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1947/05/26 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第40号
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1947/05/26 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第40号

#1
第002回国会 本会議 第40号
昭和二十三年五月二十六日(水曜日)
   午前十時二十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十八号
  昭和二十三年五月二十六日
   午前十時開議
 第一 引揚同胞対策に関する決議案(中平常太郎君外二十二名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 海上保安廰の設置に伴い地方自治法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りいたします。椎井康雄君より十六日間、川上嘉君、西園寺公一君より、十九日間、病氣のためそれぞれ請暇の申出がございました。いずれも許可をいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 尚遠山丙市君より外務委員を、奧主一郎君より司法委員を、川上嘉君より財政及び金融委員を、大島定吉君より予算委員を、おのおの理由を附して辞任の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましてはその補欠として大野木秀次郎君を外務委員に、遠山丙市君を司法委員に栗山良夫君を財政及び金融委員に、油井賢太郎君を予算委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) 日程第一、引揚同胞対策に関する決議案(中平常太郎君外二十二名発議)、(委員会審査省略要求事件)。本件は発議者中平常太郎君外二十二名の要求の通り委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。中平常太郎君。
    ―――――――――――――
   〔中平常太郎君登壇、拍手〕
#9
○中平常太郎君 私はここに、議員多数の発議によりまして、在外同胞帰還促進並びに定着後の厚生対策につきまして、決議案を上程いたしまするにつきまして、発議者を代表して、ここに提案の理由を申述べたいと存じます。先ず決議案を朗読いたします。
   引揚同胞対策に関する決議
 数百万の海外同胞が本國に帰還し得たことは連合國当局の絶大なる同情によつたものであることを日本國民は深く感謝し、更に七十余万の海外残留同胞を本年結氷期までに是非とも帰還完了せしめられるよう連合國当局に懇請してやまないのである。しかしてこれら引揚同胞が速かに正常なる國民生活に復帰することは、國内の現状からして決して容易なことではない。彼等は家も土地も職業も失い、殊に多年海外にあつたために本國に人的関係少く從つて信用もまた薄いために、就職することも企業を起すことも容易なことではない。これを本國にいた國民と同じように待遇したならば、それは非常に大きな差等がつけられる結果になることは明らかである。從つてこの差等を出來る限り少くし、速かに彼等を自立更正せしめることは絶対に必要であり、又連合國の好意に副う所以である。
 よつて参議院は引揚同胞更正のため次の如き対策を積極化すべきことを決意し、政府もまたこの決議に副い善処せられんことを要請してやまない。
 一、引揚同胞対策を合理的に処理するために強力なる審議機関を設置すべきである。
 二、今後の引揚者復員者に対しては帰還の日より一ケ年間各種の税金を免除すべきである。
 三、引揚者復員者の智識と技術を活かし且つ彼等の希望を達せしめるために、機会を均等にし門戸開放の政策をとる必要がある。これがため勤労希望者には職業を、事業経営希望者には資金資材と企業権を、就農希望者には土地資金と農具を、計画的に配当する措置を講ずると共に、これら引揚者復員者に対する社会保障制度を設けるべきである。
 四、引揚者の大部分は住宅を持たないから、これらに住宅を與うるために余裕住宅並びに國有建物の解放等の処置を講ずべきである。少くとも二十万戸の住宅を緊急に建設する必要がある。
 五、引揚者が海外において喪失した財産については、戰爭犠牲負担を公平化する原則に基き、國家は出來る限りの方途を講ずべきである。
 六、遺家族、留守家族に対してはその実状に即して、援護を積極的に行うべきである。
これが決議案でございます。
 終戰後ここに三年、國民の虚脱状態の中にも、連合軍の多大なる援助によりまして、今日までに既に六百万の多数の同胞は懐しの祖國に帰還いたしましたことにつきましては、私共國民は敗戦の苦悩の中にも誠に感謝に堪えない次第であります。ここにマツカーサー司令官始め、連合軍当局に対して深甚なる謝意を表するものでございます。而して今尚七十余万の未帰還者があることは、当人の苦痛はもとより想像に絶するものがございますが、家郷にあつて一日千秋の思いで家の柱たる大切なる人の帰ることを待つておられまする家庭におきましては、早く既に近所に誰彼となく沢山に帰つて來て、おのおの各種の生産のいそしみ、苦悩を回復して一家團欒の樂しみに浸つておる中で、自分の夫は、自分の子は、未だに帰つて來ない。生死の程さへも判明しない。毎日北の空を眺めては焦燥の念に駆られ、悲歡の余り自暴自棄に陷る者さへ來しつつあるのでございます。幸いに漸く五月に入つて帰還が再開されましたが、五月に約四万一千程度の予定にしかなつておりません。現在の帰還数の状態では、或いは一部は又冬を越しはしないかという懸念があるのであります。四回目の零下四十度、五十度のシベリアの寒空で、今尚軍服を着せられて、家族との通信の自由も、私権の行使も、亦個々の能力も停止せられて、ただひとえに家郷の空を偲びつつ、当もなき過激な労働に心身を消耗し、或いは又一部の同胞には遂に祖國を見ずして帰らぬ旅につく者があるかと思へば、我々國民は実にやる瀬ない、堪え難い断腸の思いがいたすのでございます。何とかして結氷期までに全部の帰還を完了せしめたい。そのためには政府はあらゆる方法を盡して内外要路に対して今一層の強力なる方策と懇請とを重ねなければなりません。幸いに先に対日理事会においてシーボルト議長の表明されましたように一ケ月の余裕があれば月十六万人は輸送可能な準備ができる、こういうことでありますから、何とかソ連との間に交渉ができるなれば、その上に帰還者の数を増すことを政府並びに國会といたしましても、世界の各機関を通じてでも國民共共にお願いしなければならないと思い、特別委員会におきましても、先般スターリン首相、トルーマン大統領等へも特に参衆両議院全議員の連名で懇請書を提出いたしましたような次第でございます。内地におきましても、各地で帰還促進大会が開催せられまして、全國大会も先日行われ、又各團体の代表者は連合軍最高司令部或いはソ連大使館又は議会方面へも請願せられ、又この議事堂へは多数の遺族家族が各地より参られて、血の出るような帰還促進の陳情をなされつつあるのでございます。これを見ましても政府並びに國民を代表する議会の絶対的義務であり、又焦眉の急に迫つているところの問題なのでございます。又今後の帰還者を加えまして、六百数十万になりますが、このうち元軍人應召者の大部分はそれぞれ帰還の定着地を持つておりますが、引揚者は永年彼の地にあつて生活の環境を作つておられた関係上、内地には縁故者も少く信用も薄い、又資金もありません。元來政府といたしましては、かかる多数の在外者に帰還の指令を発しました以上は、これら帰還せる同胞の定着援護の方策は、当然十分政府において大きな積極的な具体的政策を立てるために特別なる閣議を開き、國民の輿論に應え大幅の予算を計上すべきでありまするが、未だにさような樣子はない。そこで本決議案にはその方策として、差当りその重要なるものとして、第一番に民間人を加えた強力なる審議機関を設置し、引揚者の定着後の実態を科学的に調査分類し、特別に資材資金の枠を作りこれを指導し強力して、その機能を発揮せしめ、積極的に引揚者をして生産方面に直結せしめる方策を立てねばなりません。二には内地戰災者に特典を與えたように、引揚者にも一ケ年間は各種とも免税とすべきでありましよう。戦災者は土地の信用或いは親族知人或いは又疎開の荷物等もあつた者もありまするが、そのために種々更生の資料もありまするけれども、それでも一年の免税があつたのであります。引揚者には知人も少く信用も薄く氣息奄奄漸く業務を見つけて着手し、その成果も挙つていないうちに直ちに税金に取上げられてしまうということは、これは誠に残酷である。これは少くとも着手一ケ年は全部免税とすべきであります。本決議案が御賛成を得た後には、直ちに單独法として立法の意思を有しておるのであります。次に住宅対策を積極的に実行すべき点でありますが、先ず先ず住宅を與えねければ人間生活というものは決して成立つものではありません。引揚者にはみずから建てる力はありません。闇屋が建てる大きな立派な家を見て如何に憤慨しておるか想像を絶するものがあるのであります。他人の家の座敷や縁の端の小部屋で多数の家族を擁しながら同居して日々立退きを強要せられつつも、行く先がなくて涙を呑んでいる引揚者が幾万ありますか。政府は今年度五十万戸を建築すると言いますが、別の予算が取れなければ、このうち二十万戸は引揚者に優先せしめる考えがあるかどうか。在外資産の合理的処理問題、軍事郵便貯金の沸出の緩和、又在外公館への借上金の沸戻し問題等いつになつたら解決するか、政府は何かというと、講和会議まで何事もでき難いように言うておるけれども、最近のように講和会議が解決しなくとも、民間貿易さえ、又民間人の海外渡航さえできるようになつたではありませんか。できんというのは爲さないのではないか。できるように本当に熱のある努力を拂わないのではないか。内地におつた者は個人の財産などは没収に遭わなかつた。併し外地におつた者はあらゆる財産は没収に遭い、又掠奪、又は置去り、か弱い子供を殺し、散々な憂目を見て、命からがら還つて來て、同胞の懐に入つたかと思えば、その懐は極めて冷たく顧みる者もない、故に愬えてよろしいのでございましようか。ここに國民を代表する議会があるのではありませんか。戰爭は損なものとの結果を招來することは民主主義の徹底を促す上において根本理念でありましよう。併しながら遺家族、留守家族などが如何に忍び泣きに泣いておるか、誰がその涙を拭つてやるか、これを慰めてやるか、果してこれで宜しいのか、せめて食つて行けるだけには誰が何といつても絶対政府並びに我々の責任であると思うのであります。ただ生活保護法の金では食つて行けないのであります。然るにこの方面に対する施策は極めて消極的で、何ら見るべき援護の実が挙がつていないのであります。のみならず彼等に生きて行くところの方策さえ與えずしておいて、却つて一面内地の一部の闇ぶくれの贅沢な生活を見せつけられて、インフレの波にもまれて生死の境を彷徨し、中には思想上甚だ檢悪の度を増しつつあるのでございます。
 又現在國民の大多数はみずからの保身術に憂身をやつしておりますので、他を顧りみない。如何に引揚者が苦悩に喘えいでおりましても、関係のない者は誰も本氣で援護しない。政府亦消極的なる生活保護法一本で行かんとして、何ら生産方面に直結せしめる積極方策を採つていない。かの生活保護法は大部分これは生活の能力のない、食えない者を救助する建前の資金であります。我々の要望するところは生活要保護者に轉落せしめることではない。私は自分のことを申上げると甚だ如何と思いますが、私は引揚者ではないが、終列車などに駅頭で夜中迷つておられる哀れな引揚者を見て、これではいかんと思いまして、同胞愛に駆られまして愛媛縣の宇和島市でありますが、一昨年引揚者の憩の家、民生館を建築して、建設費は約百万円余であります。二百二十坪、三十室、三十五家族、百十五人を無料で収容して住居の安定を與えております。一面授産場を併設いたしまして、副収入を得せしめるようにいたしております。政府もこの非常時危機を乗切るためには相当苦心して努力はしておられますが、ただ当面の問題に忙殺せられて荏苒今日に至つておるが、昨今企業整備、統制の強化などのために闇ブローカーは締出しを食い、潜心しておつたところの失業問題が漸く表面に本格化するに至りました。他面物資の不足と、インフレの昂進等によつて引揚者の困窮は一層目も当てられん悲惨な状態に陥つておるのでございます。
 若し政府の力が足らずしてかかる人人の特別な不公平なる犠牲においてのみ新日本を建設なさんとするなれば、それは新憲法のいわゆる民主主義の名に恥ずべき存在であると思うのでございます。(拍手)彼等はいわゆる無能力者ではない。知識もあります。技術もあります。貴い経験もある。外地においては盛んに活躍しておつた立派な同胞であります。かかる同胞の就職希望に対しましては特にその技術、経験を生かし、又事業経営希望者には資金、資材と企業権を、就農希望者には土地と資金と農具を計画的に配給する措置を講ずると共に、内地失業者に適用してあります失業手当法のごとき一時的國家の負担において支給し、その間は簿給又は無給で適当な工場会社に入社せしめてその能力を利用し、生産に協力せしめ、一面就職の機会を作らしめるような処置を取るなども考慮すべきであると思うのであります。この六百万の有爲な同胞を活用して、再建日本の生産に直結せしめる方策こそ、政府が執るべき最大喫緊の活きた政治であると思うのであります。(拍手)引揚者全世帯の数は約百三十万戸と称せられておりますが、その六〇%、いわゆる七十八万戸は、どうしてもみずから何かして食わねばならない仲間でございます。然るに過去において生業資金として貸付けられた金額は、二十一年度においては十億円、二十二年度におきましては六億六千六百万円で、この内には内地戰災者八万戸も含まれております。貸付を希望しておるところの者は、現在まだ三十六万世帯ある見込でありますが、ろくに貸して貰えないために、又なかなか手續が面倒だから、疲れ果てて申込まない者も沢山ございます。以前には一世帯四千円、現在では最近七千円でありますが、政府はこれを生業資金の全部ではない、著手金だと言うが、今日のインフレでは余りに僅少で効果がない。せめて生業資金は一口一万五千円ぐらいにすべきであるが、たとえ一万円といたしましても、今後まだ三十六億円を要します。然るに二十三年度の暫定予算ではあるが、僅かに一億円となつております。政府は又復金の融資を活用する途を開いたが、尚微々たるもので、二十二年度において一億二千万円、二十三年度一四半期において一億円だけ見込まれております。これまでの復金の融資方面を見ますと、御承知の通り、一会社に数十億円を融資しております。この何百万の引揚者に僅か一億、二億の融資では、本末顛倒も甚だしいと言わねばなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)政府は今年度予算は三千九百余億円と言うております。その莫大なる予算の中に、引揚者の更生のために、その生業資金として三十億円ぐらいは最小限度計上すべきでありましよう。(拍手)、それさえ見積もつてないならば、政府の引揚対策の熱意は、ただ口先ばかりで、口頭禪との非難を受けてもいたし方のないものと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これに対する政府の実際的な方策は如何。(「厚生大臣よく聽くべし」と呼ぶ者あり)又苫米地官房長官は、軍公利拂一年停止により浮き出る筈の二十余億の金を引揚者、災害者の救助方面に振向ける考えであると言明せられて、誠に近來にない意義のある賢明なる処置と共鳴を感ずる次第でありますが、(「その通り実行するか」と呼ぶ者あり)何程振向けられるか、未だ軍公問題が決定していないから、今日言明ができないのは尤もであるが、十分これらに振向けられんことを今から要望しておきます。
 政府は引揚対策について相当考慮しておるというように言われるが、実際檢討して見ると、その実際的支出面におきましては誠に消極的であつて、只今申上げた通りでございます。ここに本院の決議を以て政府に要望するゆえんであります。願わくば御賛成あらんことをお願いいたしまして、提案の理由といたします。(拍手)
#10
○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます、発言を許します。村上義一君。
   〔村上義一君登壇、拍手〕
#11
○村上義一君 上程せられました決議案につきまして、簡單に所信を申述べたいと存じます。
 我が國の民主革命は、新憲法の実施によりまして、その基礎が作られたのでありまするが、これを完成するにつきましては、種々の條件が充たされねばならんということは他言を要しないところであります。第一回の國会におきまして、只今上程せられておりまする本問につきまして、即ち海外より引揚げて來る八百万同胞に関する問題について、特に特別委員会の設置があつた次第でありまして、これは申上げるまでもなく、只今申しました條件の充たさなければならん條件中で、最も重要なるものの一つであるということを意味するのであると信ずるのであります。(拍手)
 で本問の処理に第一回國会以來この委員会は当つておられたのでありまするが、第二回の國会におきましても、本委員会は重ねて設置せられまして、その努力の結晶が今日の決議案として上程せらるに至りましたことは、誠に当然のことであると信ずるのであります。(拍手)國家の最高機関たる國会としましては、その権威を保持するゆえんでもあり、又國家としましては、民主革命の基礎條件を満足せしむるものであると信ずるのであります。元來この決議案は、戰爭犠牲の均分化の根本理念に立つておるものであると思うのであります。(拍手)新日本は人民の人権を保障する、その平等無差別の待遇をするということを根本原則としておりますることは、多くを申上げる必要がありませんが、この原則はもとより正しいものではありまするが、併し本國に何等の寄る辺もなく、又基礎も持たない丸裸体の引揚同胞に対しましては、結果から見まして、甚だ冷酷な待遇であると言い得るのでありまして、平等無差別の待遇は、引揚同胞に対しましては、差別不平等待遇を與えた結果になりざるを得ないのでありまして、國内の人民と引揚同胞とを比較して見ますると、全く比較にならないハンデイキヤツプがそこにあるのでありまして、このハンデイキヤツプを認めずして、形式的にすべてを同列に待遇して來たために、実は引揚同胞に対して、國家は実質的に著しい不平等差別待遇をして來たということが実情であり、現実であると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)特殊の施策を絶対に必要とする引揚同胞に対しまして、何等特別の施策が講ぜられない、國内の人民と同樣の待遇しか與えられなかつたために、無一物の引揚同胞の間には、限りなき悲惨事がそこに発生したのであります。又言うに忍びざる行動が行われつつあるのであります。
 本決議案に列記せられてありまする各項目は、いずれも戰後処理施策の一環として、極めて適切緊要なる措置であるのであります。正に民主新日本の支柱たるべきものであると信ずるのであります。(拍手)私はここに本決議案の重大なる意義を確認して、本決議案が直ちに最大の努力を以て現実の政治の上に実現せらるべきことを強調して止まない者であります。(拍手)
 最後に芦田総理大臣は特にその施政演説において言明せられました、この引揚同胞の援護につきまして、政府が如阿なる構想を以て実現せんとしておらるるかにつきまして、この際その所信を質したいと思うのであります。(「芦田総理はおらんじやないか」と呼ぶ者あり)同時に内閣が本決議案を重視して、國会と共に速かにこれが実現に邁進せられんことを要望してやまない次第であります。緑風会を代表しまして簡單に所信を述べて、本決議に賛成する次第であります。(拍手)
#12
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#13
○中西功君 私たち共産党は、本決議案に賛意を表したいと思います。この海外同胞或いは軍人達の引揚促進につきましては、本議院或いは衆議院におきましても度々引揚促進の決議はなされたわけでありますが、引揚者の援護対策について決議がなされましたのは、今度初めてだと私は記憶しております。そういう意味において特に私達は賛意を表したいと思うのであります。
 從來から我々共産党は、軍に引揚促進だけではなくして、この引揚者の援護対策について非常に大きな関心を示し、積極的に働いて來ましたのでありますが、併し或る場合には、そういうふうに廣い意味の受入態勢ができていないということを我々が強調すると、あたかも引揚促進を希つていないかのような言説がなされたのであります。併し実際にこの引揚者の援護対策がなつていないということは、もうすでに皆樣のよく御存じのところであります。第一回國会において私達は前一松厚生大臣に対して、そういう意味の受入態勢ができていないということを追求したときに、政府は、できておりますと、はつきりと我々にかみついたのでありますが、併し現にそういう言葉が嘘であつたということが、今日のこの決議案の提出によつてはつきりしたと私は思うのであります。この内容につきましても、いろいろ私達は具体的に要求を持つております。時間がありませんので具体的には申しませんが、この決議案が出たことについては我々は勿論賛成であります。併し問題は、單にこれを決議案として終らしてはならないということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)先日來ここにおきましても、政府がこの問題についで熱意を欠くということについては、議院諸公の賛意を得ておるような雰圍氣でありますが、今日日本の権力、何事をもなす権力を持つているのはこの國会であります。若しこの決議案に対して、各党が本当に賛意を表されるならば、我々は即日にでもこれを法律案にして、そうして実際に政府をして施行させることができると思うのであります。(拍手)
 若し眞に各党が本当に熱意を持つているならば、例えば生業資金を、七千円ではなくして五万円にしなければならない、こういう本当の氣持があるならば、私はこの國会自身がそれをなし得ると思うのであります。政府を責めるのではなく、政府にやらせることができると思うのであります。若し皆樣の熱意が本当ならば私はそうして頂きたい、こう思うのであります。
 今一つの問題は、これは引揚者が特別に差別待遇を受けておるという問題がありましたが、勿論引揚者自身といたしましても、特別な地位を要求しておるわけでは全然ないと思うのであります。そうして又この引揚者の問題も全國民の問題、或いは全勤労大衆の問題と不可分でありまして、(「そうだ」と呼ぶ者あり)若し日本の勤労大衆の生活を健康にし、安定したものにし得ないようなことでは、どうしても引揚者の問題も本当には処理し得ないということを私達ははつきりさしておく必要があると思います。決して引揚者の問題だけが特別ではない。又そういう見地から考えましても引揚者の問題は、引揚者の人々もその他の勤労大衆と共に進んで行つて、初めてこの問題が円満に解決できると思います。(「その通り」と呼ぶものあり)最近引揚者團体の一部の幹部についてとやかくの噂がありますが、私達は引揚者の諸君がこういう問題をも完全に拂拭して、本当にあらゆる点で明朗な團体となつて十分にこの本來の趣旨を貫徹されるよう私達は望みたいのであります。
 以上簡單ではありますが、いろいろ具体的について我々党ははつきり要求を持つておりますが、時間がありませんのでそれは述べられませんが、以上を以て、私は我々共産党のこの決議案に賛成する言葉としたいと思うのであります。(拍手)
#14
○議長(松平恒雄君) 松野喜内君。
   〔松野喜内君登壇、拍手〕
#15
○松野喜内君 私は民主自由党を代表して本決議案に賛意を表する者であります。
 顧みまするに、引揚同胞に対しては、第一回の國会におきまして特別委員会が設けられ、又議員が醵金してまで同胞救護議員連盟を設置され、院の内外に呼び掛けられて、以て官民協力を得た次第であります。
 想い起す昨年の八月十五日には、本議場におきまして感謝の決議と共に、残留同胞七十万の引揚促進を懇請いたしました次第でありました。特に連合國各位の絶大なる御同情御配意によりまして、引揚完了するまでは毎月十六万人を輸送し得る船腹を提供するの用意がある旨のニュースを聞くに及びまして、誰か感激感謝の意を表せずにおりましようか。すでに去る五日より続々帰還者を迎え、駅頭相抱いて泣く者、絶えて久しい親子が、夫婦が対面、ただ嬉し涙にむせぶの光景であります。
 私は民生委員の一人といたしまして、引揚者に対するでき得る限りの救護を盡させて頂きましたが、帰國して失望落胆せる方を見るにつけても、太常洋の底に沈んで引揚げようもない者のあることまで、実は私の実子もその一人でありますが、ということなどを申して且つ励まし、且つ元氣を出して頂くべく更生の途の御相談に應じたことでありました。多数の帰還者の受入態勢の用意はなかなか意のごとくならず、容易ならんものがあるのでありますことを常に痛感しておる者でありまするが、この点は國会も政府も更に一段の努力を必要と信ずるものであります。
 各地引揚者大会におきまして涙なくしては聞けない場面、夫よ、父よ、との待つ身の心境を語る言葉、切実な文句、幾度かハンカチを目に当てたことでありました。恐らく全議員同僚各位におかれましても、私以上のお感じであつたことでありましよう。各地引揚の部落を訪れて見るごとに、中には自立独行、けなげな働きを見せて下さつている場面があるかと見れば、借入れた生業資金を似て共同出資とし、共同の工場を設け、共同の炊事場や、風呂場や、学校までも設け、公選による役員選挙、自制による製品の檢査、生産高拂いによる見上げた好成績の経営振りを出しておる所もある次第であります。私共は生産に、企業に勇氣ずけるだけの努力を一段と拂わねばならんと感じておる者であります。
 かかる情勢下におきまして、本参議院が更に今回の積極的の対策に係わる六項目、引揚同胞対策審議会の設置と言い、引揚者の一ケ年免税と言い、住宅の心配、留守遺家族に対する援助、特に企業に対する助力更生対策、在外資金の喪失、幾年努力の結晶たる資産をなくした、こういうことに思いをいたしての対策、生産資金を格別に重要なる政策とせねばならんといつた氣持、かかる折柄、私はここに最後に強く申して見たいのは、過ぐる二十一年一月二十二日に、時しも吉田内閣、石橋藏相の提案による閣議の決定を見たあの引揚者に対する貸出予算は、実に百五十億円であつたと記憶しております。(拍手)翌二十二年一月には、それが百億円に減ぜられ、その実施を見ない中に総選挙となり、片山内閣に移り、現芦田内閣へ移つた次第でありまするが、この両内閣におきましては、十九億円を貸出されたのみだと聽いております。而して今後貸出予算は、僅かに五億円を計上せられるのを見ては、そも何たることであるか、遺憾千万、かくては引揚者は到底立上ることができない。こういつた残念さを強く痛感するものであります。(拍手)我々は生産資金の貸出において、できるだけの努力、万全の策を講ぜねばならんということを強調いたし、これに対して政府は如何に考えておるかということを質したいのであります。我々は國会の使命として、政府を鞭撻激励し、同胞心を一にして助け合わねばならん、更生の実を挙げねばならん。人類愛の精神を以て、この決議案に対し、私は満腔の賛意を表する者であります。(拍手)
#16
○議長(松平恒雄君) 紅露みつ君。
   〔紅露みつ君登壇、拍手〕
#17
○紅露みつ君 私は只今上程されました決議案に対して、民主党を代表いたしまして賛成の意を表する者であります。
 終戰後四ケ年、戰爭犠牲者に対する社会の関心は漸く簿らごうといたしております時、去る五月六日に、ソ連地区から本年度引揚の第一船を迎えまして以來、引続いて引揚は継続され、埠頭に、駅頭に、夢寝にも忘れ得なかつた夫婦、親子、兄弟が、帰還の喜びに相擁して嬉し涙に咽び合う劇的な情景を展開いたしまして、今更のごとく世人に深い感動を與えております。
 終戦似來、今日までに引揚げました者五百八十余万、それに現在の未帰還者を加えまして、実に六百五十余万に及ぶ同胞を全部本年中に引揚する予定でございます。從いまして、これが対策も極めて大規模にして、廣範囲なものが用意されなければならない筈であります。(拍手)もとより政府におかれましても、各般に亘りこれが対策を講ぜられつつありまするが、併し今日に及んで本決議案が提出されなければならないと言いますがごときは、この間の消息を物語るものとして聊か遺憾に存ずる次第であります。(拍手)
 結論といたしまして、戰爭による犠牲は國民全体がこれを公平に負うべきものであると信じます。(拍手)この意味におきまして、私共國民は朝野を問わず、一致協力いたしまして、引揚者並びに遺家族、留守家族の人々を擁護して上げなければならない國民的義務があると考えるものであります。
 私は婦人面よりいたしまして、遺家族、留守家族につきましては、或る程度材料を以て皆様にお訴え申上げたいと存じておつたのでございますが、非常に時間が短縮されまして、意を盡せないのを遺憾と存じまするが、私は左の要望を政府にいたしたいと存ずるものでございます。
 先ず第一に母子寮、育児院等の社会施設を拡大強化すること、尚未復員給與法を、これを現地において主人が徴用せられました留守家族に対しましても適用さるべきこと、(「賛成」と呼ぶ者あり、拍手)もう一点は弔慰金の問題でございますが、終戰後貨幣價値の低下いたしておりますことはここに喋々する必要のないところでございますがやはりこれは戰時中と同じ額の五百八十円が支給されているのでございまして、これは余りにも非常識の感なきを得ないと存じまして(拍手)よつてこれを増額するという希望でございます。
 大体以上でございますが、併しながらわが國経済の現状におきまして、いずれも予算を伴いまするこれらの問題が、その実現に困難を伴いますることは十分察知し得るところでございますが、何とぞ政府におかれましても、特に一層の熱意を傾けられ、又議員各位におかれましても、國民代表の名において是非とも積極的な御協力を賜わり、これらの施策が速かに実現されまして、引揚者並びに遺家族、留守家族の方々が、一日も早く再起更生せられんことを心から祈念いたしまして、私の賛成意見を結びます。(拍手)
#18
○議長(松平恒雄君) 木下源吾君。
   〔木下源吾君登壇、拍手〕
#19
○木下源吾君 私は(「野党頑張れよ」と呼ぶ者あり)日本社会党を代表いたしまして、上程されておる決議案に賛成をいたすものであります。併しながらこれが單なる決議として終るのでなく、直ちにこれが成果を結ぶ上において、短時間でありますが、政府に所信を質し、且つ要望したい数点を申上げたいと思うのであります。
 それは、当面の引揚に対する無縁故者に関する問題でありますが、この無縁故者は、一昨年は、全部北海道にこれを収容しておりました。昨年度は、北海道に七割、東北に三割の割合を以て収容しておつたのでありまして、その数が、北海道は三万九百余人、東北は一万一千五百名という割合になつておつたのであります。で今年度、然らば収容の余力はいくらあつて、どういうように收容人員を割当ておるかと申しますれば、実に二十万の樺太方面の引揚に対する五三%が無縁故であると推定せられるのでありまして、その数は概算十万六千名であります。これを今年度、北海道に七〇、東北三〇%の割合で収容するとするならば、北海道は七万四千二百、東北各縣は四万八千となるのでありまするが、これの収容余力は現在東北は八千六百六十六人、北海道は二千八百四十八人分よりの収容余力しかないのでございます。而も引揚者は着々と上陸をして、今正に收容の最中であります。ここで申上げるまでもなく、これら無縁故者の収容の住宅というものが、緊急な問題に上程されなければならない。この点について北海道で、今全額國庫負担で二万四百戸の建築を要望しておるのでありますけれども、これは政府はこの要望に対して應えることができるかどうか。この要望が應えられないとするならば、北海道はこの無縁故者を収容することができない。從つて惨憺たる状況を呈することは火を見るより明らかであります。現に北海道においては、外地の引揚者は三十七万、戸数にして九万戸を現在擁しておるのでありまするけれども、殆んど縁故先や知人の許におつても、その三割、三分の一の三万戸ぐらいは、早急に住宅を求めなければならない実情である。北海道としては、これ以上の者を入れる余地は絶対にない。かように申しておるのであります。
 次に、この住宅を建設するに当つてもです。北海道の地域的特殊性に鑑みまして、一人当り二坪は絶対に必要であるということ、尚又これが建築をなすという場合においても、補助金、建築資材は、必ず六月の十五日、來る六月十五日限り、現金と現物が交付される措置を講じなかつたならば、本年度の建築に間に合わないということを明記して頂きたい。(拍手)
 又食糧と燃料の点でありまするが、北海道の遅配、欠配は昨年度において、有名なものでありまして、今年度といえども、諸種の事情で、決して樂観を許さないのでありまして、この時に当つて、多数の引揚者が、今殺到して参りまするが、これらの引揚者に、食糧を事欠かさないために、直ちに政府は、その枠を決定して、万全の処置を講ずべきであると考えるのであります。(拍手)又北海道においては、一冬を越すのには、どうしても石炭が一戸当り二トン半が要ります。現在その一トン千五百円といたしましても、これが相当の金額に上るのでありまするが、炭價の大幅引上げが目睫の間に迫つている今日、どうして一体引揚者がこの金を賄うことができましようか。夏のうちにこれら石炭を用意しなければならない。而も金がなし。これは到底これら引揚者を救うゆえんのものではない。よろしく國庫の負担において、これら燃料を支弁する覚悟があるかどうかを、私は政府に要望したいのであります。(拍手)
 又昨年我々が同僚と共に、北海道の引揚状況を見ましたが、板敷の上に、あの寒空に蒲團もなく破れストーブを抱いて住まつている。あの実情から見まして、今度こそはです、どうあつても一人前に疊の二疊ぐらいは、蒲團の一枚ぐらいは、ストーブ等の用意もしなければならないと考えますが、瑣末なことでありまするけれども、政府において、この用意を直ちに行なうといい御意思があるかどうか。
 その他、地方公共團体における財政上の負担に対する措置、並びに現在就農を希望しておる多数の者が待機中であり、更に今後の引揚者が、何をなさなければならないか等々の問題については、政府の無策を極端に暴露しておることを我々はこの決議案を生かすために、政府の御自身の渾身の努力を以て、これが実現を望む者であります。
 以上簡單でありまするが、これに賛意を表する者であります。(拍手)
#20
○議長(松平恒雄君) 池田恒雄君。
   〔池田恒雄君登壇、拍手〕
#21
○池田恒雄君 私、無所属懇談会を代表いたしまして、この決議案に対して、賛成の意を表します。
 戰爭はすべての國民にとつて悲劇であつたことは言うまでもありませんが、在外同胞引揚者は、更に深刻なる悲劇の中の人々であると思うのであります。すべての國民、又政府もこの悲劇の中の人々に、同情を寄せているということも事実でありますが、私はこの意義ある決議案を議決するに当りまして、國民も、國会も、政府も、同情を乗越えた積極的な態度を以て、(「そうだ」と呼ぶ者あり)引揚同胞に対策をしなければならないと、こう考えるのであります。(拍手)
 終戰以来ここに三年、連合軍当局の絶大なる同情によつて、在外地域より一百万の同胞が引揚げて來ております。又引揚げつつあります。そのことは、我ら齊しく感謝するところでありますが、然るにも拘わらず、今日雀躍として祖国の土を踏み、引揚の日を喜んだ人々が、その生活の不幸なるが故に、失業とインフレーションの渦巻く苛烈な社会の、より不健全なる側面より不健全なる側面へと追い込まれつつあるという傾向を見なければならないのであります。
 今日多くの引揚者が、希望の薄い運命に追われつつあるということは、ただひとり引揚者諸君の不幸であるというだけでなく、我々日本国民の不幸ではないかと私は考えておるのであります。(「そうだ」と呼ぶものあり)我々は今靜かに内省して見まして氣の付くことは、我々日本人は國際的体験に乏しいということであります。國際教養に欠けておるということであります。これに対しまして、私は海外から引揚げて來るところの同胞の諸君は、そういう我々の欠けたものを身に著けておるということは事実であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は利根川と鬼怒川の交流点を、遊水地帯を開墾しておるところの滿州引揚者の開拓組合を知つておるのであります。この組合の人々は、勿論衣類はいわゆる着たきり雀であります。住居は藁小屋の中に毛布一枚の生活であります。「いも」や、雑穀や、野菜を塩と一緒に食べております。見るからに苦しい欠乏生活でありますが、それにも拘わらず、この人々の部落組織の礎には、近代的な設計が見られております。開拓の方法、耕種の技術という点においても、極めて嶄進的な方法が取られております。足袋を履いておらないところのこの開拓者の人々は、自分が足袋を覆いていなくとも、プラウとか、カルチベエイターといつたような近代的な農具を数台用意しております。又藁の中にもぐつて豚同然の生活をしておる人々でありますけれども、数頭の牛、数頭の馬を用意しておる。而もこの馬のために聽診器、その他の医療器具を用意し、且つ薬剤を用意しておるのであります。而もこの組合に属する四十戸、百数十名の人々は、困苦欠乏の中にありながら、近代的農場建設のために極めて逞しいところの労働をしておるのであります。(拍手)私は國際的な日本建設のために、引揚者によるところの多種多樣の國際的教養や、國際的体驗というものは、尊いものであると考えるのであります。ここに私は引揚者諸君に対するところの積極的なる期待と希望とを持つておるのであります。
 引揚者に関する対策というものは、引揚者を場末の方へ、場末の方へと追いやることではないと考えます。そしてその場末において苦悶をしておるその姿に対して、同情を寄せ、山の手の方面から救援の手を差延べるということではないと考えるのであります。(「その通り」「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)私はそのようなことが引揚者に対する対策であるとするならば、そのことは連合軍当局の折角の好意というものに対して報いるところの途でもないと考えるのであります。(拍手)私はこの決議案に賛成をいたします。更にこの決議案を有意義ならしめるために、特に政府に対して積極的なる対策を要望いたしたいのであります。
 それは引揚者に対して文明史的役割を自覚させること、國際日本建設の先駆的な使命と希望を與えること、政治とか、産業とか、農業文化といつたところの、國家再建のための重要な部門の総ての門戸を開放するということ、そうしてこの引揚者諸君が、その持つておるところの國際的体驗、國際的教養というものを歪めることなく、ポツダム宣言履行の大道を堂々と堅実に進み得るようにするということであります。このような引揚者のための環境が、政府自身の力によつて與えられなければならないと、こう考えるのであります。私の言うことは極めて抽象的に終るのでありますが、私はこの決議案が、政府自身の力によつて、引揚者諸君に対し、このような環境を強く推進されるということによつて、初めて有意義になるものであると思うのであります。
 而も私は今までの政府のいろいろなやり方を見まして、この際強く意思を表明して置きたいことがあるのであります。私は沢山の引揚者を家族に持つておるところの農民の代表といたしまして、特に言いたいことは、引揚者というものは断じて乞食ではないということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)引揚者というものは敗残者ではないということであります。(「乞食じやないぞ」と呼ぶ者あり)引揚者というものは、戰爭の犠牲者であつても、断じて敗残者ではない。敗残者とは日本の軍國主義者であるということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)引揚者に対するところの対策は、この基点より出発しなければならないと思うのであります。(拍手)
#22
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者を終りました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。
   〔中平常太郎君「大臣のこれに対する答弁、施策の点を願います」と呼ぶ〕
#23
○議長(松平恒雄君) もう少しお待ちを願います。
 これより本案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#24
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
 只今の決議に対し、内閣総理大臣、厚生大臣より発言を求められました。竹田厚生大臣。
  〔國務大臣竹田儀一君、登壇、拍手〕
  〔「総理大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(松平恒雄君) 後から……。
   〔「三千万おる。引揚関係者三千万」と呼ぶ者あり〕
#26
○國務大臣(竹田儀一君) 只今の御決議の御趣旨には、誠に同感を禁じ得んものがございます。申すまでもなく、終戰当時約六百六十万を超えました外地在留邦人の引揚帰國は、我が國の直面いたしました一大課題でありまして、これが一日も早く速かに完了いたしますことは、全國民の挙つて念願とするところでありました。又念願であります。昨年末におきまして、ともかくもソ連地区を除く他地域の引揚は一應の完了運びに至つておるのであります。引揚がこれまで進捗いたしましたことは、ひとえに連合國当局の絶大なる御支援の賜と、深く感謝いたしておるところであります。併しながら終戰後三年になんなんとして、尚六十五万を超える多数同胞が海外に残留いたしておりますことは、諸君の述べられたごとく、甚だ遺憾に存ずるところであります。留守宅家族の方々の御心痛を思いますとき、誠に心からなる御同情に堪えません。政府におきましては、是が非でも引揚全般を今年一ぱいに完了せしめたいと、固く決意をいたしおります。今後とも引揚促進につきましては、関係方面とも密接な連絡を保ち、全力を傾倒いたして参るつもりでおります。引揚同胞の國内定着後の更生補導は、政府の絶えぎる関心事でございます。從來とも引揚者の更生援護を図るために、関係各省と協力をいたしまして、就職の優先的斡旋、歸農入植の便宜供與、住宅の供給、生業資金の貸金の貸付、その他の融資による生業の確保、應急家財等の生活必需物資の特配、生活保護法の積極的活用による困窮者の保護等、各般の対策を講じて來たつもりであります。今後も引揚者の特殊事情を十分考慮いたし、只今の御決議に盛られました要望に應えて、万全の措置を講ずる所存でございます。尚中平、木下、御両君のお話のありましたごとく、樺太引揚者の中には無縁故者が予想以上に多きに上つておりますので、これが受入保護に遺憾のないように、急速に対策を講じたいと思つております。ただ急速に具現いたしますためには、財政、物資、その他の上にいろいろ障害となることが考えられまして、なかなか容易ならざることでありますけれども、御説の通り、この問題は我が國といたしましては、是非とも万難を排して実現して行かなければならん事柄であると思います。私といたしましては、総理を初め関係閣僚の御協力を得て、是非ともこれが実現に邁進いたしたいと思つております。
 尚政府といたしましては、以上申述べました通り、決議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、引揚者につき万全を期する所存であります。同時に國民諸君におかれましても温かい同胞愛を以て、引揚者の更正を積極的に御援助下さるよう、切にお願いいたしたいと思います。
 以上御決議に應えまして、聊か所信を披瀝いたした次第であります。(拍手)
#27
○議長(松平恒雄君) 芦田内閣総理大臣。
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#28
○國務大臣(芦田均君) 只今引揚同胞対策の決議案を拜承いたしまして、参議院のこの問題に対する御意見の存するところ、その熱意の程は篤と拜承いたしまた。政府は全力を挙げてこの決議の趣旨に副うごとく努力いたす決心であります。(「今まではやつておらんぞ」と呼ぶ者あり)
 私は引揚同胞の問題が始まつた当時から、責任ある國務大臣としてこの問題を取扱つて來た体験を持つておるのでありまして、これが対策に対する困難がどこにあるかということも、多少自分の体験より承知いたしておるつもりであります。從つてこの内閣においても、極力これらの難関を克服することに努力いたしたいと思います。政府の意のあるところを申述べて、今後の施策に全力を挙げることをここに声明いたす次第であります。(拍手)
     ―――――・―――――
#29
○議長(松平恒雄君) 日程第二、海上保安廰の設置に伴い地方自治法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長、吉川末次郎君。
   〔吉川末次郎君登壇、拍車〕
#30
○吉川末次郎君 只今議題となりました海上保安廰の設置に伴い地方自治法の一部を改正する等の法律案にきまして、本委員会の審議経過並びに結果について御報告申上げたいと存じます。
 先ずこの法律案の内容といたしますところは、第一点は地方自治法第百五十六條第六項に規定せられておりまする、いわゆる地方出先機関設置に関しまして、國会の承認を要しないところの業務の項目というものを挙げておるのでありますが、その項目を更に追加せんとするものでございます。即ち先に成立いたしました海上保安廰法によりまして、海上保安廰は航路標識及び水路官署を統合することとなりまして、且つ巡視船の整備補給等の基地施設並びに通信施設を有することとなりましたので、この際本規定の整理の意味合いをも兼ねまして、改正せんとするものでありまして、次に
 その第二点といたしますところは、掃海及び旧海軍の艦船の保管に関するところの事務につきましては、先に連合國最高指令部覚書に基きますところの第二復員局の解体に伴いまして、いわゆるポツダム政令第三百二十五号により、運輸大臣の管理の下に運輸省の海運総局及び海運局の所管に属しておつたのでございますが、今回海上保安廰法によりまして、これらの事務というものは海上保安廰の所管となりましたので、ここに両者の聞の法律的調整の必要を生ずるに至つたのでございます。
 以上が本法律案の趣旨内容でありまして、治安及び地方制度の常任委員会は、これが付託を受けましてより、愼重審議をいたしました結果、大体これを了承するところがあつたのでございます。更に討論採決いたしましたところ、全会一致本法律案は、これを可決すべきものと決定いたしました次第であります。
 以上委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げました次第でございます。(拍手)
#31
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の裁決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#32
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
 これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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