くにさくロゴ
1947/06/19 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第51号
姉妹サイト
 
1947/06/19 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第51号

#1
第002回国会 本会議 第51号
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
   午前十時十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十九号
  昭和二十三年六月十九日
   午前十時開議
 第一 会期延長の件
 第二 教育勅語等の失効確認に関する決議案(田中耕太郎君外二十五名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第三 政治資金規正法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第四 國立富山病院拡充に関する請願(委員長報告)
 第五 看護服並びに予防衣の特別配給に関する請願(委員長報告)
 第六 國民健康保險制度改革に関する請願(委員長報告)
 第七 看護課設置に関する請願(委員長報告)
 第八 國立小浜温泉療養所拡充拡充に関する請願(委員長報告)
 第九 衛生組合法制定に関する請願(委員長報告)
 第一〇 國営自動車琵琶湖線延長に関する請願(委員長報告)
 第一一 福島、飯坂温泉間並びに福島、宮下間に國営自動車運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第一二 小田、久万両町間國営バス運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第一三 鶴ヶ岡奥名田両村間を國営自動車の路線認定に関する請願(二件)(委員長報告)
 第一四 尼崎市営バス路線認可促進に関する請願(委員長報告)
 第一五 坂上、賀見畑、秋中三箇村に國営自動車の運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第一六 矢島鉄道株式会社の損害賠償請求に関する請願(委員長報告)
 第一七 輸送力強化に関する請願(委員長報告)
 第一八 日本通運の鉄道貨物取扱独占撤廃に関する請願(委員長報告)
 第一九 関西本線、東京間直通列車運轉に関する請願(委員長報告)
 第二〇 貝田運転所を停車場に変更することに関する請願(委員長報告)
 第二一 岩手縣の鉄道用枕木供出に関する請願(委員長報告)
 第二二 高岡、福岡両駅の中間に停車場設置に関する請願(委員長報告)
 第二三 山形駅始発上野行客車の実現に関する請願(委員長報告)
 第二四 東京、鹿児島両駅間直通急行列車運轉等に関する請願(委員長報告)
 第二五 黒磯駅を急行列車停車駅にすることに関する請願(委員長報告)
 第二六 國民健康保険制度適正化に関する陳情(委員長報告)
 第二七 藥務局設置に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第二八 國民健康保険制度改革に関する陳情(九件)(委員長報告)
 第二九 野村町、中筋村間に國営自動車の運輸延長に関する陳情(委員長報告)
 第三〇 末吉駅、南之郷高岡口間に國営自動車の運輸開始に関する陳情(委員長報告)
 第三一 石巻、氣仙沼間並びに白石、上ノ山間國営自動車の運輸開始に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りして決定したいことがございます。一昨十六日、両院法規委員会規定第四條により委員長を経由し、理由を附して委員辞任の申出がございました。西園寺君の辞任を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、この際直ちに補欠選挙を行いたいと思います。
#5
○栗山良夫君 只今議題と相成りました両院法規委員会の委員の補欠選挙は、本院規則第二百四十八條第三項によりまして、選挙の手続きを省略し、その選任を議長に一任するの動議を提出いたします。
#6
○羽生三七君 只今の栗山議員の動議に賛成いたします。
#7
○議長(松平恒雄君) 栗山君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として羽生五郎君を指名いたします。
 尚この際お諮りいたします。一昨十六日、鈴木安孝君より理由を附して予算委員辞任の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として大島定吉君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#10
○議長(松平恒雄君) 日程第一、会期延長の件についてお諮りいたします。議長は衆議院議長と協議の結果、國会の会期を更に六月三十日まで十日間延長することに協定いたしました通り決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて会期は六月三十日まで、十日間延長すること決しました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(松平恒雄君) 日程第ニ、教育勅語等の失効確認に関する決議案(田中耕太郎君外二十五名発議、)(委員会審査省略要求事件)、本件は発議者田中耕太郎君外二十五名の要求通り、委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。田中耕太郎君。
   〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
#14
○田中耕太郎君 只今上程になりましたところの、教育勅語等の失効確認に関する決議案につきまして、発議者の一人として提案の理由を御説明申上げます。
 文教委員におきましては、数次の会合を開きまして、この問題につきまして十分論議を盡し、檢討を重ねました結果、各派共同して本決議案を提出いたしますことに意見の一致を見ましたのであります。先ず案文を朗読いたします。
   教育勅語等の失効確認に関する決議案
  われらは、さきに日本國憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、わが國家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に拂拭し、眞理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果として、教育勅語は、軍人に賜はりたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜はりたる勅語その他の諸詔勅とともに、既に廃止せられその効力を失つている。
  しかし教育勅語等が、あるいは従来の如き効力を今日なお保有するかの疑いを懐く者あるをおもんばかりわれらはとくに、それらが既に効力を失つている事実を明確にするとともに、政府をして教育勅語その他の諸詔勅の謄本をもれなく回収せしめる。
  われらはここに、教育の眞の権威の確立と國民道徳の振興のために、全國民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力を致すべきことを期する。
  右決議する。
 諸君におかれましては、我々が今日かような決議をする必要がどこにあるかとの疑いを懐かれる向もあり得ると存じますので、先ずこの点につきまして御説明を申上げます。
 教育勅語は申すまでもなく、久しきに亘りまして、わが國の教育の唯一最高の指導原理としての國民の教育上最も重要なる役割をつとめて参りました。それは各個の徳目の内容は別といたしまして、主催者の訓示の形式を取つております結果といたしまして、天皇の神格化と相俟つて、往々極端な國家主義的に解釈されていたのであります。併し宗教と良心の自由が完全に保障せられました新憲法の下におきまして、教育勅語がその他の詔勅と共に、かような指導者原理としての性格を維持してならないことは当然の事理といわなければなりません。
 そもそも教育勅語を如何に措置すべきかということにつきましては、終戰後間もなく政府部内、米國教育使節團、教育刷新委員会、貴衆両院及び一般言論界におきまして眞劍に檢討論議せられたところであります。文部省におきましては、先ず、昭和二十一年三月「國民学校施行規則」の中から、儀式の場合に勅語を奉読すべしとの項目を削除いたしました。又中等程度の学校に関する規定の中から、「教育は教育勅語の趣旨に則れ」という項目を削除いたしました。その次は昭和二十一年十月八日の文部次官通牒でございます。これは直轄学校長、公私立大学高等専門学校長及び地方長官に宛たるものでございまして、その表題は「勅語及び詔書等の取扱について」となつております。それは三つの点、即ち第一に、教育勅語を以つて我が國教育の唯一の淵源を廣く古今東西の倫理、哲学、宗教等にも求めなければならない態度を採るべきこと、二、式日等において、今後はこれを読まないこと、三、勅語及び詔書の謄本等を神格化して取扱つてはならないということを明示いたしました。併しながら教育勅語等の、教育の最高指導原理としての性格を明瞭に否定いたしましたのは、申すまでもなく新憲法及びその精神に則りましたところの、昭和二十二年三月三十一日、法律第二十五号の教育基本法であります。特にこの教育基本法は、従来の我が國家、我が民族中心の教育理念に代りますのに、眞理と平和とを希求する人間の育成という理念を以ていたしたのであります。この教育基本法の前文と、第一條及び、第二條は、御承知のように、従来の法律の例を破りまして、哲学的、倫理学的な教育の理念を掲げておるのでございまして、外國にもその類例を見ないところと存じます。この点は議会におきまして、法案審議に際しまして問題になりました。つまり法律が哲学的、倫理的、宗教的、そういうような方面のことを規定すること自体が議会で問題になつたのであります。併しかかる異例は教育勅語に代る新教育理念をしめすため止むを得ない措置であつたのでございます。更に教育基本法と同時に制定せられました学校教育法は、第九十四條で以て國民学校令から大学令に至るまでの各種の学校を廃止することを規定いたしました。その結果として、従来の或いは皇國の道に則る教育、或いは國家中心の教育理念に関するさような内容を持つておる法令の規定も廃止せられるに至つたのであります。かような経過から見まして、終戰後取られましたところの相当周到な立法的並びに行政的措置によりまして、教育勅語はその他の詔勅と共に廃止せられてその効力を失い、倫理道に関する一つの過去の文書、歴史的文献に過ぎないものとなりまして、日本教育の最高原理としての性格を失うことに至つたものと認められるのであります。要しまするに、終戰以来我が國家としましては、特に政府や立法府は、以上御説明申上げましたように、この問題を眞劍に取上げ、愼重に、併し相当大胆に考え且つ処理して参つたものでございます。それには多少の足らざるところはあつたにしても、我が國家としては怠慢ではなかつたと申すことができるのであります。併しながらかような立法的行政的措置が今日まで採られて参つたのに拘わらず、この事実を未だ十分認識せず又その意味を完全に理解せず、習慣的に或いは勅語をまだ神格化して観念したり、それが従来のような我が教育の最高指導原理としての性格を、今日尚持つておるかのように考える者も絶無とは申されないのであります。併し若しそうであるといたしまするならば、ポツダム宣言を忠実に且つ完全に履行することを誓つた我々といたしまして、この際改めて教育勅語等が効力を失つておる事実を明確にすると共に、それらの謄本を回収し、以て國民の思想の中に神がかり的な國家観や、極端な國家主義的理念の最後の一滴も一掃する必要がないとは言えません。併しながら我々は教育刷新の、かような消極的方面だけで以て甘んじないで、積極的に教育基本法の明示する民主主義的、平和主義的な新教育理念の普及徹底に全力を傾注すべきことは申すまでもないことであります。これ我々が本決議をなすことを必要と考えましたゆえんでございます。
 尚ここにご注意をお願いいたしたい点がございます。それは本決議案が教育勅語等の失効を確認する性質のもので、教育勅語等が今始めて廃止せられたり、或いは排除せられたりするものでないという法理上の問題でございまして、我々の考えによりますると、教育勅語等は新憲法第九十八條第一項の中に規定していますところの憲法の條規違反の詔勅として無効となるものではございません。憲法の右の條項、即ち「この憲法は、國の最高法規であつてその條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」これが問題になつて参るのであります。憲法のこの條項は法規相互の関係を規律しておるのでございまして、それは今尚形式的に効力を持つていまする法令詔勅について適用されるのであります。教育勅語等につきまして、前に申し上げました通り、教育勅語を援用し、その他皇國の道に則る教育理念を示しておりました諸学校令がすでに廃止せられておりますから、教育勅語等は道徳訓に関する過去の文献に過ぎないものとなり、法規や國務に関する行爲ではなく、從つて憲法の右條項とは全く関係がなくなつてしまつておるのであります。勅語と新憲法との間の関係が存し得ないようにすでになつておりますことは、教育基本法や学校教育法は新憲法実施前に、即ち昭和二十二年三月三十一日から施行せられておりまして、その結果として、前に申上げましたように、それらの施行と同時に、勅語又はその精神を援用しておりました諸学校令中の規定は廃止せられ、それらの規定の中身になつておりましたところの勅語は法の内容ではなくなりまして、單に道徳訓になつてしまつたということが明瞭でございます。若し今日道徳訓である勅語の憲法上の効力を論ずるとしまするならば、それは論語やバイブルが憲法違反で無効であるかどうかということを云々すると同じく意味を成さないことになるのであります。かような理由からいたしまして、本決議案は勅語と憲法第九十八條第一項との関係に言及しなかつたのでございます。
 以上申上げましたところの教育勅語の性格の問題は、要しまするのに、教育基本法に関する知識が普及し、その精神が徹底することによりまして、一層明瞭になるのでございます。我々は今後の教育におきまして、一層新憲法及び教育基本法の理念の普及徹底に、全力を挙げて努めなければならない責任を痛感するのであります。
 以上の理由を以ちまして、我々は本決議案を提出することにいたしました。案文が甚だ簡單で、意を盡さない憾みがないではございませんが、以上申上げました趣旨をお酌取りの上、御賛成あらんことを切望します次第であります(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 別に発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#16
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本決議案は可決せられました。只今の決議に対し文部大臣より発言を求められました。森戸文部大臣。
   〔國務大臣森戸辰男君登壇〕
#17
○國務大臣(森戸辰男君) 只今本院の御採択になりました教育勅語等の失効確認に関する決議に対し、私は、文教の責任者として深甚の敬意と賛意を表すると共に、一言所見を申述べたいのでございます。
 敗戰後の新日本は、國民教育の指導理念として、民主主義と平和主義とを高く掲げましたが、それと共に教育勅語その他の詔勅に対しましても、教育上の指導原理たる性格を否定したのであります。このことは新憲法の制定、それに基く教育基本法並びに学校教育法の制定によりまして、法制上にも明確化されたのであります。本院がこの度の決議によつて、改めてこの事実を確認闡明されましたことでありまして、誠に御尤もなことと存ずるのであります。この際私はこの問題に関しまして、文部省の採つて来た措置と、本決議に含まれた要請に処する決意とを申上げたいと存ずるのでございます。
 詔勅中最も重大な教育勅語について申しますれば、すでに提案者のご趣旨にあつたように終戰の翌年、即ち昭和二十一年の三月四日、文部省は省令を以て國民学校令施行規則及び青年師範学校規則等の一部を停止し、修身が教育勅語の趣旨に基いて行わるべきことと定めた部分を無効といたしました。次いで同二十一年十月九日文部省令を以て國民学校令施行規則の一部を改正いたし、式日の行事中、君が代合唱、御眞影奉拜、教育勅語奉読に関する規定を削除いたしたのであります。この行政処置によりまして、教育勅語は教育の指導原理としての特殊な法的効力を喪失いたしたのであります昭和二十一年の十一月三日新憲法が公布され、それに基いて翌二十二年三月教育基本法が制定されることになりましたが、その前文におきまして、この法律が日本國憲法の精神に則り、教育の目的を明示し、新らしい日本の教育を確立するためのものであることを宣言いたし、教育上指導原理がこれに移つたことを明らかにいたしました。それと同時に國民学校令以下十六の勅令及び法律が廃止いたされました。これらの立法処置によりまして、新教育の法的根拠が教育基本法及び学校基本法にあることが積極的に明らかにされておるのであります。更に思想的に見ましても、教育勅語は明治憲法と思想的背景を同じくするものでありますから、その基調において新憲法の精神と合致いたし難いもののあることは明らかであります。教育勅語は明治憲法と運命を共にすべきものであります。かような見地から、昭和二十一年十月八日以後、文部省は次官通牒を以て勅語詔書を過去の文献として取扱い、かりそめにもそれらを神格化することのないよう注意を喚起いたしたのであります。かようにして教育勅語は教育上の指導原理としては、法制上は勿論、行政上にも、思想上にも、その効力を喪失いたしておるのでありますが、その謄本は学校で保管されることになつております。ところがこの点につきましては、永年の慣習から誤解を残す虞れもあり、又將来濫用される危險も全然ないとは申されません。それで今回の御決議に基いて、文部省より配付いたしました教育勅語の謄本は速かにこれを文部省に回収いたし、他決の詔勅等も決議の御趣旨に副うて然るべく措置せしめる所存であります。かくいたしまして、眞理と平和とを希求する人間を育成する民主主義教育理念を堅く採ることによつて、教育の革新と振興とを図り、以て本会議の御精神の実現に万全を期したいと存じておる次第であります。(拍手)
     ―――――・―――――
#18
○議長(松平恒雄君) 日程第三、政治資金規正法案(衆議院提出)を議題といたします。先ず、委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事藤井新一君。
   〔藤井新一君登壇、拍手〕
#19
○藤井新一君 只今議題と相成りました政治資金規正法案について、議院運営委員会におきまする審査の経過並びに結果について簡單にご報告申上げます。
 本案は衆議院における政党法及び選挙法に関する特別委員会の中に特設いたしました政党並びに選挙に関する腐敗防止法案起草小委員会におきまして、去んぬる二月四日以来鋭意起草にかかつたものでありまして、四月三十日衆議院の本委員会において正式決定の上、共産党を除く各派共同提案の形式を以て、即日、本会議の多数議決を得て本院に提出されたものでございます。
 本院議院運営委員会におきましては、先に衆議院における本案の起草に照應いたしまして、去んぬる二月三日、委員長を含む十一名の小委員を選任、不肖私、小委員長に選ばれまして、爾来数次に亘つて或いは衆議院における起草状況を聴取いたし、或いは、各会派における研究結果を持ち寄つて意見の交換をいたし、或いは又その他予備的審査に属します事項につき熱心に審査を続けたのでございます。而して先に申上げましたように四月三十日に本院に提出されまするに及び、衆議院政党法及び選挙法に関する特別委員長淺沼稻次郎君の説明を求めえ、ここに本審査に移つた次第でございます。
 ここに便宜法案の趣旨を御説明申上げますると、本法案は、第一章総則、第二章政党、協会その他の團体、第三章公職の候補者、第四章政党、協会その他の團体及び公職の候補者以外の者、第五章報告書の公開、第六章寄附に関する制限、第七章罰則、第八章補則及び附則より成り、全文五十九條に及んでおるのでございます。
 この法律案の狙いといたします点を申上げれば、大体三つの点に要約されるのでございます。即ち第一は、政党、協会その他の團体、公職の候補者及び第三者の政治活動に伴う資金の収支を公の機関に届出でさせ、以て資金関係の全貌を一般國民の前に公開して、その公正な判断に資すること、第二に、選挙に伴う不正行爲の発生を未然に防止するために、政治資金の寄附に一定の制限を附すること、第三点は、右二つの措置に対する違反行爲の処罰及びそのけつかとしましての当選無効、選挙権被選挙権の喪失等に関する規定を置き、以て第一、第二の目的の嚴正な実現を期する点にありまして、全体としては政治活動の公明と選挙の公正を確保し、よつて民主政治に健全な発達に寄與することを目的とするものでございます。
 さて具体的内容について申上げますというと、第一章総則において、本法の目的を明示すると共に、各本條に現われて参りまする用語の定義を規定いたし、選挙の範囲は、衆議院議員選挙法、参議院議員選挙法、地方自治法による選挙に限つてあります。又政党と協会その他の團体について特に定義を儲け、政党の外、政治に関係のある團体に本法を適用することとして、後者につきましては、例えば組合等が本来の目的においては経済團体等であつても、この目的を有するに至つたときは、その限度において、本法案の狙いとする費用公開の趣旨に副い、團体の収支に関する規定の適用を受けることとなつておるわけでございます。
 次に政党、協会その他の團体に関しては、先ずこれら團体の代表者、主幹者及び会計責任者の届けを規定し、寄附の受領も支出も、挙げてこの届の後になさるべきものとし、團体等が隠密の授受をすることを防止し、又会計責任者の義務として会計帳簿の備付、毎年三回の収支の定例報告選挙に関する収支の特別報告、書類の保存等を規定いたし、政党初めこれらの團体の収支の全貌がそれぞれの選挙管理委員会に詳細に現われることを期しておるのでございます。これらの團体の寄附、支出について報告を要するのは、個人に係るものは五百円、團体に係るものは一千円以上のものについて氏名、住所等を明らかにすることとしてあります。更に又会計責任者の事故によつて、責任が曖昧になりますことのないために、事務引継についても規定を設けてあります。又政党、協会その他の團体の支部についても以上の取扱は同様といたしてあります。
 次に、公職の候補者に関して、先ず、政党等におけると同様、出納責任者を定めてこれを届けること、この手続を経ないうちは、寄附の受領又は支出が制約される旨が規定されてあります。而して出納責任者の義務として、会計帳簿の備付、選挙運動に関する収支の報告、書類の保存等を定めてあり、この外選挙運動に関する支出の権限を、僅かの例外を除いて、出納責任者一人に専属せしめた点は特に重要な規定であります。尚候補者の出納責任者に関する事項は、現在の衆議院議員選挙法、或いは参議院議員選挙法等の規定とほぼ同様でありまして、本案中に包括された部分については、附則において選挙法を改正し、該当條文を削除してあります。
 次に、一般の第三者が政党、協会その他の團体のために、二千五百円以上の支出をした場合の報告義務を規定いたし、即ちこれらの團体ために、第三者運動として支出した者は、これを報告しなければなりません。又官吏その他公職にある者は、寄附を自由になし得ることといたしましたが、併しながらこの場合は、授受双方の側にこれに関する報告義務を負わせることといたしてあります。
 次に、報告書の公開でありまするがこれは実に本案の最大眼目の一つでありまして、今まで申上げましたところにより、選挙管理委員会に提出された各種の報告書は、選挙管理委員会の公表、手続、保存義務と一般の閲覧要求権の両面の措置によつて、廣く國民の前に公開させるのでございます。
 次に寄付に関する制限といたしまして、先ず一定の身分又は地位に伴い、絶対的に、或いは特殊の場合を除いて、一般的に選挙に関し寄附をしてはならない者の範囲を揚げまして、これらの者が寄附をすることも、これらの者から寄附を受けることも許されないことになつております。又公職の候補者は立候補に際し、過去一年間にしたすべての寄附について報告の義務を負うこと、更に何人も選挙に関し、本人の名義以外の名義を用いたり、匿名を以て寄附をすることを絶対に禁止し、これを犯してなされた金銭、物品の所有権は國庫に帰属する旨の規定をいたしてあります。
 次に、罰則におきましては各本條に対する違反行為の態様につき、事柄の軽重に應じて、でき得る限り公平を期すべく、手続的な規定の違反と、本質的な規定の違反とに分け、慎重に考慮いたしましてありまするが、この法案の特別の重要性に鑑み、全体として相当重い処分を以て臨み、殊に過失犯をも処罰する旨を規定しております。又罪の時効は二年を経過して完成することになつております。尚又処罰に伴う当選無効及び選挙権等の喪失の規定も罰則の章に規定してあります。
 次に、附則におきましては、この法律施行に関する事務的規定が掲げてあります。
 最後に、附則におきましては本法施行に伴う経過規定を定めた外、衆議院議員選挙法の一部を改正してあります。これら選挙法に規定せられておる罰則の限度も、本法案の罰則と均衡を取つてこれが改正を加えてあります外は、主としてそれらの規定が本法中に吸収されるに相應する改正であります。
 以上申上げましたところが、本法案の要旨でございますが、議院運営委員会の政党及び選挙に関する小委員会におきましては、予備審査及び本審査を加えて、委員会を開きますこと実に前後十六回に及び、毎回長時間に亘り熱心に審議を続け、その間特に学界、労働組合関係、及び実業界よりおのおの二名の関係者を証人として、その出頭を求めて、隔意なき意見を聴取いたすなど、慎重審査を遂げたのでありまして、各委員会を通じ、委員諸君よりは極めて重要且つ適切なる討議が続々と行われたのでございます。その詳細は速記録に記載してありますから、これを省略いたします。
 以上の経過を経まして慎重検討の結果、問題となりました点を中心としまして、原案に若干の修正を加えることといたし、去る六月十一日、最後の小委員会において、又去る十五日、議院運営委員会において修正案が多数を以て可決せらるることになつたのでございます。この修正に当りましては、先ず無所属懇談会の佐々木良作君より修正案の提出があり、又緑風会の竹下豐次君よりも修正案提出せられました。採決の結果、佐々木君の修正案は少数で破れ竹下君の修正が案が多数を以て可決されたのでございます。以下その修正案の内容を御説明いたすことが、委員会において論議の中心になりました点を明かにすることにもなりますので、さような趣旨において若干の御説明を加えます。
 惟うに政治團体その他に関する政治資金の出所及び動きを明かにいたしまして、政治の腐敗を來たす大なる原因を断ち、或いはいわゆる政治ボス等にまつわる不明朗な要素を根絶し、政治活動の公明を図らんとする本法の立案の趣旨については何人も賛意を惜しまんところでありませう。然るにその内容に至りましては、幾多の問題を包藏しております。最も問題となりましたのは、政治に関係のある團体の範囲であります。即ちこの法案の主張が、政治に関係のある團体に関する政治資金の動きにありますだけに、その團体を如何なる範囲までこの法律の対象とするかは、最大の関心事たらざるを得ないのであります。
 そこで、凡そ政治に関係のある團体を問題にします場合に、大別して三種類が考え得られるのであります。その一は、いわゆる政党であり、その二は、政党以外の政治目的を本来の目的とする政治團体であり、その三は、政治團体以下意の團体であつて而も政治に関係を有する場合であります。
 先ずその一に挙げました政党と、その二に挙げました政治團体とをこの法律の対象とすべきことについては、殆ど異論はございません。ただこの場合衆議院原案によりますれば、その中、政党の審議を第三條第一項に掲げて、次のように定めているのでございます。「この法律において政党とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本来の目的とする團体をいう。」委員会におきましては、この案を検討いたしましたところこの原案の擁護はいわゆる政党の定義としては廣きに失するのではないか、むしろこの規定は普通言われる政党よりも更に廣く、一般に政治團体或いは政事結社と称せられるものの定義として、ふさわしいように考えられるのであります。もとよりいわゆる政党について法的に適切な定義を掲げることは望ましいと存ぜられますのでありまするが、政党が今後の政治の運行上最も重要な役割を演ずるべきでありますだけに、その定義を下すには慎重な用意を要するわけでありまして、原案は政党の正しい定義といたしましては、やや適切を欠くものがあり、この点は尚将来の研究の余地を残すことといたしまして、この際むしろこの條項に若干の補正を加えて、これを政治團体の定義とすべしというのが委員会の多数の意向であつたのでございます。提案者の説明によりましても、この規定は普通にいう政党の意味よりもやや廣い意味に説明せられておりますので、これを政治團体の定義に改めますことは、原案の趣旨を著しく変えたものとも考えられないのであります。かくいたしまして第三條第一項の修正となりました。尚これに伴いまして、この法律案中全部に亘り、「政党」とあるのを「政治團体」とすることにいたしたのでございます。
 次に、問題は政治に関係ある團体のその第三に挙げました政治團体以外の團体であつて、而も政治に関係を有する場合を如何なる範囲まで取入れるべきかであり、これは第三條第二項の問題であります。それらの中、團体として公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する者、言い換えれば選挙に関係を持つ場合は、これを本法の対象とすべきことについては、これ亦余り異論はなかつたのでございます。然るに政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対することを目的とするものにつきましては、これをどの範囲まで包含せしむべきか、及び原案に言うところの「目的とするもの」という字句の意義が不明確ではないかという点に論議が集中されました。即ち政治資金の動きを明確にするという趣旨には賛成でございまするが、余りに廣い範囲にこの法律の適用を及ぼし、本法による手続を要求するときは、思わざる支障を来すことにならないであろうか、特に労働組合等の諸組合、或いは経済團体その他の團体の活動が、現下の諸情勢では実際上政治に関係を持つ場合が甚だ多いのに鑑み、解釈の如何によつては、これらの諸組合又は諸團体の活動の殆どすべてについて、その法律の適用を受けることとなることは、不必要な方面にまで煩雑なる手続を要求することになり、延いてはこれらの場合、團体の固有の活動を阻害する恐れがないであろうかというのでありました。更に又「目的とするもの」というものは、旧来の法的観念よりすれば、定款、会則等に目的として挙げておる場合と解釈されておるが、それは本法の適用上は狭きに失するわけであるし、反対に然らばこれらの目的を有する場合の外、これらの行為をなす者のすべてを含ましめることとなれば、これ亦不必要に廣きに失する虞れがあるのであります。これらの論議に対しまして、提案者その他の説明によりますれば、單に一時的な政治活動を行うだけでは本法の團体に該当しない趣旨であるが、「目的とする」というのは定款、会則等に政治目的を挙げていなくとも、團体の意思決定機関の決定その他により、客観的に政治目的を有するに至つたと解せられる場合は、これに該当するのであるという説明であり、又実際上は昭和二十一年勅令第百一号「政党、協会その他の團体の結成の禁止に関する件」に基いて届出を要する團体の範囲と、ほぼ同樣趣旨に解して適用運用すべきであろうとの見解であつたのでございます。併しながら委員会といたしましては、その限界を不明確のままにいたすことは、適用を受ける國民の側において迷惑を蒙むることになりますので、この点を如何にすべきかについて苦慮いたしたのでございます。前述の佐々木委員の修正案は、この場合を、團体が選挙に関係を持つ場合にのみ限定して本法を適用しようとするものでありましたが、これは少数で否決せられました。多数意見としましては、第三條第二項の原案の字句に若干の修正を加えると共に、本國会における以上の論議等を斟酌しつつ、全國選挙管理委員会をして、その範囲を認定せしめるを適当とするとの見解の下に、特に第五十二條に修正を加え、全國選挙管理委員会にこれらの認定等の権能を與え、以て本法の適用上遺憾なきを期することといたした次第であります。
 以上が最も論議の白熱した点でありまするが、その他の修正点といたしましては、その一は第八條但書の削除であります。本但書は解釈上却つて疑義を生ずる虞れがありますので、これを削除せんとするものでございます。その二は、政治團体の財産の報告に関する規定の追加であります。政治團体の収支を明らかにいたしますと共に、定期にその財産の現況を明らかにして置くことが本法の目的を達成するのに必要と考えるのでございます。この見地より必要な若干の規定を追加することにいたしました。又これに伴い團体の会計報告を、原案においては年三回これを要求しておりましたのを、財産報告と共に年二回に改めることにいたしました。
 尚佐々木委員の修正案としては、政党等の会計帳簿の記載その他の場合につき、僅少の金額については細目の記載を要しないこととするとの案があり、又共産党からは労働組合等にも本法の適用があること、匿名寄附を禁止すること等に鑑み、本法全部に反対の意見の開陳がありましたが、いずれも少数意見に止まつたのでございます。
 最後に、本法案の題名につきましてでございます。衆議院におきましては、原案の起草に当り、当初問題になりましたいわゆる政治腐敗防止法案等の名称を避けた趣旨には賛意を表するのでございまするが、本案の内容を見まするに、政治資金の規正もさることながら、むしろその収支を明らかにし、これを公開して、批判に俟つことを主眼としますので、幾分の圧迫感を伴いまする規正法案という名称から更に一歩を進めて規正公開法案という題名に改め、明朗活発な政治活動の促進にふさわしいものとする趣旨に基き、これを修正することにいたしました。
 以上修正の諸点は、いずれも衆議院原案の趣旨を著しく変更せんとするものではありません。不明確な点を明確にし、政治資金の公明化を徹底せんとする趣旨に出でたものでありまして、衆議院においてもこの趣旨におきまして、欣然これらの修正に同意せらるべきことを期待するものでございます。何とぞ委員会におきまする以上の審議の経過に鑑み、本修正案に基き可決確定あらんことを切に希望して止まない次第でございます。
 最後に私はここに本案の審議に当りました木内委員長並びに委員各位の熱心なる御努力に対しましては、衷心より感謝措く能わざるところがあるのであります。以上を以て委員会の審議の経過並びに結果の報告を終ります。(拍手)
#20
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長の報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#21
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#22
○議長(松平恒雄君) この際、日程の順序を変更して、日程第四より第九までの請願及び日程第二十六より第二十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事谷口弥三郎君。
   〔谷口弥三郎君登壇、拍手〕
#24
○谷口弥三郎君 只今議題となりました請願並びに陳情に関する厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 厚生委員会に付託になりましたこれらの請願並びに陳情につきましては、五月十九日医療制度調査に関する小委員会に付託いたしまして、小委員会において審議をいしました。尚、更に本委員会にかけ六月八日審議の決定を見た次第でございます。その中、請願文書表第八号國立富山病院拡充に関する請願、請願文書表第百十三号看護服並びに予防衣の特別配給に関する請願、請願文書表第四百九十一号看護課設置に関する請願、請願文書表第四百九十三号國立小浜温泉療養所拡充に関する請願、以上四件につきまして、或いは厚生当局の方に質疑をいたしましたり、或いは委員会において種々檢討いたしました結果、この請願の趣旨は妥当なるものということになりまして、議院の会議に付しまして内閣へ送付すべきものと決定いたしたのでございます。
 請願文書表第六百三十一号衛生組合法制定に関する請願でございますが、これに対しましては本委員会においては、この請願の趣旨は極めて緊要妥当なるものでありますので、議院の会議に付しまして、内閣へは送付しないことに決定いたしたのでございます。
 陳情文書表第百四十六号及び第二百九十八号藥務局設置に関する陳情でございますが、この陳情は、從來厚生省では医療に関する面が主でありまして、藥事方面に関するものは從となつております感がございますので、藥事行政の充実強化を図ります上に遺憾の点があるので、是非藥務局を新設して貰いたいというのでありますが、厚生省当局に聽きますと、今回の國会に厚生省設置法案が出ますというと、療品局、これは仮称でございますが、療品局というのができますので、この陳情の趣旨も達成されることと思いますとの説明がありましたので、本委員会におきましては、本陳情は議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定したのでございます。
 請願文書表第三百九十九号、それから陳情文書表第二十五号、第百五十七号、第百六十五号、第百八十五号、第百八十七号、第二百一号、第二百二十三号、第二百五十七号、第三百二号、第三百十四号は、共に國民健康保險制度に関する請願並びに陳情であるのでございます。國民健康保險につきましては、厚生委員会におきましても種々研究調査いたしておりますので、近くその結果を報告し得る段階になつておるのでございますが、本請願並びに陳情を審査するに当りましては、厚生当局の意見を聽き、又この國会に同法案の改正案が提出される予定になつておりますので、本請願並びに陳情の願意は大体達成される予定でございますので、とにかく本請願は妥当なものといたしまして、議院の会議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたしたのでございます。
 以上簡單でございますが、委員会における請願、陳情の審議の結果を御報告申上げます。(拍手)
#25
○議長(松平恒雄君) 本院規則第八十四條により、本日はこれにて延会いたします。
 次回の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト