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1953/11/29 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 郵政委員会 第36号
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1953/11/29 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 郵政委員会 第36号

#1
第019回国会 郵政委員会 第36号
昭和二十九年十一月二十九日(月曜日)
    午前十一時六分開議
 出席委員
   委員長 田中織之進君
   理事 小林 絹治君 理事 船越  弘君
   理事 山花 秀雄君
      飯塚 定輔君    河原田稼吉君
      坂田 英一君    櫻内 義雄君
      武知 勇記君    佐藤觀次郎君
      淺沼稻次郎君    片山  哲君
      土井 直作君
 委員外の出席者
        郵政事務官
        (大臣官房人事
        部長)     宮本 武夫君
        郵政事務官
        (経理局長)  八藤 東禧君
        参  考  人
        (公共企業体等
        中央調停委員会
        第二小委員長) 中村常次郎君
        専  門  員 稲田  穣君
        専  門  員 山戸 利生君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 郵政従業員の賃金改訂に関する調停に関する件
    ―――――――――――――
#2
○田中委員長 これより郵政委員会を開会いたします。
 前会に引続き郵政従業員の賃金改訂問題について調査を進めたいと存じます。本日はまず参考人として御出席を願いました公共企業体等中央調停委員会の中村第二小委員長より、郵政従業員の賃金改訂に関する去る二十四日出されました調停案について、説明を聴取いたしたいと思います。調停案はわれわれも資料として手先に持つておるのでありますが、この調停案が決定するまでの経過及びいかなる根拠に基いて作定されたか等の点について、勧告内容から見ますと非常に抽象的でありますので、できれば具体的に御説明を願いたいと存じます。参考人中村常次郎君。
#3
○中村参考人 それでは申し上げます。この前一度、今月の初めかと記憶しておりますが、この郵政委員会の方に参考人として伺いまして、そのときまでの経過を簡単ながら申し上げたわけであります。そのときにそのときまでの情勢を一通り申し上げましたことと、それからもう一つは郵政の当局者のうちの、特に組合の方から新しい資材としまして、この賃上げ要求の裏づけとして検討してもらいたいという意味の新しい資料が、ちようどそのころ出て来ておりましたので、その検討を開始する予定だという二つの事柄について、特に申し上げたと記憶しております。きようもやはりその関係に従いまして、まずそれ以後の審議の状況、それから組合側から提出されました新しい資料の検討、この二つの関係からこの調停案に立ち至りました経過、こういうふうに大体三つくらいにわけまして、要点だけを申し上げたいと思います。
 今月の初めこちらに伺いましたあと、引続き審議をいたしておりましたわけですが、そのときまでに問題となつておりました省側の方の建前の、べース・アップである限りはとうていこれに応じがたいという線と、組合側の方のわずかでも賃上げをしてもらいたいというのが正面衝突をいたしましたまま、依然として何ら打開の方途というものを講ずる余地のないほどの開きになつておりまして、この委員会でもちよつと御質問に応じて御返答申し上げたと思いますが、調停委員会のやり方についていろいろ考えられるのでありますけれども、一つの最も調停委員会らしい行き方としましては、できる限り両当事者の解決しようという努力の方向並びにその線に沿いまして、それを結びつける、その距離を詰めるという方法が、一番穏当なやり方ではないかと思つております。公企業体等中央調停委員会におきましては、われわれが委員になる以前から、伝統的に今申しますような調停の仕方と申しますか、方法がとられて来ておりまして、われわれといたしましてもそのやり方が最も妥当であり、かつ穏当なやり方だというふうに考えておりまして、その線で努力して来ておつたわけなのであります。ところが今申しましたように、かんじんの一番中心の問題におきましては、まつたく歩み寄りの余地というものがない、こういうふうになりますと調停委員会といたしましては、調停委員会の立場から、はたしてこの賃上げ要求というものが、どの程度ま認め得るものかということの検討を独自に行わざるを得ない。前の委員会の際に、それでは賃金委員会のような性格のものになるのではないかという御質問もございましたが、つまりやむを得ざる関係におきまして、そのような態度にだんだんと移行して行かざるを得なくなつた次第であります。
 ちようどそのような関係になつておりましたときに、組合の方から新しい資料といたしまして、二、三の資料の提出があつたのであります。その資料は委員の方でも、この前の御説明の際お持ちのようにお見受けいたしたのでのりますが、民間の各種産業の賃金との比較というふうなものに力点を置きまして、この際郵政関係職員の賃上げが妥当であるという根拠づけとして提出された資料であります。これは調停委員会におきまして種々検討いたしたのでありますが、あとで御質疑があれば多少立ち入つて申し上げたいとも思つておりますが、たとえば類似産業といたしまして金融及び保険業、運輸通信及びその他の公益事業、それからまたその統計のとり方等におきまして、委員会は委員会の立場といたしましてできる限りの検討をいたしたのであります。その結果はたしてこの比較検討が妥当であるかどうかということにおきましては相当問題がある。また資料の取扱い方におきましても種々の問題点というよりも、疑問点も考えられるということでありまして、残念ながらそれをそのままに受取ることにはなりかねた次第であります。
 それと委員会といたしましては、新資料が出て来る前にいろいろ検討しておりましたことも比較いたしまして、たとえば消費者物価指数が、昨年十月基準で、特に二十九年の十月ごろどういうふうな推移になつておるか、あるいはまた昨年の調停並びに仲裁の各委員会におきまして打出しましたべース・アップの線に沿いまして、本年一月から郵政関係のみならず、一般に公企本体はベース・アップが行われておるわけでありますので、その一月を基準として考えました場合に、本年の九、十月というものはどういうふうに推移しておるかという点と、それからこれに関係しまして、ちようど同じころの基準に対して郵政職員の生計費と、いわば昇給、昇格等によるところの実際の賃上げ状況との比較検討を行いましたり、あるいは民間一般産業の賃金の動き、いわば一口に申しますと、各種の労働経済関係の指標の動きというものを比較検討などいろいろいたしました結果、どうしてもこの際といたしましては大幅なベース・アップはもちろん、とにかくもベースにこれを及ぼすというほどの強い要素というものを、残念ながら見出しかねたわけであります。
 しかしながらこの調停申請に至りました経過のいろいろな両当事者の間のやりとり、それからまた調停委員会で取上げましてから後の、この調停案作成に至るまでの、調停委員会といたしまして両当事者にいろいろと折衝いたしました過程における問題点というものを取上げまして、ベース・アップは残念ながら認めかねるわけでありますけれども、職員の勤労意欲を維持し、業務の発展のためには、やはりできる限り待遇の改善ということに努力せらるべきものであるというふうな考え方からいたしまして、調停案主文の特に二、三というものが打出されて来たわけであります。
 調停案の一は、この要求自体が御存じのように、前文のところにもちよつと書いてございますが、体系と関係を持つた賃上げ要求なのであります。つまり七十号俸という組立て方が現在の月額給の体系でありますが、これを六十号に整理する。そのほかに十八才独身男子の生計費を八千幾らというのを基礎として、その上に積み上げて行くというように、一つの体系と結びついた賃上げ要求になつておるわけであります。そういうふうに要素的にわけて行くことが一つの問題かどうか、ここに一つの議論のあるところと思いますが、賃上げ関係ではそういうふうに委員会としては考えましたものの、賃金体系というものにはやはり改善せらるべきものがあるのではないか、現に非常に親近関係にありまする日本電信電話公社並びにその組合との間におきましては、最近賃金体系の改訂に関する協約が協定されたわけでありますが、それがいいか悪いかはしばらくおきまして、公務員のときの給与からずつと引続きいて今日に至つております場合に、現在の企業の性格が公企業体となり、特に現場の職員等も多数かかえておりますこれらの現業の公企業体におきましては、賃金体系そのものについてもう少し立ち入つて、ベースの問題は別としましても、やはり改善するものが相当あるというふうに考えまして、これを主文の第一項にすえたわけであります。こまかな内容につきましては、できる限り直接現場におり、また現場の実情をよく知つている両当事者において、これを団体交渉によつてだんだんしぼつて行つてもらいたいということを願つているわけであります。
 第二の不合理、不均衡といいますのは、昭和二十三年当時の一千九百円ベース、並びにそれに関連しますその暮れの政令四百一号当時におきましては、相当多年にわたつての経験がありました者でも、三年以上の者は大体三号どまりにする、それ以下は二号どまりにする――これに非常にふさわしい条件の者もあつたかと思いますが、それでは気の毒だと思われる者もあつたわけでありまして、このときから以後引続いていろいろな不均衡、不合理が存在しておるわけであります。御承知の通りそのころからいわゆるインプレーシーンがだんだん進行して参りまして、給与問題といいますと、大体べース・アップというものが中心になつて、今日まで推移して来たという実情であります。給与間のアンバランスとか不合理の是正の方がむしろ二次的に推移して来ているという点は、どうしてもやむを得なかつたものと思います。もつとも郵政におきましては、逐次その不合理、不均衡の是正に努められたようでありますけれども、決してこれが十分に行われているようには考えられない。ですから、これもやはり実情に即して両当事者でやつていただきたいというのが第二であります。
 第三は、理由のところである程度具体的にも触れておりますように、現在の状況におきましては、昇給予算がおそらくは十分にとり得ない関係があるだろうと思いますが、別な手当のものを原資として、そのやりくりによつて昇給を行つておる。あるいはまた二十九年においては昇格があまり行われておらない。そこで実際上聞いたところでは、ほとんど行われておらないという話がありました。そのたびに団体交渉を持つて、ようやく昇格が行われる、こういうような実情であります。こういうような関係では、職員の勤労意欲を維持することもはたしてどうであろうかという懸念が非常に濃厚でありますので、昇給、昇格制度はぜひ確保されまして、勤労意欲の維持に努められるように、こういうように、要望したわけであります。また昇給、昇格ははたしてどういう内容のものかということにおいて、その経済的な論拠にはいろいろ議論のあるところと思いますが、それが十分に行われれば、生計費の多少の上昇というものがありましても、これによつて十分にカバーできるであろう、直接に賃上げということによらずとも、昇給、昇格が十分行われることによつて、実質的には同じような効果を持ち得ることも可能である、こういうような考え方も一部ありまして、これを確立することを要望する。
 大体以上述べましたような三つのものが、調停案の内容でありますし、また考え方でもあるわけであります。大づかみでありますけれども、一通り申し上げました。
#4
○田中委員長 ただいまの中村小委員長の御説明に対して、質疑はございませんか。――飯塚定輔君。
#5
○飯塚委員 中村さんにちよつとお伺いいたしたいと思います。第二項の点でございますが、今のお話は賃金体系の是正ということを主としてお話になられたように承りました。その中で電電公社においての賃金の是正が行われておる、それと比較しても、これは何とかして是正しなければならないじやないかというお考えのようであります。この点は昨年の六月の国会で、電電との不均衡是正について、これはわれわれもぜひ努力したいと思つて、四月からの繰上げでやるべきものを、予算の関係で六月からに是正して実行したのであります。これはよくわかるのでありますが、部内の郵政それ自体の、「主文第二項について」としてある二行目に、「この間職員の給与に多くの不合理、不均衡を生じてきたにもかかわらず、これが是正は充分に行われず、」としてありますが、その点についてもしもう少し詳しく伺えればと思います。
#6
○中村参考人 申し上げますが、今の御質疑に問題は二つあると思います。電電公社とのアンバランスの問題という点について、ここで直接触れておるのではございませんで、先ほど申しましたのは、非常に親近性のある事業としまして、電電公社関係においても最近賃金体系の変更があつた、こういうことを見ならえというのではなくて、こういうふうな関係から見ましても、相当急いで賃金体系の不均衡改善の必要があるのではないかということが考えられるという意味で申し上げた次第でありまして、賃金のベース間にアンバランスがあるということについて申し上げていたわけではないわけであります。
 それから第二項の郵政職員の給与の不合理、不均衡というのは、簡単に申し上げましたが重ねて申し上げると、まだ郵政関係が今日の公企業体となる前からも、実際はさかのぼればあるということが考えられておるわけでありまして、それはその理由のところにも書いておきましたが、厳格に申せばこれはいろいろな問題点を持つている調停案だと思います。たとえば郵政職員の事業といいましても単一部門ではございませんで、各種の職務内容を持つたものでありまして、非常に複雑な業態をなしておる。従いまして各職能間のアンバランスの問題が考えられて来るわけであります。これはただ単に甲に比べて乙が多いとか少いという問題ではございませんで、その職務の質と量に応じまして、もつとつつ込んで申せば職務の評価というようなところまで、ある程度両当事者がつつ込んで行つて初めて――合理的だという言葉を使われておるのでありますが、合理的なものに到達することがあり得るものだと思います。先ほど申しましたように主として今までの両当事者間の問題は、ベース・アップをめぐつて郵政省以来論議されて来ておりますので、こういうものが行われて来なかつたわけではございません。しかしこれが十分に行われておるとは言いかねると思います。ですから賃金体系の変更と結びついたものだと思われます。しかしながら必ずしも結びつけるということは、はたしてどうであろうかということも委員会としては考えた次第でありまして、その意味は、たとえば二千九百円ベースが昭和二十三年に行われましたときに、多年にわたつて経験を蓄積しておる者でも、たしかあのときのルールといたしまして、三年以上の経験の者を三号俸くらいでとめるということでありました。従つて十年も、極端に言えば十年以上も経験を持つておる者も、四年、五年持つておる者と同じように四号、三号くらいでとまつてしまうことがありました。そういうものについて何か考える余地がなかつたか、そういう多年の経験に対して報ゆべき何らかの措置が考えられていいのではないかということも、一つの問題点となると考えられます。そういうような点もまだたしか残つているはずだと思います。ですからこれは利害関係を自分のものとして持つておる組合との間の交渉において、問題点を出してできる限りきめてくれというのであります。これはなぜ一とわけたかと申しますと、一だけを書いてしまつてこの中に全部含めますと、体系変更が両当事者間に成り立たなかつたときには、一緒に御破算になつてしまうおそれもあるということであります。そうするとそういう不合理な関係に置かれる人、不均衡な関係に置かれる人はまことに気の毒である。従つてそういう場合もやはり並んで一つ問題として、取上げてもらいたいというのが第二の趣旨であります。
 それから昇給、昇格も当然現在においてもないわけではないので、あるわけであります。これが実際にスムーズに行われがたいというところに問題があるわけであります。ですからほんとうの意味の制度の確立がないということであります。これは賃金体系が改革せられて初めて確立するわけであります。ところが賃金体系がうまく行かないからというので、二、三項が飛んでしまうことではまことに遺憾であるということから、実は一項目ずつわけまして項目を別にしたわけでありまして、賃金体系の方に主力を置いて私が申し上げました趣旨は、二、三も本来含まれるべきものということであります。一ができないからといつて、二、三が雲散霧消してしまうのはまことに残念だということで、二、三を別々の項目として列挙する、こういう方針をとつたわけであります。
#7
○飯塚委員 それはよくわかります。最も郵政の賃金と関係のある電電公社のベース・アップ等に対して、特に郵政の見劣りする点については、昨年もわれわれも主としてその是正に努力したのでありますけれども、そういう是正が必要であれば、これはわれわれとしても必ずその方向に向つて行きたいと思いますが、その前段の方のこの間職員の給与に多くの不合理、不均衡を生じて来たにもかかわらず、まだこれが是正は十分に行われていないという点については、郵政当局との間に委員会としてお話合いがあつたかどうか、その点をもう一度お伺いいたします。
#8
○中村参考人 両当事者とも主としてベース・アップと申しますか、先ほど申しました通り賃上げ問題に問題が集中しておりまして、その点に関する話合いの余地はほとんどないわけであります。ただ調停委員会の責務としまして、先ほど申しました通りべース・アップに関係のある諸問題等に立ち入つて検討を加えておりますときに、浮び上つて来た問題なんです。これはつまり組合の方の見方をすれば、組合の方はこのベース・アップでは不満であろうけれども、われわれはこういう結論に到達した。しかしながら第二、第三というのは実質的に待遇改善になるわけでありますから、特に昇給、昇格は、先ほど申しました通りある意味においては、ベース・アップに実質的にかわり得るものとさえも申し得るわけであります。ですからそういう意味においては、こういう点においてべース・アップ一本やりというのはどうであろうか。これはまだまだ交渉の余地があるだろうし、話合いの余地もあるだろう。これは私はお説教を申し上げるつもりは毛頭ございませんが、労使の協力によらなければならない点が多多あるわけであります。現在の給与わくの中でも、給与の支払い方法についていろいろ改善を加えますと、そこに多少の原資が出て来る可能性はあるとわれわれは信じおるわけであります。これを調停案の二なり三の原資としてまわし得る余地はあるだろうと思います。
 さらに第三について申し上げました通り、これは調停案の限界を越えるわけなんですけれども、大蔵省等の折衝において昇給、昇格原資が十二分に――十二分でなくても、十分でもよろしいですが、十分にとれることになれば、ずいぶん勤労意欲の増進に対しても違つて来るわけですし、そういう労使間の関係だけでなく、省と省との関係もあり得ると思います。そういうような点につきましても制度的にきちつと確立される、そして両当事者がそれを守るべき態勢ができれば、おのずから道も開けて行くのじやないか、こういうふうな点を考えまして、問題点として浮び上つて来たものについて調停委員会がその態度を示したわけでありまして、両当事者とも不満足であろうが、ぜひこれでやつてもらいたいという意味であります。それで郵政当局の方からこれには十分の用意ありというような意味の回答はまだ聞いておりません。
#9
○山花委員 中村さんにちよつとお伺いしたいのですが、先ほどの説明のうちに、組合側からも類似産業の資料がいろいろ出て来たけれども、それをそのまま受取るわけには行かない、そこでほかの形のものをも参考にして一応結論に達した、こういうように言われましたが、どうも今度の調停委員会の様子を見ておりますと、これはわれわれのひがみかどうかわかりませんが、大体もう省には予算がないのだ、そこにしわ寄せをするような政治的な感覚が、今度の調停委員会に動いて来たような感じがするのです。組合側から提示いたしました参考の業種というのは、今の郵政関係の職員には一番近い業種を出しておるのですが、たまたま経理内容の関係である程度高賃金になつておるので、それを無理に避けて賃金の低い面のところを突きまぜて今度の調停案を出された、こういうようにちよつと考られるのですが、この点はもう少し調停委員会としての案を出された確信を、われわれの納得できるように説明を願えればけつこうだと思います。
#10
○中村参考人 それではこの全部にわたつてお話申し上げるのもちよつとどうかと思いますが、一、二の点について今の御質問にお答えいたしたいと思います。たとえば郵政職員と民間類似産業との比較――お話がございましたものとして出て来ておりますのは、先ほどもちよつと言いましたけれども金融及び保険業、これの毎月、つまりきまつて支給する給与と郵政職員の給与との比較というふうなものが出て来ておるわけであります。ところが賃金の内容に立ち入つて言いますと、まず一つの違いがあるのです。それは俸給というものの持つているウエートが、公務員もそうですが、公企業体の方が非常に大きい。ところが民間産業の方はそれ以外の手当のものが割合に大きいということがあるのです。ですからまずそれ自体、ただちにその総額において比較すべきかどうか、非常に問題であります。そういうふうな点も取捨選択してやつて行かなければならないというふうに、比較そのものについてもまず一つの問題点があつたということを申し上げておきたいわけであります。これもこの前のときにちよつと申し上げましたけれども、類似産業は確かに類似産業であります。たとえば郵政関係は貯金関係の業務もやつておりますし、簡易保険等もやつておるという関係なんですが、民間のたとえば保険業、それから銀行を中心としました金融業と比較してはたしてどうであるか、企業の性格が非常に違つているという点もありますので、先ほど申しましたことと結びつけまして比較それ自体にまず問題がある。その次には比較の内容であります。比較の内容になりますと、金融関係等は割合に一般民間においても高い方でありますから、確かに郵政職員に対して高い賃金をもらつておるという関係のものが出て来ます。そういうことは事実としてわれわれも認めているわけです。ただ今申しました通りその比較自体から、ただちに今回の結論を出すことがいいかどうかということには、非常な問題があるわけでありまして、その関係のあるものを比較としてただちにとつて来ていいかどうか、これについて委員会でいろいろ論議しました結果、今回は先ほど申し上げました通り、その比較そのものを取上げるということには至らなかつたわけでございます。それが御質問のように初めから一つの方針を持つてやつたかどうかというふうな御解釈が生れて来るところかとも思いますが、性格が非常に違う企業体の比較でもあるし、また職務が類似しておるということと同じことということとは全然性格が違つております。まつたく同じものであれば別ですが、類似しておるその類似の度合いというものが、今申しましたように非常に問題があるわけであります。一方が高いからただちにそのように高くしなければならないと言い得るかどうか、これは問題であります。たとえばまた郵政の方から入つて来ましたものとしては、賃金というものはいわば量と質の関係があるわけでありまして、その部分も組合の方としては考えて資料を出されまして、時間においてもいろいろそこに問題が出て参るわけであります。郵政関係の時間は御承知の通り四十四時間もありますし、四十八時間もありますし、六十時間もあります。七十時間もあります。こういうふうな関係があります。ところがこの郵政職員の中におきましても、すでに特定局と普通局というものは、名称が違つているからというわけではありませんが、現に業態も確かに違つているようであります。ですからこれはすべて同一の時間に換算する、現に組合の方では換算しておるわけでありますけれども、こういうふうにいたすことができるかどうか、ここは非常な問題があると思います。ですからどういうふうに労働時間を見て、それから賃金を出して来るか。その出し方の内容におきましても、先ほども申しました通り、にわかにそれをとるというわけにはいかない。それからまた運輸、通信その他の公益事業というふうに言つているものにおきましても、公益性というものの幅も非常に広いわけでありまして、とにかく非常に広い公益性という点では関連性を持つておりましても、にわかにそれが類似しておる産業かどうかということになりますと、その職務の内容においてはたして類似しておるかどうか、これは非常な問題があろうかと思います。少くともこれをはつきりと言い得るような定説も、学説の中に見出すことができない。従いましてそういう懸念のありますものを委員会がにわかに取上げるということは、はたしてどうであろうか、こういうふうなことからそれをとり得ないというふうになつたのであります。
 今申しましたのが大体あとから出て参りました資料の関係でありまして、われわれ前々から注目しておりました一つの事実ですが、これはこの前の委員会でもちよつと申し上げたところだと思いますけれども、重ねて申し上げますと、昨年の十月ごろを一〇〇としますと、最近の消費者物価指数は大体一〇三・八五くらいになつております。今年一月を基準としますと、最近のところでは大体消費者物価指数が一
○一・七三というふうに、あまり動いていなしのであります。ところが郵政職員の給与の方は、昨年の十月の方を基準としますと、上昇率はこの九月、十月の平均で大体一〇九・六、それから二十九年の一月を基準としますと、この九月、十月が一〇二・八というふうになつておりまして、消費者物価指数の上り方よりも、むしろ上つているという数字が出ておるわけであります。これだけを基準としたわけではありませんが、こういうことも考えなければならないということ、それからまた郵政職員の給与というものと、毎勤というもの――普通これは全産業をさしておりますが、この全産業との比較関係でみますと、全産業の給与の上り方よりも、郵政職員の給与の上り方の方がまだましであるという関係の数字も出て来るわけであります。このこまかな数字の一つ一つ、たとえば一・幾らとか何パーセントというふうなものは、これはもちろん調停委員会はそれ自身専属の調査部局というものを特に持つているわけではありませんで、調停に関する事務局を持つているだけでありますから、必ずしも専門家をそろえているというふうには申し上げかねるわけでありまして、そういう点は多少の誤差があるかもしれませんが、しかし大体の傾向としては今申しましたところでも出て来るわけであります。委員の間におきましてはこれらのものを全体的に総合勘案しましても、もちろん先ほど来申しました組合から提出されましたいろいろな資料についても、これを総合勘案の中に入れて考えたわけでありまして、大体この前の委員会のときにも私出席して申し上げたかと思いますが、公務員もそうですけれども、公企業体の職員の給与というものは、民間の普通産業のように景気がいいから非常にたくさんの収入がある、不景気になると非常に悪くなるという、景気の反応が敏感に出て来ないところに、別な言葉で言いますとある程度安定した収入が得られるというところに、むしろそういう公企業体の職員の給与というものの一つのよさという面もあるかと思います。こういう点に立脚して考えますならば、今のいろいろな資料の総合勘案の結果、べース・アップというものを今していいかどうかということになりますと、これはにわかにそうしていいということは出て来ない。もちろん調停委員会としましては、将来におきまして情勢がかわつて、いろいろ違つた批評が出て来るということであれば、別な結論がおのずから出て来たろうと思つておりますので、何か初めから一定のわくだとか、あるいはまた一定の方針がきまつておりまして、何でもかんでもその方針のもとに、あらゆる批評をまげてそこに持つて行つたということはしなかつたつもりでございます。
#11
○山花委員 大体調停委員会としてのお考えは一通り承ることができましたが、賃金の基本的な考え方につきまして、従来の慣習と申しましようか、政府関係事業と一般民間関係の企業との間における賃金差というものが、いつもある程度開いておる。これをそれではいけないというので、政府関係事業であつても民間企業の賃金形態に近づけて行くという努力が、いつの場合でも払われておるのでありますが、そういう考え方が今度の調停委員会の賃金査定について十分考慮されたかどうかということ、それから今概略的にどの程度賃金差というものが、ここ三、四年の間に縮まつて来たかという点、もしお調べになつておりましたならば、調停委員会の見解としてはつきりしていただきたいと思うのでございます。
#12
○中村参考人 今資料がちよつと見えませんから一般的なことだけしかお答えできないのが残念でございますが、むしろ近年その差が非常に狭まつて来ているというふうに私は考えております。インフレーシヨンの当初におきましてはかなり開きがあつたのが、漸次縮まつて来た。それから先ほど他の委員の方からお話もありましたが、いわゆる三公社五現業といわれております各公企業体の間のアンバランスも、ことにここ一、二年の間に急速に縮まつて来ているはずだということが言えると思います。
#13
○山花委員 この前の説明のときに、政府関係事業は比較的安定をしている。一般民間企業の方は、景気、不景気によつて賃金も相当左右される。こういう点が賃金体系のうちに相当考慮される。こういう御説明がございましたが、その説明から参りますと、やはり政府関係事業の方は幾らか一般民間企業より低くてもいいという考え方がひそんでいるように考えられる。この点いかがでございますか。
#14
○中村参考人 その点につきましてこの前たしか申し上げたように記憶しておりますが、郵政職員に関する限りは、どういう比較のとり方をするかによつて多少違いますが、一般的に言つて民間産業に比較して高くもないし、低くもないところじやないかと考えております。そのためにこの辺で低くしておけというようなことはありませんで、現状がその辺にあるというところで考えた調停案でございます。
#15
○山花委員 昨年七月に出しました一万四千二百円ベースですか、この賃金体系を、今度調停委員会といたしましては、実質的に維持するという考え方で結論をお出しになつたのかどうか。
#16
○中村参考人 ちよつと御質問の趣旨が非常に微妙なところに触れているようで、受取り方が違うところがあるかもしれませんが、私の方といたしましては、昨年のベースをどう考えるかに一つの問題がありますが、現在どれくらいの基準内賃金になつているかという実情から考えて、調停案をつくつております。郵政職員の基準内給与は、九、十平均で大体一万四千六百二円になつておりまして、これが昨年の十月はどれくらいであつたかといいますと、あのベース自体のことは別としまして――実はこのベースのことが問題であると言えば別ですが、実際に基準内給与として郵政当局から支払つておりました一人平均が、二十八年十月におきまして一万三千三百二十二円だつたと思います。だからベースと実際の基準内給与ということは少し違う。私どもはむしろ実情に即して、昨年の十月は幾らであつて、それが今日幾らか上つて来たという実際の上り方を見まして、これと生計費なり基準内給与その他の関係資料と比較検討をして、今すぐにベースを上げなくてもいいじやないかという判断をしたのでありまして、昨年も調停案を出したから、ことしはそれを維持しているというのではなく、実情に即した態度をとつているわけであります。
#17
○田中委員長 その点は、結果から見ればやはりベースはかえないということになる。山花委員がその点を伺つているのじやないかと思うのですが、どうですか。
#18
○中村参考人 これもこの前の委員会のときにちよつと考え方を申し上げましたので、重ねて申し上げることになることがあるかもしれませんが、ベースを維持するということにつきましては、やはり一番大きな問題は、組合側の要求にもあります通り、生計費が実際どれくらい上つているかどうかということとのにらみ合せかと思います。それで見ますと、そんなに上つていないわけです。私たちの調べた数字によりますと、昨年の十月を基準としましても、大体今年の九月、十月平均で四・〇四%しか上つておらない。今年の一月を基準としますと、一。八七%しか上つておらない。こういうわけなんです。ですからこういうふうにわずかしか上つていないものを、機械的にスライドするといいましようか、機械的にこの賃金ベースに反射させて行くことがいいかどうかに問題があると思われます。この点はこの前に小委員会を開きましたときに私が申し上げました一つの問題点でございまして、私はそれを機械的に賃金のベースに反映させるということは、非常に疑問視しているわけであります。また委員の人たちもいろいろ議論をいたしました結果、この際はそういうふうに機械的にスライドするのはやめたらどうだろう。そのかわり実質的な待遇改善の方に問題を集中しようということになつて行つたわけでありまして、それが調停案の二、三に出ているわけでございます。
#19
○山花委員 私の今お尋ねいたしましたのは、去年の七月に一応調停委員会の結論として一万四千二百円ベースというものを出された。そういう当時の賃金ベースの考え方のもとにいるかどうかということなんであります。実際は去年の十月に、今の説明によりますと一万三千三百二十二円でありますが、現在は一万四千六百二円になつている。この実情を勘案して、調停委員会としてはいろいろ結論を出した、こういうご説明でございましたが、そうしますと、去年の七月出した一万四千二百円というものは全然考慮を払わずに、今度の結論を出した、こういうふうに受取つてよろしいかどうか。それとも去年七月出した一万四千二百円という考え方は、そのまま堅持している、こういうことに調停委員会はなつているかどうか、この点をお伺いしたい。
#20
○中村参考人 お答えいたします。昨年の調停案は、私個人から申しますと、関係していないわけなんです。しかし委員会としては引続いております。昨年の調停案が実際上実施されたのは、本年の一月でございます。その通り実施されたかどうかも一つの問題でありますが、それは別といたしまして、一月からでございます。それで同時に一月からの動きというものも、先ほど来申し上げました通り、総合勘案の中に入れているわけであります。ですから昨年の調停案を堅持したかというふうに御質問があれば、ほかのいろいろな問題を抜きにして、ただそのことだけの御質疑であれば、その通りだというふうにお答えをするよりほかないと思います。
#21
○山花委員 先ほどの中村さんの説明の中にも、一応生計費を含む物価の上昇ということを申されました。去年の十月から今年の十月までに四・〇四%ほど上昇していることを認めるにやぶさかでない。しかしこの程度の上昇では、すぐに賃金にスライドすることは考えていない。そういう関係で、今度の結論としては、実質的に考慮を払うというような意味でこの一、二、三という結論を出した、こういう御説明でございましたが、これはその通り解釈してよろしゆうございますか。
#22
○中村参考人 その間にもう一つお考えの中へ入れていただきたい点がございます。それは先ほど来申し上げました通り、昨年の十月を一〇〇といたしますと、今年の九月、十月の郵政職員の給与の上昇率は九・六%になつております。それから本年一月を一〇〇といたしますと、本年の九月、十月の平均における基準内給与の上昇率は二・八%となつております。従いまして生計費指数の上昇率よりは、この基準内給与の上昇率の方が大きいのです。機械的にただ単にこれだけから申せば、ベース・アップも何も考えなくていいということが出て来るわけです。しかしわれわれはただこれだけからのみ考えているのじやありません。というのは、この上昇率というものの内容は、昨年の十月から本年の十月までのほぼ一年の間におきまして、ベース・アップもありました。それからそのほかに昇給、賞与も行なわれておるわけであります。そういう要素がみな入つておるわけであります。昇給、賞与というものは、生計費のものとは一応別の要素も入つておるということも考えられるわけであります。ですからこういう点を考えてみて、この両方の開きのうちのどれだけのものをどう考えるかということは、非常に微妙な問題になりまして、にわかに数学的に出すということは、多くの問題というより疑問が生じて来るかと思います。そこからつまり考えまして、ベースの問題よりも実質的な待遇改善の方へというこの考えが導き出されて行つたわけでありまして、先ほどの御質問の趣旨だけで考えているのではありませんで、総合勘案の中にはいろいろな要素というものを考えておるわけであります。
#23
○山花委員 ベースの関係は半年たち一年たちいたしますと、能率、年令、勤続、昇給、そういう制度によつて自然に上昇して来ることは、これはもう当然のことだと思います。よく物価に比例する。たとえばこれは官公庁の場合ですが、人事院の勧告なんかでも一応限度を五%というように刻んで、それを中心にベースの勧告なんかを行う制度になつておることは、調停委員会の方も十分御承知だろうと思いますが、今の説明を聞いておりますと、そういう一つの能率、年令あるいは勤続、昇給制度、昇格、そういう関係でこう上つて来たのを、何かベースの上げ下げに関連して考慮した、こういうようなことですが、どうもその点の考え方は私どもには承服できない点がございますが、それはそれといたしまして、ただいま中村さんの説明を聞いておりますと、この四・〇四%を何らかの形で一時金なりまたは昇給とか、そのほかの便法をもつて解決するのが至当と思われるというような考え方が、今度の調停案の内容に十分含んでおる、こういうように言われたのですが、そういうように理解してよろしゆうございますか。
#24
○中村参考人 便法ということの内容はちよつとよくわかりませんが……。
#25
○山花委員 その便法というのは、機械的にベース・アップができないような実情だから、今の現給のままではいけない、そういう意味で一時金とかあるいは昇給というところに、この四・〇四%の生計費の上昇をならすというような意味で、便法という言葉を使つたのですが、そういう考え方が今度の調停案の趣旨になつておるかどうかという点です。
#26
○中村参考人 その点について、機械的にその通り考えたというふうには残念ながら申し上げかねるのであります。と申しますのは、これは私個人の意見でありますが、私はこの程度のものならば一時金程度のもので十分、財源の問題は抜きにしまして、操作ができるものじやないかと私は思つておつたのであります。ところがこの業績に関係のある方の問題は、調停委員会とは別個に年末問題に触れまして、団体交渉その他の問題になつておりまして、一応この賃金問題というものとは直接に関係して取上げかねたわけなんです。もし一緒にこの際年末手当等の問題が出て来ておりますならば、その際には今お話のような線をおそらくは考えざるを得ないことになつたかと思います。ところが年末手当等の問題は、今言つた通り賃上げ問題とは全然切り離されまして別個の問題になつて、両当事者間に団交なり、それからこの間までに第何波闘争というふうなことで、組合の方では一生懸命やつておるわけです。そこでここでは特に体系に関連のある問題ということの中に、実質的にそれを織り込んで行つたらよいのではないか、こういうのでありまして、にわかに四・何ぼの分だけをあとの二、三の分で補えと、こういうふうに言つておるのではございません。
#27
○田中委員長 そこで一時的な給与で生計費指数の関係から来る上昇をカバーしたらどうかという考え方も、調停委員会としてお考えになつたという今中村さんのお話でありますが、同じように先に出ました全専売に対する調停では、前項の労働の生産性を一層高めることを目的とし、特別の給与制度をすみやかに確立することというので、これはある意味から見れば今中村さんの言われた一時的な給与の意味合いを持つておると思うのですが、もちろん財源との関係がありますけれども、それは年末手当その他の問題は、賃金体系の問題と一応観念的には切り離せるかもしれませんけれども、少くとも基本ベースの引上げを行わないという趣旨の今回の調停が出されたときには、そういう面についても触れられてもしかるべきでなかつたと思うのですが、その点は重ねて伺いますが、一応考慮に上されたけれども、調停委員会の範囲外だという意味合いで削除されたのですか。
#28
○中村参考人 今の問題は郵政関係で言えば、業績手当の問題と関連を持つた問題に自然なつて行くかと思うのでありますが、業績手当の問題は一応これから除いたわけです。それで二、三の方は、今のように二・何パーセントとかあるいは〇・何パーセントというものをこの中へ補えということとは違いまして、第一の体系変更に関連つけて二、三を考えてもらいたいというのが趣旨でありまして、これは一旦きまりますと、ただ単に〇・何パーセントとか四・何パーセントということとは関係なしに、昇給が進んで行くことになるわけであります。これはずつとそういうパーセント抜きの強い制度的確立を目ざしておるわけであります。それから四・何ぼというのはできたら一時的なもので補うということは、委員としても考えないわけではありませんが、その裏づけとなるべきものは郵政の事業の現在におきましては、業績手当になつて来るのではないかと思うのでありますが、そうしますとこれは調停委員会の範囲外にもなりますが、さらにつつ込んで申しますと、今日の郵政事業がどれだけの業績を上げているかということにも関連して来るので、むしろこれは財源なんかにまつすぐぶつかるのではないかと思うのであります。むしろこれは調停委員会等の問題ではなくて、大蔵省の方の問題になるのではないかと思います。業績がむしろ上つていないのだから……。正直に申しまして業績の財源がないというのが実情だと思います。
#29
○田中委員長 この点はこの前もおいで願つたときに申し上げたのですけれども、少くとも郵政関係でも事業量の増大しておることは事実だし、その意味から見れば、従業員の企業努力による事業量の増大というものが、これは当然数字の上にも出て来ていると思うのです。問題は財源の問題に関連すれば、現在の郵政関係の料金制度にとつておる公共性を非常に強調した点から見る料金制度の抑制の問題だとか、あるいは中村さんも御承知のように貯金会計等のきわめて変則的な企業形態をとつておる、経理面をとつておるというような関係から見て、それが業績の向上がただちに収益の増大というような形に現われて来ておらない、郵政会計の企業会計の特殊性に問題があるので、私はその点をむしろ調停委員会の範囲内であるかどうかの問題は別問題ですけれども、むしろそういう点については調停委員会としては勇敢に、少くとも前文等にそういう点を取上げられることが、ほんとうの意味において、紛争の解決の衝に当つておられる調停委員会の、むしろ任務の範囲の中に入るのではないかという考えを持つておるのですが、後ほど質問したいと思つたのですが、この点ちよつと関連してお伺いいたします。
#30
○中村参考人 お答えいたします。調停委員会といたしましては、その生産性の増大の問題を含めましてこの主文第三項があるわけです。ですからかりに業績――業績というより、収益そのものがそう思つた通り上らなくても、この生産性の増大に応じましてその勤労意欲を増進させる意味におきまして、昇給、昇格というものはぜひやつてもらいたい、こういうのでありまして、この第三項というのはそういう意味を広く盛つているつもりであります。生計指数が少し上つたからとか、あるいは多少上つたのをどうするかという問題よりも、こういう制度的な意味をより強く含ましめたいという趣旨を、委員会としてはここへ出したつもりでおります。
#31
○山花委員 調停委員会の考え方はわかりました。結論から申し上げます。と、調停委員会は相当努力を払つたように、当事者としてはお考えになつておるかもわかりませんが、われわれから考えますとあまり熱心な努力が払われていない、こういう考えを持つておるのであります。
 それはとにかくといたしまして、省側にひとつお聞きしたい点は、この主文第三項についての調停委員会の説明の最後ですが、「昇格適格者についてもこれを停止し、又昇給においても予算の流用等により、かろうじて実地されており、その都度紛議を起している現状である。」紛議が起きるということは、これは国民がたいへん迷惑をしておるのでありますが、調停委員会としては明確に、この紛議の原因は省側にあるというような結論のように私どもは理解するのでありますが省側としてはこの説明に関してどうお考えになつておるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
#32
○宮本説明員 ただいまのお尋ねの点でありますが、調停案には紛議という言葉を使つておるようでありますが、はたして紛議と言い得るかどうか、これは問題であろうかと思います。ただ事実問題といたしまして、御承知の通り本年度の昇給原資というものが、従来の方法による昇給をそのままやるとしますれば、若干不足を来すというのが事実でございます。従いまして二十九年度に入りましてから、四月の昇給におきましてはこれを従来通りに実施いたしまして、さらに七月と十月というふうに二回の昇給も、事実これは従来通り実施したのであります。おそらくは現在の昇給原資をもつてしますれば、二回程度のものは辛うじてやり得るか、あるいは若干足りないかと思うのでありますが、いろいろなその他の事情もありまして、ともかくも十月までは従来通りの方法でやつたのであります。さらにまた来年の一月昇給の期に入つておるのでありますが、そういうような点を考えまして、私どもは先ほどから話に出ておりますところの新しい賃金体系というものをぜひ改訂いたしまして、それとそれに昇給の問題を一緒に考えまして新しい別な考えからしまして昇給制度を確立し、そしてそれに必要な財源をももちろんわれわれは考えまして、昇給期ごとに昇給がやれるかどうか、あるいはどうこうというふうなことをなくして行きたい、かように考えておる次第でございます。調停案には紛議という言葉を使つておりますが、本年度におきましては実際の状況はそういう状況でございます。
#33
○山花委員 調停案の第二項の点でありますが、この点につきましても、最後に「不合理、不均衡の状態にある者については、早急に是正の措置が講ぜられるべきである。」ただいま中村さんの御説明によりましても、これが十分行われていないように調停委員会としては考える、こういうふうな御発言もございましたが、こういうふうなところからいろいろ組合と省側の間においても紛争議の種が起きて来ると思うのでありますが、われわれといたしましてはさようなことのないように、双方円満に公共性のある業務を達成していただきたいというのが年来の希望でございままから、この問題につきましてやはり省側におきましては、この調停委員会の出された調停案に対して、すみやかにこれを実施するような態勢にあるかどうかという点をお伺いしたいと思います。
#34
○宮本説明員 調停案の主文第二項についてのお尋ねでありますが、この問題につきましては、これは調停案に対する省側の見解ということに触れるかと思いますが、第二項の問題につきまして、調停案の主文自体につきましては非常に抽象的と申しますか、具体的にはあまりはつきり書いていないようであります。現在不合理、不均衡が相当残つておるようだからこれを是正すべきである、こういうふうにいわれております。この点につきまして省側といたしましての大体の考えを申し上げますと、不合理、不均衡というものをどの程度にこれを認むべきか、どの程度のものが是正すべき不合理、不均衡と認めるべきかという具体的の問題になつて来ると思います。この点につきましては、私どもの考えといたしましては必ずしも調停案の主文の第二項、ことにその理由に記載してある事項をそのまま受取りかねるのであります。いろいろ具体的なことを申し上げればこまかくなりますが、ともかくも調停案の理由によりますと、逓信省当時というふうな言葉を御使用になつております。逓信省当時といいますればずいぶん古い時期も含まれることでありますし、私どもとしますれば、やはり一定の時期と申しますか、限時と申しますか、その以降につきましては、例をあげますれば外地からの引揚者というようなものにつきまして、その当時のいろいろな給与の関係からいたしまして、他に比べまして若干不均衡を来すという級の俸給をもつて採用いたしたというふうな実例もあるかと思います。そういうふうな意味におきまして、そういういわば特殊の事情と申しますか、その他いろいろな事由があるかと思いますが、そういうようなものにつきまして私どもが考えております時期以後につきまして、もしそういうものがありました場合は、これは私どもとしましても従来も是正にはできるだけ努めて参つた次第でございます。もしそういうものがありといたしますれば、これをすみやかに是正したいという考えを持つておるということを申し上げたいと思います。
#35
○山花委員 ただいま省側の説明を聞いておりましても、どうもこの調停委員会の結論が少し抽象的に流れておるというような反論めいた説明がございました。私どもも一、二、三のこの結論は、どうも抽象的な結論が出ておると思う。抽象的な結論というのは、何か政治的に扱つておるというふうにも考えられますので、こういう結論では、歳末を控えて非常な重要段階に入つておる郵政事業の問題の解決のめどにはならないと考えておるのであります。一応私どもの考え方の一端を申し上げまして、質問を打切りたいと思います。
#36
○田中委員長 なお中村小委員長に委員長から二点ばがり伺いたい。その第一点は、調停案の前文にあります「これらを綜合勘案して検討の結果、今直ちに調停申請とおりの基本賃金を改訂すべきであるとの結論に到達し得なかつた。」ということなんですが、この今ただちにはできないということは、先ほどの御説明でわかつたのでありますが、適当な時期と申しますか、今ただちに実施できないとすれば、来るべきどういうような時期に改訂するのかということについてのお考えがあつたのかどうか、この点をちよつと伺つておきたい。
#37
○中村参考人 調停委員会、特に私たち小委員会といたしましては、この賃金体系の改訂というふうなものを両当事者間にしぼつて行きますれば、そこに問題点が出て来る。その場合に、これはいわば一種の概論のような性格であるというふうに申しますならば、各論的に問題が必ず出て来るわけであります。そうなれば現在の給与体系のわくが多少なりとも、あるいははみ出て、ある職種については多少上げざるを得ないのではないかということが、問題になつて来るときが当然来ると思います。そういうわけでありまして、この主文一、二、三というものも至急やつていただければ、そこから必ず各職種間のアンバランスの問題が、両者の争点というか、対立点となつて浮び上つて来ることは考えられるわけです。そうなつて来ればその問題を取上げるということが一つ。それから今日の経済情勢は、遺憾ながら決して安定、という言葉がふさわしいかどうかということは一つの問題だと思いますが、このまま続いて行くというふうにも受取れませんし、相当情勢が変化するのではないか。この経済情勢の変化ということと、その問題の発展ということとをにらみ合せて、賃金改訂というものをあらためて考えたいと、こういう意味なんであります。ですからいつといつて、それが何年何月ということはちよつと申し上げかねますけれども、そういうふうに考えております。
#38
○田中委員長 なお中村さんにもう一点伺いますが、先般本院の労働委員会で、この問題に対する調停案が提示去れたことに対しまして、調停案に対する組合なりあるいは省側の諾否の返事が出ない前でございましたが、現にちようど第四波の九公労の闘争が行われておる渦中でもございましたので、あつせん調停案の諾否とは別な立場から具体的な紛争のあつせんを希望する旨の委員会の積極的な申入れが委員長あてになされておるわけであります。実は本委員会といたしましても、先ほど山花委員からもちよつと申されましたが、この調停案に対する決議――すでにわれわれの聞くところによりますと、この調停案が組合側から拒絶と申しますか、受けがたいという通告が土曜日になされたということで、その意味から言えば、調停案としては成立をしないことになるようでありますが、現にこの間も新聞等によれば、約一千万通に近い郵便物の滞貨が出るというような紛争が告げられており、来月に入ればさらに苛烈な第五波の闘争に入るということも伝えられておるときでございますので、この問題についてはさらに当面の紛争解決のために調停委員会としてのあつせんというか、問題解決のためのあつせんの労をとつていただきたいと思うのでありますが、先般の労働委員会からの申入れに基いて、これは単なる小委員会という立場ではなしに、調停委員会側としてどういうようにお考えになつておられるか。実は本委員会としても、これに引続いて調停委員会への申入れをしたいので、決議を用意いたしておるのでありますが、その点についての調停委員会側の心組みを伺つておきたいと思うのです。
#39
○中村参考人 お答えいたします。ただいま委員長が関西旅行中でございまして、近く帰るはずでございますが、帰り次第各委員と連絡をとりまして早急に総会を持ちまして、その総会で、衆議院労働委員会の決議に基きまして申入れがございました件につきまして、公式態度を決定すると思います。ただいまのお話について、ただ私個人の気持だけを申し上げさせていただいてもよろしゆうございましようか。――そういたしますれば、できる限りのことはいたしたいと思つております。但しこれは、この前のときにも私たちの心組みとして私個人の気持を申し上げたのでありますが、両当事者間におきましてきめるというお気持と、その努力がなされておるということが前提になります。それがなければ、いわばそばで踊つておるような次第になりまして、うまく行きかねることがありますので、両当事者の方に委員会として当りまして、われわれがここで積極的に働くことが両当事者ともに御都合よろしいということであれば、もちろんわれわれとしてはその職務上できる限り努力するのは当然のことだと考えております。ただ当面の問題の中に年末手当の問題も入つておりまして、賃金改訂の問題とは別個に両当事者間に進められておつて、今日まで来ておる問題もあるかと思います。こういうふうなものは時期の関係等もありまして、おそらく調停委員会に持ち込まれなかつたのはそのためだと思います。もしもそれがあつせん等にかけてもよいから、調停委員会の方で努力してくれというふうなことであれば、おそらく私は委員会の全部としてもその方向に働くことに決議されるのじやないかと期待しているわけなんであります。私個人としては、両当事者ともさしつかえないから調停委員会の方にあつせんを依頼するということであれば、もちろん努力する心組みでおります。
#40
○田中委員長 法律の建前から申しますと、調停案が不成立になつた場合には、仲裁委員会に持ち込むということになつておるわけでありますが、しかし仲裁委員会に持ち込まれるまでの過程において、調停委員会が単なる賃金委員会でないといたしますれば、現に起つておる紛争解決のために、かりに両当事者のいずれかからあつせんの申入れがあるなしにかかわらず、動いていただいてしかるべきではないか、そういうような趣旨で、調停委員会が公的機関として設けられているように実は理解をいたしておりますので、その点について委員会としては、先ほどから各党の意見をとりまとめました結果、実は次のような決議をいたしたいと思うのです。その意味でこの決議の趣旨に沿うて委員会の方としても、――中村さんもことに全逓、全電通関係の小委員長をやられておるわけでありますから、御努力をわずらわしたいという、これは委員長としての希望でございます。
 それでは先ほど皆さんに御相談を申し上げました決議案を、委員長の方からお諮りをいたします。
   決 議
  郵政職員の賃金改訂問題については、今次公共企業体等中央調停委員会の提示した調停案は、両者の紛争解決の核心に触れないうらみがある。来る年末の郵便物輻輳期を目前に迎え、この紛争を未解決のままに放置できない現況に鑑み、右中央調停委員会は更に有効適切な斡旋に努力すべきである。
  右決議する。
 この決議を委員会としてとりきめまして、今委員長から中村小委員長を通じて、調停委員会側へもこの趣旨を伝えていただくようにお願いをしたわけでありますが、委員会としてこの決議をすることに御異議はございませんか。
  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#41
○田中委員長 それでは異議ないものと認めまして、この決議を委員会の決定といたします。
 今お聞きの通りの委員会の総意でございますので、調停委員会本来の立場に立ちまして、さらに郵便物輻輳の年末のこの時期を控えての紛争解決のために、ひとつ御努力を願いたいと思います。
 なお省側に一点伺いたいことがあります。それは先般来の第四波にわたる闘争、そのことについて省側の苦しい立場もわからぬではありませんが、新聞紙等の報ずるところによりますと、この関係で休暇等をとつた者に対する減給処分が行われているということでありますが、現に紛争の過程においてそういう問題が起つておるのかどうか、この点について人事部長からお伺いしたいと思います。
#42
○宮本説明員 ただいまのお尋ねでございますが、その点につきまして現に現場におきまして紛争が起きておるということは、ただいままでのところ私聞いておりません。この問題につきまして、ただいま委員長から減給処分というようなお話がありましたが、委員長も多分いわゆる行政処分と申しますか、懲戒処分としての減給処分というような意味におとりにはならぬかと思いますが、私どもといたしまして休暇を職員が希望申請して参りまして、それに対して、もちろん仕事の運行上さしつかえないと認められる場合には、できるだけその希望を達成させて、休暇を与えるようにいたしておるのでございます。しかしながらやはりこういうふうな年末その他の忙しいときになりまして、事業の運行を確保するために、どうしても職員の希望する時期に休暇を与えることができないと管理者が判断せざるを得ない場合には、それを承認することはできないのであります。問題は管理者におきまして、その休暇の申請に対しまして許可を得られなかつた職員の行動に対して、ただちにもつて給料を差引くということはいたしておりません。さらに仕事がこういうように忙しいから、ぜひ出て来いというような業務命令を出して一応官側の意向も伝え、それでもなおかつ出勤しない、就労しないという者に対しましては、給与に関する法規の命ずるところによりまして、就労しない時間について給料を差引くということになつておるのであります。今回の闘争におきまして、新聞紙等において何千名差引かれる者があつたというようなことが出ておりますが、先般闘争の状況を御報告申し上げた際申し上げましたごとく、若干の局においてそういうような事態が起きておるのでありまして、これに対しましては私どもの方針通りに、現場において給料を差引くということに相なつたと思います。
#43
○田中委員長 この紛争の根本的な解決の問題については、いろいろ努力されておることと思いますが、われわれの調査したところによりますと、年次休暇等も相当堆積しておる等の関係もありますので、善処していただきたい。そうかといつて郵政の業務運行に支障があつてはならないということも理解できるのでありますが、問題はこうした賃金問題をめぐる紛争の過程に起つておる問題でありますので、取扱いについては十分その辺の実情を考慮して、今後の紛争にさらに油をかけるような形にならないような御配慮を希望しておきたいと思います。
#44
○宮本説明員 承知いたしました。
#45
○田中委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたしますが、この閉会中きわめて頻繁に委員会を開会いたしましたところ、委員各位には非常な繁忙中を差繰り合せて出席していただきまして、閉会中の審査案件の調査等を忠実に進めることができましたことを、委員長として厚くお礼を申し上げます。明日から臨時国会が召集せられるわけでありますが、引続き委員諸君の御健闘をお願いいたしたいと思います。
 これをもつて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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