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1953/04/02 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第11号
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1953/04/02 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第11号

#1
第019回国会 人事委員会 第11号
昭和二十九年四月二日(金曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 川島正次郎君
   理事 赤城 宗徳君 理事 永田 亮一君
   理事 山口 好一君 理事 櫻井 奎夫君
      荒舩清十郎君    田中 萬逸君
      小山倉之助君    石山 權作君
      加賀田 進君    森 三樹二君
      池田 禎治君    受田 新吉君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 加藤鐐五郎君
 出席政府委員
        人事院総裁   浅井  清君
        人事院事務官
        (事務総局任用
        局長)     大山  正君
        総理府事務官
        (行政管理庁管
        理部長)    岡部 史郎君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
        専  門  員 遠山信一郎君
    ―――――――――――――
四月一日
 熊本県牛深町の地域給引上げに関する陳情書(
 熊本県天草郡牛深町立牛深小学校長中田林五郎
 外二十二名)(第二五八三号)
 岐阜県神戸町の地域給指定に関する陳情書(岐
 阜県安八郡神戸町郵便局長後藤亦一外五名)(
 第二五八四号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇一号)
    ―――――――――――――
#2
○川島委員長 開会いたします。
 国家公務員法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。加賀田進君。
#3
○加賀田委員 私は各条項にわたる質疑は後刻に譲りまして、一般的の問題に対して質問をいたしたいと思います。
 この法案は昭和二十三年十一月十日に吉田総理自体の手によつて人事院に提出されまして、人事院の根本的改正が行われて、約五年有半になりますけれども、五年間現在の人事院の性格に立つて運営されて参りまして、今度の国会でこの人事院の権限等を大幅に縮減する法案として出て参りました。各公務員はこの法案の成行きに対して相当重視しているわけですが、今度提案されて参りました理由としておもなものは、わが国の行政機構の実情に調和した組織とするためこの法案を提出するという、これは主要な目的だと思うのですけれども、しかしながら法案を改正するということになりますと、五箇年間運営して参りました実情と、なお現在のこうした機構の上に立つていろいろの困難な問題が生れて初めて法案というものは改正されると思うのです。そういう意味で今次出して参りましたこの法案の改正のおもなる目的は、ただ抽象的に行政機構の実情に調和さすということでありますけれども、この国家公務員法を、特に人事院の機構というものを根本的に改正せなくてはならないという現在の事情並びに五年間運営して参りました実績にかんがみて、どう改正しなければならないという事情が起つたか、この二点に対して質問いたしたいと思います。
#4
○岡部政府委員 お答え申し上げます。ただいま加賀田さんから根本的な点につきましてお尋ねがございましたので、この際戦後における公務員制度並びにこれが実施機構の点につきまして若干沿革を交えましてお答え申し上げたいと思うのであります。
 御承知の通り終戦後官吏制度を根本的に立て直すということは、これは政府といたしましても根本的な施策の一つとして取上げたわけであります。しかし従来の官吏制度を、しからばどういう方向に持つて行くかということにつきまして、政府当局といたしましてもただちにその具体案を確立するということは、なかなか困難な事情にあつたわけでありますので、いろいろないきさつがあるのでありますが、要するに司令部の援助を求めた、またそれに対しまして司令部も積極的に手を差延へたという事情があるわけでありまして、二十一年の末には御承知の通り公務員制度に関する専門家の顧問団がわが国に来朝いたしまして、その後約半年間わが国の公務員制度の実情を調査り上、二十二年に司令部から時の片山内閣に対しまして勧告いたしたのであります。これがそもそもこの公務員法の基礎でありまして、これに基きまして、二十二年の第一回国会におきまして国家公務員法案を御審議いただくことに相なつたわけであります。その第一回国会におきましては決算委員会にかかりまして、その決算委員としてはここにおられる受田委員も親しく終始御審議されましたから、受田さんその当時の事情につきましては十分御承知でありますが、ついででありますから私から申し上げますが、その当時の司令部の勧告というものは非常に強い意味をもちまして、今から申し上げますとほとんど一字一句もかえないで、これを国会に出せというような体の内容のものであります。それは一言で申しますならば、アメリカの十九世紀の末から現在までの経験によりまする新しい人事行政制度を、アメリカの実際にかんがみましてこれをきわめて理想化した、極端にまで理想化した形態におきまして、戦後のわが国にそういうよりな制度を打立てようとしたものでありますので、それをそのままわが国に適用いたしますならば、これが非常に極端な、あるいは四権分立とまで言われるおそれのある程度のきわめて極端な人事制度の確立を目ざしたものであります。もちろんそれは新しい戦後の議院内閣制の確立あるいは政党政治の確立に伴いまして、人事制度を確立するという意味におきまして十分な意義のあつたものであろうと思うのでありますが、とにかくその内容の詳細は略しまして、そういう性質のものを政府に突きつけました。政府におきましてはその後いろいろ司令部と交渉いたしまして、苦心の末二十二年秋の第一回国会に国家公務員法案として提出いたしましたものは、その司令部の原案、すなわちフーヴアーが作成いたしました案を、相当程度に換骨奪胎いたしたものであります。しかしその場合におきましては、人事院という制度を政府の人事の実施機構として打出して参つたわけであります。それを第一回国会において御審議いただきます際に、この人事院という制度は、制度自体がきわめて大き過ぎる、厖大な感じを与える、官僚的な色彩を与える、あるいはそれに付属いたします事務局が事務総局となつておるのは、これも厖大な感じを与える、新しい公務員制度はもつと民主的な感じを与えなければならないというようなことが論議されました。それは外部の公法研究会というような大学教授の集りの委員会からそういう意見もありまして、第一回国会においては満場一致で修正に相なり、その国家公務員の法案が衆参両院を通過いたしまして、十月二十日に公布されました。ちよつと申し落しましたが、その人事院がもつと民主的な形のもの、すなわち人事委員会という名称に修正されたわけであります。その人事委員会は二十三年の七月一日から人事行政の実施機関として発足するように定められまして、それまでの臨時的な準備機関として、十一月一日から発足する、こういうことに相なつたわけであります。従つて十一月一日からは臨時人事委員会がきわめて小さな姿で発足したわけであります。それからいろいろないきさつによりまして、この臨時人事委員会がまだ活動中に二十三年の七月末にマッカーサーの書簡が出まして、それに基きましてさらにこの公務員制度の根本的な改正につきまして勧告がありまして、その勧告に基きまして第三回国会におきまして公務員法の大修正を受けたわけであります。この場合におきましては、第三回国会は主としてこの国家公務員法の改正のための国会のような形をなしたわけでありますが、その際におきまして公務員法の人事委員会というものが、さらにあらためて人事院という形をとることになつたわけであります。この場合におきまして人事院という形に復帰することは、野党各派のきわめてはげしい反対があつたことは御承知の通りでありますが、遂にその反対が押し切られまして、十二月三日から人事院が発足したというような状態であります。ところでこのような人事院というものは一面におきましては公務員を保護し、その福祉を擁護するためのきわめて独立的な性格と権能を持つ機関でなければならないのでありますが、同時にそれが単なる勧告機関、裁定機関または試験実施機関ではなくて、人事行政全般の企画実施機関である、そういう意味におきまして、一つの純然たる行政機関である。すなわち最高の行政機関としての内閣と一面におきましてはきわめて密接な関係のある行政機関の本体を持つという点におきまして、この人事院の独立性ということが行政機構全体の位置として、きわめてむずかしい点があろうかと思うのであります。そういう点におきまして、二十四年の六月一日から国家行政組織法という法律が実施されることになりまして、この行政組織法が行政機関全体の組織、規模、権限というものを定めておるわけでありますが、この行政組織法と人事院の組織とが調和しない、現に改正された公務員法におきましては、これは行政組織法の実施前でありましたが、公務員法みずから行政組織法は人事院には適用しない、人事院の内部組織は人事院みずから定めるということをうたつておるというような関係もありまして、行政組織法が施行されるに伴いまして、この人事院というものが普通の行政組織からはずれて参つた。そういう意味におきまして、人事院という機構が行政機関として行政組織の面からはずれるというような点が出て参つたわけであります。それで普通の行政組織からはずれる、すなわち行政組織法の適用を受けず、定員法の適用を受けず、その規模、人員をみずから定めるということにつきまして、単なる欠点ばかりでもありません、利害得失両方あると思いますが、いろいろな面がここ数年間にいろいろな点において出て参つて来るわけであります。
 以上申し上げましたのはほんの序論でありますが、そういうような事柄によりまして、いろいろな点が問題になつて来るということを申し上げまして、一応お答え申し上げます。
#5
○加賀田委員 人事院から人事委員会に改正された経過について説明があつたわけですが、その中で特に強調されているのは、行政権を内閣が持つているので、それが人事院として独立機関であるというところの調和に非常に困難性がある、それが今度の改正案の趣旨のように説明された点であると私は考えるのであります。もちろん行政権との関連性に対していろいろ問題があると思いますけれども、二十三年の十月十一日、現在の浅井総裁からも提案理由の説明の中で、議事録を見ればおわかりだと思うのですけれども、やはり厳正なる人事行政を行うとともに、国家公務員の福祉あるいは利益を保護する機関として、人事院としてあらためて独立組織であらねばならないという説明があつたわけであります。私も当然現在の人事院としては、適正なる人事行政を行うとともに、国家公務員のいわゆる諸般の労働条件を保護するために、強い独立機関としてあらゆる制約を受けないという組織のためにでき上つておるものと思うのです。そういう意味で今次の改正は、もちろん人事行政そのものを内閣の所管の中で、いわゆる総理府の外局として、実質的に内閣総理大臣の所管のもとにおいて、人事行政の適正をはかろうというねらいで提出されたと思うのでありますけれども、それと関連して、いわゆる国家公務員の労働条件そのものの保護機関としての性格が、全然抹殺されているように思うのです。逆に考えますと、憲法で保障されておる勤労者のいわゆる団体行動権等を、この公務員法九十八条によつて制約されておる。そのために人事院というものが設置されて独立機関として保護しておるというところに大きなねらいがあるのじやないか。ところが改正案では、従来と同じく、公務員に対しては団体交渉権は実質的に認められていない、もちろん罷業権が認められてない、労働者の持つ基本的な権利というものは、全部剥奪されてそのままに残されて、人事院の権限が縮小されておる。ここに大きな問題が起つて来るのではないかと思う。その点改正案の中で人事院というものは内閣総理大臣の所管の中においてまつたく独立機関的な性格をとつてしまつて、公務員のこうした労働諸条件に対する保護機関という性格をとつた理由について説明していただきたいと思います。
#6
○岡部政府委員 ただいま加賀田さんからのお尋ねは、たいへん大きな問題であろうと思うのであります。二十三年の大改正の際に職員の争議権、団体協約締結権、団体交渉権及び団結権につきまして、きわめて具体的な制限があつたわけでありますが、政府のそのときの方針といたしましては、これらにつきまして相当高度の制限を行うと同時に、またそれらの団体行動権によつて、職員が受ける可能性のある利益及び福祉の保護は、人事院という独立的な権能を有する機関によつて、これを保護するという建前をとりましたことは、現在の公務員法第一条及び第九十八条とあわせてそのときの審議の状況をごらんいただけば明らかだと思うのであります。この九十八条問題につきましては、いろいろ大きな問題がありますから、それはさておきまして、この九十八条と関連いたします第一条の問題に関連いたしまして申し上げますと、今申し上げました通り、この人事匠という制度によりまして、公務員の利益と福祉を保護する、そのために人事院にどういう権能を与えたかというと、独立的な権能を与え、給与の改訂については独立して国会及び内閣に勧告を与える権能を与えた。そうしてその勧告を与え、裁定を行いあるいは行政措置の要求について判定を与えるというような権限を行使するために、人事官の身分をきわめて高度に保障しておるわけであります。これは他の行政官にその例を見ないほど保障しておるわけであります。そういう意味におきまして人事院は独立機関である、こういうことを世上強くいうのでありますが、これを突き詰めて申しますならば、人事官がこれらの権能を行使するにあたりましてその身分が保障され、その権限を独立に行使できるという点か独立性が強い、すなわち独立機関であるといわれるのでありますが、人事院の形態そのものは決して私は独立性を持つていない、こう考えるのであります。すなわち人事院は法文上も単に内閣の所轄のもとに置かれる、あるいは内閣法上もこれは議論の余地がありますが、しいて根拠を求めれば十二条に根拠を求めるというほかはないのでありまして、組織上は何ら―何らと申しましては語弊がありますが、組織上は決しで人事院自体としては独立的な地位に与えられているものではないのでありまして、ただ人事院を構成する人事官は身体、身分につきましてきわめて高度の保障を受けている。そこにおいていわゆる人事院の独立的な性格が出て来る。従いましてこのたびの改正におきましても、この国家人事委員会の権限を行使するにあたりまして、この国家人事委員会を構成する人事委員の身分及び権限の点につきまして、これを削除あるいは減らしますならば、きわめて多くの問題が起きると思うのでありますが、その点につきましてはこのたびは何ら改正はしてないのであります。ただ行政組織といたしまして、これを現在の組織法上の地位に合している。その点におきましては他の独立性を有すべき外局、すなわち中央労働委員会であるとか、あるいはその他土地調整委員会もあります。あるいは国家公安委員会もあるのであります。これらの行政委員会というものは、すべてその職務の執行にあたつては独立にその権限を行使し得る。そういう点において遺憾のないように定められておるわけでありまして、この人事院が国家人事委員会になつたからといつて、その本来与えられている権限を独立に行使する点において、支障があるようには決して改正されてはいない、私はこう考える次第であります。
#7
○加賀田委員 非常にわかりにくい説明でございまして、人事院の人事官三名が非常に特殊性を従来と同じように保障されているので、この三名に基いて従来と同じ権限が与えられたという説明でありますけれども、実は第三国会において改正された前の事態に逆行するような法案が出ているのであります。この第三国会で説明されているときには、今度の人事院は内閣に置いて、他の行政機関に対しては独立性を与える、そのためにいわゆる総理府の外局として内閣に置き、あるいは財政的にもある程度の独立性を与える、そして人事院規則も他のあらゆる勢力より独立して制定することができるという大きな権限を全部与えていたわけですが、今度はそれを全部削減しておるわけなんです。従つて独立性を与えるという理由のもとに、五年前に財政的にもあるいは行政組織上にも、独立してあらゆる権限を与えておる。こうした諸般のあらゆる権利を含めて、初めて人事院というものは独立性が確保できるという見地で、この改正案が出されたわけなんです。それが第三国会前にもどつて、従来とかわらずにやはり独立性が保持できるというなら、五年前にこういう法案を改正する必要はないのではないかと思うのです。ただ五年間こうした人事院のあり方において運営されていろいろ内閣においても支障があり、その上に立つてこういう改正案が出たと私は考えているわけです。従つていかに説明されても、根本的に人事院の性格が異なる以上、独立性というものはまつたくないと指摘してもさしつかえない状態になるのではないかと私は思うのです。従つて五年間の運営の上に立つて、やはり改正しなければならなかつた事情を説明されて、その上に立つてこの法案に対する審議を進めて行きたい、私はこう思つて、五年間にいろいろ行つた勧告その他人事院の行政に対して、やはり政府としてもいろいろ検討されていると思うのです。その点具体的に説明されて、この法案の改正の必要性に対しての検討の資料にいたしたいと思うので、あらためて説明を願いたいと思います。
#8
○岡部政府委員 人事委員会から人事院に改組をされた際に、人事院に与えられたいろいろな権能の独立性の保障につきまして、特に問題となり、しかも実際の効果の上らなかつたものといたしましては二つあげることができます。一つは応急予備金の制度であります。これは初めから三年間という制限で設けられたものでありますが、これはその当初におきましては、その意図するところはもちろん人事院というものの仕事がどの程度の分量があるかわからないので、予算に弾力性を与えるために応急予備金制度を設けた。これは一面におきましては一般予算の統一性という意味からいたしまして、各行政機関に応急予備金を設けるということは、なかなか問題のある点でありますが、あえてそういうことをいたしたというのも特殊事情に基くものでありまして、そういうものが予算制度の統一の面からいつて好ましい制度であるかどうか、これは議論の余地もないと思うのでありますが、しかし人事院発足のいろいろな当初の事情にかんがみまして、三年間という応急予備金制度が設けられた。しかしこれも三年間という時間の限定がありますので、実際その条文は死んでしまつたという点が第一点であります。
 第二点はいわゆる二重予算の制度であります。この二重予算の制度は御承知の通り国会及び裁判所に認められておる制度であります。それが行政機関である人事院に特に認められたという意味におきまして、これが不当にその効能を過大評価されまして、こういう点から人事院が三権に対しまして四権であるというような批評を受ける根拠と相なつたかと思うのでありますが、実はこの行政機関が議院内閣制のもとにおきまして、このような二重予算制度を活用できるかどうかということは、これはそもそも問題があるのでありまして、このような二重予算制度というような実際において活用されない制度によりまして、不当に過大な独立性を与えられておるかのような感じを与え、おるということは、必ずしも策の得たるものではなかろうと思うのでありまして、このような二重予算制度という実効性のないものは、この際行政機関のあり方から見て、とつたらよかろうというようなことで、この点はこのたびの改正によつて改められておるわけでありますが、そういうわけでこれは実際において働きをなしていなかつた、むしろそのほかに二重予算制度が認められながら、逆に今度は人事院の予算というものにつきまして、何も本来は独立性がないその職員の査定につきましても、これは予算でのみ国会の審議を受ける、大蔵省の定員の査定を受けた以外は、あとは予算で国会の審議を受ける。むしろ定員法という法律によつてその職員が、その数を確保されるというようなこともないわけでありまして、そういう点を考えてみ、及び行政組織の戦後における簡素化というような面から行くならば、組織法、定員法の適用を受ける行政機関というものは、すべてその独立の行政権能を発揮できないものであるというのならば別でありますが、先ほど申し上げましたように、委員会が独立の権能を発揮するのにさしつかえないとしているならば、人事院というものが、ただ一つ残つている行政組織法から離れている機構といたしまして、この際なるべく早い機会に、行政組織法の適用を受けるように改組したらいいのではなかろうかというのが、政府の一貫した方針でありまして、すでに第十三回国会におきましても、御承知の通り人事院を人事委員会に改組するという方針になりまして、国会の御審議を受けたこともあつたわけであります。それ以来政府といたしましては、現在の人事院を人事委員会に改組するということが、現在の行政組織簡素化の前提として必要だというような一貫した態度をとつております。そういう方針に基きまして、このたび改正案を提出して御審議を受けることにいたした次第でございます。
#9
○加賀田委員 第三国会で、人事院を制定する場合に、根本的に国家公務員法を改正されたのも、吉田内閣の手によつて提出されたものでありますが、あなたはそのときの提案理由を十分御承知ないのではないかと思うのです。これは議事録を見てもらえばよくわかることでありますが、やはり保護機関としての権能を果すために、十分なる権限を与えるとともに、あとう限りの独立性を確保するということは必要欠くことのできない要件である。従つて今申し上げた総理府の外局として内閣に置き、また財政的にもある程度の独立制を与えなくてはならない。あるいは他の行政機関に対しても独立性を特に与えなくてはならない。人事院規則も独立で制定する権限を与える、こういう意味で説明されているわけであります。従つて人事院の将来の発展性というものがまだわからないので、ある程度の含みを持つた財政的な処置を講じたという今の説明でありますけれども、そのときの提案理由の説明はそうではなかつたのであります。人事院に独立性を与えるその一環として、財政的なある程度の独立性を与えるというように提案理由の説明がなされているわけであります。これは当時の政府委員として、現在の浅井総裁もその提案に努力されたと思うのであります。そこで浅井総裁に御質問いたしたいと思います。今提出されている政府の改正案に基いて、現在の人事院の独立性というものが侵害されているかいないかということと、それから絶えず給与等の勧告のときにいろいろ論争されている人事院勧告というものは、こうした独立性のもとに、公務員法第九十八条によつて罷業権、怠業等、いわゆるストライキが制限されているので、それを精神的に含めた意味として人事院は絶えず勧告を行つておるということを説明されております。こういう意味で現在総理大臣の指導監督が強化されて、行政組織法の一環として政府の機能の中に完全に含まれて、独立性がなくなつた場合は、こうした保護機関としての性格が稀薄になるのではないかと私は考える。そこで現在のような独立性を与えていることが正しいか、あるいはこの改正案のように、政府の組織の中に含まれて、まつたく当時の政治勢力の力の中へ包含されて行くことが、国家公務員の労働諸条件を擁護する機関として正しいあり方であるかどうかという点についての見解を承りたいと思います。
#10
○浅井政府委員 たびたび申し上げますが、独立性の侵害と言われましたが、侵害という言葉は少しく穏やかでないのであります。現行法と改正案を比較して見て、どちらが独立性が高いかと申せば、現行の方が高いのであります。これはきわめて明らかであります。その一例を申し上げますれば、現行法において人事院はみずから内部組織を定めることができる。今度は課の組織、定員等はすべてこれは人事院の独立の権限では定められないことになるのでありますから、独立性の比較ということから見れば、独立性が低くなつておることは、これは問題ないところであります。そこで問題は結局その独立性を低くすることが悪いかどうかということに帰着するのでありますが、今度はまた一方からいいますれば、行政機関として人事院にどれだけの独立性を与えるか、またどれだけ与えるならば、それで機能が発揮できるか、こういうことの問題に帰着して来るだろうと思つております。そこでこれはこの改正案の個々の条項について、これで人事院が今後人事委員会となつた場合に仕事がやつて行けるかどうかという問題に帰着するのではないかと考えております。ところがその判定は非常にむずかしい問題でありまして、たとえば今問題になりました二重予算の問題を考えてみましても、なるほど一方から見れば議院内閣制のもとにおきまして、かりに人事院が独立の予算を出したといたしましても、衆議院の多数を占める政党が内閣を組織しておるとするならば、衆議院が内閣の予算を捨てて人事院の提出した予算をとるということは、これは事実問題としてあり得ざることでありますから、その点から見ればなるほど独立予算、二重予算というものは意味がないということにもなるのであります。しかしこれを一つの潜在的権限として見るときに、やはり大蔵省と折衝する場合において、これは過去において相当物を言つておるということになりますので、これは見ようによるのであります。ただ問題は、人事院はある一方において団交権や争議権を押えておりますから、ある程度の独立性はどうしても必要だ。しかしまた他方から見て、日本の行政機構をユニークなものにするためには、あまり飛び抜けて妙なことになつてはいけない。この二つの要請のどこにおちつくかという問題でありますが、これは非常にむずかしい問題で、国会の御判定にまつ以外にはないと思います。なお個々の問題につきましては、だんだんと御質疑に従つてまた申し上げます。
#11
○加賀田委員 改正されても内閣総理大臣の理解のもとで独立性が確保されるかもしらぬというような、希望的なお話でございましたが、私たちが現在の国家公務員法に基いて考えるのは、人事院自体のあり方に対して相当強い独立性が必要ではないかということです。また独立性が確保されているにもかかわらず、その機能が十分発揮されていないきらいもあるという感を私は持つております。そういう状態にあるにもかかわらず、現在内閣総理大臣の指導監督下に包含されてしまうとするならば、まつたく独立性というものはなくなつて、当時の政治勢力の支配下に、そのまま人事行政というものが自由に行われるような懸念も今後起ると私は思うのです。従つてこの改正案に対しても、そのときの内閣の考え方によつて、非常に支配されるという懸念があるので、どうしても独立性というものは確保させておかなければならないと私は考えたわけであります。
 そこでもつと大きな問題になりますのは、やはり罷業権、あるいは団交権が制限を加えられて、その代償たる保護機関として、人事院とその独立性が制定されたわけなのですが、この改正におきましては、その人事院を、まつたく政府の支配下に入れてしまつて、憲法で保障された団交権あるいは団体行動権という労働者の権利を、公務員に対しては九十八条で制限したままで、そして人事院の権限を縮小するというところには、やはりわれわれとしてどうしてもこの法案に納得の行かない点があるのです。私企業においては根本的に保障された労働者のあらゆる権利が保護されて、中央、地方労働委員会によつて、あらゆる労使の紛争を円満に解決するような機構ができておる。あるいは公社の方では、団交権は認めているが、罷業権は認められていないところで、いわゆる仲裁裁定等が設けられて、その大きな権限を与えられている。公務員はすべての権限をとられているにもかかわらず、それを保護する機関として人事院が独立性を与えられて、従来五年有半運営を続けて来たのに、人事院の権限だけをとつてしまつて、公務員の労働者としての権限は制限されたままにしておくというところに大きな疑義があるのではないか。もし改正が強く考えられるならば、憲法二十八条の保障を政府としてはどう考えておるのか。これを復活する意思があるかないか。もしその意思がないとするならば、別個に給与問題に対する仲裁裁定、あるいは中央労働委員会等の性格というものを、公務員にもそれを与えるようにする意思があるかないか、この点について一応お尋ねしておきます。
#12
○加藤国務大臣 私は先刻来のいろいろの御質問に対しまして、総括した意味の御答弁を申し上げ、かつまた、ただいまの御質問に対してもお答えいたしたいと思います。
 先刻来政府委員からお答えいたしておりました点につきまして、かつては強く独立性を要求し、今はまたその独立性を弱めておつて、政府は一貫性がないではないかというような御質疑があつたのでありますが、私は、これは先刻岡部政府委員からお答えいたしたように、当時は占領治下におきまして、強い力のもとに動いたのでありますがゆえに、第四分権と申しますか、そういう場合におきましては、あまりに強い独立性を持つておるということは議論のあつたところであります。独立後になりましては、諸般の情勢がかわりましたがゆえに、ある程度これを情勢に適応するようにしなければならぬという点よりいたしまして、ただいま人事院総裁から申しましたごとく、ある部分々々をとつてみれば、あるいは微弱になつたような点もあるかもしれませんけれども、大体においての独立性というものは人事官―今度の改正で申しますれば委員でありますが、委員の独立性というものはちやんと存在いたしておるのでありますがゆえに、その独自の見解のもとに政府に給与の勧告をいたすのは、これは当然のことであろうと思うのであります。そうして、ただいま憲法二十八条で、勤労者というものは団結権とか、あるいは団体交渉、その他団体行動をする権利はこれを認めるとあるのに、国家公務員に対してはこれを認めぬように、団結権、団体交渉権、争議権などを停止するとは何事であるかという御質問であつたと存じまするが、これは普通の私の企業に対しまして賃金をとるということと、国家公務員は性質において違つておりまして、公のために奉仕する、国民全体のために奉仕する。その公務員といたしましては、自分も国家の被使用者たる一員である。いわゆるマッカーサー元帥の当時の書簡と申しますか、私ども読んでみますと、全体の奉仕者であるという点において、これは憲法の表向きの解釈からいえば、いかにも取つたようでありますけれども、これも国会において法律をもつて、そういう争議権あるいは団結権というようなもの、団体交渉権と申しますか、そういうものの制限を公務員法において制定いたしたことでございまして、これは国家が、ただいまの現行法におきましても、そういう九十八条においていろいろの制限を付したことは、これは国家の総意であるので、私はある程度の制限はやむを得ぬことであるけれども、さればといつて、まつたく今度の改正案によつて人事院の独立性がほとんどなしになつて、そうして公務員の福祉、利益を擁護するということにおいて欠けるかというと、さようなことは私はないと思います。人のことを申すのはいかがかと思いますが、人事委員の処遇においても、独立性の立場において身分を保障されておるのであります。でございますがゆえに、独自の見解においていろいろの情勢を勘案しまして、政府に勧告されると思うのでございまして、その点においてはさような御心配はあるまいと思つておる次第であります。
#13
○受田委員 関連して。本格的にはまた次の機会にやりますが、今大臣の御答弁を承り、岡部さんの御答弁を承つておりますと、私はなはだ奇怪に感ずる点が発生したのです。それは今岡部さん御指摘のごとく、私も昭和二十二年九月に、この国家公務員法が衆議院に提出されたときに、その委員の一人として終始審査の衝に当つたのであります。古い話で、まる七年昔の話ですが、この法案が国会に出されたときには、ここにおられる浅井さんも、政府側を代表した委員として、また岡部さんも、今の佐藤法制局長官も、もつぱらこの法案が通過することに汲々として努力されておつた人です。ところがこの法律が通つて行くときの事情は、私はあちらさんとの交渉を幾たびもやつた経験を持つておりますが、こういう精神だつたと思うのです。あちらの指令でやつたことになつておりますが、結局は今国務大臣がおつしやつたように、パブリック・サーバントとしての公務員に対しての制約を加える、これは憲法に保障された基本的人権であるところの団結権、団体交渉権あるいは政治活動の自由を認める権限というようなものを国家公務員法で制限をする、制限したかわりに一方で人事院という一般国家行政組織のほかにあつて、特別の身分上あるいは任命上の地位を有するところの人事官を置いて、そこにおいて職員の福祉等の基準を含むところの人事院規則その他の強力なる権能を付与する、こういうことになつておつたのであつて、結局人事院のような機関を置かないと、そのときの政府の鼻息によつて公務員の自由が束縛されるという立場であつたので、この人事院が設置されたというふうに私は今記憶を持つております。従つてこの人事院が、内閣総理大臣のもとの一外局となつた場合には、これはほんとうにそのときの政府の鼻息によつて国家人事委員会規則がつくられ、また例の勧告のごときも、今までは百分の五という基準を設けられておつたが、これも削られておるということを見ると、そのときの政府が予算がないということになれば、国家人事委員会で勧告できないようになる。これは浅井さんのように、特別の権能を持つ行政機関である人事院でさえも、時の政府の鼻息をうかがいながらベース・アップ、地域給の勧告にも手心を加えられたのであるが、しかし浅井さんは良心を持つておつたがゆえに、筋が通るときには、一般公務員法によるところの勧告を出しました。ところが今度は内閣総理大臣の鼻息によつて一外局である国家人事委員会が、そういうところについては、加藤さんがここでいかに弁解されても、そのときの政府の鼻息をうかがうという形でこれがなされて、予算などがないというので勧告などなされない、これでは人事委員会というものはまつたく骨抜きになる、これは火を見るよりも明らかなことです。その点において過去七年間の国家公務員法の歩みをながめてみると、私はくしくも国家公務員法がここに出されたとき、その後の公務員法の改正のとき、それから今度またこの重大な改正をしようというときに、この委員をずつと続けて来ているはえぬきの、この公務員法に腐れ縁のある委員であるということになつておるようですが、私はずつと歴史を眺めてみても、今度のこの改正はまさに官僚機構、今あなたを中心に加藤さんが今度はその犠牲になられたわけですが、今度は行革官僚の犠牲になられた岡部さんを含んだ加藤さんを中心にした反動的な立法であると断定せざるを得ません。従つて今加賀田さんの御質疑に対する重大なる政府の御所見として、人事院は人事委員会と名をかえても、何ら実質的にはかわらないのだというお言葉がありました。私は人事院を人事委員会とすることに対して、名称の上で文句は言いません。名称でわれわれはごまかされてはならぬということを申し上げたいのです。なぜかというと、人事院が人事委員会になろうと、機能の上においては今までとかわらないものであるならば、名称の差はどうつけても、現にこの公務員法をつくるときに、第七十三条に職員の元気回復に関する事項というのがありますが、このときはレクリエーシヨンという事項を休養と解釈するか、元気回復とするか、いろいろ議論があつた。結局元気回復というとんでもない名前ができて第七十三条に規定されたのでありますが、すつきりレクリエーシヨンという名前ではどうかということを、昭和二十四年に佐藤さんに言つた。ところが佐藤さんも、レクリエーシヨンという言葉そのものを用いるのはどうかということで、元気回復ということにしなければならぬということになつたのです。私はあの当時の思い出を今皆さんの前に申し上げるのですが、これは、はつきり職員のレクリエーシヨンに関する事項とやつておいた方がいい。元気回復なんて何のことかわからぬ。トッカピンを飲んで回復するような形になつてしまう。こういう字句は改正してもいい。そういうのはこのほかにも数箇所ありますからいいが、基本的な性格をかえるということは行革官僚の反動の現われです。私はそこを憂えるのです。国家公務員法ができたときには、こういうものはほんとうはつくらなかつた方がよかつたのです。占領政策のもとであるから、こういう制約をつくるということになつたのであつて、これはぎりぎりの占領政策のもとでやむなくとつた措置だつたのです。だからこれ以上のカテゴリーに行つてはいけなかつたのです。だから行き過ぎを是正しようとするならば、きわめてかたい制約ができた国家公務員法をゆるめる方へ行くのならいいけれども、むしろかたい官僚統制の方向へ持つて行こうというのは、かえつて占領政策の行き過ぎの是正じやなくて、占領政策を推進することになつてしまうのである、私はそこを心配するのです。従つて人事院の権能を一外局として切りかえようとする立場において、時の政府の鼻息によつて、いかようにもこの人事委員会が動くようになる懸念がある。この一点だけを申し上げて、あと私は本格的な質疑のときに譲ります。
 なお一点だけ申し上げますと、大体今申し上げたような人事院成立の由来は、基本的人権を公務員から剥奪している、その部分に対して人事院を置いて、せめて人事院規則のようなものによつて、この権利を守つてあげるようにしようということで独立機関としたわけです。ところがこの間文部大臣もここで答弁したように、教育公務員特例法を今度実施した場合に、人事院規則によつて、地方公務員である教員までが、国家公務員の人事院規則の適用を受ける結果になる。そうなると国家公務員にのみ適用を対象にしておつたところの人事院規則は、地方公務員も含まなければならないような改正をしなければならぬということを浅井さんが答弁をされておるのです。政府もその点については了承しておられる。そうすると国家公務員法の中の人事院規則というものは、政治活動制限の規定については、地方公務員も含むということに改正するようにしようという意図があるということになると、今のような政府の独立機関として、一般行政組織法の中よりはずれた特別の地位が与えられたる人事院がつくる規則でなくて、一外局の人事委員会がつくる規則というものが、そういう基本的人権に影響するところの政治活動の制限規定を設けるというようなことは筋が通るか通らぬか。これは国務大臣及び行革本部の総司令官の一人である岡部さんに御答弁いただきたいと思います。
#14
○加藤国務大臣 ただいま受田君が当時よりこの問題に関係をなされまして、いろいろ精通された御意見を承りまして、私もよくわかつたのでございますが、とにかく今回のこういう改正にいたしましても、全体の人事官の地位というものを保護してあります。人事官の地位というものは、御承知のごとく独立性があります。ことに浅井総裁に至りましては、政府の鼻息を一々伺つてやられるということはないと思いますし、私どももできるだけ勧告を、国家財政の許す範囲において、受けて立ちたいと思つておりますがゆえに、さような御心配は必要ないと思います。しかしこれはいろいろ意見の相違もあることでございますから、御意見として承つておくよりいたし方がないのであります。ことにただいま地方公務員が国家公務員のごとき制肘を受けなければならぬというようなことがありはせぬかということでありますが、これは国会でおきめになることでございますがゆえに、そういう場合は、もし不都合であるとすれば……(「今度は規則できまるのじやないか」と呼ぶ者あり)そういうこまかいことは、ひとつほかの方からお答えいたしますが、私はそう思うのでありまして、決して御心配になるようなことはなくして、独立性は維持されているものである、こう申し上げます。
#15
○岡部政府委員 御承知の通り人事院は国家公務員法に基きまして、この法律を執行するために、及び法律の委任に基いて人事院規則を制定できるわけであります。さらに公務員法の百二条におきまして、人事院規則の定めるところにより職員の政治的行為の制限を定めることができるということになつておりまして、それに基きまして人事院規則十四の七という政治的行為の制限に関する規則が出て参つております。御指摘のように、政治的行為の制限というような基本的人権の制限にも類するようなものの制限につきましては、当然法律の根拠がなければならぬわけでありまして、しかもその法律もできるだけ具体的にその制限を明らかにする方が立法論として望ましいことであろうと思うのであります。従いまして、しばしば浅井人事院総裁も申されます通り、本来ならばこのような職員の基本的な権利義務に関するようなことは、法律をもつて具体的に制限するのが望ましい方向であるということは明らかに言えようと思うのであります。従いまして、ただいま相当詳細な規則をもつて制限しているということは、これは立法技術上の問題である、こう考えております。
#16
○受田委員 今岡部さんの御答弁を承つて、私は一層その真相を明らかにし、政府の意図を追究したいと思うのであります。今岡部さんの御意向で、法律とすべき規定であると思うということを言われたのですが、事実、今人事院規則としてこれを認めること、法律によつて出すべきものを人事院規則にゆだねているということ、この大きな委任事項というものは、当時ずいぶん議論があつた。あまり人事院規則にゆだね過ぎるというので、できれば法律の規定から除こうという声があつた。少くともその人事院規則は、政府の鼻息によつて動かない独立機関としての、特殊の行政機能を持つところの人事院だから、われわれはこれを認めたのです。ところが一外局になつて、総理大臣の鼻息によつて、総理府の外局となつた国家人事委員会が、法律と同じような立場の規定をつくる場合に、一例をあげますと、政治活動の制限規定のような場合、そのときの政府の都合のよいような規定を人事委員会につくらして、徹底的に縛るというものも出るわけです。結局政府の中の一外局に、強大なる基本的人権の自由を束縛する法律をつくらすことになると思うのです。これはおそるべぎ憲法上の大違反であると思う。総理大臣直接ではないし、政令でもないし、一外局が法律をつくるという結果になつて大ごとです。この点について岡部さんに伺いたいと思います。
 それからちよつと加藤さんにお伺いいたしますが、あなたがさつき地方公務員の政治活動の制限についての規定は、これはどうせ法律でつくるのだから心配ないとおつしやつたのですが、今度の教育公務員の特例法に基いて、教育公務員全部が、政治活動の制限については国立学校の職員の例によるという、すなわち国家公務員法の第百二条の規定を適用するような規定ができたのです。第百二条には、人事院規則にそのこまかい規定を設けるようになつているので、結局人事院規則で、地方公務員である教育公務員に対する特例であるところの政治活動の制限規定をつくることになるのです。浅井さんも、この人事院規則は国家公務員だけを対象にしておつたが、地方公務員である教育公務員を含む場合には、国の施設とか、あるいは国家公務員とかいう規定があるあの条項を何らか改正しなければならぬであろうという御答弁があつた。政府もこれに対して了承されたことがあるのです。そういう重大なる、法律にゆだぬべきほどの事項を、今度人事委員会が規則としてつくるということになると、たいへんなことなんです。国家に一々御相談なさらぬでもいいような規則になると岡部さんも今おつしやつた。国家人事委員会規則というものが、人事院規則と同じような形で出されるということをおつしやつたのであるが、今までのような独立機関としての人事院であつたら、われわれは何とかまげてそれも納得したのであるが、今度は一外局になつた国家人事委員会に、法律と同じ規則をつくらすようなことになると、とんでもないことになる。ここを私は追究しておるのです。この点をもう一度、大臣及び岡部政府委員から御答弁いただきたいのです。
#17
○岡部政府委員 お答え申し上げます。現在におきまして、国家公務員法は、これを施行するために、広汎なる事項につきまして、これを人事院規則に委任してあります。それは御説の通り、人事院というものが、その必要がある場合におきましては、政府の拘束を離れて独立的に権限を行使し得るので、人事院規則の制定を大幅に認めたものと考えるのであります。すなわち換言いたしまするならば、普通の法律を実施するための方程式としての政令によらなかつたということは、主としてその権限の独立的な執行に便利なために、これを選んだものと考えるわけであります。受田さんはしばしば一外局一外局と申されるのでありますが、私は外局に二種あると思う。一つは農林省の水産庁であるとか、林野庁というような、その省の内局とするのには機構が大きくなり過ぎたので、これを外局にするという単独性の外局と、それからもう一つ委員会制による外局とあります。この委員会制による外局というのは、先ほど申し上げました通り、中央労働委員会であるとか、土地調整委員会とかいうように、それぞれの省の行政事務から、あるいは大臣の権限から独立して、その権能を行使しなければならぬものと認められたのが、この行政委員会で、これはアメリカに発達した制度で、戦後わが国に輸入した制度でありますが、これは一般の行政事務でなしに、独立的な権限を行使するために、このような制度が設けられておるわけであります。従いまして、この行政委員会はすべて独立的な権限を行使するために、委員会規則を制定することが認められておるわけであります。そういう意味におきまして、これらの委員会というものは、いわゆる一般行政権とは独立にその権限を行使する。またその権限を行使することについての独立性の保障も与えておるわけであります。人事院というものは、人事行政機関としての二つの性格を持つておりまするが、その一つの独立的に権限を行使しなければならないという面におきましては、これに独立的に権限を行使させるだけの方法を講じなければならない。そのためにはすべて法律の執行を政令または総理府令に譲るというようなことは、はなはだ不適当でありまするので、依然として人事院規則あるいは人事委員会規則で、この法律の独立的な執行の面を担保しておるわけであります。そういう意味におきまして、先ほど御指摘の第百二条の委任命令は、今後とも独立性を持つた人事委員会規則によつて受継がれる。すなわちこれらは政令ないしは総理府令によつて行われないという点におきまして、その独立性を担保し得る、こう考えるのであります。ただ先ほども申しました通り、人事院規則あるいは人事委員会規則の内容が、あまりに法律の委任事項として広汎なる内容を持つのじやないかどうかというようなことは、十分論議の余地のある問題でありまして、これはあるいは立法技術的な問題もありましよう。内容の点もありましよう。これは具体的に検討すべき問題だろうと思います。一外局となつたからといつて、その権限の行使について独立性がなくなるというふうには、決して私考えておりません。
#18
○受田委員 岡部さんに外局の二種類の立場を申していただいたわけでありますが、外局には間違いないわけです。つまり総理府の中にある一部局ですから、結局この一外局が規則をつくることになる。たとえば公安委員会、中央労働委員会のいろいろな事例も今あげられましたが、人事委員会が持つほどの強大なる力のある規則がほかにどういう例があるか。また罰則が三年以下の懲役、十万円以下の罰金というようなものは、ほかにどういう例があるか。一外局である今のような特殊委員会の規則の内容、特に罰則をつけ加えた点について、御回答を願いたいのであります。
#19
○岡部政府委員 今のお尋ねの点につきましては、後ほど詳しく申し上げようかと思うのでありますが、大体私の記憶では、公務員法の三年以下の懲役または十万円以下の罰金というのは、おそらく最高でありまして、他に例を見ないのであります。(「世界に例がない。」と呼ぶ者あり)それから各行政委員会におきまして、相当独立的な権限の行使のための規則を制定しているということは、前の公益事業委員会では電力の統制に関して、それから国家公務員、中労委に関しましては、またそれぞれいろいろな独立的な規則を制定しておるわけでありますが、率直に申し上げまして、従来人事院規則というものが、最も広汎で包括的な規則を制定していることは事実でございます。
#20
○受田委員 これは重大な法案審査の基準になりまするので、外局であるところの特殊委員会、あるいはそのほかのいわゆる外局の持つところの規則等にいかなる内容が盛られ、ことにそれに伴う罰則にどういうものがあるか、そういうものをよく比較検討しないと、この人事院にかわる国家人事委員会というものが、莫大なる委任命令によるところの立法機関として、内閣総理大臣のもとにおける一外局が、国会を動かすほどの大法律をつくるということになるおそれがあると私は思う。その点詳細な、国内及び外国における関係の規則の前例を、資料として御提出いただきたいと思います。あとは私次会に譲ることにして、この辺で……。
#21
○岡部政府委員 ただいま受田委員から御指摘のことにつきましては、人事院と協力いたしまして、なるべく早く資料をつくりたいと思います。御承知の通り、この行政委員会というものは、イギリス及びアメリカにおいて発達した制度でありまして、これが普通の行政機関から離れまして、どういう特色を持つているかというのは、これは規則を制定すること、及び準司法的な権限を持つということ、そういう点で、これらの委員会をインデペンデント・レギュラテイヴ・コミッシヨンと申しておるわけでございます。これらのコミッシヨンが、すべて相当広汎な規則を制定しておることは事実であります。たとえば、その最も著名な例といたしましては、州際通商委員会というようなものが、この行政委員会の適例でありますが、これらにつきましていろいろな告示、規則というようなものも制定しております。また人事委員会、シビル・サービス・コミッシヨンも、人事院規則、あるいは大統領命令を出す。すなわち人事委員会は、大体大統領を輔佐し、大統領の名において大統領命令を出す。あるいはそのもとにおいて、人事委員会規則を出すというようなことになつております。あまりただちにはそれらのものについての資料がたくさん手に入らないと思うのであります。入手し得るものはさつそく提出いたしますが、外国のものにつきましては、あるだけでひとつ御了承いただきたいと思います。
#22
○櫻井委員 関連して、―受田君の言つておられるのは、私も非常に疑問にするところなんです。特に憲法第七十三条の六号に、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」ということがはつきり書いてある。この第七十三条の六号と、憲法第四十一条の「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」ということの関係はどうなるのか。しかもこういう罰則を設けることができないとあるにもかかわらず、実際は国家公務員法第百二条においては政治的行為を制限し、それがさらに第百十条に行つて、こういう三年以下の懲役、十万円以下の罰則というようなことになつております。これはいわゆる委任立法という形になりますが、こういうものが特に小さな問題ならともかく、国民の基本的人権に関するような―先ほども受田君からお話があつたように、政治的行為の制限のようなことは基本的人権なんですが、こういうものを広汎に制限することは、憲法第四十一条との関連においてどうであるか。これは深くわれわれの疑問とするところである。特に今度の改正案を見ますと、六ページのところに、「国家人事委員会は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の特別の委任に基いて、国家人事委員会規則を制定し、又は改廃することができる。」とある。こういうことになりますと、これは受田君が心配するのは当然なんです。さらにこの国家公務員法で定めておるよりも、広汎なる基本的人権の制限ということが規則においてでき得るわけです。しからば憲法第四十一条とどういう関係に立つのか、これは非常にわれわれは疑問を持つし、受田君が非常に心配されるところの唯一の立法機関の権限を、そのようなものが侵すのではないかということになる。これは重大な問題です。国家公務員法の今回の改正の論点は私はそこにあると思います。これは当委員会において十分に論議を尽さなければ、日本の将来の大きな問題として残ると思う。そういう意味において、詳細なる諸外国のデータの提出を先ほどお約束願いましたが、これは早急にひとつ出していただきたい。これをつけ加えて要望いたしておきます。
#23
○森(三)委員 議事進行に関して。私は今日の委員会は、うちの理事も了承されたのでありますから、開いたことはいいと思いますが、先週の理事会におきましては、今週は、水曜日と木曜日に委員会を開くというように伺つておりましたので、私は実は今日の委員会は知らなかつたのです。公報を見ましたところが、委員会を開くことが載つておりましたので、出席をしたわけであります。私は先般来、委員会において、しばしば委員長にもお話してある通り、昨年来われわれがあのように小委員会まで設けて、熱心に討議しました地域給問題を先にやつてもらいたい。人事院に対しても私はそういう強い要望をしてある。委員長もこれは了承しているはずだ。ところがいよいよ公務員法の改正案を審議し始めると、委員長は何とかこれを通そうという抜けがけ的の奇襲作戦をもつて、個別撃破の作戦をとつておられるように思えてしかたがない。そういうふうにだんだん追いつめて、質疑が終了して、いつでも採決のできるという立場に持つて行く。しかもその間に地域給の勧告もやれないという。最後になつたら、どうもしかたがない。どうも地域給の勧告はやろうと思うけれども、できない段階に至つたというようなことになるおそれが非常にあると思う。私はこれは政治的に明朗な審議をしなければならぬと思う。それに対しては、やはり当委員会が昨年以来あれだけ熱心に、小委員会まで構成されてやつて参りました地域給については、ぜひひとつ勧告して、これを当委員会に提案して通過せしめなければならないと思つておる。これに対して委員長はどうお考えになるかということを承りたいとともに、人事院総裁に対しても、総裁はいかなる心境かを伺いたい。衆参両院の委員会において、あのように役員会を聞き、委員長の部屋で数回にわたつて討議しておりますし、浅井総裁は先ほどもこの地域給の勧告をすみやかにやろうとしておるのだという率直な御意見でありました。私どもは今日か明日かと思つて、実は期待をいたしておるのでありますが、今のところ地域給の問題はぼけてしまつて、さつぱり議題になつていない。これは私は非常に遺憾にたえない。この際委員長並びに浅井総裁に私は御所見を伺いたいと思う。これはこの法案の審議にあたりましても、重大な関連性がある問題でありますから、私は議事進行に関して発言を求めた次第であります。まず川島委員長の御所見を伺いたい。
#24
○川島委員長 私は委員会の意向をそんたくしまして、一日も早く地域給の勧告が出るように、浅井総裁に要請をしております。
#25
○森(三)委員 大体の見通しはどうですか。
#26
○川島委員長 それは人事院に聞かなければわかりません。
#27
○森(三)委員 それでは浅井総裁に願います。
#28
○浅井政府委員 もうあらためて申す必要もないのでありますが、両院の人事委員会から強い要望もありますから、人事院としてはその準備を進めております。なるべく早くやりたいと私は考えておるのであります。ただ川島委員長云々のお話が出ましたけれども、委員長もなるべく早くというお話でありまして、反対の御意見は決してないということを、ここで念のために申し上げておきます。
#29
○森(三)委員 もう一言、私はあまりくどく言いたくないのですけれども、しかしこれは言わざるを得ないのですよ。とにかく去年の秋の紅葉の時期から勧告が始まつておる。そうして葉も散り、雪が降り、去年の暮れにも勧告になつておつた。ところがその勧告をしていない。ちやんと準備ができておるものを戸を明けない。そうしてとうとう冬ごもりをしてしまつて、こもをとつて、梅の花も咲き、それも散つてしまい、桜の花ももう満開で散りかけている。まつたく時期はずれの地域給になつてしまつた。しかしわれわれはこの最後の段階に来て、やはりここでもつてどうしてもがんばつて、この地域給問題というものを解決しなければ、当委員会の権威というものはまつたく失墜されてしまう。川島委員長や赤城委員長の面目いずこにありと私は言わなければならぬ。ひいて人事院総裁も、今ここにあなたの所管の人事院が、まさに機構を改革せられ、政府のほんとうの隷属機関とならんとしておる。これは明らかに加藤国務大臣や岡部さんがいかに詭弁を弄しても、これは政府の思うがままの行政機構にされてしまうんです。こういう重大なときにあたつて、人事院が―私どもはあくまでもこの改正には反対でありますが、あなた方が、あくまでも公務員の生活を守り、また人事院の権威を保たんとするならば、すみやかにこの地域給の勧告というものをしなければならぬ。全国の国家公務員や地方公務員は、あげてそれのみを期待しておるのです。しかるに何ぞや、反対に、地域給の勧告をするすると言いながらしもしないで、しかもこの国家公務員法の改正、悪法をわれわれはここに審議せんとしておる。私どもは、国家公務員の現状にかんがみまして、非常に遺憾にたえないと思うのです。委員長もひとつ一大決意を持つていただき、また赤城地域給小委員長におかれても、あなたの熱意を率直にこの際披瀝して、人事院に対しても、勧告をすみやかにさすようにすることが、あなた方の責任だと私は思います。
 一言つけ加えておきますが、本日はもう時間も来ましたので応委員会は、この程度で散会していただきたいと思うのであります。
#30
○川島委員長 加賀田君、済みましたか。
#31
○加賀田委員 まだありますけれども、本日はこの程度にしたらどうですか。
#32
○川島委員長 それではこの程度にとどめまして、次会は公報をもつて御通知いたします。これにて散会いたします。
    午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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