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1953/02/24 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 電気通信委員会 第6号
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1953/02/24 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 電気通信委員会 第6号

#1
第019回国会 電気通信委員会 第6号
昭和二十九年二月二十四日(水曜日)
    午後一時五十九分開議
 出席委員
   委員長 成田 知巳君
   理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君
  理事 庄司 一郎君 理事 橋本登美三郎君
   理事 原   茂君 理事 甲斐 政治君
      菊池 義郎君    齋藤 憲三君
      廣瀬 正雄君    片島  港君
      松前 重義君    三宅 正一君
 委員外の出席者
        通商産業技官
        (重工業局電気
        通信機械課長) 森 雄次郎君
        通商産業技官
        (鉱山局金属課
        長)      中山  章君
        通商産業技官
        (工業技術院調
        整部業務課長) 秋山 保光君
        通商産業技官
        (工業技術院電
        気試験所企画課
        長)      和田  弘君
        通商産業技官
        (工業技術院地
        質調査所鉱床部
        長)      佐藤 源郎君
        通商産業技官
        (工業技術院地
        質調査所鉱床部
        金属課長)   木村  正君
        日本電信電話公
        社電気通信研究
        所基礎部長   關  壮夫君
        専  門  員 吉田 弘苗君
        専  門  員 中村 寅市君
    ―――――――――――――
二月二十日
 委員松前重義君辞任につき、その補欠として小
 平忠君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
 委員小平忠君辞任につき、その補欠として松前
 重義君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
二月二十二日
 伊那電報電話局新築に関する請願(原茂君紹
 介)(第二一五〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十日
 名古屋放送局におけるテレビ仮放送に関する陳
 情書(一宮商工会議所会頭豊島半七)(第九五
 七号)
 姫路放送局設置認可に関する陳情書(姫路保護
 司会会長三田虎次)(第九五八号)
 高知と長浜、種崎各電話局間の即時通話実現に
 関する陳情書(高知市議会議長中島龍吉)(第
 九五九号)
同月二十三日
 姫路放送局設置認可に関する陳情書(姫路市ア
 マチュア・ラジオクラブ会長高尾光能)(第九
 九八号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 電気通信機械(ゲルマニウムトランジスター
 等)に関する件
    ―――――――――――――
#2
○成田委員長 ではただいまから開会いたします。
 本日はまずトランジスター等に関し説明を聴取いたしたいと存じます。直接ゲルマニウムの抽出、トランジスター、ダイオード等の研究に携つておられる研究所の方々、及びその行政に当つておられる関係当局の御出席を願い、現在までの研究の経緯並びに今後の計画等について御説明を伺うことにいたします。なお出席の方々はプリントでお配りした通りでございます。
 では順次御説明をお願いいたします。まず電気通信研究所關壮夫君。
#3
○關説明員 私日本電信電話公社の電気通信研究所の基礎部長をしております關壮夫でございます。トランジスターのことにつきまして、研究の概要をお話申し上げます。
 このトランジスターは、第二次世界大戦の直後にアメリカのベル電話研究所において発明されたわけでございますが、その後発明になつたということか、日本にも聞えて参りまして、われわれの耳にも達しまして、われわれの研究所におきましても、たしか昭和二十三年ごろから少しずつ調査研究を始めたわけでございます、ただこれに使います材料が、ゲルマニウム、という元素を使うわけでございますが、この材料のゲルマニウムがなかなか手に入りませんで、非常に苦労をいたしました。最初のうちはこのゲルマニウムに非常に似ております性質のもので珪素シリコンというのがございますが、これなどを大体相手にいたしまして実験を始めました。それからいろいろと理論的な研究などをいたしておつたわけでございますが、そのうちこのゲルマニウムを使う一つの電気の部品でゲルマニウム・ダイオード、二極管のゲルマニウムというのがアメリカの方から少しずつ手に入るようになりました。これをトランジスターの方に利用しまして、実験をいたしてみましたところ、最初トランジスターとして働くようなものが一応できるということがわかつたわけでございます。
 それで、このトランジスターの正体はどういうものかということを申し上げますと、元素のゲルマニウムを使いまして、これに最初にできたものは金属の針を二本立てまして、別にはんだでゲルマニウム全部は金属の板の上にはんだづけをしておきます。こういうふうにしますと、電気的な出入口か三つあることになりますが、そのうちの金属の板のところは地面に接地させまして、一本の電線のところに電気の信号を入れてやりますと、他方の電線から強くなつた信号が出て来る、こういう性質のものでございます。これは先ほど申し上げましたように、ゲルマニウムの二極管を最初使つて研究をして参つたわけでございますが、これじは本式の研究ができないということかわかりましたので、いろいろ苦心しまして、初めはドイツの方からゲルマニウムを輸入してもらつたわけでございます。こういうものを使いましてやりてみますと、一番重要なことは純度り非常にいいゲルマニウムが必要なんだということがわかりまして、これを使つて、輸入しましたそのままではだめでございまして、非常に純度のいいものにすることをいろいろ研究いたしました。しかも純度のいいばかりでなく、そのゲルマニウム自身が一つの結晶になつていなければいかぬ、たくさんの結晶の集まりではちよつとぐあいが悪い、こういうようなこともわかりまして、非常に純度が高く、かつ一つの結晶になつているようなものをつくり上げる、こういうことにいろいろ苦心をいたしました結果大体一昨年の四月ころにこちらでそういうふうに輸入した材料を処理しまして、非常に純度の高い一つの結晶のでき上つているようなものをつくり上げて、それでトランジスターがちやんと働くものができ上つたわけでございます。これは一応実験室で働くようなものができたということでございます。
 その後外国におきましては、いろいろ新しい型のものが出て参りました。その新しい型のものになりますと、ますます純粋さのより高いものが必要だ、こういうことになりまして、そういう純粋さのより高いもの、また結晶も一つの結晶であり、しかもその結晶をこまかに材料の奥まで調べてみても、非常に完全な結晶になることが非常に大切だということがわかりまして、その方面に努力をして参つたわけでございます。そういうような研究をやつて参りますと同時に、このトランジスターの働きの、なぜそういう働きをするかということにつきましていろいろ研究をいたしまして、そこからそれならば将来さらにこういうふうにやつたらいいだろうというようないろいろな案も出て参りました。しかしまず向うでできております型のものがちやんとできるようにしようということに努力いたしまして、一応その働くものができ上つたわけでございます。ことしの春の四月ころには大体第二の型――これはジャンクシヨン型と言つておりますが、ジャンクシヨン型につきましても、一応働くものが実験室的にでき上つた、こういうふうな段階になつたわけであります。その後、今のような一応実験室ででき上つたというもののままでは、実際の役には立たないわけでございますので、われわれの研究所では、そういうような段階に達しますと、そのあと実用化という段階に移すわけでございますが、それは実際に使つて問題を起さないようなしつかりしたものに仕上げる、その実用化の段階に今年度の初めごろからだんだんと計画をいたしまして――今年度の初めでございますから昨年の四月ころで、幾らかその準備ができましたのが今年度の中ごろ、昨年の秋ごろから実用化開始の準備ができまして、実際に使えるしつかりしたものをつくるという方面のことを、実用化を担当しますグループで始めたわけでございます。それと同時にもつと新しい、原理のより進んだものという事柄につきましても、前からやつておりますグループがそのことに専念いたしまして、今後は欧米に出ましたものと似たようなものでなく、さらに独自のものに進むというようなことが研究できる段階に、われわれの研究所でなはつたわけでございます。
 なおこの研究をやつて参ります上で非常に苦心しましたのは、原料のゲルマニウムのことでございます。初めこのゲルマニウムについては、日本の中でこれができるかどうか、非常に心配の点もございましたが、このことに関しましては、トランジスターが最初問題になりましたころから、東京大学その他のこういう材料関係の方が委員会をつくつて、いろいろ研究をやつておられます。われわれの研究所からも関係の人が出まして、連絡をとつて参つたわけでございますが、順次日本の中からもこういう原料が得られそうだというニユースがだんだん入つて参りまして、幾らかずつ安心して参つたわけでございます。ごく最近は、いろいろな方法で、石炭からも出そうだし、あるいは金銀鉱方面からも出そうだし、硫化鉄関係からも出そうだというような話がだんだん現実実を帯びて参りまして、非常に安心して参つたわけでございます。なお現在われわれの研究に使つておりますものは、主としてヨーロツパ方面から輸入してもらつたゲルマニウムをさらに精製しまして使つておるわけでございます。それから日本の国内でできましたもののサンプルとして、東京瓦斯で石炭からとつた酸化物のゲルマニウムがおできになりまして、われわれの研究所の方に持つておいでになりましたものですから、これについても、これをゲルマニウムに還元しまして、さらにそれを純化するいろいろなことをやりまして、相当程度のものができ上つたということがわかつたわけでございます。
 大体こんなことを申し上げまして、あとは御質問がございましたら、また御説明申し上げます。
#4
○成田委員長 關君はお急ぎのようでありますから、關君に対する御質問がありましたら、先にお願いいたしたいと思います。
#5
○齋藤委員 今のゲルマニウムでありますが、電電公社の通信研究所では、どのくらいの純度まで今上げられますか。
#6
○關説明員 われわれのところでは、純度がどこまで上るかということにつきましては、一つはもとになるゲルマニウムも関係するわけでございますが、現在われわれの方で手に入れておりますのが、前に手に入れたドイツのもの、それから英国から手に入れたもの、それからアメリカから一部分酸化ゲルマニウムのかつこうで少し手に入れておりますが、これらを通研の手で純度を上げて、大体ナイン・ナインと言つておりますが、九九・九九……という、九が九つつく程度まで行くようになつております。これもまた原料によつて違うわけでございます。純化の操作を何回も何回もしなければならぬというものもありますし、割合に回数が少くてそこに達するものもございます。
#7
○齋藤委員 東京瓦斯でつくりました酸化ゲルマニウムも、今あなたの方では利用できる価値を見出しているのですか。
#8
○關説明員 東京瓦斯のものにつきましては、先ほど申し上げましたように今調べておる最中でございますが、現在われわれが調べておりまして、欠点があつてこれを申し上げますと、さらにいろいろくふうをされて、よりいいものを持つておいでになるというぐあいで、順次進歩しております。一番最後に持つておいでになりましたものにつきましては、アメリカから手に入れましたものに比べて、多少純化に手間を要するという点はございますが、ナイン・ナインに近い程度のところまでは行つておるわけでございます。その意味で、トランジスターのうち、最初に現われて参りました針を二つつける型のトランジスターには使える段階に来ているのではなかろうかというふうに判断されております。あとは今後さらに改良されればよりいいものになるのではなかろうか。この辺は将来のことでございますから、はつきりしたことはわからないのでございます。
#9
○原(茂)委員 一、二点お伺いしたいのですが、今の御説明の中で、東大の方にゲルマニウムの材料研究のグループがあるように御説明があつたわけですが、非常に重要なゲルマニウム抽出の研究は、東大が今ほとんど実質的に主体の研究グループになつておるのか。はたして通研の方にこういうことも研究されようとして、特別な機構ができておるのか。それ以外にまだこれを重要視した研究グループがあるのかを先にお伺いしたいと思います。
#10
○關説明員 先ほど申し上げました参のは、ゲルマニウムの材料、原料を、日本の資源から得る方法を研究されている研究グループのことを申し上げたわけでございますが、東大の方ばかりでなく、日本全国から約三十名ばかりの方が参加されましてゲルマニウム研究委員会というのをつくつておいでになるわけであります。これに通研の人もメンバーとして加つておる。これは大学、それから方々の会社の方、その他も参加されているわけであります。
#11
○原(茂)委員 そういたしますと、この委員会のイニシアチーヴをとるのは一体どこです。
#12
○關説明員 これは東大の片山教授、木村教授あたりがイニシアチーヴをとつておられるわけであります。
#13
○原(茂)委員 もう一言お伺いしたい。するとこの片山教授その他が今中心でこの研究をしていることになるのですか。それと先ほど關さんの御説明の中に、ようやくこういうような研究が進んで、石炭その他いろいろなものからこれがとれることがわかつたので、近来少しく安心をされておられるという御説明がございました。私どもはしろうとでよくわかりませんが、この程度のことで安心はできないのじやないかと思いますし、現在のように東大の片山教授その他が主導権を持つて三十名くらいの委員会ができて、この研究が進められている程度で、今後のゲルマニウムの需要等を考えましたとき、あるいは通研だけが考えても、トランジスターの将来性というものを考えたときに、この程度のもので、今もまた今後当分の間も進めて行けばよろしいとお考えになつているか。あるいは何か特別にもう少し国家的な大きな見地からして、これに対する導入、法人をしなければいけないようにお考えになつているのか。もしそうお考えになるのでしたら、闘さんのお立場から今後これをもう少し強力に進めるために、一体どんな国家的な施策といいますか、方途を講じてもらえればいいとお考えになるかを、参考までに聞いておきたいと思います。
#14
○關説明員 ただいまお話申し上げましたゲルマニウム研究委員会は、アメリカでトランジスターができたという話がありましたごろから出発しました一つの研究委員会でありまして、主としてリサーチ的な面を担当された委員会と解釈していいのじやないかと思います。それでこのゲルマニウムを使つたトランジスターとか、あるいは二極管のゲルマニウム・ダイオードというものがだんだん技術が確立しまして、先ほどわれわれのことだけを申し上げましたけれども、そのほか日本の各通信機関の製造会社なんかも、独自にまたはアメリカの関係の会社と技術提携などをされて、順次技術を確立され、ごく最近では神戸工業あたりでちやんとしたサンプルがおできになり、そのほかはつきりした発表はされませんけれども、サンプル程度はおできになつたところが数社ございますが、そういう段階になつて参りますと、こういうリサーチ的な面を担当された委員令のほかに、この資源問題をより実際問題に近い見地から推進される流動が、ぜひとも必要じやなかろうかと考えるわけでございます。こういう関係につきましては、われわれといたしましては一つの考えとして、通産省あたりでひとつ強力にこういうものを推進されるための活動をしていただければ、非常に幸いじやなかろうかというふうにも考えているわけでございます。
#15
○齋藤委員 ごくしろうとでありますわら、専門的な御答弁は必要ありませんが、トランジスターができますとどういう影響がラジオ、テレビジヨンあるいは電話それからもう一つは電流の整流器と申しますか、そういうものにどれくらいの革命的影響があるのですか。これはごく簡単でけつこうでございますから……。
#16
○關説明員 これはまだアメリカにおいても、平和的方面への利用については本格的に始まつておりませんから、ましてわれわれのところでは、トランジスターの応用については、われわれの研究所でも大体今年度の半ばあたりから調査を始め、いろいろくふうを始めているという段階でございますので、私の申し上げることは一つの想像的なことしか申し上げられないわけでありますが、そういう意味でお聞き願いたいと思います。このトランジスターの働きは、先ほど申し上げましたように電気の信号を大きくするというのか一つの働きでございますが、これは現在ではラジオの直空管がやつておつたわけであります。すぐ考えられますことは、真空管のかわりに使われるという面がございます。この真空管にかわつて使われるとどんな特徴が出て来るだろうかというわけでありますが、たとえば装置全体が非常に小型、軽量になり、かつ丈夫になり、非常に長寿命になるだろう、これが一つでございます。ラジオあるいはテレビジヨンなんかにもこれを利用すれば、相当装置全一体を小型にできるのじやなかろうか。さらにその値段につきましても、これはまた非常な想像になるかもしれないのですが、装置全体が非常に安いものになるのではなかろうかと考えます。しかしトランジスターの利用としては、真空管のかわりをするというのはほんの一部分の応用でありまして、むしろ真空管でな上に、全然新しい分野が開かれる。そういう方面に非常に大きな働きがあるのではなかろうかと考えております。たとえば従来電気方面でリレーとかスイツチとかいうのがございますが、これは機械的に動いて行つて、電気的な接触ができて電流が通じたり切れたりする作用をするのがスイッチだが、これを電気的に動かしてやる装置のついたリレー、こういうもののかわりをトランジスターとかゲルマニウムを使つた二極官がやつてくれる可能性があるわけであります。こういうものができますと、そのものは非常に小型で小さくなるというげかりでなしに、従来の実際に物体が動いて接触したりはずれたり、というのはそう早いこと行かないわけですが、トランジスターとかゲルマニウムの二極管でやるスイッチ作用は、電子の動きでやるわけですから、けた違いに早い現象になります。ですからスイッチのような電気を切つたりつけたりという働きを従来のものでやつております場合には、一個でもつてあまり大した仕事はできないのですが、トランジスターを使うと一個でもつて短時間にたくさんの仕事ができる、こういう意味で非意に能率のいい電気の切りかえの働きができるわけでございます。こういうものを使つて参りますと、非常に便利なものがたくさんできて来る。その応用は要するにものを自動的に制御する、そういう働きをする機械が非常に簡便にできて来る。この自動的にいろいろ働いてくれる機械の一種が、われわれ電気通信機関では電話の自動交換機がそれでございますが、これは先ほど申し上げましたように、機械的なスイツチ、リレー、これが働いてやつておるのですが、たとえばこういう方面にトランジスターとかゲルマニウムなどが使われると、非常に能率のいいものができて来る可能性がございます。そのほかこういう自動的な制御作用というものができますと、われわれ人間がいろいろ働きをしておるというのも、内容を考えてみますと、われわれ人間の働きというのは、要するにものをコントロールしておることがおもなことで、もう一つはいろいろ力を出す仕事であつたのですが、力を出す仕事の方は従来いろいろモーターとかその他機械のエネルギーがやつていてくれて、ただコントロールすることだけはなかなか人間以外にはまかせられなかつたわけですが、そういうコントロールする作用、人間の手足とかあるいは頭脳のかわりの作用をしてくれるもの、そういうものがこりトランジスターを使つて簡便にできる可能性が出て来る、こういうところ」非常に大きな応用分野が出て来るのしやないか。この自動的な働きをさせることは、従来のスイツチとか機械的なリレーを使つてもできないことはないのですが、非常に厖大になり、かつそれがそれほど早くできない。ところかトランジスターを使えば、簡便にできるようになりますので、いろいろなことに応用するということになつて、これによつて非常に能率よく仕事をすることができるようになる。この意味いわゆる、一人当りの生産力が上るというような方面も出て来るということになると思うのであります。これが相当大きな応用の一つじやなかろうかと想います。その一例としましては、幼いろいろなむずかしい計算を自動的にやつてくれる非常に便利な機械が割合に簡単にできる、こういうこともあろうかと思います。
#17
○成田委員長 松前重義君。
#18
○松前委員 今關さんは非常に遠慮がちに説明されたのでありますが、大体こういうゲルマニウムのような科学的な問題を取扱う委員会は国会中どこにもないし、またかつてもなかつたと私は思う。こういう機会が与えられたのでありますから、どうかひとつ遠慮なく、うんとほらを吹いて、気焔をあげてもらいたいと思つておるわけであります。私はちよつとここでお伺いしたいのは、通研でどのくらいの予算をとつてこの研究をやつておられるかを伺いたいと思います。
#19
○關説明員 今年度の研究費は、このトランジスターに関する基礎的な方面の研究と、それから実用化の方面と合せまして大体の話でございますが。五百万円程度になるかと思います。来年度は、大体研究その他の方面も大分そろつて参りましたので、来年度からいよいよ本腰を入れまして、応用面、それからこの実用化の面、さらに基礎の面も含めて徹底的な研究べ持つて行こう、こういうような話が進んでおるわけでございます。来年度の実際の計画につきましては、現在通研の中で具対的な計画を今相談中でございますので、まだ確定しておりませんが、大体り考え方といたしまして、来年度はいよいよ本腰を入れてやろう、こういうかうに相談が進んでおるわけでございます。
#20
○松前委員 五百万円とはまことに心細い話でございます。それではただいふ御報告せられた程度のものしかできないと思いますが、よくもまたやられたものと思いますが、とにかく通研は、先ほどてなたのお話がありましたように、非常に電気通信の研究のセンターでありますから、トランジスターが先ほどのような自動交換の、いわゆるメカ二カル・スイツチのないものに切りかえられる、トランジスターに切りかえられるというような将来性は、これは私は一番重要なトランジスターの応用の方向であろうと思う。それから自動交換に限らず、すべてこのようなメカニズム、すなわち動く機械というものが、こういう電気的なものに切りかえられるという将来性を持ち、またその基礎的なものでありますから、これは大体通研の機構の半分くらいをあげてこの方に行つてもさしつかえないのじやないか。外国から輸入したり、特許権を買つたり、近ごろ外国と提携をしていろいろやつているという話もありますが、そういうことで技術がまた外国から入つて来て、国産を圧迫するようなことにならぬように、われわれも大いに応援しますから、ひとつ予算をとるばかりでなく、機構をうんと拡充し、あるいはまた日本全体のこれに関する研究者を通研を中心として動員されまして、そうして新しい通信機械の革命をまずやつてもらいたい。そうすれば、ほかのいわゆる機械的に動く機械類のかわりを勤めるところの、非常におもしろいトランジスターの機械ができると思うのです。その方はあとでいいのですが、まず、電電公社からこの方面の革命をやる気持を持つて、予算を思い切つて出して――予算だけでなく、通研の半分くらいはあなたの方に動員してやる。自動交換の方から何から全部動員してやるこういうような仕事と目標を明らかにして出発してもらいたい、こういうふうに思うのです。われわれも大いにちんどん屋をやりますから、ひとつ元気を出してやつていただきたいと思います。
#21
○齋藤委員 たただいま松前委員からもお話がありました通り、また今の關さんの御説明を伺いましても、これは将来業界に非常に大きな革命をもたらすものである。結局ラジオでもテレビジヨンでもあるいは電話交換でも、トランジスターというようなものができると、今度は、パーツをそれに全部合わして行かなければならない。それはピラミッドのセンターになると思うのです。そのピラミツドのセンターが早くでき上らないと、これからつくるものは将来みんなむだになつてしまうと思う。でありますからわれわれが今心配しておりますのは、このトランジスターというものができ上つて、これで一切の革命が行われるということであるならば、国力のすべてはこの革命の一点に集中して、これを完成して、これを中心にしたパーツを今度はつくつて行かなければならぬ。貧乏な国でありますから、せつかくつくつたものが時代遅れになつてむだになるということは、われわれの耐え忍ぶべからざることでありますから、そういう点も十分お考えを願いたいと思うのであります。研究所の実態でありますが、これは研究所にもいろいろな障害があつて、ある一つのポリシーがなければ突破できない部面がたくさんあるのじやないかと私は思う。そういう部面を連絡するために、従来の政治形態というものは、こういう専門家のお話を承るという機会はなかなかなかつたのでしようけれども、これを今後打破して、そうして、政治の面に科学技術の面を注入して、世界の科学技術の水準における政治のベースをつくろう、こういうように考えるのも一つの政治刷新の助長だと思つて、皆様方の御出席をお願いしておるわけでありますが、そういうこともひとつお考えを願いたいと思うのであります。
 お急ぎでございましようから簡単に端折りますが、ただいま私どもが伺いました中で、トランジスターができると整流器が非常に小さくなつて来る。このゲルマニウムというものは非常に整流作用があるということですが、それはどのくらいの力を持つておるものか、もう一つ伺つておきたいことは、このゲルマニウムは金属の中に入るのか入らないかということ、またこれは水に溶ける性質があるかどうか、それから放射能を持つておるかどうか、これだけを伺いたいと思うのであります。
#22
○關説明員 御説明申し上げます。ゲルマニウムはトランジスターに使われますほかに、二極管としても使われるわけでありまして、この二極管として使いますときに、電流の流れる向きによつて、一方は流れやすい、一方は流れにくい、こういう作用が整流作用でございますが、これが従来ありました整流作用を持つものに比べまして、非常にいい性質を持つておるわけでございます。と申しますのは、電流の流れる方向の抵抗は非常に小さい。また流れない方の抵抗は非常に大きいし、逆の方向に相当高い電圧が加わりましても、なかなか参らない。こういう点で非常にいい性質がありまして、これを交流を直流に直す方面に使いますと、整流器で電気を損します程度が非常に少い。こういう意味で結局割合に小さな装置で非常に能率のいい整流器ができ上る、こういう意味でも非常に革命的なものが出て来る可能性がございます。
 その次にゲルマニウムの整流器につきましては、特に整流作用のいいものはやはりジヤンクシヨン型といつておりまして、一つの結晶の中の途中に整流作用をする関門おできておるというようなかつこうのものでございますが、こういうかつこうのものにつきまして、まだ研究が始まつたというような状態であろうかと思います。日本におきましては将来非常によいものになる可能性はあるかと考えております。
 その次に、ゲルマニウムが水に熔けるかというお話でございますが、ゲルマニウム自身は水にはほとんど溶けない性質でございます。
 それからゲルマニウムの放射性でございますが、普通天然に出て参りますゲルマニウムを天然の資源から純化してとりましたものは、放射性を持つておりません。しかし原子崩壊をやつて行きます途中に出て来ます各種の元素の中には、たいていののはみな放射性を持つたものができるわけでありまして、ゲルマニウムの場合につきましては、私はつきり覚えておりませんが、放射性のあるものもこの崩壊の途中の産物の中にあろうかと思いますが、これはほんの特殊なものでありまして、普通のゲルマニウムは放射性を持つておられないわけであります。それからゲルマウニムは、その性質から行きまして金属と非金属のちようど中間的な性質を持つております。これはどういう点かと申しますと、たとえば電気を通す性質につきましては、金属ほどにはよく通らない。特にこれを純度を非常に上げて行きまして、かつ温度を下げると、ほとんど電気は通らなくなつてしまう。ところがこれがいろいろな不純物が入つて参りましたり、あるいは不純物がなくても、ある程度温度が上ると電気を通すような性質になつて来る、こういう意味で半分金属的な性質を持つておる、それで半導体といつております。そういう半導体という特殊の性質のものになつておるわけであります。物理学的な分類ではそういうようになつておるのでございます。
#23
○齋藤委員 ゲルマニウム時代去るというのですが、ゲルマニウムであるトランジスターというものは、もう時代遅れなんだ。これは半導体というものは導体と不導体との合金でもつて、ゲルマニウムのようなものができるのだというような説もあるようですが、これからゲルマニウムを調査開発して行くという建前から、こういうおそれがあるのでしようか、どうでしようか。
#24
○關説明員 今お話のありましたゲルマニウム以外の材料でトランジスターに使えそうなもの、これはいろいろあるわけでございます。ごく前からいわれておりました一つが硅素、シリコン、これ自身はやはり金属と非金属、つまり絶縁物との間の半導体として、昔から知られておるものでございますが、そのほかにごく最近少し毛色のかわつたものが出て参つた。それは金属と金属との合金が、ある状態にしますと、ふしぎなことに金属的な性質を失いまして半導体的になつてしまう、こういうものが出て参つたわけでございます。金属間合金――インター・メタリツク・コンパウンド、金属と金属との間の化合物と、こういつておりますが、この種類のものにつきましても、ドイツその他ヨーロッパ方面において研究が進んでおりますが、われわれの研究所でもある程度これを当つてみておるわけでございます。これにつきましては、今のところいい性質と悪い性質とがございまして、将来必ずこちらに行くかどうかについては、何とも申し上げかねるという状態でございます。たとえばアメリカにおきましても、金属間化合物が非常に有望だといつている人もあると同時に、非常に疑問であるといつている人もございます。それから、これはアメリカはゲルマニユームが非常に豊富であるということが原因しているかと思いますけれども、現在のところ、アメリカはゲルマニユームに重点を置いたような研究の仕方、工業の進め方をやつておるように聞いておるわけでございます。
#25
○成田委員長 本日はこの程度で散会いたします。次回はあらためて公報をもつて御通知いたします。
    午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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