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1953/01/13 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第6号
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1953/01/13 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第6号

#1
第019回国会 水産委員会 第6号
昭和二十九年一月十三日(水曜日)
   午前十一時十三分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君
   理事 鈴木 善幸君 理事 辻  文雄君
      高橋 英吉君    塚原 俊郎君
      松田 鐵藏君    志賀健次郎君
      椎熊 三郎君    淡谷 悠藏君
      今澄  勇君    田中幾三郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  平野 三郎君
 委員外の出席者
        水産庁長官   清井  正君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
昭和二十八年十二月二十四日
 委員赤路友藏君辞任につき、その補欠として滝
 井義高君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十九年度水産関係予算に関する件
    ―――――――――――――
#2
○田口委員長 これより会議を開きます。
 本日の政府出席者は平野農林政務次官、清井水産庁長官であります。
 ただいまから昭和二十九年度水産庁関係諸施策の裏づけとなるべき予算について、政府の説明を聴取いたしたいと思います。清井水産庁長官。
#3
○清井説明員 水産関係予算の現況について、ごく概略ただいままでの状況を御説明申し上げます。
 御承知の通り水産関係予算は、漁港に関する公共事業費と、その他一般会計予算との二つに大きくわかれる次第でございます。
 まず一般会計予算につきましては、予算編成上前年度になりますが、二十八年度の一般会計の水産庁予算額は二十六億九千五百万円程度でございます。それに対しまして二十九年度といたしまして、私どもが水産政策の進展維持のために組みました予算額が、全部で五十七億でございます。それに対して、ただいままでのところ、大蔵省において査定をいたして参りました数字が、十七億二千六百万円ということになつておりますので、前年度の二十六億九千五百万円に比較いたしますと、相当の減額を見ておるわけであります。すなわち二十六億九千五百万円に対しまして、十七億二千六百万円ということでありますので、約九億近いものが減額になつておるのであります。それに対しまして、私ども目下事務的に重要事項につきまして、しきりに大蔵事務当局と復活要求について折衝いたしている最中でございます。ただいまからもさらに私どもが参りまして、最後的な事務的折衝に移る段階に相なつておる次第でございます。
 それから公共事業費の方は、これは漁港でございますが、二十八年度が修築事業だけで二十億五千四百万円、それに対しまして要求額が五十二億、それに対する査定額が十七億二千二百万円、前年度よりも減という査定になつておるのであります。公共事業の方は査定の方針が二十九年度の新規事業は一切認めない。二十八年度についても、すなわち本年度着工の分についてもこれを休止する。その他の費用についてもできるだけこれを圧縮する。こういうことが方針として査定になつておるような次第であります。この点につきましても目下私どもはせつかく復活要求について努力をいたしまして、大蔵事務当局と折衝中でございます。
 一般会計の方も総額について申し上げましたが、その根本的な方法といたしましては、いわゆる新規事業は一切これを認めないという方針でございます。それから補助金につきましては、これは重点的に査定をいたしておりましてほとんど補助金は削られておる状況でございます。その他人件費補助、あるいは調整委員会の費用等は、これは金額はある程度査定して、いわゆる平衡交付金的な性格にこれを組みかえるということにいたしまして、水産庁の予算から削減をいたしております。そういうようなことがかくのごとくにひどい査定を受けました根本の原因であろうかと思うのであります。私どもは先ほど申し上げました通り、水産行政の建前上、目下強力に大蔵省に対して復活要求をいたしておる次第でございます。簡単でありますが以上概要を御説明申し上げました。
#4
○田口委員長 ただいまの説明に対し質疑があればこれを許します。
#5
○川村委員 ただいま水産庁長官から昭和二十九年度の水産関係の予算の概要についてお話があつたのでございますが、もちろんわれわれもこれまでいろいろ水産庁とも折衝しておりますので、大体その内容はわかつておりますが、われわれといたしましては、もちろん公共事業費等の問題については、昭和二十八年度着工の漁港の予算を削減するとか、あるいはそれ以前のものでも経済効果の上らないものは、もう予算の考慮に入れないとか、あるいはその他いろいろの施設についても、新規のものは認めないといつたようなことが、今長官からお話がありましたが、この点についてはわれわれは何としても政府の今考えておることとは一致しておりませんので、承服はできないのであります。しかれども、御承知の通り今年はどうしても緊縮予算で、一兆円の範囲内でとどめるといつたような空気が相当に強いので、このままにしておきますると、水産予算はまたぞろ不公平を見るのではなかろうかということを考えておりますし、ことに昭和二十八年度の予算の配分の場合に、農林省で一括増額された分の配分については、水産関係には相当に削減をした配分をしたというような例がありますので、この点について、まず水産予算のうちで最も重要なものどれどれをどうしても復活をしなければならぬというようなことを、水産長官で考えておられると思いますから、長官から最も重点的にこれを増額しなければならぬという点を伺いたい。と同時に、平野政務次官にお願いしたいのは、もし農林省関係の予算が一括三百億なりあるいは二百億なり来た場合に、水産関係の予算に不公平にならないように、公平に配分してもらわなければなりませんので、少くとも私の意見といたしましては、たといいかなる場合も水産関係は十億を下つての増額はわれわれ承服できませんが、私考えておりますことは、農林省に一括増額されて来た場合は、少くも十億という線を水産関係に配分していただくようにお願いいたしたいのでございますが、この点どうぞ御両所からお答えを願いたいのであります。
#6
○清井説明員 ただいま重点事項についてどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、御承知の通り、これは総体的に削減を受けておりますので、私どもといたしましては、これは総体的に復活要求をしておるような状況でございます。ただ何と申しましても、私どもが重要に考えておりますものの一つといたしましては、まず漁港の問題を考えなければならぬと思つています。これは申すまでもたく漁港が水産業の基本線であることは申すまでもないのでありますが、これにつきまして相当程度の削減を受けております。これについて最も重点を置いておるものの一つでありますが、私どもただいまこの点につきましては、かりに二十九年度の新規事業についてはやむを得ないといたしましても、本年度着工いたしましたものがそのまま休止になるということは、単にこれは休止だけにとどまらず、航行の安全を妨害し、あるいは地元の負担を増大し、あるいはせつかくかけた国家投資がかえつてマイナスになるということが確実であります。この点はほかの公共事業とも違つた漁港の特殊な事情でないかと思いますが、この点がまず漁港予算としては一番重要な点であると思います。
 その他一般の継続事業の分につきましても、これは相当削減を受けておりますので、こういうことではとうてい相ならぬと思つておりますので、その両方の点につきまして水産庁予算としては復活要求しなければならぬものと考えております。またいろいろその他にもございますが、そのうち注目すべき問題としては、いわゆる沿岸の増殖の問題、この予算がいわゆる重要貝類の養殖施設の補助金を除いては全部削除を受けております。そこでこの関係は、沿岸漁業の最近の情勢にかんがみ、漁業調整の必要からわれわれといたしましては転換を促進して、沿岸漁業の安定をはかるという見地から申しましても、沿岸の増殖振興ということにつきましてはきわめて重要な施策であるのであります。この点がほとんど徹底的に削減を受けておりますので、この点も私どもといたしましては重点的に復活要求をしなければならぬものの一つの重点である、こういうふうに考えております。
 またさきに議員立法でもつて御修正になりましたところのいわゆる漁船保険組合のトン数の問題であります。これはただいまでは二十トンという限度まで切られているのであります。これは単に事務的な問題のみならず、いろいろな観点からいたしましてもきわめて重要な問題でありますので、この点もあくまで私どもは復活要求をいたさなければならぬものと考えております。その他にもいろいろございます。あるいは漁船乗組員の養成の問題であるとか、あるいはその他保険制度に伴う調査の問題であるとか、あるいは中小漁業の金融機関に対する繰入れの問題であるとか、その他事務的に申しましても、各方面にわたりまして復活要求をすべき問題が多いのでありますが、その点私どもきよう、あすが山ではないかと思つておりますので、全力を尽して事務的には大蔵省に対して復活要求をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#7
○平野政府委員 衆議院の水産委員会におかれましては、自然休会中本日特に本委員会をお開きになりまして、二十九年度予算に関し審議を進められますことは、まことに敬意を表する次第でございます。
 現在問題になつておりまする予算原案は、単に大蔵省の一試案にすぎないのでございまして、政府としては目下基本的態度の審議を進めておる、こういう段階であり、いずれ近く国会に提出をいたしまする政府案は、十分政府の所信を盛つたものができると存じておる次第でございます。本日は農林大臣が出席をいたしましてこの所信を表明いたすべきでありますが、ただいま予算の折衝の最中でありますので、まことに申訳ございませんが、私がかわつて参つたような次第でございます。
 政府といたしましては、去る十二月十五日に衆議院の本会議におかれまして、食糧増産並びに国民食生活改善に関する決議が全会一致をもつて行われております。これはすなわち政府に対する至上命令と考えておりまするので、この決議の趣旨に沿つて予算を編成すべきものであると存ずるわけでございます。そういたしますると、当然食糧増産関係については特段の措置を講じますると同時に、特に食生活改善という点からいいますると、水産行政というものを大いに推進しなければならないと存じます。国会の御意思はなるべく外米の輸入を削減して、これにかわるべき食生活を立てよう、こういうことでございまして、現にこの大蔵原案におきましても、輸入補給金は昨年の三百億から本年は百億で、二百億も減少いたしておるわけであります。当然これらは、こうした米麦以外の他の食糧資源の確保に向つて邁進すべきである、かように考えられるわけでございまするので、特にその点から申しましても、水産行政の推進をはからなければならぬと存じます。これは単に予算上消極的なものではなくして、水産予算を増額することは、結局においては財源的に申しましても、むしろプラスになる積極的な施策である、こういう点から言いましても、財政の観点からいつても必要である、かように考えるような次第でございます。ただ政府の最終案は目下審議中でございまして、まだどういう結論に達するかということはわかりませんので、ただいま川村委員のお尋ねでございまするところの、農林省の内部において水産の重点をどの程度に置くか、こういう点につきましては、数学的には申し上げかねる段階でございまするけれども、農林省という立場から申しましても、水産行政というものに特段の重点を置いて編成をいたしたい、かように思つておる次第でございます。
#8
○松田(鐵)委員 平野政務次官及び水産庁長官のただいまの御意見を承つて実に意を強うするものでありますが、何としても日本の国の食糧を増産するという建前が日本の経済の安定であり、日本国民の最も重大に考えなければならぬところであることは論をまたないのであります。しかして一面に、道路、工場その他の施設によりまして、三万町歩の農地が縮小されつつある。これは実に重大なものであります。しかし日本の国が伸び行くためにはやむを得ないこれも一つの現象である。農地の縮小というものは自分の身を切られるような非常な痛手である。しかし伸び行くためにはやむを得ない事柄であるとわれわれも考えている。さてしからば、その切られつつある豊地のかわりをどこに求めるかというと、私は、無限の富がある海に持つて行かなかつたならば、日本の国というものの前途がどうなるかということをよく考えなければならないのであります。これは小さな議論でなく――やれ水産予算を増せとか農林予算を増せとかいうような議論でなく、日本の前途、日本の国というものがどうして行かなければならないかという観点から、高度にこれを考えて行かなければならないものであると私どもは考えるのであります。この意味で私も政調会及び総務会にもいろいろ意見を申し上げている。さて、農地の三万町歩をどういうようにしてこれを有利に広げて行くかということは、ただいま申し上げたように海以外にない。しからば海はどういう方法によつて開拓できるかというならば、一にも二にも漁港をつくらなければならないということになるのではなかろうか。漁港をつくるということも政府としても十分考えられて、しかも漁港法の制定を見て、漁港審議会の安が国会に承認されて初めて漁港というものが予算づけられて行つておるのであります。これらも――本年のいろいろな事情はよくわかる。一兆億内にとどめんとする、日本のインフレーションを克服しなければならない日本の国の経済のためという議論もわかる。しかし、その点に対してはわれわれも協力をし、あらゆる面から協力をして行かなければならないのであるが、ただいままでの議論のように、縮めることのみが日本のインフレーションを克服するのではない。縮めることは大いに縮めなければならない。しかし伸び行くことをも考慮に入れて、どちらが日本の国の経済の安定になるかということから考えて行かなければならないものであろうと存ずるのであります。よつて漁港予算というものは、日本水産というものから言つたならば一番重大なものであるのであります。平野政務次官は私の親友であり、この点は常に論議しておるものでありますから、この点に対する十分な認識を持つて政府内においても折衝していただきたいと私は考えるのであります。
 それと並行いたしまして、日本の漁船に対する大蔵省の考え方は、まだ五年前のことを考えておるにすぎない。それは、政府、原案として出た漁船保険に対する二十トンという、限度をきめたこと、それによつて予算を前に表わしておる。しかし今の日本の漁船というものは、二十トンというものはほんとうにそれは沿岸の漁民であつて、日本の漁業の中心をなすものは中位漁業者である。資本漁業者の次に位しておる中位の漁業者であるのであります。これらはたとえばかつおづりであるとか、機船底びきであるとか、またはまぐろづりであるとか、さばつりであるとか、ほとんど日本の漁業というものの中心をなしておるのは二十トンの漁船ではなく、それではとうてい海洋に出ることができ得ないのであります。こういう観点から、百トンまでこれを増額して、そうして一般の漁民にこのりつぱな法律を適用させてやろうというのが私ども委員会の全会一致の気持であつて、この法律の制定を見たものであります。ところが大蔵省の頑迷なる五年前の考え方をいまだに踏襲して、法律に制定されておるものに対してまでもその予算を削減するなどということは憲法違反であります。それを、内示されておる内容を見るというと、あえてそのことがはつきり現われておるのであります。平野政務次官は政府に対して、こうした日本の漁業の中心をなす漁船に対するあり方を御説明を願つて、この法律を守り、日本の漁民を守つて行くということをよくお考えになつて、力説していただきたいと思うのであります。その他にいろいろ先ほど長官から、重点的にこの点点という御議論もありましたけれども、中にもこの漁港の問題と漁船保険という問題は、三万町歩の土地を回復する唯一の政策であると信ずるものでありますので、どうかこの点政府に対して正しい御議論をなされてこの予算の復活を十分御検討されんことを切望するものであります。
#9
○椎熊委員 私、遅れて参りましたので前段は承りませんでしたが、ただいま平野君がお話になつたことは非常に重大な内容を包蔵していると私は思う。従つて、念のため特に本日この機会に承つておきたいが、ただいま世上に流布されている来年度予算というものは大蔵省の試案であると言われたのであります。何であつても政府の案であることだけは間違いあるまいと思うが、それに対して吉田総理大臣は、復活要求を認めてはならぬという態度を表現しておられるようであります。特に重大な点は、昨日の閣議においてあれだけの議論があつたにもかかわらず、なお一兆億を越してはならぬと言明されておることであります。その上、特に復活要求の大きな問題になつております農林省の予算については、特に総理大臣は官邸に保利農林大臣を招致せられて、たとい食糧増産ができないようなことがあつてもこの予算の本格をくずしてはならぬという言明をせられたと本朝の新聞に出ている。平野君のただいまのお言葉は、われわれにとつては非常に心強い言葉ではあつたけれども、それがただ単にその場限りのわれわれに対する気休めであるならば、かえつてそれは軽蔑される。この重大なる段階に来て、あなたは副大臣たるの要職におられるのですから、ほんとうのことを言つてもらいたいのです。今、保利農林大臣を通じて大蔵省と最後的折衝をする段階にあたつて水産庁関係の予算はどれどれに重点を置いて、どの程度の復活の要求をしているか、そうしてこの最低限として譲れない線はここであるということを、この委員会で言明してもらいたい。もう予算は、十五日に政府は決定するのです。その十五日に決定しなければ、印刷等の関係もあつて二十六日までに提出できないのです。それですから、ここ一両目が山です。水産庁長官は、その点については、おそらく最後の線に確信があられるであろう。また確信がないにしても、この線だけは職を略しても主張するのだという線があるに遠いない、それを私どもは聞きたい。私どもは、国家内外の状況を達観して、非常なる切り詰めたる予算でやって行かなければ日本は立つて行かれぬという状態をも了解しないわけではありません。従つて、あなた方の決意いかんによつてはわれわれは大いにあなた方に協力したいとさえ思つておるのでありまするから、この際は、単なる気休めでなしに、水産庁に関する限り、最後段階ではこの線とこの線でどれだけの予算を要求して、一歩も譲らぬという御決意のほどを披瀝していただきたいのであります。率直にお答え願います。
#10
○平野政府委員 このただいま問題になつております予算案は、単に大蔵省の一試案であつて決して政府の案ではないということははつきり申し上げておく次第でございます。従つて、来るべき国会に提出をされます予算案は、この大蔵省の原案とは同一のものではないということは確信を持つておるのでございます。また農林大臣がすでにいろいろな機会において言明いたしておりますように、もしこの大蔵原案がそのまま政府案になるという場合においては、とうてい農林行政に対する責任は持てないということを明言いたしておる次第でございます。特にこの予算案は、多数の法律を廃止または大幅に修正することが内容となつておりますので、私どもはこの原案につきまして、農林省関係だけの法律をいろいろ調べておりますが、絶対に法律違反になると想像されるものが十一件ございます。そのほかにおそらく寸法の趣旨に反するであろうと考えられるものがこれまた十数件、実に三十件近い法律を改正または廃止するということが前提となつておるのであります。水産関係におきましても、先ほど松川委員の御意見にございましたような漁船損害補償法、これも水産委員会において修正をせられましたことを無視した予算の内容となつておるのでございます。これはもちろんたくさんの法律の中でありますから、廃止または修正を適当とするというものも、いろいろ客観情勢の変化によつてあろうかとは存じますけれども、農林大臣はすでに、この中でたとえば農産物価格安定法のごとき重大なる法律を廃止するというようなことは、農林大臣として上りもむしろ一議員として、一政治家としてでも絶対に同意できないということを、これまた明言しておるような次第でありまして、非常な強い態度をもつて目下鋭く対立をしておるという状況でございます。今椎熊委員から、総理がこの大蔵原案をそのまま政府案にせよというような指示を閣議でしたとかいうお話でございますが、そういうことは絶対にないということを私は信じております。昨日総理大臣と農林大臣とが会見をいたしましたけれども、そのときもそういう話は全然なかつたように聞いているのでありまして、総理としては極力緊縮予算を編成するように、その一つの目途として一兆円ということを申していることは事実でございますが、これは改進党におかせられましてもそういう御方針であるように承つているわけでございます。ただそういう抽象的な一つの建前として進んでいるだけでありまして、食糧増産を無視してもよいというようなことは絶対にないのであります。今回の予算大綱の中にも、実は治山治水、道路に重点を置くということになつておりまして、食糧増産ということが抜けているわけであります。この点についてははなはだ遺憾であるということで、農林大臣から総理大臣に申入れをいたしたのでありますが、総理大臣としては、食糧増産ということはもう当然のことであつて、これは毎年々々あらためて言わなくてもわかり切つたことであるから、特にそういう意味において出していないだけであつて、これはきまつたことである、しいてこれがないということであれば、治山治水の中に当然食糧増産というものは含まれておるという意見を表明せられたようなわけであつて、決して総理がこの大蔵原案を強行しようとしておるとか、押しつけようとしておるとかいうことは絶対にないのでありまして、こういう点から椎熊委員の御意見に従つて進むつもりでおりますので、決して気休めであるとか、無責任なことを申し上げておるつもりはないのでございまして、御了承いただきたいと思います。
#11
○椎熊委員 私は、平野君は決して無責任なことを言つておるとは思つていないのですが、総理が一兆億円以内においてやれということを閣議で言明しておるのはきのうだけではない、旧臘以来のことです。あなたの言われる大蔵省試案なるものと一兆億との間にはわずか五十億の開きよりない。各省が殺到してそれをわけ合うというような状況である。私は一兆億で納まるかどうか、将来の問題ですからわからないにしても、あなたが今おつしやつただけでも法律違反と思われるものが十一件、趣旨に反すると思われるものを合せて三十件に及んでおる。農林省だけのその違反をしないようにするだけでも五十億を越すのです。きのう閣議では、食糧の増産はしなくとも一兆億にとどめると言つたと私は言うのではない。総理大臣の官邸に保利農林大臣を特に呼んでお話になつたことは、新聞に内容が伝えられておるのが真相だとすれば、農林省の食糧増産の関係は復活要求中でも重大であり、かつまた金額においても各省に比較にならないほど大きいものなんです。それを一兆億の範囲でやるように相談しておるということだと、法律違反に類しあるいは趣旨に反するがごときことをやめただけでも、それではとうてい一兆億円では納まらないことになる。そこでこれ以上は平野君には聞きません。あなたは政治的のお話をしておられるのだろうから、それ以上のことは申しませんが、水産庁長官から、最後の段階において、水産庁に関する限り、最後の線として、これとこれとこれは断じて譲れないという数字をあわせて言明願いたい。
#12
○清井説明員 ただいまの御質問でございますが、この点は先ほども申し上げたのでございますが、私どもの予算も全面的に削減を受けておりますので、事務的に申しましても、各方面でいろいろ復活しなければならぬものがあるのであります。そこでただいまでも数次大蔵省と部分的に折衝を続けて参つておりますけれども、現在のところではほとんど復活が認められておりません。私どもいろいろ考究いたしまして、本日ただいまから最後の事務的折衝に移る段階に入つておるわけであります。私どもも、こういうような状況で昨年度よりも十億近い削減を受けておるような現状であります。私どもとしては、どれもこれも実は復活したいと考えておりますが、しかしこれはそう申しましてもなかなかそうばかりも行かない点もあるかと思います。私どもが今その点につきまして最も重点と考えておりますのは、三点だと思つております。その点は一つは漁港修築事業関係の公共事業であります。それから一つは漁船損害補償制度の問題であります。もう一つは沿岸漁業の水産増殖の問題であります。この三点を超重点と申しますか、最も重点のものというように考えております。漁港につきましては先ほど来もお話がありましたが、私どもといたしましては、大蔵省の言うごとくに新規事業は一切認めない、あるいは二十八年度に新規着手したものは休止する、あるいは従前の継続のものも相当削減をするとゆうようなことであつては、水産業の基本である漁港の完成は絶対に期せられないという立場から、私どもも強烈に復活要求をいたしておるのであります。新規事業はかりに認められないといたしましても、今まで本年度着工したものを休止することは、これは弊害があるのです。それを休止することによつてむしろ国家財政をむだに投じたことになるのであるから、この点はぜひ復活しなければならぬと思います。また従来の継続事業の部分も相当減額せられておりますが、そういうことであつてはならぬので、漁港の修築ということはすなわち漁業の基本政策でありますから、ぜひとも復活をしなければならぬと思つて、大蔵省方面とも十分に連絡をいたしておるような次第であります。
 それから漁船損害補償の問題は、ただいままでは二十トンまでがいわゆる強制加入でありまして、それにかりに入りましたものには保険料の二分の一を国家が補助することになつております。それが先般法規改正によりまして二十トンが百トンまで引上げられたのであります。それが新年度より施行されることになつておりますので、私どもは実はその予算を組んでおるのであります。ところが大蔵省の査定は、いわゆる現在通りの二十トンまでにしております。そういうようなことであつては相なりません。単にこれは損害補償というだけの見地でありませんので、これは零細なる事業者の一般の経営安定という面から見ましても、ぜひともこの制度を続けたいと思いますので、これは関係当局とも打合せをしなければならぬと思います。
 それから第三点の沿岸の増殖の問題でありますが、この点は御承知の通り、ただいま沿岸の資源が少くなつて参りまして、だんだん沖合い沖合いへと出ておるような状況であります。しかしやはり沿岸の資源は、ごく零細なる漁民に残しておかなければならぬものであります。外に出られる者は出てもいいが、どうしても出られない漁業者があるわけでありますから、彼らのためにどうしても沿岸増殖の振興、沿岸漁業の進展からも、これは持続しなければならぬと思います。そういう意味におきまして、まだそのほかにもございますけれども、まずこれら三点に重点を置きまして、事務的には復活することにして参りたい、こう考えております。
#13
○椎熊委員 水産庁長官が率直に腹を割つてくださいましたので、私は非常に感謝いたします。私は水産庁に何も皮肉を言つたり、反抗したりしているのではなくて、むしろあなた方の立場に同情しておるわけなのであります。そうしてでき得べくんば御応援申し上げまして、あなた方の志を貫徹させたいというのが私どもの趣旨なのであります。その点は誤解のないようにお願いいたします。
 ただいまのお答えによりますと、第一点漁港の問題、第二点漁船損害補償の問題、第三点沿岸漁業増殖の問題というように、われわれ当委員会におきましても、かねて非常に重点的に考えておつた問題のみでございます。せめてこの段階に来ますならば、今あなたが説明せられたこの三点だけでも確保してもらいたい。われわれこれ以上に他の要求は持つておりますけれども、刻下非常の際でもあり、あなた方の立場も考慮してせめて本日言明せられたこれだけは、予算の上に明らかに明示せられるような努力がほしいのであります。平野政務次官におかれましては、特に政治家たるの一つの責任上、断固としてこれを遂行するにあらずんば、あなたは将来政治家としての見込みはないことになりますから、どうかひとつその点も十分――特に私はあなたにこういう失礼な言葉を使うゆえんのものは、あなたのお父さん時代から全部私は同志として交わつて来て、若いあなたの将来の発展をこいねがうがゆえにであります。あなたはこの席上において、私の前でそれだけのことをおつしやつた以上は、断固農林政務次官としてのあなたの働きの上からも、予算の上にはこの三点だけを確保してもらわなければ、私はあなたを尊敬することができないに至るかもしれぬということを、念のために申し添えておきます。
#14
○淡谷委員 水産庁長官に質問いたしますが、今度の予算で継続事業の休止が大分ございます。特に漁港などでは、貧しい地元の負担において着手しておる事業がございます。これは打切りになればもちろんですが、打切りにならないまでも、ある年度をおいてまたやり始める、今までかかつた経費がほとんどむだになるようなおそれもあるのでございます。こういう点についてこのまま休止になるのか、あるいは何年後に再びこの事業にとりかかるのか、この場合に今までやつた事業がむだになつて、多大な経費の損害が生ずるおそれがあるかないか、御意見を伺いたいと思うのであります。
#15
○清井説明員 ただいままで私が御説明申し上げましたのは、淡谷委員の実は御心配の趣旨で私どもは心配をいたしておるのであります。継続事業につきましても、あるいは本年度着工のものにつきましても、これを中途はんぱなことをいたしますれば、かえつてマイナスになるのじやないかということを心配いたしまして、そういう旨を事務的には十分に大蔵省には説明いたしておるわけでありますので、私どもはただいま申し上げた線に沿つて最後まで努力をいたしたい、かように考えております。
#16
○淡谷委員 よくわかりました。それで全般的に水産庁の予算だけではございませんが、今度の大蔵省の示した試案というものを見ますと、水産庁関係の予算は、全面的に大削減をされておる状態であります。どうも緊縮予算緊縮予算と申しておりますが、一兆円というわくを越えないという総理の言明は、緊縮でなくして現状維持であるように考えられます。それを農林予算が特に大きく削られ、あるいは社会保障その他の予算が大きく削られながら、一兆円のわくが別段変化しないということになれば、これはどこかふくれている場所があるだろうと考えられる。これは言うまでもなく防衛費と普通称されております保安庁関係の予算が大きく浮び上つて来るのであります。それからもしそういうふうなことで一兆円というわくはどうしてもくずせないということであるならば、予算の緊急度でございます。一体食糧増産と防衛予算とどつちが緊急度が高いか、こういう点について考えてみますと、今なまはんかな保安隊の増強なんかするよりは、むしろ国内の治安状況から申しましても、あるいは生活の安定上から申しましても、農林関係の予算、これに極端な重点を置かなければ、とうてい国内治安さえ私ははかつて行けないという観点に立つております。従つて今度の削減されました予算は、もしどうしても一兆円のわく内にとどめるという方針が堅持されるのであれば、緊急度に応じて主張すべきものは主張するという建前に立つというのが本筋であると私は考えます。その点につきまして農林次官が、このわく内における予算でも、なおこの水産庁の主張せられております予算を強く主張する御覚悟がございますかどうか、はつきりこの際伺いたいと思います。
#17
○平野政府委員 今回一兆円というわくでもつて行けば現状維持になるのではないか、現状維持にならないというのは、ほかのものがふくれておるというお話で、防衛費をおあげになりましたが、防衛費は三百六十億ぐらいふえておるだけでありまして、最も大きいものは災害復旧並びに軍人恩給の増額、また国家公務員のベース・アップというようなことがむしろ大きなファクターになつておるわけでございます。
 なおまた予算全体の財政論議は別の機会において詳細述べたいと存じますけれども、私どもとしては、食糧増産ということは、予算の緊縮という建前は堅持いたしますけれども、決してこれは単なる消極的なものではなくして、先ほども申し上げましたように、なるべく外米の輸入を削減し、なお輸入補給金も二百億も減つておるわけでありますから、これは先般十二月十五日の国会の食糧増産並びに国民食生活改善に関する決議の趣旨にも体し、またこれらの輸入補給金を国内の食糧増産、ことにこういつた水産資源の開拓という面に向つて進めることは、財政的に言つてもむしろプラスになるのだ、こういう建前から主張いたしておるようなわけでございまして、なおまた一兆円ということも、これは抽象的な緊縮という建前の議論でありまして、一兆円を一円越せばもうそれでいけないのだというようなしやくし定規的なものではないと思つております。また一兆円というわくの内部におきましても、先ほど椎熊委員から、なるほど五十七億しか残つておらぬ、こういうことでありまして、法律の改正または廃止ができなければ、それだけでも五十億以上ふくれるではないか、農林省関係の法律たけでもそういうことになるのじやないかというお話がございましたが、必すしもそうでもないのでありまして、今回の法律の改正によつてそれが不可能な場合におきまして五十数億ふくれましても、そのうち多くのものは平衡交付金の中に入つておるのでありますから、これがもどつて来る、こういうわけでありまして、決してそういうわけでもございません。また一兆円のわく内におきましても、もう五十七億しか残つておらぬというきゆうくつなものではないのでありまして、他の費目の削減あるいは流用等のいろいろな措置によつて、復活財源はより以上のものが相当期待されるというようにも考えられるわけでありまして、いずれにいたしましても私どもといたしましては国会の院議を尊重し、また食糧増産の根本の趣旨を没却しないような予算だけは確保しなければならない、こういう一大決意をもつて邁進をする覚悟でおります。
#18
○淡谷委員 たいへん明るい見通しを伺つて欣快に存ずるのでありますが、ただいまの防衛費の関係等につきましても、一般病人やあるいは零細な人たちの生活費を削つて出しております旧軍人恩給費なども、私たちはこれを広義な意味における防衛費予算と考えております。この比率が相当大きくなつておるようでございます。それから何か含みのある御発言でありましたが、歳入の見込額、約一千億円ぐらいの補正予算に見込んでおる財源があるように伺つておりますが、こういう点なども若干御考慮になつておりますかどうか、もう一度お伺いいたします。
#19
○平野政府委員 予算全体の財政論議は、今申し上げましたように別の機会においてまた申し述べたいと存ずるわけでございますが、お話のように、歳入の面においては相当余力がございます。しかしながら目下いわゆる国際収支が非常な逆調を来しておりまするし、また悪性インフレの傾向もありまするので、歳入においての余裕財源はありますけれども、この際はできるだけ歳出を押えて行くことが適当ではないか、こういう考えを持つておるわけでありまして、財源があるからそれだけ全部出せばよいという考えは、現在のところは持つておらないわけでございます。
#20
○淡谷委員 私これでとどめますけれども、言うまでもなく、最近の漁村の生活、特に李承晩ラインや、あるいは中共、ソ連の拿捕船、アラフラ海の問題等、こういうふうな、外交上の失敗から来る国内の漁民生活を圧迫する面が強く出て参つております。従つてこれら沿岸漁民の生活がこの予算削減によつて、これ以上著しく圧迫されるような状態に立ち至りましては、これは国家の政治上に一大災害が起るといつたような憂えも多分にございます。ただいまの御答弁によりましては、なお押せば押し得るような財政上の余裕があるように考えられますので、この際大英断をもつて所期の目的を貫徹されるようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。
#21
○辻(文)委員 もう各委員の方々からの御質問、また水産庁長官や平野さんの御答弁で尽されているように思いますけれども、簡単にちよつと申し上げたいと思います。
 賃金の話が出たり、防衛の話が出たりいたしましたけれども、そういうことは全般の予算審議で、予算委員会や本会議でおやりになりましよう。われわれもまた組みかえその他で、いよいよ審議に上りましたときに各自がやることと思いますけれども、かりに一兆円で押えた場合に淡谷委員のお話のように防衛費から振りかえる、こういう場合のことも、次官の御答弁その他を考えますと、私どももやはりほんとうの防衛がどこにあるかというようなことを考えてみたい。真の生活の安定なくして、そうして、軍とは言つておりませんけれども、さような設備をして、それで防衛ができるか。私の友人に、名前は伏せますけれども、首相のよく知つた方があります。その人に私が李承晩ラインの問題の時分に、もし戦うとしたら自信があるかということを聞いたことがあるのであります。もしフリゲート同士の戦いをしても、練習不足だから、終戦のときにあそこまで軍をたたきつぶされて、戦えるとは思わないが、これはやはりスピリットの問題だから、日本人はそういう点においては心強い。しかしもし空の戦いということになれば、一機と一機の性能から言つても、二億円くらいかかる新しい飛行機を持たなければかなわないのだ。これに即していろいろその他の近代科学兵器を備えてどうするという、それを裏づける金額はどれくらいか、従つて予算をどれくらい組めばいいかということまで、お互いが座談的に話合つたことがあります。そのことから私が感じますのは、今の日本のもう少し幅を伸ばした防衛をやつても、真の防衛にならぬ。そういうことだつたら、現実の日本としては、私どもはこういう重大な、たとえば食糧資源とかあるいは人心のおちつきを得ること、ひいては国民生活の安定とか、こういうところに重点を置いてこそ、私はほんとうの防衛になると思う。そうしてこれと外交の今後の問題とマッチして行けば、私どもはほんとうの防衛になりはせぬか、ほんとうの平和を考えて行けるのではないか、こういうことを考えておりますので、私は防衛費としては三百六十億くらいしか組んでないという話には納得行かない。やはりこういう重大なものを、たとえば水産関係だけでも私どもは片づけて行かなければならぬ。今さら私が長いこと申し上げなくても、椎熊委員から一言おつしやいましたように、長官がこの要求だけは通さなければならぬと言われた漁港修築の問題にしろ、あるいは代船の建造に対することにしろ、その他漁港修築のみならず、十分私どもの考えなければならぬのは、今日外交が弱いとか強いとかいうことを陰で言いますけれども、中共の方面からも御承知のように拿捕されており、どこに持つて行かなければならぬかということは必然的にわかつております。それに淡谷委員が言われた通り、そういうこともできない零細漁民は沿岸でいかに救わなければならぬか、こういう重要問題の方に予算を十分切りかえてとつていただくのが、私はほんとうだと思う。こういう意味で御答弁を得まして私どもは非常に心強く思つておりますので、ぜひでき得ることなら、今私の申し上げたようなことも平野次官は、先ほど椎熊委員がおつしやいました通り、十分将来に備えて、腹をすえてひとつ御交渉願うように、むしろ質問と申すよりも私は要望を申し上げて終りたいと思います。お願いいたします。
#22
○鈴木(善)委員 昭和三十九年度の予算編成の背景をなしますのは、申すまでもなくわが国の重大な危機に立つております経済状態を前提とするものでなければならぬわけでありまして、わが国の経済が国内のインフレ、物価高を要因といたしまして、国際収支が極度に悪化しているというところに特徴的に現われていると思うのであります。そこで私どもは、二十九年度予算はあくまでこの国際収支の改善という面に焦点を合せた施策が盛られなければならない、こう考えるものであります。私どもの委員会がかねて主張しておりますように、わが国の水産業は総合的な食糧政策の重要な一環といたしまして、輸入食糧を削減する最も有力なるところの要素をなしておるのであります。今年度の大蔵省の予算原案を見ましても、先ほど政務次官が言われましたように、二百億円の輸入食糧の補給金が削減をされておる。こういうように輸入食糧を極度に削減いたしますれば、それを補給いたしますために蛋白、脂肪等の食糧資源をできるだけ開発、増強いたしましてこれを補う以外にない。畜産業、水産業の食糧自給度の確保の上に占める地位は、二十九年度において非常に重大に相なつて来るわけであります。しかも畜産業と違いまして、水産の資源は船を増強する、あるいは漁港を整備するということによりましてただちに効果を発揮いたすのでありまして、私どもは、一方において輸入食糧を削減し、外貨の消耗を規制するということでありまするならば、その裏うちとしまして、水産食糧の飛躍的な増産確保という施策が当然行われなければならない、こう思うのでありますが、この面において大蔵省の官僚予算は非常に欠くるところがある、焦点に合わないということをはつきり指摘することができると思うのであります。またもう一面、水産業におきましてはまぐろ、かつおの一魚種だけをとらえましても、三千万ドル以上の輸出をいたしまして外貨を獲得いたしておるのであります。これはおそらく生糸に上まわる輸出額でありまして、いかにわが国の輸出水産物が、国際収支の改善の上に大きな役割を果しておるかということは、論をまたないと思うのであります。
 こういうように一面におきまして輸入食糧の削減をはかつて外貨の節約をはかり、さらに積極的に輸出水産物の増産確保をはかることによつて外貨をかせぐ、こういうような両面からいたしまして、わが国が現在置かれておりますところの国際収支の改善、わが国のその面におけるところの経済危機というものを打破する重要な役割を果しておるものと私ども確信いたしておるのでありまして、私どもは二十九年度の予算の特質にかんがみましても、水産政策はこの際むしろ積極的に打出すべきである、こう確信をいたしておるのであります。これは平野政務次官も十分御承知の点でありまして、私どもは農林当局に協力をいたしまして、水産予算の確保ということにつきまして委員会としても全面的な協力をいたしたい、こう思うのであります。こういう意味合いからいたしまして、私はここに決議の動議を提出いたしたいと思うのであります。
 案文を朗読いたします。
   昭和二十九年度水産関係予算に関する件
  昭和二十九年度水産関係予算の大蔵省原案は、衆議院本会議並びに水産委員会の立法及び決議を無視し、自立経済確立上重要使命を有する水産業の恒久的国策を危くするものである。特に、明年度は栄養食糧の増産、水産物輸出貿易の振興、公海漁業の躍進を期せねばならない重大な時期である。
  よつて、政府は昭和二十八年度以上の予算を確保するよう措置すべきである。
 右決議する。
ただいま案文を朗読いたしましたが、満場一致の御賛同を得たいと存ずるのであります。
#23
○田口委員長 お諮りいたします。ただいまの鈴木君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし「委員長」と呼ぶ者あ
  り〕
#24
○田口委員長 田中君。
#25
○田中(幾)委員 私は別に異議を唱えるものではありませんが、従来この委員会における決議の運命といいますか、行方を見ておりますと、どうも決議が常に無視されたり、あるいは尊重されなかつたような傾向を見ておるのであります。この内容まことにけつこうでございまするし、ただいまの政府委員からの説明によりましても、予算の編成上法律違反もしくは法律の趣旨に反するものが三十件もあるということであります。もしこの予算の編成にあたつて本決議を無視するような予算の措置がとられましたならば、この決議を生かすために、私は本委員会においてしかるべき処置をとらなければならぬと思うものであります。たとえば法律案の廃止の議案が提出せられましたときには、これに対して本委員会が反対する、もしくは新しい法律をもつてこれに対抗しなければならぬというような情勢が出ましたならば、それに対して本委員会は相当の措置をするということに出なければ、この決議を満場一致をもつて決議いたしましても、決議の効力というものは法律的にも、政治的にも意味をなさないことになるのであります。でありまするから私は、この提案者に対して質問というわけではありませんが、もしそういう場合に当面いたしましたときには、本委員会は本委員会の政治力をもつてこれに対抗せなければならぬということを考えるのでありまして、そういう場面に逢着いたしましたならば、一体本委員会はどういう態度をもつてこの決議を生かし、この決議を尊重して行くのであるかということをただしたいのでありまするが、これは仮定の議論でありまするからここで答弁を要求はいたしません。もしそういう場面に至りましたならば、本委員会はこの決議を生かすことについて一致してそれぞれその方法をとるということの心構えを持つて全会一致をもつて可決されんことを希望する次第であります。(拍手)
#26
○田口委員長 ただいまの田中委員の発言を体しまして、右鈴木君の動議に御異議なしと認め、さように決定いたします。(拍手)
 本日はこれをもつて散会いたします。
   午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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