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1947/06/28 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 文教委員会 第6号
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1947/06/28 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 文教委員会 第6号

#1
第002回国会 文教委員会 第6号
昭和二十三年六月二十八日(月曜日)
   午後一時五十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○教育委員会法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中耕太郎君) これから文教委員会を開会いたします。今日の議題は教育委員会法案の質疑の続行でございまするが、併し前回文部大臣に対して、学生の学内における政治的活動の件につきまして緊急質問がございました。その際時間が十分ありませんでしたために、質疑を続行するということにお話合で決りました、今日先ず文部大臣に対する右の案件につきましての質疑を続行いたしたいと思います。
#3
○岩間正男君 この前学生の盟休事件に連関しまして質問いたしたのでありますが、そのとき時間の関係上、十分に意を盡すことができませんでしたので、継続して質問を続行いたしたいと思うのであります。この前の私の質問の要点は、或いは私の申し方が拙劣なために、十分なその意向がそのまま受取られなかつた憾みがあつたかとも思うのでありますが、私はこの問題にタツチしまして、この問題をどうしても取上げざるを得ないというのは、実は現在の盟休はすでに全國各地に起つているのであり、而もまだその後の情勢を見ますというと、どんどん蔓延しておる。このような現象をこのままに放置して置くことはできない。而も学生諸君はそれを國会に解決を求めて、そうして続々と國会に陳情に参つておるのであります。このような実情に対しまして、我が國会は、殊に國会の最も文教方面を担当する文教委員会としまして、どうしてもこの事態を急速に解決するために、万全の努力をする必要がある、これが我々議員に與えられたところの当然なさねばならんところの一つの責任であると、こういうような観点におきまして、この問題を最も公平妥当に解決し、現在起つておりますところのこの学生不安を、一刻も早く除去するという重要な段階に到達しておると思つて質問をいたしたのであります。併し残念ながら、そういう意向につきましては、十分に当局にその意志が、果してそのまま取られたかどうか分らないような面もあるのであります。例えば先程でありますが、文部省の某次官に会いますというと、この問題について、十分に指導をして、いい方向に持つて行つて貰いたい、單に煽動することなくやつて貰いたいというような言葉を私は廊下で聽いたのであります。これは実に心外な氣持を味わつたのであります。我々はこの問題に対して、未だ指導をしたこともない。この問題に当初から関係はしていない。更に二十何ケ條に変更せられたという要求についても、実は知つていないのであります。ただ三、四日前から起りましたところの、学生のあの陳情運動に対しまして、私は学生諸君に会いまして、その実情をよく調査し、そしてその事態を眺めますときに、これをこのまま放つて置くことができない。何としてもこれを早急に解決するために万全の努力を我々はしなければならない。而もこの問題の取上げ方は、問題は非常に簡單なような形で現われておるのでありますが、この影響するところは非常に深刻であります。これは言うまでもなく、日本の將來を背負つて、そうして將來日本の指導階級を以て任ずるところの大学、高專の学生諸君の運動でありまして、この問題に対して十分な公平妥当な、そうしてこの國会の職能を十分に盡した解決が與えられなかつたならば、將來に対して残すところの禍根が非常に大きいだろう。どうしてもこの問題を正しい方向において解決をしなければならない。併しながらその正しい方向というのは、單にこれを監督し、督励する、それから何らかの意味でこれを取締るというような將來の観念においては、絶対にこの学生の問題を解決することはできない。この学生達が立上つておるところのこの氣持ちを、少くとも彼らの側に十分に入り込んで、彼らの考えておるもの、彼らの希望しておるものを十分に察知し、彼らと共にその希望というようなものについて十分に考え、そこに適正な判断を持ち、民族の將來、今後の学生達の在り方、こういうものについて十分に眞心を披瀝して、この問題を取上げるのでなかつたならば、絶対にこの問題の解決はない。こういうふうに考えられるのでありまして、この点について相当或いは見解が文部省と異なる点があるのかも知れないのであります。そこで問題の焦点に入りたいと思うのでありますけれども、文部大臣のこの前の説明によりますと、どうも学生の掲げておるところの目標は、非常に今日最初の授業料値上、育英資金の問題から離れて、政治的な方向、そうして学生の本分としては逸脱した方向に流れておるのではないか。このような形の学生の盟休事件に対しては、文部省は絶対に賛成することはできない、これに対して文部省の方針を堅持して、この取締りをしなければならないというようなことが大臣から答弁せられたのであります。併しながら私はその後の学生諸君の動き方、その動向をよくよく察知して見まするに、このような問題の取上げ方によつては、この問題の根本的な解決はあり得ないのではないかというふうに思うのであります。言うまでもなく、学生諸君の最初掲げましたところの要求は、授業料値上と育英資金の問題に限定されておつたと思うのであります。そうして数次の当局との交渉が進められまして、とにかく五月十三日までは、この方面の現実的な面だけで進められた筈なのであります。併しながら、これに対して何ら具体的な返答を聞くことができなかつた。こうして決裂のような形に入りました。当然学生達がこのような文部省の態度に遭ひまして、とてもこれはこのままでは解決はできない、そういう立場からしまして、彼らはもつと廣汎な教育復興の面において根本的な解決を考えなければならないというふうに段々とその視野が拡がり、そういうような方向に伸びて行つたことは、これは間違いのない事実だと思うのであります。
 ここで私は学生のために、学生諸君の大体の在り方を見たいと思うのでありますが、学生諸君は、戰爭中どういうような生活を送つて來たか。これは言うまでもなく、恐らく今の大学生諸君は、工場の勤労奉仕というような形で、殆んど学業を奪われた形で進んで参つたのであります。それから又彼らの生活は、戰爭一本に歪められて参りまして、言わば青春を奪われ、或いは青春を掠奪されたような形で、実に蝕まれたところの生活状態で今日まで参つた、從つて、終戰後、彼らは非常な虚脱に陷つて、そうして尚その虚脱の中から一つの光を求めて学業を継続しようと、こういうふうに考えて、いろいろな努力をやつておるのでありますけれども、この前も申上げましたように、学生生活の崩壞、並びに学生諸君の立つておるところの父兄の階級層が、非常に今日変動しまして、そういうことにおけるところの経済不安と連関した、こういうような一連の関係におきまして、学生の生活は非常に根本的に破壞されておる。これは万人の認めざるを得ないところの客観的な事実なのであります。從つて、彼らは何とかこれを本当に温い國家の施策、当局の文教施策というものに頼つておるのである。併しながら、それに対して十分の報いがなされない。そうして言わば冷淡な形でこれが決裂の状態に導かれた。その結果当然青春の血に燃えるところの学生諸君が、これに対しまして、今言つたような方向を取りまして、大きないろいろな問題を拡大させ、そうして盟休というようなところに追い込まれて行つた。この心理状態を私ははつきりと認めることができるのでありまして、ここに言わば学生の盟休事件は、学生諸君のこの当局の措置、並びに今学生諸君に與えられておるところの社会の仕打に対するところの悲しい一つの、何と言いますか、身を以てするところの抗議であると私は解釈されるのであります。こういう観点から、この問題を解決するためには、どうしても十分な、ここに親心を以てこの問題を取上げ、学生諸君の陷つておる問題に対しまして、先程申しましたように十分に学生側に立つて、学生の内面的な動きの中にあつて、この問題をキヤツチして、そうしてこれを解決するというような方向を取られない限り、この問題の本当の解決はあり得ないと思うのであります。そういう点におきまして文部大臣が、その後の学生運動を……私もこれは完全な形で進行されておるとは思つておりませんが、見ますというと、その中にはつきりとした指導者ができ、それから十分なこれの組織を持つて、この運動は展開しておるように見受けられない面が実際存在するようであります。併し、だからして非常にそのやり方が完全だとは言えないのでありますが、その不完全から起る、併しその不完全な様子を取つておるもの姿の中に、今日の学生諸君が落されておるところの姿があるのであつて、こういうような点に対しまして、これを親心の面から取上げるならば、これに対して十分な同情、その不完全な面に対して温かい指導の鞭が加えられなければならないと思うのであります。併しながら、かようなことがなくして、單に学生諸君の運動は政治的な逸脱である、彼等は学生としての本分に外れたところの行爲を取つている。このような点に学生として本來意図するところの問題から離れたような解釈、いわゆる学生運動の面だけ取上げて、これを公表するというような形におきましては、この問題の解決は絶対あり得ないと思うのであります。こういう点からしまして、当局の今日学生運動に対して持つておられる見解そのものに対しまして、私はここに十分なる反省を切望せざるを得ないのであります。こういうような態度であつては、この問題は解決つかないのであります。私はむしろ学生諸君が、若しも不完全な逸脱した方向を取つておるとするならば、文部省がこれに対して、完全な正しい指導の方向を與えて、この問題を解決するように努力することこそが、文部省の取るべき教育的な立場ではないかというふうに考えるのであります。私はその後学生諸君とも話合い、彼等に反省を求むべきところは十分に求め、更に不完全な点については相当な苦言を呈したのでありますが、君達の運動は、この前文相に対する私の質問によつて明らかにされたけれども、相当君達の本旨から離れて解釈されておる面がある。どうしてもこれを君達の本來の望んでおるところの現実的な問題にはつきりとここで整理する必要がある。そういうようなことを話合つておるのでありまして、このような点につきまして、学生諸君は、私のかような一つの忠告に対しまして、これを諒として、今日先程話合いましたところによりますというと、問題を現実的な方面にここで整理して來た。それでここでも申上げますというと、学生諸君が今考えておるのは、授業料の値上に対しては反対する、それから育英資金に対するところの増額の問題並びに運営の問題、それから鉄道定期券の……、これはまあ三倍半値上が現在立案されておるのでありますが、これの据置き、それから私学の立場におきまして、私学の復興に対する融資を十分にやつて頂きたい、この四ケ條に現実的にこの問題を整理して参りました。あとの教育復興の問題とか、教育委員会法案に対するところの修正意見とか、いわゆるこの前文相によつて政治的な逸脱であると言われた問題に対しましては、根本的には教育復興の面において、これを切望したいけれども、併しこれが現実的に今どうなる、これが直ぐどうならないからどうだというようなことではないというような意見が、先程十数人の代表諸君と会いました際述べられておるのであります。こういうような点から考えまして、この問題を文部省が單に監督の立場から、文部省の体面を維持する立場から、これに対して逸脱した学生運動の過つた方向を指摘して、これを社会に愬える、そうして若しもそのような行動を尚継続されたならば、これを処分するというような高圧的は態度によつてなされるということは、非常にこれは正しくない方向だと私は断ぜざるを得ないのであります。言うまでもなく、これは文部省自身の、身から出た錆とも言える問題ではないかと考えられる。親と子の関係において考えるならば、これを監督し、これを指導するところの文部省の責任はそのままにして置きまして、その不完全な行政の面から起つたところの、その結果についてこれを指彈し、これを処分するというような方向のみによつて、この問題を解決することができるであろうかどうか、むしろ文部省自体が、このような盟休事件を起したこの問題に関して、何と言つてもこれは公平な立場から、我々國会の立場からこれを眺めますときに、学生諸君、これを処分するならば、当然処分されるような状態、今日のような悪い状態に陷してしまつたところの文部省自身の責任が、むしろ糺彈されなければならないと思います。こういう点におきまして、私達はこのような、いわゆる問題の核心に触れないところの、これを内面的に把握して、十分にこの運動を正しい方向に、指導する方向を持たないところの措置に対しては、賛成することはできないのであります。こういう点から、私は今の学生諸君の一つの問題の整理、この四つの観点、こういうような現実的な整理の方向に立ちまして、この問題を文部省は急速に解決すべきではないか。この問題に対しての全面的な努力をして、現在取つているところの、そうして又蔓延しつつあるところの、このような学生諸君の不安に対して、十分にその現実的な解決をすべきである。更に今後の一つの文部省の熱意が十分に與えられるならば、この学生諸君、私も今までタツチして参りました範囲内におきまして、恐らくあの純心な学生諸君は、これに対してこの態度を諒とするのではないか、こういうように考えられますので、この問題に対しまして、果して大臣がどのように考えておられるか。とにかく問題は、現在現実に起つているこの問題を、何とか急速に解決するというこの点に臨まれて、私は大臣の答弁を願いたいと思うのであります。
#4
○堀越儀郎君 ちよつと大臣の答弁の前に、岩間君にお聽きしたいことがあるのですが、よろしゆうございますか。
#5
○委員長(田中耕太郎君) 結構です。
#6
○堀越儀郎君 岩間君にお聽きしたいのですが、岩間君が今述べられましたうちで、学生のこの運動が四点に局限された、整理をして取られたという御意見でありまするが、それは全体の学生運動がそうであるのか、或いは岩間君の接近される学生の意見がそうであるのか。私が実際に関西の学生大会なるものの状況を調査して参りましたところでは、その問題については殆んど触れないで、主として政治問題であり、教育委員会法に、今のうちにそれをしなければ大変な問題になる。若し万一通るようなことがあるならば、これは今後修正されるまで盟休を続けようというような決議を、現在関西の生徒大会でやつておるのであります。そういう方面にすべて連絡があるのか。岩間君が今言われた学生の運動が、單に学生自身の立場に帰つて、言われるような條項に限るようになつて來たのか。その点一つ伺いたいと思います。
#7
○岩間正男君 私は関西の実情についてはよく承知しておりませんけれども、運動の過程におきましては、この要求が貫徹されなければ、段々とそのような強い決意に傾いて行くということは、これは生き物の運動でありますから、そのような情勢もあり得たかと思います。併しながら今日私が会見いたしましたのは、実は今日の午前中に、学生の代表の諸君と、それから文部大臣との会見が予定されておりまして、その代表の諸君が見えての話なのであります。それで午後四時から五時と言いましたが、その間において会見されるその代表達の意見として私は聽いたのでありまするから、恐らくこれはそういうような地方的な実情で、今までの状態はあつたかも知れませんが、今日の情勢においては、そういうように私は察知しておる次第であります。
#8
○堀越儀郎君 それでは岩間君が言われるように、全國的に一齊にはやつておらないけれども、地方的にやつておる運動が、すでにあなたの言われるような條件に全部制約されるのだという、あなたは御確信をお持ちになりまか。私の憂うるとことは、あなたに接近しておられる一部の学生はそうであるかも分らん。けれども、地方に分散しておる学生の行動は、必ずしもそうじやないのじやないかという、私は観点に立つのであります。その点を案じますから、もう一遍念を押したい。
#9
○岩間正男君 私としましては、とにかく現実的な問題としてこれを解決しなくちやならないし、そうして十全の措置がとられ、又文部省の誠意、更にこの学生生活に対して十分な社会の本当に熱情が起つて來たならば、恐らくそういうような学生諸君でも、こういう方面について諒として、そうしてこの運動を解決に導くように努力するのじやないか、こういうふうに思つております。
#10
○矢野酉雄君 僕も岩間君にお尋ねしたいと思いますが、実はこの前の岩間君の質問において、何月何日には何ブロツクのストライキをやる、何日には全國ストライキをやるというような、実に具体的な学生ストライキの運動について、あなたはここで明言されたのであり、実はあなたが非常にタツチしておられると、私はそれらの材料のみによつて実は推断したのであります。今日その学生運動にあなたがタツチしておられないというようなことを、ここで言明せられましたので、私はそれを非常に喜んだわけでありますが、併し、今度はその言明と全く反対な沢山な、教育委員会法その他二十項目になんなんとするところの学生諸君の要求が、どうもそれではいろいろ逸脱しておるふうもあるから、これに警告を與えて、更に四つに整理せしめたというようなのは、正にこれは岩間君自身の立場から、学生運動の中に自ら挺身せられて、そうしてこれを指導せられて、本文教委員会の問題にせられておるのは、これは嚴然たる事実であります。それと前のタツチしていないという問題の食い違いについての岩間君の御所見を承わりたい。
 第二点は、我らは國権の最高機関であるけれども、三権分立の根本思想に則つて、行政の実態を我々は把握することはできない。我らはこの文教委員会において、何を行政府たるところの文部大臣に対して、どういう程度の処置をさせようというのか、或いは又文教委員会が特別の何か一つの処置に出でて、この学生運動を円満裡に終結せしめんとするのか、ただ文部省に決意を促し、猛省を促し、反省を促し、これを鞭撻して、そうして文部省自体、行政府としての責任ある処置をさせようというような御意図であるか、この二点についての御意見を承わつて、私もこの問題について質問をし、又文部省を鞭撻したいと思つておる次第であります。
#11
○岩間正男君 お答えいたします。第一の学生運動にタツチしていないのに対して、四つの條項にこれを整理さした。そういうことが矛盾ではないかというお話しでありますが、私は國会議員の立場としまして、これを國会において問題とするには、少くとも現実的な問題でなければできない。例えば予算八百億というものを取ろうとしたつて、これは君達が百日仮にストをやるにしたつて、この問題は貫徹できないという情勢にあるのだということを私ははつきり説いて、だから現実的な問題で、君達の問題を率直にこれは貫徹するように努力したらいいじやないかというようなことをしたのでありまして、私は國会議員の立場において、これに対する一つの意見を申述べることは、これは当然指導であつても何でもいいのでありますが、現実的に問題を解決したいという観点からなされたのであります。
 それから第二の件でありますが、これは文部当局の意向を伺つて、若し同僚諸君が賛成して下さるならば、これを我が文教委員会の一つの決議としまして、そうして一刻もこの教育不安を解消するために努力したいという熱意を持つておるのであります。
#12
○左藤義詮君 岩間委員にお尋ねしますが、先日お会いになり、今日お会いになつて四ケ條に整理された、その代表というものは如何なる組織の、如何なる代表でありますか、ただ十数人の学生の有志でありますのか、或いは全國的、或いは東京だけの何かの組織を持つた、或る資格を持つた代表でありまするのか、その点をお伺いして置きたいと思います。
#13
○岩間正男君 これは文相に面会すると言つて参つております今日の代表ですね、今この盟休運動の中心部ですが、それは東大の中に置かれておりますね、そういう人達との連繋で参つておる代表であります。
#14
○左藤義詮君 そうすると、全國的に地域スト、或いは全國ストなどを計画しております全國的な一つの組織、それの本部が東大にあつて、その全國的な組織の代表が文相に会見をする、それに岩間委員が事前にお会いになつた、かようなわけでありますか。
#15
○岩間正男君 そうです。
#16
○左藤義詮君 さよういたしますと、その組織が二十一ケ條の要求を携え、先日のごときは革命歌を唄いながら議事堂の周囲を行進したのでありますが、その大きな組織の代表者が、今日岩間委員と会見をして、二十四ケ條の要求を四ケ條に改め、運動の方針を根本的に改めたということは、その組織において全國的に十分の徹底をするように、下から盛り上るように、民主的に十分の議を盡して、そうしてこの大きな運動の方向轉換をいたしたのでありまするか、或いは今日岩間委員の御注意によつて、十数人の人が卒然としてフアツシヨ的に、それだけの人の岩間委員とのお話しによつて改めたのでありますか。これは今後のストなどの動きに非常に影響すると思いますから伺つて置きます。
#17
○岩間正男君 お答えします。僕は組織の中心と話しておるのではなく、國会に來られた代表と話しておるので、その中心の動きについては具体的に知りません。だけれども、出て來て今日文相に会う、こういうような代表については、これは十分に本部と連絡があつてなされたことだと思うのであります。それからこういうようなことを話したのは、何も今日私が話したのじやなくて、当初参議院に参りました時に、これは四、五日前になりますが、その当初から私は、とてもそんな廣汎な目標を掲げたつて通るものじやない、そのことを私は今までの教育予算の確立のために努力して來て、はつきり自分の体驗を通じて、君達に話しているのだと言つて、その当初から話しておる次第でありますから、その結果学生達が相談しまして、このようなことを今朝私に話されたのであります。
#18
○左藤義詮君 只今の岩間委員の御説明では、今、全國的に問題になつております学生ストの運動につきまして、眞に全國的に神経の通つた、連絡の取れたその運動の代表者が、各全國に徹底するように十分民主的に連絡をして、この運動方針を根本的に改めたというふうに確認するのには、まだ相当な事実を確かめる必要があると思うのでありまして、私はこの段階においては、我が文教委員会が、只今岩間委員の数人の人とお会いになつた結果によつて文部大臣の答弁を求め、文教委員会の態度を決めることについては、もう少し愼重を要するのではないかと思います。
#19
○岩間正男君 これは問題の急速な解決を我々は熱望しているわけでありまして、そのような意思表示をなされたのを一つのきつかけとして、この問題を解決するような方向に導いて行くことが非常に重要だと思います。これは代表が正式代表であるかどうかということは、これはまだ院内にその代表が見えておるようでありますから、それが若し必要であつたら、文教委員会のどなたか行つて、その点をはつきり確められて結構だと思うのであります。
#20
○左藤義詮君 その点ならば、私はこうして斡旋をして下すつた岩間委員自身が、その点を確められることでありまして、その十分な根拠は、責任のある御発言でなければならないと思うのでありまして、打割つて申しますと、私は相当この運動は根強いのじやないか、或いは若し私共が疑いの目を以て見ますならば、或る特定の政党の私は指導を受けておるのじやないか、そういうことを深く岩間委員が御研究にならずに、全國的な大きな問題になつているその根本のところを突きとめないで、ただ数人の代表と折衝して、而もどういう組織から、どういうふうに出ておるかということが明らかにならないで、私は二十の問題が俄かに四つになつたということは、もう少し私はそこをはつきりしないというと、机上の空論になつてしまう、却つてそんなことは、おれ達は二十何ケ條を四ケ條にやつたことは勝手にやつたので、そんなフアツシヨ的なやり方は却つて私は問題を紛糾せしめる虞れがありはしないかと思います。もう少し岩間委員が、この委員会に提言なさるならば、はつきり岩間委員自身の責任において確かめて頂きたいと思います。
#21
○岩間正男君 これは問題の把握の仕方が、大分左藤委員とは私は違うと思うのでありますが、これが頭から、先程私が申上げましたように、一部の政党に指導されておるかどうかというような点でありますが、私はそういうふうにこの問題を把握することはできない。いろいろ言われておるのでありますが、非常なフラク活動が行われておる、ところが私は学生諸君に会いまして、何人もの学生諸君に会つたのでありますが、そういうものを見まして、そのような運動が、仮にフラク活動を取拂つたとしても、問題はなかなか終熄する問題でない。根強い学生の現実生活の崩壊から來ておるというように私は把握しているのであります。ですからこの問題を今言つたような見方、何と言いますか、これは私共、あなたが何か学生運動が、そういうものに左右されておるという先入感と言いますか、そういうようなことでこの問題を取上げて來ては、解決ができないと見ておるのであります。そこに根本的に左藤委員の見方との相違があると思います。從いまして問題の端緒を掴みまして、そのような意思が表明されておるのなら、それによつてやはりこの問題を收めて行くという方向に努力をして行く、何も端緒がなければ、この問題は相当並行線のような形でおるのでありまして、そういう点から申上げたいと思います。で、資格を確める必要がありますならば、早速にもその方法を取ればいいと思うのであります。
#22
○左藤義詮君 私共先入感でありますかどうか、若しそれならば先入感を改めるように、この運動の起つて参りましたその根本の経過、それがどういう組織になつて、どういうように全國的に提携せられたが、その代表がどういうように岩間委員にお話しをされて、四ケ條に改められたか、私共の先入感を拂拭するためにはつきり確認を願つて、この委員会で取上げる方が私は至当だと思います。
#23
○国務大臣(森戸辰男君) 岩間君のいろいろお話しがございましたが、一つ直接の御質問ではありませんが、盟休が現象として今日あり、而も蔓延の兆にあると、こういうようなお話しでございましたが、そういう傾向もあるけれども、現実には蔓延というような状態にはないのではないかと思つております。而もそれは当局としても調べておるのでありまして、新聞に出た数字は多少違うのでありますが、百二というのと、九十幾つというのと数字があつたと思うのであります。それで文部省ではそれらの学校に問合せをして見ましたが、三十二校でありますか、返事が來たのでありますが、そのうち二十七校だけが参加しておるのです。五校は参加しておりません。東京でも参加しておると言われているうち、例えば女高師であるとか、師範学校の女子部であるとかは、参加を止めたということであります。例えば新聞で京都大学が参加した、文科が参加しておるように書いてありますけれども、それはそうではありません。それでありまするから、新聞に報ぜられておるようなふうではないのであります。実際はそれよりは少いというふうに考えておるのであります。それから尚これらの学校では、学生の総体が民主的に決定して、かような爭議行爲に出たかと言いますと、必ずしもそうではないのでありまして、特殊の人々が、大体二割くらいの学生、総数の二割ぐらいの人が出ておるのではないか、で大部分の人は遺憾ながら出席しなかつた、全校の決を採つた明かなものは幾校でありますか、これは明らかに参加を否定しております。ややそれに以たのが京都大学で、学部の代表者が來て決めておりますが、これも否定いたしておるのであります。でありますから、若し公平に全学生の意図を問われたならば、こういう結果にはならなかつたのではないかと私は思つております。ただ学生がアルバイトが忙しい、又民主主義に対してもつと積極でない、自分の意思を勇氣を以て表明する、それだけの力が学生になかつたということが、こういうことになつたのでありまして、私はこのことが日本の学生が、大勢がその方向に向つておるとは存じておりません。併しこれは決して教育上軽視すべき問題であるとは私考えておりません。非常に重大視すべき問題であるが、この傾向が日本の全学生がその線に沿うて動いておる。又発展的な運動であるというふうには私は考えておらないのであります。それからこれは全体についてのお話しでございますが、文部省の態度が学生を爭議に追い込んだというようなお話しがあつたのであります。これにつきましては、学生が文部省に授業料の値上の問題を言つて來たけれども、文部省はこれを相手にしなかつたというような話、育英会の拡大等を申込んで來たが、これも相手にしなかつたという話であります。これは岩間さんなんかよく御事情を御通暁である筈でありますが、そういうことは、私はないと思う。どこでお聞きになつたか知りませんが、学生は文部省に成る程参りました。私共係官はいつも会つております。そうして、ただ学生に対しては、今日の日本の財政状態から、なかなか授業料の値上というものは止むを得ないのだということを返えす返えすも懇切に説明いたしているのであります。ところが來ている学生の全部でありませんけれども、一部の人人は遺憾ながら労働爭議でもするような形で問題を提出している、こういうような事情があるのであります。これは或いは御存じないかと思うのでありますが、そういう状況であります。
 尚育英会の問題は、そういう人々から聽いたこはありません。むしろ育英会は、私共は金持の学生もいる、場合によつてはインフレ成金の子供もいるかも知れない。それで大学の全体の値上を止めるというよりは、むしろ育英会の問題で困つてる学生を何とかすることが妥当ではないかということ、これは文部省の提案であります。これも誤解のないようにお願いいたしたいのであります。まあそういうようにして、いろいろ話ししまして、私共は学生の授業料の問題につきましては、一時に上げるのは氣の毒であるから、分納にしたらいいだろう、又拂えない人については適当な処置をすればいいだろう、更に困つている学生については、育英会の問題もあり、学徒援護会の方がアルバイトの斡旋にも努力しよう、こういうようなお話しをしているのでありまして、これが一体学生をストに追い込んだというふうに御解釈になるのであるが、私には了解できないのであり。このストが行われたのは、そういうことではないのではないか、むしろそういうことよりは、特殊の政府の文教政策等について、問題を構えるというような傾向が相当にあるのではないか、そういうところのものが、敏感な学生に非常な働き掛けがあつたということも一つの原因であつたので、むしろ爭議に追い込んだということについては、一面では、日本の今日の経済状態が根本の原因でありまするが、むしろ文部省以外のところにあればあるのではないかと、私は感じておるのでありますけれども、これは見解の相違でありますから、私のお答えというよりは、私の見解を申上げているのであります。尚文部省は誠意がない、親心がないから、こういうふうになつたのだというお話しでございます。文部省は取締をせよ、処分をせよと言つておる。これが学生をこうしたのだというお話しでありますが、私は親心というものは、正しい親心というものは、子供の言うことを何でも聞くことが正しい親心ではないと考えておるのであります。正しいものについては正しく聞き、又誤つておると思うものについては拒否することが、正しい親心であると存じております。そういう意味で、学生の言うことをその通りに聞かなかつたから、文部省が親心がないとは判断できないと思うのであります。私は文部省を何でも弁護するのではないのであります。親心についてはそう考えております。尚学生を取締れ、学生を処分せよと私は一言も申したことはないのであります。これは岩間議員はここで私の言葉をお聽きになつたと思いますが、一度として私はそういうことを申したことはないのであります。教育機関で、教育機関は教育機関としての取扱をしなければならんのではないのではないか。ただ警察署、裁判所とは違つた心で学生を取扱わなければならない。逸脱があれば指導し、矯正して行くというところに力を注ぐべきである、私はこういうように考えております。常にそういうことを言つておりまするし、文部省もその精神に副うておりまするので、ただ取締処分で学生を脅威していることはないと確信しております。尚現実の問題についてお話しがありましたが、私は学生諸君の代表に会うことになつておりまするので、そのときに承わるつもりであります。慢然と私は学生諸君にお会いするのではない、会いまする学生には、どこの学生で、どういう資格で、ストに対しての、どういう責任を持つている方々であるかということを明らかにして頂いた後に、お会いいたすつもりでいるのでありまするが、併しこれは予めそう申してあるのでありますが、爭議の今日行われた原因について、私は各学校に尋ねているのであります。この爭議の目標は、この間も委員会でも申上げましたように、授業料値上げというようなものは、どつかに隠れてしまつている、もつと廣い政治的な目標、六・三制完遂を初めとして、教育委員会法絶対反対というようなものも加わつた大きな、廣範な教育復興の目標を掲げているのであります。これが爭議の目標なのであります。爭議はそれで行われているのであります。これに対して私共は客観的に見て、この爭議は学生の眞情、或いは本分の上から逸脱したものであると考えられる、政治的なものと考えられる可能性が非常に多いのであります。そういう性格を持つておるのだと、この前に申上げたのでありまして、私は尚そう信じているのであります。そうしてそういう形で学生のストが行われるということは、学生に本分から逸脱したものと考えられやせんかというふうに申上げたのでありまして、今日も私はそう考えているのであります。具体的な問題が提供されますれば、これは又それらの問題として考うべきでありましようが、今日のところは、今日の爭議は教育復興という大きな廣い文政一般、或いは日本の戰後の文教政策一般に対する批判の形で現われておることは御承知の通りでありまして、これは岩間君も御関係の非常に深い日教組の全面的支拂の下において、こういうことを決議するということになつておりまするので、岩間氏もよく御存じのことと私は考えておるのであります。こういう形でありまして、私共といたしましても、教育復興ということについては、私初め文部省も、本文教委員会も全面的にこれを支持しておると思うのであります。ただこれが具体的な実現においては、その國の経済財政、その他の状態に制約されまして、思うように行かない点があるのは、私自身も痛感し、遺憾に存じております。ただこの教育復興という目標を、政治的な学生の全國的なストによつて実現して行こうという考え方については、文部省といたしましては、これは甚だ不穏当なことである、こういうふうに考えておるのであります。学生の本分に背くところがあるのではないかと思つておるのであります。而も社会、その他にもそういう見解が、輿論にも現われておると思うのであります。或いは学生はそういうところで段々と反省をいたして参つて、岩間委員の言われたような考えにもなつたこととは存じますが、併し若しそうであつたといたしますならば、それは私共はつきりと、これは学生の本分を逸脱したものであるという明瞭な態度が反省を促したのではないかと存じております。こういう態度を曖昧にすることは、決して学生に対する、学生運動に対する同情では私はないと思うのであります。そういうような形で、私共この態度につきましては、学生は十分反省されて然るべきものであると存じておるのであります。從つてこういう学生の教育復興に対する熱意を持ちながら、誤つた方向を取つた多くの学生に対しては、私共は殊に良識を持つた学生の精神に愬えて反省を促し、そうして私は彼らが正しき道に帰るということを信じておるのであります。ただこの中にあつて、一部特殊の目標を持つて運動をするような人が万が一あつたならば、そういう者については、これはいつまでも反省を知らないというときには、場合によつてはいろいろ考慮する点もあるかと思いまするが、併し今日のところ私共は学生と学校当局に信頼いたしまして、教育機関にふさわしく、又教育を受ける者、なす者にふさわしき処置によつて、本問題が解決されることを期待しておるのであります。
#24
○柏木庫治君 森戸文部大臣に再びお尋ねいたすのでありますが、極めて常識的なお尋ねなんでありますが、私は教育基本法の第八條の指し示すところについてでありますが、お尋ねいたす第一は、学校とは何ぞやということをお尋ねしたいのであります。生徒の全然ない学校があり得るのか、生徒と離れた学校が存在するのか、これはお尋ねいたしたいのであります。それは学校に生徒が政治結社を作つて、これを行動に表わしてよろしい、学校がやつてはいけないが、生徒はやつてもよろしいという文相の解釈と、私の解釈とは全然違うのであります。私は生徒が学校内に政治結社を作り、行動をいたしましたならば、その生徒は自由党でありますならば、自由党の政策があり、共産党ならば共産党の政策があり、社会党には社会党のはつきりした政策がありますので、これが團結をして行動するということは、法律に定める学校は、特定の政党を支持し又はこれに反対するための政治教育、その他政治的活動をしてはならないという、こういう定めをいたしました根本精神に、実際問題として私は反すると思うのであります。生徒がやることであるならば、学校とはそれは関係がないのだ、学校とは別だと申しますならば、生徒が今街頭に立つていろいろの商賣をやつておりますが、あれを学校内で仮におでん屋を開業いたしましても、生徒がやつておるのであつて、学校がやつておるのではないとはつきり言い得るのか、私は学校というものを私の常識から考えまして、校舎があり、教師があり、生徒があつて、その一つがなくても、実際それは生きた学校ではないと私には考えられるのであります。何故私がこの点をしつこくお尋ねするかと申しますと、私の見るところ、今度の学生の盟休は、私は文相が学校内に政治結社を許し、それでその自由なる活動を許したということ、許しておるということが、私は一番この起つた根本の原因であると実は見ておるのであります。政治活動を許すならば、その政党の政策を揚げて、若し学校が三政党に分れて、生徒全部があすこで政治活動を、支部を置いて爭うようになつたときの学校教育が、学校らしい教育ができるかということについて、文相の所見を伺いたいと思うのであります。もう一つお尋ねいたしたいことは、それは文相と私との結局理解の相違だ、文相は学生が結社を作つて、政治活動を大いにやつてもよろしい。併し学徒の本分を逸脱してはならんと申しますが、学生の本分で許された政治活動とはどの範囲を指さすのであるか、逸脱したということは、どこを言うのであるか、若し自由党が六・三制を絶対支持いたしておつたならば、自由党の活動を許された生徒が、六・三制絶対実施ということは、少しも逸脱ではない。これは許された範囲内の行動を私は逸脱であるとは考えられないのであります。今一つお伺いいたしたいことは、これは私は素人で何も分らないのでありますから、文相の良識にお尋ねいたすのでありますが、文相の解釈と私の解釈と絶対違う。文相はそれを解釈通りにやつておる、私は議員の一人として、それは許されないと思う。文相の解釈と私の解釈を、どこにこの問題を持ち出して正といかという爭いをするとするならば、どういう方法を採るべきかということもお尋ねいたしたいと思うのであります。
#25
○矢野酉雄君 やはり教育基本法の第八條の解釈について、今柏木議員から凱切な質問がありましたが、その前に私は、一体現在の各官公立大学、私立大学とにおいて、法律でいわゆる認定せられた学校内に、或る一つの政党を標榜して、一つの團体組織を作つておる、その政治團体がどれだけあるか、御被露願いたい。
 それから、この前の文相の答弁によるというと、今柏木議員の質問のごとく、第八條と全く矛盾するような答弁をしておるのであります。これは私の所見になりますが、質問に所見を加えますが、この解釈如何によつて、今柏木君の言うごとく、いわゆる学生運動というものが、盟休による運動というものを是認せなければならないような、最前岩間君の質問に対して答弁せられたような、文相のその答弁は、みずから矛盾したことを結局結論付けるということになると思うのであります。今日の毎日新聞における学藝欄の「最近の学生運動、厚生の思想の二途」、学生を牛耳る一部の力というようなのは、これは文部大臣は御覧になつたと思いますが、いわゆる一つの政党に賛成をし、賛成する者は必ず他の政党を排撃するのでありますから、これは基本法八條の前段と後段の、共に相反するところの政治活動と私はなると認定する者でありますが、文部大臣の前回の答弁は、この教育基本法を、みずから文相自身が蹂躙したというようなふうにも私は解するのであります。
 それから次の質問、並びにこれに附加えての意見といたしましては、私の考えは、殊に参議院はアツパー・ハウスとして、如何に政界が混乱し動揺しようとも、常に一段高き立場から、その正しき政治の動向というものを指示する、唯一の憲法上、政治上の使命を與えられていると思うのであります。怒濤のごとき大衆が、よし押寄せても、その大衆の動きが誤謬であり、逸脱した場合には、断乎としてこれを是正するという一つの政治的氣魄と信念を持つのが参議院でなければならんと思う。正しい大衆、國民のその眞実の声が、よし一人の声であつても、それが妥当なものであるならば、我が参議院というものは、断乎としてこれを國民大衆のために法律に、或いは予算に具現するように、我々は全力を傾倒して行くというような立場を、参議院としては取るベきだという政治的見識を持つものであります。そういう意味からいたしまして、文部大臣の今回の学徒ストライキに対する、只今までの説明の大体の方針においては、むしろ賛意を表するものであるのにも拘わらず、学生の政治的團体行爲としてのその行爲を是認して、教育基本第八條と矛盾するかのごとき見解を取つていらつしやる限りにおいては、文相自体の頭脳を三百六十度轉回しない限りにおいては、(笑声)必ずこうした種類の学生運動が、必然的に展開するであろうと、私は心配するものであります。
 それからこれは私は岩間委員に対して所見を述べますが、いわゆるその澎湃として起つている、という言葉は、決して御説の通りに單なる形容詞でなくて、十分に私達はこの問題を重視しなければならない大事な問題であるということに対する認識、又その学生運動のいい方面を強く認めて、そしてそのよきを助長されて行くという根本的態度に対しては、私は岩間君の御説と同感であります。又文部省自体がこれに対して、処罰主義を以て臨まずして、みずからの責任を顧みて、これを善導するという態度も亦私は是なりと認めるものでありますが、いわゆる毎日新聞にも出ておりますような組織ある、而も一部の明かなる政党の指導精神が、この中に十分に内包せられておるということが、この一種の常識にまでなつておるこの際、その指導によつてできている一つの大きい二十一ケ條の要求が、岩間君御自身の御面会によつて四つにこれが圧縮されて、そうして最も実現可能であるという方法に向けられて、学生と共にこの運動に当られるというようなこの態度に対して、私はここには相当考慮を要する必要はないかと思うし、又二十一ケ條、それが四つに圧縮されるのが、僅かに一時間か二時間の間の会見によつて、そうして全國的の運動としての学生運動の結論となつて、その四つの点に向つて力を結集して行くというような動きは、正に最前同僚議員から質問のありましたような、一種の組合運動その他のフアツシヨ的な明かなる事実であつて、私は軍閥横暴の時代に対しては、その是正を絶叫した者の一人でありますが、又組合運動が軍閥横暴に代つて、いわゆる組合横暴というような動きで、現在の敗戰後の、將にバルカンのようになろうとしておる日本を救済することは絶対にできないと思いますので、やはりこれらの運動は最も民主的に指導するというふうに、私達の態度をむしろ第三者的立場から取らなければならんというような所見を持つておりますので、この点むしろ岩間君の御意見を承わりたいと思う次第であります。
#26
○國務大臣(森戸辰男君) 柏木委員の御質問並びに矢野委員の御質問の点でございますが、教育基本法第八條にある「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。」続いて問題の点であるところの「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」ということの解釈でございます。私は先の委員会に、これは教育機関としての学校の教育に対して取るべき態度を定めたのである、で教育の中立性ということを規定したものである、こういうように考えておる者であります。勿論教育機関でありますから、学校の教師、生徒、設備を離れて教育機関は存在いたしませんので、こういうものを離れた抽象的な教育機関はございません。併しこの三者、先生と生徒と一定の設備とを持つた教育機関が教育に対して取る態度は、一定の政党、特定の政党を支持したり、反対するような政治教育や政治活動をなしてはならん、法律の支配外にある学校は、例えば共産党の教育を中心とした学校であることは御承知の通りであります。同時に社会党、民主自由党、民主党、かような特殊の政党的な立場を取ることは許されないのであります。これは学校の教育機関としての教育に対する態度を明らかにしたものでありまして、これを構成しておりまする教師、生徒がその機関の活動をする以外の場合におきまして、全面的にこの制約を受けるものとは考えられないでありましよう。で、ありまするから、教師或いは一定の学年に属しておる生徒が、特定の政党に属し、政党についての政治教育を場合によつては施すというようなことがある場合もあるかも知れませんし、又選挙運動等の政治運動に携わることがあるかも知れませんけれども、それについては必ずしもこれを禁じておるわけではないと私は考えておるのであります。併し一定の教育機関に属しておりまする者は、教師としての本分、又は学生としての本分がありますので、その点でそれらの活動については多くの制約を受けることは当然であります。場合によつては法制上の制約もある。又恐らくは行政的にもいろいろな問題があるであろうし、殊に道義的には多くの制約というものがあることはお分りであろうと思うのであります。殊に学内におきましては、そのことが、一段と強く現われて來るのは当然であります。学外におけると違うことは、学内におきましては特別に教育機関の活動と密接な関係がある場所であるからであります。併しこの場合にも、政治的な活動が全然個人として、又部分としてできないかというと、必ずしも私は八條の解釈の上から、当然できないとは私は解釈しておらないのであります。併し他面これは学校は教育の場所であり、学生であり、教師であるという本質から、多くの制約が加えられるということも当然考え得るのでありまして、例えば政党の活動という方面におきましても、研究の面において現われ得ることも考え得るのであります。こういう一定の政治的な線に沿いながら、研究を目的とした團体というものが、学内に形成され得ないかというと、これは形成されて差支えないのではないか、これは特殊の宗教についての中立性を持つておりますけれども、宗教的な拂教とか、キリスト教とかいうようなものが研究その他の形で、研究材料を持つておるのと同じであると私は思うのであります。
 ただこれがそういう研究という教育の場にふさわしい範囲を逸脱した運動になりますると、研究と教育の場所である学校を政治鬪爭の場面とし、政治的な混線の場面とする危險もある。それがために教育の場としての教育機関の使命達成に支障を生ずる虞れがありまするので、そういう場合には学校責任者はそれらの運動、或いは團体に対して適当な処置を取ることができると、こういうふうに私は考えておるのであります。それからこれに関連してでありますが、一体政治結社を認めておるから、今度のような問題が起るのではないかというようなお話しでありまして、これは文部省が認めるのではないのでありますが、学校当局の問題でありますけれども、政治結社を眞正面から政治結社として承認した学校は一つもないと思つております。ただ併し政治結社のあるなしに拘わらず、かような運動が起つておるということが、ただ表面的に政治結社をどうするかということとは別な観点を以て、この問題の解決を要請しておるのではないかということも考えて頂きたいと思うのであります。矢野委員の御質問で、どういう團体があるであろうかということでありましたから……
#27
○矢野酉雄君 これについては何がありますか。
#28
○國務大臣(森戸辰男君) 私のこれは数字的には極く……後の機会に譲りますが、私の頭に浮びますものは、共産主義青年同盟、これは明かに共産党の線に沿う、直ぐに共産党の組織とは申されないかも知れませんが、共産党の線に沿うものであります。これは相当にあると思つております。それから社会主義学生同盟というのがあつたと思います。これは必ずしも社会党の線だけではないらしいのでありまして、やや複雜なものを持つておりますが、社会主義を研究する團体であります。こういう二つの浮ぶのでありますが、その他多少いろいろな種類のものがあると思つております。それから………
#29
○矢野酉雄君 学校はそれを認めておつてよろしいのでありますか。
#30
○國務大臣(森戸辰男君) 学校は研究團体としてそれを認めております。
#31
○矢野酉雄君 八條に反するような團体が各学校にないのでありますか。
#32
○國務大臣(森戸辰男君) それは研究の團体として認めておるのであります。研究の團体としては差支えないと、こういうことであります。
 それから第二の点で、若し柏木委員の解釈と我々の持つております解釈との違いの場合には、どこで規定するのかというお話しでありましたが、この点につきましては、むしろ法律家にお聽き願うことが適当だと思います。私共の研究は、その問題の最後の決定は最高裁判所であろうと考えておりまするが、ともかく私共現在の大学その他において取られておる立場は、こういう解釈の下に学校の行政が行われておるのであります。
#33
○柏木庫治君 今の質問に対しまして関連しているのですが、今の続きです。研究機関としてというお話しがありましたが、学問の研究が自由であることだけはよく分ります。そういうことをお尋ねいたしておるのではないので、学生が政治團体を……、簡單にお尋ねいたしますが、学生が学内において政治團体を作り、そうしてこれを行動に移してもよろしいというのが文相の答弁であります。私はそれは第八條に牴触するというのが私のこの解釈であります。それから文部大臣は、学生はその学校において政治團体を作り、これを行動に移してよいということと承知いたしてよろしいのでございましようか。もうその常識とが逸脱とかいう言葉を除きまして、これをいい悪いをはつきりお答え頂きたいと思うのであります。
#34
○國務大臣(森戸辰男君) それ程問題を單純ではないのです。学生の政治行動について、学内において政治的な行動もできるけれども、それには限界がある。こういうことであります。限界の下ではできるけれども、無制限ではない。こういうことであります。これは非常に違うのであります。絶対に政治行動が、何でもできると私は申しておるのではないのであります。これはそう單純に問題を採上げられては、問題の捉え方に、いろいろな錯誤ができるのであります。
#35
○岩間正男君 私に対して矢野委員の御質問がございましたのでお答えいたします。矢野委員は学生諸君の要求が、二十一ケ條が僅か一時間ぐらいに四ケ條に変えられた。そのようなやり方は非常に非民主的である。そうしてこれに対して独裁的なものがこういう運動にあるのではないかという、そういう御趣旨で私に質問されたようでありますけれども、私はそのようなことは少しも申しておりません。第一に私がそのような意見を申述べたのは、先程申しましたように、五、六日前のことであります。そうして又私の意見がそれ程過大であり、それ程私は学生諸君の運動に対して大きな発言権を持つておるなどと自惚れたことはございません。併し恐らく國会議員としまして、殊に一つの自分の見解を、これらの要求に対しまして、自分の意見を述べるということは、これは我々の責任から逸脱した行爲ではありません。その問題を学生諸君が取上げられて、ここ数日の間にどのような経過を辿つたかは知りませんが、この目標について十分討議して、このようなことが決定されておるのであります。この点について何ら私の行動に対して、この学生の組合に対して、強力なる意見を申述べてこれを指導したというような御懸念は、ここでお解きになつて頂きたいと思うのであります。尚その後一緒に運動しておるというような話でありますけれども、これは学生諸君の行動に対して、私の政治的見解によつて正しいと思う運動は、これを私が当然取上げまして、これを院内において闘うということは、これは何ら拘束されることではありません。併し一緒になつておるというようなことは、これは解釈の仕方によつて違うのでありますが、何も私は学生諸君と一緒に行動しておるわけではありません。私自身の政治的立場におきまして、この問題を学生諸君は関連して私のところに陳情に参りますからして、この問題に対する自分自身の與えられた適当な措置を取つておるのに過ぎないのでありまして、これは恐らく矢野君においても同じであろうと思いますが、例えば引揚者團体が参りまして、こういう要求を取上げて呉れ、そうしてあなたが妥当とされるならば、当然その問題について十分な努力をされることであろうと思うのであります。そういうような意味での、一緒になつてやるということであるならば、私も一緒になつてやつておるということがお答えができると思うのであります。以上でお答えは終るのでありますが、先つきの文相の御答弁に対しまして、実は私は直後に御質問をいたしたかつたのでありますけれども、併しその順序が頂けませんでしたので、重ねまして簡單に質問を、先つきの問題に戻してやりたいと思うのであります。文部省は今まで非常にこの学生運動に対して親心を盡してやつておられた。そうしてだから今度の盟休事件が起つたということは、何ら文部省の責任ということには考えることはできない。勿論この責任の主体は別なところにあるのではないかというようなことを申述べられた。併しこれに対しまして、私は承服することができないのであります。文部省は今までの措置の中に、もつとこれに対して熱意を持つて努力すれば打開される面があつたのではないかということを私は感ずるのであります。これは何も單に私だけの見解ではありません。只今文部省のこの問題に対して相当な深い関係を持つておられました方から、私は懇談的に伺つておる。若し文部省がこれに対して、從前から三倍でなくても二倍乃至二倍半とかいうような措置を、大藏省との折衝において十分にやつて、そうしてこういうものが軽減されたならば、今度の盟休のようなものは未然に防がれたであろうということの見解を、はつきりこの耳に聽いておるのであります。そういうようなことから考えますと、文部省の中におきましても、そういう見解を持つておられる方がないわけではないのでありまして、そういうことから見ても分るのであつて、この文部省の今までの動きの中に、十分に今までの行動についてこれは批判され、そうして檢討される部面があるのではないかと思うのであります。幸いに文相の御答弁によりますと、この学生の運動に対して学生を処分するということについては、未だ一と言も言つたことがないというような御見解が表明されましたので、私はこの点に対して当然そうあるべきであると思つて、非常にこれに対しては賛意を持つ者でありますが、併し政治的目標で爭議は起つている、どこまでもその一点を保持されて進められるということは、問題の根本的な把握ではないではないか、先つき申しましたように、政治的目標に段段と拡がつて行つたそのものの原因を、どうしてもこれは問題の折衝の中に求めなければならないのでありますから、そういう点からすると、この目標を文部省はできるだけ現実的な面においてこれを取上げて、これを解決するために努力をする、こういう方法によつてこの問題を早く終結させるという方向に導かなければならないのではないか、飽くまでも政治的目標で、学生の行動は逸脱しているというような見解に立つて、そうしてこの問題の解決に努力を重ねられるとするならば、そのために問題はますます悪化する傾向を迫るのである。だから学生諸君の運動それ自体は必ずしも完全だとは申せないのでありまして、そういう方向についても、これは私自身の見解を申述べたところでありますが、問題はやはり一つの指導的立場に立つて、これを現実的に解決するために、この一点を問題をどんどんと集約しまして、そうして正しい方法を見付け出して、これに努力するという点を今後の方針として堅持して頂きたい。こういうふうに思うのでありますが、こういう点について尚文相の御意見を伺いたいと思うのであります。
#36
○國務大臣(森戸辰男君) 只今の御質問でありますが、私も文部省がこの問題について何ら責任がないというふうには考えておらないのであります。私共人間のすることでありまするから、いろいろな欠陷もあり、いろいろな不十分な点もあつたと思うのであります。併し私の申しましたのは、学生を爭議に追込んだ指導的なものは、これは公平な意味で文部省にあるとは考えておらないのであります。恐らく岩間委員はこの運動には……、いろいろな運動にお通じの方でありまして、いろいろ連絡も取られておるのでありますから、岩間君の公平な僞りのない、政治的でない表現を、特にこの委員会では必要といたしたのでありますが、そういう立場からよく運動を公平に見て御覽になつたならば、私は先程來言われておるのとは違つた面もあるのではないかと存じておるのであります。併しこれは客観的の認識でありますから、私の見解に過ぎない。
 第二の点の授業料の問題でありますが、実は盟休の問題は授業料の問題から轉化いたしておるのであります。教育復興ということになつておるのであります。これは前の問題でも私が御説明した通りであります。で、何故そういうことになつたのか、私はよく存じません。これはむしろ岩間委員等の方がよく御存じであろうかと思うのでありますが、授業料の問題はいろいろな点でこれを取上げても同情が少ないというような関係もありまして、こういう廣汎な形になつたものと思つております。そうしてこういう廣汎な目標になりまして、初めてこの全國的ないわゆる政治的な色彩の強い運動になつたものではないかと思つておるのであります。從つてこれらの目標の中から授業料というものを尋ねて見て、尋ねて見なければ見付からないようなところに隠れておるのであります。これも岩間委員はよく御存じであろうと思うのであります。決議文をよく尋ねて見ますと、私もどこにあるかと尋ねて漸く見出だしたような次第であります。そういうような事情にありまするので、今日の盟休の目標というものが、こういう一般的な六・三制実現、或いは理事会制度反対、教育委員会法絶対反対、こういうよう大きな一つの文教政策に対する反対、或いは積極的な目標を持つものになつて來ておるのであります。
 それから第三の点は、現実的な面について考慮さるべきである。これは私も賛成でありますが、不幸にして取上げられた形は、今日盟休になつておりまする形は、そういう形ではないのであります。全國の大学、高專の代表者会議で取上げられたのは実はそういう形ではないのであります。で盟休を行なつておるのも、そういう形で行なつておるのではないのであります。でありまするから、そういう形になるならば、又これは別途に考えるべきでありましようが、今日のところ政治的な目標を持つており、而も私の感ずるところでは、これはただ一般に学生が生活が苦しいということだけではなく、学生の生活苦という客観的な事実の下に、学生に対する特殊の政治的な意味を持つた運動を展開しようとするような力も意図も、相当に強く働いておるのではないかと私は考え、又聞き及んでおるのであります。この点も亦岩間委員も、この運動にはいろいろお話しをお聽きになつておるから、客観的には十分お分りになつておるところではないかと私は思つておるのであります。勿論この問題につきまして、私達繰返し警察的な、裁判所的な処理よりは、教育機関としての処置を取るべきだと存じておるのでありますが、同時にこの運動が、そういう純眞な生活に困り、勉強ができない学生の自然発生的に教育の完成を求める叫びであるのと並んで、それと共に別の力ができて、これを利用して働くというようなことがありますならば、それについては別途考えられなければならんと私は考えておる次第であります。
#37
○委員長(田中耕太郎君) 簡單に願います。
#38
○岩間正男君 今の文相のお話しを聽いていますと、何か僕が運動については十分に知つており、今まで連繋があるのではないかというような点について、これは仮説的に進められておるのでありますが、私は先程申しましたことに対しまして、何らこれを改める必要を認めないのであります。御承知のように、若しもこの二十一ケ條が、若しも私が十分にこれに関係して決定されておりまするならば、少くとも八百億、この八百億というような教育予算が現状において取れる、そんなふうに考えるかどうか、これに対して考えて頂けば分るのであります。私はこれは学生諸君の運動が、その後教育復興会議、去る十七日に結成された教育復興会議に持ち出されまして、そこで決定されたというような情報については、これは聽いております。併しこれは自分としては何ら関係しません。その教育復興会議に私はメツセージを持つて参りまして、そのとき八百億ということが、復興会議の目標にも決定されておりましたので、これに対して十分な警告と注意を喚起したつもりであります。つまり去年の六億四千万円の予算を取るにさえ、実に並々ならんところの我々は苦心をいたしたので、まして八百億というような、これは高額な予算を掲げても、これは現状においてはとても取れるということは非常に望み薄である、これが嘘八百億になつては困る、これについて十分に檢討すべきじやないかということを、復興会議の席上におきまして、申述べた程であります。ですから学生諸君の二十一ケ條ま、どのようにして決定されたかということは不幸にして私は知つていない、これから又そのような時間も私は実はなかつたのであります。これは個人のことを申すようになりますけれども、私は連日、例えば労農連絡会議のようなものや、それから文教並びにその他委員会のことに忙殺されておまりして、そのようなことに関知しておる時間がなかつたということは、はつきり私は確信を持つて申上げる者であります。だからそういう観点から、こういうような問題を仮設の上に立つて、そうして論究されることは甚だ迷惑に私は感ずるのであります。
 次に政治目標を持つて立つたのだから、この問題に解決は、どこまでもそれで行かなければならないと文相は考えられるのであるかどうか。先ずそれならば、この廣汎な問題が解決されない限りにおいては、この学生運動を、こういうような形で、文相自身がどこまでも政治運動に逸脱ということをどんどんと天下にますます公表することによつて、この学生運動を破滅に導くということの意図のように、私はこれは考えざるを得ないのでありまして、私達は現実的に考えて、学生諸君の立場というものを、どうしてもこれをいかんという、そういうような立場に立つならば、これに対して飽くまで現実的に手を打つて解決する方向に持つて行かなくてはならない。不十分な目標が山積しておるものを一点に集中して、現実的にこれを改めて、この点におけるところの解決のために私は十分に努力して行かなければならないということを衷心申述べておるのでありますが、何か私に対する、先程申しました先入見のようなものを、ちらちらと文相の答弁の中に出されておるということは、私は全面的に不満の意を表明するものであります。
#39
○國務大臣(森戸辰男君) 今多少誤解があるようでありますが、私は学生運動に御関係があるとは申したことはないのであります。学生運動のことをよくお聽きになつておいでになるから、私よりは客観的な認識を余計お持ちであろう、こういうように申したのでありまして、主体的に学生運動に御関係があるとは一言も申したことはないのでありますから、この点は委員諸君も誤解のないようにお願いいたしたいと思います。尚学生運動に破滅に陷し入れるというようなお話しでございますが、私はこれはいろいろな意味に解せられるのでありますが、若し学生が教育復興を念として、それに一生懸命にやろうということならば、誰もこれを確壞しようとも思わないと思うのであります。ただ学生のストというものは望ましくないのではないか、教育復興という目標を実現するのに適当な手段ではないのではないかと、私共は確信しておるのでありまして、こういうストをできるだけ早く止めさせようということが、若し学生運動の破壞ということであれば、そう御解釈になつても差支えない。併し私共は学生が眞実の意味の自治的な運動を行い、それは特殊の政党運動にならず、又学校の教育行政に特殊の干渉をするような形でない意味での、学生の自治運動というものが行われるということは極めて尤もであると思います。私はこれを破壞する意図は少しも持つておらんのであります。むしろ健全なる成長を望むのでありますが、ただ逸脱については、飽くまで反省されたい。而も学生であるから、私共は学生を信頼し、学校当局を信頼いたします、こういう意味で正しい途が辿られることを考えておるのであります。
#40
○藤田芳雄君 先程來いろいろお話しをお伺いいたしまして、凡そ言うところは盡きたかと思うのであります。あとは結局当委員会において、何とか解決のために方法を講ずるが、或いはそこまで手を出し得ないものであるかということは、委員会の相談になるものだと思いますから、この辺でそういつた論爭は一旦……(「賛成」と呼ぶ者あり、河野正夫君「一言だけ私に言わして下さい」と述ぶ、矢野酉雄君「論じ盡していない。八條が根本的に不明瞭だ」と述ぶ)
#41
○委員長(田中耕太郎君) 時間がまだありますから……(矢野酉雄君「八條の後段の何がまだはつきりしていない。重大な問題だ」と述ぶ)多数の方がまだ発言を希望しておられますが……(矢野酉雄君「こういう重大な問題はいつまでやつてもいい」と述ぶ)
#42
○河野正夫君 私は皆さんのいろいろ申述べられたことと別個の観点から、森戸さんの御所見を承わりたいと思うのであります。学生運動をあのように追い込んだのは、それはどこに原因があるかというようなことについては、今論爭がありましたが、少くとも文部省としては次のような諸点に対して責任を感じておらなければならないのではないか、この点についての所見を承わりたいのであります。先程來文部大臣は、学生運動が、言つて見れば眞実の民主主義的な原則の下に行われていない。例えば学生総会の場合に二〇%ぐらいしか出席をしないとか云々というような、いろいろな事例を挙げておられましたが、教育基本法第八條に、良識ある公民としての政治的教養を與えるということが謳われておるわけであります。これは当然のことでありまするが、その意味からいたしましても、学生が自治的な活動をする場合に、総員がそのことに関心を持ち、先程大臣がおつしやつたように、勇敢に自己の所信を表現するというふうに教育されなければならない。ところが大臣のお言葉では、そういうふうに学生の運動が行つていないではないかというような、第三者的批判であります。学生をそのやうに育てることこそ、文部省を初め、各学校当局の責任であろうと思うのであります。だから今日戰時中から始まりまして、今日の大衆運動というものは実にこの点において欠陷があるのであります。一部の人士の声を大にして叫ぶところに、ただ附和雷同するか、然らずんば誰でも反対のできないようなことを、一度旗を掲げるならば、そこにどんな意図が動いておるかということも知らずに、そこに随いて行く、こういうふうなのがしばしば見受けられた現象であります。そういうふうな方向において、今日学生をどのように教育することが一番大事であるか、民主主義的な教育はどうなされなければならないか。これこそ文部省を初め、各学校当局が心魂を傾倒して考えなければならんことである。ところが先程大臣のお話しでは、学生は、そういうふうな今回の運動は、そうは行つていないというような批判をするごとく聞えるお話しがあるのでありまして、そこまで行かないのは申訳ないということは一言も聽かなかつたと思うのであります。この点について大臣の所見を先ず承わりたい。
 その次に第二には、教育基本法第八條の解釈の問題についていろいろありまするが、まだ大臣の御答弁は明瞭でありません。学内における政治的な研究の團体は、例えば宗教的な研究の團体と同じように差支えない、私もそれは差支えないと思うのであります。けれども政治的な活動の限界というものはどこにあるか。これは事、政治活動ということになりますと、研究でなく活動だ、学生らしからん、学生の本分に云々という限界ですが、それをどの線に置くかということについて、もう少し具体的な所見を承わりたい。特に学校内の或る施設を利用して新聞を発行するとか、そこに或る種の本部を置くとかして、特定の政治の活動が行われるというようなことについて如何にお考えであるか。臨時にその校舍を借りるということでなくして、常時そこに本部が置かれ、常時そこから出版物が出されるというようなことが行われるとすれば、それについて、それは限界を逸脱しておると思われるか思われないか、そういう具体的な点から御説明を願いたいと思うのであります。
 最後に、岩間議員の御発言は尤もだと思うのであります。これは今のような文部大臣の御感想を、文部大臣の心の中から入つて考えると、今のような学生運動を、そのまま有利に終熄せよというようなことを、我々が主張するかに誤解せられるといけませんけれども、そうでなくして、とにもかくにも終戰後民衆、大衆運動というものは、幼稚なところから徐々に発達しているのであります。ですから、そこに逸脱も行われ、又非民主的要素も加わつて來る、これは止むを得ないことだと思いますが、これは徐々に民主的に逸脱しない。而も憲法の精神に副うデモクラチツクな運動の方向に指導して行くというのが、文教の府にある者として考えなければならないことと思うのであります。個々の学生運動には批判の余地はあるとしても、これを單に或る筋の運動が入つておるということによつて放擲したり、乃至はその方向に好ましからざる限界を越えたものがあることによつて批判しただけでは、折角芽生えた自発的な民主的な、將來日本を背負う、こういう民主主義の自発的活動というところに赴くべき、それの行き方は違いますが、何程かの芽生えを無残に踏みにじつて、戰通中のような学生運動を四分五裂にし、或いは停滯してしまうということも、これ亦教育上顧慮しなければならないところだと思うのであります。大臣も御承知のように、大正の初年、十年頃までの間というものは、随分逸脱した民主運動もありました。けれども、その中からすくすくと今日の社会党が成長したのであります。單に逸脱したという意味のみで單純に批判するということは、これは学生を愛するところの立場として如何であろうか。こういう点について伺いたいと思います。
#43
○國務大臣(森戸辰男君) 河野委員の第一の御質問は、学生の間に民主主義が本当に成長していないのは、教育を司つている文部省もその責任を負わなければならないのではないかというお話しで、御尤であります。これは文部当局として十分責任を持たなければならんと存じておりますと同時に、これは文部省だけが責任を持つても直ぐには解決できないのであります。日本の経済状態、政治状態と相俟ちながら解決さるべき問題と存じております。文部省はこの点で責任を回避するものではございません。
 第二の点は、やや具体的な問題で、第八條の解釈に関する問題でありますが、第八條は教育基本法ができる前でございますが、昭和二十一年の一月十七日の次官通牒によりますと、「治安維持法が廃止せられ、教職員及び学生生徒の政治上の結社加入は差支なきことになりたるも、これに伴う政治運動はその本分を逸脱せざるはもとより、各々その職分に鑑み公正清純たるべきこと。特に学内における教職員及び学生生徒の政談演説若しくは特定政党、特定者の支持乃至は推薦行爲等(文書によるものを含む)は嚴にこれを禁止すること。但し右は学内における学生生徒等の政治に関する自由討議を禁止するにあらざるを以て、」云々、こういうような通牒があるのであります。これは新憲法前に、從つて基本法前に出たものでありますが、併しかような通牒は、基本法の後においても大体活きておるものと見ております。一面憲法には御承知のように、政治的自由が規定されておるのであります。結社及び政治活動の自由が規定されている。他面又教育基本法では教育機関、これに所属するものとしての政治的行動に一定の制限が規定されて、特定の政党支持、或いは反対の政治的活動教育をしてはならないという規定があるのでありまして、こういうものが設けられたのでありますが、この政治機関に所属する者についての問題は、先程御答弁した通りでありまして、私共政治的、政党の線に沿うものでありましても、研究團体でありますならば、これは学校によつては公認されているのであります。これはされても差支えないものと存じているのであります。これは学生の身分或いは教育研究の場所たる学校と衝突するものでないと考えられるからであります。ただ一般政党の支部となりますと、殊にその活動が全面的な政治運動に轉換されるようなこともあり、これについては法律上禁止というような明らかなものはありませんけれども、これは教育行政上望ましからざるものであると私は考えているのであります。尚そういうものが特殊の施設を学校から貸され、そこで常時的に活動をするということがあつたらどうかという御質問であつたと思うのでありますが、そういうものはないと思つております。そういうものがありまする場合には、教育基本法に抵触するものではないか、学校が特殊のそういうものに対して恩惠を施すということになりますれば、基本法の問題となるのじやないかと存じております。
 第三の問題は、これは非常にむづかしい一般的な、むしろ所感のようなことをおとりになつたと思うのでありますが、学生の運動につきましてはいろいろ逸脱もあろうが、これから成長する者の運動としては、十分同情を以て考えなければならんという河野委員のお話しは、誠に御尤もでありまして、私共その通りに存じているのであります。私が教育機関としての立場から、これを取扱わなければならんということは、私はこれらの者のその良識に信頼をするところに重点を置いたのでありまして、そういう形でこの問題は解決されて行かなければならんと存じております。ただこの問題は、いわゆる労働爭議の対象であるような、五割だからどう、二割だからどうというような問題も含まれておりますが、今の段階ではそれよりももつて大きな問題が、教育全般に対する教育の秩序、教育の根本の在り方等も問題にされていると私は思つているのであります。そういう問題については、いわゆる妥協ということは教育の確立ということを妨げるものである。個々のいろいろな具体的な問題についてはそういうこともありましようが、中心の教育の復興という、殊に教育の中心は、物的なものより教育に対する根本的な態度であるといたしますれば、その点につきましては、正しく考えられているものは、飽くまで堅持されなければならんと私は思つているのであります。而もそれを堅く取るということは、決して同情のないということとは別でありまして、日本の教育を正しく興して行くということは、又学生運動が正しく育つという途であると確信いたしているからであります。
#44
○柏木庫治君 甚だしつこいようでありますが、先つき文相は、学生が政治團体を作り、実際運動してよろしいと考えられていいかという点において、ただそれだけでは困る。それには制約もあり、何もあるというようにおつしやつて、ややもすれば研究団体云々とおつしやるのでありますが、研究團体が学問の府においていいことは、柏木不明と誰も存じているのであります。この前の質問に対しての文相の御答弁は、はつきり政治團体を作り、実行に移してよろしいということであつたから、私は甚だ疑問にいたしているのでありますが、結局問題は、それにはいろいろ制約があり、逸脱をしてはいけんとありますけれども、学生が学内において政治團体を作り、それを実行に移していいという文相の信念には変りがないのでありましようか。それにはいろいろ制約があるぞということは次の問題であります。研究團体云々なんかということを今更おつしやるのは、言い逃れ見たようでありまして、最も尊敬しておる森戸文相の答弁が何だか曖昧になるようであります。ただ私の信念として、学生が学問でありますから、いろいろの会を作つて研究をすることは、何を研究してもそれは自由でありましようけれども、政治團体を作つて、これを実行に移し行動をするということが、それが学生を幸いにせず、学問を進めて行く上においてよくないという私は考えを持つておるのであります。それがどうもこの教育基本法八條の底に流れておる本当な精神である。学校というものは、学校の本体は何ぞやと言えば、私は生徒だ、学生だと思うております。学生は勉強させるから校舎も要り、教師も要るのであつて、それは從であつて、学生が本体であるとまで考えておる、私はあの学校という言葉の中にこれが入つておると、こう考えておるのでありまして、どうも文相と根本に違いがありますので、私は私の考えが変らない限り、これを明かにして置かなければ、学校騒動は私は永遠に止まないと考えておるのであります。若き情熱の学生が、或る一つの生徒が外におりまして頗る巧みに糸を繰りますならば、学生の情熱が燃えて、そこに逸脱することは当然だと考えますから、私は学内においては政党及び政策の研究は、学問としては自由であるけれども、團体を作つて、その行動を実践に移して行くということは、もうそれがすでに学生の本分を逸脱しておると考えておる解釈から、文相と根本の考え方が違うので、これをはつきりさしたいと思うからであります。
#45
○国務大臣(森戸辰男君) 柏木委員の重ねての御質問でありますが、私は一般的に学生と雖も政治的な自由は持つておると考えておるのであります。從つて政治的な結社並びに活動はなし得ると思つております。併しそれには限界があるのであります。公務員は憲法に保障された政治的な自由も権利も持つております。併し公務員たる地位においては一定の制約があるのであります。学生においてもそういう制約がある筈でありまして、その制約の一つは、私は研究ということが大きな制約であろうと思うのであります。そこでただの研究團体は問題でありません。政党の線に沿う研究團体というものを如何に扱うかという問題であります。そこで私共は政党の線に沿いましても、それが研究団体である限りにおいては、これは学内において、そういう形の活動はされてもいいのではないか、こういうように考えておるのであります。ただそれがいわゆる一般的な政治運動に展開するというような場合には、学内を政治闘爭の場面とし、学問研究の場面より研究の場であることを妨げまするから、かような場合については、学校当局は適当なる措置を取られるべきものであると存じておるのであります。
 それから第二の点は、そういうようなことであれば、その後ろに政党があるのであるから、非常に学内を混乱させて、拾收すべからざるものにするのではないかという御心配でありまして、誠に御尤もな御心配であるのであります。私共もそのことを憂えておるのであります。併しながらこれを一切のそういう團体を禁止することで、この問題が解決できるかと言いますと、私は必ずしもそうではないと思います。今盟休に入つておる学校が、必ずしもこういう團体を公認しておるとは考えておりません。又治安維持法があり、いろいろに嚴重な刑罰があるところでも、地下運動として、こういう運動が発展して参つた経驗も、我々は心にあるのであります。そういう点から私共はただこれを法律的に禁止するから、問題が解決されるという見地は取つておらないのであります。私共は或る程度の合理的な形において、これを認め、逸脱を抑えて行くということが、この運動を公明なものとし、正しき学生の間に正しい道を與えることではないかと考えておるのであります。この点につきましては、学校当局並びに私は学生の良識に信頼いたしたいと思つておるのであります。
#46
○矢野酉雄君 どうも私、この文部大臣の答弁は、今重大な問題になつておるのは教育基本法の八條ですから、この八條の前段の、公民に必要なる政治的教養を與えるという意味においては、これは結構に思う、研究團体もやつてもいいでしようし、矢野酉雄が、團体の政党へ、一定の年齢、法的年齢に達しておつて、東大の学生として矢野が学内において共産党に入つて、そうして何かを活動しようが、これは憲法が保障しておるのであつて、何も学校はそれを直接に干渉する必要はないのであつて、そういう意味ならば是認せられるけれども、具体的に第八條の第二段の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」という、これだけの私達は解釈を、前回から堀越君とか、柏木君、河野君もこの前やられたと思うのでありますが、それさえもやはりそう解釈なさるという意味ですか。前段に関連を持つた意味の政治活動だつたら、それは東大の学生が二千人おつて、二千人全部が個々の立場において共産党に行つても、何らこれは学校は彈圧することにならない、憲法は保障しておる。敢て教育基本法に俟つまでもないのであります。何故に教育基本法は第八條を規定いたし、第二段の規定をしているかというのであります。これを、若しもこの禁令を、文相が禁令として置くとなれば、あらゆる学生運動が政治運動へ大いに進出して行つて、そうしてこれが社会的の大運動になつても、それは必然的結論であつて、以前から申上げるように、文相自体が是認しておられる運動であるから、これを遺憾の意を表せんか、絶対罷りならん。私達はこの問題を具体的に限定してお尋ねしているのであります。ところが文相の答えられるのは、それを逸脱してお答えになつておるように私は解釈しております。この点はつきりして頂きたい。実に重大問題だと思う。それから議事進行に関連しますが、委員長、この問題が若し矢野の今の質問に対して、この限定された問題に対する文相の答え如何によつては、我が参議院の文教委員会は、教育基本法第八條の解釈については、はつきりした総意を決定して、そうして満天下に示す私は責任があると思います。よし、それが文部大臣と徹底的に食い違つてもよいのです。以上。
#47
○國務大臣(森戸辰男君) 矢野委員の御質問は、御質問の趣旨は分りますけれども、遺憾ながら私はそれとは違つた考えを持つておるのです。第八條は、教育機関としての学校が取るべき態度であります。学校が一般の政治教養をやることはよろしい。併し例えば自由党にしろ、社会党にしろ、共産党にしろ、そういうことは教壇では教えてはならん。こういう意味のことを規定したのでありまして、教育中立の原則が定められたものと私は解釈しておるのであります。併しそれに所属しておる学生が、学内におけるすべての行動にさえ、政治的なものがあつてはならんということを、こういうことを言つておるのではないと私は解釈するものであります。併しどんな政治活動でも、学校で選挙運動をやつたり、いろいろなものをやつてもいいかというと、それはそうではない。学校は教育の場であり、学生は勉強し、研究するものである。それを逸脱することは学校の教育を妨げるものでありますから、これを学校管理の責任を持つておる者が、適当にすべきである。その團体がそういう形に行くならば、それを警告し、場合によつてはそれを禁止することも、十分に処置をなし得ると認めておるのであります。併しながら学生の身分に矛盾しない、殊に研究を中心とした形で全生徒の運動が行われる。例えば共産主義青年同盟というようなものは、政治運動として、政党の支部として認められておるのではなくして、教育研究の團体として、認められておるのである。それが特殊の政治的な活動を中心として活動するような場合には、学校管理者は適当な判断を以て警告をし、場合によれば処分することもできる。そういう形で、研究團体は抽象的な研究團体ではなく、一定の立場を持つた線に沿い得るものもあるのであります。例えば教義の場合には、キリスト教の團体もあり、佛教の團体もある。併しそういうものの活動が、学園としての研究、教育の場所としてこれを危うする場合には、適当の処置がなさるべきであるけれども、ただそれが政治的な傾向の團体であり、廣い意味の政治的の運動と解釈されることがあつたとしても、このことだけで、直ぐそれが教育基本法に矛盾するものと解釈することができないというのが、今言われておる解釈であります。この点において、本院の文教委員会で違つた御決定になるということは全く御自由でありまして、私共はそういう研究も十分なし得るのであります。ただ私共はそういう信念の下にこの法律を解釈し、又学校の行政においてもかような方針で解釈をせられておると信じておるのです。
#48
○柏木庫治君 私は前質問は、團体を作り、政治活動をしてよいかというのに対してよいとおつしやつたのでありますが、今日は研究云々ということでありますが、研究ならば学校でありますから、学問ですから、これはもう文相の説明を俟たず、又お聽きする必要もないのであります。だから私が申上げた政治團体を作り、活動するということを、文相は研究團体とお受取りになつての、この前の御答弁であつたのでございます。政治團体を作つて政治活動を実践に移すということと、研究機関と研究團体ということは、私は意味が違うと思うのであります。そこで食い違いがあつたと言いますか、では文相は研究團体ならばいいけれども、政治團体を作つて政治実践活動をするということについては、どういうお考えを持つておりますか。これは研究を離れておる問題、学問を離れておる問題であります。政治運動の問題であります。
#49
○國務大臣(森戸辰男君) お答えいたします。多少誤解がありますが、或いは大きく誤解があるかも知れませんが、私は政治的の團体、政治的の活動は可である。併しそれは飽くまで学園における学生の本分に副うところのものでなければならないという限定が後ろに附いておるのであります。その説明のときにも、そういうように申したのでありまして、それは速記録をお読みになればお分りになるのでありまして、抽象的に何でも政治團体を作り、政治活動をしてもよいと答弁をした覚えはないのであります。恐らくそれは速記録をお調べ頂けば分るのであります。一般的に言いますならば、日本國民は政治的の團体を作り、政治活動をなす自由を持つておるのでありまして、一般的なことであれば、誰人と雖も私は日本國民としてはそういう権利を持つておる。ただ公務員となればこれに一定の制限もあろうし、又学校の学生であれば一定の制限もあり、又学内における運動については、更に大きな制限が加えられるということは当然のことと存じておるわけであります。
#50
○鈴木憲一君 今日は初めから学生問題について論議をされて、それに関係して第八條の問題が出て來たのでありますが、これは私が今考えまするに、学生の若い熱情が、ああいうふうに、いろいろの方面に波及して來たと考えることは甘いことかも知れませんが、とにかく議会の文教委員等を目指して、続々と來る昨今の現状でありますから、こういうものに対して私達はどうしたらばよろしいか、扱うか、扱わんか、或いは研究すべきか、すべきでないかということを、文教委員自体として、じつくりと話合つて行くべきものではないだろうか、或いはそういうものに関心を持つ者がやれはよいのだというような扱い方をすべきであるか、或いは次に出て來ました第八條の問題にしましても、随分並行線を行つておるようなふうに考えられますので、それらについても議論の盡きるところがないのじやないか、こういうふうに考えられまするので、一應この辺で閉じられて、できましたならば打合会にでもせられまして、隔意のない意見を、学生問題その他第八條について打合したらどうかと思うのであります。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(田中耕太郎君) それでは学校スト及び学生運動並びに教育基本法第八條の、特に第二項の問題でありますが、それにつきましていろいろ御論議がありました。教育基本法の解釈の問題は、これは文部大臣が答弁されたところと、それから数人の方が質問せられたところと、全然食い違つておるように思います。それで問題は一つでありますが、併しながら見方が根本的には違つておるように思います。これは非常に遺憾なことでありまして、文部省としても、変更に大臣としても、十分にこの点は御研究願いたい。又当委員会としても、十分この点は研究したいと思います。これは勿論終局は最高裁判所の問題でありますけれども、併しながら、やはりこの問題は非常に今後の学生運動なり、或いは教育の本質をどういうふうにして発揮して行くかということについて、極めて重要な問題でございますから、我々としまして更に又研究を続けたいと思います。今日は会議は若し御異議がありませんければ、この程度で止めたいと思います。
#52
○左藤義詮君 問題が大分廣くなつたのでありますが、一つ元へ戻して、文部省としては、授業料値上の問題はともかくとしても、学生の困つておる者に対して、十分の親心を持ちたいという御方針でありまするから、それを具電化するために、本委員会の熱烈な應援の下に、三派の修正案も出ておるそうでありますから、育英会、或いは学徒援護会、或いは私学の復興等について、少しでも予算をこの機会にお殖やしになるように御努力になる文部省に御意思はないか。又更に私は、育英会などがああして政府の補助金だけではなしに、政府の支出金だけではなしに、育英会がああいうふうに片寄つておるのは、非常に残念に思うのでございます。日本貧しと雖も、志士仁人に愬えて、生徒の、殊に困つておる学徒の育英、援護について、もつて関心を持つて、文部省自身が積極的にこの機会に何らかの大きな運動を展開なさる御意思があるかどうか。それが私はこの問題の一番の根本だと思うのであります。この点について、文相の御決心を伺い、それによつて私共としても、委員会ができるだけの一つの協力をするということを御決定願いたいと思うのであります。
#53
○國務大臣(森戸辰男君) 只今左藤議員のお話しでありまして、若し予算が増加修正されるならば、殊に育英会、生徒援護会、或いは私学の育成その他の、そういう線に沿うてこれを増額を活用するという意図或いは熱意がないかというお話しでありますが、誠に賛成でございまして、授業料の問題に表示された問題の解決の大きな方向は、むしろそこにあるのではないかとすら存じておりまするので、本委員会の御支持の下に、かような方向に最善を盡したいと存じておる次第であります。
#54
○岩間正男君 先程左藤委員から、私に質問がありました点、今これを確かめたのでありますが、正式な委員長並びに副委員長その他二十名の代表が見えての意見であります。それからこの決定は、やはり正式な中央委員、鬪爭委員会で各ブロツクの代表によつて統制されておる機関によりまして決定されておる。この点は、先つき自分でうつかりしまして、事前にやつておりませんでしたので、補充いたします。
#55
○委員長(田中耕太郎君) それでは、これで以て散会いたします。
   午後四時十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           柏木 庫治君
           岩間 正男君
   委員
           小泉 秀吉君
           若木 勝藏君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           高良 とみ君
           岩本 月洲君
           梅原 眞隆君
           河野 正夫君
           鈴木 憲一君
           堀越 儀郎君
           矢野 酉雄君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
ソース: 国立国会図書館
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