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1953/06/01 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第54号
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1953/06/01 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第54号

#1
第019回国会 厚生委員会 第54号
昭和二十九年六月一日(火曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 小島 徹三君
   理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君
   理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君
   理事 岡  良一君
      越智  茂君    助川 良平君
      降旗 徳弥君    亘  四郎君
      滝井 義高君    萩元たけ子君
      柳田 秀一君    杉山元治郎君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (保険局長)  久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠本 正康君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (保険局船員保
        険課長)    中村 隆則君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
五日二十九日
 委員庄司一郎君辞任につき、その補欠として鳩
 山一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
 委員田子一民君及び町村金五君辞件につき、そ
 の補欠として寺島隆太郎君及び中野四郎君が議
 長の指名で参員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 参考人招致の件
 厚生行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小島委員長 これより会議を開きます。
 まず参考人招致の件についてお諮りいたします。興亜寮運営の問題について、板橋区長の渋谷常三郎君及び興亜寮自治会代表の田村英郎君の両君より説明を聴取したいとの意見が強いので、明後三日午後一時より出席願つて、説明を聞くことにいたしたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
    ―――――――――――――
#4
○小島委員長 次に、船員保険病院の件について、杉山委員より発言を求められておりますので、これを許可します。杉山元治郎君。
#5
○杉山委員 私は船員保険病院建設について、ちよつとお伺いいたしたいと思うのであります。誤解のないように一言申し上げておきたいと思いますが、われわれは厚生施設を拡充することについてはこれを推進したい、こういう考えを持つておるので、決してこれを阻止するとか、これをじやまするとかという意図はもちろんないのでありますから、その点は十分御了承おきを願いたいと思うのであります。だが今後においてもこういうようなことがたびたび起つて来るであろうかと思うから、建設にあたつて、いろいろ当局の使い方あるいは心構え、そういうような問題について一応伺つておきたいと思うのであります。それは御承知のように、建設にあたつて今ごたごた問題が起つておるということであるからであります。その起つておる原因は、土地の農にあたつて手続上いろいろ手落ちがあつたのではないか、こういう点も考えられるのであります。その第一は、農民に十分徹底するように、公聴会などの措置がとられたのかどうかという点をまず第一に伺つてみたいと思うのであります。
#6
○久下政府委員 船員保険病院の敷地の買収につきましては、今御指摘のございました公聴会というようなことはやつておりませんけれども、手続上の点におきましては、私どもは落度はないと考えておるのでございます。
#7
○杉山委員 手続上手落ちがないと申しますことは、おそらく農地を他の地目に変更するという場合には、一般ならば知事の許可あるいは農業委員会の承認を得るということになつておると思いますが、これは農地法の五条の一でしたか、その所有権あるいは地上権などの移動に対して当事者の一方が国である場合においては・そういうことをしなくてもよい、多分こういう規定を御利用になつて農業委員会の議を経ないで土地の買収にあたつたのではないかと存じます。そういう点で法律的にはあるいはそういう方法をとつたならば手落ちはないと存じますけれども、公聴会もやらなかつた、あるいは農業委員の議も経なかつたというような点からいたしまして、農民にその意思が十分反映しておらなかつたといううらみがあつたのではないか、こういうことを考えるのでありますが、その点についてどういうようなことでございましたか。
#8
○久下政府委員 まず農業委員会との関係でございますが、農地法の第四条第三号によりまして、「国又は都道府県が農地を農地以外のものにする場合」には、都道府県知事または農林大臣の許可を必要としないことに相なつております。実際問題として私どもがこの土地を買収するにあたりまして実はこの規定のありますことに気がつかなかつたということも原因ではございましたけれども、ともかくも農業委員会の方の意向も確かめたいというので、約二箇月間は話がきまりましてからもその方面の意向を聞いておつたのでございます。大体実質的には、その方面にも異存がないように伺つておりましたが、しかし最終的には県の農地課の方から法律の規定によつて特別な手続を必要としないからということで、お話のように法律的の規定によつて手続を要しないで農地を転用することにいたしたわけでございます。しかし今申し上げましたように、その前には約二箇月間そのためにその方面の意見を聞くというような措置をとつておつたわけでございまして、大体実質的にはこれを正式に農業委員会にかけましても了承を得られるというところまで行つておつたような実情でございます。
#9
○杉山委員 二箇月間猶予をもらつておつたというお話ですが、最後にその手を使つたことは、私どもの察するとこうによると、めんどうだからこういう手段をとつたのではないか。えてして役所はいつもそういう手を使うのでありまして、農民の十分なる了解を得ないで仕事をやつて行かなければならない関係で強圧的に出て行くという一つの道がある。これは県の農地課の人が教えにのかどうか知りませんが、法律にあるわけであります。十分なる農民の了解を得ないことのために、今日のような問題が起つたのではないかという心配をいたしますので、今後そういうような場合においては、この法律の条項があるとしても、土地買収の際には、関係農民と十分懇談をして了解を得てやつていただきたい。そうしなければよた今度のような問題が起ると思いますので、この点についての御注意を願いたいと思うのであります。
 その次に伺いたい問題は、伺いますご、中間のブローカーが入つているという話で、十二人の所有者中十人まではそのブローカーの人に頼んだ覚えははいという話をしておりますが、この点はどうですか。
#10
○久下政府委員 関係の土地八千坪の地主は十二名であります。十二名から一人々々移動契約をとることは非常にのんどうでもあり、他に例もありますので、中に立つた人が、それぞれの地主から委任状をとつて、その委任状をとつた人と一括して契約をしたという実情でありまして、その間におきまして、土地の買収に関して地主が委任状を出さなかつた、あるいは知らなかつたというようなことはあり得ないことだと考えております。ただおそらく先生のおつしやいますことは、その後買収も済み、私どもとしては、すでに建物の請負契約も済み、整地等に着手した後におきましていろいろ反対の運動が起つて参りまして最近の段階においては、十二名の地主のうち、当初は賛成をしたけれども十一名が反対にまわつているというような意味合いだと私どもは承知いたしております。
#11
○杉山委員 私どもの聞き及んでいるところでは、十名は川口某という方に一任したことになつておるけれども、表面に立つておる岡田某という人に頼んだ覚えはないというのですが、その点はどうなんでしようか。
#12
○久下政府委員 その点については、保険課長から聞きますと、若干の考え方の食い違いがあるようでありますが、川口という人が地主側の間を説いて委任状をとることにいたしましたことは事実であります。川口という人は某会社の重役の一人でありまして、会社として中に立つためには、正式にはやはり岡田という人が代表者になつておるという関係で、岡田という名前が出ておるのでありまして、実質的にはその辺の話合いはついておると推測をいたしております。
#13
○杉山委員 そこに食い違いがあるかもしれませんが、百姓さんたちは川口某にお頼みしておつた。ところが川口さんからは、厚生省に坪七百円で売るという話になつておつた。ところがだんだん聞くと千円で厚生省から買つてもらつておる、こういうことでその間坪三百円の差があつて、総計にすると二百四十万円ほどの差額が出ておる、こういうところから今度のごたくの原因も出ておるのではないかということもうかがえるので、買収の場合には、そういう中間のものを入れるといつもこういうことが起つて来ることは、私ども過去においても再三経験しておるのであります。そういう場合には所有者一人々々を呼んで、こういうわけで買うことにしたのだから、ぜひこれこれの値段で承諾してくれということをはつきり言つて買収していただかぬと、こういう問題が起つて来ると思うのでありますが、今度も多分そういう結果になつて来たのではないかと思うのです。こういう点厚生省の側は、もう代表者から千円で買つたのだからおれは知らぬというてつつぱねればつつぱねられるかとも思いますが、そういう問題について、問題を解決するためにこういうことをどういうようにして行こうとするのか。それはわれわれの方の領分じやないから知らない、こういうわけでつつぱなすようにして行くのか、この点の態度も一応伺つておきたいと思うのであります。
#14
○久下政府委員 先ほども申し上げましたように、法律的には今度の買収に関しまして、手続上の瑕疵があるとは考えておりませんけれども、しかしながら御指摘のように、私どものやりましたことが完全無欠であつて、非の打ちどころがないというふうには考えておりません。今先生の御指摘のような点におきまして、あるいはもう少し十分な手を打ちますれば、今度のような問題にならずに済んだかとも考えておる次第でございまして、その点は今日となりましては私どもはなはだ遺憾に思つておる次第でございます。しかし今お話にございました土地の中に立ちました人たちと地生との間の買収価格と、それから中に立ちました人たちと厚生省との買収価格の間に開きがあることは私どもも十分承知しておる次第であります。実は私どもが承知しております範囲におきましては、確かに最近におきます反対運動の理由にはこの問題も大きく取上げられておるようでありますが、しかしながら当初反対運動が起りましたときのいきさつは、それから起つておるのではないと承知いたしております。むしろ結核患者がああいう所に来られるのは困るというのが表向きの理由でありまして、だんだんそのような関係が反対理由のうちにつけ加えられて来たといういきさつであると承知いたしております。今後の問題でございますが、確かに今日まだ地元の反対運動が未解決の状態でございまして、私どもとしては実は百方手を尽して、円満な解決を見るように現在努力中でございます。実は私も今、明日のうちには現地の方に出向きまして、県並びに市の当局ともいろいろ解決につきまして打合せをする予定を立てておるような次第でございます。この問題は一面において船員の福利施設の問題でもありますし、すでに国の特別会計予算でもきまつておるのでありますから、私どもの立場としては実施せざるを得ない。その間にこういう問題を引起しましたことはたいへん申訳なく思つておりますので、円満な解決方に万全の努力を払う所存でございます。
#15
○杉山委員 今お話の土地の売買の際に、ここに病院を建てるにしても、癩病、精神病、並びに肺病の病院を建てては困るという話があつた、こういうことを聞いておるのですけれども、ところが今度はその約束に反して結核病院だ、こういうことでわれわれは反対しておるのだということも伺つておるのですが、百姓さんたちとお話合いのときにそういうことになつたのか。また契約文の中にそういうものがあつたが、それを故意に落したのだと百姓さんたちは申しておるのですが、その辺の事情についてお伺いいたします。
#16
○久下政府委員 私どもは、土地の買収にあたりまして土地の関係者と事前に了解を求めましたのは、ただいまお話のありました結核ということは入れてなかつたのであります。癩及び精神の病院ではないということははつきり申したのでございます。これは先生も御承知のように、いやしくも特別な病院以外は結核性の患者の入らない病院というものはおそらく絶無と言つていいくらいだと思うのでありまして、そういう意味合いにおきましても、結核を入れないという約束は実際問題としては不可能に近いことだと考えております。ただいろいろ地元の意見もありますので、純粋の結核療養所のような運営でなしに、他の科も加えまして、できるだけ総合病院的な運営をするように現在も考えておる次第であります。約束の上では結核ということを入れておりませんし、そういつた総合的な運営をする病院に結核の患者を入れないということは、病院の経営から不可能ではないかと考えております。その辺のところは、先生がそういうふうにお聞きになつていらつしやるといたしますれば、少し誇張があるのではないかと考えております。
#17
○杉山委員 あつた、ないということは水かけ論ですから、これについては申しませんが、そういうことを申しておるということを一応申し述べたわけであります。
 土地を選定するのにたいへん御苦労になつたということを聞いております。また多分そういうことであつたろうと思いますが、県庁の話では、あすこよりもつといい所があつたはずだということも伺つておりますので、もつといい所があるならもつといい所をやればいいではないか。風致地区に近い所に建てるよりも、いい所があるならそこへ建てたらどうか、こういう考えも起るのですが、市の助役連あるいは県の衛生部長がそういう話をしているとしたら、そういう人たちとお話合いをしたことがありますか。
#18
○久下政府委員 私どもは、あの土地を選定いたしますまでには約二十箇所に近い場所を選んで、ある程度まで話が進みましたが、買収の話合いがつかずに途中でだめになつたという所ばかりでありまして、探し方も悪かつたかもしれませんが、最終的にあすこに話がきまつたような次第であります。それでこの問題が起つてから、横浜市当局から、自分の方で替地を選定してみようという話があつたことは事実でございます。しかしながら私どもの立場としては、すでに請負契約も済み、工事もある程度進捗しておる実情でもございます。また替地に持つて参りました場合に問題なく行くかどうか。これも若干危惧の点もございます。いろいろな関係から、替地という話は一応出ましたけれども、現在の段階ではそれを今になつてかえるというわけにも参らないような実情でございます。そういうことで、他の土地ということはこの紛争が起きた、ごく最近、五月に入りましてからの話でありまして、その点は話の行き違いではないかと思う次第でございます。なお念のために申し上げておきますが、船員の患者を収容する病院で、ざいまして、私どもの立場から申しますと、一つは、船員保険のない病院というのが東京都の港区にございますが、これとの実質的な連繋のある運営をしたいと思つております。それからもう一つは、もちろん船員のことでございますから、やはり横浜港に近いところに選定をしたいというような条件から、あるいはもつと他の県下の方にまで手を広げれば別かもしれませんが、神奈川県下にぜひ選びたいという希望もございまして、神奈川県下につきましては、そういう意味で、あの土地に至りますまでに二十箇所近いところを探して歩きまして、ようやくあの土地におちつきました。従いまして二十八年度予算も二十九年度に繰越しをして使用するような措置までとつておるような実情でございます。従つて事前にほかに土地があつたがあれを選んだといことでございませんことをひとつ御了承を願いたいと思います。
#19
○杉山委員 海員の病院ですから港に近いところにつくるということは当然なことでありまして、私もこの点はよくわかるのであります。先ほど申しましたように、それは港に近いところに置くにしても、十分な了解と十分な納得の上にやつていただかないと、せつかくやり上げてもこういうことになると、皆さんたちの方にも非常な迷惑がかかります。そういう意味で、私は特にお願いをしているわけなんです。なお聞きますと、今度の買収地が馬蹄型になつていて、その中に一部土地が残されて非常に迷惑をしておる、こう言うので、買うならなぜそういう残されたところも一緒に買わないのか、こういう話もございますが、その点はどういうことでございましようか。
#20
○久下政府委員 馬蹄型になつておりまして間にはさまつた土地につきましては、私どもの方では実は一括して買収をする考えで話を進めたのでありますが、地主側の方からこれは残しておいてくれというお話がありましたので、残したような次第でございます。
#21
○杉山委員 それでは今後において売りたいというような場合にはそれに応ずるような意図があるのですか、あるいは予算の関係でできない、こう言うのでありますか。その点も一応伺つておきたいと思います。
#22
○久下政府委員 ただいまの病院の規模から申しますと、この中にはさまれた土地まで買収しなければならないほどのことではないと考えております。今後病院が、仮定でございますが、もしでき上りました場合に、病院の運営をして参りまして、さらに手ぜまになりました場合には、自然にそれに応じて土地の買収の範囲を広げて行かなければならないと思いますが、さしあたりといたしましては、予算の関係もございますし、将来の見込みもまだ立つておりませんので、今売りたいという希望がありますからといつて、私の方ですぐ応ずるというところまでは行つておらない。いずれその問題につきましては、今後の問題として、まず先に見通しを立て、予算措置を講じてからでないと、ちよつとお約束はいたしかねると思います。
#23
○杉山委員 次に伺いたいのは、これはあるいは環境衛生の関係になるかもしれませんが、その病院の建設地はいわゆる鑿井によつて水を引かなければならぬ場所のように聞いております。もしそうなら相当大きな鑿井をしなければならぬじやないかと思います。そういう場合に、その付近の農村の人たちや住民たちの井戸が枯れるのではないかという心配――これはよそにもよくあります。大きな井戸が掘られると、その付近の井戸が枯れることがございます。そういうことがあり得るんじやないかという心配をいたしておるようでありますが、そういう場合にはやはり補償とか何かの責めを負わなければならぬと考えますが、その点についてどういう予想を持つておるか、一応伺つておきたい。
#24
○久下政府委員 私からお答え申し上げますが、私の方は専門家でありませんので、あまり責任のあるお答えはできませんけれども、三百ベツド程度の病院になりますと相当多量の水を必要といたします。従いまして普通の民家が使つております程度の地表に近い水脈ではとうてい足りないのが普通常識でございます。おそらく何百メートルというふうに地下に掘り下げますから、そういう意味合いでは、病院の選井によつて付近の井戸に影響を及ぼすことはあまりないんじやないかと思います。水の問題は重要な問題でございますので、私ども真剣に研究いたしておりますが、一方、近所まで市の水道が来ておるので、できますれば鑿井も少し専門的に検討してみたいと思いますけれども、場合によつては近くまで来ておる水道を延ばしてもらうということでやりますれば、水の問題は解決するのではないか、今その両方で検討しておるところでございます。
#25
○杉山委員 これは久下さんに聞くのは無理かと思いますが、今言うように水道なら問題はないのですが、鑿井の場合によく井水が枯れてしまうというような場合があり得た際は当然補償せなければならぬと思うのですが、これはまだ予想ですから、そういう予想に答える必要はないと仰せになるかもしれませんが、やはり一応井戸でやるということもお考えおき願わないとまた問題が残りますから、あらかじめこの点を伺つておきたいと思うわけであります。この点はいかがでしようか。
#26
○楠本政府委員 この点に関しましては、御指摘の通り大きな鑿井をいたしましたために付近の水が枯れるということは、ときにある例でございます。ことに主として工場が設置された等の場合にはしばしば問題を惹起いたしております。その結果、あるいは補償をした、あるいは工場の水を、さらに付近に水道として工場自体が配水したというような例もございます。
#27
○杉山委員 次に、私はこの土地を実際に見ておらないのでよくわかりませんけれども、その敷地の下の方に養魚場があるという話です。それでもし汚水などを流される場合に、その養魚場がいろいろ損害をこうむるんじやないかという心配を持つておるということを私聞き及んでおります。そこで病院の方では汚水等についても十分な措置をする、こういう話を聞いておりますが、この点についてどういう措置をとるのか、その設計の模様などもわかればお聞かせいただきたいと思います。
#28
○久下政府委員 私どもといたしましては、病院の汚水につきましては、一般にやつておりますような浄化装置をいたしまして、衛生的には無害なものとして外に出しますが、ただ土地が広いものでありますから、今の計画は、その敷地内に自然浸透をさせる計画でおるわけでございます。ただしかしこれにつきましては、衛生的にはそういう意味で付近に、あるいはその養魚池に被害を及ぼすようなことは考えられないと思つております。特に養魚池と申しまするのは、病院の敷地の端から完全に一キロくらい離れたところにあるわけでございまするので、そういう意味合いにおきましても、とかく問題はないと思つております。ただ専門家が若干懸念をしておりまするのは、薬品を使いまする関係上、衛生的には無害でありましても、そのにおいが、あるいは長い間には地下浸透することによつて、ほかに影響を及ぼすおそれがないかというようなことを心配しておりまするので、この点につきましては、なお県の衛生試験所等とも相談をさせまして、専門的な検討をしてもらつて、そういうような将来の懸念があるようでございますれば、場合によつては下水道というような問題も考えなければならぬというふうにまで、今私どもは考えております。
  〔委員長退席、古屋(菊)委員長代理着席〕
まだその辺のことにつきましては、もう少し専門的な検討を必要といたすことでもございまするので、少くとも今申し上げたような方針で、具体的な措置を進める所存でございます。
#29
○杉山委員 万全の処置をとつていただいて、周囲の人たちにそういう心配のないようにぜひやつていただきたいと思うわけであります。やるやると言いましても、これはよく工場などで表面的にはそういう装置をこしらえておいて、雨が降つた場合には、これ幸いと流される場合がずいぶんあつて、迷惑をすることが再々あると思います。少くとも厚生省の管轄の病院ですから、そういう乱暴なことはしないと存じますけれども、そういうような汚水、下水の処置について、周囲のそういう養魚場なり、農民なり、一般の人たちに迷惑のかからないようにぜひ処置をとつていただきたい。このことだけを申し上げまして私の質問はこれで打切つておきたいと思います。
#30
○古屋(菊)委員長代理 柳田君。
#31
○柳田委員 保険局長にお尋ねいたしますが、私は昨年北海道で起りました保険医の監査に対して、保険局長にいろいろと申し上げたが、そのときに申したように、保険医の中に不正な人なしとは決して言わないのでありまして、多くの保険医の中には、やはりそういう事例のあることは、私は決して否定するものではありません。ただ問題は、そういうためにこれから大きく動いて行かなければならぬ日本の社会保険が、こういう事例のために歪曲されたり、あるいはそのために本来の保険者、被保険者及び担当医の三者が緊密な連携のもとにやつて行けなくなることのあるのをおそれて申し上げたのですが、聞くところによりますと、最近大阪でまたまたこういう事件が起つておるように聞いておりまするが、その事件の大体の概要はどういうことでございますか。
#32
○久下政府委員 突然の御質問でございまして、手元に資料を持つて来ておりませんが、私の記憶いたしておりまする限度で、ごく大要を申し上げたいと思います。
 昨年の十一月初めだと記憶いたしておりますが、大阪府下の保険医の監査を、十四、五名について実施することにいたしたのであります。ところがこれにつきましては、一部の人々とともに多数の患者などが監査場に詰めかけまして、そうして監査の理由を公開しろ、特に保険医を監査の対象として選んだ理由を公開しろというようなことを主とした要求がございまして、監査官との間に相当長時間にわたる押問答がございました。一方保険医も約束の時間に出頭しないというような事情もございまして、予定の日の監査が実施できなくて、一時中止のやむなきに至つたのでございます。しかしながら保険関係官署の調査によりますと、やはりこれらの方々につきましては、一応監査を実施する必要があるというふうに再確認をいたしまして、十二月に入りまして、そのうちの五名だと記憶しておりますが、五名の保険医につきましてとりあえず第一次的に監査実施の連絡をいたした次第でございます。これにつきましては、もちろん大阪府医師会とも十分に連絡をとりつつ事柄を進めたのでございます。監査当日、監査場を大阪府庁に選びまして、監査に選ばれた保険医の出頭を待つたのでございますが、この待ちますにつきましては、本省からも監査官が参つて、大阪府の監査担当官と協力をして、医師会の役員立会いのもとにお待ちをしておつたのであります。そのときまたやはり二百名ほどの大衆が監査場前に押しかけるというような事件がございましたが、一方監査に選ばれました保険医は、その日はとうとう三人とも出頭をいたさなかつたのであります。他の人はみずから申出がございまして、他の場所において監査を受けたいというような申出がございましたので、これは直接大阪府医師会長とも連絡をし、そのおいでもいただいて別の場所で監査をいたしたようなこともございますが、少くとも三人の保険医はとうとう監査場に出頭することがなかつたような状態でございました。当日は夕刻までお待ちいたしましたけれども、そういうことでおいでがなかつた。そこでさらに日をあらためまして文書によつて、もしおいでがなければ、ほかの方にでもいいから、診療録を持つて来させていただきたい、できれば一緒に御本人も御出頭願いたいということを五、六回にわたりまして繰返し連絡をいたしたのであります。監査の対象となりました三人の保険医は、その都度文書をもつて、出頭はもちろん、診療録の提出も拒否をいたしたような状態で、十二月終りまでかかつてしまつたわけであります。
 そこでいろいろ法律上の問題につきまして、私どもとしても法務省その他とも打合せをいたしまして、とにかくそのために監査が実施不可能であるというので、ほつておくわけにも参りません。法律上健康保険法第九条二による診療録その他のものの検査の拒否あるいは忌避というような結果にも相なりますので、三人の保険医につきましては、一月の下旬に監査担当官の名前をもちまして、検察庁に告発をいたした次第でございます。なお行政処分の方につきましては、一応この告発の処分の経過を見ようということで、しばらく猶予をいたしておつたのでありますけれども、再び問題を後日に残しておきますることも、紛糾を招くのみでもありまするし、行政庁としての処分も明確にする必要がございますので、四月の下旬だと思いますが、大阪府の地方医療協議会に諮問をいたしまして、三人の保険医の行政処分につきまして意見を問いましたところ、二人の保険医につきましては指定取消し、一人の保険医につきましては二箇月の期間を切つての指定取消しという答申がありましたので、大阪府知事が五月の初めになりましてその処分の執行をいたしましたような状況でございます。その後保険医のうち一人の方はこの行政処分を不服といたしまして行政訴訟を提起したと承知しております。そういうのが今日に至りますごく概略の経過であります。
#33
○柳田委員 私も十分調査をしたわけではありませんから、保険局長の御答弁に応じて一応確めた上でまた調査をしてみたいと思うのですが、ここに「不当処分に抗議する」というので、その三名から経過が書かれてあるのですが、それについて一つずつお尋ねいたします。問題の三名は、昨年十一月でしたか、十五保険医に対する監査をせられた中に入つておるのですか、どうですか。
#34
○久下政府委員 そういうふうに念を押されますと、私も正確にお答えできませんので、後ほど資料を調べましてお答えいたします。
#35
○柳田委員 それからこれも一方的な文章ですから、私はこれを初めから肯定して申すのではありませんから、その点はそのつもりでお聞き願いたいのですが、これによりますと、「御承知のとおり、昨年十一月の十五保険医に対する監査は、厚生省と府保険課が自らその不当を認めて撤回しました。引き続いて十二月、問題の解決をもはからず五名の保険医に監査を強行しようとして、二名の保険医を公式の監査場でないところへ自動車で連行し、医師会の正式立会人をあざむいて待ちぼうけを喰わせたまま秘密裡にヤミ監査を行い、その無法ぶりをバクロしました。」というふうに書いているのですが、今の保険局長のお話では、二名の方からみずから進んで別の監査場で監査を受けたいという申出があつたので、そのところで監査をしたが、他の五名は遂に出頭されなかつたというような御答弁だつたのですが、これはどうなのですか。
#36
○久下政府委員 私の申し上げましたことは事実の通りでございまして、五名のうちの二名は、大阪府庁に設けられた監査場に出頭することは困るから別のところでやつてほしい、こういう申出をたしかその御本人の住んでおる区の区医師会長であつたと思いますが、その方を介しまして大阪府当局に申入れがあつたのであります。当時の状況といたしましては、先ほど申し上げましたように、大阪府の監査場前には約二百名の大衆が押しかけて入口を挺しておるというような実情でもございました。確かにそういうところに来るということを御本人はいやがつたのではないかというふうにもとれるのであります。そういう申入れがございましたので、私どもとしてはそれをお受けするかどうかにつきまして、すぐに出先におられました大阪府医師会長に直接連絡をいたしたのであります。大阪府医師会長も、言葉はどういうふうに言われましたか知りませんが、とにかく出先からすぐに希望した監査場であるある社会保険出張所に出向かれたような実情でございます。完全にこれは御本人の申出に基いて私どもとしてもそれを大衆の待つている府庁の監査場に知らせることの方かかえつて問題を刺激すると思いまして、さような措置をとりました次第であります。
#37
○柳田委員 医師会の正式立会人を待ちぼうけを食わせたままと書いてあります。そうすると大阪府庁の監査する場所には立会人は来ておられたのですか。
#38
○久下政府委員 当初は医師会長ほか二名、たしか五名の立会人がおられたようであります。医師会長は所要のため中座をいたしまして他の会議に出かけておられたのであります。そこでそういう申出がございましたので、医師会長には、医師会の直接責任者でもございますので、大阪府当局が連絡をいたしましたところ、それではというので御自身が他の選定された監査場に出向かれたというようなことでございます。
#39
○柳田委員 あとの五名は出頭せられなかつたわけですね。
#40
○久下政府委員 あとの五名は出頭をいたしませんでした。
#41
○柳田委員 その五名が今回の河合文男、桑原英武、白壁武彌、この三人ですか。
#42
○久下政府委員 その通りでございます。なお念のため申し上げますが、別の箇所で監査をいたしました保険医につきましては、一名は取消し処分、一名はたしか戒告だと思いましたが、これはその前に行政処分が決定をいたしております。
#43
○柳田委員 そこで私ども実情を調査しておりませんから、これは後日に残して保険局長の御答弁を聞くのでありますが、監査要綱にもあつたと思いまするが、四月二十六日、大阪府社会保険医療協議会が開かれたと思いますが、その協議会に出される資料は、診療録の検査を行うとか、あるいはそのときに本人に具体的な弁明の機会を与える、そういうようなことをなさつておられますか。
#44
○久下政府委員 まず前段の診療録の検査でございまするが、これは先ほど申し上げましたように、再三再四にわたりまして診療録の検査を法律の規定に基いて要請をいたしたのでありまするけれども、多忙であるとか、あるいは他人の秘密に属するとかいうことを理由といたしまして、数度にわたる催告にもかかわらず拒否しておりまして、とうとう最後まで私どもとしては診療録を見ることができなかつたのでございます。
 それから弁明の問題につきましては、大阪府地方医療協議会の席上に三人の方においでをいただきまして、そうして弁明を聞いておるのでございます。
#45
○柳田委員 その弁明の機会で大体のことはわかると思いまするが、それらは医療協議会の正式文書として残つておるわけでございますね。
#46
○久下政府委員 厚生省にはございませんが、記録は大阪府庁に残つておるはずでございます。
#47
○柳田委員 処分としては、無期限の指定取消しというのは極刑であります。普通の裁判でいえば死刑とか無期懲役のようなものですが、そういう極刑に値するだけの具体的事実が、弁明の機会を与え、なおかつあつたと御判断されたわけでございますか。
#48
○久下政府委員 この点につきましては、行政庁である大阪府庁の調査の結果に基いて、大阪府庁としてこれはまず三人とも取消し処分に該当するものであるという内議があつて、本省の意見も聞きたいということで私どもの方にも通知があつたわけです。実は私どもの方でも、取消しというのは確かに重い処分でございますので、これが地方々々でまちまちな処分が行われることは適当でございません。全国的な調整を保つ意味におきまして、決定前にまず内議をさしておるのであります。その内議がございましたので、私どもも従来取消し処分をいたしております他のそれらの事例とも比較いたしまして、取消しに値するというふうに考えまして、一応内議の通りでよろしいという回答をしてございます。その後医療協議会で若干かわつて参りました。一人の人は期限つき取消しということになりまして、さらに内議がございましたので、これも医療協議会の審議の結果そういうことでありますれば、その通りでよろしいという回答をしておるわけでございます。
#49
○柳田委員 そこでそういう極刑でありますから、大阪府の保険課の言い分だけではきめられない、これは当然である。従つてそういう具体的なデータは、やはりその内議の際に本省に提出されておると思いますから、本省としてもこの指定取消しに値する条項というものは把握されておるはずです。どういう点が特に指定取消しに値しておりますか、その点をひとつ実例をお示し願いたい。
#50
○久下政府委員 最初にお答え申し上げましたように、実は一通り資料は整えておりますが、きよう持つて参つておりませんので、その辺の具体的な問題になりますと、今急にお答えをいたしかねます。
#51
○柳田委員 そこで問題は、カルテの検査も行つておらぬ。これはそういう場合にカルテの提出を求めれば、やはり応ずるのが保険医の建前だと思うのです。医師は診療上の秘密を守る場合もありますが、一応保険医のわく内でおる以上は、これは正当な理由なくして拒むということは、保険運営にいけないと思うのです。確かにそういうようなことをやれば、今後健全な保険運営がやつて行けない。その点は私はさようにはつきり断定しておきます。しかしカルテを拒否したといえば、裁判で黙秘権を使つておるのと同じです。今の刑事訴訟法では、何らかの証拠物件がなければなかなか起訴できない。現に佐藤幹事長の問題でもそうなんですが、こんなところで引合いに出しますとさしさわりがあるかもしれませんが、佐藤幹事長の問題もそうです。黙秘権を使つておるようなものです。黙秘権を使つておるのを一方的にやるわけには行かない。それと同じように、この場合でもカルテの検査をやつていない。そうすると聞込みか何らかの方法をとられたと思いますが、どういう方法で極刑に値するというネタといいますか、証拠物件といいますか、そういうものを御収集になりましたか。これは将来のために非常に大事な点ですから、聞いておきたい。
#52
○久下政府委員 まず前段は御意見でございますが、私もまつたく同様に考えております。ただ問題は、診療録の検査をいたさなければ絶対に行政処分ができないかどうかという点につきましては、この点はきわめて重大な問題でございますので、私どもは法務省にも再三打合せをいたしました。本人の拒否によりまして――それまでは監査に関するあの要綱に従つて所定の手続を進めて参りました。
  〔古屋(菊)委員長代理退席、委員長着席〕
最終の段階で本人の拒否によつて、診療録の検査という最後の手段がとれなかつたというような場合には、これは行政庁が、他の材料によつて得た資料によりまして行政処分ができるというのが、法務省と連絡いたしました結果の正式な解釈でございました。そういう意味合いにおきまして、診療録の検査は本人の拒否によつてできなかつたために、一応監査は終つたものと認定して処分をいたしたわけでございます。
 そこで、どういう方法によつて資料を獲得するかということでありますが、これはまず第一は診療報酬支払基金の審査の結果に基くのでございます。これが具体的には一つの有力な資料になるわけでございます。もう一つは患者の実調を時折行います。今度の場合に、具体的にどの程度までございましたか、今ここで私もつまびらかにいたしませんけれども、大体一般のいろいろな批判と申しますか、そういうものもあるわけでありますが、それは一つの動機にすぎないのであります。具体的には、基金審査委員会の審査の結果の資料、本人の実調というようなことでやるわけであります。さらにその上、普通の検査を行うとしますれば、診療録の検査をして、御本人の診療録による立証ということも行うわけであります。
#53
○柳田委員 そこで今の大阪の問題じやなしに、一般の問題としてでありますが、その基金の方へ提出されている請求書ですか、これから判断される場合は、私かなり資料はあると思うのです。ただ問題は、いつもやられるあの患者からの実調は、私は今後あまりお取上げ願いたくないと思う。その場合私はいろいろな点から公正な判断はつかないと思うから、あまりその点を重要視されることは、非常に危険が伴うと思う。基金の請求書は、いわば一つの公文書に値するようなものであるから、これを主にされることはやむを得ないと思うが、しかし患者の実調というものは、これはおよそナンセンスだと私は思う。そこで問題は、やはり何と言つても本人の弁明とそれから診療録であると思います。従つて診療録を拒否したままでこういう処分をやるということは、非常に悪例も残ると同時に、それならばといつて、診療録を拒否して、いつでも黙秘権を使えばもう何もできないというようなことになれば、これはどうにもならない。この点は私は一般問題としてもう少しお考えを願わぬと困ると思う。同時に、やはり診療録に対して拒否し続けるということは、これは今後の保険運営上健全じやないと思う。といつて、診療録がないままに、今のようなやや暗黒裁判のようなやり方は、これまた私は非常にあとに問題を残すと思う。ことに患者の実調であるとか、そういうものを標準にされてやられることは、将来非常に悪例を残すと思うので、私は二つのことを申し上げます。今後保険行政を円満にやつて行くことに対しては、正当な理由なくして診療録を拒否した場合にはこうくだという、何らかの方法をとられることが一つと、同時に患者の実調というようなことは今後おやめ願いたい。これは私はナンセンスだということをはつきり申し上げておきます。
 結局そうなつて来ると、これは黙秘権を使つたまま極刑になつたわけですが、そのとき本人の弁明はどの程度参酌されましたか。また裁判にはやはり弁護士というものがつくわけです。従つて医療協議会には、当然その業界代表というか、弁護の立場の者の意見というものも十分参酌しなければならないと思う。この医療協議会というものは三者構成になつておりますが、主として弁護の立場に立つところの同業者の方の意見は、どういうふうに御聴取になり、それをどういうふうに尊重されたか、極刑を科せられる判断として、それをどういうふうに採用されたか、その点をひとつお伺いしたい。
#54
○久下政府委員 最初は御注意でございますが、私どもといたしましても、患者の実調という問題を、そう絶対的な信頼を置くべきものとは考えておりません。しかしながら、中にはそれが非常に有力な資料になるものもございます。たとえば、一般的な例で申し上げるわけでございますが、患者が入院していると称して入院料の請求があつた場合、ところが調べてみると、本人はその入院をしているという当日勤め先に出勤をしておつたというような、非常に極端な事例があるわけです。これらはやはり患者なり事業所なりを実態調査することでなければ明確にならないわけです。私は、何でもかんでも患者の実調というものに重きを置くということは確かにお話のように危険だと思いますが、しかし法律にもちやんと規定のあることでもありますし、全然これを放置するわけにも参らないと思います。御注意の点は十分今後の運用について注意をして参りたいと思うのであります。
 それから医療協議会におきましては、保険の利益代表と申しますればやはり医師会を代表する委員の方々であると存じます。会議の詳しい模様はつまびらかにいたしておりませんが、私が聞きました記憶で申し上げますと、医療担当者側は、処分につきまして反対的な意見を述べておられたようであります。いろいろな資料を判断いたしまして、医療協議会としてはたしか多数で決定になつたというふうに聞いておるのでございます。なお念のために申し上げますが、患者の実調でありましても、あるいはいろいろの資料にいたしましても、診療録の検査にいたしましても、要するに権限を与えられております行政庁が正しいと認定を下すための手段であると私は考えておるものであります。医療協議会に諮問をして意見を聞きますこともまたその有力なる手段であると考えるものでございます。要は結局行政庁が正しい認定を下したかどうかということにかかるわけでありますので、先ほどお話もございました通り、私もそう考えるのでございますが、こういう問題につきましては全国被保険者の利益のためにも、あるいはお言葉にありました社会保険の健全な発達のためにも、保険医の方々が診療録の調査も拒否するというような挙に出られますことははなはだ遺憾でございます。その遺憾なことを今度実際に行われましたために、どうも私どもとしては多少の批評はあるとは思いますけれども、法律的な検討をいたしました結果、行政庁としてできるだけの手段を尽して今度の最終的な処理をいたすような認定をしたということに相なつたわけでございます。
#55
○柳田委員 そうしますと、かつて京都等にもあつたのですが、医療協議会で医師会側の委員が全部退席してしまつたあとで、四者構成の残りの三者構成で、多数決できめられた事例があるのです。弁護人なしという裁判なんですが、今、多数というお話でありまして、当然決定されるのは多数にきまつておりますが、その際に医師会側の委員は出席されておつたのですか、おらないのですか。
#56
○久下政府委員 委員が最終的にどういうふうに残つて採決をいたしましたか、今明確ではございませんけれども、医師会を代表する委員のうちですか、全部ですか、ともかく二名の方は退席はいたしましたが、すぐその部屋の中の傍聴席にすわつておられたというふうに聞いております。利益代表者の問題につきましては、現在の医療協議会に関する法律によりますと、御承知のように四方面の代表者が出ることになつております。その四つのグループそれぞれ六人ずつをもつて構成をすることになつておりますが、法律的には実は会議の決定をどうしなければならないという規定はございません。地方地方で会議の運営規則をきめておれば別でございますけれども、法律には何ら規定がございませんので、形式的に法律的に見ますれば、医師会側退席のまま多数で決定いたしましてもその会議の決定が無効であるかどうかは若干の疑問があると私は思つております。ただしかしこの辺は行政の運用でそういう措置をとるのがいいかどうかということについては、おのずから別の問題もあると存じます。
#57
○柳田委員 実は私もこの問題は詳しく調査しておりませんので、ただ一方的に聞くだけでございますから、そのつもりでお願いします。問題は四者構成で、その際医師会代表者が全部退席してしまつたあとで処分を決定したとすれば、いかに法律的にあるいは行政的に間違いではないにしても、実際問題としては、私はこういうことでは保険行政の円満なる運用はできないと思う。普通の裁判の場合でも、弁護人を雇う費用がなければ官選弁護人がついて、やはりそれぞれの立場から保護することになつておる。しかし弁護人であるからといつていわゆる三百代言ならともかく、普通の良識ある弁護士というものは、やはり事件にはそれぞれ自分の正義感を持つて弁護しておるのであつて、かりに保険医に罪ありとするならば、四者構成の医師会代表者といえども、黒を白とまでは言えない。ただその立場において、正当な弁論をされるのであつて、その弁論は当然尊重されなければならぬ、あるいは今の協議会はそれが退席しても何ら法律的行政的にさしつかえないにしても、そういうやり方は私は好ましくないというのみか、保険行政には決してプラスにはならない。また医師会側も少くとも良識ある以上、自分たちが全部退席すれば無効だといつてそれを楯にされたならば、保険行政はやれない。私は今の医師会というものは横車を押さないで、お互いに医師会側も公正なる判断に立つて、弁護すべきは弁護し、情状許すべからざるものはやはり泣いて馬謖を切る必要があるのではないか、そういうような立場のもとに、医師会側が全部退席されておるのに、これを決定したということになると問題があると思う。その点私も急に質問したので、局長も資料を持つて来ておられませんが、もしも医師会側が全部退席して採決に加わつておらぬということになると、大阪の問題を離れて、この問題は、将来の医師会に大きな禍根を残しますから、これは保留しておきます。
 それから府の保険課は、「医療協議会は保険課の資料によつて処分をきめればよいので、資料についてとやかくいう必要はない」、こういう多少脅迫的な言辞を弄されておるようでありますが、これに対して局長としてはどういうふうに御解釈になりますか。
#58
○久下政府委員 おそらくそれを引例されておりますのは、第一回の監査の際に大衆が押し寄せて参りまして、全然被保険者あるいは医師会代表と無関係の一般の人々が、保険医として選んだ具体的な事情、理由を明らかにしろ、こういう要求をされましたので、申した言葉だと私は承知いたします。正規の機関、たとえば医師会に連絡をする場合でありますとか、あるいは医療協議会に諮問をいたす場合でありますとか、そういうときにそういう問題をひた隠しにすべきものでもなく、またしたはずはないと思います。今のような場合は、私の聞いておりますところでは、一般の大衆が保険医に訴えて、監査の対象として選んだ理由を明らかにしろ、こういうような要求がありましたので、そういうことを公表する必要はないということで申したように承知しております。
#59
○柳田委員 そこで、こういう極刑に処せられた以上は、その極刑に値いする理由は監査要項にきめられた条項のどこに該当するかということが当然明らかになつていなければならないはずです。従つてこの処分にも監査要項のそれぞれの条項に該当するであろうというような点は、はつきりしておりましようね。この点念を押しておきます。
#60
○久下政府委員 今文字の点ははつきり覚えておりませんが、監査要項には取消しをするのは次のような場合といつて限定規定がありますので、当然それに該当するものと思います。
#61
○柳田委員 局長は資料を持つておられませんから、その点は後ほど御提出を願うことにいたしておきます。
 それからもう一つはこの問題になつておる三保険医は、裁判でいえば被告の立場であつて、医師会は弁護人の立場に当るのでありますが、やはり公的の存在であり、かりに百歩を譲つても黒を白と言う立場ではなしに、十分な権利と義務を持つた名誉ある団体としての医師会の立場として、こういうことを言つておる。「少数の特定保険医を特に狙い討ちにして、一方的調査を強行した結果を資料として、弁明の機会も与えず、検査も行わず、直ちに裁定されたことは甚だ遺憾である。かくては日夜保険診療に従事している保険医の身分の保証も覚束ない。常々府保険課と緊密な連繋と理解の下に推進せんとしておる府医師会の努力がいつも無視される姿には、消し難い憤りさえも感ずる」、こういう会長談を発表しております。少くとも医師会長としての公的立場にある発表は、相当権威のある発表でありますから、何らかの十分な資料、公正な判断のもとにこういう談話を発表されたと思いますが、この談話は、この通り医師会側にかなり不満があることがわかるのであります。そこで問題は、三保険医が指定取消しに値するかどうかという問題、さらにそれを取消したまでの過程の問題になつて来るわけです。これに関しては、私も十分な調査をしておりませんので、きようの質問はこの程度にしておきますが、先ほど申しましたどの監査要項に該当したかという資料を御提出願いたい。同時に委員長に御注文申しておきますが、こういう問題は年々起つて参ります。昨年はこの問題で北海道に参りまして、北海道の事例を私、青柳委員及び古屋委員とともに視察したのですが、たまたま参議院からもそれを視察調査に来ていました。これは円満解決をしたのです。今回の国政調査は近畿の方にも派遣されると思いますが、会期も余日ございませんので、この問題は、提出願う保険局長からの資料等も参酌され、さらに本日の速記録等も参酌されて、現地において十分調査をしていただきたいということを希望いたしております。
#62
○小島委員長 柳田君にお答えいたします。この問題は今後相当大きな問題になると思いますから、理事会で相談いたしまして、適当なる措置をいたしまして、適当なる措置をいたします。
#63
○滝井委員 今の審査問題に関連して、一般的なことを少し御質問申し上げておきたいのですが、今柳田さんからの御質問に対して、監査の対象となるものは府県の審査委員会の結果、それから患者の実地調査、主としてこういう二つの点を基礎にして審査の対象になつていることは、私はよく存じておるわけです。そこで、問題は審査委員会なんであります。御存じの通り、私も審査委員を経験したことがありますが、戦争中でありましたけれども、二千枚ぐらい審査をさせられるわけです。そうすると、自分の郷里から福岡まで出て行くわけですが、朝一番で出て行つて、夕方までに帰つて来なければならない。その間に二千枚やらなければならないというので、大車輪でやるわけです。もちろん長年審査をやつていますと、担当地区が大体きまつておりますので、その市なり、その郡なりにおける医者の診療の特徴というものは、大体わかつて来るわけです。そうすると、どの医者は大体どういう注射を濃厚に使う、どの医者は麻薬をうんと使うのだというようなくせが、すぐ審査委員にはわかつて来るわけです。ところが問題は、その審査委員の客観的な立場よりも、今度は主観的なものが審査委員会に非常に入つて来るわけです。たとえば、今は死にましたが、私と一緒に飯塚病院の院長がやつておりました。ところが、私が削らないものを院長ほどんどん削つて行くわけです。そうすると、私はそこで一緒にやつておりましても、院長さん、それはひどいから削らない方がいいだろうと言うわけには行かない。どんどん削るわけなのです。そうしますと、開業医から出ておる審査委員と――大学から出ておる審査委員と、役人から出ておる審査委員と、飯塚病院あたりから出ておる審査委員とは、審査のやり方が違つておるわけなのです。現実に社会保険という一本のわくの中で審査はやつておりますけれども、これは実際に違うのです。私は経験しておるのです。そうしますと、その減点の状態を見てみますと、私なら私がやつた減点は、自分が開業医をやつておるということで、割合に寛大な審査をやる。ところが、役人さんがやつたときほ、非常な極端な審査をやるというように、違つて来ておるわけなのです。そうしますと、今度はその審査委員会の三箇月なり四箇月の結果を見てみると、たとえば六千点の請求点数に対して毎月千点も削られておるというような人は、当然監査の対象になり得る可能性があるわけです。なぜならば、これは濃厚診療をやつておるという疑いがすでにそこにかかつて来るわけなのです。そういう点で、審査の基準というものはありますけれども、治療の形態はそれぞれ個人々々の得手、不得手というものがある、あるいは習慣というものがあるのです。その注射の使いぶりや処方箋の書きぶり、全部わかるわけなのです。従つてこれはまず個々の保険医と監査の問題、これはあとでまた質問いたしますが、この問題を考える場合には、この審査委員はしよつちゆうかえなければならぬということになる。ところが現在医療協議会――私は医療協議会の根本的な矛盾をつきましたが、審査委員というものは、現在ボス的な状態になりつつある。審査委員は、のべつまくなし同じ者が審査委員に出て来ておる情勢が最近は出て来ておる。少くともこれは、監査の対象になるような医者を審査委員の中に入れてみる。そうしますと、自分のやり方がどうなつておるか、どういう状態で自分が診療しておるかという反省が出て来る。そうしますと、審査委員に出ておつて濃厚な診療などをやることはできない。ですからそういう人を審査委員にでも抜擢をしてみる。みな保険医ですから、少くとも社会保険の診療担当者になる限りにおいては、保険の規則はある程度知つておかなければならぬ。今ある程度審査委員を固定し過ぎておるところに一つの問題がある。しかも審査委員も能力がありますが、莫大なものを審査さしておる。今度はいま一つの予防策としては、それぞれの担当した審査委員は、自分の担当地区の医者のくせがわかるわけなのですから、そういうときにまず監査にかける前に当然注意をすべきなのです。現在もちろんある地区においては注意が行われておると思うのです。従つて何々地区の何々という医者はどうも濃厚診療の疑いがあるから、こういう状態が続くならば、監査の対象になる、だからその地区の医師会長は指導してくれということで指導をやるならば、そういうものは医師会内部の自浄作用によつてだんだんなくなつて行くのです。そういう状態をやつて、監査にかかるようなものはさまつておるわけなのですが、だんだんそういう自浄作用によつてなくなつて行くのです。審査委員を長く固定せしめないということ、同時に審査委員会で監査の対象になるというものは、医師会にすみやかに通知をして、医師会内部の自主的な解決をさせて行くということ、こういう方法をとるべきだと思うのです。現実においてもはがきその他において注意はしております。それをもつと積極的にやらせる必要があると思うのですが、そういう具体的な指導を、現在厚生省はやつておるのかどうか。この点をひとつ御答弁願いたい。
#64
○久下政府委員 審査委員の問題につきましているく有益なお話を伺いました。私もお話を伺つておつて、確かにそういうことがあろうかと思います。人間のやることでもありますので、絶対的な意味の公正ということは必ずしも期せられないこともやむを得ないこととは思いながら、やはり私どもとしては審査委員の組織の点なりあるいは任期の点なり十分考えなければならないということを感じたのであります。ただ、今先生御自身がおつしやいましたように、相当なれないとできない仕事でもありまするので、あまり頻繁にかえますこともまたいかがであろうかとも考えます。いろいろ御指摘の点を重要な参考にいたしまして私どもいろいろ幹部と誓いをいたしたいと思います。実際の指導の問題でありますが、やり方としては大体今お話のようにやつておるつもりでございます。私どもは監査の対象に選びますのに、一度何か不当な請求があつたからといつて、それをすぐ監査の対象にするということはいたしておりません。審査委員会から直接御本人を呼び出して指導的な注意を与え、あるいは医師会の方から自主的に御指導を願うというようなやり方をし、さらにそれに加えてわずかばかりでありますが予算を支出いたしまして、私どもの立場におきましても医師会と協力した指導ということを行つておるわけでございます。そういうことによつて再三やつても直らないような人、あるいは特にはなはだしい不正不当の請求をするというようなことが監査の対象になるわけでございます。これも初めてと二回目、三回目ではよほど考え方をかえておるつもりでありまして、ただいまお話のような点に十分留意をしながらやつておるつもりでございます。ただ遺憾ながら人手の関係やら予算の関係やらで、指導の点につきましても十分な目的を達し得ない実情にありますことは否定できないと思つております。御注意の点は重々ごもつともでございますので、各方面につきまして今後の重要な参考にして改善をはかりたいと思つております。
#65
○滝井委員 その次は社会保険請求の事務です。これは予算委員会等で私取上げたのですが、問題はやはりこれにあると私は思うのです。現在医者は月末になりますと、診療と社会保険の請求書の事務を医者みずからやることはほとんど不可能な状態です。ところがこれは看護婦その他にまかせておけば必ず間違いが起つて来るわけです。なぜならば一切の処方や診療が書いてあるのを、現在は請求書に移すことが役目です。移すことが役目でございますが、二百人の処方や診療を今度は二百枚の請求書に移して行く場合に、神様ならぬ身ですから間違いが起つて来ることは当然であります。しかもそれは請求書に書くばかりではなく、保険証に書く、傷病手当金の請求書に書くということで、実に複雑怪奇です。その事務を全部診療担当者である医者みずからがやる建前になつておるわけです。建前になつておるのに看護婦なんかに書かせるから間違いが起るといつて監査場に行つたら怒られておるりを目の当りに見たのです。そうしますと、これはたいへんなんです。だから今後監査をやると言うからには、あなたの方においても診療事務をもつと簡素化する道をやはり今後研究しなければならぬと私は思う。そうしないと間違いは至るところに起つて来るということなんです。これは社会保険の点数の問題等もありますが、刻下の一つの急務はやはり保険事務の簡素化であると思う。現在保険証に書き、請求書を書き、そして被保険者には傷病手当金の請求書を書く。ところが最近は傷病手当金の請求書が実に複雑な、しかも詳細な書き方を要求して来ます。しかもたとえば私なんかは瀧井の瀧という字はさんずいに龍というむずかしい字を書きます。ところが常用漢字ではさんずいに龍を書いた瀧という字はありません。さんずいに略字の竜という字を書きます。そして私の判は、判ですから本字です。ところが略字の名前を書いて本字の判を押しますと、社会保険の出張所からこれはだめでございますといつて返つて来るわけです。なぜ返つて来るかというと、一件でも二件でも返せばそれだけ支払いが減るわけです。そうすると、その社会保険の出張所は支払いが少いので成績があがつたことになるわけです。そういうちよつとした事務上のことでさえも現在返つて来る。請求書も全部そうです。生年月日が書いてないと、保険証に書いてないといつて返つて来る。日にちを抜かすと日にちがないといつて返つて来る。あるいは政府管掌の分で、それに政府管掌のマルを忘れておつたら返つて来る。それは保険事務当局がちよつと上の方の記号、番号を見てくれれば政府のものかどうかということはすぐわかる。ところがマルをつけていないだけで返つて来るわけです。一挙手一投足、一分一厘の間違いがあつてもだめだということが今の建前になつておる。社会保険の第一の重点は診療だ。ところが診療でなく、現在の医療では重点は社会保険事務になつておる。従つて現在の社会保険に、人間の生命に対する尊重とでも申しますか、そういうものがなくなり、医療が物質的な状態で精神的な面がないがしろにされておるところに、現在の社会保険の大きな欠陥がある。というのは、社会保険事務があまり複雑怪奇になり過ぎているところから、病気をなおす医者の責任が、いかにして社会保険の請求書をうまく要領よく出してそしてそれが監査の対象にならないようにパスして行くかという状態になりつつあるのです。こういう状態に日本の医療があるならば、日本の医者は社会保険の事務のために生命を犠牲にしなければならぬというはめに陥つてしまう。ですから私は今の審査委員会の問題とともに、保険局長にこの社会保険の事務機構と取組んでもらつて、もつと簡素化しなければだめだと思うのです。現在医者は社会保険の事務に追われて勉強するひまがありません。普通の看護婦一人か二人置いてそして医者一人でやつておるようなところは、もし延べ二百枚の請求書を出すとするならば、月末の一週間はほとんど徹夜しなければできないのです。そうすると、その一週間というものは、はなはだしい医者の場合は二、三日は診療を休んで保険請求の事務をやつておる。そうでないならば事務員を一人置かなければならぬ。ところが事務員を置くような能力は、社会保険を専門にやつておる医者にはありません。それはあなたも御存じの通り、四千九百点くらいの稼働点数ですから、五万二、三千円くらいでは、看護婦を二人置いてさらに事務員を一万円も一万二千円も出して雇うことはほとんど不可能だ。しかも社会保険の請求事務はある程度専門的な知識を必要とする。私の友人なんか、全部一枚二十円で請負わしてやつておる。そうしますと、これはふしぎなもので、一つの医院の中に十人の医者がおりまして、社会保険の請求事務のできる医者は一人しかいない。そこでその医者が独占的に今度はその二十円の請負をやつてしまうのです。これが何点だということをほかの者に絶対数えないというような弊害さえも現在起つておる病院があるわけです。これは一つの専門事務になりつつあるということなんです。ところがどの医者も社会保険の仕事は知らなければならないのに、病院に行つてごらんなさい、あるいは大学に行つてごらんなさい、社会保険の請求事務のできない医者ばかりです。何人かの医者しか社会保険の請求事務はできません。これは熟練工だ。こういう状態は日本の医療にとつて非常に不幸なことだと私は思う。従つて社会がもつと分科すれば専門的な人はできるでしようけれども、これは医者がみずからやらなければならないものだ。社会保険の、自分が診療した結果を報告して、そしてそれに対してお金をもらうのですから、当然これは医者が自分でやらなければならぬということが私は建前になつておると思う。そういう点から考えて、これは局長さんから、具体的に今後事務をどういうぐあいに簡素化して行くかということをひとつここで表明を願いたいのですが、もし局長さんが表明できないならば、私の方は研究して、今後もつと簡単なあれでも出さなければならぬと考えております。
#66
○久下政府委員 いろいろ具体的な事例をあげてのお話でございまして、私もただ傾聴するのみでございます。私としては能力を持ちませんので一般的なことしか申し上げられません。
 まずお言葉を返すようでありますけれども、また滝井先生もその通り考えていらつしやると思いますが、社会保険を担当していただきます保険医の方方としては、やはりこういう制度でもありますので、ある程度の事務は御負担をいただかなければならないと思います。ただそれが今御指摘の中にもありましたような不必要な事務負担を課するということは、確かに私どもとして反省をしなければなりませんし、また早急に改めて行かなければならぬと思つております。その点につきましては私ども今日その具体的な点までは触れておりませんが、今後至急研究をいたさせるつもりでございます。
 それからもう一つ申し上げますが、社会保険だけの請求事務ということは、私は確かに不備な点もあろうかと思いますが、問題は実は社会保険のみではなくして、社会保険に関連する、たとえば結核予防法の国費負担を受けるということになりますと、これまたたいへんな事務がございますので、こういう点につきましてまむしろ厚生省全体の問題でございまして、私どもは実は昨年からこの問題を具体的に取上げまして寄り寄り相談をいたしておるのでありますが、実はまだ今日まで結論を得ておりませんことを非常に申訳なく思つております。しかし大体のことを申し上げますと、第二義的にこれに並行して具体的な事務の整理をして行きたい、こういうような考えで進みたいと思つております。
#67
○滝井委員 とにかく厚生省のお役人の中で、国民健康保険と健康保険と結核予防法との三つが加わつた場合の事務請求を、ひとつやつてごらんなさいと言つたら、おそらくそれをできる人は一人もおらぬのじやないかと思う。基金あたりでもそれが具体的にできる人は、それを担当している事務員一人くらいしかできない。ほかにはだれに聞いてもわからぬという状態である。それを今度医者がやる場合には一人で全部しなければならぬ。そうするとちよつと書類が間違つてもすぐつつ返される。迷惑するのは患者ばかりです。こういうむずかしいやり方をやるのは非常に困る。それはなるほど役所はふえるでしよう。しかし役所がふえては、失業救済にはなるかもしれませんが、事業がますます複雑化して、国費がたいへんで、非常に困るわけですから、その点を速急に考えていただきたい。
 それからいま一つは、この監査と人権の問題ですが、現在社会保険で食つている医者はだんだん多くなつて来ております。そうすると監査の対象になつて、保険医の取消しを受けるような場合も多くなるわけです。もちろん悪いことをしたのが取消しを受けるのは当然ですが、しかしそれまでの過程については十分注意をしてそうしてどうにもこれは直らないという者について断を下すのが当然です。しかし最近は必ずしもそうでない場合がある。官僚的に取消しを受ける。従つてそういう場合には、取消された医者は飯が食えなくなります。私のところにもそういう人が、二、三人おりましたが、まつたく生活ができない。一人も患者が来なくなつてしまう。たまたま来ても、私はもう保険医を取消されましたのでできませんというので、まるつきりその近所では犯罪人扱いです。そうして各事業場へ行つてみると公告が出ておる。何々という医者は保険医で悪いことをして取消された、だから今後は保険証が通用せぬから、右通知をするというふうにやられておる。何かその医者をまつたく犯罪人と同じ人間にしてしまう。刑務所から出て来た者と同じように犯罪人扱いです。医師会でも白眼視され、近所の患者からも白眼視されて、まつたく患者が来ない。私はそういう例を知つておる。そうしますとその医者は食えないので、今度は医師会長なり県の民生部長あるいは保険課長のところへ行つて、何とかしてやつてもらおうと三拝九拝をしておる。こういう状態が現在出て来ておるわけなんです。従つて私はやはりこういう監査をして最後の取消の断を下すまでには、審査委員会や医師会あるいは医療協議会等があるわけですから、そういうものを十分に活用して勧告をさせる、二度三度勧告をし注意をする、どうしても聞かない者についてはやりだまにあげて行く、こういう方法ならば、これはおそらく医価会にしても、本人にしても、患者にしても万人が納得すると私は思う。ところがそういう過程をとらずに万両断のもとにぱつとやられると、今度はその医者はどういうことを言うかというと、必ずこれは社会保険の悪口を言つてまわる。ところがどんな医者でも必ずやはり何名かの患者の支持者というものがおります。その医者でなければならぬという人を医者である限りにおいては何人か持つておる。ところがそういう者が同時にこの保険の悪いことを伝えて行つて、そうして私の市なんかでは国民保険をつくる上に非常な障害があつたことを私は経験しておる。監査によつて保険医の取消しを受けるということは、同時に一人の医者にとつては死活の問題である。現在は生活の問題に結びついておる。今までのように一般診療をふんだんにやつて社会保険というものがつけ足りであつたという時代ではなくなつて来たわけです。社会保険というものは、もうほとんど医師の生活を左右しておる、こういう医者の死命を制するという段階になつて来つつあるのですから、従つてこれは医師の人権の問題ともやはりからませて、今後は考えて行かなければならぬという段階が来ておると思うのです。そういう点についてどうお考えになるか、御答弁を願いたいと思います。
#68
○久下政府委員 お話の点は、私は全然同感でございまして、その取消しの問題が与える影響というものは非常に大きいのでありますから、十分慎重にやるべきものと考えて、現にやつておるつもりでございます。ただ最終的にすべての場合まず戒告をしておくということだけでも済まない事例がございますので、例外の場合でやらざるを得ない場合もありますことは御了承を願つておきたいと思います。
#69
○滝井委員 済みました。
#70
○小島委員長 それでは本日の日程の内閣提出の水道法案その他についての審議は次会に続行いたします。
 次会は明日午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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