山参考人 そういうことは、すべて労働基準局において判定なすつておるのでありますから、もし違反があれば、その都度御注意はあつたものと思うのであります。ただ実際問題としまして、一昨年から昨年のああいう忙しいときにおいては、二、三そういう点もあつたやに聞きましたけれども、その結果におきましては、労働基準局から御注意を受けて直すなり、あるいは自発的に直すなりして、適法にやつていることと信じております。
#54
○黒澤委員 組合側の参考人にお聞きしたいのでありますが、今お聞きの通り、組合側参考人が先ほどお述べになりましたような基準法違反というようなことのないようなことを、遠山参考人から述べられたのでありますが、その点現在基準法が実施されていない具体的な点について、この機会にもう一度確かめておきたいのです。
#55
○佐藤参考人 調査表といものを先ほどお手元に差上げてあると思いますが、これはつい最近、先週の土曜日に私がアンケートを店の方にお願いして、出していただいた結果なんです。就業規則がないというのが四四%、わからないというのが二八%――なぜわからないかというと、あるのだけれども見せてくれない。あるのはたつた二八%であります。残業手当が、ないというのがやはり二八%、わからないというのが三五%、正確にあるというのが三七%しかありません。有給休暇が、ないというのが三七%、わからないというのはちよつとおかしいと思うのですが、これが七%、基準法以上の有給休暇をくれているところは二〇%しかこの回答の中には出て来ておりません。基準法以下が二四%で、あつてもとれないというのは、基準法以上の規定はあるのです。あつても、とると怒られたり、いやな顔をされるから、事実上はとれないというのが一二%、それからブームのとき労働基準局が調べに来た。そのときに基準法違反の事実を調べられたら言つてはいけないと言われたかどうかということに対して、三九%の人は言われたという。一六%はわからないという、これはその当時いなかつたとかそういう人であります。なしというのは四五%ありますが、これは当然だろうと思います。
#56
○黒澤委員 遠山参考人に重ねてお尋ねしたいのでありますが、今お聞きのように、基準法が完全に実施されていないということが、組合の参考人からパーセンテージをもつて述べられたのですが、それにつきまして、どういうふうにお考えになりますか。
#57
○遠山参考人 そのパーセンテージなるものが、私にはよくわかりませんが、全従業員に対するアンケートの答えの全部であるか、あるいは何人かの答えであるか、そのパーセンテージは私にはよくわかりません。しかし、そのパーセンテージのことは、私には関係のないことですが、そういう一々の問題につきましては、何も私の耳に入つておりませんから……。
#58
○黒澤委員 入つていないにしても、そういうことが今組合側の参考人から述べられたとしまするならば、あなたはそういう問題に対して、どういうふうに御処置なさるつもりでありますか。
#59
○遠山参考人 それは会員に対して理事会から御注意しまして、労働基準局ともよく打合せをして、そういう違反のないように努めたいと思います。
#60
○黒澤委員 なお、ただいま組合側の参考人から述べられた中に、労働基準局の監督官が来た場合には、従業員が労働基準法に違反している、実施されていないというようなことを言つてはいけないということを、あなたの部下の係の方がおつしやつているというのですが、これはどうなんですか。
#61
○遠山参考人 私の部下ということであれば、日興証券の社員でありますが、そういうことを言うたか言わないか、私は知りませんけれども、私の耳には入つておりません。他の証券会社においてそういうことがあつたかどうかということは、私の耳に入つておりませんから、何ともお答えできません。
#62
○黒澤委員 労働基準法関係につきましても、まだ実施されていない、違反もしているような点がたくさん指摘されたのでありますが、あなたは責任者といたしまして、今後こういうことのないように、完全に労働基準法を実施するために御監督なり御注意をされるお考えがありますか。
#63
○遠山参考人 その通りであります。
#64
○持永委員長代理 多賀谷真稔君。
#65
○多賀谷委員 会社側の参考人の方にお尋ねいたしたいのですが、今も黒澤委員から質問がありましたが、実は私は関知しない、知らないという。知らないことを聞くわけには行かないと思うけれども、しかし、なるべく多くの方に来ていただくのは御迷惑である。たとえば一つ一つの証券会社の使用者の方に来ていただくのは非常に御迷惑であろうと思つて、代表で呼んだわけであります。実は個々の具体的な、たとえば六三証券の問題とか千代田の問題とか、あるいは大和証券の問題とか、あるいは就業規則がはたしてあるかどうか、あるいは残業手業あるかどうか、組合側の方からは資料が出ている。しかし、会社側の方から資料が出ておりませんので、一々聞くということもどうかと思いまして、大体全般的に聞いておるわけですが、関知しないということでは、では次には全部来ていただきたい、こういうことにならざるを得ないので、できるだけお答え願いたいと思うのです。
 そこで、組合の方から当委員会の方に出されました調査表で、先ほども黒澤委員が指摘しておりましたが、就業規則がないというのがかなり多い。どの程度の人数の証券会社であるか、われわれも十分把握しておりませんけれども、就業規則がないというのが半分くらいあるということは、まつたくわれわれびつくりしておるわけであります。それで組合の方は、ないということを言つて来ておるのですが、あなたの方では、本日現在で就業規則がある、こういう就業規則をつくつておりますという立証ができますか。
#66
○遠山参考人 全般的について答えなければいけないという御注意ですけれども、百何十軒の証券会社の一々の内容については、はなはだ何ですけれども、私は日興証券の実務にすら近ごろ遠ざかつておるのでありまして、いわんや他の証券会社のそういう事務的のことまでは私は知識がないのです。ですから、今の就業規則の問題ですが、日興証券にはあります。それだけははつきり申し上げられますが、他のことは私は……。
#67
○多賀谷委員 実は遠山さん自体に答えていただかなくても、できれは見えておる参考人の方にしていただけば、そのお答えを願つてもいいわけです。あなた自体がわからなければ、ほかのさらによくわかつた証券会社側の方に答弁していただいてもいいわけですが、ひとつそういうようにお願いできたらいいと思います。
#68
○遠山参考人 別にそういう問題について、組合側のように一々アンケートをとつて勉強しているほどの人は、今おりませんてしよう。
#69
○多賀谷委員 証券会社は、今度初めてストライキにあわれてびつくりされたので、こういう調査が行き渡つていないと思うのですが、しかし大体業界というものは、どこの業界でも、かなりその会員の労働条件というものを把握されておるのです。そういうつもりで来ていただいたところが、さつぱりである。そこに証券会社の労使関係がうまく行つていない、労働条件が十分明示されていないという、日経連のいわゆる盲点があつたのではなかろうかと思うのです。
 そこで、監督課長にお尋ねしますが、就業規則がここにあるかないかという調査が出ておる。ところが半分以上ないという、あるいは組合員が全然知らない。これは明示規定があり周知義務があるのですが、全然知らないというような調査が出ておるのであります。この調査が全部確実であるとは、私も立証することはできませんけれども、しかし、組合員が就業規則があるなしを知らない、あるいは自分が直接もらう残業手当すらあるなしを知らない、こういうような状態では、労働条件が明示されてなく、もしもこういうことがあれば、監督行政としてもきわめて不行届きであると、私はかように考えるわけですが、この実態をあなたの方で承知だつたら、お知らせ願いたいと思う。
#70
○和田説明員 ただいまの御質問でございますが、ただいま私も調査表を拝見をいたしまして、ずつと見てみますと、意外に御指摘の点が多いというようにここには出ております。これが実態につきましては、実は私どもが従来承知しておりますものと、少し食い違いがあるように思います。所管の労働基準監督署にさつそく問い合せまして、適当な機会にお答えをいたしたいと思います。
#71
○多賀谷委員 しかし、この問題は前から取上げられておるのでしよう。ですから、就業規則があるなしくらいは、あなたの方でわかつておらなければならぬし、これは届出の義務があるでしよう。ですから、監督官庁としては、この会社は就業規則の届出がある、あるいはない、こういうことぐらいは少くとも――私はほかのことを聞いておるわけではない、この一点だけでも十分把握されておらなければならぬと思うのですが、どういう状態になつていますか。
#72
○和田説明員 私どもは、実は就業規則の届出がないということを監督署から聞いておりませんでした。ここに今ございますから、さつそく所轄の監督署に、東京のことでございますので問い合せたいと思います。
#73
○多賀谷委員 監督行政もきわめて怠慢です。この前近江絹糸のことがあつたときに、いろいろ調査したけれども組合員が言わないのだということでなかなか調査ができなかつた。その点も、われわれはよくわかつたのですけれども、この程度は、これは調査といいましても、届け出る義務があるのでしよう。そこで書類を見て、この会社は来ていないということになれば、ないということになるでしよう。これは実に簡単な調査です。会社へ行つて、あなたのところは就業規則はどうなつていますか、不当労働行為はありませんか、あるいは残業をやつていませんかという調査とは違う、この書類さえ整つておれば、監督署としては当然把握されておらなければならぬ。今まで放置されておつたのは、どういうわけですか。
#74
○和田説明員 私はそういうことを申し上げたわけではありませんで、ここで拝見しまして、こういうように就業規則が出ていない、と申しますのは、私どもが報告を受けておる限りにおいて、就業規則の届出は少いですという報告は受けおらない。いささか意外でございますので、さつそくこの事実について、所轄の監督署に調査をいたしたいと思います。これは向う側から出て参りませんとわかりませんので、さつそくやりたいと思つております。
#75
○多賀谷委員 では出ていない場合はどうするのですか。
#76
○和田説明員 もし確実に出ていないという点がありますれば、私どもの方としても、業務遂行の上で問題がありますので、その間のいきさつを十分調査いたしたいと思います。
#77
○多賀谷委員 これらの証券会社は、きようやきのうできた証券会社じやないと思う。就業規則がなくても、企業としては、かなり前から公然企業が遂行されている会社です。それがいまだにないということは、法律違反もはなはだしいわけですが、今まで十分調査をしていないということでは、また監督行政も不行届きである、かように考えるわけです。ひとつ早く資料を出し、報告していただきたい、かように考えます。
 そこで労政局長が見えましたから伺います。六三証券という会社が会員権の譲渡の際に、企業の中の組合を解散させなければ全員雇用できない、こういうような会社の態度に対して、都の中央労政事務所の鈴木事務官があつせんをして、そして、一応組合を解散しなさい、そうしなければ採用ができないからというので再採用をさせた、こういう事実がある。これはこの前も法規課長にも個人的に話をしておきましたが、一体その事情はどういうようになつておるか、お聞かせを願いたいと思います。
#78
○中西説明員 何かそういうように聞いたように思いましたが、実際どういうふうなことでございましたか、まだ調査がしてございませんので、何でしたら、ひとつ当該労政事務所に聞いてみることにいたします。
#79
○多賀谷委員 この前実は質問をする予定でおつたわけですが、時間の関係で延びたのです。これは非公式ですけれども、話はしておきましたから、十分調査されて、きようは答弁になると考えておつたのですが、これも怠慢といわざるを得ないわけです。しかも労政事務所の事務官が行つて、組合を解散させなければならないと言つた、こういう事情、これは私はあながちこれだけを責めるというわけには行かないと思う。それほど経営者が労働組合に対して無理解であるということを証左するものであろう、かように私は考えるわけです。
    〔持永委員長代理退席、大橋(武)
  委員長代理着席〕
 ですから、私は事務官一人を責めるつもりで質問をいたしたいと考えたわけではないのですが、とにかく先ほどから組合側の参考人がこの問題を取上げられて、私たちも質問をしたわけであります。一体今の近代的な労使関係をとやかく言うわが国において、こんなことがあるだろうか、労政事務所が行つて組合を解散するというようなことがあり得るだろうか、かように考えるわけです。ですから、この問題は、きわめて大きな背景を持ち、意義があると私は思うので、すみやかに調べて報告していただきたい、かように考える次第です。
#80
○日野委員 小林理事長と遠山理事会議長に伺うことになると思いますが、大体証券会社の争議、これは世界証券発達史上に、いまだかつてない一つの争議だと言われておる。この争議がなぜ起つたかということについては、いろいろの事情がありましようけれども、証券会社は、今小林さんが言われたように、資本主義の一つの取引場であるということがわかりますが、内容が戦争以前から少しもかわつていない。戦争当時行われていたそのままじやないか。たとえば取引法の百九十一条では、人的、物的な一つの要素を持つて一定の場所で一定の時に行う、こういうことに解釈がなつておる。重要な人的要素について、今ここでいろいろ相談になつておりますが、労働組合を認めるとか認めないとか、労働三法がしかれてあつても、こういうものに対しては、今ここで労働組合には法律で出ておるのだから反対しない、こういうことを言つておられるけれども、以前からの調査で明らかになつたことは、あなた方の考えておられることは、労働組合をできるだけつくつてもらいたくないというのがほんとうの考えじやないか。共産党の指導はいかぬが、その他ならいいというようなことも言つておられるようであり、いろいろの申立て、陳述等を見ましても、あらゆる機会に好ましくない意思表示をしておられる。これらを総合して考えてみますと、やはり当局者は労働組合というものをできるだけつくつてもらいたくない、場合によつてはつくつたら首にするぞという言葉を使つたかもしれないとも考えられる。とにかく、こういう重大な人的要素に対する配慮が一つもなされていないところに、今度の争議発生の原因があつたのじやないか。これらについて、小林さん等はアメリカへ行つて各地の事情を見て来ておられるが、今後あなた方がこの人的要素に対する配慮を欠く場合、取引所は成り立たないとわれわれは考えている。この人的要素を総合していかに運営して行くか、何か一つの方法でもあれば、あなた方が争議以来壁にぶつかつて初めて考えた新しい案でもいいが、ここに持つておられるなら、ひとつ御発表願いたい。そうでなければ、無限にこうした事態を繰返して行くおそれがあるので、その点を一応伺いたい。
#81
○小林参考人 戦争以前と戦争後におけるところの証券取引所の性格について、かわつていないというお話のようでありますが、これは非常な違いであります。たとえば戦争前におきましては、売買の性格は八〇%以上が差金取引であり、わずかに二〇%ぐらいが実物取引である。しかるに戦後取引所設立以後におきましては、これが逆転をいたしまして、八〇%以上が現在実物取引であり、わずかに二〇%ぐらいが信用取引という、率直に申し上げますればいわゆる頭金といいますか、三〇%の証拠金をもつて売買するという組織になつておりますので、全然性格がかわつております。ことに戦前におきましては、財閥が非常に多くの株を持つておつた。しかるに、戦後におきましては、現在九七%が個人株主である。これに戦後において片山内閣時代に証券の民主化ということをやつた結果である。現在東京証券取引所の上場会社約五百九十五、上場株数において八十六億株、こういうような情勢になつております。これはまつたく性格が逆転いたしておるということを御承知おき願いたいと思います。
 それから、今後の争議に対して、お前はどういう考えを持つておるかという御質問でありますが、私も労務管理については、今後十分にこれを強化してやつて行きたいということを考えております。
#82
○日野委員 経済事情がかわつたので、証券取引もかわらないということはないはずであります。大きくかわつている点はわかるのですが、人的な関係において、戦争前のような考え方で今日の人を律しようと思うなら、これは大きな間違いが起る、こう思うのでありまして、ことに労働組合法初め労働三法が労働者の生活を保障しておるという関係にありますから、従来のような証拠金をとつてやるとか、一切使用者が封建的な考えでもつて労働者に命令し、奴隷のごとく使うということは、これは許されないことでありまして、こういう点について十分の配慮をすることは、重大なる取引所の要素である人的な構成、その管理、こうしたものには明確な一つの方針をもつて、従来とかわつた方針で臨まなければ、円満な取引の運営はできないと、こう思うので、この点は注文しておきます。
 過般の争議で、名古屋とか大阪では、取引所に似たような一つの機構をつくつて、こそこそ連絡して行われたようでありますけれども、東京の取引は、依然として百九十一条を守つて、一定の時、一定の場所で、組織された人的構成と設備によつてやるという明確な考えをもつてやられたことは一応正しい、私たちはこう思うのでありますが、このことが一定の取引所という場所をどうしても奪還しなければならぬということになり、そしてあの無事平穏に事業場を守つていたピケ・ラインを警察力で破らなければならぬということが、一つの争議激化の原因をなしたのではなかろうか、こういうふうに私たち考えるのですが、依然としてやはり取引所というものは、この百九十一条の原則――いろいろ判例や何かもありますが、こういう方針で今後も継続すべきものとお考えになつておられるか、その見解をひとつ承りたい。
#83
○小林参考人 ただいまたいへんおほめにあずかりましてありがとうございました。まさに証券取引所の性格は、公共性を堅持するということであります。それはここにおりますところの労働組合の細谷君も、この公共性については、最も理解している一人であります。従つて、この証券取引法に準じて私どももやつて参り、今後もなおかつ証券取引法に準じ、しかして公共性というものをあくまで堅持したいという覚悟を持つてやつて参りたいと思います。ただいま先生のお話にありました人的構成、これはまことにごもつともでありまして、やはり非常に人間がいります。古くからおつた人は頭が古いからといつて、いきなり首を切つてしまつて、新しい人ばかりにするというわけにも参りませんから、この点については、あくまで労務管理について努力をしたい、かように考えて、今後証券界の公共性をあくまで堅持するという方針であります。
#84
○日野委員 そういたしますと、労働組合に対しても、正しい労働組合の保護育成、それによつて正しく取引所の運営ををやつて行かれるという、あなたの堅持されている方針はわかつたのでありますが、それならば、経営者自身も初めてぶつかり、労働者諸君も新しい経験としてやつたあの争議が、不幸にしてああいう事態を引起して、今日多くの犠牲者を出しているこの現状に対して、理事者としてこの事態をどう収拾され、今後取引の運営を期するための人的構成の円満をはかる道として、何かお考えになつておられるかどうか。多くの犠牲者も出ているが、これらに対して、今後の運営の円満を期するために、何か経営者側としての考えがあれば伺いたい。
#85
○小林参考人 ただいま犠牲者というお言葉でありますが、これはどういう犠牲者であつたか存じません。私どもの考えの犠牲者を申し上げますと、先ほど申しました通り、一日のストでありましたためにこの投資家に与えた影響というものはきわめて甚大なものであり、これ以上の犠牲者はないのであります。申し上げるまでもなく、国家は産業資金の調達を証券市場においてはからなければならぬ。しかるに、この投資意欲を阻害するということは、これは大きな犠牲であつて、先生のおつしやる犠牲者というものはどういう犠牲者であつたか、私はその具体的の点はわかりません。
#86
○日野委員 今ぼくが言つているように、物的、人的な構成要素を持つているものの物的損害は、今取返しをつけようと思つても、なかなか取返しがつかない、将来の円満を期するために、人的構成の人的な犠牲――過般来あなたもここに出ておられるので、両者からいろいろの話を聞いているのだが、現に容疑者として刑務所に入つている者、負傷して病院にいる者、さらに過般の調査の結果、警視総監が告訴が出ないから警察官のあれは調べないのだ、こういうのでまた新しく告訴するというような事態が今日ある。こういう事態を、あなた方はどう処置されようと考えておるか。具体的にいえば、そういう紛争をある程度のところで、あなた方の希望もあれば一応考慮されるということも考えられるのであるが、どういう態度で――重大なる物的損害を与えたのだから、断固としてあくまでこの諸君と闘つて、厳罰に処さなければならぬという考えを持つか、あるいは今後の円満な運営を期するための重要なことで、そのことが今後の労働組合の保護育成、正しいあり方についても好影響を与えると思うなら、こういう紛糾を可能な限度で食いとめるというようなお考え等があれば、ひとつ承つておきたいと思います。
#87
○小林参考人 先ほどから申し上げます通り、証券市場の公共性を顧みますときに、私はあくまでこの証券取引法に準じて、再びかようなことが起りますことは、国民大衆に対して大きな迷惑をかけることでありますので、これに対しては、この機会において完全なる締めくくりをしたいと考えております。
#88
○日野委員 どうもそういうことを承ると、逆な効果を見るのじやないかとも考えられるのです。これは公共性を失われた、公益保護の建前から厳罰に処すべしという考えとも聞かれるのである。あなたが百九十一条を厳守して公正な取引をやつているという建前を、われわれ是認するものであるが、それならば、どこまで行つても責任者を厳罰に付し、理非曲直を明らかにしてというような態度で行くことだけが、取引所の公正発展を期す道ではなかろう。世界で初めての経験としてあなた方もぶつかり、労働者諸君も労務管理に対するあまりな無理解であるというところから立ち上つて、しかも正式なピケをしいて堂々とやつて行こうと思つたところに、突如として一千名を越える警察官にこれを蹂躪されたというところに、ああいう事態が起つたのであつて、こういうことを今後の取引所の運営の円滑を期するために考えるならば、あながちあなたの考えられる厳罰主義だけが道ではなかろう。あなた個人としては、ここでただちに収拾できないとしても、何かひとつみんなと相談してこの事態を円満に収拾しておけば、今後取引所というものは円滑完全に運営ができる。そこにあなたが先刻来言明しておられる今後労働組合等も健全に育成して行こうという考えが加わりますならば、将来の明るい見通しが立つのじやないかと思いますので、重ねてひとつ見解を承りたいと思うのであります。
#89
○小林参考人 先生の御意見として承つておきます。
#90
○大橋(武)委員長代理 多賀谷委員。
#91
○多賀谷委員 組合と会社側にお尋ねしますが、これは実は実栄証券の場合ですが、社友会という会が結成になつておる。そこでこの社友会というのは、費用はどういうように持つのですか、会社側からも費用が若干出るのですかどうですか、この点も組合と会社側にお尋ねしたいと思います。
#92
○深山参考人 社友会は、現在行われているのは、社友会でなくて、社員会なんです。これはあくまでも労働組合の精神でやつて行こう、こういう精神でありますから、会社の方からの費用というものはは全然考えておりません。全部自費でやつて行こう、こういう考えでやつております。
#93
○多賀谷委員 今組合の方から、自費でやつて行こうということでやつているという話がありましたから、会社側の方から御意見を聞くまでもないと思います。そうしますと、社友会結成有志一同というビラが刷られておるわけであります。しかもこの社友会設立趣意書ということで、三点にわたつていろいろ書いてあります。これは社友会あるいは現在では社員会であると言われますが、それはどういう構成であるのかというのが第一点。それから会社側の方からお勧めになつてこういうものができておるのかどうか、その二点について質問いたしたいと思います。
#94
○深山参考人 そのことにつきまして考えられることですが、二十六日にこういう事実があります。九月二十六日夜九時四十分ごろ、中野にある会社側の代表である香取次郎氏宅を伺つたところ、第七実栄証券の社長である片桐一郎氏宅で、第九実栄の内田君及び青木君の両君が歓談して帰宅した。こういうことと、さらに十時四十分ごろ第七実栄の社員である渡辺君が社長宅を尋ねた。彼の住居は品川区の荏原にあつて帰宅が非常に困難である。こういうことが考えられる。それで十一時四十分現在彼が社長宅にいたということは、二、三の参考人を用意してありますから、これの証言で確実であると思います。さらに、それを裏づけるかのごとく、翌二十七日の早朝、七時四十分ごろ出社した社友会の結成有志は、昨夜は一睡もしなかつた、こういうことを言つておりますことから考えますと、この社友会結成は、経営者側と話合いの上でやつたということが考えられるわけであります。
 それから、その構成メンバーでありますがこれは各社の社長の経営者側と関係のある社員及びそれに類すべき社員を構成メンバーとして構成されておつたということは事実であります。
#95
○多賀谷委員 会社の社長の関係の社員あるいはそれに類すべき社員というのは、具体的にはどういうことですか。たとえば職制で言えばどの程度の人が入つているのですか。
    〔大橋(武)委員長代理退席、委員長着席]
#96
○深山参考人 われわれの会社は、職制というものがしかれておりません。社長がありまして、その下にすぐ重役がおりまして、あと社員となつております。ですから職制を問われてもそれにはお答えできないわけですけれども、結局非常に密接なる関係がある社員、それからそのほかに縁故関係――これが非常に多いのです。二十何名ばかりおるわけですが、そういう中の一部の社員がそれに加わつたということも事実であります。
#97
○多賀谷委員 組合員でない人は、どういう人ですか。社長と重役だけですか。
#98
○深山参考人 それは親類関係及び姻戚関係にある社員ということになつております。あるいは親子関係、こういうたぐいの社員という意味です。
#99
○多賀谷委員 労政局長にちよつとお尋ねしたいのですが、実は実栄証券という会社、これは第一から第十二まであるわけですけれども、これが九月二十一日に組合を結成して、二十七日に解散しておる。そして社友会というのが結成されんとし、社友会設立趣意書というものが出されておる。その設立趣意書の内容は
  一、証券市場の明朗健全なる発達を期すため、才取事務の完遂を計り、以つて社運の隆盛と社員の生活権の保証を目的とする。
  一、経営者との交渉は、全て紳士協定により、争議行為は行わない。
  一、第一――第十二の実栄証券個個の社友会を結成し、それらの社友会からなる連合体を組織し、一体化を計る。
  昭和二十九年九月二十七日社友会結成有志一同
 こういうことで、この趣意書がばらまかれておる。
 そうすると、組合が解散になつて、今後の交渉はすべて紳士協定でやつて、争議行為は行わない、こういうことの趣意書を出して、しかも会社側に味方をするような人々によつて、あるいは縁故者によつてこれが結成された、こういうことになりますと、これは客観的に見ましても、明らかに不当労働行為であると考えられますが、どういうように御判断になりますか。
#100
○中西説明員 その際の構成メンバーの自主的な気持がどこにあつたか、これはよく調査しませんとわかりませんが、もしほんとうに自主的に構成のメンバーの人たちがそういうような転換を希望した、考えたということならば、これはいかんともしがたいといいますか、それもけつこうじやなかろうかというように思われるのであります。
    ―――――――――――――
#101
○赤松委員長 この際お諮りいたします。午後の港湾小委員会に参考人を追加いたしたいと思いますので、御承認を願います。全港湾の中央執行委員長兼田冨太郎君――御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○赤松委員長 それから島上善五郎君より、本委員会の議題になつておりまする年末闘争の警察官介入問題につきまして、国鉄労働組合本部中闘の矢上正直者、東京地方本部委員長歌崎藤作君、横浜支部委員長板間米蔵君を参考人に呼んでいただきたいという御要求がございますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○赤松委員長 さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#104
○深山参考人 先ほど申し上げましたように、二十六日の夜そういう会合があつた、そういうことから推察いたしまして、また経営者側の言うことと、それから有志の言うこと及びその言動が、すべてが非常に一致した、こういうことを考えますれば、自主的なものじやないと、こういうように思つておるわけです。
#105
○多賀谷委員 証券会社の従業員の労働条件並びに労使関係については、われわれは参考資料をいただけばいただくほど、非常に重大な問題を含んでおると思うわけです。しかし今日せつかく経営者側の方に御足労願いましたけれども、個々の証券会社の実態も十分一把握されておらないようであります。あるいはこちらの手ぬかりもあつたかもしれませんけれども、これらの問題は、証券ストが大きく世論を喚起した、こういう点から見ましても、証券会社における労使関係及び労働条件は、今後ぜひとも調査を進めておきたい、こう考えますので、本日は一応これで打切りまして、さらに継続審議いたしたい、かように考えております。
#106
○赤松委員長 ただいまの多賀谷君の御提案に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○赤松委員長 さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
    午前十一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時三十八分開議
#108
○赤松委員長 休憩前に引続き再開いたします。
 本日午前皆さんにお諮りいたしました公共企業体関係の紛争あつせんに関する申入れの決議に関しまして、再確認したいと思います。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○赤松委員長 それではさよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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