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1953/05/10 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 電気通信委員会 第22号
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1953/05/10 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 電気通信委員会 第22号

#1
第019回国会 電気通信委員会 第22号
昭和二十九年五月十日(月曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 成田 知巳君
   理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君
  理事 橋本登美三郎君 理事 原   茂君
      田嶋 好文君    橋本 龍伍君
      山崎  猛君    齋藤 憲三君
      廣瀬 正雄君    片島  港君
      松井 政吉君    三宅 正一君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 塚田十一郎君
 出席政府委員
        郵政政務次官  飯塚 定輔君
 委員外の出席者
        郵政事務官
        (大臣官房電気
        通信監理官)  金光  昭君
        専  門  員 吉田 弘苗君
        専  門  員 中村 寅市君
    ―――――――――――――
五月十日
 委員緒方竹虎君及び戸塚九一郎君辞任につき、
 その補欠として田嶋好文君及び橋本龍伍君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員田嶋好文君及び橋本龍伍君辞任につき、そ
 の補欠として緒方竹虎君及び戸塚九一郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 壱岐対馬電報料の件を廃止する法律案(内閣提
 出第一四八号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約
 第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通
 信法等の特例に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出第一四九号)
    ―――――――――――――
#2
○成田委員長 ただいまから開会いたします。
 壱岐対馬電報料の件を廃止する法律案並びに日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、通告順にこれを許します。原茂君。
#3
○原(茂)委員 これと関連して大臣に二点だけお伺いしておきたいのですが、自衛隊法案に関係を及ぼしてお伺いしたいのですが、公衆電気通信設備の解釈の問題ですが、もし自衛隊の長官から郵政大臣に対して出動を命ぜられた自衛隊のその任務の遂行上、公衆電気通信設備を優先的に利用することに関して必要の措置を求めて来た場合、一体公衆電気通信設備をどんな範囲に大臣はお考えになるか、公衆電気通信設備の範囲について大臣の見解をまずお伺いしたい、これが第一点であります。
 ついでに質問の方を先にしておきますが、いわゆるこの法案中に公衆電気通信設備に対する定義というものが実はないのであります。従つてどこに一体今第一項のお答えをいただくときの、御答弁を願う根拠を持たれて答弁されるのか、この二つをお伺いしたい。
#4
○塚田国務大臣 御指摘のように自衛隊法には公衆電気通信設備というものをどういうぐあいに概念するかという定義はないのでありますけれども、これは私どもといたしましては、公衆電気通信法に第二条の第四号に規定をいたしておりまする公衆電気通信設備というものは「もつぱら公衆電気通信役務を提供するための電気通信設備」である、こういうように考えておるわけであります。実質的には電信電話公社とそれから国際電信電話株式会社が保持しております公衆電気通信のために使われておる設備と、こういうように考えておるわけであります。
#5
○原(茂)委員 なおお伺いしておきますが、そうしますと、無線局、放送局、こういうものはこれと全然関連のないものと考えてよろしいかどうか。
#6
○塚田国務大臣 一般には無線局、それから放送局はもちろん入らないのでありますが、ただ無線局のうちでも、今申し上げました公衆電気通信設備に該当するもの、つまり電電公社が持つております無線局というものはこの中に入る、こういうような考え方であります。
#7
○原(茂)委員 そうしますと、電波法の第四条に規定する無線局、これが今の御答弁に相当するものと解釈してよろしいかどうか。
#8
○塚田国務大臣 さようでございます。
#9
○原(茂)委員 そうしますと、なお前にもお伺いしておきましたが、だめ押しにお伺いするのですが、放送局は電波法の第六条の第二項をごらん願うと、放送局の定義がありますが、すなわち「無線通信の送信をする無線局」これが放送局だ、第四条による無線局と第六条による放送局というものとの関連を、この際は全然切り離して考えてよろしいかどうか、これをお伺いしたい。
#10
○塚田国務大臣 第四条の規定をしておる無線局と第六条の規定をしておる無線局つまり放送局も全然これは別である、こういうように考えます。
#11
○原(茂)委員 それでその点の第一の疑義をはつきりさしていただいたわけですから、最後にお伺いしたいのは、この自衛隊法の七十六条にたしか防衛出動の件があつたと思います。これは国務大臣としてお伺いしたいのですが、武力攻撃の場合はもとよりですが、武力攻撃のおそれある場合にも、自衛隊は出動を命ぜられるわけです。このおそれある場合というのはどんなときに一体そのおそれある場合と解釈できるのか、このおそれある場合の解釈によつては、実は一般大衆、われわれにもよくわからない、全然その必要かないのではないかと思うようなときに出動を命ぜられ、出動を命ぜられた自衛隊の長官は郵政大臣に対してこれら公衆電気通信設備の使用を要求することができることになりますが、要するに特定の少数の人々が何か他の目的に使用しようとするのに、これを利用し得るおそれのある、その源を突き詰めて行くと、この武力攻撃のおそれある場合に出動するというところに大きな疑念が出て来るのですが、一体おそれある場合というのを規定していない以上は、国務大臣としてどんなときに一体公衆電気通信設備を使用することを要求されるような出動を命ぜられるか、その武力攻撃のおそれある場合というのは一体どんなときとどんなときであるか、それを明確にしておいていただきますと、今伺つた疑点が明確になつて来るかと思うのでありますが、この点をお伺いしたい。
#12
○塚田国務大臣 これはどうも今お尋ねを受けて、特にこういう場合がおそれある場合だというのに該当する適切な事例の表現が今見当らないのでありますが、きわめて抽象的なお答えになるかもしれませんけれども、結局外部からの武力攻撃もしくは武力攻撃のおそれある場合というのを含めて、とにかくそういう状態では自衛隊の全部または一部の出動を命じなければその事態に対処することができない、こういうふうに総括的に客観的に認定できる場合であろうと思うのであります。ですから自衛隊を全部もしくは一部出動させなければならないというように認定される場合は、私はそういろいろな形の場合にあり得るとは思わないのでありまして、おのずからきわめて特異な事態だと思うのです。もちろん政府がそれを認定するわけでありますけれども、七十六条によれば承認が得られる場合にはこれは承認を得てやる、場合によつては日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認でもいいのである、とにかく国会の両院もしくはどちらかの承認によつてやれ、また承認が得られないでやつた場合にも事態の判定は非常に重大であるから、あとになつてからでもそれをかけろ、またそこで承認が得られなければそれを撤収させろというようになつておりますから、そう御心配になるようにいろいろな場合に、わけもなくこういう防衛出動が行われるとは考えられませんし、従つてその出動の前提のもとに公衆の電気通信設備が、そういう特殊の目的のために特に優先的に使用される事態というものは起らない、私はこういうように考えておるわけであります。
#13
○原(茂)委員 過去の太平洋戦争といつた時代の戦史をひもといてみますと、国内的な政治措置においてはやはりそういう場合が多々あつたわけであります。特に国会の事後承認を要する、事後承認でいいというようなことになると、非常にその間の間隙を利用されて、とんでもないことが行われたような例が実は多々あります。従つてこの場合に関しても国内における内乱、暴動、そのおそれある場合にも自衛隊の出動は可能でございますが、そのおそれある場合の認定は――一体どういうときにそのおそれありと認定をし、今かかつております法案に直接関係する公衆電気通信設備の利用を、ただちに要求するような事態になるというふうな想定ができるのか、一応それがないと――内乱が起きたとか暴動か勃発したとかいう事態になれば、これはわれわれ大衆といえどもただちに納得し得る利用、専用等が行われることになるのですが、そうでない場合にはやはりかつての例から見ますと、大衆の全然知らないうちに、あつと思うときにはすでにこの利用ががつちりと決定されて、しかも郵政大臣がすでにこれを承認して、既定の事実になつていたといつたようなことが予想されるわけでありますから、どうしてもこのおそれある場合ということに相当大きなウエートを置いて考えて行かないと、いやしくも公衆、パブリツクという名に反して、ある電気通信設備とか無線局等が使用されるようなことがあつては、これは公衆のものでありますから非常に重大な問題であり、この点、その範囲、内容、状況等についてもう少しはつきりした大臣のお答えがあると、私は将来のために一番よろしいと思うのですが、押してもう一度御答弁を願えればお願いしたいと思います。
#14
○塚田国務大臣 これはどうも自分の担当の問題でございませんので、そういう点まではなかなかお答え申し上げかねますし、またいろいろな知識を持つておらぬのですが、あるいは原法案が当該委員会において御審議になつた機会に、この部分についてのいろいろの御説明があつたかと思うのでありますけれども、ただ私といたしましてはさつきも申し上げましたように、ある事態が出て来た、もしくは表面には立つていないけれどもいろいろと調査をして、また事柄の機密を保つ必要上表面には明らかにできないが、ある事態が出て来て、どうしてもそれがわが国を防衛するために必要であるというような必要が認められて、そこで自衛隊の全部または一部の出動が命ぜられる、こういう形になるのでありますから、おそらく御心配のような事態があつたときには、国民大衆が事態をはつきりと承知せずに、そういうことを認定せざるを得ないことも起つて来ると思いますけれども、そのときに責任を持つて国の行政全般、従つてまた治安維持の任にも当つておる立場の者が判定をいたしますことに対しては、これは御信頼をいただくということ以外には方法はないのではなかろうか、こういうように考えておるわけであります。
#15
○成田委員長 松井政吉君。
#16
○松井(政)委員 関連するかもしれませんが、御了承願いたいと思います。内容はきわめて簡単なものでありますから、質問も簡単にいたしますが、第一番に法形式の問題についてお伺いいたします。説明の内容は、御承知のように国際連合の軍隊の地位に関する協定に調印をしたのでこれは必要になつて来た、こういうことでございますが、それならばなぜ日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に読みかえるというような法形式をとつたか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
#17
○塚田国務大臣 これは御指摘のように法形式としては別の法律にするということも私はあり得ると思いますし、かつ考えられると思うのであります。ただ実際問題として、別の法律をつくつても同じような形になるので、同じような趣旨からできておる法律が別にある場合には、その規定を準用して行くという形に便宜によつて行つたと私は考えておるのでありまして、ちようど私は今のお尋ねを伺つておつて思い出しますのは、例の教育関係の今問題になつておる二法案の場合に、国家公務員の例によるというように書いたのも、同じような考え方ではないかと考えておるわけであります。別にあの国家公務員法に規定されておると同じ内容のものを、あそこのところに持つて来て書いてもいいわけでありますが、それほどの必要がないので、同じ規定によつてやるのだというふうにいたしたのだということと同工異曲の問題だと考えておるわけであります。
#18
○松井(政)委員 内容は同じようなものでありましても、こういうことではございませんか。たとえば国連憲章に基く安全保障を日本がどう求めるか、こういうことになりますと、日米安全保障条約がすでに締結をされておる。しかしながら日本の望むところはアメリカ一国との問の安全保障ではなくて、国連との安全保障を理想としておる。これは日本国民である限り、全部が理想の形を追おうとすればやはり考え方は一緒になる。国連との安全保障の形だと思うのです。それは日本国内における国連軍隊の地位に関する協定だから、日米安全保障に基く行政協定で法形式をごまかしていいという性質のものではなかろうと私は思う。日本と外国ということになれば、やはりあくまでも日本と国連が法形式においても整う第一の場合と考えている。特定国としてのアメリカなり、あるいはその他の特定一国との間の協定に基く法形式はできるだけ避けるという形で、国連と日本、この形でなければ安全保障を基本としたすべての法体系というものはいけないのじやないかと思われるのです。内容は今大臣のおつしやつた通りでありますが、ただ便宜主義に取扱つたということならばもう質問することはございませんが、日本と外国とを考えた場合の法体系というものは、便宜主義に取扱うべき性質のものではございません。便宜で取扱つたと言えば、便宜はけしからぬということになるのですから言うことはございませんが、便宜主義であるのか、それともアメリカと日本と、国連と日本とのウエートを、何らの形でアメリカに国連よりよけい置いたという形から法体系が出て来たとすれば、またこれは大きな議論になる問題でありますが、そういう点について単なる便宜上やつたのであるか、それともやはり根本的に国連対日本、特定国としてのアメリカ対日本の立場でものを考えたのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#19
○塚田国務大臣 私はこれは松井委員のお尋ねのように法の組立てはなつておると思うのでありまして、日本とアメリカとの関係、それから日本と国連との関係というものは、はつきりと別に考えておると思うのであります。ただいよいよそういう国際間の協定に基いて国内に法律をつくるときには――今問題になつておりますものは、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に関する法律、こうなつておりますが、「この行政協定の実施に伴う」までは、御指摘のように日本とアメリカとの関係であるし、またこの範囲においては、国際連合と日本との関係というものがある。しかしそれから先の「公衆電気通信法等の特例に関する法律」という部分は、これはそういう協定、条約に基いて国内法をどう措置するかという純然たる国内的な法律規制、もしくは法律形式の問題でありますからして、ある協定に基いて国内にある法律ができておる。他の別な協定ができたときに、同じような国内法を用いて、その規制のもとである協定の目的が達せられるという場合には、この協定で行くこと自体は、もちろん私も便宜的なものの考え方であると考えております。しかしその便宜的なものの考え方が、松井委員が御指摘になるような重大な問題点を包蔵しておるというようには、私は考えないわけであります。
#20
○松井(政)委員 そうなりますと、原委員が質問をしたところに関連するわけでございます。これは直接の関係はございませんで、間接的な関連でございましようが、たとえば自衛隊法の場合、おそれあると認定をした場合の行動、あるいはその他の大きな規模における出動の場合は、自衛隊法並びにMSA協定等の一連の法律から見れば、日本の自衛隊は、アメリカ軍の指揮下に入るのです。その場合に公衆電気通信設備が、自衛隊法から言えばアメリカ軍隊の指揮下に入る。その場合に、ただいま国連軍隊等の地位の協定によつてつくられておりますこの電気通信法の特例に関する内容と、それから国連軍と指揮をしておるアメリカ軍との関係は、その設備を利用する場合、どのようにお考えになりますか。この具体的な考え方の差異並びに内容等についてお伺いをしたい。
#21
○塚田国務大臣 松井委員は、そういう施設を利用するときの関係を御指摘になつておるのでありまして、今ここで問題になつておりますものは、そういう場合の料金関係をどうするかということなんでありますから、私はこの程度の問題は、この形式で一向さしつかえないのじやないだろうかと思うのです。あるいは私が自衛隊法案だのMSAの協定というものを、あまり専門的によく承知しておらぬものですから、お尋ねの趣旨を十分つかんでおらぬかとも思うのでありますが、その点いかがでしようか。
#22
○松井(政)委員 当然料金の問題やその他で、施設を中心とした関係でないことは承知いたしておるのです。けれども行動するのは軍隊なんです。日本の自衛隊は、日本の国内法よりも特定の便宜を与えてもらつておるアメリカの軍隊の指揮下に入るわけです。その場合に、この協定において便宜を与えておる。この法律によつて、アメリカ軍隊と同じように便宜を与えておる。要するに国連軍というものが動くわけですね。そうじやないでしようか。動かないでしようか。従つて、この場合における法形式というものは、要するに国際連合の軍隊の地位に関する協定に基く公衆電気通信法の特例に関する法律という形で出て来なければ、そういう場合を考えたことにならないのであつて、あくまでもこれは便宜主義である。一つの法体系から言えば、便宜主義以外のものでないという結論になると思うが、やはりそうではなくて、これが妥当だという考え方で来ておるのでございましようか。
#23
○金光説明員 大臣にかわりまして、一応私から今の松井委員の御質問にお答え申し上げますが、この国際連合の軍隊の地位に関する協定では、朝鮮で、現在戦争状態にあるために、国際連合軍が活動しております。その後方陣地として、国連軍としての活動をしている軍隊が日本にとどまつているためにつくられたところの協定でございます。実質的に申しますと、これによつて適用を受けます軍隊は、現在のところは御承知のように英濠軍のみでございます。その他は日本に駐留しておりません。アメリカ軍につきましては、一応非常に形式的に申せば、日本の安全保障のためにおります駐留軍と、それから朝鮮で活動しております米軍が、日本に来て一時帰休する等のために、国連軍としての米軍との両方の性格を持つているものが混在しているわけでございますが、これにつきましては、この国際連合の軍隊に関する協定の、公式の議事録等を見ましても、一応アメリカの軍隊は、全部駐留軍として扱うのだというように相なつているわけでございます。そういたしますと、ただいまお尋ねの国際連合の軍隊が、もし日本に緊急事態が起きました場合に活動するという場合を考えましても、それはあくまでも日米安全保障条約によりまして、アメリカ軍隊が活動するのでありまして、ただちに国連軍が活動するということに相ならないのではないかと思うのであります。現にこの国連軍との協定には、その二十四条に、朝鮮から国連軍が撤退いたしました際には、それから後九十日以内に、この国連軍は日本からも撤退しなければならないといつたような根拠もございますので、ただいま松井委員のお尋ねは、アメリカの軍隊が、日本の共同防衛のために立つような場合に、国連軍もそれと同様の行動をするのではないかといつたようなお尋ねのように拝承いたしたのでございますが、そういうことにはただちにならないのじやないかと思うのであります。ただ現在の状態を見ました際に、日本国内におきまして、現在アメリカ駐留軍に対しまして電気通信関係のサービスとして与えているところの状態と、英濠軍、いわゆる国連軍に対して日本において電気通信をサービスとして与える状態とは、これは格別にその差異をつけるということは必要ないじやないか。またむしろ、この根拠になつております国際連合の軍隊の地位に関する協定の中でも、この公益サービス面については、ほとんど行政協定の規定と同様に、次のような規定がなされているわけであります。この協定の六条に、「国際連合の軍隊、並びに同軍隊の構成員、軍属及び家族は、日本国政府が有し、管理し、又は規制する公益事業及び公共の役務を利用することができる。その公益事業及び公共の役務の利用については、国際連合の軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。」というふうに規定しておりまして、これはまさしく現在のアメリカ駐留軍による行政協定に規定されております規定とまつたく同様の規定でございますので、それを受けまして、この公衆電気通信法等の特例に関する法律をつくりました際も、そういつたような現在与えている条件が同様であれば、法体系として現在の行政協定等による特例の法律の内容を準用することが最も妥当ではないかということで、かかる立法措置をとつたわけでございます。
#24
○松井(政)委員 今お伺いすると、アメリカ軍隊が日本に駐留する場合と、国連軍が日本に駐留する場合とは違うということを明瞭に御説明なさつたわけです。駐留する目的が違い、形式が違う、こういうことになれば、この国連軍等の地位に関する協定から生れて来る法律は、当然安保条約第三条に基く行政協定ではなくて、アメリカの外国軍隊も、国連軍と称される外国軍隊も、サービス、待遇は別々に異なる取扱いを日本はやられる道理はないでございましようが、内容はそうであつても、法体系としては当然目的が違うのでありますから、別の法律とならなければならないということが生れて来る。それを日米安全保障条約第三条に基く行政協定に読みかえるという法体系はあくまでも便宜主義であつて、りくつからは成り立たない。アメリカの駐留軍は、日米安全保障条約に基いて、今御説明になりましたように、日本の安全を保障するためには必要であり、従つて自衛隊等がおそれがあるとして行動する場合にはアメリカの指揮に入る、これは自衛隊法の内容である。ところが国連軍の場合はそうでないという説明をしておる。駐留の目的が違うのであります。駐留の目的が違うのに、なぜ安全保障条約第三条を行政協定の内容に読みかえることにしたかというと、これはあくまでも便宜主義だ。内容の取扱いが同じだから、便宜上行政協定に基く特例法によつて処理した、これに尽きると思うのですが、そうでないのですか。
#25
○塚田国務大臣 お尋ねの核心が大体わかつて来ましたが、そういう意味においてそれはまさに便宜主義だとおつしやれば便宜主義である。ですからして最初に申し上げましたように、別の法律体系で持つて行つてもしかるべき事柄ではある。しかしただ便宜主義であるから非常におかしい、もしくはもう少し強く言いますならばけしからぬというようなお気持で、便宜主義というように松井委員がお尋ねになつておるのではないかと私には聞き取れるのですが、便宜主義は便宜主義だが、そういうような気持は私にはいたしません。御指摘のように、当初の法律は行政協定に基いて出て参つておりますし、今度のそれを修正いたしました根拠は、遠くは一九五一年吉田・アリソン交換公文と、近くはそれに基いて国際連合が憲章によつてとるいかなる行動についても、援助を与える義務ができて来た。その義務に基いて、この間日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定というものが出て、従つてそれに基いて今度の法律改正が行われておるのでありますからして、出て来ている原因は御指摘のようにはつきりと元は違つております。違つた元からできて来ておりますけれども、それを今度日本の一つの法律の中でどのように扱うかということは、国内法の体系だけの問題であつて、ある場合は別の法律にすることもある。一つの法律の中である部分を読みかえ、ある部分を準用するという扱い方で扱つてもさしつかえない。しかし便宜主義であつて、従つて別の法律体系に持つて行くという行き方はあるということは、確かに御意見の通りであります。
#26
○松井(政)委員 ほかの行き方もあるし、これは便宜主義という点もある程度は認められたようでありますが、私がなぜこういう形式論にとらわれるかといいますと、法の形式に流れる一つの精神というか、流れというものに重点を置くからであります。というのは、御承知のように内容は一緒だし、扱いが一緒だから、便宜主義でよいのではないかという考え方は、勢い内容に盛られておる不平等性、いかなる外国の軍隊との間に協定を結ぶ場合でも、その不平等性はずつと続いて来るわけであります。ところが内容が同じでも、法律がかわれば、その法律の目的と、駐留しておる目的がうたわれて、法の体系は整つて来るわけです。そこにやはり一つの法律の底に流れる精神は、国としては非常に重要な問題になると思う、こういうことを考えるからお伺いしておる。しかも内容は、やはり日米安全保障条約、行政協定と同じように、親協定に基くサービス並びに便宜を提供しようということでありますから、日本国民以上のサービスをするということです。これは一種の不平等です。親協定に結んでおるからしようがないと言われれば、親協定そのものから改訂しなければならぬことになりますから、ここの議論ではありませんけれども、そういう流れが法体系に出て来ておるわけであります。であるからこの内容の不平等性、たとえば日米安全保障条約の中における不平等性と行政協定の中における不平等性とを直そうとする場合に、法が便宜上国連のものと一緒になつておると、そこでまたつかえて来る。そういうことをお考えになりませんか。これはあくまでも便宜主義であつて、別にやることもあり得るのではなくて、別にやることの方が法体系としては正しいという御解釈は生れませんか。
#27
○塚田国務大臣 安保条約の出て来ておる元、国連のものの考え方、米国を中心にしておるわれわれの陣営のものの考え方を総合して考えてみますと、行政協定の元になつておる日米安保条約、また国連のものの考え方は、みな一つのところから出て来ておると思います。一つのところから出て来ておるものが、一つは安保条約から日米行政協定になつて行き、一方は国連憲章の精神に基く今の国際連合軍の特殊地位に関する協定というものになつて、今度それに基いて日本がどういう規定をするかということになつて来ておる。元が一つところから出て、まん中が二つに割れて、またすそが一つになつておる感じであります。これは私の判断でありまして、皆さんがそういうようにお感じになるかどうかわかりませんが、同じような扱い方になつておることの方が実質に合致しておるのではないか。こういう感じがいたすのであります。しかし重ねて申し上げておきますが、これは私だけの判断であります。法的に公式なお答えは、先ほど申し上げましたように、便宜主義のものであり、別の法体系にしてもさしつかえないという感じであります。
#28
○松井(政)委員 私はあげ足をとるのではありませんが、大臣のお答えに非公式のお答えがあるわけはなく、全部公式と解釈してよいと思います。要するに日本の国の安全保障のために駐留するという目的と、そうでない形で駐留する目的と、目的が違うのです。それをあなたのように、もとは国連憲章から出発しているのだから、駐留の目的は違つても、やはりサービス提供等の法律は、便宜上日米安全保障条約、行政協定のそれでいいのだという考え方は間違いです。これはあなただけの考え方だと言われますけれども、これは公式、非公式にかかわらず、そういう考え方からずつと来ておるとすれば、それは間違いだと思うのです。しかも今おつしやつたように、核心に触れての安全保障をどうするかという問題から今の問題が議論されるとすれば、さらに問題は複雑になります。アメリカ一国だけの安全保障ではなくて、国際連合全体としての安全保障、あるいは地域集団より全体集団保障の方を日本国民全体が望むだろうと思う。そういう議論になつて来るとさらに複雑になつて来ます。この程度の内容でそこまでの議論をすることは、この法律については必要ないと思いますけれども、そういうことになるのでますます矛盾して来るのです。だから国連憲章から出発しているのだから元が一緒だ、こういうことであつても、明瞭に政府みずからが駐留の目的が違うと言つておるのです。だけれども、サービスを提供するその内容は、アメリカ軍隊と国連軍隊と同じだから一緒でもいいのだ、こういう考え方ですから、これはあくまでもやはり便宜的に一緒の取扱いをやることにしても、一緒の取扱い方で日米安全保障条約、行政協定に基く特例でいいじやないか、こういう便宜的な考え方だと私は私なりに解釈しますから、その押問答はけつこうでございます。要するに内容の点について、アメリカ軍隊とそういう行政協定を結んでいるから、その後そういうふうなサービス提供あるいは便宜を与えることでよろしいという考え方の根拠になつた点だけを一点お伺いしておきたい。
#29
○塚田国務大臣 お尋ねの点がまだ十分つかめないのでありますが、同じように扱うという根拠が法律的にどこにあるかというお尋ねであつたか、それとも事実上アメリカ軍と国連軍と同じように扱うという理由がどこにあるという、その点のお尋ねであつたか、どちらですか。
#30
○松井(政)委員 両方です。
#31
○塚田国務大臣 両方であるというお尋ねでありますならば、法的には一方は日米行政協定の第七条であり、一方は今度の日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の第六条ということになるのでありまして、その六条と行政協定の第七条が同じような規定をいたしておりますのは、これは実質的な判断の問題でありますから、大体日本におりますアメリカ軍も、アジアにおいていろいろな目的で動いております国連軍も、同じような事柄については同じように扱うのが妥当であろうという、今までのそういう軍隊の性質、それから終戦からこの方の行きがかりというものがあつて、大体平等待遇ということが判断の基礎になつておると思います。
#32
○成田委員長 ほかに御質疑はありませんか。――質疑かないようでございますので、両案に対する質疑は終了いたしました。
 両案については討論の通告がありませんので、ただちに採決に入ります。
 まず壱岐対島電報料の件を廃止する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決すべきものと決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○成田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#34
○成田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り議決すべきものと決しました。
 なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました右法律案に対する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○成田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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