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1947/06/10 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第47号
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1947/06/10 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第47号

#1
第002回国会 本会議 第47号
昭和二十三年六月十日(木曜日)
   午前十時二十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十五号
  昭和二十三年六月十日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件
 (第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(松本治一郎君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。この際苫米地國務大臣り発言を求められております。これを許可いたします。苫米地國務大臣。
   〔國務大臣苫米地義三君登壇、拍手〕
#4
○國務大臣(苫米地義三君) 昨日の参議院会議に、大臣の出席が少なくて、又会議中に関係大臣が中座いたしましたために、会議の円滑な進行に支障をきたしましたことは、政府におきましても誠に遺憾に存ずる次第でございます。当日はたまたま衆議院の予算委員会が同じ時刻に開かれておりまして、その要求によつて、大蔵大臣は暫時同委員会に出席いたしましたために中座いたした次第でございます。(「委員会と本会議はどつちが大切だ」と呼ぶ者あり)又運輸大臣も衆議院の委員会から出席を求められておりましたので中座いたしましたのでございました。このように本会議の開かれる日に、同じ時刻に両院の各種の委員会が開かれます場合には、一人の大臣が同時に本会議と委員会に出席を求められまして、或いは委員会相互間の間にも、同時に大臣の出席を求められることが相当多いのでございます。このような場合には、今後両院及び政府の間には緊密な連絡をとりまして、両院の各委員会から同時に大臣の出席を求められ、いずれか一方に大臣が出席のできない場合におきましては、政務次官をして大臣に代つて答弁させるようなことにいたし、適当な措置を講じたいと考えておる次第であります。
 又本会議と委員会とが競合いたしまして、同一の大臣を要求されます場合におきましては、政府といたしましては、原則として大臣は本会議の方へ出席する方針でございます。この点御了察をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
     ―――――・―――――
#5
○副議長(松本治一郎君) 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第三日)、昨日に引続き順次質疑を許します。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#6
○中西功君 私は、日本共産党を代表いたしまして、且つ昨日正式発足いたしました労農連絡会の打合せに基づきまして、昨日に引続き、特に物價改訂を中心にして、我々の所信を披瀝し、政府の見解を伺いたいと思うのであります。最初に、一体物價改訂問題とはどんな問題であるか、我々共産党は、これに対してどう考えておるかということを簡単に結論的に申上げたいと思うのであります。
 我々は、今日なぜ物價改訂をせざるを得なかつたということは、昨日も申しましたごとく、政府の経済政策の失敗の結果である、そう思うのであります。更に物價改訂もいろいろの方式がある。今日日本政府が取つておるところの方式は、いわゆる資本家的物價改訂方式であつて、これによつては何ら物價の安定は得られないという見地でありますが、而もその物價改訂は、結局別の形による極めて悪辣な大衆收奪の道具である。かくのごとくにして、我々はこのような物價改訂が決して問題を解決しない。政府は赤字を解消するためには止むを得ずやると言いますが、決してそれは赤字を解消しない。却つて更に大規模な赤字を結果する。そう思うのであります。
 而してその資本家的改訂の方式と私が申しますのは、如何なる方式か、これは三つの原則があります。一つは重要な産業、或いは大資本家の企業、それに生産されるところの物資につきましては、極めて杜撰な原價計算式方式、生産費價的な方式が取られておる。これはその経営の極めて非合理的な運営と並んで、それが行われておる。これが一つであります。第二には、労働者の賃金は食えないところの平均賃金或いは最高賃金、そういう形で決められておる。第三は米價或いは中小工業者の商品は、生産費を償わないところのパリテイ計算、或いは実情を無視した統計價格によつて決められて行く。こういうふうなやり方は根本的に我々として間違つておると思うのであります。この結果は、先も申しましたごとく、結局においては單なる物價引上げであつて、そうしてこれは別の手段による大衆の收奪に過ぎない。決して問題を解決しない。問題を却つて拡大する。こう思うのであります。私は以下具体的な問題について、こういう見地から問題を取上げ、政府に質問したいと思うのであります。
 第一は、國鉄の運賃値上並びに重要物資の物價値上の問題であります。私は先に申しましたごとく、この点は極めてイージーに行われているところに、政府の價格政策の一つの根本問題があると思います。で國鉄の会計の問題にいたしましても、果してこの赤字が何故起こつたかということを、政府が確実に掴んでおるかどうか、これが甚だ疑問だと思うのであります。私達は今回國鉄会計につきましては、詳細な研究を遂げたわけでありますが、その結論といたしまして、國鉄の経営自体が極めて欠陥がある。少くとも國鉄経営には、依然として二十%、最小二十%でありますところの闇経済がまだ残つておる。これはたびたびの行政査察の結果として明らかに報告されておるところであります。又國鉄経営は國家経営でありながら、大資本家の食い物にされておる。寄つてたかつて食い物にされておる。又政府自身もそれを差別的な待遇をしておる。こういうふうないろいろな結果が、一般的なインフレーションの促進、経済的危機の促進と関連いたしまして、今日の國鉄の赤字を将來しておるのであります。若しこういう部門を本当に檢討するならば、例えば昨年の会計で見ました、即ち旧物價で我々が見ました場合に、少くとも闇部分の二十%の排除から四十億の節約ができる。これは前の價格であります。石炭の補償金、これを大会社並にやれば六十二億の余裕が出て來る五千カロリー以上の優良石炭を若し鉄道に配給するならばここから二十億の余裕が出て來る。帳簿外の不用品拂下、これは極めてへんちくりんに行われておる。これは事実であります。伊能次官の事件を想起したつて、我々はこの現実の一端を知るのでありますが、そういうものを嚴格にやつただけでも二十億の余裕が出て來る。或いはその他公安官や渉外関係の人件費、全人件費の八・五%も、國鉄で負わなくてもいいもので負つておる。こういうものは二十億以上の負担であります。その他利子負担、その他いろいろあります。こうしたものをすべて数えますなら、幾ら軽く見積つても百八十億の余裕が出て來る。これは昨年の國鉄の赤字をカバーして余りあるのであります。それで私は第一に運輸大臣に、果して運輸省として本当に國鉄会計の赤字の原因を尋ねられたかどうか、そうして我々が出しておる数字、こうしたものをどう考えられるか、それを第一にお聴きしたいのであります。
 第二は、果してそれならば、今回の値上げによつて本当に赤字がなくなるか、私は絶対になくならんと思うのであります。こういう方法によつてはなかなかならん。時間がありませんので詳しい数字は述べませんが、人件費は、新物價におきましては、六十四億の増加であります。物件費は二百四十億円の増加であります。即ち物件費が人件費の四倍増加いたします。而もその物件費二百四十億円の中で、百七十億円は石炭の價格の増加であります。ここに政府自身のいたちごつこがあります。一般的に物價を引上げるが故に、國鉄の会計はますます赤字になつて、これは今後闇價格が上れば上る程、ますます増大するであらうと思うのであります。こういう方法では絶対に我々は國鉄の問題は解決できないと思うのであります。それではなくて一般の物價も引上げない。國鉄の運賃も引上げない。そうすればむしろ我々は物價値下げを要求する、値下げをやつていく。そういう政策によつて、地方においてインフレを徹底的に克服して行くという政策を取つて、初めてこの物價の安定は期せられると思うのであります。この点に関しまして運輸大臣の所見を私聴きたいと思うのであります。
 更にこれと同じような問題が、実際には石炭を初めあらゆる物資にあるわけであります。重要物資にあるわけであります。この点で價格調整金の問題が問題になるのであります。従來果して本当に正しく石炭の原價計算が行われておつたかどうか、これについては優良炭鉱が、種々のブロツク別の割区分の仕方をインチキして、そうして非常に有利な價格決定をさしている。そうして價格調整金の或る部分は、むしろ宴会費であるかというように言われるようなことが事実存在しておると傳えられておる。私は水谷商工大臣に、こうした点についてはつきりした御見解を聴きたいと思うのであります。
 更に私が出しました第一問題の要点は、こういうふうな重要産業を本当に徹底的に統制する、正しく統制する、正しく経営して行くというならばです。私は今日のような物價値上げは要らないのであります。その方式は然國営方式、そういう方向に進まなければいけないのであります。而も電力或いは肥料の國管、國営問題は、社会党として党議で決定されておるところであり、更にこの度の芦田内閣の発足に際しても、この問題が取上げられておる。終るに今日までいろいろの法案が我々の手元に來ておるが、一つもこの問題に觸れてない。反対に貿易と言い、すべての点においてますます民間的に、資本家に走つておる。ここにこういう傾向と、そうして私が今申上げたような物價値上げとの間に必然的関連がないかどうか、私はあると思う。従つてこういう電力國管、國営の問題に関し、今日商工大臣に、何を考えておるかということを、ここではつきり述べて貰いたいと思うのであります。
 第二は、私は三千七百円ベースの問題について觸れて置きたいと思うのであります。これが今日私が質問したい中心点であります。三千七百円ベースについては、すでにもう非難が起こつております。第一にこの政府の算定には何ら客観的根拠がない、数字的根拠がない、私はこれを詳しく述べたいのでありますが、時間がありませんので簡單に述べます。政府がこのたび基準としておる民間勤労統計、これはこの前の臨時給與委員会においてさえ、非常に間違つておるというので、十五%の修正を加えたのであります。ところがこれを政府は全然していないということ、米價を決定せずに賃金を決定しておるということ、更に五月から六月の闇價格の上昇を三・六と押えておるのでありますが、この額はともかくといたしまして、政府の見解では、六月以降一七〇%の物價値上げがあつたとして、闇價は全然三・六%以上上がらないという、こういう見解に立つておるのであります。これは実にばからしいことだ。現実にすでにもう米の値段が二百五十円にもなつておる事実を知つておる。こういうことで、実際これが全く根拠がないということは、はつきりしておるのでありますが、更にもう一つの問題は、以前におきましては、政府は少くともこの賃金決定の以前に労働者側と協定した。このたびは全然協定せずに、一方的に押し付けようとしておるのであります。これは事情は詳しく申しません。要するにこういうことはすでに賃金統制であります。加藤労相はやらない、やらないと言つておりますが、これは賃金統制であります。
 更に私はこの問題で沢山言わなければいけませんわけでありますが、結論といたしまして、三千七百円ベースは千八百円ベースに比べましたならば、実際に我々の計算で、政府の資料を使つての計算で二六%の切下げであります。ここに問題があります。これは政府の経済白書による数字ではつきりしております。従つてこれがいわゆる今日の三千七百円ベースの実体でありますが、私は芦田首相に、即ち数字の問題に対して、算定の問題に対して安本及び加藤労相に聴きたいのであります。政府としては今まで一回も組合側と協定せずに勝手にここへ持ち出して來ておる。而も今日の新聞の傳えるところによりましても、まだ閣議自身においてさえも疑義が生じておるというような状態であります。一体こういうふうな三千七百円ベースの決定を誰がしたのか。而も閣議で疑義が生じておるというふうな問題を、ここへ持つて來るというふうなことが、政府の責任として許されるかどうか。これをはつきりと聴きたい。更に首相に私はお聴きしたいのであります。芦田内閣と片山内閣とを、労働者の立場から見て見ると、正に千八百円ベースに対して三千七百円ベースは二六%切下げられておるということ、この中に芦田内閣の労働者から見た欠陥というものが非常にはつきりしておると思うのであります。又今官公廳では五千二百円を要求しておりますが、この五千二百円は、若し物價改訂の値段に直しますと、恐らく一万円を超えると思います。三千七百円ベースと一万円ベース、これが労働者と芦田内閣との開きであります。芦田首相は、外資導入についていろいろ言われ、外資導入の受入れ態勢について言われますが、労働者から言うならば、外資導入の声が高くなつて來ておるが故に、同じことでありますが、結局二六%の切下げが行われようとしておる。これが労働者側から見た外資導入問題であります。而もこの上には極めて非民主的なやり方が一方的に押し付けられておる。そうして團体交渉権を無視されようとしておる。こういうことに対して、芦田首相は一体どいうお考えであるか。これをはつきりお聴きしたいのであります。
 続いて第三は、米價の問題であります。米價の安いということは、これは周知のことでありますが、何故米價が安いかというと、要するに労働賃金を安く釘附しようとすることが根本の問題であります。私はこの問題は單に質問を列記したいと思います。一つは、政府はいつ米價を決定しようとするつもりであるか。そうしてどの程度に落着けさせるつもりであるのか。そうして若し米價が落着いたならば、いつからそれを適用するのか、六月十五日からか、それとも今度の十一月からか、それをはつきりとお聴きしたい。そうして更に永江農相がいろいろ約束をされておる、供出促進のときにいろいろ約束をされておる。衆議院自体としても、決議案を以てその支拂を約束されておりますところの、あの物價改訂の場合の價格差の農村還元問題、これは政府の信用問題として極めて重大な問題であると思うのでありますが、こういうものを実際やるのか、やらないのか、若しやらないとしたならば、果して如何なる理由によつて還元しないのか、この点をはつきり述べて頂きたいと思うのであります。
 第四番目は物價安定の根本問題について質したいのでありますが、時間も迫つておりますので結論だけ申します。我々は先程申しましたような資本家的な物價改訂方式ではなくして、全然別個の方式があるということをはつきり知つております。それは、とどのつまりは労働者の賃金を、平均賃金…食えない平均賃金ではなくして、実際に労働者の働けるだけの、そうして生活をともかくも保証するだけの最低賃金制、これなくしては実際にあらゆる物價の安定はできない。この上の立つて初めて外資を…大きな商品の嚴格な價格計算もできるわけではあります。ところが政府は最低賃金を拂えないと言つておる。これは極めて簡單なんです。今日においては二合五勺ではなくして、大体三合に近い程度配給するということと別ではないのであります。この最低賃金制度制ができなければ、一切の物價改訂は私は砂上の樓閣だと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この点について労働大臣の見解をお聴きしたいと思うのであります。
 序でに私は引揚者問題について一言申上げますが、樺太から帰つて來る無縁故者は八万四千人と数えられておる。然るに本予算におつては二万四千人しかこの住宅の建設を計上していない。その他いろいろのことがありますが、この前、本院でその決議案として、はつきり出されておる。政府はそれに対して一体どう答えるつもりか、六万の人をほつぽらかすつもりであるか、受入れ態勢がよく行つておると言うが、少しもよくなつてないということを私ははつきり聴いて置きたいのであります。
 最後に私はこの物價改訂並びに本予算が通過する結果について簡單に申上げますが、詳しい数字は申上げません。國民所得を一兆九千億といたしましても、いろいろな経費を差引いて尚四千九百二十億の赤字ができます。更にこれに項目を調整しましても一千八百億円の赤字ができます。更にこれを別の観点から見ますと、政府の策定しておる第十四半期の資金計画から見ても二千億の赤字がありますが、これを1年に直しましたらば千六百億円程度になろうと思います。要するにこの予算の結果は、この現実に一千八百億円程度の紙幣の増発を必要とするということであ廣ります。これがインフレであるのかないのか、蔵相にはつきりお伺いしたいのであります。而もこういうような極めて大きな大衆の重圧の結果として何が残るか。私は二つの問題があると思う。一つは対外依存によつて何とか切り抜けて行くような方向に行くこと、一つは暴力的な支配によつてこれを大衆に轉嫁しようとすること、最初は中間安定を言いながら、物價改訂の内容こそは実はこういうような内容であります。
 そこで私は蔵相並びに首相に最後にはつきりお尋ねいたしますが、我々の結論を述べれば、こういうふうな予算決定、物價改訂によつては、決して日本の経済は救われない。極めて悲惨な状態に行く。中間安定と称するものは、実はむしろ非常な大衆運動、非常な大衆の反撃運動、これを結果するいわゆる安定だろうと思うのであります。現在の労働者農民は、こういう負担に対しては、必らず蹶然としてあらゆる方法によつて抵抗すると思います。非常に大きな社会問題がこの予算の実行と共に差迫つておると思うのであります。そこでこういう大きな大衆運動、反抗運動は、実はこういう大きな予算案、物價改訂から起つておることでありまして、この物價改訂を、或いはこの予算案を成立させた後、若し廣汎な大衆運動が起りましたときにおいて、政府はこれを不埒だとして、暴力的に、或いは法律的に彈圧しようといたしましようが、私はそういう運動が起つて來るのは、この予算案から必然の結果であつて、この予算案に責任があり、同時に政府に責任があると思うのであります。そういう点をはつきりここで芦田首相から私は御答弁を聴いて置きたいと思うのであります。以上諸点につきまして、私は政府諸公が問題を外らすことなく、まじめに私の質問に対して答弁されることを要求いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(芦田均君) 中西君の質問の主力は賃金及び給與の問題に置かれて、これに付随する予算編成全体の方針に関する御質問でありました。中西君の論拠は低物価高賃金という主張でありまして、物價はなるべく押えて安くしろ、給與はなるべく高くしろ、こういう御議論に集結されておると拝承したのであります。私共の人生に関する経驗によりますれば、高賃金は必然的に高物價を招來する、一方高賃金を主張しながら低物價を主張するという議論が、果して成り立つかどうか、我我はこの点に深い疑問を持つのであります。今回の物價改定に際しましても…(中西 功君「インフレが高賃金にする」と述ぶ)今回の物價改訂においては、物價を引上げることは止むを得ない、その物價引上げに伴う給與の水準を引上げる、こういう方針で決定したのであります。(中西功君「何だ、ふざけているじやないか」と述ぶ)
 更に予算全体の編成方針について、この予算は資本家的原則の下にできた予算であるという御意見のようであります。中西君は勤労階級を代表するいわゆる階級政党の立場から議論をされたのであります。併し私共の立場は、國民政党として、あらゆる職域、あらゆる階級を全体的標準として……(中西功君「標準じやないと言えよ」と述ぶ)すべての政策、予算の編成を行つているのでありますから、恐らく中西君のいわゆる階級政党的立場の御議論と、國民政党として、國民全般の福祉を眼目にしたる予算の編成との間に食い違いのあることは止むを得ないと思うのであります。(中西功君「何が階級だ」と述ぶ)そういう意味においてできた予算でありまして、決して中西君が論ぜられるように、今日我が國の経済の段階において、あらゆる階級に十分な收入の得られる予算を作りたいことには、我々と雖も何ら中西君とその意思を異にするものではありません。併しながら一たび我が國敗戰の現実に思いをいたされるならば、我々國民は暫らく歯を食いしばつて、この窮乏の生活に堪えて、経済再建の新しき希望の下に、堅実なる日本の財政経済を築き上げたい、かように信じてこの予算を提出した次第であります。(拍手)(「分つたか」「破滅の予算だよ」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
#8
○國務大臣(岡田勢一君) 昨日本院の本会議中に、私が他の委員会に出ておりましたため、本会議の出席が遅れました点につきましては、誠に遺憾でございます。今後は緊密な連絡を取りまして、円滑に議事を進めて頂くようにいたしたいと存じます。
 中西君の御質問のうち、私の所管に関することにつきましてお答え申上げます。國鉄の赤字の原因につきましては、戰時中以來、殊に終戰後になりまして急激に物價並びに賃金が高騰をいたしまして、(「誰がやつたんだ」「賃金じやない」と呼ぶ者あり)戰時中以來数回に亘りまして鉄道運賃を改正いたしましたが、併しその都度低物價政策等のために賃金の引上げが抑制されて参りましたことが一つの原因でございます。尚鉄道の経営が資本家の食い物になつておるというようなお言葉でございますが、決して鉄道は資本家の食い物にはなつておりません。(「貨物運賃はどうした」と呼ぶ者あり)
 それから鉄道用の石炭の特別値下をやつたならば支出が減るではないかというお話でございます。誠にそうでございます。併し鉄道用石炭の價格の特別割引をいたしましたならば、一面におきまして價格差補給金を支拂わなければならんのでございまして、これはやはり國の財政が賄わなければならん問題となりますので、それは結局プラスマイナス零になりまして効果のないことになると思うのであります。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)
 それからカロリーの上昇のことを話されましたが、石炭カロリーの上昇は願わしい点でございますが、只今の現状におきましては、今予定いたしております約五千四百カロリー平均のものを入手するということ以上には、只今の生産状況から考えまして望まれないと考えますのでございます。勿論これは六千カロリーもいたしましたならば、用炭の消費数量はそれだけ少くなりますことは明らかでございますが、これにはやはりカロリー上昇に要する選炭の費用等が加わりまして、これが價格を五千四百カロリーのものと同一で入手するということは不可能でございます。
 それから國鉄の経営につきまして今後とも綱絶を粛正いたしていきますことは勿論でございます。御指摘になりました伊能次官の問題は私らといたしましてもあのような疑惑をうけましたことは誠に遺憾でございます。(「それは疑惑ではなかろう」と呼ぶ者あり)併しながら只今司法当局で調査をされておりますので(「でたらめなことを言うな」と呼ぶ者あり)不正の事実或いは犯罪を構成いたすかいたさんかということは分らない問題でございます。(「さようでございますか」と呼ぶ者あり)いずれ判決によりまして明らかになることと存じます。
 次に中西君は物價も運賃も一齊に上げないことを希望するという仰せでございますが、先程総理からもお答え申しました通りに、さようなことは望ましいことではございますが、現実の問題といたしましてはさようなことは行われないことであると存じます。(「上げて赤字が解消するか」と呼ぶ者あり、拍手)
   [國務大臣水谷 長三郎君登壇]
#9
○國務大臣(水谷長三郎君) 中西君の御質問にお答えいたします。
 第一点は石炭の原價計算が非常にルーズにやられておるという問題でございますが、言うまでもなく石炭の原價計算の適正なるか否かにつきましては、従來物價廳を中心といたしまして原價計算を行いまして、これを嚴重に監査して來たような次第でございます。近くに実施される炭價の改訂に際しましては物價廳におきましても各原價報告による数字をそのまま断じて採用しておりません。これをば嚴重に査定いたしまして、妥当でないと認められる経費はこれを除きまして、その査定した原價を基礎といたしまして炭價決定の要素としておるような次第であります。商工省におきましては國家管理実施を期といたしまして、原價計算につきましては関係方面とも密接なる連絡を取りまして、嚴重なる監査を実施いたしまして、只今御指摘のような弊害があるならば十分に除去して参りたいと思う次第でございます。
 第二の問題は電力、肥料の國管問題は一体どうなつておるかという御質問であつたようであります。勿論言うまでもなく三党政策協定におきましては電気事業の一元化ということが謳われておりまして、さきに閣議終了事項に基づきまして、電氣事業民主化委員会を設置いたしまして各界の代表者を委員に委囑いたしまして、目下電氣事業の民主化を目的といたしまする事業再編成の根本方針及びこれが具体策につきまして折角調査審議して貰つておる最中でございます。その結果を俟ちまして商工大臣としては適当の措置をしたいと考えておる次第でございます。
 尚肥料の國管問題につきましても御指摘のように三党政策協定においても謳われておりますので、私といたしましても三党政策協定の趣旨に基づきまして、商工省内におきまして生産増強の見地からあらゆる角度より分析檢討中でございますが、肥料の生産のためには電力の増強が先行しなければならない関係は、中西君も十分に御了承下さると思うのであります。従つてこの肥料の問題は電力問題の経営状態が解決いたしましてから取したい、かように考えております。(「冗談じやないよ、水谷さん、おかしいよ」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
#10
○國務大臣(加藤勘十君) 只今の中西君の私に対する御質問は、第一点が三千七百円ベースは政府の資料によれば妥当性がある、こう言つておるが、実際には政府の資料によつても千八百円ベースよりも二十六%切り下げになつておると思うが、どう思うか、こういう点にあつたと思います。第二の点は、三千七百円ベースを決定するのに、全然官公廳労働組合の諸君と話合いをしていない。片山内閣のときにおいて極めて非民主的であつたが、今度のこのような措置は一層非民主的であつて、こうした点から労働攻勢の起るのは政府の責任であると思うがどうか。第三の点は、最低賃金制が現在の情勢において行われないと言つておるが、その理由はどこにあるのか。第四の点は最高賃金制は物價の裏附けがなければできないと言つておるが、現在の予算の編成内容を見ると、このこと自身が最高賃金制を採つているように思う、これはまるで政府の暴力的政治であるというように思うがどうか、こういう四点にあつたと思うのであります。
 第一の三千七百円ベースが政府の資料によれば妥当性がある、こう申したことにつきまして、中西君がどういう数字をお取上げになつたかを存じませんが、私の得ておる政府の現在持つておりまする資料によりますれば、一應妥当性、合理性を持つておるのであります。詳細の点につきましてはいずれ委員会等において再びお答えする機会があると存じますから、ただそれだけを申上げておきますが、又二十六%切り下げとなつておる。こういう点に対しましては政府の予算編成の根本方針は健全財政を維持すると同時に、勤労者の生活を現在の水準よりも下廻らないということを基本的な原則といたしておりまする関係から、当然この三千七百円ベースが算定されるに当りましても、この点は特に考慮されておる点であります。
 第二の、三千七百円ベースを決定するのに官公廳労働組合の諸君と何らの話合いをやつておらん、政府が一方的に決定したのは怪しからん、こういう御意見ではありましたが、この点についてはご承知のように、前回全官公廳職員諸君の争議が解決するに当りまして、
   〔副議長退席、議長著席〕
その解決の覚書の一つとして、この問題が済んだならば直ちに委員会を作つて、そこにおいて審議をする、こういうことになつておりまして、爾來この委員会が満足に発足いたしておりますれば、当然ここにおいていろいろな問題が審議されたと思うのでありますが、遺憾ながら行き違いが生じましてこの委員会は尚準備段階にある、こういうような状態でありまして、十分にお話をすることができなかつたことを遺憾といたしまするが、併しながら予算の編成をするに当りまして、いつまでも賃金の標準を求めないわけには行かないのでありまするから、止むを得ず予算編成上の一つの標準として、三千七百円ベースが合理性を持つておるという点から選ばれたものでありまして、この点につきましては尚今後この委員会が引続いて構成され、審議が継続される筈でありますから、十分審議はなされることと思うのであります。併し政府といたしましては、今申しましたるような事情によつて合理性ありと認めてこれを一應の標準として取つたわけであります。従つてこの点からだけ労働攻勢が起るものとは思われません。十分に問題の内容の審議が進められて、そこに両者相合せざるものがありまする場合に、初めて労働者の動きが具体的に起つて來ると思うのであります。政府といたしましては極力あらゆる事情を十分に組合側の諸君に御説明申上げて、組合側の諸君の御了承を得ることに努力するつもりであります。
 第三の、最低賃金制の問題でありまするが、これは前來しばしば衆参両院におきまして私が申上げておりまする通り、現在の物資の不足の状況下で二千四百カロリー、八十グラムの蛋白量を基本的な計算量として賃金が計算されまする最低賃金、若しこれが形式上これから算定した金額が最低賃金として定められるということになりますれば、これだけの物資を実際持つていないのでありますから、勢いこの金額は名目上の賃金に終つてしまうのであります。名目上の賃金がこのように決められるといたしますならば、恐らくはインフレーションは更に爆発的に高進するであろうということは火を見るよりも明らかであります。これらのことは十分経済上に通曉しておられる中西君が特に御承知の点であると思います。(「それは全く違いますよ、実質賃金は最低賃金と同じですよ」と呼ぶ者あり)私は現在のような物資の乏しいときに、名目上の賃金の規定に終るような最低賃金制は採るべきではない。乏しい中に一定の生活水準が定められるならば、それ以上のものは物を増産する、即ち能率給が加味されることによつて初めてインフレーションの克服の方向と、勤労者の生活安定の方向とが同一方向を向いて進むことができる、このように考えております。従つて私の考えておりますることは、生活給と同時に能率給とが合せられたものが一つの賃金体系となることが最も望ましい、このように考えております。それから又最高賃金制は物資の裏附がなければできない、こういつておるが、今の予算の編成を見ると、これが即ち最高賃金制で、恰もこれで釘附にするものである。これは実に乱暴に政府の方針であるという御意見のようでありまするが、それは中西君の御意見としてはどのような御意見が出てても自由ではありまするけれども、実際問題としまして私共は本当にマル公制配給による生活が確保される條件の下になければ、賃金の統制というようなこと、賃金の安定というような方策は殆ど不可能に近い困難なものである。こういうように信じておりまして、現在の予算編成は今申しまする通り、一應の予算編成上の標準として三千七百円ベースが採用されたものでありまして、決してこれを以て釘附けにして動きの取れないものにするというような、いわゆる最高賃金制の観念は微塵もこの間には入つておらないということを特に御了承を願いたいと思います。(「追加予算で出すのか」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣竹田儀一君登壇、拍手〕
#11
○國務大臣(竹田儀一君) 中西君の私に関する御質疑に対してお答えをいたします。引揚再開当時の樺太地区残留者は約十九万八千人でございましたが、これらの中の無縁故者は、従來の実績は約一六%でありましたから、これから推算いたしますと、三万人程度と予定いたしまして各般の措置を講じて参りましたところ、最近の樺太引揚者は種々の事情によりまして正確なる数字を掴み得ざることは誠に遺憾でありますが、約四〇%乃至五〇%が無縁故者であるということが判明いたしまして、大凡そではありますが、八万人乃至十万人程度が無縁故者と推算されることになつたのは誠に遺憾に存ずるのであります。これに対しましてはすでに昨年度において無縁故者の住宅として整備いたしましたものの中、約一万五千人分が本年へ余裕持越しとなつておりますので、取敢えずの收容には事欠かんのでありますが、今後約七八万人程度の者の收容の準備を必要とすることになつたのでありますので、取敢えずの措置といたしまして一万二千人分の整備費として本國会に提出いたしてありまする本年度予算の中に一億七千七百万円を計上して、これによつて急速に整備せしめることに相成つております。尚更にその不足分につきましては、目下他に財源を求めまして所要額を支出いたしまして、急速に確実に所要の住宅を整備することに支障のないよう、具体的に今準備中であります。中西君の御心配の点につきましては、必ず万全の措置を講ずるということを申上げて置きます。(拍手)
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(北村徳太郎君) 中西議員の私へのお尋ねは、國民所得の割合に財政のバランスが取れていないから、これでは相当の赤字が出るんじやないか、こういうお尋ねであつたと思うのであります。私共は国家財政を國民経済の規模において均衡せしめるということは、これはもう第一條件でございまして、その点につきましては度々この場所においても申述べた通りであります。それで國民所得を一應一兆九千六十億といたしまして、これに調整項目を加えまして、二兆二千億というような計算は、これは中西君のお示しと私共と同様でございます。これについて私共の考えておりまするこの計算によりますると、このうち個人消費生活が一兆四千億円、産業投資が二千七百億円、國家財政並びに地方財政負担が五千三百億円、かように相成りまして、もう一度繰返して申上げますと、個人消費生活が一兆四千億円、産業投資が二千七百億円、それから國家財政及び地方財政が五千三百億円、かように相成るのでございます。從つて赤字をだすというふうなことは全然ないことを確信いたしておる次第であります。(拍手)
   〔政府委員平野善治郎君登壇、拍手〕
#13
○政府委員(平野善治郎君) 只今中西議員の御質疑に対してお答えを申上げます。その第一点は、米價をどういう方法で、いつ決めるのか、今までの米價は安いパリテイの下になされたという御質問と、第二点は、昭和二十二年度のさん米につきまして、これを新物價の体系が変更になると共に、その調整の方法について考えておるかという御質問のように承わりました。
 第一点の、新米價をどういう方法でいつ決めるかというお尋ねに対しましては、これは農家の再生産、或いは消費者の負担各般に非常に影響のある問題でありまするので、農林省といたしましては、成るべく早い時期に合理的な決定を見たいと、目下愼重に檢討を加えておる次第でありまするが、未だ決まつてはおりません。(「決まつてないのによく予算ができたね」と呼ぶ者あり)尚昭和二十二年度の生産米につきましては、新物價体系になりましてから、農家の生産、再生産のために非常な支障があるので、調整金を出す意思があるかという問題につきましても、御説の通り、新物價体系になりまして、農家の再生産が非常に困難になる事情を認めておりますので、適切な方途をしなければならないという考え方から、目下愼重に協議を進めておりまするが、只今のところ、明確にお答え申上げる段階には立至つてないことを御了察願いたいと存ずるのであります。(拍手、「米價が何も決まつてないのに、よく予算を出せたね」と呼ぶ者あり)
#14
○議長(松平恒雄君) 栗栖國務大臣は只今司令部に赴いておりますから、後に適当な機会に答弁する趣でございます。岡田宗司君。
   〔岡田宗司君登壇、拍手〕
#15
○岡田宗司君 私は日本社会党を代表いたしまして、次の諸点に対して政府にお尋ねいたしたいと思うのであります。
 北村大蔵大臣は去る四日の演説におきまして、昭和二十二の均衡を保持し、インフレの高進を抑止し、以て一應の中間安定を実現する途を開くことを強調されておるのであります。予算書を拝見してみますと、確かに一般会計におきましては数字の上では收支の均衡が取れ、形式的には健全財政主義が貫かれておるのであります。併しこれによつて大蔵大臣が目的とせられているようなインフレの抑止、或いは中間安定の招來ができるかどうかということにつきましては、私は非常に大きな疑問を持つておるのであります。二十二年度の当初予算においても、健全財政主義から編成され、その後の補正予算の場合におきましても、悉くその立場を取つておるように言われておつたのでございます。併しながら実際におきましてはインフレの抑制は全然できておりません。インフレはどんどんと進んで、今日の段階に來ておるのであります。二十二年度の総予算は二千百四十二億でございましたが、本年度の予算は約その倍に近い四千億になつております。更に特別会計を見ますならば実に1兆二百二十七億円、昨年に比しまして六千億円も多いのでございます。かような状態でございますが、而もこの特別会計或いは地方財政等を通じまして檢討いたして見ますと、約一千億円の公債が発行されることになつているのであります。かような予算が実施いたされますならば、当然通貨が膨脹することは火を見るよりも明らかでございます。今日日銀券の発行高は約二千二百億台でありますけれども、恐らく新予算が実施いたされまするならば、忽ちに増加いたしまして三千億を超えるだろう、或いは三千五百億円になるだろうということは、これ亦火を見るより明かなことであります。かような通過の膨脹が、新予算の実施に伴いまして急激に起るといたしますならば、物價も亦全面的に騰貴いたしまして、賃金や或いは俸給の騰貴も亦止むを得ないことになるのであります。政府は、予算面においては、物價の約七割増を見込んでおるようでございます。併しながら一般の物價高騰がこの程度で收まるかどうか、そうして又中間安定が物價の面において得られるかどうかということも、私共には疑問なのでございます。かように、本年度予算は形式的には健全財政主義に貫かれていると申しますけれども、実質的にはインフレーションを飛躍的に高進せしめるところのインフレ予算に外ならないと思うのであります。
 昨年の暮から通貨の発行量が大体に横這いになつているのでございますが、これはインフレ抑止の政策が成功しておるということを示すのではないのでありまして、ただ一月以降租税の徴収が急でありまして、政府の資金徹布と吸收とが一時バランスの取れたに過ぎないのでありまして、新予算が使い始められますと、必ずこのバランスは崩れると、こう考えられるのであります。そうして恐らくこの予算が使われております中間の時期におきましては、莫大な大蔵省証券の発行をなさなければならなくなる、この点も火を見るよりも明らかと思うのでありますが、本年度の予算におきましては、大蔵省証券発行の限度を六百億と抑えておるのでありますけれども、これが果して十分であるかどうか、私はこれも動かさざるを得ないのではないかと思うのであります。
 そこで先ず第一に大蔵大臣にお伺いしたいことは、新予算が施工されましてから一二ヶ月の間におきまして、一体日銀発行高はどのくらいになるお見込みを持つておるかどうかということでございます。
 次にはこれに関連いたしまして、大体通貨の発行限度を幾らぐらいにお定めになるつもりであるか、この点につきましてお伺いしたいのであります。通貨の面に対する抜本的な方策が講ぜられてない以上、私はインフレの悪化は免れないと思うのでございます。新予算の実施後、恐らく数ヶ月にいたしまして、物價賃金の著しい変動が起り、又もや厖大な追加予算を組まざるを得なくなると考えるのであります。大蔵大臣はこの新予算の面に現されておりますところの賃金、物價の水準をずつと維持できるとお考えになつておるかどうか。そうして予算を年度末までさしたる変更を加えずに維持して行くことができる自信をお持ちになつておるかどうか。その点について明確なる御答弁をお願いしたいのであります。
 次にお伺いしたい点は、本年度予算の計上の基礎となつた物價と賃金の関係でございます。政府は物價は七割増、賃金は三千七百円ベースとして計算しておるようでありますが、まだ物價につきましては、重要なる物品のそれぞれの價格についての発表がございません。賃金につきましても、それを決定するに至りましたところの基礎の数字が、全然私共に発表されておらないのであります。これらの二つに対しまして、ヴェールを被さしておきまして、國会に予算を提出され、これを審議せよということは、甚だ無理があると考えるのであります。(拍手)この点は政府のやり方が極めて不親切であると考えてございまして、速かにこの点に対しまして政府は資料の提供をされんことを私は望むのであります。(「米價も決まつてないぞ」と呼ぶ者あり)
 それはさておきまして、果してこの三千七百円の新賃金ベースで以て、勤労者の生活が赤字なしでやつて行けるかどうか、竹の子生活をしないでやつて行けるかどうかということが甚だ疑問なのでございます。この点二十二年度の追加予算の場合におきましては、一應数字が出してありました。無論この数字はその通りに進行しなかつたことが今日の状況を招いておるのでありますが、私共は今度の三千七百円ベースで、果して勤労者の生活が安定し得るかどうか。その点について政府はどういう確信を持つておるかお伺いしたいのであります。今度の賃金ベースに対しましては、物價の改訂による撥ね返りがどのくらい計上されておるか、或いは又所得税の減額等もこの中に考慮されておるようでありまして、政府ではその点からして只今加藤大臣の言われましたように、大体十分であると言われておるようでありますが、物價が政府が考えておるような上り方で済むかどうかということ、これは非常な疑問であります。又通信料金であるとか、或いは通貨の値上げ、こういうものがやはり直接間接勤労者の生活に非常な重大な影響を持つて來るのでありまして、私共はこれらの値上げにつきましては、極めて妥当性を欠くものである、これは愼重なる檢討を要するものと考えておるのでありますが、更に酒、煙草の値上げとか、或いはその他の物價の値上り、特にこれから端境期になりましての主食の闇値の騰貴から見まして、恐らく新予算実施後の生計費の騰貴というものは、政府が今予想しております以上に大きいものがあろうと、私共には推算されるのであります。こうなつて参りますと、忽ちに又賃金ベースを改訂いたしまして、延いては追加予算を出さなければならんと、こういうような状況が必ず起ると私共には考えられるのであります。現在官公廳労組におきましては五千二百円ベース、而も手取りでございます、これを要求することに決定しておるのでありますが、この要求額と政府の言いますところの三千七百円ベースとの開きは極めて大きいのであります。而も民間におきましては、電産を初め現在においてももつと高いベースの賃金も拂われておるのでありまして、今後におきましても恐らく民間の重要産業の賃金は、このベースをどんどんと追い越して行くであろうと予想されるのであります。政府は予算の辻褄を合せるということを強行する余り、勤労者にこの三千七百円ベースをそのまま押付けるつもりであるのかどうか。そうなるといたしますならば、労働組合との正面衝突はこの際免れないと私は考えるのであります。これは日本の経済再建にとりましても重大な影響を及ぼすものでありますが、政府は労働組合側との團体交渉によりまして合理的な賃金を定め、以て労働争議が頻繁に繰返されることを避けねばならないと私は考えるのであります。本日の新聞紙を見ますというと、この三千七百円ベースの問題につきましては、政府の中におきましてもまだ最終決定を見ておらん、幾らか余裕のあるように拝見したのでございますが、果して政府はこの賃金水準につきまして尚改訂する余裕を残しておられるのかどうか。その点についてお伺いしたいのであります。更にこの政府の賃金ベースを維持されるために、或いは民間賃金に対しまして直接間接に統制を加えるお考えであるのかどうか。若しそうだといたしましたならば、その方式はどういうものであるかということについて具体的なお答えをお願いしたいのであります。
 第三にお伺いしたいことは、大蔵大臣は先の演説におきまして外資導入について力説されておるのであります。又芦田首相は組閣以來盛んに外資導入を開道し、この内閣によりまして外資導入が実現され、外資による日本経済の復興が急速に行われるかのごときの印象を國民に與えておるのであります。戰争によりまして生産力をめちやめちやに破壊され、又重要資源の乏しい日本の経済力が、今日七千八百万人の國民の最低生活さえ維持できないことは改めて言うまでもないことであります。従いまして日本経済は好むと好まざるとに拘わらず、外資の援助なくしては復興どころか現状維持もできないような状態であります。併しながら外資の導入ということは、芦田首相が説かれておる程そう簡單に容易にあてにしていいものであるかどうか、これは甚だ一考を要する問題であると考えるのであります。現在日本が最も恩恵を受けておりますところは外資の形は、略称ガリオアと呼ばれるところの米國政府の占領地域救済費であります。これは占領地域行政の円滑な施行を図るために、民生安定に必要な食糧、石油、肥料、医藥品の送付に当られ、従來我が國に輸入され放出された物資の殆どすべてはこれによつて賄われておるのであります。昨年の夏、いわゆる民間貿易の再開と共に設定されましたところの輸出入回轉基金は、実際にはいろいろな障害がありまして、運用を開始し得ない状態にあり、日本の対外貿易の伸張につきまして当時非常に大きな期待を與えておりましただけ失望は深いのであります。かような状態でございまして、又一九四八年九年度の連邦政府の予算に組まれておりました日本、朝鮮等の復興援助費一億五千万ドルは下院におきまして最近否決されたのでございます。上院は対外援助費の復活に努力しつつあるというのでありますが、これ亦楽観的予想を許されないのであります。数日前に六千万ドルの綿花借款が成立いたしましたが、これとても純然たる民間外資じやない、民間外資の導入に至りましては、一部には何となく入つて來るというような漠然たる幻想が生じておるのでありますが、爲替相場の決まらない、又外國への送金が許されない今日として入つて参りますか。アメリカ側におきましては今日民間投資のごとき殆んど全く問題にしていない状態なのであります。現状かくのごとくでございまして、外資導入は必要である、我々も亦切望するところでございますが、一体政府は如何なる種類の外資導入に期待をかけておられるのでございますか。よもや政府はただ漠然として希望的見解を述べておるのではないと思うのであります。政府は連合國に対しまして如何なる外資の導入を懇請しておるのでありますか。その見通しはどうであるか、又その外資を考慮に入れて、安本は経済復興計画を立てられておるのであるかどうか。栗栖安本長官よりその輪郭を明確にして頂きたいと思うのであります。
 次に質問いたしたいことは、通貨改革に関する問題でございます。私は大蔵大臣及び安本長官が、本年度の予算の実施について大いに力説されておりますところの、いわゆる中間安定が実現されることは不可能ではないかと思うのであります。何となれば、基礎のない、全く不換紙幣であるところの円貨をこのままにして置きましてインフレを抑止する、或いは收束するということは、実に馬鹿げきつたことであると思うのであります。終戰後円の切換等をやりましたけれども、インフレはいよいよ惡化して参つております。今後その速度は加速度を加えるものと予想されるのでありますが、惡性インフレが如何なる禍害を國家にもたらすものであるかということは私が詳しく申上げるまでもなく、もはや今日の段階におきましては、形式的な均衡予算や僅かばかりの生産の上昇や貿易の回復ぐらいでインフレは終熄するものではないのでありまして、インフレを終熄せしめます途は、金若しくは外國爲替を基礎とするところの健美なる通貨制度を作り出しまして、現在の貨幣制度を解消せしむる以外にはないと信ずるのであります。通貨改革を実現いたしますには、予算の收支均衡、生産上昇、或いは輸の増加等、必要條件でございましよう。特に現在の日本におきましては、これを実現するためには連合國、特にアメリカの資金援助を絶対に必要とするものでありますが、私共はすでに日本におきましても通貨改革を行うべく準備をなす段階に來ておると信ずる者であります。今次の世界大戰におきましても、すでに欧州におきましては、悪性のインフレーシヨンの最もひどかつたハンガリーやルーマニアにおきまして、その他の諸國において通貨改革が行われ、ソ連におきましても通貨改革が断行されたのであります。又現在では日本と同じように連合國軍の占領下にありまして、西ドイツにおきましても連合國の手によりまして通貨改革の準備が進められておるのであります。一九二三年の冬にドイツに現われましたレンテンマルクの奇蹟が、今日の日本に再び現われるとは私は考えておりませんが、少くともあの時の通貨改革も、亦我々が研究の対象といたしまして、そのうちからいたしまして偉大なる教訓を汲み取らなければならんものであると信ずるのであります。政府は通貨改革をインフレーシヨンを終熄するところの最も根本的な方法であると考えられておられるかどうか、この点についてお伺いしたいのであります。又政府は通貨改革のために具体的なる調査を開始し、そのための準備を進められつつあるかどうか、その点についてもお伺いしたいのであります。
 次に農村の問題につきまして二つの点をお伺いしたいのでありますが、現在インフレーシヨンの高進の過程におきまして、農村はすでに一種の金融恐慌が始まりつつあるのであります。昨年の秋の米價は他の物價に比して安かつたのでありますが、その上に持つて來まして農民の必要といたします諸物資の價格は、その後も引続き騰貴いたしまして、加うるに本年春農民にぶつけられて参りましたところの税金が非常に重かつたために、農民は一昨年或いは昨年に見ないような窮状に当面しておるのであります。すでに税金を拂うために家財道具や牛馬までも賣る農民が出て來ておるという、或いは又税金を拂つたあとで、もう田植を前にいたしまして、配給の肥料さえ買えない農民が続出しておるような状態であります。これでは農民は安心して食糧増産をやるどころではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)農業会の預金は、税金や肥料代金の支拂のためにどんどんと引出されまして、農村におけるところの枯渇は非常に甚だしい状態になつております。政府はすでに農業手形制度を設けまして、当面の肥料、農機具、農藥等の資金を心配することになつたのでありますが、このくらいでは農村におけるところの資金枯渇に一時的な應急的措置を実施したに過ぎないのであります。農村におけるかのような金融の梗塞は、日本農業の復興と発展を著しく妨げるに至つておるのであります。農業協同組合が法律の施行によりまして華々しく発足したのでありますが、組合一つ一つの自己資金というものは極めて小さい、満足の仕事をすることができないのであります。資金を外から借りようと思いましたも、貸すところがないという現状でございます。かような状態に至りまして、農業協同組合は初めから足踏みをしなければならん状態になつております。農村工業も、水利事業も、耕地整理も、土地改良も、災害復旧も、当面農業に対するところの長期金融の道は殆んど塞がれておると言つていいのでありまして、そのために農村のすべての復興事業が甚だしく行詰つておる状態にあります。このままに放置して置きますれば、農業経済及び農民生活というものは急速に悪化いたしまして、再び不安定な状態に陥りまして、日本の経済復興に対するところの大きな妨げとなることは必至なのであります。日本農業を新らしい基礎の上に発展さすためには、いろいろな根本施策が必要なのでございますが、だが、当面の農業金融の行詰りを打開することがその中で急務なのであります。私はこのために長期金融を主といたしますところの農林復興金庫を設置いたしますことが焦眉の急であると考える者であります。復興金融金庫に対しましては、すでに政府は数回に亘りまして莫大な出資をしております。復金がその運営上におきましていろいろな問題を起し、又非難すべき点も多いのでございますが、確かに今のめちやめちやに破壊されました工業を復活させるために大きな役割を演じておるのであります。政府は、農業方面におきましても、復金と同じような機能を持つところの、政府出資による農業復興金庫を設ける計画を持つておいでになるかどうか。大蔵大臣及び農林大臣にお伺いしたいのであります。
 次にお伺いしたい点は、中西君も言われた米價の差額金の返還の問題であります。政府は二十三年度予算の実施に伴う物價改訂において、米の消費價格を改訂する計画をお持ちのようでありますが、これは近く、できるだけ早く、少なくとも予算の実施と同時になさなければならないと思うのであります。この場合政府は差額金を農民に現金で返還する意思があるかどうかをお伺いしたいのであります。これは現金で返還するという方式を取らなければ、この差額金の返還という点につきましては、私は意味をなさんものであると、こういうふうに考えるのであります。この問題につきまして、すでに買上げたものにバツクパイすることはいけないという意見もあるのでありますが、供出制度の下におきまするところの米というものは普通の商品ではないのであります。又政府は昨年秋米價を決定する際に、農業生産及び農民生活に必要なる物資を公正なる價格によつて、適期に配給する約束をしておるのでありますが、かような点から考え、又バツクペイというものは、政府は官公廳の職員等の賃金、俸給につきましては常に行つておるのであります。農民は、政府が米価の改訂並びに差益金の返還につきまして公正なる措置を講ずるであろうと期待しておるのであります。若しこれが裏切られるといたしますならば、農家は物価改訂に伴う農家必需品の価格の高騰によつて一方では苦しめられることになる。そのために農民の生産意欲が低下いたしまして、麦、馬鈴薯の供出、更に本年の秋の米の供出に甚だ大きな影響を生ずるものと私どもは考えるのであります。そうして政府が農民より怨嗟的にならうとも考えられるのであります。政府は物価改訂に伴う米の価格を幾らぐらいにされるのか、この点についてお伺いしたいし、又現金で変換されるかどうか、その点も農林大臣の伺いしたいのであります。
 次に質問いたします点は、地方財政に関する点でございます。戦争中、戦時経済を賄うために、一切の経済力を挙げまして國家に集中しなければならなかつたのであります。地方財政の財源も亦目ぼしいものは、殆どすべて國家の手に移されたのであります。かようにいたしまして、今日地方自治体は、財政的なる独立を全く失つてしまい、中央政府の下に従属しなければならない状況になつておるのであります。戦後民主化の線に沿いまして、地方自治の確立のために、いろいろ制度上の改革が行われましたにも拘わらず、実際にはその実が挙がつておらない、その最大の原因は何かというと、実に地方自治体が財源がない、中央政府より財政的に独立しておらないという点にあるのであります。而もインフレーションの高進によりまして、地方財政も亦物件費も人件費も著しく膨張いたし、又地方自治法の制定によつて、いろいろなる所要経費が急増いたしまして、地方財政は極度に窮迫しておる現状にあるのであります。然るに、國民の大部分は、國税だけさえ今日の段階におきましてはなかなか背負いきれない状態になつておりまして、地方財政の新規財源を求めることは容易ではないのであります。このままで放置しておきますならば、地方財政は、都道府県も市町村も共に破綻に瀕します。地方自治の確立のごときは全く空文となりまして、日本の民主化は末端から崩壊するに至るのであります。本年度の予算におきましては、地方財政の面においては、事業税を創設いたしましたり、或いは地租、家屋税、住民税等の税率の変更、そういうものによりまして地方民の負担は相当増大することになつておるのでありますが、かかる地方税にも拘わりませず、まだ地方財政を確立するところの騒ぎではないのであります。四百五十何億円の地方分興税分担金を國家より受けておりますが、それでも足りませんで、二百余億円の地方債を起債しなければならないような現状になつておるのであります。現在國民の租税負担がすでに限度を超えておると思われるときに、地方財政の完全なる確立を今直ちに実現することは困難ではありましようが、併し政府はできるだけ速かに地方財政の確立を図るべく諸般の措置を講じなければならんと私は思うのであります。この点に関しまして、政府は地方財政の確立のために、單なる緊急対策ではなく、如何なる根本方針を持つておるか、この点野溝地方財政委員長にお伺いしたいのであります。以上を以ちまして私の質問を終わることといたします。(拍手)
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
#16
○國務大臣(北村徳太郎君) 岡田議員のご質問にお答え申上げたいと思うのであります。
 御質問の第一点は、今回の予算と通貨量の関係であつたと思うのでありますが、これは私はどういたしましても通貨の増発に対しては極力これを抑えるようにしなければならん。これは原則としてさようでございますけれども、併しこれを不法に又抑制してはならない。特に最近生産の約一割の増加があり、又今回の物価改訂に伴ないまして、通貨量は相当量増加しなければならんということは、これは必然である。かように考えておるのであります。その量が一体何程であるか、現在の日本の予算を執行し、又現在の日本の経済の事情において、通貨の適量を決定いたしますことは、極めて重大で、而も困難な問題でございますけれども、これは通貨発行審議会に諮りまして、急速にその諸規定を決めたい、かように考えておるのであります。私の概算では、一千億ぐらいの増加は、これは現在の事情においては止むを得ないのじやないか、かようにかんがえておるのでございます。又さようにいたしますことが、これが経済の均衡を図り、却つて経済の運行を助けるというような結果になるのであつて、すなわち通貨の増発が、内容的に見まして、只今生産の一割の増加がある、物価の改訂せられたこの限りにおいて、適量の倍加を見ることは、インフレーションを促進することに相成らん、かような考え方から、通貨発行審議会等に至急にその事について検討をしてもらいたい、かように考えておる次第でございます。
 第二点は、只今の賃金、物価等から、この予算が実際貫きうるかというような御質問であつたと思うのであります。この事につきましては、賃金ならびに物価というものが、このままでいけるかどうかということが大きな問題でございますけれども、これは私共は現在の賃銀にいたしましても、どうしてもこれに対して裏付けを保護する方法を講じなければならん、これに全力を挙げまして、今まであつた賃金、物価の悪循環を避けること、又一方それをいたしますためには、どうしても外資の導入ということが必要でございまするし、従つてかようなことを全視野において考えまして、裏付けをする実質賃銀的の考え方によつて賃銀の保障をするということにより、この限度でこれを押したい。尚若干の価格調整に関する予備金等を持つておりますので、追加予算は出さない方針で、これで行きたい、かように考えておるのであります。
 それから次に外資に関していろいろお説がございましたが、これは極めて同感でございます。只今のところではガリオアファンド下により、或いは政府対政府のクレジットでございますが、これは漸次民間の資金導入にも移行して行くべきでありまして、さような方向に我々は努力しなければならん。併しながらこれがためには先程お取上げになりました、やはり物価賃銀の問題があり、國内にはいろいろ経済不安の除去に努力すべき方面が少くないのであります。而もそのことたるや容易でございません。尚又一連の問題として賃銀の安定を図らねばなりません。通貨の安定を図るためには、いわゆる財政支出からするインフレーションを極力抑えて行かなければならん。このインフレーションの進行速度、或いは進行の現段階、インフレーションの実体等についての見方はいろいろあると思います。けれども、私共最近の物資の現状、それから通貨の現状等から考えまして、インフレーションが非常に悪くなつておるとは思つておりませんのであります。勿論これは見解がいろいろあると思いますけれども、私共は只今徒らに楽観はいたしませんけれども、今の段階において我々が一つうんと頑張つて努力をいたしまして、この企業の能率化、その他諸般のことをいたしまして外資導入の受入態勢というものを疑えますれば、こういうことを機縁として、私共の考えております安定の方向へ向うということだけは、これは望み得るのである、かように考えておるのであります。それから通貨改革の問題でございます。これはヨーロッパ諸國においていろいろインフレーションに悩まされて、その結果として産み出されたいろいろの事実については、私はこれを一つの非常に大きな参考若しくは教訓として取入れて研究することに吝かでないのでございますけれども、日本の現段階において、これは先ほど申上げましたインフレーションの進行をどう見るか、日本インフレーションの事実をどう見るかと言うことと関連致すことと思いますけれども、私どもの見解においては、ただいま通貨に手を漬けると言うことはその時でない、又日本の現状においては外資援助と言うことが非常に重大な要素をなすのでありますけれども、さればと申しまして、一挙にして日本の現状が國際経済につながるものでもない、これは漸次その方向に向けるといたしまして、能率水準を世界水準に直ちに結び付け、あるいは物価水準を直ちに世界水準に結び付けると言うことは容易なことではありませんので、かような観点から、漸進的に漸次調整を試みると言うような行き方であり、また従つて急激な社会不安を醸成するようなことは極力避けねばならん。かように考えておるのであります。これで今の事情では、私は今國内において国内的に通貨改革を行うと言うことは、却つて通貨に対する不安を助長して結果としては、これは却つて逆効果になる虞があるじやないか、かように考えておりますので、ただいまのところ通貨改革を行うと言うことは考えておりません。ただ将来の問題としては、先に申しましたような方向で十分研究は致したい、かように考えておる次第でございます。
 それから最後に農林復興金庫の問題でございます。殊に農村金融に関して重大関心を持たねばならん、これは只今の岡田議員のご意見と全然同一でございまして、この点には今後もう少し突つ込んで研究を進めたい、但し農林復興金庫と言うようなかたちでやることは、果たして農村金融を円滑にするかどうかと言う点では、私個人としてなお若干の疑問を持つております。この点十分検討致したいと思います。形はともあれ、農村金融の円滑化に努力すると言う点では十分今後ともこれをつづけていたしたい、かように考えている次第でございます。
   〔國務大臣野溝勝君登壇〕
#17
○國務大臣(野溝勝君) 岡田議員にお応え致します。岡田議員の御質問の骨子は、地方財政の現況から見て、将来これでは維持育成ができないではないか、今後如何様にこれを運営し、如何様にこれを処理しようと考えているか、かような質問のように拝聴致しました。岡田議員のお話の通り地方の自治体は、昨年自治体が生まれまして、一応骨組みはできたのでありますが、それに対する肉付けとして財政の裏付けができておらないのであります。よつて、これがためその財政の裏付けをするために、地方財政委員会と言う機関ができました。これによつて中央地方に財政調整の措置を取ることになつてきておつたのでございますが、それが以前として今日その目的が達成されないことをここに如何とするものであります。言うまでもなく、地方の財政につきましてはご存知のごとく昨年度においてすらも、百七十余億の起債と、それから約五十億近くの借入金によつて、どうにかそのつじつまをあわせた始末でございます。かような始末のしたにおいて、果たして自治体の確立ができるかどうかと言うことについてはまことに遺憾に感じますので、そこで財政委員会と致しましては、本年度における財政対策と致しまして、二つの理由をたててこれが対策に当たつたのであります。特に本年度に置きましては、六・三制の費用の増額、あるいは公共事業、あるいは災害等の復旧対策などの諸予算が増大致しまして、これに対する新たな計上をしなければならんことになつて来ておりますので、昨年度に置きましての約九百億の地方財政の予算と言うものはいやがうえにも倍加致しまして、千九百九十九億という二千億近くの予算を計上せざるを得ないことになつたのでございます。これに対しまして、地方財政委員会と致しましては、まず対策の一つとしては、地方財政の自主化の問題、それから特に現在の経済の事情に即応致しました財政確立、この二つの観点から、種々研究致しましたけれども、如何せん、現在の地方財政の下に置きましては、ご存知のごとく、何といいましても独立財源というものはないのであります、好むと好まざるに拘わらず、中央からの財源を移譲してもらうか、さもなければ自主的に独立新税というものを作るか、あるいは税率の変更をするか、その以外には財源の方法をがないのでございます。しかるに以下二つの問題に対しましては、おそらく財源はありません。第一の中央の財源から地方に委譲してもらうという方法よりないのでございます。そこで特に地方財政委員会と致しましては、間接的な税金で地方の人民と密接の関係のある酒、煙草の消費税、及び入場税というものを委譲してもらいまして、二十三年度のバランスを取るべく考えたのでございますが、これとても入場税の一部が移譲されただけでありまして、計上しておりました約二百四十億を予想される酒・煙草の消費税というものは、財政委員会の目的を達することができなかつたのでございます。かくては、せつかくの教育費問題に致しましても、あるいは自治警察の問題に致しましてもあるいは公共事業の問題に致しましても、今日その解決に対しましては非常なる不安を持つておるのでございます。起債に置きまして、二百五十億の起債は許されましたけれども、新経常費五百億をまかなつていくのには余りにも少ないのでございまして、今後の地方財政と致しましては、実に至難の道を歩まなければならんことになりました。特に岡田議員の仰せになりました通り、自治法という日本民主化の基礎的法律ができたにも拘わらず、それに対しまして、積極的なるところの裏付けを仕様としない現在の…(「愼劍に魂を入れろ、魂を」「空漠である」と呼ぶものあり、笑声)現在の政治感覚においては、まことに所管大臣として遺憾に存ずるのでございます。以上を以つて答弁と致します。(拍手)
#18
○議長(松平恒雄君) 永江農林大臣及び栗栖國務大臣は、ただいま司令部方面に赴いておりますから、後に適当な機会に答弁する趣でございます。これにて本日は延会致したいと存じます。御異議はありませんか。
   〔「異議無し」と呼ぶものあり〕
#19
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次回は明日午前十時より開会致します。議事日程は決定次第広報を以つて御通知致します。本日はこれにて散会致します。
   午後零時二分散会。
ソース: 国立国会図書館
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