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1953/03/30 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第10号
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1953/03/30 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第10号

#1
第019回国会 人事委員会 第10号
昭和二十九年三月三十日(火曜日)
    午後一時四十二分開議
 出席委員
   委員長 川島正次郎君
   理事 赤城 宗徳君 理事 永田 亮一君
   理事 山口 好一君 理事 舘林三喜男君
   理事 櫻井 奎夫君
      荒舩清十郎君    本間 俊一君
      小山倉之助君    石山 權作君
      森 三樹二君    池田 禎治君
      受田 新吉君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 塚田十一郎君
        国 務 大 臣 加藤鐐五郎君
 出席政府委員
        人事院総裁   浅井  清君
        人事院事務官
        (事務総局給与
        局長)     滝本 忠男君
        総理府事務官
        (行政管理庁管
        理部長)    岡部 史郎君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
        専  門  員 遠山信一郎君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 委員川島金次君辞任につき、その補欠として冨
 吉榮二君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月二十五日
 群馬県伊勢崎市の地域給引上げの請願(五十嵐
 吉藏君紹介)(第三九〇一号)
 静岡県磐田市の地域給引上げの請願(足立篤郎
 君紹介)(第三九八一号)
同月二十九日
 佐賀県北波多村の地域給指定に関する請願(井
 手以誠君紹介)(第四〇四三号)
 三重県尾鷲町の地域給引上げの請願(濱地文平
 君紹介)(第四一〇九号)
 同(田中幾三郎君紹介)(第四一一〇号)
 山形県小国町の地域給指定に関する請願(牧野
 寛索君紹介)(第四一一二号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十七日
 岩手県黒沢尻町の地域給引上げに関する陳情書
 (岩手県和賀郡黒沢尻町大字里分里沢尻保健所
 長及川俊平外十三名)(第二四六九号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇一号)
    ―――――――――――――
#2
○川島委員長 開会いたします。
 国家公務員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますからこれを許します。舘林三喜男君。
#3
○舘林委員 ただいま提案されておりまする国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして二、三点おもな点を御質問申し上げます。
 まず第一に、この法案の提案者は人事院でももろちんありませんし、政府そのものでありますが、先般加藤大臣は、この委員会におきまして人事院に関する給与についての担当大臣だというお話でありました。この法案の中には給与に関係する一部の改正もありますが、全面的には給与以外のことにつきましてたくさんの問題を含んでいるわけであります。大臣は給与以外のことにつきましても、はたして担当されるというような意味でここに臨まれているのかどうか。また塚田さんが委員長であられた行革におきましても、あるいは行政審議会におきましても、あるいはまた自由党の行革の答申案におきましても、内閣の中に人事局とか、あるいは給与局とか給与課を置くということがあるようであります。そういたしますと、そんなものの事務を全般的に取扱うとか、あるいはまた新しく生れる国家人事委員会と政府との間の連絡をやるというような意味からいいましても、給与以外につきまして何らかの担当大臣が必要だと思いますが、その点につきまして加藤大臣はいかがお考えになりますか。
#4
○加藤国務大臣 私はただいまのところは給与等に関する担当大臣であるのでありまして、先般ここで御説明いたしましたのは、便宜上私が国務大臣という立場において御説明をいたしたわけであります。将来人事院を全体として何かそういう担当大臣を置くかいなかという問題でございますが、これは将来にわたる問題でありますから、あるいはそうした方がいいというようになりはしないかと心得ておるような次第であります。
#5
○舘林委員 この法案は非常に大事な意義を持つているものでありますが、その全般的な説明について、ただ給与だけの担当大臣が――もちろん国務大臣という資格はありますが、給与についてだけの権限を持つて担当をされる大臣が、全般的な御説明をされることはいかがかと思いますが、この点はいかがでしようか。
#6
○加藤国務大臣 先般もただいまも申し上げましたように、国務大臣という立場において、給与が大部分であると思いますがゆえに、便宜上私から説明申し上げた次第でありますし、将来もただいま申し上げたように、何か一まとめにいたしまして、あるいは内閣にそれの専任の大臣を置くというような場合も想定されますことをいろいろ考えました結果、私が先般来説明をいたした次第でございます。
#7
○舘林委員 今加藤大臣は給与が一番大きな内容を持つということをお話になりましたし、またこの人事常任委員会の運用におきましても、ほとんど給与だけが問題にされておるようでありますが、実際国家公務員法に掲げるところのものは、給与以外に非常に広汎な内容を実は持つているわけであります。従いまして給与ももちろん大きな問題でありますけれども、私は当然政府といたしましては、人事院の主管の全般につきまして担当大臣を持つべきではないかと思うのです。そんな意味でなくては、私はここで権威ある答弁をなさることはなかなか困難ではなかろうかと思いますので、この点はぜひ加藤大臣がよく政府の方に連絡をされまして、今後は全般的な人事に関する担当大臣ということに御努力をしていただきたいと思いますが、この点いかがでしようか。
#8
○加藤国務大臣 御意見を尊重いたしまして、考慮いたします。
#9
○舘林委員 それでは、二、三具体的なことについて御質問申し上げたい。先般加藤大臣が提案理由としてお読み上げになりました中でも、この改正法律案は行政機構改革の一環としてということになつております。そういたしますと、他の環と申しますか、行政機構についての全面的な改正を当然お出しになるべきだと思います。にもかかわらず何ら出しておられない。もちろん警察制度の改正のための警察法案につきましては審議されておりますけれども、いわばずいぶん前から行政機構の改革をやるやると言いながら、今度は何ら出されていない。はたしてこれか一環と言い得るかどうか、他の行政機構につきまして、はたしていつごろ提案されるか。またこれだけを行政機構の一環として特別に急いで抽出して出さなければいかぬということはどの点にあるか。この点は塚田さん加藤さんにお聞きしたいと思います。
#10
○塚田国務大臣 御指摘の通りだと思うわけであります。私どももそういう考え方で問題と取組んだわけであります。今度の機構改革は単に警察、人事院だけではなく、全般的にということであつたわけでありますが、他の部分が非常に遅れております。そしてまた他の部分はどうするのかというお尋ねは、おそらく国の各省庁の機構、それから国の出先機関、そういうものを、どういうぐあいにするかというお考えでお尋ねになつていると思います。私どもも機構改革の残つている部分としては、国の中央機構をどういうふうにするか、出先機関をどうするかということも、重大なる問題として残つていると思います。一応改革本部で得た案もあるのでありますが、その後いろいろな方面の意見を聞いてみますと、なかなか問題が重要であるように思われるのであります。ことにこの各省庁の中央の機構の場合には、やはり特殊の省の特殊の部局というものだけを取上げたのでは、なかなか理論づけがむずかしい。従つて国会におきまして、また政府部内におきましても、なかなか意見の総合、納得ということが困難である。機構改革は、もうこれから先の部面というものは、やはり全体として取上げるのではないと、なかなか容易に実現性がないということがだんだんはつきりいたしましたので、今一応ある程度の形のものはできておるのでありますけれども、自分といたしましても自信を持つて国会にお諮りするというところまでまだ行かないのであります。しかしこれをやらないで済む性質のものでありませんので、少しひまがいただけた時分にもつと本格的に取組んで、慎重に検討をし、根本的な改草案を得たいという考え方で述べておるわけであります。国の出先機関の方はいろいろ検討いたしてみました結果、自治団体の機構のあり方というものと相当大きく関連がある、これをどうするかということがきまり、それと総合的にきめて行きませんと、これもなかなか本質的な改革ができないというので、自治団体の基本のあり方は 御承知のように引続いて地方制度調査会に御審議願うということになつております。それと関連して問題を考えて行きたいということになりまして、大部分のものが延びて行つているわけであります。しかし政府といたしましてはまだこれはやらないという考え方では毛頭ないのであつて、むしろ根本的に、大がかりにやりたいという考え方でやつておるわけであります。そういうような考え方であるわけでありますから、従つて今度取上げましたものは、他の部分と関連なしに問題が考えられる部分、そういうことが主になつておるわけであります。他の部分と関連なしに、これだけを部分的に取上げても、問題の解決ができるという部分が警察制度でありますとか人事院機構なのです。もちろんこれらのものが全然他の部分と関連がないとはいえませんで、これだけで十分改組する理由もはつきりし、また御納得もいただけると私どもが考えました部分だけを、国会にお諮りいたしておるわけであります。
#11
○舘林委員 ただいまの塚田大臣の御答弁でありますが、私は人事院の改革も独立して考えるべきではなくて、あるいは内閣の中央機構として、たとえば人事局を置くか給与局を置くか、あるいはまた大蔵省の給与関係をどうするかというような問題、あるいは出先機関としての人事院の部局をどうするかという問題、すべてが私は他の出先機関の問題として、あるいは他の中央機構と相当密接な関係があるような気がいたすのであります。それを、これだけをなぜ突如として出されたのであるか、むしろこれは全般的な行政機構改革の場合まで保留して行く方が、むしろこの人事院改組につきましても、私は都合がよくないかと実は考えるわけであります。特別にこれだけを抽出してやられたということについて、私はどうしてもふに落ちない気がいたすのであります。この点もう一ぺんお伺いいたしたいと思います。
#12
○塚田国務大臣 行革本部におきましても、当初の構想は、今御指摘のような構想であつたわけでありまして、一方人事院を改組すると同時に、それと対応して内閣にしかるべく人事担当部局というものを設けようじやないかという考え方であつたことは事実であります。しかしだんだんと検討してみました結果が整理をする際というのであるから、それをまた内閣につくるというような考え方は適当でないのではないかというので、その構想を捨てまして、人事院に引続いてやつていただくという前提で、今度機構の改革をやろう。従つて当初考えておりました人事院改組の構想というものも、ずいぶんかわつて参つたわけであります。今の考え方ではそういうような事情でありますから、内閣の他の部局の変更とは関係なしに考えられておる考え方であります。
#13
○舘林委員 行政機構の改革は、実は歴代の内閣の一番大きな問題であることはもちろん言うまでもありません。特に日本が一昨々年独立いたしましてからは、あるいは政府においても政令諮問委員会をつくるとか、あるいは村瀬さんでしたか、会長をやつておられる行政審議会、塚田さんの行政改革特別委員会、それからまた増田さんがやつておられます自由党の行革委員会などと、大体行政機構につきましては、いかなる改革をやるかということはほとんど見当がついているのではないかと私は思うのです。独立前と後におきまして、とにかく独立前の経験も積んでおりますし、行政機構の改革は、熱意がありましたならば当然やれることではないか、それを一番大事なそんな問題に触れないで、抵抗力の一番少いこれから着手されるということについては、私はなおふに落ちないのであります。むしろこれはしばらく撤回されるような気持で考えられたらどうかと思います。もう一ぺんお願いします。
#14
○塚田国務大臣 これは抵抗力が強いとか強くないとかいうことでなしに、理由があり、そうして実現のできるところまで案がまとまつたものから、逐次取上げて行くという考え方であるわけでありますから、私は今残つているこの部分のことといたしましては、人事院の今までのあり方というものは相当程度考え直さなければならない。しかも緊急に考えなければならない部分を含んでおるということを考えておるわけであります。従つてこの機会にぜひこの程度の改組というものは実現をいたしたい。なおまた大きく行政整理を取上げ、機構の簡素化を取上げますときに、さらにその簡素にされた機構とマツチして考える面があれば、そのときにさらにプラスしてこれを考える、こういう考え方でおるわけであります。
#15
○舘林委員 私は今申し上げましたように、とにかく行政機構全般との振合いにおいて、検討すべきだという意見を実は持つておるわけでありまして、この点につきましては若干意見の相違がありますが一応この点は保留いたしたいと思います。
 次の問題といたしまして提案理由の説明の中で加藤大臣は、わが国行政機構の実情に調和した組織と権限を持たしめることを目的とする、主たる目的はこの点にあるようであります。しかし昭和二十二、三年以来日本の行政機構には、実はほとんど変化がないわけなのです。それだからこそ新しく根本的な全般的な行政機構の改革を行おうというわけなのですね。そういたしますと二十三年以来、ほとんど行政機構に変化がないにもかかわりませず、これがそんな変化のない行政機構の実情に即して非常に調和しなかつたかどうか、こうするといかにも調和させるべき本体の行政機構は変化がないけれども、こちらの人事院の方が不調和だというような気がいたすわけですが、はたして不調和なのか。あるいは調和しているけれども、どうしてもこれだけは意地でもやるという気持なのか、実はこのあたりが提案理由の説明ははつきりしないわけなのです。どんな点が調和しないのか、これはあとでまたいろいろ具体的に御質問いたしますが、この点につきましてひとつお気持だけを向いたいと思います。
#16
○加藤国務大臣 私が当時さような説明をいたしたと存じますが、御承知の通りに人事院は占領当時におきましてできたもので、ございまして、実情に沿わざる点があること、いずれ後刻御質問もあると思いますが、そのあまりに独立性の強い点など、また憲法上いろいろの疑義があるということも聞いておるのでございます。また実際の上において人事院の今までのなし方におきまして実情に沿わない。わが国としてはいろいろの点において、実際六年間の経過を見まして不調和な点を見出したのでございます。それで今回、右のような趣旨のもとに、この改正がなされんとするのであります。
#17
○舘林委員 そういたしますと、現在の人事院が現在の行政機構と調和しないという意味じやなくて、要は現在の全般的な政治機構と申しますか、あるいは全般的な社会との関係において調和しないという意味でありますか、あるいは今までのかわらない行政機構との間に調和がよく行かないという意味でありますか、この点ひとつ御説明いただきたいと思います。
#18
○加藤国務大臣 今までの行政機構の上におきまして実情に沿わない、こういうことでございます。
#19
○舘林委員 この点は私は相当疑問を持つておるわけなのです。行政機構は大体二十三年の人事院ができたときからほとんど変化はない、その当時としてはとにかくその当時の行政機構に調和するものとして、これができ上つているものだと私は思うのです。その当時もいろいろ議論はありましたでしようけれども、政府としては一番調和あるものとしてその当時提案された、しかもその本体である行政機構そのものは何ら変化がないにもかかわりませず、こちらの方が不調和になつているという意味でありましようね。私はそうじやなくてむしろ政治機構全般との関係において、人事院の運用が調和を欠いているのじやないか、さような意
 味でああいう提案理由の説明をされておるのじやないかと私は思うのです。
 いかがでしようか。
#20
○加藤国務大臣 当時はただいま申しましたごとく、人事院というものがでまましたときは占領治下でございましたので、必ずしも実情に沿つておらなかつた。それで内閣に対してあるいは勧告をするとかいう場合に、国会に対しても御承知のように勧告いたしたのでございまして、そういうことはいかがなものであろうか。憲法上の議論もあるのでありましようが、私どもはしろうとでございますから、それはしばらく抜きといたしまして、しろうととしても憲法上いろいろの疑義があつたことと思うのでございます。幸いに浅井総裁がその道の大家であり、練達堪能の士でありますから、調和をとつて参りましたが、これをただいまの場合に、そのままでいつまでも続けて行くということはいかがなものであろうかという趣旨がおもなるものであるのでございます。
#21
○舘林委員 その点につきましてはいろいろ議論があるだろうと思いますが、またあとで御質問いたすことにいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 このたびの改正案は、結果におきましては内閣総理大臣の所轄に移すという意味で国家人事委員会とする。同じ行政委員会でありますけれども、その権限というか、あるいは独立性が非常に弱まつていることは申すまでもないことであります。そういたしますと、昭和二十三年にこの人事院が発足いたしましたときは、あのときののマッカーサー書簡に基いて政令二百一号が発令された。その政令二百一号に基いて、あの当時の国家公務員法の改正を行つたわけであります。そういたしますと、あの当時の歴史的な事情を考えますと、一面においてはあの当時の国家公務員の、いわば労働運動としての行き過ぎと申しますか、そういうものに対しまして国家公務員の争議権を禁止するとか、あるいはまた団体協約権を認めないとか、またさらに団結権は一応認めておりますけれども、団体歩渉権は非常に制限されている。いわゆる憲法の規定に掲げてありますような勤労者の基本的人権を抑圧せざるを得ないような実情に面した。しかしそれは決して好ましくないことであるし、また一面におきましては国家公務員の福祉も保障しなければいけない。一面においては抑圧しながら、一面においては福祉を保障するという意味で、いわば代償として人事院の独立というものが強く保障されていると思うのであります。争議権の制限と一体不可分の関係において、人事院の独立というものが強く保障されていると思う。そういたしますと、今基本的な人権の問題は従来通りといたしまして、しかも経過的な事実としては、代償であつたところの人事院そのものを、政府の従属機関でありますけれども独土性をずつと弱めることになつたということになつて来ますと、その当時の歴史的な事情から、私は相当承つたものが出て来ているのではないかと思うのであります。物理の方で物質不滅の法則というものがあるらしいのですが、とにかく一方において押されたら何か一方においてこういう保障をして行くという構想が、人事院の独立の意義だと思うのであります。そういたしますと、このたびのことは人事院の独立性をずつと弱めているのでありますが、基本的人権につきましてはこれは大きな問題であります。ここにおられます社会党の皆さん方は専門の方ばかりでありますが、基本的人権の問題につきましては別の立場から相当考えるというような御意思があられるかどうかということについて一般的にひとつ御意見を承りたいと思います。
#22
○加藤国務大臣 当時、御指摘のように、国家公務員に対しましては団体交渉権あるいは争議権というものはなしにいたしましたがために、人事院というものが独立の機関として政府に対して対等の立場において、いろいろ勧告したりなんかすることができたのでございますが、今度の改正で少しずつ相違の点はございますけれども、私どもといたしましては、そういう対等の資格においてするということは、あまり行き過ぎではなかつたかという点と、もう一つは、今度改正をいたしましても、政府に対して争議権あるいは団体交渉棒がなくても、やはり政府に独立の立場において勧告するところの力を持つとともに、政府といたしましてはまたこれを国会に報告しなければならぬ義務があるのでございます。幾分は行き過ぎを是正すると同時に、国家公務員に対するところの擁護と申しますか、権利を保護する点におきましては、大した相違はないと思つておるのでございます。
#23
○舘林委員 問題は私はこの点にあるのではないかと思います。憲法第二十八条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」この二十八条の勤労者に与えられた基本的人権を国家公務員法の規定に従つて制限されている。この制限されている性質というものが、本来国家公務員に内在している性格に基いたものであるかどうか、すなわち国家公務員といえば一般の勤労者、労働者と違いまして、国家に対して特別の権力関係がある、また憲法の第十五条第二項に「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」すなわち一般の労働者と違つて、国家公務員につきましては、全体の奉仕者としての大きな義務があるのだ、従つて一般の勤労者と違つた特別の制限を受けるということは、本質上やむを得ないものであると考えるべきかどうか。あるいはまた、いやこれを制限したのはマツカーサー指令に従つてやつたのであつて、従つてその代償としては、不可分の関係として、この人事院の強化をして公務員を保護するのだという関係であると考えるか、その点がいろいろこれから先の問題となつて来るだろうと思うのでありますが、私はこの点につきましては塚田さんあるいは加藤さん。ことに人事院関係の加藤さんが国家公務員につきましては、二十八条の勤労者の権利というものを、勤労者の一部としての国家公務員につきましては、その本来の性質上当然若干の制限を受くべきものであるとお考えであるかどうか、この点について承りたいと思います。
#24
○加藤国務大臣 私はこういう憲法論に対しましてはしろうとでございますので、常識的にお答えいたしますが、国家公務員に対しましてはこういう制限を加えてあるということは、一面において性質上当然なことであろうと思うのであります。憲法二十八条に一般の「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」とありますが、国家公務員というものは、国家がいろいろの手を尽していることでございますから、ある制限をするのは当然であるのであります。そのかわりに、ただいまのような人事院が、団体交渉権及び争議権にかわつて存在いたしたのでございまして、先刻来お答えいたした通りでございます。
#25
○舘林委員 一般勤労者と違つて国家公務員につきましては、全体の奉仕者として異なるところの負担があり、義務を負わなくちやいけないということにつきましては、私も同感であります。ただ一面におきまして、現在のように人事委員会の権限を非常に弱めながら、何らそれに対応するような、バランスのとれたような国家公務員に対する保護の措置を講じないというようなことにつきましては、なお若干ふに落ちないところがあるわけであります。あるいはまた進んで、もしも人事院を弱体化するなら、他の一面におきまして争議を未然に防止するとか、あるいはいろいろな紛争が政府と公務員との間に起つた場合には、第三者的な仲裁の機関をつくるとか、まだいろいろな措置があるべきだと思うのです。そんなことにつきまして、何ら方法を講じられないで、ただ人事院だけを弱体化するということにつきましては、私はいささかふに落ちないような気がするわけであります。私はこの労働関係の法律につきましては、まだ詳しく勉強もいたしておりませんから、この程度の質問にとどめますが、あとで社会党の人が猛烈な質問をされるときには、大臣はよほど腰を固めてかからなくちやいけませんですよ。(笑声)ちよつとその点をひとつ、第三者の機関などをおつくりになる意思があるかどうか……。
#26
○加藤国務大臣 私は今度の人事院が、その務めをしておるものであつて、人事院は従来のごとき行き過ぎたる独立性は持つておりませんけれども、今度の改正によりまして、人事院独自の立場において、政府に勧告その他いろいろなことをすることができますから、それで目的は達せられると思うのであります。これはいろいろ見解の相違もあるのでありますが、私どもは今度の改正が最も適切なるものである、こう思つております。
#27
○舘林委員 この問題は、これから社会党の皆さんからもいろいろ御質問があるでしよう。私ももう少し加藤大臣が御勉強なさつたあとで、来週か再来週くらいに、もう一度質問したいと思います。これは非常に大事な問題でありますから、どうかしろうとじやなく、勉強していただきたい。
 それから次には、人事院総裁にちよつと簡単な御質問を申し上げたいと思います。人事院ができました趣旨は、もちろん憲法の七十三条ですか、「法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務」は内閣がこれを行う、その法律に定める基準というものを国家公務員法できめて、その国家公務員法の実施については、すべてこれは人事院が全責任を持つて当るということになつているわけであります。これが人事院の任務だろうと私は思います。従いまして一面におきましては、人事院といたしましては、たとえばアメリカに見るようなスポイル・システムをあくまでも排除して、公務員の地位を向上する、また一面におきましては、明治からずつと長く保持されて来たいわば絶対主義的な一つのビユーロクラシーをあくまでも清算して、民主的な官吏制度を立てるのだということにあるだろうと思います。この建前から申しましてそういうふうな、すべての国民からも、また政府からも、また公務員の組合からも、あるいはまた官僚の諸君からも、すべて賛成されるべきような内容の人事院であるべきなんです。しかも現在人事院というのは、失礼でありますけれども、現実には政府からまつたくじやまもの扱いをされておる。また国民の立場からどうかというと、まつたく国民的な基盤を離れて、いわば遊離している。あるいはまた官僚の諸君からはまつたく、これは何と申しますか、ボイコットされているというようなかつこうで、この改組につきましても何ら反対の声が強く上らない。一種の孤立無援の状態になつておる。また全官公の組合の諸君からは、何となくこれは白眼視されたようなかつこうになつている。国家公務員法第一条の趣旨を見ると、至れり尽せりで、あちらこちらからひつぱりだこで、実はすかれるような性質の人事院であるべきにもかかわりませず、かように四方八方から白眼視されたり、あるいはじやまもの扱いをされている原因は、実際どこにあるかということだと私は思うのです。私は一面においてこれは率直に申しまして、人事院の一つの宿命的な性格じやないかと思う。あちらこちらからちよつとやろうと思つたら反撃を食らい、あるいは衝突をする。従いまして私は、人事院総裁としては、総裁の地位におきましては八方美人にならざるを得ないと思うのです。チェック・アンド・バランスとよくいわれますが、堂々と一つの主体的な立場でチェック・アンド・バランスをやられるのはいいのですけれども、今日の立場においては、あまり八方美人過ぎるということで、浅井さんはずいぶん非難されておる。しかし私はだれがなつても浅井さん以上の八方美人にならざるを得ないというような気がする。ここに人事院の本来の宿命的な一つの欠陥があるのじやないか。これにつきまして、いろいろこれからも質問いたしますが、いわば浅井総裁が就任されてもう数年になりまして、いろいろあなたも御非難を受けられておるようでありますが、実際現在の情勢において、あるいはこれから改善される人事委員会においても、依然として今までのような八方美人のようなかつこうを続けなくてはいかないという気がいたすわけであります。この点につきまして、人事院総裁の心境をひとつ承りたい。
#28
○浅井政府委員 お答えを申し上げますが、要するにただいまの問題点は、いわば人事院の宿命的なものかもしれません。すなわち人事院が一方に基本的人権のあるものを押え、その代償としてでき上つておる。従つてどつちつかずのまん中のところを歩いて行かなければならぬような宿命をになわされておるというところから来るのだろうと思つております。それはつまり職員団体からの反対というものは、結局職員団体の要求はすべて人事院がこれに賛成していない、ここから来るのだろうと思つております。それからまた団交権や争議権の復活と違つたところに人事院という制度ができておる、こういうところから来るのだろうと思つております。それから国民の支持が薄いということでございますが、もとより人事院というものは直接国民に関係のある役所ではございません。これは政府部内の役所でございます。のみならずアメリカにおきましてこのような制度ができましたのは、非常な弊害を流したスポイル・システムのあとに起つて来たのであります。もちろんわが国におきましても、かつて政党のはなやかであつた時代にスポイル・システムが行われておつたのでありますけれども、それは当時はまだ枢密院と申す機関があつて、官吏制度のお目付役をやつておりました。これはよい意味にもせよ、悪い意味にもせよ、ともかく政党のいうようには官吏制度は動かなかつたわけでございますが、今やそれもない。しかも今の人はその時分に対する記憶がやや薄らいでおります。従いまして人事院というもののありがたみがわからぬというところに、国民の関心が薄いゆえんがあるだろうと思つております。それから官僚がなぜ支持しないかということでありますが、これは要するに人事院の持つておる成績制度が厳正なものであり、かつ従来の制度をだんだん改めて行く、そこにやはり反対があるのだろうと思つております。しかしながらこれは要するに長い目をもつて見ていただかなければわからぬのでありまして、私は必ずしも反対ばかりではないと考えております。
#29
○舘林委員 人事院の改組の経過をずつと見ますると、最初が臨時の人事委員会だつた。それが人事院になり、またそれが修正になつて人事委員会になり、それからまた今度新しく人事院になつて、今度また最後に人事委員会に改組される。数回実は同じことを繰返しておるわけなんです。そして今浅井総裁が申された心境のように、とにかくあちらこちらから袋だたきになつて、そう大して感謝もされないという実情なんです。そういたしますと、今度の改組もまた人事委員会に帰るわけですが、一つの意見といたしまして、こんなことはどうでしようか。すなわちむしろ思い切つて、もうはつきりと司法、立法、行政の三権以外に、第四権的な一つの憲法上独立したものを持つ、現在におきましてもその萠芽は相当あるような気がするのです。たとえば国会に対して人事官に対する弾劾訴追を求めるとか、あるいは給与ベースの勧告につきましては、政府と同時に必ず国会にやるというようなこと、あるいは任命についても国会の同意を得なければいけないということですね。そういたしますと浅井総裁が前に発言されておりますように、行政については司法権のように唯一のとか、あるいは立法権のすべての法律はとかということの何ら制限がない。従つて行政については相当の広い幅のものを認めております。そうしますとその行政につきましては、政府に対して責任を持たない。むしろ国会に直接責任を持つようなはつきりした名実ともに独立した機関にしてしまう。中途半端なものにしないで、ほんとうに国会に対してだけ責任負うような一種の他の行政組織をつくつてしまう。そうしてそこでは実施的な画は各省に移してしまつて、純立法的な面とか、あるいは純司法的な面だけを管掌するというすつきりとしたものにした方がいいじやないかという、一つの立法論が出て来るわけであります。これは浅井総裁が故年やられた体験から見て、いろいろ憲法問題もあるでしよう。こんなことはどうお考えになりますか。
#30
○浅井政府委員 その点はもう少し具体的なそういう案ができないと、どの程度ということは申されませんが、第一に今の人事院の制度は、必ずしも私は憲法違反とは言い得ないだろうと思つております。それは、国会が唯一の立法機関である、あるいはすべて司法権は裁判所に属するということに対して、憲法はすべてとも唯一とも行政権については言つていないのでありますから、内閣以外の機関が、たとえば人事院のようなものが行政権の一部を持つことば、必ずしも私は憲法違反でないと思つております。そこでそういう意味において行政委員会というものをわが国に受入れ、そうして今日までやり、そのうちあるものはなくなりましたが、あるものは人事院その他若干のものが今日も残つておるという状態になつておるのであります。ただ舘林さんの御説でございますと、要するに実施面をどこまで持つかに問題がわかれて来るだろうと思つております。
#31
○舘林委員 とにかく昭和二十二年からまつたく同じことを繰返し繰返しやつているわけでありまして、政府の、ある意味で相当力が強いときは人事委員会に移す。少し弱くなつていろいろ輿論の反撃があると人事院にするという同じことを繰返しているわけでありまして、今度かりにこの法律案が通りまして、国家人事委員会ができましても、勤労者の力が強大になりました場合には、また独立の濃度の強い人事院にするということになるかもしれないのであつて、これではいつまでたつても切りがないような気がするのです。一つの案としては、むしろまつたく政府と独立したような意味で、そうしてまた給与についても相当強い勧告権として、なお一段あるいはこれを義務的に政府が受けなくちやならぬというくらいまで高めるようにするのも、一つの考えじやないかと思うわけです。この点につきましてはいろいろ意見の相違があるわけでありますが、とにかく中途半端じやむしるいけないじやないかという気持を持つているわけであります。従つて中途半端はいかぬということになりますと、むしろ逆にまた今までの実績から行きまして、人事委員会を従来のような行政委員会というあり方で申しますとコミツシヨンと申しますか、そんなものよりは、一種の諮問機関的なコミテイーというようなかつこうにして、内閣に人事局とか給与局を置いて、すべてそこでやつてしまうというようなことも、一つの考え方じやないかと思います。私が申し上げたいことは、とにかく人事委員会とか人事院というものは、いかにも独立しているような独立していないような、従つて浅井総裁をいつも困らせるようなことではなくして、なお強固に独立させるか、あるいは純粋の政府機関としてしまうかということなのですが、あとの方の意見についてはどう考えますか。
#32
○浅井政府委員 ちよつと舘林さんのおつしやつたことの聞き違いかもしれませんが、何度もかわつたと仰せられましたけれども、それはかわつていないのであります。初めの一年間が臨時人事委員会、それから二十三年に人事院ができまして以来今日まで人事院となつたのであつて、決して国家人事委員会になつたことはないのです。その間改正が企てられましたことが二回、舘林さんの仰せられたのはこの改正を企てられたことも入つているのではないかと思うのですが、それは国会で審議未了になつたのが一回、その次が今回出ておるわけなんです。そこで最後に舘林さんの仰せになりました内閣に人事局でも設けて、今の人事院的なものはすべて廃止するということに対しては、私どもは強硬に反対して参つたのであります。これは明治憲法時代を御追憶になればよくわかるのでありますが、あの当時政友会と民政党とが交互に内閣を組織していた場合は、内閣の更迭ごとに地方長官等多くの主要な人事がかわつて行くというスポイル・システムが行われておつた。それでもまだ弊害が割合少なかつたと思われるの、は、官吏制度がすべて勅令で規定せられる。それがすべて枢密院の御批准事項でありましたために、枢密院がきわめて封建的な意味でもありましようけれども、ある一貫性を与えて来たということにあるのであります。しかしながら今日におきましては枢密院というものはない。国会は議院内閣制をとります以上、その内閣と同じものと思わなければなりませんので、従来のごとくきわめて主義主張の違つた内閣がこもごもできまして、それが人事行政を思いのままに動かして参りますならば、これは非常な弊害になるのではなかろうか。つまりいい意味のビユーロクラシーを維持することができないのではないか。私どもはいわゆる悪い意味のビユーロクラシーの改革はしなければならないと思いますが、政治と行政とは分離すべきものであつて、やはりいい意味のビユーロクラシーは一貫したものがなくてはならないと考えております。
#33
○舘林委員 私が人事院がしばしば改組を繰返したと言いましたのは、もちろん総裁のお話の通りでありまして、最初臨時人事委員会ができた。それから改正案が出されたときには人事院であつたのでありますが、それが修正になつて人事委員会になつた。それから人事院になつた。そして今度国家人事委員会になつた。とにかく相当考え方がぐらりぐらりとかわつておることは事実なんです。それだから私が言いたいのは、とにかくどちらかはつきりした方がいいのではないか。かような一つの立法論もあるのではないかということを、実は申し上げたわけなんです。
 なお次の問題といたしまして私がお尋ねいたしたいのは、ただ自分の意見という意味でなくて質問という意味で申し上げますが、今度の改正案におきましても純立法的な権限、すなわち人事院規則をつくるということにつきましては、内閣総理大臣の承認も何もいらないということになつておるのであります。もちろん人事院指令とか人事院手続につきましては、これは削除されておりますが、人事院規則につきましては従来通りであります。従つて人事院といたしましては、法律の委任の範囲におきましては、ほとんどオールマイテイの権限を持つておられる。それはよく問題になります人事院規則において、たとえば退職の場合にはすべて人事院規則に掲げてあるわけでありますが、当然退職の事由等は法律に書くべきである。それが人事院規則でやりますから、いくら公正とはいいながら人事宮が自由にやられるということで、一種の人事院独裁ということも考えられる危険がある。あるいは政治目的をきめ、政治活動をきめるという先般の教育関係の法案で問題になつたようなことも、すべてあんなことは憲法の建前から申しましても、法律の体系から申しましても、当然私は人事院できめるべきでなくて、大事な点は法律できめるべき点があるのではないかと思うのですが、こういう点について今度は人事院総裁がほとんどきめられる。人事院総裁はオールマイテイの権限を持つておられる。そういたしますと他の一面において政府の責任はどうなるかということも、大きな問題になつて来るわけです。従来からたとえば政令諮問委員会とか、あるいは行政審議会等におきましても、この点はずいぶん問題になつたようですが、この点につきまして幾ら人事院が自己規制を加えるというようなことになりましても、相当問題が残されておりますが、依然としてこの独立法的な権限を人事院に保留されるというお気持はいかなる点にあるのか、この点について承りたいと思います。
#34
○浅井政府委員 お説ごもつともでありますが、国家行政組織法によれば、すべて外局の庁は規則をつくることができる、これについては何ら総理大臣の承認その他はいらない。こういう建前になつております。でありまするから、人事院が総理府の外局になつたといたしましても、その権限はあるのであります。いわんやただいまの姿においても、それは持つてもおかしいことはないのではないか。ただ問題はどれほど持つかという点にあろうかと思います。私は人事行政の独立性と申しますか、よい意味のビユーロークラシーの一貫性を持つて行くために、やはり人事院が人事行政に関する命令の判定権を持つて、公正にこれを行つて行くということはさしつかえないのではないかと思つております。ただその点に御指摘になりました重大な点は、たとえば政治活動のようなものはどうなるかという仰せでございますが、それはまことに御説ごもつともだろうと思つております。でありますから、人事院といたしましては、ただいまの政治活動に関する規則が立法化されて法律の規定にかわるということについては、少しの反対もないわけでございます。あれがあのような規則の形でもつて今日に至りましたのは、それは立法当時の事情もございましてああいうふうになつておる。これが法律の規定にかわるということに対して、私どもは決して反対はいたしておりません。
#35
○舘林委員 申すまでもなく、立法は憲法の規定に従つてすべて国会に属しているわけでありまして、国会中心、しかも人事権に関することは原則として法律中心で行く。従いまして規則で制定されることは、もちろん委任立法は認めておりますけれども、委任立法の範囲もなるべく狭くする。純粋に言えば委任立法についても理論上当然相当の限界があるべきだという気がするのです。そんな立場から考えまして無制限なオールマイテイと見られるような立法的な権限を持たすということにつきましては、今後もしばしば実は問題になると思うのです。一応総裁の気持はわかりましたが、この点につきましては、なお今後私ども検討さしていただきたいと思います。
 それから憲法との関連においていろいろ問題になつておりました応急予備金の制度というようなものは、今度当然廃止になつたのでありまして、この点の疑問はなくなつたと思います。ただ私問題にしたいのは人事官の弾劾訴追権とうことでありますが、これは私はそれについての私の意見を言うわけではありませんが、今度の改正案の体系というものは、とにかくはつきりと政府の責任というものを明らかにさせたいというところで考えておる。そういたしますと、政府の責任を明らかにするためには、人事院の予算に対する権限と人事院の人事に対する権限、この二つが一番大きな問題だと思います。そのうち予算に対しては、応急予備金の問題とか、二重予算権の問題については、すべて削除されておりますからわかるのでありますが、人事官の任命につきましては、国会の承認を得るといいながら、内閣総理大臣がこれを任命するということになつております。ただ人事官の弾劾訴追権については、全然政府に認められておらない。ここに私がこの改正案の体系から見て、なお理解できないような点があるわけなんですが、この点につきましてひとつ御意見を承りたい。
#36
○浅井政府委員 ごもつともでございます。御承知のごとく弾劾訴追権は初めの案では内閣にございまして、それが国会修正で国会の訴追権にかわつておるのが現行法でございます。この点御承知の通りでございます。そこで私ども人事官といたしまして職務を執行いたします場合には、身分保障がやはり心配だと思つております。これは独立して仕事をやつております場合に身分保障が必要である。しかも相当強い身分保障を持つていなければ、職務の執行に支障があるように考えております。そこで、裁判官にも弾劾の制度がございまして、これは国会がやるようになつておりますが、それと同じような制度が必要であろうというところから、私どもはこの現行法の通りやつたのでございますが、訴追権が内閣にあるか、あるいは国会にあるかということは、私どもとしては別にどちらでもよいように考えております。
#37
○舘林委員 今度の改正によりまして、国家人事委員会になる、すなわち人事院の独立性が薄くなればなるほど、実は政府の責任というものがそれに正比例して大きくなることは申すまでもありません。そういたしますと、一応人事官の任命については政府が国会の同意を要するといいながら権限を持つている、それに対して弾劾権は依然として国会にあるということについて、はたして政府として行政上の責任を負うことができるかどうか、この点についてひとつ加藤大臣の御意見を承りたい。――ではもう少し加藤大臣に勉強していただくまで、私は質問を保留しておきます。

#38
○川島委員長 今日はこの程度にとどめまして、明日午後一時から開会いたします。
 これにて散会いたします。
    午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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