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1953/04/16 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第37号
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1953/04/16 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第37号

#1
第019回国会 厚生委員会 第37号
昭和二十九年四月十六日(金曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長代理理事 青柳 一郎君
   理事 中川 俊忠君 事理 松永 佛骨君
   理事 長谷川 保君 理事 岡  良一君
      越智  茂君    助川 良平君
      田子 一民君    降旗 徳弥君
      佐藤 芳男君    滝井 義高君
      萩元たけ子君    杉山元治郎君
      山口シヅエ君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (保険局長)  久下 勝次君
 委員外の出席者
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
四月十五日
 委員降旗徳弥君及び長谷川保君辞任につき、そ
 の補欠として高橋圓三郎君及び武藤運十郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員高橋圓三郎君辞任につき、その補欠として
 降旗徳弥君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
同月十六日
 長谷川保君及び岡良一君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選小委員の補欠選任
 厚生年金保険法案(内閣提出第一二四号)
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一三一号)
 厚生年金保険及び船員保険交渉法案(内閣提出
 第一三九号)
    ―――――――――――――
#2
○青柳委員長代理 都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を勤めます。
 これより会議を開きます。
 まず厚生年金保険法案、船員保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険及び船員保険交渉法案以上三法案を議題とし、質疑を続行いたします。岡良一君。
#3
○岡委員 保険局長にお伺いいたしますが、厚生年金の被保険受給資格者が年金を受けつつあるときに、いわば老齢において病気になるという場合に、もう健康保険の被保険者たる資格を失つておる。そうして老齢年金の受給を受けつつある。しかも病気になる。この間のお話のように、たとえば今年度受給資格が発生して、受給する金額が年金として、二万八千円程度であるという場合、病気になつたときの療養費というようなものは、なかなかその中では出ないという場合には、現在では生活保護法の医療扶助があるいは適用し得る場合もあり得る。しかし社会保障制度というものを推進するという立場からいえば、そういう場合もこの保険給付をもつて医療費をまかなうという行き方が望ましいと思うのです。そういう点について保険局としては何かお考えを持つておられるかという点であります。
#4
○久下政府委員 御質問の問題は、むしろ国民全般を対象とした健康保険の普及という面で考えて行かなければならぬと思います。結局は現在の制度の建前から申しますれば、国民健康保険の普及ということによつてその問題を解決するのが最も根本だと思つております。一方健康保険の方は被保険者の資格を喪失いたしました場合は、本人の申請がありますれば、任意継続被保険者という制度がございまして、それによつて健康保険としての被保険者の資格を継続することができることになつております。しかしながら、保険料の負担の関係から申しますると、なかなか負担も重くなりまして、つまり事業主負担がなくなりまして、実際には実行が困難な場合が多いのではないかと思つております。結局そういう制度はありますが、根本的な解決策としては、やはり私どもが現在指導をし、意図もしております国民健康保険の普及ということによつてこの問題を解決するよりほか、現在の考えとしてはないわけであります。
#5
○岡委員 そうなれば一番理想的な形ではありますけれども、なかなか国民健康保険もそう急に全面的に、全国民を包括する段階に、今ここ一年や二年でなるとも考えられないという場合には、経過的な措置としてたとえば厚生年金保険の積立金なりその利子なり何なり、健康保険の方へ出すとか、何らかの形で、健康保険法の中で厚生年金受給者についての療養費の給付の措置をやつて行くというような取扱い、そういうことは実際問題としてできないものでしようか。
#6
○久下政府委員 その問題はちよつと簡単に私はできないと思つております。と申しますのは、厚生年金保険の積立金の予定利率をどう見るかということにかかつて来るかと思います。予定利率を現在の建前のように三分3厘の計画でやつておりまして、実際は五分五厘にまわつておる、そこに利ざやが出るというようなことになりますれば、年金給付としては心配なく、しかも若干の利ざやが出るということになりますとよろしいのでありますが、現在御提案申し上げて御審議を願つております法案では、現在運用されておりまする利まわりの五分五厘という予定利率の計算を一面においてやつております。そういう利ざやが出ません場合に、それをほかの方にまわして使つてしまいますと、将来大きな穴が明いて参ります。その点は実は無理ではないかと思つております。
#7
○岡委員 その点はひとつ御研究願いたいと思います。われわれも研究してみたいと思うのです。
 それから、これはこの間もいろいろ意見を申し上げたわけですが、繰返して申しますが、せつかく厚生年金保険を画期的に改正するのですから、そこで現金給付じやなくて、やはり現物給付という方向に持つて行く方が受給者としてもかえつて利便が増すのじやないかと思うのです。それは増し得る場合もあるし、またそれを希望する向もあると思うので、年金対象の中でやはり老齢年金受給者の有料ホームというものをつくるべきじやないかと思う。これはこの間も多少意見を申し上げましたが、そういう御計画があるかどうか、その点ひとつ卒直な御意見を承つておきたいのであります。
#8
○久下政府委員 先日も申し上げましたように、厚生年金保険の制度の中に福祉施設というのがございます。私どもも老人ホームをつくるということは福祉施設の事業としては非常に適当な仕事と思つております。ただ問題は、現在の段階におきましては、老人ホームに入つてその収容の経費をまかなうだけの給付をやるだけの財源もございませんものですから、非常に年金給付が低額になつておりまするので、問題は老人ホーマをつくりましても、それをどう運営して行くか、またつくりました資金をどう消化して行くかということに実は非常に難点がございまするので、ただいまのところはそういう意味合いで研究いたしておるところであります。ただ抽象的な考え方として、福祉施設の一環として老人ホームをつくるということは、私の考えでは厚生年金保険の給付対象として好個の事業であるというふうに考えます。
#9
○岡委員 そうしますと生活保護法で六十歳を過ぎた老人についての一箇月の生活補助費は今幾らでございますか。
#10
○久下政府委員 先日大臣からも申し上げたのでありますが、六十歳以上の男子につきましては、世帯を構えている場合と構えていない場合とでは相当な開きがあります。世帯を構えております者に対する一級地の甲は、月額二千四百四十五円、これは一般生活費と居宅需要費との合算額であります。このほかに場合によりましては冬季加給と住宅費がございますが、それは除いた数字であります。それから一級地の乙が二千三百円。世帯を構えておりません、世帯主でありません六十歳以上の男子は、一級地の甲が千七百八十五円、一級地の乙が千六百八十円、こういうことになります。
#11
○岡委員 もちろん生活保護法の生活扶助は、現実に照し合せて非常に低いから、これを適当に引上げるような形で、現に年金を三万一千円もらうにしても三万円もらうにしても、二千五百円ある。そうすれば生活保護法で世帯を構えていない老人について、老人ホームをつくつてそこへ入れてやるということで、建設費とその投下資本利子あるいはその運営に必要な事務費とか、そのために介添人だとかいうような費用を国や地方団体等が――これは国や地方団体の財政の問題等もありましようが、ある程度まで奮発するということでやれば、八千円老人ホームではかかるからとてもできないという論理で拒絶さるべきものではなくて、ある程度までやつて行けるような気がするのですが、実際問題としてそういうわけには行かないでしようか。
#12
○久下政府委員 私どももおつしやる通りの建前がとれますればできぬことはないと思つております。問題は建設費、それからその後の営繕に必要な経費、少くとも建物に関係した諸経貸というものを除いて、純粋なそこに入つて食事をして行く程度の必要経費でありますれば、この現在御提案申し上げております年金給付額でも高額の人ならば十分やつて行けるのではないかというふうに考えております。問題はただ今お話の中にございましたように、建設費をどうするかという点がやはり難点でございまして、これを年金財政の中からだけやるということは現在の段階では無理であります。何かほかに府県、国等で別途な方法を講じまして、おつしやるような方途が講じられますれば、私どもとしては老人ホームをつくりますことは成り立つて行くことではないかと思います。
#13
○岡委員 それから障害年金などを受けておる人――いわゆる厚生年金保険病院ですか、最近東京でもできておるし、北九州にもできるとか聞いておりますが、うかつな話ですけれども、あれは一体全国に何箇所あつて、どういう利用率を示しておるか、また将来この厚生年金保険法が施行されて行くと、それに伴つて何らか拡張する計画など、具体的な点が点があつたらお答えを願いたいと思います。
#14
○久下政府委員 現在厚生年金関係で持つております病院は北海道の登別、神奈川県の湯河原、島根県の玉造、三温泉地にそれぞれ二百床ないし三百床程度のものを持つております。それに新しく東京と大阪に別につくつたわけでございます。これは現在それぞれ三百床ございます。それから近く起工式をいたそうとしておりますが、九州の福岡県の八幡市に二百五十床のものをつくる計画を持つております。これはこの間も申し上げましたように、障害年金受給者で、特に身体障害者で、厚生医療といわれておるような治療を行いますれば、また再び職業戦線に復帰できるような可能性のあるような人たちを対象として、年金の福祉施設としてやつておるのであります。しかしながら実際の利用はこれらの直接年金受給者のために利用されておる部分というよりも、むしろ一般の健康保険被保険者の取扱いの方が多うございまして、利用率は今詳しい資料を持つて来ておりませんが、大体どこもほとんど満員の状況で利用されておるのであります。
#15
○岡委員 将来の御計画は……。
#16
○久下政府委員 将来といたしましては――ただいまのところも九州の計画が済みましたならば、次に引続いて新しく方々に立てるという計画は持つておりません。九州が完成いたしましたならば、これで一段落いたしまして、むしろ既存の施設の整備に重点を注ぐべく、当分はこの程度の範囲でやつて行くつもりであります。
#17
○岡委員 ぼくは玉造のものは一ぺん一晩とまつて様子を見せてもらつたことがあるのです。おつしやるように、別に厚生年金被保険者というよりも健康保険の被保険者、身体障害者の手帳を持つておるような人が広汎に利用されておる様子だが、繰返して申しますけれども、積立金なり積立金の利子などから、単に金銭の給付ということよりも、やはり現品を給付してやるという意味で、せつかくの厚生年金が出発するとすれば、その裏づけとして、やはり各府県には老人ホームくらいはつくる、また各ブロツクには集中的な厚生年金保険病院をつくつて厚生医療をしてやる、あるいは障害年金受給者の保護をはかつてやるというような、施設の裏づけというものに大いに努力していただかなければならないのじやないかと思うのです。
 それからその次の問題は、本法の四十一条ですか、受給権を担保にすることはできないということになつておるわけなんですが、最近法律が改正になつて、恩給の受給者についても恩給の受給権が担保となるというようなことにもなつている。今ただちに厚生年金の受給者がその受給権を担保としての金融を要求されるというケースは、そう大してあるものでもないと思います。また厚生年金制度という建前からいえば、この権利を担保として金融の道を講ずるということは、決して望ましいことではないけれども、現実には受給権者がそういう必要を感じ、また要求することはあり得ると思います。そういうことに備えて、将来は受給権を担保としての金融の道を講ずるということも必要ではないか。特に恩給法がそういうふうな取扱いを受けておるということならば、これにやはり右へならえをするという措置も必要じやないかと思うが、そういうことについて、この立案にあたつてあなた方の方で何かお考えになつたことがあるかどうか。また具体的にそういうふうに進めるとすれば、一体国会なりわれわれとして、どういうふうな方面に具体的に努力が必要なのか、あるいは国民金融公庫の中に単にわくだけを設ければいいのか、そこに政府の出資を求めて行くべきか、また法律をどういうふうに改正して行くかという具体的なお考えがあれば、この機会に卒直にお聞かせ願いたいと思います。
#18
○久下政府委員 年金受給の権利を担保に供します問題につきましては、今御指摘のように、法案の四十一条に担保に供することはできないという規定になつております。これは従来から、重要な生活のかてでありますので、一般的にこれを担保にしたり、差押えできるということになつておりますと、結局被保険者保護といいますか、そういう目的を達しない結果になりますので、原則としては私どももこういう建前をとるべきだと思います。ただ老齢年金の支給も開始されるような段階になりましたので、実は今度の改正の際には、途中で、特別な場合には担保に供することもできるような規定を考えようかというような論議もしたことがございます。ただ何分にも老齢年金の支給もごくわずかでございまので、もう少し時期を見ようという程度で、現行法のまま残したわけでございます。実際問題としては確かにお話のように、そういう必要のある人もあるわけでございますが、ただこれを一般的に解除いたしますと、いろいろ悪質の金貸しなどにひつかかるということもございますので、やはり低利で、安心して償還もできるような方法を考えて、担保に供する道な開いてやる必要があるのじやないかと思います。そういう意味合いにおきまして、さしあたりはまだ具体的なところまで来ておりませんけれども、将来の問題といたしましては、お話のような担保の問題は何とか解決すべき方法を講じなければならぬのじやないか。そうなりますれば、自然的に独自の金庫をつくるか、あるいは既存の金庫を利用いたしますか、そういう意味合いにおいて関係の法律を検討する必要もございますし、またこの法案の四十一条そのものに、それに応じた但書をつけなければならない、そういうようないろいろ準備的な措置が必要であると考えておりますが、考え方としてはお話のように将来そういう道を開くべきであると考えております。
#19
○岡委員 これもおそらく各委員から質問が出たことと存じますが、いつも私ども議員としてまたしてもという感じに打たれるのは、ベースが上ると恩給を上げてくれという全国の請願です。これは無理からぬことではありまするが、やはり国の法律にダイナミックな規定が足りない結果だと思うんです。国家公務員について物価が五分上れば人事院が勧告するというような形で、やはりすべての年金制度も生計指数なり物価指数なりにスライドして、年金給付の額も上昇するということを考えなければならないのではないか。これはこの法律にうたえないとすれば、恩給の給付等も含めての、何かそういう年金制度については生計指数なり物価指数の上昇に伴つてスライドせしめて行くという、ダイナミックな法的措置というようなものが必要じやないか。この際せつかく共済組合関係で人事院が国家公務員の退職年金法案の勧告もしておるようであるし、厚生年金制度がここまでクローズ・アップされて来ると、そういう措置が必要じやないか。これを法律立案の衝に発つておられるあなた方として、これはそれぞれの個々の法律の中に、うたうべきか、そういうものをひつくるめて、ダイナミックな規定を別個に立法措置を講ずるか、そういう点御研究になつたことがあろうと思いますが、いかがですか。
#20
○久下政府委員 実はお話のような点を考慮しまして、本法案の八十一条で、少くとも五年ごとに保険料率の再計算をすることになつております。再計算の前提になりますものは、保険給付に要する費用の予想額、予定運用収入及び国庫負担というようなものが大きな財源でございます。また関連の数字もございますが、そういうものを再検討いたしまして、そのときどきの実態に合わして上げて行くということを表わしたものでございます。その点実は抽象的な表現以上にできませんでしたのは、たとえば物価に当然スライドして行くというような建前をとりますと、何分長期にわたる保険でございまして、過去の保険料というものは依然として過去の金でとられております。しかも金として積立てられておるわけでありますから、それを将来の被保険者の負担にかけるわけにも参らぬ事情もありまして、機械的に物価にスライドするという規定を置きますことは、保険料率の計算と将来の財政計画になかなかむずかしい問題を生んで参りますので、私どもとしてはやはり将来のものをどうするか、過去のものをどうするかという問題は、少くとも五年ごとに再計算をいたします場合に考慮に入れてやることができるであろうという考え方のもとに、八十一条の第四号の規定を特に入れたつもりでございます。
#21
○岡委員 御趣旨はよくわかつておるのですが、しかしこの八十一条でやると、全体として十年二十年という長期の保険数理から行きますと、たとえば非常にインフレのときには、今までの年金を上げなければならなくなつて、数理計算をして上げた。十年二十年というインターヴアルがあつたときデフレになつて、受ける保険料が少くなる、しかしかけ損が非常に多くなつておるという、全体としての被保険者の不均衡が出て来るのではないか、その点についてはつきりとした数理計算をいたすということはないのですか。そういう点考慮されたでしようか。大体十年目くらいでデフレ、インフレの波があります。五年目ことに刻まれるのはけつこうですが、その場合被保険者全体として身に余る過重な保険料を払いなから、受けるときにはそれに似つかわしくないものを受けなければならないというような矛盾した事態が確かに起るのじやないかと思うのですが、そういうときの調整を何か考えられたことがあるのですか。
#22
○久下政府委員 実はそういう点も少くとも五年目ごとに再計算をいたします場合に考慮してやろうという気持で、確かに貨幣価値は上つたり下つたりいたしますから、その場合にどうするかということは、当然その際に考慮されることと思つております。具体的には実は過去の貨幣価値と申しますか報酬の非常に低かつた時代の取扱いを、今度の法律で年金の最低額を引上げた、あるいは標準報酬の低いものを引上げたというような措置を講じて、一応過去のものにつきまして特別な措置がこの法案でも講じられておるわけであります。実は私これが最善であるとも思つておりませんけれども、現在の段階におきましてはこれ以上に過去のものの引上げを行いますことは財政的にいろいろ影響も大きゆうございますので、この程度のところで今回はおちつけたのでございます。これは一つの考え方というにすぎないのでございまして、将来同じような問題が起りました場合に、これをどう解決して行くかというようなことは、やはりそのときどきの情勢に応じて考え直すべきであろうという意味で、相当弾力性を持たす。お話のようなダイナミックなものにいたしますためにこの規定を置いたつもりでございます。ただその具体的なやり方を今ここではつきりときめてかかるということがはたして妥当であるかどうかということを考えまして、規定としては抽象的な表現になつておるのでございます。
#23
○岡委員 繰返すようですけれども、五年目ごとにそのときの貨幣価値を基準として年金の額をも考え、またその年金の額を基準として長期にわたる保険数理上から保険料率をも算定して行くということになりますと、事実上高い保険料を払いながら、またある時期に算定し直されたところが、それは実態としてはさしつかえないとしても、受ける者の立場からいえば、何となく個人的な感情からいつて高いものを払つて安いものしか受けないというような実際問題が起るわけなのです。やはり国が管理をして行く年金、保険などは、不利な場合にある程度国が財政的なバツク・アップをするという原則が必要ではないかと思うのですが、まあこれは私の意見なのです。
 それからこまかいことなのですが、いただいた資料で見ると製糸工の女工で、大体二年から三年くらいでやめる人が多い。紡績工でも四年目にはやめる者が多い。そこで脱退手当金はその場合にどれくらい、――十分の六ないし十分の九というものがこの表の三によつてもらえるわけなのですが、今製糸工や紡績工で大体標準報酬どれくらいで入つておりますか。
#24
○久下政府委員 ただいまの紡績関係の女工の平衡給与は、私どもの調査では五千円から六千円の間ということであります。
#25
○岡委員 そうしますと脱退手当金は、かりに三年勤めた紡績ないし製糸工でどれくらいになりますか。
#26
○久下政府委員 お答え申し上げます。三年から四年の間でやめました者につきましては報酬月額の九割であります。六千円の場合は五千四百円、五千円の者は四千五百円ということであります。
#27
○岡委員 この脱退手当金は当初はやめるということであつた。やめるという考え方も、年金制の建前から行けば原則的には私どもも当然了承できるわけですが、事実問題として一応これは存置して行こうということになられたのだと思う。そこで一体日本の紡績業だとか、製糸業とかいうような、日本の軽工業というものはだれによつてささえられておるか、これはいわば農村の若い女工さんによつてささえられておるということは申し上げるまでもないのです。それではそういう日本の軽工業への労働力の給源として、農村が大きな産業予備軍を常にたたえておるのは一体なぜか。これは日本の農村の経営の状況というものがいわば非常な零細経営であつて、家族労働力が余り、余つた労働力が結局製糸業や紡績業の方に注入されて、そこで労働をして、年ごろになれば大体やめる。年齢も二十歳から二十四歳が非常に多いわけです。ということは事実上結婚適齢期になるので、そこで製糸業なり、紡績業なりの寄宿舎から引払つてお嫁に行くわけなんです。お嫁に行くときに結局脱退手当金をもらうのです。もちろん脱退手当金だから、なるほど脱退手当金の立場からいえば、これは伺も結婚手当ではないし、結婚手当は別に労働組合と事業主との間にその契約をすればよいという理論は十分成り立つわけなんです。しかし脱退手当金を存置されたという趣旨をさらに演繹をすれば、やはり脱退手当金として三分相当の利子を加えたものをやるというような一律一体の取扱い方で、そういうお嫁に行こうとせつかくやめても、銘仙一反も買えないような脱退手当金では、少し気の毒じやないかと思うのです。そういう点やはり立案のときにいろいろお骨折りになつたと思うのですが、私どもの考え方とあわせてひとつ御見解を承りたい。
#28
○久下政府委員 お答え申し上げます。女子の勤労の実態につきましてはお話の通りであると思つております。そのことはまた逆に申しますれば、男子の労働者の勤労の実態とは大いに様相が違つておるということにもなるわけであります。この年金制度をつくります場合には、私どもも女子の問題は非常に検討したつもりであります。そこで結局は勤続年数が男子に比べて格段に通いますので、いろいろな統計資料によりまして、実は女子につきましては別計算をいたしたのであります。もちろん中には老齢年金なり傷害年金なりをもらう人も出て参りますので、そうした財源として必要なものは除きまして、その他のものはあげて脱退手当金として返し得るようにいたしたわけであります。そこでその現われました結果が別表第三に出してある数字でございまして、ごらんをいただきますように、男子と女子とは非常に給付額が違つて参るのであります。大体のことを申し上げますと、脱退手当金というものは本人のかけました保険料に四分五厘相当の利子をつけたものを返すというのが建前だと私どもも考えております、現行法の考え方も基本的にはそういうことであつたのであります。そうではありますけれども、女子の場合は別計算をしてみますと、先ほど申し上げました他の年金支給に必要な財源を除きました残りを脱退手当金にまわしますと、本人としては千分の十五だけの掛金をしておるわけでありますが、ここに脱退手当金として数字があげてありますのは、料率に直しますと千分の二十相当額に利子をつけたのが返せる。こういう数字になつておるわけであります。結局千分の三十とつておりますから、差額の千分の十というのが他の年金の財源である。こういう計算でありまして、額としては十分ではございませんけれども、何分にも保険料率に制約がございますので、その関係からかような数字になつたわけであります。
#29
○岡委員 その御趣旨はわかるのですけれども、ただ第三種被保険者の報酬が今お話を聞くように、四千円、五千円、六千円程度の標準報酬で、かりに四年間製糸工をやつてやめたとする場合に、脱退手当金五千二百円だ。ところがこれらの諸君は、おおむね結婚のためにやめる。そうすると婚資としていわば非常に期待されておるものが、銘仙一反にもならないのだということでは、計算上いろいろ御苦心のほどはわかるが、実際問題としては少し気の毒過ぎるというお感じはありませんか。その辺のことを何とかならないかという気持がぼくはあるのですが、ならぬものでしようかね。
#30
○久下政府委員 確かに、そうおつしやられますとそういう感じもいたさないわけではございませんが、実はこの問題につきまして労使双方から、私ども立案の途上におきましていろいろお話を伺つておる。お話のように給付額を多く出してくれという御要望の裏に、また同じような強さをもちまして、料率は高めないでくれ、少くとも男子とは差をつけて低いものにしてくれという要望がつけ加わつておつたわけであります。さしあたりは御提案申し上げておりますように、当初五年間は千分の三十ということで、同じ料率で参りますが、男子につきましては五年後には若干料率の引上げをいたさなければならない計画を持つておりますが、女子はその場合にも将来とも千分の三十でずつと続ける別計算をしておるわけであります。そういうような保険料率に対する一つの制約が加えられたのでございますので、財源的にはどうもいかんともいたしがたいというのが実情でございます。
#31
○青柳委員長代理 佐藤芳男君。
#32
○佐藤(芳)委員 私は厚生年金保険の質問第一日におきまして、緒方副総理に対しまして、社会保険のばらばらな状態を説明をいたし、政府はこの上ともばらばらにするような努力をいたしているという指摘をしたのであります。その際自治庁が考えております町村職員の共済組合の問題にも触れるところがあつたのであります。これに連関して厚生大臣に対しても、自治庁の考えております町村職員共済組合に対して、あなたはいかなる態度をおとりになりますかということを伺いました。ところが厚生大臣は、はつきりと阻止するという文字までお使いに相なつたのでございます。その後私は緒方副総理と個人的に会いました際に、その後閣議に現われませんかということを伺いましたところ、緒方副総理は、閣議の議題と相なりましたけれども、お話の筋もございますので保留いたしましたということであつたのであります。ところが最近の閣議におきましてこれが決定をされたということを仄聞するのでございます。これがデマであればきわめて仕合せに存ずるのでありますが、はたして閣議におきまして決定に相なつたかどうか。この点をこの問題に関心をお持ちであると想像されます保険局長から承りたい。またそれが事実といたしまするならば、厚生大臣が公式のこの委員会において、これに対する態度を、阻止するというはつきりしたお言葉で言明をされました、その事柄につきまして、言明をくつがえすだけの何か理由が大臣になければ、大臣の阻止によつて閣議は通過するはずがないと思います。そうなりますと、結局これを容認する理由については、やはり下僚と御相談があつたものと思いますので、そういう事実がありやなしや、なおこの問題につきましては、厚生大臣御出席の際に伺わなければならぬと思いますけれども、まずこの点についてひとつ保険局長から伺つておきたいと思うのであります。
#33
○久下政府委員 閣議の詳細な内容は私どもにはわかつておりませんが、お話のように先週の火曜の閣議にかけましたときには、明らかに保留になつた、それからこの前の金曜日の閣議に出るような話がございましたが、ちようどそのときには厚生大臣は出張の予定でございまして、それは金曜の閣議に出すことは適当でないということを申し入れたこともございます。結果におきまして今週の火曜の閣議に上程をされたということを聞いております。私どもとの事務的な関係におきましては、前日の夕方にも私そのことで厚生大臣にお目にかかつてお打合せを申し上げたのでありますが、大臣は保申するという御意向でありましたし、また閣議におきましては、さような発言があつたと聞いております。しかしながら、そういうことがございましたけれども、結果におきまして閣議で通つたということになつております。但しその辺の詳細なことは私にはわかりません。
#34
○青柳委員長代理 他に御質疑ありませんか。
#35
○滝井委員 ただ一点だけお聞きしておきたいと思います。それは健康保険の被保険者と厚生年金の被保険者の関係ですが、厚生年金は七百六十七万の被保険者があるという御説明があつたのですか、健康保険は現在幾らありますか。政府管掌と組合管掌で約一千万ぐらいじやないかと思いましたけれども、その数字をお知らせ願いたいと思います。
#36
○久下政府委員 昨年十月現在の被保険者は、政府管掌健康保険の関係が四百七十九万人、それから組合管掌健康保険の被保険者が三百二十九万人でございまして、合計いたしまして約八百十万人が健康保険の被保険者でございます。
#37
○滝井委員 そうしますと、そこに約四、五十万の開きがあるわけなんですが、健康保険法と今度出ました厚生年金方との被保険者の適用事業場を比較してみますと、ほとんど一致しておるわけです。その開きはどういうところから出て来たのでしようか、その点を御説明願いたいと思います。
#38
○久下政府委員 御案内の通り、大体において法律上の強制適用被保険者の範囲は同一でございますが、少し違つております点を御説明申し上げますと、まず第一は市町村の職員であります。市町村の職員は、特別な現業関係以外は厚生年金保険法では適用除外になつておりますが、健康保険の場合には全部適用になつております。その点で約四十万人ほどの差が出て来るわけであります。そのほかに私学教職員共済組合法がございまして、これは選擇制になつておるわけであります。健康保険組合にかなり多数の大学の組合等が残つております。その点で健康保険の方が多くなつております。それから土建関係で土木建築特別健康保険組合というのがございまして、その方に相当な人数の人たちが入つておりまして、健康保険からはずれておるものがありますが、厚生年金の方は適用を受けておるのであります。もう一つは、双方の制度に任意包括加入の制度がございます。私どもとしては任意包括加入の場合も、できるだけ両保険に一緒に入るように指導はいたしておりますけれども、実際問題としては、両保険制度に別の関係もありまして、若干開きが出て来るような関係になつております。さような点が申し上げました数字で現われた開きの原因でございます。
#39
○長谷川(保)委員 この際政府当局に資料をお願いをいたしたいのであります。それは資金運用部の運用の状況についてであります。今資金運用部の金をどういうように運用しているか、詳細なる資料がほしいのであります。ことにいただきたいのは、旧特殊銀行等の債権及び貸付金の内訳の詳細なるものであります。それから旧特殊会社等の債権及び貸付金の詳細なる内訳をいただきたいのでございます。さらにいま一つ、政府職員の共済組合の方の積立金の運用につきましての詳細なる内訳をいただきたいのであります。この三つの資料を当委員会に御提出願います。
#40
○久下政府委員 御指摘のございました資料は、直接私どもの関係でございませんが、関係省に言いましてできるだけ早く提出いたします。ただ資金運用部の運用状況というお話でございますが、これは現況でよろしゆうございましようか。現在どういう方面に運用しているという集計と申しますか、そうものでありますか。それともたとえば二十九年度の、運用計画できまつておるものでありますか。そういう長い期間ですとたいへん時間を要すると思いますが……。
#41
○長谷川(保)委員 その点は、私どもの方でも一応の資料がございますけれども現状でけつこうです。どこへどう行つているかということを伺いたいのであります。大ざつぱのものは私どもここに持つておる国の予算の、この中に入つておるのですが、その中の内訳がわからないのであります。
#42
○青柳委員長代理 他に御質疑はございませんか。
#43
○佐藤(芳)委員 ただいま長谷川委員より資料の御要求がありましたから、ついでに私からも資料を要求申し上げたいと思います。養老年金の一万八千円を、かりに三万円といたした場合、もちろんフラットの金額であります。また三万六千円といたした場合、従前の給付額との上まわり分を、保険財政にやつかいをかけないで、政府からお出しを願うというようなことを考えました場合、大体どれくらいの国費の負担に相なりますか。これを精細に御計算なさるにはもちろん三、四箇月を要すると思うのでありますが、きわめて簡単な数字でけつこうでございますから、そうした資税を御提出を願いたいと思うのであります。
#44
○青柳委員長代理 他に御質疑はございませんか。――ないようでございますから、この程度にいたします。
    ―――――――――――――
#45
○青柳委員長代理 次に、理事並びに小委員補欠選任の件についてお諮りをいたします。降旗徳弥君、長谷川保君、滝井義高君、岡良一君の四君が、委員を辞任されたのに伴いまして、理事並びに食生活改善に関する小委員会、人口問題に関する小委員会において、それぞれ欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、委員長より指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○青柳委員長代理 御異議なしと認めまして、四君が辞任前についておられた職、すなわち理事には長谷川保君、岡良一君、食生活改善に関する小委員には長谷川保君、人口問題に関する小委員には降旗徳弥君、滝井義高君及び岡良一君をそれぞれ指名いたします。
 なお先般決定いたしました労働委員会との連合審査に関しましては、明日午前十時より開会いたすことにいたしておりますから、あらかじめ御通知いたしておきます。ぜひ御出席を願います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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