くにさくロゴ
1947/07/03 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第58号
姉妹サイト
 
1947/07/03 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 本会議 第58号

#1
第002回国会 本会議 第58号
昭和二十三年七月三日(土曜日)
   午前十時五十一分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十六号
  昭和二十三年七月三日
   午前十時開議
 第一 森林保全に関する決議案(徳川宗敬君外一名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案一内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 公認会計士法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 國家行政組織法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 商工省官制の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第七 工業技術廳設置法案(内閣提出)(委員長報告)
 第八 運輸省官制の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 造幣局官制の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一〇 厚生年金俣險法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 船員保險法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一二 理容師法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第一三 公立高等学校定時制課程職員費國庫補助法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一四 風俗営業取締法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一五 市町村立学校職員給與負担法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一六 自轉車競技法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第一七 教科書の発行に関する臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一八 船員職業安定法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一九 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海運局の増設に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二〇 港域法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二一 判事補の職権の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二二 青年補導法案(鬼丸義齊君発議)(委員長報告)
 第二三 電信電話料金法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二四 郵便法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二五 國立廣島そう合大学設立に関する請願(委員長報告)
 第二六 女子の新制大学に二年制を認むることに関する請願(委員長報告)
 第二七 國立岡山そう合大学設立に関する請願(二件)(委員長報告)
 第二八 定時制高等学校に関する請願(四件)(委員長報告)
 第二九 國立茨城そう合大学設立に関する請願(委員長報告)
 第三〇 定時制高等学校教員等に関する請願(委員長報告)
 第三一 小学校の必要科目に書道を復活することに関する請願(二件)(委員長報告)
 第三二 京都盲学校教員養成所設置に関する請願(委員長報告)
 第三三 小学校並びに新制高等学校の必要科目に書道を復活することに関する請願(委員長報告)
 第三四 霧島山ろくにそう合競技場設置に関する請願(委員長報告)
 第三五 六・三教育制度経費の全額庫負担に関する請願(三件)(委員長報告)
 第三六 國立女子大学設置に関する請願(二件)(委員長報告)
 第三七 つんぼ、盲の教育義務制実施予算に関する請願(三件)(委員長報告)
 第三八 國立函館学藝大学設立に関する請願(委員長報告)
 第三九 國立函館水産大学設立に関する請願(委員長報告)
 第四〇 國立四國そう合大学設立に関する請願(三件)(委員長報告)
 第四一 新制高等学校教科課程の一部改正に関する請願(委員長報告)
 第四二 第七高等学校復興に関する請願(委員長報告)
 第四三 小学校の必修科目に習字科を加えることに関する請願(委員長報告)
 第四四 小学校並びに新制中学校の必修科目に書道を復活することに関する請願(委員長報告)
 第四五 北海道大学工学部に建築工学科を新設することに関する請願(委員長報告)
 第四六 六・三制完全実地のための予算に関する請願(二件)(委員長報告)
 第四七 大学院特別研究生の給與改善に関する請願(委員長報告)
 第四八 小学校の必修科目に書道を復活することに関する請願(委員長報告)
 第四九 國立新潟そう合大学設立に関する請願(委員長報告)
 第五〇 浦和高等学校昇格に関する請願(委員長報告)
 第五一 仙台工業專門学校の工業大学昇格に関する請願(委員長報告)
 第五二 京都工業專門学校の工藝大学昇格に関する請願(委員長報告)
 第五三 彦根経済專門学校の経済大学昇格に関する請願(委員長報告)
 第五四 國立奈良女子大学設立に関する請願(委員長報告)
 第五五 上田繊維專門学校の繊維大学昇格に関する請願(委員長報告)
 第五六 教育用品生産等の資金貸出順位改訂に関する請願(委員長報告)
 第五七 教育日用品生産のための指定生産資材の需要部門分類中に「教育用品の項目」新設に関する請願(委員長報告)
 第五八 釧路教育大津設立に関する請願(委員長報告)
 第五九 新制中学校舎建築費国庫、補助に関する請願(委員長報告)
 第六〇 國立山口そう合大学設立に関する請願(委員長報告)
 第六一 國立岡山そう合大学農学部設置に関する請願(委員長報告)
 第六二 新制大学の科目中に書道科を設置することに関する請願(委員長報告)
 第六三 國立廣島そう合大学に廣島高等学校を中心とする政経学部を設置することに関する請願(委員長報告)
 第六四 國立名古屋工業大学設立に関する請願(委員長報告)
 第六五 六・三教育制度完全実施に関する請願(委員長報告)
 第六六 東京女子高等師範学校の女子そう合大学昇格に関する請願(委員長報告)
 第六七 理学関係学会補助に関する請願(委員長報告)
 第六八 学校敷地の買收に関する請願(委員長報告)
 第六九 映写技術者免許制度の改革に関する請願(委員長報告)
 第七〇 通訳案丙業法制定に関する請願(委員長報告)
 第七一 神戸國営ホテル建設に関する請願(委員長報告)
 第七二 奈良市の観光事業再建に関する請願(委員長報告)
 第七三 日光の國宝及び特別保護建造物の改修費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第七四 ホテル事業に対する産業資金貸出順位改正に関する請願(委員長報告)
 第七五 出雲大社の國宝建造物改修費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第七六 映画産業の取扱業種別引上げに関する請願(二件)(委員長報告)
 第七七 國立長崎博物館建設に関する請願(委員長報告)
 第七八 岡山の後楽園復旧に関する請願(委員長報告)
 第七九 映画館、劇場等の入場料金統制撤廃に関する請願(委員長報告)
 第八〇 吉里吉里漁港修築に関する請願(委員長報告)
 第八一 鮮魚介陸揚地に対する地区別報償物資差別撤廃に関する請願(委員長報告)
 第八二 漁業協同組合法制定に関する請願(委員長報告)
 第八三 網走市水産指導所の北海道水試驗場支場昇格に関する請願(委員長報告)
 第八四 南海震災被害漁港復旧事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第八五 こんぶの統制撤廃に関する請願(委員長報告)
 第八六 公吏に國家公務員法を適用することに関する請願(委員長報告)
 第八七 六・三制完全実施のため予算削減反対に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第八八 六・三教育制度経費の全額國庫負担に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第八九 定時制高等学校に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第九〇 國立岡山そう合大学設立に関する陳情(三件)(委員長報告)
 第九一 國立四國そう合大学設立に関する陳情(委員長報告)
 第九二 國立三重そう合大学設立に関する陳情(委員長報告)
 第九三 宇都宮農林専門学校の大学昇格に関する陳情(委員長報告)
 第九四 國立宮城教育大学設立に関する陳情(三件)(委員長報告)
 第九五 盛岡農林専門学校を東北大学に合併並びに同大学教養学科設置に関する陳情(委員長報告)
 第九六 仙台工業専門学校の工業大学昇格に関する陳情(委員長報告)
 第九七 福岡教員養成大学設置に関する陳情(委員長報告)
 第九八 國立長崎そう合大学設立に関する陳情(委員長報告)
 第九九 名古屋大学新学部創設に関する陳情(委員長報告)
 第一〇〇 九州大学丙に産業労働研究所設置に関する陳情(委員長報告)
 第一〇一 教職員給與等の全額國庫負担に関する陳情(委員長報告)
 第一〇二 教職員の給與全額國庫負担に関する陳情(委員長報告)
 第一〇三 戦災私立学校復興貸付金制度存続に関する陳情(委員長報告)
 第一〇四 九州大学理学部石炭地質学講座開設促進に関する陳情(委員長報告)
 第一〇五 教職員給與の全額國庫負担に関する請願(委員長報告)
 第一〇六 観光事業のそう合的中央機関設置に関する陳情(四件)(委員長報告)
 第一〇七 観光國策の確立に関する陳情(三件)(委員長報告)
 第一〇八 國際観光ホテル建設に関する陳情(委員長報告)
 第一〇九 観光事業の一元的金画、指導及び推進機関設置に関する陳情(委員長報告)
 第一一〇 松本城の修理実施に関する陳情(委員長報告)
 第一一一 奈良縣の國宝保存に関する陳情(委員長報告)
 第一一二 國立長崎博物館建設に関する陳情(委員長報告)
 第一一三 用紙割当審議会に関する陳情(委員長報告)
 第一一四 有明海の漁業取締りに関する陳情(委員長報告)
 第一一五 観光事業に関する調査に関する件(委員長報告)
     ―――――・―――――
#2
○議長(松平恒雄君) 報告の朗読は省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより会議を開きます。大藏大臣より発言を求められておりますから発言を許します。北村大藏大臣。
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(北村徳太郎君) このたび提出いたしました昭和二十三年度一般会計予算修正書及び特別会計予算修正書につきまして御説明申上げたいと存じます。
 昭和二十三年度一般会計予算及び特別会計予算につきましては目下御審議を煩わしておるのでございますが、今回右の予算につきまして日本社会党、民主党及び国民協同党から、概ね次に申述べますような修正の要請がございましたので、内閣といたしましては、これに基きまして所要の修正案を作成いたしまして國会に提出いたした次第でございます。即ち一、鉄道旅客運賃値上率を二・五倍(通行税込)とし、これにより生ずる國有鉄道事業特別会計(損益勘定)の赤字は一般会計において補填すること。二、取引高税における免税品目を拡張すること。右による減收額は五十六億円とすること。三、鉄道運賃、通信料金改訂期日の遅延による減收を補填すること。四、文教費(六・三制経費等)を八億円増額すること。五、災害対策費を五億円増額すること。六、引揚者住宅建設費を三億円増額すること。七、恩給法の改正に伴う所要経費約六億円を計上すること。八、科学研究費を一億円増額すること。九、給與水準改訂等に伴い國会費を増額すること。十、医師、産婆等に対する地方事業税の軽減に伴い、地方財政收入減一億円を補填すること。十、右の措置に伴う財源は次に申述べますようなことによること、1、昭和二十三年度決算上の剰余金見込額中使用可能額を計上すること。2、高額所得者の税率を引上げ、これによる増収二十億円を計上すること。3、課税充実の方途を講じ、これによる所得税の増收百六十億円を計上すること。4、價格差益金の徴收を確保し、これによる増收額二十一億円を計上すること。5、一般会計を通じ物件費の節約を行い、歳出二十六億円を減少すること。6、その他内閣において適切なる財源を調達すること。以上であります。
 尚内閣といたしましては、右の修正と同時に、併せて、予算編成後生じました事由に基きまして、この際更に若干の点につきまして修正を加えることといたしました。その概要を簡單に申上げますと、先ず地方財源の彈力性を強化するため、入場税を地方に移譲することといたしましたのに伴い、所要の修正をいたしております。次に、今回競馬法を制定いたしまして、公正な競馬を行うため、從來日本競馬会の経営いたしておりました競馬を國営とするにつきまして、勝馬投票券の発賈に関する経理を明らかにするため國営競馬特別会計を創設いたしましたので、これに伴いまして所要の修正を加えております。又当せん金附証票法の制定に伴いまして、從來の宝くじの発行を今後政府又は都道府縣がみずから実施することといたしますので、これに伴いまして所要の修正をいたしております。次に連合國軍最高司令官の覚書に基きまして、從來連合国軍の管理に属しておりました解散團体の資産は国庫に帰属せしめ、国庫はこの資産を原則として換價処分の上貿易資金へ繰入れることと相成りましたので、この関係の経理を区分するため、外國貿易特別円資金特別会計を設置することとし、所要の予算的措置を講ずるため修正をいたしております。最後に、國有鉄道事業特別会計工事勘定におきまして、諸般の情勢から建設改良費の増額を適当と認められますので、所要の修正を加えた次第であります。
 右修正の結果、一般会計におきましては、歳入の修正増加額二百九十五億八千五百五十余万円、修正減少額百四十五億三百四十余万円、歳出の修正増加額二百四十五億千三百三十余万円、修正減少額九十四億三千百二十余万円となりまして修正増減を差引き歳入歳出いずれも百五十億八千二百十余万円の増加と相成つております。從つて昭和二十三年度一般会計予算の総額は、歳入歳出共四千百四十四億六千二百十余万円と相成る次第でございます。特別会計予算につきましては、地方配付税配付金特別会計外七特別会計予算の修正額と、今回新たに設置いたすことといたしました外國貿易特別円資金及び國営競馬の二特別会計の予算額を合計いたし、歳入の修正増加額三百五十三億六千五百余万円、修正減少額三百四十億九千六百二十余万円、差引増加額十二億六千八百八十余万円、歳出の修正増加額百五十一億六千五百余万円、修正減少額百三十九億三千二百二十余万円、差引増加額十二億三千二百八十余万円と相成りますので、この修正の結果、昭和二十三年度特別会計予算の総額は、歳入一兆千百九十六億千七百九十余万円、歳出一兆二百三十九億四千九百六十余万円と相成る次第であります。
 何とぞ速かに御審議あらんことをお願いいたします。
#5
○議長(松平恒雄君) 只今の大藏大臣の発言に関し質疑の通告がございますから、これを許します。石坂豊一君。
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
#6
○石坂豊一君 極めて簡単に只今の大藏大臣の御発表に対して質疑をいたしたいと存じます。私は昨夜衆議院における質疑應答を具さに聽いておつたのでありますが、芦田総理大臣は、今回の修正予算の提出は、民主主義に待つて國会の多数の意思に基いたものであるということを言われた。先ず第一にこの点について承知いたしたいと思うのは、國会の多数ということは、與党三派を合致したものだけで、それで決めるのであるかどうか、國会というのは申上げるまでもなぐ衆議院と参議院と両院によつてできておるのであります。両院の決議によつて國会の意思が決まるのであるが、政治的に見て、立どころに三派の意見は即ち國会の多数の意見であると、手取り早く民主党の総裁としてお決めになることは或いは勝手であるけれども、一國の総理としてさように決め込まれるということは、参議院としては頗る迷惑千万である。かような考え方はいわゆるナチス又はフアツシヨの考えであつて、自分の與党の多数は即ち一因の法律としても差支ないというさような横暴なる考え方から来ているものと私は考えるから、この点に対して、総理の昨夜の答弁は、如何にも昂奮せる議場においてその冷静を失して、少し脱線せられたのではないか。よつてこの議場を通じて明瞭にその点を弁明願ひたいのであります。この予算はどこにおいても公の手によつて修正されているのではないのである。與党三派が長い間小田原評定をきめて、漸く或る種の警告によつて初めてこれが纏まつた。それは國会の多数の意見であり、從つてこれを敷衍すれば國民の意思であるという断定をすることは頗る早計であると私は確信します。(拍手)この点に対して芦田総理は如何なる考えを持つているか。衆議院の多数さえ制すれば参議院はどうでもいいというお考えであるのか。その点を明瞭にお答えを願いたい。総理は頻りに何かというと外國の例などを引かれまするが、外國の例は、外交史によつて博士を得られました法学博士のことであるから余程詳しいかも知れませんけれども、日本の憲政については私は芦田氏よりも一日の長者である。我が國の憲政史上では、政府みずから自分の出した議案に対して、会期切迫の折に修正を出したという例は未だ曾て見ないのであります。私はこの奇なる現象に対して、國民の納得するように御説明を願いたいのであります。(「日本の現状がそうあらしめたのだ」と呼ぶ者あり)或るものは予算の修正に当りまして北村大藏大臣御説明のごとく非常に多くの歳入歳出に多額の修正を加えられたのであります。その計数を挙げますると、歳出の増加二百四十五億一千三百万になつておる。差引百五十億八千七百十八万五千円と、こうなつておる。かような大幅の修正をするに当つて多くの財源が捻出されているのであります。かくのごとき財源がありましたならば、何が故に政府はこれによつて、今與党三派の修正されたるがごとき、これに近いところの、若しくはこれよりもつと進んだところの、國民負担を軽減し得るところの予算を組むことができなかつたのであるか。與党三派の修正は確かに我々から見ますと政府原案よりはよくできていると我々は信じております。(「賛成」と呼ぶ者あり)我々はこれよりもつといいところの修正案も持つておりまするが、次善を以て見ますると、原案よりは與党三派の修正は余程よろしいと思う。この修正を取入れるだけの研究がどうして積まれなんだのでありますか。この予算は決して年度丙の三月までに出たのではない。我々は四月から六月まで暫定予算を審議し、その間において政府は十分の調査研究を積まれている筈である。而して更に與党の要求によつて多くの財源を捻出するところの幅のある財源をお持ちになつておつたということであるならば、これは非常に國民に対して不親切なものであると我々は考えるのであります。(拍手)大藏大臣は到る処において、この予算に対して與党は修正してはいかんのである、又修正するところのない立派な予算であるというようなことを述べられたように伺つているのでありますが、それが與党三派の修正には立どころにへこたれて、この前述の言はどこへ行つたかというような顔をしているけれども、これに対しても私は非常に無責任なりと考えるのでありますが、これは後で伺います。とにかく政府はかくのごとき多くの財源を以て、曾ては片山内閣においても財源がないと称して、とうとう〇・八の歳出に対して片山内閣は倒れてしまつた。而してその後に行つて多くの財源を出して恬として恥ざるところの態度をとることは、これは政府部内におけるところの一つの弊害と私は考えるが、今回は如何にしてかくのごとき多くの財源に対して政府が感じられたのであるか。この点を明瞭にここにおいて弁明を願いたい。
 又鉄道運賃の二・五五に対しましても、社会党の諸君は二・〇を主張しておられた。民主党は二・六五を主張しておられた。その折衝がなかなか捗らん。予算の審議が遅れましたのは決して外の原因ではない。この與党間の折衝が遅れたためである。その筋から非常にお叱りを受けたと承つておりますが、さもあるべきことである。かくのごとき点において徒らに協議を重ねて依然と小田原評定をきめて決せんから、さような忠告を受けなければならんことになるので、この忠告は與党及び現内閣が負うべきものと私は考えております。(拍手)而して私は社会党の方に対して申上げたいのは二・五五までにお讓りになつたということは誠に残念な話であつて、(「余計なことを心配するな」と呼ぶ者あり)これは社会党の諸君は國民諸君に何と申訳されるのであるか。これは敢て今日の主たる質問に立つた問題でありませんが、長い間掛かりまして協議をしたところのその原因は、この僅かなる問題でありまするけれども、政府にはこれに対して訳もなく二・五五まで讓つてしまつた。これはどういうわけか。國民がこれのために非常に迷惑している。初めから二・五五を言われるならば、今日までの大騒ぎにならなかつたかも知れない。我々は鉄道旅客運賃のごときは、どんなに高くしても倍以上に上げるものでないと確信している。できるならば、元の通りにしておいた方がいいと思う。けれども、今日急迫せる國家財政におきましては、國民諸君に対して今日の鉄道運賃以上に、つまり旅行ずる者の税金と思つて、一倍だけ多く出して頂く、こういう要求をすることは無理からんことでございましようが、とにかく二・五五に政府は讓られた。この余裕があるならば、何が故にもつと早くこの予算の協定を進めることができなかつたのであるか。もはや会期切迫し、両も切迫どころじやない、五日間の会期を延長して、漸く今日参議院に廻つて来るというような醜態を演じたということは、私は全く政府の責任なりと存ずるものであるが、これに対する総理のお考えはどうでありますか。
 それから第三におきましては、政府は自分の予算に対して修正予算を提出するということは財政法上にもどこにも書いてない。政府の提出せられる予算なるものは先月の六日に提出された予算でなくてはならない。又與党三派の修正案は、これは別個に出て來るものである。それをすぐ取入れて政府の案とせられて、而も政府が、只今ここで大藏大臣が述べられたがごとく、幾多の新規要求をここに取入れてこの予算に便乗しておられる。然るに昨晩の政府の答弁は、全く與党三派の修正は即ち議会の多数の意見なりと即断して、政府がこれを容れたものであるという答弁になつておる。與党三派の修正意見より以上に政府は取り入れておる問題もあるのであるから、その点をなせ昨晩の答弁においてお答えにならなかつたのであるか。私が重複してかようなことをお導きする必要を感じたのは、如何にも昨晩の答弁において國民は納得することができないから、改めて貴重な時間を費してこの壇上から御質問をいたす次第であります。
 それから北村大藏大臣も昨晩総理大臣の尻馬に乗つて、國会の多数によつてこの意見を取入れることは民主政治の要諦であるから直したのだと簡單に述べられたのであります。只今申述べたごとく、それは北村さんが高言を切つた手前上そんな逓辞は許さんのであります。北村さんは、予算総会においでも亦國民に対しても、與党の修正は許さん、何ものかの力を借りて與党を圧迫するがごとき言辞を弄せられたることは天下周知の事実である、然るに今日、さような議会の多数ということが決まりもせんうちに、多数の意見に従つたのであるという芦田さんの口調をそのまま鸚鵡返しになさつたということは我々合点がいかんのである。この点に対して予算を編成するところの重大なる責任を持つておる大臣から一應の弁明あつて然るべきものと考えます。時間が來ましたから、これで終ります。(拍手)
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(芦田均君) 石坂君のお尋ねの第一は、昨日衆議院本会議において政府の答弁の際に、今回の修正予算は國会の多数の意向に基いて具体的に編成を行つたものであるという答えをしておるが、それはフアツシヨ的な考えではないかという御意見であります。御承知の通りに今回提出しました政府の修覆予算は、日本社会党、民主党及び國民協同党の共同の意見として、具体的な項目を示して、政府にこの趣旨に副うて修正予算を提出せられたいという要望に基いて作つたものであります。申上げるまでもなく、國民代表という政治的の意味において最高の機関は國会であります。併しながら、憲法によつて明らかにされておるごとく、衆議院と参議院との間には多少の差異が設けられておる。それは衆議院が解散の対象になるという事実、又衆議院は政府に対して信任、不信任の決議をなし得るという事実、それらの事実に照し合せて、先ず第一義的に、國民代表としての機関は衆議院であるという考え方が新憲法の中に盛られておることは御承知の通りであります。從つて一應の見解としては、衆議院の多数が提出したる予算修正の要求は、國民多数の意向を代表するものと考えることは政治常識として許されるべきものと考えます。さような意味において衆議院多数の意向が決定しておる以上、立憲政治の下においては、政府は当然これに傾聽すべきものと考えるのであります。又昨日の衆議院の予算の表決においても、政府の修正案が四十一票の多数を以て衆議院の承認を得た事実をみても、この修正案が衆議院多数の意向を代表するという答弁が必ずしも事実に反しておるものとは考えておりません。(「政府の責任はどうするのだ」と呼ぶ者あり)從つてこれに対する政治責任はどうかという石坂君のお尋ねでありますが、政府は常に國民大多数の意向に副い、(「嘘をつけ」と呼ぶ者あり)國会多数の見解に從うことを以て、立憲政治の常道であると考えております。若しそれに反して國会多数の要求に副わない予算を強行するならば、それこそ石坂君の言われるフアツシヨ的考えだと言われても政府は弁解の辞がないだろうと考えます。そのことは現に予算委員会において石坂君が同じことをお尋ねになつたそのときに、私が答えたことを恐らく御記憶だろうと思います。予算委員会の席上において、國会の多数がこの予算の修正を必要なりと考えられるときには、政府はこれに準拠いたしますと答えたことは速記録に残つております。政府は國民多数の要望に從つて行動することに対して、特に負うべき責任があるとは考えておりません。
 尚財源の問題。それから鉄道運賃の問題についての御質問がありました。これは主管大臣たる大藏大臣から答弁をいたすことに取計らいます。(拍手)
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
#8
○國務大臣(北村徳太郎君) 石坂さんの御質問にお答え申上げたいと思うのであります。第一は、修正予算を政府が出すというのはどうもおかしいじやないかというような御質疑てあつたと思うのでありますが、我々は國会法の規定に基きまして、衆議院において修正に対する承諾を見ましたのでございます。さような法的措置を講じておりますので、さように御了解を願いたいと思うのであります。
 それから予算は決して修正などしては相成らんということを私が申上げたようなお話がございましたけれども、これは参議院の予算委員会においても、私が、そのことに関して御質問がございまして、どなたかの御質問にお答え申上げたと思うのでありますが、與党三派から出ておる閣僚の責任において、この予算は通過するように努力して貰いたいということを強調したことはあるのであります。それだけでございまして、予算を絶対に変更してならんなどということはこれは國会の審議権を干犯することでございますから、さようなことは申したことはないのでございます。
 それから尚今回の修正によつて財源がどうして出たかというような御質問であつたと思うのでありますが、財源の点は非常に苦しい財産であることは石坂さんも夙に御承知の通りであります。ただ今回非常に悪税だという批評も蒙つておりますけれども、取引高税の実施を円滑にやりまするというと、このことにおいて闇へ流れる商品を押えて行くことができるということの多少の自信を得たのであります。そうしてこのことによりまして一つの流通秩序というものを立てて行くことができる。一方において非常に反対がございますけれども、これは各段階において軽度の税を取るということによつて、逸脱するものを押えて行くということから、この取引高税そのものよりもむしろ所得において捕捉することができる。かねて参議院においても闇所得をどうするかというような問題がしばしば出たのでございますが、私はこの面から所得を確保することに相当この税が役立つということの自信を得たのであります。その他かねて本院においてもしばしば御注意がございまして、いわゆる闇利得を追求するというためにここで申上げたかと思いますけれども、そういうことを專ら追求して、徹底的にさようなものを取つて、租税倫理を確立するというような方面に努力いたしたい。さような点において多少自信を得ましたので、それこれ勘案いたしましたものが、今回の運賃値上げ当初の案よりも引下げましたことの補いをつけるに足るだろうというような大体自信を得ましたので、さような計らいをしたのであります。当初の運賃と後の運賃との関係でございますが、これは鉄道の独立採算等から考えまして、三・五倍ということが妥当であると考えましたが故に御審議を煩わしたのでございます。それからこれは非常に赤字に悩む鉄道といたしまして、鉄道を利用する方々に或る負担をして頂いて、万止むを得ざるものが一般会計になつて、一般國民の負担になる。その割合をどうするかという問題は、必ずしも運賃政策だけではなく、非常に重大な問題であると思うのであります。幸いに今回、以上申上げましたような若干の税において彈力を見出しましたので、これと合せ考えまして引下げた次第でございます。以上御答弁申上げます。
   〔石坂豊一君発言の許可を求む〕
#9
○議長(松平恒雄君) 御質疑の時間は超過いたしておりますから、次の質疑者に移りたいと思います。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#10
○中西功君 このたび政府から出されました修正案に対しまして、簡單に質疑を申上げます。今民主自由党の石坂議員からもこの点につきましてはいろいろの質疑が出ましたのでありますが、我々は、政府がこの会期迫つた今日に至つてこの修正案を出さざるを得なかつたということは、これは日本の予算審議上未曾有のことであると共に、これは決して政府が國民の意思に副うた民主主義をやつてるというふうなことでは絶対にない。一つは、今の芦田内閣は與党三派からさえも完全には信頼されていないということを最もよく現わしておると思うのであります。(拍手)更にこれは修正が、恰かも民主主義に副うた、國民の意思に副うようなことを言つておりますが、この厖大なる四十億の予算に対しては、國会の審議開始以來院外の國民大衆が非常な猛烈なる反対運動をやつてる。そして各党からそれぞれの修正案が出ておる。そういうふうな事情に対して、止むを得ず芦田内閣が譲歩したのでありまして、決してみずから進んでとか、或いは國民の名においてとか、そういうようなことでは絶対にないのであります。それは止むを得ざる、この修正をせざるを得なくなつた後の遁辞に過ぎないのでありまして、こういうことをこういう議場からぬけぬけ言つて、自分の政治責任に対しては恬として恥じない態度は、我々は全く遺憾とするものであります。こういうふうな状態に対して、一体院外において、國民の大衆が、特に勤労大衆が非常にこの予算案に対して猛烈な反対運動をしたという事実、これを一体芦田首相や或いは北村大藏大臣がどういうことを考えておるか。単なる與党三派がどうした、與党三派の意思だというようなことではないと思うのであります。その点はつきろ私達は聽きたいと思います。
 更に大藏大臣は、國会の審議権を犯さないとか何とかいうことを申しておりますが、決してそうではない。これは私時間がありませんので詳しく申しませんが、このたびの種々の予算審議におきましても、政府は我々が何回要求しても必要なる資料を出さない。これは皆さんよく御存じの通りであります。更に又物價値上げのあの暴挙に至りましては、我々にはこの予算が物價値上げを根抵にしておるということは周知の事実であります。その予算審議の半ばに、突如としてああいうふうな物價値上げをやつてしまう。そうして私ほその前に、ああいう物價について詳細なる質問をいたしましても殆んど答えない。基礎資料も出さない。そうして置いて一挙に、ああいう値上げをやる。それだけではなく、三千七百円問題については、すでに多くの人がよく知つておられるように、大蔵大臣と労働大臣との間に意見の食い違いがあるのであります。こういう食い違いに対しても、政府は何ら調整して、統一した意見を述べてない。一昨日でありましたか、大蔵大臣の私に対する答弁におきましては、然るべき措置とは何かと聽きましたのに対して、然るべき措置とは然るベき措置でございます。この然るべき措置に対しては、加藤労働大臣は、これは明かに補正予算を組むのであると言つておる。而もそうであろうと私が質問いたしましても、然るべき措置は然るべき措置でございます。こういうふうな不辱な答弁をしておる。これがこういうふうな一連のことと、今回修正予算を出さなければならなかつたことと殆んど揆を一にしておると思うのであります。
 尚最後に、私達はこの度の修正についてどう考えるか、一言申上げたいと思うのでありますが……尚ちよつと忘れましたが、それは今後参議院におきましても十分この予算案を審議するつもりでありますが、政府が從來の我々の審議に対して不誠意な態度を改めるかどうか。特に大蔵大里にその点を質問したいと思うのであります。
 更に最後に、このたびの修正案は、私達から見れば、これは大衆の大きな反撃の上に起きて來たことであるが、極めて欺措的な修正案である。社会党の或る一部D人々がこれに反対しておると聞いておりますが、この場合、恰かもこれがこのたびの中心問題が、運賃を二倍半にするか、或いは三倍半にするか、或いは三倍に止めるか、こういうことが恰かも全国民の最大の関心事であるかのごとく、この修正案は作つてある。院外の國民大衆は決してこういう小さい問題に囚われてるのじやない。この子算の本質に対して、この予算が日本を破滅する可能性がある。インフレを助長する可能性がある。更に又大衆課税である。又特に物價値上げを前提にしておる。こういう基本的問題に対して批判しておるのでありまして、單なる運賃の問題に対して國民の主張を紛わす、そういうような作用をするのがこの修正案だと思うのであります。そういう意集におきまして、我々は、眞に良心ある人々は、このような修正に紛わされることなく、正々堂々と我々の基本的な主張に讓つて進まれるであろうと、我々は期待いたします。いろいろ問題もありますが、以上の点について、私は首相及び大蔵大臣の答弁を要求して、私の質疑を終ります。(拍手)
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#11
○國務大臣(芦田均君) 中西君の(「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり)お尋ねは、大体の趣意に於て、石坂君の御質問と同一であつたように拝聽しました。從つて先程石坂君に答えたところによつて御承知を願いたいと思います。(「駄目」だと呼ぶ者あり)ただ一点石坂君の言及せられなかつたことは、院外の大衆はすべて政府の予算案に反対であるということを指摘されました。(「院内の大衆も反対だ」と呼ぶ者あり)私共は代議政体は、國会が國民を代表するものという政治的観念の下に行わなければならないのであるから、院外大衆の力によつて日本の國政が支配せられるということは、代議政体の根本を危くするものだと思つております。(拍手)(「内閣は何をするのだ」「答弁首相」「満点だ」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣北村徳太郵君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(北村徳太郎君) 中西さんの私への御質問は、御質問というよりも御意見が非常に多かつたと思うのでありますが、それは誠に傾聽すべき御意見として十分に拝聽いたしました。それから尚答弁等についても御注意を頂きましたが、私は誠心誠意やるつもりでおりますから、御了承を願いたいと思います。(拍手)、(「頑張れ」と呼ぶ者あり)
#13
○議長(松平恒雄君) 日程第一、森林保全に関する決議案(徳川宗敬君外一名発議)(委員会審査省略要求事件)、本件は発議者徳川宗敬君外一名の要求の通り、委員会の審査を省略し、直ちに本案の審査に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を求めます。徳川宗敬君。
   〔徳川宗敬君登壇、拍手〕
#15
○徳川宗敬君 森林の濫伐が國土を破壊しようとする現下の情勢に鑑みまして、各派共同の発議により、ここに森林保全に関し決議案を提出いたすことに相成りました。私は発議者を代表して、提案の理由を申述べたいと存じます。先ず初めに決議案を朗読いたします。
   森林保全に関する決議案
  戰時における無計画な森林の伐採と戰後その復旧に関する、山林施策の貧困とは正に治山、治水並びに水源涵養の根本を危殆に陷らしめている。
  現下食糧増産のためにする開墾は、我が國情から見て、焦眉の急務であるが、治山、治水の開墾との間には自から適切妥当な調整が必要である。
  よつて政府は速かにこれら調整に関する措置を講じ、併せて、第一國会における本院の「水害に対する迅速なる應急策と治水事業の完遂に関する決議」の主旨に基き恒久的山林対策と積極的なその具体策とを確立し、以て、森林保全に遺憾なきを期するを要する。しこうして、その顛末を來るべき國会初頭に報告することを要求する。
  右決議す。
 以上決議案にありますように、戰時においては、厖大な木材を無計画な森林の伐採によつて供出し、終戰後においては、復興建築のため、或いは石炭、ガス、電気等燃料不足による薪炭需要増加のため、森林の濫伐暴採が繰返されております。早くも終戰当時洪水の危険が予想されておつたのでありますが、果せるかな、僅か数日の降雨によつて昨年のごとき水害を頻発し、旱天となれば直ちに水力発電にも甚大な影響をもたらす等、今や森林の濫伐は國民生活を直接間接に脅かす切実な問題を惹き起すに至りました。先に本院は第一國会において、「水害に対する迅速な懸念策と治水事業の完遂に関する決議」をなし、政府当局の善処を要望したのであります。これは畢竟するに、治水事業の主要なる一環として、今日のごとき森林の荒廃をでき得る限り防ごうとする意図を包蔵しておつたものであります。然るに、これに対する政府の回答は、恒久策としては災害復興対策委員会に諮り、又治水事業については治水調査会に諮問して、國家財政の許す限り積極的にその実施を期すという一片の作文に過ぎなかつたのであります。もとより現下の財政窮乏とインフレの高進とは、施策の実現に大なる困難を伴わしめることは言を俟たないところでありますが、併し恰かも國民保健上、予防医学が先ず臨床医学に先立たなければならないのと全く同樣に、国土の健全性を確保し、災害を未然に防止するためには、先ず森林保全の完璧を期さなければならないのであります。
 今過去における各種災害対策の莫大なる失費を考えますときに、今日の造林費並びに治山治水費のごときは甚だ不十分と言わなければならないのであります。そして又政府の措置が、この予算の面において微温的であるばかりでなく、実行の面におきましても熱意を欠き、その根本的対策に触れず、ただ当面を糊塗するに過ぎない感のありますことは、誠に遺憾に堪えない次第であります。若しも今日の実情のまま推移するならば、我が國は近い將來において木材飢醸に突入し、國土の過半を占める森林地帶を持ちながら、國民はその用材と薪炭とを國内に得ることができないというような悲しむべき状態を招來し、更に又年々激増する水害は、延いて食糧増産、電力資源の開発等に著しい支障を來すに至りますことは、世人の齊しく認めておるところでございます。
 曾て明治の中葉、フランスの一宣教師が、長年住みなれた日本を去るに当りまして、当時の森林濫伐の有樣を憂えて、我が國民の将来のために警告を発し、森林の荒廃はその國の文明を破壞する旨を記した小冊子を残して、日本を去つたことがあります。現下の濫伐はこの明治時代の比ではないのでありまして、我が國において今日ほど森林の復旧とその培養との必要を痛感させられる時はないのであります。然るに、只今治水事業はその工事量を次第に縮小せられ、到底百九十万町歩に余る要工事面積の事業を完遂することは不可能と思われ、又造林事業においても辛うじて森林資源造成法による補助造林が継続しているという程度でありまして、一般國民は森林政策の貧困に対し大なる念願すら持つに至つたのであります。
 恰かもこの時に当りまして、戰後の緊急事業たる開墾事業が、二十三年度中にその予定地の買收を終る方針を決定せられたのであります。そうして自作農特別措置法に盛られた未墾趣の買牧に関する諸規定は、この困難な事業を遂行するために最高の強權を附與され、又その実行が至急を要するため、既定開墾予定面積百五十五万町歩は機械的に各地方に割当てられたのであります。その結果、運営上の欠陥と相俟つて種々なる障害を惹起しつつあるということは、各位のすでに御承知の通りであるのであります。即ち力なき山村住民に故なき圧迫を加え、或いは法の解釈を殊更に曲解して不当の買収を企図する等、この種法律の運用に当つては遺憾に堪えない行爲が数多く傳聞されるのであります。この点については森林保全上特に愼重を期すべきであると考えられるのであります。
 以上の事例は、主として地方における紛争の実例を綜合して抽象的に申上げたに過ぎないのでありますが、その影響として、山村住民、各森林所有者を徒らに刺戟し、林業経営に対する不安のためあわててその所有森林を伐採し、又跡地の造林も行わず、結局山林政策の遂行を阻害することと相成つたのであります。かくては森林の荒廃が水害の因となり、耕地を流失し、延いては開墾事業の成果をも水泡に帰せしめる結果となるのであります。この現在の実情を顧みまして、一日も速かに治山治水並びにこれと関係の深い森林保全と開墾との間に、冷静な科学的檢討を加え、周到なる審査に基く調整が必要となつて参つたのであります。即ち差当つては森林政策の遂行に、当面の障害と思われる誤つた法の運用、或いは行き過ぎ等を是正するに足るべき公正妥当な行政措置を取つて、その不安を除き、又國土計画に基く林地と農地との区分を確立し、森林に関する恒久対策を積極的に樹立せられることを、ここに強く要望するものであります。特に恒久対策の確立は、林業経営の長期間に亘る特異性に対し必須の條件でありまして、これらの両面の措置に関し、來るべき國会の初頭において、本院に具体的な報告をなされることを要求するものであります。
 以上申述べました趣旨により、本決議案を提出いたした次第でありますが、森林保全の重要性に鑑み、各位におかれましては、本案に御賛成あらんことを切にお願い申上げまして、ここに趣旨弁明を終ります。(拍手)
#16
○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。平沼彌太郎君。
   〔平沼彌太郎君登壇、拍手〕
#17
○平沼彌太郎君 只今提案になつておりまする森林保全の決議案に対し、賛成の意見を申述べたいと思います。時間の都合上森林政策と開墾政策の調和についてのみいたします。
 現在実施中の森林開墾予定地百五十面万町歩という数字は、丁度明治初年から最近に至るまで八十年間に開墾された面積に匹敵するのであります。殊に我が國の地勢は急物でありまして、世界に名高き水害國であります。でありまするからして、如何に緊急を要するとは言え、これを五ケ年ぐらいで完成せんとしたり、又本年度中に百五十五万町歩の買収を完了せんとするがごときには、山林政策を混乱に陷れるのみならず、森林保全の面かち言つても由由しき重大事と言わざるを得ないのであります。即ち開墾を急ぐの余り、不適地をも買収して開墾の対象とせざるを得なくなつた事実は、当局もよく承知しておるところでありまして、現に開墾局におきましても、この計画の再檢討を唱えておる者もあるのであります。不適当の買収の例を二三申上げますると、三十度以上の急傾斜地とか、海技一千メートル以上の道路もなき高原とか、既農家の零細なる農用林、又は貴重なる溜池の水源林、防風林、防砂林、保安林、又は崩壞の虞れあるところの土質等、開墾すべからざる山林を買收の対象としておることは、常識では到底承服し得ないのであります。そのため全国到る処に紛争を緩しておることは、手数百通に及ぶ陳情書等によつても明瞭でありまして、第三者はこれを野心的な開墾政策であると言い、又非科学的計画であると非難しておるのは当然のことであります。山林開墾が重大な国策であることは、林業家もよく承知しておりますからして、農地に適する山林の適正なる買収に対しては、喜んで應ずる覚悟を持つておると思います。併し開墾に便乘して、不適地を、又は立木を目当てとしての山林を買收せんとする場合、如何に醇朴なる林業家と誰も喜んで承服することができるでありましようか。殊に開墾の行過ぎは、法の尊嚴を傷つくるものとして、薪憲法下許すべからざることと存じます。開墾はすでに五十余万町歩を完成しております。その結果を見ますると、例えば地下水の枯渇による大面積の旱害とか、大風により土砂が移動して農作物が埋没したり、砂塵が村落を悩ましておるとか、水源林の伐採による貯水池の埋没とか、堆肥の不足に苦しんでおる農村、又既耕地に比して二三割しか収穫のないための開墾地の放棄、立木を伐採して跡地の放棄等々その弊害の実例は枚挙にいとまがないのであります。これ全く不適地又は不純なる買収による当然の報いと言わなければなりません。この実情をまのあたり見たところの附近及び下流の農村は、その弊害の恐ろしさに怯えて、開墾反対の空氣を醸しつつあることは、重大なる國策に支障を來すものとして、寒心に堪えないのであります。過去においても山林開墾を奨励した事実がありますが、数年を出でずして相当の面積が元の山林に還元しておる事実に鑑みましても、今回の開墾は、入植者一人当り北海道七十万円、内地三十万円という莫大なる國費を投じながら、数年の後には相当の面積が又元の山林に還元せざるを得なくなりはしないかと憂うるものであります。而して一旦焔として数年間耕作した土地は、たとい植林しても成長量は非常に低下するものでありますから、森林蓄積の面から見ましても、大なる損失と言わなければなりません。この百五十五万町歩は我が國山林面積の七分に相当し、又濫伐跡地の無立木地を合せますと、実に一割五分というものに相当するのであります。たとい鈍感な豚でも一割五分の皮を剥ぎ取つて、風雨に暴したら致命傷となるでありましよう。山林と難も生物であります。一朝豪雨に遭いますと、皮を剥ぎ取られて赤裸となつた大面積の土地から、憤怒を以て奔流するところの大量の土砂は、堤防を破壞しつつ河川の両岸を海に達するまで荒らし廻るのであります。「山林一町歩の開墾により良田十町歩を失う」という標語は、あながち過言ではないのであります。昨年の開東、東北の水害は、今後必ず頻々として起るべき大水害のほんの序幕であると、芦田総理も言明せられております。又歴代の農相も造林治水政策の重要性を力説しておられます。然るにこの当局の言明にも拘わらず、開墾政策の現状は、治山治水の政策とは甚だそぐわない、憂うべき方向に進みつつあるということを警告せざるを得ないのであります。(拍手)一昨日も農相は、適正なる開墾を実施するよう通牒を発したと言われましたが、出先では問題としておらんように見えます。又農相から係員を以て調査をしておる最中だという言明があらました。併し数ケ月前にも農林当局が府縣に調査を命じましたところ、府縣の大部分から行過ぎに該当するような事項はないという回答であつたということに鑑みましても、現地の直接の調査でなければ事実は試み得ないと私は思います。で、政府は速かに開墾政策の実情を再檢討しまして、殊に開墾の行き過ぎを是正し、森林政策との調和を図り、以て治山治水に反せざるところの確乎たる開墾計画を樹立すべきであります。(拍手)
 最後に、開墾政策と森林政策の調節こそ食糧増産の要締であるという言葉を以て本案の賛成の趣旨にいたします。何卒各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
#18
○議長(松平恒雄君) 高橋啓君。
   〔高橋啓君登壇、拍手〕
#19
○高橋啓君 私は本案に対して全面的に賛意を表する者であります。
 森林の減少は、先程提案者の説明並びに平沼議員の言われた通り戰争中の濫伐、過伐に加えまして、その後全く無計画の木材伐採が行われましたので、今日では百七十万町歩の植林を要する地域ができたのであります。尚戰争中に松根油を掘つたり、或いは船用材の曲り材を取るために根を掘つたためと、傾斜地を開墾したために、彼の水害の場合におきまして山の表土が押し流されて赤裸になりまして、そのまま植林ができないために、何らかの処置をしなければどうすることもできない所が二十五万五千町歩と言われておるのであります。このような状況におきまして、日本の國土保安に対して、何人もこのままにしてはいかんという考えを持つておられることは言を俟たないのであります。これに対しまして、政府はどういう処置を取つたか。先程お二人の言われた通り、全く軽微な、極めて低調なる施策を持つておつたのでございますが、大体こういうような大きな仕事をするためには、あらゆる良い條件を重ねてやつてもなかなかできないのであります。それがいろいろな仕事に影響されて、そうしてこの根本的な大きな仕事に障害を來すという事実は、どうしてもこのような大きな事実を完成することができないのであります。政府が取つた処置に対しまして二三申上げますと、私が農林委員会におきまして、平野農林大臣に山林の所有権の問題に対して質問いたしました時に、これは所有権の開放並びに所有面積の制限はやらない、こう言つております。又永江農林大臣は、長官会議におきましてもこれと同じような意味のことを言明しておるのでございます。尚三月二十六日に閣議決定に基きまして、政府は通牒をいたしております。開拓用地の取得の前提である開拓適地の調査は、國土の高度利用の観点から、農、林、畜その他の土地利用の調整に十分に愼重を期すべしという通牒を発しておるのでございます。併し私は地方廳に参りましてその係の者に聞いたのであります。このような通牒のあるのを知つておるか、知つておる人が三二人しかおらないのであります。又土地所有開放に関する政府の声明に対しても、一般の森林所有者に聽いて見たところが、誰も殆んど知つておらないのであります。若し政府が本当にこの方針を実現する熱意があるなら、これをあらゆる人達に周知徹底させることが必要であります。この大きな問題は一・二人達によつて解決できません。國民全体の力でなければ解決しないのであります。そこで私は、政府は若し……政府の直轄の官廳のみの通牒で事足りるとせず、日本には非常な大きな報道機関がありまして、各一般新聞に依頼いたしまして、これを十分に徹底させるような方向を政府が努力しなければならないと思うのであります。このような重大事件に対し二三の業界新聞に出ただけで、ほんの二三百一般の新聞に書かれたような有樣でありまして、私は一二の小さい会社のストライキの記事くらいでも、紙面を割いて頂くように、政府が報道機関に熱意を以て依頼したならば、私共はもつともつとこの森林の荒廃は防ぎ得たと考えておる者であります。
 この森林保存の根本方策といたしましては、所有権の安定が先ず第一であります。今木を植えて直ちにこれを買上げられてしまう。自分が折角育成し、自分の子供のように育て上げた木が、見ている前でこれを伐られたり、踏み躙られたならば、その人が何で植林しようとする意欲を持ち続けることができるでしようか。我々は全く木を育てるためには算盤で育てておるものではありません。今日殖えて明日攻撃するのではない。二十年、三十年を要して初めて収穫するのでありまして、恐らく自分の時代においてはその収穫を見ることができない。併しながらこの木を育てるという愛撫感、自分の子供を育てるというような氣持から森林というものは育成されて参つたのでありまして、所有権の安定がなく、今日植えたものが明日極めて安い値段で買取られる。今日一反歩の植林には四千円掛かります。政府においては一万九千幾らという算定をしておりますけれども、実際に植林する者から見れば一反歩四千円、そうして買上げられる時には百円に満たない金で買上げられる。このような状況において誰が植林する者があろう。これは大いに考えなければならないと思うのでありまして、(「そこだよ」と呼ぶ者あり)森林に関して、これは算盤でなく本当に意欲を持たせるということが必要であります。そのためには今日問題となつております開拓も必要で、食糧増産のために、或いは社会政策的な意味から開拓も必要だ。それにははつきりとこの利用区分を決めなければならない。その決める根底はどこにあるか、これは基本調査をしなければならない。実体調査をいたしまして、これは開拓に適地である、これは畜産のために必要だ、こつちは林野として残すべきだ。そのような利用に関して、はつきりとした区分を決めまして、これを法制化して、いずれも安心してお互の遂に進むという方法を探らなければ私はできないと思うのであります。我々はどうしても敗戰国民として課された二つの大きな責任を感じております。一つは子供をよく教育すること、一つは山を緑にすることであります。そこで私は植林に対して非常に経費が掛かる、人件費が多いというのに対して、我々は國民運動として奉仕デーというようなものを作らねばならないと考えておるのであります。尚今ある木をできるだけ伐らないようにしなければならない。いわゆる山を裸にしないためには間伐、或いは除伐を強行いたしまして、山を全部裸にしてはならない。十本ある内、五本だけ伐る、或いは一株十本なら五本だけ伐つて五本を残するいうので、裸山にはしない。必ずそこには木を残して置く。昔は保山木と称して山は全部伐らない。そこには相当な木を残して、子孫の家を建てる時、大きな材木を使うために残しておつたのであります。今日では何もかもすつかりと伐り拂うのでありますが、これではどうしても段々段々禿山が大きくなつて参るのであります。私はそのために一つの法的措置を取つて、必ず山は間伐による、採伐によらなければいかん、こういうことに決めたいと考えておるのであります。
 時間がありませんから、結論を急ぎますが、結局は土地利用区分の調査であります。我が國の地形から林野保存の割合は、全面積の七割が必要であります。そうでなければ水源地として、或いは電源として、或いは灌漑のために、その他あらゆる耕地を維持するためにも、七割以上の土地を必要とするのでありまして、この土地を基盤とする各種産業の立地計画を綜合作成して、相互の調整連繋の下に、農業、林業、畜産業の土地利用区分を確定するのであります。これなくしてお互い自分の関係する部門の育成に急にして他を顧みないときに、この回復に二十年、三十年という長き時間を要するこの森林に対して、開拓の問題その他の問題で、これが方法を誤まるようなことがあつては、日本將來のために寒心すべきものと信ずる次第でございます。どうぞ政府におきましても、この差当りの問題のみならず、國家百年のために、思い切つてこれが調整のために、あらゆる手段を講ぜられんことをお願いいたしまして、私の賛成演説といたします。(拍手)
#20
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終りました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#21
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)
 本決議に対し、芦田総理大臣より発言を求められました。芦田総理大臣。
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#22
○國務大臣(芦田均君) 只今森林保全に関する決議を拝聽いたしました。御趣旨は全く政府においても同感でございます。この問題は我が國、國土保全のために最も重要な問題でありまして、政府においても念頭に置いていないわけではないのでありますが、終戰以來の経済状態、財政の現状に鑑みて、今日まだ十分に施設を行つていないことは、常に不本意に考えておるところであります。本日の決議の趣旨に副うように、急速に諸般の計画について考慮いたしたいと考えております。(拍手)
#23
○議長(松平恒雄君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十三分開議
#24
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。この際、日程第二、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、日程第三、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案、日程第四、公認会計士法案、(内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案については、少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
#26
○黒田英雄君 只今上程せられました三法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告をいたします。先ず食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について御説明をいたします。この法案の提案の理由とその内容の大要を御説明申上げますが、食糧管理特別会計の運営の円滑を期しまするために、食糧証券及び一時借入金の限度額を引上げる必要があるのと、その外買入代金の支拂方法、食糧配給公團との関係につきまして、必要な改正をするために提案をしたというのであります。
 その内容は、食糧監理特別会計の食糧証券及び一時借入金の限度を四百億円から七百億円にするのであります。本年度の食糧費買計画に基きまして、所要資金を推算いたしますると、供出の最盛期と目せられます昭和二十四年一月におきまして約六百億円と予想せられます。それに供出数量の増加、供出期日の短縮、賣掛代金の回収までの期間に要しまする資金等の需要増加を約八十億円と見まして、それに若干の余裕を見込んで七百億円の資金を必要とするというのであります。食糧買入代金は從來專ら農林中央金庫を通じまして、農業会系統で支拂をして來たのでありまするが、このたび、供出者の利便を考慮されて、農業協同組合系統の外に任意の市中銀行においても、これが支拂を受けることができることにいたしたのであります。次は食糧配給公團の人件費、事務費の公園に対しまする交付金と公園からの納付金が、從來一般会計に属しておつたのでありますが、これをこの会計の所属とするというのであります。
 次に質疑に入りまして、政府現在の手持米はどれぐらいあるか。これを新米價による場合は、差益金は何らかの形で農村に還元するのであるかという御質問に対しましては、六月一日では約七百万石あるのであるが、これを新米價が決まつて、それで消費者に配給すれば、差益金が相当奉るのであるが、千七百五十円で買つた米であるが、これに所要の中間の経費を加算されるので同一價格とはならないけれども、殆んど同樣の價格を続けたいと思つておるので、差益金はないと思つておるという答弁であつたのであります。次に公團の監督はどういうふうにしておるか。公園のマージンはどれぐらいかという質問に対しまして、これは農林大臣が監督しておるのであるが、公園の各支局については、監督権の必要な部分を都道府縣知事に委任することができる規定になつておるので、從來食糧営團に対して府縣知事が持つておつた程度の監督権を、委任して監督しておる。公園のマージンは大消費府縣と生産縣とで違うのであるが、大体俵当り四十九円八十八銭になつているということであります。次に今面の改正で、農林中央金庫、農業会の外に、新たに日本銀行、普通銀行が介入するのは如何なる見地からであるが。供米の方面でも農業会、協同組合が一手に引受けておつたが、その中に一般商人も加わるようになるのであるかという御質問に対しましては、今年の馬鈴著から新らしい集荷制度ができて、從來のような農業会、協同組合の一元的集荷制度を改めて、一定の資格條件を持つておる者は、農業会、協同組合でありましても、その他一般の業者でもよろしいということになつた結果、
   〔議長退席、副議長着席〕
 一般業者が集荷する場合に農業会、協同組合から金融することができないので、一般金融機関から決済する外はない関係でこういうふうにしたのである。併しこれは政府からいずれにするようにというような指令をするのではなくして、全く農家の選択に任すもので、その他農業会系統の方が倉庫を持つておる関係でその方が有利ではないかと思つておる。次に、今回の増額は三百億円であるが、新麦、新馬鈴薯の新價格を見込んであるか、又米價改訂後の処置はどうするのであるかという質問に対しましては、麦、馬鈴著の暫定價格を見込んでおらない。新米價も同樣に見込んでないのである。近く麦、馬鈴薯の本格的決定をされると思うが、新米償も相当値上りを見ると思う。新米直は正式決定すれば幾らか違うと思うが、予算には三千三百八十円という價格が出ておるのである。こういうことになりますというと、そうなれば内閣は三百億円では足りないので、直ぐ追つ駈けて八百億円の増額、即ち限度千二百億円とする法案を提出しようと思つておるのであるというふうな答弁であつたのであります。
 かくて質疑を終了いたしまして、討論に移つたのでありまするが、民主党の石川委員からいたしまして、本年度の食糧賣買計画に基いて所要の資金を推定すると、新米價によりますれば、供出の最盛期と目せられる來年の一月は約手億円程度が予想せられる。これに供出数量の増加と供出期間の短縮による所要金額等を見込みますというと、約千百五十億円の資金を要することになる。これに多少の余裕を見込んで千二百億円とすることが適当であると思うのである。政府委員の答弁もそういうふうであるから、この法案の第四條ノニ中「四百億円」を「七百億円」とするのを、この七百億円を千二百億円と修正したいという修正の意見が出たのであります。かくて採決に入りまして、石川委員の提出の修正案を採決いたしましたところ、全会一致で可決せられました。次に本案全部を議題に供しまして、全会一致を以て修正をいたして可決すべきものなりと決定をいたしたのであります。
 次に貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案について御説明をいたします。
 貿易資金特別会計の借入金又は融通証券の発行限度は、現在百億円となつておるのでありまするが、現在その余裕額は二十四億円に過ぎない状況であるのであります。然るに本年度中におきまする輸出物資の買入等に要しまする資金の支出額は、約六百十四億余万円となるのに対しまして、輸入物資の賣拂代金等の資金受入額約五百四十二億余万円となりますので、今日の余裕金二十四億円を計算に入れましても、この年度中現金支拂上約四十八億余万円の資金不足となる計算であるのであります。これに多少の余裕金を見込んで、現行の百億円を百五十億円に引上げようというのであります。
 次に貿易会團の人件費事務費は、これを一般会計から交付金として交付し、又面会團の剰余金は、これを一般会計に受入れることになつているのでありまするが、これを貿易資金特別会計の所属といたしまして、経理を明確にすることが適当であると考えて、必要な改正を加えたというのであります。
 次に貿易資金運用の範囲の拡張でありまして、従来の輸出は國営の方法によつておりまして、制限附民間貿易の場合におきましても、貿易廳が輸出業者からその輸出物資を買上げまして、貿易廳が外國のバイヤーと契約をして、これを賣却する建前であるのでありますが、今回民間貿易の取引を円滑にしまするために、輸出業者が直接にバイヤーと契約をして、これを履行し得ることとして、その代金の請求は、輸出業者が外國爲替手形の振出人となり、日本側機関を通じて、日本の外國銀行にその手形の買取を依頼することに手続が改定になるに伴いまして、この民間業者の輸出に基く請求権を政府で買取り、集中することが必要と思われまするので、この請求権についても、貿易資金を運用し得る途を開こうとするのであります。
 本法案は商業委員会と関係が深いのでありまするので、連合委員会を開催いたしまして、数回に亙りこれを開きまして愼重審議をいたしたのであります。各委員から熱心なる質疑又意見の開陳があつたのでありまするが、これは非常に長いのでありますから、速記銭に譲ることをお許しを願いまして、ただそのうちの二三を御紹介いたします。先ず今回民間貿易となつた場合の資金資材の面が、果して今まで通り円滑に行くかどうか、非常に懸念であるという御質問に対しましては、貿易廳長官は、今回輸出業者がみずから契約の当事者となつて、先方の業者と契約をするに要しまする申請を貿易廳に出し、貿易廳はこれを許可するという書類を出しますというと、その許可書によりまして、日本銀行が貿易手形のスタンプを捺すことになつているから、從來と同樣に金融上の便宜が得られると思う。資材についても同樣である。変化はないと思うという答弁であつたのであります。又最近物債の改訂が行われました場合において、輸出品の物價が上り、自然ドルの交換比率も変わると思うが、五十億円の増額でいいのであるかという御質問に対しましては、これは現在の物價によつて算出しているものであるが、物價が改訂されますれば、輸出品の買入價額が上りまするが、同時に輸入品の賣渡價額も大体同じ足並で上るものと考えられるので、大体五十億円でいいと思うという答弁でありました。次に貿易関係の政府支拂が遅れるので、業者は非常に困つているというような御質問に対しては、誠に手不足であるけれども、併し十分に努力しているのであるが、例えば綿糸の世工作の決定が非常に遅れるので、こちらで拂いたくても拂えない場合もあるのである。併し業者の意欲を阻害するようなことがあつてはならんのでありますから、せいぜい迅速にやりたいと努力しているということでありました。又ドルに対しまする円の換算率の関係からいたしまして、勢い企業経営の合理化を必要とするようになつて來るのではないかというふうな質問に対しましては、それは誠にその通り必要であるのであつて、例えば三百五十では損であるから、三百五十五にしなければいけないというようなものにつきましては、コストを下げて三百五十で我慢して貰うというような例もあるのであつて、十分に企業の合理化が必要になつて來ると思うということでありました。次に我々が日常國内で使う綿糸布類の原料はどうなつているかということに対しましては、大体綿花を輸入しまして、加して輸出しますると、大体原料代の二倍くらいになるのでありますが、米国の商品金融会社との契約は大体六割は輸出する。四割は國内に残して需要に当てるという約束になつているのであります。実際は七割くらいを輸出しているということでありました。貿易手形の割合がなかなか円滑に行われないという御質問に対しましては、貿易手形の割引が容易に行われないとの声も聞いているのであるが、これは日本銀行でも必ず枠内に限るという意味でもないのであります。今日のインフレーシヨンの時期において、インフレーシヨンの促進になつては却つて貿易を阻害することになるのであるから、大いに考慮を要することであるので、又一面業者の側のも罪があつて、貿易手形で得た資金を固定の設備等に使つて、次の貿易資金で当てるというようなことがあるので困るのである。併し十分円滑にするように努力するということでありました。次にいろいろな基金、ガリオア・フアンド、その他ののフアンドによつて得たところの円資金はこれを別会計として整理するのが当然ではないかというような御質問であつたのでありまするが、これについては少数意見として、後で中西委員が述べられると思いますから詳しく申上げませんが、私達といたしましては、理論上そうであるが、今のところ輸入の商品がどのフアンドに属しているか、一般資金の商品であるか、これは先方で処理せられることであつて、こちらでは分らないし、知らされていないので、判然と区別がつかないので、そういうことはちよつと困難であるというようなことであつたのであります。その他爲替レートの問題であるとか、輸出品に関しまする物價決定の問題とか、資材割当、入手に関する問題、輸出物資滞貨の問題、いろいろの点につきまして非常に熱心なる質疑應答が交されたのでありますが、これは速記録に讓ることをお許しを願いたいと思います。
 かくて採決の結果、本案は多数を以て、原案通り可決すべきものなりと決定いたしたのであります。
 次に公認会計士法案について御説明をいたします。企業の経理が複雑となつて、財務書類が企業と投資者との間を結ぶ殆んど唯一の繋がりとなつておりまする今日におきまして、企業の経理を公正にして、財務書類の眞実性を確保しますることは、民主的且つ合理的な経済の基礎を確立するために欠くことのできないことであるのであります。殊に今後我が國が民間外資の導入を図りまする場合に、このことは必須の前提條件となつて参るのでありまして、この要請を満たすためには、米國とか英國に見られるような自由職業者として高い社会的信用を有する多数の会計士を必要とするのでありますが、我が國の現状におきましては、確率から計理士の制度はあるのでありますが、この要請に應じまするためには、遺憾ながら未だ不満足な状態にあるのであります。そこで政府は公認会計士制度を設けまして、できるだけ速かに世界的水準に達する公認会計士を養成しまして、諸外國の信頼に値する企業の財務書類の監査証明が行われまして、これによつて外資が安んじて我が民間企業に投資され得る態勢を、一日も速かに確立することが必要であると認めて、この法案を提出したというのであります。
 法案の内容について簡單に申上げまするが、財務書類の先ず定義をいたしまして、財産目録、貸借対照表、損益決算書、その他の財務に関する書類といたしておるのであります。公認会計士は、他人の求めに感じまして、報酬を得て財産書類の監査又は証明をすることを業とする者を言うことにいたしておるのであります。又公認会計士となるに必要な技能を修習するために、会計士補というものを認めまして、公認会計士を補助しますことができます。又会計士補の名前を以ちまして公認会計士と同じような業務を営むことができるようにいたしたのであります。次に公認会計士或いは公認会計士補となりますのには、立派な國家試験に合格して所定の登録をした者であることを要するのであります。試験は第一次試験、第二次試験、第三次試験を受けることになつておるのであります。第一次試験は第二次試験を受けるに相当な学力があるかどうかを判定するものでありますが、第二次試験は会計士補となるに必要な専門的學識を有するかどうかを判定するのが目的であります。第三次試験は、公認会計士となるに必要な高等の専門的應用能力を有するかどうかを判定することを目的といたしまして、実務について行うことになつておるのであります。第一次、第二次試験を受けることを免除される一定の資格を規定しておるのであります。そうして会計士試験は毎年一回以上行うことになつておるのであります。次に公認会計士又は会計士補の欠格の規定を置いております。次に公認会計士は会計に関する監査、証明をすることについて独占権を與えられておるのでありまするから、高い品位と技能を常に保持することを要求せられまして、公認会計士及び会計士補の義務、責任に関する詳細なる規定を設けて、義務に出違反したときには嚴格な懲戒処分をすることになつておるのでありまするこれに関する詳細なる規定を設けておるのであります。次に公認会計士の監督は、一般の行政官廳をしてなきしめることは不適当であるというので、大蔵大臣管理の下に会計士管理委員会を設けて、試験の施行、登録、懲戒等の事務を掌ることにいたしておるのであります。会計士管理委委員会は委員五名で組織して、年齢三十五年以上の公認会計士の車から大蔵大臣が任命して、身分保障、報酬等の規定を設けておるのであります。旧計理士法はこれを廃止しまして、現在の計理士等は公認会計士となる特別の途を開きまするために、特別試験の制度が設けられまして、又現在計理士の業務を営んでおりまする者は、本法施行後三年間その業務を行うことを認める等、所要の経過規定を設けておるのであります。この法律制定に伴いまして、大蔵省官制、証券取引法、登録税法、現務代理士法、弁護士法及び弁理士法等に必要な改正を行うこととしておるのであります。
 本案につきましては、衆議院において修正があつたのであります。その修正は、第一に、二十五條に会計士が証明書の範囲等の規定があるのでありまするが、これがまだ不十分であるというので、これを修正した点と、第二には、三十二條の第四項で懲戒の手続のことを規定しておるのでありますが、懲戒の対象となる公認会計士の弁護権を尊重する趣旨の修正があるのであります。第三点は、懲戒手続の調書の閲覧のことでありますが、これに必要な修正をいたしたのであります。原案の第五十七條に規定する特別公認会計士試験の施行の期間を、原案では二年とあつて、二年で打切ることになつておりますが、これは短きに過ぎるというので、これを三年に修正をし、又計理士補の特別試驗を受けまするのに、計理士等の地位に五年以上あつた者でなければ特別試驗を受けられないことになつておりますが、少し嚴格であるというので、これを三年に修正をしておるのであります。第五に、本法施行の際に計理士の業務を営んでおる者の地位を尊重するという趣旨からいたしまして、これらの者が計理士の名称を用いて業務を行える期間を、原案は第六十三條におきまして施行後二年間ということになつておりましたのを、これを一年延長しまして、昭和二十六年の七月三十一日までというふうに修定があつたのであります。
 かくて質疑に入りまして、諸外国におきまする会計士制度の実情はどうかという質問に対しましては、自由職業者としてこの会計士が景も早く発達したのはイギリスでありまして、十九世紀の中頃から企業の財務の監査及び証明を業とする会計士ができて、彼等は自己の信用と名声を維持するために、自治的に議会を組織して、嚴重な入会資格を設け、一定の試驗と見習期間を経た者のみを入会させて、又会員には自治的の規律を設けまして、懲戒処分等を行つている。その最も有名な協会はチヤータード・アカウンタント協会で、社会的信用を有しておるということであります。アメリカにおきましては、英國に遅れたのでありますが、今日その発達は英國に匹敵する状況でありまして、法制としてはニユーヨーク州その他の州法で一定の試験と見習期間を経た者にCPAという称号を與えまして、若干の義務規定と罰則を設けておるのであります。この外にCPA有資格者と無資格者が集まつて、イギリスと同樣の協会を結成して、自治的規律に服しておる状況であるということでありました。
 かくて質疑を終りまして討論に入り、裁決をいたしましたところ、全会一致を以て本案は衆議院修正案通り可決すべきものなりと、決定をいたした次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手)
#27
○副議長(松本治一郎君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は五分間に制限いたします。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#28
○中西功君 今本議院の全神経が予算に集中しておるわけであります。こういうふうなときに、私が敢てこの貿易資金特別会計について少数意見を述べようといたしますのは、この貿易資金特別会計が、又今日の貿易問題が、極めて深刻な、又大きな問題であるかに終つておりますところの本当の問題を、私達は眞劔に考えなければならない。そういう見地から敢て少数報告をいたす次第であります。
 この貿易資金特別会計それ自体につきまして、非常に大きな問題は、端的に申しますれば、ガリオア・フアンドの物資を賣拂つたところの賣上資金、これは三百億を超えると思うわけでありますがこの資金が一体どのように会計されておるのか、極めて不明瞭である、こういう点であります。この資金はすでに御存じの如く、ガリオア・フアンドにより與えられたものでありまして、決して單なる輸出入の資金ではないのであります。この資金は將来の講和会議或いは平和条約において、如何に決定されるかまだ十分判明いたしておりませんが、ともかくも今日において我々日本國民の一つの負債として、はつきりドル会計には載つておるのであります。こういうふうな資金を、これを物資を賣拂いまして得た円資金、これは日本政府の手に入る資金であります。この資金が我々に渡された予算書のどこにも載つていない。又貿易資金特別会計におきましてもその中に載つていない。更に貿易長官その他に聽きましても、一体この中にどれだけそうした種類の資金があるか、こうはつきり聽きましても、十分な回答が得られない。全くこの資金は一体幽霊のように、ほかされておるというのが実情でありましで、極めて不明瞭なものであります。我々はどうしてもこれをはつきりした一つの会計に整理して、國民にこういうふうな資金は、こういうふうに使つておる。或いは又使うについても、当然國会の承認を得て、それを使うべきであると思うのでありますが、そういうふうなことは一切せずに、全く雲の上で非當にぼやかしておる。これは恰かも現在の芦田内閣が、極めて不明瞭な内閣であるということを、最もよく象徴しておるように思われるのであります。私達はこういうふうなことは一日も許されない、そういう意味で貿易資金特別会計の、この会計の仕組を直ぐさま即時改革すべきであると考えるのでありますが、政府の方では殆んどそういう意思がないかのような答弁であります。これが私産が、これについて重大な異議を挿む第一点でありますが、更にもつと遡ればこれは今日の貿易関係自体に根本問題があるのであります。今日貿易再開以來、いろいろ今日の日本政府のやり方の貿易が、恰も日本を復興するかのような幻想を沢山與えておりますが、実際端的に申しますればアメリカの二トン半の小麦と、日本産の十トン半の小麦とを山交換しておる。こういうのが今日の貿易の実態でありまして、これは決して詭弁ではございません。今の具体的資料から割出せば、こういう結果が出て來ます。そうしてこの結果貿易資金関係においては、ものすごい赤字が実際に出ておるのであります。そうしてそれは一方においては、インフレを促進する重大な要因となり、又実際に日本の國民の富を海外に切賣しておると、こういうふうな現象をもたらしておるのでありますが、併し実際には貿易資金特別会計自体には、余り赤字がないように見えます。この赤字がないように見えますのは先きのように即ちガリオア・フアンドの資金を、これに繰入れておるというような結果、現れて來たのでありまして、若しガリオア・フンドの資金を特別会計に整理いたしましたならば、この貿易資金会計は大きな赤字になり、そのことによつて國民は一般会計から、ものすごい資金が繰入れられる結果、これに対する非常な批判が起つて來るのでありますが、それを恰も防ぐかのように、恰も赤字を應蔽するかのように、現在の貿易資金会計が作られておる。ここに重大な問題があるのであります。こういう点は、今日の貿易が如何におかしな、不利な問題で行われておるか。そうしてその結果ガリオア・フアンドの資金も本当の正しいところには使わず、むしろこういうふうなところに流用されて、内外の商人だけが利益しておる。そうして結果として日本のインフレを激化しておる。こういうふうな事態に対しては、我々国民はもつと眞劔な目を向けて、これを徹底的に改革しなければ、幾らその他の面でいろいろの批判をし、改革をいたしましても、大穴が抜けておる。そうしてここから結局大きなインフレが來るというふうなことは、或いは國民生活の破綻が來るということは必定であると思いますので、そういう点を特に防ぐ、私は注意を喚起したい意味で少数意見を述べた次第であります。終りといたします。(拍手)
#29
○副議長(松本治一郎君) これより議決をいたします。先ず食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を願います。
   〔起立者多数〕
#30
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決されました。
     ―――――・―――――
#31
○副議長(松本治一郎君) 次に貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を願います。
   〔起立者多数〕
#32
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#33
○副議長(松本治一郎君) 次に公認会計士法案金部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を願います。
   〔起立者多数〕
#34
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#35
○副議長(松本治一郎君) 日程第五及び第九までを後廻しにし、この際日程を変更して、日程第一〇、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日程第一一、船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、日程第一二、理容師法の一部を改正する法律案(衆議院提出)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○副議長(松本治一郎君) 異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
   〔塚本重藏君登壇、拍手〕
#37
○塚本重藏君 只今議題となりました三つの法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申上げます。
 先ず最初に厚生年金保險法等の一部を改正する法律案について申上げます。本法案は六月二十六日に本委員会に本付託となり、前後三回に亘りまして愼重審議を重ねたのであります。先ず本法案の提案理由を申上げますと、厚生年金保險では、標準報酬を基準といたしまして保險料を徴収し、保險金を決定しておりますが、この標準報酬月額の最高限は戰時中の六百円がそのままになつておりまして、その結果制度全体といたしましては、いわば冬眠の状態にあつたのであります。ところが社会保障制度などとの関連で、その最高限度を一躍改正いたしまして、健康保險と同類の八千百円に引上げました。これにつれて保險給付を実生活に適するようにいたしましたのでありますが、これに伴つて増加いたしまする保險料につきましては、給付が十数年の将来に約束されておりまする養老給付の面で調節いたしまして、保險率は約三分の一に引下げまして、以て被保險者と事業主の負担を軽減するように工夫いたしたのでありまを。又現行制度におきましては、制度自身が長期保險でありまして、老後の養老給付を中心に考えられておりまする関係上、被保險者であつた期間が二十年未満の者には、傷害給付の外は掛金拂戻程度の脱退手当の支給しかなかつたのでありますが、これらの者に対しましては、長期保險の保險給付といたして、残されておりまするところの最後の給付、即ち寡婦年金と遠見年金をもこの際新たに加えまして、制度全体としての充実を期したのであります。尚最近の立法趨勢に鑑みましで、從來施行令や施行規則に委任されておりました、被保險者と事業主の権利義務に関しまする重要事項は、すべてこれを法律の中に規定いたしたのであります。以上が本法律案の大要であります。
 委員会における質疑の二三をここに御報告申上げますと、現在の積立金は何程になつておるか、又その使途について説明を聽いたのでありますが、これに対しまして、現在は約五十二億円が預金部に積立てられておつて、國と公共團体でこれを使用しておるのである。國としては、その使途は療養所と、内科的廃疾者見舞金としてこれを使つておるとの答弁がありました。又傷害年金、寡婦年金等の給付金額の出し方如何との質問に対しまして、原則としては全期間の平均報酬であるけれども、現在のインフレ時代は特例として最終の三ケ月の平均をることにしたとの答弁がありました。
 かくて討論を省略いたしまして、採決に入り、全会一致を以て原案通り可決することに決定したのであります。
 次に船員保險法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 先ず本法律案の提出の理由及び内容を説明いたしますると、船員保險法は、船員労働が陸上の労働と異なる特殊の労働状態を有しており冒するので、これに対しまする綜合的な唯一の社会保險制度として、船員労働力の確保増進と、船員援護を主眼といたしまして、昭和十四年四月に制定せられて今日に及んでおりますが、新情勢に即應するために船員保險法の一部を改正しようとするものでありまして、本案の内容について申上げますと、第一に船員保險法施行令等、命令に委任されておりました被保險者、その他保險給付を受ける者等の権利義務に関しまする重要事項は、これをすべて法律に規定いたしたのであります。第二の点は保險給付の内容の充実であります。即ちその一つは船員の家族に対する給付を創設いたしました。第二点は先の年金保險法等の関係もありまするので、鰥夫年金、寡婦年金、並びに遺兒年金等を新しくこの中に創設したことであります。第三点は傷害年金受給者に対する加給金の制度の規定であります。四は失業保險金の日額の増額に関する規定であります。第三に保險医の任意指定の制度に改めたこと、第四には保險料率の改正をいたしたことであります。
 本委員会においては去る六月の二十六日、七月の一日、及び七月二日の三回に亘りて愼重に審議をいたしたのであります。一二質疑の内容を申上げますと、質問の第一は、この改正法案において、遺族年金及び養老年金の給付が、生活保護法による給付よりも低い場合があるが、この点に矛盾があるのではないか、もし少しその料率を、保險給付金を殖やす必要があるとの意見からいたしまして、政府の意見を質しましたところ、傷害年金、遺族年金、及び養老年金の給付は、標準報酬によつてこれを決定することにしておる、從つて標準報酬が低いときにおいては給付の最低額、そういう場合も生ずるので、最低の額を保障したいと思い、いろいろ研究したが、これを実現するに至らなかつたとの答弁がありました。
 質問の第二は標準報酬が低額であるので、保險料を徴収して給付をなすよりも、生活保護法による方がよいではないか。これに対しまして、これは改正前のことであつて、改正後は本法案の附則第三條によつて五倍になつておる、ただ養老年金は最低五百円に釘附けにしているけれども、そり理由はインフレーシヨンの時代における暫定的な処置としてとつたのである、インフレ解決後は本則に還ることにいたしておるとの答弁でありました。質問の第三は船員保險法の中に、機帆船及び漁船の乗組員を任意加入制にする意思はないか。答えといたしましては、機帆船及び漁船乘組員の希望には二通りある。一つの点はこれらの者の船員保險への任意加入であつて、他は船員保險の適用を受けていた者の任意加入の問題である。これらの問題については今一應一層研究して、次の國会に提出したいとの答弁がありました。質問の第四は、二十九條の療養の給付困難なる時とは如何なる場合であるが、これは被保險者は、普通保險医又は保險藥剤師にかかるのであるが、その特殊の事情により給付ができなくなつた場合が往々あり、その場合には現金給付をすることになつているのである。質問の第五はい季節的に漁船に乘組む者の被保險者であるが、その期間は継続されて計算されるかどうか、答は、現実に働いていなくても、船員法の適用を受けている者は被保險者であるから、使用されている間は資格期間は存続しているものとするのである。併しそれが本当の季節的な船員である場合においては、失業保險の方は適用はされない。質問の第六は、船員保險の適用する場合において、五トン未満と、漁船は三十トン未満とに区別した理由はどうか、答は、船員法においては、法制上これを区別して労働態樣に合致せしめた関係上、船員保險法の適用についても、これと一致しなければならない建前で、こう区別をしたのである。第七の点は、標準報酬月額の最高限度が八千円となつているが、これは現行法と同じではないか、現在の経済状態において、八千円を限度とすることは適当であるかどうか、この質問に対しまして、標準報酬は現行法通りであるが、インフレーシヨンの進行が激しくなれば、これに適應するように改正する必要がある。併し現在においてはその必要がないと考えている。これは船員法の規定と一致させる必要もあるから同一の歩調で行きたいと答弁がありました。更に改正法案の第二十八條の三、第二項において、保險医又は保險藥剤師の同意を得ることを要するとあり、他の国民健康保險法の改正案によると、申し出によつて保險医を指定することになつている。これはおのおのその行き方が違つているのは、どういうわけであるか、この答は、國民健康保險において申出によつて指定するということにおいては変りはないが、これは組合と医師との関係で、その地域で指定ができるけれども、船員保險や健康保險においては、政府と医師という全國的な関係があるので、ここに同意を得るという規定を設けたのである。又福祉施設とは如何なることを実際に行つているのであるかとの問に対しまして、各港その他近接地に保養所を設け、尚温泉療養所、健康診断、花柳病予防等を行つて、船員の福祉増進に努めている。その現状は、現に保養所十七ケ所、療養所三ケ所、母子療一ケ所を建設中であつて、健康診断を行つた者は、昭和二十二年度においては約六万人であるが、今後は全被保健者に対してこれを行う予定であるとの答弁がありました。その他遺族の年金受給者に対する受給手続指導、年金支拂委託等について施設として行つているとの答弁がありました。
 以上のような質疑應答がなされました後、七月二日の委員会におきまして、討論を省略いたしまして、全会一致これを原案通り可決することに決定いたしたのであります。
 更に理容師法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 この法律案は衆議院議員提出にかかるものでありますが、この法案は、現行法では理容師の資格を得るには、試驗制度によるものと、学校制度によるものと二本建となつているのであります場が、この際原則として、強制的訓練と情実とを伴うことの多い試験制度を廃止しまして、一方学校制度においては、厚生大臣の指定する立派な学校において、一年修行の上任意の理容所で有資格者の指導の下に……
   〔副議長退席、議長着席〕
 更に一年実地習練を行つて、資格を得ることを規定をしたものであります。尚経過時に学校制度の完備するまで、試驗制度を認めることをも規定いたしております。即ち第二條及び第三條においては、学校制度による資格を得る方法を規定しております。即ち一年間習業の学校による教育を受けました後に、更に有資格者の下において実地の習練をした後、資格が與えられることを規定しております。第四條におきましては、これらの養成施設を厚生大臣が指定いたしまする場合、理容師養成施設指定協議会に意見を聽くことを規定いたしております。更に経過規定といたしまして、今後五年間は、在来の通り学校制度と試驗制度とを併用することを規定しておるのであります。最後にこの法律は昭和二十三年七月一日から施行するものであります。
 厚生委員会におきましては、六月の二十九日以來、四回に亘つて愼重な審議を行つたのであります。その審議におきまする質疑應答の中、主なるものを申上げますと、質問の一は、本改正案によれば、理容師養成施設において、一年間を習得して後、更に一年間実地習練を行う必要はどういうわけであるか。答えとしましでは、完全な理容師となるには四年以上もかかり、技術を習得するには、学校において形式に習得しただけでは不十分で、実地習練を必要とするのであるとの答えがあり、第二の質問は、理容所で実地習練を行うことは、却つて徒弟制度の再現を惹き起す虞れはないか。この問に対しまして、実地習練をなさんとする場合は、自分の好む有資格者の理容所において自由に習得するようになつており、又労働基準法ができておりまするので、かような懸念はないとの答えがありました。質問の第三は、一年以上の実地習練を経た者は、都道府縣知事の免許を受けて理容師となることができる規定となつておるが、実地修業中の期間、監督は如何ようにするのであるかという問に対して、理容所の管轄区域である保健所において、十二分にこれを監督するとの答弁がありました。
 以上のような質疑應答がありました後、この法律案が議員提出法律案でありまする関係上、本法案の実施上において政府当局の意見を聽取いたしましたところ、本法案によつて独学者に対しては、実施するに差支がない。又現行法の学校だけでは十分でない。習練を、本法案で一ケ年間に実習による技術の向上を図つたことは適切である。実地習練に当つては、保健所の所長の監督で行うことにするならば、何とがその運営の面においても適当な処置が講ぜられる確信がある。
 以上のような政府の答弁がありまして、七月の二日の委員会において質疑を打切り、討論に入りましたところ、一委員より、本法案修正の動議が提出せられました。その修正点並びに理由を申上げますと、一、本法案の不備を運営において万全を期するために、本法案第二條及び第三條の但書を削つて、両條に次のように加えるのであります。即ち「その実地習練について必要な規定は、省令で、これを定める。」二、本法案の施府期日は、事実上準備が間に合わないので、七月一日を八月の一日から施行することに改める。以上のような修正案に対しまして、多数の委員より賛成意見がありました。これを一言にして申上げますると、衆議院提出によりまするこの実地練習一年間を更に積まなければならんということは、それを実施する場合において、これこそ本当に封建的なる徒弟制度へ逆轉するの慮れあることを参議院は憂えたのであります。そこで以上のような修正案が提出せられた次第であります。本法案によれば、昭和二十八年で試験制度がなくなり、近く將來期間前に試験制度を復活するように、我々は考えなければならない意見も出ました。又本法案の省令で規定すべき事項を、明らかに運営の面で適切に実施されなければならない意見も出たのであります。以上のような修正案並びに希望意見が述べられました後、修正案については賛否を探りましたところ、全員一致を以て修正案に賛成でありました。次いでその他の原案につきまして採決を諮りましたところ、これ亦全員一致を以て原案通り可決することに決定いたした次第であります。よつて本案は修正議決をいたすことに相成つた次第であります。以上御報告を終ります。(拍手)
#38
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず厚生年金保險法等の一部を改正する法律案、船員保險法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#39
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#40
○議長(松平恒雄君) 次に理容師法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#41
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#42
○議長(松平恒雄君) この際日程第一三、公立高等学校定時制課程職員費國庫補助法案、日程第一四、風俗営業取締法案、日程第一五、市町村立学校職員給與負担法案(内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(松平恒雄君) 先ず委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員会理事中井光次君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#44
○中井光次君 只今議題となりました三法案の中、先ず風俗営業取締法案について、本委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 御承知の通り昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の規定によりまして、待合、料理店、カフエー、ダンスホール、遊技場等の風俗上取締を要する営業に関する、廳府縣令による取締規則が、昭和二十二年十二月三十一日を以て失効となりましたので、このまま放置することは、風俗営業取締上支障がありまするから、これらの営業取締法規としてこの法律案が提出せられたのであります。
 而して本法案の内容は、第一は、かかる営業は從來と同樣に警察の取締りを受け、その営業許可は都道府縣公安委員会又は市町村公安委員会が行うという建前をとつたこと、從つて又営業者又は從業員が違反行爲を行つて、善良の風俗を害する慮れがある場合は、各公安委員会はこれらの営業を禁止、又は停止処分に付し得るものとしてあること。第二は、從來の府縣令の実質的内容をなしておりました営業の場所、営業の時間、営業所の構造設置等に対する各種の制限は、各地方の実情に應じた内容にするために、都道府縣の條例を以て規定するようにいたしましたこと。第三は、この種の営業取締法規として初めての試みてあるが、從來のように行政官廳の一方的裁量によつて、営業の禁止又は停止処分が行われて、ややもすれば営業権を脅やかすようなことを避けて、そのような場合には必ず公開による聽聞を行つて営業者の言い分を十分に聽き、公正な行政処分が行われるような方法をとつていること。これらが本法案の主たる内容であります。
 本委員会は予備審査のために付託以來愼重審議を重ね、併せて関係数ヶ所に亘る実地調査をも行つたのであります。而して六月三十日衆議院よりの修正案を附して本付託となりました。
 次に衆議院修正案について御説明いたします。第一点は法案第一條において風俗営業とは、「待合、料理店、カフエーその他客席で婦女が客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」をいうことになつておりまするのを、必ずしも婦女に限る必要はないというので、「婦女が」という字句を削つたことであります。第二点は法案第五條において営業の許可を取消し、又は停止等を命令するときに公開聽聞を行う場合には、その期日、場所を公示して一般に知らせることにいたしたのであります。第三点は本法施行期日を政令で定めることとなつておりましたのを、九月一日から施行することといたしました。次に第四点はこの法律施行の際現に営業を営む者に対する経過規定として、原案は「この法律施行の際現に風俗営業を営む者は、この法律施行の日から三十日の間は、第二條の規定による許可を受けたものとみなす。」ことになつておりましたのを修正して、昭和二十二年十二月三十一日以前に営業の許可を受けた者が、引続き営業している場合には、その者は第二條の規定により許可を受けた者とみなすこととし、その他の者に対しましてのみ三十日間第二條の許可を受けた者とみなすと修正したのであります。以上が衆議院の修正案の内容といたすところであります。本委員会は衆議院修正案をも併せ審議をいたしました。
 今もその主なるものを御報告申上げますると、質問の第一は警察官吏等が取締上必要があるときは営業所に立入ることができると、及びこれを拒みたる者に対し処罰の規定があるが、これは憲法違反ではないか、又職権濫用の弊害があると思うが、これに対して如何に考えるかということでありました。これに対し政府委員より、立入りは刑事訴訟法の犯罪の捜査のためではなく、行政上の目的のためであつて、風俗営業の指導が肩的であるから、憲法違反とはならん。又他の法律にも同じ趣旨で立入の規定をしているものは多数ある。又職権の濫用は許さるべきではないし、万一かかる場合は当然行政上或いは刑事上の処罰を受くるものであるという答弁がありました。又風俗営業に関する許可権を公安委員会に與えることは、会安委員会の現在の構成から見て必ずしも適当ではないと思うが、どうかという質問に対しましては、公安委員会制度は、警察制度改革の眼目であるから、これを変更することは却つて適当でない、若し公安委員会の職務の執行が批判を受けるようなことがあれば、それは別な方法で公安委員自体の反省を促すべきであると思うとの意味の答弁がありました。又附則第二項において、昨年十二月末までに府縣令の規定により許可を受けた者が引続き営業しておる場合には、その者は当然新法により許可を受けた者とみなすということになつておるが、これがため実際の適用に当つて、不適当な者が引続き営業するような不合理な事態が生じはしないかという質問に対しては、かかることの起きないように十分注意する旨の答弁がありました。
 かくて討論採決に入りましたところ、全会一致を以て本法律案は衆議院修正案をも併せ可決すべきものと決定いたしました次第であります。
 次に市町村立学校職員給與負担法案並びに公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法案について、便宜一括して本委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず最初に市町村立学校職員給與負担法案について申述べます。本法案の趣旨は、從來の政令を法律に改めること及び定時制高等学校の実施、盲学校及び聾学校の義務制の施行及び給與制度の改正等に伴い、この法律案の提出を見たのでありまして、その内容とするところは、第一に、市町村立の小学校、中学校、盲学校及び聾学校の職員給與の都道府縣の負担に関する規定でありまして、新たに義務制となりました盲学校及び聾学校を加えたこと、從來主として市町村負担でありました退官退職手当、日直手当、宿直手当を都道府縣の負担としたこと等が主なる内容であります。
 第二に、市町村立高等学校の中で、特別の時期及び時間において授業を行う、いわゆる定時制の課程のみを置く学校の校長並びに定時制の課程の授業を担当する職員の給與については、これを都道府縣の負担することとしてあります。即ち本年四月一日から青年学校が廃止されることになり、勤労青年の教育は主として新制高等学校の定時制の課程において行われることとなりましたので、勤労青年の教育を振興するという趣旨からも、市町村立高等学校の定時制の課程の職員の俸給等を都道府縣の負担とするものであります。以上が市町村立学校職員給與負担法案の趣旨内容であります。
 本委員会は付託以來愼重審議を重ねました。審議中特に出席発言を求められた文教委員の方から、教員の超過勤務手当に関し政府に質問するところがありましたが、政府委員より、学校職員に対して労働基準法による超過勤務手当は支給しない方針であるとの答弁でありました。
 次に公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法案について御報告いたします。
 その内容といたしますところは、先に御説明いたしました市町村立学校職員給與負担法第二條の規定によりまして、都道府縣の負担とされた市町村立高等学校の定時制の課程の職員俸給等と、都道府縣立高等学校の定時制の課程の職員の俸給等とを支弁するために、都道府縣において必要とする経費の十分の四を、予算の定めるところに從いまして國庫が補助することを規定せんとするものであつて、これも新制高等学校の定時制課程における勤労青年教育の振興を企画せんとするものであります。これが本法案の趣旨内容であります。
 本委員会は以上二法案を一括議題とし、全会一致可決すべきものと決定いたしました。以上御報告を申上げます。(拍手)
#45
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#46
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#47
○議長(松平恒雄君) 日程第一六、自轉車競技法案(衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。商業委員長一松政二君。
   〔審査報告は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔一松政二君登壇、拍手〕
#48
○一松政二君 只今議題となりました自轉車競技法案に関する商業委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 本法律案は衆議院議員林大作君外四十七名の提出にかかるものでありまして、商業委員会におきましては、衆議院で全員一致可決した衆議院各派共同提案によつて修正されたものを議題として審議をいたしたのであります。
 先ず本法律案の提案理由を御紹介いたしますると、我が國の自轉車業界は大正年代より逐次隆盛を極め、最高生産高は昭和十五年約百二十四万台、最高輸出高は昭和十一年約十四万台であつたのが、今次大戰発生以來、その生産及び輸出は、量においても質においても低落の一途を辿り、終戰と共に全く壞滅寸前の状態に立ち至つたのであります。然るに日本における自轉事車は、地形その他の関係上、交通機関として誠に重要な地位を占むるのは勿論、末端輸送機関として國民の社会生活、なかんずく経済活動と密接不可分の関係を有するものであり、自轉車業界の盛衰が日本経済の復興に及ぼす影響は誠に重大なものがあるのであります。幸い終戰後、自轉車の生産及び輸出は、質量共に逐次上昇しつつあるが、当面の需要を充たすことはなかなか困難な状態にあるのであります。まして戰前、主として我が國から自轉車の輸入を仰いでいた東洋諸国及び南洋方面の無限に近い需要を考えると、誠に情ない現況にあるのであります。
 本法律案の効果といたしましては、その特に重要なものを挙げますると、第一に、國民の自轉車工業発展に無形的な素地を作ることができる。第二に、この法律の施行によつて期待し得る収益を活用して、或いは品質の改良、或いは生産の増強に必要な助成を行い、或いは自轉車に関する各種の試験研究施設を完備し、或いは諸外國における廣汎な市場獲得のために必要な宣傳を行う等、自轉車の生産及び輸出の振興に直接寄與することができるのであります。第三に、自轉車工業の発達特にその生産及び輸出の増加が國内産業の復興に及ぼす影響も亦決して軽視することはできないのであります。第四には、現在極めて窮迫しておる地方財政の増収に寄與し、幾分でも大衆課税を軽減し得る結果になると思うのであります。
 次に、本法律案の内容を御説明申上げますと、都道府縣及び人口、財政等を勘案して、主務大臣が指定する市は自轉車競争を行うことできるということにいたしまして、その実施は当該都道府縣ごとに設立する自轉車振興会に委任することができる。そうして一口金二十円以下の勝者投票券の賣出しを認めること。自轉車競争施行者である都道府縣及び指定の市は、勝者投票券の賣上げ金額の百分の二十五以内の金額を自己の收入とし、その中から賣上げ金額の百分の三以内の金額を自轉車振興会に交付し、右交付金及び所要の経費を差引いた残額の三分の一に相当する金額を国庫に納付するということになつておるのであります。主務大臣は右の納付額に相当する金額を自轉車の改良増産及び輸出の増加、國内需要の充足に必要な経費に支弁すべきこと、及び必要な処罰を規定してあるのが本法案の内容であります。
 右法律案につきましては数回の委員会を開き、いろいろ質問應答を重ね、各方面から論議をいたしておりますのでありますけれども、速記録がありませんので、これを皆樣に後で御覧を願うことのできないことを甚だ残念に思つておるのであります。いろいろ説明いたしますると時間も長く掛かりますから、それは省略いたしまして、ただ最後にこの法律案の専業を行うことになりまするというと、商工省の本省に一体どれだけの人間を使うことになるのか、若しそれが沢山の國費を要するようなことであれば、これは甚だ目的に副うことができない。從つて商工大臣からその辺に対する確かな言明を將來に残して置く必要があるという見地から、特に商工大臣より答弁を求めたのであります。商工大臣は、本法律案の施行に当つては振興会等を活用して、成るべく官吏の増員をしない方針であるが、商工省としては未だ経驗のない事務であるので、本省に或いは五六名程度の増員をすることになるかも知れんが、地方商工局には一人も増員しないようにするという言明があつたのであります。
 かくて、質疑は終了いたしまして討論に入りましたところ、緑風会の鎌田委員から本法律案は投機心を煽り、弊害の方が多いと思われるから反対であるという意見が述べられたのであります。社会党の中年委員からは、本法律案と同樣のものは諸外國にその例があるのみならず、道路の狭い日本においては自轉車は交通機関として極めて必要であるので、その増産が望ましい。又戰前においては相当量の輸出があたが、最近質が低下して、輸出に大きな影響を及ぼしておるので、品質の改良は特に必要である。從つて本法案はこれらの施策に役立つと思うことが大きいからこれに賛成をする。但し法律案の施行のために多額の國費を要してはならない。從つて万一必要があつてもそれは極めて少額に留めておかなければならんとの討論があつたのであります。更に民主党の油井委員から本法律案の全体については尚討論すべき点もあるが、地方財政の救済と自轉車の増産に寄與する観点から賛成するという意見がありまして、尚政府においては、本法律案の施行に当つて生ずるかも知れないところの弊害を除去するように手段を取つて貰いたいという要望を添えまして、賛成意見があつたのであります。以上を以て討論を終りまして採決に入りましたところ、多数を以て本法律案を原案通り可決すべきものと決定された次第であります。以上簡單ながら御報告を申上げる次第であります。(拍手)
#49
○議長(松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#50
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ―――――・―――――
#51
○議長(松平恒雄君) 日程第十七、教科書の発行に関する臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文教委員長田中耕太郎君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
#52
○田中耕太郎君 議題となりました教科書発行に関する臨時措置法案の審議につきまして御報告を申し上げます。
 先ず政府の提案理由並びに説明を參考にいたしまして、本法案の趣旨と全貌とを御説明いたします。そもそも小学校、中学校、高等学校程度の学校におきまする教科書に関しましては、この度檢定制度が実施せられまして、この制度は從來國定制度を取つておりました小学校にも及ぼされるようになつたのでございます。これは或いは教科書を編纂いたしましたり、或いは教育者が教科書の選択をいたしたりしまする場合におきまして、從來の画一主義を打破いたしまして、廣い範囲において創意を発揮せしめる趣旨に出ておるのでございます。ところで現在の用紙不足の下におきましては、檢定制度を実施いたしますると、檢定教科書の発行に成る程度の統制を加えませんで、それを全くの自由放任にいたして置きますると、用紙の無駄が生じまして、教科書が都市に集中し地方に手薄になり、又迅速且つ確実に入手できなくなりましたり、教科書に不当なる高い定價を附けたり、定價が地方によりまちまちになつたりする虞れがあるのであります。ここにおきましてか現在のような用紙不足、その他いろいろ困難なる事情が継続する限りは、暫定的の意味で文部大臣及び地方教育行政に関する当局が、檢定教科書の発行に或る程度におきまして千興し、教科書の需用供給の調整を図りまして、その他適当な措置を講ずる必要がないとは申されないのであります。これが法案の狙つておる点でございます。
 先ず需給調整の方法といたしまして、本法案がどういう方策を考えておるかと申しますと、供給者である発行業者は、毎年一定の時期までに教科書の目録を文部大臣に届出まして、文部大臣はこの届出に基いて全体の目録を作成いたしまして、都道府縣知事、これから若し教育委員会というものができますならば、都道府縣知事の代りに教育委員会が活動するようになるのでございます。その都道府縣知事に送付いたします。知事はこの目録を管轄区域内の学校に配付いたします。これと同時に発行業者は、届出でた教科書の見本を毎年一定の時期に開かれますところの教科書展示会に出品することになります。次に需要者である学校側といたしましては、教科書展示会に出品された見本につきまして、明年度において使用しまする教科書を選択いたしまして、その需要数を知事に報告いたし、更に知事は管轄区域内の教科書の需要数を集計しまして文部大臣に報告いたします。文部大臣は報告されました全國的の需要数を基礎としまして、発行者に発行すべき教科書の種類及び部数を指示し、それと同時に、法文にはありませんが、必要な用紙が割当てられるという段取となるのであります。尚法案は、発行を受託した発行者の発行義務並びに各学校に供給する責任、発行義務を履行させるための保証金の制度、義務違反の場合の制裁、教科書の定價を定めるのには文部大臣の認可を要すること、その他について規定を設けております。
 本法案に関する質疑の主なものを綜合して申上げますと、一、現に文部省に設置してある教科用図書委員会の意見が本法案中に取入れられているか否か。二、將來同委員会の意向をこの法律の運用に反映せしむる必要がないかどうか。三、本法律案は官僚的統制方面が強過ぎはせぬか。殊に発行業者に義務を課すること重く、その援助育成の方面薄き感があり、優先的用紙割当や業者の金融の便を図る必要はないか。その他教科書行政の根本に触れた質疑がなされました。これに対し政府側より、本法律の民主的運営を誤らぬ旨、及び発行業者の援助育成並びに用紙確保に努力する旨の答弁を得ました。尚委員会は本法案審議の完璧を期するために、教科書発行業者、教科用図書委員会、製紙業者、教科書配給関係等各方面の経験者を証人として招致し、種々極益な証言と答弁とを得、審議上多大な便宜を與えられました。
 次に質疑終了後、討論の段階におきましては、別段の発言もなく、多数を以て原案を可決すべきものと決定いたしました。右を以ちまして委員会の審議につきましての御報告を終ります。
#53
○議長(松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#54
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#55
○議長(松平恒雄君) この際日程第一八、船員職業安定法案、日程第一九、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海運局の設置に関し承認を求めるの件、日程第二〇、港域法案(出内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます、運輸及び交通委員会理事丹羽五朗君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告は都合により第六十号附録に掲載〕
     ―――――・―――――
   〔丹羽五郎君登壇、拍手〕
#57
○丹羽五郎君 只今上程になりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海運局の増設に関し承認を求めるの件、及び船員職業安定法案並びに港城法案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果を簡單に御報告申上げます。
 先ず地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海運局の増設に関し承認を求めるの件の提案の理由を御説明申上げますと、海運監理部は昭和二十一年新潟、神戸及び高松の海運局廃止後新たに設置されたものでありまして、海運局と殆んど同じ組織、権限を有しておるのでありますが、官制上は海運局支局の形体になつておるのでございます。このままでは海運復興の推移に対処することが困難でありますので、この際各監理部を海運局に昇格いたしまして、名実共にその責任体制を明確にいたしまして、海運行政の万全を図ることを目的といたしておるのでございます。
 本件につきましては別段質疑がございませんので、討論に入りましたところ、一委員より、従來官廳を新設或いは増設した場合は、これに便乗してとかく予算及び人員を増加してますます機構を拡大する傾向があるが、かかる弊害を繰返さぬよう強く希望して承認することに賛成であるとの発言でございました。かくて採決いたしました結果、全会一致可決いたしました次第でございます。
 次に船員職業安定法案について御説明申上げます。この法案の目的は現在船員の職業安定について規定いたしておりまするところの船員職業紹介法は大正十一年に制定されたものでありまして、その内容が船員の職業紹介について規定しておるに止まり、而も同法は我が國の現状にも即しないので、これが改善の要望に副わんとするにあるのであります。本法案の要点は職業紹介の外、船員の職業指導並びに属員の職業補導、船員労務供給事業及び船員募集等の制度を取入れまして、船員の職業の安定を図りますと共に、新憲法の趣旨に基きまして職業選択の自由、均等待遇の諸原則を新たに規定し、且つ一九二〇年海員に対する職業紹介所設置に関する條約の内容を現在の我が國の状況に適合するように取入れまして、船員の保護に関する從來の欠格を補い、陸上一般労働者を対象としておりまする職業安定法と併行いたしまして、海上労働者の保護に万全を期するのが目的であるのでございます。
 この法案につきまして、委員会では、先ず衆議院の修正案について説明があり、質疑に移りましたころ、政府の詳細なる説明によりまして制定の趣旨を了解をいたしましたので、別に質問もありませなんだので、討論を省略いたしまして直ちに採決に入りましたところ、全会一致可決いたしました次第でございます。
 次に港域法案について御説明を申上げます。本案はすでに実施されてありまする海上保安廳法及び過日本院におきまして可決をされました港則法によりましては、港の区域は別に法律を以ててこれを定めることに相成つておりますので今回提出されましたのでございます。先ず本案に対する衆議院の修正案につきまして説明をいたしました。次にこの法案の質疑應答に入りましたるところ、委員より、この法律の港とは各種法規の港を定義するものかとの質問がございました。これに対しまして政府委員から、原則として港則法の対象となる港を規定したのであるとの答弁がございました。更に一委員から、この法律に規定していない港を如何に措置するかとの質問に対しまして、政府委員から、將來必要があれば追加をするとの答弁がございました。更に一委員より、海陸の接触点における権限の調整を如何するかとの質問に対しまして、政府委員から、第一次責任は海上保安廳にあるので、水上警察はこれに協力する地位にあるとの答弁がございました。尚一委員より、港の定義を明確にして本法の運用に遺憾のないように希望するとの発言に対して、政府委員は、御趣旨に副うよう努力をするとの答弁がございました。
 かくて質疑應答を終りまして、討論にはいりましたるところ、一委員より、本案は海上保安廳法及び港則法に基きまして提出せられたもので、その内容につきましても妥当であるから原案通り賛成であるとの発言がありました。かくて採決をいたしましたるところ、多数決を以ちまして決定いたした次第でございます。以上甚だ簡單ではございますが御報告をいたしました。(拍手)
#58
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず船員職業安定法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#59
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#60
○議長(松平恒雄君) 次に港域法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#61
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#62
○議長(松平恒雄君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基づき海運局の増設に関し承認を求めるの件の採決をいたします。委員長の報告の通り本件に承認を與うることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
#64
○議長(松平恒雄君) この際日程第二一及び第二二を後に回し、日程二三、電信電話料金法案、日程第二四、郵便法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通信委員長深水六郎君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔深水六郎君登壇、拍手〕
#66
○深水六郎君 只今議題となりました電信電話料金法案及び郵便法等の一部を改正する法律案についての通信委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ずその提案理由でございますが、通信事業は從來多少の消長はございましたけれども、一貫して黒字を出しで來たのでありまして、公益性を充しつつ企業的にも採算がとれていたのであります。然るに昭和二十年度以降に各年度共引続き欠損を生じまして、二十二年度におきましては収入百三十七億二千余万円に対しまして、支出二百四億二千余万円で、差引六十六億九千余万円という多額の赤字を出したのであります。このような赤字の原因は、戰災による施設の減少、戰時中の設備の酷使等によりまして收入減を來しました半面、インフレの高進による人件費及び物件費の急激な上昇によるものであります。而して昭和二十三年度の收支の見込は、現行料金に据置くとしますれば、三千七百余円の給與水準と改定物價水準によりますと差引二百四十五億五千九百余万円の收入不足を生ずるものであります。この赤字を前年同様一般会計よりの繰入金及び借入金を以て賄いますことは、特別会計の建前である独立採算制は無意味となりますので、速かにできるだけ事業收支の均衡を図り、正常な経営状態に入りたいということから、新給與水準及び物價水準をも考慮して、通信料金を引上げるために所要の法律制定及び改正をしようとするものであります。次にその内容でありますが、郵便法等の一部を改正する法律案によりまして、郵便及び郵便貯金、郵便爲替、郵便振替貯金の各種の料金を概ね四倍に引上げようとするものであり、又電信電話料金法案は、電信電話の料金は從來命令を以て規定されておりましたが、財政法第三條の規定によりまして、これを法律を以て定める必要が生じましたので、新たにこの法律を制定しようとするものでありまして、その内容は前者と同じく各種料金を現行料金の概ね四倍に引上げようとするものでありますが、両者共個々の値上げ率の間には若干の開きがあるのであります。
 今その内容の主なものを申上げますと、先ず郵便関係につきましては、第一種郵便物即ち封書は現行一円二十銭を五円に、第二種郵便物即ち葉書は現行五十銭を二円に、又速達、配達証明、内容証明等のごとき特殊取扱料金は三倍乃至三・五倍程度に値上げとなつているのであります。次に郵便爲替及び郵便振替貯金の料金のうち、爲替については平均引上倍率を一・八三倍、振替貯金については三・八四倍にいたしているのであります。尚この改正の機会に、郵便爲替法におきまして、通常爲替証書及び電信爲替証書の一枚の金額、最高五千円を一万円に、小爲替一千円を二千円に改めているのであります。次に電信関係でありますが、総体としては四倍の値上げとなつておりますが、普通電報は五倍見当の、十字まで六円が三十円ということになり、普通電報は五倍になつております。至急電報は現行の普通電報の三倍を二倍に改め、又新たに電報及び翌日配達電報の制度を創設いたしまして、その料金はそれぞれ普通電報の三分の二程度といたしました等であります。
 次に電話料金でありますが、電話料金は概ね四倍の値上となつておりますが、公衆電話、郵便官署取扱に係る市内通話料は、大体において電話を持たん一般公衆の利用せられるものでありますので、その大衆負担を少しなりとも軽減しようという考えから、現行五十銭を一円に引上げることに止め、又予約新聞通話料は、一般に比べて著しく低額となつておりましたので、これを是正する意味で、一般の六分の一程度まで引上げてあるのであります。以上が両法案の大要でありますが、尚両案の施行期日は、政府原案では六月十五日となつておりましたが、衆議院において、これを七月十日と修正して送付して参つたものであります。
 通信委員会におきましては付託せられまして以來、愼重審議を重ねまして、その間において公聴会並びに予算第四分科会との連合委員会をも開催いたしたのであります。委員会及び連合委員会におきましては、各委員から熱心な御質疑がありましたが、今その主なものを申上げますと、料金値上げは大衆の生活に影響を及ぼし、インフレ高進に拍車をかけるものと思うが、政府が敢えてこれを四倍の高率に一挙に引上げようとする理由如何という質問に対して、現在の料金は、昨年四月に千二百円の給與水準と、一昨年十月の物價水準に対應して、従前の約三倍に改定されたものであつて、このときの基礎となつた給與水準と物價水準に変化がなければ、收支はほぼ相償う見込であつたが、給與水準は千二百円から次々と引上げちれ、又物價水準も昨年七月から、いわゆる新物價体系によつて大幅に引上げられたが、一方料金はそのまま据置であつたために、いろいろと対策を講じたが、結局收入不足を生じたわけである。而して二十三年度の見込は、現行料金のままでは、給與を二千九百二十円とし、物價水準も改定のないものとしても、約百五十一億円の赤字となる、これを昨年同様、一般会計に負担させることは、特別会計の建前である独立採算制の上から言つても、又一般会計の負担は、結局國民大衆の負担となる点から言つても、なすべきことでないと考えるので、速かにできるだけ事業收支の均衡を図りたいと考え、薪給與水準及び物價水準をも考慮して、約四倍に値上げすることにしたのである。而してこの値上げによつても、尚約五十億円の赤字を生ずるのであるが、この分は一般会計からの繰入によつて賄うつもりであるとの答弁がありました。次に、このような赤字状態に対して、政府は如何なる積極的及び消極的事業合理化策を取つたかとの質問に対しましては、昨年度においては、新規拡張工事の促進並びに従業員の能率増進による増收策を強行して、約七億円の増收を図つたし、又人件費について予算定員を約六万人、即ち四十七万四千人を四十一万五千人に減じて、約十一億円の節約をなし、更に物件費は総額の三割、約十八億円を天引節約したが、本年度予算は、この昨年度の増収、節約を基礎として編成されておるのであるとの答弁がありました。更に役所から給料その他の糾與全額を貰つて、役所の仕事はせず、專ら労働組合の仕事ばかりしている者に対する今後の方針如何との質問に対しましては、労働組合での專任従事者は、現在判明している分は、國庫負担のもの三千百五十四人、経費約一億五千八百万円である。而して今後は國庫負担は認めない方針であるが、その内面的実施を直ちに行うことをせず、差向き組合員七百人につき一人を認める方針として、組合に交渉中であるとの答弁がありました。次に配付された通信復興五ケ年計画によると、二十四年度から黒字になるようであるが、赤字は本年度だけのものであるならば値上げをせずに、今年度は公債発行などの方法によつて凌ぐべきでないかとの質問に対しましては、五ヶ年計画の計算は、料金値上げをしたものとしての計算であるし、又日本の経済全体から見て公債発行によることを差控えるべきだと考えたのであるとの答弁がありました。又料金値上げが行われようとしている一方、日曜には郵便配達を止めようとしているように聞いているが、値上げと同時にサービスを低下するようなことはないかとの質問に対しましては、サービスを落すようなことは考えていない。従業員組合の自主的協力によつてサービスの向上に努力をしているとの答弁がありました。また政府は、値上げを止むを得ないものとして提案しているのに、内輪の従業員が盛んに反対しているが、これでは國民は値上げを納得しないと思うが、これに対して政府はどう考えているかとの質問に対しましては、従業員に対しては、値上げの止むを得ない理由をよく説明したが、組合は組合の立場から反対しているので、なかなか納得しない。さればと言つて、値上げをしないで済む具体策も打つていないようである。極力説得に努めているとの答弁がありました。又値上げによる財源によつて、事業電設の復旧、拡張が促進されることになるかどうかとの質問に対しましては、値上げによる財源は直接復旧、拡張には廻らない。復旧、拡張の財源は公債によることになつているとの答弁がありました。次に三千七百円の給與水準を維持することが困難となれば、更に赤字が増すことになろうが、その際は再び値上げをするのかとの質問に対しましては、給與水準が三千七百円以上になつても再値上げはしない。赤字は一般会計からの繰入れによつて賄うつもりであるとの答弁がありました。又電話の復旧のごときは、それによる仕事の能率の向上等から考えて、五ヶ年計画などと言わず、もつと早くすべきであるが、これを促進するためには、民営形態をとつた方がよくないかとの質問に対しましては、民営が確実に國営よりもよいとの見通しはないし、その他の点から考えても國営がよいと思うとの答弁がありました。
 以上の外、各委員から詳細に亙つて御熱心な御質疑がありましたが、それは速記録によつて御承知をお願いいたしたいと存じます。
 又公聽会におきましては、学識経験者五名、一般五名の意見の陳述を求めたのでありますが、学識経験者五名の意見は、労働團体関係代表一名が全面反対であります外、他の四名の方は値上げは止むを得ないが、四倍に上げることには不賛成である。而してその倍率は二倍又は二倍半程度とすべきであろうという意見もありました。又一般の方五名の意見は、全面的賛成一名、原則的反対一名、他は四倍値上げには反対であるが、若干の値上げは止むを得ないというのでありました。こういう公聴会の大体の意向を申添えておきます。
 かくいたしまして、質疑を終えて、両案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党の千葉委員より、通信事業特別会計は、曾て多額の繰入れを一般会計になして来たのである。今戰災によつて大損失を蒙つており、財政状態が著しく不良となつている際、独立採算主義の名の下に、財政状態を独力で改善させようとすることは賛成できないこと、及び本値上げは國民生活を圧迫し、インフレ助長の一因をなすものであるとの理由で反対意見があり、又民主自由党の大島委員より、四倍という大幅値上げは國民の声を無視するものであり官廳独占の事業であるから、他の物價よりも低目に定むべきである、値上げは國民生活を圧迫し、インフレを助長するものであるから、倍率二・五倍以上の値上げには反対である旨の意見があり、又日本社会党の水橋委員より、四倍に値上げしては結局増収にはならん、大会社などでは社員を使つて書類などを運ばせ、又一般には便利屋に託することが盛んになるであろう、値上げは國民の声を無視するものであるとの理由で反対意見が述べられました。又民主党の油井委員より事業特別会計が独立採算主義を採るのは当然である。赤字を一般会計に負担させることは、結局において國民に負担をさせることであるからとの理由で、原案に賛成の意見があり、又日本社会党の大野委員より油井委員とほぼ同様の趣旨を以て賛成意見があり、更に緑風会の新谷委員より、急激な値上げは避くべきであるが、本案によらなければ復興、拡張が不可能になるのであろうから、本値上げは止むを得ないが、政府は安易感に囚われることなく、事業の合理化、收入の増加に努めできるだけ早く事業を軌道に乗せるようにされたいとの趣旨を以て賛成意見が述べられたのであります。
 かくいたしまして討論を終り、両案を一括して採決に入りましたところ、原案賛成八、反対六という、この数字の示します通り、多数を以て衆議院送付の通り可決いたすべきものと決定いたした次第であります。以上を以て報告を終ります(拍手)
#67
○議長(松平恒雄君) 両案に対し討論の通告がございます。市來乙彦君。
   〔市來乙彦君登壇、拍手〕
#68
○市來乙彦君 私は通信料金の値上げに反対を表する者であります。(拍手)インフレーシヨンの高進する今日の場合、政府として採るべき政策は何であるか、インフレーシヨンの克服に副うべき政策でなければならん。殊に芦田総理大臣は、米國の陸軍次官に対して、均衡財政を速かに確立する固い決心を持つておると宣言された。然らば均衡財政の確立に副うべき政策を立てねばならん。均衡財政とは、財政と國民経済とが密着して歩調を保つ、調和を十分ならしめて、渾然一体として作用する体制をいうのであります。均衡予算と称するのも亦同じであります。この解釈は、私の説に対して政府は全然同感すると言うたものであります。然るところ政府は、これらの政策を採るでもなく、ただインフレーシヨンの荒浪に奔弄されて、行くべきところを知らず遂に搾取政策に陷つたのであります。(拍手)これが高物價政策であり、値上げ政策であります。(「市来大臣しつかりやれ」と呼ぶ者あり)その結果は何であるか、通貨が増発される、物價、殊に食糧の價格が暴騰する、生活はますます困難に押し詰められる、労働攻勢は激化する、経済は乱れて来る、必要物資の増産は阻害される、導入外資の受入態勢も壊れる。これがこの値上げ政策の結果であります。ここに私の反対する理由があります。特別会計における独立採算制なるものは、つまるところ搾取政策に陷るものである。よろしくこれは廃止すべきであります。(「頭が新らしいぞ」と呼ぶ者あり)思うに、食糧品の價格の暴騰に堪え難い多数の人々は、必ず深刻なる歎きに沈むでありましよう。生活を味氣なきものと考えまして、或いは憂欝症に沈論するでありましよう。或いは厭世的悲観に陷つて、自暴自棄放埒に堕落するでありましよう。(「同感」と呼ぶ者あり)これは祖國の再建途上における悲惨なる一大事であります。(拍手)これらの人々に対しては、政府はよろしく一掬の涙を注いで、あらゆる方策を立てて、その救済に当らなければならないのであります。最近傳えられるところによれば、政府は蔬菜並びに魚類について更に統制を強化すべき旨の指令を関係方面より受けたという噂さがあります。又傳えられるところによれば、在日本の米國人の間には、日本政府の政治力が如何にも貧弱であつて、これでは日本の再建事業は前途頗る遼遠であろうという観察を下したということであります。私は政府の政策を見て、同様の感じを更に深くする者であります。殊に私が頗る遺憾といたしまする点は、第一に、インフレーシヨンの克服に対する政策の研究が不十分であること、第二に、米國の陸軍次官の提唱に対して政府には反響の極めて少いこと、第三には、芦田首相が言明されたその点に対して、これを実行に移さないこと第四の点として、政府は常に独善楽観的の建前を取つて、民意を尊重せざることが甚だしいこと、(拍手)この四つの点が、政治上極めて必要な政策として現われなければならんのであります。若しそれを政府が実行することができなければ、芦田首相の確かなる言明も、遂に不渡手形に終るのでありましよう。(拍手)私は首相のためにこれを非常に惜しむのであります。
 私は従来低物價政策を主張して来ております。政府が高物價政策を速かに低物價政策に変換しなければ、祖國は救われないのであります。殊に私は均衡財政の意義を決める場合に政府と交渉いたしましたが、政府に対して特別に一つの注意を促して置いた。それは予算の収入の均衡を保つために、歳入を殖す手段として搾取政策に陷る嫌いを私は予想しておる。これは穏当でない政策であつて、採るべきではない。殊にアメリカの陸軍次官の提唱に逆行するものである。よろしく避くべきであつて、これは拾うべき財源ではないということを注意を促したのであります。然るに政府は遂にその搾取方法を採つたのである。すでに私の信念が今申した通りであり、私の経過がそういう立場にあります。その関係から考えまして、私が今日突如として豹変をして、高物價政策結構である、値上げ政策賛成だということは到底言える道理がないのであります。(拍手)私の申すことは極めて明白であります。(「偉いぞ」「末期の水を飲んで」「大したものだ」「市来大藏大臣」と呼ぶ者あり)政府はこの法案並びに予算案の通過によつて、國民大衆に向つて殆んど負担することができない程度の負担を押し付けるのであります。これを機会として政府はよろしく大悟徹底して、(笑声)耳目を新たにして、考慮に考慮を重ねて、私が前に述べました四ヶ條を取上げてこれを実行に移して、それによつて善政を行い、(笑声)殊に前申しましたように独善的、楽観的の建前を全部一掃して、民意を尊重することにして荀くも過ちなからんことを期するために、國民の公僕として、殊に善良なる公僕として、戰々兢競として将來に向つて努力されんことを、切にこの機会において要求するのであります。(拍手)(笑声)
#69
○議長(松平恒雄君) 大島定吉君。
   〔大島定吉君登壇、拍手〕
#70
○大島定吉君 只今議題となつておりまする郵便法等の一部を改正する法律案並びに電信電話の料金改正法案の二件に対しまして、私は民主自由党を代表いたしまして反対の意見を表明するものであります。(拍手)
 本案が國民生活及び文化建設の上に及ぼす影響は誠に甚大であります。本年の二月片山内閣当時、運賃、郵便の料金改正の計画に対しまして、関係筋におきましては、内閣が予算のバランスを如何に取るかは國会が最善の方法で実行すべきであるが、それは國民の声を反映させねばならないと言明されておるのであります。即ち民主主義の本質たる國民の輿論を基盤となすべきごとを示唆いたしておるのであります。通信委員会におきましては、本案の重要性に鑑みまして、審議の過程におきまして更に愼重を期し、公聽会を開催し、有識者の声を聽くと共に、或いは参考人を招致いたしまして、その所見を質す等いたしたのでありまするが、いずれも異口同音に今回の四倍の大幅の値上げには反対の意を表しておるのであります。これは敢えて公述人諸公の言ばかりではなく、新聞、ラジオ等によりましても國民全般の声であると断じて差支ないと存じます。(拍手)そもそも通信は文化、経済、産業の発展の原動力であります。これが特性と使命を有しておると存じます。而も國営事業たる特性を考慮いたしまして、必ずしも他の物價と比較すべきものでないと存じます。常に他の物價の最下位にありまして、他の物價の高騰を抑制すべきであると存じます。現に第一次世界戰争当時におきまして、物價は異常なる様相を示したのでありますが、当時郵便葉書は一銭五厘を依然として維持したることは皆様御承知の通りでありまするが、近来官業における赤字対策は徒らに料金値上、或いは給與改善、借入等、悪循環を繰返しまして、急場凌ぎに終始いたしますること、更に今回の四倍の大幅値上の計画は又無謀極まると言わざるを得ないと存じます。(拍手)通信の財政收支を最も安易な料金値上に求むることは、通信事業の再建でない、むしろ崩壊であると断定して憚らないと存じます。(笑声)これこそ独占官業の特殊性は完全に失われていると言わざるを得ません。然らば今回の値上げを強行いたしまするならば如何なる結果となりましようか。昨年の四月、料金の値上げに伴いまして、逓信省の赤字はむしろ急増したことは御承知の通りであります。而も今回の大幅値上げをするのは大衆課税であり、そして物價の高騰を刺戟し、インフレに極度の拍車を掛け、國民生活を窮地に押し込むものであると存じます。更に向学心に燃える地方青年の通信教授、或いは書籍の購入に当りまして、書留料、郵便料金、或いは小包料金におきまして、書籍以上の代價を支拂うことに相成るのでありまして、而も現在の無秩序、無責任、無能率を見せ付けながら、その通信の赤字克服のために國民に大なる犠牲を拂わせることは、この官業廳の標木こそ民主主義思想を著しく阻害すると存じます。
 尚幾多申上げたいことはありまするが、時間の関係上、省略いたしまして、以上の事由によりまして私は政府案に反対するものでありまするが、現下の財政に鑑みまして、現行の料金平均二倍半以下に止むべきであると存じます。ここにその骨子を申上げまして賢明なる各位の御賛同を得たいと存じます。
 郵便料金、電信電話料金は現行の二倍半とし、これが収入減八十億の補填といたしまして、人件費において一割、物件費の節約において二割、同時に電柱二百六十余万本に対しまして廣告権を設定し、或いは葉書に廣告等、幾多の考慮をいたしまして、尚不足分は一般会計によることにしたいと存じます。政府はこれらの趣旨によりまして訂正提案せられんことを望むものであります。何とぞ各位の御批判を頂き、絶大なる御協賛あらんことを重ねて切望いたしまして私の説明を終らして頂きます。(拍手)
#71
○議長(松平恒雄君) 討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案の表決は記名投票を以て行います。両案に賛成の諸君は白色票を、両案に反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を命じます。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事が氏名を点呼する〕
   〔投票執行〕
#72
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事が投票を計算する〕
#73
○議長(松平恒雄君) これより投票の結果を報告いたします。投票総数百九十一票、白色票即ち両案に賛成のもの百二十一票、(拍手)青色票即ち両案に反対のもの七十票、右の結果両案は可決せられました。
    ―――――――――――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名 百二十一名
  竹下 豐次君   赤木 正雄君
  木下 辰雄君   佐伯卯四郎君
  堀越 儀郎君   宮城タマヨ君
  高瀬荘太郎君   江熊 哲翁君
  高田  寛君   久松 定武君
  加賀  操君   島津 忠彦君
  中川 以良君   小野  哲君
  河野 正夫君   新谷寅三郎君
  西郷吉之助君   伊達源一郎君
  伊藤 保平君   小宮山常吉君
  寺尾  博君   飯田精太郎君
  結城 安次君   小杉 イ子君
  川上 嘉市君   藤野 繁雄君
  米倉 龍也君   梅原 眞隆君
  田村 文吉君   野田 俊作君
  柏木 庫治君   岡部  常君
  岩男 仁藏君   岡村文四郎君
  島村 軍次君   早川 愼一君
  青山 正一君   田中耕太郎君
  鈴木 直人君   岡本 愛祐君
  駒井 藤平君   高橋龍太郎君
  佐藤 尚武君   村上 義一君
  楠見 義男君   下條 康麿君
  山下 義信君   河井 彌八君
  中村 正雄君   カニエ邦彦君
  大野 幸一君   中平常太郎君
  下條 恭兵君   山田 節男君
  丹羽 五郎君   河崎 ナツ君
  金子 洋文君   藤井 新一君
  三木 治朗君   大畠農夫雄君
  田中 利勝君   木下 源吾君
  門田 定藏君   原口忠次郎君
  宇都宮 登君   鈴木 憲一君
  波多野 鼎君   原  虎一君
  小川 久義君   山崎  恒君
  岩本 月洲君   島   清君
  島田 千壽君   渡邊 甚吉君
  安部  定君   三好  始君
  伊藤  修君   天田 勝正君
  田中 信儀君   植竹 春彦君
  油井賢太郎君   石川 一衞君
  小畑 哲夫君   鈴木 順一君
  平野善治郎君   入交 太藏君
  小杉 繁安君   高橋  啓君
  小林 勝馬君   紅露 みつ君
  深川タマヱ君   木内キヤウ君
  高良 とみ君   門屋 盛一君
 前之園喜一郎君   竹中 七郎君
  星   一君   栗栖 赳夫君
  淺井 一郎君   伊東 隆治君
  村尾 重雄君   岩崎正三郎君
  岩木 哲夫君   佐々木鹿藏君
  鬼丸 義齊君   稻垣平太郎君
  岡田 宗司君   森下 政一君
  小泉 秀吉君   塚本 重藏君
  林屋亀次郎君   中井 光次君
  木内 四郎君   櫻内 辰郎君
  奥 主一郎君   仲子  隆君
 尾形六郎兵衞君   境野 清雄君
  木檜三四郎君   大隈 信幸君
 橋本萬右衞門君
 反対者(青色票)氏名   七十名
  中西  功君   板野 勝次君
  中野 重治君   細川 嘉六君
  西田 天香君   小川 友三君
  廣瀬與兵衞君   藤田 芳雄君
  兼岩 傳一君   千田  正君
  栗山 良夫君   岩間 正男君
  池田 恒雄君   佐々木良作君
  大山  安君   松村眞一郎君
  姫井 伊介君   小林米三郎君
  徳川 宗敬君   鎌田 逸郎君
  矢野 酉雄君   玉置吉之丞君
  千葉  信君   木村禧八郎君
  堀  眞琴君   九鬼紋十郎君
  岡元 義人君   岡田喜久治君
  田口政五郎君   水橋 藤作君
   大島 定吉君  鈴木 清一君
   北村 一男君  加藤常太郎君
   西川 昌夫君  川村 松助君
   淺岡 信夫君 池田宇右衞門君
   堀  末治君  西川甚五郎君
   鈴木 安孝君  大屋 晋三君
   山田 佐一君  中山 壽彦君
   黒田 英雄君  寺尾  豊君
   草葉 隆圓君  石坂 豊一君
   柴田 政次君 大野木秀次郎君
   遠山 丙市君  小林 英三君
   板谷 順助君  今泉 政喜君
   松野 喜内君  玉屋 喜章君
   徳川 頼貞君  一松 政二君
   大隅 憲二君  深水 六郎君
   平岡 市三君  小野 光洋君
   團  伊能君  重宗 雄三君
   西山 龜七君  城  義臣君
   左藤 義詮君  小串 清一君
   水久保甚作君  平沼彌太郎君
     ―――――・―――――
#74
○議長(松平恒雄君) この度、日程第五を更に後に廻し、日程第六、商工省官制の一部を改正する法律案、日程第七、工業技術廳設置法案(内閣提出)、日程第八、運輸省官制の一部を改正する法律案、日程第九、造幣局官制の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付、)以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。決算委員会理事太田敏兄君。
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔太田敏兄君登壇〕
#76
○太田敏兄君 只今議題となりました商工省官制の一部を改正する法律案につきまして、その要旨、審議の経過及びその結果に関して御報告申上げます。
 我が國の現状におきましては、鉄及び鋼の増産を図ることは極めて肝要でありまするから、この方面の事務を掌るために、商工省内に鉄鋼局を設ける必要があります。又欧米各國に比して工業の発達の遅れておる我が國におきましては、一般世人からの依頼に應じまして、製品の檢査を行いまするために、各種の検査所を設け、これによつて産業の発達を図りますることは必要でありまするし、特に輸出品の檢査を行う檢査所を設けることの必要は、何人も認めるところであります。それ故に商工省では、その官制の一部を改正いたしまして、これらの要請に應じようとするのであります。又昭和二十一年に設けられました商工省賠償実施局臨時設置制を廃止し、その代りに賠償実施部を総務局の中に設けますことも、時の宜しきを得たことであります。かような次第でありまするから、この法案の審議に当りまして、当委員会におきましては、別段の質疑応答も修正意見もなく、直ちに採決に移りまして、全員一致を以て可決すべきものと議決いたしました。
 次に工業技術廳設置法案につきまして、決算委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 我が國の鉱業及び工業の技術の水準は、欧米各國に比べまして、未だ大いに遜色がありますから、公私各方面の研究機関を整備し、その連絡綜合を図りまして、生産技術の向上と、その研究の結果の普及を図り、これによりまして我が國経済再建の基礎を固めますことは、現今最も必要を感ずるところであります。それ故に商工省の外局として工業技術廳を設置いたしまして、鉱業及び工業の科学技術に関する試驗研究等の業務を、強力に且つ綜合的に遂行したいというのが、この法律の目的であります。この目的を達しまするがために、工業技術廳には、工業技術運営審議会を設けまして、技術廳の運営方針その他重要事項を議決せしめ、その結果に対して技術廳長官が、その所掌事務を遂行することになつております。技術廳には、その内部部局として調整部と標準部とを設けまして、又試驗研究等を行う機関を多く設けますが、これは度量衡檢定所、機械試驗所及び工業試驗所、燃料研究所など既存のものであります。尚法案の附則に特許標準局を特許局に改めること、その外若干の改正が掲げられております。尚この法律実施のためには、既定の予算で賄い、別段の経費の増加はないということであります。
 当委員会では政府委員の説明に続いて、質疑應答に移りましたが、学校や研究所との連絡の方法はどうかとの質問に対しまして、政府は十分よく連絡すると答えております。又一委員から、技術者で、且つ行政手腕のある人を重用されたいとの希望意見も出ました。
 さて討論に入りましたとき、一委員から二つの点について修正意見が提出されたのであります。
 その第一は、工業技術廳の民主的なる行政運営の上には、民意を反映させることが最も大切であるから、技術廳長官の諮問機関として、工業技術協議会を設け、学識経驗ある者の中から二十人以内の委員を内閣が任命するようにいたしたいというのであります。
 第二は、從來からありまする逓信省電氣試驗所の研究事項の中から、一部はこれを工業技術廳の電氣試驗所に移し、後に残るところの逓信省の研究所は、その名称を電氣通信研究所と改めて、電氣通信に関する専門の研究所にいたしたいというのであります。
 そこで採決に入りまして、これら二点の修正は、いずれも適切であると、全員一致の賛成があり、又原案それ自体も適切な措置であるということに、全員一致の賛成がありまして、本法案は修正可決すべきものと議決いたしまた。その修正点を只今読み上げます。工業技術廳設置法修正案
 第四條中「工業技術運営審議会」の下に「工業技術協議会」を加える。
 第五條の次に新たに左の條文を設ける。(工業技術協議会)
第六條 工業技術協議会(以下本條中協議会という。)は、左の事項に関して、工業技術長官の諮問に基いて、これを審議する。
一、鉱業及び工業の科学技術に関する試驗研究の遂行に関する事項
二、鉱業及び工業に関する生産技術の向上に関する事項
三、試驗研究の成果の普及に関する事項
2 協議会は、工業技術廳長官の諮問に答える外、前項各号に掲げる事項に関して、工業技術廳長官に対し、意見を提出することができる。
3 協議会は、工業技術廳長官に対し、審議に必要な報告又は資料の提出を請求することができる。
4 工業技術長官は、協議会の答申又は意見については、これに充分な考慮を拂わなければならない。
5 協議会は、委員二十人以内で、これを組織する。
6 委員は、商工大臣の申出により、学識経驗のある者の中から、内閣が、これを命ずる。
7 協議会に、委員の互選による、会長及び副会長各一人を置く。
8 前各項に定めるものの外、協議会の運用について必要な事項は、政令で、これを定める。第六條以下を一條づつ繰り下げる。附則に左の一條を加える。
第十五條 電氣試験所官制(大正七年勅令第二百十九号)の一部を次のように改正する。「電氣試驗所官制」を「電氣通信研究所官制」に改める。第一條中「電氣ノ」を「電氣通信ノ」に改める。
 次に運輸省官制の一部を改正する法律案につきまして、法案の趣旨、その審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 國有鉄道に関連して行われる國営自動車及びその附帶事業につきましては、從來は運輸省の陸運管理局の所掌事務でありましたが、今後はこれを鉄道総局の所掌事務でありましたが、今後はこれを鉄道総局の所掌事務に移すことに改めまして、從つてこれがために鉄道総局の内に國営自動車局を設けようとするのが、この提案の趣旨であります。
 この改正の理由は、運輸省の事務につきまして、現業事務と監督行政事務とを明らかに分離するためであります。これによつて鉄道や自動車の経営のごとき現業事務は、鉄道総局の方に集まりますし、陸運管理局は、監督行政だけを掌ることになりまして、制度が明らかになる長所があります上に、問題となつております独立採算制を採用します上にも適当になるわけであります。この法案に関する委員会の質疑に当りまして、一委員から、地方においてはどうするかという質問がありましたのに対しまして、政府は、各地に陸運局を新設して、監督行政を行わせたい予定であると答えております。
 さて討論に入りましたとき、この措置は適切であるものと認めまして、この法律案を全員一致で可決すべきものと決議いたしました。
 次に造幣局官制の一部を改正する法律案について、決算委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。
 本法案は、造幣局官制の一部を改正して、貴金属の配給を造幣局において掌ることにするため、同局の所掌事務の範囲を拡張する必要があるというのであります。本委員会におきましては、造幣局が貴金属の分析、加工等については、優秀なる技術と設備とを有しており、從來もこれらの事務に協力して來ている点を認め、本法案による措置を適切なるものであるということに意見の一致を見まして、全員一致これを可決すべきものと決議したのであります。
 尚一委員より、現在歯科医院等が、医療用として拂下げを受けた金を、或いは横流しをしている事実があるという点を指摘しまして、政府の注意を促したのでありますが、これに対し、政府は十分実情を調べて、実際の目的に副うようにしたいとの答弁がありました。
 尚本法案実施のために格別の経費を要せず、僅かに技術官二名、同補助員六名の増置を要する程度のものであるということであります。以上御報告いたします。(拍手)
#77
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず工業技術廳設置法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を願います。
   〔総員起立〕
#78
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て、委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#79
○議長(松平恒雄君) 次に商工省官制の一部を改正する法律案、運輸省官制の一部を改正する法律案、造幣局官制の一部を改正する法律案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を願います。
   〔総員起立〕
#80
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#81
○議長(松平恒雄君) 日程第二一、判事補の職権の特別例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)日程第二二、青年補導法案(鬼丸義齊君発議)以上両案をこの際一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。司法委員会理事岡部常訓。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔岡部常君登壇、拍手〕
#83
○岡部常君 只今上程に相成りました二法案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず第一に、判事補の職権の特例等に関する法律案について申上げます。本案の内容は裁判所法で一人前の判事になるには、十年間、裁判官、檢察官、弁護士等の職にあつたことを必要とするように定められておりますため、判事の不足が二百名に達する有様で、民事刑事の事件の処理に困難しておる現状であります。前に述べました在職十年経過の条件に満たざる者は、判事補として地方裁判所の限られた事件は、独りで処理できない等の制限があるのでありますが、当分の事態に対処いたしまする方便として、五年以上の経驗を持つ判事補の中、優秀な者を最高裁判所が指名して、当分の間、判事と同じような権限を與えて事件の処理に当らせるというのが第一條でありまして、第二條以下は、裁判所構成法当時の判事又は檢事の資格のあつた者が、朝鮮、台湾、満州、蒙彌の司法関係や、司法領事、南方の司政官等になつて、司法関係の仕事をした者や、特許局関係の審判事務に從事していた者の、その間の期間を、判事になる資格の十年の期間に参入し、又は現在又は將來衆議院、参議院の司法委員会の専門調査員、法制部の参事、副参事等に在職した期間も通算になるという規定であります。尤もこの中、満州関係の分は、第一國会で解決したのでありますが、この法律の中に取り入れて一本に纏めたものであります。
 委員会におきましては、時宜に適した適当な立法であることを認めまして、討論を省略し、全会一致可決すべきものと決定いたした次第でございます。
 次に青年補導法案につきまして申上げます。本法案は、登院の司法委員鬼丸義齊君の提案になりますもので、現下犯罪の勢は増加の一途を辿りつつあるのでありますが、殊に最近政治的、経済的、社会的諸情勢、例えば國民道義の頻発、政局不安定、物價の奔騰、失業の彌漫、深刻な生活苦などが原因となつて、青年層の犯罪は目立つて激増しておるのが実情であります。
 かかる犯罪青年達に刑罰を科して、前科の烙印を捺すことは、彼らの前途を誤らしめる虞れもあり、又行刑本來の目的に副わない場合も少ないと考えられますし、又執行猶予を言渡して、そのまま身体の自由を與えましても、再犯に陷ることが多いので、彼らに刑罰を科する代りに、保護処分に付して、職業補導を中心とした適当な施設に收容して、彼らを正常な社会人として更生せしめようというのが、本法立案の趣旨であります。
 次に本法の骨子とするところを簡單に申上げます。年齢十八年以上、二十六年未満の青年で、五年以下の懲役又は禁錮の刑に処することが相当と認められる者につきまして、裁判所が諸般の現状から見て、その者に刑を科することを不適当と認めた場合、判決を以て、五年以下の範囲で青年補導所に入所を命じまして、その適性に應じた作業に從事せしめて補導するのでありまして、補導所は法務総裁の管理する國立の施設とするのでありますが、その運営を民主的にして、所長の專断に陷ることを防ぐため、法務総裁の任命する五名の委員によつて組織する青年補導所運営委員会を設置しまして、運営に関する重要事項の審議、補導所の査察、その他運営及び補導に関し、必要な事項について所長に勧告するなどの権限をこれに付與したものであります。
 司法委員会におきましては、愼重審議いたし、討論を省略して、多数を以て可決すべきものと決定した次第でございます。(拍手)
#84
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず判事補の職権の特例等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の規律を願います。
   〔総員起立〕
#85
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#86
○議長(松平恒雄君) 次に青年補導法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を願います。
   〔起立者多数〕
#87
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#88
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して種蓄法案(内閣提出、衆議院送付)、森林資源造成法の一部を改正する法律案(内閣提出)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
    ―――――――――――――
   〔楠見義男君登壇、拍手〕
#90
○楠見義男君 只今議題となりました二つの法案につきまして、農林委員会における審議の状況を御報告申上げます。
 先ず種蓄法案について御報告申上げます。畜産振興の必要性が近時非常に重要な問題として取上げられておることは御承知の通りであります。而してこのことは我が國農業経営の改善、即ち有畜営農方式によつて経営の多角化を図ると共に、その合理を目的としておるのでありますが、同時に又國民食生活の改善や、乳幼兒、病弱者の必需食糧確保の見地からも強く要請されておることは勿論であります。本法案はこの重要な畜産振興について、その根幹をなすところの種蓄の確保を目的とした法案であります。從來種蓄の確保につきましては、種牡牛檢査法や種馬統制法等がありましたが、これらの法律は非常に嚴格な又強権的な法律でありまして、特に種馬統制法に至りましては、軍馬資源確保の意味もあつた関係上、種馬は國有を原則とし、いろいろ面倒な手続と段階を経て種牡馬を決定し、又配合の統制までやるというような軍國主義的な強度の統制を行つておつたのでありますが、本法案におきましては、右に述べましたような法律はこれを廃止いたしまして、單に衛生的疾患についてのみ國の檢査を行い、傳染病疾患のないものには証明書を交付し、種付の用に供せしめんとするものでありまして、その檢査を行う家畜は、大体牛、馬のほか山羊、豚を予想しておりますが、本法案によつて種付に供用できる種牡蓄の選択範囲が從來に比して著しく拡大せられまする結果、家畜飼育者の自主的な改良増殖意欲が大いに助長せられ、家畜増殖に死するところ亦少からざるものありと認められるものありと認められるのであります。又本法案におきましては、欧米諸國の例に倣いまして、家畜の血統、能力、体型等に関する登録事業について、民間における更生且つ信用ある家畜登録協会の設立を助長し、家畜の改良事業の普及奬励を図らんとしておるのであります。
 以上申述べましたような趣旨でありますから、本法案についてはさして問題とすべき点もないのでありますが、ただ法案第十二條において「主務大臣は、種蓄の確保に関し特に必要があると認めた場合には、家畜の飼養者に対し、地域並びに家畜の種類及び年齢を指定し、移動又は屠殺の制限に関し必要な命令を発することができる。」旨の規定がございまして、この規定を中心として、委員会におきましては、種蓄の確保の重要性から、かかる命令規定の必要はこれを認めるけれども、かかる命令によつて不当に損害を被ることあるべき家畜飼養者の損失補償の問題が強く論議せられたのでありまして、これに対し政府当局から、右のごとき命令を発する場合、若し金銭的損害を生ずるような場合には、予備金支出等の方法によつて補償的措置を講じ、又飼料が必要ならばその優先確保の措置を取り、飼養者に対しては必ず不測の損失を與えるようなことは起こさないとの明確なる答弁がありましたので、委員会といたしましてはこの政府の答弁を信頼し、ここに本案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に森林資源造成法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。森林資源造成法は、御承知のように戰爭末期における議員提出の法律でございますが、この法律は当時の植伐不均衡の状況、つまり山の木がどんどん伐採せられますけれども、一向跡地の造林が行われない不均衡の状態を憂えた有識の人々の提唱になるもので、その内容は森林所有者が造林その他一定の森林行爲をなすに当つて、その費用の二分の一に相当する金額を農林中央金庫はその倍額に相当する森林資源造成証券を森林所有者に交付するのでありまして、この証券の交付を受けた森林所有者は、造林行爲が済んだときに証券金額の支拂を受けることができるできる仕組であります。又政府は農林中央金庫の負担する半額分の金額を補給することといたしておるのでありまして、この法律の狙いは、森林を伐採した者がその木材による收入金を再び山に戻させること、及びこの証券制度によつて実質上造林費の國庫半額補助を狙つた点にあつたのであります。而して法律の規定によりますと、右の証券発行限度は三億円でございまして、当時の金額といたしましましては決して少くない金額でございましたが、物價高騰の現状におきましては近くその限度にも達せんとする有様でありますので、本法案によつてその限度を十五億円に拡張せんとするものであります。
 森林保全の問題につきましては、かねて重要なる問題となつており、又本日もその決議が本院において行われましたことは御承知の通りでありますが、森林保全、なかんずく森林資源造成は最も緊要なことでございます。而も政府の施策は誠に手緩い感がいたすのでありまして、本案による証券発行限度の増額ももとより全体の山林政策の一部に過ぎませんが、それにいたしましても全額は極めて少額且つ不十分であり、且つ又一般山林金融についても遺憾の点が少ないのでございます。從つて委員といたしましては、これらの点について充分警告と、政府当局に対する鞭撻を行いますると共に、本案につきましては差当り急場の措置としては止むを得ないものと認めまして、即ち全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上簡單に御報告を終ります。(拍手)
#91
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず種蓄法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#92
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#93
○議長(松平恒雄君) 次に森林資源造成の法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#94
○議長(松平恒雄君) よつて本案は全会一致をて可決せられました。
     ―――――・―――――
#95
○議長(松平恒雄君) 参事をして報告いたさせることがございます。
   〔寺光参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 国立光明寮設置法案可決報告書
     ―――――・―――――
#96
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して、国立光明寮設置法案(内閣提出、参議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
    ―――――――――――――
   〔塚本重藏登壇、拍手〕
#98
○塚本重藏君 只今議題となりました国立光明寮設置法案について、厚生委員会における審議の経過並びにその経過を御報告申上げます。
 先ず本法案の提出理由を簡單に申上げます。現在情勢下においては、中年において疾病や傷痍、災害等で失明した人々は、その生活環境の激変に伴つて、経済的にも亦精神的にも非常な傷害を受け、その生活は極めて困難な傷害を受け、その生活は極めて困難な実情にあります。これらの人々は現在全国で約一万八千に達しておりますが、是非適切な保護を加え、人生再出発の光明を見出さしむることが最も必要な問題であります。而して先天的な失明者に対しましては、文部省におきまして、かねてより義務教育に準じて教育をいたして参つております。殊に本年からは正規の義務教育として実施されておりますが、二十代、三十代或いは四十代で失明した人々は、これらの人と同一に歩調を合わせることはなかなか困難な事情にあります。このような事情に鑑みまして、厚生省におきましては、傷痍失明者、一般中年失明者の保護対策の一環といたしまして、国立を以て失明者の保護施設を設けまして、保護を加え、且つ生活訓練と共に、これらの人々の自活上最も適当とする、はり、きゆう、マツサージ術、音樂その他の職業補導をして、以て自立せしめるために、国立光明寮を設置せんとするものであります。
 本委員会におきましては、本日午前委員会におきまして審議いたしました。その審議におきまする質疑の主なものを一二申上げますと、質問の第一、光明寮收容者は、一般失明者も平等に入寮せしむることができるかどうか。又光明寮の設置が関東の二ケ所に限定せられているのは少な過ぎるので、全国各地に十ケ所くらいは少なくとも設置すべきではないか。これに対しまして政府から、光明寮の入寮資格は別に定めがない。一般の失明者を平等に公平に入寮せしめるのである。又光明寮設置に関しましては、現在の施設は不十分であり、財政的に二ケ所に限られているが、將來は全国各地方にも設置し、その拡充を図りたいとの答弁がありました。質問の第二といたしましては、光明寮の職業の補導が、はり、きゆう、あん摩にかぎられているか、又その、はり、きゆう、あん摩等営業法の養成施設として、これを認可する計画があるかとの問に対しまして、職業補導は各種のものを、これから先、採用していくつもりであり、はり、きゆう、あん摩術等は、営業法によるところの答弁がありました。又これら光明寮の二ケ所に要する費用は何程かとの質問に対しまして、光明寮の経費は本年度においては当初七十九万一千を計上しているとの答弁がありました。
 その他二三の質疑が行われました後、質疑を終了いたしまして、討論に入りましたところ、各委員より本法案に対しましては賛成の意見が表明せられ、且つ又熱烈なる多くの希望意見が開陳せられたのでありますが、その一二を申上げますと、失明者は一万八千の多数であるが、その保護救済対策等として二ケ所百人の收容施設のみでは十分でない。將來においては各地方に増設されたい。その他二三の重要な希望意見が熱心に開陳せられました後、討論を終了いたしまして、採決に入りましたところ、全員一致を以て原案を可決すべきものと決定いたした次第であります。以上報告を終わります。(拍手)
#99
○議長(松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#100
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#101
○議長(松平恒雄君) この際、日程の順序を変更して、日程第二五より第六八まで請願及び日程第八七より議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文教委員長田中耕太郎君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
#103
○田中耕太郎君 文教委員関係の請願第十九号五十六件、陳情第八号外二十五件に関する委員会の審議につきまして、極めて要約して御報告申上げます。
 先ず大学設置及び昇格に関する種類の多数の請願並びに陳情でございますが、これらの一つ一つを考えて見ますと、皆、新学校制度に基いて、民主的な大学制度を各地方に実施しまして、以て教育の地方分権の精神に適う地方文化、延いては日本全体の文化的水準の向上に貢献せんとするものでありまして、いずれも我が國の文教栄作の線に沿うているものと委員会は認めました次第であります。
 その他の種類の請願及び陳情中、すでに本院において可決されているものと同種類のもの、例えば六・三制経費全額國庫負担に関するもののごとき、さようなものは採択すべきものとし、残余のものは極めて多種多様でありまして、その一々の内容につきましては、この際はご説明を省略いたしますが、議題となつておりますものは、そのいずれも趣旨において妥当適切なもののみでございまして、委員会がさように認めたということを申上げるのに止めます。要しまするに、委員会はかような趣旨からいたしまして、以上の請願並びに陳情を選択し、会議に付し意見書を付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。右を以て御報告を終えます。(「うまい」と呼ぶ者あり、(拍手)
#104
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#105
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#106
○議長(松平恒雄君) この際日程の順序を変更して、日程第六九より第七七までの請願、日程第七九の請願及び日程第一〇六より一一三までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文化委員会理事金子洋文君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔金子洋文君登壇、拍手〕
#108
○金子洋文君 只今議題となりました請願陳情のうち、先ず観光関係のものにつきまして、文化委員会の審議の経過並びに結果を御報告いたします。請願六百七号外四件、陳情十四号外九件、以上の諸件を大別いたしますと、観光國策の確立を要望するものとその観光事業に関する総合的中央機関の設置を要望するものと、外客向観光ホテルの建設及びこれに対する融資に関するものと、いま一つは通訳案内業法制定に関するものとの四つに分かれております。
 第一の観光國策の確立に関するものは、陳情第十五号外二件でありまして、我が國の経済的、文化的再建の上に観光事業の果す役割は極めて大きく、その健全なる発達についてはすでに各方面においても多大の関心を拂つているのでありますが、物心両面に亘る観光客受入態勢は今尚遅々として捗つておらない。このことは結局我が國がまだ勧告事業を國策として取上げ、積極的にこの事業を推し進めて行くための方策が確立していないことに最大の原因があると思いますので、この際観光事業を重要國策の一つとして取扱い、外客を迎える必要最小限度の施設その他受入態勢を整備し、以て我が國再建の一翼を担当せしめるよう対処せられたいという趣旨でございます。本件に関しましては、すでに第一回國会におきましても概ね同様趣旨の請願があり、委員会並びに本会議において採択され、第二國会においても去る三月二十六日に、芦田総理は高田寛君の質問に対し、本事業の重要性を認め、これを國策の一つとして取上げることを明言されたのであります。
 第二の観光事業に関する綜合的中央機関設置に関しますものは、陳情第十四号外三件でありまして、現在観光事業関係事務が各行政官廳に散在しておりまして、その間に調整統一が欠けているので、総合的な中央機関を政府部内に設置して貰いたいということがその趣旨であります。本件も亦類似の請願乃至陳情が前國会においても提出せられ、採択せられているのであります。ただこれらの陳情の中には、観光審議会のようなものの設置を要望している外に、更に進んで中央行政官廳のごときものの設置を要望しておるものもあるのでありますが、
   〔議長退席、副議長著席〕
要するに何らかの形で観光事業に関する企画や指導を統一的に行う機関を設けて貰いたいというのが根本趣旨でございます。これらに対しましては、政府当局でも近く観光審議会を内閣に設置し、以て観光事業に関する根本方策を設定し、綜合調整を行うことに決定して、目下その準備を進めているとの答弁がございました。
 第三の國際観光ホテル建設に関しまするものは、外客向の観光ホテルの國営建設を要望するものと、ホテル事業に対する産業資金貸出順位の改正を要望するものとの二つに分かれているのであります。前者に関しまするものは、神戸、奈良、名古屋にそれぞれの國営のホテルを建設して貰いたいというのでありまして、この三都市につきましては、政府当局におけるホテル緊急整備計画の中にも一應予定されているものであります。いま一つの産業資金貸出順位の改正に関しますものは、現在観光施設は、設備において乙、運轉資金においては丙になつているのでありますが、我が國の現状よりいたしまして、観光施設全般につきましては止むを得ないところもあると思われますが、現下特に緊急整備を必要とする外客向ホテルについては、一般観光施設とは別に、これに優先して貸出順位の引上げをしてもらいたいというのであります。これにつきましては大藏省並びに安本当局もその趣旨を了承し、実費的に優先し得られるよう、できる限りの考慮を拂うようにしたいとの答弁がありました。
 最後の通訳案内業法の制定に関しましては、旧來の取締規則が昨年來効力を失いまいて、現在通訳案内業は事由営業状態に置かれているのでありますが、かかる状態では外客接遇上質的に遺憾の点が多く、又業者の地位も不安定であるから、一定の資格試驗を行つて免許状を交付し、指導、監督するような法規の制定を図つて貰いたいというのが趣旨であります。
 以上の請願並びに陳情につきましては、いずれも観光小委員会において、政府関係当局より詳細に説明を聽取し、極めて熱心且つ愼重に調査検討を行つたのでありますが、委員会におきましては、この小委員会の審査の結果を更に討議いたしまして、採決に付しましたところ、以上の請願並びに陳情はいずれも全会一致を以て採決し、これを議員の会議に付し、且つ内閣に送付することを要するものと議決したのであります。
 次に映画関係の請願四件について御報告申上げます。請願代八十号と第五百号の二件は、いずれも映画産業の取扱業種別引上げに関するものでありまして、その趣旨は、映画は國民大衆を啓発するため最も有力な文化的表現であり、対外的には輸出品として重要なる役割をなすにも拘わらず、今尚丙種産業の取扱を受け、資金や資材に窮しているので、映画の健全な発達のために貸出順位を引上げて貰いたいというのであります。
 次に請願第百八十九号、これは映写技術者免許制度改革に関する請願でありますが、これは映写技術者の質を向上させるために、今まで行われて來たような防火面だけについての試驗を改めると共に、官民合同の試驗委員会を設けて欲しいというのが、その趣旨であります。又請願千六十六号の映画館、劇場等の入場料金統制撤廃に関する請願は、統制の枠を外して自由料金制に改めて貰いたいというのでございます。文化委員会では具さに実情を調査した結果、右の請願に指摘された諸点は、悉く映画文化の発展に大きな障害となつておると思いますので、映画の持つ重大な使命を思い、この際できるだけ早くその障害を取除くべきであるということに意見の一致を見たのであります。次は、請願第六百二十五号、出雲大社の國宝建造物改修費國庫補助に関する請願、陳情第三百四十三号松本城の修理実施に関する陳情について申上げます。以上二件の趣旨は、建物の腐朽破損が甚だしいから、國宝保存のため國費を以て一刻も早く修理して貰いたいというのが、この請願の趣旨でございます。御承知のように出雲大社は、いわゆる大社造の様式を傳えるものとして、日本建築史上重要な意義を持つており、松本城亦戰災でこの種の建築が少なくなつた今日、その建築史的價値は一躍倍加しておるのでございます。次は、請願第百三十号、日光の國宝及び特別保護建造物の改修費國庫補助に関する請願と、陳情第三百四十五号、奈良の國宝保存に関する陳情の二件の趣旨を申しますと、日光の二社一寺も、奈良縣下一千余点に上る國宝も、日一日と朽ち損じて行く有様でありますが、その修理は地元のみの負担に堪えないから、この際國宝保存と、観光の建前から至急國費を以て修理して貰いたいというのであります。次は、請願第八十一号及び陳情第百十八号の國立長崎博物館建設に関する請願と同じく陳情でありますが、その趣旨は、長崎が古來から東西文化の接触地であつた特殊な事情を考え、現在市立博物館と縣立図書館にある日本開港史料や、キリシタン関係の史料を中心として、國立博物館を建設して貰いたいというのであります。最後に、陳情第五百八十号は用紙割当審議会に関する陳情でありますが、これは出版並びに新聞用紙の割当は、文化國家の建設に重大な影響を及ぼすものであるから、この度新しく設けられたる用紙割当審議会の委員には、天降りでなく、民間の諸團体や学会や、文化人などの総意を反映した民主的方法によつて、公平無私の人物を選んで貰いたいというのがその趣旨であります。
 以上の請願並びに陳情につきまして、文化委員会では、関係各方面より実情を聽き、またしばしば審議を重ねた結果、いずれも全会一致を以て採択し、これを議院の会議に付し、且つ内閣に送付することを要するものと議決した次第であります。以上御報告を終わります。(拍手)
#109
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願並びに陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#110
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#111
○副議長(松本治一郎君) この際日程の順序を変更し、日程第八〇より第八五までの請願及び日程第一一四の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔木下辰雄君登壇、拍手〕
#113
○木下辰雄君 只今議題となりました請願第八百二十五号外五件並びに陳情第五百六十五号について、水産委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 請願第八百二十五号は、吉里吉里漁港修築に関する請願であります。同港は太平洋岸の三陸漁場の中心に位し、漁業の盛んな所で、先に昭和八年における三陸地方震災の復旧工事で、局部的に修築したのであるが、極めて不完全なため、地元漁船も同港に着港できず、他港に廻航陸揚げする状態であるから、速やかに國庫補助により修築されたいというのであります。
 請願第八百四十一号は、鮮魚介陸揚地に対する地区別報奨物資差別撤廃に関する請願であります。その要旨は、農林省指定の甲陸揚地は、資材の配給その他あらゆる点で有利な取扱を受けておるが、地方廳指定の乙陸揚地はいろいろの点で差別的取扱いを受けている。同じく鮮魚の陸揚地であるから、平等な取扱いをして貰いたいというのであります。
 請願第八百四十三号は、漁業協同組合法制定促進に関する請願であります。この法案につきましては、すでに政府において立案中でありますが、漁業者はもとより、一般においてもこれが制定に大なる期待をかけているから、早急に実現されたいというのが願意であります。
 請願第八百八十四号は、網走市水産指導所を北海道水産試驗場支場昇格に関する請願であります。本件は樺太、千島、カムチヤツカの北洋漁場を喪失した今日、オホーツク海魚田の開発が急務である。然るに北海道水産試驗場は分場を函館、根室、稚内の三ケ所に設置しておるが、根室支場は戰災により焼失し、稚内支場は日本海々区の試驗調査であつて、オホーツク海を専門に調査研究する機関が欠けておる。オホーツク海魚田の開発をするために、現在の網走市水産指導所を國費による北海道水産試験場の支所にせられたいというのであります。
 請願第千二十三号は、南海震災被害漁港復旧事業費國庫補助に関する請願であります。請願者は三重、徳島、愛媛、和歌山縣を代表して和歌山縣知事であります。本件は、昭和二十一年十二月二十一日に発生した南海震災により、地盤の隆起と沈下とにより、前記四縣沿岸水産関係の復旧事業費に対する最高率の國庫補助を交付せられたいというのであります。
 請願第千百六十九号は、こんぶの統制撤廃に関する請願であります。撤廃の理由は、沿岸漁業に属するこんぶ採取には、資材面よりする統制は不必要であること、輸送面から見るとその八割が船舶によつて行われ、統制撤廃によつて輸送上何らの混乱を生じないこと、現在の年産十七万石の少量では國民に均等に配給することは困難であること等で、嗜好品として速やかに統制を解除されたいというのであります。
 陳情第五百六十五号は有明海の漁業取締りに関する陳情であります。有明海は瀬戸内海と同様、数縣が取締規則等を制定して、水産資源の永久維持確保を図られたいというのであります。以上が請願及び陳情の要旨であります。
 次に審議に入りまして愼重審議を重ねましたが、各委員と政府当局との質疑應答は省略いたしますが、政府においても大体においてその願意を諒といたしておるのであります。委員会といたしましては、請願第八百二十五号、同八百四十一号、同八百八十四号、同千二十三号、同千六十九号、陳情第五百六十五号はいずれも妥当と認め、議院の会議に付し、意見書を内閣に送付すべきものと決定し、請願第八百四十三号は適当と認め、議院の会議に付するものと決定いたしました。以上御報告いたします。(拍手)
#114
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り選択し、日程第八十二の請願を除き内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#115
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て選択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#116
○副議長(松本治一郎君) 日程第八六の請願を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。決算委員会理事太田敏兄君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第六十号附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔太田敏兄登壇、拍手〕
#117
○太田敏兄君 地方自治の向上発展のために、公吏にも國家会議員としての取扱い方を要望する請願について簡單に御報告いたします。本請願は、鹿兒島縣市町村議会議長会の長たる鹿児島市議会議長増田靜君より拠出されたものでありまして、昨年一一月鹿兒島市に開催せられた鹿兒島縣全市町村会の議長会総会において決議されたものでありまして、地方自治の向上発展のため公吏にも國家公務員としての取扱い方を要望するというのであります。申すまでもなく、國家公務員方は專ら國家行政の事務に從事する職員に適用されるのもでありまして、地方自治体の職員は同法の適用範囲外にあるわけであります。併し本請願は國家公務員として取扱うことを要望したものであり、決算委員会におきましては、本請願の趣旨を諒とすべきものとし、これを採択し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。但し政府側の説明では、國家公務員法をそのまま地方自治体の職員にも適用することは種々支障があるので、地方公務員法につき目下調査中とのことでありますから、政府においても速かにその調査を終了されるようにいたしたい。又現在かくのごとき事情にあることを一般に周知せしむるようにいたしたいものであるという全会一致の意見でありました。以上御報告いたします。(拍手)
#118
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに御賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#119
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#120
○副議長(松本治一郎君) 日程第一一五、観光事業に関する調査に関する件、委員長の報告を求めます。文化委員会理事金子洋文君。
    ―――――――――――――
   〔金子洋文君登壇、拍手〕
#121
○金子洋文君 観光事業に関する調査の御報告を申上げます。観光事業の健全なる発達方途に関しましては、すでに第一回國会において基礎的調査を行い、報告書を提出した通りでありますが、外國よりの観光客の來朝間近かに迫り、外客受入れの態勢を速かに整備する必要を認めましたので、今國会においても去る二月三日、議長の承認を得てこれが調査を行うこととなり、九名の委員を選んで小委員会を設け、高田委員を小委員長、團委員を副小委員長として、前後七回の小委員会を開き、差当り外客受入れ態勢整備上の基本的な問題を中心に調査検討を加えたのであります。
 一、第一回國会において採択せられた観光事業の振興に関する請願並びに陳情の処理状況の調査。右に関しましてはそれぞれ政府関係当局者の出席を求め、具体的施策の状況を詳細に聽取したのでありますが、実情はまだ積極的に進捗するまでに至つておらず、その根本的原因は、観光事業を眞に重要国策の一つとして取上げようとする政府の意思が不徹底であることによるという見解に到達しましたので、この点に関して更に政府当局の所信を質し、強く観光國策樹立の実現方を要望したのでありますが、結局これを具体的に決定し、且つ実行に移して行くためには、速かに内閣に観光事業審議会の如きものを設置することが先決であるとの結論に達したのであります。
 二、観光事業の綜合的中央機関の設置に関する調査。現存観光事業に関する事務は各省に分掌され、行政上統一を欠いているので、綜合的な中央機関を設置することの必要を認めて、数次に亘つて檢討を加えたのでありますが、差当り現段階においては内閣に観光事業審議会を設置しまして、ここで観光事業振興に関する基本方策を決定し、これを関係各省に移して実行せしめることが最も適当であるとの結論を得たのであります。又右の観光事業審議会の構成についても愼重に檢討を加えた結果、民間有識者を以て委員会を構成し、特に事務局を設置せずに、幹事をして事務を処理することにいたし、その具体的施設はこれを関係各省に移すようにするのが最も妥当であるとの結論に達したのであります。
 三、陳情並びに請願の内容に関する調査。今國会において文化委員会に付託された観光事業関係の陳情並びに請願は十七件(陳情十一件、請願六件)あり、本小委員会はこれらの内容につき、それぞれ調査檢討を加えました。
 四、綜合的観光事業振興方策に関する調査。外客受入態勢の整備については更にこれを綜合的且つ具体的に調査、檢討することが必要でありまするが、今会期中にこれを完了し、結論を見出すことは困難でありましたので、更に次の國会において引続き調査を継続したい考えであるのであります。以上御報告申上げます。(拍手)
#122
○副議長(松本治一郎君) 本日はこれにて延会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト