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1947/06/09 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第46号
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1947/06/09 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第46号

#1
第002回国会 本会議 第46号
昭和二十三年六月九日(水曜日)
   午前十時十七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十四号
  昭和二十三年六月九日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一、國務大臣の演説に関する件、(第二日)順次質疑を許します。寺尾豊君。
   〔寺尾豊君登壇、拍手〕
#4
○寺尾豊君 私は民主自由党を代表いたしまして、昭和二十三年度総予算に対しまする首相並びに関係閣僚は若干質疑を行いたいと思うのであります。
 北村大藏大臣は、予算大綱の最後の説明におきまして、終戰以来國民の尊い努力は、漸く効果を現わし始めた。而も國際情勢の好轉が期待される。この時こそ我が國経済再建に絶好の機会であるということを述べられておるのであります。これは一應了解し得られないことはないのでありまするが、成る程國際情勢にいたしましても、経済再建の見通しにおきましても、徐々に好轉をいたすのでありましよう。ただ、ここに北村君並びに芦田首相と我々が思いを異にいたしますることは、現下國民負担の実相把握の点において根本的に相違する点であります。今や國民があらゆる窮乏の試練を受けまして、漸く今日まで辿り來つたというものは、たとえ僅かながらも生活安定の方向に向かわんことを念願する外にないのでありますこの國民の窮乏実態は、國家の現状にひとしく、政府の何らかの支援と理解をなくして維持ができないまでに窮迫しつつあるのであります。かくのごとく疲れ果てた國民に新しい光明を認めさせ、少しでも希望の方向に向けて進むことを得せしむるならば、北村君の言葉は誠に國家救済の至言であると言い得るのでありましようが、事実はどうでありましようか。
 今次予算編成に当つての國民生活に対する直接の重圧、さなきだに困窮の極にある國民をして、一日も現状では存続できない最惡の段階に立ち到らしめんとしつつあるかに見えるのであります。かかる観点からいたしまして、その生活面に脅威を與える運賃、通信料金等の大幅の値上を初め、すべての物資の大幅吊上げは、到底國民のその生活に堪え得られない事態にまで突入することは、もはや極めて明白なる事実であるといわなければなりません。若しも政府にして、これらの一連の施策を敢て強行するといたしますならば、政府に対する國民の怨嗟の声は澎湃として全國的に起り、遂に國家再建に一大支障を來すに至るであろうことは明らかな事実でありまして、我々はこの点に関しまして、政府当局、特に芦田首相に対し、警告と反省を促しますると共に、本予算案に対しましては組替による編成替を要求するものであります。
 日本経済の当面いたしまするインフレの問題に関しましては、これを如何に取扱つて行こうかということが、凡そ最近ほど各方面で眞劍に取り上げられたことはないと言つていいと考えるのであります。而してその安定か、再び爆発するかの岐れ路は、今日政府の提出されている。又政府がなさんとするところの物價改訂と予算案の中に含まれておるのであります。昨年の片山内閣の時と現在とは、経済情勢に非常なる大きなる相違が生じて來ておるのであります。從つて今度の物價改訂の問題も、予算案の編成も、当然今日の情勢を的確に把握いたしまして、新らしい方針の下に編成されなければならないのは当然のことであると言わなければなりません。
 今次予算案の特徴を見て見ますに、何かと申上げますれば、四千億に近い大予算を編成しながら、終始政府は、特に北村藏相は、手離しの樂観的態度を持して來たということにその特徴があると申上げなければなりません。即ち藏相は予算編成に当つて、予算と物價との相互均衡を取る点に努力を集中したと言われております。價格調整費を五百五十億に増額し、鉄道通信など特別会計の不足を一般会計で賄い、公價引上を緩和したということを意味する心積りでありましようが、これ程巨額の負担をしながら、尚且つ運賃の三・五倍、通信料の四倍の値上を計画いたしておるのであります。そこで、これで政府の予想通り公價の七割値上に果して止め得るのでありましようか、大きな疑問があると言わなければなりません。例えて申上げますと、この程度に止め得たといたしましても、闇物價の値上りを一ケ月三・六%に止め得るとは到底考えられ得ないのであります。昨年七月の物價改訂の時ですらも、闇物價は七月は一二%、八月が六%の値上りを示しておるのであります。況んや今度のような物價に特別の関連を持つところの運賃料金の値上率が、一般公價の値上率の数倍に上る時に、当然闇物價の激しい上昇は避けられないと思うのであります。殊に食糧端境期を前に、これらの闇値の急上昇は必至でありましよう。故に生計費の跳ね返りは政府の予想よりも遥かに大幅になるのであります。同時に、今次の三千七百円ベースも昨年の千八百円ベースの時と同じ運命を辿り、結局予算と物價との均衡は今回も亦破れてしまうことは、火を見るよりも明らかであると言わなければなりません。加うるに國民経済の負担は昨年以上に高率になつて参りまして、國民所得の約三八%にもなるのであります。これを昨年の一八%に比較いたしますならば、國民経済の重圧は、もはや限界点以上に達したというべきである。國内生産は多少殖えるといたしましても、消費面への導入は先づ見込みがないと言わなければなりません。即ち國民生活は実質面は申すに及ばず、貨幣面におきましても、現在以上に急激に苦しくなることは言を俟たないのであります。而もこれだけの負担を背負い込みながら、インフレの高進は絶対不可避となり、眞に國民生活は重大危機に立とうとしておるのであります。これが今次予算の実質内容であるのであります。
 こういう不完全なる國民泣かせの予算のできた理由といたしまして、一つ、予算の骨組みが、片山前内閣と同一性格であつて、昨年の予算に物價上昇率を掛けたものが今度の予算でありまして、過ぐる一ケ年間経済情勢というものは、その変化を何ら顧みられないのであります。今一つは、政府の考えるインフレの中間安定策の欠陷で、今まで同じやり方をして当面をごまかして行けば、自然と生産も増し、インフレを抑圧できるという他力本願的その日暮しの態度で、何らなすべきことをなさずして、中間安定の來たるはずはないのであります。企業内部の合理化なしに、單なる融資と價格補償金と運賃料金の値上げだけで、この中間安定というものは絶対にあり得ないのであります。四千億に上るインフレの促進的な巨大予算を組立て、尚且つ北村藏相の言う中間安定を実現されるだけの、強力で綜合的な裏附けが果してあるでありましようか、政府にその施案を伺いたいと思うのであります。
 次に私は、行政整理の問題について芦田首相にお尋ねを申上げたい。去る三月二十三日と記憶いたしております。本議場において、我が党小林議員より、この問題に関して首相に質問を申上げました。芦田首相は、出先官憲の整理の問題とか、或いは各省間の重複したところの種々の機構の問題は、思い切つて整理を断行しなければならないと力説せられたその上で、当時片山内閣の立てましたところの各省一律二割五分天引の行政整理案を御評しになつて、かかる機械的な標準によつて行政整理を行うことは、甚だ條理が徹底をしていない。新内閣においては十分に考慮の必要があり、思い切つた整理を行うと御答弁されたのであります。その後我々は芦田首相のこの行政整理、日本の経済再建に対しては不可欠の、どうしても思い切つてなさねばならんこの行政整理に対して必ずや我々が期待し得る、芦田首相が思い切つて決意を示された整理が展開されるものと期待をいたしておつたのでありまするが何ぞや過日の大藏大臣の大綱説明のときの言をお聽きいたしますならば政府は僅かに人件費において一五%の整理を見込んであるにすぎないということであります。即ち片山案の二割五分天引きに対して、実情に即せざるものであると断ぜられた首相が、それを下廻るところの一割五分整理案を以て臨むがごときは、先の公約を無視すると共に、行政整理に対する芦田内閣の不見識と非力とを如実に現わすものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 そもそも運賃の値上の問題も、物價改訂によつて襲い來らんとする國民生活の窮迫もその原因を探求いたしますならば、一に行政面におけるところの厖大なる水ぶくれに基因すると言わなければなりません。運賃の問題について申上げますならば、独立採算制にこだわりすぎて、自分の省の整理であるとか能率化であるとか、合理化等々の根本的な問題を先ず先に断行しなければならないにも拘わらず、鉄道特別会計の公債であるとか、日銀借入金であるとか一般会計よりの繰入金であるとか、過去の負債の数々に、尚今後の建設勘定まで、総てを運賃收入で補うなどとは以てのほかであると思うのであります。今回の政府の行なわんといたしまする運賃、通信料金の値上げのごとき、殊に内容的に檢討を加えて見ますと、政府の示している値上げ率を相当押えることができるのであります。例えば旅客運賃につきましては、大凡そ二割、貨物運賃に対しましては三倍程度、或いは又通信料金等に関しましても相当程度緩和することができると考えるものであります。私は眞に國民の納得する運賃値上げをやることにおいて岡田運輸大臣は、如何なる責任と施策をお持ちになるか、明瞭なるお答を願いたいのであります
 次に、今次予算に現われたるところの問題についての一番重大なる問題は、軍事公債の利拂延期の処置であります。貿易の再開によつて世界経済に関連を持つことの機会を與えられました我が國といたしましては、一に國際的の信用を回復して、我らが経済再建に唯一の希望と期待とをかけておるところの外資導入、特に民間外資の導入に対する受入れ態勢を整えなければならないということは今更私が申上げるまでもないのであります。即ち我が國の現状は、外國の援助のない限り、根本的立直りを期することが困難な状態であるのでありまして、その時期は、我々國民の自力再建に対する不断の努力と、外資受入れ態勢の整備如何にかかつておりますることは、芦田首相も亦しばしば言明をされたるところであります。現下のインフレーシヨンの高進をでき得る限り阻止しなければならないのであつて、徒らに我が國経済界に動搖を生ぜしむるような策は断じて避くべきであることは、申上げるまでもないのであります。然るにこの重大なるときにおいて軍事公債の利拂延期に関する政府の処置は國家的に見て、果して、如何なる意義を持つておるかということの了解に苦しむものであります。我々はその意義を了解をするに苦しむと共に、戰後財界の整理方法において、國債の処理をも含めて、綜合的見地から、すでに決定実施せられておりますところの今月政府が確認したところの債務、これを履行しないといたしますならば、如何なる事態が起るでありましよう。國民貯蓄に対する意欲は全く減退せんといたしております。國際信用に対しましては、特に民間外資の方面において、今日政府の処置せんとすることは、支拂一年の延期でありますけれども、延いてこれが更に大きな問題をひき起すのではないかという不安、これらを考えまするときに、軍事公債利拂延期問題は、あらゆる点から見ましても、百害あつて一利なしというのが、財界初め関係各方面での一致した見解であります。(「ノウノウ」と呼ぶものあり)或いは社会党の諸君に言わしめれば、いくらかのプラスを叫ぶでありましよう、又叫んでおります。併しながらプラスとマイナスを愼重に檢討をいたしましたときに、僅かに二十億そこそこの金のために、國際的な日本の信用を失うということにおいて、絶対に我々はこれは承服できないのであります。(拍手)この点に関しましての首相の明快なる御答弁を願いたいと思うのであります。要しまするに、今回の本予算を通じての傾向といたしまして、政府は眞に必要なる面に、何ら大きな力と予算とを持つておらない。過日も予算委員会において、北村君にその説明を願いましたけれども、十分なお答えを得られませんでしたが日本は今や重点産業も必要でありましよう。併し、かかる基礎的な重点産業をやるべき時期は、すでに今日最早過去となりつつあるのであります。來るべき(「時間励行」と呼び者あり)日本は、一に國民総生産の形においてのみ再建があり得るのであります。(「できねえのだよ」と呼ぶものあり)かかる観点において、この予算を組みますことが、國民に対する責任政府としてのやり方でありまして、この点においては我々民主自由党とは根本的に相反するものでありますが、先程申上げましたように、本予算に対しましては、組替えによる再編成を要求いたしまして、私の御挨拶に代える次第であります。(拍手、笑声、「御挨拶御苦労さま」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#5
○國務大臣(芦田均君) 寺尾君の質問にお答えいたします。只今寺尾君の御指摘になつた通り、二十三年度の予算は、総額約四千億円になんなんとする巨額の予算でありまして、この実行のために國民に対して極めて重大な負担を課することになり、延いて國民生活に可なり圧迫を加えるに至ることは政府においても全然寺尾君と同じ考え方であります。然るところ、現在の日本再建のためには、各方面の國庫支出を要請されておるのでありまして、御承知のごとく、六・三制の実施のためにする学校建築費の補助、災害復旧のための経費、或いは地方財政に対する中央政府の分與金、到る処政府が支出を必要とする項目が並んでおる。そうして又、一面においては、鉄道の値上げに対する各方面の反対、或いは物價改訂に伴う物價騰貴を予想しての反対運動、各種の新税に対する反対の陳情も頻々として受けておるのであります。政府としては、この間に立つてでき得る限り冗費を節約して、でき得れば新税の負担を増すことなくして予算を編成できるならば、これは最善の方法であると信じております。併しながら今日は、戰勝國民と雖も、可なり重き租税の重圧に喘いでおることは御承知の通りでありまして、現にイギリスのごときは、六万ポンドの年收を持つ人に対して六万五千パウンドの税金を課しておる。そうして高能率、低賃金の方針の下に、國民に向つて多大の犠牲を求めているが、彼らはこれを納得して、孜孜として再建に励んでおるという実例を我々は眼前に見ておる。かような実情において今回編成いたしました予算は、必要な経費は止むを得ずこれを支出し、それに見合う財源は、國民に対する重圧とは知りつつも、敢て犠牲を求めざるを得なかつた、かような方針で今回の予算ができたのであります。(「考が足りない」と呼ぶ者あり)
 行政整理につきましては、この席において、前々説明を致しました通り、終戰以來、歴代内閣の主張は常に行政整理にあつたことは、寺尾君も衆議院においてよく御承知の筈であります。その行政整理が今日まで実行されなかつたのを、この内閣においては是非実現したいという意向を以て、すでに具体的の案については、関係筋と目下協議を遂げておる最中である。その打合せを終りまするならば、予算においても或る程度の國費の節約を実行し得ることを信じております。
 更に軍事公債が利拂を延期したことによつて、我が國の対外信用に惡影響を及ぼすことを憂えるという御意見でありました。幸いにして、その後ロンドンにおける我が國公債の相場に照して見ましても、又ニユーヨーク市場における相場に考えても、軍公利拂の延期が、対外信用に影響を與えなかつたという事実は、ほぼこれを承知することができまして(「それは関係がないから」と呼ぶ者あり)この点においては、寺尾君もどうか御安心を願いたいと思います。(拍手、「関係がないからだ」と呼ぶ者あり)
 最後に、この予算は組替えて出すのがいいと思うが、どうかという御意見兼質問でありました。政府におきましては、これを組替えて再提出する意向は持つておりません。ただ寺尾君その他の方々が、具体的にどういう財源によつてどういう支出を削減するのがよろしいという具体的の案を(「あります」と呼ぶ者あり)承つた上で、政府においてこれを考慮することは敢て惜しむものではありません。以上簡單に御答えいたします。(拍手)
#6
○議長(松平恒雄君) 北村大藏大臣。
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(北村徳太郎君) 寺尾君の御質問のうち私に関する部分についてお答え申上げたいと思います。私は現在のインフレーシヨンについて非常に憂えておる者でございまして、決して樂観をいたしておりません。どうしてこれを終熄せしめるかとい問題は大きな國民的な課題でございまし、今後我々がいろいろなことにおいて最善の努力を盡して、この終熄に努力しなければならないという点は勿論でございまして、從いまして、先般ここで私の申上げました中にも、この際全國民の一層の耐乏の御決意を煩らわして、この際インフレーシヨンの終熄への努力を結集しなければならぬというような意味のことを強く申上げたつもりであるのであります。併しながら、とは申しますものの、昨年の上半期までは少くとも一種の危機感に襲われておつた、何月危機というような非常な危機感に襲われておつたが、今やその危機感はいつの間にかやがて來べき安定への希望になつて來たということは、又これは蔽うべからざる事実でございまして、さような際に、國民の絶望の底から、むしろ新しい希望を持つて、眞に国際経済への参加というものを中心として、日本のこのインフレーシヨンの終熄とともに、新らしい段階への一つの望みを持つて出発するということがあるという点を申述べたに過ぎぬのでございます。これらのことにつきましては更に詳しく申上げる機会があると思うのでありますが、國民所得の全体に対して昨年は一八%であつたのに対して、今年は実に三五%の重荷であるというお話がありましたが、これは私共の計算では、地方まで入れまして二二%である。昨年の一八%に対して二二%になつたということは、誠にこれは相済まんと存じますけれども、現下の諸情勢はかくすることを余儀なくされておる。この点について御了解を仰ぎたいと存じておるのでございます。
 尚物價政策等については、関係の閣僚よりお答えを申上げると思いますが、財政と物價との均衡的な立場において予算を処理したと申上げましたのは、現在の日本の持つている誠に窮乏した財政力において、五百十五億を以て、これが財政の現在において支出し得る限度として、この限りにおいて物價政策を操縦して、物價の全体への波及を防ぐということに努力するということを申上げたのでありましで、その点はさように御了解願いたいと思うのであります。
 尚行政整理のことは、これは総理より御答弁があつたのでありますが、私共は予算においては、單に財政の措置として人件費の一割五分節約したのであります。これは行政の本格的整理を待つたのでは、今年度の予算において本当に歳出を圧縮するということが困難でありますので、先ず以て人件費の一部を切つたのであります。このことは正味一割五分でありまして、これから生ずる退職金その他のものを入れても、正味人件費の一割五分は必ず切る、こういうモツトーを以て、一應の財政処理としてこの際歳出を圧縮いたしました次第であります。この点も御了承を願いたいと存じます。(「形式、形式」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣岡田勢一君登壇、拍手〕
#8
○國務大臣(岡田勢一君) 寺尾君の、(「岡田さん、そんなに運賃上げてどうするかね、はつきり答弁しなさいよ」と呼ぶ者あり)御質問のうち私の所管に関する点につきましてはお答えを申上げます。寺尾君の御指摘のごとく若し可能ならば、運賃は大幅には決して上げたくはないのでございます。併しながら今日の日本経済の実情は、重要物資の生産が赤字生産に苦しんでおりまして、このままでは、大なる縮少生産と相成りますものでありまして、この國家の経済の難局の打開に大なる支障ができるわけになります。これを防ぎますために、今回物價並びに賃金の改訂が必要に迫られて参りましたのでございます。その結果は、鉄道の企業の收支に大なる変革を新たに実現することに相成りますので、企業としての根本原則を喪失することに相成ります。延いて又国家財政を危殆に陥れるといいことにも相成りますにで、勿論寺尾君の申されますように、今回の運賃値上げが、ただ單に独立採算制のみに囚われて、運賃の値上げをすべきではないことは私も万々承知しております。その結果いろいろの角度から検討を加えまして、提案を申上げましたような倍率を決定いたしたわけでございますが、伴しこの算定につきましては、尚且つ赤字を百億円ばかり出すことになつておりまして、これは御承知のように一般会計から繰入れることとなつておるのでございます。そこで運賃値上げによりまして、これが國民生活並びに経済の與えます影響は大なるものがあるのでありますので、(「その通り」ど呼ぶ者あり)私達は少しでもこの旅客運賃などの値上げを緩和いたしたいと存じまして、僅かではありますが、新たに設けられることになつております通行税などは、その倍率の中に全部包含をいたしまして、値上げを成るべく寡少にいたしたいと思いましたわけでございます。(笑声)
 それから、過去の借入金の返還を運賃値上げにより賄うのではないかという御指摘でありますが、これは全然別にいたしておりまして、借入金の返還は見積つておりません。それから又建設費勘定、電化等の工事費につきましても、これを別に仕切りまして、資産勘定とみなしまして、別に財源を求めまして、この工事を進めるということにいたしておるのでございます。この値上げをするにつきまして、國民の皆さんに十分な納得を得なければならんことは御指摘の通りでございますので、鉄道当局といたしまとても、十分なる反省をいたしまして、今回新たに國有鉄道審議会というものを設けまして、今後の根本刷新改善に具体的の努力をすることに祖成つております。即ちその審町議会で調査立案いたします項目は、行政と現業の分離、機構の整備に関する件、独立採算制その他会計制度の改善に関する件、技術の向上に関する件、電化の促進に関する件、作業の機械化その他能率の増進に関する件、増送計画の実現に関する件、遊体資材の整理及び経費の節減に関する件、尚外廓國体の檢討及び整備に関する件等を根本的に檢討を加えまして、改善をして参りたいと考えておる次第でございます。今回の値上げによりまして、いろいろ御批判もあろうかと思うのでございますが、國家財政の現状からいたしまして、鉄道を利用せられる方に負担を願うという見地から、そうして又これを更に下げますというしとになりますれば、鉄道を利用せられる方に恩恵を與える代りに、他の一面におきまして國民の全般の人達に租税等の負担によつて御負担をねがわなければならんということにも相成ることでありますにで、今回の値上げは、私達といたしましては、実に止むを得ないものであると考えております次第で、この点につきましては、十分御了承をお願いいたしたいと存じます。(拍手、「大藏大臣、どうした議長、大藏大臣の出席を求める」と呼ぶ者あり)
#9
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣は、今五分間ちよつと衆議院の方に行つて來るそうでありますが、間もなく見える筈であります。高瀬荘太郎君。
   〔高瀬荘太郎君登壇、拍手〕
#10
○高瀬荘太郎君 私は先ず予算の基礎の問題につきまして、大藏大臣にお尋ねをしたいと思います。大藏大臣は、健全財政の原則を確立するにつきまして、最も大切なことは、國の経済力と予算との均衡である、こう言つておられるのでありますが、この点につきまして、今回の予算が眞の健全財政の原則に反しておるのではないかと考えますので、これをお尋ねしたいのであります。この問題について大藏大臣は、國民所得と一般会計歳出総額との比率を挙げて、昭和二十三年度は、これが二二%に当つて、前年度の一八%と比べれば、多少増率になると言つておられます。政府の國民所得推算の方法等につきましても疑問があるのでありますが、仮にそれが正しいと仮定いたしましても、それに対して、二二%に当たります一般会計歳出総額が、果して我が國現在の経済力と予算との均衡を得ておると考えてよいのかどうか、若しそうであるとしたならば、如何なる根拠に基きまして、この比率が均衡を得ているとお考えになりますのか、その根拠を伺いたいと思うのであります、昨年の比率一八%でさえ、すでに國の経済力と予算との均衡を失しておると一般に考えられておつたのでありまして、それがために國民経済、或いは國民生活に対して著しい圧迫を加えておると、一般に言われておつたのであります。だからこそ、國の経済力と予算との均衡が特に強力に要望されたわけであります。それにも拘わらず、今年度は前年度よりも更に増率になるということは、今年の財政が真の健全財政ではなく、文字の上だけの健全財政に過ぎないと言つてよいのではないかと思うのであります。(拍手)又國の経済力と予算との均衡ということは、ただ單純に國民所得の高と、歳出の高との比率くらいで決められる問題ではなく、これには國民所得と國民支出との関係が重大な関連を持つものであります。(拍手)一般の國民大衆が、その所得で生存の維持さえ困難を感じておりますような日本の現状では、如何に軽微な國費の負担でありましても、身を切られるように苦しいのであります。從つてよく行われまするように、各國における國民一人当りの所得の金額と税金との割合を比較いたしまして、日本の國民一人当りの税金負担の割合が過重でないと、こういうようなことは全く意味がないと思うのであります。(拍手)余裕のある生活をしております國の國民が、その所得の五〇%に当る税金を負担いたしまするよりも、今日の我々國民が、その所得の一〇%に当る税金を負担する方が遥かに苦しいのであります。それで先ず、今度の比率二二%というものが、如何なる根拠に基きまして、國の経済力と予算との均衡を得た健全な比率であるとお考えになりますのか、大藏大臣の御意見をお伺ひたいのであります。
 次に、國の経済力と予算との均衡を図るにつきましては、ただ國民所得と歳出総額との関係だけでなく、その歳入における租税体系との関連をも細かに考えなければならないのであります。つまり國民所得の分布状態及び國民所得によつて負担されますその負担の分布状態が、十分細かに考慮されなくてはならない問題であります。この見地から申しまして、今回の予算のように、租税体系の重点が直接税から間接税へ移行するということは、國の経済力と予算との均衡を、内面的に破壊する結果になると言わなくてはならないと思うのであります。今日の我が國のような変態的な、病的なインフレ経済の下では、直接税中心から間接税中心に移つて行くということも、一面におきましては無論止むを得ないことでありましよう。併しそれは飽くまでも変態的な租税体系でありまして、決して健全な租税体系ではないのであります。だから止むを得ないことであるとは言え、不健全な体系から当然に生じますところの国民経済、或いは國民生活への不健全な圧迫は、できるだけ軽微に止めるように十分の配慮をすることが、國の経済力と予算との均衡を図る上において欠くべからざることであると思うのであります。この見地から考えまして、今度の予算で最も重大な問題になります点は、取引高税の新設と鉄道料金及び通信料金の大幅引上げの問題であります。取引高税のような惡税も新設しなくてはならないということは、全く遺憾な次第ではありますが、我が國今日の病的経済状態の下では、これも止むを得ない病的課税として認めなくてはならないかと思います。併しこれがために生じます惡結果につきましては、できるだけこれを除去し、緩和する方策を考えなければならないのであります。(「それができないんだよ」と呼ぶ者あり)この見地から取引高税を政府原案のように、主食及び教科書以外のあらゆるものの取引に課するということは、決して妥当ではないのであります。その外に國民の日常生活に欠くことのできない必需品、教科書以外で、教科書と同様に是非必要な学童の教育用品、こういうようなものの取引につきましては、これを除外することが是非必要であります。(拍手)大藏大臣はこの点につきましてどう考えられますか。取引高税免除の品目を相当拡張する必要があると考えるのでありますが、この点について大藏大臣の御意見を伺いたいのであります。
 次に鉄道運賃及び通信料金の大幅引上げの問題でありますが、人件費及び物件費などの著しい値上りから、相当程度の引上げは無論これ止むを得ないところと思うのでありますが、これが國民大衆の生活に対する圧迫、物價に及ぼす影響、インフレ促進の心理的影響等を考えますと、これらの引上率につきましては、十分の考慮を拂わなくてはならないと思うのであります。政府はこれにつきまして、一般会計からの繰入れを少なくし、独立採算制の原則に副うために止むを得ない値上げであると言つておるのでありますが、独立採算制ということは、我が國今日のような病的経済の下では到底徹底して実行のできない事柄であります。又その実行は却つて社会的に重大な惡い結果をもたらすものと考えるのであります。だから今直ちにこの原則に余り拘泥をするということは適当と思われないのであります。又独立採算制というここは、ただ收入を殖やしてバランスを合せるということではなくて、支出の方を切り詰めてバランスを合せるということも含んでおるのであります。支出の方には手を触れないで、そのままにして、收入の方だけを殖やしてバランスを合せるということは、そういう仕方は決して本当の確立採算制でないのであります。(拍手)だから政府は独算採算制を実行しようという考えならば、支出の方の思い切つた切詰めをやつて、バランスを図るということももつと眞劍に考えなくてはならないのであります。これらの点から考えまして、鉄道及び通信料金の値上げは、この際もつと低率にして、そうして足りないところは、支出の切詰めと、一部は一般会計からの繰入れを増加することによつて賄いますことが、今日の日本の経済の実情から考えますと、最も適当と思うのでありますが、大藏大臣の御意見を伺いたいのであります。(「大藏大臣はどうした」「運輸大臣もどうした」「誰が演説するのか」「議長に要求します」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 次に大藏大臣は、今回の予算編成につきまして、人件費は三千七百円ベース、物件費は現在の公定價格の七割増として、これを編成したと言つておられる。從つてこの予算の收支均衡は、結局三千七百円の賃金ベースと、七割増しの新物價体系によつて專ら支えられておるわけであります。ところが、この三千七百円の賃金ベースというものが、果していつまで守られるとお考えになるか。もうすでに團体協約で、このべースを遥かに超えておる賃金の支拂が行われておる産業もあるのであります。又多くの労働組合が、すでに五千円以上のベースを猛烈に要求しておるのであります。このような状態の下で、大藏大臣は、この予算の基礎となつております三千七百円の賃金ベースを、いつまで保持して行くという確信があるのか、これを伺いたいのであります。又物價につきましては、現在の公定價格の七割増しを基準としたと言つておられますが、この基準も一体いつまで有効なものとお考えになるのか、これで一体今会計年度の終りまで打ち通すことができるとお考えになるのか、殊に政府は賃金の統制は行わないと、こう言つておられるのでありますから、決める前からすでに崩れかかつております。三千七百円の賃金ベースに基いて決められる七割増しの物價体系というものが、これから長く崩壊しないで続けられるということは殆んど考えられないのであります。公定價格は原價計算を基礎にして決められるし、賃金がその原價計算の重要な要素となつておる場合に、賃金については何ら統制を加えないで、それで公定價格による物價の統制がどうしてできるとお考えになるか、從つて七割増しの公定價格に基いて編成されました予算の均衡が保持されますためには、どうしても何らかの方法による賃金の統制が必要だと思うのであります。若しこれを行わなければ、公定價格による物價の統制は全く無意味になり、從つて今度の予算の均衡も当然に破られると思うのであります。大藏大臣の所見はどうでありましようか。予算の均衡を保持して、健全財政を堅持するという建前から、何らかの方法によりまして、賃金に対しても統制を加えるということが必要であるとお考えにならないか。若しもこれが必要であるとするならば、これを実行するお考えはないかどうか、これを伺いたいのであります。(「大臣の出席がないじやないか」「大藏大臣の質問は中止」「休憩休憩」「やり直し」「議長怠慢だよ」「高瀬さん中止しなさいよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)先程大藏大臣からは、衆議院の方で止むを得ない用事があるので、五分間だけ留守さして呉れと、こういうお話でありましたが、五分以上非常に超過しておるようであります。(「大藏大臣が來た來た」「初めからやり直しだ」「そんなけつの穴の小さなことを言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 次に軍事公債の利拂延期の問題につきまして、大藏大臣の所見を伺いたいのであります。この問題につきましてはいろいろの問題があるわけでありますが、私は次の二点につきまして大藏大臣のはつきりとした御意見を伺いたいのであります。第一は、今回の軍事公債利拂一年延期の措置を実行する根本の理由、或いは理論上の根拠は何であるかという点であります。第二は、政府は今回の措置が金融機関に與える影響に対しては、急速に適切な措置を講ずる用意があると言つております。その急速に行わんとする適切な措置とは一体如何なる措置でありますか。この二つの点につきまして大藏大臣の明確な御答弁を願いたいのであります。
 政府は今回の軍事公債利拂一年延期の声明を発しました際に、これを実施する理由につきましては一言半句も述べておらないのであります。政府以外の方面では、これが戰争犠牲の負担を公平にすること、及びインフレを阻止すること等の理由が言われておるのでありますが、大藏大臣もそういう理由を同じく認めおられるのでありますかどうか、これを伺いたいのであります。苟しくもこういう重大な処置が行われるのに、はつきりした理由根拠もなく実行されるべき筈はないと思いますですから大藏大臣も亦、この措置が戰争犠牲の負担の公平を図るために最も適切な措置で、又これによつてインフレの進行が阻止されるとお考えになりますかどうか、これを伺いたいもであります。(拍手)我々の見解では、今日のようなインフレ高進期に公債を持つておるということがどれ程の犠牲を拂うことであるか、全くその犠牲というものは実に莫大なものであります。支那事変公債を仮に初めから今日まで持つておつたといたしましたならば、貨幣價値の著しい低落によりまして、実質的には百分の九十九以上の犠牲を拂つておるのであります。他の物質的な資産を持つておる者に比べましたならば、どれ程大きな犠牲を拂つておるか分らないのであります。こういう事実につきまして大藏大臣はどうお考えになりますか、お尋ねしたのであります。
 又この利拂延期措置のために生ずる金融機関への影響につきまして適切な措置を講ずると言つておりますが、これが一体どんな方法でどの程度に行われるものか伺いたいのであります。これがために生ずる金融機関への影響を一切補償してやるということでありまするならば、何故に今度の措置をやられるのか、全く無意味であると思うのであります。(拍手)而もこれによりまして國内一般金融界を動揺させ、対外信用にも惡い影響を残したならば、全く愚劣な処置と言われなくてはならないと思うのであります。ついては大藏大臣が、金融機関のためにやろうとしておられますその適切な措置というものが、一体どんな措置でありますか、詳細に伺いたいのであります。これは國会で我々が審議するために必要なばかりでなく、金融界にとりましても亦対外信用維持のためにも重大な関係のあることでありますから、はつきりと御説明を願いたいのであります。
 次に大藏大臣は企業の資本を借入依存から自己資本による方向に段々に進めて行く必要があるということを述べておられます。この点について御質問をいたしたいのであります。企業資本は成るべく自己資本へ移行させます方が、企業経営の健全化のために必要である、適当である。そうして今日のような借入資本依存の傾向が甚だ不健全なものであるということにつきましても私は全く同感であります。ところが、今回の予算におきましても重要な歳入項目とまつております價格差盆納付金の制度及び現在の法人税の対象となつております所得計算の方法は、大藏大臣が強調されますところの自己資本依存主義と全く矛盾するものではないか。(拍手)これらの課税方法は、所得の形で、実は企業の自己資本を政府が取上げておるものではないか。インフレによる物價騰貴時代の企業資本の自己資本維持及び企業所得の計算には、通貨價値の低落のよる修正を加えました、いわゆる安定價値計算の方法を採用されなくしてはならないのであります。これを無視しております價格差盆納付金制度及び所得課税の方法は、全く企業から自己資本の召上げをする結果になるのでありますから、(拍手)大藏大臣の心配されるような借入資本依存の一般的傾向が、これによつて当然に生じて來るのであります。從つて若しも大藏大臣がかかる借入資本依存の不健全な傾向を止めて、自己資本依存主義へ移行することを必要だとお考えになりますならば、この際價格差盆納付金制度を廃止する、そうして又企業所得計算の方法につきまして安定價値計算制度を採用しなくてはならないと考えるのでありますが、この点につきまして大藏大臣の御所見を伺いたい。
 最後に栗栖安定本部総務長官にお尋ねしたいのでありますが、新聞紙の報ずるところによりますと、今回政府は中間安定という方策を実施するということであります。その中間安定ということは一体どういう意味のものでありますか、伺いたいのであります。又その中間安定と、政府が先に発表されました経済復興五ケ年計画とが如何なる関係を持つものであるか、御説明を願いたいのであります。中間安定のための期間として、約一ケ年ぐらいを予定してこの間に各種の経済安定に関する綜合施策を強力に実施する計画のようでありますが、安定と言います以上は、生産も相当に増加し貿易も相当に増大をし、失業も解決されるということが必要であります。中間安定という場合に、一体これらの点がどんな形で二年の先に実現されることになりますのか、これを伺いたいのであります。又別の解釈から考えて見ますと、この二年間に安定に関する思い切つた措置を講ずること、つまり安定する前に経過しなくてはならないところの恐慌、つまり安定恐慌に堪えるような準備を十分に整えようとしておられるようにも思えるのであります。かようにいろいろの意味に解釈をされますが、政府の考えておられます中間安定ということは、果してどういう意味のことでありますか、はつきり御説明を願いたい。又それが長期復興計画の一環を成すものでありますのか、或いはそれとは全く別個のものでありますのか、この点をもお伺いしたいと思います。私の質問はこれで終ります。(拍手)
#11
○議長(松平恒雄君) 高瀬君の御質問に対しまして、大藏大臣はすべて一括して明日の本会議において答弁する趣きでございます。栗栖國務大臣。
   〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#12
○國務大臣(栗栖赳夫君) 高瀬先生から中間安定と長期計画の関係その他についてお尋ねがございましたので、ここで申上げたいと思うのであります。
 元來片山内閣におきましては、危機突破、殊に経済上の危機突破対策を中心として施策されたのであります。芦田内閣といたしましてはこの片山内閣の後を受け、その危機突破対策と並行し、それと共に長期計画を策定しまして、そうして経済復興の計画を立て、それを忠実に実行するという点に目標を置いたわけであります。從つて長期計画におきましては各方面の学識経験者の有識者のお集まりを願いまして、五月の十七日に最初の会合を開き、更に六月四日に二回目の会合を開いたのであります。更に各方面からの専門の知識、達識者をもお招きをいたしまして、國民と政府とが一体となりまして、数ケ月の中に大体の大綱を決め、そうして諸般の施策とそれを合せて綜合的に行いたいと思うのであります。尚専門的の部門については、その後も引続き策定その他をもいたしたいと考える次第であります。で、政府としましては、この委員会に一應考えの材料ともなろうというので試案を出したのでありますが、その試案は昭和五年から九年における日本の経済水準、生活水準を今後五年間に、即ち昭和二十三年から昭和二十七年の五年間に再現をしよう、回復をしようと、こういうような考えの下に長期計画の試案を出したのであります。これは飽くまで参考資料でございまして、委員会独自の立場において只今研究策定を進めておるような次第でございます。そこで長期計画を立てて、それを実行いたしますけれども、それまでの間におきまして、いわゆる危機突破的の問題もあるのでありますので、長期計画の一環として、その一部としていわゆる中間安定なり策定が問題になつて來たのであります。現下の状態を見ますというと、インフレの進行はやや横這いになつておりますけれども、根本的には尚進まんとする情勢があることは見逃し難い事情であります。生活の不安、労働不安等はややもすれば進まんとする氣構えがありますが、こういうものを放つて置きまして、單に遠い五ケ年計画の目標を立てて、そうしてそれによつてこの計画を立てまして、その中間において難破せんとも限らんのでございますので、そういう点をも併せ考えまして、いわゆる中間安定策というものを考えて、それで進もうと、こういたしておる次第でございます。で、これはそういう意味で長期計画の一環をなすものと、こう御解釈をお願いしたいと思うのであります。私は中間安定なる言葉かどうかということも問題でありますが、ステツプ・バイ・ステツプ・スタビリゼーシヨンという言葉が或いは適当ではないかというので、こういう言葉を使つておるような次第でございまして、中間という文字などには、いわゆる中間安定というような意味で御解釈を願いたいと思うのであります。その方策としては、新聞に一部報道されましたけれども、これは政府がまだ具体策を決めておらんのでありまして、関係するところでないのでありますが、而も或いはインフレ抑止と通貨面の措置に重きを置くような嫌いが印象付けられるかと思いますが、私共はそう考えておらんのでありまして、通貨関係その他の方で中間安定が或いは恐慌へも因になろうということを努めて抑止しようと、こう考えておるのでありまして、生産の増強及び物資の輸入等で物の裏附けというようなことに努め、好意ある連合國の援助も頻りに懇請をいたしておる最中であります。そうしてこの内容につきましては、只今いろいろ協議をいたし、更にその筋とも連絡いたしたのでございまして、遠からず決定の上は、改めてお答えをいたし、又御意見をも承わり、正すべきところは正して、立派な案、実行性のある案を作りまして、そうしてそれを実行し、いわゆる中間安定の目的を達し、長期計画の策定及び忠実なる実施、完成ということも期したいと思う次第でございます。
 それから先頃奥むめお議員の生活協同組合運動についての御質問がございました。止むを得ないその筋の方へ参つておりまして、御答弁が遅れておると思いますので、甚だ申訳ございませんが、ここで簡單にお答えを申上げたいと思うのであります。お尋ねの趣意は、生活協同組合運動、これに対する中小業者の反対との問題であつたと思うのであります。國民生活協同組合運動の健全な発達は、勿論こういう際、殊に現下のような時では、必要でありますと同時に、日本の國民の多数の間の生業となつております中小業者の健全なる発達、殊に戰時中の企業再建設備というようなことからして、潰滅に帰しておるような面の再建発達ということも必要であります。即ち両者は共々に調整ができて、結局は國民経済の万般に資することと相成りますので、両方をも十分考え、調整をも考えて、政府はその発達に努めるようにいたしたいと、こう考えておる次第でございます。
   〔小林英三君発言の許可を求む〕
#13
○議長(松平恒雄君) 何でありますか。
   〔小林英三君「議事の進行について……よろしゆうございますか」と述ぶ〕
#14
○議長(松平恒雄君) 小林君。
#15
○小林英三君 先程緑風会の高瀬君が予算の問題に対しまして、政府に重大な質問をいたしたのであります。議員が本会議におきまして質問いたします場合には、予め各大臣の出席を要求しております。先程大藏大臣もおられたのでありますが、議長の説明によりますと、五分間のあいだ衆議院へ行つて來るということで、高瀬君は続いて質問をされたのでありますが、明日速記録を読んで答弁するということでありますが、私はこういう行動は我々國会議員を侮辱するものでありますから、今後このこともありますので、議事の進行上、この機会におきまして大藏大臣から一應の弁明を得て、議事の進行をお願いたしたいと思います。
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
#16
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今議事の進行に関して、私の中間退席のことについてお話が出ましたのであります。これは誠に遺憾でございまするが、衆議院の予算委員会が始まりまして、ちよつと初めに一言是非顔を見せて挨拶せよというような御要求がございました。これは予算の提案理由の説明をいたさなければならんのでございますけれども、これも実は政務次官に特に提案理由の説明をすることを、委員長の御了解を得まして、急いでこちらへ立帰つたのでありますが、予算委員会の開会前に少し打合せ等のことが委員会でございましたので、私の予定いたしたより少しは遅れて駈け戻つた次第でありますが、甚だ申訳ないと存じまするが、御了承願いたいと思います。
#17
○小林英三君 今後は……。
#18
○議長(松平恒雄君) 今後はこういうことのないように、議長の方においても十分に注意をいたします。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#19
○中西功君 私は先ず最初、日本國民とそうして諸君の前に、前代未聞の珍文書を紹介する必要があるように思うのであります。それはこの税制演説正誤表であります。この正誤表は、大藏大臣の財政演説のプリントが発表されましてから、数時間して提出されたように記憶しておりますが、この正誤の焦点は、御存じのように二十九頁の外資関係にあります。即ち約四億ドルが削除され、合計六七億が、それが数億に変り、今年七月に始まる予算案に計上された云々というのが削除されておる。恐らく國務大臣の演説において、こうした正誤表が出たのは、正に前代未聞のことだと思うのでありますが、同時に僅かに数時間にして、國務大臣の演説の中心部分がこのように変更されたというものも、前代未聞のことだと思うのであります。これこそ我が芦田内閣の前代未聞の動揺性、不安定性を、この上なくよく示しているものであると思うのでありますが、併し私は、ここで芦田内閣のこの浮草性を冷笑しようとするものではないのであります。芦田内閣は、決して我々勤労大衆にとつては浮草ではないのであります。それは堪えられない重石なのであります。対外的に浮草であるが故に、我々にとつては、正に溺れんとする人が藁をも掴まんとする足掻きにも似て、我が國土、我が國人を底知れぬ深い淵に引きずり込まんとしておることを知つて、我々は戰慄を覚えるのであります。私は大藏大臣の演説が詩を以て始まつたことを、決して不思議には思つておりません。併しその詩には、猛烈なる青酸カリが入つておる。むしろその詩は、我々は漠然と希望し、明確に恐怖しておるというのに対して、はつきり註釈を加えますならば、我々は、漠然と外資を希望し、そうして明確に國民を恐怖せしめておる、こう言つたならば最もふさわしかつたと思うのであります。私はこのような芦田内閣の性格やその政策が、この度の二十三年度の本予算に非常によくはつきり現れておる。そうして、こうした全面的な問題に対して私の質問を展開したいのでありますが、残念ながら時間が非常に短かいので、ただ、この本予算の前提となる根本をなしておるところの物價改訂問題、それの一点に集中しまして、以下質問をしたいと思つております。
 最初に、物價改訂の一般的な問題でありますが、これはよく言われておりますように、何故に物價改訂をせざるを得なかつたかという点では、政府は相も変らず、労賃が上つたせいだ、こういうふうに宣傳しようとしております。又その結果といたしまして、労賃を釘附けすることにすべての政策を託しておるのであります。勿論実際にそうではなくして、問題の本質は、全く逆であります。インフレと闇の発展の結果が價格改訂を余儀なくさせたのであり、直接には、片山内閣の昨年の七月の物價体系が破綻したことの何よりの告白なのであります。昨年七月私はここで、その物價体系の立て方が根本的に間違つておるから、それは砂上の楼閣であり、直ちにそれは崩壊するであろうと予言したのでありますが、事実はまさしく我々の言つた通りに進んでおると思います。ただ片山内閣の物價体系の安定性を非常に強調していた人々が、今宵どんな正誤表を提出しておるかと言いましたならば、残念ながら、こうした根本問題に対しては正誤表は提出されていないのであります。それで私は、第一に運賃値上問題に関しまして、主として運輸大臣に質問したいと思います。(「運輸大臣はおらんぞ」と呼ぶ者あり)それでは、先に我々院議で、緊急動議で、國務大臣の出席を是非要求するというふうに要求しておつた矢先、こういうことが起つたといたしますれば、私は皆さんにお諮りいたしまして、演説を続けるか、それとも続けないかをお諮りしたいと思うのであります。(「休憩々々」と呼ぶ者あり)
 それでは私は、先の緊急動議を尊重して、ここで演説を中絶し、次会に延ばしたいと思います。(拍手、「議長が決定するのだよ」「おらなければ仕方がないよ」「今動議を容れたじやないか」「大臣の出席するまで休憩を要求します」と呼ぶ者あり)
   〔岡本愛祐君発言の許可を求む〕
#20
○議長(松平恒雄君) 岡本君は何ですか。
#21
○岡本愛祐君 議事の進行につきまして緊急動議を提出いたします。
#22
○議長(松平恒雄君) よろしうございます。
#23
○岡本愛祐君 先程、民主自由党の方から、大藏大臣に対する質疑に当りまして警告を発しまして、院議を尊重して、出席を要求した大臣は必ず出席することを抗議で決定いたしました。然るに運輸大臣が出ておりません。中西君の要求に対して出ておりません。こういうことでは議事が続けられませんから、(「その通り」と呼ぶ者あり)休憩を要求いたします。
   〔「賛成々々」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(松平恒雄君) それでは休憩をいたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時五十七分開議
#25
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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