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1953/08/19 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第28号
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1953/08/19 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第28号

#1
第019回国会 人事委員会 第28号
昭和二十九年八月十九日(木曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長 川島正次郎君
   理事 赤城 宗徳君 理事 田中  好君
   理事 永田 亮一君 理事 山口 好一君
   理事 櫻井 奎夫君 理事 池田 禎治君
      田中 萬逸君    西村 英一君
      原 健三郎君    本間 俊一君
      池田 清志君    並木 芳雄君
      石山 權作君    加賀田 進君
      辻原 弘市君    受田 新吉君
      矢尾喜三郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 大達 茂雄君
 委員外の出席者
        人事院総裁   浅井  清君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     緒方 信一君
        参  考  人
        (千葉県教育委
        員会副委員長) 郡司幸太郎君
        参  考  人
        (千葉県教育
        長)      山下 重輔君
        専  門  員 安倍 三郎君
        専  門  員 遠山信一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇一号)
 (公務員の政治活動の制限に関する問題)
    ―――――――――――――
#2
○川島委員長 これより会議を開きます。
 公務員の政治活動制限の問題につきましては、第十九国会におきましても該法案審議の経過等において重大な関心を呼んだものでありますが、さらに最近、日本官公庁労働組合協議会の機関新聞であります官公労の内容につきまして、その編集の責任に当る者が公務員、なかんずく教育公務員でありましたために、人事院規則の第十四の七に抵触しているのではないかとの疑いもありますので、当委員会といたしましては、文部省、人事院の各関係責任者並びに当該教育公務員の属しております千葉県教育委員会の副委員長郡司幸太郎君、及び千葉県教育長山下重輔君の御出席をいただき、おのおのの立場による御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 まず文部大臣のお話を伺います。
#3
○大達国務大臣 先般御承知の通り、吉田内閣打倒、それから国会をすみやかに解散すべし、そういう趣旨の、これは官公労の総会でありますか、何かそれに対する決議をする案文ということでありますが、それが官公労の機関新聞に掲載された事実がある。実は私はこのことを知らなかつたのでありますが、新聞の人が見えまして、この官公労というものに掲げてあるスローガンを私に見せまして、そうしてこれは人事院規則に違反するといいますか抵触するのではないか、そうしてこの官公労の発行責任者が教員――銚子の高等学校ですかの先生であるから、これは先般成立した公立学校の教育公務員の特例法の改正によつて、法律上禁止せられておることをやつたということに該当するのではないか、こういう意味の質問を受けたのであります。私は、このスローガン自身が政治的目的を有する文書であるということについては、これはだれが見ても疑いの余地はないのであるから、これを発行し頒布した人が公立学校の教職員という身分があれば、これは先般成立した特例法によつて禁止せられた行為をした、こういうことに該当すると思う、こういう返事をしたのであります。それが新聞に出たと思います。それからなおその後、これは新聞に出た関係があつたのではないかと思いますが、千葉県の県の教育委員会の事務当局の課長でありますか――これは私は直接には会いません。そういう人が本省へ参りまして、そうしてこの問題についての文部省としての見解を――つまり法律解釈の問題であつたようでありますが、いろいろ問いただした、こういうことを事務当局の方から聞いております。
 具体的の事実としては以上申し上げただけでありますが、承るところによると、千葉県の教育委員会において、この問題について教育委員会としてどういうふうに取扱うべきかという御相談が過日あつたようであります。その際は別に何らの結論に到達しなかつたので、あらためて相談する、こういうふうになつたと聞き及んでおります。私の承知している限りではこの問題についてはそれだけであります。
#4
○川島委員長 浅井人事院総裁から本問題に対して法律の解釈をひとつ御説明願います。
#5
○浅井説明員 官公労の機関新聞のことは報告を受けて承知いたしております。しかしながらこの当事者は地方公務員たる教員でございまして、人事院所管の一般職国家公務員ではございません。ゆえに人事院といたしましては、進んでこの問題を取扱う権限はございません。ただ問題が人事院規則の解釈等に触れて参ると思いますので、その点につきまして後刻御質疑等がございますれば、抽象的にお答えをいたしたいと考えております。
#6
○川島委員長 次に千葉県教育委員会副委員長郡司君から、本問題に対しまして、これまで取扱いました経過等の御説明を願います。
#7
○郡司参考人 千葉県教育委員会の副委員長郡司でございます。この問題につきましては、過日七月三十日付朝日新聞第一ページで私どもがその発端を知つたのでございます。これによりますと官公労機関新聞であります官公労のスローガンといたしまして、時の内閣に対しましていろいろ宣言をしております。これの一部分が人事院規則違反の疑いがあるではないか、かようなお説を私ども委員は拝見したのでございます。これにつきまして当然人事院規則に違反し、また教員の――申し遅れましたがこの官公労の発行責任者の佐久間孝一氏は本県銚子高校の教諭でございますので、当然違反いたしておるものとすれば当委員会の問題にかかわる、かようにわれわれ委員間では考えまして、委員個人々々が資料を求めて研究しておつたのでありますが、越えて八月十二日、本県教育委員会におきましては定例委員会が開催されたのでございます。この席上では本問題に関係のない二、三の議題がございまして、このために委員会は招集になつたのでございますが、閉会後当然の帰結としてこの問題を委員会協議会において取上げるか取上げないかということがまず議題に上つたのであります。結果といたしまして、委員会といたしましては、委員会協議会をもつて、まず委員会としてこの問題を取上ぐべきかいなかを議題にして協議いたしたのでございます。と申しますのは当人佐久間氏は本県銚子高校に教諭として籍はございますが、教組専従員として日教組から官公労の方へ出ておりまして、御当人の生活はもとより、職場も東京にございます。ただ本県におきましては籍があるだけのことでありまして、事が起りましたのも東京でございますし、知りましたのも東京の新聞紙上で拝見いたしたような次第でございまして、当然処罰の責任権限があるといたしますれば、監督の権限責任等も付随しなければならないものでございますが、何せ事が中央にありますもので、従つて私どもは、はたして違反かどうかというようなことの結論が出ませんので、目下研究中でございます、以上でございますが、なお御質疑等がございましたならば、また御質問の時間にお話申し上げます。
#8
○川島委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。永田亮一君。
#9
○永田(亮)委員 まず最初に浅井人事院総裁にお尋ねいたしたいと思います。この官公労機関紙の問題でありますが、新聞で承りますと、八月の初めに参議院の文部委員会においてこの問題が取上げられて質疑応答が繰返されたときに、浅井総裁の御答弁として、あの問題は人事院規則に違反するということが新聞に出ておりました。私どもは、衆議院の委員会でありますので、あらためてこの点をもう一度確認しておきたいと思いますが、その点につきまして人事院規則に違反するということについて、いま一度御説明を願いたいと思います。
#10
○浅井説明員 永田さんにお答え申し上げます。お示しの通り、過日参議院の委員会で申しました通りでございます。法理論といたしましては、人事院規則中に規定してございます政治的目的を有する文書の発行というように考えたのでありまして、その通り答弁いたしたことは事実であります。
#11
○永田(亮)委員 それではつきりしたのでありますが、そうしますと、この二法律の違反だということを人事院総裁は規則違反だと解釈をされるわけでありますが、それについてこれを最終的に判定するといいますか決定するといいますか、それは一体だれがやつたらよいのでありますか。
#12
○浅井説明員 この問題は今お示しの地方公務員たる教員につきましては、やはり任命権者の手にあるように私としては考えております。
#13
○永田(亮)委員 それは千葉県の教育委員会副委員長の群司さんにお尋ねいたします。今の人事院総裁のお答えで、私も任命権者である千葉県教育委員会に責任があると思いますが、先ほどの御説明でありますと、この問題が起きてから、千葉県の教育委員会としては、あまりてきぱきと事務を進めておられないように承つたのであります。私どもは、これだけ大きな問題が起きて、しかも世間が非常な関心を寄せておるときに、教育委員会がただ協議会を開いたというようななまぬるいやり方についてはまことに不満であります。少くとも大新聞がこれだけ取上げて論じておるときに、その当面の責任者と考えられる千葉県教育委員会が単なる協議会を開いただけであつて、正式な委員会を開いてこの問題を取上げ、討議を行わないということは私としてまことに不満であります。こういうことは先ほど御弁解があつたと思うのでありまするが、少くとも籍が千葉県にある以上は、もう少し積極的にこの問題を取上げて、いいとか悪いとかいう問題は別でありまするが、もつと積極的にどんどんこの問題の審議を進めてもらいたいと思うのであります。今後の方針について一度千葉県の教育委員の方から承りたいと思います。
#14
○郡司参考人 ただいまの御意見につきましてお答え申し上げます。非常になまぬるいというお言葉がございましたが、これは委員個人々々が事務当局に参りまして、大急ぎでこの問題に対しまする資料を収集させたのでございまして、本日議題に上りまた佐久間君の問題につきまして、事務当局が収集いたしました資料もここに持つておりまするので、必要であれば後刻お目にかけてもよろしゆうございますが、ただいまも申し上げましたように、七月の三十一日から十二日までの委員会に至るまでの約十二日間、さらに整理いたしまして十日間で資料をまとめましたことは、私は事務当局が非常な努力をもつて資料を収集した、かように考えておりまして、ただいまのお説のように怠慢というお言葉はこの際当てはまらないかと存じます。
 さらに制限されました時間でございますので、抽象的にしか申し上げませんでしたが、協議会のおもなる質疑の要旨の一端を申し上げまして、御参考に供したいと思います。つきましては官公労機関紙の発行先、あるいは印刷所、印刷数等も一応私どもが法に抵触するかしないかの基準になりまするので、この点等も十分調べさせましたし、発行責任者と編集責任者との関係、あるいは配付先等との関係、そういつたようなものも調査いたしましたし、発行責任者及び編集者の法律的な問題、人事院規則と憲法問題、かようなことも私どもは調べましたし、なおさらに官公労の規約によりあるいは議長に責任があつて編集者には責任があつたかなかつたかというような疑問まで突き詰めて私どもは研究したのでございます。従つてこれは初めて教育二法律が出、地方公務員法といたしまして新しい決定のケースとなりまするので、私どもは拙速よりもむしろ慎重に新しいケースに向つて誤りのない処置をしたい、かように考えて日夜苦心しているのでございまして、重ねて申し上げますが、怠慢というお言葉は失礼ながらこの際当てはまらない、かように私は断言してもさしつかえないと思います。さらに今後の問題につきましては、なおかつ過般の協議会の内容等につきまして、事務当局及び委員個人個人が公正なる判断の資料を求めてただいまも活動中でございます。もちろん中央紙が取上げました社会問題にまで、あるいは政治問題にまで発展する可能性のある本問題でございまするので、誤りのない結論を一日も早く出そうと存じて、われわれ委員及び委員会一同は決意しておる次第でございます。
#15
○永田(亮)委員 今の御説でたいへん努力をされておるということは承りましたが、それでは今後の見通しとしていつごろ正式の委員会を開かれますか。その点をちよつと……。
#16
○郡司参考人 予定は来月の三日にこの問題につきまして協議会を開催する手はずになつております。
#17
○永田(亮)委員 正式の委員会を承つておるのです。
#18
○郡司参考人 その席上で正式の委員会をきめる、かように申し上げたのであります。
#19
○永田(亮)委員 正式の委員会を開く協議会を開いたとおつしやつたでしよう。
#20
○郡司参考人 いえ、それは定例委員会で協議会に移して審議した、かように申し上げたわけであります。
#21
○永田(亮)委員 それでは文部大臣にこの問題についてお尋ねをいたしますが、千葉県の教育委員会では、いろいろと資料を集めてやつておるというお答えでありますが、われわれから見ますと、何だか非常にマンマンデーにやつておるような感じを受けるのであります。この点につきまして、文部大臣として、教育委員会に対してあるいは指導、助言権と申しますか、何か旭丘中学事件とか山口日記事件のときと同様なやり方で、千葉県の教育委員会に対して善処を要望するというような勧告を出させる用意があるかどうかということについてお尋ねいたします。
#22
○大達国務大臣 従来文部省といたしまして、具体の問題の処理につきまして、通達の形式をもつて勧告、助言というような措置を講じましたことはほとんど例がありません。しいて申し上げれば先般の旭丘事件についてこれはいつまでも解決をしないで、学校の運営の上に非常に支障を来しておるということが認められましたので、すみやかに適当にこれを収束せられるように通達を出したくらいのものであります。千葉県の問題につきましては、先ほど来いろいろお話のありますように、この問題はあげて千葉県の教育委員会の責任と判断において処理せらるべきものであると考えております。従つて私どもといたしましては、千葉県の教育委員会の出される結論といいますか、その措置の具体的な結果につきましては至大の関心を持つてこれを見ておるわけでありますが、しかしただいまのところ、文部省からそれを早く処理せられるように、あるいはまたその内容にわたつてどういうふうな処理が適当であるか、そういう点についての通達を出す考えはただいまのところはありません。ただ今後の事態の推移にまつて、これも絶対に通牒を出さないということまでの断定ではありません。これはすべて今後の推移を見た上で、もし必要があれば通牒を出すことがあるかもしれません。しかしただいまのところはさような通牒を出すという考えに至つておりません。
#23
○永田(亮)委員 世間で私たちが受ける感じというものは、どうもこの問題が起きてから、教育二法案はこの前の十九国会で通りましたけれども、しかしこれはあつてもなくても同じことだ。こういう法案ができたけれども、これを踏みにじつてしまつても、これを別に罰することもできないし、何か法律はできたにもかかわらず、それが何らの効果もないという感じを受けておるのであります。こういう問題について、文部大臣が、きようの読売新聞を見ますと大分大きく取扱われておるようでありますが、この教育二法案を再修正するおつもりがあるのかどうか、この点をはつきり承りたいと思います。
#24
○大達国務大臣 この二法案は成立いたしましたけれども、罰則が欠けておる。従つてかりに違反が行われましても罰則の適用はない。さような一種の間隙に乗じて、特例法によつてきめられた人事院規則に対する違反というものが平気で行われるということであれば、これはこのまま看過すべきものではないと思います。ただ千葉県における現在の一例をもつて、さような結論に到達することは何といつても早計であると考えます。ただややもすると、さような罰則がなくなつたのだから、この法律は骨抜きだ、こういうような考え方が世上行われておる。これはまつたく遵法精神の何ものたるかを解しない人の考えであつて、これははなはだ私は遺憾と思いますから、もしこれが実際の教育界における風潮となつて救いがたき状態であるということの見込みがあれば、これはそのまま放置するわけには行かぬだろう。しかし千葉県における一例によつてただちにこの問題に対して措置を講じて、そうして先般成立したばかりの教育法案に対してさらに改正の案を提出するというところまで、まだ突き進んだ考えはありません。
#25
○永田(亮)委員 きようの読売新聞を見ますと、文部大臣のお考えとして、この罰則がなければ無意味だという見出しで書かれておるのでありますが、これによりますと、行政罰では何ら意味がないから、再びもどして刑事罰にするつもりであるということが書かれてあります。この点につきましてはつきりした御所信を承りたいと思います。
#26
○大達国務大臣 これは新聞の記事でありまして、必ずしも正確であるとは申せません。ことに表題はさような大きな見出しがついておるようでありますが、内容をお読みになれば――私も読んだのでありますが、先ほど申し上げたような意味でありまして、今ただちに次の国会を目標として改正法律案を出す、こういうことではないのでありまして、ただこれを骨抜きにしたのだ、だからもうかまわぬ、もし一般にそういう考え方が彌漫するということであれば、これは法律ができたことが無意味であります。従つてこれに対する適当な措置を講ずるということは、責任上からいつても当然であろうと思います。
#27
○永田(亮)委員 千葉県教育委員会では、この問題について慎重に審議をされておるようでありますが、これが先ほどの御答弁によりますと、九月三日に協議会を開く、そこで正式の委員会にかけるかどうかということをまた協議をするというのでありますから、いつ正式の委員会にかかつてこの問題が取上げられるか、はつきりわからない状態であると思うのであります。これについて何か先ほどの御答弁にもありましたが、文部大臣として勧告を出さたることは、まだその情勢によつてわからないということでありましたが、いつまでもこれがぐずぐずされる場合には、勧告を出されるのが適当であると私は思うのであります。しかしながら、文部大臣がこういう勧告を出された場合にも、なお県の教育委員会がこれを何ら受付けないということもあり得ると思うのであります。そういうような場合が起きたときに、文部省としてどういう処置を考えておられるか、先のことを一応承つておきたいと思います。
#28
○大達国務大臣 勧告については先ほど申し上げたような気持でおります。御承知の通り行政処分という問題は、それに該当するような事件が起つた場合に、必ず何らかの処分が行われなければならぬ、こういうものでもないのでありまして、それに対して適当な処分をするかしないか、もしくはその処分の内容をどの程度の処罰をするかということは、これは任命権者である、この問題についていえば千葉県教育委員会の責任と判断においてなさるべきものだ、でありますからして、これについて文部省として具体的にどうしろこうしろということは、たとい勧告助言という形式でありましても――またこれは勧告助言以上にはあり得ません、これは法律においてそうなつておるのでありますから。それで勧告助言ではあるけれども、しかしやかましく文部省から催促するということになれば、これは何といいますか、行き過ぎる場合も起りましよう。それから個々の場合について常に文部省がそういうことになると、いわゆる法律にきめられてある勧告助言の範囲を実質的には越えて来るというような、いわゆる濫用にわたるという問題も将来起る素地になるかもしれません。でありますから、先ほど申し上げたように、これは私どもとしては千葉県教育委員会がどう処理されるか、これは初めてのテストケースでもありますから、これに対しては非常に強い関心を払つておるのであります。しかし進んで今処置をとるということは考えておらぬ。それから強い関心を払うということは、ただどういう処分をするかという、その内容だけではありません。一体教育二法案の運用の面に――これはずいぶんやつかいな仕事かもしれぬが、そういう責任を負わされれば、教育委員会というものがこの二法案の取扱いについて、どういう態度をもつて一体臨まれるのか、それらの点についても重大な関心を払う大きな要素であります。御承知のようにこれは助言勧告でありますから、助言勧告を通牒で出しても教育委員会で取合わぬということになれば、それまでであります。のべつ勧告を出して一向教育委員会で取合つてくれぬということであれば、これは文部省としては、ただ見通しなしにそういうものをやたらに出すわけにも参りません。また一般に教育委員会が、文部省の助言勧告というものはいわゆる拘束力がないんだから、そんなものは一切気にかける必要はない、こういう全般的な風潮であるならば、これに対してやはり適当な方法を考えなければなりません。いろいろの意味において私たさは至大の関心を持つて静観をしておる、こういうことであります。
#29
○永田(亮)委員 文部大臣は、先ほどもこの問題は初めてのテストケースである、千葉県一県だけの問題であつて十分研究をしたいというお話でありました。しかし私はここに一つ重大な文書を公表したいと思うのであります。それはこれと同様なケースがほかにもあるということであります。八月三日付の神田郵便局の消印をもちまして、官公労の第一回の幹事会が行われたときの秋季闘争方針というものを、日教組から各府県の教組に対して発送しておる事実であります。この文書は私あるところから手に入れたのでありまするが、昭和二十九年七月二十七日官公労において、この秋の闘争方針を決定いたしております。それを日教組から府県の教組に流した。はつきり申しますと、その送付した番号が教発第一七一整理一九五というナンバーが打つてあります。そうしてこの書類においてどういうことがうたわれておるか、非常に長い文章でありまするが、特にその中で問題になる点が二、三あるのであります。それは闘いの政治的意義という項目があります。そこにどういうことが書かれてあるかと申しますと、ちよつと朗読してみますが、「秋季闘争の中心目標は賃金闘争である。しかしこの闘いを単に賃上げの闘いとして理解するだけでは政府の意図する政策とまつこうから対決し、これを粉砕し、闘いを真に勝利せしめることはできない。なぜなら賃上げ闘争はMSAを粉砕し、平和経済を確立する闘いに通ずるからである。」云々と書かれております。さらに闘いの主目標といたしましてその項目の中に平和擁護、吉田内閣打倒、国会即時解散――この問題がいいか悪いかという問題は別にいたしまして、このことが人事院規則に違反するのではないか、これは先ほどの官公労の機関紙と同じケースであります。先ほど文部大臣は千葉県ただ一県の問題であるから、静観をするというお答えでありましたが、千葉県ただ一県の問題をほつておけば、次々とこういう問題が起きて来るのであります。私は、この人事院規則違反、これは政治的行為の条項がありまするが、第四号において「特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。」という項目があります。この項目をよく検討してみますれば、はつきりとここに吉田内閣打倒、国会即時解散、こういうことをうたつた文書を日教組から府県の教組に対して流すということは、人事院規則の違反であることは明瞭であると考えるのでありまするが、この点について文部大臣の御所信を承りたいと思います。
#30
○大達国務大臣 ただいま御指摘になりました文書につきましては、実は私もつい一両日前でありますが、その話を聞きました。ただいまお読みになりました詳しい内容は、私はまだ承知しておりません。しかし今お読み上げになりましたような事実であれば、これは日教組本部から各県教組に出した書類、その書類自身がいわゆる政治的目的を持つておる文書である、これに該当することは明瞭であります。これはこの前の官公労に記載されたものよりも、さらにもつとはつきりその文書に該当すると私は考えておる。そうしてそれを日教組の本部から各県教組といいますか、そういう方面に通達したということであれば、これも配付という行為に該当することは明瞭でありましよう。おそらく、ただこれは私はよく知りません。これはどこの役所でもあるいは団体の下部の団体を通して、組合員に通達するという場合にはやはり中央の本部から各地方の支部にし、それぞれの、日教組の場合について言えば、県教組から今度は町村の教組に流す。あるいは町村の教組からさらに下部の組合員に通達する、これはそういう場合に通常とられておる。これは役所といわず団体といわず通常とられておるやり方でありますから、これが全般の組合員に伝達する趣旨をもつて出されたものであるというふうに解釈すべきことは当然であります。従つて人事院規則にいうところの配付ということに該当することも、これまた事態きわめて明瞭であると存じます。従つてこれも同じようにやはり人事院規則に抵触する場合だと、かように考えております。ただこの場合において違反した人間が一体だれか、これは御承知のように、人事院規則は、特例法によつて申し上げますと、各個々の個人といいますか、個々の公務員に対する禁止規定でありますから、日教組という団体を対象にするものではない。従つてその場合に、通達を出した事柄についての責任者と申しますか、事務を主宰し、指導したその個人が国立学校の先生であれば、これはまつ正面から人事院規則に抵触するものであります。処罰の対象になるべき筋合いのものであります。それから公立学校の先生であれば、これはそれぞれの所属の教育委員会において処理せらるべきもので、この場合は千葉県の場合と違つて、何人がそれに現実に該当する責任者であるということが明瞭でありません。しかしこれも時によつてわかることと思います。ただ違反であることについては議論の余地がない、私に関する限りはさように考えます。
#31
○川島委員長 永田君、時間がありませんから、まとめて質問してください。
#32
○永田(亮)委員 それでは人事院総裁にはつきりお答えを願いたいのでありますが、今の日教組から配つた書類の問題でありますが、この問題がやはり「政治的行為」の十三号の、政治的目的を有する署名または無署名の文書、こういうものを回覧に供し、掲示し、もしくは配布し、多数の人に対して明読し、もしくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために編集するという人事院規則に違反すると思うのでありまするが、この点について浅井総裁の御見解を承りたいと思います。
#33
○浅井説明員 この問題は人事院として慎重に考えてみなければならぬと思つております。これが官公労の新聞と違いまするところは、ある組織の中において内部連絡の文書の形をとつておるという点が問題になるのじやないかと思つておりますが、これはひとつ研究させていただきたいと思います。
#34
○永田(亮)委員 それでは最後に一つだけ文部大臣にお尋ねいたしますが、今のこの文書は責任者がはつきりしないというようなお答えでありましたが、しかしこれは少くとも日教組から出たことが確かである以上は、日教組の委員長が全責任をとるべきものであると私は考えます。そうすると日教組の委員長が所属しておるところの、どこの府県か知りませんが、そこの教育委員会が日教組の委員長に対して処罰を行うべきもものであると私は解釈いたしまするが、この点について御見解を承りたいと思います。
#35
○大達国務大臣 一応そういうことになるかと思います。ただ、従つてその場合には当該委員長というものが、自分はあずかり知らぬことであるということが立証されなければならぬと思います。それが立証されなければやはり委員長が責任を負うべき筋合いであると私は思います。ただ、私の承知しているところでは、現在日教組の委員長は外国に出張中ではないかと思います。従つて私ども考えてみると、今村委員長はこの通達について事実上知らないのではないか、こう思います。でありますから、今村君の留守中組合の仕事を統理する人が一応その責任者、こう考えていいのじやないかと思います。
#36
○山口(好)委員 関連質問。ただいま永田君からだんだん御質問がありまして、ある程度明らかになりましたが、要はお答えの方は、いわゆる容疑という程度で慎重にやつておる、こういうお答えのように聞いたのであります。そこで郡司幸太郎君にお尋ねをしたいのですが、佐久間幸一という人は、この新聞で見ますると、発行責任者ということになつておりますが、編集部面についてどの程度タッチしておるか、特にこのスローガンの問題になつておりますことなどについて、直接編集を担当いたしておつたかどうか、そういうような御調査ができておりましようか。これが一つ。
 それから、一括して御質問をいたしますが、人事院総裁にお尋ねしたいのですが、この事件について人事院規則違反であるというような、まあ容疑ということになると思いますが、それは大体この規則の第何号に相当いたすのであるか。私も法律家でありますので、しさいに検討いたしたいと思いますが、第何条の第何号に該当するものであるか、これを参考のためにお示し願いたいと思います。
 それから文部大臣にお尋ねいたすことは、この教育二法案の成立を見まするときに非常にすべての人から危惧されました点は、これが濫用せられやしないか、厳に濫用を戒めねばならぬということでありましたので、本件につきましても、該当する条文などにつきましては、この解釈を厳格に解釈することによつて、非常に違つて来ると思うのであります。厳に解釈するか寛大に解釈するかによりまして、これは違反にもなるしあるいは違反にならぬという結論も生れると思うのであります。その辺につきまして、やはり十分厳格に御解釈になるというお考えはかえられないと思うのでありますが、その点をこの際しつかりと御所見を承りたいと思います。以上であります。
#37
○郡司参考人 お答え申し上げます。官公労記載の十日号の文は、これは私ども委員会といたしまして教育長より当人を喚問させましてただした点でございますが、当人の言い分によりますれば、あの宣伝文は官公労の幹事会の議決であつて、この責任は全部議長にある。同時にパンフレット官公労は、直接の編集責任者は国鉄出身の情報宣伝部長であつて、事務局長佐久間当人はこれに対して関知していない、かような弁明がございます。以上でございます。
#38
○浅井説明員 山口さんのお尋ねの点は、人事院規則の十四の七、政治的行為の第六項の第十三号、すなわち政治的目的を有する署名または無署名の文書を発行し云々、これに違反していないかどうか、この点が問題になつているのだと思います。
#39
○大達国務大臣 この二法律の解釈の態度の問題でありますが、これはひとりこの二法律に限りませんで、法律制定の趣旨の存するところと法律に掲げてある現実の法律上の文句、これによつて解釈せられるべきものである、こういうふうに考えております。私どもの方としては、当時濫用のおそれがありはしないかという議論があつたことは、これも御指摘の通りでありますが、もちろんこの法律を濫用するというつもりは毛頭ありません。またかりに文部省が濫用したいと思つてみたところで、これは文部省はこの法律の運用について直接何らの権限を持つているものではありません。先ほど来申し上げますように、千葉県の問題につきましても文部省といたしましてはいわゆる助言、勧告という形において、あまり立ち入つたさしずがましいことは控えているような次第であります。濫用するという考えは全然ないのであります。
#40
○川島委員長 並木芳雄君。
#41
○並木委員 私は先ほど来大臣の答弁を聞いていますと、言葉はやわらかいのですけれども、その言葉の裏に隠されたとげと申しますか、衣の下によろいを着ているというか、大達文部大臣としてはもうまだるつこくてしようがない、実は一刻も早く命令一下ボタン一つで、全国の教育を自分の一手に収めたい、教育総司令官になりたいというような毒けを感じて、この暑いさ中でありますけれども、寒けを催している最中であります。しかし私どもの党としては、この教育二法案はきわめて冷静に修正して通したのであります。こういうものができることは吉田反動内閣の政策がよろしくないということに基因するのでありますけれども、さればといつて、教育の偏向ということはまたわれわれとしても警戒を要するので、好ましくはございませんので修正して通しております。従つて私も本日はきわめて片寄らないように中正の質問をしてみたいと思うのであります。
 第一に浅井人事院総裁にお尋ねをいたしますが、もしこの官公労というパンフレットの発行責任者の佐久間孝一氏が、自分は善意である、決して政治的にどうのこうのという気持は持つておらない、こう言つた場合、それからまた単にこれは官公労の事務局長をしておるために自動的にこの編集長というのですか、発行責任者に名を出させられておる傾向もあるのでありますが、この二つの条件がそろつた場合には人事院の規則に抵触するかしないか。私としては抵触しないように思うのですけれども、これは法律及び規則の解釈でありますから、人事院総裁にまずその点をお尋ねしてみたいと思います。
#42
○浅井説明員 お答えをいたしますが、私はその点につきましては並木さんと見解が反対なのでございます。それはこの人事院規則におきましては、「政治的目的を有する」という場合と、「政治的目的をもつて、」という場合とは書きわけてあるつもりでございます。「政治的目的をもつて、」と書いてございまする場合は、本人につきまして政治的目的があつたかどうか、これが立証の問題になろうと思つております。しかしながら、ただいま問題になつておりまするように、「政治的目的を有する文書」といいまする場合は、これはその文書自体の客観的な、形式的な判断でもつて政治的目的があるかどうかがきめられるのであつて、この点において御本人が政治的目的があつたかどうかということは問題にならない。これはおよそ出版上の犯罪とかなんとかいうものは、すべてそういうふうになつておるように思つております。
#43
○並木委員 しかしここで印刷されております問題になつた内容は、「第五回の定期委員会議案」となつております「運動の進め方」の案としてのスローガンでありますが、そのスローガンの十に「吉田疑獄内閣を打倒し国会を即時解散させよう」、これであろうと思います。このことは官公労の委員会での決議というか、申合せでありますが、そういう申合せをすることは一向にこれは法律規則には抵触して来ないと思うのです。それを単に一つの一記録として官公労という機関紙に載せることは、これがどうしていけないのでしようか。一般の新聞に報道した場合と同じじやないでしようか。そのたまたま発行責任者であつたということのために、今のような規則に抵触するといつてやつたとするならば、これは本人が善意である限りは、私は非常に苛酷ではないかと思う。ましてや憲法の鉄則には、言論とか出版というものの自由が認められておるのですから、そういう点とのバランスを考えますと、今の浅井総裁の考え方は少し苛酷ではないかと思いますが、いかがでございますか。
#44
○浅井説明員 憲法との関係云々というお話になりますと、これは御批判の余地は十分あろうと思つております。ただ、われわれといたしましては、この人事院規則の有効性を前提としてお話するよりいたし方のない段階であろうと思つております。これは昔新聞紙法、出版法等がございましたときにも、やはりどのような人が何を考えて、いかなる記事を書きましようとも、法律上問題になつているものは発行人であるとか、編集人であるとか、印刷人であつた。それと同じ考え方でございまして、官公労の内部においての問題というものは、あの規則では問題にならないのでございます。ただ、これが官公労という機関紙において公表されておるというところが問題になつているのでございまして、これはまた考え方によつては、違反の範囲をぐつと限つているということにもなるのであろうかと考えております。
#45
○並木委員 その点について私は文部大臣にお尋ねしたいのですが、教育二法案を修正通過させるためにも、私どもはこれが伝家の宝刀として、抜かずに済ませたい、抜くべきものではないと思う。だからこれが有名無実にあることが望ましいのです。さつき与党の委員からは、これがあくびをしているというのでもどかしげな質問がありましたけれども、私どもの立場はあくびをしていればけつこうだと思う。そういうなるべく広く言論出版の自由を確保するという見地から見ますと、本件のごときものに、いやしくも文部大臣ともあろう者が神経をとがらすべき筋合いのものではないでしようが、その点は多分に政治的の解釈も、考え方もあると思いますけれども、その点いかがですか。私は文部大臣は、戦前の狭い舞台――共産主義もなければ社会主義もいれられなかつたような狭い舞台で、上御一人の命令で、袞龍のそでに隠れて威力を発揮した時代のかつての有名大家ではあるけれども、今日は舞台はかわつて、大きく世界を相手にして、共産主義をすら受入れておるような、まことに自由寛大な民主主義の日本になつたのでは、文部大臣には少し舞台が大き過ぎて来たのではないか。まわり舞台もあるし、せり上りもある。ただ狭いところでおどつていた文部大臣の考え方でこれを律すると、私はかえつてその反動が恐ろしいのではないかと考えますが、大臣の率直な見解をお尋ねしたいと思います。
#46
○大達国務大臣 この二法律が有名無実である方が望ましいという点につきましては、私は並木さんとは別な意味で同様に考えております。この法律があるとないとにかかわらず、さような教育の面においておもしろからざる現象が全然起つておらぬということであれば、そういう意味においてこの法律は有名無実というか、何も適用の場合が起らない、こういうことであれば、これは一番望ましい状態であると思います。ただ有名無実という意味が、法律はできたけれども、できたとたんにどんどん違反をされておつても何ともいたし方がないのだ、それで何ともしないでおつた方がよろしい、こういうことであれは、先ほど来申し上げるように、何のために法律ができたかわからぬのであります。この法律の所期するところは、日本の教育を正常の軌道に乗せたいということが終局の目的でありまして、これは現在の国情から見てどうでもいい問題であろうとは、私は決して思わないのであります。従つて、今お話にありましたような意味において、どんな違文が起つても黙つて見ておればよろしいのである、この法律は使わずにほつておくのだ、こういう意味における有名無実ということは、私は決して望ましいことであるとは思いません、
 それから先ほど来申しますように、この法律の運営というものには文部大臣は関知しておりません。この法律をごらんになればわかりますように、文部大臣の出る幕はないのであります。従つて私が、かりにお話の通り、いかに神経質に神経をとがらせてみたところで、これは文部大臣の権限外であります。でありますから、私は文部大臣の権限のらちを越えてそこいらの教育委員会等を教唆扇動して処罰をさせる、そういう気持はありません。
#47
○並木委員 前段の問題は、幾らでも違反を犯してもかまわないという意味で私は申し上げておるのではもちろんないのであります。そうでなくて、この教育公務員特例法が発動されるような事態がないことを望んでいるのです。それは教員の良識にわれわれは大いに期待をしております。それにもかかわらず、大臣が先走つて少し神経質になつているのじやないかということを私は感じたから、その点を特にお尋ねしたわけなんです。
 それからこの法律には、大臣は出る幕がないと言いますけれども、出る幕がなければひつ込んでいればいいのです。ひつ込んでいればいいのにひつ込んでないで、千葉県、これは違反だということを言つてみたり、先ほどの答弁の中にも、事態によつては通達をする、あるいは勧告をするかもしれないと言われたが、これは私が最初に言つた、ちらりちらりとあいくちをのぞかせているわけになる。だから大達文部大臣のごときは、幕がなければいつまでもひつ込んでいていただいて、なるべくものを言わずじつとしていられれば、教育のためにいいと私は思う。それでは大臣は、何を根拠にして、思うように事態が解決されなかつたら勧告や通達をお出しになりますか。どういう法律あるいは規則を根拠にしてお出しになるつもりですか。幕がないのに飛び出すのですか。
#48
○大達国務大臣 私が出る幕がないと申しましたのは、この二法律において文部大臣は直接何らの権限も持つておらない、従つて文部大臣として最後の解決をするきめ手というものはない、こういう意味で申し上げたのでありまして、そういう意味で御了承いただきたいと思います。但し教育一般について、文部大臣が教育委員会等に助言、勧告をするという立場は、これは法律上きまつておることであります。これは必ずしもこの二法律についての助言、勧告ということでなしに、教育全般についての助言、勧告という立場は持つておるのであります。先ほど来申し上げましたように、この二法律の適用について、特に神経質になつて、この一般的な助言、勧告というものを振りまわすという気持は、ただいまのところありません。但し事態が、日本の教育上これでは困る、憂うべき状態であると感ずれば、この助言、勧告ということは、ただ権利であつてやつてもやらなくてもいいという問題ではなく、一面において文部大臣のしなければならない任務であります。従つてその必要があれば助言、勧告をする。またしないということは怠慢であろうと思います。そういう意味で、これは具体的に文部大臣がきめ手を持つておるものでもなし、従つてこの二法律に限つて、そうがみがみ出しやばるという気持はないということを申し上げたのであります。全然黙つてひつ込んで見ておる、こういう気持はございません。
#49
○並木委員 それではもし助言、勧告がいれられない場合、思うようにならなかつた場合に、そのときには大臣は、それ以上はきめ手がないから事態を放置するよりしかたがない、こういうお考えでありますか。
#50
○大達国務大臣 助言がいれられなかつた場合は、これは現在の法制上はやむを得ないのであります。もしさような事態がしばしば起つて、そうして世間の輿論もこれを非とし、これでは困るという情勢になれば、これは別途それを救済する方法を講ずる必要があるかもしれません。しかし現在の法制上は、助言、勧告をしたところで助言であり、勧告の程度にすぎないのでありまして、一切取合わない、そういうことは馬耳東風で過すということであれば、それは遺憾ながらそれまでであります。
#51
○並木委員 そこなんです助言、勧告をしてそれがいれられなくとも、現在のところではしかたがない、そこに大達文部大臣の悩みとともに憤りもあるのじやないかと思います。それがやはり最近ときどき大臣が口にされる地方教育委員会の改組ということに関係して来るのじやないでしようか。今のところは地方教育委員会の問題として一切まかされておる。この問題に対して大臣はじつとしていてもらいたい。勧告とか助言なんというものも出さずに、今法制的にもそういう組織になつておるのですから、やはり地方教育を尊重するということが日本の教育民主化の基本線であるということを大臣は忘れているのじやないかと思います。ですから千葉県の教育委員会でどういうふうに決定しようが、それにおまかせしておけばよいと思う。その場合大臣として思うようにならなかつたならば、そこで今度は、地方教育委員会の選挙の方法、あるいは都道府県教育委員会については存置するけれども、市町村教育委員会は廃止することを考えるか、あるいは単なる諮問機関にすることを考えるかという問題につながつて来るのじやないか、こういうふうに考える。
 そこでお尋ねしますが、これを解決するについて、この問題を大臣の思うように解決して行くのには、地方教育委員会を骨抜きにして行かなければならない、大臣の息のひつかかるようにして行かなければならない、そういう見地から教育委員会というものの改正というか改悪というか、それを大臣は考えておられるのじやないのですか。
#52
○大達国務大臣 並木さんは私の気持を忖度してそうであると思い込んでおられるけれども、私は、先ほど申し上げておるように私の考えで日本の教育を思うままにするというような気持は毛頭ありません。その点もう一ぺんよく私のすることを検討していただきたいと思います。
 それで、助言、勧告でありますが、これはもちろん一切取合わぬという態度で、木で鼻をくくつたような扱いを受けたのでは困るのであります。このことは、ただ横から言うてみただけで、それは何にもならぬことがあたりまえである、こういうものではない。それならば文部省設置法においてことさらに助言、勧告という事柄を文部大臣の重大な職務権限として規定する理由はないのであります。助言、勧告であつても、助言、勧告を受けた方面においては、当然それに対し相当の考慮を払つたその上で、その勧告に従うか従わぬかをきめらるべきものであつて、それを初めからあつてもなくても同じものであるということは、おそらくは法律の趣旨にも沿うものではないと思います。それならば何も法律にそんな無意味なことを書く必要はないのであります。でありますから私は文部大臣が教育委員会その他の方面になすところの助言、勧告というものは当然に相当に尊重して、そうしてそれに対しては十分の関心を持つての考慮が払われるものと考えておるのであります。先ほど申し上げたのははなはだ簡単でありましたが、法律的には何にも拘束力がないんだから、そんなものには一切取合わぬのだというような態度は、私は助言、勧告というものを重大な文部大臣の権限として規定した法律の趣旨に沿うものではないと考えます。もしそういうことであるならば、やはり方法を講じなければならぬということはありましよう。しかし私はそのために教育委員会をやめるんだとかいうようなことを今考えておるのでは毛頭ありません。最近新聞に多少いろいろなことが出ますから、それに基いての御質問じやないかと思いますが、新聞記事は御承知のように正確なものではございません。現にその問題につきましても、ある新聞はあくまで育成強化するんだ、こういうふうな大見出しで書いているし、ある新聞では今度はそれをやめてしまう決心をしたらしいというふうにも書いております。従つてこれははつきり申し上げておきますが、教育委員会をやめるとかいうような考えは、少くともただいまのところ私は全然持つておりません。これは何といつても育成途上の機構でありますから、あくまでもこれを育て上げるということが本筋であるということを私は確信をしておるものであります。
#53
○並木委員 その教育委員会は都道府県の教育委員会とともに市町村の教育委員会の両方ですか。その間に大臣として何らか区別して考えておられる点があるならばこの際はつきり承つておきます。
#54
○大達国務大臣 教育委員会の問題は、御承知のように府県の教育委員会と市町村の教育委員会というものには上下の関係はありません。ただ府県の教育委員会は、県立学校の運営管理に当るものであります。町村の教育委員会は町村立学校の運営管理に当るわけであります。その間県と町村という意味の上下の段階はないのであります。ただ担当する学校の種類が違う、それだけの問題でございます。従つて少くとも現行の法制を建前にする限り、市町村の教育委員会をやめては、だれがその事務を担当するかということが別途にあらためて考慮せらるべきものであつて、当然に府県の教育委員会がその仕事をするという筋合いのものではありません。教育委員会というものは御承知の通り直接選挙によつて選ばれた人々によつて運営されておるものでありまして、市町村の教育委員会であろうとも、県の教育委員会であろうとも、これは通じての教育委員会の特殊な性格であります。でありますから府県の教育委員会だけは直接選挙による人々によつてやる、その他のものはそうでない人がやる、これは全体の教育制度としてはまつたく亀裂を生ずるといいますか、両方の筋の通らぬものであります。でありますから教育委員会というものが、かりに検討の俎上に上せられるような場合におきましては、両者あわせての検討がさるべきであつて、片方を残して片方はやめる、そういう筋合いのものではない、こう思つております。
#55
○並木委員 大達文部大臣の在任中に教育委員会の法律と、先ほどお話のありました教育二法案の改正、すなわち特に問題となつている教員に対する行政罰を刑事罰に改める、こういう点は絶対にやらない、そういう改正法案は出さないということを、ここで断言していただきたいと思います。
#56
○大達国務大臣 私の在任中にと言われますが、別に在任中するとかせぬとかいうことをはつきり申し上げるわけに行きません。すると言つてみたところで、私はあしたやめるようになるかもしれません。今後どのくらい在任しておるかもわかりません。しかも今申し上げたように、国の政策とか何とかいうものは現在の事態に即して行わるべきものであつて、あらかじめこれは絶対にやらぬとか絶対にやるとか、そういう建前のものではない、これはひとり文教だけの問題ではなくて、すべて国の政策というものはそうであろうと思います。私は先ほどから申し上げておるように、日本の教育界に救いがたき風潮がかりに現われるとする。場合によるとこの教育二法律というものが契機となつて、そういう事態が生ずるというような場合に、それに対しては適当の措置を講じなければならぬ、その救いがたき事態の根源が、かりに教育委員会にある、こういうことになれば、教育委員会の再検討に進んで行くのが当然であります。またその他に原因があるということであれば、あるいはこの教育二法律というものが不備であつて役に立たない、そこに原因があるということであれば、その点を直さなければなりません。従つて今日の状態において、在任中は絶対にやるとか、あるいは絶対にやらぬとかいうことは今言明する限りではありません。
#57
○並木委員 やらないというふうに聞えたから、では約束してもらいたいと思つて断言してくれと言えば、大臣は言葉を濁して怪しい答弁になつてしまう。結局われわれとしてはつきりしたことがつかめない、そういうことが陰に陽にこの問題のような場合にも圧力となつて出て来るのではないかと思うのです。教職員が変な行動をすれは――変というか善意でも、こういうような行動をとつたときには、今度は行政罰を刑事罰にしてやるぞ、あるいはまた地方の教育委員会が文部大臣の意に沿うような行動をとらなければ勧告も出すぞ、通達も出すぞ、その場合には、教育委員会法も改正を考慮するぞ、そういうことがやはり一種の圧力となつて行くのであつて、かくして教育というものはだんだんやはり地方分権から中央集権に逆もどりをするのではないかということをおそれるのであります。
 私ばかり時間をいただいても何ですから、最後に一点、郡司さんにお尋ねしたいと思うのです。
 ただいままで文部大臣、浅井人事院総裁の所見を伺つておられた郡司さんとしては、今後これをどういうふうな形でお取扱いになりますか。また実質的の問題にしても浅井総裁がはつきり言う通り、これは人事院の規則に抵触する政府の見解がはつきりしておるわけです。もしこれほどはつきりしておるところの見解に逆つて、これは抵触しないのだという結論を委員会として出すならば、その人事院規則を引用しておるところの教育公務員特例法に抵触して来る、従つて千葉県の教育委員会というものは、法律違反を犯すということになるじやないかと思うのです。その点を考慮して今後この取扱いをどうするか、そうして実質的の内容についてはどのようにして臨むつもりであるか、この際はつきり披瀝していただきたいと思います。
#58
○郡司参考人 ただいま郡司の意見はというようなお話でございましたが、私は千葉県教育委員会の副委員長として、委員長が事故がおりまして出席できませんので、さような立場で出席しておりまするので、私個人の意見を求められましたが、あるいは委員会全般の意見を求められましたか、さような点につきまして多少御質問に疑点があるのでありますが、ひとまず委員会を代表して出席しておりますので、委員会に対する御意見だろうと思いまして申し上げます。これは委員会自体でただいま検討中のものでございまするので、見通しいかんというようなことこつきましては、御回答の時期に達していない、かように考えますが、なお私個人の意見をしいて求められまするなれば、当然私どもは新しいモデル・ケースをこれによつて生み出しまするため、多少の時間はかかりましても慎重に審議いたしまして、何人にもとらわれることなく、委員会の所信を最終結論として披瀝することは、だれにもはばからないということだけを断言いたしまして不満足でございましようが、以上のお答え以外にないと思います。
#59
○川島委員長 櫻井奎夫君。
#60
○櫻井委員 それでは質問いたします。われわれはこの問題につきまして、これはあくまでも教育基本法あるいは教育委員会法によりまして千葉県の教育委員会が、公正妥当なる判断を出すべきである、いわゆる千葉県教育委員会の良識にまつべきであるというふうに考えておるのでございまして、国会の人事委員会においてこれを云々し、まだ千葉県教育委員会の結論が出ていない前に、この決定に影響を与えるようなことがあつてはならない、大体私どもは基本的にはそういうふうに考えるのであります。しかし本日ここに大達文部大臣も出席しておられますので、めつたに質問ができないのでありますから、きようはひとつ文部大臣の所見をお伺いしたいと思います。
 問題になつておりますところの七月十日付の官公労というこの機関紙ですが、これはもちろん普通の新聞ではございません。官公労という組織の機関紙でございまして、組織内に配付するものですが、ここに問題のスローガンが十項目掲げられておる。先ほど文部大臣は、このスローガンは明らかに政治的目的を有するものである、こういうふうに断言なさいましたが、これは一から十まで全部政治的目的を持つておるスローガンであるかどうか、大臣の所見を承りたいと思います。
#61
○大達国務大臣 このスローガンでありますが、これは普通に言う政治的な目的を持つ点においては一から十までそうでありますが、しかし人事院規則に掲げておるところの政治的目的という点から見ますると、少くとも第十番目の吉田疑獄内閣を打倒し、この点がそれに該当するものである、かように私は解釈しております。
#62
○櫻井委員 この十項目のうちの特に第十項が今回あなたが問題にしておられる政治的目的を持つスローガンであるというふうに考えておられる。それでよろしゆうございますか。――この一から十までのスローガンでございますが、これは官公労の一九五四年度運動方針の集約が、この十の項目に盛られたのであります。労働組合の本質というものはもちろんあくまでも経済的なものでなくてはならぬ、経済的諸要求を取上げて闘うというのが、労働組合の基本的なあり方なのでありますが、私どもはこの十項目すべてこれ経済的要求であつて、第十の、特にあなたが御指摘になる吉田疑獄内閣を打倒し、国会を即時解散させようというのは、当然この一から九までの結論としてここに出されているのであつて、これだけが一つの特別な政治的意図を持つてやられているというふうには判断しないのですが、その点大臣の所見はどうですか。
#63
○大達国務大臣 私が政治的目的を持つている文書であると言う意味は、これが不都合であるとか、けしからぬとかいう気持は毛頭ないのであります。一から九までの事柄の結論としてこれがかりに出ておつた、従つてこれは不適当な結論である、こういう批評的な立場は一切持つていないのであります。ただ特定の内閣を――あれはどういう文句でありましたか、支持し、反対する、これに形式的に該当する、また人事院規則の解釈におきましては、そういう立場で解釈さるべきものであつて、私はその出した結論が適当であるとか適当でないとか、賛成であるとか反対であるとかいう立場で解釈すべきものではないと考えます。
#64
○櫻井委員 しからば文部大臣は労働組合がその自主性に応じてスローガンを掲げる、その内容については自由である、労働組合の自主性を十分認める、こういうことでございますね。そのように解釈してよろしゆうございますか。
#65
○大達国務大臣 ちよつと話が横にそれているようでありまして、簡単に御返事ができないのでありますが、私は、労働組合がこの決議をかりにしましても、それに公務員が参加しておつた場合、人事院規則に抵触することは普通ないのじやないかと考えます。人事院規則にあるものは、ただそういう政治的目的を有する文書を発行したり、頒布したりすることをとめられているのでありますから、要点はそれに該当するかどうかということだけの問題でありまして、それが労働組合の組合活動としてなされたのか、あるいは個人としてそれをやつたのか、そういうことはこの人事院規則の解釈の場合に、それを一緒にして解釈が二、三にされる、こういうものではないと思うのであります。
#66
○櫻井委員 そうすると、結局非常に政治的目的を持つとあなたが判断されるこの官公労という機関紙――これは組合ですから、機関紙を組合員に配布するのは、労働組合法で正当に認められている組合活動の働きです。その発行責任者がたまたま佐久間孝一であり、佐久間孝一がいわゆる教育公務員であつたからこれは抵触する、こういう解釈ですね。
#67
○大達国務大臣 そうです。
#68
○櫻井委員 それで問題は、この二法案ができた趣旨は、これは国会で非常に論議の中心になつたんですが、あくまでも日本における偏向教育を是正する、教育の偏向性というものは、文部大臣がしばしば強調されたわけですが、教育の偏向、教育に非常に影響があるものを是正するというのが、この法律立案の大きな目標だと思う。この場合、佐久間君が発行責任者として名前を連ねておつたということが、日本の教育にどれほどの影響を与えるのであるか、それをお伺いしたい。
#69
○大達国務大臣 そのこと自身が直接教育にどの程度の影響を与えるか、これはそう簡単には言えないと思います。ただ法律案を提出した当時説明申し上げたように、この法律案を提出した理由は、教育の正常化といいますか、いわゆる偏向教育というものを排除したい、こういうためであります。とられた方法といたしましては、直接偏向教育を教唆扇動するような動きをやめてもらうということが一つ、そうして教育に当つておる教職員自身があまり強い政治的な立場をとらないというか、政治的な活動をしない、こういう方法によつて――これは間接的でありますが、その方法によつて教育の中立性を維持したい、こういう趣旨から出たものであります。しかし法律として成立しますれば、それによつて判断をしなければならぬ。これはひとり教育公務員だけではないと私は思います。一般の公務員の場合におきましても、特殊の非常に片寄つた立場を、公務員自身が実際の表に現わした政治行動によつてとつておるということになれば、自然にその公務である一般の事務でありましても、あるいは教育というものであつても、そこにおのずから片寄つた影響を受けざるを得ない。だからしてそういう立場をとらないようにするということが、さかのぼつてその公務である教育の中立を維持するゆえんである。こういう見地でありまするから、一々これがすぐ教育にどういう影響を与えたか、直接影響を与えていなければ人事院規則に抵触してもこれは一向かまわぬ、こういうものではないと思います。
#70
○櫻井委員 この問題は教育二法案が国会にかかりましたときに、私どもは十分ごの法案の持つ危険性というものを指摘しておいた。特に私は人事院規則を読み上げまして一々大臣に御質疑を申し上げた。私どもがそのときに最も憂えましたのは、この法案ができると拡大解釈が行われて、先ほど並木君が言つた非常に濫用が起り得るのじやないか、こういうことを憂慮したわけです。今回のこの問題も佐久間君が事務局長になつておつたのは二、三年前からでしよう。私はつきりしていないのですが、おそらくことしになつてからではない、昨年かあるいは一昨年あたりから名前を連ねておつた。事務局長の名前でこれが出されておるので、彼自身の証言にもあるように彼の意見として言つておるのじやない。これはいわゆる幹事会か正式な機関の決定によつてこのようなものが出されて組合員に配付せられておる。これは労働組合運動の当然な道筋であろうと思う。ところがたまたま彼が教育公務員であるがために、これはあの二法案に該当するというようなことで、千葉県の教育委員会に早く結論を出せ――というようなことは大臣はここでおつしやつておりませんけれども、あたかもそういう一種の圧力をかけて行くがごときことは十分今後の運営をお慎みにならないと、先ほどから聞いておつても並木君の質問に対しまして、あなたは勧告を出すかもしれぬ、あるいはその勧告を聞かない場合にはさらに考慮するかもしれないというようなことを盛んに言つておられる。これは読売新聞ですか、あれに出ておるが、大臣の本心をたまたま吐露されておる。あなたが日本の教育を文部大臣の手中におさめたいというような意向は、あの十九国会に出たあの法案の内容を検討すれば明瞭です。あれは修正されまして、大臣の意図に反した結果になりましたけれども、あれを起案したのはあなたです、文部省なんです。それからあなたがどういうふうに日本の教育を考えられておられるかということは、あの教育二法案を見れば明瞭なんです。そのような考え方がはたして日本の教育を正しく正常に進めて行くかどうか。現在の日本の非常に片寄つている、何と申しますか政治が逆行しておるために、ともすればそれにひつぱり込まれようとする教育を、その一番最高の任にあるあなたが、そのような考えをしておられるということは、日本の教育のために非常に憂慮すべきことなんです。今回のこの問題も、これは運営を十分御検討なさつて、慎重を期さないと、教育の地方分権、いわゆる地方教員の自主的な活動というようなものにまで、制約をして行くというような憂いが非常に大きいと私どもは考えるのであります。従つて私はこれは文部大臣の今後の慎重なる御考慮というか、これを煩わすと同時に、千葉県の教育委員会を代表されて参つておられる郡司さんに私は要望いたしますが、これは一千葉県の問題ではなくして、今やはり日本の教育界あるいは日本の思想界、こういうものが全部あなた方の決定というものに非常な関心を持つて注意しておる。従つてこのような中においてあなた方はほんとうに筋金のあるりつぱな日本教育の自主性を守るところの結論を出していただく。いやしくも文部省の権力というものに押されて、あなた方が間違つた結論を出すということになれば、これは日本の教育界に今後どういう影響を与えるか、こういうことをよくお考えくださいまして、慎重に慎重を期して結論を出してい。ただきたい先ほど与党である自由党の永田君から発言があつて、千葉県教育委員会はほんとうに怠慢であるかのごとき発言がありましたけれども、あれはわれわれの考えと全然相反するものである。これは急ぐ必要はない、決して事態を遷延させろと言つておるのではないけれども、あくまでそういう影響というものを十分考えられて、慎重を期して結論を出されることを要望いたしまして、私の質問を終ります。
#71
○川島委員長 池田禎治君。
#72
○池田(禎)委員 文部大臣に私は一、二お尋ねいたしたい。私どもは先般の第十九国会に出されましたいわゆる教育二法案につきまして、率直に申し上げまして非常に反対をいたしました。しかし反対はいたしましたけれども、これが法律として実施されますならば、いかなる悪法といえどもこれに従わなければならない。われわれは法治国の国民としてもこの法律を守らなければならない。本日また千葉県の教育公務員の人が、たまたまその労働組合機関紙に、その責にあるために出した問題が大きく取上げられまして、文部大臣がこれに対して発言をいたし、かつまた千葉県の教育委員会を通じてその結論がどういうふうになるかということが非常な視聴を集めておるわけなのであります。これは私ども見ますならば、教育二法案からいたしまして、それがかかるかかからぬかという点にあるだろうと思います。われわれは実は今質問を聞き、答弁を伺つておりますうちに思いますことは、はなはだ失礼なことを申し上げるようでありますが、これは私としてはそう大きな問題ではないと思う。ある意味においては国の全体の教育、法律というもの百般から見ますと、さまつなできごとでないかとさえ思う。むしろこんなことをあなたが真剣になつて取組んでおるということをおつしやるならば、先般自由党の支部長会議で総理は政治資金規正法、ああいう法律は破つてかまわぬ。検事は人をひつぱつて調べるのはけしからぬ、指揮権発動何が悪いか。あの中には国会の承認を経て、総理みずからこれこれの議員はこういうことをしておるから、逮捕請求が参つておるから、国会で御審議を願いたいというので来て、衆議院、参議院、それぞれ総理大臣の請求要請に基いて、院議をもつて決定したことさえも、総理大臣はああいうふうに破棄してかまわない。こういうことを言われた。私はこれは重大であると思う。もちろん現に自由党の代議士の中であるいは脱党する人、あるいはまた総理大臣に向つて総裁をやめるべきであると勧告しておるりつぱな与党の議員も出ておる。これは私はゆゆしき問題であると思う。これに対して私はこんな問題が等閑に付されて、はなはだ失礼でありますが、こういうさまつな問題が大きく取上げられておるが、文教の最高責任者としてこの総理の見解が日本の教育界に与えた影響というものに対するあなたの所見のほどを私は承りたいのであります。
#73
○大達国務大臣 総理大臣の支部長会議で言われたことは、これは私もそこの席にはいませんでしたからよくは存じません。しかし今お話の様子によると、こういう問題を取上げずにおいて、千葉県の問題にむきになるというのはおかしい、こういうことでありますが、これは話は別問題であります。千葉県の問題は千葉県の問題であり、総理大臣の発言は総理大臣の発言であつて、片方取上げるなら片方取上げろ、そういう筋合いの問題ではない。千葉県の問題は千葉県の問題として処理せられるべきものである、かように私は考えます。
 それから千葉県のこの問題につきまして、私が何か非常にむきになつて乗り出して取組んでおるというふうにお感じになつておるのでありましよう、そういうお気持のお尋ねでありますが、私が初めに申し上げましたように、新聞の人が来て私の意見を聞いたから、それに対して返事をしたのであります。それから千葉県の教育委員会の事務の人が文部省に来て、これは私ではありませんが、事務当局に意見を聞きに来たから、それについて返事をした、これだけであります。先ほど来申し上げますように、今日の状態において通達を出すということも、ただいまのところは考えておりません。これはむしろ官公労であるとか、あるいは日教組であるとか、その方の側で問題にされておることでありまして、私どもはこれは無関心ではおりません。至大の関心を持つて見ておることは間違いありませんけれども、しかし進んで文部省が陣頭に立つてさしずしてどうこうという気持もありませんし、さようなことはいたしておりません。その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。総理大臣の発言についての意見を求められましたが、これは私には、教育上どういう影響があつたか、これはわかりません。
#74
○池田(禎)委員 千葉県の問題は千葉県の問題、総理大臣の暴言は総理大臣の暴言であるとあなたはおつしやいましたが、私はそのことには異論はありません。従つて千葉県の問題は、私は取上げなさるな、取上げてはいけないと言つておるのではない。むしろこの総理大臣の言葉から見るならば、こういうことはさまつな事柄ではありませんかと私は言つたのです。従いましてこの委員会が取上げることは、私はもちろん反対しておりません。ただあなたが今総理大臣の教育界に及ぼした影響はわからぬとおつしやつたが、実は私は福岡県におりまして、名前をあげてもよろしゆうございますが、夏休みの講習において生徒が、総理大臣が法律を破つてもかまわぬということを言つておるが、あれは先生どういう意味だ、ああいうことを言つてもよろしいのかということを質問したときに、その先生が答弁することができない。たまたま私がそこにおりましたので、これはどう言つたらいいかと当面した問題を私は質問を受けた、こういう生々しい事実があります。その学校、先生の名前等を私は資料で提出してもかまいません。従いまして、そういうことを申しておるのでありまして、ただ私はいやがらせに言つておるのではない。あなたはただわかりませんというだけで、この質問にお答えになれないのかどうか、その点はもう少し親切に所見のほどを私は披瀝していただきたい、こう思います。
#75
○大達国務大臣 学校の子供が先生に、法律を破つてもかまわぬのかと言う場合に、先生が答弁に困つたということは実におかしな話であります。(「そうじない、総臣大臣だ」)総理大臣が破つてもかまわぬと言うたかどうか、これは学校の先生がその事実をはつきり確かめなければ、言うたとか言わぬとかいう返事はできますまい。また軽々しくそういう返事をすべきものではありません。しかしながら、法律を破つてもかまわぬかどうかという質問に対して返事ができないというのは、まことにおかしな話であると思う。さようなことがあつて、これが今日政治に関する事柄、経済に関する事柄が新聞によつて一般に周知されます限り、これはひとり学校といわず、社会のあらゆる面においていろいろ論議もあり、話題にもなり、批判も行われるわけであります。それがすぐ、やれ経済に影響したとか、やれ教育に重大影響を及ぼしておるとか、これは影響がないということは言えますまいが、影響がある、一々それが影響するするといつても、それをどう思うかと言われても、どの程度の影響があつたかということは私にはわからない。決して不親切で言つているわけではありません。もし法律を破つてもかまわぬのだということが、一般の学校の子供にそういう考え方が彌漫し、そうしてそれに対して先生が返事に困るというようなことが一般に起るということならば、まことに困つた事柄であります。
#76
○池田(禎)委員 どうもあなたは先ほどからずいぶんいろいろな答弁で、日本の教育界の現状はまことに救いがたき風潮が発生しておると、最高の言葉をもつて表現しておる。これは私と所見が違う。しかしあなたは日本の教育界の現状を、深憂にたえざるという言葉をもつて表現し、さらに、救いがたき風潮が発生しておるということを述べておる。しかるところ一国の総理大臣が法律を踏み破つてもかまわぬ、新聞は全部うそだ、指揮権発動何が悪いか、金をもらうのに、だれから幾らとか、そんなことをもらう方が言えるか、ばか。これが調べてみなければわからぬとは、あなた方は何たるたけだけしいことを言うか。録音で何回も放送した。学校の先生もそれを聞いておる。聞いておつて、いけないと言つたらどうなる。Y項追放です。総理大臣の言うことを聞かぬ人間は罷免してるじやないか。そういうことが行われておつてあなたは文教の責任の地位にあつて、一教員の発するところの文書、通達、そういうものが、少くとも先ほどの自由党の委員の質問に対しましては、明らかに公務員法に抵触し、教育二法案に抵触するものなりと答弁しておる。一国の総理大臣が法律を破つてもかまわぬと言つておいて、その教育上の影響はわからぬとは何事ですか。何たる暴言であろうか。あなたは文部大臣であるが、同時に国務大臣である。あなたは総理大臣に質問したことがありますか。その教育上に及ぼす影響というもの、それを、今日の教育界に対して深憂にたえざるという言を用いられたあなたが、こういう事態が日本の政治、経済、社会、教育上にいかなる影響を及ぼすかということは言をまたないのに、調べてみなければわからぬとは何たることでありましようか。たびたび録音で放送しておる。明白しごくである。それが不親切ではないけれども、答えられぬとは何事ですか、あなたがこういうことを答えられずして、教育に対して今日の状態深憂にたえずなどとおつしやるなら、それはあなたのえてかつてではないでしようか。私はあくまでも、もし文部大臣として答えられなければ、一国務大臣としての所見を求めなければならない。日本の教育上あなたははたしてこれがよろしいと思うか悪いと思うかという御答弁を願いたい。
#77
○大達国務大臣 私は、速記録をごらんになればわかりますが、日本の教育界に救いがたき風潮が現われておるということは申し上げたことはありません。もしかような千葉県の問題、そういうことが契機になつて、そういう救いがたき状態がもし現われるということであれば、その原因が、あるいはその基くところがどこにあるかということを究明して、それに対して適当の措置を講ずるのは当然である、こういう意味のことを申し上げた。現在救いがたき状態に陷つておるということを私は申し上げた覚えはありません。これは特に大事なことでありますから、その点釈明といいますか、申し上げておきます。これは速記録をごらんくだされば明瞭なことであります。
 それから総理大臣の事柄につきましては、これは総理大臣の言われた内容がはなはだ当を得ておらぬというような点については、それぞれ人によつての批判があり、意見がある、これは当然であります。はたしてどういう意味において言われたのか、それらの点は御当人の総理大臣にお聞き願いたいと私は思う。これは総理大臣がおられることでありますから、本人に聞くのが一番よくわかります。ただ先ほどの御質問は、日本の教育の上にこれがどういう影響を与えたと思うか、こういうことを言われましたから、それは一国の総理大臣の発言というものは、ひとり教育という面だけではなしに、あらゆる面に何らかの影響をもたらす、少くとも論議の対象となり、批判の的となり、ありいは話題になる、これは当然のことであります。しかし文部大臣として日本の再教育にどれだけの影響を与えたかということを聞かれましたから、それはわからぬということを申し上げた。これは決して私は逃げ口上で言つておるのじやありません。これがこういう影響を与えた、こういう影響を与えたということを責任者として私は簡単に言えるものじやないと思うのであります。どうもおもしろくない影響を与えるおそれがあるというぐらいのことは、私個人の意見として言えるかもしれません。お尋ねは文部大臣として教育にどういう影響を与えたと思うかという御質問であるから、簡単にどういう影響を与えたかということは私はわからぬと申し上げた。あなたはそれに対して、わからぬと言つたつてこういう事例があると言われるから、それならば一般的に総理大臣の発言に基因して、法律なんというものは破つてもかまわぬものであるというように学校の子供が思い込み、ことにそれの指導に当る先生がそれに対して返事もできぬようなことであるならば、これはまことにゆゆしきことである、私は現状はそうなつているとは思いません。従つてそれはわからない。わからぬからわからぬと申し上げた。
#78
○池田(禎)委員 あなたの答弁は剛腹なあなたにしては、まことに不可解な答弁である。あなた方が教育についていろいろ腐心をしてお考えになつておる、たとえばわれわれから見れば教育二法案なんかはひどいと思つているが、あなた方から見れば別な角度からいろいろ苦心をされてつくつていると思う。それは教育の重大なることにあなた方は思いをいたしておつくりになつておると思う。そうすれば一国の総理大臣がああいうことを言つて、あれは影響はないとかあり得ないということを答えることはこつけいしごくなんで、ただ私個人としては影響はあるだろう、これは申してもいいと思う。日ごろのあなたの経歴やあなたの過去から見て、私はずいぶん剛腹な人だと思つていた。その人が事吉田総理大臣に関する限りはどうもやはりあなたほどの人も歯が立たぬのか。私はかつて内務省詰めの記者をしておりまして、あなたが内務省の官僚時代から知つている一人なんですが、内心大達さんは剛腹な人だと思つていた。だが大達さんほどの人も吉田さんには及ばないのか。私はこれは日本だけじやない、世界中及ぶ人はおらぬだろうと思つている。しかしこの際どうですか。私はくどいことは申しません。これは重大な影響を与えます。日本の一文部大臣の地位のあなたが、何年これをお続けになるか知りませんが、日本の文教の上から言つて、教育の会高指導者として職を賭しても総理大臣のこういうことは訂正なさることが至当じやないか。あなたが日本の教育の上から言つて、そういう決意を持たれて総理大臣に申すだけの決心がございませんかどうか、このことを私は伺いまして私の質問を終ります。
#79
○大達国務大臣 むろん私は総理大臣をさしずしたり取押えたりする立場ではございませんから、あなたの言われるような意味において歯の立つわけはありません。また歯を立てる気持も毛頭ないのであります。ただ今日日本の一体の世情が、日本の教育の上に微妙な影響を常に与えておる、これはひとりこの問題に限らず、社会のあらゆる面に現われる現象ことごとくあげてそうなんであります。たとえば国会における議事の状況にしても、あるいはまたちまたに行われる映画の選択される種類、あるいはいろいろな出版物、また要路にある人の言動、談話、またあらゆる社会の三面記事にいたしましても、これが常に教育の上に影響を与えるということは一応考えられることであります。さらばといつてこのことが影響を与えた、このことが影響を与えたと言つて、それをどうこうするという筋合いのものではない。私は本筋において教育というものを正常に持つて行くということに努力を傾注さるべきものである。そういう横つちよの事柄に一々東奔西走するということは、それはそのときによつて必要があるかもしれません。しかしそれをしなければいかぬというものではないと私は思う。そこはあなたと私の考えが多少違うかもしれませんが、決して私は社会万般の事柄が教育に影響を与えることを否定するものではありません。またそれを放任しておいてよいとは思いません。しかし私は、直接関係のないことに、そこへ行つてこういう映画を出しておるのはけしからぬとか、こういう話をしたのはけしからぬとか、そういうことを一々ねじ込んで行くつもりはありません。ことにそういうことは一定の見通しを立てて行くべきで、見通しの立たぬことにやたらに飛び歩くものではないと私は思つております。
#80
○川島委員長 辻原弘市君。一括してやつてください。
#81
○辻原委員 最後に、文部大臣の御意見もだんだんと承りまして、出る幕でない大臣が――これは私の主観でありますけれども、この種の問題を取上げて、千葉県の教育委員会が資料収集その他でいろいろこの問題を取扱われ、結論を出しかねておる、昨十八日には千葉にお出でになつて、千葉教育委員会の会合の席上で一席ぶたれて、さらに本日はここにお出ましになつて最悪の場合には勧告をも辞せない、こうだんだんたどつて参りますと、大よそ大臣のお考えなさつておる点が明らかであります。従つて本日は文部大臣の答弁を私は要求はいたしません。ただ言うておくことは、出る幕でないとたびたび言うておられましたが、確かに私は今日の日本の法律の建前では大臣の出る幕の問題ではなさそうに思います。少くとも人事院の持つていらつしやる解釈、それから千葉教育委員会の行政的、立場に立つ結論、これが公正妥当に行われることによつてこの種の問題は解決をするし、また解決されなければならぬ。しかしどうも文部大臣なり文部当局のこの問題に対する取扱い方を見ておりますと、いかにも鬼の首でもとつたような騒ぎ方をしておるような印象を与える。これは私の主観でありますから、大臣は首をかしげておりますが、それでけつこうです。
 私はこの際浅井さんにお伺いいたしますが、浅井さんは先ほどちよつと言いにくかつたようでありますが、ともかく参議院の答弁――私は速記録を繰つて見ましたが、きようの答弁とは若干違つておるように思います。これはいずれお伺いいたしますが、はつきり人事院規則に抵触をしておる、こういうふうな御答弁があつたように思いますが、これは私は従来の人事院規則の運用と人事院のあり方から見ました場合に、そうでございますかと承つておくにはきわめて重要なる御発言であると思うので、一、二点お伺いいたしておきますが、人事院規則については、これは在来よくいわれておりますように、非常に違憲的色彩の濃い規則であるから、この運用は慎重を期さなければならぬ。従つて先ほど与党の方からも御指摘がありましたが、この解釈いかんによつては違憲にもなるし、またはそれが寛容よろしきを得る場合においては、かかる規則でもうまく運用して行ける。人事院としてはこういう非常にむずかしい法律の取扱いを従来考えられておつた。従つて私の記憶するところでは人事院規則についての批判云々の問題はあまりなかつたと思うのですが、この点従来総裁がずつとこの規則を運用されて来て、この種の問題に抵触をした事例があるのか、これが一点。
 それともう一つは、この運用にあたつてどういうふうなお考えでもつて運用せられ、いわゆる十七項目ありますが、これにすべて厳格にさまつに過ぎるまで包括をして、一々これに対する解釈例が適用され、運用されて来たか、そういつた点についての法律運用のお考えというものを、総裁からお伺いをいたしておきたい。これが第二点。
 第三点は、今度の問題は佐久間孝一君という教育公務員の個人の問題のようでありますけれども、しかし問題の取上げられ方あるいはその後のこの問題をいろいろ検討いたしました私どもの考え、あるいは一般の世論の中にも確かにあると思うのですが、必ずしも佐久間個人という問題よりも、いわゆる官公労組に対する人事院の考え方なり、あるいは政府全体の考え方という問題にも非常な関連をもつているんじやないか、そういう印象を非常に強くわれわれは受けるわけです。特にこの問題が、個人が個人的立場において発行した文書でなくて、継続的に発行されている文書であつて、しかもたまたまその名義人が教育公務員になつておつたという事例であるだけに、私は取扱いが非常にむずかしいと思う。こういう点に立てば、この取扱いいかんによつては、おそらく公務員自体も、単に佐久間君一人の問題でなしに、全般の問題としてやはりこの問題を考えざるを得ないような形になる。平たく言えば、これは公務員全般に対して、人事院が何らかの意図を持つておるんじやないか、あるいは文部省が何らかの意図を持つておるんじやないかというふうな、非常に悪い印象を与えるような問題に発展する危険性がないとは言えない。そこで総裁に簡単にお伺いをいたしますが、この官公労の情報連絡として出された文書が、それ自体政治的目的を持つておるというふうにあなたは解釈をされ、結論を出されておるか、これを三点としてお伺いをしておきたい。いわゆる政治的目的を有する文書だから違反だ、こういうのですか。恒常的に出されておる連絡文書、これが政治的目的を持つておる、従つてその責任者である者は該当するのだ、こういうふうに結論を出されたのか、その点をお伺いしておきたい。ないしは文書表現の中の一部分が政治的目的を持つておるから、たまたまそのときに政治的責任者になつておつた佐久間君が該当するというふうにお考えなさつておるか、これを四点としてお伺いいたしたいと思います。
 こまかい点はたくさんありますが、以上の四点を総裁にお伺いをいたしまして、最後に千葉県の副委員長さんに、これは要望でありますが、申し上げたいと思います。
 たびたび先ほどからあなたが明言されましたが、結論が、あくまで委員会の独自の立場に立つて、いかなる場合といえど、出た以上絶対これは恥じない、こういうふうな非常に確固たる信念で明言されたのを見て、私は非常に心うれしく思うのであります。特にこれは、人事院規則とは言い条、いわゆる教育二法案成立後の法律の問題――従来この文書違反等については、公職選挙法その他にもこれらと類似したような形のものが取締り法規として存在しておりますけれども、その後幾つかの判例が出まして、そうして一般的に見て、形式的に法律を解釈すれば違反するような事項であつても、その犯罪の動機あるいは構成要件、こういつたすべてのものから何ら違反に問われていないというような事例がたくさんあるわけです。そうしたもののテスト・ケースを千葉県の教育委員会で開かれたわけです。しかもこれは行政処分でありますから、公正な裁判所等における慎重な検討の結果結論を下されるという経過を経ないわけです。教育委員会自体は、決定をして、その行政処分に付する権限を持つと同時に審査をする、そういう一つの役割をも兼ね備えておる。ここに私は、先ほど永田君はとろいじやないか、何をぼやぼやしておるというようなことを言われましたが、これは逆だと思う。これは慎重な立場において取扱いをしなければ、単に千葉のみの問題ではなく、他に大きな一つの悪例となる。あるいはいい例となる。そういう問題を提起する立場にあなた方はお立ちになつておる、こう私は思うのであります。従つてぜひひとつ、時間がかかりましても、十分この動機あるいは官公労組といつたようなものの性格ないしは佐久間事務局長の官公労組の中における立場、あらゆるものを総合されて、実質的にこの問題に対して判断を加える、そういつた行き方をとつていただかないと、形式的な法律解釈でやられた場合には、事はきわめて重大である、かように思いますので、要望いたしておきたいと思います。
#82
○浅井説明員 お答えを申し上げます。私の答弁が参議院の文部委員会で述べましたのと、本日のと少し違うというようなお考えがございましたら、それは決してそうでないのであつて、おそらくは参議院では違反の疑いがあると申し、きようは永田さんに対して違反しておると思うと言つた、その言葉のあやであろうと思いますが、これは正しく申せば違反の疑いがあると言うべきであつて、任命権者が断定しない前に、これを断定することはいけないのでありますから、これは当然に違反の疑いがある、こう申す言葉の意味であろうと思います。
 それから第二点といたしまして、従来人事院はこの人事院規則一四―七をどう扱つておるかと申されますならば、これに対する違反らしきものは従来といえども非常に多かつたのであります。しかしながら何分にもこの規則は、政治的行為を制限し、言論の自由その他を広範囲に取締つておりますために、人事院としてはなるべく慎重の態度をもつてこれに臨み、いやしくも行き過ぎのないようにやつて来たのでございます。今回と類似する事件も従来ございましたが、人事院といたしましても、任命権者といたしましても、一件もまだこれを問題にしたことはないと思つております。あるいは私の記憶が間違つておるかもしれませんが、一、二回注意を与えたことはあつたかとも思つております。
 第三点に、この佐久間君の責任は、官公労という新聞の特定の内閣に反対するという部分が、政治的目的を有する文章であるというような疑いがある、この点になつておるように考えております。
#83
○辻原委員 一つだけはつきりしませんので……。今の最後のお答えなんですが、吉田内閣打倒というその文章の表現の箇所だけが違反の疑いがあると断定して、結論を出されたのですか、もう一回お尋ねいたします。文章というものは局部を抜き出してはその意思というものは明確にならない。全体を通ずる流れ、あるいはその団体の決定事項を流すのであるならば、その団体の意思というものが少くともそれと合致しなくちやならぬ。これはそういう立場で判定を下されるのが妥当じやないか。肉の切売りのように、ロースの部分をちよつと切り、それがロースだからこの牛はほとんどロースだというお考え方で結論を出されるのか、そこのところを後日の参考のために伺いたい。
#84
○浅井説明員 その点を補足いたしますが、官公労組の内部において何をいたしましようとも、それは今の人事院規則に触れないことになつております。それか好ましいことか好ましくないことかは問題にならない。ただ問題になるのは、今の人事院規則におきましては、特定の内閣を反対するという政治的目的を持つ文書を発行したという点が問題になつておるのであつて、それはおかしいと仰せられればそれまでのことでありますけれども、ただその点が問題になるのであります。
#85
○辻原委員 先ほどどなたかへのお答えの中にも、それに触れられておつたと思うのですが、恒常的に出される内部の文書連絡、現にこういつた組合とか職員団体では情報とかあるいは機関誌とかいろいろな形で出ておると思いますが、そういう場合には、これは内部の意思の交換であつて、何ら政治的目的を有するとは解釈できない、しかしこの官公労組の機関紙、いわゆる情報というのはそれとは違うんだというふうな解釈に立たれていると、私は今の御答弁から受け取つたのですが、そういうふうに考えられておるのですか。
#86
○浅井説明員 規則では発行、頒布、これを違法と考えております。ただその具体的の場合に、よほど疑わしい問題がある、そこでその点が問題になるのではないかと言つたのであります。これは実際具体的の場合に当てはめるときのニュアンスの問題だろうと思つております。
#87
○川島委員長 本日は、参考人には酷暑の折柄長時間ありがとうございました。次会は公報をもつてお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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