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1953/04/21 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第39号
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1953/04/21 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第39号

#1
第019回国会 厚生委員会 第39号
昭和二十九年四月二十一日(水曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 小島 徹三君
   理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君
   理事 中川源一郎君 理事 松永 佛骨君
   理事 長谷川 保君 理事 岡  良一君
      越智  茂君    助川 良平君
      安井 大吉君    山口六郎次君
      佐藤 芳男君    山下 春江君
      滝井 義高君    萩元たけ子君
      柳田 秀一君    杉山元治郎君
      山口シヅエ君
 出席国務大臣
       大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (理財局長)  阪田 泰二君
        厚生事務官
        (保険局長)  久下 勝次君
 委員外の出席者
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
四月二十日
 厚生省関係法令の整理に関する法律案(内閣提
 出第一五九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 厚生年金保険法案(内閣提出第一二四号)
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第二一号)
 厚生年金保険及び船員保険交渉法案(内閣提出
 第二九号)
    ―――――――――――――
#2
○小島委員長 これより会議を開きます。
 厚生年金保険法案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険及び船員保険交渉法案以上三法案を議題とし質疑を続行いたします。佐藤芳男君。
#3
○佐藤(芳)委員 私はこの際先般の質疑応答の際に留保いたしておきました小笠原大蔵大臣に対する質疑を行いたいと思います。たつた一点だけでございます。すなわち年金の積立金の管理運用に関する問題につきまして大蔵大臣の所見を承りたいのであります。
 現在厚生年金保険の積立金は八百億を越しており、しかもこれは将来一兆以上に増大して行くことが予想されるのでありますが、この積立金は大蔵省預金部に預託、政府の財政資金としてほとんど大蔵大臣の意のままに運用されており、その資金の醵出者でございまする労使の意見は何ら反映されていないのであります。これがため資金の還元運用さえもほとんど行われていない実情でございます。これははなはだしく、労使を無視するものであります。しかも一方政府職員に対する共済組合の積立金は共済組合において組合員の福祉のために運用せられており、官民間に著しい不均衡を来しているこの際、厚生年金の積立金も預金部資金から切り離して、労使の代表者等による自主的な運用をはかるべきと思うのであります。すでに簡易保険の積立金は郵政省に運用が移管されておるのであります。それに比べれば当然にこれらは預金部資金から切り離すべきであると思うのでありますが、大蔵大臣の御所見を承りたいのであります。
#4
○小笠原国務大臣 厚生年金保険積立金の管理運用についていろいろ御意見を承り、また今佐藤さんがおつしやられたうちにもまことにごもつともな点もあるのでありますが、御承知のごとくにこの積立金というものは先へ行つてもどさなければならぬものでございますので、最も確実にこれを運用するという必要がありまして、この点から主として郵便貯金に運用しておることは御承知の通りであります。なお国としましては、やはりその資金がそれぞれ別個に運用されることは国全体の資金計画の円滑を期する上から見ておもしろくないと考えるのでありまして、従つて現在の、大蔵省が資金を預金部に入れて、この預金部の運用で国としての必要な資金にまわす、こういうことはごく必要なことであると考えておるのであります。
 なおこの点について労使の意見を反映せしめる、これにつきましてはいろいろ預金部の審議会の委員のメンバー等をごらんくださればわかるように、これらの意見も決してお話になつたように無視しておるわけではございません。なお還元のことは、これは相当考えておるのでございますが、しかし実例から申し上げれば昭和二十七年度十六億円、二十八年度二十五億円、二十九年度が三十五億円、こうなつておりますが、これは一応そうなつておりまするけれども、ここで少し見方を限つて考えますると、たとえば地方債を一部引受けておるものも相当見られまするし、あるいは国民金融公庫であるとか、住宅金融公庫であるとか、あるいは中小企業金融公庫に対するものも、これはお考え次第ですが、広い意味で申し上げれば、還元申し上げておる。こういうことになるのでありまして、私どもは今の御意見の次第よくわかりますけれども、国のこういつた一種の資金というものはいろいろわけないで、なるべく国が統一的にこれを運用して、そのときどきの最も実情に合うように、有利確実に運用して参るということが国家のためにも、またこういつた厚生年金保険――労使がそれぞれ金を出しておるだけに一層そういう点が強く要望されるのじやないか、こう私どもとしては考えておる次第であります。
#5
○佐藤(芳)委員 ただいまの御答弁では承服できないのであります。どうも大蔵大臣のお話を承つておりますと、まず第一に確実でなければならぬ、これは了承できるのでありますが、大蔵省が取扱えば確実であり、その他の機関にまかせれば心もとない、こうお考えのところに大蔵省の独善的な考え方が私はあると思うのでありますが、ことに厚生年金の積立金のごときは、相当長期にわたつておる資金でございます。これを預金部から切り離しまして運用いたしますれば、五分三厘というようなこうした低利でなしに、相当上まわつた金利と相なると私は思うのであります。一体自由党政府は最も極端なる資本主義に立つてやるのでありますが、短期の資金も長期の資金も、これが十億であろうが百億であろうが、利息の点において全部これを一律にお考えになつておる。これはまさに資本主義の政府が利息の点だけにおいては共産主義の建前をとつておられるとすら私は主張いたしたいのでありまして、私どもは何といたしましても、労働者の賃金や資本家から強制的に集められたところの金を国家資金の犠牲にしておる分が多いということは、どうしても納得ができないのであります。そこで私は年金の積立金は公法人的な年金基金の構想で労使、中立及び関係官吏による合理的な運用を考えるべきであると思うのであります。こういう私の見解に対しまして、さらに大蔵大臣はいかなる御所見をお持ちでございますか。大蔵省が取扱えば確実でありましようが、私の申し上げましたような労使、中立、関係官吏によつて構成された公法人的な構想で進みましても確実でないとはおつしやることはできないと思うのでございまするが、この点についてどうお考えでございますか。
#6
○小笠原国務大臣 佐藤さんのお話ですけれども、やはり昔からもち屋はもち屋ということがありまして、財政資金の運用になれておる大蔵省が扱うのが一番よいのじやないか。それはお話のごとくに、公法人的のものをつくつて、労使双方がやればよさそうに見えるが、大体選挙に基いて出て来る人ですから、従つてそれの人が神様でない限り、はたしてそう行けるかどうか。この点から佐藤さんにこんなことを申し上げてしかられるかもしれませんが、郵便貯金は利まわりが一番迂遠のように思われるが、一番確実だとされておる、やはり多数の方が郵便貯金をされておるのはそれがためであります。また預託を受けておる人が、やはり郵便貯金によつて、その運用をはかつておるという事実等から見ましても明らかで、有利確実にまわそうそうということが、どうかすると、破綻の元となつた例は過去においてなかなか少くないことは、佐藤さんも御承知の通りであります。従いまして、私どもは長い短かいも一切かまわずにやつておるわけではないのでありまして、たとえば同じものでも、五年以上のものは五分五厘というふうにいたしておりますし、三箇月以上のものは三分五厘、あるいは三年以上のものは五分、こういうように、長期のものの場合は長期のように利まわりをやつておるのであります。そういう点から、私どもは御意見の次第もわかりますけれども、しかしやはり確実有利という点が、労使双方の資金の醵出になるだけに、これはどうしてもそうなければならぬと考えます。これは大蔵省でなければならぬとは言いにくいかもしれませんけれども、私どもとしてはやはり多年なれておつて、今までの預金も、資金の運用等にもなれておる大蔵省がやることが、もち屋はもち屋がやるゆえんであつて、一番やりいいと実はかたく信じております。
 なお先ほどちよつと政府職員の共済組合のお話が出ておりましたが、あれは実は政府とは別個の特殊法人であることは、佐藤さんも御承知の通りであります。従つてこれは厚生年金のいわゆる政府の特別会計の積立金というものとは事情が全然違いますので、これはお含みおき願いたいと思います。
#7
○佐藤(芳)委員 大蔵大臣のお話を承つておりますと、やはり大蔵省の独善的と申しましようか、排他的と申しましようか、それを乗り越えて、大蔵省が神様であるというようなお言葉までもお使いくださつたようでございますが、しかもこれらの表現は、排他的、独善的以外の何ものでもない、かように私は批判せざるを得ないのであります。なお大蔵大臣がただいま例におあげになりました郵便貯金は、国民がやはり郵便貯金が一番安全だ、かように考えておるので郵便貯金が集まるのだということを例におとりになりましたが、それならば、これは労使の金でございますから、労使が私の申し上げましたような構想の機関にゆだねることが望ましいと考えましたときには、これは応諾をされる、こういうようにも考えるのでございます。しかし私はこれらについて答弁を求めようとはいたしません。ただただいま議題になつておりまする厚生年金保険の審議の結論といたしまして、これが修正を見なければならぬと思うのでございますが、この資金の運用に関する限り修正の題目にはならぬのでございます。従いまして、私の申し上げましたような意図のもとに、あるいは附帯条件がつくかもしれない、そうした附帯条件がつきました際におきまして、しかもこれが国会を通過をいたしますれば、これは当然これに大蔵大臣はこたえるところがなければならぬ、これにこたえるところがないといたしますれば、この審議を通じては、われわれは、今あなたに質問申し上げている点については修正の手を延ばすわけには行かないのでありまして、別途議員発案の法律でこれを縛つて行かなければならないというかつこうにならざるなきを保しがたい、かように思うのでございまして、私はただいままでの大蔵大臣の御答弁は、独善的排他的の大蔵省年来のお考え方以外の何ものでもないということを指摘いたしまするとともに、附帯条件等がこの問題につきました場合、これは尊重されなければならない、もしも尊重されないということになると、今度はここで修正の手を延ばすことのできなかつたこの運用、管理の問題について、別個の議員発案の法律案をもつて相まみえなければならぬということをこの際強く大蔵大臣に申し上げて、私の質問を終ります。
#8
○小笠原国務大臣 各委員の方々が熱心にここで仰せになつたことは私も承つております、従いまして、そういうような附帯条件と申しますか、決議というものがございました節には、これをできるだけ尊重いたしますことは、これは心からいたしたいと存じております。ただ繰返し申すようでありますが、私どもも決して還元するということを怠つているわけではないので、毎年増額いたしておりますし、それからまたこの金が、さつき申し上げた中小企業金融公庫にも行くし、住宅金融公庫にも行くし、いろいろなそういつた各種の機関の方へ行つておつて、一種のいい意味の還元に相当なつている、これはひとつ佐藤さんに御了解願いたいと思うのであります。
 なお大蔵省は独善的だといろいろおしかりを受けたが、私どもは実は衆議院議員であつて、自分が独善的にものをやるという考えは毛頭持つておりません。また大蔵省の諸君も決して独善的にやるとは思いません。ただ私どもは、こういう金を運用するのは、さつき言つたように、もち屋はもち屋がよかろう、こういう意味で申しているのでありますから、どうかその点御了承願いたいと思います。
#9
○長谷川(保)委員 議事進行について緊急動議を提出いたします。
 御承知のように、佐藤自由党幹事長に対しまする逮捕の許諾請求に対しまして、目下国会で重要議案が審議中であるとの理由をもつて、法務大臣の指揮監督権を発動いたしましてこれを拒否するということが新聞に発表されております。そのことはわれわれは絶対に納得できないところであります。国民諸君もまたいよいよ国会に対します不信を強めることと思うのであります、目下この問題につきまして、野党四派の緊急の国会対策委員長会議を開いております。この緊急国会対策委員長会議がどういう結論を得まするか、その結論が出まするまで、その会議が終りまするまで、この委員会の審議を中止していただきたい、これを緊急動議として提出いたします。
#10
○小島委員長 この際長谷川君の動議を採決する前に暫時休憩いたします。
   午前十時五十九分休憩
     ――――◇―――――
   午前十一時十八分開議
#11
○小島委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。
 まず休憩に入ります前は、長谷川委員より提出された本案の審査に関する議事進行の動議について、同委員より本件について発言を求められておりますのでこれを許可いたします。
#12
○長谷川(保)委員 先ほど提出いたしました議事進行についての緊急動議につきましてはこれを撤回いたします。
#13
○小島委員長 引続き質疑に入るのでございますが、政府委員が出席しておりませんので、出席を待つ間、暫時休憩いたします。
   午前十一時十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二十四分開議
#14
○小島委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。
 厚生年金保険法案を議題とし、質疑を続行いたします。本法案についての質疑はございませんか。
  〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○小島委員長 本案についての御質疑もないようでありますから、本案の質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○小島委員長 御異議もないようですから、本法案に対する質疑は終了したものと認めます。
 なお本案の討論、採決は次会に譲ることとし、本日はこれをもつて散会いたします。
   午後二時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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