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1947/06/11 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第48号
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1947/06/11 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第48号

#1
第002回国会 本会議 第48号
昭和二十三年六月十一日(金曜日)
   午前十時二十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十六号
  昭和二十三年六月十一日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第四日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(松本治一郎君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りすることがございます。昨日羽仁五郎君より理由を附して、文教委員辞任の申し出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(松本治一郎君)  御異議がないと認めます。つきましてはその補欠といたしまして藤田芳雄君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○副議長(松本治一郎君) 昨日の岡田君の質疑に対し、農林大臣より発言を求められております。この際許可いたします。永江農林大臣。
   〔國務大臣永江一夫君登壇、拍手〕
#6
○國務大臣(永江一夫君)  昨日の岡田君の御質疑の際には、止むを得ざる用件のために欠席をいたしておりましたので、この際改めて私から御答弁申上げます。
 お尋ねの農村の金融の問題でありますが、只今全國的に各地の農村におきましては金融が非常に逼迫いたしておりますることはお示しの通りであります。從つて政府といたしましては、これが緊急対策並びに根本対策につきまして種々協議をいたしました。そうしてご承知のように先ず当面の緊急対策といたしまして、農業手形の処置を取つたのであります。この農業手形も最初は肥料につきましてのみその適用範囲を決めたのでありますが、漸次その範囲を農薬、農機具等に拡大をいたしまして、可なりこの手形の発行によつて東北、北海道地方においては相当な効果を収めておるのであります。今数字によつてこれを御説明申上げますと、大体農業手形に対しまするつなぎ資金融通実績を見まするのに、五月三十一日現在で北海道におきましては三億八千九十五万六千円を融通しておるのであります。青森縣におきましては三千二百九十六万四千円、福島縣におきましては一千万円、合計四億二千四百九十二万円であります。更に農業手形によりまする資金融通額は、農林中央金庫の三割引の分について見ますると、これ亦五月三十一日現在で山形縣は三十八万五千円、秋田縣におきまして三百二十九万五千円、計三百六十八万円であります。併しながらこれらの金融額を以ていたしましては、到底十分でありませんので、政府におきましては、この根本対策といたしまして、特に原始産業でありまする農業、水産、林業等につきまする農業復興金庫等の措置を取りたいと思いまして、その具体案を鋭意考究中であります。以上お答えを申上げます。(拍手)
     ―――――・―――――
#7
○副議長(松本治一郎君)  日程第一、國務大臣の演説に関する件(第四日)。これよりさくつじつに引続き、國務大臣に対する質疑の発言を許します。川上嘉市君
   〔川上嘉市君登壇、拍手〕
#8
○川上嘉市君  私は緑風会の代表といたしまして、これから本年度の予算に関連した種々の問題について質問をいたしたいと思います。質問の個條が非常に沢山ありますので、簡単に結論を主として述べまして、理由だとか、或いは議論については極めて簡單にいたしますからして、さよう御承知置き願いたいと思います。
 第一には、三千七百円の賃金ベースであります。この給與が呑まれるか呑まれんかということは本年度の予算をして單に描ける看板のごとくするか、或いはこれを本当に予算たらしむるかの分岐点であると考えます。そういう意味において、仄聞するところによると、或るその筋からして、一体この三千七百円は守り得るかどうか、これができなければ根本から崩れてしまうというような念を押されたという話を聞いております。それに対して政府が本予算をここに提出いたしましたについては、これを必ず守り得るという確信があつて出したものと考えられるのでありますが、その論拠は、どういうふうな方法でやるかという実際の確信、その政策、これについて御説明を願いたいと思うのであります。
 第二には、予算計上のいわゆる七割の、現在の値段よりも七割物價を値上げする、こういう基礎の下に本予算が成立しておるのでありますが、ところが昨年の実際の例を見まするというと、この物價改定のために引上りました物價が可なり多くありまして、却つえ政府の物價改訂のために、物價を安定するというよりもむしろ引上げるという、政府自身が物價引上げの張本人であるかのような結果に終つたのでありまするが、そういう意味から申しまするというと、私は本年度のいわゆる七割の物價値上げというような、こういう予算が果して守り得るかどうかということについて甚だしき懸念を持つものであります。そういう意味からして、この予算の七割値上げの維持、物價維持については特に何かの確信がなければ、この予算が先程申しました通り、空に帰するということになるのであります。これについて政府の確信を一つお尋ねしたいと思うのであります。
 第三には、以上二つの問題と関連いたしまして、若しこの物價の基準並びに賃金のベースというものを維持することができないならば、その結果たるや、必ず又或る時期において追加予算を要するということになりはせんかと思うのであります。私の常識的のの判断によるというと、恐らくは今年の或る時期になりましたならば、昨年と同様に、昨年は約四割の追加予算を中途から出したのでありますが、やはりその程度の追加予算は、或いはそれ以上の追加予算は必要になるのじやないかと感ずるのであります。昨年他の議員の質問に対して、政府は追加予算を出す意思はないと、こういうふうなお答えをされましたが、それについては、どういう方法を以てやるが故に、この追加予算を出さなくてもいいという、その具体的な案をお示し願いたいと思うのであります。
 第四には、企業整備であります。物價を安定するためには生産を殖やさねばならん。その生産を殖やすことに対する政府の今までのやり方が、いわゆる企業整備なるものは賃金の整備、例えば増資をする、そうして自己資金でやり、借金をなしにしよう、こういう一つの政策もあるし、又財閥解体というような、今までの資本系統を変える、整理すると、こういうことが大体企業整備の主なるやり方であつたのでありますが、これだけでは決して産業は立直るものではりまんせん。こういう意味からして、本当の整備というものは経営の悪い、当然倒れるものなら、むしろ倒れさす、そうして本当に経営が眞面目であつて、眞に能率的の経営をなすものを本当に生かして行くという、こういう方針でなければ、到底産業の立ち直りはできないと考えるのであります。これらに対して商工大臣その他関係の大臣方に、どういうふうな案を持つていらつしやるか、そのことをお尋ねしたいと思うのであります。そうして尚この産業を保護するためには、いわゆる企業の意欲というものを増進しなければならん。ところが今日の法人税というものは非常に高過ぎる、例えば俸給所得者、賃金の所得者、給與に対する所得税というものは税率が非常に高い。これは今度政府が改正するという御意見のようでありますが、只今の状況でもうしますというと、三十万円以上の勤労所得に対しては税率が八二パーセント、八割二部税を出さなければならん。十万円所得があるといたしますと、一万八千円しか手取にならん、非常に重い税であります。それに対して、一方において言えば、銀行の金利というものは今日歩二銭八厘、これは年に換算すると一割ニ厘ニ毛、こういうふうな高率になつておる。又先程勤労所得税のことを申しましたが、法人税がやはり非所に高くて、殆んど高い配当をすることができないようになつておるのでありますが、若し今日のごとく銀行に預けて一割以上の利廻りになる、そうして経営をやりまして、殊に今日のごとく労働攻勢のために始終不安を感じつつやつておる。その事業が僅かに一割にも足らん、或いは大部分のものが無配当という状況では、到底企業意欲というものは起り得ないのであります。そういう意味において法人税をうんと下げる、こういうふうなこと、そうして本当の企業意欲を起すべく、いろいろな方策を講ずることを政府にお願いする次第であります。これらに対して当局のお考えを伺いたいと思うのであります。
 それから次には、大口の利得者に対する税であります。この課税が今日非常に不均衡になつております。そうして非常に軽過ぎる。先程私が勤労所得に対する税のお話を申しましたけれども、いわゆる大口所得者、闇所得者に対する税というものが非常に少いのであります。例えば私が一つの例を申上げますが、繊維を織ります織物屋、この織物屋に対する税というものは非常に軽い。只今闇の織物に対する税というものが、機会一台について、愛知縣の或る地方なんかでやつております実例を調べた結果でありますが、織物一台について年の利得が、利益が八十万円くらいになつておるのであります。それに対して税率は約三%、静岡縣におきまして、税務署において査定いたしました税は、織機一台について三万円であります。愛知縣においてもつと低い。静岡縣において三万円。片方においては勤労者に対して八割二分、片方は三%、その差は二十六分の一しか税を出しておらん。而も遥かに所得は大口であるということになりますと、税負担の能力ある者が非常な軽い税でやつておる。それでは本当の税というものは集まらないのみならず、そこに國民の間に非常な不均衡を來す結果となるのであります。この税率を、つまり大口所得者に対する税率を、殊に各縣において非常な差がある、こういうふうな不均衡に対して、どんなお調べになつておるか、それをお尋ねしたいと思います。そうしてこれを是正することを私は要求するものであります。
 次は物價改訂の根本の方針であります。この方針がどういうふうに決まつておるか。これは個々については新聞にいろいろ発表されておる。例えば本日石炭の價格決定の基準が発表されております。そういつたようなことが、予算を編成するに当つて、平均に七割という値上りを見ておるのでありますが、その根拠、つまりどういうものに対しては、どういうふうにやると、こういうふうにもう少し具体的にお知らせを願いたいと思うのであります。実は政府のやり方が非常に機械的でありまして、本当の原價計算というような、價格を決めるには、どうしても原價計算の基礎に立たなければならんのでありますが、それをやつておらん。その証拠には、あとで申上げますけれども、例えば私鉄、私設鉄道、これに対する料金は、新聞で皆さん御承知のことでありますが、その約七割五分程を均一に全部値上げするように通牒を出した。ところが、その私鉄会社の中には非常に儲かるものがあり、非常にと申しますと何ですが、とにかく配当をしつつある会社が沢山ある。それに持つて行つて七割五分の値上げをやりますと、私の調べたところによると、大体鉄道会社の賃金收入、運賃收入なるものは、大体建設資本に近い程あります。そういうところに若し七割五分を、今日でも相当の利益あるものへ、七割五分程追加いたしますならば、殆んど資本に近い利益が直ぐに浮び上つて來るという結果になる。一方においては非常に損失続きの、赤字続きの会社もある。それに持つて行つて、均一に七割五分値上げするという考では当を得ておらんものと考えます。実は前内閣が物價改訂につきまして失敗をした。その失敗をした理由は、やはり均一に六十五倍のマル公を設定するという、今言つたようなめちやめちやをやつたその結果であります。若し今回の本予算におきましても、同様な失敗をやることになりますれば、甚だ國のために遺憾であると考えますので、この点について特に注意を促し、且つどんな方法によつてやられるか、或いは或るものによつては下げなければならんというような結果があると思いますが、この物價改訂の根本の方策についてお尋ねしたいと考えるのであります。
 それから料理業というものが今禁ぜられております。表面に禁ぜられておる。ところが実際は、例えば旅館の看板をかけた料理屋が沢山ある。そうして毎日それが満員であるということを聞いております。而もその料理の料金が非常に高い、こういうことはもう周知の事実でありますが、而も表面で止めて置いて、実際に殆んど監督しない。それでは実は予算委員会で以て私はそのことも質問したのでありますが、そうすると、政府の答弁が、それらに対して相当の税を掛けているから大体同じことだ、こういうような意見でありました。つまり物價に対する今日の上下を通じての誤つた考えは、税を取ればそれで同じだという考えであるが、それは消費者を無視した議論である。非常に安く買えるべきものを高く買わなければならんということは、消費者側の犠牲であります。例えば、この間或る紡績会社の社長に、繊維製品が高過ぎるという話をしたところが、大部分は税に取られるのだから儲かつても同じことだ、又繊維製品は非常に高過ぎる、闇値段が、普通のものですと二倍から三倍くらいでありますが、繊維製品は約百倍から二百倍くらい、一つの例を申上げますと、綿糸の一梱のマル公が二千円であります。それに対して、闇の綿糸一梱四十四五万円、二百四五十倍、なぜこんなに高く買うか、こんなに高く買つても儲かるからであります。そういう点からいつて、こんなべらぼうな闇値はないというような話をしたところが、その紡績会社の社長が私に、どうせみんな儲かつたつて税に取られるのだから同じだと、私はその人を面罵した、あなたは何を言うか、成る程税についてあなたの懐ろは大して差異はないかも知れませんが、買う方こそいい迷惑だ、二百分の一で買えるものを二百倍に賣付けられる者はどうするのだ。この頃自分の孫を或る女学校に付属した小学校に入れた。そうすると、そこの制服だとか或いはいろいろな支度が一万円以上掛かる、優に昔の嫁入のできる値段だ。それが繊維製品の高いのが主なる原因である。そうういう点からいうと、二百倍に賣付けたつて、買う人を一切無視した議論からいえば、税を出せば同じだということが言えるけれども、國民こそいい迷惑であつて、八千万の國民は二百倍の品物を買うべき理由は一つもない。そういう意味からして、料理屋なども同じでありまして、税を掛けるからよいというような考えは一切捨ててしまつて、一般消費者のためを思うということが國の政治であると思う。かの第一次ヨーロッパ戰争の後におきまして、アメリカでは贅沢を止めるという意味から、一品料理をずうつと励行しました。そして日本の軍縮の全権がアメリカに行きましたときに、大統領の公式の招待会のときにもやはり一品料理であつたということを、その当時の記事で以て我々は承知しております。今、日本はこれだけの窮地にある際に、贅沢な一晩三千円、五千円、一万円するというような料理を平氣でやらして置いて、そして税を取るからいいというように考えておることは、非常に國家的に考えて間違つていると私は思う。料理業も一つの生業である以上、これを許す。但しその代りに、一品だとか、二品だとか、或いは價格に制限を付ける、それを嚴重に守らせるということが正しいやり方であると考えるのであります。そういう意味からして、料理業も或る制限の下に許すべきものであると考えるのでありますが、これに対する政府の御意見を伺いたいと思います。
 第八には、官吏の綱紀粛正の問題でありますが、これは御承知の通り、私が今日その例を申上げるまでもなく、説明するまでもなく、殆んどいろいろな問題について、官吏の綱紀が非常に紊れておるということは世間周知の事実であると考えます。これに対して政府の取締というものが殆んど私共実際眼に見えたことがない、何をやつておるかというような感じを持つのであります。監察制度があるのでありますが、その監察制度が今までにどんなふうな活動をしておるか、そして又その結果どんな効果を挙げておるかというようなことについての詳しい御説明を願いたいと思うのであります。
 それから次には、医療費を下げるということ、これは今度物價改訂について是非考えて頂きたいのでありますが、医療費は、実はこの前の内閣の一般の物價と同じように、六十五倍に大体なつております。ところが、その六十五倍が非常に間違つていおる。なぜ間違つておるかというと、いわゆる原價計算という立場から申上げますると、ここに一つのものが一つに働く場合と、一つのものが十にも百にも働く場合と、その原價計算を変えなければならん。例えば最も分りやすい例を申上げますと、ラヂオの元の放送が一つである、聴き手が一万人であろうが、百万人あろうが、千万人あろうが、この放送の費用は全然同じであります。それを沢山で以て分担するときには、その分担する聴取者の数が多ければ多いほど聴取者の費用は安かるべき筈である。例えば映画館のようなものも、一つの映画で以て何人も見られるというようなときには、原價が同じものを大勢で分けて見るときには、費用は少なかるべきはずのものである。だからして、お医者さんというような、一人で以て一日に十人も二十人も三十人も診られるというような者に対しては、同じ六十五倍でやるということは根本において間違つていおる。現につい最近でありますが、私の家内が浜松で以て歯を治療したところが、一本の歯に二千五百円も取られた。こういうようなことで、若し政府が三千七百円の賃金ベースを維持させようとするならば、どう考えて見ても、國民の健康を保持すべきこの医療が、今日歯を一本治して二千五百円も取られるという状態で、どうして三千七百円でやつて行けるかということになりますと、政府が若しこの三千七百円というものを堅持しようという決意があるならば、この医療費を下げるべき義務があると私は考えるのであります。そういう意味からして、医療費を是非下げるようにして頂きたい。
 それから第十に、先程申しました私鉄運賃の値上げでありますが、先程申しましたように七割五分の値上げ、これだけでもすでに私は不当だと考えております。それは或る会社によつては勿論上げてよいものもありましよう。或いはそれ以上に上げてよいものがあるでありましよう。この間実は予算委員会で以て、政府委員に、この七割五分上げてこれで終いかということを聴いて見ると、まだやるのだと、こう言う。併し今後上げましたときに、又均一で以て幾ら上げるということになりますと、非常に不均衡を來しまして、現に今日でも、これは私運輸省で調べて貰つたのです。今日でさえも、すでに二十二年の上期において、利益配当をしておりますのが二十一社、未配当が百二十五社、下期になると、利益配当をしておりますのが三十二社、配当しないのが百十四社、こういうような状況でありました。これへ持つて行つて均一にやるということは、いわゆる味噌も糞も一緒にやるということでありまして、例えばマル公におきましても、外のマル公で言うと、木材の價格を決めますときに、ずつと昔戰時中でありましたが、マル公を決めたときに四十万種類程値段がありました。厚さだとか、長さだとか、木材の種類だとか、そういうようなことで四十万種類程ありました。そういうような点から言うと、してう私鉄会社が百五十か二百ありましても、それの個々についての原價計算は何でもない。そういうことについても、將來どういう値上げをなさるつもりか、これの後で追加なさるというお考えであるようでありますが、これについて伺いたい。
 それから次は國鉄の問題でありますが、國鉄の運賃に関係するのでありますが、國鉄の経営が非常にまずいと、こういうことは、実は私共この間予算小委員会で以て二時間ほどの説明を聴いて、その説明の結果、私がここに申上げる國鉄の問題は三つ程あるのでありますが、その收穫であります。第一に、國鉄と私鉄の運賃とか経営の状況でありますが、先程申しましたように、私鉄の方は昭和二十二年の上期から下期に段々に成績が向上しておるけれども、それに拘わらず國鉄の方はますます惡くなる、こういうことについては、國鉄の方に経営の何か落度があるに相違がないと結論せざるを得ない。それにも拘わらず政府が「國有鉄道の赤字の原因と運賃の値上げの必要性」というパンフレツトを我々に下さいました。それを読んで見るというと、政府がこういうわけで損をするのだ、赤字になるのだというのに、皆自分の過去、鉄道の経営の下手さ、その自分自身の、何年にはこうだ、何年にはこうだという比較だけであつて、他と比較して見て他山の石とすべき他のものとの比較が一つもない。そうして自分の過去を比べてこう言つたところが、私はそれを信ずることができないのであります。現にそういう非常に不合理な数字が沢山ありますけれども、今日は時間がありませんから申上げませんけれども、要するに、國鉄の経営というものについてもう少し反省する必要がある。つまり今じり貧式になつて、段々にこう惡くなつて行く。片一方の方は…段々良くなつておるものが若しはたにあるならば、それをもう少し研究して見て、経営を根本的に改める必要があると考えるのでありますが、これを一つ当局の方に御答弁願いたいのであります。
 次に石炭カロリーの問題でありますが、予算委員会で以て質問したときに、政府委員会の話によりますというと、石炭のカロリーによつて非常に消費量が違う、それで五千カロリーというのと六千カロリーというのと比べて見るというと、六千カロリーのものを使うと八割節約できる、こう言うのであります。それは何故かとくと、私はそんなことは信じられん。八割節約ができるということは五分の一で済むということになる。政府で使つておる六百八十万トンの石炭が僅かにその六分の一、百何十万トンで済むというこんな耳寄りの話しはない。そういうことはあり得ないと思う、こう言つたのでありますが、二人の政府委員がおりまして、二人ともそう聴いておる。そういう話であります。どういうふうに試驗したんだと聴いて見ると、鉄道は試驗所で以て試驗して見た結果そうなつておるのか。まだ本当にはやつて見ていないと言うのです。いつやつたかということは、今日お伺いするについて、六月五日の委員会で、本会議で以て質問をするからして、その調べをして呉れ、いつ一体その試驗をした、試驗所でいつ幾日試驗をしたか。これは何でも数ヶ月前のように聞いております。そうすると、数ケ月前に直ぐその試驗をやつた。そうして六千カロリーの石炭を使うと五分の一で済むというような‥‥これは間違いであつて、間違いに相違ないと考えますけれども、二人が聴いてそうだと信じておるのでありますから、それならば何故やらんか。私共若しこれを数字的に申しますというと、六百八十万トンの石炭で以てそれが八〇%節約できますというと、今度の價格改定、今日の新聞の價格改定によりますと二百二十一億円、その中の八〇%というと百七十六億円、これだけ節約ができる。そうして今度値段をカロリーの差によつて変えますから、そのカロリー差が千カロリーについて三%乃至四%半、私は四%と仮定して、百カロリーごとに四%値段が上がると仮定して、そうすると千カロリーの差があるというと、價格差が七十億円、だから百七十六億円節約して、その中で七十億円引きますというと、それでも百六億円の年に利益があるという結果になる。これはその数字が多分誤りと思うのでありますが、併し私がここに申上げたいことは、つまり当局の経営者が、そういつたような非常に我々が信じられん程のそこに利益があると、こういうことを言つても、それを直ぐ私達、我々事業に從事しておる者は即日必ずそれを直ぐ試驗をする、私達の試驗所で以てやつたことがこういうふうになつた、牽引車もあれば、機関車もあるし、そこで以て実際に運轉して見てやるとすれば直ぐ分る。それを聞き棄てにして、その損というものは、今日の鉄道の赤字を殆んど埋める程の大きな、それほど耳寄りな話でありますが、誰も放任して一つも手を着けん、こういうようなことが全体の國鉄経営にあるならば、我々はむしろ國鉄の赤字というのは当然であると考えるのであります。そういう点について、一体果してそんな節約ができるや否や。それから又いつその試驗所で試驗されたか。そういうことを御答弁願いたいと思います。それからこのカロリーについてもう一つ、さつきの赤字の原因の説明の中にありましたけれども、即ちそれは石炭のカロリーによつて効率が非常に下るというのですが、昭和十一年に使いました石炭は六千四百四十カロリー、それで列車一キロ当りの石炭、それを皆指数で現わしたものがあります。一〇〇である。そうすると、昭和十五年に六千三百二十カロリーになつておつて、百二十カロリー下つておる。それは一一六消費しておる。それが昭和二十一年には五千三百九十カロリーになつておる。その消費計数が二二六、二倍二六になつておる、こういうふうな指数が出ておる。そうすると、これはさつき言つた数字は非常に間違いがある。八割節約できるなんということは非常に間違つておる。それから又十一年と十五年と比べると、六千四百四十が六千三百二十というように百二十カロリーしか違つておらん。それにも拘わらず殆んど一一六である。片方の方は一〇〇、他方は二二六というのは、その差が非常に少な過ぎる。むしろこういうふうなことをずつと考えて見るというと、この数字というものは非常に杜撰でありまして、本当の正しい判断をしておらんような感じがするのであります。そういつたような意味から、私はこの國鉄の本当の経営につきましては、もつと本当の経営というものに対して、それの健康診断をやつて貰つて、もつと本当の経営をするようになさつたらどうかと考えるのであります。
 それからもう一つ、教習所というものが鉄道の中にあります。その教習所というものは、どういうものかといいますと、いろいろ技術的の問題とか、そういうものを教えるために補助的の教育をするためにできておるのでありますが、その中に専門部、中等部というような三年間そこで以て勉強する、教習するというような制度もあるのです。教習所の費用というものがどれだけあるかと申しますと、官吏給料として七千六百万円、手当て、給與当が二億六千六百万円、合計して三億四千二百万円、これだけある。それでこれはどういうのかというと、昔の、今から四十年程前に、これができましたのは、明治四十二年にできたのと、四十三年にできたのと、それが大部分である。今から約四十年程前のまだ中等学校も技術の学校も非常に数が少なかつた時分に、技術を自分で教え込むためにできた制度でありますが、それが今日どうかといいますと、中等学校、専門学校を出た者、卒業生が巷に溢れておる。そのときに四十年前の制度をそのままやつておりまして、而もこれは全部官費であります。官費である上に皆全部給料を貰いながら勉強しておる、こんな不合理なことが今頃あるかと思つて非常に驚いた。併し見まするというとに今年度においてさえも、すでにこれだけの予算の緊縮を要する時代におきましても、又千二百五十人新たに募集しております。これで國鉄が節約したということは、これは信じられん。こういうものは須らく即時廃止するようにしたいと考えるのであります。これに対する当局の御答弁を求めたいと思います。
 それから最後にもう一つだけ申します。これは先程申しましたように、学校に子供を入れても非常にその経費が高い。尋常一年生に、昔の立派な嫁入の支度程掛かるというようなこの時代において、学用品というものが非常にやはり高いのであります。これをできるだけ安くして、國民が少くとも自分の子供を教育するのに非常に生計の方に喰い込まないように、できるだけ負担を軽くしてやるということは当然であります。そういう意味からして学用品の資材を、只今資材の配給の順位が丙になつておる、少くとも乙にしてやつたらどうか、そうして成るべく國民の教育の機会をすべてに均等にやらせたい、こういう考えであります。以上私の質問を終ります。(拍手)
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#9
○國務大臣(芦田均君)  川上君の質問にお答えいたします。
 最初に價格改訂の根本方針はどういう点にあるか、給與水準を三千七百円と定め、公定價格の値上げを概算して七割の程度に引上げるが、果して将來三千七百円ベースが維持できると思うか、又公定價格の値上げ七割を以て、果してこれで價格水準が守れるかという御質問でありました。政府の処置は、インフレーションの克服のために、物價と賃金の悪循環を断ち切ることが何よりも急務である。併し現状の公定價格を以てしては、各種の産業に生産阻害の働きをなしておることは明白でありまして、石炭にしても、肥料にしても、農産物にしても、現在の公定價格を以てしては生産の増加を期することができない。かような状況に鑑みて、インフレーションの克服の根本の原則である生産増強のためには、この際適当な價格の変更を加えなければならん。物によつては無論捨て置くものもありましよう。物によつては公定價格を外すものもできると思います。すべては根本において今日の実情に即した價格の改訂を行わなければならん。その價格の引上げに伴う給與水準をどこに置くかということについては、それぞれ周密なる調査を行いまして、科学的の方法によつて三千七百円ベースを案出いたしたのであります。その細かい化学的の検討の内容につきましては、所管大臣なり、或いは政府委員なりより尚詳細にお答えいたすことにいたします。次に追加予算を出さないと政府は言つておるが、果して追加予算を出さないで行けるのか、どうしても追加予算を出さざるを得ないようになると思うがどうかという御質問でありました。その点については、私の了解いたしました限り、川上君の御意見は、政府が定めておる三千七百円の給與水準は所詮守れないんだ、價格改訂の新らしき基準も守れないであろう、故に追加予算を出さざるを得ないではないかと、こういう御議論であつたと思いますが、政府としては三千七百円ベースをどこまでも守り、新しく改訂したる公定價格は嚴重にこれを維持して行くという見解の下に、すべての予算案を作つたのでありまして、そういう考え方からすれば、この予算において差当り追加予算を編成しなければならないような状態には立ち至つていない、かように考えておるのであります。但し昨年度(「できるものか」と呼ぶ者あり)のごとく夏及び秋において、不慮の災害によつて、相当の追加予算を組まざるを得なかつた事情もあります。従つて今後不慮の、今日予期し得ざる種々の必要とする事情が起つた場合に、追加予算を出すということは、当然止むを得ないところでありまして、今日追加予算を出さないと申上げたからといつて、絶対に追加予算は出さなくて済むかという御質問に対しては、かかる予期し得ざる事態の発生した場合に追加予算を出すことは、これはいたし方ないことである、かように考えておる次第であります。(「遁辞」と呼ぶ者あり)
 更に又官吏の綱紀粛正についてもいろいろ御指摘になりました。政府としても、今日官吏の綱紀粛正を十分に断行しなければならん、その考え方については、川上君と全然同一に考えております。これに対しては、悪質の者については、法律の規定に従つてこれを処罰する、更に軽徴なる者については行政的な懲戒処分を取り、積極的に國家公務員法の精神を十分に彼らに自覚せしめて、かかる官紀の紊乱の一日も速かに矯正せられんことに全力を挙げる考えであります。その問題に付随して、行政監察制度の今日まで挙げた成績はどういうふうであつたか、如何なる活動をしたかという御質問でありましたが、昨年九月初旬に設けられた行政監察制度は、予期以上の好成績を收めたと考えております。本年四月末日に行政監察委員会から提出された廣汎なる報告書は、政府においてもこれを檢討いたしまして、各省に亘りそれぞれの意見は、当該官聴の首脳者にこれを交付いたしまして、行政監察委員会の報告書も謙虚な態度を以てこれを檢討するように命じて置いたのであります。尚この問題につきましては、本日この席で政府委員より今少し詳細なる結果の報告を申上げるつもりでおります。
 更に料理屋の闇の横行及び繊維製品に対する闇取引の状況等について、種種詳細なる御意見を発表せられたのであります。政府においても一日も早く闇行為の断絶するがととく取締りを励行いたしたいと考えまして、従来の方針に従つて、闇取締りに相当の力を盡しておるのであります。併しながら御承知のように世界の國々の状況を御覧になりましても、闇を断絶することによつてインフレーションを克服し、経済生活を軌道に乗せて再建するという仕事は、國民のすべてがその現実の事態を直視して協力するにあらずんば、容易に成功しなかつたということは、第一次世界戰争以後の各國のインフレーションの歴史に照し明白な事実であります。現に、今日の世界の状況を見ましても、極端に闇の横行しておる國と、比較的闇の行われてない國がある。それぞれの國の事情にもよりましようけれども、一つの大きな相違を生ずる根本は、その國民自体が如何に遵法精神に富んでおるか、如何に民族再建のためにまじめに考えて、一つの方針に精力を集中して、國民協力の態勢を取つておるかということが、その岐れ路であると私は考えております。イギリスの経済状態と雖も、決して闇の横行に適当な畑でないとは言えません。にも拘わらずあの程度にイギリス國民が闇を克服しているというころに、彼らの政治意識、彼らの民族の将来に対する確乎たる信念が今日の状況を示しているのであります。若し我が國において嚴重に闇の取締をしようと考えても、單に政府の力でこれを行わんとするならば、恐らく日本全国に亘つて一軒ごとに警察官を立番をさせなければ闇の取締の断行はできない。ここに我々民族の持つ一つの欠陥が現われていると私は痛感いたしておるのであります。そういう意味において、このインフレーション克服の問題は、眞に國家経済の前途に横たわる重大な問題であると同時に、我々國民がこの眞実を直視して、本当に國家再建のために遵法精神を奮い起し、今後も闇の克服に邁進しなければならないと痛感いたしておる次第であります。
 尚その他の問題につきましては、それぞれの所管大臣より御答弁をいたします。(拍手)
   〔政府委員有田喜一君登壇〕
#10
○政府委員(有田喜一君) それでは私より行政監察委員会が今日まで挙げて來ました成果の大要を御報告申上げたいと思います。行政監察委員会は、昨年九月一日に設置せられて以來、本年四月末日までに、各省各廰に亘りまして詳細に観察を行いました結果、各方面に亘り具体的に答申書を作成いたしまして、内閣総理大臣に報告いたしたのであります。ここにその概要を説明申上げます。
 監察の重点は、先ず國務遂行の任に当る政府職員の服務及び執務振りに重点を置きまして、官吏の服務紀律の問題を初め、中央出先機関の合理的再編成、官廰事務能力化の見地よりするところの官廰組織の人的構成、許可認可事務、或いは支拂事務、その他窓口行政事務などにつきまして監察を行なつたのであります。而して政府職員の服務規律の問題につきましては、政府職員の待遇向上に努力する一面、政府職員の國民全体の奉仕者としての在り方につきまして、その根本を正すことの必要性を説きまして、官廰職員組合がその性格において一般の労働組合と異なるゆえんを明らかにいたしまして、政府職員の本分と本質的に矛盾するがごとき團体協約を正道に立て直して、官廰職員組合の健全なる発達を期すべきであるというようなことどもを内閣総理大臣に勧告しておるのであります。尤も監察委員会の活動期間が短かつたのと、又個々の政府職員の非違を糾弾するということなどよりは、廣く政府職員全般の服務その他の事務能率等の共通性のある非違、欠陥の発見に主力を注ぎました関係上、世間的には即効薬のごとき効果あるものとは見られないのでありますが、官廰におけるまじめなる多数者に、見えざるよき声援を與えますと共に、公僕精神発揚の中心たらんとする氣分を醸成すること與かつて力あつたと信ずるものであります。政府におきましては行政監察委員会の勧告に基きまして、これを極力行政面に反映するよう折角努力中でございます。ここに御報告を申上げます。(拍手)
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#11
○國務大臣(北村徳太郎君) 川上議員の御質問中、私の関係に属します分は、追加予算の件と、大口闇利得者に対する課税の問題だつたと思います。
 追加予算の件は総理から答弁がございましたが、尚少しく詳しく申述べますと、今回予算編成に当りましては、私共の態度といたしまして追加予算を出さないという方針を一應立てまして、それに基きまして大体この賃金ベースを予算上では三千七百九十一円、それから消費者價格の方では主要なものについては七割上げるということを織り込んでおるのでございまして、相当大きな科目でございます終戰処理費、賠償撤去費、公共事業費等につきましては、それぞれの計算をいたしまして、大体これならばいけるという目途を付けております。それから尚その他の雑件につきましては、予算技術上、一々について五千数百件の科目に一々の計算が時間を非常に要しますので、これは各雑件を調整いたします價格上の調整のため六十億円を見込んでおるのであります。それと尚價格調整を要する場合のため予備費二十億円を見積りまして、これらのことをかれこれ綜合いたしまして、本年度の予算においては追加予算を大体出さずに済む、臨時突発的のことが起りません限りこれでやれるという考え方を以て提案いたしましたので、御了承願いたいと思うのであります。
 次は闇利得の大口利得者に対して、これをどうするかというような御質問であつたと思うのでございます。これは誠に重大な問題でございまして、今の如くに秩序が失われておるときに、これをどうして回復するかという問題は、單に税行政ばかりでなく、もつとより深い非常に大きな問題を孕んでいると思うのでありまして、少なくとも税の面においてでもこれを追及いたしまして、失われた秩序、一つの秩序の道筋を回復するということが極めて重大であると考えておるのであります。これはむしろ税制度の問題というより徴税技術の問題である。従つて主として人の問題に属する、まあ一應そういうふうに考えているのであります。制度の上の欠陥は勿論これは絶えず注意をいたしまして、改むべきものは改めて行きたいと存じますけれども、むしろ徴收するところの技術において闇利得者をどう追及するかということが一番大きな問題になる。かように考えておるのでございまして、これに対して現在の徴税機構が十分であると申されないのであります。これはたびたびこの場所から申述べましたように、一日も早く今の現状をより強化しなければならんということを痛感いたしておりまして、只今財務局の数を殖やし、或いは税務署の数を相当数増加するように、法律案として御審議を煩わすことに相成つておるのでございます。
 それからもう一つは、どうもいろいろやつておりますけれども、なかなか先程のお話のように、闇利得者の逃げ方が政府の追及の仕方よりうまいというような点が多いのでございます。從つて税務行政に多年の経験がある而も亦優秀な者を簡抜いたしまして、名称はまだ決つておりませんけれども、税の何と言いますか、査察官とでもいうようなものを設けまして、各財務局ごとにそういう優秀の者を相当数置きまして、これが大口闇利得者の追及に専門に当る、かような方法によつて、ただいま川上さんの仰せのような逸脱されていると思う闇の方面に十分な力を入れまして、一面では國家財政のため、又一面においてはいわゆる正直者が馬鹿を見るといつたような倫理観に動揺を與えるような非常な重大なるものもございますから、この点については十分努力をいたしたいとかように考えております。尚一般のことといたしましてもこれは税務官吏そのものの再教育が非常に必要でございまして、今短期の講習会、それから現にございます講習会の拡張、通信教育等々の方法によりまして絶えず再教育をいたしたいということも考えておるのでございまして、それはすでに案を立てておりますので、他日御批判を仰ぐ機会があると思うのでございます。以上二点についてお答え申上げます。(拍手)
   〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#12
○國務大臣(水谷長三郎君) 川上さんの御質問にお答えいたします。政府といたしましては現在のようなインフレの甚だしい高進を前提といたしましては、生産復興は断じて期するわけには行かないという観点に立ちまして、一應インフレーションの進行にブレーキをかけるために、いわゆる中間安定の方策をば経済安定本部を中心にして取纏めておるのでございまして、これが決して最終の目標でないことは言うまでもないのであります。併しながら労賃であるとか、或いは財政金融等の國内的生産條件が極度に不安定であるだけではなしに、日本の将来の生産規模が賠償その他の国際的條件におきまして、未だ明確にされておらない現状におきましては、最終的安定経済を極端な手段を以て実現することは、徒らに混乱を捲き起すことが予想されるのでございます。從いまして自分といたしましては最終安定は長期計画の達成によつて到達することができるということを考えておりますので、中間安定は長期計画の地ならしとして有効であるとこのように考えております。こういう意味におきましてはお尋ねの企業の整備というような問題にも十分対処して行きたい、このように考えております。(拍手)
   〔國務大臣竹田儀一君登壇、拍手〕
#13
○國務大臣(竹田儀一君)  川上さんの私に対する御質疑にお答えをいたします。現在医療に関する公定價格のごときものはないのでありますが、一般物價の高騰に伴いまして相当の高價になつておりますことは、川上君の仰せの通り誠に憂慮にたえないところでございます。國民医療費の負担の軽減を図りますことは、現下の社会経済状態に照しまして、極めて緊要なことと存ずるのでありまして、政府におきましても社会保險制度の普及整備並びに生活保護法に基く医療保護の徹底等により、その目的を達するよう努力をいたしておる次第であります。更にこれが徹底を図りますために只今関係方面とも連絡を取りまして、社会保障制度の実施につきましても目下鋭意研究調査を重ねておる次第でございます。又適正な医療を成るべく低廉に普ねく國民に普及いたしますために、全国に亘りまして医療の実施調査をいたしておりますのみならず、公的医療機関の普及整備、公的医療機関に関する医療報酬の基準額等を設定することを内容といたしております医療法案を本國会に提出いたしまして、御審議を煩わすべく準備をいたしておる次第であります。でき得る限り医療費の軽減に努めたいと存ずるのであります。(拍手)
   〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
#14
○國務大臣(岡田勢一君)  川上さんの御質問にお答え申上げます。
 第一点は私鉄の中間均一値上げはいけないのではないかどうかというお説でございますが、私鉄の経営は從來からやはりこれは國鉄と同様に値上げを抑制されて参つておりまして、最近には賃金の高騰によりまして会社はその運賃收入の八〇%から、多いところで九〇%以上を人件費に支拂わなければならんような現状になつておりまして、経験が極度の困難に陥つておつたのであります。そのためにこれを救済しなければ大変な事態が起る形勢となりましたので、國鉄運賃の引上げを俟たずに、暫定的に値上げをいたすことにいたしたのでございます。それで中間値上げでございますので、一應これを均一にいたしましたわけで、尤も只今御審議を願つております國鉄の運賃改正が承認を得ました場合には、それに準じまして更に私鉄の運賃等の補正をいたしたいと考えておりますが、その際には川上さんの御意見のように、各社個々の経済、財政状態或いは経営の状態等をよく檢討いたしまして、各社ごとにどういう水準にするかということを決定いたしたいと、こう考えております。尚先般暫定値上げによりまして私鉄の会社の中に急に黒字に轉向したというようなところは只今のところはないと考えております。
 次に國鉄の経営がまずいではないかといつてお叱りでありますが、この資材の購入、人員の縮減の問題は両方御研究を願つたことと思うのでありますが、物資等の購入などに当りましては終戦後品物が非常に沢山あるようになりまして、それがために数量的に余計要る、或いは修繕いたしました個所が又直ぐ壊れるというような現象もありまして、その点に大変困難な問題ができておるのでありますが、併し段々それは改善されて参りまして良い質の品物が最近には入るようになつております。又これらの檢修等につきましても嚴重な檢査をしてやりつつあるのでありますが、段々この面においても合理化するように努力を続けつつあるのであります。それから人員の縮減の点でございますが、本年度は六十二万七千人といたしておるのでありますが、この中には特殊予算といたしまして相当な数字が含まれておるのでございます。それは即ち進駐軍関係の要因、それから鉄道港湾関係、更に労働基準法の実施に要する増員及び補修復旧関係等にこれを含めまして、約九万人の人員がこの中に含まれておるのでございまして、差引実質的には五十四万人ぐらいが基礎要員となつておるのであります。この数字は今回の予算編成に際しまして、大変に政府といたしましては努力をいたしまして、人員数を節減した数字でございまして、この節減しました人員で本年度の増送計画の実現を期しますために、相当大なる努力を今後にしなければならんことになつておるのでございます。
 尚鉄道経営は、非常に全國に亘りまして相当の大きな機構を持つておりますので、或る末端等におきまして、不合理等の点がないとは申されませんので、御意見のように、よく末端まで目を通しまして、不合理な点がありましたならば、今後においてもどしどし改善、改革をいたして行きたいと存じております。
 次に石炭カロリーの点でございますが、御指摘になりました、政府委員が説明したと申します数字は、これは間違いでございますので、どうか御訂正を‥‥間違いだと思います。どの政府委員から申上げたか、私はまだ聴いておりませんのですが、それは明らかに間違いでございまして、御訂正をお願いしたいと思います。
 現在國鉄に配当されております石炭の総平均カロリーは、五千四百カロリー程度になつておるのでございますが、若し仮にこれを五千八百カロリーに上げられたものといたしまして、その使用量を推定いたしますと、只今の所要量の約八九・三%で済むことになるのでございまして、この点減じまする数字は約一一%ぐらいでございます。そうしまして、本年度の使用見込の運轉用炭約六百九十万トンから率を取つて見ますと、若し五千八百カロリーに上げられるならば、約七十四万トンの節約ができるわけになるのでございます。併しながら日本の只今の石炭の生産の現状から考えまして、五千四百カロリー以上の良質炭を獲得するということは、実際問題といたしまして相当困難が伴なうのでございまして、これには余り多くは期待できないのではないかと、こういうふうに考えております。尚この石炭消費試驗は、二十一年度から今日まで、二回に亘りまして御殿場線その他で実驗をいたしまして出しました数字でございます。
 次に鉄道教習所の問題でございますが、給料を貰いながら習つておるではないか、直ぐ廃止すべできはないかという御意見のようでございますが、只今の國有鉄道職員約六十一万人の中に、専門学校卒業以上の学歴を有しまする者は、僅かに一万二千人でございます。総員のニ%にしか過ぎないのでございまして、これは國有鉄道の経営ということが、専門の知識を要しますことでございますので、専門の知識を與え、尚教育水準の向上を図りたい、そういう見地から教習所をやつておるのでございまして、來年度におきましては、段々この専門の知識のある者の数を殖やしまして、五年後にはこのパーセンテージを、専門学校卒業程度以上の者を約三%に引上げたい。尚中学程度の者といたしましては、只今の職員中で約一七%しかございませんので、これも五年後には約二〇%に引上げたい、そういうことによりまして、國鉄職員の中堅幹部を作りますと共に、専門の知識を十分向上させますことによりまして、國鉄の復興を早く実現いたしたいと、こういう考でやつておるのでございまして、只今のところ教習所制度を止す考はございません。尚差上げておりますパンフレット、説明書その他の内容の問題につきまして、詳細な点は委員会等で詳しく御説明申上げたいと存じますから、御了承を願います。(拍手)
   〔國務大臣栗栖赳夫君登壇、拍手〕
#15
○國務大臣(栗栖赳夫君) 川上議員の御質問の私に関連する点につきましては、すでに総理より大綱を申上げておりますけれども、尚二三の点につきまして補足的に詳細を申上げたいと思うのであります。
 第一の点は、三千七百円ベースの問題に関連するものでありますが、この平均賃金三千七百円は、信憑すべき具体的資料に基きまして、五月の全國鉱工業平均賃金を大体三千五百円見当と推定いたしまして、その実質賃金を維持する目途の下に、公定價格の値上げ見込み、勤労所得税の大幅軽減等を織り込みまして、数字的に合理的な決定をいたしたような次第でございます。尚この詳細につきましては、委員会において数字的説明を申上げたいと思う次第でございます。
 第二の点は、物價補正の根本方針、その他これに関連する問題であつたと思うのであります。財政も企業も、家計への影響を國民経済全体の見地に立ちまして綜合調整いたし、特に健全財政の維持と実質賃金の維持とを目途といたしまして、公定價格の引上げを最小限度に止めることを第一の根本方針とした次第であります。更に原價計算上の織り込み賃金水準は、最近の実質賃金維持を目途とし、先程申上げましたように、勤労所得税の大幅軽減の措置とも睨み合せまして、全國鉱工業平均において月三千七百円という水準を決定したような次第でございます。
 それから第三には、一般物價水準が循環的に急上昇するのを防止するために、石炭、鉄鋼、化学肥料、ソーダ、重要非鉄金属等の基礎的な價格の上昇を七割程度に止めることといたしまして、これがために約五百十五億円の價格調整補助金を國庫において負担することといたした次第でございます。尚これらの点につきましても、詳細な点は委員会において申上げたいと思う次第でございます。それから原價計算の方法につきましては、御説のごとく更に正確を期するようにも努めたいと思う次第でございます。尚教育用品の資材割当て、これに要する資金の順位等につきましても御要請がございましたが、これについては、その他百般の諸事情等をも睨み合せまして十分努力もいたしたいと、こう考える次第でございます。
 尚昨日、中西議員及び岡田議員より御質問がございましたが、丁度よんどころないその筋へ参つておりましたので、ここに合せてこの答弁をさして頂きたいと思う次第であります。
 中西議員の質問に対して先ず御答弁申上げたいと思います。第一の三千七百円ベースの問題につきましては、先程川上議員の御質問に対して申上げましたから繰返さないことにいたしたいと思います。
 次に米價についてのお尋ねであります。米價はまだ確定しておりませんが、大体の見込みを立て、これとの見合いにおいて賃金水準を決定したような次第であります。
 第三には、闇物價の上昇率は、実測的に長期及び短期の動きを捕捉いたしまして、これを勘案し推定したものでありまして、過少とは思わないような次第でございます。
 第四に賃金水準は公定價格算定の基礎に使用いたすということで決定したのでありまして、賃金安定の問題とは直接に関係がないのでございます。
 五は、三千七百円水準は実効價格の動きを見ますというと、昨年七月の千八百円水準に比較しますと、手取りにおいて約二割程度高い水準にあると認められるのでありまして、この物價の補正が千八百円水準に比べて実質的に切下げられるということはないと信ずる次第であります。
 次に岡田議員の御質問に対してお答え申したいと思うのであります。最初の問題は物價の補正と三千七百円ベースとの問題であつたと思うのであります。三千七百円ベースは今回の公定價格の補正、勤労所得税の軽減、間接税の増徴、専賣品の値上げ等、物價、予算と総合的に考慮いたしまして、概ね現在の実質賃金を維持することを目途として決定したものであります。從つてこの水準を維持するためには、端境期に主食の遅欠配が起らないように、万全の措置を講じたいと思つておるのであります。(「もう起つておるよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 尚三千七百円の水準は、物價水準、予算の綜合的見地から決定したものでありますから、これが変更は容易でないと思うのであります。
 尚賃金安定の問題についてお答えをいたしたいと思います。物價統制とも関連をいたしまして、関心を持つておる次第であります。これにつきましてはすでに申上げましたように、種々複雑な事情もございますので、目下いろいろな角度から研究、討究を進めておるような次第でございます。(拍手)
#16
○副議長(松本治一郎君) 一昨日の高瀬君の質疑に対して、大蔵大臣より発言を求められました。この際許可いたします。北村大蔵大臣。
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#17
○國務大臣(北村徳太郎君) 一昨日高瀬議員の御発言の途中に、予算委員会に出席いたしますために中座をいたしまして、誠に恐縮いたした次第であります。御発言の後半は十分伺つたのでありますが、前半につきましても速記録等によりまして十分御論旨を拝聴いたしました。
 私への御質問は、國の経済力と予算との関係、それから租税、特に直接税主義から間接税主義に移行しておるのではないかというような点に関しての御意見、取引高税に関して、軍事利拂の問題並びに企業資本の問題等であつたと思うのであります。以下順次御答弁申上げたいと存じます。
 国民所得に対する一般会計歳出総額の比率が昨年に比べまして、今回小額でございますけれども、増加いたしておりますことは事実でありまして、これは財政收支の均衡を得るということが、誠に困難であるということの一つの具体的な事象であるとも存ずるのであります。併しながら本年度の國民所得の配分計画では、現在のところ生産は全体として一割程度の増加を見ることが予想いたされておりますので、財政需要等の観点から予定いたしました場合の、國民消費資金全体といたしましては八分程度、國民一人当りの消費量は五分程度の増加を見込んでおるのであります。國民生活の現実の状態から申しますと、もつと速やかな好轉というものが望ましいのでございますけれども、現下の誠に苦しい財政の現状、財政需要の緊急性等から考えまして、諸般の情勢からいたしまして、この程度に止まることは残念ながら亦止むを得ないものとして考えておる次第であります。從いまして全体としての國民経済の均衡を、これで財政が害するというところまでには至らないというふうに考えておるのであります。
 次に國民の負担は依然として誠に重いのでございます。これは高瀬傳士の仰せの通りであります。併し全体としての負担よりも、國民各層の能力に應じて公平な負担であるかどうかという点が、実はより大きな問題であると思うのでございます。この点につきましては、政府といたしましては一面今回の税制改正によりまして、特に少額所得者の所得税について相当大幅の軽減を行ないますと共に、他面徴税機構の整備をいたしまして、先程川上議員にお答え申上げましたような、徴税機構の整備強化等を図ることによりまして、現実には負担の合理化、或いは適正化というものを十分に図つて行きたい、かように考えておる次第であります。
 次に従來この直接税が税の体系としての本質であつて、それが漸次間接税に移行するということになつたのでは…、なりつつあるが、なつたのでは、これはどうも内面的に一つの均衡財政の破綻ではないかというような御趣旨であつたと思うのであります。今回の税制改正によりまして、本年度の税收は専賣益金を除きまして、税收は、五千六百三十二億余円の中、直接税は千四百四十億円、全体の五四%七に当つておるのであります。間接税は七百三十四億円でございまして、全体から申しますと二七%九に当ります。その他が四百五十七億円で、これは全体の一七%四程に当つておるのでございます。これは前年度即ち二十二年度の直接税は九百十五億円でございまして、全体の六七%六である。間接税は三百五十五億円で、二六%三でございますのに比べまして、直接税の比率が低下したことは事実でございます。これは取引高税等、税收二百七十億の創設、所得税及び法人税の減收によるものでございまして、正常の場合には勿論これは高瀬さんの仰せの通り、所得税本位でその体系を維持すべきである。即ち直接税本位で行くべきことは当然であると思いまするし、又それが最も望ましいことでございますけれども、今日のごとき財政の状態、財政需要の著しく増大いたしております、経済変動の烈しい時期におきましては、直接税のみでは税收を確保することが極めて困難でございますので、直接税と間接税と相俟つて行くことが、止むを得ざる一つの途であるというふうに考えておるのでございます。間接時の比率が増加いたすことについては、理論的には仰せの通りであります。これは今の実情としては止むを得ない。日本の経済が安定いたしまして、今少しく余裕を生じますときには、やはり直接税本位に移行すべきものであるということは、さように私共も存じておるのでございます。それから今回の間接税について増徴いたしましたのは、從量税に限られておるのであります。從量税は入つておりません。これは物價の変動等に即應いたしまして当然改正せらるべきものであつて、止むを得ないものと存じておるのであります。
 又新たに取引高税を創設する等によりまして、所得税等について賃金物價等に即應するように負担の軽減を図り、或いは合理化、適正化を図るというような点に一層注意をいたしまして努力を傾倒いたしたいと存じておる次第でございます。今回の所得税の軽減等によります減收は約七百三十億でございます。法人税において十八億減税をいたしております。これらについて取引高税の一部を補填する、一部は結局間接税的なものがこれにおぶさるというような結果に相成つておるのでございます。取引高税の創設につきまして、これは本來の建前から申しますと、取引税であります限りあらゆる取引に課税すべきものと一應考えられるのでございますけれども、主として勤労による部分が多くございます。且つ勤労による部分が多くして、而も営利性の少ない事業に課税することは、これは考えなければならんということから、課税対象を営業者による営業取引に限定いたしました。この意味からいわゆる自由職業の外、農民の農産物の販賣等、原始産業の部門をも全部非課税といたしておるのであります。それ以外のものはすべて課税をいたすようにいたしておるのであります。税率なり販賣價格なりを調整することによりまして、取引高税を課税したのと同じような結果を得られるようにいたしまして、先程申しました原始産業等については、課税対象の以外といたしておるのであります。例えばその外に尚有價証券移轉税、或いは通行税の掛かる取引、或いは専賣品、切手の販賣、これらは非課税といたしております。又本税の轉嫁が必ず結果として政府に來るというものは、これは課税をいたしましても意味がございませんので、從つてこれは除いております。例えば金、銀、地金等、政府が買取るものであります。それから價格調整補給金の交付のある物品についても、その取引は課税の対象外としております。尚價格政策上政府が特に設けた取引、即ち價格調整公團が價格等の調整のためにする取引、輸出取引等を非課税といたしております。それから特に國民生活の面を考えまして、配給の主食及び義務教育用の教科書用図書に関する取引も、これも亦非課税といたしておるわけであります。本税の建前からいたしまして、これは非課税の範囲をこれ以上に拡張することは、技術的にも極めて困難であるというので、非課税の範囲を以上申上げましたような程度に止めておるのでございます。
 その次に軍事公債利拂停止の件についての御質問であつたと思うのでありますが、今回の措置は閣議決定によつて政府が発表したように、今回を限るものでありまして、これを続けてやる意思はありませんのであります。このことから金融機関が或る程度影響を受けるということは、これはどうも免れないものと思うのでありますけれども、これにつきましては、金融機関に対しましては、特に今回の政府の利拂期変更による金額を、貸借対照表の資産の部に未収利息として計上する。その期経過の分については、從つて損益の方に計上することを認めることにいたしまして、一應金融機関の蒙むる影響を避けようといたしたのであります。併しながらそれで尚実質的な金融の面の上において迷惑するという場合においては、金繰りについて日本銀行において相当便宜を図ることと相成つておるのでありますが、この点はこれは日本銀行と取引銀行との通常のビジネスとして取扱うことになつておりますので、これを全部日本銀行で肩替りをするとか或いは補償する、そういうことは絶対ないのでございます。さように御了承を願いたいと存じます。
 それから次に企業資本の問題について御質問がございましたのでありますが、これは價格差益納付金は、肯定價格の改訂の際に手持商品について生ずる値上り差額の一部を、國庫に納付させるという方針でございますが、最近の公定價格の改訂は、統制経済の下におきまして物價政策上の必要から國が行うものでございまして、その際発生する差益は、いわば國の行政行為によつて受ける反射的な利益である、かような観点からこれを國が徴収することは不合理ではない、かように考えておるのでございます。仮に若し差益の徴収を行わないといたしますれば、たまたま大きなストツクを持つておつたというような業者は、不当な大きな利益を得ることと相成りまするし、又これを現金或いは貯金化しておつたものとの間に非常な不均衡を生ずるということに相成りますので、或いは又かようなことのために、業者が價格の値上りを見越して、商品の賣惜みを行なうというようなことから、流通秩序を害するというようなこともございますので、かような観点から價格差益納付の制度を実行いたしておるのでございます。又公定價格の改訂は、すでに生じておる原材料並びに諸掛りの値上りによりまして必要となるものでございますから、コスト高となつておる商品につきましては、値上り差額の全部を徴収するのは不当でございますが、價格差益納付金は値上り差額の全部を徴収するものではなく、生産者にありましてはその三分の一、販賣業者にありましてはその五分の一を差益の範囲外としておるのでございますから、この点では業者に不当な損失を與えるという虞れはないものと考えております。
 次に安定價値計算を採用すべきかどうかの問題でございますが、これは経済全般に亘り、債権債務の全般に亘る重大問題でございますから、相当慎重に研究を要することと思うのでございます。單に租税、なかんずく法人税につきまして行なうといたしますれば、現在のように個人が相当重い負担をいたしつつありますときは、法人と個人との間に負担の公正を失し、適当じやないと存じまするし、所得税を更に大幅に引下げるということは、財政需要の現状においては、これは今のところ許されない。法人企業に対する安定價値計算は、今回これは採用することが、今のところとしてはできない。併しながら十分に将来に向つて檢討をいたしたいと存じておる次第であります。以上御質問の趣旨に対して一應御答弁申上げました次第でございます。(拍手)
#18
○高瀬荘太郎君 只今の大蔵大臣の御答弁に対しまして再質問をお許し願いたいと思います。
#19
○副議長(松本治一郎君) 簡単に‥‥。
   〔高瀬荘太郎君登壇、拍手〕
#20
○高瀬荘太郎君 過日の私の質問に対しまして只今北村大蔵大臣から御答弁を頂きましたが、それにつきまして重ねて御質問をいたしたいと思います。
 先ず第一に國民所得と歳出総額との均衡の比率が、國の経済力と予算の均衡を図る上において重要な指標になりまして、これがある程度以下に保たれないと、必ず國民生活に重大な圧迫を加えることになるという点から、今年のその均衡の状況が甚だ高過ぎるのではないかという考えから御質問をいたした次第でありまして、それに対する御答弁は、今日の日本の非常に窮迫した國家の財政の状態から申しますと、残円ながらあの程度で満足するより外ない、こういう御答弁になつたかと思います。そういたしますと、過日の大蔵大臣の御演説で、中央の財政及び地方の財政を通じて健全財政主義を十分に一貫した、こういう御説明がありましたが、これと全く矛盾するような結果になりはしないか(拍手)ということを惧れるのであります。從いましてその比率が高過ぎるということを残念ながらお認めになるということになりますと、今度の予算の結果は、必ず國民の生活に非常な圧迫を加えることになるでありましようし、産業の健全な発展を阻害いたしましようし、又インフレを著しく促進するという結果になると思いますが、大臣の御所見を伺いたいのであります。
 それから直接税と間接税との割合の問題につきまして、大臣からお話しを頂きました。確かに間接税という名前のものだけを取つて見ますと、その程度になるかと思います。私は軍事益金というものもやはり同質のものと考えてよかろうと思うのであります。(拍手)ですから、これを入れてお考えになりましたならば、間接税の割合というものは非常に高くなると私は考えております。
 それから取引高税につきましては、いろいろ財政上の都合から、やはり私が要求いたしましたような逸脱品目の拡張はどうしてもできないという御答弁であります。そうなりますと、今度のような不健全な予算から参ります。さつき申しました國民生活への圧迫は特に著しくなるだとうと思います。そうして少しもその圧迫を軽減されない結果になるだとうと思う。これは非常に重大な問題でありますので、いずれ委員会で重ねて要求をいたしたいと思います。
 尚私の質問に対しましては、大蔵大臣は三千七百円ベース及び七割増物價による予算の編成という点につきましては、只今お答えがなかつたようでありますが、多分これは、先程総理大臣並びに安定本部総務長官からお話しがあつて、御同意見だと、こういうようなお考えからお話しがなかつたのかと思います。併しどうも政府の御答弁の要旨、及び実際現に世の中で起つております状況等を考えて見ますというと、何としてもこの三千七百円のベースを守つて行くことは、現実に不可能になるのではないかと私は思うのであります。政府の立場からお考えになれば、無論予算編成者として、直ぐさまこれが破れるというようなことをお話しになるわけにはいかんだろう、その立場は了承をいたしますが併し実際は十分の自信を以てお話しになつておるのではないのであろうと私は思うのであります。從いまして、そういたしますと、これを基礎とされた今度の予算につきましても、亦政府は十分の自信をお持ちにならないのではないか、(拍手)そういう自信の十分持てない不確実な予算を提出されるよりも、もつと十分に、多少遅れましても、十分に檢討をされまして、政府として責任が持てる、そうして本当のことが言えるような予算に組替えて御提出になりましたら如何でございましよう。(拍手)、(「その通り」と呼ぶ者あり)たとえこのままの予算が成立したといたしましても、先程から多数の議員がお話しになりましたように、必ず歳出の膨張による追加予算の提出は避くべからざる情勢になると思うのであります。総理大臣も、大蔵大臣も追加予算は出さないのだとおつしやつておられますが、全く両親から國会に対してそういう固い約束ができますかどうか、(拍手)臨時突発の事件があれば止むを得ないと、こうおつしやられるのでありますが、我我は臨時突発の事件でなく、今日明らかに予想される事実によりまして、必ず追加予算が出なくてはならない予算であると思うのであります。大蔵大臣は先程のお話でも、亦衆議院における御答弁によりましても、追加予算の提出は予備金で賄うから何とかなるだろう、こういうようなお話でありますが今度の予算でお考えになつておるような程度の予備金で以て、それが賄えようとは私は絶対に思えないのであります。(拍手)ですから、先程申しましたように、本当に今日予想されるような事情の下においては、決して追加予算は出さないで済むと固く御約束ができますか、どうか、御返事を願いたいのであります。
 それから第三には、賃金の安定或は統制の問題につきまして、実は大蔵大臣にお尋ねいたしましたが、これは大蔵大臣からは御答弁がありませんでした。私が大蔵大臣にこれをお尋ねいたしましたのは、やはり賃金の問題、物價の問題が予算の基礎として、どうしても欠くべからざる重要な要素であります。そういう点から大蔵大臣にお尋ねしたわけでありますが、從つて大蔵大臣としても十分それについてのお考えがあると思います。從つてこれにつきまして一つ御答弁を尚お願いいたしたいと思います。これについて私共感じますところでは、どうも閣内における大臣の方々の間に意見の一致がないのではないだろうか(拍手)というふうに思います。それでこの物價統制の責任を持つておられる大臣として、又財政担当の責任ある大臣として、賃金の統制を今日実施しないで、その重大な責任が果して行けるとお考えになりますか、どうか、これを承わりたいのであります。(拍手)
 軍事公債の利拂延期の問題につきましては、極めて簡單な御答弁でありまして、私から御質問した点について十分お触れにならなかつた点は甚だ遺憾であります。私がお尋ねいたしましたのは、二つの点でありまして、第一は、これを実施する理由は何であるかという点であります。これを一つはつきりともう一度御答弁を願いたい、第二は、金融機関に対する適切な措置を講ずる用意があると、政府は声明したわけでありますが、その措置がどういうことであるのかということを詳細に伺いたいと申上げたのでありますが、これについてのお答えは、ただ未收利息の計上は、困つた場合には日銀から融資の便宜を與える、こういう程度のことしかお話がありませんでしたが、それでは実際にこれから軍事公債の利拂延期が実施されました場合にはどうなるか、金融機関に対する措置はどうなるかということを、私共が國会で審議する場合には、大蔵大臣のおやりになることは、その二つの点だけに限るんだ、未收利息の計上は認めよう。それから資金の不足で困つた場合には、日銀から何とか融資の便宜を與えてやるように世話をしよう、これだけにお限りになりますのか、その他には絶対にやらないというお考えでありますか、これを伺いたいと思うのであります。(拍手)
 それから最後に、企業資本の借入れ依存主義から、自己資本を賄う主義の方への移行の問題についてのお話がありましたが、大蔵大臣も無論御承知だと思いますが、第一次大戦後のヨーロッパの各國で、インフレが非常に起きました場合に、ドイツ、フランス、ベルギー、チエコスロバキヤ等で、いずれも企業の経理上及び税法上、インフレによる貨幣價値低落に伴つて特殊な措置が講ぜられておるのであります。金貨マルクとか、金貨フランの安定價値計算の方法が採用されまして、企業の資産評價、原價償却、資本修正等に関しまして、いろいろの特別の措置が実行をされ、これに伴つて税法上の特別措置もいろいろと実施されたわけであります。これらの措置は、いずれも帰着いたしますところは、企業の自己資本を実質的に維持するための措置であります。これを実効しなければ、企業は必ず自己資本を実質的に失いまして、資金の窮迫から経営は困難になりますし、借入資本に依存しなければ経営ができなくなるということは当然の結果であるのであります。殊に今日の日本のように効率の税金を課せられております場合には、その危險が一層甚だしいわけであります。政府が價格差益とお考えになつておりますものの大部分は実は利益ではないわけであります。自己資本を貨幣價値の低落に從いまして修正すべき單なる計数に過ぎないのであります。これを納付させれば当然自己資本がそれだけ不足することは明白なのであります。(拍手)大蔵大臣が希望されますような借入依存主義を避けようとする方針と、これは全く矛盾する結果となりますばかりでなく、再生産の縮小を強制する結果ともなるのであります。今日企業がいずれも原料資金に窮迫をし、又賃金支拂いの資金にさえ困難を感じております根本の原因がそこにあるのであります。企業所得の安定價値計算による修正を今直ちに行うことはとても困難である。将来いずれそういう点も研究するというお話しでありました。無論これを直ちに今全面的に実施することにつきましては、いろいろの困難が伴なうということは私も十分に承知しております。併し少くとも所得計算における固定資産の減價償却につきまして、これを相当思い切つて取入れまして、償却率の大幅引下げを実施するというぐらいのことは是非共必要だと思うのであります。(拍手)これにつきまして、大蔵大臣は如何にお考えになりますか。若しこれをやりませんと再生産の維持も実際上は困難になりますでしよう。從つて政府が考えておられるような生産増加も必ず行詰るものと考えるのであります。この点に関する大蔵大臣の御答弁をお願いいたしまして私の再質問を終ります。(拍手)
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#21
○國務大臣(北村徳太郎君) 高瀬議員の御質問にお答え申上げたいと思うのであります。
 健全財政と申しましても、実は國の財政が國民経済のこの個々の赤字の状態のままでは実に一貫しにくい情勢にあることは申すまでもないことでありまして、ここには個人の生計の赤字が克服せられ、或は企業の赤字が克服せられているようなことと相俟つて、國家財政の健全性というものが保持されると思うのであります。かように意味において現在いろいろなこの何と言いますか、アブノーマルな経済の情勢において、國家財政だけが完全なる意味においての健全性を保持するということが極めて困難であることは申すまでもないのであります。併しながらさればと申しまして、今の段階において政府の財政支出によつてインフレーションが更に進行するというようなことがあつては相成らん。政府といたしましてはこの際財政支出をでき得る限り圧縮することに努めますと共に、一面においては物價等においても財政力の許す範囲において、物価高の波及を避けるというような観点から、五百十五億円の價格差補給金を支出いたしまして、そのことによつて全体の波及を或限度に喰止めようと力をいたした次第であります。さような観点から申しまして先に御説明申上げましたように生産が大体一割程度増加するものと見込み、消費の全体の消費資金は八分程度、個人の一人当りの消費量は五%程度増加するものと見込みまして、かような観点から國家財政を組んだということは、現下の事情においてはどうもこれは止むを得ない。若し強いて申しますればこれはもうできるだけ大きく行政費を圧縮するという点が残されておると思うのでありますけれども、これとてやはり急激な社会変動を來すということと、それから來る結果をどういうふうに始末をつけるかという態度等も、全体として考えなければなりませんので、かような観点に立ちまして、今回は財政の面から、本格的な行政整理は今檢討中でありますけれども、一應財政を圧縮する面から、人権費の一割五分を減らすと、今後もこういう方面において、財政を圧縮する点に努力をいたしたいと存じますけれども、現下の事情といたしましては、これはどうも止むを得ない。一切赤字を出さないというような意味において、この程度の財政を組み、又中央と地方との調節を図りながら、地方財政においても健全性を保持するという点においても、今回の予算というものは、これは決して満足なものではございません。むしろ日本の今の場合、財政の窮乏と、矛盾とがここに出ておるというような意味において、どなたかがおつしやつたように、これは苦悶の表現だというお言葉をお使いになりましたが、その通りであると存じますが、この程度は止むを得ないので、これで一体追加予算を出さずに済むかという御質問は、御尤もと思うのでありますけれども、我我としては全力を盡して食い止め得られる限り食い止めて、安定へ導いて行きたい。将來は更に物價は非常な高速度に騰貴するぞ、貨幣價値はますます下落するぞというようなことがあつては相成りませんので、我々は能う限り施策と共に、全力を盡して安定への途を開いて行かなければならん。かような考え方から、三千七百円にいたしましても、それで一体行けるかと、これは結局実質賃金の向上如何ということに相成りますので、この点には十分努力をいたしまして、実質的な保持に努める、このことが破れますというと、仰せの通り全体が崩れて來る。かような点においても生活の安定のために、実質的な賃金を保持するようにあらゆる点から十分の努力をいたしまして、これでやつて行けるような方向へ持つて行かない限りは、いつまで経つても安定を見ることができないと、さような観点から聊か努力をいたしておる次第でございまして、この点は御了解を願いたいと思うのであります。
 尚間接税の問題でございますが、これは先に申上げたとおりでありまするし、又今のところ取引高税において非課税を今よりも以上に拡大するということは困難でございます。併しこれは新しい試みでございまして、やつて見まして、若し改正すべき点が発見いたされますならば、必ずしもこれに対しては、これを改正することに躊躇するものではございません。その点は御了承を願いたいのであります。
 尚賃金安定の件について、賃金統制をどうするかというような御質問であつたと思うのでありますが、このことに関しましては、只今申述べました通り、賃金が安定しなければ、どうしてもこれは物價、賃金の惡循環を断ち切ることはできない、それは誠に苦しい立場におりますので、賃金の安定ということは必要である。併しながら賃金の安定とは生活の安定である。從つて生活安定的なる諸條件を完備しなければなりませんので、賃金安定ということを考えると同時に、その賃金の安定せしむべき諸條件を、どうして満たすかという点について、只今いろいろ檢討いたしておりますので、いずれはこういう問題について、又皆さまにお諮りを申上げて御討議を願うことがあると思うのでありますが、只今さような点で檢討中でございます。
 それから軍公利拂のことでございますが、どういう理由でこういうことをやつたかというようなまあお言葉でございましたと思うのでございます。これは今日の場合非常に窮乏した中でございますから、金額は多くないけれども、財政需要に應ずるというためには、まああらゆるものを動員するという建前は、一應採るべきである。又今回軍事公債なるが故に元本さえも否定するというような思想が一部に行われております。利息は勿論これは停止するのだというような考え方さえもございますので、かような考え方がもやもやしている中で、一應今回の措置はそういうような従來のいろいろな元本さえも否定するというような考え方に対しまして、終止符を打ちまして、これでこの軍公問題は終りである。今回を限るのであるということによつて一應の解決点に達したと考えるのであります。
 それから金融機関に対しては一体これはどうするかというお言葉でありますが、これは先申上げましたとおりでありまして、これを契機として処理するということ、それから來る金融上の問題が起ればこれは日本銀行との間において当然ビジネスとして処理さるべきことでございますけれども、元来が金融機関でございますから、金融の渋滞によつて金融的に起る困難というものは、大して起らないと思います。必ず日本銀行においては適当に処理するということにいたしておりますので、この問題は一應これで解決ができるものと考えておるのでございます。
 尚企業資本の問題につきましては縷々御高説を拝聴いたしまして、極めて御尤ものことと思うのであります。ただ只今のところ問題は、結局根本的には企業そのものの整備をしなければならん。そうしてお話になりましたところの償却率の大幅の引上げというような問題も無論ございますし、その他企業資本を実質的に維持するという問題は、当然起る問題でございまして、それがために安定價値計算を採用するかどうかというようなことも、一つの問題ではございますが、企業そのものを整備する。今のような状態で放置しては相成らん。併しながらこれも現在の事情において失業対策等その他の諸受入れ條件等が未完備の状態のままで、急激なる社会変動を來すということは、又大きな問題でございますし、企業整備に関しましては、綜合的に全体を勘案いたしまして、そのことと併せて只今御指摘の点は十分考慮いたしたいと、かように存じております次第でございます。以上御答弁を申上げます。(拍手)
#22
○副議長(松本治一郎君)  本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(松本治一郎君)  御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。次回の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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