くにさくロゴ
1953/10/14 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第40号
姉妹サイト
 
1953/10/14 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第40号

#1
第019回国会 水産委員会 第40号
昭和二十九年十月十四日(木曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長代理理事 鈴木 善幸君
   理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君
   理事 中村庸一郎君
      遠藤 三郎君    田渕 光一君
      中村  清君    濱田 幸雄君
      松田 鐵藏君    赤路 友藏君
      淡谷 悠藏君    並木 芳雄君
      辻  文雄君
 委員外の出席者
        水産庁長官   清井  正君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        漁政課長)   家治 清一君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
十月十四日
 委員白浜仁吉君辞任につき、その補欠として並
 木芳雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水産関係予算に関し説明聴取
    ―――――――――――――
#2
○鈴木(善)委員長代理 これより会議を開きます。
 ただいまより昭和三十年度水産庁関係諸施策の裏づけとなるべき予算措置につきまして、政府より説明を聴取することにいたします。清井水産庁長官。
#3
○清井説明員 明年度の予算でございますが、ただいま事務的に省議を決定いたしまして、大蔵省に説明をいたしておる最中でございます。従いましてただいま御説明申し上げる予算は、水産庁が裁定いたしまして、農林省といたしまして大蔵省に事務的に申出をいたしておる予算の説明であるというふうに御了解を願いたいと思います。便宜最初に御配付申し上げてある資料について、おもなるものについて初めに御説明申し上たいと思います。
 番号の順に御説明申し上げたいと思います。水産庁一般行政の経費、これは二億一千万円の要求額でありますが、これは申すまでもなく水産庁としての人件費、事務賢、庁費等であります。いわゆる事務費でありますが、それが二億一千万円であります。
 それから漁船乗組員養成事業、これは二十九年度からの実行の継続でありまして、昨年度は一千万円でございましたが、今年は三千六百万円を要求いたしたいというふうに考えております。内容は備考に書いてございます通り、小型船舶職員の養成であります。これは主として県において行う事業につきまして、本省から補助金を交付するという意味で、昨年度からの継続事業費であります。もう一つは船長、機関長及び通信士養成費補助金であります。これは主として大日本水産会なり、漁船技術員養成所なり、無線全漁連というものがございますが、そういつたふうな特殊養成機関に特殊の専門家を養成せしめて、これに対して補助金を交付する。ことに漁船の大型化、能率化に伴いまして、漸次高級の技術を要することになつて参りましたので、私どもといたしましては、むろん他省においても実行いたしておりますけれども、水産庁におきましても特に丙種船長、機関長、甲種二等航海士、機関士乙種通信士なりを養成して参りたい、これを要求いたしたいということであります。
 その次の三はまき網漁業等調整指導、これは事務費であります。別に予算の説明を要しませんが、これはまき網漁業の転換に非常に漁業調整上問題がありますので、しばしばまき網漁業についての調整協議会等の協議会をいたしますので、それに要する事務費でありますので、説明を書いてございません。
 それから四番と五番、この四と五は前々からの継続でありまして、ことに小型の機船底びき網漁業の減船整理、これは昭和二十六年度からの五箇年計画で実行いたしております。明年度は最終年度に当るのであります。これはいわゆる小型の機船底びき網の船を整理するという方向のもとに、これは古い船を沈船せしめたり、あるいは運搬船等に転換いたしますために要する費用の補助金を交付いたしております。五箇年度の最終年度でございます。
 それから中型機船底びき網これは小型より大きい二十トン以上の機船底びき網漁業の整理転換であります。これを二十八年度から二十九年、三十年の三箇年間で第一の計画を終了するわけでありますが、これの三箇年目といたしまして金額を要求いたしているわけであります。五は、いわゆる減船整理転換の補助金であります。
 それから六は、北海道の未開発魚田であります。これはいわゆる農地の入植というか開拓と申しますか、それと同じ意味の水産の観点からするところの北海道の特殊地域に対する入植であります。それに対しまして私の方で農地の入植に似たような意味の補助金を交付いたしているのでありまして、二十六年度四百五十戸、二十七年度四百戸、二十八年度二百戸、二十九年度二百三十戸、合計千二百七十戸が大体六基地に入植したためにいるのであります。今回もさらにこれを強化いたしまして四百戸入植をさせたい、それに対する住宅なりいろいろな施設に対する補助金を交付されたい、こういうように考えましたのが魚田開発の補助金であります。
 それからその次の七番が沿岸漁業の調整であります。これは調整と書いてございますが、その金額の大部分は漁業調整委員会に要する費用でありまして、農業委員会の農業委員と同じような趣旨の漁業調整委員会というものが大体百三十四あるのであります。それの委員の費用あるいは開催に要する事務費書記の給料の補助金等であります。それが大部分であります。それから各県のこれに要する市庁なり県庁の職員の設置費であります。この二億円の大部分は結局委員会の経費に費されております。それからこの説明にも書いてございますが、現に補助率がこの委員会につきましてはかつて全額でありましたものが、先般の法律によりまして三分の二あるいは二分の一になつたのであります。これは本年度一年度限りの法律でありますので、元にもどしまして、三分の一なり三分の二を全額の補助というふうに切りかえて要求いたしている点がおもなる点なのであります。
 それから八番は、漁業の転換促進、これは事務費であります。これは新規でありますが、これは水産庁の中の漁業転換を促進するために要する事務費であります。小型の漁業から大型の漁業に、あるいは底びきからその他の漁業へ、沿岸から沖合いへ漁業転換をいたしますためにいろいろな事務を要します。それにまた公庫等の融資の裏づけをして行かなければならないので、そういつた仕事を強化するために事務費を要求いたしているのであります。それが主となるものであります。
 九番が、沿岸及び沖合い漁業の取締り指導、これは申すまでもなく水産庁の漁業法違反に関するあるいはその他の指導に関するところの取締りに必要な船の運航費であります。小型底びき、あるいは沖合いの漁業、あるいは瀬戸内海あるいは有明海等に官船を――確か二隻出しまして、そのほか用船が十三隻かあるのでありますが、特に今回は沖合漁業取締りのために新しく百三十トン級のものを一隻建造いたしたいということで、新しく一隻つくる予算が入つておりますので、金額が相当張つておるのでございます。昨年八千八百万円に対しましてことしは一億八千五百万円を要求いたしたいと思います。新船建造がありますので金額が大きくなつておるのであります。用船をいたしますよりも、役所の直接自分の持つておる船の方が万事都合がよろしゆうございます。行動も自由でありますし、非常に効果が上りますので、できるだけ私どもの方針といたしましては、漁業取締りについては、用船を官船に切りかえたいという方針で実はおるのでありますが、御承知のような財政事情でありますので、なかなか思うようには行かないのであります。しかしながら少しずつ少しずつ実現をいたしておりますことは、非常にありがたく思つておるのでありまして、本年度もさらに新船を一隻つくりたいというふうに思つておるのであります。それが九番であります。
 それから十番は新漁場開発、これは新しい予算であります。と申しますのは、新漁場開発は、要するに水産庁のと申しますか、水産の施策の一つの大きな柱であります。ただいまの漁業の状況からいたしますれば、今日まで漁業者が十分熟知いたしております漁場はもちろんでありまするが、さらに新漁場を近場の海においてもどんどん開発をして行きまして、新しい漁場、新しい漁場をやはり見つけて行かなければならぬのであります。しかしながらやはりその新しい漁場については、漁業者が、積極的にこれを指導いたしましても、なかなかその行くことがむずかしい点があるのであります。もしもうまく当ればよろしゆうございますけれども、当らなかつた場合に、相当の経済的の損失が伴いますので、よかりそうだということがわかつておりながらも、なかなか漁業者が進んで出て行かないということもございますので、そこで役所からと申しますか、国庫でもつて若干それをバツク・アツプする、しり押しをいたしまして、そこで新漁場開発を促進さして行こうじやないか、こういうような考え方で、新しく新規の事業といたしまして、三千三百万円ばかり計上いたしてみたのであります。その内容は、ここに書いてあります通り、中型の機船底びき網漁業の試験調査、それからまき網の漁業の調査、この二つにわけて考えておるのであります。中型の方の底びきは、大体全国の八箇所くらいを考えております。たとえばオホーツクの方とかあるいは千島あるいは利尻方面、あるいは金華山の方面、それから紀州の方面、能登の方面、九州の日向灘の方面、あるいは兵庫方面等、大体考えておりますのはそういうところで、深海の底びき――御承知の通りただいま大体二百メートルくらいが限度で底びきをやつておりますけれども、さらにもし少し深いところで底びきをやつてみたらどうかということで、まず各県の水産試験場の船が、とにかく指導船として、参りまして、それに相当燃料を補助するとか、あるいはついて行きます船には漁具とか漁撈の施設の補助金を出すとか、あるいは乗組員の手当の補助金を出すとかいうふうにいたしまして、万が一これが思う通り行かなくても、とにかく平常通りのものは収入としてあげ得る、経営の安定を来させるということによつて、とにかく新漁場に出てみようかというような指導をして参る、こういう考え方であります。一旦これが成功いたしますれば、補助金の必要はないのでありますが、とにかく最初に出て行くときだけは、何とかしてスムーズに出やすくしてやろう、こういう考え方で中型底びきの深海方面への乗り入れと申しますか、発展を考えておるのでございます。それからまき網の方は、これは直接水産試験場の船が指導するわけではございませんが、大体船の一つに試験場の人が乗つかつて行きまして、そうして指導して行こうというふうな考え方であります。大体日本海方面を主といたしまして、あるいは特に新しく復帰いたしました奄美大島方面を考えまして、まき網の試験操業をさせる。それに対しまして、底びきで申しましたのと同じような燃料の補助金とか、あるいは乗組員の手当の補助金というものを交付いたしまして、そこでたというまく行かなくても、平常の程度の収入をあげ得るということによつて、ひとつ出させよう、むろんこれは希望者を募つて出させるわけでありますので、希望者を招集いたしまして、その中から希望者が多く出ますれば、適当なのを選びまして、補助金の交付を条件といたしまして、新しい漁場に試験操業をさせるということによりまして、少しでも行詰まつておりまする沿岸、沖合いの漁場を広くして行こうという考え方をとつておるのであります。これは水産の施策の一つとしての新漁場開発の一端でございまして、新規予算でございますが、計上いたした次第でございます。
 その次は水産の増殖であります。これもまた私どもとして考えておりまする大きな施策の一つであります。御承知の通りの状況でありまして、なるべく沿岸の詰まつた漁場を沖合あるいは遠洋へというふうに指導いたしまして漁船の大刑化、能率化をはかつてやつて参つておるのでありますが、これまたそう一ぺんに行くわけにはなかなか参りませんので、漸次これを強化いたして参るのでありますが、同時にまた沿岸そのものの資源の増殖ということを常にはかりまして、沿岸におきます漁業の安定に資さなければならぬということはもちろんでございます。また同時に内水面の方の指導も考えなければなりませんので、この水産増殖の事業の補助金ということにつきましては、私どもも十分力を入れて参りたいと思つておるのであります。その内訳といたしましては、ここに書いてあります通り、内水面の方の資源の維持費の補助につきましては、いろいろの稚魚を放流いたします費用とか、あるいは稚魚を養成いたしますところの各県の試験場の施設に対する補助、要するに池でありますが、いろいろ稚魚の育成の池等の施設の補助というものをいたしてみたいというふうに考えておりますのが、内水面の資源の維持費であります。
 それから遡河性の鮭鱒増殖事業費、これは北海道は国営で遡河性の鮭鱒の増殖事業をやつておるのでありますが、北海道以外の内地――主として東北等が主でございますが、につきましても北海道と同様なふうに事業をやつて行きたいというふうに考えておるのでありますが、すぐに国営というわけにも参りませんので、増殖の事業費――施設がございまするから、その事業費に対して国が補助金を出しまして、漸次鮭鱒事業というものの性格を国家的性格に引上げて参るという一段階といたしまして、内地の遡河性の鮭鱒の増殖事業につきましても補助金を出したいというふうに考えておるのであります。これは新規に計上されておるわけであります。
 それから浅海の保護水面管理費、これは法律に基きまして、貝類、藻類等の非常に繁殖する海面を特に保護水面に指定いたしまして、増殖について関係者が十分な保護をしなければならぬということになりますので、経費がかかる、その経費に対しまして補助金を交付いたすのであります。
 その次が浅海の増殖開発費、これは従前からもありましたもので、いろいろ内容がございまして、ここに書いてありますが、耕耘、客土、築磯、岩面掻破、魚礁設置、産卵場造成――耕松は農業と同じように、土地を耕耘いたしまして、栄養分の発生を助けるということで、貝類、藻類、主として貝類でありますが、これらを増殖させる。客土は新しく客土いたすということであります。築磯も同様な意味でありまして、魚の巣と申しますか、繁殖保護のしやすいように築磯をいたす、あるいは岩面をかきまわして藻類の発生しやすいようにいたすということでありますが、問題になつておりますのは産卵場造成、これは新しいのでありますが、主として瀬戸内海のたこつぼの造成であります。瀬戸内海の漁業が非常に資源の減少が目立つておるので、産卵場を増成いたすということであります。また特に魚礁の問題でありますが、これは昨年度――昨年度と申しますか、実施は本年度でありますが、いわゆる瀬戸内海を中心といたしまして二千五百万円の新しい予算をとつたのであります。非常にこれは好成績で好評でございますので、さらにこれを広げまして昨年の倍程度を要求いたしているのであります。地域も瀬戸内海に限らず、その他特に関係の深いところに広めて参りたいというふうに考えておりまして、去年の倍額を要求いたしているということであります。それから最後の重要貝類の増殖補助金。これは帆立貝、北海道のサロマ湖、青森の陸奥湾がそれの増殖地であります。これは従前からの継続事業であります。これはその他の貝も一部ここに入つております。その他は日光の養魚場十和田湖孵化場の経費、これは水産庁の所管でありまして、その経費を含めまして水産増殖費といたしまして、とにかく二億六千万円の金額を要求しているのであります。
 それから十二番が内水面漁業調整でありますが、これは先ほども申し上げました農業委員会に準ずるいわゆる漁業調整委員会のこれは内水面に属する部分であります。これは内水面の方の漁場管理委員会というものは、大体県庁の任命になつているのでありまして、この費用に対しては今まで全額であつたものが、本年度は二分の一と三分の三になりましたものを、全額にもとして要求いたしているわけであります。
 なお十三番目は北海道内水面鮭鱒流し網漁業の整理転換。それについて漁業の整理の方も、二十八年度からの三箇年計画の最終年度でありまして、これは内水面の漁業を鮭漁業に転換させるに要する補助金であります。
 それから十四番、十五番、これはともに水産業協同組合の指導監督と漁業協同組合の再建整備及び整備促進に要する費用でありまして、水産業協同組合の役員の講習であるとかあるいは漁業協同組合事業活動促進対策補助費であるとか再建整備のための補助金であるとかということでありまして、ひとえに水産業協同組合の発展強化のために必要な予算でありまして、従前からの継続事業をさらに拡充いたしたいと思いまして、相当の金額を増額して要求をいたしているのであります。
 それから十六番、これは今までの漁業災害の復旧に関する特殊立法ができておりまして、それが全部利子補給及び損失補償ということになつておりますので、大体従来の法律の実施に基く借入金の実際状況にかんがみまして、この利子補給しなければならぬ金額あるいは損失補償しなければならぬ金額を計算いたしましてここに計上いたしているのであります。
 それから十七番が中小漁業融資保証保険特別会計への繰入れであります。これは御承知の通りのような漁業信用基金協会が各県に設立されているのでありますが、それが保証いたしました場合について政府がそれをまた保険をするという形に実はなつております。保険の基金が大体今までのところ五億あるのであります。ところが五億ではなかなか実際問題として足らないのでありまして、二十九年度も実は要求をいたしたのでありますが、これは財政の関係上認められなかつたのであります。しかし明年度はぜひ四億五千万円は増額いたしたい、合計九億五千万円にいたすわけでありますが、そういうふうに基金協会に対する保険の基金を増額するということによりまして、間接に基金協会の運用を円滑化する、ひいては基金協会に対する保険料とかあるいはいろいろな基金に加入したものの負担を軽減するということができるわけでありますから、この基金を増額することによつて基金協会の利用率を増加するということになり得るのであります。それの一段階といたしまして、ぜひ四億五千万円を増額いたしたい。金額が非常に大きいのでありまして、非常にむずかしい予算になつていますが、私どもといたしましては、やはり漁業の信用と申しますか、漁業金融の改善の一方策としてぜひとも増額いたしたい、こういうふうに実は考えているわけであります。
 それから十八番が漁船の損害補償の問題であります。漁船損害保険であります。この備考に書いてございますが、漁船保険中央会の補助金とかあるいは漁船保険組合の事務費の補助という問題がございますが、問題は漁船保険特別会計の繰入れであります。再保険特別会計の繰入れと特殊保険の繰入れ、給与保険の繰入れと三つになつているのでありますが、一般の保険事業に対する繰入れは申すまでもなくただいまは三十トン未満の船の加入船につきまして半額の保険料を国庫負担することになつておりますが、これを百トンに引上げてあります。この経過につきましては今さら申し上げるまでもないことであります。これを引上げて計上してあります。それから満期保険についての保険料、それから塔載漁具、これは新規事業でありまして、現在実際上は塔載漁具は見てないのであります。それで船とともに搭載した場合の漁具についてははつきり見て行こうということで、それについての予算をこの際計上しているのでありまして、その点は新規要求になつているのであります。
 それから特殊保険と給与保険、これは申すまでもなく拿捕された場合の特殊保険、それから抑留された場合の乗組員に対する給与保険を現在実施しておりますが、それがあまりに予定よりも拿捕抑留数が多いために繰入れをする必要があり、繰入れに必要な金額を計上いたしたわけであります。従つて金額が相当張りまして、本年度は一億四千七百万円でございますが、要求額は六億六千七百万円ということになつております。私どもといたしまして最も重要視しております予算項目の一つでございます。
 それから十九番は漁業災害の調査研究、これはたびたび漁業災害が起るたびにしばしば各委員において御議論があり、また私たちもその通りだと思つているのでありますが、何とかしてこの漁業の損害補償をもつと拡充強化する必要があるのじやないか。ただいまはむしろ保険補償と申しますか、実体は保険でございますが、二十トン未満半額、あるいは特殊漁業でございますれば搭載漁具であるわけですが、そこでこれを定置網漁業に及ぼすとか、あるいは進んで農業保険と同じように災害保険あるいは漁業保険というところまで発展せしむべきではないか。あるいは災害の起つたときにそのたびに考えるということではなしに、何か恒久的な制度を研究いたしまして、漁業災害の補償ということを考えたらどうかと考えているのであります。その問題について私どもも実はいろいろ調査を進めてはおりますが、また民間におきましても調査をいたしているのでありますが、さらにこの制度のために根本的な角度からいろいろ検討する必要があるということで調査費を計上しているのであります。これは昨年度も少し特別会計の中にあつたのでありますが、本年度は特別会計から切り離しまして、一般会計から調査費を出したいということで計上いたしているのであります。
 それから二十番は輸出水産業に関する振興。これは輸出水産業に関する法律を実施いたすことになつておりますが、そのために審議会を設置いたしまして、それに要する費用なり海外の普及宣伝に要する費用等をここに計上をいたしたのであります。
 それから水産物の取引改善、これは主として調査費であります。水産物の取引改善のために流通の調査なり、あるいは卸売市場の指導監督の事務費を計上いたしたのであります。
 それから取引所の指導監督についても計上いたしております。これは現在あります取引所の指導監督に要する事務費であります。
 それから二十三番は魚食普及。これは名前が魚食普及というのは必ずも当らないかと思うのでありますが、これは都会はもちろん農村方面に対する、いわゆる魚食普及を学校給食を通じて行こう、こういう考え方に基いているわけであります。農村に対する魚食普及ということはかねがね考えておりますし、また各委員からもいろいろ御意見を承つておるわけでありますが、なかなか実際は実行がむずかしいのであります。主として塩干魚等で相当供給されておりますけれども、なかなか鮮魚で供給されにくいという問題もあります。われわれといたしましてもいろいろ考えまして、予算をいろいろ組み合せして来たのでございますが、結局考えましたことは、現在学校給食制度が相当普及しているわけでありますから、そこを通じてとにかくまず水産カン詰の普及ということから乗り出して行こう、鮮魚についてもいろいろむずかしい問題がありますので、カン詰についてやつて行こう、こういうことであります。そこで水産カン詰等を、学校給食を扱う団体に水産物が非常に安い時期に購入せしめてそれを一定期間貯蔵せしめるわけでありますが、その貯蔵せしめる貯蔵費なりあるいは利子の補給ということで少しでも安い水産カン詰を学校給食に与え、それを通じて魚食を普及させて行きたいという考え方であります。これは新規であります。そのほか魚食普及推進移動展示講習会等もやつて参り、水産物の消費普及と農村の栄養改善、生活改善にも資して行きたいという考え方であります。
 それから二十四番、これは事務費でありまして、いろいろの漁業条約を実施いたします場合に必要な会議費とか、あるいは国際漁業会議とかそういう関係のいろいろな事務費であります。
 それから二十五番はおつとせい調査並びに指導監督であります。それは現在でもやつておるのでありますが、おつとせいに関するところの調査並びに取締り等を必要といたすのでありまして、三十年度もさらに太平洋方面、日本海方面あるいは北洋方面で、いろいろ調査なり取締りをいたして参りたいということで、おつとせいの調査のための経費を計上しておるのであります。
 その次は捕鯨業指導取締り並びに調査でありますが、これは事務費であります。捕鯨船に監督官が乗つて参りますから、それに要するところの事務費であります。
 それから二十七番の北洋漁業に関する指導監督並びに取締り、これは御承知のように、北洋漁業に出て参りますと対外関係もございますので、非常な広範囲にわたりまして私どもの取締船が出て参ります。その指導監督に要する経費であります。主として取締り監督船の用船の費用であります。
 それから日濠漁業紛争処理、これは新規であります。御承知の通りただいま日濠の関係の問題が国際司法裁判所に提訴されることに進められておるのでありますが、そこで私どもといたしましても、単に漁業者がとるということでなしに、調査船が行きましてあの付近の新規漁場で採取してみる。どの程度とれるか、どういうふうな漁場においてとれるか、その数量並びに品質あるいはその漁場各般の観点からいろいろ調査をして行きまして、もつて日濠紛争の将来に備えまして有利な材料を集めることができればという考え方あります。そういつたいろいろな観点から調査船をひとつ出しまして、所要の調査をやりたいというための採取あるいは調査のための船を雇つて向うへ派遣する費用であります。
 それから二十九番の遠洋漁業の取締り指導監督並びに新漁場開発であります。これは主としてまぐろ漁場――太平洋方面の関係とそれから、東海、黄海と申しますか、いわゆる西の方の漁業取締り、北方以外の全体の取締りに要するところの船を雇うための費用であります。それが一つ。それから漁場開発といたしましては、ここに書いてあります通り太平洋方面の調査、インド洋方面の調査をいたして行きたい、こういうふうに考えております。新しく五百トン級の船を一隻建造いたしたいと思いますので金額が相当張つておりますが、新しく船を出しまして、主としてオーストラリアの東部の方面あるいはインド洋方面等に母船式あるいは単独によるまぐろ漁場を開発して行きまして、ただいまいろいろな状況によつて非常に打撃を受けておりますまぐろ漁業について、新漁場をさらに発見して参りたい。これは役所がまず役所の費用で漁場を開発して、漁業者の使途に充てたいというふうな考えであります。太平洋、インド洋方面を調査したいということの費用であります。
 それから三十番がアラフラ海白蝶貝等採取漁業の指導取締りであります。これは現在もうほとんど終りかかつておりますが、現在行つておりますところのいわゆる真珠貝と申しますか、白蝶貝の採取漁船が濠州との約束を破らないように、私どもの方で取締りをしなければならぬ、その取締船を派遣いたす費用であります。これは二隻が一隻ずつ交代して行うということで、二隻の費用を計上してあります。
 それから三十一番は南方漁業基地利用によるまぐろ漁業の経営合理化促進対策でありますが、これも新規であります。これは主としてサモア方面といいますか、サモアは御承知の通りオーストラリアの東北に当つておりますが、そこら周辺で特にこれは南方の漁業基地利用といいますか、いろいろアメリカからの働きかけもあるのでありますが、アメリカの漁業者のいわゆる基地を利用することによつてその漁業を発展させるということも考えるわけであります。これは正式に日本の政府がアメリカの基地を利用できるというところまで行つておるわけではございませんけれども、現在漁業者間に話がありますのは、要するにサモアにありますアメリカの基地の漁場施設に対して、日本の漁船が魚をとるということまで話が進んでおるのであります。そういつたようなことも頭に入れまして、その付近でそういうような形態によつて漁業を進展させるにはどういうふうにするか、あるいはまた将来日本が現在アメリカの勢力範囲にありますところの南方基地を中継地として、あるいはその他の関係の漁業基地として利用できることになるかもわかりませんが、これは将来のことになりますのでそういつたことも頭に入れまして、いろいろ同方面のそういつた形態の漁業を開くとすれば、どういうふうになるだろうかということを調査したいということでありまして、これまた調査船を雇つて漁場を開く調査船の費用であります。
 それから三十二番は海外漁場開発であります。これは主としてアルゼンチンの沖合い等へ水産庁の官船であります東光丸を派遣いたしたいということであります。現在世界中でおそらく漁場の未知として残つておりますのは、アルゼンチン沖合いを主とした南米のところでありまして、これはただいま日本の漁業者たちも行つておりますが、将来日本の対外移民が行こうという企画も現在あるのでありまして、そういうことも頭に入れまして、将来農業移民と同様に漁業移民が行く場合の漁場調査といいますか、ある程度調査はありますけれども、役所として正式につかんだ調査はありませんので、役所が自分で行つてはつきりデータをつかんで参りたいということで、いろいろな観点から調査を進めたいというので五千万円を計上いたした新規のものであります。
 それから三十三番は漁船の管理及び改善であります。これはほとんど従来のものと同じでありまして、従来やつております漁船の検査なり登録なり、あるいは依頼検査などの仕事の継続でありますが、ただここで新しく考えられておりますものが相当あるわけであります。と申しますのは八番、九番あたりが新しいものでありますので、漁業無線陸上局受信施設整備費補助、これは現在漁業無線の受信施設を利用しておるものを、水産庁といたしましては三局程度選びまして、これに特に補助をいたしたい、あるいは速力標柱、マイル・ポストの補助、これも現在あるところはある程度補助して行きたい、こういうことであります。今までになかつたのでありますが、そういうこともやつて行きたいというふうに考えております。なおまた五番の漁船用の小型機関あるいは六番の無線電話取扱いの費用、この五番、六番と八番、九番が新規の計画でございます。
 それから三十四番、漁業指導監督通信施設整備、これは実は私どもで相当の取締船を持つておりますし、あるいは相当の指導船、用船を持つておりまして、漁業の取締りあるいは漁船の保護に当つておりますが、なかなかそれに対する通信の連絡が、十分なスピードで行かない場合が多いのであります。一般の通信方法によるしか方法がないのであります。そういうことでは不十分であるから、むしろ水産庁の本庁に無線電信機をつけて、直接に出先の漁船に連絡をするということができれば、さらに効果があがるだろう、小伝馬船はむろんでありますが、一般漁業者に対してもそういうことを通じてやるとか、いろいろの方法によつて、とにかく水産庁自身が無線を持つということが、今よりもさらに有効適切に漁船へのいろいろな連絡ができるというふうに考えまして、特に最近いろいろなことが多いのでありますから、そういう必要を痛感いたしまして、水産庁というか、農林省の屋上に無線塔を立てまして――海上保安庁と同じでありますか、そこで大いにやろう、そういう意味の予算であります。それに要する施設設備のために千七百万円を要求しておるのであります。
 それから三十五番、漁船研究所でありますが、現在漁船研究室がございますが、これを研究所といたしまして、いろいろ漁船の研究を将来発展させて行きたいという意味の経費であります。
 それから三十六番が水産業の基礎調査、これはいろいろ水産業に関する基礎調査を進めて参りまして、別段特に新しいものではございませんが、水産業の調査を継続してやつて参りたい。こういうことでございます。
 三十七番、水産資料館、これは水産庁の資料を整備しております資料館というのがございますが、これの整備費と運営費であります。
 三十八番、インド太平洋・水産理事会、普通にI・P・F・Cと言つておりますが、これが来年日本において開催されますので、その開催に要する費用であります。
 三十九番、水産研究管理運営並びに水産資源開発でありますが、これはこの備考に書いてあります通り、対馬暖流調査と漁況海況予報と、内海漁場調査、こういうふうになつておるのであります。この内海漁場と書いてあります三番目のものは新規でありまして、いわゆる最近よく発達して参りましたところの魚群探知機によつて――現在の海図等では一番浅いところがわかつておるというだけで、船の航行の便宜のためにのみ調査をしておりますが、むしろ水産ではそれよりもさらに土質を調べるとか、深浅の状況等、詳しく調べる必要があるのであります。そういつたような水産の観点から、主として漁業探知機等を利用いたしまして、一定の漁場を調査したい、こういうことで、特に入会のはげしいところを選んで、少しずつ調査をして行きたいということで、この分は新規に調査の計画を組んでおるのであります。
 四十番、冷害対策に関する海洋調査、これは現在、昨年度から始まりましたのをさらに拡充強化して参りたい。調査船の費用と各試験場の調査に要する費用の補助金であります。
 四十一番、輸出冷凍水産物の品質改善研究、これはきはだまぐろの黒変の原因がまだよくわかりませんので、それで試験研究官が乗りまして、漁撈してから内地に持つて来るまでの間の諸作用を一貫して調査いたしまして、きはだまぐろの黒変の原因調査に資したいということでありまして、そういう意味の事務費が組んであるのであります。
 四十二番、国際漁業生物調査、これは今度の日米加の漁業条約とも関連があるのでありますが、北洋におきまする鮭鱒の回遊状況を調査いたして、いわゆるアジア系の鮭鱒あるいはアメリカ系の鮭鱒と申しますか、そういうようなことに基くいろいろの基礎調査をいたしまして、ひいては日米加条約に基くところのいろいろな諸制限の合理的解決に資したいと思いまして、計上いたしておるのであります。この点は今度開かれます日米加漁業条約の会議の一つの議題にもなるのであります、私どもとしてはそれを来年度の予算に計上いたしておるのであります。
 それから四十三番、水産業技術改良普及事業、これは現在やつておりますところの技術改良普及の技術員が、地方に六十九人おります。これがエンジン取扱いの指導とか、養殖に対する指導、いろいろいたしおるのでありますが、さらにこれを将来発展させて行きたいという費用であります。
 四十四番、北海道の鮭鱒孵化場の孵化施設購入費であります。これは北海道の鮭鱒増殖の漁業協同組合が農林漁業の特別融通資金を借り入れて施設した孵化場を、半額で国が買い入れようという意味の費用であります。
 それからあとは水産研究所の費用、真珠研究所等の費用がございますが、結局ここに総計いたしますと、一般経費は、二十九年度の実行予算三十一億二千四百二十四万円に対しまして、三十年度の要求額は四十八億六千五百万円であります。
 それから最後の紙は、漁港整備事業であります。これは申し上げるまでもないのでありますが、既定計画の推進と新規七十五箇所を計上いたしまして、三十億千九百八十四万円に対しまして、三十年度は七十八億四千二百万円という要求をいたしておるのであります。むろんこれは災害を含めての予算でありまして、一般の災害を除きました分だけで申しますと、五十二億七百万円になるのであります。公共事業として要求いたしておるのであります。全部を含めますと、総計いたしまして本年度は五十一億四千四百万円に対しまして、百二十七億七百万円というものを要求いたしておる次第であります。
 以上申し上げましたのは項目別の予算でありますが、さらに私どもが考えておりますのは、この予算執行の裏打ちとなりますところの公庫等の融資であります。これが私どもといたしましては、別途と申しますか、形式的には水産庁の予算に直接計上されておりませんけれども、最も重要視しておりますところの予算でございまして、この分につきましては別途要求いたしておるのであります。ただいまのところ二十九年度貸付契約が三十億五千七百万円でありますが、明年度は八十四億を計上いたすことにしております。ことに漁船は今年度は十五億でありますが、明年度は五十億を要求いたしておる。漁港については本年度が三億八千万円でありますが、明年度は十五億を要求いたしたい。水産施設は本年度は十一億でありますが、明年度は二十億を要求いたしたいということで、総計水産関係はことしは三十億でありますが、明年度は八十五億を要求いたしたいということで、一応計算をいたしておるのであります。もつともこの内訳は、全体がきまりましてからまた再精査をすることになつておりますが、現在の予定ではそういうふうになつております。農林漁業金融公庫の総資金源としては、ことしは二百二十五億でありますが、それを六百九億、約三倍の要求を出すのであります。一応現在はこういう建前でやつておりますが、いずれまた合体のわくがきまりましてから、正式にそれぞれの事業別所管のわくはきめることになつているのであります。そういうようなことでございまして、ただいま申し上げた通り、公庫の融資額、ひいては開発銀行の融資額もございますが、これも相当金額を要求いたしておりますが、公共事業である漁港の予算、この融資の予算、あるいは保険関係と申しますか、漁船損害補償の予算、あるいは水産資源の開発の予算、新漁場開発の予算等が、予算面から申しますれば最も力を入れてやらなければならぬものだというふうに考えるのであります。いずれまたいろいろ御援助を仰がなければならぬ問題があろうかと存じます。現在大蔵省に事務的に説明を終了いたした段階でございますので、さよう御了承願いたいと思います。
#4
○鈴木(善)委員長代理 ただいまの長官の説明に対してお尋ねがございますれば……。
#5
○小高委員 ただいま水産庁長官から、一通りの明年度予算に対する説明を受けましたが、前年度の予算を踏襲する面がすこぶる多くて、これに対する特殊性というものを私どもは期待しておつたのでありまするが、二、三特殊性は出ておりまするが、総体的にもう少し特殊性を生かしたいというような寂蓼を感ぜずにはおられないのであります。その一、二点を質問いたしたいのでございますが、たとえば最近漁業革命という言葉が用いられておりまするが、その現われとして、漁探機の使用、それから合成繊維の漁網への切りかえ、合成繊維の延なわ等の問題、これらに対しまして、漁探機に対する育成措置がこの予算面において現われておらぬ。また合成繊維に対しまして、かねがねの問題であるにもかかわらず、予算面においてどの程度融資するという案がここに出ておらないのであります。これは国産品の擁護という意味におきましても、また輸入原料の防止という意味におきましても、国策的に今大きく政府が取上げておる化繊の問題は、研究事項となつておるのであります。もつと積極的に水産庁が、この合成繊維の漁網、あるいは合成繊維の延なわ等に対する一つの育成措置が講ぜられなければならないと思うのであります。ただいま伺いますと、公庫の融資の明年度希望額、八十四億のうち、二十億という水産施設等の数字も出ておるようでごさいますが、これらの項目をもつて魚探とかあるいは合成繊維切りかえの資金にお充てになる御意思があるかどうか、この点をまずお伺いいたしたいのであります。
 さらに続いて申し上げたいことは、サモアの漁場の開拓とか、あるいはアルゼンチンの漁業の調査研究に船を出すとか、これらはまことに当を得たと思いまして、この点は新鮮味を覚えるものでありますが、先ほど説明中に、水産庁の屋上に無線機をすえつけて漁場との連絡を巧みにはかる、これはけだしヒツト版であろうと思うのでありますが、ただ漁場の状況を聴取する、あるいは報告を受ける、あるいは連絡するという本庁対漁場漁船の連絡は、ただちに全国の漁業協同組合なり、あるいはまた港に待機しておる漁船とか、魚市場等に連繋がとられなければならないのであります。それらの通信及び本庁から受信されるところの態勢がどういうように考えられておるか、それらの予算が関連的に組まれておるか、もしおるとすれば、どの項目をもつてこれに充てるか、本庁がただこれを聞いて知つておるたけでは意味をなさないのであります。それは全国津々浦々の漁船あるいは漁場にぱつと響くところに、この効果が百パーセント現われるということになると思うのでございまして、以上の二、三点についてお伺いいたしたいと思います。
#6
○清井説明員 第一点の合成繊維の問題でございますが、これは実は私どもも予算を編成するにあたりまして、非常に苦心をした問題の一つであります。合成繊維につきましては、相当購入値が高価でありますので、ものはいいとわかつてもなかなか普及しないという面もあります。また品質そのものに問題がございまして、試験を要するという問題もあるのであります。製造関係、需要関係からも、いろいろこの問題について、もつと容易に需要者の手に入るように措置をとつてくれということの要望は、たびたび伺つておつたのでありまして、私どもといたしましても、何とか方法ができればやりたいものだということで、研究はいたしたのであります。すでに北方漁場においても、相当合成繊維の漁網の効果を発揮いたしておるのでありまして、むしろこれを予算化するといたしましても、どういう形にして予算化するかということが、実はむずかしい研究問題になりまして結局ただいまのところでは、農林漁業金融公庫の共同施設二十億の中に一応私どもとしては考えておるのであります。それから開銀の方の要求といたしましても、相当金額を実は要求をいたしておるのであります。これまた全体がまだきまらないことでありますので、はつきり金額も申し上げようもないのでありまして、私どもといたしましては、補償とか補助金とか利子補給というようなことでなしに、国の財政に基くところの比較的低金利による融資ということによつて、需要者がそれを割合低金利で入手するようにするという形の措置をとりたいということで、公庫と開銀の中にその金額を見ておるという現状でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
 それから漁船の無電連絡と申しますか、水産庁においていわゆる統一的にこれが通信を円滑化するための施設を強化するということと同時に、むろん受ける方の側の施設も十分強化しなければならぬことは当然であります。現在無線等の施設をつけておる漁船はそうよけいはないのでありまして、相当遠洋に行く必要欠くべからざるものはほとんどつけておりますが、近海に行くものでつけるべきものもつけていないのもあります。そういう問題もあわせて同時にやられればいいのでありますが、現在の状況からいたしますれば、先ほどちよつと申し上げた漁業用超短波施設の費用とか、技術の講習とか、そういつた方面の補助には十分力を尽されておりますけれども、一般の受信のための無線をとりつける費用について云々ということになりますと、なかなか実際問題として予算措置が困難でありますので、指導助長によりましてできるだけ役所の施設に即応して民間側の横の連絡、あるいは縦の連絡を活用して行く方に持つて行きたいというふうに実は考えておる次第であります。
 それから魚群探知機の問題でありますが、これもまた合成繊維と同じように、予算上から申しますと、魚群探知機も非常に発達をいたして参つておりまして、先ほどもちよつと申し上げた通り、海底の土質までもはつきりわかるようになつて来たというようなことであります。非常にけつこうなことでありますが、また同時に、これはけつこうなということで漁業者がこれを利用するという限りにおいては、これは補助金としてなかなか政府が出し得ない点があるのであります。けつこうなものであれば漁業者が自分で買つたらよいというようなことになつて補助金は出さない。十分であつたならば、もう少し試験研究させて、よくなつたときに漁業者に普及させればいいのだ。要するにいいものであれば少しくらい値段が高くてもそれを利用することによつて、高価でも十分カバーできるということであれば、むしろ品質の改善と普及宣伝ということを十分指導すればいいのであつて、それについて補助金をするなり、あるいは融資をするなりということを、特にそのことのためにやるということは、なかなか一般的にはできないという点があるのであります。むろん漁船の建造に対する融資の観点からは、間接にはいろいろ補給を受けるのでありますが、魚群探知機だけのための予算措置なり金融措置は、今のところちよつとむずかしいのではないか、こういうふうに考えております。
#7
○小高委員 合成繊維の育成方につきましては、公庫の要求額も八十四億のうちの二十億の共同施設のうちに含まれておる。そしてこれに対して水産庁としても大いなる熱意を持つているやに見受けましたので、この点は了承いたしましたが、漁探機等の融資が非常にむずかしいというようなことでありますが、きようは一通り予算の説明を伺いまして、細部にわたつてはまた日をあらためて質問いたすといたしまして、この公庫の八十四億の融資がどの程度の結末を収めるか、また開銀等の融資に対する水産庁の主張、これがどの程度に通るかということは、けだしこれは全国漁民が大きな関心を持つておることであり、われわれとしてもこの点はどうしても強く押して、水産庁と協力して解決せなければならぬという意図を持つておりますので、願わくばこの公庫融資及び開銀融資につきましては、特にひとつ水産庁の全力をあげてこれに当るという決意を切に要望いたしまして、私の質問を終ります。
#8
○鈴木(善)委員長代理 赤路友藏君。
#9
○赤路委員 こまかい質問になるかもしれませんが、おわかりの点だけ簡潔にお答え願いたいと思います。
 第七番目でございますが、第七番に漁業調整費交付金の点で、職員設置費があるわけです。この職員は現在身分が非常に不明確な状態になつておりますが、この職員設置費が今回金額国庫負担になりますと、当然国家公務員ということになろうと思いますが、この点十分お考えになつておつたかどうか。それから漁業調整委員会の委員会費でございますが、これまた金額国庫負担になるわけであります。御説明に百三十四委員会があるとのことですが、この漁業調整委員の手当というものが、他の、たとえば労働委員なりあるいは農業委員なりとの差が非常に大きなものがあるのでありまして、十分な活動ができないというような状態があるかのごとくに考えられますが、これらの点についてどういうふうに調整されておるか、これをお伺いしたいと思います。
#10
○家治説明員 第一点の職員設置の場合の身分の問題でありますが、実はこの職員設置は府県におきます職員でございますので、これは従来も問題はございませんので、全額国庫負担でありましても、これはやはり地方公務員でございます。ただ御質問の点は、おそらく漁業調整委員会の書記の身分であろうと思います。これは漁業調整委員会が任命する関係上、国家公務員なのか地方公務員なのか、現在の漁業法では明確でございませんので、漁業法の改正の機会がありますれば、そのときにある程度身分を明確にしたいと考えております。実際の取扱いは、大体地方公務員ということで取扱いを進めておる点が多いのであります。まだこの予算では法律的に確定的に明確にするというところまで行つておりません。
 それから漁業調整委員会の委員手当でございますが、これは現実は確かにある程度アンバランスになつております。ただ要求は、たとえば従来二百五千円とか三百円であつたものを五百円とか六百円、これは委員長と委員との差があるのでありますが、これを統一して農業委員会あるいは農業会議員の手当とバランスをとつて要求しております。ただ府県の現実は、実は国の方の負担なり補助にかかわらずほかの委員会との関係であるいは県議会の議員との関係で、県の持ち出しで高く出しておる県、ないし国の補助だけでやつておる県とありますから、アンバランスの点は現実の事実であります。この予算がこの通りにかりに通るといたしますと、農林省に関する他の委員会とのバランスはとれるわけでございます。
#11
○赤路委員 それはその程度で、関連しまして十二番目の内水面のところですが、漁場の管理委員会の仕事の中には、知事に答申する場合に利害関係人の意見を聞かなければならないという線が一点あるわけであります。この内水面関係は非常に利害関係者が多いわけであります。主として農民の諸君がこれら湖沼なりあるいは河川なり等の関係があるので、その都度その都度これは公聴会を開いてやらなければならぬ。当然非常に大きな費用がいるわけなんですが、これには二千六百万円しか計上されておりませんが、この程度でまかなつて行けるかどうか。相当今日問題を起しておる点でございますので、一点自信があるかどうかお聞きしたいと思います。
#12
○家治説明員 その点は、この予算で 必ずしも自信があるとは申し上げられないのでありますが、ただ今までなかつたのを要求しております点といたしましては、この内水面漁場管理関係で国に対する事務費の政府負担がなかつたのでありますが、この事務費を要求しておりまでそれは内容的には参考人の出席手当とかいうところまでは入つておりませんが、ただこの漁場管理委員会が県内の視察をしたり調査をしたり、そういつた事務費は計上して入つております。必ずしも十分とは言えませんが、現在よりは進歩しておると考えます。
#13
○赤路委員 十番の新漁場開拓でありますが、長官の説明を聞きますと中型底びき船の試験調査を全国八箇所で行う、これはまことにけつこうなことだと思います。特に深海底びきというお言葉があつたと思いますが、一応新しい試みとして、当然やつていただかなければならぬと思います。この深海底びきにつきましては普通一般底びきと違いますので、当然技術の関係が伴つて参ろうかと思います。現在までのところ、深海底びきは愛知県の一部が主としてやつておるようでございますが、たとえば徳島、高知におきましても、この深海底びきはなかなかやり得ない。こういう状況にあるので、当然技術指導ということがこれには伴つて来なければならない、こういうふうに思うのです。この点がこの予算で見られていないようなんですが、別途何かお考えを持つておられるかどうか、この点をお伺いいたします。
#14
○清井説明員 先はどちよつと申し上げました通り、これは各県それぞれの実際に出て行きます漁業者が来ました場合に、その漁業者の所属県の試験場、の調査船が、一緒にくつついて参ると申しますか、それが指導して行くわけであります。そこでまき網と違いまして――まき綱の方はそれぞれ船に乗つて参りますが、この底びきの方は試験場の船に指導者、技術者と申しますか、適当なる専門家が乗つて参りまして、底びきを引連れて新しい漁場に行きまして、そこでその指導のもとに一般の底びき船が底びきを操業する、こういう仕組みになつておるのでありまして、御心配の点の技術という問題は、その試験場の指導者がそれに乗つかつて行つて指導して行く、こういうふうに考えておるわけであります。
#15
○赤路委員 この点は相当専門的になりますので、またいずれあらためて係の方からお聞きいたしたいと思います。
 それから十一番の水産増殖の方ですが、水産増殖の方の魚礁設置予算であります。昨年度は二千七百万円でしたが、瀬戸内海関係だけとつたわけでありますが、これは現地で非常に喜ばれておるので、私たちもまことにけつこうなことであつたと思うのであります。本年度は御説明によりますと、これは単に瀬戸内海に限らない、一応全国的に見て行きたい、こういうお言葉のようであります。この魚礁設置、築磯も当然含むと思いますが、これの予算は、この中で一体どの程度見られておるのか、この数字をお聞かせ願いたいと思います。
#16
○家治説明員 魚礁設置は仰せの通り前年が最初は二千七百万円でありましたが、節約がありまして約二千五百万円になりました。それに比べまして今度の要求は約六千六百八十万円でございます。箇所数としては倍増の三百箇所を予定いたしております。それから築磯は前年度予算では投石事業それから岩礁爆破というようになつております。それを一応築磯という形にしてあるのでありますが、これも事業量としては倍増であります。前年は約二千九百万円でありましたが、今度の要求は六千四百万円、こういうようになつております。
#17
○赤路委員 十七番の四億五千万円なんですが、これはたしか二十七年度の補正予算で五億円になつたと思います。これは当初大体二十億の予算というようなことで予定を立ててやつておられた。最近出資が非常に増加して参つておるはずなんであります。従つてこれに対する利用度も非常に大きくなつて来ておりますので、四億五千万円程度ではまかない切れないのではないかと思いますし、これはもう少しふやさなければ困る事態が起つて来るのではないかと思いますが、この点どういうふうにお考えになつておるかお聞きしたい。
#18
○清井説明員 実はこの点は、当初は相当な金額を予定いたしたのでありますが、五億ということできまりまして、その後本年度に要求いたしましたのが通らなかつたのであります。というのは信用基金協会がつくり始めでありまして、やつと運行が始まつた程度でありますので、運営の状況によつて考えようじやないかという約束を実はしたのであります。その後基金協会も円満に発展をいたして、現在運営をいたしつつありますが、実効と申しますか、運営を始めてから時がたつてないということでありまして、私どもといたしましてもこの推移については、実は非常な心配をいたしておるわけであります。この四億五千万円と申しますのも、私ただいま数字の基礎を持つておりませんので恐縮でありますが、係の方にすつかり計算をさせたのであります。現在の基金の集まりの状況、あるいは運営状況、貸付状況等ずつとしさいに検討いたしまして、今後どういうふうに推移して行くだろうかということを計算いたしてやつて参りますと、四億五千万円の金額を入れれば、基金を吐き出すことなくして円滑に運営ができるという計算が出て来ておるわけであります。そこでわれわれといたしましては、最低限度の額としては四億五千万円ということを計上したのであります。こまかい数字を申し上げられないのは恐縮でありますが、一応現在の状況並びに将来の状況を予想いたしまして、この程度を最低限度と押えた数字であります。
#19
○赤路委員 十分御計算願つたことと思うのでありますが、御承知の通り、最近公庫なりあるいは農中のブロパーの金上が非常にきゆうくつであるために、基金協会の方に乗りかえるものが相当出て来ておるように見受けられるので、当然ある程度の増額分を見ておかなければ困るのではないか。私たちの方では、少くとも最低十億ということを考えておつたわけでありますが、四億五千万円というのではあまりに少い、こういうふうに考えたものだから質問申し上げたのです。なおひとつ御検討をお願いしたいと思います。
 それから三十二番ですが、この三十三番の中に、御承知の通り短波施設費の補助が全然出ておりません。これは今年度全国で五局新しく認可になりましたが、おそらくこれで短波認可は、漁業関係では最終のものになろうかと思います。この短波施設に対する補助金を、ぜひ何らかの形で見てやらなければならないのではないか、こういうふうに考えますが、お考えはいかがでありましようか。
#20
○清井説明員 実は最近この話を聞きまして考えたのでありますが、この予算を編成するときは、それは考えなかつたのであります。というのは毎年要求いたしましても、なかなか思うように通らなかつたものでありますから、あきらめた形でありますが、ちようど新しく五局、短波の局が許可になつた。ついてはこれについて適当な措置をしろという意味のお話を承つたわけでありまして、実は部内で相談をいたしております。まだはつきりしたことを申し上げられませんが、われわれといたしましては、理由のあることならばはつきり申し出て一向さしつかえないのではないかと思つておりますので、なお研究をいたしまして、追加でも要求ができるわけでありますし、間に合わないことはないわけでありますから、必要と考えましたならば追加要求をいたしたい、こう考えております。
#21
○赤路委員 これはぜひ必要なものでありますし、大体補助金といたしましても、五局で一千五百万円程度もあれば、事が済むのではないか、かように考えますので、ぜひこの点は御考慮をお願い申し上げたいと思います。
 次には三十六番の水産業基礎調査の面であります。従来とも非常に御努力を願つてやつていただいておりますが、私たちはこの基礎調査が一番重要ではないかというふうに思います。水産行政を計画的に推進するためにも重要なものだと考えておる。私たちも実は勉強をさせていただきたい。ところが相当な努力を払つていただいてできた資料が、私たちの手元にほとんど配付されない。このことは印刷部数が少いと申しますか、やはり予算関係が非常に少いところから来るのではないかと思うのです。現実にほとんど議員さんは資料をもらつていないということになるわけです。しかし十分勉強させていただくということが、私たちにも必要なんでございますから、この点少くともこの要求予算からは下げないように、ひとつこれは希望だけ申し上げておきます。 それから最後の漁港整備関係ですが、二十九年度では新規着工分は全然やらないんだということで、現在でも第一次整備漁港中の七十五港というものは全然着工していないはずでございますが、本年度はこの計画で参りますと、どういうふうな形になりますか、その点をひとつお知らせ願いたいと思います。
#22
○清井説明員 全体の公共事業の予算のあり方ということが、おそらく本年度の財政計画を立てる上からも非常な大きな問題になろうかとつております。私どもも同様に考え、また事務当局から相当きついことを実は言われているのであります。明年度はいわゆる二十九年度の予算かむしろそれより減るかもしれないぞということを言われているのであります。私どもといたしましてはこの予算の編成に当りましては、大体七十五港といういわゆる整備計画の残りの新規を加えてあります。四十六完成をいたしますので、結局継続が三百二十九港、新規が七十五港、合計四百四港が漁港竣工費として計上してあるわけであります。そこであくまでも私どもは二十九年度に着手し得なかつた七十五港は三十年度において着手いたしたいということで要求をいたしているわけであります。
#23
○赤路委員 この予算面に、三十一番目の海外漁場開発のところにアルゼンチン沖合いのことが出ておりますが、これに関連いたしますのでお尋ねして御意見を承りたいと思います。アルゼンチン沖合い、これは漁業移民の基礎調査であるということを今お聞きして、私たち非常に力強く思うわけでありますが。以前バタゴニアですが、漁業協同組合がアルゼンチンの方へ漁業移民をやる、こういうようなケースが出て参りました。今まで農業移民があつたが漁業移民はない。しかも日本の漁業が朝鮮にいたしましても、あるいは北洋にいたしましても中共関係にいたしましても、行詰まりの状態にあるときに、こういう形で南米の方へ出られるということはまことにけつこうなことである、もう全面的にこれは賛成をして、ぜひそういうような形であるならべ、早急にこれが実現するように努力されなければならぬ、こういうような考え方で大いに賛意を表したわけなんです。相当日数を経ていますが、最近までこれが実現をなお見ていないということ、しかも最近に至つては何かもたもたしているのかいろいろな風評が飛んでいるようであります。もちろんそこに疑惑の目もあり、あるいは漁業協同組合でありますから、組合員諸君の中にも不安を持つ面も出て来ているように私は考える。こういうようなことがそのまま放置されていいかということになりますと、非常に私たちは問題だと思う。こうしてせつかくアルゼンチンの沖合い漁業の新しい調査をしよう、しかも漁業移民を飛躍せしめよう、こういうようなお考えでこれもおやりになつており、私たちは国策として当然そうしたものが推し進めらら一て行くことは、これは必要であるし、かくなければならないと思います。今度のパタゴニアの漁業協同組合というものは一つの口火を切つたものである。これにはなお不完全な面あるいは批評を受けなければならぬような面もあるかもしれない。将来は当然りつぱな国策としての漁業移民という形が打出されて参ると思うのでありますが、どちらにいたしましても、こういうような現況のままで放置するということは好ましくない。新しく飛躍しようとするものに何か水をぶつかけるような形、これはパタゴニア漁業協同組合で中心になつてやられている方たちも、十分考えていただかなければならない問題でありますが、それとともに、当然当局の方でもこれに対しては十分なお考えを願わなければならぬと思う。一日も早く今一般がちやがちややられております。ところの不安なり疑惑なりを、この際一掃することが何といつても必要だと思うが、この点に対して一体どういうふうに思つているのか、水産庁の方のお考えを私はお聞きしておきたい。
#24
○清井説明員 アルゼンチン方面への出漁につきましては、現在一部の資本漁業と申しますか、従来南米以外の各地に進出いたしております漁業の形での出漁は計画をされつつあるのであります。ただいまお話のありました、また私どもの最も関心を持つておりますものは、いわゆる漁業移民と申しますか、ブラルジを中心とした農業移民にも拮抗する。アルゼンチン方面に対する漁業移民であります。これは申すまでもなく日本の漁業の形から行きましても、日本の移民の現在の状況から申しましても、また海外親善あるいは海外に対する健全なる発展といろいろな点から申しましても、重要な水産政策として打ち出さなければならぬと私は考えております。そこで現在私ども東光丸を派遣して、特にあそこを調査したいというのもそういうところから出ているのでありまして、この問題につきましては、現在すでにいわゆるパタゴニア開発組合というものが利用協同組合の形で内地にできているのでありまして、さらに同じ組合の形が現地においてつくられて、そうして現地において漁業をしたいという形の計画が進んでいるのであります。私どもとしてもこの企業にはつとに関心を持ちまして、むろん事務的な連絡は外務省を通じてアルゼンチンにいたしておりましたが、先般前半野政務次官があちらの方においでになつたときに、特にこの問題につきまして研究をされまして、向うの元首並びに関係大臣等の十分な理解と積極的な賛同を得て帰つて来ておられるのであります。また最近あちらへ参られました外務大臣にも、私の方から外務省を通じましてこの計画の委細を連絡いたしまして、重ねて相手方の十分な了解なり積極的な協力を得るように、現在計画を進めている最中であります。こういうようなことで、私どもといたしましては事務的にできる限りの方途を講じて、相手国の了解なり積極的な援助なりをかねがね願つているわけであります。向うからの反響を見ましても、十分この問題について理解しておられまして、いろいろな観点から、向うとしてはできるだけの援助をするということが、外務省を通じて公文で私の方に入つて参つております。従いまして、相手国においてこの問題について十分な関心と積極的な援助をするということははつきりいたしたように思います。そこで組合自体の問題でございますが、こちらから十一隻船を出したいということで、農林漁業金融公庫からの特別な貸付によつてこれを出漁さしたい。漁船についての貸付でありますが、こういうことで現在プランが進められているのであります。大分時間がたつておりますが、現在公庫において、国策ではありますけれども、やはりその金融機関としての立場もあろうかと思いますが、いろいろな観点からこの問題について慎重検討を続けているのであります。私どもといたしましては、今申し上げた通りの考え方であります。特に予算も組んで東光丸を向うにわざわざやつて調べようということでやつておりまして、そういう気組みで私どもも積極的にこの事業の推進に当つて行きたいということで、目下考え方を進めまして金融機関とも連絡をとり、関係官庁とも積極的な連絡をとつて推進して行きたい、こういうように考えております。
#25
○赤路委員 今までの経過をお聞きしてまことにわれわれも安心いたしました。ただ私たちが国策だと考えるこの漁業移民の第一歩に、いろいろな風聞を聞くことはまことに不愉快なんです。その推進に実際まつ黒になつて取組んで、少くとも日本漁業の発展をはかろうという段階でやつておる自分たちとしては、そういうようないろいろな不愉快なうわさは聞きたくないと実は思つておる。今長官のおつしやるように、向うの政府の方でも非常に乗気になつて援助をする、そうしてこちらの方からも平野さんが行き、また今外務大臣が行つてやつておる。将来は当然ひとつこれは国のりつぱな政策として打出して、推進して行くということはもちろんだと思います。ただ今日その第一歩を踏み出すとき、すでにこれがもやもやして不愉快な空気が出るというようなことでは、私は好ましくないと思う。ぜがひでもこれは何らかの形において速急に解決がつけられなければならぬ。もちろん組合自体の内部的な問題があろうかと思いまするが、これはひとつ国策という大きな観点の上に立つて、水産庁長官におかれましても、ぜひ別段の御尽力を願つて、早くそうした不安と疑惑を一掃するような形で御解決をつけていただきたいと思います。でないと、これがこのままに放置されて行きますと、おそらくそういうようなもやもやした空気が先方等にも反映して、事態はかえつて悪化するというようなことをおそれなければならぬと思います。せつかくの漁業移民の第一歩でもありますから、その点十分慎重なる態度をとつていただいておると思いますが、これの速急解決になお一段の御尽力をくださるようお願いしておきまして、私の質問は終ることにいたします。
#26
○松田(鐵)委員 ただいま赤路君からパタゴニアの漁業移民に対する質問があつたので、私はその組合の組合長をしておる関係上、今までの経過を簡単に申し上げておきたいと思います。長官からは親切丁寧なただいまの御答弁があつた。この問題は、先ほど長官が話されるように、もはや私が調査に行つて漁業協同組合をつくつて、そうしてあすこで漁業移民をやろうというような、われわれの組合だけの問題ではなくなつたのでございます。当時私とペロン大統領の会見内容は、前に皆さん方にもよくお話を申し上げた通り、その会見内容の言葉は、現在外務省を通じて公式の書類となつてすべてが来ております。全部そのときと同じケースによつて処理されておるのであります。移民契約というものは日本とはありません。ただ単なる呼寄せ移民だけがアルゼンチンに許された日本の移民の状態である、法律はそうなつておるが、すべての点から行きまして、完全な移民契約を私どもの手によつて行い得るようになつたのであります。また漁業協定というものもありません。しかしこのケースによりまして、アルゼンチン国の好意によつて、現実的には漁業の協定ができ得たと同様の形になつておるのであります。こうしたことで、水産庁長官の今までのあらゆる努力によつて、外務省を通じ、また政府を通じてやつておつたことはその実を結んだのでございます。だが残念なことには、先ほども長官から話されたように金融機関の態度であります。公庫は、政府が閣議決定を八月十七日にしております、よつてその線に向つて進むべくもはや腹をきめて、そして窓口機関たる中金から書類が上つております。その上つたときにおける中金の態度でございます。中金そのものの考え方というものは、どこまでも国内的にものを考えておるので、地球の裏であるアルゼンチンへ出漁する場合の漁業協同組合に対する貸金の回収というものに対して、あらゆる説明をし、それに対する裏づけをしておりますけれども、中金はそれにがえんじないというのが現在の状態でございます。中金から上つた書類を検討するときにおいて、意外なことが昨日現われて参つたのであります。それは、窓口金融機関はどこまでも二割の自己負担が必要なのであります。この、公庫と中金との業務交渉によつてはつきり規定されておるものに対して、中金はその二割を自分が負担をすることはいやだという意思表示をされておるのであります。これはとりもなおさず、この仕事は自分の方では拒絶したという意味でございます。これは将来おもしろい問題になることだろうと思いますが、現在の状態においては、さように公庫から報告されたのであります。長官は御存じでありますか。
#27
○清井説明員 いや、まだ知りません。
#28
○松田(鐵)委員 それが昨日公庫から報告された現実の姿であります。どういう理由によつてそれがそうなつたか私は存じませんが、要は国内においてこれを裏づけする担保の要求だろうと思うのであります。これは輸出入銀行がそうでありました。輸出入銀行は担保が融資をする金額に等しきもの及び人的保証が必要だということでありました。要するにお前には一億の金は貸すが、一億の担保を持つて来い、また一億の保証を有力なる個人によつて与えさせろということであつたのであります。こういう無理な条件を四つ出したのであります。中金においては表面はそう出しておりません。そういう条件は出しておりませんが、公庫に上げた書類の中には、自己負担の二割の免除をせよという言葉が入つておるのであります。これが中金の現在公庫に上げた書類であります。こういうようになつておつて、中金では自分はこれに対する融資の意思はないということをはつきり明示されたことをきのう聞いたのであります。公庫においてはかようなばかげた話はないという話で折衝されておるとかいうことを聞いておりますが、私も時間がないので長官にもそんな話はまだしておりませんが、これから公庫に行つてみようと思つておるのでありますが、そういうような現状になつておるわけであります。もし融資ができ得るならば、すべての準備は整つておりまして、ただちにこれに対して処置ができることになつております。しかもまた閣議決定の要綱といたしまして、カン詰工場及び漁具に対して裏づけを完全にするべきだということでありまして、漁網は一千四百五十万円でありましたか、十月十日の期日でもつて手形を出して契約されておつたのであります。これは完全に東邦物産において、それを私の方へ融資する条件になつておりまして、それは支払済みでございます。かような点からいつて、あと機械代はそのとき持つて行くときにおいて支払うという約束になつておりまして、すべての点が閣議決定の事項に一つも反していないのでありまするけれども、金融機関のどういう考え方か、この点に対していまだ釈然と割切つていないのが中金の態度であります。現在までの御報告を申し上げます。
#29
○鈴木(善)委員長 代理川村善八郎君。
#30
○川村委員 先ほどの水産庁の関係の予算説明につきまして、最後に一点お伺いいたしたいと存じます。
 まず第四番目の小型機船底びき網の減船整理の予算についてでございますが、備考欄に、昭和二十六年度より五箇年計画による最終年度分とこう明記してあります。そこで、われわれは当初法律を制定して小型底びき網の整理を断行するということで、大体二万五千隻のものを三分の一程度は整理するという案で進んだのであります。従つて来年が最終年度だとするならば、最終年度までに何隻くらいの減船ができたか、また転換ができたか、さらにまた、これ以上整理をしなくてもこの小型底びき網が十分経営が成り立つて行くかどうかという点、それからさらに北海道は、当初計画によると全廃をするという方針で行つたのでございますが、来年度で打切るとするならば、北海道の小型底びき網が全部それで整理されるのかどうか、整理されなければあとどうするのか、まずこの点についてお伺いいたしたいと思います。
#31
○清井説明員 この小型底びきの整理の問題でありますが、これは五箇年計画による最終年度というふうに書いてございますが、最初に立てました五箇年計画の最終の年度だということを申し上げただけでありまして今後どうするかということについてはまだ触れておらないのであります。北海道におきましてつとにいろいろ御心配があつたということは、かねがね伺つておりますが、三十年度で一応の計画は終りますが、はたしてその後は一体このままでいいのか、あるいはさらにこれを推し進めて行くのか、進めるとすればどういうような計画を立てたらいいか、現在のような、法律によつて二分の一なり三分の一なり補助金をやるというような形でいいのかどうか、これには実はいろいろな批判もあるわけですが、そういうことも検討してみなければいかぬのであります。第一次計画としては、御承知の通り八千八百六十九隻ということになつて、その計画で進んでおるのでありますが、はたしてそれが済んでも、ただいま川村さんのおつしやつたような問題があるわけであります。この点はまだ検討いたしておる最中でありまして、三十年度の計画が済んだときにどういうような形でこれをやるべきかということで、検討しておる最中でございますので、その点はひとつもう少し検討さしていただきたい、こう考えております。
#32
○川村委員 第二点は、第五の中型底びき網の整理転換の問題でありますが、われわれもこの問題については賛意を表して、やはり中型底びきの整理をしなければならぬということで進ましたのでございますが、昨年度の北洋漁業にからんで、許可の条件として、底びき網漁業でなければならないということを、さらにまたその権利は放棄しなければならぬという条件がついたように考えられますが、この予算から見ると、当然整理転換の補助金を出さなければならないということになつておるのでありまして、この補助金を出すときの案というものは、北洋漁業という一つの新しい母船式漁業というものがまだ生れておらなかつたときでありましたので、どこまでもわれわれは補助金によつて整理転換をしなければならぬという方向に進むということであつたので賛成をしたのでありましたが、このころになりますと、国の予算が不足であるから、北洋漁業という有望な漁業に参画する権利を得た者に対しては、中型底びき網の権利を投げさせる、というようにかわつたようでございますが、その底びき網の権利を投げた者に対して、補助金をやつておるのかどうか、すなわち整理転換でありますから、当然やらなければならないというように考えておるのでありますが、やつたかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#33
○清井説明員 今の問題につきましては、中型、小型を問わず、底びきの整理転換というものをどういうような形でするかという問題と関連いたすと思います。ただいま御指摘のありました北洋の鮭鱒の事業に出る、そのための条件として、底びきはやめてもらう、こういうような方針でやつていただくという行き方もありますし、同時に予算の措置によつて整理転換の補助金を出して転換していただくということもあります。これももつとも強制ではございませんので、希望であります。そういうようなふうに底びきを転換する場合も、補助金によつてやる場合と北洋に出て有利な事業に従つてもらうから、そのためにその線に沿うてやめてもらうという場合、その他いろいろ考えられると思いますが、要するに小型中刑を通じての、全体のいわゆる整理転換をどういうふうにやつて行くかという問題と関連すると思うのであります。お話の点は、ダブつてはいたしておらないのでありまして、全然別々として、今やつておりますけれども、それは将来、私どもといたしましては、底びきの転換事業全体の計画といたしまして、いろいろ考えて行かなければならぬ問題だとこう思つております。
#34
○川村委員 この中型底びきの整理転換については、長官が着任前でありますから、長官はその理由を御存じないと思いますが、先ほども申し上げましたように、この整理転換をさせるという方針をきめて予算を計上したときには、北洋漁業という、いわゆる母船式漁業というものは生れてはいなかつた。当然にこの整理転換に対しては、どうしても補助金をやつて整理をするという建前で進んだのでありますが、その後今度北洋漁業の権利が非常に拡大されたと言いましようか、有望だということになりましたので、投げてももらつた方がいいのだという気分にもなり、それに便乗して、つまり水産庁では投げさせるのだということにかわつたのでございますが、それによる漁業者の負担というものは相当今日は大きくなつております。たとえて申し上げるならば、一トン三万円か四万円であつたものが、十万円になり、十二、三万円になるということで、相当底びきの権利の買収費というものは、大きくなつたということを聞いております。そこで整理転換であるならば、はつきりここに整理転換とうたつておりますから、どの漁業に転換しようと、当然補助金を出さなければならない性格を持つておるのだと私は考えるのでございます。今の長官の御答弁ですと、北洋漁業に行くものは投げさせるのだ、一部のその他のものには整理転換としての補助金をやるのだ、決してダブつていない、こういう御答弁でございますが、それには私は何としても納得ができません。いかなる漁業に転換するにも、当初の底びきを整理して転換するものに対しては、この補助金を出すのだというのであるから、たとい底びきがまぐろ漁業に転換しようが、北洋のさけ、ます漁業に転換しようが、転換である以上は、全部補助金を出すべきであると私は解釈してさしつかえないと思うのでございますが、この点においてもつとほんとうの腹を打あけてお話願わんと、私はどうも納得が行かぬ。それがために漁民は権利を買つて、それを放棄しなければならぬとなると、五百万円も六百万円も、中には八百万円も出さなければできないといつたようなことになつては、私らはこの整理転換をさせるといつてこの委員会に諮つて、われわれも賛成しておつたということになつておりますので、われわれは漁民のそうした大きな負担をかけるということになれば、今後この問題については相当議論をし、その責任を責めなければならぬと思つておるのでございますから、一体今後もその方針をとるのかどうか、つまり昭和二十九年度に出た人間は大体投げておる。みんなこぼしておる。どうもあれでは方針がいかぬ、片手落ちである、こう言つておる。そういう状態でございますので、今後もそういう方針をとられるかどうかということをはつきりしていただきたいと思うのでございます。
#35
○清井説明員 ただいまの御質問、全体の底びきの整理の問題と北洋出漁に関する問題とからんでのお話でございますが、私の考え方はあるいは川村先生のお考えと反対かもしれませんが、やはり全体の中型の底びきの整理転換の補助金、あるいは小型の底びきの整理転換の補助金、あるいは鮭鱒の母船漁業に出たからそのために底びきを廃業してもらう、こういうような問題は、結局国全体の底びきの整理の一環としてのいろいろな施策の現われでありまして、私どもといたしましては、国の補助金による行き方と、それからより有利な事業に転換してもらうためにその事業をやめてもらう、あるいはそのほかにもいろいろ考え方があると思いますが、やはりこれは鮭鱒漁業と底びき漁業との関連においていろいろなことを考えて行くということの一つの現われでありまして、有利に転換するために国の補助金を出すということになりますと、そこに非常に概念の混迷を来しはしないかという問題もあるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、母船式漁業に出ましたものについて、底びきをやめていただくつもりできめた方針は、今後も引続いてやつて行かなければならぬと思つておるのでございます。この中型底びきの整理転換の補助金を、今後どういうふうな形で有利なものにして行くかということは、また別途よく考えて行かなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。いずれにいたしましても、両方関連さして考えて行きたいと思います。
#36
○川村委員 本問題については、非常に長官の意見と私の意見と違う。おそらく全員はそれと反対であるということになるのではないかと思つておりますが、きようは時間がありませんので、追つて後日の委員会において十分論議して、根本からさかのぼつて資料すべてを出さして議論をしてみたいと思いますから、これはこの程度にしておきます。
 それから次に第十四、第十五の、水産業協同組合の指導監督と漁業協同組合再建整備及び整備促進の二問題でございます。これまでこれは立法した関係の解釈を間違つたというというか、いわゆるわれわれの当時の立法としては、できるだけ民主的に強い協同組合をつくつてもらいたいという念願であつたのでございますが、法律には二十五名以上あれば協同組合をつくれるということで、非常にばらばらになつて一箇町村ではなはだしいところは七つも八つもできたというようなぐあいで、実際に弱小組合ができた。この整理等につきましては、相当水産庁も苦労し、われわれもずいぶん指導に当つたのでございますが、今日なおそれがどうもわれわれの思う通りに行きませんし、地方に行つてみると、非常にいろいろな役員間の感情とか、あるいは部落的な感情ということがありまして、いまだに弱小組合そのものをそのままに続けられておる。これに対して整備促進をしなければならぬということは当然あり得ると思いますが、いかに予算で計上して整備促進を指導いたしましても、容易でないと私は見ております。従つて水産庁としても、ここいらで協同組合法を改正して、そうして整備促進をさした万がいいのではないか。このままの法律では、実際に強制力――強制すべきではないけれども、ある程度まで強制しなければ強いものにならないと私は見ておるのでございます。従いましてこうした機会に協同組合法を改正して、すなわち改正の精神は、協同組合をこのままにしておつたのでは、いつまでも弱小組合がなくならないで、そうして漁民の負担もいろいろな面において不利益になるということがわかつた以上は、当然法律改正によつて、その改正した法律に基いて整備さして行くということが近道であり、またそれがほんとうでなかろうか、かように思つておりますが、長官はどういうふうに思つておられるか、この点をお伺いしたいと思います。さきの法律では、全国的な協同組合連合会をつくらせないという趣意であつたが、これも法律を改正して、全漁連ができ、着々全国の漁民のいろいろな面をやつてくれると言うて、皆さんが喜んでおるということですから、やはり末端の協同組合の強いものにして、漁民の福祉をはかつて行くのが適当であると思いますので、この点を長官にお伺いしたいと存ずる次第であります。
#37
○清井説明員 漁業協同組合の性格と申しますか、法律そのものの考え方を直して行く、そうして漁業者の協同組合という性格をさらに強くして行くということについての問題でございますが、これは漁業の協同組合と申しますか、漁業者の協同体を強化するという方向は、だれも賛成でない者はないのでありまして、何とかして漁業者の協同組合というものを、その本来の目的達成のために強くして行きたいということは、どうしてもして行かなければならぬ問題だと存じます。ただ、申すまでもないことでありますが、農業協同組合と同様に、これは戦後できましたいわゆる民主化立法の一つといたしまして、非常な自由な建前になつておるわけであります。その後、その特殊事情によつて逐次改正が行われておりますが、とにかく漁業協同組合の本質をかえるということは、農業協同組合と同様、根本的な協同組合の性格的な問題にさかのぼるのでございます。いい悪いはむろん問題はございますが、私どもといたしましても、ちようど漁業法の改正についても、部内において議論をいたしておる最中でありまして、それと関連いたしまして、漁業協同組合につきましても、協同組合という本質論と同時に、漁業者の協同組合であるという観念から、漁業者であるがゆえに、協同組合の本質を離れて、漁業者のためだけでも、協同組合について何らか強化措置をとる必要はないかという点を、今考慮しておる最中であります。いずれ御審議を願う段階になると思いますし、またその間にいろいろ御意見を伺うことになるだろうと思います。私どもといたしましても、何とかして協同組合そのものを強くして行きたいということは同様に考えておりますが、これは組合の性格を根本的にかえて行く問題であり、あるいはこれと関連する問題といたしましては、農業協同組合法との関係もありますし、あるいは漁業法との関係もありますから、この両方をあわせ考えて行きたいと思います。方向といたしましてはかように考えております。
#38
○川村委員 もう一点、第十八でございますが、漁船損害補償の実施の問題でございます。われわれは、この漁船損害補償法が制定されましたときに、一トンから百トンまでの、いわゆる共済的な保険をして行く、そうしてお互いに損害のあつた場合には助け合つて、漁船損害に対する補償をして行こうという考えであつたのであります。ところが予算面において、国の財政上から二十トン以上百トンまで切られましたので、今度の災害にもそうした該当船はこの恩典に浴することができないということで、漁村から相当大きな非難の声が上つております。われわれもこのことは当初から強く要望しておりましたので、前の国会において特別立法化される、すなわち補助金の延期といつたような法律が出ましたときに、極力これに反対したのでございます。最後に条件がつけられて、一年の時限立法にしたのでございますが、来年の三月には当然復活することになりますが、今度の災害にからんで、先日の委員会において、大蔵省の山本政務次官に私は質問したところが、この次の臨時国会には、その漁船損害補償法に関連する予算の復活ができるように、法律改正をするというはつきりした答弁があつたのでございます。従いましてこれは明年度の予算に関連するものであつて、ここに二十トン未満を百トン未満に引上げるという字句がうたつてございますから、当然それに該当する予算を計上してあるものと思うのでございますが、この次の国会において必ず法律の改正をするということになつている以上は、今から大蔵省に向つて、早く予算の復活をするように常に連絡をとつて、そうして臨時国会か開かれましたならば、ただちに国会にその法律を提出するようにおとりはからいを願いたいと存ずるのでありますが、そうした措置をとられるかどうかということについて、長官にお伺いする次第であります。
#39
○清井説明員 お話の点につきましては、来年度の予算にはもちろん計上してございますが、ただいま問題になつておりますのは、本年度の補正予算の問題でありまして、補正予算のときにおきましてもやるようにということが、この前の附帯決議にもつけてございましたので、この点につきましては、ただいま大蔵省といろいろ折衝をいたしておる最中でございます。
#40
○川村委員 まだ数点お伺いしたいのでありますが、松田君も質問を残されておりますので、私の質問は時間のあるときにやることといたしまして、この程度にしておきます。
#41
○鈴木(善)委員長代理 松田鐵藏君。
#42
○松田(鐵)委員 三十年度の予算の説明をただいま伺つたのでありますが、非常に苦心され、努力の跡が現われておる。しかし一兆億の二十九年度の予算、それから三十年度は一兆億ないしはそれより減るであろうという趣旨のもとにこの予算案を作成されたという説明であります。私はこの内容を見るときに、現在の水産庁の私え方が、現実の水産業に対してはたして適応しておるかどうかという点を、少しく批判をしてみたいと思うのであります。日本の漁業者の組合がどういう実態になつておるかということは、長官においてもよく御認識になつておることだろうと思うし、われわれも常々憂慮しておるものであります。今度私は北海道の冷害の調査に、自由党を代表して参つた。実にひどい冷害です。米一粒もとれない。北海道のあのかぼちやさえ食うことのできないような冷害の実態であります。しかしそこで初めて認識されたことは、農民は今年は不作であつても、土地改良をし、また品種の改良をして行けば、土地は残つておるから明年度は希望の持てる農業を営むことができ得るのであります。ところが現在の日本の水産業自体というものが、どういう実態になつておるかということを見るときにおいて、水産庁においても、現在の日本の水産業のうちでいいものもあるだろうし、またこれからやつて行けるものもあるだろうが、ほとんど沿岸漁業の衰微が言語に絶しておるという見解に立つておられることだろうと思うのであります。それに対してこの予算の内容を見るときに、今年までの予算のつくり方をそのまま踏襲しておる、一、二新しい問題があるだけにすぎないというように考えられるのでありますが、先ほど小高君の言うた、やれ電波探知機だとか、それからまた合成繊維の問題であるとか、これらはとるに足りない問題である。現実にいいものであるということははつきりしておる。こういう問題を論議するよりも、現在の日本の沿岸漁民はどうなつておるかということを考えるときに、救うことのできない状態になつておる。水産庁においては、これらをどういうように救つて行くか、また指導して行くかということについて、いま少し留意をしてもらいたいと思うのであります。またそのほかにやれ沖合い漁業である、母船式である、遠洋の捕鯨であるというようなことも、これは水産業の日本の発展をめざして、隆々と栄えて行く大きな仕事もあることはあるのであります。しかしこれらに対して、予算面に現われている点は、単に今までの政策をそのまま実現して行く、持続して行くという以外の何ものでもないのじやないかという感じを強くするのであります。私は決して水産庁のこの予算のつくり方がいけないというのじやありません。だがこうした委員会において、四角張つた話をしてどうだ、こうだというようなことよりも、もつともつと突き進んで、われわれ委員会の各自と水産庁当局と、いかにして日本の水産業をよりよく救つて行く、また善導して行くということに対して予算を請求する前において、これらの問題を協議するようなことがなければならないのじやないかという考え方を強く持つておるものであります。予算は大蔵省に今提出されておるが、これは事務的な問題であり、水産庁の政策が現われておるのだということであつても、さて一兆億の予算、九千億の予算ということになつたならば、そのときはどうなるかということであります。こういう点を、委員各位と今から事前によく打合して、ほんとうに日本の水産というものに対して、お互いが真剣にかかつて、このなすべき予算はたとい一兆億のわくの中であつても、やり得る方法があるのじやないかという考え方をしなければならないと思うのであります。こういう点に対する水産長官の御意見を承りたいのであります。
 もう一点、先ほど説明のうちに、この表に現われてない公庫の本年度の水産に対する三十億のわくがあつた。明年は八十五億のわくを請求しているというお話があつたのであります。はたして一兆億、九千億という三十年度の予算がきまるとしたならば、八十五億という水産庁が考えておるわくというものは獲得できるかいなやという問題であります。とうてい不可能だということに、はつきりここで判を押すことができ得るのではないかと思うのであります。そういう結果になるだろうと、これはだれの目から見ても、だれの考え方から見ても考えられることでなければならない。しからば、たとえば陳情が来る。やれまた災害が起る。また予算の中においては予算を増せと言う。こうしたことで、国の財政も考えずに予算を増せ、予算を増せと、自分の選挙区の仕事をしろ、これが現在の代議士の日常時の言葉であります。また行動であります。しかし現実の日本の財政の建直しということからいつたならば、いかなる事態が起ろうとも、本年の予算に現われた一兆円というわくがきめられたのであります。こういうことに対して、われわれはわれわれの立場において、国の予算の財源の調達でき得る方法も国会議員として考えなければならない問題ではないか。それがこしたう予算の中に盛られて行く方法を講ずることでなければならないとわれわれは信じておる。ただ大蔵省にまかせつ切りで、予算の獲得のみに邁進するようなことであるがゆえに、大蔵省に対していつも頭が上らぬ。こういうようなことを持続して行つたならば、どこに水産行政が立つて行くかということであります。私は当時一人でもつて反対をした。あの免許料、許可料の全廃の結果がどうなつたか。あの結果は総理官邸の裏に水産会館というりつばな建物が建つたのであります。これは長官は御存じないかもしれない。資本漁業が一年間の許可料を割当てされて建つたのがあの水産会館でございます。そうして彼らはどうしておるか。輸出入銀行、開発銀行の金を借せと言う。漁民は開発銀行の融資を受けることができるか。資本のある信用のある者であれはこれは受入れられるが、船をつくろうとしても、銀行から融資を受けられないのが現実の姿であります。こういうこともよく考えてみなければならない。しかもまた免許料、許可料の全廃によつて――日本国民は税の負担は平等でなければならない。一万トンの船をつくるのにも、八千トンの船をつくるのにも、日本国民全体が平等に払つておる税を、漁船をつくるときにおいて払つておるかどうか。これらを水産庁は御研究なさつておるかどうかということであります。税の負担というものは、国民はすべて平等でなければならない。こういう点から行きまして、漁民が一番渇望しておるものは公庫の融資であります。銀行なんかに行つたつて、漁民なんかに金を貸すものではありません。わずかに中金、公庫において、系統機関と政府の財政資金を投融資しておる公庫以外に、漁民を相手にするものはない。しかも本年において漁船のわくというものはわずかに十五億。こうしたことからいつたならば、われわれは財源を見つけて、その財源によつてひもつき融資――すなわち揮発油によつてあの道路のひもつきの予算をとつたと同様な方法によつて、中小漁民に対する漁船の建造が何よりも大事なんだ。電探であろうと無線であろうと、こういうものも、新しく漁船をつくることによつてのみ融資の対象となつて、公庫から金が出る。こういう財源を見つけてやつてこそ、初めて大手を振つて大蔵省に対して水産の予算を増せと言うことができ得るのではなかろうかと考えるのであります。こういう点に対して、長官はどのような施策を持つておられるか。私の意見にも誤つた点もありましようが、これに対して御研究くださる御意思があるかどうか、この二点をお伺いしたいのであります。
#43
○清井説明員 第一点の御質問でありますが、確かに私ども事務的に聞いておる範囲におきましても、三十年度の予算の編成は、二十九年度の予算編成の際になめた、あるいはそれ以上の苦労をなめるかもしれぬということは、事務的には連絡を受けておるのであります。そこでわれわれといたしましても、ただいま御説明申し上げました予算の要求額を提出いたしまして現在進行中でございますが、これがぎりぎりの予算編成の最終段階まで来たときに、いかなるところに重点を置くべきかということは、われわれとしても十分考えておかなければならぬのであります。元来御承知の通り、水産庁の予算は漁港予算というものがほとんど半分を占めております。そのほか補助金も多少ございますが、主としてこれは事務費あるいは調査船費あるいは、取締船費というものが相当部分占めておるのであります。ただ御指摘のありました、いわゆる中小漁業者に対する施策といたしましては、政府の補助金は別といたしましても、増殖の予算なりあるいは組合の指導監督の予算なりというような間接的な方法を講じて、それによつてわずかではございますが、中小漁業者に対するいろいろな施策をやつておるというわけでございます。ただこれは全体の予算の縮小というか、一定のわくの中に総予算を押し込めるという意味において、その場合における水産庁の予算をどういうふうに重点的にやるかという問題につきましては、私どもといたしましても今までの行政の経験上、最も重要視すべきものにつきましては、十分心しておかなければならぬことでありますし、あるいは今後の予算の編成の経過におきましては、むろん各委員の十分なる御援助をお願いいたさなければならぬ問題だとも思つておるのであります。予算の半分は漁港予算であり、あとの残りが一般予算であるというような観点からいたしますれば、金額的には漁港予算というものが非常に大きな率を占めておるということになるわけでありますが、そのほか一般予算の中にも、ただいま御説明申し上げましたように、いろいろな意味において重要な予算が含まれておるわけでありますから、これが編成の過程においてぎりぎりの段階に達しました場合においては、われわれといたしましても重点的に予算を編成するように十分努力いたさなければならぬのでありますが、同時にまた各委員の十分なる御援助をお願いいたさなければならぬ、こういうふうに実は考えておる次第でございます。ことに御指摘のありました第二番目の問題として公庫予算、これが実は私どもの予算といたしましては漁港問題と並列いたしまして、予算的には非常に重要なものであります。ことにこの公庫予算というものが水産に対する金融といたしまして、公庫の金融が非常に重要な役割を占めているということは御承知の通りでございます。ことにそのうちの漁船のわくといたしましても、本年度の年度当初は三億円程度でございましたが、その後各委員の御努力によつてこれが法律改正の結果十五億まで上つたのでございます。来年度すなわち三十年度につきましては五十億を組んでございますが、これはまた全体の予算の取扱いからいたしますれば、五十億の要求を維持することだけでも実は非常な問題が起るのでございまして、この点につきましては、われわれといたしましても公庫の全体の予算のわく、それからそのわくの中に占める水産のわく、ことに漁船建造資金のわくというものが特に重要視しなければならぬ問題であります。いわゆる融資の観点からいたしまして、漁業関係は公庫に依存しなければならぬ、公庫に対するいわゆる依存度が非常に多いという点が認められるのであります。またその中で漁船というもののいわゆる大型化の問題とか、あるいは全般の施策からいたしましても、漁船に対する公庫融資の要望が非常に多いというようなこともお話の通りなんでありまして、私といたしましては、そういうような観点を十分に含めまして、今後の予算の折衝にあたりましては、できるだけ公庫予算におきまする水産のわくの増加ということをはかり、できるだけ努力して、所要の予算を獲得いたしたい、こういうように考えておるのであります。なおその裏づけとなるべき財源等につきましていろいろお話を承つたのでありますが、十分ただいまのお話は承らしていただきたいと思います。
#44
○松田(鐵)委員 大体長官の御意思もわかりましたが、私のねらいは、端的に申すならば、ただいま川村君が指摘したような問題が含まれるのであります。要は各政党は各政党において政策を研究しておる。そうして、その政党の主義主張によつて、政策の発表を見ておるのであります。しかしすべてのものは行政によつて処理される。かつて、三年、四年前というものは、水産委員会の評判は実に悪かつたものです。しかしお互いがよく反省し合つて、すべての点に対する行政に対してはくちばしをいれてはいけないのだという点から行きまして、今の水産委員会というものは、おそらく二十幾つかある委員会のうちで、一番良心的な、積極的な、建設的な委員会として、われわれは自負しておるものであります。これは決して、かつての水産委員会のような状態にはなつていないのであります。すべての問題に対して、意識的にあるいは作意的に反対しておる社会党の左派の人々においても、赤路君なんかの今日の姿、すべてが建設的な意見を述べて、水産委員会の運営をまじめにやつておるわけであります。これは長官も認められることでありましよう。われわれは水産委員会というものの今日の状態については、他の委員会に比類のない、りつぱな委員会だと思つて、また勉強もしておるものであります。そのすべてが行政一本で片づけられるというようなことであつたならば、個々の点に対してどういう反発が起きるか、こういう点を憂慮しなければならないのであります。たとえば今日話題になつておる北洋の捕鯨の点においてもその通りでありまして、いろいろな意見を聞いております。しかし聞いておつても――この間鈴木君からも相談がありましたが、行政一本で行こうじやないか、ああいう問題に対してはくちばしをいれないように、水産委員会の品位を高めて行こうじやないかというように、お互いが相戒めあつております。これが現実の姿でございます、しかし今日水産庁の係の者のあの横暴なやり方、これらに対してはまつたくまゆをひそめる者もあります。北洋の係の栃内君なんかは、身をもつてこれを守つておる。世間では栃内君に対していろいろな批判があるが、栃内君自体が実に自分の身をもつて某会社のわがままを防いでおるのが今日の姿であります。しかしそういう事柄で漸次水産庁が疑惑の目に包まれるようになつたならば、水産委員会の面目はいずこにあるかということでございます。(赤路委員「自由党の幹部に言え」と呼ぶ一われわれは決して、水産庁に対して指弾をするものではない。でき得るだけのりつぱな行政をしていただきたいと念願をしておるものであります。今赤路君から自由党の幹部に言えというやじが出ておりましたが、こういうことであつたならば、水産庁に対してどういう疑惑があるか。お互いが言いたいのだ。言いたいけれども言わないで今まで黙つて来たのであります。川村君だつてそこをつきたいのだ、そこをつきたいけれども、お互いがあまり前のようなことはやらないように、やらないようにといつて、われわれはそで引き合つて話をしておる。ためにこのごろは人格者となつて、実にもう川村君なんかもおとなしくなつておるような状態でございます。そこでわれわれは、決して行政に対してくちばしを入れようなどという考え方を持つていない。これを長官了とされて、でき得ることであつたならば、あなたのまじめな行政機関を守つて行きたいというのが、当水産委員会の全体の念願であります。これらのことに対して、もう少しわれわれをあなたのまじめな行政を守るためのたてにしたらどうかというのが結論でございます。この程度で私は議論をやめましよう。
#45
○鈴木(善)委員長代理 大分時間も経過いたしておりますから、三十年度予算の説明に対する質疑は一応この程度にとめまして、また機会を得ましてお尋ねをすることにいたしたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。次会は、公報をもつてお知らせいたします。
    午後一時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト