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1953/04/23 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第39号
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1953/04/23 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第39号

#1
第019回国会 通商産業委員会 第39号
昭和二十九年四月二十三日(金曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 大西 禎夫君
   理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君
   理事 福田  一君 理事 永井勝次郎君
   理事 加藤 鐐造君
      小川 平二君    小金 義照君
      始関 伊平君    田中 龍夫君
      土倉 宗明君    笹本 一雄君
      長谷川四郎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     横田 正俊君
        中小企業庁長官 岡田 秀男君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会経済部調整課
        長)      丸山 泰男君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 中小企業に関する件
    ―――――――――――――
#2
○大西委員長 これより会議を開きます。
 本日は、まず中小企業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございまするので、この際これを許します。長谷川四郎君。
#3
○長谷川(四)委員 現下中小企業がいかなる状態にあるかということは、私が申し上げるまでもない状況でございます。従いまして現在小売業界が百貨店に対してどのような営業が行われているか、はたして公正妥当なる営業を行つているかいなかという点につきまして、まず中小企業庁長官に伺つてみたいと思うのでございます。
#4
○岡田(秀)政府委員 最近百貨店の売上高も相当の幅で増加をいたしておりますし、売上げ面積につきましても、すでに戦前と同等程度のところまで回復いたしておるような状況のように承知いたしておるのであります。百貨店が戦争中の痛手から回復して、すでに過去におけると同等の強い販売力を発揮して来ておることは、私も十分認めねば相ならぬと思うのであります。私どもの方といたしましても、最近における百貨店の販売法なり、いろいろの活動が、過去におきまして百貨店法の制定を必要とした時期における百貨店の活動状況と比較をしてみて、いかがなものであるかという点について、いろいろと注意をしながら材料を集めておるのでございます。ただ現在われわれの方でいろいろと集めました材料を分析して見ております限りにおきましては、私どもは一応かように考えておるのであります。現在独禁法の改正によりまして、不公正なる取引と目されるような行動が百貨店の側において行われることになりますれば、独禁法の運用によりまして、公正取引委員会と御相談申すことによつて、委員会側の立場からお取締りが行われ得る状態になつておる。それをさらに越えて独自の百貨店法をつくる必要があるかないか、そこまで私どもとしては、現在分析しておるところから見ますと、まだ必要ありというところまでの腰構えができて来ないのであります。なおしかしこれから経済界がだんだんとデフレの傾向を強めて来る、それに伴いまして、景品付の販売なり、各種各様の形において販売競争が激化して来る、かような状態において、大資本力による百貨店の宣伝戦、販売戦というものが激化して来る傾向にある折柄でありますから、それが行き過ぎになりまして、非常に他の商化の方に悪影響を及ぼすような事柄が顕著になつて来るということになつて来れば、あるいはさような百貨店法のごときものをつくらねばならぬということになるかもしれませんが、私はさような場合におきましても、公正取引委員会と緊密な御連絡をとつてやつて行くということによつて相当の効果が上げ得るのじやなかろうかというふうな考えをもちまして、寄り寄り公取委の方とも意見の交換をいたしておるというのが、実際のところの現状でございます。
#5
○長谷川(四)委員 そういたしますと、長官に伺いますが、緊密な連絡のもとに、はたしていかなる取引が行われているかというような点は、あなたはすでに御承知の上に立つてのことと思うのでございますが、どのような点についてあなたがお気づきになつて、公取委と話合つておるか、その点を一、二お伺いをいたします。
#6
○岡田(秀)政府委員 百貨店が従来からやや行き過ぎではないかという意味において問題になりましたのは、問屋に対する不当返品が行われておるか、おらぬかというような問題、あるいは取引のある問屋から人間をある意味において圧力を加えるような形において応援に出さしめておるかどうかというような問題、あるいはどこかで無料の自動車サービスをやつたところがあるとか、ないとかいうような問題、私どもも二、三の事例は承知いたしておりますが、たとえば最初の、問屋に対して不当返品をいたすか、いたさぬかの問題、あるいは圧力を加えて問屋からの応援の人間を出さしめるか、出さしめぬかという問題、かような問題は、公正取引委員会において不公正取引の事例としていろいろ発表されました中にも書いて、こういうことをやつては、それは不公正取引と見なければならぬのだというふうに示されたと思うのであります。さような意味で、それに類するような問題が出て参りますれば、私の方がこれはどうもという点があれば、公取委へ持つて行きまして、これは一体不公正取引ということになるか、ならぬかというようなことを具体的に御相談するということに相なろうと思うのでありますが、そういう意味合いにおいて、公取委とも絶えず連繋をとつて参りたい、こういう心構えでございます。
#7
○長谷川(四)委員 現在百貨店と申すものの事業活動というものが、戦後の育成時代とは異なりまして、大体戦前より以上の成績を上げているということは、私が申し上げるまでもないのでございます。そこでたとえば昭和二十五年の六百八十三億から比較いたしますと、昭和二十八年はおそらく一千九百億にならんとするところの売上げを保つておると思うのであります。中を解剖してみますと、公取委でも御承知だと思うのでございますけれども、戦前の従業員の人数よりも少くて、売上げ高が多くなつて、従つて利益はさらにより以上の好成績を上げているという現実でございます。私は公正妥当なる取引の上に立つていかなる売上げをしようとも、それらについてわれらは何らこれを問題化しようという考え方は持つておらないのでございます。こういうような点はどこに欠陥があり、有利な立場を利用してどのようなことをやつているかということは、私も昭和二十六年以来今日まで調査をしているのだから、よくわかつております。ただいま中小企業庁長官からもお話があつた通り、そのような一、二の点ばかりでなく、公正取引委員会というものが、従来までの百貨店の取引に対しましてどういう考え方を持ち、あなたのでき得る範囲のどういうふうな処置をとつて来たか。とつたとするならば、いつごろからそれをとつて来ているのかということをまず明らかにしておかなければならないと思うのでございまして、なぜ私がこういう問題に対してお聞きするかということは、先日来中小企業というような面の大会がございましたが、対百貨店の問題でございます。こういうような問題が全国各県に起りまして、今ではこれがほうはいとして百貨店に対する批判の的となつて、何とかして百貨店法というものまでもつくつて百貨店と対抗しなければならないという声がほうはいとして巻き起つているのでございます。こういうような点から考えまして、はたして公正妥当なる、公正取引委員会に委託されただけの処置をして来たとするならば、こういう問題は起らなかつたではないかと私は思うのでございます。公正取引委員会は、従来百貨店の取締りについてどういうふうな処置をとつて来たかということを二、三あげていただきたいのでございます。
#8
○横田政府委員 百貨店問題は、昭和二十五年の繊維品の統制解除後急にいろいろ問題になつて参りまして、特に問屋の関係、あるいは今お話のような一般小売商を圧迫するという問題が、世上いろいろうわさされるようになりまして、公正取引委員会といたしましても、この事態をこのままにしておくことはできませんので、昭和二十六年の五月にデパートの実態調査を開始いたした次第でございます。東京十五店、大阪六店、名古屋二店、福岡三店の百貨店に対しまして、いろいろ取引の実態を調査いたしました結果、二十七年の五月になりまして、日本デパートメント・ストアー協会を通じまして、全国の百貨店に対して、調査の結果、あまりおもしろくないと思われました、問屋に対する返品問題、それから今お話の手伝い店員を強制するというような問題、当時非常に流行しておりましたいわゆる展示即売会、あるいは特殊の人だけに内覧というようなことをして、特に安く売るというような内覧会の問題等をめぐつて、百貨店業界の一部に、問屋との取引並びに一般小売商との競争において、独占禁止法の不公正な競争方法に該当するおそれがある行為があるからといつて、その自粛自戒を警告いたした次第でございます。ただここでちよつとお断りいたしておきたいことは、実はこの当時の独占禁止法で申しますると、これらの問題を独禁法のどの条項に当てはめて処理したらよいかという点になりますると、やや疑いのある点もございます。まず大体間違いないと思われまするものが、当時の法律で申しますると、利益、不利益をもつて顧客を自己の方へ誘引するとか、あるいは取引を強制するとかいう条項がございましたので、それに当るものがあることは事実でございますが、これらの調査の結果、一番われわれがおもしろくないと思われますものは、デパートの経済上の地位の強さを利用いたしまして、問屋なりその他のものに対しまして、不当な圧迫を加える、不当な条件で取引をする、それに応じなければ今後の取引を拒絶するというような態度で臨みまするために、そういう立場の弱い問屋などがはなはだ不利益をこうむる、この点が一番われわれとしましておもしろくないと思つたのでございますが、この点はあいにく当時の独占禁止法では、明白にこれを独禁法上の違反とする条項に欠ける面があつたのでございます。ところが御承知のように、昨年の国会におきまして、独占禁止法の改正法が成立いたしまして、九月一日から実施になりました。この改正法におきまして、ただいま申しました不公正な競争方法を、不公正な取引方法という言葉に改めますると同時に、その内容を相当強化いたしまして、特にただいまのような百貨店の地位の濫用に対処するため、あるいは最近の御承知の下請業者に対する親企業の、不当な圧迫等に対処いたしまするために、取引上の地位の優越していることを不当に利用して取引をすることというものを、一項不公正な取引方法の中に加えまして、これに基きまして、これらの事態に対処する態勢を一応整えた次第でございます。その上におきまして、昨年の七月から十二月にかけまして、先ほど申しました二十六年に調査いたしました百貨店のほかに、東京、大阪、名古屋、福岡にございまする百三十の問屋を加えまして、大体二十七年のわれわれの警告が遵守されておるかどうかという点を詳細に調査いたした次第でございます。
 この内容はくだくだいたしますし、長谷川さんは非常によく御研究だそうでございますから、あまり詳しいことを申し上げる必要もないと存じますが、簡単にその最近の調査の結果を申し上げますと、問屋への返品問題につきましては、百貨店の売れ残り品、売れ行きの悪かつた商品というようなものを返すこが相当ございます。しかも季節末、百貨店の決算期などにそのことがございます。季節が過ぎました場合に、その季節の品物を返されるということは、問屋にとりましては非常に迷惑なことでございますが、そういうことが相当あるようでございます。ただこれらの返品はどの百貨店も行つておるわけではございませんが、一部の百貨店におきましては、こういう返品をいたしますことによつて、豊富な良質商品はこれを確保したがら、商品の回転率を高め、資金の効率化、利潤の増進というようなことをはかつておる事例が多いわけでございます。これは言うまでもなく、問屋に対する非常な不当なやり方でございますし、また間接的に一般小売業者も競争上において不利な立場に立たされることになるわけでございます。
 それから手伝い店員につきましては、これはかなり相当に手伝い店員制度を利用しておるようでございまして、たとえばある百貨店などにおきましては、店員三人の中で一人、つまり三分の一が手伝い店員であつて、正規の店員は大勢いる中で三分の二しかいないというような状態でございます。それから前のときの調べと比べまして、いわゆる正規の店員を大分減らしまして、それを手伝い店員の増加によつてまかなつておるというようなものもあるわけでございます。この手伝い店員につきましては、実は一概には申せないのでございますが、問屋の利益、問屋が自分の納めた品物をできるだけ売りさばくということのために、手伝い店員をむしろ問屋の方から進んで出すという面もないではございませんが、しかし一部の百貨店では、こういう手伝い店員の供出を強制をしておるというような面もございまして、この点もはなはだおもしろくないことであろうと存じます。
 それから廉売会、これは最近におきましては、いわゆる展示即売会ということはあまりないようでございますが、廉売会というものが現在では相当流行いたしておるわけで、つまり特別に安い品をつくることによりまして、他の品物も安いかのごとく錯覚を起させるという底の特別廉売会というようなものが、百貨店に行われ、これがやはり一般小売商いにいろいろな意味において影響を与えておることも事実のようでございます。一部百貨店の即売会商品の中には、百貨店が問屋に不当な要求をして、問屋から買いたたき、またはすでに仕入れた商品を値引きさして、そうして廉売しておるというようなものがかなりあるようでございます。こういう廉売会が問屋を圧迫しまして、一般小売商の販売にかなり影響を及ぼしていることも認められるわけでございます。大体昨年の暮れまでに調べました状態のうちにつきまして、百貨店が二十七年の警告をよく守つておるものもございまするが、全体を通じて申し上げますると、この警告は予期通りに遵守されておるとは言いがたいような実情でございます。
 これに対しまして、それでは独禁法をただちに発動してびしびし取締るべきではないかという御意見が十分おありのことと存じます。この点は実はわれわれとしましては昨年の募れの調査以後、その今後のやり方につきましては鋭意検討中でございます。手ぬるいという御批判もございましようが、なおこの問題につきましては今後大いに検討いたしまして、しかるべき手段に出たいと考えておるわけでございます。ただ二十七年の警告、それから不当な経済力による弱小企業への圧迫というような問題は、昨年の九月の独禁法改正ではつきりいたしたような関係もございますし、なお、二十七年の警告が、デパートの首脳部の方には徹底しておつても、下部の職員、従業員等にはあまり徹底しておらないというような面もまだございますので、今後は公取といたしましては、この調査の結果、並びに小売業なり問屋の方面から公取に訴えて参りました場合には、独占禁止法の線に沿いまして、問題になり得るものはどんどん取上げて参りたいと思います。
 なおそういう個々の違反の処理と並びまして、先ほど申しました改正法による、「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」ということはきわめて抽象的でございますので、デパートの場合にはどういうものがこれに該当するかということをもう少し具体化いたしまして、それに基いて取締りの方針を立てて行きたいというふうに、実は考えております。この点はちようど百貨店問題と並行いたしまして、昨年から下請業者に対する親企業の圧迫を何とか是正いたしたいと考えまして、やはりその問題を処理するのは同じ法律の同じ規定でございますので、これにつきましても何らか具体的な基準をきめてそれに基いて取締りをして参りたいということで、その後着々やつております。このデパート問題につきましても、ただいま申しました基準を、一種の解釈基準というようなことで、公正取引委員会の内規というようなことで定めますか、あるいは一歩進みまして改正独禁法で認められました、いわゆる不公正な取引方法の特殊指定という制度を通じまして正式にこれを指定をいたしまして、官報に告示をいたすことによつて、一般のデパートその他の業者にその基準で取引をしてもらうようにいたしますか、この点はなお検討中でございます。先ほども申したように、公取もいろいろなことをやつておりますもので、はなはだ歯がゆいというふうにお考えであろうと思います。この点は私どもといたしましても、まことに申訳ないと思つておりますが、ただいまわれわれが考えておりますのはそういうことでございますし、その方針に基いて今後着々と問題を取上げて参りたいと考えております。
#9
○長谷川(四)委員 驚くべき御答弁でございます。かつて昭和二十六年の五月に実態を調査した、調査した結果においてはおもしろからぬ面がたくさんあるということを知つておる、知つておるけれども、その当時の独禁法では公取としてはなかなか行い得なかつたのだ、それまでは私はよろしいと思う。昨年の九月に、実際上それを是正しなければならない立場に立つて独禁法を改正いたしまして、しかも昨年の九月にこれが成立しておるのです。五月を迎える今日に至つてもなおそれが考慮中だというようなことで、どうして公取を信頼することができましようか。かくのごとき怠慢な点については私は非常に不満であります。かるがゆえにここにみずから百貨店法を作成提案をする段階になつておるのでございまして、御承知のように日一日と現在の日本の経済が緊迫化して行つておる。これに相呼応いたしまして、全国の中小企業者は何とか生きて行かなければならないという声がますます大になつておる。さらにたとえば、今でも依然として直つていないのは、百円で一つの商品を買い入れたところ、それが七十円ないし八十円に値下りになると、これを返品として返して、新しい八十円の価格で百貨店が買い入れて、そうして暴利をむさぼつておる。他の小売業者にこのようなことができるでしようか。そういうような不正な取引をしてはならない、あくまで公正な取引をしなければならない、それを取締らなければならない立場にあるのが、あなた方であると私は信じてやみません。中小企業庁長官は、そういうような実態を見るに見かねて、全国の中小企業者を育成して行かなければならない、生かさなければならないというわけで、公取とあなたは緊密な連絡をとつたと言つても、その実が上つておらない今日、あなたはそれをどう考えておるか。百貨店法は出すべきではない、私はそれを出そうと言つていはしない。言つていないけれども、全国の中小企業者を救わなければならない立場にあるあなたが、緊密な連絡をとつたと言つても、その実が少しも上つておらないということについてどういうふうにお考えになりますか、御答弁ください。
#10
○岡田(秀)政府委員 百貨店の問題について公正取引委員会が現在までにどういうふうな仕事をしておるかということについては、先ほど委員長から詳細にお述べになつた通りであります。昨年独禁法が改正になりまして、不公正取引の条項によつて、自分の有利な取引上の地位を濫用して相手に対して不当に不利益な条件をのますというようなことは、不公正な取引であるということにはつきりされましてから、この百貨店に対しても、公正取引委員会としてはつきりした目安で臨み得るようになつた。そこでそういう背景のもとに、百貨店の最近の状況をさらに調査してみると、あるいは返品問題において、あるいは手伝い職員の派遣の問題において、いまだ遺憾の点があるということを委員長としても認められておるわけであります。従つてこの法的な準備はできておりますし、この法的な準備に基いて百貨店側に警告を発し、啓蒙をいたすということも、ある程度時間的余裕があり、手を尽されたということになれば、これは百貨店側であくまで相かわらず改めずに、従来こちらから警告してあるやつを改めずに続けて行くということになれば、これはやはり公取の方としても何とか態度をとらざるを得ないということになるのじやないかと思います。これは私がかれこれ言うことではありませんが、私どもの方としても同様な立場からいろいろ研究をしてみて、どうもその後改善の実が上つておらぬということであれば、公取の方に対しまして、私どもの調査から見ればかような事実が相かわらず引続いて行われておる。これははなはだ遺憾であるから、公取としてもひとつしつかりやつてくださいというふうに持つて行つて、公取の活動を促すことはわれわれとして今度やらねばならぬ仕事であろうと思うのであります。そういうところが、つまり両者がそれぞれの立場において気合を合せて、本件の問題の解決に努力して参りたいということを最初申し上げたのでありまして、私どもといたしましては、そういう事例がなくなりますように、私どもの立場からも公取に対して活動をさらに一層強化するようにお願いして行きたい、かように思います。
#11
○長谷川(四)委員 事実たとえば百貨店の資本の回転率、こういうようなものを見ても、一目瞭然、明らかであります。どうしてそういうようになるかというと、すなわち問屋に対する不当返品やら、また手伝いの人間を無料で使つておるとか、こういうすべてのものが原因となつて今のような大きな回転率を示しておる。
 そこで丸山課長に伺います。たとえば店舗の新設、店舗の拡張、出張販売、無料配達、顧客の送迎、厖大なる催しものの開催、こういうことは、昨年の九月の新しい改正法案によつて、あなたの方で取締ることができるかいなやかを伺います。
#12
○丸山説明員 お答え申し上げます。ただいま例示されましたような販売方法あるいは販売増加策というような問題につきましては、一概にそれ自体ただちに独禁法の不公正な取引方法と言えるかどうか疑問があると思いますが、これがかなり行き過ぎまして、先ほど横田委員長からも申し上げましたように、不当に利益をもつて、競争者の顧客を自己と取引するように勧誘する、こういう点におきまして、そういうサービスの行き過ぎということが不当な利益である。通常の商慣習から見て、そこまで利益を供与して顧客を吸引して行くということが不公正であるというふうに考えられます場合には、独禁法上取上げ得るのではないか、こういうふうに私は考えます。
#13
○長谷川(四)委員 なぜ丸山課長にお伺いするかということは、丸山課長みずから引率して実態に当つておるあなただからお伺いをするのでございます。そういう場合にできないならできない、できるならできるともう少し明らかにしていただきたいのでございます。お伺いいたしますが、今申し上げた手伝い店員、不当返品、問屋に対するところの取引の拘束、こういうような面については独禁法、すなわち公取としてどういうような取締法があるか、これを取締ることができるかできないかをお伺いいたします。
#14
○丸山説明員 手伝い店員とか不当返品が独禁法上取締り得るかどうかという御質問でありますが、その点につきましてはただいま横田委員長から御答弁申し上げました点で尽きておると思いますので、不当な返品であれば当然取締り得るわけでありますし、手伝い店員も問屋側の本意に反して有形無形の圧力を加えたということがはつきりして、そうして無料で手伝い店員を使つて行くというやり方がはつきり認められれば、これは当然取締り得る、そういうふうにお答えできると思います。
#15
○長谷川(四)委員 たとえば、私は群馬県の桐生でございますけれども、桐生に現在の資本力を持つてある大きな百貨店が一つ新しく支店を設けた、こういうふうに仮定いたします。そういたしますると、おそらく桐生市の中小商工業者というものは販売能率が非常にドロツプするということは、争われない事実でなければならない。そうなつて参りますと、そこに中小企業の名を持つたものは一応敗陣ということになるのでございます。しかしながら今の最初のあなたのお答えで参りますると、研究をしてみなければならないし、それが妥当でないとするならば云云ということでございますけれども、これはあなたの現在の公取の取締り面から見て取締れないのじやないかというようにも私は考えるわけでございますが、それでもそういうものが取締れるというお考えを持つているかいなやをお伺いいたします。取締りということは、そこに店舗を持つことを妨げることができるということか、どういうことでございますか。
#16
○丸山説明員 お答えいたします。ただいまおあげになりましたような支店の新設とか、あるいは新たに地方に百貨店を設置する、そういうことによつて、その地方の従来の小売業者の顧客が奪われるという点につきましては、これは独占禁止法上取締り得ない問題であろうと思います。独占禁止法は自由競争ということを前提としておるのでありまして、特定の事実について免許制等をつくつた法律でもございまするが、ただいまそういう法制のない百貨店業種におきましては、百貨店が新たに進出したことによつて小売商が圧迫を受けたという事例がありましても、それが不公正な取引方法という問題になつて参りますれば、独禁法上問題になりますが、それ自体は取締り得ないというふうにお答えいたします。
#17
○長谷川(四)委員 デパート協会というようなものがありまして、また協会に入ることは、入る入らないはかつてでございます。現存私の調べによりますと、大体百貨店と認定できるものが、つまりアウトサイダーというものが全国で四十七店ございます。そういたしますと、デパート協会に入つているものは、たとえば委員長のお話のように、ある一定の取締りをしなければならないから、こういうようなことをやるからこれを励行しなければ取締るぞという通知が私は徹底をすることができると思う。しかし私が調べた全国のアウトサイダーの四十七店というものを見ました場合に、こういうようなものにはどういうふうな方法をもつて周知徹底させておるか、またこういうアウトサイダーには取締りというものが免れておるかどうか、こういう点について委員長にお伺いいたします。
#18
○横田政府委員 大体デパートメント・ストアー協会関係のものは、今お示しのように協会を通じますことがいろいろ効果があるわけでございますが、その他の問題につきましても、たとえば二十七年の警告の際には協会を通じまするほかに、日本商工会議所を通じまして、アウトサイダーに対しましても警告の内容を周知徹底させるような手段を講じた次第でございます。今回の最近の調査の結果につきましては、まだそういう段階に至つておりませんが、これはもちろんアウトサイダーとインサイダーとを区別する理由はございませんので、公取委といたしましては、独禁法の線によつて内外ともに差別なく取締りの対象といたして行く方針でございます。
#19
○長谷川(四)委員 ところがまさに差別をされた取締りが行われているように私は感じます。そこで商工会議所を通じて意のあるところを伝えたというだけで、実際それが行われているかいなかという点については、まだはつきりとしたものは握つておりません、こういうことだと思うのでありますが、そういたしますと、いつ通知を出して、今日までの長い期間にはたしてそれが実際公取委の意図した面に動いて、つまり営業をやつているかいなかつたかということのはつきりとした把握をしていないわけでございますか、それを伺います。
#20
○丸山説明員 アウトサイダーと申すような存在はいろいろな業種にございます。なぜそういう権威のあるそれぞれの業界における団体に入らないかということには、いろいろ理由もあるようです。たとえば戦後新しくできて来たもので、そういう団体の会費をとられて、団体のいろいろないい意味の統制に服するのはいやだというような気持から、協会側でも入つてくれるようにということを言いましても、なかなか入らないという性格を本来持つておるわけでありまして、そういう性格のアウトサイダーであるだけに、ただいまお話のように警告の遵守の仕方において若干考え方が異なる点は認められるわけであります。これにつきましては、私どもとしましてできるだけアウトサイダーに対しても、いろいろ手は尽しておるのでありますけれども、実際問題としてこの点において若干協会の会員との間に差があるということになつておるわけでありまして、昨年末の調査におきましても、アウトサイダーも特に調査対象に加えましてやつております。もつともこの不公正な取引方法の不当返品とか手伝い店員の強要等の点におきましては、必ずしもインサイダーより常に悪いというわけではないのでありまして、むしろ経済的な力で申しますと、手伝い店員などの強要ということが、アウトサイダーの場合には力が弱いためにあまりできないというような面もあるわけでありまして、別の面でいろいろ景品付販売とか、そういう催しものというような面で、協会の会員よりもかなり行き過ぎるおそれのある点が見られるわけであります。これらの点につきましては、今後あるいは先ほど横田委員長からお答え申し上げましたように、特殊指定という方法とかあるいは不当なものの認定の基準といいますか、そういうものをはつきり示して、アウトサイダーにもどしもどしそういう点を及ぼして行く、そうしてそれでなお言うことを聞かなければ、独禁法上の正式の手続で処置をするということになろうかと思います。
#21
○長谷川(四)委員 法律の解釈を私から御説明申し上げなくてもおわかりのことと思うので申し上げませんけれども、独禁法は百貨店協会に入つたもののみを指定したのではございません。全国の百貨店とみなすものは当然同一なる法律をもつて取締らなければなりません。しかしながらそういうところに差別的な行動があり、そういうように幾分か協会等と周知徹底する方法において差があるからやむを得なかつたというようなことは、私は答弁でなくて怠慢を物語るものだといわなければなりません。従いましてこういうようなことは絶対になすべきでなく、従つてこういうような協会というようなものは一つの指導機関であり、そういうような二面になるべく合一をして行く方法をとるべきでないかと私は考えます。従つてただいまいろいろのお話を承りましたけれども、そういうような、たとえば特殊指定というようなものをなさんとするならば、これを特殊指定を行う決意が公取委にあるのかないのか、行うとするならば、いつからこれを行うのだ、こういうことです。その特殊指定というものがここにできるまでは、その期間はこのままでもつてよろしいのか、悪いのか、こういう点をひとつ明らかにしていただきたいのでございます。
#22
○横田政府委員 先ほどその点は一応お答え申し上げましたが、われわれといたしましては、できるだけ具体的な基準をつくりまして、業界にもその遵守を望み、またわれわれが仕事をいたします上におきましても、そういうものがございますることは非常に都合のいいことでございますので、その面におきまして具体的な基準をつくりたいと思つつておりますが、先般の下請の問題の場合にもいろいろ検討いたしましたが、この基準をつくりまするのに、あまり正確なものをつくろうといたしますると、時期も遅れるし、あまり粗雑なものをつくりましては意味がないというような点で、非常にむずかしい面があるわけでございます。下請の場合につきましては、先般一応解釈基準というもので公表いたしまして、これに対する各方面からの諸般の御意見も十分伺いました上に、これを特殊指定の方へ持つて行きたいと考えております。この特殊指定につきましては、その関連業界の意向を徴しまするほか、いわゆる公聴会も開く必要があることに、独禁法上なつておりますので、そこに運びますまでに若干の日時がかかるかと存じまするが、下請問題についてはそういうような一応の態度で出ております。
 デパート問題につきましても、これはまだ委員会で正式にそういうことを決定いたしたわけではございませんけれども、大体私個人の心づもりをただいま申し上げさしていただきまするならば、デパートにつきましても大体同じような方式によりまして、できる限り早く一応の線をきめまして、それをやがて正式の特殊指定に持つて行く、こういうふうにいたしたいと考えております。
#23
○長谷川(四)委員 どうも横田委員長、まことに申訳ないけれども、私が何ゆえにはつきりとこのあなた方の気持を聞くかということは、申し上げた通り、どうしてもあなた方の方で、若干の日時とか具体的な云々というようなことでひまどつておるということになると、私の方から提案しなければならないのでございまして、私はあえてそういうようなものをつくつて縛ることもけつこうだけれども、今日本の国にそうでなくてはならない、そうあるべきであるという一つの法律ができているのだから、この法律をできるだけ活用してもらいたい、それが私の考え方であるのでございます。そこであなたの今の御答弁のように、昭和二十五年の調査から始まつて、いよいよ昨年の九月に法律が思うように改正をされて、今日に至つてもまだ何らの話合いができておらないということで、若干がまた具体的のということになつて行きまして、日一日と遅れて来るということは小売業者に非常な不安を与えるものでございます。でありますから私はあなたの確信のある御返事をいただかなければならないのでございます。国会ももうあと十数日に迫つておりますので、あなた方の方のはつきりした御意思を承れないとするならば、私はやむを得なくても、ダブつても何でもつくらなければならぬのでありまして、提案をしなければなりません。ですからおよそ何箇月くらいたつたならば特殊指定というものをつくつて御期待に沿えるぐらいのことを承われないと、私の立場上困るのでございまして、確信のある、自信のある御答弁をお聞かせ願います。
#24
○横田政府委員 この点につきましては事務局で先般来鋭意検討しておりますので、丸山課長から一応の考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
#25
○丸山説明員 特殊指定という制度は、改正独占禁止法の第七十条にございまして、これによつて、ただいま横田委員長からお答え申し上げたように、公聴会等を開き、またその特殊指定をする場合十分に独占的にならないようにという配慮が払われておるわけであります。また百貨店業者がただ指定に反対をするというようなことがありましても、公益上これをはつきりさせるべきであるという場合には、そういう反対を押し切つてもやらなければならないと思うのでありますが、ただ特殊指定と申しますのは、先ほど横田委員長からも申し上げたように、一般的には取引上の優越した地位を濫用して相手に不利益な取引をすることはいけないということがはつきりきまつておるわけなのでありまして、ただその取締りを容易にして行く、一般的、抽象的になつているものを具体化して、そうしてその具体化ということは、取締られる方あるいはそういう行為により損害を受ける側、両方がどこに不当性があるかということを見て、問題を合理的に解決して行くというところにあるわけですが、その場合に何よりも百貨店業者自身の良識と自覚ということが非常に重要であろうと思うのであります。特にこういうふうな取引上の地位が非常に違つておるために問題が起るような事例というのは、これは別に百貨店問題に限りませんけれども、従来の日本の風習から申しますと、訴訟とか役所へ訴え出るということを非常にきらうわけであります。そのために抽象的、一般的に風説としてはこういう事例があるということが言われておりましても、なかなか具体的に事実がつかみがたいという点がこのような問題においては一番困る点でありまして、そういう意味からやはり百貨店業者自身が社会的な批判を受けて、良識と自覚の上に立つて、自分たちはそういう不当なことはやるまいというような決意を盛り上らせることが、特殊指定に際しては非常に重要なポイントであろう。ただ指定さえ強引にしてしまえばそれでいいというわけではないのでありまして、指定後の実際の取締りの効果というところに問題のポイントがあるとすれば、そういう点において百貨店業者自身に自覚と良識を促すという努力が絶えず行われなければならないと思うのであります。その間のいろいろな事情もただいまのところいろいろ私どもの事務局の方でも百貨店業界の、ことに協会側の代表者等とも話合いを進めておりまして、これらの話合いなり、また一方問屋、一般小売商等の意見を広く聞きまして、できるだけ早く具体的な実効性のある段階に持つて行きたいと考えておる次第でございます。ただいまお示しのように、一箇月以内にやるとか二箇月以内にやるとかいうふうなことは、ここでは必ずしもはつきりお答えできないのは遺憾でございますけれども、今申し上げたような事情下にありますので、私どもとして別にそれを妨げるという考えはないわけであります。何とかして実効性のある措置をとりたいということでいろいろ苦心をいたしておるのでありまして、そういう点ひとつ御了承をいただきまして、しばらく私どものやりますことを見守つていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#26
○長谷川(四)委員 了承いたしました。私は私の提案は当分お預けといたします。公正取引がわれわれの意に合う、またあなた方に与えられる権限内において――それはあなたがおつしやる通りであります。特殊指定がたとえばなくても、堂々と取締れる法律をあなた方に与えてあるはずであります。しかしその運用の面にあたつて怠慢であるということを私は申し上げるのであります。でありますから公取としてこの面に対する取締りというか、どのぐらいの努力をしているかという点については、今後大いに見守らなければならないと思うのであります。百貨店なら百貨店の良識と自覚の盛上りを待つというようなお考えはあつてはならないと思う。なぜならば昭和二十八年度の売上げが、日本のデパートだけで二千億近いものがあります。私は売上げが厖大だからそれがいかぬというのではないのであります。売上げの厖大の裏に不当な取引が行われている、この事実の上に立つての話を申し上げているのでございます。そういう点について、私は昭和二十六年から今日まで、これだけの書類をもつて調査を完了いたしまして、いよいよ提案をしなければならないという段階に至つたわけであります。でありますから、丸山課長のおつしやる通り私は十分公取の行動を見守ります。従つてアウトサイダーも平等に法は受けなければならない。なおより以上私はアウトサイダーをあなた方の手によつて指導していただかなければならないと思うのであります。
 以上申し述べまして、私はあなた方の今後の行動を見守つた上において提案をするということに決定をいたしまして、私の質問を終ります。
#27
○大西委員長 ではこの際暫時休憩いたします。
    午前十一時五十分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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