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1953/05/22 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 農林委員会 第49号
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1953/05/22 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 農林委員会 第49号

#1
第019回国会 農林委員会 第49号
昭和二十九年五月二十二日(土曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 井出一太郎君
   理事 小枝 一雄君 理事 佐藤洋之助君
   理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君
   理事 金子與重郎君 理事 芳賀  貢君
      秋山 利恭君    足立 篤郎君
      遠藤 三郎君    佐藤善一郎君
      高橋  等君    寺島隆太郎君
      松岡 俊三君    松山 義雄君
      吉川 久衛君    楠美 省吾君
      中曽根康弘君    足鹿  覺君
      井谷 正吉君    井手 以誠君
      伊瀬幸太郎君    小平  忠君
      中村 時雄君    日野 吉夫君
      安藤  覺君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 保利  茂君
 出席政府委員
        農林政務次官  平野 三郎君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      小倉 武一君
 委員外の出席者
        専  門  員 難波 理平君
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 藤井  信君
    ―――――――――――――
五月二十二日
 委員福田喜東君、楠美省吾君、古屋貞雄君、川
 俣清音君及び中村時雄君辞任につき、その補欠
 として高橋等君、中曽根康弘君、井谷正吉君、
 小平忠君及び伊瀬幸太郎君が議長の指名で委員
 に選任された。
同日
 委員高橋等君、中曽根康弘君及び伊瀬幸太郎君
 辞任につき、その補欠として福田喜東君、楠美
 省吾君及び中村時雄君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 農業委員会法の一部を改正する法律案(小枝一
 雄君外十六名提出、衆法第二九号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(金子
 與重郎君外十六名提出、衆法第三〇号)
    ―――――――――――――
#2
○井出委員長 これより会議を開きます。
 まず農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。
 本案につきましては昨日質疑を終局いたしておりますが、先ほど農業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして、佐藤洋之助君よりの自由党、改進党、日本自由党の協同にかかる修正案が、また足鹿覺君より日本社会党の修正案がそれぞれ提出されました。その内容はただいま各位のお手元にお配りいたしました通りであります。これより各修正案の趣旨について提出者の趣旨の説明を求めます。佐藤洋之助君。
#3
○佐藤(洋)委員 私は自由党、改進党及び日本自由党を代表いたしまして、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提出いたします。修正案はお手元に配付いたしたものによりまして御承知を願いますが、修正案の修正の箇所と修正の理由の概要を御説明申し上げます。
 第一点は第七十三条の第十二第三項及び第五項の中央会の准会員に関する規定の修正であります。改正案によりますと、都道府県中央会にあつては、組合の行う事業と同種の事業を行う法人で地区内に住所を有するもの、全国中央会にあつては、組合の行う事業と同種の事業を行う法人とありますが、このような規定によりますと准会員たる資格を有する者の範囲がきわめて広く、また、これらの資格を有する者が中央会に加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒むこと等ができないこととなつているので、准会員とはいえ中央会の構成が不適当になるおそれもありますので、中央会の定款でその範囲につき適切な措置がとり得るよう修正いたすこととしたのであります。
 第二点は、第七十三条の二十二の修正でありまして、都道府県中央会の総会については代議員制のみでなく、会員の組織する総会によることができることといたしたのであります。改正案によりますと、中央会は全国の場合も都道府県の場合も、その総会は代議員をもつて組織するとなつておりますが、都道府県におきましては、会員の数におきましても全国中央会の場合と異なりますし、会員の組織する総会の開催は全国中央会の場合ほど困難ではなく、また会員の総会でその議を尽すことがその運営上より適切であると考えられますので、原則として会員の組織する総会によることとし、都道府県の事情によりましては代議員制もとり得ることといたしたのであります。
 第三点は、第九十五条の三を加えたことであります。改正案によりますと、行政庁は特定の場合においては組合に対して共済事業の承認を取消すことができ、また組合の解散を命ずることができることになつております。かようにこの改正案によりますと、現行法に比して行政庁の監督権が強化されるのでありますが、これは組合の現状から見ますとやむを得ない措置と考えられますが、この点についてはその運営が適切でなければならないと考えるのであります。そのためにはこのような処分または命令をしようとするときは、当該組合に弁明の機会を与えるとともに、中央会の意見を聞くことが適当と思料されますので、そのように修正をいたしたのであります。
 第四点は、附則第六項の修正でありまして、中央会の公共的性格にかんがみまして中央会の発する証書、帳簿には印紙税を課さないこととし、これを追加いたしたのであります。
 第五点は、第十条第一項第十号の点でありますが、同号は、組合の行う事業として「組合員の農業に関する技術及び経営の向上を図り、又は農村の生活及び文化の改善を図るための教育に関する施設」をうたつておるのでありますが、同号の後段における「農村の生活及び文化の改善を図るための教育に関する施設」とは、いささか一般教育行政との紛淆を来すような表現でありますので、その点の是正を行う修正を施したのであります。
 その他若干の点で、条文の整理のために必要な修正を行いました。
 以上が修正案の内容でございます。何とぞ御賛成賜わらんことをお願い申し上げます。
#4
○井出委員長 次に足鹿覺君。
#5
○足鹿委員 私は日本社会党を代表いたしまして、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その内容並びに提出の理由につきまして趣旨を弁明いたしたいと存ずるものであります。
 お手元に配布いたしております相当厖大な修正案でございますが、これを一々朗読説明することを省略いたしまして、あわせ提出しております修正案の要綱について以下申し上げたいと存ずるのであります。
 まず第一点の都道府県農業協同組合中央会の名称を、都道府県農業協同組合地方会に改める点であります。この点につきましては、元来中央会は全国に一つ置き、都道府県は支会とし、郡段階を部会といたしまして、これを系統的に改めて行くことが最も理想であるのでございますが、本法案が中央会に関する点におきましては、全指連あるいは都道府県指導連の事実上の改組であるにもかかわらず、この改組を機会に国の補助金等との関係においてこれをあらゆる農業協同組合の最頂点に立たしめるべき権力的な内容を持つておるのでありまして、あとで述べますがごとく、将来の農業団体の根本的改革の際において理想的に改組するのが当然であるにもかかわらず、中央に中央会、さらにまた都道府県に四十幾つの中央会をつくるがごとき、変則的なきわめて弥縫的な改正を加えんとしているのでありまして、私どもは当面これに対して、全国においては中央会を一つとし、都道府県においては地方会の名称において系統組織を一応整理すベきである、この方がむしろ妥当性もあり、系統組織を重んずる農協の現状において、またその本質においてはかくあるべきものだと確信をいたしておる次第であります。
 第二点は、全国中央会の都道府県地方会に対する事業計画の設定若しくは変更、業務又は会計の重要事項についての指示等は、全国中央会の正会員たる都道府県地方会に対してのみ行い得ることとする点でありますが、これはあとで述べます都道府県中央会が全国中央会に当然加入することについては、私どもは加入脱退の自由をあくまでも原則として打出すべきである、こういう趣旨で修正点を掲げておるのでありまして、これに関連をいたします当然の帰結といたしまして、正会員たる都道府県地方会のみに対して事業計画の設定もしくは変更、業務または会計の重要事項についての指示等を行うべきものである、こういうふうに規定せんといたしておるのであります。
 第三点は、都道府県地方会の准会員たる資格を有する者は、組合の行う事業と同種の事業を行う法人で都道府県の地区内に住所を有するもののうち定款で定めるものとし、全国中央会の准会員たる資格を有する者は、組合の行う事業と同種の事業を行う法人で定款で定めるものとする。こういうふうに修正せんとするのであります。
 すなわち次に述べます加入脱退の自由の原則を守る建前上、当然この点は出て来る問題であるのでありまして、原案によれば「都道府県中央会の准会員たる資格を有する者は、組合の行う事業と同種の事業を行う法人で都道府県中央会の地区内に住所を有するもの」は、当然加入になつておるのでありますが、これは定款において定めた場合に初めて会員たるの資格を有するという性格に改めるべきものである。すなわち組合の民主的な機関において決定された定款に基いて決定すべきものであるという趣旨に基いたものであります。
 第四点は、都道府県地方会及び全国中央会の会員についての加入及び脱退は自由とするというのであります。原案によりますると、都道府県中央会は当然加入、すなわち義務加入あるいは強制加入の立場に立つておるのでありますが、農協はあくまでも農民の自由なる意思に基き、その結果として協同組合を組織し、あるいは県段階、中央段階に対する加入も自由に基いて行われておるのが現在までの経過であります。従いまして、これは農業協同組合の基本大原則でありまして、これをくつがえすことにおきまして、今回生れんとしておる中央会には指示権という強い大きな力を与える結果となり、これを当然加入にいたしました場合には、協同組合運動から離脱した一種の半官半民の統制機関的なものになる性格、あるいは危険すら内包しておるものであり、一種の指導者システムにも相通ずる危険性を持つておるのであります。こういう点につきまして、農協の本質にかんがみて、われわれは断じて承服することができないのであります。そういう点からこの四点の修正案は、わが党の最も重視しておる点でありまして、現在の全指連あるいは都道府県の指導連が財政難あるいはいろいろな点で非常に混乱しておるという点につきましては、われわれもよく了難し、これに対して国が援助して行くことにつきましては、何ら異議を申すものではないのでありますが、その援助の条件として当然加入に導かんとするがごとき、そういう行き方それ自体が、非常に官僚の組合干捗の危機を内包するという点も一面あえて考えられないのではないのでありまして、そういう点からあくまでも、これは当然加入、脱退の自由に基いて、その上に民主的に中央会につながつて行く。かりにこういうふうにしたといつても、ほとんど加盟を拒否し、あるいはしぶるものは、現状からおしてないと私は思います。当然これは中央会にはつながつて行くのであります。つながつた上において、もし万一中央会が不当な指導者によつて不当に指示権が発動される、あるいはその運営がゆがめられるというような危機が将来あつた場合に、いわゆる都道府県の中央会は加入脱退の自由の原則に基いて、その反省を促し、あるいはその行き過ぎや欠陥を是正して行くという最後のきめ手を残しておくことが、真に組合の民主的運営の基本につながるものである、私はかように信じて疑わないのであります。そういう点からこの四点を私どもとしては特に重視して、ここに修正案を掲げておるような次第であります。
 第五点といたしましては、都道府県地方会の総会は会員総会を原則とし、定款で定めた場合には総会を代議員をもつて組織することができることとするといたしておるのであります。私どもの理想から申しますならば、代議員制は絶対に置くベきではない、総会一本やりでおくべきであるとは考えておりますが、現状あるいは地方の実情において、総会において定款が定めた場合は、代議員をもつて総会にかえるということもやむを得ない場合もあろうかと考えまして、あくまでも会員総会を原則といたし、その他のやむを得ざる場合に、代議員制をも認めるという、農協運営の実情に即応した弾力性のある修正案を提出したのであります。その加入する団体の代表者をもつて、年一回の総会が開かれないということはないのであります。その総会を通じて、組合の現状を正しく把握せしめ、あるいは末端の意向を執行部によく反映せしめて行くことこそ、ややもすれば官僚的に流れんとする今回の中央会機構に対し、一抹の涼風を送り、何とも言えないすがすがしい農民の意向が、あるいは末端単協の意向が、これに通ずると私は考えるのであります。年一回の総会を代議員にかえることは無意味である、むしろそういう総会を充実し、その機会をとらえて真に役職員を教育し、宣伝し、啓蒙し、そして農業協同組合運動の指導理念の徹底普及に活用することこそ好ましいのではないか。そういう点において、あくまでも私どもはこの総会を原則として、やむを得ざる場合は代議員をもつて組織することができるというふうに、実情に即応した修正案をここに提出いたした次第であります。
 第六点は都道府県地方会の会長は、当然に全国中央会の代議員となるとあるのを、ただいま述べました4の加入及び脱退の自由の原則に基きまして、全国中央会の正会員たる都道府県地方会の会長のみ当然に全国中央会の代議員となるものとする、というように関連事項としてここに掲げた次第でございます。
 第七点は、行政庁は、組合に対し、第九十五条第三項の規定により共済事業の承認の取消の処分をし、又は第九十五条の二の規定により解散の命令をしようとするときは、あらかじめその理由を通知して組合に弁明の機会を与えるとともに都道府県の区域をこえない区域を地区とする組合にあつては都道府県地方会の、都道府県の区域をこえる区域を地区とする組合にあつては全国中央会の意見を聞くものとする、かように修正せんといたすのであります。すなわち原案によれば、組合にも民主的に何ら趣旨の弁明の機会も与えず、あるいは警告も十分に発せず、あるいは今度生れんとする都道府県地方会あるいは都道府県全国中央会の意見をも聴せずして、ただ監督官庁の判断に基いてかかる解散権の命令の発動というがごときは、農業協同組合の本質にかんがみて当然排除しなければならない点であろうと思います。従つて組合の民主的運営並びに監督官庁の行過ぎ、あるいはあやまち、あるいは権力的な横暴というようなものに対しまして、あくまでも中央会の意見を聞き、あるいは地方会の意見を聞き、あるいは解散を受けんとするその組合に弁明の機会を量る等いろいろの措置を講じて、しかる後最後に伝家の宝刀を抜き放つて行く、こういう民主的手続をとることが最も妥当であると私どもは考えざるを得ないのでありまして、この点につきましては提案者においても十分お考えになつておると思いますが、今後においても十分この趣旨を盛り上げていただきたい、この機会に強く要望をいたしておきたいと思います。
 第八点は、農業協同組合中央会及び地方会の発する証書帳簿については印紙税法を適用しないこととする。これは原案の不備な点を補足したにすぎません。
 第九点は、組合の役員の選任制は現行の通り選挙制とする。すなわち原案によれば、選任制を総会の定款によつて定めた場合は選任制を採用し得る、こういうことになつておるのであります。私どもはその精神がまつたくわからないのではございません。しかしながら農協の現状を考えてみますと、農業協同組合運動の精神をはき違え、自分の政治的あるいは名誉的な立場にこれを悪用せんとする悪質の役員が相当続出する傾向もあり、従つて運営も必ずしも適正を得ない組合も相当あることは、私どものよく知つておる点でございます。そういう真に組合運動の精神を理解しないものに、そういう組合の指導者に選任制を中心として権力をつなぐということは、気違いに刃物を与えるような場合もなしといたしません。あくまでも選挙制の大原則を貫くべきである。あるいはこのわれわれの意見に対して、いろいろな反対論も過般来の折衝において聞きました。現在が選考委員になつておるから選挙ということは形ばかりではないか、こういう有力な反論もありましたが、これを逆な立場から考えてみれば、選考制度が成功するゆえんは、話がつかないときには、最後には選挙だ、こういうきめ手があるから、ここに役員選考のごときことが、相当妥当な方法によつて行われておるのであります。もしこの選挙制に基かない選任制の道を開くとするならば、安易な道をあえてたどらんとする農協の現状にさらに拍車を加え、その民主的な基盤はくつがえされる結果を招来すると私は断ぜざるを得ません。あくまでも選挙を建前にして、そうして妥当な単協にあつては部落の実情、あるいは農業の経営形体の実情あるいは人物、上級機関等の関係等をにらんで、役員選考で行うことは私どもは妥当であると思いますが、それはあくまでも選挙制を基盤にしてのみ初めて妥当な選考が行われるのである。そういう立場をこの選任制を行うことによつてくずして来る危険性を多分に内包しておるのでありまして、この点につきましては、提案者に私はさらに反省を要求し、同時にわれわれはここに修正意見を提出いたした次第でございます。
 最後に私どもの立場を明らかにするために、今回提出をせられました農業協同組合法の一部を改正する法律案の組合の事業に関する事項中、共済に関する施設の充実のための諸規定については双手をあげて賛成するものであります。われわれがこの修正案を提出し、真摯な検討を加えることをもつて、いわゆるあえて逆宣伝せんとするものは、日本社会党が協同組合法の改正に反対したごとき宣伝をする人たちもあるやに見受けますが、われわれは決してさような偏狭な立場に立つものではない。真に組合運動に徹したものの立場から今日この共済施設を充実せずんば、永久にその機会を失する。今回の提案中、この事業に関する事項についてはわれわれは何らの賛を持つものではなく、今後参議院におきましても、これのすみやかなる成立に全力を傾注することをここに表明し、われわれの態度を明らかにいたしておく次第であります。
 二の組合の監査等に関する事項につきましては、若干の問題点を含んでおりますが、以上私が修正点の内容について触れましたように、大体において妥当であろうと思いますが、若干の点につきましてはただいま申し述べた通りであります。この監督規定の強化については、私どもは必ずしも十分とは考えられません。いたずらに監督官庁が組合役員の責任を追究いたす、あるいはそれによつて命令に服さざるときは、監督権を発動して、組合業務の全部もしくは一部の停止、役員の改選を命ずるというがごとき条文がございますが、この運営はきわめて重要でありまして、この運営を一歩誤りますれば、官僚が組合を支配する結果になり、従つて組合員との意思の疎通を欠き、あえて農民のための協同組合が、官僚支配のために屈するがごとき事態もなしといたしません。しかし現状においては、協同組合の運営の内容、役員の構成等には、必ずしも妥当ならざる欠陥が随所に暴露されております。これを正規の軌道に乗せるには、官庁の正当な解散権あるいは停止権、あるいは役員の改選権を命ずることによつて、ここに綱紀の粛正を促し、組合運営に対して真に正しい指針を与えることも考えられますので、あえて私どもはこの点については反対をいたしておりませんが、将来の運営については十分監督官庁として政府は、その組合の民主的運営、あるいは健全なる発達のために、阻害とならざる周到綿密な御指導を行われることを強く期待し、要望いたしておく次第であります。
 最後に農業協同組合中央会に関する事項につきましては、ただいま修正点について十分述べましたので、これを省略いたします。あとにいろいろと問題はあるようでございますが、ここに一応われわれの今回の協同組合法の一部改正に対する修正点の趣旨の弁明並びに内容の説明を行い、全体を通じてのわが党の態度を表明いたしまして修正案の趣旨弁明にかえる次第であります。
#6
○井出委員長 ただいまの各修正案に対して質疑があれば発言を許します。――別に御質疑もなければこれより農業協同組合法の一部を改正する法律案及び修正案を一括して討論に付します。討論の通告がありますので順次これを許します。芳賀貢君。
#7
○芳賀委員 私はただいま提案されました農業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表してわが党の足鹿覺君から提出されました修正案に対して、賛成をいたし、修正部分を除く原案に対して賛成の討論を試みるつもりであります。この農業協同組合法の一部改正の法律案というものは、今回の国会において提出されたのではなくて、すでに第十五、第十六の両国会において、内閣提出の名のもとに提出されておつたわけでありますが、第十五、第十六両国会におきましても、農業委員会法の一部改正法律案と、この農協法の一部改正法律案というものは、あわせてこれを農業団体再編成の名のもとに取扱つたわけであります。当時の情勢を振り返つて検討いたしましても、この両法の改正なるものが名のごとく、農業団体再編成の名実が備つておるかどうかというところに問題がかかつてあつたのであります。かかる意味におきまして、これに関係するところの全国の農業団体あるいはこの法律の改正に対する関心を有する世論は、あげてこの農業団体再編成なるものに対して批判的の目をもつてこれを迎えたわけであります。そのような関係のもとにおきまして、提案者であるところの政府自身の中におきましても、この法律の改正に対する自信の欠如が多く見受けられることができたのであります。しかるがゆえに両国会におきましても、実質的な法律の改正に対する審議に遂に入ることを得なかつたのであります。しかも第十六国会の衆議院におきましては、ときの保利農林大臣は、遂にこの団体再編成なるものに対しては、私自身としては若干の疑義さえも有しておるということをある機会に表明されたことさえもあるのであります。そのような経過をたどつたこの法律の改正というものが、今回の国会におきまして自由党、改進党、日本自由党の三党共同提案の名のもとに提出されたわけでありますが、形は議員提出の法律案でありますけれども、その中味は従前内閣が提出された法律の改正点とまつたく同一であるということだけでなくて、むしろ政府が提出した改正案よりも改悪のきらいさえもあるのであります。このことは官僚が従前民主化を抑圧し、阻害するがごとき傾向があつたにもかかわらず、現段階においてはむしろ官僚の力をもつてさえもある程度現在におけるところのわが国の農村の民主化を守らざるを得ないというような段階にまで来ておるということを、この法律の改正案の中に私たちは見受けざるを得ないのであります。何がゆえにかかる表現を私どもがとるかと申し上げますと、まず第一に農業協同組合の持つ本質というものは、歴史的に考えましても、ロツジ・デール以来の原則なるものは、政治に対する中立性の確保、一人一票の平等の原則と、加えて組合に対する組合員の加入、脱退の自由、この三本の支柱というものは、あくまでもくずすことのできない協同組合の支柱であります。今度の改正法律案の中には、このゆるがすことのできない精神さえも歪曲しようとする意図が見受けられておるわけであります。
 その第一点は、たとえば役員の選挙の場合におきましても、法律の改正をもつて、従前正組合員の投票によつて、選挙によつて理事、監事の代表を選ぶ制度が行われておつたにもかかわらず、これをただ単に総会において選任することができるというふうに改正せんと試みておるわけでありますが、このような事態というものは、農村におけるところの協同組合の中において蟠居するいわゆるボス的の勢力というものが、部落的な支配関係の上に立つて絶えず役員の選任等の場合においては、役員の選考の場に現れて支配的な力を発揮するということは想像にかたくないのであります。かかる傾向を排除するためには、あくまでも現在の法律の中において規定されておるところの、いわゆる全体の正組合員の自由なる意思において投票する、その結果における役員の選任ということがまつたく正しいのにもかかわらず、このような改悪を行わんとする意図に対しては、これは容認することはできないのであります。
 次に加入、脱退の原則の破壊の場合におきましても、中央会の都道府県段階の場合におきましては、正組合員となる者は自由でありますけれども、都道府県の中央会に一旦加入した協同組合はただちに全国中央会に当然加入の形をとつて強制的に加入せざるを得ないということがこの法律の改正によつて出て来ておるのであります。かかる事態というものは、この中央会なるものが協同組合法の範疇の中において協同組合の一形態であり、組織であるという場合においては、あくまでも名称は中央会であつても、これは協同組合の組織形態の外に出ることはできないのであります。かかる場合におきましては、当然全国中央会に対しましても加入、脱退の自由というものは守るという基本的な立場に立つのが当然であるのにもかかわらず、この法律の示すところによりますと当然加入の線をとつておるというこの点であります。さらに都道府県中央会の段階におけるところの総会の場合におきましても、従前における協同組合の総会の場合においては、ことごとく会員総会の建前をとつておるわけでありますが、今度の法律の改正の場合においては、原則として代議員制をとつておるということであります。このことはただ単に都道府県の中央会だけが代議員制をとるということだけでなくて、現在現存するところの都道府県段階にあるところの協同組合の各連合会の総会の形式というものが、今までは会員総会の制度をとつておるにもかかわらず、この法律の改正によつて代議員制をとるという危険がここに包蔵されていることをわれわれは知らなければならないのであります。このようにしてすべての改正の傾向というものが、組合員全体の意思を平等に絶えず反映さして組合員の意識を高揚させ、しかも組合員の協同組合に対する愛着というものを高めながら農民の自主的な経済行為を行う団体であるところの協同組合の基礎を確立し、その経営を健全化するという方向よりも、これはまつたく逆コースであるということが言い得るのであります。しかもこの傾向というものは、法律の改正のあらゆる点を見て、その底流をなすものは、いわゆる全体主義的な衆議統裁的な思想傾向というものが、この改正案の中のわれわれ見のがすことのできない重大な点であるというふうに考えるのであります。われわれはかかる観点の上に立ちまして、先ほど足鹿委員の提示されました九項目にわたる修正案を付して、あくまでも農業協同組合の本来の精神を守り、しかも現実の社会情勢、経済情勢の中において圧迫されようとしておるところのわが国の農業、この農業の中において、しかも零細な規模のもとに苦吟しておるところの農民の自主的な協同体としての農業協同組合の機能を、現段階よりも有機的に発揮することのできるような期待を持つて修正案を提出すると同時に、残余の原案に対しては賛成し、ここに農協法の改正の精神というものが具体的に効果を発揮できるような期待を持たんとするところにわが党の考えがあるということを、明確に表現したいのであります。それと同時に、ただいま提案者であるところの自由党、改進党、日自三派から修正案なるものが提示されましたけれども、この修正案は、端的に申し上げると、提案者として改正案を提示される場合において、当然これらの形態は付加されなきやならぬものが一部脱落しておつたようなものをここに拾い上げたのと、もう一つは、この法案の審議の過程を通じてわれわれの主張したところの、いわゆるわが党の修正案の名のもとに示された九項目に対して幾分の反省をなされまして、内容的にはまだ微温的ではありますけれども若干の歩み寄りをなされたという、その良心があるということに対して、私はいささかの喜びを感ぜざるを得ないのであります。かかる意味におきましてわれわれはあくまでもこの法案の採決にあたりまして、わが党があくまでも農業協同組合のバツクボーンを守り、しかも日本農協の発展のために期待しようとするその精神を体得されて、このわが党の改正案を中心にして、この改正法律案が成立することを期待すると同時に、最後にこの審議の最終段階において友党であるところの社会党右派の諸君が、民主主義の陣営の中から、しかも協同組合の基本的な筋としてあくまでも守らなければならないところの協同組合に対する加入、脱退の自由の原則の旗をわれわれとともに守つてくれることのできなかつたことを最大なる痛恨事としてつけ加えまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
#8
○井出委員長 小平忠君。
#9
○小平(忠)委員 私はただいま議題となつております農業協同組合法の一部改正案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして強い希望条件を付しまして原案に賛成するものであります。
 わが国の現状は、すみやかに経済の自立を達成いたしまして、国民経済を安定させることが刻下の急務であります。そのことはとりもなおさず国民生活の上に大きなウエートを占めております食糧の自給態勢を確立するということでありますが、その食糧問題の解決のかぎを握るところの、すなわち農村における唯一の経済組織である農業協同組合の整備拡充が刻下の急務であることは、これまた論をまたないところであります。この農業協同組合の整備拡充に関しましては、過去三箇年間農業団体再編成という、その分字をもつて国会においても、あるいは農業団体、全国農民が異常なる関心を持つて今日まで議論をし、審議を重ねて来た点であります。今回の自由党、改進党、日本自由党三派の議員提案によるこの改正案につきましては、われわれは野党の立場から、真に農村経済組織であるところの農業協同組合の拡充整備のために、われわれもこの線については、与党委員諸君とともにでき得るならばわれわれは話合いをいたしまして一致の行動をいたしたいということを念願いたしておつたのでありますが、不幸にして保守三派の議員提案という形となつたことは、本案が提案されました当時から遺憾に存じておつたのであります。しかしながらわれわれはそういう議論は抜きにいたしまして、今日の農協の現状を考えてみますれば、すみやかにその態勢を強化することは、これはもう喫緊の要事であると思うのであります。同時に農業協同組合の現状を見ますならば、私はここにはつきり占領行政、占領政策の行き過ぎが今日農協のあらゆる面において大いなる支障があるということをまず指摘しなければならぬ。同時に永年にわたる自由党吉田内閣の農民に対するところの行き過ぎ、あるいは弾圧、こういつたことがとりもなおさず農協の今日の現状を招いていることについても、われわれはこの機会に指摘いたしたいと思う。ということは単協のいわゆる連合体であるところの都道府県の各種の連合会、あるいは中央の連合会は御承知のように縦割となり、占領から独立への過程においてこの連合会のいわゆる縦割が逐次整理されて統合への方向に進んでおるのでありますが、しかし過去における行き過ぎが、誤れる政策が、今日抜きさしのならない段階にある。すなわち農協の経営あるいは資金難、こういう現状から見ますときに、私は急速にこれらの問題を解決せねばならぬと考えるのであります。
 今回提案されましたこの一部改正案を見ますと、われわれは幾多の不満を持つのであります。同時にこの機会に農協の根本的な、抜本的な改正を行いまして、真に農協が自主的な組織として確立するの要を痛感いたしておるのでありますが、これもなかなか一挙に行かないことも、われわれは了承しなければならぬ。特にこの改正案の中で指摘いたしたいことは、ただいま左派社会党から修正案が提案され、足鹿委員からその趣旨弁明があつたのでありますが、われわれはその修正については、われわれ考えております点を率直に指摘され、われわれも同感の意を表するのであります。しかしながら今日の現状からいつて、われわれが国会においていたずらに議論をし、時間を遷延するというようなことはすべきではない。この現状から考えまして、率直に申し上げますならば、役員の選任の問題も、農業協同組合の本質からいつて、従来の線を逸脱して、自主的な意思を阻害するような選任の方法は、厳に戒めなければならないと思う。しかし今日のあの選挙制度の行き方が必ずしも民主的な方法で、真に農民の欲する役員が選任されているかどうかという点についても、われわれは考えてみなければならぬと思う。同時に中央会に対するところの加入、脱退の問題でありますが、特にこの点につきましては、私は協同組合の本質から見まして、あくまでも会員の加入、脱退は自由でなければならぬ、都道府県中央会に加入いたしました会員は中央会に当然加入の方途をとつておりますのが原案であります。この行き方は、ただいま申し上げましたように、協同組合の本質から見るならば、私はまさに逸脱しておると思う。しかしこのこともわれわれが戦後縦割の連合会あるいは農業協同組合の指導体系の確立ということを考えてみますときに、すみやかにやらなければならぬというような現状から見まして、あるいは中央会そのものの性格から考えてみますと、私はこの緊急性という問題、あるいは農協の現状から見まして、この考え方こつきましても、今日の協同組合の行き詰まれるこの形態を、すみやかに整備拡充する方途を講じて、一日もすみやかに農協本来の姿であるところの会員の加入、脱退の自由という方向に持つて行けるような指導を、政府みずからが積極的にやつていただきたい。
 私は最後に結論を申し上げます。この中央会に対するところの会員の加入、脱退については、政府がすみやかに農協の整備拡充強化をいたして、本来の自主的な姿において、農村の真の経済組織として、農村の基盤として農協が真にその使命を果させるようにやつていただくというその時期まで、暫定措置としてこの中央会に対する当然加入の方途を認めたいというのがわが党の方針であります。以上のような条件を強く付しまして、わが党はこの原案に賛成をいたしたいと思うのであります。
#10
○井出委員長 これにて討論は終局いたしました。引続きこれより採決いたします。
 まず足鹿覺君提出の日本社会党の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○井出委員長 起立少数。よつて本修正案は否決せられました。
 次に佐藤洋之助君提出の自由党、改進党、日本自由党の協同修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○井出委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。(拍手)
 次にただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○井出委員長 起立多数。よつて農業協同組合法の一部を改正する法律案は、佐藤洋之助君提出の修正案のごとく修正すべきものと決しました。(拍手)
 なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
#14
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#15
○井出委員長 引続きこれより農民組合法及び農業委員会法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたしますが、まず農業委員会法の一部改正案について質疑を願いたいと思います。井手以誠君。
#16
○井手委員 農業委員会法の一部を改正する法律案につきまして、お尋ねいたしたいと思います。まず第一にお伺いいたしたいことは、改正されようとする農業委員会、特に都道府県農業会議並びに全国農業会議所の性格について承りたいと思うのであります。提案理由の説明によりますと、農業委員会及び都道府県農業会議及び全国農業会議所を農民の利益擁護機関として、その活動を期待するということが大きく掲げられている点であります。そこで提案者にお伺いしたいのですが、たとえばあなたが秘書を使つておられる。給料を出して雇つておられる。その秘書があなたに対して堂々と意見が述べられるものかどうか。人に雇われておいて、雇い主に対して遠慮なく批判し、意見が述べられるものであるかどうか。その点をまずお伺いしたいのであります。
#17
○小枝委員 ただいま井手委員からお尋ねの点でありますが、府県会議並びに中央会議所の問題につきまして、私が秘書を使つている場合に、その秘書が私に対して堂々と意見が述べられるかどうかという御意見であります。今回の府県の農業会議あるいは中央の農業会議所は、御承知のように政府から補助を受けることになつております。従いましてこの補助を受けている団体が、政府、官庁に対して自由に意見を述べられるかどうかという御質問だと解するのであります。この点はなるほど補助はもらつておりますが、農業会議所並びに農業会議の性格は、地方の各農業委員会における代表者並びにそれに関連いたします都道府県における各農協あるいは学識経験者、そのほか盛り上るところの、最も農村に理解のある人々の主宰する団体でありまして、政府の意図といたしましても、決してこれらの意思並びに言論を抑圧し、行動を抑圧しようということではなくて、むしろ農業及び農民の利益を擁護しようという立場のもとにその助成をいたしているのでありまして、それによつてそれらの行動並びに意見の開陳に著しく制約を受けるものとは考えておらないのであります。官庁としても、政府としても、これらがほんとうに農業及び農民に対して忌憚なく意見を具申することをかえつて期待いたしておりますし、またこれらの団体に関係する人々においても、十分にこれを述べることができるものと考えております。
#18
○井手委員 お尋ねの方法が悪かつたかもしれませんが、事業に対する補助金はともかくといたしまして、給料、手当を国費からまかなう、人件費を国費からまかなうという機関において、補助をやる国に公正な意見を述べ得ないことは、私は提案者といえどもおわかりであろうと思う。私は内心そういう考えであると思う。ただ公開の席上では言えないかもしれませんけれども、人に雇われてそれで生活しておつて、正しい率直な意見が述べにくいことは万人承知のところであります。一方において選ばれた委員が、またその会議なり会議所が農民の代表機関であると期待されているようでありますが、末端の農業委員を選んだ場合には、主として農地法に関係する行政事務の一端に携わるにふさわしい者を選んでいるということでございまして、農村問題すべての適任者を選んだということにはならないのであります。また一方において都道府県農業会議の委員は、過半数が選任になつている。こういう場合に、これが農民の利益を代表する機関であるとは、いかに考えても申しがたいのであります。私は僭称であろうと考えます。提案者は農民の利益代表機関であると言われておりますが、やはりそのようにお考えになつておりますか。おそらくこれは書き誤りじやないかと考えておりますが、いかがでございますか。
#19
○小枝委員 提案者といたしましては、なるほど下部組織においては農業委員会がその基本となつております。しかしながら今日の委員会法の改正によつて選挙を簡素化いたしまして、市町村においても三分の一程度の選挙以外の方面から選任した委員も参加することになつておりますが、都道府県の農業会議並びに全国の農業会議所においては、御承知のごとくに農民の利益の代表機関である農業協同組合、あるいは農民の団体、あるいはまた学識経験者、あるいは農民の代表といつたようなあらゆる農村の良識を網羅するという方針のもとにやつておりますので、必ずしもこれをもつて全部の農民の利益代表機関であるということを言うことは、僭越ではないかという井手委員の御趣旨もありますけれども、提案者といたしましては、御承知のように今日の日本の農村の現状は、容易ならぬ事態に参つておると思いますし、ことに御承知のごとく農産物の国際的価格が漸次下落の傾向を辿つており、ことに日本の農村の生産状態は、漸次増加をいたしまして、これら経済的な今後の情勢を判断いたしますと、必ずしも楽観を許さないのみならず、非常に憂慮すべき状態にあると思うのでございます。また農地の問題につきましても、井手委員御承知のごとく、最近食糧問題が多少緩和の傾向は見えておりますけれども、たくさんの農地がつぶれております。ここ一箇年間において、農耕地のつぶれておるのは、およそ三万五千町歩と言われておりまして、長崎県一県の耕地が一箇年にほとんどつぶれるという現状にあるのであります。またいろいろの情勢から考えてみますと、人口、食糧問題等、幾多多難な道を控えて、日本の農村の将来及び農民の将来における経済情勢というものは、まことに憂慮されなければならぬのであります。そういうときにあたつて、こういう機関が集まりまして、現在の農業委員会よりも農業会議所によつて農業会議を開きまして、いろいろな知識を集めまして、これによつて、農村の農業、並びに農民の利益の擁護をすることは、農民の利益の代表機関としての価値があるものと、提案者としては考えておる次第でございます。
#20
○井手委員 それでは農民の利益の代表機関であるということは、すべての代表機関であるという意味ではなくて、こういう農政問題の重大なときに、その一つの利益の代表機関である、かようにお考えになつて提案されたと解釈してよろしゆうございますか。
#21
○小枝委員 ただ一部というわけではございませんけれども、またあらゆる面にわたつて全部だということは断言しかねると考えておるのでございます。
#22
○井手委員 そこで経済局長にお尋ねいたしますが、こういう構想については、農林当局でもお考えがあつたように承つております。この改正される農業委員会、農業会議、農業会議所というものが、農民の利益の代表機関であると提案理由にも書いてあるのでありますが、この点について、私どもはいろいろと疑義があるわけであります。しかし、この点はこの改正案の中心点であると私は考えます。経済局長は、昨日の答弁においても、農協も農政活動ができるということを言明されましたでの、多分そうであろうとは考えておりますが、経済局長は、ただいま提案者にお尋ねしましたように、この機関は農民の利益を代表する機関の一つであるとお考えになつておりますかどうか、その点をただしたいと思います。
#23
○小倉政府委員 農業あるいは農民の利益代表、言葉をかえて、あるいは農政活動という仕事、これは独占的にだれがやるという仕事ではありませんから、そういう意味におきましては、法制上、そういうことをやる機関は、もちろんだれがやつてもよろしいのでありまして、法律の制度として今日現われておりますことは、きのうお答え申し上げました中央会というようなものが、その一つでありますし、また今日ここに御審議願つております農業会議というものもその一つである、こういうふうに存じます。
#24
○井手委員 重ねて経済局長に、今後いろいろの事態にあうことと考えますのでお尋ねいたしますが、いわゆる農民代表を選ぶ農民の利益代表機関という場合には、それではほかにもいろいろあるけれども、その重要なものの一つとして農業委員会なり、農業会議というものを考えておる、こういうことになりますか。
#25
○小倉政府委員 その通りであります。
#26
○井手委員 新たに設けられる都道府県農業会議の事業でございます。今までの都道府県農業委員会と性格を異にいたしまして――もちろん農地法に基く仕事はいたしますが、四十条の第二項に示してありますように、多くの事項を並べておるのであります。そこで「農業及び農民に関し、意見を公表し」とか、「行政庁に建議し」とか、「又はその諮問に応じて答申する」とか、さらに「農業及び農民に関する啓もう及び宣伝を行う」というのはどういう内容のものであるか。この四十条第二項第二号については、委員会の議を経なくとも、農民に対して啓蒙及び宣伝活動ができるという内容になつておるようであります。そういたしますと、第二号によりますれば、委員の一部が特定の政党の立場から農民に対して、啓蒙、宣伝を活発に行うということも予想されるのでありますが、そういうことを考えますと、これはどういう啓蒙活動をおやりになろうというお考えであるか、またどういう立場で意見を公表しようという構想であるのか、その点を具体的に承りたいと存じます。
#27
○小倉政府委員 四十条二項の一号でございますが、この意見の公表あるいは建議、諮問に対する答申ということは、農民ないし農業に関する限り多種多様でございまして、ここで一々列挙するまでもなく十分おわかりのことと存じます。そういうことに関しまして、もちろんこの会議は多方面な能力を持つておる、かように理解をいたしております。
 それから会議のきめ方でございますが、意見の公表ということになりますれば、できるだけ農業会議全体の意見であるとか、あるいは意思であるとかいうことを明瞭ならしめるために、法律上会議の形態によつて審議した上できめるという拘束を加えておるのであります。もちろんその他の事項に関しましても、会議自体といたしまして、農民の啓蒙、宣伝ということにつきましても、特定の事項について同じようなことをとることはもちろん可能であります。
 それから農民及び農業に関する啓蒙、宣伝の内容いかんということでございますが、これは二通りあると思います。一つは、農業あるいは農民以外の方、あるいは業界や社会に向つて日本の置かれておる農業の事情、農民の事情というものを積極的に述べて農民ないし農業に対する理解を深めることが一つの大きな事業であると思います。また一つは農業ないし農民に対する啓蒙、宣伝でございまして、農民の自覚を促すといつたようなことだとか、あるいは同じようなことになりますけれども、農地問題あるいは米価問題などにつきまして、現在の情勢、状況といつたようなことについて普及、宣伝をする、こういうことがたとえて申しますれば入ると存ずるのであります。
#28
○井手委員 ただいまのお答えによりますと、広汎な農政活動ができるというお言葉であります。米価についても意見を公表することができる、こういうことになりますと、提案者にお尋ねいたしますが、先刻の質問にもどるようではありますけれども、今農民が不平不満を持つておることは提案者も御承知の通りと思います。特に農民収奪政策を長く続けて参つております今日の吉田内閣に対しては、多くの不平不満を持つておる。そういう農民が政府から金をもらう。職員が――職員についてはあとでお尋ねいたしますが、人件費をまかなわしてもらい、生活させてもらつておる職員が起案し、また手当をもらつておる委員が政府に対して公正な農民の自由な意思による意見をまとめて、これを集約して公表する、建議するということが可能であるか。農民は生産費を償う米価を要求している場合に、今低物価、低米価政策を押しつけておる。そういう際に、あくまでも生産費を償う米価がほしいという意見がはたしてできるかどうかというのです。人件費までもらつている機関が、はたして公正な意見が出し得るかどうかということについて、提案者の確固たる信念をこの際承つておきたいと思います。
#29
○小枝委員 ただいま井手委員のお尋ねの問題でございますが、提案者といたしましては、御承知のように今日では政府から給料を直接もらつている官庁の職員でさえ、その手当あるいは給料に対しても申入れをやつておるような状態でございます。従いまして半官半民のような状態でありますけれども、補助をもらつてやつておる職員ではありますけれども、これらが企画、立案をいたしたもの、あるいはこの会議で決定いたしたものにつきまして、農業会議並びに農業会議所が政府に対して、あるいは官庁に対して意見を具申するというようなことについては、そのために意見を差控えたり、十分な活動が制約されるものとは考えておりません。私はそれによつてこの農業会議所としての使命を果すのに障害になるものとは考えておらないのであります。
#30
○井手委員 私は提案者と根本的に意見を異にするものであります。官庁の職員の話が出ましたけれども、今日の官公署の職員といえども多くの制約を受けておる。法規的にもまた実際問題としても、多くの制約を受けておる。もし政府の方針に反する意見を公表するような場合、そういうものを起案する場合には、切捨てごめんの事実もたくさんあるのであります。自分の生活をまず考えなければならない人が、雇つておる者の考えに反するようなことを起案し、あるいは意見を述べるということはとうてい考えられないことだと思う。あくまでもできるとおつしやるならば、それは言葉はどうでもできますけれども、実際問題としては不可能であります。
 そこで私は経済局長にお尋ねいたします。この四十条の第一項第二号にある啓蒙宣伝活動は、委員会の議を経ずして一部の委員が一定の立場あるいは考え方から啓蒙宣伝活動ができる、こういうことになりますれば、時によつては恐るべき悪影響も考えねばならないのであります。一部の考え方から、一部の政党の立場から、政党に所属する委員であるならばそういう立場から啓蒙宣伝が行われるということも考えなければならない。そういうものは委員会の議を経ずしてかつてにできるというふうに第二号から考えられるが、そういう場合に制約の方法があるかどうか。
#31
○小倉政府委員 お尋ねの趣旨がちよつとわかりかねるのでありますが、農業会議員がかつてに啓蒙宣伝をやることはできません。ただ個人としてなら委員はできましようけれども、これは会議としての啓蒙宣伝ではございません。会議としてやるならば会長がやります。会長でありますならば、会務としてその会則でできると規定してあればできるのであります。会長がすることができるというふうに書くか、あるいは特定の事項は会議所でやるというようにきめるか、これは会議の運営に属することと存ずるのであります。
#32
○井手委員 会議の運営に関することではございますが、会議にかけなくてもやれるようになつておりますのでお尋ね申し上げる次第であります。特に申し上げたいのは、都道府県農業会議は、その人件費をまかなうことによつて、また農民の利益代表機関であると銘打つて提案された趣旨から申しましても、どうしても官製の農民代表機関になる、御用機関になるというおそれがきわめて強いというよりも、むしろ初めからそういうはつぴを着たものに私どもは考えられるのであります。かつての産報化することを私は非常に危険に存じております。そこで一方において農民組合法が提案され、これもまた農民の自由な意思によつて各地につくられる、そういう場合に、農民組合と、あなた方が考えられておる――もちろん利益代表機関の一つとは考えておるようではありますが、農業会議あたりとの関係は、どういうふうにお考えになつておるか。その点をお尋ねいたします。
#33
○小枝委員 私どもの考えるところによりますと、農民組合も農民の一部の代表機関であるということは、よく承知いたしております。従いましてこの委員会との関係でありますが、これは法規の定むるところによりまして、それに該当するものについては関連し得るもの、かように解釈いたしております。
#34
○井手委員 いろいろこれについては疑義もございますが、ほかの委員からもお尋ねがありましようから、一応この程度にしておきます。
 次に、重要な点の一つとして、都道府県農業会議には職員を置くということであります。国は職員に対しては補助をする。今までは書記であつたものを職員にした。これは技術のために非常に微妙な点であろうと考えておりますが、どういうふに提案者は職員の解釈をお考えになつておるか。当局との連絡はどのようになつておるか。交渉はどのような結果になつたか。ただ将来そういう道もあるというような期待ではなくて、はつきりした御意思を、また法律にありますればそれによつて執行機関は誠実に執行しなければならない立場にありますので、提案者のこの機会における言明はきわめて重要であると考えておりますが、職員とはどれをさすものであるか。その点を明確にしていただきたいと存じます。
#35
○小枝委員 職員の問題でございますが、前回はこれが書記ということになつておりましたが、今回は職員ということで提案いたしたのでございます。職員と申します意味は、書記という名前はどうも仕事の関係する範囲が、責任におきましても、社会的立場におきましても非常に制約を受けるのでありまして、その活動を十分にいたしまして、また対外的にも対内的にもある程度の責任を持つて企画立案をいたしますことは、これは書記というよりも職員といつた方が適当であろう。御指摘になつておる職員の一番中心は、技術の問題とかいろいろな面にあると思うのでありますが、御承知のように、農業会議あるいは農業会議所が、ほんとうに農民の利益を拡大強化し、これを啓蒙指導して行きます上から考えますと、どうしても科学的な一つの企画、立案というものが必要なのでございます。そういう点から考えますと、ある程度の技術ということもまた必要であります。農業技術なくして決して十分なる科学的な企画、立案というものはできないかと考えるのでございます。そういうぐあいで、具体的な農業技術の指導ということはやらないのでありますけれども、企画、立案に必要な程度の技術というものは最小限度にこれを持つておる必要があります。従いましてこの技術員の問題につきましては、御承知のように日本の農業技術の指導体系というものは多岐多様でございまして、これをはたしてどこへ置くかということは、今後この農林委員会等におきまして皆さんの間で十分検討される問題と思いますが、われわれもまたこの問題については、今後十分検討の余地がある、かように考えておるのでありまして、この農業委員会法の改正に職員といたしましたのは、ただそういう簡単な内部における企画、立案に必要な程度の技術とそれから一般の仕事と、こういうものを合せてやることによつて初めて完璧を期せられると思いまして、その程度のことを考えまして、書記というよりは職員という方が適当である、こういう考えのもとに職員と改正をいたしておるのであります。
#36
○井手委員 それではこの職員というものの中には技術員も含む。今後できれば技術員の方も吸収して行こうというための用意ではなくして、企画、立案の都合、あるいは対農民的な立場などから、書記では都合が悪い、職員とした方がいいという消極的な意思であると解釈してよろしゆうございますか。
#37
○小枝委員 その通りであります。
#38
○井手委員 従来の農業委員会は市町村から県に、まあ系統的になつておりましたが、今回は系統的なようでなかなかそうでない点もあるのであります。われわれ考えますのに、先刻申しましたように、こういうふうに補助金を通じて、正面から農民の利益代表機関として意見を公表したり、建議をしたりあるいは啓蒙運動をやるということになりますと、この系統ということについていろいろと疑義が出て参るのであります。末端は主として農地問題を取扱う。府県の段階においては、農地はもちろん扱いますけれども、これは非常に弱くなりまして、むしろ農政面が大きく押し出されておるのであります。そういうことになりますと、私はそこに系統的なものはないと考える。ただ委員の選任について、若干選任の方法につながりはあるけれども、私はこの条文では系統的なものではないと見てとるのでありますが、提案者はどのようにその点はお考えになりますか。重要な点でありますので、はつきりお願いいたしたいと思います。
#39
○小枝委員 ただいま農業会議並びに農業会議所が農業委員会と系統的なものであるかどうかというお尋ねであつたと解しまして、御答弁申し上げます。私といたしましては、一応こう外見的に考えますと系統的でないようにも考えられますけれども、今回の法律が、御承知のように農業委員会法の一部改正で、これは農業委員会法として進んで行くわけでございますし、この法律案にもありますように、町村の農業委員が複式選挙によつて県の委員を選挙いたすのでありまして、県段階におきましては、いろいろな方面からの選任された委員が参加をいたしますけれども、およそ半数は農業委員会から選挙されたものがあるわけでございますし、従いまして、その府県における農業会議のまとまりました意見には、地方の農業委員会の意見が盛り上つて来るわけでございます。また中央の農業会議所におきましても、各府県の盛り上つた意見が中央に集まることは論をまたないことであると考えるのであります。しかしながら一面におきましては、井手委員の仰せになりましたように、多数の選任せられた委員も参加することでありまして、純粋なる下部の農業委員会の意見が必ずしも中央の意見の全部でないということは言い得るのでございますけれども、一部系統の立つたものである、一部はまたそうした別な意見も介在いたしまして、私どもはそこに、今までの農業委員会よりも今日の事態に即応いたしまして、今日の重大なる農村問題の現状にかんがみまして、この委員会法を改正しようとするものでございまして、ある程度系統の立つたものであるということは言い得ると考えておるのでございます。
#40
○井手委員 選挙の方法などから見てある程度のつながりはあるというお言葉でございましたが、私は市町村の農業委員会と都道府県の農業会議ないしは全国農業会議所とは、その性格はかわつたものであると考えております。そこには申すまでもなく指揮命令とか指導とかいうものはあり得ないと考えます。農地法については、もちろん法の命ずるところでございますので、市町村農業委員会のやつたことについて上級機関としての決定もございましようが、いわゆる四十条の第二項でございますか、あの業務について、あるいは全国農業会議所の業務についてはこれは別個のものに私は考えておるのであります。そこでお尋ねしたいのは、そういういろいろな農民の指導、連絡とかいうようなことについて、全国農業会議所は都道府県の農業会議に対して、あるいは市町村の農業委員会に対して、何か連絡とか指示とか――よく使われる指示権はないかもしれませんけれども、そういつたことができるものであるかどうか。農地問題は別ですが、そういつた意味のものが考えられておるかどうか、この点をお尋ねいたします。
#41
○小枝委員 指導連絡ができるかどうか、そういうことを考えておるかどうかという御質問でございますが、これにつきましては、私はできると考えておるものであります。たとえて申しますと、米の生産費の調査、これは農林統計でもいたしますけれども、こういう点におきましても、はたして実質的な米の生産費がどのくらいになつておるか、これは農民みずから考えておりますところと外部からこれを調査するような場合とは違うような場合があります。そこでたとえば米価について建議をいたそうといたしますならば、ほんとうの農民自体の米価をみずからが調べてみるというような場合に、これを調査して、中央に集めてこれを検討して行く、そういういろいろな材料の場合もございましようし、経済的な問題につきましても、調査あるいは指導連絡をする場合はあり得ると考えておるのでございます。
#42
○井手委員 経済面についての調査連絡ということについては、私もそう思いますが、農政問題についてそういうことができるかどうかということを、重ねてお尋ねいたします。
#43
○小枝委員 できると考えております。たとえて申しますと、ただいま申し上げました米価の問題についても、米価をこの程度の標準に決定してほしいというような場合に、陳情書を下部からこれに提出する、あるいはいろいろな機関に対してこれを建議するというような場合についても、下部に対してこれを連絡し、指導するということはあり得ると考えておるのであります。
#44
○井手委員 いろいろお尋ねしたいのですが、時間の制約がありますので、今からは条文を追つて簡単に質問いたしますから、答弁も簡潔にお願いしたい。
 改正案の第二条第一項第二号の政令の内容、並びに現行法によります第三条の農地等の利用関係について、財政負担について今度は削除されておりますが、その点財政法との関係はいかになつておるか、まずその点をお尋ねいたします。
#45
○小倉政府委員 ここで政令に定めるものと申しますのは、これまでの県の農業委員会につきまして、政府が費用を負担しておりました負担の理由として考えられます農地問題の処理、こういつたようなことでありますとか、その他土地改良法の関係によりまして農業会議の意見を聞く、こういつた場合のことでありますとか、そういうように国の農政を実行するために国が委員会議に諮問する、意見を聞く、こういつたことのために必要な会議の経費、従いまして会議の委員の手当でありますとかあるいは必要な旅費でありますとか、あるいは職員の費用、こういうものが入るのであります。
#46
○芳賀委員 私はただいまの井手委員の質問に関連して、二点ばかりお尋ねしておきたい。第一点は、農業委員会の今までの書記の規定を職員というふうに改められたわけでありますが、これは今井手委員からも質問がありましたけれども、このねらいというものはほんとうはどこにあるかということなんです。このことに対しましては、前会の協同組合法案に対する質疑の過程において、提案者である金子委員から、これは決して将来農業委員会に技術員を置くというような伏線があつて職員に改めてあるのではないということを、繰返して表明されておつたわけでありますが、そういうことがないといたしますと、ことさらに従来書記であるのを職員に改める必要というものは、いささかもないのじやないかというふうに考えられるわけです。この点は将来この法が改正された場合におけるあとの運用にも、非常にポイントになるような点であるように考えますので、この点は提案者におかれていま一段明確に解明されておかれた方がいい。この改正案がもし成立すれば、当然政府はこれを運用することになるので、重ねてお伺いしておきたい。
#47
○小枝委員 芳賀さんにお答えをいたします。ただいまの御質疑まことにごもつともな問題でありまして、この際提案者としての意見を明確にいたしておきたいと思います。これは先般この問題を、三派共同提案しようじやないかということになる以前に、何とかしてこの農業団体の二つの法律の改正をものにしようじやないかというようなことを金子さんに御相談いたしましたときに、これはざつくばらんに申し上げまして、技術員の問題をどうするか、こういう問題がありましたが、この問題は、どうも日本の農業技術員の系統というものは多岐多様にわかれておつて、まことに煩雑な状態を呈しておつて、これを何か一本化して、明瞭なものにする必要がありはしないかということを考えたのでございますけれども、そのときに金子さんと、どうもこの技術員の問題は今後検討を要する問題であつて、農業委員会に置くとか、農協に置くとかいうようなことが、今ただちに結論が出る問題じやないと思う。この際この農業委員会法の改正案を提案するにいたしましても、これは全然その場合には考えたくないということで、この技術員の問題は削除いたしました。ただ書記の問題を職員にいたしましたのは、先般井手さんにもお答え申し上げたのでございますが、これを重ねて明確に申し上げておくことがいいと思うのでございますが、御承知のように書記という名前では、どうも企画立案をしたりすることは書記の仕事ではない、こう考えられますし、対外的にも、書記ということでは、いろいろ会議に出席するような場合におきましても、職員という方がふさわしいというようなことで、この書記を職員に改め、またその職員というのも、これを技術員という意味でなしに、技術を持つた職員を持つということが、技術指導という問題でなくして、これは農民並びに農業の発展をはかる上の企画立案ということになると、この必要性がどうしてもございますので、そこで職員ということの方が書紀よりもふさわしい、こういう考えのもとにこれを改正いたしたのでございます。さよう御承知を願いたいと思います。
#48
○芳賀委員 大体わかりましたが、なおただいまの御答弁によりますと、これは技術指導を行うという意味のものではなくして、主として農業委員会の内面的な一つの企画立案というような、あくまで事務系統の上に立つた職員であるというような御答弁でありましたが、従来農業委員会の町村段階で扱う仕事というものは、一番大事な問題は、やはり農地問題の処理であるというふうに考えられますが、最近におきましては、農地法を中心として農業委員会が扱う仕事というものは、表面から見ると非常に閑散になつたように見えますけれども、実質的には非常に複雑な様相が多分に現われて来ているわけであります。合法の線をほんとうははずれているのだけれども、合法的に装つた農地の売買だとか何とか、そういう形が逐次全国的に出て来ているように考えているのでありますが、そういう場合におきましては、当然農業委員会の職員の中において、やはり農地法なるものの精神とかあるいは運営を、十分身をもつて体得して、そうして委員会の実務の上にこれを現わすことができるという有能な職員が、どうしても必要になつて来るのであります。ただ単にウエートを、今後の農業振興計画であるとか、あるいは外部的な農政面にだけ置くということになると、これらの重大問題の取扱いというものは、非常に放置されるようなきらいがあるわけでありますが、そういうようなことを防止するために、職員というように名前をかえた場合においては、今までの書記という場合より、期待することがやや薄くなるような心配か出て来ると思うのですが、そういう心配は全然ありませんか。
#49
○小枝委員 ごもつともな御質疑でございますが、ただいま芳賀委員もお示しになりましたように、日本の農地の問題は、まことに今日では複雑な様相を呈しておりまして、御承知のようにいろいろな名前のもとに売買が行われましたり、幾多の弊害も出ておることは、提案者といたしましても承知しております。ことに農地改革のあとから、漸次今日といたしましては自作農が小作農に転落しておるような顕著な事実も、われわれは地方において見受けております。こういう農地の問題に対する善処ということについても、お説のごとく今後農業委員会としての重大な仕事であるとわれわれも考えております。従いまして、書記を職員にいたしまして、むしろ対外的の信用もできますことでありますし、決してその仕事をおろそかにするという意味じやありませんのみならず、農業委員会の意思を受けていろいろな仕事に携わります場合において、書記というよりも職員でありました方がそれによつてどれだけ成績が上まわるかということをただちに申し上げるわけには行きませんけれども、よくなりましても悪くなる心配はなかろうかと、提案者としては考えておるのであります。
#50
○芳賀委員 もちろん職員の場合においては、身分の上からいつても委員会あるいは委員会長の指示を受けて仕事をやるわけでありますが、今度の改正点によりますと、選挙による委員を市町村条令によつて十人から十五人の間でいいというように直すということでありますが、今までは選任委員は必要に応じて置いてもよいし、置かぬでもよい、しかも選任する場合においては選挙によつて出た委員の過半数の同意を要するということになつておりますが、今度の場合は選任委員は必置委員ということになります。それは選挙された委員の同意を得る必要はないということになつております。そういうことになると、選挙で出た委員と選任委員との力関係は今までと非常にかわつて来るというふうに考えられるわけであります。そうなりますと、今までのような、どつちかと申しますと農地問題等も重要でありますが、選挙をする場合においては、やはり今はそれぞれ階層別にはなつておりませんけれどもそれらの傾向がやや温存されておつたわけでありますが、今度の場合にはそのことが非常に薄らいでしまう。一つの政治的な含みを持つたような、政治的な力を持つたような人たちがこの委員会の中に大勢現われて来るわけであります。そういう人たちの勢力均衡の上に立つて農地の問題等を処理する場合には、非常に心配な事態が多いのではないかと考えられるわけであります。政府が委員会の経費を負担するようなことになる場合においては、当然委員会の職員等は、やはり明確に国の法律によつてきめられた業務を代行する、委員会の仕事はもつぱら農地法等を中心としたもので、それに専念することのできる条件を備えた職員を置くというような、活動の分野と段階を明確にしておかれないと、一つの混乱が生ずると思いますが、私はその点を案ずるのであります。その点に対してどういうようにお考えになつておりますか。
#51
○小枝委員 お示しのような弊害につきましては、十分考慮いたしまして、そういう弊害のないようにいたさなければならぬと考えておるのでございます。御承知のように農業委員会は全部選挙制度でやつておつたのでございますが、今回は三分の一程度の委員を選任することになつておりますので、必ずしもそういう弊害がないということは断言しかねるかと存じますけれども、今後の農業委員会の活動の点から考えまして、その地方における選挙によつて漏れたものもありましようし、あるいはその地方におきましても最も農業の面に精通し、こうした農業委員会にふさわしい知識経験を持つた人をこれに加えるということも必要であると考えるのでございまして、そういう点から考えまして、決してこの農業委員会の性格が悪くならないものであると考えておりますと同時に、お示しのような弊害については、十分今後政府におきましても監督をいたしまして、そういう弊害のないようにいたさなければならぬと考えております。
#52
○芳賀委員 関連ですからもう一点だけお伺いしておきます。次に選任の委員の場合において、町村段階においては、農業協同組合の理事あるいは共済組合等の理事は当然の資格で委員に選任されるわけでありますが、残余の委員等は議会の協賛を求めて市町村長がきめるわけであります。そういう場合において、今度の改正点はある意味における農政活動をやる、そういう活動の領域を広げるところにねらいがあるように考えられますが、その場合において、既存の農民運動あるいは農政活動をやつておる団体は、市町村段階あるいは都道府県、全国段階等において、既成事実の上に立つて現存しておるのであります。これらの団体は、やはり歴史の上に立つた地方の農民あるいは全国的な農民の一つの支持を得た、しかも自主的な組織でありますが、これらの団体と今度の農業委員会の選任委員との関係は、提案者におかれても相当重視されておると思うわけであります。たとえば町村において農民組合とかあるいは農民同盟とか、そういうような農政運動等を行つておる団体等は、協同組合あるいは共済組合と同列に考えて取扱う必要がどうしても生じて来る事態であるというように私は考えるわけでありますが、たまたま市町村、自治体の長なりあるいは議会等が、これらの団体の代表が委員となることを阻止しようとする傾向が出て来るような場合もないとは限らぬわけでありますが、提案者におかれましては、かかる団体の代表は、当然選任委員として迎えられるべきものであるというような期待を持つておられるかどうか、その点であります。さらに都道府県の農業委員会議等については、以前の方針は法人格を持つた団体の代表ということをお考えになつたようでありますが、今度の場合においては、ただ単に一つの資格条件を持つた農政活動等を行う団体等ということになつておりますので、この場合においてはそこに相当の弾力性を持つておられる、そのねらいは、当然地方段階におきましても、あるいは農民組合とか農民同盟という地方に現存する団体等の代表が選任委員に置かるべきであるということについて、最後に全国段階におきましては、法律だけをながめると、入り得るという可能性があまり出ておらぬわけです。これは農民組合法等も審議をいただいたわけでありますが、これらの法律案が通過した場合においては問題はありませんけれども、残念ながらこれが法律として日の目を見るということに対しては、私たち自身もあまり今の段階では大きな期待を持てないのであります。この法律が成立した場合においては、かかる農民の組織しておる団体は、当然これらの団体というものは、当然これらの団体がこの系列の中に加わらなければ、これは不具者のようなことになりますので、こういう点に対しましては、イデオロギーとかなんとかいうことは別にして、農民の自主性の上に立つた、しかも政府等の力に依存しないで、長い間苦しみ抜いて来たこれらの団体の代表者というものが、全国段階においても当然迎えられるべきものであるというように信じておられると私は思います。この点は今後のためにぜひ明確にしておきたいので、提案者の御意思を御表明願うと同時に、政府当局においてもその見解のほどを示していただきたいのであります。
#53
○小枝委員 ただいま芳賀委員から御質問の、町村の委員会において農民の団体が加入することができるかどうかという問題でございますが、芳賀委員御承知のごとく、こうした農民の団体というものは、尊重せられなければならぬものと私は考えております。従いまして農民組合あるいは農民同盟、その他の団体に限らず、これが農民の団体であるといたしますならば、町村議会かこれを推薦いたしますれば、当然これに選任せられる資格があると考えております。なお中央会の場合でございますが、これはそういう道が開かれておりませんけれども、総会において推薦することになつております。学識経験者といたしましてそういう立場にある人が推薦される場合には、当然これに選任せられる資格があるものとわれわれは考えております。
#54
○小倉政府委員 市町村の委員会につきましては、ただいま提案者から御説明があつた通りでございます。なお全国農業会議所でございますか、これなどにつきましては、提案者から御説明がありましたように、学識経験者として総会で推薦されるということであれば、それでもよろしゆうございますし、あるいは団体として加入することも、会議所の定款で定めればできるようになつております。
#55
○芳賀委員 ただいまの小枝提案者の御説明では、そういうことになれば入れるという程度で、これは非常に微温的であります。かかる団体の代表者というものは、当然選任委員として迎えられるべきものであるという御意思を持つておられるかどうか、ということを私はただしておつたのであります。町村長がその案を示して、議会の承認を得た場合にはあたりまえでありますが、提案者といたしましては、そういうような事態を考慮に入れて、当然町村長としては、そういう団体の代表を選んで議会の承認を得るような、能動的な動きをすることに期待を持つておられるかどうかということなんであります。
#56
○小枝委員 先ほど申し上げました通りでございます。
#57
○芳賀委員 実に重大な問題です。農業委員会が組織体であつて、その組織員の負担によつて維持される団体であれば別でありますが、ほとんど百パーセントが国の支出に依存しておるわけです。国の財政というものは当然国民の税によつてまかなわれるものであつて、これらは国民がひとしく享有できる権利であるというように考えるわけであります。だから農民の社会的、経済的な立場を守るという目的を持つた団体ということであれば、それと同じような目的をもつて、しかも国の負担に依存しないで自立してやつておるというような現存しておる団体等に対しては、当然これは迎える、期待するという態勢がとられておらなければならぬと考えます。ただ資格規定として列挙する場合においては、農業協同組合とか共済組合とは別に、これを並べるのは技術上困難であるので、列挙されてはおらないと思いますが、その残余の選任委員をきめる場合においては、かかる団体の代表というものは、当然選任委員の中に入り得るべきものであるし、当然選任しなければならぬのではないかと私は考えておるのであります。やはりここで、提案者のはつきりした積極的な御意思を聞いておかないと、これは末端の町村長の場合ごく消極的な、狭義な解釈しかしませんから、こういう農民団体の代表を入れるということは、何かこれは法律の趣旨に沿わぬのじやないか、というような間違つた考えを起す場合がないとも限らぬのでありまして、こういう点はやはり審議の過程の中において、ぜひ明確にしていただきたいと思います。
#58
○小枝委員 なかなかこれはむずかしい問題でございますが、私の見解といたしましては、こうした芳賀委員のお示しのような有力なる組合の代表は、学識経験者として選任せられるものと考えておるのであります。
#59
○芳賀委員 期待しておられるかどうかの点を……。
#60
○小枝委員 期待しております。
#61
○中村(時)委員 関連して。今小枝委員のおつしやるように、町村議会において推薦されるならばということでありますが、これを一応読んでみますと、一方におきましては非常に行政機関としての機能を持つておる。一方においては民間的な機能を持つておる。二つの非常にむずかしい性格を持つた団体になつておるわけであります。そこで、そういう中においてしかも行政機関としての考え方から補助金をもらつてやつておる。そうするとある意味で言つたら、これは中金に現われているように、その人選においてはある程度官庁が発言権を持つというおそれも出て来る。ここに一つの問題があると思います。そういたしまして下部に入つて来た場合に、市町村ということを考える場合、とかく今のような行き方は、自由党は喜ぶかもしれませんけれども、大体ボス的な人が多いのです。そういうような結果から出て来るそれに対する反逆から、というよりも正常な立場に立つて非常な苦闘を続けて来た農民組合があるわけです。ところがそういう一つの構成状態からいつて、これらの農民組合の人たちを入れるかどうかということになれば、これは入れない。しかも学識経験者というものは、一応のぺ一パー・プランにおける農政の一つのあり方というものの方向は示してくれても、実際にあたつてそれの正しい行き方を与えてくれる指導者というものとは、また意味が違うだろうと思うのです。そこで、そういう一つの方向をこの中に取入れるかどうかということは一つの問題である。私はそれを取上げてくれないかということを考えておるのだが、あなた方はそういうことをお考えの上で、こういう法案をつくつたのかどうか、これをお聞きしたいと思うのです。
#62
○小枝委員 ただいま中村委員から、この町村の委員会に対しまして、そういう組合の代表者を入れるというようなことを考えてつくつたかどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては、ちようど問題を提案いたします以前に、――ざつくばらんに申し上げますが、金子さんと相談したときにも、農民組合等の入れる道を開くべきかどうかということについて、相談をいたしました。そこで、法人というよりも団体ということにしようじやないか、そうしておけば入りやすいのじやないかということも相談をいたして、一応そういう案もつくつてみたのでありますが、法制局といたしましては、これは法人という方が適当だというので、それでは必要があれば法人ということにすればいいのだから、それでも同じことじやないかということでやつたわけでありますが、しかし今度はそういうことでなしに団体ということになつた。しかしわれわれといたしまして考えました問題は、今度の選任の場合、有力な組合の場合におきましては、その代表者が学識経験者として推薦されれば、当然議会の推薦を得るのではありますけれども、これに選任される資格が生じて来るわけでございますから、そういうことで道が開かれるので、これでいいのじやなかろうか、こう考えて参つたのでございます。
#63
○中村(時)委員 学識経験者という今までの意味は、これは御存じの通りです。そういう実体の行為の中に一生懸命やつておる人とは意味が違つて来るわけです。私どものやつておるのは、農民組合にしても実体の行為の上から現われて来るわけです。そういうものを学識経験者と見なしているかどうかということは、一般の常識から言つて見なさないのです。学識ということになると学が中心になつて来る、そうして経験じやない。経験者とおつしやるけれども、学識経験のうちで、かつてそういう団体へ入れてくれない、これは過去の実績がその通りなんです。そこでもしあなた方がそういうふうによりよきものにしようというお考えがあれば、ここにはつきり一項目定義づけておく必要があるのじやないか、こういうことを私は言つているのです。それに対して当初からそういうようにお考えになつておるのか、あるいは政治的に、農民組合というものはわれわれには決してプラスにはならないのだという考えに基いてこういうものを省いたのか、あるいはもし私が前段に言つたようなお考えでもあるならば、ここにはつきり明記しておく必要があるのではないかということをお尋ねしておるのです。
#64
○小枝委員 私どもといたしましては、これを明記せずに、ひとつ学識経験者として推薦されることが望ましいと考えております。
#65
○井手委員 改正案第三条の市町村内に二以上の委員会を設ける場合の規定でございますが、改正案によりますると、一市町村内八百町歩、世帯数一千戸以上、しかも新たに市町村の廃置分合があつた場合、これを兼ね合せた場合に二以上の委員会を設けることができる、こういうような規定のように私は承つておるわけでありますが、そういたしますと、今までは原則的に一町村一委員会ということに――例外はあつたのですが、今度はほとんど全部と言つていいほどに一委員会になつてしまうと私は考えるのですが、この点はいかがでございますか。
#66
○小倉政府委員 この点はむしろ従来の方が一町村一委員会という原則を堅持しておつたということでございまして、今度の改正案によりますると、むしろそれを緩和しておる、なぜこう緩和されたかということを推測しますと、町村合併が促進されておりますので、現在なされておりますような町村合併は、中にいろいろございますが、全部歩調を合せましそ一町村一委員会ということを徹底するわけには参りません。そこでこれまでよりも同じ市町村の中で二以上の委員会を置かれることがますます多くなるだろう、こう考えまして、そうであるならばそこに何らかの基準が必要であろうということでこういう規定になつたのであります。
#67
○井手委員 重要な点ではございませんけれども、私の解釈は違うのであります。左の条件をあわせ備えなくては承認しない、あわせ備えたものは承認するということになつておりますれば、従来は八百町歩あるいは町村合併によつて小さなものも別に委員会を設けてよかつたわけですけれども、今回は八百町歩一千戸以上、しかもその上に新たに町村合併ということが加わつて兼ね合せなくては承認しないということになつておれば、私は一市町村一委員会が原則どころか、絶対的に近いものになつておると私は考えるのでございますが、いかがでございますか。
#68
○小倉政府委員 その点はここに書いてあります場合は、知事がむしろ職責として申請があつた場合は承認すべきものだ、こういう方針を鮮明しておるのであります。この条件に該当しない場合にも必要な場合はもちろん従来の方針によつて承認できる、従来はできるだけであつたのでございますけれども、今度はむしろ知事をある程度縛つて、こういう場合はむしろ承認すべきものだという趣旨を出しておるのであります。
#69
○井手委員 それで大体わかりました。先刻芳賀委員から指摘されました選任による委員、これは従来は委員の過半数の推薦、またできるというのが、今度は選任しなければならない、いわゆる必置事項になつた上に、市町村長が場合によつては委員の意思に反してでも選任することができる、こういう天くだりと申しますか、どうしてそういう選任の案を考え出されたのか、その理由をひとつ承りたいと思います。先刻芳賀委員に一応お答えになりましたけれども、かつてこういうふうな天くだりの選任をやる、委員の意向を聞かなくてやる、そうしてそういうものを選任しなくてはならないという、ちようど戦時中にやつたような選任の方法、こういう民主的な時代に逆行する行き方であると私は考えますが、どうしてそういう無理をされてまで選任をする必要があるか、この点をお尋ねしておきたい。
#70
○小枝委員 ごもつともな御質疑でございますが、どうも民主主義の時代に逆行した選任の方法ではないかというお尋ねなのでございますが、提案者といたしましては、御承知のように農業協同組合の代表者あるいは農業共済組合の代表者というようなものでございまして、これは御承知のように、農民が一応推薦した団体の代表でございます。なお町村議会が推薦する一部のものがございますが、これも町村民の選挙いたしました議会の推薦するものでございますから、これによつて地方の農民の意思に反したものが出るとは、提案者としては考えておらないのでございます。
#71
○井手委員 先刻申しましたように、民主主義に逆行した規定であると私は考えますが、意見にわたりますのでこれ以上申し上げません。
 次に改正案の三十九条にあります名称の問題でございます。「これに類する名称を用いてはならない。」ということがある。ほかの法律にはこういう類するということは私の知り得た範囲ではないようであります。具体的にお尋ねいたしますと、何々府県農業復興会議というものはどうなるのでございますか、そういうふうにまでしてまぎらわしいような名前はつけてはいかぬ、明らかに間違われるようなものはもちろんぐあいが悪いとは考えておりますけれども、類するということは、どの程度までが類するものであるか、その点を承つておきたい。
#72
○小倉政府委員 これは結局一般の社会的な良識によつて判断する以外にはないと思います。ただいま復興会議という御指摘がありましたが、そういう設例で私の意見を申し上げますれば、類するという中には入らないと考えております。
#73
○井手委員 類するものの例を一つあげていただきたい。復興という二字が入つているから類しない。類するものはどういうものでございますか。この何々府県農業会議、これは同じものを使つていかぬことはわかりますけれども、類するものとはどういうものがありますか。もちろんこれは拡大解釈の危険性はないでしようけれども、類するというお考えがあるものについては、似たような名称をつけてはいかぬ、こういう文字を使うことは私はけしからぬと思うので承つておきたい。
#74
○小倉政府委員 いろいろ例はあると思いますが、たとえば農業会議という字を少しもじつて何々府県農事会議とこうやつてみたり、あるいは県を省きまして東京都とある場合に都を除いて東京だけにしまして、東京農業会議というようなものは、いかにもまぎらわしい、こういう場合であります。
#75
○井手委員 あまり大きな問題ではございませんので、多くは申しませんが、町の金融機関とは違いまして、こういう農業団体、農民の利益代表機関に、こういう「類する名称」という文字まで現わす必要はないと思いますので、もし提案者側で原案修正とか何かの用意がありますれば御考慮を願いたい、かように考えます。
 次に都道府県農業会議の事業でございます。先刻もちよつと触れましたが、第二項の業務。従来は食糧割当について県の農業委員会は大きな役割を果しておつたと考えております。ところが改正案によりますと、これについては、これをなし得るという字句が見当らぬようであります。こういうふうな食糧事情になつたからとか、あるいは性格がかわつたからというような意味で抜かしてあるのか、その点について提案者の御意思を承りたいと存じます。
#76
○小枝委員 供出制度が続く限りは、この法令によりまして仕事をやつて行く考えでございます。
#77
○井手委員 それは四十条第一項の「その他の法令により」ということでございますか。続いてお尋ねをいたします。四十四条に「賛助員を置くことができる。」とありますが、賛助員というのはどういう性格や権限を持つものであるか、その内容、構想を承りたい。
#78
○小枝委員 農業関係の諸団体等でありまして、特にこの趣旨に賛成しまして、あるいは金や知恵を提供してくれる人を賛助員に推薦する、こういうことでございます。
#79
○井手委員 学識経験者――委員になれなかつたような人を置くというようにもとれましたが、これはもう少し具体的に承りたいのであります。この権限、人員、事業の内容。事業というか賛助の内容でございますが、これをひとつ詳しく承りたい。
#80
○小枝委員 賛助員には別に権限はございません。この賛助員の数についても別に限定はいたしておりませんが、その地方あるいは中央農業会議所の自主的な適当な方法によつて、これを決定されていいものだと考えております。
#81
○井手委員 局長にお尋ねいたしますが、私どもから言えば、冒頭に申しましたように、御用団体になるおそれがあるこの団体に、多くの賛助員を置くということになりますれば、その組織がますます拡大して行くという危険も私は見かけるのであります。賛助員をどういうふうにお考えになつているか、「置くことができる」とありますけれども、どういうふうに賛助するものか、専門員というような性格であるか、もう少し御説明をいただきたいと思います。
#82
○小倉政府委員 お示しのように専門員といつたようなかつこうで、知恵をあるいは経験に基いた意見を述べるというような方も置き得るのでありますが、そういうことのほかに、農業会議の目的として農業等に関しまして啓蒙、宣伝をする。こういうことは会議の仕事として、新聞を出したりあるいは雑誌を出すあるいは講演会をするという仕事のほかに、農業関係の諸団体や諸法人を賛助会員にするということによつての啓蒙、宣伝ということもできると思うのであります。全然会議に関係のない人に向つてやるというよりも、一応賛助員という資格にして、会議の内容なりあるいはさらに農業あるいは農民生活、経済全般についての宣伝普及をして行く、こういう趣旨であります。
#83
○井手委員 六十一条にあります全国農業会議所の書面による議決権あるいは代理による議決権の行使、こういうた例がほかの団体にございますか、その点ちよつとお尋ねいたします。
#84
○小倉政府委員 もちろんいかなる法人あるいは団体でも、別に法律なりあるいはその団体の会則、定款等によつて禁止をしていない限りは代理はできると思います。ここで代理と特に書いてありますのは、むしろ世間的な意味において――おそらく協同組合にも、ここと同じようなふうに、二以上の会員を代理することはできないとあつたと思いますが、例はございます。また書面もたしか例はあると思います。
#85
○井手委員 それから末尾の方の問題でございますが、都道府県農業会議の設立に関する規定でございます。附則に約十項ばかりにわたつて設立その他の規定がございます。これは法制手続上の問題でございますけれども、全国農業会議所の例によりましても当然本則に入れるのが正しいと思いますが、いかがでございますか。
#86
○小倉政府委員 農業会議は法律に基きますいろいろの意見を申し述べるといつたような機関でございまして、全国農業会議所とはその点若干違つております。全国農業会議所につきましては、法律上必ず意見を聞かなければならぬというものではないのでございますけれども、府県農業会議はそれがございます。従いまして自由設立、自由解散という建前にはなつておらないのであります。いわば必置の機関みたいなかつこうになつております。従いましてそのつくり方につきましては、一度つくれば、この法律が全面的に改正になるかあるいは廃止されるというところまでは存続することになりますので、設立というものをむしろ附則に入れておいた方が体裁がととのうのではないか、かような考え方であります。
#87
○井手委員 第九十二条の罰則によりますと、違反行為をした役員や使用人、従業員まで罰せられるようになつております。法律ではその責任者が罰せられるのが私は普通だと考えておりますが、その命令を受けた従業者まで罰するということはいかがでございますか。
#88
○小倉政府委員 違反者に対しまして、特に法人の場合に、だれを罰するかということは法律的にはなかなかむずかしい問題だと思います。ただ最近の実行上の例を見ますと、役員と使用人と両方措置をすることが多いようでございますので、こういう規定を置いたのであります。もちろん両方同時に必ず処罰されるということではございませんので、それぞれやはり同じ案件につきましても、ある場合に役員が罰せられ、使用人が罰せられないということはあると存じます。
#89
○井手委員 ちよつと委員長に御相談でございますけれども、昼ちよつと時間があるだろうと思つておつたのですが、急な用事ができまして、あとの質問を保留したいと思います。
#90
○井出委員長 足鹿覺君。
#91
○足鹿委員 私は一点だけ伺つておきたいのであります。この間からも問題になつておりました農業委員会の持つ任務が、非常に複雑なことは御存じの通りであります。末端においては、単位農業委員会は農地行政を担当しておる、県においてもこれが処理機関に系統的につながつておる。ところが全国機関なるものは、その系統組織の上に基いて設立せられるにもかかわらず、何らそういう農地行政であるとか、国の行政を代行する機能は持つておりません。従つて全体を通じてこの農業委員会法の改正の基本は、農民の利益機関として発足せしめるということが基本になつており、なかんずく都道府県、全国段階にあつては、それが任務の中心で、他は関連した仕事になるように規定されておるのであります。といたしますと、末端では国の行政事務を担当しておる。それが集まつて都道府県の農業会議を構成する、それが集まつて全国農業会議所を構成する。といたしますと、これは非常に複雑であるのみならず、その運営を今後どう指導するかということによつて問題が非常に派生して来ると思うのです。これは芳賀委員もさつきちよつと触れておりましたが、おりませんので私はかわつて申し上げるのでありますが、これが調整をどういうふうに今後なさるお考えでありますか、これを伺いたい。
#92
○小枝委員 足鹿委員のごもつともな御質疑でございまして、御説の通りに、この末端におきましては、農業委員会は主として農地調整の仕事を行つて参り、一面農政関係の仕事もございますけれども、この末端の町村の仕事というものは、将来もそういうことになるものと考えております。県まではこれは御説のようにつながる。中央においては農地調整の関係はないので、この農業委員会というものは法で定まつた成規の名前でありますが、おかしいじやないか、従つて将来この運営にあたつて複雑な微妙な問題がありはしないかという御質疑でございますが、この点につきましては、提案者といたしましても一応考えてみたのであります。ただ末端の町村における委員会と県の農業会議とは農地の調整に極力携わりますが、中央の方はその関係がないというような問題について、最初私ども、これはざつくばらんに申しまして、農業団体再編成というようなことであれば、農業会議所と農業委員会というものを切り離した方がいいのではなかろうかということも一応考えてみたのでありますが、一応この委員会法の一部を改正するということになるならば、時代に即応いたしまして農業及び農民の利益を擁護し、その発展に資するという立場から行けば、時代の要求にかんがみてこの上に農業会議所を設けまして、これによつて農政活動も含めてやつて行く、そういうことによつてこの農業委員会の農地調整の仕事におきましても相当な権威を高め、それによつて中央の農業会議所の適当なる運営で、こうした農地の部面におきましても相当の寄与をすることもできるのではなかろうか、こういう考えを持つておるのであります。従いまして府県の農業会議におきましては、選挙せられた委員によつて主として食糧調整の仕事等を行つております。農地の問題は、今度は県段階においては諮問機関の仕事を果すことになつております。従いまして大体において運用よろしきを得ますならば、今後これによつて問題が起るような心配はなかろう。のみならず今日の農村の状況にかんがみまして、府県の農業会議並びに中央の農業会議所の運営によりまして、農業及び農民の利益あるいは農村発展の上に資するところが相当大きいものと考えておるわけであります。
#93
○足鹿委員 提案者の御趣旨は、必ずしも私わからないわけではございませんが、提案者の御趣旨とは別に、これができ上つた場合にどういう運営になるかということを、私は心配しておるのであります。むしろこの形で行きますと、私どもが提案をいたしております農民組合法、都道府県以上は農民組合の行う活動によく酷似しておる。ただ末端が米麦の供出事務並びに農地事務、いま一つはその村における農業総合計画というものを持つているのみでありまして、上級に行けば行くほど農政活動中心の様相を濃くいたしておるようであります。でありますから、これはすでに法律そのものとして農業委員会が出発した当初から、われわれはこのような改正をやつた場合には、非常に弱体化して、機能が発揮できないようになることを指摘し、ずいぶん反対したものであります。その通りに、現在農業委員会はほとんどその機能を弱体化しつつありまして、末端における農業委員会の機能で一番重要な農地調整の仕事なんかは、政府の補助の打切りないしは削減の危機に幾度も遭遇いたすことによつてますます萎縮し、また時代の変遷とでも申しますか、逆コースの風潮を一面相伴いまして、非常に遺憾しごくな状態になつております。これは一農業委員会の活動がいいとか悪いとか言つて、農業委員会を罵倒することには私は当らないと思う。農業委員会の諸君こそいい迷惑だと思う。国の法律の制定を誤まつたために、またこれに対する財政支出を十分に行わなかつたために、今日のごとき事態を起しておる。この事態に対して、今回の改正はきわめて事務的であり、本質に食い込んで、これと四つに取り組んで、基本的な改革を行おうとする意欲も、具体的な手段も何ら講じられておらないところに、私どもはこの法案そのものには反対せざるを得ない。これは意見になりますから多く申し上げませんが、この欠陥は、提案者であろうと与党の各位であろうと政府であろうと、これを指摘するまでもなく御認識になつておるはずなんです。今の政府の性格の上から言つては、これ以上のものは望めないのではないか、むしろこれはもつと弱体化する方向にあるのではないかと私どもは憂えておるのであります。元来、末端の農業委員会の持つておる仕事というものは、非常に大事な仕事でありまして、むしろ上級機関は国が、農地事務を、あるいは供出事務を、あるいは総合計画というものを持つておつて、そうして末端においてこれを政府の代行機関としてやらしめて行つた方が私はいいと思うのです。県や国の職員の身分の問題が、相当この法案を裏づける要素になつておる。その職員の人々の救済ないしはそれに対する対策というものをこの法案の改正によつて行うということは、少し無理がありはしないか。これは長いこと農地関係の中心になつて働いた人々であるから、その人々に対する救済なり善後措置というものは別途に講ずべきで、こういうゆがめられた形で法律を出して来るということは、国の農政の大本を形成する農業団体の性格あるいはその運営等について、非常にあやまちを犯す結果になりはしないか、私どもはその点を心配し、これに対しては農民組合法をもつて代案として立つておるのであります。同時に農地問題については、これは農地法があるのでありますから、当然その農地法の示すところに基いて、農地処理の適当な機関をつくればいいのである。また市町村農業委員会の設けられた趣旨の中には、米麦の集荷の問題の割当事務がある。これは食管法に基いて昔からもやつておりましたように、食糧調整委員会というものを町村に設けて行けば、あとは府県知事あるいは国の農林大臣の所管事項におきまして片のつく問題であります。それをなぜ事を好んでこういう法律をつくり、しかも混乱を誘致するか、私どもはその理由がわかりませんが、議論にわたるから申し上げませんが、これは政府にお尋ねしておきます。今の提案者の御答弁はきわめて良心的であり抽象的であり、率直であります。私はこれ以上申し上げませんが、政府は一体こういう問題を内包しておるものを、さらに弥縫的な改正を行うことを了承し、同意の上提案をしておられるのであるが、今後これを近い機会に抜本的に考え直し、対策を新たに打出す意図を持たずして、これを最後まで貫く考えであるかどうか。私は与党であるとか野党であるとかそういうことを抜きにして、農業団体について、今度出て来たこの法案と協同組合の中央会を中心とする法案とで、弥縫策で事足りると考えておるのかどうか。実際にこれはふたを明けて運用してみれば、行き詰まらざるを得ないのです。そういう内容を持ち、一方においては国際農業の圧迫あるいは緊縮予算の影響等によつて、農業恐慌はもう必至の状態である。こういう農村の状態に直面して、一体だれが農村を守り、だれが農民のほんとうの福祉のために闘うのですか。私どもはそういう面から、政府もまた与党の人々も、真に眼を開いていただいて、日本農村の将来を案じ、農業の将来を心配するならば、虚心坦懐に団体再編成について真摯なる検討をやる必要があると思う。それで私はこの機会に伺つておきたいのであります。これは一応暫定的な措置であろうと思いますが、政府は、民間なり学識経験者なり、過去のいろいろな実績等を反省検討して、新たなる団体を再編して行くことについての熱意と具体的方針を持つておるのか、考えてみる気持があるのかないのか。多くのことは他の委員によつて尽くされておると思いますから、私はこの点だけはどうしても政府に勇断を求め、今にして具体的な対策を立てずんば、こういう弥縫策ではとても乗り切れない段階が来ておる。これについて大臣または政務次官がおいでになればその所信を伺いたいのでありますが、この際事務当局として小倉さんの、良識と学者的な良心の上に立つての御所見を承ることができれば、非常に幸いと思うのであります。
#94
○小倉政府委員 いろいろお示しいただきましたように、農業協同組合、農業委員会を通じまして農業団体と称しますならば、それに関連して非常にむずかしい重要な問題が山積しておることは、まつたくその通りでございます。今回の両法案、特に農業委員会に関連してのお尋ねでございますが、その改正では十分にそれにこたえることはむずかしいのではないかというふうにもちろん私どもも考えておるのでございます。食糧の問題の今後の取扱い方あるいは農地の問題、この二つだけを考えてみましても、農業団体あるいは農業委員会に及ぼす影響は非常に大きいのでございます。従いまして今回の法案がかりに成立した、こういう段階になりました場合に、これに満足いたしまして、この団体問題と申しますか、委員会あるいは協同組合等に関する問題について手をこまねいておるというわけではございませんで、お示しのような問題につきましては、絶えず検討を続けて行きたいと思います。なおいろいろ御示唆いただきました方法をとつて行くことも考慮したい、かように存じます。
#95
○中村(時)委員 私はまずこの問題に入る前に、一、二点お尋ねしておきたい。「この法律の目的」というところを見てみますと、「農業生産力の発展」というふうに出ております。農業生産力の発展の基礎条件は、今の農家経営から見た場合に、土地問題、労働問題、金融問題、この三つがからみ合つた一つの方向が決定せられる。この中で土地問題から来る農業生産力の発展というのは、少くとも技術というものをかなり大きく含んだものであろうと思うが、こう解釈をしていいかどうかということをお聞きします。
#96
○小倉政府委員 この文字ないしこの第一条の目的に関連してのお尋ねでありますが、農業生産力発展のためには、お示しのように土地条件、これは社会制度として、自然的な条件の問題もあわせてでございますが、そういうことの改善が基礎条件となることはもちろんでございますが、そういう基礎の上に農業技術の改良、発達ということが当然入らなくてはならないと思います。
#97
○中村(時)委員 小枝委員にお尋ねしますけれども、今の目的には技術ということがはつきりうたわれている。ところがこの条文の事業を見ますと、これに対するウエートというものはほとんどないが、どういうふうなお考えをもつてこれに対処するのか。
#98
○小枝委員 これは技術と申しましても、考え方がいろいろあると思つておるのでございますが、要するに農業の発展のためには、農業技術が必要なことは中村委員御指摘の通りでございまして、そういう問題について農業委員会に技術を持たない場合におきましても、これをどこに置かせるとか、あるいは国としてこれに対して農村発展のために相当な経費を置いてもらいたいとか、あるいはどういうふうな施設をしてくれとかいうようなことを、農業会議所といたしまして政府に具申し、官庁に具申いたしまして、この目的を達成するということは、農業会議所といたしましての当然の任務かと考えまして、そういう点におきましても、目的を達し得ると考えておるのであります。
#99
○中村(時)委員 どうもぴんと来ないのですが、そこで、そうした場合にこれを見ますと、たとえば「農業及び農民に関する啓もう及び宣伝を行うこと。」ということが業務の中に入つて来るわけです。そういたしますと、たとえば技術と兼用する意味において普及員というものがおるわけなんです。これは政府の方にお聞きするのですが、その普及というものは一つの啓蒙宣伝というものを兼ね備えているかどうか、私は兼ね備えている意味においてこの普及員というものはおると思うのです。それに対して政府の方ではどういうお考えを持つておるか、単なる技術のみを限定しているのか、あるいは今度農業委員会法の一部改正に出て来るところの業務の遂行、この業務を見てみますと、やはり普及指導に関する問題とのダブつた点が出て来ると思うのですが……。
#100
○小倉政府委員 農業会議の仕事に関します農業及び農民に関する啓蒙宣伝、こういうふうに法文に出ておりますが、これにいわゆる農業技術に関する普及といつたようなことが入るかどうか、こういう御趣旨だつたと思いますが、ここでいう啓蒙宣伝と申しますのは、個々の技術について農民を指導して行く、こういうことではないと理解いたしております。もちろんこの農業技術についても新しい研究の成果について、こういう成果があつたというようなことを書くこと自体は啓蒙宣伝の一部に入るかと存じますが、たとえば昔農会あるいは農業会がやつておりましたような、技術員を設置して技術の指導をして行く、あるいは現在普及員がやつておりますような技術の指導普及をして行く、こういうようなことは、普通の文字で理解する場合には、啓蒙宣伝というふうには言わないように存ずるのであります。
#101
○中村(時)委員 そういたしますと、小枝委員のおつしやる技術指導、要するに先ほどもおつしやつていましたこの技術という面が大きなウエートを持ち、そしてそれももちろん考えているのであるというお言葉と、食い違いが起つて来るわけなんですが……。
#102
○小枝委員 私は別に食い違いはないと考えておるのであります。農業普及技術員のやりますのは、実際の農民の農業の指導の上の技術を提供するのでありますが、この農業委員会法にいう技術の問題と申しますのは、普及技術員とかあるいはそのほかの方面の技術員が十分活動のできるようにする、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、委員会が直接この技術の指導に当るという意味ではないのであります。
#103
○中村(時)委員 そういたしますと、普及技術員とあなたの考えていらつしやるこの問題とを、どういうふうに明確に分離する方法をとられるのですか。
#104
○小倉政府委員 その点は現行法とかわつておらないのでありますから、私から申し上げますが、市町村農業委員会につきましては、現行法において技術に関する規定がございます。その点は新しい農業委員会の規定と同じでございます。これにつきましては、市町村の委員会でございますから、市町村でもつて農業技術の改善のために、いろいろの仕事をいたす者がございます。それに向つて農民の選挙した者あるいは選任した者の代表機関としての農業委員会が注文して、市町村長に意見を述べるということがあるのであります。それからまた普及技術員といつたような関連になりますと、これは市町村単位で駐在しているところは少うございますし、それから職員は府県の職員でございまして、府県の行政としてなされているのでございますので、村の委員会限りでは問題がちよつとはみ出しますけれども、これは村の委員会の代表者が数箇町村集まつて相談いたしまして、そうしてこの普及員の動き方、あるいは試験場の動き方等について、県知事に建議しあるいは意見を述べる、また改良普及員と事実上連絡をいたしまして、改良普及員の活動についても注文する、こういうことによつて仕事を運ぶというようになつているのであります。
#105
○中村(時)委員 そういたしますと、普及ということはやはりそういう宣伝も入ると思うのです。それが村にまでは入つて来ていないということになれば、村においてはこの職員が代行するというふうな具体的な線が出て来るわけですか、それをさつきからお尋ねしているのです。
#106
○小倉政府委員 普及員が一人ずつ一つの村にいるという意味で、村には駐在しておりません。そういう県もございますけれども、一段的に申しますと、一つの村に一人の普及員が駐在しておらないということを申し上げたのでありますが、これはやはり村に駐在しているのでございまして、直接農家の指導をするというのが建前でございます。もちろん直接と申しましても、個々の農家をたずねてまわる、こういうことではございませんで、協同組合の技術員と連絡して共同してやるとか、あるいは農民の自主的な技術改良の団体等がございますから、そういうものと連絡してやるとか、場合によりましては直接個々の農家に接触してやる、こういうことで普及員はやつております。従いまして委員会といたしましては、委員会の委員が普及員と相携え合つて、そういう技術指導をするということではございませんで、普及員の働きぐあいをよく督励するといつたような仕事、あるいは普及員の旅費が足りないで活動ができないという状態がわかれば、そういう状態を府県知事に申し述べる、また県の予算が足りないという場合に村では出せないかどうか、普及員にそういう特別の手当を村として出したらいいじやないかということを村役場に述べる、こういうことであつて、活動を円滑にしようというのがこの委員会のねらいであります。
#107
○中村(時)委員 そういたしますと、きのう金子委員からもおつしやつたように、将来この問題が団体再編成になり、あるいはそういう方向に裏づけられるというような傾向を非常に持つていらつしやるように思う。そこでその問題に関してこの農業委員会というものは、将来においては普及技術なりそういうものを含めて構想をここに考えられ、先ほどだれかも言つたように、一時的の現象としてこれを取上げられているのか、あるいはあくまでも今言つた基礎条件を改良普及員と別個のものとして――私は別個のものじやなくて一本になる方が、経費の関係からいつても、指導の能率からいつても生産立地の条件からいつても正しいのじやないかと思うのですけれども、今の暫定措置としてこういう法案でやつていらつしやるのか、あるいはそうでなくして、あくまでもこれは分離さるべき性格のものとして考えられた法案であるのか、その内面的の問題を小枝委員にお聞きしたい。
#108
○小枝委員 先刻どなたかの御質疑にお答え申し上げたのでございまして、この問題は繰返して申すわけでございますが、御承知のように、日本の農業技術の指導というのか多種多様にわかれております。畜産組合にも技術員がおり、あるいは養蚕指導の技術員があり、あるいは改良普及員があるといつたふうに多種多様にわかれておりますが、これをはたしてどこに置くかということについては、今後なお研究の余地のあるものでございまして、先般大槻京大教授の参考人の供述にもいろいろ意見はありましたが、それぞれの意見は多種多様にわかれておると思うのでございまして、われわれ提案者といたしましても、はたしてこれをどこに置くのが正当であり、最良のものであるかという結論を得ておりませんので、この際この農業委員会法におきましては、直接農業技術に携わるということは全然触れてもおりませず、ただいまのところ考えておらないのであります。
#109
○中村(時)委員 そういう最も基礎条件の大事なところをあいまいにしてしまつて、こういうことをやるから、ただ単なる普及員の監査になつてみたり、あるいは啓蒙になつてみたり、予算の取上げになつてみたり、こういう結果が出て来るのです。これが農民に実際に何らかの形でプラスになるということでなければ、この法案というものを考える必要はないのです。そこで実際の根底になるところの生産の向上ということを目的にうたいながら、その最も重大な条件をぼかしてしまう条文が出て来るのです。だから、そこのところを将来においてどう考えるかということの一つの方向を持つた法案でなければならぬと私は思う。ところがそれもなくてただ単に投げ出しになつてしまうということになれば、これはたいへんだと思います。しかしそのことについてとやかく申すのは、時間の制限をされているので、それは一応それとしまして、そういうふうになつて来ますと、今度は農業委員会の性格というのははつきりして来るわけです。今現実にやつているのは何かというと、農地法による土地の問題が一つ、食管法による供出の問題が一つ、こういうふうにはつきりして来るわけです。はつきりして来るとさつき言つた足鹿委員の問題が出て来るのです。そこでさつき言つた資本主義経済から出発している自由党の考え方は、何年か前から公約をしておる米の供出撤廃ということである。もしも撤廃された場合に、今度は一つここに問題が出て来る。まず最も大きな一つのウエートであるところの供出に対する仕事の面が取上げられるということになるわけです。そうすると残つて来るのは土地問題だけなんです。御存じのように農業経営の最も中心をなす土地問題だけです。そうなつて来ると以前のようにはつきり農地委員としておいた方が的確ではないか。むだな経費をこんなに援助して、こんな大きなかつこうにしてみて、やつている仕事は何かといえば、今言つたようにさつぱりわけのわからない組合になつてしまつた。性格がはつきりして来ないという結果が出て来る。もしもかりにこれが県単位以上になると法人格になる。法人格になるとすれば一体これは何になるのですか。諮問機関になるのですか。今お尋ねしているのは三つなんです。一つは食糧を撤廃されたときにおける性格、そうすると残つて来るのは農地です。農地とすれば農地委員の方にはつきりした態度をとつた方がいいんじやないか、こういう結果になるが、どういうお考えを持つていらつしやるか、その点お聞きしたい。
#110
○小枝委員 ただいま中村委員が三つの問題を示されて御質問になつたのでございますが、農業委員会に農地調整の仕事だけが残つて、食糧調整の問題がなくなつたときにどうするかということでございますが、現在の政府といたしましても、御承知のように食糧の統制撤廃は、政策として一応掲げて来たことは御承知の通りでございますが、私どもとしては、現在の日本の食糧事情から考えまして、御承知のように月々三万町歩以上の耕地が減少し、ほとんど百五、六十万の人口がふえる、この段階におきまして、外国輸入という道は開けておりますけれども、今ただちに食糧の供出撤廃というようなことができるとは、われわれは考えておらないのであります。そこでこの食糧調整の問題も当分続くであろうということを、私ども提案者としては考えておるわけでございます。そういうことになつて来るならば、ほとんど諮問機関のようなことになるのではなかろうかというお説でございますが、かりにこれが将来米の統制が撤廃されるというような場合になりましても、また農村には大きな問題が起つて来ると思うのであります。食糧供出の撤廃が行われまして、米価その他においてはたして農民の利益が擁護されるかというと、必ずしもそれだけでは期待できない問題でございまして、ほんとうに農民の利益を増進して行こうと考えますならば、こうした農業委員会、農地調整に携わる人々、あるいは食糧調整に携わる人々、あるいはそれに学識経験者を加え、あるいは農民の経済的にいろいろな方面の代表者を加えましたところの衆知を集めた一つの機関によりまして、いろいろな農民あるいは農業の発展に寄与するような試験研究、あるいは啓蒙宣伝といつた仕事を積極的にやることが必要な仕事と考えるのでございます。要するに先刻もお話がございましたように、農業恐慌を前にした日本の農業及び農民の擁護という立場から考えまして、こうした機関が必要であると、提案者としては考えておるのでございます。
#111
○中村(時)委員 私の質問がまずいのかもしれませんが、どうもお答えが要領を得ませんので、整理してみます。私の言つていることは、一つは、あなた方の公約が統制撤廃を叫んでいる。そして選挙に入つた。ところが実際には撤廃しないという結論が一つ出た。しないどころか実際には供出量まで減して行つて、外米をふやして行つておるのであつて、実際にはできないということをあなたは明確に答えられておる。だからあなた方の公約は空証文であつたということです。それからもう一点は、食糧の統制を撤廃しないという場合に、県以上は法人格になるわけでしよう。そうすると執行の機関としてではなくて、単なる食糧の供出に対する諮問機関になるのかどうか。それからもう一点は、農地委員会としてかつてやつたような一つの専門的な機構に改められるお考えを持つていらつしやるかどうか、あるいは考えるべきところに来ているのではないかということ、この三点をお聞きしたわけです。
#112
○小枝委員 ただいまお答えをいたしました残余の問題について、お答えをいたしますが、供出については諮問機関ということになるのであります。それから供出につきまして町村の委員会におきましては、御承知の通り現在の通りに食糧調整の仕事をやつて行つて、県の方は諮問機関ということになるのであります。しかし県の選挙せられた委員は、この規則で定めるところによりましてやつて行くことになるのであります。それからもしも食糧調整の仕事がなくなつたときに、昔の農地委員というようなぐあいにこれをかえる意思を提案者としては持つておるかどうかというお尋ねでございますが、これは現在のところ考えておりません。
#113
○中村(時)委員 もう一点お聞きしたいのですが、提案者はこの農業会議所をもつて農民の利益代表と考えていらつしやるかどうか。
#114
○小枝委員 提案者といたしましては、農民の利益を代表するものと考えております。
#115
○中村(時)委員 利益代表ということになると最も大きな問題ですが、利益代表であるということがこの目的にもなければ何もないですね。そうすると、その目的の中に利益代表ということをはつきりと明記する意思を持つていらつしやるかどうか。
#116
○小枝委員 私の申し上げました利益代表というのは、先刻もどなたかの御質疑にお答えいたしたのでありますが、この農業会議所が全部の利益を代表するというには当らない。けれども、御承知のように農民及び農業の発展のために活動いたすのでございまして、繰返して申すようでございますが、今日の日本の農村の状況は、来るべき農業恐慌を考えますときに、まことに重大な使命があると考えまして、そして下からは農業委員会あるいは県の農業会議、さらに中央の農業会議所におきましていろいろな問題を企画立案して、農業発展のために、農民のために活動いたしますことは、農民の利益を代表するものである、この考え方からお答えをいたしたのでございます。
#117
○中村(時)委員 農民の利益を代表するということになりますと、農民自身が中心になつて来て、一つの方式なり、あるいは一つの目的なりが打出されて来るわけです。ところが実際はどうかといいましたら、これは補助金をもらうことになつておる。補助金をもらつて、そういう姿の上に立つたものが農民の利益代表とはたして言えるのですか。
#118
○小枝委員 日本の農業というものは、御承知のようにきわめて小さい経営者でございまして、小農組織のもとに生きる日本の農業は、すべてあらゆる機会において保護政策が行われなければならぬと私ども考えておるのであります。従いまして、また農業生産のもとに日本が発展をし、日本の全国民が生きて行かなければならぬこの日本の状況のもとにおきまして、こういう農民なり、農業の発展のために努力する団体に対して、政府が補助金を出すということは当然かと考えます。従いまして、またこの農業委員会法による農業会議所、農業会議及び委員会というものは、いずれも農民が選挙をし、あるいは農民の有力なる団体の代表者であり、すべて根本的に農民と深いつながりを持つものでありまして、これを考えますときに、政府がこれに対して補助金を出しましたからといつて、農業会議なり、農業会議所が十分な活動をするのに制約を受けるものと提案者としては考えておらないのであります。
#119
○中村(時)委員 現状において補助を受ける、育成をするということは私にもよくわかる。しかし補助を受ける、育成をするというのは、どこかに欠陥があるということなんです。こういう団体に援助するということが大事なのか、あるいは今言つたように、技術指導の上から生産向上に向つて行くことが大事なのかと言えば、私は後者をとるわけです。そこでたとえば単なる補助政策なり、あるいは今言つた援助ということより、その欠陥を見出して行くことがより大事なんじやないか、それはどこにあるか、きのうも私が言つた通り、今のような資本主義の社会でこういう考え方を持つていては、何ぼやつてみたつて農村自身は立ち上れないと私は思う。そうでなかつたら、経営がまずいかどつちかです。ところが実際には今のような資本主義経済機構になつておるから問題があるのです。こういう形態では、いくら援助をし、いくら方針をかえてみても、今のような姿ではいけない。そこでわれわれとしては農民組合法案を出して、この両者を一括審議して行くのがほんとうじやないか、こういう考え方を持つておるのであります。ところがその方面はイデオロギーの相違だと言つてほんとうの審議もせず、あなたが審議をしたとおつしやれば、それは賛成のような状態です。自由党は賛成されますか。これは賛成するものではないという考え方を頭から持つていらつしやる。そういうところにあなた方の偏見があるのじやないか。これに対してあなた方提案者としては、もう一歩広く、深くいろいろ考えられて、この問題と農民組合法案と一緒に審議されるお考えを持つていらつしやるかどうか、そうすればよりよきものが必ず出ます。それをひとつ考えて御答弁願いたい。
#120
○小枝委員 ただいまの農民組合の問題につきましては、農民組合法案の審議のときにまた私どもの意見を申し述べることにいたします。
#121
○中村(時)委員 この間農民組合法案を提案して、そのときの質疑応答を聞いておりますと、自由党の方はほとんど賛成なんです。よく速記録の内容を見てごらんなさい。そうすると何も悪いことはない。ただ漠然と何か農民組合法というものはイデオロギーに片寄つているのじやないか、こんなものは頭からいけないものだということを裏に隠して、内容も何もわかつておりはせぬのだ。その証拠に、あなた方は賛成しています。反対しておりはせぬじやないか。そこで私どもは、この二つをここであわせて慎重に審議をされて、それでいけなければいけない点を直して行くという方向に考えて行くべきだと思うが、そういう考えがあるかどうか、お伺いしたい。
#122
○小枝委員 中村委員の御質疑でございますが、実は農民組合というものがわれわれの地方にもありまして、それが戦前において農村民主化のために、また当時しいたげられておつた小作農民のために相当働いて来、また役割を果して参つたということを私ども承知いたしております。ただ、ただいまの段階におきましてこの農民組合を法制化すべきものであるかどうかということについては、私どもも個人といたしましてはまだ結論にまで到達いたしておりません。従いまして、これについては明確な御答弁を申し上げることができません。
#123
○中村(時)委員 農民組合法は昔皆様方が考えていたような、ただ小作料の減免であるとか、耕作権の確立であるとか、そういうことじやない。すでに全般の世界農業の一環としてどういうふうに農業はやつて行かなければならぬか、あるいは今の日本のような資本主義の経済立地のもとにおいてどういうことをやつて行かなければならぬかということを加味し、大きな立場から農民の立場を取上げている。決してイデオロギーやそういう偏見を持つてやつているのじやない。だからそういう目をもつて見ないでいただいて、そしてどうかこれを一緒に慎重審議をやつてもらいたいということを私は提案しておるのです。それに対して提案者は、それはけつこうなことだ、一緒にやりましようという考え方を持つていらつしやるかどうか、お聞きしたい。
#124
○小枝委員 私提案者といたしましては、農民組合に対して、私どもは決してイデオロギーとかなんとかいう偏見を持つてはおりません。ただしかし農民組合の問題は、今後十分慎重審議さしていただくといたしまして、農業委員会法の改正は本日ひとつ何とか通していただきたいと思います。
#125
○中村(時)委員 時間が来てしまつたので、最後に一つお尋ねしたい。金子委員が当初こういうことをおつしやつた。私たちはこれは農業協同組合法の一部改正とこの問題と相関連する問題ではないかと思つてお尋ねしたところが、これは別のものであるとおつしやるのに、今度はとたんにこの両者を一括して上程して審議しなければならぬというお答えがあつた。これは私は頭が悪いからちよつとわからないのです。そこでそれはやはりイデオロギーに関連したものか、あるいは自由党の政策から戦術的にこういうふうにやつて行こうとしているのか。小枝先生のお話を聞くと、まことに該博で農民組合法も必要である、検討をせねばならぬと言つておられる。にもかかわらず、この問題だけを別に取上げてやろうとしているのはどういうわけか。意見をお聞きしたい。時間がないのでこれだけにしておきます。
#126
○小枝委員 この三法案の審議のやり方については、むしろ委員長にお尋ねしていただいた方が適当かとも考えます。われわれは決してそういう意思も何もございませんが、会議の運営の方法として今月に立ち至つておる、かように考えております。
#127
○井手委員 いろいろ疑義をただしたい点も多々あるのでございますが、昨晩の各党の申合せを紳士的に履行いたしたいと考えます。私ども基本的な態度を持つておりまするので、私は先刻の質問をもつて質疑を終了したいと思います。
#128
○井出委員長 他に御質疑はございませんか。――ございませんようですからこれにて質疑は終局いたしました。
 先ほど農業委員会法の一部を改正する法律案に対して、佐藤洋之助君より自由党、改進党、日本自由党の共同にかかる修正案が提出いたされております。この際本修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。佐藤洋之助君。
    ―――――――――――――
#129
○佐藤(洋)委員 私はこの際自由党、改進党及び日本自由党を代表して、農業委員会法の一部を改正する法律案に対して修正案を提出いたします。
 本修正案は本法が成立いたしました場合、過般参議院を通過成立しました土地区画整理法中の若干の字句の修正をいたしまする必要のあること、並びに地方税法の改正に伴う条項整理を行う必要のあることによりまして、技術的な修正を行うことを内容といたした簡単なものでありますので、御了承を願いたいと存じます。
#130
○井出委員長 これより本案並びに修正案を一括して討論に付します。
 通告がありますのでこれを許します。井手以誠君。
#131
○井手委員 日本社会党を代表いたしまして、保守三党より議員提案になつておりまする農業委員会法の一部を改正する法律案並びにただいま同じく保守三党より提出されました修正案に対しまして反対の討論を行うものであります。
 農業委員会は、その持つております固有の性格からいたしまして、また特に最近の農地問題、旧地主復活の情勢を考えまするときに、もし農業委員会法を改正するということでありまするならば、ともすれば農地法を空文化しようとする地主側の動きに対しまして、農地法をさらに規制し、農地統制の強化をはかる改正を行うことが必要であると私は考えておるのであります。ところが今回議員提案になりました改正案によりますると、その農地に関する分について何ら触れるところはなく、むしろ県段階の機関を弱化せしめる反面におきまして、県農業委員会にかわるに、性格のかわる都道府県農業会議に、中央には全国農業会議所を設けようとする趣旨の改正案であります。私午前中いろいろ質問を試みましたが、いかに提案者が弁明されましようとも、新たに設けられようとする都道府県農業会議並びに全国農業会議所は、これをもつて農民の利益を代表する機関とする、農政活動を行わせようとする趣旨のものでありまするし、そこが私は本案改正のねらいであろうかと考えております。この改正は、末端の市町村農業委員会については、農地法を中心とする行政機関の一部でありますので、当然であると考えておりますけれども、農政を扱う都道府県農業会議並びに中央農業会議所、特に都道府県農業会議に対しましては、その人件費を国費でまかなう、こういうことになつておりますので、政府の費用において農政活動を行う、すなわち補助金を通じて農民の利益代表機関にしようとする趣旨である。何と申しましても、これは官製の農民団体、農業団体と言わざるを得ないのであります。これを悪く運営いたしますれば、大きな弊害を伴いましたかつての産報、あるいは帝農にかわるものになりはしないかということを私は非常におそれておりますし、あるいは一部においては、提案者ではさようでなかつたかもしれませんが、今までのこれが立案された経過からいたしますと、そういう動きがあつたことも否定できないのであります。午前中にも申しましたけれども、給料をもらい、手当をもらつて、そこで正当な率直な意見が述べられ、あるいは建議されるとは考えられませんし、また末端においては、農地に関する行政事務のために、それに明るい人を選んだ、そこから間接的に都道府県農業会議の委員が半数選ばれる、あとの半分は、委員の意見も聞かずして選任ができる、そういう組織をもつて農民の利益を代表する機関であるとは、私はおこがましい説明であろうかと考えるのであります。農民の利益を代表する機関でありますならば、官製によらずして、農民の自由の意思による団体でなければならぬと私はかたく信じておるのであります。また中央全国農業会議所あるいは都道府県農業会議、末端の市町村農業委員会、これは選任の方法において系統的である。性格は違つておつても、系統的なにおいがいたすのであります。また提案者の趣旨説明によれば、指導、監督ができるということにもなつております。私はその補助金を通じて、中央の考え方が末端に及ぼされて来る、いわゆる指導統制が農村に行われるというきらいを十分看取し得るのであります。何と申しましても、やはり農民の代表機関であるものは、農民の自由な意思によつてつくられなければならぬ。それを官製によつて、補助金によつてつくる、そうして運営をして行こうというところに、私どもはどうしてもいかにりくつを並べられても、反対をせざるを得ないのであります。
 ほかに、詳細な点につきましていろいろと申し上げたいことがありますけれども、それは末梢的なことでありまして、要は、この大事な農業委員会を、かんじんの農地問題については触れることなく、むしろ退化せしめた反面において、官製的な農民の利益代表機関をつくられるということについては、どうしても私は賛成ができないのであります。
 なおいろいろ申し上げたいことはございますが、そういう基本的な立場に立ちまして、私どもは遺憾ながら議員提案として出されました本改正案につきまして、反対の意思を表明する次第でございます。
#132
○井出委員長 小平忠君。
#133
○小平(忠)委員 私は、ただいま議題となつております保守三派提案にかかる農業委員会法の一部改正並びに保守三派よりただいま提出されました同法一部改正に対する修正案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、反対の討論を行わんとするものであります。
 農業委員会の持つ使命は、従来農地改革に伴いまして農地委員会、さらに食糧の供出制度のために設けられました食糧調整委員会、これらの任務を継続して参つたのでありますが、一昨々年から問題となつております農業団体再編成の一環として、この農業委員会のいわゆる整備拡充の問題が取上げられて来ておるのであります。私は今日農業委員会の持つ使命の重大さ、さらにその内容の検討はまさに行われなければならないと思うのでありますが、今回保守三派によつて提出されましたこの改正案なるものは、簡潔にしてその結論を申し上げますれば、末端市町村においては農業委員会法の一部改正であるが、都道府県並びに中央においては、まさにこれは農業会議設置法であると私は申し上げても過言でないと思うのであります。このような混淆した形においての農業委員会法の改正というものは、根本的にその性格を逸脱しておるのではなかろうか。同時に、農業委員会の使命は、今日依然として残されております農地改革の徹底を期する上からも、さらに食糧管理制度の上に立つて、食糧供出制度の円滑な推進をはかる場合におきましても、私は農業委員会の持つ使命はきわめて重大であろうと思う。しかしながらこの一部改正に盛り込まれたところの中央会議所の設置というものについては、ただいま同僚井手委員からも指摘されましたように、この委員会の持つ使命の中に、農民の自主的な意欲を政府の官僚意思に支配されるというような面が具体的に現われておる。私は農民のいわゆる農政活動なるものは、あくまでも農民の盛上り、自主的な意欲によつてこれが推進されなければならないと思う。ためにわれわれ両派社会党は、前国会以来からも農民組合法の制定を上程いたし、今日この委員会においてもその農民組合法の審議を続けておるのであります。私は今日の日本農政、日本の農業の持つ使命からいつて、日本農民があくまでも自主的な意欲によつて、国の経済あるいは農村の近代化、農民の経済的、社会的地位の向上というものの実現を期するためには、あくまでも何ものにも拘束されない、農民の自主的な意欲によつて結集される組織こそ、真に農民の民主的な、自主的な組織でなかろうかと思うのであります。かかる観点に立つて、私はむしろこの際農業委員会を根本的に整備拡充して、本来の使命を遂行せしめるような農業委員会法の改正を行うべきであると考える。さらに農民の農政活動的なものは、これは自主的な農民組合法の制定によつて行うべきであるという考え方から、われわれはこの改正案に対しましては、根本的な考え方のもとに提出いたしたい。われわれ社会党両派におきましても、この際農業委員会の整備強化ということが必要であるから、これを根本的に修正するという意見も出たのですけれども、あまりにも広範囲にわたり、また提出されましたこの一部改正案なるものが公私混淆している。さようなことから、今日は遺憾ながらこの上程された農業委員会法一部改正案に対して賛成するわけには参らないのであります。しかしながらわれわれは、今日真に農業委員会の持つ使命達成のために、よりよき案の実現のために今後邁進して行きたいという考え方を持つているのであります。
 以上簡単でありますが、本案に対する討論といたす次第であります。
#134
○井出委員長 これにて討論は終局いたしました。
 引続きこれより採決に入ります。まず佐藤洋之助君提出の修正案について、採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#135
○井出委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。
 次にただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#136
○井出委員長 起立多数。よつて農業委員会法の一部を改正する法律案は、修正案のごとく修正すべきものと決しました。(拍手)
 なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
#137
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 この際委員長より一言申し上げます。ただいま、採決いたしました両法案は、世上団体再編成と称せられまして、三年越しにわたつて課題となつて参つた懸案でございます。第十六国会におきまして、政府提案となつて出され、審議未了になりましたいきさつは、各位御承知の通りでございます。今回小枝一雄君外十六名提案としての農業委員会法の一部改正、金子與重郎君外十六名提案としての農業協同組合法の一部改正、こういう形で提案になつたわけでございますが、連日にわたつて御熱心な審議を煩らわしましたが、農業団体再編成と見ますときには、なおまだ不十分の点もあることは、提案者の御説明の中にもあつたわけでございましたが、現実的な要請の前に本案がただいまのごとき結論に到達したものと思料いたすわけでございます。
 本委員会におきましては、従来農村ないし農民の問題を扱います上にあたつて、委員各位の御協力によつて常に円満な御審議を願つて参つたのでございましたが、きわめて重大なる本二法案に関しましては、残念ながら意見のわかれるところがございまして、ただいまのような結果に相なつたわけでありますが、しかしこの審議を通じて反対の立場に立つ者といえども、お互いに相手方の立場を了とするものがあることを信ずるのでございます。どうか今後にあたりましては、このことのいかんを問わず、さらに円満に問題が進行されることを委員長として特にお願いをいたす次第でございます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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