くにさくロゴ
1953/03/20 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第17号
姉妹サイト
 
1953/03/20 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第17号

#1
第019回国会 厚生委員会 第17号
昭和二十九年三月二十日(土曜日)
    午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長 小島 徹三君
   理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君
   理事 中川源一郎君 理事 長谷川 保君
   理事 岡  良一君
      助川 良平君    高橋  等君
      寺島隆太郎君    降旗 徳弥君
      中野 四郎君    滝井 義高君
      萩元たけ子君    柳田 秀一君
      杉山元治郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (社会局長)  安田  巌君
        厚生技官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠本 正康君
        厚生技官
        (医務局長)  曽田 長宗君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計官)   大村 筆雄君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部食品衛
        生課長)    尾崎 嘉篤君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
    ―――――――――――――
三月十九日目
 清掃法制定にあたり国庫補助の規定設定に関す
 る陳情書(児島市長中塚元太郎)(第二〇八九
 号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 参考人招致に関する件
 厚生行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小島委員長 これより会議を開きます。
 まずこの際ビキニ環礁における日本漁船の被爆問題について、前会に引続きその後の情勢につき政府当局より説明を聴取することにいたします。楠本政府委員。
#3
○楠本政府委員 その後の経過を申し上げます。先日お答え申し上げましたように、焼津に入港いたしました船員二十三名のうち、二名は東大に入院し、他は現地にとどまつておりますが、これらの経過はいずれも順調に進んでおりまして、今のところは生命に危険ということは毛頭考えられません。従つて現在の見通しでは、大部分の者は近日中に常時仕事ができるのではなかろうかと考えております。
 次に、その当時陸揚げされました福龍丸積載の魚類約二千二百十一貫がすでに十三府県に発送されておりましたが、大体百五十貫程度を残して、あとはすべて荷受け機関あるいは魚市場等において確保し得たことを確認いたしました。なおすでに店頭に販売の措置をとられました百五十貫につきましてもその後鋭意追求いたしまして、おおむね全国的に見て百貫程度は回収いたしました。従つて、先日おしかりを受けましたが、とにかくどうやら危機をのがれまして安心をしておる次第であります。
 なおその後三崎あるいは築地等に同じ南方諸地域からの遠洋漁船がかなり入港いたしております。現在まで約十六隻が入港いたしました。船体の検査をしてみました結果は、そのうちの約半数にきわめて微量の放射能を検出いたしただけでありまして、積載の魚類総計約十五万貫はすべて何ら支障がなく、それぞれ検印を押されまして出荷されております。またこれらの乗組員につきましても、健康状態その他に何らの支障はございません。ただ昨夜築地に入りました漁船は船体にかなりの強い放射能を証明し得ましたが、これも人体にさしたる支障のある程度でないことがわかりました。また乗員の健康診断等も行いましたが、これも無事でありました。しかし船体の放射能が強かつたために目下現場において積載魚獲品の検査を実施いたしております。
 なお今後の見通しでありますが、現在まですでに二十隻余りが入港いたしまして大体の見当をつけられたのでありますが、農林省の報告によりますと、総数五十そうくらいが南方諸地域に出漁中だそうでありますが、今までの経過から考えてみますと、まだ何とも申し上げられませんが、福龍丸のような問題を起すものはないのではなかろうかと考えております。なお私どもといたしましては、各港におきまして検査を厳重に行いまして、安全なことを保証してこれに検印をして出荷させております。しかしながらそれにもかかわらずまぐろ等の消費等は常時の二割程度に減少をいたしまして、これは漁業にとつてはきわめて重要な問題であります。私どもといたしましては、国のとつております措置を国民に徹底させるあらゆる努力を払いまして、安心することを国民に要望いたしておりますが、いまだなかなかその域に達しないので、一層この趣旨の徹底に努力をしたい所存であります。
#4
○小島委員長 本問題につき質疑の通告がありますので、順次これを許します。なお質疑通告は相当多数ありますから、各質疑者は質疑時間につき、しかるべく御考慮をお願いいたします。岡良一君。
#5
○岡(良)委員 前回の委員会に出席しておらなかつたので聞き漏らしたかと思いますが、あとの点に関係がありますので、この際一応お伺いしておきたいと思います。
 それは福龍丸は爆発地点と覚しきところから何マイル、あるいは何海里離れておりましたか。
#6
○楠本政府委員 第五福龍丸は危険区域から八十海里の距離であつたそうであります。
#7
○岡(良)委員 危険区域というのは、たとえばアメリカの指定した百マイル以内に入つちやいけないという、その限界線よりも八十海里離れておつたというのですか。
#8
○楠本政府委員 その通りであります。
#9
○岡(良)委員 それから福龍丸の甲板にいたところが、きのこ状の原子雲を認めたというようなことが新聞に出ておりますが、やはり当事者は目撃したと申しておりましたか。
#10
○楠本政府委員 三月一日の日にかなり遠方で大きく光るものを見、その後それが黒く形がかわつて来たということを聞いております。本人も陳述をいたしておるそうであります。
#11
○岡(良)委員 そのときに、福龍丸の乗組員はこれが原子爆発であるということを自覚したのでございましようか。
#12
○楠本政府委員 灰が降つて参りましても、これがどういうものか一向わからずに過したそうであります。
#13
○岡(良)委員 それでは、そのときに福龍丸はたとえば進路をかえて、そのあやしき原子雲から反対の方向に走行したというようなことはなかつたのでしようか。
#14
○楠本政府委員 福龍丸は被爆を受けました当時はすでに漁獲を終えて、油の関係もあり、一路焼津に帰る途中であつたそうであります。従つてそのまままつすぐ焼津に直航したということでございます。
#15
○岡(良)委員 そうしますと、ビキニと反対の方向にその船は進路をとつておつたというわけでございますね。
#16
○楠本政府委員 灰をかぶりましたときに、たまたますでに油の関係もありまして、そこの位置からまつすぐこちらに帰つて来た、但し灰をかぶつたその附近におきましては若干の漁獲をいたしたようであります。
#17
○岡(良)委員 それでは、その灰が降下をすることを発見し、しかもその第五福龍丸は焼津に向つて一路走行しておつた。一体何時間の間この灰が降つておつたのか。その当時第五福龍丸は大体想定されるまぐろ延なわの漁船として、一時間どの程度のノツトでもつて走つておつたのか、この点をおわかりならお示しを願いたいと思います。
#18
○楠本政府委員 この点につきましては後ほど現地において調査をいたしましてはつきり御返事を申し上げたいと思います。
#19
○岡(良)委員 私が先般聞いたところでは、六時間ばかり灰が降り続けておつたということであります。そこでもう一つお尋ねしたいのは、その灰がどういう組成のものであつたか、その灰についていわゆるガイガー・カウンターによつて放射能を測定なさつて、その結果はどうであつたか、この点の御説明を願います。
#20
○尾崎説明員 昨日、現地を調査せられました方々がその状況として御説明になりましたのは、同日の四時三十分ごろ作業をやつておつた。そうすると五時三十分ごろ薄雲が現われ、六時ごろ全体が曇つて来た。六時三十分ごろ白色の粉末が降つて来た。それは水分を含んでいなかつたようだし、水にも不溶のようだつた――この点問題があるようでありますが、それで自分たちは働きながら灰をかぶつた。ところがこの場合に何時間灰がずつと降り続けておつたという御説明はありませんようでしたが、われわれもその点はさらに続いて質疑もいたしませんでして、この点は申訳ありません。十一時三十分ごろ作業が終つて、油も欠乏して来たので帰つて来たというようなお話であります。それ以上の、船の早さその他の御説明はありませんでした。灰の性質等については、昨日お話がありましたのは、炭酸カルシウムが成分として相当多い。しかし放射能を出しておるのが炭酸カルシウムであるかどうかということは別問題であります。その放射能を出しておるものが何かは、ただいま東大の化学の方の研究室で検査中である、その結果が二、三日うちに発表されるであろう、こういうようなお話でありました。本日もうしばらくというところで発表があるのではないかと思います。それがきのうのお話であります。
#21
○岡(良)委員 問題は灰が放射能を持つておつたかどうかという点、そしてそれは灰が付着したとおぼしき頭髪等においてガンマー線がガイガー等で相当出ておるというようなところから見ても、この灰の問題は本体が一体何であつたかということはアメリカ側からの報告を待たなければわからないと思います。三月七日のニューヨーク・タイムズを見ると、これはおそらくいわゆる水素爆弾ではない、より強力な熱核の分裂であると言つている。その本体が何であつたか。それが単にガンマー線でとどまるならばよいが、中性子というようなものがあの漁夫のからだを貫通しているとなると、白血球、赤血球が長い間に全部自壊作用を起しますから、現代医学ではほとんど不可能な白血病の症状を起して、永井博士の運命をたどらなければならぬ。この点はもう少しはつきり確かめなければならないと思います。単に表だけの火傷を見て、これが軽微であつたから、この程度なら数日のうちには作業につけるであろうというのでは、厚生省は、原子病に対する広島、長崎の苦い経験があるにもかかわらず、きわめて無責任である。同時に、被爆当時灰がどれだけ降り続けておつたか、一時間に何キロぐらい走つておつたか、それによつて危険の範囲というものはわかるし、またそれは風の吹き様や風の速力によつてはその被害度というものも範囲が非常に広がる。そういうことはやはり将来の予防の関係においても重要な問題になつて来ると思う。こういう点もやはり十分に御調査があつてしかるべきであつて、まだ今日に至るもそういう緩漫なことでは私どもは非常に迷惑でもあり、遺憾でもあると思いまするが、これらの点についてはなおあらためてお尋ねをいたす機会があろうと思いまするので、先ほど来大臣を待つての質疑の通告がありますから、また大臣にお尋ねすることにいたしまして、私は次の質疑の通告者に順序を譲ることにいたします。
#22
○小島委員長 ただいま厚生大臣より本問題について発言を求められておりますのでこれを許可いたします。厚生大臣。
#23
○草葉国務大臣 マーシヤル水域におきまする出漁漁船の原爆被害につきまして、これらの船並びに乗組員及び漁獲いたしました漁獲物の問題について、国内にたいへんな衝撃を与え、かつ不安を与え、また皆さんにはいろいろ御心配をいただいております関係から、この機会に従来の経過を一応御報告申し上げたいと存じます。
 御承知のように、第五福龍丸が経過をたどりまして焼津港につきましてから、厚生省といたしましてはまずとつて参りました魚が食料に適するかどうかという問題、並びに災害を受けました乗組員の治療その他の問題、これらの問題につきまして主として処置を講じて参つたのであります。そこで私どもが承知をいたしましたときには、すでに第五福龍丸で漁獲いたしました二千二百数十貫の漁獲物がそれぞれの地域、十三府県に発送されたあとでございました。従つて発送されましたこれらの地域に対して電話、電報その他で、これが市販に供せられぬような緊急処置をとつて参つたのであります。中に一部分不幸にして市販に供した地域も出て参りましたが、これらの地域につきましても、その後事実食料に供せられたと思われまする地方におきましては、その付近の大学その他と地方の衛生当局が連絡をいたしまして、緊急な治療処置を講じて参つておるのでございます。
 そこでこの第五福龍丸だけではなく、その後それらの地方から漁獲をして引揚げて参ります船、また参りつつありまする船等につきまして、今後食料につきましてはなおさらのこと、あるいは乗組員等につきましても、放射能の被害等による災害が予想されまするので、まずこれらの点につきまして万全を期したいと存じまして、検知班、化学的に放射能があるかないかを検査いたしましてこれを知る検知班六班を組織いたしまして、そうしてこれらの地域から漁獲して参ります船は、一定の漁港だけに限つて水揚げをすることにいたしました。焼津、三崎、塩釜、銚子並びに東京の築地、この五つの港に制限をして、それぞれ水産庁から当該地域において漁耕しております船に無電等をもつて連絡をいたして、この五つの港に帰航するように指示をいたして参つております。それでこの五つの港にただいま申し上げました検知班を派遣いたしまして、放射能の有無を検査いたし、もしや放射能が漁獲いたしました魚等に現われて参りまする場合には、これを市販に供しない、廃棄処分にするという方針で参つております。現在まで船その他には放射能が少し現われて参りましたのはありまするが、第五福龍丸以外には漁獲いたしました魚等には放射能は検出いたしておりません。従つてそれらの漁獲物の廃棄処分はいたしておらないのであります。今後参りまする船等は、今後引続いて検査をいたします予定であります。
 もう一つは調査研究班を一班つくりました。これは相当化学陣営その他学者等を入れました一班をつくりまして、化学、医学、物理学、各方面からこれの検討をいたして参ることにいたしたのでございます。
 これが緊急にいたしておりまする各地に対しまする措置でございまするが、一方現在まで現われて参りましたところでは、第五福龍丸の乗組員二十三名の方々の多くが放射能病の被害を受けております。その被害の程度はいろいろ違つておるようでございますが、そこで最も被害のはなはだしいと思われまする二十三名の中の二人は、現在東京大学の病院で治療に当つております。あとは焼津の病院において経過を見ながら治療に当つておるという状態でございます。そうして、一方いろいろ現われて参りました現象等について化学的な検査をしながら灰等を検出して今分析をいたしております。ただいまもお答え申し上げましたように、ごく近い時間にこれが分析が終るのではないかと考えておりますが、昨日も関係者が集まりまして、これらに対する化学的、医学的な治療方面からいろいろ検討をいたして参つた結果、本日も焼津の被爆した人たちの残りました二十一名につきまして、いろいろ治療等の打合せをいたしておる次第でございます。
 今までの検査並びに症状に現われました点から私どもの報告を受けておりまするところでは、今回の放射能の性能等は、従来の長崎並びに広島等の原爆症状とは違つておるようである。あのときは瞬間的な熱量による場合が多かつたが、今回はむしろ原子核の分裂破片等の誘導放射能によつて体内体外に及ぼす影響が来ておるようである。従つてこれらの線源によつてその治療の行き方が違つて来るので、ただいまもお話があつたようでございますが、そういう意味においてかぶりました灰等の検出というのが先になつて来る、治療の根本になつて来る問題であるというような御意見等も、実際現在治療に当つておる方々の御意見として出ておる。従つて元素がバリウムであるかストロンチウムであるか、あるいはその他の元素であるか、それによつて治療方法も違つて来ることは当然であるが、そういう点を灰等の分析から検出する努力を現在続けておるようでございます。大体昨日の午後の状態では一その前日よりも白血球が大分減少して来た。一昨日は六千が昨日は四千くらいに、東大に入つております人は減つて来ておる人もある。これらの点はここしばらく経過を見ないと一概には結論できぬ。従つて大体まず二箇月程度はあらゆる点から十分検討して治療時期というものは一応考えられるのではないか、こういうのが一応今日までの治療上における医学的な立場からの総合的な考え方であつたのでございます。
 そこで、私どもはまずこれらの傷害を受けられました人たちに対しまして治療の方法を講じて行く、現にいたしておりますが、その根本はまずこの二十三名に全員が船員保険法に入つておられますから、一応医療給付は、船員保険法による医療給付をいたして参る。しかし船員保険法による医療給付だけで不十分な場合は十分にするためにほかの方法をあわせてやつて行く。結論を申しますと、被暴を受けて現在治療を要する方々に対しましては、あるいは船員保険法、あるいはその他の方法をもつても治療は十分して行く、こういう方法をとつて参りたいと存じております。従つて現在いたしておりますとりあえずの治療の給付は船員保険法によつておる。御承知のように、船員保険法によりますと、三年間は治療を継続してなすことができるのでございます。またこれが本人の過失というのではございませんから、私どもは業務上の傷害とこれを認めて参ることにいたしております。業務上の俗に申しますと公務員傷、業務上の負傷でございますから、その家族に対しましては四箇月間標準報酬の金額を一〇〇%、つまり月給を差上げる。その後過ぎますと、その太〇%を二年八箇月間は、もしや治療を続ける状態でありますと、継続して行く、まず一応この方法をとりまして、家族にも一応安心感を与え、治療の方法もその方法をとつて、そして十分治療を徹底して参るようにいたしたいと存じております。ただ現在は重い患者、重い傷害を受けられた方々は、東大の病院へ入つております。あとは焼津の方でございますから、この災害は医学的、物理学的、科学的あらゆる点を総合した点からの治療でないと有効でないというのが現在まで当つておられます学者並びにその道の権威者の総合した意見でございます。従いましてできるだけ一箇所所でこれらの総合した治療方法が講じられるように今後はとりはからつて参りたいと存じます。
 以上とりあえず御報告申し上げます。
#24
○小島委員長 引続き質疑を続行いたします。高橋等君。
#25
○高橋(等)委員 広島、長崎の原爆の洗礼を受けましてからすでに九年になりますが、今眼前にそれに数十倍すると伝えられますビキニのいわゆる水爆実験の猛威を目のあたりに見、またそれが私たちの生活に偶然にも影響を及ぼしましたことは、国民に新たな脅威と不安とを与えておる事件でございます。ことにまぐろその他の水産物、食物に放射能が発見をいたされ、しかもこれが身体に恐るべき影響ありと発表せられまして、それら有害水産物がすでに市販に出され、これによりまして重大な社会不安をかもしております。ただいま承りますと、厚生当局におきましても、緊急対策といたしまして、いろいろと緊急の手を打たれ、これらの食物から及ぼされますところの害毒を除去いたすことに努力をなされておることは、よく了承をいたします。そこで私は二点につきまして、特に希望並びに質問を試みておきたいと思います。
 その一つは、国民の保健上及びわが国の漁業あるいは貿易に与えまする重大な影響を考慮いたすからでございます。放射能の影響を受けております魚類は、まだ相当あるのではないかと考える。あるというのはどこかにあるのではないかと考えられる、わが国にあるというわけじやありません。そうした魚類があるのではないかと思える。これらのものに対しまして、今おやりになつております取締りというものが、相当確信が持てるまでの間、今後長期にわたつておやりを願わなければならぬ、いわゆる検知の問題でございます。また第二の点は、いわゆる輸出まぐろの問題でございます。けさあたりの新聞の漫画によりますと、アメリカはこのまぐろを全部カン詰にすれば買いとるというような漫画が出ておりましたが、反対に伝え聞くところによりますと、すでにアメリカでは日本からのまぐろの輸入について非常な危惧の念を抱いておるようでございます。これはわが国の輸出に非常な影響を及ぼすのでございます。これらに対しまする、厚生当局としての対策についてもお伺いをいたしておきたい。それと同時にただいま緊急対策を承つたのでありますが、今後随所にこうした問題が人類の前に起つて来るだろうと私は考えるのであります。方々でこうした実験が行われ、そのために不測の影響を受けるようなことが起るかと思うのであります。これに対しましてわれわれとしましては、恒久的な対策を考えておかなければならないのではないかと考えるのでありまして、これらに対しまする厚生当局のお考えを、大臣から承らせていただきたいと思います。
#26
○草葉国務大臣 第一の点は、検知班を現在五つの港に五班を出してそれぞれ各港に一班ずつ出しておりますが、これらは今後のいろいろなことを総合いたしませんと、まだ専門家の方でもはつきりした認定を下し得ない状態でありますが、現在まで入つて参りました情報を総合しますと、昨今十六、七日ごろ帰つて参りました船も、禁止区域はるか西の方五百ないし八百海里を隔てたところを三月の実験がありました六、七日後の三月六日ごろに通過して帰港しましたのが、放射能が現われて来ておる、こういう状態になつておる船もあるようであります。従いまして、これがいつまで続くかという問題がある。それによつて検知班をずつと引続いて検査させるという問題、これは現在この期間中に出漁しております漁船に対しましては、水産庁からそれぞれ無電等をもつてさきに申し上げましたことを通報しております。おおよそ出漁の船が帰つて参ります時期も、そう今後継続的に長くということもないと存じますが一とにかく国民の不安を一掃する状態になりますまでは検知を続けて参る必要があると存じております。ただ時期はいつごろか、これは大体の見当はつくと思いますが、しばらくの間は不安を一掃するということをいたしたい。
 なお国内の食糧につきましても、まぐろその他の魚は全然放射能がないという証明をして市販に出したい。従つて市販に出しますものは、少くとも現在知り得る最大の学問をもつて、放射能がないという証明を出したものでないと販売には供し得ないようにして行きたいと存じます。でありますから、国内におきましても、この検査を通過したものだけが市販に供せられておるという立場によりまして、今後安心して水産物を食ぜんに供していただきたいと考えております。
 またただいまお話のアメリカ等に対するまぐろの輸出という点につきまして、従来ともそうでございますが、証明がないと輸入を拒否しておるという状態でありますが、今回の問題で、これらの問題につきましても当然問題が起つて来ると存じます。現にアメリカのこれらの関係者においてもこの点を憂慮しておるようであります。これらの点はことに国内同様十分検査いたしまして、それらの不安の絶対にないようにして、カン詰等にいたしまして輸出する、厳格な調査をして当該関係者等とも十分連絡をとつて参りたいと存じております。
#27
○高橋(等)委員 何か恒久的な対策は……。
#28
○草葉国務大臣 そこでいろいろ理論的に検討いたしますと、その実験当時において、その禁止区域等におつた魚があるいは太平洋全地域を遊泳し、その魚に放射能があつて、それが今後何十年とも持つて行くという点に対しての検出の方法という問題もあるいは検討しなければならないかとも存じますが、これはなかなかむずかしい問題でありますので、先ほど申し上げましたあちらの地域における漁獲というものを一応中心に考えていたして参つておるのであります。また恒久的に治療の上から考えますと、現在の災害を受けられて検出されます二十三名の人たちに対します問題と合せて、従来広島等で原爆の症状の研究並びにこれに対する医療の対策というものをいたして参つたわけでございますが、この医療の完全なる処置が現在までまだ十分できておらないというのが事実だと存じます。従いまして、これらの点並びに今回の点とも合せまして、恒久的に十分医療、あるいは物理学、科学、学者、臨床家等の力を借りまして、総合的に検討して、参りたいと考えております。
#29
○小島委員長 柳田君。
#30
○柳田委員 私は一昨日とりあえず本委員会においてビキニ環礁の問題に関しまして、衛生立法上、あるいは衛生行政上、あるいは医療対策上、あるいは患者の厚生対策というような面に対して緊急質問したのでありますが、その際にも、この患者の治療を進めるには、何としても、いかなる原子核分裂が行われたか、その放射能にはいかなる物質、いかなる量の放射能が含まれておるかというような点を早急に明らかにしなければ、これは当面患者の生命に及ぶ問題であるから、至急にこれを解明してほしい、同時にそれを解明することは、現在アメリカからMSAによつて受入れる兵器、弾薬、武器等においてもなおかつ秘密保持法のごときものを立法せんとするアメリカであるから、おそらく放射能に関しては何らかの圧力が加わるのではなかろうか、そういう際にも、人道上の問題に立つて、さらに日本が第一、第二、第三の原子爆弾を受けた国として、人類に対する義務としても、いかなる原子核分裂が行われたかということは、治療の問題とあわせて考えても、これはうやむやにすべき問題でないということを強く大臣に要望しておいたのであります。従いましてその後これがどういうような物質であつたかということに対する厚生当局の解明の努力の跡をお示し願いたいと思います。
#31
○草葉国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、元素の原子核の分裂の、いかなる元素でありあるいは原子核であるかということによつて治療の方法が違うというのが、学者も専門家も当然一致しておる意見でございます。従いましてこの元素等がはつきりいたすことが治療の上では必要かとも存じますが、しかしこれはなかなかむずかしい問題で、一つのものにおいても、かりに甲のやり方をしておつても元素が発生する場合には予想と違つたような元素が発生する場合もあるし、いろいろな問題が起り得るそうでございます。従いまして端的に甲の実験であつたから甲の限界された元素だけという場合もないようでございます。これはいろいろ専門家に現在検討していただいております。しかしいずれにしましても、現在これらの症状に対して予見し得る、あるいは想像し得る材料は、治療上最も必要であります。これらの点につきましては、幸いアメリカの方も医療的援助を申し込んでおる状態でありますので、これらの治療上の資料を至急招致いたしたいということを申し出て、強く要望いたしております。いずれこれらの点につきましては、近々にそ、れぐの方法が講じられると思います。また一方こちらの方といたしましても、灰等を十分化学的に分析いたしまして、その根元をつくという方法をとつております。
#32
○柳田委員 それは当然のことでありまして、日本側におきましてもいろいろと学者がこの灰の中からカルシユームのほか放射能の物質の究明に当つておることはわかつております。しかしながらあの放射能というものは時がたつと減少して来る。また一つの比較物質を持たなければならぬ、従つて実験した本体のアメリカにおいてはいかなる量といかなる種類の放射能を作用せしめたかは、当然わかつているはずなんです。だからその点を人道上の立場から日本政府としては、当然明らかにすることを要請されるべきであると言つているのであつて、そういうことに対してどういう努力をされたかということを私は問うている。それに対して大臣の今の答弁はまことに不満足であります。
 米軍の原子力科学班長デーガー大尉が、「問題の灰の放射能の質と量、寿命について広島のABCCときよう(十九日)打合せ、午後には返事することがおそらくできると思う。それまで待つてほしい」と言つたことを中泉博士が申しておられることを、十九日の朝日新聞は伝えておりますが、米軍当局からその放射能の量と質、あるいは寿命等について何らかの通告があつたかどうか、お伺いしたい。
#33
○草葉国務大臣 昨日もその点について米軍当局と実際治療に当つておられる方々とも連絡いたしたのでございます。しかし米軍におきましても、はつきりした放射能の性格等はおそらく承知しておられなかつたような点が多い状態であると想像されますが、これは私が正式に報告を受けたのではありません。ただ連絡を十分している。そしてアメリカからも専門家が来る。こちらの極東軍においてもこの治療にあたつては十分協力するというので、現在これらの問題に当つている関係の学者並びに臨床家等が連絡をしながら治療、研究に当つているのでございます。
#34
○柳田委員 大臣はもう少し質問をはつきりお聞き願いたい。十九日午後にお返事ができると思う。それに対して何らかの通告があつたかどうかをお聞きしているのです。
#35
○草葉国務大臣 まだないようでございます。
#36
○柳田委員 ほかのことはあまりおつしやらぬでけつこうですから、簡潔に問題の要点だけお答え願いたい。
 厚生省の軽部研究所課長が「人道的立場から治療対策に必要な資料をできるだけ日本側に提出してほしい」旨米国政府に申し入れたということでありますが、これは事実でありますか。
#37
○草葉国務大臣 治療上の技術的資料を得たいということは申し入れております。
#38
○柳田委員 しからばこういうような申入れに対して米当局から何らかの回答がない場合には、厚生省としてはいかなる対策を今後お立てになりますか。
#39
○草葉国務大臣 アメリカの方からも、治療上大いに協力したいという申出が、先方から先にありましたので、当然これらの点については協力して来ると存じます。
#40
○柳田委員 この治療対策の主体はどこでありますか。アメリカか日本か、はつきりお答え願いたい。
#41
○草葉国務大臣 当然日本でございます。
#42
○柳田委員 まことにけつこうな答弁であり、ます。一国の大臣ならば、さよう答弁あるのがしかるべきであります。都築博士も「十七日朝も広島のABCC所長モートン博士から全面的に協力するようワシントンから言つて来たと電話があつた。アメリカ側の協力を決して拒むわけではないが、治療や調査の主体はやはり日本側だと思う。」かように申しておわれます。ところが奥村外務次官が次のような談話を発表しておられる。本日奥村外務次官をここへ呼んだのでありますが、都合で来れぬそうであります。これは奥村次官の談話だから厚生大臣は知らぬと言われればそれまでかもしれませんが、政府当局としてお聞きしたい。奥村さんはこう言つている。「今度の事件に関しアメリカ政府は被害者の治療、被害船の消毒などのため米本国からも専門家を派遣するなどできるだけのことをしたいと言つて来ている。」それは当然だと思う。
  〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕
アリソン大使も治療、消毒等全面的に協力したいと言つている。また外電の伝えるところによると、これに対する補償の用意がある。第一、第二の広島、長崎に人道上の罪悪を犯し、再び第三の世界人、類に対する挑戦をしたからには、さすがにいかなるアメリカといえども、何というか相当折れた態度で来ているのでありますが、そのあとが問題であります。「放射物質の内容が明らかにならないと被害者の治療がむずかしいという科学者の声に対しては放射物質の内容は明らかにしなくとも今度の場合の治療法を十分に心得た医師の派遣されることによつて適切な治療ができることになると思う。」こういう談話を発表している。私はこれは非常に重要な談話だと思う。何となれば、すべてをアメリカから来る者の治療におまかせしたらよろしい。いかなる原子核分裂が行われて、その放射能にいかなる量と種類の物質が含まれているか、そんなことは明らかにしなくてもよろしい。向うかろ十分治療を心得た医師が派遣されるからそれでよろしい。これは非常に重要だと思う。少くともこういう人道的な問題に対して、人類に害をなす物質が何であるかということを解明せられぬということは、人類に対する罪悪なんです。こういう点に対して政府当局としてはどうお考えになりますか。
#43
○草葉国務大臣 これは新しい医学の、また物理学の分野でありますことは申し上げるまでもないのであります。従つてそれによる症状に対する治療は、世界的な一つの問題でありますから、今回受けました私どもの二十三名の同胞に対する被害に対して、あらゆる現在の世界的な知識をもつて当るために、あるいはその方法がアメリカで知られており、他の国で知られておつたら、これを利用することは当然であり、また望むところであります。ただ現在私どもはその道では知識が不十分でありますが、原子核あるいは元素の問題については、治療上からもなかなか十分な、的確な処置が世界的にもないように聞き及んでおります。今回の災害を受けられた方々に対しまして、あらゆる対策を総合して治療に当ることは当然でありますが、この主体はどこまでもさつき申し上げましたように、日本が当つて、その知識はあらゆる点からとつて参らなければならぬ。そういうので、この治療に当る今後の協力に対する態勢等も考えて参つているわけであります。でありますから現在この灰の分析その他学問的に考えられましても、一概に一つの実験によつて必ずしも同一の原子が原子核の分裂という形だけで現われて来ない場合もたくさんあるので、それによつてのみ治療ができにくい状態であることも予想されますから、これらの点については臨床学者あるいは物理学者、化学者等が、これらの患者の方を中心にして、総合的な立場から今検討している次第でございます。
#44
○柳田委員 この奥村談話を読みますと、われわれは昔からのいわゆる霞関外交、軟弱外交、日本をしてフアツシヨを擡頭せしめ、軍閥の横暴を導いた昔からの霞関外交であることがここにありありと現われていると思うのであります。ことにこういう重大な人道上の問題に対しても、なおかつ力のある国に対しては、単に追随するという点が現われて残念でならぬのであります。しかもこういう問題は、事生命に関する問題である。従つていかなる生命に害毒を与える物質であるかということは当然究明されなければならぬ。それに対して厚生大臣は、全世界人類に対するところの日本人の崇高なる使命としても、この物質を明らかにしたいという熱意があるか。前回にも今回も明らかにされないことははなはだ遺憾であります。これ以上追究してもあなたは言われぬと思いますから、はなはだ残念ですが、追究しません。
 なおこの奥村談話に現われておるところによりましても、問題になるのは、アメリカがこのような罪悪を犯して、そうしてたまたまこれに対する被害者が現われた。そうするならば当然原子爆弾に対するところの治療問題はアメリカも関心を持つておる。日本によい実験材料のモルモツトが現われたから、アメリカの医師を派遣して、おためごかしに診察を装うて、みずから治療対策を立てる資料を収集に来るということは、われわれは当考えなければならぬ。もつてのほかですよ。これについては第一、第二、第三の被害を受けた日本人として、日本人をモルモツトにしないという御言明をいただきたいのであります。
#45
○草葉国務大臣 実はその点は、さきにも申し上げましたが、私どもといたしましては、広島の場合のABCC等の活動の状態から考えましても、治療がまだ学問的に十分な方法が講じ得る状態になつておらない、これは事実だと存じます。大いに研究して、どういうやり方が、体内にある放射能を外に出すために最も有効か――出すということが結局中心でしよう。そのためにはどういう方法を講ずることがいいか。なかなか的確な治療の方法が講じられぬままに現在も研究を続けております。そこで今回におきましても、患者の人たち――一口に申しますと当該患者の人たちに対します治療は、これは私が申し上げるまでもなく、日本におきましてはいろいろな医療関係の法規等で、日本の医師でなければ治療に当ることができないのであります。従いましてほかの国から協力を求めますことは、これらに対する知識の提供、あるいは資料の提供というのが中心になるはずであります。そういう意味で、どこまでも日本の医師がこれに当つて行く。従つて人道上からもはつきりとそういう立場をとつてやつて参るつもりでございますから、どうぞこの点は御了承をいただきたいと思います。
#46
○柳田委員 確かに日本の医学者としてはこの原子禍に対するところの治療法を全世界の人類に明らかにする、崇高なる権利と義務があると思う。そういう意味におきましては、アメリカの学者であろうと、どこの国の学者であろうと、来て、日本の学者から教えをこい、それに対してわれわれが協力することを拒むものでなし、むしろ進んでこちらからそれに対して材料を提供するだけの用意はなければならぬと思います。しかしこの奥村談話のごときものを読むと、これはまつたく、知識も十分に必得たお医者さんが派遣されるから、いかなる量と種類の放射能であろうと、それはあえて問わなくても、そのお医者さんにおまかせしておいたらよろしいということでは、これは許されないと思うのであります。ことにこの放射能に対するところの治療法は確立されておりません。また生理に対しましても、病理に対しましても、治療法に対しましても、いまだ確立されておりません。しかしながら少くともこの問題に対しては日本の医学は、悲しいことではありますけれども、幾多の経験を通じて世界に対しては最も進んでおると思うのであります。あえてアメリカから教えられるところはないのであつて、こちらが全世界の学者に教えてやるのである。この奥村談話は主客が転倒しておるのであります。私はこの点をついておるのです。また日本のいわゆる原子物理学は、湯川博士、朝永博士等を輩出し、決して世界のレベルから劣つておらぬ。むしろ世界のレベル以上である。物理学の面において、医学の面において、日本が何を好んでアメリカの下部に立つて、全部をアメリカにおまかせしなければならぬ必要があるかどうか。この奥村談話は主客が転倒しておるのではないかということを私は追究しておるのでありますから、どうか厚生大臣も静かに胸に手を当ててお考えを願いたいと思うのであります。
 次にこの治療費の問題でありますが、先般もお尋ねいたしましたが、船員保険でやつて参りたいというお答えであります。本日も、まずとりあえずは船員保険の適用をする、こういうお答えのようであります。私はそのときに、原子力によるところの災禍は五年、六年、七年、八年何ら異状がなくても、それから出ることもある。これは広島、長崎の場合に経験をしてわれわれは知つておる。ところが今度は広島の場合の約七百倍の威力が発揮されたというふうに伝えられておる。そうなつて参りますと、今度の放射能による災禍というものは、十何年先に起るかわからないにもかかわらず、限定されたそういう船員保険を適用することによつて――年限において制限され、額において制限された船員保険を適用することによつて適切な治療ができるかということをついたのであります。
 もう一つ根本をつくならば、公海の自由の原則を無視したところの一定地域に立入り禁止区域を一いわゆる公海を領海にするような宣言は、これは平時の宣言ではありません、非常時の宣言である。従つて外務委員会等においても、この宣言の効力が問題になつておるのでありますが、こういうふうな非常事態の宣言をやつておる。その非常事態に基因したところの今度の疾病である。こういうものに対して平時の船員保険を適用することが正しいかどうか。たとえて言うならば、ちようど船員保険に入つておる、あるいは健康保険に入つておる、そういう社会保険の被保険者が、戦争によつて公傷を受けた場合に、お前は社会保険に入つておるから社会保険で治療しなさいということが言えますか。これは根本的に問題が違うと思うのでありますが、厚生大臣のお考えを承りたい。
#47
○草葉国務大臣 今の御引例は、これはお話の通りであります。しかしとりあえず現在原爆症状が現われて来て、そうして一日もゆるがせにすることのできない者に対して治療法をとつて行かなければならないのであります。その治療方法は、これを国内的に申しますと、先ほど来申し上げました処置によつて継続して行く。しかし今後これらすべての問題を総合いたしまして、その起つた原因が、ただいまお話にありましたような禁止区域外における漁撈操業の平常の任務において災害をこうむつた、こういう状態におけるアメリカの補償、あるいは言葉をかえて申しますと賠償ということになりますが、損害賠償というような意味においての話はおのずからそこに生じて来る。従つて現在とりあえずその処置をするのには、国内的にはこれが最も妥当であると考えております。しかしそれだけでは費用がまだ不十分であるならば、国内的にもほかの費用を持つて来てでも十分な治療をし、そうしてその後における両国の話合いによつて、ただいまお話のありました、また私が後段で申し上げましたようなことは処置して行くべきものだと考えております。
#48
○柳田委員 私は何もあげ足をとつたりするわけではないのであります。今の大臣のお答えも多少わかるのです。従つて今とりあえず国内法の船員保険を適用する。しかしこれだけでは不十分である、そんな問題じやなしに一とりあえずしておくが、この問題は当然アメリカの責任において――アレソン大使も、消毒と医療には十分なことをしたいと言つておる。日本政府もこれに補償を要求するのであろうし、アメリカも補償する考えを持つておるというから、当座の処置としては船員保険でやるが、それはとりあえずの処置で、根本原則としては、アメリカからの医療費により、またその補償によつてやるので、そのときには応急処置の船員保険は全然初めから適用しなかつたものにするんだ、こういうような的確な御答弁になるのなら、私はそれで満足しますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
#49
○草葉国務大臣 これは国内法的にいいますと、とにかく一応そういう状態でその人が災害を受け、あるいは病気にかかると、船員保険としては当然やらなければならぬ。しかしその根本は先ほどお話になりましたような原因から出て来ておるものであります。従つてこれに対しましては、これまた当然アメリカに対して、その点をあるいは要求し、あるいは話合いをつけて行くという状態に持つて行かなければならぬ。それが十分になりますと、船員保険に振りかえるなり、適当な方法は当然とられると思います。
#50
○柳田委員 それでは大体趣旨においては、私が申し上げたことを御了承いただいたというふうに解釈してよろしゆうございますね。これは当然そうあるべきものだと思いますから、さような処置をとつていただきたいと思います。ただ便宜上船員保険では、将来にとつて大きな悪例になりますから、重ね重ね要望しておきます。
 次にこの治療対策に厚生省としては必要な予算がいると思いますが、こういう予算関係においては、現在いかなる処置をとつておられますか。
#51
○草葉国務大臣 さきに申し上げましたような、検知班とかあるいは調査班その他の緊急対策といたしまして、一応それぞれ予算を組みまして、予備金から支出する段取りにいたしております。医療につきましては、ただいま申し上げましたように、とりあえず船員保険法で予算に十分組んでありますから、その費用から治療費は支出ができます。なお船員保険法では、ある一定の医療のわくをきめております。これに対してはみ出します分は、大学の研究費あるいはその他あらゆるものを総合いたしまして、不便のないように、治療に不十分のないようにいたして参るという方針で相談をまとめておるのであります。
#52
○柳田委員 そうでありますから、また話がもとにもどるのです。根本的には船員保険ではないけれども、船員保険から出しておくというから、今のようなおかしな自家撞着のようなことになつて来る。根本的な問題はそこにあると考えられますが、もう一度はつきりしておきたいと思います。
#53
○草葉国務大臣 今度の問題は、治療の問題、調査の問題、いろいろな問題を総合して含んでおります。従いまして治療の問題は、その他の検出の問題、調査の問題と同様それぞれ費用がついて参りますから、一緒に申し上げてはかえつて混乱いたしますので、そういうふうに申し上げたのであります。
#54
○柳田委員 重ねてもう一度ここで確認しておきます。本治療費に関しては、当座のつなぎとして、一時的の便法として船員保険の会計を借りるか、根本的にはアメリカに補償を要求するなり、あるいは向うから進んでこの治療費を持とうという、そういう船員保険外の、しかもわれわれ国民の血の税金による国税外の、アメリカの償いの何らかの金が来ると思いますから、それによつてまかなうという原則をもう一度確認しておきたいと思います。どうでありますか。
#55
○草葉国務大臣 さきに申し上げましたように、これに対しまする要求その他は進めて来る段階が来ると存じます。現在はいろいろなものがまだ中途になつておりますから、総合的には判定しにくいと思います。また向うからもそういうことは一応好意的な申出等もありますので、当然そういう段取りになつて来ると思います。そこでそういう段取りになりまして、治療は治療として船員保険法といたしましても、本人から要求がありますと当然して参らねばならない立場になつておりますから、かれこれ総合いたしまして進んで参りたいと思います。
#56
○滝井委員 一、二点関連して質問しておきたい。最初に大臣の御答弁で、この二十三人の漁師の治療の主体は、日本の医学陣でやつて行かれるということを言われたわけです。ぜひそうしていただきたいと思いますが、問題は、今後わが国が原子力の国際管理を主張して行くかどうかという態度にもかかつて来る問題である。なぜならば今度実験をしておるところのビキニ環礁におけるこの原子爆弾類似のものは、超国家秘密を含んでおるものだ。この超国家秘密の原子爆弾類似の実験によつて起つたところの被害者を、われわれが詳細に総合的に調査することによつて、この超国家的秘密の原子爆弾類似のものの正体がある程度つかみ得ることになるのでございます。従つてアメリカとしては、そういう重大な超国家秘密を含んでおるところの研究を日本だけにまかせることは非常に危険であるという立場が当然起つて来ると思います。そこで今大臣のお言葉の中にも、この研究は日本が主体となつてやるということですから、今後われわれは、日米安全保障条約によつて、日本のどこかの基地の中にこういう強い爆発力を持つている原子力の爆弾を置く可能性が出て来ることは当然だと思う。従つて置くからには、いつ、その敵側が報復を受けられぬとも限らない。われわれはこれを総合的に研究して、その成果をあらゆる日本の医師あるいは世界の医師にも知らせなければなりません。この日本が主体になつて研究した総合的な調査の結果を、全日本の医師に発表するということをここで責任をもつて御確答ができますか。
#57
○草葉国務大臣 これは御承知のように、それぞれの専門家が全力をあげてただいま当つております。科学者、物理学者、臨床学者等が総合的なそれぞれの立場で検討いたしております。従つて随時私どもの方でこれらの総合研究を打合せて今後も進んで参りたいと思います。これの発表等につきましても、それらの方々の意見を十分聞きまして、世界人類のために最も適当であるという方法をとつて参らなければならないと思います。これらの点につきましては、今後の研究の結果にまつて処置をいたして参りたいと思います。
#58
○滝井委員 どうも答弁があいまいでございます。アメリカから借りておるところのフリゲート艦あるいはその他持つておるところの重兵器でさえも、政府は現在秘密保護法というものを出してその秘密を防止しようとしておる。現在世界は、このアメリカのビキニ環礁における実験の原子爆弾の力がどういう力を持つておるかということに注目しておる。しかもその注目されておる爆弾の結果が、二十三人の日本の漁夫と第五福龍丸に現われておる。従つて現在日米安全保障条約を結んでおるこのもとにおいて、この成果が発表できるかどうか。大臣は今それらの人と相談して発表したいということですが、これはこの際日本の上医学が主体となつて研究してやるというなら、原子力の国際管理ともさいぜん申したように関係して来る。わが国が原子力管理を勇敢に主張して行く限り、当然世界に向つてアメリカが何と言おうとこれを発表しなければならぬ。それだけの勇気が現在の吉田内閣にあるか。厚生大臣の草葉さんに持つておるかということを私は聞いておる。
#59
○草葉国務大臣 私が今申しましたのは、これらの実際の研究に当つておられる学者は、それぞれ日本一流の学者で世界的な学者なんであります。これらの方々のみずからの立場において、研究発表は、総合的に打合せてこうこうこういうやり方をとろうとか、いろいろ学者としての世界に向つてのやり方の方法なり内容なりはおのずから出て来ると思います。私は厚生省がそれをここで発表するその学問そのもの、あるいは研究そのものも全部向うでおやりになつておりますから、簡単に一言で言うと、かえつてこれらの方々の発表を前々からこちらで約束したようなかっこうになるので、研究を尊重する意味において私は今自重して申し上げたのであります。それ以外には何も本意はございません。従いまして現在は研究ということよりもむしろ治療というのに中心を注いで、治療するための研究ということになつておりますから、これらの方々が専心、昼夜をわかたずにやつておられるその立場はよく尊重して、今のような御答弁を自重して申し上げたのであります。その点は御了承願います。
#60
○滝井委員 どうも今の大臣の御答弁はわからない。私が言うのは、今後大臣が責任を持つてこの研究をした総合調査団というものができるわけなんですから、何も医者だけでなくて、総合調査の結果というものを広く日本の医学界に発表するだけの御努力をされるかどうかという点なんです。
 それからいま一つ。船員保険でまかなうということなんですが、こういう超国家秘密の要素を含んでおる、しかも未知の研究的な要素を含んでおるものは、社会保険の治療の対象にならないことは大臣も御存じの通りです。これは社会保険の治療の対象になりませんよ。現在の社会保険は、研究的な治療をしておつたら、あなたの方の厚生省のお役人が来て、全部だめだといつて監査して削つてしまうのです。もし大臣がそういうことを言うなら、今後一切研究的な治療もどんどんやれることになる。これは現在ぶどう糖を打つたり、ビタミンCを打つたりしていますが、何がきくかわからないのです。だから暗中模索でいろいろのことをやつておる。そういういろいろの研究的なものを社会保険で認めるということになると、これは例外であつても重大なんです。だからこれはいわゆる社会保険の一環である船員保険でやるということでなくて、国の予備費というものがあるのですから、こういうときに思い切つて予備費を出してやることが、私は社会保険をこわさない本質だと思う。社会保険を担当しておる厚生大臣がそういう社会保険の根本を間違わせるような、あるいは混乱させるような答弁をされるということは困る。先日の参議院の予算委員会で、多分主計局長であつたと思うが、生活保護でもやるということを言つておる。これは政府の内部の統一はどうなつておるのですか。社会保険は、これは傷病手当金も含んでおるから、何も生活保護法でやる必要はない。そういう社会保険の要素を持つておるものでやるべきではない。だからひとつ船員保険でやるということは撤回してもらいたい。もし大臣がそれを認めるというなら、社会保険の監査についてわれわれは重大な修正を願わなければなりません。
#61
○草葉国務大臣 第一点は研究がまとまりましたら、世界人類のために当然発表すべきものだと考えております。先に申し上げましたのは、そういう内容を含んで自重して申し上げたことを御了承願います。
 それから第二の問題は私は必ずしもそうは考えておりません。現在船員保険の加盟者であつて、そうしてその人が要求し、またその状態にあつたら当然船員保険法で支出するべき一応は義務がある。義務を果さなんだら船員保険の加盟者は納得いたさない。だから船員保険法においてやり得る最大は当然船員保険法でやらなければならぬ。そうするともつとだんだん問題が起つて参りまして、その船員保険法でしなければならない状態にだれがしたかという問題になつて来ると思います。その場合には、先に柳田さんのお話になつたような状態においての検討がなされるべきで、現在の症状に対しては船員保険法で許す最大の方法を尽してやつてしかるべきものだと思います。
 それから私はその席におりませんでした。私も新聞で見ましたが、今までの私の答弁が政府の答弁と御承知をいただきたい。
#62
○柳田委員 今の治療費の問題は、これは今後事態の推移によつてまた大臣の考え方ももう少しはつきりして来ると思います。これは先ほど私が了解しましたことによつて質問を留保しておきます。
 そこで最後に一点だけお尋ねしますが、その前に先ほど同僚滝井君の御質問に対する大臣の御答弁には、どうも気魄が私には感じられない。かつていわゆる大津事件のときの名判事などは後世まで伝えられておる。こういう世界的の問題に、時たまたま厚生大臣の衝にあられる草葉大臣というものは、今後歴史が永久にあなたの行動を批判するであろうと思う。あなたも宗教家であられるのであつて、釈迦の教えを汲んでおられる。釈迦には日本人もなければアメリカ人もない。この釈迦の教えを汲んでおられるあなたであるならば、当然この問題はアメリカの圧力に屈することなくして、真に釈迦の教えの通り、全人類のために最も幸福にして、最も正しき方法をとられることを厚生大臣のために特に私は要望しておきたいと思います。またさようあらねばならぬと思います。
 ただ最後にお尋ねいたします。この問題に対して厚生省は国連機構内のWHOの方にはどのような御連絡をとられ、また将来いかなる御協力を求められんとしておられますか。その点ひとつ御構想なりをお伺いしてそして私の質問を終ります。
#63
○草葉国務大臣 現在までは何も連絡はいたしておりません。今後のことについては検討してみたいと思います。
#64
○青柳委員長代理 次に長谷川保君。
#65
○長谷川(保)委員 先ほどの柳田委員の御質問はきわめて重大なるものを中に含んでおると思う。現に広島にあります米国側の原子病の研究機関は、治療はしない、研究だけするということを建前としておるようであります。従つて原爆障害を受けました広島市民諸君にとつては非常な不満があつた。つまりモルモツトにしておるというわけであります。研究が主体になつておるということを考えますと、推量をたくましくいたしますれば、当然治療さるべきものでも、研究の都合によつては治癒を遅らせるというようなこともなきにしもあらずと考えられるのであります。従いまして今回の事件もこれに関連いたしますけれども、われわれ日本人といたしましても、また人間の一人といたしましても、人道上の見地からいたしましても、もしわれわれの同胞のその原爆障害に対する治癒が、およそ研究の名のもとに遅らせるということがありますならば、これは断じて許すべからざることであります。先ほどの奥村外務次官の談話等々から推しましても、ここに厚生当局といたしましては、少くとも断固としてそういうふうな方法は許さぬという厳然たる態度がなければならぬ。そういう点につきまして大臣の先ほどからの答弁は十分でないと思う。この治療に対しましては、断固としていかなるものをもはねのけて邁進するという決意を大臣から承りたい。
#66
○草葉国務大臣 私が先に申し上げましたのも、治療は当然日本の責任と、日本のすべての学問的総知識を総合してやる。また世界のいかなる国からもこれに対する資料あるいは協力は喜んで求めていいじやないかという立場において申し上げており、また今後もそういう考え方で進んで参りたいと存じております。
#67
○長谷川(保)委員 次に私は今回の原爆あるいは水爆によりまする魚の有毒の問題、従つてその検査、廃棄等は食品衛生法によつてしているのではないかと思いますが、どの法律によつてやつていられるか伺いたい。
#68
○草葉国務大臣 食品衛生法によつていたしております。
#69
○長谷川(保)委員 そういたしますと、先ほど調査その他の費用は予備費によつてすると厚生大臣は言われましたが、当然食品衛生法による費用によつて、これがまかなわれなければならないと思いまするけれども、いかがでありましようか。
#70
○草葉国務大臣 食品衛生法におきましても、地方のいろいろ市販に供しております食品の衛生上の検査その他に要しまする費用は、食品衛生法に定めました方法によりまして、当該府県その他で支出いたしますることは当然でございます。ただ今回の場合は、こういう検査をしませんと、それが現われて参りません。従つて地方には検査の機械もございません。どうしてもガイガー検知器一台持つて参りますのにも、こちらから手当をして持つて行かなければならないという特殊的な現象でありまするので、これに対しまして処置をいたしたのであります。
#71
○長谷川(保)委員 魚も二千貫からの魚のようでありますし、今後もまたどのくらい出て来るかわかりません。すでに廃棄処分になりましたものもあるようでありますが、食品衛生法によりますと、そういうような有毒物の収去に要する費用というもの、あるいは監視員の旅費その他も当然予算の方から出るというようになつておるわけでございます。今回の廃棄されました魚の損害は漁船の方で負うのか、あるいはまた市場側で負うのか、あるいはまたその収去という意味におきまして、食品衛生法によつてこの損害がまかなわれるのか、それを伺つておきたい。
#72
○尾崎説明員 食品衛生法の建前から申しますと、まず監視員が活動する人件費だとか、検査に行く費用、また収去する費用という問題と、その食品を衛生上不適といたしまして廃棄する場合の問題、この二つがございますが、それぞれ別になつております。廃棄する場合の廃棄に要する費用と、廃棄した物件の損害と申しますか、価格と申しますか、そういうような費用と、これがまた第二の問題で別になるわけでございますが、今の監視員の人件費だとか、そのほかの活動に要する第一の方の経費につきましては、都道府県で活動するものは都道府県の費用、また国の活動に要しますものは国の費用でございます。都道府県の活動に要します費用につきましては、食品衛生法におきまして、一応二分の一補助になつておりますが、現在では御承知の通り平衡交付金でやるようになつております。
 第二の廃棄の問題でございますが、廃棄に要します費用は、廃棄のやらし方によりますが、営業者に命じてこれを廃棄せしめた場合には、営業者の負担になりますし、国なり都道府県がみずから廃棄する場合には、こちらの負担になります。それで府県が廃棄その他によりまして活動いたしました場合の費用は、先ほどの府県の活動の費用と、監視員その他の費用、これは同一の取扱いを受けるのでございます。
 最後に、ただいまのまぐろなどを、法の建前から、また、その魚はもう食用として、価値がないものだというような観点からいたしまして廃棄いたします場合は、損害を補償しないようになります。その費用負担は当該業者が一応負担するようになつております。
#73
○長谷川(保)委員 業者の責任でその損害が起きたのではないので、それ以外の原因でこの損害が起つているのであります。従いましてこれは業者に負わせるということは当然不当であります。従いましてこれは何らか他の方法でこの損害を補填しなければならないと思うのであります。厚生大臣はどうお考えになりますか。
#74
○草葉国務大臣 それはごもつともだと存じます。従いましてこういういわゆる一種の災害による廃棄処分をいたしました件につきましては、今後アメリカと相談いたして参ることにいたします。
#75
○長谷川(保)委員 これはきわめて重大でありまして、これが非常に少い量でありますれば大したことはありませんが、今後のこともありますので、もしこういう被害が多量に起つて来るということになりまして、さしあたつてたとえば漁船の漁夫諸君が、これを廃棄させたために非常な大損害を負つて、生活に困るというようなことになりますると、非常に重大な問題であると思うのであります。十分豊かなときでありますれば、アメリカから賠償した後にこれを払うということによつても耐え得るかもしれませんけれども、どうも百トン未満の漁船のことでありますから、私はそれらの諸君の実情を考えまして、これは重大な問題が起りはせぬかと思うのであります。当面先ほどの船員保険のお話もございましたが、それらの船員保険によつて一応まかなわれます以外に、こういうふうな大きな商品の魚類の廃棄というようなことが起つて参りまして、そのために今後出漁いたしますためのいろいろな費用、御承知のように、百トンからの船でありますと、出漁には最小限度相当大きな費用を必要とするのでありまして、その出漁ができなくなるというようなことになりますと、たいへんなことになると思いますが、今後のこともありますので、こういう点につきましては、あるいは厚生当局に直接伺うのは無理かと思いますけれども、どういうような方針を立てておられるか、今後のためにも伺つておきたいと思います。
#76
○草葉国務大臣 お話の点はごもつともだと思います。あるいは今後船が使用し得るかどうかという問題もありましようし、現に廃棄いたしましたまぐろその他の食料の問題も、漁獲の問題もありますので、関係閣僚等で集まりまして、これらの点も寄り寄り相談をいたしておるのであります。さきに申し上げましたように、これらも今後の状態をよく検討いたしまして処置をいたすべきものと考えております。
#77
○長谷川(保)委員 今回の水爆はビキニでなされましたが、今後いよいよ強力な水爆の実験等が行われるといたしますと、当然風の方向ということが大きな問題になつて来る。従つて地球の自転から起つて来る風の関係からいたしまして、アメリカ側といたしましては、順次この水爆の実験の場所を西へ西へと持つて来るおそれなしとしないのであります。そういたしますと、おそらく太平洋中で、ことに西太平洋、南太平洋等におきましては、日本の漁業家は漁業ができなくなる。全然どこも行けなくなる。またまごまごしていると、その灰が日本に降つて来るということにならぬとも限らぬ。従いまして、今後先ほどお話の原子力の世界的な管理ということが、非常な大きな問題となつて来ると思う。そのおそれなしとしないのでありまして、政府におかれまして、これらに対しまする十分なる対策を立てる必要がある。もちろん国会といたしましても、この問題につきましては真剣に、日本国民全体のために、むしろこれは日本国民だけでなしに、たとえばマーシャル群島におきます原始人、この人々のためにも、われわれは原爆の最大の被害者といたしまして、世界に向つて人道上斗う必要がある。大いにわれわれは努力しなければならぬと思うのでございますけれども、この点についてはまた後の機会に譲るといたしまして、先ほどの食品衛生法に帰つてもう少し質問をいたしたいのであります。
 食品衛生法によりますれば、当然都道府県に対して、先ほど来お話のありましたような費用というものは、二分の一国庫補助ということになつておる。これは義務費になつており、はつきりいたしております。それがこの私が持つております予算の明細書には、全然載つておらない。これはどういう理由であるか。先ほど尾崎食品衛生課長さんは、平衡交付金に入つておると言つておりましたが、平衡交付金に入れるということをいつ承認したか、義務費ではつきりしていれば、はつきり予算に出て来なければならぬ。それを平衡交付金に入れたということで、これはいつでも大蔵省がやる実に悪い習慣であります。われわれの無知を利用いたしまして、食品衛生法の義務費を平衡交付金に入れてあると言うが、平衡交付金のどこに人づておるか、私は大村主計官から聞きたい。平衡交付金に入つていると言えばそれで逃げられると思つている。大蔵省が国会の立法権によつて立法せられておりますところの、はつきり義務費で出さなければならぬものを予算に計上しないで、平衡交付金に入つていると言つて逃げている。われわれが無知でそれをこまかく調べられないということを利用して、隠れようとしておる。はつきり平衡交付金に入つておるのか、入つているなら私はあとでそれを追究いたしますから、大蔵省は責任を持つて平衡交付金に入つていると言えるかどうか、大蔵省の大村主計官に聞きたい。
#78
○楠本政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、私から従来の経過と申しましようか、事務的な問題を主として申上げたいと存じます。
 ただいま御指摘のように、食品衛生法に基きまして地方で行います食品衛生に要する経費を、国が補助いたすことに相なつております、昭和二十四年まで二分の一を補助しておつたのでありますが、ところが、たまたまシヤウプの勧告等によりまして、昭和二十五年以来平衡交付金にいたしたわけでございます。当初二箇年間はそれぞれ成規の手続と申しましようか、法的措置を講じまして、合理的に平衡交付金の支出をいたしたわけであります。ところがちようど二箇年たつたころ運悪く平衡交付金制度につきましては、それ自体が各方面からいろいろ批判されておりました。ことに義務教育の国庫負担問題等を中心といたしまして、平衡交付金制度そのものが再検討をされる時期に相なつておりました。一方その当時は、たまたま食品衛生法自体の問題、特に食品監視の問題等につきましては、そのやり方自体について、政令諮問委員会あるいは神戸委員会等において、いろいろ批判をされておりました。私どももいろいろ実施してみますと、そこに研究すべき問題も出て参りました。従つてかような観点から、もう一応研究し直して、平衡交付金制度そのものとも関連させ、また委員会の御意見等もしんしやくしてやろうということで研究いたしておつたわけであります。この研究の結果、ただちにそれぞれより一層食品衛生を徹底いたしますような方法をとりたい所存で、現在も進んでいるわけであります。ところがその結論を得るまでの間、私どもといたしましては、法的な措置その他合理的な措置をとらなかつた点につきましては、これは事務的に、ただいま御指摘のように怠慢のきらいがございました。この点につきましては厚くおわびを申し上げなければならないような次第でございますが、今後私どもの方といたしましては、結論を得次第善処いたしたい所存でございます。
#79
○大村説明員 ただいま食品衛生に関する所要の経費が、平衡交付金に入つているかどうか、これについて責任ある答弁を求めるという御質疑でございましたが、これはただいま楠本政府委員から御答弁の通り、二十五年以来平衡交付金において予算を出している次第であります。
#80
○長谷川(保)委員 二十五年に、予防接種等による国庫負担の特例等に関する法律というのが出ております。それが二十六年にさらに一年延長されたということを伺つておりますが、それが二十七年以後何ら予算に計上されておらぬ。平衡交付金に入つていると言うけれども、おそらく入つておらぬ。法律によつてこれは義務費として出すのでありますから、当然はつきりしておかなければならぬ。平衡交付金に入つているというようなことを申しますけれども、そんなばかな話はない。当然これははつきりと予算に計上しなければならぬ。私はいつも申しますように、どうも日本の政治のあり方を見ておりますと、一番先に削られるのが社会保障の関係の費用と教育の費用です。こういう新しい憲法によつては一番重んじられなければならぬところのこの面の予算が、一番先に削られる。これは非常に悪いことである。そういうようにともすれば力のない、無告の民となりがちな方面の予算というものが削られて、その人々の国民としての当然の権利が与えられないのであります。こういうことであつてはならないのであります。これは平衡交付金というようなことで、決してごまかしているべきものじやないと私は存じます。これははつきりとそう申し上げてさしつかえないと思う。この面につきましては、私は他の機会に詳しく聞きたいのでありますけれども、およそ義務費になつているのでありますから、当然これははつきりと予算に組んでおかなければならぬはずであります。厚生省当局は、大蔵省とのいろいろな取引で、どうも消極的になり過ぎる。今日は厚生大臣が御出席でありますから、私は厚生大臣に特にこの点を御注意を換起いたし、これはどう考えましても当然補正予算を組んでこういう問題を解決し、今回のような事件が起りますときに、十分なる活動を都道府県の衛生部関係にもしてもらわなければならない。そして有毒食料品を国民に配給するようなことのないように――今回も、先ほどの環境衛生部長の御説明でも、五十貫ぐらいのものが行方不明になつておる。食べておる人がある。東京にはこの魚は配給されないと言つておりましたけれども、新聞紙の報道するところによれば、東京で食べた人の中に、ガイガー管の検査の結果、放射能を持つておる人がある。実に重大問題です。こういうものに金が十分に出ておらなければ、こういうことになる。
 ついでに伺っておきますが、最近私の承知するところでは、黄変米が依然として続々入つて来ておる。私は前々国会で、こういう問題はきわめて重大だから、厚生省関係の検査官の方々の費用を十分増さなければいけないということを忠告したのでありますが、その後全然それがなされておらないようであります。一体全国に今日何人のそういう検査官がいるのであるか、ついでに伺つておきたいのであります。
#81
○楠本政府委員 現在現場に十四名、それから研究所の方に二十二名が配置してございます。
#82
○長谷川(保)委員 そういうようなことでは、問題にならない。全国の港々に入つて参ります黄変米にいたしましても、肝硬変米で、肝臓に対して相当大きな影響を与えるというものが続々入つて来ておる。それを見のがしてしまう。それが今日国民諸君の食膳に上つている。そういうようなことでありますのに、こういうちやんと法律で義務になつておりますものを予算に計上しない。平衡交付金にも入つていないのに、入つていると言つてごまかしておる。こういうようなことでは、明らかにわれわれが国民から負託されております立法権によつて法律を制定しておるのに、行政府が、ことに大蔵省が、われわれの立法権に対して重大なる侵犯をしておる。憲法違反です。こういうことがたびたび行われましたから、十五国会におきまして、われわれは大蔵大臣の池田君をほうり出した。けれども、池田君一人ではとどまりません。こういうような憲法違反をし、立法権を侵害し、しかもそれだけならばいいが、そうじゃない、現実に国民諸君の生命に対して重大なる危害を加える、そういうことをいやおうなしにさせておる。こういうことは、われわれ断じて見のがすことはできない。われわれは国会議員として、国民諸君の生命を守るために、断じてこういうことは許されません。この点につきまして、この前総務課長を追究いたしましたときに、総務課長は、法律によつて国から出さなければならない費用は、全部予算に計上してありますとはつきりおつしやつた。それじやどこにこの予算があるかと言つて私が聞いたら、あわてて、わからないから調べて御返事しますと言つたまま、私が何べん主計局長、総務課長を呼んでも、出て来ない。そんなべらぼうな話はありません。この点につきまして、厚生省関係にも幾つかのこういう法律がある。厚生省関係だけではありません。私は今全省研究しておりますが、各省関係みな拾い出しましたならば、重大な問題です。憲法違反じやないか。もう時間がおそうございますから、私の意見はなお次会に申しますが、次会までに、どうか大蔵省にはつきり言つてもらいたい。一体どれだけの法律に対して法律違反をしているか。その資料を出していただきたい。このことを要求いたしまして、私の質問を終ります。
#83
○青柳委員長代理 次に岡良一君。
#84
○岡委員 ビキニの海域における邦人漁夫の被爆の問題で、いずれ近い将来に、その臨床の経過とか、予後の見通しなどについて、しかるべき権威者を呼んで実情についての意見を十分に求めた上で、その処遇その他について委員会としての検討をいたしたいと思いますが、この際せつかく大臣もお見えなので、ごく基本的な問題でお伺いをいたしておきたいと思うのです。
 第一の問題は、アメリカの原子力に対する政策が非常に支離滅裂ではないか。しかもその結果として、日本がこういう大きな被害を受けなければならないことになつておる。これに対して政府は一体どういう考え方を持つて将来の事態に備えようとしておられるのか承りたい。と申しますのは、昨年の八月の五日かと思いますが、マレンコフのソビエト同盟でも水爆の実験をやつたという声明が、アメリカ国内に大きな衝動を与えて、いわゆる率直作戦ということで、国務省、ペンタゴンも大あわてにあわてて、いわゆるオペレーシヨン・キヤンダーという形で、アメリカの保有する原子能力を洗いざらい公表しよう、こういうような方向に急いで進んで行つたかのごとくに見えたのが、十二月八日になると、国連総会でアイゼンハウアーが、原子力の平和的利用についての提唱をした。一月二十日ごろからのベルリン会議においても、瀬踏みの会談がソビエトの代表との間に行われた。かと思うと、今度の原爆の実験に当つてダレスがこういうことを、三月七日のニューヨーク・タイムズで言つておる。これはハンソン・ボールドウインの所論の中に引用されたダレスの言葉でありますが、もしわれわれが敵の攻撃から自己を防ごうとするならば、われわれが持つているところの実力を国民に隠すよりも、すべての世界に示す必要がある、こういうことを言つておる。その結果三月一日にはビキニにおいて、あの水爆であるか原爆であるかわからないが、実験が行われて、予想された危険地域百マイルをさらに百マイルも離れている漁船が、その数日後、基地に帰港してもまだガイガーの計数管によつて放射能が証明されたというようなことになつておる。これは今も長谷川君が指摘したように、貿易風の関係なりあるいは黒潮の関係なりも考慮に入れた場合に、特にわが国のように蛋白資源を多く魚類に依存している国としても、将来非常に大きな問題になり得ると思う。
 そこで問題は、こういうふうにとにかく平和利用をするといい、かと思えば一転して一方その相手国との間に話合いを進めておる、かと思えば、一方ではわれわれの持つている実力は、これを世界に示すことによつて敵の攻撃を防禦することができるということを国務省の長官がいい、その結果がビキニか。これは閣議等においても、政府の方でいかなる見解が披瀝されたか。検討されたか。またそういうことがあつたかどうか。この点をまず伺いたいと思います。
#85
○草葉国務大臣 実はこれらの点について閣議で検討いたしたことは、今まではあまりございません。お話のように原子力の問題は、現在世界各国の最も大きい関心と輿論の的になつておる点でございます。従いまして各国それぞれの立場において、ソビエトはただいまお話になりましたような立場から、あるいはアメリカはアメリカの立場から、その時と場合によりましていろいろの論議がなされておるようでございますので、これらの世界の動きは十分注目はいたしております。
#86
○岡委員 そういうアメリカの原子政策に対する不統一のおかげで、平和な日本の漁民が大きな被害を受け、ひいては食糧上国民も大きな不安にかられておる。また将来もそういうことが起り得る二とについて、政府部内においていまだに何ら検討がされておらないということは、私どもとしては非常に遺憾だと思います。
 それでは第二点としてお伺いをいたしたいのでありますが、今回実験をされた原爆については、同様にニユーヨーク・タイムズはこういうふうに言つておる。広島においてかつて爆発されたものはTNTの二万トンに匹敵するものである、一昨年の十一月にエニウエトク環礁において実験をされた水素爆弾は、TNTの約十万トンに匹敵するものである。ところが今回の爆発威力というものはTNTの二千万トンに匹敵すると言つておるのです。そういたしますと、明らかにこれは広島に落ちた爆弾、長崎で経験した威力に比べて約一千倍ということがアメリカの新聞でも公表されておるということであつて、将来さらにこれが大きなスピードをもつて、こうした大きな原子力の破壊的エネルギーというものが前進して行くということを予想されるのでありますが、こういうようなことになつて参りますと、今私どもの同胞である二十三名の第五福龍丸の漁民の受けた被害というものは――この大きないわば人間の知恵の最高達成点としての原子力の解放ということが、人間の生命なりあるいはまた人類の文明や福祉に反逆しておる。これを今度は押し返して、われわれの知恵というものは人間の福祉やあるいは人類の文明に貢献するものであるという方向に大きく切りかえて行くということが、平和国家の建前をとつておる日本からすればもちろん当然のことであり、また漁夫の被害、またそれに伴う各種のわれわれの被害というものを、禍を転じて福となすという点からも、日本としてはきわめて当然なことではないかと思う。これについて、何らかの具体的な考慮が政府として払われておるかどうか、この点を承りたい。
#87
○草葉国務大臣 今回の実験により起つて参りました第五福龍丸の乗組員の災害ということは、まことに遺憾な事態であります。今後かような事態の災害、被害の起らないことを私ども強く考えておる次第でございます。ただいまお話にありましたように、この原子力の問題につきましては、原子爆弾等の問題を中心といたしまして、国際連合等におきます問題の中心に従来ともなつて、現在もその状態で進んで参つております関係上、直接今回の被害を受けました私どもといたしましては、再びかような被害の起らないことを強く期待をいたす次第であります。
#88
○岡委員 期待をするということだけで起り得ないならば、われわれは別にこういう論議をする必要はないのです。起さしめないということのために、直接の被害国としての日本がもつと積極的な、国民の納得し得るような決意と勇気をもつて、この問題の処理に当られる具体的な方途があるかどうかということをお尋ねしておるのでありますが、この点はいずれまた次の機会に別な委員会でお尋ねすることにいたします。
 そこでことに大臣の関係の深い問題として、先ほど滝井君なり長谷川君、柳田君からも御質問があつたわけですが、御存じのように原子核の研究については、政府としても二億六千万円かの補助金を出しておるようであります。そうしてこの補助金の取扱いについても、先般学術会議の外郭とも見られるべき三十九委員会の緊急集会においては、その平和的な利用ということをいわば第一の憲章として掲げておる。そこで原子力の平和的利用、その前提をなすものは、現にこうして二十三名の漁夫が、しかも都築博士の指摘するように第二次放射能症を受けておる。これは将来どういうふうな不良の転帰を起すかもしれないという危険な第二次放射能症を受けておる。その実態について、政府としては当然あらゆる日本の学界の能力を動員して、現在は不可能とされておりますけれども、人体の中で中性子の作用によつて燐なりあるいは塩素なり、またナトリウムが放射能を持つて、しかも体内におけるところの弱い白血球や赤血球を漸次破壊しつつ行こうとしておるという最も恐ろしい原子病というものを予防し、あるいは治療するということについては、理論物理学界も医学界もあらゆる知能を総動員して――もちろんこの問題については世界の学界は協力する義務があると思う。そうして日本の主体性においてこの問題を十分に研究をして、人類が納得し得るような結論、あるいはしないならばしないだけの結論、学術的な努力の成果というものを、やはり日本の責任において全世界の学界に発表すべきであると思う。こういうようなことをお考えになつておられるかどうか。またそうなれば、取上げる主体は当然学術会議ないしこれを中心として組織される総合的な委員会のようなものになろうと思いますが、そういうものにおいて、日本の学者が自主的にこの二十三名の原子病ととつ組んで、その治療にできるだけの努力をされて、その努力を世界の学界に報告しようとすることについて、こういうことについて、のあなた方の具体的なお考えがあつたらお話願いたい。
#89
○草葉国務大臣 お話の点はごもつともであり、私どももまた同様に考えておるのであります。現在ではこの原子核の分裂と申しますか、いわゆる原子爆弾による症状に対する的確な治療方法がまだ不十分である。従つてことに現実に起りました現象に対しまして、は、一日も早く治療の十分な方法を見出すためにあらゆる知能を総合してこれに当つて行く。その結果については先ほども御質問がありましたが、世界に向つても十分発表すべきところは発表しながら人類の幸福のために進んで行かなければならぬと考えておるのでありまして、その方向で進みたいと考えております。
#90
○岡委員 であるからこの問題はとにかく暗々のうちにということでなくて、やはりガラス箱の中で全世界の学界にその成果が逐次報告されて行くという方法が当然とられるべきである。この点については政府の格段の御努力を、特に厚生大臣の御努力をお願いいたします。
 そこで第三点として、これも私の杞憂かもしれませんが、こういうことでわずか十年を出でずして、二千万トンのTNTを爆発させるという恐るべき破壊力が出現をしておる。同様なものが海を隔ててソビエトにも出現をしておるのです。従つてもし彼らが彼らの思うままにこういう熱核分裂の破壊力の実験をやるということになりますと、日本は両国にはさまれるわけです。太平洋からシベリア原野とにはさまれる。これはしろうとの心配かもしれないが、風の吹きまわしによつては、やはり日本全土に放射能を持つた灰が振りかからないとも限らない、おそらくもしうんと高い所で、亜成層圏なり成層圏でこういう実験が行われたとするならば、これは全世界が死の灰におおわれるかもしれないということは、単なる夢ではなく、やはりわれわれに考えられることなんです。こういうような事態をいまや唯一の被害者としてわれわれが体験をしおる、その唯一の体験をしておる同胞を抱える日本の政府としては、この問題に対して、積極的な国民の意思を代表しての意思表示というものをすべきではないかと思う。現に一月の二十六日から始まつたベルリン会議でも、米ソ両国の代表によつで何か平和利用に関する話合いができたということを伝えられております。結論はわれわれは聞いておらぬが、四月二十六日から始まるあのジユネーヴのアジアの平和に関する会議、これにもハンソン・ボールドウインなんかは、多少この話が出るかもしれない、しかし現在のところこれについてわれわれの納得のできるような結論に到達することはできないであろうという予言をしております。これはボールドウイン氏の御意見ではあるが、現実に日本が被害者であるとするならば、日本の政府としては当然この問題について、人類の平和なり、文明のために何らか積極的な意思表示をする、連日新聞が大きくこの問題を取上げておるということも、一に国民の重大な関心を物語つておるものであると思うが、この点について政府としては当然このジユネーヴ会議を介して、原子力の平和利用の推進に関しての日本政府の意思なり、日本国民の意思なりを大きく結集して、これを関係諸国に伝え、国際連合に伝えるくらいな積極的な手を打つべきであると思うが、この点については大臣はいかようにお考えでしようか。
#91
○草葉国務大臣 これは私が御答弁申し上げるのは、はなはだ筋違いになると思いますが、しかし問題が直接私どもの仕事の上に影響して来た根本の問題になつて参るのでありますが、この問題は国際間の一つの大きい中心の問題で、今国際間の一つの解決の中心をなして、おる問題だと存じます。しかも長らく国際間における未解決のまま何とか解決をいたさなければならないと努力をしながらも困難になつている問題で、一方から申しますると、それがあるために戦争の危機が来ずに安定しておるともいわれ、あるいはそれがあるために危険であるともいわれるし、まつたくすべての問題の最も中心になつている問題であると思います。もちろん日本といたしましては、これらの問題については今回起りました以前におきましても、すでに二回の体験を持つておりますから、大きな関心と平和のための熱望とを持つておりますが、世界の中において、あらゆる努力を続けながら、なお現在その解決に向つて進行している状態でありますので、この問題が解決するならば、おそらく今後の世界に平和的な現象が現われて来るのに最も近い国際間の結ばれができて来るのではないかと思われるぐらいに私どもは考えておる。今お話のありました点はよく外務省当局とも御意見の点は連絡しておきたいと思います。
#92
○岡委員 私は、しかしやはり厚生大臣はこの問題の直接の主務大臣であると同時に、やはり閣僚の一人として、政府の意思決定には重大なまた当然な責任のある者として、参画いたさるべきものであるという考え方からいたしまして、この点についてはいずれまた別の機会に別な委員会等でも私どもは政府の所見を伺いたいと思いますが、ただいまの大臣の御答弁は、私はまだ十分に満足いたし得なかつたことを遺憾といたしまするが、どうかひとつこの際あなたのヒユーマニズムを発揮して、この問題についても今後の十分な善処をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
#93
○青柳委員長代理 他に本件に対する御質疑は本日はないようでありますので、次に参考人選定の件についてお諮りいたします。ビキニ環礁における日本漁船の被爆問題は公衆衛生上重大な問題でありますので、都築博士その他適当な入に参考人として出席を願い、でき得ればさらに詳細なる事情を聴取いたしたいと思いますが御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○青柳委員長代理 御異議ないようでありますのでさように決定いたします。
 なお参考人の選定及びその招致の日時等については、委員長に御一任願います。
 時間も相当経過いたしておりますので、本件以外の本日の日程に掲げた各法案については次会に譲ることといたし、本日はこれをもつて散会いたします。次回は追つて公報でお知らせいたします。
   午後一時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト