くにさくロゴ
1953/05/22 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第30号
姉妹サイト
 
1953/05/22 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第30号

#1
第019回国会 水産委員会 第30号
昭和二十九年五月二十二日(土曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 山中日露史君 理事 田中幾三郎君
      中村  清君    濱田 幸雄君
      松田 鐵藏君    白浜 仁吉君
      赤路 友藏君    淡谷 悠藏君
      辻  文雄君    中村 英男君
 出席政府委員
        水産庁長官   清井  正君
        海上保安庁次長 島居辰次郎君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      龜井  光君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (北海道知事) 田中 敏文君
        参  考  人
        (北海道議会水
        産委員長)   坂本 與平君
        参  考  人
        (北海道庁水産
        部長)     山本  勇君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
五月二十日
 一湊漁港修築に関する請願(岩川與助君紹介)
 (第四九五九号)の審査を本委員会に付託され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 北海道方面における暴風雨雪による
 水産関係被害対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○田口委員長 これより会議を開きます。
 北海道方面における暴風雨雪による水産関係被害対策に関する件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般現地に委員を派遣し、その実情調査に当つたのでありますが、この際その調査報告を聴取することといたします。中村清君。
#3
○中村(清)委員 本調査班は、去る五月九日の夜中から十日にわたつて北海道全道に吹きまくつた大暴風雪による漁業関係の被害を調査するために、特に改進党の白浜委員、社会党の田中委員と自由党より私の三人で、専門員室より加藤調査主事を随行させて、去る十七日より昨日まで主として災害の最もひどかつた根室支庁管内の根室、花咲、歯舞・釧路支庁管内の釧路、網走支庁管内の網走、常呂の被災地において今次災害をうけました関係漁民に直接面接し、罹災事情をつぶさに調査して参りました。
 本調査の概要について御報告するに先立ち、本調査のために北海道御当局はもとより、道議会及び調査地における市町村の方々や、道漁連並に関係漁民多数の御協力と御便宜とを賜わり出したことに対し、深甚なる感謝の意を表するとともに、住むに家はつぶれ、働くに船はいまだに沖より帰らず、子の家族は柱と頼む父と兄と弟とを必ず帰つて来ることを信んじつつ待つている姿には、全く御同情にたえない次第であります。しかも死者二十六名中水産関係より二十一名の尊い犠牲者と、いまだその生死すらわからない行方不明の漁民三百九十名がありまして、その妻は夫を、子は父を、親はその子を、朝には暁の海辺に出て、もしや帰つて来てくれるのではないかと、はるかはてしない彼方をながめ、沖の白い波の動きにさえのび上つている姿、夕べには神仏に願いをかけて祈る夢の中に無事で帰つて来たこともつかの間、それは所詮かなわぬ夢の人であつたというのであります。
 この人達を救えと、五月十日の即日より海上保安部の巡視船十二隻、米軍航空隊及び北日本航空機、またフリゲート艦九隻の出動、大洋漁業、日本水産、極洋捕鯨各会社船十二隻、それに地元漁船八十隻という大捜査が今日なお続けられているのであります。しかしながらこれら昼夜をわかたず懸命な捜査の努力にもかかわらず、ただ拾い上げるものはボンデンビン玉、アバ、タルハツチ、ブイ、はしご、標識旗その他漁船の破片のみでありますが、地元漁民はこの捜査隊に対し感謝の気持を私共に披瀝しておつた次第であります、またこの救援のため北海道知事はただちに緊急対策本部を設置して、前述のそれぞれ与うる限りの各機関に懇請してその救いを求めたのであります。そのため五月十五日までに救助された鮭鱒関係漁船が十三日に三十三隻、十四日に四隻、十五日に七隻、計四十四隻となつております。それに十二日には曳行または自力にて百六十九隻帰港しており、総出漁船二百七十隻中現在なお四十五隻が行方不明という実情であります。
 水産関係の被害総額は実に十六億五千五百万円という巨額の被害をこうむつておるのであります。その内訳のおもなるものを申し上げますと、漁船関係で動力船が三百四十七隻、無動力船が百五十九隻合計五百六隻、金額にして七億三千四百四万円、漁具関係で定置網七百七箇統の損出をうけ二億三千六百六万円、さし網で六億八百六十六万円、漁港その他の施設で二千四百十六万円でありまして、そのうち漁船の被害は最も大きいのであります。これは北海道東部根室半島の太平洋沖において、ちようど鮭鱒の流し網漁業の出漁時期に入り、平均二十トン前後の漁船が操業中、根室沖にては風速三十五米以上に及ぶ暴風がこれらの漁船の帰港を妨げたのであります。これは操業区域から考えますと、二十トン前後の漁船ではおのずから無理が伴つておるものと判断できますけれども、その船型の大きさは三十トン以下知事許可となつており、三十トン以上は大臣許可としてこの鮭鱒流し網漁の大型化は極度に制限されている現状であると地元漁民の不満の声を聞いて来たのであります。これら被災地の漁民は、いずれも四、五十トンまでの漁船に大型化して、北海道特有の暴風の危険からその生命と財産を守るために安全操業を希望しておるのであります。
 私どもは十八日、特に被害最も多かつた花咲港と、二十日常呂に参りまして、遭難者の遺家族と親しくひざを交えて懇談して参りましたが、まつたく涙なくしては聞くことのできない要求を聞いて来たのであります。これには、労働者災害補償保険法によると、今次の被災者が船主またはその家族であるものは適用しないということで、せつかくの災害補償の恩恵をも受けられないのであります。今回遭難した漁船はいずれも零細な漁民の経営でありまして、経営者自身が船主であり、また同時に船長としてその船に乗り組み、むすこや娘のむこを乗せて一家眷族で出漁しておる実状でありますので、これらの犠牲者が労災法による救済がないことになりますと、働き手をなくした妻や子供はどうすることもできない悲惨な生活になつておるありさまであります。もちろん道庁またはその市町村及び関係者より救済の道を講じておりますけれども、それは九牛の一毛にもすぎないのであります。また労災保険加入の乗組員に対しては、再出漁に至るまでの生活救護と罹災傷病者の医療措置に万全を期するために、保険金の急速なる給付を要望しておるのであります。
 また今次の災害の打撃はあまりにも大きく、地元漁民の経済状態からして、その被害は莫大であつたのであります。鮭鱒流し網漁業のごときは、昨年の不漁より漁民は極度に疲弊しておつたのでありますが、今年は沖の状態が好漁であるとの予想のもとに、地元の漁民は今年こそは挽回したいものと思い、多くの借金を背負つての出漁でこの災害にあい、生命は助つたというものの、網や道具は流失し、機関や装備は故障し、その船さえ、修理しないと再出漁することもできないありさまであります。これに要する復旧費用の総額は実に十九億六千百二十万円に上るのであります。従いまして罹災者が一日も早く最盛期の漁場へ出漁できるように、代船または用船の大臣許可分については、現行の許可方針を緩和する等の特別の措置を講ずるか、またさらに再産業を容易ならしめるために、漁船修理費、漁網の購入費にとりあえずつなぎの資金として約七億一千八百万円を必要するのでありますが、これなども急速に融資の措置を講じてやらねば、これらの漁民の再起は不可能と考えられるのであります。
 また羅臼、宇登呂、網走、常呂の遭難船で十一隻ほど、南千島のソ連側に曳航されあるいは漂流したものと想像されるので、これらの消息を知るために現地の無線局からソ連側に連絡しておるのでありますが、何らの手がかりもないということで、これらの留守家族は対岸の国後島に自分自身で行きたがつておつたのでありますから、これらの点については、日赤または他の適当な機関を通じて早急に措置する必要ありと考えますので、これに対しても委員長より適当の措置を講ぜられんことを希望する次第であります。また羅臼、白老においては漁民の家屋が全壊または半壊して、全村がほとんど全滅するという災害をうけ、災害救助法を即時発動して、罹災家屋一戸当り七万円を町村より特別融資の措置をとつておるのであります。
 なお北海道当局及び罹災漁民の切なる要求は、漁船、漁具その他共同利用施設とか養殖施設等の復旧については、一昨年のオホーツク災害における特別立法に準じて、次の内容の要点で特別法の制定を希望しているのであります。すなわち、(イ)融資総額は十五億七千万円、(ロ)損失補償は、国五割、地方自治体三割、(ハ)利子補給、国(年)五分、(ニ)漁船の場合は一年すえ置き、償還十年以内、その他は五年以内償還、(ホ)旧状復旧はもちろん、漁船の場合は安全操業を確保するために、船型の大型化、無線等の近代化等の改良復旧を認める、以上。さらに融通の円滑化を期するために、附帯措置として、農林中金等に対し資金源を供給するが、農林漁業特別金融公庫資金を増わくして、かつ主務大臣の指定災害復旧等に適用し、融資の実現をはかつてほしいというのであります。
 次に被災漁港の復旧と、かつ災害地における生活困窮者と失業者を救済し、生活の援護を行うため、公共事業をすみやかに実施する必要があるので、漁港災害復旧額一千六百十五万に対して、国から九割補助する一千四百五十三万三千円を要求しているのであります。また被災漁船の復旧を促進するために、政府の再保険金の速急な支払いはもちろんのこと、保険料の延納等、保険組合援助に関する適切な措置、並びに現行の漁船保険制度は農業等の保険制度に比して国の援助が薄いので、現行制度を改善するほか、漁業保険を含む強力な漁業災害補償制度を確立し、かつ百トンまでの漁船の保険料の半額を国庫が負担することの実現を要望しております。なお救難応援に出動した民間側船舶、航空機に対して、燃料その他の経費一千六百六十五万八十円を補償する必要がありますので、これは水難救護法第十九条に基く国庫の支弁その他特別の補償措置を求めているのであります。
 また罹災漁業者の税に関しては、災害減免等の特例により、租税の減免並びに徴収猶予の措置をも求めているのであります。
 さらに昭和二十九年実施中の二十八年度分調整わくより、漁業権証券のうち二億円の資金化を速急に措置してほしいというのであります。
 以上、災害の概要と関係漁民の要望を申し上げたのでありますが、結論といたしましては、このような大きな災害がどうして起きたかはいろいろの原因があろうと考えますが、要するに時あたかもさけ・ます流し網漁業の最盛漁期に入りまして、多数の漁船が出漁していたこと、北海道においては、五月中に起きる気象異変としてはめずらしく大きな暴風であつたこと。その暴風予想が意外に急速に発達したこと。操業区域に比し出漁船が小型であつて暴風に耐えられなかつたこと等を考えますと、気象観測網の整備強化、漁船の無線近代化等、十分な措置が必要であることを痛切に感じ、今後の沿岸漁業または沖合漁業の安全操業に対し貴重な教訓を与えたものと存ずる次第であります。
 なお最後ではありますが、今回の災害に海上保安部、海上警備隊、米軍航空機、民間航空機並びに民間船舶が多大なる協力があつたことに対しまして、地元漁民並びに北海道当局が大いに感謝しておつたことを付言し、この報告を終りたいと思いますが、私は特に委員長にお願いいたしますことは、本調査班が調査いたしました資料は非常に厖大なものでありますので、その詳細についてはここに御報告する時間がありませんので、特に要約した資料をここに準備いたしておりますので、これをこのまま私の発言の次に参考資料として特に速記にとどめていただきたいことをお願いいたします。以上、調査班の責任者として御報告申し上げまた次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○田口委員長 この際お諮りいたします。本件につきまして北海道関係者より実情を聴取するため、北海道知事田中敏文君、北海道議会水産委員長坂本與平君、北海道庁水産部長山本勇君の三君を参考人として選定いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○田口委員長 異議なしと認め、さように決定いたします。
 それではただちに参考人諸君より順次発言を願います。山本参考人。
#6
○山本参考人 水産部長の山本でございます。このたびは非常な御心配をかけましてまことに相済みません。よろしくひとつ今後も御援助をお願い申し上げます。なおお願いあるいはいろいろなことにつきましては、知事が参りまして詳細にお願いいたすと思いますので、私からは被害の現況、それからどういう救助の方法をとつたかということをとりあえず御説明を申し上げたいと思います。それで、この図面で一応御説明いたしたいと思います。実は気象の関係につきましては、後ほど図面をもちまして詳細に御説明いたしますが、北海道といたしましては函館の大火以来の強い風でございまして、なお気圧の関係は、北海道の気象台としては六十年以来の低気圧だ、こういうことでまれに見る気象状態でございました。その問題につきましては、後ほど図面で御説明いたしますが、とりあえず被害の現場、それから救助の方法その他について御説明いたします。
 ここは北海道の鼻先地点でございますが、大体五月のさけ・ますの漁場と申しますものは、これから離れまして大体二百海里くらいの間にあるわけですが、特に百五十から二百の間くらいが、ちようど災害をこうむつたときの漁場になつております。そこでその漁場に出漁いたしておりましたのが、さけ・ます関係で約三百七十隻がこの地帯におつたわけでございます。その二百七十隻の船が、先ほどもお話がございましたが、大体二十トン前後のものが多数この近くにおつた、こういうことでございまして、この捜査にあたりましては、先ほどもお話がございましたが、極東空軍の関係と第一管区海上保安本部、それから保安庁の方の三つの系統にお願いしまして捜査いたしたわけでございます。最初この地帯にはたして漁船が行つているかどうかということの推定に、実は非常に困つたような状態でございますが、去年の漁場の状態とかあるいはいろいろなことをして、およそこの辺であろうということの最初の推定を保安本部の方で一応下し、それから私の方とも相談をいたしまして、いろいろな条件からここであるということの推定をいたしまして、海上保安本部の方がまずもつて十一隻の巡視船を活用してこの調査に当つたわけです。
 この捜査につきましては、第一期、第二期、第三期というふうに大体捜査方針をきめて、やつたわけでございます。それで第一期につきましては、とりあえず人命を救助するということに全力を注いでやつていただいたわけでございます。第二期には、船体を確認して、あるいはこれを曳航するという形、それから第三期については、漂流物の一品でも探そうというような三つの段階で調査を進めたわけでございますが、第一回の捜査にあたりまして海上保安本部の方では、大体この区域を十一日から十三日までかかつて十一隻の船で捜査したわけです。ところがとうていそれではこの広い海域を探すのに不十分であろうというので、われわれと海上保安本部との相談によりまして、知事の要請によりましてフリゲート艦の要請をいたしたわけでございます。そこでフリゲート艦は十二日に横須賀を出て、十四日にこの現場に着いていただきまして、それから捜査をしたわけでございますが、その際に保安本部と海上警備隊との区域をまずはつきりして調査をする必要があろうということで、この四十一度三十分を区域にいたしまして、上の方を海上保安本部の方がやり、それから下の方は海上警備隊の方でやるということで、そのときに区域をはつきり定めて、それぞれ捜査に当つたわけであります。保安本部の方といたしましては、これを第一期、第二期、第三期というふうに調査をやつたわけでございますが、第一期のこの海面は十一日から十三日まで、第二期のこの海面は十四から十六日まで、第三期の海域は十七日から十八日までやつて、その後十九日からは大体この海域を全部見ましたので、さらに今までの推定を基礎にして調査したものと、これを調査した事実に基いて、やはりこの線が一番多いということで、現在ここの精密調査をしていただいている、こういう状態になつております。それからフリゲート艦の方では十四日の朝ここへ着きまして、そしてこの海域を九隻のフリゲート艦で、大体五里間隔くらいに船を並べて、大体東径百五十四度の線まで一斉にほうきで掃くようにして調べていただいたわけでございます。ただいまではフリゲート艦の方も、一応室蘭で十九日に油を入れて、そうしてさらに海上保安本部との意見の一致を見て、やはりこの線に重点を置くということの見解から、十九日に油を積んで、引続いてこれを精密調査をいただいている、こういうことでございます。なおこの精密調査が済めば、引続いて潮流の関係を考慮して、若干この襟裳岬の方まで出て調べよう、それからひよつしとたら寒流の関係で、金華山の方にも一部行つているのじやないかというようなことから、フリゲート艦は、帰りにこれを調査するというようなことで、非常な広範囲の調査をお願いいたしているような状態であります。
 そこで、その調査の間には、濃霧がありあるいは暴風その他があつて、非常な苦労をされたようでございます。しかし非常な効果をあげていただきまして、十八日現在におきましては、この海域では、大体三十隻の船が現在行方不明というところまで効果をあげていただいたわけでございます。海上の捜査でございまして、われわれといたしましても非常に苦労もいたしましたし、それから駐留軍の飛行機にしても、海上保安本部にしても、それから海上警備隊にしても、それぞれ命令系統も違い、非常な苦労をいたしたわけでございますが、非常な努力の結果いろいろな連絡をして、そうして今日の成果をあげたわけでございますが、まず飛行機の操作につきましては、極東空軍司令部に飛行機の出動をお願いいたしまして、大体この海域を見、その飛行機で見たものが根室のキヤンプに連絡があつて、それが支庁長のところに来て、支庁長は地元の漁業協同組合の非常な協力を得て、六十隻の漁船を救助に向け、あるいは道の取締船に命令してそれを救助するというようなことで、飛行機から来たものをまず支庁長が受けると同時に、支庁長といたしましては、海上保安本部の方にさらにお願いをして、そうして巡視船の活動を願い、それから巡視船は自分で調査すると同時に救助の仕事もする。調査の結果は、やはりこれを支庁長の方に流して、支庁長は漁船の出動を命じ、あるいは取締船の出動を命じて行く。こういう形で、連絡をとりつつ仕事をしたわけですが、特にフリゲート艦については、ここの捜査が非常に広いので、海上保安本部の方だけでも捜査の範囲が非常に広く、しかも短期間にやらなければなりませんから間に合わぬということで、ここと相談して、知事の要請で実はこれをお願いしたわけでございますが、何分にも通信連絡といたしましては、それぞれの電波の関係であるとか、あるいは施設の関係で、直接道との連絡がなかなか困難だというようことから、海上保安本部の方にお願いして、それぞれその出動状況をキヤツチする、こういうようなことで、相当連絡関係に苦労をして、今作業をいただいている、こういうような状態になつております。しかし非常な効果をあげていただきましたことについては、われわれ非常にありがたく考えております。
 以上捜査の区域及び方法を申し上げましたが、被害の程度につきましては、お手元に差上げてあります資料に書いてございますが、これは五月十八日現在の資料でございますけれども、死者といたしましては二十一人、それから重傷者が二名、それから行方不明が三百九十名、こういう人的被害がございますが、さらに先ほど御報告がありましたが、物的な被害といたしましては、漁船、漁具の被害が非常に大きいようでございます。それで漁船、漁具について申し上げますと、そこに記録いたしておりますが、漁船関係では七億三千四百万の損害があり、それから漁具につきましては八億五千四百万、それからその他漁舎であるとか、漁港、桟橋というような施設につきましては二千四百九十六万、その他海藻、製品等で十六億五千五百二十六万七千円の被害があつたわけでございます。これに対してわれわれの方でそれぞれ復旧資金の調査あるいは検討をいたしたわけでございます。十六億の被害に対しまして十九億六千七百二十万という復旧費を計算、要望しておるわけでありますが、この内容といたしましては、先ほどもお話がございましたが、船を大きくしなければならぬということがほとんど一致した意見でございます。たとえば十五トンの船が沈んだのを十五トンのまま復旧したのでは、再び災害を繰返すということから、それを二十トンにするとか、あるいは二十五トンにするというような、それぞれ一つの基準を設けて、改良と申しますか、船を大きくするのを若干これに含めてお願いいたしておるわけでございます。被害総額が十六億に対しまして十九億の復旧資金をお願いいたしたい、こういうことになつております。それで一応被害の状況その他を御説明申しましたが、道といたしまして道会その他の協力を得、御相談を申し上げまして、そしてこれに対する対策を立てて、さらにそれぞれお願いしなければならぬという項目を、実はお手元に差上げました水産関係被害復旧に関する要望書というのがございますが、これに全部書いてございます。時間がありませんでしようから要点をお願いいたしておきたいと思います。第一番に南千島海域の漂流漁船の保護送還ついてであります。
 以上、私から御説明申し上げましたのは非常に簡単でございましたが、遭難の箇所、それから救難の方法、それから被害の程度ということを、そまつでありましたが御参考までに、御報告いたした次第でございます。
#7
○田口委員長 田中参考人
#8
○田中参考人 参考人に指名されました北海道知事田中であります。このたび北海道の異常な低気圧に伴う災害発生に伴いまして、当委員会からさつそく現地視察調査団を御派遣いただきまして、非常にお忙しい日程のもとに道内関係方面を御視察、調査をいただき、かつ現地住民に対して激励、慰問のお言葉をいただき、さらにまた当委員会としてこれらに対する諸対策を推進くださりつつあることにつきましては、現地の私ども心から感謝感激いたしておる次第でございます。厚く御礼を申し上げます。
 今度の災害につきまして、先ほど私の方の水産部長から概況を御説明申し上げた次第でございますが、特に根室南東におきます漁船の状況、それに対する人命救助の状況につきまして少し少し詳細に御報告申し上げた次第でありますし、さらにまた、被害の総額につきましてもこれまた御報告いたしました通りでございますので、私は重複を避けましてごく簡潔に、特に皆様方の御協力をいただきたい諸点にわたりまして申し上げたいと存ずる次第であります。
 そこでまず、今度の低気圧の参りましたのは、五月九日の夜から五月十日にわたつておる次第でありまして、それが北上して千島列島を通つてオホーツクへ進んでおる次第であります。そこでこの低気圧の度合いにつきましては、気象台から専門的な詳細な発表がございます。資料はお手元に差上げてあると存ずる次第でございまして、申し上げる必要もないと存じますが、七百二十ミリという低気圧でございまして、札幌気象台では大正九年以来ないといい、網走の観測所ではかつてないという低気圧でございます。それが道内各地域に対して強い風となつて現われて、その風の被害、さらにまた十勝沖における高潮も発生いたしておるような次第であります。
 そこでまず申し上げたい点は、全道各地における被害があるのでございます。特に根室南東の地域がさけ・ますの出漁のために甚大な人的被害並びに物的被害を受けたわけでございますが、しかしそれ以外にも全道各地域において少しずつであるが地域的に広がつてた、従つて累計されますと相当額に達する被害があるわけございます。従つて諸対策は根室南東の地域というふうに狭く限定されないで、全道的な被害としてこれをお取扱い願いたいということなんでございます。しかしその中におきましても、やはり私ども強調せざるを得ませんのは、このさけ・ますの出漁のためにいまだに行方不明の漁船が四十五隻ございますし、全道的に四百名余りの生死不明並びに死亡確認を出したということでございます。今日までの期間から考えましても、行方不明の人たちはもはや私は望みがないものと考えられるのでございます。しかもその大部分は根室付近の地域の住民でございます。この地域は、北海道といたしましては文化的にも経済的にもきわめて恵まれない地域でございます。しかもソ連とも千島とも非常に近接した地域でございまして、千島方面に対する出漁がほとんどできないわけでございます。そういうような目の前に資源を見ながら出漁はできない、しかも経済的に非常に苦しい、文化的にも恵まれないという地域で、今まで生活と産業の建設にいそしんでおる住民の、しかもその一家の生計をささえる柱が四百名もゆかれたということにつきまして、今後のこの人たちの、遺族の生活のためにも、われわれは何とかしていい政治を行いたい。現地におきまして私どもは力を合せてその努力をいたしたいと考えておる次第でございまして、今までの諸対策と同時に、そういう点につきましても皆様方の格別の御配慮とお力添えをお願いいたしたいと存ずる次第であります。
 そこで関係要望事項につきましてはここに印刷いたしまして、お手元に差上げてある次第でありますが、その第一番目といたしましては、南千鳥海域への漂流漁船の保護、送還の問題でございます。遭難時におきまして、先ほど御説明あつたと思いますが、大体この海域の遭難の隻数は十二隻でございます。網走七隻、羅臼は風のために住宅が非常にやられまして、災害救助法を発動した村であります。合せて十一隻、そのうお帰還いたしましたのは一隻でございます。それから南千島へ曳航されたもの、つまり漂流中に千島の先方の岸に近づいたためにソ連側に曳航されたことが確認されたものが四隻ございます。それから曳航または漂流と推定されるものが残りの七隻でございます。ということでこの地域に対しましては、私ども直接的な捜査ができませんので、これに対しましては、日本赤十字の札幌支部を通じ、日本赤十字の本部を通じまして、ソ連の赤十字に人命救助の協力方について要請をいたしておる次第であります。さらにまた現地の局地放送をやつておる次第でありまするが、しかしその経過並びに結果につきまして、いまだ何も私どもは情報を得ていないのであります。そこでしかしこれに対してはもつと私どもとしては手を打たなければならないと考えております。どうかこれらの南千島海域に対して漂流したであろうところの見込みのものに対しまして、漁船乗組員の保護送還を早急に実現できるように、ソ連側に対してしかるべき懇請の措置をいたしたいのであります。その方法等につきましても、十分御検討いただいて、何分の御協力をいただきたいのであります。これが私どもの対策要望の第一の問題でございます。
 それから第二は漁船、漁具その他水産施設復旧資金についてであります。漁船漁具共同利用施設、これには養殖施策等を含んでございますが、この水産施設の復旧につきまして、一昨年のオホーツク災害における特別立法の措置に準じまして、新たに特別法を制定して、復旧所用資金の融通措置を講じていただきたいという、これは特別立法のお願いでございます。立法の内容の要点といたしましては、まず融資総額十五億七千万円、損失補償国五制、地方自治体三割、利子補給国年五分、漁船の場合は一年すえ置き十年以内その他は五年以内償環、旧状復旧のみならず特に漁船の場合には大型化、近代化等の改良復旧を認めていただきたい。しかもさらに立法措置の附帯措置といたしまして、金融、機関、農林中金に対する資金源の給与を行うことをまたお願いいたしたい。それで右の措置が実現困難なる場合は、農林漁業特別金融公庫資金を増わくいたしまして、かつ主務大臣指定災害復旧等に適用して、融資の実現をはかられるようにお願いいたしたいという点であります。
 第三は漁港の復旧資金の問題でございまするが、これはお手元の資料によつて御承知をいただきたいと存ずる次第でありまして、説明を省略いたしたいと存じます。
 第四は漁船保険金について。
 第五は漁舟乗組員の救護措置について。
 第六は救難応援に出動した民間船舶に対する補償について、これは先ほど御報告いたしたと思いまするが、相当数の民間漁船が出動いたしております。
 第七は罹災者の漁業再着業について、これにつきましては現地において少しく応急措置をいたしております。網が流され船は帰つて来たけれども、船の修理も必要である、あるいは網が流されてしまつた、ところが漁期が今始まつておるときでありますので、一日も早く出漁いたしまして、その生産を続けたいわけでございます。そのためにつなぎの資金につきまして所要の措置をいたしたような次第もございます。
 第八は関連いたしましてつなぎ資金融通についてであります。
 第九は税の減免並びに徴収猶予について。
 第十は漁船の大型化、近代化について。
 第十一、漁業災害補償制度の確立について。
 第十二、漁業権証券の資金化について。
 第十三、気象観測網の整備について。
 第十四、燈台等の整備について。
 以上十四項目まで申し上げましたが、それぞれ説明を省略さしていただきたいと思います。
 その次は第十五の魚田開発基地羅臼の入植者国庫補助住宅の災害復旧について、これは法律の一部改正であります。これは今次暴風によりまして、羅臼基地に入植いたしました入植者の国庫補助住宅四十四戸、四百四十坪が全壊いたしまして、被災者は目下残余の住宅に分槽をいたしております。その自力復旧の見込みが立ちませんので、農林水産業施設災害復旧事業国庫補助の暫定措置に関する法律、これは昭和二十五年の五月十日、法律第百六十九号であります。これを一部改正いたしまして、右住宅の復旧事業をこれに適用して、九割の国庫補助を交付する措置を講ぜられたいという趣旨でございます。非常に簡単でございましたけれども、特別立法の内容につきまして少しく時間をかけ、その他は項目程度にとどめて申し上げた次第でございます。
 私ども今まで年々災害を体験いたして参りました。一昨年は三月四日に十勝沖震災に遭遇いたしまして、皆さん方に非常にお世話になつた次第であります。さらにまた昨年は農業災害あるいは風水害を受けまして、本年さらにまたこのような異常気象によるところの災害を受けた次第でありまして、災害の都度私どもはこの災害の体験を生かして、今後災害対策を少しでも前進さして被害を最小限度に食いとめたいと念願して参つた次第でありますが、たび重なる災害によつて非常に困窮の度が累積されて来たということと、もう一つは今度の災害は公共施設災害よりも民間施設災害が大部分であつて、そのうちの一番大きな災害が水産関係であつたわけであります。ところが従来の災害対策で公共施設災害の方は比較的より進んでおる、決して十分ではございませんが、そういうふうに言い得ると思います。ところが個人の災害につきましては、まだまだ不十分な点があつたことは御承知の通りでありまして、特に今回の災害の機会に、このような特別法律制定の措置を特に講じていただきまして、今後の日本の国に起るところのこの種の災害対策の一歩前進たらしめていただきたいという、日本全国的な立場に立つてのお願いをも私どもは持つておることを申し添えまして、私の御報告を終りたいと存ずる次第であります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
#9
○田口委員長 坂本参考人。
#10
○坂本参考人 今次の北海道の災害に対しましてはいいち早く当委員会から調査団を御派遣になりましたことに対しまして、厚くお礼を申し上げます。私は災害の最も大きな根室の出身でございます。あの根室に生れて根室に育つております関係上、今度の災害というものが異例なものであり、私の生涯に初めて見たところの漁業災害なのでございます。田中知事並びに山本水産部長より累々お願いの筋やら災害の詳細に対する説明がありましたので、あと一、二点私の気づきました点だけをこの際当委員会にお願いいたしたい、かように思います。
 実はこの災害の一番ひどかつた東北海運、いわゆる北海道の東の地帯であります根室、釧路、十勝、北見、この東北海道は一昨年の十勝沖地震による災害並びに一昨年の秋のオホーツク海の災害と、過去二回にわたりまして大きな災害を受けておるのでございます。それでこのたびの災害はその上に重なつたものでございまして、あの地方の漁業者というものは非常に疲弊困憊しているやさきでございますし、今度の災害特別措置法をお願いいたしますに際しまして、過去災害に対する立法例が三回ございます。十勝沖地震の災害、オホーツク海の暴風の災害及び昨昭和三十八年の六、七月の水害におけるところの災害、三つの立法がございますが、このうちでオホーツク海暴風によるところの災害に対するところの特別措置法が国が五割、道が三割の負担をいたしまして、その融資に対しまして非常に好調に運ばれまして、融資決定額の九割七分二厘の融資を受けておるのでございます。十勝沖震災の場合におきましては国の三割補助だけでございましたので、融資額はわずかに二割三分七厘より出ておらない状態でございます。今申し上げましたような二つの災害の上に重つた災害でございますので、このたびの災害に対します特別措置法は、ぜひこのオホーツク災害の立法例、すなわち国五割、道三割のこの比率によるところの例にならいまして、立案をしていただきたい、かようにお願いをする次第でございます。
 なおもう一点、国会の期日があと一週間ほどに迫つておりますので、何とかこの短かい期間のうちにぜひこの措置法を仕上げて、現在路頭に迷つておりまする漁民の再生産のためにただちに役立たせるようにしていただきたい、かように存ずる次第でございます。以上二点をお願い申し上げます。
#11
○田口委員長 ただいまより政府当局及び参考人に対し質疑を許します。本日の政府側出席者は水産庁長官清井政府委員、海上保安庁次長鳥居政府委員、同じく警備救難部長砂本説明員、労働省労働基準局長龜井政府委員であります。松田鐵藏君。
#12
○松田(鐵)委員 今回の災害は日本の水産業始まつて以来の大きな災害でありました。しかしてこの災害につきまして二つの点から出委員会は論議して行かなければならないことと存じます。一つはどういうようなことによつてこの原因があつたかということを論拠としなければなりますまい。もう一つは、この災害に対してただちに救済の方法を講じなければならないということ、この二つに集約されることと存ずるのであります。
 今回の災害について急遽その対策を講じてくれた海上保安庁及び保安庁、また北海道の道当局または現地に出張された北海道の水産課長、また当時の根室支庁長の努力というものは、現に知事がそこにおられますが、あの支庁長の努力などというものはまれに見る努力でございまして、要は先ほど参考人からお話があつたように、フリゲート艦、それから海上保安庁の巡視船及び漁船のすべての電波が異なつておつた。しかも根拠地や、各指令部があつて、その本部に連絡されて、それから現地へ来るという状態に対して現地に出張されておつた水産課長や、それから支庁長は寝ずの番をいたしまして、その対策を常時にやつたというのが今日の災害に対する特殊な行き方でありまして、私も大野国務大臣の代理としてお見舞と、激励と、その調査に参りましたが、あの努力に対しては、まつたく適切な方法をとつておつたことをよく見て参つたものであります。この人々並びに当局に対して心から感謝を申し上げる次第であります。
 しかしてこの災害の原因というものに対しては、水産当局といたしましても十分留意されて、再びこうした災害の起り得ないように善処されんことを要望するものであります。第一に本年の今国会の劈頭における内閣総理大臣の施政演説、また農林大臣が当委員会において演説をされたその内容には、水産業に対しては沿岸から沖合、沖合から遠洋にという言葉を使われており、しかして漁民はそれに激励されて漁業にいそしんでおつたものであります。水産当局といたしましては、さきに北洋の七船団に多くの漁民を出漁させることに成功し、また南洋に、太平洋に、あらゆる施策をもつて日本の漁民を海外に出して参つたのであります。こうした大きな功績はありましたが、要は限られたる小さな陸地において、政府が激励と政策を立ててやつておりますが、日本の漁民はその激励に従つてのみ沖合に出漁しているものではない。生活のためにあらゆる努力をして沖合に沖合にと出漁をしている機運が内閣総理大臣をして、また農林大臣をしてかくのごとき演説となり、政策を樹立することになつたものと考えるのであります。漁民の経済確立のために沿岸より沖合に、沖合より遠洋にと心がけて生業を続けて来ているのであります。しかしてその漁民の考え方と政府の激励の施政演説、これらと今回の災害を比べてみるときにおいて大きな誤りがあるのであります。この誤りを水産庁長官は是正していただかなければならない。これが今後における一番大きな問題であろうと存ずるのであります。すなわち北洋に対する船団の数及び四十七度線におけるさけ、ますの問題、これらは一応軌道に乗つておりまするが、北海道知事の許可によつて、一千五、六百隻の鮭鱒の流し網がある。これらの漁船が三十トン未満となつておる。この三十トン未満の許可というものは二つの意味が含まれておると思う。遭難した漁民はおよそ十八、九トン、二十トン未満とされておるのであります。四十トン以上の船はただ一そうある。これは老朽船であつた。しかしてどういうわけで二十トン未満であるかということから行きまして、これは北海道と内地とのさんま漁業に対する考え方、二十トン未満の船であればさんま漁業が一箇月前に操業できるという考え方――この二十トン未満の船は実際は二十四、五トンあります。二十四、五トンあるが、さんま漁業との関連において二十トン未満で登録されておる。しかして四十七度線の漁業は、漁船は三十トン以上五十トン未満ということになつておる。今回遭難されたものは、匹十四トンというのがたつた一そうの老朽船、あとは全部が小型船である。ですからこの沖合いにおいて適格船というものはどの程度の船であるかというと、三十トンから四十トンという船であつたならば、この災害に対しても遭難の事実が現われていないということである。こういう点が水産庁当局として今後十分に考慮されなければならない点であろうと考えるのであります。この点に対する水産庁長官の御答弁をまず承つておきたいと思います。これが一点。
 しかして本日の当委員会に対して、これだけの日本の水産始まつて以来の大災害に対して、大蔵省当局が、委員長においては、はつきり昨日からお呼び出しになつておるけれども、御出席がないということに対して、私は非常に遺憾と考えておるものであります。この議論をお互いが毎日繰返すわけに行かない。会期も短かい。これに対して大蔵省当局が一人も出席されていないということに対しては、委員長はどのようにこれを処理されるか。話を聞けば、水産庁へ御一任されておるという先ほどの委員部からの話でありまするが、はたして水産長官はすべての点を御一任されておるかどうか、これが第二点。
 大蔵当局はわれわれの要望――われわれは政治よりももつと大衆のすべての漁業というものから割出して、漁船保険が二十トンまでで打切られておるものを、当委員会において、百トン未満まで漁船保険の恩典を漁民に与えることによつて漁民は正しい漁業法ができ得る、安全操業ができ得ると考えて、あの法律を制定したものである。しかるに一兆億予算によつてこれが打切られた。ここに問題があるのでありまして、補助金等の整理の法律の場合においても、私及び川村委員など三委員から強くこの点は要望してあるものでありまするが、二十トン以下の船であれば漁船保険にかけられる、二十トン以上の船であれば漁船保険にかけられないという点からいつて、そこに漁民が漁船保険の二十トン未満のトン数に小さくしようという思想が現われておる。それがこの災害に対して非常に大きな犠牲になつたということも長官はよく御認識あらんことを、しこうして大蔵当局に対しても、これに差処することを大蔵当局が水産庁に御一任されてあるならば、この点を力説していただきたい、また是正していただきたい。その方法は予備金があるはぞである。わずかに一億足らずの金である、この点を十三日の委員会において私はここではつきり大蔵当局にも説得してあるのであるから、水産庁長官はよく大蔵省にお話を願つて、予備金の中からでもこれを出して、あの法律を完全に施行することを要果してもらいたい、この点を第三点として承りたい。しかもまたその理由は、海上保安庁のフリゲートその他民間の漁船を使つて捜索した直接費だけでもつて一億何千万という数字に上つておると聞くのであります。こういう点も十分大蔵当局にお話おきを願つて、これを解決していただきたいと思うのであります。
 それからまた、今回のこの低気圧に対して、現地においてわれわれが一番感じたことは気象の観測であります。この気象の観測は、あらゆる努力をして気象台はやつておる。しかしいま少し気象が早く発見されるならば、もつと対策があつたはずなのである。しかるに一兆億予算になつて、気象関係の中央気象台の予算などというものはまつたくみじめなものなのである。政調会においても総務会においても私はこれを力説した。しかしこの重大な気象予算がまことに気の毒な立場になつておる。この気象は水産ばかりではない、農業においてしかり、日本の全土を保護するために気象を確実、しかも早期に報告することができ得るならば、どれだけ日本国土が安全に保護されるかということ、この点に対しても大蔵当局が今日出ていないことを非常に遺憾とする。緊縮予算といえどもむだがたくさんある。もつともつとむだを省いて、こういう地道な、まじめに日本の国を守り、日本の産業を助長するものに対しては、十分に考慮しなければならないのであります。しかしこれらを今私が水産庁長官や海上保安庁長官にとやこう申し上げることは、むしろ私どもの不明を暴露するようなものであります。私どもの政治力が足らないがためにこうした結果になつておるものでありまして、私どももあらゆる角度からこれに対して善処せんと誓うものでありまするから、当局においても、しかるべくこの点に対して御努力あらんことを願うのであります。
 そこで第二点の問題になりまするが、どうするかという点であります。まず第一に現在遭難されておる漁船、大破されておる漁船、これに対して早急の措置をしなければなりますまい。たとえばただちに三十トン以上の船を許可するというわけには参りますまいが、臨時に――今北海道ではもう三十トン以下の船はありません。船主たちは持つていない。だから三十トン以下の船を探し出さなければならない。しかも漁民は出ばなをくじかれておる。そうしたならば、どうしても大型の三十トン以上四十トンくらいの船までも借りなければならない。これは応急の策として、水産庁は知事に対して臨時の措置として、こうした船の許可を与えるように御指示を願いたい。これはどこまでも臨時でありますが、こういう方法をとつて、今出ばなをくじかれておる、現在動きのできない遭難した人々に対して臨時の措置をとられるかどうか、とつていただきたいが、これに対する御答弁を承りたい。
 まず今までの問題の御答弁を承つて、それから先に入りたいと思います。
#13
○清井政府委員 ただいま松田委員から各方面の観点より、総合していろいろお話を承つたのでありますが、私がお答えできる範囲のことについて、順次お答え申し上げたいと思います。
 第一点の問題として、現在のわが国の水産業の根本的な指導方針として、沿岸から沖合いの方へ進める、沖合いからさらに遠洋へ進めるという基本方針をもちまして、その基本方針に基いて、各般の措置を講じておるということは御承知の通りであります。遠洋への進む道も、いろいろの難関も実はあることも御承知の通りでありますが、それらの難関につきましても、いろいろ各委員の御協力を得まして、逐次解決をいたしまして、目下進捗いたしておるような状況であります。
 さらにそれと関連いたしまして、ただいま問題になりましたいわゆる北緯四十七度以南の鮭鱒の流し網漁業の問題であります。この問題につきましては、従来北海道庁において許可をいたしておりましたものが、二、三年前より三十トンないし五十トンの大型の船につきましては農林省において許可をする、三十トン以下のものについては道庁許可に残すという方針をとりました。爾来道庁と水産庁とでいろいろ緊密な連絡を保つて措置をいたして参つて来たのであります。たまたま今般被害を受けた船の中に、四十七度以南の鮭鱒流し網漁業に当つた船で、相当被害を受けた船は、一隻を除く以外は全部道庁許可の小さい船である、こういう問題であるのであります。船を能率化し、これを大型化して行きまして、鮭鱒漁業の能率化ということは、漁業の一般的な能率化の方針に沿うものと私は考えております。ただ問題は、これは御承知の通り当該海区方面におきます資源の問題等、あるいはそれに付随する各般の問題との関連においてこれを考えなければならぬと思うのでありますが、方針といたしましては、私どもこれはお話のありましたごとくに、順次北海道庁の許可船と私どもの方の許可船とを総合勘案いたしまして、資源の維持という観点から、漸次これを大型化する方向に持つて参らなければならぬと考えております。方向としてはそういうふうに考えておるのでありますが、しかしながらなお具体的な問題につきましては、さらに今後の問題にかかるのでありまして、この点はお話の趣旨は十分了承いたしますが、たお道庁の意見を十分聞かなければなりませんし、また関係方面の意見を十分聞いて行かなければならぬのであります。具体的な方針の決定は今後になりますが、根本の考え方につきましては、そういう方向に逐次持つて参りたいと考えておる次第でございます。
 なおこれに関連いたしまして、さしあたり本年はどうするかということでございますが、本年のみの応急対策としましては、私はこれは無理はできぬと思います。そして道庁のお話も具体的にいろいろあろうと思いますが――すでにあつたのでありますが、これは臨時に、被害を受けたものの代船による鮭鱒漁業の問題などにつきましては、なお個々の問題につきまして、道庁ともなおよく相談いたしまして、無理のないように再出漁のできるようにやりたい、こういうふうに考えております。
 それから保険の問題につきまして、先般ここで御審議願いました二十トン以上五十トン未満のものが、御承知のような状況になつておつて、法律が確定いたしたのであります。この問題と関連して今回の問題を考えれば、非常に問題があることは御承知の通りであります。私どもいろいろ努力いたしたのでありますが、かかる結果を見たのでありまして、この法律の将来の問題といたしまして、強制加入の問題並びに保険制度全般について、もつと検討すべき問題があろうかと思うのであります。そういう意味において、漁船保険制度の拡充問題ということを各方面から検討し、その第一の問題として、ただいま取上げられました二十トン以上五十トン未満の問題を取上げまして、今後この問題を自治庁の関係もございますから、これを背景といたしまして、大蔵省とも事務的折衝を強くやつて行きたい、こう考えております。
 また気象観測の点についてのお話もありましたが、これまた水産気象という立場から見ましても、そのキヤツチされた気象を早く漁業者に伝達いたしまして、被害を最小限度に防ぐというような措置は必要かと思うのであります。
 なお足らざる点につきましては、今後私どもとしても大いに努力して参らなければならぬ、こう考えております。
#14
○赤路委員 関連質問。今の点についてちよつと二、三点だけ関連して質問したいと思います。
 今気象観測のことをおつしやつたわけなんでありますが、御承知の通り北洋には、今まで定点観測をやつておつたのでありますが、この定点観測はアメリカ側と協力の上においてなされておつた。これがアメリカ側の方で打切られたために、御承知の通り今度の二十九年度予算編成の当時非常に問題になりまして、この定点観測をやめるということの危険性をわれわれは十分御注意も申し上げ、ぜひ定点観測をやらなければならぬのではないかということを言つたわけでありますが、遂にこれらのことは実現しなかつたと思うのです。この定点観測の中止ということが、今回の気象の観測に大きな影響を及ぼしていると思うが、その点について長官の方の御見解を承りたい、これが一点。
 もう一つは、この避難された漁船の中で、ソ連地区に行つているものが大体十二隻、一隻は帰還しておるということですが、これに対してどういう交渉をされているか、その二点をお聞きしたいと思う。
#15
○清井政府委員 定点観測の問題につきましては、私からはつきりしたお答えは実は申し上げかねるのでありますが、定点観測の予算が復活しなかつたことは事実でございます。ただ私の方でそれに関連いたしまして、主としてこれは農業災害との関係、冷害長期予報の関連をもちまして、主として北方の海洋気象を調査いたしまして、それをいろいろな材料にいたすというために、北洋気象観測船を実施いたす予算を計上いたしたのでありまして、すでにこの船は出発いたしておるのであります。しかしこれはただいまのような気象観測とは、間接の関係がありますが、直接の関係はないのでございます。直接御質問の御趣旨に当ることにつきましては、ちよつと私からお答え申し上げる材料を持ちませんので、御了承願いたいと思います。
 それから第二点の問題につきましては、十分お話を承つておつたのでございますが、政府といたしましては、まだそのことにつきましては措置をとつていないのであります。
#16
○松田(鐵)委員 長官、先ほどの大蔵省との関係を……。
#17
○清井政府委員 ちよつとその点はお管えを漏らしたのでございますが、大蔵省との関係は、この事件が起つて以来私どもといたしましては、こういう事件が起つて相当の被害がある、ことに漁船を中心として相当被害がある。これに対して相当の財政的の措置をしなければならぬものであるという連絡はいたしておりますが、数学の詳細な点につきましては、昨日はつきりした数字を入手したわけでありまして、まだ詳細な数字については検討いたしておりません。しかしそういう状況の話合いはいたしております。大蔵省といたしましては、なお関東方面の凍霜害等の問題もいろいろあるようでございます。それらの問題とこの問題とをにらみ合せまして、貸付を実施いたします場合の利子補給をいたしますとすれば、その予算の問題、あるいは融資をいたします場合におきましても、中金その他におきまして金融的なわくがあるかどうかというような問題につきまして、財政あるいは金融というような面から、部内において事務的に相当研究を進めてもらつておるのであります。そういうことで事務的には非常に連絡を緊密にいたしておりまするが、その程度の状況で今進んでおるのであります。
#18
○辻(文)委員 今水産庁長官のお答えで非常に不満なことは、松田委員も申し上げた通りに、いつも水産委員会には、よほどのことがあつて非常な要求をしない限りにおいては、大臣とかあるいは首脳の政府委員が見えません。そういうことで今度の北海道の大災害のようなことについて責任をいずれがとるか。おのずから長官は長官の職責内においてのことだけで、今までの経験から申し上げても、長官が水産庁に関する限り幾ら懸命に努力をされたことがあつても、大蔵省がいわゆる財政の裏づけをせぬ限りにおいては敗北するというような面もたびたびあつた。こういうことでは、こういう大事な問題についてのわれわれの質問に対する責任ある答弁として、将来実施する裏づけにはならないのであります。ですからこれは委員長に対する要望でありまするけれども、ぜひ委員長からも、われわれが要求した場合には、責任の持てる人が必ず政府委員として出席してお答え願えるように御努力を願いたいと思います。
#19
○田口委員長 きようは農林大臣はやむを得ないことで平野政務次官が出席するようになつておりますが、今米価審議会の問題で参議院の議運に出席しておりますから、やがて出席すると思います。
#20
○松田(鐵)委員 先ほどの北海道知事からの南千島海域の漂流船の保護送還ということに対しては、委員長に後ほどしかるべく善処あらんことを要望しておきます。
 次に第二点といたしましてこの対策であります。この対策については、水産庁はどのようにお考えになつておられますか、この点をまず承りたいと存じます。
#21
○清井政府委員 先ほどからお話を承つておるのでありますが、私どもといたしましてとりました処置といたしましては、とりあえず課長外一名を同方面に派遣いたしまして、本日帰つて参つたのでありますが、保険に付保されておる漁船につきましては、精算払いをいたしておりますとひまがかかりますので、概算払いをいたすということで、その方町の係官が行きまして、本日はたしか帰つて参つておりますから、四、五日以内に現金を送付いたしまして、これは地元において分損、全損それぞれに応じて支払いをいたすことになつております。それからなお漁業権証券等の問題もございまするが、これまたあまり数学的にははつきりしてはおりませんが、私どもといたしましては、ある程度のわくを持つておりますので、同方面からの御希望がありますれず、数字的にははつきり申し上げられませんが、ある程度は資金化は早くできるだろうと思つております。それから一番問題になつて参りますところのいわゆる融資並びに補償に関する立法の問題でございますが、この問題につきましては、御要望は百十五億七千万円、国が五割で地元が三割、利子補給は国が五分、こういうような趣旨によつての御要望があるのでありますが、この点につきましては、私ども水産庁部内におきましてはすでに一応の案はつくつてはございます。しかしこれはただいまもちよつと申し上げました通り、予算と資金のわくとの関係がございますし、実は部内におきましても確定案になつていないのであります。しかしこれは当委員会の御意向もあろうかと思いますが、私としては当委員会の御要望等も十分伺いまして、政府部内において極力推進して参りたい、こういうように考えております。それから漁港の復旧等についても私どもの方ではいろいろ研究をいたしております。
#22
○松田(鐵)委員 先ほど参考人からもこの救済に対する立法の措置を講じてもらいたい、かような意見もありましたが、去る十三日の委員会において私は長官に対して申し上げた。予算を伴う議員立法というものは現在なかなか容易ならざる段階になり、これを禁止の方法をとつておる。しかしこの災害というものがいかに大きな災害であり、そしてどれだけ漁民に対してシヨックを与えたか。四百名以上の人名を失つたなどということは今までにはかつてない。かように大きな災害であり、しかも漁業の出つぱなをくじかれたものであります。かくして私がお見舞に行つたときと前後されまして、国会開会中には調査派遣などということもまた国会で禁止されておるにかかわらず、この災害は日本漁業の最大の災害であるという建前から、当委員会から中村君を筆頭に三名が、わざわざ遠い北海道まで御出張になつて調査され、先ほどの御報告があつた、かような状態でありまして、水産庁はただ事務的にこれを処理せんとしても、なかなか容易なものでなかろうと私どもは考えるのでありますが、長官は政府提案として立法する御意思があるかどうか、またそうすべきであるかどうか、この点を承りたいと存じます。
#23
○清井政府委員 これは私の考えを申し上げるのでありますが、私は政府提案ということで行きたいというふうに考えておるのであります。しかしこれはただいま申し上げました通り、予算の関係等がございますので、私だけの考えでは政府全体としての意見はきまらないのでありますから、その点は御了承願いたいと思います。私はそういうことで研究を進めたいのでございます。
#24
○松田(鐵)委員 長官の立場といたしましてはさようなことだと存じております。よくわかります。政府提案としてはなかなか困難だということですね、どうですか。――そこで私は委員長に要望いたします。今度の災害はただいま申し上げたような状態であり、しかもまた中村君初めその調査団の報告もあり、今日の参考人の当地における要望もあり、委員長はこうした事態に処して、速急に漁民を慰めてやらなければならない、またこれを復旧してやらなければならない、こういう建前から、当委員会として議員立法によつて、オホーツク災害同様な法律をつくつて、これの善処を要望するものでありますが、委員長は各委員にお諮りを願つて、あらゆる困難を克服して、会期の短かい今日でありますから、急遽この対策をお立てになつていただきたいと存じます。そして委員長はその手続を委員各位にお諮りを願いたいと存じます。また水産庁はこのわれわれの考え方に対して全面的の御協力を願いたいと思つておりますが、委員長は各委員及び水産庁に対してお諮りあらんことを希望いたします。
#25
○田口委員長 お諮りいたします。委員長は月曜までに一つの案をつくりまして、月曜日に水産委員会を開会し、大蔵省及び農林省の責任者を呼んで段取りをつけたいと思います。川村善八郎君。
#26
○川村委員 今度の北海道における漁業災害ばかりではなくて、全体の災害でありますが、この災害はまことに甚大であつて、特に漁業関係の災害はかつて見ざる大きな災害で、しかも漁業者の関係だけでも四百十一名という多数の罹災者を出しておるということでありまして、罹災者各位にはまことに気の毒だという意思を表示するとともに、このたびの大災害について、いろいろ捜査その他救助に御協力くださいました第一管区海上保安本部その他警備隊の方々や、さらにまた駐留軍の方方、その他現地の当局並びにそれら関係の方々の御努力に対しましては、深甚の感謝をするものであります。またさらに本委員会の委員で北海道に関係のない委員からということで、中村君初め三名の方々がつぶさに御調査くださいましたことにつきましては、この際北海道出身の私から厚くお礼を申し上げる次第であります。
 この問題は、何といつても至急に対策を立て、その実現を期さなければ救済はできないのであります。従つてこの対策には、緊急の対策と恒久の対策とありますが、恒久対策については、立法措置その他を考えて救済をして行かなければならぬと思つております。
 そこで私長官にまずお伺いしておきたいことは、これは松田君も触れておりましたが、今度の災害の大きな理由は、もちろん台風が災いしたことは言うまでもないのでありまして、さけ、ます漁業について今年の許可につきましては、長官その他水産庁の首脳部に、こんなことは必ずあるぞということを言つており、われわれは大臣許可にさけ・ます漁業の許可を移す場合にくぎづけにすべきでない、いわゆる大型化しなければ、あの小さな船では、油なり水なりを積んで遠く百海里、二百海里行くのは危険があるから、今年から大型化を実施するためには、農林大臣許可の拡大強化をはからなければならぬというので、道庁も私らと意見が一致いたしましたし、それぞれその道庁の意見に基いて、文書をもつて長官に通告をし、意見を求めております。ところで長官は、今になつて何とか道庁と相談をしてやる、恒久的な対策を立てるということの御答弁がありましたが、私はすでにこうしたようなことがあるという前提で、それぞれ先ほど申し上げましたように、文書でその意思を表示し、さらに陳情もしたのでございますけれども、長官はそうしたことをしなければならぬじやないかという意向でありましたけれども、その局に当つておられる部長以下係官は、絶対にそれを認めなかつたということが、今度の大きな災害で多数の漁船が損害をこうむつた一つの原因であつたと考えておるのでございます。長官はここでおざなりの答弁でなく、ほんとうに実現する方針ならば、今から研究して、すでに再着漁業もあることであり、来年のこと等ももうすぐに対策を立てるべきであると思うのでございますが、この点について松田君には、道庁と相談をするというお答えでありましたが、道庁も今後大型化ということを打出した以上は、一体何隻くらいの大型化をしなければならぬか、さらにまた大型化することによつて、ただ単に小さな船一隻々々に大型化することは、資源の関係等もありますからこれは容易でないと思つておりますが、道庁の考え方、それからほんとうに来年はやる、今年はどうするとかいうような、具体的な長官の御答弁をまず一点としてお伺いしたいと思います。
#27
○清井政府委員 この点は、先ほどお答え申し上げましたことと同じ趣旨のことをお答え申し上げることになるのでありますが、私といたしましては、この問題は何もおざなりにお答えを申し上げているわけではないのであります。この問題は、おつしやる通り確かに資源という非常に大きな問題が一つあります。それから道庁許可船と水産庁許可船との関係がございます。そこで今後は資源の問題と、道、国の許可船全体を総合勘案いたしまして、ただいま申し上げましたように順次大型化するという方向へ持つて行きたい、こういうことを申し上げたのであります。ただ具体的に隻数その他につきましては、いろいろ問題がございますので、ここではつきりお答え申すことはできないのでありますが、道庁並びに関係者の意見を十分聞きまして、今後具体的にきめて行きたいと思いますが、方向としてはこういう方向で行きたいということをはつきり申し上げたいと思います。
#28
○山本参考人 今度の災害の一つの大きな原因となりましたことは、先ほど来問題になつております、船が小さかつたということがその最も大きなものであると思います。この大型化につきましては、今後におきまして特にお願いいたさなければならぬと思いますが、実は二十九年度に道庁としてとつた措置を申し上げて御参考に供したいと思います。実は道の許可の平均を見ますと、大体十一・二トンくらいが平均になつておるということで、非常に小さいのでありますが、これらのものを一気にやめさせて大きくするということは、経済上の問題その他いろいろな点からなかなかできないということから、従来の実績船につきましては一応これを許可しております。しかし新たに許可する組合自営船については、二十トンを下つてはいけないということ、それから個人の持つている船につきましては、これは経済上の問題もあり、そう一気に行かないので、十五トン以下のものは許可しないということで実はやつて参つたわけでございます。道といたしましては、何とか大型化したいと考えまして、二隻を持つて来れば一隻にしてそうして大型化しようというようなこと、資源とにらみ合せて考えながら、二隻持つて来るものは一隻にしてやるというようなことで、非常に苦しいいろいろな措置を講じて、大型化について努力いたしておるようなわけでございます。なお、資源その他の関係もございましようから、われわれといたしましては、水産庁長官からお話のありましたように、よく打合せして、どうしても大型化の問題を実現させて行きたい、こういうふうに考えております。
#29
○田口委員長 川村委員にちよつと御相談いたします。亀井政府委員が何か御用があるそうでございますが、労働省関係の質問がなければお帰りを願いたいと思います。
#30
○川村委員 あります。今から逐次触れて行きますから……。
#31
○田口委員長 それではその方の質問を先にお願いします。
#32
○川村委員 それではその分を先にお尋ねを申し上げます。
 このたびの羅災者は四百十一名に上つておるのでございますが、このうち法律に基いて加入できない者もあるし、できる者もあるというようなことになつておりましようけれども、こうした漁夫というものは、家族が乗り組むので、船主であり船員であるというようなことで、加入ができないような仕組みになつておりますが、今後こうしたようなことがあると、罹災者として非常に気の毒な立場になると考えますので、やはり法律の改正をいたしまして、いやしくも船に乗る者は罹災のあつた場合においては労災保険の恩典に浴するようにしたいと思いますが、こうした点について、どういうように考えておるか、この点をまずお伺いいたします。
 もう一つは、いわゆる労災保険は、保険金の関係もありますが、今日三十万や四十万の保険金をもらいましても、そんなものはほんとうに生活の補助にも何にもならないというような、まことに金額が不足なので、この金額の引上げ等についても、そういう御意思があるかどうか伺つておきたいのであります。
#33
○龜井政府委員 労災保険事業は、御承知のように労働基準法の第八章で労災補償の規定がございますので、これを保険の形式によつて裏打ちをしておる制度でございまして、労働基準法そのものが、いわゆる被用労働者に適用せられまする関係上、労災保険法も従つて雇われまする労働者のみ適用を受けるのでありまして、いわゆる家族労働者は、労働基準法のわく外に置かれておるわけでございます。従つてお話のような、家族労働者まで労災保険の適用をしますことは、労働基準法の根本的な問題がかわらなければ、現在のところ不可能と考える次第でございます。
 なお遺族補償につきましては、現行におきましては平均賃金の千日分を麦給することになつておりますが、これも労働基準法におきまして定められておるものを労災保険において裏打ちをしておるわけでございまして、これをただちに引上げることにつきましては、他の補償との調整の問題もございまして、なかなかむずかしい問題であろうと思います。しかし御趣旨の点はよく研究させていただきたいと思います。
#34
○川村委員 漁業は御承知の通り特殊な性格を持つておりますので、先ほど申し上げましたように、船主であつて乗組員になるということも相当にあるのでございますし、かりに船主が沖に行かぬでも、そのむすことかあるいは弟とか、家族が相当乗り組むということが多いのでございます。これらが家族だからといつて今日の社会制度からして雇えないということもないのであるが、船主が、自分の弟なり、せがれなり、いろいろ家族がいるけれども、そういう者をいわゆる雇つて行つたという場合には、この適用を受けるかどうか。つまり、もし現在適用がないとすれば、そういうものはどうしても適用を受けられるようにした方がいいのではないか、またしてもらわなければならぬという考え方を持つておりますが、現在そうした適用を受けられるかどうか。こうしたいわゆる雇用契約を結んだ場合は受けられるのかどうか。それから、もし現在それができなかつたならば、法律を直して、雇用契約を結んだ者には適用できるようにしたいと思うが、この点はどうか。
#35
○龜井政府委員 先ほども申し上げましたように、労働基準法の建前が、家族労働者に対しまして適用されない現状でございます。ただ漁業につきましては、お話のような特殊な事情のあることもよく承知をいたしております。そこでこの問題を処理しまするについては、そこに労使関係というものが明確に確立されておる、すなわち雇用関係というものが明確にあるかどうか、あるいはその賃金の支払い、労働時間その他指揮命令というふうな点におきまして、一般の労働者と同じような地位あるいは身分にあるかどうかということの問題がかかつて来ようと思います。こういう問題もわれわれとしまして、現在任意加入の制度で漁業労働者に適応いたしておりますが、これを将来におきまして強制加入にまで持つて行きたいということで検討を加えておるところでございます。雇用関係の明確なものにつきましては、できるだけ強制加入をさせまして、保護の道を強化して行きたいというつもりで鋭意研究をいたしております。
#36
○松田(鐵)委員 関連して……。今の労災保険については、あの法律を見たところによりますと、なかなか今の川村委員の御発言の趣旨がどうもいれられないような感じがする。そこで、これは水産庁が主となつてやつてもらいたいと思つておるのですが、労働省とも大きな関係があると思いますが、漁夫に対する漁業保険というようなことを考えられるかどうか。実は零細な漁民というものは、非常におもしろい、漁業のやり方から行けば実にりつぱなやり方をやつておる。一つの漁船をやつておる場合、それに主人が乗つておる、子供が乗つておる、親類が乗つておる、こういうようにしてやつておる零細な漁民が、今回一ところにおいて四人も、また別家において親子というように、ほとんど親類ばかりがみんな死んでおる。これらは他から労働者を連れて来ないで、もう自力でもつてあらゆる努力をせんとしておるので、漁業の実態からいつたならば模範たるべきやり方である。そういう者が災害にあつて、それで一家全部死んでしまつて、残つた者は親類同士も女ばかりで、それにおじいさんが一人残つたというような状態である。これはもう涙なくして聞かれない、中村委員も泣かれてしまつてどうにもこうにもならなかつた。何も手につかぬのです。はなはだしいのは、根室において、その日結婚式があつて料理屋で披露することになつておつた。ところがあの町がああいうような状態なものだから、料理屋で披露することができないで、うちでつましくやつたというような状態、こういうような悲惨な状態になつておる。そこで、漁業とすれば一家総動員、親類の者まで総動員して、つましくあらゆる努力をして生産をあげておる。それがほんとうに零細漁民としての行き方なんです。ところが災害によつてこういうぐあいになると、あとは女子供と老人だけ残るというような状態ですが、さてこれらに対して、現在の労災保険から行くとそれができない。これができないといえばただ生命保険をかけておくという以外にない。生命保険をかけておくということになりますと、これはまたお互いが生命保険そのものも自分の事業費の中だ、税金と同じものだという考え方でやつて行けばいいんだけれども、なかなか漁民はそこまで考えないで、どうしても手取り早いそのときどきの保険をかけたいという気持になつている。また自己の経済からいつて、十五年も二十年も生命保険をかけて行くがいいかどうかという考え方を持ち、やはり漁期なら漁期というもので、労災保険と同じようなものをかけたいという気持になつておる。これに対して現在の労災保険は適用ができない。そうしたならば、これらの正しい漁民の行き方を救つて行くということから言つたならば、水産庁はやはりこれに対して考慮して行かなければならないが、漁民保険というようなものでもかけられ得ないかどうか。これはきようただちに御回答を願うというわけにも行かないので、後に労働省または厚生省とよく御協議になつて、この方法も考慮していただきたいと思うが、もし案でもありましたならばお答え願いたいと思う。
#37
○清井政府委員 ただいまのお話の点は、漁業者ことに零細な漁業者の漁業経営形態として確かにあるのであり、またそれが相当に頻繁に見られる形態であると思います。それに対するただいまの法制的な立場としては、不十分であることはお話の通りであります。実は私どもも漁船保険といいますか、損出補償というものについて、いろいろ考えなければならぬ点もあるということを先ほどちよつと申し上げたのでありますが、確かにそういう期間としても、この問題は当然考えて行かなければならぬ問題だと思います。非常にむずかしい問題でありますので、どういうふうなことになるか、ただちにはつきりしたことは申し上げられませんが、確かにこれは研究しなければならぬ問題であることは事実であります。一部には共済制度のようなものもつくりたいという業界の意向もあるようでありますが、共済制度も手始めとしてはいい問題でありますけれども、これはさらに制度化して行かなければならぬ。いずれにいたしましても、これは爾後ひとつ研究させていただきたいと思います。
#38
○田中(幾)委員 今度の災害の区域では、この表にもあります通り、労災保険にかけておる者が二百四十二名で、金額にして一億三千八百二十万円というふうになつておる。労働省の方のお話を聞きますと、家族労働者には適用できないというのは、何か法的の根拠から来ているのですか。たとえば労働基準法の第八条、それから労災法の三条の規定からでも解釈なされるのでしようか、ちよつと伺いたい。
#39
○龜井政府委員 法的に家族労働者のみが従事しております事業につきましては除外をいたしております。ただ家族労働者と申しまするものの雇用関係は、基準法におきましては、あくまでも労働者というものを建前としております。労働者は労働の対象として賃金を得て労務を提供するものでありまして、その間の雇用関係が明瞭でない者につきましては、基準法の適用はございません。従いまして労災保険の適用もないという関係になると思います。
#40
○田中(幾)委員 そうしますと同居の親族のみ、たとえば親子だけでやつておるというのはよくわかりますが、そのうちでもし一人でも二人でも他人がまじつておる場合には、その他人には労働基準法を適用するが自分の親族の者については適用しないということになるのでございますか。
#41
○龜井政府委員 その通りであります。
#42
○田中(幾)委員 そうしますと、親族であつても今の労働条件というものがはつきりしておれば、その証明がつけば適用を受けるというのですね。
#43
○龜井政府委員 法律上の解釈としましては、同居の親族のみで行つております事業については適用がございません。従つてお話の一人でも他人を雇つていれば、そのものについては適用があるわけでございます。従つて一人でも他人を雇つておるものと同居の親族の関係はどうなるかということになりますると、これは事実の認定の問題になりまして、そこに労働関係が明確にあるかないかということの問題になつて来ようかと思います。これは事実問題を認定しなければわかりにくい問題であります。
#44
○川村委員 最後のところでありますが、ひとつ端的な例をとりますと、私の漁業は、私は東京におるけれども私が経営者になつておる。そこで私のせがれが現在家業に従事して、漁業をやつておる、こういう場合に、私は全部の利益をとるのであつて、せがれには、給料ではないけれどもやはりそれぞれ金をやつて生活をさせておる。これを船料としてはつきり雇用関係を結んだ場合に、あるいは法をくぐるといつたような考えかもしれないけれども、そうでなく、われわれ海に出る者は、昔から板一枚下は地獄の底いうようなたとえがあるように、死が伴う問題であるといつたような点から、やはり自分たちのせがれの生活を、あるいは兄弟なりの生活を保護するという点から考えて、すなわち善良な考え方から行つて、これを契約を結んではつきりした場合――これは認定の問題になるという御答弁があると思いますけれども、そういう場合には、私は適用していいのではないかという感じがします。もちろん家族だけでやる場合においては、法律ではおそらく被保険者になれないということになつておるでしようけれども、他人がたくさんなつた場合にやはりそれぞれ他人をつける場合は、自分の家族の者もつけることを当然考えなければならぬと思う。そうしたようなことで、やはり認定がはつきりしたものに対してはいいという解釈をしていいかどうか、これをお尋ねいたします。
#45
○龜井政府委員 災害補償の問題は、御承知のように使用者の無過失賠償責任を定めておるものでございます。従つてそこに使用従属の関係、すなわち雇用契約というものがなければならぬことは当然でございます。使用者の無過失賠償責任でございまするから、同居の親族だけの事業につきましては、それは親としての立場からその生活の保障をして行くことは当然のことでございます。従つてその場合におきまして基準法の適用を受けず、または労災保険の適用を受けないという立法の精神であります。そこで今お話のようなことがはたして労働者であるかどうかという問題になりますると、いろいろな角度から検討されなければならぬ。すなわち支払われる賃金が普通の労働者に支払われる賃金としてなされており、あるいは労働者名簿にその労働者としての登録がなされており、あるいは使用従属の関係が明確に他の一般の労働者と同じように指揮命令がなされておる、いろいろな観点から問題を考えて行かなければなりませんので、抽象的なお答えはむずかしいかと存じます。
#46
○川村委員 この問題につきましてはわれわれも十分研究をしますが、労働省におきましても十分研究して、また水産庁当局としても十分検討して、やはり漁業労働者に対しては救われる道を講じていただきたいと思うのであります。
 そこで次に北海道水産部長の山本参考人にお伺いしますが、今度の災害では大体五百六隻になつております。もちろんこれは破損したもの、現在行方不明になつているもの、沈没したもの等があげられるでありましよう。漁船保険法は御承知の通り、法律では一トン以上百トンまでの動力船が漁船として漁船保険に加入することができるわけでありますが、予算関係で本年の緊縮予算から十トン以上二十トン未満とせられたのでありますが、二十トン未満のものがどれくらい被害を受け、それから二十トン以上のものがどれくらい被害を受けておるか、二十トン以下のもので保険に入つておるものはどれくらいあるか、この点を伺いたいと思います。
#47
○山本参考人 ただいまの資料につきましては――大体ここにある被害の関係は二十トン未満になつておりますが、保険の加入関係その他につきましては、実は資料を持つておりませんので、詳細に調べましてさつそく差上げたいと思います。
#48
○川村委員 この漁船保険については、われわれは何とかして漁船の損害を受けた場合に急拠再興できるようにということで保険制度を設けたのでございますが、各地をまわつてみると、これは北海道だけのことでございますが、われわれの立法した気持というものを何らそんたくしていない。漁民が不認識だ。不認識だということは、道庁の指導もあまり徹底していないというようなことも言えると思う。こういう場合に初めてびつくりして、いや保険をつけておけばよかつたということで、あとの祭りでございますので、われわれも今度の対策については十分検討して、すみやかに救われるような方法を講じますが、道庁といたしましても、漁船保険にできるだけすみやかに加入せしめるような今後御指導を願えれば幸いだと思つております。
 次に罹災者の再着漁業についてであります。これは水産庁と道庁の両方にお伺いいたしますが、同じ罹災者であつても、もう完全に船が沈没したり、行方不明になつたり、人が死んでしまつたというようなものは、さけ・ます漁業にただちに再着漁業はおそらくできまいと思うのでありますが、その他の羅災者で急に間に合わないという場合において、一体どういう再着漁業をさせる御意思か、それとも今度緊急の措置が講ぜられて、船の修繕、網の破損等の補いがつくならば、さけ・ます漁業はまだ漁期がありますから、できると思いますが、罹災者中にどの程度さけ・ますの再着漁業ができるか、あるいは実際に船の大破損等で、それを修繕しておるうちに漁期がなくなつて、さけ・ますの再着漁業ができないというものもあるでしようし、さらにまた他から船を借り入れてやるという場合においても、資金等の関係でできないというものもあると思いますが、さけ・ますの再着漁業ができるものはすみやかにさせなければならぬが、もしただいま申し上げたような関係で再着漁業が不可能だというものは、一体北海道としてどういうふうな対策を持つておるかということを、まず道庁の方に伺いたいと同時に、さらに水産庁長官からも伺いたいと思います。
#49
○山本参考人 御指摘の再着漁業が非常に問題でございまして、急を要すると思います。いずれにいたしましても、沈没したものについての再建の問題と、それから大破、中破、小破と、直して行けるもの、大体この二つがあるので、とりあえず修繕をして全力を注ぐということで、道庁といたしましても、これがほんとうのつなぎ融資ということから、信連とか農中とか、そのほか基金協会へ働きかけをして、とりあえず四千万円の修繕費を出して促進をはかつておる次第であります。なおまつたく船がなくなつたというものにつきましては、道といたしましては、船をいろいろ調べまして、用船のことについてのあつせんをいたしておりますが、その実績についてはただいま御報告するまでに至つておりませんが、努力いたしております。なお北海道といたしまして船が十分ございませんので、実は今度参りまして、これは許可の条件からいうと、北海道の立場から言えば、むしろ本州の船はあまり歓迎はいたしておりませんが、場合によりましては水産庁にお願いいたしまして、府県の船を借りてでも再着漁業させたい、こういうふうに考えておる次第でありまして、まつたくこの問題につきましては、船主が死んだ、あるいはだれが死んだというようなこともございますので、その方法は基本的に考えてやらなければなりませんが、いずれにしても非常に急ぐのであります。船の資金の融資をやらなければならぬと考えておりますが、いずれにしてもこうした融資の立法ができないと、そういうことについての促進ができませんので、実はこの立法を期待しておる次第であります。
#50
○清井政府委員 ただいま御質問の点は、ただいま北海道の方から申し上げましたように、私どもの直接関連をいたしますのは、流し網の許可の問題に関連いたすのでございますが、この点は、こういうふうな災害にあわれた方が再着漁業いたしたいということでございますが、臨時的な措置でございますれば、無理をして罹災者の方が再挙するのに非常に妨げするということがあつてもはなはだ遺憾でございますので、この点は道庁と相談いたしまして、個々のそれぞれの事態につきまして適切に審査をいたしまして、決して無理のないように円滑に再着漁業できるようにいたして参りたいと考えております。
#51
○川村委員 次に漁業権証券の資金化の問題でありますが、長官からはお答えがありましたのでよくわかりましたが、北海道は御承知の通り五十二、三億も漁業権証券があつて、それが相当借金のかたにとられて、どのくらい残つておりますかはつきりいたしませんが、先般ちようど北海道の災害があつたときに、私東京へ出て来ると道信連の安藤君に話したのですが、道信連では各単協の漁業権証券を相当預かつているから、あれを早く資金化して、そうして今度の罹災者に転貸したいという希望を持つているのですが、一体どの程度道信連で漁業権証券を預かつているか、あるいは道庁で大体どれくらい資金化に役立つ証券があるか、おわかりでありましたら御答弁を願いたい。
#52
○山本参考人 ただいまの漁業権証券の問題ですが、組合の関係といたしまして七億、それから個人関係のものにおきまして大体一億、合計八億でございます。
#53
○川村委員 大体八億ということを山本水産部長からお答えになつたのでございますが、こたらを資金化しますと、今度の災害に緊急を要する金額の大体半分にある。それらが緊急に役立つとすれば、あわせて立法もしますけれども、相当復旧が促進されるのではないかと思つておりますが、この促進のために水産庁長官といたしまして、大蔵省にさつそく交渉して、ただちに資金化できるような方法を講じていただきたいが、長官はこういうことについて大蔵省と打合せをしたことがあるかどうか。まだ打合せをしておらぬとすれば、早急に打合せをして、この資金化をする八億というものは、すでに漁業制度改革によつて他種漁業への転換もありましようし、今度の災害も救われるということになりますので、この点を長官はどういうふうにお考えになつているか、あるいは大蔵省と話をしたことがあるが、今後早急にするかどうかということについてお伺いいたします。
#54
○清井政府委員 ただいまの漁業権証券の問題は、先ほどもちよつと触れましたが、まだいわゆる二十八年度分が一億数千万円残つているのであります。それがとりあえず北海道の漁業権証券の資金化に、金額とは申しませんけれども、ほとんど大部分は持つて行けると思うのであります。ただ、ただいま水産部長からお話がありました八億が――これはおそらく道全体の金額でないかと考えるのですが、この八億をこの際全部ただちに資金化するかどうかという問題につきましては、これはなお道庁の方と相談いたしまして、とにかく融資と並んで漁業権証券の資金化措置の方が、実際問題として地元の組合の現金化として相当役立つことと存じております。そこで私どもの方としては、さしあたりは一億数千万円ございますが、なお御要望に応じまして大蔵省ともさらに話を進めて行きたい、できるだけこの方面にも力を注いで参りたい、こう考えております。
#55
○川村委員 大体ここに道庁から漁業権証券の資金化ということを打出している以上は、八億全部を資金化してもらいたいという希望だろうと思つております。そこでそれが実現しますと、今一億五、六千万持つておるということと合せると九億五十万円、すると大体私これだけでも役立てれば相当に対策の促進がはかられると思いますので、よく道庁と水産庁と相談をして、そうしてすみやかにこの資金化を期していたたきたいということをお願いする次第であります。
 それから次に魚田開発の住宅が相当にいたんでおるようであります。私どもは、あの方面に行つて大体見ておるのですが、実際に入植者の住宅というものは簡単に建ててあるので、風も強かつたかもしれませんけれども、相当いたんでおるということなんですが、あの方面にはどのくらい入植者が入つておりますか。この表で見ると約四十四戸がつぶれたということであります。全滅だということでありますから、幾らも残らない、ほとんどやられたと思いますが、どの程度になつておるかということです。
#56
○山本参考人 羅臼地区におきます魚田開発の入植者は、正確には記憶しておりませんが、約六十戸くらいであります。
#57
○川村委員 私これで質問を終りますが、とにかく今度の災害については、罹災者はもちろん、北海道庁といたしましても相当苦しい立場になつておりますので、われわれ水産委員会といたしましても、早急にこの対策の実現を期してやるように努力をしなければならぬのでございますが、このことについての立法措置については、私北海道の災害の特別立法化をしなければならぬと思います。私は長官に、準備をすみやかにしていただきたい、よろしゆうございますと言つて別れた。それが先ほど松田君の質問にお答えして、何かまだ大蔵省の方と完全な協議も遂げていないようでございますが、もし大蔵省の方と交渉を続けて、大蔵省が資金とかあるいは予算の関係でぐずぐずしておりますと、会期が一週間くらいしかありませんのでとうてい間に合わない、間に合なければ罹災者が相当に困るということは、これは言うまでもないのでございますが、長官としてもすみやかに大蔵省に協議の交渉を開始して、そうして大体このくらいの損害があるから、この程度の立法をしたいということを打出して、早急に政府提出で出すか、あるいは議員提出で出すかということを決定づけた方が、われわれの方としても非常にやりやすいと考えるのでありますが、長官は大蔵省と真剣に一体交渉したことがあるかどうか。どうも先ほどの答弁を聞いていると、まだ交渉を開始していないというふうに考えられるのですが、私は急ぐ問題だから、どうか準備しておいてください、こうお願いしたのですが、ほんとうに一体大蔵省と交渉したかどうか、この点御答弁を願いたいのでございますが、もし交渉してないとすれば、すみやかに交渉を開始して、この次の委員会に、どうするこうするという結論を出すまでに協議を進めていただきたいことを御要望申し上げて、私の質問を終る次第であります。
#58
○清井政府委員 最後の点でありますが、これは先ほどもちよつとお答え申し上げましたが、抽象的にこういう問題があるということは前から大蔵省には話はしてあるのであります。そこで昨日具体的に数字がわかりましたので、実は私がここで御説明しておる間、部長、課長は全部大蔵省に参りまして、具体的に打合せをいたしておるのであります。現にやつておるのであります。そこで早急に国会としても御意思を御決定になる方向のようでありますし、私どもの方としても会期の問題もあります。事務的に何かの対策をしなければならぬというので、大蔵省とも今相談をいたしましておる最中であります。私どもといたしましても、できるだけ早く解決いたしたいとせつかく努力しておるところでございます。
#59
○川村委員 委員長に御相談申し上げるのですが、今までの大蔵省のやり方というものは、何かしらん予算を伴うものはぐずぐずするのですが、この際かつての例もありますので、むしろ議員立法で自由党は自由党で、各党は各党でそれぞれ話を進めていただいて、一挙に議員提出でやつた方が早いと考えるのですが、よく長官とも相談されて、この次の委員会にはもう議員提出であろうと政府提出であろうと、案をここに出して委員会を進めた方がいいと思いますので、そういうふうな気持で私どもお進みあらんことを希望いたします。
#60
○田口委員長 承知いたしました。
#61
○山中(日)委員 これは他の委員の方からもすでに御質問のあつた問題でございますが、この南千島海域の遭難漁船の保護、送還の問題でありますが、先ほどの水産庁長官の御答弁によりますと、できるだけ善処するというような趣旨のお話でありますが、しかしこれはすでに十一隻という船がソ連の方に曳航をされておるということが確定されておるわけであります。そこで道庁側の先ほどの御説明によりますと、日本の赤十字を通じ、ソ連の赤十字を通じてこの保護、送還に対していろいろ要請をいたしておる、こういうことでありますが、むろんそれもけつこうだと思いますけれども、しかしこういう問題はただ単に北海道庁にまかしておくという問題ではない、日本政府としては、こういつた問題については根本的に考えて行かなければならない問題があると思います。あえて今度の災害に限らず、北洋の拿捕船の問題についてもいろいろ問題があるわけでありますが、結局政府の言うのは、ソ連との国交が調整されておらない、従つて調整されてない今日においては交渉の余地がないのだ、こういうことでもうすべての問題が片づけられておるのが現状だと思います。しかし今度の問題は、政府が外交的に交渉して解決しなければならぬという政治的な問題じやないのでありまして、こういつた災害による問題は、これは人道上の問題でありますから、従つてソ連との間に国交が調整されておりませんでも、こういつた人道上の問題については、何らか政府が直接にソ連に向つてこの問題についての善処方を要請するというような方法をとるべきではないか、こういうふうに私どもは常に考えておるわけであります。それで日本国内には、御承知のように旧ソ連代表部というものがありますけれども、しかしこれは日本政府が認めておりませんから、認めていない機関に日本政府が交渉するというのはおかしいということをいつも言つておりますけれども、しかしそれも私どもが先ほど申し上げたように、これを外交的に解決する政治的な問題ならいざ知らず、こういつた天災による不慮の人道上の問題等については、そういつたソ連との国交調整というものができておるできてないにかかわらず、日本政府としては何らかの手を打つて、早急に保護、送還の措置を講ずべきではないか。そうしなければ、それらの船の乗組員の家族の方も、ただ政府ができるだけ善処するという答弁では、おそらく安心はできないだろう、非常な不安な感じを持つておるだろうと思います。この点について政府は、こういう方法でこうしようと考えておるというような点を、もう少し具体的に説明をしていただきたい、かように思うのであります。
#62
○田口委員長 本問題は先ほど北海道知事から委員長も頼まれた問題でございますから、山中委員と大体同じ気持でございますが、委員長から外務省に相談をしてみまして、さような方法がとれますればよろしゆうございますし、とれなければ国会議員としてソ連代表部にひとつ折衝してみよう、こう考えております。
#63
○山中(日)委員 けつこうです。
#64
○田中(幾)委員 現地の常呂町へ参りましたところが、自分の子供を何人か遭難させた老人の話ですが、すでに国後へ曳航される現況を目撃したという漁船があるのでありまして、もし返還されないならば、その老人は白旗を船へ立てて自分たちで迎えに行く。ソ連に拿捕されるのを覚悟の上で白旗を立てて行くという決意を漏しておる。そうするとかえつて自分たちも向うへ連れられて行くということがありますので、そういうことは少し待つたらよかろうと慰めて来ておるような現状でありますので、現地のそういう熱情をおくみとりくださいまして、至急に善処されんことを現地を見て来た者の一人としてお願い申し上げます。
#65
○田口委員長 この際海上保安庁次長島居政府委員より発言を求められております。これを許します。
#66
○島居政府委員 先ほどのソ連の関係もございましたが、実は赤十字の方もおやりになつたと思いますが、私の方でも遭難のあつた翌日十一日及び十三日に、ソ連の方の側へ巡視船から直接無電でもつて遭難状況の情報の提供方を依頼しておるのであります。また十七日以降は毎日無電でもつてソ連側へ遭難船があつたら頼むということをやつておりまして、――毎日といつても無電関係において障害がないときを選んで、夕刻でありますがやつておるわけでありまして、きようの午前ごろまで四十二回やつておるのでありますが、まだ何ら返答がない。実は去年向うのバージを向うへ返したときに同様な方法でやつて、向うがキヤツチしたこともございますので、何らかの返答がないかと思つてこういうふうにやつておるようなわけであります。なお今委員長からもお話がありましたようなわけで、私の方もこれ以上のことを考えて対処したいと思つております。
 最後にあたりまして、本日は本水産委員の方々、ことに北海道へ特別調査団として派遣されました中村委員より、また北海道庁からたいへんお心のこもつた感謝の言葉をいただいたのですが、海上保安庁といたしましては、その当時三十五メートルの海上風速でありましたし、うねりも急でありまして、非常な奮闘をしたのですが、その模様は先ほどお手元にその一例だけをすつたものをお配りしたようなわけであります。しかしながら航海の安全を確保し、海上の治安を維持するというのが海上保安庁の本来の使命でございます。ことに人命を救助するということは当然やるべきことでございまして、その当然やるべきことをやつたにすぎないのであります。こういうふうにいろいろお話をしております間でも、現在なお私の方の北海道では十五隻の巡視船が百五十マイルから二百マイルの遠洋に出かけまして奮闘をしておるようなわけであります。しかしせつかく感謝の言葉をいただきましたので、さつそく私の方は、全管区本部に直通電話なり無線でお話の模様を伝えたいと思つております。さぞ現地の第一線の各員は非常に喜ぶだろうと思つておりますし、また当然の仕事に邁進するだろうと思つております。まことにいろいろありがとうございました。
#67
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は月曜日に開会いたします。
 これにて散会いたします。
   午後一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト